中央環境審議会地球環境部会2020年以降の地球温暖化対策検討小委員会・産業構造審議会産業技術環境分科会地球環境小委員会約束草案検討ワーキンググループ合同会合(第6回)議事録

午後1時00分 開会

○小見山環境経済室長  定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会2020年以降の地球温暖化対策検討小委員会、産業構造審議会の合同専門家会合を開催いたします。

 事務局の経済産業省環境経済室長の小見山です。よろしくお願いいたします。

 本日は、委員総数の過半数の委員にご出席いただいており、定足数に達しております。

 また、本日の審議は公開とさせていただきます。

 まず、配付資料の確認をさせていただきます。議事次第の下に配付資料がございまして、資料1は中環審委員名簿、資料2は産構審委員名簿でございます。資料3―1、横長のパワーポイント、長期エネルギー需給見通し小委員会の検討状況について。資料3―2が別途でクリップどめしておりますけれども、本日午前に行われた第5回長期エネルギー需給見通し小委員会の配付資料でございます。また戻っていただきまして、資料4が二国間クレジット制度の最新動向という横長のパワーポイントでございます。資料5が農林水産分野における今後の地球温暖化対策についてでございます。

 あと、参考資料がございまして、参考資料1でございますが、前回、高村先生からご指摘がありまして、既に提出された約束草案(EU、スイス、ノルウェー)について原文をつけております。後のほうにEUの約束草案に関する情報とスイスに関してはポイントをまとめたものをつけてございます。実は、ノルウェーについてポイントをつくる時間がなかったのでつくっておりませんが、ちなみに、3月28日にメキシコが提出したものは、済みません、ちょっと間に合いませんで入っておりません。また改めて提出させていただきたいと思います。

 参考資料2でございますが、資源エネルギー庁から、前回、大塚委員から次期燃費基準に関する検討状況について質問があったものに対する書面での回答がまいっております。

 参考資料3でございますが、前回、環境省、地方自治体関係の質問に十分答えられなかった部分に関して回答を書面でとりまとめたものがついております。

 以上でございます。資料の不足などございましたら、いつでも結構ですので、お申しつけいただければと思います。

 それでは、早速議事に移ります。以降の議事進行は、産業構造審議会約束草案検討ワーキンググループの山地座長にお願いしたいと思います。先生、よろしくお願いいたします。

○山地座長  本日の進行役は山地でございます。よろしくお願いいたします。

 それでは、早速議事に入りたいと思います。議事次第に書いてありますとおり、議題が3つございまして、最初はエネルギーミックスの検討状況について、2番目が二国間クレジット制度について、3番目が森林吸収源対策等についてでございます。

 1番目の議題の資料を説明していただいて議論をして、その後、2番と3番の議題について資料説明、議論というように進めさせていただきたいと思います。

 したがって、最初の議題1に関しまして、経済産業省から資料3―1と資料3―2を説明いただきます。

○吉野大臣官房審議官  大臣官房審議官の吉野でございます。私から、資料3―1、3―2に従いまして、長期エネルギー需給見通し小委員会の検討状況についてご報告申し上げます。説明時間10分といわれております。少しはしょってになるかと思いますが、あらかじめご容赦願えればと存じます。

 まず、3―1の資料をおめくりいただきまして、1ページ目のところ、これまでの検討、開催状況でございます。これに関しましては、長期エネルギー需給見通し小委員会と発電コストの検証を行うワーキンググループの2つを設置いたしまして、会議を進めてきております。

 長期エネルギー需給見通し小委員会、ミックス小委員会につきましては、第1回、その後エネルギー需給、省エネ、第4回で再エネをやり、きょう第5回ということで電源構成のあり方とありますが、火力、原子力についての議論をきょう午前中に行いました。それから、発電コストの検証につきましては、これまで3回やってきておりまして、第2回目に再エネ、火力、前回3月16日に原子力に関する論点の整理をいたしております。

 3ページ目以降でございます。3つのE、自給率、経済効率性、環境適合に関する総論的な議論でございますけれども、まず、自給率に関しましては、事実関係として、現在、2010年当時にあった自給率が震災後6.3%になっている。先進国の中でも資源の少ない国々と比べても極めて低い状況である。こういうところに対して、右側に主なご意見がありますが、この現状はサステナブルでない。自給率を向上させていくことが必要だといった意見があったわけでございます。

 それから、次のページ、経済効率性でございます。ファクトとしまして、電力料金の値上がり、それから再エネの負担増加といったところをお示ししておりますが、これに対しまして、中小企業などはエネルギーコストの抑制をお願いしたいと。国際競争力の観点からみても厳しい。ベースロード電源比率をしっかりとという意見があった次第でございます。

 それから、5ページ目は環境への適合ということでございます。現状としましては、ご案内の2013年度の温室効果ガスが最大になっている。EU、米国は高い目標を掲げている。これに対してご意見としては、エネルギーの低炭素化が必要だと。ゼロエミッション電源比率の確保が重要であるといったご意見をいただいてきたところでございます。

 その際、6ページ目でございます。今会の座長でおられます坂根小松相談役委員長からのご発言としては、3.11以前に比べて、まずは省エネ・再エネをどこまで実現できるか。その余力を原発比重を下げることと化石燃料比重を下げることに回すといったまとめをいただいております。

 その後でございますけれども、需給見通しの作業としまして、まず、エネルギー需要の見通しに関して議論を賜りました。8ページ目にその需要の推計方法がございますけれども、具体的な数字としましては9ページ目でございます。これは精査中とありますように、まだ細部は調整をしておりますけれども、一応、右下にありますような内閣府の試算、経済成長の見込みを2030年まで少し伸ばした数字を使いまして、かつ人口でいえば1億1,700万人になるという前提で、最終エネルギー消費は2030年で原油換算3.77億キロリットルと。電力需要に関しましては、どうしても電化率が上がっていくという前提があるものですから、合計としまして1兆1,000億キロワットアワー余りの数字をお出ししたところでございます。

 ここからどれだけの省エネをしていくのかというのが2回目、3回目の省エネ対策の議論でございまして、めくっていただきまして11ページ目に各部門における省エネの取り組みを掲げております。産業部門では、主要4業種の低炭素実行計画。業務、家庭では、建築物に対する省エネ基準適合義務化といった取り組み。運輸部門では、次世代自動車、交通流対策でございます。各部門横断的には、やはりエネルギーマネジメントの導入が大事だといった議論をしております。

 具体的な数字につきましては16ページ目以降でございまして、先ほど申し上げました3億7,700万キロリットルからどれだけ減らせるかという数字です。いずれも精査中ではございますが、産業・転換部門では、17ページ目をみていただきますと、黄色の色がついております758万キロリットル。それから、業務部門では、18ページ目の下にあります赤字の1,327万キロリットル。それから、家庭部門では、同じく下にあります1,238万キロリットル。運輸部門では1,314万キロリットルということでありまして、これ合計いたしますと約4,600万キロリットルの省エネ量というところまで積み上げてまいりましたけれども、さらなる深掘りがどれだけできるのかという議論を引き続きしているところでございます。

 それから、22ページ目以降、再生可能エネルギーでございます。今回、導入見込み量といったものも一部お出ししております。まず、22ページ目は地熱発電でございますけれども、これにつきましては、現状、既存の発電所が52万キロワットあるのに対して140万キロワットまで開発できないかと。さまざまな開発の制約があるのですけれども、打診的にいえばこのぐらいの数字ということでございます。

 次のページが水力発電でございます。同じように自然公園は開発の制約がある中ではありますけれども、最大見積もったものがこのページの数字でございます。大規模で90万キロワット、中小規模で206万キロワット、300万キロワットの開発を見込めないかと。ただ、この中には既設発電所の改修によって効率が上がる部分も含まれているということでございます。

 24ページ目はバイオマス発電でございまして、既設機導入量の252万キロワットに対して408万キロワットの数字を出しております。この中で未利用間伐材、建設廃材、その他あるのですが、どうしても資源量に限りあるものがあるのでこうした数字になっております。一方で、上から3つ目のカテゴリー、一般木材・農産物残渣の中には、海外から輸入される輸入チップですとかPKSとあります油をとった後のやしがらといったものが含まれるわけでありまして、この輸入量をふやせば導入見通しは拡大し得るということではあるのですが、海外からの調達の場合、安定供給の観点からはどうなのか。やはり地産地消を主にやっていくべきなのではないかといったさまざまなご意見がありましたので、それを踏まえて今後検討ということでございます。

 それから、25ページ目は太陽光発電でございます。これに関しましては、昨年秋以降、接続保留問題がございまして、それに対処するために系統ワーキンググループという審議会を設けて、7つの電力各社の導入可能量というものを計算してまいりました。前提としては、30日の出力抑制を可能とする現行ルールのもとでの計算によりまして、この7社で2,369万キロワットとお出しし、残る3社、東京、中部、関西に関していえば、同様の試算をした場合の導入見込み量ということで、今回700億キロワットアワー程度というものをお出ししております。これはキロワットに換算すると約6,000万キロプラスアルファといったボリュームになるかと思います。

 これに関しましては、既に30日の出力抑制を見込んだ数字になっているのですが、今後、導入量がこれを超えて入ってくると、さらなる出力抑制が必要になってくるということで、その分、キロワットアワーはふえていくかもしれませんが、設備当たりの発電量が減ってくるということで、コストの数字にはね返ってくるということでございます。

 それから、風力に関しましては26ページ目でございます。さまざまな数字がある中で、今回は環境アセスに掲げられているものということで、このページの一番下にあります各数字を合計しますと540万キロワットですから、これをお出ししております。

 当然ながら、これに加えて導入可能なさまざまな見込みがあるわけでありますけれども、今後の導入可能量についていえば、既に東北、北海道につきましては、アセスの案件だけでもエリア内の接続可能量を超えていると。これを今後、まだ余裕のある東京などにどうやって運んでくるかというところが主要な論点になります。この場合、広域運用によってどれだけできるのか。それから、地域関連系線のインフラ強化でどこまで実現できるのか。これも総じて申せば、そういった設備投資の関係、コストに関するところでございますので、今後、エネルギーミックス全体の中で経済性をどう考えていくのかという中において議論を進めていきたいと思っております。ただ、いずれにせよ、太陽光、風力に関しては、今後どれだけふやせるのかといった議論を進めてまいりたいということでございます。

 それから、27ページ目以降、再生エネルギーの拡大に関して、各電源を代替する形で今後入っていくわけですけれども、その関係の整理をしたものでございます。27ページ目は、再エネの中で自然条件によって出力が変動するもの、太陽光、風力。それから、自然条件によらず安定的な運用が可能なものということで、地熱、水力、バイオマスの一部。バイオマスに関しては、定格出力で運転できるものもあれば、出力調整が比較的可能なものもあるということで、両方に掲げております。

 28ページ目以降、電源を代替していくケースをそれぞれ掲げております。まず、このページでは地熱、水力、バイオマスによって火力発電を代替する場合でありますが、当然、これは自給率、COの面ではプラスになるということでありますけれども、火力の場合、もともと調整しながら使っている。同じように使おうとすると、せっかくの地熱、水力の電気も調整を要する。十分な機能を生かせないのではないかといったところのデメリットを記しております。

 それから、29ページ目は、原子力発電を地熱、水力等で置きかえる場合でございますが、この場合には、自給率、COの面でも基本的にはニュートラルという関係性を掲げております。

 それから、30ページ目につきましては、太陽光、風力の拡大、原子力を代替していくケースとございます。ここにおきましては、太陽光、風力の稼働率が13%、20%ということなので、補足にありますとおり、電源の特徴が違いますので、実際にそういう代替が起こるかどうかは別にしまして、仮にそういったことを想定した場合には、残りの部分を火力でバックアップしなければならない。従って、燃料を調達する分、自給率が悪化する、COの面でもマイナスに働くといったところの関係性をお示ししたものでございます。

 それから、31ページ目は太陽光、風力で火力を置きかえた場合でありますが、これにつきましては、火力発電の燃料をセーブする、その分COが減るということで、当然、この範囲で行っていくのは政策的にも望ましいところでございます。他方で、出力変動いたしますので、太陽光、風力がどれだけ入っても同規模のバックアップの電源が必要であるというところも記しております。

 それから、最後、太陽光、風力のさらなる拡大というところで、出力抑制について少し掲げております。先ほど、出力抑制が出てくる場合にと申し上げましたが、必ずしもネガティブな面だけではないと。この火力の調整で足らざる部分、需要から出っ張っている部分をカットすれば、この図の濃い緑のところにありますとおり、キロワットアワーは稼げる関係性にあるというところもお示ししたところでございます。

 以上がこれまでの議論の経過なのですが、きょう午前中に原子力、火力の会がありましたので、これもごく簡単にご紹介させていただければと思います。

 3―2の中の資料1につきましては、各電源の特性と電源構成を考える上での視点でございます。エネルギー基本計画でもこれまでその位置づけをしてまいりましたが、まず、まとめの資料としては4ページ目でございます。各電源の特徴、エネルギー政策の基本的視点でございますが、縦軸にそれぞれの視点を掲げております。安定供給の観点からいえば、それぞれの電源に関して中東の依存度、それから国内在庫の状況といったものを掲げております。それから、経済効率性に関していえば、発電コストを出しておりますが、これは前回、2011年に行われたものをそのまま掲げておりまして、これについては現在、再精査中でございます。それから、環境適合に関しましては、石炭で0.82、天然ガスで0.40とありますような数字をそのままお示ししております。4番目が運転特性でございます。

 それから、5ページ目にありますとおり、ベースロード電源比率の推移ということで、日本の場合には、オイルショック以降の電源多様化によりまして、震災前には6割まで来ていたものが4割になってしまっているといったこと。

 それから、6ページ目は年間の電力需要曲線ということで、デュレーションカーブの紹介をしております。日本の日々の電力需要を多い順から並べたものでありますけれども、この図が示しておりますのは、灰色、水色がついている部分については、年間を通して需要が一定である。こういうところに関してコスト、供給安定性の観点から、適切な電源からメリットオーダーで入ってくることが合理的であると。実質この数字が6割なのですが、現に過去の私ども日本のベースロード電源比率も6割まで来ていたというところでございます。

 7ページ目は、そのベースロード電源の各国との比較。

 8ページ目は、ベースロード電源と電気料金の相関を示したものでございます。

 それから10ページ目、今後、電力システム改革も進めつつでございますけれども、エネルギーミックスを考える中でも、広域運用も促しながら最適な電源を順番に使っていくという観点から、送電網の強化が大事だということでございまして、ここでは北海道、東北の北本連携の設備強化の現状、計画。それから、東西の周波数変換設備に関する計画をお示ししているところでございます。

 それから、資料2は先ほど触れましたので飛ばします。

 資料3でございます。火力発電における論点でございます。まず、2ページ目、3ページ目は石炭火力、それからLNG火力の効率性アップのこれまでの成果、今後の見通しを掲げております。設備規模の小さいものは効率が悪いといったところを4ページ目で示しております。

 5ページ目は、高効率化によるCO削減効果でありますが、現在の平均的な火力発電所を最先端の火力、LNGで置きかえた場合には、2,600万トン程度の削減が可能だといったところをお示ししております。

 それから、6ページ目は、主要各国の電源構成に占める天然ガスの割合でございまして、総じて世界平均が22%で、中国、台湾、フランス、インドなどは10%以下になっている。日本は、震災前29%、現状43%ですが、こうした国々の中では非常に比率が高い国であるということかと思います。

 それから、少し飛ばしまして、石油火力に関しましては、そもそもベースロード用の石油火力の新設、リプレースの禁止がされておりますけれども、ピーク電源として、また非常電源としては、石油については可搬性が高い、供給網もある、備蓄もあるといったことで重要な役割を果たしているといったところを改めてお示ししております。

 それから、再エネと火力発電の稼働率の関係は9ページにお示ししております。先ほど、電力各社の接続可能量の数字を申し上げましたが、ぎりぎり接続可能量まで太陽光、風力が入りますと、火力発電所の稼働率が関係する各社において10%程度にとどまってしまうのが現状になってしまうといったところをお示しした次第でございます。

 次、資料4、原子力発電についての論点でございます。これに関しましては、基本計画で位置づけ等を申しておりますが、まず、3ページ目に原子力発電所の現状ということで、示された廃炉の方針、一方で再稼働に向けて24基が申請中であるようなところをお示ししております。

 それから、4ページ目は、40年運転制限制。60年の免許のもとで今後、原子力の容量の推移がどうなってくるのかという見通しをお示ししたものでございます。

 以降、原子力発電に関する安全性への取り組み、それから9ページ目には過去の稼働率の推移、それから安定供給、CO、コスト等の観点からの事実関係の整理をお示ししているということでございます。

 最後、ディマンドリスポンスの関係でございます。これにつきましては、エネルギーミックスの議論を考える中にあって、今後新たに位置づけをしていくものでもございますけれども、2ページ目にありますように、これまで電気料金型ディマンドリスポンス、ネガワット取引といったものについての実証なり検討が進んできております。これも今後導入を図っていくわけでありますけれども、まず3ページ目にありますとおり、ピークカットの効果を期待していくということでございます。

 4ページ目以降、さまざま料金型によるディマンドリスポンスのピークカット効果、それからネガワットの活用に向けた取り組みということで、その効果をそれぞれ記しております。

 ずっと飛ばしてまいりますと10ページ目のところ、これらによりましてピーク電源の抑制効果についていえば、これは最大ということでありますけれども、12%程度のピーク需要の抑制が見込まれるということでございます。

 先ほど、エネルギーミックス、電源構成のところで申し上げましたが、この後、再生可能エネルギーで火力発電を代替していく場合に、今ピークを担っている石油火力もその対象になってくるわけでございますけれども、そのようなところに関して、このディマンドリスポンスがどこまで効果を及ぼすものであるのかといったところも踏まえて、今後、電源ミックスの議論をしてまいりたいと思っております。

○山地座長  どうもありがとうございました。

 膨大な資料なので、10分での説明はちょっと大変だったでしょうけれども、5分ほどオーバーしておりますが、これから皆さんのご発言をお願いしたいと思います。いつものように、ご発言をご希望の方はネームプレートを立てて意思表示していただければと思います。これも毎度のことでご理解いただいていると思いますが、私が進行役のときは、中環審側の委員の方から順番に発言を回していきたいと思いますので、ご協力よろしくお願いします。また、これも毎度のことでございますけれども、きょう、私のト書きに書いてあるのは、1人当たり2分半以内ということでございますので、これもご協力いただければと思います。よろしくお願いします。

 それでは、よろしいですか。一通り立っているので、中環審側からまいりたいと思います。名札が落ちたけれども、大塚委員、多分、発言をご希望ですよね。まず、大塚委員からどうぞ。

○大塚委員  石炭火力に関して意見として申し上げておきたいと思うのですけれども、石炭火力の発電が今のお話でもベースロード電源になっているわけですが、これが現在非常に多く新増設されているという問題がございまして、数千万トン排出量がふえるということになると、省エネとか再エネとかの努力が全部チャラになってしまうということをどう考えるかという問題があると思います。

 ほかに3E+Sの話もしていただいて、いろいろな観点の考慮が必要だと思いますけれども、とにかく石炭火力に関しては、早急に対応しなくてはいけない点が多いのではないかということをまず申し上げておきたいと思います。

 お伺いしたいのは、それとの関係で、この間、高村委員が質問されていたことに対するご回答もございましたが、石炭火力が今新増設されることになっていて、大体で幅があってもいいのですけれども、COがどのぐらいふえるかという数字をぜひ出していただきたい。あと、ガスと石炭火力の比率がどのようになることが2030年で想定されるかということをぜひお示しいただけるとありがたいということがございます。ちなみに、IPCCの第5次評価報告書では、ご案内のようにCCSが入ることが石炭火力の前提のように扱われていますので、その点の考慮も必要であると思います。

 あと、再生可能エネルギーに関しては、この間、経済同友会が出されたものでも2030年に3割というのが出ていますので、少なくともその程度の目標はたてる必要があるのではないかということを申し上げておきたいと思います。

 以上でございます。

○山地座長  ご質問等ございましたが、一通りご発言いただいた後で事務局から回答いただきたいと思います。

 それでは、末吉委員、どうぞ。

○末吉委員  ありがとうございます。再生エネルギーについて意見を申し上げます。

 欧米の例をみますと、再生エネルギーの比率を4割ぐらいという新しい世界標準が生まれているような気がします。例えばEUでは、2030年までに電力の45%を再生可能エネルギーといっております。これは皆さんよくご承知のとおりです。あるいはカリフォルニア州では、ブラウン知事のもとで2030年までに50%といっております。

 こういった世界の新しい再生エネルギーの位置づけをみますと、日本ももう少し意欲的な位置づけをする必要があるのではないかと思います。日本風力発電協会とか太陽光発電協会が発表されているポテンシャリティーも非常に高いですし、それに加えて日本が特に3.11以降一生懸命やっている節電、省エネルギーを加えていきますと、いってみれば世界標準的な40%台の再生可能エネルギーというのは十分狙えるのではないかと思っております。

 なぜこういったことを申し上げるのかといいますと、時々海外の人と話をしていると、Japan is not the case?だと。世界で起きていることが日本だけないのだということをよく聞きます。ご承知のとおり、世界は同時同量、出力抑制、あるいはディマンドリスポンス、いろいろなところで新しい研究やイノベーションが進んでおります。こういったことを考えますと、日本における電力システムの実のある改革をするためにも、日本だけが特殊だという話から抜け出して、新しく生まれ始めようとしているニューノームと呼んでいいのでしょうか、世界標準に日本がどうやって一緒にやっていくのかということをぜひ考えていくべきだと思います。ですから、3E+Sだけではなくて、そこにニューノームを加えた視点で再生可能エネルギーの位置づけを考えるべきだと思っております。

 以上です。

○山地座長  大聖委員、お願いいたします。

○大聖委員  資料3―1の15ページになりますけれども、運輸部門における省エネ対策ということでコメントしたいと思います。

 もちろんこの分野の省エネの一番の根幹は、単体対策ということでありますけれども、それと交通流の改善がどれだけ効果をもつかということが非常に大きな論点になってくる訳です。ここでITSとかICTといった情報通信技術の活用の推進をぜひうたっていただきたいと思います。これから一台一台の車が公道を走るときには、その情報は公共財というような形で利用されるべきでありまして、クラウドコンピューティングも進んでいますし、ビッグデータの解析などもどんどん取り組んでいただいて、交通流の改善をぜひ政策の重要なポイントにしていただきたいということであります。

 以上です。

○山地座長  では、原澤委員、お願いします。

○原澤委員  ありがとうございます。まず、太陽光と風力の関係なのですけれども、先ほどご説明があったように、太陽光に関しては、接続保留問題とかいろいろ問題が出てきているということ。また、太陽光の導入をみますと、住宅化はうまく進んでいるのですけれども、非住宅のメガソーラーなどはかなりおくれてきている。この状態が続くと、30年の導入比率も少し影響を受けるのかなと思うのですけれども、質問は、現在問題になっているいろいろな接続保留の問題とか系統線の問題はいつごろ解決するのだろうかということです。

 2つ目、32ページにいろいろな再生可能エネルギーと火力との組み合わせがあって、これは1つの考え方だと思います。つい最近も太陽光、昼間の電力を揚水に使って、水力発電との組み合わせをうまくやっていこうというシステム的な取り扱いというのも非常に重要だと考えておりますけれども、今日ご説明のあったポンチ絵は、かなり実用的なものを想定したものか、あるいはあくまでもアイデアとしているのかどうか、その点をちょっとお聞きしたいと思います。

○山地座長  では、藤野委員、お願いします。

○藤野委員  ありがとうございます。ちょっと発言させていただきます。先日、飯舘村の40代の男性の方のお話を聞く機会がありましたので、この場をかりて共有させていただきます。

 震災前はおじいちゃんとおばあちゃん、奥さん、娘、息子の3世帯家族で農業を基盤に息子夫婦が働きに出るという飯舘では典型的な暮らしをしていた方でした。震災後すぐ、子供だけは避難させないとという雰囲気の中で、まず奥さんと子供2人を山形県山形市に避難させ、数ヵ月後、幼稚園児の息子だけ山形県米沢市に避難させたとのことです。毎週末会いに行くたびにぐずっていたのが、そのうち背中を向けて声も発さない、不安定になっていく息子さんをみて、家族で一緒に暮らさないと家族が壊れてしまうと、一緒に暮らせる家を福島県内に探したそうです。

 避難先の部屋の狭さから、今でもじいちゃん、ばあちゃんとは一緒に暮らせていません。震災後、自分たちだけでなく、子供たちは何度も検査を受けていて、後日結果を知らされる封筒が届くそうです。封をあける前は、今でも悪い結果ではありませんようにと神様に祈るそうです。そんな彼がいったことは、ほかの誰にも自分や家族のような目に遭ってほしくない、だからもう原発はもう要らないと。

 ベストミックスの議論に彼のような原発事故被害者の体験は加味されているのでしょうか。過去のトレンドから、将来できることはこれしかないという議論に陥ってはいないでしょうか。2030年、申しわけないが、今この議論にかかわっている中には、もういらっしゃらない方もいるでしょう。2030年の議論は2050年にもつながるものです。2050年、この中にどれだけの人が生きているのだろうか。自分も自信がありません。

 私たちは、2030年、2050年に中心になって活躍する彼の子供たち、皆さんの子供、孫、まだみぬ人のために約束草案の議論を行っているはずです。彼らが望む2030年、2050年はどんな姿だろうか。できるできないの議論だけではなく、彼らが望む未来を実現させるためにどんなことが必要で、どんなことをやったら実現できる可能性が高くなるのか、そういった議論もしないといけないのではないでしょうか。誰がお父さん、お母さんに、あなたの娘さん、息子さんは絶対安全ですよ、将来も問題ありませんよといえるのでしょうか。私たちは、お父さん、お母さん、娘さん、息子さんに少しでも希望が感じられるエネルギーミックスを、温暖化対策を示すことができるでしょうか。

 2011年6月21日に初めて飯舘村を訪問し、ご縁があって2011年8月から飯舘村の復興計画づくりにかかわりながら、また福島の方々とかかわらせていただきながら、結局自分は何もわかっていなかったという自分自身に対する反省を共有させていただきました。

 貴重なお時間、ありがとうございました。

○山地座長  村上委員、お願いします。

○村上委員  資料3―1の18ページ、19ページに業務部門と家庭部門の削減の見通しがございます。大変意欲的といいますか野心的でございまして、これはかなり大きな数字でございまして、これは質問でございますけれども、どこかに積み上げの方式を公表されているのかどうか、もし公表されているのであったら教えてください。

○山地座長  高橋委員、それから豊田委員と回っていきます。

○高橋委員  ありがとうございます。資料3―1の18ページと19ページにかかる省エネ対策の業務部門、家庭部門のエネマネについてですが、まだ「検討中」という記載が複数箇所あり、具体的な数値が示されていませんが、この部分は、国民運動による対策が必要な箇所だと考えます。政府として国民運動を盛り上げるという強い意思のもと、その目標値をしっかり定めてPDCAサイクルを回す必要があるので、ぜひとも具体的かつ実現可能な数値の記載をよろしくお願いします。

 以上でございます。

○山地座長  豊田委員、お願いします。

○豊田委員  ありがとうございます。再生エネルギーについて1点質問と2つコメントがあります。質問は、コストワーキンググループも進んでいると伺っていますけれども、再生可能エネルギーのコストについてどうなっているでしょうか。例えば太陽光発電であればパネルの値段は下がってもサーチャージはあるでしょうし、バックアップコストはあるでしょうし、蓄電池のコストはあるでしょうし、系統のコストもあるでしょうし、これらがどうなっているのか教えていただきたいのが質問です。

 2つコメントです。1つは、原子力のかわりに再生可能エネルギーを入れると、バックアップのための火力の導入があり、セキュリティー上も悪くなり、かつCOも出てくるという資料は非常にわかりやすかったと思います。ただ、これがほとんど浸透していないのではないかという気がいたします。専門家の意見として、原子力のかわりに再生エネルギーを導入すればいいのだという議論がまだまだ多いような気がします。ぜひここはもっと深く普及していただきたいと思います。

 2つ目は、再生可能エネルギーについて、国際標準はないと私は思っています。国際標準が40%というご意見もありましたけれども、石油について、たくさん出る国もあれば出ない国があるのと同じように、再生可能エネルギーも賦存量は違うし、地理的な状況によって系統との関連も違ってくる。ドイツは恵まれていますがスペインは恵まれていない。そういう状況を我々は深く理解する必要があると思います。

 以上です。

○山地座長  では、竹内委員、お願いします。

○竹内委員  ありがとうございます。ご説明いただきましてありがとうございました。

 先日、新聞報道でも一面に先進技術を使った交通流対策の件が出ていたかと思います。ああいった取り組みにつきましては、事故や渋滞が減って、さらにCOも減るということで、私の周辺でも期待する声が大変高かったです。CO対策が国民生活に広がり始めたと考えているところでございますので、ぜひこの動きを加速していただきたい。こちらはコメントでございます。

 2点お伺いしたいのですが、先ほど吉野審議官から、再エネの導入拡大によって火力の稼働率低下についてはご説明を頂戴したのですが、要は再エネが大量に導入されれば火力は調整電源としての運転となり、非常に非効率な運転を強いられることになるかと思います。火力の運転が非効率になることによって増えるCO2の量についての分析はされておられるのか。火力の運転効率が落ちることになるが、それは確かに火力発電所から出るCOではあるものの火力発電のせいなのか、あるいは再エネの削減効果から差し引くべきものなのかというところも議論が必要かと思っているので、この点をお伺いしたいと思います。

 もう一点、こちらは外務省さんにお伺いするのがよろしいのかなと思いますけれども、米国も一両日中に約束草案を提出するだろうとみられておりますが、アメリカがこの目標を本当に実行するのかどうかというところ。これは相当危ないとみるのが普通ではないかと思います。米国の政治的流動性を考えますと、アメリカが枠組みに参加しない、あるいは脱退する、あるいは目標達成ができないことが明確になった場合の日本の対応を議論しておく必要があると考えております。日本はアメリカのコミットメントをどのように分析して、どのような外交オプションを考えておられるでしょうか。具体的に伺えば、オバマ大統領の気候変動政策に共和党議会の同意が得られる見込みはほぼない中で、既存国内法の対応内で実施可能である範囲の合意しかできないはずです。

 その中で1点目、もしCOP21での合意をアメリカがのめない、参加しないとなったら、日本はこの枠組みに参加するのかどうか。COP21 での合意がそのようなものになる可能性は低いと思いますが。2点目、この合意が議会の同意を得ずに大統領の権限で締結できる単独行政協定であるというようにして受諾すること自体はオバマ政権の間にできてしまうかもしれませんが、それは次の大統領の一存でひっくり返すこともできてしまう。政権交代で反故にされる、脱退すると言われた場合、日本はどうするのか。京都議定書と同様、温暖化対策に効果が無い枠組みであると認識しながら留まり続けるのか否か。3点目、これまで発表された各種政策を積み上げても26%~28%という目標値には届かないのではないかということが米国内の研究者からも指摘されております。目標を達成するための中心的施策であるグリーンパワープランに対する訴訟が起きて敗訴すれば、それこそ目標達成は困難となる中で、この目標の実行可能性をどのように分析されておられるか。こうした点は、次期枠組みを温暖化対策に実効性あるものにするためにも、日本の国益を考えるためにも非常に重要な議論ですし、京都議定書の二の舞は夢踏むことのないようコンティンジェンシープランを描いておく必要があると思います。

 先ほど末吉委員から、エネルギー政策に世界標準の視点をというご意見がありましたけれども、エネルギー政策は国情を反映して考えるべきものです。世界的な視点をというのであれば温暖化に対する努力の公平性については世界標準を考える必要があると私は考えておりまして、未だ世界第二位の排出国のアメリカの動向をしっかりと見極める必要があるので、この点どういうシナリオを持っておられるか、コメントをいただければと思います。

以上です。

○山地座長  では、崎田委員、お願いします。

○崎田委員  ありがとうございます。今の最初の資料3―1の長期エネルギー需給見通しの6ページなのですが、今後のエネルギーの需給見通しを考えるときの主な検討課題というところに書いてありますが、徹底した省エネ、再生可能エネルギーの最大限の導入、火力発電のCO削減、原発依存度の低減をしつつベースロード電源として活用するという話、そして熱利用、コージェネレーション、水素と書いてあります。非常にシンプルですが、大事な要素を明確に書いていただいておりまして、これをどこまでそれぞれが目指す方向にできるかということをちゃんと考えてミックスを出していただければと思います。

 そのときに、ぜひ1つ忘れないでいただきたいのは、国民をどこまで巻き込むかということ。私は市民や地域の目線で動いておりますので、もっと国民にこういうところを理解してほしいとか、コスト負担のことなどきちんと情報提供をしていただいて、できるところまでちゃんと巻き込んでいただくというのが大事だと私は思います。その上で、どこまで省エネができるか、あるいは再生可能エネルギーがしっかり導入できるか、そういうところをみんなで考えていければと思っております。そういう意味で、この議論にできるだけ社会を巻き込んでいくというところをぜひお願いしたいと思っております。

 そういうことの効果として、国民運動をきちんとやりながら目標値を設定して、自治体などの取り組みをきちんと、もっとチェックしていくような、そしてPDCAを回していくような地域の取り組みにつながってくると思います。

 そういう視点から考えると、きょうの資料も拝見しますと、前回、省エネなどは余り無理をしても達成できない数字だというご意見も大変多く、18ページの業務部門のエネルギーマネジメントとか、19ページの家庭部門のエネルギーのクールビズとか家庭エコ診断など、全部検討中になっておりますけれども、やはりきちんと社会と一緒になって技術と仕組みを定着させていく為にも、こういう積み上げの効果としてしっかりとした数字を出していただくようにしていただきたいと思っております。

 もう一点、交通流対策、前回のところに出てきました。そういう最新の技術もそうですし、あとは地域の中で非常に交通流の多い東京などは特に、交通流を制限しながらきちんと、公共交通など、いろいろなものと併用していく地域をつくるなど。さまざまなやり方を全部取り入れながら社会をつくっていきながら、省エネとか長期エネルギー需給見通しの数字をみんなで高く出していくという作業をしていただきたいと心から願っています。よろしくお願いいたします。

○山地座長  では、木村委員、お願いします。

○木村委員  ありがとうございます。私からは3点申し上げます。

 1点目は、エネルギーの需要想定でございます。8ページに推定方法がございますが、最終エネルギー需要において、省エネ対策をダブルカウントしないよう注意していただきたいと思います。その検証方法として、例えば過去のGDPの弾性値などを使ってマクロの視点からもチェックをお願いしたいと思います。

 2点目は、かなり出ておりますけれども、国民運動についてでございます。その展開には明確な数値目標をもち、PDCAサイクルを回すことが重要であると思います。したがいまして、18ページと19ページに業務エネマネと家庭エネマネが検討中とされておりますけれども、対策効果をぜひ定量化し、その進捗状況についてこの産構審・中環審の場でフォローアップすることにしていくと明記していただきたいと思います。

 3点目は、再生可能エネルギーについてでございます。その拡大には、エネルギー源ごとの特徴を十分踏まえ、適切に政策支援することが必要であります。その点、現在の固定価格買い取り制度は国民負担が大きく、結果的に出力が不安定な太陽光に偏っているという状況でございます。抜本的に制度を見直す必要があります。したがいまして、当面は不安定なものではなく、水力や地熱といったベースロード電源として活用できるものを最大限優先すべきであると思います。その他の再エネ電源につきましては、研究開発を推進し、コストや効率性という問題点を解決することに取り組むべきだと考えております。

 以上でございます。

○山地座長  では、小倉委員の代理の市川さん、お願いします。

○小倉委員(市川代理)  市川でございます。再生可能エネルギーの問題についてコメントを申し上げたいと思います。

 本日のご説明、あるいは資料もそうでございますけれども、再生可能エネルギーの問題に関する議論は、ともすればどれだけ利用が可能であるか、あるいは今日の資料でいえば接続が可能であるかという量的な観念のみに焦点を当てて議論が進んでいるのではないかということを懸念しております。やはりコストに関する踏み込んだ議論をした上で議論を進めるべきではないかと考えております。

 省エネルギーとの対比で申し上げたいと思います。省エネルギーの問題につきましては、設備投資などを行う費用を負担する人と、それによって受益を受ける人が同一人であります。したがって、どのように省エネを進めるかということについては、本来、経済合理的な判断が期待できる分野であります。しかし、再生可能エネルギーにつきましては、特に今の制度を前提にしますと、それによってメリットを受ける事業者とこれを負担する立場の国民というのは別人であります。したがって、どれほどこれを導入するかということにつきまして、そもそも経済合理的な判断が入りにくい分野であります。こうした観点を踏まえて、再エネの導入につきましては、コストの問題をしっかり認識し、それにかかわる情報の徹底的な開示を行った上で議論を進めるべきではないかと考えております。

 特に予見可能性について申し上げたいと思います。FITの議論におきましては、メリットを享受する事業者の予見性は十分に尊重されています。しかし、それによって負担を強いられる国民、あるいは事業者に対する予見性は、ほとんど配慮されていません。再エネの最大の弱点はコストであります。高い導入ポテンシャルは高額な負担を国民や国内産業に長期にわたって負わせるという点を是非とも認識していただいた上で議論を進めるべきではないかと思います。

 以上です。

○山地座長  では、大橋委員、お願いします。

○大橋委員  日本商工会議所の大橋でございます。本日説明いただきました3―1の資料、3―2の資料、現時点におけます日本のエネルギーに関する課題について、各課題を網羅した状態で非常によくまとめていただいているという点に関しまして、私は感謝したいと思います。

 その中で、エネルギーミックスの検討状況について、2点ほど意見を申し上げたいと思います。

 1月23日の第4回のこの場で、「電力コスト上昇の負担限界に関する全国調査」の結果を報告いたしましたが、日本の企業数の99.7%を占め、かつ雇用の約70%を担っております各地の中小企業にとりまして、電力コスト上昇の問題がいかに深刻であるかをご理解いただけたのではないかと思います。

世界的に経済競争力を保持し、日本の持続的経済成長を図るには、安価で安定的な電力が不可欠であります。安価で安定的かつ温室効果ガス排出量削減にも大きく貢献する原子力発電は、エネルギー基本計画でベースロード電源として位置づけられておりますし、安全性を確保されたものからできるだけ早期に活用すべきであると考えております。

 次に、再エネはもちろん重要でございます。固定価格買取制度のもと、メガソーラーに著しく偏った導入拡大が続いております。2015年度の賦課金は、キロワットアワー当たり1円58銭という状況で、総額1兆3,200億円に及びます。この3年間、毎年2倍ずつ増大してきております。推定ですが、2016年度以降も急激に増大の方向であり、行き過ぎた再エネ導入は、賦課金や系統対策費用などが電力料金に加算され、国民負担がますます増大いたします。一刻も早くこの状態に歯どめをかけるために、早急に賦課金額、あるいは導入量に上限を決めるなど固定価格買取制度の抜本的な見直しと、適正な再生エネルギーの導入を進めていくべきであります。

 要は、安全が確認された原子力発電の早期運転再開と、固定価格買取制度の抜本的な見直しに早急に取り組んでいただき、電力コスト低減の推進を強く望みます。

 以上に加え、実現性のある省エネ対策とあわせて、バランスのとれた実現可能なエネルギーミックスのもとでの、温室効果ガス排出量削減目標を設定していただきたいということでございます。

 以上でございます。ありがとうございました。

○山地座長  それでは、お待たせしました。秋元委員、お願いいたします。

○秋元委員  どうもありがとうございます。大きく2点申し上げたいと思います。

 1点目が省エネの対策についてです。前回もお話しさせていただきましたけれども、省エネの対策なしのときの見通しと、あと削減ポテンシャルについて精査中となっていますが、ぜひいま一度しっかり精査していただきたいと思っています。

 その中で、前回も申し上げましたけれども、非常に大きく積み過ぎている部門と、そうではなくて、今回検討中となっていて、まだ積めていないものと両方まざっていると思います。積み過ぎているものに関してはちゃんと精査していただきたいですし、積めていないものに関して、特に前回ご紹介があった交通流は積めているのですけれども、本当にもっとポテンシャルがないのかとか、いろいろ連携をすることによってポテンシャルをさらに高めるとかというところがないのかとか、あと国民運動は非常に重要だと思いますので、そういったものが数値としてしっかり上がってくることが重要だと思っています。だから、産業界と交通流対策、そして国民運動といったものが、うまく全部がそれぞれPDCAサイクルをしっかり回していく。それで削減を実現して、省エネを達成していくことが重要だと思っていますので、ぜひお願いしたいと思います。

 2点目は、エネルギーミックスの件になりますけれども、資料でベースロード電源の考え方を非常に強調されていたように思います。やはりコストと安定供給という面で考えると、このベースロード電源比率を一定程度、50~60%になるのか、このあたりは最低限必要かなという感じがしております。そういう中でしっかりした安定的な供給、そして廉価なエネルギー供給を検討していただきたいと思います。

 ベースロード電源としては、原子力と石炭というのは、コストは割と近い関係になりますので、代替的な感じがするわけです。一方で、ご承知のように石炭をふやせばGHGがふえる、原子力をふやせば原子力の安全性とか社会的受容性の問題がありますので、このあたりのバランスをどうとっていくのかということが非常に重要になります。ただ、都合のいいものはなくて、やはりどちらかをとって、GHGをどこでバランスさせていくのかという議論をしっかりやる必要はあるだろうと思います。

 最後、石炭の話をさせていただいたので、もう1つだけコメントですけれども、前もお話しさせていただきましたが、基本的に私は、小規模で効率の悪い石炭はやめるべきだと思うのです。ただ、一方で、石炭火力というのは国際的にみてもまだ主要な電源の1つであって、国内的にも非常に重要な電源だと思いますので、そういった中でバランスをとったミックスをぜひ検討すべきだと思います。

 どうもありがとうございました。

○山地座長  どうもありがとうございました。

 それでは、今、一通りご意見、ご質問等いただきました。経済産業省さんからご説明だったので、まずは経済産業省さんに答えていただきますが、外務省さん宛てのご質問もありましたので、その後、よろしくお願いしたいと思います。

○吉原大臣官房審議官  それでは、お答えいたします。

 まず、大塚委員から石炭火力についてのご質問がございました。石炭火力でCOがどれだけふえるのかということについて申せば、単純に石炭火力とLNGを比較するだけのことならば、お示ししてある数字のとおりなのですけれども、実際にどれだけふえていくのかということに関していえば、前回の産構審、中環審のこの席でも議論があったと聞いておりますが、私どもの火力の資料の17ページ目のところに将来の枠組み構築に向けた検討状況とございます。電力全体としてどれだけCOを減らしていくのかという枠組みの中で、石炭火力の位置づけもしかるべく議論されるものと考えているところでございます。

 それから、再エネに関して、同じく大塚委員、それから末吉委員からご議論がありました。我々としましても再エネを最大限導入していき、引き続き   を図っていくということでございますけれども、再生可能エネルギーの導入目標は、目指すところはCOの削減であり、自給率の改善でありというのがエネルギー政策からの観点かと思われます。これに当たりまして、再エネに関しましてどのような形で導入を図っていくのがその目的にかなうのか、それから、幾人かの委員の方からご意見がありましたが、当然ながらエネルギーミックスのバランス全体を考える中でコストをどう考えていくのかというところがございます。そのバランスの中でどの程度の再生可能エネルギーを考えていくのかというところを今後、引き続きエネルギーミックスの中で議論していきたいと思っております。

 それから、原澤先生から、メガソーラーに絡みつつ、系統接続がいつ解決するのかという議論がございました。PV、太陽光発電に関していえば、各電力会社のエリアにおきまして、需給のバランスから限界量が出てきているということなので、これはネットワークの問題ではないと思われるのですが、風力に関しましては、比較的、風況のいいところと、比較的まだ需要に余裕があるところの率の差がありますので、ここのところを系統整備することによって賄えるかどうかということなのです。

 過去、これもご案内かと思うのですが、平成24年当時に議論したマスタープラン研究会のもとでは、北海道、東北エリアの600万キロワット弱の風力の電力を関東圏まで送るための設備投資の額が1兆1,700億円ということでございました。こうした投資をどのように考えていくのか、これにかかるコストをどう評価していくのかといったこととの関係かと思われます。

 それから、同じく原澤先生から、太陽光、風力と他の電源のポンチ絵に関してご質問がありました。これは基本的には関係性をお示ししたものでございますけれども、実際に風力、太陽光の設備利用率を考えれば、かつまだ現実的にバックアップをしながら活用する点を考えれば、実際にそのような代替が仮に起こった場合には、図にしましたとおりの結果になってくるものと認識しております。

 揚水についてもご議論がありましたが、これについては、既に太陽光の導入限界を議論する中で、揚水発電を最大限利用した上で見込まれた数字をお示ししているところでございます。

 それから、村上委員から、省エネの積み上げについてのご質問がありました。これは引き続き私どものミックス小委員会、それから中上先生のところの省エネ小委でも議論が続いておりますので、この後つまびらかになっていくものと考えております。

 豊田委員から、再エネのコストの質問がございました。前回、一部議論をいたしまして、パネルについては導入論に伴ったラーニングカーブでどれだけ減っていくかという議論を申し上げたところですし、現にFIT制度のもとで資本費、それから収益部分のところをどう評価するのかという議論がありましたが、いずれにせよ実際に太陽光、風力、その他再エネを導入するために必要な価格を精査しながら費用の議論もしていきたいと。

 それから、今回、一番鍵になっておりますのは、系統安定化費用の部分でございまして、これに関しては、まだ作業中でございます。次回以降の系統ワーキングの場で議論をしていきたいと考えております。

 それから、竹内委員から、再エネの導入に伴って火力の稼働率が低下した場合の影響ということでご質問がありました。これに関しましては、ただいま申し上げました系統安定化対策の中の費用の部分では、その部分に関しても評価をしていこうということなのですが、COへの影響というところは、必ずしもまだ視点に入ってきておりません。どのような対応が可能か今後検討したいと思います。

 それから、需要想定に関しましては精査中でございますけれども、ダブルカウントなどがないようなきちっとした精査をしていきたいと考えております。

 それから、省エネの中の国民運動としての取り組みといった議論もございました。エネルギーマネジメントとしての大事なポイントかと思っておりますが、一方で、この問題につきましては、電力、ガスのシステム改革を進める中で、新しいITも活用したビジネスが導入されてくることも非常に大事だと考えているところでございます。

 網羅できていないかもしれませんが、私からは以上でございます。

○山地座長  それでは、外務省さん、お願いできますでしょうか。

○中野気候変動課長    竹内委員からご質問のあった点ですけれども、アメリカの26%から28%の目標についてなのですが、私たちも当然、各国がどういう目標を提示しているかということは、非常に関心をもって情報収集している状況でございます。アメリカの目標について、この場で日本政府として、少なくとも外務省として、それが達成できる目標であるとか達成できない目標であるということを申し上げるのは差し控えたいと思っております。いずれにしても、恐らく難しいのではないかという意見があるという情報は、私どもは引き続き収集していきたいと考えております。

 それから、2つ目に、アメリカが入らないような枠組みに日本が入るのか、COP21のときにアメリカが参加しない場合にどうするのかというようなご質問があったのですけれども、日本はこれまで、これは外務省だけではなくて政府全体として、アメリカ、中国、インドなどの主要排出国が入る枠組みができるように交渉しているところでございますので、当然、アメリカが入る枠組みを私たちとしてはぜひつくっていきたいということで交渉しております。

 これは政府の公式見解ではなくて、あくまで私個人の予測なのですけれども、次のCOP21でアメリカが入らない枠組みができるかという話になると、次のCOP21でアメリカが入る枠組みができない場合にはCOP21では合意が成立しない、引き続き交渉していくことになるのではないかと考えております。これは日本政府、私たちとしては少なくともCOP21で枠組み合意ができるように全力を尽くして交渉していくということでございます。

 以上です。

○山地座長  ありがとうございました。事務局のほうは特によろしいですか。藤野委員、どうぞ。ちょっと議事がおくれていますので、簡単にお願いします。

○藤野委員  済みません、私の質問がちょっと伝わりにくかったので、ぜひお答えいただきたいのですけれども、ベストミックスの議論に原発事故被害者の体験は加味されているのかどうか、そちらをお答えください。

○山地座長  では、吉野さん、お願いできますでしょうか。

○吉野大臣官房審議官  きょうの午前中のエネルギーミックス小委員会でもご紹介いたしておりますけれども、資料4をごらんいただければと思います。

 先ほど説明を少しはしょりましたが、ここにおきましては1ページ目のところ、福島の再生・復興に向けた取り組みがエネルギー政策の再構築の出発点であると。それから、廃炉・汚染水対策についても、国が前面に立って対策を着実に実行していく。それから、④にありますとおり、賠償、除染、中間貯蔵施設事業等に関しても、国が前面に出てしっかりやっていくといったところをうたっております。また、安井先生のところの原子力小委員会の中でも、今申し上げたことに加えて福島のイノベーション・コースト構想ということで、地域活性化のための取り組みをしっかりやっていこうということを掲げているところでございます。

 こうしたところを踏まえつつ、エネルギー基本計画の中では、原子力の位置づけを記しております。原子力についていえば、低炭素の準国産エネルギー源であると。運転コストが低廉とメリットがあるわけでありますので、ここにつきましては、当然ながら安全性の確保を大前提にエネルギーの需給構造の安定性に寄与するベースロード電源ということを位置づけておりますが、原子力を取り巻くさまざまな事情がございます。安全の面に関しましても、まずは規制委員会で実際に基準に適合するかどうかといった判断も出てくるわけでございます。そうしたとこを踏まえつつ、原発依存度に関しましては、省エネ・再エネの最大限の導入、火力発電の効率化などによりまして、可能な限り低減させていくという考え方が政府の今の基本方針でございます。

○藤野委員  済みません、実際に何人ぐらいの方からお話をお聞きになりましたか。

○山地座長  藤野委員、ちょっと時間も押しているので、今、原子力小委員会の委員長を務めている安井先生からも立っておりますし、竹内委員も発言ご希望ですか。いずれも簡単にお願いしたいと思います。では、安井先生、お願いします。

○安井委員  藤野さんのご質問についてでございますけれども、原子力小委員会での議論でございますが、例えば国会事故調の黒川先生をお呼びして、あの事故が事故調では人災であるという指摘を受けているということ。さらに、政府事故調あたりでも、どういうものか難しいところがありますけれども、アメリカの原子力の安全というものがTMI以降かなり進化して、日本の安全に対する文化というか神話といいますか、ああいったやり方が30年ぐらいおくれていたのではないかという認識を共有した上で中間的な整理を行ったということになっていると思います。

○山地座長  では、竹内委員、どうぞ。

○竹内委員  お答えいただきましてありがとうございました。

 ただ、ちょっと補足だけさせていただきたいのですけれども、アメリカが達成できるかできないかの見通しを伺いたいのではなくて、やらない、できないことが明らかになった場合に日本はどうするべきであると考えておられるかを伺いたい。COP21ではアメリカが飲めないような枠組みには基本的にならないと思いますが、その場では合意し、後に抜けるという京都議定書型の対応をされた場合にどうするかというコンティンジェンシープランを日本は描いておく必要があると思う。

 非常に大事な論点ですので、後から文書でも結構ですので、見解についてご教示いただければと思います。よろしくお願いいたします。

○山地座長  今お答えになりますか。後にしますか。――では、後で対応ということにさせていただきます。

 それでは、議題2と3が残っております。これについては……大塚委員。

○大塚委員  別件で1つだけ。参考資料2で私の前回の質問に対するご回答を資源エネルギー庁からいただいているのですが、非常に抽象的でいらっしゃる。ぜひ2025年の目標、できるだけ早く燃費に関する基準をつくっていただきたいということがございますので、既に2020年の基準に関してはかなり達成しつつあるということでございますので、これだとよくわからないので、もし何かもう少し詳しく教えていただけるとありがたいということでございます。

○吉野大臣官房審議官  済みません、今、担当者がおりませんので、個別にまたご回答申し上げたいと思います。

○山地座長  それでは、議題2と3に移りたいと思います。これは資料4、5がありますけれども、説明をまずしていただいて、その後でまとめて議論ということにしたいと思います。

 まず、資料4については経産省、環境省から説明をお願いいたします。

○永澤地球環境連携室長  経産省地球環境連携室長をしております永澤と申します。資料4をごらんください。二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism(JCM))の最新動向という資料に基づきまして、JCMの最新動向についてご説明したいと思います。

 ページをおめくりいただきまして、2ページをごらんいただければと思います。JCMにつきましては、途上国へのすぐれた低炭素技術等の普及を通じ、地球規模での温暖化対策に貢献するとともに、我が国からの温室効果ガス排出削減等の貢献を適切に評価し、我が国の削減目標の達成に活用するという目的のもと進めております。現在、政府の中では2020年目標の達成手段の1つとして位置づけております。

 また、現在、インドネシア、ベトナム等を初め12ヵ国と既に署名済みでございまして、また、その他の国とも署名国の増加に向けて取り組みを進めているところでございます。

 また、後ほど詳細を申し上げますが、JCMを推進するために各種プロジェクトの組成に係る支援を実施しております。

 3ページをごらんください。国連気候サミット、安倍総理スピーチ抜粋ということでございまして、昨年9月に行われました安倍総理のスピーチの中で、署名国が12ヵ国に至った二国間クレジット制度を着実に実施し、すぐれた技術を国際社会に広め、世界の削減に貢献しますと総理より述べられております。

 4ページをごらんいただければと思います。先ほども申し上げましたが、既に12ヵ国と二国間文書について署名が済んでおります。また、現在、政府としましては、2016年までにこの署名国を16ヵ国まで倍増するということで取り組みを進めているところでございます。

 4ページの下のほうでございますが、インドネシアとの関係で申し上げますと、2014年10月にJCM第一号プロジェクトが登録されております。

 5ページをごらんいただければと思います。JCMの基本的なスキーム図になります。JCMは両国の政府の代表からなる合同委員会が中心にございまして、この合同委員会でルール、ガイドライン、方法論の策定や改定、プロジェクトの登録、またさまざまなJCMの実施に関する協議といったことを合同委員会で実施しております。また、両国のプロジェクト参加者からは、プロジェクト登録の申請、クレジット発行の申請といったことがこの合同委員会でされるというスキームでございます。

 6ページをごらんいただければと思います。国ごとの進捗状況を一覧にしているものでございます。申し上げましたとおり、12ヵ国で署名をしているわけでございますが、これまでに合同委員会は19回、またプロジェクトの登録数は1件、方法論の採択数及び手続中の件数11件、また補助事業、実証事業の件数は27件となっております。

 7ページをごらんください。我が国の新たな2020年削減目標についてということで、2013年11月に温対本部において、本部員の理解を得た2020年の削減目標でございますが、2005年度比3.8%減ということでございまして、再エネの導入、またフロン対策の強化とともに二国間クレジット制度の活用が位置づけられております。

 8ページをごらんください。将来枠組みに向けた国際交渉の状況をご紹介したいと思います。本年2月にジュネーブで行われましたADPにおいては、JCMを含む市場メカニズムについては先進国、途上国を含む多くの国が賛成という主張をする一方、一部の国からはその活用に反対する国もございました。また、我が国としましては、クレジットの二重計上防止、いわゆるダブルカウントの防止を含む各国共通の計上ルールを構築していくべきと主張しております。

 また、同時に発表されました2015年合意の交渉テキストでは、市場メカニズムについて6つのオプションが提示されております。

 参考資料でございます。10ページでございますが、COP19、さらにCOP20においては、それぞれJCM署名国会合というのを開催し、JDM署名国の閣僚級を集めてJCMの署名国会合を開催しました。

 11ページから13ページは経済産業省の支援事業の紹介でございます。11ページをごらんいただければと思いますが、経済産業省においては、JCMプロジェクトを推進するためにNEDOを通じた実証事業、またフィージビリティースタディー、またキャパシティ・ビルディング等の支援事業を実施しております。

 12ページ、13ページは、それぞれの事業の一覧になっております。

 続いて、環境省からご説明をお願いします。

○川上市場メカニズム室長  環境省市場メカニズム室長・川上でございます。

 14ページをごらんいただければと思います。環境省のほうでJCMの国際展開を図る上でJCMの規則でありますとかガイドライン類の理解、あるいはMRV実証のための能力強化が非常に重要であると考えてございます。キャパシティ・ビルディングについて、アジア、アフリカ、中南米、島嶼国において実施してございます。

 また、その下にございますけれども、翌年度以降に実施するJCMプロジェクトの具体的計画の立案としての案件組成調査(PS)、あるいは潜在的なJCMプロジェクトの実現可能性の検討(FS)、さらに都市レベルの協力を含む潜在的な大規模JCMプロジェクトの実現可能性の検討というものを行ってございます。

 一番下に情報普及というのがございますけれども、新メカニズム情報プラットフォームにおいて、JCMの各種の最新情報を掲載してございます。これは比較的早く情報が出ているので、JCMの署名国の方からは大変喜ばれているものでございます。

 15ページをごらんいただきますと、JCM設備補助事業でございます。日本の民間団体を含む国際コンソーシアムにおいて、エネルギー起源CO排出削減のための設備、機器を導入する事業を行っていただきます。その際の初期投資費用の最大2分の1を補助するというものでございます。その後、MRVの実施によりまして、温室効果ガス排出削減量を測定し、クレジットの発行後、2分の1以上を日本政府に納入していただくというスキームでございます。

 16ページには、低炭素技術普及のための資金補助、これはJICAなど政府系金融機関が支援するプロジェクトと連携しつつ、排出削減を行うプロジェクトを支援するための資金補助を実施するもの。さらには、アジア開発銀行の信託基金への拠出といたしまして、導入コスト高からADBのプロジェクトで採用が進んでいないすぐれた低炭素技術がプロジェクトで採用されるように、ADBの信託基金に拠出した資金でその追加コストを軽減するというものがございます。

 17ページ、設備補助事業を幾つか紹介してございます。2013年に3ヵ国7件、2014年7ヵ国15件ということでございます。

 インドネシアの一番上の赤いところに工場空調及びプロセス冷却用のエネルギー削減というものがございます。中部ジャワ州バタン市におきまして、繊維工場で製品品質確保のために大量にエネルギーを消費しております工場空調を最新式のものに変えるということでございます。また、これは年間100トン強ほどでございますけれども、現在、17ページのインドネシアの青い文字で紹介しておりますセメント工場における廃熱利用発電に至りますと12万トン強のCO削減量を見込んでいるところでございます。

 18ページ、いわゆるPS、FS、あるいは19ページ、大規模案件形成調査というもののご紹介でございます。

 最後に20ページでございますけれども、クレジットが発行されますと、JCM登録簿というものが必要になってまいりますので、その作業を進めているというご紹介でございます。

 以上でございます。

○山地座長  ありがとうございました。では、引き続いて資料5、農水省さんから説明をお願いいたします。

○木内環境政策課長  資料5でございます。農林水産分野における今後の地球温暖化対策について、森林吸収源等と書いてございますが、森林吸収源対策とあわせて、省エネ対策についてもご説明をさせていただきます。

 1ページ目ごらんください。まず、農林水産分野における温室効果ガス排出状況について簡単にご説明いたします。左の円グラフをごらんください。我が国の温室効果ガス排出量のうち農林水産分野からの排出量は約2.6%となっております。この2.6%部分の内訳を右側の円グラフであらわしております。右側の円グラフの右肩の赤色部分が施設園芸のボイラーや漁船からのCOの排出、それから円グラフの青色や緑色の部分は、家畜や水田からのメタン、また肥料や家畜排せつ物からの一酸化二窒素の排出で、これらのCO以外が全体の67%ほどを占めます。これらの排出削減対策として、省エネの取り組みに加えて森林や農地による炭素吸収を促進する取り組みを今後も進めていく考えでございます。

 2ページ目をごらんください。省エネなどの排出削減に係る具体的な取り組み内容を説明いたします。左側から、施設園芸では重油などによる加温からヒートポンプや木質バイオマス利用への転換を進めていきます。左下の農業機械では、GPSガイダンスなどを活用して、燃料や肥料の無駄を省く取り組みや、右のほうに行きますと、上のほうに農地土壌からの温室効果ガスの排出削減の取り組みとして、水田での稲わらのすき込みの改善、それから化学肥料の削減を進めてまいります。その下の漁船の省エネ型船外機やLED集魚灯の導入などにも取り組んでまいります。

 3ページ目でございます。森林吸収源対策についてご説明いたします。箱の左側にございますように、ご存知のとおり京都議定書第1約束期間においては、全体で6%の温室効果ガスの削減義務を負いましたけれども、このうち3.8%を森林吸収源で確保いたしました。このため当初予算に加え、補正予算などを活用して、年平均55万ヘクタールの間伐などの森林整備、保安林などの適切な管理、保全の推進、それから木材及び木質バイオマス利用の推進などの森林吸収源対策に取り組んできました。この結果、3.8%の目標は達成いたしました。

 右側の第2約束期間でございますが、この最終年である2020年度における温室効果ガスの削減目標については、2005年比で3.8%削減するということは皆さんご存じのとおりだと思います。

 森林吸収源につきましては、2.8%以上の吸収量を確保することを目標に掲げており、この達成のためには年平均52万ヘクタールの間伐などの森林吸収源対策が必要です。2020年以降の新たな法的枠組みのもとでも森林吸収源対策が十分貢献できるように、第2約束期間の取り組みを着実に実施する必要があると考えております。

 次の4ページ目でございます。森林吸収源対策の取り組みのうち、代表的なものを書いてございます。これらの取り組みの着実な実施のためには、安定的な財源確保が課題となっております。

 5ページ、6ページにつきましては、ご参考としまして森林吸収源に関する現行の国際ルールのポイント、それから我が国の法的枠組みについてまとめたものでございます。

 7ページ目をごらんください。農地土壌による炭素吸収の取り組みを説明しております。図にありますように、堆肥や緑肥などの有機物による土づくりを進めることにより、その一部は土壌中で微生物分解を受けにくい土壌有機炭素、いわゆる腐植となりまして、炭素が貯留されます。これは一番下のほうに書いてございます。この吸収量については算定モデルを開発いたしました。今後はこれを適用することとしております。

 次の8ページに排出削減量の予測、目標を記載しております。2030年度の欄、真ん中よりもちょっと右寄りですけれども、2030年度の排出削減量を合計しますと、一番下の欄にちょっと太字で書いてございますが、229.5万t―COと予測しております。ここに書いてあるメニューの中を計算しますと、このようになります。

 次の9ページでございます。吸収源対策でございます。森林の吸収量の目標のうち、2020年までにつきましては4,400万t―COとしていますが、これは2013年から2020年までの国際ルールで定められた上限である90年比3.5%をCOトンに換算したものであります。

 また、2020年以降の目標につきましては、現在の森林の状況に加えて、今後の森林、林業施策も見据えつつ算定する必要がありまして、現在、大変恐縮ですが、作業を進めているところでございます。

 最後の10ページでございます。これは皆さんご存じのとおりでございますが、2020年以降の枠組みです。この交渉については、森林吸収源などの個別分野につきましては、今後の段階において具体化していくものと考えていますけれども、その際には各国の国内事情を踏まえられるようにするという内容となるように各省と連携して対応していくという考えでございます。

 以上でございます。

○山地座長  どうもありがとうございました。

 それでは、今ご説明いただきました資料4と5につきまして、委員の皆さんからご意見、ご質問等をお伺いしたいと思います。先ほどと同じように、発言ご希望の方はネームプレートを立てていただければと思います。また、ちょっと時間が押していますので、発言は2分程度ということを念頭にしていただければいいかと思います。ほとんど立っておりますが、中環審側、大塚委員からお願いいたします。

○大塚委員  どうもありがとうございます。資料4のJCMに関しての意見を申し上げたいと思います。

 JCMは、先ほどご説明がございましたように、12ヵ国との間で行うことが既に決まっているものでございますけれども、日本の省エネ等の技術を浸透させていくという観点から、環境にもいいですし、企業にとっても市場を拡大する上で非常に好適なものだと理解しております。

 私の意見として特に申し上げておきたいのは、JCMに関しての数値目標を打ち出していただきたいということでございますが、その意図としては、国内の目標の数値が必ずしも十分でないものになる可能性はあると思います。これはいろいろな観点からみることができるので、一生懸命頑張るということはもちろんあると思うのですけれども、それでも国際的にみるとちょっと足りないというようにみられる可能性はあるかと思いますので、その場合に1つの補完的なものとしてJCMを挙げておくということが重要ではないかと考えております。

 既に12ヵ国と行うことが決まっているという意味で、国際的な信頼の問題がございますし、二国間クレジットを始めた国の責任ということもございますので、ぜひこれは継続していただく必要があると思いますし、これがないと恐らく日本としては国際交渉していく上でのよって立つ武器がなくなっていくと思いますので、高く評価しつつ、継続、発展していただきたいということをお願いしたいと思います。

 以上です。

○山地座長  末吉委員、お願いします。

○末吉委員  ありがとうございます。いただいた2分のうち1分、先ほど私のコメントにお2人の委員からご意見がありました。ちょっと補足説明させていただきます。

 私自身は数字、目標の高さをもちろん数字として大事に思っているのですけれども、より重要に思っているのは、そういう高い目標を見出したバックグラウンドです。あえていえば価値観とか思想が非常に重要だと思っております。それは、私の理解では、COはこれから明らかにリスクなのです。しかもビジネスにとって非常に大きなリスク要因になりました。ですから、いわずもがなですけれども、大量のCO排出に支えられたビジネスはこれから忌避されていきます。

 例えば、化石燃料について、最近投資の世界でストランデッドアセットという言葉をたくさん使い始めました。確認埋蔵量があっても絶対回収できない、回収不能の資産になるのではないかと。COをたくさん出しますから、それはそうです。ですから、場合によっては、石油会社などは減損処理をしていく必要が出てくるのではないかという議論すら出始めております。

 ですから、私はこのバックグラウンドにあるCOのリスクをビジネスの中でどう回避して消化していくのか、そのことができないと、グローバルでビジネスする日本企業がグローバル企業のサプライチェーンに入れなくなるのではないかと思うのです。ですから、ぜひこのことを頭に入れて、エネルギーを狭義のエネルギーで議論するのではなくて、エネルギーを消費するビジネスや社会全体がエネルギーにこれから何を求めていくのか、その価値観を重要視した議論をしていかないと、最後に困るのは日本の企業だと思っております。

 ところで、JCMですけれども、私はもともと日本のCO削減は、いわずもがなですが、国内での削減と同時に海外、なかんずく途上国での削減を支援する、これが日本の貢献の2つの道だろうと思っております。ですから、そういった意味ではJCMは有効な手段ではないかと思います。

 ただ、仄聞しますと、JCMの管理とかルールとかについては国際社会でさまざまな意見が出ているようですので、ぜひ国際社会が許容する範囲の中で日本の貢献が最大化できるような形でのJCMの推進をしていくべきだと思います。

 それから、森林吸収源対策のことで申し上げますと、ぜひ間伐材などを使う木質バイオマスの発電はもっと進めていくべきではないかと思っておりますし、それから家畜の排せつ物のメタンなどの活用もぜひ進めていければいいと思っております。

 以上です。

○山地座長  大聖委員、お願いします。

○大聖委員  JCMに関して申し上げたいと思います。

 特に運輸分野に関して注目したいと思うのですが、新興国では現在、モータリゼーションが非常に著しく進展しているわけです。石油はグローバルにみますと約6割、運輸で使っているのです。そういうことを考えますと、こちらでの対策の日本のコントリビューションというのは非常に大きなポテンシャルがあると思います。

 特に低燃費技術では日本は世界をリードしているわけですけれども、一方で先進国の技術と非常に激しく競争している面があります。そういったものを新興国の中でどのように導入して普及させてそれを使ってもらうかといった戦略が必要だと思っております。それには、やはりその国情に合わせた導入、普及の方策が重要です。

 そういった新しい技術を普及させることと同時に、モータリゼーションが進んでいるということは、物流が大幅に拡大しているということなのです。また交通流がふえております。そういった物流、交通システムの高効率の運用技術も日本が非常に得意とするところでありますので、そういった面を打ち出していただきたいと思います。とりわけこういったものは運輸、交通政策と密接につながっておりますので、うまい組み合わせを戦略的に考えて、そういった国に提案していくことが必要だと思います。

 また、実際には定量的な評価ですとか検証には難しい面がありますけれども、ぜひそれを克服して推進を図っていただきたいと思います。

 以上です。

○山地座長  原澤委員、お願いします。

○原澤委員  ありがとうございます。私もJCMは、一義的には日本の海外削減分を稼ぐということで、温室効果ガスの削減が中心だと思うのですけれども、日本の環境技術を海外展開して、それによって途上国が持続可能な発展に係る非常に重要な政策になっていくのではないかと思っております。先ほど大塚委員からお話があったように、やはり約束草案の中にJCMによる海外削減分の位置づけをしっかりしていただきたいということが1つと、その際にできるだけ具体的な目標を定めるべきではないかと考えております。

 それで、先ほどの資料の7ページには、既に出されている2005年度比3.8%減の中にも、もう既に二国間クレジット、あるいは森林吸収源の活用という項目が入っておりますので、そういう意味では約束草案の中にも入っていくだろうと思うのですけれども、そこの点を確認したいのと、前回の3.8%減の中で、二国間クレジット制度がどの程度の役割分担といいますか、何%入っているか、もし今の段階でお話しいただけるのであれば、ちょっとお聞きしたいというのが質問であります。

 以上です。

○山地座長  質問は、先ほどと同じく全体のご意見を聞いてから、後でお願いしたいと思います。では、藤野委員、お願いします。

○藤野委員  時間をいっぱいいただいていて済みません。1つ意見、2つ質問です。

 1つは、JCMはアジアをはじめ、まだまだ発展する国や都市に低炭素技術をいち早く普及させること、また2度目標に向けた、アジアをはじめ、発展途上国で成り行きに比べて大幅な削減を後押しする上で非常に有効なものではないか、日本企業がよい技術、ノウハウを普及させる上で、あと一押しすることで非常に有効だと思います。

 ただ、いろいろなドナー、ニュージーランド、オーストラリア、ほかに興味がありそうなところは、もうちょっと準備ができたら入ってくることだったりとか、または途上国でも新しい技術が発展したときに、彼らの技術もクレジット発生のメカニズムに加えていくようなインタラクティブ性もいずれ必要になっていくのではないかと思います。

 質問その1です。目標値のことです。既にJCMは12ヵ国結ばれていますし、ほかにも結ばれようとしています。そういった国々に対して、日本はちゃんとJCMのクレジット目標値を示すことというのは国際的な責任の上でも重要だと思いますけれども、各省、外務省、経済産業省、環境省のお考えをお聞かせ願いたいです。

 質問、その2。これはまだ頭の体操ではありますが、もしJCMをやらずに、日本の企業等による技術普及の海外展開分をクレジット化するというような頭の体操をしたときに、逆に中国製の太陽光や省エネ機器が日本国内で利用されたときに、中国にクレジットを渡さないといけなくなるかもしれないということがあるかもしれませんが、そういったスキームは検討に値するのかどうか、国際交渉上の議論にも乗るのかどうかも3省からご意見いただきたい。よろしくお願いいたします。

○山地座長  村上委員、お願いします。

○村上委員  質問でございます。資料4のJCMの8ページ、国際交渉の上の欄の最後のところ、「構築していくべきと主張した」ということは、この字義どおり解釈すると、まだ国際的に認められていないから主張段階であるというように理解できるのですけれども、そういうことでよろしいのかということと、その場合に、先ほど原澤委員も発言されましたが、日本のJCMの削減量を約束草案に入れる予定であるのかどうかの2点について教えてください。

○山地座長  では、安井委員、お願いします。

○安井委員  私もJCMについてです。

 平成27年度の予算が経産省で30億、環境省で27億とのことなのですけれども、2030年という時期を踏まえたときに、どのぐらいの予算投入をすれば、どのぐらいのクレジットが得られるのかという数字が全然イメージできなくてちょっと議論しにくいという感じがいたします。

 ただ、量だけではないのかもしれません。国際貢献の一部ですから、今、現状で結構ですけれども、途上国から今のやり方でどのぐらいの評価を受けているのか、主観的で結構なのですが、それぞれの省庁から自己評価をしていただきたい。

○山地座長  では、高村委員、お願いします。

○高村委員  3点ございます。

 1つは、参考資料に前回お願いしました資料を出していただきまして、ありがとうございました。EU、スイス、恐らく両日中にアメリカも出してくると思いますけれども、いずれも2050年といった長期の目標に向けて、どう排出経路に沿っているかというのをリマでのCOP決定であった、特に条約2条の目的との関係でどう貢献するかという点について説明していまして、そういう意味では日本の約束草案の内容については今議論しているところでありますが、出すときに長期目標との整合性との関係できちんと説明できるものでないといけないと思います。それが1つであります。

 それから、2つ目がJCMに関してでありますけれども、JCMに関して約束草案に含めるのがいいのかどうかというのは私自身も大変悩むところでありますが、ある意味で今の段階ではオープンであります。

 しかしながら、私自身はここで少なくとも3つ考えなければいけないと思っていますのは、まず第1には、これは吸収分も含むのかもしれませんけれども、やはり国内削減分をきちんと明確に決めるということであります。いずれにしても、これがまず第1番目の条件だと思います。

 2つ目は、そうはいってもJCMのクレジットが発行され、例えば民民の事業であるとすると、クレジットを獲得する民間事業者があるわけで、それをどのように位置づけるのかということを制度的に国内の中できちんと整理をしておくということが必要だと思います。

 3点目は、むしろ外交上の問題ですけれども、約束草案に入れる入れないという点について私はオープンですが、2020年以降どうするのかという見通しをきちんと示すということが必要だと思います。というのは、これは国内だけでやっている話ではなくて、これまでご紹介があったように、十数カ国と二国間の合意をもってやってきたわけで、特に入れない場合にはどうするのですかということが聞かれるだろうと当然考えるわけです。特にこの間、結んできている国というのは、日本との関係では極めて良好な関係で信頼関係をつくってきた国だと理解していまして、そういう意味で2020年以降の見通しをきちんと示すことが必要だと思います。

 1つ、余談かもしれませんが、スイスの例はおもしろいと思いました。約束草案に具体的な数字は入っていませんけれども、別に見通しというものを示しているのは1つのアイデアかもしれないとは思いますが、以上、挙げた3点を議論した上でもう少し議論が必要かと思います。

 最後に、森林等吸収源の対策についてでありますが、これもいうまでもなく非常に重要で、温暖化対策だけではなくて森林の多面的機能をどのように発揮するか、それから農村部の地域づくりの点であります。

 2つだけ、細かくいうと3つでしょうか。1つは、補助金に依存するばかりでないビジネスの仕方といいましょうか、地域づくりをぜひ模索していただきたくて、これは検討会もつくって農水省でやっていらっしゃるのは了解しているのですけれども、再エネ事業も含めて1つのビジネスモデルといいましょうか、まちづくりの地域づくりのモデルをつくっていただきたい。これが1つです。

 2つ目は、農地土壌であります。これは包括的アカウンティングの観点から非常にありがたいのですけれども、他方で非常に不確実性の高い分野だと理解しております。そういう意味で、過剰な吸収が出ないようなきちんとした方法論をとっていただきたい。

 最後、3点目でありますけれども、森林分野、吸収源分野、農地土壌も含むかもしれませんが、数値というのは一体どれぐらい出るのかというのが質問でございます。

 以上です。

○山地座長  高橋委員、お願いします。

○高橋委員  ありがとうございます。1点質問と2点意見がございます。

 まず、JCMに関する質問です。今、高村委員もおっしゃいましたが、2020年以降の国際交渉上におけるJCMの位置づけと今後の展開の予測をどう考えていらっしゃるのかということについて、3省の方にぜひお伺いしたいと思います。

 その上で、意見ですけれども、先ほど何人かの委員の方がおっしゃいましたが、JCMはこれまでそれなりに役割を果たしてきているだろうと思っております。また、地球規模での温室効果ガスの排出削減を促進する上では有効であると思っていますし、よい効果が生まれていると考えています。

 しかしながら、先ほども指摘がありましたダブルカウントの問題なども課題としてあり、国際交渉上の位置づけがどのようになっているのか疑問がございます。

 そのため、こういった点が明確にされ、かつ実現可能性や今後の展開の見通しが明るいとすれば、野心的な数字でなくてもよいので、約束草案に何らか記載するということも選択肢の1つであろうかとも思いますが、現状では私もどうすべきかいえない状況です。ただし、最終的にどこかで判断する必要があるのではないかと思います。

 次の意見ですが、森林吸収源の対策については、先ほどご説明がありましたように、多面的機能の1つとして地球温暖化の低減には寄与していると思っておりますし、これには持続可能な森林経営の確立と森林のもつ多面的機能の持続的な発揮が不可欠だろうと思います。

 しかしながら、そのための必要な財源が確保できていないことが問題であり、先ほどの説明でもありましたように、当初予算だけでは措置できなくて、毎年平均して1,000億程度の補正予算で補っているというような状況がございます。やはりこのように長期間にわたって補正予算で不足分を補っているという経緯を踏まえれば、この対策は予算シーリングの対象とせずにしっかりと毎年当初予算化して財源を安定させるべきではないかと思います。

 以上でございます。

○山地座長  豊田委員、お願いします。

○豊田委員  ありがとうございます。まず、JCMについてでございますけれども、途上国への技術移転の方策として極めて重要であるという点については多くの委員の方と同じなのですが、気になる点が2つございます。

 1つは、どなたかが質問したのでお答えいただけると思うのですけれども、我が国の削減目標の中に入れるのかどうかということです。私は入れるべきではないと思いますが、ぜひ政府3省のお考えを教えていただきたいと思います。推進はすべきですけれども、削減目標の中に入れると義務が生じて、本来外へ出す必要がない技術も出すようになって、空洞化を促進するおそれがあると思います。産業の空洞化を起こすようなことになってはいけないと思います。

 また、第1約束期間のCDMと違って、今回は途上国も義務を負うわけですから、ダブルカウントの問題も極めて明確にしておく必要があると思います。ちなみにEUや米国も国際クレジット削減目標に含めないというようにしておりますので、そこはぜひ明確にしていただきたい。お答えをいただきたいと思います。

 また、JCMを進めるのはいいのですけれども、環境省さんの資金補助、補助金が気になります。我が国の先進的な技術を活用し云々という説明に私はややショックを覚えたのですけれども、WTOの禁止しているものに輸出補助金というのがあって、この表現であれば、まさに輸出補助金に当たるのではないかと思います。環境省さんとしてはどうお考えになっているのか。

 やや技術的な言葉で恐縮ですけれども、輸出条件性を入れていないお考えだとしても、この表現であれば輸出条件性があると思われて仕方がありません。仮に輸出条件性を入れていないとすると、これまた日本の工場の移転を促進するようなことになりかねない。他の技術、他の製品を使いながら工場なり設備をつくるということになりますので、日本の企業、日本の国内は空洞化しかねないと思います。補助金についてのWTO、整合性についてお考えを教えていただきたいと思います。

 2つめの懸念は、森林吸収源対策です。これ自身は非常に結構なことだと思います。ぜひ農水省さん、林野庁さん、一生懸命進めていただけることを歓迎したいと思うのです。しかし一方で、先ほど申し上げた再生エネルギーと同様に、コストは非常に気になる点でございまして、高橋委員から財源という言葉がございましたが、私自身はコストを無視した過大なものにならないようにぜひ気をつけていただきたいと思います。

 以上でございます。

○山地座長  大変貴重な意見をいただいているのですが、だんだん進行役としては時間が心配になってきていますので、効率的にご発言いただきたいと思います。よろしくお願いします。

○竹内委員  ありがとうございます。JCMと森林吸収、私はともに積極的に検討、対策を進めていただきたいと思う一方で、両方とも約束草案に盛り込むということについては、やはり慎重に判断することが必要であろうかと思います。

 JCMにつきましては、今、豊田委員から全ておっしゃっていただいたようにダブルカウント、途上国からすれば日本の技術を導入して、削減したのは自分だと主張することが予想される中で、どうプロジェクトを組成していくのか。もう一つはWTOに提訴されるリスクをどう避けていくのか。制度設計上はWTO違反にならないようにすることはできても、結局は実態を問われる。補助金交付の対象が日本企業が大半ということになれば、日本の技術と競争関係にあるWTO加盟国から提訴される恐れもある。日本の税金を使うわけなので当然国民としては日本企業に還元されてほしいと思うが一方でそういうリスクも有ることを認識すべき。

 3点目、1トンあたりの削減コスト。ある案件では2020年までの想定削減量が800t―COというように想定されていると伺っております。我が国の現在の排出量が1年間14億トン近い中で、では目標を1%上積みするには1400万トンの削減を図らねばならない。どれだけ案件を組成して、どれだけコストを積めばよいのかという費用対効果の問題を念頭に置くべきです。

 また、先ほどご質問も出ましたけれども、国際交渉の場ではやはり市場メカニズムの利用そのものに対して非常に厳しい目があることも確かでございます。ボリビアなどは一切の市場メカニズムの利用を否定しています。

 JCMは日本政府がここ数年諸外国にこのコンセプトを訴えかけ、育ててきたものなので、絶対に失敗させてはいけないものではあるが、一方でこれを前提とした目標設定はすべきでないと考えます。この点は、国際交渉の場で議論を聞いている立場から強くコメントをさせていただきたいと思います。

 森林吸収についてですが、実は私、京都第1約束期間の当時は森林保全の仕事をしておりまして、ある日突然、県を経由して京都議定書の第1約束期間には間伐等の作業を進めていただきたいので、補助金をつけますというお話がまいりまして、森林というのは長年ちょっとずつ手入れをするというような時間軸で生きているものですから、約束期間の間、補助金をいただけるといってもなというように逆に困ってしまったような記憶がございます。

 日本の森林が今抱えている問題というのは、補助金をふやすことによって解決できる問題でもないと認識しております。森林吸収を目標値に参入して森林整備に向けた弾みをつけるという考え方は若干、日本の林業の実態を踏まえていないようにも思いますし、森林の時間軸にも合わないとも思いますので、目標参入という点についてはちょっと慎重に議論する必要があると思っております。

○山地座長  佐藤委員、お願いします。

○佐藤委員  まず、JCMについてですが、私はやはり慎重な対応をすべきではないかと思っています。

 既に幾つかの件が出ておりますので、共通するところは省きますが、国際社会で評価されるかということが一番大きい。それから、この財源が非常に大きいのではないか。しかも継続しないと意味がありませんけれども、継続することは可能なのかということです。そして、例えば故障したときに現地の方が自分たちで修理できるものでなければ、多分現地の方々にも喜ばれないのではないかと思います。ということで、費用対効果の点、それから国際的に評価でき得るのかという点、こういうことを考えると慎重な対応が必要だと思います。

 それから、森林についてなのですが、農林水産部門についてですが、この分野は国内の産業の育成ということも関連がございますので、ある程度評価していきたいと思います。ただし、再生可能エネルギーのところでも農業、林業に対する考え方が入っていると思いますので、重複的な問題は避けたほうがいいと思います。特に林業の場合には、今まで林業の育成という名目のもとで、林道の整備とか砂防ダムの整備というように若干公共工事に偏った投資がされているように思いますので、その点も注意していただきたいと思います。

 以上です。

○山地座長  崎田委員、お願いします。

○崎田委員  ありがとうございます。JCMなのですけれども、私もどのように発言すべきか、この資料をいただいてからずっと悩んでおりました。

 どういうことかといいますと、私は2012年のリオ+20に国民の一人として、政府代表団に同行させていただいて参加しきた経験からいくと、やはりもっと発展したいけれども、COをしっかり削減しないといけないという国々とこれからどのように連携していくかが最大の課題という印象を深くもちました。そういう面からいきますと、2020年目標に位置づけられているJCMを2020年以降の枠組みにきちんと入れるということが私は大変重要だと思ってきました。

 その重要な視点の1つ目は、やはり2020年以降の約束草案にも位置づけるということが大事だと思いますし、2つ目は、そのときの削減数値を世界的にきちんと位置づけていただくように、外務省さんを初め経済産業省の皆さんが、きょうの資料にも出ていますように、きちんと世界の中で認めていただけるように交渉を進めることも大事だと思っています。

 ただ、私が今非常に迷っているのは3番目ですけれども、そこに目標数値をきちんと入れるべきかどうかというところです。やはり産業界の皆さんが技術を活用して、アジアをはじめまだ技術の整っていない国々に貢献するというような取り組みは自発的なものが非常に強いですので、目標値が高くなり過ぎたときに産業界のインセンティブというか、いい意味で意欲につながるのではなくて、それが義務のようになってしまうと大変だということで、どのくらいの目標数字にしたらいいのかということなどに関しては、かなりきちんとした多様な方々の意見交換が大事だと考えております。

 そういう意味で、私は1つ、経済産業省の皆さんに質問させていただきたいのですが、やはり産業界のやる気を保ちながらこういう問題、目標値を定量化するということが難しいかどうか。その辺の可能性とか、そのようにやるのだったらどういう仕掛けが必要なのか、そういうところのご様子をぜひ伺えればありがたいと思います。

 最後に1点、森林吸収のところなのですけれども、先ほどお話ししたように、地域からいろいろ取り組んでいると、森林の伐採、間伐などをきちんとやりながら地域のエネルギーをつくっていくというようなことが、これからもエネルギーの分野でも大変大事なわけですが、やはりうまくいっている事例がまだまだ少ない。これが二酸化炭素ということで資料を作成して頂いてますけれども、そういう地域の核をきちんと作り活性化につなぐようこの制度を運用していただく配慮をしっかりしていただくのが大事なのではないかと強く思っております。その辺について、ぜひご検討いただければと思っております。よろしくお願いします。

○山地座長  では、木村委員、お願いします。

○木村委員  ありがとうございます。まず、JCMについては、日本企業がすぐれた省エネ技術をもっていますので、これによって地球規模で削減に貢献するよう、引き続き積極的に取り組んでいきたいと考えております。また、政府におかれては、この制度のほか、ODAなどを通じても途上国の温暖化対策を支援しているので、これらと併せて、我が国の地球規模での国際貢献分として国際交渉の場でアピールしていく必要があると思っております。

 しかしながら、この二国間クレジットによる削減分は、2020年以降の国際枠組みでの控除対象になるか、ダブルカウントが認められるかなど、いろいろなことが決まっていないので、我が国の数値目標に含めるべきではないと考えております。

 また、そもそもJCMから生じるクレジットは、あらかじめ目標として定量化することにはなじまないと経団連は思っています。したがって、このクレジットの削減分については、その結果をきちんと国際的に評価してもらえるような仕組みづくりが必要だと考えております。

 それから、森林吸収源対策ですけれども、森林はいろいろな意味で多面的な機能を有しています。森林保全は非常に重要であるし、地球温暖化対策は森林の多面的な機能のうちの1つであると思っています。

 財源につきましては、受益と負担の原則から、国民全員で負担すべきものと理解しておりますので、例えば化石燃料のユーザーだけが負担する地球温暖化対策税は充てるべきではないと考えております。

 以上でございます。

○山地座長  では、代理で出席の市川さん、お願いします。

○小倉委員(市川代理)  二国間クレジット、JCMの問題と森林吸収源について意見を申し上げます。

 まず、二国間クレジットの問題でありますけれども、先ほどの議論を多少驚きを感じながら聞いておりました。そもそも京都議定書というのはトップダウンで数字を決め、それを各国が負担するという中で、みずから実施できないものについて、何で補完するかという形でいろいろなクレジットの問題が考えられたと思っております。一方、今、我々が作ろうとし、また国際的に作ろうとしているのはボトムアップによって、それぞれがなすべきことを最大限なしていくということの積み上げの上で国際的な枠組みを作ろうというものだと理解しています。

 したがって、その上で日本は省エネではいうまでもなく世界最高水準に

ある中で、さらにそれにこのようなJCMを使って上乗せした目標を設定しようというのは、恐らく全体の流れからいえば、まことに理解しがたい状況ではなかろうかと思います。考え方からいえば、京都議定書の考え方に近いのかなと思っております。

 また、実態的にみましても、制度の中身についての議論が十分熟していない。それからダブルカウントの問題等がまだ解決されていないという中でいえば、まず定量的に議論できるような基盤がないと思います。今日の資料をみましても、EU、ノルウェーについてはクレジットを目標の一部にしないということを明記しておりますし、仄聞しますと米国も入れない方向で話が進められていると聞いております。

 次に、森林吸収源の問題でございます。財源対策の議論がございましたので、申し上げます。森林の多面的機能は我々も大変重要だと思っております。したがって、それにふさわしいような財源のあり方を是非とも議論していただきたいと考えております。この財源問題について、累次にわたりさまざまな議論が繰り返されてきておりました。ただし、立ち入った話で恐縮でございますけれども、この財源の問題というのは、旧政権下におきまして、かつて林野庁当初予算で3,600億円とか3,700億円ぐらいあった予算が2,700億円とか2,600億円ぐらいまで減ってしまったというところが一番の問題の発端だと思います。したがって、これは予算の優先順位の問題として減らされてしまったということでございます。したがって、もう一度、政府の中でご議論いただきまして、予算の中の優先順位を上げていただいて、必要な予算を確保していくというプロセスが絶対的に必要であろうと思います。

 以上です。

○山地座長  では、秋元委員、お願いします。

○秋元委員  どうもありがとうございます。JCMについては、やはり原則的に非常に重要なやり方で、日本のすぐれた技術で世界に貢献して削減していくという意味で、非常に大事なことだと思っています。

 ただ、議論がありましたように、やはりこれは今トップダウンではなくてボトムアップの枠組みであって、その中でこの数字を積むのかというと、私は内数に入れるべきではないと考えています。特に海外との関係があるものですから、これで約束してしまうということで数値目標化するのはなかなか難しい問題だろうと思います。だから、コントリビューションとしてこういうものはあるのだという言い方はいいですけれども、数字として示すのは不適切だと思います。これも話がありましたように、欧米でもそういうものは入れ込んでいませんので、日本もそういう形でやっていくべきだろうと思っています。

 森林吸収についても非常に大事な対策という認識は強くもっているわけです。ただ、やはり費用対効果がどうなのかというのは、京都議定書のときも費用対効果が非常に悪いという数値が出てきたりして、もちろんCO削減以外のコベネフィットはあるわけで、その辺をどう考えるかということによりますけれども、費用対効果が非常に悪いという数字も出ていますので、やはり費用対効果が考えられる範囲の中でやっていくということは非常に重要だと思いますので、その辺、慎重に検討をお願いしたいと思います。

 以上です。

○山地座長  どうもありがとうございました。

 それでは、委員の皆さんから質問を含めてご意見がありましたので、関係省庁及び事務局から回答をお願いしたいと思います。ですが、まことに進行役の不手際でありますけれども、予定の時間を少し過ぎていますので、簡潔にお願いしたいと思います。まずは経済産業省さんからです。

○永澤地球環境連携室長  JCMにつきまして、さまざまご意見、コメントをいただきましてありがとうございました。村上委員、高橋委員、豊田委員、藤野委員等から、JCMについて約束草案、またINDCの中で目標に含めるか否かという質問がございました。これを3省宛てということでございましたが、外務省も環境省も私どもも、本日の議論を踏まえまして今後検討をしてまいりたいと考えております。

 それから、幾つかのご質問についてお答えしたいと思います。

 まず、原澤委員から、2020年目標にJCMは含まれているか否かということでございました。マイナス3.8%を達成する手段の1つとして、二国間オフセット・クレジット制度を活用ということは書いておりますが、繰り返しになりますが、具体的に何トン、何%といったことをJCMについて定めているものではございません。

 藤野委員から、中国の技術等で削減されたものが日本の企業のクレジットになるのか云々ということでございました。そうした国際貢献のメカニズムがあるかどうかということでございましたが、現状そういった議論を今している状況ではないと思っておりますが、また何かご質問がありましたらお答えしたいと思います。

 3点目でございますが、村上委員から、国際交渉における状況についてご質問があったかと思います。将来枠組みにつきましては、市場メカニズムについては賛成する国もある一方で反対している国もあるということで、本年、COP21のパリ合意の中で、市場メカニズムが残るか否かということについては、現時点ではまだ見通しが立たないということで、今後も引き続きJCMを含めた市場メカニズムの活用について議論を進めていくということかと思っております。

 安井委員から途上国の評価についてご質問がございました。これは外務省、環境省からもお答えをいただきたいと思いますが、経産省といたしましては、アジアを中心に始めたJCMでございます。各国ごとに反応はいろいろございますけれども、一様にいえるのは日本の技術に対する期待は途上国から非常に感じているわけでございます。また、COP20、一昨年のCOP19においても署名国会合を呼びかけたら各国の閣僚級の皆さんが集まるということで、JCMに対する期待は非常に高いものと理解しております。

 崎田委員からご質問がございましたが、産業界の方がやる気をもちながらJCMを進める方法はあるかということでございました。JCMは政府ベースで、ある意味プロジェクトを認定しながら、また各個別の企業にとってはクレジットとインセンティブもあるということで、こうした枠組みを使うことで日本企業の投資促進、途上国への投資促進が進む枠組みではないかと考えております。

 私からは以上です。

○山地座長  環境省さん、いかがでしょうか。

○川上市場メカニズム室長 多くの委員の皆様から約束草案の位置づけ等のご質問がございましたけれども、こちらにつきましては関係者で調整をさせていただくということになろうかと思っております。

 大聖委員から、運輸、交通部門の重要性等についてのご質問がございました。設備補助事業で、ベトナムにおきまして、いわゆるデジタルタコグラフを使ったエコドライブの推進事業などを実際に動かしているところでございます。このほかにも例えばPS、FS、あるいは大規模案件等において、ご指摘のようなことが反映できないかという意識をもって進めさせていただきたいと考えてございます。

 JCMの途上国からの評価について安井委員からご質問がございましたけれども、例えばホスト国におきましてはJCMを専用に扱う部局、事務局を設置するなどのことから関心、あるいは評価が非常に高いと考えてございます。

 もう1つ、卑近な例でございますけれども、世界銀行の会合に参りましたときに、ポストCDMとしてJCMが考えられるのではないかというようなことで来た参加者もいることからしても、やはり評価がかなり高くなっているということがいえるのではないかと思います。

 それから、JCM制度の認識であります。これはアザー・マーケット・ベースド・メカニズムの中で、具体的にJCMが位置づけられるかどうかというようなことを議論した上で、隔年報告書にフォーマットが示されておりますけれども、そのフォーマットの中でアザー・マーケット・ベースド・メカニズムによる削減量、あるいは実は目標量という欄もあるのですが、そういったものが示されているということでございます。

 日本からはUNFCCCに対しまして、日本の隔年報告の中でJCMのコントリビューションを記載するというような報告をいたしまして、これをUNFCCCの事務局で審査いたしまして、正確であるというようなことで認識されているということでございます。

 1つ、ダブルカウントの問題でございますけれども、これにつきましてはCDMなどの中でもやはり問題視されているところでございます。全体の枠組みの中で、JCMにつきましてもこのルールに従うというようなことで考えているところでございます。

 WTOにつきましては、私ども、これは輸出補助金に当たらないだろうというような認識でございまして、制度設計の段階で専門家とコンサルティングをしているわけでございます。ご指摘がありましたような輸出条件性というものは特にないと考えてございます。また、産業、企業、あるいは特定の製品といったものに関して、客観的な条件でそれを特定しているかというようなことも1つの判断要因になるかと思うのですけれども、こちらにつきましても特に限って特定したものではないということでございます。

 この関係では、提訴されるリスクというようなご質問もございましたけれども、こちらにつきましては特に署名国と非常に良好な関係を保ちながら、個々の案件を登録する際にもジョイント・コミッティーなどを開いております。むしろ非常に好意的に喜ばれているような施策ではないかと考えてございます。

 最後に、費用効果でございますけれども、例えば平成26年に採択した事業で、大規模な先ほどご紹介いたしましたものがございますが、例えば平成26年全体をならしますと、1トンあたり2,000円台強というようなオーダーになるかと思います。こちらについては、引き続き費用効果の高い案件の採択に心していきたいと考えてございます。

 以上でございます。

○山地座長  それでは、農水省さん、いかがでございましょうか。

○桂川計画課長  林野庁、計画課長でございます。では、私からお答えさせていただきます。

 まず、末吉委員からは、木質バイオマスの推進についてご意見をいただきまして、ありがとうございます。こちらにつきましては、私どもも発電だけではなく熱利用ということを含めて積極的に推進してまいりたいと思っております。

 高村委員、崎田委員から、森林吸収源対策は大いに推進すべきであるけれども、1つのビジネスモデルとして成立していくようなもの、補助金に依存するだけではないものが必要ではないのかというお話がございました。林業についての補助といいますのは、森林の適切な維持管理、保全ということが財産形成ということだけではなく、水源の涵養や国土の保全といった外部経済効果をもたらすということから補助の対象ともなっているわけでございますが、当然、経済的にも自立できることが望ましいのはいうまでもございません。

 そういうことで、林野庁といたしまして、現在、林業の成長産業化ということで、この10年間、国産材の自給率も年々向上している状況の中で、この追い風をつかまえて、うまく国産材需要の掘り起こしにあわせた効率的、安定的な木材供給、再生可能エネルギーとしての木質バイオマスを含めたモデルづくりなど、きちんと経済的に自立し得る産業としての林業、木材産業づくりに取り組んでいるところでございます。

 高橋委員、木村委員、小倉委員から、森林吸収源対策の財源のことについてのお話がございました。高橋委員からお話がございましたように、補正予算に相当部分を頼らざるを得なかったというのが第1約束期間の実態でございます。これにつきまして、国民全員で負担すべきものではないか、あるいは予算のアロケーションの問題ではないかというようなご意見がございました。私どもとしましても、特定の方法だけに焦点を合わせているということではなく、当然、予算要求の中で、あるいは税制改正要望も出させていただいておりますけれども、森林環境税といったようなものを含めて、財源の確保に向けていろいろな取り組みをさせていただいているところでございます。

 豊田委員、秋元委員から森林吸収現対策のコストについて、一定の範囲の中でやるべきではないのか、あるいはコストをより低減させるべきではないのかというようなお話がございました。こちらにつきましては、私どもは、必要なものは必要だと思うわけでございますが、当然コストの削減に向けた取り組みをさせていただきますし、また、そうした中で最大限努力をさせていただきたいと思っております。

 そして、竹内委員からは森林吸収源対策について、林業の時間軸、森林が抱える時間軸から考えて、補助金で解決するような問題ではないのではないかといったようなご意見がございました。こちらにつきまして申し上げれば……

○山地座長  済みません、時間をかなりオーバーしているので、簡潔にお願いします。

○桂川計画課長  わかりました。第1約束期間、いささか手入れがおくれていたような森林を含めて整備をすることによって3.8%獲得できたものだと思っております。確かにそのために急に手入れをしたりしなかったりというものではなく、林業としてしっかり長時間の軸をみて取り組んでいくものであると思っておりますので、そういう形で取り組みをさせていただきたいと思っております。

 佐藤委員に対するお答えも同様でございます。

 以上でございます。

○山地座長  まことに失礼な介入をしましたけれども、15分余りオーバーしておりますので、できるだけ簡潔にご発言いただきたい。

 まず、環境省の地球環境局長からご発言、ご希望ですけれども、その前に外務省さんから何か一言、もし必要でしたら簡単にお願いしたいのですが。

○中野気候変動課長  特段ございません。どうもありがとうございます。○山地座長  では、局長、どうぞ。

○梶原地球環境局長  今日、話題がいろいろ出ているものですから補足をさせていただきたいと思います。

 各国の動きの中で、市場メカニズムとの関係なのですが、EUに関しては、ご存じのとおり今回の40%については使わないといっているわけですけれども、本来、市場メカニズムの構築に非常に熱心な国の1つであり、少なくともというところで、将来の市場メカニズムの活用を排除していないのではないかと思ったりもしております。

 そして、スイスにつきましては、市場メカニズムの活用を明言している。ノルウェーに関しましては、EUとの連携した対策をどういう形でとるかといったようなケース分けをいたしまして、その上で市場メカニズムの活用明記、可能性を書いている。また、今回、英文が入っていなくて大変恐縮だったのでございますけれども、メキシコはわざわざ二国間、バイラテラルという言い方にも言及しているところがあります。そういった意味では、期待が示されているのかなと思っているところでございます。

 いずれにいたしましても、本日のご議論、あるいは今私が申し上げましたような国際的な動きも踏まえまして、さらにどういう形で位置づけるか、あるいは位置づけについて政府内でいろいろ議論を深めてまいりたいと思っております。

○山地座長  ありがとうございました。経産省の片瀬局長からもご発言、ご希望です。

○片瀬産業技術環境局長  きょう、JCMの議論を伺っていて、ちょっと混乱があるかなと思いましたので、クラリフィケーションしていただきたいのです。JCMのプロジェクトが組成される段階で、その結果、クレジットが発生するわけですけれども、クレジットが発生するということと、そのクレジットが誰に帰属するかということは全く別問題でございまして、例えば日本が非常に高性能の技術であるプロジェクトができたとしても、それはあくまでもクレジットが何千トン発生したかということにとどまって、そのクレジットはもう一回、誰かが買わないと日本に来ない。あるいは、それを条件として、いい条件でプロジェクトが進められてこないということでございますので、そこの議論をはっきり区別した上で、関係省庁で議論していきたいと思っております。

 以上です。

○山地座長  ありがとうございました。非常に貴重なご発言でございました。

 それでは、中央環境審議会の2020年以降の地球温暖化対策検討小委員会の委員長の浅野先生、お願いいたします。

○浅野小委員長  前半の議論ですが、もう一回思い出しておかなければいけないと思って聞いていたのは、今回、私たちは2030年までのターゲットをどうするのかということを議論しているわけです。これまで京都議定書の目標達成計画をつくって、2012年までの間やってきました。2011年3月の不幸な出来事がなければ、目標をゆとりをもって達成できただろうという実績となったと思われますが、それはいきなり2008年に今後どうするのかという議論をしたのではなくて、その前にずっと2002年、2003年、2004年と議論してきて、2005年あたりにようやく方向がはっきり固まってきて、それにもとづいて取組を続けてきた結果であったわけです。今回はもっと目達計画での目標に比べてもさらに突っ込んだ目標にすることが求められているのですが、幸いにも与えられている時間は、前に比べると5年ぐらい余計にあるわけです。しかし、それにしても2030年にどういう目標を立てるかということを我々は念頭に置いて議論しなければいけません。国民運動強化というご指摘が本日も多数だされました。それはもちろん大事なのですが、2030年までの長い時間の流れの中で、どのステップでは何をやらなければいけないのか、その辺のみきわめをつけながら議論しなければいけないと思いますし、森林吸収源の問題に関しても、京都議定書のときは、とにかく森林の手入れをすれば一定量の吸収を評価してもらえた。5年間の計画でしたからそれでよかったのですが、これから15年先のことまで考えたときに、同じようなことを繰り返してくだけでいいかという議論が必要だと感じました。

 JCMに関しては、きょうはっきりと意見が対立していたと思いますがが、私は、大塚委員が発言されましたように、国際的に相手国との間で協定を結んでやってきたということに関して、我が国はやはり国際的な責任があるということは忘れてはいけないだろうと思います。それから、少なくともカンクン合意に基づく国際レビューを受けるための報告の中にJCMを入れていますが、それがちゃんと認められてきているということは改めて確認しておく必要があるだろうと思います。

○山地座長  どうもありがとうございました。簡単にお願いします。

○梶原地球環境局長  ちょっとご説明をさせていただきたいと思うのですが、先ほどJCMのものはクレジットが買うという話がありましたけれども、今、環境省等が補助金でやっているものにつきましては、ネゴシエーションの中で補助金の代償として、例えばクレジットをその分、国に納めていただくという形にしているということだけ補足をさせていただきたいと思います。

○山地座長  ありがとうございました。進行役としては時間が延びているのが気になって、まことに申しわけございませんでした。ただ、内容的には非常に問題点もクリアになる議論だったかと思いますし、一方では、誤解も多少あるかもしれないと思いました。

 最後に、きょうの進行役として一言といわれているのですけれども、簡単にしたいと思います。要するに、JCMは、広くいえば我が国が国際貢献するということです。これが基本的にいいことだということは皆さん合意されているわけです。しかも、それをいかに世界の人にわかってもらえるか。企業としてそれに意味を見出せるか、そういう仕組みを考えているということなのです。そういう方向では皆さんの気持ちは一致しているのだと思いますので、建設的な議論をこれからも進めていきたいと思います。

 それでは、以上で終わらせていただきまして、あと事務局から連絡事項等をお願いしたいと思います。

○小見山環境経済室長  活発なご議論、ありがとうございました。議事録につきましては、事務局でとりまとめを行い、委員の皆様にご確認いただいた後でホームページに掲載させていただきます。

 次回の開催については、事務局より後日ご連絡申し上げます。

○山地座長  では、以上で本日の会合を終わります。どうもありがとうございました。

                                 ――了――