産業構造審議会・総合資源エネルギー調査会2006年度自主行動計画フォローアップ合同小委員会、中央環境審議会自主行動計画フォローアップ専門委員会合同会議 議事要旨

日時

平成19年2月22日(木)16:30~18:30

場所

ホテルグランドパレス「チェリーの間」

出席委員

茅委員長(産構審)、大塚委員長(中環審)、西尾座長、 石谷座長、佐久間座長、橘川座長、秋元委員、
秋山委員、浅野委員、井上委員、逢見委員、 角田委員、柏木委員、河野委員、島田委員、鈴木正委員、
千葉委員、馬田委員、早川委員、福川委員、増井委員、松尾委員、三村委員、 森口委員、森嶌委員

議事内容

1.
茅委員長、大塚委員長及び環境省南川地球環境局長から開会の挨拶の後、経済産業省藤原環境経済室長から、資料3のIに基づき、2006年度フォローアップの体制及び視点等について説明。
2.
西尾座長(資源エネルギーWG、製紙・板硝子・セメント等WG)、石谷座長(電子・電機・産業機械等WG、自動車WG)、佐久間座長(鉄鋼WG)、橘川座長(化学・非鉄金属WG)、経済産業省桑原環境経済室長補佐(流通WG)から資料3のIIに基づき、各WGについて報告。
3.
藤原環境経済室長から資料3のIII、IVに基づき、2006年度フォローアップの結果及び今後の課題等について説明。
4.
環境省小川地球温暖化対策課長から、資料4に基づき、他省庁所管業種の自主行動計画策定状況、フォローアップ状況等について説明。
5.
委員の発言、及びそれに対する応答は以下のとおり。
今年度の評価は、各業界の数値を明らかにした評価であり、すばらしい。
エネルギー転換部門が原単位を下げれば、民生部門でも原単位が下がる。電力の原単位改善には、原子力の推進が大事。電力業界は気を引き締めて取り組んで頂きたい。また、原子力の推進には、社会的・政治的リスクが伴うので、政府の役割もある。各セクターが協力して進めるべきであり、イギリスの環境運動家ジェームズ・ラブロックもそのような主張をしている。日本でも、原子力の推進のため、官・地域・環境団体も協力し、その中で環境省も具体的な活動を行う必要がある。
今回のフォローアップは、目標達成したか否かだけではなく、CO 排出量の増減などの観点を加えた新しい基準による評価を行うなど、進展しており大変評価する。情報の積極的な開示の必要性についても認めていただいたことを評価したい。
今後の課題として、CO排出量についても目標指標とすることを検討すべき、との課題が示されている。これは必ずしもCO排出量を減らさなければならないということではなく、ここまでに抑制します、というものでも良い。目標達成計画の進捗を定量的に把握する上でも大事ということである。
運輸、民生部門における取組の強化が課題とされているが、企業活動は各部門にわたるものである。各企業は環境報告書などで自社の取組を公表しているが、政府としても各企業の取組についても公表するなど、各企業・業界に波及するような横断的な方法を検討して欲しい。
目標を引き上げたことには意味があるが、従来の実績と新目標を比較吟味すべき。例えば流通業界では実績より緩い目標を設定しているのに最高の☆と評価されている。過年度の最も低い水準以下に新目標を定めることが望まれる。また、CO排出量の削減を最優先の評価基準とすべき。流通業界においても排出量は増えており、引き上げの水準も最高評価とは言い難い。
資料3のIV.1.(4)で「本年度、8業種が目標を引き上げ、これらの各業種の取組を高く評価したい」とある。一歩前進ではあるが、各業種の引き上げ水準は過去のトレンドに比較して必ずしも高くない。
「目標達成業種に対しては、…関係省庁は厳格なフォローアップを行い、目標の引き上げを促進すべき」とあるが、具体的にどのようにフォローアップするかを明確化すべき。また、その際、排出量を削減するという視点を重視すべき。
今後の課題として、環境家計簿が挙げられている。環境家計簿の成功事例について情報発信を行うべき。これは地方自治体でも取組を進めるべきところ、現実には進んでいない。HP公表等により普及を進めて欲しい。
自主行動計画の取組が前進していることを評価したい。
銀行、金融、製薬、学校など他省庁の所管業種について、資料4で説明されていない金融庁、厚労省、文科省などはこれまで何も取り組んできていないのであれば問題。
私立病院・私立学校において自主行動計画策定が必要とされているが、国立のものは独法の計画となるのかもしれないが、自治体の学校・病院なども多数有ると思わる。自治体の取組も重要である。
2/13の産構審・中環審合同会合の有識者ヒアリングでCO削減効果が大きいとして紹介されたエコドライブの促進について、各業種の取組状況はどのようになっているのか。
連続達成業種が多く、経団連の取組の成果が出ているものと思う。
資料3の3頁に示された、各省がフォローアップを行っていない業種、未策定の業種をなくしていくことが必要。資料4の各省庁のフォローアップ状況については、これだけ温暖化が問題となっているときに、この程度のことしか行われていないのは問題ではないか。しっかりフォローアップを行っていくよう、是非、環境省から促して欲しい。
本年度のSABCの評価基準はおもしろい。ただ、一般には三つ星などもわかりやすいのではないか。いずれにせよ、詳細なランク付けは、各業界のやる気を引き出すことになり、良いことだと思う。
今後の課題の「国内外への情報発信」については、折角、各業界が良い取組を行っているのだから、ビデオや漫画を作成するなど、分かりやすく積極的に行って欲しい。
本年度から中環審と合同でフォローアップを行うことの意義を期待していたが、実際に効果があったと評価したい。関係業界も注目度も高い中でヒアリングを受け、叱咤激励されながら進めることができた。
これほど精緻なフォローアップ結果が提示されたことを評価したい。新たな評価基準は、精緻化の方法により不公平感もあるかもしれないが、敢えてランク付けを行うことにより、各業種に競争意識が沸いて良い。高い評価の与え方として、表彰なども手段となるのではないか。
産構審・中環審で何度も申し上げているが、ただのりは許すべきでない。厳格なフォローアップの実施、未策定業種の策定など、環境省は他省庁に対し、しっかりと働きかけを行って欲しい。
総量目標を基本目標とすべきではないか。原単位目標では、好況による生産増により自然体でも原単位が低減するのではないか。
参考1の「各業種のCO排出量・エネルギー原単位の変化」の 図の座標軸に、さらに「生産量、出荷額」も加えると良いのではないか。生産量、出荷額が増えているのに排出量が減っている業種は、日本自動車工業会、日本ガス協会が挙げられ、評価できる。
温暖化対策の費用・効果を検証する場合、省エネによる節約費用の数値も計算、公表すれば、コスト負担の全体像が明らかになり、今後の普及にも資すると思う。
電気事業連合会が目標達成に京都メカクレジットを活用するとのことだが、エネルギーの供給を受ける各業界の自主行動計画にどのように反映させるかなどについて、電力のみならず石油やガスを含め横断的なルールを検討すべき。
自主行動計画の取組が次第に発展していることも認知されてきたものと思う。
自主行動計画は本来、「自主的」にやるものであって、国が余りとやかく言うべきではない。資料4で示された各省のフォローアップ状況を見れば、日本経団連が取り組むエネ転・産業部門との差が見られ、国もしっかり取り組むべき。
原単位管理に対する議論があるが、京都議定書は量の削減であることは誰でも承知している。自主行動計画はサプライサイドの議論であり、如何に効率よく生産するか、即ち原単位を如何に下げるかが産業界の役割であって、排出量の制限により生産、供給を停止することは難しい。物を消費する側の理解と努力が重要であり、そのための国民運動、の推進に国は積極的に取り組むべきである。
自主行動計画を中心とする対策実施により我が国は是非目標を達成すべき。日本はオイルショックなどエネルギー供給が大変なときに発展した経験から世界でトップレベルの技術を有しており、これを活用し産業発展、雇用を維持しながら目標を達成して始めて、ポスト京都の枠組交渉における日本の発言力も高まる。
森林喪失による排出増は、エネルギー転換部門の排出量に次いで大きい。日本政府として国内シンクに係る予算確保は良いことであるが、国際的に森林CDMが認められるよう努力して欲しい。
化学業界としては、評価は◎ではあるがCであることは残念。今後、原単位目標の切り上げを行い、より高い評価を得たい。化学業界では高機能品の生産増加に伴い、原単位、排出量ともに増加している。削減義務を負っていない国の企業とも競争している環境にあるが、悩みながらも取り組んでいるところ。
温暖化対策はエネルギー政策ともリンクして考えるべき。CO排出係数だけで見れば石炭から天然ガスへのシフトとなるが、資源の残存年数なども勘案して、環境とエネルギーのベストミックスなどが両立する環境持続的な取組を考えるべき。
自主行動計画について、産業界・企業の大変な努力を評価したい。一方で、こうした努力について、国民への情報提供が少ないと思われる。一層の情報提供をお願いしたい。
ドラッグストアなどが流通WGに参加しているが、大型家電量販店なども排出削減に取り組んで欲しい。省エネ機器販売優良店のの表彰制度などはあるが、冷暖房の管理など店舗自体の努力の余地もあるのではないか。
LPガス協会もフォローアップ対象に加えるべき。
企業の努力と併せ、消費者の意識向上が必要。そのためには、自治体も排出削減に取り組むべき。私が住む市では、省エネ1%運動を行っており、建物は暗いが市民の意識改革に資している。
目標を排出量で設定するなど排出量の削減を意識すべきとの点を支持したい。一方、業界努力を適正に評価するため、原単位も重要である。ただし、各業種の原単位の算定方法が統一されておらず、比較には注意が必要である。例えば、化学業界について、高機能製品のシェアが上がることで原単位が悪化するとの発言があったが、現在の算定方式ではそうはならないのではないか。原単位に製品構成の変化を織り込んだ設定かどうか、計算方法が分かりにくいため、わかりやすい指標の設定など各業界の努力をお願いしたい。
○大塚委員長
本年度からフォローアップに中環審も参加し、関係業界がよく取り組んできたことがわかった。8業種における目標引き上げ、パブリックコメントの実施、経団連が単年度から5年間評価に切り替えたことなど、取組が前進した。中環審委員が寄与したならば、幸いである。
今後、各省庁所管の未策定業種への策定働きかけ、個別の企業の目標設定など様々な課題もあるが、今回のフォローアップの経験も目標達成計画見直しに活かしてまいりたい。政府には、6%削減目標が達成されるよう引き続き求めていきたい。
○環境省小川地球温暖化対策課長
資料4で説明したのはフォローアップが実施されているところであり、資料3の3頁で色が付いていない業種については、フォローアップの体制整備を促していく。
目標達成計画において、国立及び地方公共団体の病院・学校は「実行計画」を策定して取り組むこととされており、民間のものについて「自主行動計画」を策定、フォローアップを進めることとされている。
○経済産業省伊藤地球環境問題担当審議官
自主行動計画は、一定の成果が出てきている。家庭・業務部門の取組を進めていく必要がある。病院・学校など自主行動計画の未策定業種が計画を策定することなど、環境省にも他省庁にもしっかり働きかけて頂きたい。当省としても全面的に協力したい。
○経済産業省藤原環境経済室長
排出量総量か原単位か、というご議論については、自主行動計画の本質に関わる問題である。自主行動計画においては、目標指標の選択は、最終的には産業界に委ねられている。その中で、本年度の評価は、排出量総量の削減の観点も踏まえたものとさせて頂いている。
企業単位での目標設定・点検は、既に実施している企業もあるようであり、それらの先進事例の普及が必要と認識している。
環境家計簿の横展開も重要と認識しており、今後の課題にも位置づけられているとおり、経団連とも連携しつつ、進めていきたい。
産業界における取組の情報発信については、特に消費者に近い業種を中心とした積極的な取組などを通じて、家庭部門の取組促進につなげていくことが重要。
表彰制度など、既存の枠組の中でもインセンティブ作りをしていくことも検討したい。
温暖化対策とエネルギー政策との連携については、本委員会自体も合同で審議を行っているとおり、既に一体的に進めているものとご理解いただきたいが、今後とも一体的に進めていきたい。
大型家電量販店については、各社個別に自主的に取り組んでいる企業もあると認識しているが、フォローアップ対象に加わって頂くことも前向きに検討したい。
LPガス協会については、既に来年度のフォローアップから参加する方向で検討されている。
○経済産業省桑原環境経済室長補佐
エコドライブのご指摘について補足したい。民生・運輸部門での取組については、資料3参考2中に各業種の取組を整理している。エコドライブについては、97頁のとおり、アイドリングストップやデジタルタコグラフの導入など、21業種より報告があった。詳細は、各業種の提出された個表・参考資料1を参照頂きたい。
6.
最後に、茅委員長から、資料3については、今後パブリックコメントに付してとりまとめられる旨をご発言。本日の審議及びパブリックコメントを踏まえた修正については、茅委員長、大塚委員長に一任することとされた。茅委員長の閉会のコメントにより、会議が終了。