中央環境審議会 大気・騒音振動部会(第12回)議事録

1.日時

平成29年5月31日(水)10:00~12:00

2.場所

環境省 第1会議室

3.出席委員

部会長

畠山 史郎

委員 

大塚  直

酒井 伸一

崎田 裕子

高村ゆかり

町田 信夫

臨時委員

相川  誠

飯田 訓正

五十嵐仁一

石濱 正男

遠藤  真

金子 成彦

河上  豊

清谷 伸吾

坂本 慎一

塩路 昌宏

島  正之

鈴木 規之

勢一 智子

谷口 博昭

谷口 靖彦

新田 裕史

矢野  隆

山神真紀子

山本 貢平

渡辺  敦

4.委員以外の出席者

自動車排出ガス専門委員会委員長  大聖 泰弘

環境省  高橋水・大気環境局長、早水大臣官房審議官、江口総務課長

     高澤大気環境課長兼自動車環境対策課長、行木大気生活環境室長、田路環境管理技術室長 他           

5.議題

(1)今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について

(2)水銀に関する水俣条約を踏まえた水銀大気排出対策の実施について

(3)有害大気汚染物質健康リスク評価等専門委員会の設置について

(4)報告事項

   ・改正大気汚染防止法の施行後5年経過における検証について

   ・自動車排出窒素酸化物及び自動車排出粒子状物質の総量の削減に関する基本方針の中間レビュー

   ・風力発電施設から発生する騒音への対応について

(5)その他

6.配付資料

資料1-1 今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について(第十三次報告)

資料1-2 今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について(第十三次報告)参考資料

資料2   今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について(第十三次報告)概要

資料3   今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について(第十三次答申)(案)

資料4   水銀に関する水俣条約を踏まえた水銀大気排出対策の実施について(第二次報告書)

資料5-1 有害大気汚染物質健康リスク評価等専門委員会の設置について(案)

資料5-2 中央環境審議会大気・騒音振動部会の専門委員会の設置について(案)

資料6   改正大気汚染防止法の施行後5年経過における検証について

資料7   自動車排出窒素酸化物及び自動車排出粒子状物質の総量の削減に関する基本方針(自動車NOx・PM総量削減基本方針)の中間レビューの結果について

資料8   風力発電施設から発生する騒音への対応について

参考資料1 中央環境審議会大気・騒音振動部会委員名簿

参考資料2 中央環境審議会関係法令等

参考資料3 今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について(諮問)

参考資料4 自動車排出ガス専門委員会「今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について(第十三次報告)(案)」に対するパブリックコメントの実施結果

参考資料5 水銀に関する水俣条約を踏まえた水銀大気排出対策の実施について(諮問)

参考資料6 「水銀に関する水俣条約を踏まえた水銀大気排出対策の実施について(第二次報告書案)」に関する意見募集(パブリックコメント)の結果について

参考資料7 自動車排出窒素酸化物及び自動車排出粒子状物質の総量の削減に関する基本方針(自動車NOx・PM総量削減基本方針)の中間レビュー(平成28年度)

参考資料8 風力発電施設から発生する騒音等の評価手法に関する検討会報告書

参考資料9 平成27年度 大気汚染防止法 施行状況調査結果について

参考資料10 平成27年度の大気汚染の状況について

      (一般環境大気測定局、自動車排出ガス測定局の測定結果報告)

参考資料11 平成27年度の大気汚染の状況について

      (有害大気汚染物質モニタリング調査結果報告)

参考資料12 排出ガス不正事案を受けたディーゼル乗用車等検査方法見直し検討会最終とりまとめ概要

議事

【江口総務課長】 おはようございます。

 定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会、第12回大気・騒音振動部会を開催させていただきます。

 委員の皆様方におかれましては、ご多忙中、また、お暑い中にもかかわらず、ご出席いただきまして、誠にありがとうございます。

 まず、本日のご出席状況につきましてでございますが、委員の総数35名のうち26名の委員の方にご出席いただいておりまして、定足数に達していることをご報告いたします。

 なお、谷口博昭委員におかれましては、少々遅れられるというご連絡をいただいております。

 また、本日は、自動車排出ガス専門委員会から、大聖委員長にもご出席いただいております。

 本日の会議は、中央環境審議会の運営方針に基づきまして、公開とさせていただきます。

 次に、平成28年6月に開催いたしました、前回の本部会以降、本年2月に中央環境審議会の委員の改選がございまして、坂本和彦前部会長が退任され、埼玉県環境科学国際センター総長の畠山史郎委員が部会長に就任されております。どうぞよろしくお願いいたします。

 また、新たに大気・騒音振動部会にご所属いただいた方々をここでご紹介させていただきます。

 早稲田大学法学部教授の大塚直委員です。

 日本化学工業協会環境安全委員会委員長の相川誠委員です。

 東京大学大学院工学系研究科教授の金子成彦委員です。

 軽自動車検査協会理事長の清谷伸吾委員です。

 西南学院大学法学部教授の勢一智子委員です。

 国立環境研究所環境リスク・健康研究センターフェローの新田裕史委員です。

 名古屋市環境科学調査センター主任研究員の山神真紀子委員です。

 また、本日は欠席されておられますが、国立環境研究所フェローの大原利眞委員におかれましても、新たに本部会にご所属いただいております。なお、相澤好治委員、浅野直人委員、中山寛治委員、三隅淳一委員、若松伸司委員におかれましては、本部会を退任されておられます。

 続きまして、事務局側でございますが、前回部会から人事異動がございましたので、紹介させていただきます。

 水・大気環境局大気環境課長兼自動車環境対策課長の高澤でございます。

 それでは、ここで、本会議の開催に当たりまして、水・大気環境局長の高橋より、ご挨拶させていただきます。

【高橋水・大気環境局長】 皆さん、おはようございます。水・大気環境局長の高橋でございます。

 本日は、皆様、大変ご多忙の中、また、お暑い中を、ご出席を賜りまして誠にありがとうございます。会議の開催に先立ちまして、一言ご挨拶を申し上げます。

 先ほどご紹介がありましたように、本年2月の中央環境審議会の委員の改選に伴いまして、畠山委員に部会長にご就任いただくとともに、新たに8名の委員の方々にご参画をいただくことになりました。改めて厚く御礼を申し上げます。

 留任された委員の方、先生方ともども、今後の環境行政に対しまして、ご指導、ご鞭撻を賜りたく思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 本日の議題でございますけれども、答申に関わる審議事項が二つございます。

 一つ目は、今後の自動車排出ガス低減対策のあり方についての第十三次報告でございます。二輪車の排出ガス低減対策、ガソリン直噴車のPM対策及び燃料蒸発ガス低減対策につきまして、自動車排出ガス専門委員会において取りまとめをいただいたものでございます。

 二つ目は、水銀に関する水俣条約を踏まえた水銀大気排出対策の実施についての第二次報告でございます。要排出抑制施設に係る自主的取組のフォローアップのあり方について、大気排出基準等専門委員会において取りまとめをいただいたものでございます。

 なお、水銀に関する水俣条約でございますけれども、先日、5月18日に締約国が50カ国に達しまして、8月16日に発効するということが決まってございます。大変喜ばしいと思っております。

 本日は、これらの専門委員会報告についてご審議をいただきまして、部会としての答申案を取りまとめていただければと考えております。

 また、この答申に係る審議のほかに、専門委員会の設置についてもご審議をいただきまして、その後、最近の大気・騒音振動行政について幾つかご報告をさせていただきたいと考えております。

 限られた時間でございますけれども、忌憚のないご議論をいただきますようお願いをいたしまして、簡単でございますけれども、挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

【江口総務課長】 次に、お手元の配付書類についてでございますが、この議事次第の裏面に配付資料の一覧を掲載いたしております。ご確認いただければと思います。

 また、環境省では、環境負荷削減等の観点から、審議会の資料等のペーパーレス化に取り組んでおります。傍聴の皆様方におかれましては、前日までに環境省ホームページに掲載しました資料につきましては、お手元のノートパソコン、タブレット等の端末に保存いただきまして、当日ご持参いただくなど、ペーパーレス化へのご協力をお願いしているところでございます。このため、既に昨日公開済みの資料であります、資料一覧でいいますと、資料7、それから資料8及び参考資料5から11までにつきましては、委員の方々にはお配りしておりますが、傍聴の皆様方には、紙では配付を控えさせていただいておりますので、ご理解、ご協力をお願いいたします。ホームページ等でご確認いただくようにお願いを申し上げます。

 資料の不足等ございましたら、事務局のほうにお申し出いただければと思います。

 報道関係の方におかれましては、恐縮ですが、カメラ撮りは、この会議の冒頭のみとさせていただいておりますので、これ以降のカメラ撮りはご遠慮いただきますようお願いいたします。

 それでは、これ以降の進行につきましては、畠山部会長にお願いいたします。

【畠山部会長】 皆様、ご多忙のところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 中央環境審議会会長より先ほどご紹介がありましたように、大気・騒音振動部会の部会長ということでご指名をいただきました畠山でございます。今後いろいろ皆様にはご審議に加わっていただき、ご協力いただくことになりますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。

 大気環境は、日本は大気が非常にきれいな国であるということは、我々も非常に誇りに思っているところでございますけれども、まだまだ、細かく見れば、いろいろな問題点が残っているということは、また、皆さん、ご承知のことだと思います。環境省も非常に大気の保全、改善に向けてご尽力くださっているところではございますが、我々といたしましても、残されている問題を少しずつクリアしていって、さらによい大気環境、騒音振動環境を創出したいと願っておりますので、この審議会に対しましても、皆様のご協力を何とぞよろしくお願いいたします。

 それでは、議事に入る前に、中央環境審議会令の第6条第5項により、準用する第4条第3項に基づきまして、部会長に事故があるときは、部会長があらかじめ指名する委員にその職務を代理していただくと。委員がその職務を代理するということになっております。私といたしましては、これまでも部会長代理を務めていただいております、町田委員に引き続き部会長代理をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 では、まず初めに、議題の1番、「今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について」についてでございます。これは、平成8年5月21日付の諮問に対して、これまで累次答申がなされてきております。前回、第十二次答申は、平成27年2月に取りまとめられましたが、その中で引き続き検討すべきとされた課題等について、自動車排出ガス専門委員会で検討が行われてまいりまして、今般、同専門委員会の第十三次報告として取りまとめられております。そこで、これについてご報告いただきます。

 また、この報告を踏まえた第十三次答申案も、事務局案として準備されておりますので、後ほど事務局にご説明いただければと思います。

 それでは、まず、自動車排出ガス専門委員会の第十三次報告について、自動車排出ガス専門委員会の大聖委員長からご報告をいただきます。

 大聖委員長、よろしくお願いいたします。

【大聖自動車排出ガス専門委員会委員長】 ただいまご紹介いただきました自動車排出ガス専門委員会の委員長を務めております、大聖でございます。

 それでは、今後の自動車排出ガス低減対策のあり方についての第十三次報告に関して、まず、私のほうからご説明をさせていただきたいと思います。

 自動車の排出ガス低減対策について、大都市地域を中心とした大気汚染は、依然として深刻な状態にあったということなどから、平成8年5月に環境庁長官から中央環境審議会会長に対し、今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について諮問がなされまして、大気環境部会、現在の大気・騒音振動部会に付議、そして自動車排出ガス専門委員会が設置され、検討を行っております。

 これまで12回にわたって答申を取りまとめておりまして、累次の規制強化や国際基準調和を推進してきたところでございます。

 この第十三次報告では、二輪車の排出ガス低減対策、ガソリン直噴車のPM対策及び燃料蒸発ガス低減対策について取りまとめております。

 まず、二輪車の排出ガス低減対策についてでありますが、大気環境の保全及び国際基準調和の観点から、欧州におきまして2020年から導入されるEURO5の内容をもとにして、次期国内規制について検討をし、規制値や耐久走行距離など、ほとんどの項目において国際基準調和を果たすことができまして、その方針をまとめたところであります。

 次に、ガソリン直噴車のPM対策についてでありますが、これまで自動車のPM規制は全てのディーゼル車及び希薄燃焼方式のガソリン直噴車に対して実施してまいりましたが、近年、急激に増加している理論混合比のガソリン直噴車についても排出量が多いことが判明いたしましたので、同等のPM規制を導入する方針といたしました。

 最後に、燃料蒸発ガスの低減対策についてでありますけれども、光化学オキシダントやPM2.5の原因物質の一つである揮発性有機化合物を低減させるため、各種の対策の費用対効果等を踏まえまして、給油時に発生する燃料蒸発ガスの対策を導入すべく、車両側及び給油機側の双方で対策のオプションを検討し、実行可能な対策を取りまとめたところであります。

 また、この第十三次報告では、今後の検討課題についても整理しておりまして、これらの事項は専門委員会で引き続き検討してまいることにしております。

 報告書の概要につきましては、この後、事務局から説明をお願いしたいと思います。

【田路環境管理技術室長】 それでは、報告書についてご説明します。

 資料ですが、資料1-1が第十三次報告でありまして、それに付随する参考資料が資料1-2でございます。資料1-1と1-2を、今回、簡単に概要としてまとめたのが資料2でございますので、本日は資料2に基づいてご説明いたします。

 また、第十三次報告におきましては、今年4月10日から1カ月間、パブリックコメントを実施しました。10通のご意見をいただき、一部の意見については反映したものを、今回ご紹介させていただきます。

 なお、パブコメの結果は、参考資料4に取りまとめておりますので、ご参照いただければと思います。

 それでは、資料2に基づいて説明をさせていただきたいと思います。

 資料2の3ページ目でございます。まず、二輪車の排出ガス低減対策でございます。

 1枚めくっていただいて、4ページ目でございますが、二輪車の排出ガス低減対策については、中環審の第十二次答申において、国際基準への調和について検討する必要があるとされております。

 欧州では、EURO5という次の規制強化の内容が既に発表されておりまして、2020年から適用を開始する予定であります。欧州とは、国連の会合や、日本と欧州とのバイの2国間協議を重ねまして、EURO5の情報や、今後の規制に向けた調整をこれまで行ってまいりました。

 続きまして、5ページ目でございますが、これは現行の日欧の規制の内容を一覧にまとめたものでございます。左側が日本の現行の規制、いわゆる平成28年規制というものであります。中央がEURO5の規制の内容を記載しておりまして、一番右側がEURO4でございます。EURO4というのは、2016年から欧州域内において適用されております。

 EURO5では、テールパイプエミッションの規制値につきまして、現行の日本の平成28年規制と比べて、全ての物質において厳しい規制になっております。その下にWFとありますが、これはウェイティングファクターの略語でございまして、コールドスタート、ホットスタートの比率について規定したものであります。

 さらに、その下のアイドルですけれども、EURO5のアイドリングはEURO4から継続してCOが0.5%、HCは規制がないという状況でございます。

 さらに、その下のエバポですが、EURO4では2000mgであり、EURO5では1500mgに規制が強化されているという現状でございます。

 続きまして、6ページ目でございます。

 耐久走行距離については、EURO5は日本の耐久走行距離と比べると、全ての車種で耐久走行距離が長い、もしくは、規制値とセットで比べると厳しいという状況であります。

 OBDにつきましては、EURO5からOBDIIの規制が導入されます。OBDIIというのは、これまでのOBDⅠで求められていたような断線検知に加えまして、閾値診断が加わります。触媒、あるいはエンジンの失火というのをモニタして、排ガスが一定の閾値を超えるようになった場合は運転者へ通知をしないといけないという規制の内容になってございます。

 7ページ目以降は、今回お示しする対策の方針案を示させていただいております。

 まず、今般お示しする次期規制の適用時期につきましては、国際基準調和の観点やメーカーの開発期間も考慮しまして、2020年から適用を開始したいと考えております。

 続きまして、排出ガス許容限度目標値ですけれども、全ての規制物質について、現行の国内規制と比べて、EURO5の規制値のほうが厳しい状況でありますので、環境保全や国際基準調和の観点も踏まえまして、EURO5の規制値を国内にも導入したいと考えております。

 続きまして、8ページ目でございます。

 先ほど申し上げたウェイティングファクターの件でございます。日本では、ウェイティングファクターは、Class1というカテゴリーの車両が5:5、Class2というカテゴリーの車両が3:7になっております。一方、EURO5では、Class1もClass2も、両方5:5になっているのが現状でございます。

 続きまして、9ページ目でございます。

 このClass2のウェイティングファクターを5:5とする理由を欧州委員会に確認してみました。確認したところ、走行データに基づく科学的根拠ではなく、欧州域内では、Class1とClass2については同一の車両区分であるという理由が確認されました。したがいまして、科学的根拠なしに国内に欧州の基準を導入するというのは困難だと考えておりまして、当面、Class2は3:7という重み係数を維持した上で、今後、最終的に国際合意された重み係数を国内に反映したいと考えております。

 続きまして、10ページ目でございますが、これはアイドルHC規制の件でございます。

 まず、アイドルHCは、国内では測定をしておりますが、欧州では測定しないという現状がございます。基準調和の観点から、国内の最新規制適合車の使用過程における排出ガスレベルやHCとCOの相関関係等を見極めた上で、廃止するか否かを判断していきたいと思っております。

 続きまして、11ページ目でございますが、これはアイドリング規制のCOの件について書いております。

 アイドルCOにつきましては、日本は3%、欧州は0.5%という規制値になっておりまして、日本の自動車メーカーもしくは日本自動車輸入組合からヒアリングを行い、メーカーの実力や自動車検査場での機器の精度等を調査して、問題がないという確認がなされましたので、CO規制については、日本においても0.5%への規制強化を行いたいと考えております。

 続きまして、12ページ目でございます。

 燃料蒸発ガスについてでございます。これらは、先ほど申し上げたように、EURO5では2gから1.5gに強化されることを受けまして、国内でも同様の規制強化を行いたいと考えております。

 その下の耐久走行距離についてでございますが、ほぼ全ての車種において、EURO5のほうが耐久距離が長いということで規制強化になります。一部の車種では距離が短くなるものがございますが、排出ガス劣化係数及び許容限度を鑑みると規制強化になりますので、EURO5と同様の規制強化をしたいと考えております。

 続きまして、13ページ目でございますが、これはOBDについてです。

 EURO5からOBDII規制が導入されます。OBDⅠと異なり、OBDIIは触媒への劣化検知やエンジンの失火検知といったことが必要になります。この診断概念としては、技術的に対応可能ということがわかりましたので、EURO5と同様、平成32年からOBDIIを国内へ導入したいと考えております。

 しかしながら、課題もありまして、検出項目や閾値等につきましては、今後、国連のEPPRでOBDIIの国際基準をつくることになっておりますので、それらの結果を踏まえて導入していきたいと考えております。

 14ページ目でございますが、今までご説明した内容を表に取りまとめました。一番左側が現行の国内の規制、中央が次期規制強化の内容、右側がEURO5でございます。

 これを見ていただいたとおり、今回の規制強化によってEURO5と日本の規制がほぼ調和されるということになってまいります。

 続きまして、15ページ目ですが、ガソリン直噴車のPM対策です。

 めくっていただいて、16ページ目ですが、国内におけるPM規制の経緯でございます。まず、1994年の短期規制から、ディーゼル車に対してPM規制を導入してきました。ポスト新長期規制の際に、リーンバーンのガソリン直噴車に対しても同じ規制値を設けてきました。一方、欧州では、リーンバーン直噴車に限定せず、ガソリン直噴車全体にディーゼル車と同様の規制を設けているという現状でございます。

 17ページ目ですが、このグラフにあるとおり、ガソリン車のうち直噴車の割合がどんどん増加しているかと思います。この緑のところが直噴車の数でありまして、右肩上がりになっています。過去には、この直噴車でも、リーンバーン直噴車が多かったということがありますが、近年は、三元触媒が利用できるストイキ直噴車が増加しているという状況が、この表をもってわかります。

 18ページ目でございますが、環境省で行いました調査結果をお示ししております。

 これは、ストイキ直噴車のPM排出量の測定結果でございます。オレンジの棒がストイキ直噴車で、緑の棒がディーゼル車の実力でございます。見ていただいたとおり、ストイキ直噴車は、ディーゼル車に比べてPM排出量が多いということで、ストイキ直噴車においても規制の必要性が、この表を見ればわかるかと思います。

 さらに、この右側のグラフは、WLTPというモードで走行したときのPM排出量です。このモードはコールド比率が非常に高いので、今後WLTPが適用されると、さらにPMが増えるという状況にあります。

 19ページ目でございますが、ディーゼル車に比べまして、ストイキ直噴車のPM排出量は大幅に上回っている状況がわかりました。規制の公平性の観点からも、ストイキ直噴車にもPM規制を導入したいと考えております。ディーゼル乗用車と同水準のPM規制をストイキ直噴車に導入することで、さらなるPMの低減を図りたいと考えております。

 一方、インジェクターの改良や燃料噴射制御の見直しといった対策が必要でありますから、3年間のリードタイムをおきまして、平成32年末までに適用を開始したいと思っております。

 続きまして、20ページ目ですが、燃料蒸発ガス低減対策についてでございます。

 21ページ目の左側のグラフにありますように、平成18年の大防法改正によるVOC規制と自主的取組のベストミックスによって、VOC削減量は、平成12年度と比べて、平成27年度は約50%削減されている現状にあります。あわせて、その右上の折れ線グラフにありますとおり、8時間値の光化学オキシダントの新指標を用いますと、対策を始めて以降、濃度の低減効果が見られております。

 続きまして、22ページ目でございます。

 22ページ目は、VOC削減とオキシダント濃度変化をシミュレーションで確認した結果でございます。シミュレーションにおいても、VOC削減がオキシダント削減に有効であることが示されております。

 続いて、23ページ目でございます。

 23ページ目は、下の左側が固定発生源ごとのVOC排出量の内訳を記載したグラフでございます。まず、さまざまな業態で取組が進みまして、排出量は全体に大きく下がっております。一方で、一番下にある赤いところですが、燃料小売業については、削減はされているものの、他の排出源の削減が大きかったことで、相対的に排出の割合が高まってきている状況でございます。

 一方、右側のグラフは、自動車からのVOC排出量の内訳でございます。駐車時の蒸発ガスについても、排出量は下がっておりますが、テールパイプの排出量が減ってきていることから、相対的な割合が高まっているということがわかるかと思います。

 24ページ目ですが、荷卸時、給油時、駐車時において蒸発ガスが出ますので、それぞれの燃料蒸発ガス対策の技術オプションについて示してございます。

 現在、給油時の蒸発ガス対策につきましては、欧米、アジア諸国で既に規制が導入されている一方、日本国内ではまだ対策が講じられていない状況にあります。24ページ目の絵と25ページ目を見ていただきながら、お話ししたいと思います。

 まず、Stage1について、これはタンクローリーに蒸発ガスの戻り管を追加配管することで、荷卸時にタンクローリーが蒸発ガスを回収して、タンクローリーが油槽所に持って帰るという対策でございます。

 続きまして、24ページ目の左側の給油時対策です。給油時対策にはStage2とORVRという二つの方法があります。Stage2というのは給油所側の対策でありまして、給油機に蒸発ガスの吸引装置を設置しまして、給油機が蒸発ガスを回収して地下タンクに貯蔵もしくは蒸発ガスを液化して戻して、もう一度車両へ給油できるようにするという方法があります。

 一方、ORVRでございますが、これは車両が蒸発ガスを吸収するものでありまして、活性炭を封入した大型の回収装置を車両が装備することによって、蒸発ガスを吸収するものでございます。

 24ページ目の下の駐車時対策ですが、駐車時にも蒸発ガスが出ます。これはどのような対策をするかというと、活性炭を封入した回収装置を車両が装備することによって、燃料タンクから発生する蒸発ガスを吸着するとともに、燃料配管からもしみ出しという形で蒸発ガスが出ますので、その材質を変更することによって透過を抑えるという技術でございます。

 これらが技術対策のオプションでございます。

 続きまして、26ページ目でございます。

 今後、個々の三つの対策として、Stage2、ORVR、駐車時対策がありますが、それぞれについて費用対効果を算出しました。計算方法につきましては、回収したガスを再度液化して給油に使えるということで、その燃料の節減効果を考慮しまして、費用から差し引いております。

 左上にありますように、年間販売量1,000kL以上から3,000kL以上のガソリンスタンド、使用期間も、7年、14年、21年という場合分けをして、結果を示しております。Stage2の費用対効果のところには、マイナスという数字がありますが、条件によっては費用の元が取れるということでございます。

 続きまして、右側のORVRの費用対効果でございますが、ORVRはキャニスタが大きくなり、駐車時の蒸発ガスも削減できるということでありますので、給油時と合わせて駐車時の削減量も足し合わせた結果でございます。

 その下の駐車時対策として、駐車日数を、2DBLというのは2日間規制、3DBLは3日間規制へ強化した場合の試算を行いました。これらの数値を比較してみますと、Stage2が費用対効果ですぐれているということが、この費用対効果の計算結果でわかろうかと思います。

 27ページ目ですが、これらを踏まえまして、対策の方向性についてご説明します。

 まず、Stage1については、いわゆるVOC律速とされている都市部の自治体では、条例により導入済みでありますので、国がさらなる対策を講じる必要性は乏しいかと考えております。

 続きまして、Stage2につきましては、ORVRに比べて費用対効果がすぐれている。あわせて、国内でも対応機器が実用化され、導入が進んでいるという状況であります。しかしながら、規制対象のこれまでの他業種と比べますと、1給油所当たりのVOC排出量の規模は極めて小さいということで、法的規制を導入することは、並びからいっても合理的でないと考えております。また、小規模な給油所にとっては、新たな追加負担ということで、負担が大きいということも配慮しないといけないと考えております。

 続いて、ORVRですけれども、Stage2に比べて費用対効果が劣ります。あわせて、国際的な自動車の基準調和に逆行してしまうという課題もございます。

 最後に、駐車時対策については、国連において日欧主導で規制強化に向けて調整が進んでいる状況であります。

 これらを踏まえまして、給油所側、そして自動車側、双方で実行可能な対策を進めるという観点から、給油時対策につきましては、自主的取組によってStage2の導入を促進するとともに、駐車時対策としては、車両側の規制を強化したいと考えております。

 続きまして、28ページ目でございます。

 28ページ目は、具体的に今後講じていく対策の案を示しております。

 給油所側の対策としては、三つあります。一つ目は、燃料小売業の業界におきまして、給油機の更新時にStage2の設置が進むよう、業界のほうで自主的取組計画を策定して、その計画に沿って取り組んでいただきたいと考えております。

 なお、専門委員会の検討状況を受けまして、既に石油業界においては当該計画を策定し、本年3月の経済産業省産業構造審議会の小委員会において、計画について審議がされました。

 そして、二つ目の懸垂式Stage2にかかる技術実証事業ということですが、懸垂式のStage2については、まだ国内で機器が実用化されていないという状況でありますので、技術実証事業によって実用化を促進したいと考えております。

 最後に、車両側の対策につきましては、大気汚染防止法の告示改正により、駐車時の規制の強化を図りたいと考えております。

 続きまして、29ページ目ですが、駐車時の燃料蒸発ガス対策についてでございます。

 この一番上の2段になっているところでございますが、上のほうは現行の国内試験手順、下のほうは国連GTRで検討されている試験手順で、この両方を対比したものでございます。

 ここで、GTRの案ですと、パージ走行距離が32.7kmから19.8kmになっており、GTRのほうが厳しくなっています。これらの国際動向を踏まえまして、駐車時規制日数を1日から2日間へ、パージサイクルとしてWLTCのLMHMを採用、規制値も1日当たり2gから、2日間で2gとしたいと考えております。今後の技術開発の動向を踏まえまして、適用時期は、平成32年末からにしたいと考えております。

 続きまして、30ページ目は、LMHMのサイクルの参考であります。

 31ページ目に、今後の検討課題であります。

 32ページ目と33ページ目をあわせて見ていただければと思います。今後の検討課題として、まず欧州のほうではPMの粒子数の規制を既に行っており、環境省の調査では、33ページ目のグラフにありますように、PMの重量と粒子数には一定の相関関係があります。この右の表にありますように、日本の現行のPM規制値は5mg/kmでありますが、欧州の現行の粒子数の規制値を重量に換算すると、欧州の重量換算値は0.4~0.5mg/kmであり、約10分の1の排出量の規制強化となりまして、PN規制の導入というのは、実質、PM規制の規制強化につながるということで、今後、PN規制の導入について検討を行いたいと思っています。

 32ページ目の上から二つ目の将来的な検出下限粒径の引き下げについてですが、規制対象の粒径について、国連では23nm以上のPMの粒子数規制を行っています。将来的には10nmまで引き下げるという検討が進んでおり、日本としても、これらの検討に協力するために、今後行われる世界のラウンドロビン試験に参加したいと思っております。

 三つ目のブレーキ粉塵の試験法策定ですが、現在、テールパイプ規制が強化されておりまして、PMが大幅に減ってきている中、ブレーキ粉塵の排出割合が相対的に高まっている状況にあります。このような状況を踏まえまして、国連では、平成30年までにブレーキ粉塵の試験法を策定するということで合意されておりますので、日本としても知見を提供し、試験法策定に協力をしたいと考えております。

 続きまして、34ページ目でございますが、燃料蒸発ガス対策については、費用対効果や海外の動向を踏まえまして、今般、2DBL規制を提案しましたが、さらに次の規制として、3DBL規制の強化について検討したいと思っております。それが一点目でございまして、二つ目は、燃料キャップをあけたときに、パフロスという燃料蒸発ガスが出ます。これについては、自動車側で対策をとる必要がありまして、給油機側、いわゆるStage2ではこのガスは取れません。よって、今後、自動車側で対策をとる必要があると思いますので、このパフロスの排出量や対策にかかる費用を考慮した上で検討を始めていきたいと思っております。

 最後、35ページ目ですが、アイドリング規制の見直しです。

 今回、課題となりましたHC規制の廃止の可否を、今後データを蓄積しまして、検討をしていきたいと思っております。

 以上が今回の報告書の概要でございます。

 続きまして、今ご説明した第十三次報告を踏まえまして、第十三次答申案をご説明したいと思います。

 資料3をご覧いただければと思います。

 全部読み上げると非常に時間がかかりますので、ポイントだけをご説明したいと思います。

 1ページ目は前書きですので、恐れ入りますが、説明は割愛させていただきたいと思います。

 2ページ目は、二輪車の排出ガス低減対策について書かれております。

 1.1で、「モード走行に係る排出ガス試験サイクル等及び許容限度目標値」とあります。今後、排出ガス許容限度目標値については、いずれの規制物質についても現行の国内の平成28年規制に対して規制強化となることから、EURO5の規制値を採用することとし、EURO5の適用時期を踏まえ、平成32年末までに適用を開始する。

 続きまして、1.2で、「アイドリングに係る排出ガス許容限度目標値」でございます。

 欧州においてはアイドリングに係るHC規制は行われていないが、我が国において国際基準調和の観点からHC規制を廃止することについては、我が国における最新規制適合車の使用過程における排出ガスレベルを見極めた上で判断する必要があるため、当面の間、現行のHC規制を維持する。

 アイドリングに係るCOの排出ガス許容限度目標値については、EURO5の規制値と同様に規制を強化し、許容限度目標値は、モード走行に係る排出ガス許容限度目標値と同様、平成32年末までに適用を開始する。

 続きまして、1.3で、「二輪車の駐車時の燃料蒸発ガスに係る排出ガス許容限度目標値」でございます。

 燃料蒸発ガスに係る許容限度目標値については、EURO5の規制値と同様、後ろについていますが、別表3のとおりとすることにより規制を強化し、平成32年末までに適用を開始する。

 続きまして、1.4「耐久走行距離」です。

 EURO5の耐久走行距離については、一部の車両区分を除き現行の国内の平成28年規制よりも長く、耐久走行距離が短い車両の区分においても、車両の排ガスの劣化係数及び排出ガス許容限度目標値を考慮すれば、耐久走行距離に係る排ガス規制は厳しくなるため、耐久走行距離については、EURO5と同様の規制を、平成32年末までに適用を開始する。

 続きまして、1.5「車載式故障診断システム」です。

 車載式故障診断システムについては、高度な車載式故障診断システム(OBDII)を導入し、平成32年末までに適用を開始する。なお、技術開発に要する期間に配慮し、具体的な検出項目等の一部について適用を猶予することは差し支えない。

 続きまして、2ポツです。「ガソリン直噴車から排出される微小粒子状物質等に関する対策」でございます。

 大気環境の保全とともに規制の公平性の観点から、ストイキ直噴車を含む全ての筒内直接噴射ガソリンエンジン搭載車に対し、PMの排出量規制を導入することとし、PMの許容限度目標値については、ディーゼル乗用車の規制値と同様とし、平成32年末までに適用を開始することが適当である。

 3ポツが、「燃料蒸発ガス低減対策」です。

 燃料蒸発ガス対策として給油所側及び自動車側双方で実行可能な対策を進めるという観点から、給油時対策について、法的規制によらない手法(業界による自主的取組)によりStage2の導入を促進するとともに、駐車時対策として、車両側の規制を強化することが適当である。

 続きまして、3.1ですが、4ページ目でございます。

 3.1の「給油時の燃料蒸発ガス低減対策」でございます。給油時の燃料蒸発ガス低減対策については、燃料小売業界より自主的取組計画を策定し、Stage2の導入を促進することが適当である。また、他業種と同様に、自主的取組計画に基づく取組の実施状況について把握、評価及び公表をすることにより、計画をフォローアップしていく必要がある。また、都心部に多く見られる懸垂式の給油機に対するStage2については、国内ではまだ実用化されていないため、早期に実用化されるよう開発を促進すべきである。今後、国内の給油機メーカーにおいては、懸垂式を含め、より安価で回収効率の高いStage2の技術開発を推進することが望ましい。

 なお、上述の自主的取組計画については、大気・騒音振動部会自動車排出ガス専門委員会の審議状況を踏まえ、全国石油商業組合連合会が「揮発性有機化合物に関する自主行動計画」を策定し、第5回産業構造審議会産業技術環境分科会産業環境対策小委員会において報告が行われた。

 続きまして、3.2で、「駐車時の燃料蒸発ガス低減対策」についてでございます。

 駐車時の燃料蒸発ガス低減対策については、国際基準調和の観点から、規制強化を行うことが適当である。

 ①駐車試験日数:国際基準案と同様、現行の1日から2日へ延長することにより規制を強化する。

 ②パージ走行サイクル:国際的に統一された試験サイクルであるWLTCを用いることとし、パージ能力を向上させるため、現行のパージ走行に係る距離等を勘案し、国際基準案と同様、後ろについていますが、別図に示すパージ走行サイクルに変更する。

 ③排出ガス許容限度目標値:燃料配管に充填されているガソリンがゴム材質の部分からより浸透しにくくするようゴム材質を変更することとし、現行の駐車試験日数1日当たりの目標値を、2日当たりの目標値として適用する。同許容限度目標値は、平成32年末までに適用を開始する。

 続きまして、4ポツで「今後の検討課題」です。

 4.1「微小粒子状物質等に関する対策」でございます。

 従来のPM規制における測定法は、フィルターに捕集した粒子の重量を測定する手法であり、測定精度の問題から、規制値の大幅な引き下げは困難である。一方、PM重量とPM粒子数には一定程度の相関関係があることから、今後、我が国の環境基準達成状況及びPMの排出実態を踏まえつつ、ディーゼル車及びガソリン直噴車に対するPM粒子数規制の導入を検討する必要がある。

 続きまして、4.2「ブレーキ粉塵及びタイヤ粉塵に関する対策」です。6ページ目でございます。

 自動車から排出されるPMには、ブレーキやタイヤの磨耗に伴い発生する粉塵があり、これらの排出割合が相対的に高まってきている。我が国において、ブレーキ粉塵の排出特性を把握するとともに、ブレーキ粉塵の量を適切に評価できる測定法や試験サイクルを検討し、国際基準の見直し活動に積極的に参画・貢献すべきである。

 続きまして、4.3「燃料蒸発ガス低減対策」です。

 駐車時の燃料蒸発ガスについては、将来的にはより長時間の駐車にも耐え得るよう試験駐車日数を3日へ強化することが望まれる。キャニスタの大容量化等最新の技術開発状況を踏まえつつ、国際基準の見直し活動に積極的に参加・貢献すべきである。

 最後に、4.4「アイドリング規制の見直し」です。

 二輪車及び四輪車のアイドリングに係るCO及びHC規制について、使用過程車の性能維持及び国際基準調和の観点から、我が国における最新規制適合車の使用過程における排出ガスのレベルを見極めた上で、四輪車のCO規制値の強化並びに二輪車及び四輪車のHC規制の廃止の可否について検討すべきである。

 以上であります。

【畠山部会長】 大変盛り沢山の内容でございますが、コンパクトにまとめていただきまして、ありがとうございました。

 それでは、ただいまの報告及び答申案に関しまして、ご質問、ご意見ございます方は、名札を立てていただきますようお願いいたします。

 では、石濱委員、お願いします。

【石濱委員】 石濱でございます。直接の担当は道路交通騒音でございますが、この燃料蒸発ガス低減対策について、質問というよりは、私なりの意見を少し述べさせていただきます。

 いわゆる規制の対象や低減対策の対象とする、燃料を扱う状態として、給油時と駐車時との二つに一応限っていると思います。

 私ども拙い経験からの発言で恐縮でございますが、瞬間的にエバポ対策システムというものの能力がなかなか追いつかないような状態が起き得るタイミングがあります。給油をした直後に走り出すとき、ちょうど冷えたフレッシュなガソリンが給油されますので、直にあたたまると非常に多く揮発成分が発生するのではないかというようなことを少し気にしております。今後いろいろなご検討をされる上で、頭の隅にでも置いていただけると大変よろしいのではないかと考えます。

 以上です。

【畠山部会長】 ありがとうございます。

 事務局のほうから、何かコメントございますか。

【田路環境管理技術室長】 ご意見ありがとうございます。特に環境省において、いわゆるランロスについては、ほぼないと思っていますが、給油直後の挙動については、知見がございません。また、そういう知見は引き続き情報収集していきたいと思っております。

【畠山部会長】 よろしいでしょうか。今後少し検討課題なり得るということですね。

 では、勢一委員、お願いします。

【勢一委員】 西南学院大学の勢一と申します。今回から参加させていただきまして、経緯を十分に承知しておりませんので、若干的外れな点になるかと思いますけれども、その点はご容赦いただければと思います。

 一つは質問で、もう一つはコメントというかお願いです。まず、質問のほうですけれども、今回専門委員会で検討いただいた内容について、詳細にご紹介をいただきましたが、こちらの検討過程の中でいろいろなところにヒアリングをしていただいたと思います。地方自治体についてのヒアリング、もしくは意見の収集というのは、どのような形でなされたのでしょうかということをお尋ねしたいと思います。

 このように申しますのは、パブリックコメントを実施したということで、意見提出の中に地方自治体が2通入っております。もちろんパブリックコメントの仕組みとしましては、地方自治体が意見を出すことは当然求められている場所ではありますけれども、パブリックコメントの段階では、検討のステージとしては遅いのではないかと思いまして、大気・騒音について利害関係がある地域の利害をどのような形で拾っていただけたのかということを教えていただきたいというのが、1点質問でございます。

 あわせてよろしいですか。

 もう1点、コメントというかお願いですけれども、今、資料3で答申案をご紹介いただき、基本的な方針として、EURO5に合わせるという形でご説明をいただきました。大筋は現行のことでございますし、細かい技術の点ではございませんけれども、恐らく産業政策等々いろいろな事情を合わせても、それがいいというご判断だと思うのですが、かなり唐突な印象で記述されているように思いました。なぜ日本の規制基準をEURO5と合わせることがいいのかというところ、アメリカではなくてEURO5であるというところをもう少し冒頭で明示していただく必要があるように感じましたので、ご検討をお願いできればと思います。

 以上です。

【畠山部会長】 では、環境省のほうから。

【田路環境管理技術室長】 まず一つ目の自治体との件ですが、今日お示ししましたように、自治体におかれましては、例えばStage1をやっている自治体があります。あわせて給油時対策についても、いろんな関心を持たれている自治体がいらっしゃいます。

 そういった意味で、例えば九都県市の幾つかの自治体とは、この答申を出す前に情報交換をする等、自治体との連携をとって取り組ませていただいております。自治体の方向と国の方向が反対にならない、非効率にならないようにしないといけないと思っていますので、事前に情報交換をさせていただいて、今日に至っています。

 二つ目の基準の件ですが、日欧が中心になって世界の基準をつくっている状況で、日欧の基準と、もう一つアメリカの基準という図式になっています。

 日欧が基準調和で一緒になっているのは、いわゆる相互承認といいまして、日本の基準に適合したものを欧州が、欧州の基準に適合したものを日本が受け入れるという協定に基づく制度があります。そういう経緯がありまして、日欧が中心になって世界の基準をつくっているということであります。

 ただ、当然国連の場でアメリカも参加しますので、日米欧で基準調和ができるよう取り組んでいるところです。

【畠山部会長】 よろしいですか。何か追加でございますか。

【勢一委員】 丁寧にご説明ありがとうございました。

 もちろん経緯等は既に承知しておりますので、答申案のところで総論的に少し加えていただけませんでしょうかという趣旨でお願いをした限りです。

【畠山部会長】 その辺はいかがですか。

【田路環境管理技術室長】 答申案で今日お示ししました資料がございますが、もう少し具体的に付け加えるべきところを教えていただけますでしょうか。この資料3の答申案に少し何かつけ加えたほうがいいというご意見でしょうか。

【勢一委員】 すみません。こちらの答申案の仕組みを十分承知しておりませんけれども、総論的な説明があったほうがわかりやすいのではないでしょうかという私の感想です。ほかのところで十分に伝わるので支障ないというなら、それでも構いません。感想を申し上げたにすぎませんので、それ以上はもちろんこの会にお任せしたいと思っております。

【畠山部会長】 基準調和の関連については、答申案の最初の二段落目辺りに書いてございますので、その辺でご理解いただけるのではないかとは思いますが、よろしいでしょうか。

【田路環境管理技術室長】 あと答申に報告書もつきますので、報告書とセットで読んでいただければ、少しは理解が深まるかと思います。

【畠山部会長】 では、崎田委員、どうぞ。

【崎田委員】 ありがとうございます。燃料蒸発ガスの対策のところで、少しコメントをさせていただきたいのですが、今回、Stage1に関しては、既に首都圏の自治体が条例で取り組んでいるので、専門家の皆さんのご検討の結果、国が新たに取り組む必要性はあまりないというご判断がされたということで承知しております。少しコメントをさせていただきたいのは、首都圏以外にも大都市圏は日本国内にたくさんありますし、VOC対策というのは、この大気環境の分野は徐々によくなっておりますが、非常に課題が残っているということで関心の高いところです。Stage1の条例が今どういう成果を出しているのか、そして、ほかの地域ではどういう状況なのかというのをきちんとウォッチし続けていただければありがたいなと思います。

 実は自分の状況なのですが、たまたま事務所があるマンションの隣にガソリンスタンドがありまして、毎週ではなくて、何週置きかの日曜日になると、かなり臭いというか、独特の香りがしてきまして、「ああ、今日はタンクローリーが給油に来ているな」というのをいつも認識しているので、この分野の検討が進むことを非常に心待ちにしていたという思いがありまして、一言申し上げました。どうぞよろしくお願いいたします。

【畠山部会長】 その点は、いかがでしょうか。

【田路環境管理技術室長】 Stage1の取組については、首都圏だけでなく、首都圏以外の自治体も規制を導入しています。例えば愛知県、京都府、大阪府についても、Stage1に係る条例があります。すなわち、VOC律速のところでは、しかるべき対策が自治体において行われているものと理解しております。ただ、これでVOC対策が十分だと言っているわけではなく、当然環境に資する対策でございますので、ぜひ自治体のほうで、さらなる対策をやっていただくことを私どもは期待しております。

【畠山部会長】 よろしいですか。

【崎田委員】 それをぜひ、動き続けていただきたい。

【畠山部会長】 そうですね。大都市から進めて、だんだん周辺にも広がっていくというのが、一番望ましいことだろうと思います。

 大塚委員、お願いします。

【大塚委員】 全体としては基本的にこれでいいと思っているのですが、答申の2ページのところで一言申し上げておきたいのは、このHC規制の件です。当面維持されるということで、これで結構だと思いますけれども、HCに関しては、PMやVOCとの関係で問題がございます。一方で、国際標準に合わせるということは、もちろん大事だと思いますけれども、我が国の規制を残すということもあり得ると思いますので、ぜひ慎重に検討していただきたいということです。

 関連して若干質問ですけれども、このHCに関してEUが規制をしていない理由が、もしわかったら教えていただきたいということを一言申し上げておきたいと思います。お願いします。

【田路環境管理技術室長】 今回のHC規制について、これまでEUと何度も協議をしました。まず、HC規制をしない経緯をEUの今の担当者に聞いてみましたが、経緯はわからないと言われました。

 それで、日本側としてHC規制をどうしていくかということですが、いわゆる三元触媒であれば、CO、HCが連動するので、CO規制だけでもいいのではないかという意見もあります。環境省のほうで自動車からどれぐらいHCが出ているか、COとHCとの相関関係等について科学的データを取得し慎重に考えたいと思っています。HC規制撤廃というのは規制の緩和になってしまいますので、慎重に考えていきたいというスタンスであります。

【大塚委員】 それで結構ですけれども、今後EURO6とかまた出てくると思いますので、日本からも、もしHC規制が必要だということがあったら、ヨーロッパのほうに今後働きかけるようなことをなさっていただけるとよろしいかなと思います。

 私からは以上です。

【田路環境管理技術室長】 これからもヨーロッパと話す場はありますので、ヨーロッパと日本の対策の考え方についてデータをもって説明してまいりたいと思います。

【大塚委員】 ヨーロッパで決められてから、日本が合わせるかどうかという話にすると、手遅れになるかなというところがあるかと思います。

 以上です。

【田路環境管理技術室長】 少し補足ですが、先ほど石油業界のほうで自主行動計画を立てられましたと申し上げましたけれども、今後の計画としましては、2024年までにVOC排出量を2000年に比べて3割削減という目標を立てていらっしゃいます。そういった中で、Stage1の導入も今後のメニューに入っておりまして、Stage1についても積極的に業界のほうで導入をしていただけるというふうに私ども認識しております。

【畠山部会長】 今回の目玉といいますか、業界のほうの自主的な取組を前面に押し出した形になっておりますので、ぜひ業界のほうでも取組を進めていただきたいというところですね。

 山神委員、お願いします。

【山神委員】 名古屋市の山神です。

 ガソリン直噴車のPM排出量が多いという件ですが、NOx・PM法の対策地域で毎年環境省さんのほうで自動車からのPM排出量を把握されていると思います。ガソリン車の排気管から出るPM排出量は、確かゼロでカウントされていたのではないかなと思うのですが、今回かなりこのストイキ直噴車から出ているということがわかったということで、算出方法が今後変わってくるということなのかということをお聞きしたいのが1点と、ストイキ直噴車から出ているPMの成分として、元素状炭素とか、有機炭素とかあると思うのですが、組成は大体どんなものが出ていたのかというのを、ご存じでしたら教えていただきたいと思います。

【畠山部会長】 その辺の情報はございますか。

【田路環境管理技術室長】 すみません。まず二つ目のご質問について、いわゆる直噴車のPMのプロファイルですが、私どもはプロファイルまで分析したデータは今のところございません。今回、ストイキ直噴車がマスとしてPMを出しているということがわかりましたので、最初の第一歩としてストイキ直噴車にPM規制をかけ、ストイキもリーンバーンも含めて規制をかけるということでございます。

【大聖自動車排出ガス専門委員会委員長】 少し申し添えますと、直噴車のPMのほとんどが冷始動から暖機時に出るものですから、割とOCのほうがECよりも多いと思います。

【早水大臣官房審議官】 自動車のNOx・PM法の中でということですが、確かに今までの計算ではガソリン車からのPM排出量はゼロということにしているようです。理由としては、車種の割合として直噴車が非常に少ないからということでございます。ただ、今日は中間レビューについて後でご報告いたしますけれども、平成32年度まで検討が続きますので、これから最終的なものを検討する中で、そのままでいいのかどうかについては、少し検討していきたいと思っております。

【畠山部会長】 この点も今後の検討課題の一つにはなろうかと思います。

 そのほか、高村委員、どうぞ。

【高村委員】 ありがとうございます。答申案や専門委員会の報告の内容については、異論はございません。次の議題にも関係すると思いますが、少し今回のこの議題の1に関して本筋ではないですけれども、一つ要望を出しておきたいと思っております。

 資料2のスライド23ページのところに関わるところでありますけれども、VOCについて、よく規制と自主的取組のベストミックスという言われ方をします。私自身、産構審のほうの委員会でフォローアップにも関わらせていただいているのですが、実際には情報が出てこない場合、あるいはVOCの場合、規制と自主的取組の両方が入っており、出されてくるフォローアップの情報というのが、規制対象のものと自主的取組のものというのを判別できないために、結局施策として何が効いているのかというのがよくわからないという状況が今あるというふうに思っております。

 これは先ほど言いましたように、次の議題にも関わるのですが、特に今回のVOCのご提案について異論はございませんけれども、VOC全般について施策の実効性の評価がやはり非常に重要だと思っておりまして、それに見合うフォローアップあるいは情報の提供を要請していくということをお願いしたいと思っております。

 以上です。

【畠山部会長】 ありがとうございました。

 何か今のコメントに対してお答えすることはございますでしょうか。

【早水大臣官房審議官】 ご指摘のとおりだと思いますので、今後のVOC対策を検討する際に十分留意していきたいと思います。

【畠山部会長】 では、そういうふうに今後も環境省のほうで施策と結びつけて検討していくということでございます。

 ほかに追加で何かございますでしょうか。

 鈴木委員、お願いします。

【鈴木委員】 少し補足的な単にコメントです。全体に関しては、これでよろしいかと思います。ブレーキ粉塵の試験についての言及がありまして、ブレーキ粉塵の対策というのは、自動車排出ガス対策としても多分重要だと思いますが、恐らく将来的には、自動車以外の大気だけではなく、もしかしたら水や違う排出源に対しても影響し得るものではないかと私は思います。要は、検討自体は特段問題ございませんが、関連の部局ともうまく連携をして進んでいただければと希望いたします。

【畠山部会長】 今のコメントに対して、何かございますでしょうか。

【田路環境管理技術室長】 ブレーキ粉塵については、国際的にもまだスタートしたばかりでありまして、日本としても、測定法から検討をスタートしたいと思っています。評価方法に基づいて、どれぐらいの量が出ているか等の基礎データを取得して検討していきたいと思っております。また、大気以外の影響については関連部局にも適宜情報提供して、連携して取り組みたいと思っています。

【畠山部会長】 それでは、大変たくさんのご意見をいただきましたけれども、今後の自動車排出ガス低減対策のあり方についての第十三次答申(案)につきまして、この本案のとおり、大気・騒音振動部会として了承し、この内容で会長へ報告したいと思いますが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

【畠山部会長】 ありがとうございます。

 それでは、ご審議いただいた本第十三次答申(案)については、ご了承いただきましたとおり、本部会の決議として、中央環境審議会の武内会長に報告させていただきます。

 その上で、会長の同意が得られましたら、中央環境審議会議事運営規則第6条第1項の規定に基づきまして、審議会の決議としていただき、大臣への答申の手続をとらせていただきます。

 本件について、事務局から何かございますか。

【田路環境管理技術室長】 本日は、今後の自動車排出ガス対策のあり方についての第十三次答申(案)について取りまとめていただき、どうもありがとうございました。

 この後、中央環境審議会より答申をいただきましたら、これを受けて、環境省として告示改正等を行ってまいります。

 あわせて、今日お示ししました今後の検討課題についても引き続き取り組んでまいりますので、今後とも引き続きよろしくお願いいたします。

【畠山部会長】 では、続きまして、第2の議題といたしまして、水銀に関する水俣条約を踏まえた水銀大気排出対策の実施についてでございます。

 これは平成27年12月18日付の諮問に対して、具体的な排出基準や測定方法などについて、昨年6月に第一次答申が取りまとめられました。

 今回は、要排出抑制施設における自主的取組のフォローアップのあり方について、大気排出基準等専門委員会において、第二次報告書が取りまとめられましたので、ご報告いただきます。

 本件の報告につきましては、坂本委員長から事務局に委任されておりますので、事務局から報告をお願いいたします。

【田村補佐】 では、事務局のほうからということで、資料4についてご説明させていただきます。

 では資料4、第二次報告書ということでございます。

 1枚めくっていただきまして、目次がございまして、1ページ目、これまでの経緯ということで、これまでの検討経緯について簡単にご記載いただいております。

 大気汚染防止法につきましては、平成27年6月に改正、公布されておりまして、その中で、排出基準の遵守、水銀濃度の測定等を義務づけされております。

 2段落目の真ん中辺り、「さらに」のところですけども、水銀排出施設以外で水銀等の排出量が相当程度多い施設であって、その排出を抑制することが適当である施設を「要排出抑制施設」と位置づけ、自主的取組を求めていくことを規定しております。

 その後、平成27年11月には、施行令が一部改正されまして、水銀排出施設、規制対象となる施設が規定をされておりまして、その後、平成27年12月に中央環境審議会に、具体的な水銀排出施設の種類や規模、排出基準等についてご検討いただき、あわせて自主的取組の状況の把握や評価のあり方についてご検討いただくということで、諮問させていただきまして、12月21日に本部会に付議されているということを書いております。

 平成28年1月から、大気排出基準等専門委員会が設置され、それ以降、検討がなされているということでございます。

 昨年6月に、第一次答申ということで、水銀排出施設、いわゆる規制対象施設の種類や排出基準、それから要排出抑制施設の種類、それから測定方法に関して答申をいただきまして、それらに関しましては、昨年9月に大気汚染防止法の施行令及び施行規則の改正がなされて、水銀排出測定方法についても告示されているということでございます。

 その後、秋以降、また専門委員会において、要排出抑制施設に係る自主的取組の状況のフォローアップのあり方ということでご検討をいただきまして、今回の第二次報告書を取りまとめていただいているという状況でございます。

 では、「2.要排出抑制施設」についてですが、一つ目の段落については、27年答申の内容、法改正の前の答申について書かれているところです。その内容を踏まえまして、改正大気汚染防止法第18条の32というところになりますが、「工場又は事業場に設置される水銀等を大気中に排出する施設のうち、水銀等の排出量が相当程度多い施設であって、その排出を抑制することが適当であるものとして政令で定めるもの」ということで、要排出抑制施設が規定されております。

 この政令に定めるものということにつきまして、前回の第一次答申のほうに書いておりまして、次のページを見ていただきますと、4ページに国内における主要排出源ごとの大気排出量が書いてあります。赤で囲っている五つ、いわゆる規制対象施設のもので、大きいものはセメント製造施設、廃棄物焼却施設それぞれが3分の1ぐらい出ておりまして、左上の鉄鋼製造施設が2.5t、15%程度出ているということでございます。その鉄鋼製造施設のうち、どういった施設から出ているかということについて、図2に記載してまして、焼結炉の部分から72%、それから電気炉の部分から22%、この二つの施設を合わせて94%出てるということですので、この鉄鋼製造施設の二つの施設について要排出抑制施設として「製銑の用に供する焼結炉」及び「製鋼の用に供する電気炉」が要排出抑制施設ということで、平成28年の政令で規定されました。

 別のページに進みまして、3ポツ、6ページ目ですけども、「要排出抑制施設における自主的取組の内容」でございます。

 1段落目は、平成27年答申の内容でございまして、それを踏まえて、先ほど申しましたように、改正大気汚染防止法のほうで規定されていますが、要排出抑制施設を設置しているものは、「その要排出抑制施設に係わる水銀等の大気中への排出に関し、単独で又は共同して、自らが遵守すべき基準を作成し、水銀濃度を測定し、その結果を記録し、これを保存することその他の水銀等の大気中への排出を抑制するために必要な措置を講ずるとともに、当該措置の実施の状況及びその評価を公表しなければならない。」と規定されております。

 この部分について、自主的に要排出抑制施設において対応していただくことになります。下に四つポツを書いておりますけども、自主管理基準を設定すること。濃度を測定し、記録・保存することなど、項目書きで書いております。

 留意事項として、なお書きのところで書いています。一つ目のポツのところが、自主管理基準の設定に関することでございまして、自主管理基準を設定する際には、水銀排出基準の設定に係る考え方や海外における規制動向を参考にして設定することが望ましいということであります。二つ目のポツについては、濃度測定に関することでして、環境省の告示方法で濃度測定していただきたいということです。

 三つ目のポツとしましては、公表に関することでして、国民が容易に情報を入手できるような状態でホームページ等で評価後速やかに公表することが望まれるということが書いてあります。

 そして、四つ目、「自主的取組のフォローアップの方法」というところで、フォローアップのために必要な情報について整理をしていただいております。

 まず一つ目の自主管理基準の設定に関することです。これに関しましては、基準の内容とともに、当該基準設定に当たっての考え方に関する情報も必要な情報としてあるのではないかということが書いております。

 それから、二つ目です。排出抑制措置に関することということで、新たに講じた措置に加えて、従前からこれまでに継続的に実施している水銀除去に寄与している排出ガス処理設備などに関する情報も必要ではないかということで書いております。

 それから、三つ目が、達成状況及び評価・公表に関することということで、大きく三つの情報が必要ではないかということです。それから、頻度と方法についてです。水銀大気排出インベントリーを年度単位でつくっておりますので、自主的取組のフォローアップについても年度単位で実施することが適当であるということが書いてあります。

 また、次のページ、一番上ですけれども、国において、こういった情報を収集して、評価・公表の状況を整理して、また、自主的取組のフォローアップのために追加的な情報が必要な場合には、それぞれ個別に設置者等に情報提供を求めることが適当であると書いております。

 5番目、「自主的取組のフォローアップにおける評価」ということです。評価の方法、仕組みについては、国が収集して整理した自主的取組に関する情報について、中央環境審議会、大気排出基準等専門委員会において、以下の視点から評価するとともに、助言する事項があれば、整理して必要によって設置者等に情報提供することが適当であると書いております。

 また、そういった個別のものだけではなくて、フォローアップの進め方、この制度全体についても改善点等があれば、整理して国に提言することが適当であるということが書いてあります。

 さらに、産業構造審議会のほうでも自主的取組による成果の評価を行った場合、その結果も踏まえて評価を行うということも適当ではないかということが書いています。

 なお書きの部分については、会議の公開等に関することです。特定の者に不当な利益もしくは不利益をもたらすおそれがある場合には非公開といった配慮が必要ではないかということが書いてあります。

 それから、評価結果の公表方法についてですが、インベントリー等も公表しますので、その公表にあわせて、国のホームページで公表することが適当ではないかということで書いております。

 六つ目、「インベントリーの策定」についてです。鉄鋼製造施設からのインベントリー策定については、排出係数であったり、製品年間生産量といった情報も提供される必要があるということが書いております。専門委員会のほうでこの大気排出原単位の精度に留意しておく必要があるのではないかということでご意見をいただいておりますので、ここで記述されています。

 それから、7番目、「自主的取組を推進するための方策」です。自主的取組を実効性のあるものにするためには、事業者への制度の周知が肝要ということですので、今後、自治体の協力のもと、ばい煙発生施設の届出情報なども活用して情報提供を行うなど、あらゆる機会を捉えて自主的取組の実施を推進する必要があるということが書いてございます。

 それから、「今後の課題」については、5年後、改正大気汚染防止法附則条項で5年後を目途に必要に応じて見直すということが書かれていますので、5年を目途に必要に応じて見直しを行うことが適当であると書いております。

 参考資料1に委員の名簿と、参考資料2にこれまでの検討経緯、審議経過について書いております。

 また、専門委員会の第二次報告書案につきまして、今年の3月31日~4月28日までパブリックコメントの募集を実施しておりまして、参考資料6に結果を示しておりますが、2件の意見がございまして、1件は対象外でしたが、1件については、施行規則の名称を正確に記載すべきということでご意見があり、文言修正して反映しております。

 以上で、早足になりましたけれども、説明のほうを終わらせていただきたいと思います。

【畠山部会長】 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの第二次報告書の説明に関しまして、ご意見、ご質問のある方は名札をお立ていただきたいと思います。

 では、崎田委員、どうぞ。

【崎田委員】 ありがとうございます。水俣条約対応の検討に参加しておりましたので、今回、水銀排出事業者の自主的な取組方法に関して、ご専門の皆様でしっかりと審議をし、このような詳細の内容を固めていただいてありがたいと思っております。

 なお、この結果の数字をどういうふうに公表するかということに関し、7ページの上のほうに、ホームページなどで国民が容易に情報を入手できるように公表すると書いてありますが、規制対象施設がきちんと国の審議会などでフォローアップ、あるいは評価を受けるときに、ぜひそういうときにも自主的に同時に公表していただいて、規制対象施設と自主的取組施設の両方の状況を一緒に検討することが可能となるような、そういうような配慮をお願いしたいなというふうに思います。

 そのほうが、やはり社会全体でどういうふうに対策が進んでいるかという成果を共有でき、そして、今後、世界に発信するときなどもきちんと全体の数字、状況を把握できるのではないかなというふうに思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

【畠山部会長】 個別の施設等についても公表しようということでございますか。

【崎田委員】 最初の審議のときに参加をしておりました。それで、鉄鋼施設は、国内で見ると排出量が多いけれども、条約の規制対象ではないので、どうするかという議論をしたときに、規制対象に加えるのではなくて、規制対象ではなく、自主的に取り組むけれども、しっかり取り組んでいただくということで審議がまとまったと記憶しております。

 今回、それをどういうふうにやるのかということに関してまとまった話だと思いますけれども、ぜひこれを評価とか公表のときに、規制対象施設の審議をする場で一緒に自主的なデータを鉄鋼業界の皆さんも出していただけると、日本の全体の取組状況が多くの人にとって一緒に共有できるのではないかなというふうに思います。どうぞよろしくお願いします。

【畠山部会長】 その点に関しまして。

【田村補佐】 先生、ありがとうございます。

 水銀大気排出インベントリーを日本国のほうで整理をして公表してまいる予定ですので、そこにおいては、規制対象施設ごとにそれぞれどれだけ出しているということも算定していますし、この鉄鋼製造施設の部分もまとめて整理を出させていただきたいと思います。おっしゃるように一緒にという形での公表になっていくと思いますので、そのようにさせていただきたいと思います。

【畠山部会長】 では、石濱委員、お願いします。

【石濱委員】 専門外なんで素朴な質問になって恐縮ですが、日本の公害病の名前がついた国際条約ということでちょっと関心を持っておりますので質問させてください。

 個別の事業所での総水銀排出量というのは、なかなか把握、あるいは計測したりするのは困難だということで、ある規模の事業所についての濃度規制と、あとはインベントリーという大変現実的で実行可能な方法だというふうに感心して聞いていたんですけれども、これは、国際条約の中で、日本がある程度リーダーシップを発揮できるようなレベルの内容だというふうに理解してよろしいでしょうか、今回のご提案というのは。

【田村補佐】 基準等につきましては、第1次答申のときにご検討いただきまして、海外の諸国の排出基準と遜色ない水準というふうに答申の中にも書いております。

 今回の要排出抑制施設の鉄鋼部分の自主的取組については、海外においては5施設、いわゆる規制対象施設のみで規制をしていきましょうということですが、日本国においては、こういった日本国で排出量の多い部分の施設について、自主的に管理をして対応していくということでは、世界ではない形の取組になっていると考えております。

【早水大臣官房審議官】 水銀の条約交渉を担当しておりましたので、その立場で補足させていただきます。この大気の排出削減につきまして、条約の中における規制対象施設については、いわゆるBAT/BEPで対応するということになっておりまして、BAT/BEPのガイダンスだか、ガイドラインだかちょっと忘れましたが、それについては、各国専門家に集まっていただいて、検討した上で、それを最終的にCOPで決めるということになっております。その中に日本からも専門の方に加わっていただいておりますので、条約で採用されるBAT/BEPのもとになるものについては、日本からの提案も含まれているということでございます。

【畠山部会長】 よろしいでしょうか。

 では、高村委員、お願いします。

【高村委員】 ありがとうございます。2点ございます。

 1点は、崎田委員、それから、今、早水審議官のお答えに関わるところですけれども、水銀条約で対象施設になったのは世界の排出例の大きいものを入れるということで、必ずしも日本の排出の実態とは合致をしていないという認識は、この議論の中で、ここの場での議論でもあったと思います。

 当然、法規制対象事業者との公平性の観点からも、今の改正大防法というのはあると思っていまして、何を申し上げたいかといいますと、若干、自主的取組というところで誤解が生じないような配慮は必要かなというふうに思っているという点が1点目であります。

 何かといいますと、先ほどのVOCは、いわゆる規制プラス自主的取組という形で小規模の排出事業者に対して自主的な取組を促すということでありますけれども、今回の要排出抑制施設の自主的取組というのは、法令上は、やはり6ページのところにありますように、管理基準の設定ですとか記録の保存等々の措置というのは、これは義務づけだというふうに理解をしておりまして、その水準は、それぞれの事業者のところの自主的な設定に委ねるという、そういう内容だというふうに理解をしております。

 この報告書の変更をしていただくということは申しませんけれども、そこの点はきちんと、いわゆるVOCなどで言っている自主的取組というのとは少し法令上も位置づけが違うということはきちんと理解をする必要があるのではないかと。これは、逆に言うと、周知をする必要もあるのではないかというふうに思っているという点であります。これが一つであります。

 それから、二つ目が、これは崎田委員のご意見にも関わるかもしれませんが、フォローアップのところでぜひ専門委員会のところでお願いをしたいと思いますのは、実際の排出実態と排出抑制措置については、やはり個別の施設の状況が明確になるような情報の提出とフォローアップをお願いしたいという点であります。

 これは、二つ理由がありまして、一つは、もちろんグローバルな水銀リスクをゼロにするというのが水銀条約の本来の目的でもありますが、当然、水銀の排出が地域住民の大気のリスクとなっていくということからいっても、個別の施設の状況がやはりきちんと、少なくとも専門委員会のフォローアップでは明らかになるべきであろうということ。それから、やはりどういうふうに改善の余地があるのか、可能なのかという議論もやはり個別の施設の実態が明らかになりませんと、議論ができないというふうに思っております。

 したがいまして、先ほどと同じように、こちらの報告書の文言をこう変えていただきたいという趣旨ではございませんけれども、フォローアップがそうした趣旨に従ってしっかり行われるということを確保いただきたいというふうに思っております。

 以上です。

【畠山部会長】 環境省のほう、いかがですか。

【田村補佐】 2点ご意見をいただきまして、一つ目のいわゆる周知徹底というところについては、9ページの「7.自主的取組を推進するための方策」というところでも、この報告書に記述いただいているとおり、きっちりと自治体とも連携しながらということで進めてまいりたいというふうに考えておりますので、国としてはしっかりとやっていきたいと考えておるところでございます。

 それから、フォローアップにおいて、個別の事業所の色々な対策の情報ということについても、今ご意見をいただきましたとおり、必要な情報の中に、7ページの4の必要な情報の②のところに、従前から継続的に実施している水銀除去に寄与している排出ガス処理設備などに関する情報というものも書いておりますので、こういったところで各事業所様からの情報をいただきまして、きちっとフォローアップして対応させていただきたいと思います。

【畠山部会長】 では、そのように環境省のほうでも今後、取り組んでいくということでございます。

 鈴木委員、どうぞ。

【鈴木委員】 インベントリーの策定について、排出係数とか生産量と情報についてご提供いただくというご指摘、これは大変いいことだと思いますが、あと、引き続き、インベントリーについて、このつくり方は一般的に書かれておりますけれども、今ここでも一部議論と関係しますが、対策技術によって原単位をどのように修正する、補正するという考え方は当然ございまして、その辺の技術的なことに関しての知見は、多分、世界的には非常に欠けているところがあるし、日本から発信されている情報は非常に少ないような気もいたします。

 ですので、特にこれはこれで進めてよいと思うのですが、排出原単位、この年単位等の設定、あるいは排出係数の設定、あるいは、そこに設定すべき生産量をとっておりますが、別なパラメータがいいということも多分あり得ますので、インベントリー策定の技術的な方法について、これから知見も集まってくると思いますので、引き続き、少し精査、検討を続けていただければと思っております。

 以上です。

【畠山部会長】 一応、9ページの6番の最後のところに今後も国においては精度に留意して作業を進めるというような注意書きが入っておりますけれども、確かにそのような精度についての今後の改善といったことも取組の一つにはなろうかと思います。

 環境省のほう、いかがですか。

【田村補佐】 インベントリーの策定においては、また専門家の先生方のご指示も仰ぎながら、検討会等で作成作業を進めていきたいと思いますので、またご意見等、いろいろと教えていただけたらと思いますので、よろしくお願いいたします。

【畠山部会長】 では、山神委員、お願いします。

【山神委員】 廃棄物焼却施設に関することなんですけれども、現在、水銀の除去のために活性炭を噴霧するやり方をしているかと思うんですが、活性炭の種類なのかメーカーなのかちょっとわかりませんけれども、使った活性炭によって除去率が大分違うみたいで、もともと活性炭自体が水銀用ではなくてダイオキシン用に噴霧しているということなので、どの活性炭が水銀の除去に向いているかという情報がなくて、使ってみて初めて、落ちたか、落ちていないかというのがわかるというような状況になっているようですので、市町村のほうに、水銀を低減するためにはどういった活性炭が向いているとかという情報がもしあれば、情報提供していただきたいなというのがお願いであります。

【畠山部会長】 すみません、今の件は、ちょっと今回の第二次報告書の対象ではないような気がしますけれども、何か。

【田村補佐】 今、現時点では持ち合わせておりませんので、今後、自治体様といろいろな情報共有をする場もあるかと思いますので、そういったところでご質問等があれば、我々が持っている情報についてはご提供させていただきたいと思います。いろいろな知見等をこれから国においても集積していきたいと思いますので、また対応させていただきたいと思います。

【畠山部会長】 ありがとうございました。

 では、酒井委員。

【酒井委員】 ありがとうございます。ちょっと今のやりとりをお聞きしておりまして一つ発言をさせていただきます。

 早水審議官のほうから条約への貢献として、BAT/BEP知見での日本の貢献という、こういう方向性、ご指摘をされました。恐らくは、個別の排出技術等々でのそういう知見が今後しっかりと提供されていくことは極めて重要かと思います。

 加えて、今日、委員のほうから出た意見を拝聴しておりまして、やはり今回の要排出抑制施設での自主的な取組のシステムとしての貢献、これをしっかりと毎年モニタリングされていく、その成果を知見として世界に出していくということが、より重要なのではないかなというふうに感じております。

 そうした意味で、そのところの条約事務局との接点情報をどうつくり上げていくのかということも、ぜひ、専門委員会の中の大きなミッションというふうに位置づけていっていただければ、しっかりと個別の努力が世界にも見えるという意味で重要かと思いますので、ぜひこのシステム対応としての貢献の部分を、個別BAT/BEPに落とし込むことも非常に重要ですが、よりシステムとしての貢献の知見にまとめ上げていただくということをお願いしたいなというふうに思います。よろしくお願いいたします。

【畠山部会長】 今のご指摘に何か。

【早水大臣官房審議官】 ご指摘ありがとうございます。大気の関係は、先ほど少し申し上げましたが、BAT/BEPにつきましては、現時点での議論は大体終わっておりまして、あと、この秋に開催されるCOPでおそらく内容的に採択するところまでいっているかと思います。

 それも最初の議論でありまして、今後どうしていくか、例えばBAT/BEPのガイダンスを更新するのかどうか、あるいは、今5施設しか規制対象になっておりませんが、それをまた追加していくのかどうか、現在の条約の内容で発効すると、それを各国が遵守していくことがまず第一でございますが、その次に、条約の内容が今度どうなっていくのか、BAT/BEPのガイダンスなり、あるいは規制対象施設がどうなっていくのかという議論をどういうふうにしていくかというのも、まさしくこれからCOPが重ねられるにつれて進めていくことになると思います。その中で、確かに、今規制対象になっていない施設に対して、日本がこういうことをやっているということを発表していくステージもあろうかと思いますので、その辺り、今後のCOPの進め方などをフォローする中で留意していきたいと思います。ありがとうございます。

【畠山部会長】 最後に大塚委員、お願いします。

【大塚委員】 この会議に参加させていただいていましたので、話さなくていいかなと思っていたんですけれども、いろんなご議論がございましたので一言だけ申し上げておきますが、この報告書の作成に当たって、この会議の任務としては、最初のほうにあったように、国際競争との関係とかということもあったと思いますけれども、条約のほうで対象にしていない鉄鋼についてどう扱うかということで、自主的取組にするということは前提とした上で、この会では議論されたものですから、その中でできるだけの対応をしていくということを書き込んだということだと思います。

 先ほど来、ご議論がございますように、そもそも国内においては鉄鋼から排出される水銀の量がそれなりに多いものですから、そこをどう見るかという問題、もともとあることはあるんですけれども、自主的取組で対応するという中で、できるだけのものを盛り込んだということかと思いますので、さらに改善の余地があれば、今後検討していく必要があると思いますけれども、そのような趣旨であったということだけちょっと申し上げておきます。

【畠山部会長】 ありがとうございました。追加のご説明をいただきました。そのような趣旨で要排出抑制施設に関する自主的取組が進められることになったわけでございます。

 大変申し訳ありません。私、司会が不慣れなものですから大分時間を使ってしまいまして、まだまだたくさん議題があるんですけど、大分終了時間に近づいてしまったんですが、大きな修正のご意見ということはなかったようですので、この水銀に関する水俣条約を踏まえた水銀大気排出対策の実施についてに係る専門委員会からの第二次報告につきまして、報告のとおり、大気・騒音振動部会として了承し、この内容で部会の第二次報告として会長へ報告したいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。

(異議なし)

【畠山部会長】 ありがとうございます。

 それでは、本日ご審議いただいた報告の取り扱いですが、ご了承いただきましたとおり、この内容について、本部会の決議として中央審議会の武内会長へ報告させていただきます。その上で、会長の同意が得られましたら、中央環境審議会議事運営規則第6条第1項の規定に基づいて、審議会の決議としていただき、大臣への答申の手続をとらせていただきます。

 本件について、事務局から何かございますか。

【高澤大気環境課長】 本日は、水銀に関する水俣条約を踏まえた水銀大気排出対策の実施につきましてご審議いただきましてありがとうございました。

 中央環境審議会から答申をいただきましたら、その内容を踏まえまして、水銀大気排出規制の自主的取組のフォローアップを進めてまいりますので、引き続きよろしくお願いいたします。

【畠山部会長】 それでは、続きまして、議題3といたしまして、有害大気汚染物質健康リスク評価等専門委員会の設置についてでございます。

 これは、有害大気汚染物質の健康リスクの評価や環境基準値、指針値の設定などを行う専門委員会の設置に関するものです。詳しくは事務局から説明をお願いいたします。

【前田補佐】 それでは、資料5-1、5-2について説明をさせていただきます。

 まず、5-1をご覧ください。「有害大気汚染物質健康リスク評価等専門委員会の設置について(案)」でございます。

1、設置の趣旨でございます。

 平成8年の大気汚染防止法の改正によりまして、有害大気汚染物質対策の制度化がなされ、同年10月には平成7年の今後の有害大気汚染物質対策のあり方についての諮問に対する中央環境審議会第2次答申におきまして、有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質及び優先取組物質が掲げられました。

 平成9年2月には、ベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンについて、平成13年4月にはジクロロメタンについて、それぞれ環境基準が設定されました。

 また、平成15年~26年の間になされました中央環境審議会での答申を受けまして、優先取組物質のうち9物質につきまして指針値が設定されたところでございます。

 平成26年にWHOの外部機関である国際がん研究機関が、トリクロロエチレンの発がん分類をグループ2Aから1に厳しく見直したところでございます。これを受けまして、環境省では、平成9年に設定されましたトリクロロエチレンの環境基準を再評価するために、最新の科学的知見を集積いたしまして検討を進めてまいりました。また、並行して、指針値の設定がなされていない物質の指針値の設定、また、既存の健康リスク評価のあり方、いわゆるガイドラインの改訂についても検討を進めてまいりました。

 こういった状況を踏まえまして、健康リスク総合専門委員会を再編いたしまして、新たに専門委員会を設置し、トリクロロエチレンを初め優先取組物質の環境基準や指針値の設定及び再評価、健康リスク評価のあり方の改訂、さらには、必要に応じまして、有害大気汚染物質に該当する可能性のある物質及び優先取組物質のリストの見直し等について調査検討を行うことといたします。

 従前の健康リスク総合専門委員会との違いでございますが、これまでの健康リスク総合専門委員会において検討してきました事項に加えまして、有害大気汚染物質の環境基準の設定、再評価について検討できるようにしたということになります。

 2には、本委員会での主な調査検討事項を記載しております。

 また、本資料の裏面ですけれども、参考といたしまして、現在の有害大気汚染物質の位置づけを概括的に整理したものを載せております。

 続きまして、資料5-2をご覧ください。「中央環境審議会大気・騒音振動部会の専門委員会の設置について(案)」でございます。

 中央環境審議会議事運営規則の第9条第1項の規定に基づきまして、部会の専門委員会は決定されるということになっております。今回新たに専門委員会を設置いたしますので、その改正案でございます。

 「1、中央環境審議会大気・騒音振動部会に次の専門委員会を置く。」のところで、一番上にあります健康リスク総合専門委員会を廃止いたしまして、有害大気汚染物質健康リスク評価等専門委員会を新たに設置するということにいたします。

 本専門委員会における所掌事務につきましては、裏面の8のところをご覧ください。有害大気汚染物質健康リスク評価等専門委員会においては、有害大気汚染物質による健康リスクの評価等に関する専門の事項を調査するといたします。

 以上で専門委員会の設置についての説明は終わらせていただきます。

【畠山部会長】 ありがとうございました。

 ただいまの説明につきまして、ご意見、ご質問のある方は名札をお立てください。よろしいでしょうか。

(なし)

【畠山部会長】 特にご意見、ご質問等ないようでございましたら、それでは、中央環境審議会議事運営規則第9条第1項に基づき、「中央環境審議会大気・騒音振動部会の専門委員会の設置について」を案のとおり改正して、健康リスク総合専門委員会を廃止し、有害大気汚染物質健康リスク評価等専門委員会を設置することとしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

【畠山部会長】 ありがとうございます。

 中央環境審議会議事運営規則第9条第2項では、専門委員会に委員長を置き、部会長の指名によりこれを定めるというふうにされております。私といたしましては、この専門委員会の委員長を新田委員にお願いしたいと思いますが、新田委員、よろしくお願いいたします。

 なお、資料5-2の「中央環境審議会大気・騒音振動部会の専門委員会の設置について」に基づき、専門委員会に属すべき委員、臨時委員及び専門委員は、私から後日指名の手続をとらせていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、続きまして議題4の報告事項について、3件あるようですけれども、事務局のほうから報告をお願いいたします。

 まずは、最初の報告を事務局からお願いします。

【廣田補佐】 それでは、最初に大気環境課から資料6を用いて改正大気汚染防止法の施行後5年経過における検証についてご報告をいたします。

 こちらの経緯でございますが、平成18年ごろに大企業も含めた一部事業者において、ばい煙量等の測定結果の記録改ざん等の事案が相次いで明らかになったことから、平成22年5月に大気汚染防止法の一部が改正され、平成23年4月から施行されております。改正法による新たな制度・規制については、その附則において、施行後5年を経過した場合において、改正後の大気汚染防止法の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは規定について検討を加え、必要な措置を講じるものとするとされております。今回、改正法の施行後5年を経過したということで、その検証を行っております。

 改正事項及び施行状況についてでございますが、2の(1)ばい煙量等の測定結果の未記録等に対する罰則についてでございますけれども、こちらは、排出測定データの改ざん事案の発生を受けて、ばい煙排出者に対して、これは従来から規定のあったばい煙量等の測定結果の記録に加えまして、その記録の保存を義務づけるとともに、これらの義務に違反して記録せず、虚偽の記録を行い、または記録の保存を行わなかった者に対する罰則を設けたものでございます。

 この規定の施行状況については、平成28年度の施行状況調査とアンケートにより調査を行いまして、次の裏面の表1のとおり、測定結果の記録及び保存等に係る行政指導が行われているということを確認いたしました。

 まず、虚偽の記録についてでございますが、こちらは平成27年には1件、行政指導が行われております。この事案は、大気汚染防止法施行規則に規定をされております、ばい煙量等の測定記録表に排出ガス量の虚偽記載が行われ、当該排出ガス量から計算される硫黄酸化物の量についても、虚偽の記載となったものです。こちらの事業者については、その後、市の指導により再発防止等の実施状況について、定期的に市に報告を行っているということでございます。また、測定結果の未記録については4件、未保存については38件の行政指導がございまして、こちらも都道府県等による指導の結果、改善の対応が行われているということでございます。

 なお、平成23年度以降、ばい煙量等の測定結果の未記録、虚偽の記載等に関する告発の例というのはございませんでした。

 (2)番のばい煙に係る改善命令の発動要件の見直しについてでございますけれども、こちらは改正前の大気汚染防止法では、人の健康、または生活環境に係る被害を生ずると認められる、いわゆる被害要件がある場合に改善命令を行うことができるとされていたところですが、こちらを改正して、排出基準等に適合しないばい煙を継続して排出するおそれがあると認められる場合には、被害要件がなくともばい煙発生施設の構造の改善等を命ずることができるとしたものでございます。こちらの施行状況につきましては、都道府県等へのアンケートにより調査を行い、この被害要件を伴わない場合の改善命令が行われた例というのが1件、平成27年において1件ございました。

 また、都道府県等からは、現場指導の際に改善命令を――改善命令まで至らない場合であっても、現場指導の際に改善命令を背景とした行政指導が可能となり、命令に至る前に改善が図られることが増加したというような回答も得られております。

 次のページでございます。最後に(3)番でございますが、事業者の責務規定の創設。こちらは、事業者による取組が、業種や規模を問わずに継続的に実施され、大気環境への負荷が軽減されるように、事業者の自主的な取組を効果的に促進するという観点から、事業者は、ばい煙排出の規制等に関する措置のほかに、その事業活動に伴うばい煙排出等の状況を把握するとともに、ばい煙の排出抑制に必要な措置を講ずるようにしなければならないこととしたものでございます。

 こちらの施行状況でございますが、都道府県等に事業者の取組についてアンケート調査を行いまして、表2にその事例を掲載しております。法の基準より厳しい自主目標値の設定、あるいは、測定義務がない施設での自主的な測定、燃料や施設の改善等の取組が行われているということでございます。

 最後に、検討結果ということで、これらの施行の状況を踏まえた検討結果でございますが、まず、(1)のばい煙の測定結果の未記録等に対する罰則については、これまで都道府県による告発が行われた例はございませんけれども、測定結果の未記録、未保存及び虚偽の記録について、都道府県等による指導が行われており、その結果、改善が図られているという状況でございます。このため当該の規定は、事業者によるばい煙量等の測定結果の適正な記録及び保存に寄与しているものと考えられます。

 次に、ばい煙に係る改善命令の発動要件の見直し、(2)でございますが、こちらは当該地点による改善命令の例が見られたほか、現場指導の際に、この改善命令を背景とした行政指導が可能となり、命令に至る前に改善が図られたとの回答もありました。このため、当該規定は事業者による排出基準の遵守に一定の効果があったものと考えられます。

 次のページで、最後、(3)番でございます。事業者の責務規定でございますが、都道府県等を対象とした調査では、事業者において、自主目標値の設定等の取組が実施されているとの回答がありまして、この当該の規定によって事業者による自主的な取組が促進されているものと考えられます。

 以上のことから、これらの規定の運用は事業者及び都道府県等による公害防止対策等の効果的な実施に寄与しているものと考えられ、今後も引き続き、施行の状況を注視していくこととしたいと考えております。

 以上でございます。

【畠山部会長】 ありがとうございました。本件は報告事項でございますが、ご報告いただいたように、改正法は適正に運用されているものと考えられるようでございます。今後も引き続き、施行の状況を注視していくということでよろしいでしょうか。何か特段にご質問、ご意見等ございましたら、お受けいたしますが。

(なし)

【畠山部会長】 特にご意見はないようですので、報告どおりに進めていただくことといたしたいと思います。

 次に、報告事項の二つ目と三つ目を続けてご報告いただきたいと思います。

 二つ目の報告は、自動車排出ガス総合対策小委員会の委員長の飯田先生からご説明をお願いします。

【飯田委員】 小委員会の委員長を務めました飯田のほうから、自動車NOx・PM総量削減基本方針の中間レビューについて、その結果を報告いたします。

 この中間レビューの背景ですが、平成23年3月に改正された自動車NOx・PM総量削減基本方針において、「施策の進行の的確かつ継続的な把握と評価に努め、総合削減計画の進行管理を着実に実施するものとする」としております。また、平成24年11月に中環審の答申でございます、「今後の自動車排出ガス総合対策のあり方について」におきまして、自動車NOx・PM法に基づく対策について、平成27年度の中間目標の達成状況、評価等を行うことにしております。

 この平成27年の区切りにおいて、この小委員会を発足いたしまして、平成27年11月25日の第8回の小委員会、それから9回、10回、3回審議を行いました。平成29年2月には、いわゆるパブリックコメントを実施した上で、3月23日に第11回目の小委員会を開催して、この「自動車排出窒素酸化物及び自動車排出粒子状物質の総量削減に関する基本方針の中間レビュー」を取りまとめました。詳細は、お手元の参考資料7がその報告書でございます。その中から、要点について概要をご紹介させていただきたいと思います。

 まず、二酸化窒素につきましては、平成27年度の区切りで、対策地域内の自排局、現在208局ございます。そのうち207の測定局で環境基準を達成しておりまして、いわゆる常時監視測定局全局の達成という中間目標は達成できてはおりません。1局だけ達成できないところがございましたが、これまでの総量削減施策による濃度改善効果が着実に現れているものと考えられます。

 それから浮遊粒子状物質については、対策地域内の自排局202局で測定と監視を行っておりますが、こちらについても1局を除いた201の測定局で環境基準を達成しております。こちらも全局達成という中間目標は達成できておりませんでしたが、非達成の主な要因を調べていきますと、自動車の発生源に起因するものではないと推測されます。総量削減対策の目的は達成しているものと評価いたしました。

 それから、自動車の単体対策、それから次世代自動車の普及促進と、自動車NOx・PM法総量削減基本方針に掲げる各分野における施策は、概ね順調に進捗していることを確認させていただきました。

 それから、対策地域内の各都道府県別に見ましても、この総量削減が概ね順調で進んでいること、それから、その排出量に影響する要因を把握しつつ、目標達成が確実に図れるよう、必要な措置を講じる必要があるとしております。

 それから、総量削減基本方針の平成32年度における対策地域において、環境基準の確保を図る目標、これの評価指標、すなわち常時の監視測定局に加えて、数値計算によるシミュレーション、それから簡易測定法を行って評価する方法を確立いたしました。これは答申において測定局のポイントのみでなく、対象地域を面として達成するようにと。いわゆるホットスポットも含めた達成を目標にして、評価すべきとのご指示をいただいております。ですから、測定局以外の領域については、評価する方法はございませんでしたので、このシミュレーション技術と簡易測定を活用して評価する手法を確立したものでございます。

 この基本方針の最終目標年度である平成32年度までに、この目標の達成を図るために、上記の評価手法を活用して対策を要する地区等を絞り込み、必要な対策を検討・実施していく必要があるというふうに結ばせていただきました。

 以上が、中間レビューの結果でございます。

【畠山部会長】 ありがとうございました。

 それでは、続けて三つ目の報告については、事務局からお願いいたします。

【行木大気生活環境室長】 それでは、三つ目の報告事項といたしまして、大気生活環境室から資料8を用いまして、風力発電施設から発生する騒音等への対応について、ご報告をいたします。

 風力発電施設から発生する音は、通常それほど大きいものではありませんが、日本では、もともと静かな地域につくられるということもございまして、苦情などが発生することがありました。また、風車から低周波音が出ていて、その健康影響があるのではないかという懸念が寄せられることもありました。

 環境省では、平成25年から局長諮問検討会を設置いたしまして、座長を町田先生に務めていただき、それから、矢野先生のご参画もいただきまして、風車騒音の評価方法につきましてご検討いただきました。検討会では、平成28年11月に報告書を取りまとめ、公表をいたしました。なお、報告書をつくる過程では、パブリックコメントの手続もとっております。

 報告書の内容を、お手元資料8、表紙から大きな数字で通し番号がございますが、その通し番号で2ページから6ページまでが検討会報告書の概要、それから、報告書の本体は、参考資料8としてお手元にお配りをしております。

 環境省では、報告書を踏まえまして、資料8の7ページからとなりますけれども、風力発電施設から発生する騒音に関する指針、それから、資料13ページからとなりますが、測定マニュアルをこの5月26日に策定いたしまして、自治体に通知をさせていただきました。

 それでは、簡単にポイントだけをご紹介させていただきたいと思います。

 資料8、冒頭からの検討会報告書概要をご覧いただきたいと思います。

 3ページですが、まず低周波音に関してです。低周波音というのは、一般には100Hzを下回る低い音ということでして、特に、20Hzを下回りますと、人間には基本的には聞こえないとされ、超低周波音と呼ばれております。この超低周波音、音圧レベルが高いと圧迫感などを感じるなどとされております。

 日本で実際に風車騒音をはかったところ、20Hz以下の超低周波音につきましては、全て知覚閾値を下回っておりました。したがいまして、風車騒音は、聞こえない音、超低周波音の話ではなく、聞こえる騒音の問題として取り上げるべきとされました。

 それから、3ページの下でございますけれども、風車騒音とほかの環境騒音を比べますと、私ども、その100Hz以下の低周波音とされる音も出ているわけですけれども、そのほかの環境中によくある音と比べてまして、特に低周波音を卓越しているわけではございませんでした。

 続きまして、4ページでございます。我が国でも、実測を含む研究、それから国内外の健康影響に関する文献を整理して知見を整理いたしました。風車の音は、周辺住宅辺りでは、それほど大きくはない。美術館の中程度というレベルでございますけれども、その羽が回って風を切るときに出るシュッシュッといった独特の音がございます。それから、機種によりましては、ブーンといった純音性の音が出ることがございます。そのため、より耳につきやすく、わずらわしさにつながりやすいという傾向があるという特徴がございます。特に静かなところですと、35~40dBを超えるとわずらわしさの程度が上がり、睡眠への影響のリスクを増加させる可能性があるということが示唆されておりました。

 なお、その風車から出る超低周波音、それから低周波音と健康影響につきましては、明らかな関連を示す知見というのは確認されておりません。

 5ページからでございますけれども、これまでご紹介しました知見を踏まえまして、評価の考え方といたしまして、風車等については、その場での残留騒音。残留騒音というのは、いわば、その場所での背景的な騒音と申しますか、特定できる一過性の音を除いた騒音でございますが、残留騒音から風車騒音により増える分を5dBまでに抑えるようにしようということが評価の目安とされました。ただし、とても静かなところでは、残留騒音から5dBまでということですと、不必要に厳しくなってしまうこともあるということで、それ以上は評価の目安を厳しくしないという下限値を定めることとされました。

 下限値といたしましては、通常40dBとするのですけれども、ただし周辺が30dBを下回るような特に静かなところ、あるいは病院など静穏を要するもの、特に静穏を要する施設があるところ。それから、地域によって特別に保存すべき音環境があるところにつきましては下限値を35dBにすることとされました。こういった報告書に基づき、7ページ以降は、先ほどご紹介いたしました指針を定めたところでございます。

 なお、その風車騒音のはかり方というのは、通常の環境騒音と大きく異なります。普通の環境騒音では、マイクに風が当たって雑音が生じるのを避けるため、風が強いときには騒音測定をしないようにするということとされておりました。

 一方、風車騒音につきましては、風が吹いていて風車が稼働するときに測らないと意味がないということがございまして、風車騒音のためのマニュアルというものを先ほどご紹介しましたとおり策定をしたところでございます。

 マニュアルでは、一定の大きさ以上の防風スクリーンをしっかり使うことといったことですとか、風の状況とあわせて騒音をはかるということを指定しております。24ページにその風況、風の状況のはかり方、それから騒音をはかる場合のイメージ図などがつけておられるところでございます。

 以上、簡単でございますが、ご報告させていただきます。

【畠山部会長】 ありがとうございました。ただいま2件続けてご報告をいただきました。これらについては報告事項ではございますが、ご意見、ご質問等のある方いらっしゃいましたら、お願いいたします。

 山本委員、どうぞ。

【山本委員】 山本です。

 風力発電の指針のこと、ありがとうございます。平成24年10月から、風力発電所が法アセスの対象となって以来、風車騒音の保全目標というものがありませんでした。ということで、事業者が独自に保全目標を設定してアセスを進めてきたわけですけども、今回、この指針ができたということは、政府の見解が示されたということですので、これは一定の評価ができると思います。

 一方、その風車騒音の人に対する影響を未然に防止するという観点からいたしますと、この資料8の8ページの4行目のところにある内容、これは「特定の周波数が卓越した音(純音性成分)が発生することもあり、騒音レベルは低いものの、より耳につきやすく、わずらわしさ(アノイアンス)につながる場合がある」ですが、この部分については、今後、政府としても、その影響に対する見解をきっちりと出していただきたいと思っています。

 その理由ですけれども、今から10年ぐらい前に、風車の音がさまざまな地域で問題になったということが知られておりまして、平成22年春には、そのうちの3カ所について環境省さんが調査をされて、一つの分析結果を発表されています。

 その結果というのは、3カ所について音のレベルはそんなに大きくなかったけれども、周波数特性の中に非常に特徴的なものが見られたということです。すなわち、音の中に卓越した純音性成分があったということです。3カ所とも共通でしたので、やはり、この特徴が人への影響との関連性が高いのだろうなというふうに示唆されているわけですね。

 一方、平成24年10月以来、現在まで、風力発電のアセス案件がどんどん増えています。聞くところによると、現在までの4年半の間に1,500万kwの発電能力が計画されているということですので、法アセスになる前の既設風車の発電能力の6倍ぐらいのものが計画されているということです。再生可能エネルギーを導入する、推進するという意味では、非常にいいことだと思います。しかし、その計画の中に音の大きさのレベルの問題ではなくて、音の質として問題を起こすようなものがあっては困るということです。したがって、この辺の見解を出すための研究は、ぜひ今後とも進めていただきたいという意見です。

 ありがとうございました。

【行木大気生活環境室長】 ありがとうございました。

 先生ご指摘のとおり、その純音性成分の音というのは、人の感じるわずらわしさに大きく影響を与えるのではないかということで、私どもも非常に重要な課題と思っておりまして、今年度から少し関連する研究も推進しようとしているところでございます。

 この今ご紹介いたしました指針、それからマニュアルの中では、測定マニュアルの通し番号35ページ、風車騒音の算出のところの注2におきまして、風車のカタログ表示事項の中で純音性可聴度が5dB以上の機種が採用されている場合、JIS等に基づきまして純音性可聴度を把握することが望ましいとさせてはいただいているところでございます。まだその純音性成分の音につきましては、国内外でもその影響について十分明らかになっている段階ではないと思います。しっかり知見を集めて、今後しっかり検討していきたいと思います。

【畠山部会長】 では、今後の検討をよろしくお願いします。

 そのほかには特にご質問、ご意見ないようでございます。

 それでは、最後に、議題5のその他ということで、参考資料がまだ残っておるようですけれども、事務局から何かございますか。

【田路環境管理技術室長】 それでは、参考資料12に基づいてご報告申し上げます。

 平成27年に発覚しましたフォルクスワーゲン社の排ガス不正事案を受けまして、平成27年10月から環境省と国交省で合同検討会を設置し、今年4月に検討会の最終取りまとめがまとまりましたので、本日ご報告申し上げます。

 参考資料12の2ポツですが、この検討会のもと、環境省と国交省で、実際国内で販売されている車両を用いまして路上走行によるデータ取りをしました。その結果、2ポツの一つ目の丸ですが、国内において販売台数が多い車両について調査を行いまして、全ての調査車両でフォルクスワーゲンと同様の不正ソフトがないということがわかりました。

 二つ目、一部車種を除き、気温等の影響で原働機等の保護制御が働き、シャシダイ試験と比べてNOxが数倍から最大10倍程度出ていることがわかりました。これは保護制御といいまして、エンジン保護のために排出ガス低減装置の停止や減量をするという制御をやっておりまして、この影響でこのような結果になりました。

 3ポツの今後の対策ですが、このような結果を踏まえまして、検討会において保護制御ガイドラインを策定しました。このガイドラインというのは、こういう条件においては保護制御を働かせていいということを具体的に明確化したものでございます。

 二つ目は、国交省において路上走行検査を導入し、NOx排出量のCF値を2と設定しました。このCF値というのは、台上試験に対して路上走行時の排出量を何倍まで認めるかという値です。これらガイドライン及びCF値に基づく路上走行検査は、2022年から適用を開始することとしています。

 最後に、4ポツの今後の検討課題ですが、技術的な必要性を踏まえつつ、技術開発動向等に応じて保護制御ガイドラインを見直すということで、環境省としましては、大気環境保全の観点から、極力保護制御が働かない方向で排出ガスを減らしていくことが大切だと考えており、技術開発動向等に応じて保護制御ガイドラインを見直していくことが必要だと思っております。

 あわせて、今般、CF値を2としていますが、今後、技術開発や国際動向を踏まえまして、さらに小さくする、もしくは、現在、NOxだけが対象物質になっていますが、他の物質を対象物質に追加するかについても検討していきたいと思っています。

 いずれにしましても、環境省と国交省が連携して、路上走行時の排出ガス実態を今年度以降も引き続き調査し、ここに掲げられた検討課題に係る検討を行っていきたいと思っております。

 最後に、最終取りまとめホームページとありますが、本最終取りまとめの報告書は、このアドレスにアップしておりますので、もしご興味がある方はご覧になっていただければと思います。

【畠山部会長】 ありがとうございました。

 それでは、本日の予定された議題は終了となりましたが、全体を通してご意見、ご質問等はございますでしょうか。

 石濱委員、どうぞ。

【石濱委員】 1分で終わります。道路交通騒音を担当している委員として、ここにご出席の皆様に少しお願いがあります。

 昨年確かパリ条約というのが批准をしたと思いますが、これは我が国が国際的にCO2発生量の削減を約束しており、この約束を果たしていくためには、自動車のタイヤの転がり抵抗というものを下げることが必須でございます。

 それから多くの人命が失われている交通事故ですが、特に雨天時のスリップによる事故が多く、これもタイヤに関係しているわけです。また、環境省が設定している騒音に関する環境基準がなかなか達成できない地域が残っていて、正確ではありませんけれども、大体5%前後の測定地点で環境基準は達成されていません。

 この主たる要素はタイヤ騒音です。エンジンは技術開発が進んでいまして、かなり静かになっていますけれども、タイヤというのは、それ自身が振動を発生しているのではなく、路面から振動を受けてしまうため、やむなく音を出しているという面があったりしますし、自動車が重いと大きなタイヤをはかなければいけなかったりします。そういう狭間の中にタイヤというものがあって、CO2発生や人命、騒音環境に影響が出ているということです。

 これまで環境対策というのは、自動車単体騒音規制やタイヤ性能規制といった個別のジャンルで対策を進めてきていますが、どうもこれは道路を含めてシステム的な環境対策をとっていかなければいけないのではないかと思っております。管轄している省庁というのが、いろいろ多岐にわたっておりますので、つないでいける母体というのは、多分、この中央環境審議会、あるいは、この傘下の委員会ぐらいしか、私の知る限り思い当たらないのです。そういう意味で、このタイヤを中心とするいろいろな環境問題について、なるべくうまく前進していけますように、委員の方々や、官庁の方々のご協力、今後ぜひお願いしたいということでございます。

 以上です。

【畠山部会長】 ご提言ありがとうございました。

 環境省のほうは何かコメントありますか。特にないですか。今後、もし必要な場合には、そういう問題についても取り上げていくということになろうかと思います。

 酒井委員、お願いします。

【酒井委員】 本日の議題の3番目の健康リスク評価等専門委員会、この設置には全く異論ございませんでしたので、そのとき発言しませんでしたが、少しちょっと、期待を込めた発言、ちょっと、少しさせていただきます。

 この今回、環境基準の検討、あるいは優先取組物質リストの検討といったようなところの検討、これは、ある意味では環境行政の一丁目一番地的な、基本的な政策展開であろうというふうに理解をしております。加えて、他の環境政策を横断的に展開される上でも基礎となる、極めて重要な指標ということになってまいります。

 そういった意味で、今回こういった専門委員会の設置をお考えになったこと、極めて重要というふうに見ておりますので、ぜひ、この方向での成果に期待をするということで、期待の意味を込めた発言というふうにさせていただきます。ぜひ、優先取組物質の中でも、今回、水俣条約の水銀は既に取り組まれておりますが、それ以外も、PoPs条約等々で新たな規制物質というのは相当国際的にも見えてきておりますので、そういったところへの展開も考えていただければということで、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

【畠山部会長】 酒井委員、ご提言ありがとうございました。

 ほかには、ございませんでしょうか。

 それでは、そのほかないようでしたら、本日の予定の議題は全て終了しましたので、第12回大気・騒音振動部会を終了いたしたいと思います。私の司会の不手際で、大分時間を超過してしまったことをお詫び申し上げます。

 では、進行を事務局にお返ししますので、連絡事項等あればお願いいたします。

【江口総務課長】 長時間にわたりましてご審議いただき、ありがとうございました。本日の議事録につきましては、事務局にて取りまとめを行いまして、委員の皆様方にご確認いただいた後に、環境省のホームページで掲載させていただきます。

 また、本日、委員の皆様には、大変多くの資料をお配りしておりますので、もし郵送をご希望の場合には、その旨書き置いていただければ、後日事務局より送付させていただきます。

 本日は、誠にありがとうございました。