2011年度産業構造審議会環境部会地球環境小委員会中央環境審議会地球環境部会自主行動計画フォローアップ専門委員会合同会議 議事録
開催日時
平成23年12月19日(月)13:02~14:15
開催場所
コンベンションホールAP浜松町 D、E、F
議事録
午後13時02分 開会
茅委員長
それでは定刻になりましたので、本日の会議を開催させていただきます。
本日の会議は、二つに分かれておりまして、まず前半ですが、13時から14時15分まで。この間は2011年度産業構造審議会環境部会地球環境小委員会と、中央環境審議会地球環境部会自主行動計画フォローアップ専門委員会、この二つの委員会の合同会議ということになります。ここで自主行動計画の2010年実績、それから震災で取りまとめが遅れておりました2009年度の実績について審議をいたします。あわせて、試行排出量取引スキームの2010年度、2009年度実績についても審議をいたしたいと思います。
後半でございますが、後半は14時20分から15時まででございまして、産業構造審議会の地球環境小委員会だけを開催いたしまして、ここでは京都議定書目標達成計画における経済産業省関連施策の進捗状況について審議をするという予定でございます。したがいまして、中央環境審議会の委員の方は、14時20分にご退席をいただくということになります。
なお、この両委員会において、委員の異動というのがございますが、これを一々読み上げたら大変ですので、名簿が配られておりますので、それでかえさせていただきたいと思います。
それでは前半、2011年度産業構造審議会環境部会地球環境小委員会と、中央環境審議会地球環境部会自主行動計画フォローアップ専門委員会、この合同会議をこれから開催いたします。最初に事務方からあいさつをお願いいたします。
産業技術環境局長
経済産業省の菅原でございます。今日は年末のお忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。
後ほど詳しい報告があると思いますが、先々週南アフリカで行われましたCOP17に私も一応参加してまいりました。結果については新聞報道等で概要、皆様ご案内のとおりだと思いますが、基本的にはいろんな懸案がある中で、一応文書はまとまったということでありますが、かなりの対立点が、実は先送りされた可能性というような部分も、かなりあるんではないかと思っております。その中で、今日の議論の対象となる京都議定書でありますが、対立点が残ったまま、明確になったものがある中で、京都議定書の第二約束期間には日本は入らないというところは、文章上も議論の流れからいっても、明確になったものの一つであると認識しております。
その中で、さんざん京都議定書についての第一約束期間の部分でありますけども、日本はこれについてはしっかりやるというふうに、環境大臣を初めとして、我々も世界各国には説明してまいりました。そういう中で第二約束期間には入らない以上、逆に第一期間についての国際約束は、日本はしっかり守っていかなくちゃいけないという状況にあるというふうに考えております。
そういうことで、今日はフォローアップの議論を中心に、いろいろご議論いただくと思いますけども、京都の第一約束期間、10年の実績値が出ましたけども、これまでの推移を見れば苦しい中でも達成できる状況にあると思いますので、ぜひ後で将来的にそしりを受けないためにも、第一約束期間についてはしっかりなし遂げるというところをやるべく、皆様のいろいろなお知恵、ご議論をいただきたいというふうに思っております。
今日は合同審議会ということで、多数の議題が挙げられていると承知しておりまして、ぜひ皆様のご意見を効率よくちょうだいしたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。
茅委員長
ありがとうございました。それでは議事の最初の部分につきまして、配付資料に基づいて飯田環境経済室長から説明をしてまいります。
環境経済室長
それでは、初めに事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
地球温暖化対策課長
環境経済室長の飯田でございます。まず配付資料一覧をご覧いただきまして、資料の確認をお願いできればと思います。資料1、地球環境小委員会の委員名簿、資料2、中環審の委員名簿、資料3-1、2011年度の自主行動計画のフォローアップ、3-2が2010年度の自主行動計画のフォローアップ、資料3-3が低炭素社会実行計画について、資料4-1が2010年度の試行排出量取引スキームのフォローアップについて、資料4-2が2009年度の試行排出量取引スキームのフォローアップについてということでお配りしておるかと思います。落丁乱丁等がございましたら、事務局までお願いしたいと思います。
それでは資料に基づきまして、ポイントのみを簡単にご説明を申し上げたいと思います。資料3-1でございます。2011年度の自主行動計画の評価・検証結果及び今後の課題等(案)についてでございます。こちら2010年度の自主行動計画についてのフォローアップの結果でございます。立てつけとしましては、自主行動計画の評価検証についてという欄がずっとございまして、7ページでございますけれども、2011年度の評価・検証の結果が7ページ以下、書いてございます。めくっていただきまして、11ページ総括表がございます。4象限の絵でございますけれども、左側が目標の未達成業種、右側が目標の達成業種ということで、達成業種が29業種、未達業種が12業種ということでございます。
具体的な評価につきましては、13ページに書いてございます。評価・検証の視点ごとの評価でございます。その第2パラグラフあたりにございますけれども、2011年度につきましては、全体的には未達幅に対する今後の対策効果の割合が示されていて、各業種が自主行動計画に掲げた取組を着実に進めれば、概ね目標達成が可能であるという判断がございます。その中で京都メカニズムクレジットの償却につきましては、電気事業連合会のほうでの取組が2億6,000万トンという記載が昨年度まではございましたが、今年度は今後の需給見通しが不透明であることから、見通すことができないというようなご報告がございました。今後さまざまなエネルギーについての議論が展開されていく中で、適切なご対応をお願いしたいというふうに考えております。
以下、個別ワーキンググループの審議の概要がついてございますが、飛ばせていただきまして、61ページ、今後の課題というところをご覧いただければと思います。今後の課題等というところでございます。個別の指摘事項につきましては、これまでも重ねて指摘をされてきたものでございまして、来年度が最終年度であるということからも、合理的な理由なくこれらの指摘にこたえられない場合には、自主行動計画という取組自体の評価にも影響を及ぼしかねないということで、各業界におかれましては可能な限り積極的なご対応をお願いしたいと考えております。ただし、震災もございましたし、来年度最終年度ということで、短期間の対応が困難な事項もあろうかと思います。そういったことにつきましては、2013年度以降の自主的な取組における課題としての対応もお願いしたいというふうに考えております。
個別の指摘事項につきましては、例えば目標達成の蓋然性の向上でございますとか、CO2排出量もあわせた目標設定等々につきまして、例年どおりのご指摘が書いてございますけれども、今年度特筆すべきことといたしまして、東日本大震災及び福島第一原発の事故の関係で、64ページに記載がございます。
9.でございます。東日本大震災及び福島第一原子力発電所事故を受けてということでございます。こういったことにかんがみますと、今後の電力の排出係数が悪化することが見込まれているわけでございます。各業種におきましては、このような状況下でも引き続き目標を達成することが期待されておるわけでございますけれども、やはり電力排出係数を固定した場合における排出量の推移の評価ですとか、あるいは自家発をこの夏たいていただいた方、たくさんいらっしゃると思います。そういった方のエネルギー消費量の増大といったものについてのカウントを行うことによって、自主的な削減努力による効果がどこで、電力の係数あるいは自家発によるたき増しといったものによる影響がどれぐらいなのかといったことを、しっかり仕分けをいたしまして、評価をすることが適切ではないかというふうに考えております。政府においてもそういったやり方について、今後検討していきたいというふうに考えております。
それから一つ戻りますが、自主行動計画、これまで97年以降10年以上が経過しておるわけでございますが、これらについての総括の必要性もあろうかというふうに考えておりまして、8.これまでの実績評価という欄を新たにつけ加えさせていただいております。
以下65ページ以降、業種ごとの個票ですとか、委員名簿などがついておりますけれども、省略をさせていただきます。
以上が2011年度の自主行動計画の評価・検証結果及び今後の課題等についての報告でございます。
続きまして、その後ろに2010年度の自主行動計画のフォローアップのことがございます。こちらは先ほど茅委員長からもご説明がありましたとおり、本来昨年度にワーキンググループをそれぞれ実施しておりまして、3月の下旬にこれの会議を予定しておったわけでございますが、震災の関係で会議が流れたものでございます。本来ご審議いただくべきところですが、11年度、つまり10年度分の自主行動計画のフォローアップが既に出ておりますので、説明はそちらにかえさせていただきたいと考えております。
続きまして資料3-3、ワーキンググループにおける低炭素社会実行計画に関するコメントをご覧いただきたいと思います。こちらにつきましては、自主行動計画のフォローアップワーキング、今年度の中で、自主行動計画の後釜といいますか、後継といいますか、産業界におきまして、ポスト自主行動計画とでも呼ぶべき低炭素社会実行計画を現在ご策定いただいておるところでございます。
これにつきまして、ワーキンググループでもさまざまなご意見がございました。こちらにまとめましたものは、ワーキンググループで出たご意見について整理をしたものでございます。今後これはこれに基づいてつくっていただけなければ困るとか、そういうことではないんでございます。両論併記の部分もございますけれども、委員の皆様からのご意見もいただきましたので、ここに事務局の分析で整理をさせていただきました。
総論でございますのは、エネルギー政策あるいは地球温暖化政策の全体との整合性・一体性を図るべきであるという意見もございました。それから位置づけでございますけれども、自主のセルフプレッジ、セルフレビューと、今のタイプのままでいいのか、あるいはフォローアップのやり方をどうしたらいいのか、目標の達成についての蓋然性などについてどのように考えるかなどといったようなご意見がございました。
2.目標設定でございます。ベスト・アベイラブル・テクノロジーの最大限の導入ということですが、どのようにそれを考えていくのかというようなご意見もございました。あるいは社会から見たときに、業界の都合のいいように目標を決めていくのではないかと、どうしても見られてしまう部分があるかと思いますけれども、その部分をどのように説明をしていって、透明性を高めていくのかというやり方を考えることが重要だというご指摘もございました。あるいはCO2基準、エネルギー基準、あるいは総量か原単位かなどといったような、さまざまな指標がある中で、統一的にその評価をするのが難しいという声もございました。そのような業種ごとに自主的な努力を反映しやすい目標値は、それはそれとして置きつつも、何とか業種ごとに比較可能な別の物差しが用意できないかというようなご指摘もございました。
あるいは(2)でございますが、低炭素製品による他部門海外での削減ということについて、非常に積極的にそれを評価すべきであって、定性的なものではなく、ある種大胆な仮定を置いたとしても、定量的な削減量が示せないかといったようなご指摘もございました。
資料3-1、3-2、3-3に係る説明は以上でございます。
茅委員長
ありがとうございました。もう一つ、資料4-1、4-2について、環境省の上田市場メカニズム室長からご説明をいただきたいと思います。
市場メカニズム室長
それでは、お手元の資料は4-1をまずご覧ください。議事の試行排出量取引スキームの目標設定参加者実績等について、これに関して簡単に説明をさせていただきます。
資料をおめくりいただきまして1ページ目でございます。スキームの概要ですが、趣旨として企業等が目標を設定し、その目標の超過達成分やクレジットの取引等活用しつつ、目標達成を行う仕組みとして、目標としては総量目標または原単位目標を選択可能というふうな形で、仕組みをセットしております。クレジットにつきましては超過達成分の排出額に加えて、国内クレジット、京都クレジットを用いることができる。また、参加者でございますが、総量参加者以外に1ページ目の下の黄色い四角ですけれども、取引参加者も参加することが可能となっております。
結果について2ページ目をご覧ください。2010年度の目標を設定した社、152社ございましたが、実排出ベース、目標が原単位目標の社についても実排出ベースで換算して109社が超過達成をし、43社が削減不足ということになったものでございます。詳細は下の表に書いておりますが、ポイントだけ以下の4.で書いておりますが、削減不足社の29社、これにつきましては不足量の借り入れを行った社、また試行の排出額が京都クレジット、そういったクレジットの購入償却を活用した結果、目標は達成できたというふうになっております。そのほか14社と、あと今年度は達成したんですが、過去の達成ができなかったという2社については目標未達成になったということでございます。これらについては2010年度が最終年度ということで、もうさらに翌年度のボローイングができないので、目標未達成ということで終わったものでございます。第三者研修については152社のうち50社が受験をしたということになっております。
1枚おめくりください。目標達成状況について内訳をもう少し詳しく書いておりますが、109社のうち10社、これにつきましては昨年度までのボローイング分を償却して、残りの105社はバンキングをするという形で、翌年度以降に回しております。他方、不足をした43社でございますが、5社は過去のバンキングの排出策を活用し、10社が外部クレジットを活用し、21社がボローイングを活用したということになっております。先ほどの繰り返しになりますが、目標不足社のうちこれに該当しない14社と、ここには出てこない、今年度は達成したんですが、過年度の達成分を満たせなかったということで2社、これについては目標未達成というふうになってございます。これが2010年度の結果でございます。
2009年度の結果を、前回事情により説明できなかったので、今回資料4-2としてつけておりますが、大体の傾向については同じでございますので、詳しい数字は割愛いたしますが、1ページ目の目標達成のところですが、1ページ目の四角上の二つ目のポツの総量目標設定社と原単位目標設定社の達成の割合が若干今年度と違い、2009年度の場合は総量目標設定社の達成率のほうが大きいというふうになっております。未達成については2009年度終了事業者がおりませんでしたので、そういった事実は発生をしておりません。その他細かい達成削減不足の状況2ページあたりについては、ほぼ同様な傾向かと承知しております。
以上でございます。
茅委員長
それでよろしいですか。ありがとうございました。
実は、この自主行動計画、各ワーキンググループがございまして、各ワーキンググループで、それぞれの業種の審査をいたしておるわけですが、その座長の方がおいでになっていますので、座長の方は簡単に報告をお願いしたいと思います。ただ、座長の方は残念ながら全員出席なわけではなくて、おられる方が半分以下という状況なんですが、とにかくおられる方に、まずはお願いしたいと思います。
最初に佐久間委員、お願いできますか。
佐久間委員
それでは、鉄鋼部会からご報告いたします。鉄鋼業は2010年度実績で申し上げますと、粗鋼生産量が1億750万トンほどでございまして、1990年度比で2.7%の増加となっております。こういった中で、エネルギー消費量としては1990年度比6.7%、CO2排出量は7.3%減という状況になっております。2012年度に向けて今後も引き続き省エネ投資、省エネ対策等をやっていくとともに、京都メカニズムを活用しながら目標達成に向けて最大限の努力をしていきたいということで、意見が集約されております。
鉄鋼業について言いますと、ご承知の方が多いかと思いますけれども、1990年の粗鋼生産1億トンというものが、コンスタントにキープされるという状況を仮定しておりましたために、粗鋼生産量のわずかな増加でも、目標を達成するために非常に大きな障害になるというような状況になっておりますが、そこらのところも含めて、今後とも取組を進めていきたいというふうに理解をしております。
それから第一約束期間終了後は、やはり現在日本の鉄鋼業は大変大きな負荷を背負わされております。現場は大変な努力をしておりますが、その一方で、例えば日本の生産量の7倍を上げている中国が全く何の制約も受けていないという、地球環境問題から見ますと非常に不公平かつ不自然な流れとなっていますが、今後はこういったことも理解しながら、日本の鉄鋼業としてどういうふうに進めていくべきかということを、ぜひ政策的にお考えいただければありがたいと思いますし、それから地球環境問題は単に鉄鋼業だけにとどまっておりませんので、地球全体で取り組まなければ、一部のところが取り組んでもほとんど効果がないという状況になっております。ぜひ地球規模全体の取組を加速させるような、これは言うのは易くて実行するのは極めて大変でしょうけれども、努力をしていただけるようにお願いしたいと思います。
以上でございます。
茅委員長
ありがとうございました。
では次に中上委員。中上委員はたしか二つ業種の主査をしておられますね。
中上委員
それでは最初に資料でいきますと28ページ、29ページになりますけれども、製紙・板ガラス・セメント等のワーキンググループについて、状況をご報告いたします。
まず最初に、28ページの一覧表をご覧になっていただきますと、基準年度に差があるのは、皆様ご承知のように、このワーキングに参加された年次の新しい、古いによって若干のずれがあるというふうにご理解いただきたいと思います。各業界とも目標水準を掲げていただいておりますが、一番右にありますように、対基準年度比で見ましても、いずれもそれをクリアしているという状況ですが、結果としては喜ばしいわけでありますが、業界がリーマンショックあるいは超円高とか、いろいろ外部的な要因があって、生産が必ずしも順調にいっていないという部分もあるわけですので、そういうところの評価はどうするのかということは、いつも話題になりました。特に去年やりませんでしたものですから、今年はそういうご指摘もあったように記憶しております。
それから、当然でございますけれども、3月11日以降のあの事態がございまして、CO2の原単位をどうするのかと。恐らく来年度、最終年度のご報告をいただくことになるわけでございますけれども、相当ぶれる可能性もございますので、こういったものについてきちっとそれぞれ参加された各業界が、努力した分が評価されるような形の表現をしていただかないと、結果CO2だけで表現されてしまうと、せっかくの努力が見えなくなってしまうんじゃないかというふうなご指摘もございました。また、特別な業界でしょうけれども、セメント業界のように、廃棄物をセメントの原料として使うということで何か問題がないかというようなご指摘が、たまたま今年はあったわけでございますけれども、そういったものについては汚染程度については十分チェックしてやっているので、社会的に問題はないだろうというふうなご回答もちょうだいしたというのが今年の特徴かと思います。
ちょっと違ったところで、今日は碧海委員ご出席でございますが、各業界が専門家の集団としてご報告いただけるわけでありますけれども、消費者に対しての情報発信がやや足りないんではないかという意味では、ホームページにもう少し消費者サイドでもわかるような表現をしていただけると、一般の消費者も産業界がどうしているかということを見てわかるんじゃなかろうかというご指摘がございまして、これはなかなか一般的には出てこないご意見でございますけれども、それなりに評価できるご意見ではなかったかと思います。あとは個別の業界でございますので、割愛いたしますが、各業界とも残すところあと1年でございますが、なお一層のご努力をお願いして、このワーキングは閉会になった次第でございます。以上がセメントワーキンググループです。
続きまして、33ページ以降の流通サービスワーキンググループでございます。これも総括表の34ページの表になっておりますが、かなり基準年度がばらけておるのは、さっき以上に我々のワーキングに参加していただく年次が、最近になって増えたという状況であります。
それはそれで非常にうれしいわけでありますが、そういった意味で目標水準のセットの仕方も、業界それぞれまちまちでございまして、この数値自体をどう評価するかということは、いつも私自身、気にはしておりますけども、とりあえず参加していただくということで、輪が広がるということをまずは評価をしてあげたいというふうに思っておりますし、古い業界と、それから新しく参加された業界で、業界が違っても、ほかの同様の業種でどのような努力がされてきたのかということを情報交換するだけでも、結構年々改善されておりますし、情報も進化しているように思いますので、こういったあたりをもう少しきちっと整理してあげなきゃいけないのかなというのが、アフターでありますが、後の話になるんではないかと思います。
したがいまして、目標水準と、先ほどのセメントグループと違いまして、CO2の排出の基準年度比が、ややぶれているところがあるわけでありますけれども、これは業界ごとにそれぞれに理由があるわけでございますから、逐一ここをご説明申し上げませんけれども、こういった業界はかなりばらつきが大きいということがご理解いただけるかと思います。
繰り返しになりますけれども、何度も申し上げたのは、この流通サービス業界というのは、経産省が所管している中では数少ない業務用、民生部門の業界でございまして、そういった意味では民生部門のほかの分野にもこういった情報が、本当は発信できるといいなと思うんですけれども、今のところこういった形で少しずつ流通サービスの中で輪が広がっている状況で、小さい業種も中にはあるわけでありますが、どんどん輪を広げていくことが、こういった業界は大切かなというふうに思っております。
あと全体の議事内容につきましては、ほぼ類似するところございますけれども、やはり原単位の問題については皆さんお気になさっているようでございますので、ぜひ来年度に向けて何らかの対策といいますか、方法を示してあげていただければと思っております。
以上でございます。
茅委員長
ありがとうございました。それでは次に自動車関係のワーキンググループの松橋委員。
松橋委員
ただいまご紹介をいただきました松橋でございます。石谷座長がちょっと体調不良で、私が代理として当日座長を務めさせていただきました。
全体的な説明は既に事務局からあったかと思いますけれども、全般的には、恐らく毎年出ているであろう、そういった指摘、例えばハイブリッドとかUVとか、そういうものが出てくるので、製造時には少しエネルギーがかかるけれども、ランニングのときにCO2排出が少ないので、ライフサイクルの考慮が欲しいとか、あるいは、何年も続けてこういったワーキングをやっているんだけれども、あまり過去と変わっていないではないかというようなご指摘、これはこの委員会に限ったことではなく、ほかのワーキンググループでも同様であるかと思います。
それで、既に幾人かの方からご指摘があったように、ダーバン合意もあった中で、当面京都議定書の数値とかそういったことではなく、日本は緊急の震災にも遭い、非常時でCO2というよりともかくエネルギー供給を確かなものにして、製造業の流出を少しでも抑えるという観点が必要なのかと思いますが、ポスト京都ということに向けては、若干私個人の考えも入っておりますが、製造業が流出していく中で国家の数値目標ということと、それから世界の温暖化対策をするということは別の問題であると、こういう認識を持っております。
したがって、こういった自主行動計画といいますか、産業界の取組も、今までどおりではなくて、これまでとは違った考え方でアプローチしていくことが必要ではないか、すなわち環境と経済の両立というときに、最も競争に強いところを、どういうふうにエネルギーとかCO2の貢献策として打ち出していくかというようなことが必要なのではないかというふうに考えておりますが、恐らく今年から来年に向けて、またそういう軸を、ほかも含めて打ち出されていくんではないかと思いますが、今後の課題としては大きなところではそこではないかと思っております。
以上です。
茅委員長
ありがとうございました。それから電子・電気・産業機械等のワーキンググループ、化学・非鉄金属ワーキンググループ、それと資源エネルギーワーキンググループ、この三つのワーキンググループについては、座長の方が残念ながら今日はご欠席でございます。したがいまして、事務局側から簡単に説明をしていただきます。
環境経済室長
それでは簡単にご説明申し上げます。資源・エネルギーワーキンググループ、資料で申し上げますと22ページでございますけれども、関係業種の概要ということで出てございます。この分野、特にさまざまなご意見ございましたけれども、やはり電気事業連合会関連の質疑が多かったと思います。原単位はもう出ているんで、2011年度の見込みはどうなるのかとか、あるいは原子力ができない中で、どうやって原単位を上げないようにするのか、あるいはクレジットの今後の取得予定量は一体どういう見通しなのかなどといったようなご意見がございましたが、いずれも現在資源エネルギーに関してのさまざまな議論がございまして、なかなかその見通しができないというようなご議論がございました。
それから引き続きまして、電気・電子でございます。43ページでございますけれども、44ページに総括表がございます。電気・電子4団体につきましては、非常に原単位の改善ということで目標値を掲げられて、それを達成していただいているわけですが、生産量の増加に伴いまして、非常にCO2排出量そのものは増えてございます。こういった点について、やはり総量削減という目標値をつくるべきではないかといったようなご意見ですとか、あるいは、それに対しまして、作るときよりも使うときのほうが圧倒的にエネルギーを使うので、やはりライフサイクルというか、製品段階での貢献というものを積極的に考えるべきではないかといったようなご意見がございました。
それから化学でございますが、50ページに総括表がございます。化学・非鉄金属業種でございます。こちらにつきましては、日本化学工業協会さんの排出量が非常に多い中で、目標が未達成なので、こちらについてどういう見通しかといったようなご意見がございました。こちらにつきましてはリーマンショックみたいなものがなければ、もともと掲げていた目標というのがございます。これはクリアしているんだけれども、なかなかそういったものがあったときに、非常に経済の変動があったときにエネルギーの原単位が悪化していくということで、やむを得ない部分もあるのかと、そんな中でも努力を継続していきたいというようなご意見がございました。
あるいは、日本化学工業協会さんのほうで、LCAについても非常に詳細な分析をしていただいておりまして、これについてダブルカウントがないのかとか、いろんなご意見もございましたけれども、そういったことはブラッシュアップをされていかれるということですけれども、非常に先進的な取組として高く評価する声があったかというふうに思っております。
ざっとでございますが、以上でございます。
茅委員長
ありがとうございました。それでは今の説明に対しまして、皆様からご質問、ご意見があろうかと思いますが、ご質問、ご意見のある方はいつものように札を立ててお示しいただきたいと思います。私から指名をさせていただきます。正直言って若干説明が簡単過ぎて、なかなか質問しにくいという面もあるかと思いますが、その辺は時間の制約ということがございますので、ご了解いただきたいと思います。どなたからでもどうぞ。
それでは森口委員。
森口委員
中央環境審議会から参加させていただいております森口でございます。ちょっと今回の日程が折り合わずにワーキングは参加できませんで、また原発事故以来、先ほど中上委員からもご指摘のありました廃棄物の放射能汚染等の問題にも関わっておりまして、最近ちょっと温暖化対策関係の会合は欠席ぎみで、大変申し訳なく思っております。
そういった中で、2点だけ申し上げたいと思います。資料3-1の64ページに電力排出係数の話が書かれておりまして、先ほど中上委員のほうからもご指摘があったところでございます。従前より電力のエンドユーザーとしての産業界のご努力を評価する上では、電力排出係数を固定した評価、あるいはクレジットもあえて電力が取得されたクレジットの分を算入しないほうが、エンドユーザーのご努力を反映しやすいんではないかと、そういうことを申し上げてまいりました。
恐らく今後の状況を見ますと、電力の需給逼迫ということから考えても、エンドユーザーの電力消費量を下げていくための投資等が円滑に行われるということが望ましいかと思いますので、そういった観点からも電力排出係数の扱い、この自主行動計画だけではないと思うんですけれども、あらゆる場面で非常に重要になってくるかと思いますので、既に出ている論点でございますけれども、重ねてその重要性を申し上げたいと思います。
それからもう1点は、その前のページにライフサイクルアセスメントの話が出てまいります。今の話とも密接に関わってくるか思うんですが、ライフサイクルアセスメント、あるいは少し視点が違うんですが、いわゆるサプライチェーンでの排出量の評価、日本は既に電力の間接分を評価しているという意味では、かなりの部分、スコープ2の考え方が既に取り入れられているわけですが、世界的には現在スコープ3も含めた排出量評価をしていこうという動きがございます。
先ほど松橋委員からもご指摘ございましたように、本当に日本の努力が正当に評価されるようにするためには、どういう排出量の評価をしていけばいいか、これは極めて重要な問題かと思います。私が参加しておりましたOECDのグリーン成長の指標の中でも、各国別の領土から出たCO2の排出量だけではなくて、輸出入を補正した消費ベースの排出量という考え方もとっていくべきではないかという、こういう議論も既に出ております。定義が異なる貿易を反映した消費国ベースでの排出、世界LCAでの評価、サプライチェーンでの評価、少しずつそのバウンダリーは違うわけですけども、いずれにしましてもこれは日本の産業界にとってより有利に働く可能性の高い評価法であると思いますので、今回のこの直接の評価には中で触れ切れないところかもしれませんけども、引き続きそういったところについて十分に重視していただければありがたいと思います。
以上でございます。
茅委員長
ありがとうございました。小林委員。
小林委員
恐れ入ります。この自主行動計画、10年たちまして、相当認識が高まってきた。また年を追って参加される業界も増えてきたということについては、大変喜ばしいことと思っております。ただ、大変残念というか、私自身、気になりますのは、例えば原単位での目標をされている業界が多いわけですが、個別の企業について原単位でやられるというのは、自由競争上、私はそれでいいと思うんですが、業界として原単位を使うというのはいかがか。やはり総量で目標を決めるべきではないか。その業界としてどういう進展、また発展を考えていく中で総量はどうするかというのは、業界としてできることではないかというふうに考えております。そういう意味で、原単位から総量にできるだけ目標を移していただきたいということをお願いしたいと。
あわせて、毎年このフォローアップ委員会でいろんな意見が交換されるわけなんですが、意見交換したものが、例えば今日の資料の3-3にありますように、いわゆる低炭素社会実行計画等のコメントの中にも含まれておるんですが、こういう意見が、この委員会の中では議論されるんですが、それ自身が各業界にきちっと反映されて、その業界でその意見についてどう踏まえたのかということについて、あまり見えてこないということがございます。そういう意味で、できましたらここの委員会で議論された内容については、各業界でもう一度きちっとそれを踏まえて、自分の業界としてどうされるかということを押さえていただきたいということをお願いしたいと思います。
茅委員長
ありがとうございました。木村委員。
木村委員
どうもありがとうございます。電気事業連合会の木村でございます。最初に一言お詫びを申し上げたいと思います。
あの原子力のお話、それを受けてのこのCO2の問題と、こういうことでございますが、去る3月に福島第一原子力発電所で発生しました重大な事故によりまして、地元周辺地域はもとよりでございますが、広く全国の皆様方に大変なご迷惑、ご不安、ご心配をおかけしておりまして、改めましてここに心よりお詫びを申し上げたいと思います。
そして、この事故を受けて原子力発電所の運転という点にご心配が多く、現在も54基の原子力発電所のうち、多くの発電所が停止しているということでございまして、夏及びこの冬におきましても、大変厳しい電力需給ということになっております。この辺につきましてもお詫びを申し上げますとともに、節電への皆様方のご協力につきまして、心より感謝を申し上げます。私ども電力各社、それぞれ運転をとめておりました発電所を動かしたり、あるいは新たに発電所を調達したり、そういうような形で、できる限りの電力供給に向けての努力を進めておりますけれども、ご協力とご理解をいただいております点、本当にありがたく思っております。
それで、今日のお話の中で、我々の業種、未達業種ということで、代表格で出ているわけでございます。どうしても電力を消費しておられる各産業の方にもそのカウントということで、目標達成に向けてマイナスの点が多々出ておるわけでございますけれども、私どもはこれまで申し上げてまいったように、エネルギーの安定確保、そして環境問題への対応ということで、何を挙げても原子力の重要性ということを申し上げてきたわけでございます。安全性を確保するということはベースでございますけれども、それによる原子力の活用、これがまず大きな柱。
さらに再生可能エネルギーにつきましても、私ども自ら14万キロワットという目標を掲げて、それに向けて電力各社が建設して、メガソーラを取り組んでいくというようなこと、あるいはお客様の太陽光発電設備からの電力購入、こういうことを進めてきておるわけでございます。従来型の化石燃料に基づきます発電におきましては、これも効率の向上を第一義に、それぞれの高効率化を図ってきているということで、取り組んできているわけでございます。原子力、こういう状況になっておりまして、その点では非常に厳しい状況になっておりまして、私どももそれにつきましては大変申し訳ないというふうに思っております。
原子力はご承知のように、ともかくできる限りの安全対策を追加する。そして、その立地地域を初め、国民の皆様方へのご理解をちょうだいした上で、安全運転に真摯に取り組んでまいりたいと、このように思っております。それから、もう一つの需要面の取組でございますけれども、今電力の必要な量を供給するという形ではなくて、必要な量をどのように考えていくのかと、こういうご議論がされておるわけでございますけれども、私どもの需要面の取組としましては、電気を消費する機器あるいはそのシステムでの効率化とあわせて、それからお客様の使い方をどのようにしていくのが適切なのかと、こういうようなことにも我々としても取り組んでまいりたいと、こういうふうに思っております。
そういう状況でございますけれども、私どもの自主目標はマイナスでございますけれども、そういう厳しい状況の中でございますが、できる限り今後につきましても検討をしてやっていきたいということで考えております。現時点におきましては、さらに検討を重ねまして、今申し上げましたような取組を続けていきたいと、このように考えております。
以上でございます。
茅委員長
ありがとうございました。河野委員。
河野委員
ちょっと、これから異色の発言になると思いますんで、あらかじめお断りしておきます。
私も長い間、こういう会議に参加していましたから、どういう雰囲気でどういう物事の議論を行えるかということは全部知っています。しかし今日は少し視点を変えたことを申し上げて、反発もあるでしょうし、反論もあるでしょうし、一向に構いません。とにかく、あいつが相当長い間この問題に首を突っ込んでいた男にしては、随分思い切ったことを言ったなというふうに記憶していただければ結構です。
第1に、なぜそんなことを申し上げるかというと、CO2の増加というのと温暖化の進行ということについては、茅先生大変なご専門でいらっしゃるんだけれども、学者の間でも表面下でいろんな意見があるんです。明快に一致しているという見解をする人のほうが、むしろ今では少数派になっているかもしれないという気が第1にするんです。
第2に、もうちょっとマイルドな温暖化の進行というのは、これはどこの地域に人間が住んでいて、どこで農業生産をやっているかによって違ってくるんですけれども、決してそんなに悪いこと、マイナスばかりではないんじゃないかという、非常に冷静な議論がちゃんとあるんです。専門家でもそういうことは随分おっしゃっています。このことが、国際社会の中で広く実は腹の中では共有されていて、経済的なことを言って飯を食っていた学者もその中にいるけれども、しかし、これはそれだけじゃないかもしれないよという雰囲気が、実はかなり浸透しつつあるんだと私は思うんです。
今度のCOP17でも、随分この辺を含めた会議だったんですけど、法的な拘束力のある枠組みを2015年に採択するということを一応決めたんです。科学的な根拠のある妥当な結論だと私は思うんですけど、一部のマスコミでは、特に日本では、温暖化対策に対する全面的な後退などといって自虐的に取り上げる向きがいるんです。これはおもしろいんです。私は書いている連中みんな知っていますから。朝日から日経から全部。しかし、それは一つの見方ではあるけれども、全面的な見解とするには、もうちょっと勉強したほうがいいんじゃないかというのが私の個人的な感想です。我が国にすれば、この会議で終始一貫していることは、非常に理にかなったことをずっと言い続けたんです。それをまた国内での推進者にとっては不愉快千万なことだったかもしれないんですが、しかし、それ非常にリアルなアプローチだったと、今でも私は思っています。
結局、アメリカと中国という圧倒的な排出量の多い国が、しかるべきときに行動を起こすということが、長期的に見ればこの問題を徐々に解決する決め手であることはみんな知っているんです。そのことについて、日本政府は終始一貫それを言っていたし、そういうふうなゆとりのある時間軸、短兵急に1年、2年、3年ということじゃなくて、そういう中で言えばやっぱりアメリカと中国が参加してくる。ある程度の義務を負う、両国が責任を持ってやるということになることが、温暖化対策の前進であることは間違いないんです。
今まで私も含めてそうだったけれども、この温暖化対策は短期決戦だ、短期決戦論、したがって、ばたばたやらなきゃ間に合わないという危機意識がずっと横溢して、それがいろんな人の論者の議論をあおったんです。確かにそういうふうに物を考える時間がありました。だからこそ、とにかく相当乱暴に原子力発電所を増やすんだということを、去年既に決めてあるんです。エネルギー基本計画は、政府は来年必ず全面的に見直すんです。しかし、あれは温暖化を阻止するためじゃなく、日本はこれだけの強力な原子力活動の拡大ということをやらなきゃ、係数上間に合わないと書いてあるんです。しかし、今それはもう御破算に近い状況になっているんです。国内の今の状況から考えて、あのまま通ることはあり得ない。
だから原発推進の大幅な修正というのが、もう目の前に起こっているわけです。だから困ったものだと、温暖化はやっぱり具合悪いね、本当は原子力も構わないからやりたいと思ったけれども、ちょっとこれは無理だというふうに考える人はもちろんいらっしゃるんです。しかし、温暖化問題の見直しというのは、よくよく冷静に本当の専門家の声の大小に関わらず聞いてみれば、いやいやそんなに慌ててやることないよということが結構な数でいらっしゃる。高度の専門家が。
我が国のCO2発生量、全体の4%です。それでも日本がこれだけの会議をやられて、環境から全部網羅している。これほど水も漏らさぬような係数をつくっているのは、日本だけです。その点は、我々は自負心を持っていいんです。ただし、日本はそれに基づいて自主行動計画を決めて、それで少しずつワーキンググループ、座長さんがおっしゃっていたけど進めてきたら、それはそれで立派なことをやっているんです。自虐的になる必要は全くないんです。日本は全体の4%です。だからサボれていいんじゃない。やっぱり全体に時間軸が相当ずれたんだから、もうちょっとゆとりのある、しかし着実な方向で、国内の議論をまとめる方向でこの会議も努力したらどうだということを申し上げたいんです。
以上。
茅委員長
ありがとうございました。ほかにございませんか。じゃどうぞ。坂根委員が先です。
坂根委員
私、経団連の環境安全委員長をやって、COPも3回連続出ている立場でちょっと総括的なコメントをさせていただきたいんですが、今、総量か原単位かという議論がありました。本来これ総量です。ですけど、企業の立場で言うと、技術を磨いていく話というのは原単位で常に管理するわけです。私どもの会社のコマツは建設機械工業会ですから、建設機械工業会からの話が一番わかりやすいんですが、90年のピークをひたすら右肩下がりをしている中で、総量はどんどん減っていく。何も努力しないでも減っていく。じゃあ我々は原単位に目標を掲げようというので、15%削減という目標を掲げて、生産量はそのころ90年比3割下がっていました。今回の評価が、原単位は15%に対して10%しか達成できなかったんだけども、生産量は90年比で10%落ちているから、総量で22下がったということです。これまでの活動は、私はそれでよかったと思うんですが、そもそもこの国は経済が伸びない、右肩下がりを前提にして議論をしている、ひたすら環境を議論していることに不幸な点があると思うんです。
今、河野さんがおっしゃったこととちょっと似ているんですけども、この国ほど成長を前提にしないで、あらゆる議論をしている国はないというのがCOPを通じた私の印象でして、経団連の自主行動計画も2010年度を見ますと、産業エネルギー転換部門では原単位で17.3%減らして、生産が90年比で5%増えたから、トータルマイナス12.3という、世界に胸を張って言えるレベルにあるわけです。問題は生産がたった5%、あの2010年度ですら5%しか増えていないということなんです。
だから、今後の議論をするときに、恐らく京都議定書のこの5年間は、不幸にして初年度の2008年にリーマンショックが起こりましたから、もう産業界恐らく2011年も今回の震災がありましたし、2012年が相当増えたとしても、不幸にして、かなり総排出量が少ないレベルなんだと思います。
この将来を考えたときに、こんな議論をしていたらこの国は、もう最後はギリシャになるというのが私の主張で、とにかく将来を語るときには成長戦略をまず掲げて、欧米並みの一人当たりGDPにしようと思ったら、あと30%、GDPにして150兆円は増やせるわけですから、それを前提にしたときにCO2は恐らく普通の技術と努力だったら2割ぐらい増える。それを、鳩山さんの言う25%削減するということは、大変な目標になるんですけども、いろんな方がおっしゃっている総量規制というのは、今から将来を考えたときには、厳しいけども、それを掲げないと、この国は方向を間違えるというふうに思います。意見の中には、企業が原単位に逃げているんじゃないかというのは、全く我々のまじめさからいくと不本意な指摘でして、総量でいったら楽だから原単位にしてきたんです。
ですから、今後、皆さん一致して総量規制でいこうじゃないかということになると、この国は本当に厳しい目標を掲げるということになります。COPの中で日本以外の国、どの国も成長を犠牲にしてCO2を下げる気はありません。成長がすべての先にあって、そのために必要なエネルギーはどれだけ要るのか、その中で原発をどうするのかという議論があって、その次にCO2をどこまで下げられるかという、この手順を追ってみんな議論しているということを、この国は忘れないようにしないと、本当に悲惨な国になるということを申し上げたい。
茅委員長
ありがとうございました。それでは塩崎委員。
塩崎委員
ありがとうございます。日本化学工業協会の塩崎でございます。
二つの視点からお話し申し上げたいと思います。一つは、業界が世界と比べたときにどうあるかということですけれども、ご承知の方も多いと思いますが、IEAのデータにもよりますと、既に日本のエネルギー効率というのは世界最高のレベルに達しています。その中でさらに種々の努力をしているということでございます。化学業界は世界の国際競争力にさらされております。そのためエネルギーの効率の技術を随分磨いてきたわけです。世界最高のレベルのエネルギー効率を達成しながら、なおかつ最善の努力をしているというような業界の状況でございます。
それからもう一つは、資料のまとめ方ですけども、例えば各業界の進捗状況の概要という一覧表がありますが、例えばここの一番右端にCO2という記載があります。私はこの温暖化の問題につきましては、CO2だけでなくてGHGという観点で整理し直すべきじゃないかというふうに思っております。具体的には、ご承知のとおり、例えばフロン等3ガスにつきましては、別の委員会があります。産業構造審議会の化学バイオ部会、地球温暖化防止対策小委員会、その中で議論されています。そこの議論とここの議論とあわせて、GHGという観点でまとめを行って、議論を行うべきじゃないかと、こういうふうに思います。ありがとうございました。
茅委員長
ありがとうございました。松橋委員。
松橋委員
今、何名かの委員の方からご発言されたことに対して、私も同意する部分が結構多いんですけども、京都以降の議論で、産業界の方、先ほど化学の方からご指摘あったように、日本のものづくりの効率は世界最高水準であって、という議論がずっとありまして、それゆえに、かつて坂本さんが地球環境対策室長だったころにセクトラルアプローチというのを提案して、我々も一生懸命分析をしてまいったわけですけども、産業界としては世界最高水準の効率を達成しているんだという主張と、もう一つ、日本として何としても総量で減らさなければいけないという主張が、常にこういう議場でぶつかり合って、結局のところは前に進めない議論といいますか、そういうことに終始してきたような感じもするんです。それでも一生懸命やってきたから、トップランナーとか、そういうものは非常にその中でも功を奏したとは思うんですけども。
私は提案というほどの提案ではないんですけども、そこを、そろそろ国家のためにどうしたらいいかということを考えないといけないので、一つは、さっきご指摘のあった温暖化の真の影響評価、これは5年や10年でできる問題ではないと思うんです。私、東京湾の海面上昇の影響評価をやりましたが、東京湾1港やるだけで数年かかるんです。気候変動の影響と費用便益をやるには、やっぱり1世紀かけてやるぐらいのつもりでやらないとだめで、それは気候の専門家とか、本当の自然科学の専門家を集めてやらなきゃいけない。それは別のところでゆっくり、じっくり時間をかけてやっていただきたいと。
それと、この日本をどうするかということについて、さっきお話のあった成長戦略とか、そういうものと結びつく中で、これは一応地球環境の委員会なんですけども、環境と経済の両立をどうやって達成するのかと、そこに絞って、つまり日本の雇用をきちんと確保し、持続可能な経済基盤を確保しながら、温暖化問題に日本なりに貢献していくにはどうすればいいのか、ここにはやっぱり国際競争の問題があるから、スピード感が必要なので、そこはそこに絞ってやってはどうかと。
政府の計算、内閣府がかつてやった計算の中でも、経済成長を反故にしているわけではなくて、経済成長率を必ず入れてやっているんです。入れてやっているから数字を出すのが非常に厳しくなるわけでして、決してそれを無視しているわけではないんですが、これからどこが伸びるのか、どこを伸ばしていって、日本の若い人たちの雇用を確保していくのか、その中で温暖化問題に貢献していくのか、そこはある種のスピード感を持って環境と経済の両立ということで、今までのような水かけ論にならない、建設的な議論をやる場をつくってはどうかというふうに思っております。
以上です。
茅委員長
ありがとうございました。中上委員。
中上委員
小林委員から原単位じゃなくて総量という、まことに私もそれでいきたいと思うわけでありますが、たとえて申しますと、1990年をベースにして現在のコンビニを考えていただくと店の数が3~4倍に増えているわけですから、どうやったって総量は増えちゃうわけです。本当は総量が増えた裏には、小さな店が模様がえをしたというのがあるんですが、こちらも押さえられれば双方きちっと評価ができるんですが、そちらのデータは全くないレベルで、ある業界だけを取り上げて総量と言ってしまうと、全くミスリードしてしまうわけです。
この原単位を考えるときに、流通業界では非常に議論があったわけでありますけども、例えば1平米当たり、年間というようなデータでもし原単位をとったとしましても、営業時間が長いコンビニのほうが、かえって大規模な百貨店よりずっと多くなってしまう。これはどう評価すべきかとあったんで、じゃあ時間で割ろうかとやりますと、営業時間が長いほうが小さくなるという原単位はけしからんというお叱りを受けるわけでありますけれども、やっぱり横並びできちっと評価するというには、それなりのルールをつくって数字を並べていかないと、ここの原単位がばらつくと、どこがどうなっていくかわからなくなってきてしまう。その辺はぜひ何かいいアイデアがあったら教えていただきたいわけでありまして、多分産業界の方々は成長産業であるとか、そういうところであればあるほど、当然総量は増えてくるでしょうから、これをどう評価したものかというのは全く別な評価をしないと、こういうテーブルで議論してしまうと、やっぱり誤解を招いてしまう。毎回この議論が出てきますけども、担当しているほうとしては非常に心苦しい面もないとは言いませんけれども、便法上こうなっていると。
だから、さっきの総括表を見ていただきますと、コンビニを預かるフランチャイズチェーンは総量で行くと2倍近く増えているわけでありますが、実は店の数からいくと3~4倍増えていて、2倍なら十分おさまっているんじゃないかというような気もしますけれども、そこにそういう評価していただけないというのが、私自身は内心忸怩たるところがございます。多分に業界の代弁かもしれませんが、座長の立場でご報告させていただきます。
茅委員長
ありがとうございました。和坂委員。
和坂委員
私NEDOの和坂でございます。本来この後の委員会でお話しさせていただこうと思ったんですが、いろいろと興味深い話だとか、いい話が出ていますので、少しお話させていただきたいと思います。
環境と経済の両立という話が出てきたので、ここでちょっとお話させていただければありがたいと思います。これはやはり非常に大事な問題であると私も考えております。NEDOのミッションの中には環境問題の解決と国際競争力の強化が、大きなミッションとして立てられております。そういった中で、我々は再生可能エネルギーを初め、その他温暖化ガスの排出を削減する技術開発をしております。それと同時に、競争力強化に向けた取組としては、海外の実証に現在力を入れてやっているところであります。これによって日本の企業の国際競争力の強化につなげていきつつ、地球規模的にCO2を下げる努力ができるのではないかという思想のもとに、国際競争力強化に向けた実証事業を展開しております。日本の技術の海外展開を、より一層我々としては図っていかなければならないのではないかというふうに考えてございます。
それからもう一つ、先ほどフロンの問題も出ました。フロンというのは費用対効果が大きい取組であるというふうに考えております。実を申しますと、NEDOにおきましても、代替フロン等3ガスの排出削減設備の実証研究事業ということで、平成18年から22年度まで5年間実施してまいりました。この成果として5年間で81事業者に対してCO2換算で約1,780万トン、見込みも1年分あるんですけれども、削減ができたというふうに計算しております。これは年間にしますと約360万トンの温暖化ガスの排出削減につながってきているということで、これは各事業者が設備を導入していきつつ、実際に代替フロンなど3ガスの排出量を減らそうという取組です。こういった国内における実証事業、導入事業というのも、非常に有効なものではないかというふうに考えております。
まとめですけれども、我々としては国際実証、さらには国内での実証、こういった事業の展開が、今後ますます必要になってくるのではないかというふうに考えております。
以上でございます。
茅委員長
ありがとうございました。佐久間委員。
佐久間委員
発言を控えようかと思ったんですけども、割と過激な意見が出ていたものですから、ちょっとコメントさせていただきます。
日本の企業のいわゆる環境対策は非常に進んでいるにもかかわらず、国際的な環境の会議で、その努力が必ずしも十分に評価されるような動きになっていないということは非常に残念に思います。やっぱり日本の環境技術はこれから世界へ打って出て、次の世代に生かすような方策をぜひ考えていただきたい。経済と環境という問題は非常に厄介な問題を含んでいると思いまして、特に自由主義経済学者は環境問題に懐疑的であります。むしろ思想の戦いというような方向に世界は向かっていると思います。そういう点も十分ご配慮いただければというふうに思います。
茅委員長
ありがとうございました。森口委員。
森口委員
2巡目で恐縮です。先ほど来、原単位の話が出ておりますので、2点申し上げたいと思います。
私、温暖化とは別の場面で国際的な活動、国際支援パネルというのに関わっておりますけれども、そこでデカップリングというタイトルのもとに、特に資源生産性、資源消費量あたりの経済生産、豊かさを図っていこうという話がございます。これはまさに原単位の議論でございまして、そういう意味では、中環審側の委員がこういうことを言うのは、やや不規則発言に受け取られるかもしれません。私は、原単位でいくというのは非常に重要なことだと思っております。それは特に成長率によるわけですけれども、原単位のほうがむしろ厳しい目標になる場面が多々あるわけでございまして、そのことは意義を認めるべきであると考えております。
もう1点は、具体的には中頭委員のご発言にあった流通に関わるところなんですが、私は厚労省所管業種のフォローアップの座長をさせていただいておりまして、生活協同組合が所管業種でございます。生協では供給高当たり、民間で言うと売上高かと思いますが、それ当たりの原単位を採用しております。こういった考え方も非常に重要かと思いますので、床面積等々という話もあると思いますが、最終的には経済成長との両立ということであれば、やはり生産高なり付加価値額当たりの原単位といった考え方は、かなり重要な考え方ではないかと思いますので、参考にしていただければと思います。
茅委員長
ありがとうございました。大体よろしいですか。今日は中環審と産構審の合同会議ですが、残念ながら中環審側のご出席が、実は3人しかおられないので、ちょっと少ないんですが、そういう意味で中環審を代表して、小林委員からもう一つ発言がございましたら、お願いします。
小林委員
恐れ入ります。本来なら大塚委員長がごあいさつ申し上げるところでございますが、欠席ということでございます。そういうことで私がかわりにお話をさせていただきます。
私が、先ほど総量ということで発言したためにいろんな議論になって、逆に言いますと、それだけ議論ができたということかもしれません。私自身、個人的には各企業が原単位で目標設定してやられることについては反対しておりません。それはそれでいいと思っています。ただ、地球全体として、また日本としては、総量で管理をしなければならないということになるわけです。
そうすると、総量でやっていったものを途中から原単位に置きかえることによって、どこかの段階でこれをコントロールしなければならないということになるわけです。そのコントロール方法としては何が必要なのかということを議論していただきたい。一番極端にいいますと、規制になってしまいます。規制をしないということで、この自主行動計画を決めたわけですから、そうなりますと、自主行動計画の中で地球全体の総量をどう管理していくかということをお考えいただきたいということで申し上げたというふうにご理解をいただきたいと思います。
ということで、本日議論いただきました自主行動計画の2010年度の実績につきましては、多くの業種において目標が達成されていることについては、率直に評価したいと考えてございます。また一方、目標達成は2012年までの5年間ということでございますので、これにつきましても引き続き目標達成に努力をお願いしたいというふうに思います。あわせて、今日の評価の中で、最後のところにございましたように、東日本大震災と、それに伴う福島第一原子力発電所の事故ということで、全国の原子力発電所の稼働が停止していくという状況にございます。こうなりますと、今後とも電力排出係数が悪化するということが見込まれるわけでございます。そういう意味で、さらなるご努力をお願いしたいというふうに考えるわけでございます。
また、地球温暖化対策というのは世界全体の重要な課題である。先日閉会いたしましたCOP17におきましても、我が国は京都議定書の第二次約束期間には参加しないということを表明したわけでございますが、これは2013年以降、削減対策を行わないということではございません。京都議定書に基づく削減目標の義務を負わなくても、2013年以降につきましては温暖化、温室効果ガスの削減対策につきましては、自主的にやっていくということになるわけでございます。自主的にやるということは、逆に世界から議定書のように押しつけ合いではなくて、自らが目標を設定してやるということになりますから、それだけ逆に厳しい目標ということにもなるわけでございます。そういう意味で、我が国の温暖化対策に対する積極的な姿勢を世界に示すことによって、日本が先見を持って先導していくというぐらいのお気持ちで、ぜひお願いをしたいと考えるわけでございます。
以上です。
茅委員長
ありがとうございました。今までの委員の方々のご意見に対して、事務側のお考えはございますか。
(なし)
それでは、時間もちょうどいい時間になりましたので、前半の部分の会合は、これで一応終わりにしたいと思います。
なお、資料3-1これは2010年度、資料3-2、これは2009年度の自主行動計画のフォローアップの結果の検証等でございますが、これは本日の皆様方のご意見で、もし必要があれば修正をすべき点はしたいと思います。また中環審にも定足数というのはあるんですが、今日達しておりませんので、おいでにならない委員も含めましてご意見を伺って、それによって必要に応じて修正をさせていただきたいと思います。そしてそれを使いまして、パブリックコメントをとって、最終的にはそれで取りまとめたいと。その取りまとめは、恐縮ですが私にご一任いただければありがたいと思いますが、いかがでございましょうか。よろしゅうございますか。
(異議なし)
ありがとうございました。
それでは、最後に事務局から確認事項についてお願いします。
環境経済室長
ありがとうございました。修正いたしました後も、必要な修正がもしあれば、施した後の最終版につきましては、後日私ども事務局より委員の皆様に郵送をさせていただきます。それから本日の議事でございますけれども、事務局で議事録を作成いたしまして、皆様方にご確認をいただいた後、公表させていただきたいと存じます。
以上でございます。
茅委員長
それでは、これで前半を終わりでございまして、後半の産構審の地球環境小委員会を5分置いて再開いたします。中央環境審議会の委員の方は、これでご退席いただくことになります。ありがとうございました。
午後 2時15分 閉会