中長期ロードマップ小委員会(第13回)議事録

日時

平成22年9月30日 9:01~12:28

場所

東海大学校友会館 望星の間

議事内容

  1. 1.開会
  2. 2.議題
    1. (1)分野別の中間報告(その2)について
    2. (2)その他
  3. 3.閉会

配付資料

資料1 地球温暖化対策に係る中長期ロードマップに関するワーキンググループについて
資料2 エネルギー供給WG中間報告資料
資料3 住宅・建築物WG中間報告資料
資料4 地域づくりWG中間報告資料
資料5 農山漁村サブWG中間報告資料
参考資料1 エネルギー供給WG、住宅・建築物WG、地域づくりWG、農山漁村サブWG委員名簿
参考資料2 「低炭素社会国際研究ネットワーク(LCS-RNet)」第2回年次会合の開催結果について

午前9時01分 開会

○地球温暖化対策課長 おはようございます。若干、到着の遅れておられる委員の方がいらっしゃいますけれども、ちょっと定刻を過ぎましたので、ただいまから中央環境審議会地球環境部会中長期ロードマップ小委員会の第13回会合を始めさせていただきます。
 今回も前回に引き続きまして、個別分野ごとにワーキンググループでご議論いただいております内容について、各ワーキンググループの座長の先生方から中間報告ということで、ご報告をいただくことになってございます。本日は、エネルギー供給ワーキング、住宅・建築物ワーキング、地域づくりワーキング、農山漁村サブワーキングと、4つのグループのほうから報告をいただくことになっております。それにつきまして、また、ご意見、ご質問等を賜りたいと思っております。
 本日は委員総数の過半数の出席をいただくことになっております。また、本日の議事も公開とさせていただきます。また、笹之内委員がご欠席でございますけれども、説明員としてトヨタ自動車株式会社環境部担当部長の大野様にご出席をいただいております。
 では、今後の進行につきまして、西岡委員長にお願い申し上げます。

○西岡委員長 おはようございます。
 時間の制限がございますので、どんどん進めたいと思っております。
 まず、資料の確認からお願いいたします。

○地球温暖化対策課長 お手元の資料でございますけれども、議事次第の後に資料1といたしましてワーキングの構成の1枚紙がございます。資料2がエネルギーワーキングの中間報告、それから、資料3が住宅・建築物の中間報告、資料4が地域づくり分野の中間報告、それから、資料5が農山漁村分野の中間報告でございます。参考資料1といたしまして、各ワーキンググループの委員の先生方の名簿をつけてございます。それから、参考資料2でございますけれども、先週、ベルリンで低炭素社会国際研究ネットワークの年次会合がございまして、その結果でございます。これにつきましては、2年前に神戸で行われましたG8環境大臣会合で打ち出されたものでございまして、西岡委員長がこのネットワークの事務局長も務められております。各国の研究機関からまさに各ロードマップで行っているような研究につきまして、活発な意見交換があったものでございます。
 以上でございます。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 議事次第がお手元にいっておりまして、今、その内容につきまして配付資料を見ていただいたほうがいいんですけれども、今日は4つのワーキンググループの報告をいただきます。
 まず、ちょっとワーキンググループの構成について、事務局のほうから簡単にご説明を。

○地球温暖化対策課長 資料1でございますけれども、ワーキンググループについてということで、現在、検討いただいていますワーキンググループの構成を書いてございます。このうち、マクロフレーム、ものづくり、コミュニケーション・マーケティングにつきましては、前回のこの小委員会で報告いただきました。本日、その下の4つのワーキングについてご報告をいただくことになってございます。なお、自動車ワーキングにつきましては、次回、10月15日にご報告いただくということになっております。
 以上でございます。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 本日の議事進行でございますけれども、12時まで予定しておりますけれども、各委員それぞれまた別のご用事があったりいたしますので、1時間ずつ区切って、どんどん進めていきたいと思っております。
 最初のセッションがエネルギー供給についてでございますけれども、大塚座長のほうからご報告願いたいと思います。都合により10時にご退席ということですので、短くまたお願いし、また、委員からのご質問、コメントのほうもテキパキとやっていきたいと思っています。よろしくお願いします。

○大塚座長 どうもありがとうございます。ちょっと私が授業の関係で早く出なくてはいけないので、順序を変えていただいたと思いますが、どうもありがとうございました。あと、倉阪座長代理にもおいでいただいていますので、質疑のほうは、私は途中でちょっと退席をすることになりますので、恐れ入りますが、よろしくお願いします。
 お手元のエネルギー供給ワーキンググループの中間報告についてご説明をしたいと思います。
 最初に1ページめくっていただきまして、昨年度のエネルギー供給ワーキンググループの検討概要でございますけれども、ごく簡単にかいつまんで申し上げておきたいと思います。
 4点のキーコンセプトを提示しております。第1に再生可能エネルギーがエネルギー供給の主役となるような社会を構築するということ、それから、第2に再生可能エネルギーの普及段階に応じた社会システムの変革をする、第3に低炭素社会を見据えた次世代のエネルギー供給インフラを構築する、第4に化石エネルギーの利用のより一層の低炭素化や、安全の確保を大前提とした原子力利用の拡大を行うという4つのキーコンセプトを示したわけでございます。
 中長期的な主要対策の導入目標としては5つを挙げています。これがロードマップということになります。第1は再生可能エネルギーが一次エネルギー供給に占める割合を10%以上に2020年で拡大するということ。それから、第2にCCSの大規模実証とか関連法制度の整備を2020年までに行う、本格導入は2020年から行う。第3にスマートメーターの導入率を2020年の時点で80%以上にする、スマートグリッドの導入率を2030年で100%にする。第4に再生可能エネルギーの導入量を2050年で1.4億から1.6億キロリットルに拡大する。それから、第5に2050年にゼロカーボン電源を実現するという5つの導入目標を掲げたわけでございます。
 これらのキーコンセプトに示しました低炭素社会の実現と導入目標を達成するために、ロードマップを策定したわけでございまして、これが次の4ページから7ページまででございます。こちらは前にもご説明させていただいておりますので、今回は省略したいと思います。さらに副次的な効果として、経済波及効果とか雇用の創出効果とか、地域振興への貢献などに言及したわけであります。
 そこで、8ページに移っていただきたいのですけれども、今年度のエネルギー供給ワーキンググループにおける検討を俯瞰したものが8ページでございます。特に現在、行っているは濃い紫で書いたところでございまして、再生可能エネルギーの普及基盤を確立するための支援のところの電力のところの固定価格買取制度のところ、それから、2つ目に再生可能エネルギーの普及段階に応じた社会システムの変革のための施策の再生可能エネルギーのところでございますけれども、地域の特性を生かした再生可能エネルギーの導入、これはエネルギー供給ワーキンググループの中にさらに検討作業部会を設けまして、ここで検討をしております。それから、3つ目に次世代のエネルギー供給インフラの整備の推進のところでございますが、電力に関して次世代送配電ネットワークの検討と、この3つを今、集中的に進めているところでございます。
 次に9ページに移っていただきまして、中長期的に低炭素社会を実現するために目指すべき姿をどういうものにするかということを考えているわけでございますけれども、2020年には、あと、2030年にはどうかと、2050年にはどうかという3つに分けておりますが、2020年には先ほども申し上げましたように、再生可能エネルギーの一次エネルギー供給に占める割合が10%以上になると、それから、2つ目にそれによって地域活性化とか地域の雇用の創出を行っていくということ、それから、既存の供給インフラの活用によって再生可能エネルギーの普及を支える形で、次世代のエネルギーの供給インフラの整備を進展させるということでございます。
 これは後から出てくることでございますけれども、例えば39ページの「2010年~」というところをちょっと見ていただくといいですが、39ページに4つに分けてありますけれども、左の上の揚水発電の利用・活用などが今の次世代エネルギーの供給インフラの整備の進展と関連するものでございます。例えばでございます。
 それから、ちょっと戻りまして2030年におきましては、大量の再生可能エネルギーを受け入れるための社会システムの変革が進んでいるということでございまして、エネルギー供給インフラが再生エネルギーを活用できるために整備されているという状態でございます。これはさっきの39ページの今の4こまのものの一番右の下のような状況になっているということが望まれるというわけであります。そして、2030年には化石エネルギーに比べてコスト競争力を持つような再生可能エネルギーの導入が義務化されるということで、導入の義務化も再生可能エネルギーの化石エネルギーに比べてコスト競争力を持つものについては、考えていくべきではないかということでありまして、これは再生可能エネルギーの熱のほうでございますけれども、特に後でまた少し詳しく申し上げたいと思います。
 それから、2050年には再生可能エネルギーがエネルギー供給の主役になると、原子力とともに電力のほぼ100%の供給を目指す、ゼロカーボン電源を実現するということが目標でございまして、我が国の持つ最高水準の環境エネルギー技術が世界に普及するというのが目指すべき姿ではないかと考えています。
 そこで、結論として、今、中間報告のまとめとして考えているところを先に提示させていただきますけれども、10ページでございますが、4つの柱を考えています。
 1つは再生可能エネルギーの導入見込み量でございますけれども、これは先ほど来申し上げているように、2020年に一次エネルギー供給に占める割合を10%以上にするということでございます。
 それから、2つ目の柱でございますけれども、再生可能電力の固定価格買取制度でございます。その概要としては、太陽光発電は投資回収年数8年から10年、その他については20年間のこのIRRというのを8%以上に確保できるような買取価格にするということを考えています。IRRについては前にも申し上げたことがあると思いますけれども、プロジェクトIRRというものがございまして、これは初期の投資額とそれからプロジェクトの期間、例えば20年ですけれども、の年間のキャッシュフローの現在換算価値の合計額というのが等しくなるような割引率のことをプロジェクトベースの内部収益率(IRR)というふうに言いますが、これが8%以上であれば事業化が可能ではないかという前提で議論をしているところでございます。
 戻りますけれども、価格は電源の種類別に設定するということが望ましいのではないかと考えています。さらに自家消費分も含めた全量の買い取り制度を基本とすべきじゃないかと考えていまして、これもちょっと後で詳しく申し上げるところでございます。それから、既設電源、これはRPSのことですけれども、については事業化の際に想定していた採算性を確保させることが望ましいと考えています。これも後で少し詳しく申し上げます。それから、2020年までの導入量に対する買取による世帯当たりの追加的な負担額は2020年時点で224円から422円、月世帯当たりということになると想定しています。これの幅があるのは導入量を15%にするのか、25%にするのかによって変わってくるということでございまして、それによって追加的負担額が月世帯当たりで224円から422円になるというのが現在、考えている数字でございます。
 3つ目の柱でございますけれども、地域における再生可能エネルギービジネスを検討するということでございまして、これは先ほど申しました小さい委員会の中で立ち上げているものでございますけれども、国内の主要なビジネス化事例について、事業主体とか資金調達スキームなどによって類型化した上で、成功要因と失敗要因を分析して、課題と対応策を検討しております。
 それから、最後に4つ目でございますけれども、その他の重要な検討事項といたしまして、再生可能エネルギーの熱の導入検討の義務化とか導入の義務化について考えるということでありまして、さらに再生可能電力の大量導入に備えた次世代の送配電ネットワークの実現というものが必要でございますが、系統の整備とか、需要家エネルギーマネジメント関連インフラ構築というのを開始させて、2030年ごろには蓄電池を活用して系統と需要家との協調システムというのを実現させるというのが望ましいと考えています。これも後で少し詳しく申し上げます。
 これが全体としての今年度の中間報告のまとめとして考えているところを先に提示させていただきました。
 ページをめくっていただきまて12ページでございますけれども、再生可能エネルギーの全体の導入見込み量といたしましては、グラフにございますように2020年には2005年の2倍から2倍強ということを考えておりまして、2030年には3倍程度になると、2050年には5倍ないし6倍ぐらいになるというのが現在考えている導入見込み量でございます。
 それから、次のページに移りますけれども、これは各種の再生可能エネルギーの電力に関しまして、どういう導入見込み量があるかということでございますが、それぞれの表の中で上のほうは設備容量で下のほうは稼働率を掛け合わせたものでございます。最新実績というのは下に書いているように、主に2009年度ですけれども、一部、2005年度のものを使っております。
 ページをめくっていただきまして、再生可能電力の固定価格買取制度の検討をしているわけでございますけれども、固定価格買取制度の目的は何かということを最初に整理しておく必要があるのではないかと考えておりますが、次の3点があるということでございます。第1に2020年の中期目標を達成して、第一次エネルギーに占める再生可能エネルギーの比率を10%以上にするというのが目的でございます。それから、2つ目でございますけれども、再生可能エネルギーに関連する産業を育成して、国際競争力の向上を図るとともに地域の資源とか人材を活用して、雇用をつくり出すということに貢献するというのが2つ目の目的でございます。3つ目の目的はエネルギーの自給率を向上させるということでございまして、化石燃料の価格高騰リスクに対応するというわけであります。この3つが固定価格買取制度の導入の目的として考えているところであります。
 さて、固定価格買取制度でございますけれども、ページをめくっていただきまして、これは皆さん、当然、ご案内のところだと思いますけれども、一つだけ注意しておく必要があるかと思われるのは3つ目の四角のところでございまして、ある年度に設定された買取価格というのは、当該年度の導入設備に対して長期間固定させるということによって、導入時の初期コストの回収が設置者に保証されるというのが固定価格買取制度でございまして、次の次の四角のところに移っていただきますと、仮に制度が廃止された場合におきましても、新規の買取はなくなるわけですけれども、制度の存続時に買取対象になった電源からの買取というのは一定期間は継続されると。最初に買取対象になった人が途中から直ちに制度が廃止されたといって、影響を受けるものではないというところに特色があるということでございます。
 次に17ページでございますけれども、中期目標達成のために必要な買取価格と期間でございますけれども、再生可能電力の買取制度における買取価格をどのぐらいの水準にするかということを検討しているわけですけれども、太陽光に関しては15から25のそれぞれの削減について、このぐらいの買取価格が適当ではないかと考えております。
 風力、中小水力、地熱、バイオマス、それぞれこのぐらいの値段が適当ではないかということでございまして、太陽光については補助金なしで投資回収年数8年から10年が確保される買取価格を20年間、全量買取をするということを想定して出した数字でございます。太陽光以外につきましては、導入目標を満たす地点の20年間でのIRRの8%というのを確保するために必要な買取価格を考えています。こちらのほうは概ねキロワットアワー当たり20円ということになっています。太陽光は少し高いのですが、2012年から2020年にだんだん移るにつれて価格が下がっていくということを想定しております。全体的に買取期間は20年にするということが望ましいと考えています。
 次に18ページでございますけれども、買取対象にするエネルギー種としては、太陽光、風力、中小水力、地熱、バイオマスを考えていますが、将来的には海洋エネルギーによる発電とか、高温岩体発電なども買取対象になり得ると考えています。それから、既設電源についてでございますけれども、RPS法が廃止されることが考えられるわけですけれども、その場合に既設電源についてどう扱うかという問題が出てまいりますが、事業化した時点の想定と変わらないような採算性を確保できるような買取が行われるべきであろうと考えています。これは契約が続くのであれば契約に従うということが考えられますけれども、契約条件が変わるときに、新しい制度の中でも同じような内容で買い取るということを考えるべきではないかということであります。これは新法ができるとしたら、そのときに検討すべきことであろうと思います。
 次に、自家消費電力の扱いについてでございます。自家消費電力に関しては、現在は余剰電力の部分についてだけ買取が行われているわけでございますけれども、ここでは自家消費も含めた全量買取が望ましいのではないかということを提案したいと思います。19ページにあるような3つの場合が問題となるわけですけれども、特に3番目の発電電力量と導入地点の電力需要量が同程度になる場合というのが重要な課題でございます。
 この場合に、今、申し上げたように余剰電力のみを固定価格で買い取るというのが現在の考え方ですけれども、これをそのまま続けていくと、必ずしも望ましくないのではないかということでございまして、ポイントとしては余剰電力だけを固定価格で買い取るという方式だと、投資回収年数に大きな差異がライフスタイルによって生じるということで、不公平を生みやすいのではないかということがございます。さらに予測可能性がなくなるのではないかというふうに言うこともできると思われます。
 それから、住宅用の太陽光発電の大量導入を想定した場合に、ゴールデンウィークのように電力の需要量が落ち込む特異日におきまして、発電電力量が電力需要量を上回る可能性があると。ここで現在のような余剰のものだけを買い取ってもらうという制度にする場合には、太陽光の発電電力量が多い時間帯に節電が行われて、使われる見込みのない電力を系統に流すということに繋がると、それで大量に捨てることになるのではないかという問題が指摘されています。
 次のページに移っていただきますと、AパターンとBパターンと2つあるということでございますけれども、Aパターンであればあまり問題はないのですが、Bパターンのように屋根に接するパネルの面積が狭いという場合とか、日中の電力需要が多いという場合のときに、自家消費電力を買い取らない余剰電力のみを一律の価格で買い取る方式をとりますと投資回収が難しいので、全量買取にしたほうがいいのではないかということがございます。
 さらに、次のページは先ほど申し上げていたことをより詳しく説明しているものでございますが、余剰電力だけの買取の場合につきましては、発電している時間帯に省エネが行われて、できるだけ発電した電力を住宅で使わないで系統に流すということが経済的な行動になると。そこで、ゴールデンウィークのような特異日においては、電力を消費しない場合には逆潮が増えて、系統対策コストが増加する可能性があると。解列してしまうという場合には、発電した電力を無駄に捨てることに繋がるのではないかということを考えています。
 これに対して全量買取をするという場合には、将来、導入が見込まれるリアルタイム料金制、30分ごとにどのくらいの料金になるかということを示すというリアルタイム料金制の下では、できる限り安い時間帯に自家消費をするということが経済的な行動になるということになりまして、ゴールデンウィークなどにおいても安い電力をできるだけ自家消費するように創意工夫が生まれると。例えばゴールデンウィークにまとめて洗濯をするとか、松村先生とかがそういうことをおっしゃっていますが、そういうことをして各自が自家消費するように創意工夫をするということになるので、逆潮が減って系統対策のコストが減少する可能性があるという考えでございます。こういうふうに考えますと、全量買取のほうがいいのではないかというのが現在のところ、エネルギー供給ワーキンググループで考えているところであります。
 次に22ページでございますけれども、買取制度を導入した場合の便益と費用はどうなるかというわけですが、便益についてはそちらにあるようにCO2削減効果とエネルギー自給率と経済波及効果、雇用創出効果、さらに化石燃料調達に伴う資金流出抑制効果などが考えられると。もちろん、費用も発生しますが、買取制度によって2020年までの導入量に対して、需要家が負担すべき費用は平均0.4兆円から0.8兆円程度に毎年なるということが考えられますけれども、これは先ほど申しましたように月世帯当たりで224円から422円ということになります。こういう費用が発生するわけですけれども、今の便益に比べると便益のほうが大きいのではないかというのが、私どもが今、考えているところであります。
 それから、買取費用の回収スキームにつきましては、一番下に書いてあるように再生可能電力の導入量が地域間で異なるということが想定されるわけですけれども、費用回収は発電電力量で割った全国一律の負担単価として回収されるようにするというふうに、負担の平準化をすることが望ましいと考えられます。これはドイツなどで既に行っているところであります。
 それから、次のページに移りますけれども、再生可能電力の持つ環境価値をどう扱うかという問題がございます。現在、RPS法の枠外でグリーン電力証書が制度化されているわけでございますけれども、これは全量買取制度に移行したとすると、どういうふうに扱うことになるかということを考えなければなりません。これにつきましては、今後、再生可能電力の全量買取に移行する際に、従来、取引されていた環境価値を含めた買取価格が想定されている場合には、電力会社が買い取った再生可能電力について環境価値を保有して、最終的には電力の需要家のほうに環境価値が分配されるというふうに考えられます。ここはまだ議論があるところですけれども、今のところ一応、こういうふうに考えているということであります。
 将来的に再生可能電力がコスト競争力を持つようになった場合、例えば炭素税などが高くなった場合などが考えられるかと思いますけれども、そういう場合には買取制度から離脱して、相対で取引される可能性が生じますので、そういう離脱のルールについても検討しておくことが望ましいのではないかと。今の下のほうの図ですと、家が描いてあるところから右の電力需要家のところまでの中間のものが、今の環境価値が電力会社のほうに移るという通常の場合ですけれども、買取制度から離脱して相対で取引されるというのは、一番下のところでございますけれども、こういう離脱ルールについても、あらかじめ検討しておく必要があるのではないかと考えております。ドイツでは既に電力自由化がかなり進んでいますので、相対取引をするということも検討されていまして、それなどを参考にして離脱についても考えるべきではないかと、将来の話だと思いますけれども、ということを議論しております。
 次に4でございますが、地域における再生可能エネルギービジネスの普及拡大について、申し上げておきたいと思います。
 これは地域に根差した中小規模のプロジェクトにおいて、どのように再生可能エネルギーのビジネスをつくっていくかということをまず決定しまして、お金の流れとしては地域以外の資本が主導するような大規模プロジェクトとか、あるいは公的資本などがお金の流れについては担当するというようなことで、地域の資本とそれから大手の資本とが協力して、共同してやっていくというのが望ましいのではないかということであります。それぞれ長所、短所がございますので、協力してやっていくのが望ましいというふうに考えています。
 次の26ページにございますように、再生可能エネルギーにつきましては、エネルギーの種ごとに課題となる段階が違ってきますので、それぞれに応じて検討していく必要があると考えております。例えば地熱は開発リスクというところが非常に重要になってまいりますし、風力は現在、既にかなり進んでいるので課題がたくさん挙がっておりますが、不可抗力のリスク、これは雷とか台風とかですけれども、あと、風量の変動とか、バイオマスについては資源の安定供給リスクなどがございます。太陽光については用地の確保とか、ソーラーパネルの廃棄物処理のリスクとかがございますし、中小水力については開発地点の発掘が課題でございまして、それぞれの課題をエネルギーの種ごとに考えていくという必要があるというわけであります。
 それから、地域における再生可能エネルギービジネスの事例の抽出でございますけれども、大手資本型、地域資本型、自治体主導型、NPO主導型というふうに、こういうふうに分かれるということでして、自治体主導型の場合は補助金などを使えるというところにメリットがございます。
 その次のページ、ちょっと簡単にいっていきますが、は風量について事例の整理をしたものでありまして、ほかのエネルギーについてもこのような表をつくっていきたいと考えているところであります。
 29ページに移りますけれども、特徴的なビジネスの事例でございますが、最初の宮崎県のものは自治体との協定を締結して事業者の出費を削減しているというものであります。それから、三峰川の小水力の発電事業でございますけれども、これも自治体と連携をして地域活性化に貢献しているものであります。
 それから、30ページのほうに移りますが、3つ目のオンサイト発電のキューデン・エコソル株式会社のものですけれども、これは顧客の敷地で太陽光の発電設備を設置して、それをサービス提供会社が所有することで、設備費とか施工とか、保守とか運転管理に関するトータルコストを毎月定額で支払うという形にしております。イニシャルコストとか保守管理作業が顧客にとっては要らないということにする、新しいビジネス形態が生み出されているということであります。それから、4つ目でございますけれども、これは「ウインドパワーいばらき」というものですけれども、洋上風力の例でございまして、これも地元の企業が漁業関係者などと調整をして、洋上風力のパイオニアを始めたということでございまして、これも地域活性化に貢献しているということがございますし、さらに工業地域において風力発電を導入して、イメージアップを図っているというわけであります。
 それから、31ページですが、5つ目のものは盛岡信用金庫が環境設備ファンド会社を設立しているものでございますけれども、環境エネルギー普及株式会社というのが間に入って、盛岡信用金庫が間接融資をしているというところに特色がありまして、これも新しいビジネスモデルが生み出されているということであります。それから、6番目でございますけれども、これは皆瀬の地熱でございますけれども、これは市自身が噴出試験をしているというもので、自治体が主導でやっていると、それで、地元の住民との連携協力関係を構築しているというものであります。
 7番は市民の風力発電でございまして、これは全国の一般の人から出資を募って、一口50万円で募っているというものでございまして、こういう市民に出資をしてもらうという方法がもっと大規模化できないかということを考えています。それから、8つ目のものはグリーン熱証書によって採算性の確保を目指しているものであります。
 具体的な課題と対応策の例でございますけれども、課題としては人材不足とか用地の確保が難しいということとか、資金の調達が難しいということとか、再生可能エネルギーに関して知識が不足しているというような問題がございますが、それぞれについてコーディネーターを育成するとか、自治体との協定を締結するとか、顧客のイニシャルコストを不要とするようなビジネス形態をさっき申し上げたように、キューデン・エコソルのようにとっていくということを考えたり、あと、情報を住民とか事業者が簡単に入手できるような環境を整備したり、それから、ワンストップでファイナンスとか技術情報を提供するような窓口をつくると、これは倉阪さんの案ですけれども、こういうものを考えていくべきだろうと思っています。
 その他の重要な検討事項に移ります。35ページでございますけれども、再生可能エネルギーの熱の導入施策でございますけれども、再生可能エネルギー熱につきましてはコスト的に電気よりも安いので、入れられる環境が整っているということがございますので、導入支援、さらに導入義務化というのを考えるべきであると思います。既に東京都が「建築物環境計画書制度」というのを入れていまして、再生可能エネルギー利用の設備の導入検討を義務化していますけれども、さらにこの熱利用の設備につきましては、導入義務化をしているようなスペインとかドイツの例もございますので、こういうものを参考にしながら、義務化について検討すべきであると思っております。
 その場合の着眼点としては、36ページに書かせていただいておりますけれども、義務化の対象となる建物とか、検討義務化の対象者、特に家庭の場合にどうするかというのが問題になりますけれども、ハウスメーカーなどが考えられると思いますが、そういう対象者、あと、達成基準、免除措置として何を考えるかというようなことを先ほどのドイツとかスペインなどを参照しながら、検討していきたいと考えています。
 次に37ページのところにありますように、電力の系統整備の問題がございます。再生可能エネルギーの場合に出力が変動するものが多いものですから、それが大量に普及すると全力供給の不安定化につながるのではないかという問題がございます。これについては電力系統の安定化と社会費用の最小化の両立に向けて検討すべきだと考えていまして、単に個別に再生可能電力の出力を抑制するという部分最適を目指すのではなくて、システム全体で柔軟に対応する全体最適を目指すということを考えています。需要家、大規模電源、再生可能電力等がネットワークを介して協調するという、そういうシステム全体において柔軟に対応するということを考えています。
 そのために計画的な送電網の整備を図るということでありまして、具体的には気象の予測を活用した再生可能電力の発電予測を行う、それから、全体運用の最適の視点から電力の融通とか再生可能電力の出力抑制を行う、これは5%ぐらいを例えば捨てるということもあり得るだろうということですが、さらに需要家のほうで適切な判断を可能にしていただくために、ダイナミックプライシングを行っていくと、価格を変動させていくということが重要ではないかと考えています。そういうことを体系的に推進するために、次世代送配電ネットワークの実現イメージを検討するということとか、あと、再生可能電力の優先接続の制度整備とか、ダイナミックプライシングの需要調整とか、電力会社の売り上げ・利益と販売量をデカップリングするということなどについて、検討していくべきであると思います。
 今の話を少し具体的にイメージを申し上げますと38ページでございますけれども、左のほうの下にある気象予測データというところがございますが、気象予測データを活用して再生可能電力の発電量を予測すると。予測の結果を電力会社の需給計画とか、需要家の自律的な機器の運用計画に活用してもらうということでございます。需要家のほうではダイナミックプライシング、さっきの翌日に料金がわかるとか、あと、リアルタイムで料金が変わっていくというような、そういうダイナミックプライシングをしていく中で、エネルギーマネジメント装置を使って自律的な機器の運用をするということでございます。特に蓄電池とかプラグインハイブリッドの電気自動車とか、こういうのが例として挙げられていますけれども、これをエネルギーマネジメント装置を使って事実的な機器の運用を行っていく。
 それから、右のほうにございますように、電力会社のほうでは気象予測技術に基づいて予測される再生可能電力の発電パターンとか需要パターンを踏まえて、適切な需給計画をつくっていくということでございまして、系統の不安定化が見込まれるというときには出力調整をするとか、あるいは需要家のほうでプラグインハイブリッド自動車とか、定置用の蓄電池などを制御していくということであります。上のほうが電力会社でございます。それで、制御については直接制御と間接制御と両方が考えられるわけですけれども、電力価格を変えることによって制御していくダイナミックプライシングのような方法と、それから、機器を直接制御するという直接制御の方法と2つの方法を検討すべきであると思います。
 それから、次のページですけれども、次世代送配電のネットワークをどういうふうに展開するかでございますが、2010年から少しの間でございますけれども、こちらにつきましては系統の整備とかエネルギーの需要家におけるマネジメントの関連インフラ構築を開始するということで、まずは電力会社の保有する既存の設備、例えば揚水発電などを活用していくということがあります。それから、気象予測データの活用に向けて気象のデータを蓄積していくということが考えられます。
 それから、下のほうに移りまして2020年ごろですけれども、こちらは需要家でのエネルギーのマネジメント運用を実施するということでして、気象予測データの需給の制御とかマネジメントの運用を開始する、さらに必要に応じて再生可能電力の出力抑制も行っていくと。この出力抑制は柔軟性を持つような方法で行っていくということであります。
 右の上のほうにいきますが、2020年代半ばにおきましては、系統と需要家との協調システムを運用していくということで、ここではダイナミックプライシングを活用した間接制御をしていくと。系統と需要が協調したようなシステムをつくっていくということでして、さらに2030年ごろには蓄電池を活用することによって、系統と需要家との協調システムを実現する。それでも余剰電力が発生してしまうという場合には、エネルギーキャリアのような水素などに転換していって、需給のアンバランスを解消していくということを考えています。これが次世代送配電ネットワークの展開のイメージでございます。
 ということを考えておりますけれども、今後の検討課題といたしましては、再生可能エネルギーの導入に関して、社会のコンセンサスを得ることを目的として、スピードと量に関する整理を行っていくということがまずございますし、さらに固定価格買取制度に関しては幾つかの問題点を整理していく、それから、先ほど申しましたようにビジネスモデルを明確化して、それをどういうふうに普及させるかということについて、何が重要かということを抽出していくということであります。それから、4点目でございますが、再生可能エネルギーの熱の普及拡大に向けて、導入検討の義務化とか導入の義務化に関して制度案の検討を行う、最後に化石燃料利用の低炭素化の技術普及とか、原子力発電の利用拡大に当たっての必要な施策について検討していくということ、これを今後の検討課題と考えているところでございます。
 41ページ以下は参考資料ですので、適宜、ご参照いただければと思います。
 雑駁ですが、私の報告はこれで終わります。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 もうご退席まであまり時間がございません。これだけは大塚座長から聞いておきたいということがありましたら、優先的に質問を受け付けますが、あとは倉阪座長代理のほうで対応していただけますか。よろしゅうございますか。影山委員。

○影山委員 エネルギー供給ワーキングが、どのようなことを検討するのか、少し疑問に思うのですが、再生可能エネルギーの導入についての検討会であれば、これで良いと思います。しかし、CO2の大幅削減、例えば25%削減に向けてエネルギー供給を検討するワーキングであれば、CO2の大幅削減のために一体何が重要なのかということをしっかり書いていただかないと、エネルギー供給の課題の検討にならないと思います。
 ここに書かれているように、再生可能エネルギーは大量導入されても、2020年で一次エネルギーの10%程度ですので、エネルギー供給の大部分はやはり原子力、あるいは化石エネルギーなので、こういったものの検討が主流になってしかるべきではないかと思います。その検討がこの中では参考の一番最後に申し訳程度に書かれていますが、これでは全くバランスを欠く検討だと思います。
 重要なことをしっかりと書いていただかないと、世の中に対するメッセージとしては全く不十分だと思います。原子力の稼働率、新規立地、これらはもちろん安全安心を前提とした話ですが、これらの重要性が非常に大事だと思います。それから、化石燃料の高効率利用についてもしっかりと書き込まないと、ワーキングとして役目を果たさないのではないかと思いますが、この点、いかがでしょうか。
 それから、少し細かい点かもしれませんが、再生可能エネルギーの固定価格買取制度について、全量と書かれています。余剰ではなく全量のほうが良いということで、それなりの理由があるのでしょうが、一方で、家庭内で省エネルギーをしたときに、余剰買取であれば省エネルギーが進むという、視点もあると思います。また、消費者の意見、電力の消費者で実際に負担する者の意見としては、自家消費分まで、その補てん分まで消費者が負担するのか、という反発もあろうかと思います。いずれにしても、コスト負担がかかることなので、コスト負担には大変留意をしていただかないといけないと思うので、余剰ではなく全量と一方的に書かれているのは、どうかと思います。その点もしっかり書き込んでいただくことが重要であると考えます。

○西岡委員長 一旦、では、そこで。
 あと、全体のフレームについてもしご意見がありましたら。藤野委員。

○藤野委員 ありがとうございます。先週、荻本さんとIPCCの再生可能エネルギー特別報告書の第4回リードオーサー会合に出てきまして、赤井さんはご欠席だったんですけれども、日本人7人のリードオーサーの3人がここにいるという、ある意味、当然なのか、不思議な会なんですけれども、その場で私はサスティナブル・ディベロップメント(持続可能な発展)のチャプター(章)を担当しているんですが、今回の検討はある意味、違う省の若干方針は違いますけれども、数字も若干違いますけれども、ある意味、同じようなことをやられているような感じがしまして、持続可能な発展、何のために再生可能エネルギーなり、持続可能なエネルギーシステムを求めるかというような大きな方向性というのがどうも見えてこない。
 特に経済影響でもっと積極的な意味で雇用がどうなるとか、または地域の持続可能な発展にどういうふうに具体的に役に立つのだろうかとか、エネルギーアクセスの問題もありますし、エネルギーセキュリティに対してもどういう影響があるんだろうかとか、そこら辺のもう少し定量的な検討というものが必要ではないか、または環境の影響もCO2削減はもちろんありますけれども、ほかのCO2ガスにどういう影響があるんだろうかとか、日本ではほとんどエアポリューションの問題はありませんけれども、やはり、でも、若干あるでしょうし、また、水というか、日本の場合、地熱で温泉だったりとかとの競合があるでしょうし、または、さらにランドユースとか、バイオダイバーシティとか、そういったところに対してどういう影響が、それはプラスの影響もあるでしょうし、マイナスの影響もあり得ると思いますけれども、ちょっと視点が狭くなって、影山さんもお怒りではないですね、ちょっとフォーカスが狭いんじゃないかとおっしゃっていますけれども、私も違う意味でフォーカスが狭くなり過ぎていて、全体の方向が見えていないんじゃないかなというふうに感じました。
 以上です。

○西岡委員長 それでは、ちょっとここで切りまして大塚座長に。

○大塚座長 まず、影山委員から言われた点ですけれども、影山さんにはオブザーバーで出ていただいているんですけれども、8ページのところに先ほどちょっと俯瞰図をお示ししましたが、今、この表を埋めていくときもどこかから始めなくてはいけないということがございますので、現在、集中的にやっているのが濃い紫のところでございまして、今日はそれについて特にお話をしましたので、部分的な話のように聞かれてしまったかもしれませんけれども、そういう前提であるということはちょっと申し上げておきたいと思います。
 原子力の稼働率等々については、前にもここでも問題になったと思いますし、それはそれで検討していくべきだと考えていますが、再生可能エネルギーの場合、やはり目標を立てて広げていかないと普及が進んでいかないということがございますので、特にここについて重視をしているということであります。化石エネルギーについても、いかに高効率化するかということとか、CCSの問題とかについて検討すべきでございますけれども、2050年にはゼロカーボン電源を目指すということでもありますので、化石エネルギーについてどれほど重視するかということについては、相対的に見ると今回のこの検討においては、少し優先順位は低くなる可能性もあるかなというふうに考えているところがございます。
 それから、固定価格買取制度について、全量買取がいいのかどうかという問題でございまして、影山さんがおっしゃることもそのとおり、考え方としてあると思いますけれども、他方で家庭内の省エネが進むかどうかということについては、全量買取をしても、結局、いかにたくさん買い取ってもらって、あと、自分が使わなくするかというようなことも考えますので、インセンティブという面では、全量買取についてもあまり変わらないのではないかということがございますし、さらに余剰買取にした場合の先ほど申し上げたような不都合というのが、逆潮が増えてしまうと、それで捨てることになるのではないかという、多少、捨てるのはもちろんいたし方ないんですけれども、大量に捨てることになるのではないかという問題があるものですから、全体的に見ると、全量買取のほうがいいのではないかというのがここでの考え方でございます。
 それから、藤野委員が言われたこともそのとおりですけれども、先ほど申しましたように全体の8ページの中の一部を特に集中して扱っておりますので、今後、ほかの部分についても埋めていくつもりなので、これで何か終わりにするというようなことではないものですから、そのようにご理解いただけますとありがたいと思いますし、先ほどおっしゃっていただいた環境への影響とか、もっとほかのものも考えるべきではないかというのはそのとおりだと思います。22ページのところに便益について書いていて、先ほどおっしゃっていただいたことの一部はここに出ていますが、さらに環境への影響等についても検討していく必要があると思いました。
 どうもありがとうございました。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 村上座長のご退席の都合もありまして、あと、このエネルギーの問題だけで10分ぐらいしか余裕がないんですが、一言といいますか、短く皆さんのご質問、コメントを受けたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。では、赤井委員からいきましょう。

○赤井委員 時間がないようなので回答は別に要らないんですけれども、ちょっと気がついた点だけ。
 8ページで先ほどの化石エネルギーのところで、高効率発電技術導入とか天然ガスシフトと書いてあるんですけれども、これはゼロカーボンということを目指したときには、はっきり言って無駄じゃないかなと。もし本当にゼロカーボンというのなら、CCSのついていない化石エネルギー、化石燃料発電はあってもしようがないと。その辺りの論理的整合性をとっていただければと思います。
 それから、9ページに再生可能エネルギーと原子力電力のほぼ100%が供給され、ゼロカーボン電源が実現と書いてありますけれども、これはそれぞれが成立しなかったときのリスクをどう見るのか、あるいは需給調整をこの世界でどうやっているのかという疑問がございます。
 それから、15ページに固定価格買取制度導入の目的として、2番目に「再生可能エネルギーに関連する産業を育成」と書いてありますけれども、これが果たして固定価格買取で国内産業が育成されるのか、あるいはつぶれてしまうのか、その辺りも論拠が欲しいなと思っております。
 それから、17ページ、買取価格の例が書いてありますけれども、最終的にはモデルを回されたりするのかもしれないんですけれども、これが限界削減費用としてどれぐらいになっているのかという数字を載せておかないと、何かちょっとアンフェアなような気がします。
 それから、前にも申し上げたことですけれども、買取対象とするエネルギー種でしたら、ゼロエミッションのほかの電源も買取対象としていいのかなと思います。
 それと、飛んで39ページに絵がありますけれども、2030年ごろというところで、余剰電力のエネルギーキャリア転換ということが書いてありますけれども、エネルギーキャリアというのは何を指していらっしゃるのか、先ほどの2050年の原子力と再生可能エネルギーだけによるゼロカーボン電源ということからすると、このエネルギーキャリアというのは非常に重要な技術になるかと思うんですけれども、どういうことを想定されているのか、この辺りも明確にしていただければと思います。
 それから、先ほど藤野さんがおっしゃったIPCCの今の再生可能エネルギーの執筆の状況を別のルートからいろいろ聞きますと、かなりスキャンダラスなことをやっていると。IPCCのルールそのものを全く無視したような執筆活動になっているということで、ちょっと注意が必要かなと思っております。

○西岡委員長 それでは、順番からいくと伴委員。

○伴委員 エネルギー全体から議論してほしいのですけれども、ここは再生可能エネルギーに限定されているので、その点からちょっとコメントさせていただくと、再生可能エネルギーについて13ページにある数字があり、2020年で15%削減、20%削減、25%削減というシナリオで、太陽光と中小水力については買取価格との絡みで、大きく変化しているわけですが、変化しているときの弾力性というのか、これが本当に実際に計測したものなのかどうか、あるいは、えいやで決めたものかどうかを少し答えていただければ幸いです。これまで25%の数字は出ていまして、今回出てきたのが15%削減と20%削減で、それで、それぞれの買取価格が若干違うのが太陽光と中小水力でして、どういう論拠があるかということを少し示してほしい。
 それから、前から議論されているのですが、風力発電については日本風力協会がこの程度しかできないという数字を使っていらっしゃるからと思うのですが、削減目標にかかわらず、は全く変わらない。もちろん、それに関する買取価格も変わらないわけですが、今現在で見ても、風力と太陽光というのは半々ぐらいになっているわけでありまして、10年で差がつく理由というのは一体何か。もちろん、太陽光発電については産業育成という視点があり、皆さんがここの委員会で合意されれば、この数字はいいと思うんですがこの数字を出すということは、太陽光については一生懸命やるけれども、風力については見ませんと言っているようなものではないか。
 それから、中小水力発電が初めて出てきたわけですが、これも現状からいったときに少し過大な感じがしていて、この程度の買取価格でいけるかどうか。我々は、こういうのをモデルで取り入れて動かしていかなければいけないのですが、本当にこの程度の買取価格でいけるかどうかについての実証というのか、根拠というのはどの程度、持っていらっしゃるかをお答えいただければありがたいと思います。

○西岡委員長 増井委員、お願いします。

○増井委員 ありがとうございます。手短に3点だけコメントさせていただきます。
 まず、1点目はバイオエネルギーについて記述されているんですけれども、その供給元といいますかがどうなっているのか、もし検討されているのであれば教えていただきたいということと、2点目は、今回、エネルギー供給ということで供給側なんですけれども、需要側の想定というのは一体どういうふうにされているのか。多分、例えば固定価格買取制度で電力の値段が上がると、電力需要も若干下がると思うんですけれども、そういうふうなことというのが考えられているのかどうかというところです。最後、3点目なんですけれども、一応、23ページのところで図の中に環境価値というふうな記述があるんですけれども、仮にこれを具体的に例えば炭素価格というふうなところで評価すると仮定しますと、大体、どれぐらいの炭素価格というようなものを想定されているのか。
 以上です。

○西岡委員長 どうもありがとうございます。
 そうしたら、こちらからいきましょう。則武委員、お願いします。

○則武委員 1点だけ、皆さんの意見とも近いのですが、2050年でゼロカーボン電源100%ということになると、省エネはもうしなくていいのかということになってしまうんじゃないかなという気がします。エネルギー全体で、特に電力全体でどれだけ削減が必要と想定されているのか、本当に省エネもしなくてもいいというのであれば、それはありがたいことであるかも知れませんが、誤解を招くんじゃないかなと、もし違うのであれば全体のエネルギー量がどうなるのかというのは、示していただく必要があると思います。

○西岡委員長 どうもありがとうございます。
 冨田委員、お願いします。

○冨田委員 時間が限られているみたいなので、3点だけ申し上げます。
 1点目は、今、則武委員もおっしゃられた9ページの2050年のところですけれども、また、大塚座長のほうからも化石燃料の検討はこのワーキングでは限定的だというお話がありましたけれども、2050年でも決して限定的であってはいけないのではないかなと、高効率利用についてはしっかりと現実的な目で検討すべきと考えます。
 それから、2点目は太陽光のところですが、買取価格を変えることによって導入量が変わるというところです。その根拠、伴委員の質問に答えるような形になって変ですけれども、56ページのところに投資回収年数需要曲線というのがあって、多分、これを使って振っていらっしゃるのではないかなと思いますが、これを見ると、ものすごく大きな差がありますね。アンケートの結果だと思いますけれども。なおかつ、産業用の需要曲線とそれから住宅というのは大分違うのだろうと思いますが、これを全部押しなべて一つの曲線で表しているようにも見えるというところがちょっと不思議な感じがします。本当にこの推定でいいのだろうかということです。
 このグラフの中のコメントで、投資回収年数が10年であれば住宅(新築100%)が導入されるぐらいというふうに書かれていますが、一方、上のほうの横棒のグラフの中では、マイナス20%のところでは一定規模以上の新築集合住宅への全量、これは集合住宅ということですか、この辺のところが需要曲線のグラフとそれから需要量、この辺が本当にこれでいいのだろうかと。というのは、マイナス25%で53円というような値段になっているわけですが、15%に比べると2割ぐらい高くなっています。そうすると、15%のとき、44円のときに導入できる人はものすごく利益が出るという格好になるわけですが、それが料金を負担する負担者の観点からして、合理性があると考えられるかどうかという、そういう視点も必要だろうと思います。
 それから、最後ですが、経済影響のところがあったかと思いますけれども、太陽光に関して機器の導入については、海外からの輸入は想定していないという前提で書かれていたかと思いますけれども、国産でいくという何らかの対策を施すということを前提として考えられるのかというところをお聞かせいただければと思います。
 以上です。

○西岡委員長 それでは、一つ飛びまして荻本委員、お願いします。

○荻本委員 最初の見開きのところの概要のところなんですが、再生可能エネルギーがエネルギー供給の主役となる社会というのが最初に書いてあります。このメッセージなんですが、方向性としてはあらまほしきことだろうというふうには思います。ただ、この1行で何年ごろに再生可能エネルギーが主役になっているかということを誰がどの程度とらえるかというのは、結構、いろいろ幅があるかなと思います。それから、主役というのがどういう定義なのか、つまり、エネルギー量で見たときに、ほかのどのオプションよりも多くなったときが主役なのか何なのか、これもはっきりしないと。
 なぜ、こういうことを申し上げるかといいますと、再生可能エネルギーはあらまほしき方向ではあるんですが、それなりに難しいと。難しいものにどうやって少しずつ近づいていけるかということがやはり表れていないと、今まで赤井さんも、いろんな方がおっしゃったように需給バランスの問題とか、いろんな問題を非常にたくさん解いて初めてできるんだというところがもう少し表れてほしいかなと。検討の具体的な中身でいえば、途中段階がどうなるかということをやるということに具体的にはなるわけなんですが、非常にチャレンジングではあるんだけれども、どうやり得るかというようなメッセージに修正できればさらにいい、中身が詰まっていくかと思います。

○西岡委員長 枝廣委員、お願いします。

○枝廣委員 これはワーキングに対してというよりも、このロードマップの委員会に対しての質問になるかと思うんですが、何人かの方もおっしゃっていたように、これはエネルギー供給ワーキングですよね。では、需要側をどういうふうに考えているのか? つまり、需要があるから、それを満たすべく供給するわけで、2020年に10%といっているからには2020年の供給量、需要を何らか計算していると思うので(私は前の委員会に入っていなかったので不勉強なだけかもしれませんが)、その需要をどういうふうに計算して、それを満たすために何でやるかを考えるのではないかと思います。今日のご発表の内容だと、供給量というよりも供給の質の話だったように思います。
 多分、ほかのワーキングの、例えば私がやっている民生のところとか、あと、住宅・建築物とかものづくりとか自動車とか、そういうところでエネルギーを使うわけなので、そういったワーキングのところの出てきたものとの突き合わせも必要でしょう。あともう一つは、例えば電力ないしエネルギーというのを十把一からげにするのではなく、どこでどういうエネルギーが必要なのかということが大分違うと思っています。例えば民生用と、大量に高品質の電力ないしエネルギーが必要な産業用と、必要なエネルギーも違ってくると思います。もう一つは人々が導入するときの動因というのも、動機というのも産業でしたらかなり経済合理性が重視されますが、今まで生活者ヒアリングをやっている限り、一般の家庭で導入するときには単に何年で元が取れるんだったらという経済合理性で動いているだけではないというのがかなり強くわかってきているので、もう少し、その辺りをこの供給ワーキングにというよりも、委員会全体として需要の細かな積み上げというか、それを供給と合わせていくような作業をどこがやるのかなと。これは全体に対する質問になります。

○西岡委員長 影山委員、お願いします。

○影山委員 短く2点だけ。
 まず、導入見込み量ですが、ヒアリングで実現可能性を十分検証せよという、意見が多数あったと思うのですが、これの検証はどのようにされたのかをお聞かせいただきたいのが1点。
 2点目は全量価格買取制度あるいは固定価格買取制度の負担側の視点がほとんどない点を危惧しています。負担側で太陽光を導入できない方、例えばマンションにお住まいの方の負担に対する意見、先ほどの家庭の自家消費分に対する負担に対する意見、あるいは全体の負担感、200円、400円はどうなのかという、負担側の意見をしっかり書き込むべきだと思います。負担側には産業界もいます。産業界には相当な負担がかかり、国際競争力に影響を及ぼす可能性もありますので、そこら辺もしっかり書き込むことをお願いしたいと思います。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 一通りお伺いしましたが、今、この小委員会全体の話として枝廣委員のほうからの話がありました。今、このエネルギーの問題はどこでもそうなんですけれども、大きく需要と供給の関係をどう持っていくかが実際に始まったときは特に大変な話なんです。まだ、今のところ、計画段階ですけれども、そういうことも十分考えた展開をやっていかなければいけないとは思っております。
 時間がなくなって誠に申し訳ない。今まで幾つかのご意見をいただいたのですが、これは後ほど返答できるところは分科会のほうから返答していただく、それから、あとは今のご意見を十分、分科会のほうのワーキング部会のほうの議論に反映していただくという形で、差し当たって、ここのところはおさめさせていただきたく存知ます。
 では、先に住宅・建築物のほうに進みたいということで、村上座長からのご報告をお願いします。

○村上座長 では、資料3をご覧いただきたいと思います。
 最初に、先ほど藤野さんや赤井さんからIPCCのご発言がございましたけれども、建築のほうも始まりまして、私は建築分野のリードオーサーをやらせていただいておりますけれども、日本からは私一人しか入っておりませんので、今回のこの委員会の活動成果をARファイブの報告書になるべくいいところが反映されるように努力したいと思います。
 資料3は結構文字が多いので、はしょりながら説明させていただきます。
 スライド3番をご覧ください。3番に、これは22年度の検討会を始めるに当たっての全体の確認のようなものでございます。最初に現状と課題ということで3つございます。[1]は京都議定書採択以降も建築分野は随分伸びていると、だから、かなり思い切った対応が必要だと。[2]は建築の対応だけじゃなくて高効率の設備機器、それも考えなければいかんと。[3]は新築と同時に既存の対策が非常に重要だということでございます。
 それから、その次の長期目標達成に向けたキーコンセプトということで、[1]は対策は建物の対策、これは断熱気密になります。それと、設備機器と統合的に組み合わせた対策が必要だと。[2]は自治体と連携しましょうと。[3]は性能の「見える化」とか、市民の省エネ意識の喚起と、こういったことが大事だということでございます。
 それから、下の長期・中期のための主要対策の導入目標ということで、まず、[1]の中期でございまして、新築は2020年までにすべて義務化基準を達成してもらうと。既存はいろいろ改修とか機器更新を進めると。長期的にはすべての住宅のゼロエミッション化を目指すと。これが22年度のスタートラインのところの確認でございます。
 スライド4番をご覧ください。スライド4番、今年度の検討方針を3つ書いていまして、[1]は実現可能性の向上と、2つ目が対策のパッケージ化と、3つ目がライフスタイル等の変革メッセージの打ち出しということでございます。
 5ページをご覧ください。そこに主な検討課題というのを1ポツ、住宅でございますね、(2)の[1]に総合的な環境性能基準の検討ということで、義務化基準と推奨基準と書いております。これはこの後も出てきますけれども、今後、日本全部に義務化する基準とさらに高みを目指す推奨基準、2つの組み合わせでいこうということです。それから、2ポツの建築分野のほうは建物用途とか規模によっていろいろ違うから、きめ細かい対応をしましょうということでございます。
 スライドの6番をご覧ください。展開の方向性ということで、1の基本的な方向性、これは今、お話ししましたけれども、2ポツでは個別の住宅とか建築物の対策だけでなくて、地域とか地区・街区との取組も重要だということで、これは屋井先生の地域ワーキングともいろいろ調整しながら進めているというところでございます。
 以上が全体概要でございます。
 それで、住宅、民生分野との住宅といわゆる非住宅と分かれておりまして、最初に住宅、後半で建築、いわゆる非住宅についてご説明させていただきます。
 スライド8ページをご覧ください。住宅ストックの現状でございまして、下の左側の図が戸建と共同住宅が55対45ぐらいで、大ざっぱに半々だということで、上に[1]から[3]まで要点を書いていますけれども、[1]では戸建では持家の割合が9割とほとんど持家だと。2番目に共同住宅では持家が23%で借家が53%と借家が全然多いと。[3]の建築時期です、昭和55年までに建てられたものというのは30年より前ということです。それが3分の1、昭和55年から平成7年、これは過去30年から15年までと、それが3分の1と、平成8年以降と、これは新しい住宅、それが3分の1ということで、15年、15年、さらにそれ以前ということで3分の1ずつになっているということでございます。
 9ページをご覧ください。そこに(1)で[1]、[2]、[3]とございますけれども、[1]要するに30年以上の住宅のストックが3割を超えていると。ですから、2050年を予想しましても、結局、3割以上は2020年までに建てられた家が残るから、相当、いいものをつくっておかなければいかんと。もう一つ、[3]今、政府を挙げて住宅の長寿命化と言っていますから、ますます延びる傾向があって、多分、僕はもっと30よりもはるかに増えるんじゃないかというふうに予想しております。そういう既存住宅が増える方向にあるということでございます。この30%、大体、今、住宅全部で4500万ですから、3分の1というのは1500万戸という、そういうことになります。
 10ページをご覧ください。10ページに長期的な断熱水準の推移のイメージということで、(1)に2010年の住宅ストックでは次世代基準の割合は低いということで、低いといっても極めて低いんです。次世代基準というのはスタートしたのが平成11年基準といいますから、約10年がたっていますけれども、フローベース、新築ベースで適合率が10%ちょっと、9割は満足していないと。ストックで見ると3%ぐらいで非常に導入率といいますか、適合率が低いわけです。そういう中で、今後、断熱強化というような対策を考えていかなければいけないという、非常に末端の大工さんまで考えると、相当、実効性で難しいものがいっぱいあるんだと。それで、(2)の[1]2020年以降は100%を目指すと。そのときに、それは義務化基準と推奨基準の両方でいくというようなことでございます。
 それから、11ページをご覧ください。これは世帯動向でございまして単身世帯が増加していると。11ページ、右下の棒グラフ、下の黄色と濃いブルーがそれぞれ高齢者と非高齢者の単身世帯で約3割ぐらいいっていて、あと、核家族も非常に増えていまして、単身世帯とか核家族は1人当たりのエネルギー消費量が増える方向にある、間違いなくこれはかなりクリアに増えますから、これも住宅のエネルギーを増やす方向にあるということでございます。
 12ページをご覧ください。12ページは削減目標とその対策導入量の強度のイメージ、これはイメージでございます。横軸に戸建て住宅、集合住宅(分譲)、賃貸住宅となっていますけれども、ちょっと修正してほしいのは賃貸というのは集合(賃貸)と、だから、繰り返しますけれども、戸建てと集合(分譲)と集合(賃貸)と3つに分けております。それで、縦軸に環境基本性能、これは断熱機密性能、あと、高効率給湯器とか太陽光発電とか、ずっときていまして、赤のA、グリーンのB、ブルーのCとなっていまして、Aは下に凡例がございますけれども、マイナス15%のときからどんどん入れましょうと。そして、Bというのはマイナス20%をやらなければいけないときはこれを入れなければいかんと。Cというのはマイナス25%をやるときには、これまでやらなければいかんということでございます。
 例えば一番上の新築(義務化基準)と、これはもうとにかく全部やってもらうと、Aですから。それから、新築(推奨基準)、推奨基準はいろいろ段階がございまして、やや厳しいものから、あるいはゼロエミとか、ライフサイクルカーボンマイナスとか、非常に高度なもの、いろいろございますけれども、例えば集合住宅(分譲)、これは割合やりやすいからAでやってもらうと、その次、集合(賃貸)はBでいくと、マイナス20%のときにはこれもやらなければいけないと。戸建てはA、Cとなっていまして、戸建てに推奨基準を入れるのはCかなということで、これはまだイメージでございまして、今後、変わる可能性がございます。
 例えば高効率給湯器、その下、新築のときには全部Aでも、これはどんどん新築には全部入れてもらいましょうと。既存の場合は買いかえの場合ですけれども、概ねAだけれども、例えば単身用はCになっています。単身用の住宅というのは非常に小さいから、高効率給湯器は大体でかいから、物理的に入りにくいというようなこともあるわけでございます。
 スライドの13番をご覧ください。表はよろしいんですが、ちょっとだけお願いしたいのは、[4]、一番下、今回、義務化の対象となる基準を「改次世代基準」と。これは「義務化基準」と修正してください。今度、公表するものはそういうふうに直す予定です。「義務化基準」とし、下に『次世代強化基準』と、これは『推奨基準』と修正してください。それから、次世代基準からその次、20%、この20%というのはカットしていただいて「次世代基準より省エネ性の高い」と、「より」と直していただいて、といいますのは、推奨基準というのは20%くらいじゃなくて、もっと例えばゼロカーボンを目指す、ゼロエミを目指すならば50%とか100%とか、そういうこともあり得るわけでございます。20%はカットしてください。
 それから、14ページをご覧ください。これは対策導入量の見直しということで、昨年度のものに対して、実現可能性に対していろいろ意見が出たわけでございます。それに対していろんな観点から検討していまして、これは高効率給湯器の場合でございます。左側のブルーの棒グラフ、これは去年3月のもので、それぞれマイナス15%とマイナス25%で3400万台とか4100万台とか、日本の総世帯数が4500万戸ですから、相当、思い切った数字でございますが、どうもいろいろ難しいんじゃないかということで、頑張っても物理的に難しいんじゃないかということがございまして、右側の棒グラフ、一番上のグレーの部分、これは買いかえ時期に至らないと、要するに新しい機械もすぐに高効率給湯器、新しい旧来型の給湯器、それまですぐにかえるのは難しいとか、先ほども言いました単身世帯はなかなか導入しがたいということで、それぞれ15%、20%、25%で2900万台、3000万台、3800万台と、そんなふうに修正しておりまして、これはほかの例えば太陽熱温水器などについても、こういう検討をしております。実現可能性の向上ということでございます。
 15ページをご覧ください。15ページに施策のパッケージということでございまして、横軸に住宅の区分で戸建と集合(分譲)と、賃貸は集合(賃貸)と直していただきたいと思いますけれども、縦軸にハードとソフトがあって、ハードは新築、既存、家電となっていると。右側に(1)から(5)までパッケージがございまして、(1)は新築向けのパッケージ、(2)が既存向けのパッケージ、(3)が家電向けのパッケージ、(4)が住まい方・ライフスタイル施策パッケージと、(5)は賃貸住宅向けパッケージと。賃貸住宅はステークホルダーが2人いるわけです、オーナーとテナント。だから、少し面倒でございます。
 それで、これのパッケージを少し具体的に書いたものがその次の16ページでございます。例えば一番上の新築の「まるごと」低炭素化と、基本方針は、新築は設計段階から最大限のエコ化を図るため、基準の設定及び義務化、住宅躯体とセットでの高効率機器の導入を実施と、その際、消費者の先行を促すラベリング、格付も実施という、例えばこれは新築の場合と。一番下に(5)の賃貸住宅の低炭素化推進という、これの場合は例えばユーザーがエコハウスを選択しやすくし、賃貸オーナーに投資インセンティブを持たせる仕組みづくりとか、こういう形でパッケージをつくっております。
 それから、17ページにいきます。住宅の施策の詳細化検討といいますか、新しい側面ということでございまして、まず、1ポツが情報的施策と、そして、[1]、[2]に見える化とか消費量の相対的な、消費量をやっぱり開示して相対的な比較をするとか、2ポツが不動産価値の向上と、これは要するに環境に頑張った省エネの高い住宅が不動産市場で高く評価されるような仕組みを考えましょうと、3ポツが初期投資の負担を軽減する金融等の仕組みということで、なかなか初期投資がバリアとなって進まないというので、そういう仕組みを考えましょうと。例えば欧米でOBFPですか、オーナー・ビル・ファイナンシング・プログラムということで、金融機関が初期投資を全部負担して、その後、省エネでした分で返済すると、ペイ・アズ・ユー・セーブという、そういう感じの制度がヨーロッパではできておりますから、当然、日本でも導入すべきだということでございます。
 それから、18ページでございますけれども、いろいろと省エネをユーザーの方に協力してもらうには、電気代が減りましたよというエナジー・ベネフィットだけではなかなか限界があるわけです。私どもが言っていますのはノンエナジー・ベネフィットと、例えば断熱・気密性を向上させますと健康性が向上する、遮音性が向上する、快適性が向上する、知的生産性も向上すると、いろいろございます。そういったことを大いにやらないと、なかなか住宅の断熱・気密の投資はお金がかかりますから進まないということで、その一例を、これは、今、私どもがやっている研究なんですけれども、紹介していまして、図の左側が断熱向上がもたらす便益の積算値と、右側が断熱性能向上のための工事費用ということで点線がございますけれども、便益の積算値が点線に達すれば投資回収が終わったというふうに簡単にお考えいただいて、これは新築で無断熱から次世代基準まで向上させたら約100万ぐらいかかります。それの回収を説明しています、新築の場合。改修はもっともっとかかります。
 そのブルー、光熱費削減で要するに電気代が減った分で回収すると約25年かかります。それに対して赤い紫は健康維持増進効果もあわせてやりますと16年で済みます。これはいろいろ統計資料がいっぱいございまして、無断熱から高断熱にかわりますと風邪を引かなくなるとか、あるいは不眠症が治るとか、いろいろ医学的なエビデンスがございます。そういったものを金額換算してやると25年が16年になって、16年ぐらいですと、割合、現実味が出てくるし、さらにこれは健康だけですけれども、ほかの快適性とか遮音性とか、そういったもの、そういうノンエナジー・ベネフィットを広く考慮することが今後の住宅の環境改善、省CO2を進める上の非常に大きな手がかりだということでございます。
 19ページからは建築物の非住宅でございます。
 20ページをご覧ください。20ページにストックの面積がございまして、左側の図が延べ床面積で、ずっと伸びてきたんですけれども、2005年ぐらいからサーキュレートしております。それに対応して右側のエネルギー消費量は少し減ってきておりまして、単純に割り算すると原単位、1カ月当たりのエネルギー消費量は少し減り気味だということかと思います。
 それから、21ページ、その次、これは建物の棟数と床面積でございまして、円グラフの左の円グラフ、グリーンの部分が700平米未満の棟数です。8割が非常に小さいんですね、700平米未満と。ところが面積で見ますと右側の円グラフでグリーンの部分は16%でございますから、これから言えることは、大体700平米以上の大規模なやつに網をかければ相当カバーできると。それをやった上で、中小の底上げを図るべきだということになるかと思います。
 22ページをご覧ください。これは用途別のエネルギー消費量でございまして、横軸はメガジュール・パー・平米イヤーでございまして、一番上に事務所がございますね。これが2,000足らずです。真ん中近くに非常に大きなやつでコンビニと飲食がございますね。これは14,000を超えていまして、大体7、8倍になっています、オフィスの床面積当たり。ですから、申し上げたいことは非住宅の場合、用途別の対応を考えなければ、一律の対応では非常に粗っぽくなり過ぎるということでございます。
 それから、23ページをご覧ください。23ページは対策・施策を検討するに当たって考慮すべき事項ということで、まず、1ポツが建物の規模と、これは先ほど言ったとおり、棟数と規模の関係、規模を十分考えなければいかんと。それから、2ポツは建物の所有形態と、これはオーナー・テナント問題とございまして、要するに金を払わなければいけないのはオーナーだけれども、便益を受けるのはテナントという、そういうインセンティブスプリットが発生しないような形を考えましょうと。3ポツは事業者規模と、これは非常に大事でございまして、例えば省エネ法の届け出義務がされていますのが大規模事業所ということで、例えば年間1万5,000キロリットル以上となっていまして、そうしますと、例えばそういう事業所でやりますと、多くのコンビニはひっかからないわけです。ですけれども、事業所でなく事業者と、例えばチェーン店をトータルでやればほとんど全部ひっかかりますから、そういう事業者という、そういうくくりで対策を考えるべきだと。4ポツは建物用途ということで用途によって非常に消費量が違いますから、という4点ぐらいが大事だろうと。
 24ページをご覧ください。これが施策のパッケージでございます。横軸は大規模と中小規模に分けておりまして、縦軸に新築と既存と、それぞれ自社とテナントと公共というふうに3つに分けておりまして、大規模、小規模はそれぞれ事務所とか宿泊とか、いろいろ商業とか分かれておりますけれども、パッケージが4つぐらい必要だろうと。(1)番が大規模建築を対象にしたパッケージと、(2)が中小規模を対象にしたパッケージと、(3)が新築・既存に分けたパッケージと、(4)が事業者別のパッケージというようなものを今、考えているところでございます。
 25ページはそのパッケージの中身ですけれども、省略させていただきます。
 それから、26ページをご覧ください。ここから、もう大体終わったんでございますけれども、事務所の話をちょっと紹介しますと、例えば26ページの棒グラフの下にグレーの棒グラフがございますけれども、事務所でも一般事務所と例えば電算センターなんかは極端に違うわけです。四、五倍、違いますから、床面積当たりの原単位が。そういう配慮が必要だと。
 27、28は省略させていただいて、例えば29、これはホテルなんかですね。ホテルなんかは給湯使用が多いとか、また、がらっと変わってきますので、やっぱりこれに対応した施策も必要だというようなことでございます。これは省略します。
 32ページからその他検討事項、これはまとめのことでございまして、33ページをご覧ください。ロードマップの実現に当たっての制度等の課題ということでございまして、例えば1ポツの住宅では、先ほどございました太陽光発電の買取とか、1ポツの(2)は情報開示とか有効利用とか、(3)は自治体の制度に関する課題と。例えば潜熱回収型の高効率給湯器、これはドレン排水の問題でなかなか進まないと。この権限は自治体にございますから、今後、自治体等と相談して、そういったものは解除してほしいというふうに、これはイギリスなんかではもう解除していますからね、日本だけ割合、非常にナーバスにやっていると。
 2ポツの建築物分野では(1)室内環境、[1]は照度の基準、日本はちょっと明る過ぎるんですね、ヨーロッパのほうと比べて。それから、温度、湿度、この辺はなかなか難しいんですけれども、湿度の基準なんかでもヨーロッパから言うと日本は厳し過ぎると。冬に加湿するとは信じられないと言うんだ、彼らは。(2)は情報開示と、2ポツの(3)はビル管法と、これは厚生労働省の管轄で非常に大きな法律でございます。それとの連携。それから、(4)がエネルギーコストのインセンティブスプリット対策と。
 それから、3ポツは共通で各種補助金のエコ化ということでございまして、ここに集約されているんでございますけれども、環境省だけじゃなくて他省庁といろいろ、今まで述べたところはいっぱいそうなんでございますけれども、他省庁と連携しなければできないことがいっぱいございまして、早目に内閣等で承認いただいて、他省庁との連携のもとに進めていただければありがたいと思います。
 次、34ページをご覧ください。これは長期目標、上に四角で囲って長期目標の進め方を書いております。目標の早期提示と。ソフトランディングのためには早期の提示が必要でございまして、2030年に平均ゼロエミ化とありますが、平均は誤りでフローとしてください、フローで2030年に全部ゼロエミ化しましょうと。2050年にはストック平均でゼロエミ化しましょうと、そういったものを早目に提示して、継続性を持って進めましょうということでございます。
 35ページは今後の課題ですけれども、大体、今までしゃべったところでございまして、3ポツに他のワーキングとの連携ということで、枝廣先生のライフスタイルのワーキングとか、屋井先生の地域のワーキングとか、いろいろ連携して進めたいと思います。
 以上でございます。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 村上座長もご退席の予定がございます。あと、30分ぐらいの間に質疑応答を終えたいと思います。質問、コメントがございましたら。藤野委員。

○藤野委員 大変まとまったご報告をありがとうございます。枝廣さんとコミュニケーション・マーケティングワーキンググループをやっていまして、やはり、皆さん、CO2というよりかは自分の生活が一番ですから、その観点から健康増進の観点でノンエナジー・ベネフィットの評価をしていただいたりとか、それの価値によって回収年数が短くなるとかというのは、非常に重要な情報だと思います。そのときに定量化できるところを入れるというのも大事なんですけれども、定量化できないところでやはり生活に大事なところをどういうふうに表現するのか、定量化できないから、それはないものだとして評価しないというふうにしてしまうと、皆さんの実感からちょっと離れたものになってしまうじゃないかというふうに思います。そこら辺を定性的でもよいので、含めていただくことができないかどうかというのが1点目です。
 2点目は、ちょっと昨日までマレーシア連邦政府住宅地方自治省というところがあって都市地方計画局、日本でいう内閣官房の地域活性化統合事業本部みたいなところかもしれませんけれども、そこの長官だったりとか、あと、ジョホール・バールを中心としたイスカンダール地域開発庁というところがあって、そこのCEOなりを連れて、京大の松岡先生と滋賀県の嘉田知事に会ったり、京都の門川市長にあったりとか、または、地域活性化統合事務局へいったりとか、環境省にもお邪魔したり、千代田区へ行ったり、または、つくばの市原市長に会ったりとかしていたんですけれども、やはり、国内の法整備が国のレベル、都道府県のレベルまたは市町村のレベルでなかなか足並みがそろわずに、それぞれがうまく縦糸と横糸の関係になればいいんですけれども、そこがどうもちょっと私自身もあまり法制度を全く知りませんので、わからないところがあるんですけれども、実際に現場に立っている人は、そこに悩み多いところがあるのではないかと思いますけれども、このワーキンググループで、それをどこまで突っ込んでやり得るものなのだろうか、またはもしやらないとするならば、誰にお願いすれば確実にできるのだろうかというような方針について、何かお考えがあればお聞かせ願いたいと思います。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、則武委員、お願いします。

○則武委員 建築業はこれまで日本の場合、地震だとか耐震性の問題とかいろいろあって、新築を進めないといけないというのがあったかと思うのですが、これからは資源の問題とかを考えたりとか、建物の長寿命ということを考えていくと、建築業の今のビジネスの業態として日本は新築での部分が売り上げでも多いと思うのですが、英国とかであれば半分以上はメンテナンスのほうが占めているんじゃないかと思います。その辺の変化についても、少し検討していただいたほうがいいんじゃないかと思います。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。冨田委員。

○冨田委員 ありがとうございます。詳細な検討をされていらっしゃると思いますが、なかなか住宅のところをとってみても、新築、既存、対応が非常に難しい分野だと理解をしております。18ページのところでノンエナジー・ベネフィットについて、確かにこういう観点は必要だろうと思いますが、必ずしも健康増進効果というところで、住まいを生活者がこの金額として評価するかどうかという問題もあるので、もう少し幅広い観点からの評価手法が必要ではないかなと思いました。
 ご説明の中で投資が100万円とおっしゃいましたけれども、それは新築の場合だと思いますが、既築の場合は恐らくそれ以上にかかると思います。一方、12ページのところでは既築についてもやっていくと、戸建についてはこういう考え方になっているわけで、その辺をどういう形で実現するかというところも、非常に大きな課題なんだろうなと思いました。
 12ページのところは、イメージということではありますけれども、コスト的にどうなのだろうかと。例えば戸建を建てる人がこれを全部取り入れた場合に100万ではなくて、高効率の機器だとか、そういうのを合わせればもう少し高くなるわけで、これから住宅を建てようと思う人がどのくらいかかるのか。今、既に持っている人はどういうことが求められるようになるのかということを示していただくことによって、ロードマップの現実性というか、そういうのが明らかになってくるのかなと思います。そこまでぜひお願いしたいなと思います。
 以上です。

○西岡委員長 影山委員、お願いします。

○影山委員 大変わかりやすくまとめられています。1点、質問ですが、14ページの高効率給湯器の対策導入量の見直しについて、ヒアリングの意見の中で、例えば建物の断熱化については施工業者の能力が十分なレベルに達していないという意見があったのですが、そういうことを踏まえた導入量の再検討がどの程度されているのか教えていただきたいと思います。

○西岡委員長 荻本委員。

○荻本委員 ゼロエミ住宅という言葉なんですけれども、レポート全体を読む限りは非常に省エネルギーが大切であると、可能なところで創エネをすればというふうに書いてあるんですが、非常に今、世の中でゼロエネルギー住宅またはビルという言葉がはやっていて、ややもすると省エネを少し忘れて無理やり創エネに走ると。金をかければ幾らでも創エネはできますから、あまり考えなくてもゼロエネルギー住宅はできてしまうかもしれない。ですから、その辺り、ぜひ、そうではないんだよというようなところも、どこかもう少し強調していただければいいかなと思っております。
 このレポートの中を見ると、27ページでオフサイトでの創エネも想定と書いてございますので、必ずしもビルだけで何とかしようということではないというのはよくわかりますが、世の中の実態を見ると、周り中、空き地だらけなんですが、なぜかその建物に無理やりPVが搭載されていて、これはすごいなというのを私は幾つも見ました。それはやっぱり無理筋だということで、本当に伝えたいということがもう一歩わかる記述をどこかに入れていただければいいかなと思います。

○西岡委員長 枝廣委員、お願いします。

○枝廣委員 すごくわかりやすく検討の結果を伝えてくださってありがとうございます。一つはパッケージを幾つかまとめてつくってくださっていて、既存住宅へのパッケージがどう展開するか、難しいと思うんですが、これまでの生活者ヒアリングのこちらのワーキングの感じでは、建っているところに一生懸命働きかけをするというよりも、その人たちがどうせ動くタイミングをつかまえるというのがかなり有効だろうと思います。一つわかっているのは引っ越しですね、引っ越しのときには大きく買いかえたり、大きな判断をすることが多いので、そのようなパッケージがきっとできるのかなと思いました。
 それから、もう一つ、ノンエナジー・ベネフィットについて何人かの方がおっしゃっていたので、藤野さんがおっしゃったことの補足になりますが、例えば生活者ヒアリングで薪ストーブを入れましたとか、二重サッシにしましたとか、そういった人たちになぜ、それをしたんですかという話を聞くと、大体、主婦に聞いている場合が多いのですが、何年で元が取れるからという返事はほとんど来ないで、そのほうが気持ちがいいからとか、心地がよいとか、人が集まるからとか、そういう返事が結構多かったです。
 多分、まだ、きちっとアンケートで裏づけをとっていませんが、そのような何年で元が取れるということを考えないで、気持ちいいとか、人が集まるということで、何十万か、何百万か投資できる人はある程度、余裕のある人だと思うんですね。逆に言うと、余裕のある世帯というのは、もともとは多エネルギー消費型だと思います。
 なので、余裕のある人たちがたくさん使って、たくさん出しているとしたら、その人たちに何年で元が取れるだけじゃないメリットも出して、何年で元が取れるか、取れないかというところでしか判断ができない、それほど豊かではないというか、余裕がない人たちに対する、どうやってインセンティブをつくるかというのと、その辺りはこちらのワーキングとの連携で、もう少し分けて考えていけたらなと思っています。こちらでも今度、アンケートをやるので、エナジー・ベネフィットで決める人と、それから、それに関係なく決める人がどれぐらいいて、それぞれどういうプロフィールなのか、少し出てくればいいなと思っています。
 もう一つは村上先生にということではなくて、また、全体になるかもしれませんが、割とできそうなところがわかってきていると思います。ほかの省庁との関連で、もちろん、すぐにはできないかもしれませんが、例えば賃貸のところは生活者ヒアリングでもかなり、そういうオプションがあったら入りたいんだけれども、今、自分ではどうすることもできないという単身者の意見も聞いているので、例えばエコアパートをつくって、その情報をわかるように出して選べるようにして、それを選べるということを外に見せることで評価を高めて、そういったエコアパートのインセンティブを賃貸オーナーにつくっていくという、その小さな実験でもいいので、何かそろそろやっていけたらいいんじゃないかなというふうに思っています。

○西岡委員長 増井委員。

○増井委員 どうもありがとうございます。詳細にデータ等も積み上げられて検討されておりまして、今後、経済モデル等でというような情報というのがいっぱい満載されているなというふうに思っています。どうもありがとうございます。
 私のほうから2点あるんですけれども、1点目は今回、例えば住宅の場合、戸建ですとか、あるいは賃貸等、集合住宅等に分かれているんですけれども、地域的な違い、例えば北海道と九州とかいうような検討ももしされることが可能であれば、こういう結果を世に公表するときに非常に重要といいますか、より実感できるのではないかなというのが1点目のコメントです。
 2点目なんですけれども、ちょっと村上先生にお聞きするべき質問ではないのかもしれないんですけれども、今日の資料の20枚目のスライドのところに、業務部門の延べ床面積の推移というのがございます。一方で、これまでの日本の経済とかを見てみますと、いわゆるサービス業の伸びというのがずっと増えてきているということで、将来の推計というようなことを考えますと、さらに今後、サービス化というようなものが進んでくると。
 そうなったときにサービス業の生産額なり、あるいは付加価値というふうなものと延べ床面積というようなものが、どんどん乖離していくのではないかなというふうに個人的には考えていまして、そうなったときに延べ床面積というふうなもので評価すること、あるいは延べ床面積とそういう付加価値なり、生産額というふうなものとの関係というふうなものをどうとらえればいいのか。もし、ご意見というか、ご示唆があれば教えていただきたいなと思います。
 以上です。

○西岡委員長 それでは、村上座長のほうでお願いします。

○村上座長 順番に最初に藤野委員のほうから、健康維持増進のノンエナジー・ベネフィットに関連して、定量化できないものもできないからといって手をつけないんじゃなくて検討してほしいという、それはごもっともでございまして、ただ、注意しなければいけないのは、いわゆる健康サプリメントでシイタケを飲んだらがんが治るとか、そういうようなことを環境省のレポートで書くと非常に信用に関わりますので、ですから、やっぱりエビデンスのある話はちゃんと取り上げるけれども、定性的で十分にエビデンスがないものは、別途、書き込むと、エビデンスがあるかないかはちゃんと仕分けして書くという形で処理したらどうかと思います。
 それから、国内の法整備ということで、いろいろどうするかということで、多分、全体に関わることが多いと思いますけれども、環境省のほうではやっぱり2050年の80%等あるいは2020年のマイナス25%等を目標にして、ある程度、踏み込んだ内容を書いて、それで、それを示して、それをさらに将来は閣議等で調整して、他省庁の連携を図って法整備を図ると、そういう形で、私の感じではこの委員会としてはある程度、踏み込んだもので書いて、将来、法整備の調整をしたらどうかと、そういうふうに思っております。
 それから、則武委員のほうから日本の場合、新築が中心のビジネスモデルだけれども、おっしゃるとおりでございまして、今後、多分、どうしたって特に既存住宅、既存キチを含めて、それをベースにしたビジネスの形態にしなければ、いろいろな意味で資源とかエネルギーとか、日本の経済とか日本の資本蓄積はもたないから、当然、それはやらなければ、ご指摘のとおりで、ずっと日本は戦後、100万戸をつくるのを50年やって、こういう国はほかにないんじゃないか、人口の割合からいいますと、今、大いに変えるべきだということでございます。そのときに既存は当然、改修が伴うわけで、やっぱり断熱改修等、まだまだ地方の大工さん等は技術レベルが多様でございますから、その辺も新しいビジネスの創出ということも含めて、ビジネス形態を考えるべきだろうと思います。ご指摘のとおりでございます。
 それから、冨田委員からNEBの健康のことにご指摘がございまして、これは新築でございまして、既存だともっともっと変わるわけでございます。ですから、既存の場合、どうやったって例えば高熱水だけで回収すると、すぐ100年とかかかっちゃいますから、とても現実性が出てこないんですけれども、それぐらい既存は難しいと。
 もう一つ、健康がそういう一般の市民の方の断熱回収のモチベーションになるかというご指摘がございましたけれども、私はいろいろ調べていますけれども、なかなか地球環境といっても、それは50年先のことでしょう、健康というのは今日、明日の話ですから、僕はこれを切り口にして断熱回収するのが一番有効じゃないかと、そういうふうに思っております。
 それから、いろいろ12ページのイメージの図に関して価格の問題がございましたが、ご指摘のとおりでございまして、まだ、そこまでいっておりませんけれども、なるべくそういうパッケージ、いろいろ組み合わせの中でどれぐらいの価格になるのか辺りは、詰めていきたいと思います。
 それから、影山委員に断熱化の導入……影山委員、何でしたか。

○影山委員 導入量の見直しをされていますが、ヒアリングの意見の中で、断熱化の技術レベルがまだ十分にないということでしたが、そういうことを踏まえた導入量の再検討がどの程度されているのか教えていただきたいと思います。

○村上座長 思い出しました。2020年に全部義務化しようということ、これは全部、他の省庁も了解していただいて、今、最大の問題はおっしゃるように地方の大工・工務店さんの能力を上げるかということで、来年度辺りから関係省庁は総力を挙げて、そういう実技を伴う講習会をやると。繰り返しますけれども、今の次世代基準というのは発足して10年になりますけれども、いまだにフローベースで10%強、ストックだと3%ぐらいで非常に普及が遅いということで、義務化となるとそれを100%にしなければいけないわけですから、大変なことでございます。ご指摘のとおりでございます。
 それから、荻本委員のご指摘で、創エネであまり簡単にやっちゃ困るよと、ご指摘のとおりでございまして、ブリキみたいなぺらぺらな家でもいっぱい太陽光発電をやれば、ゼロエミ住宅ができるんですよね。それは大変まずいので、私どもはヒエラルキーアプローチということを言っております。まず、やっぱり住宅の基本性能で断熱・気密をある程度、確保しましょうと。その次がいわゆる照明とか空調とかの設備機器の効率向上と、3つ目に創エネで、それはオンサイトの創エネと、4つ目がオフサイトの創エネと、そんな感じでやっぱり日本のいわゆる資産となるような立派なシェルターはつくるべきであろうということで、それもご指摘のとおりでございます。
 それから、枝廣委員の引っ越しのときなんかにいろんなレベルアップを図るというご指摘はごもっともでございます。それから、NEBもEBも、エナジー・ベネフィットもノンエナジー・ベネフィットもやっぱり高所得者で、ある程度、エネルギーを使っているところだと、いろいろ啓示をしやすいんでございますけれども、ご指摘のように低所得者の場合にエネルギー消費量そのものが少ないから、なかなか難しいという点がございました。これは一番苦労するところでございます。いずれにしましても、大事なことはユーザーがライフスタイルとか、いろいろな価値観がございますから、いろいろ選べるようなオプションを用意しておくと、そういうことが大事かと思います。
 それから、増井委員の地域性の指摘でございますけれども、これは当然でございまして、既に何十年も前から現行の省エネ法で日本を6地域に分けてやっておりまして、地域性のことを触れたいというのはあまりにも当然だから触れていないということ、それはちゃんとやります。
 間違いございません。
 それから、経済のサービス化と延べ床面積と生産額、ご指摘の問題点は大変よく理解できるのでございますが、私はお答えする立場にないように思うんです。伴先生にお聞きいただいたらどうでしょうか。
 以上でございます。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 伴先生、何かございますか。

○伴委員 いいえ、別に。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、次のセッションに進みたいと思っております。次は屋井座長のほうから地域づくり、それから、牛久保座長のほうから農山漁村サブワーキンググループ、このお話を25分、15分でお願いいたしまして、その後、皆さんからのご意見、コメントをいただきたいと思っております。なお、エネルギーにつきまして、先ほど全部後回しというふうな話になったんですけれども、できる限り時間をとりまして、もし皆さんのお許しが得られたら、ちょっと延びるかもしれませんけれども、倉阪座長代理のほうから後ほどご返答いただきたいという具合に考えております。
 それでは、屋井座長、お願いいたします。

○屋井座長 それでは、資料4でございますけれども、早速、内容を説明します。
 1枚めくっていただいて2枚目に目次がございます。昨年度のレビューをさせていただきまして本年度の方針、そして、ここまでの検討の内容をご説明して、今後の予定をお話しするという、そういう順番になります。
 また、めくっていただいて4ページに昨年度のレビューでありますけれども、地域づくりという分野は非常に幅広く、いろいろな施策があるわけで、一見するとわかりにくい面もございますから、その辺りを念頭に昨年度はここにありますように4つの色で書かれていますが、基本的には自動車交通量をいかに減らしていくかという、こういう観点でそのためにコンパクトシティへの転換、あるいは公共交通を積極的に利用する、あるいはそれを改善するためにLRT/BRTを1,500キロつくろうではないかとか、自転車レーンを道路の空間を再配分して5万キロはつくろうではないかと、こういったメッセージ性の強いものを打ち出したと、あるいは旅客だけではなくて貨物輸送もございますので、そういった分担率を6割からだんだん徐々に下げていこうとか、街区の単位あるいは地区の単位でいうと、地域エネルギーを活用していこう、未利用エネルギーを活用しよう、自然資源を活用しようという、こういったことを行っていく。そして、農山村との関係についてもきっちりと議論していくという、こういうような方向性でありました。
 上記の対策・目標を実現するための考え方ということでありますけれども、やはり一歩踏み込むとなれば、さまざまな地域があるということで、その特性に十分配慮して、そして、誰がやるのか、どんな負担をするのか、大変重要な議論が待ち構えていますので、地域が主体となり、参加する主体のすそ野を広げていくという、そういう考え方でありました。地域主体の計画策定の充実と、その内容を絵に描いたもちとしないための制度と財源の担保、こういう辺りまでをスコープにして、検討を進めてきたわけでございますが、そういうことで次のページ、5枚目、6枚目、7枚目に昨年のロードマップがございまして、ここに一定程度、すべてのことが書き込まれているわけであります。
 地域づくりについては申し上げるまでもなく、今までにもさまざまな取組、あるいはそのための仕組みや枠組みがあるわけでございますけれども、今、求められているような大規模な削減ということであれば、そういったものもまさに抜本的につくり変えていくような、そういうことも必要でありまして、それを5ページでいえば、計画実行力の強化や具体的な施策内容としての徒歩と自転車で暮らせる街づくり、LRT/BRT等の積極的活用、市民参加の公共交通利用促進という、こういう項目立てをしていますが、その中身についてさまざまなものを入れ込んでいるわけでございます。
 同様に、次のページの低炭素街区の整備につきましても、同じような軸をつくりまして、やはり2050年に至るまで、こういったさまざまな制度、枠組みから個々の施策、手段としての施策の展開、そのためのさまざまな主体の積極的な関与、こういったものを書き込んでいるわけでございます。そして、欄外にもありますけれども、先ほどもこちらの図も両方とも、それをしていくためにはなかなか民間だけに任せられないという分野であることから、温暖化対策税等の税収があれば、それをぜひ積極的に活用しようではないかというメッセージ性を加えてあるわけであります。
 それから、7枚目についても、これは若干分野がいろいろとあるんですけれども、地域づくりの中で物流あるいは都市間・地域間の旅客交通、こういうものも扱ってきたということがございまして、それについてもここにあるようなロードマップをつくらせていただいた。これについてはまだまだ見当が十分ではなかったというのが昨年の状況でございます。
 それから、8ページ目にいきまして、先ほど来、村上先生からも連携というお話をいただきましたけれども、地域づくりはなかなか一言では言いづらいということもあって、埋没してしまう可能性もあるものですから、ぜひ、これは地域づくりとしての取組もあるし、一方でほかのワーキングで担当されているような内容、課題、施策とさまざまな点で関係をしているんだということで個々の取組もあるし、あるいは地域として一定の目標を共有したり、手段を共有して、それに協力的に責任も分担しながら取り組んでいくんだと、50年、40年という長い期間ですから、そのための仕組みというものも必要だという、こういうことがここに書かれ、メッセージとして伝えようとしたことでありました。
 それから、9ページ目にまいりまして、もう少し具体的に他のワーキングとの関わりというものを改めて書いてみますと、地域では単体の対策だけではない、総合的な対策の実施が必要で、単体対策と地域対策の総合連携とバランスのとれた実施が必要であるということでありました。自動車、住宅・建築物、エネルギー利用・インフラという枠で書かれていますけれども、もちろん、単体対策を促進するために地域として行うべき施策もさまざまにありますということで、一例を挙げれば、ここにありますように自動車の優先レーンの設置と書いてありますけれども、あるいは環状道路等の早期完成等によって、できるだけインフラ面なんかもきっちりと押さえていくということが一方で必要ですし、右側のほうにいくと、今度は地域単位の対策に資する単体対策として、ここに書かれているようなさまざまな施策があるんだと。この両者の連携というものをうまく図っていくということがもちろん住宅の分野、建築物の分野でも街区単位あるいは街区が連檐するような地区の単位で、どういうふうな効果を発揮させるかというのは、言うまでもなく課題なわけであります。
 今年度でありますけれども、11ページにまいりまして、そういうことで昨年度のロードマップのねらいは、繰り返しに一部なりますけれども、自動車交通量の多い地方都市部での、特にそういった地方都市部での公共交通を生かすコンパクトシティ、こういった方向性というのをきっちりと明示はさせていただいていると、あるいは地域での低炭素化を進める主要な対策、その全国での目標量、これを提示したということと、そして、地域での対策を進める上で全体的な枠組み、こういうもの、あるいは仕組みというものを抜本的に、あるいは抜本的だけでは十分でないほど革新的に変えていかないと、なかなかうまくいかないという、こういうことをメッセージとして伝えたということでありました。
 一方で、そういったロードマップに対してもさまざまなご意見がありまして、コンパクトシティ、これが地方からの撤退ということを意味するのではないかといったような懸念や誤解、あるいは提示された対策、施策、これがまぜこぜにして書かれているところもありますから、地方の立場からいうとどのように取り組めばよいのか、どういうメッセージなのかというのがわかりにくいということもありました。
 今年度の方向性として、地域の特性に応じたということで、地域をきめ細かく分類していくといいますか、見ていく、細分化していくということ、地域に応じた具体的な対策というものの組み合わせを提示していこうではないかと、それらの対策と削減効果との関係、これを見ていこうではないかと、そういうことを通してあるべき制度というものまでも考えていこうと、さらに言えば、国の責任や役割、制度設計という面での役割ももちろんありますけれども、一方で、利用者や国民のほうの協力や負担、こういうものについても、負担というのでしょうかね、さまざまな協力関係についても考えていく必要が当然あるということであります。
 今年度の検討項目としては、そんなことを踏まえて具体的な低炭素地域のモデルイメージの提示、施策群の詳細な設計、対策・施策に要するコストの試算、試算モデル・事例分析による温室効果ガスの削減量、あるいは削減以外の効用・効果の検討ということでございまして、検討結果はぜひ基本計画や実施計画あるいは地方公共団体実行計画、あるいはそのマニュアル等へ反映をしていくべきだということでございます。
 12ページでありますけれども、検討体制として若干複雑といいますか、階層的になっています。後ほどご説明いただく農山漁村サブワーキングとも連携をして進めているわけでありますけれども、一方で、地域づくりワーキングのもとに、ここにありますような土地利用・交通サブワーキングあるいは物流勉強会、地区・街区サブワーキング、こういったものを設置しておりまして、それぞれ専門的立場でより詳細な突っ込んだ議論をしているところでございます。言い訳がましく申し上げるわけにいかないんですけれども、今、非常に積極的に検討している最中でありますけれども、ちょっと今日の段階では、まだまだその成果が十分には出ているということではございませんので、その辺りについてこれからご説明を申し上げます。
 13ページ、14ページにはメンバーがありまして、それぞれこういったメンバー構成で検討していただいているということでございます。
 15ページ、特に都市部の農山漁村部というのは当然ながら関係性も強いわけですし、連携をとらなければいけないんですけれども、そういうことをここにイメージとして書いております。地域の特性に合わせた温暖化対策の必要性というもとで、地域類型というものをある程度考えましょうと。これもあまり深く議論していくと、そもそも地域とは何だという議論に踏み込んでしまうと、CO2に特化した議論と離れてしまう可能性もありますから、そこら辺はある程度、ある種、あきらめを持って議論しているところもございます。
 地域資源とか地域特性というものが当然あるわけでございますけれども、それは都市部においても農山漁村においてもあるわけですが、それを見るときに地区・街区の類型あるいはエネルギー・資源の分野、土地利用・交通の分野、こういった観点から特性を見ていくというのが検討のポイントでございまして、その上で、地域類型別の対策のパッケージというものを検討していくんだと。ここら辺までは、実は両ワーキングでそれぞれ検討していることになりますけれども、その後にぜひといいますか、その後に都市と農山漁村との連携のあり方、双方でどうやって低炭素社会が実現されるかという施策のあり方、こういうところまでを議論していく必要があるんだと認識しております。
 これまでの検討内容ということで17ページ、これは対策の一覧ということでございますけれども、時間の関係もあって一つ一つというわけではございませんが、ここに書いてありますように、去年来、こういった土地利用・交通分野における対策、あるいは物流分野における対策、地区・街区分野における対策、こういうものを検討対象としているということであります。
 次のページ、18ページにまいりますと、対策とモデルイメージ(将来像)の考え方というスライドが出てまいります。モデルイメージと申しますのは、結局は一つ一つ地域は個性があり、そして、その個性を将来、発揮する中で、この問題にも対処していくということが前提でありますけれども、全部、ばらばらだというとそれっきりになるものですから、ある程度、イメージというものも一方で見せていこうではないかということであります。
 モデルイメージは中期、長期の削減目標の達成のため、地域、地区・街区類型に応じた対策を実施することにより実現される将来の地域、地区・街区のイメージなんだと。ですから、これは文章化されるものもあれば、イメージのパースのような図面になるものもあるというふうに考えていますけれども、そういうものをつくろうとしています。
 その作成目的は先ほど申し上げたようなことでありまして、一番下に地域のモデルイメージと地区・街区モデルイメージというところがありますけれども、地域のモデルイメージとは、都市の規模や性格によって類型化された都市・地域を単位として示すもので、地区・街区の配置や公共交通インフラのような都市の構造に着目した対策と、都市・地域の構成要素となる地区・街区での対策を実施することで実現される将来像であるという、どんな街になるかということがどんなことをやっているかということと同時にわかるような、そういうイメージであります。地区・街区のモデルイメージというのには、幾つかの観点で類型化があるわけでありますけれども、密度・市街地区分とか交通基盤、エネルギー需給、自然資本、資源循環等によって類型化しているということでございます。これについては後ほどまた詳しく申し上げたいと思います。
 19ページでございまして、これは先ほど、どこかであきらめる必要があると申しましたのはこういうことでございますけれども、日本におけるさまざまな都市、規模や立地環境によってさまざまに違うわけですけれども、概ねどんな規模の都市にはどんな対策が有効と想定されるかという観点から、まずは大きく分類したということでありますけれども、ここにありますような6つの分類ということで、人口や都市の中で担っている公共交通、あるいは昼夜間比のような住宅系が多いか、あるいは業務系が多いかとか、商業のほうはどうであるかとか、こういったことを念頭に概ねの分類をしているのが19ページでございます。
 それから、20ページにまいりますと、さらに地区・街区というようなレベルでも当然、分類が必要になってきますので、密度とか市街地の区分、中心業務地区から、ここに産業地区というような一定の分類がございますけれども、こういったような分類、それから、それを支えていくような交通の基盤にどんなものがあるかということ、そしてエネルギー需給としてどういうようなエネルギーを需要し、あるいは供給できるかという観点からの分類、これについては右のほうから自然資本を生かして、エネルギー需給あるいは自然循環を組み合わせた将来像を考えた上で、そこにも同様に幾つかの類型を設けた上で検討していくということでございます。
 次のページ、21ページにまいりますと、そういうものが組み合わさるとどうなるかということで、地域類型、地区・街区類型と対策パッケージというものの関係を見ているものでありますけれども、上のほうの赤い点線で囲まれているところが都市とか地域単位での対策パッケージの概要というか、非常に粗い整理であります。それから、下のほうの青い点線は地区・街区単位の対策パッケージの概要といいますか、こういう分類で行っていくということでありまして、上にあるように類型が出ていて、その中に交通の対策や市街地の構造を変えるような土地利用の対策というものが上の都市のほうでは表現されていますけれども、一方で街区単位、地区単位になれば、先ほど申し上げたようなさまざまな類型項目に応じて、この対策というものが考えられるということになります。この両者を結びつけて検討していくという中間的な領域をどう考えていくか、街区等が連檐してより効果を発揮するような、その辺りについても今後の課題ということでございます。
 22ページ、一つのイメージということでありまして、例えば地方中心都市の場合はどうかということで、地域類型別の対策パッケージというふうに書いていますけれども、特性を踏まえて地域の魅力向上につながる副次的効果を有する対策を組み合わせて実施するんだと。これも、再三、申し上げていますように、地域は長い時間をかけてより魅力的な地域にしようという努力をずっとしているわけでございますけれども、その中にCO2削減という大変大きな目標、あるいはそのための手段というのが組み合わさってくるという中で、やはり副次的効果としては地域自体がより魅力的になる、あるいは住みやすい、生活しやすい環境になっていくという、こういう効果も当然ながら考えていくわけでございます。
 そういう中で、左側のほうに交通、先ほど申し上げたような幾つかの分類の対策がございますし、それも地区という単位でいえば、それぞれ地区の個性に応じて、どういった未利用エネルギーを使うかとか、どういった連携を図るかとか、あるいは移動についてはどういうふうに担保するかとか、こんなレベルもございます。大きくは都市軸や都市構造から、小さくは街区の中のエネルギーの利用・供給というところまでを組み合わせて、こんな対策、施策が想定されるということであります。右側のほうには申し上げたような副次効果として、できれば交流人口も増えたり、市民の活動が活発になったり、地域が発展したりと、さまざまな効果も期待されるということであります。
 23ページに、それを図面的に表すということも考えていますので、左上にありますのが従来、こういった図面、パースが使われて、ある一定程度の都市のイメージがございますけれども、そういうものをさらに今回、再検討していって、街区レベルあるいは街区の連檐したレベルと、あるいはもう少し大きなレベルで描いていこうということでありまして、そのモデルイメージというものが表の中に説明されています。すべての組み合わせをつくるということはできないわけですけれども、幾つかの典型的なものをつくってみようではないかということであります。
 それから、24ページにいきまして、そういった地区・街区単位で取り組む場合の効果の考え方として、単体対策の効果とは異なる効果、これを地区・街区効果と総称しようではないかと、それを以下のように分類してみようということでございます。一つは地域の賦存エネルギーを利用していこうという観点、それから、スケールメリットを生かしていこうという観点、あるいは需給バランスをうまく調整していくという観点、それから、ここら辺と関わりますけれども、多様な主体にどんどん参加してもらうことによってスケールメリットも、あるいは需給バランスも確保していって、高効率なエネルギー消費を実現しようという観点、こういう4点になっています。
 例えば25ページにありますように、多様な主体の参加による効果ということであれば、高効率なエネルギー源の選択、負荷の平準化を実現できるのではないか、多様なエネルギー源の活用を促す、そして需要に応じた高効率なエネルギー源を選択するし、需要の時間的・季節的な変動を平滑化し、稼働時間と稼働率を上げると、あるいは適切なサイズの機器を選択し、部分負荷を回避して高効率で運転するとか、異なる電力、熱の需要を組み合わせて、総合的な効率を上げていくとか、こういったことでイメージ図は下にありますように、導入前はガス・電力のみに未利用熱源を加えると、一方で利用者のほうについても地域導管等をつくっていく中で、さまざまな施設がこれを利用していくという、こんなイメージになっていきます。
 それから、26ページにございますように、空地等についてもコンパクト化の中で発生する空地がございますので、そういうものを当然ながら地区・街区という単位で有効に活用していくということでございますが、それはほかのワーキングとも関わりが出てくると思いますけれども、太陽光、太陽熱利用をしたり、あるいは緑地としての整備をしたりということでありまして、真ん中の四角の中にありますように、太陽光、太陽熱利用についてはもちろん建物、屋根及び既存空地への再生可能エネルギーの導入は個別対策に属するため、エネルギー供給ワーキングの検討対象だという、そういう認識もございますが、地区・街区効果という観点でコンパクト化によって新たに生じる空き地、こういうものには注目してみようではないかということであります。
 土地利用・交通サブワーキングで検討をしておりますが、土地利用の将来予測結果、これの提供を受けまして、新たに発生する空地に例えば太陽光パネルを設置した場合にどうなるかと、こんなものも検討できないかということであります。あるいは緑地の整備についても、その効果を検討していくというようなことであります。右側に図面がありますけれども、当然ながら、こうやって集約していく中で生み出そうということであります。
 27ページにございますのが地区・街区の対策パッケージを導入した、今度はイメージをつくっていこうということに、先ほど申し上げたようになっていくわけですけれども、そのときに地区・街区分野の対策パッケージの設計並びに対策効果の定量化について検討する際の足がかりとするために、機能構成の異なる類型地区というものを想定します。
 地区とか街区とか申し上げていますけれども、このワーキングの中では現状では街区が幾つか連檐して地区になるような、そんなイメージを持っていまして、また、地区が大きくなってくると地域というような言葉で言える、それが市町村であったり、都市であったり、あるいは置きかえれば都市圏ということにつながっていくわけでありますけれども、ここではexampleとして300ヘクタールぐらい、これを対象にして業務集積地区、産業連携地区、郊外の農林連携地区というものを仮定して、そういう用途を真ん中にあるような構成比にしてみて、そして対策パッケージの例としては用途が違いますので、上のほうは熱の供給や需給を行うということが中心でありますけれども、真ん中は産業系の熱を使うとか、下のほうは今後は農業系の廃棄物を使うとか、木材チップを使うとか、大規模な植栽をやるとか、こんな違いがあるわけですけれども、こんなことを想定しながら検討しようということであります。
 28ページに、これも一つのイメージということでありますけれども、産業連携地区を対象にして産業地区が45ヘクタールぐらいあり、一方、右のほうに業務地区が75ヘクタール、商業地区があり、あるいは産業街区、業務街区、商業街区、住宅街区がそれぞれある中でエネルギーのやりとり、赤いものが温かいほうで青いのは冷たい水ということなんですけれども、こういう流れでエネルギーを供給、融通し合うという、そういうイメージをここに示してあります。こういうものをそれぞれつくっていくというふうなことを進めているわけです。
 それから、ちょっと話が飛ぶといいますか、土地利用・交通分野という今度は非常に大きな目で見たときには、やはり定量的な分析というものも、当然ながら必要になってくるわけでありますけれども、この部分では特に削減量を計算するために、将来の交通需要のようなもの、あるいは土地の利用のようなもの、こういうものを分析・検討しようではないかということで、ここにありますように個別に導入した場合、または地域ワーキングの検討に基づき、地域類型ごとにパッケージ化して導入した場合の削減効果を詳細に把握するモデル手法を開発し、2010年秋以降に具体的に削減量を試算すると、何だか予告みたいで申し訳ないんですけれども、図1にありますように、全国の立地均衡と交通のモデル、土地利用・交通モデルを全国規模で、6,000ゾーンぐらいで一遍に計算してしまおうということでありまして、ただ、それをさらに右側のような赤い部分、都市圏の中のゾーン単位、町丁目単位ということでありますけれども、これで全国をやるのは大変なことになりますから、特定の地域を取り上げて、さらに細分化していくような、配分化していくような、そういう二段階の大きなモデル体系を考えて検討していると。
 モデルの空間スケールが右のほうに書いてありますけれども、これによって全国モデルでは例えばということで、公共交通等の整備あるいは改善が行われた場合の削減量、道路や公共交通料金、ガソリン税の変化による増減等、こういうことが計算できますよ等々でありますけれども、私の感覚からいっても、こういった大がかりなモデルをほんの数カ月程度でつくり上げてしまうというのはほとんど不可能に近いと思いますので、どこまで出てくるのだろうかというふうに見ているんですけれども、そういう見方をしてはいけないんですけれども、本当に大変な作業をやっていただいているということですので、次回、ぜひ議論に足るような情報提供をしたいとは思っていますけれども、そういう状況だということであります。
 30ページにまいりまして物流分野の検討状況、これは申し上げたようにワーキングを設置してということではないということで、若干、十分に力を割けていないところもあります。また、これも申し上げるまでもなく、物流分野というものは大変景気の変動も受けたり、さまざまなコストの問題があって、長期を読むというのも非常に難しいところもありますが、そういう中でも自動車貨物輸送量の削減対策・施策の検討、あるいは企業事例を参考にした削減ポテンシャルの推計、こういうことを特にヒアリング等を通して、あるいは従来のデータをきっちりと眺めながら、方向性について検討しているということでございます。右側にありますけれども、GDPと貨物輸送量は従来から正の相関と言われていますけれども、ここら辺も若干の乖離が出てきているのではないか、こういう中で将来の成長と貨物輸送量の増減、ここら辺についてどう考えていくかなんていうのが実は非常に大きな課題として残っております。
 31ページにございますように、物流分野での重点的な対策として、そういった基礎的な検討を踏まえながらになりますけれども、荷主を中心とした自動車走行量削減対策の強化、都市内物流・端末物流における自動車走行量の削減、貨物自動車の輸送効率の向上、そして容易ではありませんけれども、これも抜本的な投資が必要になりますが、鉄道輸送ネットワークの強化・構築、どれだけモーダルシフトを受け入れられるかというような検討、こういうことが検討内容になります。
 32ページは単なる統計ということですので、今日は省略させていただきますけれども、こんな状況だということであります。
 33ページ、34ページになりますと、対策・施策の実施に係る概算費用ということで、もちろん、何度も申し上げるようにCO2削減だけを目的にする施策ばかりではありませんので、この部分だけで費用対効果を見るということは非常に難しいわけでございますし、一方で、この費用についてもなかなかこれだという数字を出しにくいところもありまして、それから、いつぞやもご指摘いただいたように、この分野でもやはりそれなりの普及というか、規模が増えて大きくなってくれば、それなりのコスト削減等もあり得るということもありますので、その辺りについて、今後、どういうふうに見極めていくかという課題が残っています。
 いずれにしろ、今、従来の幾つかの例を参考にして書いていくとこの程度であって、LRTやBRTの整備についても1,500キロ、これは3兆円、4兆円ぐらいあればできちゃうということで、暫定税率分でいえば1年分や数年分ぐらいのオーダーで全国をカバーするようなものも可能だという、こんなオーダー感は一応出ているということでございます。フランスは1,800キロの新たにLRTをつくるというような方向になっているようでございますけれども、そんな類のことであります。
 今後の予定ということでありまして、今後の予定につきましては個々の対策の効果等の定量的把握、これを従前の方針どおり進めていきますと。先ほど来のほかのワーキングとの関係、あるいはこのワーキングの中でも街区と地区、あるいは地区と地域、あるいは都市内と都市間、数え上げたら切りがないほど関係する部分が出てきますので、それを可能な範囲でできる範囲になりますけれども、検討し、一方で一定程度の定性的な整理ということになるかと思います。
 それから、各分野の対策を横断的に促進する施策群の検討ということで、次のページにございますように、いろいろな意見を既にいただいておりますので、どれもこれもごもっともだという意見が大変多いわけでございます。ただ、簡単に対応できるものばかりではございませんけれども、ぜひ、例えば下にあります多様な担い手が地域としての効果を発揮できるような仕組みの構築が必要であるとか、地域の資源を徹底的に活用したり、そのための総合的な対策を実施したりすることが重要であるという、こういうことも踏まえますと、この施策群と言っている中には、国としての従来の縦割り等を飛び越えたような新たな制度の設計等も、当然、含めて考えるべき分野ではないかというふうに考えているところであります。
 今の地域というのは、必ずしも従来の制度の中において、魅力的な地域が日本の中にいっぱいあるというわけでもございませんので、それを今回のCO2で抜本的に変えるとなれば、当然ながら制度についても従来の制度ではおさまらない、そういうものをつくっていく必要があるということだと思います。制度というのは、契約の制度や財源の制度や地域の制度、地域が責任を持って進めていく制度というところだと思います。
 ちょうど時間がちょっと過ぎたかわかりませんけれども、大体、こんなところになりましたので終わらせたいと思います。どうもありがとうございました。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、続けて農山漁村サブワーキンググループ、牛久保座長のほうからお願いします。

○牛久保座長 先ほど地域づくりグループのほうからお話がございましたように、守備範囲として特に都市のほうをということでございまして、私どものところは本来からいうと、その中で検討していただくということでありましょうけれども、ここにありますようにSがついている、サブということで、地域ワーキンググループから一応独立して、農山漁村について検討をしてまいったということでございます。
 2ページをお開きいただけますと目次がありまして、昨年度のロードマップ、農山漁村分野での議論の集約、それから、今年度農山漁村サブワーキングの問題意識と検討方針、それから、これまでの検討内容、ゼロカーボン化に向けた地域計画、エネルギー供給等に向けた土地の利用、それから、オフセットメカニズム等の活用ということであります。それで、今後の予定ということで、今日、ご報告をさせていただきます。
 まず、ご案内のとおり、農山漁村というのは日本の国土計画を見ていただいてもおわかりのよう森林が66%、それから、農地が12%ということで、非常に広範な範囲の土地、また、人口的にも21%を占めるということで、それを包括した形で検討に入らなくてはならなかったということでありまして、農山漁村の地域について検討する上で、次のような事項を共通認識として検討を開始をいたしました。
 そこにありますように、現状と課題ということでありますけれども、農山漁村地域は森林吸収や農業分野での排出削減を通じて地球温暖化対策には貢献しているというのは、皆様方の周知の事実でありますけれども、さらに今後、低炭素社会の実現に向けた貢献が期待されているというところであります。その取組を効率的に推進する上で、分析すべき基礎的データが不足していると。ここのところが広範な範囲ということもありますし、例えばいろんな資材、原料においても、それから、民生的な意味においても、データを集約しなくてはならないと。
 今回、誠に申し訳ないんですけれども、この発表の中では数字が確実に精査ができておりませんので、数的な裏づけでお話ができないということをちょっとお許しをいただいて、概念的な感覚、こういう方向性でということでありますので、また、いろいろその面で検討する上でご意見がございましたら承って、それを今後に生かしていきたいというふうに思っております。
 戻りますけれども、農山漁村が有する国土保全、それから、自然保全等の多面的機能、ですから、いわゆる環境という意味も含めてそれを考えますと、どうしても多面的機能についても現時点では考えなければなりませんけれども、それについてもなかなか価値化されていないということが挙げられております。
 農山漁村地域においては地域差が非常にあります。現状を考えていただいてもインフラの未整備、それから、担い手がいない、過疎化・高齢化の進行ということ、それから、都市への人口移入とか、そういうこと、それから、産業がなかなか成立しない、または競争力が低下している。それゆえ、経営・技術が停滞といった深刻な問題に立ち入っているということであります。このような労働不足は温暖化対策の障壁となるということも十分考えられますので、これはまた別の議論かもしれませんけれども、農山漁村の振興の観点、いわゆる復興させて振興していくということが必要であるというふうに考えております。
 それから、吸収源として、これが一番期待されるところであろうと思いますが、期待されておりますけれども、森林の成熟化に伴って吸収量は低下していくと。いわゆる成長期であれば吸収量は高いんですけれども、今、日本の現状を見ますと、いわゆる木も割合と老齢化というようなことから吸収量が低下していく。さらには、未利用バイオマスの有効活用は極めて重要でありますけれども、これもいろんな議論の中でお話がされていますように回収する難易度とか、それから、発生が変動してしまうと、不安定要素がいろいろありますということでありますけれども、太陽光、太陽熱、風力、地熱、小水力等については、農山漁村におけるその他の再生可能エネルギーについては、供給源としてのポテンシャルが都市部と比較して大きいということで、これの積極的活用をということは重要な観点だということであります。
 次に、低炭素社会構築に向けてのキーコンセプトということでありますけれども、まずは農山漁村地域のゼロカーボン化、吸収源を含めるとカーボンマイナスの方向性が実現できるかどうかということでありますし、農山漁村地域の振興に伴うバイオマスの供給と利用の促進、それから、都市との連携による温暖化対策の推進、カーボン・オフセットや地産地消、旬産旬消、いわゆる食糧の問題とも関連いたしますけれども、そういうものの推進、農山漁村地域における「見える化」、農山漁村に住んでいらっしゃる方というのは、私どもは環境を汚しているという認識が意外と少ないということもありますので、そこら辺をどのように理解をしていただくことも含めて、それから、農山漁村の有する国土保全、自然環境等、多面的な価値を評価し、それを最大化していくということがキーコンセプトとして考えられるということであります。
 それから、長期・中期のための主要な対策の目標として、中期としてはすべての地域においてゼロカーボン地域計画を策定し、それを公表する。それから、長期はすべての地域においてゼロカーボン計画の達成及び多面的機能を含めた地域評価の公表を目指すということでございます。
 昨年度は、5ページでありますけれども、農山漁村分野ロードマップの概要ということで、まずは社会システムの変革、そのところには地域に応じたゼロカーボン地域計画の策定及び実行の検証ですとか、オフセットや低カーボンフットプリント製品の普及拡大、それから、建築物への国産材の利用、それから、食糧生産に関係する地産地消とか旬産旬消の推進、それから、排出削減、当然、農業分野でも排出をしている形になっておりますので省エネ推進、それから、農林業における緩和対策の推進ですとかということ、それから、いわゆる今度は再生エネルギーの供給ということも考えて、バイオマス資源の再生・活用と、特には間伐材、それから、林地残材等、それから、農産廃棄物を含めた未利用バイオマスが使われていない状況もあるということで、そういうようなもののいわゆる製品化をする、またはエネルギーの推進をしていくと。
 それから、エネルギー供給源として都市をどのように利用し、それをビジネス化していくことができるのか、それから、さらにはこれもバイオマスですけれども、いわゆる生産バイオマス的な考え方で藻類のような新たなエネルギー源となり得るものの素材の開発、さらには先ほどから申し上げていますように、吸収源の活用促進ということで、森林または農地に堆肥化をすることによって、カーボンのいわゆる活性をなるべく抑えるような対策上のこと、このようなことをロードマップの中で書き込んで検討してまいったということであります。
 次に、8ページをお願いいたします。今年度の検討ということで、問題意識としては昨年度は先ほど申し上げましたように、いろんな施策や対策について抽出を中心に行いました。しかしながら、農山地域の実現性を検討する上で地域の問題、それから、費用対効果の観点がなかなか十分にいかないということで、それらをロードマップに反映させるためには、これらについて考慮することが必要であろうということであります。
 検討方針としては、地域づくりワーキングと同様にということで、先ほど、これも連携をとらせていただかないと農山漁村だけでは当然、成り立つ問題ではございませんので、ロードマップ実現の可能性の一層の向上をテーマとして、削減量やコスト試算、それから、施策内容の詳細設計などに連携して取り組んでいきたいということであります。
 それで、今度はサブワーキンググループとして何をアウトプットをするかということでありますけれども、農山漁村地域のモデルイメージの提示、それから、施策等の詳細な設計、それから、対策・施策に対するコスト及び費用対効果の試算、それから、事例分析による削減量や多面的機能のCO2削減以外の効用・効果、これについても十分に検討していく必要があるというように考えております。
 先ほどお話がありましたように、地域というものを当然考えなければいけませんけれども、地域とは何だという議論をしてしまうと、それに陥ってしまって本末転倒的な話になるということでありますけれども、いわゆる農山漁村サブワーキンググループがどこの範疇を地域として守備範囲にするかということを一応立てませんと、議論の対象または範囲のイメージがわきませんので、次のように基本的には農業地域分類の「平地農業地域」、「中間農業地域」、それから、「山間農業地域」に該当する市町村及び都市地域のうち、ご案内のようにバイオマス日本総合戦略ということで、300のバイオマス日本総合戦略の策定をしていただいた都市がありますが、その中の一定水準以上のバイオマス賦存量があって、その利用可能量がある市町村を一応、農山漁村地域と想定をして議論といたしましたということであります。社会システムの変革や土地の有効利用を対象に主として行ったわけでありますけれども、先ほどからお話がありますように、交通や住宅、建築物については他のワーキンググループにおいて検討されておりますので、それを―体的または連携をとっていきたいということであります。
 それから、次に10ページ、11ページ、これまでの検討内容ということでありますけれども、まず、農山漁村のゼロカーボン化に向けた地域計画ということで、農山漁村における再生可能エネルギーの利用、省エネ対策の推進、農業分野の非エネルギー起源対策によって地域内の排出量を削減、まず、それを一義的に行うということであります。そういうことを実施、行った後に、さらに余剰になりました排出量から地域外への再生可能エネルギー供給に伴う排出削減効果(価値)を差し引くことによって、国内の排出削減に貢献する地域を目指す。これがいわゆるゼロカーボン化またはゼロカーボン化地域というイメージであります。
 多様な地域特性を勘案すれば、すべての地域においてゼロカーボンを達成することは困難。どういうことかといいますと、いろんな農業経営形態というものがあります。それを個々個別にやっていっても、必ずしもゼロカーボンが達成できるということではございませんので、最終的には全国の農山漁村地域の合算として、いわゆるゼロカーボン地域を目指せればということでありますし、当然、考えの中には個別地域においても、そういう積み上げをしていきますので、そういう目標設定については当然考慮し、考えていくということであります。
 方法については、引き続きどのようにしていくかということでありますけれども、下にはイメージとして対策前、対策後ということで、対策後はイコール・ゼロという形になるような計画策定をしていきたいということであります。
 それから、12ページをお願いいたします。ゼロカーボン化に向けた施策の実際の進め方でありますけれども、地域計画の策定を促すことを目標としたガイドラインを作成すると。そのイメージが下の図にございますように、まず、実線の立ち上がったグラフがございますけれども、横軸が年度、それから、達成に向けた進捗状況ということでありますけれども、例えば実践の中でいろんなモデル地域が成功した経験的な、また、失敗事例もあろうと思いますけれども、特には優良事例等をピックアップしたものを後発的に立ち上げてこようとするモデル地域にそれを落としていきながら、連携をとっていくというような形式で、効率的に進めていくということでございます。そのような連携をしつつモデル地域を選定し、それに投資を集中して事業計画を促していくということでございます。
 そのために、モデルイメージの将来の考え方として13ページでございますけれども、中長期の温室効果ガス排出削減目標を達成するために、地域特性に応じた対策を実施することによって、実現すべき地域の将来イメージをモデルとしたいということであります。農山漁村サブワーキングでは、「魅力的な地域づくり」を念頭に、さらに先ほど申し上げましたように農山漁村地域の中で農業形態が大きく違っている、それをある程度、グルーピングしませんとこれもなかなか大変ということで、地域をイメージした中でさらに3つの類型、一つは山村・林業型、それから、農村・農業型、農村・畜産型に分類した上で、類型ごとのモデルイメージも作成ができるような形を考えていくということであります。
 漁村につきましては、このサブワーキンググループの中に実際に専門家がおりませんが、専門家はおりませんけれども、専門家にヒアリングをいたしまして、どのように類型化するかということでありますけれども、漁業については基幹産業とする地域は存在しますけれども、市町村単位よりも小さな集落単位ということですので、すべからく例えば先ほど3つの類型にした中にも当然、漁業関係のところもあるということで、その中に農山漁村という意味合いの一つのグループの考え方で考えていこうということであります。
 14ページをお願いいたします。実際に農山漁村地域の全体的なモデルイメージがそこに漠然とした形でございますけれども、書かせていただいております。上に農山漁村地域と、当然、連携としては都市地域との連携が考えられますので、両方を併記した形になっておりますが、農山漁村のゼロカーボン化に向けた計画達成・公表をするために、産業・資源・土地、そのところでゼロカーボン化に例えば向けたコンセプトとしてどんなものがあるかというのが、まず、産業・資源・土地という文言の下に書いてある項目がそういうことでありまして、その下にブルーの囲みがありますものは派生する副次的な、効果的にはそういうものが考えられます。黄色で矢印が上になっていますのは、そのような効果を創生するためにどのような考え方を導入すると、そのようなことが効果的に進行するかということを書いてございます。同じように、人・暮らしについても同じように見ていただいて、都市とは例えばやりとりの中で資金とかエネルギーの交換とか、また、人の動きとか、そういうイメージをモデル地域のモデルのイメージというふうに置いているということでございます。
 その次、15ページをお願いいたします。これはエネルギー供給等に向けた土地の有効利用ということの議論でございまして、土地利用に係る既存の優良事例をまずピックアップするということを先行して行います。それから、基礎データの把握や地域特性に応じた再生可能エネルギーのあり方等について検討を行うと。それらをもって再生エネルギーに係る取組を進めつつ、デモンストレーションや法制度に関する検討までも一応考えていこうということでございまして、既存の事例としては例えば長野県宮田村のように土地を集約的にとか、山梨県の自然エネルギー、これは民間の会社ですけれども、田畑ではなくて周囲の土手に太陽光パネルを設置するようないわゆるやり方、それから、その次、16ページを見ていただきますと、まちむら農場のようにいわゆる家畜糞尿からバイオガスを発生する、それから、大分県日田市のように水力発電と、このようなことが先行事例とありますので、それらをひとつピックアップして優良事例として検討すると。
 地域特性に応じたエネルギーのあり方に関する検討ということですので、環境条件を踏まえつつ、適正な、最適な再生可能エネルギーのあり方について検討すると。それから、これはいわゆる法制度的な問題でありますのでなかなか大変かもしれませんけども、農地の転用、規則等によって必ずしも農山漁村地域における土地が有効に利用されるような状況ではないということでありますので、そこら辺をどのように法的なやり方について考えるか、または農山漁村地域における再生可能エネルギーの利活用を地域内の振興策として位置づけることによって、いわゆる土地を円滑に有効活用する、上とも関連するかもしれませんが、それをシステム化していくことができるかどうか、そういうことを確立することも必要であろうというふうに考えております。
 それから、17ページですけれども、土地の有効利用に当たっての留意点としては土地の多様な価値の維持、先ほどからも申し上げていますように、農林水産業の大きな価値としては多面的機能ということがございますので、それを最大限、どのように配慮するか、またはそういうことの考え方を十分に生かせるようなことをどう考えていくかということであります。それから、次は農林水産政策との一貫性の問題ですけれども、当然、土地の問題でありますと、農業に関して農地というのは食糧の生産の場であります。ですから、そういうことも考えて食糧自給率との関連から、土地利用については十分に農林水産政策と一貫性を保ちつつ、検討を進める必要があろうかと思います。
 その次、18ページをお願いいたします。次にはオフセットメカニズムの活用でありますけれども、カーボン・オフセットの普及・市場規模ということでありますけれども、国内市場の動向、これはもう言わずもがなで皆様方もご存じと思いますけれども、都市と農村の連携の取組も進んでいるような事例、例えばどのような事例があるかというと、例えばカーボン・オフセットで使用されているクレジットですとか認証制度、例えばそのようなものがありますけれども、実際に19ページ、オフセットメカニズム等を活用する上での施策としては、既存の森林カーボン・オフセットを普及拡大し、農業や畜産等のプロジェクトタイプに適用可能な方法を開発し、それをオフセットメカニズムとして拡大をしていくと。
 早急に検討・実施すべきこととしては、クレジット購入側のインセンティブを最大化するシステムの開発、それから、初期投資額を抑制する方法論の開発・普及、それから、マッチングのための人材育成・システム構築、こういうようなことを早急に検討すべきであろうというふうに考えております。それで、20ページ、21ページについては、オフセットメカニズムの現在、具体的に実施されている事例をお示ししてございます。
 最後、22ページ、23ページをお願いいたします。今後の予定としては、まず、排出削減量及びコストの定量評価(国レベル・地域レベル)、排出削減量及びコストの試算は、国レベル、地域レベルの両方において実施をしたいと。地域レベルにおいてはそのような中から代表的な自治体を選定し、それをお示ししたいというふうに考えております。それから、試算は農林水産省「農林水産分野における温室効果ガス排出削減・吸収効果等についての試算」、そういうものがありますので、先ほどなかなかデータが不足しているというような事実もお話ししましたように、そこら辺のところはどうしてもその辺のデータを活用して、最終的に精査をしていかないと議論ができないということでありますので、参考にしつつということと、他のワーキンググループとの関連の強いところについては、連携をとってやっていくというようなことでございます。
 以上、検討内容につきましてご報告させていただきました。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 以上、2件の報告に対しまして、委員の方々の簡潔なご意見、コメントをいただきたいと思います。どうぞ、今度は枝廣委員からお願いします。

○枝廣委員 ありがとうございます。2点だけ、1点目、都市のほうで村上先生が座長をされている環境モデル都市の取組との連携が何かできるのではないかと思います。いろいろなパターンの都市でさまざまな取組とかなりデータがそろっていると思うので、そういった意味でぜひ連携をしていただければ二重にならないでいいなと思いました。
 それから、農山村漁村、昨日も滋賀の農山村に行っていたんですが、実感としては多少、CO2を出しても元気になってくれたほうがいいなというふうに思うところもありますが、お聞きしたいのはデータがないというのはおっしゃっていたんですが、農山村漁村の例えば温室効果ガスがどこから出ているのが多いかというぐらいの、例えば農村だったら家畜か水田かというのがパターンを分けられていましたけれども、その産業部分だけではなくて、例えば漁船の燃料とかがあると思うんですが、地域として考えたときに、そういう農山村漁村の産業部門から出るのが多いのか、それとも、民生に当たる家屋から出るのが多いのか、それとも、どうしても移動にたくさん自動車を使うと思うので移動から出るのが多いのかを知るのが大事だと思います。
 これはワーキングを超えた話、連携の話になると思うんですが、それをどこからか例えばサンプルを決めて少し計測するとか、そういったデータはこれから出てくるんでしょうか。一律にみんなで温暖化対策をやって、逆に息の根をとめてしまってはいけないと思いますし、本当にたくさん出していて、都会と比べても絶対減らしてほしいものは減らすような施策をとっていかないといけないと思うので、そういったデータ整備について、これからどのようなお考えなのか、お聞かせください。

○西岡委員長 荻本委員、お願いします。

○荻本委員 地域とサブの農山村というところにきて、いよいよいろんなところの人間の社会活動というところまできたんだと思います。それは最も難しい分野だというのもわかった上で、ただ、これを全体のスコープからいうと、ロードマップ、2030とか2050というところに落とし込んで、これからどうなるのかというところがどうしてもある程度必要になると思います。具体的には実際にエネルギーの需要がどう変わるのかということと、再生可能エネルギーについてはどうしても土地が必要なものが多いです。ですから、それにどのくらいコントリビュートができるのかと、すみません、エネルギー供給の都合ばかり言っているような気がするんですけれども、でも、どうしてもローカーボンというところでは、そういうものが時間軸上である程度必要になるということですので、今後の課題としてそういうものを入れていただければと思います。

○西岡委員長 それでは、杉山委員、お願いします。

○杉山委員 ありがとうございました。特に地域づくりの関係のご提案をとても興味深く聞かせていただきました。とてもすばらしいおまとめじゃないのかなと、極めて肯定する立場で、若干、質問といいますか、コメントをしたいと思います。今、荻本先生からも少しあったんですけれども、このすばらしい構想はある日、突然、全部、そろってできるわけではないとすると、どこから手をかけていくのか、住宅を集めること、例えば地産地消のエネルギーシステムをつくっていくこと、人が移っていくこと、生活をシフトしていくこと、それがすべて時間軸上の中で流れていかないとなかなか実現していかない。そこを2050年、もっともかかるのではないのかなと若干見たときに思ってしまったわけですけれども、その辺の今はそこまで検討する必要があるのかというのもありますけれども、その辺のお考えがあれば、ぜひ、お聞かせをお願いしたいと思います。
 それと、今、お聞きした話の中で見ますと、非常にこう言ったら何ですけれども、他省庁との絡みというのがすごく大きいのではないのかと。先ほど先生自らも行政横断的なというようなところでのご発言もあったと思いますけれども、例えば今現在も交通基本法なり、住生活基本法なり、いろんな意味でこれと非常に密接に関連する法律が既に検討が動いていたりするわけですね。それとここの今、ご提案いただいたものがどうこの先、リンクしていくのか、これをどうまとめて国の政策として使っていくのか、その辺の絵面を少し描いておかないと、とてもすばらしいアイデアなんだけれども、どうも国として、国家としてはなかなか使い道が難しいということになってしまうと、非常に惜しいものになってしまうんじゃないかと。これは先生への質問というよりは、もしかすると環境省のほうにそういう問いかけになるのかもしれませんけれども、ぜひそういったところに対する対処をお願いしたいなというふうに思います。
 それと、やはり今回の説明を聞いた中で都市モデル、地域モデルというのがうまくできれば、やはりこれを例えば海外へモデルとして出していくことだって、将来的には十分考えられる話で、それこそ国家戦略として先ほどの話とも絡みますけれども、省庁横断的といいますか、一致してこういうモデルを推進するような、そういう施策をぜひ立てるべきではないのかなというふうに思いました。
 次に、農村漁村では1点だけ、これもコメントになるかもしれませんが、先ほど枝廣さんがおっしゃっていた、多少、出しても元気なほうがいいとおっしゃっていて、実は私もそれに近い発想があって、やっぱり農村地域というのをどうこれから活性化していくという発想はとても大事なことで、そこには、今、新成長戦略の中でも農村、漁村、山村、そこをどう活性化し、そこに雇用をつくっていくかというのが非常に大きな課題になっているわけで、そこと今回のCO2の問題というのをどう整合性を持って位置づけていくのかということをこの中でぜひ、今後検討をお願いしたいなと。そういった意味では、やはり都会で可能な限り減らし、農村ではある程度、片目をつぶりながら雇用を増やすという政策も、もしかすると必要になるんじゃないかなと。それはどちらを選んでいくかというものがある程度、判断できるような検討材料をぜひお願いできればなというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。

○西岡委員長 冨田委員。

○冨田委員 もう何人かの委員の方がおっしゃられましたけれども、通常は建物単位を中心に考えること、バウンダリーを越えて地域あるいは都市という制約条件を外した中で、よりよい計画をするという非常に大切な考え方だろうというふうに思います。ただ、ロードマップにおける検討では、やはり実現に向けた時間軸というのがどうしても必要になるということで、これは座長のほうにお聞きする話ではないかもしれませんけれども、モデルの中で地域づくりの結果をどういうふうに反映するのかというところをお聞かせいただければなと思います。
 以上です。

○西岡委員長 則武委員。

○則武委員 幅広い検討ですけれども、その中でも、具体的に早くできるものとできないものというのをちょっと考える必要があるのかなと思います。その中で森林についてちょっとお聞きしたいんですが、どちらにお聞きしたらいいかがわからないんですが、森林整備は吸収源の点からも、生物多様性などの点からも重要だと思うのですが、例えば間伐材の利用ということに関して、間伐材を使った製品が売れれば、それにこしたことはないと思うんですが、かなり難しい点があるかと思います。
 それで、木質チップの利用というのが地域づくりワーキングのほうの27ページに書いてあるのですが、木質チップをバイオマスの発電等には使えるものなのか、使えないものなのか、その辺の検討をなされているかどうかと、もし使えるとした場合にエネルギー供給ワーキングのほうでは、バイオマス発電が1キロワットアワー当たり22円という価格で検討されているんですが、それだったら成り立つのかどうかという点、もし、22円で成り立つなら、先ほどのカーボン・オフセットの利用というよりも、現時点では22円のほうが高いぐらいじゃないかなと思うんですけれども、その辺、ご検討いただけたらと思います。

○西岡委員長 伴委員。

○伴委員 重要なことを非常にうまくまとめていらっしゃると思っています。ただ、幾つかコメントがあって、まず、最初に農山漁村グループの方にお願いしたいのは、さっき荻本委員もおっしゃったんですが、ゼロエミッションじゃなくてネガティブエミッションというのか、エネルギー供給の主体としての農山漁村というのを、もう少し打ち出してもらえないか考えています。この点に関しては倉阪さんが専門家なのですが、やはりエネルギーの供給という側面で農山漁村をもう一回見直すということも、ぜひやっていただきたいと思っています。
 それから、ここでは都市と農村と分けているのですが、都市も随分異なっていまして、皆さんがイメージしているのは恐らく政令指定都市、そこは確かに地下鉄とか鉄道とかがあるわけです。でも、大部分の都市というのはそれより規模が小さく、ここで19ページに都市の類型という分け方があって、非常におもしろかったわけですが、地方中心都市、地方中小都市という分け方がいいのかどうかはわかりませんが、法律的には中核都市と、あるいは特例都市という別の概念があるのですが、ここに属する都市が非常に多い。人口的にいうと先ほどの大都市圏は大体3700万か4000万ぐらい、それから、先ほどの農山漁村でいくと2700万と言っていますけれども、結局、あと、残りの4000万から5000万ぐらいは、地方中核都市から地方中小都市、いわゆる皆さんが田舎の都市と考えていらっしゃるところなわけです。
 そうしたところでのエネルギー需要というのはさまざまあるわけで、確かに面的にはLRTとか、そういうことが考えられますが、ほとんどが自動車ですよ。よく富山なんかが例に出されますけれども、あそこも40万人で地方中核都市になっているかと思います。それ以下の都市が、LRTとか、そういうことができるとは限らない。しかし、そこが人口的に非常に大きな比重を持っている。人口的にも大きな比重を持っている以上は、そこにおけるシナリオをはっきり明示して書く必要があるんじゃないか。
 コンパクトシティでよく出される青森市なんかは30万ぐらいですが、地方中小都市というのはほとんどバスだけしかない、いわゆる乗り物というのがそういうものに限られる。そういう形で少し分けたほうが細かに分けるよりもいいのではないだろうか。逆に言うと、そういうバスあるいは自動車が移動手段の主体であるところにおいて、どういうような形での街づくりがあり得るかを提案してもらったほうが、身近なものとして感じるのではないかと思っています。

○西岡委員長 藤野委員。

○藤野委員 もう時間がないのですけれども、言いたいことが3つあります。
 1つは、屋井先生がやられた地域づくり分野のほうで、知らない間にワーキンググループとか勉強会が増えていて、本当に人使いの荒い委員会だなと思って、大変なご苦労をされていると思いました。この分野を全部積み上げると、すべてにクロスカッティングがまざっていますので、日本の全体が見えてくるというボトムアップの作業にもつながるのかなと思うんですが、やはり、今、中間とりまとめで、10月、11月まで全体にとりまとめするまで、もう一ステップあるかもしれませんし、または3月まで次の段階があるかもしれませんし、4月以降、我々も全くこの委員会がどうなるのか、よく知りませんけれども、とても3月までにすべてが終わっているとも思えませんし、杉山さんがおっしゃっていましたけれども、一体、どういった舞台で、今後、こういった大事な検討を続けていけばいいのかなということを感じました。
 2番目は、農山漁村分野におけるロードマップは牛久保先生のところで、やはりこれは温暖化の話なので、まず、CO2を吸収するとか、またはCO2を排出するところがどこなのかとか、また、エネルギーを生産するところはどこなのかとか、そこをやはり特定しながら、日本の92%を占める森林なり、農山村、漁村のところをどういうふうにゾーニングしていって、戦略を立てていくかというような見方というものを入れていただけないかな。本来なら、最後はエコシステムサービスまでいきたいところですけれども、ちょっとそこまでは時間がないかなと思いました。
 最後、冨田委員のほうがモデルとの絡みでおっしゃっていましたけれども、モデル側からすると、先ほど申しましたようなCO2に絡むところについては、ぜひ情報としていただきたいというふうに思っていますけれども、そちらのほうはもうちょっと密にコミュニケーションしたいと思います。
 以上です。

○西岡委員長 増井委員、お願いします。

○増井委員 どうもありがとうございます。それぞれのワーキングの方に1点ずつ質問があるんですけれども、まず、地域ワーキングの屋井先生のほうなんですけれども、今回、非常に幅広にといいますか、地域の多様性というところにまで着目されて、類型化して分析されているんですけれども、どこかモデル地区のようなものを対象とされているのか、あるいはこれからの検討の際にイメージされているのか、もし、どこか特定の地域・都市を詳細に分析するという、そういう計画がありましたら教えていただきたいなというところが1点目でございます。
 農山村の牛久保先生のほうなんですけれども、いただきました資料の25ページ目、参考資料になっているんですけれども、将来の人口を見ますと、シナリオAでは現状の約半分ぐらいに農山漁村人口は減っているわけですね。一方で、地域面積というのは維持されているということで、恐らく農山村ですから、これからさらに高齢化が進んでいくだろうというふうなこともイメージできます。そうすると、これだけの地域、土地というふうなものを維持するためには、今のような経営ではなくて、多分、別の違った経営方法というのでないと、これだけの人でこれだけの地域は維持できないのではないかというふうに単純に考えるわけなんですけれども、そういう経営的なところについてもご検討されているのか、教えていただきたいと思います。
 以上です。

○西岡委員長 大野説明員、お願いします。

○大野説明員 地域づくりのほうで3点、質問させてください。
 まず、CO2を減らすには道路をつくったほうがいいのか、つくらないほうがいいのかという議論がよくありますが、今日、ご報告がありましたように街全体のデザインから考えるべきだというご提案は、私は全く同感でございます。その上で、ただ、この分野はほかの分野と比べてあまり技術革新に依存していなくて、仕組みづくりが主だと思いますので、ある言い方をすれば、何ですぐやらないんだという意見もあるかと思います。
 そういうお話をいろいろご専門の方とお話しすると、日本人の国民性はなかなかドラスティックにできないんだとか、縦割り行政のせいだとか、カリスマの市長がいるところは進むんだとか、いろいろご意見をいただくんですが、これから方向性をお示しになると書かれているんですが、方向性だけではなくて、どういう仕組みあるいは法律とか、いろいろあるでしょうが、どういう仕組みがあったら、こういう街づくりがコンパクトシティも含めて早く進むのかというのも教えていただけると、有用なのではないかと思います。これが1番でございます。
 2番は物流の話がページ32とかにございますが、これまで貨物、トラックの物流というのは、今日の資料にはございませんが、相当効率化してきていると思いまして、これまでのCO2削減に相当既に寄与していると思っております。今後、どれだけ効率化の余地が残っているかというのが非常に興味のあるところでございますので、そろそろ飽和しているというご意見の方と、まだまだいけるという方がございますので大変興味があります。今後、定量的にどのぐらい効率化して、どのぐらいCO2が削減できるかというのを楽しみにしておりますので、よろしくお願いします。
 最後に3番目ですけれども、昨年のご報告なんですが、旅客と貨物もともにモーダルシフトで相当台キロが減るというご報告がありました。私はまだちょっとよく理解していなくて、こういう方策をするから、このぐらい減るんだなというのがちょっとよく結びついておりませんので、今年度、もしできましたら、もうちょっと具体的にこういうモーダルシフトをやるから、このぐらい台キロが減るんだというのをもうちょっと明確にしていただけるとありがたいと思います。
 以上、3点でございます。

○西岡委員長 どうもありがとうございます。
 それでは、屋井座長のほうからお願いします。

○屋井座長 どうもご指摘、ご質問をありがとうございました。時間も限られていますが、簡単に回答したいと思います。
 最初の枝廣委員からご指摘いただいた環境モデル都市との関連性、これはご指摘のとおりと思いますので、私もぜひそれを深めていって、あるいはデータの提供等も受けながら検討を続けたいと思っています。どうもありがとうございます。
 それから、荻本委員からのご指摘でありますけれども、まさに人間の社会活動は、合意形成のところが非常に重要な問題ということになってきますし、難しさというものを前提で議論しているという非常に難しいワーキングであるということでありますけれども、再生可能エネルギーの議論もありましたので、その辺りについては、次の杉山委員のご質問とも関係すると思っています。
 やはりタイミングとか手順とか、そういうものをもう少し具体化して検討を進めなければいけないんですが、今、実際にワーキングでも検討しておるんですけれども、なかなかここにお見せできるレベルまではなっていないわけです。ですから、杉山委員のおっしゃったようにどこから手をかけていくのがいいのかとか、時間軸上で考えるという、去年は時間軸上で考えてはいるんですけれども、本当にこの手順がいいのか、それが一番効率的かなんていうことについては何一つ言っていない。ただ、それを言うこともすごく難しいんですけれども、そこに踏み込まないといけないということも認識はしております。要は書き始めているというところだけのご報告になります。
 それから、他省庁との関係等もあって交通基本法云々のお話もありました。温暖化対策というのは言うまでもなく40年先あるいは40年以降、2050年以降も続けることをすれば、その間、地域が安心して取り組めるような安定的な制度、政権がかわったって、そう簡単には変えないというのがこういう社会資本や地域という分野に必要なわけですけれども、それがころころ変わってしまうようなのが、あるいはそういう制度がひっきりじゃなかったというのが日本の今までの状況という部分もありますので、責任分担も明確にしながら、安定的な制度をつくれるかというのは非常に大きな課題でありまして、それをつくってくれなければつくれないということで、答えは簡単なんですけれども、ただ、そういうメッセージ性というものは、ぜひ、こういう中から出すべきであると思っています。それをもう少し具体的に示せるような段階になったらということも、ワーキングとしては期待しているところであります。
 モデルを海外へ出していくということも、これもぜひ交通の分野あるいは土地利用等の関係の分野、これもなかなか予測性が難しい分野なんですけれども、そういう分野でも日本から一番新しい技術として発信できるということが重要だと思います。
 冨田委員からのご発言がありましたけれども、時間軸を考え始めたという話を今したわけですけれども、モデルとしてはやはり施策の順番というか、投入する施策をシナリオとして、前提として与えてつくることになりますので、その程度の考慮の仕方ということで進めているということであります。制約条件を外しているというのは確かでありますけれども、そういう時間軸上の工夫をするんですが、ただ、モデルがもちろん万能でないということから、どこまでそれをうまく表現できるかというのは、今後の課題だというふうに考えています。
 それから、次のご発言についてはご回答をそちらのほうからまたお願いしたいと思いますので、ちょっと先にさせていただいまして、伴先生からのご意見も、これも全くもって私も同じように考えていますし、昨年はあえて投入量の総量を出すというところにちょっと重きを置いた感じがあって、そこだけがひとり歩きした感もありますが、おっしゃるとおり、ただ多くの都市というのはそういう鉄道軌道を持っていない、そして自動車中心の都市でありまして、そのあたりの具体的な施策あるいはイメージも、わかりやすく示していこうというのが今回の一応目標ではありますので、いただいたご意見を十分に踏まえて継続していきたいと思っています。
 それから、ちょっと飛ばしていただいちゃっていいかな、増井委員からいただいたご質問でありますけれども、モデル地区、都市としては一応計量系、分析上は考えているんですけれども、一方で地区とか街区とかというレベルでどこまでモデル地区を想定してやるかというのは、まだ、決まっていないところでありますけれども、先ほどの環境モデル都市との関係なども踏まえながら、具体的に一定の説明力というか、理解が進むような地域を選んで、地区を選んで進めるべきだと思います。
 それから、次の3つのご質問をいただきましたけれども、CO2を減らすには道路が要るか要らないかとか、こういったことも先ほども既にお答えしていることと近いんですが、アメリカやヨーロッパの各国、北欧も含めて、そういうものを地域も責任を分担して、長い時間をかけながら続けていく、その上では地域の合意形成は大変重要だから、そこを目標の共有の段階から、あるいは手段の選択の段階から進めていく、こういうことを制度として長らく持っているわけですけれども、日本はちょっとそこら辺が一面的にはあるけれども、今回のようなこういうCO2も含めて総合的にという点では弱いので、そこをまずつくれなければならないというのが我々のメッセージでもありましたけれども、どういう問題があるかについてはほぼ明らかになっていると思いますので、だから、おっしゃるとおり、まさにそれを突破するための、そして安定的な制度が実は求められているんだということだと思います。
 貨物、物流分野については相当効率化しているのもそのとおりだと思います。一律に減らせというのだと、なかなか経済活動、これもまた阻害するということでもいけないので、その辺りを常に念頭に検討を進めているわけでありますけれども、一方で、総量がかなり減るのではないかと、こういう議論もあったりもしますので、その相乗効果によってどのくらいということが、今後、お示しできると思います。
 それから、モーダルシフトの件もいただきました。ここも実は検討が十分進んでいなかったところでもありますので、もう少し明確化していくように検討を進めたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 ちょっと長くなりましたけれども、以上です。どうもありがとうございました。

○荻本委員 どうもありがとうございました。
 牛久保座長。

○牛久保座長 まず、枝廣委員のCO2は発生してもいいのではないかということなんですけれども、ただ、例えば農業、それから、家畜糞尿等の排出を考えて、それを1人当たりに置きかえますと、かえって農村漁村のほうが多いのではないかという、そういう考え方もあります。それから、例えば非CO2起源というのがありまして、例えば牛がゲップすると、それからメタンが出たりとか、それから、水田とかもあります、それから、一酸化二窒素、そういうような形態のものを加味していきますと、結構、先ほど申し上げた農山漁村の地域が環境を汚しているというイメージを持っていない、いわゆるクリーンなエアの中で生活されているというイメージもありますけれども、そこら辺は都市と比べても必ずしも低いというような感覚はありませんので、それを加味してどのように「見える化」しながら、住んでいらっしゃる方たちにも対策を講じていくということは必要かなというふうに思います。
 それから、荻本委員の人間活動におけるということですけれども、やはり土地の減少というのは、これから多分、増井委員とも関連するかもしれませんけれども、耕作放棄地、そういうものの増加と、それから、自給率の関連もありますので、これは一つには土地の減少傾向があろうかと思いますし、人口の動向もあります。それから、農業政策そのもの、国がどういうふうに農地の政策をするのかということによっても関連してきます。ここに挙げてあります数字はその減少率を一応止まった形で考えたときにどうだということで、わざわざ参考資料にそのような形でお示ししてありますので、実質的には多分、農耕地面積は減少していくだろうという傾向があります。それは、それこそ他省庁との絡みがありますので、そこら辺の整合性がとれれば、また、それなりの値をそこにインプットできればというふうに思っております。
 それから、杉山委員の他省庁との連携ということで、まさにそのとおりでありますけれども、今回、あまり数字を出させていただいていないというのも、先ほど弁解がましくお話ししましたけれども、他省庁との値の整合性について十分に考えていかなければいけませんので、そのためにちょっと時間も要しているというふうにご理解をいただければと思います。
 それから、国際協力については当然、技術移転的な話も当然でありますし、例えばメタンの発生抑制に関する研究技術とかバイオマスの利活用、マイバスタウンの海外版とか、そのような技術も実質的に今、検討されておりますので、そういう面での国際協力も貢献できればというふうに思います。
 それから、冨田委員はご意見というふうに伺ってよろしいと思いますので、則武委員で早くできるものということですけれども、森林吸収というのは吸収源として期待されるということは、やっぱりインフラ整備、いわゆる林道の整備ということと二宮尊徳だと思います。二宮尊徳というのは、いわゆる山から間伐材なり、林地残材を持ち出す、そういう人材がいないと。ですから、未利用バイオマスとして賦存量はカウントはできるんですけれども、要するに人材がいないということが一番大きな問題ですから、そういうインフラ的な整備ということと、そういう人材の確保、それから、木質チップについてはペレット化して、実質的にそのようなエネルギー化の原料として燃料資材として使っているということでありますので可能性はございます。ただ、費用については22円が妥当であるかどうかについては、今、ちょっと私の頭の中ではお答えできませんので、ですから、そういう意味では大丈夫だろうと思います。
 それから、伴先生のゼロカーボン化というよりはということですが、遠慮しての話ではありませんけれども、先ほど申し上げたような要素もあって、マイナスというのはもう一つは要するに他力本願的なというような言われ方なのかもしれませんけれども、いわゆるカーボン・オフセットの話と、ですから、積極的に再生可能エネルギー利用の資源が供給できて、それをまた利用していただくなりとか、いろんなものの買取制度的な話がうまくできれば、そちらのほうで期待できれば、より一層、いわゆる削減に貢献していただけるだろうというふうに思っております。
 それから、藤野委員のCO2発生源、吸収源、ゾーニング化ということをご提言いただきましたので、そこについては十分に考慮させていただいて、検討させていただければと思います。
 増井委員のご意見については農政との絡みがありまして、農耕地をどう利用していくかというのは他省庁との連携もございますので、そこら辺の意見聴取もしながら、先ほど申し上げたように計画の中で組み入れられれば、そのようにしていきたいというふうに思います。
 以上、お答えにしたつもりでありますけれども、漏れていたら大変失礼ですけれども、以上であります。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 非常に膨大な作業をしていただき、まだ、これでも中間報告ということですので、また、後ほどもよろしくお願いいたします。
 あと、皆さんにちょっとの時間、多分、12時半までかかると思いますけれども、いただいて、エネルギーのほうから7分ぐらいで答えられるところだけで結構ですので、ちょっと対応をお願いしたいと思います。

○倉阪座長代理 千葉大の倉阪でございます。活発なご議論をありがとうございました。簡単にお答えしたいと思います。
 赤井委員のほうからさまざまのコメントをいただきましたが、基本的には回答不要ということでございました。ただ、エネルギーキャリアの転換の項目、39ページの項目でございますが、これは水素を想定しているということでございます。
 それから、伴委員のほうから太陽光と中小水力の変化について、弾力性を計測したものかどうか、それから、風力と太陽光の差がつく理由は何か、中小水力については現状から見て過大ではないかというご指摘をいただきました。
 まず、導入量の見込みの試算方法は資料の55ページ以降をご参照いただきたいと思いますが、今回の試算は過去の導入実績から弾力性を計測をして、将来予測を行うという手法を採用しておりません。太陽光につきましては、導入量に応じてコストが削減されるという習熟曲線を想定しながら、事業化できる範囲が広がっていくと、そういうような考え方を採用しております。
 それから、風力でございますけれども、日本においては山がちで風強が安定しないということで、陸上においては適地がおのずから限られてくる。ただし、洋上は風強はいいわけでございますが、ご承知のようにコストが高いと、そういったことで太陽光と差がついてきたのではないかというふうに思います。
 中小水力につきましては、山がちで降水量が多い国でございますので、日本に適したエネルギーとして、これからまだまだ開発余地があるというふうに考えます。
 増井委員のほうからバイオエネルギーの供給元はどうなっているのか、それから、エネルギー需要の想定はどうしているのか、環境価値はどのぐらいを想定しているのかと、そういうご質問がありました。枝廣委員から需要側のご指摘については枝廣委員からもございました。
 まず、バイオマスの供給元でございますけれども、基本的に国内における未利用バイオマスを最大限活用するということを想定しておりますけれども、一部は輸入バイオマスも想定しているということでございます。なお、今回の試算、キロワットアワー22円という形の買取価格設定をしておりますけれども、これは初期コストをカバーするだけでございまして、調達コスト、これはカバーされておりません。したがいまして、農山漁村サブワーキンググループで検討されているような例えばカーボン・オフセットメカニズムのような、そういうものも合わせて考えないと、調達に当たってコストが生ずるようなバイオマス、廃棄物であればコストは生じないんですけれども、林地残材のようなものはまさにコストが生ずるわけでございます。それについては固定価格買取制度、22円・パー・キロワットアワーではカバーできないということでございます。
 エネルギー需要につきましては、一次エネルギー供給費の計算をさせていただいておりますけれども、これはロードマップ全体で用いているエネルギー需要量見通しを採用しております。今後、さらに全体での整合性を図る必要があるかと思います。
 環境価値につきましては、このワーキンググループでは固定価格買取制度を中心として再生可能エネルギーの導入を促進しようとしておりまして、その価格設定に当たりましては、当該再生可能エネルギー事業が事業化できる程度に設定すると、そういうことを基本にしておりまして、環境価値を算出して設定しているわけではないということでございます。
 則武委員のほうから、2050年にゼロカーボンと言うが、省エネしなくてもいいかというご指摘でございましたが、省エネ努力は不可欠であるというふうに考えております。これはロードマップ全体で採用されるエネルギー需要に反映されるべきものというふうに思っております。
 冨田委員のほうから、化石燃料の検討は限定的であってはいけないのではないか、太陽光の需要曲線は正しいか、それから、海外からの輸入の扱いをどうするのかという3点をいただきました。
 化石燃料の検討につきましては、個人的には化石燃料分の中の水素分を活用しながら、それを将来の水素流通につなげていくという視点がかなり重要だと思いますが、このワーキンググループでは特に現在、政策的に再生可能エネルギーの大量導入ということを大きな課題として取り扱っているという関係から、まだ、化石燃料、原子力についての具体的検討は進んでいないということをご報告せざるを得ない状況でございます。
 需要曲線につきましては、複数ある需要曲線の中で平均的なものを採用しております。
 海外からの輸入につきましては、今までのところ、海外からの太陽光発電などの輸入は検討しておりません。輸入を考慮しますと、社会的な便益の一部が海外に流れると、雇用であるとか、そういったものが海外へ流れるということになります。
 荻本委員のほうから、再生可能エネルギーが主役となる社会は何年からなのかというようなご指摘がございました。この全体としての施策のスピード感につきましては、今後、さらに詰めていきたいというふうに考えております。
 影山委員のほうから、導入見込み量に当たって実現可能性をどのように検討したのか、負担側の視点がないのではないかと、そういうご指摘をいただきました。導入見込み量の実現可能性につきましては、昨年度のワーキンググループにおきまして専門家を交えて導入量を精査しておりまして、実現可能性がある範囲で見込み量を設定しているというふうに考えております。これを支える仕組みとして、現在、ビジネスモデルの検討も行っているところでございます。
 負担側の視点ということでございますけれども、マクロ的に見ますと、やはり社会的な負担を上回る便益が発生するということが試算されておりますので、正当化されるかというふうに考えております。ミクロ的に見ますと全量買取であれば、例えば現在、個別住宅にしか設置できないような太陽光発電についても、マンションあるいはメガソーラーといった産業界でも設置可能な、そういったものについても買取制度の対象になりますので、かえって公平になるのではないかというふうに考えております。
 以上でございます。

○西岡委員長 どうもありがとうございました。
 今日はちょっと長くなって申し訳ございませんでした。
 先回の報告とあわせて低炭素社会に向けて非常に大きな変革の中で、大体、こうやっていけるんじゃないかという道筋を皆さん出していただきまして、非常にありがたいと思っております。この作業自身、全部で100人以上の研究者の方々に参加していただいているということで、なかなか世界的にもかなり力の入った作業ではないかなと思っています。こういうことで低炭素社会に向けた日本の基本形、国の形というのはちょっとオーバーかもしれませんけれども、見えてきたのではないかと思っております。まだ、これから12月に向けて、さらに作業がございます。ひとつよろしくお願いしたいと思います。委員の方々もぜひ応援してあげていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、事務局のほうから。

○地球温暖化対策課長 本日もありがとうございました。
 まだ、十分時間がありませんでしたので、ご質問、ご疑問等があれば、また、事務局のほうにいただければ、ご説明なり、意見交換させていただきたいと思います。
 次回でございますけれども、10月15日、金曜日、9時から12時ということで、全国都市会館で予定してございます。次回につきましては、自動車ワーキンググループからの中間報告をいただくとともに、分野別の中間報告を踏まえて、今日も先ほどのご指摘もございましたけれども、各分野ごとの需要側の検討と供給側の検討を結びつけるということで、国立環境研究所のほうからエンモデルを使った試算をしていただいておりますので、その結果についてもご報告いただくということ等を予定してございます。よろしくお願い申し上げます。

○西岡委員長 それでは、これをもちまして、本日、散会といたします。
 どうもありがとうございました。

午後0時28分 閉会