中央環境審議会地球環境部会2020年以降の地球温暖化対策検討小委員会・産業構造審議会産業技術環境分科会地球環境小委員会約束草案検討ワーキンググループ合同会合(第3回)議事録

午前9時00分 開会

低炭素社会推進室長

どうも皆様、おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会2020年以降の地球温暖化対策検討小委員会・産業構造審議会約束草案検討ワーキンググループの合同専門家会合を開催いたします。

本日は、朝早くからお集まりいただきましてありがとうございます。

環境省の低炭素社会推進室長をしております瀧口です。以降、座って説明させていただきます。

まず、本日は委員総数の過半数の委員にご出席いただいており、定足数に達しております。また、本日の審議は公開とさせていただきます。

まず、配付資料の説明をさせていただきます。配付資料の一覧をご覧ください。

資料1、2で、この小委員会、ワーキンググループの委員名簿をつけさせていただいておりまして、資料3、4、5、いずれもパワーポイントのA4横長の資料ですが、資源エネルギー庁、環境省、国土交通省から提出いただいた資料をつけております。資料6が国民運動に関しまして環境省の資料を配付しております。また、参考資料1としまして、昨日発表しました2013年度の温室効果ガス排出量の速報値の資料、それから参考資料2としまして、この合同専門家会合の委員の皆様からいただいたご意見をまとめてつけております。資料の不足等がありましたら、事務局までお申しつください。

それでは、早速議事に移りたいと思いますので、以降の議事進行は中環審の浅野小委員長にお願いいたします。

浅野小委員長

それでは、おはようございます。早速議事に入りたいと思います。

本日は、関係省庁からのご説明を受け、具体的な対策・施策の検討を進めてまいりたいと存じます。本日は、議事次第にありますように、エネルギー需要対策、すなわち、省エネ対策について、それから、国民運動について、この2点についてご議論いただくことになります。

まずは、関係省庁より、議題の1に関して、資料の3、資料の4、資料の5のご説明をいただき、その後、ご発言をご希望の委員からご質問とご意見をいただきたいと思います。

それでは、続けてご説明をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

低炭素社会推進室長

カメラ撮影はここまででお願いします。

省エネルギー対策課長

資源エネルギー庁省エネルギー課長の辻本でございます。

それでは、早速資料3に基づきまして説明いたします。めくっていただきまして、まず目次でございます。本日、15分という限られた時間がありますけれども、ここに書いてあります1~6について説明をいたします。

めくっていただいて、資料の4ページをご覧ください。現在、総合資源エネルギー調査会省エネルギー小委員会におきまして、中上先生を委員長にいただきながら、省エネ対策を議論しております。(3)、下のほうの開催状況を見ていただきますと、本年の6月以降、議論を開始し、特に直近、5、6、7回におきましては、民生、運輸、産業、各部門ごとの議論を行い、本年末に中間的な整理を行う予定で進めております。

5ページは、エネルギー基本計画に示されている主な方向性でございます。

めくっていただきまして、次のページに参ります。7ページ、我が国のエネルギー消費状況でございます。速報値が出ましたけれども、2013年のエネルギー使用量は3億6,742万kLでございました。この内容をつかんでおりまして、産業部門が43%、家庭、業務が14、20、運輸部門が22%と。横の伸び率を見ていただきますと、産業部門の省エネが進展しているのに対して、民生部門、これの伸び率が大きいというものでございます。

めくっていただきまして、8ページでございます。8ページは部門ごとのエネルギー消費状況を切り出して整理をいたしました。

9ページを見ていただきますと、9ページ、左の図であります。GDPが伸びている中で、我が国全体のGDP分のエネルギー供給量という目で見てみると、効率改善が全体で40%以上進んでいるということが見てとれるかと思います。

続きまして、めくっていただきまして、10ページに参ります。10ページ、11ページで、我が国の省エネルギー政策の規制が上の部分、支援が下の部分となっております。産業部門、業務、家庭、運輸部門、おのおのにおきまして、規制と支援をこういう形で組み合わせて省エネ政策を展開しているというものでございます。

めくっていただきまして、12ページに参ります。12ページから、いわゆる規制的な措置の根幹の省エネ法の概要でございます。工場・事業場の部分をご覧ください。一定のエネルギー使用量を超えている方に対して、エネルギー管理選任なり、計画の提出、定期報告、改善の努力義務、ベンチマークといった構造でお願いをしておりまして、この基本的構造は運輸、住宅を含め5部門一緒ございます。

13ページを見ていただきますと、省エネ法の変遷ということで、見ていただければわかりますとおり、大体数年に一遍程度、省エネ法の改正を行い、直近では2013年、電力ピーク対策並びに建材のトップランナー制度等の導入をいたしました。

めくっていただきまして、15ページに参ります。産業部門における課題でございます。論点を見ていただきますと、大きく2点ございます。上のポツが制度的枠組み、規制を含めた制度的枠組みの検証でございます。下の部分が支援策のあり方、そこにポツを幾つか書いておりますけども、こういったものを見ていただきながら、議論をいただいている最中でございます。

めくっていただきまして、16ページに参ります。16ページは産業部門のエネルギー消費状況でございます。消費原単位で見てみますと、オイルショックの1973年以降、直近まで43%程度の改善があると。また、右の図を見ていただきますと、いわゆるエネルギー多消費産業で約8割をカバーしているというものでございます。

17ページをご覧ください。省エネ小委員会におきましても、エネルギー多消費産業を中心に、産業界から報告をいただきましたが、一覧性を持つ観点から、こういうふうな表を整理いたしました。左を見ていただきますと、鉄鋼業における消費原単位、消費量の推移、右のほうを見ていただきますと、ベンチマーク指標の定義、例えば高炉におきましては、粗鋼量当たりのエネルギー使用量ということで、目指すべき水準として1トン当たり531Lというふうな目標値を定めております。その下のところに、水準の達成状況、また、水準を1とした場合の平均値の推移、これを見ていただきますと、おおよそ全体のおのおのの達成状況が見えてくるかと思います。

17ページの下のところ、大体年間約1,000件程度、中小企業向けの省エネ診断というのをやっております。この中の鉄鋼部門を切り出しました場合、平均で9.3%の省エネポテンシャルがあったというものであります。上の四角の部分の2番目のポツを見ていただきますと、省エネ補助金の状況でございます。鉄鋼業におきましては、全体で410億円、今年度はございまして、20%程度をお使いいただき、括弧書きで書いていますが、億円当たり5,400kLというふうな省エネ、費用対効果をたたき出しているという状況でございました。

めくっていただきまして、18ページ、19ページが、化学工業、紙・パの状況でございます。詳細は割愛いたします。

さらにめくっていただきまして、20ページが、窯業ですけれども、セメントの部分の状況を同様に整理いたしました。

こういったものについて、省エネ法でどう措置を講じているかというのが21ページの図でございます。21ページの左の流れを見てみますと、事業者から報告を受けていただいた後、その後、経済産業省、省庁がともに報告内容の評価という一連のプロセスをやっております。直近の状況でいきますと、1万2,408の事業者が省エネ法に基づく特定事業者として指定をされている状況でございます。

めくっていただいて、22ページに参ります。先ほど、ちょっと鉄鋼業のところで申し上げましたけども、一部の事業者につきましては、このベンチマークを設けまして、業種ごとに目指すべき水準というのを整理をしております。22ページの下の四角を見ていただきますと、現在、平成20年度以降、高炉、セメント、電力、製紙、石油精製、化学といったところの業種拡大を行っている最中であります。委員会の議論におきましては、これらにつきまして、ベンチマークの業種の拡大、深掘りの可能性というのをご議論いただきました。

23ページが、ベンチマークの達成状況でございます。現在、ベンチマークを達成した事業者、言ってみれば目標達成事業者につきましては、こういう形で、事業者名を公表させていただいているというところでございます。

めくっていただきまして、24ページに参ります。24ページが省エネ法に基づく措置の状況でございます。現地調査、指導、報告徴収、立入検査、こういう形で毎年約500件程度を進めていると。委員会におきましては、この体制について、さらに強化、指導をきめ細かくすべきではないかというご議論もいただいております。ただ、その場合でありますと、中央における体制整備の見直しといったものが必要になってくるということでございます。

続きまして、民生部門に参ります。めくっていただきまして、26ページでございます。民生部門におきましては、大きく2点、1点目は業務部門、いわゆるビルとかサービス業などでございますが、それについての省エネ対策について、2番目が家庭の省エネでございます。

27ページを見ていただきますと、業務部門のベンチマーク制度の検討という資料をつけております。現在、ここにありますようにショッピングセンター協会さんから始まって、不動産協会まで、いわゆる約5割をカバーする方々と、業務部門による先ほどの製造業にあったようなベンチマーク制度ができないかというふうな議論をまさにさせていただいている最中であります。これについては、引き続き詳細について、省エネルギー小委員会でも鋭意議論を進めていくという方向でございます。

めくっていただきまして、28ページでございます。トップランナー制度でございます。28ページの下のこの真ん中を見ていただきますと、平均的なエネルギー消費効率の改善という意味では、どの分野におきましても数十%の改善が現実に起きているというものでございます。

29ページを見ていただきますと、現在、省エネ法のトップランナー制度のカバー率という意味では約7割、ガス温水機ですとか、こういったところについて、今、カバーをしていると。委員会におきましては、今後、業務機器の拡大の可能性、また、既存の指定機器の基準の見直しといったものをどうしていくのかというご議論をいただいているところでございます。

めくっていただきまして、30ページになります。直近の省エネ法の改正で導入した建材のトップランナー制度、四角囲みの下の部分を見ていただきますと、ほんの10日ほど前になりますけれども、政令改正を行いまして、現在、断熱材、窓について、下の31ページにあるような住宅からの熱損失のうち81%程度をカバーするような建材トップランナー制度ができているという状況でございます。

めくっていただきまして、32ページ、33ページに参ります。

現在、32ページを見ていただきますと、左が建築物、右が住宅の省エネ基準の適合率でございます。建築物、住宅のほうの数値は違いますけども、これをさらに促進する観点から、33ページにございますが、現在、国交省さんと連携いたしまして、住宅・建築物の段階的な省エネ基準適合義務化といった措置について、具体的な検討を進めている最中でございます。

めくっていただきまして、35ページ、運輸部門に参ります。運輸部門につきましては、2点、単体対策のあり方、交通流対策、エコドライブの部分についてご議論をいただいております。

めくっていただきまして、36ページに参ります。現在、自動車のトップランナー基準の現状でございます。運輸部門の約8割は自動車起源ということで、燃費の改善が非常に重要でございますけども、現在、こういう形のトップランナー基準が設定されており、この基準の見直しについて、その方向性を含め、ご討議いただいたところでございます。

また、37ページの下を見ていただきますと、エネルギー基本計画の中で、2030年を目処に次世代自動車を5割から7割まで上げていこうというふうな方向が決まっているところでございます。

めくっていただきまして、38ページ、それのもとになりました次世代自動車戦略の数値がこういうものとなっております。

また、39ページを見ていただきますと、実際、幾ら燃費のいい車をマーケットに投入しても、使うときにエコドライブをしなければ、実際のエネルギー消費は減らないということでありまして、右のカタログ燃費と実走行燃費の違い、エコドライブをいかに推進していくかということで、もっと実走行燃費についてユーザーの教育をしていくべきではないかというようなご議論をいただいております。

続きまして、40ページであります。40ページは、運輸部門の業種的な部分での荷主のエネルギー効率といったものでありまして、運輸部門の業種のほうにつきましては、かなりエコドライブが荷主を含めて法制化が進んでいるということが言えようかと思います。

最後の課題となりますが、42ページであります。冒頭に申し上げましたが、支援策の関係で、かなりの額の国民の税金を省エネ補助金に使わせていただいているという中で、費用対効果に対する検証も行いました。

43ページの下の図を見ていただきますと、限界削減費用を縦軸に、横軸に省エネ効果をとり、そこに書いておりますとおり、自立的普及が難しい、条件によってはできる、自然体で進むといったものに分けながら、議論をいただきました。

めくっていただいて、44ページであります。事業者に対する省エネの支援策の考え方です。2番目のポツにありますとおり、普段の事業活動の中では取組が進まない省エネ活動を促す、要すれば、投資回収時期が長いものについて、いかに投資を拡大していただくかというのが肝であります。また、中小企業に対する対策も必要ではないかというご議論もいただいております。

めくっていただきまして、46ページ以降、46ページに来年度の省エネ予算の要求状況を書いております。47ページに、その中の省エネ補助金につきまして概要をつけておりますが、今後を申し上げますと、左の事業の対象のところ、これは一切、業種・業態を問うておりません。金融から農業、卸、いろんなところについて全員に使っていただく。全業種に使っていただく制度でございます。

めくっていただきまして、48ページ、省エネ補助金の実績について、簡単に報告しています。このグラフを見ていきますと、申請件数が急増し、また、採択件数も急増していると。その面で言えば、省エネの観点から言えば、投資はかなり拡大傾向にあるんじゃないかというように見ております。

49ページを見ていただきますと、省エネ効果でございます。四角のところの2番目のポツ、我々の経験則として、大体、省エネ補助金を1億円用意すれば2,500kL~4,500kL、要すれば、100億円用意すれば、大体25万kL~45万kLの省エネが図れるというのを体験的に経験をしているところでございます。

めくっていただきまして、50ページ以降に省エネ補助金の業種別の省エネ効果。51ページに業種別の採択件数。続けてめくっていただきまして、52ページ、業種別の採択金額。並びに、53ページに費用対効果といったものを整理しております。

めくっていただきまして、54ページ、最後の課題でありますが、省エネ診断、先ほど申しましたように年間で1,000件、中堅・中小企業の方に展開している省エネ診断であります。

めくっていただいて、56ページ、57ページをご覧ください。57ページの下の部分、製造業の業種別平均提案省エネ率と書いておりますが、ずっと目を細めて見ますと、ほぼ約10%の省エネポテンシャルが出てきたというものを我々の経験から得ているところでございます。いずれにしましても、各部門の実情、対策効果の数値をもって議論をいただきながら、委員のご指摘を踏まえながら、年末の中間整理を図っているという状況でございます。

浅野小委員長

どうもありがとうございました。

それでは、環境省、お願いします。

地球温暖化対策課長

それでは、環境省でございます。資料4に基づきましてご説明を申し上げます。

おめくりいただきますと、まず現状でございますけども、1ページ目、エネルギー起源のCO2の推移が載っております。2013年度のエネルギー起源二酸化炭素の排出量、こちらにつきましては2005年度比で1.8%の増ということで、エネルギー消費量は減少傾向でございますが、CO2は伸びているということであります。分野といたしましては、家庭部門、業務部門、こちらが2005年比で2割強ということで、この対策が急務になっているというものでございます。

中の要因といたしましては2ページでございますが、一つは、2011年以降、火力発電の増加に伴いまして、発電による二酸化炭素が大幅に増加しているということで、グラフで見ていただきますと、赤の折れ線グラフが右肩上がりということで、電力の対策が急務になっているというものでございます。

それをさらに、3ページ目、原単位で見ていくというものでいきますと、電力の二酸化炭素排出原単位が大幅に伸びているという現状でございまして、電力の低炭素化、これが大きな柱の一つということかと思っております。

4ページ目でございますが、もう一つの柱を考えていくということで、こちらは最終エネルギー消費量の推移でございますが、民生部門でございます。黄緑色の折れ線グラフが業務、紫が家庭でございますが、2005年から比べますと、ほぼ横ばいか減少という傾向でございますけれども、1990年から見ますと、それぞれ、900PJ、300PJと増加の傾向にあるということで、これを減らしていくというのが大きな柱のもう一つになっております。

それを原単位の推移で見まして、5ページ目でございますけども、1990年を100といたした場合の業務、産業、家庭のエネルギー消費原単位ということでございまして、産業、家庭につきましては改善傾向にございますけども、業務につきましては1990年に比べて微増ということで、中長期的な目標を考えるに当たりましても、さらに改善が必要ということで、省エネルギー、低炭素化技術の普及というのが大きな柱のもう一つになっております。

では、その技術がどのようなものなのかというのが6ページ目以降でございますが、まずどのようなポテンシャルがあるのかということを産業部門、業務部門で示したものでございまして、こちらは3年以内の投資回収が可能なものにつきまして、まだ導入を終えていないというものでございまして、赤で囲った部分につきましては、3年の投資回収が可能である部分につきましても実施率が50%未満の対策というものでございまして、こちらはさまざまな対策を施すことによって、導入をさらに加速すべき分野かと思います。

ただ、コストだけではなく、さまざまな要因があるということで、7ページ目でございますが、いわゆる隠れたコストと呼ばれておりますけれども、さまざまな障害ということでありますが、これらを解決するためにきめ細かく分析を行いまして、あらゆる施策を実施していくということが必要かと思っております。

また、8ページ目でございますけれども、全体のトレンドといたしましては、電化が進んでいるということでありますので、電気に着目した対策も進めていく必要があるというものであります。

個別の分野ごとにどのような方針で行くのかというのを9ページ目以降にまとめております。IPCCの第5次報告書におきましては、さまざまな施策の方向性が示されております。それを大きく取りまとめますと、中ほどの緑の部分でございますが、産業部門につきましては、BATの普及、そして、技術開発・実証の推進ということにまとめられようかと思います。これに対応いたしまして、環境省といたしましては、法律に基づく排出抑制等指針の策定から始まりまして、先導的な低炭素化技術の普及促進、ポテンシャル診断など、こういった施策を行っていきたいと思っております。後ほど詳細をご説明いたします。

10ページ目は、同様に民生部門でございまして、これもまとめますと、緑のところでありますが、経済性の高いCO2対策、これの情報提供から始まりまして、先導的な技術への補助・運用改善、あとライフスタイルの転換、これが必要だと思っておりまして、家庭向けのエコ診断、国民運動等が重要だと考えております。

それらを取りまとめたのが11ページ目でございます。

まず、産業部門から参りますと、12ページ目でございますけれども、主な業種横断的な技術ということでラインアップしておりますが、それぞれ、BATがどのような水準なのかということをにらみつつ、施策を打ってまいりたいと考えております。

同様に、13ページ目が業務部門ということで、空調、給湯などの技術、そして、そのBATの水準をにらみながらの対策ということでございます。

具体的な施策といたしましては、14ページ目以降でございますけれども、法律に基づきます排出抑制等指針というもので、法律の中におきましては、事業者に対しまして、自らの産業活動などからの排出を抑制するということに加えまして、国民の日常生活におけるCO2の排出抑制に寄与するような取組もとるという規定がございまして、その方向性につきまして、この指針というもので明確化しているというものでございます。

囲みの中でございますが、業務部門、廃棄物部門、産業部門につきましては、既に公表しております。今後、エネルギー部門などを作成していこうと思っております。例示が書いておりますが、産業部門でいきますと、大きく分けると二つの内容になっておりまして、取組の中身と、あと設備の選択の中身と、この2本立てで記載しております。

さらに、先導的な技術を進めていくということで、15ページ目でございますけども、L2-Techということで、Leading×Low-carbon Technology、これを推し進めるということで、最高効率の省エネなど、強力に推進していくというものでございます。

16ページ目は、そういった先導的な対策を推し進めるための事業を用意しているというものであります。

17ページ目からが、CO2のポテンシャル診断でございまして、先ほどもありましたけれども、工場・事業場を対象に診断をいただいて、対策を打っていただくというものでございまして、具体的な効果といたしましては、19ページ目に載せておりますが、大規模事業者におきましては平均で8%、中小事業所につきましては18%の削減効果が見られたということで、この診断というのは非常に効果がありますので、これを大きく進めたいと考えております。

もう一つの施策といたしましては、20ページ目からでございますけれども、高効率・高品質の窒化ガリウムデバイスの開発・実証というものでございます。半導体、デバイスにつきましては、電圧の調整などさまざまな分野で使われておりますけれども、電力消費の約1割がエネルギー損失しております。現在のシリコンでは、特性上、限界に来ているということから、新たな窒化ガリウムを使ったものを開発したいというものでございまして、これが実用化されればエネルギー損失が6分の1に低減できるというものでございます。

具体的な事業の内容は21ページ目でございますけれども、平成28年度に向けまして、開発・実証を行っていくところでございます。これらが社会全体に普及すれば、下にありますが、大型発電機4基分のエネルギーが削減できるということで、大きく進めたいと考えております。

続く22ページ目からが家庭分野でございまして、どのような技術があるのかというのを22ページ目でまとめております。

この分野につきましても、23ページ目にございますように、診断が非常に効果的だということでございまして、24ページ目にはその効果を記載しておりますが、家庭の特性に応じてばらつきはあるものの、5~10%程度の削減効果が得られているというものでございます。これを推し進めていきまして、2020年までに32万世帯の診断をすることによりまして、20万トンの削減を見込んでいるという活動でございます。

さらに、25ページ目からがJ-クレジット制度というものでございまして、中小企業・自治体が行われている省エネ機器の導入、森林管理などをクレジット化することによってサポートしていくというものでございます。

実績といたしましては26ページ目でございますが、これまでに登録されたプロジェクトが71件、クレジットが認証されたものが21件ということで、約40万トンの認証になっているというものでございます。

最後でございますけれども、27ページ目以降が、これらの活動のPDCAをどのように現在行っているのかということでございます。京都議定書目標達成計画の中にこれらの対策を位置づけ、そして、計画全体のPDCAを回すことによりまして、チェックをしているというものでございます。その例示をつけておりますけども、27ページ目が公的機関の排出削減ということで、排出の削減量とその対策が進んでいるかどうかの対策評価指標というものを設定し、これを毎年、審議会でチェックをして、温暖化対策推進本部に報告しているというものでございます。

これらの対策ごとに、28ページ目の冷凍機器などのチェックをしているというものでございます。

環境省からは以上でございます。

浅野小委員長

ありがとうございました。

それでは、国土交通省、お願いいたします。

地球環境政策室長

国土交通省総合政策局の長谷と申します。本日は、合同会合で我が省の施策についてご説明する機会をいただきまして、誠にありがとうございます。資料5に基づきまして、省エネ対策を中心にご説明させていただきます。

1枚おめくりいただきまして、部門別のCO2排出量の推移でございます。既にご説明があったところではございますけれども、我が省と関係の深い3部門につきましては全体の約5割を占めておりまして、国土交通省としましても、地球温暖化対策は大変重要な課題の一つと考えております。

運輸部門は2001年以降は減少傾向、また、家庭部門につきましては、エネルギー消費量としては、近年、減少傾向でございますけれども、CO2排出量としては、1990年から見ますと増加傾向でございます。

1枚おめくりいただきまして、運輸部門におけるCO2排出量について、特に詳しく見ていきたいと思います。1991年度~96年度までの間に排出量が21%増加しておりますけども、その後、横ばいに転じまして、2001年度以降は減少傾向を示しております。燃費の改善等により2001年から減少傾向、また、貨物自動車につきましては、輸送の効率化等によりまして、1996年から減少傾向にございますけども、運輸部門の排出量全体の17%を占めておりまして、引き続き推進していく必要があると考えております。

1枚おめくりいただきまして、京都議定書目標達成計画における地球温暖化対策でございます。これまでの対策の効果でございますけども、国土交通省の地球温暖化対策のうち、定量的に効果が把握できる24施策につきましては、今年7月に行いました最新の点検におきましては、排出削減量・吸収量の目安である全体の約9,700万トンよりも大きい削減を行っているところでございます。これらにつきましては、関係省庁と連携をして行っている施策もございますけれども、政府全体のCO2削減目標の約25%を占めているという状況でございます。

おめくりいただきまして、国土交通分野における地球温暖化対策の考え方についてご説明いたします。国土交通分野に関連の深い運輸・民生部門は、地球温暖化対策として大変大きな割合を占めておりまして、これまでもCO2排出量の削減に努めてまいりました。他方で、低炭素社会の実現に向けて困難さも深刻化しております。国土交通省といたしましては、今年3月に省の環境行動計画を策定しましたが、今後とも低炭素社会の実現に向けまして、現場から、ハード・ソフト両面での制度まで、幅広く所掌しております国土交通省の総合力を発揮するとともに、関係省庁、国民、NPO、企業の皆さん、さまざまな方と協力・連携していきながら、多様な施策の展開に取り組んでまいりたいと考えております。その際には、以下にありますような環境と経済・社会の統合的向上、グリーン・イノベーションへの貢献、面的な広がり、人や企業の行動変容といった視点に基づきまして推進してまいりたいと考えております。

1枚おめくりください。以上のこの3月の考え方に基づきまして、京都議定書目標達成計画に基づく施策等に引き続きまして、2020年以降の施策として、こちらが全体で今、検討中のものでございますけれども、国土交通分野における施策について、省エネ施策を中心にご説明させていただきたいと思います。

1枚おめくりください。まず面的な対策でございます。環境負荷の低減に資するまちづくりの推進であります。大きく二つございまして、一つが低炭素まちづくりの推進ということで、平成24年12月に施行しました、いわゆるエコまち法に基づくものでございます。まちづくりに地球環境に優しい暮らし等の新しい視点を持ち込みまして、コンパクトなまちづくりに取り組んでまいります。現在、低炭素まちづくり計画として、北海道の下川町を始めとして16都市が作成しておりまして、今後も15都市で作成を検討しております。

次に、右側の集約型都市構造の実現であります。都市計画制度や立地適正化計画制度等により市町村や関係者が連携・協働し、まちづくりのさまざまな取組を通じて、都市機能の集約化とこれと連携した公共交通機関の一体的な利用の推進によって、集約型都市構造の実現を図っていきたいと考えております。

1枚おめくりいただきまして、次からが運輸部門になります。まず、環境対応車の開発・普及、最適な利活用の推進であります。関係省庁とも連携しまして、自動車の燃費の改善、環境対応車の普及促進を進めますとともに、また、環境に配慮した自動車の使用の浸透を図るということで、先月の11月にエコドライブ推進月間として取組を進めておりましたけれども、エコドライブの推進、こうした施策を進めてまいりたいと考えております。

1枚おめくりください。次が交通流対策の推進でございます。まず、道路ネットワークを賢く使う交通流対策の推進として、走行速度の向上に向け、環状道路等の幹線道路ネットワークをつなぐとともに、ITS等を推進しまして、道路ネットワークを賢く使う取組を実施してまいりたいと考えております。また、路上工事の縮減や開かずの踏切対策等の対策、安全で快適な自転車ネットワークの整備等を推進していきたいと考えております。二つ目は、道路施設の低炭素化であります。道路照明灯としてLED照明灯の整備を推進するとともに、道路橋の長寿命化を実施してまいりたいと考えております。

1枚またおめくりください。次に、公共交通の利用促進・物流の効率化でございます。公共交通の利用促進につきましては、鉄道の新線整備、都市部でのLRT・BRTの導入、ノンステップバスの普及など、鉄道・バスの魅力を向上し、公共交通を利用しやすい環境整備を進めてまいりたいと考えております。また、右側の物流効率化につきましては、共同輸配送のほか、トラックから鉄道、海運へのモーダルシフトを推進するため、関係省庁と連携して大型コンテナの導入やトレーラーの導入等を支援してまいりたいと考えております。

次の11ページをご覧ください。運輸部門の最後となりますけども、海運、航空、鉄道そのものに係る省エネ化の推進でございます。省エネ船舶の開発・普及や、航空機の運航方式の効率化、エコレールラインプロジェクトと称しておりますが、蓄電池車両や鉄道駅の省エネ化など、関係省庁と連携して推進していきたいと考えております。

次のページをご覧ください。次が民生部門となりまして、住宅・建築物の省エネ対策についてご説明いたします。住宅・建築物の省エネ化につきましては、規制、評価・表示、インセンティブの付与等により推進しまして、低炭素社会の実現を図ってまいりたいと考えております。

規制につきましては、省エネ法に基づく規制として、基準の普及や義務化に向けた検討を進めてまいります。次に、評価・表示につきましては、住宅性能表示基準の見直し等を行っております。3番目のインセンティブの付与につきましては、低炭素社会のゼロエネルギー住宅や機器類への支援を行ってまいります。これらによりまして、エネルギー基本計画にありますように、2030年目標として、新築建築物の平均でネット・ゼロ・エネルギー・ビル、新築住宅の平均でネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの実現を目指してまいりたいと考えております。

1枚おめくりください。次は下水道の関係でございます。下水道事業は、地方公共団体の事業活動に伴う温室効果ガス排出量の中でも大きな割合を占めております。このため、温対法第21条に基づく排出抑制等指針の策定を検討するほか、高温焼却の新型炉の開発・普及により、一酸化二窒素の排出量を大幅に削減していきたいと考えております。また、再エネの関係になりますけども、実証技術の開発や下水汚泥の固形燃料化のJIS化、下水熱の利用などの施策を推進してまいりたいと考えております。

最後のページ、14ページをご覧ください。最後でございますけれども、その他の環境対策として、産業部門の一つであります建設機械の関係、また、省エネではございませんけども、小水力発電についてご説明いたします。

左側の建設機械につきましては、世界初となる燃費基準を導入することで、建機メーカー等の技術革新を促すほか、2020年燃費基準を達成した建設機械の型式を認定し、さらにハイブリッド機構等、先進的な技術を取り入れた低炭素型建設機械の型式の認定を進めてまいります。また、こうした燃費性能の優れた建設機械に対する導入補助等によって、普及してまいりたいと考えております。

次に、小水力発電の関係でございますけれども、直轄管理ダム等においてダム管理用発電を積極的に導入してまいります。今年4月の時点では、直轄管理ダム等121カ所のうち、37カ所のダムでダム管理用発電を導入しておりますけれども、今後、平成29年度までに導入可能な箇所について設置を完了する予定でございます。

ご説明は以上になります。委員の先生方のご意見もいただきながら、今後、2020年以降の温暖化対策について、さらに精査してまいりたいと思いますので、ご指導のほどよろしくお願いいたします。

以上でございます。

浅野小委員長

どうもご説明ありがとうございました。

それでは、これから皆様方のご発言をいただきたいのですが、札をお立てください。

その前に、省エネルギー小委員長をしておられました中上委員からコメントがあれば、いただきたいと思います。その間に、発言をご希望の方は札をお立てください。

中上委員

発言時間をいただきまして、ありがとうございます。

皆様ご案内のとおり、省エネルギーというのは、ほかの会議と違いまして、あらゆる国民が対象でございまして、全業種、全産業、全国民、ここにいらっしゃる方々もみんな当事者なわけです。それを極めて短時間で精査して対策を出すというのは非常にきつい作業であります。私自身は、将来は抜本的にこのシステムを変えて、部門別にじっくりと掘り下げた省エネ対策の議論ができるような体制をぜひとっていただきたいと思います。そういう意味では、毎回時間が不足するぐらい活発なご意見を頂戴しておりまして、事務局のほうにも膨大な要望事項が出ておりまして、その取りまとめをとにかく年末までに一通り終えて、その中から具体的な施策につながる定量的な解析に進みたいと思っております。

もう1点、やはり問題なのは、ここでも議論したかと思いますけども、こういった精細な議論をするためには、やはりデータベースに基づく精緻な解析が必要になるわけでございますけども、部門によっては全くデータがそろっていないところも多うございます。むしろ今回、民生用がかなり着目されているようでございますけども、民生部門につきましては、ほとんど公的なデータがない状態で、かなり業態も細分化してまいりますから、非常に困難な作業をしていかなきゃいけない。

その背景となるデータ整理ということについては、エネルギー基本計画の中にはきちっとうたわれたわけでありますけれども、省エネルギー委員会の中で議論する時間がなかなか不足しているような状況がございまして、そういった部分もご理解いただいて、この会議だけで何とかなる話ではございませんけれども、地に足のついた議論になればと。

後ほどまたご紹介しますが、環境省は、実は家庭のCO2につきましては、公的な統計ベースですか、本格的なセンサスをつくろうということでスタートしたところでございまして、やがて家庭につきましては、2~3年待っていただくと、かなり精細な情報が出てくると思いますが、そういったこともちょっとご紹介しておきます。

すみません、お時間ありがとうございました。

浅野小委員長

どうもありがとうございました。先ほどのご説明の補足をいただいて、より状況がはっきりしたと思います。

それでは、ご発言をほとんど方がご希望でございますので、また例によって申し訳ありません。2分半でございます。時間を守ってください。

それでは、秋元委員から。秋元委員、大橋委員、そして、市川代理、この順番でお願いします。

秋元委員

どうもありがとうございます。

私からは、前回、前々回のIPCCのシナリオについて、大分多くの議論がありましたので、私、リードオーサーでしたので、この理解について、少し注意喚起というか、事実関係をはっきりさせたいということで、資料を用意しています。参考資料に私のペーパーをつけておりまして、ペーパーがちょっと長いので、ワードのほうは細かく事実関係を書いていますので、後ほどお読みいただきたいと思うんですけども、時間が限られていますので、パワーポイントの資料が3枚ありますので、そこでご説明をしたいと思います。

よく、2℃目標に対して2050年に2010年比41~72%削減が必要だと。報道とか、一部においては、これしかないんだというような報道がなされているところが非常にミスリーディングですので、そこについてご説明したいというのが一番の大きなところです。

1ページ目のパワーポイントですけども、気候感度、これは平衡気候感度というふうに書いていますけども、これはどういうことかといいますと、濃度が倍増して安定化したときに気温上昇がどの程度起こるのかということを示す指標なわけですけども、これは非常に不確実性が大きいわけです。そこの表に書いていますように、IPCC AR4以前では気候感度の幅が1.5℃~4.5℃で、Best Estimateと呼ばれる最良推計値は2.5℃と言われているものです。それが全体の報告書、AR4では下の1.5℃が落とされて2.0℃~4.5℃、そして、最良推計値も2.5℃から上がって3℃という評価がなされたわけです。

ただ、今回の新しい報告書、これはWG1のほう報告書ですけども、これではもとに戻ったと。2.0℃からということに前回はしたわけですけども、今回は1.5℃~4.5℃に引き下げたというのが実態なわけです。なぜかといいますと、後で紹介しますけども、ハイエイタスとかいって、最近、2000年に入ってから気温上昇があまり起こっていないと。もちろん上がってはいるわけですけども、緩やかになっていて、そういうものを踏まえると、下限をもう少し考えたほうがいいという主張が多いわけです。そういう形の中で、1.5~4.5℃に合意したという形です。ただ、最良推計値は、前は3.0℃ということで、その前は2.5℃だったわけですけども、今回は合意できないという判断がなされたわけです。

その下に書いてあるのは、Lewis and Curryの論文の数値で、そのIPCC AR5 WG1が出た後も、かなり低目の気候感度ではないかという情報が、分析結果がかなりたくさん出てきているというのが実態なわけです。よって、WG1の今回の下限を下げる判断というものは、かなり妥当なものだろうというふうに思われるわけです。

ただ、WG3のシナリオ分析においては、これは使わずに、AR4の数字をそのまま使って分析をしたということです。なぜかというと、時間的な制約が非常に厳しくて、このAR5の判断に合わせることができなかったというのが事実です。

もう一つは、最良推計値がWG1では合意できなかったんですね。最良推計値がないので、そこが推計しにくいという問題があったので、AR4をそのまま使ったというわけです。そういうもとで計算がなされているということを理解いただきたいということです。

めくっていただいて、2ページ目です。それで、じゃあ、仮に今の話でいくと、気候感度は合意できなかったんですけども、3.0℃から、場合によっては最良推計値は3.0℃から2.5℃程度に考えてもいいようなレンジの変更がなされているというわけです。そうすると、もし2.5℃にした場合にはどうなるのかということを書いたのが、ここの下でございます。まず、図の見方をご説明しますと、一番上の破線はRITEの推計の現状政策が続いた場合の世界排出量の見通しです。こういうふうに上がっていきます。その後、4本の線が引いてあります。一番下のオレンジのラインが、2℃目標だけども気候感度が3.0℃という場合で、しかも500ppmを超えないものです。AR5のカテゴリーでは430~480レンジということです。その後、480~530のレンジもありますけども、一番上にグリーンのラインがあります。グリーンのラインは仮に気候感度が2.5℃と。2℃目標だけども、気候感度が2.5℃だと、どれぐらい変わるのかということです。これはオーバーシュートというか、580ppmぐらいになるようなシナリオになりますので、AR5でいくと530~580のレンジに当たるわけです。でも、ここで行っても2℃目標が十分可能性があるというのが、今の新しい評価なわけです。ただ、それが十分今回のAR5の評価の中には含まれていないということに注意して読む必要があると思います。

もう一つ重要なのは、今回、約束草案が今、出てきています。米国、中国、EU、ロシア、4カ国だけをカウントしたわけですけども、赤のラインは、我々が推計すると、大体これぐらいのラインに今乗っているというふうに推計されるわけです。すなわち、大体気温上昇2℃目標で、もし気候感度が2.5℃であれば、まあまあ、ぎりぎり乗っているぐらいかなというのが今の見通しだということです。言いたいのは、ただ、現状、40%~70%削減ということが必須ではなくて、現状レベルよりも下げるぐらいということでも、2℃目標の達成の可能性は今の最新の知見からすると十分あり得るというのが評価です。

もう、ちょっと時間がないので、3ページ目、ちょっとだけご説明しますけども、もう一つの論点は確率です。どれぐらいの確率で2℃目標を達成し得るのかと。これは全体、エネ研の資料からの少し指摘がありましたけども、66%確率で考えるのか、50%確率で考えるのかということで、ただ、AR4のときは50%確率しか書いていなかったわけです。今回、突然66%に確率を引き上げるというのは、何かちょっと整合性がとれていないかなということがありますので、その辺も踏まえて考えると、大体2℃目標を前提としても、ここでいうレンジでいくと、530~580ぐらいのレンジまで含めて考えても、十分科学的知見と整合している。むしろ、そのほうが今の知見と整合しているということになるかと思います。

ちょっと長くなりましたけど。

浅野小委員長

大変丁寧なデータを出してくださったので、今日は黙っていましたけども、ただ今のは決して模範的な発言例ではありません。皆さん、これは先例ではございません。2分半で終わってください。

では、どうぞ、大橋委員。

大橋委員

日本商工会議所の大橋でございます。本日は2件の要望を述べさせていただきたいと思っています。簡単に述べます。

一つ目は、中小企業の省エネ推進支援に関することについてですが、以前から支援をいただいておりますが、投資余力やノウハウに乏しい中小企業においては、省エネ活動を持続的に推進するといった観点から、今後も引き続き(’’’’)、中小企業が活用できる省エネ関連設備導入の支援や、省エネ診断・指導等の拡充を要望いたします。

二つ目は、運輸部門の対策についてですが、自動車の燃費の向上は、先ほどのデータでもありましたように、目標はほぼ達成して順調に進んでいると思います。しかしながら、燃費のカタログ値が仮に上がっても、交通流対策が進まなければ、実走行の燃費は向上しないと思っております。例えば、東京における自動車の平均速度というのは18.8km/hです。海外の主要都市と比較しても著しく低い水準でございます。具体的に言いますと、ベルリン、シンガポール、パリの約半分の平均速度になっておりまして、国交省を中心として各省が連携した上で、幹線道路のネットワークの整備など、信号制御システムの導入を含めたインフラの整備を推進していただきたいと考えております。

以上の2点でございます。

浅野小委員長

ありがとうございました。

市川さん、どうぞ。

小倉委員(市川代理)

先ほどの鉄鋼業界に関する説明に関して、幾つかの補足と、それから要望を申し上げます。

補足でございますけれども、我々のこれまでの省エネ努力のコスト面での評価ということを一言申し上げたいわけでございますけども、1970年代から足元まで、省エネ関係の設備投資の金額は約5兆円に達するものであり、我々はそのようなことをしながら、このような成果を上げてきているということを申し上げたいと思います。

それから、我々の省エネといいますか、温暖化対策につきましては、他の産業も同じでございますけれども、自主的な取組を主体として進めてきたわけでございます。自主行動計画とか、あるいは今の時点では低炭素社会実行計画の目標を設定し、その達成を図ってきたわけでございます。そういう観点から、今年2月に大きなステップがございました。このような自主行動計画そのものにつきまして、エネルギーマネジメントシステムの国際規格であるISO50001の認証を受けることができました。これは業界団体としては多分世界で最初の事例ではなかろうかと思います。これによって、この自主的な取組が国際的にも、あるいは国内的にも、透明性、信頼性、実効性のあるシステムであるということを訴えていきたいというふうに考えております。

それから、この省エネの分野におきましては、我々の言うエコプロセスが中心に議論されておりますけれども、産業界の立場から言いますと、自らも開発したその技術をいかに国際的に普及していくかと、そういうことを申し上げております。

また、その製品を通じて、いかに省エネに貢献するかと。これはエコプロダクトという概念でありますが、そういうことも実質的には大変大きなポテンシャルがあるわけでございまして、我々としては、このような幅広い多角的な貢献が十分に認識された議論が行われるべきだというふうに考えています。

最後に、お願いでございます。先ほど、各省の省エネに関する取組についてご説明がございました。率直に言いまして、大変驚いております。特に予算の使われ方であります。類似した政策対象に対して、類似した政策手段を複数の省庁で講じているということが少なからずございます。それぞれを一つ一つ見ていけば大変いいことかもしれませんけれども、申し上げたいのは、予算などというものはそれぞれの全体の政策体系の中で位置づけられ、また、それぞれの政策的知見、エクスパティーズ、それを踏まえた上で実施されることが、その効率性を図る観点から絶対的に必要だというふうに考えています。そのような観点から先ほどのお話を伺いますと、大変危惧すべき状況ではなかろうかと考えています。

鉄鋼業は、幅広い観点から政策の従事者であります。日本の経済に活力を持っていただくということが我々にとって最大の目標でございます。また一方で、大変大きな額の納税を行っております。そのような立場から申し上げると、このような状況につきましては、危惧を感じざるを得ない状況だと思っております。これについては、政府全体として、真摯な議論を行っていただきたいと考えています。

以上です。

浅野小委員長

どうもありがとうございました。

木村委員、崎田委員、佐藤委員の順番でお願いします。

木村委員

発言の機会、ありがとうございます。私のほうからは、産業界の基本的な考え方と要望を簡潔にお話ししたいと思います。

資源のない我が国にとって、省エネというのは引き続き非常に重要な政策課題であります。したがいまして、今後、産業界としては、経済合理性を勘案しながら、最大限の取組を行っていくという考え方は当然のことと思っております。その点、前回の会合で各業種から説明がありました、経団連の低炭素社会実行計画は、まさに各業種の省エネ戦略そのものと言えます。企業の中での省エネ努力ということだけではなく、高度な省エネ製品の開発と普及に一層力を入れることで、世界最高水準の省エネ社会の実現に積極的に貢献していくことが基本的な考え方であります。

しかしながら、先ほどから説明がありましたが、我が国の場合、オイルショック以降の官民一体となった取組の結果、特に産業部門の省エネは限界に近いのが実態だと認識しております。現在、省エネ小委員会の検討には産業界の代表もオブザーバーで参加しておりますので、適宜その場でも意見を申し上げておりますが、今後の産業部門の省エネ対策は、今日の資料にもあるとおり、費用対効果を十分に考慮しながら、いろんな産業の実態を十分に踏まえてご検討いただきますようお願いしたいと思います。

私のほうからは以上でございます。

浅野小委員長

どうもありがとうございました。

崎田委員、どうぞ。

崎田委員

私は、市民や地域社会、そして、普及啓発に携わるNGOなどの視点でここに参加をさせていただいております。その中で感じるのは、やはり今回のように将来の需給を考えるときには、エネルギー消費をいかに効率化するかということと、エネルギーそのもののCO2排出係数をいかに下げるか、その二つが明確な論点になっているわけです。特に今日、この資料は、エネルギー効率をいかに社会全体で効率化するかという視点で、いろいろな資料が出ていると認識しております。

家庭や事業者など民生部門ができるだけ取り組まなければならない課題は、ここのところ、ずっと言われてきていることですので、私も運営する環境学習センターなどで取り組んでおります。そこで、そのデータを申し上げますと、2011年の事故の直後、まず今ある家庭の設備のままで節電をしっかりやってほしいと呼びかけたところ、熱心な気持ちのある方100人のデータが集まり、家庭の電力消費が夏に一気に25%マイナスしました。でも、これを日本全体で推進し続けるというのは大変無理がある話です。やればそこまでできるけれども、今必要なのは、そういうことを誰でもが実行できるシステムをつくること。システムのようなものを地域社会に取り入れていく必要があるそういう時期に来ていると思っております。その点から言いますと、今日私は、資料5の国土交通省の分野における省エネ対策が大変力を持っていると思っております。

私自身、今日ご発表いただいた国交省の施策の中の地球温暖化対策の計画の策定に参加をさせていただいております。今日はとてもシンプルな資料ですけれども、この詳細に関して非常に丁寧な議論をした上で、こういう計画を作成しておりますので、その計画を今後きちんと実行する。そして、PDCAサイクルを回して実行するというのが大変重要だと思っております。資料5の5ページのところに、基本とすべき視点の丸三つの真ん中に「面的な広がりを視野に入れた環境保全施策の展開」と書いてあります。やはり都市のような地域で面的な広がりの視点からきちんと効果を上げていくというのが大事なわけです。国土交通省でも私はよく発言させていただいていますが、この後の資料にあるように、地域での先進的な地域での施策は、大変しっかりできてきています。それをいかに面的に広げるかというところが、今、大きな課題だというふうに思っております。

それを考えれば、国土交通省だけではなく、環境省が持っておられるさまざまな普及啓発のシステムとか、総務省や、警察など、いろいろな省庁の施策や制度を相乗効果で効果を上げていくというのが、大事だと思っております。特に住宅や運輸、交通流、こういうところはしっかりとみんなで取り組んでいくというところが大事だと思います。

今は、こういう部分できちんと取り組み、2020年以降の目標値の数字をみんなで検討していくベースにするわけです。2020年、東京オリンピック、パラリンピックに向けていろいろな準備が進んでおりますが、先日ロンドンでは、オリンピックをどのように社会で進めたかを視察してまいりました。

浅野小委員長

すみません、まだあと11人おられます。

崎田委員

それを見たとき、やはりオリンピックに向けて、国民、社会全体がしっかりと次の世代を考えて取り組む形をつくるということが大事だと感じております。

今、私が存じ上げている中では、水素をきちんと取り入れていく戦略がありますが、それだけではなく、例えば都市部道路には全部、自転車道を入れていくとか、ある程度明確に戦略を練っていくべきだと思います。

浅野小委員長

すみません、数秒たちました。

崎田委員

ありがとうございます。そういうようなことをやっていくのが大事だと思っております。よろしくお願いいたします。

佐藤委員

佐藤でございます。今、経済産業省と環境省と国土交通省の取組を伺いました。それぞれが努力をされていると思いますが、重複した取組があって、しかも、その取組の効果を確認して、その取組がうまく働いているかというPDCAのサイクルが希薄ではないかと感じました。例えば経済産業省と環境省は、省エネ機器の普及や、あるいは省エネ診断というのをやっているわけですが、その効果がどうなっているのか。それから、環境省では各家庭の診断をされるといいますけれども、5年、10年たつと、家族の人数が増えたり減ったり、あるいは転居したりということで、その診断の効果が数値として適切か、また継続的な数値として参考になるのかというのはなかなか検証が難しい。そういう中で、PDCAという観点で、各省庁が連携して効率的にお金を使っていく方法が、全体としてトータルで見えてこないということについて、私は危惧感を持っております。

今日、私は、意見をペーパーで出しておりますので、詳細についてはその意見をご覧いただきたいのですが、簡単に説明させていただきます。

浅野小委員長

参考資料の2ですね。21ページです。

佐藤委員

参考資料の21ページでございます。基本的には地方公共団体をもう少し活用した取組が必要ではないかと思います。各省庁が連携するためには、地方公共団体にどういうことにニーズがあって、それにどうやって支援ができるか。それから、家庭の問題についても、地方公共団体が中心となって、その地域をどういうふうに活性化するか。住宅、インフラ、こういうものも含めて、そのニーズを吸い上げて、地域の活性化と温暖化対策をウィン・ウィンの形で継続していくということが必要であると思います。

こうした一例として考えましたのは、エコアクション21という評価制度がございまして、排出量の計算、それから削減目標、そして、その削減目標達成の状態、そして、その改善策というものを回していくということを、環境省が定めたガイドラインに基づいて行っております。このエコアクション21は、自治体が取得をして、しかもその自治体の傘下のいろいろな事業活動、それから入札、こういうものを通じて、中小企業にそのPDCAを普及していくというシステムがございます。

23ページで、エコアクション21の自治体の取組について現状を確認してまいりました。残念ながら、ここ3年間で自治体の参加数が減っています。そして、この自治体イニシアチブというのは、自治体が中心となって、その中の中小企業にこの環境対策のPDCAを普及していくというプログラムでございますが、これも参加の自治体が減ってきているという現状でございます。

こういうことを考えますと、温暖化ガスの排出量を確実に計算して、毎年減らしていく。そして、その効果を数値化できるというシステムを、自治体が中心となって、その自治体自身の活動、それから中小企業を巻き込んだ対策を進めるということが、私は有効ではないかと思います。そういう意味でも、各省庁との連携、それから自治体をどうやって巻き込んでいくかということについて、もう少し努力をいただけないかというのが私の要望でございます。

浅野小委員長

どうもありがとうございました。竹内委員、どうぞ。

竹内委員

私も、今、皆さん何人かがご指摘されたように、省庁間の取組の重複と、費用対効果の高い取組をするためのPDCAサイクルの必要性、これをご指摘申し上げたいと思います。

11月7日の財政制度等審議会の分科会でも、再エネ施策の重複、あるいは総花的であるというようなことが指摘されたと聞いております。省庁のすみ分けの根本原則について、改めて整理をしていただきたいというのが一つでございます。

しかし、それは申し上げたいことの前段でしかありません。狭い分野でもあり、完全にすみ分ける、あるいは切り分けようとしても、これはもう無理であり、どうしても逆に無駄が生じるのであろうと思います。逆に省庁間の連携を強めることによって、重複を避け、無駄を避けるということのほうが有効かと思います。

省庁が連携をお願いする理由として2つ申し上げたいと思います。1つ目は、省庁間のピアレビューが働くといいますか、温暖化対策、特に産業以外の分野で弱いこのPDCAのチェック機能、これがよくワークするのではないかと考えるためです。国民の税金を使うからには、やはり費用対効果の視点を強めていただきたいという観点です。

もう一つの理由は、温暖化対策という観点からだけ考えられた施策というのは、国民の税金の使途としてかえって無駄や非効率が生じると考えるということでございます。CO2の排出というのは、エネルギーの使用に伴うものでございます。エネルギーの使用というのは生活の中にある。それだけに、生活インフラを強靭化するという観点から、実際に国民生活をご覧になっている国交省さんや警察、各産業の技術を把握している経産省と環境省とが連携して、横断的な観点から施策を判断し、評価をしていただきたい。それで、だめな施策、費用対効果の低い施策については廃止をしていく、見直しをしていくといった、企業活動においては当たり前に行われているPDCAプロセスを組み込んでいただきたいと思います。

以上です。

浅野小委員長

ありがとうございました。

それでは、工藤さん、中上委員、高橋委員の順番でお願いいたします。

豊田委員(工藤代理)

豊田は所用で欠席のため、代理で発言させていただきます。事前に参考資料2の27・28ページにコメントをご提出しておりますので、それに基づいて簡単にご説明いたします。

本日の、特に省エネルギーで、家庭部門に関する取組についてご説明がありましたが、先ほど中上委員からもご指摘があったとおり、実態をデータ等に基づいていろいろ把握して、今後考えていくことが重要だと認識しております。

そういった中で、28ページに、家庭部門のこれまでの動向を、マクロ的な視点に基づいて分析した事例に基づきまして、弊所もさらに要因を加えて分析したものをお示ししています。実際の家庭部門は、先ほどもご説明があったとおり、エネルギーの原単位そのものは2000年以降、低減傾向にあるというのは認められるんですけれども、今回分析した内容では、世帯人員の減少が効いているとみております。そうすると、家庭での省エネポテンシャル、暖房機器等の普及なり、高効率機器の普及なり等のポテンシャルが結構あるのではないかなということが、定量的に評価されました。

ただ、マクロ指標の分析ですので、もっと詳細な分析が必要ではありますけれども、弊所で行った省エネのポテンシャル分析においては、下の図にもあるとおり、さまざまな高効率機器によるポテンシャルが認められます。そのため、そういった高効率機器の導入支援等の働きかけが、引き続き重要ではないかと考えている次第でございます。

1点、先ほど秋元委員からご指摘のあったIPCCのところにも若干、前回の会合の追加メモということで、下のほうに書かせていただいています。気候感度の分析は非常に重要で、今後、この先を占う上では大切なことだと認識しております。

ただ、日本の現状を考えていきますと、そういった目標水準が緩和されたとしても、まだまだ日本として取り組まなければいけない大変厳しい状況にあることは認識しなければいけないということだけ追記させていただいております。

以上でございます。

浅野小委員長

ありがとうございました。中上委員、どうぞ。

中上委員

今、工藤さんのほうからご説明のあった件にちょっと触れますと、要因分析が非常に明解に出ているようでございますけれども、あくまでマクロでございまして、もっと詳細なデータがないと、こういう話は定量化できないだろうと私は思っています。

私どもも同じようなことを昨晩、急遽処理をやれと申しまして、夜遅くまで残ってやったら、世帯人数は22%減っているけれども、我々の推計では電力消費は10%の伸びぐらいだということですから、22%だと、ほとんどエネ研の場合のそれに近いぐらいの数値が減っているんですけど、違うと。中身をよく見ていきますと、世帯人数が減っているのは高齢者なんですね。高齢者の場合と若年の単身者は全然ビヘイビアが違いますから、そういう意味でいくと、もう少し精査しないと、なかなか具体的にはつながらないだろうと思います。

それでも、そういう要因分析をざっとやってみましても、やはりかなり省エネ対策の効果は出ているというような結論になっていますので、やはり粛々と省エネは、いろいろな施策は進めていくべきだと考えています。

それから、国民運動についてですけれども、このところ、サマータイムなんかはもうほとんど言わなくなりましたけれども、以前はサマータイムというと非常に大きなイシューだったように思いますけれども、国民生活に大きな影響を与えるような施策としては、例えばそういう政策もあるんではなかろうかと思いますけれども、その後それがどうなっているのか。

それから、消費者行動とエネルギーということにつきましては、明解に先ほどの国土交通省の資料5に、人や企業の行動変容、参画・協働を推進すべきだということで、まさにここまでブレークダウンして、落とし込んで対応しないと、幾らいい技術を出しても使ってくれなければ意味がないわけでありますから、そういう点についてはもっともっと深掘りが必要ではないかと思います。

もう1点、今日は出てこなかったんですが、せっかく今日は国土交通省さんがいらっしゃいますので、ストックの改善、よく住宅の省エネ改修をやれといいますが、私は省エネ改修だけではとてもペイしないので無理だと申し上げてきましたけれども、改修というよりは、既存の例えば集合住宅、膨大な空き家につながってくる可能性がございますので、そういったものを単なる改修というような小手先ではなくて、再生していくというもっと大きな視点、観点からも取組をやって、その中に同時に徹底した省エネ技術を導入すると。

多分、特に公営住宅とか、それから官舎とか、非常に古い設備のままお使いになっているものもあると思います。今日はこの中にそういうところにお住まいの方もいらっしゃるかもしれませんけど、バランス釜なんていうのは、当時は非常に画期的な設備だったんですけれども、今どきバランス釜を使っていると、風呂に入っている間中、たいていなくても外から冷やしていることになるわけでありまして、そういった設備改修も含めてやれば、まだまだいろいろと深掘りできると。

さらに、民間ではなかなか、集合住宅のストック改善というのはできないんですね。だから、ぜひ官がイニシアチブをとって、モデル的にやって、そういったノウハウを民間に移転していくと、そういう大きな流れの中でやっていただければと思います。

それから、あとちょっとお伺いしたいんですけれども、今度のCOP21に向けて、私、ここでもちょっとお伺いしたんですが、EUはまたEUバブルという戦略で来るんでしょうか。そういう戦略が来たときに、我々はアジアの一員として、アジアが一体となって同じような政策がとれないかということを前から申し上げておりますが、ほかの国の動きも見ながら我々の立ち位置を決めていかないと、全体の効果としてはむしろアジアバブルで組んだほうがよっぽど大きな効果があると思いますので、ぜひその辺を教えていただければと。

どうもありがとうございました。

浅野小委員長

どうもありがとうございました。

私が司会をしているので、中環審側の委員の時間が無くなってしまうんですが、しようがないですね。1人1分でご発言ください。

高橋委員とうぞ。

高橋委員

連合の高橋です。まず、エネ庁の資料3には、民生部門の省エネルギー対策として、32ページに新築住宅に関する記載があります。新築住宅における省エネ判断基準適合率の推移が、まだまだ不十分であると思います。

ただし、住宅を新築することは、本当に一大決心の中でやるわけです。住宅の寿命が長いため、この施策のみで大幅な改善というのは非常に難しいと思います。

施策として、新築の対策の実施がしやすいことは理解できますが、もっと既築の住宅への省エネを一層促進する効果、対策の充実が必要だと思います。

その点に関して、国交省の資料5の12ページに、、既存住宅の長期優良住宅化が記載されていますが、これがどの程度の規模の事業か教えていただきたいことが一つ目です。

二つ目は、省エネの費用対効果について、エネ庁の資料の51ページですが、どの程度の補助金によってどの程度の効果が出たのか数値目標あるいは民生ということで補助金、技術開発等への期待が非常に高まり、効果があるというようなところですが、この費用対効果の分析について、教えていただきたいです。

三つ目は、環境省の省エネ対策の資料4の20ページに、高効率・高品質の窒化ガリウムデバイスの開発・実証とあります。これも、先ほど何人かの委員の方が言われたことにも関わりますが、重複感があるということで、ほかの省庁との連携、とりわけ技術開発等々が必要だと思いまので、経産省との連携等々について、どのような改善があるかお考えを教えていただきたい。

以上です。

浅野小委員長

安井委員、どうぞ。

安井委員

なるべく急ぎます。

申し上げたいことは、今のようなこういった議論をしていても、例えば2030年までのことを考えると、やっぱり何か論点が足らないなという話をさせていただきたいと思います。

それは、省エネ技術というものが持つ特性が一つございまして、例えば最初に100というエネルギーを使ったら、半分にする、50まで減ると確かに50減るんですが、それをぼんぼんとやってしまうと、最後はもうこれだけ努力して半分にしても6しか減らないとか、5しか減らないとか、そんなことになってしまうんです。ということは、省エネ技術には寿命があるということなんですね。

例えば、自動車もハイブリッドができたときにはがんと減ったけれども、これから先何をやらなければいけないかというと、もうかなり厳しいんですよ。そうなりますと、かなり長期的にターゲットを決めて、要するにどういう技術開発ポリシーを持つか、これが非常に重要だということを指摘したいと思います。

現時点で我々が持っている、将来に多少使えそうなのは、ハイブリッドに使えるかもしれませんけれども、SiCというのは今あって、でも大した技術ではないというか、省エネのパーセントからいうと。それから、高温ヒートポンプの産業利用、これはいけるかもしれないけれども、そのぐらいしかネタがないんですよ。それで、2030年まで、本当にどういうネタをつくるのかというポリシーを、しっかりと考えていかなければいけないかなと思っております。

そのためにもう一つお願いしたいのは、やはり技術開発の利用と規制緩和という、この関係なんですね。規制緩和のどこをどういうふうにやったらばそういう技術が入ってくるのかというスコープも持ちたいということでございます。

どういう方向性かなとざっくり考えてみると、やはり今までは何かどんとやるんですけど、これから先は各サイト、例えば事業所、あるいは家庭において省エネじゃなくて獲エネ、要するにエネルギーを獲ること、そこで。今は確かにFITや何かはあるんですけれども、メガソーラーじゃなくて、今もありますけれども、例えば、今は家庭における太陽熱利用なんてFITに入っていないんですよ。こういうものを入れるのは非常に難しいと思うけれども、そういうことをやっていかないと、多分だめなのかなと。

2番目のポイントはやはり、さっきのアジアの話ともかぶるんですけれども、JCMに適したような技術開発、アクロプレイステクノロジーなのかもしれませんが、そういったもののスコーピングをしっかりとやっていただくというポリシーが必要だと思います。

以上です。

浅野小委員長

ありがとうございました。村上委員、どうぞ。

村上委員

1分を目標に。民生に関していろいろ、かなり増えているというお叱りをいただいているわけでございますが、なぜ増えたかというと、やはり生活水準とか環境水準に対する要求が非常にこれまで強かったということでございまして、繰り返しますけれども、特に無駄が増えているということは、普段はあるんですけれども、特に無駄が多かったというわけではないと思っておりまして、これは先進国同士で原単位ですね、例えば床面積当たりとか家庭単位とかでいくと、やはり日本は最も低い水準でございまして。

とはいえ、これは減らさなきゃいけないと。大体もう増加傾向には歯止めをしましたから、それをいかに減らすかということで、そのためには、ある種の価値観の転換と。例えば、我々が生活習慣病を減らすためにはスリム化が必要だという、ライフスタイルの転換が必要でございまして、そのときに例えば外出と健康を絡めるとかいうコベネフィットの考え方の活用が重要ではないかと思っております。

それから、もう一つは、中上委員が政策デザインのためにはデータベースが必要だというのは、そのとおりでございます。一つは、業務用のエネルギーに関しましては、私どもは6~7年前からDECCという、Database for Energy Consumption of Commercial buildingをつくって、これは国交省の仕事で、経産省、環境省もご参加いただいているんですが、かなり立派なのができてまいりまして、国際的にも評価されております。ぜひ、こういったものをご利用いただいて、政策デザインにご活用いただければありがたいと思います。

以上でございます。

浅野小委員長

ありがとうございました。藤野委員、どうぞ。

藤野委員

三つありまして、まず一つは、参考資料のほうで、この前の第2回で議論があった産業部門に関することで、また改めて追加で質問事項を挙げさせていただいていますので、お答えいただけたらと思います。または、必要に応じて私どもも出張ってお話を聞かせていただけたらと思います。

もう一つ、2番目は資料4の5ページ目、6ページ目でして、エネルギー消費原単位で見ますと、家庭部門は結構成績がいいわけです、下がっているわけですね。ただ、電力のCO2原単位が悪化していて、CO2排出量が増えているかもしれませんけれども、やはりそういった努力がどういったものでなされたかというところの分析、または、今後、先ほど高齢者と若年層でそれぞれ、いろいろな場合分けして考えないといけないという話がありましたけれども、そこら辺をさらに深掘りしていただいて、どこまで削減が進むかという検討をさらに進めていただけたらと思います。

6ページ目のところは、よく「乾いた雑巾」とも言われますが、湿った雑巾もあるかもしれませんし、中小企業、業務部門、エネルギー業種の主要四業種は頑張っていらっしゃいますけれども、そこでもまだ湿ったところもあるかもしれませんので、場合分けして、個別にさらに深掘り、検討を省エネルギー委員会、中上さんの宿題を増やしてしまったら申し訳ないですけれども、ご検討いただけたらと。

最後に三つ目で、秋元さんからのご指摘で、気候感度の話が出ましたが、弊所の江守室長がWG1の気候感度を扱っている章のリードオーサーをしておりまして、彼とも議論を深めたところ、気候感度が低目のことを示しているところもありますが、WG1の報告書の821ページ目のところには、「過去の温度の状況とよく合うモデルを取り出して精査してみると、そこが示す気候感度というのは3℃~4℃の間に集まっているものが多い」というようなご指摘があったりとか。

または、IPCCの後の報告でも、2014年の論文で、NASAの傘下の研究機関にいるSu博士が示している論文によると、衛星観測によるデータ等も使ってやっている分析を勘案すると、平均の温度よりも高い気候感度を扱っているモデルのほうが結果がよくフィットするというような結果も示されていますので、そこら辺は冷静に勘案して、高い低いというのもありますけれども、やっぱりリスクの判断ですから、その中で我々研究者は冷静に、こういう場合もある、こういう場合もある、この場合はこうなるということを示すのが我々の役目であって、どこかに決め打ちして計算するよりかは、場合分けをしてそれぞれ計算するのが我々の態度なのかなと。

ちなみに、あと、世界の平均気温は今年、最高気温を示すそうなので、そこら辺も勘案したほうがいいかなと。

ちょっと長くなってすみません。

浅野小委員長

ありがとうございました。大聖委員、どうぞ。

大聖委員

運輸部門に関する点で申し上げたいと思います。先ほど来、交通流の円滑化ということが非常に強調されておりますけれども、私もこれを推進する上で、省庁間の垣根を越えて、共通の課題として取り組んでいただきたいと。これは、事故の防止にもつながりますし、それから快適性、利便性、それから渋滞によって失われる労働の時間的な価値の喪失というのは、物すごく莫大なものがあります。

その中心的な技術としては、ITSの活用というのが非常に重要だと思っておりまして、それによって燃費も改善しますし、局所的な汚染の改善、こういったものにもつながります。さらには、このような取組が新興国への技術輸出、政策的な提案ということで貢献がなし得ると思っておりますので、ぜひその辺の省庁の枠を超えた取組をお願いしたいと思います。

以上です。

浅野小委員長

どうもありがとうございました。

末吉委員、どうぞ。

末吉委員

1点、意見を申し上げます。省エネの位置づけについてであります。

いろいろご説明を受けたんですけれども、何をやるかの手段の話はいっぱい出てくるんですけれども、それを全部まとめたときに、日本全体が省エネでどこに行こうとしているのか、どこに達しようとするのかが、私は不勉強ですけれども、見えません。

もっと、日本全体が省エネを通じてどういう経済や社会のあり方を目指すのか、あるいはどういう覚悟でいくのかが、もっと前面に出る必要があると思います。

それで、なぜそう申し上げるのかというと、例えば、ゼロエミッションをうたっているカリフォルニア州は、ご存じのとおり2000年の電力危機を受けて、2003年からエネルギーアクションプランというのを出しております。彼らによると、エネルギー需要の増大に応える手段の順番が決められているんですよね。ローディングオーダーと呼んでおりますけれども、その1番にエナジー・エフィシエンシーがあります。他の手段を差し置いて、エネルギー効率を1番に持ってきております。

あるいは、これは日本もメンバー国ですけれども、IEAですね、世界エネルギー機関。彼らが、2012年のエナジー・アウトルック以降、エナジー・エフィシエンシーを非常に高い位置づけで言い始めております。彼らの言葉をかりれば、エナジー・エフィシエンシーこそ、世界のファースト・フューエル、第1の燃料源なんだと。だから、単なる節約する省エネじゃなくて、エナジー・エフィシエンシーは新しいエネルギー源をつくることなんだと、こういう位置づけをしております。

あるいは、Energy Efficiency Market Reportが出した数字によりますと、2年前の2012年の世界におけるエナジー・エフィシエンシーへの新規投資は、全体で310ビリオン~360ビリオンUSドルだそうです。ざっと言っても40兆円なんですよね。ですから、単年度だけでもこれだけのお金が入ってくるわけです。

としますと、日本がこれから21世紀に向けて省エネルギーの分野で世界とどう伍していくのかということを考えますと、やはり大きな目標感、社会や経済の中における省エネの位置づけをもっともっとはっきりと位置づける必要があるのではないでしょうか。

個別の案件でやればやるほど、ザ・モア・ザ・ベターではなくて、どこに戦略的に目標を置くのか、これが私は非常に重要だと思います。これは非常にいい機会ですから、この会議でしっかり議論をしていただければと思います。

以上です。

浅野小委員長

ありがとうございました。大塚委員、どうぞ。

大塚委員

簡潔に3点ですが。第1点ですけれども、中上委員がおっしゃったこととも関係しますが、既存住宅の4割が無断熱住宅だというところがございますので、そういう既存の無断熱住宅の建て替えとか、あるいは信号機のLED化とか、そういうところについてはインフラ関連の支援をぜひ進めていただきたいと思いますが、2030年を目標に、その支援をぜひ、先ほどからご議論があったように、省庁連携で進めていただければありがたいと思います。これは、国交省さんに対する意見でございます。

それから、第2点ですけれども、今日の案件にあまり出てこない話で、他省庁の関係の話で恐縮ですが、自動車関連税のグリーン化というのが、運輸部門の業者のCO2の排出低減に非常に大きく貢献したことはご案内のことだと思いますけれども、自動車税のグリーン化特例が平成25年度の末で終わっていると思いますし、今回の消費税が少し、10%になるのが延長される関係で、自動車税の中の環境性能割の導入が遅れることになると思いますので、それがどういう効果をもたらすかという結構大きな問題があると思いますので、そこはちょっとぜひ分析をして教えていただきたいところでございます。

それから、第3点ですけれども、次世代自動車戦略2010が出ていて、これは大変結構だと思いますけれども、バイオ燃料によるE10対応自動車のようなことに関して、どういう位置づけがなされているかということを、この次世代自動車の話に直接結びつくわけではないかもしれませんけれども、ちょっと忘れられているような感じもしますし、それほど大きな位置づけを示すべきでないということでしたら、それはそれで結構なんですけれども、教えていただければと思います。

以上です。

浅野小委員長

ありがとうございました。

いろいろとコメント、ご意見をいただいてありがとうございます。ご質問もあるのですが、残念ながら予定の時間を既に20分以上オーバーしていますので、各省からのお答えは、次のテーマについてのご説明を伺って、委員の皆様からご意見を伺ったのち、最後にまとめてお願いするということにいたします。

それでは、議題2に関して、環境省から説明いただきます。

地球温暖化対策課長

資料6をご覧いただきたいと思います。温暖化防止のための国民運動の内容でございます。

1ページ目をあけていただきまして、現状でありますが、先ほども出てまいりましたが、業務・家庭部門の増加、こちらが大きくなっておるというものでございます。

また、2ページ目でありますが、国全体の排出量の約4割を占めるということで、削減を大きくしていくに当たりましては、この分野は重要な分野の一つであるということであります。

3ページ目でありますが、先ほどのご議論にもありましたとおり、まずデータをきちんと押さえて対策を考える必要があるということでありますので、特に家庭分野のデータが少なかったということから、実態調査を今、行っているところでございます。

こちらにつきましては、最終的には全国の値にしたいと思っておりますけれども、それに先立ちまして、関東、北海道を対象といたしまして、どのような調査がいいのかということを試験的に行っている結果でございます。こちらは、平成24年から1年間ということで、約3,000のデータをとり、CO2の排出量を把握したものでございます。

その結果を、簡単に4ページ目にまとめておりますけれども、まず、どのようなエネルギー種からCO2が発生しているのかということでありますが、当然、関東と北海道では発生量が違いますけれども、全体としては約半分近いところが電力由来ということでございます。

また、どのような活動から出てくるのかというのが5ページ目でございまして、大まかな傾向といたしましては、黄色の照明家電というところが約3割~4割程度。あと、北海道につきましては暖房が多いというものでございます。

あと、下の細かな部分につきましては、26項目の省エネ行動を行っている、行っていないということもあわせて聞きまして、その行動の実施率に基づきまして分類したものでございます。20%以下の実施のものと、80%以上のもののCO2の排出量を見ますと、約3割の差が出ているということから、省エネ行動を広く普及することの重要性がわかってきたというものでございます。

それらを踏まえまして、6ページ目、家庭・業務に対する国民運動ということで、今年の初めからFun to Shareということで呼びかけを始めておりますが、こちらにつきましては、経済界、地方自治体、労働界、マスコミ、NPOなどなど、幅広い方々との連携をしながら進めていくというものでございます。

具体的には、7ページ目でございますけれども、今年の3月にキックオフをしまして、各団体の幹部の方にご出席いただきつつキックオフを行ったところでございます。現在、賛同の企業・団体としては3,000を超えてきているというもので、これをさらに大きく推し進めたいと思っております。

具体的なキックオフに参加いただいた方々が8ページ目に書いてありますし、また宣言をそれぞれしていただいているということで、具体的な内容を伴った活動になっておるというものでございます。

具体的な行動の呼びかけにつきましては、9ページ目でございますけれども、冷暖房の呼びかけから始まりまして、左のところにありますが、ECO DRIVER PROJECTということで、エコドライブの提案を進めているということ。

あと、右側になりますけれども、サマータイムというのは、札幌市などでモデル事業を行っておりますが、具体的な企業の取組としては、朝早く始業するということで、「朝チャレ!」というのを行いながら、それを促進しているということ。また、省エネ製品に買い替えていただく際の選択の助けとして、「しんきゅうさん」ということで、計算プログラムなども示しているというものでございます。

また、地方公共団体との連携が非常に重要だということから、10ページ目でありますけれども、全国に温暖化防止活動推進センターを置きつつ、都道府県、中核市などの地方センターが55ありますし、また、地方の活動をサポートするということで、温暖化防止活動推進員が7,000名活動しているという状況でございます。

具体的な内容でございますが、12ページ目に例がありますが、COOL BIZなどの呼びかけをしているということで、具体的なこの活動のPDCAとしては、13ページ目でございますけれども、調査を年3回行っておりまして、認知度から実施率などを把握しつつ、これが引き上がるようにということで、さまざまな工夫をしているというものであります。

あと、14ページ目でございますけれども、これらの取組が元に戻らないかどうかということで、震災後でいきますと、節電の定着分というのは、それぞれの電力管内で差はありますけれども、定着していることを示すデータがございます。

15ページ目でありますが、ECO DRIVER PROJECTということで、11月がエコドライブ推進月間ということでありましたので、大きく呼びかけるための活動をやっております。賛同団体として、26団体にご参加いただきつつ、各省庁と連携しながら呼びかけをしたところでございます。

これらの取組の進捗状況につきましては、京都議定書目標達成計画の進捗の中におきましてPDCAを回しつつ、例えばCOOL BIZであれば実施率が16ページ目に書いてありますが、毎年度点検をしつつ、これが実際にどれぐらいの削減につながったかということで、17ページ目、かなり難しい推計ではありますけれども、チャレンジをしてみたということで、削減量にもつなぐということで、各種分野につきましては、省エネ機器の買い替えの促進などにつきましても台数、あとこの辺の効果というものを計算し、お示ししつつ、内容のブラッシュアップに努めたというものでございます。

以上でございます。

浅野小委員長

ありがとうございました。それでは、またご発言をご希望の方が多数いらっしゃるかと思いますが、時間が限られておりますので、できましたらご発言を合計15分ぐらいで終えたいと思います。

それでは、大塚委員から順番にお願いいたします。大塚委員、それから末吉委員、大聖委員の順ですね。

大塚委員

簡単に。一番最後の22ページのところで、温室効果の数字が出ていて大変結構だと思いますけれども、国民運動の実施のところで、ほかにもさっきおっしゃったエコドライブとか、あとカーボンオフセットとかもあると思いますけれども、そういうものの数字も、きっと難しいと思いますけれども、ぜひ追加していただけるとよろしいかと思います。

以上です。

末吉委員

2点あります。一つは、省エネの定義なんですけれども、資源エネルギー庁の資料には、全くCO2とか温暖化対策って出てきていないんですよね。と、私の目にはそう見えるんですけれども、ほかの資料とかは皆さん、CO2、温暖化対策と絡めて省エネをおっしゃっています。ここのところはもうちょっと、減らすべきジュールと、CO2も減らすんだという、その一体化の統一感をもっと出していただきたい。

それから、二つ目は、省エネを支える社会システムをもっと考えるべきだと。私は金融がバックグラウンドですから、省エネのさまざまな取組を金融でどう支援するのかとか、金融がどういう制度に変わらなければいけないのかをもっと議論すべきだろうと思います。

例えば、断熱効果アップの住宅ローンに、追加的な融資ができるのかとか、中古住宅の販売のマーケットをどうやってつくっていくのか、そういったことでの金融。あるいは、政策投資銀行が10月にグリーンボンドを出しました。この資金等は全てグリーンなビルへの融資にすると、こういう具合の新しい金融手法も生まれているので、ぜひ金融インフラを省エネのためにどう変えるべきか、そういった議論もぜひ進めていただければと思います。

以上です。

浅野小委員長

ありがとうございます。大聖委員。

大聖委員

国民運動の大きな課題として、エコドライブをちょっと挙げてお話ししたいと思うんですけれども、エコドライブというのは実は、運転マナーのABCなんですよね。それで、エコドライブをやると事故が減るということが定量的にも証明されておりまして、ライフスタイルに関連する非常に重要な課題ではないかなと。これは、環境省だけではなくて、警察も関わりますし、やはり省庁横断的な課題としても推進していただければと思うんですけれども。結果的に、これが健全なモビリティ社会を形成する一つの大きなモチベーションになるんじゃないのかなということであります。

それで、COOL BIZが盛んなんですけれども、これぐらいの認知度を上げていただくような運動をぜひお願いしたいと思いますが、今のところ事業者はかなりエコドライブは経営上、燃費の節減というのは大きな課題ですので推進しているわけですけれども、一般ドライバーが課題なんですね。これは、いろいろな工夫があると思いますので、推進をご一緒にやってまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

浅野小委員長

藤野委員、どうぞ。

藤野委員

資料の、例えば13ページ目を見ますと、COOL BIZに関する国民の意識というところで、認知率が、もう大分定着したんですけれども、多分、この認知率を見ますと、2009年以降、一回下がっているんですね。これは、多分キャンペーンを一回ちょっとやめて、その後震災が起こって、再びCOOL BIZが高まるみたいな感じがあるんですけれども、ここら辺の継続的な取組というのをぜひ進めていただきたいというのが1点目です。

もう一つは、資料の10ページ目で、地球温暖化防止活動推進センターの取組が書かれていますけれども、やはりここが一番現場に近いところに位置するところで、非常に重要なところで、ちょっと残念ながら一回、予算が大分減ってしまって活動が停滞した時期がありますが、今は再び非常に活発な活動が行われているんですけれども。

この活動の意義、CO2削減につながるところはとても大事ですけれども、あと、地域のきずなが強まるとか、コミュニティが高まる、つまり、レジリエントなまちづくりに非常に関わるところがあるんですけれども、この部分の評価というのは、研究分野のほうはまだなかなか進んでいないところで、今、中上さんのところでBehavioron Energy and Climate Changeの日本版みたいなことを進められていますけれども、まさにここの分野は科学の分野が進めるところでもあるというところで、ぜひここの機能を強化するような形でご支援できたらと思います。

以上です。

浅野小委員長

ありがとうございます。私も福岡県のセンターの運営委員長ですので本当に同感で、環境省はもうちょっとそれに金をつけろと言いたいんですけれども。

村上委員、どうぞ。

村上委員

国民運動は、私、この会議でも前に提言したことがございまして、大変賛成でございます。ただ、国民運動で何をやるかというと、これは社会システム、社会全体を変革させることでございまして、社会というのはご存じのように非常に手足が大きくて、しかも保守的であると。

ですから、今日のいろいろな政策の提言は大変結構でございますが、その背景にやっぱり理念が必要だろうと。その理念というのは、やっぱり価値観の転換と。どういう価値観の転換かというと、先ほども申し上げましたけれども、大量消費文明からもっとスリムな文明への転換と。そういう大きな理念のもとに進めるべきだろうと思います。その下に、いろいろ具体的な技術的施策や課題が出てくると。

ということで、じゃあどうやってその社会システムの転換を戦略的に進めるか、組織的に進めるかということで、トランジション・マネジメントという学問分野がございまして、今、藤野君なんかと一緒に、環境未来都市のプログラムで、内閣官房にそういう勉強会をつくって、どうやって社会のトランジションをマネジメントするかというようなことを進めております。

国民運動の中で、どうやって社会を変えるかと。今、藤野委員もおっしゃったけれども、そういうことも一緒にやっていただければありがたいと思います。

以上でございます。

浅野小委員長

安井委員、どうぞ。

安井委員

国民運動でございますけれども、これまで国民を巻き込んだ形で行われた日本の環境行政の中で、多分すごくうまくいったのがやっぱり3Rかなと思うんですね。この3Rというのは一体何で動いたのかなというのは、これはもう少し解析をしていただきたいんですけれども、一つはやっぱり最終処分場がなくなるよという、本当に身近なところでの危機感みたいなものが、やはり国民に伝わったからじゃないかという気がするんですよね。

それに比べると、やっぱり今回の問題は、国民に何かをやってもらっても、自分の行動がどういうふうに貢献できているかというところのイメージをつかみにくい。だから、要はここに尽きるんじゃないですか。だから、いかに、どれだけやればどれだけ貢献できるか、例えば異常気象云々を、どういうふうに伝えるかじゃないかと私は思います。

以上です。

浅野小委員長

高橋委員、どうぞ。

高橋委員

Fun to Shareの取組は、連合は労働団体として、協力させていただいております。連合としても節電・省エネを非常に重要視しており、組合員のみならず、社会に呼びかけてきました。COOL BIZ、WARM BIZは、現場でも非常に浸透してきたのかなと思っております。今、安井委員がご発言されましたが、自分たちの運動がどれだけ地球温暖化に貢献しているのかを可視化することなどを含め、啓発活動が非常に重要ではないかなと思っております。

また、Fun to Shareの取組の英語版のホームページなどで取り組みを海外に向けて発信するということも必要ではないでしょうか。私たちが進めている節電・省エネのメニューの中では、海外でもすぐに実践できるものもあるかと思いますので、世界規模の取組にぜひ情報発信をしていくということをぜひお願いしたいと思います。

以上でございます。

浅野小委員長

中上委員、どうぞ。

中上委員

安井委員もおっしゃいましたけれども、結果をフィードバックして、国民に戻してあげるということをしないと、自分がやった努力がどういうふうにこういう問題に対して寄与したのかというのが見えないわけですね。そういう意味では、上から目線ではなく、下からの人たちに伝わるような仕掛けを考えてやっていくべきだろうと思います。

それと、もう一つはさっきのサマータイムですけれども、オリンピックもあることですし、真夏の暑いときのマラソンランナーなど心配ですから、少なくとも早朝にスタートしてもらえば多少ましになると思いますので、タイミングとしてはサマータイムをやるのにいいきっかけじゃないかと思いますので、ぜひもう一回考えていただきたいと。

批判にさらされることには慣れておりますので、いつでも弁護に入りますから、よろしくお願いします。

浅野小委員長

工藤さん、どうぞ。

豊田委員(工藤代理)

コメント中にも記しましたとおり、特に国民運動というのは広がりを考えるのが非常に重要なことだと認識しております。ただ、実際にいろいろな情報提供等々が行われるということではございますけれども、やはり2030年に向けて目標なり、野心的な、もしくは現実的な目標をしっかり立てて、そのPDCAを回すような、そしてその際には自治体なりが関係する、もしくは省庁間の連携を深めるような工夫をしながら、効果的なものを検討していくということが大事であると思っております。

以上です。

浅野小委員長

竹内委員、どうぞ。

竹内委員

国民運動については、産業界の自主行動計画、これを参考にして取り組んでいただきたいと思っております。明日からCOP20に行ってまいりますけれども、国連交渉もプレッジ・アンド・レビュー方式となって、自主行動計画というのはその新たな枠組みのモデルになり得るものだと考えております。トップダウン・アプローチによりキャップ・アンド・トレード方式を採用したEUは経済不況により莫大な余剰排出権が出てしまい、低炭素投資を促進することには失敗しましたが、自主行動計画は期中に29業種が延べ41回、自主的に目標を引き上げています。こうしたモデルを日本が世界に広めていこうとしている中で、足元の日本の中に広められていないというのでは、やはりお話にならないと思います。その中でも重要なのは、チェック機能です。イベントへの参加者の数や認知率などではなく、できるだけ、どれだけの削減ができたのかということを定量的に評価することが必要であろうと思います。

評価手法については、自主行動計画でも、産業界はさまざまに悩みながら手法をつくり上げてきた、大変大きな課題です。先ほど高村委員や藤野委員から、前回の産業界の削減目標等にご質問のペーパーが出されておりましたけれども、国民運動のチェックも同様に、こうした緻密さと熱心さのある目をもって行われなければならないと考えております。

以上です。

浅野小委員長

佐藤委員、どうぞ。

佐藤委員

10ページの資料でございますが、先ほどの意見にもございましたけれども、地球温暖化防止活動推進センター、これが有効に機能しているかということについて、もう少しやはり検証していただきたいと思います。

自治体間での情報共有、つまり上からの情報提供とか、支援というだけではなくて、自治体間の協調した動き、それから省庁の枠を超えた活動が、こういう環境省を中心とした中での活動に生かされ、PDCAが回るというような仕組みを期待したいと思います。

特に、自治体というのは、相互間の情報共有、それからまた競争原理というのも非常に重要だと思いますので、そういう観点からの自治体と行政との対話、それから緊張感のある目標の達成というものをお願いしたいと思います。

以上です。

浅野小委員長

崎田委員、どうぞ。

崎田委員

国民運動というのは大変重要で、皆がその気になっていくのには重要な過程だと思います。しかし、今回のFun to Shareに、目標になる数字が入っていないというのは、今一つ深刻になっていかないのではないかと思うので、例えば今なら、Fun to Share-3.8というのでしょうか。やはりみんなで目標を持って取り組んでいくという真剣さは必要だと思っております。

もう1点だけ。自治体が地域計画に温暖化防止対策を落とし込んでいくことに対して、温暖化防止活動推進センターなどが本気になって取り組むなど自治体をその気にするということが大事だと思っております。なお、10ページに公民運動のトップが環境大臣とありますが、やはり総理大臣がノーベル賞を受賞された科学者の方々と一緒にLEDをみんなで進めていこうという、そのくらいの強さで社会に伝えていくということが大事だと思います。また、環境学習センターですらLEDに替えたいと言っても、あれは値段が高いからだめだと言われてしまうのが、自治体の現状です。そうではなくて、やはり環境学習センターや自治体の施設ぐらいは、しっかりと国民に広げるべききちんとした省エネルギー機器を入れていく。その程度の費用はきちんと予算化するなど国に支援してもらえるように促すところから整備していくというのがすごく大事なのではないかなと思っています。

浅野小委員長

ありがとうございました。木村委員、どうぞ。

木村委員

今後の国民運動の進め方について、一つ提案したいと思います。お手元の参考資料2の19ページをあけていただきたいと思います。

1.と2.についてはもう説明いたしません。いろいろな資料で出てきているかと思いますので。3.に国民運動の進め方に関する提案内容を記載しております。

3.の(1)、PDCAサイクルの確立というところでございますけれども、家庭部門の対策である国民運動についても、政府の温暖化対策推進本部のもとで、この中環審と産構審が責任を持って、このPDCAサイクルを回していく体制をつくっていただきたいということを1点、提案したいと思います。

それから、3.の(2)でありますけれども、先ほど崎田委員もおっしゃいましたけれども、総理大臣、環境大臣以下でと、こういうお話でありましたけれども、まさにそのとおりでありまして、総理を議長とし、環境大臣を副議長、関係省庁をメンバーとする国民運動推進会議、こういう組織を設置したらどうかと思います。

この国民運動推進会議には、私ども経済界もぜひとも協力させていただきたいと思いますし、自治体や労働界、さらにはNGOといった、国民各層の代表に参加いただいて、その総意のもとで国民運動を展開する仕組みが必要ではないかと思いますので、検討していただければ幸いだと思っております。

以上でございます。

浅野小委員長

市川さん。

小倉委員(市川代理)

国民運動、これは政策的な課題として設定した場合に、大変難しい取組になるということは十分理解できます。しかし、国民一人一人ということを見ますと、COOL BIZの浸透とか、あるいは節電の徹底などを考えますと、個々人のレベルでは大変高い意識を今、国民は持ちつつあるのではないかと理解しています。

それで、残された問題は、そのような意識の高まった国民の人たちをいかにして組織化していって、その運動の中に取り込んで、その組織化されたものでいかにPDCAを回すかということではなかろうかと思います。逆に言いますと、漠とした国民というものを相手にして政策をつくるのはなかなか難しいのではないかと考えています。

振り返って考えてみますと、例えば先ほど来、議論のある自治体であったり、あるいは学校のPTAであったり、あるいは町内会であったり商店街であったり、あるいは職域であったりという、さまざまな既存の組織がございます。それらの組織をうまく使いながら対応していくということが現実的ではなかろうかと思います。

ちなみに、鉄鋼業界のことを申し上げますと、2005年から各社の従業員の積極的な協力のもとに、環境家計簿をつけるということを始めてございます。現状におきまして、約2万世帯の従業員がこれに取り組んでおります。また、その結果につきましても、1世帯当たりのCO2の排出量などを見ますと、これは着実に減っていくということが把握できております。このような取組というのは、参考になるのではないかと思います。

それで、あえて申し上げますが、鉄鋼業界の従業員でもできるわけでございますので、各省庁の職員の皆様方も、積極的に環境家計簿を各世帯がつけるということをなさったらどうでしょうか。そうすれば、何が問題であるかというのを出すことになりますし、また、それをほかの団体に展開しようと思いますと説得力があります。

浅野小委員長

秋元委員、どうぞ。

秋元委員

2点あります。1点は、藤野委員からのコメントで、決め打ちしないということが重要だと、私どものまさにこのペーパーがそういう意図なので、そういう意図で出させて頂いたということをご理解いただきたい。

もう1点目は、高い気候感度が結構マッチングがいいという話ですが、それも含めてAR5は、低いところも評価した上で、下方修正しているという総合判断になっています。それらを踏まえて、我々は理解することが必要だというのが1点目です。

2点目は、国民運動の件ですけれども、これは非常に環境省らしい取組で、この国民運動の推進というものはしっかりやっていきたい。ほかの委員の方々から、いろいろと先ほど重複があるというお話がありましたけれども、そちらに手を出すのではなくて、むしろこここそが環境省が取り組むべき大変重要なところと思います。ただ、非常に難しいことはよく理解しています。物すごく大変な取組で、地道な取組が必要なんですけれども、ここをぜひしっかりやっていただきたいと思います。

そういう意味で、22ページ目にこういう数字が出てきているということは第一歩として、私は非常に評価したいと思います。ただ、具体的にこの試算がどういう前提で出てきたのか、そういうものを開示していただいて、今後のPDCAサイクルにつなげていければと思います。

どうもありがとうございました。

浅野小委員長

ありがとうございました。それでは、時間が本当になくなってしまいましたので、各省庁のお答えは1分でお願いしたいと思います。むちゃくちゃなお願いですけれども、ご努力をお願いいたします。

それでは、資源エネルギー庁、どうぞ。

省エネルギー対策課長

商工会の中小企業の関係の御指南につきましては、引き続き我々も議論を重ねていこうと思っています。その上で、費用対効果について経団連、また高橋委員から言われましたけれども、

省エネ補助金の効果から申しますと、費用対効果でいうと実は全補助金を鉄鋼業に投入することが最も日本全体で費用対効果が高いという現実が出ています。ただし、中小企業の関係やほかの業種も含めて、日本全体で省エネを高めていく必要もあるという意味で、支援策における費用対効果については十分に丁寧な議論をしたいと思っております。

技術に関しまして、安井委員、高橋委員からご意見がありましたが、今回は割愛いたしましたが、技術についても省エネ小委では議論しています。50ページ超の資料にて、ロードマップを含めて詳細な議論をしています。必要に応じて、この場でも報告したいと思います。

最後に末吉委員からの資源エネ庁の資料にはCO2の議論が全くないという点でございます。我々は、CO2に関しては、まずはエネルギーの観点から、総合資源エネルギー調査会にてサプライサイドとデマンドサイドで議論を行っており、デマンドサイドでは省エネルギーを徹底的に追求し、その上で、CO2の排出量に換算して、地球温暖化の観点から、全体としてこういう場でご議論いただくというアプローチをとっております。

また、最後に金融につきましてもご指摘どおりだと思います。この資料には入れておりませんが、融資制度も含めて、リースの保証も含めて、非常に重要なテーマだと思っております。これについて省エネ小委でも議論を深めていく予定でございます。

以上です。

浅野小委員長

それでは、先に国交省、お願いします。

地球環境政策室長

国土交通省でございます。崎田委員から都市の関係、大聖委員からITSの関係、大塚委員からは住宅の関係で、関係省庁で連携してというお話がございましたけれども、私どもといたしましても連携して進めてまいりたいと思っていますし、また、私どもの環境部会のほうでもご指導いただければと思っております。

住宅の関係は。

建築環境企画室長

住宅局でございます。高橋委員のほうから、既存住宅の長期優良住宅化の関連でご質問がございました。こちらのほうは、ストックの評価・表示手法の確立が非常に重要であるということから、大きな制約の中で住宅ストックの性能向上を図るような取組について補助を行っているものでございます。

予算規模といたしましては、平成25年は20億円、平成26年は四つほどの事業が全部で180億円ほどの規模の事業で、内数でございますけれども、年間数千戸ほどの改修の補助をして、その結果を検証することを通じまして、既存住宅の性能評価・表示手法の確立を進めているという状況でございます。

あと、大塚委員、末吉委員のほうから、住宅ストックの建て替え・改修による質の向上、特に末吉委員からは住宅金融でどうそれを支援していくかというご質問がございました。そちらにつきましては、今現在、民間の金融機関が住宅の購入費用を融資した債権を住宅金融支援機構が購入して証券化して、長期固定ローンの実現を推進し、長期的な支援事業を行っております。

そのプロセスの中で、購入費用に加えて、中古住宅を購入した後の改修費用も含めた合計額を融資するという仕組みで性能向上を図っております。融資の条件として、最低限の省エネ性能の確保、さらに高度な対応を図った場合に、0.3%の金利の引き下げを行っているということでございます。

浅野小委員長

ありがとうございました。

それでは、環境省、お願いします。

地球温暖化対策課長

3点ございますけれども、各事業につきましては、現時点でも関係省庁で調整をしながら進めてはおりますけれども、さまざまな指摘をいただきましたので、さらに効率的にするために省庁間の連携、また自治体との連携をさらに強化してまいりたいと思っております。

その際には、CO2の削減というのも重要でありますが、加えて、ご指摘いただきましたCO2以外にもさまざまな効果がございますので、これをなるべく評価できるような形に、ハードルは高いわけでありますけれども、今後努力してまいりたいと思っております。

また、PDCAを回す際には、自治体のニーズもきちんと把握しつつ、自治体が中心となったエコアクション21などの活用、そういったお知恵もいただきましたので、確実なPDCA、これを努力が見える形で進めてまいりたいと考えております。

さらに、国民運動につきましては、幅広い方々の力を結集するということが非常に重要だというご指摘でございますので、この結集の仕方につきましては、いただいたご意見も踏まえまして、知恵を絞ってまいりたいと考えております。

ありがとうございます。

研究調査室長

それから、すみません、気候感度についてご意見がありましたので、補足させていただきます。

当所でも、専門家の間でさまざまな意見があることは承知しておりまして、IPCCでもさまざまな議論の後、各国の政府が承認をして、第5次評価報告書が作成されたと。それで、その結果を踏まえて、現在、COP21に向けて交渉が行われていると認識しております。

以上です。

浅野小委員長

経済産業省の小見山室長、何かありますか。

環境経済室長

藤野委員、高村委員から、産業界に対する質問事項がございましたので、これは後日、文面でご回答いただくということにしたいと思いますが、別途、産構審、中環審の合同会合のワーキンググループを開催しておりますので、直接参加いただいてご質問いただくというのも、やり方かなと思っております。後にご相談させていただきたいと思っております。

浅野小委員長

ありがとうございました。

それでは、山地座長に一言お願いいたします。

山地座長

本日も、大変貴重なご意見を多々承ったと思っております。特に、中上委員の最初の発言の中で、省エネルギーというのは全国民、全産業が関係するというのは、まさにそのとおりだと思います。

だからこそ重要なんですけれども、政策展開上はやっぱり難しいところもあると。その中で、今日、資料を、今回は資源エネルギー庁と国交省と環境省からご説明いただきたいんだけれども、やっぱり省庁間でオーバーラップもあると。そこら辺の調整が必要だというのは、私もそのとおりだと思って聞いておりました。

あと、技術イノベーションというところでいくと、あとは文科省とか内閣府の総合科学技術・イノベーション会議とか、いろいろやられているけれども、このあたりの調整を進めていくのがやはり非常に重要だろうと。

特に、今日は具体的な、国民運動の話のところでも出て、環境省さんは結局、地方自治体に対して非常に強い指導力をお持ちなので、そこの面をうまく活用していく。後半の議題のところでは、温暖化防止活動推進センターの活用という話がありましたけれども、それだけじゃなくて、省エネルギーも地方自治体の役目がすごく大きいと思うんですね。そこをもう少し深掘りしていく必要があると思います。

それと、これは安井委員でしたか、やっぱり省エネもやっていくとだんだん限界効用が減っていくというか、そうなっていくのは当たり前なんで、フロンティアを見つけなきゃいけない。私はその点では、国民運動というのは漠としているんだけど、ただやっぱり情報をいかに活用するかというのは一つ大事なことで、二つあって、中上委員がおっしゃったように、まずそもそも民生関係は情報、データが不足していますよね。それをきちんとやるという情報関係があるんだけれども。

もう一つは、震災後、特に民生部門での省エネ活動、あるいはCO2削減活動となると、やっぱり情報を使った行動変革ですよね。それをやっぱりシステム化していく必要があるわけで、国交省さんの話にも幾つかあると思うんですよね、このエコまちづくりとか。ほかでいうと、今までにスマートコミュニティづくりとかを展開されていたわけですから、やっぱりそういうフロンティアにシステマティックに取り組んでいくことが大事かと思って伺っておりました。

以上です。

浅野小委員長

ありがとうございました。今日のキーワードは多分、頑張るというのも大事なことなんですけれども、やっぱりインフラをきちんと整えていかないと、これから先はどうにもならないだろうという感じがします。

その一つは、連携という言葉が大事なキーワードとして出てきたと思います。省庁の連携、政策の連携等々であろうと思います。中央環境審議会では、既に環境大臣に意見具申として政策統合ということを強く提言申しあげております。今、パーツに分けて議論をしているんですけれども、最終的にこの合同会合が目指すべきところは、どういうふうに政策をうまく統合していくかと、そこに行き着かないといけなくて、ただ断片的にそれぞれのことについてああだこうだと言っても、もうとてもできないというような局面に達しているということがお互いの共通の認識としてあるだろうと思いますので、ぜひその方向に向けて今後議論をまとめていきたいと思います。

それでは、お蔭様でご協力いただきまして、あとまだ1分ちょっと残すことができました。

低炭素社会推進室長

委員の皆様、どうも活発なご議論をありがとうございました。議事録につきましては、事務局で取りまとめを行いまして、委員の皆様にご確認いただきました後、ホームページに掲載させていただきたいと思います。

また、次回の開催は年明け1月の開催を予定していますが、詳細については事務局より後日ご連絡いたします。次回、COP20の結果報告等をさせていただくことになるかと思いますが、中上委員からEUバブルのご質問等をいただいておりますので、最新情報も含めてご説明させていただきたいと思います。

どうもありがとうございました。

浅野小委員長

それでは、本日はこれで閉会いたします。ありがとうございました。

午前10時59分 閉会