中央環境審議会大気・騒音振動部会自動車単体騒音専門委員会(第14回)会議録

1.日時

平成25年5月9日(木)15:00~16:46

2.場所

航空会館7階大ホール

3.出席者

(委員長) 橋本 竹夫
(委員) 金子 成彦石濱 正男伊藤 晃佳
角湯 克典後藤 新一坂本 一朗
中島 幸雄中野 光雄山崎  徹
(環境省) 小林水・大気環境局長
西本環境管理技術室長
髙井環境管理技術室長補佐
松井係長
濱田係員

4.議題

  1. (1)四輪車加速走行騒音規制のシミュレーション効果予測について
  2. (2)欧州内での四輪車加速走行騒音規制審議状況について
  3. (3)四輪車の加速走行騒音試験法の追加騒音規定(ASEP)について

5.検討資料一覧

中央環境審議会大気・騒音振動部会自動車単体騒音専門委員会委員名簿
資料14-1
自動車単体騒音専門委員会(第13回)議事要旨
資料14-2
四輪車加速走行騒音規制のシミュレーション効果予測について
資料14-3
欧州内での四輪車加速走行騒音規制審議状況について
資料14-4
四輪車の加速走行騒音試験法の追加騒音規定(ASEP)について
参考資料1
新加速走行騒音試験法(R51-03)の概要
参考資料2
R51-03規制値の日本提案

6.議事

【髙井室長補佐】 それでは、定刻となりましたので、中央環境審議会大気・騒音振動部会、第14回自動車単体騒音専門委員会を開会いたします。
 本日の会議は、公開とさせていただきます。
 まず初めに、専門委員に変更がございましたので、紹介いたします。
 警察庁科学警察研究所、牧下寛委員がご退任され、新たに、同じく警察庁科学警察研究所、三井達郎様にご就任いただきました。なお、本日はご欠席と連絡をいただいております。また、本日は、鎌田委員はご欠席となっており、金子委員は、15分ほど遅れてのご出席と連絡をいただいております。
 それでは、本日の議題の順にお手元の資料について確認させていただきます。
 まず、議事次第がございまして、委員名簿、そして資料14-1、こちら前回の議事要旨でございます。こちらについては、説明は割愛させていただきます。そして資料14-2、四輪車加速走行騒音規制のシミュレーション効果予測についてでございます。資料14-3、欧州内での四輪車加速走行騒音規制審議状況についてでございます。そして、資料14-4、四輪車の加速走行騒音試験法の追加騒音規制(ASEP)についてでございます。
 また、参考資料1としまして、新加速走行騒音試験法(R51-03)の概要(乗用車)と見出しのついたものでございます。そして、参考資料2、R51-03規制値の日本提案でございます。資料の不足等ございましたら、事務局にお申しつけください。よろしいでしょうか。
 それでは、以降の進行は橋本委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【橋本委員長】 それでは皆様、本日はお忙しい中をお集まりいただきまして、ありがとうございました。
 それでは、早速ですが、本日の議題に入りたいと思います。お手元の資料でご覧いただきまして、本日の議題の1番目でございますが、四輪車加速走行騒音規制のシミュレーション効果予測についてということでございますが、資料番号の14-2に基づいて事務局から説明をお願いいたします。

【髙井室長補佐】 それでは、議題1に入っていきたいと思いますが、冒頭のカメラ撮りについては、ここまでとさせていただきます。ご理解のほどよろしくお願いします。
 本日は、主に四輪車の加速走行騒音規制、国際基準ECE R51-03に関する事項について報告し、ご審議いただきたいと考えております。
 前回の専門委員会は9月でして、間があいておりますので、リマインドをかねまして試験法の概要あるいは規制値に係る日本からの提案について簡単にご説明したいと思います。
 まず参考資料1をご覧ください。
 現行の加速走行騒音規制法、こちらは一定の速度で進入し、所定のギヤ段で全開加速した際の騒音レベルを評価したものです。一方で、新試験法は、市街地の走行実態に即した加速状態の騒音レベルを評価することとなっており、乗用車と重量車により異なります。
 まず、こちらのページでは、乗用車についての説明ですが、日本を含む各国のデータをもとに導出されました、市街地代表加速度αurbanでの騒音値を評価する試験法となっております。
 試験の手順としては、まず、マイク前が時速50キロとなる全開加速による参照加速度αwot refと、こちらは図式で提起されますが、パワーマスレシオ(PMR)を用いた回帰式により算出されます。こちらも参照加速度を全開加速で実現できるようなギヤ段を設定し、全開加速における騒音規制をまず実測するとともに、その際の加速度を算出します。
 そして、次に定常走行による騒音値を計測します。
 そして、騒音値は加速度に比例すると仮定しまして、PMRに応じた目標加速度αurbanを算出し、回帰曲線により線形補間することで、αurbanにおける騒音値Lurbanが導出されます。この値を試験による評価結果とし、ECE R51-03では、この値に対し、規制値を設定するべく、現在検討中であります。
 なお、PMRが25以下の車両については、参照加速度の全開加速における騒音レベルをそのまま評価しますが、現時点で国内には該当車種はございません。
 2ページに移りまして、重量車について、こちらも実走行データをもとに市街地走行を代表するエンジン回転数における全開加速時の騒音を測定します。
 試験条件は、こちらの表に書いてあるとおり、試験区間出口脱出時の速度が時速35キロ、一方で、エンジン回転数については、N2、M2カテゴリーで、0.70から0.74s、sは最高出力時の回転数であります。
 そして、N3及びM3カテゴリーでは、脱出エンジン回転数が0.85から0.89sとなるようなギヤ段を選定し、評価します。
 ここで次のページへ行きますが、MあるいはNといった記号ですが、ECE規則における車両クラス分けは、現在の日本の規制下におけるクラス分けと異なっておりまして、四輪車を大きくMとNに分けられます。Mは乗用車、乗合車、Nは貨物用の商用車であります。
 そして、MとNの後ろにつく数字は、乗車定員あるいは車両総重量GVWに応じて分類されておりまして、M1は9席以下の乗用車、M2は9席超でGVWが5トン以下のバス、そしてM3は9席超でGVWが5トン超のバスとなります。いわゆる乗用車あるいは軽乗用車というのは、M1カテゴリーに、路線バスなどは、小型路線バスも含めてM3に分類されております。
 一方で、Nカテゴリーは、GVWに応じて区切られておりまして、3.5トン以下はN1、3.5トン超から12トン以下はN2、12トン超はN3となります。軽トラックはN1、国内の中量車の小型・中型トラックはN2、大型トラックあるいはトレーラーのヘッドはN3に分類されます。
 続いて、参考資料2に移りますが、現在、国連欧州経済委員会自動車基準調和世界フォーラム(WP29)の騒音専門家会合GRBにおいて、国際基準ECE R51-03の改正に向けた審議を行っておりまして、規制値については、こちらの専門委員会での審議も踏まえつつ、3段階による規制値の提案を日本から行っております。そちらについても簡単にリマインドいたしたいと思います。
 なお、国際的な審議動向については、議題2で最新の状況について報告したいと考えております。
 日本からの規制値案は、基本的な考え方として、国内外の騒音データをもとに、技術開発期間の確保も勘案しまして、3段階で段階的規制強化というものを提案しております。
 第1段階は、新規則発効の2年後、既存データのうち、10%がカットオフされるレベルとしております。これは新試験法の導入、あるいは後ほど議題3で説明しますASEP、追加騒音規定の導入により、不適当に騒音レベルを増大するような車両を排除することで環境改善が期待されます。
 第2段階については、既存データのうち、30%がカットオフされるレベル、概ねStage1の規制値から2dB強化されるような騒音レベルに設定しておりまして、新試験法をもとにした一層の騒音低減の促進が期待されます。
 適用時期については、騒音低減技術の開発、さらには自動車のモデルチェンジのスパンを考慮して、乗用車系については、Stage1から4年、重量車系は6年後に適用するものとしております。
 そして、Stage3、第3段階では、既存データのうち、70%がカットオフされるレベル、概ねStage2規制値から2dB強化されるような騒音レベルに設定しておりまして、適用時期もStage2から4年ないし6年後と想定しておりますが、その時点での騒音低減技術の見込み、さらには、排ガスあるいは燃費基準等の騒音低減対策と相反関係にある要因に関する規制動向が不透明なこともありまして、暫定的な規制値、適用時期として提案し、Stage2開始までに議論して、改めて決定することを提案しております。
 裏の2ページが、日本提案のサブカテゴリー区分を含む規制値一覧表となっております。
 ここで、資料14-2に入りたいと思いますが、少し前置きが長くなりましたが、R51-03に関する規制値を日本から提案しているところでありまして、この規制値を導入した場合に、自動車交通騒音にどれだけの改善効果をもたらすのか検証するべきであります。
 昨年4月に取りまとめいただきました、第二次専門委員会報告では、タイヤ騒音規制導入を提言しました。その際に、日本自動車研究所(JARI)が開発しました、ミクロ交通流シミュレーションモデルを用いて、タイヤ騒音規制導入による効果予測、規制導入前後の道路交通騒音レベルLAeqを予測して、規制導入によって、最大1.3dB、交通量としては、26%の低減に相当する低減効果があるという結果が得られました。
 同様に、今回の日本提案の規制値を導入した場合の自動車交通騒音低減効果について、同じJARIのシミュレーションモデルを用いて分析をしましたので、そちらについて、資料14-2により説明したいと思います。
 本資料の概要ですが、R51-03規制値に関し、日本提案を採用した場合の規制効果を予測しました。予測に当たっては、車両のパワーユニット系騒音、タイヤ騒音レベルの音源特性を入力データとする道路交通騒音予測モデルを適用しております。
 シミュレーションの対象エリアですが、このモデルは、ミクロな領域を対象としております。交差点を通過する1台1台の挙動を予測して、各車両の音源パワーレベル、騒音伝搬を予測し、LAeqを算出するモデルとなっております。
 こちらJARIで開発しました道路交通騒音予測モデルの規制効果予測フローですが、まず、ミクロな領域での交通量を推定して、各車両の走行状態、速度、エンジン回転数等を予測します。そして各車両の音源特性・パワーユニット系やタイヤ騒音は、JARIにおいて継続したデータをデータベース化しておりまして、それをもとに個々の車両のパワーレベルを予測します。
 そして、騒音伝搬などを考慮し、ある地点での騒音レベルを予測いたします。
 交通流、それに伴う騒音レベルは、時々刻々と変化しますので、騒音の時系列変動を予測し、道路交通騒音のLAeqが算出されます。
 まず、交通流の予測手法について、実際の路上での交通量、車種区分別の交通量や車線数、道路寸法あるいは信号制御についての交通流実態について現地調査を行って、その結果をインプットとしております。つまり、架空ではなくて、現実の交通量、交通流に基づき推定を行い、各車両の走行状態を予測しております。
 インプットデータをもとにミクロ交通流をシミュレーションします。前のスライドにありましたとおり、車線数、道路寸法、制限速度、信号制御、そして、車種別の交通量を入力情報として実際の交通量での交通流を推定します。
 この交通流シミュレーションによるアウトプットデータは、位置・速度・加速度、そしてエンジン回転数になりますが、こちらの動画を見ていただくとわかるかと思いますが、車種によってその特性、性能から加速度等が異なっております。例えば、トラックのほうが乗用車に比べて加速が鈍いとか、そういったことがわかります。
 そして、追従する車両は、交通流に従って走行します。例えば、加速が鈍いトラックの後ろに、比較的加速性能が高い乗用車が続いている場合でも、前の車と一定の間隔を保ちながら走行する、その車両の加速ポテンシャルよりも低い状態で加速するような制御を行っています。
 (スライド動画を指し)今この信号がこれから青になるので、トラックのほうは、この乗用車に比べて加速が鈍い、そのトラックの後ろについている乗用車は、トラックと一定の間隔をあけて走行しているといった状況がわかるかと思います。
 次に、道路交通騒音の推計に移ります。各車両の走行状態、速度、加速度、エンジン回転数を入力値として個々の車両の音源特性、パワーユニット系とタイヤ騒音に分けてそれぞれの騒音レベルを予測します。
 車両の音源特性のうち、パワーユニット系騒音は、エンジン回転数とエンジン負荷率を関数として推計しており、エンジン負荷率は、加速度と重量及び最高出力から導出されます。また、タイヤ騒音については、車両速度を関数として推計しております。
 JARIにおいて多くの車両を実測して、各係数についてデータベース化しております。
 この個々の車両のパワーレベルが推計されますと、今度は各車両を音源として騒音伝搬を推測し、評価点における騒音の時系列変動を予測して、道路交通騒音のLAeqを推計し、低減効果を算出します。
 次のムービーは音も出ますのでご覧いただきたいのですが、このように音源パワーの時系列変動を予測できるようなモデルとなっております。測定点は交差点付近に置いておりまして、大きいトラックが来るとこのようにピークが立つというモデルとなっております。
 結構これを見ていても見飽きないので、ずっと見てしまいがちなのですが、次のスライドに進みたいと思います。
 シミュレーション予測との、実測との比較ですが、左のグラフはその時系列変動について、上が実測で、下がJARIモデルによる予測の時系列変動を比較したものです。交通流の順番等はランダムになりますので、ぴったりの時間で一緒になるという訳ではありませんが、ピークで到達するレベルはほぼ近いように見受けられます。
 また、右側のグラフ、こちらはLAeqについて、横軸が予測値、縦軸が実測値でありまして、乖離がほぼ小さいと、大体2dB以内に乖離は収まっていることがわかります。
 続いて、シミュレーション予測のケーススタディとしまして、4地域について実測しました。いずれも交差点付近、定常走行区間での道路交通騒音LAeqが環境基準70dBを超過しておりますが、交通量や中・大型車混入率が異なる地点を選んでおります。特にB地点については、朝と昼とで交通量が1,000台ぐらい異なっておりますが、中・大型車混入率が昼には50%近くまで高くなっておりまして、道路交通騒音レベルではほとんど大差がないといった状況になっております。
 したがって、道路交通騒音レベルは、交通量に加えて、車種別混入比率による影響が大きいこともわかるかと思います。
 なお、このAからC地点については、タイヤ騒音規制導入の検討を行った際に、シミュレーション予測を行ったポイントでもあります。
 続いて、12ページですが、こちらは昼間の12時間交通量と昼間のLAeqを表したグラフであります。今回計測したポイントは、いずれも環境基準である70dBを大幅に超過しておりますが、12時間交通量は、D地点では、12時間当たり1万台なのに対し、B地点では、3万5,000台程度と、割と広い範囲でポイントを抽出しております。
 そして、大型車混入率についても、AあるいはBといったポイントは比較的高く、C地点はABに比べると低目、D地点は、さらに低いポイントを抽出しております。
 評価対象地域の写真ですが、A地点は典型的な都市幹線道路で、交通量が多く、大型車混入率も高いポイントになっております。B地点は、大型車が多い郊外の幹線道路で、都市部を迂回するようなバイパスでありまして、交通量が非常に多く、大型車混入率も非常に高くなっております。
 続いて、C地点は、AB地点に比べるとやや交通量が少ない幹線道路で、大型車混入率も低くなっております。
 そして、D地点は、AからCのポイントと異なって、マンションも並び立つような市街地、居住地域の道路で、車線数も片側1車線となっております。このようなエリアでは、通過交通の車両は少なく、大型車混入率もほかの地点に比べて低くなっております。一方で、乗用車の混入率が高く、商用車の中でも大型車の混入率が高くなっております。
 15ページは、ケーススタディに用いました加速走行騒音規制値でありまして、日本がGRBにおいて提案しているものであります。
 規制導入の考え方としまして、現時点では、将来の規制値を超過している車両について、規制導入後に、規制値の直下から現時点で最も低いレベルの間に正規分布を形成するというシナリオで予測しました。規制開始直後は、恐らく規制値の直下の頻度が一番高くなると考えられまして、そういった予測も実際に行いはしたのですが、本日は規制導入からしばらく経過した後に、正規分布が形成されるというシナリオでの予測結果を紹介します。
 タイヤ騒音規制導入の検討時にも、タイヤ騒音レベルの頻度分布としてこのようなシナリオを用いていますが、自動車の使用過程で交換されたより自動車の廃車までの期間ははるかに長いと、保有ベースでの分布により予測すべきといったご意見もあろうかと思います。
 しかし、例えば、2030年では、保有台数自体も変化して、交通量、混入率までも予測する必要がある、非常に複雑な予測モデルとなってしまうと。したがって、自動車単体騒音規制導入による効果のみに絞って評価を行うために、このようなシンプルな過程で予測いたしました。
 予測結果でありますが、まず交差点付近については、Stage1の規制値により、LAeqで0.1から0.2dBの低減効果、Stage2の規制値で0.5から0.8dBの低減効果があります。ここで0.8dBというのは、交通量にして17%の低減に相当します。また、暫定の規制値ではありますが、Stage3の規制値では、1.0から1.4dBの低減効果が期待されます。
 次に、定常走行区間、交差点と交差点のちょうど間の地点での予測結果ですが、交差点付近での予測結果に比べて全体的に低減効果は低くなっております。これは定常走行時には、タイヤ騒音の寄与度が比較的高い、乗用車系では、9割近くがタイヤ騒音となっている状況です。一方で、R51-03というのは、加速走行騒音の規制でありまして、規制効果予測の際に、乗用車系では、パワーユニット系とタイヤ系の騒音の低減量を75対25と仮定しまして、また重量車系では、全てパワーユニット系の騒音を低減するという仮定につきまして予測をしました。したがって、定常区間での騒音低減効果は、交差点付近に比べて小さくなっております。
 このシミュレーションモデルが、時系列予測ができますので、こちらの結果について見てみますと、こちらのグラフB地点での交差点付近での時系列変化です。信号が青になると、車両が加速して騒音レベルが高くなり、赤では、曲がってくる車両あるいは交差する車線を通過する車両の騒音によって、ピークは立つものの、信号が青のときほどはピークは立っておりません。
 ここで青の部分を拡大して見てみますと、この615秒程度のところで一つピークは立っております。ここは恐らく重量車が通過した際と思われますが、重量車が加速しているような状況で、規制値が現状Stage1、2、3と強化されるにつれ、大体2dB程度低減していく様子が見受けられます。一方で、630秒ぐらいから後ろでは、現状とStage1、2、3の間に大きな変化が見られません。これは青信号が、続いて、もう30秒経っているので、交差点に進入するはるか手前でもう十分に加速をしてしまって、ほぼ定常走行状態で交差点に進入してくる、したがって、先ほどの定常区間での評価で説明したように、加速状態ほどの騒音低減が見込めないということが理由と考えられます。
 したがって、LAeqとしては、全ての状況を平均化して評価しておりますので、規制値の強化幅ほどの改善効果は得られないということは、こういったことが背景にあるかと考えられます。
 他方で、特にLmaxとして見ますと、Stage2でも、ここで4dB近く低減効果があることが期待されます。この4dBの低減効果というのは、実際の騒音低減というのを実感できるようなレベルであるのではないかというふうに考えております。
 また、欧州で見受けられるようなランアバウトでは、進入時には20から30キロ程度速度を落として、ランアバウトから出るときに必ずぐんと加速をしているということで、シミュレーション予測は行っておりませんが、四輪車の加速走行騒音規制強化によってランアバウト付近の騒音レベルは、交差点付近に比べて大きく改善されるようなことも見込まれます。
 結論でありますが、R51-03規制値に関し、JARIで開発した道路交通騒音予測モデルを用い、日本が提案している規制値を採用した場合の規制効果を予測しました。予測結果によって、Stage2の規制値によって交差点付近でLAeqとしては0.5から0.8dBの低減が期待されます。
 次のページからは参考ですが、各車種の保有台数と交通量調査結果の比較です。
 乗用車では、保有では8割近くを占めておりますが、交通量として見ると、6割程度の比率で保有比率を下回っております。
 そして、次のページは、商用車系ですが、まず上にある軽トラックも、こちらも同じように保有台数では、比率は12%、一方で交通量としては、わずか2.8%となっております。これは保有の多くは、移動目的よりも、例えば農作業などに用いられているために、自動車交通騒音への寄与度が低いということがわかるかと思います。
 乗用車、軽トラックで保有台数比率に対して交通量の混入率が下回っている分を補っているのは、中・大型車でありまして、保有台数で見ますと、3.5%であるのに対し、交通量では、28.7%を占めております。
 したがって、保有ベースで少ないものの、重量車の騒音低減対策も極めて重要であることがわかるかと思います。
 次のページは、騒音規制強化に対する音源別低減量の設定について、先ほども紹介したとおり、乗用車、軽量貨物車では、パワーユニット系の低減量を75%、そしてタイヤを25%としまして、重量車系では、100%パワーユニット系の低減としております。この前提条件を決めるためにStage1からStage3に強化した場合のパワーユニット系、タイヤ騒音の低減量を試算しました。これはJARIのデータの中で、タイヤ騒音レベルが最も高い場合でどのように対策しているかということで試算しておりますが、その結果、二次報告の際のタイヤメーカーヒアリング等の結果も踏まえまして、乗用車系では、タイヤを2dB下げるのに対し、パワーユニット系では6.4dB下げることで音を抑える。すなわち、パワーユニット系が75%、タイヤ騒音が25%の低減量比率というのが妥当であるとしております。
 一方で、重量車系については、時速35キロでの加速を評価しますので、タイヤ騒音の寄与度が非常に小さいと。タイヤで1dB下げてもパワーユニット系をどうにか下げなければ、当然規制値をクリアできないということから、100%パワーユニット系騒音を下げることが妥当としまして、音源別低減比率を定めております。
 以上、四輪車の加速走行騒音規制のシミュレーション効果予測を説明しましたが、これらの内容について、国連での議論においても、日本から積極的に提示して、日本提案による規制値が有効であることの根拠の一つとして示していきたいと考えております。
 説明は以上であります。

【橋本委員長】 ただいまの事務局からの説明につきまして、ご意見とか、ご質問とかございましたらお願いしたいと思います。

【角湯委員】 資料の12ページのところなのですが、左と右側のグラフがあるのですが、B地点についてなのですが、比較的B地点については、昼間の12時間交通量も大きくて、中・大型車の混入率も大きいというふうなことで、計算すると、一番この地点が昼間のLAeqも大きくなるのかなというふうなことで考えられるのですが、左のグラフを見ると、B地点よりもA地点のほうが大きくなっているのですが、この辺は速度の影響が考えられるのでしょうか。

【髙井室長補佐】 そうですね。実際にこちらの交通量で見ますと、こちら朝と昼の時間帯で抽出したので、A地点のほうが交通量が高いようになっていますが、速度としては、多分B地点のほうがバイパス地域なので高いかと思います。
 ほかには、5ページで説明しましたが、この車線数とか、道路寸法といった要素も考慮していますので、そちらによる影響もあるのではないかというふうに考えております。車線数は、いずれも4車線であるのですけど、道路寸法とか、そういった影響が大きいのではないかと思います。

【山崎委員】 確認と教えていただきたいのですけども、今のA地点というのは、例えば13ページになりますと、二つ写真があって、その後、データ整理したLAeqの予測結果のところで、交差点付近と定常区間と二つある訳ですね。多分、写真の1枚左側が交差点付近、右側が定常区間となっていると思うのですけども、そうすると、12ページのA地点というのは、今A地点二つある訳ですね。交差点付近と定常区間、この12ページのA地点はどうなるのでしょうか。

【伊藤委員】 自動車研の伊藤でございます。12ページで書かれているデータにつきましては、これはセンサスのデータを持ってきておりますので、このA地点、B地点、写真で撮っている場所とは若干異なる訳ですけども、センサスの代表的なところから持ってきているということですので、交通量だけですので、恐らく定常のほうに近いのではないかというふうに思いますけども。

【石濱委員】 同じく、このデータは非常に興味を持って拝見しているのですけど、交通量が多くても昼間のLAeqが小さいというデータがたくさんある訳なのですが、これはあれでしょうか、交差点付近だったり、そうでなかったりという、要するに、運転条件が大分違うということがこれに反映されているのかどうか. もともとのデータがどうだったのかというところまでは、なかなか把握はできにくいのかなと思いますけども、もしおわかりだったら、知りたいものです。というのは、どういうことかというと、交通量だけで決まらず、走っている車のメーカーだって、そんなに日本国内であれば違うはずがないので、昼間のLAeqを下げるようなヒントがこの中にひょっとすると何かあるのかもしれないなというふうに思ったからなのであります。

【髙井室長補佐】 こちらの12ページのデータは、昼間のLAeqというのは、これ全部予測したものではなくて、実測のものですので、道路の路面とか、そういった要素も当然入ってくると。したがって、先ほどの回答で申し上げなかったのですけど、路面の状況とかの影響というか、それも出ているのかと。

【石濱委員】 今後いろいろ見ていく価値があるデータだと思います。ありがとうございました。

【坂本委員】 交通流の推定についてなのですが、まず交通流実態を調査されて、それをベースに推定されたということなのですけども、実態をベースに評価されたということでよろしいでしょうか。例えば、速度については、制限速度をオーバーしている車両が結構あると思うのですけども、それについても実態に合った速度で推定されているのでしょうか。

【伊藤委員】 基本的には、実態に沿った形でこれはシミュレーションをやっております。

【坂本委員】 それから、例えば、中にはマフラー交換とかをしていて、比較的突出した音を出す車があるかもしれないのですけども、そういう車両については、どのようにされているのでしょうか。

【伊藤委員】 マフラー交換ですとか、そういう一般に高い騒音が出るというもの、実は今回はシミュレーションには入っておりません。それからこの図にもありますように、二輪についても、今回のシミュレーションには反映しておりません。
 ただ、そういった車両なのですけども、今回対象とした地点というのは、そういった二輪車ですとか、そういったところの混入率が非常に少ないと、5%程度というふうに聞いていますけども、そういった程度ですので、LAeqに対してはそれほど大きな影響はないというところで、シミュレーションの結果については、ある程度リアルワールドを反映しているのだろうと想定しています。
 ただ、先ほど時系列データがあったと思いますが、Lmaxについて、果たしてリアルワールドを忠実に再現しているかといいますと、まだ課題があるかなと、改善の余地はあるかなと思っておりますので、それはシミュレーションの目的に応じて設定しなければいけないと理解しております。

【伊藤委員】 答えとしては、よろしいでしょうか。

【坂本委員】 ありがとうございます。

【山崎委員】 LAeqの予測結果をもとに今後ヨーロッパとかとやりとりをするというお話のところで、二つなのですけど、例えば一般の人から見たら、コンマ1dBとか、Stage3では0.8で、車両としては20%ぐらい減ったと、そういう0.8で20%ぐらいだと結構減ったなと。一方、0.1とかのときというところで、一般の人がどう思うのかというところと、それで、この0.1で、日本の規制値がヨーロッパに対していいよというところの論理、弱いのではないかと、そこら辺の戦略というのは、どうなのかなと。

【髙井室長補佐】 確かに、特に環境省的に0.1dBしか変わらないからやらなくていいというふうなことはないのですけど、定量的に見て、0.1という数字がどれだけの重さがあるのかというところは、確かに考えていかなければいけないかなとは思っています。

【山崎委員】 これもっと厳しくするという話も、可能性は。

【髙井室長補佐】 今の環境基準をLAeqで評価するものになっていますし、まさに効果予測というのは、これでしか出せないところではあるのですけど、実際には、Lmaxの部分が減ってくるようなところも、これは結構効果があると思うのです。
 したがって、特に今回この定常を示したのは、LAeqで見ると0.1というのは、大して大きくないのかもしれないけど、全体LAeqがどういうふうに下がっているのかというのを見ると、特に加速が中心になっているようなところでは大きく下がっていて、ピークが大分下にいっている。一方で、そうではない定常区間については、それほど大きな低減はありません。こちらについては、また別のタイヤ騒音規制を見直していくとか、そういったことで強化していく必要がありますねということで、整理して説明したいと思います。

【山崎委員】 そういう意味で、LAeqだけにこだわらずに、今回のこの規制というのは、特にαurbanとかを使うということは、加速なので、Lmaxというか、Lmaxになると今このシミュレーションでは、精度はという話があると、その中でもこのLmaxに主張するような形で、それこそヨーロッパともそうですし、国民にもわかりやすくやるということがいいのかなと思います。

【髙井室長補佐】 今回は新型の四輪車の規制強化に関する評価ということなので、騒音全体としてどういう対策が有効なのかというのを、また別に考えていかなくてはいけないことだと思います。この中でマフラーの規制を強化するとか、あるいは道路の対策をするとか、そういったところも含めて、今後対策を考えていく必要がある。その際に、こういったシミュレーションモデルの精度を上げて、それを活用するということも重要になってくるのではないかと。

【山崎委員】 今回むしろLmaxを利用するような展開が理にかなっているような気がするのですね。

【髙井室長補佐】 LAeqでも0.8dB下がるのが。

【山崎委員】 ではセットで。

【髙井室長補佐】 セットですね。はい。

【石濱委員】 今と同じことを繰り返すようなことかもしれませんけど、こういう音とかなんとかというのは、いろんな場面があって、車も今回のシミュレーションでは、特にいわゆる不適切なマフラーを搭載をしている車が入っていないとか、いろいろある訳ですので、今高井さんがいろいろ考えながらお答えされているのですけども、LAeqというのは、確かに非常に広い範囲で適用が可能な尺度ではあるのだけれども、全てを言い尽くすことがなかなかそれでは難しい。もともと騒音評価だとかいうものというのは、そういうものなのですと、結構複雑なもので、多面的なこの尺度なり、考え方というのが必要なのだということは、もう言い切ってしまったほうがいいのではないかなと思うのですよね。
 それは、それなりに十分なスタディをして、論理構成をしていくのですけども、そうしておかないと、いつも説明に苦しんでしまうし、説明を苦しむというのは、別にどうってことないですけど、本当に必要な対策をしていくための研究だとか、いろんな技術開発のときに、かえって障害になってしまうような気もするので、その辺のところをこれから別に環境省さんだけに委ねる訳ではありませんけども、課題になったということじゃないかと私は思います。

【金子委員】 すみません。私もこのLAeqの予測と、今出ています時系列のデータは、とても示唆に富む内容を含んでいると思っていましす。交通流のデータもプロットの点が多いので、いろんなことがわかりそうなのですけども、この時系列データに関して先ほどから加速時の話が出ているのですが、拡大した波形を見ると、加速をするときに確かに差は出るのですけども、減速するところでも差が出ているのです。例えば、620秒あたりを見ると差が出ていることがわかるのですが、この区間では減速しているのです。
 解釈には気をつけたほうがよいと思います。また、別の区間の625秒ぐらいから640秒ぐらいまではほとんど差がないのです。この区間では何で違いが出ないのかとか、いろいろと考えさせられるところもあるように思うのですね。
 ですから、もう少し丁寧に検討すべきと思います。また、その上のグラフも減速のところの差も意外と大きいのです。トップピークも大きいのだけど、谷も大きい。このシミュレーションの結果、独特の上がるリズムの中に含まれているのだと思いますね。
 このあたりをもう少し丁寧に分析されて、LAeq加速中心だというふうに言い切れるのかどうなのか。丁寧な分析が必要という感じがいたします。よろしくお願いいたします。

【髙井室長補佐】 今年度以降、環境省でも、引き続き騒音低減対策に関する予算を確保していますので、調査物の中で、今先生からご意見いただいた点についても、もう少し明らかにするというか、減速時でどういうふうな音の変化があるのかというところも少し分析していきたいと思っております。

【中島委員】 すみません。LAeqの予測についてなのですけれど、7ページで、タイヤ騒音のこのモデルですと、これ速度の関数になっていまして、本来は加速度の関数でもあるのですけれど、これ加速度が書いていないということは、加速度時はタイヤの騒音の寄与が少ないから、本来は加速の関数でもあるけれど、それを無視したということでよろしいのですか。

【伊藤委員】 今回のところでは、加速については、考慮はしていないと。確かに速度でやりますと、タイヤによって結構ばらつきはあるのですけども、今回につきましては、この速度が第一で効いてくるというところで、第一近似で速度で式を立てたというようなところになっています。

【中島委員】 多分実験的に言うと、加速度も結構効くのではないかと思うのですが、それは加速度のときには、タイヤの騒音の寄与が少ないから、結果として誤差が少ないというふうに解釈してよろしいのですか。

【伊藤委員】 ちょっと手元のデータがまだないもので確認してみないとわからないのですけど、検討させていただきます。ありがとうございます。

【橋本委員長】 ちょっと1点質問があるのですけど、この規制導入の考え方、16ページのところの規制前と規制後ということで、正規分布を仮定してということで、何らかの仮定しないとシミュレーションができないのはわかるのです。こういうある程度の時間がたったときに、規制前に比べて、規制後の分布が下位レベルは余り変わらないですね。上位レベルがこの中間のところに吸収されて、こういうふうに比較的切り立った分布になるという考え方は、過去の規制導入前と規制導入後の分布による知見というか、そんなことから定められたのでしょうか、ちょっとその辺がよくわからないので、そこを伺いたいのです。

【伊藤委員】 コメントありがとうございます。この分布cにつきましては、騒音が低いもの、十分対策がされているものについては、それ以上対策は必要ないであろうと、そういった考えに基づいて、下限のところは固定している。上限のところに対しては、騒音レベルが高いものに対しては、どんどん対策が進んでいくだろうという設定のもとに、それが正しいかどうかわからないのですけども、開発という考え方で言うと、そういう形で対策はされるのではないかという設定を置きまして、こういった正規分布、下限は固定された正規分布になるという設定であろうというふうに思います。

【橋本委員長】 現実的なものを考えたときに、この分布は、もう少し、だから変え得るということになるのでしょうね。

【伊藤委員】 そうですね。実際そういうデータがわからないというなら、想像の範囲は超えないのですけども、実際反映しているかどうか、もしデータがあれば、状況はわかります。

【橋本委員長】 ちょっと気になるのは、要するに、規制値があって、規制値の内側にシフトするだろうということはわかるのですけども、こういう正規分布は果たして本当に形成するのかとか、もう少し規制値に近いところのほうの分布の頻度が高くなる可能性も否定できないのではないかなという気がするのですが。

【髙井室長補佐】 今回かなり時間が経ってからというふうな設定でいますので、区域分布という、いわば決めみたいなところではあるのですけど、ただ実際、メーカーさんとかにヒアリングする際とかにも、新たな規制が入って、その規制をクリアするために、技術開発をしなければいけない。既に騒音レベルが十分低いような車でも開発された技術をそういった車にも適用していくことで、さらに音が低くなるということで、橋本先生がおっしゃるように、全体的に今一番低いところのやつが、さらに低くなっていく、そういう効果が必ずあると思うので、正規分布ですが、ちょっとワーストに近いようなケースで、実際には、もう少しそれよりさらに低いところに、規制による効果というのは、さらに大きくなるというところで評価していると考えています。

【橋本委員長】 ただ、実際に下のほうの分布をもう少し差があるということでしょうね。

【高井室長補佐】 はい。LAeqに寄与するのは、上のほうのものがかなり大きいので、下のほうを幾ら下げても上のほうを何とか。

【橋本委員長】 エネルギー的には、上のほうが問題になってきますね。

【中野委員】 今までのお話で、予測の結果が非常に少ないStage1の結果というのは、なかなか言いにくいという話で、加速の話が出てきているのですけど、この資料の結論のところを見ると、Stage1で軽減するという話はどこにも入ってないでしょうね。それはそういうこのまとめるときに、Stage1は下げるという、このシミュレーションでそこを言うことは難しいというようなバックグラウンドがあって、そのStage1のことを省いているのでしょうか。その辺がちょっと。
 そうだとすると、先ほど来の話というのは、シミュレーションでそもそもその辺の話をするのが、なかなか難しいというのがあって、結論の2番目のセンテンスが出ているのではないかという解釈もできるのですけど、その辺はどういうスタンスで、この結論が出ているのかなというのを確認したいなと思ったのですけど。

【髙井室長補佐】 先ほど参考資料2でご説明しました、日本提案として規制値の提案として3段階で強化すると、その際、Stage1については、規制値を現行のデータベースで10%程度をカットされるようなので、とりあえず規制効果というよりも現行の規制とほぼ等価なレベル。ただし、試験法の導入あるいはASEP、追加騒音規定の導入によって、言うなれば、今の規制に対してそこだけ音を下げて、それ以外のところでは音を上げているような、そういったものへの対策というのが、Stage1はメーンになるのかなと。
 そういった効果については、今回ちょっとシミュレーションモデルでは、そこまでは評価できるものにはなっていないので、必ずしもStage1の効果というのは、シミュレーションの結果によって説明するのはふさわしくないのではないか。
 一方で、Stage2については、今の騒音のレベルに対して30%程度カットするようなレベルということで、少し切り込んでいくような感じになっていますので、そこは加速の音自体を普通に下げていくということで、シミュレーション予測の結果をアピールするのがふさわしいのではないかというふうに、一応そういう使い分けというか、そう考えています。

【中野委員】 私が勘違いしている(ここで審議すべきは資料14-2のシミュレーションの結果が妥当かということであるのに、ステージ1の効果が少ないのが問題ではないかという議論に変わっているように感じられたことが)のかもしれませんけど、要は、先ほど来の話だと、0.5から0.8といったらば、車外騒音でそれだけ下げるというのは、実際なかなか大変な話ですよね。ですから、十分効果があるというふうな発想をしてもよろしいのではないかと私は思っているので、だから、0.1とか、0.2という話になってくると、確かに本当かという話が出ると思うのですけどね。
 ですから、結論にそこまでStage1でも少しでも差があるから、シミュレーションで差があるから下がると言い切っていれば問題かもしれませんけど、そういうふうには、そういうスタンスでまとめていないので、このままでいいような気もしたのですけど、それで今のお話で、私の勘違いではないことがわかり、ある程度納得はしたのですが、どうもありがとうございました。

【後藤委員】 11ページのシミュレーション予測の図について、昼間の交通量が少ないのですが、逆に平均速度も上がるであろうことや、中大型車混合率も多いことから、結果的に定常区間の騒音が高くなっていることが示されています。これは、シミュレーションが車速や車種別混合率などの要因がシミュレーションに的確に加味されているということと考えていいのですね。

【髙井室長補佐】 はい。加味しております。

【橋本委員長】 よろしゅうございましょうか。

(はい)

【橋本委員長】 それでは、大体皆さんのご意見、ご質問等が出たというふうに思いますが、この件につきましては、特段のもうご質問等がなければ、基本的に事務局の進めているとおりで今後やっていくということでお認めいただけるということで、よろしゅうございましょうか。

(異議なし)

【橋本委員長】 それでは、次の議題2の欧州内での四輪加速走行騒音の規制審議状況についてに移りたいと思います。
 この議題2について、また事務局のほうからご説明お願いいたします。

【髙井室長補佐】 議題2ですが、欧州内での四輪車加速走行騒音規制審議状況について、昨年9月の前回開催からの進捗を中心に報告したいと思います。
 資料の14-3を用いて説明します。
 2ページですが、これまでの経緯でございます。国連のGRBにおいては、1999年からR51-03への見直しの審議が開始されておりまして、2005年には、規制値案が一度提示されたのですが、欧州委員会側がこれを飲まず、現行のR51-02に基づく認証の中で、新たな新試験法によるデータを計測するモニタリング期間を3年間設けました。そのモニタリングデータの結果を踏まえて、欧州委員会の委託を受けました、オランダの研究機関TNOが報告を取りまとめたことがきっかけとなり、規制値の議論が再開されております。
 2011年には、欧州の自動車工業会が、サブカテゴリーの見直し、あるいは規制値について提案を行いました。その意向を踏まえて、ドイツがサブカテゴリー・規制値の提案を2011年9月に行っております。日本からも昨年2月に、サブカテゴリー・規制値の代案を提案しまして、その後、ドイツと調整をした結果、昨年9月に、修正をしましたサブカテゴリー・規制値案を提案したところです。
 一方で、欧州内の動きですが、2011年12月に、欧州委員会がTNOのレポートに基づく独自の規制案を提案しまして、欧州議会と欧州連合理事会CouncilによるCo-Decisionプロセスに入りました。
 欧州議会では、昨年12月に、この事案を主管しました環境委員会で修正案の採決が行われて、その後、今年2月に、欧州議会でこの環境委員会で採決されたものをベースに、さらに修正を加えて採決されました。
 一方で、欧州連合理事会Councilでは、協議継続中です。このCouncilの専門家会合に参加するメンバーは、GRBにも参加しているメンバーでありますので、GRBとCouncilの間の議論の方向性のすり合わせを行うために、今年の2月、GRBにおいて、日本、中国といったEU外のメンバーも含めたR51の有志グループを設置することが決定されました。
 3ページですが、欧州委員会による提案ですが、TNOレポートをもとに提案されたものでして、試験法は、GRBで審議されているR51-03ドラフトを引用しております。その一方で、規制値のサブカテゴリーについては、現行の欧州規制を踏襲しております。
 規制値は、規制発行から2年後の第1段階で、現行の等価レベルから軽中量車で2dB、重量車で1dBの強化、そして、その3年後に、それぞれ2dB強化するという、技術開発あるいはモデルチェンジのスパンを度外視した非常に厳しい非現実的な規制値提案となっております。
 4ページですが、Co-Decisionプロセスの一つであります欧州議会、こちらでは環境委員会が主管となって審議をしまして、運輸委員会、消費者保護委員会にも意見を求めました。この環境委員会での採決は二度にわたって延期されまして、昨年12月に、規制値、試験法の修正を含めて採決されました。
 規制値については、修正意見等の取りまとめを行うRapporteurの修正案が、EC案に比べて緩かったということがありまして、環境保護推進派、グリーン政党のEC案寄りの修正代案が提示されて、そちらの代案のほうが30対29の1票差で可決されました。
 その後、欧州議会において、環境委員会の採決された案を、修正案をもとに審議しましたが、規制値案について、この環境委員会のRapporteurが欧州議会の議員として改めて修正代案を提示して、その代案がこちらの僅差で可決されております。
 次の5ページが、欧州議会で採決されました規制値案及びサブカテゴリーでありまして、5ページがMカテゴリー、そして6ページがNカテゴリーとなっております。
 こちらの採決案については、日本提案との違い等もあわせて説明したいので、後ほど説明しますが、一つ大きな修正点としては、段階的な強化ではありませんで、法案発行後、6年で一気に規制強化を図るという点であります。
 続きまして、7ページですが、規制値サブカテゴリーに係るEC案、ドイツ案、日本案、このテーブルに欧州議会、EU Parliamentの採決のものを追加しております。
 EU Parliamentの採決案では、6年後に1段階強化としておりまして、時期的に見ると、日本あるいはドイツが提案している段階評価のStage2に相当しますので、こちらのテーブルでStage2のところに入れております。
 続いて8ページですが、その他R51-03の改正案との試験法に対する欧州議会による修正でありますが、まず、ギヤ段を決める際の参照加速度の上限値、これが3.0m/s2から2.0m/s2に引き下げられています。
 また、次の議題で紹介します、追加騒音規定ASEPの上限加速度も5.0m/s2から4.0m/s2に引き下げられております。
 そのほか、欧州議会による採決の類似点としては、購入者向けに車両の加速走行騒音レベルの表示を義務づけしていること、また、電動系車両への接近通報装置の装備を義務化したことなどが挙げられます。
 続いて、欧州連合理事EU Councilでの審議状況ですが、月に一度のペースで非公式の専門家会合が開催されております。まだ、採決はしばらく先と見込まれますが、欧州議会で採決されてしまっておりますので、それほど時間をかけることが許されない状況であります。したがって、次回GRBが9月に開催される予定ですが、それよりも前に採決される見込みであります。
 このCouncilメンバーには、GRBにも出席しているメンバーも多く含まれております。したがって、このGRBの下にR51有志グループ会合を設置しまして、GRBとこのCouncilとの方向性をすり合わせることとしました。この有志グループ会合には、日本も参加を表明しております。
 最後の9ページですが、こちらでは欧州議会採決と日本の規制値・サブカテゴリー提案の違いを明示しております。理事会あるいはR51有志グループ会合での審議は、欧州議会採決がベースになるのではないかと考えております。
 まず、サブカテゴリーの違いですが、違いについては、赤いところで示しておりますが、乗用車系で見ますと、閾値が若干変わっておりますのと、欧州議会採決では、スーパースポーツカーというカテゴリーが追加されております。このスーパースポーツカーというのは、座席数が4席以下、PMRが200kW/t超えのもの、そしてドライバーシートのRポイント、シートのヒップポイントに当たりますが、それが地上450㎜以下のものが該当します。国産では、該当車種はありません。
 続いて、M3のバスについては、日本は低出力側の閾値として135kWで提案しておりますが、欧州議会では180kWとして採決しております。これは国内の中・大型路線バスを二分してしまうような閾値となりますので、日本としては受け入れがたいと考えております。
 また、日本が提案しておりますガソリンエンジンのM3への緩和規定について、こちらは欧州に該当車種がないために、欧州議会の採決では考慮されておりません。
 N1につきましては、GVWベースのPMRが35kW/t以下の小型低出力車区分が含まれておりません。これは先ほどと同様に、欧州では、該当車種がないため、これまで説明してきたとおり、軽トラックが該当する車種であります。
 そしてN2については、日本は閾値135kWで提案しておりますが、欧州議会採決では、150kWで採決されました。国内のいわゆる中型トラックを二分する閾値となるために、これも受け入れがたいものと考えております。
 続いて、N3について、欧州議会採決では、180kW以下の区分を追加しております。一方で、こちらの右側の規制値については、日本のStage2の規制値に比べて厳しい値が多い。保有ベースで多くの台数を占めるN1の、特にPMRが125kW/t以下では、日本の70に対して68dBと、2dB厳しくなっております。
 他方で、N3の重量車については、1dB緩い値となっておりまして、また、スーパースポーツカーについても1dB緩やかになっています。
 サブカテゴリー・規制値については、これまで日本から提案しておりますので、日本提案の実現が第一でありまして、先ほど説明したシミュレーションなどの結果も示しつつ、実現に努めてまいりたいと考えております。
 しかしながら、国際基準づくりは交渉事でありますので、欧州側としても譲れない部分というものがあるのかと考えられます。したがって、メーカーにおける技術開発可能性も考慮しつつ、国内の環境に大きな影響を及ぼさない範囲で、ある程度は欧州側の意見も取り入れていくことで、実行可能性があり、かつ効果的な自動車単体騒音低減対策を進めていきたいと考えておりまして、そういった基本方針で国際交渉に臨んでいきたいと考えております。
 状況の報告については、以上であります。

【橋本委員長】 ただいまの事務局の説明につきまして、ご意見とか、ご質問とかありましたらお願いしたいと思います。

【角湯委員】 一つ教えていただきたいのですが、8ページのところで、参考情報で、購入者向けに騒音値表示の義務化というのがあるのですが、これはどのようなものかちょっと教えていただきたいのですが。

【高井室長補佐】 購入時にその車の騒音レベルが何dBですというのをカタログとか、あるいは、ディーラーの店頭に置いてある車とかに表示するようなものだと考えております。
 実際に、欧州ではタイヤ騒音レベルについては、表示義務が課されておりまして、実際の販売の際に、タイヤ自体に書いてあるのではなくて、購入する際に店頭でわかるような形で表示しております。こういう義務化することで、ユーザー、購入者への騒音低減に対する意識を高めようという目的があるようです。

【橋本委員長】 ほかに、ご質問等、ご意見等はございませんでしょうか。
 それでは、議題2はここで終了いたしまして、次の議題3ですが、四輪の加速走行騒音試験法の追加騒音試験規定について、事務局から説明お願いいたします。

【高井室長補佐】 それでは、資料14-4に基づいて説明いたします。
 現在、審議中のR51-03においては、第二次報告取りまとめに当たって、二輪車でご審議いただきました、ASEP追加騒音規定、市街地加速を評価する条件以外で、不適当に騒音レベルを増大する制御を抑制することを目的としたものでありますが、四輪のR51-03においても規定されております。こちらについて概要をご説明したいと思います。
 先ほどもご報告したとおり、現在、国連において採決に向けて審議中ですので、最終版ではありません。したがって、本日は報告という形にいたしたいと考えております。
 現在、審議されておりますR51-03において、ASEP導入についてですが、二輪車と同様に、エンジンの電子制御化、制御の緻密化というのが背景にあります。
 現行の欧州加速走行騒音規制R51-02というのは、日本と同じくISO362をベースとしておりまして、進入時速50キロからの全開加速で騒音レベルを評価しております。
 こちらのグラフですが、TNO VENOLIVA Reportからの引用ですが、横軸が試験区間の進入測度、縦軸左が加速度で赤いドットで示してます。右が騒音レベルとなっておりまして、青いドットで示しております。現行の全開加速試験の条件に近い進入速度49.7キロ、あるいは50.8キロで進入した際に、加速を抑えて、結果として騒音レベルも抑える。その前後の進入速度では、騒音レベル、加速を抑えずに騒音レベルも高くなっていると。
 特に、スポーツカータイプの車両において、加速試験条件外で、不適当に騒音レベルが大きくなるような、そういったことが懸念されております。
 また、新試験法の試験条件、市街地走行時の加速度95パーセンタイルを評価するものでありますが、高負荷高エンジン回転数で発出される騒音は評価されないという主張がありました。
 具体的には、オランダが、ランアバウトの走行パターンを提示しまして、さまざまな速度で、新試験法R51-03のドラフトでは、Annex3と規定されておりますので、Annex3試験と呼びますが、このAnnex3試験で評価するαurbanより高い加速度での評価を要求しました。
 一方で、ドイツからは、R51-02による旧基準を超過する車両の出現が懸念されました。これらの背景を踏まえて、二輪車と同様にR51-03において、新加速試験法の条件と異なる回転数での騒音レベルが極端に大きくなるような制御、これをCycle Detectionとしまして、自動車メーカーに対して、その適用を禁止するとともに、この追加騒音規定を導入することとしております。
 こちらについては、GRBでAnnex3試験の規制値、あるいはR41の規制値ASEPと同様に、各国から持ち寄ったデータをもとに議論を進めてまいりました。
 4ページですが、ASEPで評価するギヤ、評価領域について示しております。
 まず、ギヤ段については、マニュアル車及びギヤ固定可能なオートマ、CVTの場合では、Annex3試験で評価するギヤのうち、ロー側のギヤから順に下がって1速までであります。一方で、ギヤ固定不可能なAT車では、Dレンジで評価します。
 そしてASEPは全開加速により評価しますが、評価対象の速度を加速度として、進入速度が時速20キロ以上、これは安定した走行を維持するための最低速度であります。
 試験区間での加速度が5.0m/s2以下、進入時のエンジン回転数が、無次元回転数として10%以上、こちらも安定した走行を維持するための最低回転数。試験区間脱出時のエンジン回転数の上限が最高出力時回転数の90%、または、こちらの数式の2×PMR-0.222×最高出力時回転数のいずれか低いほう。そして脱出速度が時速70キロ以下、もしもいずれのギヤでもこの前のエンジン回転数の上限を実現できない場合は、時速80キロ以下と。以上の境界条件により、評価する領域が定められております。
 そしてASEPの対象ですが、内燃機関を有するM1、N1となっております。ただし、適用除外の車種がありまして、例えば、ハイブリッド車のうち、内燃機関は直動軸に直結していないもの、シリーズハイブリッドのようなもので、こちらについては、発行後5年で見直すという条件つきであります。
 そしてCVT車で、ASEP評価対象領域において、エンジン回転数の変動が最高出力時回転数の15%以内におさまるもの。N1のうち、エンジン排気量660㏄以下かつGVWベースのPMRが35以下のもの、これは日本の軽トラックを想定しております。そしてN1のうち、ペイロード(最大積載量)が850キロ以上かつGVWベースのPMRが40以下のもの、以上が適用除外とされております。
 次からのスライドで、この評価領域の上限、エンジン回転数上限加速度の検討経緯、そしてASEPの評価方法等を説明してまいります。
 上限回転数につきましては、ドイツが速い交通流への合流Fast Going Traffic Streamでのエンジン回転数を分析しました。
 こちらの図で、横軸がPMR、縦軸が無次元エンジン回転数で、この青で示されている点線が市街地走行時のエンジン回転数の95パーセンタイルで、緑のドットがAnnex3試験の際のマイク前のエンジン回転数となっています。この赤線というのが速い交通流へ合流する際のエンジン回転数の95パーセンタイルレベルでありまして、このときの騒音レベルを評価するために、試験区間脱出時のエンジン回転数、この赤の点線にオフセットしまして、こちらで定められる回帰式を定めております。
 ただし、低PMR車では、実走行でほとんど使用されないエンジン最高出力回転数に近い領域が使われてしまいますので、上限を90%と定めております。
 続いて、上限加速度ですが、当初はタイヤスリップによって騒音の影響が大きくなり、再現性を確保できないという懸念から、上限を3m/s2とする方向で議論しておりました。しかし、加速度の実態が1~4m/s2であるとオランダが主張しまして、その際の資料の抜粋でありますが、こちらも横軸がPMR、縦軸はαwot、全開加速時の加速度でして、さまざまな車両のさまざまなギヤ段での全開加速、これはマイク前50キロに限定しておりますが、セカンドギヤで計測したものでは、3m/s2を超過するようなものも見受けられます。
 したがって、上限は5m/s2まで引き上げることで、現時点では、GRBにおいては合意されておりますが、前の議題で紹介しましたように、欧州議会では、5から4へ修正するような方向で採決されておりますので、こちらについて、今後GRBでも見直される可能性はあります。
 そして、上限脱出速度、こちらはメーカーの試験場における制約から、脱出速度は時速70キロと提案されましたが、上限回転数まで評価できないのではないかという懸念から、ドイツが80キロを上限とすることを主張しまして、審議の結果、上限回転数まで評価できる場合は、脱出速度時速70キロ、それ以外の場合は80キロとすることで決着しました。
 こちらはAnnex3試験条件とASEP評価領域の比較の参考でして、時速50キロ付近の市街地走行で用いられるエンジン回転数、加速度の頻度を示しております。この左の図で見てみますと、PMR84.6の車両の例で、Annex3では、この赤の矢印と赤の丸で示される、こちら定常ですけど、この二つの計測値からαurbanでの騒音レベルを内装して評価すると。
 一方で、ASEPの評価領域は、今ハッチングした領域となります。このような全域が評価対象領域となりますので、より広範な範囲、特に3速よりも低いギヤ段、少しここに青いドット、青い頻度分布がありましたが、そういった低いギヤ段の使用領域まで評価をすることが可能となります。
 続いて、ASEPによる評価の具体的な手法ですが、定められた4点、それと任意の2点を評価します。この決められた4点の内訳ですが、まず進入時、時速20キロの際の点と、そして脱出時車速が上限の時速または回転数の場合、これらの2点と、その間を3等分するような2点を抽出して、それらの点を評価します。
 こちらAnchor Pointというのがございますが、これはAnnex3試験での全開加速時の計測点でありますので、これを起点として一定の騒音レベル以下かどうかということを評価する試行となっております。
 これら4点に加えて、認証機関の要求に応じて、2点を任意に追加することが認められております。
 続いて、9ページですが、これらの測定点の評価の仕方としては三つありまして、一つ目が、測定点からの回帰線勾配を計算して、各点が一定ライン以下となることを確認するSlope法と呼ばれるもの、二つ目が、測定データを車速・加速度について、Lurban相当に補正をしまして、Annex3で得られた試験評価結果と差分を評価するLurban法、そして三つ目が、現行規制への適合確認として脱出速度は61キロ走行の全開加速時騒音レベルを推計する適合確認手法です。
 このうちSlope法とLurban法については、いずれかをメーカーが選択できるという規定になっております。それぞれの評価方法を簡単に説明していきます。
 まず、Slope法ですが、こちらは脱出エンジン回転数に着目して、一定の規定ライン以下におさまることを確認するものです。二輪車のASEPでも同じコンセプトで評価方法を規定しております。
 まず、4点を測定をしまして、測定する4点とAnchor Point、Annex3での全開加速測定点を加えて、この回帰線勾配を導出します。そして、このAnchor Pointからマージン分上にずらして、そこを起点に回帰線勾配に、上側は1,000rpm当たり1dB厳しくというか、いたしまして、下側は1,000rpm当たり1dB緩くするような補正係数を加味した規制ラインを引きます。そして、任意点を含めて測定データがこの赤い規制ライン以下であることを確認するものであります。
 回帰線勾配については、上限が規定されておりまして、回帰線勾配上限、ASEPデータベースをもとに議論されまして、1,000rpm当たり5dBと規定されております。
 この1,000rpm当たり5dBというのが、どれだけ厳しいかというと、ASEPのデータベースの中では、1,000rpm当たり5dBを超えるようなデータも多くありまして、中には、1,000rpm当たり10dBを超過するようなものもありますので、この上限というのは、かなり厳し目で規定しております。
 続いて、11ページですが、Annex3で測定したギヤ段、2段で挟み込む場合は、ローギヤ側のギヤ段から1速までのギヤ段全てを測定し評価します。マニュアル車で、例えば、そのAnnex3で3速と4速の2ギヤで算出する場合には、3、2、1と計測を行います。それぞれ測定点は、それぞれのギヤ段で4点測定することになりますが、Anchor Pointについて、はかり直しによる負担増加を避けるために、Annex3の加速時のエンジン回転数及び騒音レベルをそのまま用いることとしております。
 イメージとして、こちらの図のように、ローギヤ側にいくにつれて、Anchor Pointが評価点に対して左のほうにずれていくというイメージであります。
 続いて、12ページですが、マージンについて、こちらは実測データをもとに2dBとされまして、その後、Lurbanの規制値と実測値の差分をボーナスとして追加することが認められました。
 しかし、ギヤ固定できないAT車について、これは2dBでは非常に厳しいものとなります。これはこちらの図で示しておりますが、AT車のDレンジでの試験の場合、さまざまなギヤ位置、車速が混在することになります。
 このポイント1、2では、こちらの場合は2速で評価をして、それらより進入速度が高くなるポイントの3と4では、今後3速で評価する場合、パワーユニット系はエンジン回転数と騒音レベルに正の相関がありますので、タイヤ騒音は速度と騒音レベルに相関があると。したがって、このタイヤ騒音の影響によって、必ずしもエンジン回転数に対して、リニアに騒音レベルが増大しないということが問題となります。
 それがこちらの図で示してありますが、したがって、GRBにおいて議論した結果、タイヤ騒音補正を考慮して、ギヤ固定負荷のオートマ、CVT車については、マージンを3dBとすることで決着しました。
 続いて、Lurban法ですが、ASEP自体の目的というのは、Lurbanからの、Lurbanによる期待値からの乖離を確認すると、出力欠如や音源変化によって、騒音の変化の非線形性がないことを検証することが目的となっております。
 このSlope法は、エンジン回転数レンジをパラメーターとして見ておりますが、車速、加速度は測定点で異なると。特に内燃機関以外で評価するようになった場合には、エンジン回転数レンジをパラメーターとすることができなくなりますので、先の技術を見据えての評価手法として、主にISOにおいてLurban法が検討されました。
 このAnnex3でのLurban評価法と同じように、ASEP計測点で計測したデータについて、車速、加速度をLurban相当として算出されるレベル、それがAnnex3で算出したLurban+3dB以下であることが要件となっております。
 少し細かいですが、算定フローについて、ASEPをまず測定点で測定をします。そしてまず加速度の補正を行います。αurban相当の騒音レベルを計算しますが、これはAnnex3と同様の手法で行います。
 なお、定常走行騒音の騒音レベルは、Annex3で測定する時速50キロでの騒音レベルを用います。これらからAnnex3と同じように、騒音と加速度と騒音レベルが線形関係にあるという前提から、加速度、補正計算を計算して、市街地走行加速度での騒音レベルを計算します。なお、ASEP測定点がαurban を下回る場合には、評価しなくてよいこととなっております。
 続いて、15ページですが、実測したLurbanと先ほどの算出値との差分、Lurban normというのを算出しまして、脱出車速50キロに補正して、ASEP成績値、Lurb ASEPを算出すると、その速度補正係数は、ASEPのデータベースに基づいて、時速1キロ当たり0.15dBとしております。これが3dB以下でASEPに適合すると。これはR51-03のAnnex10にこのASEPのドラフトが示されておりますが、その数式を用いて説明しましたが、概念的には、ASEPで測定した速度、加速度、騒音レベルをAnnex3で評価する時速50キロ、市街走行加速の状態に補正した際のASEPでのLurbanがAnnex3のLurban+3dB以内であるということを求めるものであります。
 これらの判定条件について、Slope法とほぼ同等であります。Slope法で不合格となるような車両はLurban法でも不合格となるような、そういった判定条件とするように、このような車速補正等は定められております。
 そして、三つ目、R51-02適合確認、日本はこのR51-02を適用しておりませんが、欧州側の懸念として、R51-03によって旧基準のR51-02よりも騒音レベルが増大してしまうということを防ぎたいという懸念から、こういった要件を求めております。
 具体的には、あらかじめ決められたギヤ段でanchor Pointから脱出車速が61km/hの際の騒音レベルを補正計算を行いまして、こちらにありますが補正計算をしまして、それが基準値におさまるかどうかという評価手法になっております。
 これオリジナルのISO362をベースとしたR51-02に対して、日本の試験法もベースは同じなのですが、例えば、試験重量が、空車重量か車両総重量かの違い、あるいはギヤ段の違いなどがありますので、現行の国内規制と一概に評価するというのは困難ではあります。
 ただ、現行の国内規制は、全開加速で76dB、また、過去のR51に関する環境省調査で、現行のTRIASによって試験を行った際、脱出車速が61km/hを超えるような車両というのは存在しませんでしたので、この76dBというのが基準であるというのを考えると、現行規制と同等、あるいはより厳しい側での評価というふうに考えることができるかと思います。
 続いて、このASEPの適用除外条件に移りますが、ちょっと4ページに一度戻っていただいて、レビューしますと、ハイブリッド車のうち、内燃機関が直動軸に直結していないもの、シリーズハイブリッドのようなもので、内燃機関が主たる騒音源と考えられることから、EVはまず適用除外なのですが、それに加えて発電用の内燃機関を搭載したものは適用除外としています。ただ、発行後5年で見直すという条件つきであります。
 そしてCVT車で、ASEP評価領域において、エンジン回転数の変動が15%以内のもの、N1のうちエンジン排気量660cc以下、かつGVWベースのPMR35以下のもの、そしてペイロードが850キロ以上かつGVWベースのPMRが40以下のもの、以上が適用除外とされております。
 この下の三つについて、適用除外とされた理由を紹介したいと思います。
 17ページにまた戻りますが、CVT車については、二輪車でもCVT車について速度の変化によるエンジン回転数の変動が、小さいものについては、ASEPの適用除外としています。
 その背景として、こちらの図にあるように、CVT車では進入測度にかかわらずエンジン回転数領域が同じようなところで固定されている傾向にあります。こちらは脱出車速が上がってもエンジン回転数は上がらない。むしろ下がっているような事例であります。
 一方で、騒音レベルについては、ちょっとぎゅっと凝縮してしまっていますが、車速を変化させてもエンジン回転数の変化が少なくて、一方で、タイヤ騒音による影響のみが大きくなってしまいますので、ASEP評価領域においてエンジン回転数の変動が小さいものは適用除外とすることが適切だということで、適用除外としております。
 続いて、エンジン排気量が660cc以下のもの、かつGVWベースのPMR35以下のN1ですが、軽トラックですが、こちらの図にありますとおり、これはAnnex3試験での脱出時のエンジン回転数です。これが実はASEP上限脱出エンジン回転数、こちらの緑の線で引っ張っていますが、これをもう超過してしまっていると。これは二輪車でも原付一種に相当するClass1あるいは、原付二種に相当するClass2では、ASEPの適用除外としましたが、加速試験で既に高エンジン回転数域で評価しているということが理由であります。
 このASEPというのは、主にスポーツカーで、エンジンに余力のあるものが高いエンジン回転数域で不適当に騒音を増大させることへの対策が主な目的となっています。この軽トラックでは、Annex3試験でも既に高エンジン回転数域で評価していると、すなわちこの試験逃れcycle Detectionをするようなエンジン回転数領域が存在しないということから、適用除外とすることで合意されております。
 そして、ペイロードが850キロ以上かつGVWベースのPMRが40以下のN1ですが、これも軽トラックと同じような理由になります。こちらの図はASEPデータベースにある車両のデータでして、Annex3の試験ポイントがこちらのanchorと示されるところで、Annex3試験でのエンジン回転数が、この青の点線で示されるASEPの上限エンジン回転数にもうほぼ近いと、したがって、不適当に騒音を発出し得る領域が非常に狭いということから、これらの車両についても、ASEPの適用除外がふさわしいということで適用除外が認められております。
 以上、冒頭にも説明しましたが、現在、国連でR51-03採択に向けた審議を行っているところであります。
 したがって、ただいま説明した内容が最終版ではございません。国連での採決を受けて、本専門委員会でASEP導入について、改めてご審議いただきたいと思いますので、本日はご報告という形にしまして、国内導入に向けた論点を整理するために、ご意見、ご質問をいただければと思います。
 説明は以上であります。

【橋本委員長】 ただいまの事務局からの説明につきまして、ご質問等がございましたら。

【坂本委員】 詳細なご説明ありがとうございます。非常に複雑な試験法で、資料3種類あるということで、なかなか全て理解をまだできていないのですが、そもそもの目的は、試験条件のときの騒音レベルだけ小さくなるようにつくるという、オフサイクルを防止するというのが目的でつくられていると思いますので、詳細な検討は行っていると思いますので、ぜひ効果があるものに、せっかくつくっても抜け道があるということがないような試験法にしていただければなと思っております。
 欧州、EU議会の規制値、若干厳しいかなというような感じもしていまして、逆に余り厳し過ぎる規制値ですと、また、その抜け道を探そうとするところも出てくるかと思いますので、適切な規制値、さらに、そういう不当な車両を排除するようなそういう試験法を目指していただければなと思っております。

【橋本委員長】 ほかにございますか。

【金子委員】 私も坂本委員のご意見とちょっとよく似ているのですけども、この評価法というのは、かなり詳細に検討されたものだと思うのですが、全体のシナリオをもう少し明確にしていないと、どこかにすき間があるのではないかとか、二つの方法が示されているのですけども、これメーカーが最後は選ぶというようなことになっていますね。ですから、何と何がイクイバレントなのかというのが、いま一つ今の説明ではよくわからないところがありますね。
 こういう条件であれば、評価は不要というので、軽トラックの例が出ていましたけども、こんな話だけで本当に尽きているのかなという感じがしますし、また3dBというのを持ってきて、マージンを3に決めています。突然ここだけが確定的な値になっていて、唐突な印象を持ちます。
 先ほど来出ています、将来の規制の強化の議論を見ていると、日本側の提案と欧州側の提案には、幅の開きが倍ぐらいあります。方法論といろんなやり方を決めている確定的な数字と曖昧さをきちんと議論していかないと、結構わかったようでわからないのではないかと。どちらの方法がどういうときに優位で、どういうときは厳し目になるかを含めて、もう一度全体のストーリーを見直す必要があると思います。

【高井室長補佐】 ご意見ありがとうございます。12月の作業委員会でも一応ご説明したのですけど、かなり複雑で非常にわかりにくいというご意見もありまして、実際のASEPデータベースのデータとかをお見せしながら説明したほうがいいのかなというのを当初少し感じておりましたので、こういう対策をすることで、こういった車両が取り締まることができるとか、そういった事例を示しつつ、ご説明していきたいと。
 また、Slope法でのその上限のSlopeが5dBになったり、あるいはマージンが2で、オートマが3になっているとか、その辺の根拠ももう少し明確に示してご説明できるように、次回のときに準備したいと思います。また、作業委員会でもご相談したいと思いますので、よろしくお願いします。

【西本室長】 今申し上げたのと重りますが、ご指摘をいただいた部分は非常に複雑で、ここで全て説明し切れていないのは承知をしております。
 二つ方法があって非常に複雑で、かつ選ぶという手段になっているというのは、これまで見たことない手段です。基本的には、このSlope法があって、それがとれない場合には、もう一つという考え方と思うのですが、選ぶという形で表現されているのは違和感がありますので、そこはどうしてそうであるのか、あるいはその差というのがどうなっているのか。その差も単純にこの数字であらわせるものではなくて、車ごとに違ってくる部分がございますので、今申し上げたように、全体の実際のデータを用いてこういう車だとこちらではこう、こちらはこうであるということも示しながら、この差がはっきりとご理解いただけるように、今後も工夫してご説明したいと思います。

【橋本委員長】 そのほかにございますか。

(なし)

【橋本委員長】 よろしいでしょうか。

(はい)

【橋本委員長】 それでは、これで本日の議題は全て終了いたしましたので、司会を事務局のほうに戻します。

【髙井室長補佐】 橋本委員長、ありがとうございました。
 それでは、最後に、水・大気環境局長、小林局長よりご挨拶いたします。

【小林局長】 水・大気環境局長の小林でございます。
 本日は、非常に重要な審議のところ遅れてまいりました。ご承知のように、政権交代もありましたものですから、今予算編成が年度にやや食い込んでおりまして、参議院でようやく大詰めの段階に来ておりまして、そんなことで、今日は環境委員会もございましたものですから、失礼をいたしました。
 ただいま拝聴しておりまして、大変専門的な見地からご審議を賜っております。また、ご承知のように、中央環境審議会もいろんな再編もございまして、部会自体は大気、騒音が統合されるような形で進めていくということで、いろんな分野を見渡していくというような大きな体制の中で、この専門委員会は、また、引き続きお世話になっていくということでございまして、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 今日もいろんなご報告をして、専門的見地からいろんなご指摘を賜りました。もともとこの分野はいろんなメーカー側の技術開発と環境の問題と、これずっとやらせていくということで、環境と経済がうまく本当に両輪になってきている分野であり、また、これからもそういうことが期待される分野なのかなと思っておりますが、今日もいろいろ議論が出ておりましたが、国際的にもだんだん協調していくという、また、従来からもちろん視野に入れてやっていただいていたのだろうとは思っておりますが、本格的に調和を図っていくという新しい段階に来ておりまして、そういう中で、ぜひ日本がいろんな意味でリーダーシップをとってやっていければということでございます。
 ここはもう本当に専門家の先生方のご指導をいただいて、我々も頑張っていく、こういう分野だと思っております。
 そういう意味で、今日のご審議しっかり受け止めて、また次の段階にしっかりしたご報告できるようにと思っておりますので、引き続き、よろしくお願いを申し上げます。

【高井室長補佐】 それでは、本日はこれで終了します。
 長時間にわたり、どうもありがとうございました。