中長期の気候変動対策検討小委員会(産業構造審議会産業技術環境分科会地球環境小委員会地球温暖化対策検討WG合同会合)(第8回) 議事録

日時

令和3年7月26日(月)13:00~15:30

場所

WEBによる開催

議題

1.地球温暖化対策計画(案)

配付資料

議事次第

資料1:中央環境審議会地球環境部会中長期の気候変動対策検討小委員会委員名簿

資料2:産業構造審議会産業技術環境分科会地球環境小委員会地球温暖化対策検討WG委員名簿

資料3:地球温暖化対策計画(案)

参考資料1:杉山委員提出資料

議事録

午後13時00分 開会

○梶川室長

 こんにちは。定刻となりましたので、ただいまから、第8回中央環境審議会地球環境部会中長期の気候変動対策検討小委員会及び産業構造審議会産業技術環境分科会地球環境小委員会地球温暖化対策検討ワーキンググループ合同会合を開催いたします。

 本会合は環境省、経産省の両省が共同で事務局を担っておりまして、私、今回の事務局を務めます経済産業省環境経済室長の梶川と申します。よろしくお願いいたします。

 本日は中環審、産構審、それぞれの過半数の委員に御出席をいただいておりまして定足数を満たします。よって、合同会合として成立することを御報告いたします。

 Web開催に当たっての御案内を少し申し上げます。本日の合同会合は新型コロナウイルス感染症対策のため、Webにより開催させていただきます。開催の状況はインターネットで同時配信し、動画は会議後、会議録公開までの間、Web上で公開予定です。

 Web開催に当たり、何点か御協力をお願いいたします。通信環境の負荷低減のため、御発言の際を除いてカメラの映像はオフにしていただき、御発言の際のみオンにしていただきますよう、お願いいたします。事務局側も発言する場合を除きオフにさせていただきます。またハウリング等防止のため、発言する際以外はマイクの設定をミュートにしていただきますよう、御協力をお願いいたします。

 なお、本日の会合ですけれども、産構審側の杉山委員が御欠席、また伊藤委員が会議の途中で御退席、中環審側の増井委員も会議の途中で御退席と伺っております。

 それでは、以降の議事進行を産構審の山地座長にお願いしたいと思います。山地座長、よろしくお願いいたします。

○山地座長

 本日の進行役を務めます山地でございます。よろしくお願いします。

 本日の議題は議事次第にあるとおりでして、地球温暖化対策計画(案)ということでございます。

 それでは、早速議事に入っていきたいと思います。まず資料3に基づいて事務局から地球温暖化対策計画(案)を説明していただき、その後、議論ということにしたいと思います。よろしくお願いします。

○坂口室長

 それでは、資料3につきましては環境省事務局から御説明申し上げたいと思います。

 資料3が今回、事務局で整理いたしました地球温暖化対策計画の案でございます。非常に大部なものになっておりますので、基本的には現行の計画から大きく変わった部分、追記した部分を中心に、かいつまんで御説明をさせていただきたいと思います。

 それでは、まず目次を飛ばしていただきまして、1ページ目を御覧いただければと思います。

 「はじめに」というところでございます。こちらは昨今のゼロカーボンシティとか、脱炭素経営の動き、最新の科学的知見、国際交渉の経緯等々について記載をしているところでございます。最初の導入部分として記載する文章を続けております。

 少し飛びまして、9ページ目でございます。第1章、地球温暖化対策の推進に関する基本的な方向を記したパートでございます。

 まず第1節に、我が国の地球温暖化対策の目指す方向といたしまして、2050年カーボンニュートラル実現に向けた中長期の戦略的取組ということで1.5℃目標を追求し、それから2050年カーボンニュートラルの目標を目指し、それと整合的な2030年目標という流れで記載をさせていただいております。現行計画におきましては中期目標と長期目標を分けて記載しておりましたけれども、今回に関しては中長期の目標を一体的に捉えまして、戦略的に取り組むことを目指す方向として位置づけております。

 それから10ページ、この項の最後のパラグラフでございますけれども、ここに「我が国は2030年、そして2050年に向けた挑戦を、絶え間なく続けていく。2050年カーボンニュートラルと2030年度46%削減目標の実現は、決して容易なものではなく、全ての社会経済活動において脱炭素を主要課題の一つとして位置づけ、持続可能で強靭な社会経済システムへの転換を進めることが不可欠である。目標実現のために、脱炭素を軸として成長に資する政策を推進していく。」と記載しております。

 同じく10ページの第2節でございます。「地球温暖化対策の基本的考え方」というところでございますが、1.に「環境・経済・社会の統合的向上」という言葉がございます。これは現行計画でも記載しておるものですけれども、ここに「3R(廃棄物等の発生抑制・循環資源の再使用・再生利用)+Renewable(バイオマス化・再生材利用等)をはじめとするサーキュラーエコノミーや、自然生態系による炭素吸収・蓄積という生態系サービスの長期的な発揮を含む自然共生社会への移行、脱炭素に向けた攻めの業態転換及びそれに伴う失業なき労働移動の支援」という点も追記をさせていただいております。

 続きまして、「2.新型コロナウイルス感染症からのグリーンリカバリー」について記載をしております。ここには「地球の持続可能性に向けて動き出し、気候変動を更に緩和・適応させ、生物多様性の損失と環境劣化を食い止め、回復させるために、緊急かつ具体的な行動が必要である。」、それから「2050年カーボンニュートラル宣言を踏まえ、「脱炭素社会」、「循環経済」、「分散型社会」への「3つの移行」を加速させ、持続可能で強靭な経済社会への「リデザイン(再設計)」を強力に進めていく。」等について記載させていただいております。

 少し飛びますけれども14ページ、ここからが今回の温室効果ガスの排出削減・吸収の量に関する目標を記載しております。

 まず第1節、ここはまさに総理の御発言どおりですが、我が国の中期目標として2030年度46%削減、さらに50%の高みに向け挑戦ということを記載しております。

 その後は現状の排出状況について少し触れておりますが、そこは飛ばさせていただいて、第3節、16ページでございます。こちらにガス別等々の目標について記載しておりまして、少し下になりますがエネルギー起源二酸化炭素、これにつきましては2030年度において2013年度比約45%減の水準。排出量にしまして約680百万tですから6億8,000万t-COとしております。

 また、部門別の目安については、次の17ページの表1のとおりでございます。目安の数字につきましては現在、並行して議論しておりますエネルギー基本計画でも、こういった数字が参考に出されておりますけれども、個別に精査中ということもありまして、今のところ2030年目標については約幾らというように丸めた数字にさせていただいております。最終的にはもう少し精査ができるかと思います。

 以下、メタン、一酸化二窒素等々についても数字を記載しております。

 まず非エネルギー起源二酸化炭素については2013年度比約15%減、メタンについては約11%減、一酸化二窒素につきましては約17%減、次のページ、代替フロン等4ガスについては合計で2013年度比約44%減を目標にしております。

 それからもう少し下に行っていただきまして、吸収源についてでございます。森林吸収源につきましては現行目標を少し深掘りまして、2030年度、約3,800万t程度の吸収量の確保を目標としたいと考えております。これに加えて土壌吸収源、都市緑化等々については970万t。

 それから今回、新たに二国間クレジット制度(JCM)に関する目標を記載しております。ここは官民連携で、2030年度までの累積で1億t程度の国際的な削減・吸収量の確保を目標ということでございます。

 ただ、注意が必要なのは、ここで記載しております1億tといいますのは2030年度までの累積の削減量でありまして、2030年単年のものではございません。また実際の事業による削減量、吸収量全体を示しておりまして、ここからさらに個々の案件ごとにパートナー国との削減分の配分について調整が必要でございますので、現時点でこれによって我が国にクレジットが何t発生するのかというところについては、まだ一概に言えるものではないと思っております。

 第4節におきましては、個々の対策に係る目標について書いております。ここに別表1~6参照と書いてありますとおり、今日お示ししている資料のほかに実際には個別の対策に関する削減量、目標が全て出てまいりますが、ここは現在精査中でございまして、今日はお示しできませんでした。申し訳ありません。

 続きまして、第3章でございます。20ページを御覧いただければと思います。

 第1節、「国、地方公共団体、事業者及び国民の基本的役割」というところで、まず国でございますが、下の1.に書かれておりますとおり、「政府の政策全体が脱炭素の実現に整合的なものとなるよう、政策や事業の立案と実施において、脱炭素を主要課題の一つとして位置付けることが重要である。さらに、国の各機関は、地球温暖化対策を主目的としない施策の実施や計画の策定に当たっても、本計画の基本的考え方に沿って、温室効果ガスの排出の量の削減等に資するように配慮することとする。」というように記載しております。

 少し飛びまして26ページ目です。ここから第2節ということで、以降個別の対策について記載することとしております。

 まずエネルギー起源COにつきましては、別途検討が進んでおりますエネルギー基本計画での議論と整合した形ということでございますが、表4のところに全体像のイメージを記載しております。各部門において徹底した省エネルギーを行い、再生可能エネルギー等、脱炭素エネルギーの導入促進などについても徹底してやっていくことが肝となります。

 部門別の施策につきましては27ページ目以降でございます。

 まず産業部門でございますが、この中で特に追加的に記載しているところが30ページ目でございまして、「(b)企業経営等における脱炭素化の促進」という項を追加しております。

 こちらは情報開示、削減目標、計画策定に関する国からの助言、製品・サービスのライフサイクルにおける排出量の見える化、そして消費者からも脱炭素経営として評価される環境を整備する、そういったことなどについて記載をしております。

 加えて、少し飛んで34ページにも、(h)としまして「工場・事業場でのロールモデルの創出」を追加しております。

 次、35ページから業務その他部門でございます。こちらにつきましては37ページに(d)としまして「デジタル機器・産業のグリーン化」というところを追加しております。それから38ページで「電気・熱・移動のセクターカップリングの促進」について記載を充実させております。同様、40ページの下段の辺りからが家庭部門というところでございます。

 家庭についても先ほどの業務と似た記載もございますのと、業務についても少し共通するのですが、住宅・建築物部門の取組が幾つか書かれております。ここにつきましては現在、「脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会」というのが別途動いておりますけれども、検討結果は間もなくまとまるのではないかと思いますが、そこの状況も踏まえて今後、若干の変更の可能性があることについてお示ししておきたいと思います。

 部門別に戻りまして、43ページ目以降が運輸部門、それから52ページ目以降がエネルギー転換部門でございます。特にエネルギー転換部門の電力の脱炭素化といった記述が最初にございます。

  (b)「電力分野の脱炭素化」。まず最初にエネルギー政策の原則であるS3Eの考え方の下ということなのですけれども、再生可能エネルギーの主力電源化の徹底、「再生可能エネルギーに最優先の原則で取り組み、国民負担の抑制と地域との共生を図りながら最大限の導入を促す。」といったことが書かれております。

 それから原子力につきましては、現行と同等ですけれども「可能な限り依存度を低減しつつ、安全最優先の原発再稼働を進める」といったことなどについて記載しております。

 それから火力については非効率な石炭火力のフェードアウトのほかに、例えばCCUS、水素・アンモニアについても選択肢として最大限追求することが書かれております。

 以上、エネルギー起源COでございまして、追加的に非エネルギー起源二酸化炭素については、先ほども御紹介したサーキュラーエコノミーへの移行などが書かれております。

 それから60ページ目以降、フロン類についてもキガリ改正以降の取組、回収・破壊の推進といったことで政策を強化しております。

 それから63ページ目以降が吸収源対策・施策ということで、森林管理、先ほど追加すると申し述べたJCM、そういったところが書かれております。今回数としてはなかなか積めないですけれども、ブルーカーボンについても記載をさせていただいております。

 また飛びまして、69ページ目以降が分野横断的な取組ということでございます。

 新しい記載としましては、75ページの「(e)成長に資するカーボンプライシング」というところを記載しております。

 また少し飛ぶのですが、78ページ以降には「(g)サステナブルファイナンスの推進」ということを追加しております。

 それから85ページでは、政府の率先事項ということを記載しております。

 少し飛びまして、89ページに「地方公共団体が講ずべき措置等に関する基本的事項」ということを書いております。

 特に「2.再生可能エネルギー等の導入拡大・活用促進と省エネルギーの推進」ということで、改正温対法の記載をしております。今現在、太陽光につきましては熱海の件など、いろいろと話題になっております。熱海については、静岡県の緊急調査結果によりますと太陽光パネルが直接的な原因ではない、とされておりますけれども、最近の土砂災害と再エネの関係についてはいろいろ懸念も広がっておりますので、こうしたことも受けまして、この項の中に、「また、市町村は、土砂災害等の災害リスクを踏まえ、促進区域の設定に当たっては、関係法令等も考慮しつつ、自然災害等に起因した土砂等の流出のリスクの高い箇所を回避するなどの留意が必要である」と記載させていただいております。

 さらに飛びまして96ページでございます。こちらに「第6節脱炭素型ライフスタイルへの転換」ということを書かせていただいております。

 さらに飛んで101ページ、ここから第7節ということで地域脱炭素ロードマップという、環境省が特に重点を置いております需要側の施策について記載させていただいております。

 戻ってしまって恐縮なのですけれども97ページに、この合同会合におきましても、一度若者団体からのヒアリングもさせていただきましたが、それにも関連いたしまして11行目に「将来を担う若者の声をすくい上げていくため」ということで、意見を受け止める場を設ける等々の記載をさせていただきました。

 それから、108ページ目でございます。「第8節海外における温室効果ガスの排出削減等の推進と国際的連携の確保」等々という項でございますが、ここは国際協力等の最新の取組を現行計画から大幅に記載を追加していただいております。

 最後、115ページから第4章でございまして、ここは進捗管理等について記載をするところでございます。やり方は細かいところがいろいろあるかと思いますが、引き続き、総理ヘッドの温対本部の下で、この計画をしっかりフォローアップしていきたいということを記載しております。

 少々長くなって恐縮です。資料の説明、以上でございます。

○山地座長

 どうも御説明、ありがとうございました。

 それでは、今の説明について各委員から御質問、御意見をいただければと思っております。毎回同様でございますけれども、中環審側、産構審側の委員交互に、それぞれ五十音順で御発言いただきたいと思います。前回、第7回会合では中環審側の委員から五十音順で頭から回しましたので、今回は産構審側の委員から五十音順で後ろから御発言ということにしたいと思います。ただ、途中で退席される増井委員、伊藤委員のお2人に御発言いただいた後、今説明した順番で御発言をいただければと思います。多くの委員に御参加いただいておりますので、御発言は3分以内を厳守ということでよろしくお願いいたします。

 それでは、まず増井委員、お願いいたします。

○増井委員

 どうもありがとうございます。

 まずは取りまとめ、どうもありがとうございます。説明にはありませんでしたけれども、109ページにAIMのことについても記載していただきまして、どうもありがとうございます。

 前回、2016年に閣議決定されました計画と比較しまして、今回の計画の構造は前回を踏襲されているかと思うのですが、内容は非常に濃い、脱炭素社会の実現に向けて非常に強いメッセージになっていると思います。最終的にはエネルギー基本計画等の結果も受けまして、個々の部門での個別の詳細な削減目標も示されるのではないかと思いますけれども、現時点の意見を2点述べさせていただきます。

 1点目、この計画というのは主に2030年を目標としたものであると認識しているのですけれども、最終的には2050年の実質ゼロの達成であり、あるいは世界全体の気候・気温の安定化というものですので、2030年の46%削減はあくまで過渡期の目標であって、決して最終的なゴールではないということを、ぜひ明記していただければと思います。2030年も46%削減からさらに50%削減という高みを目指すと記載されていますが、2030年までの最適解というのではなくて2050年、さらにはその先を見据えた最適な、より長期な経路からの今回の計画の姿であるということが非常に重要ではないかと思っておりますので、この点ぜひ強調していただければと思います。それが1点目です。

 2点目なのですけれども、今回脱炭素経営ですとか地域の脱炭素の推進ということとともに、脱炭素型ライフスタイルへの転換というところが強調されているのが前回の計画と大きく違う点かなと認識しています。こうした国民一人一人ですとか、企業・地域の取組といったことの重要性は当然のことではあるのですけれども、一方で現状での国民の取組は必ずしも十分と言えないところがあるかと思います。循環経済ですとか、食品ロスの低減などいろいろなことが盛り込まれておりますけれども、こういう間接的な取組を含めてゼロ排出の実現には、ありとあらゆることに取り組まないといけないことが重要であろうと思いますので、個人個人、あるいは個々の自治体・企業といった様々な主体が、それぞれの状況を踏まえて適切な取組を推進して継続できるように、そういう制度・仕組みというものを構築していただければと思っています。

 特に、そういうことを行っていく上で非常に重要になりますのが正しい情報ですので、必要で、かつ正しい情報に常にアクセスできるように、そういう制度をぜひ追加で検討していただければと思います。

 以上になります。

○山地座長

 どうもありがとうございました。

 では、続きまして伊藤委員、お願いいたします。

○伊藤委員

 ありがとうございます。

 私も全体を通して温暖化対策に強い決意で取り組んでいくという意欲が見てとれたところで、非常にすばらしいなと思いながら見ていたのですが、特に温暖化対策の基本的な考え方として、環境・経済・社会の統合的な向上に資するような施策の推進を図ること。これはすごく大事なことだなと思います。

 その点でちょっと気をつけなければいけないなと思った点がありますので申し上げたいと思うのですけれども、まずエネルギーにおいて、再生可能エネルギーを主力電源化することについて異論はないのですけれども、やはり環境・経済・社会の目的に資するものであるかどうかというのも、しっかりと検証しながら進めていく。特に問題が生じた場合には、また元に戻ってエネルギーミックスも考えていくようなことも必要なのではないかなと思います。

 特に経済という点においては、もし高額な電気料金になってしまった場合には、国際競争力とか産業競争力をそぐことにもなってしまいますので、この点は気をつけながら見直しを図っていくことも必要なのではないかと思います。

 それから事務局の説明にもありましたけれども、太陽光発電に関して自然環境への影響とか、災害誘発の危険性などを考えたときには、もはやしっかりとした規制とともに、両輪で進めていかなければならない段階に来ていると思いますし、日本の国土を考えたときに、面積をかなり必要とする平面型の太陽光パネルによる発電というのは限界に来ていると思います。

 そもそも太陽光パネルというのは8割が中国からの輸入なのですけれども、杉山委員のペーパーにも入っておりましたが、製造現場において人権問題など指摘され始めているところもありますので、推し進めるのであれば国産で、しかも様々な場所、あらゆる建築物に設置が可能な次世代型の太陽光パネルの開発・普及。こういうものを支援する仕組みが急務だと思いますので、81ページとかにも書かれていたのですけれども、より具体的に日本としての方針をしっかりと出していく必要があるかなと思います。

 それから吸収源である森林については、防災の面でもしっかりと整備していくことが明記されていました。地方にとってはJ-クレジットなどによって森林の整備、それから林業が成長につながるものであるという認識で、これから積極的に取り組んでもらいたいところではあるのですけれども、とにかくいろいろな話を聞いていると人手不足が深刻で、どのように手をつけていいか分からないという森林組合が多いのも現実なのです。ここは企業の力もかなり必要になってくると思いますので、クレジットによる金額のやり取りのみならず、技術とか、ノウハウとか、木を使ってどのようにビジネスにしていくのかという視点も含めて、参入していくことができるような何らかの支援というのが必要になってくるのではないかと思います。

 それから日本でも森林火災を防ぐような、あるいは早く消火するようなこともCO削減には物すごく重要なことになってくると思いますので、こういう技術開発も喫緊の課題になってくると思います。これらは世界でも課題になっているものですので、開発できれば成長分野にもなり得ると思うので、その辺りの御支援もしっかりしていったほうがいいのかなと思いながら拝見させていただきました。

 以上です。

○山地座長

 どうもありがとうございました。

 それでは、中環審側、産構審側の委員交互に、今回は産構審側の委員の五十音順の後ろからという順番でいきまして、まずは山下委員からお願いいたします。

○山下委員

 ありがとうございます。よろしくお願いします。

 地球温暖化対策計画の案の御説明、ありがとうございました。今回の計画は2030年までの既にある対策、あるいは技術の着実な導入及びその加速化を念頭にした9年間についてのものですけれども、この期間は2050年のネット・ゼロ実現に向けた中長期的に必要な大きなエネルギーシステムの変革のための土台を築く重要な期間として、新技術の開発・実証を含めて利用可能性を最大限にするためにも大事な9年間となります。また2030年以降、連続的にスピーディーな変革を続けるための政策や制度・体制を整える期間でもあります。コストの増大や競争力への影響など経済への影響を見据えて、時々に見直す柔軟性も大切にしていただきたいと思います。

 非化石電源として再エネの大幅な増加は極めて重要です。もう1つの既存のクリーン電源である原子力については、国が前面に出て原子力を活用していく方針を書いていただいた点を評価します。

 一方で、計画の53ページの1行目にある可能な限り依存度を低減しつつと、ブレーキを踏みながら、安全最優先の原発再稼働を進めるとともに安全性に優れた炉の追求など将来に向けた研究開発・人材育成等を推進すると、アクセルを踏むような表現となっています。原子力については長期的な目標達成に向けて、再エネとともに今後の9年間で確実で速やかな再稼働と安全な運転による高い設備利用率の実現が求められますので、55ページから56ページに記載のある再生可能エネルギーと同様に、きちんと独立した項目を立てて進捗を検討していただきたいと思います。

 次に、我が国の国内クレジットの活用については、J-クレジット制度を通じた中小企業等の取組の促進について記載いただいたことを評価したいと思います。

 また、74ページにございます温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度において、省エネルギー小委員会で省エネルギー法のエネルギーの定義の変更が議論されている中、温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度と関係する部分の見直しについても進めていただきたいと思います。

 また、この制度が各事業者の排出量情報を公開することを通じて、自主的な取組の促進や機運を醸成するのであれば、事業所単位の単純比較は有意ではない可能性について注意を呼びかけることにとどまらず、制度として事業所単位での比較ができるように、バウンダリーの設定を業種ごとに統一するなど見直しをしてはどうかと考えます。

 さらに削減取組などに関する情報の積極的な方向を促すとありますが、省エネ法の定期報告と重複する可能性もありますので資源エネルギー庁と調整し、事業者の負担を減らすような工夫に取り組んでいただきたいと思います。

 次に、地方公共団体が講ずべき措置。89ページ以降ですが、今回の特徴でもあります地方での温暖化対策の取組を対策計画として含めるのであれば、ベストプラクティスの共有を図るという観点、また事業者が立地を検討する際の参考になるように網羅的、かつ実務に応用できる形での情報の整理・公開を検討していただきたいと思います。

 また、115ページに記載がありました進捗管理方法について、各対策の排出削減見込量の根拠や進捗状況点検の結果について、インターネットなどを通じて国民への情報提供を進める点について評価したいと存じます。ユーザーインターフェースをよいものにするとともに、技術開発や海外貢献についても定量的な評価を示していただきたいと思います。

 さらに代替フロン、HFCの排出量実績について質問があります。足元で4,970万tに増加している中、2030年の排出量の目標は1,450万tへと厳しくなっています。削減する秘策があるのでしょうか。あるいは、HFCの今後の他の冷媒への代替の見込みはどうでしょうか。回収が滞っている中で、回収率はどのように上げていくのでしょうか。

 もう1つ、質問があります。森林吸収源は18ページに記載がありますが、2030年度の吸収量の目標が3,800万tまで引き上げられています。森林の高齢化が進み、吸収量が年々減少する中、それをどのように維持していくのか。また、そのコストはどのくらいか教えていただければと思います。

 以上になります。

○山地座長

 どうもありがとうございました。

 それでは、中環審側に移りまして吉高委員、お願いいたします。

○吉高委員

 ありがとうございます。

 2030年に向けた排出削減を目指すということで非常に意欲的な計画になっており、大変困難な取りまとめをしていただき感謝いたします。その上で6点ほど細かいところを含めてコメントをさせていただきたいと思います。

 まず全体計画の中で、雇用という言葉が10ページにあり、同じページに「質の高い国民生活」、11ページに「失業なき労働移動の支援」とあるのですが、これらの部分が大変重要かと思っています。UNFCCCのテクニカルペーパーでも単なる雇用創出ではなくて労働力のスムーズなトランジション、ディーセント・ワークなど質の高い仕事を創出とありますし、人権はESGによって今非常に重視されています点から、もう少し丁寧な記載があってもよいと思っています。

 21ページに国民各界という項目があるのですけれども、この場合、金融業界は産業界の中に入りますでしょうか。31ページにはESG金融サイドの動向を踏まえつつとか、ESG金融を強調したりする言葉がありますが、金融業界というものに関して全体的な位置づけの確認をさせていただきたいと思います。

 それから34ページに、中小規模の事業者に対して様々な支援強化があるのですけれども、TCFD等について明記されるのであれば、サプライチェーンからのプレッシャーなど今後課題も多くなると思いますので、明記されるか別にして留意が必要なのかと思っています。それに関しては、例えば79ページにESG金融ハイレベル・パネルを通じてESG金融のモメンタムを醸成とありますが、国内の地域金融について、もう少しきめ細やかに地域別に醸成するようなシステムや仕組みがあってもいいと思っております。

 次に、住宅に関しましては機器・建材のトップランナー式、新築のZEH目標、住宅トップランナー基準の引上げ、そのほか、ブルーカーボン、コンパクトシティなど様々なインフラに言及されております。日本の国土全体のインフラ整備における脱炭素政策は非常に重要かと思っております。ESG金融において不動産は重要なアセット対象です。このような気候変動に特化した施策に、例えばESG金融的な評価との連携というのは重要と考えますが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。ぜひお聞かせいただきたいと思います。

 あと98ページのライフスタイルのところです。ここは非常に細かいところなのですが、サステナブルファッションの切替えと、脱炭素に資する製品・サービスの選択の中で旬の食材の地産地消がどのように脱炭素に資するのか分かりにくい。輸送によるCO削減とか、温室の余分なエネルギーの消費減だと思いますが、これだけの記載だと分かりにくいと思いました。かつ同時に、ここに食ロスがあるにもかかわらず、ヌに再度食ロス対策が入っているが、これはなぜ分けているのかお聞かせいただきたいと思います。

 最後に104ページに、国の積極的支援に当たって地域の実施体制に、各省の地方の支分部局が羅列しておりますが、ここに地方の財務局が入っていないと思われますが、関連する役割はないのでしょうか。地域の金融を支援する地方部局はどこになるのかと思った次第でございます。

 以上でございます。

○山地座長

 ありがとうございました。

 今までいろいろ質問がありましたけれども、回答は委員の皆さんの御発言が終わった後にまとめていただきますので、事務局のほう、御準備をお願いいたします。

 それでは、次はまた産構審側に戻りまして長谷川委員、お願いいたします。

○長谷川委員

 御指名、ありがとうございます。

 計画(案)を御説明いただきまして、どうもありがとうございます。基本的にこれまでの検討を踏まえて、よくまとめていただいていると思います。両座長、事務局の皆様、お疲れさまでした。その上で、気づきの点について幾つか申し上げたいと思います。

 1点目は、何人かの委員の方からお話があったように、気候変動問題に我が国としてしっかり対処していくのだという、強い意気込みの表れた良い文章になっているかと思いますが、他方で、以前も申し上げましたように、9ページに「経済と環境の好循環」という記述があり、10ページには先ほど伊藤委員から御指摘があったように、「環境・経済・社会の統合的向上」という記述もあるのですけれども、少し産業政策という観点が、特に欧州との比較において弱いのかなと思っております。各論で詰められればいいですけれども、まずは総論のところで、産業政策の観点をもう少し強く記載してはどうかと思っているところです。

 2点目は、低炭素社会実行計画です。これにつきましては、引き続き産業界における対策の柱と位置づけていただきまして、感謝申し上げたいと思います。

 経団連といたしましては、引き続き最大限の取組を行ってまいりたいと思います。今年6月に、経団連は低炭素社会実行計画をカーボンニュートラル行動計画に名称変更すると表明しておりますので、その旨、脚注でも結構でございますので、言及していただければ非常にありがたいと思っております。

 原子力につきましては、先ほど山下委員からもお話がありましたが、エネルギーは別の総合資源エネルギー調査会で議論がなされていると承知しているのですけれども、依存度低減のような記載で良いのかどうか、今後不断の見直しをされる機会もあるかと思いますので、引き続きよく検討していただければと思っております。

 あと75ページに、カーボンプライシングの記載があるかと思います。これまでの議論を踏まえた内容となっており、この記述ぶりでよろしいかと思っております。引き続き、間口を広く取って専門的、技術的な議論を深めていただければと考えております。

 以上でございます。

○山地座長

 どうもありがとうございました。

 では、中環審側に戻りまして山口委員、お願いいたします。

○山口委員

 どうぞよろしくお願いいたします。

 今回、地球温暖化対策計画の案について取りまとめてくださいまして、本当にありがとうございます。全体としての方向性は、正しい方向に向かっているのではないかと考えています。ただ、問題は、これをどう実現していくのかという点だと思うのです。

 まず、はじめにの部分で気候変動問題、IPCCの科学的な知見、そして脱炭素化が世界の潮流になっているのだということについて触れています。これは大事なポイントだと思います。

 その上でなのですが、第1章の2節、5.全ての主体の意識の変革、行動変容、連携の強化。ここをどう実現するのかが大事だと思うのです。気候変動に対しては、多くの方が問題意識を持っていらっしゃると思うのです。でも、それを我が事としてどのように行動の変化に移していただくのか。後半の部分で大分触れていただいているのですが、課題は残っているのではないかなと思うのです。仮に秋以降にコロナが落ち着けば、恐らくグリーンリカバリーにも注目が集まるときが来るのだと思うのです。そのときにどれだけ温暖化対策、脱炭素に一人一人の関心を高めてもらえるのか。特に持続可能性に敏感な若い世代への働きかけが大事になってくるのではないかなと思います。

 それから第3章で温暖化対策の具体的な道筋を網羅していますが、徹底した省エネの上での再エネの最大限の導入ですよね。再エネの主力電源化を徹底する。再エネに最優先の原則で取り組んで、国民負担の抑制と地域との共生を図りながら最大限の導入を促すと記されています。国民負担の抑制と地域との共生。この部分が大事だと思うのです。つまり再エネを増やすことは、需要家や地域にメリットがあるのだというメッセージが大切だと思います。その意味で地域共生、地域裨益型という言葉が並んでいます。大事だと思います。

 先ほどからいろいろな委員から話も出ておりますが、例えば野山を切り開くメガソーラーは、やはり地域から理解を得るのは難しい段階に来ているのではないかなと、私、個人的には思います。太陽光に関していえば、むしろ地方においては耕作放棄地が増え続けているわけですから、荒廃農地を利用してソーラーシェアリングなどの形で、地域にお金や雇用をもたらす太陽光を増やしていくべきではないでしょうか。そして都市部での工場や事業所、住宅の屋根へのPPAモデルの導入が記されておりますが、さらに言いますと都市部のマンションの屋上への太陽光の導入というのは、EVの充電スポットの整備と併せて東京都で補助事業が始まっております。こうして取組をもっと拡大できないでしょうか。EV、PHVの普及や、さらには災害対策にもつながります。

 もちろん太陽光に偏ることなく、洋上風力や地熱も地域と共生する形で促進すべきだと思われます。さらに人工林で切って使って植える循環利用を進めて、国産材の利用を高めることも脱炭素への貢献になると思います。ここに触れていただいたのはとてもすばらしいと思いました。

 いずれにしましても、今回の計画の実現には国民の理解が欠かせないと思います。化石燃料に過度に依存した今の状況から転換して、利用者や地域にメリットをもたらすエネルギー転換なのだということをどこまで理解してもらい、実現できるのか。丁寧な説明が大切だと思います。

 以上です。

○山地座長

 どうもありがとうございました。

 では、続きまして産構審側から竹ヶ原委員、お願いいたします。

○竹ヶ原委員

 どうもありがとうございます。

 このたびの取りまとめ、新しい動きが同時並行的にどんどん起こっている中、きちんと反映いただき、本当にお疲れさまでございました。ありがとうございました。

 多くの委員が指摘されている点、全く同感なのですけれども、私の立場から印象的なのは、今回金融、ファイナンスの統合がすごく進んだ点です。ESGや、TCFDが随所に登場しているうえに、特にサステナブルファイナンスの章立てをしていただき、今足元で起こっている新しい変化が、限られたスペースの中で網羅的にカバーされた点、大変ありがたかったです。

 特に「イノベーションとトランジションのファイナンスをどう考えるか」という、2030、2050と展望していくと非常に重要なテーマになってくるのですが、ここにきちんと言及されていることは、現在、TCFDのコンソーシアムでグリーン投資ガイダンス改定の議論が始まっているのですけれども、この辺りもつながるような御指摘であり、非常に勇気づけられたところであります。

 79ページの10行目、12行から13行目などで、投資家と企業の建設的な対話の重要性が強調されている点も、エンゲージメントは、ファイナンスを考える上ですごく重要なテーマですので、しっかり明記していただいたのは、ESG投資家の皆さんにも良いメッセージになるのでは、と考えました。

 1つお願いですが、せっかく最新のIFRS財団を始めとする非財務情報のコンバージェンスの話にまで言及いただいているので、金融への直接的な影響についても言及頂ければと思います。このフレームワークですと、何となく企業は開示する側で、投資家は、開示された情報を利用してエンゲージする側という役割分担が明確に分かれているように見えるのですが、実は金融側にも開示圧力が強まっています。いわゆるファイナンスド・エミッションと呼ばれる、自らのポートフォリオから生じるグリーンハウスガスをどうするか、そのインパクトの把握とマネジメントが課題になってきています。金融自体のスタンスも変わりつつある辺りをどこかで文章にしていただくと、より最新の状況がアップデートされていいかなと感じます。

 あともう1点、吉高委員もお話しになっていましたが、地域金融にメンションいただいたのはすばらしいことです。地域金融機関が、脱炭素に向けたファイナンスを自分ゴトとしてどう進めて行くかは、これからのテーマですが、まずサステナブルファイナンスの中にきちんと地域金融を位置づけて頂いたことが、大きな進歩だと思いますし、加えて後半の地域脱炭素のロードマップの話に多分つながってくるような気がいたします。

 具体的には103ページで、いわゆるロードマップのための実施体制の整備について書かれていて、ここで地域金融について、少しメンションされているのですが、脱炭素に向けた地域間競争を進めていく上で、地域でどんな体制を組めるか、特に、行政による計画策定に、地域の金融が関与することで計画のフィージビリティを向上させることが要請されています。地域間競争の中で地域金融が果たす役割はすごく大きいと思います。せっかく前半でメンションいただいた地域金融の役割の話をロードマップの話とひもづけて展開していただくと、より説得力が増すかなという気がいたしました。

 雑駁ですが以上です。

○山地座長

 どうもありがとうございました。

 では、中環審側に戻りまして薬師寺委員、お願いいたします。

○薬師寺委員

 御説明、ありがとうございました。何点か申し上げます。

 まず、10ページからの地球温暖化対策の基本的な考え方についてでございますけれども、6点どれもとても大事なことだと思うのですが、やはり5点目の全ての主体の意識の変革、行動変容、連携の強化がとても重要なのではないかと考えております。特に家庭部門の排出量の削減66%という数字が示されましたけれども、これを実現するためには国民・市民の行動変容が不可欠なので、優先順位的にはもうちょっと上でもいいのかなと感じました。

 それから一番初めの環境・経済・社会の統合的向上についてでございますけれども、内容的には同じ趣旨なのですが、今SDGsに対する認知度とか取組が非常に活発になっております。それは市民も事業者も同様だと思うのですが、ですから、SDGsというようなキーワードが入っていてもいいのかなと感じました。

 2点目は、ファイナンスに関してでございますけれども、79ページに地域金融の役割が重要ということで記述していただきました。加えて2425行目の記述の中で、国が明確なビジョンを示すとともに、先進的な地域金融機関と連携して云々かんぬんとなっておりますけれども、既に自治体のほうでも金融機関との連携でいろいろな取組をしない事業者に対してしようということでやっておりますので、この記述の中に地方自治体への言及があってもいいのかなと感じました。

 それから地方自治体の率先行動のところで87ページでございます。事務事業編に記載すべき主な内容の③点目の具体的な取組項目及びその目標でございますけれども、ここに記述されておりますとおり、特に基礎自治体の場合は廃棄物処理事業とか上下水道、あるいは公共交通機関、市営交通、地下鉄ですね。こういったものの排出量が非常に大きくなっておりまして、これは私どもからすると諸刃なのですけれども、ある程度目標の削減率とか、それを達成するための財政支援をぜひお願いできたらなと思っております。この部分が非常に大きいものですから、ここの実効性を担保しないと、なかなか地方公共団体の削減は実現していかないのかなと感じております。

 最後になりますけれども、101ページの脱炭素先行地域づくりでございます。これは私どもも非常に重要な取組と認識しておりますけれども、まだいかんせん具体的に地域に入っていけていないものですから、どんな取組をすれば地域としての脱炭素が進むのかというのはまだ手探り中の部分もありまして、ぜひ使い勝手のいい、ある程度複数年度使えるような支援制度をお願いしたいと考えております。

 以上でございます。

○山地座長

 ありがとうございました。

 次は、産構審側と中環審側の両方の委員を務めております髙村委員、お願いいたします。

○髙村委員

 髙村でございます。ありがとうございます。

 文章の細かな点はまた提出なりしようと思うのですけれども、大きな点で幾つか発言をさせていただこうと思います。

 1つは、最初のはじめにと第1章の中の特に基本的な枠組み、基本的な考え方について触れているところです。全ての主体の行動が必要だということは、この文章の中にも書いてありますし、委員からも発言がありましたけれども、はじめにと基本的な考え方の中に、今回の温暖化対策計画の改定の意味と背景をもう少し明確に書いていただいたほうがよいのではないかと思っております。

 1つは、若い方々のヒアリングなどでもありましたけれども、気候変動への社会の中での危機感。特に昨今でいくと、気候変動が一因となったと考えられる気象災害の影響は非常に大きくなっている。さらに将来の気候変動の影響に対する危機感を、とりわけ若い世代が深刻に考えているという背景はまずしっかり書いていただいたほうがいいと思いますし、もう1つは、この後もう少し敷衍しようと思うのですが、先ほど長谷川委員も同じ趣旨でおっしゃったと思うのですけれども、温暖化対策が日本の企業、日本の産業の競争力を左右する問題になっている。産業政策の問題でもあることを明確に書く必要があるのではないかと思っております。特に今申し上げた点でいくと、今回の温暖化対策行動計画は50年カーボンニュートラル、30年の目標。いずれも、これまでの温暖化対策、あるいは関連するエネルギー政策を大きく変えるものだと思います。

 エネルギー基本計画については先週、素案が出されましたけれども、その内容を見ても本格的に、さらに脱炭素化を加速させるという方向性が明確に示されていると思います。一次エネルギー供給ベースでも今化石燃料が約9割、電力で約75%。化石燃料が大勢を占める現状から大きく転換していこうという方向性を示していることは、はじめに、あるいは第1章の基本的な考え方の中に明確に記されるべきだと思います。

 もう1つは、基本的な考え方、はじめにのところにぜひ書いていただきたいのは、これは総合資源エネ庁の委員会でも意見が出ましたけれども、先ほど山口委員がおっしゃった点です。つまりこの転換というのは必要な転換であると同時に、うまく政策が動員されることでよりよい社会経済システム、あるいはより競争力のある日本の産業をつくっていけることを、それをもたらすための政策であるという位置づけです。繰り返しませんが今企業が取引先から、あるいは金融からどれだけ脱炭素・低炭素で事業ができるかということがしっかり見られていて、要請もされていて、そうした企業が置かれている状況に、脱炭素・低炭素への要請にしっかり応える気候変動政策、温暖化政策でなければいけませんし、それを支えるエネルギー政策でないといけないと思います。中に書かれていないとは申しませんけれども、国民に、多様な主体にしっかり伝えるために、繰り返しますが、はじめにのところと第1章の基本的な考え方の中に前の温暖化対策と今の温暖化計画の違い、背景の変化ということを明確に書いていただき、その位置づけの変化ということを明確に書いていただきたいと思っております。

 2つ目は、2030年の位置づけについて先ほど山下委員からありましたけれども、基本的に同じラインの発言です。今申し上げた温暖化対策をめぐる社会の状況を見ると、今ある技術を最大限利用して足元から排出削減を加速することが必要であると同時に、50年カーボンニュートラルを見越して30年、さらにその先にどうスムーズに加速的に削減を進めていくかという基盤づくりを行っていくのが、この30年までの9年間、10年間の位置づけだと思います。これも明確に書いていただきたいと思います。その中には、やはり新技術の開発。30年の先の、さらなる削減をつくり出すための新技術の研究や開発も重要であるという位置づけだと思います。

 その中にもう1つ入れていただきたいのは、特にインフラ。例えば発電所、住宅・建築物、交通。様々な社会基盤について、恐らく今新しくつくるものは50年にも残る。そういうインフラの決定を我々は今しなければいけないので、あらゆる政策決定が50年カーボンニュートラルと最大限整合的になると確保されることが重要な点だと思います。

 もう1つは、民間の事業判断、投資決定もまた50年カーボンニュートラルと整合的になるような促しと、仕掛け、仕組みというものをどうつくれるかということだと思います。2030年までの期間の位置づけというのを、先ほど山下委員がおっしゃったことに加えてですけれども、これも明記をしていただけないかと思っております。

 3点目ですけれども、ちょっと各論になりますが、この間、特に企業のサプライチェーン、バリューチェーン、スコープ3の排出量の削減が重要になっているという点と、それから炭素国境調整措置でまさに出てきているわけですけれども、製品・サービスのライフサイクルCOの排出削減というのが非常に重要になっていることも言及をしていただきたいと思っております。これは先ほど申し上げました企業の、あるいは産業の競争力のところに入れ込んでいただいてもいいかと思いますけれども、この認識は国民・企業と共有すべき項目だと思っております。

 あと2点ですが、各論でHFCについてです。50年カーボンニュートラルを考えてエネルギー起源のCO以外の対策は非常に重要で、HFCだけではないですけれども、非エネルギー起源のCO以外の対策について、中でも特にHFCが非常に重要だと思っていますのは、実際エネルギーでこの間、日本の温室効果ガスの排出量を減らす方向で随分動いているにもかかわらず、結果的に相殺しているのがHFCの排出量増加だからです。フロンの経産省、環境省の委員会でも、キガリ改正に対応する上流対策についてしっかり検討するという御提案であったと理解していまして、この点については今回の温対計画の中に明確に、キガリ対応も含む上流の対策の強化ということをしっかり書き込んでいただきたいと思います。回収ももちろん重要ですけれども、これだけ排出が増えてまいりますと回収率を大幅に上げるのは非常に難しくなってきていますので、将来に向けて上流対策をしっかりしていただきたいと思います。

 最後ですけれども、COP26は1031日から始まります。G7サミットでも、COP26に先駆けてNDCを提出するというスケジュールを首脳で合意しております。国民の意見をしっかり聞くということも、特に温対計画、エネルギー基本計画に重要だと思いますが、そうしたスケジュールもしっかり考えて、COP26にNDCが間に合うように準備できるような形で、国内プロセスをしっかり進めていただきたいと思います。

 以上です。

○山地座長

 では、次は中環審側委員の三宅委員、お願いいたします。

○三宅委員

 まずはこのたびの地球温暖化対策計画、ありがとうございます。関係各省の皆様の御尽力に敬意を表したいと思います。心強い内容になり歓迎するとともに、私たち民間企業も改めて今後加速的に対策を進めなくてはいけないと身の引き締まる思いでございます。

 特に30年までに46%削減というのが全く簡単なものではなく、あらゆる側面において構造改革を伴う目標であることを皆で共有しながらも、50%の高みに向けて挑戦するところまでを目標として定義していただいて、科学的知見に基づいて国際社会と協調し取り組む旨の宣言など、非常に説得力のある内容になっていると感じています。ありがとうございます。

 今後は私としては、これに基づいて実行されていくことがすごく大事になると思っており、実行に当たり2点コメントさせていただきます。

 1つ目ですが、前回もコメントしているのですけれども、対策計画の進捗管理がすごく重要です。気になっているのですけれども、英国では専門の有識者による気候変動委員会が存在しています。前回同じことをコメントさせていただいたと思うのですが、そのときの返答としましては、今回のように各省庁がそれぞれ主催する審議会にはそれぞれ外部の有識者の方々が入っていて、そこで客観的に議論される仕組みになっているという旨の回答をいただいたと思っています。それはそれですごく大事なことで、各省庁配下で実行される取組に対する進捗確認は必要なのですけれども、46%の削減、さらに50%の高みの目標というのは、私たちみたいにすごく推進している側の人間からしても簡単でないことは理解をしています。現時点で今思い描いているロードマップ自体の修正ですとか、方向転換ですとか、そういったことも視野に入れておかないと達成できない。一部できなかったから、この目標が達成できなかったという事態は絶対に避けなければならないと思います。そのためには省庁の取組を超えた段階での調整ですとか、議論といったものが客観的にできる、科学的見地を踏まえて行える場が必要なのではないかと感じています。そのレベルの第三者委員会の検討もぜひ今後していただきたいと思います。

 一番大切なのは、今やろうと思っていることができないこともあると思うし、それにはそれなりの理由があるのだと思うのですけれども、できませんでしたということではなくて、ではどうやって取り返すのかという議論がきちんとできる、そういった場をつくっておかないと、というように感じた次第です。

 2つ目です。お金の話なのですけれども、やはり一定量の投資は必要になる。もちろん政府が今出されているグリーンイノベーション基金という形での2兆円とか計画は知ってはいますけれども、脱炭素社会の構築を推進する他の海外諸国と比べると、規模感は大分小さいことは皆さん御承知だと思います。これはイノベーションだけではなくて、先ほど髙村委員が触れられていましたけれども、インフラのところの整備だとかいろいろな構造改革ですから、今ある構造を転換していくための投資はすごく必要になってきて、ここにきっちり投資をして政府としてコミットすることも表明していくことはすごく大切だと思います。ほかの委員も皆さんおっしゃっていたように、これは経済成長の源泉でもあることを考えると、これまでやってきた投資ではなくて抜本的にここはきちんとつくっていく。つくり直していくのだという姿勢にもなるかと思います。そうすることによって民間投資もしやすくなりますし、民間の企業も、だったらということで投資ができる。そういった期待感も持てる。そういった希望をぜひ見せていただきたいなと思っております。これは当然今回の計画を踏まえて、この後の予算立案みたいなことになるのだというように組み込まれていくことは承知しておりますが、ぜひそうなるような持っていき方を期待したいと思います。

 私からは以上です。

○山地座長

 それでは、産構審側委員なのですけれども、杉山委員が御欠席ですので小川委員、お願いいたします。

○小川委員

 小川でございます。よろしくお願いします。

 今回御提示いただいた案では、個々の対策を具体的な数字の裏づけのある形で一覧性を持って整理されている。また産業分野の目標に関しても自主性と積み上げで設定し、しっかりとPDCAを回していく。こういう考え方が継承されていることは非常にありがたく思います。これは計画に信頼性を与える核となる部分でありまして、関係者の御尽力に感謝したいと思います。

 今日は2点お願いしたいことがございまして、1つは、こうした対策に伴うCO削減量だけ議論するのではなくて、そのためのコストも明らかにすることが重要だと思います。経済と環境の好循環を検証するために、そういう数字が基礎データとして必要であるということだけではなく、目標の野心度の高さを考えると対策の結果として生じる国民負担の大きさを分かりやすい形で国民に示し、正しく理解を得た上で必要なコストを負担してでもやり遂げる覚悟を固めていただく、こういうことが必要であると考えております。

 2050年のカーボンニュートラル、それからその過程である3046%削減というのは、極めて大きなコスト負担を伴うことは明らかだと思います。産業分野だけを見ても、再エネ、水素、CCUS、カーボンリサイクルのための大がかりな社会基盤整備が必要ですし、その上、企業などには脱炭素化に向けた全く新しい技術の研究開発、それから設備投資、実装化のための費用、さらには高価な水素を利用するためのオペレーションコストの高騰など、必要なコストは枚挙にいとまがありません。巨額のコストがのしかかってくることになります。こうしたコストは社会全般で負担することが必要になりますが、とりわけ財・サービスの最終消費者である国民一人一人の負担の増加は避けられないと思います。自らの負担に関する国民の正しい理解と同意がない限り、どんな精緻な計画を立てても実行は伴わず、絵に描いた餅で終わる可能性が高いと危惧いたします。

 他方、本年3月に公表された内閣府による気候変動に関する世論調査の結果を見ると、脱炭素社会の認知度について31.1%の方が知らなかった。また、若い19歳から29歳の世代では53.5%にも上るという実情がございます。

 本ドラフトでも基本的な考え方の1つとして、全ての主体の意識変革、行動変容、連携の強化が挙げられております。今回、前回の行動の喚起から行動変容と一歩踏み込んだ表現が使われておりますが、政府に期待したいのは単なる情報提供や知識の教育にとどまらず、国民一人一人が自分のこととして何をすべきなのか。そのためにどこまでの負担に耐える覚悟があるのかという議論を活発に行って、社会として実行可能な計画にしていくことだと思います。

 また、進捗管理方法に関しまして毎年フォローするということが書いてあるのは非常によろしいと思うのですが、その中で削減量や実績のフォロー、目標達成の見通しだけで評価するのではなく、評価の中では杉山委員が言われていますように政策の費用対効果もしっかり確認して、PDCAを回すようにしていくべきだと思います。おのおのの政策で1tのCO削減にどれだけのお金がかかったのか。それが一番合理的なものであったのかというのは、これから30年、50年にかけて努力する中で新たに分かってくることもいっぱいあると思います。ということでPDCAを常に回し続けることも、2つ目のポイントとして指摘したいと思います。

 以上でございます。

○山地座長

 ありがとうございました。

 では、次は中環審側の下田委員、お願いいたします。

○下田委員

 まず、これまでの議論を丁寧に反映していただきまして、この計画(案)をまとめていただきました事務局に感謝したいと思います。大きなポイント2つと、それから記述内容について3つ意見を申し上げたいと思います。

 まず、これだけ大規模な排出削減を行う中では、住宅・建築、自動車、家電機器の所有者であり、また電力や燃料を選択している中小事業者や家庭というもののウエィトが大きくなっているということであります。これらがどのように参加し、購買行動や日々の暮らしの変革につなげていくか。逆に言えば、先ほど山口委員がおっしゃったように、ここにどのように働きかけていくかということが大きな鍵だと考えております。その際、例えばテレワークとZEHを組み合わせるというように、魅力のあるライフスタイルの変革と脱炭素技術の整備をともに進めるように、先ほどちょうど国民負担という言葉が出ましたけれども、そういう負担だけでなくてポジティブに多くの人に受け入れられるような、明るい脱炭素社会像をつくり上げていくことが必要だと考えております。

 そのためには、一般的な広報活動ではなくて脱炭素社会のデザイン、それから見せる化というような活動を、例えば都市開発事業ですとか、それから博覧会のような、政府や自治体のイベントを利用して進めていくことが大事だと考えております。

 広報については97ページの上段に、本当にいろいろなアイデアを挙げていただいておりますけれども、このような活動は温暖化政策の変化が社会に注目されている今こそ間髪を入れずに行うべきでありまして、その辺りにつきまして可能であれば事務局のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

 2点目は、同じように89ページからの地方公共団体が講ずべき措置、101ページからの地域脱炭素社会の推進の記述の中で、地域内での排出削減の進捗管理やマネジメントの機能を入れていただきたいということであります。

 115ページからの進捗管理で、政府のトップが進捗管理を担うことには大きな意義がある一方で、先ほどから申し上げております中小事業者や家庭への進捗を管理する上ではもっと小さなセグメントに分けて、これらの主体により近い位置にある自治体ですとか、各種の地域経済団体が進捗管理とマネジメントの機能を持ち地域の実情に即したきめ細やかな進行管理を行い、またその情報を国に集約していくことが大事だと思っております。

 あと3点、資料の記述について申し上げますと、まず1つ目は先ほど薬師寺委員からお話がありましたように、SDGsとの関係についてどこかで言及があったほうがいいと思います。

 それから第2章に関しまして、温室効果ガスの排出を暦年で見ているものと年度で見ているものがあるからだと思いますけれども、図1で二酸化炭素排出の推移があるだけで、温室効果ガス排出の総量の変化が示されていないということで、はじめにで述べられているような、これまでの目標の達成具合との関係も含めて総排出量の推移を示すべきではないかと感じました。

 最後の第3章、第2節の対策・施策に関しては排出削減ポテンシャルの大きいものと小さいものが混在していまして、削減見込量を付記するなど、メリハリをつけた記述が望まれます。ほかの委員からもございましたけれども、2050年カーボンニュートラルを目指すための2030年目標ですから、例えば寿命の長い建築都市の対策のように、2050年に影響の大きい対策を強調することも必要だと思っております。

 以上です。

○山地座長

 どうもありがとうございました。

 それでは、産構審側に移りまして井上委員、お願いいたします。

○井上委員

 このたびの地球温暖化対策計画の取りまとめ、ありがとうございました。冒頭、御説明いただいた内容に大きな違和感はございません。

 資料14ページ、第2章で「温室効果ガスの排出削減・吸収の量に関する目標」を御説明いただいた。この大変野心的な目標をわずか9年という短期間で達成することは容易ではございません。2030年までの期間はカーボンニュートラルに資する現存技術を確実に社会実装しつつ、イノベーションにもチャレンジしていく時期であることから「3E+S」のうち、とりわけ安定供給及び経済効率性に配慮したエネルギー政策が求められています。

 特に、このコロナ禍における中小企業を取り巻く厳しい経営環境及び国際的にも割高な電気料金に鑑みると、エネルギーコストのさらなる上昇は中小企業の経営を圧迫し、産業競争力の低下につながるおそれがございます。

 政府におかれましても温暖化対策の推進に伴うコスト上昇を明確にお示しいただき、国民に理解を求めることが重要になるのではないでしょうか。政府には民間による取組を力強く促すインセンティブとなるような、あらゆる施策を総動員していただくとともに、野心的な目標の実現にふさわしく諸外国に見劣りしない大規模かつ、そして積極的な財政支援を期待しております。

 第3章の「目標の達成のための対策・施策」では、産業界における自主的取組の推進や省エネルギー性能の高い設備・機器の導入促進、また、中小企業の排出削減対策の推進等についても記載をいただきました。地球温暖化対策が喫緊の課題であり、取り組まなければならないことは中小企業の経営者としても十分承知をしており、事業内容に照らしながら省エネに取り組むなど、積極的に対応していきたいと思っております。

 ただし一方で、中小・小規模事業者は利益率が非常に低い中で温暖化対策に取り組まなければならず、どうしてもコストの問題を抱えています。過度なコスト負担により、事業本体が回らなくなってしまうことは本末転倒でございますし、中小・小規模企業が地球温暖化対策に取り組む際のコスト面への影響についても今後も十分に御留意いただきたく、お願い申し上げます。

 また、34ページの「(g)中小企業排出削減対策の推進」でも御説明いただいておりますが、中小企業等の排出削減設備導入支援や、設備投資等の取組のフォローアップなどの御支援や、業種・業態規模によって何から取り組めばいいのか相談できる窓口の設置、それぞれの省エネ設備の各社技術や費用の比較表の提供など、サポートを拡充していただき、各経営者が段階的に取り組みやすい仕組みをつくっていただきたいと思っております。

 また同時に、省エネルギー意識向上に向けた広報活動などは非常に重要であると考えております。

 本計画では国や地方自治体、そして事業者・国民等全ての主体が参加し、日本全体で取り組んでいくことがよく示されていると受け止めております。各種メディアやSNS等、様々な情報提供ツールを活用し本計画について国民に周知・PRし、理解醸成を徹底的に図っていただき、本計画の実効性を高めていただきたいと思います。

○山地座長

 ありがとうございました。

 それでは、中環審側の委員に参りまして小西委員、お願いいたします。

○小西委員

 ありがとうございます。

 まず、今回の温対計画の改定案は前と比べてフェーズが違ってきたなと、非常に意欲的になったなと思っております。1.5℃を目指すとか、バックキャスティングでとか、ネイチャーベースド・ソリューションとか、サーキュラーエコノミーとか、今まで気候変動と関連ない分野との連携ですとか、失業なき労働移転の支援など本当に今までとは違ってきたと感じております。

 先ほど髙村先生がおっしゃったように、まず今までとは違ったフェーズに向かっていく。日本も2050ゼロ、そして203046%、50%の高みを目指すという中での温対計画であることを、まず最初に打ち出していただければなと思っております。

 また今回の都道府県、市町村の脱炭素計画の促進ですとか、再エネ目標の設定とか、促進区域など非常に明確に、どのようにしていくべきかということも示してありますので、地域のものに関しては非常に微力ながらWWFもぜひ御一緒に汗をかいていきたいなと思っております。その上でエネルギーと、それからバイオマス、そしてバイオプラスチックについて述べさせていただきたいと思います。

 まず54ページなのですけれども、例えば自主的枠組みで定められた排出係数0.37kgですとか、高度化法に基づく非化石電源比率44%以上。これらはもともと26%削減のためだったものですので、46%となった今、本当はこれらの目標を見直すべきではないかと思っております。政府の責任としましては、高度化法に基づいて今後もやっていくならば非化石電源比率を見直して、「基準以上とすることを求める」では不十分ではないかと思います。

 この中では、例えば見直された排出係数の目標の達成ができないと判断される場合には、施策の強化といったような表現があって見直されるのを前提としているような、非常に事務方の御苦労された点が何となく透けて見えるのですけれども、本来は自主的な取組に委ねるのではなく、政策的対応に踏み込むのが46%削減のときの政策対応ではないかと思っております。

 また、石炭火力は御存じのようにもう最新鋭のものであっても、天然ガスの2倍近い排出をしますので、欧州を中心とする先進各国、CCSつきでない限り石炭火力はフェーズアウトを計画されています。もちろん非効率石炭のフェーズアウトを加速されることは重要なのですが、高効率を19%も残すなどと石炭火発の利用の継続を明示している状態では、COP26を前にNDCに説明されていくのだと思うのですけれども、本当に日本の真剣度が問われるかなと思っております。

 また2030年の排出削減、家庭部門で66%、業務部門で約50%と書いてありますけれども、これは間接排出ですので、いずれも約7割が電力由来の排出ですので、エネルギー転換部門の責任が大きいということになります。省エネ推進はもちろん非常に重要なのですが、一番大事なのは再エネの比率を高めることですので、今回3638%と示されていますけれども、大きく上回る施策が必要ではないかと思っております。

 今回の合同部会は、経産省と環境省が合同で温暖化対策を、エネルギーも含めて話し合える場だったと思っておりますので、これまでよりはより踏み込んだ体制になったと思っているのですが、エネミックスについてはあまり実現の中に意見が反映されていかないのかなと思っております。これについて環境省さんと経産省から御見解を伺いたいと思っております。

 あと当然カーボンプライシングとかも、本当は石炭火発のフェーズアウトとか再エネのFIT制度からの卒業を促して国民負担を軽減させる施策でもありますし、国境調整措置も始まりますので、出遅れて日本が欧州の枠組みの中に組み込まれていって追随せざるを得ないというのではなく、防戦ではなくてきちっと日本も炭素価格が見える形にしていくことが非常に重要ではないかと思っております。

 欧州のリカバリーパッケージでも、労働、グリーン、デジタルに向かって、かつ今回のコロナからの回復も含めてということで非常に重点を置かれていますけれども、今回コロナ禍では本当に労働移転の支援というものが、ちょっと言葉が入っているだけ。これは吉高委員もおっしゃっておられましたけれども、ここはすごく重要なのでもっと拡充していただければなと思っております。

 あとバイオマスエネルギーなのですけれども、森林吸収源対策として記載があるのですが、発電時でもCO以外の温室効果ガスがある。プラス原料生産時にも温室効果ガスを排出すると指摘されていますので、木質バイオマスの利用促進が本当に温暖化ガスの排出削減策として適切かどうかということは、十分な科学的根拠が必要だと思っております。欧州委員会が発表した報告書でも、ほとんどの森林バイオマスはより多く温室効果ガスを排出すると結論づけているので、この点についての御見解も伺いたいと思っております。

 あとはバイオプラスチックなのですけれども、58ページです。現状では、バイオプラスチックのライフサイクル全般にわたる持続可能性は世界的にはほとんど担保されていません。循環基本法の中では廃棄物の処理についてはリデュース・リユース、それからリサイクルとなっていますので、プラスチックをバイオマスプラスチックに置き換えることは、それだけでは本来優先するべき廃棄物全体のリデュースやリユースにつながらないのではないかと思っております。この点についても御見解を伺えればと思います。

 時間が限られておりますので全部をちょっと言えないので、また後ほど書面でも提出させていただければと思います。

 以上です。

○山地座長

 中環審側の委員がこれから続くのですけれども、アイウエオ順の下から行っていますので、次は大塚委員長、お願いいたします。

○大塚委員長

 恐れ入ります。私は注文をつける側では必ずしもないですが、たくさんのよい意見を言っていただいて、大変ありがたいと思っております。

 進捗管理についても御意見がたくさんございまして、特に三宅委員の御意見と小川委員の御意見が重要だったと思っていますけれども、20ページのところにあるように、今回国の各機関は温暖化防止を主目的としない施策の実施とか計画の策定に当たっても、この計画の基本的考えに沿って温室効果ガス排出量の削減に資するように配慮することとしたというのは、行政において他事考慮の問題を解決できるという観点からも非常に重要なポイントであると思っています。多分制度的な枠組みが将来必要だと思いますけれども、とにかく今回閣議決定される計画においてこういうことが定められるというのは大変重要なことだと思っています。

 しかし、進捗管理に関して毎年データが、温室効果ガスの排出量が出てきたときに施策の見直しをすることに関して、必ずしも明確なことが書けていないので、足りない場合には新しい施策を打つようなことに関して何か書ければ本当はいいと思っているのですけれども、ちょっとそこがまだ足りない。なかなか難しいところかなと思っているところでございます。コストパフォーマンス等の関係で小川委員のおっしゃったこともよく分かりますが、どこまで書けるのかは、これから考えなくてはいけないところかなというようにお伺いしておりました。

 2つ目ですけれども、髙村委員がおっしゃった点はどこも重要なところで、特に現在温暖化対策を進めることが日本の産業政策にも関係するという点は重要な点だと思いますので、現在企業さんが取引先とか金融からいろいろなプレッシャーを受けておられることも含めて、あるいは炭素国境調整の話との関係でもそういう状況に至っていると思いますので、そういう認識はどこかに書き込めたらいいなと私も思っているところでございます。

 それから髙村委員がおっしゃった第3点の企業のサプライチェーンの削減の話は、私も非常に重要だと思っていて、算定・報告・公表制度に関して74ページの記述に、スコープ3の排出に関しても出す必要があるようなことに関して何か書き込めないかと考えてはいるのですけれども、今のところうまくいっていないですがちょっと検討させていただきたいところです。

 あと細かい点で2つだけですが、1つ、自動車の車体税のグリーン化に関して44ページ辺りに出ていますけれども、インセンティブとか助成の話ばかりになっていて、車体税のグリーン化は負担の税をかけるほうの話もあったのに完全に助成だけの話になっているのか。ちょっとバランスが欠けているかなという気がしまして、ここの書き方については表現を考えていただけるといいかなというのが1点。

 最後はエネルギーミックスの話です。エネルギー基本計画のほうでおやりになることだと思いますけれども、既にいろいろな議論がマスコミ等でも出ているように、原発に関しては賛否がありまして、ここでそれをとりあげるつもりはないですが、ただ、20~22%まで原発のシェアが確保できなかった場合のプランBを考えておかないと、何で穴埋めをすることになるのかという問題が出てきたときに、温暖化対策全体に大きな影響を与えてしまうので、この問題は真剣に考えないといけないということを、一言申し上げておきたいと思います。

 以上でございます。

○山地座長

 続きまして中環審側、江守委員、お願いいたします。

○江守委員

 取りまとめ、ありがとうございます。重要なことがいろいろ書いてありますけれども、幾つか気になったことを申し上げたいと思います。

 まず第1章の基本的な方向に関してですけれども、科学的な認識はIPCCの新しい報告書が2週間後に出ますので、アップデートされるところがあるだろうなと思っております。

 現時点で1つ気になるのは1.5℃目標と日本の脱炭素目標の関係ですけれども、1.5℃に整合するためには2050年に世界のCO排出量を実質ゼロにしなくてはいけなくて、日本は先進国ですので、2050年カーボンニュートラルでいいのかという問題があって、これは完全に整合しているとは言えないというように科学的には言えると思います。だからといって今すぐそれよりも前倒しすべきだというわけではないですけれども、努力の追求の途上であるという認識はごまかさずに認識共有すべきではないかと思いました。

 もう1つは、基本的な考え方としていろいろ書いてありますが、その中に気候正義を入れるべきではないかと僕は思います。世界では基本的な考え方になっていると思います。本会合で若者が明確に主張いたしましたので、若者のヒアリングを反映させる意味で、気候正義というのが基本的な考え方にふさわしいと思いました。

 それから第3章に行きまして国民の基本的役割ということが書いてあるのですけれども、そこに書いてあることは基本的に自分の、一人一人の生活の中から排出を減らすための行動とか、選択ということで、僕は狭いのではないかと思いました。国民というのはもっと能動的に政策を支持したり、反対したりですとか、企業の取組を支持したり、反対したりとか、地域の計画づくりに参加したりできますし、市民発電を始めることもできますし、裁判を起こすこともできますし、あるいは選挙で投票することもできるわけです。そういうことは別にこういう計画に書き込まれるようなことではないかもしれませんけれども、そこに書いてあることのみが国民の基本的役割であると規定されてしまうと、それ以外は基本的役割ではないことになってしまいますので、それは非常に問題があるのではないかと思います。

 関連してですけれども、97ページとかにも国民の意識変革とか、行動変容とか、環境教育というメニューが書いてあったりするわけですけれども、僕自身の実感としましては、国民の関心は多様なので大多数の人たちがそういった意識変革したり、行動変容したりということを期待するのは難しいのではないかと正直言って思っています。やはりルールづくりのほうが重要で、国民がルールづくりにどう関わるかということのほうが重要ではないかと、ずっと主張してきております。

 質問ですけれども、国民の行動変容でどれぐらい排出削減を見込んでいらっしゃるのか。国民の何割が行動変容することを見込んでいらっしゃるのかということがありましたら教えていただきたいと思います。

 以上です。

○山地座長

 では、続きまして中環審側の石井委員、お願いいたします。

○石井委員

 ありがとうございます。

 まず、2050年カーボンニュートラルという、菅総理の宣言に非常によく即した整合的なプランであることを高く評価したいと思います。その上で大きく分けて2つ申し上げたいと思います。

 まず第1は、そもそも何故気候変動問題が重要かという点です。事の本質は我々の現在の経済システムが安定的で、自主回復力のある地球のシステムと衝突しているという科学のメッセージがあるということです。この科学のメッセージに即した形で、海外、特にヨーロッパ、アメリカで、TCFDとか、サステナブルなサプライチェーンとか、あるいは国境調整メカニズムという動きが起こってきているということです。

 科学の意味するところをしっかりと捉えて、どのような経済制度転換が必要かということを考えなくてはいけない、そういうところに来ているのだろうと思います。我々がやろうとしていることは生半可なことではなく、その観点から提案を読ませていただくと、まだ産業の自主的な取組であるとか、あるいは今江守委員がおっしゃった、やや少し閉じ込めてしまった形での行動変容とか、国民とか業界の善意に任せたような形の提案になっていることが気になります。相当部分はしっかりと政府が大きな方向性を見据えた上で、自主的というよりは制度・政策で固めていくべきことを明確にする必要があると思います。何人かの先生がおっしゃいましたが、これから日本が取っていくいろいろな制度・政策が一貫して、整合的なものとしてカーボンニュートラルを支えていく必要があると思います。

 三宅委員がイギリスの気候変動委員会に言及されていたと思います。彼らが出しているプランは、かなりしっかりとセクターごとにどのような投資が必要で、それによってどのようにカーボンが削減されていくということが分かるようになっていて、かつ、それが5年に一度アップデートされていきます。またこうした投資によって経済効果がどのくらいあるかも併せて分析されているので、経済全体で見ると、2050年までにGDPの0.5~1%の中でトランジションが可能であることが示されています。こうした分析が必要であろうということは、何人かの先生がおっしゃっていたとおりだと思います。

 ETC(エネルギー・トランジション・コミッション)がやっている分析では、カーボン・プライシングによってハード・トゥ・アベートと言われるセクターではコスト高になるが、それが最終製品に転嫁されて個々の需要者とか消費者に行ったときは、それほど大きな金額にはならないという分析もあります。こうした分析が出されてくることが重要だと思います。

 2点目ですけれども、経済システム転換に向かって覚悟を決めるとき、これを乗り越えたらどのような社会になるだろうというビジョンが共有されていくことが重要と思います。どうしても負担ですとか、我慢ですとか、競争力低下ということになると、みんなが一致して大きな方向を見ることになりません。しかし、物事の本質が地球のシステムと人間の経済・生活の衝突というところにあるとすると、このまま進んでも有限な資源をめぐってのロスとストレスの多い生活になってしまいます。これを人間の生活と地球環境との関係を見直す、リデザインするという問題にしないといけないと思います。電源がもっと分散型になるとか、都市が住みやすくデザインされるとか、循環可能な、あるいは再生可能な資源を使うことによってライフスタイルが大きく変わる。それが将来的に望ましい方向になるのだというビジョンが描けないといけないのではないかと思います。

 グラスゴー(COP26)では、カーボンの話に加えて、ライフスタイルの変更とか、気候変動の原因をもう一回問い直す意味で、自然資本の話が出てきているところです。自然資本にも目を向けて、我々の経済社会システムの在り方と地球の関係を見直すという観点で見ていくと、つらいとか追い詰められたことだけではなくて、これをやったらすばらしい未来が待っているのだというようなデザインができるのではないかと思います。

 以上です。

○山地座長

 どうもありがとうございました。

 以上で一通り委員の意見をお伺いしました。ちょっと最後に私も産構審側の委員の一人として、一言申し上げさせていただきたいと思います。

 私も皆さんがおっしゃいましたけれども、事務局においては今までの議論を丁寧に拾っていただいて、いろいろ盛り込んでいただいたと思って感謝しております。

 重複することが多いのでごく簡単に申し上げますけれども、今石井委員もおっしゃったように、ほかの委員も指摘されたのですが、今回案としてまとめた温対計画を実行すると、当然投資であるとかいろいろコストがかかる。その辺りをできる限り具体的に表記できれば表記してほしいし、今回できなければ、それは1つの課題だと受け止めてほしい。もちろんコストだけではなくて、それを成長戦略に結びつけていくのが基本である。これは十分に書かれていると思いますけれども、しかしコストが成長戦略にどう結びついていくのか。そこが十分に見えないところに皆さんの不安とか懸念があるわけなので対応していただきたい。

 もう1つは非常にスペシフィックなところで、今回も何度か出ましたし、私もこの会合で何度か申し上げて、今日の杉山委員の意見資料にもありますけれども、彼は政策のカーボンプライシングと言っています。要するに、私、何度も申し上げたけれども、送電網の増強計画のところの費用便益分析ではカーボンプライシングとして一定の値を仮定して便益の中に、COを下げる便益を金額換算しているわけです。またアメリカはソーシャルコストカーボンを政策評価として制度化をしているわけです。政策のカーボンプライシングの制度化というところは私を含めて何人かが言ったわけですので、そこはこの計画の中で盛り込むスタイルのものではないかもしれないけれども、何らかの形で今後展開していくことを希望しております。

 私の委員としての意見は以上でございまして、それから今も申し上げたけれども、欠席の杉山委員からは事前に意見を文書で出していただいておりますので、主要な内容について議事録に反映していただきたいと思います。

 それでは、ちょっと長引いておるのですけれども各委員からいただいた御質問とかコメントについて、環境省及び経済産業省から御回答をいただきたいと思います。順番については事務局にお任せします。

○梶川室長

 事務局です。

 もしよろしければ環境省さん側の質問が多かったかと思いますので、環境省側から始めていただいて、その後、経産省、エネ庁でお答えしたいと思います。お願いします。

○坂口室長

 それでは、環境省のほうからお答えできるものについてお答えいたします。かなり幅広くいろいろ御意見、御質問をいただいておりますので、全てについて網羅的にというのが難しい部分がございますけれども、全体として記述について少しこういった点が足りないのではないか、それからこういったことも考えるべきではないかと幅広くいただいております。これからまた経済産業省さんともいろいろと御相談をしながら、どのような記載ができるか、または記載ができないまでもどのような対応が今後できるかということについて、しっかりと受け止めて検討していきたいと考えております。

 具体的な御質問をいただいた中でいきますと、HFC、フロン対策のことについて幾つか御質問、御指摘をいただきましたが、これはフロン対策室から後ほどもし答えることができればと思いますので、準備をお願いします。

 それからソーラーとかの辺り、例えば再エネを進めることについて、より地域の問題、それから環境対策、しっかり規制とともにやるべきではないかといった御指摘をいただいております。これについては先ほど資料説明の中でも少し申し上げたのですけれども、地域単位で促進区域とか、こういった場所へと合意形成をしていく中でしっかりと考え方を示していくのかなと思っていまして、そこの方針については環境省からもしっかり援助ができればと思っております。我々としても地域に何らかの利益があって、しっかり合意形成ができるような場所につくっていくことが大事だと思っております。

 それから森林のことについてどういった対策をやっていくのか、それからどれだけコストがかかるのかといった御指摘もいただいております。今回森林の吸収源については少し吸収量を増やしているのですけれども、より管理をしっかりしていくということ。それからエリートツリーのようなものを活用していくことに加えて、最新の科学的知見で確かに日本の老齢林、かなり高齢化しているのですけれども、この年限においてはもう少し実際に吸収しているようだといった知見もありましたので、そういった科学的知見も活用した上での今回の拡充ということでございます。

 それから地域脱炭素に向けて様々使い勝手のよい支援措置が必要であるとか、どういったことをやればいいのか。そういったことについても、しっかり情報の提供をお願いしたいといった御指摘もいただきました。まさに必要なことだと思いますので、支援をしていければと思っております。

 あと、エネルギー基本計画の議論に対して環境省がどのように関われたのか。そういった御指摘もいただいたのですけれども、後ほどエネ庁さんからも御説明があるのではないかと思いますが、環境省から毎回オブザーバー参加もしておりますし、それから環境省としてどれだけ再生可能エネルギーをより地域とか、理解が得られる形で増やしていけるのかといったことについてもしっかりとプレゼンをさせていただいて、それも反映していただいている。日々エネ庁さんとも連携しながらやっておりますので、我々としてもしっかりと一定の貢献ができたのではないかと思っております。

 そのほかバイオマスの活用に関しても、例えば海外のあまり持続的でないような森林の利用というような形でやることに関しては、確かにいろいろと問題も生じるだろうと思っております。実際に日本のバイオマス活用に関しては、どういった森林を使っているのか、そういった認証をするような仕組みもあると聞いておりますので、そういう活用をしっかりやっていくことが重要だと思います。

 それからフォローアップで施策が足りない場合にどうすればよいのか、そういった仕組みが必要ではないかといった御指摘も大塚委員長からいただきましたけれども、115ページ、本文の20行目以降にフォローアップに関して進捗が足りない、何らか施策が足りない場合にはより考えるといったことについても記載をしておりまして、これが毎年のフォローアップにおいてどれだけ機能しているかといった御指摘だったのかなと思いますけれども、ここについてどのように実効性を持たせていくのかという点については、これからしっかり検討していきたいと思っております。

 あと国民の何割が行動変容すると見積もっているのかといった点については、ちょっと今ここに明確なデータが手元にありませんけれども、担当から。

○村井室長補佐

 江守委員から御指摘のありました国民の行動変容の程度につきましては、今直ちにお示しできるものはありませんけれども、例えばクールビズ、ウォームビズ、それからエコドライブですとか、各種取組に応じてどれぐらいの行動変容が見込めるのかということを定量的に積算しているところでございまして、その辺りの資料につきましては、また次回お示しすることができるのではないかと思っているところでございます。

○坂口室長

 あとフロン対策と、それから循環対策についてそれぞれ担当から説明をいたしますので、まずフロンのほうからお願いします。

○豊住室長

 環境省フロン対策室長の豊住でございます。

 山下委員から、特に代替フロンにつきまして2030年の目標達成に向けてどういった対策を考えているのかといったことですとか、あと髙村委員から、非エネルギー対策のうちのHFC対策が重要であって、上流対策をしっかり書き込んでということで御意見をいただいてございます。こちらフロン対策につきましては経済産業省と環境省が共管になってございますけれども、時間の関係もございますので、私のほうからまとめて回答させていただきたいと考えております。

 特にフロン対策でございますけれども、これは資料の60ページ以降に具体的に記載をさせていただいております。特に上流対策に関しましてはモントリオール議定書のキガリ改正によりまして、今後HFCの製造・輸入につきましては順次削減をしていく予定となっておりまして、基準量が2011年から2013年の数値を基にされておりますけれども、そちらに比べて2036年には15%まで、すなわち85%削減していく予定にしております。それを着実に実行していくこととしておりまして、こちらも案のほうに記載をさせていただいているところでございます。

 また、山下委員から御質問いただいております回収率をどうやって上げていくのかという点につきましても、こちらは令和元年にフロン排出抑制法が改正されておりまして、昨年4月から施行されておりますけれども、フロンの回収率の向上を目指して改正されたものでございまして、廃棄時においてフロンが着実に回収されるように関係者が相互に連携するといった仕組みですとか、回収が行われない場合の違反に対して直罰を導入するといったことで罰則の強化等が行われておりますし、また都道府県の指導監督がしっかりと実効性を上げられるように、ということでの改正も行っておりまして、改正フロン法をしっかり施行することにより回収率をしっかり上げていきたいと考えているところでございます。

 加えてフロン法に基づく回収ルートに入ってきたものにつきましても、どうしても機器の中にフロンが残ってしまうような技術的な課題もありますので、それらの技術的な課題の解消も併せて実施していきたいと考えているところでございます。

 フロンにつきましては以上の御説明とさせていただきます。

○大川課長補佐

 続けて、環境省の環境再生・資源循環局の大川です。

 吉高委員が御指摘の98ページと100ページで食品ロスが何で2回出てくるのかという点でございますけれども、98ページは家庭や職場での様々な脱炭素の取組を促すという、普及啓発の一例として食品ロスを提示しているところでございます。100ページのほうですけれども、一部内容に重複がございますが、消費者への普及啓発や事業者の商習慣を含め、取組を推進していくということで書かせていただいているところでございます。

 小西委員から御指摘のございました単にバイオプラに置き換えるだけでは不十分であって、リデュース・リユースが必要であるという御指摘ですけれども、そのとおりであると考えております。58ページに記述のあります、バイオプラスチック導入ロードマップに先立ちまして、2019年5月にプラスチック資源循環戦略を策定しておりますけれども、この中でバイオプラスチックの普及を進めるとしてきた経緯がございます。プラスチック資源循環戦略では3R+リニューアブルの基本原則を挙げているところでございまして、リデュース・リユースの取組とともにバイオプラの取組も進めてまいりたいと思っております。3R+リニューアブルの基本原則については40ページ、58ページ、60ページにも明記をしているところでございます。

 私からは以上です。

○小笠原課長

 続きまして、地球温暖化対策課の小笠原でございます。

 増井委員、山口委員を初め、何人かの委員から国民の行動変容の必要性ということで御指摘をいただきました。江守委員も御指摘のとおり、普及啓発的なものだけでどこまで、多様な情報があふれる中でどこまで可能かどうかというところの限界はもちろんあろうかと思います。そういう前提で、普及啓発的なもので国民の行動変容のために取り組んでいくことは重要だと考えております。そのためにナッジの活用であるとか、排出量の見える化ということも含めて取り組んでまいりたいと考えております。

 それから山下委員、大塚委員から算定・報告・公表制度について御指摘をいただいております。温室効果ガスの算定・報告・公表制度につきましては、先の国会における法改正を受けた施行の準備を今現在しているところでございます。省エネ法の改正につきましては環境省もオブザーバー参加しているので内容を検討中と承知しておりますが、そういった状況も見ながら算定・報告・公表制度のほうでどういった対応が必要かということを、梶川室長のところとも御相談しながら検討していきたいと考えております。

 それから吉高委員から、ESG金融と不動産との関係についての御指摘がありました。この温対計画(案)の中で書き込んでおりますのは、建築物・住宅の性能表示を進めることが必要だということで、今住宅・建築物の検討会で検討しておりまして、そういった性能表示の推進といったことも、この温対計画(案)の中に盛り込んでいるところでございます。

 バイオマスにつきましてはエネ庁さんからも重ねて御指摘があるかと思いますけれども、エネ庁さんのバイオマスワーキンググループのほうで、ライフサイクル全体を見た持続可能性の評価をどうするかということで検証を現在進めているところで、FIT制度の対象をどうするかという文脈の中でそういったことも検討をしているところでございます。

 以上です。

○飯野課長補佐

 環境計画課で課長補佐をしています飯野と申します。

 少し重なる部分もあるのですけれども、吉高委員、それから竹ヶ原委員から地域金融機関の重要性について御指摘がございました。大変重要なポイントでありまして、地域脱炭素ロードマップには多数の箇所に地域金融機関の役割、特に資金支援主体ということだけではなく、ビジョンを描きノウハウを提供する中核的な役割ということを強調してございます。実践に当たり金融庁とも連携チームをつくりまして、しっかり連携して進めていくことにしてございます。

 地方支分部局について財務局の記載がないことに御指摘がございましたけれども、国・地方会議のメンバー省庁で具体的な支援ツールを支分部局レベルで有している役所をリストしたということでございまして、財務局が入っていないわけですけれども、いずれにしても、金融庁としっかり連携して、きめ細かい後押しを進めていきたいと考えております。

 それから薬師寺委員の御指摘で自治体の複数年度支援、それから事務事業編の支援につきまして、改めて御指摘ございました先行地域の具体的イメージについては今年度内にガイドブックの形で示す予定でありまして、その支援に当たります予算事業等について現在しっかり検討しているところでございます。

 以上です。

○坂口室長

 あと加えて環境経済課から、あと1点だけ御説明します。

○安田課長補佐

 環境経済課の課長補佐の安田と申します。

 大塚委員から、税のところで車体課税についてもしっかりと書き込むべきではないかと、あめとむちのむちのほうですね。そういった御指摘がございましたので、こちらは記述が修正できないか検討したいと思います。

 以上でございます。

○梶川室長

 それでは、経済産業省関係から御説明をしたいと思います。

 幾つかございまして、まず吉高委員から金融業界については、いわゆる資金の出し手ということ以外にも、金融業界そのものの削減の活動についてどう位置づけるのかという御指摘があったかと思います。この政策そのものは金融庁さんということであるのですけれども、資料の27ページに経団連さんの低炭素社会実行計画というものがございます。これは各業界単位で削減目標を決めて、それに対して実行していくものですけれども、低炭素実行計画の参加団体として全銀協さんであるとか、生保協会であるとか、主要な金融業界が入っていらっしゃって、そこでまさに取り組んでいるということもございますので、もちろん様々な取組がありますけれども、この温対計画の中では自主的な取組をやられているということでございます。

 またTCFDの中では、もうお話しする内容ではないですけれども、まさに金融業界そのもの、自らのポートフォリオについてのいろいろな開示が迫ってくることは認識しておりまして、ここについては金融庁さん、環境省、経産省でTCFDの開示促進に向けた取組もしておりますので、こういったことで民の動きを政府としても支援していくことを考えているところでございます。

 そして、幾つか御質問をいただきました。髙村委員と大塚委員長からスコープ3がこれから大事になってくる。その中で製品・サービスのLCAが大事という話がございました。いわゆる消費段階で見える化していくこと以上に産業競争力にとって大事という御指摘があったと思います。そこもしっかり考慮しながら政策を進めていくことが必要かと思っております。

 その中で、先ほど温対課の小笠原課長からもございましたがSHKにおける意義づけとか、位置づけについては様々な論点があると思っています。スコープ3については計測の手法、バウンダリーをどうするのか。あとSHKでは1.4万社ぐらい報告対象者がいる中で中小企業がかなり多いことを考えると、いわゆる直接排出そのものもなかなか計測できていない事業者がスコープ3までどこまでできるのか。いろいろな論点がございますので環境省とうまくお話をしつつ、よい政策になるように検討していきたいと思っているところでございます。

 あとは山地座長と杉山委員から再三政策のカーボンプライシング、制度化という話がございました。現在の地球温対計画、本日お示しできておりませんが、個票でそれぞれの政策、あとどういった予算措置を使っているのか。その上で2030年の排出見込量がどれぐらいかというのは、個別に出しているところであります。他方で、これそのものはあくまで1つの参考値ということですので、制度化という話がございましたけれども、どういう形で進められるのか。環境省さんとも少し御相談をしたいと思っているところでございます。

 経産省は私からで、エネ庁の西田室長が多分入っておると思いますので、エネルギー関連についてお答えをお願いいたします。

○西田室長

 資源エネルギー庁戦略企画室長の西田でございます。

 複数の御質問、御意見をいただき、ありがとうございます。順番にお答えしていきますと、我々としても今回の野心的な見通し。46%削減につながる見通しというのをやっていく中で、当然コストのことは重々考えていかなければいけないということでありまして、再エネが増えていくのでFITのところも増えていきますけれども、ここをいかに抑制していくか。当然電気料金が高額にならないようにという御指摘はごもっともでありまして、そこの抑制をしっかりやっていかなければいけないと考えております。

 あと環境省さんからもありましたけれども、再エネをこれから導入・拡大していく上で、我々推進官庁サイドとしても安全規制の問題ですとか、あとは地域の共生ということで、ここは環境省さんと一体となって進めていきたいと思っております。

 それから原子力についての御指摘を幾つかいただきましたけれども、御指摘を重く受け止めまして、様々抱える課題についてしっかりと対応していきたいと思っております。

 それからエネルギーミックスのところでございますけれども、環境省さんからもございましたが、とりわけ再エネがどのぐらい導入可能かということで、様々な段階から総合エネ庁の小委員会なども含めまして相当数ヒアリングなども行いまして、そこには当然環境省さんも参画いただき、また事務レベルでも相当様々な打合せを行いながら、これはきちっとPDCAまで回せるという前提でありますので高い数字だけ置くということではなくて、しっかりとPDCAを回せる前提でここまでならいけるのではないかということで、再エネであれば36~38%ということで先般お示しさせていただきまして、当然環境省さんとも一緒になって合作ということでございます。

 それからバイオマスにつきましても、今回エネ基の素案にも書いてございますけれども、バイオマスについて様々な課題があることは重々認識しておりまして、FIT制度などにおきましても持続可能性基準を満たすように求めていくことは、引き続き追求していきたいと考えてございます。

 それからミックスの原子力、20~22%に行かない場合にどうなるのかという御指摘もいただいておりますけれども、これは原子力に限らず省エネ目標にしましても、前回2030年目標をさらに2割深掘りする目標でありましたり、そのほか再エネも先ほど申し上げたとおり、相当各省の知恵を絞ってここまでならいけるのではないかという形でかなり野心的な目標を設定しておりまして、それぞれ相当実現達成が今確実にいけると楽観視しているものではございませんで、それぞれの目標について関係省庁が一体となって、まずこの目標の実現を目指していくということであろうと思いますので、これは原子力に限った話ではないと思っております。

 それから石炭のところ、19%という高い数字でという御指摘もいただきましたけれども、我々としましては再エネを最大限どこまでいけるかということでありまして、もう一方の原子力も既存の目標までしっかりと再稼働を進めていく中で残るところをどういう形で、安定供給を損なわないような形で確保できるかということで、LNGと石炭で20%、19%という形をお示しさせていただいておりますが、これ自体も現在あと9年。残りの時間を考えると現在の石炭に頼っているところからここまで減らしていくこと自体、並大抵のものではございませんで、当然様々な課題の中でここまではやっていきたいと思ってございます。もちろん国際的な御議論が様々あると思いますけれども46%、さらには2050年カーボンニュートラルのパスは、それぞれの国の事情を踏まえてやっていく必要があると思っていますし、我々資源エネルギー庁としては安定供給というところは外せない要請だと思っていますので、ここをしっかり担保しながらどうやって進めていくかということを、引き続き考えていきたいと思っております。国際的な風向きということも重々認識しながら、今回ぎりぎりの案としてお示しさせていただいているということでございます。

 あと国民負担の大きさというところでございますけれども、冒頭申し上げましたコストを下げていくというのは当然なのですが全体で、例えばエネルギー部門で今回省エネ投資を含めて総額幾らなのかというのはなかなか示しておりませんので、それは引き続きの検討課題かなと思っております。

 私のほうからは以上でございます。

○梶川室長

 ありがとうございます。

 経産省、エネ庁関連、以上でございます。

 山地座長、よろしくお願いいたします。

○山地座長

 どうもありがとうございました。

 この合同会合自体、予定は3時半までで余り時間はないのでございますけれども、再度御発言を御希望の方はチャット欄がありますので、そこでお知らせいただければ、ごく簡単なものを少しはお受けできるかと思います。また今日時間が制約されていますので、御意見がある方は事務局に御送付いただければ、それを取り込むということでございますので御対応をよろしくお願いします。ということで残りわずかな時間でございますけれども、再度御発言を御希望の方、右下をクリックするとチャットボックスが出てくると思いますが、そこに書き込んでいただければ御指名いたしますので、よろしくお願いします。いかがでございましょうか。――時間制約を強調し過ぎましたか。特にチャットボックスには今のところ何も記入はございません。

 それでは、先ほども申し上げましたけれども、さらに御意見がおありの方は、事務局に意見を提出いただく御対応をしていただければと思います。

 では、以上で本日の議事は全て終了ということにいたします。

 最後に、事務局から何か連絡事項等あればお願いいたします。

○梶川室長

 どうもありがとうございます。

 関係省庁の皆様、あと委員の皆様、本日も活発な御議論をいただき、ありがとうございました。

 本日の議事録につきましては事務局で作成の上、委員の皆様の御確認をいただいた上で、ホームページに掲載をさせていただきます。

 また、次回の開催については詳細が決まり次第、別途御連絡を申し上げます。

 以上でございます。

○山地座長

 ありがとうございました。

 それでは、これで閉会とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。

                             午後15時19分 閉会

○杉山委員 事前提出意見(参考資料1 杉山委員提出意見より前半部分を抜粋して掲載)