中央環境審議会 地球環境部会 気候変動影響評価等小委員会 第10回 議事録

日時

平成28年10月7日(金)10:00~12:00

場所

霞山会館 霞山の間

議事次第

1.開会

2.議事

  1. (1)  気候変動影響評価等小委員会の設置について
  2. (2)  気候変動の影響への適応に関する最近の動きについて
  3. (3)  気候変動影響評価等小委位階の当面の進め方について
  4. (4)  その他

3.閉会

配付資料一覧

資料

議事次第

資料1-1 気候変動影響評価等小委員会の設置について

資料1-2 気候変動影響評価等小委員会委員名簿

資料1-3 気候変動影響評価等小委員会の運営方針について

資料2   気候変動の影響への適応に関する最近の動きについて

資料3   気候変動影響評価等小委員会の当面の進め方について

資料3別紙 補足資料

参考資料

参考資料1 日本における気候変動による影響の評価に関する報告と今後の課題について(意見具申) 

参考資料2 気候変動の影響への適応計画

議事録

 午前 10時 開会

竹本気候変動適応室長

皆さん、おはようございます。定刻となりましたので、ただいまより第10回中央環境審議会地球環境部会気候変動影響評価等小委員会を開催いたします。

初めに、環境省大臣官房審議官の森下よりご挨拶申し上げます。

森下大臣官房審議官

おはようございます。本日はお忙しい中お集まりいただきまして本当にありがとうございます。環境省の大臣官房審議官の地球環境局担当の森下でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

気候変動影響評価等小委員会の委員の皆様におかれましては、昨年3月に意見具申「日本における気候変動による影響の評価に関する報告と今後の課題について」を取りまとめていただきました。この場をお借かりしまして、委員の皆様方に改めてお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございます。

さて、近年、世界中で極端な気象現象が観測されております。我が国においても記録的な猛暑ですとか、大雨が発生しております。この8月の末には、観測史上初めて東北地方に台風が直接上陸をして大きな被害をもたらすなど、前例のない気象現象が発生しておるところでございます。

お取りまとめをいただきました意見具申の中でも、将来さらなる気温の上昇や、大雨の頻度の増加、海面水温の上昇に加え、台風の強さが増すことが示されており、農業や自然災害など、さまざまな面で多様な影響が生じる可能性があることが示されております。このような気候変動の影響に対処するため、政府においては昨年11月に気候変動の影響への適応計画を閣議決定いたしております。

しかしながら、まだ地球温暖化、そしてその影響についての科学的知見は十分とは言えません。継続的な観測・監視あるいは調査、研究を進めることで知見を充実していく必要があると考えております。また、政府の適応計画におきましては、概ね5年程度を目途に気候変動の影響の評価を実施し、必要に応じて計画の見直しを行うこととしております。

本小委員会におきましては、そのために必要となる科学的知見の拡充のため、気候変動影響の観測・監視・予測及び評価等に関する方針についてご議論の上、取りまとめいただきたいと考えております。

最後になりますが、委員の皆様方の活発なご議論を期待し、私の冒頭のご挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

竹本気候変動適応室長

申し遅れましたけれども、私、事務局の環境省地球環境局気候変動適応室長の竹本と申します。よろしくお願いいたします。

本日の会議ですが、現在委員総数の過半数の委員にご出席いただいておりまして、定足数に達しておりますことをご報告いたします。また、本日の審議は公開とさせていただきます。

今回、前回の小委員会からおよそ1年半ぶりの開催になります。最初に小委員会の委員の変更がありましたので、ご報告をさせていただきます。今回の小委員会より中央環境審議会の三村信男委員が本小委員会の委員に就任されておりますが、残念ながら本日はご欠席でございます。また、専門委員であった河宮未知生委員、佐々木秀孝委員、高橋正通委員、武若聡委員、藤田光一委員、松本光朗委員はご退任されるとともに、新たに6名の方に専門委員に就任いただきましたので、ご紹介いたします。

まず、国土技術政策総合研究所の天野邦彦委員です。続きまして、海洋研究開発機構の石川洋一委員です。筑波大学の木村富士男委員です。森林総合研究所の平田泰雅委員です。

また、新たに就任された気象研究所の高藪出委員、森林総合研究所の松井哲哉委員におかれましては本日ご欠席の連絡をいただいております。

事務局、環境省側もメンバーが交代しておりますのでご紹介をさせていただきます。

冒頭ご挨拶をいたしました大臣官房審議官の森下です。続きまして、低炭素社会推進室長の名倉です。総合環境政策局環境研究技術室長の太田でございます。それから私、気候変動適応室長の竹本でございます。また、室長補佐の小沼でございます。

続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。

まず資料1-1、気候変動影響等小委員会の設置について。資料1-2、気候変動影響評価等小委員会委員名簿。資料1-3、気候変動影響評価等小委員会の運営方針について。資料2、気候変動の影響への適応に関する最近の動きについて。資料3、気候変動影響評価等小委員会の当面の進め方について。それから参考資料といたしまして、参考資料1、中央環境審議会の意見具申でございます。それから参考資料2といたしまして、気候変動の影響への適応計画でございます。資料の不足等がございましたら事務局までお申しつけください。

それでは以降の議事進行は住委員長にお願いします。

住委員長

皆さん、おはようございます。引き続き委員長としてこの委員会を進めていきたいと思います。始めるに当たって一言お話をしておきます。

現在、非常に時代は一歩ずつ進んでおりまして、ある意味で重要な時代になってきていると思います。それは、これだけいろんなことが起きてきまして、パリ協定もできたのですが、何らかのアクションを起こして将来に備えていかないと、間に合っていかないだろうということになって、多くの人がそう思ってきています。

それで、我々のここで議論するのは、研究計画をどうしようかとか、そういうたぐいのことではなくて、これから政府全体が行おうとすることは、研究の知見をベースにしながらも、それをどう具体的なアクションに生かしていくかという、その全体を設計することが非常に大事になってきております。

昨今、環境省を含め各省庁が行っておりますが、明らかに事業的な施策として具体的なアクションが行われておりますので、そういうものが日本全体として、一つは全体に整合性を持ってバランスよくされていること。それから適応施策というのは、明らかに自然のほうが変わっていきますので、今ある知見で決めたからもうそのままずっと走っていけばいいんだということには絶対ならないわけですね。そういう点ではパリ協定でもそうですけど、どんなことでも5年ごとぐらいで見直して、それを適宜修正しながらやっていくという柔軟性、そのためには仕組みの中に、そういう変化とかプロセスとか予測技術の向上だとか、研究サイドを含みつつ、それをどう全体、具体的なアクションにつなげていくかという仕組みを議論し、その仕組みを動かすべく予算措置をしていくという、そういうことだと思いますので、ある意味ではこれからの気候変動政策全般につながる非常に大きな問題であろうと思います。

そういう点で、ここで忌憚のないご意見を出していただいて、それを行政のほうに反映をし、新しい施策につなげていくことができればいいかなというふうに思っております。皆さんのご協力をお願いします。

それでは資料1-1、1-2、1-3の説明をお願いしたいと思います。

小沼気候変動適応室長補佐

改めまして事務局の小沼でございます。よろしくお願いいたします。それでは資料1-1をご覧いただきたいと思います。

こちらは、気候変動影響評価等小委員会の設置についてという形の設置要領でございます。こちらにつきましては、本年の9月12日に地球環境部会の了解を得て一部改正をしております。

改正した点でございますけれども、この資料の2番目、2ポツでございますが、もともとこの気候変動影響評価等小委員会につきましては、適応計画の策定に向けて気候変動が日本に与える影響及びリスクの評価について審議をするという形になっておりました。その結果として、昨年の3月に、冒頭ご紹介のありました意見具申を取りまとめていただきまして、その科学的な知見に基づいて昨年の11月に政府として適応計画を閣議決定したところでございます。

その適応計画におきましても、最新の科学的知見の把握を行っていくこと、さらには、気候変動の影響評価を定期的に実施することということが定められているところでございまして、今後はその適応計画を踏まえて、リスクの評価等について審議をしていく必要があるということで、今般改正させていただいたということでございます。

1枚めくっていただいて、資料1-2でございますが、こちらが新しい名簿ということで、冒頭、竹本から紹介があったとおり、一部委員の変更がなされております。

さらに資料1-3でございますけれども、この小委員会の運営方針でございまして、前回この小委員会を設置したときに地球環境部会での決定としてご紹介させていただいているものでございます。ポイントだけ申し上げますと、この会議につきましては、原則として公開して開きますと。出席者については、代理出席は認めることはできないと。さらには、会議録につきましては、発言の内容を委員等の了解をとった上で公開をしていくと。環境省のホームページに掲載をするというものでございます。また、資料につきましても公開をしていくと、そういう方針でございます。

以上でございます。

住委員長

今の説明で何かご質問はございますか。非常に簡単なことですので、よろしいかと思います。

それでは、次の議題に入りたいと思います。

議題の2、気候変動の影響への適応に関する最近の動きについて、事務局より説明をお願いします。

小沼気候変動適応室長補佐

はい、ありがとうございます。次は、資料2でございます。長い資料でございますので、ポイントを絞ってご説明をさせていただきたいと思います。

まず1枚めくっていただいて、気候変動の影響についてということでございます。

改めてでございますが、気候変動の緩和と適応の関係でございますけれども、まずは温暖化を起こさないようにする緩和の取組というものは、言うまでもなく重要なものでございます。

しかしながら、一方で既に気温は上昇しておりますし、どんなに厳しい対策を進めていっても、将来一定程度の気温上昇は避けられないということもございまして、温暖化の被害を軽減するための適応策が重要になっているということでございます。

1枚めくっていただきまして、幾つか観測事実を紹介しておりますけれども、こちらはGOSATで観測をした全球大気平均のCO2濃度でございますが、年々上昇を続けておりまして、昨年には400ppmを超過してしまったという状況でございます。

それに伴いまして下のグラフでございますけれども、世界の年平均気温も上昇を続けており、100年当たり0.71℃の割合で上昇しているという事実がございます。

次のページでございますけれども、将来の気候変動予測につきまして、IPCCのAR5で予測結果が示されておりますが、厳しい温暖化対策をとらなかった場合は、2.6℃から4.8℃上昇する。さらには、厳しい温暖化対策をとった場合であっても、0.3から1.7℃、一定程度の上昇は避けられないというものでございます。したがいまして、適応策というものをしっかりとっていく必要がございます。

さらにその下のグラフでございますが、日本のほうに目を向けますと、日本の年平均気温につきましては、世界の平均気温より早く、100年当たり1.16℃の割合で上昇しているという事実がございます。

めくっていただいて、降水量でございます。1時間当たりの降水量50㎜以上のいわゆる短時間強雨でございますけれども、その観測の回数につきましても増加傾向が明瞭に表れているというものでございます。

次の8ページでございますけども、気温の上昇や大雨の増加等により、既に我が国においても気候変動の影響が現れておりまして、例えば農業分野では米の白濁、大雨の増加による災害の増加、熱中症患者の増加、サンゴの白化などなど、さまざまな分野で影響が現れているということでございます。

1枚めくっていただきまして、次に今年のトピックスとして、台風の話題が多くございました。特にここで紹介しております台風10号でございますけれども、観測史上初めて東北地方の太平洋側に上陸をして大きな被害をもたらしたということは皆様の記憶にも新しいことだと思います。こういった個々の気象と温暖化の因果関係を直接論じることはなかなか難しいのですけれども、一方で右の図にありますとおり、今年は日本近海の海面水温が特異的に高かったという事実もございます。こういったことから台風が衰えずに直接東北地方に上陸してしまったという一因でもあったというふうに推測されます。また、台風に関する知見が下に書いておりますけれども、将来強い台風の発生数、台風の最大強度、最大強度時の降水強度の増加なども予測されているということでございます。

次に大きい2番の気候変動の影響への適応計画についてご紹介させていただきます。

めくっていただいてスライドの11でございますが、こちらは政府の適応計画策定までの経緯について述べているものでございます。この小委員会におきまして意見具申をまとめていただき、その科学的知見を受けて関係省庁の連絡会議を設置して、政府として適応計画について議論をしてきました。その結果として、昨年の11月27日に閣議決定をしたところでございます。

下のスライド12につきましては、先生方にご議論いただいてまとめていただいた気候変動影響評価結果の概要でございますけれども、その際、重大性、緊急性、確信度という三つの評価軸をもって、さまざまな分野、項目についての影響を評価してきました。全てについて特に影響が大きいというふうに評価されたものが、農業では、水稲や果樹、自然生態系の分布・個体群の変動、自然災害では河川の洪水や沿岸の高潮・高波、健康分野では暑熱、こういった分野につきましては、特に重点的な対策が必要だというふうに判断がされたところでございます。また、一方で、その他の項目につきましては、特に確信度というところが十分ではないというところがございまして、引き続き知見の集積を進めていく必要があるというふうに考えているところでございます。

めくっていただきまして、関係省庁連絡会議の構成でございますけれども、こちらにつきましては、内閣官房副長官補を議長としまして、適応策を担当している全ての省庁が入っております。環境省はこの会議全体の庶務、または取りまとめ役としてこれまで担当してきたということでございます。

次にスライドの14が気候変動の影響への適応計画の概要でございますけれども、真ん中の左の基本戦略と書いてあるところをご覧いただきたいのですが、基本戦略の1番としては、政府施策への適応の組み込みというものがございまして、さまざまな分野の適応策につきまして将来の気候変動の影響を加味しながら取組を進めていくことが重要だということでございます。また、2番から5番につきましては、いわゆる基盤的な取組についての戦略でございまして、今回この小委員会の中でもこういった基盤的な取組についての方向性についてご議論いただければというふうに考えているところでございます。

めくっていただいてスライドの15でございますが、こちらは気候変動の影響と適応の基本的な施策について一覧としてまとめたものでございます。ポイントだけ申し上げますと、例えば農業の分野では高温耐性品種の開発・普及、肥培管理・水管理等の徹底といった適応策を進めていくということでございます。水環境・水資源で言いますと、生活排水対策を中心とした水質保全の取組、雨水・再生水の利用といった水資源の有効利用に向けた取組等を進めてまいります。自然生態系の分野でいいますと、国立公園等を管理して生態系ネットワークを形成するような取組等を進めているということでございます。自然災害の分野につきましては、施設の着実な整備、できるだけ手戻りのない施設の設計等のハードの対策を進めていくとともに、避難、応急活動、タイムラインの策定等のソフトの対策も組み合わせながら進めていくというものでございます。健康につきましては、例えば暑熱につきましては、気象情報の提供や注意喚起、熱中症の予防、対処法の普及啓発等の取組を進めてまいります。産業経済活動、国民生活・都市生活につきましては、気候変動の影響についての知見が不十分なところもございまして、知見の集積を特に進めていかなければいけないというふうに考えているところでございます。以上さまざまな分野の適応策が適応計画に記載されており、こういった施策を着実に進めていくということでございます。

16ページ以降は、それぞれの分野の既に現れている影響、さらには将来の影響予測と適応策に関する基本的な取組を記載しているものでございますけれども、本日は時間の関係上、ここは割愛させていただきます。何かございましたらご指摘等いただければと思います。

恐縮でございますけれども、スライドの32まで割愛させていただきたいと思います。スライドの32でございますけれども、今ご紹介しましたとおり、適応計画の取組は着実に進めていくことが重要でございますけれども、その取組の進捗状況についてもきちんと管理をしていかなければいけないということで、先ほどご紹介しました関係省庁の連絡会議の枠組みの中で施策の進捗状況のフォローアップを行っていくことを決定しているところでございます。しかしながら、現在そのフォローアップの方法について関係省庁と検討しているところでございまして、特に適応の視点から幅広い分野にまたがる施策の効果を評価する方法というのは十分に確立されていないということもございまして、検討を続けているところでございます。いずれにしましても、その検討結果をもって、政府として責任を持ってきちんと進捗管理をしていくというふうに考えているところでございます。

めくっていただいて、次に大きい3番、環境省における最近の取組について紹介させていただきます。

まず一つ目、パリ協定でございますけれども、もうご承知のとおり、世界共通の長期目標として2℃目標が設定されまして、また、1.5℃に抑える努力を追及すると、そういった緩和の取組が注目されているところでございます。一方でこのパリ協定につきましては、適応についても条項が盛り込まれたということが大きいことでございまして、適応の長期目標を今後設定していくということや、途上国、先進国を問わず、各国とも適応計画を策定して行動に移していく、そういったことが求められてくるものでございます。

ページをめくっていただいて35ページでございますけれども、環境省で実施している地方公共団体支援の取組についてご紹介させていただきます。まずはこちら、モデル事業ということで平成27年度より2カ年実施しておりますけれども、下に書いてあります11自治体を公募により選定させていただきまして、ニーズを聞き取った上で文献調査や幾つかの項目についての影響評価のサポート等をしてきたところでございます。

下のスライドにありますのが、県ごとに重要と考えている分野でございまして、それぞれの地域によってやはり重要と考える分野は異なるところでございまして、こういったさまざまな項目について知見の集積をサポートしてきたところでございます。

めくっていただきましてスライドの37ですけど、このモデルの成果物として、例えば熊本県や仙台市におきましては、地域としての適応計画を策定いただきました。さらには、福島県や三重県につきましては、気候変動の影響評価の報告書を策定いただいておりまして、その支援をしてきたということでございます。

その下のスライド38でございますけれども、このモデル事業の成果も踏まえまして、環境省として地方公共団体における気候変動適応計画の策定ガイドラインというものをつくっております。こちらにつきましては、地域の適応計画の策定に向けて地方公共団体の関係部局が連携した推進体制の構築をすることが重要であると述べた上で、気候変動の影響評価から計画策定まで、8つのステップにわたって、その手順を解説しているものでございます。こういった形で自治体の適応計画策定の取組の支援をしているところでございます。

めくっていただいてスライド39でございますが、気候変動適応情報プラットフォームでございますけれども、こちらは本年の8月末に国立環境研究所に設置をさせていただいたものでございます。特に新しいのは、全国都道府県別の情報として、都道府県別、影響の項目別にわかりやすい形で情報発信をしているところでございます。近く、事業者の方々用のページもアップしたいと思っておりまして、優良事例を共有できるような形の情報を掲載したいと思っております。

また、下のスライド40でございますけども、このプラットフォームにつきましては、情報収集の整理、提供等を行っていくだけではなくて、適応に対する行動を各主体がとれるような支援ツールというものを開発していきたいと思っていまして、先ほど申し上げました地方公共団体のガイドラインはその一つでございますけれども、今後もさまざまな形で各主体が適応の行動を起こせるように支援をしてまいりたいと思っております。

ページをめくっていただいてスライド41でございますけれども、こちらは来年度の予算要求に向けた環境省の重点施策の表でございますが、主なものとして気候変動影響評価・適応推進事業というもので、来年度12億円弱の予算を要求しているところでございます。さらには国立環境研究所の運営費交付金や、環境研究総合推進費を拡充しておりまして、適応に関する科学的知見の充実を進めていく方針でございます。このほか、ヒートアイランド対策などの個別分野の取組についても進めていくものでございます。

下の絵が適応の推進事業についての予算要求資料の概要でございますが、気候変動適応情報プラットフォームを着実に運用するとともに、新しい目玉として、地域適応コンソーシアムというものを構想しているものでございます。

それが次のページのスライド43でございますが、この地域適応コンソーシアムの概要について記載しています。今後何をやっていくかといいますと、北海道から九州まで7ブロックごとに国の地方支分部局や自治体、地域の研究機関、事業者やNPOの方々などが集まったコンソーシアムというも枠組みなどをつくって、関係主体が取組を進められる体制整備をまず進めたいと思っています。その上で、さまざまな地域でどんなものを観測・監視、予測をしていくかというニーズは異なるものですから、しっかりと地域のニーズを聞き取った上で、観測・監視、予測等の調査を行っていくと。その結果を踏まえまして具体的な適応策の立案や実施を支援していきたいというふうに考えているところでございます。これは、関係省庁ともきちんと連携をしながらこの構想を進めていきたいというふうに考えております。

最後のスライドになりますが、パリ協定に基づいた国際協力ということでございまして、環境省といたしましては、2国間協力という形で適応計画の策定や気候変動影響評価の支援等を、例えばインドネシア、モンゴル、太平洋島嶼国等で行っているところでございます。また、多国間協力といたしましては、世界適応ネットワークやアジア太平洋適応ネットワークの枠組みを活用しまして、知見の共有や途上国の方々の人材育成等を進めているところでございます。

長くなりましたが、資料については以上でございます。

住委員長

どうもありがとうございました。今の資料について、何かご質問がございましたらどうぞ。

木本委員

二つあります。一つ目はジェネラルなことで、もう一つ目は割とテクニカルなことですが、一つ目はこの会議の目標と目的は何でしょうか。いつまでに何をするという、もし今言えるのであればお聞きしたい。

それからもう一つは適応プラットフォームは大変結構だと思うのですが、私は中身を知らないので、ユーザーの人がクリックするとその気候変化がどれぐらいになるかという情報が出てくるようなシステムだというふうに理解いたしますが、ここで参照される気候変化の情報というのはどんなものなんでしょうか。そして、それがこの会議は多分適応が実行されるように見直すとか、そういうことだと思うんですが、それがどんどん新しいのが来たときに、何かそれを取り入れるような仕組みがあるかどうか、この2点についてお聞きしたいんですけれども。

小沼気候変動適応室長補佐

ありがとうございます。

最初のご質問の会議の目標でございますが、恐縮でございますけれども、次の議題の中でご説明させていただきますので、少々お待ちいただければと思います。

二つ目のプラットフォームにつきましては、ご紹介させていただきましたとおり立ち上げたばかりでございますが、この中では、現在、環境省の環境研究総合推進費のS-8プロジェクトで進めてきた研究成果を中心に、情報を掲載させていただいているところでございます。先生ご指摘のとおり、重要なことは、新しい知見が出てくれば、それをきちんと取り入れて発信をしていくということだと思っておりまして、他の研究機関で進めているような研究成果等も積極的にインプットしていきたいと思っております。環境省の取組につきましては、特に、先ほど紹介した地域の取組を来年度以降も発展させていきたいと思っておりまして、そこで出てきた調査結果等につきましても、取り入れて発信をしていくというふうに考えているところでございます。

中北委員

地域適応コンソーシアムというのを進められていて、これもすごく大事なことを進められていると思います。市町村まで対応されているんですけれども、防災的なこと、例えば防災の話だと、市町村が対応しても一般の方たちの意識が高くないと、あるいは、普段からそのことを考えてないと動かないというのがやはりあるのですが、この地域適応コンソーシアム、今見ていると、市町村までの適応の影響評価の仕方とか計画の立て方に関するいろいろなサポートをするとあるんですが、住民の方に、例えばどういう情報を出すべきとか、あるいはどういう、普段、例えば避難だったら避難のワークショップとかそういうのをやるわけですけれども、そういうようなものを少し、この中でもちょっと取り組むことが全体として大事かなと。

そのベースに、ちょっと、もう先に言っちゃいますけど、いろんな情報発信ということも書いていただいている中で、一般の方に対しては、やはり、今起こったこれが実は温暖化のせいでえある可能性もかなり高いよとか、そういう情報を集約した形で何か出していくようなことがあれば、市町村と住民とのつながる橋渡しにいいかなと思いました。

すみません、ちょっと後で、また議論とかがあるかもしれませんが、先に申し上げました。

住委員長

それはこれからの議論の問題で、防災部局が必ず地方にはあるので、だから、よく考え、これだけで何か全部市のことをやるということではなくて、それぞれいろんな部局でやられている施策を、むしろ、どういうふうに総合的に調整をもってやるような仕組みをつくっていくかというのがこれからの課題だと思います。

そのほか、恐らく次の議題に行ったほうが。言いたいことは大体次のほうに関連があるので、それでは、次の議題の3のほうの説明をしてください。

竹本気候変動適応室長

それでは、資料3についてご説明させていただきます。気候変動影響評価等小委員会の当面の進め方についてでございます。

まず、冒頭でございますが、昨年の3月に取りまとめていただきました気候変動影響評価に関する報告、これ意見具申、中央環境審議会の意見具申ということでいただいておりますが、ここでは評価をするだけではなくて、4点課題を提示いただきました。一つは、継続的な観測・監視、研究調査の推進及び情報や知見の集積、2点目が定期的な気候変動による影響の評価、3点目が地方公共団体等への支援、4番目が海外における影響評価等の推進でございます。

この意見具申の後、この情報を踏まえまして、関係省庁と連携をして、政府としての適応計画を11月に閣議決定しております。この適応計画のもとでは、単に一方通行ではなくて、いわゆるそのPDCA、しっかりとサイクルを回していくということが方向性としては示されております。そのやり方としては、観測・監視、予測を継続的に行って、最新の知見を把握し、評価を定期的に実施すること、各分野の適応策を検討・実施して、その進捗状況を把握、必要に応じて見直すと、こういうサイクルを順応的に行っていくということでございます。

また、先ほど事務局からも申し上げましたように、計画の見直しについては、今後の国際動向を踏まえつつ、概ね5年程度を目途に気候変動の影響の評価を実施し、まとめ、当該影響評価の結果や各施策の状況等を踏まえて、必要に応じて本計画の見直しを行うということでございます。このように、この適応計画を推進していく過程で、科学的な知見というのは極めて重要な、不可欠な要素になっているということでございます。

おめくりいただきまして、2番、気候変動影響評価等小委員会の趣旨でございます。この委員会におきましては、継続的な科学的知見の集積、気候変動の影響評価、地方公共団体等の支援等の具体的な進め方について検討を進めて、「気候変動影響の観測・監視、予測及び評価等に関する方針」、仮称でございますけれども、これを中間的に取りまとめいただきたいというふうに考えております。国、地方公共団体等においては、この方針を踏まえて計画的に気候変動影響の観測・監視、予測及び評価に関する取組を進め、その成果を概ね5年後、具体的には平成32年ごろになると想定しておりますけれども、必要に応じて適応計画の見直しを進めるということになっておりますので、この気候変動の影響評価等に活用できるのではないかというふうに考えております。

そこで、この小委員会で、この方針をまとめていただくに当たっての論点を事務局のほうで整理させていただきました。

まず、観測・監視、研究調査の推進、情報や知見の集積でございますが、この気候変動の進行状況の継続的な観測・監視は、どのような体制で進めていくべきか、ということでございます。その実施主体ですとか、対象、頻度等はどうあるべきか、また、重点的に観測・監視をすべき項目や、知見が不足している項目は何かという点でございます。

続きまして、その調査研究を行うその条件でございます。まずは、その予測計算のために必要なシナリオ、あるいは気候モデル、これは何かという点でございます。

こちらにつきましては、資料3の別紙というパワーポイントの資料がございます。おめくりいただきまして、1ページと2ページをちょっとご覧いただきたいんですが、この1ページは、前回のその影響評価、意見具申で使用した予測計算の基本的な情報でございます。まず、こちらは気象庁の「地球温暖化予測情報第8巻」と、それから、環境省と気象庁が共同で行った予測計算である「日本国内における気候変動予測の不確実性を考慮した結果について」、この二通り使用しているということでございまして、前者は、気象研のモデルとSRESシナリオ、それから、後者はRCPシナリオを使っております。また、若干のそのフォーマットの違いがあるということでございます。

こういった気候モデルに加えまして、あと、そのシナリオにつきましても、この評価の後、いわゆるSSPシナリオという社会経済経路に関するシナリオが、IPCCの下で策定されております。これは2ページに示しております。詳細は省きますけれども、こういったシナリオが、今後のIPCCの評価で使われることも想定されておりますので、この点についてご意見を賜ればと思っております。

もとの資料に戻りますけれども、評価の年ですね、何年後の将来を予測すべきかという点、これは計算機の能力、予算等にもよりますけれども、2100年だけなのか、あるいは、その中間年について、ある程度増やしたり、統一した予測年を決めておいたりということも必要ではないかということでございます。また、前回の委員会でもご議論になったんですけれども、具体的に何℃上昇したときにどんな影響があるかと、例えば1℃上昇したときに各分野でどんな影響があるのかということを比較できるようにするべきではないかといったようなご意見もありましたので、この点についても、今回、議論していただければと思っております。

それから、今回の適応計画を踏まえた今後の影響評価については、IPCCの第6次影響評価のプロセスとほぼ一致しておりますので、IPCCとの調和、これをどう考えるかという点も重要でございます。

続きまして、気候変動リスクを構成する三つの要素、外力、ハザードとも呼ばれますが、脆弱性、曝露のうち、脆弱性や曝露に関する調査研究、これをどういうふうに実施すべきという点でございます。

こちらにつきましては、別紙の3ページに、IPCCにおける気候変動リスクの概念図というものがございます。ここにございますように、気候変動の影響、リスクは、ハザード(災害外力)と脆弱性と曝露、この三つの要素で構成されておりますので、今後、その気候の外力が増大する、これはIPCCでも予測されております。それでは日本の、特に地方の社会の脆弱性、あるいはその曝露の状況がどう変わるのかという点も、気候変動影響を評価するためには、重要な要素になるのではないかというふうに考えております。この点についてご議論いただければと思っております。具体的には、社会経済シナリオ、これをどういうふうに設定すべきか、また、分野(農業、自然災害、健康など)ごとに、どのように脆弱性評価を、仮にやるとすればどのように進めるべきかという点でございます。

別紙ですが、社会シナリオの件、参考情報としていろいろと掲載させていただいております。皆さんご存じのとおり、今後、我が国、いわゆる高齢化が進んでまいります。5ページから6ページにかけて、総人口の将来推計、あるいは、その人口構造の変化といったものも示しております。例えば、熱中症等の暑熱の影響というのも、先ほどの資料2にも掲載させていただいておりますけれども、高齢者ほど、その熱中症で搬送される割合が高いということは、もうこれは明確に表れておりますので、仮に、その気候条件がそれほど変わらなくても、その被害の数は、割合は増えるということが予測されますので、その点について、やはりしっかり見るべきではないかという点でございます。

続きまして、曝露に関しましては7ページ、8ページ、9ページに、参考として東京湾周辺の将来の人口予測、それから、国土交通省のほうで作成しております高潮・高波リスクの関係について、これをあわせて見ますと、将来、人口の分布が、内陸についてはかなり減少していきますけれども、その沿岸域についてはさほど変わらないということで、沿岸については、こういった高潮・高波リスクが高いということが言われておりますので、こういった点についても、しっかりと情報を持っておくことが重要ではないかということで、参考として掲載させていただきました。

ワードの資料3ページでございますけれども、定期的な気候変動による影響の評価でございます。この影響評価を実施していくための仕組み、体制はどうあるべきかということでございます。

別紙の10ページ、11ページには、前回の小委員会の影響評価で用いました重大性、緊急性、確信度に関するその定義でございます。重大性につきましては、「社会」「経済」「環境」のそれぞれの観点から、特に大きいか、「特に大きい」とは言えないという点について、例えば、「社会」「環境」「経済」いずれかの観点から、特に大きいと認められれば、この項目については、特に大きいというふうに評価をしております。また、緊急性につきましては、影響の発現の時期、それから、適応の着手、意思決定が必要な時期という観点から、いずれか、例えば、既に影響が生じている、あるいは、できるだけ早く意思決定が必要であるという場合には緊急性が高いということで判断をしております。11ページは確信度に関する定義でございますけれども、こちら、IPCCの定義を引用いたしまして、見解の一致度と証拠、文献の種類・量などを総合的に勘案して確信度を決めております。こういった点について、次回の評価に向けて、何か改善すべき点があるかという点についてご議論いただければと思っております。

また、その評価のベースとなる文献情報、これについても、基本はその査読つき論文ということで評価をしていただいておりますけれども、なかなかその知見が十分に出ていない、公表されていないようなものも多々ございましたので、この点について、どうやってそういった課題に対処すべきかという点でございます。

また、脆弱性や曝露を含めた総合的なそのリスクの定量化・指標化は可能かということでございまして、実は、この指標化につきましては、他国ではそれなりに進んでおりまして、相当数の影響評価の指標が策定されて、運用されつつあるという状況でございます。本日はご紹介できませんけれども、この点についてもご検討いただければと思います。

以上、1、2が非常に科学的な点でございます。

3、4は、これも意見具申の課題ではございますが、3については、出てきた情報をどういうふうに地方公共団体等に提供できるかという点でございまして、例えば、適応の情報プラットフォームで収集・整理・提供すべき情報や支援ツールは何かという点、それから、どのような支援が必要かという点、また、その地域の取組や連携を強化するには、どういった枠組みを構築すべきかという点、また、普及啓発をどういうふうに進めるべきかという点でございます。

情報プラットフォーム、別紙でも12ページ、13ページ、これは海外の例を紹介させていただいておりますが、欧米ではこういった情報プラットフォームについても歴史がございます。さまざま工夫を凝らして情報提供をしております。13ページのEUの情報プラットフォームでは、いわゆる気候変動の情報だけではなくて、高齢者の数といった社会的な情報についても、あわせて提供している次第でございます。

また14ページは、最近、政府のほうで公表しました地球温暖化対策に関する世論調査でございます。こちらでは、適応について、大体知っていた割合として5割近くあるわけですけれども、内容まで知っていた割合というのは4%程度ということでございます。こういったことも踏まえて、どういった普及啓発を進めるべきかという点についてご議論いただければと思います。

最後、4番目の課題でございますが、海外における影響評価等の推進でございます。世界各地で発生した気候変動の影響、例えば、世界の食糧需給に及ぼす影響ですとか、グローバルサプライチェーンの中断による影響、これが国内にどう影響を及ぼすか、どのように評価をすべきかという点についてもご議論いただければと思います。世界の食糧需給に及ぼす影響につきましては、参考資料の適応計画の中でも、施策として、今後いろいろ検討するということも示されたところでございます。いずれにしても、こういった問題をどう取り扱うか、これから要検討課題と考えております。また、あわせまして、途上国における気候変動の影響評価等の支援について、どういうふうに進めるべきかについてもご意見を賜れればと思っております。

最後でございますが、4ページ、今後のスケジュールでございます。当面のスケジュールということで、来年の前半まで示させていただいておりますが、本日の会議の後、12月にかけて学識経験者のヒアリングを行わせていただいております。委員の先生方にもご協力いただければと思っておりますし、また、あわせて地方公共団体、民間事業者等へのヒアリングも実施したいと考えております。ただ、論点が非常に多岐にわたっております。ですので、これはヒアリングをお願いする方々に、少しフォーカスをさせていただきたいと思っておりまして、学識経験者の方々におかれましては、主に1と2の論点で、地方公共団体、民間事業等の方々に対しましては主に3あるいは4といったことを現状では検討しております。このヒアリングを踏まえまして、論点整理をし、来年の1月から2月にかけて、この方針についての中間取りまとめについてご議論いただき、3月を目途に、中間取りまとめをしていただけないかと考えております。

その後も、気候変動影響の観測・監視、予測及び評価に関する新しい知見についての収集・整理及び議論を、適宜開催をしてご意見を賜ればというふうに考えております。また、小委員会におけるこの審議状況につきましては、適宜、中央環境審議会の地球環境部会に報告することを予定しております。

長くなりましたが、以上でございます。

住委員長

どうもありがとうございました。いろんなレベルのトピックがごった煮みたいになっているので、今日は最初ですので、言いたいことも皆さんおありだと思いますので、これから順番に時間を与えますので、そこで質問等があれば質問をし、こんなことをやったらいいとか、こうやればいいとか、言いたいことをまず言っていただければと思います。というわけで、皆さんに全員に当てますが、最初に、中北君が早く帰るというので、中北君のほうから。

中北委員

はい、ありがとうございます。

質問というより、さっきちょっと言いかけたことですけど、先ほどのは必ずしも防災だけのイメージで言ったのではなくて、市町村の方と住民の方の橋渡しの部分というのが大事だということ。それから、たまたまその防災関連のワークショップで地元の方と一緒の取組へよく行くんですけれども、温暖化に対する意識が高い人ももちろんいらっしゃるんですが、ただ、やっぱり疑心暗鬼しながらの方も多いということで、より温暖化の影響が来ると、適応が大事だという認識を上げるための情報発信。もう既に書いていただいていますけれども、やっぱり、いろんな面があるので、防災だけでなくて、そういうのが何か集約した、わかりやすいものが一般の方には大事かなと思いました。

それから、こういうのをここで聞いたら怒られるかもしれないんですが、温度上昇のグラフを見ていると、4℃とかを見ていると、2100年でもまだ上向いているんです。2100年で止まっているという理由というか、そこだけちょっと教えていただければありがたいなと、今日やっぱり改めて思いましたので。いろんな国力とか、IPCCの目標とか、いろいろあるんですが。そもそもなぜ2100年で、影響評価も含めて、あるいは適応のことを考えると、20年前で2100年はかなり先だったんですけど、今かなり近づいてきて、私たちも革新のプログラムを始めるときに、近未来ってちょっと先かと思ったら、もう既に入っているか、終わっているみたいな感じになるんですけど。そういう意味で、2100年の位置づけもちょっと教えていただければと思います。すみません、素人としての質問みたいで申し訳ありません。以上です。

住委員長

2100年はIPCCから決まっているからじゃない。

中北委員

なぜ2100年で。

住委員長

その先、わからないもの。だから、要するに、とりあえず2100年ぐらいまでしか、もう全然シナリオがないから。だから、計算はずっとやっているのよ。200年、300年、いろいろやっていてもいいんだけど。そういう、その行政に出せるようなレベルの情報としては、例えば、じゃあ2500年の温度変化をするためにどうしましょうかなんていう議論は。そんなことの前にやることはいっぱいあるでしょうみたいだと僕は思います。

中北委員

無限に2500年とか言っているわけじゃなくて、温度上昇としての影響が多分ここまで行くだろう、この時期に行くだろうというようなところに関して、やっぱり適応のことを考えると、そこも見据えておかないといけない。実質できる部分以外に、バックグラウンドを何か持っておかないといけないかと。

住委員長

だから、それは、シナリオのところは結構不確実だし。

中北委員

それは社会のほうの不確実性が高いというのも大きな理由ということで。

住委員長

それも大きいと思います。例えば、結局、IPCCの中で長くやっていたりすることがあるんだけど、それをサイエンスのベースでは議論をしていることがあっても、こういうところでは、と僕は思いますが、それについては何か。

中北委員

すみません、今ごろ、こんな質問をして、10年間一緒にやっていただいて。

住委員長

木本君、何かある、鬼頭君でもいいけど、2100年で、はい。

木本委員

私の理解では、社会経済シナリオが2100年以降は非常に不確実性が大きくなるので、精度はかなり違う。計算自体は2100年を超えてもやっておりますが、その社会シナリオの精度が違うので、多くの場合、2100年までの話が文字に書かれる場合が多い。それで、多分ここで欠落しているのは、IPCCの科学者は、何もしなかったら2100年以後も、この調子で温暖化が続く、そんなことは百も承知なんだけれど、一般の方にお話しするときには、2100年というので、そこで何か終わってしまうような印象を与えてしまっているというのが事実だと思います。

それで、そういう理由で2100年ディテールなシナリオ、信頼性のあるシナリオの構築は止まっているわけですが、中北先生もおっしゃったように、温暖化研究が始まって何十年たった今の時点で、そんなところで止めておくのは、もう実態に合わなくなってきているのではないかという感想はあると思います。ですから、もしそういう意見があれば、この方針みたいなところに盛り込むことは可能だと。IPCCがすぐ変わるとは思えませんが、そう思うんだったら、そういうふうに書くべきではなかろうかと思います。

住委員長

鬼頭君、何かある。

鬼頭委員

温室効果ガスのような強制力の増加に対して、すぐ応答する部分と、ゆっくり応答する部分がありますので、すぐ応答する部分については、今、木本さんが言われたような社会シナリオがどうか、非常に不確実なので、2100年まででいいだろうと。一方、そのゆっくり応答する部分ですね、海面上昇がそれだと思いますが、それについては、IPCCの報告書でも、2100年以後について、いろんなエスティメートはなされていますので、それを使って影響評価を見ることはできるんじゃないかと思います。

中北委員

適応を考えるときのバックグラウンドとして、やっぱり少し認識を高くしておいたほうがいいかなというのが質問の趣旨です。

住委員長

だから、タイプが二通りあってね、非常に長いところがある。だから大変だというような人と、そんなもの知らないよというか、やっぱり目先が非常に大事だよとか、それは、要するに、社会の人を相手にすると、いろんなスペクトルがあるんですよ。だから、その辺は、これから現実に応対するときに重要となります。

それから、例えば、氷床の崩壊やらティッピングポイントの議論でも、研究者が、ちょっとでも危険があったら声高に言うべきだという人もいます。しかし、ほとんど起きもしないことを言うのかと、社会を混乱に落とし込めるのかという反論もあります。いろんな議論があるので、その辺も含めて、それは大きな、逆に言うとこういうある程度の不確実性があるような情報をどういうふうに、どういうコンテクストで社会に提供していったらいいんだろうというのは、大きな話だと思いますが、それは、この中で議論をすればいいと思います。

中北委員

ありがとうございました。

住委員長

じゃあ、続いて、増井君も早く帰るので、増井君。

増井委員

すみません、ありがとうございます。

3点あるんですけれども、まず、今の議論になっていた、その社会経済シナリオの話なんですが、パリ協定もあって、その2℃目標というものに向かわないといけないという。そういう中で、資料3の別紙ですか、2ページ目のところに、IPCCのほうでは、幾つかシナリオが書かれています。その中では、社会のこれから進んでいく姿としては幾つかあるということが示されていますが、2℃を目指すのであれば、例えば分断だとか、在来型発展だとかという、そういうものをあまり議論しても意味がないんじゃないかなと個人的には思っています。むしろ、その2℃目標、これを達成するためには、どういうふうな形で社会が発展して、その中で適応策をどう位置づけるか、こういうところをやっぱりきちんと議論していかないと、有用な議論にならないんじゃないかなというのが1点目です。

2点目なんですけれども、この資料3の論点の中にも書かれておりますが、海外における影響評価等の推進というところで、やっぱりアジアとの連携というのが非常に重要なんだろうなと個人的には思っているんです。昨年、COP21の前に出されましたINDCなんかを見ても、日本は全然その影響適応に関する記述がなくて、むしろアジアのほかの国々、韓国ですとか中国ですとかインド、そういった国々のほうが、適応というふうなことに関する記述がかなり充実していたという事実もあります。そういう意味で、もちろんその途上国に対して影響に対する適応策というのを、日本が支援していくというようなことも重要ではあるんですけれども、実際、その先行して行われているような国々の取組というのが、どういうふうな形で行われてきたのかというところもきちんとサーベイして、それぞれの国々がアジアという地域の中で、ウインウインの関係を築いていくというのが重要なんじゃないかなと思っています。

3点目なんですけれども、これも資料2のほうでいろいろご説明がありました、地域コンソーシアムというものがあって、いろいろと情報をわかりやすく伝えていくということが重要としています。これはもちろんそうですし、影響の適応に関する情報を伝えるということは非常に重要なんですが、一般の方々というのは、温暖化というもので、一くくりでまずは問題に入っていくと思うんですね。そういう中で、適応だけを言うと、人々はどういうふうに感じるのかなというふうに不安に思うところがあります。ここは、もちろんその適応の検討会ということではあるんですけれども、実際、適応を伝えるときに、じゃあ緩和というふうなものをどう一緒に伝えていくのか、あるいは、それ以外の問題を、先ほど災害の話がありましたけれど、そういった問題とどう結びつけていくのか。今までは、縦割りで、もうこの問題さえやっていればいいという話だったのかもしれませんけれども、有用な資源も限りがありますので、もうまとめて、なるべくそのわかりやすく伝えていくという、そういう方向性に向けて議論できたらいいのではないかなと思っています。以上です。

住委員長

どうもありがとう。じゃあ、山田さんのほうから、こっち回りで。

山田委員

それでは、ここの資料3の当面の進め方の2ページ目の下の丸ですね、気候変動リスクを構成する外力(ハザード)、脆弱性、曝露のうち、等々の調査研究は、どのように実施すべきかということで、私の研究分野として、下から2行目の自然災害に関して、どのように脆弱性評価を進めていくべきかというのが、これに関して、私もちょっと意見なりコメントを述べさせていただきます。

ご存じのように昨年、鬼怒川で洪水が起きました。それから、今年は、あの変な経路を通った台風10号でしたかね、先ほど説明がありましたが、あのときに岩手県で大きな災害が起きた。そのときに、また北海道で非常に大きな水害が起きて、北海道全体で2,800億円ぐらいの損害になっているということです。現在でも、札幌から帯広市までは、高速道路だけでつながっていて、国道は全部、約30カ所が寸断されていて、JR北海道も、もういつ復旧できるか、目処も立たないということになっているんですね。それで、もうあの鉄道をやめようかなんていう意見まで出ちゃって、そんなことまで出ている。いつ復旧できるかわからない。それを西日本レベルの雨の強さで言ったら、例えばあれ、九州でいくと、あれほどの災害が起きないのに北海道では起きてしまうんですね。約500ミリの雨。流域平均で言うともう少し小さいですけれども。つまり、東北、北海道に行けば行くほど、そのリスクに関する脆弱性が目立ってきていると。西日本で500ミリぐらい降っても、まあある程度の災害は起きますけど、あそこまでの災害は起きないのに、東北、北海道に行くとなってしまうと。

現在ですね、あと1分ぐらいしゃべりますけれども、国土交通省と土木学会が、それぞれ独立に各インフラ、防災施設の健全度の、言ってみれば通信簿を出すということをやっています。これはクリントン政権やオバマ政権のころに、アメリカ土木学会が、アメリカのインフラの健全度は、A、B、C、Dぐらいの点をつけて出せということで、出して、今年か去年の年頭のオバマさんの、大統領の教書の中で、アメリカがひどいことになっていると、ある一定程度の公共事業をやるんだということを年初めの教書で述べられています。それに倣って、土木学会でも健全度評価というのを、あらゆるインフラに関して点をつけるということをして、公表し始めました。しかしこれは、現在の設計基準における健全度を言っているだけで、地球温暖化部分の、あるいは気候変動部分のリスクに対する脆弱性は全く入っておりません。ということで、特に地方、東北、北海道及び地方自治体にこの情報を伝えて、どう出させるかと、リスク、脆弱性をどう出させるかというところが私の今日の言いたいことの一つです。以上です。

住委員長

はい、どうもありがとうございました。倉根先生どうぞ。

倉根委員

ずっといるはずだったのですが、急にどうしても抜けなきゃいけなくなりまして、発言の時間をいただきます。

私のところの感染症、それから健康も含めてですが、特に感染症の場合には、なかなか影響そのものを評価するというのは非常に難しいのです。影響がないことはないんでしょうが、科学的知見が十分ないので、人によっては、すごく大きく言う方もありますし、比較的そうではないという方もあろうと思います。ですから、科学的な知見に基づくと、実は、その客観的に、皆さんが納得する評価、影響というのはそれほどないと思います、特に日本においてはですね。世界的には、地域、地域であることも事実であります。

一方、ここで対応ということを考えると、対応というのは、実は、地球温暖化に伴う感染症だからこうするというのは、あまりなくて、今行っている対応をきちんとするということに、今の段階では尽きるんだと思います。そこをどういうふうに言うか、そうすると、対応って何も特別なものはないのかという話になるんですが、科学的に、その地球温暖化による影響、健康影響、特に今、感染症影響に関して、近年、少し進んできた部分も取り入れつつまとめるのがいいのかなと思っております。

それから、ちょっと、事務局に伺いたいところもあるんですけど、この評価に関する方針というのは、取りまとめというのは、どのくらいのサイズになるんでしょうか。つまり、一年半前にやったときには、この厚さのができたわけなんですけれども、今想定されているそのボリューム感というかですね、ここら辺はどういうふうにお考えなんでしょうか、伺っておいたほうがいいかなと。

竹本気候変動適応室長

今回、評価結果をまとめるのではなくて、こういう方向で、その調査なり研究なり、情報提供の仕組みをつくっていきましょうという、その方針を出していただきますので、恐らく10ページ前後、あるいはそれ未満程度の内容になると考えております。

住委員長

今回の場合は、それぞれ通常の所掌業務とも密接に絡んでいるので、だから、逆に言うと、そういう仕組みづくりのほうがものすごい大きいんですね。だから、さっきの山田さんの話だったら、国土交通省とかそういうところが所管していることがいっぱいありますので。だから、それらにああせい、こうせいというので、そういうことを、サゼスチョンはいいと思うんだけれども、だから評価も、こういうことを調べて、うまくいったかどうかを、こういうスキームで反映させて次にまたいきましょうとか、そういう仕組みづくりを主に考えることだと思います。

では、どうもありがとう。じゃあ八木さん。

八木委員

八木でございます。今年から、私どもの組織が農業・食品産業技術総合研究機構と言いまして、日本全国の農業研究機関をまとめた一つの国立研究法人になりました。その農業の部分は、適応計画の中でも農業、森林、林業、水産業ということで、1番目に上げられておりますし、国民の関心も、防災とともに高いという結果を拝見いたしまして、非常に大事な取組であると、少しプレッシャーを感じております。それで、私の寄与できるところは、この論点のうちの多分2番、3番あるいは4番の部分だと思います。その論点について二つ申し上げたいと思います。

一つは2番、論点の2と3に関わるんですが、影響の評価ですとか、地方公共団体の支援等の仕組みですね、これについて、各分野で、あるいは各省庁で、それぞれ取組が、環境省を中心にされていると思います。それを、どう連携して、統合して、あるいは分担していくかということが大事だと思います。環境省のほうでもプラットフォームをつくられて情報発信に努められていると。農水省のほうでも、農業、林業、水産業の分野で同じような地域での計画、それの支援という取組が進められていっていると聞いています。ユーザーにとっては、それが各省庁から出ていったら、同じデータなのかもしれない、同じ情報なのかもしれませんけれども、どちらを見ればいいか、少し混乱する場合もあるかと思います。あと、それは3番の地方公共団体の支援も同様で、地方公共団体の縦割りの組織の中に、それをどううまく効果的に伝えていくかと、そういった観点の議論が必要ではないかと思います。

2点目は4番の論点、海外の問題ですけれども、その一つ目に、世界の食糧需給が日本に及ぼす影響という部分、論点がございます。これについて、実は、私どもの組織の中の少し弱いところですが、委員の中、この今回の委員の皆様の中にも、こちらの知見をお持ちの方がいらっしゃるのかと思いますが、もし、この部分を、今回の、今年度のこの小委員会の中で議論するということになると、もしかしたら情報が足りない、専門家、外部の専門家のご協力をいただくことが必要なのかなとちょっと思っております。以上です。

住委員長

それもね、ここではその影響を、結論を出すのではなくて、そういう影響を課題とするには、例えば専門的、そういうのもやっぱり特別専門機関を用意して、例えば5年ごとに出すとか、まあ何でもいいんですけど、そういうような整理をすべきではないかということが今回のアウトプットになります。グローバルサプライチェーンがこうなったからこうなる、ああなる、そんなものこれだけでできるわけがないですから。だから、そういう点では、これ、個々の個別の研究の具体的な何とかをしましょうということではなくて、そういう個々の具体の研究から、いろんな知見を全部その施策の中に組み込んでいくようなレジームというか、体制形態を作ってゆく必要がある。それをどうやったらいいかというのが大体大きなトピックになると思います。そのときに、例えば、こんないいかげんな知見で、そんなやっていてもだめだねというところがあれば、やはりそういうところの知見を増やすような研究を進めなきゃだめだとかそういうことが出てくると思いますけれども。

じゃあ、はい、どうぞ。

平田委員

森林総合研究所の平田です。

今、住委員長に言っていただいて、大分気分的には楽になったんですけれども、我々、森林の話というのは、今まで、主に緩和、森林は、ご承知のとおり二酸化炭素を吸収するという、また、途上国での森林減少、これがIPCCのAR5でも11%程度の影響を与えているということはありましたので、緩和については非常に、軸足を置いて今までやってきております。

それに対して、今度、適応、影響評価して、適応していくという点では、実は非常に難しい分野です。というのは、これから、例えば日本で乾燥が進む、あるいは集中豪雨が来る、そういったときに、どういった反応をするのかという、そういったデータが十分にない。これから新しく起こってくる現象に対して物を考えていかなきゃいけないということで、非常に難しい部分があります。そういう意味では、これも住委員長、最初におっしゃったように自然が変わっていくので、我々、もちろん影響評価するんだけれど、これまでのその時系列的なデータがないだけに、5年ごとに、あるいは10年ごとに、森林になると10年というタームぐらいでないとなかなか反応が見られないというところもありますけど、そういった中で物を考えていかなきゃいけない分野なのかなと思っております。

その中で、今回、環境省さんのほうから示していただきました四つの論点の中では、例えば、そのIPCC、現在、AR6の前に1.5℃の特別報告書、これをつくっていくわけですけど、これに対して、何らかのサゼスチョンを与えられるような、そういった方向性を示していくのが重要なのかなと考えております。

また、気候変動のリスクを考えたときに、我々、緩和のときには炭素を吸収する、あるいは排出を抑える、その論点だけでよかったんですけれども、今後、その気候変動リスクを考えたときには、当然、自然災害、そういった分野との分野横断的なことを考えていかなければいけないのかなという気がしております。

また、海外における影響評価等の推進というのは、これ、我が国では、現在、緩和に関してはJCMを動かして、二国間クレジット制度を動かしながら緩和に貢献していこうとしているんですけれども、こういったものをうまく進めるためにも、一体どういう影響があるのか、海外でどういう影響があるのか、それの評価を示していく。その上にある、もちろん相手国の普及啓発もそうなんですけど、JCMに加わってくるその民間事業、そういった方々にもアピールできるということで、まさに最初、小沼さんのほうからご説明いただいた資料の最初に、緩和と適応が両輪であるような図を、環境省の「STOP THE 温暖化」の資料だったかと思いますけれども、これ、示していただいていますので、影響評価の中でも、その緩和と適応のバランスを考えながら、いろいろアドバイスをしていったらいいんじゃないかと考えています。以上です。

原澤委員

環境研の原澤です。

3点、一つは、先ほど、中北先生のお話があったように自治体と住民の方、あとは国と自治体とか、そういう橋渡し機能的なところが非常に重要ということで、適応計画ができて、その前には農水省と国交省も適応計画をつくって、それらが国の適応計画の中に一元的に入っているかと思うんですけれども、そういう意味で、関係府省庁連絡会議というのは非常に重要だと思います。先ほどご紹介があったシートを見させていただくと、かなりハイレベルな会合です。そういう橋渡しを、本当に研究と国、国と自治体、自治体と住民というような、そういったところを、つなぐとすると情報が重要な役割を果たすと思うんですけれども、今、私も関わっている創生プログラムの中では、中北先生が大変ご苦労されて、研究グループと国交省の人たちとのシンポジウムを開催し、それが非常に、そのリスク情報を、つくる側と使う側、ユーザーの側の非常にいい対話のチャンスだったと思います。ですから、そういう、単に情報プラットフォームをつくったから済むというわけじゃなくて、それに関わる、いろんなアクティビティを加えていくのが大変大事と思います。

2番目が、科学的知見の充実ということで、たまたま私、前回は産業への影響ですとか、国民生活への影響というのを担当したんですが、産業の情報が十分なかった、情報を出していただけないというか、産業界の方の参加が少なかったということもあったりしました。その産業への影響は、いわゆるBCPとか、いろんな面ですでにやっていらっしゃるので、適応は必要ないということではなくて、今後、深刻化する温暖化にどう産業が対応するかということで、やはり積極的に参加を呼びかけていく、そういうアクティビティも必要かなと。あとは、国民生活への影響もなかなか捉え方が難しいんですけれども、都市という中で捉えることもありますし、また、最近だと複合影響といったようなこともあったりするので、科学的な知見が足りないので、研究を進める必要があると思っています。

あと、自治体の支援では、多分ポイントとしては、ツールの提供とかあると思うんですけれども、やはり気候シナリオをいかに提供して使ってもらうかというところで、そういう意味では、研究面では、気候、気象関係の研究者と影響関係の研究者が共同して研究を進めてきたということで、技術的な資料とかツールがそろってきているので、比較的、自治体の方々が計算等をするにはいい環境になっているのではないかと思いますが、それをいかに伝えていくかということも、大切かと思います。

ということで、1、2、3、それぞれ別個ではあるんですけれども、それをつなぐようなことも重要かなと考えております。以上です。

橋爪委員

長崎大学熱帯医学研究所の橋爪です。健康分野を担当しております。

資料3の(1)の、分野ごとにどのように脆弱性評価を進めていくべきかというところに関連すると思いますが、適応計画のもとになりました影響評価の昨年度まとめたころですね、資料2の12ページに表がありますけれども、例えば、健康分野ですと暑熱、感染症という大きな大項目があって、それぞれ重大性、緊急性、確信度と評価されておりますが、特に感染症は、先ほど倉根委員もおっしゃいましたが、現状では評価できないというものが多かったんです。これは決して大切ではないということではなくて、研究のその温暖化の評価自体が非常に難しい、あるいは、その研究者層がまだ非常に少ないということで、知見が非常に少ないということで、このような結果を出したわけですね。逆に言いますと、この分野で今後の知見が出せるような、科学的知見が出させるような研究体制の充実が望まれるというようなメッセージを込めて、ここに出したわけですけれども、そういった意味では、今後、この見直しをしていく際に、このカテゴリーですね、大項目、小項目と、このカテゴリーも新たなものが出てきたりという可能性もありまして、決してこれ固定化することなく、重大性、緊急性、確信度の評価自体もさることながら、このカテゴリーも少し柔軟に考えていければというふうに考えています。

野尻委員

弘前大学に昨年移りました野尻でございます。

一つは、あまりこの検討会のミッションとは関係ない話なのかもしれないんですけれども、少しこの分野の人と話して思ったことがあって、気象の防災、あるいは気候の防災とかいうことについて言えば、例えば、具体的な被害を減らすという意味では曝露を減らすというさっきの話になるんですけれども、予報を正確にすると被害が減るというような考え方は当然あると思います。その予報というのも、長期的な気候の変動予測と、もっと短期の天気予報まであるわけで、実際には、その天気予報の精度向上について、どういうふうにお金が、国のお金が使われているかというところがなかなか、私たちにとっては結構不満で、例えば、土木インフラをどーんとつくるのに比べたら随分安い費用の投入で天気予報は改善するんじゃないかと。昨日は雨のグループと、その雨のデータのお話をしていたんですけれども、そういう意味では、このミッションとは違うかもしれないけれども、国全体の意味では、もうちょっと天気予報、あるいは長期の気候予測に関する研究費、あるいは、その人材の育成が重要だというようなメッセージもどこかで入れられないかなと。よその役所の、省庁の予算を増やしてくださいという話なので大分違うかもしれないんですけれども、そんな観点を一つ思いました。

それから、二つ目は、この委員会のミッションと非常に近い話ですけれども、青森県の地方大学に移ってみて、それで大学でもすごく小さいお金で今、始めているんですけれども、県と一体になって、少し地域レベルの適応策策定に貢献できないかということで話を始めていますと、やはり最大関心事は、経済と直接つながるのが、その1次産業、農業、水産業ということで、青森地方の農業をどうするか、水産業をどうするかという話になるんです。恐らく私たち、非常に悩むのが、仕組みを維持して適応していくケース、例えば、そのリンゴの中ならリンゴで何とか、品種を変えたりして何とかするケースと、もうそれでは追いつかないので、じゃあ、リンゴ生産県じゃなくってほかの果物に変えましょうというような、もう仕組みまで変えてしまうケースが両方あり得て、両方考えなきゃいけないんです。実はそれは、どっちをやらなきゃいけなくなるかというのは、世界全体の排出量に依存してしまうという非常に難しい問題で、私たちとしては、多分、その両方のケースありますよと言って、じゃあ、どっちですかと言われたときは、どっちですよというのはなかなか答えられないと、そういうことにならざるを得ないんですが、恐らく、やはり適応策をつくるテクニカルな話だと、両方をうまくわかるように説明してあげる。実際、排出量がほどほどで済むか、非常に大きくなるかというのはまだわからないので、やむを得ないと思うんですけれども、そういったテクニカルな適応策の作り方というのを向上するような方法を、特に推進費の大型課題でもいいですし、環境研でもいいです、そういうところがうまく出してくれて、そういうのを地方レベルで使っていくような仕組みが必要なのかなということを今考えて、自治体とやるようなことを考えています。

三つ目になるとちょっと、大分違う話で、でも今までに出ているんですけれども、今振り返って見ますと、その前のこの意見具申のときでもあったんですが、適応の限界というのが今回全然表れてなかったんです。やはり、その一般の人に温暖化の問題を考えてもらうためには、適応には限界があるという話を、この間は全然書かなかったなというのがあって、そこを理解できるような形のその一般の人へのアピールというのが必要で、それは、さっきの話とつながります。適応の限界を感じて世界全体が早く動くと、より低いレベルの適応で何とかなると、仕組みを変えない適応で何とかなるけれども、世界全体が動くのが遅い、あるいは動かないというと、非常に仕組みを変えた難しい適応をやらなきゃいけないという、そういった違いがわかるような一般の人に対するアピールというものを、これからうまく進めていくべきだなと思いました。以上です。

高橋委員

1点目は、重大性、緊急性、確信度の評価についての課題改善点についてです。作業に参加された先生方、皆さん、同じように感じたのではないかと思うのですが、影響に地域差があることを考慮すると、国全体で1つの評価結果を与えるのは難しい。そのため、地域別や県別での評価をすべきで、それを支える地域別の影響予測研究が大事だろうと考えています。

二つ目ですが、定期的に気候変動影響評価を実施していくための仕組み・体制に関して、過去をたどると、S-4やS-8といった影響の総合評価に関する環境省プロジェクトが始まる前は、気候シナリオや社会経済シナリオについて共通の想定条件をおいたうえで複数分野の影響評価を実施するというのではなく、文献サーベイに基づいて、IPCCになぞらえたJPCC報告書といったものをつくったことがありました。その後、S-4とS-8が行われ、またさらにその後に、今回の適応計画策定に向けて本小委員会での文献サーベイが行われたわけです。今後、同様の取りまとめを行う際、S-4やS-8のように大型研究プロジェクトで、共通シナリオを設定したうえで包括的な影響評価を何年かおきに実施するスタイルでいくのか、そうではなくて、あくまでボトムアップで行われた研究を文献サーベイで取りまとめていくのか、定期的な気候変動影響評価の実施方針は、議論して定めていったほうがいいのだと思います。

3点目が、社会経済シナリオです。さきほどSSPの話が出ましたが、現時点で利用可能なのは全球規模の社会経済の発展方向の叙述的なシナリオで、これを国内スケールに持ってこようとすると必ず不整合な部分が出てくると思います。そのため、叙述的なシナリオに関しても、我が国の影響適応研究の材料として使えるようなストーリーを練り直して、それを共有していくことが大事と思います。

4点目ですが、脆弱性、曝露の調査研究の進め方に関して、どうしても我々自然科学の研究者は、定量的な評価に使えるような、脆弱性、曝露の定量的情報に興味を持ちがちです。しかし、現実の適応のアクションの遅れの理由等を理解するには、その制約因子の理解を深めることが必要です。そのためには、定量的な評価だけでなく、社会科学の研究者の力も借りながらの定性的な理解が必要なはずですが、我が国は、現在のところ、この点について遅れている印象があります。今後、そういった面からの研究の強化も必要と思います。以上です。

木本委員

1点だけ申し上げますが、私の偏見に基づいているかもしれませんので、もしそうだったら私は結構なんですが。

常々、環境省の方が適応策、温暖化に対する対策を国策として推進するリーダー役を担って、今回もいろいろやっていただいているのはすばらしい。もう環境省しか頼るものはないとそれぐらいに思っている私ですが、この方針を今説明していただきまして、書いてあることは、とてもいいことが書いてあるので一切意見はございません。

そもそもの話なんだけれども、ここには中央環境何とかというのは環境省の委員会ですね、審議会ですね。そして、我々はその下についていて、この文章は我々というか、役所が書く。結局、文章にはいろいろ書いてあるんですが、たくさん何々をすべき、どうあるべきであるかとある。個人的にですが、私たちはどうあるべきかというような話が大嫌いで、火事場で、火事を目の前にして私はどうあるべきかと、そんなこと言っている場合じゃないだろうと。

何を言っているかといいますと、個々の個別マターについては研究者、すばらしい研究者がおられるわけだから、こうあるベきだ、あああるべきだという意見は出て、パッパッと作文はできてしまって、報告書はできると思うんですが、環境省ができる範囲のことが書いてあれば全力でおやりになるだろうけれども、そうでない他の分野、他の役所、他の国民の皆さん、自治体の皆さんに関わる部分があったときには、それはまあそうあるべきなんだろうねということですが、それが実際に実行に移されるかは、この文章も、この委員会も、何のあれもしないわけですね。だけど、私たちはあるべきだと言ったんだよと。それをやらないのはあんたたちが悪いんだよ、みたいな感じを受けて、だから、偏見に基づいているから怒らないでねと最初に言ったんですけど、何かね、座っていて、ちょっとだけむなしくなってきましたので、ぜひともそうならないように。

そうならないようにするには縦割りの何とかかんとかでと、大抵役所の人は、何十年も前から同じことを言うんですが、そうでなければ、環境省の方が本当に心から思っておられるような対策が実行されるようにはいかないんじゃないかというふうに心配していますので、ぜひともそこのところを押さえていただきたいというふうに思います。終わり。

木村委員

適応策の問題なんですけれども、国の適応策と、それと、あと自治体の適応策とあると思いますが、その自治体についての適応策というのは最近随分浸透していて、その適応策というものはどういうものであってということをよく理解してもらっています。ちょっと前だと、その自治体の方々は、その適応策とそれから緩和策の区別がついていなくて、自治体の幹部に、適応策の講演に来てもらったんですけれども、初めから終わりまで緩和策のお話をしてお帰りになりました。最近、小学校とかそういうところでも、気候温暖化の研究、そういう知識をいろいろ教えているんですけれども、ほとんど緩和策で、適応策のことについては、小学生、中学生、全くご存じなかったですね。そういう背景が一つあるんですけれども、適応策で、やっぱり自治体というのはかなり重要なそれの担い手だと思います。

そうしたときに、その今、自治体との関係で、研究プロジェクト、SI-CATにしても、その前のRECCAにしても、それなりに情報が伝わって意見交換ができるのは、やっぱり自治体の環境研、地方、地環研と言われているところなんですね。そことの間では、よく理解も進んでいますし、それから、場合によっては連携した研究、観測とか、そういうこともできてうまくいくんですけど、今度は、その地環研と行政との間、ここのところはやっぱりうまくいっているように、その情報交換が円滑にいっている。あるいは、例えば適応策について、そこで、行政との間での密接な協議がそれほど多くないと、そこのところにやっぱりちょっと大きな情報の断絶があって、行政本体のところがどこまで本気になってもらえるかということについては、やっぱり、まだまだ努力が必要なんじゃないかなと。さすがに、最近、自治体の人たちも適応策のことを知らないという人は、減ってきているとは思うんですけれども、まだまだ具体的な政策と、それから、その地環研が把握している情報だとか、あるいは、これから得られるその適応策のために必要な有効な情報、そういうものについて十分考えてまでいただけてないところが多いのではないかというふうに、幾つかの自治体を見て強く思いました。以上です。

木所委員

水産研究所の木所です。

私も結構、木村委員の話とちょっと似たようなところですけれども、今回の資料を見ていて、ちょっと注目していたのは、この地方公共団体の支援のところですけれども、基本的に温暖化の影響とか、その適応策とか、その辺は分野によってもいろいろ影響のスケールや適応のスケールが異なるので、こういった地方団体の支援というか、地方公共団体に入ったとき、この小委員会としてどうやってまとめていく方向なのかなと、その辺が気になったわけです。ここではある程度、その地方公共団体の支援ということで、いろいろ情報提供とか、ツールとか、プラットフォームとかそういったような、どちらかといったら支援します的なところですけれども、それよりも何か国でやるものとか、さらには、その地方公共団体のほうが適応するものとか、そういった役割分担的なところも話しながら、この委員会をまとめるのかなと、ちょっとその辺は整理していただけないかなというふうには思っています。

あと、環境省の資料を見てちょっと気になるのは、例えば、何かモデル事業、各地方団体のモデル事業を見ていると、例えば私の専門の水産業ですと、どうしてもさっきのもの、例えば地域特産品とかそういったものが中心になっていると。ただ、その背景には、やっぱり国レベルでの適応も必要だけれども、何か地域特産品のほうの影響があると。その辺、ちょっと実際、どうやって適応をするのがいいかわからないですけれども、国がやるものと地域のほうの影響、その辺をうまく整理してまとめていく必要があるのかなというふうには感じています。

野尻さんからも、例えば、青森ではリンゴ、結局、特産品として維持するのか、変えるのか、水産業で、温暖化で減ったものは、環境が変わらないわけですから、なかなか増えるのは難しい。そうすると、やはり変えなきゃいけないのかなとか、そういったこともありますので、その辺も踏まえた、国のほうでやるものと地方レベルでやるものと、その辺をうまく合わせながら、この小委員会としてやっていくのかどうかについて、今後検討していっていただけたらありがたいかなというふうには思っています。以上です。

鬼頭委員

筑波大の鬼頭と申します。

論点1に関してですけれども、定期的にその気候変動の影響評価を行っていく場合に、その必要な情報がアップデートされた気候変動予測情報だと思います。現在、気象庁で温暖化予測情報を出していたり、文部科学省のプロジェクトで研究がなされたりしていて、気象庁、文部科学省と、あと環境省と連携のもとに、この適応計画がなされていくんだと思いますが、そのときに、定期的に気候変動予測モデルの結果が得られる保証があるかどうかということは非常に心配というか、担保はされていないと思います。

大きなプロジェクトとして、文部科学省の方で予算をつけていただいているわけですけれども、5年ごとのプロジェクトということで、担当の方が頑張って予算要求をされて、無事、次も首がつながったというような形でモデル計算が、かなりの部分がなされているところが大きいと思います。これは、それに携わっている者にとっては、次の数年間はやれるけれども、その後はどうなるかわからないという状況にあると思います。気象庁はプロジェクトではなく気象庁のお金でやっていますので、そこの点は少しはましかもしれないけれども、そういった体制ははっきりと、きちんとしておかないといけないかなと思います。

2点目は、継続的な観測・監視というところで、これはもう先ほど、一番最初に日本の気温変化のグラフを見せていただきましたけれども、気象庁で過去100年以上継続して観測・監視している情報を下に出されている。以前は、この日本の全体の気温というのは17地点、都市化のあまり大きくない17地点の観測結果をもとに出されていたんですが、それがいつの間にか15地点になってしまっていました。2点減った、いろんな状況があって減ったわけですが、それが将来、10地点ぐらいになるとか、そういった可能性もないではない。

気象庁内では、私はOBなのであまり、言いづらいですけれども、長期的なモニタリングとかに関してはあまり日が当たらないというか、お金がついているとは言えないと思います。大雨が降って、あるいは洪水が起こるとか、あるいは火山が噴火するということに対しては緊急性が高くてお金がつきますし、人もそちらの方へ回さざるを得ないんですが、長期的な観測・監視、特に、その地球温暖化の観測になりますと僻地の観測所でのものが非常に重要で、そういったところを長期的に継続するための措置といいますかね、担保が必要なんじゃないかというふうに感じています。以上です。

江守委員

はい、ありがとうございます。既に多くの方が関連することをおっしゃっていただいたんですけど、三つ僕も申し上げたいと思います。

一つ目は、ステークホルダーの関与に関してなんですけれども、資料3の3ページの論点の3、地方公共団体のことがあって、4ページにスケジュールにありますように、地方公共団体、民間事業等へのヒアリングが計画されていて、これは非常に結構なことだと思うんですけれども、昨今のこの手の議論を踏まえると、ちょっとこれでは弱いような気がしていまして、やはりその、意見は少し聞くけれども、基本的に専門家と行政で議論して、地方公共団体の人に使ってもらうようなものをつくるというのは、本当にその使えるような方向の議論に行くのかというのが、ちょっと心配なところが出てくるのではないかと思います。もう少しインタラクティブにというか、上流からというか、ステークホルダーの関与というのが、最近はいろんなところで推奨されるところであると思います。ただ、今回の今年度の計画を、それを大きく変えるのも難しいでしょうから、ちょっとそれを少し意識していただいて、例えばその、中間取りまとめの段階でパブコメをするのかもしれませんけれども、より積極的に、中間取りまとまったものに対する意見を、自治体等に意見をもらう取組をするとか、少し、ここで行われている議論に対して、そのステークホルダー側からのフィードバックというのが、より必要なのではないかなという気がしました。もしかしたら、例えば、来年度以降、委員の中にも、もうちょっとそのステークホルダー、自治体とか事業者の関係で、ある程度テクニカル議論にもつき合ってくれるような人を加えてもいいんじゃないかなというふうに思います。

2点目は、それと関連するんですけれども、もう専門家の構成に関しても、基本的に割とテクニカルな議論が期待されているということはあると思いますので、自然科学、工学のその関連分野の専門家が中心になっていますけれども、その社会とつなぐに当たって、人文社会的な専門性というのが、この議論においても必要になってくるであろうと思います。委員の中には、高村委員ですとか、田中充委員でありますとか、そういう方も入っていらっしゃいますけれども、より、ちょっとそういう人文社会的な専門性が必要じゃないかという認識を少し持って、もしかしたら学識経験者へのヒアリングで、そういう方が1人ぐらいいらっしゃってもいいのかなと。要するに、こういう科学的知見がその社会において用いられるに当たって、その社会とか政治とか、そういうものの専門性から見てどういうことが言えるのかということは、我々は理解しながら進めなくてはいけないんじゃないかなというふうに思います。

三つ目は、緩和とのリンクなんですけれども、関連することは、既に何人かの方がおっしゃいましたけれども、やはりその適応についてのことだけでずっと議論がありまして、実際には、その緩和と関連しているというところをもう少し明示的に書いてもいいんじゃないかなという気がいたしております。個別の対策に関して考えても、例えば、ビルの断熱は緩和策ですけれども、それによってエアコンの使用量が減ってヒートアイランドが緩和されたら熱中症対策になるとか、そういう緩和・適応のリンクというのはあるんだと思います。その社会、自治体なりその市民が意識するに当たっても、温暖化の問題というのは緩和・適応があって、例えば、あるシンポジウムで、今回は適応の話をしたけれども緩和も大事なんだなと、いつもそういうふうに思ってもらいながら、これを進めていくということは僕は必要じゃないかなというふうに思います。以上です。

石川委員

JAMSTECの石川です。

私、今、文部科学省のほうのプロジェクト、SI-CATという方で、特に地方自治体の方々とお話しする機会が多いのですけれども、それで感じることとしては、実は、その適応策のようなことをやっているんだけれども、彼らは適応だと思っていないと、潜在的な適応策のようなことというのは結構あるんですけれども、それをいかにきっちり、温暖化の科学的な情報を生かした適応策に持っていくかというところの支援というのは非常に大事じゃないかと思います。それは多分、恐らくこの3のところに関連してくるんですけれども、そういうところで実際に自治体などが影響評価を行ったときに、現在行っているその潜在的なものというのをいかに顕在化させていくかというところの支援をぜひやっていただきたいと思っています。

また、それに関連して、彼らなんかは独自にデータなんかを収集していたりしているんですけれども、それも温暖化という文脈ではなく集めているデータなんかがあるんですけれども、こういうものをいかに発掘してくるか、例えば、特に過去のデータなんかだと、紙で書いてあるデータなんかで非常に貴重なデータがあるんですけれども、このようなもののデジタル化みたいなものの支援というのも、例えば、先ほど話がありましたコンソーシアムなんかの事業として入れていただけると、より正確な推定や過去の情報がよりリッチになるということで、また、その自治体などが主体的に評価を行っていくための資料としても非常に有効でないかというふうなことがありますので、ぜひご検討いただきたいなと思っております。以上です。

天野委員

私からは、この脆弱性、曝露という観点について関連してお話を、一言申し上げます。

今回、気候変動の影響評価ということですので、当然、その気候変動というのが主役になっていて、それが独立変数になって、社会に対してどう影響するかという文脈で当然まとめるのだど思うのですけれども、社会を、適応策ということで変えていくと考えたときに、その社会の側というのは、その気候変動だけではなくて、いろんな、その将来、日本の場合は、将来にわたって何か暗い、非常にネガティブな将来図というのが描かれているわけですね、高齢化ですとか、これから地震が大きくなるとか。そういった中で、その気候変動を主軸にして、社会に対してどう、働きかけをしようとしたときに、その気候変動のみの話をしていては、なかなか社会として受け入れるのが難しいのではないのかなというふうにも思っております。

そういうことからいきますと、その気候変動がこうだから、こういうふうに社会が変わるべしというのではなく、それだけではなくて、その社会が、当然その将来に対して何らかの投資をしていい社会をつくっていこうというふうに考えているわけですから、その気候変動に対する対策をすることによってこれだけのいいことがあるんだという、そのポジティブな面というのをうまく説明をできるような評価技術というか、要は、その適応策をすることによって、これだけプラスになるというような形を、明確に出していけるようになるとよろしいのではないかというふうに感じております。

そういう意味では、例えば、その観測・監視なんかも、いろんな自然現象の観測・監視というだけではなく、いろんな社会のインパクトとか、そういうものも評価できるようにするとか、そういうことができると非常にいいのではないかというふうに感じております。以上です。

秋葉委員

私は水道分野が専門なんですけれども、最近、この断水ということを考えますと、この気候変動の影響というのは非常に大きい。例えば、今年の1月は、九州のほうで大寒波で、それで50万戸の九州のほうでご家庭が断水したというようなこともありますし、あと、もう当然水害で、毎年のように、今回の台風10号でも、東北、北海道で断水したというようなことでありまして。例えば、水害のことなんかを考えてみますと、その断水の原因というのが、水害で、その上水道が冠水しちゃったとか、それとともに、これまで発生したことがないような濁度、濁りですね、それが何千度という濁りになってしまう。それに行政が対応できなくて断水するというようなことがありまして、さまざまな影響があります。

結局、この気候変動の評価ということで、今回、水道に関しましては、さまざまな分野にこの中で渡るわけですね。例えば、先ほどの倉根先生がおっしゃっていましたけれども感染症に関しては、評価があまりできない、科学的知見がない。じゃあ、感染症の中でも、その水系感染症はどうなるかというようなことになりますと、我々、水が媒介するわけでありますので、その辺の基礎的なところがわかっていないと、我々も全然動けないようなところもありまして。ということで、この中の論点の2で、3ページの2ですけれども、さまざまな研究機関が保有する気候変動に関する知見とか、そういったところを収集とか整理するためにはどういった仕組みが必要だとか、その辺に関して、ちょっと重点的に今回やりたいなと。

あと、その確信度でも低いところはいっぱいありますので、それで、早急にその行わなきゃならない研究ですね、重点的に行わなきゃならない研究、どういった枠組みでやるのかというようなところを今回のところで、大体、前回整理したのでわかっていますので、この重点化みたいなところを、分野で何をすぐにやる、研究やるべきか。また横断的なその枠組みづくりとかはどうしたらいいかとか、その辺を今回、中心にやっていただければなと思っております。以上です。

住委員長

どうもありがとうございました。

いろんな点があろうかと思います。基本的には、やはり、この気候変動影響評価という中で、継続的に影響評価をして、そういう知見を、どういうふうに維持をしていくか、そういう仕組みづくりのところが大きかろうと思います。

それで、話を広げれば、非常に大きく広がっていくし、それをあまり拡散しても、例えば、これ、全然入っていませんけど、適応策で一番大事なことは資金です。それこそ炭素税か何かで金をまず集めろって、そんな話をすると、もう途端に、出発点からもうめちゃめちゃになってしまうようなところもあったりします。その辺はよく考えながら、やっぱりやっていくことが大事だろうというふうに思いますので。

後でスケジュールがありましたけれども、やはり来年度の概算要求の中には、これに関連したような施策を取り込んでいきたいというのが環境省の意図でございまして、それは、継続的な研究費を担保するという、そういうような意図だけではなくて、やっぱり継続的にこういう適応に関する事業をやっていけるような仕組、それは法律でもいいし、何でもいいんですけど、そういう法的な措置もありますし、施策づくりもあります。そういうようなものに向けて、できる限り研究者の意向が反映できるような部分が必要かと。

それから、最近日本の施策で欠けていましたのは、要するにいろんなことをやっているんですけど、その成果の評価ってほとんどしないことになっているんですね、日本のルールとして全ての政策は成功であったということになっておるんですが、いつまでもそういう幻想のもとにはいかないと思います。ある種の、そのやったことの評価をどうするかという、文化とかそういう視点は、それはいろいろ言い分はあって、やるともめたりすると思いますが、やはり、何かそういうことが必要なのではないかと僕は思います。

その辺も含めて、あと2回、ヒアリングというのをやろうというふうに考えられています。そこは、ある程度、それぞれの分野、視点から、そういう仕組みづくり等に向けて、こういうことをやったらいいとか、そういうものもいろいろ聞きながら、まとめていきたいなと思います。何事も完全にはいかないんですね。一歩一歩、そういう中で、次のステップにつなげるような方向になればいいかなと思っております。

それでは、その他、何か事務局のほうからございますか。

竹本気候変動適応室長

本日は、活発なご議論をいただきましてありがとうございました。今日のご意見や次回以降のヒアリングの内容を踏まえまして、中間取りまとめに向けた論点の整理を行っていきたいと思います。

議事録につきましては、委員の皆様にご確認いただきました後、環境省のホームページに掲載をさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

次回の小委員会でございます。既にご案内のとおり、10月21日、金曜日、早くて恐縮ですが、9時から12時を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。

住委員長

ほかに何か、よろしいですか。では、なければ、これで終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。

午前 11時59分 閉会