大気排出基準等専門委員会(第13回)議事録

1.日時

令和5年11月2日(木)10:00~12:03

2.場所

場所:環境省第二会議室(対面・Web併用会議)

3.出席委員

委員長   高岡 昌輝   

委員    伊藤 茂男   大野 香代   大橋 博信

      鈴木 規之   萩野 貴世子  守富 寛

      山川 茜    横山 唯史

      ※浅利 美鈴委員 黒坂 則子委員は都合により欠席      

4.委員以外の出席者

環境省
土居  水・大気環境局長
筒井  水・大気環境局環境管理課長
鈴木  水・大気環境局環境管理課 環境汚染対策室長
百瀬  水・大気環境局環境管理課 環境汚染対策室長補佐
奥野  水・大気環境局環境管理課 環境汚染対策室長補佐
粟飯原 水・大気環境局環境管理課 環境汚染対策室係長

5.議事次第

1.開会
2.議題
 (1)前回委員会における指摘事項等について
 (2)水銀大気排出に関するヒアリング
    ①電気事業連合会
    ②日本鉱業協会
    ③公益社団法人全国産業資源循環連合会
    ④一般社団法人日本環境衛生施設工業会
 (3)その他
3.閉会
 

6.配付資料

資料

 ・資料1   中央環境審議会大気・騒音振動部会大気排出基準等専門委員会委員名簿
 ・資料2-1  前回委員会における指摘事項等について
 ・資料2-2  水銀大気排出インベントリーの訂正について
 ・資料3-1  水銀大気排出に関するヒアリング実施概要
 ・資料3-2  ヒアリング資料(電気事業連合会)
 ・資料3-3  ヒアリング資料(日本鉱業協会)
 ・資料3-4  ヒアリング資料(公益社団法人全国産業資源循環連合会)
 ・資料3-5  ヒアリング資料(一般社団法人日本環境衛生施設工業会)
 

参考資料

 ・参考資料1 中央環境審議会関係法令等
 ・参考資料2 水銀に関する水俣条約(一部抜粋)
 ・参考資料3 大気汚染防止法(昭和43年法律第97号、一部抜粋)
 ・参考資料4 大気汚染防止法施行令(昭和43年政令第329号、一部抜粋)
 ・参考資料5 大気汚染防止法施行規則(昭和46年厚生省・通商産業省令第1号、一部抜粋)
 ・参考資料6 排出ガス中の水銀測定法(平成28年環境省告示第94号、令和4年改正)
 ・参考資料7 水銀排出施設の種類及び排出基準
 ・参考資料8 要排出抑制施設と水銀排出施設の比較表
 ・参考資料9 水銀に関する水俣条約を踏まえた今後の水銀の大気排出対策について
       (答申)(平成27年1月23日 中央環境審議会)
 ・参考資料10 水銀に関する水俣条約を踏まえた水銀大気排出対策の実施について
        (第一次答申)(平成28年6月14日 中央環境審議会)
 ・参考資料11 水銀に関する水俣条約を踏まえた水銀大気排出対策の実施について
        (第二次答申)(平成29年5月31日 中央環境審議会)
 ・参考資料12 水銀排出施設における水銀濃度の測定結果について
        (中央環境審議会大気・騒音振動部会大気排出基準等専門委員会(第12回)資料1)
 ・参考資料12別紙 水銀排出施設における水銀濃度の測定結果について -4年分-
        (中央環境審議会大気・騒音振動部会大気排出基準等専門委員会(第12回)資料1別紙)
 ・参考資料13 中央環境審議会大気・騒音振動部会大気排出基準等専門委員会(第12回)議事録

議事

午前10時00分 開会
【粟飯原係長】 定刻になりましたので、ただいまより、中央環境審議会大気・騒音振動部会第13回大気排出基準等専門委員会を開催いたします。
 私は、環境省水・大気環境局環境管理課環境汚染対策室の粟飯原と申します。何とぞよろしくお願いいたします。  本日の会議では、委員の先生方との調整の結果、Webと対面を併用した会議での開催とさせていただいております。  また、本日の会議は、中央環境審議会の運営方針に基づき、公開とさせていただいております。また、環境省環境管理課公式のYouTubeチャンネルのほうでライブ配信を行っておりますので、ご了承ください。
 Webでご参加の皆様におかれましては、通信環境の負荷の低減の観点から、議事に入りましたら、カメラ機能は通常オフにしていただきますようよろしくお願いいたします。
 ご発言の際は、画面上の挙手ボタンを押していただき、委員長からご指名を受けた後、マイクとカメラをオン、ミュート解除にして発言いただき、ご発言後はオフにしていただきますようお願いいたします。
 また、ご発言の際、こちら対面でご参加いただけている皆様におかれましては、お名前をおっしゃっていただくようよろしくお願いいたします。
 それでは、会議の開催に当たり、環境省水・大気環境局長の土居から一言ご挨拶申し上げます。
 土居局長、よろしくお願いします。
【土居水・大気環境局長】 水・大気環境局長の土居でございます。本日はよろしくお願いいたします。
 この水銀を抑制していくという水俣条約の確実な施行に向けまして、大気への排出を抑制するという観点から大気汚染防止法を改正いたしまして、様々な仕組みを取ってきたところでございます。
 この制度につきましては、平成30年から施行され、基準の遵守、報告など様々な対応をいただいていることに加えまして、自主的取組も重ねて行っていただくなど、様々な関係者にご努力いただきまして、着実に対策が進んできたと考えております。
 法施行から5年がこの4月で経過いたしましたので、点検、見直しの作業に入るというところでございまして、前回の専門委員会におきましても、様々なご意見をいただいたところでございます。今回、また次回につきましては、それらの取組をしていただいております関係者の皆様方から、現状につきましてご報告をいただき、また、技術の進展などについてもご報告いただき、点検の素地にしていきたいと考えておりますので、どうかよろしくお願いいたします。  この水銀の取組につきましては、日本の水俣が起源といいましょうか、これが世界で共有されて、各国が取組を一にして前に進んでいるというところでございますので、日本としても技術面、あと制度的な仕組み、こういったものを世界に発信していきたいと考えておりますので、何とぞ忌憚のないご意見をいただければ大変幸いかと思います。
 長時間にわたりましての議論でございますけれども、どうかよろしくお願いいたします。
【粟飯原係長】 ありがとうございます。
 なお、土居局長におかれましては、業務の都合上、ここで退席となります。
(土居水・大気環境局長 退席)
【粟飯原係長】 続きまして、本日の出席者のご紹介をさせていただきます。資料1に従い、五十音順に紹介させていただきます。
 一般財団法人電力中央研究所の伊藤委員でございます。
【伊藤委員】 伊藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【粟飯原係長】 続きまして、一般財団法人産業環境管理協会の大野委員でございます。
【大野委員】 大野でございます。よろしくお願いいたします。
【粟飯原係長】 愛知県環境局水大気環境課の大橋委員でございます。
【大橋委員】 大橋でございます。よろしくお願いいたします。
【粟飯原係長】 国立環境研究所の鈴木委員でございます。
【鈴木委員】 鈴木でございます。よろしくお願いします。
【粟飯原係長】 京都大学大学院の高岡委員でございます。
【高岡委員長】 高岡でございます。よろしくお願いいたします。
【粟飯原係長】 よろしくお願いします。
 なお、高岡委員は、本専門委員会の委員長となります。
 続きまして、大阪府環境農林水産部の萩野委員でございます。
【萩野委員】 萩野です。どうぞよろしくお願いします。
【粟飯原係長】 続きまして、岐阜大学名誉教授の守富委員でございます。
【守富委員】 守富です。どうぞよろしくお願いします。
【粟飯原係長】 国立環境研究所の山川委員でございます。
【山川委員】 山川です。どうぞよろしくお願いいたします。
【粟飯原係長】 一般社団法人日本環境衛生施設工業会の横山委員でございます。
【横山委員】 横山です。よろしくお願いいたします。
【粟飯原係長】 よろしくお願いします。
 横山委員は、前回までご参加いただいておりました田中委員と交代で、今回から参加いただいております。
 なお、浅利委員と黒坂委員より、本日はご欠席とのご連絡を受けております。
 以上、本日は、委員11名中9名にご出席をいただいておりますことをご報告させていただきます。
 また、本日は、水銀大気排出に関するヒアリングを行うため、業界団体を代表し、一般社団法人日本環境衛生施設工業会の横山委員のほか、電気事業連合会の横川様、日本鉱業協会の岸様、公益社団法人全国産業資源循環連合会の室石様にご参加いただいております。
 次に、本委員会の事務局を紹介させていただきます。
 先ほどまでおりました土居局長に加えまして、環境管理課の課長の筒井が、また、環境汚染対策室から室長の鈴木と百瀬室長補佐、奥野室長補佐、そして私、粟飯原が出席しております。
 続きまして、本日の資料の確認をさせていただきます。委員の皆様方には事前に電子ファイルで資料一式を送付させていただいておりますが、資料は1から3-5、参考資料は1から13でございます。今、画面で議事次第の配付資料のページを投映させていただいておりますのでご確認願います。
 なお、不備がございましたら、事務局までチャット等でご連絡いただければと思いますのでよろしくお願いします。
 また、参考資料等はタブレットのほうで配付させていただいております。
 それでは、これ以降の議事進行につきましては、高岡委員長にお願いいたします。
 高岡委員長、よろしくお願いします。
【高岡委員長】 はい、ありがとうございます。
 それでは皆様、早速ではございますが、議事に入りたいと思います。
 本日もお集まりいただきましてありがとうございます。
 では、議題の1は、前回委員会における指摘事項等について、になります。
 では、事務局から説明をお願いいたします。
【奥野室長補佐】 資料2-1を用いまして、前回委員会における指摘事項等について、環境省環境汚染対策室の奥野から説明をさせていただきます。
 本年3月14日に開催しました本専門委員会において、今後の水銀大気排出対策の主な検討事項についてご議論いただいたところ、こちらに掲載のとおりのご意見をいただきました。
 まず、①環境政策手法の妥当性についてですが、水銀の大気排出インベントリーの結果から、要排出抑制施設で自主的取組を行う施設が排出量で大きな割合を占めているため、自主的取組をしっかり進めていくことが必要とのご意見をいただきました。
 続きまして、②水銀排出施設、要排出抑制施設の追加等についてですが、石炭ガス化複合発電(IGCC)やバイオマス発電施設を、水銀排出施設へ要排出抑制施設として追加していくこと等について、俎上に載せていくべきではないか、といったご意見をいただきました。
 3点目、③排出基準の見直しについてですが、5年後見直しの前提としまして、まず5年後、10年後等の長期的にどの程度水銀の排出量を下げていくのか、世界的な状況を見つつ、どこまで下げていくのかをはっきり見通さないといけないというご意見を守富委員よりいただいております。
 また、高岡委員長からは、今まさに、速やかに削減対策をしないとリスク削減や対策効果の発揮が遅れる研究成果をご紹介いただいた上で、日本の大気環境中の水銀濃度は低くなっているものの、削減する余地と努力が必要という認識で今後の水銀大気排出対策を考えなければならない、というご意見をいただいております。
 続きまして、資料2ページでございます。
 ④排出ガス中水銀の測定方法・測定頻度の見直しについてですが、こちらでは、デジタル技術の導入については、うまく活用できる部分は進めていただきたいというご意見であったり、また、排ガス中の水銀濃度の測定に当たっては、価格を含めて導入が困難という課題はあるものの、連続測定が最善であり、水銀挙動の解明、現行測定法の妥当性の評価、国内のBATを適正に評価するという意味でも、ぜひ検討を進めていただきたいとのご意見をいただいております。
 一方、デジタル化については、データの透明性なども重要となるため、その点も併せて検討していかなければならないというご意見をいただいております。
 最後に、⑤その他法令規定事項の点検として、行政指導や罰則の適用等について今までどのような状況であったのか、というご質問をいただいておりまして、事務局から、行政指導は確認されているが改善命令や罰則の適用は今までないことを回答させていただいております。
 いただきましたご意見を踏まえまして、法施行5年後の点検・見直しを進めていきたいと考えております。
 資料2-1につきましては以上です。
 続きまして、資料2-2のご報告をさせていただきます。
 水銀大気排出インベントリーの訂正について、でございます。
 水俣条約における水銀大気排出に関する事項として、締約国は大気排出インベントリーを作成・維持・公表することが求められておりまして、その作成にあたり、本専門委員会において、その推計方法や結果の確認を行いまして、数値を確定してきたところでございます。
 大気排出インベントリーを推計するに当たり、より排出実態を反映するため、令和4年3月に開催されました第11回の本専門委員会において、測定義務のある水銀排出施設については、測定結果が蓄積されてきたことから、排出係数を用いて排出量を算定する方法から測定結果を用いて施設ごとの排出量を積み上げる方法に変更することを議論しまして、2019年度の推計から適用してきました。
 令和5年6月ですけれども、一部のその水銀排出施設の積み上げ法による大気排出量の算定結果について誤りが確認されましたので、速やかに本専門委員会の委員の先生方にご相談しながら、ご助言をいただきつつ、誤りを訂正し、その結果について環境省ホームページに掲載させていただきましたのでご報告させていただきます。
 1.の訂正箇所ですが、2019年度及び2020年度の「非鉄金属製造施設」の積み上げ法による大気排出量を訂正させていただいております。訂正内容はこちらの表のとおりとなります。
 2ページ目のところに訂正を行った理由を簡単にまとめております。「非鉄金属製造施設」は、酸素濃度補正が不要な施設ですけれども、こちらについても、式②で計算式を書かせていただいておりますが、このOnとOsを一緒にすべきところを、Onがゼロになって計算をしているということが判明しましたので、今回、訂正させていただいております。
 今後の大気排出インベントリーの算定に当たりましては、同様の事例が発生しないよう、細心の注意を払いながら行っていきたいと考えております。
 説明と報告は以上となります。よろしくお願いします。
【高岡委員長】 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの資料2-1、2-2につきまして、ご質問、ご意見等がございましたら、皆様、お願いいたします。会場で発言される方は挙手で、事務局、サポートをいただいて、どなたがということをお知らせください。また、Webの参加者の方は挙手ボタンを押していただくか、お名前を名のっていただきたく思います。私が指名しますのでご発言をお願いいたします。
 では、いかがでしょうか。
【伊藤委員】 伊藤です、よろしいでしょうか。
【高岡委員長】 どうぞ、伊藤先生、お願いします。
【伊藤委員】 水銀排出量の算出のところなのですけども、何度か意見は出ているかなとは思うのですが、この算定の仕方、例えば、2ページ目の枠の中に式がございます。枠の上のほうの下のところに、年間水銀排出量=測定時乾き排ガス量×年間稼働時間、これでトータルの年間の排出ガス量を計算するということになっているのですが、実際に、この測定がなされるときというのは、通常はプラントの運転が100%不可の状態で動くことがほとんどです。ところが、最近の状況は、プラントが100%で動くということはなかなか減ってきている。とすると、この排出ガス量というのは高めに見積もることになって、水銀の排出量も高めに見積もるということになりかねないということです。
 なので、算定の仕方として、これを基本にすることは、それは妥当な方向だと思うのですが、この方法ですと高めに見積もる可能性があるということと、それから、前回の委員会でも意見が出ていたと思いますが、一つの方法でやるのではなくて、多面的な見方が必要ではないかと。例えば、算定の方法を変えることによって数値がかなり変わる可能性もございます。そういったところでのばらつきといいますか、数値の違いというのを把握することが重要ではないかと思いますので、この方法を基本にするというのは結構だと思いますが、幾つか多面的な見方をしていただけると実態の把握に良いのではないかということで、コメントとして申し上げさせていただきました。
 以上です。
【高岡委員長】 はい、ありがとうございます。
 事務局からコメントはありますでしょうか。今のご質問とコメントに対して。
【奥野室長補佐】 環境省環境汚染対策室の奥野でございます。 こちらの算定方法ですが、高めに見積もるという課題は以前からも認識しておりまして、我々が結果を公表する中で、こういう結果であるというところはしっかり伝えていきたいと考えております。
 また、多面的な算定につきましては、インベントリーの算定において、こちらの実測値を使った方法と、従前からやってきました排出係数法を用いた算定方法、5年間の結果を見るということで排出係数法を引き続きやっているというところもございますが、そういった結果を見ながら、これらのやり方を並行してやりながら、なおかつ、より実態に合うような算定方法をこれからも調べていきたいと考えております。
 以上となります。
【伊藤委員】 ありがとうございます。
【高岡委員長】 はい、ありがとうございます。
 では、ほかにいかがでしょうか。
 皆様よろしいでしょうか。
 では、ここは前回の振り返り、それから環境省からの排出インベントリーの修正というところでしたので、これで終了させていただきたいと思います。
 では、次の議題に移らせていただきたいと思います。
 議題の二つ目は、水銀大気排出に関するヒアリングでございます。
 まず、資料3-1について、事務局より説明をお願いいたします。
【奥野室長補佐】 環境省環境汚染対策室の奥野でございます。
 資料3-1を用いまして、水銀大気排出に関するヒアリングの実施概要について説明させていただきます。
 水銀に関する水俣条約の的確かつ円滑な実施を確保するため、改正大気汚染防止法が施行されて、本年4月に施行後5年が経過したことから、今後、本格的に水銀大気排出対策の点検・見直しを行いたいと思っています。
 その検討にあたり、対象施設からの水銀大気排出、水銀がどれだけ出ているのかといった実態であったり、また、排出基準の遵守状況、発生源種別ごとの排出抑制技術等について、この5年間でどの程度、変化したのかということを本委員会として広く把握していきたいと考えております。そこで、今回と次回の2回にわたりまして、各業界団体にヒアリングをさせていただきます。
 主なヒアリング項目をこちらにまとめさせていただいております。具体的には、対象施設における5年間での施設数、生産規模、原料等の変化、また、対象施設に用いられている排ガス処理施設のBAT/BEPの変化、5年間の測定結果や排出基準の遵守状況、また、最後になりますが、排ガス処理以外で用いられている水銀の大気排出を抑制するための手段、こういったところをお伺いしたいと考えております。
 発表の方法ですが、各業界団体から10分から15分程度発表いただきまして、各説明者の皆様からの説明が終わった後、質疑応答を10分程度させていただきたいと考えております。
 ヒアリング対象及びスケジュールをこちらに示させていただいておりまして、本日は、電気事業連合会、日本鉱業協会、日本環境衛生施設工業会、全国産業資源循環連合会から発表をいただきます。
 また、第14回、11月13日開催予定ですけれども、こちらは記載の4団体から、発表をいただきたいと考えております。
 私からの説明は以上となります。よろしくお願いします。
【高岡委員長】 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、ご質問、ご意見がございましたらお願いいたします。
 いかがでしょうか。
 Webのほうも会場のほうも、特段ご意見はないようでしょうか。
 よろしいですか。
【奥野室長補佐】 会場はどなたも手を挙げておりません。
【高岡委員長】 では、ご質問、ご意見がないようですので、業界団体の皆様にプレゼンテーションをお願いしたいと思います。多分、それぞれのプレゼンテーションに対して、皆さんたくさんの質問があるかと思いますので、そちらで時間を取りたいと思います。
 では、まず一つ目ですね、資料3-2の説明を電気事業連合会の横川様、よろしくお願いいたします。
【横川氏(電気事業連合会)】 よろしくお願いいたします。
 電気事業連合会の立地電源環境部の横川と申します。電事連からのプレゼンテーションをさせていただきます。
 まず、電事連関係各社のカーボンニュートラル実現に向けた取り組みでございます。電事連関係各社と言いますのは、電気事業連合会の会員各社、北海道から沖縄までの旧一般電気事業者から構成されております。今回の実態の報告では、電事連の10社に加え電源開発及びJERAの石炭火力についての実態を報告させていただきます。
 まず、総論としまして、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、「S+3E」、Safety、安全、それから三つのE、Economy、Energy security、Environment、三つの経済性、安定供給、環境面、これらの同時達成に向けての「電源の脱炭素化」、それから需要側の「電化の促進」、こういった取り組みの中での水銀の排出実態というものを報告させていただきます。
 まず、供給側で再生可能エネルギーを最大限入れつつ、原子力の最大限の活用、リプレース・新増設、それから火力電源を脱炭素化していく中での火力電源の実証、技術開発・実証・導入・商用化の推進に取り組んでございます。
 右肩2ページ目でございます。石炭火力発電所の現状でございます。法施行前の2018年3月末で、石炭火力発電所は、電事連関係各社の中で60ユニットございました。発電設備容量にして3,277万kW。2023年9月末現在におきまして、ユニット数は65ユニットになっております。設備容量としては3,808万kWでございます。そのうち、休止・廃止予定のプラントもございまして、ご覧のとおりの数字になっております。
 地図上でご覧いただくと、赤字の部分が法施行以降の新設の発電所でございます。
 右肩3ページ目をご覧ください。
 これは、電力広域的運営推進機関が発表しました今後の石炭火力発電所の設備容量の見通しでございます。これは、電気事業連合会だけでなくて、日本全国の石炭火力発電所を指しております。2032年までは概ね横ばいでございます。2022年をご覧いただきますと5,065万kW、2032年で5,094万kWとなってございます。送電電力量については、概ね2,800万kWh、これは電力供給全体の2割から3割ぐらいの割合でございます。設備利用率は約60%強と想定されております。
 右肩4ページ目をご覧ください。
 石炭火力発電所の水銀の挙動でございます。左から右に流れていきます。
 まず石炭火力発電所のボイラで石炭を燃焼させると、その燃焼熱で蒸気をつくり、蒸気タービンを回して発電します。この石炭を燃焼しますと、その燃焼の過程で、石炭中に含有しております水銀が、全量ガス状の金属水銀となっていくところが、左側のボイラで発生します。これが冷却される過程で捕集されていきます。燃焼の過程で塩化水素と反応することによって、冷やされていくとガス状から粒子状になっていくという過程です。従来から排ガス処理施設としてついております、窒素酸化物を除去する排煙脱硝装置、粉じん・ばいじんを捕集する電気式集じん装置、硫黄酸化物を除去します排煙脱硫装置と、この設備の中でガス状の水銀が粒子状になり、また水溶性になり、その水溶性で溶けていくことによって、この集じん装置、脱硫装置の中で、水銀も併せて捕集されるというメカニズムになっております。ここで捕集しきれない一部の非水溶性のガス状の金属水銀が排ガス中に残留されて、煙突から大気に排出されていくと、こういう挙動になってございます。
 右肩5ページ目でございます。石炭火力発電所の排ガス処理装置の設置状況です。先ほどご説明いたしましたようなものがBATになっております。新設については、先ほどの脱硝設備、除じん設備、脱硫設備、この3点セットです。3点セットが一体となったものをBATと呼んでおりまして、既設については、それぞれ3点セットでない形でも、このいずれかのものがついている装置というものがBATとなっております。現在、この3点セットが、下の表をご覧いただきますと、ほぼこの①に分類されますけど、このユニットというのが法施行以降も増えていくという実態でございます。53というところでございます。
 右肩6ページ目でございます。石炭火力発電所に係る排出基準でございまして、実態としては、このページの下半分にございます。新設では8μg/Nm3、あるいは既設では10μg/Nm3というような規制がございますけれども、法が施行されて以降、この10μg/Nm3を超えるユニットは実態としてはないという状況でございます。
 それから、排ガス中の水銀濃度の平均値でございますけれども、規制前とは、ほぼ変化がないという状況でございます。
 また、調達している石炭中に含まれる水銀濃度についても、ほぼ変化がないという実態でございます。
 それから、国内の石炭火力発電所におけるBAT/BEPについても、特段変化がないという状況で、これまでどおりの技術で除去しているという実態がございます。
 右肩7ページ目でございます。IGCC、石炭ガス化複合発電所でございます。現在、国内には、このご覧の表に書いてある3基のIGCCがございます。勿来、広野、大崎クールジェンとあります。いずれにしても停止していたり、実証試験中というようなもので、データ数というのが非常に限定されております。なので、水銀の排出実態というものは、運転状態における排出実態というのは、十分にまだ確認できている状況ではございません。
 IGCCの特徴としまして、従来型の石炭火力では利用困難だった石炭も利用できるというものもあるものの、炭種の利用実績というのがまだ限定的でございまして、引き続き、データを収集しながら、実態というのは検証していくということを考えております。
 最後に、右肩8ページ目をご覧ください。大防法5年後見直し議論に当たっての意見・要望でございます。
 これまで同様、データ及び科学的根拠を踏まえたうえで、経済合理性に加えて、カーボンニュートラル、循環経済、自然再興の統合的な取り組みを考慮した検討をお願いしたいと思っております。
 二つ目です。石炭火力につきましては、まずは現行の規制で管理を継続することとしまして、将来的にはカーボンニュートラルの実現に向けた取り組みを進めることで水銀排出量の削減にも寄与できるものと考えております。今後の発電状況や測定データ等を踏まえたうえで検討をお願いしたいと思っております。
 三つ目、IGCCにつきましては、現時点では蓄積データも限られておりまして、実態の網羅的な把握ができている状況ではないということも踏まえまして、適切な水銀排出管理を行うためにも、引き続きデータの蓄積を図った上で、規制的枠組みの検討・議論をお願いしたいと考えております。
 最後でございますが、電事連関係各社は水銀排出を抑えるために、あるいは、それ以外の環境負荷も低減させるために、適切な施設の運用・維持管理に努めておりまして、今後も継続していきたいと思っております。
 以上でございます。ありがとうございました。
【高岡委員長】 ありがとうございました。
 それでは、ただいまのご発表につきまして、ご質問、ご意見がございましたらお願いしたいと思います。
 皆様、いかがでしょうか。
【事務局】 鈴木委員が手を挙げられています。
【高岡委員長】 では、鈴木先生、よろしくお願いいたします。
【鈴木委員】 はい、ありがとうございます。鈴木です。
 どうもご説明いただきましてありがとうございました。ちょっと基本的なことかもしれないのですが、2018年以降、老朽化したユニットを廃止して、高効率なものを新設されるということですけれども、これは、今後とも、また幾つかのものが長期的には更新されていく予定になっているようなものなのでしょうか。多分、高効率化という過程で、水銀排出も一定程度変わっていったり削減される効果はあるのかなと思いましたので、もし見通しというのがあればお教えいただきたいと思いました。
 以上です。
【高岡委員長】 ありがとうございます。
【横川氏(電気事業連合会)】 はい、横川でございます。
 今のご質問は、今後も石炭火力発電所の新設が増えていく見通しがどうかというご質問でしょうか。
【鈴木委員】 はい、新設あるいは何か更新というような見通しがあるのでしょうかということです。
【横川氏(電気事業連合会)】 はい。新設という意味では、今から新たに新設で計画していくというようなユニットは、現在のところございません。既に計画をして、進行中というプラントについては数ユニットございますが、今後の大きな見通しとしまして、新たな計画というのは、今のところ各社は持ち合わせていないという状況でございます。
 一方で、カーボンニュートラルの流れの中で、従来の既設の石炭火力については、アンモニアを混焼する等という形で脱炭素化の取り組みもしていく、そういった動きがございます。それとともに、石炭の使用量が、その分、減っていくということもありますので、水銀の排出も併せて減っていく効果が期待できると考えております。
【鈴木委員】 はい、分かりました。有効に進められるといいと思いました。ありがとうございます。
【高岡委員長】 はい、ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
【大橋委員】 すみません、大橋です。6ページというか、右肩の6ですけれども、ここのところで「調達している石炭中の水銀濃度についても、ほぼ変化はありません」と書いてあるのですけども、昨今、国際情勢とかいろんな変化があると思うのですけども、その中で、現状においても変化がない状況ということでよろしいのでしょうか。今後も変化がないということが見込めるということでよろしいのでしょうか。
【横川氏(電気事業連合会)】 はい、調達している石炭の中の水銀含有というところが、輸入元の国というよりは、ほぼ産地によってばらつきがあるという実態がございます。なので、国、調達先が変わると、その分、また石炭の含有量もばらつきがあるというのが実態でございますが、国際情勢の変化とともに、石炭中の水銀含有量が変わっていくというような、そういう見通しは立てておりません。なので、これまでと同様に産地によって変わってくるので、そのときに石炭中の水銀含有量というもの、スペックを事前に確認しますので、ある炭種が非常に水銀含有量が特に高いということがあらかじめ分かったときには、そこはできるだけ調達を避けると、そういうことは考えていくこともあろうかと思います。
【大橋委員】 ありがとうございました。
【高岡委員長】 ありがとうございました。
 では、守富先生、よろしくお願いします。
【守富委員】 PDFの6ページ、右肩の5ページですか、集じん装置等々書いてあって、この絵の中でいわゆるBAT基準で言うと①の3点セットがあるというのが基準になるわけですが、これまでも報告はあったかもしれませんけど、脱硝設備のない、あるいは③の施設が4ユニットあるわけですが、これらについては、排出量は高いということだったのでしょうか。これは、メカニズムの全体としては低いことは分かってはいるのですが、このメカニズムとしてみた場合、やはりこの3点セットがフルセットでない場合の傾向としてはどうなっているのかを教えていただきたいのですが。
【横川氏(電気事業連合会)】 はい、ありがとうございます。
 おっしゃるように、やはり3点セットが欠けると、この4ページ目のメカニズムの三つのものがそろっていない分、捕集ができない部分が出て、その分、大気に排出される傾向にあるというのは確かでございます。一方、それでもなおモニタリング、それから測定をしておりますが、今のところは法施行以降、排出基準を超えるようなものは出ていないというのが実態でございます。
 なので、この捕集セットとともに、やはり調達する石炭の炭種によって、もともとの含有量による変化というものもございますので、調達する石炭がどういう組成なのかとともに、このBATの組合せで排出を抑えられると考えております。ご質問の趣旨としては、多くなる傾向にあるというのは、実態としては確かでございます。
【守富委員】 ありがとうございます。
 それと、今後の傾向としてですが、5年後、10年後といいますか、これは、いわゆる3点セットでないもの、バグフィルターのみというケースの4ユニットを含めて、これらは早期になくなっていくという傾向なのでしょうか。現在、ユニット数は増えているのですけども、先ほどの、いわゆるアンモニアだとか他のものに変わって、石炭火力からシフトしていくということを考えた場合に、こうしたものがフェードアウトしていくといいますか、どういうようなものが増えているのか、今後の減る傾向というのはどういう傾向になるのか、水銀の観点から見た場合に、その辺のところを、もしご意見があれば教えていただきたい。
【横川氏(電気事業連合会)】 ありがとうございます。
 傾向としては減っていくというところを、大きな流れとして認識しております。こういった③のようなものは、かなり古い石炭火力発電設備でございます。発電所の寿命といいますと、おおよそ30年、40年ぐらいというように一般的には言われておりますけども、こうした古い石炭火力発電所を、S+3Eの観点から、どこまで効率的に運営していくかというところも、経営判断になってくると思います。今、カーボンニュートラル、あるいは省エネ法の中で、非効率的な、高効率でない石炭火力発電所に対しての要求事項がございますので、こういった古い石炭火力発電所につきましては、2030年以降、2040年の中で、どのような形で現状のプラントを維持していくかというところが経営判断になってくると思います。全体の傾向として、こうした③のような発電設備、古いところから次第に休止していく、あるいはアンモニア混焼とかするなどの脱炭素に向けた新たな設備対策をしていくというようなものが、この10年ぐらいのスパンの中で起きていく傾向と想定しております。
【守富委員】 ありがとうございます。
【高岡委員長】 はい、ありがとうございます。
 では、大野委員、お願いします。
【大野委員】 IGCCの施設についてお聞きしたいのですけれども、このIGCCの施設から排出される水銀のメカニズムというのは、基本的に石炭火力と同じと考えていいのか、あと、あんまりデータがないとおっしゃっているのですけれども、実際、石炭火力よりも排ガス中水銀濃度として低い値が出てくるのかとか、その辺のことをお聞きしたいのと、もう一つは、将来的にこのIGCCが増えていく傾向にあるのかというのをお聞きしたいと思います。
【横川氏(電気事業連合会)】 ありがとうございます。
 IGCCというのは、Integrated coal Gasification Combined Cycleの略語でございまして、従来型の石炭火力のように、ボイラで石炭を燃焼させるという工程がございません。なので、従来型の石炭火力とは若干メカニズムが、水銀の排出という観点からは異なっております。
 石炭をそのまま燃焼させるのではなくて、蒸し焼き状態にして、それでガス化させるというところなので、一部は燃焼されないまま蒸し焼きにされて、残った石炭の残留物、残渣にそのまま滞留されるところと、ガス化された中でのガス状の中に水銀が含まれているところがございます。入り口の部分が大きく違っております。ここでは一緒でございます。
 今後、IGCCが増えるかというご質問ですが、ここは、明確な答えは持ち合わせておりません。今、傾向としましてはIGCC、新たな計画というのは一つのみでございます。今後、大きく増えていくかというと、今のところはそういう傾向は把握してございません。
【大野委員】 ありがとうございます。
 今のメカニズムのところで、石炭を蒸し焼きにするということなので、残渣のほうと、あとガスのほうで、両方に水銀が出て、出ていくというか、残るのと出ていくということがあると思うのですけれども、その蒸し焼きにして、ガスのほうに出ていく成分とか、そういう研究というのは、データを取るというようなことは、今していらっしゃるのでしょうか、基礎研究みたいなことは。
【横川氏(電気事業連合会)】 今、IGCCの中で、入り口の水銀と出口の水銀が全て把握できているというような状況に、まだ至っていないというのが実態でございます。引き続き、挙動のメカニズムというものを把握していくためにも、データの蓄積が大事で、今、そういったところで実証試験の中でも水銀の排出実態も把握しているという、そういった段階でございます。
【大野委員】 なるほど、「これから使用される石炭種も種々になる」とここに書いてございますので、そういった基礎研究はしっかりしていただければいいなと思いました。
 ありがとうございます。
【横川氏(電気事業連合会)】 ありがとうございます。
【高岡委員長】 ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。
 すみません、じゃあ私のほうから、ちょっと2点お尋ねしたいのですが、今のIGCCの件ですが、幾つか炭種が限られているということですが、一つの施設で、そうたくさん炭種を実際に利用されるとは、私にはあまり思えないのですが、どのぐらい、その炭種を調べようとされているのかが分かれば教えていただきたいというのが1点と、もう一つは、やはりカーボンキャプチャーが今後入る可能性が結構あり得ると思うのですけれども、石炭、メタネーションのところはですね。その見通しというのはどういうふうに考えられているのでしょうか。
【横川氏(電気事業連合会)】 はい、ありがとうございます。
 炭種という意味では、この水銀の挙動のためだけに、様々な炭種を試験しているという実態ではなくて、全体のIGCCの安定的な運転のために、複数の炭を利用しているというのが実態でございます。何種類でやっているかという数字まで持ち合わせておりませんが、10種類とか、そういった前後の形での利用というところが今の実態でございます。何百種をやっているというような、そういった規模ではありません。それぞれ受入れの石炭というのが、サプライチェーンの中で、この発電所単独で調達しているわけでもございませんので。
【高岡委員長】 そうですね。
【横川氏(電気事業連合会)】 そういったところの、ある意味、出なりで来る石炭を調査しているというような実態でございます。
【高岡委員長】 はい。
【横川氏(電気事業連合会)】 カーボンキャプチャーにつきましては、これもまた各社、検討段階でございまして、既設の火力発電所よりもCO2を回収しやすいという、ほぼ全量を回収しやすいという特徴もございますので、今後、CCSの法制度が整っていくにつれて、選択肢としてはあると考えておりますが、今、この3基について、具体的な計画がすぐにあるかというと、そこまでは、まだ行けてないのが実態でございます。むしろ、長期停止中というところもございまして、まずは、その運転データを抽出しながら、IGCCのオペレーションを実際に確立していくという段階でいるという状況でございます。
【高岡委員長】 すみません、IGCCのほうのほうは一般的な、いわゆる石炭燃焼というか、石炭火力のほうで入っていく見通しとかいうのは、電事連のほうではあるのでしょうか。例えば、2050年までに何%とか、もしそういうのがあれば教えていただきたいと思います。
【横川氏(電気事業連合会)】 はい、今のところ、その何%という目標は持ち合わせておりません。国の取り組みの中で、先進的な新設事業というのが7プロジェクト、選定されておりますけども、そういったところから、まずは実証していくところが第1ステップとしておりまして、2030年以降、またその第2弾、第3弾という政策的な取り組みの枠組の中でアプライしていけたらと思っておりますが、今のところ、数字目標はございません。
【高岡委員長】 はい、分かりました。ありがとうございます。
 皆様、よろしいでしょうか。
【奥野室長補佐】 事務局ですけれども、本日欠席の浅利委員から、事前に、その資料について1点だけご意見が。
【高岡委員長】 はい、事務局から。
【奥野環境汚染対策室長補佐】 はい、ご紹介させていただきます。
 石炭中の水銀濃度の関係ですけれども、大防法の施行前後でどのように変わっているのかというところと、その考察について、教えていていただけないでしょうかといったご意見をいただいております。
 先ほど大橋委員からのご質問と被っていると思っておりまして、事務局の認識としては、スライド6ページに記載のとおり、調達している石炭中の水銀濃度についてはほぼ変化がない、ただし、産地によって水銀の濃度は変化する、ばらつきがある可能性があり、今後の国際情勢によっても変化する可能性があるという認識と思っているのですが、その点について、ご意見をいただければと思っております。
 よろしくお願いします。
【高岡委員長】 横川様、よろしくお願いします。
【横川氏(電気事業連合会)】 今おっしゃったとおりでございます。この法施行をもって、何か新たなギアをチェンジして対策を取ったかというと、そういったことはございません。従来ながらの排煙の環境設備の中で捕集されていくというところのプラクティスを続けておりますので、そこで実際の4か月に1回の測定の中でも、ほぼ大きな変動なく安定しておりますので、従来どおりの取り組みの中で排出濃度を低減する取り組みをしているというもので、ほぼ何か大きな変化があったかというと、変化がないという状況でございます。
【奥野室長補佐】 ありがとうございました。
【高岡委員長】 はい、ありがとうございます。
 事務局、よろしいですね。ほかはないですね。
【奥野室長補佐】 はい。浅利先生にお伝えさせていただきます。
【高岡委員長】 はい、ありがとうございます。
 では、長時間にわたりましてご発表、それから質問に答えていただきましてありがとうございます。
【高岡委員長】  では、次に進ませていただきたいと思います。
 次は資料3-3の説明を、日本鉱業協会の岸様、よろしくお願いいたします。
【岸氏(日本鉱業協会)】 日本鉱業協会の岸でございます。
 非鉄金属製錬の状況について、岸からご説明いたします。
 スライドの2ページ目をお願いします。製錬所の所在、製錬工程の簡単なフローをご説明しましてから、環境汚染対策室からいただいた各テーマについてご説明させていただきます。
 では、スライドの3ページ目をお願いします。
 製錬所の所在図になりますが、北海道を除く各地に製錬所がありまして、臨海製錬所が比較的多く、東北と瀬戸内海に多いという特徴があります。
 スライドの4ページ目をお願いします。
 非鉄金属の製錬所は、回収する主なメタルの種類によって銅製錬、鉛製錬、亜鉛製錬の3種類に分けられます。製錬方法は、大きく分けて2種類、火や熱エネルギーを使う乾式と、硫酸などの溶媒を使う湿式になります。主な金属は、銅、鉛、亜鉛の3種類でございますが、これらの製錬所で生産される金属などの製品は20種類以上になります。
 半導体に使用されておりますインジウムやガリウムなどは、利用方法が確立されるまでは不純物として捨てられてまいりました。しかし、技術的に理由できるようになりますと、鉱石に僅かに含まれる微量の不純物であっても、他の金属が回収されると相対的に純度が上昇しますので、経済的に回収できるようになります。重要な収入源となってまいりました。また、亜鉛製錬所で製品にできない微量金属を銅製錬所へ送り、製品に仕上げるなどのコンビナート化を進めることで、非鉄金属製錬所の取扱品目が次第に増えてきた歴史がございます。
 先ほど、製錬方法には2種類あるとお話しいたしましたが、鉱山は火山活動が基になっているところが多いために、鉱石の多くが硫黄化合物の硫化鉱となっております。このため、鉱石の硫黄分を酸素で燃やしたエネルギーで硫黄と離れた金属を溶かすことと、硫黄と酸素から生成された亜硫酸ガスから硫酸を製造することが製錬の基本フローとなります。
 硫酸は、皆様ご存じのとおり人工肥料や石膏ボードの原料になったり、ナイロン糸の製造工程などで使われるなど、幅広く製造業を支える基礎資材となっておりますが、非鉄金属の湿式製錬で溶媒としても使用されております。
 硫化物の鉱石は、硫酸には溶けません。そのために、湿式製錬では焙焼工程で酸化物に変えて、硫酸に溶けるようにします。つまり、乾式製錬でも湿式製錬でも熱を加える工程があるということになります。
 なお、湿式製錬の前工程となる熱を加える工程を乾式工程とか、乾式製錬工程と呼ぶのが正式ではありますが、溶媒抽出や電解工程を主にする製錬所を湿式製錬所と呼び習わしておりますので、一部に乾式工程を持っておりましても、湿式製錬所と言うことが多くあります。逆に、電解などの湿式工程を一部に持っていても、溶鉱炉などの主要設備が乾式の場合には、乾式製錬所と言う場合も多くあります。
 今見ていただいていますスライドは銅製錬の例でございますが、自溶炉の例となります。順に、自溶炉、転炉、精製炉と進んで、真ん中のフローになります、と進みまして、不純物をガス化して取り除き、銅の品位を99.5%程度にした後で、電気分解法により、ここでは、電解と書いてある部分なのですけれども、電気分解法により、純度を99.995%以上に仕上げています。これはロンドンの商品取引所で規格をつくっている濃度になります。
 次に、スライドの5ページ目をお願いします。
 鉛製錬の例となります。乾式工程の後で、先ほどと同じく、電解工程で製品の純度を99.995%以上にしております。
 次に、スライドの6ページ目をお願いします。
 亜鉛製錬のフローで、湿式製錬の例となりますが、最初に、流動焙焼炉で鉱石を酸化物である焼鉱にして、浸出工程で硫酸に溶解し、清浄工程で硫酸中の亜鉛濃度を上げてから、電解工程で99.995%以上の亜鉛を取り出します。亜鉛製錬でも鉛製錬でも、乾式の製錬所もあります。今、ご説明した湿式製錬所とは違い、電解工程を持たない完全な乾式製錬所もございます。この場合には、たとえがちょっと変かもしれませんが、ウイスキーのように揮発させて純度を上げる蒸留工程がありまして、さらに、精留工程まで処理すれば、電気亜鉛、先ほど申し上げた99.995%の亜鉛と同等の純度になります。
 乾式製錬の溶鉱炉や自溶炉では、メタルを溶かすために千数百度まで温度を上げまして、湿式製錬の焙焼炉でも500℃以上にしてまいりますので、沸点が360℃弱である水銀のほとんどが、この工程でばいじんやガスとなって、亜硫酸ガスとともに排ガス側に流れ、ガス洗浄設備で取り除かれていきます。
 スライドの7ページ目をお願いします。
 非鉄製錬の概要説明が長くなりましたけれども、本日の主要テーマのご説明に入らせていただきます。
 2018年と2022年の製錬所数や生産量の比較表となっております。亜鉛の一次製錬所が統廃合により1か所減少したほかは製錬所数に変化はなく、各メタルの生産量もほぼ横ばいとなっております。最近の非鉄製錬所では、カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーを意識して、リサイクル原料の取扱量が増加傾向にあります。銅で生産量の25%、鉛で58%、亜鉛で22%となっております。また、電気銅のうち3分の1、電気亜鉛のうち1割が輸出されておりますので、この分を補正するとリサイクル率は銅で40%程度、亜鉛で30%程度となります。
 排ガスの水銀濃度は記載しておりませんけれども、ほぼ規格値をクリアできております。ほぼと申し上げますのは、投入原料の水銀濃度が偏っていたり、煙道の、煙の道のスケールが飛んだ場合などに、瞬間的に規制値オーバーがごくまれに計測されることがあります。この場合には、ルールに従いまして再度測定して、その結果、基準値内にあることが確認されております。
 スライドの8ページ目をお願いします。
 ただいまのご説明を簡単にまとめてございます。
 なお、委員の皆様のお手元には一枚紙の机上資料が置かれているかと思います。よろしいですか、はい。その机上資料の上段の表は、銅・鉛・亜鉛製錬所を鉱石主体の一次製錬所とリサイクル原料主体の二次製錬所に分けた上で、排ガスの水銀濃度をまとめたものになります。表の右側が実績値の欄で、そのうちの左側が2018年のもの、中ほどが2019年から2022年までの3年間のもの、右側が2022年のものとなります。2022年の実績値は、比較的よい結果となっておりますが、全体としてはバラツキが非常に大きく、施設ごとのバラツキだけではなくて、同一施設でも100倍ものバラツキなども見られました。
 スライドの9ページ目をお願いします。
 現行規制の妥当性について、でございますが、現在の排出基準と測定頻度を今後も継続していただきたいと考えております。理由欄に記載のとおり、現在は、すべての製錬所で排ガスの水銀濃度を排ガス基準よりもおおむね低く管理できておりますが、これは、原料と排ガスの水銀濃度が相関するため、できるだけ水銀濃度の低い原料を手当てするとともに、原料をブレンドすることにより、製錬プロセスに投入する水銀の濃度を低く平準化させていることや、水銀の除去設備の清掃をしっかり行うなどの工程管理によるものであります。しかし、残念ながら原料の水銀濃度のバラツキをカバーできるほどの水準にはございません。
 スライドの10ページ目をお願いします。
 投入原料の水銀濃度を低く平準化するようにブレンドしているわけでございますが、購入する精鉱の水銀濃度が全般的に上昇すれば、どのようにブレンドしても排ガスの水銀濃度は連動して上昇する傾向になります。投入量の99%以上の水銀については、排ガスで飛ばないようにしておりますが、完全回収にまでは至っておりません。
 原料市場で入手できる精鉱の買鉱条件は厳しくなってきておりまして、水銀などの不純物を多く含む鉱石を入手せざるを得ない場合も出てきております。鉱山側の希望する高い価格で買えば、水銀の少ない鉱石を買うこともできるかもしれませんが、収支を見て原料手当てをせざるを得ませんし、鉱山のある国は、条件のよい鉱石を自国消費に優先して回すようになっていることもあります。このため、将来的には、現在よりも、もっと水銀濃度の高い鉱石を処理しなければならない状況も見込まれるため、排出基準と測定頻度は、現行のまま維持していただきたいと思っております。
 スライドの11ページ目をお願いします。
 BAT/BEPの変化についてでありますけれども、大気汚染防止法改正後に、設備やプロセスを大きく変えた製錬所はございません。運転方法や清掃方法などの日頃の管理について試行錯誤をしながら、いろいろな改善を重ねているところであります。また、海外の動向については、とくには把握してございません。
 スライドの12ページ目をお願いします。
 フェロアロイ関係でございますが、そのうちのフェロニッケルについては、メーカー3社がいずれも当協会の会員企業でありますので、私どもからご説明させていただきます。
 一方で、フェロマンガンなどの他の金属につきましては、フェロアロイ協会様がまとめておられて私どもは存じ上げませんので、本日の説明には入っておりませんことをご承知おきください。
 フェロニッケル製造施設を要排出抑制施設に指定する必要性の有無に関しましては、以下の理由から見送っていただきたいと思っております。
 まず、国内のフェロニッケルの製造所の数は3か所で、最近は増減がございません。ただし、生産量は、12ページの表にありますとおり、主な向け先でありますステンレス鋼の生産が落ち込んでいる影響を大きく受けまして、2018年の34万4,000tから、2022年には16万tへと半減しております。今年3月に開催されました第12回大気排出基準等専門委員会でご報告のありました2021年度の水銀排出インベントリーの暫定版によれば、フェロニッケル製造設備からの水銀排出量は、2018年で0.17t、170kgでありまして、2020年度は0.11t、110kgであったとのことでありますが、この排出量は、2018年と2019年に測定された排ガス濃度を基に算定された係数によって計上されているとのことでありました。
 スライドの13ページ目をお願いします。
 一方で、各メーカーが2022年に測定しました排ガスの水銀濃度は、インベントリーで使用されている係数の基礎となる濃度に比べまして3分の1以下、場所によっては20分の1以下であったとの報告を受けております。水銀を含まないリサイクル原料の比率を高めていることや、先ほど申し上げたとおり、生産量も大きく減少していることから、排出するガスの量も減少しているため、これらを基に排出した水銀の量を算定すると、インベントリーに計上された数量の半分程度になると推測されています。
 具体的な測定値につきましては、委員の皆様にはお手元の机上配付資料に記載しておりますので、ご確認いただければと思います。
 新たな東西対立などによる世界の社会的・経済的な混乱や、インドネシアのニッケル製錬所が中国に買収されたことなどもありまして、今後の情勢を見通すことは甚だ難しいのでございますが、日本国内でのフェロニッケルの生産量は、当分の間、厳しい状況が続くのではないかと思われ、増産も厳しい状況が続くと思われます。このような状況から、フェロニッケル製造所を要排出抑制施設に指定することは見送っていただきたいと思っております。
 スライドの14ページ目をお願いします。
 私からのご説明は以上でございます。ありがとうございました。
【高岡委員長】 ありがとうございました。
 それでは、ただいまのご説明につきまして、ご意見、ご質問がありましたらお願いしたいと思います。
 いかがでしょうか。
【伊藤委員】 伊藤です。
【高岡委員長】 はい、お願いします、伊藤先生。
【伊藤委員】 純粋な質問です。で、私の理解が足りていないところがあるかと思いますので、その辺が質問の原因になっていると思うのですけれども、まず、8ページ目の水銀濃度の瞬時値という表現がありますけども、これは連続分析ではないですよね。バッチの分析ですよね。
【岸氏(日本鉱業協会)】 はい、さようでございます。
【伊藤委員】 あ、分かりました。
 それで、あと、例えば9ページ目、それからフェロアロイのところと多少混同しているかもしれませんけども、原料をブレンドするというような表現がございました。この原料のブレンドという意味合いは、多分、原料にはある程度の水銀が入っていて、一方リサイクルのものですと、恐らく、ほとんど水銀が入っていなくて、それらを混合することによって水銀の濃度が下がるのだということをおっしゃっているのかなと思っているのですが、ここのフェロアロイのところはそういう表現だと思うのですが、この9ページのところも同じ理解でよろしいですか。
【岸氏(日本鉱業協会)】 二つあります。一つは、ご指摘のとおり部品のようなものをリサイクル原料として使っている部分と、あと、それから精鉱の、先ほどもちょっとお話がありましたけども、石炭の場合にはあまりバラツキがないということなのですが、非鉄金属の場合には、その精鉱の採れた鉱山によって、同じ国でも鉱山が違えば含有量、含有率が違いますので、それをある程度平準化するようにコントロールして、貯鉱舎で調合します。それをブレンドと呼んでおります。
【伊藤委員】 ということは、あらかじめある程度の分析はしてブレンドするということですか。
【岸氏(日本鉱業協会)】 はい、ただ、水銀は都度都度ではございません。非鉄金属は都度都度ですけども、大体このくらいだろうということであります。
【伊藤委員】 分かりました。どうもありがとうございます。
【高岡委員長】 ありがとうございます。  他はいかがでしょうか。
【伊藤委員】 もう一点だけよろしいですか。
【事務局】 伊藤先生が手を挙げられています。
【高岡委員長】 はい、どうぞ。
【伊藤委員】 フェロアロイのところの表現だと思いますが、2020年度に各社が分析した結果というのは、環境省測定結果に比べれば随分低くなっておると。で、この低くなったのが何か原因があるのか、例えば、ブレンドが増えたからだとか、あるいは、たまたまだと言われるとちょっと難しくなってしまうのですけど、その原因、何か思い当たるところがあれば教えていただきたいのですが。
【岸氏(日本鉱業協会)】 特に、20分の1というふうにすごく下がっている場所が、ある1社さんなのですが、リサイクル率を非常に高めておりまして、2010年ぐらいに精鉱が手に入りづらくなったのをきっかけにリサイクルの比重を高めていったと。今はまだ途中で、2030年頃になるかと思うのですけれども、全量をリサイクル原料にできないかということを、今やられています。ということで、大分下がっております。
【伊藤委員】 分かりました。ありがとうございます。
【高岡委員長】 ありがとうございます。  他はいかがでしょうか。
【事務局】 鈴木先生が手を挙げられています。
【高岡委員長】 はい、鈴木先生、お願いします。
【鈴木委員】 はい、鈴木です。詳細なご説明ありがとうございました。
 説明いただいたことだと、確認ですけども、各社の、2018年、2021年、2022年と測定値があって、かなりばらついていて、2022年は少し下がっているみたいに見えるけれども、これは、必ずしもそう解釈されているわけではなくて、バラツキであるというご説明だったような気がしますが、それで正しいでしょうかということが一つと、それはどうも各社さんがブレンド、あるいはリサイクル原料等の利用によって行っているということですが、その取組というのが、今後さらにブレンド率を、ブレンドのコントロールを詳細、緻密に行うとか、リサイクル率を上げるとかでさらに下げていくというようなことが可能なものなのでしょうか。あるいは、それは全く困難なものなのでしょうか。
【岸氏(日本鉱業協会)】 2022年のいい結果というのはバラツキかというと、そのとおりだと思います。先ほどのお話の流れでもあるのですけれども、原料の水銀濃度の低いものを意識的に手当てしているというのもあります。で、それが今後維持できるかというと、非常に不透明だということで、今、手当てしている原料よりもかなり高いものがマーケットにはあります。もし、それを購入せざるを得ないということになると、かなり水銀のコントロールがまた難しくなっていくということで、可能かというと、分かりませんというのが正直なところでございます。
 以上でございます。
【鈴木委員】 はい、ありがとうございます。
【高岡委員長】 はい、ありがとうございます。
 他はいかがでしょうか。
 はい、じゃあ大野様、よろしくお願いします。
【大野委員】 この7ページのところですね、サーキュラーエコノミー等への対応も、今後、多分強化されていくことだと思うのですけれども、このリサイクル率というのは、今後、その回収のルート等にも関係すると思いますけれども、何%ぐらいまで上げることができるのでしょうか。それによって、当然、水銀も減らせるということにつながると思うのですけれども、教えていただければと思います。
【岸氏(日本鉱業協会)】 すみません、どのぐらいまで上げられるかというのは、私ども、把握してございません。今、いろいろのものがリサイクルに回されておりまして、それが最終的に分解されて、集約されて、例えば銅とか、その他の金属とか、で、私どものほうに参りますので、その結果として、こういう数字が出ております。例えば、自動車なんかも、ほぼ100%リサイクルされているということになっていますので、その部分では、これ以上の上昇はないということなので、その他ということなので、はい、どれだけ社会的な広がりができるかになるかと思います。
 以上でございます。
【大野委員】 ありがとうございます。
【高岡委員長】 はい、ありがとうございます。
 他はいかがでしょうか。
【奥野室長補佐】 高岡先生、事務局ですけれども、よろしいでしょうか。
【高岡委員長】 はい、事務局、お願いします。
【奥野室長補佐】 今の点について、浅利先生からも同じような質問と、さらに追加の質問をいただいておりますので、ご紹介させていただきます。
 サーキュラーエコノミー等への取組として、再生資源の活用をご紹介いただいておりますが、さらに割合を上げる可能性や課題を知りたいです、と。先ほどお答えいただいた内容になるかと思います。また、それが水銀排出に与える影響は考えられますかというご質問なのですが、よろしくお願いします。
【岸氏(日本鉱業協会)】 先ほど、伊藤先生からお話のありましたように、リサイクル品については、基本的に水銀が入っていないですね。そういう意味では対象になりません。ただし、亜鉛の二次原料というか、例えば塗料とか、あと、それから各工場から出てくるばいじんとかというのが集約されてくるのが非鉄製錬の現場ですので、そういう意味では、リサイクルには2種類あって、水銀の入っていないものと、それから社会の廃棄物から、要らないものから水銀が濃縮されて集まってくるものと二つあります。この動向によると思います。
 以上です。
【奥野室長補佐】 ありがとうございます。
【高岡委員長】 はい、ありがとうございます。
 ほかはよろしい、はい、じゃあ萩野さん、お願いします。
【萩野委員】 萩野です。
 投入する原料の水銀の含有量を下げていくというのが非常に大事ですが、なかなかコントロールできないという話だったかと思うのですが、排ガスのほうの処理につきましては、処理設備のほうでさらに、何か排ガスを低減させるような方策を行ったというのはないのでしょうか。新たにこういう設備を設けたとか、そういうことはなく、従来どおりのままということでしょうか。
【岸氏(日本鉱業協会)】 今現在、この5年間で特に大きな変更はございません。で、排ガスの設備は、例えば、今、3段でやっているものを5段にする、10段にするとなれば、それなりに薄くはできますけれども、そのコストの回収とかという収支的な問題等々をいろいろ考えたり、あと、それから製錬所にある既存設備との面積の取り合いとか、実際に設備を置く場所とかの問題がありますので、なかなか新規投資でぼんと大きい設備を入れるということができないでおりますけれども、今の技術でできないかと言われれば、同じものを幾つも重ねればできなくはないのですがという回答になるかと思います。
【萩野委員】 ありがとうございます。そういう状況なのですね。
 原料の中でも、銅と鉛と亜鉛と3種類あるかと思いますが、若干、排出濃度も違うみたいなので、その違いというものは、結局、その原料に含まれる水銀の含有量によるところになるのでしょうか。
【岸氏(日本鉱業協会)】 はい、ご指摘のとおりでございます。特に亜鉛は、亜鉛、カドミウム、水銀等、周期表で12族の元素になりますので、非常に仲がいいんですね。そういうことで集まりやすいかと思います。
【高岡委員長】 よろしいでしょうか。
 あ、今の説明でよろしいでしょうか。
【萩野委員】 すみません、今ちょっと聞こえなかったのですけども。
【岸氏(日本鉱業協会)】 原料の亜鉛、水銀の濃度というのはいろいろ、経緯によってばらばらなんですけれども、銅に比べて亜鉛のほうが水銀の含有量は比較的多いです。なぜかといえば、同じ、周期表で言う12族なので、仲がいいので集まりやすいということが多くあります。
 以上でございます。
【萩野委員】 ありがとうございます。
 実は、参考資料7が、水銀のその排出基準一覧表になっていますが、それを見ましたら、非鉄製錬所の二次施設が銅、鉛、亜鉛の基準が100、400という形で、他と並べて見ましても若干緩いのかなというふうに思います。先ほどご説明の中でも、ブレンドしたりとか、コントロールをできる限りやって、概ね低く管理できているというお話でしたので、さらに、この辺の基準を見直して、さらなる削減というものを目指せないかなというふうに考えますが、その辺は厳しいでしょうか。
【岸氏(日本鉱業協会)】 この100、400というのは、先ほども申し上げましたけれども、二次製錬は日本の中の使用が終わったものの最後、生まれ変わるところなんですね。ですので、ここには、これまで社会に散らばっていた水銀が濃縮されて、集まってきたりします。そのために、これだけ緩い規制値をいただいておりまして、今のところ、この400を超えるというのは若干しかないのですけれども、ただ、先ほどから申し上げているようないろいろ条件が重なるとどうなるか分からない、不透明な部分がございますので、いましばらく状況を見たいというのが本音でございますので、基準値は将来見直さないでいただきたいというところまで言えないですけれども、今は、まだ状況をいろいろ検証させていただきたいなというふうに考えております。
 以上でございます。
【萩野委員】 分かりました。水銀につきましては、できる限り大気への排出を抑制していこうということだったと思いますので、例えば、三つの原料のうち銅がちょっと、もう低い形でいけるのであれば、それについての基準を見直すとか、何らかの検討が必要なのではないのかなと思いましたので、ご質問させていただきました。
 以上です。
【高岡委員長】 はい、ありがとうございます。
 では、時間もかなり経過しておりますので、これで日本鉱業協会様のご発表、それから質疑を終了させていただきたいと思います。
 岸様、ありがとうございました。
【岸氏(日本鉱業協会)】 ありがとうございました。
【高岡委員長】 では、次、全産連、資料3-4のほうに移りたいと思います。
 すみませんが、発表される方は10分をきっちり守っていただきたく思います。必ず10分の質疑を取りたいと思っておりますのでよろしくお願いいたします。
 室石様、よろしくお願いいたします。
【室石氏((公社)全国産業資循環連合会)】 全産連の専務理事をしております室石ですが、音声は聞こえていますでしょうか。
【高岡委員長】 はい、聞こえております。
【室石氏((公社)全国産業資循環連合会)】 それでは始めさせていただきます。
 まず、全産連ですけれども、はい、そこに投映されていますように産廃の業者を会員とする、都道府県を単位とした組織というふうになっております。で、中間処理、最終処分、収集運搬とあるわけですけれども、今日関係するのは、どちらかというと中間処理のほうだと思いますが、赤字でありますように焼却がこの中に含まれております。で、団体の加盟企業数としては、約1万5,000社で、中間処理についてはカバー率が約6割ぐらいというふうになっております。業界としては、中小企業がかなり多いと、そういう内実でございます。
 次のページをお願いします。
 それで、焼却施設の状況ですけれども、産業廃棄物の焼却施設については、基本的に都道府県知事の許可、あるいは政令市の許可というふうになっておりまして、令和5年4月1日現在で2,914施設ということになっています。
 また、新規の許可件数の数字というのを下のグラフで表させていただいておりますけれども、何となく波があるような、平成22年とか23年に多くて、26、27が少なくて、また増えてきているという、そんな波にも見えるのですけれども、私ども、ちょっと今回、業界の方というか業者の方に幾つかお聞きしたりもしたのですけれども、特段周期性がそんなに強いわけではないというような返事が得られておりまして、一廃の施設なんかは、ある意味、そのダイオキシンの対策を取ってということで、2000年ぐらいにピークが出て、それ以降、何というか、その周期性が何となくあるような感じで、施設が更新されているというような印象はあるんですけれども、産廃のほうは、やはりその需要と供給があってのことというか、民間業者なものですから、そういう税金でつくられているような施設と違って、やはり、その需要があれば増えるし、需要がなければ減るというような、そういう、割とその経済変動というか、そちらに影響を受けやすいというような感じだというのが、私なんかがお聞きした各社さんの印象だということなので、特に、周期性があるという感じではないということだと思います。
 ということは、最近、では何で増えているのかということになるんですけれども、一つは、やはり、その廃プラなんかが中国への輸出が止まって、国内で処理せざるを得ないという中で、一時的に需要が増えているという、そういうのを捉えて施設をつくろうというような機運があって、それが許可がされ出しているという。ただ、実際問題としては、廃プラも再生利用、再生利用原料に回っていく動きもありますので、必ずしも将来的に、そのどんどん焼却量が増えるという話ではないというふうには思っております。
 次をお願いします。大防法の対象施設数については1,107ということで、こちらも少し変動はございますけれども、1,000程度という感じかと思います。
 次をお願いします。
 産廃の全体の処理状況ですけれども、産業廃棄物の排出量が、この全体の足し算になっているわけですけれども、やや減ってきているというような感じかと思います。その中で、中間処理については横ばいというか、やや減少ぐらいの感じかなと。それから再生利用、直接の再生利用については横ばいと、そういう感じかと思います。
 次をお願いします。
 それで、中身としては、内訳としては、やはり汚泥が一番、半分ぐらいを占めているというような状況は、本当に何十年も変わらない状態です。あと、動物ふん尿、がれきなどが多いという、そういう順番もあまり変わりはないということです。で、下に書いてありますように、見えますかね、廃プラについては、最近、そういう海外での規制の影響によって少し変動はあるのかなという感じがございます。
 次をお願いします。
 カーボンニュートラルの取組ということで、こういった全産連の取組がございますけれども、そういう中で、BATリストを取りまとめて会員に示したりとか、そういう、大きな会社からですけれども、熱利用とか、そういうのがだんだん進んできているのかなという状況がございます。
 次をお願いします。
 ちょっと細かくて恐縮ですが、BATリストとして全産連が公開しているような中身として書かせていただきました。  次をお願いします。
 それで、ここで最近の話として、省エネ機器への買い換えや設備導入状況ということで、こういったことを、全体としては、そのよい燃焼というか、良質なその燃焼環境を生むような方向にはなっているのかなと。ちょっと、最初に申し上げればよかったのですが、焼却はですね、一廃のほうもそうなのですけれども、基本的にダイオキシン対策が厳しくなったところから、ほぼ大体一律に、それは800℃以上の燃焼と、200℃までの急冷と、バグフィルターの組合せという、大体これは一廃もそうですが、産廃のほうも大体そういう、昔は電気集じん機とかサイクロンとか、様々な装置が数十年前はあったんですけれども、最近は、もうほぼ一律そういうフローという感じだと思います。
 次をお願いします。
 技術的な傾向ですけれども、CCSとCCUSなどについては、やはり、ちょっとまだ実験段階というふうに業界としては見ていまして、ペイするというか、経済的にペイするような状況ではないものですから、一廃のほうで、またご説明があるかもしれませんが、一廃のほうでは佐賀市なんかで、市のほうでそういう導入もされていると聞いていますけど、産廃業界のほうでは、まだそういう導入が後れているという状態になっています。将来的に、もう少し値段が下がってくる話とか、あるいは、そのストレージの部分ですね、そういったところが目処がついてくるような、そういうのがないと、なかなか民間としては投資がしにくいと、そういう状況かなというふうに思います。
 次をお願いします。
 BAT/BEPの変化ということですけれども、排ガス処理施設の技術に大きな変化はないというのは先ほど申し上げたとおりです。また、ここ数年、新たな、何か、こう水銀関係の技術が投入されたという事実もない状態です。
 また、下の段に書いてございますように、廃棄物データシート、次のページ辺りにシートのあれが入っていますけど、水銀の混入管理を徹底しているということです。基本的に、産廃の焼却炉にそういったものが入ってこなければ、基本的には水銀は出ないという、大気には出ないということでありまして、逆に言えば、誤って、特に、医療系の廃棄物を取り扱うようなところで誤って、昔の水銀体温計とか、昔のその水銀血圧計なんかがたまに入ると出てしまうと、それが実情ではないかと思っております。
 次をお願いします。
 これがデータシートですけれども、赤で囲んだところで水銀のチェックを行っているということです。
 次をお願いします。
 これはヒアリングして、実際に二つの業者から聞いてみた状況、現実というか実態です。どちらも、医療系の廃棄物を扱っている業者です。
 で、事例の①は、一つの企業で焼却炉を四つ持っていらっしゃるところでして、直近回のデータでは、値としては、そういう非常に低い値。規制値が、新設が30μg/Nm3で、既設が50μg/Nm3といったような規制値でございますので、規制値に比べれば、非常に低い状態を保っている。
 それから、事例②のほうは、こちらのほうは排ガスの測定2か月ごとの排ガス測定と同時に測っているということで、計6回測定しているというところですけれども、非常にこれも低い値になっているということでございます。
 また、その2業者からの頻度の話としては、法改正当時は、傾向を確認するため、少し頻度を増やしたりしていたけれども、現在は法定頻度に戻しているということです。特段、ですから超過とか、そういう事例があまりないということで、現状は、そういう法定に基づくものとなっているそうです。
 次をお願いします。
 こちらは環境省のデータというか統計データですけれども、過去の検出状況については5件あったということで、排出基準値内が3件で、排出基準値超が1件、それから、再測定未実施が1件ということでして、再測定をしたものは、その後は基準値以内、また、未実施のものについては、休止というか、入ってくる廃棄物が減ったということで休止したということによって再測定はしていませんが、立ち上げをまたしたときに測った以降は超過はないという状況です。
 次をお願いします。
 こちらも、環境省のデータですので、全体を把握していただくためのものかと思いますけれども、真ん中のほうにありますように、施設数1,070に対して、中央値0.86とか、平均でいけば3.4と、そういったような低い状況にあるということでございます。
 最後のページをお願いします。
 私ども、改定に対して望むものとしては、やはり、先ほど言いましたように、結局、体温計とか血圧計が混入することで突発的に出てしまうというのが実態だというふうに思っておりますので、現行の基準体系、排出基準や測定頻度などを引き続き継続していただければというふうに思います。
 ありがとうございました。
【高岡委員長】 はい、ありがとうございました。
 それでは、質疑に移りたいと思います。
 いかがでしょうか。
 あるいは事務局、さきに浅利先生、あるいは黒坂先生から何か意見をいただいているのであれば、ご披露いただければと思いますがいかがでしょうか。
【奥野室長補佐】 事務局ですけれども、こちらの資料につきましては、特にご意見いただいておりません。よろしくお願いします。
【高岡委員長】 はい、分かりました。
 では、皆様、いかがでしょうか。
【奥野室長補佐】 鈴木委員が手を挙げられています。
【高岡委員長】 はい、では、鈴木先生、お願いします。
【鈴木委員】 ご説明ありがとうございます。
 排ガスに水銀が出るのは、血圧計、体温計等の混入を防止する、それが原因だと認識されているということで、それは、もちろん、十分にそうなんだろうと想像しますが、一応念のためですけど、ほかの汚泥とか廃油とか、何かそういう系統から来るということは、もう近年は全くないということになるのでしょうか。
【室石氏((公社)全国産業資循環連合会)】 はい、近年ではあまり聞いたことがないという感じです、はい。
【鈴木委員】 ああ、そうですか。では、ほとんどというか、混入物が実際、入ってきたときに起こるということなのですね。そうしますと、何ですかね、恐らくは、そうしますと、このチェックシートを作られているということですけど、チェックシートを、何かこれを見逃してしまって、事故的に起きたというようなご経験というのはお持ちなのでしょうか。
【室石氏((公社)全国産業資循環連合会)】 基本的にシートでもし見つかれば、それは受け取らないということになる、あるいは、その入ってきたものについて、しっかりとチェックをするということになりますので、出てしまうというのは、まあ漏れてしまったものは本当に混入してしまうという、そういう状況かと思います。
【鈴木委員】 混入みたいなものをご経験されたことは、幸いにしてないということなのでしょうかね。
【室石氏((公社)全国産業資循環連合会)】 はい、たまに出てくるということかと思います。
【鈴木委員】 あ、そうですか。はい、状況は分かりました。ありがとうございます。
【高岡委員長】 はい、ありがとうございます。
 ほか、いかがでしょうか。
 はい、じゃあ大野様、お願いします。
【大野委員】 今のご質問に関係するのですが、資料の6ページ、産業廃棄物、実際この産業廃棄物の中に、先ほどおっしゃっていただいたように、要するに昔の体温計とか血圧計が入るということは、恐らく、その医療廃棄物なんじゃないかなと思うんですけれども、そういう廃棄物というのは、かなり、その特別な取扱いになっていると思うんですが、それでも、こういう産業廃棄物の中にその2種類の廃棄物が入ってくるものなのでしょうか。
【室石氏((公社)全国産業資循環連合会)】 医療系の場合は、特別管理産業廃棄物になって、かなり厳密な取扱いもされているので、近年はほとんどないかと思っているのですが、もう一つルートが実はあって、解体時に出てくるものなんですね。病院を取り壊したりしたときに、取壊しのときの管理がよくないと、本来はちゃんと分別されて出てくるはずなんですけれども、解体の管理が悪いと、ぐちゃっとなって、その中にたまたま混ざってくるとか、悪意な業者というのはあまり考えたくはないんですけれども、混在、混入してくるというのが、そういう場合が建設系廃棄物のほうから出てくる場合があるかというふうに思います。
 以上です。
【大野委員】 それが産業廃棄物の水銀の元になるということなわけですね。
【室石氏((公社)全国産業資循環連合会)】 はい。そういうルートもあると思います。
【大野委員】 で、もう一つお聞きしたいのですが、一方、一般廃棄物から出る水銀というのも、やはり水銀の元というのは、そういった体温計になるわけですか、体温計、血圧計という。
【室石氏((公社)全国産業資循環連合会)】 はい、すみません、産廃ではありますが、一般のほうも若干知っておりますので、申し上げますと、家庭のほうで、結構、まだ家庭内で持っていらっしゃる家庭が結構あるというふうに伺っていますので、一廃系で意外と出てくるのは、そういう家庭内で退蔵されている、そういう体温計、血圧計かと思います。
【大野委員】 ありがとうございます。
 ということは、ちょっと産廃に戻るのですけれども、産廃にそういった体温計等の混入を防ぐというのは、なかなか、今のお話を聞いていると難しいというふうに考えればいいのですか、そこはもう。
【室石氏((公社)全国産業資循環連合会)】 幸い、建設系のその解体のほうも、かなり今、業界全体で底上げがされて、非常に現場の管理もよくなってきているというふうに伺っていますので、ただ、可能性として入る。で、時々排ガスに出るというルートとしては、やはり、そのあり続けるのではないかと思いますので、そういう意味では、先ほど、最後に申し上げましたように、今の測定体制ですね、出てから再度測り直してというような形でご対応を続けていただければというふうに思っております。
 以上です。
【大野委員】 ああ、なるほど。では、排出事業者もきちんと測定を推奨していらっしゃるということですね、業界を挙げて、要するに排出元にも、そういった測定を義務づけていらっしゃるということですね。
【室石氏((公社)全国産業資循環連合会)】 測定というか、そういうのが混ざらないように、きちっと出していただくということをお願いしているということでした。
【大野委員】 分かりました。ありがとうございました。
【高岡委員長】 はい、ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
【守富委員】 そうしたら、守富ですけど、よろしいでしょうか。
【高岡委員長】 はい、どうぞ、守富先生。
【守富委員】 今の話とも関係しているのですけれども、いわゆる排出事業者と受け取ったほうの産廃業者の両方があるかと思うのですが、その排出事業者に徹底するというのは、たしか医療廃棄物系のものは、どうしても梱包されて来るので、それを後でチェックするというのは無理かと。したがって、排出事業者に、ここでは徹底、注意喚起というのは11ページに出ているのですけれども、どの程度が、実際に、今の話を聞いていると難しいのはよく分かるのですが、徹底はどのくらいされているのかなというのは、要するに医療関係者にきちんと、そうした徹底具合をチェックするといいますか、これは産廃業者ではなくて、排出事業者のほうで徹底していただくという意味で、これは環境省の指導という気もするのですが。
 それが1点と、それから、産廃業者で回収したもので、確かに濃度が高いですよと、例えば燃やすにしても何にしても、その場合の排出対策などは徹底というのか、高い場合には、必ずその排ガス処理で対応すべきだとは思うのですけれども、突発的に高いのはなかなか難しいかと思うのですけれども、それなりに全体、その突発ではなくて、全体を下げるという意味合いからして、年間の排出量を下げる意味から、排ガス処理の対策というのもそれなりに、現在、あまり進んではいないと思うのですけれども、今後、そうしたところも対応しようとしているのか、要するに産廃業者側、あるいは排出事業者側での対応というのはどうなっているのかなというのが気になったのですが、いかがでしょうか。
【室石氏((公社)全国産業資循環連合会)】 はい、まず、医療系廃棄物についての排出側の対応ですけれども、前からのお話ですけれども、医療系のその廃棄物のマニュアルというのを出していまして、これは、例えば建設系のほうでも出していますし、農業系でも出したりしている、そういうマニュアルがございます。これの作成については、厚労省と環境省で共同でつくっておりまして、排出者側を直接監督しておられる厚労省のほうで、その感染性のマニュアルについての実行の指導というのがされているというふうに捉えております。
 私どもも、その業界側として、当然、契約をして処理する側ですので、その契約の中で、当然そういうのは混入させないという契約を結んでいますので、その徹底をお願いするという立場でもありますし、あと、厚労省さんを通じて徹底をしていただいているということでございます。
 それから、排ガス処理装置のさらなる高度化のようなお話ですけれども、当然、我々はよりよい技術を求めてやっていくということで、BATについても全産連のほうで定期的に取りまとめては更新し、それを公表していくという動きもしております。ただ、残念ながらここ何年かの中で、そういう新しい技術動向の中で見いだせるものはちょっと少なかったということですが、今後も、そういった動きには注意しながら、業界全体のその排ガス処理装置の水準が上がっていくように頑張っていきたいというふうに思います。
【守富委員】 よろしくお願いします。
【高岡委員長】 ありがとうございます。
 そうしましたら、ちょっと時間が参っておりますので、これで室石様のご発表、それからご質疑を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
 では、次に参りたいと思います。
 資料の3-5でございます。ちょっとこの調子ですと、12時には終わりそうにはありませんので、少し延びますが、皆様、すみません、ご了承をお願いいたします。
 では、資料3-5、日本環境衛生施設工業会、横山様、ご発表をよろしくお願いいたします。
【横山委員】 横山でございます。資料を映していただきます。
 委員からの説明となって恐縮ですが、私からご説明します。
 手短にいきたいと思います。ここはもう飛ばしてください。
 次を、これも飛ばしてください。
 一般廃棄物処理施設における状況ですけれども、まず、これは、もう言うまでもなくですが、改正大防法の対応としまして、当然、焼却施設が対象となっていますので、規模は排ガス処理に応じまして年2回ないし3回の測定をするということと、それから、30μg/m3を守るということですね。ただし、旧施設については、数値的に緩和で50μg/m3ということで、これは、旧施設の中には、この法施行のタイミングで既に建設がスタートしていた施設についても、この数値が適用されていたということになります。
 次をお願いします。
 水銀の除去技術でございますが、上にポチポチとまとめを書いてございますけれども、先ほど、室石様からも産廃分野でのご報告をいただきましたけれども、技術自体には、大きくここ5年での変化というのは見られません。実際どういった格好で新たな施設整備等が行われているかといいますと、発注者様が、一廃の場合は、これが地方自治体になりますので、自治体が作成されています要求水準書、いわゆる仕様書ですね、こちらの中で水銀排出防止設備の設置、それから、具体的にどういう設備をつけなさいということが明示をされているといった形で入札公告なり発注がなされているということになります。
 それから、②ですね、受注者側の、我々プラントメーカー側の技術提案で、さらに上乗せした施策が採用される場合も中には事例としてはあります。
 下のほうに、防止技術を具体的に書いていますけれども、①ですね、まず、活性炭の吹き込みによる吸着除去ということで、こちらがほぼ全ての施設で採用されている主流の対策ということです。5年前から大きく変わるものではございませんが、ほぼ全ての施設で行われています。これは、そもそもダイオキシン類の対策でも設置がほぼ必須という技術になりますので、これを兼用するような形で対策が行われているというのが実態です。
 それから、②につきましては、排ガス処理が、特に各種の排ガス基準値が厳しい都市部等で、湿式の排ガス処理設備が指定されることがあります。その場合には、液体キレートを用いた除去というものも併用さそれる場合がありますが、そもそも、この一般廃棄物処理施設における湿式の排ガス処理につきましては、現在では乾式の排ガス処理技術の高効率化というものも進んでいること、それから、湿式にした場合、エネルギー回収の観点で非常に不利になるということもありまして、そもそも採用の事例がもうなくなっていっているという認識です。
 それから、③につきましては、活性炭の吸着塔をつけるというものですけれども、これが先ほどの上乗せに相当するもので、採用事例としては限定的だという認識です。
 次をお願いします。
 こちらは、実際の排出状況です。これは環境省さんがまとめられて、これまでの委員会でも共有されている資料を、改めて数字を整理しただけですが、99.8とか99.6%の施設で基準を遵守した運用がなされているということがうかがえます。で、ゼロではないということですけれども、こちらにつきましては、先ほど主流の技術と申し上げました活性炭の吹き込みの設備の不具合があったとか、あるいは、やはり、その高濃度で含有する廃棄物の混入があったというようなことで、数は少ないですけれども、再測定も含めて、基準を守れなかった施設があるのではないかというふうに認識をしております。
 次をお願いします。
 まとめになりますが、一番下のところだけ読み上げますけれども、技術的には大きく変化がないということで、適切にそれら設備の維持管理がなされていて、さらに、こちらもすごく大事だと思いますけれども、やはり一般廃棄物の排出元が一般のご家庭に基本的にはなりますので、地域住民の皆様への啓発活動というのも、これ、今もいろいろな自治体さんが苦労してされていますけれども、これらを併せて継続していくことで、今後も適切な管理というものは継続できるのではないかというふうに、私どもの立場では考えております。
 以上となります。
【高岡委員長】 横山様、どうもありがとうございました。
 それでは、ご質問、ご意見がございましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
【伊藤委員】 伊藤ですけども。
【高岡委員長】 はい、伊藤先生、よろしくお願いします。
【伊藤委員】 質問です。水銀対策として、活性炭吹き込みが主流だと、ほとんどそうだというお話だったと思うのですが、もともとはダイオキシン関係でこういうのが出てきたと思っているのですけども、ここについている活性炭というのは、水銀を主に狙ったものなのか、ほかのものを狙って、それに付随して水銀が取れているという形なのか、ほかのものといったときに、ダイオキシン以外のものもこれで取っているのかといったところを、ちょっと教えていただけるとありがたいのですが。
【横山委員】 お答えとしましては、基本は水銀に特化したものを採用されている事例はないかなと、少ないかなと思います。基本はダイオキシンを目的に、もともと使用していた活性炭で、水銀も併せて除去しているという施設がほとんどだと思います。
【伊藤委員】 分かりました。どうもありがとうございます。
 例えば硫黄とか、そのハロゲンとかといったものは、別の装置がついているということでしょうか、必要ないということでしょうか。
【横山委員】 そうですね、排ガス処理はほかに、一般処理施設は塩化水素、SOx、NOxですね、それは当然、処理施設にはついていますけど。
【伊藤委員】 分かりました。ありがとうございます。
【横山委員】 別の薬剤等での処理がなされています。
【伊藤委員】 はい。
【高岡委員長】 よろしいですか。
【伊藤委員】 はい、ありがとうございます。
【高岡委員長】 では、守富先生、お願いします。
【守富委員】 焼却施設ですけれども、全体として、よく分からないのは、先ほどの産廃の体温計だとか、血圧計だとかといったものも含めてですが、いわゆる突発性のものと、その全体としての傾向として見た場合の製品が、今後、それなりに徹底がされていけば下がるとは思うのですけれども、今のところ、必ずしもそう下がってないように思うのですけれども、その辺りの今後の傾向というのはどのように考えておられるのでしょうか。
【横山委員】 今後どうなっていくかということですけれども、正直申し上げて、ちょっとよく分からないところがあります。それで、先ほど産廃分野のところで室石様にお答えいただいてしまったのですが、ご家庭で、まだ潜在的にこの排出源があるということで、それも時間がたてば必ず減っていくわけですし、かなりのいろいろな啓発的な自治体の活動で、自然と減っていく、持ち込まれるものに混入が減るものと予想はしていたのですが、実態として、そうでもないように今見てとれるというのが実情だと思います。
 思ったほど気にして、市民の方は、いただけてないのかどうかという、そこはちょっとはっきり言って分からなくて、ですが、長期的に見れば、これ以上増えるというのは当然ないですし、減っていくのであろうとは思うのですが、どれぐらいのスパンで、どう減っていくかというところは、ちょっと正直、予測がついてないというところになります。
【守富委員】 そういう回答かなとは思ったのですが、よろしくお願いいたします。やはり健康といいますか、下げる方向について、環境省を含めて家庭から出てくるものの徹底というのは、自治体を含めて重要かなと思うのですが、業者のほうでも、できるだけその対策、回収、抑制技術を高めていくというのも重要かなと思っていますのでよろしくお願いいたします。
【横山委員】 ありがとうございます。
【高岡委員長】 ありがとうございます。
 では、大野様、よろしくお願いします。
【大野委員】 処理技術について少しお伺いしたいのですけれども、恐らく、この活性炭吹き込みと液体キレートの除去というところは、まず、既存の施設にプラスアルファ施設を造ることはあんまり、予算的にあり得ないかなと思っていて、この①と②というのは、既存の施設の中で、この活性炭なり液体キレートを導入するということになると思うんですけれども、特に、この液体キレートを導入する施設というのは、例えば、塩素除去のスクラバーですとか、SOxの除去の脱硫装置ですとか、そういうところに組み合わせて吹き込んでいらっしゃるのか、何か、ちょっとそのやり方等を教えていただければと思うんですけれども。
【横山委員】 はい、今、先生のおっしゃったとおりで、既存の酸性ガスを処理するためのスクラバーの部分に、キレートも併せて入れるという格好になります。
【大野委員】 そうすると、例えば、先ほど熱回収の問題で液体キレートがあまり使われてないとおっしゃっていたのですが、そうすると、あまり、何か、液体キレートを使ったから熱回収ができないということにはならないような気がするのですが。
【横山委員】 はい、ご説明が悪くて申し訳ありません。熱回収をよくするためにキレートをやめるというわけではなくて、新規に整備される施設においては、今後、スクラバー自体の設置が選択されなくなっていっているという意味です。
【大野委員】 ああ、そういうことですか。
【横山委員】 はい。
【大野委員】 分かりました。ありがとうございました。
【高岡委員長】 はい、ありがとうございます。
 ほか、いかがでしょうか。
 事務局、この件に関して、黒坂先生とか浅利先生からご意見をいただいていますでしょうか。
【奥野室長補佐】 浅利先生、黒坂先生からご意見はいただいておりません。
 今、鈴木先生のほうが手を挙げられております。
【鈴木委員】 もし時間があれば伺いたいと思います。
【高岡委員長】 はい。
【鈴木委員】 こちらも、多分原因は、産廃とある種似て、何らかの混入だと思うのですけれども、自治体によってかなり廃棄物、市などにより、収集の方法であったり、あるいは規模の大きさが違っていると思うんですね。何か、その、ここが出やすいとか、ここは出にくいとか、何か、その自治体で行われている廃棄物の管理なり市民との関係において、有効な方法とかはあったりするものなのでしょうか。
【横山委員】 ちょっとお答えになるというか。
【鈴木委員】 答えにくいかもしれません。何かご存じであればということなので。
【横山委員】 当然、やはり地域での差というものは存在している、していておかしくないとは思っていますし、あと、自治体によって、やはり、この持ち込まれるごみ、当然全部はできないのですけれども、ごみをごみピットに入れてしまえば、もう燃やすしかなくなるのですが、その前に、ごみをもう広げて、やっぱり抜き打ち的にチェックをするというような対応をされているところもありますので、それは、もうご事情に応じた対応を、いろいろ工夫はされていると思います。
【鈴木委員】 なかなか、ちょっと、そんな簡単には答えられないですよね。分かりました、ありがとうございます。
【高岡委員長】 ありがとうございます。
 ほか、よろしいでしょうか。
 では、ちょっと私から1点ですね、この5ページ目のところに、この水銀排出防止対策をまとめていただいているのですけれども、この5年の間ではないので、「処理技術の変化は見られない」と書かれているかもしれませんが、幾つかのところでは、いわゆる連続分析計をバグフィルターの前に設置されて、モニターをしながら活性炭を吹き込むというような技術も開発されていると思うのですけれども、その辺りの新規技術というのはどのような状況なのか、少しご説明いただけますでしょうか。
【横山委員】 私の立場で分かっている範囲ですと、自治体によってですけれども、連続の設計を煙突の排出、出口側での連続計測というのを指定される、設置をご指定される発注者さんもいらっしゃいますので、そういった場合には、その受注者側でのフィードフォワード制御で、より瞬時的な変化に対しても、なるべく早い時間で活性炭の吹き込み量を変化させて追従できるようにするために、バグフィルターより前の部分に連続分析計をつけて、それで、かなりアクティブに活性炭の吹き込み量を調整するという提案をして、実際にそれが実装されている事例というのは幾つか出てきているというふうな認識をしております。
【高岡委員長】 これはまだ、幾つかというレベルでよろしいのですかね。
【横山委員】 恐らく、そのメーカーによって、その技術を持っていらっしゃるところとそうじゃないところがあって、持たれているメーカーのほうが少ないのが現状だと思いますので、一般的になっているとまでは言えないと思います。
【高岡委員長】 はい、ありがとうございます。
 ほか、皆様、よろしいでしょうか。
 なければ、横山様、どうもありがとうございました。
 それでは、この議題は終了とさせていただきたいと思います。
 最後に、この議題で発表いただいた業界団体の皆様、説明全体を通じて、何か質問等はございませんでしょうか。
 環境省も、事務局も、浅利先生、黒坂先生から何か、全体についてのコメントとか質問とかはございませんか。
【奥野室長補佐】 はい、追加の意見等はございません。
【高岡委員長】 では、ないようですので、次の議題、その他に移りたいと思います。
 事務局より、何かございますでしょうか。
【奥野室長補佐】 環境省ですけれども、その他報告することはございません。
【高岡委員長】 はい、ありがとうございます。
 その他、ご質問、ご意見はないでしょうか。なければ、本日の議題は以上となります。
【守富委員】 守富ですけど、一言だけ。
【高岡委員長】 はい、守富先生、どうぞ。
【守富委員】 今日の発表も含めてなんですけど、気になったのは、一応、過去5年間での見直しということだったのですが、やはり、この5年間、コロナの影響で、業界を含めて、少し通常と違うと思うのですよね。そこら辺りをきちんと考慮した上で資料作成といいますか、方針作成といいますか、そこは、5年間と言われても特殊じゃないかなという気がしていて、その配慮はぜひお願いしたいなと思います。
 よろしくお願いします。
【高岡委員長】 はい、ありがとうございます。
 次のヒアリングも、比較的迫っておりますので、なかなか次回のプレゼンテーションに反映させるのは難しいかもしれませんが、少し、そういう意味ではコロナの影響というか、活動量の影響等を一言、ご説明のときには加えていただくというのもいいのかもしれません。もし可能であれば、事務局よろしくお願いいたします。
【奥野室長補佐】 はい、承知しました。
【高岡委員長】 よろしいでしょうか。
 では、進行を事務局に返したいと思います。
【粟飯原係長】 ありがとうございます。
 本日は、長時間にわたってのご議論、どうもありがとうございました。
 本日の議事録については、事務局のほうで案を作成し、各委員にご確認いただいた上で、環境省ホームページにて公開する予定としておりますので、ご協力のほどよろしくお願いします。
 また、業界団体の皆様にもご確認をさしあげたく思いますので、ご協力よろしくお願いします。
 また、次回、第14回ですが、今月、11月13日(月)の10時から開催しますので、委員の皆様、出席のほどよろしくお願いいたします。
 それでは、専門委員会はこれで終了とさせていただければと思います。
 本日は、誠にありがとうございました。 午後0時03分 閉会