中央環境審議会地球環境部会「国内制度小委員会」(第6回)議事録

日時

平成13年6月15日(金)15:30~18:00

場所

東條インペリアルパレス4F 吹上の間

出席者

(会長)森嶌昭夫
(委員長)安原正
(委員)青木 保之
大塚 直
猿田 勝美
塩田 澄夫
福川 伸次
横山 裕道
浅野 直人
小林 悦夫
佐和 隆光
寺門 良二
松川 隆志
(事務局)浜中地球環境局長
小島大臣官房審議官
山田大臣官房審議官
竹本大臣官房参事官
寺田地球環境局総務課長
竹内地球温暖化対策課課長
石飛地球温暖化対策課調整官
川上地球温暖化対策課課長補佐
角倉地球温暖化対策課課長補佐

議題

(1)環境税について
(2)京都メカニズムについて
(3)その他

配付資料

資料1-1税効果に関する評価
資料1-2諸外国における温暖化対策税の概要
資料1-3地球温暖化防止のための環境税について
資料1-4EUにおける部門別温室効果ガス排出削減の経済性評価について(本小委員会第5回会合資料)
資料2京都メカニズムについて
参考資料1-1温暖化対策の経済性評価(ボトムアップ方式による評価)
参考資料1-2温室効果ガス削減対策・技術シート(委員のみ配付)
参考資料1-3温暖化対策の経済性評価(数量モデルによる評価)
参考資料2-1民間企業の京都メカニズムへの先行的な取組事例

議事

午後3時30分開会

○安原委員長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会地球環境部会の「国内制度小委員会」の第6回会合を開催いたしたいと思います。
 皆さん大変ご多忙のところ出席をいただきましてありがとうございました。
 それでは、まず議事に入ります前に、事務局の方から資料の確認をお願いしたいと思います。

○事務局 ご説明申し上げます。
 資料1-1、温暖化対策税導入効果に関する評価。
 資料1-2、諸外国における温暖化対策税の概要。
 資料1-3、地球温暖化防止のための環境税について。
 資料1-4、EUにおける部門別温室効果ガス排出削減の経済性評価について。こちらにつきましては、本小委員会の前回会合の資料を再度資料とさせていただきました。
 続きまして、資料2、京都メカニズムについて。
 続きまして、参考資料1-1、温暖化対策の経済性評価、ボトムアップ方式による評価。
 続きまして、こちらは委員の方のみの配付とさせていただきましたが、参考資料1-2といたしまして、温室効果ガス削減対策技術シート。
 参考資料1-3、温暖化対策の経済性評価(数量モデルによる評価)。
 参考資料2-1、民間企業の京都メカニズムへの先行的な取り組み事例。
 その他といたしまして、青木委員よりご意見をいただきましたので、ご参考までに配付させていただきました。その他、資料番号はおつけしておりませんが、資料といたしまして地球温暖化にかかる最近の国際動向についてという資料がございます。こちらにつきましては、後ほど内容をご説明いたします。
 以上でございます。

○安原委員長 ありがとうございました。
 お手元に前回同様、次回以降の会合の出欠の確認票が配られておりますので、お手数ですが出欠をご記入の上お帰りの際に事務局に渡していただければと思います。
 それでは、議事に入ります前に、最近の国際動向につきまして、浜中局長からご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○浜中地球環境局長 それでは、先生方のお手元の資料にございます、最近の国際動向についてということで、内容は3点でございます。第1点と第2点はいずれも今週月曜日でございましたが、それぞれアメリカ時間とヨーロッパ時間がございますけれども、いずれにしても11日月曜日に、片やアメリカにおきましては訪欧を前にいたしましてブッシュ大統領が声明を出したということでございます。
 第2点目は、他方でプロンク議長がCOP6再開会合に向けて統合交渉テキストを出されたということでございます。
 第3点目は、一昨日といいますかけさあたりから報道が盛んになされておりますけれども、ブッシュ大統領がEU首脳とサミットを14日に行われた。その共同声明ということで、京都議定書関係を取り上げたものでございます。
 まず、ページをお開きいただきますと、ブッシュ大統領声明でございます。この声明は、日本時間で申し上げますと12日の午前0時過ぎでございましたが、ワシントンの時間では11日の午前11時過ぎに発表されたものでございます。
 声明の概要を5点ほど挙げているわけでございますが、第1点目は、地球温暖化の科学的な基礎に関することでございます。3月にブッシュ大統領が京都議定書不支持を表明されて以来、ブッシュ政権の関係者の中には地球温暖化の科学的な基礎がまだしっかりしてないないのではないか、確証もないのではないかというような、極端な場合にはそういうことをおっしゃる方も一部にはいたわけでございますが。そういった議論に関連して、ホワイトハウスから全米科学アカデミィーに対しまして報告書の提出を要請した。その報告書が出てまいりまして、その内容はIPCC、第三次評価報告書の内容をおおむね裏打ちするようなものでございました。それを踏まえまして、今回ブッシュ大統領は地球温暖化が起こっていることには確証があるというところに踏み込んだ発言をされておられます。
 ただし、これからの温暖化の進行のスピード、程度、あるいはそのことがもたらす影響ということについては不確実性がある。不確実性があること自体については、科学界も、それから日本もEUもいずれもそれ自体について異論はないと思いますがその確証があるということと同時に、そういうことをあわせて指摘しておられるというところに、まだ少し不確実性があるというところにこだわりがあるのかなという印象を持っております。それから、京都議定書に対しましては相変わらず厳しい表現をしておりまして、根本的なところで致命的な欠陥があると、こういう言い方でございます。
 ただし、京都議定書をまとめるに至った国際的なプロセスというのは大変意義があったと、つまり各国がこの問題にどう取り組むかということについて真剣に議論してきた、そういうプロセスは意味があったということで。したがって、アメリカとしては国連の枠組みの中で対処する用意がある。世界最大の排出をする国として責任を認識してリーダーシップをとっていくと、こういうことでございます。
 ただし、ここで細かく書いてございませんが、アメリカの大統領の言い方では、およそアメリカの排出量は世界の2割、他の8割は他の国々が出しているということも、いわば反対側の事実として重要だということもあわせて言っておりまして、アメリカの次には中国が次の第2の排出国なんだというようなことで、途上国も含めてみんなでこの問題は取り組んでいく必要があるんだ。自分の責任の認識とリーダーシップということをおっしゃ
っていますけれども、反面としてそういうことも言っておられるということでございます。
 しかし、具体的に何をやるかということでございますが、当面のおっしゃっていることは、(4)の4点でございまして、まず科学的な調査研究、さらには地球温暖化を防止するための技術開発、こういうものについてアメリカも一生懸命やる、各国も協力してほしい、国際協力でこういうものを進めようではないかということでございます。
 2点目は、これはアメリカ国内の対策でございます。先般国家エネルギー政策を発表したわけでありますけれども、それに関連して省エネルギーの推進、それからクリーンエネルギー技術利用の推進といっておりますが、内容はまず再生可能なエネルギーでございます。それから、天然ガス、水力、そして原子力と、この4つをクリーンエネルギーという範疇の中に入れております。
 3番目は気候変動に関する観測とか研究に関する国際協力を進める。
 4番目は、中南米諸国とのパートナーシップを進める、こういうことでございます。
 5点目でございますけれども、(4)で挙げましたのは当面のまず具体的にやることの今回の提案でございますが、なお追加的にいろいろなことを検討中であるということで、例の閣僚レベルの政策レビューのチームでなお検討中であるということでございますが、その検討の進め方として、温室効果ガス削減のための共通のアプローチを友好国、同盟国とともに探究をしていきたい。その際の基本原則は以下の項目であるということでございます。
 第1項目は、条約にもございます温室効果ガス濃度を大気中で安定化させる、その長期的目標と整合するものでなければいけない。2点目は、科学的知見に基づくアプローチである。3点目は、これからいろいろ新しい情報が出てまいります。それに対応してフレキシブルに対応する必要がある。それから、新しい技術も開発されてくるということでございます。4点目は、経済成長、そして経済的繁栄を確保する。5点目は、市場原理によるインセンティブを活用する、あるいは技術革新を促進する。6点目は途上国を含むグローバルな取り組みが必要だと、こういうことでございまして、こういう原則を考慮しながら、友好国、同盟国とともにこれからの追加的な対策ということで検討していく際にそれをともに探究していきたい、こういうことでございます。
 しかし、このようなことでございますが、いわゆる京都議定書との関係で、一般的に致命的欠陥があるという厳しい指摘のほかに、実際に考えておられる内容について、それは京都議定書とかみ合うものかどうかという点では、義務的な数値目標、こういうものをいずれにしろ何らかの形でアメリカは今後考えていくのかどうか、この点は依然として今回の声明では言及されておりませんで不明確ということでございます。
 以上を踏まえまして、評価のところでございますが、一応評価できる点としては真剣に取り組む姿勢、それから実は10日、日曜日の日本時間の夜でございましたけれども、いわゆる日本を含むアンブレラグループの環境大臣には電話会議という形で事前におおむねこのような内容のものが通報されてきた、そういう意味で直前ではございますが、事前に通報があった。それから、これからの検討においては友好国等の意見に耳を傾けようとする姿勢がある。それから、アメリカが最大の排出国としての責任を認め、各国と協力しようとしている。さらに、これからのアプローチについて、調査研究とか技術開発の促進、市場メカニズムや柔軟性措置の活用といった点は、これは共通に進めていけるところであろうと考えます。
 他方、問題点にございますように、京都議定書の重要な要素と考えられます対策の期限、目標が明らかにされていない。途上国の参加を先進国と同時に進めようとしているというようなことが問題だろうと思いますし、さらに今後政策レビューをさらに進めるということでありますが、いつまでにまとめるのかというタイミング、タイムスケジュールが不明確であるといったようなことが問題点であろうかと考えております。
 次に、おめくりいただきますと、プロンク議長の統合テキストでございます。これは、昨年ハーグの会合で中断されて以降、7月のボンにおきます再開会合を目指して各国と協議を重ねてきたプロンク議長がその再開会合で合意をすべき交渉テキストということで示したものでございまして。従来から政治的に解決を要する大きな問題についてプロンク議長がハーグで一たんノートを出し、4月の段階で改定ノートを出されたということでございまして、大きな問題点となっている交渉事項につきましては4月に出されたノートと大筋同じでございます。その大筋同じと申し上げましたノートの概要は、詳しくは触れませんが、右側の参考2に主な内容として挙げさせていただいているものでございます。
 左側に戻っていただきまして、そこから日本の立場から見て大きく変更された主要な点は以下の2点でございまして、第1点の方が大きくかかるわけでありますが、吸収源であります。これまでのプロンク議長のノートにおきましては、森林の吸収量については85%の割引率を適用、逆に言いますと、15%分しか認めないということでございました。したがって、そのやり方でまいりますと、日本の場合6%削減との比較で申しますと 0.6%分ということになるわけでございます。
 今回の案では、日本については、下の参考1にございますように、エネルギーの効率が高いとか、森林被覆率が高い、人口密度が高いといったような条件を設定しまして、事実上先進国の中ではこの3つの条件を満たす国は日本だけというような条件で、そのような国については炭素換算 1,300万トンまでは割引率を適用しないということになるわけでございます。そのままこの条項を踏まえて計算いたしますと 3.7%、正確にはもうちょっと大きな割合になるかと思いますが、そういうことでございます。
 もう一つの条件がございまして、参考1の2にございますが、6%削減目標の半分までだということでございます。そこで、上限は3%まで、こういうことに計算はなるわけでございます。さらに、2にございますように、クリーン開発メカニズムや共同実施による植林などの吸収源の事業による吸収量、これも3%の枠の中に入れるということでございます。そういう点での制約が課せられていると、こういうことでございます。
 それから、2点目は途上国支援策でございまして、こちらは先進国全体の総額が毎年10億ドルといったことについては同様でございますが、従来この点については拠出者が経済移行国も含めておりまして、ロシア、東欧はとてもその能力がないということで問題にしておりました。その点について、今回は履行国については拠出割合の50%を割り引くと、こういうような内容になっているということでございます。
 最後に、一番最後のページをごらんいただきたいと思いますが。14日に発表されました米EUサミット共同声明でございます。気候変動関係のものでございます。非常に今回は興味深くオープンな議論を両者で行ったということでございまして、まずこの問題はグローバルな解決を要する重要な課題というのが共通認識でございまして、両者とも強いリーダーシップを発揮していこう。それから、大気中の濃度を安定化するという条約の究極の目標に向けて、速やかに効果的で持続可能な行動が必要だ。そして、条約に基づく約束と責務を柔軟な手段で市場と技術の力を用いて達成すると。こういった点で、科学と研究に関する協力を強化するという点については合意をしたということでございます。しかしながら、いろいろ伝えられております部分でありますが、京都議定書とその批准については双方で合意ができなかったということでございます。しかし、あらゆる場面で協力をし、ボンの再開会合に建設的に参加をするというようなことでございます。
 我々の努力は、究極的には現在将来の世代のための持続可能な開発という共有された目的と両立する形で環境の保護、経済成長の確保を実現をするんだ、こういうようなことでございまして、いろいろと率直な意見交換がどうもなされたようでございます。相当突っ込んだ議論をし、京都議定書については残念ながら意見が対立をして合意ができなかったということでございますけれども、発表ぶりとしては両者そういう点では合意はできなかったけれども共通事項としてはこういう点があるということをいろいろと触れておられるというようなことでございます。
 今後この今共有できることといいますか、共通に行動できること、これを具体的にこの首脳会議をフォローして、どのような形で米国とEUが進めていくのか、この辺についてはフォローアップする報道がまたいろいろと出かかっておるようでございますが、ちょっと私どもはまだそのあたりの事実関係等についてはよく追いかけられておりませんので、そのあたりの点につきましては今後さらに情報を収集いたしました上、今後の会合におきましてまた機会がございましたら報告をさせていただきたいというふうに考えている次第でございます。
 以上でございます。

○安原委員長 浜中局長、どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの局長の説明に対しまして、ご質問等ございましたらどうぞ。
 では、横山委員。

○横山委員 2点ほどお伺いしたいと思います。まず1点は、アメリカがこれほどきっぱりと京都議定書に致命的な欠陥があると言っている中で、日本政府としてアメリカが京都議定書に戻ってくる可能性がいまだにあると考えているのか、それを1点お聞かせください。
 それから、もう1点は経産大臣なんかがもっと柔軟に考えてもいいのではないかということで、例えば6、7、8%の数値目標を変えるとか、あるいは2008年から2010年までの期間をもっと後ろにやるとか、そういうふうにもとれる発言をしていますけれども、そういう京都議定書の枠組みを破ってまでアメリカを引き入れるということまで考えているのかどうか、その2点をお聞かせください。

○地球環境局長 まず第1点でございますけれども、これは一昨日だったかと思いますけれども、党首討論においても、民主党の鳩山党首と小泉総理大臣との間で議論がなされたところでございまして、まさにお尋ねのような点も含めて鳩山党首からの問いかけといいますか、議論が出されたわけであります。これに対して小泉総理からは、現在アメリカに対して京都議定書の枠組みに戻ってもらうようにあらゆる努力をして働きかけをしているところである。アメリカは先ほどの大統領声明に関連して私はもう申し上げましたが、まだ結論を出しているわけではないと、こういうことで引き続き検討するということでありますから、今はまだあきらめるべきではないかということで引き続き働きかけを行っていくという趣旨の答弁をされておられるわけでありまして、我が国政府としては現在そういう認識で、来週月曜日には外務大臣が訪米をし、パウエル国務長官ともお会いになる。その件に関しては、けさの外務委員会でも菅民主党幹事長が出席をされて田中外務大臣との間で質疑が行われたわけでございますけれども、そういう予定があり、さらには、30日には総理自ら訪米をいたしましてブッシュ大統領とも会うという予定があるわけでございまして、そういう機会などを活用して、またできれば川口環境大臣もヨーロッパ、ハーグに今月最終週に行く予定がございますけれども、いろいろなアポイントメントなどが確保できればその機会にアメリカにも寄って働きかけをしていきたいと、こういう動きでございます。そういったことを我が国としては続けていきたいということであるということを申し上げたいと思います。
 2点目でございますけれども、この点につきましては、確かにそのような場合によっては受け取れるようなご発言があったようではございますけれども、我が国としては基本的に今まで申し上げておりますとおり、京都議定書、これは我が国が議長国を務めてまとめたものでございまして、非常に長い年月かかって国際的に協議を重ねてまとめたものでございまして、国際的に現存する唯一の枠組みであるというふうに考えているわけでございます。その2002年までの発効を目指して努力をするというのが我が国の基本的立場でございますから、基本的にはそういう路線を目指してあらゆる努力を重ねていくということでございます。
 以前の機会にご報告を申し上げたかと思いますが、4月に川口環境大臣がニューヨーク及びワシントンを歴訪いたしました際に、特にニューヨークのプロンク議長の主催される非公式閣僚会議の場において、あるいはその後の記者会見等におきまして、例えばプロンク議長ご自身も京都議定書の重要な要素とは何であるかというようなことを言われているわけでございます。また、さまざまなバイ会談を川口大臣が行いましたけれども、欧州主要国の閣僚の方々もいろいろな形で自分としてはその京都議定書というものの一番大事な要素というのはこういうものであるというようなことをそれぞれのお考えで表現をされているわけでございます。
 それから、詳しいことはわかりませんが、今回の米EUサミットにおいても、EU側からは何らかのそういう重要な要素というものを念頭に置きながら、いろいろとEU側としては柔軟になり得るということで、アメリカ側と大分突っ込んだ話し合いをしたようでございます。しかし、結果は伝えられるところではその辺については意見は分かれたということが伝えられております。
 詳しいことはわかりませんけれども、いろいろそういうことは行われているということでありますから、京都議定書そのものについて、私どもの基本的な考え方は先ほど申し上げたとおりなんですが、国際的には既にいろいろ何が京都議定書の重要な要素であるのか、またそういうことを踏まえたかなり突っ込んだ話し合いも実際にはアメリカとEUの間で行われたようなことも示唆するような報道もなされているということでございますので、アメリカの参加を促すという観点から、どういうことを考えていくべきかということについては、もちろん我々もいろいろな検討すべき課題はあるだろうとは思っておりますけれども、まだ私ども政府の中ではそのあたりについて特に決まった考え方があるというわけではございません。基本線は日本としては京都議定書、これが大事であって、これを2002年までの発効を目指して全力で取り組むと、こういうことであろうかと考えております。

○安原委員長 ありがとうございました。それでは、よろしいですね。
 それでは、佐和委員、どうぞ。

○佐和委員 簡単な質問ですが、ブッシュ大統領声明の(2)で、京都議定書には致命的な欠陥があるというふうに言っているわけですが、この致命的な欠陥というのは何を意味しているのかというふうにご理解なさっているのでしょうか。

○地球環境局長 これもこれまで実際にアメリカ政府、大統領ご自身及び関係者の対外的ないろいろな記者会見その他でおっしゃっていることから考えますと、基本的には2点だろうと思います。
 第1点は、アメリカ経済に悪影響を及ぼすということで、それは要するに京都議定書に現在定められております、正確には附属書Bに書き込まれていると言った方がいいのかもしれませんが、具体的な数値目標、それが非現実的であるということであろうかと思います。
 それから、2点目といいますか、どちらが1点目でどちらが2点目か、その話も確定的なものではないと思いますが、途上国の参加がないということでございます。恐らく相当強い意識におありにあるのは、その中でもとりわけ中国とかインドとかブラジルとか、そういう大排出国といいますか、そういうところが主には念頭にあるんだろうと思いますけれども、そういうものを含めた途上国の参加がない。その2点ではないかというふうに理解をしております。

○佐和委員 私はかなり見方が違うのですけれども、恐らく致命的なとまで言っているということはどういうことかといいますと、京都議定書どおりに各国からコンプライアンスを指摘したとしても、大気中のCO2 の濃度を何年か先に、 550ppm とよく言われますが、あるレベル以下に抑えることは不可能である。つまり先進国だけが、ですからそれはもちろんその背景としては、その具体的な項目としては途上国が参加していないとかそういう問題も出てくると思うんですが、これは前回のこの中でちょっと申し上げましたとおり、あくまで濃度主義なんです。濃度にもっと着目すべきである。だから、排出量が積み重なってもちろん濃度にはなるわけですけれども、排出量を10年先にここまでコントロールすれば、それによって濃度の安定が確保されるという保障が全くないではないかということが言いたいんだと思うんですね。そして、これは京都会議の以前からずっと論争されている一種でもあるわけですね。
 さらに、ちょっと時間もあれでしょうから1点加えると、少なくともアメリカがそういう前提でこの書かかれてあることを読みますと、例えば要するに技術開発ということを非常に重視しているということですね。これも仮に二酸化炭素の固定化にせよ、あるいは宇宙太陽光発電とか、あるいは場合によっては原子力も含めて、そういう革新的な技術というのは20年、30年かかる。しかし、その技術開発を怠ってはならないということが少なくとも彼らの立場では言いたいわけですね。ですから、そういう意味で、そのためのむしろ技術開発への協力なり支援ということをもっとやるべきであるというのがアメリカの立場だと思うんですね。そして、それによって初めて濃度の安定化が可能になると。
 ところが京都議定書の場合は10年あるいはそれから先は5年ごというようなことで非常に小刻みにやるものですから、したがってそういう長期的な技術開発というもののインセンティブを議定書自体がそのインセンティブを持っていないといいますか、しつらえていないということが問題なので、それで結局これはもう明らかにブッシュ大統領の言っていることはアーリーアクションは否定してレイトアクションの立場なんですね。そして、ここに市場原理が云々だと書かれたりしていることからして、数量アプローチに対する科学アプローチという立場なんですね。
 だとすると、私はつまりアーリーアクションとレイトアクションは二者択一ではなくて、確かに京都議定書はアーリーアクション、数量アプローチでやっているんだけれども、それとは別にまずそれとは別の枠組みというと大げさですけれども、技術開発については長期的な視野のもとに、例えば国際協力しようではありませんかというようなことで、レイトアクションとアーリーアクションというのは決して二者択一ではなくて両立可能であるということを主張すべきではないかということを私はきょうこれを見せていただいてまた強く感じました。
 以上です。

○安原委員長 はい、ありがとうございました。
 それでは、ほかにございますか。
 それでは、後の予定もございますので、このぐらいにいたしたいと思います。
 きょうの議題としましては、議事次第にございますように、環境税の問題と京都メカニズムの問題、この2つを審議願いたいと思っております。
 それでは、まず最初に環境税についての審議を進めたいと思います。まず、事務局から報告をお願いいたします。

○地球温暖化対策課調整官 環境税の資料に入る前に、昨日、第6回のシナリオ小委員会が開催されまして、そこでの資料を今回参考資料1-1から1-3として用意してございます。本日の議題の前段として、まずこれにつきまして簡単にご紹介をしたいと思います。
 まず、参考資料1-1でございますけれども、温暖化対策の経済性評価、ボトムアップ方式による評価という資料です。ご承知のとおり、この中央環境審議会での審議に入る前にシナリオ策定調査検討会で削減ポテンシャルを対策技術ごとに算定をしたわけでございます。そして、シナリオ小委員会ではこの削減ポテンシャルをさらに精査いたしまして、あわせてコストの評価も試みるということがシナリオ小委員会の目的の一つであるわけでございます。これまで部門別に検討してまいりましたポテンシャルの精査の上に立ちまして、昨日の小委員会では部門横断的にコスト評価を試みたわけでございます。この資料はその経済性評価のうち、個々の対策技術のポテンシャル、経済性の評価、これは積み上げ方式でやるということで、ボトムアップの方式による経済性の評価の方法、そして結果の一部をまとめたものでございます。
 以上のことが基本的考え方のところに示しておりまして、2の各ケースと活動量のシナリオにつきましては、既にこの委員会の最初の回でもご紹介したものでございまして、ケースの設定の仕方、そして各ケースの将来予測のベースとなる活動量のシナリオ、これを再度掲載しております。
 そして、4ページから今回の部門横断的な経済性評価の方法についてご紹介をしております。3の追加的削減費用の算定方法でありますけれども、削減ポテンシャルの精査をした上で、さらにそのポテンシャルを算定した技術について費用の評価、制度的・社会的な課題の検討を行いまして、その上でより現実性の高い削減量をある程度絞り込んで、それを追加的削減量という呼び方で算出をしていくという方法をとろうと考えております。
 図-2にありますように、計画ケースの削減量を見込みまして、さらにそこから目標達成に向けての追加的な削減量を出していくという考え方でございます。
 4ページの下から5ページにかけまして、この削減量を算出する際の幾つかの設定条件についての説明をしております。個々については省略させていただきますが、昨日の小委員会で、設定条件についてまだ不十分な点があり、設定条件をもう一度見直すようにというご指摘を受けたところですので、現在見直しの作業を進めているところでございます。
 この場合の追加的削減費用とは、5ページの下の方にありますように、個々の削減技術別の計画ケースに対して温室効果ガスを削減するために追加的に必要となる社会的費用という定義をしております。
 そして、具体的な算定方法は次の6ページにございますように、ある対策技術を導入することによりまして当然削減のための費用がかかります。その中には設備投資の費用、維持管理の費用が通常含まれるわけであります。一方、この対策をやることによりましてエネルギーの費用軽減効果、いわゆる省エネの効果が上がってくるわけでありますので、それを差し引きます。
 さらに、「その他の利益、費用、効果」ということで、これは式の下の用語の定義にありますけれども、通常は費用に換算できないような要素、快適性であるとかリスクの回避や大気汚染防止等の他の副次的な効果などを可能な限り費用に換算してこの式の中に入れていこう、そういうものを追加的削減費用と定義をいたしまして、費用の算定を試みたわけであります。ただし、このESというその他の利益、効果につきましては、換算することが困難なものが多いわけでありますので、換算できないものにつきましてはこういうものがあるという定性的な記述をしようと考えております。
 それから、7ページには費用を算出する際に通常投資回収期間をどういうふうに設定するかが非常に大きくきいてくるわけです。通常、法定耐用年数、10年とか15年、まるまるその設備を使い切ることにいたしますと、場合によっては追加的な削減費用がマイナスになるということもあるわけです。しかし、実際にはマイナスになってもその導入が進んでいないのが現実です。それにはさまざまな他の要因、例えば制度的・社会的な要因があるということが7ページのところに幾つか紹介されております。
 もう一つ、法定耐用年数ではなくて、実際の設備投資を行うかどうかの判断には、現在ですと通常3年程度の投資回収期間でないとなかなか投資を行うという判断に結びつかないというのが現状でございます。そこで、今回の費用の算出に際しては法定耐用年数と3年を用いた場合と2つのケースで算定を行おうと考えております。
次に、8ページにまいりまして、基本的にはボトムアップの方式をとりますが、運輸部門につきましては、この小委員会からも幾つかご指摘をいただいたところでありますけれども、低公害車の導入や公共交通機関への乗りかえがどのくらい進むかという、導入率、普及率の設定はかなり割り切りと恣意的な設定をせざるを得ないわけです。そういうことをなるべく排除するために、ユーザーが費用効果的な判断をするという前提で普及率等を設定すべきである。そのためには、個々の対策ごとに設定をするのではなくて、経済モデルで算定をした上で、それぞれの導入率を設定すべきでないかというご指摘を受けまして、運輸部門は特にそういう傾向が強いわけでありますので、個々のユーザーが判断する際に、その価格やサービスの質についての判断のもとになるようなモデルの算定を行ったわけです。
 9ページの図-3に家計の交通サービス消費行動ということで、自動車を購入する。購入した後に実際にどういう交通機関を利用するかということを、こういうふうな思考経路をとって判断するという設定のもとに、モデルを動かして計算をしたわけであります。
 これにつきましては、昨日の小委員会では確かにそういう考え方もあるけれども、基本的にはボトムアップ方式でいくべきなので、運輸部門だけこういう方式をとるというのはなじまないのではないかという逆のご指摘をいただきました。そこで、運輸部門につきましても基本的にはまずボトムアップ方式に統一して、コストの評価をやってみようではないか。さらに、今回の運輸部門に限った経済モデルを動かして、ものによっては導入率や普及率をこのモデルの結果を参照しながら、ボトムアップの経済性評価に反映させていくといったような形で参考にしてボトムアップの経済性評価を完成させていく方式をとろうということで、これも現在作業をし直している最中でございます。
 以上のような設定方法、算定方法に基づいて10ページから削減量と費用の集計をしていく作業を考えております。図-5は、横軸に排出削減量をとり、縦軸に追加的な削減費用として、費用の安いもの、マイナスの費用から順に積み上げていきまして、目標達成量まで削減量を積み上げていくことによりまして、この面積でどのぐらいのコストがかかるかというを目安として評価しようとしたものでございます。
 それから、図-6には追加的な削減費用別の削減量を算定しまして、炭素トン当たりのコストを幾つかのレンジに分けまして削減量がどういうふうに積み上がっていくかということを評価としていきたいと考えております。その上で総費用の目安を出していきたいと考えております。
 11ページの後半にありますように、そうは言いましてもすべての対策技術を網羅して経済性評価をするには至っておりません。中にはまだ対策技術として把握ができていないものもありますし、また把握ができたとしても費用の算定がさまざまな制約条件で難しいというものが一部残っております。そういった制約条件下でこの経済性評価をやっていこうと考えております。
12ページからその結果を示そうとしているわけですが、まだ昨日の段階では評価結果をお示しするには至っておりませんで、現在図表等がまだ抜けている状況でございます。一応やり方としましては先ほど言いましたように、通常の法定の耐用年数で費用を計算した場合、それから13ページにありますように、投資回収期間を3年ないし5年と設定して、設備投資を行う場合のケース、これも一応算定をしようと思っております。それが13ページから14ページに組み入れられる予定になっております。
 15ページには、これらを踏まえてコストのレンジ別の表を入れるということで作業を進めています。
 最後に、16ページ、17ページは現在計算したものだけを表にまとめたものです。まだ暫定版で、抜けがあったり削減量もしくは追加的削減費用の計算結果に若干誤りがありますので、まだこれは最終版ではございませんけれども、価格のレンジ別にみますとこういった対策技術ごとの削減量、削減費用が計算されるということをまとめたものです。この結果をさらに精査をした上で確定して、先ほどの耐用年数や投資回収期間を幾つかのケースに分けた表、追加的削減費用別の削減量を次回のシナリオ小委員会までを目標に現在作業をしているところでございます。
18ページ以降は今申し上げた削減費用を部門別にまとめたものでございますが、省略をさせていただきたいと思っております。
以上がボトムアップ方式の経済性評価の途中経過でございます。
 次に参考資料1-2には、この小委員会でも部門別の検討の際にお示ししておりました対策技術シートのうち、特に産業部門につきましては作業が遅れていたものを、対策技術をかなり追加して充実させたものでございます。あわせて両小委員会からいろいろとご指摘をいただいたところを修正して各シートに反映させたものです。詳細につきましては省略をさせていただきたいと思います。
 最後に、参考資料1-3でございますが、こちらは数量モデルを使って温暖化対策の経済性評価を行おうとしているものでございます。昨日の小委員会では、1ページから2ページに今回分析を行った6種類のモデルの概要についてご紹介をいたしまして、今後経済性評価をする上での注意点、留意点につきましていろいろご指摘をいただいたところでございます。
 その中では、それぞれのモデルには特徴があり、得意とする分野、また必ずしもそうではない点を持っていますので、まずそれぞれのモデルの特徴を明確にした上で、その特徴を生かした分析を温暖化対策の経済性評価の中で的確に行うように配慮すべきというご指摘をいただきまして、これも次回のシナリオ小委員会でその結果を出すべく現在作業を行っているところでございます。

○地球温暖化対策課課長 引き続きまして、資料1の方に戻りまして、資料1-1でございます。環境税のご議論に入っていただく前に、実際幾つか欧州の国々では温暖化対策のための税金を導入しておりますが、まずその温暖化対策の税金によって一体どのくらいの効果があったんだろうかということに関する評価を見ていきたいと思うわけでありますが。既に幾つかの国などではこれらに関する研究、調査報告がなされております。まずこの概要をご説明したいと思います。
 1ページ目のところでございますが、これはEUにおきまして、これまで数度EUのエネルギー課税、あるいはエネルギー環境課税の指令案が出てきたわけでございますが。その指令案の内容を、将来実施したときに将来の投資あるいはCO2 削減、あるいは雇用創出効果がどのくらいかという予測のレポートでございます。下の方に評価手法とございまして、真ん中辺に具体的な推計は97年に公表されたEUエネルギー課税改正指令提案が導入された際の影響の試算が行われたとございますが、これが行われたという仮定でどのような影響かということでございます。
 その影響の結果でございますが、1ページのこの枠の中の一番下に1とございますが、各国及び各産業のCO2 削減投資負担額ということでございますが、この指令案が導入されたと仮定した場合に、EU全体の製造業は2002年から2010年に2億 5,300ユーロの、毎年でございますが、省エネ投資を追加的に負担するという推計がされました。
 次のページでございますが、CO2 の削減効果、2でございますが、この指令案が導入されたと仮定いたしますと、2002年から2010年の期間中 285万トンのCO2 が削減されると推計されました。これは90年の総排出量の2%に相当する。それから、雇用創出効果でございますが、これは2種類ございますけれども、この指令案が導入されますとその税収が労働に対する課税の低減に活用されない場合には3万 1,270人の雇用創出、この税収が労働に対する課税の低減に活用される場合には、81万 8,540人ということがEU全体で予測、試算されたわけでございます。この下に各国ごとの投資額のCO2 削減量の試算、雇用の変化試算が載っております。今のはあくまでも統一的な対策の課税がされると仮定した場合の試算でございました。
 3ページでございますが、今度はスウェーデンの温暖化対策税の導入による自己評価ということでございまして、スウェーデンでは91年に税制改革の一貫として温暖化対策税が導入されて、93年に改正をされました。そこで、これらの対策税による影響でございますが。とりわけ下段の方の結果の2にございますが、地域暖房用エネルギー源の構成変化ということで、1980年代から90年代前半の環境税の導入の前後を比較すると、地域暖房のエネルギー源構成の変化に大きな特徴が見られる。すなわち、バイオマス燃料は温暖化対策税及び個別エネルギー物品税が免除されているために、地域冷暖房用のエネルギー源が化石燃料から、とりわけ木質系のバイオマスでございますが、バイオマス燃料のシフトしたということでございまして。環境面で最も効果が見られたのがこのセクターでありまして、代替が進まない場合と比べて 150万トンのCO2 削減効果があるとされたというような評価がされております。
 続きまして5ページでございますが、ノルウェーの温暖化対策税の導入結果の事後評価でございます。ここでは、評価期間1987年から93年の評価期間で事後評価が行われました。その結果のところの1のところでございますが、CO2 税によるCO2 の削減効果は91年から93年に3%から4%、さらに化石燃料価格が10%上昇する場合には、さらに2から4%の排出削減が見込まれるということでございまして、とりわけ暖房用では炭素税導入効果が特定部門の年間炭素排出量の10%から20%の削減効果を有するということでございます。ただし、家庭部門ではエネルギー消費量の節約が十分でなかったという評価もされています。
 それから、経済などへの影響ということで2のところでございますが、91年から92年までに石油生産セクターの炭素原単位がCO2 税によって15%減少したというふうに推定されております。
 続きまして、7ページでございます、北欧でございます。フィンランドの温暖化対策税に関する評価でございます。8ページの環境効果の下の結果と書いてあるところでございますが、98年時点でのCO2 排出量の削減効果は約 400万トン、すなわち90年の税制が98年までそのまま上がらずに継続した場合は400 万トンのCO2 が余分に排出されたということであります。これは実際のCO2 排出量、 5,700万トンより7%多いということに相当いたします。
 それから、最終需要の方で見ますと、ガソリンが減少したわけでありますが、ガソリンの減少の要因は消費量の減少と産業部門におけるエネルギー消費行動の変化が大きな理由と考えられております。ちなみに、産業部門の減少分の約3分の2は石炭と重油から天然ガスと木質燃料、バイオマスの木質燃料への転換による効果であるといったような分析がされております。
 事例はそんなに多くはございませんが、幾つかの国々での温暖化対策税の導入による効果の評価でございました。
 続きまして、資料1-2でございます。これは諸外国、今も出てまいりましたが、主にヨーロッパ諸国におきまして90年代前半、あるいは90年代末になりまして幾つかの国でこうした関係の税が導入されております。2ページに概要がございます。この概要に沿って簡単にご紹介申し上げたいと思います。
 地球温暖化対策の税は90年1月1日にフィンランドにおいて世界で初めて導入されました炭素税に始まります。その後、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、オランダという順に広がってまいりました。EUの中でも、先ほども出てまいりましたが、CO2 エネルギー対策税あるいは炭素エネルギー税の指令案が何度か提案されましたが、結局指令案というのは、指令というのはできておりませんが、しかしながらここにございますように、90年代後半に入りまして、京都議定書が採択され先進国に対する温室効果ガス目標が決定されたということを受けまして、EUの中でも大きな国であるドイツ、イタリア、イギリスにおきましても二酸化炭素排出抑制を目的とした温暖化の対策税、こういった固有名詞はないわけでございますが、温暖化に関する対策税が導入されております。それから、スイスにおきましても2005年をめどに導入される予定で、既に法律は交付されております。
 なお、フランスでは2001年に導入の予定でございましたが、昨年末にフランス連邦議会におきまして意見が評価されて、今見直しの作業が行われているところでございます。
 それらの制度の概要を整理いたしますと、まず温暖化対策税の導入の手法でございますが、既存のエネルギー関連税制に追加して温暖化対策税を導入する方法としてフィンランド、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、イギリス、スイス、オランダ、ドイツといったところがございます。それから、既存の税制に税率を上乗せする方法としてドイツの石油税、それからフランスの提案、既存のエネルギー関連税制の課税標準に温暖化対策の費用を組み込み、いわばグリーン化するケースとしてオランダ、イタリアがございます。
 それから、対象範囲と産業部門に対する免除、減税措置でありますが、フィンランドやオランダの一般燃料税のように比較的低い税率で広い範囲に適用されるものと、オランダのエネルギー規制税に代表されるようにターゲットを絞って適用されるものがございます。産業部門に対する免除減税措置は、いずれの国におきましても何らかの処置が用意されております。
 とりわけイギリス、スイスあるいはフランスの当初案では、制限目標ないし温室効果ガスの削減目標を定める協定を政府と取り交わすことにより税が免除されるといういわばポリシーミックスの一つでございますか、という手法が導入されております。
 それから、課税標準といたしましては、課税対象の炭素含有量に比例する税を設定する炭素税、フィンランドなどでございますが、という場合と、炭素とエネルギー要素に依存する場合、オランダがそうでございますが、あるいはエネルギーに依存するイギリスといったようなことになります。それから、ノルウェーやドイツにつきましては、必ずしも炭素含有量に依存する税率が設定されておるわけではございません。
 それから、税収の使途でございますが、一般財源に組み込まれるものが多いわけでありますが、ドイツやイタリア、イギリスの一部が環境目的、例えば新エネルギーの開発などの用途に充てられております。それから、デンマーク、オランダなど、スイスについては、税収は税の方に還元されるということになっております。
 以上、概要だけ申し上げました。あと、この資料1-2は各国のそれぞれの今申し上げました税につきましての詳細が書かれております。これが諸外国におきます炭素税の概要でございます。
 そこで、資料1-3でございますが、地球温暖化防止のための環境税についてということでございますが、ここで新しい提案をこの事務局がするわけではございませんで、これまでこの中央環境審議会、あるいは今ちょっとレビューいたしました諸外国の事例その他でどのような議論が行われてきたか、あるいは行われているかといった点についてご報告申し上げたいと思います。
 まず、昨年12月にこの中央環境審議会の各政策部会でまとめられました地球温暖化防止対策のあり方の検討に関する小委員会の報告におきましては、ポリシーミックスの要素である個別の推進メカニズムの一つとして環境税を取り上げております。そこでは、環境税の仕組みとして、この枠にございます3つのオプションが考えられております。すべての化石燃料の使用に対して環境税を課税し、温室効果ガスの削減対策にインセンティブを与えようということでございまして、1といたしまして、税率を炭素換算トン当たり3万円から5万円、主にインセンティブにより排出を削減する。2つ目といたしまして、税率を炭素換算トン当たり1万円程度として、税収の一部で温暖化対策を助成するということでございます。3といたしまして、 3,000円を程度として税収で温暖化対策を助成することで排出を削減できるという3つのオプションが考えられておりました。
 さらに、追加的な措置として、環境税の影響が大きい一部のものに対して課税を減免し、減免したものには個別の観点から別の推進に環境税を適用するといったものについても検討されております。
 それから、2ページでございますが、政策パッケージモデルの検討と同じように先ほどの小委員会の報告の中では環境税を含め個別の推進対策も組み合わせて5つのパッケージモデルを設定して検討がされております。このうち2つのモデルには環境税が組み込まれているということでございまして。モデルの3とモデル4というのがございまして、モデル3では環境税モデルということで、ダイエッタゼーションの一部をを活用して世界資本整備や対策の調整を行うといったこと。それから、モデル4では、1つ目のポツのところは同じでありますが、2つ目のポツにありますように、二酸化炭素排出量が多いことから、より確実に排出量を管理する必要があると考えられている分野については、環境税の対象とせず、そのかわりに生産弾力性のある登録制度を基準値を越える削減への助成措置、環境税のよる取り引きを導入するといったようなご提案がなされております。これらのほかにもさまざまな面があるということでございます。
 それから、3ページでございますが、先ほど諸外国の事例を申し上げましたが、その中でも(2)にございますような環境税と他の仕組みの組み合わせの事例として、3つほどピックアップしておりますが。一つはデンマーク、これも前回ご報告申し上げたものでもございますが。96年の税制改正によりまして、産業部門においてエネルギー効率改善に関する政府当局との協定の有無により実質的に異なる税率が適用される。電力会社については若干難しいと。それから、イギリスでは気候変動協定をする企業はこの税の80%の減税措置が適用される。それから、この協定締結者の間では、予定目的達成のために排出量取り引きを活用することが認められている。それから、不遵守のときには減税措置の改正が行われる。それから、スイスも燃焼用の油、交通用の油の大量消費者とか国際競争力に大きな影響を受ける恐れがあるものは法的拘束力のある協定を締結することで税が免除されるというようなことのポリシーミックスがなされているという事例でございます。
 それから、その他といたしまして、3でございますが、先ほどご報告申し上げました昨日のシナリオ小委員会では、ボトムアップ方式によって個々の温暖化対策の経済性評価をしております。
 それから、先ほどご報告申し上げましたように、合わせて6つの計量モデルによりまして議定書の目標達成のために必要な経済的措置、あるいは対策がもたらす国内経済への影響などについて行ったところでございます。
 それから、(2)でございますが、一方総合資源エネルギー調査会の中でもこれに近い検討が進められておりまして、エネルギー需給見通しの検討作業の中で2010年におけるエネルギー起源のCO2 排出量を90年度の排出量まで低減するためには、追加的な省エネ、追加的な新エネルギーを講じた上で、さらに 500万トンの排出量削減のための対策が必要だと、これらについて主に電力の燃料転換の実現が必要だということでございまして、下にございますように、石炭発電のコストを天然ガスにキロワットアワー当たりで3円程度低下させるということを想定して評価がなされております。
 以上、これまでこの審議会の中、あるいはほかの国でのポリシーミックスの例、あるいは最近の総合資源エネルギー調査会などでの検討についてご報告を申し上げました。
 資料の説明は以上でございます。

○安原委員長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明に対しまして、質問でも結構でございますし、あるいはむしろ今の説明がございました資料を踏まえて環境税について議論をしていただきたいと思います。活発なご意見を出していただければと思います。
 それでは、どなたからでも結構でございます。よろしくお願いします。
 大塚委員からどうぞ。

○大塚委員 どなたもお話にならないようですので、最初に口火を切らせていただきますが、京都議定書の方は先ほどのようなお話になっているわけですけれども、とにかく我が国としては、98年に大綱で90年レベルから6%削減することを目標としていますし、90年のレベルに安定化させるということが90年の政府の閣僚会議などでも決められていますし、いずれにしてもある目標に向かって頑張っていかなければいけないということは皆さんご承知のことだと思いますので、そのために税という方式は非常に重要であるということを申し上げておきたいと思います。
 前から申し上げていることですけれども、温暖化のように社会、経済全体にかかわる問題については、特に費用効果性というのが大事になりますので、その点からは税はかなり重要なアプローチとして尊重されるべきだと思います。規制とかの方法はなかなかとりにくいということがありますので、非常に重要な方式だと思います。
 それで、こちらにも出てきていますように、資料1-3の3ページにあるようなデンマークとかイギリスとかスイスで行われている、税をかけて特にエネルギー集約産業については協定を結んでいただくと税を減税するという方式が一つの重要な方式としてあると考えております。特に、税になってインセンティブを与えて温暖化を防止していくという問題については、電力なんかに関してもあちこちで出てきておりましたように、現在石炭による発電をこれからやっていこうという計画もかなり多いわけでして、それはまさに温暖化の観点から言うとマイナスのことをこれからどんどんやっていくという計画が出ているという、非常に遺憾な状況にありますので、それはまさに税をかけて、インセンティブを与えて天然ガスとか炭素が余り出ないような方向へ誘導していくということが非常に重要な問題になっているのではないかというふうに思います。
 以上が意見です。
 あとちょっと細かい点ですが、資料1-2の2ページのところに概要がありましたが、これは多分ここしかお忙しい方はお読みにならないのではないかと思いますけれども、下から3つ目のまとめの最後のところですが、イギリス、スイス、フランスの当初案というのがありますが、ここにデンマークも入れていただいた方がいいと思いますし、それからイギリスについては減税であって免除ではありませんので、ちょっとこれは減免というふうに変えていただいた方がいいのではないかというふうに思いますけれども、これは細かいところの話で恐縮ですが、以上です。

○安原委員長 それでは、佐和委員。

○佐和委員 まず最初に、最初にご説明になったところについて1カ所だけ理解できないところがあるので、資料1-1の6ページに、これはアルファーというのにはaとbのサフィックスが抜けているんですか、それとも両方共通したアルファーを使ってられるのですか。ここにCSイコールという式がありますね。これはアルファーに対して、a、bのサフィックスが抜けていると思えばいいわけですね。そして、耐用年数nがaという技術とbという技術で違うというのが本来ですね。いずれにせよ、このままではおかしいですという話です。細かい点ですからどうでもいい。
 炭素税に関しまして一言申し上げたいんですけれども、結局一番重要なことは、まず一般財源に繰り入れるのか、それとも特定財源にするかということなんですね。そして、一般財源に繰り入れるとした場合に、それに税収中立という観点から特定減税か何らかの減税措置を講じるか、それとも単に税金を取るだけで、日本の現状からすれば財政赤字の削減にそれが充てられるかどうかということなんですね。多分財務省はそういうやり方をお望みだと思うんですけれども、もし一般財源に繰り入れて、そして財政赤字の削減に充てるとするならば、つまり所得税減税やらないとするならば、その場合は明らかにマクロ経済に対する影響というのはネガティブな影響が及ぶわけですね。つまりそれだけ税金が上がった分賞与が減ると、そして政府がそれで財政赤字は減るかもしれないけれども、政府支出がふえるわけではないと。したがって、国民総支出としてのGDP、GNPは明らかに下がるということになるわけですね。
 ただし、この場合でもアメリカでかつて行われたシミュレーションなんかによりますと、これは日本には適用しにくいんですけれども、もうちょっと日本よりは健全な経済の場合、金利がほどほどに高いという国の場合は、財政赤字を削減することによって資金市場が緩むんですね。その結果、金利が下がる。金利が下がった結果、民間企業の設備投資とか個人住宅投資が刺激されて、結局長期的には四、五年ぐらいたてばむしろ経済に対して炭素税をかけた方がポジティブな影響が出てくる。そういうシミュレーションもあるわけですが、しかし今の日本の現状で、一般財源に繰り入れて、そして財政赤字の削減に充てるということをやれば、これは炭素税のネガティブな影響がもろに出ますから、そういうことは当面といいますか、今の日本経済の現状というのを前提とした場合はとったものは何らかの形で使うという方がマクロ経済に対して影響は少ないし、もっと理想を言えば、所得税減税をやれば当然税金をかけて実質的な賞与が減った分、今度は所得税減税をやれば多少でも所得がふえますから、それによって賞与がふえるということで、プラスマイナスを差し引きした結果がプラスなのかマイナスなのかと言われても、それはやってみないとわからないとしか言いようがなくて、しかし結果的にそういうふうにして所得税減税ということで増減税を同額にすればマクロ経済に対する影響はプラスであれマイナスであれしょせん微々たるものであろうということになるわけです。そういう意味で、マクロ経済への影響ということをよく心配なさる方が多いものですから、それは税上の使途というものにかかわってくるということを一言申し上げておきたいと思います。

○安原委員長 はい、ありがとうございました。
寺門委員。

○寺門委員 前回にもEUの中の各国の例が引用されておるわけでありますけれども、非常に小さい国が多いわけですが。特にイギリスの協定と免税といいましょうか、軽減処置というものがクローズアップされてくると思いますけれども、前回申しましたように、イギリスの場合は少なくとも2010年において11.5%でしたでしょうか、それの達成というのは自動的にできる。自動的にできるので、逆にその上に産業界とか、そういうところと協定と言ってますけれども、協定の中身というのは少なくとも公開はされていない。そういう中で協定が結ばれたということなんですが、その中身は私どもが調べてもその中身は非公開ということになっていましてよくわからない。そういう協定で減免に、軽減処置になると。
 それで、これはどういうレベルの目標なのかというのはそれぞれの政府がやっているので、少なくとも11.5%の上の方で協定を結ぶということなんでしょうけれども、その数値というのは極めて、聞くところによると現在の技術レベルで容易に達成できるレベルというのから、さらにそれに60%といいましょうか、 0.6掛けの目標というふうに言っておられるんですけれども、それがどういうレベルなのかということはどういうことか、現状において技術的にも達成できるというレベルから40%差し引いて 0.6のレベルに協定をしていると、こういうところまではわかるんですけれども、そういうレベルですね。
 私ども日本の場合はそういうレベルから相当進んでいると思います。事実それは調べればそうだと思いますが、そういうレベルから今度やろうと。ですから、これは極めて罰則的に税というものが積み上がっていくというものと、イギリスのようにインセンティブ型といいましょうか、そういうのとがあるわけですね。
 それはなぜかといったら、そういうスタートするレベルが非常に違うというところに考え方が逆転している。イギリスの場合は11.5%よりもさらに産業界がしてくれると、イギリスはそれを数百億と言っておりますけれども、数百億を海外に売れる。ですから、それは排出源取り引きとして国として海外に売れるという、お金が海外から入ってくるということを皆さんに歓迎しますよと、こういう制度なんですね。日本の場合はそうでなくて、海外からも買わなきゃいかんかもしれないし、そのためのお金をどうするかとか、そういうふうに逆の方にどんどんあって、そういうものを回避的に並べて日本の場合にはどうするのかというふうに組み立てないと、なかなか実際に話が出てきて理解が進まないし、それを乗り越えてどうするのかというところが見えないわけです。
 しかも、ここには環境税というふうに書いてありますけれども、炭素税ではなくてある部分のエネルギーに対して、だから逆に言うとある特定のエネルギーに対してかけるというふうな、そういうことで、それぞれの国によって対象が極めて制約される、制約といいましょうか、限定したところにかけてあるんですね。ガソリンとかそういうものと一緒のように下げて、しかもそれを環境対策にしますと言ってますけれども、日本の場合環境対策に使われているわけで、今のものも環境対策として使われている意味合いというのはかなりあると思うんですね。交通対策なんてまさに環境対策だと、インフラと同時に環境対策だと言えば環境対策であって、だからそこら辺のところをもう少し国民にわかるように書かないと、今はどういう税を何のために使っていて、さらにそれを加えてどうしますと、どういうふうに使いますということは示されないと、何となく環境税という言葉だけでは環境税というメニューだけではちょっとこれはなかなか次の議論に進めないんじゃないかというふうに思いますが、だから今の税というものはこういう税で、これは逆に言ったらこういう部分が環境として使われておりますということも明示しなければいけないし、それが逆に言うと国民からするとなぜそれはそっちの方に進まないのですかという反論があるはずですよね。
 今一番問題になるのは運輸部門でございますから、これがどこまで伸びていくのかということに対して非常に関心が強いわけですね。一方、国内でも税の使い方についていろいろ議論があって、さっき佐和先生がおっしゃられたように、この部分は道路財源として残すけれども、この部分はもう少し一般財源でもいいのではないかという意見の方もあるし、その税は目的税なので、環境対策としての意味合いは少しふやしてもいいかもしれないけれども、あくまでも交通対策として例えば公共交通の方に少し回した方がいいんじゃないかとか、そういうふうにいろいろな意見があるわけですね。今の実際に政府としてある税ですらそういうことなのですから、だからそういうところをよく解き明かさないで、その上にオンする税だというふうに簡単にはいけないと思うんですよ。
 だから、今の場合は海外のよく見えないところを例にぽんぽんと置いて環境税ですというふうに言うわけですけれども、名前は違いますけれどもそういうふうに言いますけれども、日本の制度を組み立てるときには、今の日本はこういうふうになっていますと、運輸は今こういうふうに伸びているけれどもこういうふうになっています。それで、その上に税を乗せるんですかと言ったら、何で今のやつをもっと環境的に使えるようにしないんですかという反論は必ず出るわけでして、それもいろいろ議論がそれぞれの立場の人はそれぞれに言い方をされているわけですから、そういうものを並べていかないと、こういう意見もあるこういう意見もある、こういう意見もあると、これですらということを並べていかないとなかなか先には進まないのではないかというふうに思います。
 それから、今国内で政治的なことなのでしょうけれども、少なくとも経済の活性化ということが、佐和先生おっしゃったような活性化ということがあって、一方ではその活性化のためには市場の活性化といいますか、規制を緩和していくという活性化というものが政府の大きな方針としてあって、できるだけ規制というものは抑えていきましょうというのが片方にあり、片方には税は別にしてもいろいろ規制をかけていくということが他方にあるわけですね。そういう整合性というものは必ずどこかでは切っていかないといけない議論に発展すると思うんですけれども、今の場合はどちらかというとかさを減らすということことだけで物事がずっと行われて、それをバックアップする意味でモデルがたくさんできて、影響なしというモデルがだっとありますけれども、そうは思ってないモデルがあるのかどうか知りませんけれども、考え方は非常に多いと思うんですけれども、そこはクリアしないといけないと思うんですけれども、余りにも偏った、ここだけの経済全体を議論するというケースから抜け出しているのではないかというふうに私は思うんですけれども、これなんぼやっても私とはかみ合わないんですね。片方では経済という問題を常に考えてやっているわけで、幾らやってもかみ合わないです。

○安原委員長 はい、どうも。
 それでは、福川委員。

○福川委員 おくれて来て申しわけありません。もしご議論があったとしたら恐縮なんですが、この特定財源、特定の税を導入するときの考え方なんですが。きちんと説明するときに、一つはその目的の必要性があるかないか、合理的な説明ができるかという必要性の問題と税の有効性があるかないかという問題、それを導入することによって別の政策目的にマイナスがないかどうかということが必要です。それからもう一つはこれらと若干ダブりますが、類似の税制との整合性があるかどうか、こういうことで判断をして特別の税というのは考えるべきものだと思います。もちろん一般の税制である所得税とか法人税は別として、こういう特定歳出、特別税を設ける場合にはそこがきちんと説明できるということが大事なことではないかと思います。
 佐和先生や寺門先生も今お話がございましたが、この目的をどこに置くか、要するに財源確保なのか一般財源に入れるものなのか、どういうところに一番の目的を置くかということと、それがうまく有効に働くかどうかということ、それからこの前もちょっと申し上げましたが、もちろん環境はきちんと守らなければいけませんが、私はどちらかというと今日本の産業の空洞化が非常に進み始めているわけで、私は第2の空洞化が進んでいるといいます。そこでどういうふうに考えるかということだと思います。もし日本で導入したときに、それこそタックスヘブンではありませんが、環境公害の輸出になってはならないという問題もそこに出てくるように思います。
 それから、類似税体系ですが、今特定道路財源の議論がとうとうと進んでいるわけで、これを一般財源化するのか、あるいは道路の周辺の目的に使おうとするのか、いろいろな議論があるわけですが、これももし財源の確保に目的を置くのならば、環境省としてみれば、これは今ここには手を挙げておくということで、例えば前から議論があったITSのような問題であれば、もっとこういうところに持ってくるということもあるように思いますので、今せっかく特定財源をどうしようかという議論の中に環境目的をもう少し入れるなら、先ほどのもちろん4つの原則の中にどう当てはめるかという検討が必要です。手を挙げて検討するということも必要だろうというふうに思うわけです。
 それから、また今もこれに類似の税制がいろいろあるわけで、道路のガソリン税だけでなくて軽油引取税もあれば、あるいはまた自動車重量税もある、これは道路に使われておりますが、あとは電源開発促進税というようなものでかけられている税もいろいろある。そういった税の中でただ上に乗せると考えるのかは、先ほどの目的とも非常に絡んでくるわけで、もし環境税と名のつく税さえ入ればいいというこういう目的なら別ですけれども、そうでないならどういう税体系の中で、レベルニュートラルであるかどうか、経験が問題だとすれば、レベルニュートラルにするとしたときに、どこの税を減らしてこちらの環境に持ってくるか、そこの体系も考えてみる必要があるので、もちろん所得税、法人税を減らしてこれを入れるということも一つのオプションかもしれませんが、ほかにも今類似の税制が幾つかある。これをどういうふうにするか。ほかの省の財源に手を突っ込むというのはなかなか取りにくいということがあることは重々よくわかりますが、私は特別の税を導入するというと4つの原則からきちんと説明することと全体の税体系の中からの合理的な説明がきちんとできるということが必要なのではないかなと思います。やや打算的というか、功利的に、あるいは実現の方を考えるならば、今の特定財源問題については環境省がどういうことをお考えか、できればそこは質問ということでございます。

○安原委員長 はい、どうもありがとうございました。
 それでは、浅野委員。

○浅野委員 理論的に経済的措置を講じてそれを政策実現のために選択にしよう、そういう観点から経済的負担を課す措置として何かやらなきゃいけないということをともかく理論的な見地から論じて、それを例えば税という言葉で呼んで議論するという論理の展開の仕方をこれまでやっていたわけですね。それと、一方では、今、福川委員がおっしゃるように、実際にともかくこれを税という名前で、制度として何かやるという点ではどう考えたらいいんだという議論とかがあるわけで、そこのところはお互いに税という言葉を使いながら、同床異夢みたいなところが依然としてあります。
 どちらかというと、これまでの議論は比較的実際上はどうするかということを余り念頭に置かないで、ともかく税というか経済的負担を課すことがインセンティブになって、それが一番合理的な政策実現手段だという議論が多かったわけです。しかし、最近は一般財源にもってくるよりもむしろ目的税化しておいて、温暖化対策の方に回す方がより効率性が高いという主張があるようですし、それは非常に素人目に見てもよくわかります。
つまり単純に言えば真面目にやっている人が得をして真面目にやらない人が損をするという、そのやり方で政策を実現すれば、仮にインセンティブとしてどうであるにせよ公平性だけを維持できることは決して悪くはないということになるわけですから、その議論から言うと温暖化対策に充てるお金を持ってくる。それで、一生懸命やっている人のところにそのお金はやらない人は税を払っていただく、こういうことに結局のところなるんだろうと考えます。
 これは、先程も申しましたように素人目にも非常によくわかるわけです。というのは、ただ単に一般的に税ということにしてしまえば、インセンティブに本当になるんだろうか、税が高くなったというだけではないか。これはある電力会社の方がおっしゃったんですが、電力料金に税を上乗せして、そしてそれを電力会社が料金と一緒に取ってしまったら、結局電気が高くなったと思うだけで別に全然電力の使用には響かない。だから、どうせやるんだったら別に幾ら使ったということがわかるようにしておいて、年度末に1人1人まとめて払うというふうにすれば、これだけ払わなきゃいけないということが目に見えてわかるから、それなら本当にインセンティブになるだろうけれども、単純に税をかけて料金の中に乗せて、それで今の電気、ガス税みたいな形でやれらたら、恨みを買うのは電力会社だから真っ平ごめんだとおっしゃるのですが、ことのよし悪しはともかくも、インセンティブということに期待をするのであれば一面当たっているなという気もするんですね。ですから、これはもう少し整理した議論をしなければいけないなと思っていたので、ただいまの福川委員のご発言は、その整理の手がかりになるご発言をいただいたと思います。
 ここでは税という言葉が出てきているのですが、そもそも税という言葉ですべて片づけるということになるかどうかという問題ももちろんあるんだろうと思うんですね。温暖化との関係で議論するときは、多分こういうふうな議論が一番しやすいんだろうと思うんですけれども、たまたまきょうはNOx法の国会審議に引っ張りだされたのですが、そこで議員の先生方がかなり関心を持っておられるのは、自動車の総量の削減のためにはどうにも規制的な手法には限界があるので、経済的な措置を考えなきゃいけないのではないかということをかなりの先生方が意識しておられるわけです。ですから、こういう自動車公害対策の場面で考えられていることと温暖化の場面で考えられていることとの間には、ある意味では共通性があるんですね。同じ土俵の上の議論だという面があるわけでありまして、いろいろなところでこの種の議論が出てくるんでしょうから、さしあたりこの温暖化対策の場面で出ているお話にしても、もし本気になって考えるとすればどうなるんだという議論をやっていかなきゃいけないんだろうと思います。
 それで、例えば今の税の中にもし何かを入れていくとすれば、当然税の全体の整理ということをやらなければいけないだろうし、それなしには理解は得られないだろう。ただ単に環境のために税を一つくっつけて、結果的に増税だけだというのでは何の意味もないわけでしょうし、佐和委員のおっしゃるとおり、一般財源に入れて財政赤字の解消に使うというようなことでは、恐らく単なる増税ということにしかならない、理解は得られないだろう、私もそう思います。
 ですから、この先のいいか悪いかという議論は寺門委員とかは永久にかみ合わないとおっしゃいましたけれども、しかしもともとさっき大塚委員が言われたように、協定によって減免をしようというのはエネルギー多消費型のところはそれなりの努力をちゃんとやってくださるんだろうから、ちゃんと努力をするところは何も税という形でかぶせる必要はないので、それよりもっと寺門委員お気づきのとおりに、交通とか民生という大規模じゃないところでちゃんとやってもらおうといってもなかなかちゃんといかない部門についてはこういう方法を考えてはどうかということを言っているわけですから、税というと直ちに製鉄会社だけが困っちゃうというような形の議論ではないはずなんです。
 もちろんそんなことをおっしゃっているのではないだろうと思うんですけれども、ともかくフリーライダーになりそうなところをどう抑えるのがいいか、一番合理的に乗ってもらうために何がいいのかということを議論しているわけなので、そろそろ具体的に政策に乗せるときはどうしたらいいのかなという議論にしていかなきゃいけないんだろうと思います。
 だから、そういう意味ではイギリスがこうです、外国がこうですというのは、今のところ参考にはなるけれども、ぎりぎりそれが本当に日本に参考になるかわからないというのもわからないでもないので、これはあくまでもアイデアを立てるときの参考にしているだけでありまして、もし、よくかみ合った議論をしようというのであれば、寺門委員の言われるようなもろもろの問題をきちっと説明できるように資料を集めなきゃいけいないとも思いますし、事務局としてもさらに頑張っていただいて、もっと資料をつくっていただくということがないと、この先の議論はまた同じようなところでぐるぐると回転するようなことになるかもしれないと思います。

○安原委員長 はい、ありがとうございました。
 それでは、小林さんの後佐和さん。

○小林委員 私の方から申し上げるのはちょっと整理してお話できないと思うのですが、基本的には佐和先生のお話と同じなんですが、環境税と言いながら現実に日本の税金というのは目的税等も含めて、いわゆる財源確保のために税金を取るというのが今までの考え方で、要するに政策誘導型の課税するというのは余りなかったわけですよね。そんな中で環境税という考え方を今から取り入れるというのは大変議論がかかって、逆に言うと、ここのCO2 対策のために間に合わないのではないかな、私は実は大変その辺を危惧しているところなんです。そういうふうに考えた場合。
 それから、もう1点環境税という言葉がいわゆる第二消費税と言われるように、単なる財源確保の増税のために環境という名目のもとに税金を取るということが考えられているきらいがあります。現実にあちらこちらの、私ども都道府県でもそうなんですが、いわゆる財源確保のための名目に環境を使うという案があちらこちらに出てます。これは絶対に避けるべきだというふうに考えるわけですね。そういう意味で、環境税そのものが税制中立の中で考えるべきであって、それで取った税金は環境対策に必ず使うということが必要だと思います。
 そう考えてきた場合、新たな環境税をつくるよりは、これは石炭の問題はちょっと別なんですが、今ある税金の税率をグリーン化するという方が手っとり早いのではないか。ですから、各税金のベースになる考え方のところに環境による政策誘導型のグリーン化というのをちゃんとうたい込むだけで税率を変えられると思うんですよね。そういう方がすごく短距離に勝負がつくのではないかなと私自身思っております。

○安原委員長 はい、どうもありがとうございました。
 それでは、佐和委員。

○佐和委員 さっきは遠慮して1点しか言わなかったんですけれども、皆さんが長くしゃべられるので、あと3点ぐらい申し上げたいと思います。
 1つは、炭素税の非常に特殊な点というのは、本来例えばお酒に税金がかかっている、たばこに税金がかかっている、何でかけているのかというと、税源が安定しているからなんですね。税をかけて高くなってもたばこもアルコールもどちらもやや中毒性がたばこの場合は特にありますから、したがってなかなか消費が減らないと、非常に安定した税源であると、だからどこの国でもかけているわけですね。同じようにガソリンも似たようなところがあって、ほとんどの国がガソリンに税金をかけているということなんですね。
 ところが、炭素税というのは税源を減らせるためにかけるんだという言い方を特に経済学者はするわけですね。これは税の常識からすると極めて珍しい税になるわけですね。ですから、そういう意味で税源をやせ細らせるための税というのは、これは本来的に言うと税の本当の専門家は「何だ、それは」というふうな言い方をするんですね。
 それで、例えばこれは私の思いつきなので、もし機会があったら調べて教えていただきたいんですけれども、イギリスで「クライミットチャンジレビー」と言いますね。これは要するに税ではないんだと、課徴金なんだという考え方なんですね。ですから、本来そういう意味では税とは言わずに、むしろ課徴金という方が意味としてはすっきりしているわけですが、しかし普通多くの国で炭素税というようなことを言っているから、それはそれでいいと思います。
 これはこれをかけた場合に何が起こるかと、さっきマクロ経済に対してはほぼ中立的だというふうに申し上げましたが、ミクロ経済影響はあるわけですね。例えばね寺門さんがついこの間までいらっしゃったような業界は原料の値段がそれだけ上がるわけですから、原燃料の値段が上がれば当然生産コストが上がって、そして国際競争力が損なわれるということにもなりかねないわけですね。
 ですから、ミクロ経済影響というものをきちんと定量化した上で、そしてその上で、ただし別にそれは産業が負担しているわけでは実はなくて、結局物をつくっている企業が負担する分もありますが、その多くは大抵消費者が負担するわけですね。産業といいますか企業がどれだけ負担して、そして消費者がどれだけ負担する、その比率は一体どのぐらいだというと、結局その財の価格弾力性が低ければ消費者の負担分が多くなる。逆に、価格弾力性が非常に高ければ生産者の側の負担が大きくなるというようなことが直観的にも予想はつくと思います。
 そういう意味で、ミクロ経済影響をきちんと評価した上で、公正という観点から何をすればいいか。つまり単に税金をどんとかけるだけではなくて、例えば減免措置とか、あるいは別の手だてを考える、いろいろなことがあると思うんです。その上で公正という観点から、どういうふうな措置があわせて講じられなくてはいけないかということをご検討願いたい。
 それから、特定財源というのは一般的に言って大変評判が悪いわけですね。悪い一番の例として言われるのが道路特定財源ですよね。しかし、温暖化の対策のための特定財源をつくったらいかんというのはおかしいので、これは21世紀を通じてずっと道路は全国津々浦々敷きつめられたのにもかかわらず税金を取り続けていることに問題があるわけですね。
 ところが、温暖化対策というのは21世紀を通じてずっと続けなければいけない営みであることは間違いないわけですから、そういう意味では特定財源の硬直化、とかそういうようなことで特定財源化はよくないから一般財源にという議論は今は対抗できると思うんですね。
 それから、3つ目もう1つ申し上げたいのはアナウンスメント効果というのがあるんですよ。つまり炭素税という税金を消費者1人1人が払っているんだと。そうしますと、例えばさっき幾つかの例がありましたが、例えば炭素1トン当たり3万円の税金をかけたら、ガソリンが幾ら値上がりするかというのはわずか20円なんですね。だから、 3,000円だったら2円なんですね。ガソリンの値上がり分というのはその程度のものなので、そういう意味では余り炭素税なんかかけても消費抑制効果はないのではないかというふうにして炭素税を嫌う人はそういうことをよくおっしゃるんですが、しかしとにかくガソリンを買うたびに何のための税金を自分は払っているのか、たとえ2円であれ5円であれ、それを毎度毎度意識するということ、そういうアナウンスメント効果というのもばかにならないということですね。
 そういう意味で、単にモデルで計算した結果だけをうのみにされるのではなくて、もう少し税というものを例えばさっき申し上げた例で言うと公正という観点から、あるいはアナウンスメント効果という定量化できないような側面も含めていろいろご検討いただきたいと思います。
 以上です。

○安原委員長 ありがとうございました。
 それでは、青木さん。

○青木委員 私もまだ考え方を整理しているわけではなくて、悩んでいる最中でございますので、若干矛盾することを申し上げるかもしれませんけれども、道路特定財源などが議論になっておりますから、一言申し上げておきたいと思うんです。基本的には福川委員がおっしゃいましたように、環境税を入れるなら何のためにどういう目的でなぜ入れるのかということをしっかり議論すべきだろうというふうに思います。道路財源の方もご承知のように、既に暫定税率になってまして、一般の方々から見れば2倍以上の税金を払っているわけです。基本的な趣旨は別ではございますけれども、その意味では自動車交通に対する制約になっているんですね。それだけの値段を払ってもペイする人が乗っているということになっているわけでございますし、それから道路はもうたくさんだというご意見もありますけれども、一方ではまだまだ道路は不足しているというご意見もあるわけで、例えば我々でも経験いたしますけれども、都会でも主要道路から一歩中に入れば人々が自動車の横を、電信柱の陰に隠れなければ自動車を避けられないというような道路もいっぱいあるわけでございまして、道路財源が十分であるかどうかということは各方面で十分議論していただかなければならないというふうに思うわけでございます。
 それから、環境税でございますが、できるだけ大勢の皆さんが等しく炭素について考えるという意味では広くかける方がいいと思うんですけれども、そういう議論をやっていきますと、恐らく先ほどお話がございましたように、特に大企業の場合には協定でも何でもいろいろあると思うんですけれども、排出量等把握されておりますし、いろいろな方法で削減すると決めればかなり確実に削減できるということになってまいりますし、そういうところをそういう税制から除外していくという制度になってまいりますと、最終的には一般家庭とか中小企業の方に税がかかっていくというような格好になりかねないと思うんですね。ですから、そういった面も十分配慮していただかなければなりませんし、それから財源として使うというお話であれば、これから追加してこの対策のために特に国が必要とする、国あるいは地方が必要とする金はどういうものかということを十分慎重に検討した上で決めなければ国民の理解は得られないのではないかというふうに思いますので、一言申し上げておきたいと思います。

○安原委員長 はい、ありがとうございました。
 それでは、猿田委員、どうぞ。

○猿田委員 ちょっと教えていただきたいんですが、資料1-1の8ページのところでの結果のところで、「最終需要は」というところがございますね。「ガソリンの減少は」というところがあるんですが、今先ほど浅野先生が自動車のことをいろいろとお話が出ましたけれども、ガソリンと限定すると主として自動車に使われるわけですが、その後の説明で、ちょっと私は意味がよくわからないものですから教えていただきたいと思います。
 消費量の減少と産業部門におけるエネルギー消費構造の変化が大きな理由、そこのところで、ちなみに産業部門の減少は3分の2は石炭と重油から天然ガスと木質燃料への転換だということが書いてあるんですが、その後ガソリンは消費量が大幅に減少するため云々と、このガソリンの減少はというのと後のところが何かこううまくつながっていない感じなんですが、ガソリンが減ることはCO2 の排出が減るわけでよろしいのですが、その後の産業部門との関連がどういうふうになっているのかなということで、この辺ちょっと整理がどうなっているのか、もしわかれば教えていただきたいんです。
 それから、もう一つ先ほど寺門委員がいろいろとお話いただきまして、なかなかかみ合わないというお話があったわけですけれども、きょうご報告いただいた資料1-2のところで先ほどご説明いただいた2ページのところで、対象範囲と産業部門における免除、軽減措置という中で、イギリスは減免であるとかデンマークを入れた方がいいとかというお話がございましたけれども、先ほどの寺門委員のお話を伺って、これは私の個人的な感想ですけれども、いわゆる協定方式などによって各国がいろいろとおやりになって、その結果で目的が達成されない場合には減免措置はなくなりますよとかいろいろあるわけで、そういう意味で何か協定方式等に対しての好ましくないよという伏線のような感じで受けとめたんですが、その辺どうだったんでしょうか。

○安原委員長 ほかにございますか。
 それでは、事務局からの質問等ございましたので。

○地球温暖化対策課課長 先ほどの資料の8ページのところでございますが、ちょっと文章が舌足らずといいますか、適正な日本語になっていないところ、文字が抜けているところがございます。最終需要は減っていますが、その要因は一つはガソリンの消費量の減少、それからもう一つは産業部門における燃料消費構造の変化という2つの要因だろうということでございます。それで、そのうち産業部門の減少分の3分の2は石炭、重油から天然ガス、木質燃料への転換による効果、それからガソリンの表によりますと、ガソリンは下にございますが、カウンター設置の影響や90年に比べて98年のガソリン税率が2倍以上になっているため、消費量が大幅に減少したと、そのためにCO2 の排出量も減少したと、このような意味でございます。

○安原委員長 それから、引き続いて、福川さんの質問の答えはどうですか。

○大臣官房審議官 先ほどの道路財源の問題は政治的な動きでございますし、ことしはどういうふうにいくか、ことしの問題だけじゃなくて来年の道路5カ年計画に合わせてどういうふうに考えていくかというふうにいろいろ動いて流れている状況であります。そういう中でございますので、役所として手を挙げるかどうかという話と、それから仮に挙げるとしてもいつ挙げるんだ、どうやって挙げるんだといろいろ整理がことし、来年ということでございますので、今どうする、こうするというふうに決めているわけではありません。いろいろ政治の中での見きわめというのが十分必要だろうと思っているからです。

○安原委員長 それでは、猿田さんから寺門委員にご質問がありましたので、寺門委員、どうぞ。

○寺門委員 イギリスの協定というものが日本の自主行動計画とどう違うのかということだと思うんですけれども、その自主行動計画を協定できないかということだと思いますが、イギリスの場合の協定と言っているレベルというのは、先ほど申しましたように、大変自己的に目的を達成できるというレベルからスタートしたものであるということ、それから業界によって違うわけでございますけれども、イギリスの鉄鋼業というのは言ってみれば独占的企業でございまして、もともと国家企業でございましたので、言ってみれば80%から90%の1種類を全部つくっているというふうな国であるわけですね。そういうところは、鉄鋼業の場合ですと絶対量で協定をしているというふうに言っております。それから、あとの産業につきましては、いわゆる原単位というふうに言っておりますが、その原単位をどういうレベルにどういうふうに設定しておるかということについては全くオープンではないというところでございます。
 これはなぜオープンにしないのかというのはいろいろな微妙な問題がここにはあるんだろうと思います。それは、逆に言うと規制といいましょうか、いわゆる企業を完全にコントロールできないという意味で原単位というふうに片方で言っており、またその中身をどういうレベルにしたかということもこれはよくわからない。何となく技術的に達成できるレベルの60%というふうに言っているということでございます。
 日本の場合に、一方それを企業ごとであろうが業界ごとであろうが何でも結構なんですけれども、これを協定というふうに形をつくったときから、次に我々一つ一つの企業というものはどういうことになるんだろうかというところに大きな壁といいましょうか、要するに日本の場合にはたくさんの企業が同じような業種が同じ業の中にあるわけですけれども、そういうところに枠をはといいましょうか、そういうことをやるということに我々は要するに自由な公正な競争をしなさいという、今決められたルールの中でそこから抜けたら、これはまさに今の企業倫理から外れるという枠が完全にはまっているわけでして、それをやりなさいと言われたら、「はい、やります」と言ったら、これは私たちの責任なのかだれの責任なのか私よくわかりませんけれども、そういう世界に入っていくということなんですね。国は要するにそういうことはもういいと、独禁であっても構わないと、独禁法はもう無視すると言っていただければ、それはどういうふうになるか、私はよく知りませんけれども、少なくともそういう片方には大きな制約がかかっているという日本の中でどういう協定なのかと。
 我々は今の自主行動計画というのは非常にオープンにやっておりますから、少なくともこういう目標を立ててやりましょうと、業界ごとにこういうレベルでやりましょうねというふうにオープンに目標値を出しています。それをもって皆さんからは不透明だとおっしゃる方もおられますけれども、毎年オープンな席でレビューをしていただいておる。それをそうでない別のところで協定という言葉、私は協定という言葉がどういう意味をするのかというのが非常にわかりにくいんですけれども、その協定の中身が、協定という言葉が要するに言ってみれば完全にコントロールしますという中身であればこれは一つ一つの企業としてはいただけないと、そういうことになるわけで、ここのところを抜きにして経済政策といいましょうか、そういう政策を抜きにして協定ですというふうにこちらの方の言葉と我々のあれとがどうもそれでかみ合わないんですけれども、そういうこと抜きで協定ですと言われると、ちょっとどういうふうに我々は踏み出したらいいのか、そういうことなんです。ですから、向こうで言っている言葉の協定というものをもっとしっかりと理解しないとちょっと難しいと思います。

○安原委員長 猿田委員。
 

○猿田委員 今自主行動計画をオープンにしておられると、透明性は高いですよということだと思うんですけれども、ただその結果に対してどのように担保されているのかということですね。その辺の問題があるわけで、そういうものに対しての担保の方策としていろいろあるのではなかろうかということで、結果的に意見がどうもかみ合わないので終わりに致します。

○安原委員長 それでは、大塚委員。

○大塚委員 協定については寺門委員及び環境省さんにお伺いしたい点がございます。
幾つかありますけれども、まず第1点はこれもかみ合わないと恐縮なんですが、鉄鋼さんが頑張っておられることはよくわかってはいるんですけれども、さっき浅野先生がおっしゃったように、協定と税との組み合わせというのは、協定を結んでくださったエネルギー多消費型産業については減税をするというメリットをお与えするということになっていますので、協定だけ結んで何かやってもらおうとか、そういう話ではないということは一つ確認をしたおきたいということです。
 それから、2つ目ですけれども、イギリスについては確かに放っておいても石炭から石油に変わってエネルギー転換をしている状況なので、CO2 の排出量が減っていく状況にあることは確かにそのとおりで、我が国とは大分違うというのもそのとおりなんですが、それはどういう目標の協定を結ぶかということの問題であって、枠組みとして協定と減税とを結びつけるということについての問題それ自体ではないのではないかということを申し上げておきたいと思います。ですから、もちろん心配されるのはよくわかるのですが、イギリスの状況と日本に状況がそういうエネルギー転換に関して違うということはそのとおりなんですけれども、それは協定を結ぶときの協定の内容としての数字の問題であって、協定プラス減税という枠組みの問題とは違うのではないかということを申し上げておきたいと思います。
 それから、独禁法の話がありましたが、これはむしろ環境省さんにお話しいただくのがいいかもしれませんが、確かに業界団体と企業との間の業界団体がもし何か締めつけをするというようなことがあると独禁法の問題が出てくる可能性がありますけれども、政府と企業、あるいは政府と業界団体との間の協定の仕方によってはこの問題はクリアできると思います。それから独禁法に関しては公正取引委員会の方から環境関係での独禁法の問題についてガイドラインが出ておりまして、それは十分にクリアできるというふうに考えられますので、その点は詳しくは環境省さんからお話しいただくといいかもしれませんが、申し上げておきたいと思います。
 それから、これはお伺いしたいことなんですが、私がイギリスで調査をしたときには、協定の内容については公表するということをかなり強調しておりましたが、先ほどのお話だと原単位について公表していないというようなお話もありましたので、もし環境省さんがこの点についてご存じでしたらお伺いをしたいと思います。協定の内容については公表するということは非常に重要な問題になってくると思いますので、だんだん話が詳しくなって恐縮ですが、適当な範囲でどうぞよろしくお願いします。

○安原委員長 それでは、まず公表の問題ですか、事務局、どうぞ。

○地球温暖化対策課課長補佐 ただいま大塚委員からご質問がありました公表の問題については、大塚委員がおっしゃるように公表するという話は私どもとしては聞いております。事実関係については確認させていただきまして、また次回ご報告させていただきたいと思います。

○安原委員長 寺門委員、よろしゅうございますか。

○寺門委員 私どもの自主行動計画というのは一応業界単位で、主に鉄鋼業に対しましてですけれども、1990年比10%を削減目標にして取り組みましょうということを公表をしているというか、目標として掲げております。だから、これは個々の企業についてみんな10%でやりましょうねという、これはでこぼこは当然あるわけでしょうし、それから企業間の言うならば事業にかかわる規模の変容というものを当然起こる。そういうものは読めないし、それぞれの事業者が考えることであると。
 そういう中で、全体として例えば2010年に1億トンの鉄鋼生産があるとすれば、それを1990年比10%炭酸ガスを減らしましょうと、こういうふうな目標を立ててやっているわけですね。それは業種ごとにそれぞれセメント会社さんなんかはまた別の目標を立てておられまして、絶対比ではおっしゃらないというわけですね。それは意見が合うところはそういう目標を立てられますし、意見が合わないところは原単位でやりましょうと。しかし、ふえるかもしれませんという目標も逆にあるわけです。電子工業界なんかは明らかに、なかなか原単位といったって、それこそディーラーもとったって、それは64メガからいろいろ出てくるわけで、原単位なんてまずはかり切れないからどうするのかなと言いながらも、一応それぞれに目標を立てられるとか、だからこれは自主行動計画の親方をやってますけれども、個々の企業、業種の方々の知恵でこういう漠とした目標になっておる。それが不透明だというふうになるわけですね。
 だから、これは不透明なのかどうかというのは考え方の違いでございまして、今年度のフォローアップからもう少し運輸部門の方であるとか、ホテルあるいはこういう陰性の事業部門の方々とか、そういう方が参加をしていただくわけですけれども、このときのフォローアップの仕方というのはどういうフォローアップの仕方になるのかというのは、これ私は非常に興味を持っておるんですけれども、どうなんでしょう。これは例えばホテル一つとっても 200室のホテルと 400室のホテルでそれぞれ同じ室ごとに原単位を出してくださいとはなかなか言えないでしょうし、レベルも違うでしょうし、こういうのをどういうふうな数字でフォローアップしていただけるかということですね。そういうのが自主行動計画のあいまいさとおっしゃられるとあいまいですし、そういう方たちと協定というものを結ぶとしたらどういうあり方があるのかというのは、これはまた難しいということでございまして、そこら辺はある定量化できないといったら定量化できませんけれども、納得づくでやはりそういうものだなと、それにしては真面目だねというふうに評価していくレベルの問題ではないかというように思っています。これは答えになりましたか。

○安原委員長 それでは、ありがとうございました。
 ほかにございますか。
 それでは、皆様から大変貴重なご意見を数々いただきました。ありがとうございました。
きょうはこれまで環境税につきまして集められるだけの材料を事務局に集めていただきまして提供していただきました。それを踏まえて皆さんから環境税についての検討の視点につきまして、いろいろな角度からのご指摘をいただきました。税制を活用する場合の必要性、有効性を十分検討すべきではないか。あるいは税の仕組みを考える場合、その効果として財源を重視するのか、あるいは価格インセンティブを重視するのか、あるいは使途として一般財源として考えるのか、あるいは温暖化対策にそれを使っていくということをかなり重視した対応にするのか、あるいは一定の場合の減免措置をどうとるのか、それから既存税制との調整が重要ではないかということでいろいろ視点を示していただきました。それから、この環境税が構成の仕方によって経済にどういう影響が及ぶのかという点についても触れていただきました。それから、さらにほかの温暖化対策とのポリシーミックスをどう考えていくのか、外国の事例に則していろいろなご意見を出していただきました。
 そういうことで、きょうのこの事務局に用意してもらった材料、あるいはきょういただいた視点についてのご意見を踏まえまして、次回からこれだけではございませんけれども、環境税も含めてこの中間まとめのたたき台をつくっていただきまして議論することにしておりますので、それに十分反映するようにしていきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、環境税の議論はその程度にいたしまして、もう一つ残っております京都メカニズムにつきましての事務局からの報告をお願いしたいと思います。残された時間はもう少なくなっておりますので、簡潔にお願いいたします。

○地球温暖化対策課課長 それでは、資料2に基づきまして、京都メカニズムについてご説明申し上げます。京都メカニズムはもう既にご案内のように、京都議定書の中に位置づけられた経済効率の高い方法で目標を達成しようという仕組みでございますが、一般的な仕組みのご説明は省略させていただきまして、目次でいきますと3番に京都メカニズムに関連して整備すべき国内制度というのが7ページからございます。そちらをご説明させていただきたいと思います。
 京都メカニズムは議定書に基づく国際制度でございますが、その制度設計はただいまこの7月に向けて国際交渉がなされ、7月でうまくいけば決定されるわけでありますけれども、これを実施するために国内の制度として幾つか整備すべき事項がございます。
 1つは、レジストリーということで、例えばCDMによる認証排出削減量、これの獲得の状況あるいは排出量取引による排出枠の拠点獲得の状況などについて、いわば登録簿を設置するということが義務づけられる見込みでございます。
 それから、国際ルールにおきましては削減目標の遵守の状況を判定するために、約束期間終了後にその国の温室効果ガスの総排出量に見合う量の排出枠を各国の流出に設けるリタイアメントコーナーというところに移して総排出量と相対することが考えられるということでございます。したがいまして、我が国といたしてましてもこうしたレジストリーを整理することが必要だろうということでございます。
 それから、次に9ページでございますが、CDMの事業認証です。CDMはホストとなる途上国における事業であり、国際ルールの制度設計に際して投資国の事業の認証は不要になる可能性がありますが、投資家がホスト国政府と行う協議を円滑に進める上で投資国政府による事業認定が有用であるという意見もあります。したがいまして、国際ルール上の整理とは切り離して、我が国において投資家に対してCDMの候補事業に対する事前認定制度を検討する必要があろうという考え方があります。
 それから、共同実施の事業審査でございますが。共同実施事業につきましては、議定書上ホスト国、投資国双方の事業認証が必要であり、我が国としても事業認証を行う中心機関を指定した上で認証手続を進める必要があるということでございます。
 それから、さらに京都メカニズムに基づく温室効果ガス排出削減企業として我が国において共同実施の事業は実際の可能性も想定して、ホスト国としての排出削減単位の認証方法、基準などについてあらかじめ整備しておくことが望ましい。
 それから、最後でございますが、京都メカニズムにつきましては民間事業者などの法的主体が参加することも前提とされております。しかし、その民間事業者に対して積極的に京都メカニズムを活用していただくためには、そのためのインセンティブが必要である。例えば、キャップアンド・トレードによる国内排出量取引制度を導入して国際的な排出取引と連携させるということも有効ではないだろうかという考え方もございます。
 また、その際でございますが、自主行動計画をベースとした排出量取引も考えられますけれども、この場合、いかにして国際排出量取引との連携を図るかが問題でございますというご意見もあるということでございまして、最後のところは意見めいた話でございますが、COP6の再開会合などにおきまして京都メカニズムの詳細が決まって、いよいよ京都議定書を各国でやっていこうという際に、それぞれの国において今述べましたような事項を整理すると、それもその枠におきましては国内法の中で整理するということになろうかと思います。
以上でございます。

○安原委員長 はい、ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきましてご質問ご意見ございましたらお願いいたします。
 大塚委員。

○大塚委員 今資料2-1はもうご説明いただいたんでしょうか、これはもう終わったんですか。

○安原委員長 これは資料の2ですね。

○大塚委員 これも含めてご質問してよろしいですか。

○地球温暖化対策課課長 失礼いたしました。参考資料の2-1でございますが、民間企業の京都メカニズムへの先行的な取り組み事例ということで、最近幾つかの事例があるということを一覧の形でご紹介させていただいております。

○大塚委員 先ほどの資料2の最後のところと、今の参考資料2-1とを含めての質問なんですが、さらに新聞報道によりますと、アメリカのブッシュ政権では自主的な目標を立てて、それについての排出枠取引を進めるということについて前向きな発言があったと思いますので、それとの関係でちょっとお伺いしたいんですけれども、企業が自主的な目標を立てて、それに基づいて国内的な排出量取引あるいは国際的な排出量取引を進めるということが現実に可能なのでしょうか。例えばイギリスの先ほどから出てきている協定と排出枠取引と税と組み合わせている方式は、2008年以降については絶対量の目標を立てているところしか排出枠取引は国際的にはできないということがうたわれていますが、私は法律家だからかもしれませんけれども、自主的な目標を立ててそれについて排出枠取引を国内的あるいは国際的に進めていくということについて、必ずしもイメージがわかないところがあります。ただアメリカもそれを進めようかということを言われているようですので、現に将来的にこれはひょっとしたら排出枠が京都議定書が発効して決まるということを前提にしてこういう先行的な事例が始まっているのかなというのが私の考えなんですが、議定書が発効しないようなことが仮に起こった場合でも、アメリカのような考え方で自主的な目標に基づく排出枠取引というのは進んでいくのかどうかということについて環境省さんのご意見を伺いたいということです。

○安原委員長 事務局、いかがですか。

○地球温暖化対策課課長補佐 ただいま大塚委員からご質問があった実質的な取り組みと国内排出量取引もしくは国際排出量取引、その組み合わせというのはなかなか難しいのではないかというご質問の趣旨だったかと思います。
 その点につきましては、事務局としましても一つの論点であろうというふうに思っておりまして、実は前回お配りいたしました産業部門における今後の主要な追加的施策のあり方というところで資料1-3というのがございますが、そこの14ページのところにご説明はしなかったんですけれども、実質的な国内排出量取引もしくは実質的な排出量取引については幾つかの課題があるのではないかということで整理をさせていただいておるところです。今ご参考までに申し上げますと、全部で3点ほど課題があるのではないかと考えております。
第1点目といたしましては、排出削減目標について自主的に設定するという形になるわけでございますので、全体で目標を達成したとしても、このように自主的に目標が設定されているわけでございますから、どの程度本当に削減につながるかというところはなかなか難しいのではないか。
 2点目といたしましては、排出量取引制度については排出量が排出枠を下回れば余剰分を売れるということになるわけでございますが、そうしますと排出枠について自主的に設定するということになりますと、非常に緩い目標を設定した事業者であればあるほど売れる排出枠の部分がふえるという逆インセンティブが起こってしまうという課題もあるのではないか、これが2点目でございます。
 第3点目といたしましては、排出枠というものにつきましては土地のようなものと異なりまして、目に見えないものでございますので、それでもあるにもかかわらず売買可能であるというものとして整理されておられる。したがって、取り引きされる場合にどのくらいが排出枠が生じているのかということについて、客観的に信頼性のある形で見えるようになっていることが必要なのではないか。自主的な制度でいった場合に、この客観性、信頼性、実際に当の事業者がどのくらいの排出量を減らして、その結果どの程度排出枠が生じているのかということについて、客観的に信頼できる形で検証できるような仕組みをつくることがまた一つ課題であるのではないかということを考えておりまして、以上3点課題があるのではないかと認識しております。
 ただ、こういった課題を踏まえまして、実際にどのような制度というか、そういったものがあるのかどうかも含めて、どういうあり方があるのかということにつきましては、委員の皆様方からのご意見もいただきながら、事務局としてもその案を考えていきたいと考えております。

○安原委員長 どうもありがとうございました。
 福川委員。

○福川委員 この制度設計をどういうふうにするかというのは、実は私もなかなかイメージがわかないんですが、ここで共同実施と言い、あるいは排出量取引と言い、CDMと言い、一つにはなかなかある枠の配分だとかレジストリーだとかというようなことをすることが非常に今の経済、企業の実地の方から見ると非常に反発が強いということもありますのと、それからもう一つは今WTOが今度うまく発足するかどうかわかりませんが、自由貿易でここは多分サービス取り引きになるんだと思いますが、そこではより自由な形にしていこうという話になっていくわけなんですが、ここで事前認定だとかいうのはどの程度行政介入になってきて、ただこれは通告みたいな形ですっといけばいいのか、あるいは若干そこにある判断が加わるのか、ここのところがなるべくこのまま企業は自由がいいという形になる、しかしまたそこは運用はきちんとしないといけないということなんですが、行政が介入をできるだけこれを少なくしようというのが世界の通例ですから、実効を確保しながら何かそういうレジストリーだとか事前認定だとかという形はなるべく負担がかからないようないい制度設計ができないだろうかというのが、実は私も一生懸命考えているんですが、なかなかうまく思いつかないんですが、考えるときにはできるだけ手続を簡素なものにするという前提で制度設計を考えないと当事者から反発が起こってしまう。ここのところが難しいので、私も考えているんですけれども、なかなかいい知恵がなくて悩ましいのですが。何かそこのところをもっと簡素化するようないい方法があればご意見等賜っておくとありがたいと思います。

○安原委員長 ありがとうございました。
 横山委員。

○横山委員 資料2の9ページの共同実施の事業審査ということでちょっとお尋ねしたいのですが、よく言われているのは、日本の産業界でも省エネが進んで、もうほとんどやることないんだと、世界でも一番省エネでは進んでいるんだということをよく言われているわけですけれども、排出削減事業として日本で共同実施を行うというようなケースは例えばどんなものがあるのか、もしそういうものがあるとしたら、投資国なんかが出てくるのを待たずに今すぐにでもやっていいことではないかと思うんですが、どんなことを想定なさっているのか、ちょっと教えていただけますか。

○地球温暖化対策課課長補佐 具体的にどういう事業があるかということよりも、一応制度設計でございますので、当然制度設計に当たりました国々でそれが実施される場合もありますので、そういう意味で書かせていただいております。当然、これは日本政府がホスト国となる場合と書いてありますが、逆の場合、投資国となる場合も含めての図でございます。下の方にちょっと注意書きしてあると思うんですけれども、具体的に日本でそのままホスト国となる場合があるかというと、多分具体的なものを想定して書いているわけではございません。ただ、制度でございます。

○安原委員長 寺門委員はいかがですか。

○寺門委員 排出権取り引きのイメージもなかなか私はわからないんですけれども、少なくとも国をまたがって排出権取り引きというのが京都議定書で議論をされている。そういう場合に、国のオーバーフローしたものをどうするかというときには、これは国ということだからある程度わかる。その中の構成というのは何だというと、いろいろ分けられますが、産業、電気、もちろん自動車まで分けられる。だれがそれを負担してそれは責任がどういう負担だったのかと、こういうところまでずっと砕いていかないと、今ここには例は経済活動といったらおかしいですけれども、経済活動している人たちは先々何か起こるのではないかということで、多分これは練習のためにおやりになっていると皆さんおっしゃっているので、多分練習なんでしょうけれども、先行的というのと、要するにゲームとして部屋の中でマージャンやっているのに近いということなのか、ちょっとここら辺は相当ご自由ですからどんどんやっていただいて結構ですけれども、余りそれをまだ不確かだと私は思いますけれども、見えたものではないという程度の例だと皆さんが何を考えているのか、私はこれは大変興味深く思っております。
 経団連もかつてこういうことを勉強したことがありますけれども、勉強は大いに結構だけれども、最近実際にテーブルを囲んだ人が出てきたと、マージャンをこそこそしているのではなくて出てきたということだけは非常に興味を持っておりますが、これがどういう発想でどういうあれかというのは、何かお聞きになったことはありますか。例を書くときに何かヒアリングされましたか。ぜひそれもやっていただければ参考になりますので、ぜひ聞きたいと思います。こういうふうに書いてあることだけじゃなくて、何の目的というか、どういうことをねらっているというか、何を期待しているのか。

○地球温暖化対策課課長補佐 各委員の方々に若干お話を伺ったことがありますが、私の聞いた範囲では、当然将来はそれなりの制度に変えるかもしれない、当然そういうふうに見越していますという話も一つ、あと関係者の方からしてもその環境についても興味を持っていますので、すべて環境にいいことをしたいという意味で取り組んでいるという話は聞いたことがございます。

○安原委員長 浅野委員。

○浅野委員 資料2で書かれていることで、特にきょう事務局からお話があったのは、必ずしもシミュレーションの話ではない。京都議定書、京都メカニズムが動くとすれば国内的にはどういう措置を講じなければいけないかということで出されている資料なわけですね。これはこれ自体何をしなきゃいけないかというのは大体イメージがわくわけです。
 それで、差し当たりまず先ほどの自主的な枠を決めておいて、それで排出権取引というようなことも含めて同じような問題が出てくるんだと思いますけれども、ここで例えば9ページのこれは実際に起こるか起こらないかは別として、ともかく仕組みとしては考えておかなきゃいけないということですから、ちゃんと考えなきゃいけないと思うんですけれども、9ページの4の削減量の認証というこのシステムをどういうことを基準にして、どういうふうにして認証するのかという、その具体的な認証の技術的なあり方みたいなものというのは、これは非常に興味があるんですね。これがある合理性を持ってできるのであれば、それは多分国内政策にもそのまままた使えるわけです。だから、こういう検討というのは決してむだではないわけですから、それを政府がやるかどうか、政府の責任においてどこかの民間の団体がちゃんとやるならそれでもいいわけだし、だれがやるかということは幾らでも制度設計できるわけですから、福川委員もいろいろ考えられるとおっしゃったんですが、現にISOなんていうのは完全に民営でやってて、それで信頼性があるわけですから。要は信頼があるかどうかの問題です。別に何も政府だけがやる必要ないのであって、どこでやってもいいわけですから、何が信頼性があるかということが、ひとえにかかって重要であってそこの技術的な枠組みをきちっと、みんながそうだと思えるようなものをつくれるかどうかなんだと思うんです。これは決してむだな話ではないわけですから、我々も考えなきゃいけないんでしょうけれども。ぜひ事務局は、この辺のところは言いっ放しではなくて、ちゃんと考えて何か出していただきたいと考えます。

○安原委員長 それでは、小林委員。

○小林委員 1点だけなんですが、自主行動計画、今ちょっとがありました二、三の業界ではちゃんと削減がされている、これは間違いないと思うんですが、経団連のトータルとしてはふえているんですよね。だから、ふえていることに対して政府として6%削減ということに対してだれが責任とるんだ。ですから、自主行動計画で今後進めていくのであれば、そこの責任をだれがとるのかということが明確でないといけないのではないか。
 これは前提なんですが、と言いながら、先日もちょっとほかのところの議論であったんですが、自主行動計画を進めていく、業界がそれでいくという中で京都メカニズムを個別企業が行うのは理屈に合わない。どこかで配分枠または割当枠というのが出てこない限り取り引きというのは成り立たないわけですよね。そう考えてくると、先ほど寺門委員の方からは意味がわからんと言われた資料2-1にあるこの3つの例、これは産業界の方がやっておられるわけですが、この産業界の方々は逆に言うと将来的に自主行動計画ではなくて割当枠また配分枠が出てくるということを想定してこういう行動をとられているのではないかと考えた場合、自主行動計画とは何ぞやというのをもう一度議論し直す必要があるのではないかなと思います。

○寺門委員 最初に自主行動計画がふえているというのは誤解だと思いますので、ちゃんと公表しておりますので、今のところはほぼ横ばいといいますか、押さえ込まれているという実績でありますし、トータルとしてもいつも産業界の人が出ていっていると思いますので、産業部門ですね。電力部門については、これはなかなか難しい問題があって、これは今後非常に原子力等の計画が崩れてきたということもありますから、今後はかなり厳しい状態になってくる。しかし、産業部門の場合、それを除いた産業部門は少なくとも自主行動計画の目標に沿っていっているということだけご理解していただきたいと思います。それはちゃんと公表いたしておりますので、ごらんいただきたいと思います。
 今後もそれはかなり経済情勢によりますけれども、分析しながらそれはちゃんと努力の成果であるのか、あるいは経済の変動であるのかということは、昨年から始めましたので、それは常に追跡しながら、フォローアップしながら、努力が足りないのであればそれは努力をしていただくということを声を大にして、それぞれ取り組んでいただいている人に呼びかける。その結果を常にフォローしていく、こういう仕組みでございますので、そこのところはよくご理解いただきたいと思います。
 これは強制ではありませんで、あくまでも警告を発しつつみんなが努力していくという取り組みでございますので、先ほどの税金で効果が出るのか出ないのかというよりは僕は効果があるというふうに考えていますので、よろしくお願いいたします。

○安原委員長 予定の時刻が参りましたので、本日の議論はこれまでとしたいと思います。
 長時間にわたりまして熱心なご討議をいただきましてまことにありがとうございました。
 それでは、次回でございますが、お手元にございますとおり、6月22日、2時半から6時ということで、当会館の扇の間で開催が予定されておりますので、ご出席をよろしくお願いいたします。
 それでは、本日はどうもありがとうございました。

午後6時02分閉会