中央環境審議会2013年以降の対策・施策に関する検討小委員会(第12回) 議事録

日時

平成24年3月7日 15:01~18:33

場所

東海大学校友会館「阿蘇の間」

議事次第

  1. 1 開会
  2. 2 議題
    1. (1)ワーキンググループからの報告について
    2. (2)その他
  3. 3 閉会

配付資料

資料1 住宅・建築物WGとりまとめ
資料2 地域づくりWGとりまとめ
資料3 今後のスケジュール
参考資料1 地域づくりWG参考資料(土地利用・交通)
参考資料2 地域づくりWG参考資料(地区・街区)
参考資料3 地域づくりWG参考資料(物流)

議事

午後 3時01分 開会

地球温暖化対策課長
定刻でございますので、ただいまから中央環境審議会地球環境部会2013年以降の対策・施策に関する検討小委員会第12回の会議を開始いたします。
委員総数23名中、既に過半数の委員にご出席いただいておりまして、定足数に達しております。また、本日、渡邊委員の代理として井神説明員がご出席になっておられます。
また、本日の審議は公開とさせていただいております。
では、以降の議事進行について、西岡委員長にお願いいたします。

西岡委員長
ご参集、どうもありがとうございます。議事を進めさせていただきます。
まず、配付資料の確認をお願いします。

地球温暖化対策課長
いつものように議事次第が一番上にあると思いますが、その下半分に配付資料のリストがございます。
資料1が住宅建築物WGの取りまとめ、資料2が地域づくりWGの取りまとめ、資料3が今後のスケジュール、参考資料1として地域づくりWG、土地利用・交通SWGの取りまとめ(案)、参考資料2が地域づくりWGの参考資料、地域づくりWGの物流分野の参考資料というのを参考資料3でおつけしております。
以上でございます。

西岡委員長
どうもありがとうございました。
それでは、議事でございますけれども、最初に事務局の方から紙が1枚、「各ワーキンググループの資料について」というのがございます。
1枚紙でございますが、これについてご説明をお願いします。

低炭素社会推進室長
これまでご報告いただきましたワーキンググループも含めまして、各ワーキンググループの資料の位置づけについて、1枚ご用意しております。
温室効果ガスの国内削減に関する試算につきましては、各ワーキンググループの中で一昨年の12月から行っていただいておりまして、中長期ロードマップ中間整理というもので一度、導入量、また必要な追加費用などという形で取りまとめていただいております。その後、最新の状況も踏まえつつ、各ワーキンググループにおきまして議論を深めていただいている状況でございます。
中環審小委員会に各ワーキンググループからご報告いただいているものでございますけれども、その中に記載されております試算結果につきましては、目的といたしましては、地球温暖化対策に関します複数の選択肢の素案というものを小委員会でご議論いただくということになっておりますので、その素案としてご提供いただいているということで、まとめさせていただいております。
以上でございます。

西岡委員長
どうもありがとうございました。これまで、ワーキンググループでのお仕事を、ここで皆さんのご意見を入れまして討議しておりますけれども、その結果はまた、まとめるときに修正等々もいたしまして、もう一度、皆さんのお話もお伺いしたいという具合に考えている次第です。宜しくお願いします。
それでは、今日の発表でございますけれども、どれだけエネルギーあるいは温室効果ガスを減らせるか、非常に重要なポイントは、どこの国でもそうですけれども、住宅・建築物でございます。それから、もう一つ、その個別の技術だけではなくて、地域のあり方、まちのつくり方等々を変えることによっても相当変わってくるのではないかということが言われておりまして、今日は、その非常に重要な分野の二つについての発表がございます。
今日の議事でございますけれども、今日は二つありまして、いつものように皆さんのご意見をいただいていきたいと思っておりますけれども、それぞれ適宜半分ずつぐらいになるように私の方で時間の調整をさせていただきたいと思っておりますので、宜しくお願いいたします。
まず、今日は二題ございまして、住宅・建築物WGにつきましては座長の村上委員から、そして地域WGにつきましては座長の屋井委員より検討内容の発表をいただきたい。
まず最初に、村上委員の方からお願いしたいと思います。宜しくお願いします。

村上委員
村上でございます。資料1に基づきまして説明させていただきます。30分ちょっとのお時間をいただいております。大部でございますので、適宜パスしながら説明させていただきます。
スライド番号の2番をご覧ください。ここに目次がございます。最初に、住宅・建築物WGの概要、2番目に、この分野を取り巻く環境の変化、3番目に将来に向けた住宅・建築物像、4番目に中長期的なエネルギー消費削減の可能性。これが最も重要な部分でございまして、4-1で試算の前提、4-2として対策を推進する施策の検討、4-3としてエネルギー消費量の試算結果。この4-2が、例えば結論の1で、4-3が結論の2でございます。それから、5として低炭素社会がもたらすQOL(クオリティ・オブ・ライフ~生活の質)の向上、6としてロードマップ。この6のロードマップが、最後の結論の3でございます。
それでは、まず1でございまして、スライド番号4番をご覧ください。ここに今年度の検討のポイントを書いておりまして、1から4までございます。
まず1として、21年度、22年度とやってきましたけれども、そこに矢印が二つございまして、震災後、エネルギー供給側の状況が大きく変わった。二つ目の矢印で、需要側も一層の省エネとか、あるいは再生可能エネルギーとか、いろいろ状況が変わっているということで、2ポツでございまして、こういう認識のもとに、一昨年の成果の微修正ではなくて、かなり本格的にやり直す、前提条件も含めて、そういうふうな検討をいたしました。それから、3ポツでございます。小委員会全体として、2050年に日本全体として8割削減という目標を共有しているわけでございます。
それから、赤井先生の技術WGの方から、それをやるならば民生部門は2050年にはCO2のゼロエミッションぐらい達成してくれなければ日本全体としてはできない、民生部門は大いに頑張れと、そういうご要請をいただいておりまして、それを受けてバックキャスティング的に実現するための施策を検討した。
それから、4番です。原子力の状況が非常に不透明でございます。ですから、ことしはCO2排出量ベースではなくてエネルギー消費量ベースで議論いたしました。これがポイントでございます。
次に、スライドの5番、5ページをご覧ください。昨年度からの主な変更点でございまして、大きく1と2とございまして、上のブルーの1でございますけれども、震災を踏まえて昨年度の検討をさらに上回るような省エネの余地を検討したということでございまして、そこに1、2、3がございまして、1は、新築住宅に関しては外皮性能、断熱です。さらに高い基準の設定とか基準適合の義務化について検討した。既築住宅に関しましては、改修をどう促進するか。そのために、サプライヤー・オブリゲーションとか初期投資負担軽減策の検討。
それから、もう一つは、照明の照度の引き下げなど環境目標水準を見直した。3が、高効率機器の加速的な普及を検討したということでございます。これが主な変更点です。
それから、下のブルーの2でございます。冷暖房とか家電製品の保有状況について見直しをした。1が冷暖房、これは日本の冷暖房はプアーですから、少し向上するだろうという、そういうふうな見通しを得ております。それを反映させている。
それから、2は、従来、家電製品は右肩上がりに増えていくというような想定をしていましたけれども、それを見直した。これが昨年度からの主な変更点でございます。
スライドの6番をご覧ください。そこに検討体制がございまして、右側のグリーンのエネルギー供給WGや技術WGの方から、いろいろとやりとりをしながら、こちらのブルーの方の住宅・建築物WGに反映させた。
それから、左下のグリーンの国環研のAIMモデルといろいろやりとりしながら、フィードバックもしながら、バックキャスティング的に2050年に向けてゼロエミッションをどう達成するかという可能性を検討したということでございます。
それから、スライドの7番でございまして、検討メンバーで、このWGには部会の方から中上委員にもご参加いただいております。
スライドの8番をご覧ください。この分野を取り巻く環境の変化でございます。
この辺が前提の一つになるわけでございまして、スライドの9番をご覧ください。
これは節電でございまして、左が東京、右が関西でございまして、東京で申しますと点線が2010年、実線が震災後でございまして、約14%節電されている。右の関西では5%程度ということで、関東の方は計画停電など非常にシビアな状況も経験しているから、かなり真剣だったということかと思います。
それから、スライドの10番をご覧ください。これは、どんな節電意識を持っているかということで、スライドの10番は家庭部門のエアコンに関する事例紹介でございまして、左側に2011年夏の行動ということで、赤い部分が今年の夏に実施したものでございまして、例えば、上から二つ目に設定温度を上げると、冷房ですね、それから四つ目に使用時間を短縮するとか、こういったことが割合やられている。
それから、10ページの右側は、来年もやりたいというのがグリーンの部分で、例えば、一番上からフィルターを掃除するとか、設定温度を上げるとか、日射を遮るとかというようなことが挙げられております。
10ページが家庭部門のエアコンで、11ページに業務部門、オフィスビルの照明の話が出ていますけれども、例えば、11ページの左の図の2011年の夏は、赤い部分の、この夏はしたというのが、一番上が照明の照度を控える。室内の照度を半分程度に間引きするということで、2011年も2012年も、圧倒的に照明を再検討しようということで。照明の場合、多少、過剰性能をやっていましたから、少々控えてもサービス水準は落ちないというようなことがだんだん浸透してきたわけでございます。
それから、ちょっと飛んでスライドの14番をご覧ください。これも照明の話でございますけれども、どういう器具を出荷しているかということで、左側に点線で前年比増、前年比減、100%とございまして、これより上であれば大いに伸びたということで、下であれば減ったということで、左からいきますと白熱電球とか一般の蛍光ランプは少し減っている。3割から1割です。LEDが200から300%増えたということで、極めて顕著な状況が出ております。
それから、スライドの16番をご覧ください。これは家電製品の電力需要量の推移でございます。
16ページの右側に円グラフがございまして、ピンクの部分が照明とか家電製品でございまして、これが全体の42%を占める。よく知られている事実でございますけれども、暖房は2009年時点で22%、冷房は1%です。暖房、冷房をいろいろ頑張っても、そうは減らないということで、照明、家電等が極めて大事だということで、今までピンクの部分は、昨年度などは右肩上がりに増えるという想定をしていましたけれども、16ページの左側に図がございまして、赤がエネ研の資料、ブルーが中上委員の住環境のところの資料でございまして、いずれも2000年を過ぎてからはほとんど伸びていないということで、今回の想定では、将来とも、この部分がそう増えるということはあまりないだろうと、そういうふうに想定しております。
それから、17番のスライド。話題が違いますけれども、ライフラインが断たれたと、大震災の後、そこで室温を調査したわけです。縦軸がアンケートの回答の質問で、これはアンケートですから、やや誤差はあるかと思いますけれども、大きな傾向は分かると思います。横軸は熱損失係数。これは断熱のレベルでございまして、右から、H11年基準未満、非常に悪い、真ん中がH11年基準、これが現行の基準、左からH11年基準以上というのはかなりいいレベルということで、断熱が悪くなると明らかに室温が下がっている。20度ぐらいから5度ぐらいです。
ですから、16ページで暖房の消費量が少ないと申し上げましたけれども、少ないから断熱が悪いということではなくて、建物のシェルターの基本性能として断熱水準を上げておくべきだろうということが言えます。
スライドの18番から、この分野の住宅・建築の将来像をどうするかという話題でございまして、19番に将来像を1番から3番まで書いていまして、まず1番は、先ほども申しましたけれども、日本全体で2050年に8割削減を実施するためには、民生部門、住宅・建築分野ではストック平均でCO2ゼロエミッションを目指す。
それから、2ポツとして、そのためには1、2、3。1は外皮性能を向上させましょう。省エネ器具を、さらに普及させましょう。それから、3は再生可能エネルギーもどんどん利用しましょう。
それから、3ポツが同時にクオリティー・オブ・ライフの向上も目指す。これは後で紹介しますけれども、断熱と同時に健康性、遮音性とか、幅広い快適性の向上を目指す。それから、2が、ライフスタイルの改善ということも必要だと。それから、3が、一番最後は災害に対する強靭性。セキュリティの観点も少し考慮しましょうということで将来像を描いております。
20ページをご覧ください。20ページは4章で、中長期的なエネルギー消費削減の可能性ということで、これが今日の報告のメインでございまして、一番重要な部分かと思います。
4-1が試算の前提、4-2が施策の検討、4-3がエネルギー消費量の試算結果でございます。
スライドの21番に「ストック固定ケース」という言葉がございます。実は、これをベースにして、いろいろ、これから後の資料をご紹介しますので、これについて説明しておきます。ストック固定と申しますのは、現時点の建物や機器の性能が凍結されたと、将来とも。そういう場合にどうなるかということで、現時点で凍結されたのをベースに、どれだけ削減できるかという、そういう検討をしているわけでございます。
ですから、ストック固定ケースのストックというのは、実は、5年後のストック、10年後のストックと移動平均的に見る場合もございますけれども、ストック固定ケースのストックというのは、現時点で凍結されたという意味でございますので、ご了解願います。
22番をご覧ください。22番、民生分野は住宅とオフィス、活動量の一番キーのパラメータがございます。左側が家庭でございまして、家庭は世帯数が非常に大きな要因を持っている。右側がオフィスでございまして、業務用は床面積が非常に大きな要因である。この赤い線でございます。
これをベースに、資料の23をご覧ください。ストック固定ケースのエネルギー消費原単位の想定ということで、これは非常に大事でございまして、左で申しますと、これは家庭でございまして、2010年以降どんなふうになるかということをワーキングとして専門家が集まって想定したわけでございます。例えば、赤い暖房は随分増えているわけでございます。ぱっと見ると、暖房はこんな増えるのかという非常に違和感を持つわけでございますけれども、これを説明しますと、その次のスライドの24番をご覧ください。
24番の赤い線がストック固定ケースで、現状のまま固定されますと、これぐらいは増えるでしょうと。といいますのは、日本の暖房、冷房の水準は非常に低いから、当然、それは増えるだろうと。それに対して、右側に赤い矢印が二つございますけれども、それを外皮性能の向上とか機器効率の向上で、下のブルーの線のように下げましょうということで、赤の線が、現状を固定したらどうなるかという我々専門家としての想定でございます。
23番に戻ってください。赤の暖房は増える。グリーンの給湯は減っておりまして、これは人口も減るし世帯数も減るわけです。そうなりますと、給湯は今のまま固定されても少し減るだろうと。あと、上の家電とか照明は少し増える。厨房は変わらない。冷房は少し増えているのですけれども、図の上ではあまり見えません。同じようなことをやったのが23の右側、これは業務部門でございます。業務部門は、現状で固定された場合、照明とか動力以外はあまり増えないでしょうという想定を、我々はしております。
それで、スライドの24番をご覧ください。これは昨年度までの前回のロードマップと、今回の試算との比較でございまして、左の家庭部門で、点線が前回で、ブルーの点線が今回で、実は相当差がございます。これは先ほど申しましたように、例えば、家電製品なんかが右肩上がりで伸びるのではないかというようなことをいろいろ精査して、そうはならないだろうということで、現状を固定すると、どうも少し下がり気味だと。いろいろ、人口が減るとか世帯数が減るとか、そういう要因を全部入れてです。ということで、今申しますと、前回のロードマップが少し過大見積もりしていた。
25ページの右側が業務部門で、同じように今回少し減っております。これをベースに私どもはその対策をいろいろ講じたわけでございます。
それから、26番、同じように関連資料がございますけれども、26番の左側に、家電の機器別の電力消費量がございまして、赤い部分が、実は食器洗い機とか衣類乾燥機、電気温水便座とか、電力エネルギーを熱エネルギーとして利用する部分で、どうもこれが増えているわけです、非常に便利ですから。こういうことも考えておかなくてはいけない。
それから、27番に家電機器がどう増えるかということで、左側に世帯当たりの保有台数がございますけれども、ほとんどのものは1家に1台ございまして、問題が左の図の下にございます食器洗い機と衣類乾燥機で、27ページの右側にありますように、両方とも非常に1台当たりのキロワットアワーが大きいということで、これでは十分考慮しました。
その結果が28番でございまして、衣類乾燥機と食器洗い機は、現状から30から50%ぐらい増えるでしょうと、2030年に向けて。あとはあまり変わらないという、そういう想定をしております。
こういうさまざまな検討を踏まえて、29ページに三つのケースを想定しました。
左側にございますように、高位ケース、中位ケース、低位ケース。高位ケースは政策最大加速ケース、真ん中が政策加速ケース、下の低位ケースが現行政策延長ケースということでございまして、例えば、高位ケースでは去年のロードマップの2020年のマイナス25と、それから2030年の上位ケース、こういったことを踏まえて2050年までにどうやってゼロエミッションを達成するかという、こういう3ランクでやったということでございます。
それで、少し急ぎたいと思いますけれども、例えば、32番をご覧ください。スライドの32番でございます。住宅ストックは、どの程度、断熱水準が進んでいるかという資料でございまして、32ページでございます。
図の左から二つ目に2010年とございます。2010年でございまして、いろいろと色がございまして、一番上の紫が、右端でございますけれども平成11年基準。これが現行基準でございまして、1999年にスタートしましたけれども、まだ依然として、ストックでは5、6%しか普及していないという、そういう状況でございます。ですから、もう10年経っていますけれども、放っておくと、この程度でございまして、それを、例えば、その図の一番右側の高位ケースの2050年がございますけれども、それを見ますと真ん中あたりに紫が非常に大きくなっていまして、その上のブルーとオレンジは、さらにもっともっと厳しくした水準を普及させましょうという。あるいは、多分これぐらいはいくのではないのか、是非いかせるべきだと、そういう形で、私どもはこういう予測をしております。
これが住宅で、オフィスは省略します。時間がございませんので。
例えば、35番はHEMSがどれぐらい普及するかというデータでございます。
それから、すみません端折りまして、36番の下半分に太陽光発電の導入量。そこに2010年から2050年まであって、2010年の直近では約280万キロワット。私どもは、これが2020年には1,400万ということで、これは相当大変ですけれども。固定価格買取制度が大いに普及するという想定でやっていますけれども、2050年に向けてかなりバックキャスティング的に、このぐらいやらなければどうにもならないというような、べき論も入っております。
それから、37番。これが結論の一つでございまして、今までの我々の想定とか、あるいは実績のデータに基づいて、家庭部門の対策導入量を具体的に数値で示したものでございます。上の横軸、2005年、10年、それから低位、中位、高位で、それぞれ2020年、30年、50年となっていまして、例えば、一番上の冷暖房では、保有効率、これは保有機器の効率で、ストックですけれども、移動平均的なストックでございまして、そこにございますように成績係数が2.9から7.2というふうにずっと向上すると、こういうことをデータに基づいて想定しております。これは、ずっと一番左に冷暖房、給湯、照明とございますが、とても時間がございませんので、こういうふうに数値で具体的に予測してやったということで。
37ページ、一番右に出典となっていまして、1が赤井先生の技術WGの想定、2が我々の想定した、3がエネルギー供給ワーキングの想定で、4がAIMモデルとフィードバックした試算結果。それに基づいてこれを決めたということで、これが一つの結論でございます。これが家庭部門で、38番が業務部門です。
これに関連して、なるべく実効性を高めるための海外の事例を紹介しますと、例えば、39番にサプライヤー・オブリゲーション。これは、1ポツにエネルギー供給事業者に対して一定量の省エネ目標を課す制度でございます。イギリス、フランス、イタリアなどで実施されておりまして、4ポツに、エネルギー供給事業者が導入費用を負担するが、電気料金等に上乗せすることで回収も可能。エンドユーザーは光熱費削減により利益が得られる場合もあるというようなことで、これはFITに近いものでございます。
それから、40番をご覧ください。40番は初期投資を軽減するための資金スキームで、英国ではグリーンディールと言っていまして、これは住宅用のエスコとお考えください。こういったものも導入しなければ、将来、十分なる普及ということは図れないのではないかということで。
41番では、初期投資負担に関連して結構過激な、例えば、赤い字で、41ページです、性能の劣る住宅の賃貸を禁止とか。それから、下のエナジーアクト、これもイギリスですけれども、家主は居住者から省エネ性能の改善を求められた場合は断れないとか、賃貸禁止とか、いろいろ過激なことをイギリスは構想として出しております。まだ実施に至っているわけではございません。
それで、37番に戻りますけれども、対策導入量の細かい数値が出ております。これをベースに実際に対策量を計算したというのが45ページでございます。
45ページ、これは家庭部門でございます。家庭部門でございまして、縦軸がエネルギー消費量で横軸が年度でございまして、点線が90年ということでございまして、図の左下に90年比増減率とございまして、まず低位ケース。2010年は90年に比べますと31%増加しております。低位ケースでございますと、2020年にはプラス6、2030年にはマイナス13、2050年にはマイナス46。中位ケースでは、2020年にマイナス1、それからマイナス24、マイナス79。高位ケースでは、2020年はマイナス5、マイナス31、2050年はマイナス84ということで、中位と高位では、ほぼ80%の削減を達成しているわけでございます。
それを図にしたものが45ページで、グリーンが中位ケースで、紫が高位ケース。ただ、これは、私どもは当初から、先ほど申しましたようにストック平均ゼロエミッションということを目指したわけでございます。いろいろ施策をいっぱい考えて、相当に強い施策も高位ケースなどには含めて、それでも少し足りない部分がある、2割足らずです。これは電力エネルギーで賄おうと。その場合には、電力エネルギーはゼロカーボンになっている。これは、技術WGの検討の結果も踏まえて、そういう想定をしているわけでございまして、これだけ頑張った残りも割合そう多くないから、この部分でゼロカーボン電源を期待しても、そう乱暴ではないかと、そういう想定でございます。
無理に数値を合わせれば100%というふうになりますというバックキャスティングができるのです。ですけれども、そうなると実現可能性が非常に危うくなるということで、我々は実現可能性も考慮に入れながら高位ケース、この辺が限界かということでやりましたら2割程度は足りなかったということでございます。
46ページをご覧ください。左側に、いろいろな手段の寄与率が出ています。例えば、上から住宅外皮性能の向上。それで、ずっと階段状になっていまして、住宅外皮性能は低位ケースを見ますと6%。ずっとあって大きいのを見ますと、住宅の外皮性能の向上とか家電機器の効率化とか、下の方の太陽光発電というのが結構大きいです。一番下にございます薄いグレー、濃いグレーが、エネルギー消費量と書いていますけれども、電力エネルギーの消費で、これはゼロカーボンということで、ゼロエミッションということで、つじつまを合わせましょうということでございます。
以上が家庭でございまして、47ページが業務部門でございます。これは時間がございませんので省略させていただきます。
49番から、低炭素社会がもたらすQOLの向上ということです。
その一例を紹介しますと、52ページをご覧ください。52ページに断熱性能の向上による有病率の改善ということで、左側の図は縦軸が有病割合、横軸は転居前から転居後。これは、断熱性能の低い家から高い家に移ったら、全国で約1万人ぐらい調査しますと、非常に多くの病気に関して劇的に有病割合が下がっております。お医者さんも入っていただいた調査でございまして、既に査読論文になっているものでございますけれども、もっともっとこういうふうなことは検討したいと思いますけれども、いずれにしても断熱性能と健康とは随分関係があるのだということで。
これだけ有病率が下がるということは、すぐに金額換算できるわけでございます。それをやった結果が53ページでございまして、そこに投資回収年数が出ています。ブルーが光熱費削減のみを考慮した場合。断熱しますと電気代が減る。それだけで投資回収しようとすると29年かかる。これは、かなりぜいたくな暖房をしている家で、あまりしていない家だと50年ぐらいかかります。それから、ピンクで、健康がよくなるのではないか。それも金額換算すると投資回収年数は16年になる。グリーンです。金額換算すると言いましたけれども、実は我々が払っているのは3割で、7割は国保が負担しているわけです。それも勘定すると、投資回収年数は11年になるという試算でございます。要するに、断熱性の効果というのを幅広く見ましょうということでございます。
55ページをご覧ください。これが最後の結論のロードマップでございます。
一例を紹介ますと、56ページに、これは家庭の新築の場合のロードマップでございまして、これを説明するのは、とても時間がございませんので、ある部分だけ説明します。
左側に、紺で行程表となっています。真ん中あたりに規制導入とございます。それを見ますと、ブルーが低位から実施する施策、ピンクはもうちょっと厳しい施策、中位、高位でやる施策でございまして、規制導入では、ブルーが平成11年基準相当の新築時段階的義務化ということで、2010年には全部義務化するけれども、とにかくどんどん早く進めましょうと。それから、ピンクで推奨基準相当の新築時段階的義務化ということで、平成11年基準はもちろんだけれども、将来はもっと厳しくしたやつを義務化しましょうと。それから、その下の建売住宅に対する省エネ・低炭素水準適合義務化、これは既にスタートしていますけれども、もちろんどんどんやるし、2020年以降はもっと厳しくしましょうというようなことでございます。
それから、これが家庭の新築でございまして、57番は既築住宅でございまして、時間がございませんから規制のところだけご紹介しますと、既築住宅に対して、ピンクは高位で実施する施策で、将来は一定性能以下の住宅に対する賃貸制限ということもあり得るのではないか。ただ、これは必ず経済的支援スキームとセットでなければ、なかなか社会的同意は得られないと思っております。それから、同じくエネルギー供給事業者に対し需要家への省エネ支援を義務づける、いわゆるサプライヤー・オブリゲーションというようなことが高位の場合にはあり得るかということでございます。
あとは、オフィスでございます。それは省略させていただいて、もう時間が来ておりますので、最後に61ページにまとめがございます。
62番をご覧ください。まとめでございまして、1番に、東日本大震災の影響を受けて、いわゆる省エネの余地と実現可能性。先ほど申しましたようにバックキャスティング的にやっておりますけれども、実現可能性ということをある程度考えながらやらせていただいた。
それで、2ポツに90年比で現在、家庭が31%増、業務が38%増。それに対して、例えば2050年では、この対策を実施しますとマイナス84からマイナス46ぐらい、業務部門もマイナス62からマイナス15、これぐらいはやれそうだと。
それから、3ポツです。住宅分野の2050年にCO2ゼロエミッションをストック平均で達成するためには、残りの少しの部分は電力のゼロカーボンに頼らざるを得ない。
それから、4ポツです。低炭素化とか省エネルギーは、決してつらいばかりではなくて、いろいろな形で居住環境水準とか居住者の便益とか、アメニティの向上に大きく貢献することが非常にたくさんあり得る。
それから、5ポツです。目標達成に向けて、特に既築の住宅とか建築物の対策は非常に難しいです。規制と経済支援を適切に組み合わせた施策で既存建築の対策を進める必要があるということでございます。
以上でございます。

西岡委員長
どうもありがとうございました。大部の報告をいただきまして、皆さんのご苦労に感謝いたします。
いつものように、まず部会の委員のご意見を伺っていきたいと思います。お2人ずつ、またお願いしたいと思います。赤井委員の方からお願いします。
全体といたしまして、質問、それからご意見、そして応答まで50分ぐらいを考えております。この顔ぶれを見ますと、大体どれくらい使えばいいか、お分かかと思います。宜しく。短く。

赤井委員
立てていなかったのに、ご指名をいただきました。
2点教えていただきたいのですけれども。9ページに節電実績の図がありますけれども、この手の調査は非常に大変だということはよく分かるのですけれども、気温の補正以外に、例えば、10年と11年で事業所が増えたとか減ったとか、それからエアコンの普及台数が増えた、あとは地デジ化に伴ってテレビの買い替えが増えたとか、いろいろな要素がこれ以外にも出てきそうなのですけれども、そのあたりはご検討されているのかどうかということを一つ教えていただければと思います。
それから、27ページに家電機器の世帯保有率と電力消費量の実績の話があって、先ほど食器洗い乾燥機のお話がありましたけれども、私自身は使っていないのですけれども、宣伝によると食洗機を使うと節水になるというようなことがかなり言われています。
前回、松岡委員がおっしゃったように、節水というのも、家庭の中だけではなくて、例えば都市規模で考えると、かなり節電に寄与するというようなお話があったのですけれども、そういった検討も必要だろうなという気がしています。それは感想です。

西岡委員長
すみません。私が先ほど申し上げるのを忘れて。どうぞ、ご意見のある方は、まず名札を立てておいてください。また、後出しありということですので、結構ですけれども。それでは、大聖委員まで飛びますか。

大聖委員
私どもは自動車WGということで検討した中で、スマートハウスというのがこれから非常に伸びていくのではないか。それの標準化に関して680社ぐらいが合意しているのです。電気、それからハウスメーカー、IT企業、自動車メーカー、それから関連する非常に広範な範囲が含まれているわけです。エネルギーのピークを抑えるとか全体のキロワットアワーも抑えるとか、いろいろな効果があると思いますので、そういうIT化、スマート化、ICT化による一層の節電、そういったものが図れるのではないかというふうに思いますので、是非、その辺の効果も織り込んでいただければと思っております。
とりわけ、これから車の電動化が進む中で、そういう電源をハウスと一緒に考えていくというようなことが非常に重要になってきますので、その辺のご配慮を是非お願いしたいと思います。

村上委員
まず、赤井委員の、9ページの節電の効果でございまして、これは、おっしゃるように気温補正だけではなくて、多分、経済活動という形で表現していいのではないかと思いますけれども、それは当然影響するはずで、入っておりません。
ただ、関西の方はそれほど落ちていない。関東は結構落ちている可能性がございます。ですけれども、少なくともそこまで考慮しておりませんし、まだ、そういうデータはないと思います。
それから、節水の件でございますけれども、前回、松岡委員からああいうご指摘をいただいて、我々はすぐ調べて、細かいデータは持っておりませんが、民生部門では節水による省エネの効果というのはごくわずかであって、とりたてて列挙するほどの話はないという、そういう結論になっております。
それから、大聖委員のスマートハウスの件は、そのとおりでございますが、いわゆるV2HとかH2Vと、あまりにも流動的で、いわゆる電力の低炭素化の進行状況も含めて、まだこれは、今回、我々は実現可能性ということで、やや固くいきましたから、全然入れておりません。ですから、その部分は、民生用としては、まだ削減余地を増やせる可能性はあるけれども、それが民生の削減なのか、ほかの部分の削減なのか、分からないところがあるのでございますけれども、いずれにしろ今回は、まだデータが少な過ぎるので入れておりません。

冨田委員
ありがとうございます。個々の施策について、このくらいやらなくてはいけないのだろうなというのと、それから、ここまでやるのかというのがあるわけですが、検討の全体のスキームに関して、これはどうなのだろうかというところを、まず一つ質問させていただきます。
6ページのところで、住宅・建築物WGと、それからエネルギー供給、技術WG、これらの検討結果を踏まえて今回検討されたということですが、技術WGで、たしか赤井座長のお話は、こういうふうにやればできるということを示したというよりは、80%削減を達成するには、このくらいやらないとできないということを示したということだったかと思うのです。なおかつ、コスト的なところについては配慮していない、考慮していないということだったわけですが、その結果を持ってきて、20年、30年を含めて、こういうふうにやればできるということで選択肢が議論できるのかなということが非常に、少し疑問に思います。
今のご説明の中では、実現可能性も考慮されたということではありましたけれども、コストのことに関しては検討されていらっしゃらない、少なくとも資料の中では拝見できなかったわけですが、例えば、CO2を1トン削減するのに、どのくらいの費用がかかるのだろうかと。その積み重ねが、我々国民の負担ということになるわけですので。その辺のことがないと選択肢として、いいかどうかということを評価することができないのではないかということが1点。
それから、もう1点は、大震災を踏まえて省エネが大切だとか、あるいは再生可能エネルギーをもっと入れなくてはという、そういうのは一つの知見として我々は得たわけですけれども、安全という面において、エネルギー供給をできるだけ安定的に行うという観点からエネルギー基本計画の中でも白紙から検討し直そうということで、集中型だけではなくて分散型も加味した形で持っていこうということです。分散型という観点では再生可能エネルギーが入っているわけですが、再生可能エネルギーではない分散型というのもあろうかと思うのです。
例えば、家庭用で考えれば燃料電池というのがありますし、それが2050年の世界はどうなっているのだろうかと。今、20年、30年に向けて導入していこうという機運があるわけですけれども、その姿と、50年の姿というのは整合をとる必要があると思うのですが、そもそも50年の姿というのは80%減ということであって、例えば、電化していって、その電気をゼロエミッションの電気にするというのは一つの解ではあるかもしれませんが、唯一無二の解ではないと思うのです。そこについて、どういうふうにお考えかを教えていただければと思います。
長くなりました。失礼しました。

則武委員
まず、13ページの照度基準に関する提言ですけれども、昨年の夏とかで、結構無理して電気を消したりとかというのがあったと思うのですけれども、事務所安全規則とか、ビル管理法の照度を満たしていただろうか、その辺については、今回、この提言も含めて、そういった基準に対してとの関係はどうなっているかというのを教えていただきたい。それから23ページで聞き逃したかもしれないのですけれども、22ページの方で世帯数は少しずつ減っていくというのがありますけれども、23ページの家庭部門の暖房が大きく増えている、それと給湯は減っているという、この関係。給湯が減っているのは世帯数が減るからというふうに聞いたような気がしたのですけれども、暖房が大きく増えているのが、理由が下に書いてあるのを読んでも理解できないので、教えていただきたいと思います。
それから、36ページの太陽光発電の導入量で、2020年、べき論も入っているというお話だったかと思いますけれども、この1400万キロワットというのは、どうやって算出されているのか。実際、家庭の屋根の形状とかを見ていると、都市部とかでは南向きの屋根というのはほとんどないのではないかと思うのですが、その辺がどういうふうに見積もられているのか。
最近、いろいろな屋根を見ていて、効率の合うような屋根は、かなり都市部では少ないのだろうなと思っているのですが、その辺、算出根拠を教えていただければと思います。以上です。

村上委員
まずは冨田委員の、そもそも技術WGで無理な想定をしているのではないかという、そのとおりでございます。ただ、組織の中で連携してやることになっていまして、我々は技術WGの知見を受けてやらせていただいて、技術WGがおかしいから、おまえもおかしいじゃないかと言われても困るわけでございまして。
いずれにしても、申し上げましたように、日本全体としてマイナス80%を2050年に達成するにはという、べき論ということでバックキャスティング的にやっておりまして、やや無理な部分と、それからコストの問題は全然入っていなくて、それは住宅・建築に限らず、技術WGでも同様にある問題かと思います。
それから、大震災の後の再生可能エネルギーの話は、分散型は、実はあまり明示的に書いていなくて申しわけないのですけれども、37ページに表がございまして、例えば、家庭部門の対策導入量。その左側に給湯とございまして高効率給湯器と、ここに燃料電池は入れたつもりでございます。
それから、則武委員の、照明の基準です。これは、僕らはビル管法とかがどうなっているのか知らないけれども、建築学会もこう言っていますから。それから、いろいろなところで法律違反をしていることはないと思っておりまして、昨年度の節電、暗過ぎて、駅のホームとかも随分暗いところがあったかと思いますけれども、マクロに見ると、概ね法律はそう違反していないと。法律とか法令は。そう思います。
それから、23ページの件。これは非常に分かりにくいわけでございます。まず、暖房は増えている。これは、2010年で今の技術とか断熱性能を凍結したら、ずっと増えますよと。というのは、今、日本の暖房は非常にプアーでございますから、当然、増えることを想定しなければいけないということでございまして。それで、たとえ人口が減っても増えるでしょうということで、24ページは、それに対して、どうやって減らすかということを示しているわけでございます。それから、グリーンの給湯の方は、いわゆる世帯人数が減ってくると総体的に1人当たりのエネルギー消費量が非常に増えるわけなのです。ですから、人口減少と相まって世帯数がピークに達して減ってくると、こんなふうに減るのではないかという、そういう想定でございます。
それから、太陽光発電です。36ページ。これはエネルギーWGの方からいただいたデータをそのまま使っているわけでございまして、決して責任転嫁をするわけではございませんけれども、いわば、そういう協力関係に基づいて進めているということでございます。ただ、私個人的には、これは相当大変だろうなと、本当にできるかなという疑念は抱いております。
以上でございます。

低炭素社会推進室長
コストに関するご質問がございましたが、そこの点に関しましてでございますけれども、各ワーキンググループの報告を一度、一通りいただきまして、それを統合した形で事務局の方でコストも含めて計算をして、もう一度、小委員会にご提示したいというふうに思っておりまして、そこで全体としてご議論いただければというふうに考えております。

西岡委員長
どうもありがとうございます。赤井委員、何かありますか。

赤井委員
私、技術WGの報告をさせていただいたときに、コメントとして80%削減ができることが分かってよかったというコメントをいただいたのに対して私が、「私の理解はここまでやらないといけない」という、どの方策をとっても非常に厳しいものだという答えをしたつもりです。2050年については、技術WGは一応、数字的なものをはじいたということで、村上先生の方は、それを目標として、バックキャスティング的に、いろいろ施策を含めて検討していただいた結果だというふうに思っております。
多分、太陽光発電については、供給WGから出てきたやつも、多分、技術WGで検討したのと同じように、恐らく究極的なポテンシャルをベースに、いろいろな、ここだけは無理だというところをはじいていって残った最大限を想定されているのだと思うのですけれども、大塚委員が今いらっしゃらないので、その辺は。

西岡委員長
どうもありがとうございました。では、次へ進みます。伴委員。

伴委員
もう一回、コストのことに関して、先ほど、技術が出た後でということをおっしゃったのですが、ただ、例えばここで言うと、そういう高断熱の家をつくるとか、あるいはいろいろな設備を入れたときに、どれだけのコストがかかるかというのは、全部出た後に計算でぱっと出てくるわけではなくて、その辺のコスト感覚というのも少しはっきりここで議論された方がいいのではないか。
 結局、最後のところで議論して、突然、コストと言ってはいけないのですけれども、単価が出てくるのですが、それが本当にどういうものかということを議論できる場が欲しいと思っています。私の担当している経済モデルで言うコストというのは、それだけではなくて、皆さんにお願いしたいのはせいぜい単価ぐらいで十分だと思うのですが、私の方は、単価も含めて経済がどういう形になって、それが全体としてどういう費用を必要とするかの計算はできるわけですが、最初の単価が非常に大きな役割を持ちますので、その点に関しても少し議論をしていただければありがたいと思っています。
特に、大塚委員から前回太陽光のシナリオが出たわけですが、あれなんかはコスト検証委員会の数値があるので、どれだけの費用が出るかというのは、私などは算出できるのですけれども、そのベースとなるものが、建築とか、そういうものに関しては、あるいは家庭の什器等を含めてなかなかないものですから、トータルのコストというよりも単価という形でどれだけかかるか。それが分かれば、モデルとは関係ないのですが、例えば、どういう形の補助金をつければいいか、どれだけの補助金をつければいいかというのも議論の対象になりますので、その点も含め、技術でこれができるのではなくて、幾らでできるかというところも含めて、こういうところで最初に議論していただけるとありがたいと思っています。
それと、恐らくこれはバックグラウンドデータでされていると思うのですが、例えば、住宅の建築の戸数が2020年、30年、50年に向かって、どういう形で推移していくか。そして、その中での性能、建築物の性能、その中に含まれる家電製品等の性能、家電の場合は10年とかそこらでリプレイスされると思うのですが、それが具体的に、どれだけの費用になるかということも少し見ておいていただけるとありがたいです。全体のコストを計算するときにはチェックしやすいものですから、その辺のヒントというのも少し本当は教えていただきたいと思っています。以上です。

藤井委員
一つは、試算の前提のところの、22ページ、23ページのところですが、世帯数は緩やかに減り、人口は2割ぐらい減るという流れの前提で、23ページの、特に家庭部門について、給湯は減っていくわけですけれども、あとは横ばい、暖房は増える。これは、もちろん建物がほぼ変わらないという前提で横ばいということだと思うのですけれども。
もう一つは省エネ行動というか、家庭での使用の対応が昨年の電力危機以降、相当進んだりしていますので、例えば、照明についても1人当たりの使用と世帯とは違ってくると思うので、これがすべてほぼ横ばいというのが、どういう、使用ということは全く考えないのか、使用による省エネ行動、その辺のご説明をいただきたいのと、もう一つ、建物の新築と既築についての分析をされていて、これは非常に参考になるのですけれども、実際に既築の部分のリフォームについて、10万、30万、50万、年間ごとのベースではじいておられるわけですけれども、ここでご紹介されているイギリスのグリーンディール等について、既築の建物の影響というか。改築はなかなか進まないし、実際に、ここでのエネルギー効率が非常に悪くてCO2の排出量も高い。これをどうするかということで、こういった一種の強制措置を前提にしているわけです。ということは、既築の住宅、事業所の賦課の度合いというか、我が国の場合、では、一体どれぐらいなのかというのが。両方の対策が必要だということはご指摘されているのですけれども、数量的に、既築の住宅物についての賦課量というか、あるいはCO2でもいいですしエネルギーの総量でもいいのですけれども、その辺が、もしご試算があるならば見せていただきたいと
 10万、20万、30万、50万ですか、これは現状のリフォーム率をベースにされているのかもしれないのですけれども、このペースで既築住宅の改築というものが、いわゆるエコ化が本当に十分に進むのかどうか。もちろん耐用年数もありますので、50年を視野に置けばリプレイスしていくということはあると思うのですけれども、その辺の試算みたいなものがあるのでしたら教えていただきたいなということです。

村上委員
伴先生のコストの話、ごもっともでございますけれども、コストを調べるということはそもそもスタートラインから宿題になかったものでございますから、もし委員会全体としてコストも含めてやり直しなさいということであれば、それはまたやることは不可能ではないと思います。
ただ、省CO2、エネルギーの予測だけでも相当に不確実なものが入っておりまして、コストの部分はより一層不確実で、どの程度、信頼性のあるデータが出るのか、大変、私はそれを不安に思います。もし、事務局、この件を後から必要であれば補足してください。
それから、32ページ、住宅の戸数のことはございましたっけ。これは、伴先生。

伴委員
比率は出ているのですけれども、戸数がどれぐらいを想定されているのかという、そこの部分が分かるとありがたいです。

村上委員
新築の方のね。

伴委員
はい。

村上委員
それは、データは出していませんけれども、過去のデータとか、あるいは経済モデル等に基づいて、AIM等もフィードバックしながら、例えば新築ですと年間7、80万戸とか、少し下がるような、そんな感じで、いろいろな予測に基づいて数値を入れております。昨今ですと、大体7、80万戸、戸建てだと40万戸ぐらい。多分、少し下がりぎみでいくと思います。
それから、藤井委員の23ページ。これは、ご指摘、私も相当分かりにくいから。どういうことかと申しますと、23ページ、これは、左側の図で申しますと、2010年で建物の性能とか機器の性能が凍結されたらどうなるかという図でございます。それで、なぜ暖房が増えるかと申しますと、現状を固定されても、暖房は、今は非常にプアーだからもっと増えるでしょうということです。給湯は、固定されても、先ほどの世帯数が減る感じで減るでしょうと、そういう想定でございます。ですから、この中に断熱の向上とか機器効率が入っていないのかというのは、それが24ページで、このイメージの図は、こういうふうに減るのですよと、凍結すれば上の赤い線だけれども頑張ればこういうふうに下がる、頑張りましょうと、そういうことでございます。
それから、既存住宅のCO2補助、これはもういっぱいデータがございます。
それから、今の20万戸、30万戸、50万戸、これは結構大変だと思います。幾らやっても、既存住宅というのは私有財産でございまして強制権がございませんから、なかなか協力してくれなくて、多分、今とは違う枠組みを持ち込まない限り、既存の省エネはそう進まないと思います。
ただ、16ページをご覧ください。16ページの右側に円グラフがございます。16ページでございます。ここにございますように、実は、暖房用というのは今22%ぐらいです。ですから、既存住宅の省エネを進めるには、家電の機器効率とか給湯とか、このほうがはるかに効果は大きいわけでございまして、そちらの方がリプレイスも早いですし、僕は、そちらに期待すべきであると思っております。
以上でございます。

西岡委員長
どうもありがとうございました。事務局の方で。

低炭素社会推進室長
コストにつきましては、一昨年の中間整理の際にお示しした際にも、総額に加えまして分野ごとのものもお示ししておりますので、そういったものをご覧いただきながら議論を深めていただければと思っております。

西岡委員長
どうもありがとうございました。それでは、松岡委員、安井委員、ご質問をお願いします。

松岡委員
今ご指摘のあった既築住宅の件なのですけれども、53ページに投資回収年数とございますが、これは断熱とか、新築を対象にしたものなのかどうかということで。意外と既築の方がなかなか進まない、そこにはコスト的なところをしっかりと示していかなければ、なかなか理解が得られないのかなというふうに思われますので。既築部分の中を対象にした場合には、どれくらいがトータルでかかって、回収年数がどうかという部分が、データがあれば示した方がありがたいなというふうに思ってございます。
それから、先ほどの節水効果なのですけれども、水の関係で言うと、水をつくるエネルギーはそうなのかもしれませんけれども、例えば給湯で、結局はシャワーなんかでも、そこで温めるためにかなりのエネルギーを使うわけです。ですから、半分に水がなれば、温めるエネルギーも半分になるということで、給湯の34%分という部分がかなり占めていると思うのですけれども、そこはカウントされているのかどうか、その点だけ確認をお願いしたいと思います。

安井委員
ありがとうございました。今回のご報告をいただいて、58ページのあたりにいろいろ、なかなか意欲的な枠組みがあるなと思って感心したところでございます。
例えば、そこで話題になっております創エネ機器の設置を原則義務化あたりですけれども、このあたりというのは、なかなか確かに意欲的で必要かなとは思うのでありますが、結局は、ということは、フィードインタリフよりは、むしろこういう方向の方が効果的であるというご議論の結果、こうなられたのかなと想像するのですけれども、それでよろしいかということと、それから、そのあたりのイントロは、実を言うと19ページあたりに対策が書かれていて、それで、2ポツの「そのため」以下云々の3番のところのアスタリスクの1というところがあって、そこに、何かバッテリー云々も入れた方がいいのではないかというふうに書かれてあるわけでありますけれども、この辺はあまり説明が十分でなかったような気がするのです。
先ほどの大聖先生のお話とも絡むのかもしれないということでございます。
それに関して、こういうような社会的な制度を導入する云々で普及を図るということを、もし書くとしたら、技術の場合でも毎回申し上げていることですけれども、例えば、地中熱の普及みたいなことですと、社会的な制度を変えないと普及されないようなものというのは結構あると思うのです。ですから、そういうところもしっかりご指摘いただいてしまった方がいいのではないかなというような気もするので、何か、もしあれば、コメントいただきたいと思います。
それから、もう一つ。HEMSの普及あたりが書かれていて、それもまた2020年度で80%ぐらいの普及率になっているのです。ただ、HEMSというのは、普及するというシナリオがどう見ても分からなくて。というのは、見える化だけなら、確かにメータを1個つければいいだけですから、そのぐらいならばいくのかもしれないのですけれども、本当に、それが重要な役割を果たすのか。そうではなくて、個別の機器がHEMS的な役割を果たす。例えば、エアコンは自律的に、人がいる、いないみたいなセンサーもついていますよね、今既に。
そういうものがHEMS的な役割を果たすということではあれば、いくかなという気がするのですけれども、要するに、ホームエナジー、マネジメントシステムまでは、なかなかいかないのではないかと思いますが、そのあたりの定義をどのようにお考えだったかなと思います。
以上でございます。

西岡委員長
どうもありがとうございました。村上委員。

村上委員
松岡委員の投資回収年数ですね。53ページ、これは新築でございまして、数枚のやつの最後だけとってきたものですから。
53ページの右側の縦軸に100万円とございますね。大体、新築は100万円、既存の改修がちゃんとやると200万円かかるということで、概ね倍という投資回収年数です。そんなふうにお考えいただいていいのではないかと思います。既存の回収は大変です。
それから、節水の効果は、確かに、おっしゃるとおり、節水すれば温水のそもそも発熱量が減るではないかということで。多分、今ご指摘のやつは入っていないです、節水した場合に。それが結果的に省エネになるのではないかという、機器の効率ばかりで。それは検討したいと思います。
それから、安井委員の、58ページで創エネ機器の義務化とおっしゃっていましたっけ。それは、58ページのどの欄でございますか。

安井委員
58ページでも、どこでもいいのですけれども、規制導入のところにみんな書かれているのです。56、57、58、真ん中辺。

村上委員
これは、フィードインタリフとの効果の差を、特に検討して入れたというほど検討していませんで、要するに、創エネをしなければとてもバックキャスティング的に間に合いませんという、その程度だというふうに受けとめてください。
それから、19ページのバッテリーの件も、当然そういうものを入れる、創エネ機を入れるならば、補完的にこれも必要だろうという、システムとして忘れてはいけませんよと、その程度の指摘でございます。
それから、地中熱などの問題です。これは、私は、非常に広い意味での規制緩和だと思うのでございますけれども、規制緩和は山ほどやってほしいことがあるわけです。どちらかというと、先生のワーキングでやっていただければ。日本全体の規制をどうするかと。
僕は、規制緩和をしない限り、将来、とても2050年にマイナス80なんていうことはないと思います。今、例えば、地熱を国定・国立公園でやるというようなことを検討していますけれども、もう、それをやらない限り、とてもだめだと思います。
それから、HEMSの話は、先ほどの大聖先生のスマートハウスと関連するのでございますけれども、HEMS自体は単なる計測みたいな話ですから、見える化とか。それだけで、どこまで効果が期待できるかということは検討しなくてはいけませんけれども、先生ご指摘のように、いわゆるインテリジェント家電、それとセットにすれば、例えばピークカットを含めて、ある程度の省エネは期待できるだろうということで。しかし、HEMSで、そう大幅な省エネを期待することは難しいと思っております。

山本委員
ありがとうございます。1点質問と、それから、もう一つ、意見というか感想なのですけれども。25ページのところのストック固定ケースの説明の図のところで、業務部門の方が、前回から今回の試算で下がっているわけなのですけれども、この要因というのを教えていただければありがたいなというのが一つです。
それから、あと、既存の建築物で、実際の運用の上手い下手で、かなりエネルギー消費量が違ってくるというのが実態としてあると思いますので、例えば、そういうのが上手なビルですと、毎年何パーセント、継続的にエネルギー消費を落とすということに取り組まれているところもよくありますので、そういう運用ノウハウが普及していくことでエネルギー消費を削減していくということができるのではないかと思うのですが、ただ、それをこういう試算の中に盛り込むというのは、なかなか難しいとは思うのですが、可能であれば、そういうものも盛り込んでいけるといいのではないかなというふうに感じました。
以上です。

西岡委員長
井神説明員、お願いします。

井神説明員
ありがとうございます。渡邊の代理で参りました井神でございます。宜しくお願いいたします。
2点申し上げたいと思います。1点目は36ページの太陽光の導入量についてです。これは3月2日の渡邊の繰り返しになりますが、ここに示された数字はエネルギー供給WGの想定に基づいているというお話でしたけれども、非常に実現可能性が低いのではないかと思っております。
なぜならば、この数字が実現可能かを判断するために必要な太陽光の設備をこれだけ設置できるかということ、コストがどのぐらいかかるかということ、一番大事な系統運用、果たしてこの量の太陽光が発電した電気を系統に接続して流通させることが可能かどうかということが全く分からないからです。
加えて想定する時点の全体の電力需要、キロワットもキロワットアワーも分かりません。実現可能かどうか判断するために必要な前提条件が分からない中で、数値をお示しいただいても、それは納得できるものではありません。これは前回渡邊が申したとおりであります。
62ページの「まとめ」ですが、書かれている前提条件を実現させることが非常に難しいと考えております。「3.系統電力のゼロカーボン化」の前提は、原子力なし、CCSを大量に見込む、再生可能エネルギーを大量に見込む、というものです。再生可能エネルギーの大量導入の実現可能性が見えないこと、CCSは技術開発途上でしかないことから、原子力なしのゼロカーボン化電力の実現は非常に難しいと思っています。
したがって、この前提でゼロカーボン化した電力を使って住宅・建築物分野でCO2ゼロエミッション達成可能と見通すことができるとされても、実現することは難しいのではないかと思います。2050年CO280%マイナスにむけて、バックキャスティングで考えるとこうなるという話ですが、むしろ80%マイナスという目標を実現することが非常に難しいということが、逆に明らかになったのではないでしょうか。
2点目は59ページの業務部門の既築建築物の低炭素化についてです。規制の導入に、国内排出量取引制度と書かれております。
ご案内のことかと思いますが、2010年12月28日、地球温暖化問題に関する閣僚委員会で、国内排出量制度に関しては、我が国の産業に対する負担やこれに伴う雇用への影響、海外における排出量取引の動向とその効果など、いろいろなことを見極め、慎重に検討を行うという結論になっていたかと思います。
その閣僚委員会で取りまとめられた、「慎重な検討」を行わないまま、国内排出量取引が唐突にロードマップに入っている経緯、理由をお聞かせいただきたいと思います。また、国内排出量取引が既築建設物のみに入っていて、新築建築物に入っていない理由もお聞かせいただきたいと思います。
加えて、他の施策と異なり、国内排出量取引制度の導入時期がグラデーションで表示されており、2020年代半ばからはっきりした色になっている根拠もお聞かせいただくようお願いします。
国内排出量取引制度については、以前から継続的に申し上げてきたことなのですが、合理的な排出枠の設定が難しく、企業活力がそがれて国際競争力や技術開発の足かせになるなど、さまざまな弊害があるため反対の立場をとっております。産業界の自主的な取り組みを後押しする施策をお願いしたいと思います。
ありがとうございました。

村上委員
まず、山本委員の、25ページの業務部門がなぜ減っているかというのは、これは幾つか、例えば、23ページとセットになりますけれども、照明動力が効率化するとか、HEMSの効用とか、そういった、さっきご指摘いただいた運用部分も含めて向上するだろうと、その辺の期待を込めてとか、あるいは計算を経てやったものでございます。
それから、運用によって随分よくなるのではないかという、それはご指摘のとおりでございまして、明示的に書いていませんけれども、今の説明を含めて、運用でどんどん向上していくということは、何となく入れたつもりでございます。運用のことを、もうちょっと、今後検討するチャンスがあったらしたいと思います。
それから、井神さんの方から36ページの太陽光、これが系統電力を含めて非現実的だというお話、それはごもっともだというふうに私は個人的には思っておりますけれども、委員会の枠組みとしてエネルギー供給WGの結果を踏まえてやるということになっていますから、繰り返しになりますけれども、エネルギー供給WGの大塚先生にもうちょっと検討をお願いするかと、そういうことになるかと思います。私どもの方でも、それなりに検討していますけれども、勝手にこちらで数値を出すと、委員会として同じテーマに関して二つの数値を使うよりは統一性があった方がいいだろうという、そういう判断もございます。
それから、国内取引です。オフィスビルの国内取引は、確かに、慎重に取り扱うというふうにございますけれども、これは別に2050年に向けてバックキャスティング的にやっているわけで、国がそう言ったからといって、ここでそう書いてはいけないというようなことは、僕は全然そんなふうには思いません。それは見解の相違でございます。
それから、例えば、東京都などは既に実施しているわけでございまして、東京都では極めて大きな成果が上がっておりまして、これによって運用の工夫がもの凄く進んでおりまして、私どもとしては、これは、あまり。産業界に、ご迷惑を最小にしながら導入することは、あり得ることだというふうに思っております。これは、あとで事務局からお話があるかと思います。
それから、排出量取引が新築にないということでした。これは、排出量というのはそもそも実績に基づくものですから、新築には入りようがないわけでございます。
以上でございます。

西岡委員長
事務局からどうぞ。

低炭素社会推進室長
再生可能エネルギーを含めましたエネルギー部分に関しまして、全体像が見えないと系統立った検討ができないというお話でございます。
そういった面でいきますと、エネルギーのかなりの部分を占めます原子力の選択肢の考え方というのがまだ示されておりませんので、それらが見えてきた段階で全体像を見ながら系統の運用なども含めて議論させていただければと思っております。

西岡委員長
どうもありがとうございました。また、こちらの方に移りますが、今のお話で。
すみません、どうぞ。

大野委員
すみません、後から出しまして。
一つだけ質問させていただきたいと思います。4ページにポイントが書かれていて、2番に微修正ではないという、抜本的に変えられるようなニュアンスの方針が書かれているのです。
それで、私は、さっきから昨年度ご説明いただいたご報告と今回と、どういうふうに違うかなという目でずっと見ていたのですけれども、申し訳ありません、昨年度をあまり覚えていないものですから、どこが違ったかよく分からないので。
それで、あまり細かいことは結構でございますので、ざくっと大づかみな、大局的なところだけ言いますと、一言で言うとどういうところが変わっているかというのを教えていただきたいのですが。
特に、25ページの、これは聞き漏らしたかもしれませんけれども、いわゆる固定ケース、BAUが結構、私は変わっていると思うのですけれども、家庭の方は。それを一言で言うとどうしてでしょうかというのと、それから、もう一つは、全部同じ質問ですけれども、45ページの削減率を見ると、これも覚えていないのですが、高位ケースで20年マイナス5%になっているのですけれども、昨年もこんなものだったかなと。うろ覚えなのですが。そういう意味で対比を、大局的に教えていただきたい。

西岡委員長
お願いします。村上委員。

村上委員
4ページの件でございますけれども、4ページに書いてあるとおりでございまして、1番に供給が変わって、需要が変わって、そういうふうな、そもそもの構造が変わったのが1点。それから、もう一つは、去年の、例えば家電製品の普及率などは右肩上がりで、どうも我々の過剰見積もりであった。そういうようなことが非常に大きな理由でございまして、25ページで去年と比べて減っているのは、その辺のもろもろの条件を組み込んだ結果でございます。
それから、もう一つは何でしたっけ。

大野委員
45ページの削減率からいくと。

村上委員
これは、僕も細かいことは覚えていないのです。たしか、45ページで言いますと、2020年にはマイナス25とかマイナス15とか。たしか、高位がマイナス25で中位がマイナス15だったと思います。それで、今回は、2050年には非常にこだわったけれども、途中は、それほどこだわらない。前から、2020年のマイナス25はきつ過ぎるということを言われていましたので。

大野委員
分かりました。ありがとうございました。

西岡委員長
先ほども言いかけたのですけれども、この小委員会の仕事というのは選択肢をつくるということで、それをどういう観点から評価するかということを、今のうちに皆さんからいただいておきまして、それを十分、モデルとか計算とか作業の中に織り込んでいこうということでございます。
今すぐに、ここで結論を出すとか、こうしないでくれという話は、まだ後にしていただきたいという具合に思っております。
こちらの方に移りたいと思っています。では、及川委員の方から。

及川委員
3点教えていただきたいのですけれども。
こういったような検討をされたときに、日本列島を考えてみますと、北の北海道から南の沖縄まで、非常に南北に長いわけです。気候条件が随分違うということがあるのですけれども、そういった気候条件の違いというのをどういうふうに評価されているのかというのを1点、お伺いしたいことです。
それから、もう一つは、2050年までという、今から40年ぐらい先までのことを見通しているわけですけれども、現在、地球温暖化が進行していて、それは日本でも例外なく温暖化していくと思うのです。そういったような変化を、どういうふうに組み入れていらっしゃるのかということが2番目です。
それから、3番目として、住宅の問題を考えたときに、戸建て住宅なのか集合住宅なのかで随分エネルギーの使い方が違うのではないかなという、素人考えですけれども、感じるのですけれども。その辺はどうなっているのかということをお尋ねします。
それと、もう一つ。この会議全体ですけれども、日本で80%を2050年までに削減するという目標があって、それをどうやって実現したらいいかということを論議しているわけです。それで、なぜ80%かというと、日本だけではなくて世界的に80%削減するということがありまして、それは現在、地球温暖化が進行しているわけですけれども、温暖化を産業革命以前の温度から2度以内に抑えるということが世界共通の目標としてあるわけなのです。
ですから、それを実現するためには、日本としても80%を削減しないと、それが実現できないということが前提としてあるということを、しっかりと認識しておく必要があると思います。
以上です。

小林委員
恐れ入ります。初めて出させていただいたので、少し資料を見せていただいて気になったことを数点。これは質問ではございません。できたら、今後の作業に当たってということでの要望でございます。
資料を見せていただいて一番気になりましたのが、いわゆる施策側から資料が全部つくられているということなのです。つまり、この資料を見て、実際に実行される国民側から見た資料のつくり方になっていないということで、できたら、こういう資料を見て、国民が、では、何をするのか、どういう負担がかかっていくのかという視点から資料を是非つくっていただきたい。そうしないと国民が判断できないと思うのです。
国民にとって、25%削減をする、80%削減をするということに対して、国民としてはどういうことをやっていったらいいのか、自主的に行動していくのか、また、ある程度の費用負担を強いられるのか、そういうことが分からないと、これに対しての判断ができないと思うのです。
そういう意味で、例えば、先ほどのレベルでは低位、中位、高位というのを書いてあるのですが、これは、いわゆる削減量からの低位、中位、高位が書いてあるのです。つまり、国民にとって、どういう経済的負担、どういう行動に対する規制がかかるかという負担割合から低位、中位、高位という書き方になっていないわけです。そういう意味で、そういうことを、是非、もう少し具体的に書いていただきたい。
内容的には、例えば、本人が意識しないところでの機器改善によって削減されるような削減量、それから、意識して、いわゆる費用負担を伴うハードの改善による削減量とか、税とか補助というような経済的措置によって削減される量とか。それから、一番大きいのは教育等、いわゆる意識啓発によって、国民なり事業者の意識改善によって削減がどうなっていくのか。その内容もハードとソフトがあると思うのですが。
特に一番問題になっているのは、今、意識改革によるソフトが遅れているというのを言われているわけです。それに対して具体的にどうしていったらいいのか。そういうふうな部分について、もう少し、まとめる段階で書いていただかないと、外に提示されたときに国民にとってどう判断するか、事業者にとってどう判断するかというのが迷ってしまうと思うのです。
それがないと、結局、出したものが全部、机上論になって終わってしまうと思うのです。是非、その辺だけお願いしたいと思います。

西岡委員長
どうもありがとうございました。それでは、村上委員、それから事務局も。

村上委員
最初の、及川委員のいわゆる気候の問題でございますけれども、こういうものは、全国を北海道から沖縄まで6地域に分けて気候の影響は組み込むように、そういうシステムを完備しております。
それから、二つ目に2050年の温暖化を考えると温度自体が上がるだろうということでございまして、おっしゃるとおりでございますが、民生用エネルギーに関して、地球の温度が1度とか2度とか上がるのが、どの程度影響するかということは検討しておりませんけれども、日本はそこそこ暑いから、例えば、寒冷地で冷房が増えるというようなことはあると思うのですけれども、僕は、この数値がぐっと変わるほどの影響はないだろうというふうに勝手に考えております。
それから、戸建てか集合かというご質問でございます。それはもう圧倒的に集合がエネルギー的には有利でございます。もう全然有利でございます。ただ、住宅は多くの場合、私有財産で、国民がどちらを選択するかという全然別の問題がございまして、いろいろなデータがございますが、それは圧倒的に集合住宅の方が有利です。
それから、小林委員のご指摘、これは質問ではないということでございますけれども、おっしゃるとおり、2050年にマイナス80を達成するにはどうしたらいいかという、バックキャスティング的に、だから、施策の方からということは、おっしゃるとおりの側面がございます。ただ、ロードマップでも教育の話とか、国民にとって、どこが痛みを伴うかということは我々も少しは考えていまして、規制のところが一番伴うわけでございまして、それは相当注意して、支援と規制とはセットにしてやるべきだみたいなことを書いておりまして。十分出ていませんけれども、国民目線とか国民の痛み、これは全然意識していないわけではございません。

低炭素社会推進室長
この小委員会は、また地球環境部会として温暖化の選択肢の原案また素案をつくっていただくという際には、ご指摘いただきましたように国民に分かりやすいものにする必要があるというふうに思っておりますので、ご指摘を踏まえて取りまとめの作業については気をつけたいというふうに思っております。

中上委員
私からは、質問というより、私もメンバーだったものですから、少し私なりの考えを述べさせていただきたいと思います。
もともと民生の家庭と業務が伸びた、伸びたから悪いと、ここが対象だと言われるのには、私は極めて不満に思っておりまして。例えば、家庭用で3割増えた。3割というのは非常に大きな増加のように見えますけれども、うち2割強は世帯数の伸びなのです。1世帯当たりの原単位、1世帯当たりのエネルギー消費量というのは5%から10%ぐらいのところで、幸いこのところ安定しているわけです。だから、3割伸びたから悪いと言われて、では、世帯数を減らすかということ、これは、どんな独裁者がいてもできるわけではないわけですから、そこを十分踏まえてほしい。
なぜ、では、そういうレベルにあるのかというと、例えば、国際比較をしてみますと、ヨーロッパ諸国は大体、ドイツ、フランス、イギリスあたりで、日本の1.5倍ぐらいです、エネルギー消費量は。アメリカは2.5倍ぐらい使っています。お隣の韓国でも3割ぐらい多いのです。圧倒的な差は暖房なのです。これは、村上委員長からお話がありましたように暖房水準が圧倒的に低いのです。私は、もっと増やすべきだと一貫して言ってきたのですが、いまや地球温暖化の問題があって、増える話はするなというふうに当時の茅委員長から言われまして、もう全然発言しづらくなったわけでありますけれども。
では、このまま低水準のままで我慢するのかと言われると、そうではないのではないかというのが、先ほど則武委員の方から、23ページで暖房だけ伸びているのは何かとおっしゃったのですが、これは世帯当たりの暖房水準が上がるというふうに考えていただいて。ただ、このレベルでも、今の欧米あるいは韓国よりも私は暖房水準が低いと思います。それが1点であります。
ただ、家電製品を比べてみますと、家電製品のエネルギー消費量はドイツ、フランスより日本の方が1.5倍ぐらい多いのです。
だから、どうも、どこにターゲットがあるかというと、まさに村上委員がご指摘になったように、家電製品のところに、もう一度しっかり軸足を置いて見るべきではないかと思うのですが、これが、「家電製品」と一くくりにするから大きく見えますが、個別のものがいっぱいあるわけです。ですから、これはなかなか言うは易くして難しいのですが、もう少しブレイクダウンして話をしなくてはいけない。
一方、業務用については細かいデータがないものですから、なかなか一くくりに物が言えない。ただ、長期的なスパンで見れば、恐らく、産業構造が三次産業にどんどんシフトしているわけですから、ここも増えてしかるべきだったろうと思います。そういったところの根本にある問題を少しきちんと踏まえた上で議論しておかないと、数字が増えたからおかしいというのはあまりにも素人っぽい議論ではないかと私は思っています。
それと、藤井委員から、既築の改修でというお話がありました。これが大変難しくて、難しいがゆえに、イギリスではグリーンディール、あるいはEU諸国が一貫してこういう施策を各国にとれというふうに指令を出しているわけでありますけれども、イギリスに行って聞いてみましたら、これの主たるターゲットは、対象のパーセンテージの非常に低い値を見ていただいても分かりますように、かなりの部分で貧困者対策というのがあるのです。エナジーポヴァティーというのがありまして、この対策があります。その辺が、やや日本とはニュアンスが違うか。だからといって日本がやるなというわけではなくて、日本もこういうことをやるべきだと思います。
そこで聞きましたら、住宅の断熱化を進めなくてはいけない。5、6倍、エネルギー消費があるわけですから、幾ら寒くてもそんなに要らないわけで。キャビティーウォールというのがありまして、中空壁は、これは比較的、中に断熱材を充てんすればいいので簡単なのですけれども、ソリッドのウォールは、そうはいかないわけです。ここは、なかなかそういう施策を打っても手が出せないということで、彼らも非常に苦労しているようでした。
ですから、こういう問題は置かれる立場で一つ一つ細かく見ていかないと難しいのだなというのが私の感想です。
最後に、安井委員の方からHEMSのお話がございました。
これも、HEMSで幾ら省エネになるかというのは、極めて今の時点では難しいと思います。随分前からHEMSのフィールド調査をやって、どの程度、省エネになるかとやるのですけれども、かなり数値がばらけます。ですけれども、これから50年に向けてということであれば、恐らく、この分野の精度なり制御性能なりが格段に、私は、上がってくれることを期待しておりますし、欧米に行ってみますと、スマートフォンで最終的にはコントロールするというようなことを言っていますから、こういうツールがこれだけ身近になっていれば、そこがHEMSと上手くマッチングすれば。あるいは、これはHEMSではなくて家電になるかもしれませんけれども、かなりの部分は見込んでいいのではないかと思いますが、これはアンノウンファクターでありまして、2050年を予測するというのは、その辺も全部一緒くたに同じ制度でやるというのは極めてしんどい作業だったというふうに言いたいと思います。
以上です。

長辻委員
今の中上委員のお話で、私が実は質問しようと思ったことをかなり答えていただきました。
私も前々から、日本の家庭でのエネルギー消費というのは欧米諸国に比べて非常に少ないだろうというふうに思っておりました。そうすると、村上委員の方からも日本の冷暖房というのはプアーであるという表現でお話がありました。
それで、このことは日本人がつましいエネルギー生活を家庭ではしているのではないかというふうに思ったりもして、これが、ある意味では日本人の美徳かもしれないなというふうに思っていたのですが、しかし、日本人の国民全体が、自分たちが先進国の中で家庭でのエネルギー消費が非常につましいというか、少ない生活をしているという、そういう自覚があってこういう暮らしをしているのかどうかという、そこのところが一つ大きな問題だと思うのです。そういう意識調査というようなものが今まで国内で実施されたことがあるのかどうか、それをお尋ねしたいわけなのです。
なぜ、そういうことに関心を持つかといいますと、2050年までですと、世代でワンジェネレーション以上あります。ですから、つましいエネルギー生活をするということを、現在の我々の世代の人間の美徳という言葉で表すとすれば、それがワンジェネレーションのうちに変わってしまう可能性もあるわけです。ストックの固定ということですけれども、意識の固定を仮定した上での試算がいいのか、あるいは日本人のこの部分に関しての考え方が変わり得るという、欧米に近づき得るという、そういう前提で考えた方がいいのか、そのあたりも疑問に思いましたので、お尋ねしてみました。
以上です。

村上委員
中上委員のご指摘は、私も同じ説明をさせていただいたわけでございまして、ただ、だからといって家庭用のエネルギーが増えてもいいということにはならないわけで、断熱水準を向上させて、なるべくコストも上げずに、それで屋内環境水準を向上させながらエネルギーの省エネも図るという、そういう全体的な枠組みで進めるべきかと思います。
それから、後の方のグリーンディールとかという、いわゆるホワイト・サーティフィケートも、これは貧困者対策、おっしゃるとおりでございまして、大分寒いわけです、イギリスは。あまり日は照らないですし。
それで、こういう非常に過激なイギリス側の施策、日本だと、北海道だとある程度、国民の皆さんも賛同してくれるかと思うのですけれども、東京以西の4区という、人口の8割以上が住んでいる地区は温暖ですから、そういうところでこういうホワイト・サーティフィケートというような割合厳しい施策が、簡単に国民の賛同を得るかどうか、これは十分検討する必要があると思います。でも、概ねご指摘のとおりでございます。
それから、長辻委員の、暖房が少ないので意識が変わるのではないかというご指摘、私もそれを随分考えていまして、ただ、1980年以降、随分日本の経済成長で可処分所得が増えているのですけれども、暖房費はあまり増えていないのです。ですから、今までのジェネレーションは、そんなには増えていない。だけど、これから増えるだろうという、ご指摘のように。それで、23ページのスライドで、今後、少なくとも暖房は増えるでしょうと、暖房水準は。そういうことを我々は予測しているわけでございます。
それで、日本でなぜ少ないかと申しますと、1部屋暖房、間欠暖房で、非常に質実な生活スタイルがベースにあるわけでございます。では、それが片方ではいいのですけれども、先ほど健康のお話を申し上げましたけれども、実は、断熱の悪いところに住んでいると非常に有病率が高いのです。ですから、僕は、両方解決するには、断熱を向上させながら屋内環境も改善してエネルギーも増やさないという、そういう進め方が必要だろうと思っております。

新美委員
ありがとうございます。一つ質問と、一つコメントさせていただきます。
第1点は、52ページないしは54ページの表ですが、断熱性能の向上による有病率の改善という表を見ましたら、これは似たような、中身は違いますが、かつて長野県の佐久とか、岩手県の和賀であったところで、アルミサッシに変えただけで随分、有病率が変わったという報告があるわけです。それと重なる部分があるのではないか。
もう一つは、暖房設備は、中で燃料を燃やす暖房装置から、排煙をするという暖房装置に変えたらアレルギー性の疾病は減る、そういうような報告もあるわけです。そうすると、断熱性の高い住居にしたからこうなったのか、あるいはアルミサッシ、あるいは今言った暖房のシステムが変わったからということになるのか。もっと端的に言うならば、エアコンがついていてアルミサッシにしたというだけでも、同じような効果があるのか、ないのか。これは、断熱性の高い家屋だからこうだというふうに言えるかどうかというのを確認したいということです。
それから、もう1点は、これは今後のロードマップですけれども、いろいろなものが掲げられていますが、先ほどの座長のご報告ですと、法制度の改革が必要だということが言われております。私的財産制度について変更を迫るようなものもあるのだと言ったのですが、もしも、そういうものが見込まれるならば、具体的な施策を講ずる前に、制度の改変に対して準備しなくければいけないわけです。だとすると、2年、3年、もっとかかる場合もあるわけですが、そういうことが分かったならば、このロードマップの中にも、こういう制度改革が必要で、この辺から着手しなければいけないということをきちんと明記すべきではないだろうか、そういうふうに思います。以上でございます。

森嶌委員
私は住宅の専門家ではないので、このワーキンググループだけではなくて全体の小委員会の持ち方について申し上げます。これまで繰り返し言っておりますが、何のために小委員会や部会をやるのかというと、政策を議論するためです。
しかし、ワーキンググループのマンデートには、コストは入っていない、何とかは入っていない。それから、他のワーキンググループがやることは、このワーキンググループではやらないのだというようなことになっています。私は何も村上先生に文句をつけているのではありませんが、このような方針で進んでいますけれども、では、小委員会がやった結果は部会にどう反映するのか。3月末には部会として、どれぐらい CO2を削減するか、そして、エネルギーも含めて、 CO2対策についてのオルタナティブを中環審としてまとめて、エネルギー環境会議という、ある意味では素人の政策決定者のところへ出して、それが国の政策になるわけです。
そのさいに、技術的なことだけは検討しましたが、コストは検討しませんでしたということでは、我々の審議会としては言い訳になりません。ですから、作業の過程でこういうことをするのはいいのですけれども、事務局は、コストのことなどは後でやりますとおっしゃっていましたけれども、今後のスケジュールというところから見て、日程的に間に合うのでしょうか。
それから、先ほどからコストと出ておりましたけれども、コストの場合、マクロのコスト、日本社会全体のコストと、それから個々の政策を選択する場合に、例えば、規制的な方法でやった方がいいのか、それとも先ほどの家を建て替えた方がいいのか、それとも何か経済的な方法でやった方がいいのかという、それぞれの政策についてのコスト、それがCO2の削減に及ぼす影響ということで、個別具体的な政策のオルタナティブについての効果、どれぐらいCO2を削減できるのか、その場合に、コストはどれだけかかるのか、これはある程度のもので結構ですけれども、いくらコストがかかるのかということが分かれば、そこで、それでは経済的なこういう政策がいいのか、規制的なこの方法がいいのか、教育的な方法がいいのかという議論ができ、また、それにはどれぐらいの年月がかかるのかということの議論もしたほうがいい。
この表でいきますと、58ページも、これだけですと、こういう方法がありますよということだけですが、先ほど小林さんが言われたように、国民の方からすれば、こんなに方法があるかもしれないけれども、その内、どれが自分にとって負担が重いものなのかというのが分からないわけです。その意味で、私どもは政策をつくる方ですから、ある政策が国民にとって、あるいは企業にとっても、どれぐらいひどい負担になるのか、それほどでもないのかを示す必要があります。先ほどから、渡邊さんの代理の方も言っておられましたけれども、そんなこと言われたってできないとおっしゃいましたけれども、そうなるのかどうなのかということを議論できるようなデータを出しておかないと、企業の方は、あまり言葉はよくないですけれども、すぐに反対をして議論にならない議論になってしまいかねないのです。ですから、政策提供者としては、それぞれの政策についてのコストのデータを、ある程度提供すべきではないでしょうか。
その上で、ある企業にとっては非常に大きなコストになるかもしれないけれども、日本国として2050年までを考えてみた場合に、あなたの企業には、それを負担してもらうか、消えてもらうしか他ないとまで言うかどうかはともかく、そういう議論ができなければならないわけです。我々の役割は政策を議論するのですから、そこで、ワーキンググループのミッションにはコストが入っていない、最後になったらコストを事務局が計算して、それを1回だけの部会に出して政策議論をやりますよと言えるのですか。質問です。
政策を議論しなければならないということが、我々のマンデートだということを前提にして、今のスケジュールで、コストというか、要するに、政策を議論するという意味で、今のような議論をしていては、私は、このワーキンググループの仕事は、非常に価値があると思うのですけれども、これだけでは足りないというのがまず一つです。
しかも、村上先生のワーキンググループはバックキャスティングということで、ともかく80%削減でやらなくてはならないことが前提になっています。45ページ、46ページところを説明されたときには、ともかく80%でつじつまを合わせるというふうに先生はおっしゃったのですけれども。要するに、一生懸命やったらできないことはないということですから、そこではコストのことは抜けているわけです。国民にどれだけ負担があるかということはともかくとして、やろうと思ったら、できないことはないということですから。その中で、国民がどれだけ選ぶことができるのか。そんなことなら、もう我々は日本国民をやめるよというかもしれません。あるいは、ある企業は国外に出ると言うかもしれません。コストをどうするのかというのが1点目です。
第2点は、25ページに、ストック固定ケースが前回と今回でこういうふうに違うのは、先ほどのご説明で、4ページのところで、地震などがあって、こういうことだというになっています。そうすると今後、何かあると簡単にこれだけ変わるものなのでしょうか。
そうだとすると、2050年に向けて今の計算でやった場合に、この試算が、前提が変わるとどれだけ変わるのでしょうか。そのリスク、変わる幅、それを少し、なかなか難しいとは思うのですけれども、お示しいただければありがたい。前回と今回が、どういう前提が違うとこういうふうに違ってくるのかということだとすると、ある要素が違うと、こういうふうに違うのだという前提を明らかにした上で、ケースを明らかにしていただきたいというのが第2点です。
第3点は村上ワーキンググループではなくて、大塚ワーキンググループに関わるのですが、これは村上ワーキンググループの前提となっている問題であります。
45ページを見ますと、80%が達成できるかどうかというのは、太陽光、太陽熱が入る、ほかのものも入りますけれども、入るかどうかというのが前提になっています。再生可能エネルギーが入るということが前提になっていると思われます。
この間のお話では、太陽光をどんどん入れていくということでした。再生可能エネルギーが入るのは、太陽光エネルギーにはいろいろな利点があって、そして固定買取制度がいつまでも続いてということでした。それでは、どんなにいいのかと思って資料を見ますとドイツの資料でした。私は、そのことを前回、指摘しました。そうしましたら、その直後に、ドイツの連邦環境省と連邦経済技術省が2月23日に、太陽光発電を対象とする全量固定買取制度の大幅な見直し案を発表したと報道されていました。私は、元は見ていません。
もしそうだとすると、ドイツでうまくいっているということで、外国の制度を参考にしたが、そのドイツが崩れて、大塚さんのエネルギーのワーキンググループが根拠とした、根拠が崩れたとしたら、エネルギーグループの話がまだもつのかどうか。もたないとしたら、村上先生が何とかつじつまを合わせた、そのつじつまのつじがなくなってしまったらどうなるのかという点で。
私は、大塚さん、それから事務局に対して、連邦環境省と連邦経済技術省が出した見直し案について、それが本当かどうかということと、それから、この間も申しましたように、ドイツでいいからといって直ちに日本でいいかどうかということの論証にはならないのです。そのいいという論証でさえも問題があるとすれば、まして、いわんや日本にそれを持ってきたときに、本当に2050年に2億キロワットも入るのかどうか、2020年でさえも2,600万キロワットが入るのかどうか、そういう固定買取制度が続くのかどうか。国民に対して痛みだけ与えて、結局は上手く動かないというようなことがあってはなりません。
以上です。

西岡委員長
横山委員。

横山委員
時間がないようなので、1点だけお尋ねします。
バックキャスティング的な手法で、かなり厳しくやって今回の結論を導かれたということは、よく理解できました。
一方で、中間整理段階で深堀りが足りなくて、今、全体を見直したら、確かに、状況は変わらなくても、こういうところがもうちょっと稼げたなという部分は全くなかったのかどうか、それだけ教えてください。

西岡委員長
村上委員の答えられるところだけでいいです。

村上委員
はい。まず、新美委員のアルミサッシに変えたらよくなったんじゃないかと、ご指摘のとおりでございます。断熱と申しますのは、もうちょっと詳しく申しますと「断熱・気密」でございまして、木製からアルミに変えますと格段にすき間風が減りますから断熱向上につながりまして、これはおっしゃるとおり、僕が言っている断熱と同じ趣旨の健康改善だと思います。
それから、開放型ストーブのことをおっしゃいましたけれども、いわゆる開放型ストーブは非常に空気質を悪くしますから、我々の話では、あのタイプの暖房は論外だと思っておりまして。今日お示ししたデータには、多分、私は今ここでお答えはできませんが、開放型ストーブは使っていないサンプルだけでやっていると思っております。
それから、先生、最後に制度改革のことをおっしゃっていましたか、何か。すみません。

新美委員
先生がいろいろな制度改革も必要だとおっしゃられていたのは、私もそのとおりだと思いますので、各項目によって、どんな制度が。さっと環境省だけでやれるものもあれば、そうでない他省庁、ないしは、もっと根本的に直さなくてはいけないような問題もあるものですから、こんな制度を変える必要があるよというようなことを少しロードマップの中でも芽を出しておく必要があるのではないかということです。

村上委員
おっしゃるとおりでございまして、今、一番明確なのが建物とか住宅の断熱水準、これはもう2020年に規制すると言っております。この管轄官庁は国交省と経産省でございまして。それで問題は、規制というのは非常に国民に痛みを生じますからソフトランディングが必要でございまして、今、鋭意、2020年より以前に、早目にできるところはどんどん規制をかけていって、2020年に突然やると大混乱が起きますから、それがないように配慮しているところでございます。今回のロードマップでは、これ以外には、そう明確に規制ということを、少なくとも低位、ブルーのところではそんなにはまだ書いていなくて、赤のところでは少し中長期的には規制が必要だと、そういう趣旨でございます。
それから、森嶌先生からお叱りを受けましたけれども、ご指摘のとおりで、コストの問題。実情を申しますと、エネルギーとかの削減とコストを一緒にやると、極めてモデルが複雑になって、ほとんど当面は実行不可能に近いぐらい難しいところがあるのでございます。
それから、政策の立場からは、いろいろ、これだけではコストも入っていないからなかなか立てられないとおっしゃったのは、ご指摘のとおりでございますけれども、56ページからのロードマップは、我々は専門家としていろいろ経験を持っていますから、国民の痛みも含めて、少なくとも2050年にマイナス80%をやるには、これが最も実効性のあるベストの解ではないかということで。インプルシットには全部コストも我々は入れたつもりで、国民の痛みも、その中で最も最適な解を提案した、そういうつもりでございます。
それから、23ページのところで、随分減っているではないかと。ご指摘のとおりでございまして、一番の問題は、家電製品の右肩上がりを、もうそうはならないだろうと、そういうことでございます。それから、震災の後、随分変わったではないか、これからもいっぱい、そういう外部要因があると変わるのではないかということでございます。震災の場合には供給サイドが根本的に変わったわけでございます。それで、民生用の場合の低炭素化は専ら電力の排出係数に依存していますから、これは極めて大きな要因で、僕は将来とも、こういうことはめったに起きないと思います。まず起きないのではないかと思います。
ということで、それは受けて検討しましたけれども、大きく減ったのは家電製品の見通しを変えたということです。それは、変えたというよりも、いろいろ精査しているうちに、我々の勉強の結果、より精度が高まったというふうに理解しております。申し訳ございません。
それから、横山先生の、バックキャスティングで深堀りがという点です。去年に比べると随分深堀りできたと思っておりまして、幾つかございまして、例えば、山本委員が、運用で減るのではないかというところは、それもインプルシットには入っているのでございますけれども、もう少し運用の実効みたいなことが出るような表現の仕方があったかなというふうに、その点は、今後改善すべき点だと思っております。去年、一昨年に比べたら、格段に深掘りできたと思っております。以上でございます。

三橋委員
誤解が一部あるようなので。
コストの問題についてなのだけれども、いわゆるコストベネフィットというような議論で50年のロードマップをつくることはできませんので、そういう議論を、もし、せよというような意見だとすれば、私は意味がないと思います。
できるのは何かといえば、例えば、2020年のGDPというのは金額ベースで表示できますよね。あるいは30年、50年。そしてまた、そのときにエネルギー消費量が何トンだということになれば、1トン当たりの価格というのは出ますよね。エネルギー1トン当たりの価格。それはそういうものであって、これだけお金をかけてというような形で、企業が割と短期的な形でコストベネフィット、これだけのコストをかけたので、これだけの収益があるとか、そういうようなことは長期の見通しの中では無理です。だから、もし今までの議論でコストベネフィットというのが短期の、例えば5年とか、せいぜい2020年というような形なら、ある程度、推定することはできると思いますけれども、それもあまり意味がないと思います。
そういう点で、そこをぎりぎりと議論することは、中長期のロードマップをつくる場合に、ほとんど意味がないということを申し上げておきたいと思います。

西岡委員長
すみません。

森嶌委員
一言だけ。2050年は確かにおっしゃるとおりですけれども、我々は、前と違って2020年、2030年もやるわけですから。それで、政策相互のオルタナティブをどう選択するかというときに、例えば、税でやった方がいいのか、それとも規制でやった方がいいのか、それとも別の方法でやった方がいいのかというときに、それぞれの政策のコストはどうで、それによってどれぐらいの削減の効果があるのか、また、それが国民に対して、どれだけの負担を課すことになるのかを示す必要があります。政策を課せられる方の側が選択をするというか、賛成をする、反対をするという目安になるという意味で。
多分、三橋さんのおっしゃっていることとそう違ったことを言っているのではないと思いますけれども。少なくとも短期には、短期って、どれが短期か。2020年、2030年ぐらいまでのところは、政策のオルタナティブを提言する場合には、ある程度コストを示さないといけないのではないでしょうか。2050年は、私は、もうおっしゃるとおりだと思います。

西岡委員長
事務局から説明を願いますけれども、もう一度、私、申し上げますけれども、今の段階は、ともかく、皆さんから、どういう点で評価するべきかということをいただいて、それを、どう次の段階で我々の方として材料を出していくかという段階だと思っております。
ですから、小林さんのおっしゃったように、国民に分かりやすいように、そういう要因をちゃんと作業の中でやっておいてくださいというのが今までの意見。それから、森嶌委員の方も、企業に対してもどうだろうかと。
それから、どこまでがコストとして、今の2人のご意見、長期の方のコストなんて、どうせ分からないこともあるだろうけれども、その辺、どのあたりを一番分かりやすく提示できるだろうかということで、次の段階に入っていきたいという具合に私は思っているのです。
そういうことでしょうか、事務局。

低炭素社会推進室長
ということでございます。事務局からの説明が不足している部分がございまして大変申し訳ございません。
改めまして申し上げますと、ワーキンググループでご検討いただいておりましたのが、各分野におきまして二酸化炭素、温室効果ガスを削減するための対策、施策、これはどのようなものが考えられるのかということを詰めていただいたというところでございまして、それらのものを小委員会でご報告、また、ご議論いただきまして、報告が一度、全体が終わった段階で、事務局としてそれを取りまとめ、追加的な費用なども含めまして、検討の観点がきちんと議論できるような素材を準備させていただいた上で、改めて小委員会で議論を深めていただきたいというふうに思ってございます。

西岡委員長
よろしゅうございますか。どうもありがとうございました。
それでは、短くお願いします。また、いつか答えてもらいますけれども。
また、いろいろとエネルギーの関係というのは、他のところも関係がございますので。

大塚委員
恐れ入ります。森嶌先生から、いつも非常に重要なご指摘ですが、2点だけお答えさせていただきます。
一つは、36ページの、太陽光がこんなに入るのかというご指摘だと思いますけれども、2020年1,400万キロワットというものについては、エネルギー供給WGの方でも出している数字と同じものでございまして、もともと政府の2020年の目標というのは2,800万キロワットなのですけれども、従来のエネルギー需給見通しでは、その7割である2,000万キロワットとしています。
実際にどのぐらい入るかということを精査した結果、多少、少な目にして1,400万キロワットとしておりまして、このぐらいは達成できるのではないかというふうに考えているということでございます。
それから、もう一つ、ドイツの件ですけれども、その件は存じてはおりましたが、別に黙っていたとかということではなくて、それほど重要な問題と認識していなかったということなのですけれども。
まず、前回申し上げましたように、税引き前の利益率というべきIRR8%を中位として計算していますので、別にドイツだけの話ではなくて、日本の問題として計算しているということではございます。さらに、これも前回申しましたように、買取価格というのは、IRRというのを8%よりもっと高く、10%とかにしてしまうと、そのときはたくさん太陽光が導入されるわけですけれども、たくさん導入され過ぎて、後に非常に大きな負担を与え価格を下げなければいけない。それも、徐々に下げていくということは最初から予想されているシナリオがあるわけですけれども、それよりもがたんと下げなければいけないようなことになって、結局、総合的に見ると導入量を減らさざるを得なくなるという。スペインがそれで失敗したわけですが。という問題がございまして、買取価格を機動的に下げていくというのは非常に重要なポイントでございます。
ご説明はそのときもさせていただいたところで、倉阪さんにも説明していただいたところでございます。
それとの関係で、ドイツが2020年ごろには太陽光のFIT、固定価格買い取り制度を終了するということを見込んでおりまして、既にドイツはかなり普及が進んでいるものですから、太陽光の価格が十分に下がってきたので買取価格の見直しを検討しているということでございまして、ドイツは日本よりかなり先を行っているということでございまして。今申し上げた買取価格を機動的に見直すということの必要性の中の一環の問題というふうに認識しておりまして、それほど重要な、何かショッキングな問題というふうには認識しておりません。

森嶌委員
私はここで議論するつもりはありませんけれども、雇用が向上するとか、それから太陽光の産業が起きるとか、いろいろなことを並べていますが、それを証左するのが、みんなドイツの資料だったわけです。だから、ここで出てくるようなものは、ドイツでは、もともと言っていなかったので、こういうふうに変わってきているのです。
今の大塚さんの説明は、日本の太陽光が、今までとは違って飛躍的に入るということの論証になりません。それには、ドイツの例をあげるだけではなくて、ドイツであったことは日本にも起こるということをちゃんと立証してくれということを、この間申し上げました。
今のも、ドイツでそうなっていることはというお話ですけれども、よその国の話などはどちらでもいいのです。日本の国がどうなるかということについて、ちゃんと説明してください。
今、あなたから、ドイツの事情で幾らがどうなったかという話をここで聞きたいと思っているわけではありません。これは、もう前回も申し上げたとおりです。

西岡委員
どうもありがとうございました。
すみません。誠に私の不手際で40分以上遅れてしまっておりまして、皆さんにお願いがあります。多分予定よりは終了時間が延びると思います。
次の委員の発表も非常に大切なものですから、ある程度の時間をとりたいと思っております。宜しくお願いします。
それでは、屋井委員の方から、ご説明を。

屋井委員
委員の先生方も、もうお疲れでしょうから、私の後のご質問は恐らく少ないというふうに思っておりますので。また、場合によっては、今日は私の言いっ放しで、ご異論がいろいろあったとしても十分お受けする時間がないかも分かりませんけれども、何とぞご容赦いただきたいと思います。
それでは、お手元の資料なのですけれども、資料2の他に参考資料が三つございまして、今日は参考資料ではなくて、資料2、これを中心にご説明させていただきます。
めくっていただきますと目次がございます。7項目になっておりますけれども、この中で5番目、低炭素型地域づくりのための7つの方策、これが今日のポイントでございます。
4枚目に参りまして、一応このWGの位置づけを、本当に簡単にご説明したいと思います。
地域づくりWGは、地球温暖化対策の中で地域という単位での取り組み、これをできるだけ埋没させないような、そういう位置づけも必要であろうということで、他のワーキングとの関連があるような、草色というかグリーンの色がかかっていますけれども、この部分にさまざまに関わりながら、各WGと関わるということでありました。
WGの中には二つのサブワーキングと勉強会をつくりまして、検討を進めてまいりました。
6枚目、7枚目にメンバーがありますけれども、大変多くの先生方等々で構成されておりまして、ご覧のとおりでありますけれども、大西先生に地区・街区サブワーキングの座長をしていただいていまして、学術会議のトップがサブWGをやっていただいているというのは一つの特徴ではないかなというふうに思います。
それでは、8ページに参りまして、22年までの若干の復習でございます。
9ページに、21年度、22年度、こういうことをポイントにやってきたということが総括になっております。
それを若干細かく示したのが、次のページからでございまして、10ページ。これは自動車交通量削減、これが最大中心課題でございますけれども、そのためにコンパクトシティへの転換、公共交通の利用促進、LRT、BRT、1,500キロ、自転車レーン5万キロ、このぐらいをつくる気持ちで頑張れという、こういうメッセージを出したところでございます。モーダルシフトも大変重要であるとともに、地域エネルギー、こういうものの未利用熱等を十分に活用していこうではないかという、こういうメッセージを出しました。22年度になりますと、これをもう少し深めていこうということでございまして、地域類型等によってさまざまに対応も異なるということで検討しました。
12ページにも、一例でございますけれども、地方中心都市では、こんなことでやっていく方向があるのではないかというようなこと、それによって地域の魅力の向上につながっていくのではないか、こんなことをまとめてまいりました。
そして、そういうものを進めていく上で、定量的な分析ができる部分についてはもちろん重要ということでありまして、13ページにありますように、土地利用・交通分野ではモデル化の検討、また地区・街区単位の対策においても見える化をしていくというか、さまざまに細かな分析を表示できるような、さまざまな検討を行いました。
14ページにございますように、22年度で、マルチベネフィットという言葉、これが適切かどうかは議論があるかも分かりませんけれども、GHGの温室効果ガスの削減というものだけで地域は40年間ずっと引っ張っていけるわけでもないということで、地域の魅力の向上、あるいは気候変動という問題に対する適応、こういったものを一緒に進めていくんだということが改めて示されたわけでございます。
ただ、その実現にはさまざまな課題・問題があることも明らかでございまして、15ページにあるように、これを計画、制度、あるいは財源・資金調達の面、そして何よりそれを担っていく人、こういう観点から整理を行ってきました。
16ページにありますように、そこに整理されていますけれども、四つの手段、こういうことで今申し上げたような内容でございますけれども、検討を深めてきたということでございます。
そして、今年度でありますけれども、こういった低炭素型地域づくりに係る最近のさまざまな取組動向があるわけですけれども、少しだけ紹介したいと思います。
18ページ、これは国土交通省、環境省、そして経済産業省において構想されている法案でございますが、市町村における低炭素まちづくり、これを推進するための、促進するための法律案ということでございまして、内容的にはそれほど骨太のものが入っているわけではないとは思いますけれども、こういうものも今構想されているということでございます。
それから、農林水産省におきましても、再生可能エネルギー等の、これの利用促進を行うための法案が出ているという、こういう状況でございます。
20ページには、こういった計画・検討はさまざまな地域で進んでいますけれども、BRT等必ずしも、被災した沿岸部の鉄道だけではなくて、新たに地方都市においてBRT等を導入しようという計画づくり、これも進んでいます。
それから、自転車でございまして、これも21ページにございますように、実際のところ、震災後は利用者が非常に増えたということもございます。
そして、22ページにございますように、国土交通省と、抜けてしまいましたが警察庁と一緒になって検討委員会を設けて、この自転車は、改めて車道走行が原則であるという中で、ネットワークづくりを地域主体で進めていってもらおうということ。これを具体的なデザイン・設計のレベルまで落とし込んで進めていこうということが検討され、この3月中には一定程度の結論が出るという状況でございまして、公共交通や自転車交通、こういうものについても促進していく、その基盤のところは少しずつですけれども強化されつつあるということでございます。
4番目ですけれども、そして何より東日本大震災、これが起こりまして、改めて地域の視点というものをどう考えるかということが再認識を、さまざまなところでされております。
24ページにございますように、大きくは2点ございまして、マル1にありますように、地域づくり。これは防災・減災や将来の適応の観点からの配慮・評価が大変必要になってきているんではないかということでございまして、防災・減災への備え、それによる安全・安心の確保、こういうものを地域という単位でも行う必要が出てきました。それは、今回被災した地域だけではなくて、今後の被災が想定されるような日本中さまざまな場所で、こういう観点からの検討が重要になってきております。
それから、マル2にありますように、地域においては防災・減災及びエネルギー確保、これを低炭素化と合わせて統合的に考えていくということが非常に重要視されるようになってきました。災害時において最低限のエネルギー確保を地域で行うということの必要性、これも認識されていますし、それから地域エネルギーセキュリティの確保、これに関与すべきだという、こういうことも認識されつつあります。そういう意味で、防災、それから減災及びエネルギー確保、こういったものを低炭素化と合わせて統合的に考えていくということが必要であろうということは、比較的共有されつつあるというふうに思います。
そういう中で、25ページ以降に幾つかの事例を示しておりますけれども、25ページは、中央防災会議等で、まさにそういう点も含めて、津波災害等に強いまちづくりをどう進めていくかという議論がされてきました。
26ページには、今後想定される地震を、一覧として紹介させていただきました。
27ページには、防災の観点から都市計画マスタープラン、こういったものを見直ししている名古屋の事例をご紹介させていただきましたけれども、今ホームページ等で公開されているだけでも7、80に及ぶ自治体が、こういったマスタープランあるいは総合計画等を見直しして、その中に防災という観点を非常に強く入れようとされています。
28ページにはハザードマップの作成、これも大変重要な課題となりましたので、見直しがさまざまな地域で行われています。
そして29ページには、これもご紹介させていただきましたけれども、そういった観点も含めて、さまざまなリスク、これをどう評価して適応策の立案に生かしていくかという、こういうことが、その重要性が示されているわけでございます。
30ページになりますと、これは仙台市さんの例ということでもありますけれども、地方自治体がエネルギーの確保に関与する必要性が高まってきたという、こういうことでございまして、特に、「エネルギーの途絶」、「通信の途絶」、「生活の危機」、こういうものに直面して、広義の市民を含めた安全・安心の提供の必要性、これが自治体側にも必要であるということでございます。右側の方には、今般、昨今の環境未来都市における自立・分散型エネルギーの導入に関する提案というものが示されています。
そして31ページ、これも事例でございますけれども、東京都さんの方からもご紹介がございましたけれども、計画停電等もございました。都市機能の維持に支障を来すケースが発生したということもありまして、地域での自立・分散型エネルギーの導入への関心が非常に高まっている、そのための取組もされている。そして、そういうものを非常に大きな目標に掲げたような新たな東京都の計画もつくられているという、こんな状況にございます。
そういったことを踏まえて、要するに、結論ということでありますが、32ページにございますように、従来から、地域では環境問題の対応、あるいは地域活性化、こういうことを考えてきたわけでありますけれども、それに加えて、この大震災等を受けて、緊急時のエネルギー源の確保、それから地域のエネルギーセキュリティの確保、こういうものを含めていくということが、特に安全・安心を確保する観点から重要になってきているということでございます。
参考までに、33ページには、この国のエネルギー・環境会議においても、この上の方に書いてありますように、東日本大震災後のエネルギー・環境戦略に「安全・安心」が加わったこと、それは「地域主体のローカルなネットワーク構築が危機管理・地域活性化の両面からも有効」との見方が拡大していること、地域が自発的にエネルギー選択に参加できるような新たなエネルギーシステムを築くことの重要性、こういうことが記載されているという状況でもございます。
そういった認識を踏まえて、34ページ以降でございますけれども、要は、こういった大震災も踏まえて、地域づくりにおいて7つの方策というものを提案させていただいております。それは36ページにございます。
これは、特に5プラス2というふうにも読めるわけですけれども、マル1にあります、各主体、地域像を共有すること、新たな制度等を構築すること、横断的に評価する仕組みをつくること、そして地域ですから、土地利用・交通政策等を強化すること、それから先ほど申し上げたような、地域でのエネルギーの確保に関しての自治体の関与とか役割・責任の強化すること。そういったことを支えていくためにも、あるいは合意形成等を図っていくためにも、それなりのツールというんでしょうか、さまざまなものが必要になってきます。そして7番目、これはこのワーキングが物流面も含んでいるということで、低炭素物流の構築に向けた各主体の連携強化ということを加えて、トータルで7つの方策でございます。
1番目でございますけれども、37ページにございますように、2050年というものは目標であると同時に一つの通過点でもあるし、その40年先までの長い地域の姿というものをどう見据えていくか。それは、もう今日・明日から継続的に積み重ねていかなければ成り立たないわけでございますけれども。そういう中で、特に防災・減災、将来の適応への備えについて、評価あるいは配慮を行うことが重要になってきたということ。これは短期的ということでは、必ずしもないというふうに認識しております。
そういう中で、では低炭素型の地域づくりというものはどうかというと、当然ながら、温室効果ガスの排出削減、これを直接的な目標といいますか、方向ではありますけれども、行政コストの削減も考えたわけですし、あるいは今後の日本の場合には高齢社会、これをどういうふうに持続可能にしていくかという、こういうことがあったわけであります。
それに対して、今のマル1番にありますような防災・減災への備えの充実、中長期的に生じる地球温暖化影響に対する適応、そして地域資源の活用・緊急時のエネルギー源の確保、こういうものまでを視野に入れて、この低炭素型の地域づくりに関する対策というものが影響するものであるということでありまして、引き続き、従前からの基本的方向性に沿って、この低炭素型の地域づくりを進める。これは変える必要がなく、必要ではないかということでございます。
しかしながら、従前以上に、さらに困難を極めるということも考えられますし、関係主体、多くの関係主体の合意が重要である。そのため、地域を見据えた魅力ある地域の将来像を地域で共有するという、こういう基本原則のようなものが、改めて日本でも必要でしょうということでございます。
38ページは、従来の対策後の姿、これを示していますけれども。39ページの方には、これに安全・安心というものを上からかぶせた、そういう姿を書いております。
そして40ページには、昨年のその図面をマルチベネフィットでも若干整理しまして、中心部には安全・安心の提供などによる地域の魅力向上というものを置いて、その中にGHGの排出削減もあるし、あるいは防災・減災、気候変動に対する適応への備えとして、新たな一つの視点として地域資源の活用や緊急時のエネルギー源確保という、こういうもので進めていくんだということで再整理させていただきました。
2番目の方でございますけれども、では、そういうものを支えていく、どういう制度が要るかということでございまして、現行施策の枠組みでさまざまな取組が実施されているわけでございますけれども、これは43ページに表がありますように、さまざまに確かにありますが、事業が短期間で見直されるとか、あるいはモデル的な取組の支援に限定されているとか、あるいは、そのための財源が何年間分しか確保ができないとか、あるいはその財源確保のために計画をつくらせるとか、こういうこともあって課題もあります。
そして3番目にありますように、低炭素地域づくり、特に土地利用・交通政策、地区・街区整備の取組、これを進めるためには、継続的に取組が進んで、それを全国に展開できるようなそういう継続的・安定的に取り組めるような財源、それを裏付ける制度が必要であります。温暖化対策税等もございますけれども、今後より積極的にこの問題に対処していくためには、さらに大きな財源も必要であるということでございます。
4番目にありますように、そういうものをどういうふうに各国がやっているかというと、例えば、これも後ろのページにございますけれども、45ページぐらいにありますが、欧米諸国等では、当然ながら政権が変わっても、こういった地域レベルでの計画の枠組み等については、特段変えることはなくて進めていける、地域が安心して取り組めるような、そういう制度的枠組みをちゃんと国が用意してあるということがございます。また、地域の持続的な取組の担い手となる人づくりへの継続的支援、これも必要でしょうということでございます。
42ページは、実際に財源等が不足しているというのが、当然のことですけれども、温暖化対策を計画する上で困っていることということの結果が出ております。
43ページは、まさにさまざまな取組があるんですけれども、どうも課題はあるねということで、もちろん、いろいろとご検討され、そしてその結果つくられたということで、大変なご苦労があってこういうものがいっぱいできているわけですけれども、どうも骨太ではない。30年、40年と長く継続していくために、これらの制度で十分とは全く言えないということでございます。
44ページにございますように、左側の、このぐるっと回っているところを、是非右側にするということなんですけれども。財源があればできるかということではないんですけれども、今のままですと、さまざまな面、特に公共交通等は、もうあっという間になくなってしまうんではないかというような心配もあるわけでございます。負のスパイラルに陥っているというところをどういうふうに変えるかという中では、一定程度のサービスを不連続的にというか、飛躍的に上げる必要もあるわけですけれども、そういうことが今の状態では非常に難しいということもございます。
45ページは、先ほどのお話でありました。
そして46ページ、これも一つの例、フランスの例でありますけれども、こういう制度をきっちり持っています。政権が変わっても変えませんよというものは、都市計画という範囲の中だけではなくて、もう少し広い地域計画という中でも変えないということでございます
そして3番目でありますけれども、そういうことで、じゃあそれは具体的にどうするんだということがございますが、防災・減災、低炭素・地域エネルギー、こういうものが重要だということを申し上げてきましたので、そういう個別の取組を横断的に評価する仕組みを構築してはどうかということでありまして、この47ページに書かれていること、そういう横断的評価というものは、対策・施策の実施後に何か評価するというのではなくて、企画・立案段階から実施しなければいけない。
そして、その計画立案の際に、地域の将来像・目標、事業規模とか財源との手段の検討と同時に、関連する他分野の観点からの評価・検証を行う仕組み、いわば「持続可能性アセスメント」のようなものが必要である。
持続可能性アセスメントをやるということですけれども、それを次の5番にありますように、各段階において、行政と市民が対話を繰り返して、その地域の将来像、あるいはそこに至る手段、これを練り上げていく、共有していくような、そういうプロセスも同時に必要です。
加えて、予算規模の明確化とPDCAサイクルが組み込まれていなければ、実効性がならないということもあります。そういうことで、こうした計画策定と評価のプロセスを繰り返していくことで、部分最適ではなく、全体として魅力ある地域づくりの継続につながる。
そういった対策・施策の選択・実施・促進が期待されますということで、次の48ページには、何が問題かということでありますけれども、地方分権の時代ですから、国がすべて制度を決めてやりなさいというわけにもいかないわけですけれども、一方で、今現在の問題の一つとして、昨年の法律改正で地方自治法が変わりまして、この総合計画と言われているもの、これが非法定化された。地方の判断でつくりたければ、つくりなさいということになっているわけです。多くの自治体はつくるとは思いますけれども、そういう状況でもある。
こういう中で、一方で空間計画という都市計画、これはすべてをカバーできるというわけでも、現状ではないわけですから。先ほど来申し上げているような地球温暖化対策、そして防災・減災、さらにエネルギーの問題、そして、そういうことを踏まえて魅力ある地域にしていく上で、制度的に十分かというと、そうではないということでございます。
49ページにございますように、例えばそのイメージでありますけれども、地方自治体というところで、防災、今申し上げたような、関連分野を横断的に結び付ける計画策定及び統合的な実施の仕組みというものが、例えばこんなものがないだろうかということでありまして、右側のブルーの箱が幾つかあります。上から目標、将来像・目標を検討する段階、それを実現するためのパッケージ、政策・施策の体系、それに必要な事業の規模や財源等を示すところです。そういうものがあり。そしてその手段によって、果たして地域の防災力がどれだけ上がるのか、あるいは環境エネルギー面ではどうなのか。ここは、いわばSEAのようなもんですけれども、それから地域の経済、社会経済力はどうなのか。こういうものを統合的に持続可能性という観点から評価していくというアセスメントが、計画づくりにおいては必要であろうと。
そういうものをつくって、今度は一定期間の中で、達成度を評価し、見直しをしていくという、常に長期を考えるけれども、見直しについては4、5年ぐらいでやっていくという、こういう計画制度、これは結構いろんな国で持っているわけですけれども、それを、行政だけがつくる行政計画というものではなくて、市民参画のもとで地域が共有していくという、こういうフレームをつくるというのはどうだろうかということでございます。
実は、似たようなものが、イギリスの例なんかでもそうですけれども、サステナビリティ・アプレイザルということでイギリスも持って、最近つくっているわけです。これもまた、政権が変わって若干やり方が変わっていると思いますけれども。イギリスの場合には防災というものが一番でありませんので、そのあたりが防災を強く考え、そして温暖化対策との連携も考えるというのは日本流の進め方になるのではないかと思います。
そして4番目でありますけれども、そういうことで、何を、じゃあ具体的に中身としてやるかにつきましては、特に地域の問題、日本の場合には、先ほど来申し上げているように土地利用政策、いろいろな面で都市計画の失敗等々を言われたこともあるわけでございますけれども、土地利用面、それから公共交通、この問題等です。非常に大きな課題でございますので、これを強化していくということで、2番目にありますように「具体的には」ということで、もちろんモビリティマネジメント等、どちらかというと倫理的フレームに訴えて行動様式を変えてもらうような、これは同時に必要なわけですが、それだけでは十分でないところもあって、既存の公共交通機関のサービスを改善する。今、サービスを改善するような体力は地方の公共交通機関にはないわけでありますから、そういうところに対しても大胆に投資することが必要。そして新規公共交通整備(LRT/BRT)等、こういうものについても必要だということでございます。こういうことを、じゃあ、30年先にやれるかというと、恐らくできない。全く手遅れということになりますから、今から取り組んでいくことが必要。
一定程度の財源等、ガソリン税の、例えば揮発油税の暫定税率分、こういうものを優先的にこういうものに使うんだということは、是非、こういうところからもメッセージとして出せるといいのだと思います。
そして一方で、交通施策のみによるCO2削減、そうは言っても、CO2だけを見ると必ずしも十分ではないということもございます。そういうことで、一定程度の誘導策、あるいは場合によっては規制、こういったものも必要ではないかということでございます。それが4番ということであります。
52ページにございますけれども、これは一人当たりのCO2の排出量を、駅の密度、あるいはバス停の密度別に見ているところでございまして、右のグラフの一番右側、6というローマ数字がありますけれども、これはバス停の密度が一番低いところでございまして、横軸がこれ人口規模でございますので、そんなに今のところ多くないんですけれども、バスの密度が、もうバスがほとんどないという地域では、もちろん車しかありませんから排出量が多いわけですけれども、あっという間に、この左側の5番とか4番、こういう地域も6番の方にどんどん移ってしまう、こういう待ったなしの状況が今現在だと思います。
53ページのところには、参考までに諸外国の公共交通機関の運営体制・財源制度が書かれています。公共交通については採算性ではないということで、さまざまな仕組み・取組を行っているところでございます。先ほど申し上げたように、今の日本の、採算性を中心に考えてきたところでは、負のスパイラル、利用者が減り、サービスも減るというところから逃れられないという、こういうこともございます。それを踏まえて、諸外国は既に一定程度の、これは支援というよりも、行政が、公共が負担をするということで、一定のサービス、公共サービスを確保しているわけでございます。
この件については、国土交通省が従前からさまざまな取組を行い、制度化も図っているわけでございますけれども、財源規模と、そして合意形成の必要となる速度、こういう点からいうと必ずしも十分とは言えないということでございます。
54ページには、唐突でございますけれども、必要だとは言いながら、一方で、定量的にはどうなのかということもございます。このあたりは、いろいろ議論が分かれるところでございますけれども、現在、去年来開発してきたこのワーキングにおけるモデル、これは土地利用・交通モデルでありますけれども、全国を6,000ぐらいのゾーンに分けまして、交通の需要予測のモデル、これは4段階推定法というものをベースにしてつくっていますけれども、それと土地利用のモデル、これは居住地や業務地等を均衡モデルとして解いていくという方法でやっていますけれども、この両者を結び付けたモデルによって計算をしてあります。
都市内の政策に対しては、そんなに有利なモデルではありませんけれども、ご覧いただけるようなさまざまなケースに対しての多少の効果が計算上、出てきているところでございます。
これが唯一の答えではなくて、さまざまな感度分析等も必要なわけですけれども、今日のところは、左側の新幹線整備等から右側の土地利用・交通のトータルのパッケージにしたようなところで、0.何パーセントから6%ぐらいまでの削減というものが計算上、出てきているということをご紹介させていただきます。
そして、土地利用・交通分野における対策・施策の選択肢というものを55ページにまとめてございます。もう既に、中身についていろんなところで申し上げていますので、この表になっているということで中身の説明は省略させていただきます。
56ページに、マル5番の自治体の関与、責任の強化ということで、これはなかなか表現として難しいわけですけれども、ただ、エネルギーのような問題に地域がどう関わるか、具体的には地域といっても、この場合には地方自治体がどう関わるかというような観点からいうと、これは一定程度、国として共通な法的枠組み等を持つ、先ほどの計画の体系のようなものがありましたけれども、ああいうものについても国として用意し、その中で創意工夫を、継続的に地域が発揮していく、そういう中身をつくっていくという。これは各国共通でやっていることです。日本もこういうエネルギーのことが出てくるんであれば、是非そういうものを、もう一度国としても用意してあげるということは、一定程度、必要ではないかと思います。もちろんそれがなくても、それぞれの地域が責任を持ち、関与していくということであれば、その方向もあると思います。
そのようなことが、このマル2、マル3のあたりに書いてありまして、国は、こうした地域の取組を支援するため、ここでは、計画策定のノウハウ云々と書いてありますけれども、制度的に支援するためにも、いろいろなことが考えられるだろうということでございます。
57ページ、これも繰り返しになりますけれども、従来の環境問題の対応、地域活性化という観点だけではなくて、安全・安心というところを地域、特に公共、地方公共団体が取り組むという、こういう必要性が出てきたという中で、責任を強化していくということが必要だということでございます。
58ページ、59ページには、エネルギー関係で幾つか、これは東北大学の中田先生からご紹介していただいたものでありますけれども、発電部門だけではなくて、家庭とか業務・産業分野でも熱として捨てられているエネルギーは少なくないということで、そういうものを是非、その地域単位、あるいは地区・街区単位で利活用していくということが必要でしょうということであります。
そういうものの取組のパッケージのようなもの60ページにあるものでありまして、一つ一つ、これはご説明を省略しますけれども、地域が主体となって、地区・街区の需給特性に応じた技術・施策の組み合わせを選択して、地域資源等が有効に活用された「低炭素地区・街区」の整備を進めていくことが必要でしょう。大震災もありましたけれども、そうした「低炭素地区・街区」は災害時に必要なエネルギーの確保などの効果も有するでしょうということでございます。
以降は、幾つか事例をご紹介させていただいていまして、仙台市の取組、あるいは東松島市の取組、そして北九州市の取組等でございます。時間の関係で中身は省略させていただきます。
次も、参考と書いてありますけれども、そういう取組を行っていって、これも地域という単位、あるいはもっと小さなコミュニティ、街区とか地区というスケールでも、そういうものを行っていくことによってコミュニティを活性化させる、あるいは、その地域の地区の魅力を向上させていくという、こういうことにつながるのではないかということでございます。
今まで申し上げたような内容を選択肢、対策・施策の選択肢としてまとめたものが65ページということでございます。ここも、対策の中位・高位になりますと、一定程度、規制的な制度というものを導入していかないと効果が上がってこないということを、今回は特に示させていただいています。
それから、次の66ページ、6番ということでございまして、地域で合意形成等を図っていくというのは実は非常に重要で、しかも大変難しくて、公共交通一つとっても、なかなか合意形成というのは簡単に進まない。道路空間の利活用、再配分をするんだということが方向性として出てきましたけれども、そんな簡単なことではないという、そういうことは至るところにございます。そういうところまで踏み込んでいかないと、絵に描いた餅ということになります。
それをどうやって解決していくかについては、幾つもの観点が必要ですけれども、今回は、特にそういうものを支援していくためのツールという整理の仕方をさせていただいています。ですから、これだけで合意形成が十分かというような話というのではありません。
対策導入に当たっての科学的根拠、もちろん国民的議論という観点からいうと、そういうものは非常に重要だということでございますので、地域という単位と違いがございますけれども。地域づくりでは、この67ページにもありますけれども、左側にありますように、地区・街区のサブWGの方で、こういった円グラフによって、需要、地域というよりも、もっと細かな地区単位でのエネルギーの需要・供給、このバランスを示すような方法論、これを計算して示すような方法論をつくっていただきました。
67ページの右側は、これは先ほども事例を、計算結果をお示ししましたけれども、コンパクト化、公共交通整備、さまざまな施策によってどのぐらい効果があるかを、定量的モデルによって計算するというツールでございます。
その二つを中心に整備を進めてきたということでございます。
68ページには、その後者の方のモデルの構造といいますか、簡単な構造が示されています。この詳細は、恐らく去年のワーキングの中で既にご報告したんだと思います。
69ページには、このモデルを使って、先ほどは全国ということでしたけれども、全国のモデルの下に、今度は狭域のモデル、都市圏規模ぐらいのモデルをぶら下げて、両方を連動させて動かすということで、都市圏の中での非常に細かなゾーン帯の分析によって、どのぐらいのCO2削減効果があるかということを計算した例でございます。
これは、自転車利用とか、さまざまにこのケースが書いてありますけれども、これも数字をまだまだ精査しなければいけないわけですが、数パーセント程度多くても、その程度の効果ということで、何10%もすぐにこれで下げられるかというと、なかなか地域づくりというのは、そんなに簡単にはいかないということでございます。それは自明といえば、自明でございます。
そういった方法論を70ページに、こんな方法論、ツールとして特徴があるということの整理をしました。先ほど円グラフ等を使ってというふうに申し上げましたけれども、71ページにそういうものが示されているところでございます。
72ページに、最後の7つ目ということで、低炭素物流の構築に向けた各主体の連携強化ということが書かれています。物流分野の検討、これも大聖先生の自動車WGの方と連携をとらなければいけないということでありまして、勉強会というものを開催させていただいて、そして若干といいますか、検討を進めてきたところでございます。
そして、物流関係は、もういろんな取組を従来からもやっているわけでございますけれども、一方で、競争関係も厳しいという中で、なかなか連携が十分に進んでいないところもあります。そういう意味で、今後はさらに、74ページあるいは75ページにありますように、左下の方に書かれている連携をいかに深めていくかというあたりが、古くて新しい課題というんでしょうか、重要であるということが示されているわけでございます。
以上をまとめまして、77ページに、ロードマップの対策・施策(主要なもの)を低位・中位・高位として示しております。文言だけ並んでいますけれども、それを78ページ・79ページということで、80ページまで従来のフォーマットに入れ込んでいるわけでございます。
78ページでいうと、例えば高位ケースというのはピンク色、それで中位ケース以上はもう少し濃い色です。低位ケースはグレーということで、高位ケースはすべてやるということになりますけれども、そういったことで、この中に書かれています。
今回は奮発しまして、LRT、BRTの整備延長を、1,500キロにとどまらず、3,000キロというところまで数字が入っていますけれども、こんなものがすぐにできるわけがないということでありますが。それだって、財源さえあれば、あるいは合意形成さえできれば、あっという間にできる、それほどお金がかからずできるという規模かもしれません。そういったものまで入れている。自転車の例については5万キロ、これもかなりのスペースが道路上にありますので、そんなに荒唐無稽な数字でないかも分かりません。こういうものを従前のロードマップのとおりに、現状では入れさせていただいています。
今回は特に制度面等々を強化して、早目に立ち上がっていけるような、そういう取組をできるようにするべきだということで、そのあたりを強化したロードマップになっています。
長くなって恐縮ですけれども、最後のページにまとめがございまして、今回、特に大震災等を踏まえて、地域づくりにおいては、安全・安心確保、そしてエネルギー確保、これが重要性を増したということを再認識した上で、「土地利用の集約化」については、もちろん防災面等、あるいは気候変動への適応、こういうものを考えた上で進めていくということであります。その上で7つの、ここに示したような方策を提示させていただきました。
そして、定量的分析、これは従来から宿題でございましたけれども、2050年に向けてということでは、多少の分析結果というものも示させていただいたということであります。
こういうことを、なかなか地域づくりによってCO2をどれだけ削減できるかについては、時間もかかるし、そして効果についても、そんなにすぐにということではないかもしれませんけれども、是非、長期にわたって持続可能な地域をつくるためには、大胆な対策・施策による後押し、あるいは大胆な財源を確保、こういうものを今のうちにやっておく必要があるだろうということでございました。
長くなりましたけれども、以上で終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

西岡委員長
どうもありがとうございました。それでは、皆さんのご意見・ご質問を受けたいと思っております。時間の事情は、皆さんご存じのとおりでございますので、簡潔に鋭く、短い質問・意見をいただきたい。

井神説明員
ありがとうございます。二点質問させていただきたいと思います。
1点目は財源についてです。41ページには、継続的・安定的に取り組めるような財源とそれを裏付ける制度が必要、また42ページには、財源、費用の不足が最大の課題、と記載されています。そこで、まさに気になるところなのですが、このとりまとめに取り上げられている施策を実施する上で、財源をどのようにすればいいかということについて、お考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
この小委員会の目標は、国民的な議論に向けた温暖化対策の選択肢の原案を提示することだと考えております。、国民的な議論を実のあるものにするためには、各施策について、ある程度どのような財源で賄うのか、将来国民の負担はどの程度増えるか、等の方向性ぐらいは示す必要があると思っております。
2点目は、51ページの「中長期的な観点からの土地利用・交通政策の強化」の中に、「こうした誘導策では不十分であることから、将来的に郊外居住の規制等を行うことにより」というところがありますが、これは、具体的にはどういうことかということをお聞かせいただければと思います。
もう郊外には住めなくなるという極端な話なのでしょうか。ここまでしないとCO280%削減は難しいということが強く印象に残りました。
ワーキンググループ座長の屋井先生だけではなく、事務局、行政の方にもお伺いしたいのですが、郊外居住規制も含めた今回のとりまとめを国の審議会にご提示されていることを考えれば、なんらかの具体化方策をお考えだと思いますので、詳しくお聞かせいただくようお願いします。
私見ではありますが、地球温暖化防止のために、居住の自由を制限し、郊外居住の規制まで行うことが国民にとって幸せかどうかということについても、よく考える必要があるのではないかと思っております。
以上でございます。

安井委員
大変ご立派といいますか、妥当性の高いものをおまとめをいただいたように思います。
その7つの方策に関しましては、なかなか同意できるものが多かったと思います。
それで、残念ながら、具体的なご紹介をいただけなかったんですけれども、62ページに東松島市の例が出てまいりますが、今は結局この状況で何をするか、すごくある意味ではチャンスですよね、この時期は。今、ここは多分何もできていない部分がありますが。そういうときに、先ほどの村上先生のお話とも関わるんですけれども、要するに集合住宅化及び今のコンパクトシティ化みたいなものが、要するに県レベル、地方自治体がとにかく安心ばかり言っていて、高台移転ばかり言っていて、そういう観点がほとんど今抜け落ちているという現実があるように、私は認識しているんですけれども、そのあたりに、もしご意見いただければと思います。

屋井委員
どうもご質問、ご意見ありがとうございました。最初の井神さんのお話でありますけれども、国民の視点、これは地域づくりという観点からいうと、まさしく大変重要なわけでありますけれども、この部会というか、今回のこの流れ、文脈の中でいうと、国民の集合が国家というか、国全体ということの前に、地域という主体なり、地域という単位があるということで、その単位で効果を発現できるもの、あるいは、その単位だからこそできること、こういうものを重視しておこうかというのが地域づくりWGの立場であります。でも、視点としては、もちろん国民の視点ということは間違いありません。
その中で、財源問題については、私個人としては、先ほど申し上げたように揮発油税の暫定税率分、こういうものの使途がよく分からないまま使われていくという姿が続くんだとすれば、是非そういうものは公共交通、もちろん自動車交通・公共交通・道路空間等を、いかに環境の時代に変えていくかということに積極的に使われていく必要があるだろうというふうに思っております。ですから、そういうもの、例えば数兆円ぐらいの規模があれば、場合によっては、いつだかもここで議論がありましたけれども、量産体制で進めていけば、BRTにしろLRTにしろ、数千キロなんていうのは、あっという間にできてしまう。2兆、3兆あったらできちゃうという、そういう世界かもしれません。
ですから、そこはどういうふうに活用していくかってことは、メッセージとして伝える必要性があるだろうという認識なんです。けれども、それを誰がやるか、どうするかというのは、これは別の次元だと思っています。
それから、郊外居住の規制。これも議論があったところで、そこまで入れるか入れないかという議論はあるんですが、実際に今だって、線引きの問題・逆線引きの問題、コンパクト化をどう進めるかってことが、都市計画サイドとしては進められているとこでもございます。ですから、2030年あるいは50年といったら、そのぐらいのことは、いろんな方法論としてやるべきであったら、やらなきゃいけないんですから、それを書くこと自体が特段、問題だという認識はございません。
それから、幸せかどうか。これはさまざまな観点がありますが、ここでの問題の根底は、いかに持続可能な地域を形成するか、その中で温暖化対策はどういう役割を果たすかという、そちらから見ていく必要もありますので、その観点は外していないつもりではあります。
以上です。
それから、安井先生が言われたご意見の方で、これも大変重要な難しい議論だと思います。村上先生からもご意見をいただけるのかも分かりませんが、今の、例えば災害復興住宅等につきましてもちぐはぐな感じがございます。そして、コンパクト化というのは大変重要な視点であるんですけれども、それぞれがばらばらに高台移転せざるを得ないような、あるいは、それを選択している状況もございます。
ですから、間違いなく防災面というのには十分配慮した上で、是非この機会にコンパクトなまちづくりに変わっていかなきゃいけないことは、もう間違いがないわけであります。そのあたり、私もある町の総合アドバイザーということで関わったりしますが、なかなか簡単ではないなという、極端に言えば、地縁関係等から、あっち側には行きたくない、こっちがいいんだって、たかだか300メートルだけども向こうは嫌なんだみたいなところが、どうしてもあったりするという中、でも、数十年先までを考えた持続可能性ですから、そのあたりは踏み込んでもらいたいなと思っているところでございます。
それから、まさにこういった新しい取組をできる場所は、全てではありませんが、どんどん進めていただくということは、これは大変重要なことだと思います。
どうもありがとうございました。

則武委員
一つの意見だけなんですけれども、低炭素社会とは外れる話、若干関係なくなる部分があるんですが、防災とかまで含めて持続可能な地域づくりという点では、自然との共生というのも必要ではないかなと思っていますが、ほとんど触れられていないように思います。森林も資源としての部分しか書かれていないようで、今回の津波とかの場合にも、日本のもともとの植生に合った低木林というのをもっと増やすべきじゃないかなと思うんですけれども。
その維持拡大というのが防災の点でも必要だと思いますし、若干でもCO2の削減にも寄与する、効果もあると思います。持続可能なためには、あと、漁業の維持という点でも森林は重要ではないかなと思いますので、その点、少しでもいいから触れていただければと思います。

冨田委員
ありがとうございます。58ページのところに、熱エネルギーの有効活用という観点が非常に大事だということが書かれております。
私も、地域づくりにおける電気のみならず、熱エネルギーの面的な有効利用というのが非常に大事だと思っていますが、この地域における主体というのは、地方公共団体だけではなくて、民間の、物理的にいえば建物、事務所ビルであるとか、あるいは工場もあるかもしれません、それから住宅という、そういうものがあるかと思うんですけれども。58ページの施策の一つとして、一番最後の枠で囲ったところに、需要家の対策導入検討義務等の制度化というところがございます。
先ほどの村上先生の住宅・建築物WGの方では、建物単体についてのことでお話があったわけですけれども、この対策導入義務、検討義務ということと、どんなお互いのワーキングの中でのやりとりがあったのか、なかったのか、その辺を教えていただければと思います。
以上です。

屋井委員
どうもありがとうございました。自然との共生は、おっしゃるとおりで、非常に今回のまとめの中では弱かったと思います。去年まで、農山村サブWGというのが、実はもう一つこのWGの下にあって、そこと連携をしながらやってきたって経緯があるんですけれど。今年は、そのあたりの連携が上手くできてなかったこともあって、今後深めていく中で、改めて森林の問題、あるいは都市における緑の問題、そちらの方を両方とも解像度を上げていきたいと思います。どうもありがとうございます。
それから、冨田委員の方からのご発言で、58ページでよろしいですか。

冨田委員
具体的に書かれているのは、59ページ、56ページです。

屋井委員
56ページですか。

冨田委員
枠囲みの一番下のところ。

屋井委員
枠囲みの一番下のところですね、はい。
そうすると、単体ではなくて、対策・検討の義務ということで、このページの一番最後、マル2のところですね。具体的な地区・街区で対策導入を進めるための需要家の対策導入検討義務等の制度化ということでありました。
これは、次の57ページのところにも同じようにこういう方向でやるべきだというふうに書いてあるところでございますけれども。このWGとしては、こういう方向でやるということなんですけれども、具体……。ああそうか、すみません。横からお答えいただきまして、住宅WGの方とは直接調整はしていませんという答えをすればよさそうだということです。すみません。
質問を、58ページだと思っていたもんですから、どうもないなと思っていましたんで、よろしいでしょうか、答えだけで。

西岡委員長
また後ほど、よく調整をとっていただきたい。
それでは、次へ移りまして、荻本委員。

荻本委員
エネルギー研究している人間からということで、幾つかコメントさせていただきます。
まず、防災という観点が非常に重要だということは、本当にそのとおりだと。防災を考えるときには、いつも使っているエネルギーを全部賄おうというのは恐らく無理な話なんで、常にセットでどこまで需要を絞れるかということで考える必要があります。莫大な費用でいつも使っているエネルギーを供給するわけではないということをどこかに、もうスローガンは書いてあるんですけれども、各論のところで薄いかなというのがありますので、ご考慮いただければいいかなというふうに思います。
その次は、その熱の話でして、先ほどの59ページの図もそうなんですが、どうしても、エネルギーの価値というのをジュールで測るのには限界がある。この説明はわけが分からない話になるんですが、それを理解した上で使える熱を使うということにいたしませんと、あの図では大間違いが起こりますので、それは本当に注意をしていただきたい。
これは、数カ月前にヒアリングしたときの「エンジニアが怠慢なので大規模発電所でエネルギーの損失が起こっている」という説明に対し、冨田委員からそうではないところをご発言いただいたことと同じです。
ですから、コジェネというものを考えるときに、もう本当に熱需要があるかどうかというところにポイントがなければいけないということだろうと思います。
それから、需給バランスについて、防災の観点では、例えば病院であるとか、お役所であるとか、そういうところで建物の中で極めて強い防災力を持つということは、正解だと思います。
ところが、その地域で、エネルギーの需給をバランスをさせることにどれほどの意義があるかということについては、今かなり誤解があるような気がします。これはなぜかというと、人がいっぱい住んでいるところは砂漠でも強風地帯でもなくて、あまりエネルギーがないところが基本的に多い状況です。それを沖合の風力から持ってくれば、それ(ケーブルなどの送電設備)は津波に遭ったり、変電所が崩壊したりするということですから、大きな地域を丸ごと何とか自給自足させるということは、かなりの困難がありますし、普通の運用が難しいというようなことがあります。従って、どこを守るのか、どこでそのバランスをとるのかというようなところは重要であり、やたらとメガソーラーをつくっても、変電所が壊れればおしまいというようなことがあります。そういうところは、是非ご考慮いただければなと。
逆に、HEMSのような技術が今後出てきたとして、自分たちがいつもどのぐらいエネルギーを使っているか、または最小限でどのぐらいのエネルギーを確保すればいいかということは、今からいろんなものを考えることも役に立つというふうに思います。
あと、LRT(軽量軌道交通)という言葉も出ています。LRTがバッテリーで動くようになると、ガソリンも要らなくなるし、車体重量が軽くなるんで全体コストが安くなる。こういう新しい技術というのは、もうご指摘されているとおり、いろいろ注目する価値があるかなと思います。
以上です。

大塚委員
地域WGに入れていただいていますので、コメントだけですけれども。
57ページのところは、エネルギーについて、自治体がエネルギーの確保に関与するということが示されていて非常に重要だと思っております。この点については、温対法におきまして自治体が地方の実行計画を策定することになっていますので、その義務づけも必要だと考えていますけれども、その中で対処していくことが考えられると思います。
それから、先ほどご説明がございましたけれども、19ページのところの農山漁村における再生可能エネルギーの電気の発電の促進に関する法律案、これが通ると、所有権の移転とか許可についての簡素化等がなされますので、再生可能エネルギーの拡大には、ある程度寄与するのではないかと思っています。
以上でございます。

屋井委員
どうもありがとうございました。荻本委員からおっしゃっていただいた幾つかのことですけれども、そういう方向で是非検討を深めていきたいと思います。
需要を絞るということは当然重要なことですし、次に今日ご提案させていただいた内容を深めるとなれば、これは地区単位から始まるかもしれませんけれども、あるいは場合によっては地域単位にも含めて検討が必要だと思います。もちろん、それを自給していくというレベルまでいくというふうには思いませんけれども、重々踏まえながら検討を続けるべきだというふうに思います。
需給バランスの件も、まさに申し上げたように、全てこれでバランスというわけじゃないと思います。
LRTのお話もありました。これも是非ご参考にさせていただきたいと思います。
それから、大塚先生からも、アドバイスというか、いろいろご指摘いただきましたので、そのあたりも是非踏まえて検討を続けたいと思います。
どうもありがとうございました。

西岡委員長
どうもありがとうございました。それでは、こちらの方に参りましょう。どうぞ上げてください。
森嶌委員。

森嶌委員
今のところ二つありまして、一つは、荻本委員がおっしゃったのと関係しますが、39で、緊急時のエネルギー源の確保ということで太陽光発電の設置とあります。これは多分メガソーラーのつもりだと思いますけれども、例えば地震があったり津波があったときに、メガソーラーが緊急時に発電できるのでしょうか。どうも、地域の発電で緊急時の発電というのは、どういうことを意味するのでしょうか。
それから、また、他地域へのエネルギー依存度の低減として、ここに風力がありますけれども、これは他地域へ依存しないということなんでしょうけれども、これも緊急時という点で言えば、緊急時というのは、先ほど荻本委員がおっしゃったように、別のことを考えておかなきゃいけないんで、平時に分散型であれば、緊急時も分散型で大丈夫かというと、そうではないのではないかという点が1点です。
それからもう一つは、これは則武委員が先ほどおっしゃいましたけれども、私は地域づくりといったら、基本的には、都市の問題もありますけれども、むしろ里山とか、農村、特に今世界全体からみれば、森林の保全の問題があります。それからCO2の問題から言うと、どれだけCO2を減らすかということもありますけれども、吸収源をどれだけ増やしていくかという問題もあります。
ところが太陽光発電のために工場立地法を改正して、工場の緑を切ってしまって、そこに太陽光パネルをつくれなんていうようなことを考えているようですけれども、それがいいのでしょうか、それとも工場などの立地をおさえたり、都市の緑化を進めた方がいいのか、そういうことも政策の選択の仕方としては考えなければいけない一方、地域づくりに、緑化とか吸収源というようなことを入れるべきです。先ほどサブWGとの連携がとれていないということでしたけれども、是非ともそれをもっと入れ込んできて、緑化や吸収源とCO2との関係、これは都市の中もそうですけれども、農村などとの関係などももっときちんと入れていただきたいと思います。

西岡委員長
新美委員、お願いします。

新美委員
私は、交通関係のところで一つコメントをしたいと思います。
二つありますが、一つは、バス路線の拡充とか自転車利用の整備ということで、特に自動車専用路線というか、自転車路線をつくるのに、道路にキャパシティーがあるんじゃないかというふうにおっしゃったんですけれども、現在の日本の道路環境からいったら、両者、バスと自転車というのは同じ道路を使っているんじゃないか。キャパシティーがあるのは、むしろ幹線道路でありまして、そこのキャパシティーは分かるけれども、例えば東京ですと、世田谷の町中というのは、バスも欲しいし、自転車も通りたい。そうすると、どれぐらいキャパシティーがあるのかというのをもう少し冷静に見る必要があるんではないかと思います。
それから、そのこととですね絡むんですけれども、交通のマネジメントないしコントロールというのは、今現在は県警レベルで、警察がやっております。先ほど話した地域レベルでの要求というものが重要だというと、コミュニティのレベルで警察に何か物が言えるかというと、現在では不可能に近いというふうに思います。よほど陳情を重ねないとできない。そうしますと、地域レベルでの、あるいはコミュニティレベルでの交通ないしは自転車等の整備ということを考えたときに、警察、県警レベルでどう対応するのかというのも、政策を考えるでは上では十分練った上でないと、絵に描いた餅になってしまいかねない。
これは公害規制のところで、交通流量等の規制が必要だということで、いつも議論になるんですが、警察の方としては安全の方が優先だということで、なかなか流量規制というのは発動しない。よほどのことがないと発動しないということがしばしばあったわけですが、そういう問題がいっぱい出てくるんじゃないかと思いますので、どういうふうにしてこれを実現するかということも視野に入れて、項目だけでないことを是非ご検討いただきたいと思います。
以上でございます。

屋井委員
どうもありがとうございました。大変重要なご指摘を両先生からいただきました。
39ページの方は、確かに、まだ詰めも甘いので、どういうエネルギー源を、どういうときに使うために入れるのかという観点では、もっと深めていく必要があると思います。しかも、非常時というものを、どういう原因によるかによっても変わりますから、地震災害等であれば、もちろん、それに対して特定の稼働させるべき施設というものがあって、それについてのエネルギーをどう確保するかという点が一番重要かもしれませんけれども、一方で、被災して役に立たなくなる、そういった施設もエネルギー関係で多いと思いますので、まさにそのあたりを深めていくということだと思っています。
それから、里山農山村、農村ですとか、そういう問題もまさに非常に大きいと思いますので、今日のご指摘は、そういうことも含め、非常に多面的に都市全体、都市というよりも生活しているところ、あるいは自然の地域も含めた多面的な検討にステップを上げていかなければいけないということだと思いますので、地域づくりWGとしては何年か前に、その地区別の類型、さまざまな性格の違いを一定程度考慮しながら、その間でそのエネルギーをどうやりとりするかということの検討を始めたこともあるんですけれども、十分な検討が進んでいないということだと思いますので、そんな点も含めて早急に検討するべきだというふうに思います。
それから、新美委員の方からおっしゃっていただきました自転車等の問題でありますけれども、このあたりも、この3年、4年で状況が大きく変化しているというふうに、私は思っています。
言うまでもなく、ヨーロッパ等は、バスと自転車というのは極めて親和的で同じ走行空間を走っていたりますけれども。日本は、なかなかそうではないという環境もあるんですけれども。そのあたりも、金沢あたりから始まりました。バスと自転車を一緒にして狭い空間で走らせようということを警察も認めて、進め始めましたし、今、国交省と警察庁が一緒になって進めているガイドラインづくり、方針の中では、幹線道路であっても一定程度の速度であれば、車道空間内に自転車の走行空間をつくれるという。確かに日本は狭い道路が結構多いですけれども、これは警察の方が、この間の通達において、交通量を見ながら、一定程度の交通量以下であれば一方通行化を図るとか、自転車レーンをつくるとか、そういうことも踏まえて見直しをしなさいと、警察の方からそういうことを言い始めたりしています。
そういう状況なので、従来、歩道上で当然のように起こっていた事故を減らし、高齢社会において歩行者の安全を守っていくという安全面からいうと、かなりドライビング・フォースがかかりつつあるなというふうに思っています。
一方で、自転車と車の方がありますから、自動車の方の走行の関係もあって、そちらがすべて渋滞して温室効果ガスが多く出るなんていうことですと、これまた問題がありますから、そういうことについても総合的に、地域、地域でまちづくりの方向を定め、安全・環境・健康なんて言われますけれども、そういうものの中で自転車をトータルの中に位置づけながら、恐らく進めていくということなんです。そこら辺も多少進展してきました。
それから、先ほどちらっと申し上げましたけれども、実際に余っている路肩は、1.5メートルぐらいの幅があって、使われていない路肩等々が全国に1.5万キロか2万キロぐらいありまして、そういうものと、それから今回警察の言っているのは、自転車レーンにもしないけれども、自転車の法定外表示というものを路上にプリントするだけで、いわば外国ではシェアドレーンなんていいますけれども、自転車が走る空間だということを自動車の運転者にも分かってもらうという。そういうつくり方を選択肢の中に含めますので、そこまで入れていくと5万キロというのは、実は、やろうと思えばあっという間にできるんではないかなというように思っています。
警察は厳しいので、地域レベルあるいはコミュニティレベルはなかなか変わらないということもあるのかもしれませんけれども、でも、警察庁も変わりつつ、そして幾つかの県警等でも、変わってきていて、そして物を変えるときに市民の役割、いわば市民の方がこの問題にも関与して積極的に一体となって取り組んでいくことによって突破口を開いているという町は随分増えていますので、逆に、もちろん警察ですから、そういう協力がないと、なかなか批判もあって動きづらいという状況もある中で、難しいところがありますけれども、市民が一緒になって動かすという地域は増えていますので、これも比較的明るいニュースではないかなと思っています。
長くなりましたけれども、以上です。

西岡委員長
どうもありがとうございました。
それでは中上委員。

中上委員
ありがとうございます。まず57ページのご指摘で、地方公共団体のエネルギーに関する関与と責任の強化とございますけれども、地方公共団体といっても、都道府県レベルあるいは市レベル・町村レベルで全く違うんでしょうけれども、かなり上位の地方公共団体をお指しだと思いますけれども。私の経験では、地方公共団体ですら、都道府県レベルですら、エネルギーに直接関与する部局が全く違う部局になっている。例えば企画部であったり、商工・労働部であったり、民生部であったり。エネルギー問題が生じたときには、国民の生活に直接影響を及ぼすというので民生部が担当しちゃったんですけれども、環境はかなり後でこの問題に絡んできたと思うんですけれども。
霞が関でも縦割りですけれども、地方に行くと、もっとその縦割りというのが複雑になっているわけでして、この辺はきちんと整理しておかないと、この一言ではなかなか簡単にはいかないと私は思います。むしろイギリス政府のように、エネルギー省と環境省が一緒になるようなことになれば話は別でしょうけれども。
そういう意味では、この地方公共団体にエネルギーを考えさせるというのは、一見理解しやすい言葉になりますけれども、私は非常に難しいと思っております。
それから次は、例えば69ページに、いろんな施策による効果が出ております。これは、見かけはすごく小さいというふうに謙遜しておっしゃいましたが、私はこのレベルが極めて妥当な筋だろうと思っておりまして、30も40もやること自体が、極めて大胆不敵な数字に挑戦することになるわけですから、むしろこういうレベルで出たことをちっとも卑下することはないと思います。
ただ、ここでダブルカウントになることはないだろうか。恐らく複合的なところで計算されているので、ひょっとして、車だとか建物だとかというものも、この中に入ってくるとすると、最後で各小委員会から出てきたものを足し合わせた数字が必ずしもそのトータルの効果につながらないということがありますので、もしその辺が分かれば教えていただきたいです。
以上です。

西岡委員長
小林委員。

小林委員
恐れ入ります。先ほど私が申し上げた内容については、この地域づくりWGも全く同じですので、ひとつその辺は宜しくお願いしたいと思います。
それから、もう1点私が気になりますのは、23ページから入っている「東日本大震災を踏まえて再認識された視点」ということで記述があるわけですが、これは、私自身が阪神大震災のときの当事者として経験を踏んできたわけですが、本当に東日本大震災で低炭素社会の推進に当たって何が再認識されたのか、その視点は何なのか。この文章を読んでもよく分からないんです。
例えば、マル1の一番下のなお書きの部分とか、マル2の下から二つ目のところの「こうした地域でのエネルギー確保においても、安全・安心を優先」、ここはこれでいいと思うんですが、その後の「低炭素化と合わせて統合的に考えていくことが必要」と書いてあるんです。本当にそのように国も地元も考えておられるんだろうかというのを大変疑問に感じています。
実際に阪神大震災のときに、私たち環境担当の人間が、いわゆる地域の復興に当たって、環境対策を配慮してほしいということを申し上げても、なかなか乗ってきませんでした。それよりは、今は現状復旧が大切であって環境なんて後回しというのがほとんどでした。
そういう意味で、この辺について、もう少し地についた議論をしていただきたいなと思います。現実に、25ページ以降33ページまで書いてあるところに、本当に、どういうふうに具体的に配慮していくのかという点を是非お願いしたいと思います。
例えば、特に復興に当たって、現状復旧ではなくて、地元の負担の増加をしない範囲で環境対策、特に低炭素対策に対する配慮した復興を進めるべきだ。そのためには、どういうふうな事業があるのかというようなこと。それとあわせて、国として財政的な補助等の支援をどのようにやっていくのかというのを具体的に示していかないと動かないと思います。
現実に、阪神大震災のときは、具体的なことを申し上げませんが、エコシティを進めるということで絵を描きました。描きましたが、最終的に1、2年した後、国からそれに対する支援も関心も薄れてしまって、結局空中分解してしまったという例がございます。
是非その辺は、今回は宜しくお願いしたいと思います。これは2050年とかいう話ではなくて、ここ1、2年の間に決めなければならない問題だと思います。宜しくお願いいたします。

屋井委員
どうもありがとうございました。中上先生の方からおっしゃっていただいた幾つかのこと、縦割りの話なんかもありましたし、57ページに関係してということだったと思いますけれども。
57ページに書いてあることは、まだこれは中身のあるということではないので、概念的にこういう方向が考えられるというレベルですから、おっしゃるとおりということなんですけれども。
しかしながら、地方自治体の方で考えていないかというと、いろいろ考え始めているというふうに私は認識していますし、ただ、それをどういうような形で、具体的に縦割りのある中で実行力のある関与を深めていくかというのは、これは今の制度上、十分ではないんじゃないかと思っていまして、それに対する取組の仕方という、これもいろんな方向が模索されるべきで、今、答えがあるわけでありませんが、今日の提案だと、それは49ページにございましたように、こういう計画から評価・アセスメントという面に、防災は皆さんの関心が高いですから、そして環境問題の関心が相対的に低いとしても、そういうものとエネルギーリスクの問題を含めて、統合的にアセスメントしながら、その地域の将来像を示していく。そこに、PIっていいますが、住民参加・市民参加も含めて、共有していく努力を行っていく。こういう取組というのは外国でいろいろやるし、日本でも始まってはいるんですけれども、それを継続的に進める法的枠組み、これがないんです。ですから、そのあたりをつくっていこうではないかということです。
あるいは、東京都さんというわけではないけれど、いろんな先進的な地域が、条例でそういうものをつくります、進めますって言ってくれたら、それはそれでまずは突破口ということになるんです。ただ一つの方向は、長い時間がかかるというのは間違いありませんから、その将来像を示していくということを含む、計画の、そして評価の法的枠組み、これによって一歩、縦割りを超えていく。そしてそのときには国民、あるいは市民、住民かもしれませんが、そういう人たちを味方につけるというか、その人たちが主体でもあるし、理解をしてもらい、そういう方向に是非行くべきだという中で、突破していくというのが、もしかすると今風の地域主権というか地域の時代ということでいうとあるかもしれません。その中にエネルギー問題、これも含める、あるいは含まれるという可能性はあるんだというふうに思っています。
モデルの話は、そういうことですけれども、ダブルカウントは、恐らくこの解像度のレベルではありません。ただ、住みかえをやったり、業務先も変わっていくという中で、じゃあ新しくそれをどう建てるのかとか、建て替えはあるのかないのかという、非常に具体的なレベルに入り込んだときには、いろいろと課題はあると思います。けれども、今のモデルとしては、ないというふうにまずお考えください。
それから、小林先生からいただいたご意見で、国民の議論は、まさに重々踏まえて、より分かりやすく、あるいは理解が得られるようなそういう示し方、書き方、提案の仕方にどんどんしていく必要があると思っています。
ただし、国民に直接というのがなかなか分かってもらいにくいというのが、先ほどの制度、法制度みたいなところ、地域の計画制度もそうですけれども、そこら辺はあるんですが、でも、それも是非分かるようにするべきだと思います。
それから、阪神大震災を踏まえてという、非常にこれも難しいお話をいただいていまして、今日の私どもの資料は、東日本大震災を踏まえてというつもりではもちろんあって、それによって実際に動いている、要するに考え方も変えつつ、動き始めている地域や国というものを参照しながら、エネルギー問題に特化したように見えたかもしれませんけれども、防災と環境と、そしてエネルギー、そして地域の将来の魅力づくり、これは全部一緒に進めていくということの方が合理的だという、もちろん縦割りの議論も先ほどありましたけれども、そういうところは、新たな視点というふうにしたいところなんです。
でも、それは従来からなかったかというと、なかったわけじゃないけれども、まさにこの機会だから、もう一度そこを強化してみてはどうだろうかという、こういうつもりでありました。
国土交通省にしろ、各地方自治体、県や市町村についても、まさに今必死になって、それぞれ大変な取組を住民の方と一緒にされているわけですので、それがそれぞれ実現されていくことを大いに願っているわけですが、今後被災する地域、非常に可能性が高いという意味では、さまざまにあるわけですので、そこが従前から継続的な取組をできるような、いつ被災しても、また目指していた将来に向かって歩き出せるような、そういう安定的な、あるいは継続的取組ができるような制度設計、これについては今回のこの大震災を踏まえて一層重要になったんだという、こういう認識で書いてあるというふうにご理解いただければと思います。
以上です。

西岡委員長
どうもありがとうございました。この地域づくりというのは非常に大切でありますし、それから、多分、低炭素社会には向かうのだろうけれども、もっと大切なのは、その地域に住んでいる人たちの生活である。いずれにしても、先ほどお金の話もありましたけれども、公共投資というのはずっと続くわけですから、その中に、どういう具合にこの低炭素化の問題を取り入れていくか。今のうちにやっておかないといけないことがたくさんある。
ロックインされないように、古い形で進まないように、十分今のうちから我々としては、そういうことを指摘して、どんどん繰り入れていくというような方向も非常に重要だと、私は思っております。
どうも遅くなって申し訳ありません。一応この論議はこれで終わりたいと思います。
事務局の方で、次の議題ということで。

低炭素社会推進室長
資料3に今後の検討スケジュールが記載されております。裏面2ページ目でございますが、次回には低炭素ビジネスWGからの報告をいただきまして、すべてのワーキングからの報告を一通り終えていただくということでございます。
その後、全体を統合した形を準備いたしまして、さらに議論を深めていただきたいというふうに考えております。
以上でございます。

西岡委員長
どうもありがとうございました。

地球温暖化対策課長
補足でございますけれども、次回の日程については3月15日でございます。詳細につきましては追って事務局から連絡を差し上げます。また、議事録につきましては、事務局で取りまとめました後に、委員の皆様へご確認をいただきました後で、ホームページに掲載をさせていただく予定でございます。宜しくお願いします。

西岡委員長
それでは、本日の会合をこれで終わります。どうも皆さん、ありがとうございました。

午後 6時33分 閉会