中長期の気候変動対策検討小委員会(産業構造審議会産業技術環境分科会地球環境小委員会地球温暖化対策検討WG合同会合)(第7回) 議事録

日時

令和3年5月19日(水)15:00~17:00

場所

WEBによる開催

議題

1.地球温暖化対策計画の構成(案)

2.パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略の見直しに当たっての考え方(案)

配付資料

議事次第

資料1:中央環境審議会地球環境部会中長期の気候変動対策検討小委員会委員名簿

資料2:産業構造審議会産業技術環境分科会地球環境小委員会地球温暖化対策検討WG委員名簿

資料3:地球温暖化対策計画の構成(案)

資料4:パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略の見直しに当たっての考え方(案)

参考資料1:江守委員提出資料

参考資料2:杉山委員提出資料

参考資料3:パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略(令和元年6月11 日閣議決定)

議事録

午後15時00分 開会

○坂口室長

 皆様、環境省事務局でございます。

 定刻となりましたので、ただいまから、第7回中央環境審議会地球環境部会中長期の気候変動対策検討小委員会・産業構造審議会産業技術環境分科会地球環境小委員会地球温暖化対策検討WG合同会合を開催いたします。

 本会合は環境省、経産省の両省が共同で事務局を担いまして、今回の事務局を務めます環境省地球環境局脱炭素社会移行推進室長の坂口でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、中央環境審議会の小委員会・産業構造審議会のWG、それぞれの過半数の委員にご出席いただいておりまして、定足数の要件を満たし、合同会合として成立しているということをご報告申し上げます。

 本日の合同会合は、コロナウイルス感染症対策のため、引き続きWEBにより開催させていただきます。開催の状況はインターネットで同時配信し、動画は、会議後、議事録公開までの間、WEB上で公開予定でございます。

 WEB会議の開催に当たり、何点かご協力をお願い申し上げます。

 通信環境負荷低減のため、ご発言の際を除きましてカメラの映像はオフにしていただきまして、ご発言の際のみオンということでお願い申し上げます。事務局側も発言する場合を除きましてオフとさせていただきます。

 なお、本日の会合ですが、吉高委員が会議途中からご参加となる予定で、髙村委員が16時過ぎから1640分頃までのご参加となる予定でございます。

 それでは、以降の議事進行を中央環境審議会小委員会の大塚委員長にお願いしたいと思います。大塚委員長、よろしくお願いいたします。

○大塚委員長

 どうも皆様こんにちは。どうぞよろしくお願いします。

 本日は、議事次第にございますように、まず(1)地球温暖化対策計画の構成(案)、(2)パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略の見直しに当たっての考え方(案)となっております。

 まず議題の(1)、(2)につきまして、資料3及び4に基づいて事務局からまとめてご説明いただいた後で、討議を行う形にしたいと思います。

 それでは、まず資料3及び4につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

○坂口室長

 それでは、資料3、4に基づきまして、事務局からのご説明をいたします。

 まず、資料3をご覧いただければと思います。

 資料3は、温対計画の構成の全体像ということで、案をお示ししておるものでございます。

 まず、ご覧いただいている1ページ目をご覧ください。こちらが全体像の案でございます。現在の計画は、5年前の平成28年5月13日に閣議決定されたものでございます。

 まず、こちらにありますとおり、「はじめに」と上にありますが、ここで気候変動を巡る最近の動きですとか背景となる事象について触れております。

 また、第1章は、地球温暖化対策の推進に関する基本的な方向性や考え方を示す部分でございます。

 また第2章は、我が国の目標の中身について具体的に記載をする部分。

 そして、第3章が、その裏づけとなります対策・施策を個別具体的に列挙する部分。

 そして、第4章で、計画全体の進捗管理等に関する事項について記載をするということになっております。

 そして、別表としまして、個別の対策それぞれについての具体的な数値目標、これを詳細に記載したものもお示しすることとしております。

 それでは、2ページをご覧ください。ここから、それぞれの章立てにつきまして、記載内容、方針について簡単にご説明を申し上げます。

 まず「はじめに」についてですけれども、まずは昨年10月の総理の2050年カーボンニュートラル宣言、そして、それに前後して見られました様々な主体による脱炭素に向けた動きの急速な進展について記載することとしたいと考えております。また、さらに、先般の気候サミットにおける総理発言についてももちろん触れていきたいと思います。

 また、科学的知見につきましては、現行計画を策定しました5年前の時点では出ておりませんでしたIPCCの1.5C°特別報告書についてもご紹介したいと思っております。

 このほか、気候変動枠組条約以降、パリ協定の発効に至るまで、また現在の交渉状況についてもご紹介をしたいと考えております。

 3ページをご覧ください。こちら第1章第1節でございます。ここでは、我が国の地球温暖化対策の目指す方向性について記載をするところでございます。中期目標の達成に向けた取組としましては、先般の気候サミットで総理が延べた方針、2050年カーボンニュートラルと整合的で野心的な目標として、我が国は、2030年度において、温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指す。さらに、50%の高みに向けて挑戦を続けていく。この方針について記載をする予定でございます。

 また、長期的な目標を見据えた戦略的な取組としましても、新たに2050年カーボンニュートラルという長期目標が宣言されたということを受けまして、脱炭素に向けた取組・投資やイノベーションの加速といったところについて記載をする予定でございます。

 また、3.ですけれども、世界の脱炭素化を牽引する国際的リーダーシップの発揮ですとか、世界の排出削減に貢献していくと。そういった方向性について記載をしたいと考えております。

 続いて、4ページ目をご覧ください。続いて、第1章の第2節でございます。ここは地球温暖化対策、我が国が対策を進める上での基本的な考え方を提示したいと考えております。

 まず、1.に記載がありますけれども、環境・経済・社会の統合的向上といたしまして、温暖化対策というのは我が国の経済活性化、雇用創出、地域問題の解決、こういったものにもつながるよう様々な工夫を凝らしながら進めるという、この基本的な姿勢を提示しております。この文章については、現行対策にも記載があるものではありますけれども、引き続きこれは重要な概念だと思っておりまして、この記載については堅持していきたいというふうに考えております。

 それから2.これは現行計画になかった要素でございますが、新型コロナウイルス感染症のことについても、やはり触れる必要はあるだろうと考えております。この合同会合におきましても、コロナ危機によって社会経済の枠組みが大きく変化しているとか、この変化に対応しながら新たな形の成長を見据えて気候変動対策を考える。そういった趣旨のご意見も数多くいただいているところだと考えております。こういった点についても、この基本的考え方の中で触れていくべきだろうと考えております。

 その他、3、4、5、6と、パリ協定への対応とか研究開発、意識改革、評価・見直しプロセス、こういったことについても基本的考え方としてお示ししていこうと思っております。

 続きまして、5ページ目でございます。こちら、第2章でございますが、こちらは我が国の具体的な目標を記載するところでございます。先ほどから複数回申しておりますが、2013年度比46%削減、また50%の高みに向けた挑戦といった、総理発言に沿った目標を位置づけるということ。そして、第2節で近年の排出の状況、こういったデータなどもお示ししながら、第3節においてガス別、部門別にブレークダウンした目標、目安といったものもお示ししていきたいと考えております。

 そして、6ページ目をご覧いただければと思います。こちら第3章でございますけれども、こちらの章は個別具体の対策、それから量を記載する部分でございますが、その前段としまして、第1節、こちらに、国、自治体、事業者、国民の基本的な役割を記載するということを考えております。基本的には現行の計画から大きな章立てが変わるものではないと思っておりますけれども、この5年間の間にあった変化とか、制度の変更とか、そういったことなども踏まえながら最新の記載に持っていきたいと思っております。

 続いて、7ページ目をご覧いただければと思います。こちらが、続く第2節ということで、ここから個別の対策を記載していく部分でございます。今、映しておりますこのページにおきまして、1.ということで、こちらでガス別、それから分野別に個別の排出削減、さらには吸収源対策などについても記載する部分の構成をお示ししたものでございます。

 (1)の①というところに、エネルギー起源二酸化炭素というふうにありますけれども、ここに関しては、この合同会合と並行して検討が行われておりますエネルギー分野の検討、前回の合同会合でも経過のご紹介がありましたけれども、あちらの検討と整合した形で具体的に取組の記載をしていくということを考えております。

 それから続く②から⑤、そして(2)の吸収源、こういったところについても、これまで、この合同会合でいろいろな主体からヒアリングを行ってきたわけですけれども、そうした結果を基に、対策・施策を充実させて記載するという方針でございます。

 続いて、8ページをご覧いただければと思います。8ページ目は、分野横断的施策ということで、特にこの(1)のところ、目標達成のための分野横断的施策、J-クレジットとか、それからJCM、脱炭素ライフスタイルへの転換等々、具体的な数値目標を伴う横断的施策について記載をする予定でございます。

 それから(2)のところには、その他の関連する分野横断的施策というふうに記載しております。これも、現行計画にあるものもございますし、追加的要素としましては、例えば、総理から既に検討指示が出ております成長に資するカーボンプライシングといった点ですとか、それから、現行計画には記載がなかったわけではありませんが、特にこの5年間で非常に事実が進展しているESG金融の推進、こういったところについて記述の充実を図ってまいりたいと考えております。

 続いて、9ページをご覧いただければと思います。さらに、第3節~第7節ということで、様々な施策について記載をする予定でございます。

 第3節は、公的機関における取組ということで、ここには国の率先的取組、それから自治体の率先的取組等々が書かれております。これは今回温対計画と並行して、別途またこれも政府内で検討、調整を進めております政府実行計画に関する記述も含めて、そこも併せて記載の充実を図っていければと思っております。

 それから、第4節が、地方公共団体が講ずべき措置等に関する基本的事項ということで、ここも地域における様々な取組など、詳細に、最新の記述にできていければと思っております。

 それから、第5節が排出事業者に期待される事項。

 そして第6節、脱炭素型のライフスタイルへの転換というところでございますが、ここは従来国民運動というような記載がされていたところでございます。ただ、より脱炭素社会に向けて、そしてその46%削減という、より普遍的に対策をするということになってまいりますと、やはり運動論というよりは、ライフスタイル、それからワークスタイル、こういったところに当然のごとく脱炭素型というのが取り入れられるということを目指すべきだろうというふうに考えまして、今、案としては、このような章立ての記載をしてはどうかと思っております。

 さらに、第7節におきましては、これも前回紹介がありましたけれども、国・地方脱炭素実現会議で検討されております地域脱炭素ロードマップのことについても入れていきたいと考えております。

 続きまして10ページ目、第8節、こちらが海外における温室効果ガスの排出削減等々、国際連携、国際協力といったところでございます。ここの、特に2.のところは、この5年間の様々な進展について少し記述の充実を図りたいと思っております。特に、国際ルール作りの主導といったところも記載がありまして、様々なものがあると思いますが、そのうちの例えば例示として一つ、JCMのことについて。JCMについては、現行、パリ協定6条2項に基づきNDCにカウント可能ということになっておりますけれども、現在、必要な手続について、まだ交渉が続いているという状況でございます。こういった国際ルール、この辺もCOP26で合意できるように、日本が引き続きその交渉の主導権を握れるように貢献をしていきたいというふうに考えて、そういったことも含んでいるものでございます。

 この次のページをお願いします。11ページ目、ここがこの資料の最終ページですけれども、第4章、いわゆる全体的な進捗管理、それから評価方法、推進体制の整備というところでございます。この温対計画、進捗管理については、かなり厳格なやり方をしておりますけれども、より対策が野心的になっていく中でどういう方法がよいのかといったことについては、引き続き、また検討も必要かと思っておりますけれども、大きな章立ては変えずに、進捗管理はしっかりやっていくということかと思っております。

 この資料3については以上でございまして、引き続きまして、資料4をご覧いただければと思います。

 こちらは長期戦略の見直しということで、前回、長期戦略の見直しについても必要な状況になっているという資料がご説明されたと思うのですけれども、今回この合同会合におきまして、しっかり長期戦略を見ていくのは初めてでございますので、改めて、まずこの長期戦略の位置づけからご説明をいたしたいと思います。

 パリ協定におきまして、全ての締約国は温室効果ガス排出削減のための長期的な戦略を策定するよう努めるということが招請されているということでございます。このページの下の赤枠のところをご覧いただきたいのですが、パリ協定の基本的な考え方の中には、長期低排出発展戦略というような言葉で書かれておりまして、長期的な温室効果ガスの低排出型の発展のための戦略を作成すると。そして通報するように努力すべきである。つまり、単純に、ただ温室効果ガスを減らしなさい、長期的にゼロに近づきなさいということだけではなくて、そういう排出を低くしていくということを意図しつつも、その国が発展していくための戦略を作成することを求められるということでございます。COP21決定におきまして、これは2020年までの提出が求められているということでありました。

 2ページ目をご覧いただきまして、日本、我が国はというと、2019年611日、2年前にこの長期戦略を閣議決定しまして提出しております。日本の長期戦略、名称としましては「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」という名称でございます。この長期戦略の基本的な考え方は、この上の枠にもありますとおり、「環境と成長の好循環」といった考え方でございます。この下でイノベーション、ファイナンス、国際展開という3本柱を掲げまして、その下での大きな方向性、ビジョンを提示した文書となっております。

 内容、詳細については、個別にご説明する時間もないかと思いますけれども、まず基本的な考え方としまして、これを出した2年前は、長期的なビジョン、まず目標としては、脱炭素社会を今世紀後半のできるだけ早期に実現するということを目指す。そして2050年までに80%の削減を目指す。それに取り組むと。そういった書かれ方をしております。そして「環境と成長の好循環」の実現、そして将来に希望の持てる明るい社会を描き行動する。こういった考え方に基づくものでございます。

 3ページ目をご覧いただきますと、非常にたくさん細かい字で書かれていて恐縮なのですが、簡単に申し上げると、先ほどのイノベーション、ファイナンス、国際展開と、こういった三つの柱に沿って、向こう2050年までの間にどんなことをやっていくのか。例えばどんな技術を開発して、いつ頃までにどんな世界を目指すのか。そういったことをしっかり細かく記載しているというものでございます。

 4ページ目をご覧ください。ここから何枚か長期戦略、2年前に提出、策定して以降の政府内の取組、動きについて、ごくごく簡単にご紹介いたします。

 まず、2019年10月に開催しました「グリーンイノベーション・サミット」ということで、温暖化対策に関連する三つの国際会議を日本で集中して開催しまして、その成果を総理官邸で集約するといったものをやっております。ここにありますとおり、産業界、金融界、研究者のトップが、特に非連続な環境イノベーションを加速していくということにコミットするものとして開催されたということでございます。

 5ページ目をご覧ください。こちらは2020年1月、昨年の1月に統合イノベーション戦略推進会議で決定されました革新的環境イノベーション戦略でございます。これは世界のカーボンニュートラル、さらには過去のストックベースのCO2を削減するということも可能とする革新的技術を2050年までに確立するということを目指す戦略でして、イノベーション・アクションプランというものをつくって、ここで、5分野16課題に対して、コスト目標とか世界中でどれだけこれによって減らせるのか、開発内容、実施体制、基礎から実証までの工程、こういったことを明記するプランというのをつくっております。

 6ページ目をご覧ください。それから、二つ目の柱のファイナンスというところに関しては、ESG金融ハイレベル・パネルというものを、これは長期戦略の策定に前後して、今年も開催、引き続き行っているものでございます。国内の、かなりハイレベルの業界トップの方々と国が連携して、ESGに関する意識と取組を進めていくための議論を行って行動する場ということで、例えばタスクフォースを設置したり、宣言文書を出したり、こういったことをやっているというところでございます。

 7ページ目をご覧いただけますでしょうか。国際ということですけれども、この資料そのものは前々回のこの合同会合でもお示ししたものと同じでございますが、脱炭素移行支援パッケージというものを政府として決定して打ち出しておりまして、環境性能の高いインフラのビジネス主導による海外展開をしていくということですけれども、その具体的な方向は案件の形成とか支援だけではなくて、それ以前に、脱炭素化に向けた政策の策定支援と、それをやって、それとパッケージで進めていく。そういった中身でございます。これに基づく政策対話、案件形成、こういったことが今、進められているという状況です。

 8ページ目をご覧ください。こうした様々な取組を進めてきた中での、この総理の2050年カーボンニュートラル宣言があったということでございまして、これに伴いまして、また政府内、動きがさらに加速化しているという状況でございます。

 9ページ目をご覧ください。まず、イノベーション関係でございますけれども、もう記憶に新しいところでございますが、昨年の年末、グリーン成長戦略というものが策定されております。かなり個別具体的な成長分野というものを出しつつ、それを研究開発、実証、導入、自立商用フェーズ、こういったそれぞれのフェーズに応じて工程表に落とし込むということでございます。さらに、一番話題となりました2兆円の基金で支援するとか、様々な支援策についても併せてやっていくといった方針が示されたということであります。

 10ページ目をご覧ください。それから、これはこの合同会合でもご紹介したことがあるかと思いますが、地球温暖化対策法の改正案、これは現在、通常国会で議論いただいております。この中では、「2050年カーボンニュートラル」という、この方針を基本理念として位置づけると。それから、地域からの脱炭素を意図しまして、特に再生可能エネルギーを促進する事業を市町村が認定するような仕組み、こういったものも導入するということを目指して現在審議が進められているという状況です。

 続きまして、11ページですけれども、これも前回の会合でご紹介がありましたが、エネルギー基本計画、まさに、こちらも精力的に今、議論が続けられているところでございます。こちらも、2050年カーボンニュートラルを目指す課題対応といったところについても議論が行われております。

 12ページをご覧ください。こちらも地域脱炭素ロードマップ、これも前回ご紹介したとおりでございまして、地域からの脱炭素、これについてもロードマップが現在検討されているという状況です。

 そして13ページ、14ページには、これも、各省においても2050年カーボンニュートラルを目指す取組プログラムが検討されている。農林水産省さんと国土交通省さん、それぞれにおいて出ている。これも、この合同会合でヒアリングをしたとおりだと思います。

 最後、15ページでございます。以上のような話を踏まえての、今回、長期戦略の見直しに当たっての基本的考え方の案をこのページにお示ししております。2年前のこの長期戦略策定時から、一つ目、総理がまさに「2050年カーボンニュートラル」という大幅にこれまでのスケジュールを見直しする、大幅に前倒しするような方針が出されたということ。それから、世界全体が新型コロナウイルスという歴史的危機に見舞われているという中で、このコロナ前の社会に単純に戻るのではなくて、より持続可能で強靭な社会に変革するということが求められている。

 こういったことをも踏まえまして、二つ目の黒丸ですが、今ご紹介してきたとおり、総理のこの宣言以降、様々な場で2050年カーボンニュートラルに向けた議論が積極的に行われているといった状況でございますので、最後の黒丸ですけれども、今回、長期戦略の見直しというのは、今、各所で行われているこういった議論の内容をうまくまとめて、現在、検討を進めている温対計画とも整合的に進めるということではどうでしょうかというふうに考えております。

 すみません、少々説明が長くなってしまいましたけれども、資料の説明は以上でございます。

○大塚委員長

 ありがとうございました。それでは、議題の1、2の事務局からのご説明につきまして、各委員からご意見をいただければと思います。

 まず、中環審、産構審の委員に、交互にそれぞれ五十音順でご発言をいただければと思います。前回、第6回におきましては、産構審の委員から、五十音順で後ろから回しましたので、今回は中環審の委員から、五十音順で頭からご発言いただければと思います。多くの委員にご参加いただいておりますので、ご発言は3分以内を厳守でお願いいたします。

 では、まず石井委員から、お願いいたします。

○石井委員

 ありがとうございます。

 ご説明は非常にすとんと落ちるものが多くございまして、特に、カーボンニュートラル2050年の話は、避けて通れない当然の国家の成長戦略そのものだと思っておりますし、それを支えるものとして、今ご提案があったような、いろいろな形での政策をもってそれを長期的に支援していくということが極めて重要だと思っております。6月11日からG7が始まるわけですけれども、そこでの議論を聞いていても、やはり、この世紀の半ばにカーボンニュートラルを目指すんだということは、ある意味では当然のこととして受け止められていて、それに向けてどういう形で、国際社会を巻き込んだ国際協調体制をG7としてつくっていくのかと。その中に、どのようにまた途上国を巻き込んでいくのかということが国際経済政策の舞台で当然のことのように形づくられて議論されております中で、日本として、このカーボンニュートラル2050、そして2030年目標がクラリティを持った形で出ていったというのは大変重要だと思っています。

 私は、三つのCが大事だと思っております。一つは、ビジョンのクラリティとしてのCで、これはもう立派に出たところであると。ただ、それに向かってのパスウェイがクレディブルでないといけない。これが二つ目のCなのですけれども、つい最近まで、やはり26%といっていた2030年目標を、今度は46%、あるいは50%の高みを目指すというときに、このパスウェイをどうやってクレディブルなものにしていくかということが、これから非常に重要なことだというふうに思います。ビジョンのクラリティがきちんと出された中で、パスウェイをクレディブルに作っていくというのは、多分、私どもみんなの仕事だと思っております。クラリティがあるビジョンが出てきたことによって、イノベーションも進んでいくと思いますし、それを支える政策も出てきているということで、おおいに進んでいくことだと思います。

 最後のCは、コヒアランス(整合性)です。今ご説明のあったようないろいろな重要なセクターを巻き込んで、ライフスタイルも変えて、地方自治体も入れた形での総合的なビジョンになって、それを支える政策がお互いにコヒアラントであるということが、パスウェイそのものをクレディブルにすると思っております。この三つのCがそろっていくということが重要で、それに向けてのいい計画にしていっていただきたいと思います。

 コロナ、ちょっとこれは別のCなのですけれども、コロナ発生の根本原因は、食料生産やインフラ拡張など人の経済活動領域が、生態系を脅かしていることにあると考えられています。すなわち、地球温暖化と同じく、地球システムと経済システムの衝突の結果がコロナとなって出てきている、そうすると、これからの回復の過程が、我々が道筋を見つけようと思っているクレディブルなビジョンというものと整合的なものであると考えられます。今、国際社会で起こっておるビルド・バック・ベターの議論は、当然の帰結であって、コロナを活用して我々の進むべき道筋を強くしていくことができると考えております。

 以上です。

○大塚委員長

 ありがとうございました。では、続きまして伊藤委員、お願いします。

○伊藤委員

 ありがとうございます。

 まず、非常に目標値が高く掲げられているので、これは政策としてもかなり踏み込んだところに行かないと、この高い目標というのは達成できないのではないかなというふうに思います。ですので、2030年までに46%削減、これに対して、それぞれの業界に対して、やはり目標値を具体的に設定して示すということ。それに基づいて、それぞれの企業がどれぐらい排出をしているのか、しっかり公表して、そして削減目標をそれぞれの企業が立てるということを、ある程度何とか義務化していかないとなかなか難しいのではないかなと。スタートラインとして、まず現状を把握することすらできてないところが特に中小企業を中心に多いと思いますので、まずそこをしっかりやらないといけないと思います。クレジットの話、カーボンオフセット、またグリーン・ファイナンスというのも、その前提があって進むことだと思いますので、そこはしっかりやっていくべきですし、逆に企業と付き合いのある金融機関が先頭に立ってというか、しっかり連携してやっていく必要もあるのではないかなと思います。

 それから、CO2の排出の算定なんですけれども、これ、やっぱりサプライチェーン全体でカウントしていくということもある程度義務づけるというか、していかないといけないのかなというふうに思います。CO2の削減で最も大事なのは、自分の国だけで減らすというのではなくて、地球全体で減らすというのが、基本理念だと思うんですね。現在のところ、コストメリットとか、それから規制の緩さとか、そういうことで、先進国が新興国に工場を造って、そこの生産地のCO2排出量が増えてしまっているという現状があり、そういう中で先進国と新興国の対立構造が生まれているというのは、やはり新興国にとっても納得できないところがあるのかなというふうに思います。現在の生産地ベースのCO2のカウントというのを、やはりどこかで、グローバルにこれだけ分業が進んでいますので、消費地でのカウント、消費企業でのカウントというふうにやっていくほうが、実質的に減らすということについては有効なのではないかなと思います。消費国の企業の方から新興国の工場でのCO2削減もしっかり取り組まなきゃいけないということになりますし、取引先においてもそれを徹底的に求めるようになると思います。全体の排出量を減らすという意味では、こういう視点は国際的に共通認識としてこれから提案をしていくべきなのではないかなというふうに思っております。

 それからもう1点、エネルギーミックスについてなんですけれども、若い方々との意見交換のときにも少し感じたんですけれども、世論として全体的に、なぜ日本がエネルギーミックスとか3E+Sの考え方が必要なのかということの視点がまだまだ共有できてないというような気がします。現実として、今、再生可能エネルギーだけでやっていけるというふうに思われている方も世の中にはたくさんいる。じゃあ本当にそうなのかと。また再エネを防ぐことによって起きてくるであろうリスクは何なのかとか、どんな技術が具体的にこれから進んでいけば可能になるのかとか、そういう分かりやすい説明というのをしっかりとしていく必要があるのかなと思います。ただ、エネルギーの分散とか、災害対策としての自立とか、それから地域の資源を活用して活性化につなげるという意味では、再生可能エネルギーというのは非常に重要な役割を果たすものであると思っていますので、例えば、バーチャルパワープラントとか、デマンドレスポンスとか、ある程度実証が必要なものは積極的にこの地域で、エネルギースマートタウンみたいなものをつくり出して実証していくというようなことも取り組まれていったらいいのかなと思っております。

 以上です。

○大塚委員長

 江守委員、お願いします。

○江守委員

 ありがとうございます。

 僕からは、まず最初に、前回の杉山委員のご意見の中で、気候変動の科学に関する部分が依然として納得がいかない部分がいろいろとありましたので、参考資料として意見を提出いたしました。これは、ご興味がある方がいらっしゃればご覧いただければと思います。

 それで、今日の話に入りますけれども、僕のほうからは主に資料3について幾つか意見を述べさせていただきたいと思います。

 一つは、国民像といいますか、国民の役割というものが、非常にやはり受動的な国民像が前提とされているんじゃないかというふうに思います。第3章1節の「国民」の基本的役割ですけれども、日常生活に起因する温室効果ガスの排出量の削減であるとか、地球温暖化防止活動への参加ということですね。実際には、国民が本当に気候変動問題に関心を持って危機感を持つと、例えばこの計画自体にいろんな意見を言ってくるはずだと思います。そういった市民像というのが前提とされていないと思います。例えば、国民運動、脱炭素型ライフスタイル、名前を変えただけでは中身はあまり変わっていないという印象も受けています。それが一つです。

 もう一つですけれども、第3章の2節で、個々の対策が並べられていますけれども、項目が立てられていますけれども、最終的には、これらの個々の対策に何%という数字がついて、積み上げて46%になるようにするんだと思います。積み上げは必要だと思いますけれども、それは、僕の理解では、例えばこうすればできると。全く実現できない計画ではないよということを示すような例として意味があるのではないかなと思います。今後9年といいましても、様々な不確実性があって、予測不可能な事態も起きますので、この計画どおりにそれぞれが計画して何%というのを実現できるものでもないと思いますし、それを目指すようなものでもないだろうと思います。むしろ、3章2節にあります分野横断的な施策、こちらのほうが本質的な内容を含んでいるんじゃないかなと思いました。例えば(1)の中にあります低炭素型の都市・地域構造及び社会経済システムの形成であるとか、(2)の中にあります成長に資するカーボンプライシングですね。こういった構造転換あるいはそれを促す施策、こういったもののほうが、むしろ数字合わせよりも本質的ではないかというふうに考えています。これは前々回ですか、述べたことの繰り返しになります。

 最後に一つ質問なんですけれども、省庁のヒアリングは様々なところに反映されていると思うんですけれども、若者団体へのヒアリングというのは資料3や4のどこにどう反映される予定であるのかということを教えていただきたいと思います。

 以上です。どうもありがとうございます。

○大塚委員長

 どうもありがとうございました。不確実性についてはそのとおりですので、ぜひその辺もしっかり対応していくことを考えたいと思います。

 では、井上委員、お願いします。

○井上委員

 まず、ご説明ありがとうございました。

 資料3でご説明いただいた内容に大きな違和感はございません。3ページ目で「地球温暖化対策の基本的考え方」をお示しいただき、その中で、「技術開発の一層の加速化」を地球温暖化対策の一つとして挙げていただきました。洋上風力や蓄電池、水素・アンモニアの利活用、カーボンリサイクルなど、あらゆる分野において技術開発や社会実装、量産投資によるコスト低減が大きな課題と理解しています。政府が国家プロジェクトとして取り組むという覚悟を持ち、国主導の下、官民一体となり革新的なイノベーションにチャレンジすることが求められると考えております。

 一方で、熱心な中小企業が率先して新技術の開発等に取り組み、成功しても、優越的地位にある事業者から、そのノウハウや知的財産権を不当に吸い上げられてしまう事例は少なくありません。共同研究先や取引先から知的財産やノウハウの開示を強要され、搾取した情報を用いて内製化されてしまい、価格の安いほかの事業者に切り替えられてしまう現実もございます。また、海外展開に踏み切っても、知的財産保護の不十分さから技術流出が起こる可能性も考えられます。地球温暖化対策を進めるに当たっては、こうした問題も十分勘案していただきながら、現場の中小・小規模企業の技術保護などについてもパッケージとして推進していただきたいと思います。

 加えまして、コロナ禍における中小企業を取り巻く厳しい経営環境及び国際的な割高な電力料金等を鑑みますと、エネルギーコストのさらなる上昇は中小企業の経営を圧迫し、産業競争力の低下につながるおそれがございます。地球温暖化対策が喫緊の課題であることは十分承知しておりますが、今後、議論を進めていくに当たっては、コスト面への影響についても留意しながらご検討いただきたいと思います。

 そして、資料4の15ページで、「長期戦略の見直しに当たって基本的な考え方(案)」が示されております。温対計画と整合的に進めていくことに異論はございません。また、「国内外への分かりやすい発信」という観点は非常に重要だと感じております。世界各国が協力し、世界全体での温室効果ガス削減に向けた取組が進む中で、日本が行っている様々な取組を世界にもっと強力にアピールしていくべきだと考えております。さらに、温暖化対策を実行的なものにするためには、中国及び米国をはじめとする主要排出国による地球規模での努力と協力が不可欠でございます。この実現に向けた外交努力を含めた政府の取組に期待しております。

 以上です。ありがとうございました。

○大塚委員長

 ありがとうございました。では、小西委員、お願いします。

○小西委員

 ありがとうございます。

 資料3、4、そして今後のプロセスについて質問させていただきます。

 まず、資料3なのですが、この4ページで、コロナ禍からのグリーンリカバリーというのが入ってくることは非常に時宜を得て、しかも今、一番やっぱり世の中がシフトして動くときなので、いいことだと思っております。この中に一つ私が欠けているなと思うものが、雇用のシフトの支援ですね。いわゆる人材の再教育、ここで高排出設備がどんどん建設されるとなると、ロックインの危険性、リスク、これは今後10年で非常に重要な議論になりますので、そうすると、雇用をシフトさせていくということがこれからとても必要なので、ここで入らないのかなということを一つ質問させてください。

 あと、9ページなんですけれども、今まさに温対法の改正が審議されているところですけれども、この地方公共団体の再エネ推進は非常に重要だと思っております。今回、促進地域設定なども入るんですけれども、どのように国や都道府県がこれを進めていくかということがまだ見えてこないので、こちらの温対計画のほうでどのように設定されていくのかということをお聞かせください。

 そして11ページなんですけれども、この中で、6条関連はあるんですけれども、途上国の適用支援とか、もちろん緩和に対する技術とか資金支援とか、そちらに対する日本の貢献というものはどのような位置づけがされるのかお聞かせください。

 そして、資料4なんですけれども、まず1ページのパリ協定の説明で、プレッジ&レビューというのはちょっと誤解を招くなと思っております。これは、やっぱりパリ協定というのは世界共通のルールで、それぞれの国が好きに目標を選べるといったものではないので、言葉が、日本ではプレッジ&レビューというのはちょっと違う意味を持ってしまうので、ここは説明、言葉を変えたほうがいいのではないかなと思っております。

 あと3ページなんですけれども、日本の長期戦略で、前回もすごくこれが一つの論点になったと思いますけれども、火力はパリ協定の長期目標と整合的にCO2の排出削減を行うといったところ、ここがすごく議論になる点だと思っております。ですので、この長期戦略を策定していくに当たって、どのように意見が国民を巻き込んでされていくのかということも含めて、すごく重要な論点だと思いますので、ここについてまた審議できる機会が今後あるのかどうか聞かせてください。

 そして6ページなんですけど、金融、英語でエレファント・イン・ザ・ルームと言いますけど、何かそこにすごく大きなものがありながらあまり見ないみたいな、ちょっとそういうのを感じるのが、日本のESGの金融を考える場合、どうしても日本の石炭融資というものは避けて通れないものだと思っております。これはほとんどなくなったんですけれども、やっぱりこういったところに本来は、今これをすごく専門的に手がけていらっしゃる国際的な市民団体の方々もたくさんいらっしゃいますので、そういった形で、本当はその専門家も入るべきなんじゃないかなと素直に思います。

 そして9ページなんですけど、グリーン成長戦略、本当は議論の参考値ということが何度も強調されてはいるんですけれども、このままで行くと、例えば、日本は2050年に再エネが五、六十%みたいな数値が何か一人歩きして、それがあたかもゴールであるがごとく、それしか不可能みたいな、もちろんそれだけじゃないですよ、本当は石炭火力のアンモニアとか、水素の位置づけとかいろいろなことはあるんですけれども、このイノベーションが非常に重視されているんですけれども、これに対して今後どのような場で議論されて、今後はやっぱり透明性の、非常に開かれた形で幅広いステークホルダーの意見を取り入れて、かつ先ほど江守さんもちょっとおっしゃいましたけれども、若者を含めた国民の意見も取り入れるような参加の場があってこれは話し合われていくべきだと思いますので、これの今後のプロセスも聞かせてください。

 最後に一つ、G7までにエネルギーミックスを出されるのかなと、ちょっと報道などから思っているんですけれども、どうなのかなということと、NDCの再提出、長期戦略のパリ協定の提出とか、いつ頃になるのかなというのもちょっと教えていただければと思います。

 以上です。

○大塚委員長

 ちょっとご質問がたくさんございましたので、事務局は後でよろしくお願いします。

 では、小川委員、お願いします。

○小川委員

 小川でございます。聞こえますでしょうか。

○大塚委員長

 聞こえます。どうぞ。

○小川委員

 では、本日は、温対計画の各主体の基本的な役割に関して、幾つかコメントしたいと思います。一つ目は、国の基本的な役割ということで、政府の多様な政策手段の動員に期待をいたします。ただし、その推進は総合的といった曖昧なものではなく、政策の効果とコストを見極め、具体的に立案し、実績を綿密にフォローする形で推進する姿勢を打ち出していただきたいと思います。2050年のカーボンニュートラルに向けては、今後、多大な投資が必要になります。それは必ずコストアップにつながり、最終的には社会全体で負担することになります。直接的に光熱費が高くなるだけではなく、ほぼ全ての材とサービスの価格が上がるということになります。温暖化対策を実行していくためには、こうした厳しい面についても国民の正しい理解が得られていることが前提となります。これから実行すべき政策のコストと効果を明確にして、広く国民の議論を得た上で納得を得ることが重要であるというふうに考えております。

 二つ目の、地方公共団体の基本的役割でありますが、市民生活に密着した地方団体の役割は非常に重要であります。地方ならではの活動の促進に期待をいたします。

 一方、国と地方による二重管理に懸念を抱いております。製造業では複数の地方自治体に製造拠点を有する場合があり、各拠点間の生産構成を調整することによって、全体で排出削減を実現できるようなケースがございます。産業分野に関しては、地方ごとの局所最適化にならないように、国全体のレベルで評価する必要があると考えます。

 三つ目の、事業者の基本的役割であります。第2節の1項で詳細が個別に記載され、具体的なアクション項目として規定されるものと期待しております。以前説明のあったように、既にPDCAの仕組みは確立して、実際に削減効果を上げている低炭素社会実行計画を産業部門の対策の核として引き続き位置づけるべきであると考えます。分野横断的な政策として、カーボンプライシングを適用することには反対であります。温対計画は、46%削減実現のための具体的なアクションが、その内容や効果を明確にして作成されるべきだと考えます。技術的な打つ手のない問題に関しては、カーボンプライシングは無力であります。

 四つ目の、国民の基本的役割でありますが、脱炭素に向けた強い覚悟を促すメッセージが必要であると考えます。さきに述べたように、今後あらゆる分野で社会的コストの上昇は不可避であります。そのためにも、国民生活に対する影響を、定量的に分かりやすく、実感できる形で示して納得を得るべきだと思います。

 最後に、長期戦略の見直しについてでありますが、2050年カーボンニュートラルは、再エネや電気自動車といった実用化に近い技術だけでは達成できません。その意味でイノベーションの重要性が大きい。一方、既に形のある技術はメディア等への露出も多いためか、それだけで脱炭素が実現するような印象を世間に与えております。まずは、今ある技術だけでは不十分だということを説明することで、イノベーションや技術の成熟度に応じた施策の重要性について正しい理解を得るべきだと思います。その上で欧米に見劣りしない支援体制、姿勢を打ち出していただきたいと思います。

 以上でございます。

○大塚委員長

 ありがとうございました。

 では、下田委員、お願いします。

○下田委員

 ありがとうございます。

 3点申し上げたいと思います。まず1点目は、温暖化対策計画の3章1節のところで、これは江守委員と全く同感でございます。国民運動という言葉を変えるということは賛成なのですけれども、前回資料でご説明いたしましたように、やはり国民というのは非常に大事な鍵を握っていると、主役であるというふうに考えておりまして、ここも、国民が、国、地方公共団体、事業者と並んで何かの役割を持つという位置づけでいいのかなということも思いました。ただ、ちょっといいアイデアがここは思いつきませんでした。ただ、ぜひ、これも前申し上げたのですけれども、この温暖化対策計画の内容を市民向けに分かりやすく解説するような、本なのか動画なのか分かりませんが、そういうものをぜひ作っていただきたいというふうに思います。

 それから、現行の温暖化対策計画の「国民各界各層への地球温暖化防止行動の働きかけ」というところで、「地球温暖化防止に関する認知度や取組度合いに関する適切な指標・目標を設定し、中央環境審議会による厳格なPDCAサイクルを実施し」ということが書いてあるのですけれども、ちょっと具体的にどんなことをやられたのかというのが、もし分かりましたら教えていただきたいと思います。

 それから、2番目は第4章の進捗管理でございます。9年間、多分、目標が上がることはないと思いますので、政策を投入して、そのコストとかその影響、効果をしっかり見ながら次の対策を考えていくという、PDCAサイクルをしっかり回していく、そのマネジメントの対策についてしっかり書いていただきたいというふうに思っております。特に、やはりデータの問題というのが重要でございまして、国は、Society 5.0とかデジタル化とかと言っているのですけれども、例えば基礎自治体単位でエネルギー消費量のデータが得られないとか、再生可能エネルギーも自家消費している部分がはっきり分からないとかという状況でございまして、やはりデータをしっかり作っていくということを書いていただきたいというふうに思います。

 それから3点目は、先ほど小西委員からもございましたけれども、2月のヒアリングであったように、次世代の人たちに対する視点というのを、長期戦略になると思いますけれども、しっかり書いていただきたいと思います。次世代の人たちに何を伝えるのか、何を残すのかということと、それから次世代のいろいろな立場の、いろいろな意見を持った方が発言できる場をつくっていくということはどこかに入れていただきたいなと思いました。

 以上です。ありがとうございました。

○大塚委員長

 ありがとうございます。重要な次世代の視点などもご発言いただきまして、ありがとうございました。

 では、杉山委員、お願いします。

○杉山委員

 聞こえますでしょうか。

○大塚委員長

 はい、聞こえます。

○杉山委員

 事前に意見を提出していて、参考資料2ですので、これに沿ってご説明いたします。

 まず、資料3の地球温暖化対策計画の構成についてですけれども、1ページ目、科学的知見について。日本国民が取り組む計画なので、まずは地球温暖化に関連する日本での災害等の統計をきちんとまとめるべき。台風は激甚化も頻発化もしていない。豪雨、猛暑への地球温暖化の影響はあったとしても僅かである。国民に統計を正確に知らせるところから政策はスタートしなければならず、隠蔽してはならない。IPCCの紹介だけでは不足である。

 P3PDCA、それからP7のカーボンプライシング、P8の政府及び自治体の取組、それからP10の進捗管理について。PDCAの対象に含める内容としては以下を含めるべき。

 1、科学的知見の更新。特に台風、豪雨、猛暑などに関する統計データは毎年更新し、地球温暖化対策計画において毎年確認すべきである。

 2、政策の費用対効果。具体的な手段としては政策のカーボンプライシングを地球温暖化対策計画において制度化するべきである。これは添付1に、前回と同じですけど、書いています。

 それから3、政策の費用対便益。日本人の視点からまとめておくべき。便益の一部として気温や降水量減少はTCRE係数やクラウジウスクラペイロン関係を用いて概算できる。すると日本が2050年にCO2ゼロを達成した場合の気温低下は0.0065C°程度、500㎜の豪雨の降水量現象は0.2㎜以下、これは添付2に詳しく書いてあります。

 それからP5、地方自治体の役割について。極端な温暖化対策は地方経済に重い負担になることを明記すべきである。これは添付3に詳しいです。大分県、岡山県、山口県などでは、エネルギーを多く使用する製造業が経済の支柱となっており、これが失われることで地域経済が崩壊するリスクに直面している。北海道、東北の農村部では、暖房用エネルギーを多く使うため、環境税(炭素税)によって家庭への負担が大きくなるリスクに直面している。

 P9、海外貢献。安価な低CO2技術の開発こそが最大の海外貢献であることを筆頭に明記すべき。既に日本が貢献した例としてLED照明、ハイブリッド車、リチウムイオン電池などがある。新型原子力やCCSなどの国際共同技術開発も明記すべき。

 それから、資料4の長期戦略について。P1の基本的考え方で、政府の成長戦略全体の中での整合性が必要な旨を明記すべき。政府は5月17日の成長戦略会議で、経済安全保障のための投資を打ち出している。これはデータセンターや半導体生産の国内回帰などである。だが、温暖化対策が製造業を海外に追い出すならば、これは国内回帰の真逆である。

 なぜ中国にデータセンターが多いか。大きな理由は日本の電気代が高いからである。半導体生産が台湾に出ていった理由の一つは電気代が安いことである。ICTなどの今後のイノベーションの担い手の多くは電力多消費である。今後の日本の電気料金は安価でなければならない。

 成長戦略では地方創生も唄っている。だが、温暖化対策は地方経済に重くのしかかり、地方創生に矛盾する。

 P9、グリーン成長について以下の記述がある。温暖化対策にコストがかかることは厳然たる事実であり、目をそらしてはならない。(具体的な記述は参考資料2の書面意見を参照されたい)

 政府は太陽光発電の導入もグリーン成長戦略の一部だとして実施してきたが、現在、毎年3兆円近くの賦課金を国民が負担している。これは経済成長にはマイナスだ。

 過去にグリーン成長戦略として実施した政策をレビューして、それが成長に寄与してきたかどうかを定量的に確認すべきである。

 エネルギー経済学の初歩として、温暖化対策はエネルギー投入Eに制約を掛けるので、GDPは減少する(具体的な計算式について参考資料2の書面意見を参照されたい)。

 つまり税や規制によってCO2を削減することはコスト高要因であり、経済成長を阻害するだけで経済成長など望めない。

 グリーン成長が存在するとしたら、1、化石燃料利用よりも安いエネルギー技術を普及させる。2、他国に温暖化対策技術を売って儲ける、の二つの可能性しかない。このために技術開発を進め輸出を目指すことは意義がある。だが、そのためには前提として、安定して安価なエネルギーが必要である。

 以上です。

○大塚委員長

 ありがとうございました。

 では、髙村委員が参加されましたので、髙村委員、お願いします。

○髙村委員

 すみません。大塚先生、聞こえますでしょうか。

○大塚委員長

 よろしくお願いします。

○髙村委員

 ありがとうございます。

 幾つか発言させていただこうと思います。一つは資料3、それから資料4、共通してですけれども、30年46%削減、さらに50%高みに向けてと。当然その先には50年カーボンニュートラルの実現に向けて取組を進めていくということだと思いますけれども、もう言うまでもなく、エネルギー、産業、交通、あらゆる分野で、そのインフラを含めて脱炭素化に向けて進捗をしていかないといけないということだと思います。そのために、やはり政府がつくるあらゆる計画や施策、こうしたものがしっかり長期のカーボンニュートラルという目標と整合的なものであるかどうかということがしっかり検討されて策定をされるということが必要だと思います。温対計画、長期戦略はもちろんですけれども、関わる様々な計画、施策ございますので、その点について、やはり、しっかり温対計画の中にも基本的な考え方として、それから長期戦略の中にもその考え方を明記すべきだと思います。とりわけインフラに関わるような分野については、50年に残るものも多数ありますので、そうした分野については、特に今行う施策の決定、あるいは投資の判断というのが影響を持つということを明確にした上で、その旨、記載をしていただきたいというふうに思います。これが1点目です。

 それから、資料3、個別の点について簡単にでありますけれども、申し上げたいと思います。一つは構成(案)のところで、ちょっとスライド番号とスライド枚数が違うかもしれませんが、スライド1だと思うのですけれども。第1章の目指す方向のところだと思うのですが、事実としては「はじめに」にお書きなのだと思いますけれども、2050年のカーボンニュートラルという長期の目標について、第1章の中で明確に記すべきだと思います。これは当然、総理が表明されただけでなく、立法府満場一致でこれは同意をされているというふうに理解をしていますし、温対法の改正の中の基本理念の中にも明記をされているという意味で、温対計画が、やはり基づくべき方向性として明記をすべきだという点。まず1点目です。

 それから、二つ目は、すみません、スライド番号を失っておりますけれども、環境・経済・社会の統合的向上、基本的考え方のところですね。これについての、この考え方自身に異論はないのですが、国民的には非常によく分かりにくいというふうに思っていまして、むしろ、これは後でもちょっと言及しますが、昨日、国際エネルギー機関の、Net Zero by 2050というレポートが出ていますけれども、そこの中で、エネルギーに関わる、そして気候変動に関わる便益以外にも、それを超えたより大きなインプリケーションについて分析をしているところがあります。

 つまり温暖化対策計画をしっかり進めていくことで、うまくその対策を進めていくことで、どういうプラスがあり、あるいは逆にどういうところに留意しなきゃいけないのかということを書かれようとしているところだと思っていまして、そこを、この統合的向上を目指すというのはいいのですけれども、それをもう少し踏み込んで書いていただいたほうがいいのではないかというのが2点目です。

 3点目は、国の役割についてです。ここに書かれている点、異論はありませんが、国が50年、カーボンニュートラルに向かって通っていきたいマイルストーン、明確な目標、中間目標というのでしょうか。これをできるだけ示すということを役割として書いていただくのがよいのではないかと思っております。先ほど言及しました、昨日出た国際エネルギー機関のレポート、大変面白いのは、50年までのネットゼロを実現するのに、いろいろな分野でこういうところを通っていかなきゃいけないというロードマップを書いています。で、ご存じかと思いますが、このNet Zero by 2050を作ってほしいというのは、企業や金融が気候変動の情報開示の観点からも、2050年カーボンニュートラルと整合的なシナリオ、自分たちの気候変動リスク分析のためにIEAに対してリクエストしていたという側面もあります。そういう意味では、こうしたマイルストーンを示しているこの手法自身も、国として、日本としてどういうマイルストーンを持つかということを国が明確に示していくということを、このIEAのレポートなんかも使いながら、入れ込んでいただけないか。この計画そのものでなくても、しっかりそこを、そういうロードマップを作っていただきたいというふうに思います。これは多分、トランジション・ファイナンスなどの議論とも整合してくる話だというふうに思っています。

 最後、スライド8のところの分野横断的施策のところなのですが、市場メカニズム、クレジット制度と地域って二つ、四つぐらいのエレメントで、大きく分けると二つぐらいにクラスターが書かれていると思うのですけど、地域の重要性をもう少しハイライトしたほうがよいのではないかというふうに思います。というのは、ここで計画されている施策というのが、実際に実装されるのは地域という場だと思います。そういう意味では、そこの地域にどれだけ、これだけの施策が実装されるかが、本当に排出が減らせるかを決めていくので、そういう意味で分野横断的な施策であることは間違いないのですけれども、やっぱり地域の実装の、削減対策の実装の場としての地域。それで、その地域がいかに重要かということをしっかり書いていただくことが必要ではないかと思います。

 最後、すみません。資料4の長期戦略についてですが、この長期戦略の有識者会合でいろいろ議論してきて、今改めて見ても必要なエレメント、柱立てというのは入っているというふうに思います。特に、やはりレジリエントな社会づくりとの一体的推進ですとか、公正な移行といったような概念とか、こうした基本的な考え方も入っていると思っていまして、基本的にはこのストラクチャーを維持しながら、しかしながら新しく、やはり目標を前倒しした、引き上げた、これを反映していただくというふうにお願いできないかというふうに思っています。できれば、分かりやすくお願いをしたいと思います。

 以上です。

○大塚委員長

 ちょっと時間がかかっていますので、今後よろしくお願いします。

 では、竹ヶ原委員、お願いします。

○竹ヶ原委員

 ありがとうございます。聞こえますでしょうか。

○大塚委員長

 どうぞよろしくお願いします。

○竹ヶ原委員

 はい。ありがとうございます。非常に重要なタイミングでの改定になりますので、各主体、産業界だけではなくて、各市民も含めてこれが自分事だということでコンセンサスができるような形での打ち出しをお願いできればと思います。

 具体的には、オールジャパンで、日本全体で2030年に46%、そして長期的には2050年ネットゼロという骨太なベクトルがあるとして、これは各主体が行うベクトルの合成の結果なんだという点を明確にできるといいなと思っています。

 具体的には、このオールジャパンとしての大きな方向性があって、各主体はこれをリファーしながら、自分のやれることはベストを尽くしていくということだと思いますが、先ほど来、先生方のお話にも出ているように、トランジションのフェーズでやれることは何か、あるいはイノベーションの前倒しが望ましいが、その可能性如何、など、いろいろ不確実性を伴いますから、各主体の軌道が日本全体のベクトルの縮小コピーのように、同じ方向、同じ向きで、線形になることは、当然あり得ないわけです。当然、ばらばらで、時には途中での軌道修正が必要な取組も出てくると思います。そういう意味で、その過程でのモニタリングですとかエンゲージメントを通じて調整していくことがすごく重要になってくると。そう考えますと、今、髙村先生のお話にもありましたように、ファイナンスの果たす役割は非常に大きいと思います。そういう意味で、資料3の分野横断別な施策の中で、ESG金融という記載、ここを充実させるというご説明をいただきましたので、非常に心強く感じているところです。

 資料4のほうで、既にファイナンスは三本柱の一つに入っております。グリーン・ファイナンスの推進という形で、開示の話ですとか、ESGの話が包括的に書かれていますので、この資料4に書かれるファイナンスの視点というのを少し、資料3の表記に寄せて、ESG金融、あるいはサステナブルファイナンス、グリーン・ファイナンスに変えたほうがいいような気がしますが、うまく整合させていただければなと思います。

 簡単ですが以上です。

○大塚委員長

 ありがとうございました。

 では、増井委員、お願いします。

○増井委員

 どうもありがとうございます。まず、取りまとめ、どうもありがとうございます。何点かあるのですけれども、まず資料3、4、両方についてなのですが、髙村委員もご発言されましたように、この二つというのは相互に関連しております。独立ではなくてつながっているんだということが明らかになるように、ぜひ資料3、温対計画の中にも、この長期戦略の話を追記していただければと思います。それが1点目です。

 資料3の温暖化対策計画についてなのですけれども、2030年の排出削減目標が大幅に書き換えられました。ただ、2030年というのは、既に多くの委員がご指摘のように、9年後ということでありますので、どこでその取組が深掘りできるのかということを、ぜひイメージできるようにしていただければと思います。特に、再エネですとか省エネの拡大、あるいは行動変容、こういったメッセージというのは非常に重要かと思いますので、その点も強調して書いていただければと思います。

 今、行動変容と申し上げましたけれども、特にその国民の役割ですとか、あるいは脱炭素型のライフスタイルへの転換といった節というのは、いわゆる脱炭素技術の普及という面からも非常に重要かと思いますので、一般の方が読んで納得できる、理解できる、そういう分かりやすい記述をぜひお願いしたいと思っております。よろしくお願いいたします。

 また、2050年脱炭素社会に向けた途中段階として、どういう取組が求められるのかという、そういう視点もぜひ盛り込んでいただければと思います。その点は最初に申し上げたところと同様です。

 次に、資料4のほうなのですけれども、2050年の長期戦略につきまして、イノベーションというのが非常に強調されております。もちろん、イノベーションの重要性というのはそのとおりなのですけれども、イノベーションの実現を待つというのではなくて、今できる省エネですとか再エネの導入、こういった取り組めることはもう率先して行う、こういったことが脱炭素社会への実現に向けて重要で、そういったことが2030年の新しい目標にも現れていると理解しておりますので、イノベーションを待って取り組むという、そういうことが誤解されないような記述をぜひお願いいたします。

 また、国民一人一人がどういうふうに貢献するのか、今すぐどういうふうな取組に着手すればいいのかといったことも分かるような、これも繰り返しですけれども、分かりやすい資料ですとか記述も必要かと思いますので、ぜひご検討いただければと思います。

 特に、短期的な利益に左右されるのではなくて、長期的な視点で技術選択であったり、あるいは行動ですとか、社会の構造を変えていくということが必要、求められてきますので、どういうふうな方向に向かっていくのか、日本国民だけではなくて世界に対してアピールできる内容を期待しております。

 以上です。ありがとうございました。

○大塚委員長

 ありがとうございます。

 では、長谷川委員、お願いします。

○長谷川委員

 長谷川でございます。聞こえますでしょうか。

○大塚委員長

 聞こえます。どうぞ。

○長谷川委員

 はい。ありがとうございます。

 まず資料3について、前回も申し上げた通り、経済と環境の好循環ということを総理がおっしゃっている中、4ページに記載の「環境・経済・社会の統合的向上」という言葉は、現行の計画をそのまま書いておられるということだと思いますが、この書きぶりでは、環境が主で経済が従、すなわち、「環境を中心に取り組むのだけれども、経済に資するものもやっていく」というようなトーンになっている感じがいたします。今や、気候変動対策に成長戦略として取り組んでいくというのが政府の全体的な方針だと理解しておりますので、まさにそういう書きぶりに修正いただくとともに、対策の中身についても、それにふさわしいものにしていくということが重要ではないかなと思います。

 また、同じような観点で、その下のコロナからのグリーン復興の箇所は、「次なる大きな成長に繋がっていく」ではなくて、「繋げていくものにする」ことが重要だとに思っているところです。これが1点目です。

 それから、2点目、6ページです。事業者の役割のところで、これは先ほど小川委員もおっしゃられましたけれども、経済界が進めている「低炭素社会実行計画」について、前回ご説明いただく機会をいただきましたが、引き続き、経済界としては着実な取組を行う覚悟でおりますので、次の温対計画においても、引き続き産業界の対策の柱として位置づけていただければと考えております。

 8ページのカーボンプライシングにつきましては、成長に資する形ということで書いていただいているのはありがたいと思っておりますが、これにつきましては、環境省と経産省両省で検討されているものがそのまま中身に入ってくるという理解でいいのかというのが質問の一つ目です。また、国境調整措置も中身に入ってくるという理解でよいのかというのが二つ目の質問です。

 あと、10ページに該当するのかもしれないですが、気候変動問題は、ご案内のとおり、地球規模の課題です。総理も外務大臣も46%という野心的な目標を表明した文脈の中で、「国際社会をリードする」ということをおっしゃっております。対話と協力を通じて世界全体の野心の引上げに取り組むということを明記していただくとともに、しっかりその取組についてPDCAを回してモニタリングするということを明記していただくことが重要ではないかと考えております。

 以上が、資料3に関してです。

 あと、資料4の長期戦略に関しましては、一番最後に書いておられるように、現在検討を進めている温対計画と整合的に進めていくことと、内外への分かりやすい発信重要だと考えておりますので、そういった方向で取り組んでいただければと思います。

 以上です。ありがとうございました。

○大塚委員長

 ありがとうございました。

 では、三宅委員、お願いします。

○三宅委員

 よろしくお願いします。私のほうからは、3点コメントをさせていただきたいと思います。

 地球温暖化対策基本計画の構成に関してですが、1点目、今までの温対計画の中でも、国、地方自治体、事業者、そして国民と、それぞれに求められる役割と対策が記載されているんですけれども、今後、既に何人かの委員の先生方もコメントされていましたが、一番大きな変化が必要となってくるのが、消費者一人一人のライフスタイルの変革だというふうに思っています。これは、当然、具体的な行動変容を後押しする施策の強化というのが、今まで以上に重要になってくるというふうに思っておりますが、それと同等、もしくはそれ以上に必要となってくるのが、世論の情勢と国民一人一人の意識改革だというふうにも思っています。

 その際、ぜひ、国ですとか地方自治体の見える形での率先垂範というのもレベルアップしていただけたらなというふうには思っております。すごいちっちゃい例なんですけれども、今後、個人の住宅の屋根置き太陽光パネルを推進するみたいな話も出てきておりますが、公官庁も全てパネル設置をするなどの、そういった見える形の率先垂範の効果というのは高いというふうに思っています。

 2点目、推進体制の整備についてでございます。これも温対計画の中に推進体制の記載があり、内閣総理大臣を本部長とし全閣僚をメンバーとする地球温暖化対策推進本部の設置ですとか、各省の局長級の会議が設定されているというふうに記載してありますが、これはあくまでも政府内での確認にしかなっていないというふうに感じております。より客観性と透明性を上げる必要があるのではないでしょうか。これだけの野心的な目標を掲げたわけですが、現時点で全てにおいて緻密な計算が終了しているわけではないということ。それから、グローバル社会に対しての日本国として達成させる責務の大きさという観点からも、この推進体制のレベルアップが必要なのではないかというふうに感じております。

 また、今回は、これまで以上に省庁の壁を越えた、そして産業側も事業分野の壁を越えた協力体制が鍵となってくると思います。したがいまして、例えば外部の専門家、有識者から構成されるような第三者委員会のようなものを設置して進捗を確認するというのも一つの例だというふうには思っているんですが、その辺りの現在のお考えがあれば、ぜひ共有をしていただけたらというふうに思います。

 最後に、国際貢献に関してです。長期戦略は、最後のページの三つ目のポイントに、長期戦略の見直しは、温対計画と整合的に進めていくという点。国内外への分かりやすい発信という観点も必要であるという記載がありますが、改めて、この長期戦略の役割の一つである国外への発信という側面は重要なポイントだというふうに理解をしています。

 これを踏まえ温対計画を見ると、その中にも、我が国の貢献による、海外における削減に関する記載があるんですけれども、その貢献が国際社会の中できちんと評価されることも重要だというふうに思っております。温対計画の国際貢献の項目には、農林水産分野における気候変動対策ですとか、グリーン冷媒技術、商品など、期待されている具体的な技術やノウハウがたくさんあります。で、それを有する企業からしてみると、やはりこれはビジネスチャンスでもあるわけです。

 一方で、石炭火力発電に関して明確な態度を表明していないことで、国際社会からの不信につながらないようにしていただきたいと。二枚舌になっているような評価をされてしまわないように、ASEAN地域への石炭火力発電の輸出など、注目の高い分野における明確な発言は、ある程度必要なのではないかというふうに期待をしているところでございます。この辺りのお考えも共有いただければというふうに思っております。

 以上です。

○大塚委員長

 ありがとうございました。

 では、山下委員、お願いします。

○山下委員

 山下です。聞こえますでしょうか。

○大塚委員長

 聞こえます。ありがとうございます。

○山下委員

 ありがとうございます。まず、地球温暖化対策計画の構成案の説明をありがとうございました。前回も申し上げましたとおり、省エネ、再エネに加えて、伝統的なゼロエミッション電源であります原子力を地球温暖化対策計画の中でも明確に位置づけるべきであると考えます。国民理解が道半ばではありますが、2050年にカーボンニュートラルを宣言した以上は、国が前面に出て原子力を活用していく方針を明確に示すべきです。

 次に、我が国の国内クレジットの活用について。J-クレジット制度の活性化にとどまらず、非化石証書の制度改正を踏まえた国内クレジットの一本化と、国際的な活用に向けてJCMの取組を含め、温対計画の中で今後のロードマップを明確に示すべきだと考えます。輸出を通じて海外における温暖化対策に貢献しつつ、成長に資する技術を浸透させるには、国内クレジットやJCMを活用する企業と、今後の見通しを共有することが肝要です。

 また、対策の進捗状況を環境省のWEBサイトなどで簡易かつ定量的に把握できるように、情報発信を強化すべきだと考えます。イギリスやアメリカの例では、将来の一次エネルギーや電源構成、対策の強度をユーザーが選択すると、今後の排出量がどのように変化するのかをグラフィカルにサイトを通して示すことがされております。

 ここまで報告いただいた各担当省庁による温暖化対策の進捗状況は、必ずしも相互に参照しやすい形式ではありませんでした。数値をグラフィカルに見せることで、どの部門でどのような取組強化が必要なのか、国民の温暖化対策への意識醸成、理解促進を一層進めていくためにも、温暖化対策の進捗状況を分かりやすく示すことを検討してはいかがでしょうか。

 次に、長期戦略について。まず確認したいのが、エネルギー基本計画や地球温暖化対策計画との関係はどう考えるのかという点です。今回は、既に基本政策分科会でRITEによるシナリオ分析の発表があるなど、本合同会合とは別に議論が進んでいます。カーボンニュートラルは大きなコスト負担を伴いますので、本会合においても、長期的に何ができるのか、何をしていかなければならないのか、費用対効果の分析を深めながら、基本政策分科会における2050年までのシナリオ分析の議論と整合的な形で、複線的な長期シナリオを議論の土台として検討することも重要だと思います。

 最後に、長期戦略を含む一連の温暖化対策の見直しに関連して、基本政策分科会を含む多くの会議体があります。今日の資料4にも主な取組が紹介されています。気候変動への対応強化が急激に加速する中で、多く存在する会議体の関係性や取りまとめに向けた検討の順番などが極めて分かりにくくなっていると思います。今後の検討スケジュールについて、2050年を決めてから2030年を考えるのか、2030年を先行するのか、検討スケジュールを明確にしていただきたいと思います。

 また、カーボンニュートラル目標に向けて、国民を含む全員参加を求めるのであれば、スケジュールだけでなく、各会議体の位置づけについても事務局として整理をして、透明性高く共有すべきだと考えます。

 以上になります。ありがとうございました。

○大塚委員長

 ありがとうございました。

 では、薬師寺委員、お願いします。

○薬師寺委員

 ありがとうございます。資料3の地球温暖化対策計画につきまして、2点、申し上げます。

 まず、6ページの各ステークホルダーの基本的な役割でございますが、既に何人かの委員からもご指摘がございましたけれども、やはり国民の役割は当然重要でございますけれども、私どもの経験から申しまして、関心とか危機感の高まりと、それが具体的な行動に結びつくという間には、かなり大きなギャップがございます。計画としては、こういう書き方になるのですけれども、この国民の基本的な役割を市民・国民の皆様が直接読むということは全く考えられないわけでございますので、やはり直接、例えばトップが国民に呼びかけるとか、また別に分かりやすい市民・国民向けの計画版、市民向けを作るとか、何か別のやり方を考えないと、なかなか届かないのかなと思います。

 それから2点目は、8ページの分野横断的な施策についてでございますが、これも何人かの委員からご指摘がございましたけれども、私どもも、例えば髙村委員からご指摘がありました地域での実装が重要ということで感じておりますけれども、例えば地域ということで言いますと、地域としては、何がやはり関心事として優先順位が高いかといいますと、防災であったり、見守りであったり、あるいは地域交通をどういうふうに維持していったらいいかというような、もっと優先順位が高い大きな課題がたくさんございます。

 私どもとしては、全くそういった、地域との取組と何の関係もなく低炭素化、脱炭素化ということで地域に入るということはできませんので、まちづくりといった場合、非常に広い意味を持っているのですけれども、やはり、これまで地域の方々と、お付き合いしてきた、いわゆるまちづくり、広い意味のまちづくりですね。そういったものと一体的に、新しい視点として地域の低炭素化、あるいは脱炭素化ということにも取り組みましょうという形で入っていかないとまずいということで、その辺りをちょっと念頭に置いた内容にしていただけると非常にありがたいと思っております。

 以上です。

○大塚委員長

 ありがとうございました。

 では、山口委員、お願いします。

○山口委員

 よろしくお願いします。私の声は聞こえていますでしょうか。聞こえていますね。

○大塚委員長

 聞こえています。

○山口委員

 では、よろしくお願いいたします。

 この温対計画の構成案で触れている、温暖化対策は経済の活性化や雇用創出、地域の課題の解決につながるという指摘や、コロナからのグリーン復興など、もちろん、これは大事なポイントだと思います。そして、今、やっぱり大きな時代の転換点を迎えていて、これから大事になるのは、サステナブルであること、持続可能性ということだと思うんですよね。

 先ほど江守委員からもお話がありましたけれども、この会合に以前出席してもらいました若い方々を中心に、自分たちの未来に関わる問題として、持続可能性に関心が高いですよね。彼らは、企業が自社の利益を上げるだけではなくて、社会の役に立っているかどうかもしっかり見ています。2025年以降は、ミレニアル世代以降の若い世代が労働力人口の過半数を占めます。今後は、持続可能な循環型社会への移行が求められているんだという点も強調していただければいいのではないかなと思いました。

 それから、長期戦略の基本方針に書かれている地域脱炭素ロードマップの、再エネポテンシャルを最大限活用して地域課題の同時解決を目指すという考え方はとても大事だと思います。例えば、今、ウッドショックと言われておりますが、背景には外材の輸入に頼り過ぎているという構造的な問題があるわけですよね。林業の衰退で国内の森は荒れておりますけれども、それを手入れして、国産材を適正に利用すれば、供給不足を防ぎ、間伐材はバイオマスの燃料になり、新しい木を植えればCO2の吸収量も増えて、木が元気になることで災害にも強い森になるという好循環が生まれてきます。大事なのは、その場所にある自然としっかりと向き合って共生する、地域循環共生圏をさらに広げて、実現していくということだと思います。

 それから、洋上風力や大規模な地熱は地域に雇用とお金を生んで、2040年や50年には日本の主力電源になり得ます。都市部に電気を送るために送電線増強の費用がかかりますが、私は、これは、日本のエネルギー自給率を高めて、年間17兆円という化石燃料の購入代金を減らすための大事な投資だと考えたほうがいいのではないかと思うんですね。

 そして最後に、髙村先生からもございましたけれども、様々な省庁の目標や行動がばらばらではなくて、脱炭素という一つの大きな目標に向かうために、エネルギーからインフラ、交通、農林業など、政府のあらゆる計画や施策が脱炭素社会を目指すということと整合的に策定されるように、温対計画や長期戦略の基本方針にしっかりと書き込んでいただきたいと思います。

 以上です。ありがとうございました。

○大塚委員長

 どうもありがとうございました。

 では、吉高委員、お願いします。

○吉高委員

 ありがとうございます。先ほど、薬師寺委員ほか皆さんおっしゃっていたように、確かに、この計画を、国民が読むということは考えにくいとはいえ、明らかに、これまでに比べて関心が高くなっているのは事実です。これが、国民が見たときに分かりやすい形の計画、長期戦略であるべきです。2030年のマイルストーンに対しての目線が出ましたので、これに整合性をとった形であることは最初に明記し、分かりやすくしていただきたい。

 例えば、地球温暖化対策計画の中の基本的な考えで、欧州がしているからとか、そういった話というのが、国民にとって決して重要な部分ではないかと思いますし、それが計画に最初に書かれるべきことなのかは、少し疑問に思います。

 それから、資料3の5ページの温室効果ガスの目標排出区分ですが、2030年というあと8年という短い期間のマイルストーンに対して、この区分で考えるべきものなのかというのを、今一度ご検討いただいたほうがよいのではないかと感じました。

 また、先ほど竹ヶ原委員もおっしゃっていましたが、資料3の8ページの横断的施策はどれも非常に重要でございます。ただファイナンス面から考えますと、ESG金融というのは、グリーン・ファイナンスを支えるためのものではないので、グリーン・ファイナンス、もしくはサステナブルファイナンスという言葉に置き変え、長期戦略と平仄を合わせたほうがよいのではないかと思っております。

 さらに、JCMやJ-クレジットはカーボンプライシングとも密接な関係がありますので、整理の仕方をご一考いただければと思いました。

 また、資料4の地域脱炭素ロードマップは大変重要だと思っております。長期戦略の中で、グリーン・ファイナンスは特出しされている一方、地域の金融機関は、まだ自分事になっていないと思います。この話題が、ハイレベルな話で、中央で考えていることとして終わってしまわないよう、地域脱炭素ロードマップの中で、地域金融の役割について明示されると自分事になるように思います。先ほど薬師寺委員もおっしゃったように、防災目的の分散型社会構築のための貢献ということで地域金融があるということでも重要な役割なので、その辺もきちんと記載されるのがよろしいのかと思いました。また、太陽光に関しては、ほかの委員もおっしゃったように、ゾーニングのアセスも必要ですし、水から水素を作る燃料電池など地方で採用されているような技術もでてきています。地域脱炭素ロードマップでご説明のあった施策内容に、少し偏りがあるように思われたので、幅広く深掘りいただきたいと思いました。

 気候変動に関連するものとしては、生物多様性、森林吸収源、適応といったことが非常に重要なものになってきております。次回、計画の改定がいつになるか分からないという点では、上位の考えとして、これらの内容が含まれる必要があるかと思います。

 そして最後に、前回も申し上げましたが、グリーンインフラという考え方は、緑化だけではありません。グリーン・ファイナンスを海外から呼び込むためにも、この定義は、国際的にわかりやすいよう、国内で統一するべきかと思います。

 以上でございます。

○大塚委員長

 ありがとうございました。

 山地座長、いかがでしょうか。山地座長、聞こえますでしょうか。

○山地座長

 大変申し訳ございません。

 順番で行きますと、これはつまらないこと、表現上の問題ですけど、中期目標(2030年度削減目標)と書いてありますけど、パリ協定の関係なのでNDCと書かれたほうがいいんじゃないかと思ったというのが一つ。それは全然つまらないことなんですけど、内容的なことはですね、3の6節のところの、スライド番号で言うと7、8、9というところですけど、この3つの中でですね、脱炭素型のライフスタイルへの転換というのが、7のところだと、②非エネルギー起源二酸化炭素。右下8のところだと、分野横断的なところの、分野横断的施策の中の三つ目のポツで脱炭素型ライフスタイルへの転換があって、スライド9で言うと、第6節で脱炭素型のライフスタイルへの転換。これ私、非常に重要な内容、項目だと思うんです。ほかの方も言われましたけど、この内容というのは、社会システムのイノベーションというところで非常に重要なこと。実際に書かれているのは、スライド番号で言うと、右下8の、J-クレジットとかの下に書いてある脱炭素型ライフスタイルへの転換の、その下の低炭素型の都市・地域構造及び社会経済システムの形成。ここが大事なので、この部分をちゃんとハイライトできるような構成にすべきじゃないかと。少なくとも、現状の脱炭素型のライフスタイルへの転換が、ぱらぱらと分散的に出てくるのが非常に問題だと思って気にかかる。特に、7スライドの非エネルギー起源二酸化炭素の中にこのライフスタイルへの転換があるのは本当にぴんとこない。非常に重要な分野ですので、ぜひ、ここはご対応いただきたい。

 もう一つは、スライド右下10ですけど、これは割と簡単なんですけど、この国際ルール作りの主導というところでJCMの件があるんだという説明はあったんですけど、これはだから、ルール作りの主導だけじゃなくて、JCMを通して国際貢献をしていく。それが大事なんですから、それをきちんと書く必要があると。

 それから、どなたかがおっしゃったと思いますが、途上国のアダプテーション、適応に対する支援というのも非常に重要だと思うので、それも加えていただければと思います。

 以上です。

○大塚委員長

 ありがとうございます。

 私からも、委員として一言申し上げさせていただきたいと思いますけども、今いろいろご議論がございましたが、私自身が一番気になっていたのは、この進捗管理のところでございまして、各省庁が費用対効果のことを考えて目標を達成していただくということが非常に重要であると思っています。江守委員が言われたように、不確実性が9年でもありますので、それを踏まえた上で、たくさんの委員からご発言があったように、PDCAを回していくようなことを、政府の中でも、ぜひお考えいただけるとありがたいと思います。

 この温対計画は、いろいろ項目を出してくださっていて、それぞれについて目標を達成していくことを考えることになって、江守委員が言われたように、その積み上げをすることになるんですけども、ともすると、非常にコストがかかるものがあり、他方で、割と楽にいくものもあって、そういうものについても目標以上には達成しないということではまずいので、そういうことも含めて、各省庁がある種の責任を持って対応していただくというようなことを考えていっていただくと、大変ありがたいというふうに思っています。

 ですから、具体的な進捗管理としては、PDCAの話とか、それから費用対効果に関して、他の省庁例えば環境省が司令塔の役割を果たすことがもしあるといいですけども、なかなか難しいかもしれませんが、そういうようなことも、ぜひ、お考えいただきたいと思いますし、あと、2050年カーボンニュートラルに向けて中間目標を立てていくというお話もありましたが、こういうこともできると大変いいかなと思います。

 2030年に関しても、2030年だけがピンポイントで問題なわけではなくて、それまでの累積排出量が問題になりますので、ロードマップを作っていくというのは大事なことであると思います。

 それから、ほかの国の計画との関係の計画間調整のような話もありました。これは、閣議決定で行っていただくときに計画間調整をしていくということが大事になってきますが、環境基本法をつくるときにも、環境基本計画とほかの計画との調整の問題は実はございましたので、それと同じようなことを、温対計画とほかの計画についてお考えいただくということになると思います。温対計画の中でそういうことについても触れるというのは、やっていただければ、それは大変いいことだと思います。

 あと、今まであまりやってこなかったことでご意見がございましたけども、進捗状況に関してWEBサイトで公表していくというのは、国にとっては結構大変かもしれませんけども、これは大事なことであるというふうに思います。それを国民に分かりやすくやっていくというのは、かなり大切な話だと思います。

 それから、今言ったような進捗管理の問題以外に、若者の意見を取り入れるというような話も、何人かの委員の方からございましたので、これも、国民の意見ということですけども、若者も含めて国民の意見を取り入れていくことは、大事なことでございます。

 あと一つ、これは資源エネルギー庁さんに質問がございます。前回のこの会議での質問で恐縮ですが、ご質問として出したんですけども、ここで改めて申し上げます。

 J-クレジット制度は、私も若干関わらせていただいておりまして、今後とも発展していっていただくことを切に望んでおりますけれども、2050年にはカーボンニュートラルということを考えると、前回の質問でも言ったように、この制度はベースライン・アンド・クレジットの制度なので、そこでJ-クレジット制度が使えなくなるというおそれがあります。そのときは、多分、ネガティブエミッションだけがカウントできるということになると思いますけども、J-クレジット制度として中小企業を主に対象にしていることを考えると、なかなか現実的ではないんじゃないかというようなこともございますので、その辺については、どうお考えになっているか。これは環境省も関係してしまうんですけど、前回の話だと、資源エネルギー庁さんが今、ご検討なさっているようなので、両方にお伺いしたいということでございます。

 私からは、少し長くなりましたが、そんなところでございます。

 では、今までたくさんご質問とかご意見とかをいただいたと思いますので、事務局からご回答いただければと思います。よろしくお願いします。

○坂口室長

 環境省事務局でございます。

 非常に多岐にわたりますご意見、ご質問を頂戴いたしましたので、全て、この時間帯にお答えし切れるかどうか、若干不安もございますけれども、お答えしていきたいと思います。

 まず、石井委員から幾つかご意見いただいた中で、やはりクレディブルな数値、そういったものを作るということが非常に重要だと。そこは私どもも認識、共有しております。これから、ちょっと今日の段階では具体的な数字までお示しできておりませんけれども、実効性のあるものにしていくということが非常に大事だと思っておりますので、そこの認識は共有いたします。

 それから、伊藤委員からも、例えばサプライチェーン全体で数値の、排出の算定をするような仕組みが必要ではないかとか、それからエネルギーミックスの性格、国民に分かりやすい説明なども必要ではないかと、そういったご意見をいただきました。

 サプライチェーン全体で、例えばそういった状況、排出の状況なんかも公表していったことで、それが社会的に評価を得るような仕組みも実質的にはあるわけではございますけれども、これがより広がっていくように、さらにその方法論についても、今後さらに検討が必要なんだろうと思っております。エネルギーミックスのこと、それからエネルギーの姿、今後どうなっていくのかという辺りは、まさに今、エネルギー基本計画のほうで議論が進められておりますけれども、確かに、分かりやすい説明は非常に重要だと思います。そこも認識を共有しております。

 それから、江守委員からは、特に、若者のヒアリングはどこに反映されるのかといったこと、その他、それから積み上げに関しても、この積み上げが全てではないよねと。むしろ、分野横断的な対策がやはり本質的ではないか、そういったご意見もいただきました。

 私ども、積み上げを今後やっていくわけですけれども、これがその全て、そのとおりにしなければならないものだというふうには思っておりませんので、そこも認識を共有しております。

 それから、若者のヒアリングでは、いろいろな意見をいただきました。これは先ほど、持続可能性といったことについても、いろいろな声が上がっていたんじゃないかと、そういったご指摘も別の委員からもいただきましたけれども、これをどういう形で反映していくのか、それはまさに、これからよく検討していきたいと思っております。

 それから井上委員、それから、これはほかの、例えば小川委員ですとか杉山委員とか、様々な方から、コスト関係についてどう考えるのかと、そういったご意見、ご質問をいただいております。もちろん、これからより強く、何らか対策を進めるに当たって、当然、一時的にコストがかかるということは避けられないかと思っております。それをどれだけコストダウンできるのか、させていくのか。それから、それに見合う別の便益とか、そういうところについても追求をしながら、極力無理のない形でやっていくといった視点が必要だろうと思っております。

 目標が高くなったからといって、そういったコストを無視してとにかく進めるといった考えではおりませんので、その辺りは認識、共有しておりますということでございます。

 それから、小西委員からも何点かご質問をいただきましたけれども、例えば、適応の支援、どのように取り組むか。それから長期戦略について、これからどんな審議ができる機会があるのか等ですね。さらには人材再教育、雇用シフト、こういったことについても幅広くご意見をいただきました。既に、長期戦略などに部分的に記載がある部分もありますので、これを今回温対計画のほうに入れていくことができるのか。時間的なタイムフレーム、9年先までの計画ですので、そうしたことをどれだけ具体的に、現実的に入れていくことができるかということを含め、よく検討していきたいと思います。

 それから、先ほど小川委員から、コストの上昇のほかに、自治体と、それから国の二重管理にならないようにといったご意見をいただきました。これは私ども、いろいろな場で産業界の方からそういったご意見をいただくことがありまして、そこはよく意識しております。これから自治体と地域の対策を進めていくに当たっても、よく考えながらやっていきたいと思います。

 また、今ある技術だけでカーボンニュートラルができるかのような誤解を生まないようにといったご指摘をいただきました。これは別途、逆に、増井委員からは今、長期戦略はイノベーションの比率が非常に多くて、イノベーションを待っていればカーボンニュートラルが達成できるという誤解を生まないようにという、両面からのご指摘を今日はいただいたわけですけれども、私ども、どちらも非常に大事であって、どちらかでいけるという世界ではないと思っておりますので、そういった誤解がないように、バランスの取れた対外的発信をぜひやっていきたいと思っております。

 下田委員ほかから、薬師寺委員などからもご指摘いただきましたけれども、温対計画、そのものだけでなく、よりその市民に分かりやすい形での発信をすべきではないかとご指摘いただきました。これも確かにそのとおりでございますので、そこは何ができるか、今後よく検討していきたいと思います。

 それから、ほかに杉山委員からも、対策をより強化していくのであれば、むしろ災害等について、しっかりレビューをしていくべきではないかと、そういった意見もいただきました。これも過去にいろいろ、そういったご意見をいただきつつ、私ども、これは第2回だったか第3回だったかと思いますけれども、環境省のほうでまとめております気候の影響評価報告書というものを定期的にまとめてございます。こういったものも使いながら、実際にその気象の状況が今どうなっているのかということについても、しっかりレビューをしているところですし、今後もやっていきたいと思っております。

 それから、髙村委員から、2050年カーボンニュートラルと整合してあらゆる政策が検討されることが必要であると、そういったご指摘その他いろいろいただきました。この温暖化対策に関しては、2050年、長期的なもの、それから2030年、中期的なものを含め、総理が本部長を務めます地球温暖化対策本部において最終的に決定をするという、かなり重厚な体制を取っておりまして、それもありまして、今般、2050年の検討に当たっては、例えば、髙村先生からインフラに関する事例などもご紹介いただきましたが、まさに国土交通省さんでインフラの、今後ライフサイクル全体を通じたカーボンニュートラルといったことも検討されているわけでございます。こういった各省においても、こうした全体としてカーボンニュートラルに整合的な動きになるよう、これも総合調整に引き続き努めていきたいと思っております。

 竹ヶ原委員から、自分事で理解できるようにと。それからオールジャパンで取り組むようにといったことをいただきました。私どももご賛同いたします。

 それから、グリーン・ファイナンス。これは吉高委員からもいただきましたけれども、グリーン・ファイナンスとか、サステナブルファイナンスという言葉にしてはどうかといったご指摘もあります。これも、いただいたご意見を踏まえ、今後どうするか検討していきたいと思います。

 それから、こちらの回答が大分続いておりますが、三宅委員からですか、すみません、長谷川委員から、環境と経済の好循環といった、今回、経済と環境の好循環と総理が言ったことに関し、その統合的向上の記載の中で、環境が主で経済が従のように見えるのではないかといったご指摘をいただきました。統合的向上という、この書きぶりに関しては、既に実は温暖化対策法の条文に記載のある言葉でございまして、決して、環境が主であってそれ以外が従であるといった性格のものではございません。そこは誤解がないようにいただければと思いますし、我々のほうも、そういった理解にならないように、しっかり発信に努めていきたいと考えております。グリーン復興が成長に「つながっていく」ではなく、「つなげていく」ではないか、これもおっしゃるとおりかと思います。

 三宅委員からも、推進体制の整備について、さらに長期戦略、国外への発信、日本の貢献が社会で評価されるような枠組みをすべきではないか。こういったことについても認識、共有いたしますので、今後何ができるかということかと思います。

 先ほど、統合的向上というのは、すみません、既に条文にあるというふうに申し上げましたが、この条文は現在、国会で審議中ということでございました。大変失礼いたしました。今国会で、ただいま審議中ということでございます。

 山下委員から、原子力についても明確な位置づけをということでいただきました。まさにここ、この温対計画、それから長期戦略については、当然ながらエネルギー基本計画と記載を整合させて位置づけていくということかと思いますので、資源エネルギー庁のほうとしっかり協調して、連携を取りながら、これらの計画、戦略への位置づけを検討していきたいと思っております。また、国内の進捗状況、ホームページで分かりやすく示す取組についてもアドバイスをいただきました。ありがとうございます。これまで、先ほど、三宅委員のほうからも別途、例えば、推進体制のレベルアップといったご指摘もいただいて、それとも関連することですけれども、現在は、この温対計画の記載されている各取組について、全て事細かにデータをいただいて、それを有識者も入っていただいた審議会、検討委員会、そういった場を通じて評価を行って、最終的に打ち出すという形を取っているわけですけれども、その出し方が非常に分かりづらいといったご指摘ではないかと思います。別途、我が国の温室効果ガス排出量の排出状況の打ち出しということともうまく連携させる形で、こうした対策の進捗状況についても、より分かりやすい形で出せないかということも、少し、今後検討することができればなというふうに思っております。ありがとうございます。

 薬師寺委員からいただきました分野的横断施策、やはり地域の優先順位が必ずしも気候変動対策最優先ではない。それはそのとおりかと思います。やはり、ほかの地域でより短期的に、目の前の課題となっているものとどうやって気候変動を絡めて無理なくやっていくのかということに関しては、私どもも意識しながら今後進めていく必要があろうかと思っております。一緒に、ぜひ、やらせていただければと思います。

 山口委員からいただきました、例えば、あらゆる方針が脱炭素に向かうように、それから地域の雇用とか、それから資源をしっかり活用すべきではないか。おっしゃるとおりかと思います。今の薬師寺委員のコメントとも少し絡むところではありますけれども、地域資源をうまく使っていくということと併せて、地域の問題を併せて解決するというところが重要かと思いますので、進めていければと思っております。

 吉高委員からも、分かりやすい発信、それから、部門の目標という形が、あと9年という形でよいのかといったご指摘もいただきましたけれども、各部門の目標ということだけでなく、それぞれの対策、施策一本一本についての目標も掲げつつ、それが全体に結びついた形で、最終的に全体として目標達成をどうしていくかという進捗の管理をしていくということだと思っています。必ずしも一つ一つ、事細かに全てが目標どおりである必要もないと思いつつ、いろいろ凸凹はあるんだと思いますけれども、全体としてしっかり管理をしていくということだと思っております。

 山地座長から幾つかご指摘をいただきました。脱炭素型ライフスタイルへの転換の部分、社会イノベーションとか、社会経済システム、こういったところをもうちょっとしっかり書くべきではないか。それから、その部分が非常にあちこちに書かれていて分かりづらいと。特に非エネルギー起源CO2に書いてあるのは違和感だといったご意見もいただきました。非エネCO2のところは恐らく廃棄物の関連のところに書かれるという意味で、そこにも記載があったということだと思いますが、基本、いわゆるライフスタイルの転換という項でしっかり書きまして、あと、個別の施策に絡む部分は個別のところにも若干触れると、そういった建て付けにするのかなと思っております。

 国際ルール作りのところ、先ほど私がJCMのことを例示してしまったので少し混乱を招いたかと思いますが、JCMについてはJCMでしっかりやっていくということを記載するつもりでございます。

 すみません。ちょっと全体として、全てお答えし切れたかどうか、ちょっと不安がありますが、大分時間をかけてしまって申し訳ありません。

 あと、経済産業省からも回答がございます。よろしくお願いします。

○梶川産業技術環境局環境経済室長(経済産業省)

 経済産業省の環境経済室長の梶川です。

 今、坂口室長から、かなり丁寧にお答えをいただいていますので、経済産業省関連でお答えしたほうがいい点について、ちょっとお話をしたいと思います。

 まず、小西委員から、グリーン成長戦略の関係で、どういう形で議論されていくのかというお話。あと、ある程度いろんな方の意見を聞くべきじゃないかという話があったかと思います。

 グリーン成長戦略に関しましては、昨年の12月ですね。経済産業省がある程度中心になりながら、各省とうまく連携して、年末の成長戦略に大臣が報告したという形で策定をされております。これそのものは、実際にはかなりローな内容でして、洋上風力であるとか様々な分野、14分野の特定と、あと横断的な施策、これは金融であるとか予算、こういったものについて案を作っていると。

 現状、この内容の深掘りというものを進めておりまして、この深掘りの中で、産業界もそうですし、様々なステークホルダーと意見交換をしながら中身を深めていくということをしております。4月12日に、成長戦略会議に中間報告をするということになっていまして、それから政府の文章としては、成長戦略の中で閣議決定されていくというような形になっていくと思います。小西委員がおっしゃったような形で、様々な意見をしっかり取り入れながらやっていくということは大変大事だなと思っているところでございます。

 次に、長谷川委員から、成長に資するカーボンプライシングの件についてご質問があったと思います。ここの内容に関しましては、今、総理のご指示によって、環境省と経産省それぞれ検討しているということになっております。この中でお互いに今、成長に資するカーボンプライシングについてやるべきこと、あと中長期的な課題も含めて議論をしておりまして、ここで具体的に、政府内での調整をしたものが記載されていくということになるとは思っています。その中で、国境調整のお話もありますけども、これも環境省の小委員会、経産省の研究会、それぞれでご議論いただいて、一つの考え方というのができております。こういったものも内容に入ってくるものと考えております。

 あと、大塚委員長から、先般の委員会の中でお答えできなかった点について再度ご質問いただいたと思います。J-クレジット、これは資源エネルギー庁ではなく産業技術環境局、あと環境省、農水省、3省で制度運営をしているものですけども、現状においては温対計画において2030年度までの措置ということになっておりますが、前回もご議論いただきまして、2050年というところまで考えていると。その中で、これは大塚委員長おっしゃるとおり、2050カーボンニュートラルということを前提とすると、あくまでこのクレジット制度というのは、その移行期に使うものだという理解をしておりますので、委員長のおっしゃる点は我々も認識しております。その中で、どういう形でこのオフセットのニーズが出てくるものを活性化していくかという点で、先般ご議論いただいたものと考えております。

 取りあえず、私からは以上でございます。失礼いたします。

○大塚委員長

 どうもありがとうございました。

 5時を過ぎてしまいました。本当は、もう一回ご意見をいただきたいと思っていたのですが、時間が来てしまいましたので、誠に申し訳ありませんが、本日はこれで議事は終了するということにさせていただきたいと思います。

 最後に、事務局から、何か連絡事項がございましたらお願いいたします。

○坂口室長

 恐れ入ります。委員の皆様方におかれましては、活発なご議論をありがとうございました。ちょっと最後、事務局、私から回答が長過ぎたせいで2回目のご議論ができなかったことをお詫び申し上げたいと思います。

 本日の議事録につきましては、事務局で作成の上、委員の皆様方に確認いただきました後、ホームページに掲載させていただきたいと思います。

 また、次回の開催につきましては、詳細が決まり次第、別途ご連絡申し上げます。

○大塚委員長

 それでは、以上で閉会とさせていただきます。本日は、どうもありがとうございました。

午後17時08分 閉会