中央環境審議会 地球環境部会気候変動影響評価等小委員会(第4回)議事録
日時
平成26年3月3日 9:30~11:56
場所
東海大学校友会館 望星の間
議事次第
開会
議事
- (1) 日本における気候変動による将来影響の報告と今後の課題について(中間報告)
- (2) 今後の検討の進め方について
- (3) その他
3.閉会
配付資料一覧
資料
中央環境審議会地球環境部会気候変動影響評価等小委員会 委員名簿
- 資料1 日本における気候変動による将来影響の報告と今後の課題について(中間報告)(案)
- 資料1別添 我が国における気候変動による将来影響一覧
- 資料2 今後の検討の進め方について(案)
参考資料
- 参考資料1 我が国における適応に関する主な取組
- 参考資料2 適応計画策定に関する意見
- 参考資料3 補足的な気候変動予測の進捗状況について
- 参考資料4 前回(第3回)会合で頂いた主な御意見等について
- 参考資料5 中央環境審議会地球環境部会気候変動影響評価等小委員会(第3回)議事録
- 参考資料6 気候変動影響評価等小委員会の趣旨等について(中央環境審議会地球環境部会(第114回) 資料1-2)[PDF 84.5 KB]
午前 9時30分 開会
住委員長
それでは、定刻になりましたので、ただいまより第4回中央環境審議会地球環境部会気候変動影響評価等小委員会を開催したいと思います。
それでは、まず、事務局からお願いいたします。
研究調査室長補佐
皆様、おはようございます。それでは、定刻となりましたので、第4回の小委員会を開催したいと思います。
ここからは座って失礼いたします。
まず、本日は、委員総数の過半数の先生方にご出席いただいており、定足数に達していますことをご報告いたします。また、本日の審議に関しては、公開とさせていただきます。なお、本日は、浅野地球環境部会長にもご出席いただいております。
まずは、配付資料の確認をさせていただきます。初めに、議事次第がございまして、その次に、委員名簿をつけております。続きまして、資料1としまして、「日本における気候変動による将来影響の報告と今後の課題について(中間報告)(案)」、また、資料1の別添としまして、資料1別添「我が国における気候変動による将来影響一覧」。続きまして、資料2としまして、「今後の検討の進め方について(案)」。続いて、参考資料1としまして、「我が国における適応に関する主な取組の現状」。続いて、参考資料2としまして、「適応計画策定に関する意見」。続いて、参考資料3としまして、「補足的な気候変動予測の進捗状況について」。続いて、参考資料4としまして、「前回(第3回)会合で頂いた主な御意見等について」。参考資料5としまして、前回の小委員会の議事録をつけております。また最後に、参考資料6としまして、小委員会の設置等についてという趣旨のペーパーをつけております。資料について過不足等がございましたら、事務局までお申しつけください。また、もう1点追加の資料がございまして、高村委員から、本日出席できない可能性があるということで、書面で御意見をいただいておりますので、配布させていただいております。資料は以上になります。
それでは、以降の議事進行に関しては、住委員長にお願いしたいと思います。
住委員長
それでは、議事に入りたいと思います。本日の議題は、議事次第にありますように三つであります。まず、日本における気候変動による将来影響の報告と今後の課題についてという中間報告について審議をしたいと思います。資料1を事務局から説明してください。
研究調査室長補佐
資料1の説明に入る前に、前回の振り返りということで、参考資料4に前回いただいた御意見についてまとめておりますので、まずこちらの簡単なご紹介からさせていただきます。
前回いただいた御意見として、まず1ポツとしまして、整理対象とする将来影響の事象についてということで、前回、まだ網羅的に調べられていない部分もあるということもございましたので、まだどこが足りないかと、そういうことがわかるように表示することが大切という御意見もございまして、このあたりは今後の進め方として、次年度も引き続き、将来影響について整理を進めていくことを書いております。また、最新のIPCCなどの報告書の情報も追加していくということを書いております。
続いて、2ポツとしまして、対象とすべき文献やその共有の仕組みということで、まず文献に関しては、研究論文だけではなくて、行政の報告書も含め、両方カバーするようにしていくことが重要という御意見がありました。次のページに行きまして、文献の共有に関しても、政策決定の根拠を国民にオープンにするということがこれまでなかったけれども、そういうところが重要だということも御意見いただきました。それに基づいて、今後の進め方に関しては、研究論文だけではなくて、行政の報告書なども含めていくとしております。また、情報共有の仕組みについても、今後の課題として検討していくこととしたいとしています。
続いて、3ポツ目ですけれども、将来影響の整理方法についてということで、分野一項目の体系について、さまざまな御意見をいただいておりましたので、それについて記載しています。
また、3ページ目の整理すべき情報ですけれども、どういう社会を想定して影響評価を行ったのかということを、きちんと言っていく必要があるのではないかという御意見をいただいています。また、情報の整理に際して留意するべきことというところで、網羅的に全体をまとめていくことが重要だということも、御意見としていただいています。4ページ目に、今後の進め方としまして、このあたりは委員ですとか、各省の御意見を参考にしながら、次年度も体系について検討していきたいと思っています。また、複合災害ですとか、副次的な影響の整理についても、今後の課題としていきたいと思っています。
4ポツですけれども、影響評価の枠組みですとか、プロセスですけれども、作業体制のあり方、進め方というところですけれども、影響評価について環境省を中心に進めていくことが大事だと、そのための体力づくりもやっていく必要があるということで、データや、もとになる情報が何であるかというところを把握できる体制が必要だという御意見をいただいています。
また、5ページの下のほうで、確信度の取り扱いについてというところもございまして、分野などによっても確信度が異なってくるという御意見もいただきました。さらに6ページ目ですけれども、このあたりも⑨のところで、例えばAR5の考え方なども参考になるのではないかという御意見もいただきました。
7ページのところですけれども、重大性・緊急性の取り扱いについてというところで、①として、インパクトの大きさや、それが発現する時期もとりまとめていくことが、妥当なやり方ではないかという御意見をいただいています。
また、8ページで、ステークホルダーの参画というところで、国民がどういうことに関心を持っているかというのを吸い上げることも、行政としては大事だということもいただきました。9ページに、今後の進め方をまとめておりまして、重大性・緊急性・確信度の評価方法については、次年度の課題として今後も引き続き検討していくとしています。また、詳しくは中でも御説明したいと思っていますけれども、分野別にワーキンググループを設置して、分野別の特性を踏まえて、意見具申に記載する影響についての評価を進めるという考えもあるのではないのかと記載しています。
続いて、中間報告に向けてですけれども、①として、既に現状どうなっているのか、どういう影響があるのかというところも、情報として重要ではないかということと、②としまして、継続的に今後、影響評価を行っていくことが重要だということもいただいています。今後の進め方については、10ページの頭のところに、中間報告の(案)を資料1でお示ししておりますので、そこでご説明いたします。
6ポツとして、適応計画策定に向けてというところで、適応として、どこまで行けるのか、行けないのかというところを、シナリオごとにまとめていく必要があるのではないかということ。⑤としては、適応に関する哲学、適応する社会に関する基本的な考え方を整理しておく必要があるというところも、御意見としていただいています。また、今後の進め方としては、今回の意見具申は、科学的な知見から将来影響を整理するということにしておりまして、適応計画は別の枠組みで検討していくことと考えております。こちらは趣旨の紙の参考資料6にも記載しているとおりでございますので、そういう形で検討を進めていきたいと思っています。
最後に7ポツとして、質問事項で中国の話ということもございましたので、本資料の最後に別添というような形でつけております。
また、IPCCの話も出てきておりましたので、次の12ページ以降のところに、IPCCの確信度の評価について資料をつけております。
資料1に戻りまして、中間報告の(案)についてご説明いたします。
初めに、1枚おめくりいただきまして、目次のところで、本報告書(案)ですけれども、大きく4部構成になっております。初めの1ポツが目的というところで、本報告の目的を書いております。2ポツとしまして、我が国における気候変動の概要ということで、気候変動でこれまで観測された状況ですとか、将来予測についても記載しています。3ポツとしまして、気候変動による影響の概要というところで、こちらは各分野の影響について、取組みですとか、現在の状況、また、ここからが一番ポイントになると考えておりますけれども、3.3として、我が国における将来予測される気候変動による影響というのを、まとめ方の方針を中心に記載しております。続いて、4ポツとしまして、気候変動による影響の評価における課題ということで、これまで3回の小委員会でさまざまな御意見をいただきましたので、それらを中心に課題としてまとめております。
構成は以上でございまして、続いて、3ページ目ですけれども、本文の内容について簡単に御説明いたします。まず、本中間報告の目的ですけれども、背景といたしまして、昨年9月にIPCC総会が行われて、第5次評価報告書のうち、自然科学的根拠に関する報告書がまとめられました。そこで温暖化に関しては疑う余地はないということが示されておりまして、今世紀末には、温室効果ガスが高い排出となるシナリオにおいては、世界の平均地上気温が最大4.8℃上昇することや、海面水位も最大82㎝上昇するということが書かれております。
また、2段落目では、国際交渉においても、例えば産業革命前と比べて気温上昇を2℃以内にとどめられたとしても、我が国における気温の上昇ですとか、降水量の変化などに伴って、さまざまな分野で影響が出るということも想定されているとしています。
3段落目には、諸外国の事例について書いておりまして、例えば、オランダにおいては、既に2005年に影響評価を行って、2007年に適応計画を公表しています。また、イギリスにおいても、昨年には適応計画を作成しているという状況で、我が国としても気候変動への影響への適応の観点から平成27年夏を目途に政府全体の取組を「適応計画」としてまとめるとしております。
続いて、4ページの目的ですけれども、この小委員会において、その適応計画策定に向けて、既存の研究による気候変動の予測や、その影響の評価等について整理いたしまして、気候変動が日本に与える影響及びリスクの評価について審議を進めていくとしております。
また、本報告は現時点までに収集された既存の知見や、これまでの小委員会における審議をもとに、気候変動が我が国の自然や人間社会に与える影響について、現時点までの中間的なとりまとめとして行って、今後の課題も整理するものとしています。
1.3のところで、検討の進め方ですけれども、昨年7月に中央環境審議会地球環境部会のもとに本小委員会を設置いたしまして、第1回は8月に開催しました。本日を含めて計4回の会合を開催しています。この中で広く集められた情報の確からしさ、確信度については、個々の情報により異なることも予想されるということもありますので、ひとつひとつの将来影響がどの程度の確信度を持つものであるかという評価をしていくことが重要だとしています。さらに将来的に適応の検討に資するための情報とするためには、科学的な観点から影響の大きさ(重大性)や影響が発現する時期(緊急性)といったような指標をもとに、今後、特に考慮すべき将来影響について評価していく必要があると。こういった観点から今、審議を行っているというものでございます。
続いて、2ポツですけれども、我が国における気候変動の概要というところで、2.1としまして、観測・予測に関する主な取組についてまとめています。
(1)としまして、まず観測ですけれども、観測については、気象庁を初めとして、陸上の定点観測や船舶の観測などを行っています。さらに、それに加えて、衛星の観測なども行っておりまして、温室効果ガス観測技術衛星の「いぶき」などによって二酸化炭素の測定などをも行われているという状況です。
続いて、5ページ目の(2)の気候変動の将来予測に参りまして、こちらの予測の分野におきましても、気象庁において「地球温暖化予測情報」としまして、最新のものは昨年3月に「第8巻」が公表されています。また文部科学省でも、「21世紀気候変動予測革新プログラム」が平成23年度まで実施されておりまして、さらに、平成24年度以降も「気候変動リスク情報創生プログラム」ということで実施しています。また、環境省におきましても、環境研究総合推進費の中で「地球温暖化に係る政策支援と普及啓発のための気候変動シナリオに関する総合的研究」、通称 S-5と呼んでおりますけれども、そういう研究を実施しているという状況です。
続いて、2.2としまして、気候変動の観測結果についてまとめております。
まず(1)としまして、気温ですけれども、これまで100年あたり1.15度の割合で日本においても上昇しており、また、猛暑日ですとか、熱帯夜の日数も有意に増加しているという状況です。
6ページ目に行きまして、降水量の状況ですけれども、こちらに関しても、長期的なトレンドというのは明確にはありませんが、年ごとの変動が大きくなっていることを示しています。降水量1.0㎜以上の日数には有意な減少傾向が見られるということで、無降水量の日が増えています。また、3ポツ目としては、日降水量が100㎜ですとか200㎜といった極端な日も増加しているということがわかっています。また(3)としまして、海洋に関しても、海面水温が上昇しています。また、海面水位に関しては日本近海においては世界全体で見られるような明瞭な上昇傾向は見られませんが、1960年以降で見ますと、年間1.1㎜程度は上昇しているという状況です。続いて、(4)の海氷ですけれども、オホーツク海の海氷というのが年々減少しているという状況がわかっています。(5)の台風としまして、台風の発生数に関しては、長期的な変化傾向は見られないという状況です。
続いて、2.3としまして、気候変動の将来予測の部分でございます。こちらでは気象庁で、地球温暖化予測情報第8巻などで予測されている今世紀末の予測結果ということで、SRESシナリオのA1Bシナリオによる予測結果を記載しています。7ページ目に行きまして、そこで(1)として気温ですけども、全国的に2.5度~3.5度の上昇が予測されています。また、降水量に関しても、北日本では増加するということもわかっていまして、また、短時間強雨などの発生頻度も全国的に増加するということがわかっています。また無降水日数の増加ということもわかっております。さらに、(3)積雪・降雪ですけれども、東日本の日本海側を中心に減少するということがわかっております。また、そういう積雪ですとか、降雪の期間が短くなるということもわかっています。(4)海洋の部分ですけれども、こちらでも、ここはほかの結果も含めてまとめておりますけれども、海面の水温というのは長期的に上昇しています。また、海面の水位に関しても、世界的には上昇傾向が見られます。日本付近におきましては、不確実性の考慮も必要だということが述べられております。続いて、台風ですけれども、来襲確率は減少するとされる一方で、強い台風の頻度は大きくなる可能性があるという結果がございます。
続いて、8ページですけれども、3ポツとしまして、我が国における気候変動による影響の概要ということで、各分野の影響についてまとめています。
3.1としまして、まず、それらの取組についてまとめておりまして、(1)では分野横断的な取組についてまとめています。こちらで環境省の取組としまして、環境研究総合推進費で、「温暖化の危険な水準及び温室効果ガス安定化レベル検討のための温暖化影響の総合的評価に関する研究(S-4)」を実施しています。また、その後に、平成22年度から「温暖化影響評価・適応政策に関する総合的研究(S-8)」を実施中でございます。また、文部科学省におきましても、平成22年度より「気候変動適応研究推進プログラム(RECCA)」を実施しているところでございます。続いて、(2)の食料分野ですけども、こちらでは農林水産省で、「地球温暖化が農林水産業に及ぼす影響評価と緩和及び適応技術の開発」という研究プロジェクトを実施しておりまして、また、さらに現在も、「気候変動に対応した循環型食料生産等の確立のためのプロジェクト」を実施していまして、我が国における農林水産業へ与える影響を高精度で評価しています。続いて、9ページですけれども、(3)水環境・水資源の分野における取組としまして、まず環境省においては、公共用水域の水質等に与える影響の把握と将来の気候変動に伴う水質等への影響予測というのを実施しています。また、国土交通省においても、河川環境への影響を中心に検討を行っています。(4)としまして、自然生態系の分野の取組ですけれども、環境省においては、高山帯ですとかサンゴ礁などを含む生態系のモニタリングを継続的に実施していまして、また、平成22年度に公表した生物多様性総合評価報告書では、温暖化による生態系への影響についても言及しています。(5)ですけれども、自然災害・沿岸域分野の取組ということで、国土交通省において、全国の一級河川の洪水対策の影響分析、また、三大湾の将来の高潮偏差の変化特性の分析などを行っています。(6)で健康分野の取組ということで、環境省において、先ほどご紹介したS-8の中で、熱ストレス等の高温による影響についての研究を実施していたり、感染症に関しても、デング熱を媒介する蚊の生息分布域の研究を実施していたりします。さらに、(7)としまして、地方公共団体等における取組として、特に先進的な取組ということで、東京都や埼玉県などにおいては、それぞれの各都県の影響についても検討をしています。
続いて、3.2としまして、各分野における現状と観測結果ということで、現状起きている状況についてご説明いたします。ここからは個々の事象について、なかなかそれ自体が気候変動の影響による結果だと明確にいうことは難しいですけれども、ただ気候変動による影響の可能性も指摘されているような事例についてご紹介するという位置付けでご説明いたします。
(1)の食料、まず農業分野ですけれども、記録的な猛暑となった2010年に関しては、例えば米に関して、米の中が白く濁る白未熟粒の発生が多発しておりまして、一等米の比率が著しく低下した地域が各地で見られました。また、小麦に関しましても、北海道の秋まきの小麦は、平年比65%と大幅な減収でございました。さらに、うんしゅうみかんですとか、りんごなどの果樹に関しても、着色不良等が多く発生しました。続いて、畜産業ですけれども、2010年の夏ということはすごく暑かったので、家畜の死亡ですとか、そういうこともありまして、牛乳の生産量などの低下ということもございました。続いて、11ページ、水産業ですけれども、瀬戸内海において冬季の水温が上昇しまして、熱帯性の有毒プランクトンの出現が新たに確認されています。また、サワラに関しては、これまで東シナ海や瀬戸内海で漁獲されておりましたけれども、最近は日本海での漁獲量も増加しているということがございます。その他として、害虫の分布域も拡大しています。(2)としまして、水環境・水資源ですけれども、まず水環境において、全国の公共用水域の過去30年間の水温変化でございますけれども、夏季・冬季で7割から8割程度の場所で水温の上昇が認められました。また、水資源ですけれども、1970年以降、多雨の年ですとか、少雨の年の降水量の幅が大きくなっているということがございまして、例えば、四国地方を中心とする西日本などでは渇水が発生しています。(3)としまして、自然生態系ですけれども、森林・高山生態系に関して、八甲田山系では、オオシラビソの分布が1,000m以下の区域では減少が見られた一方で、1,300m以上の地域では増加していたということも見られました。さらに、三つ目ですけれども、ニホンジカやイノシシの分布に関しても増加傾向が見られまして、いろいろな要因はあるとは思いますけれども、気温上昇によって積雪条件が変化したということも一因でないかと考えられています。
続いて、12ページの沿岸生態系ですけれども、サンゴの白化ですとか、藻場の減少ということが確認されておりまして、石西礁湖などにおいても白化現象が見られております。さらに、海洋生態系においても、シロザケの成長が非常に良かったと。これはオホーツク海の表面水温が高くなることで、サケの生残率が高まったということが言われております。また、その他としまして、昆虫に関しても、ナガサキアゲハが分布域を拡大しているということもございます。(4)としまして、自然災害・沿岸域というところで、まず河川ですけれども、浸水面積は洪水対策が進んでいるということもありまして、減少傾向が見られると。ただ、その一方で、氾濫域への資産集中が進んでいるということがございますので、被害額というのは増加傾向にございます。沿岸に関してですけれども、高潮に関しては明確な経年変化を見出すことは難しいという状況ですけれども、1999年には12名の方が亡くなるなど、大きな被害も出ております。
続いて、健康では、まず暑熱ですけれども、2010年には過去最多の熱中症による死亡者数がございました。また、感染症に関しても、デング熱の媒介蚊であるヒトスジシマカの分布が広がっているということもございます。13ページの(6)ですけれども、産業・経済活動、国民生活・都市生活としまして、さくらの開花時期が早くなっていたり、紅葉が遅くなっていたりするとされています。また2ポツで、諏訪湖の「お神渡り」の記録などに関しても、「お神渡りなし」という頻度が増加しているということも挙げられます。
ここからが特に今後記載していきたいと思っているところですけれども、3.3としまして、我が国における将来予測の気候変動による影響というものでございます。
こちらは、分野ごとの予測される影響に関しては例示ということで、14ページ以降にお示ししておりますけれども、今回の報告では、今後、まとめる方針について記載させていただいております。まず、研究論文を中心に、さらに行政による報告書なども含めて、調査対象としていきたいと思っております。さらに、影響を考えるときの留意点として三つ挙げておりまして、①としまして、予測に関して不確実性を伴うということがございます。②としまして、各分野における影響については、必ずしも気候変動によってのみ引き起こされるものではないということ。③としまして、影響を受ける分野の曝露や脆弱性についても、それによって影響の度合いが変わってくるということがございますので、それを留意点として書いています。
14ページですけれども、一般国民へのアンケートなどによって、検討すべき分野についても整理していく予定ということを書いておりまして、また、各分野の項目において統一的な表現により影響をまとめていく必要があるということも記載しています。具体的なとりまとめ方針は点線の中に書いておりまして、まず、影響の発現時期ですけれども、三つに分けて記載していきたいと考えています。短期、中期、長期ということで、短期に関しては2030年まで、中期に関しては2050年まで、長期はそれ以降として影響について記載していきます。
(2)の影響予測の度合いですけれども、まず、実際のモデル計算などを行っている分野に関しては、可能性があるという書きぶりをしたいと考えています。また、実際の影響の予測の条件をきちんと明記していきたいと思っております。
(2)の③ですけれども推測――予測ではなくて、その推測に基づくような内容というのは可能性があるというふうな表現は使わずに、「想定される」、「予測される」、「懸念される」というような表記にしていきたいと考えています。
記載例として、例えば食料のコメとかですね、それ以降について今、既存の研究成果などから出てきている情報を例示としてお示ししています。一応、このような形で各分野に関してまとめていきたいと考えています。
続いて16ページですけれども、4ポツとしまして、気候変動の影響評価における課題ということで、課題についてまとめています。4.1のところでは、まず、技術的な課題をまとめています。(1)としまして、まず、情報の充実が必要ということを書いています。影響については、可能な限り幅広く体系的に整理していく必要があること。真ん中辺に書いておりますけれども、悪影響だけでなくて良い影響についても公平に取り扱っていく必要があること。また、もう1点としまして、ある影響がまた全然別の違う分野に影響を与えるという影響の副次性についても考慮していく必要があることを記載しています。2段落目としては、パブリックコメントなどを通じて、広く国民の意見を聞くことも重要としています。(2)としまして、影響の評価の必要性とその視点ということで、いろいろな情報が集められますので、どういうものを整理していくかというところを精査していく必要があるということで、確信度の評価をしっかりしていく必要があるということを記載しています。また、適応策の検討に資するような情報とするためには、科学的な観点から影響の大きさ(重大性)、影響の発現する時期(緊急性)といった指標についても留意していく必要があり、分野毎の専門的な知見を踏まえることが重要だとしています。
続いて4.2のところですけれども、継続的に気候変動による影響の評価を実施していく上での課題ということをまとめております。今回のとりまとめに関しては、第1段階の試行的なものだと考えています。今後、我が国における総合的・戦略的な影響の評価を継続的に実施していくためには、その仕組みの検討・構築が必要としています。具体的には、観測体制の充実を図る必要があると考えておりまして、また、さらには気候変動やその影響の予測・評価に関する研究を一層推進する必要があるとしています。さらには、観測のデータベースの整備の必要性ですとか、それらを継続的に、総合的に行っていく仕組みが必要であるとしています。また、国民や地方公共団体、企業などの適応策を実施する主体に、そういうデータを広く提供する仕組みというのも必要だと考えていまして、特に自治体の役割は重要ですので、そこに対してはガイドラインですとか評価の手法についても提供することが重要だとしています。
中間報告の内容は以上でして、その後は、19ページ以降に諸外国の事例もまとめています。
24ページで実際に気候変動による将来影響の収集に使用しました研究や調査をまとめています。
研究調査室長
すみません、1点補足します。14ページに戻っていただきまして。点線の中に「将来影響のとりまとめ方針」ということで、今後こういう形でとりまとめていきたいということを書いております。この情報のもとになっているのは先ほどご説明しましたが、後ろのほうの将来影響一覧というのがございますけれども、資料1の別添というところですが、例示で書いているものは、この情報を参考に書いております。基本的にはこういう情報を参考にしながら書いていくことになるわけですけれども、その整理の仕方、考え方を御説明します。
資料1の別添の1ページのところに、「将来影響の分野-項目の整理」というものがございます。この表を見ますと、分野、大項目、小項目と並んでおります。例えば14ページの食料のところの例示を見ていただくとわかりやすいかと思うのですが、「【農業】○コメ」と書いておりますので、この影響の中身、将来影響の中身については、この小項目ベースで今のところ書いていこうと考えております。また、資料1の別添をご覧いただきまして、この食料というところの一覧表を見ていただきますと、コメについては、今、集まっている論文は三つございます。この三つを総合的に考えて、この記載を例示として書いているということでございますので、こういうとりまとめ方でよろしければ、こういった形で今後も進めていきたいと考えております。
以上です。
住委員長
はい、どうも丁寧なご説明ありがとうございました。
それでは、資料が長いので、まず、主として影響評価をどうとりまとめるかという3.3の我が国において将来予測される気候変動の影響のところまで、まず議論をしたいと思います。御意見、コメント等ある方は名札を立てていただけませんか。よろしいですか。
それでは、沖君から。
沖委員
ありがとうございます。まず、幾つか申し上げさせてください。
まず、10ページあたりから、各分野における現状と観測結果ということが示されております。これ非常に大事だと思うのですが、一つやはり問題はレセプション、つまりどういう気候変動があったか、どういう変化があったかに関しては書かれているんですが、そのうちのどのぐらいが人為的な気候変動によるものかというそのアトリビューション、紐付けのところがやはり少し研究が足りないのだろうと思います。そういうことをここに書くというよりは、多分4に書いていただいたら良いのではないかと思います。また、その、自然の変化、例えば気温の変動あるいは雨の降り方の変化によって、どういう自然の変化があったかというところにとどまる研究が多くて、まあ、健康はきちんと健康になっていますが、やはり人間社会の影響の変化という研究が足りないのだということを、ぜひ後に入れていただければと思います。
それから、13ページの3.3になりますけれども、まず①に関しまして、シナリオやモデルによる不確実性ということが書かれているのですが、多分ですね、気候予測の条件の違いというところに入るかもしれませんが、特に激しい降水量とか洪水に関しましては、空間的な不確実性というのも大きいと。つまり、ある気候変動予測で、どこそこに集中豪雨が降った、ゲリラ豪雨が降ったというのが必ずしもそこに本当かというのは、非常に不確実性は大きいということが書かれていたほうがいいのではないかと思います。また②に関しましては、「各分野における影響は必ずしも気候変動のみによって引き起こされるものではないこと」というのは、裏返して言うと、「気候変動がなければ自然災害やその他の悪影響が全くなくなるわけではない」とはっきり書いていただいたほうが、私はその気候変動さえ抑えれば世の中ハッピーで何も問題がないというわけではないということがわかっていいのではないかと思います。また、③のところですけれども、同じく13ページ3.3。今後の社会変化によって影響が異なるということを、つまり曝露や脆弱性に依存するというのは、結局、今後、社会がどうなるかに依存しているんだ、ということは、ある意味ではオートマナスなアダプテーションと言われるような、今後社会がどう変わっていくか、どう変えていくかということにも依存しているということを、もう少しわかるように書いていただけたらいいのではないかと思います。
以上です。
住委員長
それでは、中北君。
中北委員
今のよりは少し細かいことかもしれませんが。例えば現在――現状と観測結果の3.2の中の12ページ、自然災害・沿岸域のところで、リストで挙げていただいている山地ですね、土石流とかそういう大きいところが最近台風とかで影響出ている分、実際災害も起きていますけれども、それが大きく抜けているような感じがしました。
それから、もう1個ですが、8ページのところで、影響評価の概要のところの(1)分野横断的・総合的な取組のところで、2のほうは影響評価の取組で文部科学省の創生のこと、革新・創生のこと書いていただいていますが、3.1の影響の予測に関するところもですね、創生の影響評価のグループでは、ここに挙げていただいているS-8、それからRECCAとですね、タイアップした形で進めているというのも、細かくなければ入れておいていただいたらいいかなと思いました。
以上です。
住委員長
では、そちら。
橋爪委員
資料1の別添になりますけれども。5の健康の分野で感染症がありまして、その小項目に蚊媒介感染症、マラリア・寄生虫症、あと節足動物媒介性感染症と例記されておりますけれども、この分け方が、もうちょっと整理されるといいかなと思いました。といいますのも、マラリアは蚊媒介感染症に含まれますし、蚊媒介感染症は、ほとんど節足動物媒介性感染症に含まれるものと考えていいと思いますので。後のほうの表を見ますと、マラリアと節足動物媒介感染症に関しては空欄になっていますので、根拠となるレポートがあるのかどうかわかりませんが、いずれにしてもこの分類をもうちょっと整理されるといいのかなと思います。
あと、もう一つ。その他の項目として複合影響等と新たにつけ加わっていますが、もう一つ考慮していただければなと思うのが、自然災害後のメンタルヘルスの問題ですね。グローバルには、この問題、非常に大きくなってきております。ただ、これの将来予測に関する研究というのは、非常に乏しいのではないかと思いますので、この表の将来予測、表の形でまとめるのは非常に難しいと思いますが、重要な項目として何らかの形で記載いただければと思います。
以上です。
住委員長
では、原澤さん。
原澤委員
10ページの3.2のところの現状と観測結果ということですけども、たまたま2010年が多く記載されているのですが、影響自身のモニタリングというのも非常に重要で、あまりやっている例はないんですけれども、そういったいわゆる観測に絡めて影響自身のモニタリングも重要だと。その関係では、今、気候変動関係では、ほぼ指定統計に準じた形でデータを集めて、それを公表しているかと思いますけども、そういったところともリンクできるのではないかと思います。それが1点目です。
あと、2点目が、14ページのところで、情報収集ということで論文に限らず幅広く行政資料等も集めてということですけど、一般国民へのアンケート等をされる、あるいはまた地方自治体とかNGOにもされるということであれば、こういった資料がありませんかといったような、そういう問いかけが必要ではないかと思います。といいますのは、昆虫なんかの変化は各地域で、博物館ですとかそういうところでもやっている可能性もあったりするので。そういう意味で幅広く情報の提供を呼びかけたほうが、より充実していくのではないかと思います。それが2点目です。
あと、3点目が14ページの将来影響のとりまとめ方針ということで、もっといろいろな影響評価の結果が出ているのではないかと思って、このところはもう少し記載ができるのではないかと思ってはいるのですが、現段階ではとりまとめ方針という形のとりまとめということであれば、しょうがないのかなと思ったりします。でさっきお話があったように、RECCAにしろS-8にしろ創生にしろ、いい成果が出ていたりしますので、そういうものはまたとり上げてもらえればと思います。
その関係で、(2)の1、「モデル計算などの影響予測に基づく内容は、「可能性がある」と表記」ということですが、もう少し踏み込めないかなという。可能性があるというのは何パーセント、雨が降る可能性があるといった場合、何パーセントかという話が気になるわけでして。一般の方たちも、この可能性があるという表現は非常に、何といいますかね、ちょっと難しい判断になるのではないかと思うんで、この辺は少しワーキンググループの議論でもよろしいんですけど、可能性があるについては、違和感を感じているということです。
住委員長
では、次、松本さん。
松本委員
前回、林業のシイタケについて発言しましたけれども、取り上げていただいて本当に感謝いたします。ただ、資料1別添の一覧表を見ると、シイタケが農業の野菜等に入っているというところが、森林・林業関係の人間としては非常に違和感があります。大項目の林業の林産物としてシイタケというところ。というのは、これ、結構、この先、適応を考えるときに、関係省庁がこの横に、右側にくっついてくるでしょうから、そのことを考えると早目にそうしたほうがいいのかなと思っております。
また、自然生態系についても森林・高山生態系の下にまた小項目というところで、既に書かれていますけれども、この小項目、もっとうまく整理できるのかなという感じはします。このあたり、まだ柔軟性を残しておいていただきたいということです。そして、もう一つ、この影響一覧表とその本文がうまく対応していないなという感じがしていました。つまり、11ページの自然生態系の一番下にニホンジカやイノシシの分布の拡大傾向、これについて、全くここの一覧に文献が載っていないのです。恐らくこれは前回の統合レポートに載った話題をそのまま載せられていると思いますけれども、やはりそうであっても論文を記載するべきだと考えています。
以上です。
住委員長
それでは、山田さん。
山田委員
11ページに水資源とあるのですが、何となく最近の話題を書いたという感じだけで突っ込みが足りない感じがしますね。それから、それと同じことが隣の12ページの自然災害についても言えますが、もう少しサイエンティフィックなことを書けないだろうかと思います。例えば河川と沿岸しかないのですが、砂防や土砂災害という分野もあります。地方で人が亡くなっているのは圧倒的に土砂災害で亡くなっている方が多くて、都市などの平地では、水があふれることで亡くなっていることが多いのが現状です。そして、それが増えた減ったという議論が多いのですが、砂防などという視点が全く入っていません。
それから、資産が集中しているというのですが、例えば日本の大企業でも中小企業でもITインフラの高度化により、わずかな淡水被害でもサプライチェーンの情報網が分断されてしまうという傾向が近年見られます。人的被害以外のものではありますが、これが日本の産業空洞化にもつながっているということも言えますので、水資源と自然災害などの事実の羅列ではなくて、もう少し突っ込んだ書き方ができないのかなと思っています。
それからもう一つ。これは先ほど沖先生が言われたことと少し重複するのですが、対策を検討する際に、現状では、せいぜい過去の記録が50年とか七、八十年ぐらいのものしかありません。しかし、だんだんデータがたまってくると、地球温暖化に限らず観測年が増え、異常というわけではありませんが、大きな値が出てくるのは統計学では当たり前の話です。ですので、これに加えて地球温暖化による影響の記述がどこかにないと、すべてが地球温暖化による現象みたいな議論になってしまい、それもおかしい気がします。特に自然災害のあたりでこのことを書く必要があるのではないかと思っています。
以上です。
住委員長
はい、では、隣。
栗山参考人
同じく3.3――3.2について、少々御意見申し上げさせていただきたいのですけれども、いろいろモニタリングデータを各省庁でとられていると思うんですね。この中には洪水とかあるいは水温とか出ていますけれども、例えば沿岸域でいけば、潮位ですとか波ですとか、そういうのがとられているので、恐らくその中にもある程度、地球温暖化の傾向なんか出ているのではないかなと思います。そこら辺ももう少し集められたらどうかなと思います。
もう一つは、先ほどの山田先生の意見とも少し一致するんですけれども、ちょっと突っ込みが足りないかなという気がしないでもないのと、もう少し、もしそういう事象を集めるのであれば、もう少し幅広く集められてもいいのかなという気がするんです。例えば、私の専門の沿岸域ですと、ここに載っているのは高潮だけですけれども、高波、爆弾低気圧と言われるようなものによって大きな波が生じて、それによる被害も生じていたりしていますので、もし、そういう事象を多く集めるということであれば、もう少し幅広く集められていいのではないかなと思います。
以上です。
住委員長
では、木本君。
木本委員
大変難しい仕事で、まとめようとする努力には敬意を表しますが、これまで何回も述べてきましたように、国民の皆さんが知りたいと思うこと、必ずしもそのレベルで研究していないので、やはりこういうふうになるのかなという印象を持っております。すなわち、いろいろな記述について不確実性があるのだけれども、定性的で、大ざっぱに言わせてもらうと世間話が書いてあるだけで、実際にどれぐらいどうなるのかよくわからないという箇所が多くなって、これは書いた人の責任ではなくて、そういうふうにきちんと調べていないのだから仕方がないと思います。そのことは4章の話のところで、もっときちんと出てくるのだと思いますが。例えば、6ページに台風が書いてあって、「最近の数年は平年値を下回る年がほとんどである」、これは何を言いたいのでしょうか。将来的にも平年値を、数が少なくなりそうだよと言いたのでしょうか。読んだ人がどう受け止めればいいのか。世間話として書いてあるだけで、と思っていたら去年は多かったのではないかという話も出てきますので。という意味で、世間話的であると申し上げております。次のページ、7ページにも台風のことが書いてありますが、これ予想なのでしょうか。長期的には台風の来襲確率は減少するのでしょうか。と思っていたら、「可能性があるとの研究がある」、どういうふうに読んだらいいでしょうか、国民の皆様がお読みになるときに。それから、ご指摘が既にあったと思いますが、10ページの食料の農業のところで顕著でございますが、2010年の夏はこうだった、それがどうしたんでしょうか。2010年の夏は暑かったと言っているのと同じことで、それが温暖化のせいで、どれぐらいの被害がどれぐらいあるというのはさっぱりわからないですね。ほかの場所でもそうですが、より、例えば、農業だといろいろ農家の方が対策をとられるから書き方難しいと思うのですが、同じような議論でも夏のこういう被害が増えてきているとか、少なくとも長期傾向をお話されないと、2010年はこんな年でしたと言われても、それは世間話の域を出ないですよね。少し一般的にいいますと、個別の事象を世間話的に取り上げておりますけれども、そこに温暖化の寄与がどれくらいあるかという視点があらわに現れておらないと、そういう研究が充分にございませんから仕方がないのですけど、読むほうからすると不満なのではないかなと思います。
それで、今言ったようなところを改善したいわけですが。そう思ったときに、誰がもっと充実した情報をこしらえるのだろうか、誰が書くのだろうかと私は思います。環境省の方はとりまとめに向けて何とかするとかですね、頑張るとかいろいろおっしゃっておりますが、ちょっと役所の方では、失礼ながら、お忙しいのはよく存じておりますので、人数も非常に限られているというのを存じておりますので、役所の方がどれほど超人的に頑張りになっても、今言ったような、こういうことが知りたいのだけどなというレベルには達しないと思います。そうすると4番のお話になりますが、もう少しシステマチックに影響やらその気候変動の影響評価をきちっとする、まあ役所言葉で言うと仕組みというんですか、それは4番の話になりますので考えないといけないなと感じました。
以上でございます。
住委員長
では、秋葉さん。
秋葉委員
先ほどからご意見が出ていますように、各分野の書きぶりがあっさりし過ぎるのではないかと思います。私の専門分野は水道ですが、資料1の別添の大項目の水資源のところの小項目で水供給、水需要でふれられており、本文中では、16ページで、数行盛り込まれているのみですわが国は、世界的に見ると、蛇口から水が直接飲める数少ない国の一つで、7割を表流水から取水しています。水環境の大項目で、アオコの発生確率が高くなれば、異臭味障害、浄水処理障害として、直接影響を受けることになります。やはり水道は、国民生活に直結しますので、本文中に、副次的な影響評価となるのでしょうか。気候変動でどういう問題が起きているのか、全般にわたり盛り込んだほうがいいのではないかと思います。
それとあと、健康の大項目の小項目で水系感染症の欄が空白になっておりますが、この辺の情報はあると思いますので、あとで埋め合わせるということでよろしいでしょうか。あと、別添資料1の国民・都市生活の大項目で、都市インフラとありますが、水道は重要なインフラです。最近、水害や土砂崩れで浄水場が冠水したり、直接管路が損壊したり、断水を引き起こしています。断水によって国民生活は大きな影響を受けることになります。
以上です。
住委員長
では、次。
秋元委員
どうもありがとうございます。最初の報告ということなので、あまり求め過ぎてはいけないのだろうとは思うのですけれども、3.2節のところで、各分野における現状と観測結果というのをまとめていただいているのはいいとは思うのですが、例えば部門等によっては、そのために、そのときにどういう適応対応をとったのかとか、そういう事例も含めて書いていただけると、今後の適応戦略のベストプラクティスみたいな形であるとか、そういうものに何か活かせるようなものになるのかなという気がしますので、何かこういう影響があって、実際にそのためにそのまま放置した場合もあるかもしれません、せざるを得ない場合もあるかもしれませんけれども、何らか影響が大きくならないように対応をとるという事例もあると思いますし、あったと思うので、そういうものも含めて書いていただけるといいかなと思いました。
以上です。
住委員長
では、次。
江守委員
ありがとうございます。二つ申し上げたいと思います。一つ目は、先ほど木本さんがおっしゃったことと関係するのですが、2.2と2.3あたりに関係しますが、最近、専門家ではない人で興味がある人と温暖化の話をしていると、やはり冬は寒いと。日本の冬はここ数年寒くて、しかも関東で大雪まで降ってしまったので、最近は、人々はそのメモリーに非常に引きずられていて、で、特に関心がある人は、夏は暑くなるけど冬は寒くなるのではないかと、そういう両極端に向かうのではないかと、温暖化すると、そういう寒い冬は増えるとなるのではないか、そういうふうな関心をすごく持っていらっしゃるのですよね。多分そういうメモリーに引っ張られた方がよく読むと思いながら見ると、やはり過去のトレンドでも将来の予測にしても、長期的には寒い冬は減る、まあ冬日は減るで僕は正しいのだと思うのですけれども、我々専門家がこれを見たときには、長期的な傾向の上に年々の大きな変動が乗っていると。例えば過去の変動でいえば、長期的な傾向は100年で1度の上昇なのに対して、年々の変動というのは2度、3度の振幅があるのが乗っかっているわけなので、温暖化しながらでも寒い冬がたまに来て当たり前であると。IPCCのAR5にもそういうふうに、たまには寒い日も来ると書いてあったと思いますけれども。そういう感覚を何かちょっと補助線を引いてあげる必要があるのではないかなと思います。具体的には、そのAR5みたいに、ただし年々変動があるので、たまに寒い冬が来てもおかしくないというふうに書いてもいいかもしれないですし、あるいは影響を見るときの注意という13ページのあたりに、短気的には自然変動が非常に大きいのだということの注意を促してもいいのかなと思います。
これ、やはり影響・適応というもの自体を考えていくに当たって、非常に改めて重要なことだろうと思うのですけれども、長期的にはここに書いてあるような方向で変化していくのですけれども、要するに短期的には自然変動の出方によって、ここに書いてある長期的な傾向と逆の年もあるということを考えながら影響・適応を見ていかなくてはいけない。ですので、短期的には、長期的な温暖化の傾向を意識しながらも、やはり気象庁がやっているような季節予報であるとか、年々の変動の情報を、いわゆる最近はクライメートサービスと言いますけれども、社会に活かしていくということと、スムーズにつながる必要があるのかなということを含めてちょっと感じました。
二つ目は、影響の分類の3.3あるいは別添1を拝見しつつ、これ過去の何回かの会合で指摘があったと思うのですけれども、間接的な影響というか、海外の気候変動影響によって日本が間接的な影響を受けるようなことをどう扱うのかが抜けているような気がしたので、指摘したいと思います。前回休んだので、もしかしたら議論があったのかもしれないのですけれども、あるいは、それは考えているのだけど、書くことがなかったので書いていないということでしたら、そういう視点も重要であって、何らかの言及は必要であるということはどこかに書いてある必要があるのではないかと思いました。
以上です。
住委員長
河宮君。
河宮委員
ありがとうございます。JAMSTECの河宮です。ピンポイントで二つ。
7ページの(4)海洋というところですけれども。海面上昇については、「長期的に上昇し」という表現がされていますけども、海面上昇についてちょっと特殊なのは、たとえ気候が安定しても、ほぼそのままのペースで海面上昇が続いていくという予測がなされています。これは、適応と緩和のベストミックスみたいなことを考える際には重要な視点となるような気がしますので、そこの点がわかりやすく書かれているといいかな、明示的に書かれているといいかなと思います。
あと、さらに細かくなるのですけれども、その脚注の11番でですね、これは日本付近の海面上昇の予測モデルということ。これ私、具体的なモデル、どれを指しているかわからないのですが、ともあれですね、下のほうで「高解像度北大西洋海洋モデル」となっていましてですね、これ、日本付近のモデルにしてはちょっと変かなと思うのと、多分、後にもNPOGCMとなっていまして、これ多分、North Pacific Ocean GCMですね。この辺、日本語の名称は確認なさったほうがいいかなと思いました。
以上です。
住委員長
では、鬼頭君。
鬼頭委員
まずは1ページの目次のところですけれども、2.2の観測結果のところと、2.3の将来予測のところは、ぜひ対応させていただきたいと思います。
例えば海氷がどう変わるか、観測結果のところでオホーツク海を例に挙げておられるわけですが、そこの海氷がどうなるかというのは観光業にとっても非常に大きな情報かと思いますので、資料1別添のところにはそういったところも入るといいのではないかなと思いました。そういう意味では、観光業のところはかなり例示が少なくって、雪に関しても、スキーだけではなくていろんな観光に使われていますので、そういったところもあるといいのではないかなと思います。
それから、5ページのところに気候変動の将来予測として、主な取組が書かれています。気象庁の地球温暖化予測情報第8巻のことが書かれておりますけれども、気象庁本庁のほかに管区気象台とか地方気象台がそれぞれ独自に、例えば沖縄ですと沖縄で注目される事象について、観測結果、それから予測情報をまとめていますので、そういったところも細かくは取り上げる必要はないと思いますけれども、文献としてぜひ参照できるようにしていただければと思います。そこのところが、9ページにある地方公共団体等における取組のところとリンクしてくるのではないかなと思いました。
最後に、14ページのところで、将来影響のとりまとめ方針のところの、とりまとめ方、難しいと思うのですが、短期はいいとして中期、長期になってきますと、発現時期というのが温暖化の度合いとリンクしてきますので、そこのところは工夫して記述していただければ思います。
以上です。
住委員長
では、小池君。
小池委員
2点申し上げます。2.2並び2.3は比較的気候の変化ということに視点を置いた記述になっているのですが、先ほど木本先生からご指摘があったように、3.2はトピックを出しているだけなので、気候の変化によってこういうことがそれぞれの分野のことがどういうふうに変化しているのかという記述にはなっていないように思います。そこはそろえたほうがいいと思います。難しいと思いますけれども、気候の変化に対応して、農業ではどういう変化が起こっているという記述に書きかえたほうがいいと思います。
先ほど江守さんもおっしゃったのですが、ここのところ地方のいろいろな方々と、私、水分野ですけれども、気候の変化に伴ってという話をしたときに、私、水と雪やっているものですから、どうしても北米大寒波と今回、日本の大雪というのが必ず出てくるのですね。だから変動、バリアビリティーとチェンジというものを、どこかにきちっと記述する必要があると思います。ある程度メカニズムまでお話すると、きちんと理解していただけますので、その記述があったほうがいいということです。
2点目なのですが、ちょっと自分のことでなかなか言いにくいこともあるのですが、後のほうでもお書きになっているように、データを統合化していくことが大事だとあるのですけれども、これは統合的な取組のところです、8ページの3.1の(1)分野横断的・総合的な取組の中で、文部科学省が低炭素社会づくりということで取り組み始めた中で、大きな二つの枠組みがあって、一つはこのRECCAなのですが、もう一つはデータ統合・解析システムという、こういうデータを統合的にまとめていくのだと。CMIP3とかCMIP5のデータも全てアーカイブして皆さんが使えるような形にするし、気象庁の地球温暖化予測第8巻もダウンロードできて、部分的なものができるとかそういうことをやってきておりますので、このデータの取組のところも記述をぜひお願いしたいと思います。
住委員長
では、次。
佐々木委員
まず、統計的に見て年々変動によるものなのか、温暖化によるものなのかというのを、統計的な優位性をつけて、年数が充分にあるものに関してはそういうような記述をしていけばいいかなと思います。それから、極端な現象に関しましては、PDFを利用して、これぐらい極端な現象が増えるとか減るというような情報が記載できるといいかなと思います。
それから、温暖化の利用データ、地球温暖化予測情報第8巻のデータもあるのですけれども、それ以外にさまざまな温暖化に関するデータがあると思うのですけど、今、どうやってどこで利用できるのかというような一覧表みたいな形にしておくと、利用者が助かるのではないかなと思います。
住委員長
はい、高橋委員。
高橋(潔)委員
今回のこのとりまとめは、影響予測の部分に重点が置かれています。この小委員会のための文献収集・整理などの作業も影響予測に重点を置いて行われたので、それも当然かと思います。ただ、適応の検討のための科学的材料の整理という観点からすると、影響予測関連の情報だけでなく、そのもう一つ前の気候予測関連の情報についても、どのようなデータが今利用可能で、どのデータに基づいて適応検討を行ったほうがいいのかということが、次に適応検討を行う人たちに直感的に伝わるようにまとめられていくのが良いと考えます。今回の案は、まだ中間とりまとめということなので、今後、最終版に向けて内容を詰めていけば良く、どこまで今日コメントをすべきか難しいのですが、例えば、ページ7の気候の予測の部分について、これが後半の3章の影響の予測の部分と、比べながら使われることがあるとすると、影響について 短期、中期、長期という形で情報を整理する方針ならば、気候変化についても、今ここでは地球温暖化予測情報第8巻に沿った100年後の情報のみ簡潔にまとめられていますが、ここを影響に合わせた形で追記することが必要と思いました。
また、影響・適応を考える際には、国内で行われている気候予測研究だけでなく、海外の研究知見も活用し、さまざまな不確実性を考慮しなければいけないはずです。その点についても、現状でどのようなデータが利用可能であるのか、また、短期、中期、長期の適応を検討するために、どのデータを参照することが適切であると気候の専門家たちは考えるのか、といった点について、より踏み込んだ記述とすることが、この資料の有用性を高めるという意味で重要かと考えました。
以上、中間とりまとめの段階で全て入れなければいけないという話ではないのですけど、今後の方向として検討いただきたいと考えます。
住委員長
はい。
高橋(正)委員
この中間とりまとめですか、このたたき台については、私は比較的よくまとめていただいたと、事務局の方に敬意を表したいと思います。こうやって見ますと、いろいろな先生方がご指摘されたように、自分の専門分野を見ますと書きぶりについてはいろんな御意見が出るかと思いますし、細かい意見を出せますが、今回の叩き台によって各専門家の意見が反映しやすくなるのではないかと思います。また、不足している分野とか、この小項目で斜線になっている情報がないという部分についても、いろいろ追加情報が集まるのではないかなと期待できます。例えば、私が関係している自然生態系とか植物とかいう関係についても、幾つか指摘ができますし、ここにいらっしゃる先生方もたくさん情報お持ちでしょうから、今後インプットできるのではないかなというように感じます。また、先ほどきのこの話など出ましたけど、きのこの小項目の位置づけが不整合とはいいませんけれども、もう少し適切な位置付けが必要と感じました。
また、短期、中期、長期の区別では、長期で2050年あたりというのは、森林とか関わっているとすごい近い感じがします。2050年以降ということで2100年とか2100年以上も入っているのかもしれませんが、若干短いかなという印象は持ちました。
以上です。
住委員長
はい、どうもありがとうございました。いろいろ御意見出てきたのですが……。あと、はい。
森永委員
最初、ちょっと御意見に出ていましたけれども、2.2と2.3のその整合性というか対応をつけてほしいという意見には、私も大賛成です。そのほうが読みやすいかなと思いました。それと、3.2の各分野での影響ということを書かれていて、適応に、対策を打ったのではないかという御意見にも賛成で、私、水産関係なのでちょっと気になったのが、11ページの一番上なのですけれども、瀬戸内海で1990年代後半に入ると、熱帯性の有毒プランクトンの出現が確認されたという部分の記述のみでして、もう十数年たっているわけですので、これだけですと瀬戸内海の中、毒だらけなのかというような、変なイメージを持たれるとも限りませんので、もう少し考慮した内容の記載にしていただきたいなと思います。
以上です。
住委員長
では、次。
八木委員
別表に対するコメントなのですけどよろしいですか。
住委員長
はい。
八木委員
資料1の別添でつけていただきました別表ですね。各分野の影響について整理された表ですけれども、これは非常に貴重な資料になると思います。これだけ全体的にまとめて、またこれから充実させていかれるご計画だと思いますので、ぜひ、ここをしっかり、できるだけいいものを集めて作っていただきたいと思います。ただ、その中で、これからの充実・改訂かと思いますが、特に出典のところが統合レポートが出典になっていたり、あるいは報告書が出典になっていたりするものが多いものですから、できるだけ原典をここに記載していただく必要があるのではないかと思います。
その理由として、こういった孫引き的なものになりますと、特に影響評価ということで、影響の大きいものだけ強調して示してしまうと、特に悪いこととか、そういったバイアスのかかる懸念があります。実際、食料の分野で一つその問題がありまして、事務局に御意見をお送りして修正していただいたものがあります。ですから、今後かもしれませんけれども、できるだけ原典をあたる。そして次年度以降のワーキンググループの作業になると思いますが、そのバイアスですとかご確認いただく作業が必要かと思います。
さらには、一番最後のカラムの確信度の評価に関する事項が、これ査読あり・なしですとか、審議会がどうのこうのということですが、ここも今後充実していただくことが必要かと思います。
以上です。
住委員長
山田さん。手短に。
山田委員
これだけ分野が広いと、ここで皆さんでいろいろな意見を出して議論しても一人や二人の人でまとめられるのかは難しいのではないでしょうか。似たような国の委員会で、何度やってもとりまとめ意見が収束しないということがあり、委員の先生のところに直接役所の担当者と事務局がインタビューに行って対応したということがありました。委員の先生方に確認していくといったこともできるかもしれませんが、ですので、今出された意見を集約して委員の先生方にヒアリングをかけながらその場その場でまとめていくといったことでも対応しないと、何回やってもこの委員会は収束しないような気がします。
住委員長
はい。時間がありませんので、次の4のですね……。
研究調査室長
すみません、一言だけちょっと補足説明になりますが、出典の関係ですが、将来予測については、この別添の、資料1別添のところにとりまとめております。その情報源となるものが、ちょっとわかりにくいのですけども、24ページの別表2というところにございまして。今回、将来予測の情報については、この別表2というところにございます、こういった調査・研究をもとにとりまとめておりますので、そういった観点でこの次の資料1の別添の1ページを見ていただいて、非常に斜線が多いのですが、不十分な情報になっていると。この辺については、また後ほどご説明しますが、情報を収集していく作業をしていきたいと思っております。
それから、本文のほうの2ポツの気候変動の概要といいますか、将来予測も含めてですけれども、このあたりの出典につきましては、基本的に統合レポートをそのまま、ここは要約して書いておりますので、ちょっとこの辺の出典をしっかり書いていなかったので、誤解があったのかもしれませんが、この2章とそれから気候予測のところについては、出典をまた整理をしてつけておきたいと考えております。
以上です。
住委員長
はい。
研究調査室長補佐
事務的なアナウンスメントで大変恐縮なのですが、マイクですけれども、下のところから通信しておりますので、真ん中辺を持っていただければ、特に雑音等も入りません。すみません、アナウンスが遅れまして。
住委員長
それでは、4の今後の課題に移りたいと思います。御意見等ございましたら。大分、今までの中でもそういう話も出ていたような気がしますが。では、ここから行きましょう。では、武若さん。
武若委員
武若といいます。観測体制の充実を図る必要があると書いてあるのですが、ここの中に既存のものも十分に維持できるような文言をぜひ書き加えてください。で、土木分野ですと、極値解析というものをしていろいろな設計をすることが非常に多いのですが、極値解析ができるようなデータになるようにしてもらうのが、社会基盤施設のいろいろな将来の大きさとかを決めるのに肝心になってくると思います。
以上です。
住委員長
河宮君。
河宮委員
ありがとうございます。4の最後のところですけれども、データの共有の重要性について触れてあって、これは大変よいと思うのですけれども、ただ、データだけ共有してもわけがわからないというところがあります。ですので、ここはデータを活用する側に対して、どういうデータかというのを説明するような枠組みとか、言ってみれば仕組みですよね。仕組みだとか組織であるとか、システムであるとか、そういうところまできちんと考慮に入っていないと、大きなITシステムだけ作ってあまり使われないということにもなりかねないかなと思います。そこのところの重要性は強調しておいたほうがいいかなと思いました。
以上です。
住委員長
では、沖君。
沖委員
ありがとうございます。まず、16ページのパブリックコメントに関してですが、どういうリスクを過大に怖がって、どういうリスクを過小に評価しようとするかというのは、恐らく文化の問題であると思います。パブリックコメントを通じてそれを調べる価値は非常に高いと思うのですが、ここでは軽視されることのないようにとありますけれども、国民の関心の高いリスクのみを対象とした施策をすればいいという考え方もなくはないのではないかと思います。その辺は、この場で話すことではないのだと思いますけれども、これを集めて、ではどうするのだということを少し、何といいますか、抜けているのがないかを見るのか、それともやはり国民の関心が高いものに対しては多少手厚く対策をとろうということなのかということを、方針を打ち出していただいたほうがいいのではないかと思います。
17ページの何が課題というところなのですが、先ほども座長おっしゃったとおり、大分話が出たと思いますけれども、定量的なダメージをまず出すこと、つまり変化が何パーセントだということではなくて、人間社会に対してどういう影響が出るのだというのを、健康で、あるいは経済的、あるいは人命といったことで、やはり定量的に評価する研究が非常に足りない。
それから、もう一つは、今、武若先生おっしゃったとおり、オーダー程度でもいいので――本当はオーダー程度じゃいけないかもしれませんが、二、三度上がったときに必ず生じる影響なのか、半分ぐらいの確率で生じそうな影響なのか、1%起こる可能性がないとは言えない影響なのかということがないとですね、先ほど前半の話でありましたとおり、可能性があるとか懸念されるとかだけだと、やはり何も言っていないのと変わらないということになろうかと思いますので、そういう研究しかないという状況であればそういう研究しかなくて、今後、そういう定量的かつ確率ももっとある程度は定量的に示す研究が必要だといったことを書いていただいたらいいのではないかと思います。
また、ここには今回、影響ということですから適応は関係ないのかもしれませんが、適応コストに関しても同じことが言えると思いますし、さらには適応と緩和のシナジーとかトレードオフといったことに関しても、本来はまだ研究はもっと必要だというふうに私は思っております。
ありがとうございます。
住委員長
そこで終わりなのだよね。では、木本君。
木本委員
先ほども少し言いましたので、手短にしますが、特に4.2のところですが、これも前の方、言われた方もいらっしゃるかと思いますが、観測体制の充実が大事なのはもちろんですが、観測体制を今から充実して、明日、影響がわかるのでしょうか。国民の立場からしますと、それはちょっと役所がやりたいことを書いてあるだけではないのという印象を持つのでないかなと個人的には思いました。書くなと言っているのではないけど、ちょっとそういう、役所の都合が先に出てしまっていないかなと。「研究を一層推進し」、これも結構ですね。予算をとるためには研究を推進するほうがいいと思いますが、何回も何回も言っていますように、研究というのは書ける論文を書くだけのことですので、国民の皆さんが知りたいことを、論文にならなくても調べるような体制のほうがずっと大事です。それから、そのことに関して先ほども言いましたが、何回となく仕組みの検討、仕組みの構築、仕組みづくりが必要という役所言葉が出てまいりますが、できればこの言葉もう少し具体性のある言葉に変えていただきたい。仕組みが役所のオフィスに係員が2名付いたのを仕組みがつくったと言われたのでは困りますので。サイズとかあるいは主語、誰がそういう責任を持ってやるのかですね、はっきり書くことは難しいと思いますが、その大きさの感覚がわかるような。環境省がそれを求めているのか、それとも国が求めているのか、それとも国民のために必要であるのかとかですね、そういうことがわかるように書かないと、仕組みづくりが必要であると繰り返すだけでは、何回も読んだ役所の文書をもう一回読まされているとなってしまうのではないかと危惧いたします。
以上です。
住委員長
はい、では次。
藤田委員
国総研の藤田です。今まで出た意見と結構重複しますが、念押しで言います。
目的に適応計画策定に向けてとあるので、やはりその4.1あたりのいろいろな議論のところで、適応計画に使い物になる報告書になるかどうかと、その辺の議論を書くべきではないかということです。適応計画にとって使い物になるかどうかというのは要するにアクション、とるべきアクションが読んだらわかるかどうかということだと思います。で、わかりやすい事例でいくと、水災害で、豪雨災害であれば、雨が与えられれば大体その被害予測は100点満点ではないですけど60点である程度推定できるとすると、やはり最後、日本の川のスケールで豪雨がどれぐらい増えるかということを、現状の降雨予測でどこまで言えるのかということを、学の立場からはっきりさせてもらわないと、適応計画の使い物にはならないのではないかと思います。
逆にわからないのであれば、ここはわかりません、方向性だけですと言っていただくと、それでも随分進むので、現状でどこまで言えるかということを、適応策を計画する立場のほうからも少しリクエストしてもらってですね、ここはどこまでわかるのですかという何かある程度キャッチボールがないと、やはり一方通行ではちょっと使い物にはならないのではないかという不安があるので、その辺をもうちょっと今後どういうふうにしていくかという論点を、その4.1あたりには書き込んで、中間報告ですので、いきなり満点は出ないにしても、最終報告に向けてどのような――適応計画に使えるというのは、どういう性格を持つ報告書なのかということを、逐次はっきりさせていくことが重要ではないかと思います。
以上です。
住委員長
はい、では次。
八木委員
ありがとうございます。4.2、17ページですけれども、2パラグラフ目、今後の必要な課題について示されているのですが、ここに観測体制の充実ということは、大分充実して書かれているのですが、それと二本柱で大事なのが、そのパラグラフの一番最後に1行で書かれているこれらの――「影響の評価を実施していく」ということだと思います。その前の今回の意見具申に向けたほうは、(1)、(2)と分けて書かれているのですが、ここをもう少ししっかり書いていただくことが、ぜひ必要ではないかと思います。それは確信度、重大性、緊急性、そういったものをきちんと評価する作業ですし、そのことによって木本さんの言われる世間話を越えることが初めてできるのではないかと思います。あるいは今後の社会シナリオ、沖さんでしたか、コメントをされました、この社会シナリオによって変わることですので、こういったことも含めて書いていただきたいと思います。
さらにはもう一つ言えば、適応策の評価ということも、ここに入ってくるのではないかと思います。実際、もう既に適応策として使われているものもありますので、今後、開発される適応策、そういったものの評価ということもここの視点として必要ではないかと思います。
それに加えてですね、今後の検討の進め方にも関わるのですけれども、この確信度、重大性、緊急性といったものをきちんと評価することは、今後の、来年度の計画として分野別のワーキンググループをつくって検討されることをお考えのようですけれども、もう一つ、分野横断的に全体としてこういった評価の尺度をどうするのかなどといった分野横断的なワーキンググループ的な検討も来年度の作業として必要なのではないかと思いました。
以上です。
住委員長
はい。では、山田さん。
山田委員
17ページのほぼ同じところです。観測データベースの整備というところですけど、実際に国がやっているのは、はやりのテーマが出たときに観測して、終わったらそれで終わりというのが一般的です。例えばアメリカのUSGSのように今となっては目的が不明確ではあるけれども100年間延々と計っているという体制は海外では充実しています。日本は全部事業ベースで、その事業をやるため、あるいはそのプロジェクトを達成するために計って、計ったら終わり。そして、それらのデータはアーカイブされていない。地方に至っては、データのアーカイブという発想すらないのが現実ではないでしょうか。そうしたことを強く言わないと、この文章ぐらいの記載では絶対に動かないと思います。また、民間電力会社が水を大量に使用していますが、、我々がそのデータを提供して欲しいと言ってに出してくれたことは1回もありません。ですので、こうしたデータベースの整備については、相当強めの意見なり法的なバックグラウンドをつくらないと誰も実行しないという気がします。法的措置についてまで明記するような実行性のある記載が必要ではないでしょうか。
住委員長
では、増井君。
増井委員
ありがとうございます。2点あります。
16ページの真ん中辺りに影響の副次性についての考慮も必要であると書かれております。この点はちょっと前のところに関連しますので、例えば3.2節のところにもこういう間接的な影響、副次的な影響というものを項目として入れておかないと、どういうことをイメージしているのかというのが、なかなかわからないのではないかと思います。16ページの本文には書かれておりますけれども、項目としても入れておいたほうがいいのではないかと思います。
2点目が17ページの4.2のところなのですけれども、これまでにも多くの方が指摘されておりますけれども、この文章を読んでいますと、誰が主体となってこういうことを行うのかというのがちょっと見えにくいといいますか、何となく他人任せに書かれておりますので、もう思い切って環境省が主体となってこういうことをやる、あるいは、これからもいろんな影響について継続的・定常的にいろいろな情報を収集する、論文等を吸い上げていく、そういう方法、今後の作業体制が必要であるということを明記してもいいと思います。これまでも指摘されておりますので、なかなか難しいのかもしれませんし、行政の役割ではないのかもしれませんけれども、環境省が主体的となって、こういう組織をつくって行うということを、より具体的に書かれたほうがいいのではないかなと思います。
以上です。
住委員長
それでは、はい。
田中委員
田中です。3点ございまして、一つは16、17ページのこの課題というのが、言うならば最終報告に向けて、この後どういうことをやっていくかという、ある種の検討課題、作業課題のようなですね。恐らくこれでパブリックコメントをやる、あるいはワーキンググループを置いて、セクターごとにきちんとした検証や、あるいは点検をしていくと、そういう話があろうと思います。そういう意味では、最終報告に向けての課題と、そうではなく、それを射程に置きながら、さらに気候変動評価ですか、影響評価に向けての課題というのは2段階があると思いますので、ひとまずは中間報告をとりまとめた後に、今後どのようにこの内容についてブラッシュアップしていくのか、そういう意味での作業課題という項目をぜひ設けてもらいたい、これが一つ目です。
それから二点目は、ここに国民等の意見を反映させる、16ページの上から六、七行目に書いてありますし、あるいはパブリックコメントなどを通じて日常生活の感覚が必要と思われる事象について取り入れていく、こういう形で、つまり国民との対話なりコミュニケーションをしていくことが書かれていると思います。この委員会でもそういうご指摘が過去あったと思います。私は、この点は非常に重要な話で、中期的、長期的に気候変動の影響が出てきて、それに対してどういう新しい適応社会をつくっていくか。そういう観点からは、国民的なコミュニケーション、意見交換が必要で、それは一つ項目を立てて書いても良いのかな、という点は感じたところです。
その内容とこれはかぶるようにも思うのですが、14ページのところにアンケートなどを通じて検討すべき分野・影響についても整理していく、こういう切り出しがあるのです。つまり、先ほど一覧で整理していただいた分野と大項目、小項目、こういう項目そのものについての意見もそうですが、より本質的には、気候変動する社会の中でどのように社会システムを考えていくのか。場合によっては、そこには緩和と適応との関係もあるかと思いますので、ぜひ、そういう必要性を入れたらどうだろうかと思います。
3点目は、これは小さな話ですが、具体的には17ページであります。関係する民間であるとか地方自治体の役割を考えていくことが必要だ、こういうことは確かにお話のとおりだと思います。
地方自治体の皆さんと意見交換をしていると、大事なのは地域レベルの影響評価データをきちんと提供していただくことだという意見が寄せられてきます。具体的に地域社会にどのような影響が出るのか、変化するかということが明確になってくると、関係する行政機関、行政担当者の関心も高まるし、住民・市民の関心も高まるということです。17ページの最後の二、三行目でしょうか、影響評価のためのガイドラインや評価手法ということ、影響評価データの提供ということが大事だということを強調していただけると良いなと思いました。
以上です、長くなりました。
住委員長
どうもありがとうございます。そのほか、よろしいですか。
それでは、時間もありませんので、この辺で終わりにしたいと思います。さまざまな御意見が出てきて、あればいいというのは簡単なのですが、誰がどうやるかというところが大問題でありまして、そこを踏まえながら今までの御意見を参考にして、事務局と委員長のもとでとりまとめていきたいと思います。
現実にとりまとめる段階で各省とのいろんな話が入ってきたと、いろんなそういうさまざまなしがらみがあるということは皆さんご存じだと思いますが、それを踏まえた上で、できる限りいいものにしていきたいなと思っております。
よろしいですか。
それでは、続いて、次の今後の検討の進め方についてのご説明をお願いします。事務局のほうから。
研究調査室長補佐
資料の2につきまして、ご説明いたします。「今後の検討の進め方(案)」というものでございます。こちらのほうは主に二つのパートに分かれておりまして、一つ目が将来影響の情報整備方法(案)というものでございます。
(1)としまして、国民からの意見募集というところで、先ほどの中間報告のところで幾つかありましたけれども、国民からの意見を広くとりまとめていきたいということで、まず①としましてアンケートの実施ということで、今月までに実施としておりますけれども、私どものほうでセミナー等を幾つか行っておりますので、その際にアンケートを実施してまとめていきたいと、その国民の意見もまとめて集約していきたいと思っています。
また、②ですけれども、パブリックコメントの実施ということで、中間報告がまとまりましたら、4月以降にパブリックコメントを実施して、これらの結果をまた6月を目途に整理いたしまして、小委員会に報告していきたいと思っております。(2)のその他の情報整備の進め方というところですけれども、今月、IPCCの第2作業部会の報告書も公表されますので、そういう最新の知見も随時追加していきたいと思っております。
続いて、2ポツ目の将来影響の確信度、重大性・緊急性の評価の進め方について(案)というところですけれども、ワーキンググループによる検討を行っていきたいと思っておりまして、今年の8月以降に実施というところですけれども、各分野に関してはエキスパートジャッジにならざるを得ないというところもたくさんあるかと思いますので、来年度に関しては複数のワーキンググループを設置して、分野ごとの特性を検討していきたいと思っております。
ワーキンググループにおける検討に当たりましては、以下のとおり行っていきたいと思っております。まずはワーキンググループのメンバーというのは5人ぐらいにして実施していきたいと。ワーキンググループは、食料分野、水環境・水資源分野、自然生態系分野、自然災害・沿岸域分野、健康分野、産業・経済活動・生活分野の6つのワーキンググループに分けたいと思っております。
ワーキンググループには各分野の専門家3、4名程度に入っていただきまして、気候変動分野の専門家にもそういう観点から1、2名入っていただくと。ワーキンググループの結果については小委員会に報告を行っていただきまして、分野横断的な観点で確認を行っていきたいと思っております。
ワーキンググループにおける主な検討事項ですけれども、収集した各将来影響の情報を精査していくというところと、もう一つは意見具申に記載する将来影響の書きぶりの検討及びその確信度の評価を行っていきたいと思っています。
また、重大性・緊急性に関する分野ごとの評価のあり方についても検討していきたいと思っていますが、1年後にまとめるものですので、どこまでできるかは状況に応じて変化すると思っています。
裏面にいきまして、今後のスケジュールの案ですけれども、今回の中間報告は、今月中にまとめまして、来月にはパブリックコメントを実施すると。6月に第5回の小委員会を開催いたしまして、パブリックコメントの結果及びアンケートの結果を受けて、今後の方向性についてご議論いただきたいと思っております。
第6回の小委員会までに各分野のワーキングに重大性とか緊急性、確信度の評価をお願いするとしましても、まず、統一的にどのような方向性であるかという大枠の方向性をまずお示しすることが重要だと思っていますので、その方法、手法について検討をしていきたいと思っております。
8月に第6回の小委員会を開催してワーキングを設置する予定です。その後、ワーキングを今年中に2、3回程度行っていくことを考えています。来年1月には第7回の小委員会ということで、各ワーキングにおける検討結果を報告していただきまして、意見具申の素案をまとめていきます。その後、パブリックコメントを実施いたしまして、来年2月には第8回の小委員会で意見具申をとりまとめていきたいと思っております。
本小委員会における検討はここまでになっておりまして、その後ですね、その後の予定というところで、各省における適応策の検討を踏まえて、適応計画の全体の調整を行っていくと。平成27年度の夏ごろを目途に適応計画を閣議決定していきたいと思っております。
資料2の説明は以上ですけれども、冒頭ご紹介しましたが、高村先生からも御意見をいただいておりますので、それについても簡単にご紹介させていただきます。
先ほどの中間報告のところもございますけれども、1ポツですが、これまでの御意見でもあったかと思いますけれども、ワンストップの情報プラットホームを設けることが重要ではないかということをいただいております。また、資料2のところについて、ワンストップの情報プラットホームについては、その具体的な検討と設置の準備を位置づけていただく必要があるのではないかという御意見をいただいています。
3ポツとしては、中間報告に盛り込まれていない気候変動の影響に関する情報や予測に関する研究成果についても、広く情報提供を呼びかけるということも御意見としていただいております。
研究調査室長
すみません、補足をさせていただきます。せっかく先生方お集まりいただいていますので、お願い的なことではあるのですけれども、このワーキンググループでございますが、6分野ということで考えておりますので、単純に割り振ると1分野5名ずつということで、先生方、皆様にご参加いただきたいというところです。しかし、恐らく、皆様非常にお忙しいということもありますので、非常に細かい作業をお願いするのはなかなか難しいところもあるかと思いますので、場合によってはご関係の若手の先生などをご紹介いただいて、実質的な作業をその若手の先生を中心にやっていくと。委員の皆様には、最終的なところをしっかり見ていただくと、そういうやり方もあるかなと思っておりますので、また、このあたりについてはご相談をさせていただきたいと思っております。
それから、このワーキングの検討事項の中に重大性・緊急性に関する分野ごとの評価のあり方というものがございます。先ほど野本のほうからご説明しましたが、まずは分野横断的な重大性・緊急性、最低限これは踏まえなければならないという事項、項目については、粗々6月から8月の間に整理をしておきたいと考えておりますので、一度、その点について8月ごろの第6回の気候変動影響評価等小委員会でご議論いただいた上で、それをワーキングにインプットして、分野別の課題についてはご検討いただくという形にしていきたいと思っております。
以上でございます。
住委員長
それでは、今の説明について、質問とかコメント等ございましたら。
藤田委員
簡単な質問でいいですか。
住委員長
どうぞ。
藤田委員
何となく直感的イメージとして、7月から8月まで何やるのかなという感じがしたのですが、これはむしろ同時並行でやってはいけないものかなと。その忙しさの話は別としてですね、何か横断的な話を延々と4カ月もやるのかなという印象をちょっと持ちましたので、その辺、何かお考えがあったら教えてください。
研究調査室長
多少時間があいている感はございますけれども、できればこの間に関係者のほうでも別途、この重大性・緊急性については検討していきたいと思っております。多少、時間をいただきたいということで、お時間をとっております。
あと、各省でも別途検討を始められるということも聞いておりますので、既に実際されている省もございますが、その辺の動きも見ながら考えていきたいと思っておりますので、若干長めではございますが、お時間をいただきたいと思っております。
住委員長
はい。よろしいですか。そのほか。
栗山参考人
ちょっと簡単なことを教えていただきたいのですが、ワーキンググループの人が執筆することになるのですか。
研究調査室長
書きぶりについては事務局で用意をいたしたいと思っておりますけれども、先ほども多々御意見いただきましたように、なかなか我々では専門性も限られておりますので、実際の書きぶりについても御意見をいただきたいと思っております。どんどんとご指導いただきたいと思っております。
住委員長
はい。そのほか。
倉根委員
このワーキンググループに新たに入れることはいいのですが、少しきちんと説明しないと、ここの全体の議論とまた、何か飛んで行ってしまう、離れた形でまとめがワーキンググループから出てくる、そこは問題でしょうから、ワーキンググループが作成されたときには、特に外から入った方にはこれまでの流れをきちんと説明していただくと。その中でのワーキンググループであるということを説明していただくのは必要かなと思います。
住委員長
ほとんどが、ここの人が入ることになると思いますから。
そのほか、何か御意見・ご質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
浅野部会長
大変熱心にご議論いただいて、拝聴していて私も大変勉強になりました。ちょっと誤解があったのかなと、最初の事務局の説明が悪かったのかなと思うのですが。中間報告が何か膨らんでいって、次の最終報告になるというイメージでご議論をなさった方と、それから中間報告というのは最終的にまとめ方をどうしていこうかということについてのたたき台みたいなものだと、軽く考えて議論されていた方と二つ、2極に分かれていたような気がいたします。
恐らく、これが膨らんでいって、それで最終報告になるというイメージよりは、最終の報告をまとめるための現段階でのわかっていることを整理してみたということだろうと思うのですけど、それにしてもご指摘いただいた内容を、もっと現段階でも書けるのではないかというのはいろいろありました。さっき、せっかく8月までは何もしないのかいという話があったのですから、その間の時間を使って、きちんと聞いて回れというご指摘は、私はもっともだと思うのですね。ですから、先生方のところを回って、今の段階でもこれに書けることは、4月までに間に合わなければその後でも構わないのですが、つくっておくと後が楽だろうと思いますから、そこはしっかりおやりになったらどうかと思いました。
それから、課題というところもですね、さっき田中委員が言われたように、最終をまとめていくためのこれからの作業に当たっての課題と、今後も引き続いての課題と二つあるだろうと思うのですね。このあたり、多少、事務局が遠慮がちなところがあるのだけど、最終的にはこれは中央環境審議会の小委員会がつくる報告なのですから、各省の思惑が何であれ、中央環境審議会の立場で言うべきことは言うべきだということをはっきりさせておかないと、部会長としては立場がありません。各省がそのようなことを書いてくれるなと言われたら書かないのだったら、何のための審議会かという気がします。
ですから、例えば観測などについても、しばしば環境研究の予算の審査をするときにも、こんなもの本当に研究費でやるような仕事なのかいと。5年単位、3年単位で毎回毎回延ばすか延ばさないかと議論をやるようなことは合理的でないではないかという議論をやったりしているわけですよね。そのようなことは本当に観測データが必要であるというのなら、しっかり審議会の名前でも言うべきだろうと思います。
前に知事会で勉強会をしたことが今回ちょっと出ていましたけれども、あのときに地域の研究所がいろいろ温暖化の状況とかいろんなことの研究をされても、大抵、その担当者が変わると途端にそこで切れてしまう、あるいは財政のほうが一遍くしゃみをするとそこでとまってしまうと。だから、せっかくいいデータがあっても調べていると間がいっぱい抜けていたり、2、3年で切れてしまっていたりして、後がないというようなことが山のように見つかったのですね。大変困ったなと言いながら、知事会としてはそれで困ったなで終わってしまったのですけど。
恐らく国も下手をすると似たようなことが起こってしまうということはご指摘のとおりだと思いますから、そこははっきりと言っておかなければいけないのではないかと思いました。
それから、もう1点、今、環境研究のことを申し上げましたが、実は推進費の企画委員会で環境研究の審査をさせていただいているのですけれども、現在、環境省の推進費での研究はSの研究を含めて政策との整合性とか政策への貢献ということを非常にうるさくいっておりまして、単に研究のための研究だったら、文科省に行けということが委員会の中ではしばしば出てくるわけですね。
ですから、かなりその世界では何をやらなければいけないのか、どういう研究を研究という名前でやるのかということについては、考え方が変わりつつあることはあるのだと思いますけども、残念ながらそれを十分に認識していただける研究者の幅があまりにも少なくて、まだ、こういう研究に必ずしもきちんと研究費の形で加わっておられない大学の先生方は、研究は自分の論文が書けることをやらなければいけないというような感覚が強いことは事実でございますから、そこをどう埋めていくかというのは、本当に大きな課題だと私も思っておりまして。ご指摘の点は今後も環境省ともども考えなければいけないと思っています。
特に、これは影響がありませんというような疫学調査のようなものは、あまりドクター論文にならないらしくて、そういう観点での研究は幾らお願いしても全然出てこないですね。何か影響がありますという答えを書かない限り研究でないかのような雰囲気が、ある分野にあるようなのですが、それも困ったものだなと思うのですね。
まあ、いろんなところでそれぞれの領域ごとの文化がありますから、何ともしょうがない面があるのですが、やはり環境の研究というのは領域の文化を越えてどこかで統合していかないと環境研究にならないということが、文部科学省でも昔やりました、環境科学研究の時代からわかってきているのですけれども、最近少しその傾向がまた崩れてしまって、分野に戻ってしまっているようなことがあるので、その辺も環境省の研究を推進するという観点からもう一度考えなければいけないということが、たまたま先週やりました企画委員会でも強く意見として出ておりましたので、申し上げておきたいと思います。
どうもありがとうございます。
住委員長
そのほか、よろしいですか。
ちょっと一つだけトピックテーマを挙げますと、パブリックコメントを4月に実施するのですが、それを受けて今後の検討の方針を、例えば6月ごろ議論をするとするのですが、このパブリックコメントを求めるときに、どういう形でどうやって求めるかというのは全く議論されていない。あんまりはっきりわからないのですが、そこをちょっと、多分、今後の検討の方向をある程度イメージしたような意見のとりまとめ方をしておかないと、どういうパブリックコメント、どうしたらいいですかとか、その辺をちょっと議論したほうがいいなと。先ほどの沖君の意見でもないのですけど、何聞くのさ、聞いたらどうするのさというのは、従来のパブリックコメントは案がもうあって、これをどう思うかと聞いて、まあ好きに言わせてほとんど無視すると、そういう対応でいいのでしょうけど。だからちょっとここはそういう議論をしたいと思うのですが、事務局はどういう考え方なのでしょうか。
研究調査室長補佐
パブコメのところですけれども、形としては今回ご議論いただいた資料1の中間報告を、最後、今月中にまとめまして、これ自体をパブリックコメントの対象の文章として出そうと思っております。資料1の別添資料を、そのときの参考資料としてあわせて提示いたしまして、資料1の書きぶりの根拠などに関しては、こういう研究結果があって、それに基づいて書いているというところをお示ししまして。今日も色々と御意見をいただきましたけれども、中間報告のパブリックコメントですので、幅広く、例えばここにこういう分野ないけれどもこういう分野もあったほうがいいのではないのかというご提案があれば、そこはきちんと真摯に検討はしていきたいと思っております。
住委員長
あのね、中間報告を出して、それは資料としてはいいと思うのですが、聞くときにね、例えばこの中間報告について、どなたか御意見ありませんかと聞くのか、これは参考にして、例えばあなたはどういうことを知りたいですかと、要するに聞き方っていっぱいあるではないですか。パブリックの意見を集めるときに、例えばどういうことを考えて、例えばだからやるかというのは、ちょっとそこの仕方を考えたほうがいいような気がするのですけどね。それは、あとどう使うかという問題も含むのですが。
はい、どうぞ。
田中委員
会長の意見を振られましたので、ぜひコメントしたいと思うのですが、一つは従来型の、つまりパブリックコメントというのは行政が文書を出して、それについて、各主体、住民や事業者がどう意見があるかという、こういう一方通行のあり方だったと思います。
今回、私はもう少し双方向のコミュニケーションをしたほうがいいかなという印象を持っております。できればここで書いているセミナーなのかフォーラムなのか、シンポジウムなのかわかりませんが、そういう機会を行ってみる。予算等の措置であったり、会場の確保もあって難しいかと思いますが、できるだけ双方向でやっていく。そうしたときの提供材料の一つとしてこういう文書が出ていると良いと思います。
広く意見を聞きながら落とし込めるものは、こちらの検討の中に落とし込んでくるという、そういう双方向のことをまず考えたらどうだろうかと、これが1点です。
その場合、スケジュールが決まっていて、4月から5月ぐらい、2カ月ぐらいの間にやってしまおうということですが、場合によっては適応社会とか今後の適応のあり方を考えて行く上では、もう少し長いスパンで継続してやってもいいのかなと思っております。もちろん、この文書に対する、中間まとめに対する国民からの意見聴取というのは、限定された期間の中で行う。ただし、その国民との対話であったり、あるいはコミュニケーションであったりというのは、もう少し継続的にやっていく必要があるのかなと思います。
それから、3点目は、その際に、諸対策や対応に係る費用とかコストのようなものを出していかないと、国民がリアリティを持てないと思います。ですので、可能であれば、例えば今かけている研究費の額であるとか、あるいはこのぐらいの予算かかっている、被害額がこのぐらいになっているということ、一定のところの数値といいますか、そういうものが出せれば、出せる範囲で出してみてはどうだろうかと思います。
以上、3点です。
住委員長
では、どうぞ。
浅野部会長
今の田中委員の御意見は直ちに採用するのはなかなか難しそうな感じがします。アンケートを行う3月までに実施と書いてある部分と今の田中委員の意見が多少ダブりますね。だからそれはそれでしてきちんとやると。で、パブリックコメントはパブリックコメントでやるということなのだと思います。
私、住先生おっしゃるように、今までのパブリックコメントとは大分意味が違うので、そのことを意識してやれよというご注意をきちんと素直に聞けと言いたいのです。つまり、これはあくまでもかなりアカデミックベースで議論もずっとやってきているわけですから、単なる政策議論についての意見を聞いているわけでは、パブリックコメントもそれを期待しているわけではないでしょう。だったら、この文書についてどう思いますかなどとやったって、ほとんど何も回答返ってこないですよ。全然関係ない関心事をダーッと書かれて終わりになってしまう。それだったら意味ないでしょう。
ですから、このパブリックコメントでは何に関心があります。当小委員会としては、こういうことについて御意見を聞かせていただけませんかということを、例示で、例えばというような形でもいいから挙げておきなさいというご指摘だと思うのです。何と何を聞きたい、こういうことを特に聞きたいと思うのでということをやれよということだと思うのですね。
それから、もう一つ、やり方なのですけど、これはたびたび申し上げていることなのですが。インターネットに載っけて意見を出せといったら、せいぜい返ってくるのは10通、20通なのですね。それは、事務方は整理が楽でいいかもしれないけど、パブリックコメントとして意味ないでしょう。せっかく学会がいっぱいあって、環境関係の学会があって研究している人を山のように抱え込んでいるわけだから、そういう学会を通じて、学会として意見を出していただけませんかとか、そこからきちんとコメントできるような人に情報を流してコメントをいただけませんかとか、そういうとり方をしたらいいのですよ。
そうすると、今日欠席した委員からの中にあったように、論文や何かで今まであまり表に出ていないようなものを持っている方が、私はこんな研究をしているのだと言ってくださるかもしれない。そういう情報をしっかり集めようということも、今回のパブリックコメントの形を通じてできるかもしれない。そういうもろもろの工夫をしなさいという委員長の意見なのですから、そこはよく考えてほしいと思います。
住委員長
はい、そのほか。よろしいでしょうか。何か御意見。そのほか別のことでも構いませんので。
ワーキンググループをつくるということも大体ご了承。ただ、もっと網羅的な全部一つのワーキンググループつくったほうがいいとか先ほど議論がありましたけれども、一応これでいくということで。それはよろしいですか。
それでは、特にアンケートの内容とか、そういうところまたご相談に行くと思います。
それから、書いている内容が茶飲み話だというのは、研究のレベルもその程度かという感じもしないでもないので、ここはまあ難しいところなのですが、本当に、そう大胆にこうだというふうに個人の立場では言えるのでしょうが、こういう立場で本当に言えるのかというと、やはりそれは、となるところがあるというのが事務局の辛いところだと思います。
あと、事務局が悪いわけではなくて、情報も非常に象徴的なのは、普通の人が探し回ったらこの程度しか集まらないぐらい、みんなの情報は読みにくくなっているのです、外側には。ということをこれから学んだほうがいいなと思います。各専門分野は基本的にはよその分野の人が知ってもらわなくても結構という態度で今まで来てしまったのが多分ディシプリナリなことで、現在、それではだめだということで総合的、総合的ということを何回も言っているのですけれども、非常に両方とりにくい。非常にいろいろな部分がやりにくくなっていますので、その辺のことも現実的な問題として考えていく必要があるだろうと思います。
あと、やはり分け方として、温暖化したら影響としてはこのようになる。先ほど河川の例があったのですが、現在の知見でいくと降水量がどのくらいになるのなら、あとは絶対確かですよという。だけどこの降水量がどうなるかがわからないならいろいろ不確かですねという、そういうような分野もあるだろうし、非常にはっきりと温度の予測ができても、そこからどう例えば人体影響ではどう出るのかはよくわからないところもありますねとか、そういういろんな違うような不確実性がありますので、そういうようなところは恐らくワーキンググループをつくる中で、具体的にもうちょっと詰めていったらいいんだろうと。それがお願いしたいことと思います。
あと、今回、非常にまとめてもらって、非常にいいことなので、できる限りこういうことを継続していくということは非常に大事だと思うのですね。役所的な発想でいきますと、報告書があるから、おまえら勝手に読んで探せばいいではないかとかいう。わかりやすくする必要は全く、だから報告書が出してあれば私どもの責任は終わり、図書館に置いてあるからどうぞ、というのでは、多分、それは使うなということと、ほぼ等しいことだと僕は思います。そういう点で、できる限りこういうことの努力をする。
それで、これは余分なのですが、本当に情報化社会でITテクノロジーが普及する中で、どっちがいいのか非常に難しいのですけど、今、大学などですと、電子版の教科書など非常につくっていますよね。それで文書でリファレンスがすぐ出てくるようなIT技術を使って学生の、まあ僕はあまりいいと思わないのですけど、非常に便利なように支援する。そういう意味でこういう、役所絡みではこういうものの報告書のまとめ方も、いろんな形の、小池君がDIASなどでやっていることもあると思いますけど、そういうものを含めて、こういう印刷物で出していくというだけかなという感じは、僕は思っておりますので、その辺もいわゆる情報公開と絡んでですね、こういう、全ての研究絡みの国のいろんなお金を出していて、プログラムのそういう結果の集約方法等なども、考えていく必要があるのではなかろうかなという気がしております。
本当に、しかしながら、研究者が勝手にしゃべっているだけですから、実務でやられる方は非常に大変だと思いますので、本当にご苦労だと思います。これからも、これに懲りずに頑張っていただければと思っております。
よろしいですか。その他何か。
そうしたら、事務局のほうから補足的な気候変動の進捗状況について説明をお願いします。
研究調査室長補佐
情報公開のところはしっかりと御意見を踏まえてやっていきたいと思います。
その他のところで、参考資料の3につきまして、ご紹介いたします。
「補足的な気候変動予測の進捗状況について」というところでございまして、本年度、環境省の事業で気候変動予測の計算を行っておりますので、その状況についてご報告いたします。
1枚おめくりいただきまして、予測計算の仕様というところですけれども、現在、気象庁の気象研究所が開発した全球モデルに基づきまして計算を行っておりまして、そこから日本周辺の気象条件を抽出いたしまして、同じく気象研が開発した地域モデルを使って将来の予測を今、行っているところでございます。全球モデルはこちらにありますとおり、60キロメッシュで、地域モデルに関しては20キロメッシュのものをやっているというものでございます。
予測計算の仕様ですけれども、4ページ目のところ、同じページの下のところですけれども、全体で今19通りの計算を行っておりまして、現在気候の最近計算を3ケースと、あとはRCPのシナリオを使っているのですけれども、その4種類を合計16ケース現在実施をしております。今回は特にRCP8.5に関して幾つかの海面水温の条件と、あと大気のプロセスを入力して、8.5に関しては9ケース、計算を行っています。
次のページにいきまして、予測計算の期間ですけれども、現在気候に関しては、1984年からの20年間、また、将来気候に関しては2080年から2100年までの20年間ということで実施をしています。
まだちょっと本日は結果をお示しできておりませんけれども、まず、現在気候の再現性の気温の部分だけ、現在出ている結果ということでお示ししています。こちらのほうでは下にございますけれども、概ね観測結果を再現できているのではないかと思っておりまして。こちらが実際のその観測値との比較した地域のマップの図でございます。
次のページに、実際にその観測値を横軸にとりまして、計算値を縦軸にとったものをプロットしておりまして、年全体で見ると大体概ね一致しているという結果が出ています。
今後の予定ですけれども、出てきたデータに関しては、小池先生のほうで行っています、東京大学のDIASの中に保存したいと思っておりまして。さらに、まだRCP4.5に関しては、今年度中は1通りしかできないというところもありますので、次年度引き続き必要な条件のものも追加でやっていきたいと思っております。
計算結果に関しては、気候の予測がこれで出てきますので、各分野において、各省とも協力しつつ分野の影響に関しても見ていきたいと思っていまして、可能なものはどんどん今回の影響評価の結果にも追加していきたいと考えております。
以上になります。
住委員長
はい、わかりました。これ、非常に環境省、お金を出してやられたわけですが、これについて何かもし、質問が何かございましたら。
はい。
原澤委員
すみません、最後のところで今後の予定のところに書いてあるのですけれども。データはDIASに入っているということで。で内容は二つあって、それぞれ主な用途が書いてあるのですが、これ、いつから使えるようになるかという、そのスケジュール的なところをちょっと教えていただきたいのと。その際にこのデータポリシーはDIASのプロジェクトのデータポリシーに準拠するのか、あるいは環境省が独自のデータポリシーをつくられるのか、その辺を確認させてください。
住委員長
はい。
研究調査室長補佐
まず、時期ですけれども、事業自体は今年度の事業で行っておりますので、19通りの計算結果については、今年度中にDIASには入れていきたいと思っています。その結果で来年度早々には皆様方にもお示しできると思っています。
もう1点、データのポリシーですけれども、こちらは資料にも書いておりますけれども、科学的研究・教育を目的とする場合に限るような形ですけれども、データを研究者の方々に出していきたいとは思っております。
以上です。
住委員長
これ、計算は今年度で終わっていいのですけど、その結果を解析したり研究に使っていくところは、気象研がやってくれるという契約になっているのですか。
研究調査室長補佐
出てきた結果は気象研からアドバイスをいただきながら、例えばバイアスの補正とかは適宜行っておりまして、その結果に関しては、今年度中にはまとめていきたいと思っています。ただ、2ケースは今年度中には計算が終わらないので、全部のセットがそろうのはその先になると思います。
研究調査室長
すみません、補足します。単に計算するだけではなくて、もともとこれ普及啓発という観点でやっておりますので、ブロック別に主要な指標を取り出して、わかりやすく説明できるようなグラフをつくる予定でございます。
これも本来であれば、今日お示しするはずだったのですが、ちょっとこの計算、非常に手間どっておりまして、時間が足りなかったということで本日はお示しできておりませんが、これも4月以降出てくる予定でございますので、また、適宜、ご相談をしていきたいと思っております。
住委員長
はい。
沖委員
解析計算の諸条件の予測計算期間が1984年9月から2004年8月と、それの96年後ということになっているのですが、これは何かIPCCでこれがベースラインになっているとか、あるいはテクニカルな問題なのか、ジョブ・フィジカルな理由で8月で切るほうがいいとか、何かそれありましたら教えてください。
住委員長
はい。
研究調査室長補佐
すみません、詳細は今手元に持ち合わせておりませんけれども、気象研と相談して、使えるデータセットがこの期間がいいのではないかというアドバイスもいただいて、この20年間を選んで、計算結果として出そうと考えています。
住委員長
佐々木先生。
佐々木委員
このデータを作っているほうです。この20年というのは、これ影響評価の専門の方と相談して、要望がございまして、こういう形になって、気象研側からとしては違う提案はさせていただいたのですけど、それは却下されまして、こういう形になったのが実情です。
それから、8月というのは、なぜこういう形になっているかといいますと、このデータは積雪のデータを含んでおりますので、1年毎のタイムスライスで計算しています。雪のない状態から計算を始めないといけないので、夏から計算を始めているということです。
住委員長
では、小池君。
小池委員
2点、お話ししますが、一つは、これもともと地球シミュレータで計算をされて、解析をされたいと。ところが解析空間がないということで、オンラインで地球シミュレータからDIASに準リアルタイムでアーカイブして、DIAS上で解析をされて、その結果を出すと。そういうお話でありましたので、DIASの中ではできるだけ高時間分解能でアーカイブして、皆さんが後々いろんな研究に利用できるようにお願いしてアーカイブをしております。
それから、2点目はデータポリシーに関することなのですけども、DIASはデータ提供ごとのポリシーに全部沿う形にしています。それが実現できるように、我々セキュリティーも含めて構築しておりますので。
もう一つ大事なのは、そのデータを切り刻んでダウンロードしてというのもありますが、DIAS上で解析をして、そして使うということもこれ対応しておりますので、そういう形で、先ほど一応ご紹介ございましたが、地方の方々のニーズがこういう形であるということをまとめていただければ、私どもはそれを組み込んだ形でサービスすることができるということになります。
住委員長
はい。河宮君。
河宮委員
ありがとうございます。JAMSTECの河宮です。
この予測結果が今年度中、来年度早々にはオープンになるということで、それを踏まえた新たな影響評価を実施するとスケジュール案には書いてありますが。データだけオープンにして、ぜひ、これで影響評価研究やってください。しかも数カ月の間にといっても、なかなかコミュニティ全体は動かないと思うのですけれども、多分、気象研などとはほかのやりとりもあってきっちりと連携なさっていると思いますが、それ以上に広いコミュニティを巻き込んで影響評価をしていくというような、それこそ仕組みづくりというのは進んでいるのでしょうか。
研究調査室長補佐
ご質問の影響評価のところですけれども、データに関してはまとまり次第、広く研究者の方には提供したいと思っております。ただ、おっしゃるとおり、影響評価の報告書は来年の2月にまとめようと思っておりますので、それまでに全ての結果をインプットするのは難しいとは思っております。できるものは当然、反映していきたいとは思っているのですけれども、例えば、来年の2月にまとめるまでにはできないものは、例えば次の影響評価にはきっちり入れていくと、そういう形を今は想定しています。
住委員長
はい。そのほか。
江守君。
江守委員
先ほど辻原室長のほうから、この計算について普及啓発という言葉が出てきたのですけれども、僕は影響・適応評価のための計算かと思っていたので、普及啓発の関係を少し教えていただければと思うのですが。
研究調査室長
もうご説明したとおりですけれども、主要な指標をですね、豪雨がどのぐらい増えるかとか、熱帯夜がどのくらい増えるかとか、第8巻では網羅的にやられていますけれども、それほどではないにしても、皆様が非常に興味あるようなものについて、グラフにまとめてブロック別に出していきたいと思っています。これを来年度以降の普及啓発活動に扱っていくというのが一つの目的。もちろん、このデータを使って影響予測をしていくというのも、その先の普及啓発という観点から必要なので、これはまた別途、来年度予算を確保しておりますので、この中で幾つかの事象について影響評価をしていく予定にしております。
これも当然、普及啓発に使っていくということを考えております。
江守委員
普及啓発という観点から言うと、少し気になっているのが、今日のこの委員会、適応に関することを目がけた話し合いをしているというふうに理解していますけれども、同時に日本の影響をですね、まあこういうふうになっていくということを国民に示すというのは、その緩和の観点から気候変動のリスクについての認知を形勢して、その緩和への動機づけに関係してくるという話なのだろうなと思うのですよね。
緩和への動機づけにどういうふうに関わるかというのは、必ずしも自明ではなくて、そんなに大変なのだったら、やらなくてはいけないのだと思うのか、適応できそうだからそんなに大丈夫だと思うか、価値判断に関わる問題で、そういう部分も含めて考えていかなくてはいけないのかなと思いました。
これは、この追加計算のことに限らず、この委員会で特にそのパブリックコメントも求めるわけですし、出てくるアウトプットが、その人々の、温暖化のリスク、気候変動のリスクということについて、緩和の側面も含めて考えてもらうきっかけにするということであれば、そういう見せ方は意識していかなくてはいけないような気がしました。
住委員長
よろしいですか。
普及啓発か何かって多分予算上の問題だと思うので、それは仕方がないとは思うのですが、やはりもう少し積極的な、こういうダウンスケーリングなどをした影響評価ではありますので、積極的に研究に使ってもらうような、仕掛けというか、そういう働きかけをしたほうがいいようには思います。意外となかなかとそういうのにくらいついてこないという場合もありますので、そこはよく考えられたほうがいいなと思っております。
そのほか、よろしいですか。
では、そろそろ時間になりましたので、これで今日の議論を終わりにしたいと思います。長い間、どうもありがとうございました。ただ、いろんなポイントがあろうと思いますが、今日出された意見をもとに、あとは事務局と相談しまして、中間報告の(案)をとっていきたいと思っております。また、来年度も引き続きありますので、今後ともよろしくお願いいたします。
では、これで終わりにします。どうもご苦労さまでした。
午前 11時56分 閉会