大気排出基準等専門委員会(第16回)議事録

1.日時

令和6年3月8日(金)14:00~16:50

2.場所

場所:環境省水・大気環境局会議室3(WEB会議併用ハイブリッド方式)

3.出席委員

委員長   高岡 昌輝   

委員    浅利 美鈴   伊藤 茂男   大野 香代
      大橋 博信   黒坂 則子   鈴木 規之
      萩野 貴世子  守富 寛    山川 茜
      横山 唯史

4.委員以外の出席者

環境省
前田  大臣官房審議官
筒井  水・大気環境局環境管理課長
鈴木  水・大気環境局環境管理課 環境汚染対策室長
百瀬  水・大気環境局環境管理課 環境汚染対策室長補佐
奥野  水・大気環境局環境管理課 環境汚染対策室長補佐
本多  水・大気環境局環境管理課 環境汚染対策室係長

5.議事次第

1.開会
2.議題
 (1)水銀排出施設における水銀濃度の測定結果について
 (2)要排出抑制施設における自主的取組のフォローアップについて
 (3)水銀大気排出インベントリーについて
 (4)今後の水銀大気排出対策について
3.閉会

6.配付資料

資料

 ・資料1   中央環境審議会大気・騒音振動部会大気排出基準等専門委員会委員名簿
 ・資料2   水銀排出施設における水銀濃度の測定結果について
 ・資料2別紙 水銀排出施設における水銀濃度の測定結果について-5年分-
 ・資料3-1  要排出抑制施設における自主的取組のフォローアップについて
        (令和5年度分)
 ・資料3-2  鉄鋼連盟等3団体等における自主的取組のフォローアップにおける令和5年度の大気排出基準等専門委員会の評価(案)
 ・資料4   令和3年度水銀大気排出インベントリーについて
 ・資料5-1  前回委員会における指摘事項等について
 ・資料5-2  水銀に関する水俣条約を踏まえた水銀大気排出対策の実施について
        (第三次報告書(案))
 ・資料5-2  水銀に関する水俣条約を踏まえた水銀大気排出対策の実施について
  別紙1   (参考データ)
 ・資料5-2  諸外国の水銀規制状況
  別紙2
 

参考資料

 ・参考資料1 中央環境審議会関係法令等
 ・参考資料2 水銀に関する水俣条約(一部抜粋)
 ・参考資料3 大気汚染防止法(昭和43年法律第97号、一部抜粋)
 ・参考資料4 大気汚染防止法施行令(昭和43年政令第329号、一部抜粋)
 ・参考資料5 大気汚染防止法施行規則(昭和46年厚生省・通商産業省令第1号、
        一部抜粋)
 ・参考資料6 排出ガス中の水銀測定法(平成28年環境省告示第94号、令和4年
        改正)
 ・参考資料7 水銀排出施設の種類及び排出基準
 ・参考資料8 要排出抑制施設と水銀排出施設の比較表
 ・参考資料9 水銀自主的取組の実績等について(2024年2月20日 一般社団法人日
        本鉄鋼連盟、普通鋼電炉工業会、一般社団法人日本鋳鍛鋼会)
 ・参考資料10 要排出抑制施設における自主的取組について(第3版)(2019年5月 
        一般社団法人日本鉄鋼連盟、普通鋼電炉工業会、一般社団法人日本鋳鍛
        鋼会)
 ・参考資料11 水銀に関する水俣条約を踏まえた今後の水銀の大気排出対策について
        (答申)(平成27年1月23日 中央環境審議会)
 ・参考資料12 水銀に関する水俣条約を踏まえた水銀大気排出対策の実施について
        (第一次答申)(平成28年6月14日 中央環境審議会)
 ・参考資料13 水銀に関する水俣条約を踏まえた水銀大気排出対策の実施について
        (第二次答申)(平成29年5月31日 中央環境審議会)
 

議事

午後 2時00分 開会
【本多係長】 定刻となりましたので、ただいまより中央環境審議会大気・騒音振動部会第16回大気排出基準等専門委員会を開催いたします。
 私は、環境省水・大気環境局環境管理課環境汚染対策室の本多と申します。何とぞよろしくお願いいたします。
 本日の出席者のご紹介ですが、資料1をご覧ください。本日、委員11名全員のオンラインでの参加をいただいております。
 続きまして、本委員会の事務局を紹介させていただきます。
 前田大臣官房審議官でございます。
【前田審議官】 前田でございます。よろしくお願いします。
【本多係長】 また、環境管理課から課長の筒井がオンラインにて、環境汚染対策室から鈴木、百瀬、奥野、本多が出席しております。
 続きまして、本日の資料の確認をさせていただきます。委員の皆様には事前に電子ファイルで資料一式を送付させていただいております。資料は1から5-2、参考資料は1から13でございます。
 今、画面で議事次第の配付資料のページを投影させていただいておりますので、ご確認をお願いいたします。なお、不備がございましたら事務局まで、チャットなどでご連絡いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、これ以降の議事進行につきましては、高岡委員長にお願いいたします。高岡委員長、よろしくお願いいたします。
【高岡委員長】 ありがとうございます。本日、皆様お忙しい中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
 では早速、本会議の進行を務めてまいりたいと思います。
 本日の議題はこちらに挙げております四つの議題がございます。
 では、まず議題の1から議論を始めたいと思います。水銀排出施設における水銀濃度の測定結果について、でございます。
 本日は議題が多く、しかも水銀5年後点検・見直しの結果を本専門委員会の報告書案としてご審議いただく予定です。委員の皆様には円滑な運営にご協力いただくとともに、事務局は簡潔な説明に努めるようお願いいたします。
では、事務局から資料2の説明をよろしくお願いいたします。
【奥野補佐】 環境省環境管理課環境汚染対策室の奥野でございます。私の方から資料2に基づきまして、水銀排出施設における水銀濃度の測定結果について、説明をさせていただきます。
 資料を共有させていただきます。説明する内容ですが、目次に掲載のとおりとなります。
 始めに、大気汚染防止法の概要です。
 水銀に関する世界的な動向ですが、「水銀及び水銀化合物の人為的な排出から人の健康及び環境を保護すること」を目的として、2013年10月に水俣条約が採択されました。2017年8月に発効され、2024年2月末時点の締約国数は148となっています。
 水俣条約の締約国が取り組むべき大気排出対策ですが、以下の四角囲みにある5種類の発生源に対して、新設時に、利用可能な最良な技術(BAT)、環境のための最良の慣行(BEP)が義務付けられており、また、既存の施設についても各国の事情に応じた措置の導入が求められます。
 さらに、水銀大気排出量に関する各国のインベントリーの作成・維持が規定されています。
 このような水俣条約の動向を受けまして、我が国におきましても、2018年4月に改正大気汚染防止法が施行されました。大気汚染防止法では、規制対象施設である水銀排出施設から水銀等を大気に排出する者に対して、施設の設置・変更時の事前届出、排出基準の遵守、水銀濃度の測定、その結果の記録、保存などが義務付けられております。
 また、大気汚染防止法では、水銀等の排出量が相当程度多い施設で、排出を抑制することが適当である施設を「要排出抑制施設」として定めています。
 具体的には、製銑の用に供する焼結炉と製鋼の用に供する電気炉ですが、これらの施設の設置者は、自ら遵守すべき基準を作成し、水銀濃度の測定・記録・保存を行い、その実施状況と評価を公表するなど、排出抑制のための自主的な取組を行うこととなっています。
 また、国におきましては、水銀の大気排出状況を把握し、その結果を公表することとなっています。
 続きまして、水銀排出施設の設置状況でございます。
 水銀排出施設の情報は、事業者から地方公共団体を経由しまして、環境省が収集・集約して公表しております。
 こちらはスライド9ページですが、このような情報を収集・集約しております。
 これ以降ですが、水銀排出施設の設置状況の集計結果について、順次説明させていただきます。
 まずは、水銀排出施設数、設置事業所数でございます。水銀排出施設の届出施設数は、令和4年度末時点で4,348施設ございます。うち、稼働している施設は3,814施設となります。令和3年度末の稼働施設が3,857施設でしたので、43施設減少しております。水銀排出施設の設置届出事業所数は2,560事業所あり、うち、稼働中の事業所数は2,272となります。水銀排出施設が多い都道府県は、下の表のとおりとなります。
 続きまして、水銀排出施設の種類別の施設数と割合です。先ほど説明しましたとおり、稼働している水銀排出施設は全国に3,814施設ございますが、種類別に見ますと、最も多い施設は廃棄物焼却施設で、一般廃棄物の焼却施設が2,018施設で全体の53%、産業廃棄物の焼却施設が1,081施設で全体の28%を占めています。
 水俣条約における施設区分別に施設を集計した結果がスライド13ページですが、こちらのとおりになります。先ほどもお伝えしましたとおり、廃棄物の焼却施設が全体の約9割を占める結果となっています。
 続きまして、排ガス中水銀濃度の測定結果でございます。
 水銀排出施設の設置者には、排出基準の遵守及び水銀濃度の測定が義務付けられています。施設の種類ごと、新設、既設の区分ごとに遵守すべき排出基準が定められており、排出基準は表のとおりとなります。
 水銀濃度の測定に関する規定ですが、測定対象は、排ガス中のガス状水銀と粒子状水銀を合算した全水銀となります。その測定方法は、煙道等の排ガスを一定時間採取し、そこに含まれる水銀を、分析機関等が定められた方法(バッチ測定)により分析を行う方法が現在決められております。試料採取・分析方法は告示で定められております。
 測定頻度は排ガス量により定められておりまして、4万Nm3/h以上の施設については、4か月を超えない作業期間ごとに1回、排ガス量が4万Nm3/h未満の施設については、6か月を超えない作業期間ごとに1回測定をすることとなっております。
 測定結果の超過の判断方法ですが、排ガス中の水銀濃度は施設で扱う原料や燃料に大きく依存するため、平常時における平均的な排出状況を捉えたものを適切に確認する必要があります。そのため、排出基準を上回る濃度が検出された場合には、定められた期間の中で再測定を実施し、排出基準超過の判断を行います。
 こちらの図は具体的なフローを示していまして、定期測定の結果、排出基準を超過した場合は、3回以上の再測定を実施することとなります。定期測定と3回以上の再測定の結果のうち、最大値・最小値を除く全ての結果の平均値を排出基準に照らして評価します。その結果、超過した場合には都道府県へ連絡し、原因究明と再発防止を行うことになり、排出基準以下となった場合には、全ての結果を記録し、3年間保存することになります。
 事業者が実施する水銀濃度の測定結果ですが、法では設置者に対して測定結果の報告義務は課していないため、地方公共団体が任意で情報提供を受けた結果を環境省が収集・集約しています。
 下の表のとおり、測定結果だけではなく、測定に関する情報を提供していただいています。
 20ページ目は、測定結果の提供施設数と集計結果となります。先ほどお伝えしましたとおり、任意の報告にはなるのですが、測定対象施設3,692施設のうち、測定結果の提供があった施設数は3,682施設で、回収率は99.7%と高い結果となっております。
 測定結果の未提供施設が10施設ございますが、提供いただけなかった理由ごとの内訳を上の方に記載させていただいています。まず、法律の認識不足による未測定の施設というのが4施設、設備の不具合による未測定施設が1施設、年度末に稼働を開始したために令和4年度内に測定ができなかったという施設が5施設ございました。なお、法律の認識不足による未提供施設につきましては、地方公共団体からの指導により、令和5年度は測定が実施されたという報告も併せて受けております。
 続きまして、測定結果と排出基準値を比較した結果となります。測定結果を提供いただいた3,682施設のうち、排出基準値を一度も超過しなかった施設は3,627施設で、全体の98.5%を占めています。排出基準値を一度でも超過した施設数は55施設でした。
 この排出基準超過が確認された55施設のうち、再測定の結果、49施設が基準値内、3施設が基準値超過、3施設が再測定未実施という結果でございました。なお、基準値超過が確認されました3施設につきましては、表の下の注釈2に記載しておりますが、所管する行政庁の指導のもと、搬入される廃棄物の分別の周知の徹底が実施され、その後の測定では基準値内であることを確認しています。また、再測定未実施の3施設につきましては、同じく注釈3のとおりで、1施設は休止中、残り2施設はその後の定期測定により基準遵守が確認されております。
 続きまして、排出基準値の超過が確認された測定結果と排出基準値を比較した結果となります。令和3年度には基準値の28倍の超過の結果が確認されていましたが、令和4年度はこちらの表のとおりで、最も高い施設でも5.8倍の超過に収まったという結果でございます。基準超過の原因ですが、原料中の水銀濃度の変動、廃棄物等への水銀の混入などが事業者から報告されています。
 続きまして、再測定の実施期間についてです。再測定の実施期間ですが、概ね法律の定める期間内に実施されていますが、一部の施設では法律が定める測定日を遵守できずに、それを超過して測定をするという施設も確認されました。
続きまして、粒子状水銀の省略要件を満たしている施設についての解析になります。水銀の測定については、ガス状と粒子状の水銀を測定し、その合計の全水銀の濃度で基準遵守を判断していますが、事業者の負担軽減から、一定の要件を3年間継続して満たしている施設につきましては、翌年から粒子状水銀の測定を省略することができるという規定がございます。省略のための要件は、こちらに表示しております四角囲みの①から③のとおりとなります。
 今、説明しました省略要件を図示しますとこちらのとおりとなりまして、3年間要件を満たせば、3年目以降、粒子状水銀を省略することができるようになります。
 要件を満たした施設数ですが、3,682施設のうち、3年間継続して要件を満たしている施設は2,595施設ございまして、全体の70%となっています。このうち、令和4年度に実際に粒子状水銀の測定を省略した施設は43施設でして、全体の1.2%、省略要件を満たす施設の1.7%にとどまっています。
 スライドの29ページ以降は、水銀排出施設の種類別の詳細な解析となります。
 水銀排出施設の種類別に令和4年度の測定結果をこちらに掲載しています。下に記載の①から⑦の内容をそれぞれ集計したものとなっております。細かい結果につきましては、時間の都合上、説明は省略させていただきますが、基本的には昨年度と同様の傾向が確認されています。
 資料2の別紙ですが、先ほどの結果は令和4年度の結果だったのですが、こちらは平成30年度から令和4年度までの5年分の結果について同様の解析を行った結果でございます。
 こちらも①から⑦の内容について解析を行っております。こちらについても、昨年度は令和3年度までの4年間の解析結果をまとめておりましたが、その結果と同様の傾向を示しているため、説明は省略させていただこうと思います。
 資料2の説明は以上となります。ご審議よろしくお願いします。
【高岡委員長】 ありがとうございました。
 それでは、ただいまのご説明につきまして、ご質問、ご意見がありましたら、よろしくお願いいたします。挙手機能を使っていただくか、あるいはマイクのミュートを外していただいて、お名前を言っていただいて、発言いただければと思います。いかがでしょうか。
 では、伊藤先生、お願いいたします。
【伊藤委員】 ありがとうございます。
 要望という形で聞いていただくといいかなと思うのですが、まず、資料2の75ページのところ、参考データというところです。方そこに、排ガス処理装置設備の変更ということが記載されております。これは最近のことだろうと思いますので、設備変更後のデータの蓄積というのはこれからだと思いますけれども、変更の前後で水銀排出にどのような効果、影響があるかというのを整理していただくといいかなということが1点です。
 それから、資料2別紙の6ページに、定量下限値、検出下限値のというのが出ていたかと思います。これは毎年出ているコメントかと思うのですが、この下限値が非常に低い数値になっております。この下限値は、このような低い値がきちんと測れるという意味ではございませんので、この下限値については、やはり数値、それから下限値の出し方については一度見直したほうがいいのではないかと感じております。実際に排ガスを対象とした水銀測定法で、このような低い下限値を出している国もないと思いますので、一度再検討した方がいいかなというコメントです。
 あと、もう一点、資料2別紙の33ページです。ここで、活性炭処理による全水銀濃度低減効果は確認できなかったという表現になっております。数値そのものはそうだろうと思いますけれども、廃棄物系で活性炭処理は何のためについているかというと、例えば脱硫、脱塩、あるいはダイオキシン除去といったことで、目的は様々だと思います。ダイオキシンの活性炭は水銀にも効果があると言われておりますけども、その他の物質に対する活性炭は必ずしも水銀には有効でないということなので、この辺りの表現については、活性炭が役に立たないというような意味にならないように表現されたほうがいいかなということでございます。
 以上、コメント3点でございます。
【高岡委員長】 ありがとうございます。
 では、事務局からお答え等できるところがあればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
【奥野補佐】 事務局の奥野です。
 まず、1点目ですが、先ほど伊藤先生から御指摘がありました、変更があった前後の水銀濃度の変動も確認するべきではないかといったところですが、環境省としても同じ認識です。後ほど説明はさせていただきますが、実際に排ガスの処理が変更された前後で水銀濃度がどう変わったのかという解析をした事例がございます。ただ、30件の変更届の全てが解析できているわけではありませんので、今後も引き続き、その解析は進めていきたいと考えております。
 2点目ですが、定量下限値・検出下限値の扱いにつきましては、こちらもいつも環境省としても集計する際に非常に苦慮しているところでございます。今後どう扱っていくべきなのかといったところは、集計方法も含めて、また、見識のある先生方のご意見をいただきながら検討を進めていきたいと考えております。
 3点目の活性炭ですが、この書きぶりはご指摘のとおりでして、必ずしも水銀に効かないというわけではないというところはごもっともかと思いますので、この資料を少し修正させていただいて、より正しい表現に直したいと思います。
 以上となります。
【伊藤委員】 どうもありがとうございます。
【高岡委員長】 ありがとうございます。
 そうですね、低減効果はちょっと入口が分からないので、そこの文言は変更したほうがいいかもしれません。ありがとうございます。
 他にいかがでしょうか。
【高岡委員長】 はい。鈴木先生、お願いします。
【鈴木委員】 廃棄物の処理施設については、一廃、産廃合わせて複数の施設がありの、恐らく廃棄物の性質から来ているとは思うのですが、恐らく今後もこういうケースが残念ながら出現するということを意味しているような気が私はしていまして、できれば何か対策、根本的な対策は無理かもしれませんけど、自治体あるいは事業者は、何かよい対策というのは考えられているのでしょうか。恐らく放っておけば、このまま廃棄物のところは残念ながら超過が出続けるということがあるような気がしますので、何か考えておられることがあれば教えてください。
【高岡委員長】 事務局、お願いします。
【奥野補佐】 事務局の奥野です。
 廃棄物処理施設での水銀の基準超過というのは、やはり毎年数件確認されておりまして、原因についても自治体を通じて確認させていただいております。やはり多いのは、搬入されるものに水銀を含むものが一時的に混入された場合に濃度が高くなるということを聞いておりまして、その分別の徹底というのが対策としてよく挙がっています。
 その他、排ガスの処理対策や活性炭の量を変えるといったことも聞いてはおりますが、やはり分別をしていただくのがまず一番の対策になるのかなと考えております。
 得られた情報につきましては、自治体にこれからもフィードバックしていきたいと考えております。
 以上となります。
【鈴木委員】 ありがとうございます。
 答えようのないことを聞いてしまったかもしれませんが、ぜひ自治体と、あるいは市民の方によく周知していただいて、改善される方向に向かうことを願っております。よろしくお願いします。
【高岡委員長】 ありがとうございました。
 他にいかがでしょうか。
【守富委員】 すみません、守富ですけど。
【高岡委員長】 守富先生、どうぞ。よろしくお願いします。
【守富委員】 別紙の30ページ、規模と排ガス中の水銀濃度のところです。施設規模の報告を処理能力とは異なる指標で報告しているため、水銀排出施設数とは一致しないというのと、少なくともこの図を見る限り、処理能力と濃度とはあまり相関は確かに取れていないと思うのですけれども、やはり規模が大きくなって、ほぼ同じ濃度で規模が大きくなれば総排出量は当然多いわけです。ある程度、規模の大きいものというのは、個人的にはもう少し下がるのではないかなという期待感を持っていたのですけれども、何らかの解析の方法があるのではないでしょうか。要するに期待値を含めて、やはり大規模になった場合に減らす方向でいないと、総量としてやはり増えるので、インベントリーで出すとやはり大きいと思います。だから、この処理能力、焼却能力と何らかの相関は見えるような解析があってもよさそうに思うのですが、この辺りは逆に高岡先生はどう見ますか。全く相関がないというのも、何か解析の仕方が悪いのではないのかなという気もしないでもないですが、いかがでしょうか。
【高岡委員長】 これは私にご質問ということかもしれませんので、ちょっとお話します。水銀になりますと、燃焼条件に左右されるわけではあまりなく、ごみ質にそもそも左右されますので、例えばダイオキシンと比べますと、施設規模の影響はあまり大きくはないかなと思います。ただ、規制や排出量の観点から言うと、まさに焼却能力が多いところでしっかりと基準を守っていただかないと、守富先生がおっしゃるような排出量が増えていくことになりますので、そういった意味での注意が必要かなと思います。
 一般に、焼却施設、大きい施設であれば、やはり排ガス処理も活性炭を噴霧したバグフィルターなどを使っているという意味では、守富先生がおっしゃるように、少々下がっていってもいいのかなと私も思います。
【守富委員】 それがデータに出てこないというのは何でなのですか。そこがちょっとよく分からない。
【高岡委員長】 ただ、非常に大きな施設に関しては、この図では、例えば10万kg/h辺りのところは比較的低くて、それよりちょっと下がると、かなりばらつきがあるというような状況だと思います。
【守富委員】 分かりました。
【高岡委員長】 もし事務局、環境省から、データに基づいて何か分かっていることがあればお願いしたいと思います。
【奥野補佐】 解析方法が悪いのではないかというご指摘もありましたけれども、今行っている解析では、なかなか相関といいますか、その規模と排ガス濃度の関係というのが見つけられていないというのが正直なところでございます。
ただ、その解析の方法も含めて、これから、実際のデータは毎年毎年蓄積され、また排出インベントリーも毎年作っており、施設の積み上げで出しておりますので、そういった結果も見ながら、規模が大きければ排出量が多いのか、少ないのかなど、きめ細やかに確認はしていきたいと思います。
 以上です。
【高岡委員長】 ありがとうございます。
 他にいかがでしょうか。
 なければちょっと私のほうから、これは意見というか要望になるのですけれども、今回5年見直しというのもありまして、今後、より何がBATかを解析していくには、やはりインプットのデータが必要だろうと思います。いわゆる一番最初の届出情報で、例えば廃棄物中の水銀量や、あるいは石炭火力でしたら石炭火力中の水銀量、あるいはセメントでしたらセメントの石灰石の水銀量、そういったもののご提供があったと思います。この辺りもやはり毎年というのはかなり事業者にとって負担はあると思うのですが、5年に1回ぐらいはそういうものもご協力いただけるところにはご協力いただいて、インプットもしっかり下がっている、それで除去率等も、その年度に関してはラフではありますが出せるはずです。そうすると、もう少しBATも明確になるのではないかなと思います。ですので、そういったことも今後ご検討いただければと思います。
 いかがでしょうか、事務局。
【奥野補佐】 承知しました。インプット側も情報収集していきたいと思います。
【高岡委員長】 よろしくお願いします。
【守富委員】 高岡先生のご意見で、今映っている30ページのものですが、やはり多変量解析というか、入口のインプットも、それから、BAT/BEPであるかどうかの変数といいますか、そうしたいわゆる多変量解析がきちんとされていない、みんなごっちゃで解析しちゃうと確かに傾向が見えませんということになるので、やはりBAT/BEPなり、インプットの濃度なり、その他の排ガス処理装置の条件なりの、そうした多変量解析をきちんとされていたものを、今まであまり見てないように思うのですけども、その中で、このBAT/BEP、BATだったら効きますよというのがやはり見える格好に、見える化といいますか、していただきたいなという気はします。
【高岡委員長】 ありがとうございます。
 そうですね、そういう意味では、先生がおっしゃるように多変量解析で施設規模もそうですし、まさにバグフィルターを使っていたら1、0とか、数量化1類とか、そういった手法もあると思いますので、確かにもう少しデータマイニングする必要があろうと思います。ありがとうございます。
 また事務局、今後ご検討をお願いしたいと思います。
【奥野補佐】 はい、承知しました。
【高岡委員長】 では、これで議題1を終了したいと思います。皆様ありがとうございました。
 では、議題2に進みます。要排出抑制施設における自主的取組のフォローアップについてです。
 では、事務局から説明をよろしくお願いいたします。
【奥野補佐】 それでは資料3-1、3-2を用いて、要排出抑制施設における自主的取組のフォローアップについてご説明させていただきます。
 要排出抑制施設を設置する事業者ですが、自主的取組を実施し、その取組を評価・公表することが大気汚染防止法で規定されております。
 フォローアップの対象ですが、ここに記載の鉄鋼連盟等3団体において、自主的取組の内容を平成30年4月に公表され、実施されています。参考資料10にそれが添付してありますので、適宜ご確認いただければと思います。
 また、鉄鋼連盟等3団体以外の主要な事業者においても、鉄鋼連盟等3団体の取組に準ずる取組が行われていることも確認しております。
 これら事業者が設置する要排出抑制施設が全国の要排出抑制施設に占める割合を下の表で示しておりますが、100%になっていることから、鉄鋼連盟等3団体等における取組内容についてフォローアップすることとしております。
 2ページです。フォローアップにおける評価の方針ですが、中央環境審議会の第二次答申と令和4年度における助言事項を踏まえまして、今年度、こちらの(1)から(3)、(1)自主管理基準の設定状況、(2)排出抑制措置の実施状況、(3)自主管理基準の達成状況及び評価・公表の実施状況、この3つの視点で評価を行うこととしています。
続きまして、鉄鋼連盟等3団体等における実績取組の実施状況でございます。
 まずは、自主管理基準の設定状況です。こちらは令和5年3月、第12回の本専門委員会の助言事項とその対応をまとめております。
 助言事項としまして、製鋼の用に供する電気炉として届出が行われているLF炉について、過去に高い値が確認されたということもありまして、引き続き測定を継続することが望まれるということが求められました。その対応としまして、鉄鋼連盟等3団体より一部のLF炉については、自主的に1年に1回の測定を実施しているという回答がございました。後ほど説明させていただきますが、令和4年度のLF炉の測定結果は全て自主管理基準値内でございました。
 続きまして、排出抑制措置の実施状況です。全ての対象施設に排ガス処理施設が設置されておりまして、いずれの処理設備も従来から設置されているとのことでした。
 令和4年度の測定結果を排ガス処理設備の種類ごとに整理した結果は、表2-1、表2-2のとおりとなります。
 測定結果の概要ですが、3ページに戻りまして、3ページの中段以降のとおりです。
 例えば製銑の用に供する焼結炉の①焼結炉・ペレット焼成炉では、自主管理基準値50μg/Nm3であるのに対し、測定結果は0.44~32μg/Nm3の範囲にありまして、平均値は12となっております。また、測定結果を解析した結果、排ガス処理設備が除塵のみの施設に比べて、除塵に湿式脱硫もしくは乾式脱硫を組み合わせた施設のほうが、水銀濃度が比較的低くなる傾向が見られております。
 その他の施設につきましても同様の解析をしておりまして、いずれの施設も自主管理基準値を下回る結果となっております。
 5ページになりますが、先ほど助言事項で説明しましたLF炉等につきましてもまとめております。自主管理基準値50μg/Nm3に対して、測定結果は不検出~11μg/Nm3の範囲でして、平均値は0.66μg/Nm3という、今年度は比較的低い結果となっております。
 これらの結果を踏まえまして、6ページになりますが、令和5年3月の助言事項に対して、鉄鋼連盟等3団体から回答をいただいております。
 助言事項は2点ございました。
 まず1点目、「これまで蓄積されたデータ及び今後蓄積されるデータを活用し、排ガス処理設備等の水銀の排出抑制効果や活動量と水銀排出量の関係等について、引き続き総合的に情報を整理することが望まれる」ということをいただいております。こちらに対して、鉄鋼連盟等3団体の回答としまして、「自主的取組開始より5年間のデータを用いて、排ガス処理設備の種類ごとの効果に関する情報を整理しているところ」であると回答をいただいております。
 また、2点目ですが、「情報整理により明らかになった有用な知見の公表・発信について検討することが望まれる」ということに対しては、「公表することを含め検討を進めたい」という回答を確認しております。
 最後に、3点目の視点、自主管理基準の達成状況及び評価・公表の実施状況でございます。7ページ以降になります。先ほど説明しましたとおり、自主管理基準は全ての施設で達成しているという状況でございます。また、評価・公表の実施につきましては、自主的取組の状況を日本鉄鋼連盟等のホームページにおいて令和5年9月に公表されているということを確認しております。
 以上のフォローアップにおける令和5年度の排出量の結果を踏まえまして、令和5年度の本専門委員会の評価案を資料3-2として作成させていただいております。
 今まで説明しましたとおり、鉄鋼連盟等3団体等は、平成30年4月から自主的取組を開始し、その結果をホームページで公表するなど、技術的観点から、現時点において概ね妥当なものと評価できることを冒頭に記載しております。
 (1)自主管理基準の設定状況での助言事項を1ページの真ん中以降にまとめておりますが、これまで継続して助言しているLF炉での測定の継続に加えまして、助言する事項の1点目ですが、水銀に関する改正大気汚染防止法の施行から5年間が経過したことを踏まえて、「自主管理基準の設定をはじめ、自主的取組における各規定事項について、点検・見直しの要否について必要に応じて検討することが望まれる」、を追加してはどうかと考えております。
 また、(2)排出抑制措置の実施状況への助言事項ですが、3ページに記載のとおり、昨年度と同様の助言事項整理させていただいております。先ほども説明をさせていただきました。データを蓄積して解析を進めるといったことと、それで明らかになった有用な知見の公表・発信について、引き続き検討していただきたいということを助言事項として書かせていただいております。
 (3)自主管理基準の達成状況及び評価・公表の実施状況につきましては、こちらについては適切に対応いただいていると思っておりまして、これまでと同様、助言事項なしとまとめさせていただいております。
 要排出抑制施設における自主的取組のフォローアップについての説明は以上となります。ご審議、よろしくお願いします。
【高岡委員長】 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの資料3-1、3-2について、ご質問、ご意見がございましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
 では、黒坂先生、お願いします。
【黒坂委員】 黒坂でございます。
 先ほどの自主的取組ということで、自主的取組として自主管理基準を設定していただいて、基準値を設定していただいて、測定によりその遵守状況を確認していただいていること自体は非常に評価できると思います。
 一方で、次の議題のところになるかもしれないのですけれども、資料を見てみますと、やはり鉄鋼製造施設につきましては、令和2年度は全体の5分の1程度、令和3年度はやはり4分の1と、排出量は多く見えますので、今後自主的取組ではありますけれども、業界団体としてやはり高い目標を掲げていただいて、それを遵守することによって排出量を削減していただき、また、今後カーボンニュートラル等への対応で水銀の排出量も変化していくと思いますので、助言事項として記載しております自主的取組の規定事項について、点検、それから見直しの要否も含めて、今後も検討していただきたいというのが意見です。よろしくお願いします。
【高岡委員長】 ありがとうございます。
 では、事務局、いかがでしょうか。
【奥野補佐】 事務局です。
 黒坂先生、貴重なご意見、ありがとうございます。おっしゃるとおりと事務局も思っておりまして、こういったご意見があったということは、鉄鋼連盟等3団体等の業界団体、事業者の皆様にしっかりお伝えしたいと考えております。
 以上です。
【高岡委員長】 よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。
 ないようですので、私のほうからは、既に助言事項としてお願いしていることでありますけれども、先ほどの3-2の3ページ目のところで、今回もしっかりと書くところを調べていただいて、それをウェブでも掲載をしていただいているということは、大変ありがたいことであると思います。
 やはり、もうそろそろかなりデータが蓄積されておりますので、その辺りもまとめていただきまして、それを公表していただくというのが、日本としても、世界に対しても、あまり鉄鋼のこういったデータがありませんので、ぜひともお願いをしたいと思います。
 それから、先ほどいわゆる規制対象に対して集めているデータも、守富先生からご指摘があったように、様々なファクターがあって、多変量解析をしてやると、もう少し様々なものが見えてくるというようなこともございますので、そういったことも自主的に、これまで蓄積されたデータに対してやっていただけたらと思います。
 特段追加するような助言事項ではございませんが、よろしくお願いしたいと思います。
 環境省、事務局から何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。
【奥野補佐】 高岡先生、ありがとうございます。こういったご意見をいただいたというところは、しっかりとまた業界団体にもお伝えをして、少しでも解析を進めていただけるように話をしていきたいと思います。ありがとうございます。
【高岡委員長】 ほかはいかがでしょうか。
 では、なければ、令和5年度の評価と助言すべき事項については資料記載の案のとおりでよろしいでしょうか。
 では、特段ご異議がないようですので、この本件記載どおりの案で進めさせていただきたいというふうに思います。
では、事務局におかれましては、評価と助言すべき事項について、フォローアップ対象の事業者団体にお伝えをお願いいたします。
 今後の手続の流れについて、事務局から説明をお願いいたします。
【奥野補佐】 ありがとうございます。
 本日取りまとめいただきました内容につきましては、了解をいただけましたので、業界団体のほうにお伝えをさせていただくとともに、環境省のホームページにも、今現在は案としてお示しさせていただいていますが、案を取ったものとして掲載をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
【高岡委員長】 ありがとうございます。では、よろしくお願いいたします。
 では、次の議題3に移りたいと思います。3は水銀大気排出インベントリーについてでございます。
 では、事務局から資料4の説明をお願いいたします。
【奥野補佐】 それでは、資料4を用いて、令和3年度の水銀大気排出インベントリーについて説明させていただきます。
 この水銀大気排出インベントリーですが、平成22年度及び平成26年度から令和2年度にかけてインベントリーを作成してきましたが、後ほどまたご説明をさせていただきますが、令和3年度も一部未確定の数値はございますが、インベントリーを算出しましたので報告をさせていただきます。
インベントリーの作成の方法ですが、2番で書かせていただいております。水銀排出施設は、各施設の水銀濃度の測定データを活用しまして、全施設の積み上げで排出量を推計しております。こちらの四角の枠囲みの推計方法②を用いて推計をしております。
 水銀排出施設以外の施設につきましては、測定義務がございませんので、測定結果が限られているという実情がございます。そこで、過去の代表的な施設の測定結果だったり、海外の知見等を用いまして算出しました排出係数に活動量を掛け合わせて算出するという、推計方法①の排出係数法を用いて推計しております。
これらの推計方法で推計した結果、令和2年度も3年度も変更はございませんが、推計した結果はこちらのとおりとなります。
 令和3年度の大気排出量は11.7ton-Hg/年でございました。令和2年度が10.7ton-Hg/年ということで、令和2年度に比べれば令和3年度は少し増加したという結果でございます。発生源別に見ますと、鉄鋼の製造施設であったり、非鉄金属の二次施設であったり、セメント製造施設において増加が確認されておりまして、主な増加の要因としましては、2020年度に新型コロナウイルス感染症の影響により低下していた活動量が2021年度には回復したことなどが要因として考えられるのではないかと思っております。
 各施設ごとの排出量を2ページでまとめさせていただいております。全体の合計排出量が11.7ton-Hg/年でして、一番多いのがセメント製造業で3.6ton-Hg/年となっております。
 それぞれの施設の排出量はこちらの表の掲載のとおりでして、カーボンブラック製造施設だけ朱書きで緑色に着色をさせていただいております。こちらにつきましては、現在環境省が測定結果を用いて排出係数を算出し直しているところでございます。一部測定結果が集め切れてないというところがございまして、まだ数値が確定できていない状況でございます。カーボンブラックの製造施設につきましては、数値が確定でき次第、改めて委員の先生方にこの一覧表を見ていただきまして、問題ないという確認をいただけた後、令和3年度のインベントリーとして、ホームページに公表したいと考えております。
 4ページ以降は、過去からのそれぞれの施設ごとの大気排出インベントリーの量を示しておりまして、7ページ以降は、そのインベントリーの推計方法の変化をまとめさせていただいております。
 また、資料4の参考としまして、過去からの排出量、先ほど数字でお示しさせていただきましたが、グラフで表すとこうなっているというものを示させていただいております。
 令和3年度の水銀大気排出インベントリーの説明については以上となります。ご審議、よろしくお願いします。
【高岡委員長】 ありがとうございます。
 それでは、ただいまの資料4の説明につきまして、ご質問、ご意見がございましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
 では、伊藤先生、よろしくお願いします。
【伊藤委員】 ありがとうございます。
 1点質問です。積み上げ法の推計方法のところですが、施設ごとの年間水銀排出量を計算するということになっていますけども、計算するのは事業者でしょうか。それとも環境省で計算されるのでしょうか。
【高岡委員長】 事務局、お願いします。
【奥野補佐】 計算は環境省のほうで実施しております。濃度の測定結果であったり、年間の稼働時間とか、そういったデータを提供していただきまして、集計は国のほうで行っております。
 以上です。
【伊藤委員】 分かりました。ありがとうございます。
 一つコメントですが、排ガス量の計算のところに、測定時排ガス量×年間稼働時間ということになっています。定格の状態で測定されることが多いと思いますが、部分負荷における測定が混ざると年間の排ガス量の信頼性が低下します。そういう場合ですと、年間の設備の利用率というのも事業者のほうでは数値として持っていると思いますので、その数値を使いますと、年間の排ガス量が、より実態に近い数値になってくると思います。その辺の工夫をされると、より排出実態に近いところをつかめるのではないかと思いますので、コメントとして申し上げました。
 以上です。
【高岡委員長】 ありがとうございます。
 環境省、よろしいでしょうか。
【奥野補佐】 ありがとうございます。まさにその辺りも一つ課題かなというところは内部でも話はしていまして、より排出実態に近いような、そういう推計ができるように、今後もいろいろご意見をいただきながら考えていきたいと思います。
 以上です。
【伊藤委員】 よろしくお願いいたします。
【高岡委員長】 すみません、私、伊藤先生に今のところをお聞きしたいのですが、もうちょっと年間の稼働時間だけじゃなくて、その利用率、いわゆる定格か定格じゃないかとか、そういうところも含めて考えると、基本的には下がる方向になると。
【伊藤委員】 多分その場合ですと、下がる方向になります。
【高岡委員長】 了解しました。ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 守富先生、よろしくお願いします。
【守富委員】 まず最初に、今ちょうど映っているところの2020年度の新型コロナウイルス感染症の影響と、このように書かれるときに、「コロナウイルス禍」と書くのか、「感染症の影響により」と書くのか、ここはどうですか。国としてはこういうのを書くとき、感染症の影響と書くのですか。それとも「ウイルス禍」、「コロナ禍」というのか、そこの言葉が統一されているのか、私は「コロナ禍」なのかなと思って聞いていたのですけど、感染症の影響というと病気になった人が影響しているみたいでちょっと妙な印象を受けるのですけれども、まず、ちょっとここの言葉の定義はどちらが正しいのでしょうか。
【高岡委員長】 事務局、お願いします。
【奥野補佐】 事務局です。
 守富先生のご指摘、ごもっともかと思います。「コロナ禍」という表現のほうがより適切かと思いますので、ここについては修正をさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
【守富委員】 それからもう一点ですが、インベントリーの一覧表で出て、以前、昔ですと、最大、最小みたいなものも一応注視して書かれていたときもあったと思うのですが、ここに出せという意味ではないのですが、参考資料なり、どこかで最大、最小偏差、平均といいますか、それはデータとしてあると思うのです。そういうのはどこまで公表するのか、参考を出されたほうがいいのではないかなと。特に、先ほどのカーボンブラックなんかもまだ測定中で、実際に対象になっている排出量については非常によくやられているのですけれども、対象外のところでは誤差も大きいように思うので、その辺の、どこかに今回も出ているのかなと思いつつ、ざっと見ていたのですが、出されるところ、引けるようにしておいたほうがいいのではないかなと思います。コメントですけれども。
【高岡委員長】 事務局、いかがでしょうか。
【奥野補佐】 事務局の奥野です。
 ご指摘のデータについては手持ちでは持っていますが、公表をしていないというのが現状です。どこまで出していくのかというところも含めて、少し考えさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
【高岡委員長】 ありがとうございます。
 では、ほかにいかがでしょうか。
【鈴木委員】 鈴木ですけど、よろしいでしょうか。
【高岡委員長】 鈴木先生、お願いします。
【鈴木委員】 ありがとうございます。
 今、出ているところですけれども、インベントリーの推計方法について、積み上げ方法と排出係数法、両方やられているので、僕は必要なことかなと思っております。
 積み上げ法というのは、これは実測値に基づくものですので、もちろん、理屈からすればこっちが正しいし、最終的にはそうだとは思いますが、これは一部議論があったように、まず排ガスの水銀濃度にも変動が当然あるし、排出ガス量等についても、もちろん稼働時間もあるでしょうし、かなり変動があって、その全てが、多分、このとおりに報告されているとも限らない数字で計算しているはずですので、多分、排ガス中の水銀濃度につきまして、変動をこの測定で、正直、完全につかまえきれているとは限らないということは多分明らかだと思いますので、この方法について、もちろん正しいですが、常に検証しながら進めていくのが必須だと思っております。多分、排出係数は前年度の値を使って排出係数を見直すみたいなことをやっていくと思いますけれども、多分、そういう方法を常に検証しながら、場合によっては諸外国等の結果を見ながら進めていくということは必要かなと思っております。
 あと、関連していることですけれども、排出係数、特に積み上げのときに検出下限値がここで出ています。こういうものも効いてきますので、これもどういう測定が行われているかによって結果が変わってくる可能性がありますし、これは実際にいろんなところに排出については見られている、実際に見られている場合もありますので、この検出下限値の扱いというのは、実はここにも効いてくるということを十分注意して、今後ともデータを見て、場合によっては必要なご指導なり意見なりを事業者にお伝えしつつ進めるということが必要だと思っております。なので、中身が悪いというわけではありませんが、あまり安住せずに注意深く今後とも進めていただきたいというお願いです。
 以上です。
【高岡委員長】 ありがとうございます。
 では、事務局、いかがでしょうか。
【奥野補佐】 鈴木先生、ご意見、ありがとうございます。
 そうですね。この積み上げ方法の課題といいますか、これがまさに正しいんだということではなくて、そういう課題もあるというところは十分頭に入れながら、これからも推計はしていきたいと思っております。
 先ほどの守富先生のお話にも重複するかと思うのですが、やはり、こういった推計方法も今のままでいいのかといったところは、有識者の先生方の意見も聞きながら、方法を、必要に応じて見直しをしていきたいと考えております。
 また、検出下限値の扱いも、こちらも過去に推計するときに、いろいろな先生方のご意見をいただきながら決めているルールではございますが、こういったところも必要に応じて見直しが必要なのかなと考えております。
 以上となります。
【高岡委員長】 ありがとうございます。
 では、ほかにいかがでしょうか。
 では、私から1点確認ですが、今日のインベントリーではカーボンブラックがまだ調査中というか、最終的な数値が定まっていないので、後で出てきてから委員の先生方に確認をするということでしたが、一応、予定としてはどれぐらいでそれは出てくるのでしょうか。
【奥野補佐】 事務局です。
 こちらは3月中に測定結果は出てくるというように聞いておりまして、それを踏まえて算出、算出自体はすぐできますので、年度内に委員の先生方に確認ができるか、もしくは、年度を超えてしまいますが、4月早々に確認をいただく予定ではいます。
【高岡委員長】 分かりました。ありがとうございます。
 ほか、いかがでしょうか。
 ないようでしたら、この令和3年度のインベントリーについては、特段、これを修正するというようなご意見はございませんでしたので、資料の記載のとおりということとしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 では、それで進めさせていただきたいと思います。
 あとは、先ほども私のほうからも申し上げましたが、カーボンブラックのところだけ数値がちょっと変わるかもしれませんので、そこについては皆様にご確認をして、最終決定をしたいと思っております。よろしくお願いいたします。
 では、本日最後の議題ですが、これが一番の大きな議題でございます。4番目、今後の水銀大気排出対策についてでございます。
 では、事務局から資料5の説明をお願いいたします。
【奥野補佐】 事務局です。
 それでは、今後の水銀大気排出対策について、資料5-1と5-2を用いて説明させていただきます。
 前回の専門委員会において、今後の水銀大気排出対策について、骨子案をご議論いただきましたが、そのご議論の中でいただきました主なご意見と回答というのを、まず、資料5-1としてまとめさせていただいております。
 当日、やり取りをさせていただいていまして、その議事録についてはホームページのほうにも掲載はさせていただいておりますので、本日はこちらを見ながら、主に資料5-2を用いて説明をさせていただきたいと思います。
 資料5-2ですが、報告書(案)ということでまとめさせていただいております。
 まず、表紙がございまして、その裏面に目次を掲載しております。2ページ目になります。
 本報告書の構成ですが、まず、Ⅰとしまして、これまでの経緯がありまして、Ⅱとして、今回の点検・見直しの基本的な考え方を整理しています。その基本的な考え方を踏まえまして、Ⅲの検討事項ごとの整理としまして、数字の1ですね、環境政策手法の妥当性について。そして水銀排出施設、要排出抑制施設の追加等について。排出基準の見直しについて。排出ガス中水銀の測定方法・測定頻度の見直しについて。その他法令規定事項の点検。この五つの論点について、それぞれ検討事項、現状、検討結果の順番にまとめております。そして、英数字のⅣですが、今後の課題として記載をさせていただいております。
 なお、参考資料ですが、参考資料1として委員名簿。参考資料2として審議経過。参考資料3として、先ほど議論、議題の1でご審議いただきました5年間の測定結果等の参考データをつけまして、参考資料4としまして、水銀大気排出インベントリー、先ほどご議論いただいた内容です。参考資料5としまして、諸外国の水銀規制状況をつけております。
 なお、参考資料3の参考データと参考資料5の諸外国の水銀規制状況ですが、情報が非常に多いということもございまして、今回の資料としては、それぞれ資料5-2の別紙1、別紙2として添付をさせていただいております。
 それでは、報告書(案)を順番に説明させていただきます。
 1ページから2ページは、水銀大気排出規制が大気汚染防止法に追加されるに当たっての経過。また、平成30年4月1日以降の法の施行の状況をまとめております。こちらについては、事実経過をまとめた内容ですので、説明は省略させていただきます。
 3ページです。今回の点検・見直しの基本的な考え方です。
 こちらですが、前回の本専門委員会で骨子案のときに確認いただいた内容となっております。前回、内容についてご了解いただけましたので、特に変更等を行っておりませんので、こちらについても説明は省略させていただこうと思います。基本的には、過去の答申の考え方を踏襲しているといったところと、今回の点検・見直しを行うに当たって、新たに排ガス中の水銀の測定方法の見直しに当たっては、連続測定ですが、一定の精度を確認した上で導入を検討したらどうかといったところを新たに追加しているという状況でございます。
 それでは、Ⅲの検討事項ごとの整理に進みたいというふうに思います。
 水銀に関する改正大気汚染防止法の施行から5年が経過し、施行状況に応じた制度見直しに向けて、今後の水銀大気排出対策について、目次のところでも説明しましたが、5つの検討事項について、検討事項、現状について整理をしまして、検討結果を取りまとめております。
 まず、1の環境政策手法の妥当性についてです。
 こちらは、水銀大気排出規制については、水俣条約の規定に基づきまして、附属書Dに掲げられている5つの分類の施設は、水銀排出施設として規制の対象としております。
 また、附属書Dには掲げられていない施設のうち、排出量が相当程度多いと認められる施設については、要排出抑制施設として自主的取組を求める規定を設けております。
 法施行後5年を経過したことを受けまして、水銀排出施設に対する規制、要排出抑制施設に対する自主的取組の両輪で今進めているのですが、この在り方について、今のままでいいのかどうか、また、要排出抑制施設については、本日も本専門委員会でご審議いただきましたが、こういうフォローアップの在り方が妥当なのかどうか、そちらについては、過去の答申の中でも5年間施行した後、確認をすることということが言われておりますので、今回、改めて点検をさせていただきたいと思っております。
 (2)の現状ですが、上から順番に説明させていただきます。
 水銀排出施設を設置する事業者から、地方公共団体に対して必要な届出や、水銀濃度の測定結果の年度ごとの報告が行われております。令和4年度の水銀などの測定結果についてデータ提供があった施設数は、全3,682施設のうち99.7%提供をいただいております。
 また、毎年、全ての地方公共団体において、定期的な立入検査や排出基準の超過施設に対する行政指導が行われていますが、この5年間では行政指導は行われているのですが、改善命令等の行政処分であったり罰則が適用された事案は確認されておりません。
 要排出抑制施設につきましては、平成30年度以降、本日のように本専門委員会でのご審議、フォローアップに加えまして、経済産業省が開催する産業構造審議会産業技術環境分科会産業環境対策小委員会において取組内容の報告が毎年実施されていまして、水銀濃度の測定結果は自主管理の基準値以下であることなどが確認されております。
 要排出抑制施設の自主的取組に対しては、専門委員会からの助言事項が、先ほどお伝えしました評価の視点のとおり取りまとめられまして、環境省のホームページで公表するとともに、業界団体を通じて事業者に提供されております。
 なお、令和4年度、排出基準の超過事案、水銀排出施設の数や種類が多い4つの地方公共団体を対象としまして、水銀排出施設の設置者に対する指導状況や大気排出抑制のための取組に関するヒアリング調査を実施しましたが、現行制度の見直しを求める意見というのは、特段、確認されませんでした。
 こういった状況を踏まえまして、水銀排出施設に対する規制は着実に遂行されており、要排出抑制施設においても自主的取組とそのフォローアップが適切に対応されていると考えられることから、現行制度を継続することが適当であるとしています。
 また、要排出抑制施設のフォローアップについても、専門委員会と経済産業省が開催します小委員会において毎年確認されておりまして、専門委員会として取りまとめられた助言事項に対しても業界団体により、助言事項に対して適切な対応が取られているということも確認されております。以上を踏まえまして、現行制度を継続することが適当であるというまとめとさせていただいております。
 続きまして、2番としましては、水銀排出施設、要排出抑制施設の追加についてでございます。
 検討事項ですが、一つの課題としまして、水銀に関する大気汚染防止法の改正が検討された当時、「実用化されて間もない発電技術であることから、現時点では規制対象とはせず、今後、排出実態を把握した上で、水銀排出施設としての追加について検討すべき」とされました石炭ガス化複合発電施設、以下、IGCC施設と呼ばせていただきます。このIGCC施設の水銀排出施設への追加や、水銀排出施設と同等程度に水銀排出量が多い施設の要排出抑制施設への追加、こういったところを中心に見直し検討を行うというようにまとめております。
 現状としまして、まず、大本となります水俣条約の関係ですが、水銀排出施設として規定される「条約附属書Dに掲げる施設又は同附属書Dに掲げる工程を行う施設」については、水俣条約の締約国会議等において見直しや変更は行われておりません。
 また、平成28年から、先ほどのIGCC施設につきましては、その施設を設置する事業者に対して、水銀大気排出の実態に関するヒアリング調査であったりデータ収集を継続して実施しております。
 また、水銀大気排出インベントリーにおいて、水俣条約附属書D発生源で最も排出量が少ない「産業用石炭燃焼ボイラー」より水銀排出量が多い発生源として、複数の施設が確認されております。具体的に言いますと、フェロアロイ製造施設であったり石油精製施設、火葬、カーボンブラック製造施設、運輸などが確認されております。このうち、カーボンブラック製造施設については、令和5年度に国内施設において実測調査を実施しておりまして、排出係数を更新する予定としております。
 また、2022年にフェロニッケルのメーカー3社が自主的に測定したデータによると、排ガス中の水銀濃度は環境省の測定結果の3分の1~20分の1程度と、こちらは11月に開催しましたヒアリングの際に業界団体から説明があった内容ですが、この結果を用いると排出量は大幅に減少するということも一つ分かってきております。
 さらに、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた取組のうち、バイオマス燃焼施設や地熱発電については、水銀の大気排出量が増加する可能性があることが過年度の文献調査において判明しておりますので、引き続き調査等を実施し、排出量の推計・精緻化に向けた調査を進めているところでございます。
 以上のような現状を踏まえまして、検討結果としまして、IGCC施設については、商業用炉として稼働する実施設で得られたデータについても定格出力でない等、運用実態を網羅的に把握できているとは言い難い状況であり、今後の運用、特に炭種を変えるとか、そういったことによって変動する可能性もあることに留意が必要であるが、しかし、データが限られている中でも、IGCC施設は商業用炉として稼働しておりまして、石炭火力同様に石炭を燃料とする施設であることを踏まえると、水銀排出施設として追加区分を新たに設定し、排出基準値は従来の石炭火力発電所と同値とすることが適当であり、規制対象に追加することが適当であるというまとめをさせていただいております。また、排出基準を適用するに当たっては、IGCCがばい煙発生施設のガスタービンに該当することから、ばい煙の標準酸素濃度を用いまして16%とすることが適当であるとまとめさせていただいております。
 IGCC施設は、国内に数施設しか存在しておりません。現在で3施設です。1施設が建設予定中という数施設しか存在していないというのが現状でして、施設の違いが排ガス中の水銀濃度へ与える影響というのは明らかになっていないというところがございますが、IGCCに関する利用可能な最良の技術としては、工程内に内包している燃料ガス精製設備とすることが適当であるというまとめをさせていただいております。
 なお、IGCCの施設ですが、従来型の石炭火力では利用できない石炭を利用できるというような特徴を有するものの、前述のとおり運用実態を網羅的に把握できていないというところがございますので、今後のIGCC施設の運用実態を踏まえて、必要に応じて適宜、見直しを行う可能性があることに留意すべきであるというところも留意事項として書かせていただいております。
 また、条約附属書Dに掲げる施設又は同附属書Dに掲げる工程を行う施設については、水俣条約の締約国会議等で見直しや変更が行われていないということから、IGCC施設以外の水銀排出施設への追加は行わないことが適当です。
 一方、フェロアロイ製造施設など、水銀大気排出インベントリーにおいて一定の排出が確認されるその他の発生源については、今後、実測調査等で得られる水銀濃度等の情報を基に排出実態を把握しまして、インベントリーに与える影響等について引き続き検討を行い、要排出抑制施設としての追加の要否を検討することが適当であるとまとめさせていただいております。
 少し長くなりますが、報告書全体を先に説明させていただきたいと思います。
 3番の排出基準の見直しについてです。
 検討事項として、水俣条約では、条約締結国が取り組むべき大気排出対策として、利用可能な最良の技術(BAT)及び環境のための最良の慣行(BEP)を義務付けています。
 大気汚染防止法の水銀に関する排出基準ですが、ばい煙の排出規制における排出基準のように環境基準等の環境上の目標の達成を目指す観点から設定されるものではなくて、水俣条約第8条第4項を踏まえ、BAT/BEPに適合した値とし、経済的かつ技術的考慮を払いつつ、排出状況や最新の科学的知見を勘案した上で、現実的に排出抑制が可能な基準としています。
 そこで、BAT/BEPや海外の排出基準の見直し状況を踏まえまして、現行の排出基準の妥当性について検討を行いたいとしています。特に、5年間のデータを用いた解析結果及び海外の排出基準を踏まえ、セメントクリンカー製造設備における石灰石中水銀含有量における特例措置と、世界に比べて現在基準が高いと見えてしまう非鉄金属製造施設における基準値について中心に見直しを行い、検討を行いました。
 (2)現状ですが、まずⅰ)として、BATを想定した技術別の施設設置状況、排ガス水銀濃度の状況です。
 先ほど、冒頭の議題1のところで説明させていただきましたとおり、5年間の測定結果で施設の届出情報について解析を実施しております。
 いずれの施設もBATと想定した排ガス処理施設を導入している施設において、排ガス中水銀濃度が低い傾向が確認されるとともに、この5年間で排ガス処理施設の技術に大きな変化は確認されておりません。
 排出基準への適合についてですが、これまでの排出基準超過施設の状況は表1のとおりとなっております。基準超過施設数は年々減少傾向にございます。
 また、平成30年度から令和4年度の5年間の測定結果を活用し、水銀排出施設の発生源種類ごとに、測定年度別の排ガス中水銀濃度の分布・推移と基準値の比較解析を実施したところ、多くの施設で排出基準値以下であり、排出基準を超過した施設についても、ほぼ全ての施設で再測定の結果は排出基準を遵守する結果となっており、再測定で超過と判断された施設は毎年数施設程度であるということが分かってきております。
 ⅲ)でございます。BAT/BEPの観点での水銀排出抑制技術についてです。
 この5年後見直しの審議を行うに当たりまして、11月に排ガス処理施設メーカー等の業界団体に対してヒアリングを実施したところ、大きな技術革新はないというところは確認しております。
 水銀排出施設の設置届出以降に排ガス処理施設等の構造等の変更届出があった施設は30件確認されておりまして、活性炭の吹込み装置、湿式集じん機、バグフィルターの設置・変更・更新等の事例がございました。排ガス処理施設の変更前後の排ガス濃度を比較することによって、水銀排出抑制技術の効果を確認することが可能なのですが、変更前後で大幅な水銀濃度の変化が確認された事例というのは今のところはないという状況でございます。
 続きまして、石灰石中水銀含有量による特例措置でございます。
 セメントクリンカー製造設備ですが、新設が50μg/Nm3、既設80μg/Nm3と、一律の排出基準が設定されておりますが、主原料である石灰石中の水銀含有量が0.05mg/kg以上であり、その低減が困難と認められる場合に限り、排出基準を80μg/Nm3から140μg/Nm3に緩和するという基準が適用されております。
 この経過措置の適用の施設数を表2でまとめております。
 令和4年度末時点で9施設に適用されているということが分かっております。5年間の測定結果を用いまして、石灰石中の水銀濃度と排ガス中の全水銀濃度の関係を解析した結果をそれぞれ図1、図2、図3、表3、表4でまとめております。
 これらの結果であったり、業界団体へのヒアリング結果等によりまして、石灰石中水銀濃度が高いほど排ガス中の全水銀濃度がやや高くなる傾向が図1から確認できるかと思います。
 また、石灰石中の水銀濃度や水銀大気排出量にかかわらず、突発的に高濃度の水銀が確認される事例はあるものの、改正大気汚染防止法制定時に比べ、水銀の排出を抑制する運転管理技術が向上していることもありまして、排ガス中の水銀濃度の最大値は低下していることが分かります。
 続きまして、非鉄金属製造施設の排出基準の見直しについての現状でございます。
 非鉄金属製造施設は、製造する非鉄金属の種類ごとに、表5のとおり新設/既設ごとに基準値が設定されておりまして、基準が適用される施設数は表6のとおりとなっております。
 また、平成30年度から令和4年度までの5年間の各測定結果を施設ごとに整理した結果が図4から図7のとおりとなっております。令和3年度の施設ごとの年間排出量を右側の軸のほうに示しておりまして、オレンジ色の棒で令和3年度の排出量を示しております。
 改正大気汚染防止法制定時に比べまして、水銀の排出を抑制するBAT/BEPである運転管理技術が向上しておりまして、新規の施設だけではなく、既存施設においても銅の二次施設では排出基準を遵守できる状況が続いております。基準値に対して、非常に低い濃度で運転管理ができているということがこの5年間の結果で分かってきております。
 また、海外の規制の動向を参考資料4、参考資料5ですね、すみません、修正をさせていただきます。そちらのほうに、今回でいいますと、資料5-2の別紙2としてまとめさせていただいております。先ほどもお伝えしましたとおり、非鉄金属の数値については、海外のほうではより低い基準が設定されているということが分かっております。
 以上を踏まえまして、検討結果になります。
 論点の一つ目でありましたセメントクリンカー製造設備につきましては、業界団体へのヒアリングのときにも説明がありましたが、セメントクリンカーを生産するに当たり、天然原料である石灰石や粘土等のほか、代替原料として、石炭灰や汚泥等の産業廃棄物も用いられております。我が国では廃棄物の処理という静脈産業の一翼を担っておりまして、原料に占める代替原料の割合が諸外国に比較して高い傾向にあります。
 国内のセメントの生産工程では、ばい煙の排ガス処理のため、集じん設備が設置されていますが、日本ではセメントのJISにその使用が規定されていないことから、集じん設備で捕集したダストを製品に添加するダストシャトリングをしていないという現状がございます。また、捕集したダストを内部で循環させているため、既存の排ガス処理設備による水銀の大気排出抑制の効果が期待できないということ、セメントクリンカー製造設備において水銀排出抑制技術がこの5年間変わっていないということから、今回の見直しにおいては、特例措置による濃度基準について、現行基準を維持することが適当であるというようなまとめをさせていただいております。
 一方、非鉄金属製造施設につきましては、業界として既存の排ガス処理施設の運転管理であったり原材料の調製についてノウハウを蓄積いただきまして、積極的にこの5年間取り組んでいただくことによりBAT/BEPが向上して、一部の施設では排出基準を安定して遵守できる濃度で運転することが可能となっているのではないかということが分かってきております。
 そのため、経済性を考慮しつつ現行の排出実態に鑑みまして、排出基準を表のとおり見直しすることが適当であるというまとめとさせていただいております。
 具体的にいいますと、二次施設の見直しを行うのが適当ではないかと考えております。新設の施設、銅、鉛、亜鉛が今現在100μg/Nm3ですが、それを半分の50μg/Nm3に下げたいというように考えております。また、既設の施設ですが、銅の施設ですが、今現在400の基準を300まで下げるというようにしてはどうかと考えております。鉛、亜鉛につきましては、やはり一時的にとはいえ、高濃度の結果が多数確認されていることから現状を維持するのが妥当ではないかなと考えております。
 続きまして、4番、排出ガス中の水銀の測定方法・頻度の見直しについてです。
 水銀の連続測定につきましては、平成28年第一次答申において、こちらの四角の囲みのとおりまとめられております。
 連続測定は、水銀濃度の変動を捉えて年間排出総量を把握できる点については優れているのですが、やはり機器の導入・維持管理にコスト的な事業者の負担が大きいということであったり、現在の測定機では粒子状水銀が測定できないということであったり、また、低濃度の水銀濃度の測定には不向きであるという課題があったために、当時は導入が見送られました。
 現状のところで書かせていただいておりますが、平成30年の施行後、5年間でJIS B7994、これは連続測定機の性能の規格として指定されておりまして、その改正が行われたり、また、先ほども説明させていただきましたが、粒子状水銀の省略要件を満たす施設が多くなってきています。令和4年度では70%に達しているというような、要は、ガス状水銀だけを測ればいい施設がどんどん増えてきている状況であったり、また、連続測定機メーカーのヒアリングによりますと、測定機自体は高いのですが、もう既に市町村が設置する一般廃棄物の焼却施設では、維持管理のために連続測定機の導入が増加しているというところも確認がされております。
 また、ⅳ)ですが、連続測定法と公定法の比較ということで、連続測定機を用いた測定と、現在法律で定められております測定法の結果で、今年度、幾つかの施設で環境省のほうで実測をして、どれぐらいの相関が確認されるのかという確認を行いました。
 また、過去から事業者のほうでも測定された結果というのがありますので、一部の施設で連続測定が導入されている施設についてはデータがございますので、そういったところの提供を受けまして、まとめますと、全体としてある程度の相関は確認されるのですが、細かく施設ごとに見ますと、結果がばらつく施設もありますし、逆に非常に相関がよい施設もあるというところが確認されてきました。
 具体的にいいますと、非鉄金属製造施設と一般廃棄物の焼却施設ではばらつきも小さく、また、なおかつ相関もよいというようなことが確認されたのかなと思っております。
 以上の結果を踏まえまして、令和5年度と過去に実施した結果等から、連続測定が導入可能と判断される一般廃棄物の焼却施設と非鉄金属の製造施設については、以下に記載の方針のとおり、連続測定法を導入することが適当ではないかというまとめにしたいと考えております。
 連続測定法導入の方針ですが、まず、大前提としまして、水銀排出施設のうち連続測定法が導入可能と、先ほどの結果で相関が確認された施設であって、かつ粒子状水銀の省略要件を満たす施設について、JIS B7994に準拠した連続計測機を用いた連続測定法を公定法として認めてはどうかというように考えております。
 水銀排出施設のうち連続測定法が導入可能と判断された施設であり、かつ粒子状水銀の省略要件を満たす施設のうち、粒子状水銀の測定を省略する事業者は、連続測定法と現行の公定法の測定方法のいずれかを選択できるようにしてはどうかというところをまとめております。
 また、連続測定機を設置すると、連続して濃度を測定しておりますので、法律で定める定期的な測定については免除をします。
 連続測定における排出基準の遵守状況は、100分間の平均値をもって判断します。こちらは、現行の公定法が時間に換算しますとおよそ100分のサンプリングを行って、その試料を用いて分析を行うということから、排出基準が同じと判断するのであれば同じ時間で評価するのが妥当ではないかということで、100分間とさせていただいております。
 また、この100分間の平均値において、高い値が確認された場合には、速やかに原因究明と排出抑制対策を講じていただくということになりますが、継続的に排出基準を超えているかどうかという判断につきましては、もう少し長いスパンで考えたいと考えておりまして、今の公定法での排出基準に対して1.5倍を超える場合は30日以内、1.5倍を超えない場合は60日以内に3回以上の再測定をして、その結果を踏まえて判断するということとなってございます。連続測定についても、同じような対応を行うことによって、事業者間の違いというのがないようにしたいと考えております。
 また、今回は非鉄金属と一般廃棄物の焼却施設で相関が確認されましたが、ほかの水銀排出施設についても、今後、さらにデータの蓄積を行いまして、粒子状水銀の省略要件を満たし、かつ、同様の傾向が確認される場合には、連続測定の導入を認めることが適当ではないかというところを追加させていただいております。
 一つネックとして残るのが、やはり導入に当たってコスト的なところがございますので、事業者への負担を考慮しまして、自主測定は連続測定法と公定法を選択できるようにすることが適当であるというところをまとめさせていただいております。
 最後、5番ですが、その他法令規定事項の点検でございます。
 そのほかにも、法律の規定の中で届出の規定であったり、報告徴収の規定、罰則等の規定がございます。こちらについては、5年間の施行状況を確認しておりますが、簡単にいいますと、比較的うまくいっているのではないかなというところが確認されております。
 表9の規制事務のとおりでして、立入検査も行われておりまして、基準超過、毎年数件確認されておりますが、それに対しても行政指導がしっかり行われているというところ。また、排出基準を継続して超過し勧告がされた事例というのは令和3年度にありましたが、行政処分であったり罰則、そういった適用までは至らないと、至っていないというところもございます。ですので、こういった状況を踏まえまして、届出、報告徴収、罰則等の規定については、現行制度を継続してはどうかと考えております。
 Ⅳの今後の課題ですが、排出実態を踏まえた更なる対応といったところで、今後、水銀排出施設や要排出抑制施設において水銀濃度の測定が行われ、その結果を活用した大気排出インベントリーが毎年更新されるなど、排出実態の把握が進められます。
 そこで、今現在、規制対象となっていない、自主的な取組の対象にもなっていないようなフェロアロイ製造施設などの発生源であったり、今後、普及が見込まれるバイオマス燃焼施設、地熱発電施設については、今後、蓄積する排出実態の情報を基に引き続き検討を行いまして、必要に応じて要排出抑制施設の追加等について検討を進めるべきというところを1つ目として書かせていただいております。
 2点目としまして、技術革新への対応ということで、大防法の水銀排出基準の特徴としまして、BATに適合した値としていることというところがございます。このため、水銀排出抑制技術の進歩に対応して、排出基準についても見直していく必要があると考えております。
 特に、今回の5年後点検・見直しにおいて、排出量が多いけれども、技術的なBAT/BEPに変化がなかったために排出基準等の見直しを行わなかったセメントクリンカー製造設備については、水俣条約の趣旨に鑑みまして、運転管理を含めた技術の進歩を適宜確認して、必要に応じて点検・見直しを行っていくべきではないかというところをまとめさせていただいております。
 また、2050年までにカーボンニュートラルの実現に向けて、水銀排出施設や要排出抑制施設において原料・燃料の変更、運転方法の変更、施設の大幅な改造・更新など、水銀の大気排出に影響を与える社会の変化、技術の進歩が想定されます。こういったところの動向を把握しまして、経済的かつ技術的考慮を払うとともに、カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー等と、統合的な取組となることを考慮しまして、規制対象施設や排出基準について適宜、見直していくことが適当であるというところをまとめさせていただいております。
 主に、排出基準であったり規制対象施設のところについての今後の課題でございます。
 3番としまして、測定方法の課題をまとめさせていただいております。
 今回、一定の相関が確認された施設について、連続測定を導入したいと考えておりますが、やはり、コスト面での事業者への負担というのは依然として課題として残っております。また、粒子状水銀が測定できないということであったり、妨害物質の影響を受けたり、要は、相関があまり確認されないところはこういう影響を受けているのかなと思っているのですが、また、低濃度域への対応に限界があるなど、連続測定機自体の課題も残っておりますので、関係者による技術開発が期待されるというところをまとめております。
 また、連続測定機は設置するだけではなくて、メンテナンス等の維持管理を適切に行うことが非常に重要であるといったところは環境省としても認識しておりまして、留意が必要であるというところを記載させていただいております。
 長くなりましたが、説明としては以上となります。ご審議、よろしくお願いします。
【高岡委員長】 ありがとうございました。
 それでは、ただいまのご発表につきましてご質問、ご意見がありましたらお願いしたいと思います。
 それから、浅利先生が早退をされまして、チャットにご意見が入っております。少し読み上げさせていただきますと、「丁寧な検証と提案をありがとうございます」と。幾つか細かな点はお送りしますということですので、後日、少しご意見があるかもしれません。
 それから、「先日、環境省化学物質と環境に関する政策対話にて水銀関連の取組に触れさせていただきましたが、日本で積み上げてきたこのような検討は大変価値が高いと思っております。引き続きよろしくお願いします。」ということでございました。
 では、委員の先生方からご意見、ご質問をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 では、横山さん、お願いいたします。
【横山委員】 工業会、横山でございます。ご説明ありがとうございました。
 連続測定のところでちょっと質問させていただきたいのですが、排出基準を超過した場合に30日または60日の平均値をもって、その後の経過を確認するということで書かれていますけれども、この30日の平均にするか60日の平均にするかというのは、どう使い分けるのかをちょっと理解ができなかったのですが、確認させてください。お願いいたします。
【奥野補佐】 事務局です。
【高岡委員長】 事務局。
【奥野補佐】 よろしいでしょうか。
 すみません。30日、60日の使い分けですが、実は今現在の公定法の測定においても使い分けをしております。どう使い分けているかといいますと、排出基準の超過の度合いによって30日、60日を使い分けていまして、排出基準の1.5倍を超える濃度の場合は30日、それ以外は60日ということで公定法のほうも3回以上の再測定を行うことということが決まっております。
 それに準拠しまして、連続測定においても、要は基準超過が、度合いが高ければ速やかに確認をしていただいて対応していただき、僅かに超えるような場合、対策を早く取っていただくのですが、評価自体は公定法と同じく60日としていいのではないかと考えております。
 以上です。
【横山委員】 この字面だけでいきますと、30日または60日の連続測定結果の平均値をもって判断すると書かれていたので、私の理解は30日なら30日間連続データを単純平均して評価と。もしくは60日間というふうに読み取ったのですが、それは間違いですか。
【奥野補佐】 連続測定をずっと継続して行っているのであれば、30日間の平均値になります。
【高岡委員長】 ちょっと間で挟んで申し訳ありません。
 これは私も横山さんと同じような意見を持っていまして、これはあくまで100分の平均値を繰り返しているだけの話ですよね、環境省。
【奥野補佐】 はい、そうですね。
【高岡委員長】 30日の平均ではないと理解していますが。
【奥野補佐】 そうです。
【高岡委員長】 横山さんもそういうようなご意見ですね、確認は。
【横山委員】 そうです。
【奥野補佐】 100分値であくまで判断はしていくのですが、その結果を、要は、100分の値が公定法の一つの結果というような形で、それがその100分を超えたら次の100分の結果というので、再測定がどんどん行われていくと。最終的な判断としましては、その30日であったり60日の蓄積された結果の判断となります。
【高岡委員長】 整理をさせていただきますと、例えば、100分の平均で、30日間の間に100分の間に1回、例えば50が基準だったら60という結果が出たと、30日の間で。それだったらアウトですよね。だから、30日間の平均だったら、例えば、その100分以外の30日間、残りの時間が全て50よりも低い値で30日の平均だったら、それは50よりも低い値になるので、そうではなく、100分間がアウトだったらアウトですよね、30日の間に。そう私は理解していましたが。なので、この記載は非常に紛らわしいというふうに私も理解をしていましたが、いかがでしょうか。横山さんはその辺の確認ですよね。
【横山委員】 はい。先生のおっしゃるとおりです。
【奥野補佐】 すみません、事務局ですけれども、もう一度整理させていただきますと、あくまで、100分の平均値で判断をするということにまずなります。その100分のデータが1日でいいますと、十何個たまりますけれども、それがまた30日たまりまして、それぞれのその30日でたまった1日十何個×30日間の結果の平均をもって判断をすると考えております。
【高岡委員長】 ということは、残りの30日間で100分間で測ったときに、その50という基準を超えてもいいのですか。
【奥野補佐】 そうです。公定法の再測定もそうですけれども、やはり、平均的な状態で判断をするということになりますので、その30日間の間にさらに100分間の結果で基準を超えたとしても平均的な状態で最終的にはどうかという判断をしたいと考えています。
【高岡委員長】 分かりました。そういうことですか。
 では、30日と60日という違いは、最初に測った100分間の濃度が1.5倍かどうかというところの違いという理解でよろしいですか。
 
【高岡委員長】 30日と60日という違いは、一番最初に超過した100分の値が基準の1.5倍か1.5倍ではないか。そこで30日か60日が決まるという理解でよろしいですか。
【奥野補佐】 はい。その理解で間違いないです。
【高岡委員長】 分かりました。続けての質問があるかもしれませんので、横山さんにお返しします。
【横山委員】 やはり、高岡先生と私が感じたように表現の紛らわしさというか、判断に迷うような書き方になっている気はしますので、そこは明確な表現にしていただければと思います。よろしくお願いします。ありがとうございました。
【高岡委員長】 ありがとうございます。大変、重要なご指摘だと思います。
 では、大野様、よろしくお願いします。
【大野委員】 私も測定に関する質問が1個あるのですけれども、事業者は公定法の代わりに連続測定機を使用できるようになっていくということで、事業者はこれはダクトに連続測定機を据え付けてずっと測る必要はなくて、つまり、今まで定期測定していたときに連続計を借りてきて、そして連続計で100分測る、それでもよろしいということですか。要するに、連続計を代わりに使うというのは、そういう使い方でいいということでしょうか。まず、1つ、これは質問です。
【高岡委員長】 では、事務局、お願いいたします。
【奥野補佐】 事務局です。
 大野先生からご提案のあった公定法の測定に連続測定の装置を使って測るということではなくて、あくまで、据置き型の連続測定機を設置して、常時測られていることを想定しております。
【高岡委員長】 大野さん、どうぞ。
【大野委員】 そういうことですか。じゃあ、連続機を設置していて通常4か月に1回、6か月に1回測るときに、操業が安定値になったときに100分間測ると。100分間の連続機の平均値を取るという、そういう考え方ですか。そういう考え方になるわけですね。
【奥野補佐】 そうです。想定していますのが、今のクリーンセンターとかで、もう既に据置き型の連続測定機が設置されて、測定が継続して行われているというようなことを想定しております。そういったところについては、水銀濃度が高くなったとか、そういうことが常に確認されているという、確認ができていると判断できるのではないかなと思っています。
【大野委員】 先ほどのご説明で、粒子状水銀が低いところということもご説明にあったのですけれども、今現在、連続機を設置していないところも、そうなるとあると思うのですね。そういうところは、連続機を買うのではなくて、つまり、公定法の代わりにそのときに借りてきて測るという、そういう解釈もできると思うのですけれども、それは駄目ということでしょうか。連続機を。
【奥野補佐】 すみません、事務局です。
【高岡委員長】 どうぞ。
【奥野補佐】 やはり、連続測定を買うとなったら負担が大きいというところがございますので、事業者自らが公定法でやるのか、連続測定機を使って常に監視をしているのでそれを使いますというところを選択できるようにしたいと考えております。
【大野委員】 分かるのですけども、買わなくても今レンタルということもできると思います。それだとかなり自分のところで測ることもできますので、分析会社に依頼する必要もなくなり、そういう面ではコストも削減できると思うのですね。なので、そういった使い方ができるのかということが、多分、疑問になると思います。
 あと、もう1つですね、データについての質問ですけれども、公定法と告示法と連続計で比較をされて相関を取っているデータが22ページにあるのですけれども、このデータというのは、告示法の測定をしたときに、そのときに連続計がついていて、そのときの100分の平均を取って相関を取っているという理解でよろしいでしょうか。
【高岡委員長】 事務局、お願いします。
【奥野補佐】 この相関の取り方ですけれども、実際に連続測定機を現地とかに持っていきまして、公定法で取っている100分を含む何日間かをずっと連続測定をしまして、実際に比較をするのは公定法でサンプリングしたその100分で連続測定の結果を100分切り出しまして結果を比較したというやり方をしています。データをいただいたところについても基本的には同じやり方をしていまして、その公定法で取った100分のところの連続測定の結果だけを切り出しまして、その100分間の平均で公定法の結果と比べたらどうなのかというところを検証しています。
【大野委員】 つまり、同じ時間帯で同じ排ガスを取って比較しているということでよろしいですか。
【奥野補佐】 そうです。
【大野委員】 分かりました。
 その前提でちょっとお聞きしたいのですけれども、例えば、先ほどおっしゃっていた非鉄とか一般廃棄物というのは、そこそこ相関が取れましたというお話で、ただ、こう見ていくと石炭火力ですとか、あとは下のほうのセメントクリンカーですね、特に石炭火力は低濃度、かなり濃度が低いので、ここで相関を取るのは非常に難しいと思います。もっと言ってしまえば、一般廃棄物などに関しても、下のほう、低濃度のところだけで相関を取ったら、またちょっと相関が落ちるのではないかというところもあるのですけれども、それでセメントクリンカーに関しては、かなり相関が悪いというのが出ていると思います。これは、同じ連続計を使っているのですけれども、告示法のほうを正としますと、連続測定機のほうがかなり低く出ているということになると思います。この理由は、少し分かっているのでしょうか。
【高岡委員長】 事務局、お願いできますでしょうか。
【奥野補佐】 事務局、奥野です。
 結論から言いますと、詳細までは分からなかったというのが結論になります。セメントクリンカーの製造設備におきましては、事業者のほうで連続測定と公定法を同じ時期に測った結果を提供いただいたということがまず大前提にありまして、我々が測定に行ったときであればどういう状況だったのかや、何か現地にサンプリングに行った者がいますので確認はできるのですが、データを提供いただいたところで、なおかつ少し過去のデータになりますので、なかなか原因までは究明できなかったというのが結論になります。
【大野委員】 恐らく、排ガス中の共存成分の影響などもあると思うのですけれども、そう考えますと、やはり連続測定機は、使っていくうちに、例えば湿式だったら吸収液とか、乾式だったら触媒の劣化もあります。設置して1年ないし2年ずっと連続して使用していくと、かなり劣化して、データに誤差がだんだん生じていくということもあるので、自動連続機の設置の義務付けをするのであれば、やはり維持管理の方法も環境省のほうできちんと決めていただいたほうがいいかなと思っております。
 つまり、私の質問としては、連続測定を入れたときにレンタルでも公定法の代わりとして使えるのか。あとは、連続機の場合は維持管理の方法を環境省のほうで規定していただきたいという2点でございます。
 以上でございます。
【高岡委員長】 ありがとうございます。
 最後のメンテナンスのところにつきまして、事務局からご説明があればお願いします。
【奥野補佐】 ありがとうございます。メンテナンスの部分について、環境省としても同じ課題、認識を持っております。設置すれば全てが計れるというわけではなくて、やはり適切な維持管理があって正しい数値が確認できると思っておりまして、そういう意味で今後の課題のところ、非常に短いですがそうした内容は書かせていただいているつもりです。連続測定機は設置するだけでなく、メンテナンス等の維持管理を適切に行うことが重要であるということにも留意が必要というのはしっかり書かせていただいております。これをどういうふうに徹底させるのかといったところは、今後、引き続き検討はしていかないといけないかなと思っております。
 以上となります。
【高岡委員長】 ありがとうございます。
 では、大阪府の荻野さん、お願いします。
【萩野委員】 萩野です。引き続き、測定関係の質問というか意見ですけれども、ちょっと行政側から見ますと、行政というのは公定法で計量証明書が出たその濃度によって指導をするということが基本なのですけども、この連続測定をやっているところは公定法をやらないという形で、なおかつ30日あるいは60日間の平均値をもって排出基準の超過、以下というのを判断するということは、行政からしてもその連続測定の30日または60日の平均値で基準が、いわゆる、計量証明は出てないのだけれども基準超過という判断をしたらいいという、そういう考えでしょうか。
【高岡委員長】 事務局、お願いいたします。
【奥野補佐】 事務局です。
 そのとおりになります。実際、大気汚染防止法でいいますと、ばい煙の中でもNOxやSoxでは連続測定がもう既に導入されているというところもありますので、そういったところを参考に水銀も導入をしていきたいと考えております。
【萩野委員】 分かりました。ありがとうございます。
【高岡委員長】 ありがとうございます。
 それでは、鈴木先生、お願いします。
【鈴木委員】 ありがとうございます。測定のところの議論がずっとありましたので、今随分ご議論があったので、あるいは違うと恐縮ではあるのですが、多分、私の感覚ではこの連続測定を導入する場合、基本的に連続測定を装置に設置する場合だけと、今の時点では限定したほうがいいのではないかと思っております。装置を持って歩くというような話になりますと、連続測定を公定法として恐らく認定しなければいけなくなると思います。また、その測定機がそういう形で本当に安定に動くのかどうかというのは分からない気もしますので、多分、そういうケースを明確に排除したほうがいいのではないかと私は思います。将来あるかもしれませんが、検討課題ということで。
 それから、多分これは30日、60日の再測定から始まったと思うのですけれども、データの読み方が、ご質問、あるいはご議論のとおり確かによく分からない。改めて見るとやはりよく分からないと思ったのですが、私の理解では、現行の基準を超えるかどうかというのは、設置して連続測定をしているデータの中で、任意の100分の移動平均値が超えるか超えないかということでまず見てということかなと思ったのですが、これは正しいかどうかちょっと教えてくださいということと、30日、60日という点については、これはここに書いてあることの趣旨から考えれば、少なくとも30日、もし基準値が排出基準に適用しない状態というのが100分の移動平均で見つかった場合には、30日あるいは60日の間、同様の方法で100分移動平均の値の監視を続けてくださいと。そうすると同じことになってしまうかもしれませんが、それを報告してくれということになっております。そういうことでしょうかという確認を含めて、お願いします。
 以上です。
【高岡委員長】 ありがとうございます。では、事務局。
 最初は、連続計を限定されたほうがいいというご意見で、後ろのほうは、先ほどもちょっとあったようなご意見かと思いますが、事務局のほうからご回答をお願いいたします。
【奥野補佐】 ありがとうございます。連続測定の機器につきましては、JIS B7994に規定される、そういったものに限定をしたいとは考えております。何でもかんでも使っていいと、計れるから使っていいというわけではなくて、そういったところで限定はしたいと考えております。
 また、データの扱いにつきましては、100分の移動平均、その100分ごとの結果を見ながら確認をしていくということと、あと、30日、60日の話ですけれども、常に連続測定でデータは蓄積されていますので、その結果を30日とか60日を見ながら最終的に基準超過かどうかという判断をするということで考えております。
【鈴木委員】 よろしいでしょうか。
【高岡委員長】 どうぞ。
【鈴木委員】 まず、最初の質問のほうは、装置がJISであるかというのは、それは当然ですけども、そうではなくて、据置き型に設置する運用のみに今回は限定したほうがいいのではないでしょうかということです。特にこの文章はそれを前提に書かれているような気がしますので、JISの装置を持って歩いて測定するということは、今回は明確に排除したほうがいいのではないでしょうか。やるとしても将来のため、そのための検討をしたほうがいいと私は思いますという意見です。
 それから、後半に関しては、多分、私の理解、あるいは、もしかしたら意見を改めて繰り返しますと、基本的には連続測定を設置でやっている状態であると私は理解しますので、連続測定はデータを集め、基本的には連続して取られているということになると思いますので、そのうちの任意の100分移動平均が基準適合しているということを調べ続けることになりますが、万が一超えた場合には、少なくとも30日以内、あるいは60日以内に同様の監視をした結果、超えませんでしたということをご報告していただくという対応になることが、多分、今、公定法でやっている対応と比較的近い対応になるのではないかと思いましたので、それがいいのではないかと思いましたというのが1つ。
 あと、先ほど既にご指摘がありましたが、この場合、連続測定機の信頼性の確保というのは非常に重要になりますので、ここはぜひ決めていただきたいというところ。
 あと、当たり前のコメントで、既に議論はありますけれども、今後とも、例えば、告示法と連続測定法の相関図を作るときはいいのですが、相関係数も大事ですが、傾きを必ず見ていただかないと、相関係数だけでは議論できないので、傾きが1で相関係数がよいと、両方で初めて判断可能かと思っておりますので、そこはご注意をお願いします。
 以上です。
【高岡委員長】 ありがとうございます。
 環境省からありますか、事務局から。
【奥野補佐】 奥野です。
 もともと想定しているのが据付け型のもので持ち歩いて測定をするというのは想定していなかったというのもありますので、そこはしっかり分かるように示したいというふうに思っております。
 最後にご意見をいただきました精度管理の話につきましては、先ほど大野先生からもご指摘いただきましたが、環境省としてもしっかり、今後、そこは担保できるような形で考えていきたいと思っております。
 相関係数の傾きにつきましても、そこは我々も気にしておりまして、当然1に近いような形で確認ができるものに対して認めていきたいと考えております。
【高岡委員長】 私の理解では100分間の移動平均ではないという理解ですが、これでよろしいですか。100分間の平均値というのは。鈴木先生はちょっと移動平均というお話をされましたが。ここで言われているのは、100分間の平均値、任意の100分間の平均値。移動平均ではないという理解をしていますが、それでよろしいでしょうか。
【奥野補佐】 100分間の平均値になります。
【高岡委員長】 移動平均ではないということでよろしいでしょうか。
【奥野補佐】 移動平均ではないです。任意の100分間の平均値になります。
【高岡委員長】 そこは、今までのNOx等との整合性からそうされているということですね。
【奥野補佐】 そうですね。NOx等も同じ考え方になっています。
【高岡委員長】 ですので、ちょっと鈴木先生、その点ご了承をお願いします。
【鈴木委員】 まあ、いいです、それで。分かりました。
【高岡委員長】 ほかにいかがでしょうか。
 伊藤先生、お願いします。
【伊藤委員】 9ページのところですけども。
【高岡委員長】 9ページ。
【伊藤委員】 BAT/BEPの観点での水銀排出抑制。
【高岡委員長】 BAT/BEPでの水銀排出抑制、その辺りですね。はい。
【伊藤委員】 先ほどもちょっとあったのですけれども、何を伝えたいのかが少し分からなくなるところがございまして、設備を更新して特に変化はなかった、BATからBATに変更して変化がなかったというのであれば分かりますが、変更した理由が、より優れた設備に、水銀を含めてより優れた設備に変更したときに変化がなかったというふうに受け取られてしまうと、何となく、「あれ?」というような感じになってしまいます。恐らく表現の工夫で済むと思うのですけども、その辺の言い回しを少し注意していただければなと思います。
 以上です。
【高岡委員長】 ありがとうございます。
 事務局、では、ここは少しご検討をいただくということで。
【奥野補佐】 ありがとうございます。少し表現を検討させていただきます。
【高岡委員長】 ありがとうございます。
 ほか、いかがでしょうか。
【守富委員】 すみません。守富ですけど。
【高岡委員長】 お願いします。
【守富委員】 別紙2の国際動向、諸外国の動向等を含めて、今回まとめられているのですけれども、今、皆さんが議論している連続測定のことです。やはり、今までの議論で5年後見直しを含めた場合、やはり少しでも排出量を下げましょうよということで、特にセメント・鉄鋼、それから今新規のバイオマス、フェロアロイ、カーボンブラックのところです。やはり諸外国の状況も見つつ、できるところからきちんと、5年後ですけれども、今回の案についてはこれでいいかなと思うのですが、少なくとも5年後の見直しという観点からいうと、もう少し諸外国の動向であるとか、国内の状況とか、きちんと整理はできているように思うのですけど、全体を見たときに、じゃあ5年後はこうしましょうよというのを言い切るには、連続測定にしてもそうなんですけれども、それによる効果といいますかがどうもはっきりしないような気がしていて、もう少し議論を深めてほしいです。特に、諸外国でそのように厳しくしているところもありますし、国内的にも、もし下げるのであれば、BATの適用というのも、今、伊藤先生からも話があったようなもので、BATからBATというのもどうかなという、それは表現だけの違いかもしれませんが、具体的に、高岡先生のシミュレーションでもこういうのを導入すればというのがあるのかもしれませんけれども、ぜひ、その辺の議論というのを今後の糧といいますか、今回は今回として5年後見直しに向けたその辺の議論を深めることをしないと、やっているのだけどなかなか結果が出てないような、結果が出たら下げるという意味で、量的にはどうかなと思うのですが、もう少し議論を深めるようなことをしていくべきではないかという印象を、特に諸外国の状況を見ていると、気がしてならないです。よろしくお願いいたします。
【高岡委員長】 ありがとうございます。
 事務局、守富先生のコメントにお答えはありますでしょうか。
【奥野補佐】 ありがとうございます。こういった諸外国の調査も毎年実施してきていまして、我々としては確認はしてきているつもりではございますが、議論がまだまだ浅いのではないかという、そういったところのご意見は真摯に受け止めまして、引き続きしっかり解析や、海外の動向もさらに調べていくということは進めていきたいと思います。ありがとうございます。
【高岡委員長】 ありがとうございます。
 では、黒坂先生、お願いします。
【黒坂委員】 すみません。先ほどの守富先生からも諸外国のお話もありましたけれども、やはり、削減効果について単なる感想のようにはなりますけれども、少しコメントさせていただきたいと思います。報告書の内容としましては、これまでの経過もあって、また基本的な考え方を整理していただいた上で個別の論点を整理してくださっているので、非常に分かりやすくまとまっていると、個人的には感じております。
 ですので、各個別の論点につきましては、技術的なことについてちょっと先生方のご意見がありましたけれども、個人的な異論はありませんが、感想に近いところではあるのですけれども、やはりセメントクリンカーの製造設備につきましては、先ほどのインベントリーのところでも排出量が非常に多くて、削減効果が求められる施設かと思います。技術的な詳細については、私はちょっと法学が専門ということで分かりませんけれども、11月のヒアリングや今回の報告書案でもセメントクリンカーの製造設備におきましては、水銀の排出抑制技術がこの5年間変わっていないということで、今回の点検・見直しで基準を変えない、それは仕方がないと思うのですけれども、運転・管理を含めて削減できる工夫や、やはり排出抑制の何か対策というのは、今後検討いただきたいというところがあります。
 そして、24ページに書いてくださっていたかと思うのですけれども、今後の検討課題に書いてくださっているので、まさにそのとおりだなと思いながら聞いていたのですけれども、やはり、技術の進歩を適宜、実際に確認していただいて、基準の見直し等々を今後も積極的に進めていただきたいというのが感想でございます。
 以上です。
【高岡委員長】 ありがとうございます。
 事務局、ございますでしょうか。
【奥野補佐】 ありがとうございます。我々もセメントクリンカーの製造設備で、インベントリーのところでもお示ししましたが、やはり、一番多い業種であるというところもございまして、今回の結論としまして、今後、業界団体様とも意見交換をしながら少しでも下げられるような、そういったところの意見交換をしていければと思っております。その結果、さらに下げられるというところについては、下げていきたいと考えております。
 以上となります。
【高岡委員長】 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 では、ちょっと私のほうから、もう一度最初の横山さんのところに戻るのですけれども、22ページですけれども、いわゆる、超過したときの、まさに図16のところで、そこでとにかく100分間の平均値で排出基準の超過をまず判断して、それで原因究明、排出抑制対策等々をしても、その次の30日間のうちに100分間の平均が超えるようなことがあっては、これはアウトではないのですか。当初、任意の100分間で測って、排出基準が超過しているということを出したわけですから、次の30日間で、それを100分間で超えることを、1回でも超えることがあれば、今だったらそのときに公定法でアウトなわけです。アウトというか、連絡をして、さらなる措置を取らないといけないのかもしれませんけれども、そういうことにはならないということでいいのですか。
【奥野補佐】 今現在でいいますと、まず、公定法で確認をして、たまたま高いところで確認されれば、事業者のほうで追加で3回以上の測定をしていただいて判断をします。その間の行政への報告義務というのはまずないです。当然、自治体に相談をしながら対応を進めるという事業者も多くあるかとは思いますが、法律上はその報告の義務はないということになります。
 実際に、現在、結果も集めていますが、その結果を集める段階で自治体が初めてこの事業所に超過があったということが分かると、そういう事例もあると聞いております。
 まず、連続測定の場合ですけれども、100分平均値で超えた場合、当然、速やかに原因究明をして、排出抑制対策をして下げていただきます。この図のとおり下がって、ずっと低い値が継続されれば一番理想的ではあるのかなと思っています。
【高岡委員長】 そうですね。
【奥野補佐】 ただ、下げたところが基準値ぎりぎりで、また少し超えてしまったということも当然考えられると思ってはいるのですが、法律上、継続して超過する場合がやはり改善勧告であったりそういったところの対象になってくるということがございます。下げている途中の段階で、またあるときに少し高い値が出たとしても、そこは30日間もしくは60日間の結果で、最終的には判断をすることになると思っています。それは、公定法でも今も一緒なのかなと思っておりまして、再測定の結果が、例えば、また2回目や3回目に基準値を超えた値があったとしても、ほかの結果が低ければ平均で判断してセーフというような判断をすることになります。
【高岡委員長】 そうですね。ただ、今はとにかくバッチで特定しますので、最初の値が出て、それで次に測ってプラス3回測って最小と最大を外して平均値で判断をするというようなことをやっていると思うのですが、連続計ではずっと測れているわけですので、そこを任意の100分を選べてしまうというようなことがあるのではないかという懸念があります。
 例えば、今の公定法と同じような形でいうと、1回目の測定で超えて、その後の期間であと3回、例えば、ある種選べると。今の公定法と同じような形でいえば、任意の100分が選べるというのは少し違うような感じがしますが、そこでとにかく30日間平均が、100分の繰り返しの平均が基準値以内だったらここではオーケーとするということでいいのですね。だから、何回か超えていてもオーケーであるということになるのですね。
【奥野補佐】 そうですね。そう判断しています。
 任意の100分というのは、連続測定をずっと計り続けている限りでは選べないとなっていまして、100分の次はまたその次の100分の結果が集まっているということになっていまして、そういったところの合計の集められた全ての結果の平均をもって判断をするということになるのかなと思っています。
【高岡委員長】 分かりました。
 ここは、あと、少し大阪の萩野さんからご指摘がありましたが、いわゆる、記録というものは、最終的には都道府県に提出をされるということでよろしいですか。報告というかですね。全ての結果を記録、報告されるのですよね、やはり。
【奥野補佐】 測定結果につきましては、今の公定法でも測定をしてその結果を記録して保存する義務はありますが、報告する義務というのはないです。保存するところまではあります。ですので、連続測定も同じで、チャートであったり確認した結果というのを保存していただいて、行政が立入検査などをした際に、ちゃんと示していただけるようにしていただくということになると思っています。
【高岡委員長】 分かりました。了解しました。
 いかがでしょうか。ほかにご意見はございますでしょうか。
【鈴木委員】 鈴木ですけど、よろしいでしょうか。
【高岡委員長】 どうぞ。
【鈴木委員】 今、座長が最初に言ったことに近い認識ですが、ちょっと明確にしたほうがいいと私は思います。
 私は、移動平均は基準じゃないけれど、移動平均に近いだろうと思っているのは、この100分の時間の規定は定義されていないと思うので、移動平均のグラフと同じことで、そこからどういうふうに、どの時点の2点なり、3点を取って30日、60日間の判断ができるかということについて、あまり明確ではないような気がします。ただ、もし今バッチの公定法でやっていることに近いことを選び、かつ、連続測定の利点を生かすというならば、例えば、100分移動平均のグラフを描いて、一番高いところから順番に三つ拾って、その平均値が基準を超えていなければクリアですとかというような提案のことになるんじゃないかと私は思うのですけども、連続データを処理するなら何かそういう考え方になると思うので、何かそこをきちっと整理したほうがいいのではないかと思うのですが、私にはそのような考え方が、恐らくバッチでやる測定法に比較的近いコンセプトで連続のデータを処理する方法ではないかなと思います。
【高岡委員長】 はい、ご意見、ありがとうございます。
 いかがですか、環境省、事務局。
【奥野補佐】 はい、環境省です。
 そうですね、ちょっとこの辺りの30日、60日であったり100分とか、どこを起点にするのかとかも含めて、ちょっとそこは明確になるようにお示しをさせていただきたいと考えております。
【高岡委員長】 はい、そうですね、それはちょっと、改善は必ず必要だと思います。
 先ほど鈴木先生から必ずしもそうしろというわけではないというお話でしたが、移動平均ではとにかく今回はないと。
 それから、私は、ちょっと意見を申し上げると、やはり30日間の例えば平均とかという言葉は、やはり私は少し違うのではないかなと思っています。というのは、諸外国のところでもそうですが、時間に応じてやはり水銀濃度の規制値は変わるべきだと認識していますので、これはやはり100分での平均値は現行の排出基準値に対応すると。決して30日の平均値ではないと私は理解しています。もし30日の平均値であれば、規制値を変えるべきだと理解します。
 ほかにいかがでしょうか。
 では、測定方法のところから変わりまして、別のところで少し。
【鈴木室長】 測定方法のところで、追加で説明させてください。
【高岡委員長】 事務局から。はい、どうぞ。
【奥野補佐】 すみません、高岡先生から、30日の平均で基準超過を判断するのは違うのではないかというところですが、我々もそこは認識しておりまして、あくまで100分の平均をもって基準超過かどうかという判断をするというふうに考えています。それが法律上で書かれています継続して超過しているかどうかというような判断をする際に、30日であったり60日の結果で判断をしたいと考えています。
【高岡委員長】 そこは非常に重要なところだと思いますので、今の書き方では非常に紛らわしいと思いますから、ここはしっかりと明確に、判断する基準は書かれていますけれども、100分の平均値であって、これは30日の平均値ではないというようなことをしっかり書いていただきたいと思います。
【鈴木室長】 はい。事務局ですが、今の点のとおりなのですが、少しだけ法律に関して追加で、大気汚染防止法の第18条の34、先生方はご存じかもしれませんけども、「排出基準に適合しない水銀等を継続して大気中に排出すると認めるとき」という文言があります。この継続して超過しているのが、継続しているかどうかの判断があくまで30日かどうかでありまして、100分のデータ一個一個がもし超えていたらそれは基準超過だと。基準超過という点と継続しているかどうかというのはちょっと別の次元なので、そこが分かるように報告書に書きたいと思います。
【高岡委員長】 はい、よろしくお願いします。非常に重要な点だと思いますので、よろしくお願いします。
 ほかにいかがでしょうか。
 はい、萩野さん、お願いします。
【萩野委員】 はい、萩野です。セメントクリンカー製造設備のことで、先ほど黒坂先生のほうからご意見があったと思うのですけれども、私も本当にそのとおりだと思っておりまして、BAT/BEPの変化がないから現行基準の維持ということは、それはそれでいいと思うのですけども、だからといってではなくて、引き続き運転の管理の工夫とかでしっかりと排出抑制を図っていってほしいということを業界団体に伝えていただけたらと思うのですが、ちょっとそういう趣旨を報告書の中にもあってもいいのかなと思いまして、例えば24ページですけれども、技術革新等への対応のところでセメントクリンカー設備に関して記入があるのですが、ここで「水俣条約の趣旨に鑑み」というところの後に、引き続き排出抑制に取り組むとともに、今後新たな技術が出てきたらしっかりと対応してねというような形で、ちょっとだけそこの文言を追加するのはどうでしょうか。
【高岡委員長】 はい、ありがとうございます。そうですね、付け加えるのは十分いいことだと思いますが、いかがでしょうか。これは皆様にお聞きするような話だと思いますが。
 先ほどから萩野様、黒坂先生からも、やはり一番大きな話のところで、下げるような努力を引き続き行っていただくという意味では、もう少し文言をプラスしたほうがいいのではないかというお話ですので、少しそこは考えたいと思いますが、事務局もよろしいでしょうか。
【奥野補佐】 はい、承知しました。追記する方向で、高岡委員長とも相談をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
【高岡委員長】 ほか、いかがでしょうか。
【守富委員】 守富ですけども。
【高岡委員長】 はい、守富先生、お願いします。
【守富委員】 これ、結構議論してきたところで、もう業界のヒアリングのときにも、できる、できないの議論をしてきたところだと思うのですが、やはりセメントの石灰石濃度等の問題もあって、「全体からするとなかなか難しいよね」という話がずっとあると思います。自助努力は是非してもらいたいというか、文言を増やすこと自身はいいかなと思うのですけど、なかなか実効性となると、業界団体とかなり協議を進めないと実際に進められないのではないかなという思いも一方にありまして、その意味で、私はこのままで、今後きちんと議論を進めるというのでさっき申し上げたつもりだったのですけども、もし環境省のほうから文言を足すことも可であるということであれば付け加えていただければいいかなと思います。
 以上です。
【高岡委員長】 はい、ありがとうございます。
 はい、ほかに。守富先生、なかなか難しいけれども頑張っていただきたいし、付け加えることは可であるというようなご意見だと思います。基本的にはその方向で、よろしいですか、守富先生。
【守富委員】 はい、よろしいです。
【高岡委員長】 ありがとうございます。
 ほか、いかがでしょうか。
 では、私のほうも、1つは、10ページの一番上のところで、特例措置と、それから経過措置と書き方が二つあると思うのですが、これは両方とも経過措置という書き方のほうでよろしいですよねというのが1点です。まずここを確認させてもらえますでしょうか、事務局。
【奥野補佐】 はい。前回の答申などの書きぶりで言いますと、特例措置になっているかと思います。
【高岡委員長】 はい。前回の答申ということですか。
【奥野補佐】 そうですね、はい。
【高岡委員長】 前回の答申。ただ、法律上は特例措置というよりは経過措置で大防法のところには書かれていますよね。施行規則のところです。特例措置という文言はないように思います。
【奥野補佐】 はい、そうですね。
【高岡委員長】 これはいわゆる既設に対する経過措置だと思いますけれども。
【奥野補佐】 そうですね、はい。
【高岡委員長】 そうであれば、もうここは経過措置でもいいかなと。表2は経過措置と書かれていますし、その辺がちょっと齟齬があるなと思いましたので、ちょっとした文言の修正かもしれませんが、少し考えていただきたいなと思いました。
【奥野補佐】 分かりました。法律を確認した上で合わせようと思います。
【高岡委員長】 よろしいですか、事務局。
【奥野補佐】 はい、承知しました。
【高岡委員長】 はい、すみません。
 それからあとは、やはり経過措置というのはこの0.05の石灰石のほうもそうですし、そういう意味では、今の既存の施設もいわゆる経過措置として、大くくりでは決められていると思いますので、それはやがて時間がたてば経過措置はなくなるというのが基本的な話だと思いますので、やはり、できる限り下げるような方向でやっていただかないといけないということだと思っております。
 それから、今回、非鉄金属のほうでは、1つの既設と、あとは新設のほうで技術を適用できるということで、下げることができるということを出されたのは大変いいことだと思っています。1つの成果かなと思っています。
 ただ一方で、14ページのところで見てみますと、やはり幾つかの施設が非常に寄与が大きいというのが見えてきていますので、ここから下げていくには、特定のところである種、少し施設を強化していただくなど、そういったことも考えていかないと、なかなか下がっていかないのではないかなと思います。これは今後の議論になっていくかと思いますが、全てのところに同じようにBATを適用していくというのはなかなか難しいかもしれませんが、特定のところで、排出が多いところで、やはり頑張っていただくようなことも、それに対しては幾らか、サポートしていくというようなことも考えていかないと、総合的には下がっていかないかなと思いますので、その点も今後お考えいただければ幸いかなと思っております。
 事務局、何かありますでしょうか。
【奥野補佐】 事務局ですけれども、よろしいでしょうか。
【高岡委員長】 はい、どうぞ、お願いします。
【奥野補佐】 まず1点目のほうの既存施設も、広い意味では新設への移行のための経過措置的なものと認識しております。それを進めていただくことによって基準も下がりますので、排出量は減っていくと我々も認識しております。できるだけ下げていきたいと考えております。
 あともう1点、今お示しさせていただいております非鉄金属の、やはり特定の事業で排出量が多いです。全体の占める割合も非常に多いというのは我々も把握しておりまして、こういったところ、こういった事業者に対しては、個別に、基準は基準として全体の事業者にかけるものと認識しておりまして、やはり個社と直接何ができるのかとか、そういったところは直接話をするというところも1つ方法としてはあるのかなと考えております。
 以上となります。
【高岡委員長】 はい、ありがとうございます。
 では、ほか、いかがでしょうか。
【鈴木委員】 鈴木ですけど、もう一つ。
【高岡委員長】 はい、どうぞ。鈴木先生、お願いします。
【鈴木委員】 いや、これは言わずもがなかもしれませんが、IGCCの施設についてはこの方針でいいと思いますが、そういえばIGCCだと従来なかった技術を利用できる可能性があるということもあるようなので、それがどう利くのか私には分からないのですけども、書いてあるとおり、今後とも見直し等を図っていくということですので、実態を見ながら適正に管理していただくようにお願いしたいと思います。
 以上です。
【高岡委員長】 はい、ありがとうございます。
 では、ほかにご意見はございませんでしょうか。
 ないようでしたら、それではこの取りまとめの報告書案につきまして、本日、たくさんのご意見をいただきましたので、ご意見を踏まえまして、特に先ほどの測定のところで100分と30日・60日といったところの取扱いは書き方を少し整理しないといけないというようなところもありますので、その辺りの修正等を追加したいと思います。また、それから最後のセメントのところも、もう少し排出抑制に向けてということで、文言を追加するということ。さらに、先ほどの特例、経過というようなところも少し修正するというようなことがございますので、細かい文面につきましては委員長である私にご一任いただくということでよろしいでしょうか。
【守富委員】 守富ですけど、それで良いです。よろしくお願いします。
【高岡委員長】 はい、すみません。はい、ありがとうございます。
 幾つかその測定のところで特にでございますが、その辺り、しっかりと環境省と、皆様に誤解のないように分かるような形で記載できるように再度追加修正をして取りまとめたいと思います。ありがとうございます。
 それでは、本日予定された議題は終了となりますが、全体を通してご意見、ご質問はございますでしょうか。
 特段ないようでしたら、本日予定の議題は終了しましたので、進行を事務局にお返しいたします。連絡事項等があればお願いいたします。
【奥野補佐】 すみません、事務局ですけれども、今後のスケジュールについて少し報告をさせていただきたいと思います。
 本日、たくさんのご意見をいただきましたので、先ほど高岡委員長からもお話がありましたとおり、文言の修正等について委員長と詰めさせていただきたいと思います。最終、修正された内容については、委員の先生方にもまた最終確認をしていただきたいと思います。それが取りまとめられましたら、まずこの報告書の案の内容でパブリックコメントを実施したいと思います。意見をいただいた上で、その意見と合わせて中央環境審議会の大気・騒音振動部会のほうに報告をさせていただきたいと考えております。それを行いましたら、最終的には中央環境審議会の答申として環境省が受けまして、それを受けて大気汚染防止法の所要の改正、特に規則改正になると思うのですけども、そういった手続を進めていきたいと考えております。
 以上となります。
【高岡委員長】 はい、ありがとうございました。
 では、進行はもうお返ししますので、よろしくお願いします。
【本多係長】 本日は長時間にわたってのご議論、どうもありがとうございました。
 それでは会議の閉会に当たって、環境省大臣官房審議官の前田から一言ご挨拶を申し上げます。
【前田審議官】 環境省大臣官房審議官の前田でございます。閉会に当たりまして、一言ご挨拶を申し上げます。
 本日は年度末のお忙しい中、ご参加いただきましてありがとうございました。
 水銀の大気排出規制の点検・見直しにつきましては、昨年3月の本専門委員会以降、業界団体にヒアリングを行い、前回と今回の2回にわたりまして、規制対象施設でや排出基準の見直し、連続測定法の導入可能性などについてご審議をいただいたところでございます。
 本日、専門委員会の報告書として取りまとめいただきましたが、この内容を踏まえまして、所要の手続を進めてまいりたいと思っております。
 ここに至るまで多大なご協力をいただきました委員の先生方、関係団体の皆様に心から感謝申し上げますとともに、引き続きご協力を賜りますようお願いいたしまして、簡単ではございますが、閉会の挨拶とさせていただきます。
 本日は長時間にわたり誠にありがとうございました。
【本多係長】 事務局です。
 本日の議事録についてですが、事務局のほうで案を作成し、各委員にご確認いただいた上で、環境省のホームページにて公開する予定となっておりますので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
 それでは、これにて専門委員会を終了いたします。本日は誠にありがとうございました。
午後 4時50分 閉会