大気排出基準等専門委員会(第14回)議事録

1.日時

令和5年11月13日(月)10:00~11:59

2.場所

場所:環境省第三会議室(対面・Web併用会議)

3.出席委員

委員長   高岡 昌輝   

委員    浅利 美鈴   伊藤 茂男   大野 香代
      大橋 博信   黒坂 則子   鈴木 規之
      萩野 貴世子  守富 寛    山川 茜
      横山 唯史

4.委員以外の出席者

環境省
前田  大臣官房審議官
筒井  水・大気環境局環境管理課長
鈴木  水・大気環境局環境管理課 環境汚染対策室長
百瀬  水・大気環境局環境管理課 環境汚染対策室長補佐
奥野  水・大気環境局環境管理課 環境汚染対策室長補佐
粟飯原 水・大気環境局環境管理課 環境汚染対策室係長

5.議事次第

1.開会
2.議題
 (1)水銀大気排出に関するヒアリング
    ①一般社団法人日本化学工業協会
    ②一般社団法人セメント協会
    ③一般社団法人日本産業機械工業会
    ④一般社団法人日本鉄鋼連盟
3.閉会
 

6.配付資料

資料

 ・資料1   中央環境審議会大気・騒音振動部会大気排出基準等専門委員会委員名簿
 ・資料2-1  水銀大気排出に関するヒアリング実施概要
 ・資料2-2  ヒアリング資料(一般社団法人日本化学工業協会)
 ・資料2-3  ヒアリング資料(一般社団法人セメント協会)
 ・資料2-4  ヒアリング資料(一般社団法人日本産業機械工業会)
 ・資料2-5  ヒアリング資料(一般社団法人日本鉄鋼連盟)
 

参考資料

 ・参考資料1 中央環境審議会関係法令等
 ・参考資料2 水銀に関する水俣条約(一部抜粋)
 ・参考資料3 大気汚染防止法(昭和43年法律第97号、一部抜粋)
 ・参考資料4 大気汚染防止法施行令(昭和43年政令第329号、一部抜粋)
 ・参考資料5 大気汚染防止法施行規則(昭和46年厚生省・通商産業省令第1号、一部抜粋)
 ・参考資料6 排出ガス中の水銀測定法(平成28年環境省告示第94号、令和4年改正)
 ・参考資料7 水銀排出施設の種類及び排出基準
 ・参考資料8 要排出抑制施設と水銀排出施設の比較表
 ・参考資料9 水銀に関する水俣条約を踏まえた今後の水銀の大気排出対策について
       (答申)(平成27年1月23日 中央環境審議会)
 ・参考資料10 水銀に関する水俣条約を踏まえた水銀大気排出対策の実施について
       (第一次答申)(平成28年6月14日 中央環境審議会)
 ・参考資料11 水銀に関する水俣条約を踏まえた水銀大気排出対策の実施について
       (第二次答申)(平成29年5月31日 中央環境審議会)
 ・参考資料12 水銀排出施設における水銀濃度の測定結果について
       (中央環境審議会大気・騒音振動部会大気排出基準等専門委員会(第12回)資料1)
 ・参考資料12別紙 水銀排出施設における水銀濃度の測定結果について-4年分-
       (中央環境審議会大気・騒音振動部会大気排出基準等専門委員会(第12回)資料1別紙)
 

議事

午前10時00分 開会
【粟飯原係長】 定刻となりましたので、ただいまより中央環境審議会大気・騒音振動部会第14回大気排出基準等専門委員会を開催いたします。
 私は、環境省水・大気環境局環境管理課環境汚染対策室の粟飯原と申します。何とぞよろしくお願いします。
 まず、本日の出席者のご紹介ですが、資料1をご覧ください。
 本日、11名全員に参加いただいております。また、会場には伊藤委員、大橋委員、黒坂委員、鈴木委員、横山委員の計5名がいらっしゃっております。
 続きまして、本委員会の事務局を紹介させていただきます。
 まず初めに、前田大臣官房審議官でございます。
【前田審議官】 前田でございます。よろしくお願いします。
【粟飯原係長】 なお、前田審議官は本年10月より着任されております。
 また、環境汚染対策室から室長の鈴木。
【鈴木室長】 鈴木です。よろしくお願いします。
【粟飯原係長】 奥野室長補佐。
【奥野室長補佐】 奥野です。よろしくお願いします。
【粟飯原係長】 私、粟飯原が出席しております。
 なお、環境管理課長の筒井と環境汚染対策室の百瀬補佐は所用のため、遅れて参加される予定となっております。
 続きまして、本日の資料の確認をさせていただきます。委員の皆様方には、事前に電子ファイルで資料一式を送付させていただいておりますが、資料は1から2-5、参考資料は1から12でございます。今、画面に議事次第を投映させていただいておりますが、こちらの2ページ目に資料の一覧を載せています。過不足等がないか、ご確認いただければと思います。
 なお、不備がございましたら事務局までチャット等でご連絡いただければと思います。また、会場の皆様におかれましては、参考資料はタブレットで配付させていただいておりますので、よろしくお願いします。
 それでは、これ以降の議事進行につきましては高岡委員長にお願いいたします。
 高岡委員長、よろしくお願いします。
【高岡委員長】 皆さん、おはようございます。朝早くからお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。昨日辺りから少し寒くなってきましたが、しっかりとこの水銀の関係の議論をしていきたいと思います。
 では、本日の議題(1)は水銀大気排出に関するヒアリングです。
 これから前回に引き続き、業界団体の皆様に現状等のプレゼンテーションをお願いしたいと思いますが、発表いただく前に環境省から説明をお願いいたします。
【奥野室長補佐】 事務局の奥野でございます。資料2-1に基づき、ヒアリングの実施概要についてご説明させていただきます。前回お配りさせていただいている資料と基本的に同じものでございますので、簡単にご説明させていただきたいと思います。
 水銀大気排出規制につきましては、改正大気汚染防止法が施行されてから、本年4月に施行後5年が経過しましたので、点検・見直しを開始したところでございます。
 点検・見直しを検討するに当たりまして、対象施設から水銀大気排出の実態や排出基準の遵守状況を確認するとともに、排出抑制の技術や対策がどの程度変化しているのか広く把握するため、前回と今回の2回にわたりましてヒアリングを実施しているところでございます。
 主なヒアリング項目につきましては、前回もご紹介させていただきましたとおり、1.に記載のとおりでございます。
 説明時間ですが、一説明者当たり、原則10分から15分とさせていただいております。各説明者からの説明を受けた後、質疑応答を10分程度実施させていただきたいと思っております。
 スケジュールについては、3.に記載のとおりでございまして、本日は4団体よりご発表いただきます。なお、一部の業界団体からは委員限りの資料が配付されておりますので、その点についてご了承いただくとともに、委員の皆様におかれましては、資料の取扱いについてご注意いただきますよう、よろしくお願いします。
 私からの説明は以上となります。
【高岡委員長】 ありがとうございました。
 なお、前回のヒアリングでいただいた意見等につきましては、次回の専門委員会でまとめてお返しいただけるように、準備を進めていただくよう事務局に伝えております。
 それでは、ただいまの説明について、ご質問、ご意見などございましたらお願いします。皆様、何かおありでしょうか。いかがでしょうか。
 環境省事務局、そちらのほうではどなたか手は挙がっておりますでしょうか。
【奥野室長補佐】 会場は大丈夫です。
【高岡委員長】 大丈夫ですか。
【奥野室長補佐】 はい。
【高岡委員長】 では、ウェブのほうも手は挙がっていないということですので、ご質問、ご意見がないようでしたら、業界団体の皆様にプレゼンテーションをお願いしたいと思います。
 では、まず資料2-2の説明を一般社団法人日本化学工業協会の尾崎様、よろしくお願いいたします。
【日本化学工業協会(尾崎)】 おはようございます。日本化学工業協会の尾崎でございます。
 今日は、石炭焚きの産業用ボイラーを発生源とする「水銀大気排出に係る施設の概要」と題しまして、ご説明を差し上げたいと思います。
 次、お願いします。
 これは「環境・健康・安全」に関する日化協の基本方針でございまして、化学品に関わる企業は、そのライフサイクルにおいては、環境・健康・安全を確保して、その取組を継続的に改善することによって、社会からの信頼の向上に努めなければならないということを掲げておりまして、これをベースにしまして、自主管理の取組を各企業はやっていくという感じでございます。
 次、お願いします。
 これはもう釈迦に説法なのですけれども、石炭焚きの産業用のボイラーのプロセスでございまして、石炭をボイラーに投入しまして、加熱して、そこに純水を熱交換し、蒸気のタービン、発電機を介して、工場のほうに蒸気や電気を供給しており、工場にとっては、非常に重要なインフラの一つということになります。
 排ガスの方はどうかといいますと、このピンクにハッチングしたゾーンなのですけども、まずバグフィルターを介して、次に脱硝設備、それから除塵ということで、今は乾式の電気集じん機、EPと呼ばれるものをメインに使っているということです。最後に脱硫をしまして、排ガスを煙突から出しています。
 次、お願いいたします。
 非常にビジーで申し訳ありませんけども、これは化学工業の石炭焚きの産業用ボイラーの一覧でございまして、ここにありますように、出典は「火力・原子力発電所設備要覧」というのがありますけども、ここから抽出したものでございます。
 ここに赤枠で書いたのは、ちょっと非常に短納期でありましたけども、協会のほうから各企業のほうにアンケートを出しまして、返答があった6社でございます。築年数が非常に若いものから、下のほうにありますけど、中には60年選手もあるということで、非常に幅が広いということです。
 次、お願いいたします。
 今回の調査についてですけども、事業者の選定としましては、ここの①から④にあるようにフィルターをかけました。①は、当然のことながら燃料に石炭を含むというものでございます。それから、複数の施設を有する工場とか、あと伝熱面積が大きい、すなわち蒸気の発生量が大きいというようなプラントでございます。それから当然、完成の年月が古いもの、古いというか築年数が長いというか、そんな感じで調査を行いました。
 調査期間は約2週間でデータをいただいております。
 8事業者中の6事業者、75%の回答がありました。
 次の5項ですけども、ここでは燃料、すなわち石炭中の水銀の含有量とか処理施設の状況、それからパンデミックがありましたけど、その稼働率の変化について説明したいと思います。
 まず燃料ですけれども、石炭の混焼ボイラーが主流で、専焼燃焼というのが非常に僅かで4基だけということになっていまして、表の上のほうにありますAのところの3基とか、それから下のほうにFという事業者がありますけど、Fの1プラントがそれに当たります。それのみでございまして、主流の活動としましては、石炭量の低減をする対応ということで、ほかの燃料、バイオマスや重油等を混ぜて、石炭量を減らしているという取組を行っております。
 黄色と水色の列ですけども、2018年~2022年の5年間に当たっては、石炭中の水銀の含有量、これは非常に大きな変動はないと考えています。ただし、返答があったEのところはロット間でばらつきもあるということで返答いただきましたけども、0.01~0.09mg/kgのばらつきの報告も実際にございました。
 次をお願いします。
 今度は排ガス処理施設の状況ですけども、2018年~2022年度で、石炭焚きの産業用ボイラーの廃止、停止に関しては、ここに灰色でハッチングしてあるところ、ここの設備がそれに当たりまして、3基が停止・廃止という形になっております。
 それから、18年~22年度の排ガスの処理施設に関する水銀除去の取組に関しては、ここはボイラーの後段のプロセスでありますバグフィルターや脱硝、EP、脱硫、これが当たるのですけども、そこに関しては変化がないということになっています。
 次、お願いいたします。
 これは水銀大気排出濃度という形になっていますけど、これは5年と書いたのですけど、データをまとめて環境省のほうに送った後に、昨日気がついたのですけど、実は4年です。大きな勘違いをしてしまいまして、2019年から2022年のデータをここに掲げてあります。ほとんどの施設が排出基準を、余裕を持って遵守しているという結果になっております。変化も多少ありますけども、この期間の変化は2018年ではなく、2019年から2022年の変化は通常の変動という判断をしております。
 表の下のところに、白文字で反転していますけども、6事業者の排出濃度の平均をここで取ってみました。2020年は若干数字が低いということで、これについて考察をしております。
 次のページをお願いいたします。
 これは4年間の振り返りということで、コロナによる活動量の影響、これがあるかどうかということを少し調べています。経産省の化学工場の製造品出荷額等、それから日化協でもPRTR/VOCの製造・使用量といったものを調べております。2020年度の活動量が最も減少しているということで、これはコロナの影響が要因とされております。大体、出荷額については2020年が28兆円強という形になっています。通常年は、それに対しまして30兆円弱という形になっていまして、ここのところが減っているということになります。同じように、日化協が調べておりますPRTRに関しましても、VOCに関しましても6,100万tぐらいの数字がここに挙げられていますけれども、それ以外は若干高いという形になっております。
 では、水銀はどうかということなのですけども、2020年度の水銀の大気排出平均濃度は、やはり2020年は非常に低いということで、これもやはりコロナによる影響と推察されます。
 グラフに描くと、このような感じになっています。横軸が出荷額でありまして、この右側にある30兆円弱のゾーンと左側にあります2020年度、これのところでちょっと対比がされると。データが一つあると、もっと説得力があるデータが得られたのではないかと思いますけど、一応3点、お示しさせていただきました。
 次、お願いいたします。
 これは今後の計画と要望なのですけども、石炭量の低減、これに関しましては、やはりボイラーに供給する燃料と石炭の割合を下げていくという活動が主になるということになると思います。具体的に言いますと、石炭に加えてアンモニア、それから木質バイオマスの燃料等への転換というか、これを追加していくということになっております。当然のことながら、石炭焚きの産業用ボイラーの廃止とか停止というのは、これに含まれているものでございます。Eのところにも囲ってありますけれども、一部、火力発電からの脱却も検討しているところもあるというようになっています。
 最後、要望になりますけども、要望としましては一応、排出基準は非常に安定しているということで、十分余裕を持って遵守できていると考えています。それによって、測定頻度を減らす等のインセンティブを与えていただけると非常にありがたいのかなと思います。
 それから、水銀に関わる大防法の施行の5年後の見直しについては、科学的、定量的、統計学的な検討とか、あと費用対便益を含めたところで、また検討をお願いしたいと思います。日化協は、これは随分前々から言っている話でございます。よろしくお願いいたします。
 以上でございます。ありがとうございました。
【高岡委員長】 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの発表につきまして、ご質問、ご意見などございましたらお願いいたします。
 では、会場の大橋委員、お願いいたします。
【大橋委員】 すみません、5-4のコロナによる活動量減の影響なのですけども、ここでは水銀大気の排出平均濃度が最も低いと言われているのですけども、生産量が減った場合は水銀の大気排出量が、量全体が減るのは分かるのですけど、濃度が減るというのはどういう意味合いからなのでしょうか。
【日本化学工業協会(尾崎)】 これは排出、煙突のところの濃度ということになりますので、排出濃度というか排出量ということです。
【大橋委員】 量ですね。これは濃度ではなくて量ですか。
【日本化学工業協会(尾崎)】 量ということです。
【大橋委員】 じゃあ、Nm3で割っていますけど、濃度ではないということですね。
【日本化学工業協会(尾崎)】 はい。
【大橋委員】 分かりました。
【日本化学工業協会(尾崎)】 それについても協会の中でも議論しまして、非常に分かりづらいというような話がありまして、ちょっと混乱してしまったということです。
【高岡委員長】 よろしいでしょうか。
【大橋委員】 量ということですね。分かりました。
【高岡委員長】 では、ほかにいかがでしょうか。
【伊藤委員】 伊藤です。
【高岡委員長】 伊藤先生、お願いします。
【伊藤委員】 1点質問です。5-3、それから6-1の表がございますけども、例えばA、B、C、Dという事業者別の大気排出濃度ですかね、石炭もあったかなと思いましたけど、質問は、例えばAの中に三つ、恐らく施設は四つあるのかなと思うのですけども、そのうちの三つを一つにまとめて書かれておると。この理由は何かございますか。例えば集合煙突なのか、とか。
【日本化学工業協会(尾崎)】 その辺りの詳細は、便覧から引っ張ってきて、それを元に事業所のほうにアンケートしていますので、データはその事業者の代表値が欲しいというようにお願いしていました都合上、このような数字が出てきたと思います。非常にショートタームだったので、代表値という形で、6事業者から返答をいただきました。多分、個々にはデータを持っていると思います。
【伊藤委員】 そうですか。分かりました。ありがとうございます。
【高岡委員長】 はい、ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
【粟飯原係長】 鈴木委員が手を挙げていらっしゃいます。
【高岡委員長】 では、鈴木委員、お願いします。
【鈴木委員】 ありがとうございます。
 いつも聞いているのですが、アンケートを取られたということで、これは大変貴重なデータだと思うのですが、アンケートに回答されないところもかなりあったということなのですけども、それは何らか理由があるのでしょうかというのが一つ。理由もないかもしれないですが。それからもう一つ、5の調査結果というところで、Dのところで二つだけ非常に低い濃度のところがあるのですが、これは燃料のタイヤの組成が違うのですか。低いところが知りたいというか、高いところが知りたいということに近いかもしれませんが、燃料の組成のところと濃度の関係というのは何か分析されたことがあるのでしょうか、という二つです。
【日本化学工業協会(尾崎)】 ページ数で6ページですか。
【鈴木委員】 一つは4ページで、二つ目が8ページのDの下のところに、Dの何か2列目のところは何かそこだけ濃度が低いのですが、ここだけ何か廃タイヤを燃料にしていると書いてあるような気がして。石炭はそれだけ率が低いのかなと思ったのですが、分かれば。
【日本化学工業協会(尾崎)】 恐らくそういうことだと思います。たしかEは7ページの排ガス処理設備ですか。7ページの下のほうに○がたくさんついていますが、「脱硝」「EP」「脱硫」という3セットで処理していますので、その関係で低いのではないかなというふうに考えられます。逆に、BFだけというところもあるのですけども、BFだけというのは、Eの一番上のところはBFだけなのですよね。
 それをちょっと頭の中に入れていただいて8ページをちょっと見ていただくと、BFのみのやつは、多分この2020の1.2というのは、恐らくこれは外乱だと思うのですけど、多分稼働が低くなったのではないかなと思います。ほかは大体6から8ぐらいの数字がありまして、これはちょっと比較的高いと。それに対して、Eのほかのところの事業所は低いということで、これは3点セットが整っているからだと思っています。
【鈴木委員】 すみません、大体分かりました。私が質問したのはDのほうでした。Dの二つです。
【日本化学工業協会(尾崎)】 この辺りは解析しておりません。
 先ほどの1個目のアンケートのほうは、ここの便覧のところから各事業者にお願いしたのですけど、工場にそのままお願いするわけではなくて、本社の安全環境の担当から流していただくというのがあるので、そこで少し手間取ったというのが2つぐらいあるというように聞いています。そこの企業は、使用量としては少ないのですけども、将来的には燃料変換をしていくという計画も考えているという情報は、口頭では入ってきています。
【鈴木委員】 分かりました。アンケートを取られていないということで、情報が得られていないわけではないということですね。
【日本化学工業協会(尾崎)】 ないということですね。
【鈴木委員】 今後ご検討いただければ幸いです。
【高岡委員長】 はい、ありがとうございます。
 では、大野様、お願いします。
【大野委員】 パワーポイントの6で、Cの事業者は石炭の水銀含有量について測定をされていないということは分かるのです。
 まず何が聞きたいかというと、恐らく水銀の削減のために、石炭をなるたけ減らすために混焼を取り入れているというのが2018年~2022年の変化なのかなと思って見ていたのですけれども、これを見ますとBの事業者、このWPとBPというのがちょっと分からないので後で教えていただきたいのですけれども、実際に水銀の含有量に結構幅があるのですけど、少なくなっているのかなというところが分かります。Cのほうは、データが出ていないので分からない。これで実際、パワーポイントの8を見ますと、Bの事業者、燃料のほうは削減されている、水銀の量が減っているのですけれども排出量はあまり変わっていない。Cも、あまり変わっていないと見るのがいいかもしれません。
 これを見ますと、この混焼の効果というのが、全体を通してどのくらいあるのかということをお聞きしたいと思います。
【日本化学工業協会(尾崎)】 残念ながら協会のほうは、そこの混焼の比率までデータを入手しておらず、お答えはできないです。申し訳ありません。
【大野委員】 分かりました。
 このWPとBPというのは何ですかね。何の略ですか。
【日本化学工業協会(尾崎)】 1回調べたのですけど、ちょっと失念しましたので、またメールでお送りします。
【大野委員】 はい。
 もう一つお聞きしたいのは、業界として、かなり水銀排出量が非常に低いということが分かったのですけれども、今後このような混焼というのを進めて水銀の減少を図っていく、そういう業界としての流れみたいなものはあるのでしょうか。
【日本化学工業協会(尾崎)】 基本的に、今このような社会の変化の中で石炭が悪だということなのでしょうけども、それを踏まえて、完全に天然ガスのほうに切り替えるという考え方もあるのですけども、やはり企業としては、ある設備は使いたいわけですよね。減価償却が全て終わったから、あとは儲けにつながるだろうということもあるのですけど、やはりある健全な設備というのはそのまま続けていきたいというのがあります。
 なぜかというと、やはり新しい投資をして、天然ガスか何かのプロセスを導入すると、そこでやっぱり減価償却が発生するので利益を食ってしまうというのがあるので、現状の設備のところをだましだまし、使いながらやっていくというのが基本スタイルになると考えます。
【大野委員】 分かりました。ありがとうございました。
【高岡委員長】 はい、ありがとうございます。
 では、ほかにいかがでしょうか。
 なければ私のほうから2点ほど確認したいのですけれども。
 まず1点目は、先ほどの大野様のご質問と近いのですが、最後のところで、いわゆるアンモニアだとか木質バイオマス燃料への転換というようなことを書かれておられますが、一方では、例えばRPFなども最近、結構混焼されていると認識しているのですけども、このRPFなどがさらに増えていくということはないのでしょうかというのが1点目です。
 もう一点目は少し細かいことですが、調査結果においてEの事業所で、9年で停止をされている施設があるのですけども、これは単なるメンテナンスのための停止なのかどうなのかということを、お聞きしたいと思いました。
 以上です。
【日本化学工業協会(尾崎)】 さすがに9年で止めるというのは、多分何か特別な事情があるのではないかと推測しますけど、そのところの詳細は協会としても分かりかねます。
 一つ目の質問は、RPFは、恐らく需給バランスがうまく整っていけば徐々に普及は進んでいくというように考えますが、やはり企業なのでコストが非常に重要になってくるということと、あとRPFに関しては、我々も事故情報などを手に入れていますけども、RPFに関係する火災、爆発が最近若干多いのではないかという気がするので、それを考えて、企業は採用するかどうかというのを恐らく判断すると思いますので、そこのバランスだと思います。コストとその安全性という形になるのではないかと思います。
【高岡委員長】 ありがとうございます。
 では、ほかはいかがでしょうか。皆様、よろしいでしょうか。
 皆さん、おおよそ質問が出尽くしたということですので、日化協様のご発表、質疑を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
 では、次へ進みたいと思います。
 資料2-3について、一般社団法人セメント協会の中山様、説明をよろしくお願いいたします。
【セメント協会(中山)】 セメント協会の中山でございます。セメント産業の取組に関して報告させていただきます。
 次のページ、お願いします。
 こちらがセメント協会の加盟会社16社でございます。
 次のページ、お願いします。
 こちらは日本地図に丸印を記しておりますが、国内での30工場、石灰石を非常に大量に使いますので、基本的には石灰石鉱山に隣接させる、もしくは輸送を考慮しまして、臨海部などに立地となっております。
 では、次のページをお願いいたします。
 こちらがセメントの生産量の推移でございます。
 上の段で、70年代からの推移を書いておりますが、ピーク時には9,900万tの生産がありましたが、現状は下がっておりまして、国内内需としてはもっと、半分ほどになっております。
 分析としましては、直近の5年ということで下に書いておりますが、やはり年々、対前年比マイナスとなっておりまして、またコロナの影響もあるかもしれませんが、まだこれからの部分でも働き方改革や人手不足というところもございますので、なかなか大きく伸びないのではないかと思っています。また、輸出につきましても、最近のエネルギー価格が非常に高騰しておりまして、輸出市場が非常に厳しい状況でございます。ということで、輸出も減少してきているという状況でございます。
 次、お願いいたします。
 対象施設がセメントクリンカの製造設備となっております。ここで、簡単にですが、セメントとは、クリンカとは、というところを説明いたします。
 まずクリンカですが、石灰石を主に、粘土、珪石等と成分を合わせまして原料といたします。それを高温で焼成して急冷するとクリンカ、水と反応する鉱物を造る。それを粉砕して、一部調整して石膏を加えたもの、これがセメントでございます。これがモルタルであったり、コンクリートの材料の一つとして構造物の建設等に用いられております。
 次のページ、お願いいたします。
 こちらが、そのセメントクリンカの製造工程の例でございます。
 中央、少し下のほうにありますが、左側ですね。原料を配合して粉砕したもの、粉末原料を真ん中の高い塔、タワーと呼んでおりますが「プレヒーター」、予熱装置に投入しまして、熱ガスと熱交換しながら余熱していきまして、煆焼炉でおよそ850~900℃と書いている、ここで石灰石の熱分解、更にロータリーキルンで1,450℃まで昇温、その後、急冷してクリンカという鉱物を造っております。さらにこのプレヒーターの排ガス、300~400℃とありますが、このガスを原料の乾燥熱源として活用し、それを集じん処理後、煙突へと排出しております。
 ここで、集じん装置で捕集したものは、主成分としては原料ですので、粉末原料として合流して、循環利用してプレヒーターに再投入するというようなシステムになっております。
 続きまして次のページ、セメントを1t造るのにどのぐらいの原料・熱エネルギーを使うかというものの集計値、2022年度の実績値をこちらにお示ししております。
 「石灰石類」「粘土類等」とまとめておりますが、それぞれカルシウム、アルミ、珪石、それから鉄原料というのが主要成分でございますので、それを天然原料からこの粘土類、鉄原料というのを廃棄物由来に置き換えていっているというものでございます。ただ、石灰石では、先ほど述べましたように約1,200kgと、非常に大量に使っているというものでございます。
 次のページをお願いいたします。
 では、セメント産業からの二酸化炭素排出の現状ということでありますが、先ほど申したように大量の石灰石を使うということでありまして、こちらの石灰石のプロセス由来がCO2排出の約6割、エネルギー由来というのが4割とされております。
 それに対して削減として、まずはエネルギー起源二酸化炭素の削減、それからプロセス、石灰石由来のものの削減、それから両方ということでCCSというもの、いろいろ検討している状況でございます。
 次のページをお願いいたします。
 こちらが過去10年の実績でありますが、一番上の段、これが熱エネルギー、化石エネルギーから廃棄物エネルギーに変えていこうという努力を業界はしておりまして、それの使用割合、熱換算でございますが、エネルギー代替廃棄物というものの事業拡大に努めております。また、当然設備のエネルギー効率を上げていくということが重要でございますので、それも努めておりまして、順次下げているというものでございます。また、あわせて総CO2排出量の推移としても、若干凸凹はありますが減少させていっているということで努めている状況です。
 次のページをお願いいたします。
 こちらは同じですが、2022年度の実績として、各分野別でどのようなものをどのぐらい使っているかということで、図をお示ししております。青が原料で、オレンジ色が熱エネルギーとして活用している部分でございますが、全体として、セメント1t当たり485kgという廃棄物・副産物を利用しているものであります。
 次のページ、お願いいたします。
 廃棄物・副産物の利用状況でございますが、これは2018年度、2022年度で同じでありますが、比べているものです。こちら生産数は減っておりますので、総使用量は減っておりますが、1t当たりという原単位、使用量としてはほぼ維持しております。
 では、次のページをお願いいたします。
 こちらはアピールでありますが、セメント産業として、このような廃棄物を活用しておりますので、最終処分量を減少させ、リサイクル製品、セメント製品へと変換させるということで貢献していると考えております。
 こちら、次のページをお願いいたします。
 水銀関係としての取組でございますが、水俣条約への対応として、まずは会員会社各社への周知としまして、天然原料の自主調査、燃料に入っているものの管理、それから、廃棄物の受入れについても各社で廃棄物データシートの情報提供を排出元にお願いするということを徹底するようにしております。
 そこで、次のページでございます。
 先ほどもありましたが、セメントクリンカの製造設備における水銀の挙動イメージとして、上にフローと、下に簡単な矢印で示しております。水銀がこの系に入る由来としましては、熱エネルギー由来として右側のロータリーキルンでのメインの熱エネルギー、それから煆焼炉の部分での熱、それから原料由来の3か所が考えられますが、このプロセスからして、高温で焼成いたしますので、基本的には右側にはほとんど行かないということになります。
 では、ここで過去の実績として、お手元の委員の先生に配付している資料、そちらのほうをご覧いただけますでしょうか。
 こちらは3枚ありますが、一つはセメントクリンカの製造設備での規制値でありますが、新規施設、既存施設、また、その既存施設の中で経過措置をいただいている、この3種類がございますが、新規設備につきましてはございません。非常に需要も減っておりますので、96年以降、セメント設備の新設はございません。既存施設と、またその経過措置の中で、これも毎月、規定値を満たさないとならないということでございますので、申請する、しないとありますので、数字が変わっておりますが、ここに記載しているような推移でございます。
 お手元の非公開の資料の次のページで、既存施設の数値、過去5年間の測定の実績と経過措置、二つに分けて表示しておりますが、推移を書いております。平均値としてはクリアしているのですが、やはり一部、最大値として数字を超えて再測定、もちろん、その後ではクリアしているのですけれども、再測定実施という件数が出ているという状況でございます。
 では、元に戻りましてBAT/BEPの状況ですが、次のページをお願いします。
 このBAT/BEPで、このような一次的措置、二次的措置を挙げられておりますが、先ほど濃縮した部分をダスト・シャトリングと言われておりますが、国内では外部処理を今のところ実施している会社はございません。内部で循環させているため、基本的には入ったものが出てくるということでして、これをもう入れないようにする、これを徹底しましょうということにしております。
 最後、次のページです。
 このようにBAT/BEPガイダンスにいくつか示された対策の中で、既存設備については「水銀含有量の低い原料を選択する方法」が示されておりまして、その他ということで新たな技術はこの5年間では確認できておりません。セメント業界では引き続き「水銀含有量が少ない原料・燃料等を選択すること」で対応していく所存であります。
 また、水銀含有量の低い原料を選択することに関し、廃棄物の排出元へ依頼をしてデータシート管理を行いますが、使用量の主たる天然原料の石灰石はセメント1t当たり約1,200kg程度と非常に多く、影響が大きい。では、多くのセメント会社がこれを変えられるかということでありますが、自社鉱山であったり、特定の採石場から調達していることが通常でございまして、変更が困難な状況というのは、今後も使える場所ではあるということで、経過措置の継続はお願いしたいと存じます。
 以上です。ありがとうございます。
【高岡委員長】 ありがとうございました。
 それでは、ご意見、ご質問、ありましたらお願いしたいと思います。皆様、いかがでしょうか。
【粟飯原係長】 黒坂先生が手を挙げていらっしゃいます。
【高岡委員長】 では、黒坂先生、お願いいたします。
【黒坂委員】 同志社大学の黒坂です。ご説明ありがとうございました。
 最後の経過措置のところを少しお聞きしたいのですけれども、経過措置の継続について、原料に石灰石、水銀が含まれていること、それから水銀を含む廃棄物を処理しているということですので必要性は理解できるのですが、ただ、もちろん実態を見ていく必要はあるかと思うのですけれども、例えばもう少し排出の状況を踏まえて、基準を下げるということは難しいのでしょうか。
【セメント協会(中山)】 今の実状として。
【黒坂委員】 140ですよね。
【セメント協会(中山)】 はい。平均としては低いのですが、今140で管理しておりますので、それを超えた部分が再測定というところなのですが、非常にぎりぎりの部分なので、再測定の頻度が増える可能性がありまして、業界としてもう少し見ないと分からないので相談し、経産省、環境省と協議させていただきたいと思います。負担は非常にあり、業界としては抵抗があるということです。
【黒坂委員】 80のところが140というのは、経過措置としてはどうなのかなと思い少しお聞きしました。分かりました。
【高岡委員長】 では、大橋委員お願いします。その後、ウェブのほうから守富委員、浅利委員にお願いしたいと思います。大橋委員、お願いします。
【大橋委員】 今回、排ガス量の濃度変動、最大値の変動が結構ぶれている感じもするのですけども、この主な要因というのは、もう分析されているのですか。
【セメント協会(中山)】 実際は何とか解析をしようとか、入り口を管理しようとはしているのですけども、正直まだこれ、すぐ要因というのは。
【大橋委員】 石灰石由来なのか、それとも副原料として入ってくる廃棄物由来のものなのか、どちらが大きいとか、そういう点はどういう感じなのですか。
【セメント協会(中山)】 この測定が1日という単位で、製品として非常に多種に原材料が多いものですから、ある程度、合併品であるとか、大きい流れとしてはつかんでおりますが、瞬間的に何か入ったとか、基本的には多分プロセスで循環濃縮しておりますので、すぐ入ったものがイコール排出にはならないということで、緩やかになるかと考えています。
【大橋委員】 逆に何か平均化されそうな気もするのですけども、そうじゃなくて、結構測定もばらつきが出てくると。
【セメント協会(中山)】 はい。日々、基本的に連続で見ているとかはあるのですけども、非常に変動が大きい瞬間というのが非常に苦労しているところです。
【大橋委員】 分かりました。ありがとうございます。
【高岡委員長】 はい、ありがとうございます。
 では、守富委員、お願いいたします。
【守富委員】
 今の質問とも関連するのですけれども、原料と水銀を減らしていくということなので、石灰石はやはり難しいかなと思っております。すると、副原料になっている廃棄物等のほうは今増やす方向、それは結構なことなのですが、そちらに入ってくる水銀を減らすという方向で対処していると思っていたのですが、その点は廃棄物をかなり分析して、例えば多ければ、それは減らす、少ないものを使用するという方向に動いているのでしょうか。それがまず1点です。
【セメント協会(中山)】 廃棄物データシートをしっかり確認をしていますが、知らないうちに入っている。実際はこの出口の規制がございますので、そういう石灰石だけはというのはありますけれども、管理はできる。意図的に入れるではない、どうしても漏れる部分があるかと思われますが、基本的にはそういうものはお断りするというのか、減らしていくということをしていきます。また周知していこうとしています。
【守富委員】 セメントは排出量が大きいので、その対応をきちんとしてほしいなという思いが1点。
 それから、もう一つですけれども、いわゆるダスト・シャトリングはしないということです。内部でたまっていったものは、例えば定期点検のところで出すタイミングというのは、年に1回の定期点検時に出すとか、そういうタイミングになるのでしょうか。
【セメント協会(中山)】 定期点検で停止した場合も、粉末原料サイロに基本は貯蔵しますので、外に出すということはないかとは思います。
【守富委員】 ということは、内部にどんどんたまっているということですよね。
【セメント協会(中山)】 そうです、はい。基本的には、最終処分は外に出さないというのがセメント業界の対応ですので。
【守富委員】 出さないのでしょうけど、かなり中にスケールとしてたまっていくのではないですか。
【セメント協会(中山)】 量として、循環ダストに対する原料の比率は設計上で大きいものですから、具体的な数字としてあまり調べてはいないのですけども、ある程度希釈はされ、ただ元の原料由来よりも濃縮したものがサイロに存在はしておると考えられます。
【守富委員】 ですから、1点目は廃棄物の量、水銀の高い濃度のものを減らすというのがまず目に見える対策かなと思ったのですが、やはりダスト・シャトリングにはしないというのであれば、その内部循環しているものをどこかで出さざるを得ないのではないかなと思うのですが、その辺りの収支が見える格好でどこかで報告していただけるといいなと思っているので、よろしくお願いいたします。
【セメント協会(中山)】 はい、相談します。
【高岡委員長】 はい、ありがとうございます。
 では、浅利先生、お願いいたします。
【浅利委員】 ありがとうございます。貴重な情報提供、ありがとうございました。
 石灰石が懸念ということで理解したのですけれども、かなり色々な廃棄物ソースも受け入れていただいていたり、今後も多分期待されているところもあるのかなと思うのですけれども、その辺りで懸念事項であったりとか、もしくはその制御のアイデアとかがあれば教えていただければと思いました。
【セメント協会(中山)】 今のところは、先ほどご指摘もありましたように、ダスト・シャトリングであったり、その一部、効率よく高濃度の部分を抜き出して、どこかで処分するというのが、もともとBAT/BEPと言われているのですが、処理先の確保であるとか、日本の中でこういうのが難しいというところで各社、まだ踏み切っていないというのがございます。それ以外の方法というのがなかなか。集塵機の性能はあるけれど、ぐるぐる回るだけですので、具体的に何かよいアイデアがないというのが実態でございます。
【高岡委員長】 よろしいでしょうか、浅利先生。
【浅利委員】 ありがとうございます。今後、我々もしっかり改善策の状況とかも見ていきたいなと思います。ありがとうございます。
【高岡委員長】 ありがとうございます。
 では、大野様、よろしいですか。
【大野委員】 今の浅利委員の質問に非常に近いのですけれども、燃料の調整で水銀の削減が少し難しいということはよく分かりました。それで、排ガス処理ですけれども、今もうこれ以上やるのがなかなか難しいという話だったのですけれども、例えば活性炭の吹き込みですとか吸着剤の吹き込みとか、そういうことも実際はやられているということなのでしょうか。つまり今言われています水銀の処理技術を、ある程度試されていらっしゃるという理解でよろしいのでしょうか。
【セメント協会(中山)】 理論としてというのか、BAT/BEPで、言わば活性炭、二重バグフィルターであるとか、二段で集じんのところに活性炭と、もう一つ、そういう捕集のバグフィルターなどをつけて、そこに吸着させて、それを外に出すとかという技術は書かれてはいるのですけども、実用ベースで日本国内ではそこまではやっていないものでございます。
【大野委員】 ありがとうございました。それはコストの面とかということでしょうか。その課題というのは。
【セメント協会(中山)】 はい、相当その処理先の確保がなかなか難しいと。
【大野委員】 なるほど。ありがとうございました。
【高岡委員長】 ありがとうございます。
 事務局、会場は。
【粟飯原係長】 鈴木先生が手を挙げていらっしゃいます。
【高岡委員長】 では、鈴木先生、お願いします。
【鈴木委員】 セメント業界はよく取組みされていると思っております、ありがとうございます。
 ただ、その仕組みからして、ある意味、原料のコントロールしかできないということかと私は想像しているのですけども、間違っているかもしれない。それで10枚目のスライドを見ると、名前を見ただけで水銀が入ってきそうなものは、燃料よりは原料の側にあるかなと想像するのですが、その原料側について廃棄物のデータシートを確認されているとおっしゃいましたが、原料の側で水銀が入ってくる量を、セメント業界としてはどの程度正確に情報が得られてコントロール可能と思っておられるのでしょうか。
【セメント協会(中山)】 全事業者というデータではないのですけど、もちろんこの法が始まったときに、原料ごとで周期的に確認して、寄与度の高いものを調べたりとかしておりまして、特に石炭灰は非常に警戒していたのですが、出すなといった業界がこの期に入ってくるのではないかと非常に疑っていたのですけれども、それほど上がってきてはいないということは伺ってございます。当然、非常に種類が多過ぎて、毎ロットというのではないので、ある程度、合併で大きくして高いものを絞り込むのかという調査はしているのですけども、はっきりこれが傾向としては、漏れもあるでしょうけども、継続してデータシートであったり、抜き取りで自分自身も選定しております。それで何とか維持をしているということでございます。
【鈴木委員】 受入側のセメント協会のほうで、全て容易に実行可能なことかどうかということは分からないとは思いつつではあるのですが、できれば可能な範囲で、他の受入れ側を上手にコントロールできるような技術を、引き続き検討していただければいいのかなと思います。
【セメント協会(中山)】 はい。
【高岡委員長】 はい、ありがとうございます。
 ほか、いかがでしょうか。萩野さん、ウェブからよろしくお願いします。
【萩野委員】 萩野です。
 廃棄物の受入れで、廃棄物データシートを用いて、その排出者の廃棄物の水銀量をしっかり把握するというのが非常に大事だし、これからもやっていただきたいと思いますし、協会のほうもそういうお願いを会員さんにされているということなのですけども、もう全ての会員が廃棄物データシートを用いて管理されているのでしょうか。
【セメント協会(中山)】 どうしても依頼ベースでありまして、基本的に法的にはデータシートを集めるということにはなっておりますが、確実に全部というのは、年に1回やるとか、そういう更新であったりという可能性もありますけども、そこをもう少し徹底してくださいというような周知はしておりますが、フィードバックとしては取っていないので、確実なお答えがしにくい、という状況でございます。
【萩野委員】 分かりました。非常に大事だと思いますので、引き続きよろしくお願いします。
【高岡委員長】 ありがとうございます。
 ほか、いかがでしょうか。
 なければ、少し私のほうからお尋ねしたいのですが。
 8枚目のスライドで、今後の二酸化炭素の回収・利用・貯留というようなことをおっしゃられたかと思うのですけども、この二酸化炭素の削減というのは、セメント業界はどのようにされるのでしょうか。
【セメント協会(中山)】 削減の手法として、まず一つはエネルギー由来というところは、エネルギー、化石燃料を廃棄物なりバイオマス、その他のエネルギーに変えていく。石灰石由来というのはなかなか減らせないのですけども、そこは一つとしては、セメントの組成といいますか、クリンカの比率を減らしていくことで混合セメントというのがございまして、クリンカの比率を下げていくということを目標で挙げております。
 また、その先、回収・利用・貯留というCCUSという部分を挙げておりますが、こちらも国内法の状況でやるとか、開発を見ながら考えているという状況です。まず目先としましては、エネルギー起源とプロセス起源というところで、エネルギー効率を上げる。省エネであったり、非化石エネルギー、それからプロセス起源として混合品であったり、新しい配合というところで、少しクリンカ比率を減らせるような、強度の発現性を維持しながらというようなものを開発しようということで今進んでいるところでございます。
【高岡委員長】 そのときに排ガスからCO2を回収するということも将来的にはあり得るという見方でよろしいのでしょうか。
【セメント協会(中山)】 どうしてもこの石灰石を少しでも使う、この部分が回収をしないとどうにもならないということがございますので、そこはCCSなりCCUというものが必須であると考えております。
【高岡委員長】 分かりました。そのときに、それは大分先かもしれませんが、水銀とのコベネフィットでCO2を取るような技術もあり得ると思います。CCUSに投資ができるのであれば、水銀の方を下げるような投資も、今でもやろうと思えばできるのではないかとも思ったりしますので、現在の廃棄物だけの調整じゃなくて、どこかで濃縮して抜くようなことも、やはり考えていただきたいと思います。またご検討いただければと思います。
【セメント協会(中山)】 はい、承知しました。
【高岡委員長】 ほか、いかがでしょうか。
 なければ、これでセメント協会様からのご説明を終わりたいと思います。中山様、どうもありがとうございました。
 では、続いて資料2-4の説明を一般社団法人日本産業機械工業会の伴様、よろしくお願いいたします。
【日本産業機械工業会(伴)】 それでは、「環境装置による水銀大気排出抑制について」と題しまして、一般社団法人日本産業機械工業会環境装置部会を代表して、伴より報告いたします。
 次、お願いします。
 日本産業機械工業会、通称「産機工」と呼ばれておりまして、ボイラーやタンク、一般機械などの各種産業向けの機械、いわゆる産業機械を製造する企業を中心に構成している団体になります。現在、153社の会員企業と21社の賛助会員が加入している団体となっております。
 その産機工では、産業機械11機種とプラントエンジニアリングの、合わせて12の部会を形成しておりまして、産業機械の連合的な組織として活動しております。当方は、そのうちの環境装置部会に所属しております。
 次、お願いします。
 その環境装置部会についてですが、環境装置とは何ぞやというところなのですが、環境装置とは、産機工のほうで、大気汚染防止、水質汚濁防止、ごみ処理、騒音・振動防止、悪臭、汚泥等の処理、または資源化する装置、温室効果ガス分離・回収・処理する装置と定めておりまして、もともとは高度経済成長期の公害防止装置が基準となっておりまして、長年、環境業界の発展のために活動してきております。近年では、資源の有効利用ですとか地球温暖化防止に資するカーボンニュートラルですとか、資源循環といった取組や資源エネルギー分野に活動の幅を広げていっております。
 環境装置部会では、工場に設置するような小型の機器から清掃工場や下水処理場などのプラントエンジニアリングを行う企業まで、各種企業が集まって活動しております。主な活動としましては、環境装置の装置別・需要別の生産統計を毎年行い、環境装置の生産実績として報告書に取りまとめているほか、JIS等の標準化の推進、環境エネルギー分野における調査研究の実施、各会員企業が有する環境技術の発信等の取組を行っております。
 次、お願いします。
 水銀の大気排出抑制技術として適用される排ガス処理技術ですが、スライドに示してある各発生源に合わせて記載されたこれらの技術は、いずれも産機工で定める環境装置の大気汚染防止装置に該当いたします。このスライドで、ちょうど枠で囲っているところが、いわゆる環境装置に該当します。このように、環境装置が水銀排出抑制を担っているものと認識しております。
 次、お願いします。
 こちらは、先ほど申しました統計調査の産機工のほうで取りまとめております2013年度から2022年度における環境装置の生産実績の推移になります。2016年度以降、生産実績全体で見ますと、8,000億円前後で推移しております。表示しているバーのうち、一番下の青いバーが大気汚染防止装置に該当します。こちらは2018年が最大になってはいるものの、ほぼ横ばいとなっているところでございます。
 次、お願いします。
 こちらが、その大気汚染防止装置の内訳になります。大気汚染防止法が改正・施行されました2018年以前と以後で影響が生じているかどうかですが、額として一番大きい集じん装置については2018年に上昇するものの、以後は減少しております。
 一方で、排煙脱硫装置や排煙脱硝装置、排ガス処理装置については、明確に増加していることが分かります。数字には出ていませんが、前後5年間の平均で比較しますと、排煙脱硫装置が2.7倍、排煙脱硝装置が1.4倍、排ガス処理装置が1.2倍とそれぞれ増加しております。
 次、お願いします。
 同じように、ごみ処理装置及び汚泥処理装置について確認してみますと、都市ごみ処理装置、事業系廃棄物処理装置、関連機器については明確な上昇が見られておりませんが、汚泥処理装置については、5年平均で約1.4倍増加している結果となっております。統計上はこのような結果となっておりますが、実態として、法改正後に装置メーカー各社がどのように水銀排出抑制に対応しているのかをアンケート調査いたしました。
 次、お願いします。
 環境装置部会及び生産実績の回答に協力いただいている79社を対象に、水銀大気排出対策への取組み状況に関するアンケートを実施いたしました。項目としては、1、水銀排出への納入実績、2、水銀排出抑制対策の技術・装置、3、対策の問題点、4、各水銀排出装置の排出基準値に対するご意見、5、その他の五つとしました。今回、回答のあった20社の内容を取りまとめたものを以降で報告します。なお、最後のその他については、回答数が少なかったため、割愛させていただきます。
 次、お願いします。
 まず、水銀排出施設への設備の納入実績についてです。これは水銀対策設備に限らず、5施設への設備納入の実績を問うたものになります。アンケートに回答いただいた全20社のうち14社が、納入実績があるとの回答で、特に廃棄物処理設備、石炭火力発電所、非鉄金属製造施設への設備納入が多い結果となっております。
 次、お願いします。
 次に、各メーカーとして水銀大気排出対策として適用した技術・装置について伺った項目になりますが、対策技術・装置を扱うメーカー各社としては、各施設の需要に応じて、集じん機単独から活性炭、脱硝・脱硫等の技術を適用するとして、需要に対応しているという結果になっております。
 次、お願いします。
 次に、水銀大気排出対策の課題点として、各社からの回答をまとめたものになります。特に多かったのが、廃棄物焼却設備での体温計などの水銀使用製品や水銀含有物が廃棄物に紛れてしまい、瞬間的に排ガスの水銀濃度が上がってしまうという点で、廃棄物受入時の課題となっております。
 続きまして、排ガス中の水銀の濃度測定に関するもので、連続測定では低濃度の測定が難しいことや、燃料、運転状況等、諸条件でガス中の水銀濃度が振れてしまうことへの課題が寄せられております。また、現在BATとして想定された技術でも記載されている活性炭、活性コークスが水銀吸着後に廃棄物として発生することを課題に挙げる回答もありました。
 最後に、水銀排出基準値に対する意見につきまして、ほとんどの企業は現行の基準値で特に問題なしとの回答をしております。ただ、一つ実態として、排ガス中の水銀濃度、先ほども上にありましたが、瞬時値が排出基準値を一瞬でも超過しないよう対策を求められる場合もありまして、水銀濃度の測定に関する規定で示された平常時における平均的な排出状況を捉えたものか、適切に確認する必要があるとの趣旨が浸透してほしいとのコメント、アンケート回答もいただいた次第です。
 スライド11ページ以降は、生産実績における環境装置の範囲を示したもので参考資料となります。
 以上、産業機械工業会からの報告になります。
【高岡委員長】 はい、ありがとうございました。
 では、ただいまのご発表につきまして、ご質問、ご意見がありましたら皆様、よろしくお願いいたします。
【伊藤委員】 伊藤です。
【粟飯原係長】 伊藤委員が手を挙げていらっしゃいます。
【高岡委員長】 では、伊藤委員、お願いします。
【伊藤委員】 技術的な質問なのですけども、9ページ、それから10ページに、活性炭を用いた水銀吸着という話がございます。適用している企業ということはあるということなので、幾つかは実用されているところはあると思うのですが、ここで水銀を吸着した活性炭というのはどう処理されているのかというのは調査されたことはありますか。
【日本産業機械工業会(伴)】 基本的には、当部会の廃棄物処理プラントメーカーが多数おりまして、基本的には集じん装置で捕集された飛灰として、飛灰処理に向かうものと認識しております。
【伊藤委員】 産業廃棄物処分場に入れてしまうとか、あるいはどちらかに持っていって再処理するのかというような形があるかなとは思うのですが、それぞれ問題はあると思います。それによって活性炭という技術がまだ伸びていくのか、頭打ちなのかということがあり得るかと思います。こういう技術は海外でもよく使われていると思いますので、海外の例も踏まえて、日本に適用可能なのかどうかという観点で、考えていく必要があると感じております。
 以上です。
【高岡委員長】 はい、ありがとうございます。
 では、ほかにいかがでしょうか。
 では、皆様から出る前に私のほうからお尋ねしたいと思うのですけれども、よろしいでしょうか。
 5枚目のスライドで、いわゆる環境装置生産実績が排煙脱硫、排煙脱硝、排ガス処理が大防法の改正後に伸びたということですが、これはやはり水銀に対する大防法の改正で伸びたと考えてよろしいのでしょうか。
【日本産業機械工業会(伴)】 そこは統計上の結果をまとめてみたという位置づけで、その要因までは分析しておりません。
【高岡委員長】 要因は分析されていないということですが、感触として、やはり寄与しているだろうと思われるのか、いやいや、何かちょっと違う別の要因なのか。何かご存じだったら教えてほしいと思うのですが、いかがでしょうか。
【日本産業機械工業会(伴)】 個人的な考えになってしまうかもしれませんが、数値上は、グラフの伸び上は、2017年以前に比べると伸びていることから、何かしらの関連性はあるものと思っております。
【高岡委員長】 はい、ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
【粟飯原係長】 会場で鈴木委員が手を挙げていらっしゃいます。
【高岡委員長】 では、鈴木委員、お願いします。
【鈴木委員】 ありがとうございます。アンケートしていただいて、勉強になりました。
 最後のほうの10枚目に書いてある、この測定方法の確認方法について、瞬間じゃなくて適切に確認する必要がある、一応それはそうだと思うのですが、現行でも基準超過時に再測定での手順が定められていると思うのですけども、それは何か運用上問題があるとか、あるいは何かそれとは違う指摘があったということなのでしょうか。
【日本産業機械工業会(伴)】 こちらは、どちらかというと廃棄物処理施設等で平均的な数値ではなくて、瞬間的な数値で越えてしまうと、もう廃棄物施設を一旦停止しろという運用になっているところが多いと思っていて、上にもありますが、結局要因としては、廃棄物として入ってきたもの、水銀を用いた体温計ですとか、そういった要因となるものがほんの僅か入っただけでもピークとして瞬時値が上がってしまう。それで、ピークが出て炉を止めようとしている間に、もうその排ガスとしては、以後少ししてピークが収まる。そこが唯一原因なだけで、廃棄物処理施設を停止してしまうというところがプラントメーカーというか、運営側に当たっている側からすると、少し厳しいのではないかという意見だと認識しております。
【鈴木委員】 なるほど。ありがとうございます。
 そうすると、その瞬間的な超過というのは、何か連続測定の装置でも入れられているのですか。たまたま測ったら引っかかったということなのですか。
【日本産業機械工業会(伴)】 いや、連続測定。
【鈴木委員】 測定されているところでそういうことが分かったと。
【日本産業機械工業会(伴)】 はい。
【鈴木委員】 そうしますと、むしろこの知見があるのであれば、この瞬間的な排出がどの程度平均値に寄与しているかという分析も、あるいは可能になるのではないかと、聞いた感じでは思いますが。
【日本産業機械工業会(伴)】 平均的な数字はすぐに簡単にというか、数字としてリアルタイムでは見られると思いますが、どうしても自治体側の運用上、そういった瞬時値でも超えてしまったら、やはりちょっと超過しているという指摘を受けて、そういった施設停止につながってしまうという事例が多いようです。
【鈴木委員】 なるほど。その辺りの分析結果もぜひ、もし可能であれば出していただければ、いろんな意見を整理していくのにいいかなと思いましたので、可能であればお願いいたします。
【日本産業機械工業会(伴)】 はい。
【高岡委員長】 ありがとうございます。
【粟飯原係長】 大橋委員が手を挙げていらっしゃいます。
【高岡委員長】 では、大橋委員、お願いします。
【大橋委員】 前回もそうだったのですけども、水銀の体温計という話は結構出てくるのですけども、昨今、電子体温計とかそういうのが結構多くて、なかなか普通にはもう水銀の入った体温計というのは使わなくなっていると思うのですけども、減っているとかそういうことではないですか。
【日本産業機械工業会(伴)】 減っているとは思いますが、そうは言いつつ何かしらの。
【大橋委員】 やっぱり体温計以外ということではないですか。
【日本産業機械工業会(伴)】 体温計以外、体温計に限った話ではないですけれども、何かしらのいわゆるイレギュラーな廃棄物が混入してくる。
【大橋委員】 その辺を何か分析されてとか、要は一般から出てくるもの、そういうのが何が入ってきているとかいうのを調査しているとか、そういうことはあまりないですか。
【日本産業機械工業会(伴)】 そこまではやっていないです。
【大橋委員】 ないですか。分かりました。ありがとうございます。
【高岡委員長】 はい、ありがとうございます。
 ほか、いかがでしょうか。
 守富委員、お願いします。
【守富委員】 どうもありがとうございます。
 アンケート、今ちょうどスライドに映っている課題点なのですけれども、先ほど伊藤委員のほうからも意見があったのですけれども、3番目の活性炭、活性コークスを用いた水銀吸着による廃棄物の大量発生というので、この前の9ページを見ると、いわゆる集塵機+活性炭で装置メーカーが1社、エンジニアリング会社が4社ということで、計5社あるわけですが、これらは引取手がなくて、次に挙がっている課題としているのは、この5社とも困っているという状況なのでしょうか。それとも引取手はあるのだけど、価格帯が合わないとか、こうした改善をしてほしいとか、BATの技術であって、5社ですけれども、それなりに皆さんやられているわけですから、それなりに効果はあると私は思っているのですけれども、処理したものの行き場所がなくなるというのは確かに問題かと思うのですが、具体的にはどういう課題なのでしょうか。5社のうち1社だけの問題なのか、5社がみんな抱えている問題なのか、その辺り対応をどうしたらいいのか、こちらも少し迷っているのですけども。
【日本産業機械工業会(伴)】 技術的というよりは、どちらかというと活性炭を多く使うことによって、飛灰、フライアッシュの量が増えてしまい、その分、処理のコスト増につながるという内容かと認識しております。
【守富委員】 ということは、活性炭コストと処理コストの倍にかかるといいますか、結果的には行き場所というよりは、コストを考えたほうがよろしいのでしょうか。
【日本産業機械工業会(伴)】 そうですね。直接的なものはコストだという認識をしております。
【守富委員】 それでも4社、一応採用されているわけですよね。それなりにコスト評価もした上で採用されたのではないかと思うのですが。思ったより、ずっと使い続けると、結構かかるという認識に変わったということなのですか。
【日本産業機械工業会(伴)】 いえ。活性炭噴霧自体は、水銀以外にも、もともと廃棄物処理などで使っていますので、噴霧自体は以前からやっていた技術ではありますけども、水銀の規制が厳しくなったというところで、やはり先ほども申しましたように、超えると施設を停止とかということにもつながりますので、安全側な運営をするとなると、より活性炭を多く噴霧しなければならないというようなことかと認識しております。
【守富委員】 ということは、技術的にはもう少し効率の良い活性炭にすればいいということですか。量を減らすという意味で。
【日本産業機械工業会(伴)】 量を減らせれば問題ないかなとは思います。
【守富委員】 ハロゲン系を少し加えるとかで対応できるのではないかなと思うのですが。分かりました、どうもありがとうございます。
【高岡委員長】 ありがとうございます。ほかはいかがでしょうか。
【粟飯原係長】 会場で黒坂委員が手を挙げていらっしゃいます。
【高岡委員長】 では、黒坂委員、お願いします。
【黒坂委員】 先ほど鈴木委員がおっしゃっていたことで、同じことなので確認だけなのですけれども、自治体の運用というのも、ほぼ瞬間値の超過を問題視しているという認識でよろしいですか。
【日本産業機械工業会(伴)】 そう認識しております。
【黒坂委員】 認識しているということですね。分かりました。
【高岡委員長】 ありがとうございます。ほかはいかがでしょうか。
 大野委員、お願いします。
【大野委員】 すみません、黒坂委員のご質問に近いのですけれども、今は自動計測器の設置というのは義務ではないとは思うのですけれども、そうしますと、各自治体で自動計測器を義務化しているところもあるということでしょうか。
 つまり自動計測器を設置していないところでは、そういった瞬間値が分からないので、たとえ超過していたとしてもそれが分からないので、停止はしなくても済むという、少し不公平な状況が今あるのかどうか、お分かりであれば教えてください。
【日本産業機械工業会(伴)】 一般廃棄物処理施設ですと、当然、遵守すべき排ガス基準というところで、スペックの中に測定装置を設置するように義務づけられているものと認識しております。
【高岡委員長】 すみません、ちょっと今のは認識が違うのではないでしょうか。
【粟飯原係長】 環境省環境汚染対策室の粟飯原と申します。
 大気汚染防止法の中での説明となってしまうことをご理解いただければと思いますが、現在の規制の中では、排ガス中水銀の連続測定は義務づけておりません。こちらはこの専門委員会の前に設置されておりました水銀大気排出対策小委員会でのご議論を踏まえて中央環境審議会から答申をいただいておりまして、その中で連続測定につきましては、事業者の費用負担も大きくなってしまうことから、規制の中に位置づけることは見送られているというような状況になっております。
 一方で、事業者の自主的取組といいますか、コンプライアンス等の観点で、自主的に連続測定の装置を入れていらっしゃるところもあるようには聞いておりまして、例えば、一般廃棄物焼却施設において排ガス中の水銀濃度がなるべく上がらないように、水銀の連続測定計をつけて、濃度が上がりそうなときは活性炭の噴霧を行うこと等で水銀の濃度を下げるといったような運用をされているところがあるとは聞いております。ですが、あくまで運用の中でのお話でございまして、大気汚染防止法の規制に基づくものではないというように理解をしております。
 ただし、もし自治体において条例等ではそのようなことをしていることがあれば、我々のほうでは把握していないということにはなりますが、恐らくそういった条例はないのではないかなというようには認識しております。
 以上でございます。
【筒井課長】 すみません、よろしいでしょうか。環境省環境管理課長の筒井でございます。
 私、前職、一般廃棄物の担当課長をしていたので、少し補足的にご説明させていただきたいと思うのですけれども、恐らく一般廃棄物処理施設というものは、当然ながら市町村が設置する、市町村もしくは市町村の事務組合ですね。そういうことでございますので、その設置において、地元の住民の皆さんとどういう形のものをつくるということを、これは法律の枠外ですけれども相談して、その上で水銀が気になるという住民の方がいれば、それは発注のスペックの中に、連続測定をしてきちんと監視しますということが、それぞれの首長なり、事務組合の組合長、そこの地元との協議の中で、やはりそういう形でやっていきましょうということで決めて、自治体が仕様書に定めて発注をされる。それが非常に多いというように考えております。
 以上です。
【高岡委員長】 ありがとうございます。
 ですので、必ずしも全てのところがそのようにしているというわけではありませんが、そのように、かなり注意を払われている自治体もあるということだと思います。
【大野委員】 ご説明ありがとうございました。
 それであれば、やはり自動連続装置を入れて管理をされて、住民との対話を持っているようなところですね。そういうところは十分、この瞬間値の意味がどういうものであるかというのも、関係している方々がよく理解されて、先ほどの別の委員からコメントがあったように、平均値ですね。そういったものも提示して、本当に操業を停止するべきかどうかというのを決めていただいたほうがいいかなと思って聞いておりました。
 以上でございます。
【高岡委員長】 ありがとうございます。
【日本産業機械工業会(伴)】 すみません、伴です。
 先ほど義務づけられていると言いましたが、少し表現が悪かったです。基本的には、そういったスペックを求められているという趣旨の発言をしたつもりでした。失礼いたしました。
【高岡委員長】 ありがとうございます。
 ほかいかがでしょうか。
【奥野室長補佐】 事務局の奥野ですけれどもよろしいでしょうか。
【高岡委員長】 はい、どうぞ。
【奥野室長補佐】 今お話のありました水銀の連続測定につきましては、今回の5年後見直し、3月に開催させていただきましたこの専門委員会の中でも、一つ論点として挙げさせていただいております。現在、環境省のほうでもそのデータを集めているところでして、その結果を踏まえて使えるのかどうか、また、その連続測定の結果の評価の仕方、そういったところを今まさにデータを集めているところでございますので、引き続きそういった点につきましても、国としても検討を進めていきたいと考えております。
 以上となります。
【高岡委員長】 ありがとうございます。
 ほか、よろしいでしょうか。
 それでは、伴様、どうもありがとうございました。
 では、最後ですが、要排出抑制施設を有し、自主的な削減に取り組む一般社団法人日本鉄鋼連盟でございます。
 資料2-5の説明を中村様、よろしくお願いいたします。
【日本鉄鋼連盟(中村)】 日本鉄鋼連盟の中村でございます。よろしくお願いします。
 鉄鋼施設が要排出抑制施設ということで指定されていますので、過去5年間の取組を取りまとめたものをご報告させていただきたいと思います。
 次、お願いします。
 中身的には概況、それから実績、カーボンニュートラルに向けた取組等々ということをやっています。
 次、お願いします。
 今回の自主的取組は、三つの団体でやっております。一つは日本鉄鋼連盟、それから普通鋼電炉工業会、それから一般社団法人日本鋳鍛鋼会、この三つでございます。日本鉄鋼連盟、流通も含めて多くの会社が入っていますので、メーカーとしては50社、実際にはその中で、この対象施設がある会社の数社だけが対象になっています。残りはほぼ全部対象になっているかと思います。
 次、お願いします。
 こちらは粗鋼生産量でございます。一番多いときは1億2,000万tほど造っていました。2007年度です。ここ過去5年では、2018年で1億289万t、22年が8,784万tと、右肩下がりに下がっているというような状況でございます。2020年度、コロナの影響等がありまして、8,279万tということでがくんと落ちており、その後、一旦回復はしているという状況でございますけれども、1億tまでは達成していないという状況でございます。
 ちなみに、薄い青が「転炉鋼」といいまして、いわゆる高炉法で造った粗鋼。上の濃いほうが「電炉鋼」と言いまして、電気で造ってある粗鋼になります。比率としては大体、転炉鋼が7割、電気炉鋼の3割ぐらいということで、今のところ、割合的に多少は転炉鋼が減っているという状況でございます。
 次のシート、お願いします。
 この後、自主的取組についてご報告します。
 次、お願いします。
 大気汚染防止法で定められた自主的取組の内容でございます。
 対象施設は、製銑の用に供する焼結炉及び製鋼の用に供する電気炉ということで、この2施設が対象になります。
 具体的な中身としては、排ガス中の水銀濃度について、自主管理基準を設定する。それから、排ガス中の水銀濃度を測定し、その結果を記録・保存するということでございます。そしてその結果、実施状況を評価して公表するということで、ほぼ水銀排出施設に対比するような形で実施すべき項目が定められているという状況でございます。
 次、お願いします。
 これから3団体でやっている自主的取組の中身になります。対象事業者は、要排出抑制施設を設置する団体会員ということになります。対象施設は先ほど言った2施設になります。取組事項も先ほど言いました中身が活動の中身となります。
 次、お願いします。
 まず、自主管理基準値の設定でございますけれども、焼結炉と電気炉でそれぞれ決めています。50μgで基本決めています。ただし、焼結炉の中で還元鉄ペレットを製造する施設、これにつきましては、設備の形態が非鉄金属の形態と似ていますので、それを引用しまして400μgという数字を設定しております。酸素換算は今、焼結炉だけしております。これを設定するとき、2018年以前ですけれども、下に書いてありますように、各施設の排出実態を整理しまして、それから横にらみで水銀排出施設の基準値の設定をする整理の仕方を参考にしながら、かつ海外の規制動向と情報を集めまして、この値を設定しております。
 次、お願いします。
 次に測定でございますけれども、測定につきましては、今のところ年1回にしております。測定方法は基本的に環境省告示第94号でやるということにしています。万が一、基準値を超過した場合は、水銀排水施設同様に再測定をして再評価するというようにしております。測定につきましては、下に米印で書いてありますけれども、規模の小さい施設、出鋼量が10t/ch未満の施設、あるいは二次製錬に使われるLF炉、これにつきましては3年に1回という規定を設定しております。ただし、自主取組なのでそれ以上、1回以上測っている、あるいは毎年測っている施設もあります。
 その下は公表ですけれども、年1回公表するような形にしております。いろいろ問題があった場合には、鉄連の事務局のほうからヒアリングをして、そういうものを整理して、公表するという形にしております。中身的には、自主管理基準の達成率ですね。何施設クリアしたかということ、それから事業者名、施設数、それから水銀排出総量等々もあわせて評価しております。
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 参加施設数の変化でございます。まず一番下です。参加事業者数は56事業者で、今現在55事業者でございます。1事業者が会員から外れているので減っております。
 一番上、製銑の用に供する焼結炉でございますけれども、2018年度時点で28施設、その後1施設増えましたけれども、2022年度では26施設、2施設止まっております。この後、今2023年度、現時点では25施設が動いているということで、恐らく2025年の頃には23施設になるのではないかなというふうに今考えています。ちょっとこれはまだ不確定ですけれども、今それくらいを想定しております。
 電気炉につきましては、ちょっと増減がありますけれども、2018年の152施設が、2022年で153施設ということでございまして、2019年度は4施設ほど増えていますけれども、3年に1回測定する施設について、ちょっと取りこぼしがあったので、そこを追加しているというのが一つ。それから廃止等がありまして、また2021年度は減っているということで、こういう数字になっております。
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 自主管理基準の達成状況でございますけれども、達成状況は焼結炉、電気炉ともに、全施設「達成」という形にしています。唯一、2018年度の電気炉のところの「未達成」のところに米印がついていますけれども、実はこの下のほうに書いてあります。1施設で、50μgの基準値に対して120μgという数値が測定結果として出ましたが、その後、施設を止めてしまって再測定ができなかったということがありましたので、先ほど申しましたように再測定をして、再評価するというのが基本なので、この施設は評価の対象から外しているという形にしております。
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 具体的な実績のデータの変化でございます。左側が僕たちが普通に言う焼結炉でございます。右側が還元鉄ペレット製造する施設になっております。施設が書いてありまして、水銀の測定値の分布、排出原単位を書いてあります。2018年から、上から順番に結果を並べております。
 まず焼結炉につきましては、濃度としては大体低いところだと2020年の0.41が今のところ一番低い。一番高いところでは、2019年の43でございます。水銀排出の原単位につきましては、2018年度が23、その後、がくんと下がりまして、今22年度で20という数字になっております。製鉄ダストから還元鉄ペレットを製造する施設につきましても、同じように書いてありますけれども、水銀の排出濃度としては、2022年度が一番高くて200gμという形になっております。原単位もちょっとばらつきがありますけれども、600mgぐらいです。すみません、焼結炉と還元鉄ペレットを製造する施設って、原単位の単位が違っています。焼結炉の場合には、生産する焼結鉱のtあたりのmgで評価しております。一方、還元鉄ペレットを製造する施設につきましては、原料の処理量あたりの排出量ということなので、数値が横並びで書いてありますけれども、同じく評価することはちょっとできないという状況でございます。
 水銀の排出量につきましては、2018年度が年間2.4t、2022年度で年間2.0tという形になって、多少出入りしていますけども、こんな感じで変わっています。2020年度は稼働率が下がっていますので、1.7tまで下がっていますけれども、こんな感じで下がっているという状況でございます。
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 製鋼用電気炉でございますけれども、同じように電気炉も区分けをしています。一番左が「圧延用鋼塊を製造する電気炉」、これがいわゆる普通の電気炉でございます。普通の電気炉という言い方は悪いですね。普通の鋼材を造る電気炉ということです。その真ん中、「鋳鍛用鋼塊を製造する電気炉」という。こちらは鋳物とか、鍛造の鋼材を造る電気炉でございます。あと一番右が「LF炉等」と書いてありますけれども、これは二次製錬用の設備になります。
 水銀の排出濃度等につきましては、圧延用鋼塊をする電気炉では、濃度の薄いやつは「ND」という不検出もありますけれども、一番濃いものでは2018年の49μg程度になっております。水銀排出原単位も、大体16~20mgぐらいで上がったり下がったりしている状況でございます。
 鋳鍛鋼塊を製造する電気炉につきましても、こちらは基本濃度がかなり低くなっています。NDがほとんどで、幾つかの施設で10μg程度まで上がるというような形になっております。排出原単位も同じように大体2~3mgぐらいでございます。
 LFにつきましては、基本NDなのですけれども、幾つかの施設で検出されることがあります。これは副原料要因ということは分かっていますけれども、高いところだと2021年度で37μgという形で水銀が出てくるというところです。
 水銀の排出量としましては、2018年度が0.43t、2022年度は0.45tということで、一時期ちょっと下がっていますけれども、今のところ大体スタートと同じくらいの形で、変動を考えると、あまり変わらないかなという形で進行していると考えております。
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 この結果、日本鉄鋼連盟のホームページに毎年9月末に掲示しております。ここの一番下の「【3】取組実績について」というところが毎年変わります。その上の取組内容についてというのが、自主的取組をやると決めたときに決めた概要でございます。
 次、お願いします。
 カーボンニュートラルに向けた取組という形になります。
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 日本鉄鋼連盟では、2021年2月、2050年カーボンニュートラルという野心的な方針が出されたと思いますけれども、これに賛同して、日本鉄鋼業としてもカーボンニュートラルの実現に向けて、果敢に挑戦するということを表明させていただいております。今現在、左に書いてありますけれども、「カーボンニュートラル行動計画」というものをつくっていまして、これのフェーズⅡということで、2021年~2030年までの計画をつくっております。
 右側に「エコプロセス」「エコプロダクト」「エコソリューション」というのが書いてあります。その下に「革新的技術開発」というのがありますけれども、まずエコプロセスというのは、従前の省エネですね。簡単に言うと省エネ関係でございます。燃料効率のいい設備を造る、あるいは効率のいい手法に変えていくということでございます。
 エコプロダクトというのは、例えば自動車の軽量化とか、あとはモーターに使う電磁鋼板とかそういうふうに、使う側で省CO2に寄与できるようなものというのを造っていこうということでございます。
 あとエコソリューションというのは、日本が持っている省エネ技術、そういう技術を海外に広めていくとか、そういうことで世界的にCO2を下げていくということでございます。
 もう一つ、今後の展望の中で一番大きなフォーカスになるのは、この革新的技術開発というものになります。一つ目が、製鉄所内で発生する水素、これを用いた水素関連技術の開発ということでございます。それから二つ目が、外部水素あるいは所内で発生するCO2を用いた低炭素技術等の開発。ここに書いてありますが、Super COURSE50とかカーボンリサイクル高炉ということで、発生するCO2をもう1回還元して、還元剤としてもう1回使うという形でございます。もう一つは、水素による直接還元技術の開発。それからもう一つ、直接還元鉄を活用した電気炉の不純物除去技術の開発ということで、今使っている電気炉ですと、不純物が十分取り切れないという課題もありますので、いかにそういうものをクリアしていくかということでございます。
 この四つの技術が、基本的な研究、技術開発をこれからして、2030年に向けてやっていくということで、ここら辺が確立していくと、ちょっと今まで見ていたプロセスの景色が変わってくるのかなということで、ちょっとここら辺がどう進むのかというのがちょっと今後の課題かなというふうには思っております。
 次、お願いします。
 BAT/BEPという話はありますけど、特に大きな技術変化はないので、海外の規制動向をちょっともう一度整理させていただいております。
 次、お願いします。
 先ほどお話ししましたけれども、自主管理目標値を設定するときに、日本鉄鋼連盟のほうから、各国の鉄鋼連盟みたいなところにヒアリング等を行いまして、規制があるかどうかということを整理させていただいております。その時点で規制があったのは、ここに書いてあるもので、ドイツとオーストリアだけが規制があって、50μg/Nm3という数字を設定されています。焼結炉、電気炉ともに50μg/Nm3とされております。この基になるのが一番下のEUのBREFという、BATの取りまとめた資料なのですけれども、これが30~50μg/Nm3で設定されているということで、恐らくこれを反映して50μg/Nm3というのがヨーロッパで徹底されたのかと思っております。
 最近、2022年度に再度ヒアリングをかけたのですけれども、ドイツで新設で10μg/Nm3という数字が出てきているということで、ちょっとすみません。ここら辺、細かくどういう運用されているか分からないのですけれども、焼結炉だけ10μg/Nm3ができたというふうには聞いております。
 一番最後で、次のページの次のページ。終わりにということで要望事項ですけれども、現在、5年間要排出抑制施設の自主的取組、今年を含めると6年目になりますけれども、各事業者さん、協力的にやっていただいているのかなと思っていますので、この取組、かなり妥当なものと考えておるので、現在の枠組みで、今後とも取組を進めていけたらいいかなというふうに思っております。
 以上でございます。
【高岡委員長】 ありがとうございました。
 では、ご質問、ご意見をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
 鈴木委員、お願いします。
【鈴木委員】 単に確認ですけれども、10枚目のこの参加施設数がちょっとずつ変わっているのですけれど。これは先ほど、何か3年ごとの報告でずれがあるとおっしゃいましたが。
【日本鉄鋼連盟(中村)】 11ページですか。そのとおりで、この米印の1に、3年に1回という測定規則があるので、簡単にすると3年目ごとにマックスのデータが出るのですけれども、やっぱり事業者によってずれている年があるので、多少増えたり減ったりしますけれども、2018年度はかなりの会社が一度に測ってくれて多いのですけれども、2019年、2020年度は3年に1回の施設というのがあるので、その分減っているという形になります。
【鈴木委員】 施設そのものの改廃があったというわけではない。
【日本鉄鋼連盟(中村)】 ではないです。測定のデータが上がってこなかったということです。
【鈴木委員】 そうしたら、ずっとこの2022年まで、これに関しては一定の数を保っているという。
【日本鉄鋼連盟(中村)】 はい。
【高岡委員長】 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
【粟飯原係長】 大橋委員が手を挙げていらっしゃいます。
【高岡委員長】 はい、どうぞ。
【大橋委員】 12ページなのですけれども、製鉄ダストからの還元鉄ペレットを製造する施設なのですけれども、施設数が二つということは、これは2施設しかないのか、たまたまnが2というふうになっていますけれども。
【日本鉄鋼連盟(中村)】 これが該当するのが2施設しかないので。
【大橋委員】 しかないということですね。それが、濃度分布が結構ばらつきが年ごとにあるというのは、何か原因とか分かっていますか。
【日本鉄鋼連盟(中村)】 そこまでは聞き切っていないのですけれども、インプット側が、要は製鉄のプロセスで出てきたダストなので、恐らくそのインプットの濃淡が一番影響が大きいのかなと思っております。
【大橋委員】 そうすると、結局製鉄に係るものも原料によって濃度差が起きやすいということになるわけですね、出てくるもの自体の。
【日本鉄鋼連盟(中村)】 そうですね、はい。
【大橋委員】 はい、分かりました。
【高岡委員長】 ありがとうございます。
【高岡委員長】 では伊藤委員、お願いします。
【伊藤委員】 理解の確認のための質問です。
 13ページの電気炉のところなのですけれども、電気炉は恐らく鉄スクラップの再生ということでやられていると思うのですが、鉄そのものの中には水銀は多分ないのだろうなと理解しているのですけれども、先ほど副原料が原因になるというお話をされましたけれど、副原料ってどんなものなのでしょうか。
【日本鉄鋼連盟(中村)】 具体的なものは何かとは言い難いですけれども、要は、今言ったのはLF炉なのですけれども、精錬するのに、やっぱり非常にきれいな鉄を造るために融剤ですね。普通の化学プラントの溶剤みたいなものです。不純物を取り除くための融剤を入れるので、そこに含まれていることが分かりました。
【伊藤委員】 ありがとうございます。
【高岡委員長】 ありがとうございます。
 ほか、いかがでしょうか。守富先生、お願いします。
【守富委員】 質問というか確認ですが、要するに水銀排出量として、若干の減りはコロナの影響を除いても、大体2tからプラス0.4tぐらいですから、2.4tぐらいの排出量になっているのですが、これは将来的にといいますか、この先見ていった場合に、それなりの努力目標と言ったらいいのか、下がる方向にはなるのでしょうか。もうこのまま2.4tで良しということなのでしょうか。特に自主的な取組なので、何とも言い難いところはあるのですが、日本全体からも見ると、7、8tのうちの2.4tなので、比率的には大きいなと思っていて、下げる方向の努力といいますか、対策といいますか、何らかの方向性は持って臨んでおられるのでしょうか。
【日本鉄鋼連盟(中村)】 すみません。端的に言うと、特に削減目標値というものは設定していないのですけれども、途中で話しましたけれども、10ページのときにちょっとお話ししましたけれども、2022年度で焼結炉26施設になっています。もう2023年度、今年度はもう1施設、また止まっているということ。その後、また二つぐらい止まりそうなので、焼結炉を使うプロセス自体の減少というのは少し始まっているということはあります。何かというと、CO2絡みで、高炉法から少しずつ電気炉法を増やしていくということもありますので、そういうものも兼ねて、あるいはちょっと生産資源の集中ということもあって、製鉄所を止めているというところもありますので、焼結炉自体、高炉法自体の生産が少し減っているので、その分は多少減るかなとは思っていますけれども、ちょっと焼結炉の基数と生産量が必ずしも100%リンクするわけではないので、必ずしも下がりますよとは言い切れないのですけれども、少しは下がる方向になるかなと思っています。
 その先、最後にカーボンニュートラルのところでご案内しましたけれども、ちょっとこの先の展望ですね。プロセス自体が大きく変わるのではないかなというふうに思っているので、ちょっとそこがどういう絵姿になるかが分からないと、次のステップに踏み込むのは、ちょっと僕は難しいのかなというふうには思っています。
【守富委員】 ありがとうございます。最大限の努力を期待しております。
【日本鉄鋼連盟(中村)】 はい、ありがとうございます。
【高岡委員長】 ありがとうございます。
 ほか、いかがでしょうか。では、鈴木先生、お願いします。
【鈴木委員】 今、最後におっしゃった今後のカーボンニュートラル行動計画って、これは2021~2030年とかなり近いのですけれども。
【日本鉄鋼連盟(中村)】 「2030年までに技術を開発する」なので、多くの実装は恐らくその後かかると思います。物すごいお金がかかるので、どのくらいのスピードになるかというのはちょっと。今いろいろGX基金とか、いろんなところでお金をもらって開発していて、その後、物すごくこの構造転換するのにお金もかかるので、そういうところもいろいろと国のご協力をいただきながらするという形になろうかとは思っていますけれども、実装化はもう少し先になると思います。
【鈴木委員】 日本の産業としては、ぜひ発展していっていただきたいと思いますが、水銀という点では、これから発生の構造が変わってくるのかなと思いますので、その辺りの意識を持っていただきながら進めていただきたいと。
【日本鉄鋼連盟(中村)】 そうですね。そこはちょっと気にはしているのですけれども、さすがにどちらかというとまだベースの研究段階なので、今、水銀の話をしても議論にならないので、仮定の上の仮定になってしまうので、もう少し形が明確になったときに、水銀がどうなるかというのは、少し議論はする必要性はあるかなというように思っています。
【高岡委員長】 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 では、ちょっと私のほうからも1点だけ確認ですけれども、11枚目で、自主的取組実績で、先ほど3年に1回の施設があるので、2019年、2020年は2018年や2021年よりも少し少ないですというお話があったかと思うのですが、一方で、13枚目の電炉のほうの、いわゆる測定施設数及びデータ数というところは、それほどこの2019年、2020年で下がっているわけではないのですけれども、この辺りの関係はどうでしたでしょうか。
【日本鉄鋼連盟(中村)】 すみません、3年に1回の施設については、13ページのデータをつくるときには、前年度の実績とか最近のデータを使っているので、データ数的にはあまり変わっていないということになります。
【高岡委員長】 分かりました。ありがとうございます。
 ほか、いかがでしょうか。
 ないようでしたら、これで鉄鋼連盟様のご発表、ご質疑は終わりたいと思います。中村様、どうもありがとうございました。
【日本化学工業協会(尾崎)】 日化協、尾崎でございますけれども。
 先ほどWPとBP、何の略かということで質問を受けたのですけれど、基本的には木質ペレットなのですけども、木質ペレットのうち、樹皮を含まない幹のところの木質ペレットをWhite Pelletと言うそうです。木質ペレットを半分炭化したものをBlack Pelletということで、BPと呼ばれているそうです。
 以上です。ありがとうございました。
【高岡委員長】 ありがとうございます。
 では、この議題は終了ですが、今のように追加でご説明いただきましたし、逆に追加で、少し聞きたいところがもし委員からありましたらお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。皆様、よろしいでしょうか。
 ないようですので、このヒアリングと本日予定していた議題は、これにて終了したいと思います。委員の皆様、それ以外で全体を通して何かございますでしょうか。
 何もなければ、事務局に進行をお返ししたいと思います。
【粟飯原係長】 本日は長時間にわたってのご議論、どうもありがとうございました。
 本日の議事録については、事務局のほうで案を作成し、各委員にご確認いただいた上で、環境省ホームページにて公開する予定としておりますので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。また、今回ヒアリングにご協力いただきました事業者団体の皆様にも議事録のほうを確認させていただきたいと思いますので、そちらのほうもよろしくお願いいたします。
 また次回、第15回につきましては来年に開催する予定としておりますので、委員の皆様におかれましては、追って開催方法等をご連絡させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、本日の専門委員会はこれで終了いたします。本日は誠にありがとうございました。
午前11時59分 閉会