中央環境審議会地球環境部会二酸化炭素海底下地層貯留に関する専門委員会第4回会合 議事録

1.日時

平成18年12月26日(月)午後3時00分~午後4時44分

2.場所

虎ノ門パストラル 新館5階(ミモザ)

3.出席者

清水 誠 委員長
池田 龍彦 委員  大塚 直 委員
木幡 邦男 委員  小山 次朗 委員
佐藤 徹 委員  白山 義久 委員
高村 ゆかり 委員  野尻 幸宏 委員
原沢 英夫 委員  細見  正明 委員

4.議題

(1)
二酸化炭素海底下地層貯留に関する専門委員会報告書(案)について
(2)
その他
  

5.配付資料

資料1 二酸化炭素海底下地層貯留に関する専門委員会委員名簿
資料2 中央環境審議会地球環境部会二酸化炭素海底下地層貯留に関する専門委員会第3回会合 
議事録(案)
資料3 地球温暖化対策としての二酸化炭素海底下地層貯留の利用とその海洋環境への影響防止の在り方について-中央環境審議会地球環境部会二酸化炭素海底下地層貯留に関する専門委員会 報告書(案)
参考資料1 二酸化炭素海底下地層貯留について
参考資料2 ロンドン条約及び96年議定書の概要
参考資料3 96年議定書附属書Iの改正内容
参考資料4 二酸化炭素流海底下処分に関する評価ガイドラインの概要
参考資料5 二酸化炭素海底下地層貯留に関する技術について
参考資料6 諸外国の関連制度について
参考資料7 二酸化炭素地中貯留に対する地震の影響(平成16年新潟県中越地震の事例)
参考資料8 気候変動枠組条約締約国会議(COP)及び京都議定書締約国会合(COP/MOP)等に
おける二酸化炭素回収・貯留(CCS)の検討状況

6.議事

午後 3時00分 開会

○徳田環境保全対策課長 それでは定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会地球環境部会二酸化炭素海底下地層貯留に関する専門委員会の第4回会合を開催いたします。委員の皆様には、お忙しい中お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
 会議に先立ちまして、小島地球環境審議官より御挨拶申し上げます。

○小島地球環境審議官 地球環境審議官の小島でございます。本日は、お忙しいところ、二酸化炭素の海底下地層貯留に関する専門委員会第4回の会合にお集まりいただきまして、ありがとうございます。
 本委員会では、中環審の諮問を踏まえまして、今年9月から地球温暖化対策としての二酸化炭素海底下地層貯留の利用と、その海洋環境の影響防止のあり方について御審議をいただいております。11月20日の第3回の会合において御審議をいただきました骨子(案)への御意見を踏まえまして、今般、事務局において専門委員会の報告書の案というものを作成して御議論に提供しております。炭素の吸収貯留技術というのは、今後の温暖化対策における重要な技術の一つだというふうに世界的にも考えられております。その技術をどのように使っていくか、環境への影響というものをどのように防止していくかということで、初めての検討結果になるというふうに考えております。国際的にも、これからこの議論が実用化されていく、そういう仕組みができていくことになりますので、何とぞ専門的な見地から十分な御議論をいただきたいというふうに考えております。よろしくお願いいたします。

○竹本環境保全対策課課長補佐 それでは、議事に入ります前に本日の資料を確認させていただきます。
 まず、議事次第でございます。それから資料1、委員の名簿でございます。資料2、前回第3回会合の議事録です。資料3、地球温暖化対策としての二酸化炭素海底下地層貯留の利用とその海洋環境への影響防止の在り方について、本委員会の報告書の案でございます。続きまして、参考資料が全部で8種類ございますが、それを束ねたものがございます。
 以上でございます。

○徳田環境保全対策課長 もし不足している資料等あれば、事務局までお申しつけください。
 本日は、専門委員会報告書の案について御議論いただくこととしております。
 本日は委員総数14名中11名の御出席をいただいておりますので、専門委員会開催の定足数を満たしておりますことをお伝えいたします。
 会議は原則公開。公開した会議の会議録は、公開することとされております。会議の公開・非公開につきましては、委員長の決定ということになっております。今回の第4回専門委員会につきましては、事前に清水委員長に御相談を申し上げ、公開で開催することといたしております。
 それでは議事に入っていただきます。ここからの進行につきましては、清水委員長にお願いしたいと思います。

○清水委員長 それでは、議題に入りたいと思いますけれども、その前に、前回の議事録に関しまして、今、何か御注意いただくことがございましょうか。あらかじめお配りをして、お目を通していただいていると思いますが。

(意見なし)

   特に御意見がないようでございますので、これで確定ということにさせていただきます。ありがとうございました。
 それから、先ほど審議官からもお話ありましたけれども、前回、骨子(案)を御提示して、いろいろ御意見を賜りました。その後、基礎をこちら側でつくりまして、各先生からの御指導をいただき、今回の報告書を何とかまとめようということで、最終的に御確認をいただきたいということでございます。後ほど御相談をいたしますけれども、今日、これでまとめて、これでよろしいということになればパブリックコメントを求めるということになろうかと思います。御審議のほど、よろしくお願いをいたします。
 まず、事務局から御説明をお願いします。

○竹本環境保全対策課課長補佐 それでは御説明します。
 資料3でございますが、ページをめくっていただきますと目次があります。
 冒頭は、「はじめに」でございます。これは前回の専門委員会で、海底下地層貯留が行われるに至った背景について強調してくださいといった意見が複数ございましたので、その点について新規に記述させていただいております。
 それから1章から3章にかけては、前回お示ししました骨子(案)と基本的に同様でございます。
 なお、本日配付しました参考資料は、本日の議論の参考とするため、これまでの会合で事務局から紹介いたしました資料を事務局において整理し、まとめたものでございます。
 まず1ページ、「はじめに」でございます。最初のパラグラフは、地球温暖化の深刻な影響について、海洋への影響を中心に記述しております。後段では、地球温暖化の影響のうち、海洋環境にかかわるものとしては、海水温の上昇に伴うサンゴの白化、海洋生物の分布の変化、海面上昇などがあり、また近年、大気中の二酸化炭素の濃度の増加による海洋の酸性化及び酸性化による海洋生物への影響も指摘されています。
 2番目のパラグラフですが、こういった状況を踏まえて温室効果ガスを大幅に、しかも早期に削減する必要性について記述しております。冒頭は気候変動条約の究極目的、これは大気中の温室効果ガス濃度を自然の生態系や人類に悪影響を及ぼさない水準で安定化させることであり、このためには排出量と吸収量を同等のレベルにすることが必要であります。このために、世界全体の排出量を早期に現在の半分以下にまで削減することが求められています。IPCCの第3次評価報告書では、削減の回収が早ければ早いほど、悪影響が表れるのが遅くなるということですとか、今年の10月に発表されましたイギリスのスターン・レビューでは、直ちに強力な行動をとれば地球温暖化の悪影響を回避する時間は残されているという、各種専門家あるいは政府間の報告書で、温暖化対策の早期かつ大幅な削減の必要性が指摘されております。このため、省エネルギー対策の推進、再生可能エネルギーの開発・普及を含む多様な政策・措置を早急に講じていく必要があるとしております。
 3番目のパラグラフですが、このような状況のもとで、近年、中長期の地球温暖化対策の一つとして二酸化炭素回収・貯留(CCS)技術に対する認識が高まっているという、CCSの背景、経緯を示しております。具体的には、本年4月に96年議定書附属書Iに定める投棄可能な廃棄物その他のものに、海底下地層に貯留する二酸化炭素流を追加すること等を内容とする議定書の改正案が提案されております。これによって、国際的には海洋環境保全上支障がない場合には二酸化炭素海底下地層貯留が可能となる、こういった状況になりましたので、我が国においても二酸化炭素海底下地層貯留の海洋環境への影響の防止のあり方についての検討が地球温暖化対策上の位置付けの検討とともに求められるということになりました。結果的に、この改正案は、本年10月から11月に開催された96年議定書第1回締約国会議において採択されております。
 2ページでございます。このような経緯を踏まえまして、環境大臣から中央環境審議会に9月4日付で諮問が行われまして、同諮問が地球環境部会に付議されております。それを受けて、本専門委員会で御審議をいただいているという経過でございます。
 続きまして3ページですが、専門委員会の委員の先生方のリストと専門委員会の会合日程、主要議題をリストアップしております。
 続きまして4ページ、1章(1)、(2)でございます。1章、二酸化炭素海底下地層貯留をめぐる動向と利用の在り方。
 (1)は、ロンドンの条約及び96年議定書の概要でございます。こちらは、ほとんど骨子(案)と同様でございます。ただし、その後、議定書の締約国数が増えております。2パラグラフ目の一番下の行ですが、平成18年11月30日現在、30カ国であります。次の3パラグラフ目の一番上に脚注がございます。脚注1に96年議定書では、「海洋」は「海底下」を含むと提起されていると。これは、前回の委員の御指摘を踏まえて定義をさせていただいております。残りは修正ございません。
 次に、96年議定書附属書I改正に関する動向でございます。この動向につきまして、先ほど、「はじめに」でも申し上げたとおりでございますが、脚注2で二酸化炭素流について注意書きを示させていただいております。オーストラリア提案の改正案が採択された結果、96年議定書附属書IにCarbon dioxide streamsという、回収・貯留過程から回収されたCarbon dioxide streamsという表現がございます。これについて二酸化炭素流という翻訳をした用語を用いております。なお、本報告書において、貯留後漏洩する二酸化炭素について論じる場合、正確には分離・回収プロセスにより原料に起因し偶発的に含まれる物質、並びに海底下に存在する物質が共存することが想定されます。ただ、これらの物質は量的には微量と考えられるため、便宜上、二酸化炭素と記述しております。
 続きまして5ページ、(3)国内における96年議定書附属書I改正への対応です。こちらは、特段の修正はございません。
 続きまして、(4)二酸化炭素回収・貯留技術です。少し情報を増やしております。まず概要[1]、CCS技術とは、二酸化炭素大規模排出源(例えば発電所や天然ガス鉱山等)で発生する二酸化炭素を他のガスから分離・回収し、安定した地層に貯留または海洋に隔離することにより二酸化炭素を大気から長期間隔離する技術であると。
 次の第2パラグラフですが、これは骨子の2章(6)地球温暖化対策の展望から写しております。CCSの形態に関する記述でございまして、地中貯留とか海洋隔離に区別される。また、地中貯留は海底下地層貯留と陸域の地層貯留に分けられるといった分類について記述しております。
 次に6ページの一番上のパラグラフです。これは、超臨界についての説明をしております。「地中貯留において貯留される二酸化炭素流は、圧入井から高圧で地層中に注入される。二酸化炭素は常圧・常温では気体であるが、7.39メガパスカル(約73.9気圧)以上、31.1℃以上では液体でも気体でもない超臨界流体となる。超臨界流体の二酸化炭素は、液体に近い溶解性(気体よりも溶けやすい)や密度(気体よりも密度が大きい)を持ち、また気体に近い拡散性(液体よりも拡散しやすい)を持つため、より多くの二酸化炭素を貯留層内部に安定的に浸透させることができる。貯留地点として想定される地下1,000m付近(海底下の場合は、水深と海底下の深度の合計で1,000m付近)では、約100気圧、約35℃になることから、二酸化炭素は超臨界状態で貯留されることになる。」という説明を書かせていただいております。
 続きまして、[2]二酸化炭素地中貯留の利用動向ですが、こちらについても、少し情報を増やしております。例えば、前回御紹介しましたノルウェーのSleipner(スライプナー)プロジェクトでございますけれども、具体的な貯留の量、現在のところトータルで700万COトンを超えております。あるいは、プロジェクトの実施機関等を盛り込んでおります。さらにオーストラリアでも、Gorgon(ゴルゴン)計画と呼ばれる貯留技術、CCSの計画が行われておりまして、これは現在、アセスメントの段階でございますので、これについても御紹介をさせていただいております。
 次のパラグラフですが、国内の状況です。こちらは、長岡市において行われております実証実験についての貯留の量と期間を追加しております。
 続きまして、[3]二酸化炭素分離・回収技術ですが、一番上の行と次の行で、分離・回収技術がなぜ重要かということを補足しております。より環境負荷の少ない特性を持つ二酸化炭素を分離・回収するとの観点から、この技術が特に重要であるとしております。ほかは、特段の修正はございません。
 7ページ、[4]監視技術でございます。こちらは少し用語を整理しております。なお、前回先生方から御意見ございましたバックグラウンドの監視については、2章(8)でまとめて記述しております。最初のパラグラフですが、監視技術の位置付けでございます。二酸化炭素海底下地層貯留においては、貯留層から二酸化炭素の漏洩がないことを監視するとともに、海洋環境の変化の程度を監視することが必要であるとしています。
 次のパラグラフは、貯留層における二酸化炭素の監視手法を例示しております。次のパラグラフは、海洋中の二酸化炭素濃度の監視手法を示しています。
 (5)二酸化炭素海底下地層貯留の環境影響でございます。3ページにわたっておりますが、前段は、特段の修正はございません。ただし、脚注3、で分圧の表記に関する記述を追加しました。本報告書では、海水中の二酸化炭素分圧について本来用いられるべき圧力の単位であるμatm(百万分の一気圧)を用いず、便宜的に体積比(ppm、百万分の一)で示してございます。海水と平衡にした空気中の二酸化炭素体積比と二酸化炭素分圧は、ほぼ等しくなるという注意書きを入れております。
 8ページです。[2]海水中の二酸化炭素濃度の上昇による海洋環境への影響です。最初のパラグラフの一番下の節に、もともと「以下の点に留意する必要がある。」としておりましたが、これを「以下の知見が得られている。」と表現の適正化をしております。丸が三つこのページにございますけれども、3番目の丸の(ウ)に括弧書きしております。これは殻を持つ動物の影響に関する記述ですが、括弧で二酸化炭素分圧の変化量(ΔpCO)が200ppmまで上昇すると成長率及び生存率が低下する傾向にあります。これは、脚注4にございますが、IPCC特別報告書に引用された生物試験に関する論文(白山先生ほかが書かれた文献でございますが)では実験方法を"with air to which an additional 200 ppm of CO was added"としており、ΔpCOで200ppmとする方が適切とも考えられる。これを引用したものでございます。
 また、(エ)ですが、一番下の行、「また」以降を追加しております。「また、異なるエンドポイントによる生態影響試験結果が得られていることを勘案して設定した安全率を考慮した場合の無影響レベルはΔpCOで500ppm程度と推定される。」こちらは、前回の専門委員会の資料の4から引用したものでございます。念のため、脚注にエンドポイントの説明をしております。
 9ページ、二つ丸がございまして、その次のパラグラフ、二つ目のパラグラフは追加をしております。この情報は、前回の委員会での先生方のコメントを踏まえまして、前回の資料4、生態影響評価の記述を修正した上で引用しております。「まだ海洋生態影響に関する確実な情報は少ないが、これらを総合すると、二酸化炭素濃度の上昇による海洋生物への影響が認められた最小濃度については、石灰質の外骨格を持つ動物の試験結果からはΔpCOで200ppm(IPCC特別報告書の記述に基づけばpCOで560ppm)であった。また、動物プランクトンでの試験結果からは、無影響と想定される濃度はΔpCOで500ppmと考えることもできる。ただし、地域、水深、季節などによってバックグラウンドの観測値がこれらの値を上回ることも珍しくない。従って、これらの値を超えたから直ちに何らかの影響があると考えるのではなく、問題となる現場のpCOの変動や生物相等を考慮し、具体的に環境影響を検討する必要がある。
 以上から、二酸化炭素海底下地層貯留に係る海洋環境影響評価を行うための知見は存在しており、許可発給の際に事業者が潜在的影響の評価を行うことは可能である。」としております。
 次のパラグラフでございますが、前回、小山先生の方からございました慢性影響に関する評価に関する知見を示しております。ただし、前段は、これは前回の資料でも示しましたが、IPCC特別報告書の政策決定者向け要約におきまして、適切に選択され管理された地中貯留サイトに二酸化炭素が留まる割合は、適切な場所の選定と管理が行われれば、このような漏洩の可能性は非常に小さいと想定されるといった記述の後、海洋に漏洩した場合における生物の慢性影響の評価も重要な課題であるとしております。慢性影響評価については、現時点では国際機関で承認された試験手法が確立されていないが、今後長期に渡る影響に関する科学的知見を収集し、許可申請時に最新の知見をもとに影響評価を行う必要があるということでございまして、一部慢性影響の文献もございますけれども、手法が確立されていないということで、今後もその知見を収集していくということを示させていただいております。
 続きまして、[3]二酸化炭素の海底漏洩後の挙動に関するシミュレーションで10ページでございますが、これは五つ丸がありますが、その次のパラグラフの最初の文、「以上から、二酸化炭素の海底漏洩後の挙動に関するシミュレーションの手法が存在しており、許可発給の際に事業者が行う潜在的影響評価に活用することが可能である。」この文を追加しております。それから10ページの一番下の2行目以降の二つのパラグラフ、これは第3回目以降、池田先生の方から御意見ございまして、それを踏まえまして文言を追加しております。「また、海底から漏洩した二酸化炭素が海上で活動するヒトの健康や船舶の航行に与える影響については、仮に巨大な断層が発生した場合であっても、断層内は岩石等の物質で充填されていることから、爆発的に漏洩することは起こらないと考えられる。上記の極端な漏洩シナリオに基づいても、二酸化炭素は海水に溶けやすい物質であり、また、海流による移流拡散等があることから、海上に漏洩する二酸化炭素濃度は低く、よって大気中濃度の上昇はヒトの健康に影響を及ぼすようなレベルにはならないと考えられる。
 実際に事業者が潜在影響評価を行う際には、個別のケースごとに、可能な限り貯留地点における特性に応じてパラメータを設定していく必要があり、その場所で想定される保守的な仮定(すなわち、環境保全上、安全側に立った仮定。以下同じ。)の下での漏洩シナリオのケースでも、ヒトの健康及び船舶航行に影響を及ぼさないことを示す必要がある。」という、この二つのパラグラフを追加しております。
 (6)地球温暖化対策としての展望。これは[1]概要を、前回の骨子(案)の文章を整理いたしまして、概要というのをつくっております。ただし、一部は前骨子の2(6)[3]、中長期的な位置付けから移動しております。最初のパラグラフは、「はじめに」でも御紹介しましたが、特に海洋酸性化につきましてはロンドン王立協会の文献で、地球温暖化に伴い現在の表層海水中のpHは産業革命前と比較して0.1低下しており、2100年までにpHはさらに最大で約0.5低下するという知見を引用しております。
 続きまして12ページは、特段の修正はございません。
 13ページ、CCSの短期的な地球温暖化対策としての位置付けで、13ページの上から2行目から3行目にかけて、一部追加をしております。「技術フィージビリティ及び環境影響等についての検討を行うための実証実験は行われるものの、短期的に実用ベースでの実施に至る可能性は、今後の国際動向も踏まえる必要があるが、高くないと考えられている。」と。ここで「短期的」にという言葉と「今後の国際動向も踏まえる必要があるが」という節を追加しております。
 [4]CCSの中長期的な地球温暖化対策としての位置付けでございます。この2つ目のパラグラフの2文目、「ただし、2100年以降の長期的展望に立てば」これについては前回骨子(案)でも内容的には書いておりましたが、若干読みにくいということで、表現振りを整理しております。「ただし、2100年以降の長期的展望に立てば、化石燃料資源も枯渇の方向に向かうと考えられることから、低炭素社会の実現に向けた社会経済システムの抜本的な変革や、安全かつ確実な革新的技術の出現が必須である。このため、二酸化炭素地中貯留技術は、それまでの『つなぎの技術』として有効であると考えられる。」と修正しております。
 次が2章です。二酸化炭素海底下地層貯留に係る海洋環境影響の防止の在り方です。
 (1)二酸化炭素海底下地層貯留に係る許可の申請主体。修正はございません。
 14ページ、これは(2)二酸化炭素海底下地層貯留の許可の主体。骨子では審査の主体とされておりました。その後、事務局の方で96年議定書本文を精査しましたところ、許可の主体の方が適切であると考えまして、文章の方も一部修正をしております。「国際約束である96年議定書を担保する責務は国が有していること、また、廃棄物排出制度との整合性を保つ必要があることから、国が許可を行うことが適切である。」としております。
 次に、(3)国民からの意見聴取。修正はございません。
 (4)二酸化炭素流の処分量等に関する削減努力及び処分方法に関する検討。修正はございません。
 (5)貯留される二酸化炭素流の特性把握及び行動基準。こちらも修正ございません。
 次の(6)事業者による二酸化炭素流の貯留地点の選択。こちらもございません。
 次、15ページ(7)貯留される二酸化炭素流による潜在的影響の評価でございます。こちらも修正はございません。
 16ページ、(8)監視(モニタリング)。こちらは修正をしております。
 まず、[1]監視制度の基本的な考え方。「二酸化炭素海底下地層貯留においては、貯留層から二酸化炭素の漏洩がないことを監視するとともに、海洋環境の変化の程度を監視することが必要である。」これは1章と、文言が同じでございます。次の文章はバックグラウンドに関する記述でございます。「また、海洋環境の変化の程度を監視するためにはバックグラウンドの海洋環境の把握が必要であり、具体的には、貯留地点付近における貯留前の海洋環境や貯留地点周辺海域の海洋環境の監視も必要である。」としております。次のパラグラフは、国際動向、CO・WAG等を踏まえる必要があるという文言で、内容は変更されておりません。次のパラグラフも、修正ございません。
 17ページ、[2]監視の主体でございますが、一部追加をしております。監視の主体でございますが、「監視の主体は許可事業者とすることが適切である。」と骨子ではしておりましたが、その前に「貯留地点付近の監視の主体は許可事業者とすることが適切である。」という文言を追加しております。
 [3]監視の手法。こちらは最後のパラグラフ、これは木幡委員からの前回コメントを踏まえて追加したものでございます。「なお、監視対象項目の選定にあたっては、二酸化炭素の漏洩に随伴して漏洩する可能性のある物質についても考慮する必要がある。」
  [4]二酸化炭素流の圧入期間中、圧入終了後(閉鎖後)における監視の考え方で、監視の実施機関でございますが、ここで、「圧入期間中」という言葉がございます。これは、前回までは「圧入時」という表現も使っておりました。ただし、圧入行為を一時的に中断する期間もございますので、「圧入期間中」という表現に修正をしております。それから、(ア)圧入期間中の監視、次の18ページになりますが、(イ)圧入終了後の監視につきましては、一部文言が必要である、適切であるというような文言ですとか、あるいは同じような文章があったりしたものですから、そこは整理をしております。
 例えば(イ)でございますけれども、「圧入終了後(閉鎖後)は、特に圧入終了直後において、圧入貯留層の圧入口付近の圧力が高く二酸化炭素の帯水層内での移動が大きいと考えられること、また、長期の安定性を確認する必要があることから、二酸化炭素の貯留状態及び海洋環境の監視を行う必要がある。許可事業者が当該監視の結果、環境影響が予測の範囲内であったことを確認して、その結果を定期的に環境大臣に報告することが必要である。」というふうに整理をさせていただいております。
 (9)海洋環境への影響のおそれが生じた場合の措置ですが、これは[1]と[2]に同じパラグラフがございましたので、先頭のパラグラフに、2文目になりますが、この場合以下、この場合、許可事業者はから環境大臣に報告する必要がある、これは同じ文言でございましたので整理をしております。
 (10)許可制度。こちらについては19ページでございますが、[2]許可の有効期間のうち、骨子(案)では「許可の有効期間はあまり長期とならないような適切な期間とする必要がある。」ということを盛り込んでおりましたが、ただ、このパラグラフの中に「最長5年程度とすることとし」と具体的に書かれておりますので、不要と判断して削除しております。
 次に3.その他でございますが、こちらについては修正ございません。
 以上です。

○清水委員長 ありがとうございました。
 以上、お聞きのようなことで報告書が成り立っておりますけれども、目次に返っていただきますと、1番目が動向と利用の在り方ということで、影響も含めてそこに書いてございます。2番目が、制度を中心とした影響防止の在り方ということになっておりまして、3番目がその他。
 これから御質疑・御意見をいただきたいと思いますけれども、まずは一番目、「はじめに」も含めまして1番目の13ページまでに関しまして、何か御質問・御意見がございましたらお願いしたいと思います。もしございましたらば、名札をお立てになっていただければありがたいと思いますが。いかがでございましょうか。

○白山委員 申しわけありません、8ページ、9ページで、一つだけ、より正確な表現にした方が良いと感じるところがございますのでコメントいたします。私が一番関係するところで全く見落としていたのですが、8ページの丸がある三つ目の丸の2行目ですね、「石灰質の外骨格を有する生物には強い影響が」とありますけれども、正確にはウニの実験なんかの対象となっている骨格は内骨格なので、「石灰質の骨格を有する」と、「外」という字を削除していただきたいということです。これは9ページの丸が二つあって次のパラグラフの3行目、「石灰質の外骨格を持つ動物の試験結果からは」という、この「外」という字も同様に削除をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。

○清水委員長 事務局、よろしいですね。

○竹本環境保全対策課課長補佐 はい。

○清水委員長 ほかに、何か御注意はございませんでしょうか。

○佐藤委員 たわいないことなのですけれども、1ページ目の初めの第一パラグラフの下から2行目なのですが、酸性化しているのは、これは海洋表層という認識でよろしいのですか。海洋全体ではなく。

○竹本環境保全対策課課長補佐 必ずしも表層だけではないですが、表層からじわじわと酸性化していきますので、大気中濃度が相当高くなった時点では、やや中層域でも酸性度が高くなっているというシミュレーション結果が出ております。ただ、いずれにしても上から酸性化していきますので、表面が一番酸性度が高い。大気中の二酸化炭素による影響は一番受けるということでございます。

○佐藤委員 あまりこだわることではないかもしれないのですけれども、おっしゃるとおりなのですけれども、ただ、温度躍層みたいなのがあって、必ずじわじわというのを確実に表層と中心層では違うと思うので、別にここでこだわることではないのですけれども、入れておいた方が良いと思います。

○徳田環境保全対策課長 11ページのところでは、ロンドン王立協会の研究結果といたしまして、現在の表層海水中のpHと書いてございますので、「はじめに」のところでも表層と入れても特段問題があるとは私は思いませんので、先生方がよろしければ入れさせていただきますが。

○清水委員長 要するに、近年指摘されているという中身の問題ですね。いつどんなことが起こるかではなくて、近年指摘されているのがどういうことかというので、今の徳田課長の提案でもよろしゅうございましょうか。

(はい)

○清水委員長 ありがとうございました。
 ほかにはいかがでしょう。

○小山委員 8ページの丸三つ目の(ア)の文章が、ちょっとわかりにくいですね。「浅海域の成魚については、短期致死濃度がpCOで50,000~70,000ppmと二酸化炭素濃度上昇に比較的高い耐性を示す。」ここのところ、なかなかわかりづらい。
 それからあと二点ありまして、これは確認ですが、(エ)のΔpCOで5,000ppm程度、それでその後はΔpCOで500ppmと。これは、実際の影響が5,000ppmであって500ppm程度だったら安全だという話ではなかったのかということ。差ではなくてですね。
 それからもう一点、9ページの一番最後の部分です。「現時点では国際機関で承認された試験手法が確立されていない」これは慢性影響評価の方法ですけれども、これは慢性影響評価の試験手法というのは、いわゆる海洋の酸性化に関する慢性影響評価の試験手法ということなのでしょうか。生態影響評価試験手法であれば、慢性影響試験手法というのは、もう幾つか確立されたものがありますので、それはどちらを言っているのかということを確認してください。

○清水委員長 ほかに御質問ございましたらば、伺ってからまとめて御返事をいただきましょう。
 では、高村先生から。

○高村委員 二点ございます。非常にとりまとめが難しい報告書かと思うのですが、まず、こういう形で取りまとめていただきありがとうございます。
 まず一点めは、こちらの取りまとめそのものが、国民、一般市民に対して、この技術について知らせるという意味合いもあるという観点からの発言です。一つ目が、12ページ目のところでございますけれども、[2]の二酸化炭素を地中貯留の可能容量について書いてあるところでございます。こちらは、このとおり間違いはないのですけれども、これは物理的な可能容量のことを書かれているわけですが、どうもこれだけ見ますと、コストについての考慮がない数字だということについて、なかなか読んだ市民にはわかりにくいので、そのコストについては考慮していない物理的な可能容量であるということが何らかの形で示されるのがいいのではないかという点が一点目であります。
 二点目は、その次のページ13ページになりますけれども、[4]CCSの中長期的な地球温暖化対策としての位置付けのところでございます。一番最初のところですが、「二酸化炭素地中貯留は削減ポテンシャルが極めて大きいことから」というふうにありますが、もう少し厳密に書いてもいいかなと思います。といいますのは、IPCCの特別報告書では、モデルによって違いますけれども、2100年までの削減努力の、およそ15%~55%という数字が出ているかと思います。言い方を変えますと、この言及は、45%~85%は、その他の対策によって削減をしなければ大気中の温室効果ガスの安定化は達成できないということを、明確なメッセージとして持っていると思っております。その意味で、厳密に特別報告書の内容を辿ってもよいかと思います。
 それと関わってでございますけれども、もう一つ、このCCSに関していいますと、つなぎの技術ということを適切に書いていただいていると思うのですが、本来低炭素社会実現に向けた社会経済システムが目指されるべきであるという観点からすれば、その上のところになりますが、そのほかの、そうした低炭素型社会を目指す省エネルギーですとか、再生可能エネルギーの普及について引き続き最大限取り組む必要があるということを先に持ってきていただくのが、その方向性をはっきりと、位置付けをはっきりと示すのには良いのではないかと思っております。
 以上です。

○原沢委員 細かな点を二点、質問したいのですけれども、一つは6ページの上の方に「貯留地点として想定される地下1,000m付近」というのがあり、10ページの五つ目の丸には水深500m、水深200mというような対象地点の深度の話があって、CCSが大体どれぐらいの深さで実施されるのか。前回までの議論では1,000とか500、200という値が出てきたものですから、最初の方のパラグラフからいうと大体1,000mぐらいと思うのですが、実際やられているのが500、200mの実験ということで、この辺が混乱するので、少しクリアに書き分けられないかなというのが一点目です。
 二点目が、先ほどもコメントがありましたように、9ページの下の方で、先ほどのコメントですと慢性影響についてはある程度できているという話があるのですけれども、慢性影響評価が、方法が確立していないと許可申請ができないという読み方もできると思うのですが、その辺の「最新の知見をもとに」というところの解釈の仕方を、確認をしたいと思います。

○清水委員長 御追加で他によろしゅうございますか。どうぞ。

○佐藤委員 すみません、あと一点だけ。
 11ページで、先ほどのまた表層酸性化の話の(6)の[1]の8行目ぐらいですか、現在の表層、ロンドン王立協会によればというところですけれども、恐らくCOの大気の濃度が上昇してきて、影響が出ると温暖化とか表層酸性化の話で数字が出ているのはここだけだと思うのですけれども、大気の濃度がどのぐらいのときにこういうpHがこうなるのかというところは、やはりちょっと触れておいた方が、何でもかんでもこうなるというわけではないということで、いいのではないかと思いました。

○野尻委員 ごく簡単な話なのですけれども、6ページの上から2行目なのですけれども、7.39メガパスカルと書いてあって73.9気圧と計算してあるのですが、0.1013で割らなければいけないから73.9にはならないはずなので、単に物理化学の計算の話です。

○清水委員長 それでは、どうぞ。

○瀬川環境保全対策課課長補佐 それでは順番に、もし落としているところがございましたら御指摘ください。
 まず小山先生にいただきました8ページの(ア)でございますが、「浅海域の成魚については、短期致死濃度がpCOで50,000~70,000ppmと二酸化炭素濃度上昇に比較的高い耐性を示す。」というところが少しわかりづらいということでございます。恐らく「短期致死濃度がpCOで50,000~70,000ppmである。」ということと、「このような濃度上昇、高い二酸化炭素濃度に比較的高い耐性を示す。」という二文に分けた方がわかりやすいという御指摘かと思いますので、少し文章を訂正させていただきます。
 それから二点目、(エ)ΔpCOで5,000ppm程度と推定されると。これに対して異なるエンドポイントによる生態影響試験結果が得られているので無影響レベルはΔpCOで500ppmということでございます。これは複数のエンドポイントがございますので、安全率を、この場合10というふうに見込みまして、500ppm程度ということで推定にしております。
 それから三点目、原沢先生からも御指摘をいただきました慢性影響評価のところでございます。慢性影響評価の試験方法については幾つか確立されたものがあるという御指摘でございます。現時点で、国際機関、例えばOECDなどで承認されたという形ではないので、恐らくここは「現時点で国際機関で承認された試験手法はないが」とした方が正確ではないかと思います。
 それから慢性影響試験の手法が確立あるいは承認されていないと申請ができないのかという点でございますが、これについてはそうとは考えておりません。信頼できる急性影響評価あるいはリプロダクション、その他の影響評価がございますれば、そういったものを最新の科学的知見として添付していただくということが潜在的影響評価のときには求められると思っております。
 それから、高村先生から御指摘いただきました12ページのコストに関して考慮していないという点でございます。こちらに対して御指摘のとおりでございますので、コストに関する評価はしていないということを一文、最後に括弧書きか何かで入れさせていただければと思っております。
 それから13ページ目、中長期的な取組。これは申し訳ありませんでした。IPCCスペシャルレポートを正確に引かせていただきたいと思いますので、原典をもう一度当たりまして、訂正をさせていただきます。
 それから最後におっしゃられました低炭素社会システムを目指すべきということを先に書いた方がよろしいという御指摘でございます。もっともな御指摘だと思うのですけれども、つなぎの技術として有効であるという前に低炭素社会の実現に向けた社会経済システムの出現が必須というふうに書いておりまして、もう少し、もっと前にこのパラグラフの中で書いた方がよいという御指摘でございましたでしょうか。ここは文章として三つでございますので、一番最初の文章のところに入れられないか、少し相談をさせていただきます。
 それから原沢先生からの御指摘で、6ページ目、200m、500m、1,000mと、いろいろ数字があるということでございます。図を作りますと、よくわかるのでございますけれど、海面から海底まで200mですと、海面下1,000mで埋めようと思うと、海底下800mということですので、海面から見て1,000mの深度ということを大体念頭に置いております。ですので、海面から海底までが500mの深さでございましたら、海底下500mというのが目の高さかと思います。ただ、実際は当該貯留場所の岩の性質などによると思いますので、実際にはもう少し緻密な設計が必要かと思います。

○竹本環境保全対策課課長補佐 佐藤先生から最後に御質問ございました大気中の濃度でございますけれども、王立協会の論文によりますと、産業革命前と比較してスレス(SRES)のA2シナリオ、2100年までに大体800ppmぐらいになっています。そうなりますと、いろいろなシナリオをやっておりますけれども、ここで酸性化が進むと、最大でpHが0.5低下するということでございます。
 御質問は書いた方がよろしいということですか。ちょっと検討いたします。

○清水委員長 ありがとうございました。
 今の回答の追加で、どうぞ、小山先生。

○小山委員 今の御回答で大体分かったのですが、慢性影響について、少しこだわるのですけれども、9ページの「慢性影響評価については」ということで、そこを見ると、すべての生物にわたってというふうに誤解されることもあるので、「海洋生物に対する」ということを書き入れてください。そうすれば、この後の文章というのは理解できると思います。

○清水委員長 ここには海洋に漏洩した場合における生物の慢性影響の評価もと書いてあるので、海洋生物に関する慢性影響評価についてはというのが、少しランダントになるかどうかということも含めて、少し検討をして、事務局で検討した上でまた御相談をしたいと思います。
 ではその1までは、とりあえずはということであれば、また戻っても結構でございますので、13ページの2以下、3も含めて御質問・御意見をお願いします。主に制度的な問題でございます。

○佐藤委員 一点わからなかったのが、16ページ途中から17ページにわたってモニタリングのことで、16ページの(8)[1]のところで新しく加われたところに「周辺海域の海洋環境の監視も必要である。」というのが入って、一方で17ページの[2]の監視の主体のところでは、「周辺の地質、海域に関しては情報を有していることから、付近の監視の主体は事業者である。」ということなのですが、ちょっと、だから周辺海域の環境は誰が、見なくてはいけないところを、誰が見るのかということが、この文章でちょっとわからないような気がするのですが。

○清水委員長 周辺と付近という。

○瀬川環境保全対策課課長補佐 17ページの[2]の監視の主体でございますけれども、貯留地点周辺の地質とありますが、貯留地点付近の監視の主体、これは当該事業者の方による影響、当該事業による影響を見るという観点では、これは付近だと思っております。それで2行目で貯留地点周辺の地質と書きましたのは、決してドーナッツのように付近だけ、付近と言うのでしょうか、だけとるわけではなくて、広域に情報を有しておられるだろうということで漠然と書いております。なので、ここの部分で事業者が行うその監視というのは、貯留地点付近の地質などに関する情報ということで限定した方が良いということでございましたら、[2]監視の主体の2行目、「貯留地点付近」に直した方がよろしいかと思います。

○佐藤委員 そうすると、その16ページの[1]にわざわざ周辺海域と入れたのは、どのぐらいの範囲のイメージなのでしょうか。

○瀬川環境保全対策課課長補佐 ちょっと不勉強で申し訳ないのですが、既存の、既に進められているのSleipnerの事例や、あるいはIn Sarah(インサラー)、あるいは今後検討されますGorgon計画の事例を見て、それと実際に国内に出てきます事業の規模を見ながら、相対的に決めようと思っております。SleipnerやあるいはGorgon、あるいはIn Salahといった商用規模のものが当初の事業として出てくるということはあまり私ども想定をしておりません。ですので、海外の事例をそのまま当てはめるというのも若干乱暴ではないかと思っております。個別の事業が出てきた時点で、周辺というのがどの程度見るのが、その環境保全上適切なのかということを決めたいと思っております。若干不勉強で申し訳ありません。

○清水委員長 必ずしも付近がどれだけで周辺がどれだけかというのは、定量的に、今ここで示すのはなかなか難しいので、一応感触をお聞きいただいたということですけれども。大変に具合が悪いということがあれば、何か直さないといけませんが。

○大塚委員 今頃こんなことをお伺いしてすみませんが、17ページ、18ページにかけて圧入終了後という言葉があって、(閉鎖後)になっているので、これはほとんど同じ意味で使っておられるようなのですけれども、多分厳密に言えば圧入終了してから閉鎖というのは、また別の手続が必要な可能性もあるかと思います。閉鎖について、例えば国が確認をするというようなことをする可能性もあり得るとは思いますが、例えば国内の廃棄物法制はそういうふうになっていますが、この圧入終了というのと閉鎖というのは、どういう関係に立つのか。全く同じと考えていいのかどうかについては、少しお伺いしておきたいと思います。

○清水委員長 それは、とりあえずお答えがあればお願いします。

○竹本環境保全対策課課長補佐 すみません、御指摘ありがとうございます。本件につきましては、このCCSという貯留の項自体が、貯留をした後の、圧入が完了した後という状況は、結局その状態としては同じ状態がずっと続きますので、そういう意味で、監視という観点からは制度的には同様のものであろうと考えておリまして、いわゆる核廃棄物や通常の廃棄物の閉鎖という観点のように、我々は特に区別せず、圧入終了後と閉鎖後を同じように考えて整理をしておりました。
 ただ、いずれにしても、ここで申し上げたいのは、圧入が終わった後も相当長期間に渡って二酸化炭素流のこの状態の監視をやっていく必要があって、さらに定期的に環境大臣に報告する必要があるという、その制度の骨格についてお示ししたわけです。

○清水委員長 圧入行為というか、圧入事業というか、それが終わった後という言葉と閉鎖後という言葉はあまりよくないですか。

○大塚委員 閉鎖だと、例えば国が閉鎖に関して何か確認行為をするというようなことが出てくるかもしれないと思わないでもないのですけれども、もしかすると閉鎖後という言葉をわざわざ使わなくていいのかも。今の骨子だとそうかもしれませんし、あるいは別に、閉鎖をするには、やはり何か国が確認してきっちりやるんだというようなことがあれば、閉鎖というのを別のものとして考えた方がいいかもしれませんし、どちらかということなのです。

○南川地球環境局長 大塚先生、それについては、物理的には圧入終了と閉鎖とは同じだと思います。制度論として、何か確認するような行為を入れるかどうかについては、さらに私ども、この後検討したいと思っております。物理的には同じだと思います。

○清水委員長 ということで、検討していただくということですね。

○南川地球環境局長 はい。

○清水委員長 木幡先生、どうぞ。

○木幡委員 二点。
 まず一点目は、前回質問させていただいた点ですけれども、17ページのところで、生物への影響をきちんと書いていただいた、これは先ほど少し話題になりました200mぐらいの浅いところ、要するに生物生産の高いところも十分にこのようなことで検討すると読んでよろしいわけですね。
 それからもう一つは、16ページの下の方から4行目に、当面想定されると書いてあるところと、それからあと19ページのところの真ん中、[2]の2段目ですけれども、「なお、今後民間企業によって」というようなくだりがあるのですけれども、これは全体として、要するに我々の認識としては多分、しばらくの間は国が関与するようなものが実証実験をやるということですね。それについて、これを規定していると読めるわけですけれども、それは、でもここには明示的に書いていないのですよね。だから、これがしばらくして、みんながどういう前提で議論をしたか忘れてしまったときに、これだけでそういうことがわかるのかな。
 あと一つ心配なのは、これは制度的には今後検討されるということですけれども、実際の事業が終わった後のモニタリングを誰がどういうふうに担保するのか。前回も議論になったと思いますけれども、しばらくの間は、それは国が面倒を見る期間なので問題ないという認識で動いていますけれども、それはどういうふうに、この報告書で読めるのでしょうか。

○清水委員長 高村先生のお話は、関連していますか。

○高村委員 関連しています。

○清水委員長 では、高村先生のお話を伺ってから。ちょっとすみません、高村先生のお話も伺ってから。

○高村委員 ありがとうございます。今の御発言にかかわる点を含めてでございますが、19ページの許可の有効期間のところで許可を定期的に更新していくことにより長期間の監視を担保するとあるのですが、恐らく圧入を終えた後に事業者が積極的に許可を更新していくインセンティブというのはあまりないだろうと思います。むしろその前段のところの文章を拝読しますと、許可とある意味で切り離してでも長期間の監視が必要な制度をつくる必要があるという認識がうかがえるのですけれども、そういう意味で19ページの「定期的に許可を更新していくことにより」という箇所の記載は御検討いただいた方がいいのではないかと思った次第です。
 それ以外に三点ございます。
 一点目は、13ページから始まる全体に関わるところなのでございますが、私自身、これまで認識が薄かったと反省しておるのですが、CO・WAGの議論が、今行われていると思います。96年議定書が対象としていますのは、確かにいわゆる海洋に投棄といいますか、投入をする段階からと議定書上は読めるわけですけれども、他方で、いわゆる環境影響を最小限にするという観点で議論されているWAGの中では、いわゆる回収の段階での有害な物質の排除ですとか、あるいは二酸化炭素流の輸送からのリーケージの問題等についても、それを管理しなければいけないというような内容が入っています。
 今回の委員会でこの間議論しているとき、私の自身の頭も貯留というところに焦点を置いていたのですけれども、この技術が適用されるさまざまな段階で生じうる環境影響について、ロンドン条約96年議定書上は、主として海洋環境に影響を与えるという範囲でですけれども、少なくともこのロンドン条約96年議定書の実施上は何らかの対応が必要ではないかという点が一つであります。実は、この報告書の1のところにかなりもうお書きいただいていると思うのですけれども、2のところでは、特に貯留に焦点、いわゆる注入、圧入ですけれども、そちらに焦点を置かれた書きぶりになっておりまして、そちらが一つ気になっているところでございます。
 二つ目が、15ページのところの(6)でございますが、前回の委員会のところでも、サイトの選定というのが非常に重要だと言う意見が出され、その趣旨を今回書き入れていただいていると思います。現在議論されているWAGのところで、一定の要因について考慮をして、サイト選定上、こういう海域あるいは地域、区域においては、事業ができるかどうかについて慎重であるべきといういくつかのクライテリアがすでに議論されているように思います。
 そういう意味では、WAGの議論を待ってからでもよいと思うのですが、例えば一定の文化的あるいは生態学的に貴重な海域、区域についてといったような文言が一つの例としてあるわけですけれども、これも前回の意見の繰り返しになりますが、事業者さんにとっても一定程度の事業の予見可能性を与えるためにも、サイト選定に関する一定のクライテリアが、やはり必要ではないかというのが二つ目でございます。
 三つ目は、これはクラリフィケーションのための御質問ですけれども、18ページのところで、(8)の(イ)あるいは(9)の[1][2]のところで、しばしば海洋環境への影響が予測の範囲内に戻るまでという文言があるのですが、こちらはいわゆる許可で認められた、許容されたところに戻るまでという理解でよろしいのでしょうか。
 以上であります。

○清水委員長 実際に、この報告書をもとにして行政側のいろいろな制度をきちんとして、そして告示まで持っていく際には、もちろん当然WAGの議論をきちんと踏まえてやるということにはなるのだろうと思いますけれども、とりあえず現在、今までの御質問にお答えをしていただけますか。

○瀬川環境保全対策課課長補佐 順不同になるかもしれませんが、お答えいたします。
 まず、木幡先生から17ページ、海洋生物への影響ということでございます。17ページ[3]監視の手法で、(エ)海洋生物への影響ということを監視項目として既に上げておりますので、この重要性について御指摘いただいたものと理解しております。
 それから19ページ、今後、民間企業が本格的に商用規模で二酸化炭素の海底下地層貯留を行った場合ということのリバースとして、現在の実証試験的なものを想定しているということをもっと明確に書いた方がいいのではないかという御指摘かと思います。1の(6)、つまり地球温暖化対策としての位置付け、地球温暖化対策としての展望でございますけれども、まださまざまな議論、検討が行われている段階であるということを書いておりますので、そういったことでまず技術実証していくということが読めるのではないかと事務局の方では思っております。
 それから高村先生から御指摘いただきました点、多々ございますが、もし落としておるようでしたら御指摘ください。
 圧入許可の更新の件でございますけれども、許可に関しましては、この報告書に示しましたとおり、最長5年程度の許可でどんどん更新をしていくという形になります。制度設計はこれからになりますけれども、既存の廃棄物の海洋投入処分の場合ですと、潜在的影響評価と同時に監視計画を出していただくという制度設計になっております。恐らく似たような制度設計になるかと思っております。この場合に、事後の許可をどういうふうに書き分けていくのかということは、一番最後の圧入に関する許可更新の際の取り扱いにかかってくるかとも思いますので、少し事務局の方で制度設計の際に考慮させていただきたいと思っております。
 それからCO・WAGに関連してでございますけれども、海洋環境への影響を見るために分離・回収、それから輸送、それから圧入といった各行程について環境影響評価が考えられるのではないかという観点でございます。御指摘のとおりでありまして、まず分離・回収の際に用いられる技術、この技術の内容によって、貯留される二酸化炭素流に含まれる不純物の量というのが大体決まってまいります。ですので、貯留される二酸化炭素流に関する判定基準を設けます際には、当然その分離・回収した技術の内容で、その海洋環境に与える影響というもののチェックを判定基準という形ですることになろうと思います。
 それからトランスポーテーション、輸送の際でございますが、当面想定されていますのが地中なり海底下なりのパイプラインでございますけれども、ここから二酸化炭素がリークするというのは、とりもなおさずパイプライン自体の安全性がよろしくないと申しましょうか、安全性に関わることかと思います。そうしますと、そこは海洋環境影響といった評価という手続的な手法ではなく、安全性の評価あるいは安全性の担保といった点が、まず第一に考えられるのではないかと思います。そういった観点で、他法令との切り分けというのがございますので、制度設計の際に、その点は考えていきたいと思います。
 それから、事業として実施できるかどうかというクライテリアの件でございますが、これの先生の御指摘は、事業者が事業設計あるいは潜在的影響評価を行う際に、どういった項目を潜在的影響評価の中に入れ込んだらいいのかということを、その国として明示すべきだという、そういう御指摘というふうに承ってよろしいでしょうか。

○高村委員 むしろ、サイトの選定に当たって、もちろんWAGはまだ進行中の議論だと了解しているのですけれども、一定のその特性を持つ区域について、サイトの選定として適切かどうかについて考慮をするクライテリアが既に議論の俎上に上がっているというふうに思います。もちろん、そちらの議論を待つといいますか、見てからでもよいのですけれども、しかし、事業者さんがいろいろ調査をしてやった後に、ここは実はできませんということがないように、ある程度の予見可能性を示せるような基準という意味であります。

○瀬川環境保全対策課課長補佐 それは、おっしゃるとおりだと思います。現行の廃棄物の海洋投入処分制度にかんがみますと、国が法令その他によって潜在的影響評価に入れ込まなければならない内容を指針という形で示しております。こういった指針、あるいは告示という形になりますけれども、事業実施に先立って整備をしていく、あるいは御相談しながらなのかもしれませんが、整備をしていくというのは必要だと思っております。ありがとうございます。
 それから、最後、予測の範囲内に戻るまでという内容でございます。これは、その海洋環境への影響のおそれが生じた場合の措置ということで、WAGの中でも、ミティゲーションプラン素案の中には書かれております。その中で想定されていますのは、減圧のための井戸を一本掘っておいて、そこから水を抜いてやるということでございます。そこからいたしますと、予測の範囲内に戻るまでというのは、予測の範囲内の圧力に戻るまで減圧、つまり水を抜いてやるというようなことを想定して、ここの記述は書いております。ですので、予測の範囲内というのは許可によって規定されているわけではないのですけれども、許可発給の際に添付された潜在的影響評価の中で、予測された範囲までは、例えば減圧船などを使う等によって、海洋環境に与える影響のおそれを減じていただくということを想定しております。

○高村委員 想定される手法といいますか、対応措置については了解しているのですが、こちらで、いわゆる海洋環境への影響が予測の範囲内に戻るまでというふうにあるので、これが一体どういうレベルを想定されているか、しかも許可の条件とどうリンクしているのかという点がお尋ねしたかった点です。

○瀬川環境保全対策課課長補佐 当然、潜在的影響評価というのは事前に事業者が行います。それで、例えば実際に漏洩が発生したときに非常に影響が出れば、それは許可の対象にならないのですけれども、それが仮に漏洩して濃度が若干高くなったとしても、生物影響に影響がないということの影響評価を事前にいたしますので、そういったこと。ただ、なかなか定量的には環境基準のようにしっかりと決められない。これはこの資料にも出ておりますけれども、日周変動とか、そもそもの海水の二酸化炭素濃度というのは非常に言動も激しいので、一律にこの数字ということは言えないと思いますけれども、そういった事前の評価も参考にした上で、それと監視の結果を総合して、多分実際の場合はそれを見てさらに継続するかどうかというのを判断することになると思います。

○南川地球環境局長 許可の有効期間の議論は非常に難しくて、私も前に廃棄物をやっていましたけれども、実際に、その業者が倒産して、後の監視測定がなかなかできていないというところ、たくさんございます。これについては、誰の責任かという議論がありますけれども、そこになると、もう地域の環境を誰が見るのかという一般的な話に戻ってしまいます。従って、なかなかそこまで、その個別法では対応していないというのが現状ではございます。
 ただ、今回の場合で言いますと、一般的な産廃と違いまして、COが対象でございます。それで、申請者というのは、もちろん貯留をする、ストレージをする方ですから、さまざまな業者さんが想定されます。ただ、排出者というのは大量に、実際問題当面のところは大量に石炭を使って、ある程度、濃いCOを出すというのは限られるだろうと思いますと、当然、事業者も限られてきます。それ自体は、一般的には非常に倒産ということが想定しにくい業者さんしか考えづらいものですから、そうしますと、その方との関係で仕事をしている方が申請者になるということを考えれば、ある程度、許可を更新していただくことについても、うまく動くのではないかなと思っておりまして、制度的に全部うまくいくのかという担保を求められると非常に難しいところございます。ただ、実体論としては、当面誰が対象かということを考えれば、こういうスキームで回るのではないかなと今は思っております。それ以上の手当てをするのは、実は非常に難しゅうございます。

○清水委員長 具体的な制度設計の段階で、またいろいろ御指導をいただければと思いますので。
 原沢先生、お待たせいたしました。どうぞ。

○原沢委員 確認の二点なのですけれども、一つは16ページの真ん中辺に、シミュレーションにおける保守的な仮定ということで、これは前の11ページの方に、保守的というのは環境保全上安全側に立った仮定ということで、このシミュレーション時にも、やはり、そういうようなことで考えてよろしいのかどうか。具体的に、かなり厳しい条件でのシミュレーションということを考えていらっしゃるのではないかと思うのですが、それが1点目です。
 その16ページの下から次のページにかけて、排出されなかった量としてカウントすることになる可能性があるということで、これについては前回も少しお聞きしたのですが、まだ今の段階では仕組みがないということだったと思うのですが、仮にこういうことができたとすると、基本的に排出されなかった量のカウントというのは、いわゆる貯留を続けている間カウントされて、貯留が終わったらもうカウントされないという理解で、よろしいのかどうか。この委員会から外れるかもしれないのですが、今の段階で確認させてください。

○竹本環境保全対策課課長補佐 最初の御質問ですが、原沢先生のおっしゃるとおりでございまして、シミュレーションにおいても厳しい条件で行うということになります。
 2点目の御質問も御指摘のとおりでございまして、例えば年間100万トン貯留するということであれば年間の100万トンに相当する排出量がカウントされないということでございます。終わったら、それは次年度以降は、その排出削減量としてはカウントされないということになると思います。
 以上です。

○清水委員長 ほかに追加で、どなたか。

○細見委員 17ページの監視の主体のところで、少し私も、これは法律用語でよくわかりませんが、汚染者負担の原則と書いてあって、PPPを適用する際には、何か事業者って許可業者、許可事業者は汚染者なのかというイメージがちょっとついてしまうのではないかということで、どちらかといえば便益を受ける側かもしれないので、この言葉の定義が少し私としてはあるいはその理由というか汚染者負担原則という言葉の意味を教えていただければと思います。
 それと、やはりその二酸化炭素濃度をシミュレーションで予測をして、海洋環境への影響がどのぐらいあるのかという予測をする際には、基本的な濃度の予測をするはずなんですね。それで、例えば前のところに、例えばΔpCOが幾らまでだったら、今まで影響がなかったというような500ppmだとか、そこの500ppmが仮にオーバーしたところが直径1キロぐらいの範囲であったとし、しかし、それ以降では500ppmを下回るので問題ないというように考えられるので、この予測する範囲というのがどのぐらいなのかというのも一応目安として、先ほどの周辺のモニタリングともあわせて、今すぐには多分答えられないと思うのですが、そこを予測する側としては結構難しいかなという気がいたします。
 以上です。

○清水委員長 そういうことも示してほしいというような御要望だと思います。

○瀬川環境保全対策課課長補佐 汚染者負担の原則ということでございますけれども、この事業はそもそも、海底下地層に貯留したそのCOが漏洩するということを大々的に認めているわけでございません。基本的には漏洩をしないという地層を選んでいただいて貯留していただくということであります。そういった意味では、細見先生おっしゃるとおり、汚染者という言い方というのがぴったりしないというのは、私どもも、そういう気持ちがございます。
 ただし、万が一漏洩した場合でございますけれども、二酸化炭素が海底下から染み出すことによって、当該海域の一部分の海水が酸性化していくということは、これは汚染というように捉えて構わないと思っておりまして、ここは汚染者負担の原則という言葉を使わせていただいております。
 それから濃度を予測する範囲でございますけれども、これは先ほども少し不勉強でと申し上げたように、総体的に決まってくるかなと思っております。ただ、やはり第一に考えておりますのは、貯留される二酸化炭素流が地層内でどの程度の範囲まで拡散するのかということをもとに濃度把握をする範囲というのを決めていかなければならないだろうなと思っております。

○清水委員長 よろしゅうございますか、当面は。
 他にどなたか。

○池田委員 海上を利用する船舶とか、あるいは人に対する配慮、ありがとうございます。
 それから先ほどから事業者について、あるいは貯留地点の選択についての議論があるのですが、基本的には電力事業者とか、あるいは製鉄所というような、大量に二酸化炭素を発生させる者が基本的な事業者になる可能性が高いと思います。それがすぐどういうふうになるかというのは、まだわからない状態だとは思います。しかしながら、そういう事業者というのが、原材料を搬入するに非常に有利な、港を利用しているということだと、港に対する配慮といいますか、港湾計画というのが一つの国の計画としてあるということで、実際にパイプラインを敷設する、あるいは多分、その事業者から直接もし海底貯留をすると考えると、ボーリングをして1,000mの海底まで輸送管をつくるというようなことに多分なるのではないかなと想像されますが、その際には、その既定の計画との調整というのが多分出てくるということで、法律を作るに当たりましては、当然のことながら関係各省庁と調整すると思いますが、その点、よろしく調整されたらいかがかということでございます。

○瀬川環境保全対策課課長補佐 御指摘の点でございますけれども、パイプラインの敷設あるいは港湾計画への配慮ということで、本件の事業者側で配慮される事項かと思います。ただ、この点を是非申し上げておきたいのですが、今回、先生方に諮問させていただきました内容は、海洋環境の保全という観点から、当該事業が海洋環境に与える影響をどのように防止するかという観点でございます。恐らくパイプラインの敷設あるいは港湾との取り合いといったことは、今回の諮問内容や、あるいは例えば海洋環境の保全に関する法律の外で措置されるものでないかというように考えております。法制面でも、恐らくそのように整理をされるものと理解しております。

○清水委員長 他によろしゅうございますか。
 そういたしましたらば、今日いただいた御意見をもとに必要な修正を施してパブリックコメントにかけたいと思いますけれども。修正についてはいつ頃になりますか。今後、どんなことになるか。

○徳田環境保全対策課長 今日、明日にでも修正をさせていただきたいと思います。

○清水委員長 できる限りお願いします。

○徳田環境保全対策課長 それでは、もしここでできるところがあれば。

○清水委員長 主なところは、もし、今日示していただければ、それでもって皆さんの御了解を得ればと思いますけれども。どうぞ、案ができていれば。

○瀬川環境保全対策課課長補佐 二、三分お待ちください。すみません。

○徳田環境保全対策課長 まず最初の「はじめに」のところですね、これは7行目、「海洋」の前に「表層」を入れる。これはそのまま入れさせていただきます。
 それから8ページ、9ページの「外骨格」の「外」を外すと。「骨格」とするというところも、そのまま入れさせていただきます。
 それから8ページの真ん中よりちょっと下に(ア)というのがございます。「浅海域の成魚については、短期致死濃度が」というところでございますけれども、これはわかりにくいという御指摘がございました。これを2文に分けたいと存じます。「浅海域の成魚については、短期致死濃度がpCOで50,000~70,000ppmであるとの知見が得られている。これらから、二酸化炭素濃度に比較的高い耐性を示すと考えられる。」もう一度読みますと、「浅海域の成魚については、短期致死濃度がpCOで50,000~70,000ppmであるとの知見が得られている。これらから、二酸化炭素濃度上昇に比較的高い耐性を示すと考えられる。」
  それから、9ページの下から5行目でございます。「慢性影響評価については、現時点では国際機関で承認された試験手法が確立されていないが」のところでございますけれども、「慢性影響評価」の前に「海洋生物に関する」を入れまして、「海洋生物に関する慢性影響評価については」。そして、「現時点では国際機関で承認された試験方法が確立されていないが」とございますが、これは「承認された試験方法はないが」というふうに修正をしたらどうかと考えております。
 それから12ページでございます。12ページの[2]二酸化炭素地中貯留の可能容量のところでございますが、ここに最後に括弧書きを入れたいと存じます。コストについて記述すべきであるという御指摘ございましたので、括弧書きで、「(ただし、この試算は事業コストの計算を行ったものではない。)」少し、てにをはを少し直す必要があるかもしれませんが、そういう趣旨で入れたいと存じます。
 それから13ページのCCSの中長期的な地球温暖化対策としての位置付けのところでございますが、ここは、実は少し検討を要するところかもしれません。つなぎの技術というところの説明で革新的技術の出現は必須であるというのを前段に入れましたので、これをもし上の方に持っていくということになりますと、このパラ自体を上に持っていかなければ文意がうまく通じないのではないかという気がしておりまして、今、お示しできる修正案といたしましては、2100年以降の長期的展望に立てばから有効であると考えられると、このパラグラフを、「しかし温室効果ガス排出量の」の上に持っていくということが一つの解決策としてはあるのかなと考えております。「2100年以降の長期的展望に立てば、化石燃料資源の枯渇の方向に向かうと考えられることから、低炭素社会の実現に向けた社会経済システムの抜本的な変革や、安全かつ確実な革新的技術の出現が必須である。このため、二酸化炭素地中貯留技術は、それまでの『つなぎの技術』として有効であると考えられる。」
  すみません、今のところ、ちょっとペンディングさせてください。
 それから、今と同じ13ページの[4]の最初のパラでございますが。

○竹本環境保全対策課課長補佐 最初の削減ポテンシャルについて、引用文献を確認いたしましたところ、「長期的な排出削減量全体に占めるCCSによる割合は750ppmの安定化で15%、450ppmの場合54%となると。」細かい文言は整理させていただきますけれども、具体的な数値はこのとおりでございます。

○徳田環境保全対策課長 あと、野尻委員から御指摘のあった、計算が間違っておるのではないかというところは、計算し直して正しい数値を入れさせていただきます。
 それでは、先ほどの13ページの[4]の二つ目のパラに戻りますけれども、とりあえず、今の案といたしましては、「2100年以降の長期的展望に立てば、」ずっと続きまして、「有効であると考えられる」というのを上に持ってまいりまして、その次に続けて、「なお、温室効果ガス排出量の大幅削減を実現するためには、二酸化炭素地中貯留技術の活用のみならず、省エネルギーの推進、再生エネルギーの普及についても引き続き最大限取り組む必要があることは当然である。」とさせていただいたらどうかと考えます。
 大体、以上ではないかと思いますが。

○清水委員長 繰り返しになりますけれども、制度設計に関していただいた御意見に関しては、具体的につくるときに参考にさせていただいて、あるいはまた御指導いただきたいと思います。
 ということで、よろしゅうございましょうか。
 徳田課長からもお話がありましたように、てにをはに関しては、今、ここで急いでやっていると問題がございますので、十分に吟味をした上で、大変申し訳ありませんけれども、私にお任せをいただければ、事務局と御相談をして、緊急にまとめまして公表をしたいということでございます。よろしゅうございましょうか。

○池田委員 今の最後の点ですけれども、もう少し練って書かれた方が、多分いいと思います、今の感じでは。というのは、やはりここに書いてある中長期的という表現と、それから2100年以降の長期的展望、それから第3パラグラフで2013年以降も見据えたというところがあって、このつなぎというのは、やはり極めて微妙な表現なのですが、2050年までの基本、IEAのものだと20%~28%CCSで削減するということを言っているわけですよね。しかしながら、そのつなぎというのは、私の解釈では2100年という非常に長期的な時間軸を見据えたつなぎになっているのではないかなと思いまして、単にこれを入れかえるだけだと誤解を与えるのではないかなと思うので、ここはもう少し練ってやられた方がいいのかなというふうに考えますが、いかがでしょう。

○清水委員長 今のお話も含めて再検討させていただいて、しかるべく修正が必要であればしたいと思いますけれども。事務局、よろしいですか。

○竹本環境保全対策課課長補佐 はい。

○清水委員長 そうしましたらば、こういうことでもってパブリックコメントにかけさせていただいて、その結果をもちまして、また御報告をして、もしも必要ならば修正を施すというようなことになろうかと思いますので、よろしくお願いいたします。
 局長から。

○南川地球環境局長 どうもありがとうございました。実は、今日、別の会場で中環審が行われておりまして、そちらの方は温暖化対策の民生の削減をどうするかというようなことを少し議論しておりまして、遅れまして大変失礼いたしました。
 この後でございますけれども、このCCSの、本日いただきました案を一部これからまた練り直しまして、清水委員長と相談の上で、本年中、明日か明後日でございますけれども、パブコメにかけたいというふうに考えているところでございます。次回の第5回に、その結果を報告いたします。また、事前に皆様にも送らせていただきますけれども、その場で御議論いただいて、是非まとめていただきたいというふうに考えております。その後は、中環審の地球環境部会の方に報告をするという段取りになろうかと思います。そして、私ども、できればといいますか、何とか3月には法案の形にして国会に出したいと考えております。その上で、このCCSが日本においても進められるような段取りをやっていきたいというふうに考えているところでございます。まだ、これ自身がかなり手探りの部分がございます。ただ、国際的に同じような形で動いておりますので、必要があれば、また徐々に見直すということもあろうかと思います。これ自身が非常に国際的にも注目されておりますし、また温暖化対策の一つの重要な手段にもなり得るものということでございますので、何とか次期通常国会で法案を成立させて、日本としても対応ができるような基礎をつくっていきたいと考えているところでございます。また引き続き、来年もどうぞよろしくお願いいたします。

○清水委員長 ありがとうございました。
 では、今後のことに関して課長から。

○徳田環境保全対策課長 第5回、次回の専門委員会につきましては、来年の2月8日14時から16時にかけまして、ホテルフロラシオン青山で開催することを予定しております。後ほど、正式に御連絡をいたします。
 本日の資料については、公開とさせていただきます。議事要旨につきましては委員長に御確認いただき公開し、会議録につきましては各委員に御確認いただいた後に公開をさせていただきたいと存じます。

○清水委員長 ありがとうございました。
 それでは、今日おまとめいただきましたものを公開にしてということでございますので、よろしくお願いいたします。
 本日は、どうもありがとうございました。暮れの押しせまったところにお集まりいただきまして。どうぞよいお年をお迎えください。
 

午後4時44分 閉会