大気排出基準等専門委員会(第1回)議事録

1.日時

平成28年1月29日(金) 10:00~11:58

2.場所

航空会館 501+502

3.出席委員

委員長    坂本 和彦

臨時委員   高岡 昌輝   谷口 靖彦   畠山 史郎

限定臨時委員 大塚 直

専門委員   飯島 宣之   伊藤 茂男   指宿 堯嗣

       貴田 晶子   近藤 守    長安 立人

       守富 寛

4.委員以外の出席者

環境省

   高橋 水・大気環境局長、早水 大臣官房審議官、江口 水・大気環境局総務課長

   瀧口 水・大気環境局大気環境課長、伊藤 水・大気環境局大気環境課課長補佐

   長濵 水・大気環境局大気環境課課長補佐

5.議事次第

1.開会

2.議題
 (1)大気排出基準等専門委員会の設置について
 (2)検討の進め方及びスケジュール
 (3)主な検討事項
 (4)BAT/BEPガイダンス(案)の作成状況
 (5)水銀大気排出実態調査の結果
 (6)その他

3.閉会

6.配付資料

  • 委員名簿
  • 資料1    大気排出基準等専門委員会の設置について
  • 資料2    これまでの検討の経緯
  • 資料3    検討スケジュール(案)
  • 資料4    主な検討事項
  • 資料5    BAT/BEPガイダンス(案)
  • 資料6    水銀大気排出実態調査の結果
  • 参考資料1-1 中央環境審議会関係法令等
  • 参考資料1-2 中央環境審議会大気・騒音振動部会の運営方針について
  • 参考資料1-3 中央環境審議会大気・騒音振動部会の小委員会の設置について
  • 参考資料1-4 中央環境審議会大気・騒音振動部会の専門委員会の設置について
  • 参考資料2-1 水銀に関する水俣条約を踏まえた水銀大気排出対策の実施について(諮問)
           (平成27年12月18日諮問第427号)
  • 参考資料2-2 水銀に関する水俣条約を踏まえた水銀大気排出対策の実施について(付議)
           (平成27年12月21日中環審第884号)
  • 参考資料3  水俣条約を踏まえた今後の水銀大気排出対策について(答申)
           (平成27年1月13日中央環境審議会答申)
  • 参考資料4  大気汚染防止法の一部を改正する法律(平成27年法律第41号)
  • 参考資料5  大気汚染防止法施行令等の一部を改正する政令(平成27年第379号)
  • 参考資料6  水銀に関する水俣条約(第八条抜粋)
  • 参考資料7  諸外国の水銀排出基準一覧
  • 参考資料8  ばい煙及び揮発性有機化合物の排出基準一覧(抜粋)
  • 参考資料9   大気汚染防止法(ばい煙発生施設)に係る測定項目・測定頻度について
           (平成21年11月20日 中央環境審議会大気環境・水環境合同部会
            公害防止取組促進方策小委員会(第4回) 資料3-1)
  • 参考資料10  排ガス中の水銀の測定方法
           (平成26年7月3日 中央環境審議会 大気・騒音振動部会
            水銀大気排出対策小委員会(第2回) 資料2-別添5)

議事

午前10時00分 開会
【瀧口課長】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第1回中央環境審議会大気・騒音振動部会大気排出基準等専門委員会を開催いたします。
 委員の皆様方におかれましては、ご多忙中にもかかわらず、ご出席いただきまして大変ありがとうございます。
 本日の司会を務めさせていただきます、環境省水・大気環境局大気環境課長の瀧口です。どうぞよろしくお願いします。以降、座って進行させていただきます。
 この専門委員会は、今月6日に開催されました第10回の大気・騒音振動部会において設置が了承されまして、その際、委員及び委員長につきましては、部会長一任とさせていただいたところでございます。大気・騒音振動部会の坂本部会長と相談した結果、12名の皆様に委員をお願いすることになりました。お手元に委員名簿を配付しております。また、委員長には、坂本部会長ご自身にご就任いただくことになりました。
 本日の出席状況ですが、大塚先生、若干遅れておられるということで今連絡が入りまして、後ほどご参加されると思いますが、大塚先生を含め12名の委員、全員の皆様にご出席いただいております。
 続きまして、事務局を代表いたしまして、水・大気環境局長の高橋よりご挨拶を申し上げます。

【高橋局長】 おはようございます。水・大気環境局長の高橋でございます。
 本日は、ご多忙の中、当専門委員会にご出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
 ご案内のとおり、水銀に関する水俣条約でございますけども、平成25年10月に採択をされまして、50カ国の締約国に達してから90日後に発効ということでございますけども、現時点の最新の情報では、21カ国が締結を済ませているということでございます。我が国も、当然、条約締結に向けて、昨年、国内法の整備のほうも進めました。現在、外務省のほうで最終的な手続をやってございまして、それを経て条約締結に至るということになっております。
 環境省関連、特に大気のほうで残された課題といたしましては、改正大気汚染防止法を施行するために、対象施設の排出基準値や規模などを定める必要がございます。このため、水俣条約を踏まえました水銀大気排出対策の実施につきまして、昨年12月18日に、環境大臣から中央環境審議会会長に諮問をされまして、21日付で大気騒音振動部会に付議をされております。
 具体的な排出抑制対策の検討のために、今月6日に開催をいたしました中環審大気・騒音振動部会の決議を経まして、本専門委員会が設置をされたという経緯でございます。本専門委員会におきましては、大気排出基準など専門的・技術的な事項につきまして検討をいただくということになりますため、坂本部会長とも相談をさせていただきまして、各分野の学識経験者の皆様に委員をお願いしてございます。
 委員の皆様方におかれましては、ご多忙の中、就任をご快諾いただきまして、改めて厚く御礼を申し上げます。今後、この委員会におきまして、改正大気汚染防止法施行のために重要な事項を検討していただくことになりますので、ぜひ活発なご議論、ご指導を賜れればと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

【瀧口課長】 本日の会議につきましては、中環審の運営方針に基づきまして、公開とさせていただいております。
 次に、お手元の配付資料の確認ですけれども、議事次第の裏面に配付資料一覧を記載しております。委員名簿の次に、資料1から資料6まで。それから、第1回目の委員会ということで、配付資料が多くなっておりますけれども、参考資料1から参考資料10まであります。もし不足等がございましたら、会議の途中でも構いませんので、事務局のほうにお申しつけいただければと思います。
 マスコミの皆様におかれましては、カメラ撮りはここまでになりますので、ご協力をお願いします。

【瀧口課長】 以降の進行につきましては、坂本委員長にお願いいたします。

【坂本委員長】 それでは、早速始めたいと思いますけれども、今日は非常に寒い中お集まりいただきまして、ありがとうございました。
 先ほどお話がございましたように、水俣条約の締結、これを具体的な排出基準をどう決めていくかというような委員会ということで進めさせていただきたいと思います。
 では、早速ですが、議事に入らさせていただきたいと思います。
 まず議題1、大気排出基準等専門委員会の設置について、そして議題2、検討の進め方及びスケジュール、議題3、主な検討事項について、この三つはそれぞれ関係いたしますので、まとめて事務局から説明をお願いいたします。

【瀧口課長】 それでは、資料1から資料4に沿って説明させていただきたいと思います。
 少し資料の順番が逆転しますけれども、資料2をご覧ください。これまでの経緯を示した資料です。
 1枚めくっていただきまして、水俣条約の概要及び大気排出に係る規定ということで書いてございます。この水俣条約の中に条約第8条として、水銀の大気排出の規制に関する規定がございます。この条約の中で、5種類の発生源の分類を対象にすること。この5種類と申しますのは、石炭火力発電所、産業用の石炭ボイラー、非鉄金属製造施設、廃棄物焼却設備、そしてセメントクリンカー製造施設、この5種類の分類に対して、水銀の大気排出を抑制し、実行可能な場合には削減することということを規定しておりまして、新規施設には、「利用可能な最良の技術」、Best Available Techniquesということで、BATと呼んでいます。それから「環境のための最良の慣行」、これはBest Environmental Practicesということで、BEPと呼んでおります。これらを義務づけるということになっております。このBAT及びBEPというのが、この条約の一つのキーワードになっております。また、条約の中では新規施設と既存施設の扱いを分けておりまして、既存施設には五つの措置ということで、排出規制目標、排出限度値等、この五つの中から一つ以上の措置を実施するということ。また、水銀大気排出量に関する国ごとのインベントリーをつくり、維持するということが規定されております。
 2ページに、水俣条約の全体の構成と国内における担保措置との関係を記しております。
 3ページをご覧ください。我が国の水銀の大気排出状況でございますが、先ほど申しました条約の対象の施設5種類におきまして、年間排出量が9.5トンから14トン、これが全体の排出量の約6割から7割を占めるということになっております。それ以外が3割から4割ということになります。
 この水銀に関する水俣条約の締結に向けまして、水銀大気排出対策はどうあるべきかということで、中央環境審議会の大気・騒音振動部会のもとに小委員会を設置しまして、議論いただき、答申をいただいております。昨年の1月23日に答申をいただきまして、その内容が資料の4ページから5ページにかけて記しております。答申そのものは、参考資料としておつけしております。
 また、この答申に基づきまして、昨年、大気汚染防止法の一部を改正しております。改正の中身ですけれども、7ページをご覧ください。施策等の実施の指針ということで、水銀の排出規制と事業者による自主的取組とを適切に組み合わせて、効果的な水銀排出の抑制を図るということとしまして、大気汚染防止法において、水銀の規制を受ける施設を水銀排出施設ということで定義をしまして、その設置の届け出、それから、3番に参りまして、水銀排出施設に対しまして、排出基準の遵守義務、そして環境大臣、都道府県知事等における、次のページに参りますが、4番、報告徴収、立入検査、勧告、命令。そして、届け出対象外であっても、水銀の排出量が相当多い施設というのを要排出抑制施設ということで位置づけまして、自主的取組として、単独または共同で自主管理基準の作成等を行っていただくということを定めております。
 次のページ、9ページが大気汚染防止法の体系ですけれども、今回の改正により、新たに水銀のカテゴリーが大防法の中に位置づけられたことになります。
 また、昨年11月には、施行令の一部改正をしまして、その中で、水銀排出施設としては、条約の附属書Dに掲げる施設、先ほど申し上げました条約対象の5施設ですけれども、これを水銀排出施設とするということを定めております。
 次のページ、11ページ目に参りまして、さらに今後の主な検討事項としては、1番、排出基準の対象施設の種類及び規模に関する基準、2番として、排出基準の値、新規施設、そして既存施設に対しての値、排ガス中の水銀濃度の測定方法、それから要排出抑制施設の種類及び自主的取組のフォローアップに関するあり方ということでございます。これらにつきましては、資料4で詳細に説明させていただきたいと思います。
 水俣条約に関する今後の予定ですが、現在、締約国ですけれども、昨日、昼間に確認した時点では20カ国でしたが、夜に確認したところ、ボリビアが締結したということで、21カ国になっております。申し訳ありませんが、資料を修正ください。そして、今年3月の半ばに、水俣条約の政府間交渉委員会というのがヨルダンで開催されまして、その後、締約国が50カ国に達した時点で、それから90日後に条約が発効するということになっております。条約の暫定事務局によれば、今年から、あるいは来年ぐらいにかけての時期で発効が見込まれるのではないかということです。条約発効後、1年以内に締約国会議が開催されまして、また、改正大気汚染防止法は発効後2年以内に施行するということにしております。
 ということで、資料1をご覧いただけますでしょうか。今後の検討課題ということで、改正大気汚染防止法を施行するために、大気排出基準等を定める必要があるということで、昨年12月18日に、環境大臣のほうから、水銀に関する水俣条約を踏まえた水銀大気排出対策の実施についてということで諮問をしておりまして、12月21日付で大気・騒音振動部会に付議されております。それぞれ参考資料2-1、2-2で、その内容をおつけしております。ということで、この検討のために専門委員会が設置をされております。
 専門委員会の検討スケジュールですけれども、資料3をご覧ください。今回、第1回ということで開催させていただいておりまして、第2回2月12日、第3回が3月23日ということで、日程をいただいております。第2回は、水銀排出施設の種類、規模、排出基準等の考え方につきまして、また、排ガス中の水銀測定方法につきまして、ご議論いただくことにしております。また、それを踏まえまして、第3回では、専門委員会報告書(案)ということで、ご議論いただければというふうに思っております。そして、3月下旬以降、できるだけ早い時期に専門委員会報告書の取りまとめ、公表ということで考えております。また、先ほど説明いたしました大防法の届け出対象外でありますけれども、水銀の排出量が相当程度多い施設(要排出抑制施設)についての検討は、この排出基準等の検討が終わった後の第2ラウンドで来年度から検討をしたいというふうに思っております。
 以上が資料1から資料3までの説明ですが、次に資料4、主な検討事項についてということで、詳細を説明させていただきたいと思います。今後、改正大気汚染防止法に沿って、水銀の大気への排出を規制するに当たって検討が必要な事項ということで、まとめてみました。
 まず、1番の規制対象施設ですけれども、先ほど申し上げましたように、5分類の施設を対象とするということにしておりますが、これにつきまして、実際に大気汚染防止法に沿って具体的に規定するために、施設の種類や、あるいは規模をどうするかという課題がございます。規模と申しますと、例えば原料の処理能力ですとか、あるいは火格子の面積ですとか、あるいはバーナーの燃料の燃焼能力等がございます。これに関する中環審の既にいただいている答申の中身については、この点線の括弧の中で記しております。
 2ページ目に参りまして、具体的な検討課題ですけれども、施設の種類の区分は、ばい煙発生施設と同様でよいかということがあります。例えば水俣条約では、石炭火力発電所と産業用石炭燃焼ボイラーということで区別しておるわけですが、大防法では、ボイラーということで一括して扱っております。この扱いをどうするか。それから、条約の中でも、例えば石炭火力発電所なら、石炭火力発電所の排出量で75%を維持する水準であれば、裾切りの基準を設けてよいという規定がございます。もし基準を設ける場合には、施設規模に係る指標をどうするか。ばい煙発生施設でも裾切り基準があるわけですけれども、それと同程度でよいか。また、75%の水準をどうやって設定するか。特に、これが社会情勢の変化等によりまして、すぐに75%を切るというようなことであれば、法的に安定しませんので、この基準をそういうことがないようどう設定するか。それから、施設規模にかかわらず水銀を確実に扱う施設につきましては、当然、水銀対象施設とすることになりますし、あるいは、基本的に扱わない施設につきましては、施設規模にかかわらず対象施設から外すことも検討し得るわけですが、これをどう設定するか。また、これについての判断指標をどうするかということがあります。また、ボイラーにつきましては、特に石炭専焼ボイラーもあれば石炭混焼ボイラー、それから、専ら石炭以外のものを燃料とするようなボイラーもあります。この石炭混焼ボイラーの扱いをどうするか。それから、条約の中では、実質的な改修をした既存施設は、条約上、新規施設として扱うこととしておりまして、改修が実質的か否かの判断は締約国が行うことになっております。この実質的な改修の定義をどう整理するか。これらが検討課題になっております。
 次にBAT、利用可能な技術ということで、このTはtechnologyではなくてtechniquesという単語を略しておりますが、これを適用した場合の排出限度値ということで、改正大気汚染防止法では、排出基準につきまして、「水銀等の大気への排出の削減に関する技術水準及び経済性を勘案し、その排出が可能な限り削減されるよう、水銀濃度について、施設の種類及び規模ごとの許容限度として、環境省令で定める。」ということにしておりまして、これはBATの適用について法律用語で示したものであります。これに沿って、新規施設、既存施設について、施設の種類及び規模ごとに、いかにしてBATを適用するかということですが、排気ガス中の水銀濃度には一定の変動があること、そして、水俣条約の趣旨が人の健康への影響に限らず環境中に循環する水銀をグローバルに削減していくという、そういう趣旨を踏まえまして、答申におきましても、「平常時における排出口からの水銀等の平均的な排出状況を捉えた規制」とする必要があるということとされております。
 これを念頭に置いた上で、検討課題ですが、3ページ目の後半部分であります。新規施設に対するBATとは具体的に何か。また、それに適合した値として、現実的に排出抑制が可能なレベルとしてはどの程度を設定するか。あと、これは既存施設についても同じ検討が必要になりますし、平常時における平均的な排出状況として達成されるべき値とはどのようにして設定するか。また、施設の種類及び規模ごとに設定する排出基準をどこまで細分化するか、という課題があります。
 次に、4ページ目に参りまして、排ガス中の水銀測定方法。改正大気汚染防止法では、水銀濃度の測定について、「水銀排出者は、環境省令で定めるところにより、当該水銀排出施設に係る水銀濃度を測定し、その結果を記録し、これを保存しなければならない。」としております。水銀濃度の測定方法は、いわゆる投入物等によりまして排ガス中の水銀濃度には一定の変動があること、及び先ほど申しました条約の趣旨を踏まえ、「平常時における排出口からの水銀等の平均的な排出状況」を捉えることができるサンプリング時間、測定方法及び頻度とすることが必要であるというふうに考えております。また、規制の対象となる事業者及び規制を実施する行政双方に対しまして、過度な負担を強いることのない、合理的な測定方法とする必要があります。なお、JIS規格におきましては、測定方法として、湿式吸収-還元気化原子吸光分析法、金アマルガム捕集-加熱気化原子吸光分析法、連続測定法の3種類が規定されているところです。
 検討課題としましては、排ガス中の水銀というのは、ガス状及び粒子に吸着した形、「粒子状」と申しますが、これで存在すると考えられるところ、測定対象について、改正大気汚染防止法の的確かつ円滑な実施を確保するために、どのような対象範囲が適当か。また、粒子状水銀を測定対象とする場合、JIS規格にはその測定方法がないわけですけれども、どのような測定方法が適当か。次に、5ページ目に参りまして、施設の種類によっては、低濃度から高濃度まで幅広い水銀濃度が想定されますし、また、排ガス中には妨害物質等の夾雑物が混在するということも考えられるところ、汎用性のある測定方法としてはどのようなものが適当か。また、「平常時における平均的な排出状況」を捉えるために、どの程度の試料採取時間が適当か。さらに、試料採取時間や事業者負担を考慮した上で、測定頻度、また、ばい煙規制では、施設の種類や排ガス量によって測定頻度が異なるわけですけれども、水銀規制ではこの点をどうするか。さらに、頻度に差を設ける場合はどのように設定するかということがあります。そして、水銀規制の趣旨を踏まえまして、平常時における平均的な排出状況を捉えた規制ということを考慮しますと、実際に分析結果を排出基準の適合を判断するための測定結果として確定させるために、どのような方法を用いるかということがあります。また、濃度規制であるところ、排ガスの希釈によります排出基準の適合を防止するために、標準酸素補正方式等を採用することが適当か。もし、これを採用する場合には、どのような方法とするかという課題があります。
 そして、最後になりますけれども、要排出抑制施設ということで、水銀排出施設として法規制の対象にはなりませんが、水銀等の排出量が相当程度多い施設として、「要排出抑制施設」ということで、自主的な対策を進めてもらうということにしておりますけれども、検討課題としては、6ページ目に参りまして、具体的に、それが、どのようなものが要排出抑制施設として該当するかということの検討をしていただければと思っています。例えば答申においては鉄鋼製造施設、これがインベントリーの中でも排出量が多いわけですけれども、これが、このうち焼結炉や高炉、コークス炉等が対象になるかというところが検討課題になっております。
 なお、先ほどもスケジュールの中で申し上げましたが、要排出抑制施設に関する自主的取組の具体的な内容や国としてのフォローアップのあり方については、排出基準等を議論した後の第2ラウンドで検討していただければというふうに思っております。
 以上が資料の説明になります。

【坂本委員長】 ありがとうございました。
 ただいまご説明をいただきましたけれども、まず最初に資料1から3、大気排出基準専門委員会の設置、これまでの検討経緯、それから今後のスケジュール、ここについてご質問、ご意見をいただき、その後、主な検討事項については、分けてご質問をいただくということにさせていただきたいと思います。
 それでは、まず資料1から3、この部分につきまして、ご質問、ご意見等ございます方は、名札を立てていただければありがたいと思います。いかがでしょうか。資料1から3のところまででございますが。
 特にご質問、ご意見ございませんようでしたら、次の議題で、資料4ですね、主な検討事項、ここにつきまして、ご質問、ご意見をいただきたいと思います。どうぞ、また名札を立てていただければと思います。いかがでしょうか。
 どうぞ。伊藤委員、お願いします。

【伊藤委員】 1点確認なんですけれども、この規制が始まった後で対象となる施設、7ページの参考がございますけれども、こちらを見ますと、2,000数百の施設が対象になりそうというふうにうかがえるんですけれども、新たにこういうこれだけの数の調査が必要となった場合に、測定事業として対応可能かどうかという見通しについてはいかがでしょうか。

【坂本委員長】 事務局、お願いします。

【瀧口課長】 その点も検討課題だと思っておりまして、測定方法の検討等の中で、そういう点も念頭に置いていただければと思いますけれども、法律の施行までには準備期間を設けることになりますので、基本的には対応していただけるものというふうに考えております。
 そして、ここで挙げております施設は、いわゆる大気汚染防止法の中で、ばい煙発生施設として既に規制されているものですから、ある程度、事業者さんのほうも、いわゆる届け出事務等に慣れているといいますか、測定等も含めて対応していただけるものというふうに考えています。

【坂本委員長】 よろしいでしょうか。
 どうぞ、そのほかいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 これは、今日の最後の資料6のところで、水銀大気排出実態調査の結果、こういったものが出てくると、もう少しまたわかるところがあろうかと思います。そこで、もし、主な検討事項についてというところでもし何かありましたら、またそこでご意見をお出しいただいても結構でございますので、とりあえず、もし、今現時点で、ご質問、ご意見がないようでしたら、先に進めさせていただきたいと思います。
 それでは、続きまして、BAT/BEPガイダンスのところでございますけれども、ここにつきまして、説明をお願いいたします。

【瀧口課長】 それでは、資料5をご参照ください。BAT/BEPガイダンス(案)についてということで示しております。
 水俣条約の8条の中で、この条約の義務を遂行するために、以下のガイダンスを締約国会議で採択するということを示しておりまして、①から④番まであります。①番のところで、新規の発生源と既存の発生源との相違及び複数の環境媒体にまたがる影響を最小限にする必要性を考慮に入れた利用可能な最良の技術/環境のための最良の慣行(BAT/BEP)に関するガイダンスということで定めることになっております。また、そのほかに三つのガイダンスを定めることになっておりますが、特に重要な①番のBAT/BEPガイダンスにつきまして、もう既に大体の案ができておりますので、今回、この資料5の中で紹介をさせていただきます。また、ここに書いてありますけれども、締約国は、条約の規定を実施するに当たり、このガイダンスを考慮することとしています。英語で申しますと、Parties shall take the guidance into considerationという表現になっております。
 このガイダンスの作成方法ですが、技術的・専門的な内容ということもありまして、専門家グループというものを政府の交渉のもとに設置をしまして、専門家グループの中で検討がされております。表の中に、どの国から参加しているかということが書いてありますが、日本からも参加しておりまして、この専門委員会の委員でもございます守富委員に、専門家グループのメンバーとしてご参加をいただいております。
 次に、具体的なガイダンスの内容ですけれども、その前に、2ページ目で、作成スケジュールがありまして、これまで議論されてまいりまして、また、3月の政府間交渉委員会でも、現在のガイダンス(案)についての議論がなされることになっています。
 3ページ以降は、それぞれの水銀の対象の施設に関しまして、BAT/BEPガイダンス(案)の内容を示したものです。
 まず、石炭火力発電所及び産業用石炭燃焼ボイラーということで、条約の中では別のカテゴリーとしておりますが、BAT/BEPガイダンスでは一つのカテゴリーとして、石炭火力発電所と産業用石炭燃焼ボイラーを扱っております。
 ガイダンスの構成につきましては、まず、ガイダンスのサマリーがあります。その中で、このサマリーの中で、ちょっと、段落としましては四つ目になりますでしょうか、大気汚染物質抑制システムと書いてあるところがございます。もう既に、石炭火力発電所あるいは産業用石炭燃焼ボイラーというのは、各国で規制されていることが多いわけですけれども、「大気汚染物質抑制システムは、粒子状物質、窒素酸化物、硫黄酸化物など水銀以外の伝統的な大気汚染物質の排出削減のために既に多くの国で利用されている。これらのシステムは、水銀捕集を主目的とするものではないが、排ガス中の水銀捕集が可能であるため、水銀排出削減の相乗便益を提供する。」という規定があります。相乗便益というのは、英語で言うco-benefitを日本語に訳したものです。このような記載があります。
 1.2で、ガイダンスの構成ということで、目次を表示しております。
 そして、5ページ目に参りまして、Best Available Techniquesということで掲載されている技術を具体的に紹介しております。
 2.1として、石炭の水銀量削減のための一時的措置としては、まず、燃焼前の水銀除去というのが挙げられていることで、日本語で言いますと、同じ発音になりますけれども、洗炭(coal washing)ですね。それから、選炭、これはselectionという英語の訳ですが、それから混合、これらが石炭利用効率の向上及び大気汚染物質の削減に効果的であると。しかし、洗炭そのものはBATではないということが書いてあります。
 それから、燃焼中における水銀削減措置ということで、流動床ボイラーの利用は下流における水銀削減に重要な役割を果たすということで、微粉炭燃焼と比べると流動床ボイラーからの排ガス中の粒子状水銀の割合はかなり高く、下流でのバグフィルターや電気集じん機による水銀除去効率を高めると。しかし、流動床ボイラーそのものは、BATではないという記載があります。
 そして、先ほども紹介しましたけれども、従来の大気汚染対策のシステムの相乗便益による水銀除去ということで書いております。この中で、選択的な還元触媒、電気集じん機、脱硫装置、また、それらの組み合わせ、あるいはバグフィルターというものが具体的な技術として挙げられておりまして、6ページ目に、その内容、7ページ目にも、6ページ、7ページと、その内容として、それぞれこうした技術を用いた場合に、どれぐらいの排出レベルになるかということが書いてあります。
 ただ、一方、ガイダンスの中では注意書きがありまして、こうした排出レベルは、各国のそれぞれの分類の排出基準としてリコメンデーションするものではないという注釈がありまして、リコメンデーションのようなものとして解釈されるものではないということでありまして、排出限度値そのものは、締約国において、それぞれBAT/BEPの趣旨を踏まえた上で検討されるべきだという記載があります。
 水銀に特化した抑制技術としては、2.4のところで簡単な記述があります。
 そして、8ページ目に参りまして、BEPとして掲載されている取組、いわゆるグッドプラクティスということで、実際には全体の環境管理のマネジメントの中で、石炭燃焼というのをどういうふうに扱っていくかという観点が中心のようですが、主要なプロセス・パラメーターの特定、石炭中の水銀量等の特定、それから施設全体のエネルギー効率の考慮、大気汚染抑制システムの維持管理と除去効率、施設の環境上の適正な管理、残渣の適正な管理、こういったところが挙げられております。
 次に、9ページ目ですが、非鉄金属の製錬及びばい焼工程に関するBAT/BEPガイダンスの概要ということで、条例の中では、非鉄金属ということで、銅、亜鉛、鉛、それから工業金(インダストリアルゴールド)、この4種類を対象にしております。ガイダンスの構成は、サマリーがありまして、項目を目次書きしております。
 10ページ目に参りまして、ちょっと紛らわしいんですけれども、2.1.2で製錬、これは製造業の製の製錬、それから、2.1.3で、これも発音は日本語と同じになるんですけれども、精錬、精巧という字での精錬ということで、これは2.1.2の製錬がsmelting、2.1.3の精錬がrefiningをそれぞれ訳したものです。
 また、BAT/BEPガイダンスでは、それぞれプロセスについては、対象となる非鉄金属ごとに定めておりますし、排出抑制技術ということでも挙げております。また、石炭ボイラーと同じように、既存の大気汚染防止技術とのコベネフィットということも書いております。
 12ページ目に参りまして、まず、水銀に特化した抑制技術の概要ということで、表1で幾つか挙げております。日本のDOWAの技術も挙げられているところです。
 13ページ目に参りまして、また、相乗便益が期待される排ガス処理技術としては、バグフィルター、湿式の電気集じん機、湿式スクラバー、そして排ガス洗浄と硫酸プラントの組み合わせ。これは硫酸製造の段階で排ガスを洗浄する際にガス中の水銀が除去されるものですから、この組み合わせも挙げております。
 また、この対策を選択する際の考慮点ということで、表2に挙げておりますようなことが挙げられております。
 14ページ目に参りまして、BEPとしては、環境管理システム、これは具体的には環境管理の目標設定ですとか、あるいはリスクの分析等を指しておりますし、このプロセスに入る投入物の混合、それから水銀大気排出抑制ということで、プロセス設計の最適化ですとか、負圧下での炉等の操業、そして粒子状物質の抑制。最後の部分は、大気汚染物質の環境上適正な管理と処分とありますが、これは大気汚染物質の処理過程で生じた廃棄物の適正な管理と処分という意味と捉えていただければと思います。
 次に、15ページ目に参りまして、廃棄物焼却施設に関するBAT/BEPガイダンスということで、これもサマリー、そして構成ということでありまして、17ページ目に参りまして、BATとして掲載されている技術としては、焼却前の廃棄物の前処理ということで、まず、廃棄物焼却施設への投入前の管理ということがありますし、2.2で廃棄物投入と管理に関するBATということで、日本の廃棄物処理の現場からすれば一般的なことでありますけれども、廃棄物受入場所は清潔・整然とした状態に維持するとか、このようなことが規定をされております。
 18ページ目に参りまして、廃棄物焼却に関するBATということで記載されております。具体的なBATとしては、排ガス処理に関するBATとして、2.4で示しております。排ガス処理技術ということで、表3に挙げておりますような処理技術と、それから水銀の削減効果。そして、それによって具体的にどのようなレベルになるかということで、実際に19ページ目の最初の文章ですと、ここまでのセクションに記載された技術を組み合わせると、水銀濃度で1立方メートル当たり10μgぐらいの清浄な排ガスとなることが報告されているというような記載もありました。このページでの図では、それぞれの排ガス処理の組み合わせで、どれぐらいの水銀濃度になるかというのが記載してあります。
 また、BAT/BEPガイダンスの中では、20ページ目に参りまして、それぞれ日本の一廃、それから産廃の焼却設備の水銀排出の状況ということも記載されております。
 また、21ページ目に参りまして、BEPとして掲載されている取組として、ここに記載されているようなものがあります。いわゆる日本における環境管理の一般的な事項が記載されているというふうに理解していただいてよいかと思います。
 また、BEPとしては、21ページ目の最後の部分になりますが、廃棄物管理として、廃棄物の最小化ですとか、排出源での分別及びリサイクル、焼却前の廃棄物検査と特定等が挙げられております。
 最後、23ページ目に参りまして、セメントクリンカーの製造施設に関するBAT/BEPガイダンスということで、いわゆるセメント製造施設におけますロータリーキルンを中心としたプロセスということになりますが、ガイダンス、サマリーがありまして、1.2に示しますようなガイダンスの構成があります。
 そして、BAT/BEPということで記載されておりまして、BAT/BEPとして掲載されている技術ですけれども、24ページ目から25ページ目にかけてあります。25ページ目のほうの一時的な措置、これは、ちょっと一時的と申しますと語弊があるかもしれませんが、primarymeasuresというのをこのように訳しました。これにつきましては、キルンに入る原料及び燃料の選択、そして抑制が水銀排出量の削減に効果的であり、キルンへの水銀投入量の削減措置として、例えば原燃料中の限度値を設けたり、あるいは投入物の品質保証システムを利用したりといったようなことが書いてありますし、二次的措置ということで、secondarymeasuresということにおきましては、ここに挙げられておりますようなダストシャトリングというんでしょうか、いわゆるダストをシャトルするようなこと、それから回収、こういったことが措置として挙げられております。
 そして、2.3に書いてありますSOx及びNOxの除去に設置された大気汚染物質の抑制措置も、水銀捕集の相乗効果を達成できるということで、具体的には26ページ目に挙げておりますような湿式スクラバー、選択的な還元触媒、活性炭吸着というのが挙げられております。
 以上、駆け足でしたけれども、資料5の説明になります。

【坂本委員長】 ありがとうございました。
 それでは、今、資料5で、BAT/BEPガイダンス(案)についてということでご説明をいただきました。これにつきまして、ご質問、ご意見等ございましたらお願いいたします。
 高岡委員、お願いします。

【高岡委員】 ありがとうございます。
 このBAT/BEPは、次のINCで3月に議論されるということですが、その後の予定はどうなっているでしょうか。本来、BAT/BEPはBAT/BEPの委員会で検討されるものだと思っていますので、その後のスケジュールが決まっているのかどうかということと、第1回締約国会議で最後は採択されるということですので、あとどのぐらい、このBAT/BEPの委員会があるのかをちょっと教えていただければと思います。

【坂本委員長】 事務局、お願いします。

【長濵補佐】 BAT/BEPのエキスパートグループの会合でございますけれども、守富委員のほうがお詳しいかと思うんですけれども、情報では、COP1まで開催される予定はないというふうに聞いてございます。COP1開催後は、未定のままというふうに聞いてございます。

【瀧口課長】 一般的に、こうしたガイダンスというものは、専門家の皆さんにいただいた報告を踏まえて、事務方でチェックをしまして、それがそのままCOPに送られて採択されるということになります。ですから、事務レベルで合意されたものがCOPで崩れるということは、ほとんどありませんので、大体、専門家グループ、そして小委員会で合意されたものが、COPで採択されるというふうに受け止めていただいていいのではないかと思います。
 もし、守富委員のほうから補足があれば、お願いします。

【坂本委員長】 補足がありましたら、お願いいたします。

【守富委員】 守富です。基本的には4回、専門家会合を開いて、一応でき上がり、今、5カ国語等に翻訳して、多分、INCに上がってくるんじゃないかなと思います。感触からすると、必ずしも国内委員会でももめていますように、測定法と数値との整合性の記述が抜けていて、統一感がまだ足りない部分を残しつつ、INC7に臨むことになります。多分、INCのときにも、各国から意見が出た場合、メールベースか会合を開くのかはわかりませんけれども、若干あるいは場合によっては大幅修正などの何らか修正等が入った場合には対応しなくちゃいけないですねという話はありました。具体的に第5回目を開くという話は、直接的には聞いておりません。

【坂本委員長】 どうぞ、高岡委員。

【高岡委員】 では、第7回政府間交渉委員会で、もう、ほぼこの今のBAT/BEPガイダンスが通るというか、これから大きく変わることはないと。あるいは、これからまだ新たにインプットできるのでしょうか。逆に言えば、新たにあまりインプットできないということでよろしいんでしょうか。

【坂本委員長】 お願いします。

【長濵補佐】 この案はドラフトでございますけれども、パブコメを経たものでございます。エキスパートグループとしてパブコメを経たものでございまして、そんなに大きくは変わらないのかなとは思ってございます。

【守富委員】 マイナーチェンジはあるかもしれませんけど、メジャーなチェンジはないとは思います。

【坂本委員長】 よろしいでしょうか。
 そのほかいかがでしょうか。
 内容に関わるところではないんです。ちょっと翻訳が気になったのは、9ページのサマリーの中の3行目、「製錬プロセスは金属を自由化させる」、この「自由化」は「遊離させる」とか、何か別の言葉にしたほうがいいなと、私、ちょっと思ったものですから。
 指宿委員、どうぞ。

【指宿委員】 BATのほうなんですが、例えば石炭燃焼で、いろんな国からのデータを示しているんですけど、例えば中国のやつですと、Nが2とか4とか5が非常に少ないもので、逆にこれはチャンピオンデータじゃないかとか、そういうようなことも思うんですが、専門家会合では、BATを決めるに当たって、Nの数というのはあまり考えていないんでしょうか。例えば日本からはかなりのNがあるのに、中国の配分が2とかというのが、このサマリーの中に書かれるというふうになっているんですけど、これはBATを選ぶときに、例えば国をまたいで選ぶというのはないと思うんですよね。それを、こういう国際的なガイダンスの中で、皆さんがどういうふうに読むかというのが、ちょっとこの報告の中だけではわからないんですけど。

【坂本委員長】 もし、守富委員、関連すること、情報をお持ちでしたらお願いします。

【守富委員】 そこは結構議論のあったところで、例えば焼却のほうの廃棄物のほうもそうなんですが、日本から出したのは、N数が結構少ないのを採用していただいています。

【指宿委員】 逆の場合も。

【守富委員】 ええ。逆の場合もあるんですが。石炭の場合だけで言えば、どちらかというと、先進国は、基本的には脱硫・脱硝・脱じんがついているということもあって、むしろ中国だとか、途上国で、どういうものが取り入れやすいですかという意見も強くて、中国で行われているBATと呼ばれそうなものをガイダンスに入れた・・・つまり、中国の石炭で、中国でやっている技術でやった場合に、どのくらいまで下がるんでしょうかということもあって、N数は少ないんですけども、中国のデータを加えたという経緯がありました。

【坂本委員長】 ありがとうございました。
 ある意味では、今回の水銀排出抑制をする場合に、非常に先進国と発展途上国で持っている技術のレベルが違う。そういった中で、できるだけ排出抑制をしていくために、今のような、少し例として少ないものだけれども、挙げてあると。そういうことでございますね。ありがとうございました。
 どうぞ、高岡委員。

【高岡委員】 ありがとうございます。
 細かいことなんですけれども、13ページのところですが、DOWA法のところで、短所として硫化水銀の有害廃棄物としての処分というような記述があるんですけれども、これはちょっと原文が私ちょっとわからないので何とも言えないですが、必ずしも硫化水銀までなっていれば、多くの場合、有害廃棄物として現状の法律では見なされていないのではないかなというふうにも思いますし、ここは、逆に言えば、硫化水銀として固定されているのであれば、長所としても捉えられるぐらいのものなのかなというふうにも思います。ちょっとここは表現が、ほかの水銀とはちょっと違うのではないかなというふうに思います。今からこれを言ったからといって、直るのかどうかがちょっとよくわかりませんけれども、一応申し上げておきます。

【坂本委員長】 ありがとうございました。
 それでは、まず、貴田委員、お願いします。

【貴田委員】 石炭と、それから非鉄のほうで、排出係数という項目があるんですけれど、これはかなり新たなデータに基づいた排出係数なのか。ツールキットの中でも、相当に考えられていたとは思うんですが、これはどういう形で出されているんだろうかということで、ちょっとわかればお聞きしたいんですが。

【坂本委員長】 もし、事務局、わかればということですが。

【瀧口課長】 申し訳ありません。今の貴田先生のご質問は、排出係数。石炭のところの……。

【貴田委員】 はい。例えば5ページの6のモニタリングの最後のほうで、6.6で排出係数というのがあるんですが。

【長濵補佐】 すみません。確認して、後でお答えします。

【坂本委員長】 伊藤委員、お願いします。

【伊藤委員】 単純に訳の問題だと思うんですけど、5ページ目の石炭のところですけど、下から3行目と2行目に、無煙炭と褐炭という言葉を使っているんですけども、ちょっとこれは原文を、最新版を見ていただきたいんですが、恐らくhard coalという表現になっているんじゃないかと思うんですが、hard coalも、単純に調べると無煙炭というふうに訳が出てくるんですけども、IEAの定義ですと、無煙炭に瀝青炭が加わったりしますので、少しそこをチェックをお願いしたいと思います。

【坂本委員長】 それはまた後でやっていただければと思います。
 そのほか、いかがでしょうか。
 今幾つか言葉のところでご質問が出ましたのは、また後で調べた時点でわかってきた情報をお願いするということにしたいと思います。
 そのほか、いかがでしょうか。もしよろしければ、排出実態のほうへ移りたいと思います。
 それでは、資料6、水銀大気排出実態調査の結果、これについてご説明をお願いいたします。

【長濵補佐】 では、お手元の資料6をご確認ください。水銀大気排出実態調査の結果として、資料をお配りしてございます。
 まず、調査の目的でございますけれども、個別の施設についての代表値を把握するという目的ではなくて、一定の施設の特徴を有する、施設区分と呼ばせていただきますけれども、一定の特徴を有する施設の種類ごとの水銀の排出状況を把握することを目的として実施いたしました。
 調査の対象といたしましては、条約の対象になり得る可能性のある施設について、広く調査対象といたしました。
 調査の期間といたしましては、平成27年5月から12月にかけて実態を調査いたしました。
 2ページに行っていただきまして、なお、事業者に対しても調査結果があればご提供くださいということをお願いしてございます。平成18年度以降の自主測定結果としてございます。
 3.2といたしまして、調査項目でございますけれども、施設情報といたしまして、事業所の概要、排ガス処理のフローですとか、製造工程でございます。それから、水銀の排出施設の概要といたしまして、燃焼方式ですとか、炉形式、規模、稼働状況、原燃料等の種類・使用料、それから処理方法等について聞いてございます。また、排ガス処理装置の設備といたしまして、種類ですとか、処理能力、それからばい煙発生施設でもございますので、発生施設で排ガスを処理している全ての上流の施設、当該施設の上流にどういった施設があるのかというところも、あわせて聞いてございます。また、水銀濃度の結果等でございますけれども、まず、排ガス中の情報といたしまして、今回はガス状水銀のみではなくて、粒子状水銀もあわせた全水銀を調査対象としてございます。また、排ガスの温度、排ガス量、酸素濃度、水分量については、必ずご提供くださいというお願いをしてございます。また、参考までに、通常の稼働状況がどうであったのかというような比較検討をするという観点からも、ばいじん、塩化水素、NOX、SOX、CO、未燃分等について、排ガス中の濃度がどうであったかというのもあわせてご提供いただきたいとお願いしてございます。また、排出物の情報に関しましては、通常、どういったものがどこからどれぐらい出るのかというところ、それから、水銀濃度を測定した当日の処理物の状況について聞いてございます。また、可能であれば、排出物中の水銀の含有量についても、あわせて測定してくださいというお願いをしてございます。原燃料等についても、同様でございます。また、そのほかの情報といたしまして、通常の操業状態を把握するため、最新のばい煙の濃度はどの程度であったのかということも、参考までに聞いてございます。
 環境省が測定いたしました調査に関しましては、これらを網羅的に調査してございますけれども、事業者からいただいたデータにつきましては、排出物中の水銀含有量については、一部の情報しか得られなかったというような状況でございます。
 3ページ目に移りまして、4.の測定方法及び測定回数でございます。
 今回の実態調査を進めるに当たりまして、排ガス中の水銀濃度、これはガス状水銀及び粒子状水銀の全水銀でございますけれども、並びに原燃料等及び排出物中の水銀含有量を測定対象といたしました。統一の測定方法、以下、「環境省法」と呼ばせていただきますけれども、環境省法で一斉に調査をいたしました。この環境省法と呼ばれている測定方法については、昨年度(平成26年度)に、専門家による検討を経て作成されたものでございまして、特にガス状の水銀に関しては、今、JISのK0222で排ガス中のガス状の水銀についての規格がございますけれども、このうち、湿式吸収法と呼ばれている、広く一般に使われているような方法をベースにいたしました。ただ、サンプリング量が違いまして、流速はJISのままでございますけれども、サンプリング量5倍、つまりサンプリング時間を5倍に伸ばしたということで、一定の平準化が期待される方法でございます。このほか、粒子状水銀の測定方法は、今、公定法というか、一般に認められた方法というのはないんですけれども、今回、新たに作成いたしました。原燃料中の水銀の含有量の測定方法も同様でございまして、今回はこうしましょうと、統一した測定方法とした経緯がございます。
 測定回数でございますけれども、環境省が実施した調査については、1施設当たり大体連続する2日間で5回サンプリングをいたしました。事業者からいただいたものにつきましては、1施設当たり1回サンプリングのものも多くございました。
 なお、環境省が実態調査をした中に、一部の施設でございますけれども、計9施設については、連続測定もあわせて実施いたしまして、ガス中の水銀濃度はどれぐらい変動するのかというのを10日間の連続測定で把握をいたしました。
 続きまして、データの取り扱いでございますけれども、今回、測定方法が、環境省法のものと、あるいは今までの結果ですと、環境省法がなかったという経緯もございまして、JISのガス状水銀のみ測りましたというデータも多く寄せられてございました。その関係で、測定方法が違うというものは、一括で統計処理べきではないということで、今回は、環境省法で全水銀を測定したデータ、かつ標準酸素補正方式により酸素換算した値を解析の対象といたしました。なお、酸素換算に関しましては、一部、酸素吹き込み等を行う施設のデータなどについては、適用しないものもございます。
 4ページをめくっていただきまして、こちらから具体的な施設種類ごとの実態調査の結果でございます。
 まず、石炭火力発電所及び産業用石炭ボイラーでございますけれども、実態調査の結果が得られたものといたしまして、表II-1-1に掲載してございます。環境省法で得られたデータは、76施設134データございました。なお、それ以外のデータにつきましては、87施設565データございました。なお、こちらの施設に関しては、重複する部分がございます。
 1枚おめくりいただきまして、6ページ目に施設の規模、それから石炭、先ほど検討課題のところで申し上げましたとおり、ボイラーの中には、石炭専焼のものと混焼用ボイラーがございます。その関係を見たものが、図II-1-3でございます。黒い塗り潰しにしてございますのが、石炭専焼の施設でございます。グレーにしてございますのが、石炭の混焼をしているもの、いわゆる混焼ボイラーでございます。一つだけ重油換算の燃焼能力が17万L/hの混焼ボイラーがあるんですけれども、おおよそ混焼用ボイラーについては、10万L/ hの燃焼能力以下のところであったという状況でございます。
 また、原燃料中の水銀含有量についての調査を(2)以降に記載してございます。まず、今回、実態調査の結果で寄せられた石炭の種類につきましては、表II-1-4に掲載してございますとおり、瀝青炭が多く使われているという状況でございました。無煙炭ですとか、亜瀝青炭、あるいは褐炭なんかも使っていますというようなデータがございますけれども、ごく一部の状況でございました。
 7ページに移っていただきまして、表II-1-7でございます。石炭以外の燃料と混焼の状況といたしまして、先ほど来申し上げました石炭専焼ボイラーの施設数としては94施設、混焼ボイラーの施設として55施設のデータが得られました。
 1枚めくっていただきまして、混焼ボイラーで使用されている燃料の種類でございますけれども、ガス、あるいは木質チップ、木くず、あるいはRPFと記載してございますけれども、廃棄物系の固定燃焼剤、それから建廃ですとか廃プラ、重油なんかも多く使われているという状況でございます。
 燃料中の水銀含有量については、表II-1-9でございまして、この表からは、算術平均としまして、石炭のものが0.038ppm、RPFぐらいになると0.1ppmぐらいになると。汚泥についても、0.1ppm程度になるというような、石炭よりも若干水銀含有量が多いものも使われているという状況でございました。
 9ページに移っていただきまして、以降、水銀の濃度についての関係でございます。まずは処理施設の状況でございますけれども、多くの施設につきましては、集じん機、脱硫、脱硝の3種類を組み合わせている施設が5割以上を占めるという状況でございました。この一覧につきましては、1ページおめくりいただきまして、10ページ目の表II-1-10に排ガス処理設備の概要について掲載してございます。
 また、水銀濃度につきましては、11ページの図II-1-5にヒストグラムを掲載してございます。多くの場合は、大体5μg/Nm3以下のものが多いんですけれども、ぱらぱらと10μg/Nm3ぐらいのものも検出されているというような状況でございます。
 2枚おめくりいただきまして、14ページに、燃料に占める石炭の割合と全水銀濃度についてプロットした図を図II-1-10に掲載してございます。横軸は石炭の割合でございまして、縦軸は全水銀の濃度でございます。100%の石炭専焼に比べて、やはり石炭の割合が低くなればなるほど、水銀の濃度がばらつくというような状況でございます。
 続きまして、16ページに移らせていただきます。16ページの中ほどから、2.非鉄金属製造に用いられる製錬及び焙焼の工程として掲載してございます。まずは一次施設でございますけれども、一次施設とは、何をもって一次施設にするのかという定義を表II-2-1に掲載してございます。まず、一次施設とは、鉱石及び精鉱を主な原料とするもので、具体的には、原料に占める硫化鉱の重量比が50%以上の炉と、その前後する、関係する一連と考えられる炉について、一次施設と定義いたしました。二次施設については、それら以外というような定義をしてございます。
 17ページに移っていただきまして、調査対象の概要でございます。表II-2-2に施設調査結果が得られた施設数と測定データ数について掲載してございます。環境省法で水銀濃度のデータが得られたものが18カ所58データございました。それ以外のデータにつきましては、2カ所6データでございます。
 18ページに移っていただきまして、これらの原燃料中の水銀含有量、それから具体的な原燃料の種類について掲載してございます。18ページの表II-2-5に、それぞれどういった原料を使っているのかということで、鉱石ですとか、精鉱、あるいはカラミ、あるいは粗銅ですとか、あと金属を含有している汚泥のような産廃系のもの、それから、ばいじんなんかも原料に使われているというような状況でございます。一次施設だからといって、全て精鉱からつくっているような状況ではないというような状況でございます。
 それらの水銀含有量について掲載してございます。次のページの19ページの表II-2-6でございます。算術平均のところを見ていただきますと、大体0.数ppmというものから、高いものでは鉱滓の58ppmというものも中には見られるということで、原燃料によって、水銀含有量が相当ばらつくということがわかりました。
 20ページに移っていただきまして、(3)の排ガス中の水銀濃度でございます。今回の実態調査の協力施設においては、約6割の施設で集じん機及び硫酸製造設備が設置されてございました。具体的には、その下の表II-2-7に掲載してございます。
 これらの水銀濃度でございますけれども、次のページ、21ページ、図II-2-1にヒストグラムを掲載してございます。多くの場合は3μg/Nm3以下でございましたけれども、一部の施設で30から40μg/Nm3の水銀濃度が出てきたという状況でございます。なお、30μg/Nm3の施設は、同じ施設のデータでございます。
 次ページ以降は、原燃料ですとか、炉の種類によって解析をしたものでございます。
 23ページ以降に、炉の種類による水銀濃度について解析したものがございますけれども、こちら乾燥炉と書いてございますのが、専ら硫化鉱を原料にする乾燥炉でございます。精鉱中の、つまり硫化鉱中の水銀というのが、基本的には硫化水銀の形態をとってございます。乾燥炉の温度が200℃から、高くても300℃ぐらいでございますので、あまり水銀が揮発していないということがデータからも見てございます。また、精製炉としてございますのが、専ら粗銅と粗鉛、蒸留亜鉛なんかの中間製品を原料に、さらに精製するための炉という意味で使ってございます。これらにつきましても、ほとんど水銀の濃度が検出されていないという状況が見てとれるかと思います。
 続きまして、24ページに移っていただきまして、中ごろから二次施設でございます。表II-3-1に、施設数と測定データについて掲載してございます。環境省法でデータが得られたのが、27カ所120データでございました。それ以外の測定方法で得られたものが、11カ所64データでございます。なお、表II-3-2に、金属種類別の測定箇所数及びデータ数について掲載してございます。
 次のページに移っていただきまして、25ページでございますけれども、原燃料中の水銀含有量といたしまして、まず種類でございますが、銅から鉛まで、いろんな鉱滓も使っておりますし、製鋼煙灰ですとか、基板なんかも幅広く使っているというような状況でございます。
 また、排ガス中の水銀濃度といたしまして、まず施設の情報でございますけれども、バグフィルターのみで排ガス処理されている施設が最も多いという状況でございました。なお、一部の施設では活性炭吹き込みも行われてございます。集じん機と脱硫設備で処理されている施設は、3割程度でございました。
 具体的な一覧を、めくっていただきまして、26ページの表II-3-5に内容を示してございます。
 次のページ以降に、金属種類別の水銀濃度のヒストグラムについて掲載してございます。
 まず、銅について、図II-3-1に掲載してございます。1μg/Nm3以下のものが出ている一方、一部の施設では360μg/Nm3というような高い値も出ているというような状況でございました。
 図II-3-2でございますけれども、亜鉛のヒストグラムでございます。こちらも大体30μg/Nm3ぐらいのものが全体の60%を占める一方、それよりも高い1,000μg/Nm3以上を検出されているというような状況でございました。
 1枚めくっていただきまして、28ページに鉛のデータでございます。こちらも1μg/Nm3未満のものが、ほとんど水銀が出ていないというようなものが検出されている一方、1,000を超える、最高では2,300μg/Nm3というような濃度が検出されているというような状況でございました。
 鉛につきましては、ほかの金属よりも突出して二極化しているというような印象を受けてございます。その要因の一つといたしまして、鉛の二次精錬のうちでは、専ら鉛バッテリーですとか、鉛くず、ハンダクリームなど、水銀含有量が比較的低い、或いはほとんど混入していないと考えられるものを主な原料にしている施設がある一方、一次精錬から回ってくるような、水銀がかなり濃縮している鉱滓を原料にしている施設については、高い濃度も検出されるというような状況でございました。
 それをよりわかりやすく掲載したのが、29ページの図II-3-4以降でございます。専ら鉛ハンダ類と、それ以外のもので有意に差が出ているということが見てとれるかと思います。
 31ページに、金属種類別の濃度分布について統計処理したデータを掲載してございます。31ページに掲載してございますのは、算術平均と標準偏差の図でございます。
 1枚おめくりいただきまして、32ページの図II-3-7に示してございますのが、幾何平均と対数標準偏差、logをとったものでの分散というところで、金属に限りませんけれども、今回、棒グラフについては対数平均と普通の平均を載せてございます。
 33ページ以降に、廃棄物焼却炉のデータを掲載してございます。表II-4-1-1をご確認ください。環境省法で得られたデータが101施設351データございました。それ以外の測定方法によるものが85施設161データございます。
 焼却対象物中の水銀含有量でございますけれども、34ページに具体的な一覧を掲載してございます。表II-4-1-4に、施設の種類とそれに対応する水銀含有量について掲載してございます。すごく低い水銀含有量のものから、産廃系の混合物では12ppmというとても高い含有量が検出されているようなものもございまして、種類によってさまざま、また、同じ種類であったとしても、最小と最大のデータを見てご確認いただければわかるとおり、相当ばらつきがあるというようなデータでございました。
 35ページ以降に、排ガス中の水銀濃度について掲載してございます。まずは処理設備でございますけれども、今回の実態調査の結果においては、バグフィルターで排ガス処理をしている施設が最も多いという状況でございました。具体的なものを表II-4-1-5に掲載してございます。
 一方、1枚おめくりいただきまして、36ページに、参考情報でございますけれども、これは今回の実態調査の対象施設以外の全国的な分布でございます。この排ガス処理装置がどういったものになっているのかというところでございまして、全体ではバグフィルターで処理している施設が最も多く、バグフィルターのほかに乾式、湿式処理を組み合わせている施設が3割程度という状況でございました。
 37ページに、産廃についてのヒストグラム、水銀濃度のヒストグラムを掲載してございます。図II-4-1-1でございますけれども、多くの施設では低い濃度、大体10μg/Nm3以下のもの、それか5μg/Nm3以下のものが約70%程度を占めるというような状況である一方、30μg/Nm3というようなものもちらほら出てくると。最高では380μg/Nm3というのも検出されているというような状況でございました。
 39ページに移っていただきまして、図II-4-1-4でございます。こちら、データ数は若干少ないですけれども、排ガス処理設備ごとの焼却物中の水銀濃度と全水銀の濃度についてプロットしたものでございます。インプットが相当ぐらつきますので、出てきた排ガス処理濃度だけで、どれがBATかというのがなかなか判定しづらいというところもございまして、焼却物中水銀濃度からどれくらい除去されたのかというのを見る観点から、掲載してございます。これを見ていただきますと、赤いマーカーがスクラバー系のものでございます。赤い塗り潰しの丸がバグフィルター+ウエットスクラバー、四角のくり抜きの赤で示してございますのがウエットスクラバーのものでございまして、全体的にデータ数が少ないので一概には言えないんですけれども、傾向としては、焼却物中の水銀濃度が高いものであっても、スクラバーがあれば、一定程度に抑えられているのではないかということが言えるのではないかと考えてございます。
 40ページ以降に、どういったものを焼却しているのかというものの濃度についての解析をしたものでございます。図II-4-1-5をご確認ください。医療系の廃棄物を混焼しているもの、それから廃プラ専焼、木くず専焼についてと、廃油専焼炉について、水銀濃度を見たものでございますけれども、廃油専焼炉につきましては、ほとんど水銀が排出されていないというような状況でございました。こちらは対数分布でも同じようなことが言えると思います。
 次に、44ページに移っていただきまして、一般廃棄物焼却炉についての状況でございます。こちら、表II-4-2-1でございますけれども、環境省法が18施設64データございました。それ以外の方法は、今回はデータが得られていないという状況でございます。
 排ガス中の水銀濃度につきまして、45ページ以降に掲載してございます。
 まず、表II-4-2-5をご確認ください。こちら、処理施設での情報でございますけれども、今回の実態調査結果を得られた協力施設においては、バグフィルターに消石灰吹き込みや活性炭吹き込み等を組み合わせている施設が最も多いという状況でございました。
 1枚おめくりいただきまして、今回の実態調査が行われていない、以外の施設も含めて、全国的な状況はどうかといったものを示したのが、表II-4-6-2でございます。全般的に見ると、集じん機別に見ると、バグフィルター単独のものが最も多いという状況でございます。ダイオキシン類対策における高度排ガス処理方式といたしまして、複合式と呼ばれている活性炭吹き込み、あるいは消石灰吹き込みをしている施設が最も多いという状況でございました。単独または複合で活性炭吹き込みをしている施設も、相当程度あるということがわかってございます。
 47ページに、一般についての水銀濃度のヒストグラムを掲載してございます。大体20μg/Nm3以下のものが70%を占めるというような状況でございまして、ただ、ぱらぱらと50、60μg/Nm3のデータも出てきているというような状況で、最高が133μg/Nm3というような結果も出てございます。ただ、この最高の濃度を検出された施設については、コークスベッド式高温ガス化溶融炉による、ちょっと特殊な処理を行っている施設でございまして、活性炭吹き込みとバグと触媒反応塔でガス処理をしているような状況の施設でございました。なお、この施設では、蛍光管や水銀体温計は分別回収しているということでございます。次に、97μg/Nm3の値が検出されている、2番目に大きいデータでございますけれども、こちらは電気集じん機とスクラバーでガス処理をしている施設でございました。この施設は、施設維持の維持管理の一環で定期的に水銀濃度を測定しているんですけれども、直近3カ年の測定は、高くて14μg/Nm3で、今回、とても高い濃度が検出されたということで、原因については、現在調査中ということでございました。
 52ページに移っていただきまして、下水汚泥焼却炉のデータでございます。環境省法で調査結果が得られたものが12施設33データでございまして、それ以外の測定方法によるものが21施設36データございました。
 焼却物中の下水中の水銀含有量でございますけれども、算出平均といたしまして、0.8ppmは比較的高いデータでございます。また、こちらもほかの原燃料等と同じように、最小のものと最大のものが大きく開いている、差があるということでございました。
 (3)といたしまして、水銀濃度でございますけれども、まずは施設の情報でございます。今回の実態調査結果を得られた協力施設については、ほぼ全ての施設にスクラバーが設置されているという状況でございました。
 54ページ以降に、全国の排ガス処理装置の分布について、状況について掲載してございます。全国的に見ると、湿式集じん設備と電気集じん設備の組み合わせ、または湿式集じん機とバグフィルターの組み合わせが30%ずつと、多いという状況でございました。湿式集じん機のみで処理している施設も20%程度あって、乾式のみでやっている施設は13%と、比較的少ないという状況でございました。
 55ページ目に、下水汚泥処理施設の水銀濃度のヒストグラムを掲載してございます。こちらは1μg/Nm3未満というデータもあるんですけれども、二極化しているというよりは、大体、50μg/Nm3以下のものに集約されるというような状況でございました。最高の濃度が58μg/Nm3と出てございますが、ほかの施設に比べて、全体的な分布が突出しているというような状況ではないという考えてございます。
 59ページに移らせていただきます。セメントクリンカーの状況でございますけれども、今回の環境省法で得られたデータは49基98データでございます。それ以外のデータが51基280データでございました。セメント産業では、主要原料である石灰石のほか、さまざまな廃棄物ですとか、ほかの産業からの副産物が代替物として活用されているという状況でございます。
 具体的な種類については、60ページに掲載してございまして、非鉄の鉱滓ですとか、鉄鋼ダスト、ばいじんなんかも、積極的に受け入れているという状況でございました。
 61ページ目に、それらの水銀含有量について一覧を示してございます。表II-5-1でございますけれども、こちらも種類によってもばらばらで、同じ種類の中でも最大と最小で大きく開きがあるというような状況でございました。
 排ガス処理の水銀濃度でございますけれども、62ページ目に、図として、図II-5-2にセメントクリンカーの製造プロセスを掲載してございます。セメント設備がほかの施設と大きく違いますのが、赤枠で示してございます集じん機、これがバグだったり電気集じん機だったりするわけですけれども、集じん機が排ガス処理装置として設置されてございます。ですけれども、集じんされたものをまた原料として工程に全量戻しているという現状がございまして、水銀については、結局は大気へ排出されているというような状況でございました。全体的に、排ガス処理装置が何がついているのかといいますと、表II-5-4にありますとおり、キルン数ベースでございますけれど、EPが多くついているというような状況でございました。
 この濃度につきましては、次のページの63ページにヒストグラムを掲載してございます。こちらもいろんな種類、種類というか、濃度の分布が見てとれるんですけれども、二極化しているというよりは、幅広いというような状況かなというふうに考えてございます。高いものについては200μg/Nm3超えのものもあったというところでございました。
 67ページ目以降に、分野横断的な検討といたしまして、今回初めて、全水銀について、これだけの量のデータを収集いたしました。
 これまでのデータでは、ガス状水銀のみのものも多くございましたので、ガス状水銀が、全体に占める割合がどれぐらいの程度なのかというところを表III-1に掲載してございます。大体、中央値といたしまして、ほとんどの施設については、ガス状水銀が圧倒的に多いということが言えるかと思うんですけれども、施設種類で見たとしても、非鉄分野では中央値が80%程度ということで、粒子状水銀も無視できないという状況でございました。また、個別の施設について見ていきますと、水銀濃度が定量下限値付近ではなく一定程度検出されている場合でも、たまに粒子状水銀の割合が20%以上あるというようなものもちらほら出ているといった状況でございました。
 また、データの分布について、今回、幾何平均というか、対数平均もあわせて掲載してございます。データ数は少ないんですけれども、どちらがより正規分布に近いのかということを次のページ以降に図として示してございます。
 以上でございます。

【坂本委員長】 ありがとうございました。
 それでは、ただいま説明をいただきました水銀大気排出実態調査の結果、これにつきまして、ご質問、ご意見ございましたら、お願いいたします。
 まず、長安委員、お願いします。

【長安委員】 ありがとうございました。
 冒頭の3ページ目で、サンプリングをする際に、バッチのサンプリングとあわせて連続で測ったという話をいただいたかと思うんですけれども、その連続で測ったところ、施設はどういうところで測ったのかというのと、結果として、連続で測定したものとバッチのものを比較したときに、何か有意差が見られたかというのをちょっと教えていただければと思います。

【坂本委員長】 お願いします。

【長濵補佐】 連続測定で測りました施設が、多くは廃棄物系のものでございました。セメントも2施設測ってございます。あと、鉛の二次施設、亜鉛の二次施設でございました。合計9施設測ってございます。
 連続測定をしている間にバッチ測定をサンプリングしたんですけれども、その結果、バッチ測定と連続測定の値は、ちょっと離れているデータもございました。ですけれども、変動の傾向は、連続測定でも見れるのではないかと考えてございます。
 一方、今回の図には入れ込めなかったんですけれども、連続測定の(絶対値ではなく、変動の)傾向を正とした場合に、30分のサンプリングを今までのJISの方法として、150分を今回の環境省法として、そのサンプリング時間の移動平均を仮にそれぞれの測定法の測定値として算出した場合には、一定程度ピークを圧縮する、上のほうのピークも下げることができるし、下のほうのピークも上に上げることができるというように、、ある程度は平準化の効果があるのではないかと考えてございます。

【坂本委員長】 よろしいでしょうか。
 高岡委員、お願いします。

【高岡委員】 ありがとうございます。
 3点あります。
 一つは、27ページに、非鉄の二次施設の亜鉛のデータが示されていますが、別途、幾つかのところで話を聞いていると、もう少し高いところが、もう少しあったのではないかなという印象を持っております。いわゆる1,000μg/Nm3のところが一つのデータだけですが、もう少し、500以上のところもあったのではないかなと、何となく、私の記憶違いかもしれませんが、少しデータを見直していただくようなことがあるのかなというふうに思っております。
 それから、31ページのところで、非鉄二次施設の金属の種類と濃度分布というところで、全データを120というのが上の表からわかります。ここで、注釈で2施設9データを除いて解析したということであれば、111にN数はなるはずですが、109になっておられますが、これはどういうことなのかということです。
 それから、次のページですが、32ページのところで、幾何平均と、その前のページの算術平均でグラフを示していただいているんですが、何か、どうも鉛と銅のところが、若干、前のページの表II-3-7からすると、ちょっと何かデータが違うのかなというような気がします。鉛がえらく小さいとかですね。対数標準偏差は対数値で1.5と書かれているのに比べて、ちょっとこれは何かどこかでデータのミスがあったのかなというふうに思います。
 以上、3点です。

【坂本委員長】 お願いします。

【長濵補佐】 今回のデータの整理の仕方が、前のほうに環境省法のみのものを持ってきておりまして、後ろのほうに環境省法以外のものを分けて掲載してございますので、そこで、全部ごちゃごちゃにしたデータと、分けて見た場合に、若干違うのかなというところがございます。
 なので、先生が最初に1点目ご指摘いただきました、亜鉛の二次のデータでございますけれども、データは後で確認させていただきますが、もしかしたら、環境省以外のものだったかもしれません。
 あと、31ページ目の全金属のデータでございますけれども、これはN数が間違ってございます。110データの誤りでございます。

【瀧口課長】 先生のご指摘が正しくて、図II-3-6の全金属のN数は、109ではなくて111です。

【坂本委員長】 ありがとうございました。一部、また後で確認して、わかったらお願いします。
 それでは、こちらのほうからいきたいと思います。指宿委員、お願いします。

【指宿委員】 非常にたくさんのデータをとられて、大変だったんじゃないかと思いますが、3ページで、測定回数というのが書いてあって、水銀濃度の変動を考慮して、1施設当たり5回サンプリングを基本、これを2日間で、このデータの処理なんですが、5回サンプリングして、それぞれの水銀濃度を出して、1日のデータとして平均して出されているんでしょうか。そのままのデータとして出しているんでしょうか。

【坂本委員長】 お願いします。

【長濵補佐】 今回は、1施設の代表値をとるという目的ではございませんので、5回サンプリングしたものを一つのデータとして個別に扱いました。

【指宿委員】 だから、そのままデータとしているということでしょう。

【長濵補佐】 はい。そのままデータとしてございます。

【指宿委員】 それに絡んで、4ページ目に、石炭のボイラーのデータが表II-1-1に書いてあって、76施設でデータ数が134になっているんですが、これはどういう処理をしてこうなったのか。

【坂本委員長】 お願いします。

【長濵補佐】 環境省が測りにいったデータは、1施設について5回サンプリングしたんですけれども、事業者は、同じ環境省法で全水銀を測ったとしても、1回しか測っていないですとか、3回だけ測りましたというようなものがございまして、76施設かける5が、得たデータというわけではございません。環境省が測りにいったデータに、事業者が測った、1施設1データだったり、1施設3データだったりするものを全部足し合わせたデータ数でございます。

【指宿委員】 そうですか。そうすると、何か分野ごとに、そのデータの出方が違っているんですよね。廃棄物では、施設数に対して。その辺、わかるように書いておいていただいたほうがいいんじゃないかなと思うんですが。

【坂本委員長】 多分、今のお話は、平均をするときに重みがかなり違ってきてしまうから、そういうことですね。ですから、やっぱり1施設で5回測ったものを5データで出しているものと、それから1施設で1回しか測っていないデータと、そういうものがどういう割合になっているかということを、どこかできちんと示しておく必要があると。特に、そのデータが大きく違う場合なんか、それが相当全体の平均値に影響してしまうと。そういうことだと思います。よろしくお願いします。
 大塚委員、お願いします。

【大塚委員】 資料4も関係させて申し上げてもよろしいでしょうか。

【坂本委員長】 はい、結構です。

【大塚委員】 よろしいですか。
質問としては、一つは、先ほどの資料4と6との関係ですが、6ページのところで、上の図II-1-3との関係で、燃焼能力が10万L/hの前後で違っているというお話があったので、これは基準値を決めるときに分けるかどうかという問題があるかと思いますけど、この二つの違いがどういうところにあるかというところを、さらにお話しいただければありがたいと思います。
 それから、資料4との関係では、2ページの最初のところで、今の石炭火力の発電所と、それから産業用石炭燃焼ボイラーについて、水俣条約では区別されているに対し、大気汚染防止法では、従来は区別せずに扱っているんですけども、これは条約との関係が今回ございますので、区別したほうがいいのではないかということを申し上げておきたいと思います。
 それから、資料4の4ページのところ、あるいは5ページのところとの関係で申し上げておきますと、排ガスの水銀測定の方法に関しては、ここに引いてあるように、今回の改正で、18条の29で、勧告を都道府県知事が出すときに、水銀濃度が排出基準に適合しない水銀等を継続して大気中に排出すると認めるときはというような要件になっていますので、ここを気にしながら、測定方法についても考えていただく必要があると思いますけれども、具体的には、測定頻度とかの問題が5ページに出ていますが、このところで、継続して基準に適合しない水銀を排出するということになると、1回だけ違反しただけではだめなので、継続しているということが必要になりますので、例えばこれ年平均値で最初に排出基準を決めてしまうと、2年たたないと、継続していない、違反したかわからないとかという、おかしなことになりますので、その辺も考慮しながら、ご検討いただけるとありがたいと思います。
 以上です。

【坂本委員長】 それじゃ、お願いします。まず、1番目のところ。

【長濵補佐】 一つ目のご質問でございますけれども、なぜ10万L/h以下のところに混焼系が多いのかというのは、長安委員の方がお詳しいかとは思うんですけれども、どうでしょうか。

【坂本委員長】 今、資料6の6ページ、図II-1-3、ここのところですね。

【長安委員】 あまり、ちょっと、正直言って詳しくはわかりませんけれども、一定程度混焼しているというところなんですけども、それ以外の、逆に言うと30%以上のほかの原燃料に頼らなくてはいけないというときに、燃料費との多分問題で、設備的に大きいものにすると、経済的にちょっと合わないというところなんじゃないかなというふうには思います。

【坂本委員長】 お願いします。

【瀧口課長】 2点目の石炭火力と産業用石炭ボイラーの区別の件は、大塚委員ご指摘のように、区別したほうがいいということもありますでしょうし、あるいは、大防法の中では同じ施設として扱っておりますので、事業者にとっての簡便性というようなことで言えば、一緒に扱ったほうがいいという意見もあると思います。いずれにしても、条約の中では分類されていますので、それぞれの排出量は、それぞれ出すということは必要だと思いますし、また、やっぱり技術的には、BAT/BEPガイダンスでも両方同じカテゴリーで扱っているという面もありますので、その辺もよく見極めた上で議論していければと思っています。水銀の測定方法の件については、大塚委員ご指摘のとおりですので、その辺りを踏まえた案を議論していただければというふうに思っています。

【坂本委員長】 近藤委員、お願いします。

【近藤委員】 1点のみですけれども、資料4の3ページの一番下のところに、規模ごとに排出基準を設定というふうに書かれていますけども、今回のデータは、規模別ということのお示しがなかったと思うんですけれども、これは次回というか、今後、見せていただくというふうに理解をしておいていいのでしょうか。

【坂本委員長】 お願いします。

【長濵補佐】 すみません、私が説明を省略しておりました。データとしてはございます。ただ、総じて施設の規模と濃度との相関はあまりなかったということで、説明を省略させていただきました。資料には掲載してございます。申し訳ございません。

【坂本委員長】 そういう可能性もあるけど、データを見ると、それほど細分化しない形になるのかなという気もいたします。
 伊藤委員、お願いします。

【伊藤委員】 どうもありがとうございます。
 今、石炭火力発電所と産業用ボイラーを混ぜるかどうかという話がございましたけど、その判断はともかくとして、今回、環境省さんが調査された中の石炭火力というのは、非常に少数であるということで、これから基準を考えるに当たっては、これだけのデータということではなくて、事業者が集めるデータもあると思いますので、そういったものを十分に検討材料として検討をいただければというお願いでございます。

【坂本委員長】 ありがとうございました。
 貴田委員、お願いいたします。

【貴田委員】 一つは、先ほど大塚委員のほうからありましたけど、分野というか、まとめるかどうかということなんですけど、この調査結果の中では、廃棄物に関しては、全部分かれて、一廃、産廃、下水と。調査対象が違うからということであると思いますが、これは廃棄物としては全体まとめられるということでいいんですよねということと、それから、幾つか医療系と廃プラ、専焼ですよね、その辺りのところが出ていましたけれども、恐らく医療系は、混入している場合には何らかの、分野を分けるということではないけれども、何らかの基準に関して考慮されているのかと。
 それから、専焼に関しては、おそらくこういう専焼だったら、水銀を扱っていない対象施設となるのかという判断をしてほしいということでのデータかと思うのですが、廃油に関しては、全体的に、廃油専焼はちょっと低い。ただ、ほかの廃プラ、それから木くずというのは、やはりこれは外せないと、対象とするというふうなことでお考えなのではないかと思いますが、それでよいのかということ。
 それから、もう一点あるんですけれども、実はBAT/BEP、もちろん分野ごとに、基準づくりといいますか、考え方の中で、日本で実際に行われている技術というか、そういうものをまとめられるんでしょうか。報告なりなんなりで。それは、もちろんガイダンスの中でもそれぞれに違うのですが、実はBATの中で、先ほど廃棄物の焼却の中で、ちょっと高いデータは、バグも活性炭吹き込みはあるということが言われたんですけど、これは要するに吹き込みをしていても、それが十分でなかったら、それはちょっと言えないのかと。だから、ちょっとここの辺りは考えながら、BATの条件的なといったらおかしいんですけど、施設と違って、吹き込みというのは対応する削減能力のこともあるので、その辺りもちょっと考えないといけないのかなというふうに思っておりますが。これはコメントです。

【坂本委員長】 ありがとうございました。
 事務局のほうから。

【長濵補佐】 さまざまなご指摘をいただきました。
 まず、廃棄物を今回、下水と一廃と産廃と分けたことでございますけれども、インプットがそれぞれ明らかに違うので、まず、最初のお示しの仕方としては、3区分を分けて掲載させていただきました。ただ、今後、基準値を分けるのかどうかというのは、先生方のご判断によると考えてございます。
 医療系の部分を区別するのかどうかということも、実態調査の段階で、医療系はどうも高いらしいということを聞いておりましたので、今回、ある程度のインプットの種類によって分けた示し方をさせていただきましたが、それも区別するのかどうかというのは、先生方にご検討いただきたいところでございます。
 専焼についても、同様のことでございます。まず、何か一定の特徴を有すると思われるものは、とりあえず分けて、網羅的にお示ししてみたというところでございます。
 ガイダンスの件に関しましては、今回、Best Available Techniquesということで、排ガス処理装置がそこにあるだけではBATではないと。施設の安定的な稼働ですとか、ちゃんとメンテナンスをしているということも、BATの概念には含まれてございますので、その観点から言えば、吹き込みをしているからよいというものではないということは、我々も理解しているところでございます。

【坂本委員長】 ありがとうございました。
 畠山委員、どうぞ。

【畠山委員】 まず一つ、粒子状水銀のほうなんですけど、表3-1を見ると、粒子状の寄与というのは非常に小さいように見えるんですね。1%以下というのはですね。この辺のまず測定の精度と、それから、それだけ少ないものについて、どういうふうに、特に、こういう燃焼炉の後ろだと、多分、水銀がガス化していて、ガス状のものがどうしても多いということになっちゃうと思うんですが、詳しくは第2回でやることになるかもしれませんけど、その辺いかがでしょう。

【坂本委員長】 事務局、お願いします。

【長濵補佐】 施設全般的に俯瞰して見ると、このようなデータではあったんですけれども、個別のデータを逐一チェックしていくと、水銀濃度が定量下限値付近のデータであれば、粒子状水銀の割合が若干高くもなると思いますが、そうではない一定程度水銀濃度が検出されているデータでも、必ずしも粒子状水銀が1%以下であるということが言えるわけではないということでございます。という状況でございましたので、その辺もあわせて、測定対象についてはご検討いただきたいと考えてございます。

【坂本委員長】 ありがとうございました。
 今回、環境省の調査で測定をしたもの、それから、もう一つ、参考データとして、これまで測定をされていたデータを示しているわけですけども、ここには基本的な違いがあるということを我々は認識しなければいけないと思います。片方につきましては、サンプリング時間が非常に長いもので、平均値になっていると。でも、サンプリング時間が短いということは、そちらのほうは高い濃度が出る可能性がもともとあると。それを考えていかないといけないわけで、これは普通にいろんなものを考えた場合、平均時間が長くなればなるほど、その測定値というものはやや低いほうへ行くと。そういうことを我々は頭に入れておいて、それをどう見て判断をするかという形で考えていく必要はあるのかなというふうに思うところでございます。
 そのほか、いかがでございましょうか。今日用意した資料は、以上でございますけれども。
 もしよろしければ、今日用意した資料は以上でございまして、全体を通して、これだけは次回の前に申し上げておいた方がいいだろうというようなことがあれば、ご発言をいただきたいと思いますが。よろしゅうございましょうか。
 ありがとうございました。
 そういたしましたら、これは以降、事務局の方へ、何か連絡事項等ございましたら、お願いいたします。

【瀧口課長】 ありがとうございます。
 BAT/BEPガイダンス(案)について、資料5で幾つか確認しましたので、ご報告させていただきます。
 資料5の5ページ目ですけれども、貴田委員のほうから、排出係数というのが何を意味しているのかというご質問がありました。これは、ちょっとモニタリングの中に入っているからわかりにくいんですが、いわゆる排出係数でして、その施設からどれぐらい水銀が出ているかを推測するときの活動量にかける係数ということで掲げられております。
 それから、同じページの2.3のところの無煙炭というところで、伊藤委員からご指摘いただいた分、伊藤委員のご指摘のとおりでして、英語はhard coalを使っております。
 それから、この資料の13ページ目ですね、高岡委員のほうから、DOWAのプロセスで硫化水銀の有害廃棄物としての処分というところについてコメントをいただきました。これは確かに、このガイダンスの中でも、mercury sulphide disposal as hazardous wasteというのが、disadvantageということで挙げられているわけですけれども、この表を見ると、ほかの技術も、全て副産物あるいは廃棄物の処分がdisadvantageになっていますので、その点で言えば、それほど差がないのかなというふうには思っております。
 事務局からの追加説明は以上です。
 本日は、長時間にわたりまして、ご議論いただきましてありがとうございました。
 本日の議事録につきましては、事務局にて取りまとめを行いまして、委員の皆様に確認いただいた後、ホームページに掲載させていただきたいと思います。
 次回の専門委員会は、2月12日(金曜日)の午後4時から6時に、環境省第一会議室で開催をしたいと考えております。
 以上です。

【坂本委員長】 それでは、本日の会議はこれで終了したいと思います。どうもありがとうございました。
午前 11時58分 閉会