中央環境審議会地球環境部会(第96回)議事録

1.日時

平成23年10月7日 9:30~12:11

2.場所

大手町サンケイプラザ3階「301~304号室」

3.議事次第

  1. 1.東日本大震災を踏まえた今後の低炭素社会に向けた方針について(2)
  2. 2.今後のスケジュールについて
  3. 3.その他

配付資料

資料1
前回地球環境部会での主な御意見について
資料2
中長期の温室効果ガス削減目標を実現するための対策・施策の具体的な姿(中長期ロードマップ)(中間整理)の取りまとめにあたり、各ワーキンググループから提示された「現状と課題」、「目指すべき社会像」、「中長期的な目標」、「対策・施策等」
資料3
環境基本計画の見直しに係る重点分野「地球温暖化対策」について
資料4
今後のスケジュール
参考資料1
第3回エネルギー・環境会議資料
参考資料2
第1回総合資源エネルギー調査会基本問題委員会資料
参考資料3
第四次環境基本計画策定に向け、「地球温暖化に関する取組」で記載すべき内容について
参考資料4
各電力会社のピーク電力・電力需要の変化
参考資料5
前回ご意見等いただいた事項について
参考資料6
平成24年度 環境省重点施策

議事録

午前9時30分 開会

○地球温暖化対策課長
  それでは、定刻でございますので、ただ今から中央環境審議会地球環境部会、第96回会合を開会いたします。本日、委員総数36名中、既に過半数の委員にご出席いただいておりますので、定足数に達しております。また、今日は総政部会から4名の委員の方がご出席予定でございますので、ご紹介させていただきます。岩村委員でございます。木下委員でございます。山本委員でございます。善養寺委員は、ちょっと遅れていらっしゃるようでございます。本日の審議は公開とさせていただいております。では、以降の議事進行について、鈴木部会長にお願いいたします。

○鈴木部会長 
それでは、議事に入らせていただきたいと思います。本日は、2時間半という時間を通してやります。基本計画の見直しに向けまして、特に重点的な大事なテーマを今日はご議論いただくことになっております。まず、議事に入ります前に、事務局の方で配付資料の確認をお願いいたします。

○地球温暖化対策課長
  それでは、お手元の資料をご確認させていただきますが、議事次第のところに配付資料としてリストが載っておりますけれども、資料1が、前回部会での主な御意見について。資料2は横になっておりますけれども、いわゆるロードマップの昨年の成果でございます。それから資料3。これも横1枚ですけれども、環境基本計画の見直しに係る重点分野「地球温暖化対策」について。それから資料4、A4縦1枚でございまして、今後のスケジュール。それから、参考資料でございますが、参考資料1が、第3回エネルギー・環境会議の資料。参考資料2が、第1回の総合資源エネルギー調査会での資料。参考資料3が、第四次環境基本計画策定に向け、「地球温暖化に関する取組」で記載すべき内容について。それから、参考資料4が各電力会社のピーク電力・電力需要の変化。参考資料5が平成24年度の私ども環境省の重点施策となっております。過不足がございましたらお申し出いただきますようお願いいたします。

○鈴木部会長 
宜しいでしょうか。では、まず議事に入ります前に、事務局から報告事項がございますので、それを最初にお願いいたします。

○地球温暖化対策課長 
前回まとめていただきましたご提言に関連いたしまして、今日は参考資料5でお配りいたしております環境省の重点施策を簡単にご説明いたします。参考資料5をご覧ください。目次の次に、一番下に1ページと書いてあるところ、ページが横になっておりますが、「平成24年度環境省概算要求・要望の概要」ということで、全体像、金額がここにございますけれども、新聞等でご存知のように、一般会計、非公共については、10%一律削減といったような措置がございまして、ここでいきますと、例えば、一番上の表の「(非公共)一般政策経費」のところについては、概算要求額924億円とあります横に、対前年度比が約1割減ということになっております。その一方で、その区分について1.5倍の「特別枠」要望額というのがございまして149億円を要望しております。また、青天井と呼ばれておりますけれども、復旧・復興要求額として8538億円といったものがその隣に並んでおります。それが全体像でございます。ご提言に関します関連部分についてだけご説明いたしますので、ちょっと飛びますけれども、7ページをお開きください。六番の東日本大震災の教訓等を踏まえた持続可能な社会の実現ということで、再生可能エネルギー等の大胆な導入による低炭素型の地域づくりといたしまして、災害に強い環境先進地域(エコタウン)を構築するためのグリーンニューディール基金を活用した地域再生可能エネルギー等を利用する自立・分散型エネルギーシステムの導入を支援するということで、主な予算措置にございますように、グリーンニューディール基金について236億円ということで、新規で挙げさせていただいております。また、内容的には細かなお話ですけれども、50億円で東日本大震災復興に係る自然冷媒冷凍装置。これは津波等で流されました民間の保冷倉庫などについての支援でございます。それから、節電リフォーム推進エコポイント事業といたしまして44億5,000万円ということで、これについては、三次補正で723億円ということで既に積ませていただいておりますけれども、本予算でも、復旧・復興については、こういった形で要求させていただいております。主なものということで、次に参ります。次の8ページでございますけれども、持続可能な社会づくりの重点施策の中で、低炭素社会の構築を始めとした持続可能な社会の実現ということで、1の(1)で地方公共団体等による省エネルギー・再生可能エネルギー推進の取組の促進ということで、主な予算措置としまして、先ほどのグリーンニューディールの再掲というものを載せさせていただいております。また、従前からやっております地方公共団体実行計画実施推進事業等々を再掲させていただいております。9ページ目に参りますと、政府と一体となった低炭素社会実現に向けた取組の推進ということで、(2)、(3)あたりで、各省の連携事業としていろいろな施策を要求させていただいておるところでございます。また、9ページの(4)のところでは、震災の教訓を踏まえた費用効率的な低炭素投資等の推進ということで、主な予算措置として、先進対策の効率的実施による業務CO2排出量大幅削減事業でありますとか、節電・CO2削減の構造分析・実践促進モデル事業ということで、部会の中の議論でも、今年の夏の節電の状態をよく解析してというお話がございましたけれども、そういった予算も上げさせていただいております。また、従来からのエコ診断、ポテンシャル確認等も挙げさせていただいておるところでございます。主要な部分は以上でございます。

○鈴木部会長 
宜しいですか。これに関しまして特に何かご質問ございますでしょうか。もし宜しければ、後でいろいろと議論いただく時に併せてご質問いただければと思います。それでは議事に入らせていただきたいと思います。本日は議事次第にあります通り、議題が2つ設定されております。1つ目は、東日本大震災を踏まえた今後の低炭素社会に向けた方針について、これは継続的に審議いただいているもの、2つ目は今後のスケジュールということ。主要な議題は議題(1)東日本大震災を踏まえた今後の低炭素社会に向けた方針について。これに入りたいと思います。議論に入ります前に、資料1から3の説明を事務局からお願いいたします。

○低炭素社会推進室長 
それでは、資料1、資料2、そして資料3に基づきましてご説明いたします。まず、資料3をご覧いただきたいと思います。こちらにつきましては、現在、作業が行われております環境基本計画の見直し作業の全体像を示したものでございます。流れといたしましては、一番左の四角囲みのところに現在の環境基本計画、第三次のものでございますが、その概要を書いております。構成といたしましては、1から5ということで表題が書いております。
 1として現状と課題。その中では、科学的な知見、また国際的な対策、そして国内における対策というものが挙げられている構成になっております。大きな括り2つ目としましては目標ということで、こちらは究極の目標から始まりまして、中長期の目標、そして当面の目標という3本柱になっております。3つ目の括りといたしましては、これらを実現するための施策の基本的な方向というものを大きく2つ掲げておりまして、1つは、京都議定書の6%削減約束の確実な達成をするためのプロセスというもので、PDCAなども伺いたいというもの。また、(2)といたしまして、それを超えて、さらなる長期的、継続的な排出削減をするための考え方が4つ取りまとめられているものでございます。また、大きな4つ目といたしましては重点的取組事項といたしまして、国内対策、国際的な連携、この2つに分けて詳細に記載しているということです。最後、5番目といたしまして、取組推進に向けた目標ということで、取組全体の目標と、個々のCO2排出などに関する目安、こうしたものが書いてあるというのが現状の環境基本計画になってございます。
 これを、今年から作業を始めまして、来年に改定していくというスケジュールで作業が進められておりますけれども、こちらにつきましては、前回からの状況変化、また、中間審の総合政策部会でご議論いただき、中間取りまとめがされた改定に関してのポイント、こういったものを踏まえて第四次の環境基本計画をつくっていく流れになっているというものでございます。
 前回からの状況の変化ということで、重立ったものを黄色の四角でまとめておりますけれども、地球温暖化の影響の顕在化、また深刻化というものから始まりまして、IPCCなどで科学的な知見がどんどん集まっているということと、国際交渉が進展をしているということ。日本といたしましては、東日本大震災、また原発の事故があり、そういったことによりまして電力需給が非常に逼迫しているということもございます。また、これらを受けまして価値観が大きく変化してきているということもございます。京都議定書の第一約束期間の排出量の変化、また取組の実績、こういったものも出つつあるということであるとか、社会経済情勢が大きく変化しているということで、人口、GDP、また資源、エネルギーを巡る様々な状況が変わってきているということ。また、経済の中でいきますと、グリーンニューディールということで各国が政策を打ち出しているということが大きな変化ではないかと思います。また、第四次の計画をまとめるにあたってのポイントが下の緑の囲みで書いておりますけれども、国際情勢に的確に対応した戦略をもった取組を強化していくという視点。また、持続可能な社会の基盤となる国土・資源の維持・形成が必要であるということ。地域をはじめ、様々な場における多様な主体による行動・協働、こういったものを促進する必要があるということ。国際的に全ての主要国が参加する公平かつ実効性のある国際枠組みが必要であるということ。CO2、温室効果ガスでいきますと、地球規模での大幅な排出削減が必要であるという共通の認識。また、低炭素社会を構築するための国内での各種対策を切れ目なく実行するということの必要性。また、既に避けられなくなってきている気候変動の影響に対し、適応策を実施していく必要があるということが取りまとめられております。
 こういった状況の変化、また視点を踏まえまして、右のところでございますが、第四次環境基本計画が策定されているということでございます。構成といたしまして、総政部会から説明されておりますのが1から4ということで、これらについて、特に地球温暖化部分に関しましては本地球環境部会でご議論いただきたいということでございます。  表題といたしましては、1としまして、これまでの取組状況と課題を整理するということ。2といたしましては、中長期的な目標をどうするのかということ。3といたしまして、施策の基本的な方向づけについての記載。最後に、4といたしまして、取組の推進に向けた指標及び具体的な目標を記載しているという構成になっております。この内容をどうするのかということをご議論いただいておるというのが、全体の俯瞰になってございます。第四次の計画にインプットするということから、前回、前々回にご議論いただいたというのが資料1で取りまとめておりまして、これを基本計画の構成に従いまして整理し直したものが資料1の部分でございます。
 前回ご議論いただいたものについては、本日ご紹介を申し上げまして、さらに課題、論点などをお出しいただき、次回以降、それを踏まえまして事務局でたたき台を準備したいと考えております。また、前回ご議論いただいた後、書面でのご意見の提出もお願いしてございまして、こちらにつきましては参考資料の3で取りまとめておりますので、後ほどご議論いただく際には、この資料も活用いただきながら、さらにご議論いただければと考えております。
 では、資料1に基づきまして、前回の地球部会でいただきました意見を整理し直したものでございます。まず、議論の前提ということで、全体にかかる部分について1ページ目から始まっております。1つ目の「マル」といたしまして、震災、また原発の事故によりまして、生き方、ライフスタイル、また産業構造、国の構造、電力の供給・需給のシステム、こういったものを見直す機会になったというご指摘。2つ目の「マル」といたしまして、気候変動を可能な限り抑制しながら、豊かさとは何かということを考えていくことが求められているとなっております。3つ目、4つ目につきましては「安全と安心」ということについてのご指摘もございました。それが全体的なことでございますが、基本計画の1つ目といたしまして、これまでの取組状況と課題という部分でございます。まず、地球温暖化に関する科学的知見に関しましてのご意見でございますが、1つ目の「マル」としまして温暖化の問題、これは非常に深刻な問題であるということをもっと記載する必要があるということでございます。2つ目といたしまして、2000年代に入って年間2ppmもCO2濃度が増加している。非常に危険な状況であるというご指摘。3つ目の「マル」といたしまして、気候変動の問題をどんどん後送りにするという感じになっているということでありますが、着実に温暖化は進んでいる中で、後送りすればするほど、後で気候の安定化をするのが非常に難しくなってくるというご意見もございました。また、1ページ目の下でございますが、熱中症など温暖化の影響は確実に出ているということで、CO2の削減を確実にやっていくために目標を達成すべきだというご指摘もございました。続く2ページ目には、中長期的な目標に関してのご意見をいただいております。
 まず、長期的な目標に関しましては、2050年に80%を削減するという目標をきちんと書いていくべきだということ。また、2つ目といたしまして、共通理解できるという話と、2050年に80%削減ということ。また、3つ目、4つ目に関しましても、維持すべき、是非堅持すべきというご意見をいただきました。続く中期目標に関しまして、1つ目でございますが、2020年に25%削減するために、どういう施策が必要なのかというのをきちんと書くべきだというご指摘。
また、2つ目の「マル」といたしまして、2020年25%というものに関しまして、脱原発の道を歩んでいくという話であれば、当初は難しいけれども、達成は可能だというご意見。また、3つ目といたしましては、目標を下げて別の目標にするか、または強化すべきか、ということをしっかり議論すべきということ。4つ目といたしましては、温暖化の対策についてはゼロから見直すべきであるというご指摘もございます。5つ目の「マル」も、同様のことが書いてある。また、一番最後のところですが、中期目標に関しましては、実現可能な、地に足のついたものにしないといけなというご指摘もいただいております。2ページ目の下でありますが、施策の基本的な方向性という部分に関しましてのご意見でございます。まず、エネルギー政策と温暖化政策の一体的な検討ということに関しまして、1つ目の「マル」でありますけれども、エネルギーの政策、そして温暖化の政策に関して、統合する理念と目標を明確にして、統合を考えていく必要があるというご指摘もございました。また、そういった面でいきますと、3ページ目でございます。環境基本計画とエネルギー基本計画の場、こういったものを共同の会議で一体的に議論するべき、また、エネルギー政策とは表裏一体であるということから、一体的な検討が必要であるということ。また、4つ目といたしましては、スケジュールの面でいきますと、タイミングに齟齬があるのではないかというご質問もございました。その次に関しましても、エネルギー基本計画との一体的な議論が必要である。また、原子力がゼロの場合も含めてどうするのかということで、電力ネットワークがこれまでの仕組みでいいのかなどの議論が必要だというご指摘もございました。それと、エネルギー基本計画の見直しについては、エネルギーの安全性、供給安定性、コストといったもの、そして、それが及ぼす企業の国際競争力への影響、国内の雇用といったものを考慮して決める必要があるということ。最後といたしまして、化石燃料への依存が当分進むということになって、CO2の排出削減にとっては厳しい環境になるというご指摘もございました。
 長期的、継続的な排出削減ということに関しましては、1つ目、2050年のターゲットを明確にした上、そのためのロードマップを考えるということが必要である。2つ目といたしましては、日本がきちんとした目標を示すこと、2050年80%であるとか、中間的な目標、また、2030年の目標というものをきちんと示すことが、日本の内外にとって非常に重要であるというご指摘もございます。また、ヨーロッパの国々、先進的な国に関しましては、経済成長とエネルギー、CO2という関連をデカップリングしていくということですので、このままでいくと日本が潮流から取り残されていくというご指摘もございました。また、2050年までの中間過程でどう考えていけばいいのかということで、そういったことになりますと様々な考え方があり得るというご指摘もございます。目標を達成するための施策については、実現の可能性、国民負担のレベル、産業界への影響、雇用への影響、こういったものを十分に検証して、国民に分かりやすく提示し、国民各層の理解を得ることが必要であるというご指摘もございました。4ページ目でございますが、成長とCO2の削減のデカップリングをするという考え方をきちんと入れて議論すべきだというお話もございました。
 続く、京都議定書の第1約束期間6%削減約束の確実な達成についてのご意見もありました。
1つ目といたしましては、第1約束期間の最終的な数字はかなり厳しいものになっていくだろうということで、それを踏まえながら、こうした状況も踏まえながら議論する必要があるということ。2つ目といたしましては、この6%削減約束に関しましてはフォースマジュール的な発想というのも必要ではないかというご指摘もいただいております。
 続く括りといたしましては、街づくり、地域づくりということに関連してでございます。1つ目といたしましては、地方公共団体は意欲的な実行計画をつくって、環境未来都市に向けて意欲的な取り組みをしている市町村も現れてきているという状況。また、コンパクトシティというのは非常に重要なコンセプトだということでありますが、震災後の方向性というのは明らかだけれども、土地所有の問題が非常に大きいというご指摘もございました。省エネルギー、節電等によるエネルギー需要の削減ということにつきましてもいただいております。1つ目の「マル」といたしましては、これまでエネルギー供給側が、安全で安心・安定的な供給体制をつくっているということであったわけですが、これからの話としては、需要側も、どんどん使うということであった形を見直す必要があるのではないかというご指摘もございます。また、供給が非常に不安定になったので、需要できちんとした方策を、この環境基本計画に入れていくべきだということ。また、3つ目といたしまして、この夏の節電・省エネに関わる取組というのが非常に大きな取組であり、貴重な経験であったということですので、この内容につきまして徹底的に分析・検証していく必要がある。この貴重な経験を我々の知恵に変えて、それを普及していくことが必要だというご指摘もございました。エネルギーにつきましては需要のことを扱うべきだということ、そういった面でいくと、需要と供給の調整の仕組みの問題であるとか、システムの再設計が必要であるというご指摘もございます。最後のところでは、節電、節エネルギーによって、絶対量の削減の方向に持っていく必要があるというご指摘もあります。5ページ目でございますが、結局、電力の話ですが、電力消費量、エネルギーの需要を減らしつつ、減らす部分に大きな産業をつくっていく必要があるということで、グリーン・グロースの方向性に世界はある。また、この夏の節電の効果をきちんと分析し、電力の需給側が、この冬、また来年の夏、本当にどうなるかというのを明らかにしていく必要があるということ。それと、日本が得意とする技術、省エネに関しまして、産業界がいかに省エネに貢献しているかというのをきちんと明記していくべきだということがございました。また、節電に関しては、節電革命と呼ばれるような大きな効果があったということで、15%削減が続いても耐えられるような企業を日本に残ってもらうということが、日本の産業の改革にも役に立つ、また、日本の再生にも役に立つというご指摘もございました。また、ソフトの努力に長期間依存するというのは持続性からいくと難しいというご指摘もございます。また、ライフスタイルの転換など個々の人の行動様式の変化に、政策的に過度に期待するのは避けるべきだというご指摘もございました。人口も減り、GDPも減っていくということでありますけれども、成長戦略というのは非常に重要、成長のためにエネルギーを使わざるを得ないということなので、その場合には環境政策はどうあるべきだということを考える必要があるというご指摘もありました。5ページ目の下でございますが、原子力発電、再生可能エネルギーに関してということでございます。1つ目といたしましては、エネルギーのセキュリティーという観点が重要だということで、原子力についても、安全性をしっかり確保した上で、今後とも有効活用を図っていくことが必要だというこういうご指摘。また、最後でございますが、人の健康、生態系に対するリスク、こういったものが十分に低減され、安全が確保されることを前提に統合を図っていくということが重要だというご指摘ともございました。6ページ目でございますけれども、地震の話、また津波を含めて十分に考慮して原発については考えるべきであるというご指摘。あとは、今回の震災で原発の新増設というのは困難になったということで、再生可能エネルギーの普及によってエネルギーセキュリティーを高めていく姿勢が必要だということ。あと、現行のエネルギー基本計画については、原子力発電30%弱を、将来的には50%を超えるものにするということが記載されておりますが、今回の事故でそれが困難になったという状況。また、再生可能エネルギーにつきましては、エネルギーセキュリティーという観点と、低炭素社会を構築するという両方の観点があるというご指摘もございました。あと、地震国である日本が多くの原発を抱えるということに関してのご指摘もございまして、段階的に廃止していくべきで、今後は原子力に頼らず、再生可能エネルギーと節電、省エネ、こういったもので達成していくという方向性を打ち出すというご指摘もございました。続くところが、革新的技術開発ということに関してでございます。例えば、CO2から化学物質をつくっていくという触媒を探す研究など革新的技術開発に投資して支援していくべきというご指摘もございました。森林吸収源、バイオマス資源の有効活用というご指摘もございました。森林の役割というのは非常に大きいということで、国内の自給率向上により林業を活性化して、吸収源を活用すべきだというご指摘。また、森林バイオマスの有効利用を考えると、林業がきちんと動いているということが必要であるということで、土地所有の問題などのご指摘がございました。これまでの削減努力、吸収源努力でありますが、続くところが、避けられない影響への適応策ということでございます。もう既に影響が出ているということで、適応策が非常に重要になってきているということでございまして、具体性を持って計画に書き込むべきだというご指摘がございました。続く7ページ目に関しましては、新たな国際枠組みの検討ということで、国際交渉関連について取組であります。 1つ目に「マル」でございますが、ポスト京都の枠組みについても、流動的ではあるが、戦略的にどうするのかということについて、しっかり議論すべきということ。2つ目といたしましては、第1約束期間が終わる中で、早く国際的な合意を形成すべきだというご指摘。また、新しい国際間の枠組みを決める際には、フォースマジュール条項というものを入れるべきではないかというご指摘もございました。国際的な連携の確保ということについては、特にアジアの途上国につきましては、CO2、エネルギー消費が今後膨大になるということで、これに対応して、きちんとした知的支援などを行っていくことを明示すべきだということ。CO2の削減の場を国内での削減にフォーカスし過ぎということで、地球規模での削減という視点も必要であるというご指摘もございました。国境を越えて日本が技術で貢献するということを評価できるような仕組みを構築していくことが必要だというご指摘もございます。7ページ目の下、全ての主体の参加・連携ということでございます。1つ目といたしましては、多様な主体の行動・協働の推進、こういったものが重要だということ、また、情報の提供というのが重要だということで、国の施策という部分と、自治体、国民、事業者という、それらの関係が従来の形を超えられていない課題もある。あと、オーフス条約にまとめられているような視点も入れていくべきではないかということ。国が明確な法規制であるとか政策の方針を定めて、主要な排出者である事業者に対して枠組みをかけ、何らかの支援が必要であるというご指摘もございました。最後に、8ページ目になりますが、多様な政策手段の活用、ポリシーミックスということで、横断的な施策については、継続的に検討を行っていく必要があるというご指摘もございました。以上の部分が、前回の会議におきましていただいたものであります。9ページ目以降は、その前にいただいた意見を取りまとめたものでございますので、本日の議論をさらに溶け込ませて意見を整理した上で草案を形づくっていきたいと考えております。 
以上が資料1でございますが、続く資料2でございます。そういった面でいきますと、昨年末日までご議論いただきまして、各分野、詳細に対策・施策についてご議論いただいたものが資料2でございます。こちらにつきましても、震災の影響を受ける部分、受けない部分についての仕分けを小委員会で行い、また、本部会に報告させていただきたいと思っております。特に、昨年まとめた際にも、様々な状況変化などについてまとめた部分もありますので、簡単にご紹介いたします。
 5ページ目のところでございますが、こちらにつきましては、マクロフレームWGで2050年を議論する際に、様々な課題、そういったものをまとめたものでございまして、2050年における危機の想定というところで、昨年末におきましては、この下にありますけれども、高齢化、労働力不足による活力の低下であるとか、新興国の台頭と国際競争下での失速など、あと、資源の制約、こういったものを前提に議論の必要がある。また、それらが負のスパイラルをもたらす可能性があるという指摘もあるというものでございます。これらに対応して、どのような対策を考えていくのかということが、7ページ目のところにシナリオコンセプトという形で、これはあくまでも議論が進んできたということで、選択肢をつくっていくということから、大きく3つの観点を考えるべきだということで、吹き出しになっておりますが、どのような発展の方向性を志向するのかということ、また、何によって経済成長を達成するのか、どこで製造するのかと、こういった視点を用いながら、目指すべき社会を5つ掲示してきたということでございますが、こういったアプローチが今後また、このままでいいのか、また、視点を新たに加える必要があるのかということをさらに議論を進め、ご報告を申し上げたいと思っております。ものづくりWGに関しましては、若干飛びますが18ページ目でございます。18ページ目は住宅・建築物WGでございますが、こちらに関しましては、現状と課題というのを整理しつつ、長期目標に向けてのキーコンセプトというのを立てまして、提示したということであります。大きく3つ提示しておりますが、ゼロエミッション住宅・建築物というものを普及させるというキーコンセプト、また、住宅群、建築物群という、単体ではなくまとまった形での省エネの推進が必要ではないかということ。また、環境基本性能などの「見える化」、情報の開示ということが必要ではないかということをキーコンセプトとして提示しておりましたけれども、これについても、議論を新たな視点でしていく必要があるのだということでございます。そういった面でいきますと、具体的な施策といたしましては、23ページ目の住宅のところでございますが、環境基本性能基準といったものを設定したり義務化したりということであるとか、経済的な支援、また、中小工務店の技術力の向上といったことが主な施策としてワーキンググループでは提示されているということです。また、震災等を踏まえた視点で考えるということになろうかと思います。続く自動車関係につきましては、28ページ目でございますが、同じような工程といたしまして、現状と課題を整理しつつ、コンセプトを3つまとめていくということで、1つ目としましては、全ての車格、要素におきまして、優れた環境性能を有する次世代自動車を導入していくということ、また、環境負荷に応じたきめ細かな税制等による支援策、こういったものによって燃費の改善を促進していくというコンセプト。そして、エコドライブ、カーシェアリングといった使い方の管理という視点が示されております。これらを具体的にする施策といたしましては、32ページ目に取りまとめられておりますけれども、次世代自動車の購入支援、インセンティブの付与、また、電池の開発と、こういったものが掲げられているというのが昨年末の議論でございました。続く地域づくりに関しましては、41ページ目でございますけれども、具体的な施策といたしましては、その一番下でございますが、分野横断的計画を策定していく必要性、また、制度的なインセンティブを付与する、資金調達を円滑化するための仕組み、こういったものが政策として掲げられているものでございます。続くエネルギー関係につきましては、若干飛びますが59ページ目でございます。こちらにつきましてはゼロエミッション電源の実現に向けた再生可能エネルギーの普及という観点からの施策でございますが、1つ目の固定価格買取制度、こちらにつきましては法律ができたというところでございますが、2つ目、こういった事業に関しまして金融リスク・負担を軽減していくための仕組み、また技術開発を促進していくための仕組み、そして、スマートグリッドの整備、進化と、こういったものが主な政策として掲げられていたというものでございます。
 以上が、昨年末の段階で取りまとめられたものであるということでございますが、いただきましたご意見を踏まえつつ、さらに進化させていくというのが今後の流れになっていくかと思っております。資料2は以上でございます。
 あと、参考資料の部分で、現在の政府全体での流れについて、簡単にご説明申し上げます。まず、参考資料1でございますけれども、月曜日、3日に行われましたエネルギー・環境会議の第3回の会合の資料をつけさせていただきました。議題といたしましては3つでございまして、今後、来年の夏に向けて、革新的エネルギー・環境戦略を策定していくということでございますが、これまでの議論と今後の進め方についての議論があったということ。また、それらを議論していくためには客観的なデータが必要であるということから、電源別の発電コストを計算して提示していくために、コスト等検証委員会というものを設置するというのが2つ目の議題になっております。3つ目といたしましては、当面の電力逼迫への対応ということで、エネルギー需給安定策の具体化をしていくというのが議題となっておりました。
 具体的には、おめくりいただきまして、まず中身の資料1と書いてあるところですが、「革新的エネルギー・環境戦略」の、これまでの議論ということで、1ページ目に背景が2つ書いてございます。当面の電力需給がどうなるのかということであります。まず、今年の冬に関しましては、需給が拮抗していることが予想されるということであります。また、来年の夏に関しましては、ピーク時に約1割の電力不足になる見通しであるということであります。ただ、このデータの前提といたしましては、この夏に行われました節電の努力は見込まない計算ということで、より安定化での計算ということになっております。東日本、中西日本に分けまして、今年の冬、また、来年の夏の逼迫状況の予測が示されているということでございます。これら全ての原子力発電による発電量を仮に火力で代替するということを計算しますと、燃料コストが約年間で3兆円かさむということが試算されているということで、こういったものを背景に戦略を検討していくという流れになっております。続く2ページ目に、(2)といたしまして背景の2でありますが、白紙からの戦略の構築ということで、昨年6月に決定されました現行のエネルギー基本計画に関しましては2030年断面で電力供給の約半分を原子力に依存するという姿になっておりましたが、これを白紙から見直していくということ。これらを議論するのがエネルギー環境会議であるということでございますが、 スケジュールといたしましては、7ページ目というところでございますけれども、お尻からいきますと、「夏頃」と書いてあるところでありますが、革新的エネルギー・環境戦略を決定していくというところが、ここになっておりますが、その前段階といたしまして、春ぐらいに戦略の選択肢が提示され、国民的議論が開始されるということになります。
そして、それに先立ちまして、今年の12月には基本方針を決めたいということですが、その議論のもととなりますコストに関しましては、コスト等検証の報告書が公表されるという手順になっていくという流れになっております。このコスト等検証委員会につきましては議論が始まるということですが、おめくりいただきますと、コスト等検証委員会に関しまして、資料2というのが続いてございますが おめくりいただきますと委員の構成などが続いておりまして、国家戦略担当の石田副大臣が委員長、そして10名の委員からなる検証委員会になっております。その裏、次のところにはスケジュールが書いてありますけれども、第1回が10月上旬にキックオフがなされまして、コスト試算における基本的なフレームワークなどから議論をスタートし、各燃料種ごとに、11月にかけて論点ごとに検討が行われ、12月中に取りまとめが行われるというスケジュールになってございます。  これがコスト等検証委員会でございますが、次のところには、資料3といたしまして、エネルギー需給安定行動計画についてというのが最後の資料でございます。こちらにつきましては、この冬、また、来年の夏というところで、電力需給の逼迫にどのように対応していくのかということでございます。工程といたしましては、1.(いちぽつ)ということで、どのような内容になっているのかというのが書いてございますが、この10月下旬にエネルギー需給安定行動計画というものを形づくっていくということですが、大きく分けますと3つのパートからなっているというものでありまして、左の枠囲いにいきますと、まず省エネ・供給増強計画ということで、今後3年間の需要の合理化などによって、どのような対策が行われるのか、また、ピークなどがどうなるのかということを検討していくというのが1つあります。真ん中の部分につきましては電力会社が考えている需給対策のプランで、これを示しているということ。3つ目といたしまして、再生可能エネルギーなどを普及させていくという観点から、規制・制度をどのように見直すべきなのかというための行動計画、これらをまとめていくという、この3つのパートからなっているということでございます。続いて、スケジュールといたしましては、10月3日に、エネルギー・環境会議でこの議論が行われまして、10月24日の週に第4回が開催され、この安定行動計画が公表されるというスケジュールになっておりまして、来年の夏に向けた取組が本格化するという流れになっておるところでございます。以上が、第3回のエネルギー・環境会議の中身でございます。
 続く資料の束、参考資料2には、資源エネルギー庁の総合資源エネルギー調査会基本問題委員会の第1回の会合の資料が掲載してございます。エネルギー基本計画の見直しの議論が開始されたというものでございまして、こちらも10月3日に会合がされております。資料につきましては、先ほどご説明申し上げましたエネルギー・環境会議の資料がそのままついていたり、エネルギー情勢についての参考資料がついているという構成になっておりまして、第1回は、委員の方々から自由なご討議があるという内容になっております。この資料の一番最後のページに、参考資料3ということで、この統合資源エネルギー調査会基本問題委員会のスケジュールが付いてございます。1といたしまして、年内につきましては数回開催して具体的に議論を開始してきたということと、関係者から広く意見を聴取していくことが予定されておるということであります。そして、年末を目途に、エネルギーのベストミックスなどの基本的な考え方を議論するということです。3つ目といたしましては、来春を目途にいたしまして、ベストミックスの選択肢案を議論していく。そして、来年の夏を目途に、新しいエネルギー基本計画案が議論されるという予定が示されているということでございます。以上がエネルギー調査会の内容でございます。最近の状況を含めましてご説明いたしました。以上でございます。

○鈴木部会長 
ありがとうございました。いろいろなことが、またこの中間審以外にも、エネルギー関係が動いているわけでありますし、また、委員の方々からは、前回までにいただきましたご意見、それから、その後に文書でお出しいただきました参考資料3に、大変参考になることがいろいろと記載されていると思います。今まで、ある意味では、ご意見は出尽くしている感がないとは言えませんが、また、さらにこれを基本計画にまとめていくに際しまして、是非建設的なご意見を今日はいただければと思っております。時間があと90分ぐらいしか残っておりません。30名の方がいらっしゃいますので、3分以内ということを厳格にお守りいただくようにお願いして、その上でご意見をお持ちの方は名札をお立ていただければと思います。総政部会の方々も、どうぞご遠慮なく。では、井上委員。

○井上委員 
ありがとうございます。電気事業連合会の井上でございます。私からは、前回、大きな意見については述べさせていただきました。すなわち、3つの「E」の同時達成のためには、安全・安心を前提とした原子力発電の有効活用、これは当然欠かせないということが基本でございます。ご覧いただきたいのは、参考資料3で、また新たな意見書というのを提出させていただきました。重なるところがあるかもしれませんけれども、幾つかかいつまんで申し上げます。
 参考資料3の2ページ目、「全般的な意見」では、3つの「E」の同時達成については先ほど申し上げた原子力発電、プラス、技術による貢献ということで、技術開発、それから、そういった技術の海外への展開といったものを通じて、世界のCO2の削減に協力していくべきであるということ。その下、【関係省庁の枠を超えた取組み】、それから【原子力エネルギー政策との整合】では、これも繰り返しになりますが、できれば1つの会議体で、省庁の垣根を超えてということ。先ほど来からご紹介がありましたエネルギー・環境会議、それから総合資源エネルギー調査会、こういったものとのスケジュール感がこの基本計画の見直しとずれているのではないかと思っていますので、その辺は十分整合をとって進めるべきであると。それから、3ページに行きまして、「これまでの取組状況と課題」につきましては、これまでの原子力発電による温室効果ガスの削減効果についてきっちり客観的に評価していく、整理すべきである等々書かせていただいております。「施策の基本的方向」でございますが、これも【国】につきましては、既にその主要な排出国の参加ということを大前提として、カンクン合意がなされました。こういった基本方針を貫いていただきたいということ。最後の4ページで、【地方公共団体】、これも我々事業者からしますと非常に似通った制度がたくさんございますし、既に25%というのを前提にした自治体での目標設定もございますので、これについては見直すべきであろうと。【事業者】につきましては、技術を前提としたCO2削減ということで書かせていただきました。
もう3点。前回、電気事業について幾つかご質問、ご意見がございました。かいつまんでご説明させていただきます。まず、地震のお話。これにつきましては、原子力のより一層の安全確保に向けて、保安院から福島第一の事故を踏まえまして、いわゆるストレステストの提出を求められておりまして、今、鋭意努力しておるところでございます。緊急の安全対策を施した結果、どれぐらいの震災の倍率で耐えられるのかということを用意しているところでございまして、こういったものを皆様に十分分かりやすくお示しした上で議論していきたいということでございます。それから、もう1つは、発送電分離についてもご意見がございました。発送電分離というのは、これまでも議論されてきたわけでございまして、その結果、日本型に合った、今のような垂直統合の一部送電系統の開放ということで進めてきたわけでございまして、こういった今までの実績を十分検証しまして、安定供給という目的に照らして十分議論されるべきだと考えております。それから、新エネの大量導入については、これは系統の安定ということで、いろいろと技術的な課題、それから現実的な導入量の見極め、こういったものを十分検証していくべきだと。最後に節電でございます。節電でCO2の削減対策をということを、たくさんの方がご意見をおっしゃっています。今年の夏、東京電力は去年夏並みでしたら900万キロワットから1,000万キロワットの節電効果、例えば関西電力では160万キロワット、東京方面で15%、関西では5%という数値であったかと思います。これも、緊急避難的に行った節電対策というのも中にはたくさんございまして、これが長く続くというのは対応が非常に難しいので、この辺の検証も十分やった上で対策を考えていくべきだと、このように思います。以上です。

○及川委員 
資料1の7ページ目です。新たな国際枠組みの検討というところがございまして、上から2番目の「マル」の2でございますけれども、「来年で京都議定書に第1約束期間が終わる中で」と書いてありますように、2013年以降の国際的な枠組みがまだできてない段階で、早急にそういった枠組みをつくっていただきたいということがあるわけですけれども、ここに書いてありますように京都議定書の第1約束期間なんですね。ということは、暗に、第2、第3の約束期間が続くということが元々含まれていたと思うんです。それで、京都議定書という言葉にありますように、日本から発している国際的な組みができていたわけです。だから、こういったことを大事にして今後の枠組みを考えていっていただきたい。特に、今回は福島原発の非常に大きな問題が起きておりまして、これは国際的にも、我々日本がどう対応するのかということを含めまして、この辺の今後の検討を進めていただきというのが私の意見でございます。

○逢見委員 
ありがとうございます。前回の私の発言は、主に質問が中心でしたので、この第四次環境基本政策策定に向けての意見につきましては書面にて郵送させていただきました。参考資料3の6ページ以降に意見がございますので、かいつまんで要点を紹介したいと思います。
 まず、全般的には経済情勢と雇用状況を見極めながら、それぞれの施策の導入について判断していくということでございます。それと、気候変動対策というのは、ただ単に政府が音頭をとればいいということではなくて、その中身を国民が共有して、産業界、国民が、それぞれの理解・協力して実施していく、そのための政策決定プロセスについても、いろいろな合意形成の過程が必要だと思っております。それから、我が国が持っている技術力を使って成長を実現し、そして雇用の拡大を図るとともに、気候変動対策をリードしていくと。一言で言えば、環境と経済の両立ということで世界全体にも貢献していくことが必要だと思います。雇用については、これは国際労働運動の場で共有していることでございますが、持続可能な社会と良質な雇用の創出、この両方を目的とする「グリーン・ジョブ」の創出ということと、それから、産業構造の変化に伴う雇用の移動に関しては公正な移行(ジャストトランディション)を推進するということで、これは国際的な枠組みの中にも、こうした視点をしっかり入れて取り組んでいく必要があると思います。時間の関係で、全般的な意見のみにとどめますが、個別的意見については文章を参照していただきたいと思います。以上です。

○大塚委員 
どうもありがとうございます。参考資料3の9ページ以下をご参照いただければありがたく存じます。中長期的な目標に関して2点、それから、施策の基本的方向に関して3点、簡単に申し上げさせていただきたいと思います。
 目標については、前から申し上げているように2050年に80%削減という目標は変更すべきではないと考えています。2050年に世界で50%削減ということは2℃以内の上昇に抑えるためには必要であると考えられておりますし、先進国であるということから、相応の排出削減が必要だということが理由でございます。第2に、エネルギーの選択については、低炭素社会を実現するということを中心にしながら、エネルギー安全保障とかエネルギーの価格などにも配慮しつつ、まず、再生可能エネルギー、分散型エネルギーを最大限活用して、さらに、需要側での省エネを進め、その上で天然ガスによる火力発電とか原子力発電が、残るものがあればそれを利用するということではないかと考えています。
 次に、施策の基本的方向でございますけれども、3点申し上げたいと思います。第1に、原子力発電所については大規模な事故がございましたので、今後10年、20年の新規増設はほとんど不可能になったと考えるべきではないかと思います。これはどういう意見を取るにせよ、事実上そういうことになったということだと思いますので、その穴埋めを考える必要がございますけれども、先ほど申しましたように、再生可能エネルギーを、まず低炭素社会という観点から、或いはエネルギー供給の、そのエネルギーの自給率を向上させるという観点から導入すべきだと思いますし、その他の天然ガスとかCCSとかを考えていくということだと思います。再生可能エネルギーについては、洋上風力を含めた風力発電とか、発電効率の高い太陽光の導入が検討されるべきであると思われます。それから、第2に、少し飛びますけれども、再生可能エネルギーの普及のために、現在その障害になっている社会的慣行とか法制度等を見直す必要が出てくると思われますけれども、特に、洋上風力に関しては漁業権の問題がございますが、そもそも洋上風力発電が漁業に悪影響を及ぼすことがないのかどうかをきちんと説明する必要があると思いますし、仮に漁業権に関して影響があるとした場合には、むしろ漁業者に風力発電のオーナーシップを持ってもらうようなモデルを検討すべきではないかと思われます。地熱発電とか風力発電を自然公園内につくる場合の規制についても、既にガイドライン等があると思いますけれども、再検討する必要があるかと思われます。また、工場排熱とか河川熱とかの未利用熱に関しても、利用していくことが必要になってきますけれども、これも一定の規制緩和が、もちろん環境に配慮しつつですが、必要になってくるかと思われます。第3に、若干細かい点ですけれども、地熱についてはFITだけでは対応できないと思いますので、補助金の活用が避けられないと思われますし、風力に関しては、地域の人をコーディネートしながら、大規模資本とか公的資本を導入するということが必要であると思います。以上でございます。

○亀山委員 
ありがとうございます。資料1で主立った意見は出尽くしていると感じておりまして、あとはこれをどうまとめていただけるのかなということを楽しみにしております。取りまとめに際しまして、2点だけコメントさせていただきたいなと思いました。
 1点目は、7ページにあります国際枠組みの検討という項目に関係する部分です。ここで合意を目指すべきだと書かれておりますが、あまり具体的な中身が書かれておりませんので、幾つか盛り込むべき必要な要素について提案したいと思います。一つは、世界全体での中長期目標を、日本としてきちっと提示すべきだと思います。資料1の提言での中長期目標は、主に日本国の中長期目標の議論でありますけれども、世界全体としてこの道をたどるべきなんだということを、日本の主張としてしっかり発信していくべきだと考えております。また、二つ目といたしましては、最近の交渉過程を見ておりますと、排出削減目標という数字の議論よりむしろ透明性の確保に重心が置かれているように思います。いわゆるMRV(計測・報告・検証)の手続をどう確保するかという議論であります。こういった手続をどう制度化していくかということについて、日本は貢献できるのではないかと思います。ちなみに、透明性の確保というのは、単に先進国や途上国の排出量を対象とするものだけではなくて、最近ですと資金メカニズム、どれぐらい各国が拠出し、そのお金がどのように途上国に使われているかといった議論も注目されるようになっておりますので、資金メカニズムに関するMRVについても、日本は議論の中で貢献ができるのではないかと考えます。
 2点目は、省エネ・再生可能エネルギーに関する部分であります。ここでは、省エネ・再生可能エネルギーについて多くの紙面が割かれておりまして、それはそれで重要だと私も思うわけですけれども、この一連の議論が、主に原発事故に端を発していることもありまして、電気に重心が置かれ過ぎているのではないかという意見を持っております。例えば、省エネでありましたら、節電はしているんですけれども、世の中の一般的な方とお話ししていると、電気以外のエネルギーは幾ら使ってもいいような誤解をしている方もいまして、違うんだよと。温暖化対策としては、ガソリンであったり、その他のエネルギー全般についても、きちんと節減していかなければならないという、きちんとしたメッセージを発すべきだと思いまし、再生可能エネルギーの利用に対しましても、もちろん発電源としての利用も重要でありますけれども、例えば、その熱利用を拡大していくという観点も重要ではないかなと思うわけです。特に暖房ですとか温水あたりは1回電気に変えてまた熱にするより熱として最初から使った方がいいのではないかと思います。そのあたり、バランスのとれた取りまとめ方をしていただけたらありがたいと思います。以上です。

○森嶌委員 
今まで皆さんのおっしゃったことは、そのまま引用させていただくことにして、1つだけ申します。資料1を見ますと、森林のことが2項目だけ書いてありますけれども、総政部会では皆さんこれまでかなり森林のことを言っておられます。
 この地球環境部会にも森林は関係があります。世界中では、森林は吸収源としてCO2排出量の20%ぐらいに相当するのではないかという議論があります。日本は現在、林業はまさに破滅に瀕しており、このままいきますと、2050年までには日本の国土面積の70%を占めている森林がどうなるか分からない状態です。この資源エネルギー庁のエネルギーの将来目標を見ますと、太陽光などの再生エネルギー源が、今の200倍ぐらいになるのに対して、森林はバイオマスとして2倍です。現在、森林バイオマスは太陽光に比べてエネルギー源として2倍位になるわけですけれども、多分、太陽光に投ずるコストはもの凄く高いはずです。そして年月もかかると思いますが、吸収源としての森林の保全は、今コストをかけなければなりません。そして、太陽光パネルは今から2050年までには山ほどスクラップになって出てきて、その処理の問題とか、いろいろの問題が出てくるでしょう。太陽光をけなすつもりは全くないのですけれども、日本の場合、ヨーロッパなどと違って、森林をどうするかという問題、まさに今日直面しているわけですから、私は、少なくとも中央環境審議会としては、資源エネルギー庁とは少し違う観点から、エネルギー源として、CO2吸収源として、或いは環境問題として、この地球環境の問題に対処するのに森林をどう考えるかということをもう少し強調して、コスト面、それから、エネルギーの安定供給等の面から考える必要があるのではないでしょうか。現状をそのまま前提として、バイオマスは大したことがないとか、バイオマスだってCO2が発生するのではないかというようなことで切り捨てるのでなくて、吸収源として、或いは森林保全としてどう考えるかという観点からも、地球環境部会としては正面から議論する必要があるのではないかという意味で、他に比べてたった2項目で終わらせずに、もう少し真剣に議論していただきたい。それが中央環境審議会の仕事ではないかと思います。

○横山委員 
3点述べたいと思います。これまでも言ってきたことですけれども、私は、原子力には、これまでのように頼れないということを明確に環境基本計画でも打ち出すべきではないかというふうに思います。固有名詞を出すのをお許しいただきたいんですけれども、先ほど電事連の井上委員の意見表明がありました。おっしゃることはなかったんですけれども、この資料を見ていると「原子力発電は今後ともエネルギーの安定供給を支える大切な電源であり、我が国における地球温暖化対策の中心的な役割を果たす」という意見が出ています。これを見て、私は、今回の東京電力の福島第1原発事故を一体どう反省なさっているのか、或いは事故によって、いつ自宅に戻れるか分からない人々の嘆きとか苦しみをどうお考えになっているのか、機会があったら、是非お伺いしたいと思います。政府のエネルギー・環境会議、資料がありますけれども、ここでも「原発への依存度低減のシナリオを具体化するという共通テーマで国民的議論を展開する」と謳っているわけです。脱原発の大きな国民世論はもとより、まだ生ぬるいけれども、原発への依存度低減という政府の考え方からも大きくずれているのが電事連の考え方ではないかと思います。やはり、そこは再生可能エネルギーの開発とか、節電、省エネでやっていく以外ないんだと思います。再生可能エネルギーは量的に問題があるという声もあるけれども、全量固定価格買取制度を実施に移したり、或いは原子力中心だった電源開発促進税などの使途を、再生可能エネルギーに大胆に振り向けるということをすれば、再生可能エネルギーが原子力に取って代わっていくんだと思います。原子力が温暖化対策に役立つんだという発想は、もう捨て去るべきだと思います。2点目は、1点目にも関係してくるんですけれども、日本の再生可能エネルギーは、私は、かなり大きな可能性を持っているということを言いたいと思います。中長期ロードマップの中間整理などを見ても、太陽光発電の導入ポテンシャルというのは2億8,000万キロワット、それから陸上の風力発電でも1億7,000万キロワットにも達するとしているわけです。これに関係して、環境省も、風力発電で見込める発電量について事業として採算性を確保できるという前提に立っても原発7基から40基分にも相当するという試算結果を出しているわけです。これまでも原子炉への依存度を高めようとして、こうした再生可能エネルギーの開発に目を向けようとしなかったのが政府や電力会社だったのではないかと思います。この辺の反省が、どうしても必要であると私は考えます。最後の3点目ですけれども、あちこちで指摘されているように、地球温暖化の影響が世界的に顕著になりつつあると思っております。これまでになかったような豪雨とか洪水などの異常気象が起こるようになっているわけで、我々は3月の巨大地震と大津波による被害を見てきたわけですけれども、温暖化によるさらなる自然災害の脅威に備えるためにも、日本は世界の先頭に立つべきだと思います。そういう意味で、2020年までに25%の削減という中期目標、それから2050年までに80%削減するという長期目標を是非堅持して、国内での温暖化対策を強力に進めるべきだと思います。同時に、今年末のCOP17などの国際的な議論をリードすべきだと思います。IPCCも2020年までに25%から40%の削減を求めているわけで、これが科学からの要請だと考えて、日本は行動をすべきだと思います。環境基本計画にそういった趣旨のことを書いていくべきではないかと思います。以上です。

○岩村委員 
論点として議論したらいいんじゃないかということを2つだけ申し上げたいと思います。1つはCO2を削減していく、総量を減らすというこの方向は続けるべきですが、国際的になかなか上手くいってない部分がある。特に中国とか開発途上国にとっては、これから成長するのを抑えるという意味で大変反対が強い。それで、これは努力しますが、並行して、個別の部門別の削減目標というのを国際約束すべきではないかと思います。自動車では行っているトップランナー方式で、EUとか日本とかアメリカとか、それぞれ削減の目標をつくって、それ以上の、水準を超えるものはつくらない、売らない、そういう方式を他の分野に取り入れたらどうか。例えば石炭火力とか、そういった分野にトップランナー方式を国際的に約束してはどうかと。そうすれば、既に論点の中に入っている日本の優れた技術を移転していくということ。それが容易になるのではないかと思います。それから2点目。再生可能エネルギーはいろいろな議論があります。ただ進めていかなきゃいけない。その際に問題になるのは供給が安定してない、すなわち不安定だということ。それから、今回の原子力の事故で分かった、まさにピーク時の対策。その2点を見ると、やはり二次電池の問題というのは大変大きいだろうと思います。二次電池は世界各国で今開発していますけれども、その規格はあまりはっきりしていない。アメリカ・中国は国をあげてどんどん進めている。日本は各メーカーがそれぞれ進めていますが、安全の問題とか形にしてもいろいろあります。日本も積極的に参加して規格の統一を図る。そして、それを開発、普及していく、そんなことの視点を入れてはどうかと思っています。

○佐和委員 
主として、この資料1に基づいて3点申し上げたいと思います。
1つは、この2ページ目のところに、長期目標は堅持すべきであると書いていますね。ここでは80%というタイトルが出る。正確に言えば、これは福田内閣の時に、2007年に比べて60ないし80%削減するとそういうことがあった。それで、その下に、今度は、中期目標に関してはどちらかといえば否定的といいますか不可能であるという書き方をされておるわけです。これは簡単に、グラフを書いてみれば分かることですけれども、僕は60とか80とか、真ん中の70のところですけれども、2050年に70%削減するということは、実は、年率3%ずつ削減していくというパスを書くと、そうすると、丁度2020年に25%削減ということになるということです。そうすると、そこで、ここで一つ議論されなければならないのが、要するに、いわゆるアーリーアクション、つまり、3%ずつ毎年削減していくという方法を選ぶか、それともディレードアクションといいますか、要するに、最初のうちはそんなに削減せずに、2050年に向けて後半期にどっと削減するとそういうことです。カンクンで、この2つの中期目標と長期目標の整合性について考えていくというシナリオがあると思います。それから、日本は、とにかく人口減少局面を迎えて、1990年と2020年の人口比はほぼ同じなんです。それで、アメリカの場合は1990年と2020年を比べると人口は33.4%増えると予測されているわけです。そうしますと、アメリカは0%削減としか言っていないので消極的だとおっしゃる方が多いわけですけれども、実際は1人当たり排出量は日本と2020年はほぼ一致して等しいんです。日本の25%削減に値するということになります。
 第2点は、これは、むしろ事務局に教えていただきたいと思うんですが、いわゆるグリーンニューディールとかグリーン・グロースという言葉が、この資料1の中で参考資料が出てまいりますけれども。アメリカのオバマ大統領が就任された時には、今後10年で1500億ドルの投資をして、500万人の雇用を創出すると言ったわけです。ところが、その後、中間選挙で負けたということもあって、最近はトーンダウンしていると思えるので、その点について、環境省としてはどう見ておられるのか。私個人は、それこそ気候変動対策をなくして経済成長なしというくらい強くグリーン・グロースというものを支持するといいますか、今後の経済成長というのはグリーン・グロースしかあり得ないですから。
 最後の3点目は、これは電力に関係してですけれども、実は、91年から09年までの間、経済成長率はどうだったのかということです。名目で0.2%、実質で0.6%、非常に低いにも関わらず電力消費だけは増えているということで、供給側が自ら需要をつくり出すという、そういう側面が電力にはあったのではないかと思っております。以上です。

○木下委員 
ありがとうございます。1点申し上げたいと思います。2050年に80%削減という最終目標を実現するためには、その通過点として2020年に90年比25%削減するということが必要だと思っております。このためには、東日本大震災の経験、或いは、その後の様々な状況を踏まえて、特に再生可能エネルギーについても、どのような施策を講じれば、どの程度期待できるのかという点について、検証しながらしっかりとした議論をし、第四次環境基本計画の中に盛り込むべきだと考えております。以上です。

○善養寺委員 
先ほど、どなたかの委員から、電気のことばかりに集中しているというご意見、確かにそう思います。未利用エネルギーとは、地域にある排熱であったり、地中の熱だったり。そういうものを利用していくためには、建築は建築でゼロエミッションを目指せとか、機械は機械で省エネルギー化しろとか、個別で考えるものではなく、エネルギーを都市全体で考える。一次側のエネルギー(廃熱等)を利活用するためには、二次側の建築と一体的な計画というものが必要になります。高温(90℃~70℃で安定)な熱ですと「空調・エアコン」で使えるけれども、低質(40~60℃の低温で変動ある)な熱ですと空調には使えません。そういう低質の熱を暖房で使いたいとすると、建物は床暖房のような、技術的に言いますと放射熱型の設備にする必要がある。それを単独1軒だけやっても、インフラの整備が必要で個人ではコストが割高になって現実にはできない。そうなると、廃熱利用では、供給する側のエネルギーと二次側の建築を街全体で同時に解決する検討をしなければ、利用できない。そういうことを一体的に計画していく手段が、今の都市計画にはございませんので、そういうものを法律として具体的に考えていく手立てをする必要があるだろうと思います。これは技術的な話ですが、同様に原子力の話も出ておりましたが、原子力が良い、悪いとかいう点だけで争うよりは、本当にやめていくためにも、技術をイメージだけではなくてもう少し大きな枠で、細かい制御から、安定供給には、どういう技術的課題があるのかを、もう少しゆっくり、じっくり検証すべきではないかと思います。そして、どこまで持っていくかということ、コストの面も考える、全量買取で、実際は本当にエネルギーシフトが進むのか、コスト高になり過ぎたら進むものも進まなくなる可能性があるとすれば、同じ方向でも、他の方法で持続可能なエネルギーの導入も政策的にあるのではないかも考え、もっと徹底した細かな技術検証とコストの検証を行っていくべきではないかと思います。その辺も計画の中にちゃんと見ていきましょうとすれば、予算のつけ方も変わってくると思いますので、技術をもう少し細かいところまで検証して欲しいと思います。

○山本委員 
ありがとうございます。資料1にあまり明確に述べられていない点につきまして3点、述べさせていただきます。
 第1点は、地球温暖化に関する科学的知見が大変蓄積され、さらに信頼性が高まったということを、私はもっと明確に書いていただきたい。IPCCの第四次報告書の信頼性につきましては、これは大変疑義が呈されたわけでございまして、ご存知のように第三者検証委員会が設置され、その検証の報告が、イギリス、アメリカ、フランスの科学アカデミーから検証報告書が公表されております。また、日本学術会議もシンポジウム等を開催しているわけでございます。その結果、一部に誤りがありましたけれども、その中核部分は全く問題がなく、しかも気候科学はだんだん信頼性が高まっているというのが国際的な科学者の総意だと私は考えております。そういう背景のもとに、現在の気候科学の教えるところによれば、国際社会が受け入れている2℃ターゲットが、それを本当に守るためには、今後、人類が排出できる温室効果ガスの総量、CO2換算でせいぜい1兆トンに過ぎない。そうなると、これは数十年で突破されてしまうということになるわけでございまして、多くの科学者は、この2℃ターゲットを守ることも相当難しいのではないかと感じ始めております。そうなると、気候とカーボンサイクルフィードバックによりまして、2060年頃には最悪の場合に4℃を突破する可能性がある。そうなるとオーストラリアの農業が崩壊するばかりではなくて、アメリカと中国で同時に干ばつが進行する。そういうことを考えると、全世界的に生存可能な人口はせいぜい10億人以下になるという予測が、ティンダルセンターのケヴィン・アンダーソン教授とか、ポツダム気候インパクト研究所の所長のシェルンフーバー教授等がそういう予測を述べているわけでございます。私は、このような警告を真剣に考えるべきである。原子力行政がなぜこれほど破綻したかというと、科学者の度重なる警告に全く耳を傾けなかったところにも理由があるわけであります。
 第2点は、そういう点で、この軽減策のみならず、今やこの適応策、さらには非常事態において地球を冷却するジオ・エンジニアリングに世界の関心が集まり始めているわけでございます。既にイギリスとアメリカの下院の科学技術委員会は、合同の調査委員会を設置して、その報告書を昨年10月に公表しているわけであります。英国も米国もジオエンジニアリングの研究開発を進めると、もう予算がつけられ始めているわけで、実際、イギリスでは、最近のニュースでは10月に大気中へエアロゾールを強制注入するという大規模実験の予備実験をやろうとしたわけでありますが、NGO等の反対で中止したということが報道されているわけでございます。したがって我が国も、私は軽減策、適応策、さらにはジオ・エンジニアリングと、この3つを視野に入れて地球温暖化対策をとるべき時期が来たと考えております。
 第3点は、原発と再生可能エネルギーの問題点であります。私は、明確に脱原子力、減原子力、縮原子力、表現はいろいろとあると思いますが、地震列島で地震の活発化時期に入った日本においては、この原子力を安全に運営することは大変なリスクを伴うので、その方向に進むべきであると思います。私は、福田内閣の時に、日本の原子力を全世界に普及させて、地球温暖化対策を進めるべきであるという報告書を福田総理大臣に提出しているわけでございますが、この原子力技術が極めて未熟であり、今回の3月11日の福島第1原発の事故を防ぐことができなかったことを重く考えております。日本原子力学会は、昨年の12月14日、東京都内において、次のようなテーマのシンポジウムを開催しているわけです。「地震国日本の底力、地震時の原子力発電所の安全を支える」という、極めて胸を張ったシンポジウムを開き、過去数年かけて、研究されてきた内容をそこで公表されているわけですが、わずか3カ月後の東日本大震災において、あれほどの大事故を引き起こしてしまった。それについて、原子力学会を初め、原子力の関係者は明確な反省と謝罪が認められない。私は、非常にこれは問題であると思います。現状を考えると、全世界的には原子力を安全に一定期間利用しないと温暖化対策はできないと思うんですが、少なくとも日本は脱原子力を明確に次の環境基本計画には書き込むべきであると思います。数週間前にアメリカの有名なエイモリー・ロビンス博士と会談する機会がございました。エイモリー・ロビンス博士のグループは、分厚い報告書をまとめて、今月に出版される「リインベンティング ファイヤー」で書いておりますが、アメリカは2050年までに脱石油、脱石炭、脱原発が可能である、80%もCO2削減も可能であると結論しています。ロビンズ博士は、もう40年ぐらい、再生可能エネルギー普及活動に従事されている研究者でございますので、私は大変説得力があるのではないかと考えているわけであります。全世界が注視する中での、日本の今度のエネルギー政策、地球環境政策の新たな計画ということでございますので、私は、全世界へのメッセージとしても、原子力技術の研究はやるわけでございますが、国としては脱原子力を明確にするということを入れるべきであると、こう考えております。

 

○河野委員 
1点申し上げたいと思います。私は、中央環境審議会地球部会としては、ゼロエミッション電源として原発に頼らず、低炭素型社会を築くというのを打ち出すべきだと思っております。なぜかというと、昨年6月にエネルギー基本計画ができた時、これはもう皆さんご承知でしょうけれども、2030年までに14基の原発を新増設する。そして、全発電量のうちの50%を原子力に頼るということだったのですが、もちろん私も、ずっと環境とエネルギーを追いかけている記者として新聞社としても何も言いませんでしたし、そういうふうにしないと、そこまで温室効果ガスの排出量が下がらないと思いましたし、環境団体からもあまり大きな、いろいろな反発というのはなかったと思います。つまり、かなりやはり原子力に頼ってしまうというメンタリティーがあり、それで、それが当然だと社会としても受け入れてしまったということがあったと思うんです。それで、結局、7月にこの部会ができる時にも、その点を反省しなければいけないというご指摘がありましたけれども、まさにその通りで、ただ、私個人としては原発がなければいいとは全然思っていません。それは、もう少し国際社会の中で、中国、ロシア、イラン、それから北朝鮮などの動きを見た時に、そこでの技術から全部撤退してしまえばいいとは考えていないのですけれども、ただ、今、問題になっているのは、安全な原発、安全を十分確保しながら運用していくと簡単に言いますけれども、それは凄く大変なことで、今までの検証と反省と再構築がある上でないとそれは難しいと思います。ですから、それは今エネルギー・環境会議の中でやられているいろいろなコストの検証であるとか、電気料金の検証であるとか、再検討であるというのが非常に重要になってくるわけで、電力会社の地域独占と言われますが、今度はそれに依拠した形での、もちろんそれは学術界もメディアも含めて、そこに電力会社からの大きい宣伝工作であるとか、「工作」と言っては失礼かもしれませんが、そういうものに頼ってしまっていた、安定供給に頼ってしまっていたという面があるので、それに頼らないで再構築していくという姿勢が非常に大事だと思うんです。その時に、もちろんそれに代わる技術がポッと出てくるわけではないので、地中熱の利用とか熱エネルギーの上手い利用などを、社会のシステムの中で身近なところから汲み上げていくという本当に細かなルールも必要でしょうし、もちろん大きな技術開発も必要だと思いますけれども、まず、その地球部会としては、原発が良い悪い、どうするこうするというのは、そこまで地域環境部会の範囲じゃないと思いますので、ゼロエミッション電源としては、それに頼らないで低炭素社会を築いていくんだと、これは単に資源エネルギーだけではないと思いますけれども、それをきちんと主軸として出すべきだと思います。宜しくお願いします。

○小林委員 
ありがとうございます。私からは、基本計画の策定に当たって少しお話をしたいと思います。計画自身が、今までのものが大体そうですが、何か期待的、こうあるべき的計画が多いんです。その中で、新しい計画策定に当たっては、是非、実効性のある計画、具体的な施策とか具体的な事業を明示したそういう計画にしていただきたいと思うわけです。例えば、今日書かれました環境省の重要施策でもそうですが、この中に基本計画とどういう関係にあるか、基本計画のどこの部分をフォローしたかということがほとんど書かれていないのです。そういう意味で、基本計画がどこか横に置かれているという状況にございます。そういう意味で、基本計画そのものが実効性のあるものになるものにしていただきたいと思います。それから、よく、何らかの対策をとるというと、すぐ補助制度、補助をして欲しいという話が出てくるのですが、補助をしていけば必ず税が増えるわけです。そういうことではなくて、社会制度の中で実施できるようなシステム、こういうものを考えていかなければいけない。そのために、税制そのものも、いわゆる税収を増やすという考え方ではなくて、施策誘導型の税制を考えていただきたいと思うわけです。これが1点です。
 2つ目は地方の問題です。最近、地方でも地域における基本計画策定をやって検討されているんですが、国の方がはっきりした施策を明示していただけてないために計画そのものが作れないという状況にございます。そういう意味で、早く国としても方針を決めていただきたいというのがあります。それから、地方分権が進んでいった中で税源移譲は進んだのですが、この結果、中小の地方自治体では財政が圧迫しておって、いわゆる環境対策等が後回しになっているのが現状です。これに対応すべき政策、システムを是非作っていただかないと、環境対策上、地方は充実できないという状況にございます。ですから、できましたら、この基本計画策定に当たって、自治体の意見を十分お聞きいただきたいというのをお願いしたいと思います。
 それから3つ目ですが、東日本大震災、これは大変大きな事件であったと思うのですが、なにか雰囲気的に、そのことから日本が免罪されるという甘えが見えています。そういう意味で、是非世界的に見た場合、東日本大震災というのは世界中から考えると1つの事象に過ぎません。そういう意味から、環境対策で日本が世界をリードしたいというのであれば、それなりの施策を明示していくことが必要だと思うんです。そんな中で、先ほどから議論されていますが、地球温暖化対策上、原発が必要なのかどうかについても、中途半端に逃げるのではなくて、必要ならば必要、必要がないなら必要はないということで、具体的に明示した上で施策展開をして欲しいということを思います。そういう意味から、以前から出ております民主党の政治主導というのは分かるのですが、それだけではなくて、中央環境審議会としても具体的な施策を明示して、いわゆる計画あるべき論を提案するのではなくて、法的規制、また税制、行政施策を計画に組み込んでください。宜しくお願いします。

○進藤委員 
参考資料3の11ページに、私は表裏の2ページで出させていただきました。これについてコメントさせていただきます。まず、全般的なスタンスですけれども、温室効果ガスの問題、これはエネルギー政策と一体不可分と従来から申し上げております。エネルギー基本計画の見直し議論が、今、総合資源エネルギー調査会の基本問題委員会で議論をされております。その最初の議事録を見させていただきましたけれども、イデオロギー論争の様な議論になってきていて、これから相当の議論がなされるかと思っています。したがって、エネルギーの問題はそこできちんと議論をしていただいて、それを踏まえて、我々はこの環境基本計画を策定するべきだと思います。
 原発の扱いの問題ですが、これはここで議論する話ではないと思いますが、安全・安心が大事になったことは事実であります。しかし、調査委員会の結論、つまり何がいけなくてあのような事故が起きたのかという議論が、まだ正式に我々国民に報告されていません。調査委員会を国会にもつくろうという議論もあります。NHKの番組では、あれはGEのマーク1、第1世代の原発であり、今は第3世代、第4世代になっているのですが、この旧式モデルであったことが原因であるような議論もあるやに聞いています。したがって、なぜあの事故が防げなかったのかという専門家の議論を我々は受け止める必要があります。それを踏まえて基本問題委員会でエネルギー基本計画を議論していただけると思いますので、それを受けて、我々が環境基本計画をつくることだと思います。エネルギー基本計画と環境基本計画が一体だということが1点であります。
 それから、2点目ですが、これまでの取組状況と課題ということでありますが、第三次の基本計画を見ますと、こういうことをやったらいい、ああいうことをやったらいいといろいろなことを書いています。表現は若干抽象的ではありますが、それらがこの5年間どうだったのかということを書くべきだと思います。反省するべきは反省する、やったという成果もあるなら、それもきちんと国の計画には書くべきだと思います。産業界は自主行動計画、これはボランタリーアクションプランと英語で訳すと、やるのもやらないのも勝手だというニュアンスが出るんですが、英語に訳す時は、ソーシャルコミットメントと訳しています。社会的な企業の、社会に対するコミットなんですね。こういうことで、自主行動計画等は産業界としてはきちんとやってきたつもりでおりますので、是非この取組状況についても記述していただきたい、これが2点目であります。
 3点目は、中長期的な目標についてですが、2050年の80%、50%、それから2020年の25%、これも対外的に政府がいろいろな場で発言をしております。ただ、国内的には地球温暖化対策基本法が、その冒頭にこの目標を掲げているわけですが、国会審議は2回継続審議ということで、宙に浮いた形になっています。日本国民の意思としてオーソライズされているわけではないわけであります。それともう1つ、25%については前提条件つきの25%ということになって、前提条件とは、アメリカも中国も同じ枠組みに入ることなのですが、そのようなことは、今のところ絶望的だと思います。したがって、先ほどのエネルギー基本計画が見直されているということもありますので、25%削減という目標を、この環境基本計画に謳うということは、避けるべきだと思います。25%削減目標ありきという議論ではないと思います。書くとすれば、第三次環境基本計画と同じように、今見直し途中ですから、責任のある言い方として、「定性的な目標」をきちんと書くということであろうと思います。
4点目は、施策の基本的方向であります。これは、前にも申し上げましたけれども、海外への技術のトランスファー、これが本質だと思います。中国は、もう24%もCO2を出している、アメリカは18%、この2国でもう42%になろうという時に、我々4%の中で大変真摯な議論をしているわけです。海外のCO2を我々がどうやって減らせるのか、我々の先端技術でどうやって減らせるのか、そのトランスファーを我々は中心に据えるべきだと思います。それから、技術という意味で、我々産業界は「低炭素社会実行計画」というのを策定中です。これは、各業界が世界一のトップレベルの技術を維持するということをディクレアして、そのためにいろいろやっていくという計画であります。したがって、今もそうですが、これからも世界最高水準の省エネ技術を維持するということであるのならば、税金だとか排出権取引だとか、そういうことでペナルティーを課されても、最高の技術の持ち主は他に移る技術がないわけです。したがって、そういう環境税や国内排出量取引制度を謳うべきだという意見がありましたけれども、そうではなくて、むしろ技術開発と移転をきちんと進めること、これ以外にCO2を減らすことはできないと思いますので、それをこの対策の中心に据えるべきだと思います。
 最後に、実務的なことで申し訳ありませんが、エネルギー基本計画の見直しのスケジュール、これは来夏ということですが、この環境基本計画は3月に閣議決定をする。順序が逆で、少なくとも同時でないといけないと思います。これからいろいろな議論が出てくると思いますが、その議論の動きを見ながら、スケジュールについてはよく見ていただきたいと思います。

 

○冨田委員 
ありがとうございます。前回、9月9日の時には欠席しましたので、意見を述べさせていただきたいと思います。参考資料3の15ページに、裏表で意見を出しております。
 まず最初に、全般的な意見ということですが、事務局から先ほど説明された資料3の中でも書かれていますけれども、第三次基本計画策定以降、震災、それから原発事故、それから、ここのところの円高と、こういう環境が非常に変わっているということがあります。温暖化問題の重要性というのは全く変わることはありませんけれども、そのほかの課題についても解決に繋がるだろうか、或いはマイナスのインパクトを与えないかといったことについて、総合的な観点から検討が必要だと、これが全般的に言えることではないかと思います。
 それから、これまでの取組のところですけれども、温暖化について、日本でやってきたことは、ほとんど京都議定書の目標達成計画に書かれていると理解しております。その中でも、温室効果ガス排出量の算定報告公表制度のようないわゆる「見える化」に関する取組というのがあるわけで、こうした「見える化」が効果を上げるには、排出者の排出削減努力が正確に、適正に評価されるということが不可欠だと考えます。この部会でも何度か申し上げてきていることでございますけれども、系統電力の使用に関わるこの削減量の算定方法については、これまで統一した考え方を政府としては示していないということです。にも関わらず、あたかも統一された考え方があるかのように、個々の施策が進みつつあるということに関して、私は非常に懸念をしております。是非適切な評価について、早急に定めて、それを公表するということをやっていただきたい。これが、まず言えるかと思います。それから、目標達成計画はいろいろとございますけれども、費用対効果或いは負担対効果と申し上げてもいいかと思いますけれども、これについても、優先順位を考えてやるためにも、きちんと評価する必要があるだろうと思います。それから、目達計画の中に、ものによっては第1約束期間、12年までということで対策を進めているものが幾つかございます。これらについては13年以降どうするのか、どういう形でやっていくのかということを含めて、考え方を早急に示す必要があると考えております。
 裏の方にいきまして中長期的な目標のところについては、これまでも何人かの委員の方がおっしゃっていらっしゃることではありますけれども、今日の議論を聞いていて私が思ったのは、20年25%削減を支持される方は前提条件をどうするのかと、前提条件を外すということを求めていらっしゃるのかどうかよく分からない。それから、国内だけではなくて、国外における対策というのが地球温暖化のことを考えると重要だろうと思うわけですけれども、25%という場合にはどちらのことをおっしゃっているのだろうか。両方を含むということであれば、両方の道筋はどうあるべきだろうかということまで考えておっしゃっているのかどうか、そういうところもお聞きしたいと思います。いずれにしても、これほどこの部会の中で意見が分かれるというのは国民的な議論がやはり不足していたと言わざるを得ないのではないかと感じています。
 それから、施策の基本的な方向のところですが、これも何人かの委員の方がおっしゃっていらっしゃいますけれども、環境政策とエネルギー政策の整合性というところに関して、スケジュール的な問題を含めて懸念があるということですので、是非この辺はご検討宜しくお願いしたいと思います。
 それから、今回の震災・原発事故を受けて、我々が特に認識をし始めたのは、エネルギー政策の基本である3つのE、これに加えてセーフティというSを加える必要があるだろうということだと思います。その観点から考えると、供給側の取組に加えて、需要側の取組というのが非常に重要になってくると考えております。再生可能エネルギーやコージェネレーション、こういったものを含めて、分散型エネルギーと集中型システムをバランスよく組み合わせるということで、需給両面での対策を進めるという観点が必要ではないかというところです。
 それから、最後ですけれども、まだ対策の余地が残っているという分野として、中小企業というところがあろうかと思います。確かにそこはその通りだろうと思いますが、意欲がある中小企業においても、経営環境の観点から、なかなか投資まで結びつかないというところがあります。したがって、規制的な手法だけではなくて、設備導入補助といったインセンティブについてもバランスを考えていただければとそういうふうに考えております。
 それから最後に、先ほど亀山委員から、「節電という観点で、電気を使っているわけじゃないからもう少し私はエネルギーを使ってもいいのではないか」という観点があるのではないかというようなご意見がありましたけれども、確かにちょっと違っていて、例えば、私はガス会社ですから、ガスを使っているから、電気ではないので、もっと使ってもいいだろうというふうには全く思っておらず省エネはするべきだと思いますが、ガス冷房でも「それほどまで我慢してやらなくてもいいのではないか」ということまで現実にはやられていると思いまして、日本人はいかに真面目で、節電と言われて、電気だけでなくエネルギー削減までやるというふうに私は認識しております。以上です。

○中上委員 
前回欠席しまして、それからメモも出さなくて、大変申し訳ございませんでした。最初に手を挙げましたのは、ワーディングのことでお聞きしようと思っていたのです。まず最初にそれを申し上げておきたいと思います。
 文書の中に「節エネ」と「省エネ」と出ています。極めて混乱いたしますので、これは、もし定義されるならきちっと定義して使っていだきたいですし、どちらか1つにするなら、して欲しい。「節」という言葉が専ら市民権を得たのは今回の節電だと思います。また節電と省エネがあたかも違うように言われていますが、省エネのワンパートが節電だと思いますし、その辺をまずきちっと整理して使っていただきたい。もう1点ワーディングですけれども、「ゼロエミ住宅」、「ゼロエミ建築」と出てまいりました。経済産業省で、私が委員会で出ておりました時には「ゼロエネルギー住宅」と言っておりました。これを訳すとZEH、ZEBになりまして、どっちでも読めるわけでありますけれども、これまた混乱を招きます。ゼロエミッションとゼロエネルギーは全く意味が違うわけです。この辺も、ちゃんと定義していただくか、そうでなければ揃えていただくことをやっていただきたい。この2つを、まずお願いしたかったわけであります。
 私の言いたいことでございますけれども、50年80%、これは先進国としては絶対に達成すべきだと思いますが、佐和先生のお話にもありましたけれども、20年で25%が可能かというのは、これは極めて難しくなったということは間違いないわけですね。いろいろなシナリオを見たら分かりますように、電化することによってゼロエミッションといいますか、CO2を減らすというシナリオが随所に散りばめられていたわけで、その非常に大きな柱の1つが原子力だったんです。これを置き換えて再生可能エネルギーでいくかというと、数字上はそういうことができるのでしょうけれども、残された10年弱の時間でそれを全て置き換えるということは到底できない。電源立地に関わらず、エネルギーのその供給体制が整うまでには非常に長いリードタイムがかかるわけですから、再生可能エネルギーであっても、いろいろな意味でリードタイムがかかるということをきちっと情報として出しておかないと、あたかも、数字だけを置き換えたら成立するように思ってしまって、結果としては、さっきの話じゃありませんが、5年経ってみて、或いは10年経って、やってみたら全然そうなってなかったということになってしまいかねない。小林委員のお話にもありましたけれども、実効性のあるシナリオにしていただきたいというのが1点であります。
 そうすると、どこでこれを合わせていくかとなりますと、恐らく徹底的にこれは省エネルギーに振り向けられると思うんですね。その省エネというものに本当にそれだけ振り向けられていいのかというのは、いつの時代もそうでありますが、二度のオイルショックの時も省エネルギーというのは駆け込み寺と言われたわけです。間に合わないから、みんな省エネでやってくれって、つけが回ってきちゃうわけですけれども、事はそう簡単ではなくて、ひょっとすると、全部省エネでやろうとすると下手をすると節約・我慢の段階では済まなくて、産業自体がなくなるということもあり得るということになりかねないわけでありますから、ここも全部省エネを押しつけるんじゃなくて、全体のバランスの中で、本当にどうなんだという議論をきちっとやっていただきたい。
 総合資源エネルギー調査会が実はスタートしたばかりであります。先ほどから総合資源エネルギー調査会のお話が出ていますが、私も委員として参加していましてこの中央環境審議会のメンバーの中でも何人かいらっしゃいます。来年の夏にずれ込んだのは、私は8月ごろからスタンバイがかかっていまして、8月ごろに委員会が始まるといって日程を空けては潰れ、空けては潰れで、結局10月にずれ込んだわけです。少なくとも最低でも2カ月は延びちゃっているわけです。そういう意味では、それと整合しないで、中央環境審議会が先走るのはというお話がありましたが、中央環境審議会はしゅくしゅくと早い目に立ち上げたものだから日程が揃っていて、向こうが遅れちゃったわけですから、それは必ずしも中央環境審議会側の話ではない、間違ったことではないんじゃないかと、余談ではありますけれども。
 そういう意味で、省エネをやるにしても、今、環境省でもそういう準備が進みつつありますけれども、実態をきちっと把握するということを、やらなきゃいけないんです。何度も申し上げますけれども、それがないまま、つまみ食い的に、例えば建築に過剰な期待がかかってしまったり或いはエアコンに過剰な期待がかかって効率改善によるけれど、実はそうでないところにもいっぱい省エネの余地、すなわちエネルギーを合理的に利用するかどうかという余地はあるはずなんで、それを精査するために基本のデータがなきゃ議論が進まないわけですから、これは、是非環境省においても、需要側のデータ、需要側のCO2の発生状況というのをきちっと押さえた上で議論していくような体制を一日も早くつくっていただきたい。何回も申し上げますけれども、宜しくお願いしたいと思います。

○永里委員 
参考資料の17ページに私の意見を書いております。それで、それを読んでもらったらいいんですけれども、読まない方もいらっしゃると思うので、私がここで少し述べます。
 まず、全般的な意見としまして、環境とエネルギーは表裏一体の関係であります。東日本大震災以降、日本のエネルギー政策は抜本的な見直しを迫られているわけですから、第四次基本計画策定に向けての地球温暖化に関する取組に関しましては、別途検討されているエネルギー政策とスケジュール的なずれがありますので、その整合性を十分に考慮し、矛盾なきよう推進すべきです。省庁間の垣根を超えて、国が一丸となって崇高な使命感を持って取り組むべきだと思います。
 次に、第三次基本計画に示された課題については、実効性、達成度合いを精査してみて、その上で、第三次計画での達成度合いを踏まえ、実現可能性に十分留意しつつ、第四次計画を立案すべきです。脱原発の対策として、特に再生可能エネルギーの導入に関していろいろと言われておりますが、これは短期、中期、長期の視点から、実現可能性を十分踏まえて精査するべきだと思います。
 そして、中長期的な目標についてですが、デフレ下の日本をよみがえらせるためには確固たる成長戦略が求められます。経済成長にはエネルギーの使用が不可分であります。日本の温室効果ガスの大部分が、エネルギー使用に伴う炭酸ガスであることを考慮すれば、2030年、原子力発電の割合を54%まで上げることを視野に入れての、2020年、90年比温室効果ガス25%削減という目標は、東日本大震災に遭遇した現在、一旦白紙に戻すべきだと思います。中長期的にわたる地球温暖化に関する取組に関しては、あくまでも技術革新、省エネ、省エネに関してはライフスタイルも含みますけれども、それから地球規模を基本とすべきです。国内の削減分については、国際的に公平で実現可能性があり、企業・国民が納得いく目標を掲げるべきであります。また、地球規模の削減については、定性的なものを含めてどのような目標設定をすべきか、その仕方を検討すべきであると思います。  次のページに飛びます。技術革新に関して言えば、産学官連携により画期的な研究開発を促進するとともに、各省庁での類似の研究開発は一元化し、政策に、これも短期、中期、長期を考慮したプライオリティをつけて、企業、国民が納得のいく施策を提示すべきです。国際的には、政府が主張している「全ての主要排出国が削減する公平で実効性のある枠組」の構築を推進しかつ「知財権の保護のもと日本の優れた技術を世界に普及させ、地球規模での温室効果ガスを削減する仕組の構築を推進しあわせて日本の技術による削減貢献量に対して応分の評価を付与する仕組」の構築を推進すべきだと思います。それは、最後の方にいってますが、この観点というのは国益と地球益が合致しているので、是非進めて欲しいと思います。以上です。

○長辻委員 
こうした審議会で、こういう低炭素社会に向けた今後の社会づくりということを考える時には、確かに大所高所に立った大掴みな視点というのが非常に大事なわけです。ただ、ここでの議論を伺っていますと、どうしても頭の中だけで考えた、そちらに理念として走ってしまい細かいディテール、人々の暮らしという現実を捨象してしまいがちな、そういう危うさを感じるわけです。例えば、脱原発という、これは非常に簡単に言えますけれども、現実にその原発立地点に行って、その地域社会に行って、そこで原発とその人々の暮らしが、どこまで密接に関連しているか。ただ原発依存と言ってしまえばそれまでのことですけれども、例えばの話、原発の稼働率と、それから、例えばその立地点の旅館の経営という、2つの要素で、ピッと頭の中に、それで私が何を言いたいかということをすぐに理解できる方は少ないと思うんです。これは、後で調べていただければいいことですけれども、それほど具体的に、密接に、暮らしと、それから例えばエネルギーというものが非常に深く結びついているわけです。ですから、そのあたりも、頭の中だけで考えることではなくて、現場に足を運んで、できる限り、忙しいわけですけれども、その実態というのを見て歩くという、これが非常に必要だけれども、それがどうも欠けがちになっている。結論は急がなきゃならないので、そういうふうになりがちだと思うんです。例えば、温暖化に対する適応策が大事だということを口で言うのは簡単ですけれども、現場に行って、北海道から九州まで、現場の農業、それから漁業が、温暖化上昇によってどういう適応策を強いられているか、どういうふうに、現実としてその対応が進んでいるかという、これを一つ一つ知るのが大事だと思うのです。自然の野山の中の生態系、海や川などの生態系、これがどう変わりつつあるか。
 これを考えてみると、そう簡単に、原発が要らないとか、いやいや増設が必要だとか、なかなか簡単に言えることではないんです。分かれば分かるほど迷ってくるわけなんです。だから、もっともっと迷って欲しいと私は思うんです。迷って、迷い抜いた上でシナリオを描いていくことが必要になると思うけれども、それをせずに、どうも理念ばかりで走っていくという、これはかなり危険だと思います。例えば、後で後悔してしまうという、そういうミスリードに走るようなこともなきにしもあらず。これは、やはり急いでいる時だからこそ、もう一度、ゆっくり原点に立ち返り、現場に足を運んで、もう一度物事を振り返ってみる、そういう視点も必要だろうと思います。以上です。

○新美委員 
どうもありがとうございます。私は、これまでの委員の先生方のご発言でまだ触れられていない点について、述べます。中期目標そのものの考え方についてです。
 中期目標で2020年となっていますけれども、それまでの時間を考えたら、9年しか残ってない。その9年後のうちのかなりの部分が、今回の震災の復旧・復興のための社会・経済活動が大きな割合を占めてくると思われます。さらには、原子力事故、原発事故の影響でエネルギー供給に大きな影響が出てきている。今後少なくとも3年間ぐらいは、その2つの活動で温暖化防止の政策は非常に大きな影響を受けるだろうと思います。それを踏まえて、中期目標をどう考えていくのかというのを、永里委員がおっしゃったように、地に足をつけて議論しなきゃいけないだろうと思っております。
 まず第一に、復旧・復興というのは相当程度のエネルギーの投入がなされるわけです。それらが、どの程度のインパクトを持っているのかということをきちんと見極めておく必要があろうかと思います。復旧・復興活動のそれ自体のエネルギー投与量。それは省エネ性が要求されるとしても、その分析は必要です。そして、復旧・復興の活動によって新たに形成される社会構造ないし経済活動が将来もたらす省エネ効果というのはどんなものなのか、そういうことを見ておく必要があると思います。例えば再生エネルギーをそこで立ち上げると言いますけれども、これは森嶌委員も触れられたところですが、そのLCAの評価をしなければ、それがどういう影響を及ぼすかというのは、はっきりしてこないだろうと思います。
 もう1つは原発事故の問題についてですけれども、新増設という議論が出ていますけれども、現実には再稼働すら可能なのかわかりません。当分の間はできないのではないか。電力関係の人たちから漏れ聞くところによると、5月になったら原発は全部止まるだろうと予想されている。それが再稼働するのに、どれぐらいの時間が必要か。半年、1年ぐらいは原発なしでということも考えなければならないということにもなりかねない。そういう問題を踏まえた上で、中期目標のいう9年後どうなるのかということを検討しなければいけないはずです。
それからもう1つ、これは原発事故による影響の1つですが、例えば東北地方の山林というのは、飛散した放射性物質によって今は人が入れない状況がにあり、森林管理ができないといえますが、これによって森林そのものが疲弊して、場合によっては荒廃してしまうという可能性もなきにしもあらず。そうすると、吸収源としての森林をどうしていくのかということも考えなければいけないと思います。ですから、25%を維持すべきかどうかを論じる前に、もう少し、震災或いは原発事故のインパクトをきちんと評価して、25%削減の目標をどうすべきかという議論をすべきだと思います。政策目標として25%を掲げた以上、簡単に、震災があったからゼロにします、1からやり直しますというわけにいかないと思います。どういうインパクトがあったからこういうふうに変えます、或いは変える必要がないということをきちんと示すことが求められる。そうしないと、計画というのはそんなにいい加減なものかと言われることにもなりかねません。もう少し詰めた議論をしておく必要があると思います。
どうもありがとうございました。

○西岡委員 
私の意見は19ページ以降にございます。その前に、この地球部会の下に2013年以降の施策検討の小委員会がございまして、私は、そちらの委員長をやっております。今幾つかご指摘のありました、原発なしでどれだけやっていけるのだろうかということは誠に重要な問題でありまして、そこで、本当に力を込めてその検討をやっていく必要がある考えております。これは、もちろん事務局と十分に打ち合わせが必要かと思います。
 私が19ページのところで書いておりますことについてニ、三説明したいと思っております。まず最初に、その温暖化対策の存在理由ということでの科学的知見、これは山本委員からも既にご指摘がありましたがきちんとこれをいつも書き込んでいただきたい。例えば、北極上のオゾンホール出現、これはもう10年ぐらい前から、温暖化に対応して成層圏が冷えて、そういう可能性が在るということは研究としては出ていたわけですけれども、ひょっとしてそれと関係することが起こっているかもしれない。いろいろな面でAR4以降の科学観測から見ても確実に温暖化が進展し、その影響が現れているのではと考えています。
 それから、7のあたりに書いてございますけれども、文部科学省の革新プログラムでの地球システムモデルを使った計算結果から見ましても、フィードバック等々を考えると、2℃以下にとどめるということがますます難しくなっているということがあります。もちろん目標としてはそれぐらいが必要ですで、それを政策の目標とするのはいいのですけれども、しかし、それから非常に外れるということも十分考えられますので、この適応策についても幅広く考えてもらいたいということも、是非入れて欲しいと思います。
 それから、一番下のところに、エネルギー政策と表裏一体の関係にある温暖化対策というお話がございまして、先ほど、2つのエネルギーと、それから温暖化防止の委員会の順番の話がございましたけれども、これは両方とも同時に達成するべき問題でございまして、どっちが後でも先でも、きちんとそれが両立するような形にすればよく、我々がもし先行しているなら、我々の方からこういう枠組みでエネルギーも考えてくれということを強く主張してもいいのではないかなという具合に思っております。
 11番位のところでございますけれども、今回、再生可能エネルギー推進というのが大きな課題になってきましたけれども、そのためにいろいろなことをしなきゃいけない。特に、地方の安定化、安定供給ということを考えると、非常に強靭な自立分散ネットワーク型電力が要る。自立は分かると思いますし、分散も分かりますが、それと同時に、今のグリッドにもちゃんと繋がった、タフなものにしていただきたいということです。
 それから、先ほど中上委員から節エネと省エネという話がありました。今年の夏に皆さんがなさったのは、あれは省エネだったのか節エネだったのかというと、私は節エネだと思います。といいますのは、省エネという言い方は、どうしても原単位的な考え方があるわけですね。省エネ機器を買いましたというのは、パフォーマンスに対してエネルギーの少ない機器を買ったという意味で、それが果たして全体の量の削減に結びついているかというと、これは非常にあやしい。しかし、今回皆さんがなさった節エネは、昨日もお伺いしたんですけれども、ほぼ20%の節電をやっているわけです。すなわち節エネをやっているわけです。そういう観点から、私は、節エネという、総量を減らしていくという方向に向いていくべきと思います。私の定義では、省エネと節エネの違いがあり、今後は節エネルギのほうに向くべきとかんがえます。再生可能エネルギーをその時に使うわけですけれども、この前、ドイツ人と話していたら、2つのことが再生可能エネルギーの推進のために絶対必要だと。1つは、電力網による再生可能エネルギーの優先引き取り、これはきちんと書くべきだということです。それが、今、運営に非常に問題がある時は引き取らないということが検討されていると聞いておりますけれども、それではだめだろう。それから、期間と買取価格を最初に決めたら、それをずっと固定してやりなさいと。これは政府の信頼感といいましょうか、それが非常に大事だという話も聞いてきましたので、そのあたりも十分書き込んでいただきたいという具合に思います。
 それから、需要の削減。先ほど省エネにみんな押しつけちゃいけないという話がありましたが、まさにそうだと思いますけれども、今の節電の話も、会社がどうやったという話は手元にあるらしいのですが、消費者がどういうことできちんと減らしたんだろうかといったところ、それから、個別に消費者にどう対応すれば、もっとエネルギーが減っていくんだろうかということについてのデータを、きちんとみんなで共有してもらいたい。ドイツでも、脱原発とともに、いわゆる経済成長とエネルギーのデカップリングというところに非常に力を入れているということであります。まだまだ私は、これまで供給側がしっかりやるぞということで大分甘えていた分、需要側で頑張れるところがあるという具合に考えております。
 最後になりますけれども、一番最後の22ページに、施策の基本的方向ということで箇条書きに幾つか書いてあります。何といっても一番大切なのは、先ほどからも話がございましたが、地方自治体だけでなく企業も、一体、政府がどういう目標を掲げて進んでいるのかということについての確固とした方向を示して欲しいということをあちこちで聞いております。それから、もちろん研究の推進もありますし、あと、グリーン成長を国策としてやっていきたいと書いていただきたいとか、いろいろなことがありますので、そのあたりを是非汲み入れていただければありがたいと思います。以上です。

○原澤委員 
メモはお出ししたんですけれども、今日は2つ、皆さんのご意見を踏まえた上で発言したいと思います。
 1つは、小林委員がおっしゃったように、今自治体で温暖化防止計画の改訂ですとか、環境基本計画の見直しをやっていて、国の方はスタンスが決まらないのでなかなか進んでない。その間、温暖化対策等が遅れるのが非常に問題じゃないかということで、国としても、自治体との連携を今まで以上に強めて欲しいということです。その中で、資料1のご説明の時に、「経験を知識に」というお話があったわけですけれども、これは非常に重要だと思いますので、経験を知識にし、さらにそれを共有するような仕組みを、その環境基本計画の中に盛り込んでいただければと思います。また、ある県のそういった議論に加わっていますが、震災地域の県は、まさに大変な思いをしてやっているんですが、それ以外の県は比較的実感がない様子です。そういった知識、或いは今後の対策に生かせるような経験を、まだ共有できていないような状況もあったりしますので、それは国の基本計画の中でしっかり謳い込んで、地域の計画を立てるということが必要になってきているのではないかと思います。
 2点目は、今年の夏の、節電、節エネになるのか分からないですけれども、それは定義を決めていただいて、所属する研究所でも、法的に節電をしたわけですけれども、分かってきたことはいろいろな方法があるということが1つと、もう1つは、無駄に電気を使っていたような面もあるというのが実感としてあります。エネルギーは非常に重要なもので、必要なところで必要な時に使おうという需要面が重要で、必要だから供給を増やすというのでなくて、これを機会にして省エネ機器を入れるという話、今回しっかりデータを取って次に繋げていく、その経験を知識に変えて共有していくということが重要じゃないかと思います。以上2点、コメントです。

○藤井委員 
私の意見は25ページに書いておりますが、議論の中心は、恐らく温暖化対策とエネルギー対策の一体化というイメージのことだと思うのです。これについては、どなたも反対ではないんですが、実は同じことを、同じ言葉を使っているけれどもウエートが違う。ここで、私もそのように書いているのですけれども分かり辛いので、もっとクリアに言えば、温暖化対策が優先なんです。エネルギー対策というのは、温暖化対策の制約の中でどうベストミックスを得るかということであります。これは決して難しいことではなくて、これは山本委員が言われたような科学的な知見、そして国際条約を結んだ中で、我が国は京都議定書の中で、そういったシナリオの中で責務を果たしてきているわけです。ですから、多種にでもあるものではなくて、温暖化制約の中でエネルギー政策のベストミックスをいかに果たすのか。もちろんエネルギー問題は非常に困難な問題でありますけれども、それは我が国に限らずあるわけで、そして、その困難なエネルギー政策をスムーズに進めるために、最適に進めるために、政策の支援をどうするのか、そういう流れになっていくというのは、決してこれは難しい議論ではなくて、自然に考えれば当たり前のことではないかと私は思います。
 では、どのような政策をやればいいのかというところが非常に大事で、先ほど、経団連の進藤委員は、環境税も排出権取引も、企業の技術力を阻害すると言われましたが、確かに我が国の、日本の企業の省エネ、温暖化対応技術は大事ですし、さらに促進していかなきゃいけない。しかし、これを民間の力だけに任せておくと有利なところしかやらない。当たり前ですよね、民間企業は社会のために、コストを大量に被ってまでやらない。最終的には、市場化できるもの、収益へ繋がるものを目指してやるわけですから。それでなければ、株主から、その経営は指弾されるわけです。しかし、それが結果的に社会にもプラスになるということが大事な点ではあるんですけれども しかし、民間企業に任せているだけでは回らない部分、特に、先ほどのご議論のように、途上国等の対策を促進していくためにも、技術開発及びその実用化等を含めてやはり政策の支援が要る。そのためには財源が要るわけですから、当然その環境対策の財源を環境税で取る、或いは、もちろん一般財源から持ってくればいいという議論があるかもしれませんが、今の財政事情を考えて、そういうことを産業界が声高に言われるとは思えないので、やはり環境対策を促進するために、そして、その先端に進んでいる技術を持っているところをさらに進めるためには、そういうところに税等を使った支援が当然要るわけです。
 それから、キャップ・アンド・トレードも、何もこれは負担ではなくて、さらに先行的に努力されている企業、そして今言ったような技術的に進んでいる企業を、そのメリットを市場で評価してあげましょうということなんで、これがないと、先行的に努力してもマーケットで評価されなければ、インセンティブが持続しないんじゃないかということではないかと思います。この辺も計画の中にもっと具体的に書き込んだ方がいいと思います。私は、ここに書いてあるように、これまでのキャップ・アンド・トレードの議論は理想的なスキームを提案されてきたわけですけれども、現実には、今回の3.11の後、エネルギー問題、要するに原発稼働が進まない中で、電力は火力を中心にシフトしていくわけですから、当然CO2の排出量が増える懸念がある。欧米を見ても電力をまず前提とした直接燃焼のキャップ・アンド・トレードというのが、ヨーロッパはまずそうですし、アメリカのRGGIもそうですし、一番現実にCO2削減が増えるところを抑えていくというスキームにこの際、切り替えてはどうかと思っております。
 それから、いずれにしても、その温暖化対策を進める、温暖化制約の中でエネルギーベストミックスを進めていくにはお金がかかるわけです。再生可能エネルギーも、法案を通せば万々歳、先ほどの技術的な点のクリアだけではなくて、再生可能エネルギーに投資するファイナンスをどうするのか、どこからお金を持ってくるのか、儲かるところだけしかやらないんじゃ困るわけです。10%、20%に行かないのは、それはそうだと思います。それを促進するようなファイナンスのスキームを、これまでの中央環境審議会のご議論を見ていますと、どうやったらファイナンスが回るのか。つまり、それは、先ほど言ったタックスに基づく公的なお金だけではなくて、民間のお金をどう回していくのか。これは、もう明らかに我が国の議論は遅れています。OECDでも、そのペーパーが出ていますし、EUはそういったスキームを既に作り始めております。民間の年金基金等のお金にどう繋いでいくのか、そのためには政府はどういう役割を果たすのかというところは、しっかりこの審議会でも議論していきたいと思います。
 最後に、せっかく井上委員が発送電分離のご議論を提起されたので少し言っておきたいんですけれども、今まで発送電分離を否定されてきた理由は、確かに電力の安定供給ということでした。それが今回崩れたわけです。つまり、独占している中で崩れたということを前提として、安定供給をしていく中で、このシステムを続けていくというのは説明が十分できないのではないか。この電力の地域独占というのは、安定供給のためにということではあるのですけれども、市場経済の我が国において、独占を許しているというのは例外措置であるということを、まず産業界の方は当然お分かりだと思いますので、エネルギーコストを下げていくということで、ここに、いかに競争原理を導入するかというのは非常に大事なポイントですので、3.11の後の反省として、より効率的で安定した供給というのが、従来型のものをただ守るだけではないのではないかと思います。以上です。

○三橋委員 
28ページを見ていただければと思います。全体的な意見として、温暖化対策を第四次環境基本計画の中に盛り込む場合は、「温暖化対策5カ年計画」といった内容にして具体的に何をすべきかについて書き込んで欲しいと思います。もう1つは、原発事故以前と以後とでは状況が大きく違ってきたということで、特別に1章なり1節を設け「原発事故と節電」といったタイトルで特別に書き込んで欲しいと思います。
 今度の原発事故により、節電革命が起こったと思います。この節電革命は、これからの日本のエネルギー政策に好ましい影響を与えると思います。日本の電力供給体制は、需要に応じて供給を増やしていくという形が戦後ずっととられてきたわけです。その結果、電力多消費型の企業、或いは電力多消費型の産業を温存させ、増加させてきました。日本に電力多消費型の企業、産業が多いのは、この供給体制に問題があるからです。しかしながら、今度の事故で原子力発電の供給が減少し、供給不足問題が起こってきました。このような供給制約が続けば、電力多消費型企業・産業は事業を継続することが難しくなります。このような状況が日本の企業や産業にとってマイナスと考えるかプラスに考えるかですが、私はプラスに働くと思います。最大の理由は、電力多消費型企業・産業を省エネ型に転換させていく上で、大きな効果が期待できるからです。日本の産業構造をスリム化するチャンスです。この夏の節電効果ですが、月曜日から金曜日までのビジネスデーの節電効果は昨年夏比20%以上だったいうことですが、これは大変なことで一種の革命、節電革命と言ってもよいと思います。これからは、これまでのように、需要に合わせて供給を増やしていくことが難しくなるわけですから、供給に合わせるような形で需要をコントロールしていくということになります。現状では、需要に対し供給が15%程度足りないということですが、それを受け入れるなら、企業、全体としての産業も、15%程度の節電が必要になります。日本経済全体が15%節電に成功すれば、企業も産業も15%節電でもやっていけるように転換しなければなりません。節電革命は、省エネ型、節電型の企業、産業への転換を促す上で、大きな役割を果たすのではないか。このような視点を是非書き込んで欲しいと思います。
 それから、中長期的な目標については、これまでの日本政府の約束である20年25%削減、50年80%削減ということはしっかりと書き込んでいくべきだと思います。
 それから、脱原発ということですけれども、私はその方向は正しいと思いますけれども、これは、すぐ明日から或いは来年からというわけにはいきません。原発の寿命というものも考えながらやるわけですから、仮に原発廃止が決まっても原発が全部ストップするまでには、かなりの時間が必要です。寿命がきて廃炉になったものから廃止していく、新しい原子炉は作らないという前提でも、30年~40年近くかかるわけですから、その中で十分対応できると思います。
 それから、もう1つ、これまで、日本の温暖化対策の1つ大きな問題だったのは、個人や企業の自主的な取組に依存する傾向が非常に強かったわけです。日本経団連が推進してきた自主的取組も、その結果を見れば、全体としては効果が上がってないわけです。製造業については、軽薄短小型の産業が伸びてきた結果、CO2削減効果がありましたがサービス産業など非製造業分野を含めた全体として日本経済のCO2は増えています。自主的取組には限界があります。個人の努力にも限界があります。これから5年間は、温暖化対策税とか固定価格買取制度などが法的な枠組みがしっかり整ってくる時期にあたるわけですから、法的な枠組みを前提にして温暖化対策を実行していくということをしっかりと書き込んで欲しいと思います。
 それともう1つ、先ほどのロードマップについて注文させていただきたいと思います。これが最後になります。敬愛する西岡委員がリーダーでやっているので、甚だ言いにくい部分はあるのですけれども、2050年のロードマップで3つの可能性を挙げています。経済成長志向型、自立性志向型、余裕志向型の3つあります。この三つのコースのどれを選ぶかは、国民の選択に委ねられているという問題提起です。この問題の投げ方はある意味では、無責任な問題提起だと思います。今の日本の置かれている様々な状況を考慮した場合、三つのコースのうちどのコースが一番到達しやすいコースなのかを明示し、その理由を説明する必要があります。別の二つのコースを選ぶ場合には、このような問題を克服しなければならない、など目標達成のための順序付けが必要です。
50年までに3つのコースがあるので自由に選んでください、というだけの問題提起は現実的なアプローチとはいえません。まず、最もあり得るべき80%削減の現実的なコースを提示していただいて、その上で、他にやりようによってはこういうコースも可能だという問題提起をしないと、国民は困ってしまうと思います。最後にあとひとつ、このロードマップでは、2050年の日本のGDPは、今よりも拡大することが前提になっています。これはおかしい。日本の人口は、2030年から50年ぐらいにかけて年率で1%ぐらい減少すると推定されているわけですから、GDPが増えるためには1人当たりGDPを増やす、そのためには思い切った労働生産性の向上を図っていかなくてはならない。だが、30年から50年を展望すると、それはあり得ないわけです。むしろ、50年のロードマップを考える場合には、50年のGDPはある時期から縮小する、そのかわり1人当たりGDPは低下させない、そういう状況の中で80%削減を考えていく。恐らく現状のままでも、日本の温室効果ガスは2050年に人口減少やGDPの縮小などによって何もしなくても、90年比で4割から5割ぐらいは減少すると思います。このような前提に立てば、80%の削減はそれほど無理をしなくても、達成できるはずです。以上です。

○鈴木部会長 
大変皆様に熱弁を振るっていただきましたが、大事なことは、エネルギーの基本計画、これもまた急遽改訂ということになっていくわけで、そこと環境基本計画をどう階層化していく、すりあわせていくか。これまでは、確かに環境基本計画でいろいろと議論をしても、特にその産業を支える地殻的なエネルギーが優先で、エネルギー基本計画、或いはエネ庁でいろいろとお考えになる、これはともかく、唯一の基本という形で動いてきた面がないとは言えない。私は、そういう体制に対して、今度の震災も、ある意味では、非常に問題であるということが、いわば明らかにされたために、エネルギー基本計画の見直しということにも至っているわけです。要するに、過去の体制、電力であれば、電事連から来ていただいている井上委員に申し訳ないのですが、大電力がああいう地域独占でやっていた仕組みがよかったのかどうか、そういう問題、それを支えた役所の仕組みがどうだったのか、或いはそれに支えられていた産業界は本当にそれでいいと思っておられたのか、或いはそうではないのかもしれないです。新日鉄も発電はしておられるわけですし、それは発電・送電というのが一体化している体制が本当に良かったのかどうかなんていうのは誰も検証しなかった。そういうようなことは、例えばですが、他の面でもいろいろと出てきていると思うんです。役所の縦割りの問題から何から。原発をどうしていくという問題は、まさにそれの一つの典型かもしれない。そういうことを踏まえて、ある種、破壊的なイノベーションを考えなきゃいけないのが今の時期で、そういう中で、じゃあこの環境基本計画がどういう役割を果たすべきか、ということが重要になるだろうと私自身は思います。ですから、エネルギー基本計画が決まらなければ、うちは、その下で何かをという体制であるとは私は思っておりません。やはり環境制約の中で、これから国をどうつくっていくかということが重要になっていく時代にシフトしていくわけですから、環境基本計画で、むしろどういう国づくりをしていくのかという姿がはっきり見えれば、それをベースに置いてエネルギー基本計画を考えていただくというようなそれがステップとしては筋なのかもしれない、筋であって欲しいと思っております。
 しかしながら、そういう中においても、例えば自治体と国の関係であるとか、いろいろと今度の震災を通じて見えてきたといいますか、気付かされた、或いは気付いていても触れてこなかったいろいろな新しい問題、古い問題もあります。地域一体計画をつくっていくというのは一体どういうこと、これまでは何となく、それぞれが、問題がなければ、問題が実は内蔵されていても見えないということがあるわけです。それがいろいろな面で見えてきたということが重要なところだろうと思います。その辺のところにのっとって、この環境基本計画が、第4期がある意味ではどういう新しい意味を持ってくるかということが今問われているのだろうと思っております。そういうことで、今回は、参考資料3にありますように各委員にメモをご準備いただいたということで大変分かりやすくなったと思いますし、それぞれの委員から重要なところをたくさんご指摘いただきました。それを今度は、これまでの議論等をまとめて、次回に委員会をつくっていくというのは、これは事務局にとって大変な作業だろうと思いますが、そのためにある事務局で、是非、頑張っていただくということになるのかもしれません。

○浅野委員 
まとめる際に、事務局に1点だけお願いしておきたいことがあります。地球温暖化対策に関する計画をつくると言っても、要は、第4次環境基本計画の一部分をとりまとめているわけです。温暖化対策が環境基本計画の中で、最も重要なパーツであることは認めますけれども、他の分野との関連性を十分に意識するということが基本計画策定に際しての共通認識になっています。例えば、先ほど森嶌先生が言われた問題などは、例えば生物多様性、生物共生ルールと結びつきます。それから、誰からも議論が出てないのですが、循環型社会という視点がこの部会でのこれまでの議論に全くないですね。ですから、これまで出てきた議論だけでまとめていくと、かなり環境基本計画の中では異質のものになって、総政部会で、またもう一遍直してくれということになりかねません。そうならないように、その辺は十分に留意していただきたい。

○鈴木部会長 
もちろん、ここで議論されておりますことは、このタイトルにもありますように地球温暖化に関する取組に関する議論をここでしていく。ただ、森林の問題などが指摘されたこともありますし、例えば金融のメカニズムという問題も、これも総政部会でいろいろと議論されることになると思います。いろいろそういう意味では他の切り口、そしてさらに、震災に関しては別の章というお話もありましたが、それも浅野委員の方でお考えいただいていることでもありますのであまりそういう意味でのご心配はなさらないでいいかと思います。このロードマップを、これもまた改訂していくというのは、短期間にどういうことになるのか、期待させていただいて宜しいんでしょうか。事務局から、いろいろとご質問的なものもあったと思いますので、内容を確認いただけますか。

○低炭素社会推進室長 
まず、アメリカなどで行われております、グリーンニューディール政策についての現状につきましてご質問がありましたが、本日は時間もございませんので、後ほど情報を取りまとめて提供させていただきたいと思います。また、ワーディングについての注意をすべきというご質問をいただきましたので、次回、議論のたたき台を作成する際には、ワーディングには注意をいたしまして作成させていただきたいと思っております。また、今、浅野委員からもご指摘をいただきましたが、他の分野との連携などを意識してということでございますので、環境基本計画の事務局とよく打ち合わせをさせていただきまして、次回にたたき台を作成していきたいと考えております。以上です。

○鈴木部会長 
それでは、予定の時間を10分少しオーバーしてしまいましたが、今後のスケジュールを

○低炭素社会推進室長 
今後のスケジュールでございます。資料4でございますが、次回が11月1日に開催させていただく予定でございます。議論のたたき台を通じて、また、議論を深めていただきたいというふうに考えております。

○鈴木部会長 
それでは、委員の皆様におかれましては、長時間にわたりまして大変活発なご議論をいただきましてありがとうございました。次回は11月1日ということでございますので、場所等のご案内は追って事務局より連絡をいたします。どうもありがとうございました。

午後 0時11分 閉会