2013年以降の対策・施策に関する検討小委員会(第3回)議事録
日時
平成23年9月29日 13:00~16:03
場所
東海大学校友会館「望星の間」
議事次第
- 1 開会
- 2 議題
-
- (1)
- 低炭素社会構築のために議論すべき論点について
- (2)
- 関係者からのヒアリング
- (3)
- 今後のスケジュール
- (4)
- その他
- 3 閉会
配布資料
資料1 | 前回小委員会での主な意見について |
資料2 | 前回頂いた主な意見を踏まえた検討方針(案) |
資料3 | 北九州市の低炭素社会へ向けた取組と課題(松岡委員) |
資料4 | 今後のスケジュールについて |
議事
午後1時00分 開会
地球温暖化対策課長
それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会地球環境部会2013年以降の対策・施策に関する検討小委員会の第3回会合を開催いたします。
本日は、委員総数23名中13名ご出席、既にいただいておりまして、定足数に達しております。また、増井委員と山本委員については代理出席となっておりますが、増井委員の代理として岡川様、それから、山本委員の代理として千葉様がご出席いただいておりますのでご紹介いたします。また、本日の審議については公開となっております。それでは、以降、議事進行について委員長にお願いいたします。
西岡委員長
本日もご参集、どうもありがとうございます。まず最初に、資料の確認を事務局からお願いします。
地球温暖化対策課長
それでは、配付資料の確認をさせていただきますが、議事次第のほうの下に配付資料1、2、3、4というふうにございまして、資料1が前回小委員会での主な意見について、資料2が前回いただいた主な意見を踏まえた検討方針、資料3は松岡委員からご提出いただきました北九州市の低炭素社会へ向けた取組と課題ということで、A4横になっており資料番号がついておりませんが、深緑の色の表紙のものでございます。資料4が今後のスケジュールについて。それから、テーブル席の方には参考配付として、第2回のエネルギー・環境会議の資料を配らせていただいておりますので、ご紹介をいたします。以上です。
西岡委員長
どうもありがとうございました。それでは、お手元に議事次第がございますけれども、今日は議題が三つございます。一つは、低炭素社会構築のために議論すべき論点についてということで、これまでもいろいろと論議してきましたけれども、このあたりである程度の目処をつけたいと思っております。それから、二つ目が関係者からのヒアリングということで、今日は北九州市の松岡委員のほうからのご報告があります。3番目が今後のスケジュール。時間を1と2に費やすことになるかと思いますので、よろしくご協力願いたいと思います。
それでは、資料1と資料2を用いまして、事務局のほうから最初の1の議題、低炭素社会構築のために議論すべき論点についてということで説明をしていただき、その後、ディスカッションに移りたいと思っております。どうぞ。
低炭素社会推進室長
それでは、資料1でございます。前回の小委員会で、論点につきましていただきました意見を取りまとめたものでございます。それまで取りまとめたものに加えまして、前回出た意見につきまして、太字で加えたという形式になってございます。1ページ始まりのところは議論の全体というくくりでございますが、新しくいただきました意見は、おめくりいただきまして2ページ目のところでございますけれども、上から二つ目、三つ目のところで強調文字になってございます。一つは、この二つにつきましては復興という観点からの意見でございまして、議論されている内容で、反映できるものはどんどん反映し、復興に役立てるべきという視点が必要であるというご意見、また、震災復興という観点からしますと、いろいろな提案をして、具体的に動き出すべきであるという意見をいただいております。あと、2ページ目、下でございますけれども、下から四つ目、あと三つ目に関しましては、シナリオの設定についてのご意見でございまして、複数の選択肢を明示したときには、その選択の主体というのは誰になるかということを示すべきであるとか、あと、「低炭素」を目標に掲げつつ、より大きな概念として「サステナビリティ」を掲げ直すことが必要ではないかというご意見がございました。また、「持続可能性」についてということで、「安心・安全で心地よい生活」ということと「持続可能性」を実現するためにはどういうことが満たされなければいけないのかということも議論すべきだということであるとか、2ページ目最後ではありますが、「持続性」というのは非常に重要で、さまざまな断面での持続性を考えるべきというご意見もいただいております。3ページ目でございますけれども、こちらは議論の進め方ということに関する部分でございますけれども、地球環境部会の委員にもボランティアでオブザーバー参加をお願いすることが必要であるというご指摘もいただいております。
また、検討の方向性という観点でいきますと、主に目標の議論の部分について、さまざまご議論をいただいております。強調文字の一つ目でございますけれども、持続可能な具体的な姿を示すということが最終的な目標であれば、それを示すことが必要であるとか、議論のベースである2050年80%に向けた道筋の検討ということは維持すべき。また、この80%削減についても、他の政策、他の会議と十分整合をとるべきというご意見。また、80%削減を前提として複数のケース、下位・中位・上位と、こういった道筋をかけるかという検討が必要であるということ。また、技術を先送りにしていて、ある時点で急激に何か生まれるというのは、なかなか考えにくいということですので、下位ケースにつきましては、80%削減に至らないのではないかというご指摘。また、80%削減は難しいというオプションの検討というのもあり得るのではないかというご指摘。また、原子力ゼロの場合でも80%削減を達成できる場合をメーンオプションとして掲げるべきだというご意見。また、80%削減を掲げるということでいきますと、ほとんどすべての部門で排出ゼロを目指すということになると。今から40年先のゼロを目指したときに、途中でいろいろなことに手を出すというのは、場合によっては大きな無駄、出戻りになるということも頭に入れておく必要があるというご指摘もございました。また、次の一つあきまして強調文字でございますが、京都議定書目標達成計画に記載されている対策についての状況を整理をしつつ、2013年以降の対策・施策を検討していく必要があるというご指摘もございました。続く、4ページ目でございますが、中から下でございますけれども、主にエネルギー需給の統合、適正化という観点からのご意見をいただいております。黒強調文字のところでございますが、一つ目が、エネルギー需給を統合し、最適化を図る際に経済性、安全性、供給安定性、レジリアンス、低炭素など、優先順位が必要ではないかというご指摘。また、需要側サイドからの最適化という部分についても議論すべきというお話。あと、三つ目がエネルギー需給を統合し、最適化を図っていくということは、エネルギー市場の競争力の問題でもあるというご指摘もございました。続く、5ページ目でございますけれども、上の部分、三つ目の丸でございますが、国際的な観点というもので、国際的な整合性であるとか、国際的なリーダーシップという観点からの議論も必要ということがありました。あと、5ページ目、中ほどからでございますが、主にコストであるとか負担の面でのご意見がございました。一つ目が、対策・施策を導入する効果と、その負担について十分に説明すべきというご意見。技術をどのように評価し、各分野と調整をどのように図っていくのかということが重要であるということ。三つ目としまして、いかに低炭素社会をつくっていくかに必要なコストを払っていくのかということ、そして、コストの削減、効率化のために技術、また、それを促進するためのファイナンスを導入するということの議論が必要であるということがございました。また、ソフトを含めて、どのような条件なり制度なりを整備していけば企業の競争力が高まり、力を発揮できるのかという視点の議論が必要であるということ。また、電力システムが今のシステムで、より効率的でコストが最適なものになるかということの議論が必要だというご指摘もございました。また、支援方策が経済的に成り立つのかという評価も必要というご指摘がございました。そのほか、実行に繋がっていくような具体性のある施策を検討していくことが必要であるということ。あと、本当に必要な方向に向かっているのかということが感じられるということが重要であるとか、あと、実際に成果が出ているもの、また、いろいろな知見が蓄積されているというものを横展開するという視点も必要だということがございますし、そういった観点でいきますと、PDCAを回して成果を出し、成果があるとわかったものについてはどんどん展開していくべきだというご意見もございました。あと、5ページ目、一番最後でございますが、施策については2020年、2030年、2040年、どのような経路をとるのかという選択肢をつくることに今後なるということでありますが、この選択肢に応じた施策を示していくことが重要であるというご指摘がございました。6ページ目、上になりますが、施策や政策の継続性を持って展開できるかということで、そのための枠組み、制度設計が重要だというご指摘もございました。6ページ目、上から二つ目、三つ目につきましては、主にワーキンググループとの関係、そこの進め方ということのご指摘がございました。二つ目の丸につきましては、制度的なものなど、個人の思いや、やる気だけでは乗り越えられない部分、これを抽出して検討する必要があるということ。また、ワーキンググループのさまざま検討が進みますが、互いの検討分野につきまして議論の進捗状況を情報交換しながら進めていくという仕組みが必要であるというご指摘もいただいております。また、一つ飛びますが、伝え方の部分に関しましては、検討方針、また検討の進め方というのを記載していくべきだということ。あと、長期的な施策を評価する、また、新しい知見を得て反映していくという仕組みが必要だというご指摘もありました。あと、地域・都市などの役割についてもご指摘もありまして、地方としての役割、また、都市としての役割など、具体的にイメージをしてとらえていくという観点が必要であるとか、あと、都市と地域など、場としての議論を活発にやっていく必要があるというご指摘もいただいております。
次の従来の中間整理についての取り扱いということに関してのものでありますが、6ページ目、下の部分でございます。検討方針として掲げております、この4項目、これを最初のほうに記載をしておくべきだということのご指摘もございました。また、6ページ目、下、二つにつきましては、国際的な観点ということもございまして、世界市場での我が国のトップレベルの環境技術の普及、これに貢献していくという観点も必要だということ。あと、国際競争力の観点、成長の実現、雇用をどうやって促進していくのかということなど、環境技術の普及促進というものを国際動向の中で、どういうタイミングでやっていくかについて議論・検討が必要であるというご指摘もございました。7ページ目に関しましては、目標について、これは何らかの指標で示されるということになろうかということですので、定量的な分析によって指標を用いて判断していくことが重要であるというご指摘。また、GDPなどのマクロフレームについては、長期的な視点というものはさまざま積極的に打ち出していく必要があるというご指摘がございました。また、モデルに関しましては、モデルなどの分析ツールから算出された数字の意味について整理をしていく必要があるということであるとか、ワーキンググループでの検討結果と国環研のモデル計算結果との関連をわかりやすく示すべきというご指摘もございました。また、経済分析の結果については、現在と将来、どう考えるのかという考え方の違いなどを反映した見せ方というのも考えていく必要があるというご指摘。あと、7ページ目の下の部分になりますが、特定の技術の性能向上によって削減したということに関しては、リバウンド効果も考慮する必要があるというご指摘であるとか、コスト等の課題をしっかり詰めていく必要があるというご指摘もございました。
7ページ目、下からは、まちづくりについてということでございますが、風土に根ざしたまちづくりという観点からの検討が非常に重要だというご指摘がございます。また、8ページ目にわたってでございますが、エネルギー供給をどのように考えていくかということについては、地域単位でも非常に重要な課題であるということで、いかに魅力的な地域、暮らしやすい社会にしていくかという検討をする必要があるというご指摘。また、省エネルギー、節電と、また、再生可能エネルギー、分散型エネルギーということの普及というものが分離して書かれているということもありますので、地域エネルギー対策というくくりでの視点も必要だというご指摘がございました。さらに、エネルギーが産業や生活を支えていることを身をもって体験して、現実にエネルギーの融通ができなかったことが地域の中でも問題になっているということから学んで、省エネルギーの徹底、再生可能エネルギーの普及というものを考えていくべきだというご意見もございました。また、導入されたエネルギーがどう活用されていくのかということで、従来型の活用のままでよいのか、地域の中である程度使いこなしていく形がいいのかという議論、こういった観点の議論も必要だということ。また、地域としてのエネルギー問題をどう議論していくかということが重要だというものもございました。また、建物をつないだエネルギーの面的利用という考え方についても検討すべきだというご意見もございました。
8ページ目、半ばからは省エネルギー、省CO2についてというくくりでございますが、こちらにつきましては8ページ目、下から二つ目のところには、自動車関係であるとかモビリティで再生可能エネルギーはどこまで使えるのかという議論をする必要があるというご指摘もございました。
あと、9ページ目に飛びますが、節電についてということで、9ページ目、下の部分でございますが、照明の照度であるとか室内環境でのCO2濃度、こういったものなど、エネルギーの制約やCO2の制約といった観点を踏まえて、基準の見直しであるとかエネルギーの使い方について考えていく必要があるというご指摘もございました。また、10ページ目の半ば上のほうでございますが、現在行われている取組が緊急避難的な節電なのか、将来も継続的に続くような節電なのかということを十分に分析すべきだというご意見。また、節電対策の定量的な分析、再生可能エネルギー、分散型エネルギーの普及に関して、瞬時値での分析、こういったものを実施すべきであるということで、さらに、この夏の節電についてもデータを洗い出して議論すべきだというご指摘もございました。
続く、再生可能エネルギーに関する部分でございますが、10ページ目、中から下部分でございますが、しばらく新しい原発が建設できない中で、その分を穴埋めするのは再生可能エネルギーではないのかというご指摘。また、一つ飛びますが、再生可能エネルギーに光が当たるとすると、出力を抑制するというようなことに関して、コストが出てくるということも示すことが重要であるということ。また、再生可能エネルギーをいかに増やしていくのかという点については、実現可能性について定量的な評価が重要であるというご指摘もございました。また、再生可能エネルギー拡大のため、制度的社会的問題を議論すべきではないかというご指摘もございました。
以上が前回いただきましたご意見を中心にご説明をして、これまでいただいた意見をまとめたものが資料の1でございます。
これらを踏まえまして、資料2でございますけれども、検討方針と2013年度以降の対策・施策に関する検討の進め方というもので取りまとめたのが、こちらの案でございます。前回お示ししたものからの変更点を中心にご説明を申し上げます。
まず、一番最初の検討内容の提示というところを新しく設けておりまして、こちらにつきましては、本小委員会における検討状況、また、取りまとめにつきましては適宜、地球環境部会に報告を行うということ。また、地球環境部会での取りまとめた内容につきましては、国民的な議論を行うための資料に使われるということを念頭に置きつつ、この小委員会での取りまとめを行うということをつけ加えてございます。
あと、二つ目のくくりといたしまして、社会を低炭素化していく必要性、目指すべき将来像という部分でございますが、前回、この資料の後ろの部分にございましたが、前回、中間整理ということで中長期ロードマップの中間整理でお示しした四つの考え方を、できるだけ前のほうに記載すべきだというご意見もございましたので、それをまず移動させたということと、文章の中でいきますと、終わり2行のところで社会の持続可能性、低炭素に向けて目指すべき将来像、こういったものをできるだけわかりやすく示すべきだというご意見もございましたので、その部分をつけ加えたというところでございます。
あと、2ページ目でございますが、議論のベースというところのくくりでございます。こちらにつきましては、前回、2050年の削減に向けた道筋の検討を行うということが記載されておりますが、前回のご意見を踏まえまして、なお書きをつけ加えてございます。「なお、検討の結果、道筋の設定の仕方によって2050年に80%に達しない可能性がある場合には、その理由を明らかにしつつ、どの程度の削減が見込まれるかについても明示する」ということを加えてございます。
中ほどのくくりでございますが、中長期ロードマップにおける中間整理について見直しが必要な箇所の選別というものでございます。こちらにつきましては、実現可能性についての定量的な検証が必要だというご指摘もございましたので、くくりの一つ目の丸のところに、この定量的に実現可能性について検証を行っていくという旨を追加してございます。黒ポツのところでございますが、GDPなどの「マクロフレーム」の扱いということにつきましては、政府の他の会議等での検討結果を参考に設定をしていくということを記載しております。
また、2ページ目、下の部分でございますが、災害に対して強い社会という観点からの検討ということでございまして、こちらは前回も記載があったわけでございますが、一つは集中型の電源、分散型の電源という用語を使っておりましたが、こちらは電気だけではなく、エネルギーという観点もあろうかということで、エネルギーというのをそれぞれつけ加えております。また、2ページ目、最後のところでありますが、目指すべき社会像を実現するために何が必要なのかを明らかにするということで、その手段につきまして明確にすべきということで加えてございます。
あと、3ページ目、上のところでございますが、省エネルギー、節電という観点からの検討ということで、こちらにつきましては前回でのご議論の中でも出てまいりましたが、まちづくりなどの重要性もご指摘いただいておりましたので、観点といたしまして、エネルギーシステムであるとか、社会・生産インフラ、国土利用の革新という観点をつけ加えてございます。また、二つ目の丸につきましては、現在行われている節電というのが、将来的に継続可能なものかどうかについての分析が必要だということのご指摘がありましたので、その旨、つけ加えたというものでございます。
あと、二つ目のくくり、再生可能エネルギー、分散型エネルギーの普及という観点からの検討ということでございますが、一つ目の丸の頭の部分でございますが、再生可能エネルギーを最大限活用することを目指しということで、つけ加えているというものでございます。
あと、中ほど、三つ目のくくり、こちらは風土に根ざしたまちづくりという観点からの検討ということで、前回はコンパクトシティなど低炭素まちづくりが重要だという形で簡潔に書いてございましたが、まちづくりの重要性につきましては幅広くご意見賜りましたので、風土に根ざしたまちづくりの重要性、また、魅力的な地域を形成していくということの観点、また、災害に強く、低炭素で持続可能なまちづくりというものとの整合性のとり方、こういった観点を幅広く書いたというところが変更点でございます。
あと、3ページ目、下、二つのくくりにつきましては、新しく設けた分類でございまして、一つ目が国内外の確実な温室効果ガスの排出削減の実現ということでございまして、中間整理の見直し、また、上記の観点からの検討、これが長期的な国内外の低炭素化に繋がり、国内外の確実な温室効果ガスの排出削減を実現できるものであるか、最適なリーダーシップにつながるものであるかについて検討・検証を行うということ。
そして、3ページ目、一番下の部分も新しく設けましたが、我が国の経済成長、国際競争力の確保などの観点からということで、くくりを起こしまして、やはり中間整理の見直し・検討ということにおきまして、経済成長であるとか競争力の確保、雇用の促進、エネルギーの安定供給、地域活性化と、こういった観点の必要性、また、経済活動や国民生活のあり方の転換、技術革新、低炭素消費の促進、こういった観点についての検討の必要性をうたってございます。
あと、4ページ目の頭の部分、こちらについても新しく加えたものでございますが、国内における温室効果ガスの排出削減の実践に加え、世界市場への我が国のトップレベルの環境技術の普及・促進に貢献していくという観点、こういったものを加えてございます。
あと、中ほどにあります国民への問い方・伝え方についての工夫ということでありますが、前回の提示したものに加えまして、「また」以下を追加してございます。前回いただきました意見で、対策・施策の導入による経済活動・国民生活に与える効果と影響、そして、施策の経済的な観点からの持続可能性についてもできるだけわかりやすく提示していくということをつけ加えてございます。
あと、下から二つ目でございますけれども、検討すべき対策・施策ということでございますが、前回意見でエネルギーの面的利用についても検討すべきだというご意見をいただきましたので、丸の四つ目として、それを明示的に加えてございます。
4ページ目、最後でございますが、こちらは進捗状況の点検・評価、PDCAを回していく必要があるということでご意見いただきましたので、各種の施策を確実に実施し、その進捗状況等を点検し、必要に応じ、施策を強化していくなどの仕組みについての検討が必要であるというものを追加してございます。
これまでが検討の方針全般でございますが、5ページ目以降が2013年以降の対策・施策に関する検討の進め方ということでございます。前回お示ししたものからの変更点でありますが、こちらの[1]のところに、昨年末、取りまとめましたロードマップの中間整理に示しました四つの考え方をここの部分に記載しておりましたが、これを1ページ目のほうに移したということで、こちらからは削除しております。
[2]につきましては、国際競争力の確保などの観点が重要だというご指摘もいただきましたので、[2]の終わり4行をつけ加えております。検討の際には、国際競争力の確保、経済成長の実現、雇用創出の観点から、不確定な国際動向の中で、どのようなタイミングで環境技術の普及促進を進めていけばよいのかについても可能な限りわかりやすく提示するというものをつけ加えてございます。
また、[3]といたしましては、目標とケース分けの話でございますが、3行目から4行目にわたってつけ加えておりまして、2050年80%の道筋としまして、具体的に2020年、2030年、2040年にどのような経路をとるか、選択肢に応じた施策を検討した上でということで、それぞれ施策を提示するという旨を明示した部分でございます。
あと、5ページ目、下、[4]といたしまして、一つ目の黒ポツでございますが、エネルギー需給を統合する、また、最適化を図るという際に重要な観点ということで意見をいただいておりましたので、供給の安定性、エネルギーの低炭素化、レジリアンス、経済性という観点を明確化、明示化したというところが変更点でございます。
続く6ページ目でございますけれども、[5]といたしまして、具体的な対策、また施策を検討するという部分でございますけれども、2行目から3行目にわたりますが、京都議定書目標達成計画、こちらに記載されている対策・施策について状況を整理した上でということでの検討だということ。また、[5]の最後3行目でございますが、その際、これらの検討を行う際に、現時点で成果が出ているもの、また、将来に達成が見込まれるものについて、主体や実施されている地域、こういったものを明らかにしつつ、できるだけわかりやすく具体的に提示するというものを明記しております。
あと、6ページ目、最後、[7]でございますが、取りまとめに当たっては前回、中間整理における基本的な考え方に加えまして、東日本大震災による影響への対応、また復興の観点、これらを踏まえつつ、各ワーキンググループにおいて[1]から[6]までの検討をしていただきまして、それをもとに複数の選択肢について指標等を用いて評価を行って、できるだけわかりやすく分析内容や分析の意味するところを明示するということを記載をしております。
以上が検討方針に関しまして、資料2の変更点をご説明をいたしました。
西岡委員長
どうもありがとうございました。これから皆さんのご意見をお伺いするところでございますが、資料1のほうは、これまで皆さんからいただいた意見をまとめております。全部まとめ切れないところもあるかもしれません。そのときは今日の論議の中で、また言っていただければいいかなと思っております。
資料2といいますのは、全体の枠組み、この小委員会自身、低炭素社会構築なのか温暖化防止なのかございますけれども、いずれにしても2013年以降の対策・施策、これをどう考えていくかということを検討するのが我々のマンデートでございます。その検討の枠組みあるいは目標といったところが、この検討方針のところの資料2に書かれている。そして、それをきちんと一歩一歩進めていくために、5ページ、6ページ、検討の進め方ということで、こういう項目について整理していこうということが書かれてございます。皆さんには是非この資料2のほうを中心としてご意見をいただきたい。さらにこの検討方針を煮詰めた上で作業に入っていこうということです。これまでもいろいろと議論してまいりましたので、このあたりできちんとまとめて、これで行こうということにしたい。そこでこれから皆さんからのご意見をいただきたいと思います。今日も例によりまして札を立てていただきまして、適宜、私のほうで指示いたしますので、順次ご発言いただければと思います。それでは、藤野委員。
藤野委員
どうもありがとうございます。前回欠席したので、ちょっとキャッチアップ含めてですけれども、一つは、本当にどこに目標を置くのかというところで、西岡委員長がよく書かれていますけど、気候の安定性の話をもうちょっと組み込んでいただけないかなと思います。今のままだと80%減らすのが目的になってしまっていて、それだけがクライテリアになってしまうような印象がありますので、気候の安定性、具体的に申し上げますと、例えば資料2の2ページ目のところで、災害に対して強い社会という観点からの検討というところがありますが、昨今の台風による森林への影響とか見ていますと、やっぱり温暖化、それがすべて温暖化のせいかとは言えませんが、温暖化によって威力の強い台風が来るおそれが高まるということは予想されていますので、そういったものに対してレジリアンスになるかどうかというのは牛久保先生が農山サブワーキンググループで議論されていましたけれども、やっぱり農山村の役割とか、そういったものがこの中でどういうふうに位置づけられるのか。温暖化の影響ですね。まだ三村先生いらっしゃっていないですけれども、そういったところの最新の議論というのがどういうふうに進んでいるのかも踏まえて、何が一体、災害に対して強いのかというところについては、一度整理していただきたいと思います。さらには、そこからその地域に雇用が生み出される、農山村で人が働けるような状況になっていただけたらなと思います。
同じページで、ちょっと上のほうで、上から2番目のエネルギー政策、エネルギー・環境会議等との関係とあって、この今の文章だけ読んでいると、国の委員会の議論だけをフォローするというように読めるような印象がありますが、例えば、ちょっと飯田さん、まだ来ていないですけれども、みんなのエネルギー・環境会議というものが市民レベルで始まっていたりとか、あと、NGO、NPOのほうでもいろいろな検討をされていますし、または国際な動向も十分把握する必要があると思いますから、そういった観点も組み込んでいただけたらなと思います。
最後ですけれども、またちょっと5ページ目のところですが、気候の安定性のところに絡むんですけれども、その評価のクライテリアが、やはりCO2を減らすということだけに読めてしまうので、村上先生が「CASBEE-都市」とかやられていますけれども、「CASBEE-国」というのがあるのかよく知りませんが、目指して何がいいことがあるのかというところを具体的に示せないと、雰囲気でこうすればいいよねというふうになると、逆に目指さないことでどういう悪いことが起こるかも示せませんから、そちらのほうの目指すことで、今だと減らせたかどうかということと、金がどれだけかかったかどうかしかわかりませんので、どういうふうに具体的にいいことがある、または悪いことがあるという項目について、もうちょっと議論する必要があるのではないかと思います。以上です。
安井委員
ありがとうございます。資料2、2ページ目でございますが、下から二つ目の項目であります中長期ロードマップにおける中間整理について見直しが必要な箇所云々でございますが、そこで2番目の小さな・でございますけど、ここでの家電や自動車などの「機器等の効率改善の見通し」なんですけど、東日本大震災において特段の事情がなければ従前のものが使用可能というふうに、実を言うと、これはあまり議論はされていないし、意見も述べてもないんですけど、実際はこれ相当、実を言うと変わった、特段の事情があったと考えるべきじゃないかと私は思っております。例えば環境等がやっておりましたのをやれと言うわけじゃありませんけど、例えばオフィスの照明なんかにしても、LEDのデスクライトを持ってくると、要するに光のサービスの全総量をもうめちゃくちゃに減らしちゃってもそこそこ快適に何とか、快適ではないかもしれないけど、我慢できる範囲内でできるということをみんな学んじゃったんじゃないかという気がするんですよね。ですから、これは実を言うと効率の改善だけじゃなくて、使い方の工夫によってサービス量を探しても実質上、困難はない、そういう見方にこれはもう変えるべきではないか。従って、何を言いたいかというと、確認的に検証を行うんじゃなくて、全面的に再検証するのがいいのかなと思っています。以上です。
渡邊委員
ありがとうございます。まず、一つ目は、従来から、経産省や環境省など、いろいろなところで検討されている内容と十分整合をとっていただきたいと申し上げてまいりました。今回、例えば2ページの上から二つ目のパラに十分整合を図るということを書いていただきました。その観点で書いていただいたと理解しております。先般、中環審の地球環境部会の議論を聞かせていただきまして、整合を図るための方策として、例えば省庁の垣根を越えた一つの会議体をつくったらどうかというようなことが提案されていました。また、多くの委員から合同で開催したらどうかという意見があったと聞いてございます。整合をとるために非常にすぐれた方策と思っておりますので、例えば、この小委でも一つの会議体とか、従来やっていたような合同委員会のような形で進めていただければと思ってございます。
それから、もう一つは、3ページの一番下のパラのところが今回新たに追加され、中間整理の内容を反映していただいたということでございます。ここに、検討に重要な観点が記載されておりまして、国際競争力とか雇用の促進に加えて、エネルギーの安定供給というキーワードが入ってございます。私どもとしては、震災後、エネルギーの安定供給のウエートが非常に高くなっているんではないかと感じております。検討の進め方の5ページ、6ページのところで、安定供給について記載されておりません。もし記載するとすれば、5ページの[2]の下から4行目の今回反映された部分かと思います。現行、「検討の際には、国際競争力の確保、経済成長の実現、雇用の創出等の観点から」という記載がされており、多分、この「等」の中にエネルギーの安定供給が入ってしまっているのではないかと思っています。もし可能ならば、やはりエネルギーの安定供給というのは非常にウエートが高くなっているということもありますので、この「等」から特出しをしていただいて、エネルギーの安定供給というのを書いていただければと思ってございます。また、実はこの部分を読んでいて、この「検討の際には」から「分かり易く提示する」の最後の文章のところが、どう読んでいても読みにくい、これは前回の委員の発言から修正されたと思いますが、委員の発言の議事録を見ても、多分こういう観点ではなくて、「国際競争力の確保、経済成長の実現、雇用の創出の観点」、ここで一回切れて、もう一つの観点で「不確定な国際動向の中で、どのようなタイミングで」という、この二つのことをおっしゃっているのではないかと。そのほうが文章はわかりやすいと思います。例えば、「検討に際には、国際競争力の確保、経済成長の実現、雇用創出等の観点」、ここに「エネルギーの安定供給」の記載していただきこういうことの確保が大前提であるというのが一つ。一回切っていただいて、「また、不確定な国際動向の中で」云々としたほうが、文章としては通りやすいし、前回の委員の発言も、むしろそういう趣旨でおっしゃったんではないかというふうに思ってございます。
三つ目として、エネルギーの安定供給、エネルギーセキュリティーの観点で申し上げたいと思っております。先般の国連の会議でも野田総理から「日本は原子力発電の安全性を世界最高水準まで高める」というスピーチがございました。私ども電気事業としまして、福島第一原発の事故を踏まえまして、技術力を結集して、安全性を徹底的に高めた原子力発電を今後とも活用していきたいと考えてございます。発電の際にCO2を発生しない原子力は今後とも地球温暖化対策などで中核をなすと考えておりますし、もう一つ、今のエネルギーの安定供給、エネルギーセキュリティーの観点からも重要だと考えております。私ども電気事業者としましては、今回の事故から得られる反省と新たな知見を十分に踏まえて、原子力発電所の安全対策に徹底的に取り組み、立地地域をはじめ、国民の皆様の不安の解消、信頼回復に向けて全力を尽くしていきたいと考えてございます。
最後に、前回聞くべきだったかもしれませんが、この検討方針と検討の進め方というところが、タイトルはわかるんですが、書いてある内容が、何が違うのか。検討の進め方は、検討方針のまとめとして書かれているのか、それともこれが何か意図を持って、例えば[1]、[2]、[3]の順番で検討を進めていくという意味の進め方なのかを教えていただきたいと思っています。その意味でいくと、もし順番だとすると、例えば6ページの[6]、これは私がずっと申し上げてきたいろんなところで検討されている内容と整合をとっていただきたいということは、順番をつけるものではなく検討の大前提と思っています。この検討方針と検討の進め方について、後で教えていただければと思います。
以上でございます。
西岡委員長
どうもありがとうございました。後でと言わないで、今、返事をいただいてはどうですか。
低炭素社会推進室長
基本的に考えましたのが、いただいたご意見で共通的なものにつきましては前のほうで考え方を取りまとめまして、特にそれに従いまして、この小委員会では2013年以降の対策・施策について深掘りをしていただきたいと。また、それをワーキンググループでさらに技術的・制度的にも深めていただくということを考えておりましたので、具体的な作業の考え方については5ページ目、6ページ目にその特出ししてより明確に書いたというつもりでつくっております。また、その際に、数字で[1]から[7]までつけておりますので、ちょっと今、順番なのかというご質問がございましたが、順番というよりは何番目といいますか、どの文章を示しているのかというのがわかりやすく示してしまったわけですが、順番ではないということでございます。
西岡委員長
だから、これは順番ではなく、それぞれのワーキング、我々がここで議論するときに大きな項目をまとめたという、並行・枠として考えるということでしょうか。
低炭素社会推進室長
ええそうです、ということです。
西岡委員長
わかりました。そういうことでございます。それでは、次へ行きまして、大野委員、どうぞ。
大野委員
それでは、2点ほどお願いします。
1点目は、細かい具体的な前提とかという話ではなくて、資料2を大づかみでとらえたときに、私の理解は、昨年と同じような検討を、大震災なので状況が変わったのでもう一回やりましょうという趣旨と、それと同時に昨年度の宿題になっていました実現性とかコストの検討もやりましょう、この二つがポイントですというふうに読みました。違っていたら教えてください。それでよろしいかどうか。もし正しい場合なんですけれども、その資料2の中でコストという文字を探すと、4ページ目にちょろっと書いてあるだけなんですけども、真ん中辺に検討をすべき対策のところに「対策によるコストの低減」というのがちょっとあるだけなんですけど、私はもうちょっときちんと書いてほしいなと思っていまして、例えば、最終的には温暖化対策のコストというのは回収できるとしても、少なくとも一時的には政府の財政、相当負担がかかるかもしれないので、そういうどのぐらいの規模になりますかというのはきちんと議論すべきだろうと思いますので、そこはよろしくお願いしたいと思います。
それから、2点目ですけども、ちょっとこれは質問なんですが、2ページ目の一番上、ちょっと意味がわからなかったんですが、2行目に「2050年に80%に達しない可能性がある場合」というのがどういう場合なのかちょっとわからなくて、私の理解は、これはもともとバックキャスティングで50年にマイナス80%を前提としてクリップどめをして遡ってパスを考えるというふうに理解したものですから、この達しない可能性のあるというのはちょっと意味がわからなくて、達すると思ってやっていたら何カ月か検討したらだめだったという場合なんでしょうか。ちょっとそこがわからないので教えてください。この2点です。
西岡委員長
事務局にお聞きしていますが、状況が変わったというので方針をやり直しているということと、それから、積み残しのところが確かにございまして、それを同時にやっていこうということなのであろうかという確認、これはいかがですか。
低炭素社会推進室長
基本的な考え方はそのとおりでございまして、特に見直しといいましょうか、再検証につきましては2ページ目の中ほどにございますけれども、ロードマップの中間整理で行ったものについて、そのままでよいのか、見直しが必要なのかというチェックをするというところが主な部分の一つ目でございますし、また、実現可能性、それは施策の裏打ちというご議論もございましたので、それが積み残しといいましょうか、やるべきこととして残っておりますので、それを同時並行的に進めるという、この大きなところは柱だと思っております。
西岡委員長
もう一つのほう、今の2ページの最初の○のところの80%に達しない可能性というのは、どういうことを想定してやっておられるか。
低炭素社会推進室長
ご指摘いただきましたように、基本的に2050年、バックキャストで考えてまいったということではございますけれども、前回ご指摘いただいたところでは、例えば2050年80%を前提にどのようなパスを検討するのかというところで、上位・中位・下位というようなケースを分けて考えるということにした場合に、下位のケースにつきましては、あまりその技術の導入を先送りにすると、急激にそれがある時点でもの凄いスピードで入るというのにも限界があるので、そうすると、なかなか至らない場合があるのではないかというご指摘がありましたので、そういうケースが考えられるかどうかも含めてチェックをしたいということを明示的にさせていただいたという観点でございます。
大野委員
ありがとうございました。
西岡委員長
よろしいですか。それじゃあ、次へ行きまして、杉山委員。
杉山委員
基本的にはこの間、いろいろ意見を述べさせていただいたものが、ほぼ網羅されているのかなというふうに思っていまして、取りまとめの内容については、ほぼ異存はないと考えています。ただ、先ほど渡邊委員のほうからもあったんですけれども、やはり検討の方針と検討の進め方、もう少しちょっと整理したほうがいいのかなという気はしていて、検討の進め方の中に、どうも検討方針ぽいものも結構入っていて、それと本当の進め方のところが少しごちゃっとしているところもあるので、これは後で事務局の中でしっかり整理していただければいいのかなと思いますが、後から見てちゃんとわかるような形にはしておいたほうがよろしいかと思います。
それが1点と、もう一つ、どちらかというと検討の進め方に入るかもしれないんですが、5ページの[2]、先ほども若干触れられておりましたけれども、「不確定な国際動向の中で、どのようなタイミングで」、これはとても重要なことだと思っていまして、もし日本語を付記することができるのであれば、例えば、なぜあの不確定な国際動向の中で、どのようなタイミングかというのは、これは国益ですとか暮らしですとか生活、国際競争力、前にも書かれていますけど、そういったものへの影響をしっかり見極めつつ、タイミングを見極めていかないといけないんだということだと思っていますので、そこが少しわかりやすく書けるんであれば書いていただきたいし、進め方ですので、そのためには国際動向をやはりしっかりと共有して議論ができるような資料、もしくは分析の中身を常にアップデートしながら示していただくということを片手に置きながら国内の施策を検討していかないと、なかなかここに書いてあることは実現しづらくなりますので、是非検討の進め方の中でそこは配慮をしていただければと思います。
最後、もう1点が、1ページのところの基本的な考え方の最後のポツのところにあります「国民各界各層の理解を得ること」ということで、これは基本的な考え方でこの間確認してきたんですけれども、ここを受けての検討方針、検討の進め方のところが、なかなかどこにあるのかなと思っていまして、読むと4ページの国民への問い方・伝え方についての工夫というところに、提示するというのはあるんですね。ただ、ここで言われているのは温暖化対策、非常に幅広く影響していくわけですから、やはりこれから着実に進めていくためには、基本的な考え方に書いてあるように理解を得る、合意を形成する、そういったものをやはりどこかで仕組みをつくっていかないと、なかなかうまく進んでいかないんじゃないか。じゃあ、そういう仕組みはどういうような仕組みでやればいいのであろうかということも、是非この検討の中に入れておく必要があるんではないかというふうに考えていますので、よろしくお願いします。以上です。
西岡委員長
どうもありがとうございました。大聖委員に移りたいと思います。
大聖委員
ちょっと言葉の問題なんですけど、2ページ目の一番下のところに「レジリアンス」という言葉が出てくるんですけど、これ「レジリエンス」じゃないですか。最近、よく方々で聞きますけれども、非常に重要な観点だと思っていまして、私も興味があって、いろいろ調べているんですけど、災害の物理的なものの回復とか電力の回復とか、あるいは心理的な回復とか、全部総称していろんな使い方をするようですので、こういう言葉を包括的に扱えるというのはいいなというふうに思いました。
それから、これは3ページの一番最初のところ、省エネルギー、節電という観点からの検討ということで、現在実施されている節電対策、あるいは我々運輸のほうですと、カーシェアリングですとかエコドライブなんかも含まれるんですけれども、ああいった利用に関わる取組ですね、こういったものを定量的に分析していくという議論をするということは、非常に私、有意義だと思いますし、環境省がやれる非常に特徴的な取組を打ち出せるんじゃないかなと思っていまして、今、杉山委員がご指摘のあった、4ページの次の国民への問い方とか伝え方ですよね。そういうこととも、ちょっと実は非常に密接に結びついているんではないかなというふうに思いますので、是非そういうところも強調していただきたいと思います。以上です。
冨田委員
ありがとうございます。何点かあります。まず1点目ですけれども、2ページ目の上から2番目のエネルギー政策、エネルギー・環境会議等との関係で、十分に整合を図ると。これは渡邊委員からもご指摘があったところですが、是非よろしくお願いしたいと思います。それについて質問ですが、ちょっと先走って恐縮ですけど、資料4のスケジュールのところで、この小委員会のまとめと、それから一方、エネルギー基本計画のほうのまとめといいますか、定量的な分析というのが、来年の中ごろと言われていると思いますけれども、それとの整合というか、そういうところに関してはどんなふうにお考えなのかを教えていただければと思います。
それから、3ページ目でございますけれども、再生可能エネルギー、それから分散型エネルギーという2番目の項目のところですけれども、再生可能エネルギーと分散型エネルギーというのは重なる部分と、それから重ならない部分があろうかと思います。この項目名には分散型エネルギーが書いてありますが、下のコメントには分散型エネルギーがありません。なおかつ、5ページ以降の検討の進め方のところにも分散型エネルギーという言葉が出てきていませんので、再生可能エネルギーと一緒に分散型エネルギーについても普及促進の観点からの検討を是非お願いしたいと思います。
それから、3ページ目の下から2番目の国内外の確実な温室効果ガスの削減の実現ということですけれども、ここに書かれていることと、それから、4ページ目の1番目の項目、かなり似たようなことが書かれていて、多分これは合体して書かれるほうがよろしいのではないかと思います。
それから、5ページのところの[4]ですね。ここに関して、最適化の観点から目的に関する幾つか項目がありますという話をさせていただいて、それを明記していただいているわけですが、「エネルギーの低炭素化」という言葉があります。しかし、この言い方だと一次エネルギーの低炭素化という、供給側のことしか言っていないかのように思えるわけですが、実はそれについては3番目ですか、低炭素なエネルギーの利用という中で書かれているというところもありますので、意味合い的には温室効果ガスの排出抑制という、そういう言葉のほうが需要側のほうの取組を含んでいますので、よろしいのではないかと思います。
それから、これは前回も申し上げたことですけれども、最適化を考えるときには、それぞれの項目について、すべてがいいという答えはまずないということを思うと、優先順位というのを常に裏では考えておかなくてはいけないということをコメントとして申し上げたいと思います。
それから、6ページ、最後ですけれども、[5]番のところですが、京都議定書の目標達成計画についての状況の整理ということですが、これも是非お願いしたいと思いますが、単に対策が進んだか進まないかということではなくて、前回の委員からのコメントの中にもございましたけれども、効果と負担という観点からの分析が必要だということをつけ加えさせていただきたいと思います。以上です。
西岡委員長
どうもありがとうございました。今のご質問の中で、事務局のほうで答えていただきたいのは、エネルギーとの協力の仕方、これは皆さんの興味でございますので、どう考えておられるか、今、お話しいただけますか。
低炭素社会推進室長
基本的には、エネルギー部分と温暖化の部分に関しましては、表裏の関係だということでございまして、検討につきましては並行して進めていくというのが基本的な考え方ではございます。具体的には、エネルギー基本計画につきましては見直しが始まるということで、なかなかスタートが不明確だったわけなんですけども、先日、エネルギー基本計画に関して議論する総合資源エネルギー調査会が来週月曜日にスタートするということでございますので、そちらの情報につきましても、まず、連携をとりながらして、この小委員会、また部会におきましても、その議論のお話をしていくというふうに考えております。今のところ、エネルギー側からお話を伺っているのは、まずはどのような問題・課題があるのかというのを自由に討議するというのが前段部分であるという話でございまして、だんだん議論が深まってくるのはもう少ししばらく時間がかかるというふうには聞いております。
また一方で、エネルギー政策全体につきまして議論する場としてはエネルギー・環境会議がございますので、その議論の進捗につきましても適宜お伝えしていきたいというふうに考えておりますが、今のところ、基本的な方針につきましては年内に示すというスケジュールで動いているというふうに承知しておりますので、これから秋・冬にかけまして動きが大きくなるというふうに思いますので、その動きにつきましても、こちらの小委員会、また部会のほうでもご紹介させていただきたいというふうに考えてございます。
西岡委員長
今のお話を聞いて、まずは何となく皆さんのあれには答えていなくて、まだそういう段階ではない、わからないということなんですかね。どういう具合、要するに皆さんは本当に会議を一緒やったらどうかとか、どういう繋がりでやるんだろうかということを聞いておられるんだけれども、どうも、まだそこまで状況が整っていないという解釈でいいんでしょうか。
低炭素社会推進室長
そうですね。全体の動き、どのようなスケジュールで詳しく進むかという話につきましては、確かにまだ決まっていない部分が多いということではございます。
西岡委員長
今の状況はそういうことだと私は思っております。それでは、則武委員。
則武委員
言いたいことは1点だけなんですけれども、この小委員会のタイトルからも、対策・施策に関する検討というのがこの小委員会の役割だと思うんですが、4ページ目のところに、「検討すべき対策・施策」ということでさらっと、少しだけ挙げられていて、「検討の進め方」のところにも、ほとんど具体的な部分が示されていないと思います。これからという部分はあるのかと思いますが、具体的に、政策と、それと、「検討の進め方」にも、4ページのところにも、規制のことは一切書かれていません。例えば住宅の断熱性に対する規制であったり、車の燃費の規制であったり、そういった手段も含めて、是非、踏み込めない聖域というのはないような形で、具体的な形で検討を進めていただければいいと思います。
そうしないと、結果として、何をやったらいいのというのが全然出てこないんではないかと思いますので、是非、対策・施策、ここの中では政策も含めて、十分議論をさせていただければと思います。よろしくお願いします。
伴委員
ありがとうございます。先ほど、杉山委員のほうが、国際的な動向に注意するということをおっしゃったと思うんですが、私もそれは非常に重要だと思っておりまして、この方針だけで見ると、日本国内でどうするかということだけに終始しているわけですが、恐らく、各委員もそうですけども、ほかの国の動向をいろいろ知った上で、いろいろとご発言されているとは思うんですね。
ただ、ここでは各国の動向、例えばドイツにしろ、スイスにしろ、アメリカにしろ、イギリスにしろ、いろんな方針で2050年をターゲットに、いろんな形で政策を考えている。やはり、そういうもののサーベイは、環境省の中でも常にしておいたほうがいいのではないか。日本だけに特化して、いろいろと悩むというのも一つかもしれませんが、やはりほかの国の動向というのも踏まえた上で考える必要があると思うんですね。
そういう観点からいくと、例えばここの資料2の1ページの下のほうにあるんですが、「国内における温室効果ガスの排出削減の実践に加えて、世界市場への我が国のトップレベルの環境技術の普及・促進に貢献する」と、こう書いてあるんですが、本当にそのような技術を日本が持っているかどうかになると、私には非常に心もとなくなります。
もちろん、その基礎的な資材という点では日本がトップレベルというのはわかるんですが、例えば原子力がフェーズアウトすれば、それを自然エネルギーで代替となるんですが、簡単に言えば、太陽光とか風力などの世界市場は、ほとんど中国に牛耳られている。これは赤井委員が前からおっしゃっていますが、日本で太陽光を普及するとすれば、中国の製品がどっと入ってくるんではないかというお話があるわけですが、中国ですら、低炭素化の流れ中で、世界市場でどういう形で勝負するかということを考え、後押しをしているわけです。
ところが、日本は日本のことしか考えていないものですから、ほかのことを無頓着に無視してしまう。日本はすべてトップであるという、私からするとちょっと信じられない思いがするんですが、それに凝り固まって、やっていけるんだという誤解が絶えず出てくるのがおかしいのではないか。
そういう点で、やはりいろんな国がどういうことを考えているかは、例えばまちづくりにしろ、あるいは建築基準にしろ、いろんな問題についてどう考えているか。自動車の燃費もそうですね。どう考えているかをやはり見ながら考えていく。「不確定な」というのをあまり強調する必要はなく、これまでも世界はそういう形で動いてきたわけですから、別にそのことを怖がる必要はない。いろんな可能性を知りながら前に向かっていくというのがやはり重要であって、何度でも言いますけど、国際的な視点というのは、結局日本が一国で生きていけませんので、世界の中で生きていくしかないわけでありまして、その中で、どういう形で生き残るかということを方針の中に盛り込んでいただきたいと思っております。
そういう点で、やはり、最近の震災にとらわれるのも重要かもしれませんけども、あと40年、50年、100年生きるときに、日本が生き残れるかという観点で、私は「低炭素社会」という言葉が好きですが、そういう方向で議論をし、定量的に、あるいは定性的に示していければいいのではないかと思っています。
藤井委員
幾つかあります。最初は、1ページ目の二つ目の「社会を低炭素化していく必要性」云々の箇所です。中間整理の基本的な考え方を踏まえて、安心・安全で心地よい生活云々と書いています。これ自体当たり前のことなのですが、しかし、中間整理の時と、今回の「3.11」を経た今では、日本の経済社会が世界的に大きく信頼を損なったという事情の変化があります。「日本はもはや安心・安全ではないのではないか」と。あるいは、エネルギーの持続可能性もないのではないかと。本当に低炭素化に向かっているのか、という疑念が、国内だけじゃなくて、むしろ世界的に起きているのではないかなと思います。
したがいまして、「安心・安全」を取り戻す一つの決意というか、中間整理を踏まえて議論を進めるのは、これはそのとおりですが、やはり震災、原発事故で傷ついた日本の経済社会の信頼性を回復させた上で、こういうものを目指していくんだ、といったような感じに読めるような表現が入っていたほうがいいのではないかと思います。その点は、5ページ目のその「進め方」の冒頭も同じだと思います。それが1点です。
それから、2ページ目のところ。これは先ほどから幾つかご議論が出ていますエネルギー政策のところの、「エネルギー政策の検討状況に留意しつつ、十分に整合性を図る」という点です。表現通りなのですが、往々にして、「整合」という言葉が、これまで足して2で割るようなことに使われてきた面もあるのではないかと思います。したがいまして、整合させるとともに、やはりその結果は最適な選択につながらなければなりませんので、例えば「整合させ、最適化を図る」とかの表現にしてもらいたい。5ページの進め方のほうの[4]のところに、「エネルギー需給を統合し、最適化を図る」という風にも書いていますので、この点と、少し言葉を整えたほうがいいのではないかなと思います。
もう1点は、その一番下の、「災害に対して強い社会という観点からの検討」のところです。「目指すべき社会像を実現するためには何が必要かを明らかにする」という点ですが、これは、先ほどもご議論がありましたが、要するにコストのこと何ですね。目指すべき社会像を実現するためにはコストがかかるんだということだと思います。
既にOECDでもそういうペーパーは出ていますし、EUも2020年に向けて、必要な投資整備がqくはこれだけのコストがかかるとはじいています。その膨大な費用をどうやってカバーしようかという議論なりが必要です。すでにこの点は、ロードマップの中にも盛り込んできていますので、もう少しここではより具体的に書いてはどうか。例えば、実現するためにかかる相応のコストを負担、あるいはそれを消化するには、どのような方法が望ましいのか、どのようなファイナンスの仕組み、あるいは技術進展が望ましいのか、という風に書き込んだほうがいいのではと思います。
それから、3ページ目の真ん中のところ。これはちょっと私の感覚的な感じですが、「風土に根ざしたまちづくり」という表現です。「風土に根ざした」というのにひっかかるんですね。例えば東京にどうしてこれだけ人と資本と資源が集中しているかといえば、東京という平野で、交通の便もいいという風土に根ざしてこうなってしまった面がある。
ここで言いたいのは、恐らく各地の地域特性等を考慮して進めたいということだと思うのですね。ただ、この「風土に根ざした」というと、例えば川沿いに発展する街はそれがふさわしいとなると、今回の震災被害のように、川や、沿岸部の風土に街ができるのは当然望ましいとなる。それは風土に根ざしているわけですから。しかし、それでは将来の被害防止に懸念が出てくる。ちょっと考え過ぎかもしれませんが、やや、表現をもう少し変えていただいたほうがいいのではないか。つまり、風土に根ざして人口等が集中し過ぎている都市は、意図的に分散させなければいけないといった問題が必ず起きてくる。その対策として、思い切った都市づくりを考えるときに、元々の風土とは切り離して対応しなければならないことも起き得ると思います。
あと、4ページ目、最後です。この技術のところです。これは非常に大事なところです。これも、中間整理のときのワーキングで議論をしたのですが、技術単体ではなくてシステムが大事です。もちろん文中にシステムについては書いています。それプラス、オペレーションまで必要ですね。これはまさに、ビジネスが実践している姿です。単に単体の製品を売るだけじゃなくて、システムも売り込んでおり、さらにその製品やシステムのオペレーションも請け負っていく。例えば中国で事故を起こした鉄道は、仮に日本のオペレーションだったら、ああならなかったかどうか。それはわかりませんけれども、まさにそういうインフラのオペレーションビジネスというところまでマーケットが広がってきています。これは5ページ目にも同じような表現で、環境技術の普及促進ということがありますが、技術の普及促進に加えて、システム化、さらにオペレーションと、これらの3点セットを、我が国の産業界の強みとして推進していくというような意図が読み取れるようにしていただけないかと思います。以上です。
村上委員
私の、見落としじゃないかと思うんですけど、「原発事故」という言葉が一言もないんでございますけども、「東日本大震災」という言葉はあるんでございますけど、今回の検討をする意味で、あれにまさる重要な問題はないと思うんですけど、最初のときに、大震災というのは原発を含むかということを確認したら、西岡先生は含むと言われてございまして、それにしても、一言も、原発とか核エネルギーの縮減とか、そういったことが一言も出てこないのは、何か、ほかに含めておられるのかどうか、教えていただければ幸いです。
西岡委員長
今の点、直ちに、いかがでしょうか。
低炭素社会推進室長
前回、前々回でも、座長からもお話がありましたが、含んでという表現でございますので、明記、明示をさせていただきたいと思います。
村上委員
東日本大震災といえば、やっぱり震災、津波と地震等の話で、原発はやっぱり分けて書いたほうがよろしいように思います。
西岡委員長
どうもありがとうございました。私も、この一番最初の「検討の進め方」の案のところで、まず最初にこの「東日本大震災による影響」と、こうあるところを見て、やっぱりここでまず最初に考え込んでしまったところはありますね。今のご意見を拝聴いたしました。どうもありがとうございました。それでは、岡川説明員どうぞ。
岡川説明員
資料2の1ページ目に書かれていることに関して、どうとらえていいのかわからないので、教えていただきたいと思うんですけれども、1ページ目の二つ目の「社会を低炭素化していく必要性、目指すべき将来像」という項目のところの3行目に、「安心・安全で心地よい生活、エネルギーや社会の持続可能性、低炭素化に向けて目指すべき将来像等を出来る限り分かり易く示す」というふうに書かれているんですけれども、この三つの項目が並列で並んでいることに違和感をちょっと覚えるんです。
というのも、エネルギーや社会の持続可能性だとか低炭素化に向けて目指すべきというのは、どういうことが必要かというような、その対策と、それに関わる費用とか便益とかというのを示すというのは、それは、この小委員会の重要な役割だろうなというふうに思うわけなんですけれども、その安心とか安全というふうな話になったときに、それはその示された選択肢に対して、国民のほうがどう受け取るかというような問題だと思うので、この三つを並列に本当に議論をしていいのだろうかというのが私の疑問なんですけれども、この三つというのは、やっぱり並列に議論をしていくのかどうかということを、ちょっと教えていただきたいんですが。
低炭素社会推進室長
確かに、安心という話でいきますと受け手の話でございますので、それも含めて議論をするかというのは、逆に、議論をしていただければと思うんですが、どちらかというと重きを置いているのは、この「心地よい生活」という話で、単に低炭素化を進めるだけという観点ではなくて、人の暮らしの質を高めるということも非常に重要なことなので、それを、ある政策をとったときに同時達成ができるのか、また、片方しかできないのかという議論も重要だというご指摘をいただきましたので、今ここには書かせていただいているということであります。
西岡委員長
この話は、昔から、生存、安全、利便、快適と、こういうピラミッドで考えるようにしていて、順番はもちろんあるかと思います。ですけど、それを全部、そういう書き方で書くのがいいのかどうかわからないので、ここで並列にありますけれども、意味としては、もちろんそういうことではないかなと私は解釈していますけど、また後で私のほうでまとめさせていただきます。それでは、赤井委員に行きましょう。
赤井委員
ありがとうございます。伴先生のご発言で、思いついたというか、全面的に賛成なんですけれども、海外での動向などの精査も必要というお話だったんですけど、その際に気をつけていただきたいなと思うのは、よくあるんですけども、例えばドイツではこうこうであるとか、アメリカではこうこうであるということを紹介される方がいるんですけども、それは、ドイツのその人があった、あるその人の属性によって意見が変わること、あるいは、その判断が変わっていることは、常識的に考えれば当然なんで、そのあたりを明記した調査分析、あるいは、そこが足りないと思えばバランスのとれた調査レビュー、分析をするということが、是非必要だと思っております。
それから、我が国のトップクラスの技術云々というお話については、まさにいまやほとんど幻想の世界じゃないかと思っておりますので、そのあたりもきちんとした冷静な判断が必要かと思っております。
それから、5ページの[4]ですね。先ほどから若干議論になっています、「供給安定性、低炭素化、レジリアンス、経済性との観点から最適化を図りつつ」云々と書いてありますけども、私は、個人的には、ここでの目的関数は、その後の「暮らしやすくて魅力的な」というところが一番大事なのだろうと思っております。
というのは、例えば経済性が悪くたって魅力的であり、暮らしやすければ、多分人はそちらを取るということで、そういう意味では、個人のプレファランスを考慮しない最適化をしてしまった答えというのは、必ずしも国民一人一人が望んでいる価値観と整合するもんじゃないということも、注意すべきじゃないかと思っております。
例えば、コストをかけるべきところにはかけて、かけなくていいとか、あるいは、かけるべきではないとか、あるいは、今かけなくても後でかければいいとか、そういったようなきめ細かな判断が必要なんだなというふうに思っております。
例えば、もう既にいろんなところで、要するに経済合理性のみを追求するがあまり、いろんな不都合が現実に起こってきておりますし、ある意味では、福島の事故もそういったことも要因の一つだというふうに考えておりますので、是非そのあたりは、特に日本の個人個人にとって、どういったことが、日本で暮らす価値になっているのかと。そのためには、多少コストが高くたって構わないという判断があるのなら、やっぱりそういう世界を目指すべきだというふうに考えております。以上です。
牛久保委員
ありがとうございます。3ページの「再生可能エネルギー、分散型エネルギーの普及という観点からの検討」というところに含まれるのかもしれませんけども、エネルギーに関する前回の発言の中に、需要サイドからの最適化という部分について議論すべきというご発言がありましたけれども、果たして供給サイドの議論が、この中に含まれているだろうかということです。エネルギー供給の場としての農山漁村の活性化を含めた関わり合い方とか、それからエネルギー源としての、例えばバイオマス、再生可能エネルギーの中でこのバイオマスの議論がなかなかなされていない状況にあります。それは賦存量の推計量等の精査がなかなかできていないということもあろうかと思うんですが。そういう意味合いや農山漁村の活性化も含めて、供給サイドとしての議論を加味していただければと思います。先ほど藤野委員にも言っていただきましたように、再生可能エネルギーは、気候の安定化といった面や災害等を含めて、将来どういうふうに考えていくべきかということも重要な観点かと思いますので、供給サイドの議論もこの中に加味をしていただければというふうに思います。ありがとうございました。
大塚委員
2点、申し上げさせていただきたいと思いますが、一つは、この低炭素化を進めるに当たっての、その結果としてのグリーンニューディールみたいな話はあまり出てきていないので、過ごしやすい生活とかというところだけでいいのであれば、私も別にそれで構わないところもあるんですが、さっき藤野委員が言われたように、何が、これをやるといいですかといったときに、もちろん副次的なものにすぎないとは思いますが、そっちのほうが優先されるようなことではないと思いますけども、そういう観点は、どこかに入れられるんだったら入れたほうがいいのかなという感じはします。
ただ、他方で、さっき伴先生が言われたように、中国製のとかいう話もありますので、実際にどのぐらいグリーンニューディールのようなことがうまくいくかというのは、もうちょっと精査しないといけないとは思ってはいるんですが、そういう夢みたいなことは多少入っていないと、進まないんじゃないかなという、まあ、もちろん実現可能な夢じゃないといけないんですけども、というのが1点ございます。
それから第2点ですが、これは別に、中に書いてあることを何か修正とか追加とかを申し上げるということではないんですけど、エネルギー供給のほうに関わっていますので、ちょっと申し上げざるを得ませんが、エネルギー政策とかエネルギー環境会議等の関係で整合性をとるということについては、そのとおりで、藤井委員が言われたように、最適化というのも、私も入れていただいたほうがありがたいと思っていますけれども、原子力に関しては、あれだけの被害を起こしてしまって、これからも除染等でまた莫大な費用が発生すると思いますけども、10年、20年、新設とか増設ができるというのは、ちょっと、なかなか難しいかと思いますので、私自身は、それはそんなに簡単に原子力を新しく新設、増設できるような方向性はちょっと示せないだろうなというふうに考えているということだけ申し上げておきます。以上です。
西岡委員長
どうもありがとうございました。一通り皆さんのお話をお伺いいたしました。このあたりで大体の方向を決めて、作業に移りたいということでございますので、今日のお話は、私どもに一任させていただきまして、事務局と一緒にまとめたいと思います。
私は、今、ノートを見てみますと、一番最初、藤野委員のほうから始まりまして、そして多くの方々が、最適化という話、すなわち、「低炭素社会」と私なんかはずっと言ってますが、低炭素にすればすべてが解決するのではなくて、もっともっと広がりがある。生活自身を考えなきゃいけない。それから、先ほど、快適、安全等々のお話もございましたし、そういった意味での広い意味での最適化というものについて、十分考えた作業にしていただきたいというのが一つ出てきたと思います。
それから、あと幾つか、ここには十分書かれてなかったということで、この対策、あるいは政策といったところにまで、則武委員の言葉をかりますと、聖域なく突っ込んでいただきたいということもあって、それは多分、既にかなり前のロードマップのほうでも、項目だけ上がっていたから、ちょっとここであまり詳しく書いてなかったのではないかなと解釈をしておりますけれども、それについてはもちろん十分書く必要があります。
そのときに、コストということを忘れちゃいけない。すなわち、お金勘定もちゃんとやっていきなさいと。幾ら金かかるのか。誰がそれをファイナンスしてくれるのかということも全部考えなきゃいけないんではないかなというお話もあったわけで、また、そのコストが、コストだけの最適化でいいのかという話もあったかと思います。
それから、経済との関係で、最後に大塚委員のほうで、グリーンニューディールといいましょうか、雇用といいましょうか、経済効果といいますか、そこも忘れないでくれという話があった。
それから、国際状況が今非常に、ある面では、ほかのいろんな世界に重要な問題があるもんだから、温暖化のほうの動きのほうも、それに左右されていることも十分ありますけれども、そういうことも十分踏まえた上で、使えるものにしておくということをおっしゃったんではないかなと思っておりますけども、そういうことが大切だろうと。
それから、技術に対しては、もう一度ちゃんと調べてみる。本当に日本の技術がそんなにいいのかどうかということも含めて、ですね。だけど、それは、ここでの言い方という話よりも、むしろ本当に我々が技術で食ってけるかということについて、真剣に考えなきゃいけない。それが、低炭素社会をやっていく中の一つの大きな要因でもあり、力にもならなきゃいけないということを、皆さんがおっしゃったんではないか。
渡邊さんのほうから、エネルギーの安定供給等々についても十分組み入れた形で検討をしてほしいということがあったと思います。
最後に、原子力をどう扱うかということについては、多分これはいろんなケースを想定してやるという必要があるんではないかなと思っておりまして、村上委員のご指摘がありました。
私のノートのほうにあと書かれたのは、もちろん、前からおっしゃっているエネルギーと環境、この問題はいつも足して2で割るという形になればいいんですけど、どちらかというと、足して2にはならないような状況も多かったもんですから、十分、両方の目標とも大切なわけですから、エネルギーの安定供給及びCO2の話も、両方とも、長期、短期の差はあるかもしれませんけれども、重要でございます。これも、いわゆる最適化の中で解決していきたいという具合に思っています。
以上が私の、今までの皆さんのご意見を一応総括して、幾つか漏れたことがあるかと思いますが、全部それはメモってございますんで、またそういう方向を考えさせていただきまして、この方針をまとめたいという具合に考えております。事務局のほうで何か。
低炭素社会推進室長
大きなところでいきますと、資料2のたてつけがちょっとわかりにくい構成になっている可能性がありますので、そこは、わかりやすさの観点から、いま一度、たてつけにつきましても工夫をさせていただきたいというふうに思っております。
あと、細かくいただきました意見につきましては、対応していきたいと思っておりますけども、特に、器具の使い方であるとか、その暮らし方という観点のチェックというところが、項目として大きく抜けていたというふうに思っておりますので、そこにつきましては、追加をしていきたいというふうに思っております。
また、対策・施策に関して議論を今後深めていただくというところでございますけれども、規制的な手段などについても言及いただきましたけれども、幅広くご検討をいただければというふうには考えてございます。
あと、グリーンニューディールの取り扱い、また、エネルギーの供給サイドとしての農山漁村の扱いなどにつきましては、まちづくりの観点からの検討の項目など、工夫をしてまいりたいというふうには思っております。
あと、分散型エネルギーという使い方と再生可能エネルギーというものの言葉の使い方が、ちょっと統一されていない部分がございましたので、統一をして、記述を整えていきたいというふうに考えております。
あとは、基本的に、目標の目指すところの意義であるとか、そもそも、どういう観点でこういう対策をとるのかという観点をきちんと書くべきというご指摘もございましたので、わかりやすく書いていきたいというふうに考えております。以上でございます。
西岡委員長
大聖委員、それから杉山委員のほうから、単に伝えるだけではなく、十分合意を得られるような仕組みもどこかで考えなきゃいけないんじゃないかというご提案があったということを留意しておきます。以上のような状況でございます。あとは私どものほうに任せていただくということで、よろしゅうございましょうか。どうもありがとうございました。
それでは、議題1についてはこれで終わりまして、続きまして議題2、関係者からのヒアリングということで、松岡委員からお願いしたいということで、資料3を用意しております。
このヒアリングはこれからも幾つかございますけれども、先ほど話がございましたように、やはり3.11以降、いろんな面での状況が変わってきたということもございます。それだけじゃなくて、先ほど大野さんのご指摘にありましたように、これまで詰めていなかったこともございます。これにつきまして、新しい知見を得るということもございまして、ヒアリングを今後続けていきたいと思っております。
いつも、ヒアリングといいますと、いわゆるそれぞれのセクターの方々からのお話を聞きっ放しで、あと、いろいろと質問はするけど言いっ放しというのがあったと思います。もう少し実のあるものにしたいなという具合にいつも考えておりまして、今日は松岡委員にまず最初にご発表をお願いいたしますけれども、その後、村上委員のほうには、コメンテーター的にご意見をいただいて、皆さんの意見も、いつも順繰りに回っておしまいということにしたくないもんですから、ちょっと新機軸でございますけども、そうやっていきたいと思っております。
それでは、ひとつよろしくお願いします。
松岡委員
北九州の松岡でございます。今日は、このように北九州の取組について説明する機会をいただきまして、ありがとうございます。
早速、中身に入りたいと思います。2ページを見ていただけますでしょうか。
いきなりでございますが、北九州の温室効果ガスの排出量の経年的な変化でございます。2008年度、1631万トンということで、北九州は100万人弱の都市でございますが、市民一人当たり、非常にCO2なりを廃止する量の原単位の高い都市でございます。それは当然、産業都市でございますので、特に、特徴としましては、産業部門1000万トンと、全体からすると65%、全国平均からしても約倍近くの割合を占めてございます。でございまして、非常に低炭素社会に取り組みづらい、つらい都市であるということを、まず申し上げてございます。
ただ、一方で、日本全体が本当にこれから経済成長、産業なりを発展を遂げていくという意味では、日本全体が、ある意味で克服していかなければならない課題、そういった部分を、我々自身の中で地域としても考えていかなきゃいけないんだろうなと思ってございます。
次、3ページを見ていただけますでしょうか。北九州市の低炭素社会づくりのすべては、ここにございます、これは環境モデル都市の行動計画でございます。モデル都市は、村上先生なりから非常にご指導をいただいた中で進めてございますが、北九州の基本的な考え方でございます。当然、地球温暖化対策ということで頑張るわけで、そこの中で、北九州市域CO2削減目標、2050年、50%を掲げてございます。ちなみに、少ないように見えますが、実はこれは、2050年段階で、経済成長を40%見込んでございまして、その伸び率からすると、全体の原単位的に申し上げると30%強というような数値であります。
また、一つの特徴としましては、先ほどグローバルな視点でという部分がございました。まさに、私ども北九州、アジア地域に対するいろんな一緒の共同事業、貢献、そういった部分の中で150%相当分で、こういった削減をやっていこうということであります。
私ども、ちょっとモデル都市に関して申し上げますと、よかったことを申し上げます。低炭素社会というのは、ここのモデル都市になるまでは、環境局の低炭素社会であったわけです。市全体としてモデル都市として取り組んでいこうということになりますと、市庁舎のすべての部局が、この低炭素社会という問題をとらえ、また市民であったり、また企業の方が、常々言われます。環境モデル都市として、自分たちはこういったことをしなければいけないと。
低炭素社会というのが、本当に北九州市の社会全体の中に取組の一つの基盤となったということがございます。
それから、2点目によかったことというのは、実は低炭素社会という部分、まさにまちづくりであります。社会づくり、まちづくりでありますけども、対策に偏りがちであったことを、まちのデザインとして、こういった対策なりをどう織り込んでいくのかという、まちづくりの視点からのデザインというものが、そういったものに真剣にみんなが取り組むようになったということであります。
ややもすれば、我々は、地方自治体が、国からの政策、そういったところを受けて、それをうまく活用しながらということであったわけですけれども、地域独自に、低炭素社会に向けて、どういった社会をデザインしていくのか、それを初めてこのモデル都市でもって、真剣に議論し合ってきたという部分、まだ結論は出てございませんが、そういったところが非常に、私ども、よかった点だろうなと思ってございます。
4ページでございます。
そんな中でどんな取組をやっているのかを、以下、ちょっとご説明をさせていただきますが、これは、街中に太陽光発電がいろんなところにつけられてございます。もう既につけられているんですけども、単なる太陽光発電をつけるというんではなくて、やはり、みんなの快適さとか、そういった社会的な構造の中に、そういった環境の、例えば太陽光発電というものが使いこなせる。まちの動線として、例えば左側に、太陽光ルーフとございますが、これは、日本で唯一、橋の上の太陽光発電です。橋の距離が長いがゆえに、雨よけであったり、それから夏であったら日よけであったり、そういった役割を担っていきながらとか、右側のアーケード状、これは国道の上に構造物のある全国で2番目のものですけども、これも太陽光発電してございますが、夜はLEDで賑やかさを出したりとか、それから小倉駅周辺の中では、ありとあらゆるところに太陽光パネル。意外と、私どもの建設部局が本気になってくれば、いろんなところに公共の場所の中で太陽光発電なりが備えつけられる部分があるということです。
それから、もう一つは、うまくそういった太陽光発電というものが、そこに生活していく、そういった市民の方々のための利便性の向上にも合わせた形の中での知恵と工夫というものが、いろいろな場所であるということを、ここで申し上げたいと思います。ちなみに、こういった市街化区域の対策については、小倉駅周辺地区の中で、年間約1万トン。それから、副都心の黒崎地区で5,000トンのCO2削減に結びつくようになってございます。
それから、5ページでございます。今度は住宅地でございます。実は、ゼロカーボン街区というものを目指しまして、今月の14日にURさんと、財務省さんと、私ども北九州市は調印を行いました。まさにゼロエミッションを目指した一つのコンパクトシティという概念、その中に、利便性とか、そういったものを備えながら、うまく新エネルギーなりを使いこなしていく、そういった街区をつくっていこうということで、早速来年度から事業が始まります。
ここのエリアの中には、400戸の戸建て、そして集合住宅が600戸ですね。19haのエリアでございますが、そういった中での取組が、具体的に事業として始まります。
それから、次に、下に浄化センターがございます。浄化センターの、まさに曝気槽なりの上蓋の中に太陽光発電をつけたりとか、いろいろな環境スペックは導入してございますが、それだけではなくて、運転管理の工夫とか、そういった部分。それから、汚泥の燃料化、これが意外とすごく効果を発揮するというようなことで、ハードからソフトまで、全体的にCO2の観点から、こういった下水の処理場というものを見直して、そして、年間約5,000トンのCO2削減に繋げていると。また、平成27年度からは、汚泥の部分をすべて燃料化いたしますので、1万4,700トンが削減されるということになってございます。
それから、次に7ページでございますが、これは産業界の取組でございます。還元雰囲気の中でコークスをつくるわけですけども、そこで最終的に冷やす、その際には、今までは水をぶっかけて、その蒸気が、熱が、エネルギーが外に、大気に抜けているというものが一般的なコークスであったわけでございますけども、企業さんの、市内には、日本コークスという会社でございますが、乾式消化、そして窒素ガスでもって、そのガスを誘導して、蒸気に変換し発電するということで、1日当たり60万KWhの発電を行います。
ちなみに、北九州市の家庭の7分の1を、この設備導入だけで賄えるということでございます。
当然、構内の中でこの電気は使われるんですけども、また、製鉄所のほうに一部売電も行われて、導入されると。エネルギー融通も行われるということでございます。年間、ちなみに、この設備でもっての部分の削減量というのは、5万トンであります。こういった形の中で、生産プロセスの中にもいろんな形で、地味でありながら、産業界の中で、いろんな業種の中で取組も進んでございます。
それから、次に8ページでございますけども、中小企業の省エネ対策であります。北九州市は、商工会議所と一緒になって省エネ診断をやってございます。3分の1補助事業で、上限300万円ということで、こういった補助制度を設けたんですけども、実は、中小企業、省エネ診断をやって、そしてまた経済的な部分なんかも一緒に分析を行いますと、もの凄い意欲でもって取り組もうとする、改善のポテンシャルというのはもの凄く高いものがございます。予算も限られているために、短い期間で申請をしていただいたんですけども、もう、その中で50件以上の申請がございました。
実は、省エネ診断士が足りないがゆえに、もっとそれ以上の省エネ申請を受け付けられなかったという背景がございます。これだけ、実はしっかりと中身を見てみて、経済的な側面と照らし合わせていきながらやっていくと、いわゆる中小企業、いろんな業種がございます、もの凄い意欲を持って取りかかっていただけるということが、ある意味で証明できたんじゃないかなと思います。
9ページでございます。それに合わせた中での今後の投資に対して、融資制度も、今年の10月から募集で、設けてございます。実は、私ども、産業界に関しましては、環境産業推進会議というのを設けてございまして、そこの中で金融部会というのがございます。そこの銀行団が、本当に汗をかいていただきまして、日本で最も低利な――見ていただければと思いますが、環境に関しての融資、非常に低い低利の中で融資制度というものが、これの補助制度とあわせて、セットの中で行われるということでございます。
それから、次に10ページでございますが、ここは、私ども、後ほどもご説明しますが、エコタウンのある響灘地区というところでございます。ここは、メガソーラーあり、風力発電が10基以上、海岸線に備わったりとかいうふうな工業地帯でございますが、市民サイドの中で、左下のほうに、「緑の回廊づくり」と書いてございます。企業であったり、市民であったり、全市民が毎年、年間1,500人ぐらいがここに集まって、ここの絵にあるように、いわゆる自然と産業、工場との共生、そしてエネルギー、ここは次世代エネルギーパークでございますので、三つの要素の共生する社会をつくろうということで、やってございます。
また、廃棄物処分場がここにあったわけでございますが、その跡地を48ha、真ん中にございますように、日本最大級のビオトープを、来年、正式オープンするということで、ここを希少種の、もう既に鳥がいろんなメダカを運んできたりとか、それからチュウヒとかいう絶滅危惧種の鳥、それからベッコウトンボとか、ある意味ではすごい野生生物の本当に楽園になっている素晴らしい場所に、廃棄物の処分場が再生してございます。こんなふうな取組も、自然環境についてもやっているということです。
次の11ページでございます。私どもは、エコタウン事業を一生懸命やってきたわけでございますが、今回のモデル都市に選ばれて以降、従来のいろんな環境対策についても、いわゆる低炭素のCO2削減の視点の中から、それを検証してみるということもチャレンジしてございます。ここのエコタウン自体が、実は資源循環であると同時に、最終的に残渣を溶融処理する。そして、資源がすべてのゼロエミッションを達成しているわけでございますが、それと同時に、エネルギーも、そこの溶融処理したときに発電する電気、ここでもってすべての電気エネルギーを供給してございます。そういった意味では、エネルギーのゼロエミッションも達成しているエリアでございまして、そういったことも含めて、またリサイクルして再生原料、ヴァージンからつくる部分と再生からやっていくところのエネルギー換算、そういったところを試算してみましたところ、実はこの狭いエリアだけでリサイクルしている分だけで年間約38万トンのCO2削減効果であるというふうな試算結果も出ているわけでございます。
こういった形の中で、いろんなアプローチから低炭素社会づくりに、今、対策として取り組んでいるわけでございますが、12ページ「対策」から「創造」という部分から書かせていただいてございます。
どうしても、「ねばならない」、低炭素社会づくりをつくっていくためには、こうしなければいけないという部分の中では、対策的なことはいろいろとやってきたわけでございますが、本当に社会的にそういった低炭素社会というものを根づかせていくためには、やはり地域なり、そういったものから、創造という形でどんどんとイノベーションが生まれ出てくる、そういった素地をつくっていかなければならないというふうに考えてございます。
13ページをお開けいただければと思いますが、これは、私ども、2002年から毎年、いわゆる環境自慢大会を、住民の方々、企業の方々、そういった方々でやってございます。ちなみに今年は、今週の土日で行われているんですけども、当たり前のように、もう毎年開かれています。
私は、これは日本一の環境イベントだと思っています。何も、主催者側とか、特にございません。ある意味では、実行委員会、みんな参加する人たちが自主的に、こういったところにテントを張って、自分たちのものを紹介して、自分たちがつくり上げてきたもの、創造してきたものをみんなに見せる。市民がそれを当たり前のようにこの中に参加して、それを感心し、感動したりして、それがどう生活に反映されているのかという部分についての検証はまだでございますが、こんな形で、毎年毎年大きくなって、これが、市民の力というものが、本当にここから生まれてくるんだなということを実感してございます。
また、同時に、我々は、地域の中に、どんな市民のポテンシャルがあるのかということで、環境自慢というものをやってございまして、もう既に1,000以上の地域の環境自慢が寄せられてございます。そうしたものというのは、やはりみんなが創造する力、市民の力というものを、今後、我々は引き出していくことが重要なんだろうなと思います。
それから、14ページでございます。これは本当に安井先生なりのご指導をいただきながら、まさにエコプレミアム事業ということで、リサイクルとか、そういったものだけではなくて、製品そのものが環境に優しいもの、また、環境に優しいサービス、いろんな形の中でやっていこうということで取り組んできて、市内の企業で、いろいろとおもしろい、ユニークな――真ん中の太陽光発電なんていうのも、集合住宅であれば、今まで個人個人の賃貸の場合は、個人個人で太陽光発電を持つことができなかったんですけども、ここの真ん中の賃貸住宅は、実は個人個人が一つ一つこの太陽光発電の部分を受け持ってございます。一人一人で計算できるような形に制御されているというふうなこととか、いろんな知恵と工夫、生産プロセスの中に新しい環境という要素が加わっていく、そういった部分で、これまでもう既に市内企業で168件の認定がございます。こういった認定を通じて、ただ、いいものをつくっていく、それを広げていく、そういった部分は、ある意味では社会的な仕組みというものが必要なんだろうということの制度でございまして、今、一生懸命、いろんな中小企業も含めて頑張っております。
次の15ページであります。これ、私ども、まちづくりの視点という部分を基本にしてございます。低炭素社会づくりという部分は、ですね。その中の一つの取組として、八幡東田地区という取組がございます。もともとここは製鉄所の跡地でございます。皆で環境のまちづくりをやっていこうということで、2004年からスタートをいたしました。
まちづくりのコンセプトでございますけども、まず一つは、工場の跡地でございます。従って、隣には工場がございます。よく、今まで、従来で言うと、工場があるとやはり環境によくないということで、住工分離政策なんかをとったわけですけれども、今は逆でございまして、工場があるから、そのまちの環境はよくなるというようなスタンスの中でどんなことができるのかとか、それからもう一つ、まちという視点から捕まえると、いわゆる所有という概念から、共有の概念に、そういった所有から共有へという部分を、我々、このまちづくりの中で打ち出してございます。結果として、これまでどんなことができたのかということでありますけども、まさに工場とまちの関係で申し上げますと、ここは実は120haのエリアなんですけども、工場の中にコジェネ発電がございまして、33,000KWでございます。熱は工場で使います。そして電気は、この120haの民生で供給されています。このエリアは、このコジェネ発電ですべて賄われております。このコジェネ発電のエネルギー効率、熱と電気を合わせまして、総合で60%と、非常に高い効率を誇ってございまして、今この中にすべての電気のエリアの供給がされてございます。
また、みんなの水素、工場の中にある、実はコークスから出てくる複製水素、これがこの街中にパイプラインで張ってございます。燃料電池が、100KWの大型から1kwの家庭用まで含めて、そして水素住宅もこの中に建設されてございまして、まあ、水素社会というものもここの中で出てきている。工場の水素がまちなかで活用されるというような、ですね。
それから、共生マンションがいろいろと、30%以上のCO2カットの――現実には、本当にエネルギー効率、実際使ってみると、電気代が半分以下になったとか、ほとんどの方がおっしゃられますけども、そういったいろんな形の中での環境のまちづくりが進められてきたところであります。
次に16ページを見ていただけますでしょうか。環境に対するスペックは整ったというふうなところで、今度は、実は、じゃあ、そういったものを使いこなしていく、ツールを使いこなしていく社会。今度は、いわゆる受け側の人たちが主役のプレーヤーになってやっていくということでのスマートコミュニティ創造事業というのを、国からの指定をいただきました中から取り組んでございます。
ここの若干の肝を申し上げますと、右側に書いてございますように、「地域節電所」と書いてございます。もともと、その発電部分、供給部分ばかりが、一つは、よく述べられているんですけども、じゃあ、地域の力として、どういった形でそういったエネルギー対策というものが発揮できるんだろうというふうなところ、そういった力を引き出す。
それから、新エネルギーにしても、じゃあ、それを整備すれば最高のスペックが発揮できるかというと、そうではなくて、そこをうまく地域全体の中でバランスよく最適化していけば、新エネルギーなんかも最大限に生きていくわけであります。そんなところを制御しながら、そして、個々の部分についてはHEMS、BEMSなりの個々の部分最適もやっていく。また、工場についてもFEMSという形の中でやっていく。そして、個々とまち全体での全体最適、個々の部分最適と、そういったものを司るのがこの地域節電所であります。この地域節電所でもって、まさに、このまちのエネルギーマネジメントに対する力を引き出し、また、個々の取組というものを最大限に生かしていく、そういった仕組みというものをこのまちの中につくっていく。
さらに言えば、ここの中で出来上がった電気基盤、エネルギー基盤、そしてもう一つは通信基盤ですね。スマートグリッドでありますので。そういったものをうまく生かしていきながら、例えば「おでかけ交通」。まあ、本当に、老人の方が、例えば安全・安心の先ほど議論がございましたが、病院と、そういったものでオンデマンドの中で結んでいく。そして、安心できるような、ここの中に住んでおられる老人の方々が安心できるような環境をつくっていく。そういった付加価値を含めながらやっていくようなことも、今、取り組んでございます。
次に、17ページをお開けいただけますでしょうか。具体的に、全体目標としてどういったことなのかということを、ちょっと簡単に申し上げます。要は、そこの地域社会の需要家が、一番上に書いてございますように、エネルギーの単なるコンシューマーに留まらない、まさに生産消費者として、いわゆるプロシューマーへと変革するというふうな、そういった、まさにプレーヤーになっていくということであります。従いまして、デマンドサイドのセルフマネジメントを、ここのまちの中で実現すると。そのための仕掛けでございます。
次の18ページを見ていただけますでしょうか。
実は、もう既に、スマートメーターなりCEMSの開発は終わってございます。また、それに備わったような蓄電池なり、そういった部分の通信の部分も、もうすぐ終わります。11月から、実際にそういった機器の整備が、新エネルギーなんかは、もう既に整っているわけでございますけども、それを本当にまさにマネジメントしていく機器が11月から備えられ、来年の4月から実際に運用が開始されるわけであります。
特徴的なこととして、ダイナミックプライシングをやっていきます。当然、普通のいわゆる電力会社の中でやっておられるようなベーシックプライシングももちろんでございますが、前日に予報をやっていきながらやっていくデイリープライシング。また、その時々の状況の中で使いこなしていただくためのリアルタイムプライシング。こういったものをうまく本当に組み合わせていきながら、いわゆるデマンドサイドも本当にエネルギーマネジメントに参加していく仕組み。そしてまた、こういった形の中での新エネルギーなり分散型エネルギーというものが本当に生かされるような仕組みというものをつくっていくということでございます。
このダイナミックプライシングに関しましては、いわゆる個人戦であります。経済的にそれが得するとか、そういった部分でございます。ただ、それだけではなくて、このまちは、全体最適を目指してございますんで、そういったまちの中に対して個人が貢献するという部分がございます。それは団体戦でございまして、そういった部分の中では、エコポイントみたいなものを設けていきながら、インセンティブプログラムとして与えていく。そして、そういったものを、まちの中の、まちを育てる、まちの緑をつくっていったり、まちの共同の太陽光発電なり、そういった新エネルギーを導入したりとか、そういった部分の中に繋げていくみたいなコミュニティをつくり上げていく、そういったものに結びつけていくような仕掛けも、このまちの中でやっていくようにしてございます。
次のページでございます。19ページですね。これが今後のスケジュールということで、ご参照いただければなと。平成24年度から実証がスタートするということでございます。
20ページをおあけいただけますでしょうか。私ども、このスマートグリッドというのは、実はスマートコミュニティ構想というものは、何もハードを考えているわけではございません。どちらかというと、ソフトであります。主眼とすれば、まさに、コミュニティというものを、エネルギーというものを通していきながら、本当に再生していき、そして、その人たちの力というものを、どれだけのものがあるのかというものを示していくということでございました。そういった中で、今回の震災の関係で、私ども北九州市、釜石市との間に全面的にすべての面でバックアップをやってございます。この一環の中に、実は震災の復旧の部分についてはがれき対策、これに対して職員を派遣して計画から何からやってございますが、同時に、復興という部分を考えたときに、どういったまちづくりをやっていくのかという部分の中で、実は、釜石市の野田市長が、市民に対して本当に希望の灯火を示したいんだというふうなお話がございました。そういった中に、こういった例えば新エネルギーであったり、スマートグリッドというものをうまく基盤に置きながら、そして、釜石市の新しい産業、新しい暮らし、新しい交通というものを、どういうふうに皆に希望のあるような社会づくりをしていくのかという部分を、私ども一緒に考えさせていただいてございます。このために課長級の職員を一人派遣してございます。
我々は、実は、何だか支援のようなお話をしましたが、実は逆に私どものほうも学ばさせていただいてございます。お聞きしましたのは、本当に今回の震災のときに1カ月電気が通じなくて、住民の方が本当に暴動寸前だったそうです。もうこれ以上、電気が、エネルギーがないと、もうそれくらい逼迫していた状況だったと。それから、自分たちがそういった状況の中で、隣に工場があって、自家発電があって、それが融通できないという、その矛盾、社会的な矛盾という、ものはあるのにそこに融通できないという部分、それは実際にそうした被災に遭った方々の生の声であります。これは、私どもは、実はこれは震災地域だけの話ではないのだろうと思います。今からの本当にいろいろな問題が起こったときに、地域の問題として、エネルギー問題に真正面から向き合っていかなければいけないということを、私どもは釜石市から学ぶことができました。そういった意味では、地域としてのエネルギーの一定の自立と、すべてを担うわけにはいきません。しかしながら、再生可能エネルギーなり、そういったものをただつけるだけではなくて、一定のその自立という部分の中での位置づけであったり、それから、融通という部分の中での地域の中でどう支え合っていくのかという部分、これを地域として真剣に考えなければいけないというふうに学んでいったわけでございます。
また、釜石市のほうからは、コミュニティという部分、本当にこれがもう崩壊して、それをどう再生するかという部分が非常に一番大きな問題だと言っておられます。我々も、都市のコミュニティが崩壊してございます。本当に豊かな社会をつくっていくためには、この再生という部分は絶対に欠かせないと思ってございます。一緒になってコミュニティというもののあり方、これをスマートグリッドという部分の基盤をうまく使っていきながら、どんな形の中でやれるのとかいうことを考えていこうと思ってございます。
ちょっと話が長くなりましたので、あとは飛ばしますが、先ほど、やはり成長という部分や、国際的な分野の中では、我々は、日本全体もやっぱり成長戦略というものをちゃんとしっかり横に基軸に置かなければいけないということであります。北九州市、従前から環境国際協力は熱心にやってきてございました。その部分を、まさに今からはビジネス部分も含めたところの中でアジアに貢献していくという部分では、モデル都市の中で掲げたアジア低炭素化センターというものを昨年の6月に設置いたしました。
次のページ、23ページをおあけいただけますでしょうか。ここから、今、スマートコミュニティの中から、いろいろなソフトも含めて、ハードも含めて、いろいろまちづくりのいろんな要素が入ってきてございます。それから個々の企業の技術もそうであります。それから、水だったり、リサイクルであったり、そういった社会的なエネルギー、水、リサイクル、都市を構成する社会インフラ基盤、これが、まさに今からの環境ビジネスの中でパッケージ論として求められているところであります。しかし、残念ながら、そういったところの中での個々の対応はあっても、パッケージをまとめて提示するような機能というものは、私ども、日本にはないと思ってございます。そこをある意味ではうまくこういった自治体であったり、そういったところの機能という部分を我々の自治体間、都市と都市との間の中での繋がり、そういったものを通していった中で、そのまちをどうしていくのか、そういったコンセプト論から一緒になって協議し合っていきながら、そして、具体的なそういった設備というものを、都市のインフラをどう整備していくのか、それも順番づけをどうやっていくのか、そして、その中に技術をどう投入していくのか、そういったところの本当にまさに先頭に立ってやっていく機関として設けたところでございます。
具体的には、もう既に100を超えるプロジェクト、これはすべてがその濃淡はございます。インドネシアのスラバヤプロジェクトでございますけども、廃棄物に関しましては、非常にローテクではございますが、実はコンポスト、これがスラバヤ市のある意味では廃棄物の基幹、ベーシックなその廃棄物処理の対策になってございますし、また、今、インドネシア最大の工業団地をスラバヤは掲げてございますが、そこの再生のためにエネルギーをスマートグリッド化していきながらやっていく。これは東田のコジェネのあの仕組みというものを移転しようということで、具体的に向こうの国営のガス会社、電気会社も含めて、今、一つの会社づくりに向けて、SPCに向けて、今、協議を進めてございますし、また、水プロジェクトも、ここのスラバヤ市との間でやってございます。
それから、デリー・ムンバイに関しましては、これは、そこのカント総裁は北九州に非常に注目していただいてございまして、都市としてのコンセプトが非常に重要だと。そういった中にいろんな事業を落としていくんだという部分の中では、もうここの公団なり、地方、そういった政府関係者60人ほど研修に送り込んでいただきました。そういった中で、具体的にリサイクルとか、そういった部分は進んでいるわけでございますが、もっともっと大きなスキームの中で取り組んでいこうとしてございます。
また、中国でございますが、天津エコタウンなり、大連のエコタウン、また、曹妃甸プロジェクト、いろいろなところから全体のまちづくり全般に関してのスマートシティ、環境のまちづくりに対しての、本当にいろいろと一緒にやってくれということで、引き合いがたくさん来てございます。こういった全体のコンセプトをうまくまとめ上げていきながらやっていくということでございます。
以下、個別企業についての具体的なものは、数多くいろいろな形の中で紹介してございます。最後の31ページでございます。私どもが低炭素社会づくりの中で感じたことということでございますが、やはりまちづくりという視点、これは今まで取り組んでみて、間違っていなかったなという思いがございます。ただ、それに取り組んでいくためには、分野横断的なデザインが必要だろうなと。それぞれがデザインを持ち寄ってもだめであって、統合的なデザインというものをまちづくりの中に、低炭素という一つのキーワードの中でやっていく。そういったものをやっていくことが、単なるバブルではなくて、本当にサステナブルな低炭素社会づくりに繋がっていくのだろうなというふうなことです。
それから、もう一つ、価値観という意味では、やはり今現在は、それぞれの所有という部分が非常に強くなってきた社会じゃないかなと。一方で、共有という概念に立ってみると、意外とみんながお持ち寄り、みんなが差し出してくると支え合っていくという、意外と簡単にできる。できそうもないようなことが簡単にできることがたくさんあるということがあろうかと思います。必ずしも技術だけではないと思います。そういった社会への変革というものが本当に必要なんだろう。これはまちの話を私はやりましたが、日本全体の中でも都市と都市がそれぞれ共有し合って、どう支え合っていくのか。また、世界でも、それぞれの例えばアジア地域の国々と日本とが共有のフィールドを持って、そして、どうやって支え合っていくのかという部分のデザインというものも必要なんじゃないかなと。
それから、私ども環境局の職員、「おたく」と言われていましたけども、それが、実はやはりそれを進めていくためには、「お得」という経済的な側面を持たなきゃいけないと。楽しみながらも、そういう部分で、「おたく」から「お得」へというふうな合い言葉がございました。最近は、ここの「得」の字を変えるような議論が進んでございます。やはり社会としての品格として、まちとしての品格として、そこに住む人たちの品格として、「徳」のある社会というものをつくっていくという部分が必要なのではないだろうかというふうな、そういったところの中での進化論を、みんなの仲間と今やっているわけでございます。まさに、そういった中で、本当に地域の中から賢さを、もっともっといろんな賢さがあると思います。そういった賢さをどんどんと引き出して発揮していく。そうやっていくことがイノベーションを起こして、まさにグリーンイノベーションというものに繋がっていき、そして、新しい価値観であったり、文化ができていくのじゃないだろうかなと思います。ちょっと話が長くなってしまって、申しわけございませんでした。
西岡委員長
どうもありがとうございました。低炭素社会という言葉ばかりが走っていて、国のレベルではいろんなことが難しくてできないところ、こういうときに、都市、すなわち、市ぐらいの単位のほうが意思統一、それから、そういう地域の繋がり等々で、非常に前向きに取り組めるという話をあちこちで聞いております。村上委員のほうからコメントあるいはディスカッションをお願いします。
村上委員
コメントを一つぐらいと、質問を二つ、三つ。まず、北九州市さんは、環境モデルのプログラムでも、経産省のスマートグリッドの実証事業でも、常にトップランナーを走っていまして、今日ご紹介いただいたプログラムも、恐らく日本のベストプラクティスだろうと、間違いなくそうだと思っていまして、これが全国に広まれば、日本の低炭素化政策も随分進むだろうと思います。ずっと長年のご努力、大変敬意を表したいと思います。
質問でございますけど、これから再生可能エネルギーと分散型とか、いろいろ導入を図ると、今までの集中型から双方向型になって、松岡さんもおっしゃいましたけど、消費者の参加ということが非常に大事だと思うんですね。いわゆるプロシューマーですよね。この中で、今日も幾つか、デマンドレスポンスとか、ダイナミックプライシングとか、そういったもののご紹介がございましたけど、これは全国のあらゆる都市がやりたいと思うんですよ。だけど、できないんですね。どうして北九州はできたのか、その背景を簡単にご説明いただければありがたい。
松岡委員
実は、ダイナミックプライシングなりができる唯一の場所が、実験でも唯一の場所がここの八幡の東田地区というところでございます。というのが、実は特区制度、今回、総合特区制度が、明日、締め切りでございますけども、従来の特区制度の中で、実はこの東田の120haのエリアだけに関しまして、エネルギーの特定供給を認めていただいたという経緯がございます。認めていただくまでにはすごいハードルがございました。しかしながら、やはり隣に、先ほど、電気があるけど使えないというふうな話をしましたけども、隣にそういったものがあれば、うまく使いこなしていけば、そっちのほうが社会全体から見たら効率的じゃないかという部分の中では、まさに、例えば産業と民生との垣根を取っ払っていくと、いわゆるコジェネという部分も、意外と使える分野というのは、世の中、こういった分野だけじゃないんだと思うんですね。意外とあるんだろうなと思ってございます。ただ、しかし、ここは特殊解であります。ただ、そこの特殊解の中から、本当に何とか築きというか、そういったものが、工夫をしていけばこんなことができるんだという部分は、まさに、今後の規制緩和とか、また、知恵と工夫の中でやっていければ、広まっていけるじゃないかなと思ってございます。
村上委員
特定給付エリアを認めていただくのに大変ご苦労をされたというお話でございますが、これが日本に広がれば、これほど低炭素化という意味で大きな効果はないと思うわけで、是非そのノウハウも含めて、全国展開を心がけていただければありがたいと思います。
それから、震災の話で、釜石市と、今、一緒にやっておられるそうで、北九州市自身も非常に勉強になったと。そのときのキーポイントとしても、やっぱりいかに日本の社会に規制が多いかということかと思うのでございますけど、この釜石との連携で、そういうそばにある電気が使えないというような、そういう規制緩和の方向というのは、何かこれ以外にも出てきつつあるのでしょうか。
松岡委員
先ほど、本当に電力の融通の部分とか、こういうような部分があったんですけども、もう一つ、非常に印象的な言葉がございます。担当の方からお聞きしたときに、釜石市は、実は新エネルギーにも従来から一生懸命取り組んでございまして、風力発電で43,000KWという大規模な発電所を隣の遠野市さんと、あの有名な遠野物語のそこと一緒に持っているわけであります。じゃあ、そのつけた風力発電43,000KWというものが何だったんだろうということが、非常に私にとって印象的だったんです。今、本当に新エネルギーをどんどん地域の中で普及させようという言葉がされていますが、じゃあ、新エネルギーを普及したから、その地域にとって、それが何の意味合いがあったんだろうということですね。やはりそこの部分で、地域で新エネルギーを整備する。整備したものが、ある意味では地域の中で、うまく本当に地域のいろいろなコミュニティであったりとか、そんなところの中で本当に生かせるような、それから緊急電源対策であったりとか、そういった部分の中に生かせるような、いわゆるエネルギーの構造という部分、地域構造という部分、そこの構築というものが本当に重要だよねということは、私ども一緒にディスカッションした中で共通した部分がございました。それが具体的にどう規制緩和に繋がって、規制が当たるのかとか、そこら辺については、今後、やっぱり私どもの考えのデザインの中から見出していかなきゃいかんと思っていますけど。
村上委員
スマートグリッドのローカルグリッドみたいなものでございますね。最後に一つだけ、このアジアとの協力でございまして、国際協力も大変多くの自治体が唱えていますけど、北九州ほど実績が上がっているのはあまりないのじゃないかと思います。人材育成を含めて、なぜこんなにうまくいったか、その背景をご説明いただければありがたいと思います。
松岡委員
うまくいったというよりも、ある意味では、従来はやはりJICAさんを通じてなんかも含めて、やはり環境協力ベースであったという部分があるんだと思うんですね。一つは、本当にやっぱり協力ベースですから、いわゆる経済的にも、相手国にとっては非常に有利であるというところの中での魅力が協力ベースであったということがあります。
それから、北九州ならではという部分の中では、いわゆる現場サイドをうまく重視している。座学ではない、すべていろんな実は200以上の工場なり、いろいろな団体なりが、この研修なりを支えてきているということですね。そして、向こうに派遣するのも役人だけじゃなくて、いわゆる工場の実務者が向こうに行って、そして、向こうの直接そのニーズを聞きながら、一緒になって改善を考えていくという部分、そのあたりの信頼感という部分が一つの大きなポイント、だから、ある意味では、今から環境ビジネスという部分、一皮むけなきゃいけない部分があろうかと思います、協力ベースの中からですね。そこには我々も、今からまだまだ越えなければいけないハードルがあるんですけども、しかし、前提として、ビジネスに結びつける、海外ビジネスに結びつける前提の中では、相手の地方政府なり、そういったところと、こちらの日本の地方の都市なり、そこら辺の信頼感という部分、これはもの凄く大きなインパクトを与えるんじゃないだろうかなと。まさに、向こうから、我々、いろいろな都市から求められているのはまちづくりの全体のデザインなんです。環境対策の専門家だけではできないんです。これは本当に都市計画であったり、それから下水道の水の関係者であったり、そういったものがまち全体の中で、環境というコンセプトの中で、どういったスマートなまちづくりをやっていくのか。それを相手の都市の実情の中から、どういうプライオリティーをつけていきながらやっていくのか。そういったところがきめ細かくできるという部分が、一つの我々の取組の特徴だと思います。
村上委員
ありがとうございました。
西岡委員長
ありがとうございました。さまざまな苦労もなさったし、あるいは、長いこれまでの経験と積み重ねがあったということだと思います。いかがでしょうか、皆さんのほうから。大聖委員。
大聖委員
私どもも北九州市にキャンパスがありまして、時々お邪魔しているんですけども、その先進的ないろんな取組に敬意を表したいと思います。
そこで、こういった先進的な取組を水平展開する力というのでしょうか、これがこれから求められるんじゃないかなと思います。こういう場で、私、何度も申し上げているのですけど、いろいろな国の事業とか、自治体がやっているいろいろな事業があるんですけども、それをやっぱりいいところを全国に適したところに展開できる力というのですか、そういうものが、これから、我々、実証実験が事業では問われているのではないかなと思いますので、その辺のアピールを是非積極的にやっていただきたいのと、あと、他地域とか諸外国に展開したときのコントリビューションの評価のあり方、どんな具体的な貢献があったのか。それは、できれば数量的な表示のやり方で表せるといいなというふうに思っておりますので、これは国のサポートも必要だと思いますけれども、是非その辺をお願いしたいと思います。
松岡委員
まず、アピールをという部分で、実は一番苦手なところでございまして、本当にみんなが一生懸命頑張っているのに、特に企業さんとか、そういったところがうまく表現できていないという部分がございまして、まさに、今日みたいな場を与えていただいて、ありがとうございます。ただ、私ども、何がアピールしたいのかという部分は、よくあるのが、こういったことができました、すごいでしょうというのは自治体はよくやるんですね。しかし、私どもが一番伝えたいのは、地域によって、また、各国の都市によって、バックグラウンドはすべて違うはずなんです。それを金太郎飴のようにこうしなさいということをやっていっても、きっとうまくいかないだろうなと思っています。我々が伝えたいのは、やはりまちづくり、そういった中に、どういったプロセスの中にどういった人たちが参加して、どういった議論をしていきながら、そして、どういったコミュニケーションの中で、そういったものが出来上がったときにこういった形ができたんだというふうな、そのプロセスを実は伝えていきたいと思ってございます。バックグラウンドが違えば、そのプロセスを経れば、いろいろな形で、いろいろな場所で、違った形の中で別の低炭素社会ができるんだろうと思います。例えば森林資源が豊かなところはそれをベースにしながら、しかし、根本のベーシックなところの考え方は統一さえすれば、いろいろな形の中で私どもの取組の中での失敗も含めて、共有化していただきながらやっていく。そういったところの部分をしっかりと伝えていくのが、一つの私どもの役割なんだろうなと思ってございます。
それから、世界に対して、いろいろな都市での貢献の部分ということでございますが、実は経産省さんなり、環境省さんなりのいろいろな中で、どれぐらい貢献しているんだという部分の中では、実は、例えば26ページであったり、それから環境省さんで言うと28ページ、新メカニズムの実現可能性とか、そういった国際分野での取組をどう評価していくのかという部分の一つのFS(フィージビリティ)の中でやらせていただいてございます。しかし、一つ、ここで訴えたいのが、産業界の取組として、低炭素の中での生産プロセスの中でも、先ほどご紹介したように、一生懸命やっているところがございます。しかしながら、つくった製品が、それが本当に世界の例えばインバーターであったり、それから電磁鋼板であったり、これがなければ世界全体の中でどれだけCO2がさらに増えているのかという部分、そういった製品に対するCO2の削減に対する評価という部分、物に対する、削減する部分だけじゃなくて、その製品がどれだけ貢献しているのかという部分、そのあたりについて、一つは正しく評価していただければ、ある意味では、一番私ども申し上げましたように、産業都市であるがゆえにCO2が非常に排出量が高い。その数字だけ見て評価される部分、その中で本当に産業都市としてサステナブルなんだろうかという部分がございます。そのあたりの一つの評価指標というものが欲しいなというふうな気持ちはあるということをちょっと余計ですけども。ありがとうございました。
大塚委員
先ほど、スライドの15との関係で、所有から共有というお話をしてくださって、共有にすれば、今までできないと思っていたようなことができるとおっしゃってくださったのですが、ちょっと法的な問題とも関係するものですから、具体的にどういうことがあるのかとか、それを実現する上で法的に何か難しいような問題があったかどうかというあたりをちょっと教えていただけると、ありがたいのですが。
西岡委員長
大分手が挙がってきましたので、ちょっと短目にしていきたいと思います、どうぞ。
松岡委員
所有から共有の具体的なおもしろい例を申し上げますと、実はこの東田の中で、レンタルシェアリングとか、カーシェアリングをやってございます。東京ではカーシェアリングなんていうのも成り立つのですが、地方の中では、ほとんどが実は本当に大きなシステムの中でやっていくという部分は、実は経済的に無理なんです、NPOなんかがやっていくためには。一人で一気通貫でやっていくためにはですね。じゃあ、その中で、共有の中で、ここの皆がこのカーシェアリングを使おうと、レンタルシェアリングを使おうという約束事をみんな共有化の中でやっていく。そして、毎日の点検整備、これをやっていったりしたら、そのNPOなんてもちませんから、実は、この域内のタクシー会社が毎日点検をやっていく。そのまちにはいろんな機能があるはずなんですね。そこを、できない部分をみんなが補い合っていけば、実は経済的に成り立たないカーシェアリングも、ここの中では成り立っているという部分がございます。
ただ、規制緩和の部分で申し上げますと、実は、カーシェアリングをやろうとしたときに、有人、無人の部分がございました。いわゆるカーシェアリング事業の無人、有人でなければならないという部分、そこは本当に陸運局のご理解をいただきまして、いわゆる監視カメラ、そういった中での遠隔操作の中で認めていただくということで、粘り強くやっていきまして、ご了解を得ているというところがございます。
千葉委員
非常に先進的なお取組のご紹介をありがとうございました。非常に敬意を表したいと思います。
私も、八幡東田地区の取組について非常に興味がございます。やはり今後、エネルギーとか、電気の有効利用を図っていくとすると、やっぱり双方向での取組というのが非常にキーワードになってくると考えていまして、その上では、そういう意味で価格インセンティブなどもつけていくということは重要だろうと思っているのですけれども、この八幡東田地区の事例ができている理由というか、電子法上のどの枠組みかなというふうに思いましたら、先ほど村上先生のご回答で、特定共有の枠組みでされたと。そういたしますと、特に18ページのスライドのところを見ながら教えていただければと思いますが、周波数のマネジメントとかはどこの部門がやることになるのか。このCEMSと書いているところがやることになるのか。また、プライシングルールでダイナミックとかベーシックとかありますけれども、プライシングで行うのは、このCEMSと書かれている節電所が電力供給者的に行うものなのか、その辺をちょっと教えていただければありがたいなと思います。
松岡委員
基本的には、CEMSでもって、いわゆるその系統との繋がりの部分の責任という部分は行うということであります。ただ、そのときに、単なる繋がりの中で、みんなの調整だけでできるわけはございません。従って、そこのバッファーとして地域の分散型電源の中で、33,000KWのコジェネレーション発電がございます。そういったものをうまく使っていきながら、負荷追従なり、そういった形でやっていくと。実は、ここの一つのおもしろさというのは、単なるこのエリアの中でエネルギーを使いこなすだけではなくて、系統と新エネルギーとの共存という部分の解決策を見出していきたいと思っているんです。どんどんつけていけば系統の中にいろんなインパクトを与えていく。その部分については、地域の中で、つけていく部分については、一定限の部分はそこら辺の非常に平らにしていくという部分の責任も地域の中で持っていく。そうすることによって、系統に対する影響という部分を最小限にやっていこうというふうな、そんな思想の中でこの取組をやってございます。
千葉委員
ありがとうございました。
渡邊委員
ありがとうございます。お聞きして、ありとあらゆる取組をされているということで、本当に敬服しております。1点お教えいただきたい。2ページに排出量の表があり、一番右に90年度比の数字が書いてございます。特徴的なのが、そのエネルギー転換部門が3割減って、工業プロセスが4割減っている。それに加えて業務部門が、逆に96%増えていること。これについて何か分析をされているのかどうかということと、エネルギー転換部門の排出量は直接排出なのか、間接排出かというところ、もしわかれば教えていただきたいと思います。
松岡委員
まず、地域のこういったCO2を出すことが、本当に果たして今の段階の中で意味があるのかどうかというところについては、正直言って疑問がございます。というのが、どんどん数字の大きさが違います。業務部門に関してが倍になっているという部分です。これは意味がございまして、いわゆる大型商業施設が郊外にどんどんと出来てきているという、もうそれ以外の何物でもありません。面積が倍になったという、商業施設がなったということでございます。
それから、エネルギー転換部門とか、工業プロセスの部分の大きな変化でございますが、要は、一つの工場がなくなっちゃえば、そこの中でぼこんと減っちゃうわけですね。そういった要因というものがそのままやっていく。
それから、産業部門も上がり下がりがございます。景気の変動の中で、例えばそのリーマンショックのときは落ちて、そして、その次のは回復の時期の高くなってくる素材の部分であるとか、実はここの部門の上がり下がりという部分は、もうみんなの努力というものは、実は数字から消えちゃって、もう経済の中での変動の中で、もうこの上がった下がったと。それをもって、私ども、地方議会の中でもどうなんだなんて言われて、あまり正直言えば、まだまだここの数字の取り扱い、特に地域に関しての数字の取り扱いという部分は、やっぱり一定の対策の取組という部門が落ちついた中でそういったものを評価していく、もしくは、対策における削減量を見ていくとか、そういった部分の中でやっていくべきなのかなというふうな気持ちがございます。
藤野委員
どうもありがとうございました。やっぱり自分たちでまちをつくっていくんだというところへの取組をされているというところがとてもいいなと思いました。
3日前、9月26日にダッカに行きまして、そちらのほうで一緒に研究グループで低炭素シナリオをつくった京大の学生さんがいたので、様子を見に行きましたけれども、本当に非常に混沌としていて、もう自動車で街は溢れ返っていて、ただし、超縦割りな行政機関があるようで、そのご指摘のような分野を横断するような形での対策というのがなかなかとれないということを、皆、歯がゆく思いながら、ちょっと諦めつつあるところに対して、やはり希望の光を示すということが大事かなと思います。そのときに、先ほど藤井委員から、その風土に根ざしたというのはちょっと強過ぎるのじゃないかということで、でも、風土を配慮したとか、地域に風とか、その地域の特性をよく理解しないまま、街をつくるということは、例えば東京も昔は江戸城の周りに水路があって、それがちょうど微妙な高低差をうまく使いながら、水が流れるように水路を実はつくっていたんですけれども、エネルギーを使えるということで、その水路をふさいだりとか、水のよどみというものを生み出すことで、その周りの環境が悪くなったりとか、そういったこと、自然をあまり理解しないまま、エネルギーを使うことで人工的に変えられますけれども、それは後で、例えば今回、津波で流されたところも昔から流されることを何回か経験していて、そこをさらに人工の力で住めるようにしたりとか、そういったこともちょっと見ながら、やはり歴史をよく見ながら、風土をよく見ながら、そこの力を借りて、何かできることというのはやはり考えていく必要があるかなと思います。
エネルギーの話ですけれども、9月14日にエネルギー資源学会でけいはんなに見学に行きまして、そのときに京エコハウスというところを見させていただいたんですけれども、そこで京都大学の松山隆司先生という方がエネルギーの情報化というのをやられていて、スマートタップみたいなのをやられて、それで電力のシーリング、カラーリングもやられたりとか、そういったものは北九州でどういうふうにやられるのかということと、あともう一つ、そういいながら、皆さんの満足度というか、そのコミュニティがやはり厳しくなっているというところに対して、どういうふうに皆さんの満足度をはかったりとか、それを高めようとされているとか、そこら辺にヒントをいただけたらと思います。以上です。
松岡委員
松山先生のほうからは、実は北九州もカラーリングやってくれないかという話、実はあったんですよ。なかなか、しかし、そこの部分に技術的なプロセスを入れるというのは、まだほかにもっと大事なところがあるんじゃないかということで、ただ、一つの課題として、カラーリングの部分というのは、別な形で私は見せられると思うんですね。ストレートではなくても、間接的に結果として、実はカラーリングとしては、皆さん方、この街はこれだけの新エネを使いました、使いこなしましたとか、あなたはこれだけのものを購入していただきましたとかいう部分の中での、結果としてのカラーリングはやっていくつもりですけども、ストレートにリアルタイムの中でという部分の中では、実はまだ今後の課題であります。
それから、満足度に関しましては、昨日も、実はそこの住民の方々のマンションの組合の集会があって、私ども、いつも参加してございます。そんな中で、実はコミュニティが再生してきているんです。真ん中にみんなが集まるエコハウスというのがあって、企業の方々とかがいつも集まっていたんですけど、最近、水素ハウスというのができて、そこに企業の方々が住んでおられるんです、社宅で使って。そこでみんな、最近、ベビーブームで、みんな子ども連れでそこに集まってきたりとか、マンションが200何十戸あるんですけども、そこの住民の方々もそこにみんな集まってくるようになって、昨日も一緒に真ん中で、企業の方、それから住民の方とか、NPOとかが一緒にピザ釜でピザ大会をやったりとか、そこの中でもコミュニティが再生してきている。
実は、今回の一番大事なのは、我々は需要家の本当に満足度だと思っています。私どもは、いわゆる科学的なそのデータという部分をとってやっていくということも大事ですけども、じゃあ、それを受けての需要家がそれをどう評価して、そして、どう感じていくのか。ただ、それはよかった、よくなかっただけじゃなくて、自分たちの責任として今から何をすべきなのか、参加という部分がどういった意味を持って、どんな形の中で発揮すべきなのか、そういったことも含めていろいろ多方面から、我々はアンケートだけではなくて、実際に普段からのつき合いの中から感じ取ったりとか、そういったものの中から吸い上げていきたいなと思っています。
藤井委員
ありがとうございます。私がお聞きしたいのは、結局、こういう取組を行った費用対効果のところの分析なんです。例えば、コジェネにした結果によるコストアップか、あるいは、効果はどうだったか、そういった分析を全体的にされているのかどうか。もしされているようでしたらお教え願いたいのと、そのうち、特に9ページのところの北九州環境産業融資、これは市の融資だと思うのです。つまり、この全体のプロジェクトにそれ以外の民間の資金がどう入ってきているのか。この産業融資にプラスして、この一種の市とのシンディケーションかいうか、あるいは、この制度融資を含めて民間のお金も入ってきていると思います。市の予算及び国からの補助金等だけでこういうものを回していけるとは思えない。今後、この事業をさらに長く展開していく場合、資金面をどう確保していくのか。それと同様に、国際的な取組の場合も、事業体と連合してやっておられるわけですが、その場合に、例えば一番最後のカンボジアのシェムリアップの件などで1,400万円の受注した場合、市はどのような収益を得るのか。事業主体から得るのか、向こうの市の方から得るのか、その辺を教えてください。お金のことばかり聞いて恐縮なのですが、非常に気になるもので、教えてください。
西岡委員長
お願いします。
松岡委員
まず、東田のコジェネでございますけども、もともと費用対効果が成り立つからコジェネをやったという経緯がございます。だから、成り立つような場所を探していくと。無理して成り立たないところに同じようなことをやるという必要はないんだろうなと思ってございます。
スマートグリッドの実際の、じゃあ、そこの中での電気料金という部分は、実は住んでおられる方々の費用対効果から見ると、実は半額以下になってございます。電気料金がですね。もう既にエネルギー自体が5%安い料金の中で供給しているわけでございますが、さらに言えば、そこの中での仕掛けとして、いろんな仕掛けがございますので、結果として、以前住んでいるときよりも電気料金が半分になったということを皆さんおっしゃられてございます。
それから、経済的な部分の中での支援ということでの低利の部分でございます。実は、これ、民間の銀行サイドの方が本当にすごく頑張って出してくれた数字でございます。私どもの市のほうが、そこの中で1%なり、そういったものを補填しているのかというと、そういうわけではございません。これはあくまでも本当に民間の企業団の中から出していただいた数字です。民間の銀行団がそういった形で市と協調融資の中でこんな形でやっていただく。これに関しましても、もう半年ぐらい議論を重ねていきながら、銀行の今後のグリーンボンドのあり方の中で、どういう方向に持っていくべきかという結論がこういった形になったわけであります。
それから、国際的な取組のための市の収益ということでございますが、基本的には、先ほどの1,400万円の部分、基本設計とか、そういったソフト部分に関しましては、実はリスクはないんですね。そういった部分の中ではいいのですが、じゃあ、実際に物件を受注したとき、そういったもののコンソーシアムの中で市はどんな振る舞いを収益なりに関してやっていくのかという部分、当面の間は、実は、今、日本の企業の中では、非常にいわゆるリスク回避という部分の中からは、正直申し上げて、海外プロジェクトに対して、表面は最初はやる気満々なんですが、実際にプロジェクトになってくると、すぐに首を引っ込めちゃうところがございます。現実にいろんなカントリーリスクであったり、為替リスクであったりとか、いろんな部分があるんですけども、そこの間の部分の不安を取り除くための自治体間の政府同士の中での信用とか、そういった部分を一つは培っていく安心できるような環境をやっていく。それから、もう一つは、これだけでは、なかなか民間だけでは持たない部分があるので、いわゆる政策投資銀行なり、いろんな日本の政府系の金融機関、そういった部分の中での出資とか、そういった部分をやはり働きかけていく、いわゆる一つのプロジェクトとして、私どもはJBICさんあたりと提携しているんです。そういった部分の中では、こういったビジネス展開をJBICさんと北九州市は提携して、そういった仕組みをつくってやっていこうということでやってございますけども、そんなふうなリスク回避策としての一つの我々の役割というものがあるのだろうと思っています。
さらに、もう一歩進んでいけば、私どもは、今、日本全体の中で、海外プロジェクトを展開する上での本当に大きな個々の企業としてはあっても、プロジェクト体としての部分というのはないんだと思っています。アジア低炭素化センターという部分が、今後、どういったその形態をとって発展していくのかという部分、このあたりの一つの方向性としては、いわゆる我々はX社と呼んでいるのですけども、一つの新しい機能として収益が得られるような、そういった部分の形もあるんじゃないだろうか。しかし、そのときに、じゃあ、今の自治体としてのあり方の収益という部分がどういった形で入ってくるのか、それが住民に対してどういうふうに、ある意味ではリスクを背負っている部分とか、それから収益が入る部分、そこの部分というものをどういうふうに考えていくのだろうかとか、そのあたりは、今、並行しながら、こういった事業を展開していきながら、走りながら考えているといった状況であります。
伴委員
北九州の先進的な動きには非常に感銘を受けます。特にエコタウンの話が先ほど出ましたけど、僕はエコタウンを知ったのは、中国とこの問題について一緒に研究しているのですが、中国人の方から北九州でこういうことをしているのを知らないのかと言われたぐらい、非常に海外でも知られている。少なくとも中国では非常に北九州の動きというのはよく知られているという点では、実績を積まれているということを私自身もよくわかっています。
それから、中国との絡みでいけば、ある意味でのお墨つき的な役割を担うものがやはり必要でして、民間企業同士だけではうまくいかないという点がありますので、まさに、北九州のやり方というのは、一つの方向を示しているのではないかと思っておりますし、日中間の政府間レベルでも、やはり同等のことを考えていったほうがいいのではないかと思っています。
そうしたときに、先ほど藤井委員もおっしゃったのですが、結局、中国にとって日本の何が必要かというと、シャープの太陽光が欲しいわけでもないし、三菱電機の風力発電が欲しいわけでもない。そんなのはうちのほうで安く生産できるから。だけど、問題は、それをどういう形で組み立てて、パッケージというのか、システムとしてするか。そうしたときに、やはり日本のノウハウというのはまだ役に立つと思うので、それをどういう形で協力関係の中に組み込むかが必要だというのが彼らの言い分で、私自身も同感だと思っています。そういう点で、今日の議題にありました国際的な競争力といったときには、まさに、藤井委員がおっしゃったような、パッケージあるいはシステムとしての日本の優位性というところに視点を置き、一つ一つの財ではなくて、そういうものをどういう形でシステムとしてまとめていくかが、今問われているというに考えて、ちょうど今、彼らとそれを一緒にやろうとしていますので、ここでも何らかのご報告ができたらと思っています。
ただ、私の質問は別でありました。さっきの渡邊委員がもう既におっしゃっているのですが、この2ページの温室効果ガスの排出量の算定ですが、これはマニュアルどおりにされているかどうかということをお聞きしたいわけですね。例えば家庭部門でいけば、電気に九州電力の排出係数を掛ければ高くなるのは当たり前なのですが、でも、今お話を聞くと、まさにいろんな形での自分ところでも電気をつくり、あるいは、いろんな形でやっていますので、それは九州電力の排出係数を使ってはとてもできない話です。それから、先ほどの36万トンの削減とか、あるいはコークスの問題も含めたときに、個別の企業の努力、あるいは北九州市の努力というものが、すなわち、ここでご報告された活動の成果が、表の2の中に入っているかどうかをお聞きしたいのですが、いかがでしょうか。
松岡委員
マニュアルに沿った形で、これは数字を出してございます。マニュアルに沿っていけば、またちょっと環境省さんがいらっしゃって、申しわけないのですけども、マニュアルが変わって数字が変わったりとか、前年、数年前の数字が変わったりとか、そういったところで非常に難儀しているところがございます。結論から言えば、ここに出てくる数字が、今、我々の取組の数字という形の中で、取組が反映されているかというと、反映してございません。また当面の間は、別の形の帳票の中でのその取組の成果という部分の取りまとめが、私は必要なんだろうなと思ってございます。究極は、本当にこういった結論、ここの数字と、実は政策というものがリンクしてきたときが、まさに本当に低炭素社会に向けた社会ができつつある状況なんだろうなと思っています。残念ながら、今はみんなの努力も一瞬の経済の変動によってぶっ飛んでしまうという、そういった現実があります。早くここの数字が、全体の数字と取組の数字が本当にリンクする社会に繋げていくことを願っています。
冨田委員
ありがとうございます。非常に幅広い取組をされていらっしゃることに、まずもって敬意を表したいと思います。特に八幡東田地区の取組についてでございますけれども、電気のみならず、熱、それから水素という、まさにその地域の特徴を生かしたシステムを組み上げていらっしゃいます。こういう地域の取組をするときには、当然そのステークホルダーが多くなって、その意見を取り纏めるというのが非常に大事であり、難しくなってくるということをよく感じるわけでございますけれども、お話の端々に自治体である北九州市さんのリーダーシップというのを感じました。
こういう取組を各地で横展開することを考えたときに、地域それぞれ特徴があるので、そのまま同じことができるわけではもちろんないのですが、いろんな面で役割を担わなくてはいけないのは、今度は国ということになろうかと思います。幾つも多分おっしゃりたいことがおありになるのではないかと思いますが、これだけは是非、国のほうでも考えていただくと取組が進むのにというところがありましたら、教えていただければと思います。
松岡委員
ステークホルダーという考えでは、実は、ここ、八幡東田をやっているときのステークホルダーは、みんな、最初のプランニングの段階から、行政だけではなくて、誰かが絵を描いて、みんなが実行しているのではなくて、みんなで絵を描いたという経緯があります。そういう面では、グランドデザインはみんなが共有化をしたことが、ある意味では、今の姿が成り立っているということがあると思います。
国に対するという部分で、ずばり申し上げますと、ここの、私ども東田は、まちづくりということを申し上げました。今から本当にまちづくりをやっていく上では、そこの社会的なインフラが必要です。それについては国土交通省さんがいらっしゃいます。それから、そこの中にエネルギー基盤をつくっていくという部分の中では経済産業省さんがいらっしゃいます。それから、そこの上のみんなで使いこなしていくという部分の中では環境省さんがいらっしゃると。また、そういったところの中での通信という部分の中では総務省さんがいらっしゃると。実は、まちというものは、そういった国の省庁の縦割りででき上がっているわけではなくて、そういった複合体の中ででき上がっているわけであります。一つが偏っても全然それはまちではなくて、ある意味では特殊な部分であるというふうに私ども理解してございます。従って、こういったデザインをやっていく上での本当に各省庁が政策を統合化していくという部分、これを是非ともお願いしたいなと思ってございます。
悪い例を申し上げますと、実は通信に関して言えば、総務省さんの予算の中でやってきたときに、同じ東田でこういうグリッドの世界の中でやるんだからということで、ここで本当に組み合わせてやろうとしたら、それはできないんだということで、ここのエリア以外のところを通信関係で、実はスマートグリッド関係の調査をやったと。こんなにもったいないことはないんですね。みんな一つのベクトルの中で重ね合わせていく、フェーズを重ね合わせていく。それによってまちができるんだというふうなところ、そういった部分も、一つ場を持っていただければ非常にありがたいなと思ってございます。
西岡委員長
どうも最後のところで時間切れになって、もっと言いたいことがたくさんある方、杉山委員。
杉山委員
手短に、まずは本当にありがとうございました。今後のこの小委員会を進めていく中でも、ヒントどころか、もの凄く方向観にも関わってくるような、非常に重要な中身を紹介していただいたなというふうに受け止めています。その上で、2点質問をさせてください。
一つは、1ページの最初のところに温室効果ガスの排出量ということで表があるのですが、私は、今回のこのプロジェクトをやる中で、経済効果はしかりなんですけれども、雇用がどのぐらい生まれて、それがどのぐらいの見込みが出ているのか、相当なものが生まれているんじゃないかというふうに推察するわけですけれども、是非その辺がおわかりになれば教えてほしいというのが1点、もう1点が、18ページのところに出てきますけれども、インセンティブプログラム、このインセンティブプログラムを持続可能的に回していくためには、財源をどのように手配してくるかというのが非常に大きいポイントになってくると思うのですが、ここの財源をどういうふうな手配をしているのか、是非教えていただきたいと思います。以上です。
松岡委員
まず、雇用の部分でございますが、実は課題であります。私どもも、単にエコ産業をやったりとか、そのエコビジネスの中でのコミュニティビジネスをやったりとかいう部分というものをつくり上げていかないと、サステナブルじゃないと思ってございます。そういった面では、そこの分析という部分をしっかりと今からやっていかなければいけないのだろうと思いますし、既に今までやってきたところの、企業内でやっておられる部分であるとか、エコタウンでの部分はありますけども、そういったところを総合的にやっぱりしっかりと精査していく必要という部分が、今後、我々の取組自体の評価に対しても非常に重要な部分だと思いますので、今のご指摘をしっかりと受け止めて、頑張ってそこの整理はやっていきたいと思っています。
それから、エコポイントの関係でございますが、財源をどのようにという部分でございます。実は、東田地区は、既に1,000人参加で、周りの周辺住民の学校のみんなが、商店街とかが参加したところの中で、実証的にやった経験がございまして、そこの中で、例えばノーレッジの部分の中でのエコポイント、それはそういったスーパーなんかが拠出していきながら、既に財源が回っているという部分がございます。同じような形の中で、例えば太陽光とかをみんなでつくっていくという部分の中での、今、検証をやってございまして、それが成り立つのかどうかという部分、それは基本的には、特段最終的には、いわゆる補助とかそういったものに頼らない、自立的に回っていくような仕組みという部分、そんなものをやっていければなと思ってございます。例えば、みんながこのエリアの中で電気の部分を工夫することによって、全体最適の中からこれだけのメリットが出たと。利益が出たと。そういった部分を財源に、それをみんなに料金だけにはね返させるのではなくて、このまち全体のこういったエコポイントシステムの中に一部を拠出するとか、そういったような考え方とか、いろんなパターンがあって、今、そのあたりがどのパターンがいいのかということをみんなで話し合っているところです。
西岡委員長
皆さん、活発な質疑、どうもありがとうございました。最初のヒアリングとして方向が見えた、希望的方向がいろいろ見えてきたと思います。いろんな日本型のグッドプラクティスでございますが、これをどう水平展開するか。最近、国際的にも、こういうナレッジシェアリングという言葉がよく出てきているのですけれども、要するに、今までテクノロジートランスファーとかを言っていましたけれども、そういうことより、もう一つ、ソフトで我々が共有するとやれるものがいっぱいあるなというのが、世界的にもそういう方向にあるかと思います。本当にどうもありがとうございました。
それでは、議題の2になりますけども、終わりまして、今後のスケジュールの説明を願います。
低炭素社会推進室長
今後のスケジュールでございますが、資料4でございます。中ほど下でございますけれども、次回、第4回目が10月27日でございまして、関係者からのヒアリングなどということを予定しております。また順次、小委員会の開催を予定しておりますので、日程調整をさせていただければと思います。その下、括弧書きで書いてございますけれども、地球環境部会の動きでございますが、来年、環境基本計画の改定作業が行われるということでございまして、それに向けて、温暖化部分につきましては、地球環境部会のほうが中間取りまとめを行い、総合政策部会のほうに報告をするということが、11月から12月にかけての作業として予定がされております。また、年度を改めますと、この取りまとめをいただくということでございます。
また、小委員会の検討状況につきましては、順次、委員長、また、事務局のほうから地球部会のほうに報告をさせていただきたいというふうに考えております。スケジュールは以上でございます。
西岡委員長
何かご質問はございますか。また、順次、何回もやらせていただきますので、よろしくお願いいたします。それでは、今日の議事は、私の方からはこれでおしまいですが、事務局の方より。
地球温暖化対策課長
それでは、事務局の方から事務的なお知らせでございますが、資料にありましたように、次回日程、10月27日でございますが、場所等、詳細につきまして、追って事務局からご連絡をさしあげたいと思います。また、本日の議事録につきましては、事務局で取りまとめまして、ご確認をいただきました後にホームページに掲載をさせていただく予定でございます。以上でございます。よろしくお願いします。
西岡委員長
本日はこれで散会にいたします。どうも皆さん、ありがとうございました。
午後4時03分 閉会