中長期の気候変動対策検討小委員会(産業構造審議会産業技術環境分科会地球環境小委員会地球温暖化対策検討WG合同会合)(第1回) 議事録

日時

令和2年9月1日(火) 15:00~17:00

議題

  1. 気候変動対策・エネルギー政策の現状及び新型コロナウイルス感染症による影響を踏まえた今後の気候変動対策について
  2. その他

配布資料

議事次第

資料1:中央環境審議会地球環境部会中長期の気候変動対策検討小委員会委員名簿

資料2:産業構造審議会産業技術環境分科会地球環境小委員会地球温暖化対策検討WG委員名簿

資料3:中央環境審議会地球環境部会中長期の気候変動対策検討小委員会・産業構造審議会産業技術
環境分科会地球環境小委員会地球温暖化対策検討WG合同会合の開催について

資料4:気候変動対策の現状及び新型コロナウイルス感染症による影響を踏まえた今後の気候変動対策について

資料5:エネルギー政策の現状について

資料6:本日、ご議論・ご意見頂きたい事項

参考資料1:環境省における気候変動対策の取組

参考資料2:経済産業省における地球温暖化対策の取組

参考資料3:杉山委員提出資料

議事録

午後 3時00分 開会

坂口室長

定刻となりましたので、ただいまから、第1回中央環境審議会地球環境部会中長期の気候変動対策検討小委員会・産業構造審議会産業技術環境分科会地球環境小委員会地球温暖化対策検討WGの合同会合を開催いたします。

本会合は環境省、経済産業省の両省が共同で交互に事務局を担いまして、私、今回の事務局を務めます環境省地球環境局脱炭素社会移行推進室長の坂口でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

本日は、中央環境審議会小委員会・産業構造審議会WGのそれぞれの過半数の委員に御出席いただいておりまして、定足数の要件を満たし、合同会合として成立していることを御報告いたします。

本日の合同会合は、コロナウイルス感染症対策のため、WEBにより開催させていただきます。開催の状況はYouTube環境省動画チャンネルで同時配信し、動画は、会議後、議事録公開までの間、WEB上で公開予定です。

WEB会議の開催に当たり、何点か御協力をお願い申し上げます。

通信環境の負荷低減のため、カメラの映像はオフにしていただきまして、御発言の際のみオンにしていただきますようお願いいたします。事務局側も発言する場合を除きオフにさせていただきます。

また、ハウリング等を防ぐため、発言する際以外はマイクの設定をミュートにしていただけますよう御協力をお願いいたします。

それでは、会議の開催に当たりまして、小泉環境大臣より挨拶いたします。

小泉環境大臣

改めまして、皆さん、こんにちは。今日は環境省、経産省合同の審議会ということで、1回目ということになりますから、私から少し思いを申し上げたいと思います。

まず、うちからは佐藤副大臣も今日は出席をいただいて、経産省からは松本洋平経産副大臣も御出席をいただいています。二人三脚で、両輪でこの審議会が回されることを期待していますので、ぜひ経産省の皆さんにもよろしくお願いしたいと改めて思います。

今回、両省から委員を選んで、この合同審議会を議論いただくことになりますが、私として、環境省からの委員でこだわったところは、一つはダイバーシティです。11人中6人、女性の委員にもお入りいただいたのは、やはり多様な声を反映しなければ、今後の複雑に絡み合う気候変動、そしてエネルギー政策、こういったことは前進をさせることは難しいと。ですので、今回、ダイバーシティあふれるこの委員の皆さんには、遠慮することなく、思い切って議論を展開していただきたいと思います。そして委員長の大塚先生には、それらをまとめて建設的な議論を積み重ねていただきたいと思います。

今日御議論、御意見いただきたい事項は二つあります。一つ目が、今年の3月に提出した日本のNDCにおいて、温室効果ガス排出量を2030年度に、2013年度比26%減、この水準にするという削減目標にとどまることなく、中期、長期の両面で温室効果ガスの更なる削減努力を追求していくとしていることを踏まえて、地球温暖化対策計画を見直していく上で、どのような点について対策、施策の強化、深掘りが必要と考えるか。そして二つ目が、ウィズコロナ、アフターコロナの世界をどのように考え、また、コロナの影響が気候変動対策に対してどのように作用すると考えるか。このそれぞれについて、委員の皆さんから御意見を頂きたいと思います。

まず私からは、この一つ目について申し上げます。

6月に閣議決定された環境白書において、気候変動問題が今や気候危機と捉えられていることを初めて示して、環境省としての気候危機宣言も行いましたが、私は昨年の環境大臣就任以来、この気候危機に立ち向かうことに全力を尽くしてきました。特に2050年までにCO2排出量実質ゼロ、これを表明した自治体、いわゆるゼロカーボンシティが、昨年9月の時点でたった4自治体だったものが、今では151自治体に増えて、その人口は7,115万人ということで、日本の人口の規模の半分を超えて、脱炭素に向けた不可逆的な流れができてきました。

私はこれを今の政府の目標の2050年80%とか、2050年以降できる限り早い時期に脱炭素社会の実現ではなくて、今の自治体総人口も過半数を超えているわけですから、自治体と同じように、2050年の脱炭素社会の実現という、そういったところに向けて、より政策の強化をしていくことが必要だと思っていますので、そういった思いを持ちながら、委員の皆さんには御議論をいただきたいと思います。私は政府の目標がそうなっていくように汗をかきたいと思います。

また、石炭火力輸出支援の方針については、関係省庁、経産省とも、特に粘り強く議論を進めて、7月に公表したインフラ海外展開に関する新戦略の骨子、この中で、脱炭素化に向けた方針などをしっかりと把握していない国に対しては、政府としての支援を行わないことを原則とする、こういう新たな方針を示すことができました。

国内でも、経産省梶山大臣のリーダーシップの下で、非効率な石炭火力のフェードアウトに向けた取組が動き出しました。

加えまして、急速なデジタル化に伴う通信料の上昇に対応するゼロエミッション・データセンターの実現を目指して、情報通信基盤の脱炭素化の取組が、統合イノベーション戦略2020に盛り込まれました。環境省としては、北海道の石狩で、この再生可能エネルギーを導入しているデータセンター、これをゼロエミッション・データセンターと言いますが、この補助事業もやっていますので、これが、早ければ来年動くことになりますので、こういったことも実現していきたいと思います。

そしてeコマース、デリバリー、こういった配送用の需要も出てきますので、そういった配送のEVに関する支援、そしてバッテリー交換式の電動車両の補助、こういったものも具体的に今やっています。

今後の気候変動対策について、幅広く御議論いただいて、中長期の両面で更なる削減努力の検討を深めて、NDCで決定した更なる野心的な削減努力を反映した意欲的な数値につなげていきたいと考えています。

次に、御議論いただきたい事項の二つ目として、今般のコロナ禍で社会構造の前提条件が既に変わっていることを認識する必要があります。また、今後の復興においても、経済社会をより持続可能で強靭なものに変革していくための再設計、リデザイン、このリデザインということを我々は言っていますが、具体的には脱炭素社会、循環経済、分散型社会への移行という三つの移行が必要だと考えています。

新型コロナウイルス感染症の時代に、さらにその先の新たな社会像について議論した4月30日の未来投資会議においても、多くの委員からグリーンリカバリーやサステナビリティの視点の重要性について発言がありました。こうした視点を踏まえた経済社会の将来像について、しっかりと、今までの前提にこだわらず議論していただきたいと思います。

 明後日9月3日には、新型コロナからの復興と気候変動、環境対策について、各国の閣僚間で情報交換を行うオンライン・プラットフォーム会合を、私が議長で開催します。これは気候変動の分野で日本が議長を務めるのは、京都議定書の採択以来23年ぶりのことでもあります。日本が国際社会でリーダーシップを発揮していく重要な機会ですので、今日開始するこの合同会合における議論も、今後日本が世界の気候変動対策をリードしていく上での重要な一歩だと考えています。

 最後になりますけれども、ファクトに基づいた議論の重要性について申し上げたいと思います。

 ファクトベースで議論したからこそ、先に述べた石炭火力輸出支援の方針に関する議論も建設的に行うことができたと考えています。この合同会合においても、説得力のあるデータ、ファクトを積み上げていただくことが、結果としてより前向きな政策につながると思いますので、ぜひファクトに基づく議論、こういったことで各省が、両省が協力してやっていきたいと思います。松本副大臣、どうかよろしくお願いします。委員の皆さんもよろしくお願いします。

ありがとうございました。

坂口室長

また、環境省からは、佐藤環境副大臣も出席しております。

続きまして、松本経済産業副大臣より御挨拶を頂きます。

松本経済産業副大臣

ただいま御紹介をいただきました、経済産業副大臣の松本洋平です。皆さん、聞こえていらっしゃいますでしょうか。大丈夫でしょうか。

本日、中長期の気候変動対策検討小委員会と地球温暖化対策検討ワーキンググループの第1回合同会議が立ち上がりました。皆様とともに地球温暖化対策の検討を力強く進めていけることを期待しております。

また、小泉大臣から、車の両輪というお話がございましたけれども、環境省、経済産業省がともに一緒になって前に進めていくということが、この問題を解決、実現をしていくためには大変重要なことだと思います。ぜひ、有識者の皆様方、そして委員会の皆様方からのいろんな御意見も頂戴をしながら、我々経済産業省といたしましても、環境省と一緒になって議論をし、進めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。

この会議におきましては、気候変動対策検討小委員会委員長の早稲田大学大塚教授、地球温暖化対策検討WG座長の公益財団法人地球環境産業技術研究機構山地副理事長並びに、御参画いただいております委員の皆様方に、まずは心から感謝を申し上げたいと存じます。

年明け以降、新型コロナウイルス感染症によりまして、国内外で日常生活や経済活動への大きな影響が生じております。エネルギーや環境分野もその例外ではないと考えております。

今年の4月、IEAは、新型コロナウイルス感染症による経済活動などへの影響によりまして、2020年に世界のCO2排出量が、昨年比で8%減少するとの予測を公表したところでもあります。

この8%という減少でありますけれども、この減少分が1.5℃目標を実現するために、世界全体で削減することが必要なCO2排出量に相当するということで、世界で注目を集めたことは、皆さんも御存じのことと思います。

これだけの大胆なCO2の排出量削減が実現可能であるということが、図らずも示された形ではありますけれども、経済活動を犠牲にすることなく、CO2排出量削減を達成するためには、非連続なイノベーションが不可欠であるということを、我々としても改めて実感したところであります。

経済産業省におきましては、地球温暖化対策を、制約ではなくて機会と捉えるということが大変重要だと考えております。環境と成長の好循環を実現するという方針の下で、イノベーション、ファイナンス、ビジネス主導の国際展開、この3本柱といたしまして、地球温暖化対策に取り組んでいるところであります。

エネルギー政策につきましては、先般、安定供給やコストに注意を払いながら、思い切った脱炭素化に舵を切る方針を打ち出させていただきました。それを受けて、非効率石炭のフェードアウトを確かなものにする新たな規制的措置の導入に向けた検討や、洋上風力産業の競争力強化などの取組が具体的に進められているところでもあります。これは、小泉大臣、そして経済産業省の梶山大臣等々が精力的に議論をした、そうした結果だと理解しているところでもあります。

現在、政府では、今年3月に国連に提出をいたしました、日本のNDCに掲げられた2030年の削減目標達成に向けまして、地球温暖化対策計画の見直しに向けて動き始めているところであります。この合同会合には、産業、大学、金融機関など、幅広い分野の方々にお集まりをいただいております。コロナの影響が地球温暖化対策にどのように作用するのかを踏まえ、多様な見地から御議論いただくことを期待しております。コロナの影響を踏まえ、また長期的なビジョンを見据えて、具体的な対策、施策の強化、深掘りにつながる白熱した議論をぜひ展開していただきたいと思います。そしてその結果を、地球温暖化対策計画の見直しに生かしてまいりたいと考えております。

先ほど小泉大臣からも御発言がありましたけれども、ぜひ皆様方には忌憚のない御意見を表明をしていただき、そして議論をしていただきたいと思います。

本日立ち上げられたこの合同会合を通じまして、日本の地球温暖化対策について、より一層力強く、今後の方向性に関する議論が進みますよう、関係各省の力を結集し、皆様と協力して取り組んでいくとの決意、並びに環境省と車の両輪となって経済産業省も全力を尽くしていくということを、改めて決意を申し上げさせていただいて、私からの挨拶といたします。皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。

坂口室長

ありがとうございました。

小泉環境大臣、松本経済産業副大臣は公務のため、ここで退席いたします。どうぞ御了承ください。

本合同会合開催に当たりまして、委員名簿の方々に委員に就任いただいております。委員名簿、資料1と2でございます。大変失礼ながら、時間の都合により、配付資料の名簿の掲載をもって、御紹介に代えさせていただきます。

中央環境審議会小委員会におきましては、地球環境部会長により、大塚委員が委員長として指名されております。産業構造審議会WGにおきましては、山地委員に座長をお願いしております。

なお、本日ですけれども、石井委員は16時半頃からの御参加となる予定です。また、小川委員、髙村委員におかれましては16時30分頃までの御参加となる予定と伺っております。

議事を進める前に、今回の合同会合の開催の経緯につきまして、御説明させていただきます。

資料3を御覧いただければと思います。

こちらに開催の趣旨が書かれてございます。

我が国、2015年7月に26%削減という目標を掲げました約束草案を提出しましたわけですけれども、その後、パリ協定が採択されまして、その後、本年3月に国連に提出しました「日本のNDC」、こちらで、この真ん中辺でございますけれども、我が国は、約束草案で掲げた目標、つまり26%削減を確実に達成することを目指す。そしてこの水準にとどまることなく、中・長期の両面で更なる削減努力を追求する。これに基づいて、温対計画の見直しに着手する。そして削減目標の検討については、エネルギーミックスの改定と整合的に、対策・施策を積み上げて、意欲的な数値を目指し、次のパリ協定の5年ごとの提出期限を待つことなく実施する等々というふうに記載しております。

こうした経緯に加えまして、本年、我が国でも新型コロナウイルス感染症に係る緊急事態宣言が発出されるなど、様々な大きな影響が出ておりますので、こうした変化も捉えながら、対策の検討が必要と考えております。

これらを踏まえまして、長期のビジョンを見据えつつ、温対計画の見直しを含めた我が国の気候変動対策について、この合同会合において審議を進めることとするというものでございます。

それでは、中央環境審議会小委員会の大塚委員長に御挨拶を頂くとともに、以降の議事進行をお願いしたいと思います。大塚委員長、よろしくお願いいたします。

大塚委員長

一言挨拶を申し上げます。

地球温暖化対策推進法9条は、少なくとも3年ごとに温暖化対策計画の見直しをする、検討するということになっておりまして、このWGの設置に至ったわけでございます。

今回の計画の見直しにおきましては、昨年6月に閣議決定されました長期戦略との関係、また、エネルギー基本計画等の動向を踏まえつつ、三つの点が重要な議題になるものと考えております。

第1は、ウィズコロナ、ポストコロナの時代における社会の変化を踏まえた対策の在り方の検討です。コロナウイルス感染症によって、温室効果ガスが多少減った状態から、どのようにグリーンなリカバリーをするかが問われていると思います。

第2は、個々の対策についてどこまで深掘りができるかです。

第3は、中期・長期の両面で、更なる削減努力を追求する観点から方向性を示すこと、そして、NDCの意欲的な数値につなげていくことです。

第2点、第3点に関しては、先ほど大臣のほうからもお話がございましたように、最近、石炭火力発電の輸出の方針変更に加えて、国内の石炭火力発電に関しても、経済産業省のほうで、非効率な石炭火力のフェードアウトの仕組みの検討を始めるということ、また、日本の人口の過半数となる自治体が、2050年CO2排出実質ゼロを表明されたことなど、新しい動きも見られます。忌憚のない、同時に現実を踏まえた、活発な議論がなされることを期待しております。

それでは、本日の議題に移りたいと思います。

本日の議事次第にございますように、まず第1として、気候変動対策・エネルギー政策の現状及び新型コロナウイルス感染症による影響を踏まえた今後の気候変動対策について、第2として、その他となっております。

まず、議題(1)について、資料4及び5に基づいて事務局からまとめて説明いただいた後で討議を行う形にしたいと思います。

それではまず、資料の4と5につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

坂口室長

それでは、資料4について、手短に御説明させていただきたいと思います。

この資料4、内容は大きく分けて三つでございます。気候変動対策の現状、そして温室効果ガスの排出の動向と計画の進捗状況、そして新型コロナウイルスの影響、以上でございます。

まず、気候変動対策の現状ですが、パリ協定の御紹介をごく簡単にいたします。

先進国、途上国、両方が参加する国際的な枠組として、2015年に採択されたものでございます。長期目標として2℃目標、1.5℃に抑える努力の追求、そして今世紀後半の脱炭素が言及されてございます。この協定は全ての国に削減目標の5年ごとの提出、いわゆるNDCというものでございます。そして長期戦略の作成などを求めております。

こちら、1.5℃特別報告書でございます。平均上昇気温、気温上昇が1.5℃を大きく超えないような排出経路は、2050年前後には世界のCO2排出量が実質ゼロになっている等々の内容が記載されております。

そして、本年開催予定となっておりましたCOP26でございますが、来年に延期されております。一方で、国際的な機運を継続させるためということで、小泉大臣の提案で、各国参加によるオンライン・プラットフォームを明後日に開催することとなっております。その御紹介です。

さて、本合同会合では、温対計画の見直しを中心に御議論いただきたいと考えておりますけれども、その温対計画の根拠法が、こちらの地球温暖化対策の推進に関する法律でございます。

2ポツのところにありますとおり、温対計画は閣議決定をするということ、そして、毎年度進捗点検をすること、3年に1回検討を加えること、こういった規定のほか、諸々の規定が記載されている法律でございます。

そして、2015年のパリ協定に向けた我が国の約束草案でございますが、2030年の目標として、2013年度比26%削減という目標を掲げてございます。これは具体的な裏付けのある様々な対策等の積み上げによって算出された数字でございます。

そして、翌年に策定いたしました現行の温対計画では、この約束草案を踏まえまして26%削減目標を掲げております。また、この資料の真ん中辺に記載がございますとおり、長期的な目標として、2050年までに80%削減を目指すとも記載がございます。

こちらは実際の温対計画の構成でございます。第1章として基本的な方向、そして第2章として削減目標の比較的詳細な記述、そして第3章、ここに、この26%削減を実現するための具体的な対策、施策を詳細に記載してございます。そして第4章として進捗管理の方法等についても記載がございます。

そして、これが先ほどの資料3でも御紹介しましたけれども、本年3月に提出いたしました、最新のNDCでございます。こちらも先ほど資料3に申し上げたとおり、26%削減を確実に達成する一方で、この数字にとどまらない削減努力を追求していくこと。そして、計画の見直しに着手すること等々の記載がございます。

続きまして、昨年6月に決定いたしました、日本の長期戦略を御紹介いたします。

ここにありますとおり、最終到達点として脱炭素社会を掲げるということ。そしてこれを野心的に、今世紀後半のできるだけ早期に実現をするということ。そして、この脱炭素社会というのは、全世界での温室効果ガスの排出と吸収が均衡する社会を掲げているものでございます。そしてこの達成に向けては、環境と成長の好循環、こういったことをキーワードに、我慢とかそういったことではなく、将来に希望の持てる明るい社会を描くということを内容としております。

こちらが長期戦略の実際の具体的な内容のところでございますが、横断的施策として三つのキーワードが記載されてございます。一つがイノベーションの推進、そして二つ目、グリーンファイナンスの推進、そして三つ目、ビジネス主導の国際展開、国際協力、こういったキーワードが中心となっているというところでございます。

このパリ協定に向けた長期戦略を踏まえまして、特にイノベーションという点につきまして、革新的環境イノベーション戦略というものを政府で策定しております。具体的に2050年までの確立を目指す具体的な行動計画、5分野16課題を挙げまして、これを実際に進めていくという努力が今なされているという状況でございます。

以上までの中身を少しまとめて図にしましたものがこちらの図でございます。2013年を今この中期目標の基準年にしておりますが、ここのピンク色のグラフから2030年度で26%まで削減するというのが現状の目標。そして2050年までには80%削減し、そして今世紀後半のできるだけ早期に脱炭素社会を目指すというのが我が国の現状の目標ということになっております。

続きまして、排出量関係の御紹介を幾つかいたしたいと思います。

こちら、最新のデータでございます2018年度の総排出量でございますが、2013年の基準年をピークに、ここ5年ほど連続で減少しているということになっております。この要因としては、やはり電力の低炭素化によるところ、そして省エネ等々によるところがかなりメインのところかと考えております。

次のページは、具体的にガス別の状況ですけれども、大半が二酸化炭素、特にエネルギー起源二酸化炭素が大半を占めるということが全体として見てとれるかと思います。

こちらは、2013年の基準年と、それから2030年の目標値を直線で結んで、それに対するこれまでの推移を示したものでございます。これまでの推移だけで見ますと、この直線のラインよりは少し多めに削減が進んでいるのが現状ということが言えるかと思います。

こちらは毎年行っております温対計画の進捗のレビューというところで出てきます、各対策の進捗状況でございます。排出量の8割に当たるものが、大体予定と同じようなペースで進んでいるということでございます。

一方で、こちら、2018年現在で、世界の中で日本がどうかということでございますが、国別で見ますと、我が国、現在世界第5位の排出国ということになります。ただ、次のページにもあるんですけれども、やはり途上国の排出が非常に増えておると、こちらの赤いグラフですね。こちらにあるとおり、我が国だけの削減というよりは、先進国だけでなく全体の新興国も含めた世界の削減をしていかなければならないということは留意しておく必要があるかと思います。

こちら、先進主要国の主な排出量の推移でございます。1990年をベースにするとこのような形ですが、次のページ、2013年、日本の基準年を、各国その年の排出量を100としますと、これまでこのような推移を示しておりまして、主要先進国の中では日本はイギリスに次いで削減が進んでいるというふうに言えるかと思います。

そして最後のパートですけれども、新型コロナウイルスの影響等々でございます。こちらはIEAが出したレポートによります今年の世界のエネルギー需要、昨年に比べてどうかということでございますが、一次エネルギー需要で6%ぐらい全世界減るのではないか。特に化石燃料の需要減が激しいのではないかと、そういった記載がございました。

CO2の排出量の変化という意味でも、これは非常に息の長いグラフになっていますが、この1年間で8%ほど減るのではないか。先ほどから松本副大臣の御挨拶にもありましたとおり、このような予測がされております。

ただ、この減少というのは、あくまでも経済活動がかなり停止に追い込まれたといったことによるものですので、今後これを、経済を守りながら、どうやって実際に排出減につなげていくのかということが、今後の課題かと思います。

我が国のエネルギー需要のデータですね。こちら、各部門別に見てみますと、先ほどのIEAと同様に、産業、それから運輸を中心に、3月、4月、5月と、実際に減少が見られているのですが、家庭部門だけ少し様相が違いますので、御紹介をいたします。

このとおり、若干気候の影響もありますでしょうが、3月、4月については、前年度よりも増えていると。これがほかの部門と違う傾向でございます。在宅期間の増加というのがかなり影響しているのではないかと思われます。

最後に、最近の政府の様々な会議における脱炭素社会、それからESG投資、SDGs、そういったものの記載ぶりを抜き書きさせていただいております。こういった長期の気候変動対策ですとか、持続可能性、こういったことについて、かなり言及がされるようになっております。

最後のページは、今年の7月末に開催されました、未来投資会議の議事の概要からの抜き書きでございます。この会、コロナ後の社会、そういったものを重点的に議論された会でございますが、ここにありますとおり、かなりグリーンリカバリーとか脱炭素化と、こういった発言も出ているということでございました。

資料4の御説明は以上でございます。

大塚委員長

続きまして、資料5につきまして、資源エネルギー庁の西田様からお願いいたします。

西田室長

資源エネルギー庁戦略企画室長の西田でございます。聞こえていますでしょうか。

それでは私のほうから、エネルギー政策の現状ということで、資料5に基づいて御説明させていただきます。お時間もありませんので、ポイントを絞って御説明させていただきます。

全体、3部構成になってございまして、まずその背景情報、それから足元の取組の状況、そして最後にコロナの影響ということで御紹介をさせていただきます。

3ページをお願いいたします。

現在、エネルギー政策はエネルギー基本計画というものに基づいて実施しておりまして、まず2014年に第4次のエネルギー基本計画を策定し、その翌年、現在のエネルギーミックスを決め、そして温対計画が2016年5月にありましたが、その18年ですね、第5次のエネルギー基本計画というのが現行の基本計画になってございます。これに基づいてエネルギー施策を進めているところでございます。

4ページをお願いします。

エネルギー政策の基本的な考え方として大事なポイントは、やはり3E+Sと言っていますけれども、安全性を大前提として、自給率、経済効率性、温室効果ガスの排出抑制ということで、それぞれをしっかりとバランスを取りながらやっていく必要があるということでございます。

次のページに行っていただきますと、それを踏まえまして、現在の2030年のエネルギーミックスに向けてどういう状況かというのが5ページの表でございますけれども、縦軸が政策目標、横軸が時間軸になってございます。横軸のところにミックスと書いてあるところが2030年の目標でございまして、それに対してどういう状況か、総じて申し上げますと、着実に進んではいますが道半ばという状況になってございます。

エネルギー起源のCO2排出量につきましても、目標と照らして着実に進展はしておりますし、電力コストも抑制的になっております。他方で、エネルギー自給率ですとかゼロエミ電源比率というのは、目標に向かってはもちろんまだ目標年限ありますので、これを着実に進めていく必要がある段階と。省エネについても、これから更なる取組も必要と、そういう状況になってございます。

6ページ目は、先ほど坂口室長からもございましたので割愛しますけれども、温室効果ガスの排出削減状況についてもまだまだ取組が必要な状況でございます。

7ページをお願いします。こちらは、やはりエネルギーの、先ほど3E+Sの中の自給率ですね、安定供給のところでございますけれども、こちらはやはり震災前に比べますと大幅に低下している状況でございまして、現在、11.8%ということで、OECD35か国と比べても2番目に低い水準にあるという状況でございます。

それから、1ページ飛ばしていただきまして、9ページをお願いいたします。

それからもう一つの経済効率性でございますけれども、やはり日本の電気料金、家庭用、産業用ともに、各国に比して高い状況にございます。徐々にその差は縮小傾向にありますが、引き続きまだ高い状況が続いております。

右下11ページに飛んでいただきますと、再エネの状況がどういうところまで来ているかというところでございますが、FITを入れて以降、大幅に再エネも増加しておりまして、現在、2017年断面ですが、再エネ導入量で言いますと世界の第6位、太陽光に絞って言いますと世界第3位というレベルまで導入が進んでおります。

一方で、12ページを見ていただきますと、コストの問題も課題となってございまして、2020年度の賦課金総額が2.4兆円を見込んでおります。これ、今後の導入をまだまだ拡大していくということを考えますと、やはり早期の価格の引下げですとか自立化をしっかりやっていかなければいけないということでございます。

続いて13ページでございますが、今のコストの問題の国際比較でございますけれども、確実に低下はしてきていると。太陽光、風力ともに低下はしてきているけれども、やはりまだ国際水準に比べると高い水準になるので、これのコスト低減も重要ということでございます。

14ページに行っていただきますと、こちらは2016年でやや古いデータでございますけれども、面積比、国土面積とか、需要に比べて再エネがどのぐらい入っているかというのを比較してみたものでございますけれども、国土面積が同じようなドイツ、ノルウェー、日本と、仮にそれを比べた場合に、再エネ導入量を面積で割ると、面積当たり再エネというところを見ていただくと、ある程度日本も、ドイツとノルウェーと比べても入っていると。あと需要が日本の場合は圧倒的に多いものですから、仮に日本の需要がドイツとノルウェーにあった場合というので比較したのが一番下でございますけれども、それでもある程度入っているという状況でございます。

それから、17ページに行っていただきますと、国際比較でございまして、各国ともやはりそれぞれ置かれた状況、系統の状況とかが異なりますので、それぞれの国に合った状況の中で、電源構成を構成しながら今進めているという状況になってございます。

それから飛ばしていただきまして、次の21ページに行っていただきますと、2016年以降、どのような取組を進めてきたのかという足元の状況を御紹介させていただきます。

現在のエネルギー基本計画の構造でございますけれども、21ページにございますように、大きく2030年に向けた対応と2050年に向けた対応という形で整理しておりまして、2030年につきましては26%の温室効果ガス削減に向けて、ミックスを着実にやっていくと。2050年は温室効果ガス80%削減を目指して、エネルギー転換、脱炭素化に向けてやっていくと。その際、不確実性も伴いますので、あらゆる選択肢をやっていこう、こういう大きな枠組の中で進めてございます。

続いて22ページでございます。

省エネもかなり重要になってきますけれども、省エネも先ほど申し上げたとおり、まだ道半ばという状況でございまして、自然体の進捗率27%と上にありまして、標準進捗率、これはリニアに引いた場合の目標値、リニアに引いた場合にここまで来ているであろうという進捗率ですが、それに比べると若干のビハインドになっていると。ここはしっかりと取り組んでいかなくてはならないところだと思っております。

それから24ページに飛んでいただきまして、先ほども小泉大臣からもございましたが、石炭火力につきましては、大きく二つの方針を、7月に入って、梶山大臣のほうから示させていただいておりまして、一つは国内の非効率石炭火力のフェードアウトという話と、もう一つは石炭火力輸出支援の厳格化ということでございます。

25ページでございますが、足元石炭火力は、現在32%という形になっておりまして、先ほどお示ししたエネルギーミックスでありますと、2030年度の石炭火力は26%になってございます。この目標に向けて、非効率石炭火力をできる限りゼロに近づけていくという形で、現在、規制的措置とか誘導的措置、組み合わせながらどのようにしていくかということの検討を進めてございます。

27ページは、再エネを主力電源化し、大量導入していくということでございますけれども、再エネを系統に接続しようとすると、つなげないとか、高い、遅いといった課題がございます。系統制約と言われている問題がございまして、そこへのアプローチということで、今日本版コネクト・アンド・マネージということで、様々な取組をしております。

その具体例が28ページにございますけれども、まず現在、送電線の利用ルールの見直しを進めております。一つやっていますのは空き容量ですね。空き容量については、接続をできるようにすると。従来のルールでありますと、接続をして、混雑時には先に接続していた火力が優先されるというルールがありましたけれども、そこにありますように、そこに劣後して出力制御を受けないように、送電線のルールの見直しを現在、進めてございます。

それから、29ページ以降ですけれども、御案内のとおり海に囲まれた日本ですので、洋上風力の可能性も相当ございますので、この可能性を最大限引き出すということで、まず再エネ海域利用法を法律として定めました。これが2019年4月に施行されておりまして、ここで30年にわたる長期占有の仕組みですとか、関係者間の協議の仕組みというのを導入して、まさにこれから洋上風力の導入拡大を進めていこうと思っております。

30ページに行っていただきますと、それを進めるための官民の枠組みを設定する等し、これから導入拡大を進めていきたいと思っております。

31ページですけれども、我が国が大きなポテンシャルを持つ地熱発電も、様々な制約がございます。あと開発リスクも高いので、どんどん開発という形にはならないんですけれども、目標に向けて、これも政府としても調査を支援していきたいと思っております。

32ページでございますけれども、水素もしっかり取組を進めていきたいと思っておりまして、これは2017年12月に関係閣僚会議で水素基本戦略と定めまして、ガソリンやLNGと同程度のコストを目指そうということで、現在取組を進めております。

34ページ以降は原子力でございまして、35ページをお願いいたします。原子力につきましては、中露が積極的な展開を目指す中、西洋諸国も危機感を持ちながら考えて行っているという状況でございまして、我が国の基本方針としては、原子力利用は不可欠ですが、可能な限り依存度は低減と、安全性は確認されたもののみ再稼働していくということで進めてございます。

36ページをお願いします。

使用済み核燃料の問題につきましても、最終処分に向けて、今着実に取組を進めてございます。

37ページに行っていただきますと、エネルギー政策を脱酸素化にすると松本副大臣からもありましたが、直ちに化石がなくなるわけではございませんので、しっかりと資源戦略を立てて進めているところでございます。

最後になりますが、41ページ、コロナの影響でございます。

コロナの影響は、これは先ほどもございましたが、需要動向でいろいろな影響が出てくるということでございますが、短期的な変化なのか構造変化なのかというのはしっかり見分けた上で対応していく必要があると思ってございます。41ページの2021年以降というところの変化を見ていただきますと、例えばガソリンなんかは、テレワークの定着とか都市の大気汚染改善を目的としたモーダルシフトで減少リスクもあります。一方で軽油なんかは、eコマース利用の拡大で需要も増加トレンドの可能性がありますも。あと電力については、これからEVとかIT化ニーズの拡大で電力需要は増加トレンドが進むのではといった予測もございます。

いずれにしましても、こういった予測をしっかり踏まえて、どういう変化が起き得るかということを見据えて、引き続きエネルギー政策に取り組んでいきたいと思っております。

私からは以上です。

大塚委員長

はい、ありがとうございました。では皆さんの御意見を頂く前に、資料6につきまして、事務局説明をお願いいたします。

坂口室長

資料6でございます。

こちら、本日、御議論・御意見いただきたい事項ということでございますが、二つございます。一つは、長々と書いておりますが、要は、NDCの記載を踏まえまして、この計画を見直していく上でどのような点について対策・施策の強化・深掘りが必要と考えるかという点。それからもう一つ、今もありましたようなwith/afterコロナの世界をどのように考えるか、またこの影響が気候変動対策に対してどのように作用すると考えるか。この2点について、御議論、御意見を頂きたいと考えております。

以上です。

大塚委員長

ありがとうございました。それでは資料の6に示した論点につきまして、各委員から御意見を頂ければと思います。中環審、産構審の委員交互に、それぞれ50音順で御発言いただければと思います。

多くの委員に参加していただいておりますので、御発言は3分以内を厳守するようにお願いいたします。こちらから、何分たったというのは申し上げることもございますので、どうぞよろしくお願いします。

それでは、石井委員はまだいらっしゃっておりませんので、まず江守委員からお願いいたします。

江守委員

はい、ありがとうございます。聞こえていますでしょうか。

大塚委員長

はい、聞こえております。

江守委員

僕は科学の立場から委員に選ばれたと思うんですけれども、今日はちょっと、長年科学と同時に、市民とのコミュニケーションみたいなことに取り組ませていただいておりますので、ちょっとその観点から初回は申し上げたいというふうに思います。

まず今回の会議がYouTubeで中継されていて、アーカイブが、議事録までですけれども、残していただけるということで、本当にありがとうございます。これは特に若い人が関心を持って見ている人たちがいます。高校生、大学生です。いわゆるFridays For Future Japanといったような活動をしている人たちが、NDCの引上げを求めて、まさに彼らはこの会議で決まった結果の影響を受けた気候の中を我々よりも長く生きていく人たちなわけですけれども、彼らが見ているということで、彼らに顔向けができるような議論をしなくちゃいけないというふうに思っております。

あとは、それと関連するんですけれども、ぜひ国民を巻き込んだ議論といいますか、国民のほうを向いた議論をしていけたらなというふうに思っております。例えば諸外国ですとイギリスとかフランスとかでは、市民議会といって無作為抽出された市民が集まって気候政策を議論して、フランスなんかではそれで憲法改正をするかもしれないみたいなことにもなっておりますので、いきなりそういうことをしましょうとは申し上げませんけれども、そういったこともあるんだというのをぜひ認識した上で、我々も議論していきたいと思っています。

温対法との関係で一つ申し上げたいのは、地球温暖化防止活動推進センターというのが各都道府県と幾つかの政令市とか中核市に置かれておりますけれども、これが今まではいわゆる普及啓発で、小まめに電気を消しましょうみたいなコミュニケーションをしていたんですけれども、今、2050年ネットゼロを宣言する自治体も増えてきて、これから、各地域の市民もそういうことに興味を持って、そういうことに意見を言って、そういうことに一緒に参加していくような、それを促すような国民とのコミュニケーションというのが必要になっているのだと思います。いわゆる普及啓発から脱炭素のコミュニケーションというのに、温暖化防止推進センターとか推進員の役割も大きく変えていくべきなんじゃないかなと。

同様にクールチョイスということを言っていて、製品サービスのチョイスだとかライフスタイルのチョイスということを言っているんですけれども、さらにやはり脱炭素ということを考えると、エネルギーのチョイスであるとか、あるいは社会の仕組みのチョイスということを国民に促していくような、そういった姿勢が政府にも必要とされているんじゃないかと思います。

以上です。

大塚委員長

はい、ありがとうございました。

では続きまして、伊藤委員、お願いいたします。

伊藤委員

はい、ありがとうございます。私は、メディアの仕事もしているんですけれども、中小企業の取材をさせていただきまして、中小企業向けのセミナーとか講演などもやらせていただいているので、その観点から一つ申し上げたいんですけれども、CO2排出量に関して、大企業はかなり取組が進んでいるところもあるんですが、中小企業に関してはまだまだ進んでいないというか、やっているところのほうが少ないのではないかというふうに思うんですね。

全体で見るとCO2排出量の12.6%は中小企業から出ている。これは大きい数字だというふうに思うので、この中小企業をどのようにして巻き込んでいくのかという政策がもっと必要かと思います。

そのためには、特に地方なんかを中心に、地域の金融機関の役割というのは私は非常に大きいと思っておりまして、こういう金融機関が、例えばCO2排出削減に取り組むビジネスモデルに対して融資を積極的にしていくとか、あるいはそういう金融商品を作るとか、そういうところで金融機関が先頭になって巻き込んでいくという仕組みも必要なのではないかなというふうに思っております。

それから、これからコロナをきっかけに、やっぱりデジタル化が一気に進むというふうに思うんですけれども、それを機に電力消費量が増えCO2の排出量というのも増えていくということになります。エネルギーからの排出量が一番多いので、そういう状況になっていくと考えると、再生可能エネルギーというところに、世界の動きを見ても中心に見てしまうんですけれども、やはり経済性ですとか、それから安定性とか、そういうものというのも欠かせないですし、日本の場合は資源の少ない島国であるという特殊な事情もあります。特にこれから企業の業績も悪化していく中で、エネルギーコストが上がるということが、中小企業などにとっては、なかなか受け入れ難いということにもなってくると思うので、そういう点を考えると、やはり安定的に供給ができ、CO2を排出しない原子力の選択というのは、やはり欠かせないような気がします。

そのためにはやはり国民の理解というのも必要になってくるので、その部分は政治も含めて、忌憚なく現実的に考えていくことも必要になってくるのかなと思います。

また、再生可能エネルギーに関しては、なるべく地熱とか、あるいは水力とか、ベースロード電源になりうるエネルギーの開発というのは欠かせないというふうに思います。

アフターコロナをどういうふうに捉えるかというところなんですけれども、やはり私たちも、コロナという事態に向かい合って、健康というものに対する意識とか、それから、それを支える環境への関心というのがこれまで以上に高まっているときはないと思います。

企業などを取材していますと、皆さん本当に今コロナによる業績悪化ですごく苦労されているんですけれども、苦労する中でどうやって利益を出していくかとなったときに、コスト削減というところに一生懸命取り組んでいるんですね。ですので、省エネという観点を入口にしてCO2排出削減に取り組む機運が高まっていると思います。

以上です。

大塚委員長

ありがとうございました。

では小西委員、お願いします。

小西委員

はい、よろしくお願いします。まず最初の温対計画の見直しで、どのような点について深掘りが必要かという点についてですけれども、やはり日本はエネ起源CO2の排出が9割以上を占めますので、このNDCはエネルギーミックス次第ということになります。ですので、この異常気象が頻発化する中では、気候変動対策の観点からこそ、エネルギーミックスはこうあるべきだみたいな、そちら側からの議論もリードして、そこからエネミックスを考えるような気概が必要なんじゃないかなと思っております。

特に前回のエネ基では、現実の変化を反映させることなく、このエネミックスの数字を変えていないので、コロナも踏まえて大きな変化がある中、今度こそ先のビジョンを見据えて、数値を根本的に見直していくべきだと思っております。

再エネについては、この再エネの主力電源化を実際の目標に落とし込むことが必要だと思っておりますので、それをサポートするような政策を議論するべきだと思っております。

石炭について、これは大きな政策転換がありましたけれども、幾ら非効率石炭のフェードアウトといっても高効率が残るのでは石炭のフェードアウトではありません。これはいかにどうやっていくかという政策が必要だと思っています。例えば、個別の火力発電所に対して、明確な排出係数の基準の適用とかの規制を入れるべきではないでしょうか。もしそういう直接規制に抵抗感が強いならば、カーボンプライシングが必ず必要だと思っております。効率的かつ費用効率的な社会全体の削減を進めるためには、このプライシングが不可欠ですので、ぜひこのプライシングについても、この小委員会の中で話し合っていければと思っております。全体として、事業者がやはり先を見通せる政策シグナルが必要だと思っております。

あと省エネの深掘りも、震災後、省エネの低減が確実に進んでおりますので、この傾向を踏まえて、新たな省エネ目標が必要だと思っております。

2番目のウィズコロナ、アフターコロナでは、これはマクロフレームが大きく変わったことを現実視して、そこから考えていくべきだと思っております。構造変化を見極めるというよりは、むしろ未来にどんな社会を築きたいかという意思をもって誘導していくべきだと思っております。テレワークとか電化とかいろいろなものがありますので、そういったものについて、また今後一緒にお話、議論していければと思っております。

あと、江守さんがおっしゃった若者とかいろいろな国民を巻き込んだ議論がすごく必要なので、前回のYouTube中継、こうしてまた継続されることを非常にうれしく思っています。これから多様な主体をヒアリングしていける形になればうれしいなと思っております。よろしくお願いします。

大塚委員長

ありがとうございました。

では井上委員、お願いします。

井上委員

はい、井上でございます。よろしくお願いいたします。

地球温暖化対策計画の見直しに当たりまして、政府が掲げておられるエネルギーミックスとの整合性を十分踏まえながら議論を進めていくべきだと考えております。

資料5の24、25ページで示されていますとおり、現在、非効率な石炭火力発電のフェードアウトが検討されておりますが、非効率な石炭火力発電を削減し、高効率化・次世代化の推進を通じ、発電効率を向上させていく方向性には異論はございません。しかしながら、闇雲に石炭火力を休廃止させてしまうと、資料5の9ページ、10ページで電力料金について紹介されておりますが、エネルギーの安定供給上のリスクや、電力料金の更なる値上げが懸念されまして、特に中小企業、小規模事業者には、相当なダメージが予想されます。

日本商工会議所が、先月、全国の中小事業者に対しまして実施した調査におきましても、8割近くの事業者が「東日本大震災以降の電気料金の上昇が経営に悪影響をもたらしている、もしくは、今後も現行水準が続けば悪影響を及ぼす」と回答しております。くれぐれも国民負担抑制の観点を十分踏まえた上で、経済効率性を向上しつつ、環境適合を図る3E+Sを前提としたエネルギー政策の展開が必要だと感じております。

また、資料4の20ページに示されていますとおり、日本のCO2排出量は、世界の全体の3%にすぎません。地球全体でCO2排出を低減させることが重要だと思っております。そのためには日本のイノベーション、日本の技術を生かし、CO2排出量削減を進める諸外国に対する技術供与を進めることが最も効果的であり、そうした動きが一層進むよう支援を拡充していくことを期待しております。

また、アフターコロナについてでございますが、今、新型コロナウイルス感染症の流行は、経済社会活動に大きな悪影響を与えています。既に影響が出ている企業も多くあり、助成金や補助金を活用していて、何とか事業をしのいでいますが、この先、数年先を考えますと、中小企業の経営の厳しさがさらに深刻化すると考えております。この実情を十分に勘案した上で、今後も地球温暖化対策を検討すべきだと考えております。

また、経済、社会活動の回復スピードは、地域や業種、業態ごとに異なっています。環境と成長の好循環を目指す温暖化対策は、一律の規制強化によるものではなく、企業の自主性を前提に、地域の企業の成功や先進事例を共有しながら進めることが効果的であると考えております。

また、感染症の対策としてテレワーク、オンライン会議などが中小企業においても広がりつつあります。資料4の26ページにもありますように、オフィスビルの空調や輸送におけるエネルギー消費が減少し、CO2排出量が削減されています。これを一時的な減少として終わらせないよう、新しい生活様式への対応として加速化した「デジタル・イノベーション」が働き方やビジネスモデルに変革をもたらし、また、エネルギー使用状況の見える化や空調管理などエネルギーマネジメントの進化による省エネが「新しい日常」の中に組み入れられながら、温暖化対策が一層進むことを期待しています。

また、省エネに対して取り組んでいる中小企業に対して、特別控除や補助金などのインセンティブを拡充し、経営者の環境への取組のモチベーションを引き上げていただきたいと思います。

以上です。ありがとうございました。

大塚委員長

では下田委員、お願いします。

下田委員

下田です。エネルギー需要に関して4点ほど申し上げたいと思いますけれども、まず1点は、これまで5年間の削減努力の成果を厳しく評価するということであります。

資料4を見ますと、2013年から30年までの17年の計画を5年で半分達成してしまったというふうに見えますけれども、その下の19ページのグラフを見れば、当初掲げた排出削減策の成果はほぼほぼ計画どおりということで、景気動向ですとか、それから気象条件のような、削減の努力と関係ないところでCO2が減っているだけだということだというふうに見ております。我々は今、決して排出量をうまくコントロールできていない状況だと思っておりますので、各政策の正確な効果と、それからそれに対してどれだけ負担をかけたか明らかにした上で今後の計画を考えていくことが大事だと思っています。

第2点は、戦略を考えていくときに、産業部門とそのほかを分けて考えたほうがいいんじゃないかという点です。世界の中で日本のものづくりがどれだけ貢献して、かつCO2を減らしていくかという話と、脱炭素国土を作っていくという話は少し議論がかみ合わない部分もございます。

参考資料を見ると、粗鋼生産量の減少が先ほど申し上げた温室効果ガスの削減の大きな要因として挙げられております。特に素材産業に関しては、日本が世界で最も低炭素なものづくりを行って、世界でのシェアも確保していくということを考えていかないといけないと思いますけれども、反対に生産量が減ったという原因で、国が必要な温室効果ガス排出削減を達成していくということになれば、もちろん経済と環境の好循環とは言えませんし、省エネへの更なる努力をそぐことになってしまうと。

特に、運輸や民生などほかの部門の削減努力を緩める方向に働かないようにすることが、これからのイノベーションをつくっていくために大事なことだと考えております。

3つ目ですけれども、今後、エネルギー需要を考えるときに、今日、お話がありましたけど、再エネ、特に太陽光のような変動性の再エネが増えることによっていろんな問題を起こしておりますので、その普及に対するそのフレキシビリティの観点から、エネルギー需要を転換していくということも大事だと思っております。

それから最後、4点目ですけれども、コロナ禍の問題でありますが、IEAのサステナブルリカバリーに掲げられているようなグリーンリカバリーが重要だというふうに思っております。現在、コロナ対策として進んでいるテレワークですとかテレショッピングを温室効果ガス排出削減に、不満とか不便なしでつなげていくためには、行動変容に伴って住宅とか建物とか、あるいはインフラを改修していくこと、これが必要になってまいります。

それから、今の温暖化対策計画の一つの問題点として、家庭とか業務では、2030年までにどういう機器とか技術を導入すべきかということを明確に打ち出して、その積み上げで計画をつくっているんですけれども、残念ながら、今、国民に対して、その内容、我々がどういうことを期待されているかということについて、十分伝え切れていないという点があると思っております。

ですから、現在、計画に掲げられている中で、特にその普及が経済復興に効果の高いものですとか、あるいは先に申し上げたアフターコロナに対応した建物などの改修を取り上げて、国を挙げて普及キャンペーンを実施するというようなこともこれから大事になってくると思っております。

以上です。

大塚委員長

はい。どうもありがとうございました。では、小川委員、お願いします。

小川委員

小川でございます。

産業界の代表ということで、まずコロナの状況について申し上げますと、今やはり大変厳しい状況にあります。これは鉄鋼に限らず各産業とも、赤字を抱え非常に苦しんでいる状態で、まず速やかな回復というのも最優先にしていただきたいというふうに私は思います。

それから先ほど議論のありました、コロナ禍でのCO2削減、8%というものの捉え方ですが、みんなの我慢、努力でできることの限界はもうここら辺りなのではないかと思います。やはりイノベーションを起こすことが重要です。技術で解決するのが一番大事だというふうに強く認識いたしました。

ただ、そのイノベーションを実施するためには体力が必要であります。ラボから実証実験を行い、それから産業規模で出来上がった技術を適用していくということに関しては、非常に大きなお金が必要になります。鉄鋼業ですと、製鉄所を1個造るのに1兆円というようなお金が必要になるということもありますので、ぜひ、そういう体力を民間が持っていることが省エネ、CO2問題の解決に非常に役に立つということを御認識いただいて、政策を考えていくというふうにしていただきたいなと思います。

その中で、グリーンリカバリーや炭素税などの動きは、CO2削減を促すという意味では非常に効果があるのかも知れませんが、実際に実行する側の体力をそぐようなことになると、これは逆効果になるということがあると思います。政策を考える上で、ぜひ、民間の力を活用して削減を実現するというところを考えていただきたいなと思います。

あともう一つ、ゼロエミッションということに関してなんですけども、ゼロを目標にするのは非常に大事だと思うのですが、ゼロをあまり強調し過ぎると、日々の改善努力がおろそかになってしまうという問題があると思います。したがって、究極はゼロを目指すのですが、日々の積み重ねを10年、20年、30年とやっていく、こういった政策もぜひ併せて考えていただきたいなと思います。

最後に、電力料金でございますが、今後、ガスを使っている設備をクリーンな電気に切り替えたいというニーズがございます。しかしながら、電力が高くなるとなかなかその投資ができません。産業サイドから見ますと、やはり何とかCO2を減らすような投資をしたいという思いがあります。そういうことを助けられるような政策をぜひ考えていただきたいと思います。

ということで、この3点を踏まえながら、これからのワーキンググループの議論の中に生かしていきたいと思います。

以上です。

大塚委員長

はい。ありがとうございます。

CO2を減らす投資を助けるというのは非常に重要な点だと思います。ありがとうございます。

では、髙村委員、お願いします。

髙村委員

はい、ありがとうございます。事務局から頂いたお題について、3点申し上げたいと思います。

1点目は、2015年に、エネルギーミックスを前提に30年の目標を提出したわけですけれども、そのときに前提としていた様々な状況、あるいは条件、想定が変わってきたのがこの5年だと思います。その意味で、この検討の合同作業委員会、と呼んでいいでしょうか、何が2015年時点から変わったのか。それが気候変動対策にどういうインパクト、インプリケーションがあるのかということをできるだけ定量的に把握をするということをお願いしたいと思います。CO2あるいは温室効果ガスの排出量もそうですが、それに伴って生じている便益と課題というのも明らかにしていただきたいと思います。

私が思うだけでも、この間、先ほど大臣をはじめ、御発言がございましたけれども、50年排出実質ゼロを目指す動きというのが加速をしていると思います。日本の自治体だけではありませんで、今、120か国とEU、G7の中では2050年時点のゼロエミッションを掲げていないのはアメリカと日本だけであります。アメリカの大統領選挙の結果では、アメリカがどうなるかというところもよく皆さん御存じだと思います。

もう一つは企業、金融の変化で、これはこの後恐らく金融については竹ヶ原委員あるいは吉高委員から御発言があると思いますから、詳細には入りませんけれども、気候変動対策はもちろん気候変動問題解決のためということですけれども、より積極的に自らの経営方針の中に統合して取り組む企業と金融機関が出てきたというのは非常に大きな変化だと思います。これは経団連さんのチャレンジゼロでもそうですけれども、イノベーションも含めて排出実質ゼロに向けてどういうことができるか、あるいはどういう課題があるかということを、企業がその経営の中に、イノベーション戦略の中に統合し始めたというのは非常に大きな違いだと思います。

もう一つの違いとしてぜひ精査していただきたいところというのは、先ほど西田室長から御説明がありましたけれども、やはり日本の温室効果ガスの大宗がエネルギー起源であるということを考えると、2015年に決めたエネルギーミックスの想定、条件とどこが違うのか、どう変わったのかということをきちんと見る必要があると思います。これはエネルギー需要の見通しもそうですし、例えば先ほど御説明にあった太陽光のコスト水準、あるいは再エネ主力電源化という方針や洋上風力の今後の拡大の方針といったように、今、私が思い付くだけでも非常に大きな変化があったので、こうした点をきちんとこの中で共有をして議論をする必要があると思います。気象災害の激甚化など気候変動の影響についても言うまでもありません。

2点目は、もう一つの政策的な大きな変化は、昨年の長期戦略、パリ協定長期成長戦略だと思います。50年少なくとも80%、今世紀後半のできるだけ早期の脱炭素社会の実現を達成するときに、どういう課題があるのかということをやはりきちんと精査をすべきだと思います。このままの政策水準では恐らく達成できないだろうと思うわけですが、むしろこの長期目標の意義は、それを達成するためにどういうイノベーションが必要とされ、どういう政策課題があるかということを明らかにするということだと思います。その意味で、日本の長期目標との関係で、何が課題なのかという議論をぜひここで行いたいというふうに思います。

最後の3点目ですが、コロナ後の世界については、先ほど他の委員からありましたように、価値観の変化と同時に、デジタル化、自動化、分散化などとあいまって、産業構造と経済構造が恐らくこれから大きく加速的に転換をするだろうと思います。今、足元では感染症の拡大でエネルギー投資にも影響が出ていますけれども、御存じのとおりクリーンエネルギー投資への影響は相対的に小さいです。しかし、脱炭素化に必要な投資のレベルには達していないというのが共通した認識だと思います。

その意味で、先ほど小川委員でしょうか、御指摘あった、脱炭素化への民間投資をどう促すかという観点は非常に大事だと思います。長期のイノベーションは大変大事なんですけれども、同時に企業さんにとってみればこれ、短期でどうやって温暖化対策とイノベーション、あるいはビジネスのシーズを使いながら利益を上げていくかということをどううまく両立できるかということもこの会合で議論をし、必要な政策を議論していく必要があると思っています。

以上です。

大塚委員長

ありがとうございました。では、杉山委員、お願いします。

杉山委員

詳しくは参考資料3で意見提出していますので、今は簡単に述べます。

第一、コロナ禍をきっかけに経済のデジタル化が進んでいます。この加速は温暖化対策としても重要です。デジタル化は経済成長とイノベーションの好循環の下で実現されます。エネルギー政策はこの好循環を支えるべきで、エネルギーコストを高騰させて妨害してはなりません。

第二、コロナ禍で起きた変化は三つあります。経済の疲弊、パンデミックリスクの顕在化、地政学リスクの高まりです。つまり3Eのうち、経済と安全保障がより重要になりました。エネルギーミックスでは原子力と火力を活用し、高価な再エネは縮小すべきです。石炭火力は経済的で電力供給の強靭性も高めます。エネルギーミックスで他電源が不足する場合、石炭火力はそれを埋める有力な候補です。

第三、石炭火力を用いれば、電力価格を低くできて、電化を進め、CO2を減らせます。CO2については、経済が回復し、地政学状況が改善すれば稼働率を下げて排出を減らせます。まずは経済の回復を優先すべきです。

第四、科学的知見について、今回の参考資料1に違和感があります。観測データの統計こそ重要なのに、それが全くないからです。あるのは気候危機といったレトリック、それにエピソードや不確実なシミュレーションの結果だけです。観測データの統計は、経済と環境のバランスを取った温暖化対策の検討に必須です。情報の整理を事務局にお願いいたします。私の知る限り、日本の観測データの統計では、台風は増えておらず、強くもなっていません。豪雨も増えていません。猛暑への地球温暖化の寄与はごく僅かです。

第五、近年の水害は防災投資の不足が原因との意見があります。温暖化対策の検討では、防災投資との比較も必要です。統計データの整理を事務局にお願いします。過去、治水の予算は抑制される一方で、再生可能エネルギーの賦課金は大幅に増えました。国民を守るという観点からこれは適切だったか、費用対効果を分析すべきです。

以上です。

大塚委員長

はい、どうもありがとうございました。では、増井委員、お願いします。

増井委員

どうもありがとうございます。

3点述べさせていただきます。1点目は社会経済シナリオの見通しについてなんですけれども、現在の日本ですとか世界の状況を見据えて、どういった2050年、あるいはそれからバックキャストをして30年、40年、の社会を構築したいのかということが重要になるかと思います。特に現在のNDCの基礎となっていますマクロフレームは、現状とかなり大きくかけ離れておりますので、見通しが外れるということはもう仕方がないんですけれども、適宜修正していくということが重要ですので、コロナ後ということも見据えて検討する必要があるだろうと思っております。技術的な取組というのは非常に重要で、それを否定することはないんですけれども、脱炭素社会におきましては、ほかの委員が御指摘のように、行動変容等も重要になりますので、今回のコロナによって当たり前と思われてきたことが実はそうではなくて、いろいろなことを見直すきっかけになったのじゃないかと思いますので、成長という一つの数字に縛られるのではなくて、気候変動対策とともに我々を本当に豊かにするような活動ですとか取組、そういったものがどういうふうなことなのかということを議論して、多様な社会をどういうふうに形成していくのかということの議論が必要ではないかなと思っております。

関連して、その行動変容を促すような取組ですとか仕組み、特に温室効果ガスというのは見えませんので、それを実感できるような仕組み、カーボンプライシング等も含めた仕組みですとか、あるいは科学的な知見に基づいた情報をいかに分かりやすく伝えるのかというふうなことについても議論していきたいと思っております。

2点目ですが、エネルギーミックスとの関係についてです。気候変動緩和策について、日本の場合はエネルギー対策が中心となりますので、エネルギーの議論と並行して行わないと絵に描いた餅になってしまいます。今回はエネルギーに関する説明もありましたので、この気候変動の問題とエネルギーの問題が一緒に議論されていくということを期待しております。特に石炭等も含めていろいろと議論していきたい。長期的な観点から議論できればと思っております。

一方で、最終的に温室効果ガス排出量ゼロを目指すということはエネ起CO2以外についても対策を行うことが重要ですので、技術的なポテンシャルを含めて広く議論できればと思っております。もちろん温対計画等で個別の取組、技術については詳細に示されておるんですけれども、それらの個別の技術が相互にどう影響しているのか、相乗効果が得られているのか、あるいはトレードオフになっていないのか。そういうミクロとマクロ、これらを両方相互に見る必要があると思っております。

最後、3点目なんですけれども、今回の議論の中心は、日本の話ではあるんですけれども、アジアにおける取組ですとか、あるいは将来世代への責任、気候変動というのは地球規模であり、長期的な問題であるということから、こういう視点の議論も必要であろうというふうに思っております。

特に、将来世代への責任という観点から重要ではないかなと思っておりますので、きちんとその将来世代に対して責任をきちんと発揮するような議論が必要であると思っております。

以上です。どうもありがとうございました。

大塚委員長

はい、ありがとうございました。では、竹ヶ原委員、お願いします。

竹ヶ原委員

ありがとうございます。

私は、金融からの参加になります。先ほど来、キーワードで出てきておりますグリーンリカバリーですが、これは裏地から見ますとファイナンス、結局お金をどんなプロジェクトに振り向けることがこの対策や施策の強化、深掘りになるのかという問題だと思います。この場合、ゴールとなるようなピュアなグリーンなプロジェクトについては、EUタクソノミーにより既にカタログ的に整理が行われております。

問題は、このグリーンなプロジェクト以外のものは全てブラウンで、投融資の対象にしないという方向に向かうのかだと思います。この点をしっかり議論する必要があると思っております。具体的には、現状はピュアなグリーンには届かないのだけれども、これをちゃんと前に進めていくことでグリーンに近づいていくプロジェクトがたくさんあります。エネルギー多消費産業の省エネ投資などは典型だと思いますけれども、そういったものや、その過程で生まれてくるであろうイノベーション、こういうものをどう位置づけていくのか。いわばトランジションファイナンスの考え方をしっかり詰めていければと思います。

このテーマは実は非常に難しくて、下手するとグリーンウォッシュみたいな話になりかねませんし、ダイナミックな話、どこまでがグリーンでどこから先がブラウンかのグラデーションを見極めるような話になりますので、これをしっかり議論するためには産業界と金融サイドのきちんとした対話が必要だと思います。先ほど経済産業省の資料でも御紹介ありましたけれども、私も加えていただいておりますTCFDのコンソーシアムという活動があります。この下で産業界と投資サイドの金融界がしっかり膝詰めで議論することでかなり建設的なガイダンスが生まれております。その経験なんかも生かして貢献できればと思っております。

以上です。

大塚委員長

ありがとうございます。よろしくお願いします。では、三宅委員、お願いします。

三宅委員

ありがとうございます。

私のほうからは、私はJapan climate leaders’ partnershipという団体を代表して参加しております。このJCLPというのは様々な業界から約150社が加盟しておりまして、売上げで約120兆円強、電力消費では約50テラワットという規模のグループでございます。これらの企業はみんな脱炭素をビジョンに掲げていて、その目標の達成に向かって活動しているという特徴があります。

我々、何でこういう活動をしているかというと、グローバルサプライチェーンの一部を担っている会社がこの加盟企業の中にはたくさんおりまして、まさにパリ協定に沿ったCO2削減というのがこのサプライチェーンに残れるかどうかの必須条件になってきているというのも現状でございます。

私自身は、イオングループという小売企業でありますので、このグローバルサプライチェーンの中には入ってはいるわけではないんですけれども、ただ一方で、国内外の投資家からの圧力というのは毎年大きくなってきています。ですから、様々なステークホルダーから我々企業はやはり脱炭素に向けてどれだけ努力をしているかということを問われているというのが現実です。そういったものが企業の評価にも直接影響を与えていて、ひいては競争力にも、企業の競争力にも影響してくるというのが現実です。

そういう中で、当然企業として努力は省エネ投資をしたり再エネに切り替えたりという投資はするんですけれども、それでは足りないんですね、全然。そういう視点で、やはり民間投資、先ほどキーワードとして出てきておりましたが、民間投資を促すための仕組み、これをもう少しFITに頼らない、我々企業も頑張って投資をするのでそれを後押しをするような施策、そういったものをやはりここで考えて検討していただきたいというふうな希望です。

アフターコロナの世界に関しても、やはり住む場所が変わってきたり、先ほど小泉大臣のお話にもありましたけども、分散型社会に今後どんどんなっていきます。我々の店舗もやっぱりどこで稼ぐかというのも少しずつアフターコロナは実感として変わってきているので、そういったことも地方創生、地方の活性化、こういったことが全く考え方が従来の集中型の社会とは違った考え方になってくるので、電力システムの在り方、系統の話も経産省の方の説明にあって大変ありがたいと思っていますが、もう一歩やはり分散型社会の実現に向けた電力システムがどうなのかということをここで議論をさせていただければというふうに願っております。

以上です。

大塚委員長

はい、ありがとうございました。では、長谷川委員、お願いします。

長谷川委員

長谷川でございます。御指名ありがとうございます。

今回議論の対象となっております地球温暖化対策計画は、国際公約としておりますNDCをいかに達成するか、我が国がしっかりとした具体的な対策を示すものと理解しております。

前回の計画策定から4年以上が経過いたしまして、様々な政策の中でも進んでいるもの、あるいは遅れているもの、それぞれの進捗が明らかになってきていると思います。また、新型コロナウイルスが典型でございますけれども、当時想定していなかった変化も起こっていることから、こういった状況変化が気候変動対策に及ぼす影響をしっかり分析していく必要があると考えております。

その上で、新たな削減目標を検討する場合には、しっかりと野心的な削減努力を反映したものを目指すべきと考えておりますけれども、我が国の場合は、気候変動対策とエネルギー政策は表裏一体ですので、エネルギー政策と整合的に、かつ具体的な対策を積み上げていく形で考えるべきだと考えております。

エネルギー政策は、国民生活や立地競争力と密接に関係するものでございますので、脱炭素社会を目指す中におきましても、エネルギー安全保障あるいは経済性の観点を忘れてはならないと考えております。こういった観点から伊藤委員からも御指摘がありました原子力の活用は極めて重要な視点だと考えております。

長期につきましては、今までの取組の延長線上では達成できず、イノベーションが重要でございます。これにつきましては、髙村先生から御紹介いただきましたように、経団連「チャレンジ・ゼロ」を開始し、会員企業のイノベーションの取組を後押しするプロジェクトを進めているところでございます。これにつきましては、皆様方の御支援、御理解を頂ければ考えております。

小川委員からも御指摘がございましたけども、イノベーションには投資原資が必ず必要となっております。その原資を奪うような政策、例えばカーボンプライシングのような政策につきましては、慎重に御議論いただければと考えております。

以上でございます。

大塚委員長

はい、ありがとうございました。では、薬師寺委員、お願いいたします。

薬師寺委員

ありがとうございます。

自治体の立場から3点申し上げます。私ども自治体の役割は、やはり市民・事業者の皆様と実践することでございますけれども、その実践に当たりまして市民の皆様と危機感や目標を共有することが不可欠となっております。猛暑と災害の激甚化で危機感の共有ということが急速に進んでおりますけれども、特に2030年までの今後10年が非常に重要なんだという、この点についての共有がまだ不十分だなというふうに考えております。

また、2030年の目標なんですけれども、実現可能性は非常に重要だとは思うんですけれども、市民の皆様と共有するためにはやはり明快でシンプルなもの。できればメッセージ性も欲しいなと思っております。また、出来上がった計画の周知であるとか普及啓発もやはり引き続き重要かと考えております。

また2点目ですが、今、私ども、より低炭素な電気に切り替えていただくためのキャンペーンを実施しておりますけれども、やはり価格が大きな問題となっておりまして、よくインセンティブを求められます。ただ、需要を拡大して価格を下げるというのが非常に重要なんですけれども、自治体が需要拡大につなげると言えるような規模の補助金を継続的に確保するのは本当に難しい状況でございます。ですから、需要と供給の好循環、これを生み出すような制度がやはり必要だと思いますし、ヨーロッパでは例えばEVの普及に向けていろいろ規制とか誘導しておりますので、そういったものも、タイミングの問題はあるとは思うんですけれども、やはり広く議論する必要があるのではないかと考えております。

それから最後に、アフターコロナの世界ということなんですけれども、私ども統括本部はSDGsも所管しております。コロナ禍からの復興に当たりまして、経済一辺倒になってしまうのではないかということを非常に危惧しておったんですけれども、改めてSDGsの重要性を指摘する声が非常に多くなっております。アフターコロナの世界を考えるときに、SDGsの理念であるとか考え方に多くの人が共感してくださるんじゃないかと思いますし、特に地球温暖化対策計画には、そういった説得力のある世界観みたいな部分も盛り込んでいただけたらなという考えでおります。

以上でございます。

大塚委員長

はい、どうもありがとうございました。では、山地座長、お願いします。どうも恐れ入ります。

山地座長

まず、中長期対策の深掘りというほうですけど、これ2030年を中期というのかな、NDCの見直しについてはこれは今、来年夏を目指してエネルギー基本計画の改定に取り組み始めたところですから、そこと密接に連携を取って進めていく必要があります。

問題はやっぱり長期ですね。長期戦略ですけれども、これは今の長期戦略にも書かれてはいるんですけど、我が国の貢献がグローバルに有効な効果を持つという視点が大事だと思うんですね。こういう点ではイノベーションが大事で、この考え方の下に今年1月に革新的環境イノベーション戦略ができたわけです。この中に、技術的にいろんなオプションが入っていて、水素とかCCUとかビヨンド・ゼロとか、こういうようないろんなオプションにチャレンジしていく。それとともに、もともとは革新的環境イノベーションとは二本立てみたいに書かれていたんですけど、今回、革新的環境イノベーション戦略の中には社会イノベーションは入っているわけです。2018年の1.5℃特別IPCC報告の中でもローエナジーディマンドシナリオというのがあって、ベースラインでものすごくエネルギーを下げられてCO2を下げられる可能性があるんです。この社会イノベーションは非常に大事だと思っております。それから長期はどうしても不確実性は大きくて、リスクがいっぱいあるわけですので、リスク対応ということを考えなければならない。

もう一つは、その長期の問題を温暖化対策一本じゃなくて、その結果SDGsの17ゴールというのがあるわけですから、その全体を見ながら温暖化対策を進めていく。そういうことが重要だと思っています。

それから2番目のコロナの影響ということですけど、これ皆さんおっしゃっていますけれど、一つはデジタル化が加速するだろうということ。これは恐らく私も間違いないと思います。これが先ほど申し上げた社会イノベーションの展開、Society 5.0のようなものを推進し、ベースラインのCO2削減エネルギー需要が下がるということが一番期待できる、ポジティブな面ですけど、やっぱりそれを具体化していかなきゃいかんわけですよね。言葉だけではだめで、実は我が国の現実では、いろんな対応のデジタル化って非常に遅れていますから、そこは問題だと思います。

もう一つはやっぱり経済との両立ということがコロナ対応で明瞭になったわけですよね。それは全く温暖化対策でも同じことでありますから、これも共通点として挙げられる。

もう一つちょっとあまり言われていないんですけど、コロナ対策で経済の足を引っ張った中には、インフォデミックという情報でいろんな惑わされて過度に自粛するとかそういうことがあったと思うんですよね。そのときにサイエンス、サイエンスはファクトベースということですので、実証されたサイエンスが重要です。温暖化に関しても、さっき杉山さんがちょっと言ったけれども、イメージで捉えるんじゃなくてちゃんとデータベースに基づくファクトベースでどうなのか。実体それに基づいてやっぱり考えるということで、今回のコロナのインフォデミックも温暖化対策を考える上でも大事なことだと思います。

それから、これも皆さんいろいろな方がおっしゃっているグリーンリカバリーですね。これは期待されるところです。我が国も安倍首相は成長と環境の好循環という言い方をされていたわけですから、環境対策の中で成長を成し遂げていく。これもしかし、言葉だけじゃ駄目なんですね。具体的に何をするかです。グリーンリカバリーを温暖化対策に特化してやるよりも、先ほど来言っている社会イノベーション、Society 5.0の次世代の社会インフラの形成、そういうものに役立てていくということが多分大事だと思う。もちろんそれ以外にもあるから、グリーンリカバリーと呪文のように唱えるんじゃなくて、具体的な中身が大事。そういうふうに考えています。

以上でございます。

大塚委員長

はい、ありがとうございました。では山口委員、お願いします。

山口委員

ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

私の場合はいろいろな取材現場を歩いてきました。その観点から現地で見てきた、皆さんに伺った話を中心に話をしていきたいと思います。

この10年以上、毎年私、豪雨災害の現場を歩いてきまして、感じているのは近年、この豪雨災害の被害がより深刻になってきているということです。3年前の九州北部豪雨、2年前の西日本豪雨、去年、台風19号、そして今年7月豪雨もありました。どの被災現場も大変な状況なんですが、被災した皆さんがおっしゃる同じ言葉があるんですね。それは、『こんな雨、経験したことがなかった…』、皆さんおっしゃるんです。実際、気象庁にも取材しました。様々な統計を出しております。例えば恐怖感を覚えるという80ミリ以上の猛烈な雨の降る回数。40年ほど前のおよそ1.7倍に増えています。ほかにもいろんなデータがありますが、気象庁によれば、例えば理論上気温が1度上昇しますと大気中の水蒸気量は7%ほど増加するとされています。温暖化に伴う長期的な水蒸気量の増加が極端な大雨の一因になっているのではないかと気象庁も指摘しています。

じゃあどうすればいいのかということなんですが、コロナ禍の今だからこそ、私が注目しているのは、再生可能エネルギーの地産地消と分散型社会です。日本は御存じのとおり、人口減少です。地方が疲弊しています。しかし、その地方に再エネの資源がたくさん眠っています。環境省の試算によりますと、日本には全電力需要の2.2倍もの再エネポテンシャルがあるとされ、地方を中心に存在していて、その多くは使われていないんですね。私は、その再エネの地産地消によってお金を生んで、人が戻ってきて、元気になった自治体を全国各地で取材して歩いてきました。共通するのはそこにある自然を破壊することなく上手に利用して共生する、いわゆる地域循環共生圏を実践しているということ。それが成功に結び付いています。こうした取組を後押ししていただきたいと思います。

それから都市部においても、住宅ですとかオフィス、工場などの屋根の上、まだまだ利用されておりません。こうした屋根を利用した太陽光の自家消費の普及も求められます。例えばPPAモデル、第三者所有モデルですね。初期投資がかからない、電気代も安くなる。それから住宅用ですと10年後にはパネルが自分のものになるというケースが増えてきています。自家消費モデルというのは再エネの賦課金を抑制することにもつながります。それからこうした分散型のエネルギーというのは災害のときにも停電を免れることができるという大きなメリットがあります。コロナの時代、社会は集中から分散へと向かっています。それから持続可能性も必要です。再エネの主力電源化に向けてぜひ、これ髙村先生からお話がありましたけれども、今の時点でのファクトに基づいた、例えばコストもそうなんですけど、長期的視点に立ったコスト分析。それから持続可能な将来への投資としての意味のグリーンリカバリーをぜひ進めていただきたいというふうに思っております。

どうもありがとうございました。

大塚委員長

はい、ありがとうございました。では、山下委員、お願いします。

山下委員

はい、ありがとうございます。日本エネルギー経済研究所の山下でございます。よろしくお願いいたします。

日本の中長期的な気候変動対策を考える上で、これまでの延長線に答えはないということを再度肝に銘じる必要があると考えます。従来のやり方の単純な踏襲ではない、新たなシステム、あるいはビジネスモデルの構築が必要です。また、既存の設備、システムにおいては、ここが問題だからできないではなく、できるようにするには何を変える必要があるのかということを考えることが重要だと思います。このような既存の設備やシステムの飛躍的な価値向上には、デジタル技術が寄与する可能性が大きいのではないでしょうか。

コロナ禍で2020年の二酸化炭素排出量が前年から8%減ということで、大幅な減少となる見込みだそうですが、化石燃料を供給する国や企業にとっては、脱炭素をした場合の影響度の大きさを垣間見た感もあり、今後、脱炭素化の流れを更に加速化すると思われます。

しかし、これは世界全体で大きな経済損失を負った結果であり、本来は経済成長を前提に大幅な削減を実現できることが必要です。日本はこれまでもできるところからやってきましたが、今後はより強い全員参加の姿勢が重要であります。そのためには既に脱炭素化に舵を切っている大企業だけではなく、中小企業が追随あるいはリードするような仕組みが必要かと思います。

また後ほど述べますように、民生や運輸部門での対策強化も必要です。コロナ禍で人や物の流れが制限される中で、サプライチェーンの分断や自国主義の復活で安全保障そのものの重要性が高まっています。これは先ほど杉山委員からも指摘がありましたが、中でもエネルギー資源に乏しく、ネットワークやパイプラインで外とつながっていない日本においては、エネルギー安全保障の重要性が引き続き極めて高いということを忘れてはいけません。そのため、多様なエネルギーの経済的で安定的な供給確保の必要性を常に念頭に置いて、今後のエネルギーや気候変動対策の在り方を考える必要があると思います。製造業において引き続き着実な省エネや脱炭素化の取組は基本でありますが、製造業だけでなく、民生部門や運輸部門の対策強化が必要です。

また、電力利用が増える中、ロードカーブの負荷平準化に寄与することが期待されている民生部門や運輸部門と転換部門やエネルギー供給企業がどのように効率的に共に働くのか。安定供給や供給の安全性をどう確保するのかといった、分野や部門を超えた新たな供給システムの課題の検討が必要です。

今年のコロナ禍と大雨被害の組合せで、生活圏が脅かされるかもしれないという、気候変動についてより身近な問題として地球大の取組が重要であるということを訴求することが可能になってきているかと思います。そのため、従来のような政治家や政府が求めて決めて地方政府や企業、消費者が従うだけのトップダウン型ではなく、各個人、消費者や経済主体が自ら考え、自ら行動するボトムアップ型の対策ができる素地が整いつつあると思います。自覚を持ち、正しい情報に基づいて行動する国民を育てるため、国民の気候変動問題へのリテラシーを更に高めることも必要かと思います。

大塚委員長

すみません、3分たっていますので、後でまた。

山下委員

じゃあ後ほどまた言わせていただきます。

大塚委員長

そうですね、そうしてください。すみません。恐れ入ります。

では吉高委員、お願いします。

吉高委員

はい、ありがとうございます。

私は、5月1日に三菱UFJリサーチ&コンサルティングに移り、これまで三菱UFJモルガン・スタンレー証券を通じて気候変動やESG等について発信してきましたが、三菱UFJ銀行と証券と3社の兼務となりました。三菱フィナンシャル・グループは、現在、サステナブルファイナンスの目標値を持っております。サステナブルファイナンスと申しますと、気候変動、環境が中心でございますが、さらに範囲を広げてアドバイスしてまいります。

今回の中長期の気候変動対策計画についての議論のアウトプットは、エネルギー基本計画とバックトゥバックになると思います。この点では、今までになく、投資家や金融機関が注目すると思います。ここでの議論の結果が、海外などに発信されれば、日本の企業などに関してその視点で評価されることになろうかと思いますので、大変重要なアウトプットになると思っております。まず、環境と経済の好循環のためのイノベーションは重要だと思います。ですが、多くの技術が総花的にあっても、具体的に何が次にくるのか、価値のある次のイノベーションはなにか、そして、どこに投資をしていけばよいのかが見えにくい。ぜひ、その視点もこの議論の中に取り入れていただくと、日本への期待、評価が変わるのではと期待しております。

コロナ禍におきましては、他の委員も言われましたけれども、地政学リスクははっきりしたということ、また、グリーンリカバリーの動きが重要かと思います。エネルギー、その他のサプライチェーンに関してもリスクが明らかになりました。これらの様々なリスクを考え、安全保障の点から、日本が自立力を高めていくにはどうしたらよいのかという視点も重要かと思います。グリーンリカバリーに関してですが、私の研究では、欧州がこのような政策を打てるのは、カーボンに価格をつけることへの経験値があるため、金融機関が動きやすいと思われます。炭素税を入れるということだけではなく、CO2の金銭的価値の評価が金融機関に根付いているため、ビジネスとして動けるというのがあるかと思います。日本では、金融機関や民間投資に対してそのシグナルがないため、動きにくいと思われます。

グリーンリカバリーは日本でも、ぜひ進めていただきたい。また、竹ヶ原委員がおっしゃったように、トランジションを起こすためどのようなロードマップが具体的にできるのか。分散型電源、デマンドコントロールも重要でしょう。私は日々、機関投資家や事業会社の経営者層とESG投資、気候変動課題の話しをさせていただいており、トランジションを実現するためには、どのように金融機関、民間投資が動いたらよいのかという指針が、このアウトプットの中に入れば、ぜひお伝えしていきたいと思っております。

よろしくお願いいたします。

大塚委員長

ありがとうございます。この計画が注目されていることも含めてご発言いただきまして、どうもありがとうございました。では、石井委員が入室されましたので、石井委員に御発言いただければと思います。よろしくお願いします。

石井委員

ありがとうございます。大変な遅刻をいたしまして申し訳ございませんでした。

今年の7月31日まで、地球環境ファシリティ、GEFというところでCEOをやっておりまして、8月の1日から東京大学のほうに就任いたしました。Center for Global Commonsというものをつくりまして、そこのダイレクターを務めさせていただいております。

海外から帰ってきて、特にサステナビリティとか地球環境の議論にどっぷりとつかって8年間を過ごしたわけですが、帰ってきて1か月で、やはり海外との議論との間に三つぐらいの温度差があるかなと思っております。

その三つの温度差について簡単に御紹介をしたいと思います。一つ目は、この脱炭素という問題が日本の中では非常にある意味エネルギーミックスみたいな形で比較的狭く捉えられているのに対し、あちらでの議論は少しこの間口が広いというか、何で脱炭素が重要なのかという、そういう視点からの議論が多いように思います。何で脱炭素が必要なのか、重要なのかというのは、基本的には今現在起こっているこの気候変動問題等は、人間の経済システムとそれからこの地球環境の限界との衝突から起こっている。人間が非常に経済活動を活発に行って、そのこと自体はいいことだというか、いい面も非常にあったんですが、それがその地球のキャパシティーと衝突したことによって、我々はもう既に完新世を通り越して人新世あるいはアンドロポセンというような新しい地質時代に入ってしまっている。そうすると、その新しい地質時代の中で地球と人間との関係を考え直さなきゃいけないというところから、この脱炭素の問題が来ていると思いますので、そこで本当に重要になるのは炭素の数字の問題だけじゃなくて、やはり例えば2050年に我々の生き方、経済システムがどう変わっていくか。それはエネルギートランジションだけじゃなくて食料の作り方、食べ方とか都市のつくり方、住まい方、それから産業構造が本当に循環型になっているかとか、そういう2050年の我々が欲しい社会を考えるところから本当は脱炭素という問題が出てきていると思うので、やはりそのシステムごとにどういう転換が必要かということを1回よく考えた上で、じゃあそれが一体炭素の数字にどういうふうに返ってくるのかということを考えたほうがいいのかなという、そういう議論をちょっと見てきました。

で、二つ目のややこの温度差の問題について言いますと、この今回、非常に2030年、26%、これ自体は非常に重要なことは分かるんですけれども、やはりその海外ですと2050年にどうなっているか、2050年に本当にゼロにするのか等々の議論になっていて、2030年はあくまで通過点だという発想じゃないかと思います。たまたま最近ちょっと素材産業、具体的には化学産業の方々と議論する機会があったんですが、化学産業は、やはり2050年にヨーロッパではやはりゼロGHG排出だと、あるいはフルカーボンサイクルだと言っているときに、日本の中ではやっぱり2030、26%というのに縛られているので、そうすると一体そのナフサというものが2050年にも素材として本当に存在するのかとか、そういうときに一体化学産業の役割は何かというようなことを考えると、この2030年だけを起点にというか終点に考えているR&Dの在り方とかシナリオと、2050年を視野に入れて考えているR&Dとかストラテジーは全然違うものになるんじゃないか。

はっきり言うと、2030のことだけ考えると日本の業界は競争力を失って、先行きが見えないということになってしまうんじゃないか。そういう意味で、本当にこの2030に注目だけしていていいのかという点が2点目です。

時間がないと思うので。

大塚委員長

先生、また後でお願いします。申し訳ありません、どうも恐れ入ります。

皆様にいろいろ我慢していただいた感じで誠に申し訳ないんですが、一通り御意見を伺ったところで、2巡目に入りたいと思いますので、どうぞ再度御質問、御意見がございましたら、挙手ボタンを押していただければと思います。はい、この順番でいいですか。では山下委員、お願いします。すみません、これも一、二分で手短にお願いします。

山下委員

ありがとうございます。

最後に申し上げたかった点、一つだけ追加させてください。

自分の将来を、自分たちで考える機会を若い世代や子育て世代の人々にも捉えてもらいたいと思います。自分のこととしてライフスタイルの一部として、オーナーシップを感じて行動する力を呼び起こすことで、従来型のシステムや制度に捉われがちな我々アナログ世代を超える発想が生まれ、さらに強靭な国を創出することができるのだと信じています。

そのためには、様々なアクターが正しい方向性を持って行動を起こせるような指針の提示が必要です。起こした行動の成果を正しく評価できるような指標や仕組みが必要であり、その成果については国際的にも認められ、かつ海外にも展開できるように標準化するなど、可視化を図る。それから周到な戦略を構築して展開するといったことが必要ですので、そういったノウハウの蓄積と共有が重要だと思います。

以上です。

大塚委員長

ありがとうございました。どうも恐れ入ります。では、江守委員、お願いします。

江守委員

ありがとうございます。

先ほど杉山委員の御発言と、それから資料の中に自分の専門性に近いことがあったので、ちょっとコメントをさせていただきたいと思います。

豪雨の増加についてはもう既に山口委員から御説明があったんですけれども、異常気象が増えていないんじゃないかとか増えていても大したことないんじゃないかということに関して、幾つか異なる知見が出ていると思います。例えばその台風に関しては、つい最近気象研究所から発表された研究で、東京周辺に接近する台風は過去40年間で1.5倍に増加しているというのがありますので、ぜひそちらも御確認いただければと思います。

それから、気温は上がっているといっても0.2度とかじゃないかというふうにおっしゃるんですけれども、我々が感じるのというのはその平均気温の上昇を感じているわけじゃないんですよね。我々が感じるのというのはその年の天候であって、その日の気象なわけですよね。そうすると今年であるとか2年前みたいに太平洋高気圧、チベット高気圧ですごく高温になるような気圧配置になったときに、温暖化して0.何度高い分だけより記録的な高温になってしまうということは、今年まさに皆さんが実感したとおりだろうと思います。

それから三つ目の豪雨は増えていないんじゃないかということなんですけれども、これちょっとおやっと思ったのですが、杉山委員の11ページの図というのがあるんですけれども、これ藤部さんの論文からの図なんですが、この論文には、豪雨が増えているという図もあるんですよね。1時間降水量とか10分降水量というのは増えているという図が書いてあるんですけれども、日降水量は増えていないという。増えていない図だけをお見せになって議論していらっしゃるように見えました。ですので、これからもファクトベースで、この気象のことも議論していくのに僕も貢献していきたいと思っております。

以上です。

大塚委員長

どうもありがとうございました。では、小西委員、お願いします。

小西委員

ありがとうございます。

先ほど髙村委員もおっしゃっていたんですけれども、今、まさにこの大きく企業の姿勢も変わってきています。よく欧州の企業のことは取り上げられるんですけれども、今、アメリカにおいても300以上の企業がこのクライメートスマートリカバリーというのを訴えています。特にこのアメリカの企業の場合、長らくこの株主至上主義に縛られてきたんですけれども、今、今回のワールドエコノミックフォーラムでも言われていましたけれども、このステークホルダー資本主義へシフトするということを宣言している、一種歴史的なステートメントが出ております。ですので、このコロナ禍において、先ほど石井委員もおっしゃっておられたように、やっぱり日本の企業がこの国際社会の中で選ばれる企業になって、かつ競争力をより強く強靭に持つためにこそ、この落ち込んだ株主の利益だけを回復させるということよりも、このコロナからのグリーンリカバリーにおいて、今こそ本当に先ほど山地座長もおっしゃったように、具体的にどのような企業に支援をすることによって、その変化を促していくかといった議論が必要なんじゃないかなと思っております。

以上です。

大塚委員長

はいありがとうございました。では、石井委員、お願いします。

石井委員

ありがとうございます。

3点目で申し上げたかったことは実はまさにそのグリーンリカバリーで、どういうシーンが、あるいはどういうようなニューノーマルに戻りたいか、行きたいかを考えるときに、何でコロナが起こったかというその原因のところがあんまり議論されていないのが気になります。

コロナが起こった根本的な原因は、やはり人間の経済活動と自然の生態系との衝突がここ20年頻繁に起きた。だからコロナだけじゃなくてSARSもMERSもあったということですので、そうするとやっぱりこの自然の生態系なり地球制度と人間の経済制度の衝突というところに問題がある。そうするとやはり人間の経済システムをどう変えるかと。そうするとやはりそこでエネルギー転換だけではなく、食料の在り方、都市のつくり方、サーキュラーエコノミー等々が重要になると思うので、そこまで戻ってグリーンリカバリーの本質を議論していただきたいと思いますし、既に何人かの先生がおっしゃった自然というものの価値付けとか、あるいはカーボンというものの価値付けとか、そういう指標をきちんとつくっていくということが非常に重要だと思います。

ありがとうございます。

大塚委員長

なぜコロナが起きたかというのは本当に大事なところだと思います。では、杉山委員、お願いします。

杉山委員

先ほど江守委員から御意見いただきました。どうもありがとうございます。

データについての議論は、今、やる時間は十分ないのでまた今度にしたいんですけど、ただデータを、気象に関してもきちんと確認をしていこうということをおっしゃっていただいたので、それはどうもありがとうございます。私もそうしていきたいと思います。

あともう一つ、この地政学的なリスクというところの認識がもっと共有されたほうがいいと思います。2030年、2050年の日本を考えたときに、何が一番大事かというと自由、民主、平和とそういったことが非常に大事でして、エネルギー政策はそれに奉仕するものでないといけないと思います。そういった観点から地政学的リスクにどう立ち向かうのか。そういうエネルギー政策の考え方が必要だと思います。

以上です。

大塚委員長

どうもありがとうございました。ファクトは重要で、さっき大臣も言われたところですので、そこは重点を置いていきたいと思います。ありがとうございます。では、増井委員、お願いします。

増井委員

ありがとうございます。

追加で1点だけ。今回、中期と長期、2030年と2050年をどうつなぐのかという、その辺りの整合性というのも非常に重要になってくるのではないかと思っています。一般に中期の話においては、ボトムアップで行い、長期の2050年の話はトップダウンで行い、それらの間が本当に整合しているのか。この辺りはやっぱりきちんと定量的にも検討していく必要があるだろうと思います。そうしないと2030年目標は達成したけれども、2050年のゼロ排出に向けては全然足りないというふうになってしまいますと、これはもう悲劇的になりますので、その辺りもぜひきちんと検討していくことが必要ではないかなと思っております。

以上です。

大塚委員長

ありがとうございます。では、長谷川委員、お願いします。

長谷川委員

海外の企業の取組の紹介があったわけですけれども、繰り返しになるところもありますけれども、日本の産業界、経団連としては、1997年から自主行動計画、低炭素社会実行計画というものに取り組んでおります。この計画は産業部門のほとんどの排出量をカバーしているものになっており、我が国においても経済界はしっかりと取り組んでいるということでございます。

また、先ほどチャレンジゼロについて御紹介させていただきましたけども、数字を申し上げるのを忘れておりましたので、現在、150を超える企業が330を超えるイノベーションのチャレンジに取り組んでいるということを御紹介させていただいております。こういった取組をぜひ支援いただくようにお願いできればということでございます。

さらに、個別企業に対しTCFDへの参加も呼びかけておりまして、そのような情報開示をしている企業について、トランジションに取り組んでいる企業も含めて、御支援いただければというふうに考えております。

以上でございます。

大塚委員長

ありがとうございました。委員の皆様にかなり我慢して短くしていただいて、どうもありがとうございます。

よろしいでしょうか。お約束の時間になりましたので、ここで今日は仕切りしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

はい、どうも。では更に御意見がある方はどうぞ後日、事務局のほうに意見を寄せていただければと思います。

最後に議題の2、その他につきまして何かございましたら事務局から説明をお願いいたします。

坂口室長

多岐にわたる御議論をありがとうございました。ここで議論を聞いていただきました佐藤副大臣から御挨拶を頂きたいと思います。

佐藤副大臣

副大臣の佐藤でございます。佐藤ゆかりでございます。

本日は委員の皆様方、初回の合同会合立ち上げで、非常に活発な御議論を頂きまして、誠にありがとうございました。まさに今回の会合では、女性の委員の皆様方の比率も上がりまして、まさに多様性。環境は多様性が重要でありますが、同時にエネルギーもこれからは多様化が重要であるということでありまして、そういう中で専門家の皆様方に今日は本当に多様な御議論を頂きましたことを感謝申し上げたいというふうに存じます。

大臣からも先ほど冒頭御挨拶にございましたように、新型コロナウイルス感染症対策で、これが収束した後におきまして、このコロナ危機と気候変動、気候危機でありますけれども、この取組というものを両立し続けていくということが大事でありますし、また経済社会構造を持続可能なものに強靭なものに変革をする、この転機として我々は今の局面を捉えていかなければいけないと私も思っているところであります。

そうした中で、デジタル化の遅れを取り戻すという御議論も頂いたわけでありますし、その3密の回避に向けて、この急速にデジタル化を推進をしていくということで、この新たな社会経済構造、活動というものを継続する、持続可能なものにしていくということが一つのチャレンジであるというふうに思っております。

また、先ほど頂きました御議論の中でグリーンリカバリーのお話もかなり御議論を活発に頂いたと思います。私ももともと出身が経済でございますが、そういう意味ではグリーンリカバリーを着実な具体的なものにしていく中で、そのプライシングメカニズム、要するに価格のシグナルが必要ではないかという大変貴重な御議論を頂きました。皆さんにこの見えざる手が、価格がシグナルになって民間の企業活動というものを動かしていく。その中でこのCO2の排出削減に対する努力というものがいかに見える形で環境価値、ひいては金銭的な経済価値として見える化していくか。それが透明な価格形成としていかに広がっていくかということを構築していくということは非常に重要であるというふうに考えます。

そういう中で、環境省の取組として私の副大臣室でこの間、進めさせていただいておりましたけれども、既に発表もいたしておりますが、この脱炭素化に向けた取組を推進していくために、今回、「気候変動×デジタル」というプロジェクトを推進させていただいて、来年度の予算要求をしたいと考えているところでありますけれども、まさにこのこれまでやっておりますJ-クレジット制度、これは民間の任意のカーボンプライシングの仕組みではありますけれども、この任意のJ-クレジット制度の利便性を向上させるためにブロックチェーンなどの技術を使ってデジタル化を図り、より多くのいつでもどこでも誰でも、御家庭の主婦の方に至るまでその排出量の削減の努力をした人がその環境価値というものをしっかりと見える金銭的価値として扱い、あるいは売買できる、そういうものをデジタル化で更に加速度的に推進をしていきたいというふうに考えているところでございます。

一つの御議論はこうした見える化、プライシングの問題。それがきっちりと見える化することによって金融機関が判断をできるような、そういう仕組みづくり、こういったことも一つ今日の御議論で大きく課題として見えたかと思います。様々な観点があるわけでございますけれども、これからも引き続き持続可能な新しい経済社会システムの構築に向けて、この合同会議で皆様方の闊達な御議論を引き続き頂戴できますようにお願いを申し上げまして、本日の終わりの私からの感謝の言葉とさせていただきます。

皆様、引き続き、どうぞよろしくお願いをいたします。ありがとうございました。

大塚委員長

どうもありがとうございました。では、閉会に当たりまして、産業構造審議会産業技術環境分科会地球環境小委員会の地球温暖化対策検討ワーキンググループ、山地座長から一言御挨拶をお願いいたします。

山地座長

山地でございます。ちょっと時間もオーバーしているようですからごく簡単に。

皆様、本当に大変お疲れさまでした。本日は、この合同会合のキックオフとして、様々、多様な御意見を頂き、広い議論ができたというふうに思っております。COPが1年延びたということもあり、時間もあるんですけれども、しかし論点は非常に広範に広がっておりますので、これから、皆さんの活発な御議論を踏まえて新しい温暖化対策計画をつくるという作業を進めていきたいと思っております。

座長、進行役は中環審側と産構審側で交互ということで、次回は私が多分進行役になると思いますので、皆様、どうぞよろしくお願いいたします。

簡単ですが、これで挨拶とさせていただきます。

大塚委員長

ありがとうございました。

以上で、本日の議事は全て終了いたしました。重要な論点がたくさん出てきていて、対立するところもありますが、共通するところも多くあったと思っております。ある程度皆さんの議論の基礎についての共通認識ができたのではないかというふうに考えております。

では、最後に事務局から何か連絡事項等がございましたら、お願いいたします。

坂口室長

委員の皆様におかれましては、活発な御議論、大変ありがとうございました。今日、たくさん御意見を頂きましたので、これをまたよく整理した上で、今後の議事の進行に努めていきたいと思っております。

なお、本日の議事録につきましては、事務局で作成の上、委員の皆様方に確認いただきました後、ホームページに掲載をさせていただきたいと思います。

次回の日程、申し訳ございませんが現在、決まっておりません。詳細が決まり次第、また別途御連絡申し上げたいと思います。

事務局からは以上でございます。

大塚委員長

それでは、以上で閉会とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。

午後 5時03分 閉会