中央環境審議会 大気・騒音振動部会(第13回)議事録

1.日時

平成30年9月7日(金)15:01~17:07

2.場所

環境省 第1会議室

3.出席者

(部会長)

畠山 史郎

(委員) 

大久保 規子

大塚  直

酒井 伸一

崎田 裕子

町田 信夫

(臨時委員)

石田 東生

石濱 正男

遠藤  真

片谷 教孝

金子 成彦

河上  豊

清谷 伸吾

坂本 慎一

塩路 昌宏

島  正之

鈴木 規之

勢一 智子

高岡 昌輝

谷口 博昭

谷口 靖彦

田村 洋子

成田 睦夫

新田 裕史

福島 裕法

矢野  隆

山神 真紀子

山本 貢平

(環境省)    田中水・大気環境局長

         高澤大気環境課長

         青竹大気環境課課長補佐

         吉川大気生活環境室長

         酒井環境管理技術室長

                   他

4.議題

(1)今後の有害大気汚染物質対策のあり方について

(2)中央環境審議会大気・騒音振動部会の石綿飛散防止小委員会の設置について

(3)報告事項

   ・第五次環境基本計画について

   ・平成28年度の大気汚染状況について

   ・平成28年度大気汚染防止法施行状況調査結果について

   ・PM2.5対策に関する取組状況について

   ・平成28年度騒音規制法、振動規制法、悪臭防止法の施行状況調査結果について

   ・「特定悪臭物質の測定の方法」の一部改正について

(4)その他

5.配付資料

資料1-1 
今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第十一次報告)
資料1-2 
今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第十一次報告)の概要
資料1-3 
今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第十一次答申)(案)
資料2-1 
大気汚染防止法における石綿飛散防止対策の現状
資料2-2 
石綿飛散防止小委員会の設置について
資料2-3 
中央環境審議会大気・騒音振動部会の小委員会の設置及び運営方針について(案)
資料2-4 
中央環境審議会大気・騒音振動部会の専門委員会の設置について(案)
資料3-1 
第五次環境基本計画の概要
資料3-2 
中央環境審議会による第五次環境基本計画の点検の進め方について(案)
資料3-3 
第五次環境基本計画の点検における各主体からのヒアリングについて(案)
資料3-4 
第五次環境基本計画の進捗状況等を評価するための指標(案)
資料4-1 
平成28年度 大気汚染状況について(一般環境大気測定局、自動車排出ガス測定局の測定結果報告)
資料4-2 
平成28年度 大気汚染状況について(有害大気汚染物質モニタリング調査結果報告)
資料5   
平成28年度の大気汚染防止法の施行状況について
資料6   
PM2.5対策に関する取組状況について
資料7-1 
平成28年度騒音規制法等施行状況調査の結果について
資料7-2 
平成28年度振動規制法施行状況調査の結果について
資料7-3 
平成28年度悪臭防止法施行状況調査の結果について
資料8-1 
「特定悪臭物質の測定の方法」の一部を改正する案
資料8-2 
「特定悪臭物質の測定の方法」の一部を改正する告示の公布について
参考資料1 
中央環境審議会大気・騒音振動部会委員名簿
参考資料2 
中央環境審議会関係法令等
参考資料3 
今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(諮問)
参考資料4 
今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第三次答申)
参考資料5 
「今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第十一次報告案)」に対する意見募集(パブリックコメント)の結果について

6.議事

【萩原総務課課長補佐】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会第13回大気・騒音振動部会を開催させていただきます。

 委員の皆様方におかれましては、ご多忙中にもかかわらず、ご出席をいただきまして誠にありがとうございます。

 まず、本日の出席状況につきましては、委員総数36名のうち、現時点におきまして27名の委員の出席をいただいております。定足数の過半数に達しているということでございますので、ご報告をさせていただきます。

 また、本日の会議は、中央環境審議会の運営方針に基づきまして公開とさせていただいております。

 次に、今回から新たに大気・騒音振動部会にご所属いただいております委員の方々をご紹介させていただきます。

 一般社団法人日本化学工業協会、環境安全委員会委員長の成田睦夫委員でございます。

【成田委員】 どうぞよろしくお願いします。

【萩原総務課課長補佐】 一般社団法人日本鉄鋼連盟、環境・エネルギー政策委員会副委員長の福島裕法委員でございます。

【福島委員】 福島です。よろしくお願いいたします。

【萩原総務課課長補佐】 どうぞよろしくお願いいたします。

 続きまして、事務局でございますが、前回から人事異動がございましたのでご紹介をさせていただきます。

 水・大気環境局長の田中でございます。

【田中水・大気環境局長】 田中です。よろしくお願いいたします。

【萩原総務課課長補佐】 水・大気環境局大気環境課大気生活環境室長、吉川でございます。

【吉川大気生活環境室長】 吉川です。よろしくお願いいたします。

【萩原総務課課長補佐】 水・大気環境局総務課環境管理技術室長の酒井でございます。

【酒井環境管理技術室長】 酒井です。よろしくお願いいたします。

【萩原総務課課長補佐】 また、本日は欠席しておりますが、大臣官房審議官に上田が着任しております。

 それでは、ここで会議の開催に当たりまして、水・大気環境局長の田中よりご挨拶させていただきます。

【田中水・大気環境局長】 皆さん、こんにちは。

 今、ご紹介いただきました環境省水・大気環境局長の田中でございます。よろしくお願いいたします。

 ご承知のとおり、今年は非常に暑い夏ですが、それだけではなくて、さまざまな災害も多発をしているわけであります。7月にも西日本で豪雨がありました。それから台風21号もありましたし、昨日も、これは地震ですけれども、北海道胆振東部地震ということで、多数の亡くなられた方もいらっしゃいます。被害の全容は、まだ明らかではないと思いますが、被害が生じております。まず、亡くなられた方にお悔やみ申し上げるとともに、被災された方々に心よりお見舞いを申し上げたいと思います。今、政府を挙げて対策をとっているところでございますが、環境省においても、本日ご審議いただくアスベストや海洋汚染など、さまざまな問題がありますので、万全を期していきたいと思っております。

 改めまして、本日、皆様、大変ご多忙の中、ご出席を賜りまして厚く御礼を申し上げます。委員の皆様におかれましては、平素より大気環境行政にご指導・ご鞭撻を賜っております。厚く御礼を申し上げます。引き続きご指導いただきますよう、お願いを申し上げます。

 本日の委員会では、大きく審議事項が二つございます。一つ目ですけれども、今後の有害大気汚染物質対策のあり方についてでございます。有害大気汚染物質健康リスク評価等専門委員会におきまして、トリクロロエチレンの大気環境基準の再評価について、昨年12月から本年6月まで5回にわたるご審議をいただき、取りまとめていただきました。新田委員長をはじめ専門委員会委員の皆様におかれましては、報告を取りまとめていただいたことについて厚く御礼を申し上げたいと思います。本日は、その専門委員会の報告と、その内容を踏まえた答申案について、部会のご審議を賜りたいと思っております。

 もう一点でございますけれども、石綿飛散防止小委員会の設置についてでございます。アスベストの飛散防止に関しては、前回の大気汚染防止法改正の施行から来年6月には5年目を迎えるということでございます。今後の石綿飛散防止のあり方について、環境大臣から中央環境審議会に諮問をいたしました。これが大気・騒音振動部会に付議をされておりまして、今回、この検討を進めていくための小委員会の設置について、ご審議をいただきたいと思っております。

 それでは、限られた時間ではございますけれども、先生方から率直で忌憚のない意見を頂戴して議論をしていただきますようお願いをいたしまして、簡単ではございますけれども私のご挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。

【萩原総務課課長補佐】 それでは、次に、お手元の配付資料の確認をさせていただきます。

 議事次第の裏面に配付資料一覧を記載してございます。ご覧いただければと思います。

 環境省では、環境負荷削減の観点から、審議会の資料のペーパーレス化に取り組んでおります。委員の皆様におかれましては、本日は資料の1-2、1-3及び資料2-1、2-2、2-3、2-4は紙で配付をさせていただいておりますが、その他の資料につきましてはタブレットを使用して閲覧をお願いしたいと思います。タブレット上の資料をご覧になるには、デスクトップに中央環境審議会大気・騒音振動部会、第13回資料という名前のフォルダがございますので、ダブルクリックしてデータをお開きください。なお、タブレットの不調や資料のデータ不足、操作上の不都合等がございましたら、お近くの事務局の者にお申しつけください。

 傍聴の皆様には、前日までに環境省ホームページに掲載しました資料をお持ちのノートパソコンやタブレット等の端末に保存しご覧いただく等して、ペーパーレス化へのご協力をお願いしているところでございます。そのため、既にホームページに掲載済みの資料については紙では配付せず、資料2-1、2-2、2-3、2-4のみを配付してございます。ご理解のほど、よろしくお願いをいたします。

 それでは、報道関係の方は、恐縮ですがカメラ撮りは会議の冒頭のみとさせていただいておりますので、これ以降はカメラ撮りのご遠慮をいただきたいというふうに思います。ご協力のほど、よろしくお願いをいたします

 それでは、これ以降、会議の進行につきましては畠山部会長にお願いいたします。よろしくお願いいたします

【畠山部会長】 それでは、早速、ご指名にあずかりました畠山が議長として、座長として部会を開催したいと思います。

 本日は、お暑い中、皆様、お集まりいただきましてありがとうございます。

 先ほどの局長のご挨拶にもありましたように、7月からこの方、豪雨、猛暑、台風、地震といったように、非常に、まさしく日本は災害列島だなという感じがいたしますが、特に、前の三つは、いよいよ地球温暖化、気候変動に大きく絡んで影響が出てきているんじゃないかということで、従来、温暖化懐疑説が随分取り沙汰されてきましたけど、そろそろ、もう否定できなくなってきているのではないかと思います。

 このような災害は日本だけではなくて、今年になってから世界中で起こっていまして、アメリカやアフリカで50℃を超えるような高温が発生したり、スウェーデンで大きな山火事があって、カリフォルニアでも大きな山火事がありました。そのような気象、気候に関連する災害がそこらじゅうで発生しており、そういう意味では環境問題はますます大きくクローズアップされるところになっておりますね。

 我々、大気部会におきましても、このような問題、非常に世界的な大きな問題というわけじゃありませんけれども、身近ないろいろな環境問題はまだまだ残っておりますので、これらを順々にクリアしていかなければならないということで、今日は、大きな議題といたしましては、有害大気汚染物質の問題と、それから石綿の問題ということで、皆さんにご議論いただくことになります。よろしくお願いいたします。

 それでは、本日の議題でございますが、まず議題(1)の今後の有害大気汚染物質対策のあり方についてでございます。これは、平成7年9月の諮問に対しまして、これまで第十次答申までなされてきております。今回、トリクロロエチレンの大気環境基準の再評価について専門委員会において審議がなされ、第十一次報告として取りまとめられておりますので、ご報告いただきます。また、この報告を踏まえた第十一次答申(案)も事務局案として準備されておりますので、後ほど事務局から説明をいただければと思います。

 それでは、まず有害大気汚染物質健康リスク評価等専門委員会の第十一次報告について、同専門委員会の新田委員長からご報告をいただきます。新田委員長、よろしくお願いいたします。

【新田委員】 ご指名をいただきました、有害大気汚染物質健康リスク評価等専門委員会委員長の新田でございます。

 今後の有害大気汚染物質対策のあり方について、第十一次報告の概要につきましてご説明いたします。

 有害大気汚染物質のうち優先取組物質の23物質については、これまでベンゼンを初め4物質について環境基準が、アクリロニトリルを初め9物質について指針値が設定されております。既に環境基準が設定されておりますトリクロロエチレンについて、平成26年にWHO、世界保健機関の1機関であるIARC、国際がん研究機関がトリクロロエチレンの発がん性のグループを2Aから1、すなわち人に対する発がん性があると見直しをいたしました。これを受け、トリクロロエチレンの環境基準の見直しの必要があるか再評価を行うこととし、昨年12月から計5回にわたり専門委員会において議論を進めてまいりました。この結果について、資料1-1の第十一次報告として取りまとめたところでございます。

 本報告については、最新の科学的知見に基づき、トリクロロエチレンの発がん性及び発がん性以外の有害性の評価、各知見における定量評価、曝露評価等を行い、これらの評価結果をもとに有害性に関わる評価値を算出し、環境基準の設定の際の指針となる濃度を提案しております。具体的には、現行の環境基準値、年平均値0.2mg/m3を0.13mg/m3に変更することを提案しております。

 以上が専門委員会報告の主な内容でございますが、今回の専門委員会での審議の中で現れてきた幾つかの課題については、あわせてご報告いたします。

 まず、免疫系への影響に関することですが、免疫影響の評価においては、感受性の問題が他の影響よりも重要となります。個人の持つ感受性の違いによってアレルギー等の発症の形態が大きく異なり、従来の量-反応関係に基づくリスク評価の枠組みにおさまらない難しさがあり、これはトリクロロエチレンに限らない問題であると思っており、免疫影響に関するリスク評価は、これからの大きな課題であると感じております。

 次に、リスク評価方法に関してですが、動物実験におけるリスク評価については、平成26年4月に今後の有害大気汚染物質対策のあり方(第十次答申)において、今後の有害大気汚染物質の健康リスク評価のあり方について及びその別紙である指針値算出の具体的手順が定められており、これが大変参考になる一方で、今回のように基本的に観察研究であるヒトのデータを用いた疫学研究によるリスク評価では、動物実験と比べ曝露状況に不確実性があることなどから動物実験の評価の考え方に当てはまらないものもあり、今後のリスク評価において疫学試験と動物実験との違いに留意する必要があると考えております。

 最後に、ヒトへの曝露に関して、一般環境全般では低い濃度レベルであっても、非常に局所でありますが高濃度に曝露されるという事象がある場合に、環境基準を検討する上でどこまで考慮するのかという課題も出てきております。

 以上、申し上げました課題について、今後のリスク評価において検討すべき重要な課題と捉えておりますので、この場をかりてご報告させていただきました。

 この後は、事務局より専門委員会報告の詳細について説明をお願いいたします。委員の皆様は、ご審議のほど、よろしくお願いいたします。

 以上です。

【畠山部会長】 ありがとうございました。

 それでは、事務局から説明をお願いいたします。

【前田(み)総務課課長補佐】 それでは、今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第十一次報告)、有害大気汚染物質健康リスク評価等専門委員会報告についてご説明をいたします。

 第十一次報告に関しましては、資料自体が資料1-1でございますけれども、非常に膨大なところもございますので、ここでは、これまでの有害大気汚染物質対策の経緯とともに第十一次報告の概要として取りまとめております資料1-2に基づき説明をいたします。

 それでは、資料1-2をご覧ください。1、有害大気汚染物質対策の経緯でございます。大気中から低濃度ではあるが有害な物質が検出され、長期間の曝露による健康影響が懸念されるに至り対策を講じる必要性から、平成7年9月に今後の有害大気汚染物質対策のあり方について諮問がなされました。平成8年1月の中間答申を受け、平成8年5月、有害大気汚染物質対策の推進に関する規定を盛り込んだ改正大気汚染防止法が公布されました。平成8年10月の第二次答申を踏まえ、有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質と、その中でも事業者の自主的な排出等の努力を促進すべき優先取組物質が掲げられました。

 施策の具体内容については、これまでの第二次から第十次答申までを受け対策を推進してきているところであり、このうち環境基準につきましては、平成9年にベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、平成12年にジクロロメタンを設定してきております。

 2、トリクロロエチレンの大気環境基準の再評価についてでございます。トリクロロエチレンの環境基準は、3行目でございますけれども、平成9年に年平均値0.2mg/m3以下であることが設定されております。ヒトの神経機能に対する慢性影響を用いて量-反応アセスメント、定量評価を行い、LOAEL、最小毒性量に相当する濃度を200mg/m3前後とし、不確実係数、これは安全係数とも呼ばれますけれども、リスクが小さく見積もられることがないように設定される係数でございます。その係数を1,000として、0.2mg/m3としたものでございます。

 その後、新たな研究が蓄積され、平成26年にWHOの1機関である国際がん研究機関、IARCにおいて、トリクロロエチレンの発がん分類がグループ2Aから1、「ヒトに対して発がん性がある」に見直しされました。主に、この動向を受けまして、環境省では作業部会を立ち上げ、環境基準の見直しの必要性を検討するために約3年間、知見の収集・整理、文献レビューの実施、定量評価の検討、曝露評価等を行ってまいりました。

 2ページ目の1行目でございます。その後、作業部会による結果に基づき、中環審の有害大気汚染物質健康リスク評価等専門委員会において、トリクロロエチレンの大気環境基準の再評価を行ってまいりました。

 3、有害大気汚染物質の環境基準の再評価に当たっての基本的な考え方でございます。ここでは、環境基準の設定において検討する際の基本的な考え方を示しております。今回の再評価においても、これを踏襲しております。

 1行目でございます。有害大気汚染物質に係る環境目標値については、環境基準と指針値というものがございます。環境基準の検討における基本的な考え方を整理しますと下記のとおりで、この根拠となる答申につきましては、本資料の4ページ、5ページ目に参考として掲載をしております。

 一つ目の○でございます。有害性に係る評価値の算出に必要となるデータは、動物実験よりヒトから直接得られる疫学研究からのデータの優先性が高いというものでございます。二つ目の○でございます。動物実験におけるデータの取り扱いでございますが、物質の体内動態や有害影響の作用について、ヒトとの共通性、実験結果をヒトに外挿することの適否を慎重に検討することが求められております。三つ目の○でございます。環境基準の設定では、確実性の高い知見をもとに検討をいたします。疫学研究と動物実験の知見が両方とも確実性が高い場合には、疫学を優先いたします。

 四つ目の○でございます。物質によって閾値のあるものとないものがございますけれども、閾値のある場合については、最大無毒性量(NOAEL)を求めまして、そこから不確実係数を考慮して環境目標値を求めます。具体的には、NOAELを不確実係数で割って値を求めます。閾値のない場合には、ユニットリスク、これは当該化学物質を濃度1μ/m3で、生涯70年曝露したときに予測される発がんのリスクのことでございますけれども、このユニットリスクを算出しまして、生涯過剰発がんリスクレベルの当面の目標である10-5、10万人に1人の過剰リスクに相当する濃度を求めるということになります。

 では、4、トリクロロエチレンの有害性に係る評価値の算出でございます。最新の科学的知見をもとに、トリクロロエチレンの有害性について再評価を行いました。

 まず、発がん性についてでございます。現行基準の設定当時は、ヒトに対する発がん性の証拠が必ずしも十分とは言えなかったものが、今回、腎臓がんについてリスクの増加が認められました。なお、定量評価が可能な知見は得られず、発がん性に関して量-反応関係の推定には至りませんでした。

 そのほか、トリクロロエチレンに曝露した後、腎臓を標的とする代謝物の生成がございますけれども、当時は実際の環境中の濃度に比べ、かなり高濃度の曝露で起こり得ると考えられていたものが、高濃度曝露のみで起こり得るものではないことなど代謝メカニズムが明らかになってきました。さらに、遺伝子障害性の検討の中で、当時は閾値があると考えられていたものが、閾値の有無、あるかないかが判断できないというふうに考え方が変化してきており、これによりヒトの腎臓がんのリスクは、より明確になったと考えました。

 発がん性以外の有害性についてでございます。現行基準を設定する際の根拠となった神経系の影響である自覚的神経症状について、トリクロロエチレンの曝露と関連性があることを改めて確認をいたしました。また、複数の疫学研究において量-反応関係の推定が可能、定量評価が可能であることも、改めて確認をいたしました。そのほか、今回、新たに免疫系への影響、過敏症症候群がトリクロロエチレンの曝露により引き起こされると判断いたしました。なお、過敏症症候群に関して、現時点では量-反応関係の評価において考慮することは適切でないという判断に至りました。そのほか、腎臓への影響、生殖器系への影響、発生影響についても知見は得られましたが、3ページ目でございます、いずれも現状では関連性が明らかではないというふうに判断いたしました。

 以上の評価を踏まえまして、唯一、定量評価が可能である自覚的神経症状を用いて量-反応関係の推定を行い、有害性に係る評価値を算出することにいたしました。自覚的神経症状については、閾値のある場合の算出をいたします。

 まず、評価値算出のもとになる影響が見られると考えられる最小の濃度レベルは200mg/m3前後に存在すると考えました。これは、現行基準のときに用いた濃度レベルと同じになります。現行基準の設定以降に新たに自覚的神経症状に関して曝露濃度等の情報が報告されている知見がなかったということで、現行基準と同じ考え方により求めた数値でございます。これを不確実係数等で除する、割るということになりますけれども、この不確実係数等には、一般的に用いられます個人の感受性の違いによる係数などのほかに、括弧内に書いておりますけれども、労働環境から一般環境における連続曝露への換算、影響の重大性を考慮するための係数というものが含まれております。今回の評価値算出のもとになっている疫学データが労働環境からのものを用いているために、これを一般環境に置きかえるための換算が必要で、また、影響の重大性でございますけれども、評価値算出のもとになる影響、ここでは神経系の影響をもとにしておりますけれども、それ以外に、例えば発がん性や発生影響など、不可逆で、かつ重大な影響があるというものについては、これが定性的に観察されている場合には係数として考慮するということにしております。

 これを踏まえまして、今回の再評価における不確実係数等について、現行基準のときの不確実係数等の考え方と比較検討いたしました。その結果、今回、発がん性に関して、より多くの証拠が蓄積されたこと、さらに新たに免疫系への影響が認められ、過敏症症候群に関しましては死亡例があるなどヒトへの重篤な影響も見られるということから、影響の重大性に関して、現行基準のときより係数を大きくすることが適切であるというふうに判断をいたしました。

 不確実係数等については、総合的な係数として現行の1,000より大きい1,500とすることが適当とし、評価値は200mg/m3を1,500で除して0.13mg/m3とし、本委員会はトリクロロエチレンの環境基準の設定に当たっての指針として年平均値0.13mg/m3以下を提案することといたしました。

 最後に、5、トリクロロエチレンの物性・用途・排出等についてでございます。トリクロロエチレンは無色透明な液体で、有機溶剤と混和します。主に工業用の洗浄剤として利用されております。現状のトリクロロエチレンの環境中への排出は、PRTRによりますと、ほとんどが大気中に排出されているというものでございます。2016年、平成28年度の大気モニタリング状況については、下の表に示しているとおりでございます。全体の平均で0.00040mg/m3、最大値は固定発生源周辺で0.011 mg/m3でございます。新しい環境基準の0.13 mg/m3と比較しましても、かなり低濃度のところで推移しているということがわかります。

 3ページ目の最後の4行でございますけれども、上記の有害大気モニタリング調査とは別に、トリクロロエチレンを扱う事業者の周辺において、より詳細な実態調査を行うために、全国6地域を選定して調査を行っております。その結果、一部の地域において、常時監視の地点の濃度に比べると高濃度となる地点が確認されております。以上が専門委員会の報告でございますけれども、本報告については7月6日から8月5日にかけましてパブリックコメントを実施しております。その内容につきましては、今回の参考資料5に示しております。少し時間がございませんので詳細は割愛いたしますけれども、全部で3通のコメントをいただきました。そのうち、本報告に関係のある2通については資料のほうに明記をしております。それに対する専門委員会としての回答を、その右の列に書いてございます。2通とも専門委員会の報告の内容を変更するようなものではなかったということを、ここにご報告をさせていただきます。

 では、最後になりますけれども、資料の1-3をご覧ください。今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第十一次答申)(案)でございます。平成7年9月20日付諮問第24号により中央環境審議会に対してなされた諮問のうち、トリクロロエチレンに係る環境基準の再評価について、大気・騒音振動部会で検討を行った結果、下記のとおり結論を得たので答申する。

 「記」のところでございます。トリクロロエチレンに係る健康リスク評価及び環境基準設定に当たっての指針の提案について、別添の専門委員会報告(第十一次報告)を了承する。これに基づき、トリクロロエチレンの環境基準設定に当たっての指針となる環境濃度は年平均値0.13mg/m3以下とすることとし、これを目標に引き続きトリクロロエチレンの大気中への排出抑制対策を講じていくことが適当であるという案文でございます。

 専門委員会報告及び第十一次答申(案)についての説明は以上でございます。ご審議のほど、よろしくお願いいたします。

【畠山部会長】 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの報告及び答申案に関しまして、ご意見、ご質問がある方は名札を立ててください。よろしくお願いいたします。

【畠山部会長】

 特に、ご質問、ご意見はございませんでしょうか。よろしいですか。

                   (なし)

【畠山部会長】 では、ご質問、ご意見等ございませんようですので、今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第十一次答申)(案)につきまして、本案のとおり大気・騒音振動部会として了承いたしまして、この内容で会長に報告したいと思いますが、いかがでしょうか。

                  (異議なし)

【畠山部会長】 ありがとうございます。それでは、ご審議いただいた本第十一次答申(案)については、ご了承いただきましたとおり、本部会の決議として中央環境審議会の武内会長に報告させていただきます。その上で、会長の同意が得られましたら、中央環境審議会議事運営規則第6条第1項の規定に基づきまして審議会の決議としていただき、環境大臣への答申の手続をとらせていただきます。

 事務局より、今後のスケジュールについて説明をお願いいたします。

【前田(み)総務課課長補佐】 この後、中央環境審議会より答申をいただきましたら、これを受けまして、環境省として告示改正を行ってまいります。

 以上でございます。

【畠山部会長】 告示改正後は、答申案にもありますように、今後は新環境基準値の案を目標として、引き続きトリクロロエチレンの排出抑制対策を講じていく必要があります。国として排出抑制対策の進め方についてお考えがあれば、お願いいたします。

【髙澤大気環境課長】 大気環境課でございます。

 部会長のほうから、今、今後の排出抑制対策の進め方についてということでございましたが、トリクロロエチレンの排出抑制につきましては、新環境基準値(案)を目標といたしまして、引き続き排出抑制対策を進めてまいりたいと考えております。

 先ほどの資料1-2の説明にもありましたけれども、全国の有害大気汚染物質のモニタリングの調査結果によりますと、新環境基準値(案)の0.13mg/m3を全国の平均値で見ますと大きく下回っているところでございますので、大気汚染防止法の附則には排出口における許容限度値でございます指定物質抑制基準が定められているところでございますが、これを改正などする全国一律の追加的措置については、特段必要はないものと考えているところでございます。

 一方で、トリクロロエチレンを扱う事業場周辺の詳細な実態把握を行うために、環境省におきまして全国の6地域を選定して調査を行いましたところ、測定のやり方が若干異なりますために環境基準とは単純に比較評価できるものではないんですけれども、新潟県の燕市の一部の地点におきまして、この0.13mg/m3を上回る測定結果が得られているというところでございます。これにつきましては、新潟県におきまして、既に本年7月に検討会を立ち上げまして排出抑制策の検討を開始しているところでございますので、環境省といたしましても、事業場周辺の詳細な濃度調査を実施することなどによりまして、新潟県の取組を引き続き支援してまいりたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

【畠山部会長】 ありがとうございます。新環境基準値(案)を目標といたしまして、引き続きトリクロロエチレンの排出抑制対策を推進していただければと思います。

 それでは、議題(1)の検討を終了いたしまして議題(2)に移りたいと思います。議題(2)は、中央環境審議会大気・騒音振動部会の石綿飛散防止小委員会の設置についてでございます。

 事務局から説明をお願いいたします。

【青竹大気環境課課長補佐】 資料2-1を用いまして、私、大気環境課の青竹のほうから、大気汚染防止法における石綿飛散防止対策の現状についてご説明を申し上げます。

 そうしましたら、お手元の資料をめくっていただきまして、まず2ページ目でございますけれども、1としまして、まず石綿に係る基礎情報のほうを書かせていただいてございます。石綿につきましては、天然に生成した極めて細い鉱物繊維であり、約8割は建材として利用されてきております。平成18年9月以降、原則として新たな使用が禁止されているものでございます。

 めくっていただきまして、3ページでございますけれども、石綿の人体への影響でございますけれども、石綿を吸入することによって生じる疾患としましては、中皮腫、肺がん等が知られてございます。発症した場合には、多くの方が1、2年程度で亡くなられるような重篤な疾患でございまして、中皮腫による志望者は平成7年の500人から平成28年には1,500人となっておりまして、20年間で約3倍に増加してございます。石綿による健康被害は、石綿のばく露から発症までの潜伏期間が40年程度と非常に長期にわたること、そして石綿は建築物のほか極めて広範な分野で利用されていたことから、どこでばく露した石綿が原因かを特定することが極めて困難であるという特徴を有しております。

 続きまして、4ページ目に2番としまして、大気汚染防止法による対策の概要について記載をしてございます。大気汚染防止法では、石綿含有建材のうち、石綿含有吹きつけ材、断熱材、保温材及び耐火被覆材が使用されている建築物の解体等を行う場合の届け出、作業基準遵守等を義務づけているところでございます。一方で、その他の石綿含有建材、いわゆるレベル3建材でございますけれども、こちらについては、マニュアルで作業方法を明確化して対応してきているところでございます。

 5ページ、6ページ、7ページにつきましては、それぞれレベル1、レベル2、レベル3の石綿含有建材の使用例について示しているものでございますので、この写真等をご覧いただきまして、ご確認をお願いできればと思います。

 続きまして、8ページ目でございまして、これまでの大気汚染防止法に基づく建築物等の解体等における石綿飛散防止の経緯でございます。阪神淡路大震災を景気に大気汚染防止法に建築物の解体等における石綿飛散防止の規制を導入いたしまして、その後、順次、規制を拡大、強化してきたというところでございます。

 最も最近の改正でございますけれども、建築物の解体現場周辺等におけるモニタリング調査において、不適正な取り扱い等に伴う石綿の飛散防止が散見されたことから行ったものでございまして、平成25年の改正でございます。特定粉じん排出等作業を伴う建設工事の実施の届け出義務者を発注者に変更する、それから解体等工事の事前調査結果の説明を行う、または報告及び検査の対象拡大等の規制の強化をしたところでございます。

 9ページ目に参りまして、現行の大気汚染防止法の規制の概要をご説明いたします。現行の大気汚染防止法では、建築物、工作物の解体、改造、補修工事の前に、受注者は特定建築材料、こちらについてはレベル1とレベル2の石綿含有建材でございますけれども、この有無の調査、事前調査を行いまして、特定建築材料が使用されている場合は発注者が地方自治体に対して届け出るとともに、施工者は作業基準を遵守して除去等を実施すると、このような仕組みになっているところでございます。

 10ページ目でございますけれども、改正後の取組の状況でございます。石綿飛散防止の実施を支援していくために、環境省では建築物の解体等に係る石綿飛散防止対策マニュアルや、災害時における石綿飛散防止に係る取扱いマニュアルなどのマニュアル等を作成してきておりまして、これらのマニュアルにつきましては、地方自治体などの行政機関、建築物等の所有者、アスベスト除去業者などの関係者に活用され、適切な石綿飛散防止が実施されるよう地方自治体に通知するとともに、周知をしてきているところでございます。

詳細なマニュアルの内容につきましては、11ページのほうに記載しておりますので、あわせてご参照いただければと思います。

 12ページでございますけれども、都道府県等による解体現場への効果的・効率的な立入検査に資するために、事前調査や石綿漏えい監視等に関する技術講習会を開催しているところでございまして、平成26年から延べで23回開催、自治体担当者としてご参加いただいた方は1,000人を超えるというような状況になっております。

 次に13ページでございますけれども、実際の自治体による立入検査の状況でございます。平成26年6月の改正法施行までは、立入検査の対象は特定粉じん排出等作業を伴う建築工事を行う場所に限定されておりましたが、それ以外の解体等工事の現場にも立入検査ができるように改正が行われましたため、立入検査の実施数、行政指導件数が大幅に増加しているというようなところでございます。主な指導内容としましては、事前調査結果の掲示に関する指導であったり、作業場の隔離養生、前室の設置に関する指導などが行われているところでございます。

 14ページ目でございますけれども、石綿飛散・ばく露防止対策の充実ということで、労働安全衛生法もしくは建設リサイクル法に基づき、それぞれ労働基準監督署または都道府県等の担当部局が把握している届け出情報というものがございますが、こちらについては、都道府県等の大気汚染防止法担当部局に共有されれば、大気汚染防止法に基づく届け出の対象になり得る解体等工事を把握することができるということで、関係機関との情報共有を促進しているところでございます。

 15ページ目でございますけれども、石綿飛散事例や新たな知見へ対応していくということから、レベル3建材を除去する場合の石綿飛散防止の徹底を図るということ、それから吹きつけられました石綿含有仕上げ塗材につきましては、大気汚染防止法の対象となる旨を地方自治体へ通知等を行っておりまして、こういったことからも新たな知見が得られたものについての対応を図ってきているというところでございます。

 16ページ目につきましては、アスベストの大気濃度調査の結果というようなことでございますけれども、環境省では平成17年度からアスベスト大気濃度調査を全国で実施してきておりまして、平成17年度から継続して調査を実施している地点における総繊維数の濃度につきましては、近年は全ての地点で総繊維数濃度が1L当たり1本を下回るという状況で、低い濃度で推移をしているというところでございます。

 次に、17ページ目に平成29年度のアスベスト大気濃度調査の結果を示してございまして、全国41地点で実施し、その結果についてはこちらのとおりでございますけれども、ホームページに掲載するなどしまして国民に対して情報提供を行っているというところでございます。

 18ページ目にございますのは、災害時におけるアスベストの大気濃度の調査ということでございまして、災害時には自治体への支援といたしまして、被災地におけるアスベスト大気濃度調査を実施しているというところでございます。東日本大震災の被災地ですとか熊本地震の被災地、そして平成30年7月豪雨の被災地においても調査を実施しているというところでございます。

 次に、19ページ目からは今後の課題を示してございます。まず、国土交通省の推計によりますと、解体工事の件数が今後、増加するというところが示されております。左側の解体工事件数の図のほうをご覧いただければと思いますけれども、平成30年ごろには解体工事の件数は概ね6万棟程度と推計されておりますが、これが約10年後の2028年ごろにピークを迎え、10万棟になるというふうに推計されているというところでございます。こちらは解体の場合の工事件数でございまして、これに加えて大気汚染防止法では改造ですとか補修の場合についても捉えているというようなところでございます。こちらについては、平成27年度は年間で約73万から188万件程度というふうに推定しているというところでございます。これに対しまして、現在の大気汚染防止法の届け出対象としている特定建築材料の除去に係る作業の実施件数は1万2,000件程度というところでございますけれども、先ほど述べましたとおり、今後、解体等工事が増加することを考えますと、これに伴いまして大気汚染防止法の特定粉じん排出等作業の届出についても増加することが予想されます。

 次に、20ページでございまして、こちらは、これまでの指摘事項の中で掲げられている課題になりますけれども、中央環境審議会の中間答申、石綿の飛散防止対策の更なる強化についてという中間答申を平成25年2月にいただいておりますけれども、こちらで、まだ一部の課題については、今後の検討が必要とされたというようなことがございました。

 また、総務省による行政評価・監視においても指摘がございました。具体的には、事前調査における信頼性の確保でしたり特定粉じん排出等作業中の大気濃度の測定、また特定建築材料の除去作業が適切に完了したことの確認、それから、いわゆるレベル3建材除去時の石綿飛散防止等について、課題として示されているというところでございます。

 次ページについては、総務省の行政評価・監視で示されました主な課題を記載させていただいてございます。事前調査については、石綿含有建材を見落とす等により適切な飛散・ばく露防止措置を講じず解体等工事を実施した事例が報告されているということでございますし、またレベル3建材についても、事業者による湿潤化不足等により飛散・ばく露のおそれがあるということでございます。

 最後に22ページ目でございますけれども、改正法施行5年後の検討ということでございますが、大気汚染防止法の改正法の附則5条には、施行後、こちらは平成26年6月が起点となりまして、これから5年を経過した場合において、施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとするというところでございます。

 私からの資料2-1についての説明は以上でございます。

【髙澤大気環境課長】 それでは、引き続き資料2-2の説明をさせていただきます。大気環境課長、髙澤でございます。

 こちらのほうは、石綿飛散防止小委員会の設置についてということでございます。

 1に設置の趣旨ということで、ただいまの説明にもございましたけれども、前回の石綿に係る大気汚染防止法の改正から施行後5年ということで、これは、5年は平成31年、来年の6月になりますけれども、そういう検討のタイミングを迎えているという話でありますとか、総務省からも、平成28年になりますが、行政評価・監視ということで勧告がなされているということでございまして、環境省といたしましても、これらを踏まえまして8月29日付で中央環境審議会に今後の石綿の飛散防止の在り方についてということで諮問をさせていただきまして、同日付で大気・騒音振動部会のほうに付議がされているというところでございます。

 これらのことを踏まえまして石綿飛散防止小委員会を設置するということで、2番目のところが検討事項でございますが、今後の石綿の飛散防止の在り方についてということでございます。

 3番目がスケジュールでございますが、概ね1~2カ月に1回程度開催という予定で今のところ考えております。

 ということで、以上が設置の概要についてなんですけれども、これまでにつきましては、石綿については部会の下に石綿飛散防止専門委員会を設置いたしまして、検討をいただいてきたところでございます。今後につきまして、もちろん専門的・技術的事項も含まれるんですけれども、より幅広い関係者、関係業界でありますとか、また自治体などもメンバーといたしまして、制度的な内容も含めて幅広いご検討をいただきたいと考えているところでございまして、新たに石綿飛散防止小委員会ということで設置をしたいと考えているところでございます。なお、これに伴いまして、従来の石綿飛散防止専門委員会は廃止ということを考えております。

 次のページに、別添1-1ということで環境大臣から中央環境審議会会長への諮問の文書、別添1-2が中央環境審議会会長から畠山部会長に付議という、このような文書でございます。

 続きまして、資料2-3でございますが、こちらが小委員会の設置及び運営方針についてということでございます。こちらのほう、現在、小委員会といたしましては、自動車排出ガス総合対策小委員会というものが設けられておりますので、案といたしましては、1の(1)が自動車排出ガスの小委員会になりますが、1の(2)としまして石綿飛散防止小委員会というものを加えたいということでございます。

 3のところで石綿飛散防止小委員会は、大気汚染防止法に基づく石綿飛散防止に関する事項を審議するということでございます。

 4番目は変わっておりませんけれども、小委員会ということでございますので、決議は部会長の同意を得て、大気・騒音振動部会の決議とすることができるということになります。

 次のページは、会議の公開とか議事録の公開とか、事務的なお話でございます。

その次の資料2-4でございますが、これが専門委員会の設置についてということでございまして、小委員会が設置されることによりまして、従来の石綿飛散防止専門委員会のほうは廃止となりますので、こちらのほうからは、線を引いておりますが、削除されるということを考えているところでございます。説明については以上でございます。

【畠山部会長】 ありがとうございました。

 平成26年6月に施行された法律の施行後5年を経過した後の状況について検討するために、従来の専門委員会から小委員会に、格上げという言い方はいいかどうかわかりませんけれども、小委員会を設置するという案でございます。

 ただいまの説明につきまして、ご意見、ご質問がある方は名札を立てていただきますようお願いします。

 大久保委員、どうぞ。

【大久保委員】 課題が明確、適切に整理されていると思いますが、1点だけ質問させていただきます。スライド16、17でございますが、旧石綿製品製造事業場におきましてアスベスト濃度の上昇が見られるという原因でございますが、これは、もう旧事業場ということですので、考えられることというのは管理に何か課題がある、事業場の施設の管理に何か課題があるということなのか、それとも何か他の原因が考えられるのか、わかっている範囲で教えていただければと思います。

 以上です。

【畠山部会長】 いかがでしょうか。

【青竹大気環境課課長補佐】 ご質問のありましたアスベストの大気濃度調査のときに、旧石綿製品製造事業場の周辺でアスベスト繊維数濃度が1本を超えていた原因についてでございますけれども、こちらは、まだ原因のほうは特定されていないというような状況でございます。測定している箇所が、私どもが測定しているところ、それから事業者側で測定しているところとございまして、必ずしも事業者側で測定しているものとこちらが測定しているもの、時期等も違っておりまして、こちらで測定したときには1本を超えていますけれども、事業者側が測定したときにはそうではなかったりですとか、こちらが1本を超えたのも継続して超えているわけではないというようなところもございまして、まだ、ちょっとどこが原因かというのはわかっていないというようなことでございます。ですので、引き続き事業者の協力も得まして、調査のほうを進めてまいりたいと考えてございます。

【畠山部会長】 ほかには、いかがでしょうか。

  酒井委員、どうぞ。

【酒井委員】 それでは、今後の検討に向けての希望といいますか、期待をちょっと述べさせていただきたいと思います。

 本日も冒頭、局長からも、あるいは部会長からも災害の問題に関する指摘をお聞きしたところでございますけれども、この問題も災害時の対応というのは極めて深刻な問題になってまいります。そういった意味で、今日の資料の中の11ページとか、あと災害時の測定のご紹介もなされておるわけでございまして、特に災害時の飛散防止マニュアルを定めて、測定を推進されていること自身は極めて結構なことだと思います。

 ただ、やはり、こういう非常時対応というのに限界があるということは、もう言うまでもないことでして、現場での取組というのは極めて困難なものになってまいります。その分、平時対応というもの、あるいは未然対応ということが期待されるということは、言うまでもないことです。

 そういった意味で、平時の改修・解体時の対応促進のための措置、特に、まず存在の認識を施主さんに特にしていただくための情報認知の方向性を、ぜひご検討いただけないかと思っております。前回の改正で発注者の届出ということに変えられたことで、現在は発注時の事前調査で存在がわかるということ、ここは非常に結構なことなんですけれども、これが、より前倒しで認識をしていただくようにならないかという、そういうための工夫というのはないものかというのが、主たる期待ということです。

 そういたしますと、補修、改造、解体ということで考えますと、よりタイムラインの上流側での対応が望ましい、対処がしやすいという、こういう特性が恐らくあろうかと思いますので、そこを活かした対策の方向性というものもご検討いただけないかということです。あわよくば何らかの時間軸でのインセンティブというものが生まれてくると、対策としても推進していただけるのではないかという、そういう期待を込めて意見を述べさせていただきます。

 以上でございます。

【畠山部会長】 ありがとうございます。

 環境省から、いかがでしょうか。

【髙澤大気環境課長】 貴重なご意見、ありがとうございます。もちろん大気汚染防止法の中でも、そういった、より事前調査を確実に進めるためにも、今、先生からおっしゃっていただいた、常日ごろからの情報を、存在を認識するということは大変重要だと考えておりまして、大防法の中でもできる工夫は考えたいと思っておりますし、また、他法令の、建築の関係とか、あと厚労省の労働安全の関係とかでも、そういった情報というものはとれる部分もございますので、そういった情報の共有をしっかり図るという面も含めまして、課題として認識しておりますので、今後検討を進めていきたいと思っております。

【畠山部会長】 ほかにはご意見。

 谷口委員、どうぞ。

【谷口(靖)委員】 ありがとうございます。

 前回の大防法改正のときにちょっと関わっていたのですけども、前回の答申、それから総務省の勧告を踏まえたら、レベル3の建材について、解体のときですけれども、もう規制の方向で、規制の対象にする方向で、小委員会で検討していくのだろうなと、こういうふうに思っております。

 新たな規制ということになってきますと、届出の際の規模要件、こういったものを検討する場面が出てくるのだろうと、こう思うのですけども、一部の自治体では既に条例で規制していることがあるわけです。しかし、その中から何か適当な規模要件を選んで、そのまま大防法に持ち込むと、そういうことはちょっとないようにお願いしたいなと、こう思うわけです。

 といいますのは、条例での規模要件というのは、当然、その自治体の状況、例えばどういった建物が、あるいはどういったものが、どの程度の密度で集積されているのか、そういったことを一つ前提条件としていますし、また、実際に規制に携わるマンパワー、予算、こういったものも確保しないといけません。

 ということで、そういうことを前提として設定されていますので、大防法で結構厳しい規模要件になったりしますと、立入検査などで対応できない自治体が出てくる可能性があります。先ほどの説明でも、前回の改正で立入検査数がかなり増えているということがございました。また今後、解体件数もさらに増えていくという事情がございますので、その辺のマンパワーですね、自治体で確保できるかどうかということがあろうかと思います。

 ということで、環境省と、それから自治体の担当者の方々の定期的な会合だとか協議体だとか、そういった場があるだろうと思いますので、そういう場を一つ活用していただいて、規模要件について自治体はどういうふうに考えているのか、意見などを聞いていただくというようなことをお願いしたいなと思いますし、また、的確で効率的・効果的な立入検査をやっていくということだと思います。これについても、先ほどの説明の中で、環境省から、講習会といいますか、やっていただいているということでございますけども、いろんなところでの経験というのは地方にもあったりしますので、ぜひ、そういったものをより一層共有を図っていただいて、合理的に規制ができるようにということをお願いしたいと思います。

【畠山部会長】 では、環境省からいかがでしょうか。

【髙澤大気環境課長】 コメントをいただきまして、ありがとうございます。

 実際に取組を進めるに当たりましては、自治体のほうが、やはり立入検査なり、そういったことの負担というか、そういったことをやっていただく必要があるというふうに考えておりますので、自治体の取組の状況なり、そういったものを含めて、しっかり状況把握、意見交換をさせていただいて進めたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

【畠山部会長】 ほかにはいかがでしょうか。ほかにはよろしいでしょうか。

                  (なし)

【畠山部会長】 それでは、ただいまコメントがございましたように、災害時の取組とか、自治体との連携とか、その辺のところに十分配慮いただいて、中央環境審議会議事運営規則第8条第1項に基づきまして、「中央環境審議会大気・騒音振動部会の小委員会の設置及び運営方針について」を案のとおり改正いたしまして、石綿飛散防止小委員会を設置するとともに、第9条第1項に基づき「中央環境審議会大気・騒音振動部会の専門委員会の設置について」を案のとおり改正し、石綿飛散防止専門委員会を廃止することとしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

                 (異議なし)

【畠山部会長】 ありがとうございます。それでは、中央環境審議会議事運営規則第8条第3項では、「小委員会に委員長を置き、部会長の指名により、これを定める。」とされております。本部会の部会長でございます私といたしましては、この小委員会の委員長を大塚委員にお願いしたいと思っておりますが、大塚委員、よろしくお願いいたします。

【大塚委員】 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

【畠山部会長】 小委員会に属すべき委員、臨時委員及び専門委員については、中央環境審議会議事運営規則第8条第2項に基づきまして、部会長でございます私から、後日、指名の手続をとらせていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、続きまして、議題3の報告事項について、報告事項が6件あるようでございますが、事務局から報告をお願いします。

【大塚委員】 一言、よろしいですか。

【畠山部会長】 すみません。飛ばしてしまって申し訳ございません。

 大塚先生から、ご挨拶をお願いします。

【大塚委員】 どうもありがとうございます。

 前回と前々回の大気汚染防止法の改正のときに、この石綿の飛散防止に関しまして議論に参加させていただきました。石綿というのは、静かな時限爆弾と呼ばれておりまして、現在の我が国に残された重要な公害問題であると認識しております。

 主な課題といたしましては、前回の委員会で課題として残されております、取り残しについての自治体の確認をどうするかという問題とか、事前調査の信頼性をどう図るかという問題、それから、レベル3についてどういう対策を講じるかという辺りが中心課題となると思いますが、先ほど酒井委員から言われたように、前倒しの認識をどう工夫するかというような問題も考えていきたいと思います。関係者の方が非常に多くいらっしゃいますので、丁寧な審議を心がけたいと思っております。

 さらに、見逃しとか違反のデータの収集が重要になってまいりますので、環境省とか自治体、その他の関係者の方々には、ぜひ、その点をお願いしたいと思っているところでございます。

 どうもありがとうございました。

【畠山部会長】 ありがとうございました。

 大塚委員には、小委員会委員長として、ぜひ今後よろしくお願いいたします。飛ばしてしまいまして、申し訳ございませんでした。

 それでは、議題3の報告事項につきまして、まず資料3について、事務局からお願いいたします。

【山田計画官】 それでは、資料3に基づいて説明させていただきます。

 環境省大臣官房環境計画課の計画官をしております、山田と申します。よろしくお願いいたします。

 資料3、幾つか種類がございますが、資料3-1に基づいて、まずは説明させていただきます。第五次環境基本計画についてでございます。

 この計画は、本年4月に閣議決定されました。本来でしたら、事前に大気・騒音振動部会に報告すべきものでありますが、部会開催のタイミング等もありまして、本日の報告となったということでございます。大気・騒音振動部会の関係では、事務局とご相談いたしまして、畠山部会長などに事前にご説明させていただいております。

 内容についてご説明させていただきます。

 1ページ目に移らせていただきまして、第五次環境基本計画の全体構成でございます。こちらは環境基本法に基づく法定計画でございまして、6年ごとに見直しということです。第四次計画は平成24年に閣議決定いたしましたので、そこから6年たち、この平成30年に第五次計画ということでございます。

 次のページに移ります。我が国が抱える環境・経済・社会の課題ということでございますが、こちらの図にありますとおり、環境の課題、経済の課題、社会の課題、それぞれ現在、抱えております。特に最近特徴的だと思っておりますのが、例えば社会の課題の少子高齢化・人口減少といったところが、環境の課題の森林・里地里山の荒廃、野生鳥獣被害につながり、経済の課題の地域経済の疲弊につながるなど、環境・経済・社会が相互に連関、複雑化しているということがあると思います。ですので、環境・経済・社会の統合的向上が求められるということだと理解しております。

 次のページに移ります。持続可能な社会に向けた国際的な潮流ということで、2015年に「持続可能な開発のための2030アジェンダ」、これはSDGsを含むものでございますが、こちらが採択されたのと、同じ年の12月にはパリ協定も採択をされたということでございます。ともに高い目標を掲げ、年限を区切って、その目標に向かって進むということでは共通しているものがございまして、これは今までの延長の取組ではなく、大きく考え方を転換していくことが必要なのではないのかなというふうに理解しております。

 次の4ページをご覧ください。第五次環境基本計画の基本的方向性ということで、目指すべき社会の姿とございますが、この第五次環境基本計画では、特にこの1ポツにあります「地域循環共生圏」の創造ということを掲げております。こちらの右に図がございますが、農山漁村と都市がございまして、それぞれ地域資源を持っております。その地域資源を最大限活用しながら、それでも余る部分、足らない部分が出てくると思いますので、それらをお互いに農山漁村から都市へは自然資源・生態系サービス、食料、水、木材といったようなものですとか、都市から農山漁村へは資金・人材などを、エコツーリズムとか自然保全活動への参加といったようなことを通じて行うという形をとることが、お互いに相互依存という形をとることが望ましいのではないのかというふうに考えております。本計画のアプローチですが、SDGsの考え方も活用いたしまして、環境・経済・社会の統合的向上を具体化というふうに考えてございます。この具体的化が、次のページにございます重点戦略ということですが、後ほど説明させていただきます。環境政策を契機に、あらゆる観点からイノベーションを創出いたします。そして、また、経済、地域、国際などに関する諸課題の同時解決を図り、将来にわたって質の高い生活をもたらす「新たな成長」につなげていくということです。また、先ほどの地域循環共生圏でもご説明いたしましたが、地域資源を持続可能な形で最大限活用し、環境で地方を元気にということを考えていきたいと思います。また、大きな目標に向かって進むということですので、より幅広い関係者と連携をし、みんなで進める環境基本計画ということを目指したいと思っております。

 次のページに移ります。第五次環境基本計画における施策の展開ということで、この第五次計画では、六つの重点戦略というものを設定させていただきました。この六つは、環境の観点ではなく、経済や社会の課題を解決するという観点で設定させていただいたものです。経済、国土、地域、暮らし、技術、国際というふうにございますが、特に大気・騒音振動部会におきましては、④番の暮らしのところですとか、あとは⑥番の国際のところが主に関係いたします。暮らしのところでは、三つ柱がある中の三つ目といたしまして、安全・安心な暮らしの基盤となる良好な生活環境の保全というものがございます。その中に、良好な大気環境の確保ですとか、快適な感覚環境の創出ですとか、ヒートアイランド対策といったことが本文に書いてございます。また、国際貢献の部分でも、越境大気汚染の対策などといったようものもございますので、こういったことに、重点戦略の観点も大気・騒音振動部会に関係する部分もあるというご紹介でございます。

 次の6ページをご覧ください。重点戦略を支える環境政策ということで、環境リスクの管理というのが上から四つ目にございます。水・大気・土壌の環境保全というふうに書かれてございますが、環境政策の根幹となる環境保全の取組は、揺るぎなく着実に推進というふうにしたいと考えてございます。

 次に、資料3-2をご覧いただければと思います。中央環境審議会による第五次環境基本計画の点検の進め方についてということでございます。こちらの資料は、本年4月9日の中央環境審議会総合政策部会に資料として提出させていただきました。

 第五次環境基本計画ができたと、策定されたということで、今後、点検のフェーズに移るわけですが、その際には、大気・騒音振動部会を初めとする各部会にご協力をいただくということになります。

 次のページ、2ページをご覧いただければと思いますが、点検のスケジュールといたしまして、特に2年目ですね、来年度になりますが、各部会による各分野の点検というものがあり、その3年目、2020年度に総合政策部会による全体的な点検、これが中間的な点検になりますが、行うということでございます。同じようなプロセスを2021年度、2022年度というふうに行い、次の第六次計画の前に、2回点検は行っていきたいというふうに思います。その際には、先ほどご説明いたしましたように重点戦略、それから、あと重点戦略を支える環境政策ともに、点検の対象としていただきたいというふうに思っております。

 あとは、資料3-4をご覧いただければと思いますが、こちらも先ほどの4月9日の総合政策部会に提出させていただいた資料でございます。第五次環境基本計画の進捗状況を評価するための指標ということで、まだ議論中、検討中のものでございますが、それぞれの重点戦略、また、重点戦略を支える環境政策ということで、現在、指標を検討しているところでございます。こういったものも活用しながら、点検をしていっていただければというふうに思っておりますので、また事務局とよくご相談させていただきたいと思います。

 私からは以上です。

【畠山部会長】 ありがとうございました。

 それでは、ただいまのご説明に対しまして、ご質問等ございましたら、お願いいたします。名札をお立てください。

 従来の第四次までの基本計画と比べますと、がらっと変わって、従来は地球温暖化だとか大気だとかという、そういう環境のワードが重点戦略として掲げられていたわけですけど、今回のは、そういうものは一つ、もちろん重要な課題として一つ下に書かれてはいますけども、表に出てきた六つの戦略は、経済、社会と環境とのつながりを前面に押し出した形になっておりますね。この辺のところで、何かご質問とかご意見とかございませんか。

 基本計画、打ち出されてから大分たっておりますので、委員の皆様も既にいろいろな形でご覧になっていることと存じますので、特にここでは質問はないということであれば、次の報告に移らせていただきますが、よろしいでしょうか。

 では、資料4、5、6について、事務局より報告していただきます。

【田渕大気環境課課長補佐】 それでは、資料4、5、6につきまして、大気環境課の田渕から報告させていただきます。

 まず、資料4-1でございます。こちらは大気汚染状況の把握ということで、大気汚染防止法に基づきまして、地方自治体において常時監視を実施している結果でございます。

 まず、一般環境大気測定局、自動車排出ガス測定局におきまして、NO2やPM2.5について測定している平成28年度の結果でございます。これらの物質につきましては、測定局で24時間測定をしております。

 二酸化窒素につきましては、1局を除いて達成しております。

 次に、浮遊粒子状物質(SPM)につきましては、こちらは昭和49年以降初めて全局で達成をいたしました。

 光化学オキシダントにつきましては、依然としてほぼ0%ということで、極めて低い達成水準となってございます。

 それから、次の二酸化硫黄(SO2)、一酸化炭素(CO)につきましては、引き続き全局達成をしてございます。

 次に、PM2.5(浮遊粒子状物質)につきましては、一般局が88.7%、自排局が88.3%ということで、昨年度より改善をしております。こちらに関しましては、後ほど資料6において対策の状況についてご報告をさせていただきます。

 引き続き環境基準の達成・維持に向けまして、工場・事業場からのばい煙排出対策、自動車排出ガス対策、低公害車等の普及などを総合的に推進してまいります。

 続きまして、資料4-2の有害大気汚染物質の測定結果でございます。こちらは対象物質が21物質ございまして、基本的に月1回の測定を行っております。

 測定値の評価に用いる環境の目標値につきましては、ベンゼン等4物質については環境基準が、また、アクリロニトリル等9物質につきましては指針値が、それぞれ設定されております。これ以外のアセトアルデヒドですとか、酸化エチレン等につきましては、現状では指針値が設定されていないという状況でございます。

 続きまして、結果でございます。次のページをご覧ください。結果につきましては、全体として概ね目標となる数値を達成しておりますが、一部超過している物質もございます。

 まず、環境基準が設定されている物質につきましては、ベンゼンが1地点で基準値を超過しております。

 次に、指針値が設定されている物質につきましては、1,2-ジクロロエタン、ニッケル、マンガンがそれぞれ1地点で、また、ヒ素については、6地点で指針値を超過している状況でございます。

 これらの有害大気汚染物質につきましては、大気汚染防止法におきまして、事業者は排出抑制の措置を講ずるようにしなければならないと規定されておりまして、超過地点を有する自治体におきましては、発生源の調査、また、事業者に対する排出抑制の指導等が講じられているところでございます。引き続き、地方自治体や、また関係団体の皆さんとの連携のもと、有害大気汚染物質対策を推進してまいります。

 続きまして、資料5の大気汚染防止法の施行状況についてご報告を申し上げます。

 環境省では、全国の都道府県及び大気汚染防止法施行令で定める市を対象といたしまして、届出や規制事務の実施状況に関する施行状況について、毎年調査を行っております。

 まず、規制対象施設の届出数につきましては、表にありますように、ばい煙発生施設が約22万、揮発性有機化合物排出施設が約3,500、一般粉じん発生施設が約7万となっております。

 規制事務の実施状況につきましては、表2-1にお示ししておりますとおり、立入検査を実施した工場・事業場等の総数は約4万件でございまして、うち2万4,000件が石綿の除去を行っている作業場となっております。こちらは熊本地震の対応もあり、増加している状況です。

 次に、表2-2にお示ししております行政指導の実施件数でございます。こちらにつきましては、約1万件で行政指導を実施しており、平成27年度に比べまして、約3,000件程度増加しております。こちらも特定粉じん排出等作業場に関する件数が増加をしているということでございます。環境省としましては、引き続き適切な法の施行に務めてまいります。

 引き続きまして、資料6、PM2.5対策に関する取組状況についてです。

 まず、スライドの1枚目でございます。こちらでは、全国の環境基準達成率を再掲しておりまして、一般環境大気測定局における達成率は大体88%ということで、グラフにお示ししておりますとおり改善傾向にありますけれども、これを都道府県別で見ますと、30%から60%と低い地域がございます。

 対策につきましては、2枚目をご覧ください。まず、国内対策については、先ほどのような状況を踏まえまして、地域の状況を踏まえて国内対策を進めていく必要があると考えております。具体的には、ばいじんやNOXの施設種類ごとの排出濃度の違いですとか、優良事例を踏まえた追加的な排出抑制策の可能性の検討等に取り組んでまいります。また、国外対策については、越境汚染対策としまして、本年6月に日中環境大臣間で署名した協力覚書等に基づきまして、引き続き、技術的な国際協力活動を推進してまいります。

 次に、3枚目です。再び国内対策でございますけども、給油時における燃料蒸発ガス対策といたしまして、自動車排出ガス低減対策のあり方についての第十三次答申を踏まえまして、燃料蒸発ガスを回収する給油機を設置しているガソリンスタンドを認定する制度を資源エネルギー庁と合同で創設いたしました。ガソリンスタンドの愛称を「大気環境配慮型SS(e→AS)」としまして、ロゴマークもつくっております。こちらは給油所全体の燃料蒸発ガスの回収率に応じて4段階の認定を実施するということにしております。今後もカーナビ等で、認定されたガソリンスタンドの検索を可能とするというようなことを通じて認定制度の周知に努めてまいります。

 説明は以上でございます。

【畠山部会長】 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの説明に対しまして、何かご質問等ございましたら、お願いいたします。

 谷口委員、どうぞ。

【谷口(靖)委員】 ありがとうございます。

 有害大気汚染物質の測定結果ですが、ヒ素の指針値超過地点が6地点ということで、これはほかの物質に比べてえらい多いなと、こういう印象を受けるわけです。ほかは大体ゼロとか1とか、こういうことですね。

 支障のない範囲でいいのですけども、場所だとか原因だとか、あるいは、これは地元自治体でもいろいろと手を尽くされていると、こう思うのですけども、どのような取組がなされているのかとか、あるいはこれからどうしようとするのかとか、その辺、支障のない範囲でお聞かせください。

【田渕大気環境課課長補佐】 ご質問のとおりヒ素については、超過地点数がほかの物質と比べて多いという状況です。平成28年度に超過が見られた地域につきましては、全てホームページで公開をしておりますけども、秋田県の小坂町、福島県のいわき市、岡山県の玉野市、愛媛県の西条市です。

 指針値等の超過がありました場合、それぞれの地方自治体において、超過要因などを調査して、我々に報告をいただいております。いずれも近辺に銅の精錬所があるということで、恐らく原料の鉱石に不純物として入っているヒ素が影響しているのではないかと考えております。

 地方自治体におきましては、これまでも排出抑制の指導をしてきているところですけども、環境省といたしましても、例えば他の事業者での対策の事例ですとか、あるいは、工場・事業場といっても結構広いので、どこから出ているんだというのを突きとめる方法とか、そういうことを我々としても手法を考えて、技術的な支援を行うとかによりまして、取組を推進していきたいというふうに考えております。

【畠山部会長】 よろしいでしょうか。

 ほかには何かございますか。

 大塚委員、どうぞ。

【大塚委員】 有害大気汚染物質について、ちょっと質問をさせていただきます。96年にこれが施行された後、3年以内に、3年目標として、事業者による取組の成果を総合的に勘案するということになっていましたが、そのときに、よく取り組んでいただいているということだったと思います。今、ここでご議論いただいているもので、環境基準があったり、指針値があったりするものについての成果は出てきていると思うのですが、そうではないものも含めた総合的な成果がどうなっているかということも、3年はもうたってしまった後ではあるのですけども、検討する必要があるのではないかと気がいたします。その辺りはどうなっているかをちょっと教えていただければと思います。

【田渕大気環境課課長補佐】 有害大気汚染物質について、平成22年度に全般的にリストの見直しを行い、優先取組物質も見直しました、その後、概ね10年も経ってきているということもございまして、改めてどういうものが有害大気汚染物質に該当する可能性があるのかということと、その物質の中でどういう物質が有害性が高いのか、課題はあるのかというようなことを踏まえて、優先取組物質や対策の必要性等について検討してまいりたいと考えております。

【大塚委員】 248全体に関してどうなっているかというのは、そういう見方はあまりされていないということになってしまうのでしょうか。それから、もう3年たってかなり減少したその後の対策はどうなったということでしょうか。

【田渕大気環境課課長補佐】 全ての物質について測定はしておりませんが、いろんな機会を捉えて、我々としても、優先取組物質など重要だと考えられる物質は測定するなど、排出実態の把握に努めています。また、いろんな知見ですね、有害性に関する知見や、海外における規制状況等の知見とかもウオッチをしているという状況でございます。

【畠山部会長】 よろしいでしょうか。

 崎田委員、どうぞ。

【崎田委員】 ありがとうございます。

 今、ご説明をいただいた資料の一番最後にあります、Stage2導入給油所の認定制度創設についてという、これに関して、最近の様子をもう少し伺えればありがたいなと思って質問をさせていただきます。

 私、これの検討に参加をさせていただきましたので、流れは存じておりますが、これの検討過程で、やはり自動車本体の排ガス規制などはずっと長く取り組んできたわけですけれども、今回、給油所でのガソリンベーパーの発生を食いとめるという、そこの設備に対して、かなり明確な認定制度を導入するという、こういう流れは、ドライバーにとっても、しっかり情報をいただかないと、そういうところを選ぼうという、そういう消費行動にもなかなかなりませんし、そういう効果が現れないと、ガソリンスタンドの皆さんにとっても、しっかり取り組むというインセンティブになかなかつながりにくいという、いろいろな面がありますので、しっかりとこれを発信していただくのが大事だというふうに思っております。

 ただし、審議の中で、事務局が非常に精力的にいろんなヒアリングをされたりという、認識は非常に持っておられるという印象を持っておりますので安心してはおりますけれども、カーナビに導入できるかどうかとか、いろんなことを考えておられた現状はどうなっているか、教えていただければありがたいなというふうに思います。

 また、認定開始が7月18日、スタートしたばかりですけれども、状況などを伺えればありがたいというふうに思います。

 よろしくお願いします。

【酒井環境管理技術室長】 環境管理技術室の酒井でございます。

 こちらのStage2の給油所の認定制度の現状ですが、まず、受付が7月18日にスタートいたしましたが、その後1カ月ぐらい経過した時点で、約60件ほどの申請が来ております。

 委員おっしゃられるとおり、これまで自動車側の対策を中心に燃料蒸発ガスの吸収の対策をしておりましたが、今回、給油所側でも対策を進めていくといった取組を進めることといたしました。

 全国のガソリンスタンドの数を申し上げると、約3万カ所ほど全国にはあると言われておりまして、今後、スタンド業界におきましても、給油所におけるVOC対策については、計画的に削減をしていくといった、業界としての取組がございますし、また、給油機をつくっているメーカーにおきましても、VOCの吸収、Stage2の対応をした機器について、さらなる技術開発を行い、販売していくといった動きもございますので、私どもといたしましても、この認定制度創設に合わせて、PR活動をしていきながら、Stage2の対応をしたものを普及していくといった取組を進めていきたいと考えております。

 以上です。

【畠山部会長】 よろしいでしょうか。

 では、石濱委員、どうぞ。

【石濱委員】 ただいまの崎田委員からの質問に関連するのですが、やっぱり我々が、私はそうでもないのですけど、ガソリンはやっぱり安いところのガソリンスタンドに行ったり、あるいは便利ですね、自分の通勤経路のところに行ったりしがちだろうと思うのです。

 先ほどからのちょっとご説明を伺ったところの私の認識では、Stage2導入給油所かどうかということがわかるのは、ホームページあるいはナビの画面上だということのように理解しているのですけども、ぱっと、普通の肉眼といいますか、それで見たときに、このガソリンスタンドはStage2導入給油所のどれに相当するのかということがわかるような、いわゆる看板だとか、そういうものの設置というのはないのでしょうか。私は、やっぱりそういうものがぱっとわからないと、せっかくこれだけの認定をしても、先ほど崎田委員がご心配になっていることになってしまうのじゃないかというような気がするのですけど、いかがでしょうか。

【酒井環境管理技術室長】 看板ですけども、ちょっと看板まで強制するのはなかなか難しいのかなと思っております。

 まず、認定されたガソリンスタンドに対しては、認定証の交付をいたしますので、スタンドの事務所などに掲示をしていただくことになるではないかと思っています。道路から見てわかるような形になるかはわかりませんが、そのスタンドを利用するユーザーは、その認定証を見て、ここはStage2対応のところだというのがわかるのではないかと思っています。また先ほどお話がありました、ナビで検索をすることで、このStage2対応のガソリンスタンドがどこにあるのかというのがわかるような仕組みを、今、ナビの関係の会社と調整を進めているところでございます。

【石濱委員】 いや、なかなか難しいというのが、どういうところが難しいのかってちょっとわかりませんけれども、よくバスなんかには後ろに何とか指定、いわゆる排気ガスに関する規制をちゃんとクリアしているバスなんですよという表示があるぐらいなので、それほど難しいものではないかなと思いますけど、ちょっと今日は時間もありますので、できるだけこういう趣旨が生かされるように、今後もご検討していただくことを期待いたします。

【畠山部会長】 そろそろ時間も迫ってきていますが、島委員、どうぞ。

【島委員】 時間の関係もあって恐縮ですが、2点お伺いしたいと思います。

 一つは、有害大気汚染物質のうち、酸化エチレンにつきましては、先ほどもご説明いただきましたように、現在、環境目標値が設定されていないわけでありますけども、国際がん研究機関の評価では、人に対する発がん性があるということで、取組が重要であろうと思います。現在、環境目標値について検討がなされていて、私も、そこに参加しているわけでありますが、先般、化審法に関する審議会で有害性の評価値も示されるなど、早急に対策をとる必要があるだろうと思います。環境省としてどのように考えて、どのように対策を進めていかれる予定なのか、もし方向性があるようでしたら、お伺いしたいと思います。

 それから、2点目はPM2.5についてなんですが、先ほどご説明いただいたように、かなり状況が改善してきているというのは大変結構なことであると思います。平成25年に注意喚起の暫定的な指針というのが設定されて、それにも少し関わらせていただきましたが、既に5年経過して、当時とはかなりPM2.5の汚染状況も変わってきているにも関わらず、注意喚起について暫定的な指針のまま、ずっと継続して運用していくのもいかがなものかなと思うのですけども、その辺りについて、環境としてもしお考えがあれば教えていただきたいと思います。

 以上です。

【田渕大気環境課課長補佐】 酸化エチレンの件につきましては、今、島先生からご紹介いただきましたとおり、指針値はありませんが、化審法の関係で有害性評価値が示されるなど、我々としても対策が必要な物質であると認識しております。そもそも優先取組物質に入っていますので、事業者のほうで排出抑制を進めていただいているところですが、対策を早急に進める必要があるということで、先般、地方自治体に対しまして、排出の実態を把握してほしいということと、排出抑制を促進するような取組をお願いしますという事務連絡を発出いたしました。まず、酸化エチレンの排出実態の詳細をしっかり把握して、効果的な排出抑制策の検討を進めてまいりたいと考えています。

【髙澤大気環境課長】 あと、もう一点、PM2.5の暫定指針のお話がございましたけれども、今も、暫定指針ということで、注意喚起を自治体のほうでしていただく指針なのですけれども、まだ件数のほうは、ちょっとすみません、手元になくて恐縮なんですけども、その当時と比べると、やはり発出する件数自体は減ってはきているんですけども、まだ実際には、そういった注意喚起が発出されている状況でございますので、こちらのほうもPM2.5の濃度の状況等を見ながら、今のところ、まだ暫定的な指針をどうするという話の検討には着手していないんですけれども、そういった濃度の変化の状況なりも見ながら考えていきたいと思っております。

【畠山部会長】 すみません、ちょっと今PM2.5の話が出たので、関連で聞かせていただきたいのですが、PM2.5の状況は大分改善されてきているのですけども、中国の状況というのもかなり改善されているという話を聞いております。日本で、そういうPM2.5が改善されてきているのが、国内での対策がきいてよくなってきているのか、単に中国が減ってきているから、それだけで減っているのかというような、その辺の解析というのはできているんでしょうか。

【髙澤大気環境課長】 PM2.5についてでございますが、全体としての平均の濃度は近年下がってきているところでございまして、いろいろ、やはり要素が多分にあると思っておりまして、確かに中国のほうも法律の規制とかが厳しくなってきているということもありまして、排出される濃度的なものも減ってはきているというデータもございますし、また、かなり、その年々の気象の要因とか、そういったことも、越境の影響については大きくきいてくるものでございます。

 また、国内につきましても、先ほどデータでお示ししましたように、地域によってもかなり差が見られるということもございまして、一定の寄与はあると考えておりますので、引き続き、そういった状況も見つつ、国内外の施策を両方とも進めていく必要があると考えているところでございます。

【畠山部会長】 じゃあ、この部分で、塩路委員、ラストにお願いします。

【塩路委員】 ありがとうございます。

 今、ちょうどStage2の話とPM2.5の話がありました。私は自排専に関係していますので、ちょっとコメントをさせてください。

 今、崎田委員、石濱委員のほうからおっしゃっていただいたStage2については、まだ始まったばかりですので、これからどうなるかということなのですが、結局、先ほど言われたようなインセンティブですね、それをどうしていくか、インセンティブとの関係でどう進んでいくのか、進めていくのか、そういうようなことを今後見守る必要があるのかなと思っています。とくに、費用対効果の観点から、ちょっと細かい話ですけども、ORVRかStage2かということで、昔からいろいろな議論があったわけですが、今回、自主対応ということになって、Stage2を規制ではなくてボランタリーに進めていこうということになりました。ご承知の通り、自動車では星の数で、一気に排出ガスがきれいになったわけですね。これは助成金とか補助金がついたということと非常に関係していて、そういうインセンティブの仕組みをどう生かしていくかということが重要です。スタンドのところの看板に書けるかどうかというのは、これは多分スタンドに任されるので、ただ、それでどうでしょうね、ユーザーがそこを選ぶかどうかというのはまた別の問題があるので、意識が高い人は確かにそこがちょっと頭に残るかもしれませんが、なかなかそれだけで進むかなということもあります。これはちょっと今から、自排専で見守っていって、メンテナンスというか、経過を注視していくことになろうかと思います。請う御期待というのも何ですけども、そういう形になろうかと思っております。

 2番目のPM2.5、これも自排専の中でいろいろ議論しています。大気シミュレーションですね、これがもう今かなりの精度でできるようになっています。かなり細かいグリッドというか小さいセルの中で、天候データからの雨風による移流成分なりも考慮して、大陸での排出も協定が結ばれていて、一応、公開されていますので、それを含めて、大気シミュレーションでPM2.5の濃度もだいぶ予測できるようになってきました。もちろん、まだ細かいところまで完全に一致するということではないのですけれども、それを活用して排出源を予測できます。ただ、難しいのは、一次生成と二次生成、特に二次生成の部分がなかなかまだ精度が悪くて、硫酸イオン、硝酸イオンを含めた、そういう原因物質の発生にも対応していかざるを得ないかなと思います。これもこれから請う御期待というか、どうなっていくかというのは、ここの部会でも見守っていただきたいなと思っております。

 以上です。ちょっとコメントをさせていただきました。

【畠山部会長】 では、ただいまのはコメントということで承っておきたいと思います。

 それでは、大分時間も詰まってまいりましたけれども、最後に資料7、8をご報告ください。

【吉川大気生活環境室長】 それでは、7-1から7-2、7-3、そして資料8-1、8-2、続けてご説明をさせていただきます。

 まず、資料7-1をタブレットのほうでお開きいただければと思います。こちらは平成28年度騒音規制法等施行状況調査の結果ということで、都道府県等からのご報告に基づきまして、平成28年度における騒音に係る環境基準の達成状況、それから苦情の件数を取りまとめたものでございます。

 詳しいご説明は本日割愛いたしますが、騒音に係る環境基準の達成状況、平成28年度、測定を実施した地方公共団体306市区町村、全特定地点2,874地点における、一般地域に係る環境基準であり、85.7%の地点で環境基準を達成しておりました。

 推移のグラフのほうは、資料7-1の4ページのほうに掲載しておりますが、こちらを見ていただきますと、近年、横ばいというところが見ていただけると思います。

 それから、騒音に係る苦情の件数でございますが、こちらは平成28年度1万6,264件でございまして、こちらは推移のほうを5ページに載せておりますが、前年度に比べ若干減少とはいえ、横ばい状況にあります。苦情の内訳は、建設作業が全体の約3分の2と最も多く、次いで工場・事業場という形になっております。

 続きまして、振動規制法の施行状況調査の結果のほうを資料7-2にお示ししております。

 こちらは振動に係る苦情の件数と、それから振動規制法に基づく届け出や措置の状況をまとめたもので、苦情の件数につきましては、平成28年度3,252件ということで、前年度に比べて若干増加をしているところでございます。

 苦情の内訳は、全体の3分の2が建設作業、次いで工場・事業場というような内訳でございました。

 続きまして、立て続けに恐縮ですが、資料7-3、こちらは平成28年度悪臭防止法施行状況調査の結果でございます。

 こちらも悪臭に係る苦情の件数と、それから悪臭防止法に基づく地域指定や措置の状況をまとめたものでございまして、まず、苦情の件数については、平成28年度1万2,624件で、前年度に比べて335件減少、13年連続で減少しております。

 これらの施行状況調査の結果につきましては、各自治体の回答を含めて全てホームページにデータとして公表しておりますので、是非、ご活用いただければと思います。

 続きまして、資料8-1、8-2をお開きいただければと思います。こちらは「特定悪臭物質の測定の方法」の改正についてのご報告でございます。

 悪臭防止法施行規則に基づく特定悪臭物質は、現在、22物質ございます。昭和47年から平成7年に順次追加してまいりましたが、物質の測定方法は、この物質追加時に制定して以来、大きな改正はされてこなかったところでございます。相当の時間が経過したということもあり、測定方法の追加要望が相次いでいるということを受けまして、今般、順次追加の検討をしております。

 まず、資料8-1に示しておりますのは、本年6月26日から7月25日までパブリックコメントを行ったアルデヒド類6物質についての測定方法の追加資料でございます。

 こちら、具体的な改正の内容につきましては、資料8-2の3ページ目をお開きいただきますと、「特定悪臭物質の測定の方法」一部の改正案ということで、概要を載せさせていただいております。

 アルデヒド類6物質について、敷地境界線における濃度の測定、それから気体排出口における流量の測定について、高速液体クロマトグラフ法(HPLC法)を追加するという改正でございます。

 現在、パブリックコメント手続が終了いたしまして、6件の意見がございました。9月下旬に、これらの意見を踏まえた改正について公布を行うべく、現在、準備を進めているところでございます。

 次に、資料8-2は、昨年、既に改正済みの告示の報告でございます。特定悪臭物質のうちアンモニアにつきまして、敷地境界線における濃度の測定について、イオンクロマトグラフ法、JIS K0099に定められている方法を追加したというものでございます。

 以上、ご説明を終了させていただきます。

【畠山部会長】 ありがとうございました。

 それでは、何かご質問、ご意見等ございましたら、名札を立てていただきます。

 崎田委員、どうぞ。

【崎田委員】 意見というか、コメントを一言となりますが、今、騒音については、測定の状況から言えば、かなりきちんと騒音の状況は守られていて、苦情も昨年よりも少し減っているという状況です。

 私は、地方公共団体の公害審査会で委員を務めているところでありますが、そこの実感からしますと、騒音の苦情というのが増えていて、なかなか対応できないことや、長くかかっていることなど、大変増えている印象です。

 その時に、単に工場とかの騒音が原因というよりも、いわゆる高齢の世代の方がお家にいるという方が非常に増えてきていますので、高い音に関して非常に感度がよくなり過ぎて、高い音に関して非常に苦情をおっしゃる方がいて、これが時代の流れかなと思いながら対応しています。現実には、そういう状況がありますので、先を見据えながら、状況を少し見守っていくというのは、今の持続可能な社会の全ての環境・経済・社会の統合的な解決を図っていくという視点では大事な方向かなと思って、一言コメントをさせていただきました。

【畠山部会長】 山本委員、追加でお願いします。

【山本委員】 やはり騒音の問題というのは非常に難しくて、数字だけでは表せないものがあって、いろんな背景が絡んでいるものですから、簡単に解決するような問題だけではないということです。

 今回、苦情の件数は、少し減っておりますが、建設作業というのは常に1位にありますので、少し建設作業を事業種類別に分類してほしいなと思います。そのほかに、崎田委員がおっしゃったように、保育園とか幼稚園とか、子どもの声に関する苦情というものは、いろんな意味で社会問題になっているということなので、これについても、環境省としても取組であるとか考え方を整理していただければいいかなと思います。

 とりわけ、先ほど崎田委員から言われたように、最近は高齢世代の方が家に居るという時代です。若い頃は働きに行って昼間は家にいないけれども、定年退職すると家にずっといるということになります。近くに幼稚園があると、それを知らなかったことにより、とてもうるさくて耐えられないというような話があります。これもちょっと私も聞いてびっくりいたしましたけれども、やはり年をとると苦情を言いたくなるのかなとは思いますが、ここに高齢化社会の生活環境という課題もありそうです。とりあえず、そういう保育園とか子どもを育てる施設周辺の、子どもの声に起因する音環境や、高齢化社会の生活環境というものを少し整理していただければなと思います。

 以上です。

【畠山部会長】 ありがとうございました。

 何かございますか。

【吉川大気生活環境室長】 ご意見ありがとうございます。

 子どもの声に対する苦情、幾つかの自治体で、やはり条例の中でどのように扱うか、東京都さんなどでも、子どもの声に関する苦情については、むしろ子どもを育てる上では必要であるというような観点から、条例の適用についての整理が再度行われたりというような状況も情報収集しておりますので、引き続き、いろいろな情報収集、それから、先ほど、ご指摘があったとおり、静穏な状況とか、ちょっと苦情処理に時間を要する、あるいは対応に工夫を要するような事案が増えてきているというような声も多々聞かれておりますので、いろいろな情報を収集しながら、対応について、きめ細やかに自治体に対応いただけるように整理をしてまいりたいと思います。ありがとうございます。

【畠山部会長】 それでは、大久保委員、どうぞ。

【大久保委員】 数字に関する簡単な質問ですが、ここで出ている騒音等の数値は、公調委が出している公害苦情調査の数値と、ほぼほぼ似ていますが、若干違います。これは独自に、環境省が集計しているのでしょうかということと、それから、騒音の数値の中には低周波音も全部丸めて入れ込んであるという、理解でよろしいですか。

【吉川大気生活環境室長】 まず、公調委の件数との違いでございますが、公調委さんのほうでは、典型7公害の苦情のうち、例えば騒音と振動、両方をまたがった苦情については、代表的な苦情のほうでまとめてカウントするという集計の仕方をして、典型7公害、まとめて苦情の件数を公表されておりまして、調査は、公調委さんと私どものほうで、共通して行わせていただいているんですけれども、私どもの集計のほうでは、騒音と振動、両方苦情がある場合には、騒音は騒音、振動は振動というカウントをしている関係で、件数の違いが生じているというところでございます。

 それから、ご質問をいただきました低周波音の件につきましては、こちらは、資料7-1において、ご説明を割愛してしまいましたが、低周波音の苦情は、8ページ、(5)という形で苦情件数をまとめておりまして、平成28年度、苦情件数315件となっておりました。騒音全体からすれば、315件ということで少ないですが、近年増加しているという状況にございまして、特に家庭生活に関わるものが多くを占めるという状況でございます。

 以上です。

【畠山部会長】 ありがとうございました。

 ほかにないようでございましたら……。

 じゃあ、鈴木委員、最後にお願いします。

【鈴木委員】 意見を言うほどことでもないのです。あまり今回の議論と関係ないかもしれないのですが、悪臭物質の測定法の改正という法律に照らしまして、そこに対する意見そのものではなくて、環境省さんが採用される公定の分析法が、非常にしっかりした方法ではあるのですが、私も、もっと新しい方法を積極的に入れることが効率化にもつながりますし、技術の向上にもつながると思うので、悪臭に限らず、私、幾つかの部局さんの少し慎重過ぎるかなと思うことが個人的にはありまして、私の希望としては、積極的に新しい方法を取り入れる検討をしていただけばなと思っております。悪臭は、もちろん今回いいと思いますけども、悪臭に限らずということを私は思っておりますので、一応、意見として申し上げます。

【畠山部会長】 ありがとうございました。

 いろいろなご意見をいただきました。今後、それらも含めた形で、さらなる検討は進めていただけることと思っております。

 それでは、最後に、(4)のその他ということで、事務局から何かございますか。

【萩原総務課課長補佐】 事務局のほうからは特にございません。

【畠山部会長】 それでは、これで本日の予定された議題は終了となりますが、全体といたしまして、追加で何かご意見、ご質問等ございますでしょうか。

 じゃあ、大塚委員。

【大塚委員】 第五次環境計画の点検のところで、指標の話が出ていましたが、これは今回、特に議論はなされませんでしたけども、この騒音・大気の部会と総政部会とで相談して追加していくということは、当然、あり得ると思います。そういう方向で進めていただくということでよろしいでしょうか。事務局にお伺いしたいと思います。

【畠山部会長】 事務局、いかがでしょうか。

【山田計画官】 指標につきましては、ご指摘のとおり、よく事務局とご相談して進めていきたいというふうに思っております。以前、大塚委員からも、大気関係はちょっと指標が少ないという、そういうご指摘もいただきましたので、その辺も含めて、よく検討してまいりたいと思います。ありがとうございます。

【畠山部会長】 ありがとうございました。

 それでは、ほかにないようでございましたら、本日、予定の議題を終了いたしましたので、第13回大気・騒音振動部会を終了いたします。

 私の司会がちょっと不手際で、大分時間をオーバーしてしまいましたけれども、進行を事務局にお返ししますので、連絡事項等があれば、お願いいたします。

【萩原総務課課長補佐】

 本日は、長時間にわたりましてご審議をいただき、ありがとうございました。

 本日、最終的に出席委員は、28名の出席をいただきました。

 本日の議事録につきましては事務局にて取りまとめを行いまして、委員の皆様にご確認いただいた後に、環境省ホームページに掲載をさせていただきます。

 それでは、本日の部会はこれにて終了いたします。

 本日は、誠にありがとうございました。お疲れさまでございます。