中央環境審議会地球環境部会二酸化炭素海底下地層貯留に関する専門委員会会議録

1.日時

平成18年9月25日(金)午後2時00分~午後4時00分

2.場所

虎ノ門パストラル 新館5階 ミモザ

3.出席委員

清水 誠 委員長
赤井 誠 委員  木幡 邦男 委員
小山 次朗 委員  須藤 隆一 委員
高村 ゆかり 委員  野尻 幸宏 委員
原沢 英夫 委員  松橋 隆治 委員

4.議第

  1. 今後の審議の進め方について
  2. ロンドン条約96年議定書附属書Ⅰ改定の動きについて
  3. 二酸化炭素海底下地層貯留技術:環境影響評価に関連する技術内容
  4. その他
  

5.配付資料

資料1 二酸化炭素海底下地層貯留に関する専門委員会委員名簿
資料2 中央環境審議会第36回地球環境部会における二酸化炭素回収・貯留技術(Carbon Dioxide Capture and Storage(CCS))・二酸化炭素海底下地層貯留に関する主な意見等
資料3 今後の審議スケジュール(案)
資料4 ロンドン条約96年議定書附属書Ⅰ改定をめぐる動き
資料5 二酸化炭素海底下地層貯留技術:環境影響評価に関連する技術内容
資料5-1 分離・回収技術、二酸化炭素流に含まれる可能性のある物質
資料5-2 貯留層選定及び評価に関する技術動向
資料5-3 二酸化炭素流の地層貯留に適用可能な監視技術
参考資料1 地球温暖化対策としての二酸化炭素海底下地層貯留の利用とその海洋環境への影響防止の在り方について(諮問)
参考資料2 地球温暖化対策としての二酸化炭素海底下地層貯留の利用とその海洋環境への影響防止の在り方について(付議)
参考資料3 二酸化炭素海底下地層貯留に関する専門委員会の設置について(地球環境部会決定)
参考資料4 二酸化炭素海底下地層貯留に関する専門委員会の運営方針について
参考資料5 ロンドン条約96年議定書(仮訳)
参考資料6 二酸化炭素海底下地層貯留評価ガイドライン
附属書II(WAF)、一般WAG(1997)とCO2WAG(SG29/WP.5)の比較
参考資料7 気候変動に関する国際戦略専門委員会CO2回収・貯留技術(CCS)について(審議結果の整理)
参考資料8 二酸化炭素回収・貯留に関するIPCC特別報告書(SRCCS)
政策決定者のための要約(SPM)2005.9.27 その骨子(環境省仮訳)

6.議事

午後 2時00分 開会

○徳田環境保全対策課長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会地球環境部会二酸化炭素海底下地層貯留に関する専門委員会の第1回会合を開催いたします。
 開催に先立ちまして、大臣官房審議官の谷津より御挨拶申し上げます。

○谷津審議官 大臣官房審議官の谷津でございます。
本日は、中央環境審議会地球環境部会二酸化炭素海底下地層貯留に関する専門委員会第1回会合ということで開催をいたしましたところ、この専門委員会の委員長をお願いしております清水先生、また、中央環境審議会の地球環境部会長である須藤先生を始め、各先生方におかれましては、お忙しい中、御参集賜りまして、まことにありがとうございます。改めて御礼を申し上げます。
この専門委員会でございますけれども、お手元に9月25日付ということで、私どもの南川地球環境局長名のメモを1枚入れさせていただいておるかと思います。本日は、南川局長が出席をして、直接御挨拶を申し上げるべきところでございますけれども、ちょっと別件で、国内でございますけれども、地方に出張しておりますので、代わりまして私から御説明をさせていただきます。
この二酸化炭素回収・隔離につきましては、世界全体でのCOの貯留ポテンシャルが非常に大きいというようなことから、気候変動枠組条約の究極目的でございます大気中のCO濃度の安定化ということに向けて、世界規模でこの温室効果ガスを大幅に削減するという観点から、非常に重要な技術オプションの一つというふうに考えているところでございます。しかしながら、これは当然でございますけれども、中長期的観点に立って温室効果ガスを大幅に削減するという観点から見ますと、このCCSのみならず、省エネ、あるいは再生可能エネルギー、これも引き続き最大限取り組む必要があるということでございます。
京都議定書の第一約束期間におきましては、このCCSによって貯留したCOを削減目標達成のために活用していくこということでは、現時点では国内的、国際的に見て、議論の途上であることも踏まえまして、CCSに依存せずに、着実にこれまでの削減対策、これを進めていく必要があるというふうに考えております。
我が国におきまして、CCSに関する技術開発の推進というとともに、実用化に向けまして検討・実施をする必要がございまして、海洋生態系などへの影響の防止に関する検討を進める必要があるというふうに考えております。また、第二約束期間、2013年以降を見据えた中長期的なCCSの利用に当たりましては、技術開発・評価のほか、中長期的観点からの我が国としてのCCSの位置づけ、安全性評価、コスト評価、それと、持続可能な開発との整合性、これは京都議定書上のCDMなどとどう絡めて議論するのかといったようなことなどについて検討を行う必要があると考えております。
他方、海底下地層貯留につきましては、本年の4月にロンドン条約96年議定書に定める投棄可能な廃棄物に海底下地層に貯留されるCOを追加することを内容とする議定書改正案が提案されたところでございます。この案は来月10月に議定書締約国会議において検討される予定になってございます。この案が採択された場合、我が国としても、海洋環境保全の確保する観点から、その締結に向けた準備を進める必要があると考えております。
そこで、この専門委員会におきましては、次の二つの点について御審議賜ればと思っております。まず、第1点でございますけれども、国内における地球温暖化対策としての海底下地層貯留の利用の在り方の整理でございます。もう1点は、早急に結論をいただきたい、こういう問題として、96年議定書改正の対応を踏まえた、海洋環境への影響防止の在り方についてでございます。
御審議のほど、何とぞよろしくお願い申し上げます。

○徳田環境保全対策課長 続きまして、地球環境部会の部会長であられます須藤委員より御挨拶をお願いいたします。

○須藤委員 かしこまりました。地球環境部会長をお預かりしております須藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
一言御挨拶を申し上げます。本専門委員会は、9月13日に開催されました地球環境部会において設置が認められた委員会でございまして、委員の先生方、快く清水委員長を初め、お引き受けいただきましたことを、まず、御礼を申し上げたいと思います。
その地球環境部会の席上でも大変関心の高い議論がございまして、非常に幅広な議論で、この専門委員会で全部議論がし尽くされないほどの御質問やらコメントをいただきました。清水委員長がおまとめをいただけることになるわけでございますが、特に京都議定書目標達成計画としている計画の中で、このCCSについてはないわけでございますので、そういう中での従来の対策としての位置づけというのでしょうか、その問題、それから、ロンドン条約上での海洋生態系への影響、あるいは環境影響というようなことについて、最も多くの議論がなされたように、私、記憶をしております。
どうぞ、専門の委員の先生でございますので、御熱心な御討論をいただきまして、限られた時間ではございますが、初期の目的を達成していただけるようお願いして、私のあいさつにかえさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

○徳田環境保全対策課長 ありがとうございました。
それでは、議事に入ります前に本日の資料を確認させていただきます。

○瀬川環境保全対策課課長補佐 それでは、お手元の資料の確認をお願いいたします。本日、資料1から参考資料8まで多岐にわたっております。お手元にございます資料で、資料の1が専門委員会の名簿、1枚紙。資料2が中央環境審議会第36回地球環境部会における主な意見。資料3として、今後の審議スケジュール(案)。資料4として、ロンドン条約96年議定書附属書I改正をめぐる動き。資料5でございますけれども、二酸化炭素海底下地層貯留技術・環境影響評価に関する技術内容として1枚紙。資料5-1が分離・回収技術、資料5-2として、貯留層選定及び評価に関する技術の動向、資料5-3として、二酸化炭素流の地層貯留に適用可能な監視技術。
それから、次からが参考資料となりまして、参考資料1が諮問の文書。参考資料2が地球環境部会への付議の文書。参考資料3は専門委員会の設置。参考資料4として、専門委員会の運営方針。参考資料5といたしまして、ロンドン条約96年議定書の和訳、暫定版でございます。参考資料6が二酸化炭素貯留海底下貯留評価ガイドライン、これは仮訳でございます。参考資料7は中央環境審議会地球環境部会の国際戦略専門委員会における審議経過の整理のデータを、参考資料8として、IPCC特別報告書の骨子、環境省仮訳でございます。
本日の資料は以上でございます。

○徳田環境保全対策課長 もし、不足している資料等があれば、事務局までお申しつけください。
本日の会合は、地球環境部会二酸化炭素海底下地層貯留に関する専門委員会の第1回目の会議でありますが、開催に当たりまして、専門委員会設置の経緯などにつきまして参考資料を用いまして、簡単に御説明をいたします。
参考資料1を御覧いただけますでしょうか。参考資料1にございますように、9月4日付で環境大臣から「地球温暖化対策としての二酸化炭素海底下地層貯留の利用とその海洋環境への影響防止の在り方」について、中央環境審議会に対し諮問がなされました。
諮問理由のところを読ませていただきます。
地表環境の大部分を占める海洋環境の保全は、地球環境保全にとって極めて重要であり、海洋汚染を生じさせる恐れのある活動については、厳格に管理することが求められる。
国際的には、「廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約」(いわゆる「ロンドン条約」)により、廃棄物の海洋投入処分等の規制が行われており、我が国としても、同条約を締結し、所要の制度を整備し、海洋投入処分等の適切な管理を行ってきた。さらに、平成8年(1996年)には、廃棄物の海洋投入処分等の規制をさらに強化することを内容とする議定書(96年議定書)が採択されたため、平成16年に所要の法制度を整備し、同議定書の締結準備を進めているところである。
今般、地球温暖化対策施策の一つである二酸化炭素地中貯留についての認識が高まり、96年議定書に定める投棄可能な廃棄物として、海底下地層に貯留される二酸化炭素を追加することを内容とする議定書改定案が提案された。この提案は、ノルウェー、オーストラリア、イギリス、フランスよりなされたのですが、同改正案は本年10月の議定書締約国会議において検討される予定であり、改正案が採択されれば、我が国としても、海洋環境保全を確保する観点から、その締結に向けた準備を進める必要がある。
このため、96年議定書の改定を踏まえて、地球温暖化対策としての二酸化炭素海底下地層貯留の利用と海洋環境への影響防止の在り方について、貴審議会の意見を求めるものである。
これが諮問文でございます。
そして、参考資料2でございますが、地球環境部会に中央環境審議会会長から付議をした紙でございます。
 そして、参考資料3でございますが、この問題について専門的見地からの調査検討を行うため、中央環境審議会議事運営規則第9条第1項の規定に基づき地球環境部会において本専門委員会の設置及び検討事項が決定された次第であります。
参考資料4にございますように、本専門委員会の運営方針につきましても、部会において決定をされております。
それでは、二酸化炭素海底下地層貯留に関する専門委員会の所属委員の御紹介をさせていただきます。
二酸化炭素海底下地層貯留に関する環境専門委員会の所属委員につきましては、お手元の資料1にございますように、全部で14名でございます。本委員会の委員長には中央環境審議会議事運営規則第9条2項の規定に基づき、部会長から清水誠東京大学名誉教授が御指名を受けておられます。
それでは、本日、御出席の委員の方々の御紹介をいたします。
赤井委員でございます。
 木幡委員でございます。
 小山委員でございます。
 須藤委員でございます。
 清水委員でございます。
 高村委員でございます。
 野尻委員でございます。
 原沢委員でございます。
 松橋委員でございます。
 本日は、委員総数14名中の9名の御出席をいただいておりますので、定足数を満たしております。
 なお、本専門委員会の運営方針につきましても、先ほど簡単に御紹介しましたが、参考資料4のとおり、部会において決定されたとおり、会議は原則公開、公開した会議の会議録は公開するとされております。今回の第1回専門委員会につきましては、清水委員長に御相談申し上げたところ、公開で開催ということになっております。会議録につきましては、各委員、御確認の後、公開することといたします。
 それでは、議事に入っていただきます。
 これからの議事進行につきましては、清水委員長にお願いしたいと思います。
 それでは、清水委員長、よろしくお願いいたします。

○清水委員長 それでは、須藤部会長の御指名でございまして、委員長をお引き受けしました清水でございます。
これから議事進行を務めます。委員の方々の御協力をよろしくお願いいたします。
既に局長ペーパー、あるいは御挨拶にもございましたけれども、本委員会としては二つやらなければいけないというものがございますけれども、ここで従来行っておりました廃棄物の海洋投棄処分と大分様子が異なっているところもございます。その中身に関しましては、追々出てくると思いますけれども、手続においても、若干異例なこともございまして、これまでは、国際的にこう決まったので、国内対応をどうしようかというお話でございましたけれども、実は、この問題に関しましては、まだロンドン条約会議でもって最終決定は出ておりません。実は、10月の終わりから11月の初めに、この条約会議がありまして、そこで最終的な決定がなされるはずでございますけれども、そういうことを予定した上での審議をお願いをするということになります。いずれにしても、やらなければいけないことは、やらなければいけないので、御議論をなるべく早目にお願いをということでございます。
それから、もう一つ、これは委員の方々に大変申しわけないのですけれども、実は大変日程がタイトでございまして、11月までには結論を出さないといけない。大変、先ほど部会長、あるいは審議官からもありましたように、難しい問題を短期間で議論をしていただきますので、恐縮なのでございますけれども、いろいろな都合で、そういうことになっております。何とぞよろしくお願いをいたします。
それでは、まず、今後の審議の進め方について、事務局から御説明をお願いいたします。

○徳田環境保全対策課長 それでは、資料2を御覧いただけますでしょうか。資料2は中央環境審議会第36回地球環境部会における二酸化炭素回収・貯留技術(CCS)・二酸化炭素海底下地層貯留に関する主な意見等と書いてございますが、これは9月13日に開催いたしました地球環境部会で本件について御議論いただいたときに出された主な意見でございます。私の方といたしましては、こうした御意見を踏まえながら、事務局において今後の専門委員会の資料を作成し、御議論をいただきたいというふうに考えております。
 簡単に御紹介いたしますと、まず、地球温暖化対策技術としてのCCSについてでございますが、CCSのマイナス面についても、十分に考慮して検討する必要があるということでございます。これは当然のことでございまして、海洋生態系への影響等、それを最小化するには、どうしたら良いのかといったような議論は、当然必要になってくると思っております。それから、CCS以外の地球温暖化対策技術等とも比較して考えるべき。また、CCSをCDMとして認めてしまうと、途上国のうち主要排出国の排出量が計算上少なくなり、削減義務付けを免れてしまう可能性があり、一般国民からのも批判を受けるのではないかと、こういったような御指摘も得たわけでございます。
 こういった2番目、3番目の問題などにつきましては、この専門委員会で現時点での議論の整理をする必要かあるのではないか考えております。
 次に、二酸化炭素海底下地層貯留についてでございますが、海底下だけでなく地中についても議論すべき。この地中についてというのは、陸域の下の地中についても議論すべきではないかと、こういう御意見でございます。今回の諮問は、海底下の地層への貯留、それの利用の方法と制度の在り方でございますけれども、この議論をする際には、当然、地中におけるCOの挙動が議論されるわけでございまして、それにつきましては、海底下の地層であれ、陸域下の地層であれ、類似でありますから、当然、陸域下の地層における挙動も、そういった意味では取り上げるということになるわけでございます。ただ、制度の在り方につきましては、まずは海底下地層貯留について御検討いただければありがたい。その議論の過程、内容を見ながら、必要に応じて、陸域下等々につきましても、別途検討していくということになろうかと思います。
それから、空気炊きではなく酸素炊きにすると、排出ガスのほとんどが二酸化炭素となり、分離する必要がなくなるが、この場合はSOxの濃度が高くなる。これは酸素炊きにすれば、排ガスのほとんどが二酸化炭素となる。しかし、排出ガスの処理をしなければ、貯留されるガスの中のSOx濃度が、あるいは不純物の濃度が高くなるという御指摘でございます。空気炊きで排ガス脱流などを行った場合と比べれば、当然SOx等の濃度が高くなるということになるわけでございます。これはSOxなど含め、不純物の濃度をどこまでに抑えるべきかということになるわけでございまして、これについても、当然、御議論をいただくことになろうかと考えております。
こういった重要な御指摘をいろいろいただいた上で、清水委員長の方から、今回の諮問内容は、ロンドン条約対応であり、議論の時間も限られているので、焦点を絞って議論をしたいという御発言をいただいたところでございます。
それから、この会議の後、天野委員の方からペーパーを意見書という形でいただいております。これは今御紹介した資料2の裏に印刷をされております。
最後のパラグラフを御覧いただきますと、「環境影響が大きいものでないとわかるような検討を期待したいと思います」と書いてあるわけでございますけれども、この技術による海洋汚染への影響と、それをしっかりと議論をすべきであるというようなことなど、その他、技術との関連についての議論等々をいただいたわけでございます。
こういった御意見、また先ほど御紹介した御意見なども踏まえまして、現時点での私どもの考え方は、冒頭、審議官から御紹介させていただいた局長のペーパーに書いてあるところでございますけれども、本専門委員会におきましては、二つの点について御審議をいただきたい。一つは、国内における地球温暖化対策としての二酸化炭素海底下地層貯留の利用の在り方についての整理。もう1点は、こちらの方は、早急に結論を出さなければいけないロンドン条約対応ということで、海洋環境への影響防止の在り方について御議論をいただきたい、こういうふうに整理をしておるわけでございます。
その上で、いただいた御意見等について十分議論できるように、今後、資料を作成してまいりたいというふうに思っております。
引き続きまして、今後のスケジュールでございますけれども、資料3でございます。9月4日に中央環境審議会へ諮問、13日に地球環境部会へ付議、専門委員会設置、そして本日第1回の専門委員会でございます。本日はロンドン条約96年議定書附属書Iの改定の動きについて御議論、それから、二酸化炭素海底下地層貯留技術について御検討いただきます。次回は10月の中旬を予定しておりまして、専門家に二酸化炭素海底下地層貯留技術でありますとか、海洋環境への影響について御説明をいただく。その上で二酸化炭素海底下地層貯留の利用について議論の整理に向けた御検討をいただき、海洋環境への影響防止のための制度の在り方について論点を整理する。10月下旬に第3回でございまして、環境影響評価技術について、制度の在り方の検討、そして、報告書の骨子案の検討をいただき、11月下旬には、制度の在り方の検討の2回目を行い、報告書の案を検討する。そして、11月下旬に報告書案を完成し、12月にはパブリックコメントを実施し、来年1月下旬に報告書を完成させる。同じく下旬に部会長の同意を得て、答申を行うといったスケジュール、非常にタイトで恐縮でございますが、こういったスケジュールで進めていただければと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

○清水委員長 ただいまの御説明に関しまして何か御質問、御意見等ございますでしょうか。再々タイト、タイトと申し上げておりますか、その実態はこういうものでございます。まさになかなか今までもなかったような。よろしゅうございますか。
(了承)

○清水委員長 とりあえずはよろしいということでありましたが、後ほど、また何かありましたら、伺うことにいたしまして、本題に進むことにいたします。
 それでは、議題の2番目、ロンドン条約96年議定書附属書I改正の動きについてということで、よろしくお願いをします。

○環境保全対策課安達係長 ロンドン条約96年議定書附属書I改正をめぐる動きについて説明していきたいと思います。まず、資料4を御覧ください。ロンドン条約並びに96年議定書の概要について、まず、説明いたします。
廃棄物その他の物の海洋投棄処分については、ロンドン条約「1972年の廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約」にて国際的な管理がなされてきたところでございます。我が国は、同条約に1973年に署名して、1980年10月に寄託、同年11月に国内発効しております。現在の加盟国でございますが、ことしの8月31日現在で81カ国が加盟しておりまして、主な加盟国は、アメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダ、フランスとなっているところでございます。これを担保するために同条約が求めるところを海防法及び廃掃法に取り込んで、廃棄物等の海洋投棄並びに洋上焼却処分の適切な管理を行ってきたところでございます。
96年11月に開催された特別会合におきまして、海洋投棄規制をさらに強化することを目的としたロンドン条約の96年議定書に関する最終文書が採択されております。この議定書は、現行のロンドン条約締約国15カ国を含む26カ国以上の批准または加入の後、30日目に発効することとなっておりまして、もう既に2006年3月24日に国際発効したところでございます。8月31日現在の加盟国ですが、28カ国の加盟となっており、主な締約国はイギリス、オーストラリア、フランス等々になっているところでございます。96年議定書の目的は、現行条約と同じく投棄による海洋の汚染を防止することを目的としていますが、海洋投棄及び洋上焼却を原則禁止といたしまして、海洋投棄を検討できるものを限定列挙するという方式を採用しておりまして、海洋投棄する場合には環境影響評価等に基づいて許可を発給することを明確としております。
我が国におきましては、これを締結するため、海洋汚染防止法の一部改正等国内担保制度の整備を進めてきており、海洋汚染防止法の改正は平成19年4月1日より施行されることとなっているところでございます。
96年議定書について、もう少し細かく説明したいと思います。参考資料5とあわせてごらんください。
96年議定書が定める主な内容は、附属書I、リバースリストと言われるものですが、に掲げる廃棄物などを除き海洋投棄を禁止するもの、第4条第1項に規定されております。これは参考資料5の8ページに記載されております。さらに、洋上焼却を禁止、予防的取組及び汚染者負担の原則、リバースリスト、附属書Iに掲げる廃棄物の投棄には附属書IIに適合することを担保する許可を必要とすること、内水適用または内水での効果的措置の採用をすることなどが主な内容でございます。
96年議定書では海洋投棄を原則禁止、96年議定書附属書Iに掲げた廃棄物等だけが海洋投棄を検討できる仕組みとなったわけでございます。廃棄物のうち幾つかの品目については附属書Iへの対応の観点から海洋投棄を継続することが禁止され、又は困難な状況となったものもございます。具体的に申しますと、廃火薬類等でございます。 また、議定書附属書IIの遵守義務に伴い、各々の廃棄物の海洋投棄が海洋環境にもたらす影響を予測・評価し、その上で各国行政機関の許可を発給する仕組み等を各国国内において整備することが必要となったというわけでございます。 附属書Iの内容ですが、附属書Iが定める事項についは、以下のとおりとなっております。海洋投棄を検討できる廃棄物等の品目、リバースリストと呼ばれるものでございますが、これは参考資料5の32ページに書かれておりまして、この資料の3ページの下のところにも書かれております。しゅんせつ物、下水汚泥、魚類残さ、4項目目として、船舶、プラットホーム、5項目目として、不活性な無機性の地質学的物質、天然に由来する有機物質、海洋投棄以外の処分が困難な地域で発生する鉄、コンテナー等から構成される物質。これらのものは捨ててもいいというのではなくて、捨てることが検討できる物質というふうに定められております。附属書Iには、他にも投棄を検討できる場合の一般的注意義務でありますとか、低レベル放射性廃棄物の海洋投棄の一定期間後の見直しの規定もあわせて規定されております。
附属書Iに示された品目に該当するもの以外は、海洋投棄を検討することができないということであって、海底下地層に二酸化炭素を処分する場合には、附属書Iを改正して二酸化炭素を記載する必要があるということになっております。
 続きまして4ページ目でございますが、96年議定書附属書IIの内容でございます。参考資料5の33ページ、34ページに書かれております。
附属書IIは、附属書Iにおいて投棄を検討できるとされた廃棄物について、個別の海洋投入処分許可を発給する際に当該行政機関が考慮する事項を規定するものとされております。これをWaste Assessment Framework、通称WAFと呼んでいるものでございます。
 記載項目といたしまして、廃棄物の防止のための審査、廃棄物管理の選択肢についての検討、科学的、物理的及び生物学的特質、行動基準、これは判定基準と呼ばれるものなんですが、行動基準、投棄場所の選択、潜在的影響の検討、モニタリング、許可及び許可基準などが附属書IIに記載されているところでございます。
5ページ目の図3なのですが、附属書II及び一般WAGが想定する許可発給の流れでございまして、まずは投棄可能品目であることが条件でありまして、その中で審査をするのと特性の把握、オーケーであれば、行動基準、基準値への適合状況を見ると。これで良ければ、投棄場所の選択、潜在的影響の評価及び影響仮説の設定、監視計画の立案がなされた後、行政機関から許可発給がされることとなります。その許可発給を受けて海洋投入処分を実施し、その後、モニタリング、監視を実施し、許可の更新にいくわけでございます。
5ページ目、一般WAG及び品目WAGでございます。96年議定書では、附属書II、WAFの実行上のガイダンスとしてWaste Assessment Guidelinesを規定しております。これは、附属書IIの条文の文言をそのまま用いて、それに追加する形式で制定され、一般WAFが附属書IIの意味を敷衍する関係であるということになっております。WAGは96年議定書の一部ではございません。各締約国にはWAGの規定どおりの制度を構築する義務はございませんが、可能な限りWAGの規定を尊重していくことが望ましいということとされております。
これが一般WAGでございますが、さらに、一般WAGを受けて、附属書I、リバースリストに列挙された品目ごとに策定されたものが品目WAGでございます。WAGの内容の一部削除や置き換え・追加等がなされて、より細かいガイドラインとなっております。 ここまでが96年議定書の概要でございます。
 6ページ目の真ん中に、96年議定書に係る二酸化炭素海底下地層貯留の動向でございまして、これまでの経緯について説明いたします。
まず、第26回締約国会合、2004年、2年前の11月までの状況でございます。ロンドン条約では、1990年代の終わりごろから二酸化炭素の海洋隔離問題が取り上げられてきましたが、特に重要問題として扱われるようになったのは最近2004年11月の第26回締約国会合からでございます。この会合には、イギリスから「気候変動の海洋に与える環境影響の緩和」と題した文書が提出されて、二酸化炭素隔離とロンドン条約並びに議定書の関係について議論するためのワーキンググループの設置提案が行われております。本会議の議論の結果、当面WGで扱う問題は海底下地層への二酸化炭素隔離に限定するというふうになされております。また、二酸化炭素隔離の問題はロンドン条約と96年議定書にとって重要な課題であるという認識から、今後の締約国会合及び科学者会合の定例議題として扱うこととなりました。
2004年11月の26回締約国会合ワーキンググループにおける議論の結果、イギリスがリードカントリーとなって二酸化炭素海底下地層貯留が議定書に照らしてどのような解釈をされるのかの意見を集約して、2005年の第27回締約国会合に報告することとなされました。科学者会合での議論に資するため、SG28、28回科学者会合の前に二酸化炭素海底下地層貯留に関する技術の現状、リスク及び便益についてのセミナーを開催することなどが合意されて、議定書上で必要となる追加的な規制措置などの導入を議論するという方向性が明確になったわけでございます。
7ページ目でございますが、2005年5月に行われました科学者会合、第28回科学者会合での検討結果でございます。
第28回科学者会合では、二酸化炭素海底下地層貯留について技術な観点から初めて議論が行われました。結論は以下の通りでございます。
二酸化炭素海底下地層貯留の海洋環境保全への便益、海洋の酸性化の防止への寄与、間接的には、温度、塩分、海洋循環等への潜在的影響の緩和。
2番目といたしまして、ロンドン条約は、海洋環境の保全と海洋環境の規制において一定の役割を担っており、二酸化炭素地層貯留技術は海洋環境保全の観点からも潜在的に確実で価値ある選択肢として扱われるべきものの一つであるということと、さまざまな証拠と経験から、二酸化炭素地層貯留は以下のように結論づけることが可能となりました。
まず、1番目といたしまして、技術的には可能でありますが、最適化にはさらに技術開発が必要ということでございます。2番目といたしまして、百万年万単位で二酸化炭素を地層に保持することが可能、適切な地層には二酸化炭素を安全に保持可能であるということ。3番目といたしまして、隔離候補地点評価のためのガイドラインが必要。4番目といたしまして、漏洩の潜在的影響は、場所と規模、地理的な範囲の広がり、上部の環境条件に依存していること。5番目といたしまして、輸送、圧入、封じ込め段階での漏洩に対する修復技術は既に存在しているということ。6番目、地中での二酸化炭素を監視する手法は種々存在するが、さらなる技術開発が必要。7番目といたしまして、リスクアセスメント手法が潜在的リスクの評価と管理に適切な枠組みを提供可能であること。8番目といたしまして、海洋環境への影響監視方法に係るギャップに取り組むこととリスクを検討するための評価フレームワークを開発することが重要ということが結論付けられております。
昨年10月に行われました第27回締約国会合での検討結果でございますが、これは英国からの報告に基づいて、主に法的事項につき議論されております。形態によって合法か違法かについての各国の意見が異なっていることが明確となっております。このため、ロンドン条約及び96年議定書の解釈合意か、適当な改正について合意を得ることが望ましいとの結論に至っております。このため、議定書及び条約の明確化を含め、会期間にワーキンググループ、今年の4月ですが、開催することとし、締約国は、選択肢についての提案を提出することとなりました。科学者会合が扱う科学的事項については、第28回学者会合での成果を踏まえて、環境リスクの検討を中心としつつも、附属書IIに対応する枠組みの作成、二酸化炭素WAGを目指して会期間会合を開催することで合意しております。
ただ、この後、2006年3月24日にロンドン条約96年議定書が国際発効いたしました関係で、情勢は大きく変更、96年議定書締約国のみで議定書の改正が可能な状況となったわけでございます。
今年4月に行われた会期間ワーキンググループ会合及び法的関連事項ワーキンググループ会合での結論でございますが、まず、科学者会合会期間ワーキンググループ会合では、第28回科学者会合の議論及び2005年秋に刊行されたIPCC特別報告書を受けて、「リスクアセスメントと管理のための枠組み」が取りまとめられました。そして、二酸化炭素海底下地層貯留を検討するに当たって、技術的な枠組みが集約されたものでございます。同時に、96年議定書附属書IIを満たすために、COに関する品目WAGの作成が有益であるとの認識から、その開発が進められることになりました。具体的にはアメリカがドラフトを準備することとなったわけでございます。
法的関連事項ワーキンググループ会合での技術的な検討結果を踏まえた上で、二酸化炭素海底下地層貯留については附属書Iに品目として盛り込むことが適当との結論となり、追記すべき修正案として8ページの枠内に掲げられておりますが、これを修正案として以下のように合意されたわけでございます。
このほぼ同じテキストでオーストラリア、イギリス、フランス、ノルウェーの提案による附属書I改正案が既に提出されており、来月末にロンドンで行われる第1回96年議定書締約国協議会合におきまして採択される可能性が非常に高いということになってございます。
 続きまして9ページ目でございますが、本年6月に行われた第29回科学者会合でのCOWAGの検討の開始でございます。第28回科学者会合では、アメリカ提出のWAGドラフトを出発点として議論が行われ、WAGの第一次素案がまとめられました。これは参考資料6を御覧ください。参考資料6の右側2つにCOWAGが英語で書かれておりまして、一番右にはその仮訳を載せております。これは7月末までに各国よりコメント、8月末に修正された後、SG会期間会合にて議論、来年の第30回科学者会合にて最終化し、採択されることが予定されております。この修正案については、現在、調整中ということでございます。
今後の予定といたしまして、ロンドン条約締約国会議が10月30日から始まるのですが、その前に会期間会合が予定されるかもしれません。やるかやらないかというところは、まだ決定しておりませんが、会期間会合があるかもしれないとの情報が入っております。10月30日から11月3日までは締約国会議が行われまして、そこで採択されましたら、2007年2月上旬から中旬に改正附属書Iが発効される予定でございます。また、来年5月にはCOWAGの科学者会合で採択、実質決定されて、来年の10月にはCOWAGの正式採択がされる予定でございます。
最後に、この資料の10ページ目でございますが、国内の海洋汚染防止法の平成16年改正の概要でございます。
海洋投入処分許可制度の創設で、陸上で発生した廃棄物を海洋投入処分する場合には、環境大臣の許可を受けることを義務付けると。海洋投入処分の前には、その処分の排出計画について海上保安庁長官の確認を受けることを義務付けるというものとなっております。
公布は平成16年5月19日、施行は来年の4月1日からとなっており、許可申請の受付は、間もなく開始されますが、平成18年10月1日の開始となっております。
 以上で改正をめぐる動きについての説明を終わります。

○清水委員長 ありがとうございました。
今、お聞きになりましたように、国際的にも相当の議論があったようでございますけれども、大勢としてCOを附属書Iに入れるというふうなことになっているようでございまして、それに対して対応しなければならないというようなことのようでございます。どうぞ御質問ありましたならば、お願いをしたいと思います。マイクを回すのが面倒ですので、聞こえますよね。
 まず、原沢先生、どうぞ。

○原沢委員 なかなか盛りだくさんな内容なものですから、ついていけないところがあって、三つ確認の質問です。御説明のあった3ページの上の図の2なんですけれども、この条約の中で産業廃棄物としてCOが入ってくるのかどうか、その関連で国内法における産業廃棄物にCOがなるのかどうかという、COの扱いが国内法と国際法で少し違ってきたときに、どう考えたらいいのかなというのが1点です。
2点目は、この条約そのものは、リストに挙げられたものをなるべく捨てないようにする、捨てるとしても、なるべく最小にするというような方針ではなかったかと思うのですがCOを入れたときも、そういった本来の条約の方針は、引き続き維持されるのかどうかというのが2点目です。
3点目は、7ページにあります技術的なところの結論ですが、この中で、突発的な事故ですとか、そういったものに対して何か技術的な評価がされたかどうか、確認の質問です。

○清水委員長 どなたがお答えになるのか。

○瀬川環境保全対策課課長補佐 簡単に最初に、海洋投棄が可能な廃棄物の相違ということで書いてある図でございますけれども、海洋汚染防止法の担当ということで、海洋汚染防止法の観点から説明させていただきます。
海洋汚染防止法は、廃棄物の定義がございますけれども、単に人が不要としたものとして定義をつけておりまして、何ら気体であろうと、固体であろうと、液相であろうと構わないということでございますので、概念的に二酸化炭素といったものは、海洋汚染防止法上は廃棄物に含められるというものでございます。
それから、第2点目は、COの条約上の方針ということでございますけれども、海洋汚染防止の観点からは、海洋に入れて、海洋に影響が生じるようなものは対象外にすべきだという観点があるかと思います。この観点につきましては、気候変動防止対策、温暖化防止技術としては、もちろんたくさんCOが入ってくれば、それだけ良いのではないかというような議論もありまして、現在、関係各国がWAG(Waste Assessment Guidelines)の検討の中でも意見が分かれるところでございます。こちらにつきましては、国際的な検討の動向を見ながら、先生方にも御審議いただきたいというふうに思っております。
それから最後に、突発的な事象ということをおっしゃられたと思うのですが、突発的な事故に関しての議論というのは、ロンドン条約の中では余りまだはっきりとしていないように思います。もちろん廃棄物評価ガイドラインの中で、そういったアクシデントをどういうふうに取り扱うといったことは、議論がございます。もともと二酸化炭素を海底下の地層に入れる場合に、そのサイトセレクションにおいて、そういった突発的な事故の起こらないようなところをできるだけ選択していくということが大前提としてございますので、余り突発的な事故が必ず起こるというようなことは想定しない、そういう観点で議論が進めてられていると承知しております。

○清水委員長 よろしゅうございましょうか。今までの廃棄物とCOは大分様子が違うものですから、今の資料の10ページ目に、これまでの流れがございまして、まず、廃棄物発生の削減と、つまり、おっしゃった海洋投入等をなるべく少なくするようにという部分があったわけでございますけれども、COの場合には、一体入れるのがいいのか、入れないのがいいのかというような議論もまずあるわけですね。トータルのリスクを下げるには一体どういうことがいいのかというような観点も頭に入れながら議論をしなければいけないんだろうというふうなことがありますので、また、具体的なところで、いろいろ御意見をいただければと思います。
ほかに御質問ございませんか。どうぞ。

○小山委員 今の質問に重なるかと思うんですけれども、地球温暖化対策のためのCOの削減の対策が先にあるのか、それとも、海洋投棄によって海への生態系への影響を、どっちを優先的に考えるのかというのを、まず示していただいて、議論を進めた方がわかりやすいと思いますけれども、いかがでしょうか。

○瀬川環境保全対策課課長補佐 この専門委員会でお願いしております検討事項は、もちろん二つございまして、温暖化対策の一つの技術としてのCCS、それから、海洋環境影響を保全するという観点で、どのように考えていったらいいのかという、その2点でございます。
もちろん、今回、ロンドン条約96年議定書というものに端を発して御議論をお願いしておりますので、まず、海洋環境及び生態系に及ぼす影響に関して、どのように防止していくのか、許可発給の際に、どういった観点から私どもは見ていったらいいのかといったことを一通り審議していただくということかと思っております。ただし、これは決して相反するものではないと思っております。先ほども少し申し上げましたが、二酸化炭素が海洋に漏れ出すということを、できるだけないようなサイトセレクション、こういったものが重要になってまいりますので、排出海域の環境に及ぼす影響の予測評価の点で、サイトセレクションの十全性といったものを、どう考えていけばいいのかという議論をしていただくということかと思います。

○赤井委員 ちょっと確認のためなんですけれども、最近ちょっと議定書のフォローをしていないので、よくわからないんですけれども、ロンドン条約自体ですと、陸上からパイプラインで直接投入した場合には、ロンドン条約の規制対象外になっていたと思うんですけれども、今回のCOに関しては、やはりどういう方式で入れようと、もし、万一漏洩ということがあれば、結果は同じなんですけれども、そこはやっぱり方式によってロンドン条約の扱いでは分けているというふうに考えてよろしいんでしょうか。議定書ですね、今回のWAG。

○瀬川環境保全対策課課長補佐 方式によって、形態によって、今回のロンドン条約96年議定書に合致するのかどうかといった議論が過去にあったというふうにお伺いしております。他方、海洋汚染防止法の観点から申しますと、つまり国内、国外、分かれるかもしれませんが、海洋汚染防止法の観点からいたしますと、海洋環境に何らかの影響を及ぼすものに対しては、しかるべき方法で対応していくということが必要だと思っておりますので、前広に検討していくことが必要かなと思っております。

○清水委員長 その辺のところが国際的にもいろいろ議論になったというようなことが先ほど御紹介がありましたけれども、結論としては、やはり、この枠組みの中で考えるのがいいだろうということになったというふうに理解をしております。
ほかに。高村先生、どうぞ。

○高村委員 三つほど、御質問とコメントをあわせて申し上げたいと思います。
一つは、先ほど他の委員の方から、生態系への懸念と温暖化対策をどういうふうに見るか、位置づけるかという点で御質問があったかと思いますが、ロンドン条約の96年議定書の締約国に課されている義務の一つは、3条3項にその規定がございますけれども、一定の危険、あるいは危険の蓋然性を別の形態に転嫁しないという原則であります。これは努力規定ではありますけれども、そういう意味では、事務局からもありましたが、できる限り生態系の保全と温暖化対策をともに成功させるという観点で議論をする必要があるのかと思います。
2004年にロンドン条約事務局にうかがって、個人的な研究のためにこの議論についてお話をうかがったときには、全くこの議論が進んでいなかったのですが、1年半ほどの間に急速に議論が進みました。その背景は、事務局からもありましたように、温暖化の進行による海洋の酸性化、これが生態系に与える影響の危険が高いということが、いろいろな科学的な調査でわかってきたということが一つの背景にあると理解しております。そういう意味で、二つの目的をいかにうまく達するかというのが、おそらくこの委員会の使命と認識しております。
その意味で、2点目でございますけれども、ここで行う議論、特にこの技術が生じさせるかもしれない海洋への環境影響をいかに抑制するかという議論は、非常に重要な議論だと感じております。つまり、96年議定書のもとで日本においてこの技術をどのように取り扱うかという問題が議論されるわけですけれども、サイトの選択ですとか、モニタリングですとか、許可そのものがどういう手続で行われて、どのように長期的に安全にこの技術を遂行できるか、それをどういうふうな法的責任のもとで行うかということが、この仕組みの中で問われていると思いますので、そうした観点から十分な議論をつくしたいというふうに個人的に思っております。
そして、3点目、こちらはむしろ御質問になるかと思いますが、先ほどのご説明をうかがって、海洋投入への環境影響の具体的なガイドライン、WAGの議論というのは、今年すぐということではなくて、来年に向けて国際的に議論をされるというふうに理解をしておりますけれども、この専門委員会の議論は、一たん、今年度で影響評価の仕組みを検討するというスケジュールになっていたかと思うんですが、国際的な基準の議論の進展とこの専門委員会での国内的な議論の進展の調整、タイミングの問題について説明をいただければと思います。
以上でございます。

○清水委員長 ありがとうございました。重要な御意見かと思います。
最後の御質問に関しては。

○瀬川環境保全対策課課長補佐 最後の点につきましては、事務局も大変困っておるところでございます。会期間会合でございますけれども、当初10月という予定がされておりました。ここで大体各国の意見が出そろい、内容についてかなり明らかになってくるのではないかということを考えておりましたが、少し流動的になっているということでございます。ですので、専門委員会での議論に間に合うように、取りまとめ状況について国の方から情報をとって、その時点で御議論をいただけることかと思います。実際にWaste Assessment Guidelinesが、ほぼ決定されるのが来年の5月、あるいは来年3月に開催される科学者会合ということになりますが、そこに議論が残るような点がございました場合には、こちらの委員会での御議論をどうしてしていただこうかなという御相談をと思っております。
以上でございます。

○清水委員長 まだ流動的なところもありまして、申しわけございませんけれども、できるだけのことをやっておこうということで御理解をいただければと思います。
他に何か。
(発言する者なし)

○清水委員長 それでは、まず、地層貯留技術の勉強ということで、3番目の議題に移りたいと思います。
 御説明をお願いします。

○瀬川環境保全対策課課長補佐 それでは、主に資料5、資料5-1、5-2、5-3として御説明させていただきますが、まず、資料4の5ページ目にございますフローに戻っていただけますでしょうか。まず、資料4の5ページ目にありますフローには、附属書II及び一般WAGが想定する許可発給の流れについて示しております。現行の附属書IIが示すフローでございますけれども、まず、投棄可能な品目、附属書Iに入っているのかどうかといったことがあります。そして、投棄可能な品目であれば、許可発給のための審査に入るのですけれども、2番として、廃棄物管理手法の検討、十分な減量化が図られているか。これにつきましては、先ほど来から先生方から御指摘がありましたように、さまざまな考え方があります。それから、3番目にして、廃棄物特性の把握、投棄可能な特性か否か。行動基準、基準値への適合、投棄場所の選択、潜在的影響、そして、監視計画の立案等ございます。
それで、審査の際に見ます観点でございますけれども、廃棄物特性の把握、行動基準というのは、その廃棄物に一体どうしたものが入っているのかということを見ます。それから、投棄場所の選択といたしまして、サイトセレクション、どういったセレクションを行うのかといったこと。そして、6番でありますけれども、環境影響、まず生態影響に関するものを見ます。そして、監視計画の立案がございます。本日、御用意いたしましたのは、まず、分離・回収技術、これはこのフローでいきますと、3番目の廃棄物特性の把握と行動基準に関連するものでございます。それから、2番目が、貯留層選定及び評価に関する技術の動向、これは5番の投棄場所の選択に係るものでございます。6番目の潜在的影響に関しては、第2回に行っていただきますが、7番目の監視計画の立案に関しまして、モニタリング技術の方法ということで出していただいております。
それでは、資料5に基づきまして、まず、ざっと内容を、それから、資料5-1、5-2、5-3で詳細について説明させていただきます。
資料5でございますが、二酸化炭素海底下地層貯留技術の環境影響評価に関連する技術内容でございます。
二酸化炭素の貯留技術は、分離・回収、それから運搬、圧入、そして貯留という一連のプロセスからなっておりますが、地中貯留技術は、既に油田における石油増進回収法などにおいて発達してきた技術であります。CO貯留の対象としては、枯渇油層や帯水層、炭鉱などがございます。
1番に飛びまして、まず、分離・回収技術でございます。廃棄物特性の把握、そして判定基準との関係でございますが、ロンドン条約96年議定書は、廃棄物の特性の把握を求めるとともに、行動基準といたしまして、それを超える場合には原則として投棄を禁じることを判断するために設ける基準というものがございます。
現在、どのような行動基準を設けるかについての議論があるところですが、我が国では、例えば廃棄物に関しましては、有害物質に関する判定基準、含有量ですとか、溶出量基準を設けておりまして、これに倣いましたら、貯留される二酸化炭素流に含まれる不純物の量についても、同様にこの判定基準を設けるということが考えられます。
他方、特性の把握ということでございますけれども、もちろん、特性というのは、廃棄物の場合でございますと、投棄に代わるような処分方法を検討するために重要な選定でございまして、人の健康や環境に与える影響、常に一体的に行うために、主要な構成物質は何か、これがどのような割合を占めるのか、その他構成物質としてはどんなものがあるのかといったことを明らかにする必要がございます。
こういったことで、二酸化炭素の特性に関しましては、燃焼過程から生じる排ガスを処理して分離・回収する技術というもの如何によって特性がございます。このため、今後、我が国において採択が見込まれるような分離・回収技術、BATに着目し、ベスト・アヴェイラブル・テクノロジーによる不純物の量など、こういったものが海洋環境への影響という観点から許容可能なレベルか否かといった観点の検討も必要であろうかと思っています。
資料5の後ろのページでございます。分離・回収に係るコストというのは、非常に高く、二酸化炭素地層貯留全体のコストの多くを占めておるとお伺いしております。我が国は科学的吸収法に関して高い技術レベルを持つとされております。
資料5-2を参照していただくのは、今度はサイトセレクションの問題でございます。二酸化炭素が海底下地層貯留される場合に海洋環境に与える影響の一つに、貯留場所からの二酸化炭素のリークによって引き起こされる海水の酸性化の懸念が挙げられます。こういったリーク、あるいはその他の海洋環境に与える影響を最小限にするためには、貯留場所としての適地の選定、これが第一に必要になっております。
さて、適地選定評価の手法自体は、既存技術の応用が可能と考えられておりますが、他方、マクロなレベルでのクライテリア、これは存在いたしますものの、実際の貯蔵に当たっては、サイトごとに詳細なシミュレーションが必要かというふうに考えられております。
シミュレーションに関しましては、石油・ガス開発において培われてきました技術の適用が可能とされております。もちろん、COは、圧入時の挙動をより正確に表現するということを求められますけれども、今後、フィールドレベルにおける実証試験との比較等も行いつつ、さまざまな検証をしていくことが重要とされております。
最後がモニタリングでございますけれども、貯留状況に関するモニタリング、それから、長期にわたる漏洩のモニタリング、この二つがございます。貯留している状況、その後の状況に関しましては、さまざまな地震探査の繰り返しや、あるいは事故等に伴う大量リークがありそうな場合には、圧入井の圧力、あるいは貯留層の圧力などのモニタリングすることにより予測が可能と考えられます。
 また、高村委員から御指摘いただきました長期にわたる漏洩のモニタリング、これに関しましては、世界各国を見渡す限り、現在のところは漏洩を検知したプロジェクトはございません。このため、既存のCOのモニタリング、それに対する技術的な経済的な適用可能性について検討する必要があるというふうに考えております。
それが主だった概要でございまして、資料5-1から細かく説明させていただきます。
資料5-1では、分離・回収技術と二酸化炭素流に含まれる可能性がある物質でございます。
まず、分離・回収の手法でございますが、大きく分けまして四つ、IPCC特別報告書には書かれております。それは燃焼後に外気を回収するもの、燃焼前に回収するもの、酸素燃焼とありますが、これは部会の委員からの御指摘もございましたが、空気のかわりに純酸素を用いて燃焼させるやり方でございまして、例えばガラス溶融炉などで実績がございます。こうすることによって、燃焼させた後に脱流脱硝といった措置を講じなくても済むのではないかといった認識がございます。
あと、最後でございますけれども、工業プロセスとして、例えばメタンガスの採掘の際に含まれる二酸化炭素について分離・回収というものもございます。
次のページにまいりまして、COの回収効率でございます。燃焼後・燃焼前システムにおける一般的なCOの回収効率がここに示されておりますが、燃焼後の回収ですと、平均的には約90%程度、燃焼前の回収ですと、かなり数値的にはばらつきがあり、60%から90%の回収率ということでございます。
3ページ目にまいりまして、化石燃料由来の不純物質でございます。回収しました二酸化炭素流の不純物質でございますが、各回収システムによるCO流中の不純物質、枠の中に示しております。先ほど少し紹介いたしました燃焼後に溶剤、アルコールのものによって洗浄し回収をするというような場合ですと、不純物濃度は低い。既存の多くの燃焼後回収施設では、例えば食品産業でデカフェを作るような場合に、純度の高いCOが回収・使用されております。
それから、燃焼前に物理的にCOを溶かし込んでとってやる場合。この場合には水素、一酸化炭素、それから、微量の硫化水素などを含む場合がございます。特にIGCC施設などでの設計といったものが見込まれております。
それから、酸素燃焼工程でございますけれども、こちらの燃焼工程の場合は、ごく低温の精製工程を必要といたします。環境的に受容可能なところまで不純物質の総量を輸送パイプラインの中で二相流状態にならない程度に残してやるということも考えられます。 4ページ目にまいりまして、IPCCの特別報告書の中で、どの程度不純物質の濃度が見込まれているかという表でございますけれども、上の段が石炭でやった場合、下の段がガスでございますが、燃焼後にキャプチャーする場合というのは、かなり含まれる不旬物質の濃度が低くなる場合があります。
他方、Oxyfuelの場合は、どちらかというならば、排ガス処理をいたしませんので、鉄の成分で、例えば一番左の欄にありますSO2に関しましては、大気で0.5%、これは硫黄分0.86%の石炭を利用した場合でございますけれども、5000ppm程度、不純物質が残るというようなものがございます。
それから、図2が同一発電所でCO回収しない場合と比較した場合でございますが、単位電力当たりの燃料消費量の比較がございます。想定によってさまざまでございますけれども、大体13%から25%強の増加がございます。
次のページからは、参考資料的なものでございますけれども、天然ガス由来の不純物質、あるいは石炭由来の不純物質、その他石炭中の微量無機成分表を参考に掲載をしております。ここのところは、二酸化炭素の特性を把握する上で、こういった微量成分まで同意を得ていくのかということについては検討していこうと思っております。
7ページ、8ページ、9ページにつきましては、大気汚染防止法、それから、水質汚濁防止法、そして、廃棄物の海洋投入処分に係る判定基準を載せております。特に9ページの海洋投入処分に係る判定基準を御覧いただきたいのですが、現行の廃棄物の海洋投入処分に係る判定基準は、廃棄物の区分ごと、例えば有機性汚泥、廃酸・廃アルカリといった廃棄物の区分ごとに、炭素の含有できる、あるいは溶出される量が最大限の数値を判定基準として見ております。ですので、CO流の場合でも、記載の種類があれば、こういった物質ごとの量といったごとの判定基準として、今後は特定できるのかと。あるいは、他の方針がなるのかなといったことを御議論いただければと思っております。
資料5-1については以上でございます。
資料5-2でございますけれども、これは貯留層選定、それから評価に関する技術の動向でございます。
まず、適地選定方法でございますが、ロンドン条約の二酸化炭素評価ガイドラインにつきましては、動向の段階ではありますけれども、地層の貯留容量と注入性、地層の貯留の完全性、周辺の地質、経年の移動、潜在的影響、それから監視要件、こういったものを適地選定のクライテリアとして示しております。 1枚めくっていただきまして、次はIPCCの特別報告書の適地選定に当たって使用するデータとして示されるものでございます。特徴づけ及び選定に使われるデータの種類というものが示されております。例えば、関心範囲の地震探査プロファイルから始まりまして、石油・ガス生産データ、それから、断層の再活動や断層のすべり傾向の可能性等々、そのサイトが果たして長期に安定しうるのかといったことを検討するというデータが示されております。
それから、次の3ページ目に、新エネルギー・産業技術総合開発機構さんの報告書の方から抜粋しております。こちらの方は、平成14年度の報告書から抜粋をさせていただきました。貯留層の選定及び評価作業といったものは、いろいろな国でも進められております。各プロジェクトとも概ね堆積盆評価、それから、貯留候補層のインベントリー作成、貯留可能量の推定、それから、安全性の評価がなされております。
ちょっと長いので、かいつまんで説明させていただければ、[1]番に堆積盆評価というのがありますけれども、対象深度が重要な選定要素となってまいります。注入いたしますCO、二酸化炭素は、超臨界の状況で保たれる必要があります。このため、深度800メートル程度が上限深度の目安になります。もちろん、堆積盆内で温度勾配等が違いますけれども、目安としては800メートルというものを目指します。
それから、下にいきまして、貯留候補層のインベントリー作成でございますが、制約要素を挙げていただいております。制約要素は、貯留層のCO圧入能力、トラップ能力など、こういったものを既存のパラメーターの中から検討していくということでございます。
4ページにありますのが、テキサス大学の選定した評価のためのパラメーターでございます。先ほどの堆積盆の検討とも関係してまいりますけれども、例えば、構想図、浸透率、層厚といった物理的なもののほか、シミュレーションに必要な砂岩の連続性の推定、高・中・低とありますけれども、そういった連続性、それからシール層の厚さ、不連続性、そして地層内の大きな内圧といった中身、実際に杭井サンプルから求めました孔隙率といったもの、そういったものをパラメーターとして示されております。
ここに資料がありまして、圧入能力の評価でございますが、圧入能力の評価に関しましても、シミュレーションをしてやった場合に、どの程度浸透率があるのかといったことが重要になってまいります。
トラップ能力評価の関しましては、2行目にGEODISCとありますが、オーストラリアのプロジェクトでございます。99年7月から4年間の事業でCOの浸透量を調査したプロジェクトであります。
こちらの方は、果たしてCO排出源との適合性や経済性や安全性をどのように評価したのかということを、次の6ページにまとめてあります。65カ所の環境的に持続可能性なCO圧入サイトを摘出した際に、プレイ、プロスペクトリスクとありますけれども、プレイは3%可能性がある地質、プロスペクトは経済的に歳出に見合う取り分のある地質ということで、貯留効率、圧入能力、位置細目、封鎖性などについてポイントをつけてやり、0から1。例えば、効果的な間隙率が3%以上あれば1をつけてやろうといったような評点づけをして行っております。
それから、実際の適地選定の実例としては、オーストラリア西部における大規模なガス開発事業としてGorgon計画というのがございまして、その適地選定の際の項目を7ページ目に書いております。
 それから、9ページ目にまいりまして、シミュレーション技術でございます。シミュレーション技術でございますが、IPCCの2006年ガイドラインの中で、国別の「地層シミュレーションは、排出が発生しそうな位置、時期、フラックスを予測に当たって使用可能である」としておりますけれども、IPCCガイドラインを新たな目録策定のものでございますし、CCSを一種のエミッションとして取り扱うものであり、仕組み上、漏洩の定量把握が前提となるということ。それから、現在のシミュレーションでは、絶対的な信頼性のある予測は難しいということが示されております。
それで、11ページ目に飛びまして、シミュレーションに関する具体例でございますが、こちらをちょっと御紹介いたしますと、オーストラリアのGorgon計画のシミュレーションの結果がございます。帯水層内のCOの溶解度や密度及び粘性などを検討したものでございます。図の中で示しているのですが、COプルームの動きを、40年間圧入するということで、シミュレーションモデルでございます。
具体的なシミュレーションの結果は12ページ目にございますけれども、左側の上のところに縦に三つ、縦に四つの計七つの圧縮延線がございますが、そこに東西に切ってあって、シミュレーションした結果が右側に並んでおります。40年間の圧入でございますので、大体上から2番目のYEAR25のところで、2カ所黒いところ、COがあるところですが、このシミュレーションに結果ですと、大体1000年の間に周囲の地層にどのようにCOが広がっていくのかといったことが示されております。
資料5-2については以上でございます。
また、資料5-3でございますけれども、モニタリングの適用可能な監視技術でございます。簡単に。
IPCCの特別報告書でございますが、貯留サイトでのCOの基準フラックス、それから、それから、(ⅱ)圧入期間中、圧入COの連続測定、(ⅲ)CO排出の監視、適切な場所でのCOフラックス、そして、モニタリングの頻度、圧入後のモニタリングでございますけれども、COが予想どおり貯留層内の長期的な貯留位置に到達して、測定値が一致しているというような場合には、モニタリング頻度を減らしてもよいといったことが言われております。それから、7番目になりますが、推定廃棄量の検証を望ましい周期でやることが必要だと。つまり圧入期間中には5年ごと。ただし、サイト・オペレーションを大きく変更した場合は、検証を実施することが望ましいとして、圧入期間中は5年ごとといった周期が具体的に示されております。
資料5-3については、以上でございます。

○清水委員長 ありがとうございました。
 ただいまの事務局からの御説明に関して、先生方から御意見、御質問を受けたいと思いますけれども、赤井先生、何か補足的なコメントはございますか。

○赤井委員 いえ、特に。

○清水委員長 そうですか。
 どうぞ、どなたからでも。いかがでございましょうか。

○原沢委員 2点ほどコメントさせていただきたいと思うんですが、一つは、このCCSの技術、コストとか環境影響が中心にいろいろ議論されているかと思うんですけれども、やはり温暖化の対策としての位置づけも考えますと、エネルギー的にも、効率がいいのかどうか、そういった視点も非常に重要になってくるのではないかと思います。
先ほど、資料5-1の4ページには、CO回収しないとした場合で、13%から25%ぐらい燃料消費量が上がるということで、1トンのCOを貯留するのに、1トン以上CO排出ということはないと思いますけれども、こういった多面的な評価、技術としての評価が必要となってくるのではないかというのが1点であります。
2番目が、モニタリングにも少し関わると思うんですが、この場合のモニタリングは、いわゆる環境影響ということですが、具体的にどれぐらいの量が貯留されているかどうかも重要と思います。それよりもっと上流側に遡りますと、各事業所とかプラントで、どれぐらいのCO量がCCSの貯留量という形で収集されて、パイプラインで送られて貯留されるかという、いわゆる陸地部分の量のモニタリングも非常に重要になってくるんじゃないかと思います。
先ほど御紹介があったように、第一約束期間においては、まだ本格的なCCSの実施にはならないということでありますが、第一約束期間以前にも、陸上のいかにCCSの量を把握するかといったようなモニタリングの検討も重要になってくるのではないかと思います。
CCSにしろ、京都メカニズムにしろ、いろんな対策が出てきて、そのいろいろな対策をうまく組み合わせて温暖化対策を進めていくとすると、基礎的な情報が非常に重要になってくるという意味で、CCSは、今、技術が中心に議論されておりますけれども、CCSも含めて社会の中における制度、対策における仕組みも、あわせて議論ができたらということであります。
以上、コメントです。

○清水委員長 ありがとうございました。
松橋先生、どうですか。

○松橋委員 今の原沢さんのコメントとも関連しまして、私も80年代ごろからエネルギーシステムをやっておりまして、その中で、当時、スタインバーグなんかが、COを回収、海洋に貯留するというレポートを出しまして、そもそも最初のアイデアはシーザ・マルケッティという人だったと思うんですが、こういったシステムを含めて研究してまいりました。そのほかにも、もちろんエネルギーシステムにおけるCOの削減には、省エネとか、多様なオプションが当然あるわけでございます。
原沢さんがおっしゃったように、省エネのように化石燃料や核燃料、あるいは、そういったエネルギー資源を節約しながら、COを削減していくものとは若干性質を異にしておりますように、COの場合は回収するために必然的にエネルギーを要するわけですから、確かにエネルギーがそれ以上に必要になるという点はございます。
ただ、他方において、省エネの場合は、環境排出物の削減とは違いまして、これも十数年やってきた経験から申しますと、なかなか省エネを抜本的に進める、あるいは再生可能エネルギーを抜本的に導入するというのは、実際計算してみますと、非常に難しいものですから、そうした中で、温暖化の問題が対策に急を要する場合に、こうしたCOの回収・貯留というものが浮上してくると、こういったように認識をしております。そして、まさに現状が、そういう状況に近づいているのではないかなという認識を持っております。
したがって、このCOの回収・貯留の温暖化対策の中での位置付けは、もちろん省エネですとか、再生可能エネルギー、ないしは原子力のようなCOの少ない、あるいはないものを優先すべきだとは思いますが、そうしたものの導入のスピードが必然的に限られてくる中では、回収・貯留というものを日本が持つべきオプションとしても、あるいは世界のオプションとしても、非常に重視していく必要があるのではないかというふうに考えております。
さっき御説明があった中で、不純物、ちょっとこれはコメントが変わるんですが、不純物の問題に関する御説明がかなりございました。資料5-1の3ページ以降ですが、ここあたりの回収の専門の先生、化学の方から御覧になれば、より鮮明にわかるかと思いますが、ここで挙げられている、エグザンプルというものが、必ずしも一般的なものではないようにも思えます。と申しますのは、排ガスの中に含まれる硫黄分ですとか、あるいは、重金属ですとか、あるいはSO、HSに関わらず、これはシステムの組み方とか、技術の構成の仕方によって、必要に応じて低減可能なものであるというふうに考えます。もちろん、それには必然的にコストが伴うわけですから、トレードオフで慎重に考えていかなければいけませんが、あくまで、ここで出ているのは、ある種の仮定を置いたものであると思います。ですから、ここの委員会としては、恐らく海洋環境、海洋生態系の観点から、こうした不純物はこの程度以下に抑えなければならない、そちらの指針を示していただくことが重要なのかなというふうに考えます。
それから、長期的なモニタリングの必要性についても、御説明と原沢さんからのコメントもございまして、私もこれも全く同意見でございます。
その中で、資料にはございましたけれども、NEDOとかRITEが、この方面、精力的に研究をしておりまして、恐らく世界でもトップに近いところを走っておると思いますので、ぜひ、こういった問題を、これから条約の問題を踏まえましても、研究開発を日本としても、さらに充実させて、世界に対して、そういった知見を提供していくことが非常に重要ではないかなと思っております。
以上です。

○清水委員長 ありがとうございました。
今の段階で事務局から何かありますか。いいですか。ありがとうございました。
 野尻さん、どうぞ。

○野尻委員 赤井さんにちょっとお聞きしたい部分も含んでいるんですけれども、私、専門といえば、COを測定する方ですので、地中でしたら、大気にどれぐらい漏れるかだとか、海底でしたら、海底からどれぐらい滲み出してきたか、そういうところを測定するような技術の今の状況は大体わかっているわけですけれども、そういうことを考えると、それとあと、シミュレーションの方の話もいろいろ聞いているんですが、恐らく海底下地層貯留をしたCOが100年で99%保持される確立が99%とか、1000年で99%保持される確立が90%とか、そういう数字が、今いろいろ出ているわけですけれども、そういうものは非常に確実に言えるように技術が進むには、恐らくあと10年ではちょっと難しくて、20年、30年、それぐらいの時間スケールがかかると思うんです。それぐらいたつと、シミュレーションする技術も非常に進むし、検知する技術も非常に進むと。
だけど、恐らく回収・貯留という技術を30年後に始めたのでは、少し遅いのではないかと。きっとそれより前にかなり準備をして、やるか、やらないか、国際的にも議論して、進める必要が出てくるんじゃないかというふうに思うわけです。
というのは、これから2020年、2030年、相当温暖化の影響が顕著に出てきますので、いろんなところで。それはもうこのまま放っておくわけにいかないという議論になると思います。ですので、現時点で、こういう法改正を伴うような準備をするか否かというようなところは、IPCC等の議論でもあったような、100年で99、1000年で90%、そういった数字がかなり固いかどうかというところに、相当依存するんじゃないかと、私は思います。
地球物質循環の立場でいえば、もし100年で99%保持していてくれて、1%しか漏れないというんだったら、これは非常に対策技術としては、十分意味がある技術だというふうに、私、考えるので、そういったところが、かなり固いかどうかというところを、これから、全部の技術が進むには、さっき言ったみたいに20年、30年かかると思うんですけれども、固いかどうかという判断が5年、10年ぐらいで議論が進んでいくかどうかというようなところを、ちょっと赤井さんが多分状況を踏まえていらっしゃるんじゃないかと思うので、お聞きしたかったというところです。

○清水委員長 コメントをお願いできますか。

○赤井委員 100年で1%とか、1000年で99%。あれはIPCCのリードオーサー、特に地中貯留のセクションのリードオーサーが、確実な数字を文献から持ってくるのは無理だから、エキスパート・ジャッジメントで決めようということで、手を挙げて決めた数字なので、それほど根拠が逆にあるわけでは。むしろ、あれはかなり専門家の立場からすると、コンサバティブな値を言っているというふうに考えていいかと思います。実際に彼らが考えているのは、100万年経ったって漏れやしないというのが本音だと思います。
それから、今の御質問とちょっと違うんですけれども、ちょっと、私も若干、頭の中が混乱しているんですけれども、先ほどの不純物の問題で、ロンドン条約、あるいは議定書は、本来は海のウォーターカラムに何を投棄したときに、そのインパクトを最小に抑えると。海洋環境等は、海底、サブシーベッドまでカバーするんだという定義で、サブシーベッドも扱っているんですけれども、サブシーベッドに入れたとき、サブシーベッドの環境自体を守るのか、それとも目的はウォーターカラムの環境を守ることなのか。もし、ウォーターカラムの環境を守るんですと、サブシーベッドに入れたCOがリークして出てきて、初めて不純物がウォーターカラムに影響を及ぼすわけですね。そのあたりは、どういうふうに考えればよろしいでしょうか。

○瀬川環境保全対策課課長補佐 本日、御欠席の白山先生のお話をお伺いしたことがございます。海底下地層の中の、例えばバクテリアだとか、そういったものまで含めた生態系を相手にしなければいけないのでしょうかと。白山先生は、IPCC特別報告書のオーサーでもいらっしゃいますけれども、圧倒的に科学的な知見がない状況で、海底下の地層の生態系までを対象とするのは、IPCCの方では難しいという御判断をされたというふうに聞いております。私どもの方でも、既存の文献を集めて、どこまでいけるのかということを先生方にお伺いしながら決めていくわけですけれども、恐らく、海底下地層の中について科学的な知見が足りないのであれば、これについてはなかなか評価は難しく、その場合は海洋に出てまいります二酸化炭素、それから、還元層を通ることで漏れてくるものもありますので、それに付随して出てくる深海生物への影響があるなり、そういったものの影響といったものが主になるのではないかというふうに思っております。

○清水委員長 先ほど野尻先生からのコメントも踏まえて、今、事務局でどんな心構えで、法制化を進めていこうとしているのかという点については、どうですか。

○瀬川環境保全対策課課長補佐 準備を進めてく内容としては、やはり一義的には海洋に関します知見を充実していくのが必要だと思っております。

○赤井委員 今の回答に、あったんですけれども、そうすると、例えば不純物、あるいは規制物質のリストがありますけれども、これがリークして海洋の水環境の中に出てきたときに影響を与えるものとして考えるとなると、リークの確率みたいな話が絡んでくるのかどうかということをちょっとお聞きしたい。
それから、この辺の不純物については、別に私、何がなんでもCCSをやれと言っているわけじゃないんですけれども、CCSのメリットとして、マルチプルインジェクション、こういった普通は大気中に排出するときには処分しなければ、トリートメントしなければいけないものを地中に入れる場合には、そのままインジェクトできる。カナダなどでも、重金属や酸性ガスを地下にどんどん注入していますけれども、そういったことにメリットがあるというCCSの便益論みたいなものもあるんですけれども、それとちょっと齟齬を来たすよう気がするんですけれども。そういう不純物を規制してしまうことが、CCSのメリットを阻害してしまうという面が今度出てきてしまうような気がするんですけれども。

○瀬川環境保全対策課課長補佐 それは、確かに、Waste Assessment Guidelinesの議論になっている点でございまして、どういった物質を、どの程度まで見なければいけないのか、そういったある一定以上の形に持っていかなければいけないのかというのは議論があると思います。一方、その数値をどの程度に押さえ込むのかということは、また専門家の判断というのがあると思います。
ただ、ここはCCS一般というよりは、海底下の地層に入れた場合に、どのようなトリートメントが行われて、日本の場合ですと、マルチインジェクションが本当に行われるのか。あるいは、分離・回収技術として、どういったものを想定していて、それがどういった特性を持つものなのかということを、現実問題として見た方がよろしいかと思います。例えば、CO2による酸素炊きなどがどんどん入ってくるのであれば、石炭の場合ですと、当然、硫黄酸化物が多いガスになりますので、海洋環境に与える影響がどういうものなのかといったことは、議論しなければならないと思いますし、それから、海洋を通っていく場合に、どういったものが出る可能性があるのかといったことは、サイト選定、あるいは廃棄物の特性として把握をしなければいいけない問題かなと思います。
ですので、CCS一般で見ていって、マルチインジェクション、つまり不純物質をたくさん含んでいたとしても、それらを全て排ガス処理なしに廃棄できるというメリットがあるというふうにおっしゃいますけれども、それが、今回、日本国内で連動している事業、あるいは実証試験と同じものなのかといったこと、そこからスタートした方が議論が実現的ではないかと思います。

○清水委員長 やっぱり事前のキャラクターリゼーションはちゃんとしておきたいということのようでございますので。
 はい、どうぞ。

○須藤委員 今の事務局の御回答の部分で、大変、私、重要ではないかと思っているんですが、CCSをすぐに始めましょうということではなくて、まだ、この問題については、一般国民からしたら、ほとんど情報は皆無に近いだろうと思うんですが、この技術が、もしも、少しでも一般国民が知ったりしたときの説明というのを十分にしていただかないと、もう一部では新聞にこの間の諮問のときに出ましたね。それでさえ、私のところにも、「本気でこんなことやるの」と、こういう質問もあるわけで、これは住民ではなくて、結構、環境関係の識者が、学者がそういうことを言っているわけでございますので、特に環境影響、生態系影響、今のような問題、不純物が入れたまま、そのまま入れるのは本当に大丈夫だとか、そういう説明責任を、国民に対してこういう議論を通して、今すぐではなくてよろしいんですが、徐々にこうしうことを十分にやっていただかないと、多分、環境省の、いくらロンドン条約の議定書への対応といっても、なかなか議論が持たないような気もするので、ぜひ、国民に対する情報提供をうまく円滑にやっていただきたいということを私の立場からお願いしておきたいと思います。

○清水委員長 ありがとうございました。
他の先生方からどなたか。

○原沢委員 全く違う質問ですけれども、先ほどの御紹介で、COの海底下地層貯留が海洋環境保全への便益があるということが報告されたということですけれども、IPCCのワーキンググループ会合で、影響として海洋の酸性化が取り上げられて、来年の4月に発表されると思うのですが、海洋の酸性化が非常に関心が高まると思います。CCSによって貯留される量と、そのほかの人間活動によって排出される量、大分オーダーが違うと思うんです。CCSがこういった環境保全、例えば海洋の酸性化を防止への寄与ということを言ったときに、果たしてどれぐらいのパーセントの寄与になるのか。大分数値としては、オーダーが違うんじゃないかなという気がするんです。具体的、定量的な解析をやられて、こういった結論をつけられているのかどうか。といいますのは、IPCCの議論の中でも、酸性化が、どういう影響があるかというのが、過去200年でphが0.1下がったということはわかっていますけれども、それが具体的にどういう影響があったかというのは、まだ研究レベルでも余りわかっていないところがある段階で、便益があるというようなことを結論づけたというところで、どんなことが検討されたのかなというのことについて、わかる範囲で教えていただきたいと思います。

○瀬川環境保全対策課課長補佐 ロンドン条約のWaste Assessment Guidelinesでは、便益があるということを、定量的な評価を行ってしたというものではございません。先生おっしゃった、第四次アセスメントレポートの記述を引き、温暖化防止が海洋の酸性化に対して便益があるということを基本的にここで使っているというものでございますので、定量的な評価がなされたものではありません。

○清水委員長 よろしゅうございますか。ほかに。

○赤井委員 ちょっと補足を。一つは酸性化の問題は、この海洋の、特に表層の酸性化の研究というか、研究者がそこにかなり集中するようになったのは、ちょっとIPCCの特別報告書が出る半年ぐらい前で、そのあたりにかなり大きなシンポジウムがあって、いろんなステートメントが出たんですけれども、IPCCの特別報告書に十分反映できるタイミングじゃなかったんですけれども、ロイヤルソサエティの立派な報告書とか、いろいろあるので、これからその問題はかなり具体的に進展すると思います。
それから、寄与率なんですけれども、IPCCの特別報告書の方は、お手元の仮訳にも出ていますけれども、酸性化に対する寄与というよりも、むしろ濃度安定化に対する寄与として、CCSの経済的に可能な範囲で考えて、マックス55%ぐらいというような値も参考として出ております。

○清水委員長 他に、よろしゅうございましょうか。
それでは、どうもありがとうございました。今日のところは議論をこれぐらいにさせていただきますけれども。

○徳田環境保全対策課長 先生、もう一つ資料がございまして、参考資料7でございます。中央環境審議会のもとに国際戦略専門委員会というのが設置されておりまして、そちらでCOの回収・貯留技術について審議を行われておりますけれども、それの御紹介をさせていただきます。

○竹本地球温暖化対策課課長補佐 参考資料7の御説明をいたします。本資料は、先ほど、徳田課長の方から御案内がありましたが、中央環境審議会のもとに、気候変動に関する国際戦略専門委員会というものが別途ございます。本委員会は、西岡国立環境研理事を座長といたしまして、本日御出席の委員の中でも、例えば、高村委員、原沢委員、松橋委員にも御参画いただいておる委員会でございます。こちらの委員会におきましては、主として気候変動対策の国際的な観点からの取りまとめの御審議をいただいているものでございます。その専門委員会でCCSについても御議論をいただきましてが、資料の位置づけは、委員の総意ではなく、あくまで審議の経過を整理したというものです。
まず、背景等を掲げました1章を御説明したいと思います。(2)に、審議の経過が書いてあります。今年の3月から7月に計3回、委員会を開催いたしまして、それぞれCCSに関する御議論をいただいております。
第12回会合では、本日、委員で参画していただいております赤井先生から、主にIPCCの特別報告書の概要をプレゼンテーションしていただいております。赤井先生には、第13回、第14回にも出席いただいております。 その後、地球環境産業技術研究機構、RITEの秋元先生、あるいは、国立環境研の藤野先生などから、主として、将来のポテンシャル、技術、経済的なポテンシャルなどについて、評価をいただいております。7月の委員会におきましては、資料の取りまとめ案と、最近の国際動向といたしまして、5月に日本で開催された国連気候変動条約の補助機関会合でのワークショップの結果等を御紹介させていただいております。
2章以下では、世界におけるCCSのポテンシャル、技術的あるいは経済的なポテンシャルについて、IPCCの報告等を紹介しています。2ページにあるとおり、CCSというのは、中長期的に化石燃料の利用を可能とする技術的なオプションで、ポテンシャルは非常に大きいとされています。例えば、世界の地中貯留の技術的ポテンシャルは60から90%の確率で、約2兆二酸化炭素トン程度と推定されております。また、COを輸送する場合、短い距離、1000キロ程度まではパイプライン方式が有利でありますが、輸送量が少量の場合、あるいは海上を長距離輸送する場合には、船の輸送が経済的であるといったような評価がなされております。
3ページ以降は、IPCC報告書の詳細がございます。
5ページでございますけれども、温室効果ガスの安定化との関係について一部抜き出させていただいておりまして、例えば、550ppmに温室効果ガス濃度を安定化させるためには、CO回収・貯留技術がコスト効果的、かつ温室効果ガスの削減に大きく寄与できる技術オプションの一つであるとされております。
赤井先生からも御案内がありましたが、参考資料8の7ページから19ページにも詳細な記述があります。これは450から750ppmという非常に幅の広い分析なんですが、この場合、CCSのポテンシャルは220から2200ギガトンCOと推計されています。また、2100年までの世界中の累積的な緩和努力の15から55%とされています。先ほど赤井先生からも最大55%というお話がございましたが、大体このようなレンジのポテンシャルがあると評価されております。
また、6ページの上の段に、貯留されたCOの物理的漏洩についての評価がなされておりまして、例えば地中の場合は、100年後に99%以上である確率は90から99%、1000年後に99%以上である確率は66から90%というふうに、エキスパート・ジャッジメントで示されております。
他方、海洋隔離につきましては、数百年にわたって少しずつ漏洩するということで、隔離量は100年後で65から100%、500年後で30から85%と推定されております。
このほか、今回の資料の中では、個別の専門家の方々から評価をいただいています。RITEの秋元先生からは、コスト評価に当たっては、COの回収地点から貯留地点までの輸送コストというものが非常に大きく左右されるため、排出源と貯留層のマッチングをどう組み合わせるかというところを検討することが重要であるという評価もいただいております。
また、7ページの一番上ですが、ポテンシャルにつきましては、RITEとしては、沿岸海域の10%のみを利用できるとしても、CO排出量100年程度の貯留が可能だということを評価されています。
国立環境研究所の藤野先生の方からは、主として、世界の研究者が行っている研究のレビューを行っていただきました。それによれば、CCSというのは、地球温暖化対策上、有望な技術であるとされています。また、再生可能エネルギー、原子力エネルギー、省エネとともに必要な技術オプションの一つであると示されています。
また、9ページではエドモンズの評価が行われており、この中では、CCSというのは、CO排出の制約の存在によって推進されるとされています。この他、エドモンズは、日本や韓国各国は、他国に比べると、炭素貯留ポテンシャルは低いといったような評価もしています。
また、11ページでは、CCSは今世紀におけるブリッジの技術、つなぎの技術であり、最終的には、これに代わる革新的な技術が必要であるとの評価もなされております。
コスト評価でございますが、IPCC特別報告書の評価によれば、CO分離・回収コストは、二酸化炭素1トン当たり15から75ドルと試算されておりますが、RITEが行った我が国での評価例だと、新設の石炭火力発電所からの化学吸収法による分離・回収コストは3000円から4000円程度と試算されております。
また、地中に圧入するコストは、圧入する深度によって変わります。また、日本の場合、パイプラインの建設コストが高いので、むしろ、海上輸送の方がコストが安いという評価もなされております。
日本についての将来のポテンシャルにつきましては、17ページに示されております。RITEの試算なんですけれども、日本における貯留ポテンシャルは、構造性帯水層の基礎試錐データがあるものに限っても52億トン程度。また、このうちの半分程度は2050年までに経済性を有する可能性があるとされています。一つのケースですけれども、日本国内の貯留量は2020年において年間2300万トン、2050年において約2億2000万トンという試算もなされております。
20ページ以降には、国際戦略専門委員会での質疑をまとめたものです。本日、御議論いただいたような質問も多数出ております。また、23ページ、24ページには、最近の国際動向として、5月にボンで開催されたCCSに関するワークショップ、もう一つはCCSのCDMに関するワークショップの結果の概要を載せております。
今後の国際戦略専門委員会の課題といたしましては、25ページに要点をまとめておりまして、国際動向を今後も引き続きフォローアップをするということ、中長期的な気候変動対策の観点からの日本としてのCCSの位置づけの検討、CCSのコスト評価に関する情報の収集、海洋隔離に関する情報の収集・整理、そして、技術ポテンシャル、コスト評価、安全性等の情報に関する社会とのコミュニケーションを推進していくといった課題がまとめられております。
以上でございます。

○清水委員長 ありがとうございました。
私がうっかりして、参考資料を忘れておりました。専門委員会の方の御紹介を割愛するところでございますけれども、今、お話しいただいたようなことで審議は進んでいるというようなことでございます。実は会場の都合もございまして、きょう、ちょっと時間が押しておるものでございますから、御質問等ございましたらば、事務局あてにしていただいて、質疑があれば、それぞれお答えするということにさせていただきたいと思います。
あとは次回のことに関して事務局からお願いします。

○徳田環境保全対策課長 第2回の専門委員会につきましては、10月12日に予定をしておりますが、後ほど正式に御連絡をいたします。
また、本日の資料については公開とさせていただきます。議事要旨につきましては、委員長に御確認いただき公開し、会議録については、各委員に御確認いただいた後に公開させていただきたいと思います。

○清水委員長 そのような予定でございますので、よろしくお願いをいたします。
座長の不手際で、少し議論が途中になったというのもございますけれども、また、次回もよろしくお願いいたします。
では、本日の会議は、これで終了させていただきます。
どうもありがとうございました。

午後 4時00分 閉会