中長期ロードマップ小委員会(第15回)議事録

日時

平成22年10月29日 9:02~11:51

場所

東海大学校友会館 望星の間

議事内容

  1. 1.開会
  2. 2.議題
    1. (1)中長期ロードマップに係る経済影響分析について
    2. (2)その他
  3. 3.閉会

配付資料

資料1 中長期ロードマップに係る経済影響分析について
資料2 経済モデル分析について(1)増井委員提出資料
資料3 経済モデル分析について(2)伴委員提出資料
参考資料1 中期目標の達成に伴う社会・経済への効果・影響について
参考資料2 中長期ロードマップに係る経済分析について

午前9時02分 開会

○地球温暖化対策課長 おはようございます。若干、遅れていらっしゃる委員がおられますけれども、定刻を過ぎましたので、ただいまから中央環境審議会地球環境部会中長期ロードマップ小委員会の第15回の会合を開始させていただきます。
 本日は、まず中長期ロードマップに係る経済影響分析ということで、事務局より、増井委員、それから伴委員にお願いしておりました経済影響分析の概要について両委員からご説明をいただくことになってございます。
 お願いした分析の内容についてまず事務局から説明いたしまして、あと両委員からその結果についてご報告いただき、委員の皆様からご意見・ご質問いただきたいと思っております。
 本日、テーブルにお席を用意している中で、追加的に大塚委員と屋井委員につきましては欠席というご連絡をいただきました。あと、杉山委員と藤野委員はちょっと遅れていらっしゃるということでございます。
 なお、笹之内委員につきましてはご欠席ということで、本日、トヨタ自動車株式会社環境部担当部長の大野様に説明員としてご出席いただいております。また、加えて大聖委員の代理として自動車ワーキングから草鹿先生にもご出席をいただいております。
 では、以後の進行につきましては西岡先生のほうにお願いを申し上げます。

○西岡委員長 おはようございます。
 それでは、開会させていただきます。
 まず、例によりまして資料の確認をお願いします。

○地球温暖化対策課長 それでは、資料でございますけれども、議事次第の後、まず資料1といたしまして、「中長期ロードマップに係る経済影響分析について」というのがございます。資料2がモデルの結果ということで国立環境研究所増井委員のご説明資料でございます。資料3といたしまして、中長期ロードマップ経済試算、伴委員のご説明資料でございます。
 それから、参考資料が2つございます。参考資料1が、これらは以前のロードマップ小委員会で配付したものと同じでございますけれども、参考資料の1として社会・経済への効果・影響について、参考資料2として中長期ロードマップに係る経済分析についてということで、傍聴者の皆様には1と2をまとめて1つにとじておりますのでよろしくお願い申し上げます。
 以上でございます。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 資料は整っているかと思いますので進めさせていただきます。
 今日の議事でございますけれども、議事次第にございますように、今日は中長期ロードマップに係る経済影響分析についてということでこの会合を全部使いたいと思っております。
 これまで各ワーキンググループからの中間報告をいただきまして、その中間報告の数字に基づいてどれだけ削減できるかといった報告が先回あったわけであります。それがどういう経済影響等々もたらすかということで今日の会合になっております。
 今日は、お二方にお願いしておりますけれども、お二方のご説明を続けていただきまして、その後、ほぼ半分の時間を皆さんからのご意見に費やしたいという具合に考えております。
 よろしくお願いいたします。
 それでは最初に、資料1の中長期ロードマップに係る経済影響分析についてというのがございますが、これはどういう枠組みで検討してもらったかといったことでございますけれども、これは事務局のほうからのご説明をまずお願いしたいと思います。

○低炭素社会推進室長 それでは、資料1をご覧いただきたいと思います。
 おめくりいただきまして2ページ目でございますけれども、中長期ロードマップ小委員会でこれまで行ってきました経済影響分析についての検討状況をまずまとめてございます。今年の3月に環境大臣試案ということで公表させていただいたものをたたき台として、4月にこの小委員会が発足し、これまで議論を続けてきていただいたところでございます。
 まず、5月から6月につきましては、各関係団体、関係者からヒアリングを行いまして経済モデル分析に関しますご意見を聴取したという経緯がまずあります。それをもとにいたしまして、夏から10月にかけまして経済分析を用いた議論を行っていただいたところでございます。
 本日は2つのモデルにつきまして再計算をやっていただいた結果をご紹介いただくという運びになってございます。
 特に、9回目、10回目につきましては経済モデル分析に関しての議論を取りまとめていただいております。3ページ目でございますが、そこの内容を示してございます。
 大きく分けますと3つの議論としてあったというものでございまして、これまで大臣試案で紹介してきた4つの経済モデルについての内容の議論、この中では、温暖化対策を導入するということにつきまして、GDPのロスというこういったもののご議論でございまして、将来を見据えた投資行動であるとか、技術革新による効果を考慮するかしないかということで、このGDPロスにマイナスの影響もあり得るし、プラスの影響も及ぼし得るということをご考慮いただきました。
 また、結果を発表する際には、研究者の意図がきちんと伝わるように細心の注意を払うべきという注意もいただいております。
 また、経済モデル分析の限界についてということで、分析によってできることできないこと、こちらを取りまとめていただいておりまして、1つ目は分析結果につきましては前提条件次第で大きく変わり得るものであるということ、また感度分析を行うことによりまして、さまざまな政策の効果、政策への影響というのが大まかに把握できるということ、あと取りまとめに当たりましては、例えば1世帯当たり幾らというような平易な表現をすることによって、かえって誤解を与えかねないので注意をする、こういったことを取りまとめていただいております。3つ目といたしまして、今後の経済モデル分析の活用についてということでございますけれども、その結果がひとり歩きする傾向がどうしてもあるということですので、結果を提示する上では、モデルの構造であるとか前提条件、これを十分理解した上で提示するということ、また単一の解ではなくて幅を持った形での結果をとらえるということも重要だということを考慮いただいております。
 今回この小委員会で行っています分析の目的が4ページ目に取りまとめてございますけれども、AIM技術モデルで想定しております国内での削減15%、20%、25%削減、この3つのケースにつきまして、2020年時点での経済への影響・効果、これを分析いただくと、そのおよその傾向を把握するというのが目的になってございます。その際には、現在、国会に提出いたしました地球温暖化対策基本法案の中に掲げております以下の3つの施策につきまして出来る限りモデルにインプットいただいて効果・影響を分析いただくということでございまして、その3つの施策は、1つは国内排出量取引制度、2つ目が地球温暖化対策のための税、3つ目が再生可能エネルギーに係る全量固定価格買取制度、こちらでございます。
 では、今回、再計算いただきました場合の分析シナリオが5ページ目以降に掲げております。まず、分析のアウトプットといたしましては、先ほど申し上げたように基本法案の中で掲げております3施策、これを導入するということを前提といたしまして、国内対策分として、15、20、25%削減と、これを達成した場合の経済影響・効果を出していただくということでございます。
 分析に当たっての設定でございますけれども、まずはAIMの技術モデルで想定している対策を極力反映いただくということ、国内対策の割合、例えば15%削減の場合は、残り10%分、国内対策が20%削減の場合は5%分、こちらにつきましては、我が国のエコ技術によって他国の温室効果ガスの削減を行って、その削減分を我が国の削減分とみなすということを想定して設定していただいております。
 計算に当たりますマクロフレームにつきましては6ページ目でございますけれども、こちらには代表的なマクロフレームを示してございますけれども、これまでタスクフォースで用いたものとの違いも掲げております。
 実質GDP成長率、人口、原油価格、粗鋼生産量、輸送量につきましては、これらの値をそれぞれ各論拠から出しておりまして、こちらは今回用いていただきました数値とタスクフォースで用いた数値は同じということになっています。
 一方、原子力発電につきましては、稼働率のところが、前回、タスクフォースで行った場合は約80%の稼働率を見込んでおりましたが、今回は稼働率85%で計算をいただくということでございます。
 続きまして、前提条件でございますけれども、7ページ目でございます。
 3施策のうち、まず温暖化対策のための税につきましては、ここに表が掲げられておりますけれども、まず課税対象といたしましては全化石燃料を想定していただいております。また、税率につきましては、炭素1トン当たり1,000円のケースと2,000円のケースで計算をいただいております。3つ目といたしましては、非課税対象といたしまして、製品原料としての化石燃料(ナフサ)の部分、あと鉄鋼製造用の石炭・コークス、セメント製造用の石炭、農林水産業用のA重油、こちらは非課税という扱いにいただいております。あと、税収の使途につきましては、エネルギー起源のCO2の排出抑制の対策に充当するという設定をお願いしております。課税を開始する年月日としましては2011年からこの制度が入るという想定でございます。詳細につきましては8ページ目から10ページ目に書いてございますので後ほどご覧いただければと思います。
 2つ目の施策でございますが、11ページ目で、こちらは再生可能エネルギーに係る全量固定買取価格制度につきましてですが、まず対象とする発電の範囲でございますけれども、大規模な水力は除いた残りの再生可能エネルギー電力について対象とすると。また、対象とする部門につきましては、家庭部門であるとか業務部門、これらを含むすべての部門について対象ということを考えてございます。買取価格、期間につきましては、後ほどご説明いたしますが、中長期ロードマップ小委員会で提示された値にしてございます。あと、設置量といたしましては、2020年段階でのAIM技術モデルの結果で、国内対策として、15%、20%、25%削減ケースで出てきた値を設定してございます。実施年につきましては2012年からの実施という設定になってございます。
 価格と期間につきましては12ページ目でございまして、まずは買取期間につきましては、こちらは第13回の中長期ロードマップの小委員会の資料でございますけれども、買取期間につきましては20年間、太陽光以外のものにつきましては導入目標を満たす時点で20年間でのIRRが8%確保するような価格で設定をしていただくということで、詳細につきましてはこの表に掲げたとおりでございます。
 あと、対象とするエネルギー種につきましては13ページ目に掲げてございますけれども、現在実用化されている太陽光発電、風力発電、中小の水力発電、地熱発電、バイオマス発電、こちらを対象としております。また、2つ目の四角でございますけれども、既存の電源につきましても買取が行われるようにという設定に考えてございます。
 3つ目の施策でございますけれども、14ページ目でございますが、国内排出量取引制度についての前提条件でございますが、まずは排出枠の設定対象といたしましては、川下の大規模な事業者を想定しておりまして、少なくとも鉄鋼・化学・紙パルプ・セメント、素材4業種を対象にした試算をお願いしてございます。2つ目に電力の扱いでございますが、こちらは間接排出という扱いでお願いしてございます。3つ目の排出枠の設定の方法でございますが、こちらは無償割当という方式をお願いしております。排出枠の数量の面でございますけれども、こちらは、再計算をいたしましたAIM技術モデルで、国内15%、20%、25%、それぞれのケースごとに計算が出てきた排出量、これを排出枠として設定をしてお願いしております。実施年につきましては2013年からという設定にしてございます。
 続く前提条件が16ページ目でございますけれども、これら3施策以外の対策技術の導入促進につきましては、対策の強度については、2020年の国内削減目標3ケース、こちらに達するように段階的に炭素制約を設定しておるということで、モデル上では炭素価格を上げるという形で表現されるようになると考えております。実施年につきましては2011年ということで、具体的な施策の例といたしましては、家電等の機器の省エネ基準を強化するであるとか、住宅の断熱基準を義務化するであるとか、自動車の燃費基準を強化すると、こういったことを想定していただいております。あと、国内削減分以外の温室効果ガスの削減費用につきましては、世界のプロジェクト由来の排出量取引額、この実績を参考に設定いただいてございます。
 以上のようなシナリオで計算いただいておりまして、今日その内容をご発表いただきますが、本日それにつきましてどのようなご議論をいただきたいかということが、17ページ目、最後にまとめてございますが、大きく分けますと3つでございまして、先ほどご紹介いたしました第9回、第10回、この小委員会でおまとめいただいた内容も踏まえつつ、今回お示しいただきますモデルについて、モデルの構造であるとか前提条件、分析の結果について理解を深めていただきたいということ、また2つ目が、モデルの分析結果からどのようなことが言えて、逆にどのようなことは言えないのかということについてご議論を賜ればと思っております。
 そのご議論いただいた上で、分析結果について、その結果から得られる示唆であるとか留意点についてご議論いただきまして、それらの示し方についてもご検討賜ればというふうに考えてございます。
 資料1は以上でございます。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 今お話がございましたように、今日の計算のフレームといいますのは、これまでの国の計画あるいはエネルギーの計画等々と十分整合をとりながらやっていきたいということで設定されているかと思います。
 本日の議論でございますけれども、今日のところは、提示されるモデルの結果等々について十分理解いただく、それからさらにいつもこういうモデルの結果が示されますと、前提抜きでいろいろなところで論議されたりしますので、その辺り、どういう具合に表現をしながらいくべきなんだろうかということについてもご意見いただきたいと思いますが、この分析結果から、どんなことが言えて、まだどういうことが言えない、あるいは残っているんだろうかというようなこと、もろもろいただきたいと思っております。是非、なるべく多くの議論を今日中にいただきまして、今日もしあるまとまりということにならなければ、また次回にでも進めていきたいという具合に考えておる次第であります。
 それでは、最初のご発表、2題続けてまいりますけれども、増井さんのほうからですか、お願いいたします。

○増井委員 おはようございます。
 それでは、資料2に基づきまして、AIMの経済モデルによる中期目標の試算とその結果をご紹介させていただきます。
 では、2ページ目のところ、今回の分析とこれまでの分析との共通点・相違点ということで、このモデルにつきましては、中期目標検討会並びにタスクフォース、こういったところで結果を紹介してきたわけなんですけれども、その共通点といたしまして、モデルの基本構造あるいはその基準年のデータ、2000年を基準にしているといった辺りは同じでございます。
 また、同じということで、逐次均衡型、一年一年計算していく、順に追って計算していくという、そういうタイプのモデルで、後ほど伴先生のほうからご説明がありますそのForward Looking型という全体を全期間を通じて最適化するというようなモデルではないというところはご留意いただければと思います。
 また、技術積み上げ型のAIMエンドユースモデルとのリンク、こちらのほうにつきましても同様でして、エネルギー効率の改善ですとか対策導入に必要な追加投資額、こういったものの情報をAIMエンドユースモデルのほうからいただきまして、それを反映させた結果になっているというところでございます。
 一方、違いといたしましては、前回の中長期ロードマップ小委員会で提示されました新たな対策技術のセット、これを組み込んで評価しているというところでございます。これまでのタスクフォースまでの検討では、技術的にはその25%は積み上がらないというようなことが結論としてありましたので、便宜的に20%削減のケースを使って25%削減の計算というようなものも行っておりましたけれども、今回はその25%削減が達成されたという、そういう姿を実際、対策メニューとして組み込んでいるというのが一番の大きな違いになってございます。
 また、先ほど事務局のほうから資料1で説明がありましたように、地球温暖化対策基本法で示されています税ですとか固定価格買取制度、排出量取引制度、こういったものを評価できるようにそのモデルの微修正というようなものを行っています。
 また、昨年秋以降に更新されていましたさまざまなデータ、例えば原油価格ですとか経済成長率、足元の値、そういうふうなものにつきましてはできる限り反映させていると、そういう違いがございます。
 ただ、2020年の最初予想の到達目標というのは変わらないんですけれども、ですからその間のトラジェクトリーといいますか、間が少し変わってきているというところがございます。
 また、後ほど説明いたしますけれども、その結果、いわゆるレファレンスとしてこれまで用いておりましたところの姿というようなものも若干変わっておりますので、この点はご留意いただければと思います。
 3ページ目に移っていただきまして、こういうモデルの論点の結果を紹介するに当たりまして、論点となるようなところはどういうところなのかというところをまず少しまとめてみました。
 まず1点目は時間の取り扱いということで、1年1年を対象とした計算であって、将来の活動というのはそれまでの時間の積み重ねで表現されているということで、時間的には慣性というふうなものがどうしても出てくるというところでございます。
 あと、投資につきましては、このモデルは完全に外生的に与えられておりまして、前提として与えられておりまして、それぞれの各年の均衡計算の前に想定されております経済成長率、将来どの程度経済成長がされるのかということを見越して投資というようなものが行われるということをしております。
 あと、投資財の組み合わせというようなものも部門によって異なってきますし、また一旦設置するとその財というのは動かないと。鉄鋼部門で設置された部門が投資財、資本ストックが自動車産業で使われるということはないというふうなことを組み込んでおります。
 また、エネルギー効率の改善等の効率改善といったものはその新規投資によって実現されるということで、その新規投資がない部門につきましては効率改善は生じないということを前提としております。この辺りは最後のページにその考え方をまとめております。
 あと、3番目といたしましてその省エネ投資ということで、これ、AIMエンドユースモデル、技術選択モデルの結果を用いまして各年、すみません、ちょっとこの各年の各という字が隔たるという字になっておりますけれども、毎年毎年という意味の各です。各年の省エネ投資に必要な額というふうなものを与えてあります。
 あと、その省エネ投資というのはいわゆる生産投資の一部であるというふうにみなしておりまして、あらかじめ決定されております投資額の中で行うということで、省エネ投資が増大すると、生産投資というようなものが減少していくというような前提を置いております。この辺、もちろん生産投資とは別に省エネ投資を行うというふうな設定も可能なんですけれども、これはこれまでのモデル構造がこういうふうな形になっていたということで、それを変えると議論が混乱するのではないかということで、この点はそのままにしております。
 それとあと、エネルギーの間の代替というところなんですけれども、こういう経済モデルにおきまして、代替弾力性ということで、価格が変化すると、投入量が変わってくるというような構造になっているものが多いんですけれども、このモデルは技術選択モデルとの整合性というふうなところを重視しておりまして、いわゆる短期間での、1年間でのエネルギーの代替というものは起こらない。ただし、新しい技術を導入するということによって長期的にはエネルギーの代替が可能になるということをモデル化しております。
 ですから、最後に書いておりますけれども、経済モデルというふうに呼んでおりますけれども、工学的な要素・視点を反映させたモデルであるということで、将来を予測するというよりは、想定されている、あるいは提案されているいろいろな施策なり技術、こういうふうなものの整合性を確認するというふうなところにその主眼を置いたモデルであるというふうにご理解いただければと思います。
 4枚目にモデルの特徴ということで、これはこれまでにも出してきました資料ですので、詳細は割愛させていただきますけれども、どういうふうなものを入力にして、どういうふうなものが出てくるのかということあたりを記述しております。
 入力としましては、生産関数ですとか、あるいは家計の消費関数といったもの、さらには国際的な財の価格、特にエネルギーの価格、また将来どの程度経済成長するのかといった辺り、こういうふうなところを前提にいたしまして、いわゆる家計の効用最大化あるいは生産者の利潤最大化、こういったところから出てきます市場均衡、こういったところの連立方程式を解きまして、CO2の排出量ですとか、あるいは経済活動量、さらにはCO2に対して上限を設定した場合の炭素税率といったもの、こういうふうなところを計算いたしております。
 5ページ目は、技術モデルとこの経済モデルとのリンクの状況を書いた、説明したものでございます。冒頭申し上げましたように、AIMエンドユースという技術選択モデル、こちらのモデルのほうから、あらかじめ想定されています活動量とエネルギーの消費量といったものが計算されております。また、再生可能エネルギーの導入量といったものも計算されております。
 こういう導入量、またその導入に追加的に必要となる費用、対策費用、こういうふうなものが計算結果として得られておりますので、その情報をいただきまして、それを適切に経済モデルのほうに組み込みまして、こちらのほうで新たに計算するというふうなことをしております。特に、重要になってまいりますのがエネルギーの効率改善、新しい技術を追加的には投資をしたことによってどの程度その効率が改善されるのか、また再生可能エネルギーがどの程度導入されるのかといったこと、さらにはその追加的な投資額、効率改善のために必要な投資額というようなものが幾らぐらいなのかというふうなところ辺りを入力としております。
 6ページ目にいっていただきまして、分析の方法なんですけれども、こちらのほうは先ほど資料1の説明とほとんど同じですので割愛させていただきますけれども、2011年、2012年、2013年と段階的に、炭素税、全量固定価格買取制度、国内排出量取引制度でこれを導入していくといったことを行っております。
 また、それぞれのケース、炭素税はあまり関係ないんですけれども、特に全量固定価格買取制度の場合には、15%削減に相当する再生可能エネルギーの導入量、20%削減のケースに相当する再生可能エネルギーの導入量というように、それぞれケースが、これまでのこの検討会の中でも3つのケースが提示されておりましたので、その3つのケースごとに計算を行ったということがあります。また、そういうケースに相当するような技術の導入といったところもあわせて組み込んでおります。
 それでは、7ページ目に移っていただきまして炭素税の導入ということで、これは2011年より導入するということで、炭素税の税率はトンカーボン当たり1,000円及び2,000円ということで想定をいたしております。今年の税制改正要望でも出されております減免措置ということで、ナフサですとか鉄鋼用の石炭・コークス、セメント用の石炭、農林水産業用のA重油、これらにつきましては減免ということで設定しております。
 また、炭素税の税収の活用ということで、1,000円及び2,000円ということで、炭素税の税率としては極めて低い税率でして、これで価格降下による削減の効果というようなものを期待するのはなかなか難しいということで、この税収をうまく温暖化対策として活用するというふうなことを行っております。これも中期目標検討会の中では示していないんですけれども、技術選択モデルのほうを使いまして、どういったところにどれだけその税収を使うのかというふうなことを計算して、その結果を引用しております。
 また、その追加投資に相当する差額すべて充当するというのではなくて、そのうちの何割か、一部を充当するということで省エネ機器が普及するのではないかと、こういう前提に立ちまして計算をいたしております。具体的には、ハイブリッド乗用車ですとかヒートポンプの給湯器、省エネエアコン、住宅断熱、BEMS等、ほかにもあるんですけれども、こういった対策メニューにその税収を充当するというふうなことを行っております。
 これは、次の8ページのところに、これまでこのAIMのモデルを使いまして、こういう炭素税の話について、低率の炭素税を集めまして、低率の炭素税を課しまして、その税収を温暖化対策の補助金として充てるというのが有効ではないかというふうなことをたびたびこういう場でも強調してきたわけなんですけれども、まさにそういうふうなことを実際に行っているということで、8枚目のスライドにありますような形での施策というふうなことを行っております。
 次に、9枚目のスライド、全量固定価格買取制度のほうなんですけれども、こちらは2012年から導入をしております。こちらにつきましては、本来ですと大規模水力以外の再生可能エネルギーすべて導入すべきところではあるんですけれども、これは、モデルの構造上、再生可能エネルギーは太陽光発電のみ分離されておりまして、ほかの再生可能エネルギーは、大規模水力と同じ部門の一つ、サブセクターというふうな形で表現されておりますので、太陽光発電のみを対象とした全量固定価格買取制度というふうな形になっております。この点、実際の制度とは若干齟齬があるという点をご注意いただければと思います。
 太陽光発電の導入量というのは技術モデルの想定結果のとおり、また買取価格につきましてはエネルギーワーキングの成果というふうなものを引用しております。
 次に、国内排出量取引制度の導入ということで10枚目のスライドですけれども、こちらは2013年から導入されるということで、対象部門につきましては、エネルギー集約産業、いわゆる紙・パルプ、化学、鉄鋼、セメントの4業種、これを対象といたしております。また、発電部門につきましても対象部門というふうにしております。
 モデルの構造上、間接排出というのが発電部門での議論になっているわけなんですけれども、モデルの構造上、直接排出というふうなものを対象にせざるを得ないというところで、この発電部門につきましては原単位ではなく排出量に換算いたしまして想定をいたしております。また、エネルギー集約産業、4つの部門につきましては1つの市場で、発電部門は発電部門でまた別の市場ということで、2つの市場を取引市場について想定いたしております。
 3つ目の点ですが、排出量総量につきましては技術選択モデルの結果をもとにリファレンスからどの程度変化しているのかというところを引用して設定をいたしております。
 先ほども申し上げましたように発電部門、こちらは原単位方式というふうなものも提案されておりますけれども、排出量に換算して設定をいたしております。
 排出枠の設定は、基本的にオークションというふうな形で設定をしておりますけれども、オークション収入というふうなものを全額それぞれ排出枠の購入に応じて各部門に変換すると、生産物に対する補助金として還付するということで無償割当というふうなことを表現しております。
 以上が3つの主要な施策ということですけれども、これで15%なり25%というふうなものを達成できればそれで問題ないんですけれども、達成できない場合にはどうするかということで、この3つの施策というのが必ずしもその目標達成を確約するものではないということで、その場合には、その技術選択モデル等で、あるいは各ワーキングでご提案いただいておりますさまざまな施策、これを導入することで、15%、20%あるいは25%削減まで、実際、削減を行うというふうなことを追加で試算を行っております。
 また、その25%に達成しない、到達しない場合、具体的には15%のケースと20%のケースですけれども、こちらにつきましては、議論の中では海外における日本の取組ということで今まで議論してきたわけなんですけれども、そういったところ、一国モデルで厳密に取り扱うことは難しいですので、とりあえず価格、二酸化炭素1トン当たり10ユーロということでクレジットを海外から便宜的に購入するというふうな形で表現をいたしております。
 それでは、引き続きその結果について簡単にご覧いただきたいと思います。
 12枚目のスライドがまずCO2の排出量で、こちらは、12枚目のスライドに、炭素税1,000円、1トン当たり、トンカーボン当たり1,000円のケース、13ページにトンカーボン当たり2,000円のケースというそれぞれのケースについて示しております。
 まず、後ほども説明しますけれども、冒頭説明しましたレファレンスケースにつきまして、この12枚目のスライドでは2000年からの変化率というふうなことで表の中にはマイナス7.2%と書いておるんですけれども、90年比でいきますとプラス・マイナス・ゼロ%というふうな形になっております。これは、エンドユースモデル、技術選択モデルのほうで計算されました技術の状況、そちらのほうでもプラス4からプラス2に変わっているということで、そういうところ辺りが影響しているのではないかと思ってはいるんですけれども、いわゆるプラス4%というようなものがレファレンスではないというところ辺りはご留意いただければと思います。
 A、B、Cそれぞれの3施策だけを導入したもの、Aというのは、脚注にも書いてございますその3施策に関連する部門において15%削減に対応する対策を導入するということで、例えば国内の排出量取引を導入する場合に、その15%削減に対応する、例えば鉄鋼部門なり、あるいは化学部門等におきましては対策技術を導入するということで、そういう該当する部門で省エネを実現する、省エネ技術を導入する、あるいは発電部門で再生可能エネルギーを15%削減のケースに対応するような形で導入すると、こういうふうなことを行っております。それぞれ3施策といいましても、15%、20%、25%において若干技術の姿が違ってくるだろうということで、3つのケースを想定しております。
 また、15%、20%、25%ケースということで、それぞれの目標を達成するというふうなことを実現した場合のケースというふうなものもあわせて示しております。
 結果的に申し上げますと、その3施策だけを導入するというふうな場合にはなかなか難しく、リファレンスケースからの変化率でいきますと最高でも8%程度ということで、これだけで目標としております90年比15%、20%、25%というふうなところ辺りを実現するのは難しいというふうな結果になっております。
 実際に、その15%、20%、25%ケースを導入したらどうなのか、それぞれに対応する技術なりを導入するとどうなるのかというふうなことを示しております。
 13枚目が2,000円ということで、1,000円と2,000円につきましても、数字をご覧いただきますと、これをご覧いただいておわかりのとおり、実はあまり大きな違いというふうなものがありません。もちろん、3施策につきましては、1,000円の場合と2,000円の場合とで導入される対策技術というふうなものが変わってまいりますので、2,000円の場合には、1%程度、より深く削減されるというような結果になっておりますけれども、最終的には、その15%、20%、25%ケースの姿につきましてはそれほど大きな違いというふうなものはないということでございます。
 あと、米印のところで書いておりますけれども、そこにグラフに示しておりますのは、各部門で実際排出されるといいますか、ポテンシャルみたいなものでして、実際にはバイオマスのエネルギーを導入することによって、差っ引かれるCO2の量ですとか、あるいはCCS導入、これは25%減の、2020年のみですけれども、導入される分というふうなもの、実際にはありますので、その分を勘案するとぴったりと15%、20%、25%削減が実現できるというふうな結果になっております。その辺りを取りまとめたのが14枚目のスライドでございます。
 これは2020年のリファレンスケースで税、先ほどのグラフには示しておりませんけれども、税と固定価格買取制度、2012年以降導入するという場合、それが税プラスFITというものです。3施策全部導入するということで、それが税プラスFITプラスETという欄、それぞれまた目標達成する場合にどれぐらいCO2の排出量が出てくるのかというふうなところを並べたものでございます。
 レファレンスといたしまして、当初想定しておりましたプラス4%がプラス・マイナス・ゼロになっているということで、若干そういったところの影響が出てきているということです。また、目標達成と目標のところに若干数字の幅というようなものが見られますけれども、再生可能エネルギーの導入分によるCO2の固定あるいはCCSによるCO2の固定といったところを考慮に入れますと、目標達成をきちんと実現しているというところになっております。
 あと、次に15枚目のスライド、16枚目のスライドがGDPになっておりまして、こちらも3施策の間の違い、A、B、Cという15%に対応する場合から25%に対応する場合の施策をあわせて導入するという、その違いというようなものはほとんど見られておりません。
 3施策導入の場合には、1,000円の場合、レファレンスからGDPはマイナス0.04%からマイナス0.02%ということで、若干マイナスではありますけれども、ほとんどプラス・マイナス・ゼロに近いと。一方、レファレンスでは2000年から34.6%増えているということで、こういう経済全体の増大に対して、こういう3施策導入することによる影響というようなものは極めて小さいだろうというふうな結果になっております。
 また、15%削減ケース、20%削減ケース、25%削減ケース、それぞれにつきましては、これまでタスクフォース等で示してきておりました結果と似たようなものになっております。若干前提が違ってきておりますので、数字の変化というようなものはあります。特に25%削減ケースにつきましては、これまでは25%に対応していない技術を導入した場合の計算でしたので、この点は大きく違っているんですけれども、それぞれ1%、2%、3%程度のロスになっているというような結果になっております。
 2,000円の場合も同様でして、2,000円という炭素税率が若干上がったということで、3施策の場合にはその経済影響の影響というのが若干大きく出てきておりますけれども、ただ2000年からの経済全体の規模から見ると、やはりこちらのほうもごくごく僅かであるというような結果になっております。
 CO2とGDPだけを細かく見てきたわけなんですけれども、17枚目のスライドにその試算結果のまとめということで取りまとめております。2020年の二酸化炭素の排出量、90年比で15から25%削減する場合、GDPへの影響というのはマイナス1.1からマイナス2.9ということで、2010年から2020年に対しましておよそ2.2%で成長する経済、それに対しまして成長率が0.1%ポイントあるいは0.3%ポイント下げるにすぎないということで、2%で成長しているものが最大1.7%程度に少しアクセルが緩められると、そういう程度にすぎないというような結果になっております。
 一方、3つの施策、税、固定価格買取制度、国内排出量取引制度の影響と効果というところなんですけれども、2020年の二酸化炭素の排出量、90年比で7%から9%削減する可能性があるということで、一方で経済活動への影響というのはGDPで0.1%以下と極めて軽微であるというふうに言えます。そういうことから、一定程度の効果というようなものはあるのではないかというふうに思っております。ただ一方で、15%以上削減するというふうなことは到底できないということですので、3施策でカバーできていないさまざまな施策、特にこの中長期ロードマップ小委員会のほうで検討されておりますさまざまな施策を導入するということを念頭に置いた施策の強化というふうなものが必要であるということを取りまとめております。
 18枚目以降は参考資料・付録ということで、19枚目のスライドはこれまでのタスクフォース等で示してきておりました一覧表と同じ形で結果を取りまとめたものでございます。一応、数字は埋めておりますけれども、タスクフォースのところでも議論になりましたように、もう一度本当はこの個々の項目についても改めて定義を明確化する必要があるということで、あのときの議論では、可処分所得は一体何かとか、あるいは実質に換算するのにどういうふうな方法でやっているのかといった辺り、タスクフォースでも必ずしもきちんと定義されてこの表をつくっているわけではありませんので、正直この表を出すのはちょっとはばかられるところがあったんですけれども、これまでの比較ということでご参考までにこの表を出しております。
 あと、20枚目のスライドは、これまでにはあまり示しておりませんでした国民所得ということで、いわゆるGDPから固定資本減耗分を差し引いたもので定義した値、それがどうなっているのかというふうなことを示しております。
 3施策の場合には、GDPでは、マイナス0.01%程度の低下と、レファンレンスに対して低下というふうな結果になっておりましたけれども、こちらの国民所得のほうにつきましては逆にプラスの結果というふうな形になっております。実は、この辺りもこのモデルの特性といいますかが大きく影響しているところがありまして、固定資本減耗分につきましては、モデルの中で想定しております個々の投資財、それぞれに法定耐用年数というふうなものを設定いたしまして、それに基づいて減耗率というふうなものを計算し、そこからその減耗率というふうなものを計算をいたしております。ただ、温暖化対策に関する追加投資分というふうなところにつきましては、資本ストックにイメージ的に計上していないというのがこのモデルの一つの特徴でございまして、その追加投資分を除いた分だけの減耗というふうなものがこの減耗にはカウントされてまいりますので、その分、国民所得が上のほうにシフトすると、固定資本減耗がより少なく評価されているというようなところも実はありますので、この辺もう少し厳密に、数字を出すときには、あるいは引用される場合にちょっと気をつけていただきたいなというふうに思っております。
 ちなみに、今申し上げましたところなんですけれども、その追加投資分が、ストックに、資本に上乗せされないというところなんですけれども、いわゆる生産のポテンシャルそのものは現状の技術であれ省エネ技術であれ変わらないだろうということで、単に効率が改善するだけということで、いわゆる生産のポテンシャル、その資本が提供するサービス、生産のサービスというふうな意味からその追加投資分というのは上乗せしないというふうに設定をしております。ただ、過去の統計がそういうふうな形になっているかというと必ずしもそうではありませんので、その点、我々も問題だなというふうに認識はしておるんですけれども、ただ追加投資分を加えますと、省エネもし、なおかつ生産のポテンシャルも上がるということで、かなり楽観的な結果になってしまうのではないかということで、こういうような措置をこのモデルの中ではしております。
 21枚目には、民間の最終消費ということで、消費がどの程度変わっているのかといったところを示しております。
 22枚目のところにつきましては、国内の総固定資本形成ということ、いわゆる投資、この値というふうなものを示しております。
 23枚目が、炭素価格ということで、炭素の価格がどの程度になるのかということで、1,000円の場合と2,000円の場合で、若干、答が違ってきているわけなんですけれども、概ね15%削減の場合、炭素の価格が二酸化炭素1トン当たり1万5,000円程度、20%の場合には2万1,000円程度、25%削減の場合には4万2,000円程度というような限界削減費用、炭素の価格づけというふうなものが結果として出てきております。
 最後、24枚目のスライドは、これまでもタスクフォース等でも議論になっておりました電力価格のところ、推移を示したものでございます。一応、数字として2020年のリファレンス価格を1とした場合の価格の変化というふうなものを提示してございますけれども、ここでよくいつも議論になるのは、「じゃ電気代が、この場合1.6倍、3分の2ほど上がるのか」というところ辺りが非常に議論になるわけなんですけれども、これはあくまでモデル上の計算結果でして、必ずしも電力価格の上昇に伴って電気代の支払いが増えるというふうなわけではないというところ辺りはご留意いただければと思います。特に、ここでは、AIMエンドユースモデル、技術選択モデルで想定されております省エネ技術の導入というふうなものを前提に計算しておりますので、逆にこれだけ電力の値段が上がると、もっと追加で対策をしようというふうなことが起こり得ますので、そういうふうなことをさらに追加で反映しますと、こういう電力の価格、炭素の価格というようなものが下がってきて、電気の価格というようなものも下がってくる可能性があると。また、その結果、省エネによってエネルギーの需要量というようなものが減りまして、電気代そのものはそれほど変わらないといったことも起こり得ますので、この点、こういったところ、数字を引用される場合にも注意していただきたいなというふうに思っております。
 25枚目以降は、これまでにも示してまいりましたモデルの全体構造ですとか、あるいは部門の想定、各個別の生産部門での生産構造あるいは消費の構造といったところを示しておりますのでご参考としていただければと思います。
 以上です。ありがとうございました。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、ちょっとヘビーですけれども、続けて伴委員のほうからのご報告をお願いします。

○伴委員 増井委員に続きましてご報告申し上げたいと思っております。
 まず、最初の表紙をあけていただいて2ページ目からご説明申し上げますけれども、増井さんのモデルと私のモデルの基本的な違いというのはどこにあるかというと、貯蓄・投資を内生的に考えるか外生的に考えるかという違いがございます。私のモデルは貯蓄・投資というのは内生的に決まるという考え方を持っておりまして、その点が私のモデルの特徴かと思っております。
 それから、ベースとなるモデルについてCGEと言われている計算可能な応用一般均衡モデルという点では同じなわけですが、時間の取り扱いについて若干異なっておりまして、私のモデルは、動学型最適化モデルと言われているものです。私自身はForward Lookingという言葉をよく使うのですが、このモデルでは2005年から2020年までを一度に解いてしまうという形でやっておりまして、例えば2020年で何かが発生すると、2005年から影響が出るという形になっております。しかしながら、AIMの増井さんのモデルの場合には1年ごとに解くという形になっておりまして、これは逐次動学型モデルと言われております。そういう違いがこの2つのモデルであるということはご理解いただければと思っております。
 それから、今回の試算について、産業区分と基礎データこれまでと同様のものでありまして、産業の数は増井さんのは100を超えるかもしれませんが、私の場合には産業としては38、この中には、新エネルギーと言われている発電部門、太陽光及び風力の発電部門が入っておりまして、それを含めまして38産業はこれまでどおりでございます。そして、財の数が産業より少し増えておりまして、40財としております。この点についてもこれまでどおりということでご理解いただければと思っております。
 ただ、3ページ以降については、これまでの私の試算と異なる部分がございますので、それを説明申し上げたいと思っております。
 まず、3ページですけれども、これまでの試算では、工業プロセス、セメントを含む窯業・土石などから出てくる二酸化炭素と廃棄物から排出される二酸化炭素を含めてきたわけでございますが、今回の試算では、エネルギー起源の二酸化炭素に限定しています。そういう意味で、これまでの試算と比較すると排出量の数字が若干異なりますけれども、CO2をエネルギー起源に限定したということでご理解いただければと思っております。
 4ページですが、中期目標検討委員会あるいはタスクフォースで用いられてきたいわゆる主観的割引率を使う技術モデルから得られる限界削減費用を参考としてきたわけですが、今回は、前回、藤野委員からご報告ありました社会的割引率に基づく技術モデルから得られる限界削減費用を参考としています。両者の違いは何かというと、いわゆる投資回収年数ということでございますが、例えばこれまでの技術モデルでは、自動車については5年で消えてなくなるという前提が置かれておりました。だから、例えばプリウスを考えたときに、それが200万円であると、その投資コストというのは40万円という形になります。しかしながら、プリウスはどうかわかりませんけれども、本委員会の自動車WGの報告を見る限り、平均の車齢は10年を超えておりますので、やはり消費者は5年で償却するのではなくて10年で償却するということを考えるべきではないかと考えますと、先ほどの40万円というプリウスの投資コストは、20万と半額になるということであります。
 こういう形で、実際の使用年数に基づいた社会的割引率を使うというのがマッキンゼーも含めて限界削減費用が試算されるのが一般的です。特に企業の方々にお願いしたいのは、自分のところは投資回収年を5年としますということは、自分の生産している製品が5年の寿命しなかいと言っていることと同じことですので、やはり現実に合った形で物事は考えていただきたい。もちろん、それに対するいろいろな手当て、いわゆるリスクへの対応というものがございまして、それには社会的なサポートが要るかと思うのですが、今回限界削減費用を下げた大きな理由ということでございます。
 それから、5ページですが、これも大きな変更でございますけれども、今回の試算の目的というのは、政府の温暖化対策基本法に基づく3施策の評価ということでございまして、あまり余分なことはしてほしくないとまでは言われていませんが、望まれていないということでございまして、これまで行ってきましたイノベーション促進というようなことは考えず、非常にコンサバティブな形での試算を出しております。これはこれまでも出しております成り行きケースと言われているものでして、技術について大きな変化を考えないということです。
 そういう意味で、これまで削減すればプラスになるというシナリオを出してきたわけですが、今回はそうにはなっていないのは、議論のあるところについてはコンサバティブに処理したいということで出しております。
 それから、先ほど増井委員がおっしゃったのですが、結論から申しますと、3施策で削減できる量は非常に限られておりまして、結局のところ何らかの形で強制的な削減というのが追加的に必要ということになっております。その点に関して、ここではシャドープライスという形で処理していますが、いわゆる炭素価格が仮想的に上昇するという形で処理しております。ただし、そのことで少し問題が生じていることをあらかじめ申し上げますと、これまでの試算では、シャドープライスではなくて、実際に価格が上がるという形にしております。そうしますと、そこで所得が発生しますので、そこの所得が再配分されることで、投資を活性化したり、あるいは値段を下げたりという積極的なことが考えられたわけでございますけれども、今回の試算では、シャドーでありまして、あくまで仮想的なもの、したがって得られた所得というのはない。したがって、再配分してほかに使うということは考えないということで、単純に炭素価格の上昇のみの結果であることを理解いただきたいと思っております。
 ここで、3ページ目ですけれども、ベースラインのシナリオでいきますと、先ほどの増井委員の場合は1990年比でゼロ%の数字を出されておりましたが、私は、これまでどおり長期需給の見通しの努力ケースというので、2020年の排出量が1990年比でプラス4%になるのをベースラインとしております。すなわち、ベースラインというのは、何らの特別の施策を行うことなく、2020年で1990年比プラス4%になるということを意味してございます。
 あと、マクロ経済・エネルギーのフレームについてはこれまでとほとんど変わっておりませんで、正確に言いますと7月15日と同じ内容をとっております。それから、自然エネルギーについては、これまでのロードマップ小委員会の議論等を踏まえまして、少し下方に修正しているということがございます。ただ、ここで全量固定買取制度の評価をするわけですが、これはエネルギーワーキンググループから出ているいろいろなアイデア案に基づいた形のものを具体的に評価するという形にしておりまして、その点は7月15日の報告分と若干異なるところがございます。
 4ページ以降は施策の内容ということでありまして、これに関しては、既に資料1、資料2等でご説明があるわけですけれども、モデルによってその取り扱いが異なる部分がございまして、そこのところに焦点を合わせてご説明申し上げたいと思っております。
 まず地球温暖化対策のための税、これに関してはほぼ最初の資料1で考えられている内容と同じものでありまして、これは炭素価格を上げることですが、その収入は政府の収入となるという前提を置いております。
 課税する対象は、すべての部門が対象となるのですが、非課税対象というのがありまして、ナフサ、鉄鋼用石炭・コークス、セメント用石炭、農林業用のA重油、これらは財として私のモデルでも扱われておりますので、これらに対しては課税されません。炭素価格が上がっても、これらの財価格は上がらないという形で処置をしております。
 得られた税収でございますが、それをこれまで政府が行っておりましたエコ家電あるいはエコ自動車、エコ住宅に対する補助金として使います。モデル上ではこれらをつくっている産業に対して省エネ対策のための間接税減税を行うということで処理してございます。
 ただ、現行のエコ減税というのは、補助金が生産者あるいは販売業者ではなくて購入した個人に還付されるようになっておりますが、ここでは企業に対して還付されるとしております。課税の開始年は2011年としておりますが、税率については1,000円の場合と2,000円の場合について行っております。
 それから、2つ目の全量固定買取制度というものがございまして、これは事業用の大規模水力あるいは地熱を除く再生可能エネルギーということでありまして、モデルで具体的に扱っているのは、太陽光、小水力と風力でございます。
 モデルによる試算で少し微妙なところがございまして、環境省も含めて施策を考えていらっしゃる方は、間接排出というのが頭の中にあるわけでございますけれども、モデル上で間接排出を扱うのは難しくございまして、すべて直接排出で扱っております。
 直接排出と間接排出の大きな違いは何かというと、発電をどういう形で扱うかという問題があるわけでございます。私どものモデルでは、二酸化炭素を発生するのは電力業と考えておりますので、家庭が電力を使っている場合には、間接排出では計上されますが、直接排出では計上されないという問題がございます。直接排出モデルにはやりやすいわけですけれども、実際に施策を担当されている方々はそうではなくて、川下型の間接排出を考えていらっしゃいますので、それに合う形でモデルの修正を行っているということであります。
 ここで全量固定買取制度の経済モデルでの取り扱いになるわけですが、ワーキンググループでもご議論されていると思うのですが、電気事業者が自然エネルギーの生産者から高く買う固定買取方式ということですが、ここではそうではなくて、4割から5割の補助金を政府が介在して事業者に対して払う、これは、生産物の価格を半分なりそれ以下にする、そういうことでございます。次に、その費用を事業用電力部門に対して買い取る価格と同額の間接を課すという形で行っておりまして、そこのところが少し違うところでございます。2020年の発電電力量というのは、15%、20%、25%について下記のようなシナリオ、これはエネルギーワーキンググループに基づくAIMの技術モデルでこのような数字が使われていたということでございますので、それを参考にしているということでございます。
 先ほど直接排出と間接排出についてくどくど申しましたのは次の6ページ目の国内排出量取引制度に関わるところでございまして、少し複雑な操作をしています。素材4業種については、素材4業種のいわゆる燃料部門については問題なく扱うことができるわけですが、素材4業種及びほかの部門が使う電力から発生するいわゆるCO2については全体で規制するとしています。ある意味で電力会社に対して排出規制の形でモデルでは行っております。ただし、その負担は、当然、需要家が負担するわけでありまして、価格はすべて電力価格に転嫁されるという形で処置をしているということでございます。
 その意味で電力価格は、先ほどの増井委員のときもそうでしたけれども、これまでの私の試算と違って上がるわけですけれども、それは、電力価格という明示した形で上げることによって電力量の消費を抑える、それによってCO2の排出を抑えるという、そういうメカニズムを使っているということによります。
 この国内排出量取引制度というのは、素材4業種及びここでは電力としておりますが、ここの電力というのは間接排出ベースで言う電力に対する排出規制ということでありまして、この2つに関しては国内排出量取引ということを行っているということでございます。ただし、この2つの国内排出量取引、つまり素材4業種の国内取引と電力の国内取引というのは別個のものと考えておりまして、素材4業種間の排出量取引市場と電力の排出量取引市場の二つの市場の存在を考えています。この2つの市場が連結しているかどうかというのは、取引が独立して成立するかということであります。ここでは、2つの市場を仮定しておりますが、取引はなされませんので、別々に取引価格が成立する形になります。
 今回の大きな目的というのは、この3施策というのがどれだけの効果を持つかというのをモデルにあまり大きな操作を加えずに評価するということが私の課題でありまして、それについては後でご説明申し上げたいと思っております。
 あと、7ページにありますが、3施策以外に必要な削減シナリオというところに入ってきますと、ここも非常に説明が難しいところがございますが、やはり3施策のみでは15%の削減すら難しいということがございまして、さらに20%、25%に達成するにはどうすればいいかということ、それをモデルの中で表すとどういうような影響が出るかということを試算するというのが私の役目かという具合に思っております。
 これまでのロードマップ小委員会におきましては、25%削減に向けてどういう技術が存在し、それをどういう形で使えばそれが実現されるかということが議論され、技術的には可能であるということが明らかにされてきたわけですが、問題は、その技術選択をどういう形で実現するかということはほとんど議論がされておりません。経済学的に言いますと、省エネあるいはCO2の排出の少ない技術を選択するのは非常によいことなのですが、しかしコストが高ければ人々は採択しない。すなわち、どんなにおいしいメニューがあったとしても、それが高価なものであれば誰も採択しないのです。
 高価なメニューを社会が選択するには2つほどありまして、1つは法律で命令する。例えば、ここでもよく議論されてきました潜熱回収型の温水器ですか、強制的に設置する法律を作ることです。自動車に関していくと、次世代自動車の比率を2020年で高く見積もっているわけですが、これも法律的に義務づける。法律を決め強制的に動かす。あるいは、トップランナー方式とかいろいろなやり方があるかもしれません。住宅に関しては断熱基準に関して法律的な規制を行い強制的に守らせる。こういう形での規制を政府が積極的に行うというのが、今回のシミュレーションの考えている内容であります。
 ただし、法律で強制かる形をとりますとどういうことになるかというと、ここで言うとシャドープライスによる二酸化炭素に対して価格付がなされるのと全く同じことになる。したがって、今回の3施策以外の必要な削減シナリオについては、より広い排出量取引でやれば済む話なのですが、そういうことはこの委員会ではでは考えていないということですので、それをモデルでやるとしたら、シャドープライス、すなわち仮想的な価格として出すしかない、そういうことでございます。
 そういう意味で、後でいろいろと価格が出てきますが、これはあくまで、先ほど増井委員もおっしゃったのですが、仮想的なものでありまして、それぐらい上がるつもりで人々は需要を減らし、あるいは新しいエコ製品を購入するという前提で考えているということでございます。
 ただし、問題がありまして、これは最初に申し上げたのですが、7ページの最後に書いてある仮想的排出量収入というのがあるわけですが、それを政府と家計を等分割するということを考えているのですが、それを有効活用するということができません。したがって、これまでの7月15日までで報告した場合には、それは仮想ではなくて実現されたものですので、それを配分することによって経済に対してプラスの方向に持っていくことができるのですが、ここではそれができないということもご理解いただければと思っております。
 次に、8ページに移りまして、細かな数表というのは後ろのほうにございますので、ご質問をお願いしたいとは思うのですが、ここに掲げておりますのは、2020年時点でのCO2の排出量、これをベースケースから25%削減目標に至るまで行ったときに、施策との関わりでどういう動きをするかということを見ていただければと思っております。
 横にありますのは、税率、これは初期の税率、炭素税の税率が1,000円と2,000円のケース、それから真水割合、次に15、20、25とあるわけですが、これに関わるのは、固定買取制度のところが変わるというところでございます。
 あと、横に見ていきますと、まず1990年の排出量というのは、10億5,900万トンというのが90年の数字でありまして、BAU、ベースラインではこれが2020年においてプラス4%になるという想定を置いています。
 これに対して、炭素トン当たり1,000円あるいは2,000円というものを掛けるとどうなるかというと、そこに書いてある数字になります。プラス3%と、あるいはプラス2%ということは、90年比でいけばプラス3%であります。税の効果ということで言えば、税を賦課することで1%から2%の炭素を減少させることができるという意味でございます。
 [2]のところですが、税と固定買取制度を導入したとき、どれだけ排出量が減るかということでございまして、[1]と[2]の差を見れば大体2%から3%程度CO2の排出量を減らすことができるということであります。しかし、その90年比でマイナスになるというのは、2,000円で、かつ25%のところになっているというところであります。
 次に、その国内排出量取引制度、これは素材4業種と、それから電力に対する排出量に対してキャップをかけるということになろうかと思うのですが、先ほどのところで説明を忘れましたけれども、キャップをかけて当然それに対する支払いが行われますが、それはすべて支払った素材4業種及び電力業に還付される形になっております。いわゆるグランドファザリング、無償割当という形で処理していることはご記憶ください。
 これをしますと、先ほど言いました点からいえば、さらに5%程度削減することができる。
 [1]、[2]、[3]、すべてフル動員しますとマイナス3%からマイナス5%の減にはいくであろうというのが私のモデルの結論でございます。あと、これを15%あるいは25%、どういう形で実施するかは後でいろいろと見てみたいというところでございます。
 個別のことは時間があれば申し上げたいのですが、9ページに試算結果の意味するところをまとめておりまして、それを述べることでかえさせていただきたいと思うのですが、国内で、15%、20%、25%削減することがGDPに与える影響ですが、BAUケースと比較すれば、0.3%から0.8%の押し下げ効果になる。ただ、これはあくまで2020年時点でのGDPの押し下げ効果でありまして、成長率という観点に言えば、それの10分の1程度に見ていただければ結構かという具合に思っております。
 それから、国民負担という点では、ここでは国民所得、先ほど増井委員の説明にありましたようにGDPから減価償却を引いた国民の可処分所得になるわけですが、これに関していきますと、これも0.5から0.2%を押し下げられるということになっております。
 それから3番目、温暖化対策税、全量買取制度、国内排出量取引制度の3施策を導入することで得られる目標の実現は90年比でいけば大体3%から5%の減ということになろうかと思っております。
 恐らく皆さん、15%、20%、25%を削減したときのGDPに目が行くと思うのですが、見てほしいのは、[4]のところですが、この3施策では、排出量は1990比で3%から5%しか減っていませんが、GDPと国民所得については0.1%のプラスになっているということでございます。
 ここで言いたいことは、いわゆる温暖化対策に資するということを考えたとき、経済にはマイナスになるのではないかといつも言われますが、プラスになるということをこれまで私はモデルで何度も申し上げているわけですが、少なくともこの3施策に関していけば、排出量は削減されますが、GDPは増えるということはご理解いただきたいと思っております。
 5番目は、先ほど申しましたけれども、3施策に加えて削減をしようとする場合には、AIMの技術モデルでの試算結果、このロードマップ委員会で議論されてきた内容にもあるわけですが、それらの技術が採択されるには、仮想的な炭素価格の上昇が要るとうことです。すなわち、プライス・メカニズムが働く形にしないとうまく回らないということであります。ただ、これは現実にやるというのではなくて、法律的な強制力を持たせれば同じことは可能です。したがって、価格は高くはなりませんが、無理やり高い技術を採択されるというデメリットはあるわけです。
 最後の6番目の排出規制、その意味では排出規制の強化というのは、経済モデルにおいてはこのシャドープライスという形でしか処理できませんので、それで行っているわけですが、ここは、私のむしろ個人的な意見ということでお聞きいただきたいことは、やはりシャドープライスを陽表化することです。陽表化すれば、それを市場で評価して売買することができます。売買すれば所得が発生するわけでございまして、その所得を二酸化炭素削減に資する投資に回す。投資に回せば前回の試算で示したようなプラスに持っていくことは非常に簡単にできるということでございます。
 ただ、今回それをお示しできないのは、やはりそういう予断を与えるのを避けて議論をしたいということがございまして、その辺のところは一切出さず、非常にコンサバティブな形で試算を行うことに徹しております。
 その意味で、これまでプラスだったのがなぜマイナスになるかということでご批判があろうかと思うのですが、やはり最終的には研究者としての考え方に従っていろいろな政策、やり方というのはどんどん言えるわけですが、やはりこの審議会というのは公的な立場でございますので、そこは別途別な場所ですればいいということで私も分けております。そういう点が今回とこれまでの違いにあるということをご留意いただければという具合に思っております。
 細かな数字は下のほうにございますので見ていただければと思っておりまして、私のご報告はこれまでということにさせていただければ幸いです。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 お二方の計算でいろいろなメカニズムがわかってきたと思いますけれども、それぞれ前提のことを頭に入れてご検討いただければという具合に思っています。
 それでは、最初にお話しいたしましたように、その計算をどう受け取るか、あるいはそこで足りないところは何か、さらにやらなければいけないところは何だろうかといった点について是非ご議論いただきたいと思います。
 あと約1時間半ぐらいございますので、じっくりではございますけれども、コアのところからどんどん質問していただきたいと、あるいはコメントを述べていただきたいと思います。はい、どなたからか。
 時間があったら、多分、2ラウンドまでいければと思っておりますのでまずお気軽に。
 それでは、トップバッター、村上委員にお願いします。

○村上委員 ご質問がないようでございますので。
 両方の先生には、大変ご丁寧な説明ありがとうございました。大分よくわかってまいりました。
 お二人に同じようにお聞きしたいのでございますけれども、3つの税とその買取と取引だけでは不十分だと。例えばパーセントでは3から5%だと、だからそれ以外の施策を講じなけきゃいかんということで、お二人とも、ではそれ以外の施策は具体的に何かということはあまり触れなくて、3つの施策、税と全量固定価格買取と国内排出量取引と、その明確な3つの施策と比較して残りをどうするかというのが、やらなければいかんというだけで、具体的に示されていないのでございますけれども、それはどこか見れば詳しくわかるのでございましょうか。15、20、25を達成するために、その3つの施策以外に具体的に何をどう進めるという内容でございます。

○西岡委員 則武委員、お願いします。

○則武委員 今の点、私も同じなんですが、理解できないところもあります。税の用途というのが、どこに対して使うのかによって大分変わってくるんじゃないかなと思うんですけれども、その辺が、この用途をどうやって選ばれたのかなというのをちょっとお聞かせいただきたいなと思います。
 それと、両方とも排出量取引制度に対しては間接の部分は評価できないということだったんですけれど、やはり私自身は、直接だけを対象とするこの方式であればあまり効果がないのはそのとおりかなと思います。特にロードマップの中では業務部門を多く減らさないといけないということに対して、間接排出を対象にすれば、そこの部分は省エネ機器の開発等進むなどの効果があって減るんではないかと思うんですけれども、その辺をこの評価の技術的な面でできないものか、何かほかに方法として今後できるのかどうか、ちょっとお聞かせいただきたいなと思います。

○西岡委員長 じゃ、赤井委員までお話し願いまして、それで一旦回答を願います。

○赤井委員 その辺りを申し上げようと思っていたんですけれども、実は1つだけ増井委員のご発表の12とか13ページなんですけれども、施策A、B、Cで、15%削減に対応する対策を導入する20%、25%というそこの具体的なリストというのはどこかにあるのでしたか。ちょっとそこをわかりやすく教えていただければと思います。
 申し上げようと思っていたのは、時間の余裕があるので、いつものように全員の質問を受けてからじゃなくて個別にやったほうが、その後質問しようと思ったことに既に議論でお答えされるかと思うので、そのほうが効率がいいような気がするんで。

○西岡委員長 そうですね、そのようにさせてもらいます。
 ご3人の方からいただきましたけれども、増井委員のほうからご回答願います。

○増井委員 どうもありがとうございます。
 村上委員、則武委員のほうからありました3施策以外とは一体何なのかということなんですけれども、基本的に、15%削減、20%削減、25%削減というのはAIM技術選択モデルで想定されている技術というのを全面的に導入するということでございます。3施策というのは、ある意味その一部を導入するということで、3施策からこの15から25というふうなところにつきましては、その残りの技術をいろいろ導入していくというような理解でございます。
 じゃ、その3施策においてどれだけの技術が導入されるのかという、これは赤井委員のほうからの質問とも関係するんですけれども、すみません、ちょっと今回はリストは十分に準備しておりませんでしたので、次回までにはきちんと準備しておきますけれども、説明でも申し上げましたように、例えば排出量取引で15%というふうなことを言いますと、該当する鉄鋼部門、化学、紙パルプ、セメント、それぞれの業種におきまして15%削減に相当する技術を導入するというふうなことを考えております。
 ですから、今、則武委員のほうからご質問がありました業務、例えば電力において排出量取引を行った場合、業務のところの効果というようなものが見られないのかというご質問がございましたけれども、そこについては今回は入れていないということで、ですから本来ですと例えば電力部門に対して排出量取引を行って、何らかの形で電力価格が上昇してくるというふうなことがありますと、電力を利用している部門で、主体で省エネ機器を導入するというふうなところを組み込む必要があるんですけれども、このモデルは、それをやろうとするとまた技術選択モデルのほうで、電力価格、これだけ上昇したからその価格上昇に従って追加的にこれだけ技術が導入されるという、そういう情報が必要になってまいりますので、ちょっとそこまで2つのモデルでやりとりする時間がございませんでしたので、ここではそういうところまでは行っておりません。
 税の用途なんですけれども、則武委員のほうからご質問がありました。
 その税の用途につきましても、あらかじめメニューを技術選択モデルのほうからいただいておりますので、そのメニューに対して税金を使う、税収を使うということを行っています。ですから、もちろんほかにも使い道はあるのではないかとか、あるいはもう少し具体的に言いますと、技術選択モデルのほうで、例えば自動車、ハイブリッド車なり、そういう次世代自動車の生産がこれだけ増えるというふうなことも当然情報としてあるんですけれども、じゃその自動車の、いわゆるトヨタさんなりホンダさんというような、そういう自動車メーカーの売り上げが単に増えるだけでいいのか、あるいはその次世代自動車の構成要素、例えばモーターですとかバッテリーですとか、それがどの程度増えるのか、その辺り、この検討会が始まった当初から情報をできればいただきたいというふうなことを言っていたんですけれども、なかなかそういう情報が出せないといいますか、分けて評価することが難しいということで、その辺、こちらも苦心しながら、適宜、追加投資分を割り振って評価してます。実は、その割り振りの仕方によっても大きく答えは変わってくるところだと思います。本来ですと、そういうところ、感度解析といいましょうか、幾つかそのケースを区切って分析しておかないといけないんですけれども、ちょっと今回はそういうふうなところは行っておらず、ある一定の想定に従って出した結果であると、そういう状況でございます。
 以上です。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 では、伴委員、お願いします。

○伴委員 私のモデルの場合、技術あるいは生産量、これが何で決まるかというと、すべてプライスで決まります。したがいまして、その3施策のみで不十分なときにどうするかというと、先ほどのシャドープライスといった形での仮想的な二酸化炭素価格の上昇が生じ、炭素を多く発生する商品の値段が上がる。そのことで低炭素商品に移行し、あるいは炭素を多く排出するものを買わなくなる。それがメカニズムとしてモデルの中に入っている。したがって、3施策のみで不十分で、さらに強制的に排出量を削減しようとすれば、結局は価格の上昇ということが必要となるということです。それをシャドーと言うかリアルと言うのか、それはとらえ方によっていろいろと変わるだろうと思っております。
 それから、則武委員の税の用途については、先ほどいろいろと増井委員のほうからもお答があったわけですが、最初の温暖化対策の税、これは個人的にはトン当たり1,000円とか2,000円ではなくてもっと高いのをかけてもいいとは思うのですが、この程度で得られる税収は、2000億から5000億程度の間でありまして、その程度の規模で何ができるのであろうかということを考えたときに少し心許なく感じます。いわゆるエコ減税で、自動車や家電製品が非常に売れました。やり方が少しまずかったので、エネルギーに対して本当によかったかどうかわからないですが、そういう製品が売れ、経済を支えたという事実があるわけでありまして、税を課すときに、それをどういうところに使うかというときに、ある程度の合意が要るだろう。そうしたときに、この2000億から5000億、そういうお金をそういうところに低炭素実現に投ずるということに関しては、国民の合意が得やすいのではないかと思っております。
 そういう意味で、税というのは取ろうとすれば、それに対してどういうところにメリットがあるかをやはり国民の中で、あるいは国会の中で議論していただく必要がありますので、その点に関しては、税の用途に関しては、ある程度これまでの一、二年の実績に基づいて判断すると、そういう産業に対しての生産物を安くすることで需要を喚起するというのが有力な方法となります。需要が喚起されれば、その産業だけではなくて、ほかの産業にも大きな波及効果があるわけで、その部分は高く評価してもいいのではないかと思っております。
 それからもう一つ、則武委員のほうからおっしゃった間接排出モデルがなぜ難しいかといいますと、家計も産業もそうですが、電力に関して、ここのモデルでは火力、水力、原子力と新エネルギーの4つに分かれていますが、その4つのエネルギーを同じ製品として電力会社から買います。つまり、石炭火力や原子力などの発生源ごとに価格が設定され、我々がそれを選択できるのであれば、直接ではなくて間接でもいいのですが、問題は、発電で間接に排出されるCO2についての選択ができない。私自身ここでも何度も申し上げましたが、日本でCO2が発生した大きな原因というのは石炭火力発電の増加だと思っておりますので、そういうことをされたら、我々が頑張っても、電気を使えばより多くのCO2が発生してしまいます。そうしたときに、原子力と石炭火力が別料金になっておれば、それに応じて我々は選択できたのではないだろうかと思っております。それができない中では、間接では難しいというのはそういうところでございます。
 二酸化炭素の排出量報告制度の場合、電力も含めて排出係数を掛けて排出量にしておりますが、そのやり方というのは、確かに間接排出が基本となっておりますが、やはり需要家が個々の電力の発生源、エネルギー源に対して関与できる形を制度として整えていただかない限り、間接では非常に難しいという具合に考えております。その意味で、電力会社を矢面にしているわけではないわけですが、電力の発電・供給システムからすると、間接排出でやるのは難しくて、直接排出で扱って、その部分を電力会社に還付する形での処置しかできないと思っております。
 それと、間接排出といったときにも、先ほど言いました炭素価格が上昇するということで電力価格が上がれば電力を節約するためには大きな要因になるわけでありまして、LEDにしろ、あるいは省エネ機器にしても購入が進むと考えています。
 したがって、私自身は経済なので、いわゆる技術モデルとは違いまして、技術の選択というのは価格で決まると考えておりまして、節約したいものの値段が上がることによって、人々が行動を起こし、その結果として二酸化炭素の排出削減に向かう、これが私のモデルの基本になっていることはご理解いただければと思っております。
 以上です。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 いかがでしょうか、ほかに。
 それでは、冨田委員、お願いします。

○冨田委員 ありがとうございます。
 お二人の先生には、難しい話をわかりやすくご説明いただいたと思いますが、十分理解できたかどうか本当に心もとないのですけれども、2点お聞きしたいと思います。
 1点目は、伴先生の資料の8の脚注のところですが、[2]と[3]の差分が排出量取引の効果とはならないことに留意する必要があると書かれておりますけれども、このモデル分析をロードマップでなぜやっているかという目的の一つに、政策の有無に伴う影響の違いと、そういうものを分析しようという目的があるわけです。まずこの[2]と[3]の差がこういうふうにETSの効果にならないというのはなぜかということと、例えば排出量取引の有無について評価をしようと思えば、どういう分析ができるのかと、それは排出量取引のみならず、3つの施策について有無についての分析というのはどうしたらできるのかというところをお聞きしたいと思います。
 それからもう一点は、増井委員の資料ですと23のところに炭素価格の結果が出ておりまして、言い方をかえると限界削減費用に相当するというお話だったと思いますが、これをどういうふうに理解したらいいのかなというのを教えていただければと思います。すなわち、例えば真水25%削減というときには、1万5,000円ぐらいかかる削減対策を行うことまで求められるという理解でよろしいのかどうかということ、それから伴先生おっしゃられているシャドープライスの値ですが、この増井委員の書かれている炭素価格とどういう関係にあるのか、値とレベルとそれから解釈すべきものの違いがあれば教えていただければと思います。

○西岡委員長 影山委員、お願いします。

○影山委員 まず、事務局に教えていただきたいと思います。今日の小委員会の目的は、モデルについていろいろ勉強しましょうということだと思うのですが、今日の伴委員と、増井委員のモデル、それ以外のモデルも前回あったと思いますが、これらを今後どのように活用されるのでしょうか。
 それから、前回、シミュレーションについていろいろ議論されたときに、先ほど土居室長から話がありましたが、まとめに書いてあるとおりいろいろ課題がありました。「経済モデル分析の限界について」ということで、前提であるいは中身でいろいろ変わってきてしまって、数値そのものを過大評価すべきではないという意見があったと思うのですが、このような点について、どのように考えていくのでしょうか。これは事務局の宿題のだった気がするのですが、今後どのようにしていくのでしょうか。この前のシミュレーションの専門家の皆さんによる議論では、負担にしても、増える、減る、どうにでもなるという印象を受けました。今日の議論の一つになっていますが、モデル間の違い、あるいは同じモデルで何が言えるのか、ということに対する資料が提供されているわけではないと思います。事務局の宿題あるいは専門家同士でもう一回議論するという話もあったと思うのですが、今後どうするのかを教えていただきたいと思います。
 それから、今日の伴委員と増井委員のシミュレーションの前提は、土居室長が先に言われた前提に合わせてやっていると思いますが、電力のところが、間接だとか直接だとか、あるいはシミュレーション上できないことがあるのか、あるいは、オークションでやったと言っているが、前提とぴったり合っいるのかをお聞きしたいと思います。
 また、聞き漏らしたのかもしれませんが、前提の中で排出量取引のレベルがどのように設定されたのかわかりませんでした。税とフィードインタリフについては、土居室長の説明でわかりましたが、排出量取引のレベルがどのように設定されたのか、教えていただきたいと思います。
 以上です。

○西岡委員長 それじゃ、その2問につきましてお二方のほうからご回答願います。
 増井さんのほうから。

○増井委員 どうもありがとうございます。
 冨田委員のほうから資料の23ページの炭素価格についてご質問がございました。こちらのほうのモデルは、いわゆるシャドープライスではなくて実際の陽表的な、伴先生の資料の説明をかりますと、陽表的な形での炭素価格ということ、実際取引されているものを想定しておりますので、いわゆる炭素税に相当するようなものというふうにご理解いただければと思います。
 ただ、今回の計算も、これまでの流れと同様に、一旦、税収というのは政府が集めて、それを全額、家計に戻すというような形をとっておりますので、その税の使い道を賢くすれば、この税金、炭素の値段は下がっていくというのはタスクフォースでも提示しておりますので、しかしそこまで今回ちょっと計算はできなかったんですけれども、これはあくまで一つのそういう税を政府が集めて、それを全部家計に返すというふうな場合にかかってくる炭素の値段であるというふうにご理解いただければと思います。
 影山委員のほうからありました前提に合わせて行っているのかというところなんですけれども、厳密に前提に合っているのかどうかといいますと、合っていないというふうな形の答えになります。例えば、資料2の9枚目のスライドにありますように、全量固定価格買取制度の場合、このシミュレーションでは太陽光発電のみを対象としておりますので、必ずしもすべて再生可能エネルギー全体というふうなわけではない、一部このモデルでできるところだけを行っているということでございます。
 あと、その排出量取引、国内排出量取引制度の排出量のレベルなんですけれども、これは例えば主要4業種の排出について言いますと、前回、技術選択モデルのほうで結果が出されましたそれぞれレファレンスケース、15%減ケース、20%減のケース、25%減のケース、それぞれについて、それぞれの4業種でどれだけ排出量が行われるのかというふうなことが出ております。その結果を使いまして、レファレンスからどれだけ下がっているのかというその情報を用いまして、こちらのレファレンスに対して、変化率、変化の分だけを掛けてキャップの量というふうにしております。

○冨田委員 どのぐらい下がるんですか。

○増井委員 すみません、ちょっと数字はないんですけれども、これは、多分、前回の資料2というものをご覧いただければ、ちょっと数字がないかもしれませんので、数字が明示されていないかもしれませんので、そこは次回までにきちんと準備しておきます。
 以上です。

○西岡委員長 はい。ありがとうございました。
 伴委員のほう、お願いします。

○伴委員 はい。冨田委員からのご質問、まさにそのとおりかと思うのですが、実はこれ、順序によっていろいろ変わるわけです。つまり、限界削減費用の話がよく出ますけれども、限界削減費用というのは線形で高くなっていくのでなくて、最初は非常に緩く、そして急激に上がっていく性質ございます。つまり、ある特定の効果をシミュレーションするときに、最初がどういう状態かを見ないと困るのです。そういう意味では、確かに冨田委員のように、いつもベースラインケースから固定買取制度、ベースラインケースから国内排出取引制度とやるのがいいのですが、それをやると試算の数が非常に増えるという問題があります。
 今回の試算結果を見るとき、単独の効果といいますが、それが何番目に出てくるかによって変わってくるのですね。それが[2]と[3]の差分がという書き方になっているわけです。ここで、最初に税、それから固定買取制度、それから国内排出取引制度にしている理由は、2011年、2012年、2013年と少しずつ後になっているので、それを踏まえて、いわゆる政策的に取り入れられる順序でストーリーを組み立てたのが今回の8ページのものであるということです。したがって、国内排出量取引制度の効果を単独で取り出すには、[2]と[3]の差だけではない部分が出てきますので、そこが少し悩ましいところです。つまり、施策の順序によって各施策の効果が違ってくるのが大きな問題と思っています。
 シャドープライスについては、電力料金に関して1つ言いますと、価格の取り方にも問題があります。その前にちょっと申し上げたいのは、実はこれまでモデル試算は25%削減を主にやってきたわけで、そこでは各モデルの試算結果が随分違うのですが、5%削減や10%削減などの低い削減では、私のモデルも増井先生のモデルもほとんど変わりません。あんまり変わらないということです。ただ、削減量がどんどん厳しくなるに従って、限界削減費用の扱いも含めて変わってきますので、影響が変わるということかと思っております。
 シャドープライスでいきますと、限界削減費用は28から29ページ、電力価格については26から27ページにあります。
 ちょっと冨田先生の質問の意図がわからなかったので、もし不十分であれば言っていただければと思います。

○西岡委員長 どうぞ、もし冨田委員のほうで。

○冨田委員 私がお聞きしたかったのは、28、29に相当するのでしょうか、このCO2価格と書かれているのがシャドープライスということですね。

○伴委員 はい、そうですね。

○冨田委員 この図の解釈としては、2020年において25%削減のときには2万5,000円相当のCO2価格になる。3施策プラス2万5,000円ということが必要になっていると。

○伴委員 はい、そうですね。この数字は、増井委員はこれが多分4万円ぐらいになっていると思いますので、それと比べれば3分の2ぐらいになっています。

○冨田委員 随分低いということですね。増井委員のほうは、なおかつこの炭素税相当とおっしゃられていましたので、その使途に、使途は家計に戻すのでしたか。そうすると、そこはこのシャドープライスの考え方と同じということですね、税収を温暖化対策に使わないという意味においては。単純にこの増井委員の4万7,000円かな、4万ちょっとと、それと2万5,000円のレベルを比較してよろしいということになるのかなと思いますが。

○伴委員 還付に関しては、多分、増井委員のほうは家計、私のほうは政府と家計と半々で分けるという形にしている。ただし、それが先ほどから少し議論になっていますが、いわゆる温暖化対策とかそれのために資することは一切考えていないという形になります。
 それから、これもご質問出るかと思うのですが、価格のところがこれまでの試算と随分変わったのは、先ほど言いましたように限界削減費用のコストの積算の仕方を変えたところで変わってくるわけでありますが、それが強く影響するのは最後の二、三年のところでありまして、それ以前のところはそんなに大きく変わりません。だから、いわゆる限界削減費用が2020年はこれぐらいが妥当かなと思っておりまして、これがモデルから素直に出てくる数字という形で理解していただければと思っております。学会等でもいろいろ議論したのですが、限界削減費用は技術モデルだけではなくて、経済モデルとのも整合的していると仰る方が多いのですが、私は前回の試算では技術モデルに無理に合わせる形でやっていたのですが、ならば経済モデル側で決めればいいのではないかということで、私は下げたという経緯がございました。これは裏話ですが、一応、記憶していただければと思っております。

○西岡委員長 よろしゅうございますか。

○影山委員 前提が合っているかということと、排出量取引のレベルがどうであるか、ということをお聞きしたいと思います。

○伴委員 排出量のキャップは、多分、いや、削減量は多分3000万トンから5000万トンくらいの間ぐらいではなかったかと思っています、2020年。キャップは多分3億トンぐらいではなかったかと。ちょっと申し訳ありません。数字の記憶としてはそういう気がございます。ちょっとPCの中を見ないといけませんけれど。

○影山委員 そこが合わせているわけじゃないんですね。

○伴委員 いや、私は、ほぼこちらと同じ数字、つまり私自身の使っているのもAIMの技術モデルから出てくる15%、20%、25%の削減量に応じた数字をキャップとしてかけていますので多分同じだろうと思います。

○増井委員 前回の資料2、ちょっと手元にないかもしれませんけれども、そちらの40ページのほうに、部門別のCO2の削減量ということで、これはちょっとグラフだけなんですけれどもございまして、大体その数字を見ますと、その主要4業種、鉄鋼・セメント・化学・紙パルプといったところで1000万トン程度の削減量というふうな形になっております。

○影山委員 上から1000万トン。

○増井委員 そうですね、という形になっています。

○影山委員 母数が大体二、三億ぐらいでしたか、その業種の足し算は。

○増井委員 ちょっとすみません、母数までは。
 ということで、ですからこの数字をベースに使っていると。ただ、こちらのほうのモデルで言いますと、レファレンスそのものがやはり必ずしもこの技術センターモデルのレファレンスと合っているわけではありませんので、1000万トンという数字を入れているのではなくて、いわゆるレファレンスからの変化率に直して、それをこちらの経済モデルのほうの中に入れております。

○西岡委員長 それでは、今、影山委員のほうから今後の進め方も含めてご質問がありました。
 事務局のほうから。

○低炭素社会推進室長 本日ご議論いただいている内容も含めまして、これまでこの小委員会で出てきてまいりましたご議論につきましては、事務局のほうで整理をさせていただきまして、改めて資料を提示しご議論賜ればと思っております。また、モデルに関します専門家に加わっていただいてのご議論は次回お願いしたいというふうに思っておりまして、準備をしているところでございます。
 また、前提条件の充足の状況につきましては、改めまして事務局のほうで取りまとめまして、こちらから提示した前提条件と、またモデル上のいろいろ制約がございますので、それをどのように表現したのかということも含めまして一度整理をさせていただきまして、資料としてお出ししたいというふうに思います。
 ちなみに、排出量取引の4業種なりのところにつきましては、基本的には先ほど議論の中でも出ましたが、AIMモデルの技術のところで出ているものですが、基本的には各業界の方々からヒアリングでお聞きしたものを使っているというふうに思っておりますが、具体的な数字につきましては、一度整理をさせていただきましてご提示させていただきたいと思います。

○西岡委員長 ありがとうございました。
 それでは、議論に戻りまして、則武委員、お願いします。

○則武委員 ちょっと先ほど伴先生のほうで、排出量取引の電力を間接にすると、電力源を選べないというお話がありましたけど、ちょっと土居さんのほうにお伺いしたほうがいいのかと思うんですけれど、前提条件のところで示されている排出量取引制度の中で、電力の扱いが間接排出という扱いと書いてあるんですが、実質、排出量取引制度の委員会のほうでは、電力間接だけでなくて電力の原単位ということもあったかと思うんで、そうすると先ほどの伴先生のとはちょっと違ったことになるのではないかなと思います。
 それと、先ほども影山委員からもあったように、排出量取引のこの枠の設定というのが非常に重要になってくると思いますので、それを削減が非常に難しい4業種に対してだけということに絞ってしまうと、国として削減したい部分に対して排出量取引は使わないというふうに見えてきてしまうんですけれども、やはり前提としてはどこの部分にどれくらいの排出枠というのが前提条件として必要ではないかなと思いますので、ちょっとご提示いただけたほうがいいと思っております。その部分で、業務部門に対してどう考えるのかで変わってくると思います。
 あと、ちょっと幾つか言わせていただきますと、税額についてなんですけれど、これは、お2人のご説明いただいた委員の方お二人とも同じ意見だと思うんですけれど、この金額だと、今まで進められたエコ家電のエコポイントや車に対する部分の費用も全然足りないという状況で、とても効果があるとは思えないのですが、ということは、この考えでいったら今のエコポイントや車に対するものも継続も絶対できないという考えに見えてしまいます。その辺を考えると、やっぱりちょっと必要な税額という面では、何に使うかという部分も含めて、もう少し税に対しての考えは広げてシミュレーションしていただいたほうがいいんじゃないかなと思います。
 それと、今回ので、シミュレーションの中で、CO2総量は出ているんですけれど、部門別にというところまではどうなるというのは見えないのかどうか、できれば部門別にどう変わるのかというのがわかればありがたいなと思います。

○西岡委員長 それじゃ、まず事務局のほうから間接直接の話を。

○低炭素社会推進室長 まず、排出係数につきましては、おっしゃるとおり、排出量取引制度の議論の中で電力排出係数という形で表現しておりますが、それをモデルに今度移しかえるときに、係数という形ではモデルの中に組み込めないので、量という形に一度換算といいましょうか読みかえて入れていただきますので、そういった頭にはあるものではありますけれども、実際にモデルの中にどう入っているのかというのは前提条件そのままの形ではない、一度読みかえていただいているということがございます。
 あと、どの分野を取引制度の対象にするかということにつきましては、別途、取引の小委員会も動いておりますので、そちらの議論と連動する形でさせていただきたいと思いますので、改めて整理をさせていただきたいと思います。
 あと、税につきましては、こちらも温暖化対策に用いる税の検討チームからの税額を2種類提示いただいておりますけれども、使途も含めましてそちらとも連携をとり、今のご議論を伝えて次回またお示ししたいと思っております。
 詳細につきましてはさらに別途。

○西岡委員長 お二方に……

○低炭素社会推進室長補佐 事務的に国内排出量取引制度の間接排出をモデルでどう表すことが今の現段階で可能かということについてご説明させていただきます。
 これはエネルギーバランス表ということで、エネルギーの使用、部門別の内訳がどの程度詳細にわかっているかということになりますが、素材4業種のところについては、いわゆる燃料と電力、それぞれの直接の排出力と間接の排出力という内訳が現況の統計としてございますので、それをベースに、将来の排出量のキャップというものが設定可能だということでございます。他方で、業務につきましては、その業務の部門別にどういうふうな排出構造になっているかということは今の統計上からはわかりませんので、電力のAIM技術モデルのほうで出てきておりますCO2排出量というのは、CO2の排出原単位と発電電力量に分解できるわけでございます。その原単位キャップというものを設定するのに際しまして、その排出係数、AIM技術モデルが出てきております排出系指数と発電電力量というものから読みかえて、経済モデルの中ではそれをCO2のキャップと、電力・石炭へのキャップということで設定をすることによって、少なくても業務部門の電力排出、間接排出の部分についてはそのキャップ&トレード式に基づく間接排出の国内排出量取引制度が反映できているということでございまして、業務部門のその直接排出の部分については経常内訳がないため、うまく反映することは今の段階では技術的には難しいということでございます。
 つまり、素材4業種については直接排出と間接排出の部分がキャップとして表現できて、業務の部分は間接排出の部分が表現できるということに、モデル上、今の段階でできるのはそこまでができるということでございます。

○西岡委員長 どうもありがとうございます。委員のお二方にですけれども、最後にCO2の部門別の量が出ているかという話がありましたけれども、それはいかがですか。

○増井委員 それは、一応、出すことはできますので準備はしておきます。

○西岡委員長 どうもありがとうございます。

○伴委員 私のほうは、各産業の直接排出量はすべて出すことができます。ただ、間接排出量については、電力の排出係数を掛けることになるんですが、そこのところはちょっと自信はないですね。やろうと思ったらそういう形での変換はできるかと思っています。

○西岡委員長  杉山委員、お願いします。

○杉山委員 ありがとうございました。
 1点だけ質問をさせていただきたいと思っていまして、増井さんのご説明いただいた資料では11ページで、伴先生から出された資料だと7ページのところになりますけれど、それぞれ25%に達しない部分の扱いについての記述があるわけですけれども、そのうちの質問の1つ目は、それぞれお書きになられているところが、増井先生だと一国モデルでは表現することができないという理由で海外からのクレジット購入と、伴先生のほうは技術の輸出に伴う生産等の増加云々ということで単純クレジットの購入ということで理由が書かれているわけですけれども、ここは、お互いに言っていることは重なっていることなのか、同意のことを言っているのか、もしくは違うことを言っているのか、もう少し補足をしていただけないかなと。
 2つ目の質問は、この3施策を行った場合に、やはりそれだけでは足らないというのはお互いのお二人の主張で合っていたのかなと。そうすると、そこの3施策で残った部分、今の部分はあるわけですけれども、そこの影響の度合い、大きさは、どのように評価、現時点でされているのだろうかというのが2つ目。
 3つ目の質問になりますけれども、実際に海外における日本の取組を貢献すると、これはもう難しいということでこの経済モデルに入れないという話をしてしまうのか、それともできる範囲でモデルを想定して、もしくは仕組みをある程度推測する中でその影響を取り入れていくのか、そういったことは今後のモデル分析の中で可能なのかどうか、もしくはしていく考えがおありなのかどうかということについてお伺いさせていただきたいと思います。お願いします。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。牛久保委員のほうからもご意見をいただいておきます。

○牛久保委員 質問というよりは、意見なんですけれども、国民的目線から言いますと、先ほどもありましたけれども、税制の問題、炭素税等、それから3施策等を導入することによって、例えば現状、各種税制があるわけですけれども、それに対する影響というもののイメージとしてあっての議論、さらにはこの小委員会の中で議論の過程、それからこのロードマップ小委員会という特殊性を考えて議論をするときに、イメージとして国全体の中でどういうような状況の変化や影響があるのかどうかということもやはり話の中に含めていただくということを1点お願いできればということです。
 それと、私自身が農林漁業のサブワーキンググループを取りまとめという役目を仰せつかっておりますので、事務局のほうからの温暖化による被害コストが非常に大きな問題で影響するということでありますけれども、例えば農林漁業地域においては、例えばバイオマスの供給ですとか、それから各再生可能エネルギーの施設等については、農山漁村地域の土地の問題とかが非常に大きく関わるというふうに考えております。ですから、そういうところのコスト試算的なものも、もし可能であれば、この分析の中に加えていただくことをお願いできればというふうに思っております。
 以上です。ありがとうございました。

○西岡委員長 どうもありがとうございます。
 それじゃ、お二方から、増井さんから。

○増井委員 どうもありがとうございます。
 杉山委員のほうから、私の資料で言いますと11枚目のスライドで25%に達しないときのその表現というところと伴先生の表現とどう違うのかというところだったかと思うんですけれども、プログラム上はやっていることは同じだと思います。

○伴委員 ええ、それは全く同じです。結局はその分だけ海外から購入しますから、海外に所得が出ていくということで一緒です。

○増井委員 ですから、それをどう解釈するか、あるいはどういうふうにその問題を認識しているのかというところのその違いだけだと思いますので、もちろんこの辺り、表現するということは可能は可能なんですけれども、ただそうなってきますといろいろなシナリオが考えられるわけで、今でも3施策プラス3つの目標なおかつ税収をどうするのかとかいうふうな形にまで触れますと、本当に天文学的な数字になってしまって、逆にこういう数字、ばらばらな数字を見せられても何が何だかもう本当にさっぱりわからないというようなことになってしまいますので、その辺りは、少し絞ってといいますか、そのシナリオを絞って提供するというふうなことが一つ我々に課されている役目なのかなというふうに思っております。
 特に、海外に対する取組というふうなところにつきまして、本当にきちんと議論しようとしますと、どうしてもその世界モデルというふうなところの手だてというか力を借りなければいけないということで、今回、国内モデルでの利用でシナリオを設定することでいろいろ分析は可能ですけれども、その辺り、きちんとやろうとすると世界モデルというものが必要になってくるというふうに思っております。
 あと、牛久保委員のほうからも貴重なご意見どうもありがとうございました。もちろん、国民目線ということでやろうとはしてはいるんですけれども、どうしてもモデルそのものが一国全体を扱っているというふうなところで、例えば家計においても所得の差というふうなものもいろいろございますし、また地域的な差というふうなものもあります。どうしても暖房を使わなければいけない地域ですとかいろいろありますので、そういうふうなところまですべて包括的に含んでいるのかというと、必ずしもそうではないというところは正直なところでございます。
 ですから、この結果をベースに解釈するというふうなところ、そういう作業が必要なのかなというふうに思っております。
 最後にご指摘いただきました温暖化の被害の話、これも非常に重要な問題であるというふうに認識しております。ただ、一方で、モデルの中では、農林水産業、それほど細かく区分しているわけではございませんで、私のほうではもう甲種農業、畜産といった辺りしかなくて、本来ですと、米に対する影響と果樹に対する影響、果樹でもミカンに対する影響とリンゴに対する影響と、いろいろさまざまにあるかと思いますので、そういうところまで実はきちんと表現することはできていない。もちろん、何らかの仮定を置いて表現することは可能なんですけれども、ただそこまでしてやる必要があるのかどうかというようなことをちょっと今ちゅうちょしている段階です。
 といいますのも、もちろん温暖化の影響というのは徐々に顕在化しているわけではありますけれども、非常にシビアな段階になるのは2050年を超えてからである。今回計算しておりますのは2020年までということで、そういう時間の差もありますので、そういう温暖化の被害というふうなものを全面的に取り入れるというふうなところまでは至っていないというのが実情です。
 もちろん是非そういったところ、特にバイオマスの供給等において変わってくるということであれば、そういうふうなところ、そういう情報を反映して試算することは可能ですので是非ご協力いただければと思います。
 以上です。

○西岡委員長 どうぞ、伴委員、お願いします。

○伴委員 杉山委員のほうは、海外との取引にご興味があると思うのですが、その問題については、今、世界モデルでシミュレーションしておりまして、この場でも報告を予定いたしております。これまでの報告は、一国モデルでやっていますが、世界モデルでしたときにどういうことが言えるか、日本の競争力に対してどういう影響を与えるかは出せると思っております。それがなるべく早い段階でできればと思っております。
 ただ、日本がどういう形で、環境分野で世界に貢献するかということなのですが、確かにそれは非常に重要なこと思うのですが、数字上でいきますと、日本が海外から購入するのはせいぜい1億トンから1億5000万トンぐらいの間でありまして、金額でいくと1トン1,000円ぐらいで評価していますが、はっきりいえば1兆円を超すことはないです。数千億円の規模の費用でしかない。そのお金を海外に出して海外の生産力を高めてやるといったとき、モデルの中ではその程度の数字は極小なのです。もちろん、日本だけではなくて、中国とかアメリカとかいろいろな国が同時にやれば非常に大きな数字になりますが、日本単独でとなると非常にわずかな数字なることはご理解いただきたい。
 そういう意味で、杉山委員が言ったように、私も昔から海外でやるべきだということを言っていますが、日本だけがやったとしても、それはモデルではほんのちょっとした数字でしかない。同じことは牛久保委員に関しても、いわゆる農林水産業でバイオとか、いろいろな技術開発、技術の問題というのはあると思うのですね。ただ、それのモデル全体で占める部分というのは、収束計算するときの判定条件より小さい水準なのです。したがって、申し訳ないのですが、そういうのを取り上げて明確に出すというのはなかなか難しい。そういうことを出そうとすれば、むしろ世界モデルとか日本モデルではなくて、農業モデルという特定の産業モデルのような部分均衡モデルでやったほうが、はるかに情報があるのではないかと思っております。
 以上です。

○西岡委員長 杉山委員のほうでよろしゅうございますか。
 はい。

○杉山委員 ありがとうございました。主文の趣旨は理解しました。
 それで、コメントという形になるかもしれませんけれど、この間もいろいろなモデルを勉強させていただいてここの中で検討してきたわけで、その中で過去行われた議論の中ではやはり日本のポジションをどうはっきり認識していくかというのは重要だという議論を交わされてきたというふうに理解していますし、先ほど伴さんご説明された世界モデルも今検討されているという話でしたので、どこまでの資料もしくは分析結果を出すかというのは、これはまた別途ご相談なり、そういうことが必要かもしれませんが、少なくとも先ほどおっしゃった日本だけが行っても微々たるものだというのは一つの有効なデータだと思っていますし、じゃどことどこがやれば有効になるのか、どこがやらなければどうなるのかというのは、これはしっかりと押さえておいたほうがいいと思っていまして、国内のいろいろな施策の組み合せを考える中でも、世界とのバランスの中でどうするのかというのはやっぱりしっかり前提として押さえておくべきじゃないのかなというふうに思っていますので、この議論と同時系列的に並べるかというのは事務局のほうとの調整が要るかというふうに思いますけれども、是非、別途の機会になると思いますけれども、ご提示をお願いしたいというふうに思います。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 村上委員、お願いします。

○村上委員 伴先生にもう一度お聞きしたいのでございますけれど、2つございまして、これは教えていただきたいのですが、1つは、限界削減費用に関連しまして、主観的割引率、社会的割引率という用語を使っておりますけれども、経済学のほうで確立した用語なのかということと、どちらをどう使うべきかということで、その議論の結着はついているのかと、それが1点ですね。
 2つ目は、結局、3施策で足りない場合には、先生の場合にはシャドープライスの価格に応じてそれが上昇するから、産業とか家計部門が産出抑制を実施するということがありましたけれども、どういう選択の順位でその排出抑制が実施されるかというのは、やはり限界削減費用を考えながら自動的になされるという、そういう想定のモデルになろうかどうか、その2点教えてください。

○伴委員 まず第1点のいわゆる限界削減費用ですけれども、日本の技術モデルの主観的割引率というのは経済学で使っている意味とは異なります。報告書にある主観的割引率は技術者の方々が使っている内容かと思っております。
 我々の経済学で使っているのは、法定耐用年数、これがここで言う社会的割引率という意味なのですが、法定耐用年数でするのが妥当と思っています。そういう意味では、工学系の方々と我々経済系との基本的な認識の違いがありまして、多分、一致点というのはなかなか難しいだろうと思っています。
 それから、2つ目の経済学者の非常に楽観的なところは、結局どういう順序ですべきかは、市場に任せようということです。政府が決めるのではないです。シグナルとして価格の役割を重視しています。価格を変更することによって、人々が自分の範囲の中で将来も含めて行動すると考えます。それぞれが行動したときに、どういうところに均衡があるかを見つけるのが私の使っている経済モデルの基本メカニズムであります。もちろん、いろいろな規制をかけたりすれば、例えばある税を高めたり、価格メカニズムに対してどういう政策的な介入すれば良くなるのかを試算すること、その辺が経済モデルを使う理由になっていると考えていただければと思っています。

○西岡委員長 ありがとうございます。
 もう一つ、この今回の議論でわかったのは、3方策だけではなくて、残りの部分というのが割と大きな事業施策として占めているなという話で、たしか杉山さんのほうもそのインパクトというか、そういうことについてお聞きになったのですね。イメージもロードマップの中でいろいろなものがもう上がっていることは上がっているんですけれども、そこ全体としてそういうことの重みというのが、まだぴんとこないといいましょうか、具体的にどういう感じで入ってくるのか、今、特にシャドープライスの話がじわじわと社会の中に入ってきているということなんですけれども、わかりやすく言うとどういうことになるかという、もう少しご説明いただけますか。

○増井委員 きちんと首尾よくご質問を理解しているかどうかちょっと不安なところがあるんですけれども、それはいわゆるそういういろいろな技術を導入するための施策としてどういうふうなものをイメージしているのかという、そういう質問なのか、あるいは実際具体的にどういうふうな形で削減するのかという、それはどちらなんでしょうか。

○西岡委員長 前者です。

○増井委員 前者であれば、正直、技術選択モデルのほうで準備されている技術のメニュー、これを導入するというふうなことが15%から25%削減する上での大前提になりますので、そういう前回のこの委員会の中でも議論になりました、提示されました技術をいかにどういうふうに導入するのかと、そこのところをきちんと考えるというふうなことが答えになるかと思います。

○西岡委員長 伴先生、どうぞ。

○伴委員 基本的にはシャドーという形で仮想的な数字でということなのですが、先ほどから何度も言っていますが、表に出すことによってそれが数値として表れる。具体的に言うと、今回のケースの場合には大体25兆円ぐらい、前回では50兆円ぐらいとかなり多かったのですが、それだけの経済的価値があるということです。ただ、その25兆円というのは我々が払うという意味ではコストなのですが、それを受け取る人が出てくるということですね。そういう意味で、25兆円という収入を政府が全部取ったとしたとき、いろいろな使途がある。赤字国債償還に回してしまうこともできますが、補助金や減税、あるいは最近よく話題になっている法人税の減税とかに回せます。法人税減税の場合、5%でも2~3兆円、10%にすれば大体7~8兆円ぐらい要ると思うのですが、そういうことに使うとすれば、企業にとっても投資インセンティブになるわけでありまして、それでさらに経済がよくなっていく。今回の試算では、法人税に関してはあまり言ってほしくないということがございましたので試算していないですが、法人税減税も含めて考えたときに、25兆円という新たな収入を使うことができる。我々は確かに25兆円払うのですが、でもその25兆円を使うことで経済全体に潤いが出てくるとすれば、それは非常によいことではないでしょうか。菅首相のアドバイザーをやっている小野教授をよく知っているのですが、その点については彼と同じでありまして、やはり税金を取ると経済がダメになるということはなくて、その税金をどういう形で使うかによってどんな形でも変わってくるということは、経済学者であれば普通考える内容かと思っている。だから、みんなが我慢するのではなくて、我慢せずにそれを陽表化して、それを経済取引の潤滑剤とすることで経済が伸びていってほしい、これが私の個人的な考え方です。

○西岡委員長 影山委員、お願いします。

○影山委員 今日の増井委員の報告の見方については、対策が25%積み上がっているので、25%の削減ができるということは所与と思ってよろしいでしょうか。そのうちこの3施策で、どのくらい下がるのかというのが、今回のモデル分析から1つわかったことだと。3施策のレベルが低いというのはあるかもしれませんが、あれでよく下がったなと思います。でも、残りはまた別の対策で削減しなければいけないということが、今回のモデル分析から1つわかったということと、もう一つは、これだけ下げて負担がどのくらいになるかというところに対して、経済、GDPの影響が年率0.1から0.3ぐらい下げるだけだということだと理解しました。
 わからないのは、これほど大きく下げて、なぜそれほど影響が大きくないのかというところです。シミュレーションの結果なのかもしれませんが、もう少し説明できることが、何かあれば是非教えてほしいと思います。
 一般で考えますと、税金は返していくので「行って来い」なのでしょうけれども、限界削減費用が4万円ぐらいになると、相当負担が大きくなって、経済全体がシュリンクしてくると思います。そうすると、経済が落ち込み、GDPもあまり伸びなくなってくるのではないか、というのが我々の考えです。それに対して、このシミュレーションでは、それほどGDPが落ち込まないのはなぜなのか、教えていただければと思います。
 それからもう一点、電気料金は結構上がることになっていまして、多分これは省エネ等のいろいろな施策を打つことによって、家庭で電気の使用量も減るのだと思うのですが、いろいろな省エネ投資をして家庭が効率を上げても、結局、電気料金が上がるので、全体の電力料金そのものは下がらないということにもなりかねないという理解で良いのかどうか、そこら辺のところを教えていただければと思います。

○西岡委員長 はい、増井さんのほうからいきましょうか。

○増井委員 どうもありがとうございます。
 結果そのものからいきますと、中期目標検討会あるいはタスクフォースで出してきたものとその傾向そのものは大きく変わっておりません。GDPが成長していく、その中でいろいろな対策を積み上げていくと、その分、若干コストがかかって、成長率そのものは少し落ちていくと。ただ、ベースそのものは上がっていっておりますので、今の水準からいくと経済の活動規模そのものは大きくなっているという傾向そのものはこれまでと変わってきておりませんので、今回の結果だからどうというふうな話では決してないというところではご理解いただければと思います。
 それで、もちろんその4万幾らというような極めて高額の負担が発生するわけなんですけれども、結局それはすべて家計に返ってきて、またそこでいろいろな需要というふうなものが発生するということで、構造そのものがこうやって変わっていくというふうなところが非常に重要なポイントになってくるのではないかなというふうに思っております。ですから、総体としてのGDPというのはあまり変わらないですけれども、実際、いろいろな活動の中身、そういうようなところというのは大きく変わっていくといったところが影響しているのではないかというふうに思っています。
 それで、電力料金のところなんですけれども、これは説明の中でも少し触れさせていただきましたけれども、今回のその設定というのは、あくまで技術選択モデルの中で組み込まれている、結果として出ています対策、例えば25%ケースの場合における対策というふうなもの、そのまま入れております。ですから、その中で、エンドユースモデルの中で想定されております電力の価格、電気の価格とこちらで出しましたその電気の価格というのはかなり大きな乖離がございまして、仮にここで出ましたような電気の価格というふうなものを使ってもう一度エンドユースモデルのほうで計算しますと、恐らくさらにより大幅な省エネ投資、省エネ技術の導入が家計でも実現されていくのではないかなというふうに推測しています。
 ですから、そういう意味で消費量そのものも変わっていく。で、具体的にきちんと積み上げて計算したわけではありませんけれども、価格が上がっているからといって、光熱費の、電気代の負担が増えるというのではなくて、必ずしもそういうふうなことが言えるのではなくて、電気の価格が上がると、それに伴って電力の消費量というようなものが落ちてきて、その結果、電力の、電気代の支払いというようなものがそんなに変わらない場合もあり得るということで、必ずしも変わらないというふうに断言しているわけではありませんので、その辺はケース・バイ・ケースかと思います。
 以上です。

○西岡委員長 伴委員、どうぞ。

○伴委員 まず、そのGDPがあまり減らないのはなぜかということですけれども、GDPというのは基本的には付加価値でありまして、具体的に言うと賃金や営業余剰がGDPなわけですね。ところが、企業の方々が思っていらっしゃる生産というのは、中間投入がかなりの部分を占めるはずです。CO2を発生する大きな要因というのはまさに中間投入のところでありまして、それを減らすということを考えています。そのとき、中間投入を減らしたときに付加価値が減るかどうかは別の話になる。もちろん、生産が減れば、付加価値も減るはずですが、企業はその中で、なるべく付加価値は減らないように努力をする。それがモデルの中に表れる。その結果として、GDPがあまり減らなくなる形で経済が調整されているということです。
 GDPがあまり減らないというのは、経済に関しては調整能力があって、いろいろな外的ショックがあり、相対価格の変化があったとしても、なるべくGDPが減らないように行動を起こす。その結果として特定の産業に被害が及ぶということは当然あり得るかと思うのですが、企業の皆様方がイメージしている生産と付加価値であるGDPは少し分けて考えていただければありがたいと思っています。
 鉄鋼の例をよく出しますけど、鉄鋼において粗鋼生産は増えていないですけれど、付加価値は増えているのです。これがGDPとなる付加価値の動きだということはご理解ください。

○西岡委員長 何か事務局のほうで。

○低炭素社会推進室長 先ほども申し上げましたが、前提条件、さまざまなものにつきましては、我々から提示したもの、またどのように表現されたのかということも含めましてきちんと整理をしたいと思っております。特に排出量取引制度につきましては、今回は、4業種、また電気のところということではございますけれども、あくまでもこのモデルの計算の前提ということでございますので、今、別途、議論を取引制度についても小委員会でしておりますが、そもそもはもっと幅広く大規模な産業・業務をカバーする制度というので今議論しておりますので、そちらの議論の状況につきましてもきちんと明記をした上でお示ししたいというふうに考えております。

○西岡委員長 村上委員。

○村上委員 たびたびすみません。
 両先生にお聞きしたいんですけれど、その3施策を導入しても、90年比で3から5%、伴先生の場合ですと。私、素朴な疑問として、この3つ非常に重要な施策で、切り札みたいに言われて、この3つ導入しても3から5となると、本当にマイナス15とか20とか25が技術の積み上げで達成されるのかどうか、大変、実現可能性を危うく思うんですけれども、これは感じでございますけれども、先生、いかがでございます。

○増井委員 1つは、炭素税の価格というようなものが極めて低いというところがあるかと思います。1,000円、2,000円で果たして人々の行動がどれだけ変わるのか、またそういう省エネ機器がどれだけ普及するのかというふうなところはあろうかと思います。また、その排出量取引制度につきましてもかなり今は限定的な評価しかしておりませんので、そういう意味で今回の結果というのは極めて限定的な削減量しか出なかったということで、先ほど西岡座長のほうからもありましたけれども、要は仮にこういうふうな施策が本当にパッケージとして出るのであれば、またされるのでしょうけれども、それにプラスアルファとして15%減を目指す、あるいは25%減を目指す、そういうふうな施策、追加施策というようなものが一体何なのかというふうなことを本当にやっぱり考えないといけない。多分それを考える場がここなんじゃないかなというふうに思っております。
 以上です。

○西岡委員長 伴委員。

○伴委員 事務局の方に申し訳ないけれど、最初、1,000円というのは二酸化炭素トンで試算の依頼がありました。この水準だったら削減効果はあるかなと思ったら、それを炭素トンに変更してくださいとなりました。そうすると、二酸化炭素トンあたり273円になりますので、ええっと思ったわけでありまして、ただそういう低い税率で考えていらっしゃる人がいるとしたら、それが持つ削減効果をこういう形で示し、少し上げる必要性を示さないといけない思った次第です。
 例えば先ほどにもありましたけれど、1,000円ぐらいではエコ減税にも相当しない、これはまさにそのとおりでありまして、そういうことがこういうところから発信できればと思っております。

○西岡委員長 梶原審議官。

○大臣官房審議官 私のほうの理解が十分でないかもしれませんが、ちょっと誤解のないようにお伝えしたいなと思っているのは、例えば今回、税とか固定価格買取制度とか排出量取引の分であわせてこれぐらいですよという形をお示ししているわけでございますが、当然ながら一つの前提で出せばこんな数字になると。例えば排出量取引制度でありますと、本来、先ほどもちょっと申し上げましたけれど、カバレッジを非常に広くする、あるいはどのレベルで対象にするかによって大きく異なってまいります。
 現在は主要4業種と電力という形で整理をさせていただいております。また、タックスのほうにつきましても、先ほどから税率の議論がありますけれども、それだけではなくて、税収をどういう形で使うかといったようなたぐいでまた幅が出てきます。ただ、いろいろなそのケースがあり得るわけではありますけれども、すべてがシミュレーションの上ではなかなか出せないということだと思います。今日、私ども聞いておりまして、かなりコンサバティブに慎重に慎重に数字を出されているシミュレーションではないかというふうに思っておりまして、そういう面も考えるということだと思います。
 それと、例えば、15%減、20%減あるいは25%減の差分をどういう形でやるのかということでございますけれども、当然ながらこの部分についてはさまざまな規制とか奨励策というのも入ってくる分野でございます。例えば、住宅のいろいろな対策なんかも当然この中に入ってくる分野ということで、必ずしも税とか排出量取引とかフィードインタリフという形でカバーできない分野であるというふうに考えてございます。
 そういう意味では、モデル上は、料金価格、エネルギー価格の高騰という形で対応されておりますけれども、実はその中に入っているのを政策的にやるとするならば、今申し上げましたさまざまな規制とか、あるいはリースの話であるとか、あるいは利子補給の話であるとか、そういったような政策でカバーできる分野が相当そこの分野にも入ってくると。特に中小の業務とか家庭といったような部分については、かなり15、20、25とこの今回出ました数字の差分の部分でカバーをするということになるんではないかと、かように思っております。

○西岡委員長 藤野委員、お願いします。

○藤野委員 遅れてきてすみませんでした。
 経済モデル、今回は、AIMと、あと伴先生のモデルなんですけれども、複数幾つかあって、それも前回も比較したりもしているんですけれど、ほかにお聞きしたいのは世界の動向で、例えば韓国ではGreen Growth(緑の成長)というふうに言って、例えば8月の終わりに、ESCAP、バンコクにありますけれども、そこでそのGreen Growthのロードマップを書くというような東アジアを対象としたワークショップが行われて、そのときに彼らもまさに、そのGreen Growthとか、我々がこの中長期ロードマップでやろうとしている新たな資本をつくるというのか、住宅もゼロエミッションの住宅をつくるとか、地域も歩いて暮らせるまちをつくるとか、そういったこと自体は一体経済活動にどういう意味をもたらすのだろうかというときに、伴先生のモデルでプラスの効果が出るということをお伝えしたら、彼らも探していて、そういうのはぜひ詳しく教えてほしいというようなことは言われているんですけれども、今までの経済のモデルで表現できるものと表現できないものというのでしょうか、11月の頭にもOECDのほうが、Environmental・Outlook(環境白書)2050というのを今度つくるということでスコーピング会合があって、ちょっとお邪魔しに行こうかなと思うんですけれども、そこでもやっぱりクライメートチェンジは一番やっぱり大きなイシューなんですけれども、ほかに今まさにやっているCOP10、Biodiversityの話と、あとWaterの話と、それからEnvironment and Healthとこの4本柱でアウトルックを、2012年にリオプラス20がありますから、その5月にありますけれども、4月までに完成させて多分そこに投げ込むんだと思うんですけれども、そういったことも含めて、今やられている経済モデルでできることとできないことというのはどういうことなのかちょっとご説明願えませんでしょうか。

○西岡委員長 冨田委員の質問もお伺いします。

○冨田委員 質問というか、事務局へのお願いですけれども、今回の委員会の目的というのは、モデル分析についての理解、限界を含めての理解ということだったわけですが、次回、モデル分析の専門家を含めた議論がされるということからすれば、本来、何を導き出したくてモデル分析をやっているのかと。何が言えてではなくて、何を言いたいのか、モデルからどういうことを導き出したいという命題があって、それに答えられるかどうかという観点が必要なのではないかと思います。やりたいことは、中期目標を掲げたときにそれが実現できるかどうか、どういう施策を組み合わせればできるのかということだったわけですので、例えば炭素税の価格がこれでは不十分だということであるならば、幾らぐらいまで上げたらできるのかと、例えばそういう分析をするのがモデル分析の目的ではないかなと思いますので、そういう議論が次回できるといいなということを感じました。
 以上です。

○西岡委員長 それでは、まず委員のほうへのご質問ということで、世界の動きといいましょうか、グリーングロウスとか、そういうものに対してモデルがどのように貢献できるかという話だと思いますが、いかがでしょうか。

○伴委員 私のほうから先に。
 十分それは可能だろう。ただ、細かな技術とか、そういうものではなくて、やはり成長というのが一国レベルあるいは世界レベルでどうなるかというのは経済学者がよく研究しているところでございまして、その中で一つの例として十分あり得るだろうと思います。ただ、それは、先ほどから何度も言っていますが、特定の技術とか特定の制度を取り入れることだけでなく、技術を体化した資本にどういうものがあるか、それがどれだけ環境に対して優しいかを、どういう形で入れるかに関わってくると思います。

○西岡委員長 増井委員のほうは。

○増井委員 基本的には伴先生のご意見と同じなんですけれども、世界モデルとこういう国内のモデル、多分、役割が違うんだろうなというふうに思っています。その辺は藤野委員もよくご存じかと思いますけれども、今いろいろなところで次のIPCCへの入力というふうなことも含めていろいろなコミュニティーが計算をしているわけなんですけれども、そういう中で使われている例えば世界モデルの例としては、コペンハーゲン後に各国が出してきた、提示してきたその目標値、それをどういう形で実現するのか、あるいはその実現のためのコストは幾らなのかとか、あるいはその機構、2度目標に対応する各国の排出量というのはどういうふうなものになるのかというようなかなりマクロな形で、先ほど伴先生のほうからもお話がありましたように、個々の技術、個々の対策というふうなところではなくて、もっと大きな枠組みでの議論というふうなものが中心になっているということで、そういう意味で、役割分担というふうなもの、やっぱりきちんとしておいて、明確にしておいて、何でもかんでもその1つのモデルでやるというふうなことは、それは避けたほうがいいのではないかなというふうにあくまでも個人的には思っています。
 今回の中長期ロードマップの中でも、複数のモデル、経済モデルではこの2つ、あるいはエンドユースモデル、技術選択モデルも含めたり、あるいは各ワーキンググループの中で検討していただいていますさまざまなモデル等も考えますと非常に大きなモデルになるかと思います。
 場合によっては、そういういろいろなモデルというふうなものが、この中長期ロードマップの中でどう位置づけられるのかと、そういうマッピングみたいなものもあって、それぞれのモデルというものがどういう役割でどういう位置づけで関連しているのかといった整理といったものもしておかないと、何かそれぞれの各回の会合で出てきたモデルだけをこう集中的に議論して、何か結果的に全体がどうなのかという、その役割がこの経済モデルに課せられているところは多分にあるんですけれども、個々の細かいモデル、詳細なモデルというというものも含めてちょっと一度整理しておいていただければなと、これはこちらからの要望です。
 以上です。

○西岡委員長 それじゃ、事務局のほうで先ほどの冨田委員のご質問。

○低炭素社会推進室長 ご指摘いただきましたように、全体の目的につきましては、改めて整理をさせていただきまして、次回ご説明をさせていただきたいと思います。

○西岡委員長 それじゃ、概ね時間が参りましたので、この辺りで今日の議論を打ち切りたいと思っております。
 今日は、やはりモデルという形、それから数字ということで、はっきりとどういうところが問題点なんだろうかということもかなり明快になってきたということでございます。
 次回、またこのまとめということで議論をお願いすることになるかと思いますけれども、よろしくお願いいたします。
 事務局のほうからご連絡。

○地球温暖化対策課長 本日も貴重なご意見ありがとうございました。
 次回は11月10日水曜日の9時から12時、同じく霞が関ビルで行います。
 次回につきましては、今日いろいろご指摘いただいたことも踏まえまして、引き続き経済影響分析についてご議論をいただきたいと思っております。加えて、年内にこの部会の意見具申ということもございますので、そろそろ取りまとめの方向も議論しなければいけないと思っておりまして、1つは、これまで分野別のワーキング、中間報告をいただきましたけれども、その後、議論の進展について適宜ご報告をいただく、そういうことも含めまして、取りまとめに向けた議論も少し始めさせていただければと思っております。よろしくお願い申し上げます。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、本日の議事、これで終了いたします。どうもありがとうございました。

午前11時51分 閉会