中央環境審議会地球環境部会第2回海洋環境専門委員会議事録

開催日時

平成15年9月16日(火)14:00~17:00

開催場所

経済産業省別館10階 1028号会議室

出席委員

(委員長) 清水  誠
(委員) 浦野 紘平  塩田 澄夫
須藤 隆一  小林 悦夫
細川 恭史  細見 正明
高村 ゆかり  
(環境省) 荒井環境保全対策課長 他

議題

(1) 関係省庁ヒアリング
1.外務省  2.環境省  3.防衛庁  4.警察庁 5.農林水産省  6.国土交通省  7.経済産業省
(2) 今後の制度の在り方の検討(I)

配付資料

資料1 海洋環境専門委員会委員名簿
資料2 中央環境審議会地球環境部会第1回海洋環境専門委員会議事録(案)
資料3 各省庁ヒアリングのポイント
資料4-1 各廃棄物毎の海洋投入削減に向けた取組等の状況
資料4-2 外務省資料
資料4-3 警察庁資料
資料4-4 国土交通省資料
資料5 今後の制度のあり方の検討(I)
参考資料1 1990年代の主要国海洋投入処分実績状況
参考資料2 既存の廃棄物防止審査の仕組みの例
参考資料3 影響の審査、情報公開及び市民関与の制度の例

議事録

午後2時1分開会

○荒井環境保全対策課長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会地球環境部会海洋環境専門委員会第2回の会合を開催いたします。
 本日はお忙しい中、また残暑の厳しい中をご参集いただきまして、大変ありがとうございます。
 司会を務めさせていただきます環境保全対策課長の荒井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入ります前に、お手元の本日の資料を確認させていただきます。

○水野環境保全対策課課長補佐 それでは、資料の確認をさせていただきます。
 まず1枚目が議事次第でございます。1枚めくっていただきまして資料一覧がございます。
 資料1は、委員名簿がございます。資料2が前回の委員会の議事録(案)でございます。それから、資料3が各省庁ヒアリングの検討、資料4-1が各廃棄物毎の海洋投入削減に向けた取組等の状況、資料4-2が外務省資料、資料4-3が警察庁資料、資料4-4が国土交通省資料、資料5が今後の制度のあり方の検討(I)でございます。
 それから、そのほか参考資料といたしまして、参考資料1が1990年代の主要国海洋投入処分実績状況、参考資料2が既存の廃棄物防止審査の仕組みの例、参考資料3が影響の審査、情報公開及び市民関与の制度の例でございます。
 なお、資料2として配付させていただきましております前回の議事録につきましては、委員限りの配付とさせていただいておりまして、後ほど確認をいただきました後で公表ということに扱いをさせていただきたいというふうに思っております。
 以上でございますが、過不足等ございましたら事務局までお申しつけください。

○荒井環境保全対策課長 それでは、海洋環境専門委員会の所属委員でございますけれども、お手元の資料1にありますとおりでございます。本日ご出席の委員の方々をご紹介させていただきますが、時間の都合もございますので、第1回にご欠席でいらっしゃいました方々のみ紹介をさせていただきます。
 須藤委員でございます。

○須藤委員 須藤でございます。どうぞよろしくお願いします。

○荒井環境保全対策課長 高村委員でございます。

○高村委員 高村でございます。

○荒井環境保全対策課長 お二人には別途事務局の方から第1回の状況についてはご説明させていただいています。
 それから、大塚委員、小山委員はご欠席でございます。
 それでは、議事に入っていただきます。ここからの議事進行につきましては、清水委員長にお願いいたしたいと思います。
 それでは、委員長、よろしくお願いいたします。

○清水委員長 それでは、第2回専門委員会を始めたいと思います。先生方にはお忙しい中、ご出席いただきましてありがとうございます。
 まずは、第1回目の専門委員会の議事録でございますけれども、既にお手元にお届けしてあると思いますが、本日、何かご注意をいただくことがございましょうか。
 もしよろしければ、確定版とさせていただいて、事務局の方で公開ということにいたしますが、よろしゅうございましょうか。
 ありがとうございました。それでは、事務局、よろしくお願いをいたします。
 それでは、議事に入りたいと思います。
 本日は、廃棄物の海洋投入処分の現状でありますとか、あるいは将来の削減等に関する取り組みの状況や課題について、関係する省庁から話を伺う機会を設けていただきました。各省庁からご参加をいただいておりますが、どうもご協力ありがとうございます。時間も限られておりますので、早速ヒアリングを始めたいと思いますけれども、それぞれの品目ごとといいましょうか、省庁ごとにどんなことがポイントになりそうかということを事務局でまとめていただいておりますので、まず資料3のご説明をお願いいたします。

○水野環境保全対策課課長補佐 それでは、資料3に基づきまして、ヒアリングのポイントということについてご説明をさせていただきたいと思います。申しわけありませんが、座ったまま失礼させていただきたいと思います。
 まず、1枚目に、前回の会議のときにまとめていただいた考え方を要約させていただいております。1から5までに整理をさせていただいております。
 まず1番目、予防原則の考え方を尊重し、国際発効に遅れることなく96年議定書を締結することを目指し、早急に国内体制の整備を図る。
 2番目、このため、我が国で海洋投入処分が認められている廃棄物のうち、「廃火薬類」および「不燃性の一般廃棄物」は附属書Iに掲げられた品目に該当しないと判断されるので、これらの廃棄物の海洋投入処分を速やかに廃止するための措置を講じる。
 3番目、また、水底土砂のうち、特定水底土砂、有害水底土砂及び指定水底土砂の海洋投入処分は、96年議定書の主旨に照らして廃止する。
 4番目、その他の廃棄物については、我が国として国際的に表明している「陸上処分の原則」を維持・強化し、海洋投入処分量の減量化を一層進めることを基本とする。
 5番目、そのうえでなお、海洋投入処分を継続せざるを得ない廃棄物及び水底土砂については、96年議定書の求めるところにしたがって、速やかに新たな海洋投入処分管理のしくみを整備・導入するということになろうかと思っております。
 めくっていただきまして、こういったことを踏まえますと、今回の各省庁にヒアリングに当たりましては、1つ目といたしまして、今述べさせていただいたような基本的考え方が適切であるかどうかということについての確認をいただくということ、それから、2点目といたしましては、新たな制度の設計・導入において留意すべき点等がないかどうかということについて確認をいただくということでございます。例えば、新たな制度を導入するに当たっての課題はあるか。あるとすれば、それをいかに解決すべきか。あるいは制度設計に当たって、配慮すべき各品目ごとの個別事情はないかどうか等でございます。
 以上を踏まえた上で、資料4-1から資料4-4までに基づきましてヒアリングをいただければというふうに考えております。
 以上でございます。

○清水委員長 ありがとうございました。
 基本的な考え方を前回整理をしていただきまして、それが資料3の表のようになっていると思います。それで、繰り返しになりますけれども、本日のヒアリングでは96年の議定書を締結する上で海洋投入処分の廃止・削減、あるいはまた新しい許可制度を考える際にどのような問題があるのか、それぞれ関係のところからヒアリングいただきたいということでございます。
 蛇足ですけれども、我が国の現状では多くの品目で陸上処分と海洋投入処分が並行して行われております。また、外国では陸上処分のみでもって、海洋投入処分が行われていないというところが多くなっているわけです。単純にいいますと、多分、陸上処分は技術的に可能でありますけれども、そのようなことを踏まえた上で、やはり海洋投入処分が必要であるということであれば、それなりに国際的にも納得してもらえるような理屈といいましょうか、説明が必要であろうかというふうに思います。その辺をお含みの上、焦点を絞ってご説明をいただければありがたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 それでは、ヒアリングに入ります。まず、各省庁から10分ほどでご説明をいただきまして、その後、各委員から10分ほどの質疑というふうなことでもって進めさせていただきたいと思います。
 なお、各省庁からすべて説明が終わりました後でも、あるいは全体を聞いてからまた各委員から補足的な質問があろうかと思いますので、ご説明が終わった省庁もできればどなたかお残りいただければありがたいと思いますので、その点もよろしくお願いをいたします。
 それでは、外務省から伺わせていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

○外務省 外務省の海洋室首席事務官をしております梅澤と申します。よろしくお願いします。
 こちら謝花と申します。

○外務省 今、事務局から説明ございましたポイントの中で、[1]のところですけれども、1行目のところに、「国際発効に遅れることなく96年議定書を締結することを目指し」、とありますが、この点について、外務省として2点説明させていただきます。
 1点目は、現在の議定書発効のための動向です。もう1点は、国際的に見た議定書ということの意義でございます。資料につきましては、右肩資料4-2という番号を振っているもので説明させていただきます。
 まず、1点目で説明しました締結の動向でございます。
 結論を先に申しますと、もうすぐ発効するであろうというように見ております。まず、発効要件ですけれども、26ヶ国がこの議定書に拘束される、要するに入るということを表明した後、30日目に発効します。
 そこで、今の状況ですけれども、2003年9月現在17ヶ国が同意を表明しております。
 もう一つ条件がありまして、この26ヶ国の中には15ヶ国は議定書の親条約であるロンドン条約の締約国でなければいけないというようになっておりまして、当時、条約締約国は14ヶ国でして、もう1ヶ国となっています。
 そこで、現在どういうような状況で動いているかということで、前回2002年の11月、1年前ですけれども、そのときに各国が締約国会合でいろいろ話をしまして、その中で6ヶ国が本年中に入るということを表明するであろうということで、17足す6、23ヶ国ですけれども、2003年末までには少なくとも23ヶ国はこの議定書に入るということを表明しているということで、残る3ヶ国しかございませんし、かつ親条約自体は80ヶ国が締結しております。その点から考えまして、残り3ヶ国はもうあと1年、2年であろうということで、2004年から2005年にこの議定書が発効されるであろうというふうに見込んでおります。これがポイント[1]にありました、「国際発効に遅れることなく我が国が締結を目指し」というところのポイントでございます。
 もう一つは、我が国が締結することの意義ということで、ここは今までもいろいろお話しされていまして、今さら何を言うかという点がございますかもしれませんけれども、ご存じのとおり、我が国は、環境重視ということを国際的に言っておりまして、この一環として、もちろん海洋関係の保全、強化、も含まれますので、この議定書の発効のときに、この発効日に締約国であればいい。これはもちろん実質的には締約国として議定書を実施すること自体が一番大事なんでしょうけれども、発効した時点から我が国は条約の締約国として名を連ねるというところが政治的にも非常に重要であるということでございます。
 ちなみに申しますと、皆さんのご記憶に新しいかもしれませんが、昨年、ヨハネスブルグで環境に関するサミットがございました。その中でも海洋に関するパラグラフは大パラグラフで6個あって、幾つか30個ぐらい小さなパラグラフがあるんですけれども、その中でもこのロンドン条約議定書等国際海事機関(IMO)関係の合意文書を早く批准するようにというようにいわれております。ですから、この議定書の早期締結というのは、国際的な潮流あるいは約束でございますから、日本としても早期に締結かつ締結した際には日本としてのオペレート(実施)を示すということは非常に重要でございます。
 以上で外務省の説明を終わらせていただきます。

○清水委員長 ありがとうございました。
 締結の動向と締結することの意義ということでご説明をいただきました。どうぞ先生方からご質問ございましたらお願いをしたいと思いますが。どなたからでもいかがでございましょうか。
 動向も意義も十分にわかっていただいたということでございます。

○外務省 どうもありがとうございました。また何か質問ございましたら。あるいは後日でも結構でございます。どうもありがとうございました。

○清水委員長 では、次に環境省からお願いをいたします。

○環境省 環境省の廃棄物対策課長の由田でございます。よろしくお願いいたします。
 私の方から資料4-1の5ページ、それから6ページの中で、まず5ページの方は2つございまして、ごみピット汚水と、それからためます汚水がございます。ためます汚水といいますのは、合併浄化槽ではなくて、いわゆる単独処理浄化槽を設置してある家庭で、雑排水のみのためますをつくったものがし尿とか浄化槽汚泥と一緒に処理がされているものでございます。したがいまして、5ページの方に書いてございます。し尿混じりではございませんが、6ページの方の浄化槽に係る汚泥・し尿と同様の扱いというふうにお考えいただければと思います。いわゆるバキュームカーで収集いたしまして、これを海洋投入処分をいたしておるものであります。
 ごみピット汚水といいますのは、これらとともに例外的にやっておるものであります。これは量はわずかでございます。したがいまして、主として6ページの浄化槽に係ります汚泥・し尿というのが中心でございます。
 これに関しましては、総発生量がここに書いてございます、 3,151万キロリッター年間発生量のうち、海洋投入処分量が 150万キロリッターほどございます。このし尿を中心とする廃棄物に関しましては、特にこの議定書の中でもこれがまず一番バッターで海洋投入処分を禁止しようという流れのものではございませんが、いずれにしましても海洋投入処分を早期に廃止をしようというふうなことで、それなりの努力をしてまいっておるものではございます。
 廃棄物処理法施行令の改正によりまして、このし尿、浄化槽汚泥に関しましては、平成12年2月に改正廃棄物処理法施行令を施行いたしまして、19年2月から、具体的には19年1月31日にはこの海洋投入処分が禁止されるということになっております。いわゆる14年2月施行の廃棄物処理法施行令によりまして、約5年の経過措置を設けているものであります。
 この5年の経過措置と申しますのは、陸上処理体制の確保のためということであります。この海洋投入処分をいたしておりますし尿に関しましては、現在もその努力がなされておりますが、施設整備、陸上処理の施設整備というものに一定の時間がかかることになります。し尿処理施設では、いわゆる浄化槽汚泥の処理の方がやや一般的になっているということから、私どもの国庫補助を用いてつくる施設、汚泥再生処理センターというふうに呼んでおります。
 これらのものに対しましては、立地の地元の住民の合意から始まりまして、環境アセスメントを経て、施設の立地、建設、完成ということになるわけでありますが、この5年ということがややぎりぎりの期限かなというふうなことでございまして、この以前に対応するということは難しいかなというふうに思っております。
 以上でございます。

○清水委員長 ありがとうございました。
 ご質疑をどうぞ。はい、須藤先生。

○須藤委員 おっしゃっておられることは理解をいたしておるんですが、何せ 150万トンほど出しているわけですよね、結果としてはね。それをもちろん速やかにということは無理でありましょうが、汚泥再生センターさえ増設できればもっと早くできると、こう理解してよろしいですか。

○環境省 今申し上げましたように、汚泥再生センターを14年の2月ということでございますから、いわゆる14年度にこれらを、処理施設を整備すべしという方針を出してございまして、現在それなりの努力が各市町村においてなされているものと理解をしております。したがいまして、物理的に恐らくこの19年の頭というときよりも早くできるという体制は整うことはちょっと考えにくいと思いますが、もしそんなことが可能だということであれば、それは調整がなされて早目にやるということに対して私ども異議があるわけではございませんが、恐らく今の諸情勢からいって極めて困難な情勢かなというふうに思っております。

○須藤委員 汚泥再生センターというのは、これは市町村が設置するんですね。

○環境省 そうです。

○須藤委員 ということは、環境省は補助をするという手段しか持っていないわけですね。今の進めるという意味では。

○環境省 おっしゃるとおりでございます。

○須藤委員 そうですか。わかりました。
 それからもう1点、汚水ピットの方は、これはすべての施設にあると思うのですが、余り先ほどご説明なかったんだけれども、まとめて投入、海に処分しているんですか。

○環境省 これはごみピット汚水ということでありますから、もうごみ処理場から出てくる汚水でほんの一部のものであります。

○須藤委員 そうですか。量的にはよくわからないんですか。

○環境省 量的には大したことないです。

○須藤委員 そうですか。わかりました。それは、しかし処理することは可能ですよね。

○環境省 これも何らかの工夫が要ると思います。

○須藤委員 もちろん工夫が要るけれども、処理は可能ですよね、その程度でしたら。

○環境省 先ほどの大量な浄化槽汚泥といっていたものとは少し違うかもしれませんが、私ども実はこれに関しましてはいつまでに処理するというふうなことを今の段階で決めておりませんが、少なくともし尿、浄化槽の汚泥処理と足並みをそろえさせたいと、このように思っております。

○須藤委員 わかりました。ありがとうございました。

○清水委員長 ほかに。どうぞ。

○浦野委員 浄化槽にかかわる汚泥・し尿の方ですが、今、ご事情は一応わかるんですけれども、全部を廃止するのには19年2月というのは、それはよくわかるんですが、 282自治体もあるということになると、いつごろまでにどういうところができそうだとか、ここはできないということは多少調査をされて、本当に締結の時点で一体どこら辺までいけるとか、もちろん地元合意とかいろいろ計画どおりいかないこともあることも十分承知しておりますけれども、一気に 100からゼロということではなくて、途中のおよその計画をもう少し煮詰める必要があるんじゃないかなという感じがして、それについては何か情報とかご努力の予定はありますでしょうか。

○環境省 私どもこの政令を改正いたしましてから、すべての市町村に同じようにハッパをかけておる状況であります。市町村の方も少なくとも私どもが承知しているところでは、こういう政令改正をして19年1月末には廃止をせざるを得ないということが理解がやっとされてきておりますので、それに向けて各々努力をしていると思います。
 浦野先生おっしゃるように、早目に進み始めると、先ほど須藤先生がおっしゃられたこともそうなんですが、話がまとまったので着工するということであれば、収集計画その他の事情もございますが、各市町村にしても海洋投入処分がいいことだとは思っておりませんから、できるだけ速やかに対応を開始すべく努力をしているはずであります。恐らくいつという時点でそれが議定書締結の時点でどの程度になるかわかりませんが、我々も情報を把握する努力はやってまいりたいとは思っております。できましたら、このあたりもできるだけ取れる情報が正確でありますれば、公表もしてまいりたいと思っております。

○清水委員長 やっぱりできれば、ロードマップではありませんけれども、そんなようなものが知りたいということを皆さんお感じでしょうから、よろしくお願いいたします。
 ほかにどなたか。よろしゅうございましょうか。
 それでは、どうもありがとうございました。
 それでは、引き続き防衛庁からよろしくお願いをいたします。

○防衛庁 防衛庁の環境対策室長の大村と申します。よろしくお願いします。
 まず、現在、我が国が海洋投入処分している廃棄物の品目のうち、防衛庁関連で申し上げますと、廃火薬類でございます。海上保安庁の調査によりますと、当庁における平成14年の海洋投入処分量というものが約 900トンでございまして、これは我が国の全体量の 956万トンの約0.01%に当たります。
 それで、防衛庁といたしましては海洋投入処分停止に向けての今後の方針につきましては、自衛隊の廃弾薬、廃火薬類につきましては、所要の条件が見直されればすべて陸上処分に移行する方向で現在検討中でございます。また、第二次世界大戦に起因する不発弾、それからあと押収爆発物につきましては陸上処分体制、それから予算措置等が関係省庁間でさらに検討されるものというふうに考えております。
 もう少し細部につきましては、配付資料に基づきまして説明いたします。
 資料4-1の取り組み状況というところで、1ページ目でございますけれども、廃弾薬という中で、自衛隊から生じる不良弾、不用弾につきましては、平成14年度に約 980トン処分をいたしました。そのうち海洋投入処分量が約 616トン、それから陸上処分量、これが 364トンでございます。
 なお、陸上処分量につきまして、前回の資料、ちょっと整理を誤っていたところがございまして、一部修正させていただきましております。自隊処理、それから民間委託とも爆破処理と化学処理の処理量を修正させていただいております。
 それから、今後の見込みでございますけれども、ロンドン条約96年議定書の発効に際しまして国内法令が整備される目途が立ちまして予算が確保されるという点、それから、国内において所要量の陸上処分するための民間企業の受注体制、こういうものが整いましたならば、海洋投入処分を停止して陸上処分に移行することができると考えております。
 それから、海洋投入処分の停止に向けた取り組みといたしましては、平成9年度から民間委託による陸上処分というものを試行的に実施しているところでございます。
 それから、表の右横に自衛隊から生じる不良誘導弾等につきましては、約8トン海洋投入処分しております。この数字は、先ほど申し上げました不良弾、不用弾の内数でございます。不良弾と同様にこれも海洋投入処分の廃止に向けた取り組みとして陸上処分に必要な費用の取得等について検討しているところでございます。
 それから、3ページになりますけれども、第二次世界大戦に起因する不発弾につきましては、これまで当庁といたしましては、あくまで官庁間協力という精神に基づきまして、防衛庁・自衛隊の能力、技術の範囲内で処理に協力をするということで実施にいたっているところでございます。その実績といたしましては、平成14年度に約66トン処分しておりますが、そのうちの海洋投入処分量が約30トン、陸上処分量が約36トンとなっております。この今後の見込みにつきましては、当庁としては能力、技術の範囲内で協力するという立場でございまして、総務省、警察庁、経済産業省、環境省、外務省、当庁等によっての関係省庁間あるいは地方公共団体との間において検討すべき事項であるというふうに考えておりまして、防衛庁として判断しかねるところでございますので、この点はご理解いただきたいと思います。
 それから、実際に陸上で爆破処分する場合、演習場を利用しているわけでございますけれども、演習場自体が本来の使用目的である演習に使用しておりまして、当然陸上処分というものができません。また、大型の爆弾ですとか黄燐弾などの特殊なものにつきましては、演習場の広さ、それから技術的な問題によりまして陸上処分自体が困難であるということでございます。
 このように、防衛庁は、我が国の平和と独立を守って国の安全を保つという本来任務に支障のない限りにおいて技術力の範囲内で協力させていただいているところでございます。現時点で海洋投入処分が中止されたとした場合には、自衛隊としてはその処理能力を超える分については処分の協力はできかねるという点をご理解いただきたいと思います。
 したがいまして、今後、政府の関係省庁間あるいは地方公共団体との間において、第二次世界大戦に起因する不発弾の陸上処分体制、それから予算措置について現実な検討を進めていくことが必要だというふうに考えております。
 それから、4ページの内容ですが、最後に押収爆発物でございます。これは当庁で平成14年度に 約0.9トンを処分しております。そのうちの海洋投入処分は約0.5トン、陸上処分は約0.4トンでございますけれども、この海洋投入処分の今後の見込みにつきましては、爆発物等の押収、没収の関係機関でございます警察庁、都道府県警察、検察庁、裁判所等において対応を検討中というふうにお聞きしております。
 防衛庁関連は以上でございます。

○清水委員長 ありがとうございました。
 ご質問をどうぞ。

○須藤委員 防衛庁のお仕事の中で、旧日本軍や米軍の不発弾というのは投入をしてもそれはご協力だと、こうおっしゃっていられるんで、役所の縦割り行政でいうとそういうことなのかなという気はしないまでもありませんが、こういう事態の中で、もし国民がこれを理解したら、やはり私は常識としても防衛庁の仕事だろうと、こう思うのは当然だろうと私は思います。もちろん予算の問題とか仕組みの問題はあるんですが、今お話伺っていると、議定書が発効する予定の2004年ですか、超えたら処分できないかもしれないというようなことをおっしゃっておられるんですが、もうちょっと積極的な体制は、これは別に防衛庁だけにお願いするわけじゃないんですけれども、全体として環境省もこれを扱っている事務局としては当然なんですが、この辺の問題については、ご協力できないという程度のことではよろしくないのではないかというのが第1点目で、それでよろしいかどうか。
 それから、2点目はいろいろな廃銃器は海に捨てられているのはそれなりに理解をいたしましたが、当然コンクリート固化でやられているんでしょうが、そのときの捨て場所の予測やら、その後の何年ぐらいにどうなるかという、これは未来永劫そのままでいるはずがないんで、その後の環境影響といったらいいでしょうか、あるいはコンクリート化したものの破壊といったらいいでしょうか、そういうことについて、あるいはそういうものの予測等もあるいはお考えをやってこういうことをやられているのか、お聞かせいただきたいと思います。

○防衛庁 今ご説明いたしましたのは、能力的に協力したくてもできないという状況でございますということです。その辺は当然政府の中の一員でございますし、できる範囲内で協力するという姿勢でありまして、協力できないということではございません。
 それから、投入した後の影響については、防衛庁の方では承知しておりませんのでお答えしかねます。現在は、法的に定められた特定の海域に固化するなどして投入を行っております。

○須藤委員 単にそこだけをそういうふうにやっているということですね。

○防衛庁 そうでございます。

○須藤委員 わかりました。

○高村委員 今のご説明いただいた点で幾つかございますけれども、まず自衛隊の本来の活動から生じる廃弾薬の関係で、先般いただいた資料ですと、諸外国では海上投棄の処分等をなされていないというふうに、少なくとも集まっているデータではそういうふうになっていたかと思いますが、海外での処理の状況についてもしご存じの点があれば、お教えいただきたいことと、あと、もし海外の処理をそのように海洋投入処分していないということであるとすると、日本において、いわゆる海外と比べて能力が劣るということではないというふうに技術的に思っているわけですが、なぜできないのかという理由についてまず第1点目をお尋ねしたいというふうに思います。
 2つ目は、特に廃弾薬につきまして、一定の経済的な予算の措置等がなされれば陸上処分への移行が可能であろうというふうにご説明を今いただいたかと思うんですが、そのためには具体的にどのような措置が必要で、かかるコストの点でどれぐらいのものが見込まれるのかという点についてご説明をいただければというふうに思います。
 もう一つ、先ほどありました第二次世界大戦に起因する不発弾あるいは旧日本軍の弾薬にかかわって、それぞれ関係省庁が複数あるということは了知しておりますけれども、先ほど須藤委員もおっしゃいましたけれども、実際に処分に携わっていらっしゃって、恐らく唯一処分の能力がある官庁として、先ほど申し上げました点、全く同じ点でございますけれども、日本として諸外国と対比してできない独自の理由というものと、海洋投入処分を禁止をしていく段階でかかるコストの点で、どのようなお見積もり、予測をもっていらっしゃるかという点についてお尋ねしたいと思います。

○防衛庁 まず、今、自衛隊から発生されている弾薬等につきましては、こういう海洋投棄が禁止されるということで、その処理──これは、民間委託の方向で処理といいますか、陸上で廃棄するという方向で今検討しているという段階で、経費の方も今それも含めまして検討しているところでございます。海洋投棄はしない方向で今行っているということです。
 それで、処理能力、唯一できるところが自衛隊だというところでございますけれども、これもやはり第二次世界大戦に起因する不発弾でありますと、やはり内容もよくわからないものもありますし、その仕様がわからないという危険性もございます。それからまた大型のものがあるということもありまして、演習場で爆破処理ができないとか、あと特殊なものですと内容がよくわからないので処理ができないということもございまして、今、海洋投入処分ができることになっておりますので、その枠組みのなかで処分しているということです。すべての弾について、その内容がわかれば検討もできると思うんですけれども、能力的に技術的にできないというところでございます。

○清水委員長 どうぞ。

○高村委員 技術の点に関しますと、私、法律家ですので細かな点を了解しませんけれども、恐らくドイツなり、あるいはイギリスなり同じような第二次世界大戦中の不発弾問題を抱えている諸外国というのはあるかと存じますが、そのようなところではどういう形で処理をなさっているというのは了知されていらっしゃいますか。

○防衛庁 申しわけございません。防衛庁ではちょっと承知しておりません。

○清水委員長 それと同じく先ほどイギリスなんかも含んで海外ではこういう廃火薬類の海洋投棄もないんだけれども、どんなふうにしているんだろうかということに関しては何か情報をお持ちでしょうか。

○防衛庁 特にそういうことでは持っておりません。

○清水委員長 そうですか。調べることは可能でしょうか。

○防衛庁 わかるかどうかは別としまして。

○清水委員長 もしも、後でも結構ですけれども、情報をおとりいただければ教えていただければと思いますが、よろしくお願いいたします。
 それから、ついでにしつこいんですけれども、処理能力を超える部分の処理能力の「処理能力」というのは何を意味するんでしょうか。つまり、技術的には──技術的にはというと変ですけれども、できる技術はあるはずですね。ですから、もう全くお金の問題なのかどうか。

○防衛庁 正確に申し上げますと2点あると思います。
 1つは、容量の問題ですね。処理容量がないと。これはどういうことかといいますと、演習場で爆破するのが通常のやり方ですけれども、演習場も広さですとか使用回数、使用日数に限りがありますから、物理的にといいますか、容量的に無理ですと。極めて難しいというのが1つ目です。
 2つ目は技術的な問題です。先ほど申し上げましたが、大型の爆弾50キロ以上ぐらいになります。それから、黄燐弾ですとか、要するに弾け方が大きいと、簡単に申し上げますとそういうことになりますけれども、こういった特殊弾については、そもそも陸上処分する、爆破処理する技術を持ち合わせておりませんので、今どうしているかと申しますと、コンクリート詰めにしてそのまま海洋投棄しているということになります。
 では、今の技術力の中でこれができるのかといわれますと、ちょっとこういう言い方は変かもしれないですけれども、やったことがないのでできませんという形になるかと思います。ですから、こういったいわゆる容量の問題と、それから技術的な問題、この2点が処理能力の限界だということを申し上げたいと思っております。
 何も本当に嫌ですとか、協力したくないとか、そういうことを申しているんじゃ本当にないんです。ただ今の技術的な、現実的な問題としましてこれ以上の協力はいたしかねますので、関係省庁間で討議していただきたいと、こういった方針でございます。

○清水委員長 関係省庁間の連絡会議では話は出ているのかもしれませんけれども、我々が伺っているのは何も無理をして失礼を申し上げているわけではなくて、実際に処理能力はどのくらいなのかとか、そういうことを知った上でどうしなきゃいけないかということを考えなきゃいけないものですから伺っているわけであります。
 ほかに。どうぞ。

○小林委員 ちょっと厳しいことを申し上げて失礼になるかもわかりませんが、1ページ目のところで、自衛隊から生じる不良弾、不良誘導弾ということは、逆に言うと自衛隊として必ず処理しなければならない責任があるというふうに私は理解するわけです。そういう中で、この見込みのところで、例えば議定書が発効し、法令が整備される目途が立つことと書いてあります。目途を立てるために今どうするかという議論をしているんではないかなというふうに考えたときに、その条件に予算が確保されるとか、陸上処分をするための受注体制が整うことというふうに書いて、何か他人ごとのような書き方なんですが、本来、自分のところの廃棄物というか不良弾を処理する責務を持つ自衛隊が、もしこの議定書が締結されるとしたらどうするのかというのをここでお伺いしているのではないかと思うわけです。
 その場合に、予算の確保は別な問題として、どうすればできるのかという議論をしていただけたらどうかと。特に不良誘導弾のところでは中止する予定はないと書いてあるんですけれども、予定がないと書いてあると、この議定書は締結しないという宣言をしているのと同じことになってしまうわけです。ですから、そういう意味で議定書が締結されるとしたら、どうするかという議論をできたらしていただければなというふうに思うわけですが。

○防衛庁 申しわけありません。ちょっと書き方が現状の制度のものをそのまま書いてしまったということがあるかもしれませんが、基本的には自衛隊から出たものは自衛隊が処理する。先生おっしゃられたとおりでございますので、そういう方向で今検討といいますか、調査検討しているところでございます。
 不良誘導弾等につきましても中止する予定はないといいますのは、これも陸上処分の費用の確保ですとか、そういう実際の問題等も検討している段階ですので、こういう書き方をしてしまったんですが、方向としては海洋投入処分をしない方向に、陸上処分に移行する方向で検討しております。ご理解いただきたいと思います。

○清水委員長 ほかにどなたか。どうぞ。

○高村委員 確認でございますが、先ほど容量、演習場の使用回数あるいは日程等の関係、それから技術的処理能力の点について2点問題としてご指摘なさったのは、いわゆる第二次世界大戦に起因する不発弾、旧日本軍の弾薬にかかわるものというふうに理解してよろしいですね。いわゆる自らの活動から現在発生しているものについてとは違うわけですね。

○防衛庁 はい、そうです。

○高村委員 はい。ありがとうございます。

○清水委員長 ほかに。
 よろしゅうございましょうか。どうもありがとうございました。
 それでは、続いて廃火薬の関係でございますけれども、警察庁からお願いをいたします。

○警察庁 警察庁の銃器対策課の小林と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 まず、私ども先ほどご紹介がございました資料3のまずヒアリングのポイントということに関してでございますが、[1]の議定書等の基本的な考え方が適切であるかどうかということに関しましては、従来から日本としてこういったものに協力することは当然と考えておりまして、私ども役所といたしましても政府の一員としてできる限りの協力をしたいということを従来から申し述べさせていただいている次第でございます。
 一方、2点目の新たな制度の設計、導入において留意すべき点ということなんでございますが、実は将来この議定書に我が国政府として加入することになった場合、現在、私どもがやっている事務、具体的には火薬類の処理ということが現在やっているスキームでは継続できなくなる可能性があると考えておりまして、それではかわりの措置として何をすればいいかということを現在、関係省庁等と検討している次第でございます。
 具体的に何が問題なのかということを以下に、資料4-3に基づきまして、ごく簡単にご説明したいと思います。
 私ども問題にしているのは火薬類、具体的には銃弾でございます。現在の法律の枠組みでは火薬物取締法に基づきまして、こういう弾を持っている人は不要となった場合は、所持者の責任においてこれを処分するということになっております。しかしながら、警察として各個人等に任せておいても治安上問題があるじゃないかということで、昭和50年ころから不要となって破棄された火薬類を利用した、悪用した事件等が発生することを防止するために、ハンターや、またはご遺族等からこういった不要な火薬類、弾などを引き取って自衛隊に処理をお願いしているわけでございます。
 若干の統計数字を挙げますと、現在、ライフル銃や散弾銃といった猟銃が銃刀法に基づいて所持が許可されている方々は全国で20万人、数としては35万丁ございます。また、こういった方々から不要として私どもに提出され、私どもが自衛隊に処理をお願いしている弾ですね、これがおおむね年間約30万発ございます。しかしながら、今後、ロンドン条約議定書が締結された場合、自衛隊側としては、これまでどおりの協力をすることは困難といったお話を伺っております。
 こういったことから、私ども警察といたしましては、しかしながらこういった不要となって破棄された火薬類、弾などが不法に貯蔵されたり、あるいは暴力団等への横流しによって悪用されるということを防止するために、今までどおり着実にこういったものを回収して破棄するための何らかの代替的な枠組みを整備することが必要ではないかと考えております。
 ただ、これもなかなかまだ具体的な方策は見出しておりませんで、現在、関係省庁と具体的な検討を行っているところでございます。
 簡単ながら、以上でございます。

○清水委員長 ありがとうございました。
 ご質問をどうぞ。須藤先生どうぞ。

○須藤委員 先ほどの防衛庁に検討をお願いしている分で防衛庁は手一杯だから、警察庁の分までは対応できないというふうなお話なのかもしれませんけれども、警察庁でこういうものは自前で処理技術なり処分技術なりを、これだけの量になったら構築して、そこで自前でやっていかなくちゃいけないという予定だとか、あるいは考え方というのはないんでしょうか。

○警察庁 実は今までこういったものに関しては、ほぼすべて自衛隊に処理をお願いしていたという経緯がございまして、今のところ私どもで正直なところ自前の処理する設備等は整備していないというのが現状でございます。したがいまして、もし今後、自分たちでやるということになれば、何らかのことを考えなければならないかというふうには思います。

○清水委員長 ほかにどなたか。

○小林委員 今ここに数字が出てきておるんです。これは全部、都道府県警からそこの自衛隊に処理依頼をされたということなんでしょうか。というのは、何をお聞きしたいかというと、自衛隊に渡した後、その自衛隊がどう処理されたかの追跡というのはやっておられないということなんでしょうか。

○警察庁 実務的には、各都道府県がこういったものを回収した後、それぞれ地元の自衛隊に直接協力をお願いしているといった状況でございます。ただ、お渡しした後、自衛隊の中でどういうふうに処理されているかということは、私どもの方では追跡はいたしておりません。

○清水委員長 ほかに。どうぞ。

○細川委員 細かいことですみませんが、先ほどの防衛庁のご説明だと、防衛庁の中での不良弾等の処分をなさっているようなんですけれども、警察では警察官の持っている弾の不良弾とか不用弾という処分、ご自身ではされていないんでしょうかというのが1つです。
 それからもう一つ、火薬類取締法では個人が個人の責任で不要物を処分しなさいということになっておるようですけれども、これを引き取るときには無料で引き取っているんですか。

○警察庁 ただいまご質問のまず1点目でございますが、警察の内部的なものでございますが、すみません、ちょっと私どもも今詳細な資料、知識等を持ち合わせていないのですが、基本的には警察の方で第一線の警察官等が所持している拳銃については、可能な限りこれは訓練等を通じて消費するということをやっておりまして、もちろん何か不良になったようなものが出ることはございますが、これに関しましてはこれを納入した業者の方に何らかの処分をお願いしているというようなことでございます。
 それから、2点目につきましては、引き取るという行為につきましては1つのサービスとして無料で行っております。

○清水委員長 よろしいですか。ほかにどなたか。どうぞ。

○高村委員 おわかりになっていないというふうに今おっしゃられたところなんですが、ここで上がっています海洋投入処分の量、あるいは海洋投入処分以外の処分の量というのがわからない段階で、なかなか具体的に私どもの方で議定書に向けてどういう措置が必要かを検討するのが難しいものですから、何とかここの具体的な海洋投入処分量、それから海洋投入以外の処分量についてデータを出していただくということは難しいでしょうか。

○清水委員長 追加しますと、そこに廃棄しうる陸上処分体制の構築が必要とおっしゃっていますよね。この陸上処分体制の構築を考える上で今、高村先生からご指摘があったようなことをご自分で把握をする必要があるんだろうというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

○警察庁 私どもといたしましては、こういった一般の方から回収させていただきまして、どれだけ自衛隊にお渡ししたかという、その量に関しましては把握をいたしております。したがいまして、もし私どもが今後自衛隊さんのご協力を得ませんで、自前で何らかするということになった場合は、今、私どもがどれだけ一般から回収し、どれだけお引き渡しているかという、それをもとに先ほど申しましたように大体年間30万発と申し上げておりますが、これをもとに自分たちでは考えていこうかなと思っております。
 じゃ、自衛隊の中でどのような処理がされているのかということは、やはり申しわけございませんが、自衛隊さん、あるいは防衛庁さんの方にお伺いしないとなかなかわかりかねるなというふうに思っております。

○清水委員長 ありがとうございました。
 ほかにどなたか。はい、どうぞ。

○細見委員 先ほどの防衛庁の場合もあったと思うんですが、やはり諸外国でも当然こういうことが起こっているだろうと推定されるわけで、実際に例えばアメリカとイギリスではどのようにこういう廃火薬を処分されているのかどうかということが1つと、もう一つ、例えば廃棄物の問題をやっていると、どうしても購入した人が本来それに最後まで、あるいは火薬をつくる人ですね、製造者がどんどん責任を負っていかないといけないような時代になりつつあるんではないかというふうに思うと、今度警察庁がご自身でもし処理を構築をされようとすると、そのコストというのはどこから来るのかというと、やはりそういうところから求めざるを得ないのではないかと。ある意味では、仕組みを少し、制度を構築していけないんじゃないかという、要するに処理施設だけではなくて、処理施設を支えるための必要なコストだとか、そういうものの回収といったようなことも少しは考えていかないといけない時代ではないかというふうな気がしました。これはコメントでございます。

○警察庁 1点目にご質問がございました諸外国の例でございますが、こちらにつきましては、以前、外務省さんの方を通じまして主要な国に関しまして若干の調査をしていただいております。結論から申しますと、正直なところ国によりまして千差万別でございます。ただ、極めて大ざっぱに申しますと、大体3種類ぐらいございまして、1つはその国の軍当局にお願いしているという例。2つ目が警察の中にそういうことができるセクションがあって、自前でやっていますという例。それから、3つ目がそういうことができる能力を持った民間業者等があって、これに委託をしているという例、この3つがございます。

○細見委員 そのコストはだれが払っているかということはわからないですよね。諸外国の場合警察庁が払っているのかどうか。

○警察庁 その辺については、ちょっと把握をいたしておりません。申しわけございません。

○清水委員長 さっき防衛庁では若干民間委託もあったんですけれども、警察では今のところ民間委託はないわけですね、全部自衛隊にお願いをしているので。今後は自前でやるということで民間委託はお考えにはならないのでしょうか。

○警察庁 もちろんそういうことができれば、その方が望ましいと考えてはおるわけなんでございますが、若干幾つかの民間業者等にお話をお伺いしたところ、やはりなかなか能力的な問題等もございまして、今あるもの全てに関してどこかの企業が全面的に引き受けるということはなかなか難しいのではないかなというふうに考えている状況でございます。

○清水委員長 ほかに。よろしゅうございますか。
 どうもありがとうございました。

○警察庁 どうもありがとうございました。

○清水委員長 それでは、続いて農林水産省関係でございますけれども、農林水産省、小松課長からお願いします。

○農林水産省 水産庁の漁場資源課長の小松と申します。
 幾つかの業態が海洋投入を行っておりますが、1つは砂糖製造業の廃糖蜜廃液でございます。これにつきましては、現在18社、約10万トンの廃液がございますけれども、現に海洋投入を行っておるのはそのうちの1事業者でございます。投入量は 1,262トンで、2003年までには投入処分を中止する予定でございます。
 それから、次に、梅漬け調味廃液でありますけれども、これは梅干しを脱塩した後に出てくる調味液でありますけれども、発生量が約1万 4,000トンでございます。和歌山県の組合加盟82社からの分です。ただし和歌山県にはアウトサイダーが約 200社ほどいると、聞いております。全国ではほとんど95%が和歌山に集中しておると思いますので、これで大体ほぼ全貌に近いものがつかまれていると理解いただきたいと思いますが、海洋の処分量が 4,800トンでございます。有効利用もしているわけでございますけれども、陸上処理に変換すべく努力はしますけれども、海洋投入の処分の中止は当面、零細な企業が多いものですから困難との回答を得ております。一方で、どんどん条約議定書の締結や国内法の整備状況を踏まえて、なおかつ経費面だとか労力の面を考慮しまして海洋投入処分を継続するかどうか、それから陸上処理へ移行するかどうかは少なくとも検討してみたいということを聞いております。
 それから、次に、かんきつ缶詰製造時の皮ですね、内皮、筋、有機物、外皮等が発生しますが、これの処理でございますが、総発生量が約 1,500トンでございます。それで、かんきつ類の海洋投棄を行っている事業者が熊本県の1社ございますが、2004年までには投入処分を中止する予定というふうに聞いております。
 それから、家畜の糞尿であります。家畜の糞尿につきましては、全国に24万戸の畜産農家がありまして、毎年、ここにも書きましたけれども、 571万トンの家畜排泄物が発生しております。このほとんどは発酵させ、たい肥として利用しておりますが、まだまだ海洋投入の処分の実績が残っております。ただ、随分最近では減ってまいりまして、平成11年には35戸の農家が5万 9,000トンを処分しておりましたけれども、現在ではここにあるような農家2戸で 4,170トンでございます。
 ここには当面、海洋投入処分を中止する予定はないというふうに書いてありますけれども、やはり諸般の事情から平成11年に「家畜排泄物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律」ができておりまして、農家の家畜排泄物の適正な管理を義務づけておって、各都道府県は地域の実情に応じて都道府県計画を策定して、計画的な処理施設の整備を実施するということとされております。このためどんどん議定書の締結と国内法の整備を踏まえまして海洋処分の中身を吟味して、改めて処理施設を都道府県計画にどのように位置づけたらいいかを検討する予定だというふうに聞いております。
 以上でございます。漁港におけるしゅんせつ物の処理につきましては、後ほど国交省の説明の方で対応させていただく予定でございます。
 以上でございます。

○清水委員長 ありがとうございました。
 どうぞ、須藤先生。

○須藤委員 最初に家畜排泄物の方からまいりますが、法律により16年度から管理の適正化ということで義務づけられて、しかも守れない場合には罰則までかかるということになっていますよね。ということで、大変一方では厳しい状況の中で、幾ら2戸とはいっても 4,170トンというのは、私の理解では物すごく規模の大きい畜舎排水施設だと思うんですが、それがまたそのまま海洋投棄が続くような印象を承ったんですが、当然この法律、捨てるんだから法律に違反しないのか、その辺よくわかりませんけれども、その辺のところが非常に一方の問題と廃棄物の処理の適正化の問題と、それから今の海洋処分との間に余りにも乖離があるような印象を受けるんで、そのところをどうお考えになっているのか1点目。
 それから2点目は、梅漬けの排水なんか、若干処理が難しいかなという気はするんですが、糖蜜もそうなんですが、やればできる、有機排水なんで処理技術としても私はそんなに難しくないと理解しています。これができないというのが、零細というような理由とのことですが、食品排水のほとんどすべてが零細企業からのものですよね、どっちかといえば。ここだけ零細だからというので何となくバランスがよくないと思うので、これはやっぱり私はもっと強いご指導が必要なんではないかと、こういうふうに思います。

○農林水産省 私も水産庁の漁場資源課長で、農林水産省の窓口をやっていますけれども、我々は水産庁の人間でございますから、やはり海で産するものの食の安全、安心の問題だとかが重要だと考えております。それからいろいろ議論がありましたけれども、我々も漁業操業をしますと底引き船が不発弾を引き揚げたりして、いろいろな問題が生じたりしておりますので、須藤先生おっしゃったことはよくわかります。ただ、相手のあることですから、我々としても今の御発言を踏まえまして、また折衝してみたいと思います。

○清水委員長 須藤先生がこの2戸は法律の対象から外れているのかというような感じのお話があったんですけれども、その辺は何か情報がありますか。

○農林水産省 先生が言われることはごもっともに聞こえますので、ちょっとその辺も踏まえて勉強した上で、いずれにしろやっぱり随分漸減しておりますので、まだ 4,200トンが多いという話でございますけれども、投棄量的に本当に減っておりますので、またあと35戸が2戸になっておりますから、畜産局ともよく話してみたいと思います。

○清水委員長 逆に言えば、あとわずかなんだからやってくださいということにもなりますし、現実にどんな投棄の仕方をしているのか、その辺もわかったら教えてください。この2戸が1事業者を通じてやっているということですけれども、どんな海域で年何回ぐらい、どんな船で捨てているのかとか、そういう細かいところがわかれば、我々もまたいろいろ考えなきゃいけませんので、よろしくお願いします。

○農林水産省 わかりました。

○清水委員長 ほかにはいかがでしょうか。よろしゅうございますか。
 どうもありがとうございました。
 それでは、国土交通省、お願いいたします。

○国土交通省 国土交通省でございます。国土交通省からは資料4-1の廃棄物の分類品目におきますところの建設汚泥、下水汚泥、それからしゅんせつ物、この3つについてご説明させていただきます。担当の方からそれぞれ順次説明させていただきます。

○国土交通省 では、最初に建設汚泥について説明させていただきます。私、総合政策局で建設副産物企画官をやっております柳橋と申します。よろしくお願いします。
 建設汚泥でございますけれども、廃棄物の発生する過程でございますが、主にシールドトンネル工事とか連続地中壁工事、いわゆる土を掘る工事ですけれども、その際に掘削面の崩壊を防止するため、掘っただけでは土が壊れてしまいますので、それに水を入れることによって壁面を安定させるという意味で、そういう意味で泥水を入れます。また、その泥水を入れた状態でどんどん掘っていくわけですが、掘った土、掘削土砂を泥水を使って外へ出す、水を循環させることによって掘削土砂を外側に出すということで、その出てきた水と泥が混じったものが建設汚泥ということになります。
 この泥水ですけれども、総量としては12年度の国交省の方で行った調査結果では 1825万トンということになっておりますが、このうち公共工事で出されておりますのが 545万トン、それから民間工事が 280万トンということになっております。この 825万トンのうち、有効利用量の方でございますが、もともと普通の土にすごい水を含んだものということですから、放っておけば乾いて量が減るということで、この縮減というのは水が飛んだ状態ということですが、縮減で91万トン、それから残ったものについて 248万トンが有効利用されております。
 有効利用の方法としては、機械的に水を抜く方法、それからあと 1,000℃の温度で焼いて固める方法。それから、セメントなどを混ぜて流動化処理と呼んでおりますけれども、そういったものにする方法とございます。水を抜いたものについては盛土材、それから焼いたものについては路盤材とか、あと流動調整さえすればドレーン材などにも使えます。また、流動化処理したものについてはセメント状で混ぜたものですから、埋め戻しに非常に狭いところにまで入るということで、これは埋め戻し材によく使っております。
 現在、海洋投棄の処分量についてはここに書いておりますが、 108万トンということになっております。ただ、このデータ 825万トンと 108万トンのデータは同じ調査ではございません。 108万トンについては海上保安庁の調査結果の数字を使っておりますので、必ずしも調査全体がリンクしているわけではございません。
 海洋投入処分の処理者でございますけれども、海上保安庁の調査によりますと平成14年で排出実績のある船は5隻ということになっております。この5隻について船が出ているということでございます。
 あと、海洋投入処分量削減に向けた取組でございますが、私どもでは建設リサイクル推進計画2002を昨年5月に立てております。この中で建設汚泥については、現在、当面の有効利用率ですけれども、これは41%ですが、これを平成17年度までに60%まで上げようということで計画を立てております。方法としましては、建設汚泥の処理したものを再生土としてグリーン調達の対象とするということ。また、再生利用認定制度がございますので、これを活用するということ。それからあと、リサイクル原則化ルール、経済性にかかわらず使うんだという原則化ルールがございまして、現在、土とアスファルト、コンクリート、木材についてそういうルールがございますが、これに建設汚泥を対象品目に入れようじゃないかというようなことを検討しております。今後、そういったことで17年までに60%ということで削減はいたしますが、なかなか 100%にはなりませんので、海洋投入処分の今後の見込みのところでは一応中止する予定はないというふうに書かさせていただいております。
 以上です。

○国土交通省 続きまして、下水道から排出されます下水汚泥についてご説明させていただきます。
 資料4-1の11ページに基づきましてご説明させていただきます。私、国土交通省下水道部の加藤と申します。よろしくお願いいたします。
 下水道から排出される下水汚泥でございますが、一般的に各家庭や工場から排水が出てきておりまして、その排水につきまして無機質性のものについては沈殿処理された後に標準活性汚泥法等の処理法に基づきまして有機物を処理しています。その段階で発生する微生物であったり、微生物の死骸を引き抜いているものが下水汚泥でございます。引き抜きの濃縮汚泥の段階では水分が約99%ぐらいございますので、廃棄物統計等では 8,000万トン弱発生しているということになっておりますが、それを脱水汚泥といたしまして、ドライソリッドベースに直しますと、大体年間 210万トン発生しておるということでございます。有効利用量のところは不明と書いてございますが、これは、下欄の海洋投入以外の処分量に記載してあるとおりでございます。記載ミスでございます。すみません。
 海洋投入以外の処分量というところで、210万トンのうち約60%である 120万トンがコンポストのような緑農地利用でありますとか、レンガ等の建設資材、あとはセメント原料として有効利用されております。残りの約4割が埋め立て処分されておりますが、ほとんどはすべて陸上処分でございまして、海洋投入処分を行っているのが 1,200トンということで、下水道管理者にして2つの自治体が今も海洋投入処分を行っているという状態でございます。
 海洋投入処分につきましては、国土交通省の下水道部より陸上処分の方に移行するように要請しております。ただ、産業廃棄物の処分場を陸上で用意する等々の代替措置を行うのに準備の時間が多少かかりますので、もう少しお時間をいただく必要があるかと考えております。
 以上でございます。

○国土交通省 それでは、続きましてしゅんせつ物についての説明をさせていただきます。私、国土交通省港湾局環境整備計画室の東山と申します。
 資料4-1の14ページをお開きいただきたいと思います。先ほど農水省さんから説明ございましたように、しゅんせつ物に関しましては私ども国土交通省港湾局が絡んでおります。いわゆる一般港湾の港湾工事における浚渫工事によって発生するしゅんせつ物と、農水省の水産庁で所管されています漁港整備で同様の浚渫工事がありますので、その2本立てで表は整理させていただいております。
 発生量に関して申し上げますと、海洋投入量の1年分ということで、港湾関係が約 140万トン。これはちょっと調査の部類間の関係で若干の捕捉漏れがありますので 140万トンプラスアルファがあります。水産庁の漁港が70万トンということでございますので、捕捉漏れを含めたとしても両方足して年間 200から 300万トンぐらいというのが海洋投入量ということになるんじゃないかと思います。
 参考までに、今までの報告資料の中で諸外国の投入量との比較で 600万トンという数字が出ていたと思いますが、これはデータベースの制約上、今まで海防法の報告義務に基づく数字で 600万トンとお出ししていたんですが、この中には海洋投入と一部の埋め立て分がどうしても報告ベースの中へ入ってしまいますので、そういう数字が出ていたということになります。今回というか、純粋な意味で海洋投入されているものを抽出して整理すると、両方足して 200から 300万トンと、こういうことになるということを申し上げておきます。
 あと、港湾と漁港、両方とも基本的にはスタンスは同じでございまして、それぞれの港湾、漁港工事を行うに際しまして、避けざることとして浚渫土砂というのは発生しますので、基本的には埋め立て等で有効活用するわけですが、どうしても海洋投入をせざるを得ないものというのが生じざるを得ません。これを踏まえまして、ロンドンダンピング条約の中におきましても例外的なものの1つとしてしゅんせつ物を位置づけていただいていますので、海洋投入せざるを得ないものにつきましては一定のルールを守りつつ海洋投入をしていく必要が引き続きあるのかなというふうに考えております。
 補足説明資料をつけさせていただいていまして、資料の4-4に国土交通省港湾局としての港湾工事における浚渫土砂の海洋投入についてということで、先ほどもお話し申し上げたうちの 140万トンについての若干説明が書いてあります。簡単にご紹介したいと思います。1.に書いていますのは、浚渫土砂の発生過程等の実態ということで、主要なといいますか、主な実施港湾一覧表ということで数字 140万トンの内訳を整理させていただいています。
 発生者というのはそれぞれの港湾で、港湾整備の場合、いわゆる国の出先機関が国の直轄事業として浚渫工事を行うケースと、地方自治体が港湾管理者になって自治体の事業として行う場合があります。それを分けまして、左の表で東北地整局、北陸地整局、九州地整局、これは国土交通省の出先機関が浚渫事業者になっているものです。県と書いてあるのが、県が港湾管理者になって浚渫工事をしているということになります。
 発生のところを見ていただくとわかりますように、港の維持浚渫、特に酒田港は最上川、新潟港の場合は信濃川という大河が流れ込んできていますので、どうしても放っておくと埋没してしまって港湾機能が果たせないということで、維持浚渫をしないといけません。あるいはいろいろな港湾施設の工事を行う際に、原則は切り盛りが等量になって、掘った土だけどこかで有効活用できる、これを我々としては目指しているわけですが、どうしもてその勘定が合わないときに、余った分については海洋投入せざるを得ないというものがここに書いてあるものであるということになります。
 処分の仕方は右に書いていますように、基本的に発生した近郊で処分をするということになりますので、大体港で浚渫等を行ったものをその地先数キロの沖合で海洋投入を行っているということになります。地域によっては、かなりの量が発生するケースがありますから、回数で見ると何回も投入しているようなケースもあるということになります。基本的には地域の漁業関係者等々と協議を行って決めていますので、例えば佐世保港のように沖合40キロとか、そういうようなケースもあるということです。
 ちなみに、投入しているところの水深を申し上げますと、上から、酒田が35メートル、新潟が30~50メートル、高知が45メートル、佐世保が 250メートル、鹿児島が 100メートル、西之表は50メートルということで、一定程度の水深のあるところまでもっていって海洋投入を行っていると、こういうことであります。表を見ていただくとわかりますように、 140万トンプラスアルファの投入量の中で、実は国の出先機関が行っております新潟港の 114万トンというのはかなりのシェアを占めるという形になっていまして、これがいわゆる信濃川の流出流入土砂の浚渫で毎年維持浚渫で海洋投入をしていると、こういうことになるわけです。
 そういう意味で、(2)には新潟港における海洋投入の具体的実施方法ということで紹介させていただきますが、基本的には浚渫土砂については現行の海防法にも書かれています有害物質の含有量を事前に検査して、クリーンな一般水底土砂であることを確認した上で海洋投入していくということでございます。ちなみに、浚渫土砂というのは、もともと川に流れてきて海にある土砂をある面では1回掘って隣へ移すと、こういうことでございますので、通常の廃棄物とは若干性格を異にするところがございまして、そういう意味からして、海防法の規制を受けるものではあるけれども、廃掃法の廃棄物じゃないというのが水底土砂の特性として指摘できると思います。繰り返しになりますが、投入場所の選定等については、漁業関係者と調整しつつ、また海上保安部の指導を得て行っております。
 次のページへいきまして、現状でやっている話としては、ある程度量も多いですから、定期的な深浅測量を行いまして、投入場所の深浅管理を行いながら投入をしていますし、事後モニタリングにつきましては、現在のところでは定常的にやっているわけではありませんけれども、一度投入場所の底質・底生生物等について調査をして問題がないということを確認した実績はございます。
 あと、2.のところで、海洋投入処分に関する今後の方針等ということでございまして、世界的にこういう流れがあるわけですから、浚渫土砂の海洋投入処分に当たっても新たなダンピング条約に基づいて、新たなスキームに基づいて対応していくという基本原則で考えておるわけですが、基本的には港湾と漁港同様ですけれども、港湾工事における主要な浚渫工事において発生する土砂の処分として、海洋投入が引き続き必要というふうに考えております。
 削減の可能性につきましては、先ほど申し上げましたように、港湾工事を行う場合に原則は切り盛りが等量というものを港湾計画上目指すのが原則でありますので、かなりの部分は埋め立て、あと最近になりますと養浜で砂浜を造成するとか、あるいは干潟造成、あるいは覆砂等ということで有効活用を基本としまして、どうしても有効活用できないものについてのみ海洋投入をしているということでありまして、実は浚渫土砂総量の先ほど申し上げました 140万トンというのは約3%が海洋投入ということになっています。逆算していただくとわかると思いますが、年間約 5,000万トンの浚渫土砂が発生し、そのうちの97%は埋め立て等に有効活用し、どうしても陸上等で有効活用できないものについてのみ海洋投入を行っているということになります。
 ちなみに、本審議会の既報の資料の中で、浚渫土砂の海外との比較の例があったと思いますが、アメリカとかイギリスの海洋投入量は大体 5,000万トンぐらいなんですね。埋め立て処分を含めた総浚渫土砂量というのはちょっと私、数字持っていませんが、外国は日本ほどの土地事情が多分ないでしょうから、そういう意味でいけば浚渫土砂も海洋投入量でアメリカ、イギリスは 5,000万トン前後。我が国でも発生量は大体同じなんですけれども、そのうちの97%は有効活用し、3%を海洋投入していると、こういうことがいえると思います。そういったスタンスの中で引き続き対応してまいりたいというふうに考えています。
 あと(3)のところに、かなり先を焦った話といいますか、先の話になってしまっていますが、今後の海洋投入処分に関する制度設計に当たっての留意点なり港湾局としての要望事項を二、三書かせていただいています。1つは、環境影響評価等の枠組みにつきましては、基本的に実施事業者の責任において行うこととなりますので、全体で枠組みを決めていくわけでしょうけれども、実際こういったことを従来からさせていただいています国土交通省港湾局等の考え方を十分聞いていただきながら、作っていっていただきたいという要望でございます。
 あと、しゅんせつ物自体の処分としては、先ほどの繰り返しになりますけれども、海洋投入による埋め立てと有効活用と、この3つの手段によるほか対応方策ございませんので、いろいろな枠組みについて議論するときにはこういった事情は踏まえていただきたい。あわせて適切なスクリーニング機能ということで、先ほども申し上げましたけれども、 140万トンのうちの70%ぐらいは1つの港でありまして、いろいろ対象港はあるわけでしょうけれども、かなり少量を投入しているケースもあります。最終的には環境影響等を勘案して決めていく話だと思いますけれども、適切なスクリーニング基準を設定していただく必要があるのかなと考えています。
 あと、許可発給制度をつくるに当たりまして、現在のところ申し上げると、先ほど紹介しましたように、各港に港を海上保安部さんが安全の観点で管理する上での港則法という法律がありまして、それに基づく工事許可ということで、浚渫及び投入を一括して有害含有物質の許容値以内ということを含めて手続をさせていただいています。今回新たな行政ニーズに基づいて新たな制度ができるに当たりましては、既往のこういった制度との調整をうまく整理していただくと、規制を受ける立場としてはありがたいというふうに考えています。
 あと、継続的な海洋投入については、包括的な手続が可能となるようにしていただきたいということで、これも先ほど見ていただいてわかるように、新潟港でかなり量が多うございますから、年間でもかなり多頻度でやらせていただいています。今、海上保安庁さんとやらせていただいていますのは、1年分包括して今年度についてはこれぐらいの量をこれぐらいの回数でやりたいと思います、ついては投入する土砂の安全策を確保できていますということで、1年分を包括するような形でやらせていただいていますので、最終的な包括処理というのはどういう単位になるかという議論はあるでしょうけれども、そこら辺の議論もやっていただきながら検討いただきたいということです。最後のページには新潟港の図面と浚渫及び投入をしている作業船を紹介させていただいています。
 説明は以上でございます。

○清水委員長 ありがとうございました。
 建設汚泥、下水は下水でそれぞれいろいろ異なるところもありますので、質疑は別々に行いたいと思いますが、今の水底土砂に関して今後の新しい制度に関してコメントもあったわけですが、まずその点に関して建設汚泥あるいは下水汚泥それぞれの立場から新しい許可制度に関して何かこういうことに留意してほしいというようなご注文があったら、まずそれを伺いたいと思いますが。

○国土交通省 建設汚泥の方は特にございません。

○国土交通省 下水汚泥の方は、自主的にやめた場合にもこのロンドン条約上、国内法で何か制度スキームを整備しなければならないのかという全体像が今のところちょっとわかっていないものですから、その辺の全体的なスキームをお示しいただければ、内部での検討もしやすいなというふうに考えております。

○清水委員長 そういうご要望があったことは伺っておきまして、まだ最終的なことを決めているわけではございませんので、いずれその段階でのお話ということにさせていただきたいと思います。
 まずは建設汚泥からお願いをしたいと思いますが、先生方からご質問何かございませんでしょうか。どうぞ。

○須藤委員 建設汚泥は非常に発生総量が多いので、その結果として海洋投入処分が多くなるのは当然なんですが、このままだと最終的に中止する予定はないという結論になるわけですが、何が用意されれば中止できるんですか。ちょっと私理解できなかったんで、お願いします。

○国土交通省 建設汚泥で、まずは有効利用しましょうというのが最初の目的です。先ほど申し上げたように、17年度までは60%に、4割を6割にしましょうと挙げているんですが、今一番我々が困っているのは建設汚泥をリサイクルしたときに、でき上がったものというのが砕石とか盛土材と申し上げました。砕石は逆にいうとコンクリートの廃コンクリートをやっぱりリサイクル品としてでき上がったものは砕石なんです。要は競合してしまう。それからあと、盛土材と申しましたけれども、実は建設汚泥は 800万ですが、2億 8,000万立米の土が今出ているわけです。その土もやっぱり有効利用しなくちゃいけないということで、かなり競合することが多いんです。今、我々がいろいろ検討しているのは、建設汚泥をいわゆる今までの盛土とか砕石ではとても勝ち目がないであろうということで、もっと特殊な使い方ができないのか。もう少し公共工事でも用途を特定して使うことはできないのかということを今検討しています。
 例えば、ここに書いてある流動化処理土みたいなやつでセメント混ぜてやるんであれば、通常の土でもわざわざ水を含めてからセメント混ぜてやるようなことになっていますから、そういうときには建設汚泥を使えばいいだろうと。そういうことで、もう少し建設汚泥の再生品を土やコンクリートみたいな再生品と違った用途で使えるような開発が進めば活用できるんじゃないかと思っていますが。

○清水委員長 どうぞ。

○小林委員 これ見せていただいて、14年度の排出実績の船が5隻というふうに書いてあるんですが、5隻ということは逆に言うと大変地域的にどこか偏っているんではないかなという気がします。そう考えたときに、逆に言うと有効利用している地域も結構多いと考えると、残った部分が難しいというのも何かちょっと理屈的におかしいんではないかなという気がするんですが、この辺いかがなんでしょうか。

○国土交通省 建設汚泥については、発生が特に工事が限られていますので、例えばシールド工事だと都心の強度工をやるとか、もともと都会じゃないところであれば、わざわざ高いシールド工法なんかとりませんので、連続地中壁にしても要は例えば建物があって道路がありますよね。その下を掘るときに、もう建物が両側にあるからどうしても壁をつくってからじゃないと掘り下げられないとか、そういう特殊なところが多いはずなんです。そうすると、もともと建設汚泥というのは首都圏を中心に発生量が非常に多いのです。実際にこの5隻というのは、そのうちの4隻は横浜、川崎から出ている船ということで、やっぱり首都圏の船になっております。地方に行けば行くほど、建設汚泥については発生量がほとんどないんじゃないかと思っています。

○清水委員長 細かいようですが、今、平成14年度実績というふうにおっしゃいましたけれども、これ表には平成12年度と書いてあるんですが、平成12年度でよろしいですね。

○国土交通省 5隻は14年度です。それで、海洋投入処分量の 108万は、これは12年度実績です。ちなみに14年度事業ですと、海洋投入処分量は81万になります。

○清水委員長 すみません、ついでに14年度の発生総量は。

○国土交通省 海洋投入処分量は海上保安庁のデータなんで15年度まであるんですが、総量自体は国交省データでして、これ12年度実績までしか出ていません。14年度実績については、昨年の工事なんで今調査をかけていまして、ちょっとまだ結果がまとまっていないという状況です。

○清水委員長 ほかにご質問。どうぞ。

○高村委員 2点ほどお伺いをしたいのですけれども、先ほどの須藤委員の方からのご指摘とかかわるのですが、有効利用になかなか難しい点もあるというご説明をいただきましたが、もともとの建設汚泥の発生抑制というのは、どれぐらいのポテンシャルといいますか、可能性なり、あるいは措置によって達成し得る余地があるのか、かなりの総量が出ているという点にかんがみてお尋ねいたします。
 もう1点は、しゅんせつ土砂のところで少し言及されましたので、全体にかかわるのかもしれませんけれども、投入に当たって例えば漁業関係者との調整なり、あるいは投入されるものについて、あるいは投入されることによる環境への影響についてのチェックといいますか、そのような手続というのは持っていらっしゃるのでしょうか。

○国土交通省 まず発生抑制の方ですが、工法がこういう工法をやる以上はどうしても出てくるものなので、工事量に比例してどうしても出てきます。あとはシールド工法をやらないようにしましょうということになるんでしょうけれども、都心で道路の地下を掘るとすれば、シールド工法が一番、シールド工法ぐらいしかできないのです。要はトンネルを掘るとなったら、全部上から堀り上げて物をつくってもう一度埋めるか、中を掘るかしかないわけで、中を掘る場合には都心の場合なんかだとシールド工法しかないものですから、そういう意味では発生抑制はちょっと厳しいのかなと思っています。
 ただ、有効利用の方はどんどん今開発をしていろいろなことをやりながら、少しでも最終処分量を減らそうということはしています。
 それから、投入先なんですけれども、この船5隻でして、そのうち1隻は14年度途中からもう投棄をやめてしまったということらしいので、そういう意味では残り4隻がまだ稼動しているみたいなんです。そこが排出している海域というのが、ちょっと専門でないのですが、関東東方B海域というところでして、日本海溝のところに排出しているということです。場所はそこだけです。それ以外のところでは投棄していません。

○清水委員長 ついでに、年に何回ぐらい行っているんですかね、これは。

○国土交通省 そのデータがないんです。この5隻が何回出動したかはデータがあります。ただし、汚泥投入のためかどうかがわからないんです。汚泥投入の登録をしている船であって、ほかのものもやりますので。ちなみに、汚泥を含めて全体であれば、1隻当たり年間 100回ぐらい出ています。

○清水委員長 どなたかほかに。どうぞ。

○浦野委員 都会で多いということなんですけれども、横浜、川崎と関東地区だけなんですが、関西とかその他の地域はどういう状況なのかという、何かそのご説明ございますか。

○国土交通省 海洋投棄していないとなれば、その場合にはこれも廃棄物になっていますから、残るのは有効利用されなければ最終処分場に行くことになります。陸上の最終処分場に行っています。それで、関西の方で関東よりも有効利用率が高いというふうなことにはなっていませんので、その分は陸上の最終処分場に行っているというふうに解釈しています。

○清水委員長 ちょっと関連するんですが、発生総量があって、海洋投入処分量があって、有効利用量があって、海洋投入以外の処分量が不明というのはどういうことなんですか。

○国土交通省 これは引き算をすれば確かに数字出るんですが、本当にそれが最終処分場で処分したかどうかのチェックをしていないので、あえて計算して書くよりは不明にしておいた方が正確かなと思いまして。

○清水委員長 数字を書いても責任を持てないということですか。

○国土交通省 責任を持って数字を書けないということです。

○清水委員長 それから、私ちょっと聞き漏らしたかもしれないんですが、処分量削減に向けた取り組みで推進計画2002がありますね。そこに先ほどの60%というような数字が書いてあるんですか。

○国土交通省 はい、推進計画の中で17年度60%にすると書いております。ちなみに参考値ですけれども、22年度には75%までもっていくというふうになっています。

○清水委員長 どうぞ。

○細見委員 ちょっと私も工事に詳しくないんですが、シールドやるときに何かブラウトとかやったやつ、そういうものは含まれない。要するに建設汚泥というのは何か人為的に加えた物質は一切含んでいないのでしょうか。

○国土交通省 調べているやつではそういうのは含んでいませんけれども、我々が調べている汚泥というのは単純に水を入れて掘削土と混ぜて持ってくるやつですね。

○清水委員長 関連ですけれども、成分の分析なんかもやったことはないということですね。何が入っているかについて分析なんかをしたことがない。

○国土交通省 ちょっと把握していないので調べます。

○清水委員長 それでは、また何かありましたら後ほどでも結構ですけれども、次に下水汚泥のお話。ご質問ございましょうか。どうぞ。

○須藤委員 下水汚泥の件は先ほどの浄化槽のときも申し上げたんですけれども、陸上できれいにして浄化したその後のかすを海に持っていくというのは、余りセンスよくないですよね。それで、そういう意味で、まだこれ2自治体が残っているというのは、やっぱりこれは早急に当然やらなくちゃいけないし、皆さんご存じのとおり、たしか私の記憶ではイギリスは数年前までかなり北海に出していましたよね。今全面的にそれやっていませんよね。それなんでね、2自治体で 1,232トンというのはどういう形で流しているのかはお答えいだたきますが、これもし水分60%の脱水ケーキだとする総量は約 3,000トンぐらいですよね。そんなに多くはないけれども、そこそこの量を処分していると、こう思いますので、質問は今の基本的な考え方と、それから今のどういう形状で、ケーキで流しているのか、捨てているのか、あるいは液状でやっているのかお伺いします。

○国土交通省 海洋投入の処分量につきましては、すべて脱水ケーキ量でございます。

○須藤委員  1,232トンというのは乾物(ドライベース)でしょ、これ。

○国土交通省 はい。

○須藤委員 ということは、ケーキだとすると大体 3,000トンぐらいになりますね。

○国土交通省 はい。

○須藤委員 じゃ、形態は脱水ケーキで捨てているのね。お答えはそれでよろしいのね。

○国土交通省 脱水ケーキで捨ててございます。

○須藤委員 やめられないんですか、これどうしても。2自治体だから簡単だと思うんだけれども、これは。

○国土交通省 順次やめております。例えば平成12年度の段階では5自治体ございましたが、順次、産業廃棄物処分場等々ですね、陸上処分が手当てできたところからやめておりまして、最後、県で広域に最終処分場を整備しているような場合がございまして、この自治体としても自前の処分場というわけではなく、県が上位計画で産廃処分場を整備するようなところを待っているような状態もございまして、上部の産業廃棄物処分場との関連でまだ海洋投入を続けているという状態です。

○須藤委員 それは急がせるとか、それは可能じゃないですか。当然重要であれば。2自治体だから、それは具体的にどこかなんて伺わなくてもいいんだけれども、それはよろしくない。そんな難しくない気がするんですけれども、考えてください。

○国土交通省 なるべく早く陸上処分に移行するように要請していきたいと思っております。

○清水委員長 ほかにご質問。
 ちょっと確認ですけれども、今、下水汚泥は特に判定基準はないから、分析なんかはやっている例はないんですね、捨てているもの。

○国土交通省 当該自治体におけるものがあるかどうかはちょっと確認しておりませんが、通常の下水を脱水ケーキの成分でしたら研究レベルのデータはあります。

○清水委員長 研究レベルはそうでしょう。
 これも聞き漏らしたのかもしれない、2自治体というのは近いところなんですか、別々なんですか。

○国土交通省 別々のところでございます。

○清水委員長 そうすると、捨てている海域は別々ですね。

○国土交通省 1つは九州の方の東シナ海C海域でございます。もう一つは関西でございます。太平洋B海域で捨てています。東シナ海C海域の方は年24回捨てておりまして、太平洋B海域の方は年60回捨てております。大体同じぐらいの量だと思います。

○清水委員長 そうやって捨てに行くところというのは大体同じところに行っているんですかね。

○国土交通省 民間業者に委託しておるそうでして、そこの許可されたところに投棄しております。

○清水委員長 ほかに。よろしゅうございますか。
 そうしたら、水底土砂に関してご質問、ご意見ございましたら、どうぞ。水底土砂は簡単になくなるということはないということを先ほどのご説明でわかったんですが、どうぞ。

○高村委員 先ほどお尋ねしたことと関わりますけれども、しゅんせつ土砂について有害物質の含有量を事前に検査なさって、投入場所の選定等々について漁業関係者と調整して海上保安部の指導を得て行っているということですけれども、これは何か具体的なガイドラインといいますか、文書になった形で手続があるものなんでしょうか。

○国土交通省 おっしゃっているガイドラインに当たるかどうかというのはちょっと聞いていただいてからの話でしょうけれども、有害物質の含有量を事前に検査するというのは、これはまさに海防法に基づく法的義務なわけですね。だからこれはやることになると。その場合、海防法に基づくというのか、何で海上保安部かということについては、たまたま港湾のいわゆる海域でやった場合、別途港則法の適用を受けますので、港則法で工事の許認可手続をやるときに、海防法の要請事項についてもあわせて有害物質についての第三者機関に分析に出して37項目について証明書つきで含まれていませんよという書面を添付してやらせていただいている。
 実行上の行政指導でいうと、港湾局の方から国の出先機関とか港湾管理者の自治体さんに海防法でこういうふうになっているので浚渫土砂の海洋投入に当たっては留意されたいというのは折にふれてというか、例えば有害物質の項目が増えたりしたようなときに、そういう通知文を出して指導をさせていただいているという状況です。

○清水委員長 ほかに。

○高村委員 漁業関係者等との調整の手続というのは、これは何かガイドラインございますか。

○国土交通省 これはですね、私が聞いている範囲では何かシステマチックにこういう手続をするときにすべからく、例えば漁業関係者に同意を得ないといけないとか、そういうことではなくて、実際に私どもが海洋投入するときに一番影響があるのは漁業関係者ですから、結果的にどこかの段階で漁業関係者の方にお話をして、ご了解を得て進めていくという形になっています。
 あと投入は別にして、事前の浚渫工事とか何かを行う場合に、かなりの可能性で漁業交渉を行うケースが出てくるわけです。ですから、100%では必ずしもありませんけれども、かなりのケースの場合は漁業補償みたいな話とあわせてそういった実態上環境の影響がないということの話もさせていただくということで、我々のこういった工事をする上では、漁業関係者の方々と実態上きっちりとお話しするというのは避けられない話ですから、そういう形になっています。海防法との兼ね合いとか法制度の中で必ずこういう局面でということではないです。実態上やらせていただいているということであります。

○清水委員長 ほかに。はい、どうぞ。

○浦野委員 先ほど埋立量を除くと二、三百万トンというお話がありましたけれども、参考資料の方にも浚渫土での各国比較が参考資料1に載っているんですが、水底土砂の埋め立てを除いた分の経年変化を見ると、最近は大体横ばいという理解でよろしいですか。それとも減ってきているということでしょうか。

○国土交通省 私も今、手元に資料がないのですけれども、いろいろ業務の関係で見た限りでは、大体横ばい傾向なのかなと。ただ、1つ言えるのは、例えば資料の4-4でお示しさせていただいた酒田港の最上川の流入土砂の維持浚渫とか、新潟港の信濃川の維持浚渫とか、かなり数量、排出元になっていますけれども、これがかなりある面では安定していて、別途の近傍に埋め立て計画とか処分地ができれば別ですけれども、それもなかなか地域事情によって難しいところもありますから、これはかなり安定しているのかなと。例えば、この表で見ると下に書いてある鹿児島とか西之表にあるように維持浚渫じゃなくて、いわゆる港湾工事を行って出てくる量というのが、これはかなりその時々の港湾工事の構成比率とかそういうものによって、私も一度経時変化を見たことがありますけれども、多少変動性がありますよね。ですから、そういう面でいけば、趨勢とすれば横ばい傾向なのかなという感じがしています。

○清水委員長 ほかに。ちょっと細かいことを伺いたいのですけれども、発生総量のところで民間等の事業が入っていないと。漁港に関してのお話をいただいたんですけれども、これは全くどこでも把握されていないわけですか。

○国土交通省 ちょっと説明が足りませんでした。民間というのは、多少ちょっと想像もあるんですけれども、想像というより多分確実にあると思うんですが、例えば東京電力等電力さんがプライベートで例えば石炭火力とか発電所のプライベート港湾をつくられて、浚渫土砂が出てたまたま処分地がないという場合とか、そういう面でいくと鉄鋼とか金属とかプライベートでつくられるケースの土量は、多分、量的にこの資料に示した土量は民間のデータが出ることによって、がさっと2倍にふえるとか、そういう兼ね合いではないと思いますけれども、そこの部分は今の私どものデータの中ではまだ把握し切れていないということになると思います。
 ですから、先ほどの関係でいうと、民間の企業は維持浚渫とかそういうことをやるというのは余りないと思いますので、先ほど言いました変動性の中に一部民間のものがさらなるプラスアルファであり得るということになろうかと思います。

○清水委員長 わかりました。それから、発生者として地方地整局が3つ、地方自治体2つとありますけれども、港湾の数からいって何となく少ないような気がするんですが、こんなもんなんでしょうか。

○国土交通省 先ほど申し上げましたように、今まで審議会で出されていたのが海防法の廃棄物の排出船による排出ですので、ちょっと埋め立てと海洋投棄が混在していると。私どもで厳密な意味で海洋投入しているやつをいろいろアンケート調査等で一時的に調査しまして、さらなる精査等も今後必要かと思っているんですが、そういう面でいうと 140万トン自体が多少捕捉漏れがあって増える可能性はあります。
 ただ、今、多少追跡調査をしているところなんですが、実は鹿児島県とあと長崎県も多少あり得る感じなんですが、港湾の数でいうと鹿児島県と長崎県というのはものすごい港湾があるんですよね。港湾管理者としては長崎県庁さん、鹿児島県庁さんというふうになります。それぞれ離島があって、各離島ごとに港湾があるので各県合計で多分50とか60ぐらい港湾あるんじゃないでしょうか。ですから、例えば鹿児島県なんかも県で書けば1県だけですが、港湾の数でいうとかなりの数はあり得ると思います。そういう面でいくと、先ほど地域性の話出ていましたけれども、今処分地がなくて、ただやはり港湾は河口港があって維持浚渫しないといけないとかという事情もある程度、地域分布傾向があるのではないかと思います。

○清水委員長 先生方、何か。
 私ばかり伺っていて申しわけないんですけれども、投入処分の処理量の発生者と同じということで、そうすると自前でもってこれが浚渫したものを持っていって海洋投入していらっしゃるということですか。業者に頼んではいない。

○国土交通省 それで、ちょっとそこも説明しないといけなかったんですが、私どもは基本的に発生者と処分者は同じと整理させていただいたのは、そういった行為自体の発注者というんですかね、通常、当然国の出先機関も同じですが、自分が浚渫して処理した浚渫土砂を有効利用するにせよ、海洋投入するにせよ、自分で企画立案して、例えば海上保安庁とも漁業関係者とも調整を責任を持ってするというのは、海洋投入をする部分を含めて発注者である、国の工事であれば国の出先機関、県が港湾管理者であれば県の港湾管理者が投入処分のところまで責任を持ってやるということです。ただ、当然のことながら、発注者ですから、浚渫する場合も投入する場合もいわゆる建設業者に発注したりしていますから、物理的には業者が浚渫して業者が捨てるというケースはかなりの部分ありますね。ただ、それについても企画立案とか、その行為自体の官庁に対する申請責任というのはあくまでも発注者である国及び自治体がやっていると、そういう意味で同一で書かせていただきました。

○清水委員長 わかりました。あと最後に、これも私何も知らないんで教えていただきたいんですけれども、養浜にするとか干潟造成するとか覆砂をするとかいうのは、地方の港湾審議会か何かで決まるんですか。

○国土交通省 そうですね、このうちの一部は港湾計画上、港湾審議会で決まるケースがあります。ただ、例えば実際発生したクリーンな土を使って、いわゆる水域指定としての港湾区域の外で干潟造成とか有効活用するときには、必ずしも港湾計画自体にはのらないケースもあります。ただその場合には投入(ダンピング)とは別の世界になると思います。例えば干潟造成をする場合において、当然環境に悪影響がないのが前提になりますが、それにプラスアルファ、意図していた有効活用としてのポジティブな効果といいますか、というのはあるかどうかというものは、それなりの議論を経てやっていくべきことと考えていますが、事象としてはダンピングとは別事象の話かなと整理しています。

○清水委員長 もちろんダンピングと別なことですから、ダンピングを少なくするためにはそっちへ持っていく方がいいわけで、そういうのがどこでどういうふうに決まるのかなと思ったんで伺ったんです。

○国土交通省 そういう面では、必ずしも形式化されているわけではありませんけれども、そのケースに応じて関係者の方々の意見を聞きながら問題のない造成をやっていくということだと思います。

○清水委員長 ほかによろしゅうございましょうか。
 聞きどころが3つあったものですから、どうもいろいろありがとうございました。
 それでは、最後に経済産業省にお願いしたいと思います。

○経済産業省 経済産業省非鉄金属課の板倉と申します。よろしくお願いします。
 資料4-1の9ページでございます。赤泥の項目でございますけれども、いわゆる赤泥はボーキサイト残さといわれるもので、アルミナを製造する工程において、ボーキサイトに苛性ソーダを加えて、水酸化アルミニウムを抽出した不溶解残さでございます。水酸化アルミニウムを抽出しまして、それを水酸化アルミニウムをか焼してアルミナをつくるわけでございます。現在では海洋投入をする前に苛性ソーダによってアルカリ性となっているボーキサイト残さを塩酸または硫酸で中和した後、専用船で海洋投入をしております。発生総量は約 170万トンございまして、そのほとんどが海洋投入処分をしております。去年は一部 2,000トンほどセメント製造時の鉄源として利用しております。その事業者は3事業者あります。それぞれ四国沖と房総沖のB海域に投入処分をしております。
 当面の海洋投入処分を中止する予定はないということで、その理由としましては有効な代替処分方法、陸上の処分方法、有効利用方法が存在しないためということで、事業者におきまして有効利用についてセメント製造時の鉄源として 2,000トンを拡大するための試験を行っておりますし、もう一つボーキサイトのアルミナ含有量を高いものに切り替えて赤泥の発生を削減するといったこともなされておりますけれども、何せボリュームが大きいものですから、なかなか陸上処分の処分先も見つからないということで非常に厳しい状況になっておりまして、こういう結果になっております。
 赤泥につきましては、いわゆる建設汚泥と同じように、ロンドン条約及び96年議定書においての不活性な地質学的物質という項目に該当しまして、現状の廃掃法、海洋汚染防止法でも汚泥ということでB海域で溶出試験もクリアしておりまして、特に問題ないということで現在に至っております。
 以上でございます。

○清水委員長 ありがとうございました。
 どうぞご質問お願いをいたします。

○須藤委員 アルミナ製造で赤泥が出て、この処分が大変だということは理解はいたしておりますが、まずアルミナ製造業者というのは日本ではこの3事業者以外にはいないんですか。それが1点で、それから2点目は多分経産省ですから、いろいろな形の有効利用法あるいは処分方法をご検討されているんですが、今どきこの程度のものが何とか、もちろんそれは費用は伴うということはあるんですが、有効利用や、処分技術を含め、かなりやればできるんじゃないかと、経産省の力をもっていればできるんじゃないかと私理解しているんですが、いかがでございましょうか。

○経済産業省 事業者につきましては、全国で3事業者のみでございます。それと、有効利用につきましては、過去にアスファルトのフィラーとか路盤材とか路床材等の建設材料に応用できないかということで試みられたんですけれども、それもコストとか競合材料がたくさん出てきまして、また色が赤いということもあって非常に嫌われることもあって、それと建設材料だとその発生源から近くでないと運搬費用がかかりますので、そこをかなり遠くまで持っていけるような価格体系、価値があるものをできないということで、非常に苦しんでおるところでございます。

○須藤委員 やる気はあるんですね。

○経済産業省 やる気はあるんですけれども、厳しいという状況でございます。

○清水委員長 どうぞ、ほかに。

○高村委員 須藤委員のご発言に関わりますけれども、海外の場合、同じような産業が存在していると思いますけれども、そのような製造業者の処分の実態というのはいかがでしょうか。先般いただきました資料では、赤泥の海洋投入というのは少なくともデータとしては諸外国では上がってきていなかったというふうに理解しているんですが、その点についてお教えください。

○経済産業省 私も確認をしたわけではないんですけれども、ボーキサイトは海外では主にアルミニウム地金をつくる際の原料として使われていまして、その赤泥というものはたくさん発生するんですけれども、ブラジルなりオーストラリアなり、そういったところでは陸上も埋立処分ができるスペースがあるということで海洋投入処分はされていないというふうに伺っています。管理型の埋立処分になると思うんですけれども、そういうスペースがあるということです。
 それと、海洋投入処分に実質該当すると思われるのはフランスとかギリシャにおいて、これは陸上のパイプラインで埋め立てをしている、海洋投入をしているというもので、ロンドン条約の対象から外れるようですけれども、そういう実態があるというふうには聞いておりますけれども、そこは例外的な措置で基本的には陸上処分がされているという状況だと思います。

○高村委員 そうしますと、我が国では海洋処分ではなく陸上の処分ができない、決定的な理由というのは、処分の費用のコストの問題と考えてよろしいですか。

○経済産業省 基本的にはそうなんですけれども、やはり年間 160万トンとか 170万トンという処分の場所がないということがあります。過去には93年までは海面の埋め立てという方法がありまして、そこを埋立材として使われていたということもあるんですけれども、94年以降は全面的に海洋投入処分しかないということで現在に至っております。

○清水委員長 関連で、3事業者とありますけれども、それに廃棄物処理業者の3事業者、これは1対1なんですか。

○経済産業省 そうでございます。委託先ということで3事業者が廃棄物処理業者ということです。

○清水委員長 その3事業者は別々の地域ですね。

○経済産業省 はい、基本的には別県です。

○清水委員長 どうぞ、ほかに何か。先ほど溶出試験でもって大丈夫だということで捨てていらっしゃるということなんですが、ボーキサイト残さの成分に関しては分析のデータはあるんでしょうか。溶出ではなくて。

○経済産業省 当然、事業者は持っておりますけれども。

○清水委員長 それはこれからは溶出だけではいかなくなるかもしれないんですが、変なものは入っていないでしょうか。

○経済産業省 基本的には微量(トレース)というんですか、ほとんどそういう有害なものはないというふうに認識しております。

○清水委員長 そうですか。それから、苛性ソーダでアルカリ性になっているものを酸で中和して入れるという、この辺は問題なくしているんでしょうね。

○経済産業省 特に問題にならないということで、きちんと確認をして処分をしているということです。

○清水委員長 それから、今までやられているかどうかわからないんですけれども、捨てたものが何らかのことを海洋環境に影響を与えていないかというようなことに関しては情報があるんでしょうか。

○経済産業省 現在、3事業者共同で海洋影響調査をしておりまして、自主的な取り組みとして調査をしておりますけれども、影響があるといったようなことは聞いてはおりません。

○清水委員長 そういう調査についてはいずれ公表するなり、我々には教えていただけるんでしょうか。

○経済産業省 基本的には調査結果もロンドン条約の会合で報告する約束をしておりますので、公表させたいと思っております。

○清水委員長 ほかによろしゅうございましょうか。

○浦野委員 これ、まさに天然物ですので入っている成分の話は、先ほどございましたけれども、いろいろばらつきがあると思うんですね。それと苛性ソーダを入れるということで、強アルカリになりますが、その後中和をするということで、これpHによって非常に出てくる様子とか反応形態とか残っている形態がいろいろ変わるんですね。毒性物質だけじゃなくてシリカとか何かでもいろいろな形に変わりますので、その辺のことについての今後の再利用も含めて参考になる詳しい情報は業者さんはお持ちなんでしょうかね。あるいはそういうもので公表されたものというのはある程度あるんでしょうか。

○経済産業省 詳しいデータを持っていないんですけれども、いわゆる廃掃法で決められたものとかは実行しております。

○浦野委員 それは当然ですけれども、これから再利用するなり、さらに安全な処理をするときに、もう少し中身のデータが欲しいという感じがするんですが、先ほど公開もという話がありましたけれども、既にあるものでどの程度あるのか、あるいは出せるのかということで何か情報はお持ちでないですか。

○経済産業省 手元にございませんので、確認したいと思います。

○清水委員長 今の浦野先生のお願いは、多分、ここにはボーキサイト残さと書いてありますけれども、どこの産地のものを使うかというようなことでも違ってくると思いますので、1つではないはずですよね。ですから、その辺の情報を整理しておいていただければありがたいというふうに思います。
 ほかには。よろしゅうございましょうか。
 どうもありがとうございました。
 これで一通り伺ったわけですけれども、前のところで何か質問をし忘れたとか、ほかを聞いてみてこれも聞いてみたいというようなことがございましょうか。どうぞ。

○高村委員 申しわけございません。先ほど警察庁の方にご質問したときにご存じないということでしたので、防衛庁のところで把握なさっている廃火薬類の投入処分量あるいは有効利用量、それ以外の処分の方法と量について、もし情報をお持ちでしたらお願いをしたいと思います。

○防衛庁 申しわけありませんが、防衛庁で把握していないと思います。警察から依頼を受けたものがどういうふうになるかというのはちょっと。依頼を受けたものを防衛庁で処理していますので、ちょっとそこまでデータはどれかというのは、あるかどうかわかりません。

○清水委員長 ありがとうございました。今日時間をとっていただいて大変ありがたかったわけで、随分勉強になりましたけれども、今のご質問もありましたように、まだ先生方からこういうことも聞いておくんだということも後から出てくるかもしれません。それは時間をとって少し先生方、本日ご欠席の方もいらっしゃいますので、改めてお伺いして、場合によると環境省の事務局を通しまして文書でもってまたご質問をするということもあるかと思いますので、そのときはひとつよろしくお願いいたします。
 本日は本当にどうもありがとうございました。
 それでは、議題の2がございまして、今後の制度のあり方の検討というのがございます。事務局からご説明をお願いいたします。

○水野環境保全対策課課長補佐 それでは、引き続きまして資料5に基づきまして説明をさせていただきたいと思います。
 資料5は、まず1ページ目が前回のまとめということで、前回整理をいただいたものを今回の議論に関係する部分をもう1回抜粋をさせていただいております。これを踏まえまして今回の議論をしていただく部分が3ページ以降に載せさせていただいているということでございます。
 まず1ページ目の、若干前回の復習になりますけれども、前回ご議論いただいたところです。黒枠の四角で囲ってございますように、附属書IIへの対応の基本的考え方ということで、現在の我が国の法体系では、新たな96年議定書の附属書IIの求めるところを担保したことになっていないということでございまして、このために現行の制度を見直して許可発給制度の導入を含めた新たな廃棄物海洋投入管理の仕組みを設ける必要があるということが大前提でございます。
 その際、制度構築に当たっては、1点目といたしましては96年議定書本文にうたわれました「予防的取組み」ですとか「汚染者負担原則」という考え方を踏まえる必要があること。それから、2つ目といたしましては、これは議定書の一部でございますから当然ですか、附属書IIにありますWAFと呼んでおりますが、Waste Assessment Frameworkに沿ったものとすることが前提ということと、さらにそれを具体的にした廃棄物評価ガイドラインというものが定められておりますので、できるだけこれに沿ったものとする必要があるということでございます。
 さらにその補足説明をその四角の下に書いてございます。まず1番に書いてございますのは、[1]に対応するところの補足説明でございますけれども、現在の法体系では概括的な許可の仕組みということで、個別の審査等を全く行う仕組みになってございませんし、許可発給制度もございません。したがいまして、今後は個別の排出事業者ごとに審査を行って、有期限の許可を発給するという制度を整える必要があるのではないかということでございます。
 具体的には2番のところでございますが、汚染者負担の原則を踏まえまして、許可申請に係る一連の過程、これはWAGにも書いてあることでございますが、廃棄物防止審査、廃棄物特性把握、さらには潜在的影響の検討等を排出事業者が実施いたしまして、その結果を管理主体が審査して許可を発給し、さらにその環境の監視の実行を求めつつ、その関係に基づいて許可を更新する仕組みを制度化する必要があるということでございます。これを具体的に簡単なフローで示したものが次のページの図1でございます。
 これは大ざっぱに申し上げますと、今申したような流れになるわけでございますが、これはいろいろな検討事項等ございまして、例えば審査主体を誰にすべきか、あるいは廃棄物防止審査をどうやってすべきか、判定基準についてはどう考えるべきか、さらには潜在的影響の検討をどう行うべきかというようないろいろな考慮事項がございます。このため、今回は、今後の制度の在り方の検討の1回目ということで、以降第2、第3ということで3回に分けまして、またご議論をいただければというふうに考えているわけでございます。
 今回は第1回目ということで、まず廃棄物の海洋投入処分許可の申請主体と、それからその申請されたものの審査主体、さらには市民関与の在り方という3点についてご検討いただければということで資料を用意させていただきました。
 まず3ページは、申請主体についてでございます。四角の中を読ませていただきますと、新たな許可制度の下では、96年議定書の定めにしたがって、個々の廃棄物等について、発生量や海洋投入処分量が最小化できていること、さらには、その廃棄物の特性等を、十分に明らかにする必要がございます。また、環境影響が生じないように、投棄場所ですとか投棄の方法を適切に選択するということが必要でございます。
 こういったことを勘案し、なおかつ汚染者負担原則というものも考慮しますと、廃棄物についての十分な情報を持ち、かつその発生量の削減や投棄場所の選択等を実施可能な立場にある「排出事業者」を海洋投入処分許可の申請主体とすることが適切ではないかということでまとめさせていただいております。
 若干ブレイクダウンしたものがその四角の下に書いてございます。まず[1]は先ほどの繰り返しになりますが、申請をして、それに対して許可を与える仕組みを設けるべきということが、議定書本文に明記されてございます。[2]のところに書いておりますのは、それを具体的に考えますと、議定書そのものには審査主体を誰にすべきかと、申請主体を誰にすべきかということ自体記述がないわけです。しかし、今申しましたような具体的な検討事項等を勘案しまして、さらには汚染者負担原則というようなことも考えますと、申請主体は排出事業者とする必要があるのではないかということでございます。ただ、文字どおり排出事業者ということで、一事業者が一申請主体ということである必要は必ずしもなくて、3番のところに書いてございますように、適宜合理的な集団であれば、それは排出事業者の集合体が申請主体となるということも考えられるのではないかということでございます。
 続けて説明させていただきますが、4ページ目、今度は申請されたものについて誰が審査をするかということについて、主に国か地方公共団体かという視点から整理をさせていただいたものでございます。四角の中でございますけれども、今申し上げましたように、申請を審査する主体といたしましては、国あるいは地方公共団体ということが考えられますが、審査すべき内容等を考えたときに、例えば沖合の大深度海域での環境影響についての審査を行う必要があるというようなことも考えますと、審査主体は国とする必要があるのではないかということでございます。
 ただ、発生廃棄物量の抑制等の審査に関しましては、これに密接に関係する既存の仕組みが存在しておりまして、なおかつそれらの仕組みにおきましては地方公共団体が主要な役割を担っているという現状がございます。したがいまして、必要に応じて地方公共団体との連携を確保できる仕組みとし、これらの既存の制度と整合を図る必要があるのではないかということが骨子でございます。
 それでは、下にいっていただきまして、まず審査主体として何を審査すべきかということについていいますと、1)から3)にございますように、廃棄物の発生量ですとか海洋投入処分量の削減が適切に行われているかということを審査するということが1点ございます。
 それから、2点目といたしましては、潜在的影響の検討がしっかりなされているかということです。その結果に基づいて影響がないということがちゃんと証明できているかということを審査する必要がございますし、さらには投入した後の監視をどのように行っていくかという計画が妥当なものであるかということについても審査をする必要がございます。
 さらに3点目といたしまして、海洋投入処分をした事後の監視結果についてもそれが適切なものかどうかを判断して、必要に応じて許可の再発給に当たっての更新の判断材料にするということについても判断が求められます。
 以上のような1)から3)のようなことを考えまして、このうち、まず[2]に書いてございますのは、このうちの2)と3)につきましては、先ほどちょっと黒枠の中でご説明させていただきましたように、地方公共団体の管轄範囲を超えた沖合大深度海域などでの環境影響などについての検討あるいは監視が必要だということを考えますと、地方公共団体の審査にはなじみにくい面があるのではないかということでございます。
 [3]は、先ほどの1)に対応する部分でございまして、廃棄物の発生量や海洋投入処分量の削減に関しては次のように考えられるのではないかということでございます。廃棄物に関しましては、廃掃法の下で、地方公共団体が、廃棄物の減量等に関する廃棄物処理計画の策定等の主要な役割を担っております。また、多量廃棄物排出事業者は、廃棄物の減量等に関する計画を作成し、都道府県知事に提出しなければならないという定めもございます。
 したがいまして、このような既存の制度との整合を図る必要があり、これらの制度における地方公共団体の役割を考慮する必要があると考えられるということでございます。
 この点に関しましては、参考資料の2に既存の廃棄物防止審査の仕組みの例ということで、一部法令等から抜粋したものを準備させていただきました。参考資料の2を見ていただきますと、まず1ページ目に都道府県廃棄物処理計画がございまして、都道府県は県下で発生する廃棄物の減量および適正処理を計画的に推進するために、こういった計画をつくるということが廃掃法上義務づけられております。具体的には以下の四角の中にございますような事項について考え方をまとめるということが、求められております。
 特に下線を付したところが今回の議論に関係するかと思いますが、(2)の廃棄物の減量その他その適正な処理に関する基本的事項というものを定めることになっておりまして、この中には廃棄物の排出の抑制ですとか、再生利用などの目標を掲げることになっております。さらには[3]のところはちょっと間違いですみません、ロと書いてございますが、これは[2]でございます。[2]に掲げる目標を達成するために必要な措置についてもここで整理をするということになってございます。
 1枚めくっていただきますと、今度は一般廃棄物だけについての計画ですが、これにつきましては都道府県ではなくて市町村におきまして適正処理のための計画をつくるという義務づけ規定がございまして、これも廃掃法でございますけれども、この中にも四角の中の(2)にございますように、排出の抑制のための方策に関する事項というものを定めることとなってございます。
 さらに3ページ目にいきますと、今度は事業者の方で多量排出事業者ということで、年間の廃棄物の発生量が 1,000トン以上の事業場を設置している事業者につきましては、廃棄物の処理に関する計画を定めることとなっておりまして、これを都道府県に提出する義務がございます。これは、その一番下に書いてございますように、多量排出事業者の自主的努力によりまして、産業廃棄物の減量等を促すということを目的として定められている規定でございまして、その四角の中にございますように排出量の抑制ですとか、分別、再生利用等々について計画をつくるということで、これをさらに都道府県知事に報告するという規定がございます。
 以上のような既存の制度があるということでございまして、もう一度申しわけございませんが、資料5の5ページに戻っていただきますと、このような点を踏まえますと、制度の簡素化、審査手続の一元化による申請者側の便益等もあわせて考慮いたしますと、新たな許可制度を構築するに当たりまして、その事業者からの申請を審査する主体としては国が適切ではないかということです。ただし、必要に応じて今申し上げましたような既存の制度との整合を図るという観点から地方公共団体との連携も確保する必要があるのではないかということでございます。
 以上が許可の審査主体の議論のための資料でございまして、最後に6ページから市民関与の在り方について整理をさせていただいております。
 これについても四角の中だけ読まさせていただきますと、透明性の確保、説明責任の遂行、海洋環境に係る情報の合理的な集約などの観点に留意しつつ、市民関与の機会を十分に確保する必要があるのではないかということでございます。
 市民関与につきましては、これは議定書そのものには書いてございませんが、WAGのパラグラフ47におきまして、「許可の審査過程には市民による審査及び参加のための機会が設けられることが推奨される」という規定がございます。この点につきましては、具体的に[2]に書いてあるような視点について考慮する必要があるのではないかというふうに考えております。
 まず1つは、透明性の確保ということで、許可申請の審査情報を広く国民に公開することで審査過程の透明性を確保する観点があろうかと思います。
 次に、説明責任の遂行ということで、公共財である海洋環境を海洋投入処分に利用するということから、適切な情報公開により説明責任を果たす仕組みとする必要があるのではないかということでございます。なお、この点に関しましては、国民に対する説明責任ということだけでなくて、まさに96年議定書の締約国になるとすれば、その締約国としての責任ということで、国際的な観点からも重要な意味があるのではないかというふうに考えられます。
 それから、第3点目といたしましては、情報の合理的な集約ということで、知見を広く専門家から伺うという観点からも広く意見を設ける機会を設けておくということは重要な意味があるのではないかということでございます。
 それから、4点目といたしましては、関係地域や利害関係者の考え方でございます。これにつきましては通常、市民関与の在り方を構築する場合には重要な考慮事項ということで考慮される場合が多いわけでございますが、今回の96年議定書の対応ということで考えた場合には、一般的に申しますと陸上での開発行為のように「関係地域」というような概念を導入することは困難な面があるのではないかということが考えられるということでございます。
 以上のような[2]に整理をさせていただいたような点を考慮すれば、3番のところにございますように、市民関与の仕組みを設ける必要性というのはやはり高いのではないかということでございまして、既存の法制度が採用している市民関与の方法なども参考としつつ、適切な市民関与の在り方を定める必要があるのではないかということでございます。
 [4]はその留意事項でございますが、ただし、関係地域等の考え方がなじまないということであるとすれば、利害関係者の存在を前提とした形での市民関与の仕組みということを設けるべきではなくて、情報公開ですとか、あるいは意見聴取の範囲というのは国民一般ということで定めることが適切ではないかということでございまして、既存の制度につきましても参考とする際にはそうした仕組みを参考とすることが考えられるのではないかということでございます。
 具体的には7ページに図を示させていただきましたが、まず制度を設計する段階での市民の関与ということと、それから個別審査段階での関与ということで、まず1番につきましては制度を設計する段階でのパブリックコメントを求めること。あるいは[2]の個別審査の段階につきましてはインターネット等を用いまして情報公開し、意見を述べることができるシステムをつくるということが考えられるのではないかということでございます。
 この点に関しまして、参考資料3で環境影響の審査、情報公開及び市民関与の制度の例ということで、ごく簡単ではございますが、いろいろな法律から関連しそうな規定を整理をさせていただきました。表の見方ですが、それぞれ各法律ごとの規定がどのようになっているかというものを整理したのが縦方向に説明してございます。また、横に大きくちょっと見にくいですが、4分割されておりまして、一番上が制度名ですとか、その目的等を整理させていただいておりまして、2つ目の大きな太線の間が情報公開としてどんな仕組みがその制度の中で設けられているか。3番目が、市民関与の仕組みとしてはどのような仕組みが設けられているか。さらに、一番下が関連条約でそもそもどんな規定があるかということを整理をさせていただいたものでございます。
 ごく簡単に説明をさせていただきますと、左の2つは基本的に同じような仕組みでございます。特定の施設をある地域に設置するという場合に許可を得なければいけないという仕組みでございます。その際に環境影響についての調査あるいは評価を実施するという責務が設けられているものでございます。例として左側の廃掃法に基づいてご説明させていただきますと、まず施設の設置の許可申請をするに当たりましては、環境影響の調査をした書面を添付するということになってございまして、その添付された申請書を受け取った都道府県知事は、その書類を一定期間告示して縦覧するという規定がございます。これがこの制度に係る情報公開の仕組みでございます。
 その縦覧したものに関しまして市民関与の在り方といたしましては、その下にございますように、利害関係を有する者のところで、関与の資格制限がございますけれども、利害関係を有する者は意見書を都道府県知事に対して行うことができるということが定められている仕組みでございます。
 続きまして、南極地域の環境の保護に関する制度でございますけれども、南極地域活動は簡単に申しますと、南極に行って観光するとか、あるいは調査研究をするということでございますが、そういったことをする者は環境大臣に対して南極地域活動計画というものを申請して、それの確認を受けなければいけないという仕組みがございます。その際に環境大臣が特に必要と認める場合には、必要と認めない場合にも自主的に提出してもいいことになってございますが、環境影響評価についての調査・予測・評価の結果を書面にて提出することを求めることができるようになってございます。その提出を求めた場合には、環境大臣はその結果を公告縦覧するという規定がございまして、この公告縦覧されたものにつきましては、その下のところで市民関与のところにございますように、これは関与の資格制限がございませんで、どのような方でも基本的には環境大臣に対して意見書を提出できるということになってございます。
 これにつきましては、一番下の関連条約というところに、南極条約の議定書に環境保護議定書がございまして、この中で環境影響等を行った場合には、その情報を一般に利用可能なものとすることという規定がございまして、これを受けた形でこういった制度が設けられているということでございます。
 続きまして、その次の欄ですけれども、これは生物多様性条約のカルタヘナ議定書に基づく新たな法律でございます。まだ施行されてございませんけれども、この仕組みの下では、要するに遺伝子組換え生物を屋外使用する場合には、使用規定、どのように使用するかということについての承認を主務大臣から受けなければいけないという規定がございます。その承認に当たっては、生物多様性への環境影響等を評価した文書を提出しなければいけないということに定められております。これにつきましては、その影響を評価した報告書そのものを公表するということが法律上規定されているわけではないんですが、ですからここの書き方はちょっと不正確かもしれませんが、主務大臣は使用規定というものを公表するという規定がございます。ただし、情報公開も市民関与も個別に具体的な規定はその使用規定を除いてはないんですが、注釈に書いてございますように、法律の35条で、国は、この法律に基づく施策に国民の意見を反映し、関係者相互間の情報及び意見の交換を促進するため、生物多様性影響の評価に係る情報云々を公表し、広く国民の意見を求めるものとするというような規定がございます。この規定を生かす形で実際には申請が上がってきた段階で、今申しましたような個別の環境影響についての評価書が出てきますから、これについてパブリックコメントが行われる予定ということで計画されているというふうに聞いております。
 したがいまして、法律上は今も申し上げましたようにごく一般的な規定だけが掲げられているわけでございますが、その規定に基づいて実際上は情報公開あるいは市民関与の仕組みが設けられる予定になっているということでございます。
 なお、これにつきましても関連条約のところに書いてございますように、カルタヘナ議定書の中で遺伝子組換え生物に関する意思決定過程における公衆の意見募集、結果公表というようなことについて明記されておりますので、これを受けた制度ということで仕組まれているということでございます。
 それから、続きまして海岸法でございます。これにつきましては環境影響そのものについての検討ということではないんですが、関連するものということでここに整理をさせていただきました。この海岸法では海岸保全基本計画を都道府県知事が策定するという義務がございまして、その中で海岸保全施設をつくる場合には、その関係海岸管理者が、--これほとんど都道府県知事なんで、ちょっと情報公開のところでははしょって都道府県知事と書いてございますが、これは正確にいいますと関係海岸管理者なんですが、--必要と認める場合には公聴会等を開催するということでございます。その成果が最終的には海岸保全基本計画の中に盛り込まれていくわけですけれども、その基礎となる海岸保全施設についての公聴会等を実施することになっておりまして、したがいまして、その場で関係住民が意見を述べることができる仕組みとなっています。
 ここでも下の市民関与のところで書いてございますように、関与の資格制限としては関係住民とだけ書いてございまして、非常に雑駁なんですが、一応限定があるということだろうというふうに考えております。この仕組みに基づいて情報公開、市民関与の仕組みがあるということでございます。
 最後に、アセス法でございますけれども、アセス法では大きく分けて3段階に仕組みを分割することができまして、1つはアセスメントの、方法を定める方法書というものを作成する段階。その方法書に基づいてアセスメントをしたものが準備書、さらにはそれに対していろいろな意見が出されて、それを反映してまたもう一度最終的な評価をしたものが評価書となるわけでございます。それぞれの段階につきまして情報公開、それから市民関与の仕組みというのが設けられてございまして、情報公開は方法書、準備書、評価書いずれにおきましても行うことが義務づけられておりまして、市民関与につきましては方法書と準備書について意見が提出できるということになっております。この市民関与につきましては、これは資格制限がございませんで、およそ環境保全の観点から意見を有する者であれば意見を出すことができるということになってございます。
 参考資料4は参考でございますが、現在ではこのような仕組みだということで参考にしていただければということでございます。
 以上でございます。

○清水委員長 ありがとうございました。
 前回、96年議定書に対応するためには新しい許可制度が必要であるということをご確認いただいたわけですけれども、これから順次、その新しい制度の中身についてご検討をいただく予定です。
 本日は、その手始めとして処分の許可を求める申請をする主体、それから、その申請が出たものに対する審査の主体、それから、その過程における市民関与の在り方についてたたき台が出てきたということでございます。これからご意見をいただきたいと思いますけれども、申請主体、審査主体と、それから市民関与の在り方は若干違うと思いますので、まず申請主体と、それから審査主体、これに関してご意見をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

○高村委員 1点ご質問させていただきます。基本的な考え方として排出事業者を申請主体とするという点について賛同いたします。ただ、ご質問なんですが、排出事業者といいますときに、実際に廃棄物を発生させたものというふうに理解をいたしますが、実際の先ほどまでのご報告を受けますと、排出をしている事業者がそのまま自家処分をしている例よりは投入においてほかの処分事業者と契約を結び委託をしているわけですけれども、その場合の排出事業者の定義はどうなってくるのか。具体的には契約をすることによって排出事業者、排出許可に対して申請を持つものが変わってくるのかどうかという点についてお尋ねをします。

○清水委員長 どうぞ。

○水野環境保全対策課課長補佐 今の件でございますけれども、非常に簡単に、実際の仕組みで申しますと、まず廃棄物を排出する者がいて、その方が直接廃棄物を海洋投入処理することはなかなか実際上はなくて、廃棄物処理事業者に委託をして、その委託を受けた廃棄物処理業者が海に捨てに行くということで、簡単にいいますと2人違う主体がかかわってくるわけです。ここで整理をさせていただいたのは、このうち前者が基本的には申請主体になるべきではないかということでございます。なぜかということでございますが、1つは最初の者が、減量化の取り組みですとか、それから減量化だけじゃなくて、海洋投入処分をできるだけやめて陸上処理をするという判断をできる立場にいるということが1つ大きいのではないかということと、それからもう一つは投棄場所ですとかその投棄の方法などにつきましても、排出をする事業者が直接的な形で委託契約をすれば、その委託契約の中でその廃棄物処理事業者に対してこれこれこういう形で処分をしてくださいと、その処分の仕方を含めて委託をして、その形についてお金を払って処分していただくということにすれば、最初の申請者が発生から処分までの責任を持つ形で申請主体になり得るのではないか、あるいは申請主体として求められる責務としての努力が具体化できるのではないかということを考えて、2つの主体のうち前者の方が主体となるべきではないかということをここで整理をさせていただいたということでございます。

○清水委員長 よろしゅうございましょうか。

○高村委員 基本的な考えとして賛同いたします。

○清水委員長 ほかに。どうぞ。

○小林委員 これを読ませていただいていて、1つだけ気になりましたのが、この制度における廃棄物と廃棄物処理法、廃掃法にいう廃棄物というのは基本的に違うわけですね。ところが、書いてある文章は途中で廃棄物という言葉が何か廃掃法の廃棄物ということに読めてしまう部分がいっぱいあるんですね。そういう意味で、何かこの文章の中では廃棄物という言葉じゃなくて廃棄物等とか、廃掃法でいう廃棄物とこの制度でいう廃棄物とを区別してお書きいただかないと、それが全部混同して書いているので、大分誤解を招くのではないかなと思います。そういう意味で、ちょっとここをご配慮いただきたい。
 そういうふうに考えたときに、今回の制度でいきますと、附属書Iに書いてある品目が今回の許可対象になるというふうに考えたときに、その廃棄物ごとに何か制度を少し考える必要があるんではないかなと思います。というのは何かというと、1点目は投棄場所についてある一定の、日本国内の何カ所かに指定をしてしまわなければならないというか、指定をする必要があるような投棄物と、そういうことは考えなくてある程度どこででもいいよと、ただ、地域を指定するんですよというふうに入れる、排出事業者側が指定してもいいような投棄物とに分かれるんではないか、それによって後の制度が全部変わってくるんじゃないかという気がいたします。それが1点。
 それからもう1点は、先ほどご質問があった排出者とはなんぞやという話の中で、排出者というのはその廃棄物を発生させるものだというふうに考えたときに、今お話あった複数の者が同時に申請をしてもいいよというふうにした場合、それの代表者はどうするのか。もう1点は、そういうものを代行する事業者は認めるのか認めないのかということだと思うんですね。これ、単に代行者を認めるということをこの制度の中できちっと書かないと、例えば誰かが代行してしまうと、例えば行政書士とか司法書士法違反にならないかという議論が出てくると思うんですね。そういう意味で、そういう代行業を認めるかとどうかということがこの中で必要ではないかなという感じがいたしました。

○清水委員長 ありがとうございました。
 排出海域の問題、その他に関してはまた後にそういうところでもって検討していただくというようなことになろうと思いますけれども、今の後の方に関してはどうですか。

○水野環境保全対策課課長補佐 代表者を認めるかどうかについては、ちょっとここに書いてある以上のことをまだ準備がございませんので、もう少し整理をさせていただいて、もし必要があれば何か次回にでも用意させていただければと思います。ここで書かせていただいたのは、要するに先ほどのヒアリングの中でございましたように、個々の事業者が非常に零細だとか何とかということで、1人1人ではできないというようなことも多分実態としてはあるんではないかということで、そういった場合に必ずしも1人1人といいますか、各事業者が個別に申請をするということが必要かどうかということを考えた場合です。本来何のために申請するのかということを考えたときに、やはり環境影響が起こっていないということが適切に評価されるということが重要であろうということですから、したがって、その申請主体を別であれば別というふうな整理を必ずしもしなくても、その集団が、ここでは合理的な集団であればというふうに書かせていただきましたが、そういった集団であるということが認められれば、そういった集団に権限を与えるということもあってはいいんではないかということを整理をさせていただいたということでございます。

○清水委員長 若干勉強して、また後ほどというか、別の機会にお答えをする部分もあるかと思いますけれども、それから最初にちょっとお話しになった廃棄物ということが紛れやすいという部分ですけれども、一応、2ページの図の1の一番頭のところに海洋投入処分可能な廃棄物品目への適合確認ということで、先生おっしゃったように検討してもいいレベルの中でということなので書かれていると思いますので、念のために。
 ほかにいかがでございましょうか。どうぞ。

○須藤委員 申請主体の問題については、私もこれは事務局の考え方でよろしいかなと思うんですが、そうしますと結局は大体が集団であっても、先ほどいろいろお役所の方がいっぱいいらしているんですけれども、国か地方公共団体が必ずとは言わないけれども、結構入られるということになりますね。そういう理解でよろしいですね。そうすると、かなり役所主導型になってくるので、その方が安全だと思うんですが、そういう理解でよろしいですね。必ずとはいわないけれども、大部分が入りますよね、さっきのいろいろ上げてきますと。ですね。

○水野環境保全対策課課長補佐 今、量として多いのは水底土砂と、それから建設汚泥と、それから赤泥とし尿、浄化槽汚泥となりますが、その中で赤泥は民間業者ですが、あとは自治体あるいは国が関与している部分が多いんじゃないかというふうに思います。

○須藤委員 ありがとうございました。

○清水委員長 どうぞ。

○小林委員 これ、1点だけ確認というか、ご理解いただきたいんですが、私も地方自治体におりまして、一番問題なのが海面とはどこのものなのかという議論がよくありまして、いわゆる水質汚濁防止法とか瀬戸内海法の場合は沿岸から物を出すということなんで都道府県知事が許認可を持つということがあるんですが、海面に投棄される場合、海面とはどこかという場合、地方自治体の圏域がないんですよね。だから、基本的に海面というのは国有財産であるという考え方があった場合、その海面に投棄するものを許可するのに地方自治体がどう関与するかという大変難しい問題があるのではないか。そこのところをちょっとご整理をいただいたらと思いますが。

○清水委員長 今、何かお答えがありますか、承って。どうぞ。

○水野環境保全対策課課長補佐 また整理をさせていただきたいと思いますが、ただ廃掃法の中ではどの廃棄物を海洋投入処分していいということ、要するに適正な処分の1つの方法として海洋投入処分というものが位置づけられていることは事実してあるわけでございます。そして、そういった廃棄物処理の仕組みの全体の中でどういう処分が適切かということを考える中では、やはり地方自治体も先ほどご説明させていただいたように関与する部分があるんではないかということで、既存の制度との整理が必要だということを書かせていただいたということでございます。

○清水委員長 ありがとうございました。まだあるかもしれませんが、あと市民関与に在り方について何かご意見ございませんでしょうか。今のところ先ほどからよくいわれる市民関与という関係みたいなものがはっきりしないということもありますので、図の2にありますような、こういう制度をつくりますよというときに、きちんとご意見を伺うということがあります。
 実際にもちろん個別に審査の案件が出てきましたならば、それについては情報公開をしてまたご意見を伺うというようなことを事務局案としては考えたようでございます。どうぞ、どんなことでもお気づきの点がございましたら。

○須藤委員 これは環境影響評価法でいう例えば方法書とか準備書の合意形成というのかな、大体類似と考えていいですね。大体似ているような感じがするんですけれども、環境影響評価法の住民の合意形成がありますよね。大体類似と考えて、要するにどこの住民でもいいんですよね、やり方としてはね。以前の環境アセスのときは、関係住民以外は関与できなかったんですけれども、これは住民というのは日本じゅう、あるいはもしかしたら世界じゅうでもいいんですよね、という理解でよろしいのね。

○水野環境保全対策課課長補佐 住民の範囲としては基本的にどこでもいいとすべきではないかという整理はさせていただいたということでございます。ただ、仕組みとして、要はその意見をどのように反映すべきかということについては、必ずしもどの制度に倣うべきだというところまではちょっとここではまだ踏み込んでおりませんで、一般論としてそういったことに留意しつつ制度を仕組んでいくべきだということを整理するにとどめさせていただいたということでございます。

○須藤委員 ありがとうございました。

○清水委員長 ほかに。

○細川委員 市民関与からちょっと外れますけれども、よろしいですか。

○清水委員長 はい。

○細川委員 2番目の審査主体の議論で小林先生から海面というのは国の管理だというご指摘があったんですけれども、4ページの[1]以降に関しての議論というのは、海防法の中の審査主体は誰にしたらいいのかという制度設計上の話が書いてありますが、そもそも海洋管理の在り方については国が責任持たなきゃいけないといったところがあって、それはやっぱり踏まえた上で、じゃ実質的に制度設計をするときにどう議論をしていったらいいのかというところで[1]以降の議論が提起されるべきと思います。似たような話で、市民関与の在り方についても市民の意見を聞きながら、国としての海の管理の在り方といったところに国としても哲学を持っていないといけないというところを踏まえた上での審議会の在り方を考えていくべきと思っています。

○清水委員長 ありがとうございます。ほかに。よろしゅうございましょうか。
 それでは、今日はその新しい制度の入り口のところの話を検討していただきました。今日ご欠席の先生方もいらっしゃいますので、十分またご意見を伺って、最終的な段階ではいろいろ若干修正はあるかと思いますが、一応皆さんのご意見を伺えたということにさせていただきたいと思います。
 それでは、前回の宿題のほかの国ではどうなっているのということに関する資料もございますけれども、またこれは別な機会にでも、もう時間も迫っておりますので、お願いをすることにして、次回の日程について、そのほか何か課長からありますか。

○荒井環境保全対策課長 どうも長時間にわたりましてありがとうございました。本日いろいろいただきました宿題なりにつきましては、関係各省の方からもまたご協力をいただきまして、次回に報告をさせていただきたいと思います。
 次回でございますけれども、現在のところ、10月3日金曜日でございますけれども、午後1時から予定してございますが、後ほど正式にご連絡をさせていただきたいと思っております。
 議題につきましては、各廃棄物等に係る実態の最終的な評価に加えまして、廃棄物防止審査の在り方、あるいは判定基準の検討あるいは潜在的影響の検討の在り方の検討というようなことを議論していただいた上で、報告書骨子の検討まで踏み込んでいただければというふうに思っております。
 また、本日の資料でございますけれども、公表ということにさせていただきたいと思います。また、議事要旨につきましては委員長にご確認をいただき公開をし、議事録につきましては各委員にご確認をいただいた後に公開させていただきたいと思います。
 本日はどうもありがとうございました。

○清水委員長 それでは、本日の会議はこれで終了したいと思います。休憩もとりませんで大変申しわけありませんでしたが、今後ともよろしくお願いをいたします。
 ありがとうございました。

午後4時57分閉会