自動車排出ガス専門委員会(第65回)議事録

日時

令和3年10月11日(月)15:00~17:00

場所

WEB会議システムにより開催

議事次第

1.開会

2.議事

(1)今後の検討課題の現状について
(2)今後の自動車排出ガス専門委員会の進め方について
(3)その他

3.閉会

配布資料一覧

資料

資料65-1  自動車排出ガス専門委員会(第64回)議事要旨  
資料65-2-1 第十四次答申及び報告で示された今後の検討課題について
資料65-2-2 第十四次答申及び報告で示された今後の検討課題の現状について
資料65-3  今後の自動車排出ガス専門委員会の進め方について
資料65-4  令和3年度以降の自動車排出ガス専門委員会スケジュール(案)

参考資料

参考資料   排出ガス規制に関する欧州の動向について

議事

15時00分 開会

【森山補佐】 それでは、定刻となりましたので、ただいまより中央環境審議会大気・騒音振動部会第65回自動車排出ガス専門委員会を開会いたします。

 本日の会議は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点もあり、ウェブ会議での開催とさせていただき、また、中央審議会の運営方針に基づき公開とさせていただいており、環境省水・大気環境局総務課、公式動画チャンネルでライブ配信を行っております。

 資料については、環境省ホームページにて公開しており、議事録についても委員の先生方のご確認後、同様に環境省ホームページにて公開させていただきます。

 出席者の確認になりますが、本日は全ての委員にご出席いただいております。

 また、本日の専門委員会より、塩路委員が委員長に就任されております。

 塩路委員長、一言ご挨拶をお願いいたします。

【塩路委員長】 塩路です。

 私自身も、自動車排出ガス専門委員会は、第5次答申ですかね、かれこれ二十年近く前になりますけれども、新長期規制を決めたときから関わらせていただいて、そのときは公害対策であるとか、あるいはその後、環境基準の達成というものを目標として、様々、規制値を強化するということを議論してまいりましたけれども、昨今、自動車が非常に変革期を迎えておって、大気環境基準も、ほぼ達成している状況にあると思います。

 その中でも、新しいというか、新たな環境行政というか、そういうものの在り方というのも、今、自動車関係でも問われていると思いますので、だから環境を放っておいてもいいというわけではなく、引き続き、皆さん方からのご意見を取り入れていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【森山補佐】 委員長、ありがとうございました。

 また、新たに同志社大学の松村委員に専門委員として参加いただいております。

 松村先生、カメラをオンにして、一言いただければと思います。よろしくお願いいたします。

【松村委員】 同志社大学の松村でございます。

 内燃機関の噴霧と燃焼に関わっております。どうぞよろしくお願いいたします。

【森山補佐】 松村委員、ありがとうございました。

 続きまして、専門委員会事務局側ですが、前回から人事異動がありましたので、ご紹介させていただきます。

 水・大気環境局長の松澤でございます。

【松澤水・大気環境局長】 松澤でございます。

【森山補佐】 大臣官房審議官、森光でございます。

【森光審議官】 森光でございます。よろしくお願いします。

【森山補佐】 水・大気環境局総務課課長兼自動車環境対策課課長、飯田でございます。

【飯田課長】 飯田でございます。よろしくお願いします。

【森山補佐】 水・大気環境局総務課環境管理技術室室長、鈴木でございます。

【鈴木室長】 鈴木でございます。よろしくお願いいたします。

【森山補佐】 ここで、水・大気環境局長の松澤より、一言ご挨拶申し上げます。

【松澤水・大気環境局長】 水・大気環境局長の松澤でございます。

 塩路先生、この度、委員をお引き受けいただきまして、ありがとうございました。この自排専の先生方、非常に長く委員をご就任、お勤めいただいている方は多うございます。大聖先生の後を受けて塩路先生に、これから自動車排出ガス専門委員会の委員長で、この第十四次答申以降の検討をリードしていただければというふうに思います。

 また、この度、新たに松村委員に委員のご就任を引き受けていただきまして、これもまたありがとうございます。非常に専門的な検討を、新しく委員になっていただきました松村先生を迎えて、フレッシュな形でさらに進めていければというふうに思います。

 令和2年8月に、この専門委員会の第十四次報告を進めていただいて、その後、それに基づいて中央環境審議会で第十四次答申をいただきました。誠にありがとうございました。

 その後、今年の8月に答申、第十四次報告に基づきまして、自動車排出ガス量の許容限度、環境省告示について、粒子数規制やガソリンLPG特殊自動車規制など、所要の改正を行わせていただいております。

 本日、この専門委員会では、議題が大きく二つございまして、今後の検討課題、まずは現状ということで、第十四次答申におきましては、今後の検討課題として大きく10項目をお示しいただきました。そのうち微小粒子状物質ですとか、大体3項目ぐらいが重点課題というふうなことで、お示しをいただいておりますけれども、この10項目について、まず、現状はどうなっているのかといったところを、本日は事務局から説明をさせていただこうと思います。

 続きまして、この検討課題について、今後の議論の進め方について、委員の先生方のご意見をいただきたいと思います。

 加えまして、特にどの課題を優先的に検討すべきかといったことについても、ご審議をいただければと思います。

 最後に、令和3年度以降の専門委員会のスケジュール案についても、今回、案をご用意させていただいていますので、これについてもご相談をさせていただきたいと思います。

 本日、約2時間でございますけれども、専門委員会の委員の先生方から、活発なご意見をいただければというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 委員長、どうぞよろしくお願いいたします。

【森山補佐】 松澤局長、ありがとうございました。

 それでは議題に入る前に、事前に資料について確認させていただきます。

 まず、議事次第がございまして、専門委員会委員名簿。

 続いて、資料65-1として第64回専門委員会議事要旨。

 資料65-2-1といたしまして、第十四次答申及び報告で示された今後の検討課題について。

 資料65-2-2といたしまして、第十四次答申及び報告で示された今後の検討課題の現状について。

 資料65-3といたしまして、今後の自動車排出ガス専門委員会の進め方について。

 資料65-4といたしまして、令和3年度以降の自動車排出ガス専門委員会スケジュール(案)について。

 そして、最後に参考資料でございますが、排出ガス規制に関する欧州の動向について。

 以上でございます。資料の不足等ございましたら、事務局までお申しつけください。

 資料はウェブ画面上に共有いたしますので、あわせてご確認いただければと思います。

 それでは、以降の進行を塩路委員長にお願いできればと思います。

 塩路委員長、よろしくお願いいたします。

【塩路委員長】 本日、お忙しい中、お集まりいただいて、ありがとうございます。全員ご参加ということです。改めましてお礼申し上げます。

 大聖先生から引き継ぎましたけれども、これまで同様に、忌憚のないご意見をいただいて、議論を進めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、早速ですけれども、本日の議題に入りたいと思います。

 議題の(1)番、今後の検討課題の現状についてでございますが、これを事務局からご説明をお願いいたします。今後の検討課題が10項目ありますので、項目を適宜区切りながら、また、ご説明をお願いしたいと思いますけれども。

 それでは、よろしくお願いします。

【森山補佐】 それでは、ただいま塩路委員長からございましたとおり、議題(1)につきまして、まずは資料65-2-1を使用して事務局より説明させていただきます。

 65-2-1、次のページをご覧ください。

 こちらは、第十四次答申及び報告で示された今後の検討課題について列記せていただいております。それぞれの検討課題の詳細につきましては、次の資料のほうで詳細のご説明をさせていただきますので、初めは項目の紹介だけにとどめさせていただければと思いますが、まず、微小粒子物質等に関する対策、二つ目がブレーキ粉塵及びタイヤ粉塵に関する対策、続きまして、特殊自動車の排出ガス低減対策。最初の3項目が答申においても重点的に検討していく課題とされたものでございます。

 続きまして、燃料蒸発ガス低減対策、アイドリング規制の見直し、路上走行検査等の導入、低温試験及び高温試験の導入、ガソリン・LPG重量車の排出ガス低減対策、燃料性状による排出ガスへの影響、そして最後、その他の未規制物質対策、以上10項目検討課題がございます。

 本日は、これらについてご審議いただきたいと思っておりますが、その際に論点として考慮すべき事項を、次のページでお示しさせていただいております。

 まず、1点目でございますが、我が国の大気環境の状況は、全体として改善傾向にございます。しかしながらPM2.5については依然として環境基準が達成されていないという点や、光化学オキシダントにつきましては、環境基準の達成率が極めて低い状況にあるといった点がございます。そうした状況を踏まえながら、大気環境に対する自動車からの排出の影響度などを考慮いたしまして、効果的な対策を講じていくべきではないかというのが一つ目の論点でございます。

 二つ目でございますが、国際動向につきましては、EUを含む国際動向を見てみると、引き続き自動車からの排出ガス対策については審議がなされておりまして、さらなる規制強化が進められる見込みでございます。自動車は、国際的に流通する商品でございますので、そうした動向も踏まえ、調査・検討を進めていくべきではないかと考えております。

 こちらについて、参考資料のほうで欧州の動向について記載させていただいておりますので、適宜、ご参照いただければと思います。

 3点目でございますが、カーボンニュートラルに向けて自動車の電動化や燃料のカーボンニュートラル化が推進されておりますので、そうした動向も踏まえながら、今後の排出ガスに関する自動車単体規制のあり方についても考えていくべきではないかとさせていただいております。

 以上、こういった論点を踏まえてご議論いただければと思います。

 こちらについては、手短ではございますが、説明は以上となります。

【塩路委員長】 ありがとうございます。

 それでは、ただいまご説明いただいた資料65-2-1に関する内容について、何かご意見とかご質問がございましたらお願いしたいと思います。

 先ほど申されたように、それぞれの中身については、また今からご説明いたしますので、まず、考慮すべき事項とか、そういうことに関して、何かご質問がありましたらお願いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

 いかがでしょうか。何か資料65-2-1に関して、ご質問とかご意見はありませんでしょうか。

 大丈夫ですよね。もし、あるようでしたら、今後のときにも、また、おっしゃっていただいたらと思いますので。

 それでは、次に進ませていただきます。

 続いて、資料65-2-2、先ほどのご説明いただいたものの中身ですね。それが10項目ありますので、多分、3、3、4でしたかね。それぐらいの形で質疑応答を承らせていただきたいと思いますので。

 それでは、事務局からご説明、お願いいたします。

【森山補佐】 それでは、次に、資料65-2-2に基づきまして説明させていただきます。

 まずは、一つ目の検討課題、微小粒子状物質等に関する対策と、二つ目、ブレーキ粉塵及びタイヤ粉塵に関する対策、そして三つ目、特殊自動車の排出ガス低減対策について、三つまとめてご説明させていただきます。

 まず、一つ目の微小粒子状物質に関する対策でございますが、こちらにつきましては第十四次答申で導入が提案されております粒子数規制につきまして、検出下限が23nm以上のものということで測定法が決まっていたわけではございますが、検出下限を10nmに引き下げるという議論が進んでおりましたので、そちらにつきまして、基準調和活動などに参加するとともに、試験法の導入について検討すべきであるとされているものでございます。

 次のページに、参考でございますが、冒頭でも申し上げました大気環境に関する状況について、参考に載せさせていただいております。令和元年度、平成25年度以降、緩やかな改善傾向にはなっているところでございますが、令和元年度の環境基準達成率は、一般局で98.7%、自排局で98.3%となっている状況でございます。

 また、一次粒子でございますが、平成27年度の一次粒子としてのPM2.5の排出量が、約6万トンとなっているうちに、自動車からの排出ガスは約1万トンであると推計がなされているところでございます。

 続きまして、国内の現状でございますが、先ほど申し上げましたとおり、第十四次答申の中で、測定感度の限界の問題から、PM質量規制を強化することは困難でありますので、PM低減のためには質量と相関があり、より高感度な計測が可能な粒子数規制を導入することが適当であるとされております。

 そちらの計測法につきましては、23nm以上のものを測定するという前提の下、許容限度目標値や適用開始時期が定められているところでございまして、早いものでしたら、令和5年末までには適用が開始されるということになっております。

 海外も含めた審議の状況でございますが、自動車基準調和世界フォーラム傘下のPMP-Informal Working Groupというところで、PN計測法について23nm以下の排出量につきまして多い車両があったということを受けまして、通称sub-23nmと呼ばれておりますが、23nmよりも低い計測範囲について議論が始まった状況でございます。

 その後、JRC、欧州の研究機関の研究によりまして、10nmの目的は技術的に可能と判断されまして、その後、各国でも問題なく計測が可能かどうかというのを、日本も参画したラウンドロビン試験を実施いたしまして、その結果、23nmと10nmの間で計測安定性の違いが確認されなかったということから、昨年の11月に乗用車等につきましては計測、10nmに引き下げる計測法、試験法が策定されたところでございます。

 現状、PMP-Informalの中では、PN計測の検出下限を10nmに引き下げるという試験法につきまして、重量車のほうにも展開するということで、検討を行っているところでございます。

 以上を踏まえた留意事項や今後の予定でございますが、まず、欧州では次期排出ガス規制におきまして、この10nmまで引き下げるというものを取り入れて、なおかつ規制値を強化するということが検討されていると伺っております。

 また、我が国の大気環境に対する自動車排出ガスの影響度を把握し、また、そういった国際的な動向も踏まえた上で、必要が認められた場合には、PN検出下限値の引下げを検討する必要があるのではないかと。

 まず、本年度中に2018年度のPM2.5排出量を算出するとともに、検出下限値を引き下げた場合のPNの変化についてシャシーダイナモ試験などを行いまして、大気環境に関する自動車排出ガスの影響度を把握していきたいと考えているところでございます。

 続きまして、二つ目の検討課題、ブレーキ粉塵、タイヤ粉塵の対策でございます。

 こちらにつきましては、まず、8ページ目をご覧いただければと思いますが、自動車の排気管から排出されるPMの低減に伴いまして、これまで規制が入ってこなかったそれ以外のブレーキ、タイヤ粉塵などの排出割合が、総体的に高まっているということが指摘されておりまして、現在、ブレーキ、タイヤ粉塵の試験法の策定に向けて取組中でございます。

 左下の図が、欧州のインベントリを基にしたイギリスの排出量の推計ではございますが、2030年には自動車から排出されるPM2.5の90%が非排気粒子が占めるとされております。また、右側でございますが、2015年度のPM2.5の一次粒子の排出量のうち、非排気粒子が約20%を占めているという、我が国の推計もございます。

 続きまして、WP29傘下のPMP-Informalでの活動でございますが、WLTCサイクル策定時に、各国から提出された走行データを解析いたしまして、ブレーキサイクル、通称WLTP-Brake Cycleと呼ばれているものを作成している状況でございます。

 なお、このサイクルにつきましては、日本の走行実態と大きな差がないということが確認されている状況でございます。また、110km/hを越えるショートトリップにつきましては、Extra Highとして取扱うということになっております。

 一方で、測定条件につきましては、風量とかブレーキの温度条件など、まだまだ議論が続いているような状況でございまして、今年に各国の研究機関において、ラウンドロビン試験を実施予定でございますので、日本としても参画していく予定でございます。

 続きまして、参考ではございますが、ブレーキ粉塵の装置の概略でございますが、過渡運転が可能なダイナモメータに車輪を想定したディスクをつなぎまして、実走行を模擬した走行パターンで回転させます、そちらにつきまして、ブレーキパッドを用いて実際のブレーキ操作を行いまして、それにより発生する粉塵の量を捕集するというものでございまして、ブレーキシステム単体でのPM排出量の測定を行うといった形になっております。

 一方で、タイヤ粉塵でございますが、こちらにつきましては、欧州で義務づけとなっているタイヤラベリング制度において、タイヤ摩耗量の表示の導入を決定しているところでございまして、タイヤ摩耗量に関する試験法の開発に着手しているところでございます。

 欧州のタイヤ摩耗量に関する試験法が開発された後に、PMPにおいてタイヤ摩耗量とタイヤ粉塵の関係性について検討する予定となっております。

 以上を踏まえた留意事項や今後の予定でございますが、欧州では次期排出ガス規制において、ブレーキ粉塵規制を導入することが検討されております。

 国連において検討されている試験法に関する調和活動に積極的に参加するとともに、我が国の大気環境に対する、こういったブレーキ粉塵、タイヤ粉塵などの影響度を考慮した上で、必要性が認められた場合には、その規制導入を検討する必要があると考えております。

 まずは、本年度中に2018年度のPM2.5排出量を算出するとともに、道路沿道におけるPM2.5中に、ブレーキ粉塵、タイヤ粉塵がどれぐらいあるのかという割合を調査していきたいと考えております。

 また、ラウンドロビン試験には、先ほど申し上げましたとおり参画して、国連に情報を展開していきたいと考えているところでございます。

 続きまして、三つ目の検討課題になりますが、特殊自動車の排出ガス低減対策でございます。

 こちら、(1)と(2)に分かれておりまして、(1)が今まで規制対象となっていた特殊自動車、(2)がそれ以外でございますが、ここで重点的検討課題として想定されているのは、(1)の規制対象のものでございます。

 次のページに、これまでの規制の経緯がございますが、これまでも順次規制強化をしてきたところでございまして、例えば第9次答申ではNRTCモードを導入したり、第11次答申ではブローバイガス対策を行ったといったもの。また、ガソリン、LPG、特殊自動につきましては、昨年度の第14次答申の中で過渡サイクルを導入するとともに規制値を強化するということで、令和6年、2024年末までに適用を開始するという形になっております。

 続きまして、15ページ目でございますが、これは検討課題1のほうと重複しますので、説明を割愛させていただきますが、特殊自動車以外の自動車につきましては、粒子数規制が導入されたということを再掲させていただいております。

 続きまして、16ページ目でございますが、微小粒子状物質につきまして、自動車からの年間総排出量、左が2019年度版、右が2029年度版を推計したものでございますが、こちら、全体としては減りますけれども、ディーゼル特殊自動車の寄与割合が今後増加するということが予想されますので、ディーゼル特殊自動車の規制強化を行うことにより、さらなる大気の改善が期待できるのではないかと考えております。

 なお、ガソリン車につきましては、ガソリン車も寄与割合が増加しているように見えますが、こちら、近年の規制強化の状況が、まだこの推計に反映できていないというところがございますので、規制強化を考慮したガソリン自動車からの排出量の推計というのは、今後、精査できればと考えております。

 続きまして、国際基準調和の状況でございますが、現状、日本や米国、欧州と、規制値や測定方法は、ほぼほぼ調和している状況ではございますが、例えば欧州を見てみますと、粒子数規制が特殊自動車に、もう既に適用されていたり、まだ、差異がある部分はございます。

 以上を踏まえた留意事項や今後の予定でございますが、今後、自動車から排出されるPMの総排出量におけるディーゼル特殊自動車の寄与割合が増加することが予想されます。また、粒子数規制につきましては、欧州ではディーゼル特殊自動車にも採用しているという実態もございます。

 我が国の大気環境に対するディーゼル特殊自動車の排出ガスの影響度を把握し、国際的な動向も踏まえつつ、必要が認められた場合には、このPN規制の導入などについて検討する必要があると考えております。

 まずは今年度中に、2018年度のPM2.5排出量を算出するとともに、ディーゼル特殊自動車の排出実態調査を進めていきたいと考えているところでございます。

 以上で、最初の3項目につきまして説明させていただきました。

【塩路委員長】 ありがとうございました。

 それでは、ただいま三つの項目についてご説明いただきましたけれども、何かご意見とかご質問がございましたら、お願いしたいと思います。

 何かご質問はございませんでしょうか。これ、いかがでしょうかね。

 これを、次の答申とかに含めるかどうかということに関しては、また、改めて議論していくことになろうかと思いますけれども、まずは、この内容ですね。それをご理解いただきたいなと思いまして。

 何かご質問等ございませんでしょうか。今の微小粒子状物質とか、ブレーキ、タイヤ粉塵とか、特殊自動車に関するものですけれども。

【草鹿委員】 それでは、草鹿のほうから、よろしいでしょうか。

【塩路委員長】 お願いします。

【草鹿委員】 資料の8ページで、巻き上げ粉塵がブレーキ粉塵も含んで、排出量がだんだん多くなっているということなので、この今後の試験にもよると思います。しかし、いわゆる巻き上げ粉塵の中で、ブレーキ粉塵がどのぐらいの割合を占めるかということで、その割合があまり小さいようですと、調べてもやりがいがないというところがありますので、調査しながらということになろうかと思います。この点を注意して見ていったほうがよいかなと思いました。

 それから、もう一点は、タイヤの摩耗量に関するものは、やはり欧州のラベリング制度を見ながら、実際に減った分が出てくるということなので、それも併せて、先ほどのブレーキ粉塵とセットで検討する必要があります。

 要するに、全体の占める割合を常に見ながらやっていくとよいということです。

 それから、特殊自動車の排出ガスに関してなんですけれども、これもやはり、DPFをつけて、その後、NOx触媒をつけるかどうかということなので、これも諸外国の動向をちょっと見ながらやっていく必要があると思っています。

 以上、ちょっと雑駁なんですけど、まずは思いついたところでコメントを。

【塩路委員長】 はい。分かりました。ありがとうございます。

【草鹿委員】 あと、もう一点あります。

【塩路委員長】 はい、どうぞ。

【草鹿委員】 もう一点は、エバポです。燃料蒸発ガス、これは、前々回の答申のときにも、VOCを注意していくということで、積極的に自工会さんと、それから石油、石連さんとで、自主的にやってきましょうということになったので、パーセンテージ的に言うと、環境配慮型のSSがそんなに増えていないんですけれども、大事なのは、大口のSSさんが、こういうものをつけていただくと、件数的にはそれは1件なんですけれども、実質的な量としては抑えられていることになりますので、データ整理の方法としては、SSの使用量を調べる必要があります。そのSSの取扱い量とエバポ対策をしているかどうかというのが大事かなと思います。

 逆に言うと、小口のところは、そんなに効果的には大きくないのかなと思います。もう一点は、自動車側につけるとすると、特に日本の自動車の場合、軽自動車が多いので、スペース的には相当厳しいのかなと思います。半分ぐらいが今、軽自動車の販売台数になっていると思っています。以上です。

【塩路委員長】 ありがとうございます。

 後半に言われたエバポの話は今から、まだ。まだ説明していないところなんですけれども。

【草鹿委員】 失礼しました。

【塩路委員長】 でも、一部をお伺いしましたので。

 いずれにしても、あれですよね。草鹿先生の言われているのは、データをちゃんと取って、説明できるような形でいろいろ提示してほしいという、そういう意味だと思いましたので。

【草鹿委員】 はい。そうです。

【塩路委員長】 何か事務局から、コメントはありますでしょうか。その、特に最初に言われたタイヤとか。

 要するに、そういう内訳までを見るように調査を進めるという予定にしているのかどうかというところだと思います。

 お願いします。

【森山補佐】 事務局でございます。ご質問をいただき、ありがとうございます。

 今、草鹿先生からご指摘のあった点、まさにおっしゃるとおりだと思っておりまして、現状、巻き上げ粉塵の中にブレーキ粉塵なども含まれている状態で推計がされているんですけれども、今後は、こういったものは切り分けられるようにできないかということで、精緻化を進めていきたいと思っておりますので、また、タイヤ粉塵を含めて、実際道路沿道でどれぐらい寄与割合があるのかというのを調べていきたいと考えておりますので、また報情集まりましたらご紹介させていただければと思っております。

【塩路委員長】 はい。よろしくお願いします。

 そのほか、何かご質問とか、コメント等ございますでしょうか。

【坂本委員】 坂本ですが、よろしいでしょうか。

【塩路委員長】 お願いします。坂本先生。

【坂本委員】 スライドの3枚目で、微小粒子状物質に関する大気環境等の状況という形で、一次粒子で自動車がどのくらいを占めるかと、そういうことと一緒にやっていますけれども、自動車排ガスの自排局と一般局の差異はカーボン、要は直接排気と、もう一つはナイトレートなんですね。そうすると、今、ここで議論しているのは、あくまで一次だけの話で、ナイトレートについてきちんと考えていかなければいけない。これについては、また最後のほうでアンモニアの話が出てきますけれども、道路沿道では、硝酸系のものとアンモニア系のものが同時に排出されていることによって、ナイトレートができやすい可能性があるわけです。そういう意味で、全体の自動車排ガスからの環境への影響といった場合には、二次のものについても、排ガスのどういう組成から関係しているのかということを考えていく必要があるのではないかというふうに思います。

 以上です。

【塩路委員長】 ありがとうございました。

 坂本先生、今の話は、最後の未規制物質対策についても関係することですよね、強く。

【坂本委員】 はい、そうです。

【塩路委員長】 そうですね。分かりました。

 このPMというものに対して、どこまで、だんだん小さくなっていきますので、そういったところも、一次粒子だけではなくて、二次粒子もちゃんと注目すべきだというご指摘だと思います。ありがとうございました。

 そのほか、何かございますでしょうか。よろしいですか。

 今のご質問も、10項目に分けてはいるものの、互いに関連するものも含まれていると思いますので、また改めまして、最後のほうにご議論いただいてもいいかなとは思います。

 そのほか、何かご質問とかコメントございますでしょうか。

【石井委員】 すみません、交通研の石井ですけれども。

【塩路委員長】 石井先生、よろしくお願いします。

【石井委員】 細かいことなんですけども、スライド9枚目で、ブレーキ粉塵のサイクルで、110km/hを超えるショートトリップをExtra Highとして扱うこととなっていますけれども、確認なんですが、これを日本で試験をするときには、ショートトリップを除いて試験するということなんでしょうか。すみません、細かい話で。

【塩路委員長】 なるほど。いかがでしょうね。試験の段階から、もうショートトリップをというか、Extra Highを除いてやるのかどうかということだと思います。

【森山補佐】 ご指摘ありがとうございます。事務局でございます。

 こちらにつきましては、どういった試験を実際やっていくのかというのは今後の検討にはなっているんですが、ただ、通常のWLTCのほうが、Extra Highフェーズのほうが日本では除かれているということを加味しますと、おそらくブレーキ粉塵につきましても、Extra Highにつきましては除いて試験を行うという方向で今後検討していくのかなとは思っております。いずれにせよ、今後具体的に、どういった法規になるかといった、どういったGTRになるかといったところで議論されていくものだと理解しております。

【塩路委員長】 では、ちょっと石井さんの質問とは違うのかもしれませんけども、規制値を決めるときには、Extra Highを含めたほうがいいんじゃないかというご指摘が実は今までにもありました。しかし、今のところExtra Highを除くことになっていますが、今言われているのは試験をする、どういう実態であるかということを調査する段階においても、Extra Highは除くんですかという、そういう質問だと思ったんですけれども、それはいかがなんですか。

【森山補佐】 ご質問ありがとうございます。

 その点につきましては、可能な限り両方のフェーズ、Extra Highについたものも含めて調査できればと思っているところではあります。

【塩路委員長】 ですよね。では、その上で今後どうしていくかということを議論したらいいかなと思う。

 石井さん、それでよろしいですかね。

【石井委員】 はい。

【塩路委員長】 今のご質問、それでよろしいでしょうか。

【石井委員】 はい。ありがとうございます。

【塩路委員長】 一応、Extra Highも含めて調査した上で、また、それを含めるかどうかは、その後、改めて議論するということになろうかと思いますので。

【石井委員】 はい、分かりました。ありがとうございます。

【塩路委員長】 よろしくお願いします。

【飯田委員】 飯田でございます。よろしいでしょうか。

【塩路委員長】 はい、お願いします。

【飯田委員】 ブレーキ粉塵とタイヤ粉塵が排出量の把握が難しいのは、これらの発生源のポイントが、構造上、大気に直接接触していて、発生部位から大気中のいろんな方向に放出されるので全量を捕集することが技術的に困難なところにあります。それから、ブレーキ粉塵もタイヤ粉塵も、発生部位から固相の状態で放出されるものと、気相の状態で放出されてその後に固相に変わるものとが含まれます。今お話のあったブレーキ粉塵については、実際には金属のディスクとブレーキのパッドとの接触面に生じる摩擦熱で、パッドとブレーキディスクの表面が高温に加熱された環境下で発生します。それで、非常に難しいのは、ブレーキ粉塵の排出量はパッドの温度に大きく依存するところですが、加えて、その試験をする前にどれだけの温度まで上がったかというような過去のブレーキバッド使用履歴、温度履歴の違いにより例えば同じ一連のWLTCモード試験をしても、異なる排出量になることが知られています。粉塵排出量の計測には難しさがありますので、今後、それらのことにも留意されて、計測の部署にて計測方法および計測データの調査・検証をしていただきたいと思います。

 ちょっと長くなりましたが、よろしくお願いします。

【塩路委員長】 ありがとうございました。

 今、かなり貴重な意見だと思いますけども、結局、飯田先生の言われているのは、プレコンディショニングをきっちりして、ちゃんと認識した上で、粉塵の量というのをちゃんと測定しておいてくださいよという、そういうことですよね、きっと。

【飯田委員】 はい、そういうことです。実際に試験されると分かるんですが、粉塵の量がブレーキシステムのコンディションに依存します。それでなかなかうまい測定法や試験法が定まってこなかったというところもございますので、よろしくお願いします。

【塩路委員長】 分かりました。ありがとうございます。

 これは国連でもいろいろ検討を進められている中で、そういった辺りって、どういうふうになっているんでしょうね。ちょっと、その辺、ご存じでしたら、事務局のほうでお答えいただきたいと思いますけれども。

【森山補佐】 事務局でございます。ご指摘ありがとうございます。

 ブレーキの試験を行う前のプレコンディショニングについては、その点も含めて現在検討中だというふうに伺っておりまして、おそらく今後ラウンドロビン試験を行いまして、実際、そういったところが、より明確になってくるのかなと思っております。

【塩路委員長】 じゃあ、やっぱりそういう温度、特に温度だと思いますけども、その影響というのも、ちゃんと踏まえた上で、測定というのかな、それをちゃんと、データを取っていただきたいなということで、よろしくお願いします。こちらも、だから、そういうことをこれから議論する中で注視していきたいと思いますので。

 飯田先生、ありがとうございました。

 そのほか、何かございますでしょうか。

 よろしいでしょうかね。また、もし思いつかれたら、最後にでもご発言いただけたらと思いますので、じゃあ、その次の三つについて進めたいと思います。

 それでは、続いて事務局からご説明をお願いします。

【森山補佐】 続きまして、燃料蒸発ガス低減対策とアイドリング規制の見直し、路上走行検査等の導入について、まとめてご説明させていただきます。

 まず、19ページ目になりますが、燃料蒸発ガス低減対策、こちらは大きく分けて二つございまして、上の段落のほうは、駐車時において自動車から発生される燃料蒸発ガス低減対策、二つ目の後段の段落のほうにつきましては、燃料給油時に発生する燃料蒸発ガスということで、それぞれ検討課題となっているところでございます。

 20ページをご覧いただければと思いますが、現状、VOCに関する大気環境等の状況について、2015年度のVOC排出量における燃料蒸発ガスの自動車からの寄与割合が3.8%、給油所からの寄与割合が10.7%でございました。なお、固定発生源などにつきましては、平成26年度までに、平成12年度比でVOC排出量の5割以上の削減がなされている状況でございます。こちら、右下の図にグラフを載せさせていただいております。また、国際基準関係でございますが、燃料蒸発ガスの試験法につきまして、現在、国際統一基準(GTR19)のほうにも記載もございますし、それを踏まえたUNR154、WLTPに関するUNRのほうにも同じ試験法が取り入れられておりまして、日本でも採択しているという状況になっているところでございます。

 続きまして、給油所側からの対策につきましては、第十三次答申に基づき、大気環境配慮型SS認定制度というものを実施しております。こちらは環境省と資源エネルギー庁のほうで、燃料蒸発ガスの回収をする機能を有した給油機を設置したガソリンスタンドにつきまして認定し、広く公表することなどによりまして、その普及促進をし、大気環境の保全を図るということを目的としている制度でございまして、通称「e→AS」と呼ばれております。現状、全国で424件の認定がなされている状況でございます。

 こちらにつきまして、22ページ目にございますが、普及・広報活動を行っておりまして、まず、ポスター・チラシの配布などを行っておりまして、また、エコライフ・フェアなどの展示会には適時参加させていただいておりますのと、内容について簡単に理解できるような動画というのも用意しております。また、展示会などにお子様のお客様も多かったということから、子ども向けの表題というのも準備している状況でございます。また、業界の方との連携といたしまして、カーナビの画面に、ガソリンスタンドで該当するものでございますとe→ASのロゴマークを表示したり、また、JAFさんとの連携といたしましては、「のぼり旗」のほうにe→ASロゴマークをつけさせていただいているという活動も行っているところでございます。

 以上を踏まえました留意事項や今後の予定でございますが、欧州では、次期排ガス規制のEURO7におきまして、燃料蒸発ガス駐車試験の規制値を強化するとともに、ORVR、自動車側の燃料蒸発ガスの回収というのも導入することが検討されているというふうなことを伺っております。燃料蒸発ガス試験法の国際基準の改正については、国内導入し、基準調和を今後も進めていければと考えておりまして、また、燃料蒸発ガスに関する国際統一基準の中では、試験駐車の日数をより長くすることについて考慮が必要かもしれないという規定もございますので、試験駐車日数に関する議論について、今後の国際動向を注視していきたいと考えております。また本年度中に2018年度のVOC排出量を算出予定でございまして、また、引き続き、既存の対策といたしまして、大気環境配慮型SS(e→AS)の利用促進を行っていきたいと考えているところでございます。

 続きまして、アイドリング規制の見直しでございますが、こちらは第63回の自動車排出ガス専門委員会でもご議論いただきましたが、十三次答申の中で、四輪車のHC規制の廃止と四輪車の規制値の強化について検討課題とされていたところでございますが、HC規制の廃止につきましては、COとHCの排出量に相関関係が認められなかったことから、HC規制を廃止すべきという結論には至らなかったという経緯がございます。また、四輪車の規制値の強化につきましては、現状欄にもございますが、2021年8月に発行された、UNR154、WLTPに関するUNRの中で、WLTCによる排出ガス試験や燃料蒸発ガス試験などの規定は既にあるものの、アイドリング試験は規定されておらず、今後の課題となっている状況でございますので、留意事項や今後の予定といたしましては、今後も、引き続き、その排出ガス関連規則の組替えの検討状況、動向に注視しつつ、検討できればと考えているところでございます。

 続きまして、路上走行検査の導入でございます。こちら、最初の2段落は、国内においても2022年10月から路上走行規制を適用することになった経緯を記載させていただいておりまして、3段落目が、今後の検討といたしまして、PN規制の導入、シャシーダイのほうに入ったPN規制を路上走行検査のほうでも導入すべきかどうかといった点や、排出ガスの総量算定のために、より実路走行を活用すべきではないかという点が挙げられているところでございます。

 26ページ目に現状がございますが、まず、国際基準関係で申しますと、乗用車などにつきましては、路上走行検査のための日欧統一試験法、UNR-RDEと呼ばれているものが現在審議を進められておりまして、今後、WP29のほうで検討が進められる予定でございます。また、UNR-RDE、こちらは日欧の統一試験法でございますが、それ以外の米国やインドを含めた試験法につきましても、世界技術規則(GTR)のほうで引き続き検討を行っておりまして、その対応を行っているところでございます。また、RDE試験においても、PN計測の検出下限を10nmに引き下げるという試験法につきましては、今度の1月のGRPEで審議予定というふうに伺っております。

 また、それ以外の路上走行に関する調査といたしまして、原単位調査がございまして、「自動車排出ガス原単位及び総量算定調査」において、算定方法の見直しのためのPEMSを用いた路上走行時の排出実態の把握を行っておりまして、また、関連するものといたしまして、「尿素SCRシステム搭載車の排出ガス性能評価調査」において、銅ゼオライトを使用した尿素SCRシステム搭載車につきまして、使用過程時の状況把握のために、路上走行時の排出実態調査を行っているところでございます。こちら二つの関連調査につきまして、結果を次のページでご紹介させていただきます。

 原単位調査自体は、乗用車なども含めた調査ではございますが、最近は重量車のほうに着目して調査を行っておりまして、令和2年度調査でございますが、少し小さくて恐縮ですが、平成28年規制適合の大型車、重量車につきまして、それぞれ原単位など策定しているところでございまして、車種ごとの原単位を見てみますと、シャシーダイ試験及び路上試験の排出実態から作成された原単位につきましては、車両によって傾向が異なっていたという結果でございました。また、より実走行の環境に近い自動車排出ガスの総量算定に向けて、外気温度に対する温度補正係数の設定に向けて課題の整理を行ったような状況でございます。また、参考ですが、令和2年度の平日の旅行速度につきましては、過年度の変動の範囲内でございまして、新型コロナウイルスによる明らかな交通影響は見られなかったといった結果も出ております。

 28ページ目に、一例といたしまして、NOxの排出量の算定の結果を載せておりますが、こちらについて、平成28年規制の重量車については、まだ温度補正が導入できていないところではございますが、今後、今年度以降に順次適用していければと考えているところでございます。昨年度調査のまとめといたしましては、路上走行時の排出実態結果により、温度補正係数の精緻化が可能になったと。その他のパラメータにつきましても、温度以外のパラメータにつきましても、検討して、活用していければと考えております。また、排出原単位の策定方法につきまして、路上走行時の排出実態調査の結果の一層の活用を図っていければと考えているところでございます。

 続きまして、尿素SCRシステム搭載車のほうの調査結果でございますが、昨年度の結果につきまして、こちらは平成28年規制の車両につきまして、運送事業者が所有しているものにセンサーを取り付けまして、実際の運行時の排出実態調査を行っているものでございます。

 結果が30ページ目にございますが、まず、路上走行試験の車両の調査時走行距離につきましては、表のとおりになっておりまして、こちらは耐久要件に定める走行距離にはまだ達していないということから、今後も、距離が延びた場合の性能評価というのも引き続き実施する必要があるのではないかと考えておりまして、これまでの排出量の試験結果によりますと、NOxの排出量につきまして、小型車では排出量が微増となっておりまして、また中型車では一時的に排出量が微増して、その後、また次の年度で下がったというような状況がございました。また、大型車Bでは高負荷運転域で高濃度のアンモニアスリップが生じておりまして、SCR触媒へのアンモニア吸着を阻害する要因等に起因する排出量の増加が確認されているところでございます。

 こちらは参考に、次のページに実際の時系列データを載せておりますので、適宜、ご参照いただければと思っております。

 また30ページに戻りますが、継続調査は今後引き続き行っていき、推移を把握することが望まれるとされておりまして、今後も引き続き検証を進めていければと思っております。

 続きまして、32ページ目でございますが、ページ26でもお示しさせていただいた現状を受けまして、留意事項や今後の予定でございますが、引き続き試験法に関する国際的な活動には参画していきたいと考えておりまして、そのほか、自動車排ガス原単位及び総量算定につきまして、引き続き、路上走行試験の活用による排出量の補正や、総量算定に資する原単位を検討していければと考えております。尿素SCRシステム搭載車の排出実態調査につきましても、引き続き、使用過程時における排出量の性能評価などに関する必要なデータを取得できればと考えているところでございます。

 以上で三つ目の検討課題まで説明させていただきました。

【塩路委員長】 ありがとうございました。

 それじゃあ、エバポの話とアイドリング規制の話とRDEの内容をご説明いただきましたけども、何か質問等、コメント等ございませんでしょうか。

【松村委員】 すみません、同志社大学の松村ですけれども。

【塩路委員長】 はい、お願いします。

【松村委員】 21ページのところで、SSのご説明をいただいたんですけれども、利用側、ユーザーから見ると、この促進のための活動というのは分かるんですが、給油所に回収装置を設置している件数そのものは、もう十分足りているという認識なんでしょうか。それとも、まだまだここも、もう少し増やしていかないとということなんでしょうか。

【塩路委員長】 どういうふうな認識かということですけど、この数字は。数字は一応ご説明いただいたんですけれども。

【松村委員】 ちょっと私が勘違いしているのかもしれませんけれども。

【塩路委員長】 いえいえ、いいですよ。分かります。

【松村委員】 回収装置はついているけれども、回収率というものが高くないので認定されていないというだけなのかなとも、ちょっと思いましたが、どうなのかと思いまして。

【塩路委員長】 回収装置、ついているものだと思いますけど、ちょっと事務局からご説明させていただきます。

【鈴木室長】 環境管理技術室の鈴木でございます。ご質問、どうもありがとうございました。

 我々のほうとしても、この数字で十分とは考えておりませんで、スライドの22ページなどを使って、普及策をしておりまして、そういったものの効果を見つつ、一層のSSの認定につなげていきたいと考えているところでございます。

 私からは以上になります。

【塩路委員長】 先ほど草鹿先生からご質問のあった、要するに小さいところと大きいところで、どういうふうな分布になっているかということも併せて、分かりましたらお願いしたいと思うんですけど。

【森山補佐】 事務局でございます。ご質問ありがとうございます。

 こちらにつきましては、少し事務局のほうでもデータ整理している途中ではございますが、例えばタンクの容量や計量機の機数など、e→ASの認定しているサービスステーションと全体で比較した場合には、e→AS認定サービスステーションのほうが多いという統計にはなっておりますので、またその辺り、もう少し詳細に分析などを今後できたらなというふうには思っております。

【鈴木室長】 1点補足でございますが、給油機でございますけども、最終的には、また燃料に戻す形になりますので、この装置を使う際、投資対効果というか、燃料が戻る利益とのバランスというところもあろうかと思います。どちらかというと、一般的に給油量が多いスタンドさんのほうが、効率がいいといいますか、投資を回収しますので、そういう観点から、大口さんのほうが多いとは思われますが、データのほうは、もう少し整理をしていきたいと考えているところでございます。

【塩路委員長】 いずれにしても、自主的にということですので、やはり最後にご説明いただいたように、大きいところが効果が多いということから、かなり有効な状況にはなっているんじゃないかなとは思いますけども、松村先生のご質問は、何かこれをつけてもうまくいかないところがあるのかという、そういうご心配ですか。

【松村委員】 いいえ、ユーザー側の認知を高めて、利用促進をしていくということができれば、今の回収装置のついている給油所の数だけで十分ということなのかなという質問でした。

【塩路委員長】 分かりました。まだ十分ではないということですね。だから、もう少し、やっぱりそういう認識というのか、それも含めて広げていく必要があるということを考えているという、それでよろしいですか。

【松村委員】 はい、結構です。ありがとうございます。

【塩路委員長】 ありがとうございます。

 そのほか何か、3件について。

【坂本委員】 坂本ですが、よろしいですか。

【塩路委員長】 はい、お願いします。

【坂本委員】 今、ここの議論で、VOCの排出抑制のそもそもの目的は、PMと、それから光化学オキシダントの濃度低減を目的としたものであるということは、VOCが排出された、言わば生ガスの排出と自動車の排気ガスという形になったものの、どちらがPMの生成やオゾン生成に大きく効くかという形で考えた場合、どうなっているのか。その割合によっては、こういう生ガスの排出抑制よりも、自動車排ガスそのものの組成によって、言わば光化学オキシダント生成なんかは大きく変わりますので、そっちとの絡みも考えないといけないのではないかなと思うんですが、この辺については、どういうふうに理解されているんでしょう。

【塩路委員長】 ありがとうございます。

 かなり、難しくなりますけども、20ページで、一応、給油所のほうと自動車側の排出VOCの量自身は、これで評価できると思いますが、やっぱりTHCの組成が違いますので、それが最終的な目標である光化学オキシダントの生成にどういうふうにつながっているかという、そこのところの機序というか、メカニズムというのも含めて考える必要があるんじゃないかという、そういうご指摘でよろしいんですよね。

【坂本委員】 はい。

【塩路委員長】 何か事務局からご説明いただけますか。それも、今後の検討課題だと思いますけれども。

【森山補佐】 坂本様、ご指摘ありがとうございます。

 おっしゃるとおり、実際、こういった排出量が大気環境にどれぐらい影響を与えるかというのは、今後、可能な限り検討していきたいなと思っておりまして、また、後ろのほうの資料にも出てくるのですが、例えばシミュレーションだとかが必要になってくるかとは思いますが、そういったものが現状でどこまで進んでいて、今後、例えば規制の効果把握にどれだけ適用できるかといったことも、今後検討していきたいなとは考えているところではございます。

【坂本委員】 そういったことを考えると、現在、VOCの自排から出てくるのは、THCという形で測定はされているけれども、組成を見る形もどこかに入れておかないと役に立たなくなるのではないかと思います。

【塩路委員長】 排ガスに含まれているTHCがどういう組成かというのは、もちろん給油所とは全然違いますので、生ガスというか、もともとの蒸発ガスとは、だから、ちょっとその辺りは、ある程度は多分シミュレーションで表現できているんじゃないかなというふうに思っているんですが、それ、坂本先生のほうがお詳しいんじゃないですか。

【坂本委員】 今の話は、PMと光化学オキシダント等対策、何でしたっけ、PM2.5検討委員会かな、PM2.5等専門委員会かな、もう一つのほうの、そっちのほうでむしろやるべき話にはなると思いますけども。

【塩路委員長】 そうですよね。

【坂本委員】 その辺のものについて、きちんと見ておかないといけないので、VOCの言わば組成をどこかでというか、今後変わっていくものをここでは測っていくことをやってもらえれば、そこについての寄与の程度というのも、どちらがどうかということが、だんだん、いえる情報が整理されていくということだと思います。

【塩路委員長】 分かりました。ありがとうございます。

 だから、そういうことに注意して、今後、インベントリも含めて注視しておいてくださいねというご指摘だと思いますので、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

 そのほか、何かございませんでしょうか。

【岩本委員】 よろしいでしょうか。岩本ですけれども。

【塩路委員長】 はい、岩本先生。

【岩本委員】 28ページ目を出していただけますか。ここに円グラフが出ていますが、これで報告していること、この書類として言いたいことは何でしょうか。よく分かっていないのですが。

【塩路委員長】 お願いします。

【森山補佐】 事務局でございます。

 すみません。こちらは実際の温度補正係数を活用した排出量の一例として、こういった形で活用しておりますということをお示しさせていただいたものでございまして、既に適用を開始しているものはございます。また、こちらに今後、今、調査しております平成28年規制の重量車にも反映して、この総量を算定していきたいというもので一例としてお示しさせていただいたものでございます。

【岩本委員】 既にもう公表されているものだということですが、このまま見ていますと、10年かかって全体は33万トンから19万トンまで減っているわけです。その中でディーゼル車は19から14ということで、努力が足りないというふうに見えます。

 下のほうに、平成28年規制の重量車については云々ということで断り書きはあるのですが、どう表現したらいいのかというのがちょっと疑問です。ディーゼル車についても規制をどんどんかけていって、今はきれいな空気になるようにしています、排気になるようにしていますというところが見えるようにしていただければありがたいのですが。

【塩路委員長】 何かございますか。

 何を言いたいかということですよね、この円グラフで。

【岩本委員】 そうです。ガソリン車は、例えば5.2万トンから1.3万トンで、頑張っていると見えるわけです。

【塩路委員長】 分かります。だから、そういうことではないんじゃないんですか、これ。そういうことを言いたかったんでしたっけ。

【岩本委員】 はい、それが伝わればいいのですが。

【塩路委員長】 そうですね、それは分かります。それは。

【鈴木室長】 環境管理技術室の鈴木でございます。ご質問ありがとうございます。

 少々説明不足で、すみません、例示があまりよくなかったのかもしれないですけど、環境省といたしましては、それ総量算定ということで、これも一つの事例として挙げていますように、何年度で、そのNOxならNOxの総量が何トンですという計算をしておりまして、その計算をする際に、かつては温度補正を行っていなかったのですけれども、順次その温度補正を行ってきておりまして、今後、全体に温度補正をしていきますよということが言いたいものでございまして、すみません、この円グラフ自体に意味があるというよりも、こういう円グラフをつくるときには、温度補正などをしてリアルタイムの測定、リアルワールドの状況を反映しているというふうに言いたかった、図になるものでございます。

 すみません、少し例示が適切ではございませんでした。

【塩路委員長】 岩本先生、お分かりいただけましたか。

 これ、だからRDEのところで言っていることでお分かりのように、なるべく、そのリアルワールドというかな、実態を反映したものをつくりたいということがあって、特に、その中でも温度補正の話が問題じゃないかということで、この円グラフだから、ちょっと、どこが温度補正、どうされているのかということがいま一つよく分からないから、その辺、誤解があるのかもしれません。このグラフだけを見て、そのディーゼル車をどうするかとか、そういうことを言いたかったんではないんですよ。

【岩本委員】 うん、それが伝わればいいんですけどね。

【塩路委員長】 うん、どう言ったらいいのかな、まあ……

【鈴木室長】 大変申し訳ございません。少し、また事務局のほうで、今後、整理を進めていきたいと思っております。

【塩路委員長】 いずれにしても、もう少しリアルワールドを反映した内訳というものをきっちり出していきたいという、そういうことを言われているんだと思いますので。

【鈴木室長】 はい。

【塩路委員長】 まあ後で、後でというか、それの検討を進めた上で、またご提示させていただきたいなと思っています。これをどうするかという議論は、また、その上で、また後で議論させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。すみません、どうも。

【草鹿委員】 よろしいでしょうか。草鹿です。

【塩路委員長】 はい、お願いします。

【塩路委員長】 はい、草鹿先生、お願いします。

【草鹿委員】 先ほど、e→ASについては、前に述べたコメントのとおりです。ORVRについても、先ほどのとおりです。

 それで、次に、このSCRの31ページなんですけれども、これは一つの例として出てきており、DPFの再生時にアンモニアと、それからNOxが同時に排出されるということで、おそらく、DPFの再生時なので、EGRをかけるか、吸気をスロットルで絞っています。これはいきなり酸素をたくさん送り込むと、DPFの中のすす等が一気に燃えて、ディーゼル・パティキュレート・フィルタの溶損、これは溶けて損なうという意味ですが、溶損したりクラックが入ったりするので、酸素濃度を抑えて、じわりじわりとすす等を燃焼させます。そのとき、高温になるのでNOxが出るんですけど、このときになぜかアンモニアを噴射しても浄化反応が起きないので、原因が完全には分かりません。アンモニアを触媒がためている状態というのは、触媒層にたまっているんですけれども、ゼオライトの結晶の中に入り込んでいるアンモニアもあって、それが高温になり時間をかけて出てくるんじゃないかなとは感じました。

 だから、浄化反応が起きてないことと、アンモニア内部から排出してきているのか精査して、これが本当に劣化に起因するものなのか、SCR触媒そのものの性質に起因するものかというのは、注意して見極めないといけないかなと思いました。

【塩路委員長】 はい、ありがとうございます。

 この辺り、まだあれですよね、今の先生のお話をお伺いしていても、ちょっと分からないところがあるということですよね。

【草鹿委員】 はい。

【塩路委員長】 いろんな、何というのかな、空間的な非一様性も考えられるし、いろんな観点があろうかと思いますので、また適宜、こういうデータが出てきたときには、また議論させていただきたいなと思います。

 ありがとうございます。

【草鹿委員】 はい。

【飯田委員】 飯田です。よろしいでしょうか。

【塩路委員長】 はい、お願いします。

【飯田委員】 先ほどの岩本先生のご質問についてコメントさせてください。ご指摘のとおりでございまして、車種のカテゴリ別に総排出量が、例えばNOx、あるいはPM2.5について、経年変化でどのような推移を示しているかということが一番大事なポイントであります。ところが、ディーゼル重量車の単体規制が強化された過程で、NOx、あるいはPMが大きく減少すると、例えばDPFフィルターがついて、もう100分の1を超えるようなオーダーで一気に減ったときに、使用過程車が新しい規制車に更新するのに伴い、車種別、カテゴリ別の排出寄与度が変わってきます。よって本専門部会でどのカテゴリーを重点的に扱っていくべきかを常に見直すことが大事です。20年前ぐらいまでは、なかなか予算も技術もなくて、シャシーダイナモ試験をベースにして、排出原単位を収集して調査していました。近年は、加えて、車載型の排出ガス計測装置を使って、実路走行試験を行い排出原単位の解析・調査を行っております。これはヨーロッパでRDEが提言される以前から、環境省でもインベントリ解析を少しずつ充実してきたものです。

 で、そうすると、例えば、シャシーダイナモの試験でいうと、例えば25℃とか温度が決められていますが、車載型で走りますと、冬の寒いときや夏の暑いとき、いろんな外気温度でのデータが収集されます。そういう中で、尿素SCRシステムの温度が低温過ぎて触媒反応活性が不足し、還元反応ができないから尿素水噴射を止めてしまっている、あるいは、炎天下で路面温度が極端に上昇した渋滞路にて、排出量が影響を受ける、等々のことが分かってきました。そこで、温度依存性が大きい車種については、温度補正係数を導入しています。都道府県別、月別の平均気温の違いに応じて、温度補正係数にて修正した排出源単位に活動量を掛け算して、総排出量を算出しています。

 温度補正係数は、ディーゼル貨物車に導入しましたが、それ以外の車種へ拡大すること、また温度以外のパラメータ、湿度、気圧も検討し、より精緻なものにしていきたい。認証ベースに近いダイナモ計測だけでインベントリをやってしまいますと、実態との乖離が出てきます。昔はそうでもなかったんですが、これだけ単体規制が強化されて排出量の絶対値が小さくなると相対誤差は大きくなる傾向にあり、リアルワールドのエミッションを捉えることが大事だということで、そういう取組をしているということのご説明だったと思います。

 以上です。

【塩路委員長】 ありがとうございました。

 これの説明を非常に詳しくいただきました。インベントリ解析のほうは飯田先生、ずっとやられていますので、そこで補足的にご説明いただいたと思います。ありがとうございます。

 そういうことを踏まえて、今後、この自排専で、これをどう扱っていくかということを議論させていただきたいと思います。

【飯田委員】 そうですね、あと、もう一つ、坂本先生のご指摘が重たいものがございます。

 VOC、あるいはテールパイプからのトータル・ハイドロカーボンと言われているものも、もうハイドロカーボンと言って一くくりでできるようなものじゃなくて、もういろんな物質から成っているわけで、その物質一つ一つが光化学オキシダントの生成の反応にどう寄与するか、それから、PM2.5の生成にどう寄与するかというのが、これが大気の反応モデルとの組合せで寄与率というのが定まってきます。

 今まで、自排専で扱ってきているのは、トータル・ハイドロカーボンのうちメタンだけは反応活性が低いから、オキシダントないしはPM2.5に寄与しないであろうと、温暖化効果ガスとしては算定するけれども、トータル・ハイドロカーボンからメタンだけは引き算しましょうというのは、唯一成分で調整した例です。それ以外については、残念ながら個々の化学物質について重みづけをして、サムアップしようというところまではできてないんで、今後は、そういう視点での活動を、少しずつシミュレーションの技術も入れながら導入していくことが長期的な課題として重要とするご指摘であると、坂本先生のご意見を承りました。私もそれに賛成です。

 以上です。

【塩路委員長】 ありがとうございました。

 おまとめいただきまして。そういう形でこれからというか、そういう議論ができるようなデータをちゃんと取得していくということが大事だなと思っていますので、はい、ありがとうございます。

 そのほか、よろしいでしょうか。

 ちょっと時間も押していますので、もし何かありましたら、また後ほどお伺いしますので、まずは、その次の、残りの4項目ですね、これについてご説明をお願いいたします。

【森山補佐】 そうしましたら残りの4項目につきましてご説明させていただきます。

 まず、33ページ目でございますが、低温試験、高温試験の導入についてでございます。こちら、現状、検討課題、今後の検討課題につきましては、これも話に上がりましたが、常温だけではなくて、低温時の試験も導入すべきではないかということで、試験法の検討のほうが行われている状況でございます。

 現状欄でございますが、国際基準の関係で申しますと、シャシーダイナモ試験(C/D試験)における低温試験について、基準調和のための-7℃での試験というのがGTR15のほうに昨年度、反映された状況でございます。

 一方で、UNRのほうには、まだ含まれていないような状況でございまして、今後の検討課題となっているという状況でございます。

 また、排出実態の調査といたしましては、環境省のほうでGTRに基づく-7℃と23℃の排出実態というのを行っておりますので、次のページでご紹介させていただきます。

 こちらは、ガソリン直噴車1台に対して試験を行ったものでございまして、3phaseの赤枠で囲まれているところをご覧いただければと思いますが、Non-Methane hydrocarbonsでは、およそ-7℃のほうが7倍程度、Total hydrocarbonでは6.5倍程度、PMだと8.3倍、PNだと7.4倍という排出量になっているといった結果になっております。

 また、参考というのではございますが、欧州のほうでNEDCモードで、モードは違うんですけれども、コールド試験というのが、低温試験というのが入っておりまして、その規制値の倍率を見ると、低温試験のほうが15倍と、18倍の規制値が設定されているといったことを参考としてお示しさせていただいております。

 35ページ目になりますが、こちらは低温環境が自動車排出ガスに影響を与えるということが示唆されておりますが、車両によって、その影響が異なると考えられますので、今後も、低温環境における影響というのを、ほかの車両で確認していきたいと考えておりまして、留意事項や今後の予定でございますが、低温試験については、今後、UNR154に含まれる可能性がありますので、その議論の動向を注視していくとともに、影響調査というのはきっちり行っていきたいと思っておりまして、異なる車種において排出実態を調査していく予定でございます。

 続いて、ガソリン・LPG重量車の排出ガスの低減対策でございますが、非常に短いものとなっておりまして、37ページ目でございますが、そちら、現状、自動車メーカーのほうから、このガソリン・LPG重量車の区分に該当する車両が生産されていないということを聞いておりますので、こちらにつきましては、開発状況を踏まえながら、また、こういったものが世の中に出回った際に検討を行っていければよいのではないかというふうに考えているところでございます。

 続きまして、燃料性状による排出ガスへの影響についてでございますが、こちらは大きく分けて2つございます。燃料の残渣への混合、燃料の重質化の課題でございまして、重油の需要減少に伴いまして、残渣油を有効活用するという取組が進んでおりますが、そういった場合、微小粒子状物質やPNに対する影響があることが指摘されております。

 また、地球温暖化対策として有効でありますバイオマス由来の燃料につきまして、現状、バイオエタノールだと10%まで、バイオディーゼルだと5%まで使用することができますが、今後、これらの使用が拡大するといった場合には、排出ガスに与える影響などを調査する必要があるのではないかとされております。

 関連する環境省の調査といたしまして、現状でございますが、昨年度と一昨年度に、重質化に伴いまして、排出量がどれだけ変わるのかという調査をしておりますので、40ページ目と41ページ目で紹介させていただきます。

 こちら、40ページ目のほうがレギュラーガソリン車、41ページ目がプレミアムガソリン車の成分試験を実施しておりまして、おおよその傾向のほうは同様な結果となっております。

 まず、平成31年度調査でございますが、燃料の重質の指標であるPM-IndexとSPMI、またアロマ成分の含有量のうち、PM-Index以外の二つの指標においては、重質になるほど排出量が高いという結果になっておりまして、燃料性状の違いが排出量に及ぼす影響は個数よりも質量のほうが多かったと、大きかったということで、一例を挙げますと、例えばB車のほうではA車、7.3倍程度、PMの排出量が増えているという状況でございます。また、それ以外の物質については、重質による影響は見られなかったという結果になっております。

 41ページ目も同様の結果になっております。基本的には、こちらについては違う点といたしましては、PM-Indexも含めて、重質になるほど排出量が高くなったという結果になっているというところで、倍率が多少異なるわけですけれども、重質になるほど、PM、PNに与える影響があるということは確認できております。

 また、環境省調査以外ではございますが、燃料性状による排出ガスへの影響につきましては、石油エネルギー技術センターのほうの調査などを実施しておりますので、そちらについてもご紹介させていただきますと、JATOPⅢの研究のほうでございますが、こちら、軽油につきましては、アロマ分の増加に伴いまして、そのほかの性状とのバランスが重要とされておりまして、ガソリン車につきましても、トータルアロマや重質アロマのバランスが重要とされておりまして、例えば、重質アロマが市場燃料と同等な場合では、オレフィン分が40vol%程度増加しても排出ガスの悪化は認められなかったとされております。また、留意事項といたしまして、例えば、分解軽油のほうでございますが、セタン価向上剤の添加量が多くなるとNOx排出量が多くなるという点や、分解ガソリンのほうにつきましては、重質アロマの割合が高くなるとPNが増加いたしまして、排出量が大きければ大きいほど感度が大きくなるといった傾向が示されております。

 これを受けて、J-MAP調査の結果を簡単にご紹介させていただきますと、左側がディーゼル車でございまして、こちらについては、アロマ分が4%程度増加した場合でも、ほかの性状を最適化することによって燃料側の対策は有効であるということが確認されております。また、セタン価の維持につきましては、NOxへの影響を考慮しますと、1000ppmを超えない範囲で添加量を抑えるべきなのではないかということが示されております。

 続きまして、右側のガソリン車につきましても、重質アロマが増加した場合でも、トータルアロマを低減することでPN増加を抑制できるとされておりまして、C12Aが1vol%増加した場合でも、トータルアロマを10vol%低減すれば、現行の市場燃料と同等以下になるという結果が出ておりますが、一方、で、C11AとC12Aが1vol%ずつ増加した場合にあっては、トータルアロマを10vol%低減しただけでは不十分であるという結果を得ております。

 以上を踏まえまして、留意事項や今後の予定でございますが、燃料性状の影響の現れ方は車種によって異なると推測されますので、引き続き、異なる車種によるデータを収集していきたいと考えておりまして、特に、過年度調査で実施していない軽油を用いた試験というのは実施していきたいと考えております。

 また、バイオマス由来の燃料や、最近、カーボンニュートラルの関係で話題に上がっております合成燃料につきましては、市場への流通実態や技術開発の状況を把握した上で、排出ガスに与える影響というのを調査できればと考えております。

 続きまして、最後の検討課題になります。未規制物質でございますが、現状で規制対象となっているもの以外につきましても、実態などを把握する必要があるのではないかといった点や、「また」以降になりますが、温室効果ガスであります二酸化炭素やCH4、N2O等が増大しないように配慮する必要があるのではないかとされているものでございます。

 こちらにつきましては、45ページ目、最後のページでございますが、今、欧州側でも着目されておりますアンモニアやN2Oにつきまして、現状、日本でも、我が国の排出量を見てみますと、2015年度のアンモニア排出量における自動車の寄与が2.84%、また、N2Oの排出量における自動車の寄与が7.11%となっておりまして、留意事項や今後の予定でございますが、こちら、欧州では、次期排出ガス規制において、これらの物質を追加で規制対象とすることが検討されているような状況でございまして、まずはこういう未規制物質の排出実態の調査を行いまして、環境への影響把握を行っていければと考えているところでございます。

 説明は以上となります。

【塩路委員長】 はい、ありがとうございます。

 少し簡単な説明になったような気もしますけれども、何かご質問とかコメントはございませんでしょうか。

【草鹿委員】 よろしいでしょうか。

【塩路委員長】 はい、お願いします。

【草鹿委員】 燃料性状のところで、やはり自動車の場合ですと、まず、大きく分けるとオレフィン成分と、それからパラフィン成分と、あとは、よくナフセンと呼ばれていますけれどもシクロ成分と、それからアロマと言われている芳香族成分で、当然CH比とか、アロマ成分とか、シクロ成分が増えていくと、PN、それからPMとPNは相関があるので増えていくというような傾向がございます。それから、一番sootが出ないのは直鎖成分なんですけど、あと、分岐成分も少なからず影響するということで、基本的には環形成をして、それが重合化して、巨大気相分子になって、そこから気相から固相して変化すると考えられています。この過程で、途中でスキップするような化学物質があると、当然、排出量は増えていくということになるので、影響は出てくると思います。

 ただ、それと同時にセタン価とオクタン価で代表される着火性、蒸発特性を一緒に確保しなくてはいけないので、ここは単純に排ガスだけで燃料性状は決まらないということで、難しいかなと思っています。

 それから、先ほど、坂本先生からもご指摘がありましたけれども、排ガスはそれらがばらばらになって出てくる、あるいは、未燃のままも出てくるので、逆に大気シミュレーションでどのような種類のハイドロカーボンが大気シミュレーションにおいて影響が大きいかをディスカッションできれば、THCの内訳をどうするかということも議論できるかなと思いました。

 はい、以上、ちょっとコメントですけれども。

【塩路委員長】 はい、ありがとうございました。

 この辺り、非常にまだ難しい状況にはなっているんですけれども、燃料が変わるということに対しても、ちょっと、これは全く排ガスが、組成が変わってくるおそれもありますし、ご紹介いただいたようにPM、PNに対しては非常に影響が大きいということですし、そういったことも踏まえて、今後、これ、どこまで考慮していくかというか、新しい燃料についてどう対応するかということを議論させていただきたいなと思っています。

 そのほか、何かございませんでしょうか。

【坂本委員】 坂本ですが、よろしいでしょうか。

【塩路委員長】 はい、お願いします。坂本先生、お願いします。

【坂本委員】 今のあれに関係するんですが、やっぱり燃料が変わってきて、PMとかPNが増えるという話は、まあそれでいいんですが、排ガス組成の、先ほどTHC、もしくはノンメタン・オーガニック・ハイドロカーボンとか、もしくは、このときにアルデヒドが、そういったものがあるとかなり増えているのではないか。そうすると、光化学反応については、よりいきやすくなるということを考えないといけないんじゃないかなということが危惧されます。

 それから、一番最後のページにアンモニアの割合、全体の排出量に占める割合は2.84%だという形で書いてあるんですけれども、この自動車排ガスの中でアンモニアが出たときの影響というのは、どこで出ても変わらないアンモニアと考えるのか、それとも、その反応する片割れがそばにあることによって、一番最初に申し上げた、言わばアンモニアと硝酸系のものが反応してPMができやすくなるようなことがあるのではないかということを考えた場合には、言わばナイトレートの片割れ、言わば硝酸系のものとアンモニアが同時に出るのと、それぞれが別々のところで出ているのとでは意味が違うということですね、反応を考えれば。そういう意味で、アンモニアの全体の排出量に占める自動車からの寄与は2.84%で非常に小さいんですよと、あたかも言わせたいようなことの書き方というのは非常に気になるというふうに思います。

 以上です。

【塩路委員長】 分かりました。ありがとうございます。

 先ほど、何というかな、ご発言されたのと同じことなんですけれども、寄与割合は少なくても、やっぱりそこからの我々の目的としては、やっぱりPMであるとか、あるいは光学スモッグの、光化学オキシダント濃度の低減にありますので、その辺りのところをちゃんと踏まえて議論すべきじゃないか、あるいは、その、ここでそれぞれ全て、測定を粛々と今後も行っていって、で、大気環境を守るためにどうしていくかということを議論させていただくわけですけれども、その際に、やっぱりそういうことを議論するので、温度の条件であるとか、あるいは、今、坂本先生のおっしゃったような、そういうメカニズムがあるということで、そういうその反応ですね、どれだけ寄与するかということをちゃんと注視することができるデータをちゃんと集めておいてくださいということだったと思うんですね。

 これ、これからどうするかというのは、また、今後の議論になろうかと思いますけれども、あくまでも、そのデータを集めるときにちゃんと、その辺りが議論できるように考えておいてくださいというご指摘だと思うんですけれども、坂本先生、それでよろしいですよね。

【坂本委員】 はい、結構です。

【塩路委員長】 はい、お願いします。ありがとうございました。

【坂本委員】 アルデヒドも重要ですね。

【塩路委員長】 あ、アルデヒドもね、はい。

 そのほか、何かございませんでしょうか、ご指摘いただくようなこと。

 今、一応、中間報告で検討する可能性のある項目についてご説明いただきました。その、何度も申しますけれども、それをどうしていくかということはこれからの議論になりますけれども、やっぱり今の段階で、その測定するデータを、どこを注意して収集すべきかというご指摘をいろいろいただきましたので、それも含めて、事務局のほうでというか今後よろしくお願いしたいと思います。

【草鹿委員】 すみません。最初、言い忘れまして、最初に戻って3ページなんですけど、よろしいですか。

【塩路委員長】 はい、草鹿先生、お願いします。

【草鹿委員】 この3ページのもので、全体の排出量の算出方法を、機会があればもう一度復習したいなと思っています。要するに、一般の工場とか、そういったところから出てくるような一次粒子は、つかみ切れていないと思うので、どういう年代で、どういう測定で、この排出量が全体で決まっていたか。実は、もしかしたら、もっと実態は出ていて、このオレンジと紫の割合は少ないかもしれない可能性があるということで、できればグラフがどういう経緯でできたかというのを一度レビューしたいなと思っています。

 それから、4ページのほうは固体カーボンをこの手の手法で計測していくわけですけれども、やっぱり人体への影響を考えると可溶性有機成分、SOF分が非常に重要になります。多くの場合、粒子径が小さくなると、比表面積が大きくなり、SOF分の割合というのは増えてくる可能性があって、これは、いわゆる粒径と、それから含有SOF分の影響を大きい粒径でもよいのでチェックしておいて、より粒子が小さくなると相対的にSOF成分が増えていきますよというデータもあればいいかなと思います。コメントです。

【塩路委員長】 ありがとうございます。

 今、ご指摘いただいたように、やっぱりSOF分がどれぐらい多く含まれるか。それと、もう一つは、SOF分が一体どれぐらい有害なのかということも合わせて議論するときには考慮すべき点だと思いますので、今後それが議論できるように整理のほうをよろしくお願いします。

 先ほど申された3ページ目に描かれた寄与割合の図も、そうですよね。これは、それぞれの分野で多分、測定というかな、推定されたものを積み上げてあるんだと思うんですけれども、この辺り、しかし、前に、3年ぐらい前かな、合同委員会をしましたよね。あそことの関係というのも、また考える必要があると思うんです。自動車からの排出がだんだん少なくなってくる。どれだけ寄与するかというのは、また議論の対象ですけれども、この図から見て、それだけ少なくなっていっているということで、今の草鹿先生のご指摘では、ほかのところはもっと多いんじゃないかという。同じように考えれば、もっと多いんじゃないかということもありますので、そういったことも含めて、ちょっとまた議論させていただきたいなと思います。ありがとうございます。

 よろしいでしょうかね。いろいろあるかと思いますけど。どなたか。

【小渕委員】 よろしいですか。

【塩路委員長】 小渕さん。はい、お願いします。

【小渕委員】 38ページから39ページにかけてのバイオマス由来の燃料に関しての第2段と次のページについてですが、今、バイオエタノールで10%まで、それからメチルエステルですと5%までということになっていますが、カーボンニュートラルということを考えると、もっと高濃度で使用したいという要請が出てくる可能性があると思います。もし、そういう要請があれば対応を考えておく必要があると思います。質問になってしまいますけれども、もっと添加量を増やしたいというような要望はないんでしょうか。環境省にお聞きしたいと思います。

【塩路委員長】 高濃度バイオとかの要望があるかどうかという。

【小渕委員】 そうです。

【塩路委員長】 カーボンニュートラルからすると、それほど大きい影響があるかどうかは分かりませんけれども、どうなんでしょうかね、今の環境省さんのお考えというか。これは、かなり大きな話になりますけど。

【森山補佐】 事務局でございます。ご指摘、ありがとうございます。

 まさに、そういった混合バイオ燃料につきましても、混合率をもう少し上げるべきじゃないかという議論も十分、可能性があるかと思いまして、こういった形で検討課題のほうを記載させていただいております。また、今後も、どれぐらい流通が増えていくかなどを確認させていただきながら排出ガスに与える影響というのを調査していきたいなと考えております。直接的な回答になっているか分からなりませんが、そのような形ですございます。

【塩路委員長】 39ページに「特にディーゼル車は軽油の使用を前提に製造されており」ということで、今は、軽油に少し変更を加えるぐらいでと考えているけれども、カーボンニュートラルを考えたら、そもそも脂肪酸メチルエステルを主成分とする燃料でエンジンを回したいとか、そういう話がだんだん出てくると対応する必要があるかなと思います。まだ早いですかね。

【草鹿委員】 これは、蒸発特性とか粘性係数を考えるとニートで使用するというのはちょっとまだ厳しいようなイメージはありますね。

 すみません。コメントです。

【小渕委員】 でも、本当にニュートラルにしなければいけないとなると、もう軽油ではなく、エンジンもディーゼルエンジンというよりはバイオマスを燃やせるエンジンの開発になってくると、そういうことが生じてくるんじゃないかなと思います。

【草鹿委員】 そうですね。ドロップインというんですけれども、このまま今の自動車にそのまま搭載できるような燃料を考えるとすると、脂肪酸メチルエステル成分が今、いろいろ欧州でも試していますけれども。これが100%になるかどうかというのは、ちょっと分からないんですけど、よく分かります、ご指摘のことは。

【小渕委員】 ガソリンのほうのエタノール車とは、どうですか。こちらも10%では低すぎると感じるんですけど。

【草鹿委員】 外国に行くと40%、もっとね、60とか、高い高濃度のエタノールもありますけれども、そちらのほうが、まだやりやすいと思います。

【飯田委員】 飯田です。小渕さん、ご指摘ありがとうございました。

 もう、そのとおりだとは思うんですが、実際には、今、今回、環境省さんからの説明にありましたとおり、分解軽油をディーゼル燃料に入れる、ガソリン燃料に入れる。それだけでも、やはり相当の費用を投じて石油活性化センターと自工会さんとでプロジェクトをやっていただいたわけですよね。結論としては、ディーゼルのほうはDPFと、それから尿素SCRのシステムが整っていましたので、排ガスが破綻することはないと。それから、DPFの再生システムそのものが破綻してしまうと大変なことになるので、そういう領域以前のところで何か分解軽油は処理できると。

 一方で、ガソリンエンジンのほうは、草鹿先生も言われたように、いろんな成分のうち小量の成分が変わっちゃっても、ガソリンのパティキュレート・フィルターというのがついていない現状だと、実は、燃焼のプロセスで直噴のエンジン系で生成されたすす粒子でPNが増えるようなことがあるということで、むしろセンシビリティーは高いんですね。

 その上で、さらにバイオ系の燃料が5%とか10%じゃなくて半分とか全部ということになっちゃいますと、エンジン燃焼のそのもののプロセスが健全性が保たれるか、それから触媒処理システムが健全に保たれるか、あるいは破綻せずにきちっと再生のシステムが寿命を減らさずに長期にわたって機能するかというところは、全くこれからの段階なので、ここで、必要性はある、議論は分かるんだけど、すぐに予測できるというような段階ではないというふうに理解いたします。準備とかは必要ということですから、その点については同意いたします。

【塩路委員長】 よろしいでしょうかね。

 今の話は。小渕さんの言われているのは、やっぱり意見が分かれるところもありますので、この自排専の議論とはちょっと違いますから、ちょっと、また、何でしょう。

【小渕委員】 そうですね。ただ、最初の資料、65-2-1のところに十五次報告に向けて考慮すべき事項というところの三つ目の、カーボンニュートラルに向けて自動車の電動化や燃料のカーボンニュートラル化が推進される中、今後の排出ガスに関する自動車単体規制のあり方についても考えていくべきではないかというご提言、これは私、そうだなと思ったんですね。

 それで引っかかるのは、例えば今のような代替燃料、かなり性状の異なった燃料だし、もっと、さらに言えば、燃料電池車の環境対策とか、自動車排出ガス専門委員会という名前そのものは陳腐化するかもしれないけれども、自動車の環境専門委員会というのは必要なわけですね。まだ具体的な課題はないと思いますが、報告とか答申とかをするときに、何かここに関わるようなことを問題意識として明示しておく必要があるというふうに思います。

【塩路委員長】 はい、分かりました。ご指摘いただいた点を踏まえて、今後、また検討させていただきたいと思います。これ、第十五次報告に向けて、また、それをどういうふうに議論するかということに関しては、これから、また。

【小渕委員】 そうですね。今回、せっかくのキックオフみたいな機会ですので、大きく考えておくといいますか。

【塩路委員長】 そういう観点もあるということのご指摘だというふうに承りましたので。

【小渕委員】 はい、そういう感じです。

【塩路委員長】 ありがとうございます。

ということで、今、ご説明いただいたところを踏まえて次の議題ですけれども、今後の進め方についてということで、事務局よりご説明をお願いいたします。

【森山補佐】 それでは、議題の2につきまして、資料の65-3のほうを使用して説明させていただきたいと思います。

 先ほど、検討課題とその対応案10項目をお示ししたところでございますが、今後の進め方や中間報告に向けて優先的に取り組む課題として事務局でピックアップさせていただきましたものにつきまして、ご紹介させていただければと思います。

 まず、2ページ目でございますが、今後の自動車排出ガス専門委員会の進め方の案でございまして、右側の青い四角で書かせていただいておりますが、来年度に排出ガス専門委員会を開催させていただきまして、そこで中間報告をさせていただこうかと思っておりまして、そこまでに実施すべき事項をまとめたものでございます。

 一番左側に大枠の項目ごとに分けさせていただいておりまして、上から順にご説明させていただくと、まず大気環境に関する実態把握といたしましては、PM2.5やVOCの排出量の更新、また、道路沿道におけるPM2.5の成分分析調査などを実施していきまして、また、議論の途中でも出てきたところではございますが、シミュレーションについて情報収集や今後の適用検討なども検討できればと思っております。

 また、自動車排出ガスに対する実態調査につきましては、これまでも実施してきております自動車排出ガスの原単位・総量の更新、また、路上走行時の排出ガス実態調査や尿素SCRシステム搭載車の排出実態調査を引き続き進めるとともに、新たな発生源といたしましてブレーキ粉塵の測定・評価法に関する検討調査や、今年度実施されますブレーキ粉塵測定法のラウンドロビン試験の参加をしていきたいと思っております。

 また、ディーゼル特殊自動車や低温環境が排ガスに及ぼす影響、また、次世代燃料に関する基礎的調査や燃料性状による排出ガスへの影響というのを実施できたらと考えておりまして、未規制物質につきましては、各調査の中で取得できるものから順次、取得していきたいと考えているところでございます。

 また、技術開発に関する実態把握といたしましては、まずはメーカー等ヒアリングを今後実施させていただきたいと考えておりまして、また、それ以外でも入手できる情報は適宜入手していきたいと考えているところでございます。

 また、関連情報の収集として、国際動向といたしましてはブレーキ粉塵、路上走行試験、低温試験など、WP29のほうにおいて議題に上がっているものでございますので、その情報収集を行うとともに、EURO7、欧州の次期規制の動向の注視もしていきたいと考えております。また、こちらもコメントをいただきましたが、健康影響に関する調査、情報の収集なども行いまして、適宜、ご紹介できればと考えております。

 また、既存の対策の推進といたしましては、大気環境配慮型サービスステーションの利用促進を実施していきたいと考えているところでございます。

 続きまして、その次のページでございますが、中間報告に向けて優先的に検討すべき課題の案につきまして、事務局のほうで幾つかピックアップさせていただいております。

 まず、微小粒子状物質に関する対策とブレーキ粉塵・タイヤ粉塵に関する対策、特殊自動車の排出ガス低減対策につきましては、十四次答申のほうでも重点的に検討すべきとされているものでございまして、一番右側の列のほうにも優先的な課題といたしまして丸をつけさせていただいております。また、それ以外につきましても、まず、実際のリアルワールドでの路上走行での影響というのが着目されているということでございまして、それに関連するものといたしまして路上走行検査の話と低温試験・高温試験の話につきまして、丸をつけさせていただいているところでございます。

 以上、五つの項目のうち、特殊自動車の排出ガス低減対策につきましては、今後、寄与割合が増えていくだろうという推計もございますし、また欧州のほうでは既に粒子数規制も入っているということで、検討の着手がしやすいものかなと考えておりますので、そちらについては二重丸として整理させていただいております。

 ご説明としましては、以上となります。

【塩路委員長】 ありがとうございました。

 ということで、今後、どういう調査を、どういうタイミングで進めていくかということなんですけれども、ご説明いただいたように、ほとんど、先ほども申しましたけれども、粛々とデータの、議論すべき、議論の際に使用すべきデータを収集していくということなんですけれども。最後、優先的に検討すべき課題というふうにご説明しましたけれども、これ、あくまでも第十五次に向けてデータ収集が議論するのに進むであろうと思われる、今、現時点でですね、現時点で進むであろうと思われるところにちょっとマークさせていただいたということで、これ、マークしていないところは、もう、放っておくんだということではありませんので、その辺り、またご注意いただきたいのですが。今の状況では、この辺りが特に深く議論、これから議論に上がってくるんじゃないかということで解釈いただければと思っています。

 いかがでしょうかね。何か、これについてコメント等ございますでしょうか。ご理解いただけましたでしょうか。ご意見、ございませんでしょうか。

 どれが丸をしているというのは、そんなに大きな意味があるかどうかは分かりませんけれども、現時点での見通しをちょっとマークしてあるというふうにお考えいただいたらと思います。ここに対するデータ、先ほど、本日、いろいろなご指摘がありましたけれども、そういったようなことを踏まえていろんな調査を実施していくということでございますが、何か、ご意見ございますでしょうか、このことについて。

【飯田委員】 飯田です。

【塩路委員長】 はい、お願いします。

【飯田委員】 それから、PM2.5はテールパイプから排出する一次粒子と大気中で生成される二次粒子があります。特に冬の場合には、気温が21℃以下ですといわゆるアンモニアと、大気中で窒素酸化物から生成された硝酸とが反応して、硝酸アンモニウムがPM2.5として析出する。坂本先生からは、上空大気のアンモニアのみでなく、沿道付近に排出されるアンモニアについてきちっと調べるべきではないかというサジェスチョンをいただいています。

 それから、アルデヒド、これはホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、その上の高級のアルデヒド群だと思うんですが、アルデヒド系をどの程度、力を入れてきちっと測っていくかについては、明示はされていなかったように思うので、どうするのか確認の質問です。

【塩路委員長】 ありがとうございます。

 そうなんですよね。みんな成分を調べていきましょうと言ったんですけれども、本当に、それがちゃんとデータとして収集できるのかどうか。特に、アルデヒドについて、坂本先生もご指摘いただいていましたけれども、その辺り、どういうふうに思われますというか、どう進めていきましょうか。

【草鹿委員】 草鹿です。

【塩路委員長】 はい。

【草鹿委員】 アルデヒドなので、通常の排ガス規制のTHC測定方法だと出てこないんですけれども。

【塩路委員長】 そうなんですよ。

【草鹿委員】 FTIR方式のものですと出てくるのと、やっぱり坂本先生ご懸念のように、冷間始動で出てきて、それで触媒が暖気されるとアルデヒドは浄化されやすいので、するんですけど、やはり冷間のアルデヒドですとFTIR測定というのを少し測定項目に加えなきゃいけないので、これは、もう測定箇所であると思うんですけど、あとは費用の問題だと思っています。

 以上です。

【塩路委員長】 ありがとうございます。

 そうですよね。だから、それをちゃんと測定できるようになっているんですよねという、そういう。

【飯田委員】 飯田です。

 小渕さんが指摘されたように、電動化等で大きく自動車環境も変わる。カーボンニュートラルの代替燃料が試みとして出てくるであろうという状況の中で、何を準備しておくべきかという視点も必要かと思います。必ずしも自動車の専門部会の延長上のタスクということではなくて、ワイドレンジで考えるべき長期課題との理解です。

以上です。

【塩路委員長】 ありがとうございます。ご指摘。おっしゃるとおりですね、結局。だから、測定データを、これ、進め方のところでずっと書いておられるんですけれども、ここのところでそういう事を議論できるように、とにかく、何度も言いますけれども、データ収集のほうをお願いしたいなと思いますし。

 最後の電動化とか今の話は、また、これはこれで、ちょっとまた別のところですので、今までの自排専だけではなかなかまとまり切れない問題があちこちにありまして、だから、合同委員会なり、そういうところも含めて、またご検討いただきたいなというのが実は私も考えているところです。順番にやればいいというのは、それはできるんですけど、何を優先的にというか、取り組んでいくかということは、やっぱり、ある程度、ここだけじゃなくて、ほかのところとの兼ね合いで進めていく必要があるかなと思っていますので、その辺り、よろしくお願いしたいと思います。

 だから、今後、どうしていくかということは、また、今いただいた意見を踏まえて検討させていただくことになろうかと思いますけれども。いかがでしょうかね。そういうことでよろしいですか。ここでは、それぐらいしか言いようがないんですけれども。

 ほかに、よろしいでしょうか。

 本質的に、こんな進め方では駄目だということではないと思うんですね。だから、進め方自身はお認めいただいているというふうに思っていますけれども、そのときの今後のデータの取り方というか、それがいろんな観点からご指摘いただいていたと思いますから、それを踏まえてお願いしたいと思います。

 よろしいでしょうか。

 最後に中間報告に向けて優先的にというところをマーキングしていただいているんですけれども、おそらく、このマークしたところが、国際基準調和のお話、今日はあまり議論はなかったんですけれども、国際基準調和というか国連でのいろんな検討の状況を踏まえて対応していくことになろうかと思います。国際基準調和を絶対にしないといけないという意味ではなくて、やっぱり国連で日本も含めていろいろ議論している中で、それをこちらにどういうふうにして取り組んでいくかということ。それがあるので、特に、この丸印とか二重丸というのが打たれているんだと思いますので。そういうところにも、もし、ご意見があれば、お聞きしたいと思いますけど、よろしいでしょうかね、これは。

【飯田委員】 飯田です。

 優先順位については、飯田、賛成です。やはり、順番をつけて進めていかないといけないので。長期のことも考えてという小渕さんのご意見の話と、それから、アンモニアと、それからアルデヒド、この二つは留意したいところです。

 以上です。

【塩路委員長】 そうですね。ありがとうございます。

 今、飯田先生にいろいろまとめていただいたところも含めて、非常に貴重な意見をいただいたと思っていますので、それを踏まえて今後、検討させていただきたいと思います。

 ちょっと、じゃあ、まだ時間もありますので、最後のスケジュール(案)、これについてご説明いただけますか。

【森山補佐】 そうしましたら、資料65-4に従いましてスケジュール(案)をご説明させていただきます。

 まず、一番上が今回の専門委員会でございまして、この専門委員会後にメーカー等のヒアリングなど、実施のための準備を適宜、進めていきたいと考えているところでございます。その後、先ほども少し申し上げましたが、令和4年度中に検討状況の中間報告という形で第66回の専門委員会のほうでご審議いただきたいと考えておりまして、そのときの検討状況の進捗によって、必要に応じてスケジュールの見直しなども考えていければと思っております。

 そして、当面の目標といたしまして、令和5年度中に第十五次報告の案をとりまとめるということを目指してやっていければと思っております。ただ、こちら、今後の検討の状況や国際的な審議の動向に影響を受けるところもあるかと思いますので、今後の審議の状況を踏まえて柔軟に変更など検討できればと思っておりますが、当面の目標といたしましては、令和5年度中の十五次報告の案のとりまとめというのを目指してやっていければと考えているところでございます。

 手短ではございますが、こちらの資料について、説明は以上となります。

【塩路委員長】 ありがとうございました。

 ということで、今後、こういう形で進めさせていただきます。先ほどご了解をいただいたと思いますが、優先事項、優先順位も少しつけながら、それを中心にいろいろ、このスケジュールで検討させていただきたいということになります。何かコメント等、ございますか。よろしいでしょうか。

 それで、参考資料でちょっと欧州の状況がついているんですけれども、これは別にご説明は要らないんですよね。多分、この欧州の状況、動向を参考資料でつけていただいていますけれども、こういうことを踏まえて、また今後、スケジュール(案)に沿って議論を進めさせていただくということでご理解いただきたいと思います。

 よろしいでしょうか。何か全体を通じてのご意見がございましたら、お伺いしますけれども、よろしいでしょうか。

 それじゃあ、今日、専門的な立場からいろんなご意見をいただきましたので、それをまた踏まえて検討させていただきます。

 それじゃあ、これで今日の議事は終わったと思いますので、事務局のほうにお返しいたします。

【森山補佐】 塩路委員長、ありがとうございました。

 本日の議事録につきましては、委員の皆様のご了承を得た後にホームページにて公開させていただきたいと思います。

 それでは、以上をもちまして第65回中央環境審議会大気・騒音振動部会自動車排出ガス専門委員会を終了いたします。長時間のご審議、ありがとうございました。