大気排出基準等専門委員会(第11回)議事録

1.日時

令和4年3月22日(火)10:00~11:59

2.場所

WEB会議

3.出席委員

委員長   高岡 昌輝   

専門委員  伊藤 茂男   指宿 堯嗣   片谷 教孝

      吉川 博文   鈴木 規之   田中 朝都

      谷口 靖彦   永井 敏和   盛田 宗利

      守富 寛

      ※浅利 美鈴委員は都合により欠席

4.委員以外の出席者

環境省

松澤  水・大気環境局長

飯田  水・大気環境局総務課長

長坂  水・大気環境局大気環境課長

山崎  水・大気環境局大気環境課総括補佐

小梶  水・大気環境局大気環境課課長補佐

粟飯原 水・大気環境局大気環境課係長

成川  水・大気環境局大気環境課係員

※森光大臣官房審議官は公務のため欠席

5.議事次第

1.開会

2.議題

 (1)水銀排出施設における水銀濃度の測定結果について

 (2)要排出抑制施設における自主的取組のフォローアップについて

 (3)水銀大気排出インベントリーについて

 (4)排ガス中の全水銀を一括で採取する方法について

 (5)水銀大気排出に関する今後の調査方針について

 (6)その他

3.閉会

6.配付資料

資料

資料1   水銀排出施設における水銀濃度の測定結果について

      別紙 水銀排出施設における水銀濃度の測定結果について―3年分―
資料2-1 要排出抑制施設における自主的取組のフォローアップについて(令和3年度分)
資料2ー2 鉄鋼連盟等3団体等における自主的取組のフォローアップにおける令和3年度の大気排出基準等専門委員会の評価(案)
資料3-1 事業者の実測結果を活用した水銀大気排出インベントリー算出方法について
資料3-2 令和元年度水銀大気排出インベントリーについて
資料4-1 排ガス中の水銀測定方法への一括採取方法の追加等について
資料4-2 告示改正案について
  別紙1 排出ガス中の水銀測定法(告示改正案)と現行告示の対比表
  別紙2 排出ガス中の水銀測定法(告示改正案)と現行告示とJIS K0222:2022の対比表

資料5   水銀大気排出に関する今後の調査方針について

資料6-1 「水銀等による環境の汚染の防止に関する計画」の点検結果について(令和3年12月24日報道発表)

資料6-2 水銀等による環境の汚染の防止に関する計画点検結果

参考資料

参考資料1 中央環境審議会大気・騒音振動部会大気排出基準等専門委員会委員名簿
参考資料2 水銀排出施設の種類及び排出基準値
参考資料3 水銀排出施設の届出様式(令和3年4月1日時点。 様式第3の5、様式第7の2)
参考資料4 水銀自主的取組の実績等について(令和4年3月7日 一般社団法人日本鉄鋼連盟、普通鋼電炉工業会、一般社団法人日本鋳鍛鋼会)
参考資料5 要排出抑制施設における自主的取組について(第3版)(2019年5月 一般社団法人日本鉄鋼連盟、普通鋼電炉工業会、一般社団法人日本鋳鍛鋼会)
参考資料6 要排出抑制施設と水銀排出施設の比較表(平成30年12月12日 中央環境審議会 大気・騒音振動部会 大気排出基準等専門委員会(第8回)参考資料4(一部改変))

参考資料7 水銀に関する水俣条約(一部抜粋)
参考資料8 大気汚染防止法の一部を改正する法律(平成27年法律第41号)
参考資料9 大気汚染防止法施行令の一部を改正する政令(平成27年政令第379号)
参考資料10 大気汚染防止法施行令の一部を改正する政令(平成28年政令第299号)

参考資料11 大気汚染防止法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(平成28年政令第298号)
参考資料12 大気汚染防止法施行規則の一部を改正する省令(平成28年環境省令第22号)
参考資料13 排出ガス中の水銀測定法(平成28年環境省告示第94号)
参考資料14 水銀に関する水俣条約を踏まえた今後の水銀の大気排出対策について(答申)(平成27年1月23日 中央環境審議会)
参考資料15 水銀に関する水俣条約を踏まえた水銀大気排出対策の実施について(第一次答申)(平成28 年6月14日 中央環境審議会)
参考資料16 水銀に関する水俣条約を踏まえた水銀大気排出対策の実施について(第二次答申)(平成29年5月31日 中央環境審議会)

議事

午前10時00分 開会

【長坂大気環境課長】 皆様、おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会、大気・騒音振動部会、第11回大気排出基準等専門委員会を開催いたします。

 本日の会議は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、WEB会議での開催とさせていただいております。

 委員の皆様方におかれましては、ご多忙中にもかかわらず、ご出席いただき誠にありがとうございます。

 私は、本日の司会を務めさせていただきます、大気環境課長の長坂でございます。

 以後、WEB会議における注意事項といたしまして、ご発言の際はマイクをオン、ミュート解除にしていただき、ご発言後はオフ、ミュートにしていただくようお願いいたします。

 本日の委員の皆様の出席状況でございますが、委員12名中、11名の委員の方にご出席をいただいております。なお、本日は、京都大学大学院の浅利委員から、ご欠席との連絡を受けております。

 続きまして、本専門委員会の事務局を務めます環境省水・大気環境局のメンバーでございますが、まずは水・大気環境局長の松澤から一言ご挨拶を申し上げます。

【松澤局長】 おはようございます。環境省の水・大気環境局長の松澤でございます。

 本日は、お忙しい中で参加いただき、誠にありがとうございます。

 例によって、この専門委員会、WEB会議形式で本日やらせていただきます。何かご不便な点ございましたら、事務局にお電話なりチャットでご連絡いただければと思います。

 この専門委員会では、平成28年から、水銀に関する水俣条約を踏まえました水銀大気排出対策の在り方について、ご審議をいただいてきております。

 平成28年、29年にいただいた答申を踏まえまして、環境省では大気汚染防止法関連の政省令の改正を行っております。

 改正大気汚染防止法は平成30年4月に施行されまして、水銀排出施設においては、施設情報等の届出、水銀に関する排出基準の遵守、水銀の測定が行われているところでございます。また、要排出抑制施設におきましては、自主的取組が進められております。

 本日の専門委員会におきましては、例によりまして、改正大気汚染防止法施行後3年目の水銀排出施設における水銀濃度の測定結果の報告、また、要排出抑制施設における 自主的取組のフォローアップに関するご報告をさせていただきます。

 また、水銀排出施設における水銀濃度測定結果を用いたインベントリー推計方法、さらに、排出ガス中の粒子状水銀とガス状水銀を一括で採取する方法について、ご審議をいただく予定でございます。

 委員の皆様におかれましては、排出実態を踏まえた水銀大気排出対策がより効果的に実施できますよう、活発なご議論をお願いいたします。

 簡単ではございますが、開会に当たってのご挨拶とさせていただきます。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。

【長坂大気環境課長】 続きまして、その他の事務局の出席者を順に紹介させていただきます。

 水・大気環境局の飯田総務課長、それから大気環境課の山崎総括補佐、小梶補佐、粟飯原係長、成川係員でございます。

 なお、森光大臣官房審議官ですが、本日は公務のため欠席をさせていただいております。

 続きまして、委員の交代がありましたので、紹介させていただきます。

 日本環境衛生施設工業会技術委員会委員長、田中朝都委員です。

 それから、愛知県環境局環境政策部水大気環境課長、永井敏和委員です。

 続きまして、本日の資料の確認をさせていただきます。

事前に配付させていただいた議事次第をご覧ください。

 何か不足等がございましたら、また、画面が見づらいなどございましたら、適宜、事務局までお申しつけいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、これ以降の議事進行につきましては、高岡委員長にお願いいたします。

 高岡委員長、よろしくお願いいたします。

【高岡委員長】 ありがとうございます。京都大学の高岡です。

 それでは、本日の議事に入りたいと思います。

 議題の1番目は、水銀排出施設における水銀濃度の測定結果についてであります。

 事務局から、資料1の説明をお願いいたします。

【小梶大気環境課長補佐】 環境省の大気環境課の小梶と申します。

 資料1に基づきまして、水銀排出施設における水銀濃度の測定結果についてご説明させていただきます。

 まず、改正大気汚染防止法の概要からご説明させていただきます。

 水銀及び水銀化合物の人為的な排出から人の健康及び環境を保護することを目的として、2013年に水俣条約が採択されました。また、2017年に発効され、2021年2月末現在では締約国数は127か国になっております。

 水銀条約の締約国が取り組むべき大気排出対策ですが、以下の四角囲みにある5種類の発生源の分類に対して、新設時に、BAT(利用可能な最良の技術)、BEP(環境のための最良の慣行)が義務づけられております。また、既存の施設についても、各国の事情に応じた措置の導入がされております。

 また、水銀排出量に関する国レベルのインベントリーの作成・維持が規定されております。

 続きまして、大防法の改正・施行の経緯でございますが、表1のとおりになっておりまして、2018年4月に大気汚染防止法の改正法が施行されました。

 続きまして、関係主体の主な義務・役割でございます。

 水銀排出施設から水銀等を大気中に排出する者を水銀排出者といいますが、水銀排出者につきましては、水銀排出施設の設置の届出、排出基準の遵守、水銀濃度の測定が義務づけられております。

 また、水銀等の排出量が相当程度多い施設で、排出を抑制することが適当である施設を要排出抑制施設と呼んでおりまして、具体的には、製銑の用に供する焼結炉と、製鋼の用に供する電気炉が要排出抑制施設になっております。それらの設置者につきましては、自主的取組を行うことになっております。

また、国においては、水銀の大気排出の状況を把握して、結果を公表することとなっております。

 続きまして、水銀排出施設の設置状況でございます。

 水銀排出施設の設置届出の情報につきましては、環境省が自治体を通じて届出情報を収集・集約・公表しているところです。

 届出情報につきましては、次の四角囲みの中の情報を収集・集約しているところでございます。

 続きまして、排出施設の設置状況の整理でございます。

 まず、水銀排出施設数、設置事業者数でございますが、水銀排出施設につきましては、届出施設が全部で4,455施設ございまして、そのうち稼働中の施設は3,924施設になります。また、事業所数で見てみますと、届出の事業所数は全部で2,703ありまして、そのうち稼働中の事業所数は2,407ということになります。

 水銀排出施設の上位10都道府県については、下の表のとおりとなっております。

 続きまして、水銀排出施設種類別の施設数とその割合でございます。

 全部で3,924施設ありまして、最も多いのは2,098施設の一般廃棄物焼却施設で、全体の53%を占めておりました。

 水俣条約における施設分類別に見た施設数でございます。

 右側の円グラフをご覧ください。廃棄物の焼却設備が全体の9割を占めております。

 続きまして、排ガス中の水銀濃度の測定結果でございます。

 水銀排出施設の設置者につきましては、排出基準の遵守、測定が義務づけられておりまして、排出基準については表のとおりとなっており、新設・既設でそれぞれ排出基準が定められております。

 水銀濃度の測定に関する規定ですが、測定対象はガス状水銀と粒子状水銀を両方合わせた全水銀となっております。また、測定方式はバッチ方式となっております。

 測定頻度については、排ガス量によって異なっておりまして、排ガス量が4万Nm3/時以上の施設は、4か月を超えない作業期間ごとに1回、排ガス量が4万Nm3/時未満の施設については、6か月を超えない作業期間ごとに1回となっております。

 また、測定結果の確認方法につきましては、平常時における平均的な排出状況を捉えたものを適切に確認する必要があるとなっております。排出基準を上回る濃度が検出された場合は、再測定が必要になりますが、定期測定で排出基準を超過した場合は、3回以上の再測定を行うことになっております。

 その結果をもって、定期測定と3回以上の再測定のうち、最大・最小を除く全ての結果の平均値を排出基準に照らして評価を行い、超過した場合については、都道府県への連絡、原因究明、再発防止となっております。排出基準以下となった場合につきましては、全ての結果を記録、3年間保存するということになっております。

 水銀濃度の測定結果の収集内容ですが、次の図のとおり収集をしておりますが、法律では設置者に対して測定結果の報告義務を課していないため、地方自治体が任意で情報提供を受けた結果を環境省が収集・集約しているというような形でございます。その内容については、下の表のような内容となっております。

 また、年間稼働時間を今回の令和2年度実績の情報収集から追加しました。

 これにつきましては、また後ほど説明しますが、インベントリー推計の精緻化を目的として収集しております。

 続きまして、測定結果の提供施設数でございますが、全部で3,847の測定対象施設がございまして、そのうち測定結果の提供のあった施設は3,840施設ということで、99.8%の施設から測定結果の提供がございました。

 測定結果未提供の施設についてですが、未提供の施設(7施設)については、全て定期測定が未測定の施設であったということです。

 また、未測定の施設につきましては、自治体からの測定指導により、一部の施設を除いて、令和3年度の測定実施を確認済みであるということです。

 続きまして、測定結果と排出基準値との比較ですが、全部で3,840施設から測定結果の提供がございまして、排出基準を一部も超過しなかった施設は3,773施設で、98%になります。排出基準を超過した施設については、67施設となります。

 続きまして、排出基準の超過が見られた施設について、内訳を示しております。

 再測定の結果、60施設は排出基準内となっていましたが、5施設は排出基準を上回っている状況でした。

 なお、再測定時の基準超過施設につきましては、行政による指導の下、市民への分別周知の徹底や活性炭の噴霧等の再発防止策が実施され、その後の測定では基準内の結果となっていることを確認しております。

 続きまして、基準超過時の測定結果と排出基準値を比較したものを表にお示ししております。

 基準超過の主な要因としましては、原料中の水銀濃度の変動、廃棄物等への水銀を含むものの混入等の理由が、事業者より推定されております。

 続きまして、法に基づく再測定の期日でございます。

 排出基準超過の状況が、排出基準の1.5倍を超える濃度の場合は、定期測定の結果を得た日から30日以内に、また、それ以外の場合は、定期測定の結果を得た日から60日以内に再測定をすることになっております。その結果は表のとおりでございます。

 続きまして、粒子状水銀の省略要件を満たしている施設でございますが、水銀の測定につきましては、一定の要件を3年間継続して満たしている施設については、翌年から粒子状水銀の測定を省略することができることになっております。

 その一定の要件というのが、下に示しております1から3のうちのどれか一つの条件を3年間満たした場合、粒子状水銀の測定を省略することができることになっておりますが、法が施行されたのが平成30年4月で、ちょうど令和2年度で3年目になります。

 3年間継続して要件を満たしている施設につきましては、1,642施設となっておりまして、全体の43%になっております。

 続きまして、水銀排出施設種類別の詳細でございます。

 対応につきましては、次の①から⑧のような内容をそれぞれ集計したものとなっております。本日は、排ガス中の水銀濃度の分布のみご説明させていただきます。

 ボイラーにつきましては、0.0085~6.2μg/Nm3の範囲にあり、算術平均値では0.88μg/Nm3でございました。

 非鉄金属の水銀濃度の分布ですが、一次施設は0.18~26μg/Nm3の範囲にあり、算術平均値は3.7μg/Nm3で、二次施設は0.0036~230μg/Nm3の範囲にあり、算術平均値は14μg/Nm3でした。

 続いて、廃棄物焼却施設でございます。

 一般廃棄物焼却施設は0.0005~230μg/Nm3の範囲にあり、算術平均値は5.8μg/Nm3でした。

 産業廃棄物焼却施設は0.0017~390μg/Nm3の範囲にあり、算術平均値は3.8μg/Nm3でした。

 下水汚泥焼却施設は0.085~40μg/Nm3の範囲にあり、算術平均値は8.2μg/Nm3でした。

 続きまして、セメント製造施設ですが、1.5~74μg/Nm3の範囲にあり、算術平均値は28μg/Nm3でございました。

 その他の集計結果につきましては、昨年度と同じような傾向を示しておりました。

 また、資料1の別紙に、3年分をまとめた測定結果をお示ししております。

 こちらについても①から⑧までを集計した結果になりますが、令和2年度とほぼ同じような傾向を示しておりますので、説明は省略させていただきます。

 資料1の水銀排出施設における水銀濃度の測定結果の説明については、以上でございます。ご審議のほど、よろしくお願いします。

【高岡委員長】 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの資料1につきまして、ご質問、ご意見等がございましたら、お願いします。いかがでしょうか。

 ご発言される方は、お名前を名乗っていただきますと、私が指名いたしますので、よろしくお願いいたします。

【吉川委員】 吉川ですけど、よろしいでしょうか。

【高岡委員長】 はい、どうぞ。お願いします。

【吉川委員】 先ほどいろいろとデータを示していただいて、最小値が極端に低いデータがあるんですけれども、以前も何か委員の方から意見が出たんですけど、これって、例えば吸引排ガス量とか、そういう情報が令和2年度から入手されているようですけど、それと照らし合わせて、おかしくないのかという検討はできますか。

【高岡委員長】 事務局、いかがでしょうか。

【小梶大気環境課長補佐】 排ガス量から、濃度の低いデータを見極めるにはどのようにしたらよいのでしょうか。

【吉川委員】 いやいや、濃度が非常に低くて、とても今の分析装置で検出できないんじゃないかというぐらいの濃度の数字が出ていまして、そうすると、排ガス量が幾らかということが分かれば、実際の測った水銀量が分かると思うんですけども。

 そういうのを見て、おかしいのではないかというような、例えばここにある0.0085とか、どう見ても、低すぎる。もっと低いのがありましたよね。

 μgですから、1,000L(1m3)測ったとしても、ここに書いてあるμgしか捕集していないわけですので、これが本当にこんな超低濃度のものを分析しているのかどうかですね。

【小梶大気環境課長補佐】 濃度と排ガス量については収集していますが、そこまでの解析はできておりません。

【吉川委員】 そうですね。だから、排ガス量を掛ければ、採ったサンプルの中にある水銀の全体量が出ますので、その水銀の全体量を測っているというのであれば、低い数値が出てもおかしくはないとは思うんですけども、常識的には、1,000Lぐらいしか吸引していないはずなので、ここら辺りの数字が本当に出るのかどうかというのが個人的に疑問なんです。

 検討されていないなら、そうですけど、今後のためにも、少し調査票の中で何か工夫が要るんじゃないかなとは思いました。

【高岡委員長】 吉川様、ありがとうございます。

【小梶大気環境課長補佐】 ありがとうございます。

 最小値につきましては、定量下限以上のものを報告いただいているものだと認識はしておりますが、再度、その辺の確認を今後していきたいと思います。ありがとうございます。

【高岡委員長】 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。

【伊藤委員】 電中研、伊藤です。

【高岡委員長】 はい、お願いします。

【伊藤委員】 私も今の吉川さんのご指摘と同じところが気になっているんですが、定量下限値の決め方が、そういったところにつながっているんだろうと思っているんですが、今後の見直しの中で、定量下限値、検出下限値の在り方、扱い方というのを議論したほうがいいのではないかと思っております。そういう観点を今後の指摘として残していただければと思います。

 例えば、トータルの水銀濃度を算出するときに、検出下限値未満を0とするというようなところがありましたけども、粒子状とガス状の検出下限値も大分違うので、例えばガス状を無視して粒子状だけを採ったときに、ガス状の検出下限値がかなり高い場合には、値がまた少し変になってくる可能性もございます。繰り返しますけども、検出下限値、定量下限値の扱い方、決め方というのは、今後の課題として議論していただければというふうに思っております。

 以上でございます。

【高岡委員長】 事務局、どうぞ。

【小梶大気環境課長補佐】 事務局です。ありがとうございます。

 そこら辺は、また今後の検討課題とさせていただきたいと思います。どうもご意見ありがとうございます。

【高岡委員長】 ありがとうございました。

 指宿さん、どうぞお願いします。

【指宿委員】 水銀の排出は廃棄物焼却がかなり大きいということで、スライドの55、これで一般と産廃と下水汚泥というのがあって、産廃が、算術平均値が16μg/Nm3と、ほかのところよりかなり大きいんですよね。ただ、原因は、一番大きい1万幾らというのがあって、それで大きくなっているのかなとも思うんですが、その一番大きな排出濃度だったものについて、コメントというか、説明があるのだろうかということをお聞きしたいんですけど。

【高岡委員長】 はい、事務局、お願いいたします。

【小梶大気環境課長補佐】 最も高かったものについては、恐らく、先ほどご説明もさせてもらいましたが、水銀廃棄物の混入によるものではないかと推測しているところでございます。

【指宿委員】 なるほど。今ご説明があったようなことを注に入れるとかされるといいんじゃないかなと思ったんです。

【小梶大気環境課長補佐】 ありがとうございます。

 先ほどのこちらの結果では、廃棄物への水銀を含むものの混入というのを書いていたんですが、先ほどご指摘のありましたシートについては、その辺を書いていませんでしたので、書くようにしたいと思います。

【指宿委員】 やられるといいと思います。

 以上です。

【小梶大気環境課長補佐】 ありがとうございます。

【高岡委員長】 はい、ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。

【鈴木委員】 鈴木ですけど、よろしいでしょうか。

【高岡委員長】 はい、どうぞ。

【鈴木委員】 今、たまたま出ている、24枚目のこれを見ていたんですけども、それぞれきちんと測定されているんだと思いますが、定期測定と再測定の結果が、かなり違うところもありまして、定期測定が、そのときに高かった理由というのは、それぞれの機関さんは何か考察されているんでしょうか。

 それはたまたまであったということが分かればいいんだと思うんですけども、もし分かっていればお願いいたします。

【小梶大気環境課長補佐】 ありがとうございます。

 それぞれの施設に、推定される原因というのをお聞きしているところなんですけど、ここに書いてありますように、原料中の水銀濃度の変動と廃棄物等への水銀を含むものの混入というのが理由として事業者から上がってきております。

【鈴木委員】 ありがとうございます。

 その辺の確認を引き続きお願いいたします。

【高岡委員長】 はい、ありがとうございます。

 ほかはいかがでしょうか。

 私のほうから1点お尋ねしたいんですが、20ページのスライドのところで、測定のデータの提供がなかった7施設があったというお話で、これは指導によって次年度から定期測定をちゃんとやっているということだと聞いておりますので、大きな問題はあまりないかなとは思いますが、それでも、そもそも、測定提供がなぜこの7施設はなかったのかというようなところは、どうなっておりますでしょうか。

【小梶大気環境課長補佐】 ありがとうございます。

 そもそも、測定データの提供がなかった施設につきましては、自治体からの指導によって、次年度よりきちんと定期測定をするように、指導がされているというふうに確認しております。

【高岡委員長】 それは、先ほどそういうご説明があったので分かるんですが、そもそも、測定をされていなかったのは、例えば、3月に測ろうとしていて、施設の故障で止まったから提供できなかったというような理由なのか、簡単に言えば、失念していたというような理由なのか、そういう理由自体は、この7施設は何があるのかというのは確認できるんでしょうか。

【小梶大気環境課長補佐】 全部で未提供の施設は7施設ございまして、そもそも、定期測定が未測定だったということでございます。

【粟飯原大気環境課係長】 環境省大気環境課、粟飯原です。

 7施設について照会をかけさせていただきましたが、いずれの施設も、データをそもそも取っていない、排ガスの測定を実施していない、だから提供ができないんだというような話でいただいておりまして、この件は、自治体のほうから、ちゃんと測定をするようにということで伝えさせていただいているところでございます。

【高岡委員長】 分かりました。

 とにかく、測定しないのは分かりますが、測定していない理由は、まだ分かっていないということですね。

 結構です。ありがとうございます。

 ほか、いかがでしょうか。

【田中委員】 田中ですけども。

【高岡委員長】 どうぞ。はい、田中さん。

【田中委員】 よろしいでしょうか。

 超過の施設のところ、特に廃棄物の焼却施設のところ、50施設というところがあったということで、24ページのところですけども、これにつきまして、前年度、令和元年度とか平成30年度ですね、22ページのところに関連するかと思うんですけど、そこと施設が被っているものなのか、また、別々なのかというふうなところは、見られていますでしょうか。

 何を言いたいかと申しますと、それで、施設の改善というところが取り組まれているのか、いやいや、原料によるものというところで、突発的な位置づけというふうなところなのか、その辺を知りたいんですけども、いかがでしょうか。

【小梶大気環境課長補佐】 ありがとうございます。

 令和2年度に、定期測定で基準を超過したのが全部で67施設ございました。そのうち、平成30年度または令和元年度に基準を超過した施設は20施設でございました。

 なお、3年連続で定期測定で基準を超過した施設は1施設ということでございます。

【高岡委員長】 田中さん、よろしいでしょうか。

【田中委員】 はい、分かりました。ありがとうございます。

【高岡委員長】 ありがとうございます。

 ほか、よろしいでしょうか。

 そうしましたら、ただいまご意見いただいたところ、特に定量下限等、最終的に取りまとめる上では重要なところだと思いますので、事務局は、本日のご意見を参考にして作業を進めていただきたいと思います。ありがとうございました。

 では、議題の2番目に移りたいと思います。

 要排出抑制施設における自主的取組のフォローアップについてでございます。

 では、事務局から資料の2-1、2-2の説明をお願いいたします。

【小梶大気環境課長補佐】 それでは、資料2-1、2-2に基づいて、要排出抑制施設における自主的取組のフォローアップについてご説明させていただきます。

 大気汚染防止法における水銀排出施設以外の施設で、水銀の排出量が相当程度多い施設について、要排出抑制施設ということで、自主的取組を実施することが大気汚染防止法の中で規定されているところでございます。

 フォローアップの対象施設につきましては、鉄鋼連盟等3団体につきまして、自主的取組の内容が平成30年4月に公表、実施されております。

 また、鉄鋼連盟等3団体以外の主要な事業者におきましても、鉄鋼連盟等3団体の取組に準ずる取組が行われていることを確認しているところでございます。

 これらの事業者が設置する要排出抑制施設が全国の要排出抑制施設に占める割合につきましては、下の表のとおりでありまして、施設数ベース・生産量ベースとも100%となっていることから、鉄鋼連盟等3団体等における取組内容について、フォローアップをすることとしました。

 フォローアップにおける評価の方針ですが、二次答申と令和2年度の助言事項を踏まえて、次の三つの視点で評価を行っております。

 一つ目は自主管理基準の設定状況、一つは排出抑制措置の実施状況、もう一つは自主管理基準の達成状況及び評価・公表の実施状況でございます。

 続きまして、鉄鋼連盟等3団体等における自主的取組の実施状況でございますが、まず、自主管理基準の設定状況ですが、令和3年3月における専門委員会の助言事項に対する対応状況が次のとおりになっております。「製鋼の用に供する電気炉として届出が行われているLF炉」について、一部の施設における令和元年度の測定結果において、自主的取組の開始前に想定されていた値よりも高い値が見られていることから、測定頻度の検討に資するため、必要な測定を行いつつ、高い値となった要因について検討することが望まれているという助言事項をいただいておりますが、これに対する対応状況については、鉄鋼連盟等3団体のほうから回答をいただいていまして、「要因は副原料に含まれる水銀と推測しており、引き続き対象施設は測定を継続する」とのことでございました。

 続きまして、排出抑制措置の実施状況でございますが、1施設を除きまして、全ての施設に排ガス処理設備が設置されておりまして、いずれの処理設備も従前から設置されているということでございます。

 令和2年度の測定結果につきましては、表2-1のとおりとなってございまして、焼結炉・ペレット焼成炉でございますが、自主管理基準値:50μg/Nm3であるところ、令和2年度実績は0.41~36μg/Nm3の範囲にあり、平均12μg/Nm3という結果でございました。

 製鉄ダストから還元鉄ペレットを製造する施設につきましては、自主管理基準値が400μg/Nm3であるところ、令和2年度実績は19~71μg/Nm3、平均45μg/Nm3という結果でございました。

 続きまして、製鋼の用に供する電気炉でございますが、全て自主管理基準値は50μg/Nm3という基準になっております。

 圧延用鋼塊を製造する電気炉につきましては、令和2年度実績は定量下限未満(0.011)~29μg/Nm3、平均3.3μg/Nm3という結果でございました。

 鋳鍛用鋼塊を製造する電気炉につきましては、0.019~4.2μg/Nm3、平均0.80μg/Nm3という結果でございました。

 出鋼量10t/ch未満の施設につきましては、不検出~3.1μg/Nm3、平均0.25μg/Nm3という結果でございました。

 LF炉等につきましては、不検出~21μg/Nm3、平均1.2μg/Nm3という結果でございました。

 そこで、令和3年3月における専門委員会の助言事項に対して、鉄鋼連盟さんのほうから回答をいただいております。

 2点ございまして、1点目が排出ガス処理設備の水銀の排出抑制効果について、「今後の水銀濃度の測定により、排出ガス処理設備の種類による水銀濃度の違い等の把握が進むものと考えられる。これらを活用し、排出ガス処理設備等の水銀の排出抑制効果について情報を整理することが望まれる」という助言事項に対しまして、鉄鋼連盟等3団体から、「使用できるデータを用いて排ガス処理設備の種類ごとの効果の整理を試行した。引き続きデータ収集を進める」との回答でございました。

 また、2点目については、「新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、令和2年度の各施設における活動量等の操業状況は例年と異なると考えられるので、測定結果を取りまとめる際は、排出量と活動量との関係も解析することが望まれる」という助言事項に対しまして、鉄鋼連盟等3団体から、「生産量の減少及び排出量の減少の両方の影響があった」という回答をいただいているところでございます。

 自主管理基準の達成状況及び評価・公表の実施状況につきましては、先ほどご説明しましたように、全ての施設において自主管理基準を達成している状況でございました。

 また、評価・公表の実施状況では、水銀の自主的取組の実績等が、日本鉄鋼連盟等のホームページにおいて令和3年9月に公表されておりました。

 このようなフォローアップの結果を受けまして、自主的取組のフォローアップにおける令和3年度の専門委員会の評価というのをお示しさせていただいているところです。

 まず、全体的な評価としましては、自主的取組の実施状況は、全ての施設における測定結果が自主管理基準を達成するなど、技術的観点から、現時点において概ね妥当なものと評価するというようにさせていただいています。

 自主管理基準の設定状況でございますが、LF炉について、先ほどのフォローアップのような結果となっていたところですが、ここで、助言事項としまして、製鋼の用に供する電気炉として届出が行われているLF炉については、一部の施設における令和元年度の測定結果において、自主的取組の開始前に想定されていた値よりも高い値が見られていることから、引き続き対象施設の測定を継続し、データの蓄積に努めることが望まれるという助言事項とさせていただいております。

 続きまして、排出抑制措置の実施状況でございますが、こちらについても、助言事項を出させていただいておりまして、今後の水銀濃度の測定により、排ガス処理設備の種類による水銀濃度の違い等の把握が進むものと考えられる。改正大気汚染防止法が施行された平成30年度より蓄積されたこれらのデータ及び今後蓄積されるデータを活用し、排出ガス処理設備等の水銀の排出抑制効果や活動量と水銀排出量の関係等について、総合的に情報を整理することが望まれるという助言事項とさせていただいております。

 自主管理基準の達成状況及び評価・公表の実施状況につきましては、助言事項は特に出させてもらっておりません。

 鉄鋼連盟等3団体における自主的取組のフォローアップについて、ご説明については以上でございます。ご審議のほど、よろしくお願いします。

【高岡委員長】 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの資料の説明につきまして、ご質問、ご意見がありましたらお願いいたします。いかがでしょうか。

【吉川委員】 吉川です。よろしいでしょうか。

【高岡委員長】 はい、どうぞ。

【吉川委員】 資料2-1の表2-1とか2-2を見せてもらえますか。どちらでもいいんですけど。

 気になったのは、施設数とn数の関係で、施設数のほうが多いところがあるんですけども、これは結局、この差は分析をしていないという意味なんですかね。例えば35施設でnが22というのは、この差の13施設は。

【粟飯原大気環境課係長】 ご指摘ありがとうございます。環境省大気環境課の粟飯原と申します。

 例えば、二つの施設に対して煙突が合流していて1本になっていて、その1本でしか測定ができない場合というようなものがございまして、そういった場合に、施設数が2に対してnが1になってしまうと。そういったことが起き得るものと考えます。

 鉄鋼連盟等3団体ではなくて、アウトサイダー、業界に非加盟の事業所さんで、そういった施設が散見されまして、また、鉄鋼連盟さんの発表スライドについて、産構審の資料を参考につけておりますけど、そちらでも一致しないといったような状況がございますので、一般的に、施設数とn数はなかなか一致しないものなのかなというようにも考えている次第でございます。

【吉川委員】 分かりました。確かに煙突共有というのは、いろんな分野で常識的にあるものですので。じゃあ、どこかに書いておいてもらったほうがいいですね。何か誤解を与えるような感じになりますので。書いてあれば、それでいいです。

【小梶大気環境課長補佐】 今、提示させていただいているところに書いているところでございます。

【吉川委員】 あるんですね。

【小梶大気環境課長補佐】 はい。

【吉川委員】 その理由が。

【小梶大気環境課長補佐】 米印で書かせていただいているんですけど。

【吉川委員】 分かりました。はい。すみません。そこを見ていなかったです。了解しました。

【高岡委員長】 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。

 特に資料2-2のほうが、助言事項とかが入っておりますので、何かご意見がございましたら、いただきたいところですが、いかがでしょうか。これでよろしいでしょうか。

 特段ないようでしたら、全ての対象施設で測定結果、自主的管理を満足しておりますし、技術的観点からも概ね妥当なものだと考えております。

 では、令和3年度の評価と助言すべき事項というのは、資料の記載の案のとおりでよろしいでしょうか。

【鈴木委員】 鈴木ですけど、よろしいでしょうか。

【高岡委員長】 どうぞ、鈴木先生。

【鈴木委員】 助言事項に関しては、これでよいのではないかと思いました。

 知見、書いてあるデータ蓄積、これらの部分について出していただくことは非常に重要なことでありますので、ぜひキーデータの蓄積をしていただき、管理を進めていただくようにお願いいたします。

【高岡委員長】 ありがとうございます。

 そうしましたら、この評価及び助言事項で進めていきたいと思います。

 事務局におかれましては、この評価と助言すべき事項について、フォローアップ対象の事業者にお伝えいただきたいと思います。

 今後の手続の流れにつきまして、事務局から説明をお願いいたします。

【小梶大気環境課長補佐】 どうもありがとうございました。

 今後の手続につきましては、本日いただいた評価と助言すべき事項について、フォローアップ対象の事業者に伝えるとともに、ホームページで公表したいと思います。ありがとうございます。

【高岡委員長】 ありがとうございました。

 それでは、次の議題に移りたいと思います。議題3は、水銀大気排出インベントリーについてであります。

 では、事務局から資料3-1、それから3-2の説明をお願いいたします。

【小梶大気環境課長補佐】 それでは、資料3-1、3-2について、水銀大気排出インベントリーについてご説明させていただきます。

 まず、3-1で、水銀の排出インベントリーの算出方法について、令和元年度実績より変更したいということで、そのご説明をさせていただきます。

 まず、水銀に関する水俣条約で、「関係する発生源からの排出に関する目録を作成し、その後は維持する」というようになっております。

 これを受けまして、我が国におきましては、平成22年度、また平成26年度~30年度の対象のインベントリーを作成して、環境省のホームページで公開しているところです。

 また、平成26年度~30年度の対象のインベントリーにつきましては、平成27年度の実態調査から発生源別に排出係数を算出して、推計年度の全国活動量を掛け合わせて推計しているというような状況でございます。

 これらの方法につきましては課題がございまして、排出係数は27年度の実態調査から未更新の状態になっておりますので、活動量、いわゆる経済動向しか更新できていない状況であるということで、排出抑制効果を反映した水銀排出実態が把握できていない可能性があるというような状況でございます。

 一方で、大気汚染防止法が平成30年4月に施行されまして、排ガス中の水銀測定が各水銀排出施設に義務づけられたという状況でございます。水銀排出施設が定期的に測定する水銀濃度を活用して、排出実態を反映したインベントリーを作成・更新できないかというようなところでございます。

 推計方法は2通りございまして、一つは施設ごとの排出量の積み上げによる推計方法、もう一つが収集データから排出係数を算出して全国活動量を乗じる推計方法になります。

 こちらに推計方法を書いていますが、積み上げの方法につきましては、各施設の年間水銀排出量を足し合わせていくということでございます。また、排出係数による推計方法につきましては、発生源区分ごとに発生係数を定めて、活動量を掛けて合計していくということです。排出係数につきましては、施設ごとの年間水銀排出量を年間活動量で割ったものを排出係数としております。

 ここで、年間の水銀排出量につきましては、排ガス中の水銀濃度に年間の排ガス量を掛け合わせたものになっております。年間の排ガス量につきましては、測定時の排ガス量に年間稼働時間を掛け合わせたものになっておりまして、年間稼働時間につきましては、令和2年度の実績から年間稼働時間を調査しているところですが、それ以前のものについては、年間稼働時間の実績値はございませんので、令和元年度につきましては、施設設置時の届出の値を使用して年間稼働時間を出したいと考えています。

 続きまして、令和元年度の実績のインベントリーの作成方針ですが、令和元年度の実績の算出に当たっては、施設ごとの年間稼働時間は得られていないという状況ですが、排ガス中の水銀濃度の実績値が得られているということで、排ガス中水銀濃度を用いて施設ごとの年間水銀排出量を積算したほうが、これまでの推計方法と比較して、より排出実態に近くなるというふうに考えられますので、積み上げ方式でインベントリーの算出を行っていきたいと考えています。

 ただし、令和元年度の実績インベントリーについては、参考として、これまでの方法によるインベントリーの推計も併せて出していきたいと考えております。

 また、排出抑制対策の評価とかマテリアルフローの算出等に活用するために、積み上げ方式で算出したインベントリーから排出係数を算出するのも、併せて行いたいと考えております。

 インベントリーの推計値をグラフで示しております。平成22年から平成30年までは、実績値で公表済みの値となっています。本年度算出するのは令和元年度の値になりますが、従来法につきましては、平成30年度と同じ方法で算出した値になります。

 積み上げにつきましては、届出値と実績値というのがございますが、令和元年度は年間稼働時間を届出値を用いて算出を行いたいと考えています。また、令和2年度につきましては実績値が得られているので、年間稼働時間を実績値として算出したいと考えているところです。

 参考ですが、インベントリーの推計年の関係ですが、本年度は令和3年度になりますので、令和元年度実績のインベントリーになります。令和元年度に測定したものを令和2年度に集計して、令和3年度にインベントリー算出という流れになっております。

 排出係数につきましては、併せて算出するということになりましたので、8ページのような形で算出させていただいております。

 資料3-2は、これらの作成方法に基づきまして、令和元年度の水銀大気排出インベントリーについて算出した結果でございます。その結果、平成30年度に18.6tであったものが、令和元年度には15.3tというような排出量になりました。

 それらの詳細な施設の種類ごとの値につきましては、このような形で表1に示しておりまして、令和元年度につきましては、積み上げの方法と従来の推計方法、両方を併せて示しているというところでございます。

 水銀大気排出インベントリーについてのご説明は以上でございます。ご審議のほど、よろしくお願いします。

【高岡委員長】 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの資料3-1、3-2の説明につきまして、ご質問、ご意見がございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。

【吉川委員】 吉川です。よろしいでしょうか。

【高岡委員長】 はい、どうぞ。吉川さん、お願いします。

【吉川委員】 質問なんですけど、排出係数というのは、同じ石炭だけでも、石炭当たりとkWh当たりと2種類あるんですけど、これは誰が決めたのかというのを確認したいんですけど。

【高岡委員長】 事務局、お願いします。

【小梶大気環境課長補佐】 排出係数につきましては、それぞれ、この専門委員会においてご報告させてもらっておりまして、その中で、ご審議いただいた中で決めているというところでございます。

【吉川委員】 産業用と、何か火力の石炭当たりの、それは何か事情があったんでしたっけ。すみません、知らないもので。

 kWh当たりと石炭使用量当たりというのは、何か表がありましたよね。分かりやすいように。

【粟飯原大気環境課係長】 少々お待ちください。

【吉川委員】 そうですね。これ(資料3-1の8ページ)ですね。産業用は、石炭消費量当たり……。そうか、同じ発電とは限らないから、そういうようなことをされたということですね。

【高岡委員長】 事務局、いかがですか。

【小梶大気環境課長補佐】 活動量につきましては、一般的な統計で得られる値から、活動量を使わせていただいているというところでございます。

【吉川委員】 活動量は分かりました。排出係数は、それぞれの事情に応じてということでいいんですか。

【小梶大気環境課長補佐】 排出係数につきましては、個々の事業者が測定する濃度から、それを活動量で割って排出係数を出しているということでございますが。

【吉川委員】 ええ、そうなんですけど、同じボイラーというのが、一つ目と二つ目で、石炭1t当たりと発電量kWh当たりで違っているんですけど、確かに産業用だと全部が全部電気というわけではないので、そこら辺りかなとは理解しています。

【高岡委員長】 そうですね。活動量は、必ずしもカバーしている範囲とかも少し統計が一致していないため、それで割るところが変わっておるというようなところだと認識しております。

【吉川委員】 分かりました。ありがとうございます。

【高岡委員長】 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。

【片谷委員】 片谷ですが、よろしいでしょうか。

【高岡委員長】 はい、どうぞ。片谷先生、お願いします。

【片谷委員】 これは事前説明を伺ったときにも申し上げたんですけれども、どう考えても、このインベントリーは排ガス中の濃度と排ガス量を掛けて求めるほうが理屈にかなっていますので、積み上げ方式でという方式は、もう全く賛成する立場です。

 並行して排出係数も出しておくというのは、もちろん異論はないんですけれども、今後も、できるだけ排ガス濃度と排ガス量のデータを正確に収集する方向で進めていくということが適切であると思います。

 以上です。

【高岡委員長】 ありがとうございます。

 積み上げ方式にご賛同いただきましたが、ほかはいかがでしょうか。

【鈴木委員】 鈴木ですけど、よろしいでしょうか。

【高岡委員長】 鈴木先生、どうぞ。お願いします。

【鈴木委員】 まず、インベントリーに関しては、積み上げデータが得られてきたということで、積み上げで行うということは適切なことだと思います。

 一方で、排出係数というものを算出していくことも、また一方で重要かなと思っておりまして、特に、今、議論もありましたが、そもそも、これから蓄積されていくデータをどのような区分であったり、どのような活動量で推定するかということ自体が、多分、今後の水銀施策の対策の有無の効果を検証したり、あるいは今後の方向性を検討したりするときに有用な情報になっていくんだと思いますので、インベントリーとしては積み上げで行いつつ、排出係数について、引き続きデータに基づいて検討していくということが重要かなと思っております。

 以上です。

【高岡委員長】 ありがとうございます。

 ほかはいかがでしょうか。

 では、私から1点だけ確認というか、3-1の6ページのところのスライドで、本年は令和元年度を確定するわけですが、この図から見ても、令和2年度までは暫定的ではありますけれども出ておりまして、下のところに米印で、注釈で、令和2年度の全国活動量が確認できていない発生源が存在するためということでありますが、ここはどういう発生源が活動量が確認できていないのでしょうか?積み上げで報告から求めるのであれば、求められそうな気もするんですけども、ここはどうなっておるのか確認したいと思います。事務局、いかがでしょうか。

【小梶大気環境課長補佐】 ありがとうございます。

 ここのグラフの中で、左側に囲みで水銀排出施設というのと水銀排出施設以外というのが書いてあると思いますが、水銀排出施設以外のものについて、いわゆる全国的な統計を使って排出量を算出しているところですが、そちらについて、まだ、全国的な活動量が出ていないということで、まだ暫定な値になっているというところでございます。

【高岡委員長】 そうしますと、水銀排出施設や要排出抑制施設以外のところで、なかなかこの時点では活動量が出てこないというので、いたし方なく少し遅れているということになるということでよろしいですね。

【小梶大気環境課長補佐】 はい、そのような認識で間違いありません。

【高岡委員長】 分かりました。ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。

 ないようでしたら、それでは、令和元年度のインベントリーについて、算出方法を含め、資料記載の案どおりとしてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。

 では、事務局におきましては、令和元年度のインベントリーを最終化していただき、また公表をしていただきたいというふうに思います。

 ありがとうございました。

 では、次の議題へ移りたいと思います。

 次の議題は、排ガス中の全水銀を一括で採取する方法についてです。

 事務局から、資料4-1、4-2の説明をお願いいたします。

【小梶大気環境課長補佐】 それでは、排出ガス中の水銀測定方法への一括採取方法追加等について、ご説明させていただきたいと思います。

 まず、検討の経緯でございますが、大気汚染防止法では、水銀排出施設の設置者に排ガス中の水銀濃度の測定が義務づけられております。

 その測定方法につきましては告示で定められておりまして、ガス状水銀と粒子状水銀を別々に採取するという方法が採用されているところでございます。

 一方、告示が定められた当時の平成27年の専門委員会での議論を経た第一次答申の中では、「メインストリームサンプリング又はサイドストリームサンプリング等の一括で試料採取する方法について、今後、測定方法として取り入れることを検討すべきである」ということが書いてあります。

 「また、金アマルガム法等のような湿式吸収法以外の方法についても、本測定法との等価性が確認された場合、取り入れるべきである」と書かれておりまして、これを受けて、排ガス中の水銀測定方法のワーキングを立ち上げまして、水銀の測定方法への一括採取方法追加について検討を行ったということでございます。

 一括採取方法の追加ということですけど、現在の告示の中ではガス状水銀と粒子状水銀を別々で測定するということで、個別採取法と呼んでおりますが、ガス状水銀につきましては、試料ガスをガス状水銀の採取に適した流量で吸引してガス状水銀を採取するということでございます。粒子状水銀につきましては、試料ガスを等速吸引して粒子状水銀を採取するということでございます。

 これに今回新たに追加を検討したものにつきましては、メインストリームサンプリング、サイドストリームサンプリングと、二つの方法がございまして、メインストリームサンプリングにつきましては、一つのノズルを用いて排出ガスを等速吸引して、同じ流量で粒子状水銀及びガス状水銀を同時に捕集する方法でございます。

 また、サイドストリームサンプリングにつきましては、一つのノズルを用いて排出ガスを等速吸引で採取して粒子状水銀を捕集し、試料ガスの一部を分岐してガス状水銀を同時に捕集する方法ということになってございます。

 これらを検討するに当たっては、まず、室内実験を行いましてメインストリームサンプリングの検討を行いました。

 メインストリームサンプリングは等速吸引で吸引することになり、個別採取法のガス状水銀の吸引量よりも高くなるために、室内実験が必要となりました。室内実験では、吸収液の濃度及び液量並びに吸収瓶の容量の検討、また吸引流量の検討を実施し、その結果は表2-1、2-2のとおりになりました。

 また、サイドストリームサンプリングにつきましては、試料ガスを分岐させること以外は個別採取法と変わらないため、個別採取法と同様の吸引量、器具等で試料採取が可能であるということで、室内実験は行わなかったということでございます。

 これらの室内実験の結果を踏まえまして、メインストリームサンプリングとサイドストリームサンプリングの個別採取法との等価性について評価を行いました。

 その対象施設につきましては、水銀排出規制の対象5業種の21施設とし、表2-3のような施設で実地試験を行いました。

 個別採取法とメインストリームサンプリング、個別採取法とサイドストリームサンプリングの測定結果の相関等を解析しましたので、それが図2-5のような形になっております。

 この結果、まず(1)のメインストリームサンプリングにつきましては、横軸がメインストリームサンプリング、縦軸が個別採取法になりますが、相関を取ってみますと、相関係数は0.98で、傾きもほぼ1に近いような状況でございました。

 (2)のサイドストリームサンプリングにつきましては、サイドストリームサンプリングを横軸に、縦軸に個別採取法を取りました。相関係数が0.98で、傾きも1に近いというような状況でした。

 このような結果を受けまして、メインストリームサンプリングと個別採取法、また、サイドストリームサンプリングと個別採取法の等価性が確認されましたので、試料採取方法にメインストリームサンプリング、サイドストリームサンプリングを追加することが適当であるということにしています。

 また、日本産業規格の引用について、メインストリームサンプリング、サイドストリームサンプリングの試料採取方法につきましては、日本産業規格のほうでも同時期に一括採取方法の追加を検討しておりまして、本日付で、水銀の測定方法が、告示の方法と、ある程度整合を取った形で改定されております。

 そのため、メインストリームサンプリング、サイドストリームサンプリングの試料採取方法につきましては、日本産業規格を引用することが適当であるということでございます。

 その上で、規制基準と照合する測定方法として、次の事項を規定する必要があるということで、メインストリームサンプリングについては次の4点、サイドストリームサンプリングについては1点を追加したということでございます。

 その他、試料の採取時間の検討を行いまして、メインストリームサンプリングにつきましては、試料採取時間が極端に短くなる可能性が考えられるところですが、告示の方法につきましては、平均的な状況を捉えて、かつ定量下限を確保するため、ある程度採取時間が必要であるということで、採取時間を100分以上とすることが適当であるとさせていただいています。

 また、その他の改正の検討としまして、採取方法に日本産業規格を引用することに伴いまして、測定方法を全般的に産業規格との整合を図るために、改正に必要な部分を検討し、次の(1)から(3)の部分についても併せて修正しております。

 資料4-2につきましては、告示改正案の改正部分を一覧でお示ししております。

 また、試料4-2の別紙1につきましては、告示法の改正案の新旧対照表をお示ししております。

 資料4-2別紙2では、告示改正案と現行の告示と日本産業規格の対比表を示しております。

 排出ガス中の水銀測定方法への一括採取方法の追加等についての説明については、以上でございます。ご審議のほど、よろしくお願いします。

【高岡委員長】 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの資料4-1、4-2につきまして、ご質問、ご意見がございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。

【谷口委員】 谷口ですけども、1点確認してもいいでしょうか。

【高岡委員長】 谷口さん、どうぞ。お願いします。

【谷口委員】 個別採取法と、それから、メインストリーム法とかサイドストリーム法の等価性を確認するということで、図2-5のほうで示されています。

 それで、個別採取法は、ガス状水銀と粒子状水銀を同時に試料採取したのか、それとも、例えば、ガス状水銀の試料採取が済んでから粒子状水銀の試料採取をしたというふうに、時間差があるのか、ここを確認したいと思うんですけど、どうだったんでしょうか。

【高岡委員長】 はい、事務局、お願いいたします。

【小梶大気環境課長補佐】 ご質問ありがとうございます。

 個別採取法は、ガス状水銀と粒子状水銀とメインストリームサンプリングを同時に、また、別にガス状水銀、粒子状水銀、サイドストリームを同時にというような形で採取をしております。

【高岡委員長】 時間的には、ずれはないということですか。

【谷口委員】 分かりました。

【高岡委員長】 はい。

 ほかはいかがでしょうか。ご質問あるいはご意見、いかがでしょうか。

【鈴木委員】 続けて、よろしいでしょうか。

【高岡委員長】 はい、どうぞ。

【鈴木委員】 質問なんですけど、こちらの公定法のほうは、告示法のほうは、しっかり書かれていたと思いましたが、JISのほうの金アマルガム法についても言及されて、こちらでも検討すると書いてあったような気がします。全部は覚えていないんですけども。

 JISのほうでは、金アマルガム法を排ガスでも適用することができるというような、そういう方法だという意味でしょうか。状況が把握できていないんですが。

【高岡委員長】 はい、ありがとうございます。

 事務局、いかがでしょうか、この点。

【小梶大気環境課長補佐】 先ほどご説明をしなかったのですが、今後の課題のところで金アマルガム法のことも書いておりまして、答申の中では、金アマルガム法も検討すべしといただいていたところでございます。

 金アマルガム法については、現時点で、1本の採取管の水銀の吸着量の上限が1,000ngとなっている等の課題がございまして、引き続き、情報収集を行っていきたいというふうに考えております。

【鈴木委員】 JISのほうは、それを承知の上で、あるいは助言等を明記されるんですかね。その上で、採用する方向になっているということなんでしょうか。

【小梶大気環境課長補佐】 そうですね。JISでは規格化されましたが、まだ課題があるのではないかということで、引き続き、検討はしていきたいと考えているところです。

【鈴木委員】 分かりました。しっかりした金アマルガム法の検討をお願いします。

【高岡委員長】 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。

【守富委員】 守富ですけど、よろしいでしょうか。

【高岡委員長】 はい、守富先生、どうぞ。

【守富委員】 今の金アマルガムとも関連するんですけども、測定されて、バッチでやったときに、サイドストリームにして時間が短縮できるというのは、メリットがあるのは確かなんですが、そのときには、ばらつき、変動幅、変動ですよね、それがある程度各施設によって違うと思うんですけれども、どのくらいの時間が適切なのか。バッチで4回やることにはなっているんですけど、一回一回の時間がどのくらいにしたらいいのか。それが、今の方法で、サイドストリームでいくと、時間が短くなるということもあって、長時間の連続測定みたいなもので、このぐらいの時間をやっていれば、ほぼ平均が出ますよねみたいな、時間の評価というのは、今回、JISとは直接結びつくというわけではなくて、測定する施設でのタイミングでの確認というのをどこかですべきじゃないかなと思っていて、その意味では、金アマルガムでもよろしいんですが、もちろん連続測定装置でもよろしいんですけれども、何らかの格好で、どのくらいの時間が適正なのかというのは、引き続き、どこかで検討する必要があるんじゃないかなと。

 だから、特に、ごみだとか、結構変動の大きいものに関しては、東京都さんみたいに、連続測定されているもので、ある程度検証はできて、このぐらいの時間で見れば、まず間違いないよというのがあればいいんですけども、そういうのが検証されていないところに関しては、ある程度検証していくのが必要ではないかなという気がしているんですが、いかがでしょうか。

【高岡委員長】 ありがとうございます。

 事務局、いかがでしょうか。

【小梶大気環境課長補佐】 ありがとうございます。

 今、画面でお示しさせていただいているのですけど、採取時間の関係につきましては、今回の検討に当たって問題として挙げられまして、メインストリームとかサイドストリームの方法に、特にメインストリームサンプリングになると、かなり採取時間が短くなるというふうな形になるので、そこは、いわゆる排出基準と照らし合わせるには、平均的な排出状況を捉える必要があるだろうということで、一定時間の採取が必要なのではないかというような形のご議論をいただいた中で、最終的に、採取時間を100分以上とするようにしました。

 この100分以上という考え方は、現在のガス状水銀の測定が、いわゆる吸引流量が0.5~1L/分で規定されておりまして、その採取には、大体100分から200分ぐらいかかりますので、ここに時間を合わせたというふうな形で、採取時間を100分以上というふうな形にさせていただいております。

 この採取時間を定めた経緯は、告示の測定法を策定するときに、連続測定器の濃度波形とかで、排出パターンを見ながら、これぐらいの時間が適当であるだろうというふうな時間で定められたというふうになっておりますので、100分以上というふうに今回定めさせていただいております。

【守富委員】 ありがとうございます。

 100分以上というのは、最低が100分なんでしょうけど、連続測定の結果で見た場合に、100分あれば、もう十分。以上と書いてあるけれども、1時間か2時間――2時間といったところですかね、ぐらいのところで十分だという判断なんでしょうか。この以上というのが、含んであるからいいといえばいいんですけども、どうも曖昧なような気もするんですが。

 100分ぐらいで、ほぼ十分だと。連続測定との検証をされたということなので。という理解でよろしいんでしょうか。

【小梶大気環境課長補佐】 そうですね、完全に連続測定とは一致しない部分があるんですけど、バッチ測定の中で、吸収液とかの吸収量とかも考えて、100分程度以上というふうな形に今回はさせていただいております。

【高岡委員長】 守富先生ご指摘のところは大変重要なところで、必ずしも、発生源によっては、これが十分ではないということがあるかもしれません。ですが、前回、100分以上というところで決めておりますので、今回のところでは変えてはいないということです。

 ただ、先生がおっしゃるように、引き続き、時間との関係は注意は払っていかないといけないと感じております。

【守富委員】 そのときに、金アマルガム等の測定と、連続ですとお金が非常にかかる、装置代そのものもかかると思いますので、比較的簡便な金アマルガムで、長時間の連続測定ができるもので平均化したものとの比較というのも、あり得るんじゃないかなと思うんですが。そうしたことも検討していただけるといいかなということで意見をさせていただきました。

 以上です。

【高岡委員長】 ありがとうございます。

 そうですね。金アマルガムに関しては、今回は検討しておりませんので、次の課題ということで、いただいたご意見を含めて考えていきたいと思いますが、事務局、何かありますでしょうか。

【小梶大気環境課長補佐】 ありがとうございます。

 今、先生からいただきましたご意見も含めて、金アマルガムのほうも検討していきたいと思います。どうもありがとうございます。

【高岡委員長】 はい、ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。

【谷口委員】 谷口ですけど、一言いいでしょうかね。

【高岡委員長】 はい、どうぞ。

【谷口委員】 今の100分間、もしくは、それ以上吸引するということについてですけども、僕は、こういう考えもあるんじゃないかなというのを一つ申し上げておきたいと思うんです。

 といいますのは、その発生源施設が、どのような稼働状況、すなわち、1サイクル何分で稼働しているのかということは考えてもいいんじゃないかなと思うんですね。

 例えば、非鉄金属の製造施設であれば、原材料などの投入というのは、例えば1時間に1回するのか2回するのかとか、それから廃棄物の焼却施設なんか、例えば市町村の一般廃棄物なんかであれば1時間に多分10回以上はやっているんじゃないかなと思うんですけど、そういうふうに施設によって稼働のサイクルというのがいろいろあるだろうと思うので、少なくとも何サイクルを測定で拾うのかというようなことも、一つ考えてはどうかなというふうに思いました。何かの参考までに申し上げたいと思います。

 以上です。

【高岡委員長】 ありがとうございます。

 事務局、何かありますでしょうか。

【小梶大気環境課長補佐】 ご意見、アドバイスいただきまして、どうもありがとうございます。今後の参考にさせていただきたいと思います。

【高岡委員長】 はい、ありがとうございます。

 ほかはいかがでしょうか。

 ないようでしたら、今後の課題に関して幾つかご意見はいただきましたが、今回追加いたします、いわゆる一括採取のメインストリーム、サイドストリームというところにつきましては、特段のご意見がなかったというふうに認識しております。資料記載の案でよろしいでしょうか。

 なければ、一括採取に関しましては、資料記載の案と、また、課題につきましては、この後も議題というか、議論がございますので、そこでまた改めて扱いたいと思います。

 では、今後の進め方につきまして、事務局より連絡をお願いいたします。

【小梶大気環境課長補佐】 どうもありがとうございました。

 今後の手続につきましては、資料4-2を踏まえまして、法令上の記載整理を行った上で、パブリックコメントを行いまして、令和4年度中に改正告示を公布したいと考えております。どうもありがとうございます。

【高岡委員長】 はい、ありがとうございます。

 では、続きまして、議題5に移りたいと思います。議題(5)は、水銀大気排出に関する今後の調査方針についてでございます。

 資料5の説明をお願いいたします。

【小梶大気環境課長補佐】 それでは、資料5に基づきまして、水銀大気排出に関する今後の調査方針についてご説明させてもらいます。

 検討の背景でございますが、大気汚染防止法が平成30年4月から施行されておりますが、この大気汚染防止法制定時に、法律の附則の中で、「法律の施行後五年を経過した場合において、この法律による改正後の規定の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする」というふうなことが記載されているところでございます。これに基づきまして、法の施行から5年が経過した際の施行状況に応じた制度見直しに向けて、検討事項を整理する必要があるということで、検討事項を四つお示しさせていただいております。

 まず、一つ目につきましては、先ほどご議論いただきました排ガス中水銀の測定方法についてでございます。

 こちらにつきましては、令和4年度に告示改正を考えているところでございます。また、金アマルガムにつきましては、引き続き情報収集を行っていきたいと考えているところです。

 二つ目が、IGCCを水銀排出施設として追加するか検討するということです。IGCCについては、当時、「実用化されて間もない発電技術であることから、現時点では規制対象とはせず、今後、排出実態を把握した上で、水銀排出施設としての追加について検討すべきである」という答申をいただいておりますので、今後、水銀排出施設として追加するかどうか検討していくということでございます。

 三つ目が、BAT及び排出基準の評価ということです。水銀の排出基準につきましては、BATに適合させた基準を定めているところでございます。「水銀の排出抑制の技術の進歩に対応して、排出基準についても見直していく必要がある」のではないかということと、「国内外の技術の進歩や原料・燃料等の動向を把握し、規制対象施設や排出基準等について見直していくことが適当である」ということが答申の中で示されておりますので、これらについて評価・検証を行っていこうということでございます。

 四つ目が、要排出抑制施設につきまして、「本フォローアップの在り方についても、その実施状況を踏まえて、施行後5年を目途に、必要に応じて見直しを行うことが適当である」とされておりますので、見直しを今後検討していくということでございます。

 5年後見直しに向けた今後の調査方針につきましては、以上でございます。

【高岡委員長】 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの資料5につきまして、ご意見、ご質問がございましたら、お願いしたいと思います。いかがでしょうか。

【吉川委員】 吉川です。よろしいでしょうか。

【高岡委員長】 はい、どうぞ。

【吉川委員】 今のBATに絡むんですけども、それ以前に、届出の中で排ガス処理装置に関する情報が何か正確に書かれない場合があるんじゃないかと懸念しているんですけど。というのは、今回の資料の中にも、排ガス処理装置がないほうが、水銀の排出量が、平均値が低いとかというようなデータも出ていて、考えにくいので、そこのところをきっちり届出の中で書いてもらうとか、調査するとかというのをやる必要があるんじゃないかと思います。

 届出書のほうが、何か水銀対策のためにどういう排ガス処理設備を設けていますかというような言い方を書いていて、そうすると、読む人によっては、例えば、ごみだったら、活性炭が増えていても、これはダイオキシンのための対策だと理解する人もいるかもしれないので、そういうところも、水銀対策云々じゃなくて、とにかく排ガス処理設備として何があるかというのをきっちり調べる必要があるんじゃないかと思いました。

 以上です。

【高岡委員長】 ありがとうございます。ここはご意見をほかにもいただきたいと思いますが、ほかはいかがでしょうか。

【盛田委員】 川崎市の盛田です。

【高岡委員長】 はい、盛田さん。どうぞ、お願いします。

【盛田委員】 検討事項が幾つか挙げられていて、引き続き検討というふうに書いてあるんですけども、基本的には、ここに記載してくださいというわけではないんですけども、スケジュール的には、来年度、再来年度とか、どのくらいのをイメージしていらっしゃるのかなというのをお聞きしたいんですけれども。

【高岡委員長】 事務局、いかがでしょうか。

【小梶大気環境課長補佐】 どうもありがとうございます。

 スケジュール感につきましては、5年後見直しということで、来年、再来年で、この5年後見直しについて検討していきたいというふうに考えております。

【盛田委員】 分かりました。どうもありがとうございます。

【高岡委員長】 はい、ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。

【守富委員】 守富ですけど、よろしいでしょうか。

【高岡委員長】 はい、どうぞ。守富先生。

【守富委員】 吉川さんの言われるのは、すごく重要な点だなと思っておりまして、5年見直しというのもあるんですけれども、日本としてといいますか、国際協力としてといいますか、こうした技術が非常に、水銀にとって安価であるということも重要かなと思うんですが、そうした、石炭で言えば3点セットがありますだとか、ごみで言えば活性炭吹き込みがありますとかという話もあると思うんですが、対策技術対効果というのか、対策技術をやってこれだけ水銀が下がりましたというのと、それから、測定技術対効果というか、今回の測定例は積み上げ方式で、かなりインベントリーも下がっているということであって、今回もサイドストリーム、メインストリーム、粒子状等々あると思うんですが、そうした測定技術が非常に有効であると、もう重要であるということもきちんと書き示す必要があると思っていて、そういう意味では、対策技術であるだとか、測定技術というのをもう少し前面に出した、排出量がこれだけ減りましたとか、インベントリーがこうなりましたという、表面的とは言いませんけれども、そちらの数値よりも、それを支えている具体的な技術、特に、今回はコロナ禍で、いわゆる活動量が減っているということも一つ効いていると思われますので、そうしたところをもう少し前面に、環境省としても出されたほうがいいんじゃないのかなと。国際協力としても、重要じゃないかなという気がしております。

 以上です。

【高岡委員長】 ありがとうございます。技術の評価をということで、ご意見を承りました。

 ほかにいかがでしょうか。

【伊藤委員】 伊藤です。

【高岡委員長】 はい、伊藤さん。どうぞお願いします。

【伊藤委員】 同じようなところで少し気になっていまして、BATの排出基準値の評価というところですが、見直すということは非常に重要なことだと思っております。が、見直しの際に、例えば、基準値一つ考えたときに、その妥当性、あるいは、それを下げるなら下げるで、どこまで下げることが必要なのかといったような観点、それから、そこに必要な技術は何なのか、あるいは、求められる性能は、どれくらいのものなのか、それ対して、そこに関わるコスト、経済性というのはどうなのかといった観点を、言わずもがなの話とは思いますが、そういった観点も含めて検討していただければというふうに思います。

 以上です。

【高岡委員長】 ありがとうございます。大変重要な点をご指摘いただきました。

 ほかはいかがでしょうか。

 多くの方から、今の技術の、もちろんしっかりとした調査、それから対策のいわゆる効果、コストも含め、そういったものをしっかりと評価していかないといけないというご意見をいただきましたので、それらも調査方針の中にまた含めていただけたらと思います。

 さらには、今のBATというか、これから出てくるような技術というようなものもありますので、その辺りもしっかりとアンテナを張って調べていっていただきたいと思います。

 ほかにご意見がないようでしたら、引き続き、事務局におかれましては、5年後見直しに向けた調査、検討をお願いしたいというふうに思います。

 ありがとうございました。

 それでは、最後の議題、その他に移りたいと思います。

 事務局から何かありますでしょうか。

【小梶大気環境課長補佐】 事務局から1点だけ、報告をさせていただけたらと思います。

【高岡委員長】 はい、お願いします。

【小梶大気環境課長補佐】 国際的な話も含めてなんですが、実は「水銀等による環境の汚染の防止に関する計画」の点検結果についてということで、これは環境保健部の水銀対策室の報道発表資料になります。

 水俣条約の実施を確保するために、国内法として水銀汚染防止法が定められておりまして、その中で、水銀による環境の汚染の防止に関する対策を総合的かつ計画的に推進するために、水銀汚染防止計画を平成29年10月に策定、公表しているところです。

 この計画の点検結果というのが、今回出されたところです。

 この実施状況の点検結果ですが、総合的な評価としましては、実施状況の点検の結果、計画に沿って着実に施策が実施されており、条約に基づく措置が的確に講じられていることを確認しましたというような評価となっております。

 また、大気の状況につきましては、水俣条約の関係府省庁連絡会議で実施状況の点検結果が示されておりまして、その中で、6番の排出に関する措置というところで、本専門委員会でご議論いただいている大気汚染防止法の施行状況やインベントリーの状況とかを点検結果として報告しているということになります。

 水銀の防止に関する計画の実施状況の点検結果についてのご説明については、以上でございます。

【高岡委員長】 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの6-1、6-2の資料につきまして、ご質問、ご意見等ございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。特にございませんでしょうか。

 なければ、ありがとうございました。

 それでは、本日予定された議題は全て終了となりますが、全体を通して、何かご意見、ご質問がございますでしょうか。皆様、よろしいでしょうか。

 その他、ないようでしたら、本日の予定の議題は全て終了ということで、進行を事務局にお返ししたいと思います。事務局、よろしくお願いいたします。

【長坂大気環境課長】 本日は、長時間にわたってのご議論を、どうもありがとうございました。

 本日の議事録につきましては、各委員にご確認いただいた上で、環境省ホームページにて公開する予定でございますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、本日の専門委員会はこれで終了といたします。

 本日は、誠にありがとうございました。

午前11時59分 閉会