中央環境審議会地球環境部会(第87回)議事録

1.日時

平成22年2月10日13:01~15:09

2.場所

霞山会館 霞山の間

3.議事次第

  • 1.地球温暖化対策に関する国際交渉の動向について
  • 2.地球温暖化対策に関する基本法案について
  • 3.その他

資料一覧

資料1-1 国連気候変動サミット鳩山総理演説
資料1-2 COP15における主な成果と概要
資料1-3 鳩山イニシアティブの概要
資料1-4 コペンハーゲン合意への排出削減目標・行動の提出状況
資料1-5 気候変動に関する主な外交日程
資料2-1 地球温暖化対策に関する基本法案の概要
資料2-2 「地球温暖化対策の基本法」の制定に向けた意見募集の結果概要
資料3地球温暖化対策の中長期目標達成ロードマップの検討状況
資料4-1 平成22年度環境省税制改正要望の結果について
資料4-2 地球温暖化対策税について

参考資料1 三党連立合意、民主党マニフェスト(環境部分抜粋)
参考資料2 「明日の安心と成長のための緊急経済対策」における環境省関係の施策
参考資料3 新成長戦略の基本方針(環境部分抜粋)
参考資料4 鳩山内閣総理大臣施政方針演説(環境部分抜粋)
参考資料5 平成22年度環境省重点施策
参考資料6 平成21年度第2次補正予算(環境省)
参考資料7 平成22年度京都議定書目標達成計画関係予算案
参考資料8 チャレンジ25キャンペーン・キックオフイベントについて

議事録

午後 1時01分 開会

○事務局 それでは定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会第87回地球環境部会を開催いたします。
 お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 本日の地球環境部会は、委員総数37名中、ただいま19名の委員のご出席をいただいており、定足数に達しております。
 なお、本日の審議につきましては公開とさせていただいております。
 次に、お手元の配布資料についてご確認をお願いできればと思っております。
 お配りさせていただいている資料につきましては、資料1が1から5まで、資料2-1及び2-2、あと資料2-2の参考というものをつけさせていただいております。次に、資料3になります。次が資料4-1、4-2。ほかに参考資料が1から8までになっております。もし配布資料に不足などがございましたら、事務局にお申しつけいただければと存じます。
 では、初めに地球環境局長の寺田よりごあいさつ申し上げます。

○地球環境局長 地球環境局長の寺田でございます。
 本日は誠にお忙しいところ、地球環境部会のほうにご出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
 まずもって、前回の地球環境部会からかなり時間がたっております。こうした長期にわたって、この会を開催できなかったことを、まずもってお詫びをしなければならないというふうに思っております。
 この間、さまざまな出来事がございました。これにつきましては後ほど担当の課・室長からご説明を差し上げるという運びにしておりますけれども、最も大きかったのは、ご存じのとおり、昨年、政権交代ということがございました。交代の直後でございますけれども、たしか9月22日に国連の気候変動首脳会合におきまして、鳩山総理が我が国の温室効果ガス削減目標といたしまして25%を目指すということをお約束されたわけでございます。
 同時に、政権交代とともに、その前の選挙におけます民主党のマニフェスト、あるいは政権発足時におけます与党の政権合意というものを、まず実行するのだということでございまして、その中には、例えば与党三党の政権合意の中には、温暖化対策に関する基本法を速やかに国会に提出するというのがございます。また、そのマニフェスト、あるいは民主党のさきの国会に提案いたしました基本法の中には、温暖化対策の税、あるいは国内排出量取引制度、さらには固定価格買取制度というものの実現ということも入っておるわけでございまして、そういうものをどういうふうに実現していくのかというのが、まずは優先課題ということに現状なってきておるところでございます。
 一方、国際的には、これもご存じのとおりでございますけれども、昨年末のコペンハーゲンでのCOP15。評価こもごもございますけれども、私どもといたしましては、日本が目指しておりますすべての主要排出国が参加する枠組みに向けての1つの大きな前進としてのコペンハーゲン合意というものが、完全な合意ではございませんけれども、成立をしたというので、大きな一歩を踏み出した。しかし、まだなお道は険しいものがあるというように考えておるところでございます。
 そうした中で、私ども政府、環境省といたしましては、次の国際枠組みをどうやってつくっていくのかということに、ますます意を用いなければならないわけでございますし、同時に、先ほど触れました温暖化対策の基本法というものをこの国会に提出すべく、準備を進めているというところでございます。
 この間、政治主導ということもございまして、なかなか細かいところまで強いリーダーシップのもとに指示を受けて作業をしておりまして、なかなか十分にこの審議会にもご意見を承るという機会もなく過ごしてしまいましたので、このことは大変申し訳ないと思っておるところでございますけれども、こうした大きな出来事があり、さらにまた新しい段階に参るというこの時期でございますので、ぜひ本日は先生方から忌憚のないご意見を幅広くちょうだいいたしたいと考えておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。

○事務局 それでは、これからの議事進行につきましては鈴木部会長にお願いしたいと存じます。よろしくお願いいたします。

○鈴木部会長 それでは、皆様に本当に久しぶりでお目にかかるようなことになりましたが、ただいま局長のほうからございましたように、いろいろ政治の面が、大変、ある種活発に動いておりますし、国際的な交渉も非常に密に行われながら、なかなか不確定要素もまだ残っている。そういうところで、国の中では政治主導というような形でこれから動いていく。その中での審議会というのがどういうふうに位置づけられていくのか、なかなか不透明なところもまだあるように思います。
 しかしながら、地球温暖化という喫緊の課題に関しましての基本法案が今準備されているというようなこともございますし、現在いろいろな活発な国際交渉もあるというようなところで、今日は議題といたしまして、地球温暖化対策に関する国際交渉の動向についてのご紹介をいただく。そして2番目の議題として、地球温暖化対策に関する基本法案について。この部分で、ぜひ委員の皆様方から活発なご意見をいただきたいと思っております。
 それでは早速ですが、議題1といたしまして、地球温暖化対策に関する国際交渉の動向について。これにつきまして環境省のほうから資料の説明を一通りお願いしたいと思います。そして、その後でまとめてこの件に関しまして委員の方々からご質問、ご意見をいただくと、こういうようなことにさせていただきたいと思います。
 それでは、資料1の説明を、瀧口さんでしょうか。

○国際対策室長 それでは、国際交渉の動向についてということで、資料1-1から1-5までを用いてご説明させていただきたいと思います。国際対策室長の瀧口です。恐縮ですが、座って説明させていただきます。
 まず、資料1-1ですが、先ほど局長のあいさつにもありましたように、政権交代後、昨年の9月22日ですが、国連の気候変動サミットにおきまして鳩山総理が、1990年比で言えば2020年までに25%削減するという目標、それから途上国支援の「鳩山イニシアティブ」というものを発表されたわけです。
 それを受けまして、各国それぞれ2020年までの目標を発表する動きが10月、11月とございまして、12月6日からコペンハーゲンにおきまして気候変動枠組み条約の第15回の締約国会合、いわゆるCOP15と呼んでおります会合が開かれました。これの結果を資料1-2にまとめております。会合は12月18日に終了する予定でしたけれども、1日延長して19日に終了しまして、このCOP15では従来の閣僚級に加えまして、最終日、12月18日に首脳級の会合も開かれ、鳩山総理も出席されました。その中で、このコペンハーゲン合意というものが取りまとめられたわけです。
 Iの成果のところに書いてありますように、このCOP15に臨むに当たりまして、日本としましては、アメリカ、中国を含む主要排出国が参加する公平かつ実効性のある枠組みを得ること。それから、適応、キャパシティビルディング分野などでの途上国支援の道筋をつけること。この2つを大きな獲得目標としておりましたが、これを盛り込む形でコペンハーゲン合意というものが取りまとめられましたので、これにつきましては大きな成果であるというふうに考えております。
 この合意の内容ですが、1ページの後半に書いてありますけれども、まず削減目標・行動ということで、先進国は2020年までの排出削減目標。途上国は削減行動を今年1月31日までに届け出るということが盛り込まれております。また、途上国の削減行動につきましては、MRVと書いてありますが、これは「Measurement」「Reporting」「Verification」の略でありまして、いわゆるこの削減行動について、それを測定し、報告し、検証すると。一言で言いますと、透明性を高めるということがこのコペンハーゲン合意の中に盛り込まれております。それで、この1月31日までに各国がどのような提出をするかというところが注目されたわけですが、それは後ほどご紹介させていただきます。
 また、次の2ページ目にありますように、コペンハーゲン合意では長期目標ということで、温度上昇を2度以下に抑えるべく、各国が協力して削減行動をとるということが盛り込まれております。
 また、途上国に対する適応あるいは温室効果ガス削減の資金支援として、まず短期資金として2010年から2012年までの3年間で300億ドルの新規で追加的な公的資金を拠出するということが盛り込まれまして、これに関連して、日本は鳩山イニシアティブの具体化として、この3年間で150億ドル、うち公的資金110億ドルの支援を表明しております。
 また、長期資金としては、2020年までに毎年1,000億ドル規模の資金を動員していくという目標に約束しています。
 このコペンハーゲン合意になりますが、3ページの参考1のところに書いてありますように、最終日の全体会合で、このコペンハーゲン合意を採択するということで議長から提案がありましたけれども、これに数カ国が強い反対を示しまして、この採択そのものには至らなかったわけですけれども、このコペンハーゲン合意にtake note、留意するという形で、このCOP決定とされたわけです。
 今後の進め方につきまして、また2ページ目に戻りまして、いわゆるコペンハーゲンまでに2つの作業部会ということで、条約全体の包括的な枠組みを議論する(AWG-LCA)という特別作業部会、それから京都議定書の先進国の目標の改定を議論する(AWG-KP)という作業部会がありましたけれども、この2つを継続して、さらに今年11月のメキシコで開催されますCOP16、それから京都議定書のほうではCOP/MOP6と呼んでいますけれども、CMP6という国際会議で結論を得るということになっております。
 次に、資料1-3がこのコペンハーゲンで12月16日に小沢大臣のほうから発表された鳩山イニシアティブの概要でございます。
 資料1-4が、今ご説明しましたコペンハーゲン合意に関しまして、どれくらいの国が賛同の意を示し、また、その目標・行動を提出したかということを取りまとめた資料です。2月8日現在で削減目標・行動を提出した国が64カ国に上りまして、提出した国のエネルギー由来のIEAの資料をもとにした排出量を合計しますと、8割を超える82%という数字に上りまして、主要排出国はこれに参加の意を表明したということが言えると思います。
 日本は1月26日に、1990年を基準年とした場合に25%減という目標を、すべての主要国による公平かつ実効性のある国際枠組みの構築及び意欲的な目標の合意を前提にして、提出しております。1月31日までに、日本のほかに、アメリカやEU、あるいは中国、インドといったところがこの目標・行動を提出しておりまして、それにつきましてはこの資料の後ろのページにその提出内容をまとめた表を添付しております。また、主に途上国におきまして、削減行動につきましてはまだ出していないものの、賛同の意を示した国は29カ国に上りまして、これを合計しますと93カ国ということになっております。
 次に、資料1-5ですけれども、今後の交渉日程ですが、11月29日からCOP16がメキシコのカンクンというところで開かれる予定になっております。その前に、今もう決定されております日程としては、5月31日から6月11日までに補助機関会合、その際にAWGという将来枠組みを議論する特別作業部会も開催されることが決まっております。また、これ以外にも将来枠組みに関します特別作業部会が開かれる予定になっておりまして、それにつきましては、各国がそれぞれどう進めていくべきかという意見を提出して、それをもとに決定されることになっております。そのほか、G8サミット、あるいはG20、あるいは国連やAPECの首脳会合、あるいは日中韓の3カ国の環境大臣会合というところが今のところ日程として組み込まれています。
 以上、国際交渉の動向を、駆け足ですが説明させていただきました。

○鈴木部会長 それでは、ただいまご説明いただきましたことに関しまして、ご質問あるいは特にご意見ございますでしょうか。いろいろな報道等によって、多分皆さんはよくご承知のことではないかと思いますが。
 では、名札を立てていただけますか。
 それでは、猪野委員からまいりましょう。猪野委員、石坂委員、浅岡委員、どうぞ。

○猪野委員 ありがとうございます。
 国際交渉について申し上げます。ただいまのご説明にもありましたが、中期目標を国際約束する前提として、首相が強調されているように、すべての主要国による公平かつ実効性のある国際枠組みの構築と、意欲的な目標の合意が何より重要であると考えております。特にコペンハーゲン合意については、資料1-4にも載っておりますが、提出された主要国の中期目標を見ると、EU、米国、中国等は従来どおりの目標でしたが、限界削減費用を比較すると、我が国の中期目標は、明らかに突出していると感じております。この状況はCOP15の開催前後で何ら変わっていないと思っております。特に激しい国際競争にさらされている産業界にとって、国際的公平性の確保は極めて重要であるため、国益や国際競争も考えて、国民負担や削減のための費用は、少なくとも他の先進国と同等となるようにすべきであると考えております。
 以上です。

○鈴木部会長 では、石坂委員。

○石坂委員 今のご意見とダブると思うんですけれども、このペーパーの中にも何回も書いてありますけれども、今おっしゃったような、すべての主要国による公平かつ実効性のある国際的枠組みの構築と、すべての主要国の参加による意欲的な目標への合意を前提としてという条件をつけて、すべての上にこれがかぶっているということになるわけですけれども、これは、どういう状況ならこれが満たされたと理解するのかというのは、これは書いてあることはわかるんですけれども、公平かつ実効性とか、意欲的な目標への合意とか、それはどういうレベルの、どういう状態であればそういうことになるのだろうかと。仮にそれが満たされなかった場合にはどうなるのだろうかと。満たされなくても25%はやるという決意で臨んでいるのかどうか。その辺が、まだ今の段階では極めて抽象的ですし、交渉途中ですから、今どうだというふうな回答を求めても、到底お答えは得られないということは十分承知していますので、お答えは結構ですけれども、その辺を十分考えた上で、これからの交渉に当たっていただくということが基本だろうというふうに思います。

○鈴木部会長 浅岡委員。

○浅岡委員 公平性を判断する指標というのはこれまでも議論されてまいりましたように、非常に幅広く、そうしたことが広く議論されていることも、小沢環境大臣も長くCOP15におられまして、よくお感じになられたことだと思います。今回、政権交代によりまして、新たな目標、25%削減目標というものを早く表明され、COP15に臨まれて、大変難しい交渉であるということもよくわかったわけでありますけれども、そういう中で日本が大きく前向きな役割を果たそうとしているということであったと思いまして、私どももうれしく思ったところであります。
 また、こうした目標を経済戦略の中核に据えながら、いろんな施策をやっていこうとする意欲を現政権としては持っておられると思いますので、これも大変歓迎したいと思いますし、今後に期待するところです。私がお聞きしておきたい点は、資料1-2のIのところでありますけれども、本会合において我が国が目指したものは、政治合意において、米中を含む主要国が参加する公平かつ実効性ある枠組みとあります。この枠組みがCOP15の議論の中でも一時、大変議論になったわけでありますが、これは京都議定書の第二約束期間を含めて新たな枠組みを構築するということを排除するものではないと理解をしてよろしいのだろうと思うんですけれども、確認をさせていただければと思います。
 やはり、ツートラックかワントラックかみたいな方式論で、結局、時間がそこにとられて、途上国との間で無駄な時間を過ごしたなと思うものですから、基本姿勢について改めてお聞きしておきたいと思います。

○鈴木部会長 では、横山委員。

○横山委員 これまでもいろいろなところで議論をされてきたことですけれども、せっかくの機会なので、改めてお伺いしたいと思います。
 それは、COP15で日本が25%削減という非常に大きな目標を掲げて国際交渉に臨んだのに、ほとんどリーダーシップを発揮できないと。EUも同じような状況だったわけですが、アメリカと中国だけが交渉しているような状況になったわけです。なぜそういうように、世界的には日本がかなり前向きに取り組んでいるぞという印象を与えつつ、国際交渉の場では何ら力を発揮できなかった理由というのはどういうふうに考えているのか。あるいは、きちんと力を発揮したというなら、その反論というか、改めてその説明を伺いたいと思います。そういう反省点に立って、今後どういう態度でCOP16の交渉に臨んでいくのか、その辺を改めて伺いたいというふうに思います。
 以上です。

○鈴木部会長 では、福川委員。

○福川委員 大変ご苦労さまでございました。
 2つお伺いしたいと思いますが、その後、いろいろ外国の報道等によりますと、中国の対応についての批判がアメリカでもヨーロッパでも大変強くなっているということがございます。日本の代表団、総理、環境大臣、随分中国ともいろいろ接触をされたと思いますが、これから中国への説得というものをどういうふうにしていけばいけるのか。今回の中国の行動を評価して、どういう見通しをお持ちかが1つでございます。
 2つ目にお伺いしたいことは、先ほどご説明のあったMRVですけれども、これが具体的にどういうことで行われるかということでございます。強制力を持った形ではなかなか合意ができにくいのでありましょうが、コミットする、そしてそれをMRVで評価するといったときに、MRVというのは、1つこれから大変重要な課題になると感じます。アメリカの説得にもかかわらず、中国の反対で、国際的支援がされたものだけが国際的なMRVとなっております。そうなってくると、中国が、やはりそこでも1つ出てくるのですが、このMRVというものをどういうふうにこれから運用していくかというのは、公平かつ実効性のある枠組みの中で重要になろうと思いますので、MRVというものの具体的な仕組みを教えていただきたいと思います。
 以上です。

○鈴木部会長 多分なかなかお答えになりにくい面も、枠組みがまだ確定していない面もあろうかと思いますが、幾つかご質問がありましたので、その点だけ。

○地球環境局長 幾つかのご質問、その他について、とりあえず今お答えできるところをお答えしたいと思います。
 まず、条件についてのお話を幾つかいただきました。これは石坂委員からもお話がありましたように、まさにこの条件というものは、鳩山総理が各国にできるだけ頑張っていただく、各国についてきていただくと。このためにこういう野心的な目標をコミットメントしたんだと、こういうことでございまして、まさに国際交渉上、各国を引っ張るためにこれを使っていくということでございますので、現時点で、じゃ、どういう条件ならオーケーなのかどうかということを言うのは、やや国際交渉上は早計であろうと思います。
 また、同時に、この条件というものは、単なる数字のことだけ言っているわけではなくて、やはり数字もそうでございますけれども、参加の形態というものも重要であろうと思います。数字だけ単に並べるということではなくて、数字だけを並べるのであれば、それは先進国と途上国は、共通だが差異のある責任ということで、明らかにこの立場は違うわけですから、それはいろいろな見方もあると。同時に、途上国については、重視すべきはどのような参加をするのかということであって、このことも含めて最終的に判断をされるものだろうというふうに思っております。
 また、浅岡先生から、次の枠組みについて、京都議定書の第二約束期間というようなものが排除されるのかどうかと、こういうご質問がございました。我が国の立場というのは、現在新しい1つの法的枠組みを目指すというのが公式的な立場でございます。その1つの枠組みがどのようなものかというのはこれからの議論ということでございます。
 ただ、その枠組みについて、1つか、2つか、3つか、4つかということは、本来、数に意味があるのではなくて、中身でございますので、何も1つでなければいけない、2つでなければいけないと、こういうものではないだろうというふうには感じておるところでございます。
 それから、横山先生からリーダーシップの問題が言われました。これに対する私どものお答えといたしましては、十分にリーダーシップは発揮したつもりであるということになろうかと思います。現実の問題として、やはり鳩山総理の国連特別会合における25%宣言以降、やはり世界全体でCOP15を成功させようというモメンタムが非常に高まったというのは、これは事実でございます。同時に、COP15の会場におきましても、実はもうコペンハーゲン合意のようなものはできないんじゃないかという雰囲気が極めて濃厚になったときに、首脳会合が始まり、そこで、こんなことはいけないんだと、これじゃ恥ずかしくて国に帰れないじゃないかということを鳩山総理がおっしゃって、それが大きな契機となって、ようやく首脳間のひざ詰め談判みたいなことで、コペンハーゲン合意ができたというのも、これも紛れもない事実でありますし、それも一部報道されております。ただ、それらが必ずしも十分に日本国内において知られていないということは、これは私どもの情報の提供不足ということがあるかもしれません。それは反省しなければならないところでございますけれども、実際にはやっぱり25%ということで大きな存在感を示せたというのが私どもの理解でございます。
 それから、中国の問題でございます。これから中国をどうするのか。実際には、あのくらいのことは中国はやるだろうと思っていた、「あのくらい」でとどまってしまって、それから先に一歩も行かなかったというのがCOP15なんだろうというふうに思っております。そういう意味では、これから中国に対してどうするのかということ、これは1つには、やっぱり中国が何を欲しているのかということをよく詰めていかなければならないですし、中国に対する我が国の技術協力のあり方等々について、もう少し突っ込んだことが要るんだろうということは考えております。
 同時に、これは政府の公式な立場から離れまして、私の個人的見解にとどまると思いますけれども、やはり中国も世界の中で名誉ある一員でありたいということ。その中で今回、中国がこれだけいろいろと頑張れたというのは、やはりG77ないし途上国全般をかなり味方につけてやってきたということなんだろうと思います。ただ、その構造の中で、現実問題としては、途上国の中でもいわゆる最貧国、LDCグループ、あるいは小規模島嶼国、そういうところは大分違う感じを持ってきてはおります。また、いわゆるベーシックと称しておりますけれども、新興経済国の中でも既にインドは明らかに中国とかなり違う姿勢を持っております。あるいはメキシコ、これはもうCOP16の主催国でございます。そしてブラジルは、実は地球サミットから20年、2012年の新たなる地球サミットの議長国になるはずの国でございます。そういった国々と十分に我々も連携をとって、世界全体の大きな世論というものをつくっていくということも非常に肝要なのではないかというふうに考えています。
 また、MRVにつきましては、まさにご指摘のとおり非常に重要な事項でございまして、ちょっと見るところ、MRVが何だかんだと言っているだけで、じゃ、そのMRVの中身が何だということについての議論が深まっていないというのが非常に残念なところでありまして、単に言ってみれば名目というか建前だけで、これは我々が独自にやることなんだから、MRVは要らないんだと、こう言っているけれども、一方で自分たちのやっていることはちゃんと世界に対して説明をするんだと、こう言っていると。そういう状況でございますので、これからは我が国といたしましても、単にMRVだ、MRVだと言っているだけではなくて、じゃ、そのMRVというのは、どういう要件を満たしたものがMRVなのか。あるいは、MRVと言わなくても、こういうふうな条件があれば国際的に認知された計画となるのかという具体論を詰めていくと。こういう作業が必要ではないかというふうに感じているところでございます。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 COP15に関しましてのこれまでの動向につきましてのご説明、それに対する質問はここまでとさせていただきまして、次の議題……

○森嶌委員 よろしいですか。

○鈴木部会長 もし後の……

○森嶌委員 いや、そうではなくて、今の局長のご説明です。質問に全然答えていなくて、あいまいなものはあいまいなままでいいんですが、大本営発表のように日本は貢献したとおっしゃいますけれども、私はコペンハーゲンにいて、外国での評価も実際に聞いております。先ほど国際対策室長が事実経緯をご説明になったところでとめておけば、それでいいわけでして、総理提案を局長がそこまでよいしょをする必要はないと思います。どう評価されたかということについてはいろいろな理解があると思いますけれども、鳩山首相は、主要国がコペンハーゲン合意に向けていろいろやっていたときには、もう帰っておられたわけです。そして、日本は最終的な合意文書をつくった主要メンバーの中には、入っていなかったわけですから、その意味で、私は、日本が今回お金を110億ドル出すことを言ったこと以外に国際交渉をリードすることを何かしたという評価は聞いていないので、今の局長のような発言をなさる必要はないということを申し上げておきたいと思います。
 ここは審議会なのですから、行政側で事実をご説明なさればいいので、評価を、しかも今ご説明になったような、政治家の国会答弁のような無内容で何も具体的なコミュニケーションの内容のない、誇大化した評価の押し売りみたいな答弁はなさらないでいただきたいと思います。

○鈴木部会長 それでは、次の議題に進ませていただきたいと思いますが、議題2といたしまして、地球温暖化対策に関する基本法案、それから、その他のところにロードマップあるいは地球温暖化対策税の問題がございます。これを続けてご説明いただきまして、ご議論をいただくと。こういうふうにさせていただきたいと思います。
 それでは、資料2に関しまして、瀬川さんのほうから。

○環境保全対策課長 環境保全対策課長の瀬川と申します。説明をさせていただきます。
 地球温暖化対策法案でございますけれども、この法案につきましては、昨年の与党三党の連立合意の中で、速やかな制定を図るということが合意をされているわけでございますけれども、皆様ご承知のとおり、昨年の鳩山総理の国連の演説の中では、一定の前提のもとに25%削減をすると。そのためにあらゆる政策を総動員するというふうに表明をされております。基本法はそういう意味で、そういうあらゆる政策の体系を示すということが1つの目的でありますし、政府として諸外国に向けて日本の姿勢を明らかに示すという役割もあるというふうに考えておるわけでございます。
 検討の体制といたしましては、政府部内に地球温暖化対策の関係閣僚会議というものがございます。そこが中心になって議論を進めておりまして、環境省はその内容面での事務局として中身の検討を急いでいるというのが現状でございます。これまで概ね概要としてお示ししておりますのが資料2-1の概要とされるものでございまして、必要性は今申し上げました。法案の中身は、昨年4月に民主党が国会に提出されました基本法案を基本としまして、その後の動き、例えばマニフェストですとか税調などの中身を受けて、必要な見直しを行うという形で作業を進めてございます。
 法案の目的は、ございますように、新たな産業の創出及び就業の機会の増大を通じて経済の成長を図りつつということで、地球温暖化対策を進めることが、窮乏生活、耐乏生活ということではなくて、よりよい生活にもつながると、そういう観点から政策を進めるという趣旨を明らかにしております。
 基本原則としては幾つか、民主党の法案では7つほど並んでおりますけれども、今ここには4つほど主要なものを掲げてございます。新たな生活様式の確立等を通じて、低炭素型の社会、新しい社会をつくるということが基本である。これが一番大きな基本原則でございます。施策の推進に当たっては国際協調のもとに積極的に推進しなければならないということと、産業や就業の機会の増大ということにも配慮すること。それからエネルギー、その他さまざまな施策と関連しますので、そういった施策との連携も図りながら円滑に作業を進める。そういう基本原則を立てたいと考えております。
 中長期目標につきましては、鳩山総理の演説をできるだけ忠実に文言に落としたいと考えておりまして、今ご覧になっているような形でのものを法律上の文言として示したいというふうに考えてございます。また、あわせまして2050年の80%削減というものも規定をしたいというふうに考えてございます。
 それから、もう1つの目標という意味では、再生可能エネルギーの導入目標量を示すということにしておりまして、民主党の法案では一次供給時の10%という目標を掲げておりますけれども、私どもの今の案では、最終エネルギー消費量の20%を、再生可能エネルギーとその他のものを踏まえて全体で導入していくということで考えたいと考えております。
 施策の総合的な推進を図るために、基本計画の制度を位置づけるということにしてございます。それからその内容でございますけれども、大きなものはまず3つ、キャップ・アンド・トレード型の国内排出量取引制度を創設するというのが1つ。それから地球温暖化対策税でございますけれども、税調の議論を踏まえた規定を置きたいというふうに考えてございます。それから、再生可能エネルギーにつきましての買取制度の導入。現に既に一部導入されておりますけれども、もう少し幅広い意味での創設を規定できないかどうかということを検討しているところでございます。
 また、その他の内容としましては、便宜上大きく分けますと、日々の暮らし、ものづくり、地域づくりということで分けて頭の中を整理してございます。日々の暮らしという意味では、再生可能エネルギーの利用を促進するようなこと。それから省エネの推進、自発的な活動の促進、教育・学習の振興、それらに必要な情報の提供というふうなことがございます。ものづくりとしましても、省エネの促進、それからできるだけ温室効果ガスの出ないようなエネルギーの利用、あるいはその革新的な技術の開発を進めていくというふうなことでございます。地域づくりといたしましては、1つにはコンパクトなまちをつくって、その中で活動をするように、できるだけ温室効果ガスが出なくなるというようなことを規定できればなというふうなこともございますし、吸収作用の保全・強化というようなこともございます。もとより、国際的な連携の確保などにも努めるというようなことでの、今全体の整備を進めているわけでございます。
 この資料の後ろに、昨年私どもが国民の皆さんのご意見を伺うということで行いました意見募集の結果概要というのがございます。この中では、後ろの参考のところにございます小沢大臣からのメッセージというものを示しまして、大きな方針ではございますけれども、これに対してどのようなお考えを皆さんお持ちかということで募集をしたわけでございます。
 その結果が1ページ目にございまして、提出者数で言うと2,389件でございますが、意見に分類をしていきますと、5,800ほどの意見がございました。個別にはなかなか分類ができない大まかな意見。地球温暖化対策は大切だけれども、中期目標を今入れた法案をつくるのには反対だとか、あるいは、できるだけしっかりした目標を盛り込んだ法律をつくるべきだというような、大まかな議論がかなりの数ございましたけれども、その中で個別的に分類できるものを抜き出したものが以下でございます。一番多かったのは、やはり中期目標のあり方に関するものでございまして、いわゆる前提をきちんとつけてやるべきだというのが一番多い意見でございました。あるいはもっといろいろな議論をするべきだという意見がございましたし、日本だけがやれば産業の空洞化を招くというご意見がございました。[4]、[5]にございますのは、そうは言いながらも、もっと頑張るべきだというような意見もあわせていただいているわけでございます。
 次に多かったのが税に関するものでございます。これもやはり不安があるという意見が非常に多くあったということであろうと思いますけれども、真ん中にございますように、しかし、しっかりやるべきだという意見もあったということでございます。
 次にございますのが国内排出量取引制度に関するものでございまして、やはり地球温暖化に対するものと類似の意見が出されてきておりますが、やはりこれも賛成意見も多く見られたということであろうかと思います。
 ご参考までにということで、4ポツとして次のページに個別の意見を掲げてございますけれども、目標ですとか、税ですとか、取引制度以外の部分で見ますと、むしろ積極的な意見が目立ちまして、公共交通機関の利用を進めろですとか、グリーン・イノベーションが大切だですとか、再生可能エネルギーや省エネルギー分野の強化が必要ですとか、国民運動をもっともっとしっかりやるべきだというふうなご意見ですとか、見られるようなものが寄せられているところでございます。
 私ども今、詳しい条文についてご説明できる段階にはございませんけれども、いただいたご意見に対してどういうような方向で作業をしているのかということだけはご報告をさせていただきたいと思います。
 資料2-2の参考ということでお手元に置かせていただいておりました。概要にもございますけれども、きちんとした前提をつけるべきだということについては、私どももそのように法案に整理をしたいということでございます。ただ、前提をきちんとつけますと、その前提が成就するまでの間、25%という数字が動かないことになりますので、その間も少なくとも長期目標はきちんとありますし、極めて意欲的な目標ですから、必要な取組は進めるということは、同時に法律上の規定として書きたいというふうに今考えてございます。
 それから、その他のご懸念に関する部分でございますけれども、2、3でございますけれども、別途今ロードマップ、これからご紹介申し上げますけれども、検討を進めているところでございます。そうした中で、どういうような考えでやっているのかということを示させていただきたいと思っております。4、5はきちんと堅持していくような、ないしはもっと頑張れということですけれども、現段階では政府の方針としては25%、これは十分意欲的ですので、これで対応していきたいと考えているものでございます。
 それから、税に関していろいろご意見をいただいておりますけれども、税については昨年の税調で23年度実施に向けて成案を得るべく、さらに検討を進めるというふうな結論が出されてございます。私どもとしては、その税調の結論を踏まえた規定ぶりを検討していきたいというふうに考えているところでございます。
 それから、次に国内排出量取引制度でございます。これも先ほど申し上げましたとおり、さまざま意見をいただきましたけれども、制度としては温暖化対策のために非常に重要だと私どもは考えております。ただ、基本法の段階では大きな方向性を示すということですので、基本法の規定を踏まえて今後、個別の制度を検討するに当たっては、専門的知見を含め、各方面の意見を聞きながら、国際競争力などさまざまな点を検討して考えていきたいというふうに考えてございます。また、個別にいただいたご意見については、反映できるものは反映し、難しいものは政策の中で参考とさせていただきたいということで今考えているところでございます。
 以上、簡単ですが、ご報告でございます。

○地球温暖化対策課長 引き続きまして、地球温暖化対策課長の高橋でございますけれども、私のほうから資料3に基づきまして、中長期ロードマップの検討状況についてご説明いたします。
 資料3でございますけれども、まずロードマップの必要性でございますけれども、1ポツにございますように、中期目標、長期目標を表明しているわけでございますけれども、これらの目標を具体的にどうやって達成していくのかと。その具体的な対策・施策の全体像、行程表、いわゆるロードマップ、こういうものをできるだけ早く明らかにしていくことが必要であるという認識でございます。今方、ご説明がありました基本法案の国会提出、3月に予定してございますけれども、その時点で、まずは具体的な対策・施策のイメージをお示しする必要があるということで、この基本法の検討と並行して、今、政府部内でロードマップの検討を行っているというところでございます。
 そういうことで、まだ政府部内でも検討が始まったばかりでございますので、概要ということで、環境省なりの考え方をお示ししてございますけれども、今、基本法にもございました日々の暮らしでありますとか、ものづくり、地域づくり、こういう分類・分野に従いまして、それぞれ削減ポテンシャルがどの程度あるのか。また具体的な対策、例えば家屋の断熱でありますとか、あるいはハイブリッド、電気自動車等のエコカーの導入、あるいは再生可能エネルギーの拡大と、こういうさまざまな具体的な対策をどれだけ導入する必要があるのか。また、それをどうやって導入を促進していくのかという施策・政策、そういうものの全体像、行程表を示していきたいということでございます。
 あわせて、横断的な施策というもの、国内排出量取引制度、再生可能エネルギーの固定価格買取制度、地球温暖化対策税、それぞれ別途検討がされておりますけれども、そういうものを位置づけていくということもございます。
 また、先ほど意見への対応の説明の中で、経済への影響というのがございましたけれども、こういうさまざまな対策を行うことによる影響についてもこの中で分析をしていく、お示しをしていくということでございますけれども、その際に、単に負担とか、あるいはコストということだけではなくて、3つ目にございますように、この地球温暖化対策を行うことによって、新たな需要、あるいは市場が生み出され、それが雇用につながっていくという、そういう波及効果、プラスの波及効果も含めて分析をしていきたい、そういうものも提示をしていきたいということがございますし、やはり国民一人一人の取組を促すということがますます重要になりますので、例えば新築をする場合には太陽光パネルをつけたらどうですかという、わかりやすいエコスタイルを提案していくということもこのロードマップの検討の中に含めていきたいというふうに考えてございます。
 検討の状況でございますけれども、一番下の四角でございますが、これにつきましては関係閣僚の委員会のもとに、国家戦略担当大臣を座長とし、環境大臣を事務局長とする副大臣級検討チームというものがございます。ここで先週からこのロードマップの議論も開始してございます。先ほど申しましたように、基本法案の国会提出にあわせて、一度、3月には取りまとめを行いたいと思っております。
 また、この政府の検討に向けまして、環境省としても具体的・建設的な提案をしていきたいということで、次のページにございますけれども、専門的・技術的観点から提案を行うための環境省としての検討会というものも設置をいたしまして、この委員会の委員でもおられます西岡先生を全体委員会の座長といたしまして、その下に自動車ワーキング、住宅・建築ワーキング、地域づくりワーキング、エネルギー供給という主要な分野のワーキンググループをつくりまして、有識者の方々を中心に頻度の高い検討を行っていただいております。こういうものの検討成果も、私どもとしては政府全体のロードマップの検討にインプットしていきたいということで取り組んでいるところでございます。
 以上でございます。

○環境経済課長 続きまして、資料4-1と4-2に基づきまして温暖化対策税のご説明を申し上げます。環境経済課長の石飛でございます。
 まず、資料4-2のほうからご覧いただきたいと思います。今まで環境税と申し上げておりましたが、現政権のもとで地球温暖化対策税でございますが、中央環境審議会のもとでも長年にかけてご審議をいただいてまいったものでございます。一昨年、昨年は、本部会と総合政策部会の合同部会のもとに、グリーン税制とその経済分析等に関する専門委員会を設置していただきまして、そこでさまざまな経済分析等の論点についてご審議をいただいてまいりました。この資料4-2は、そういうものを踏まえまして、環境省として提案をした税の内容でございます。
 1ページ開いていただきまして、具体案の表がございます。また、2ページにその税の全体像ということで、簡単な図を表しております。この2ページをご覧いただきたいと思いますが、左側が現行制度でございまして、化石燃料にかかっている税をここに挙げておりますが、ガソリン・軽油にかかっている税、それから下のほうに石油石炭税がございます。赤い部分がいわゆる暫定税率と言われているもので、今回この暫定税率を廃止するということがマニフェストにも盛り込まれて、その前提で右側の導入後という温暖化対策税を提案したものでございます。
 具体的には緑色に塗った部分でございます。アルファベットのA、B、Cとございますが、Aというのがガソリン税の暫定税率が廃止をされるということを前提に、そうはいいましても、やはりガソリンの使用に伴うCO2の排出というのは非常に大きいわけでございますので、温暖化対策という観点からガソリンへの上乗せ課税をするということがAの提案でございます。それからCというのは、これはすべての化石燃料への上流段階でCO2の排出に比例して課税をするというものでございます。それからBというのは、これは下のほうにございます石油石炭税で、CO2に比例で考えますと、天然ガスと石炭には税率の差がございますので、少なくともこの差を縮めるという、穴埋めをするという意味でBという税の提案をしております。このA、B、C、合わせて温暖化対策税ということで提案をしたものでございます。総額としては合計で約2兆円という税収を想定しております。
 また、この税収の使途につきましては、1ページの一番下の段にございますけれども、さまざまな地球温暖化対策の歳出、それから減税に優先的に充てることとするが、特定財源とはしないという位置づけで提案をしたものでございます。
 以上のような温暖化対策税を昨年11月に提案いたしまして、政府税制調査会でご議論をいただいたわけでございます。その結果が資料4-1のほうでございますけれども、環境省がこの温暖化対策税を初めとして、さまざまな税制改正の要望をいたしました、その結果でございます。本日は温暖化対策税のところだけを紹介したいと思っております。
 2ページをご覧いただきたいと思います。第3章のところでございますが、(3)の暫定税率、地球温暖化対策のための税等というところがございます。まず[1]の暫定税率でございますけれども、これにつきましてはいろいろな議論があったわけでございますが、第4段落の「他方」というところから始まるところでございますけれども、地球温暖化に与える影響というのはやはり大きいと。それから、急激な税収の落ち込みがあるというような財政事情。こういうことを考えまして、最終的には暫定税率は廃止しますが、当分の間、揮発油税、地方揮発油税、軽油引取税等について、現在の税率水準を維持することとするというのが、この暫定税率についての結果になったわけでございます。
 それから、最も重要な[2]の地球温暖化対策のための税につきましては、ここに書いてあるとおりでございますけれども、地球温暖化対策の観点からいろいろな諸外国での取組が行われているということが紹介されまして、第2段落で、我が国における環境関連税制による税収の対GDP比は、欧州諸国に比べれば低いといえますが、今後、地球温暖化対策の取組を進める上で、地球温暖化対策のための税について、今回、当分の間として措置される税率の見直しを含め、これは先ほどの暫定税率等を含めたものでございますが、平成23年度実施に向けて成案を得るべくさらに検討を進めますということで、引き続き検討ということにはなったわけでございますが、23年度、再来年度の実施に向けてということで、目標の時期が定められたというのが大きな特徴でございます。
 それから、3ページが車体課税でございますが、これも暫定税率分は一旦廃止をするということでございますが、自動車重量税については2分の1の軽減をする、自動車取得税については現在の水準を維持するということで、当面の間の措置としてこういう形がとられました。
 今後、検討事項として3ページの下のほうに先ほどと同じ文章が載せられておりますけれども、引き続きこういうことを検討するということになったわけでございます。今後、政府税制調査会がまた開かれまして、温暖化対策のための税につきまして議論をしていただくということになりますし、私どもとしても、この政府税制調査会に積極的に提案をしていくという意味で、グリーン税制の専門委員会をまたこれからも開催いたしまして、ご審議いただきたいと思っております。特に税収の使途、それから地球温暖化対策全体との関係の中において、税のあり方ということにつきましては、これは先ほどのロードマップの検討とも密接に関係するものでございますので、そういう検討の場とも連携してよく検討を進めて、税制の制度化に向けて努力していきたいと思っております。あわせて、海外でもフランスを初めとして、大きな炭素税への動きであるとか、また、税本来の課税の効果、家庭や産業への影響の試算、それから、そういう負担を軽減する減税、免税の対象、こういったものについても専門委員会で引き続き精査をしていきたいというふうに考えているところでございまして、審議会でも引き続きご審議を賜りたいと思っております。
 以上でございます。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 地球温暖化対策基本法案、そしてロードマップ、地球温暖化対策税、これにつきましてのご説明をいただきました。あわせて委員の方々からご意見、ご質問等をお受けしたいと思います。
 ほとんど全員の方から挙がりましたが、いつも端から伺うものですから、今日は真ん中のほうから。では、須藤委員、進藤委員という順番でお願いできますか。

○須藤委員 最初で光栄でございます。
 地球温暖化対策基本法案の部分に関係すると思うのですが、二、三。特に地方の温暖化対策、あるいは温暖化対策条例とか、そういうことについて携わっている立場から、今まで困っていることで、基本法案にぜひ入れていただきたいことを申し上げたいと思います。
 まず、いろいろなデータが、例えば削減量とかというのが、地方になると国よりも2年遅れてきてしまって、何を議論しているかわからなくなっている状況なので、速やかにいろいろなそういう関連データについては公開、公表をやっていただくようなことの問題をどこかに入れていただきたい。要するに基本原則の一つとそういうことです。
 そういうことと、それからいろいろな技術の問題、要するに地方は何をやっていいのかわからないと、こういうことになるわけです。ですから速やかに、要するに地方の時代なんだけれども、地方でできないことはいっぱいあるので、ぜひいろんなデータや技術やら、そういうことを速やかに公表していただきたいということ。その2点です。
 それからもう1点だけ、税金の問題が先ほどあるんですが、これは温暖化対策税でいいんですが、今の地方は、例えば水源税とか、あるいは森林・水源税とか、もう既に始めちゃっているんです、環境税を。1世帯1,000円ぐらいが多いんですけれども、何となく、よく読めばわかるんですけれども、今後これが始まると環境税の二重取りみたいに聞こえるような部分があるので、その辺のすみ分けをきちんとやっていただいて、地方ではそういうことをやるので、国としては温暖化対策に重点があるんだということを意識啓発の中でも十分にやっていただきたい。この2点のことをお願いしておきます。

○鈴木部会長 進藤委員。

○進藤委員 基本的なロジックを確認したいと思います。この基本法の中期目標というのは、前提条件つきの中期目標です。したがって、前提条件が実現することが、いわば停止条件的な位置づけになっておりますので、これが実現しない限りは目標としては設定されないということだと私は理解しています。
 その下の個別対策については、キャップ・アンド・トレードをはじめ、から全部羅列されています。私の理解で言えば、中期目標が設定されて、それを実現するためにどういう対策があるのかと、こういう順序じゃないかと思うわけです。先ほどパブコメに対する答えの中で、長期目標があるからと言うのですが、長期の実現と中期の実現だと対策の様相はかなり変わってくると、私どもは理解をしております。従って、この法律の立て方、即ち前提条件、停止条件つきの中期目標をまず立てて、それを実現するために何か別のロジックで3つか4つの対策があるという立て方が本当にあり得るのかどうか。それが1つです。
 それから、2つ目はパブコメ、去年の年末に募集して、多くの人が出したわけですけれども、項目としては整理されていますが、通常であればその項目に対してどういう対応をするのかということが個々に説明をされてしかるべきと思います。今は暫定の公表ということになっていて、今日資料が1枚出ているわけですが、これであの千何百件に対する回答として十分と考えておられるのかどうか。これが2番目です。
 3番目ですがこの基本法の条文がまだ明確にわかっていないものですから、何とも言えないのですが、中央環境審議会という審議会があるわけなので、もし条文が整理をされて、公表された暁には、この中央環境審議会の審議の場に付されるおつもりがあるのかどうか。それは関係なく、もう政治主導だということでいかれるのかどうか。その3点についてお伺いしたいと思います。

○鈴木部会長 それでは、木下委員。

○木下委員 進藤委員の第1番目の質問と重なるところがあるんですけれども、今回の法案が中期目標が言っている前提つきの目標ということで、基本計画は先ほどのご説明のように、基本的施策を盛り込んだ基本計画をつくるということでありますけれども、目標が一応25%ということでありましたら、それに向けて具体的にそれぞれの施策が、ざっくりでいいとは思いますけれども、どの程度の削減を担っていくのかというようなところが示されないと、なかなか基本計画としての意味合いを持たないんじゃないかなというふうに思っています。そういう意味で、今後の検討課題だというふうに思っておりますけれども、それぞれの施策について、基本計画に具体的な数値目標を盛り込んだ形でいくお考えなのか。
 それからもう1つ、2つ目の質問は同じく、年数として、例えば5年程度を目標にまずつくり、それを改定していくというようなお考えなのか。その2つについてお伺いをしたいと思います。

○鈴木部会長 逢見委員。

○逢見委員 基本法案の概要を資料2-1で示されましたけれども、法律の必要性の中に、あらゆる政策を総動員するという鳩山首相の表明があって、それを法律の中に必要性として認識していくということなんですが、このあらゆる政策を総動員し、体系的に明らかにするということと、その後ろのほうに基本的施策としてキャップ・アンド・トレード、それから税、そして固定価格買取制度と3つあるわけですが、あらゆる政策がこの3つなのか、あるいはそれ以外にさらに追加的政策がなされるのか。あらゆるという部分の意味を法律の中にどのように示すのかということを伺いたいのが1点でございます。
 それからもう1点は、目的のところに、新たな産業の創出及び就業の機会の増大を通じて経済の成長を図りつつと。これはいわゆるグリーン・イノベーションというようなものをイメージしていると思いますが、しかし、温暖化対策の基本というのは、もちろんグリーン・イノベーションという部分で新たな産業が創出されるという部分はありますけれども、既存の産業を、国民生活を含めて、まさにオールジャパンとして取り組まなければいけないことであるわけです。そうすると、既存の産業や国民生活にとって、この法案はどういうものなのかということがどうも示されていないような感じがしますけれども、その辺について、どのように法案として位置づけるのかということ。
 それから、ロードマップとやはり密接な関わりがあると思いますが、ロードマップの中で経済への影響とか、雇用への影響、そういうことも考えるんだということのようですけれども、やはり産業構造の大きな変革を伴う中長期の取組とすれば、やはり我々としては、増える雇用もありますけれども、他方、失われる雇用も出てくるんじゃないかと。そうした雇用をどのように炭素リーケージを防ぎながら、空洞化を防ぎながら、日本の国の中で失われる雇用をどのように確保し、あるいは新しい雇用につなげていくのかという、そういう展望が必要なんじゃないかと思いますが、そこはロードマップの中で示されるのかどうか。その辺を3点伺いたいと思います。

○鈴木部会長 及川委員。

○及川委員 地球温暖化対策基本法案の概要のお話があったわけですけれども、現在、京都議定書の第一約束期間なわけです。それで日本は1990年比で6%削減が義務づけられているわけです。その6%のうちの3.8%を森林吸収で賄おうとしているわけでして、森林吸収というのが京都議定書の第一約束期間では非常に大きなウエートを占めているということがあると思います。ですけれども、今お話がありました中長期的な目標になったときに、そういう森林に対してどういうふうな対応をしていくのかというお話がほとんどなかったように思うんです。日本は3分の2が森林で覆われているわけですけれども、木材の自給率は20%ぐらいしかない。だから80%は外国から輸入しているという現状で、日本の森林は非常に荒れているというふうな問題があるわけです。この辺の問題は農水省の問題だと思うんですけれども、単に農水省だけの問題じゃなくて、環境対策と含めて総合的に検討していただきたいというのが私の意見でございます。

○鈴木部会長 猪野委員。

○猪野委員 先ほど、基本法の制定に向けた意見募集のご紹介がありましたが、中期目標や個別施策の規定が盛り込まれた基本法の制定に反対する意見や、個別施策のあり方を慎重に議論していくべきだという意見が多かったと認識しております。特に2,000件を超える意見が提出されていることからも、本件については国民の関心が非常に高いと思っております。このような国民の懸念に対して、どう対応していくのかを含め、検討状況については国民にタイムリーに提供していただき、透明なプロセスにて国民的議論を行うべきであると思っております。
 したがって、基本法案に掲げている個別の施策については、導入ありきではなく、まずは制度導入によるCO2の削減効果や、国民生活や産業に与える影響、既存制度との関係など、総合的に検討した上で、導入可否を判断すべきではないかと思っております。
 また、発電過程でCO2を排出しない原子力発電についても、民主党マニフェストにも原子力の推進と載っているように、温暖化対策として重要であると思っております。基本的施策の一つとして原子力発電の推進も明記していただきたいと思っております。
 それから、中長期目標の検討についてですが、資料3にあるとおり、中長期目標達成のロードマップについては、環境省内に検討会を設置し、現在作業中ということですが、検討会が非公開のために議論の詳細がわからない状況です。特に今後の社会のあり方に大きな影響を与える議論のため、大変心配しております。実際に温暖化対策を行うのは企業や国民であることから、ぜひ産業界を含めた国民各層から広く意見を聞きながら、科学的、客観的な検討と、オープンな議論を行っていただきたいと思っております。
 この検討会の中で、雇用や新産業創出効果、副次的効果についても検討されているようですが、必要なコストもあわせて提示する必要があると思っております。経済全体で見ると、温暖化対策ではマイナス影響の方が大きいことがタスクフォースの会合の中でも示されておりますので、プラス面だけではなく、マイナス面も含めた検討が必要ではないでしょうか。その上で、結果については政府としても説明責任を果たす必要があると思っております。
 以上です。

○鈴木部会長 飯田委員。

○飯田委員 手短に3点ありますが、1点目は、この中環審の事務局の環境省にご質問をするのも申し訳ないかなとは思うんですが、この地球温暖化対策法案は、いわゆる地球温暖化関係閣僚委員会の事務局長としての小沢大臣がイニシアティブを持って政治主導で進められているのか、それとも環境大臣としての小沢大臣がされているのか。若干心配なのは、環境大臣として環境省が事務方でやって、また従来のようにほかの省庁といろいろやりとりをするような縦割りの構造に何となく入っているように見受けられますので、それだと政治主導の意味もなく、なおかつまた環境省の方が非常に苦労をされるのではないかと思いまして、ここはやはりしっかりと環境閣僚委員会のほうで骨子を固めて、それをその事務局として環境省の方が支える形にうまく機能していただけるといいのかなと。
 というのは、例えば法的な話と、サブスタンスというかコンテンツの話とあって、例えば先ほどの環境税、地球温暖化対策税と、それからキャップ・アンド・トレードが入ったときに、キャップ・アンド・トレードが入るときに、この環境税というのはキャップ・アンド・トレードが関わる例えば電力会社さんに対して、若干の要は税的な割り引きをするような、そういうフレキシブルな形でできるのか、いや、税は税で財務省でやっていくんだと。そっちは硬直的に固まってしまって、キャップ・アンド・トレードはこちらというふうにならないように、ぜひお願いをしたい。あるいは今、経産省のほうでは今度、フィードインタリフをやって、ここにもフィードインタリフを書いている。じゃ、この法律とエネルギー供給高度化法との関係というのは一体どういうふうになっていくのかとか、そのあたりがちょっと見えにくい中で、ぽんと投げられた玉になっているように見受けられるので、そのあたりを整理していただけると。
 それと、ちょっと細かい点ですが、民主党のマニフェストにほとんど沿ったと言いつつも、この再生可能エネルギーが消費量だけ、ここだけ消費量20%になって、この消費量20%というのはいわくつきのもので、以前も経産省の方と一度やりとりをしましたが、気候ネットワークも質問書を投げていますけれども、要はヒートポンプでかなり変なところの数字を稼いでいるのではないかという疑念がまだ晴らされていない、極めて不透明な数字なわけです。どうして素直に一次エネルギー10%を書かないのかというのは、なぜここだけ入ってくるのか非常に不思議だなというふうに思いました。
 以上です。

○鈴木部会長 浅野委員。

○浅野委員 地球環境部会の立場から言いますと、昨年3月に中間整理というのをやっているわけです。長期的な目標を2050年に置いて、それに至るまでのプロセスをどうしようかという議論をしているわけですが、私は審議会としてのこの論議を放棄したと思っていないので、なお、討議は継続中であると理解しておりますが、中間整理などで今までに提言してきたことが、この審議会としてはこのような法案ができるときに、どこまで反映されるかということについて大きな関心を持つべきだろうと思います。
 その上で、この法律に関して言うと、かなりこれまでの日本の考えてきた法律とは違うものなのだろうなという理解をいたします。つまり、だんだん法律が従来型の日本の法律と違って、アメリカ型の法律になってきているんじゃないか。例えば、税制度を平成23年からの実施を向けて見直すというようなことが書かれていて、このとおり仮に条文になるとすると、24年以降はこの条文は意味を持たなくなってくるようなことになるわけで、長期的な見通しを持って政策をきちんと掲げるということと、当面のアジェンダをここの中に書くということが一緒くたになってしまっているような書きぶりになっています。
 しかし、こういうやり方の法律ももちろんあり得るだろうと思うし、政策を一度ちゃんと目に見えるようにリストアップするということは悪いことではないと思いますから、こういう法案ができることは構いませんが、ただ、やはり地球環境部会として大いに関心を持たなければいけませんのは、このことと、では温対法との関係は今後どうなるのかとか、あるいは基本法がかくも次々に出てきたときに、環境基本法との関係は一体どうなるのかとか、こういうことが十分に考慮されて議論をされる必要がある。このことについては、環境基本法にもとづいて設置されているこの審議会として、やっぱりしかるべき態度表明をしておかなければいかないんじゃないかと思います。。
 つまり、やはり1つの国の法体系というものが、思いつきで次から次へと接ぎ木のように変えられていくということはよくない。もちろん理論的には後から出た法律のほうが前の法律を優先するということになっていますけれども、そんな形で環境基本法が次々に空洞化されていくのはよくないような気もするのです。その辺をどうするのかということが大きな問題ではないかと思います。
 最後に1点。これまで中央環境審議会地球環境部会が一貫して言ってきたことは、あらゆる政策を総動員するのではなくて、どういう組み合わせをすれば最も効果的であるかということを考えるべき、という議論してきたはずです。それがいつの間にか、あらゆる政策を総動員という言葉でごまかされてしまって、どれが最適な効果を上げるのかという点を、きめこまかく政策、施策に即して論議するという作業を放棄して、ずらっと並べて、これでやりますというのでは、これは困ると思います。恐らくこの基本法案が通った暁には、基本計画がその役割を果たすことになるのだろうと思いますけれども、しかし同時に、目達計画が2012年まではまだ生きているわけですから、その辺は一体どうするんだろうなという点もきになります。
 これは少なくとも環境省がつくる法律でないことは承知していますから、いいのですが、我々が責任の範囲でやっていることとの間の関係をどうするのだろうということを気にしているということは申し上げておきたいと考えます。

○鈴木部会長 浅岡委員。

○浅岡委員 これはコペンハーゲン会議とも関連しますけれども、あそこで鳩山首相が表明された目標の担保措置がどれだけあるのかという点が、いま一歩、インパクトを欠いたということですので、急いで目標達成を担保する法制度を構築しなければいけないという課題でありますし、また、コペンハーゲン合意の中で二℃の長期目標、そしてその経路についての合意を反映した法律を制定すること、日本の温暖化施策の基本がここに集約されるというものでなければいけないと思います。そこで、まず、法案の概要、目的と書いてあるところに、本当に大きな削減をしなければいけない、二℃の目標を達成するという目標を、こうして中長期的にやっていくんだという、根本的なところが見えてきません。それが、大きな制度の細部を考えていきますときに一番基本的な原則だと思いますので、そこを明示していただいて、明確に位置づけてやる。目標について、国際交渉の結果との表現もありますけれども、国際合意を促すために努力をするということの裏返しでもあり、世界の合意に受け身で対応して制度をつくるというのではなくて、日本は経済政策の側面からも国の政策としてやっていくんだという根本の上に立ってつくろうとしている法律だと思いますので、そういう意気込み、意欲が現れるようにしていただく必要があると。国内の目標が努力目標になるようなことではなくて、法的拘束力のある目標でなければ、基本法をつくる意味がないだろうというふうに思います。
 それから、先ほど幾つか政策が出てきましたけれども、これまでの日本の基本法というのは、理念的なものに終わっていたところがあると思いますけれども、この種の法律で今、世界で議論をされているものやできているものを見ますと、アメリカの上院・下院で議論されているものというのも、理念法や大枠法ではなくて、細目の実施まで含めて1,000ページもあるような包括的な実行法案として議論されている。イギリスなどの法律もそうですし、EUのほうもそうです。でき上がっている法律は既に、骨格だけどうしようかというレベルではなくて、細部まで条文化され、あるいは既に制定されているという状況にかんがみますと、今回の基本法での施策も、単にタイトルだけではなくて、具体的な中身が必要です。排出量取引制度であれば、義務参加型で、一定の事業所には総量で、直接排出でしっかり目標達成が担保される仕組みのもとに、大きな削減を実行していくんだと。そういうことが見えている法律でなければ、これからゆっくりやりましょうというような形では、本当に国際情勢に追いつかない。そういう意味で、次に制度の構築をまたゆっくり考えるというようなことではなくて、基本法の中に基本骨格が見えているという形でやってもらいたい。
 その関係で言いますと、先ほどから議論がありますが……

○鈴木部会長 浅岡委員、簡潔にお願いできますか。

○浅岡委員 はい。先ほどから議論に出ていますように、関連する法律、例えば温対法であるとか、省エネ法であるとか、エネルギー供給高度化法案であるとか、こういうものとどのように関連づけながら位置づけていくのかというあたりも重要です。この立法作業は内閣府、戦略室中心ということでありますが、環境省としての役割も議論していっていただきたいと思います。

○鈴木部会長 ありがとうございました。横山委員。

○横山委員 2点述べたいと思います。
 この基本法案の基本的施策で、キャップ・アンド・トレード方式による国内排出量取引制度とか、3項目ですね、これはまさに政権が変わったなという印象を受けます。この地球部会でもこの3点については何度も何度も取り上げられても、うやむやになっていたのが、ここでこういうようにクローズアップされているというのは、本当に新政権になった効果ではないかというふうに思います。この3点をぜひ強力に進めていただきたいと思います。
 ただし、一方で、特に最初の2点については産業界がかなり強い反対を示しているわけで、その溝をどうやって埋めるかということが私は重要だと思います。一般の人も、政府が何かをやっているなと思いつつ、産業界が強力に反対しているということは、やっぱりだめなのかなというような印象を持つと思いますので、その溝を埋める努力、産業界の説得なり、あるいは法案に何かを書き込むとか、そういったことをぜひやってほしいし、もし今こんなことを、溝を埋める努力、あるいは条文にこんな内容を入れるというのがあったら教えていただきたいと思います。
 それから、2点目は、基本的施策の中の日々の暮らしで、教育及び学習の振興ということです。私はこれもぜひ進めていただきたいと思います。温暖化の問題がこれだけ問題になっているのに、一般の人の半分以上は地球温暖化とオゾン層の破壊を混同しているという状況にあるわけで、私も随分そういうことを経験しているんですけれども、そういう状況では一般の人が排出削減をやろうなんていうことは考えないと思いますので、ぜひやっていただきたいし、具体的にこれまで言われたこと以上に、何か環境教育の推進でどういうことをなさろうとしているのかも答えていただければ、環境教育推進法の改正までもちろん視野に入れていると思うんですが、その辺のことを教えていただければというふうに思います。
 以上です。

○鈴木部会長 森嶌委員。

○森嶌委員 私は、内容については皆さんいろいろ言われましたので、私は手続論というか、デュー・プロセスについて伺いたいと思います。先ほど部会長は審議会のあり方についていろいろ問題になっていますと言われましたけれども、部会長は審議会隠れみの論を信じておられるようにいます。しかし、中環審はそうではなくて、公害対策基本法の時代から、国の重要な環境政策設定に関わってきました。そして、中環審は環境省設置法ではなく環境基本法にちゃんと位置づけられておりまして、環境あるいは公害に対する重要な政策については中環審が審議をするということになっているわけです。ですから、今回の場合もきちんと、この25%の削減目標がいいとか悪いとか、国際的な合意の条件が整わなかったら削減目標はどうなるのかとか、目標実現のための政策手段にはどういうものがあるのか、など中環審が審議する必要があります。私はこの法案はテクニカルな意味で欠陥が多い法律だと思いますが、それはともかくとして、重要な法律であればあるほど、中環審できちんと審議をしなければなりません。時間がないとおっしゃるならば、それなりに中環審の審議を密にしてやればいいのです。
 それから、先ほどから、ここにワーキンググループでやったとありますけれども、ワーキンググループは中環審ではない。また、それから先ほどおっしゃいましたように、ワーキンググループはクローズでやっておりまして、それに対してほかの人は意見を言う機会がなかったわけでありまして、そうすると結局、中央環境審議会は、本来法に定められた役割を果たしていないわけです。
 ですから、私が質問したいのは、一体、現在の環境省は法律に定められた中央環境審議会というものをどうとらえておられるのか。つまり、隠れみのとして、例えば今日の会議もそうですけれども、この会議をやっておけば、一応、中央環境審議会に説明しておいたのだから、大臣が提案したこの法律はもうエンドースされたという形をとれると考えておられるのか、それとも、今まで中環審を開催しなかったのは、要するに温暖化対策基本法は環境に関する重要な法律ではないから、立派な中央環境審議会にかける必要はないとお考えなのか、その点を伺いたいと思います。
 それから、政治主導、政治主導という言葉で惑わされていますけれども、実はあれはルール・オブ・ローに従っていないというだけの話なんです。それを環境省はどうお考えなのか。つまり、本来ならば、政治は国会で結着されるべきなのです。先ほどから出ていますが、アメリカでは行政も予算教書などで政策の方針を示しますが、上院や下院で政治家が法律案をわけです。ですから、日本で行政を相手にせずに政党出身の政務三役で立法をしたいのならば、議員立法をなさればいいわけです。議員立法をするさいに、環境省は資料を出せばいいわけです。
 ところが、環境省が法律を出そうというのでしたら、日本の法律体系による限り、ちゃんと中央環境審議会で審議をして、そして、一応こういうことでありますと言って意見を述べたうえで、そして国会に出すべきなのです。そのうえで、国会で、中央環境審議会の意見はとらないとおっしゃるのならば、国会の審議の上でそれは国会の責任で立法として決定なさればいいわけです。その点、環境省はどうお考えなのかお答えいただきたい。
 もう一度質問を整理いたしますと、中央環境審議会というものを現在どういうふうに位置づけておられるのか。そして、現在出しておられる法案は、重要な環境に関する法律とは考えておられないのか。もし重要なものと考えておられるとしたら、なぜ、浅野さんが言われたところによると、去年の3月から、長期の削減目標の関係では話が出ており、9月には中期目標の話が出ています。そうだとすれば、1990年比25%か、2005年比で15%かどうかはともかくとして、温室効果ガス削減の話があるわけですから、それではどのような政策をとるべきかということは、もう中環審に出して検討を始めていてもいいはずです。政権交代をしたので、今までの自民党では生ぬるいから、もうちょっと頑張りましょうという議論をするどころか、政権が変わって、何カ月も寝かせておいたうえで、お久しぶりにお目にかかりましたというのは、法手続きを無視し、中央環境審議会を軽視しているとしかいえないのではないか。そういう質問にも後でお答えください。

○鈴木部会長 三橋委員、どうぞ。

○三橋委員 私、今度の温暖化対策基本法に関連して、3つほど質問と提案をさせてもらいます。
 1つは、産業界の一部では温暖化対策をすると、産業界に悪影響があるとか、あるいは個人の可処分所得が減ってしまうとか、初めからそういう被害者意識が非常に強いわけです。しかし、私はこの25%を20年に90年比で削減する。この政策を思い切ってやれば、むしろ産業を活性化して、恐らく経済成長も、何もしないときよりもよくなると思うんです。だから、この法律は被害者意識の立場で書くんじゃなくて、これだけやると現状のエネルギー多消費型の産業構造や化石燃料依存型のエネルギー構成比、これを思い切って変えなくてはいけない。そのために、かなり現状と変わるようなことをしなくてはいけない。しかしながら、それをやれば、2020年ぐらいにはいい状況が起こってくるんだというような形で、まず法律が被害者意識で大変だ、大変だというような形ではなくて、これを実施することが日本国民にも、産業界にもプラスになるんだというような、そういう視点でぜひ精神はまとめてほしいということが第1点です。
 それから、2点目は、特に道路なんかの問題について、私は汚染者負担の原則というものをこの基本原則の1つに盛り込んでほしいと思っているんです。例えば高速道路については、電気自動車、CO2を出さない車は料金を無料にする。しかしながら、従来のとおり大型でCO2をいっぱい出す車に対しては、課徴金としてこれまで以上に高い料金を取る。こういうような形で、汚染者負担の原則をとる。あるいは、もうヨーロッパの一部なんかでもやっているような混雑デーですね、こういうのもみんな汚染者負担の原則ですよ。特に日本なんかではCO2排出の2割が自動車関連ですから、そういうようなことで、とにかく自動車の規制では汚染者負担の原則というのを入れてもらう。そうすれば、ガソリン税なんかもっと高くてもいいわけです。そういうような、もっとめり張りのきいた対策を基本計画の中で実施していくためには、汚染者負担の原則というものをぜひ盛り込むというか、入れたほうがいいというように思っています。これが2点目です。
 それから、3点目は、先ほどのロードマップの件だけれども、これについては自動車の部分では、いろいろ自動車の性能改革みたいな部分に力点が置かれているわけだけれども、例えば今度の世界的なグリーン・ニューディール政策なんかを見てみますと、韓国なんかでは全国自転車網をつくるとか、自動車にかわって全国自転車高速網をつくって、市と市を結ぶとか、いろいろやっぱり将来の道路利用のあり方なんかについても、いろいろな目標を掲げてあります。そういうような形で、単に自動車の性能向上、電気自動車ということではなくて、将来の輸送に当たっての省エネ型の道路網をつくっていくとか、あるいは鉄道とのリンクとか、そういうところまで踏み込んだ形のロードマップというものをやっぱりぜひつくってほしいということです。
 ということで、私が今言った3点、これは民主党の大臣あるいは議員にも、私は個人的にも働きかけていますけれども、今申し上げたことは。要するに汚染者負担の原則で高速道路の料金を考えたらどうだということと、あと道路網なんかについては、自動車だけじゃなくて、いわゆる輸送体系全体で考えるべきじゃないかという話です。この法律自体は、だからそういうことで、非常に被害者意識じゃない形で、ぜひ全文なんかをつくり上げてほしいということです。
 以上です。

○鈴木部会長 では、西岡委員。

○西岡委員 私のお願いは基本法に関してでございますけれども、はっきりしたシグナルを出していただきたいということです。シグナルというのは、多分、目標であったり、税制を入れる、すなわちこれからは公共のことを考えて、みんながちょっとずつ負担するんだよと、そういった方向を早目に決めていただきたい。腹をそろそろ据えていかないと、国全体が危ないんじゃないかなと非常に危惧をしております。
 25%というのは、ずっとIPCCなどで検討をしていても、今25ないし40%ぐらい減らす必要がある中の、それでも最低でございますので、いずれはその方向へいくんだというのはもう明解なんです、いつになるかは別としまして。ですから、そっちの方向へ社会が動いている中で、どうやって国として競争力をつけて勝っていくのかというのが今の基本的な考え方ではないかと思っております。前回、中期目標で私どもも検討したときには、例えばマクロフレームということで、幾つかの生産量であるとか交通量とかを固定したまま計算しろなんていうことになっておりますけれども、今すべての政策という中にも、産業構造も変わっていく必要があるし、当然変わるわけですから、そういう縛りのない自由な形の計画が立てられることを望んでおります。
 コペンハーゲンでも、アメリカからはスティーブン・チューが乗り込んで、開口一番、アメリカは75%、住宅で減らす。元が10年、15年でとれるようにするというようなことを明快にいっておりまして、このままの調子で、ああでもない、こうでもないと言っていると、そういう面での産業構造の変換、あるいは国際競争力に引けをとるのではないかと考えております。
 私は法律のことはよくわからないのですけれども、国内的には高い目標を掲げて、改革をしていく、国際的には別な目標があってもよい。国際的な法的関係がどうなのかよくわからないんですけれども、そういうことはぜひやっていただきたいと思います。

○鈴木部会長 永里委員。

○永里委員 ありがとうございます。
 そもそも25%削減という中期目標があって、この基本法とか、環境税とか、排出権取引というのは議論をされているし、ロードマップもできているわけです。鳩山さんが世界益のためにリーダーシップをとるということで、25%削減という目標を掲げて、世界中の人々が大歓迎をするということは、よくわかるわけです。これは日本からお金が吸い上げられると、いろんなことを含めて非常に世界の方々が歓迎するのはよくわかります。ですが、一将功なりて万骨枯るというようなことは一番避けなければいけないわけでして、国民生活が犠牲になってまで、ほかのアメリカとか中国がそんなに努力をしないのに、日本だけが犠牲になるというようなことは避けなければいけません。
 産業界は被害者意識を持っているというようなことが言われていますが、産業界の被害者意識というのは、それは考え方でして、産業界としては、国民生活あるいは雇用が失われるのではないかということを心配しているわけです。実は非常に不幸なことに、民主党は産業界との対話をあまり熱心になさらないんですけれども、環境省というのは日本の環境行政をつかさどっていて、日本国民のために頑張ってほしいわけですから、議論は、あるいは検討はオープンであるべきだと思います。
 このロードマップに至る検討会なんかも非公開で行われていますけれども、これは産業界を含め、いろいろな人たちの意見を入れて、それでやるべきだと思います。私が一番心配をしているのは、この審議会が観念的な議論でリードされて、現実的なシミュレーションの上に立った討議が行われていないんじゃないかということです。ぜひ検討会その他でしっかりとしたシミュレーションをしてもらって、例えばこういう25%削減をやったら、日本はこれからどんどんとすぐれた技術が出てきて、そして世界をリードできて、日本人の富が増すんだとおっしゃるのはいいんですが、本当にそうなるのかどうかということまで入れると、負の面と、プラスの面と、シミュレーションをしてほしいと思います。
 結論を言いますと、いろいろな国民の各層を入れてオープンな議論をしてほしい。被害者の方々、そういう方々もいるということをよく考えてほしいと思います。
 以上です。

○鈴木部会長 高村委員。

○高村委員 ありがとうございます。
 コペンハーゲンの会議でも、先ほど西岡先生がおっしゃいましたけれども、多くの首脳の低炭素型経済・社会に向けた意思表明というのは非常に明らかでありました。こちらの基本法案に関して言いますと、日本がどういう方向に進むのかという方向性を明確にするという意味での、そういう意味では非常に重要な法案で、今それゆえに議論になっているものというふうに思います。
 3点ほどでございますけれども、1つは、既に浅野先生からご指摘がありましたが、とりわけ環境基本法その他の関連法案との関係でございます。私自身は、先ほど三橋先生でしょうか、ご指摘になった費用負担の問題も含めて、環境基本法のもとにきちんと位置づけられるべきであるというふうに思います。それが1つでございます。
 2つ目でありますけれども、進藤先生がおっしゃった点。テクニカルには、法案文を見ておりませんので恐縮ですけれども、前提つきの目標というものが法案に書かれたときのインプリケーションというのは、少しテクニカルには考える必要があるというふうに思いますけれども、しかし、いずれにしても、こうした前提が実現される方向で日本として努力をするという意味での目標だというふうに思いますので、現時点ではその目標を踏まえて、あり得る政策の可能性というのを、その功罪を含めて検討するということにちゅうちょしてはならないというふうにも思っております。
 他方で、あわせて、コペンハーゲン合意でもそうですけれども、第5次のIPCCの評価報告書のタイミングも踏まえて、2015年の見直しということが入っております。そういう意味では、進捗の評価・管理、場合によっては追加的な対策見直しの仕組みというものがきちんと位置づけられる必要があるのではないかというのが2点目でございます。
 そして3番目でございますけれども、これは環境省さんというよりは、むしろもう少し総合的な観点からでありますが、前提となっております国際的枠組みのありように関して言うと、先ほど申しました、その方向が実現するように日本として努力をするという趣旨からいたしますと、ロードマップの作業と同時に、やはり国際的な戦略をどうするのかという点は考えなければいけない点ではないかというふうに思っております。
 以上です。

○鈴木部会長 それでは、最後に住委員。

○住委員 税制改正の問題なんですが、やはりちょっと理念のところを少しクリアにしたほうが僕はいいような気がしております。例えばよく、炭素税もそうですが、税制中立ということで、これは決して国が金を吸い取るわけではなくて、明らかに新しい社会に向かってインセンティブに、社会を変えるために課税とかいろんなことを使うので、そういうことをよく言いますね。
 そういう点で、例えばこれは2兆円来ますよと、使うほうは別途計画しています、だとすると、そのうちうやむやになって、2兆円のお金が入ったから、まあまあ、というふうになると、僕はあまりよくないなと思いますので、逆に言うと、これは非常に明らかに新しい社会をつくるために皆さんに負担をしてもらうのであって、国が金をかすめ取って別のものに使おうという意図は毛頭ありませんみたいなことをはっきりする必要があるのではないかと。そのためには、どう使って、その結果の効果がどういうふうに変わるかということをやはり明示的に出していく中で税制の問題も議論をしたほうが、僕は非常に立場がはっきりすると思います。
 それから、ロードマップもそうですが、やっぱりこれからの時代に日本だけというのはあり得るのかなという、僕は気がしているんです。韓国のほうでも排出権取引市場をつくる。キャップ・アンド・トレードを入れるにしても、すぐに国際的な部分が出てきます。それから、日本のことを考えても、やはり少なくとも東アジア、中国といろいろな部分のことがありますし、温暖化対策とかCDMとか、要するに排出権を外側から買うとか、いろいろなことがあります。そうすると、少なくとも東アジアとか、国際的な視点も入れたような国内対策にしていかないと、何かそこが非常におかしなことになるのではないかと思っております。

○鈴木部会長 大変多岐にわたるご意見をいただきまして、基本法、法律としての性格というのが一体、基本法の名のもとに、従来とは違って、かなり具体的な目標等々が書き込まれて、またその基本法と称するものが、ほかの基本法とどういう関連にあるのか。これまでの従来の法律との関連、この辺も、これまでの仕組みと若干変わっていくようなところがあるのかもしれません。これをまた具体化するに当たって、西岡先生がご苦労をしておられるロードマップをどういうふうにつくっていき、それをどうやって具体的に見せていくのか。本当にどうあるべきかという、いろいろと議論をし出すと時間が限りなくかかりそうではありますが、ともかく今いただいたご意見、ご質問に対して順次お答えいただくとしますと、どういう順番で行きましょうか。瀬川さんから。

○環境保全対策課長 恐れ入ります。法案の担当としてお答えできるところを順次お答えさせていただきます。
 まず、データの重要性についてご指摘がございました。技術になどに関するデータも含めてということでございます。その重要性は私どもも認識をしておりますので、概要にもございますが、情報提供ということで政府の役割をきちんと位置づけたいと思っております。ただ、問題はその運用だというご指摘だと思いますので、それは担当課とも重々相談をして、今後どういうことができるか考えさせていただきたいと思います。
 それから、前提条件がないうちには対策は発動しないのではないかと。やるとしても、長期の場合とは対策が違うはずだということでございますけれども、地球温暖化対策に関しては、いずれにしても対策の手を緩めることはできないと考えております。目標の関係で言いますと、長期目標があり、中期の目標がない場合に何をやるのかということについては、基本計画をこの制度の中で定める段階で国民の皆様に明らかにしていきたいというふうに考えております。
 それから、パブコメの意見、5,000ほどあるものについての返事がまだないのではないかということでございますけれども、私どもといたしましては、大きな方向性は今ご説明したとおりでございますけれども、これらすべてのお答えに答えるには、やはり法案をもってお示しをするのが最も妥当ではないかということで考えております。ただ、それまでの間でも、さまざまな形で関係する皆さんとの意見交換というのは急ピッチで進めていきたいというふうに考えているところでございます。
 それから、達成に向けて各施策でどれくらいの削減量を見込むのかということも明らかにすることが今後の課題だというご指摘をいただきました。それはご指摘のとおりでございまして、ロードマップの検討を進め、計画を定めるときには、ある程度の見込みをもって考えたい、示したいというふうに思っております。基本計画の計画期間は何年とはまだ決めておりませんけれども、いわゆる長期の計画ということで考えてございます。通例、基本計画は5年というものが多いですが、その辺を目処に考えたいというふうに考えているところでございます。
 それから、今お示しした概要の中で、3制度を冒頭に持ってきておりますけれども、ほかに何も規定しないということではございませんで、日々の暮らし、ものづくり云々というところの柱立ては、それぞれが法律上の規定になるものでございまして、国としてこのために何を置くのかということの施策として位置づけるというふうに考えてございます。
 それから、森林の吸収源の重要性についてのご指摘もあったところでございます。この点についても、地域づくりのところで今、便宜記載しておりますけれども、吸収作用ということで森林緑地の重要性についてはきちんと位置づけたいというふうに考えてございます。
 本件についての情報提供ということでございますけれども、現段階ではこのような形でやっておりますけれども、先ほど申し上げましたいろいろな形で関係をする方と意見交換を進めながら、必要な情報は提供できるようにしていきたいというふうに考えてございます。
 それから、原子力などの個別政策についても、個別の規定をどうするかというときに、まさに閣僚レベルないしは副大臣レベルの検討の中で議論が進められていくものであろうというふうに今は考えているものでございます。
 あと、施策の組み合わせなどもきちんと考えるべきだというご指摘がございましたけれども、それはご指摘のとおりだろうと思います。有効になるにはどうしたらいいかということが基本計画を策定する中でまさに考えるべきであろうということだろうというふうに思います。
 それから、他の基本計画との関係云々ということは大変大きな課題でございまして、今ここで私が一言で申し上げることはできませんけれども、基本としてはあくまで基本計画のもとの個別政策分野に対する基本法ということで考えて、この案を今作成を進めているというところでございます。

○地球温暖化対策課長 ロードマップについて幾つかのご指摘がございましたのでお答えいたします。
 まず、ロードマップの検討ワーキンググループ等が非公開というのはいかがなものかということでございました。まず、現時点では専門家同士の忌憚ないご意見の交換をしていただくということで非公開でやってございますけれども、大変重要なご指摘でございますので、今後、検討が進む段階で、そういう具体的な形で産業界あるいはNGO等、広くご意見をいただきながら、ロードマップの検討が進むよう考えていきたいと思っております。なお、会議資料については、極力公開ということで今させていただいております。
 また、ワーキンググループだけではなくて、政府全体のロードマップの検討を副大臣級会合で進めてございますけれども、当然そこでも今後、国民の皆様のご意見をどうやって聞いていくかということについても対応をしていくということになってございますが、それも含めて対応していきたいと思っております。
 それから、雇用、経済等の影響について、プラス・マイナス、両面をしっかり見るべきだということは当然でございます。雇用が増える部分もあれば、それによって減る部分もあるということで、その辺も踏まえて検討をしていきたいと思います。ただ、これまでの検討では、ややもするとマイナス面のみが少し強調されていたということもございますので、そういう意味ではプラス面も含めて検討をしていきたいということで資料では書かせていただいているというところでございます。
 それから、自動車だけじゃなくて自転車等というご指摘がございました。このロードマップの検討の中でも、特に地域づくりワーキンググループの中では、自転車の活用も含め、あるいはモーダルシフト、都市内の公共交通機関の整備活用ということも含めて幅広く議論をさせていただいております。
 それから、日本だけということではないだろうということでございます。このロードマップの検討は、基本的には国内の対策をいかに進めていくかということが中心でございますけれども、一部、特に新たな市場というふうな観点でも、日本の環境技術が海外の市場、特にアジアを中心に、海外の市場でどういう地位を占めていくか、そういうところによる経済への波及効果。そういうものもできるだけ評価をしていきたいというふうに思っております。
 以上でございます。

○環境保全対策課長 すみません、もう少し追加で、個別のことだけお答えをいたします。
 この書き方として、国の政策として、受け身ではなくて前向きにという姿勢でということでございました。その点は、私どももそういう姿勢での法案の作成に臨んでいるところでございます。
 それから、キャップ・アンド・トレードなどについて、きちんと示せというご指摘がございました。基本法案では、骨格というレベルまではきちんと示し、あとは個別の議論にゆだねていきたいというふうに考えてございます。
 それから、教育の重要性についてのご指摘がございました。おっしゃるとおりで、基本法案にその旨記載したいと思いますが、その達成のために今ある法律を変えるかどうかというのは、今そこまで議論は及んでいないということでございますので、ご容赦願いたいというふうに思います。
 それから、高速道路での料金格差のような話でございますけれども、そこまでの個別施策を今の段階では議論を、この基本法としては議論をしてございません。大変申し訳ございません。
 それから、各種施策の進捗なりの管理をきちんとすべきだというお話がございました。個別の施策は恐らく基本計画、または目達計画―名前が変わる予定ではございますけれども―の進捗管理ということで、そこはきちんと把握できるようにすべきだと私どもも考えてございます。

○総合環境政策局長 まだ補足があるかもしれませんけれども、総合環境政策局長の白石でございますが、税と、それから環境基本教育推進法のことでちょっとご説明をさせていただきます。
 一番最後に住委員のほうからご指摘がありましたように、まさに地球温暖化対策税、低炭素社会という新しい社会に対応するためにというふうなことで、CO2抑制のための政策手段として考えてご提案を申し上げておるわけでございますが、価格効果、要するに値段をつけるということによる効果と、それから、それをどのようなところに使っていくかという財源の効果と、2つながら議論をしていかなければならないというふうに考えておりまして、神野委員長のもとで、これからも検討をさせていただいております。
 それで、特に実は昨年来、資料4-2のご提案を申し上げたところで、税調の場でなかなか政府の統一的な意見にならなかった大きな反省点は、やっぱり何に使うんだという使途のことがあまり明確に議論できなかったというところがございます。そういう点も今申し上げれば、財源効果に関係するところでございますけれども、そういうことも今後より一層、関係者の方々と議論をする中で、明確な形に打ち出してきて、ご理解をいただいてというふうに思っております。
 4-2の中で、実施時期等という、下から2つ目の1ページ目のコラムがございますが、ここにありますように、キャップ・アンド・トレードの制度が導入される際には、ここに書いてありますような、いろいろな調整ということが必要になることがあろうかということも考えられますので、こういうことも考えながらということでございまして、各省縦割りに陥ることのないようにという飯田委員のご指摘に対しても、きちんと対応していこうというふうに考えております。
 また、この名称が地球温暖化対策税というふうになっております背景の一つが、須藤委員からお話がありましたように、地方の環境税の動きとのわかりやすいクラリファイというようなこともございます。また、4-2の2ページで、導入後のところでオレンジ色に何も書いていないところがございます。これは実は、もともと地方財源であります軽油引取税を、これは税調の場で総務大臣のほうから地方環境税というご提案がございました。こういうものを使って、地方の独自の温暖化対策のために使いたいということもございます。
 そういうこととの調整もする中で、国税としては、オールジャパンで各化石燃料に課すというふうなことで国のほうは役割分担をしていくという議論がなされておりますので、今後も地方のそういう財源手当ということも税調の場ではご議論されるというふうに考えております。
 それから、基本法の中で、横山委員のほうから教育の振興というふうなご指摘がありました。この資料の中にも左下のほうに書いてございますけれども、これは基本法の中でもうたわれておりますが、一方で、環境教育の推進法の改正の動きがどうなっておるかというお尋ねでございましたが、これは昨年7月に一旦、解散の関係で廃案になりましたけれども、各政党の中での議員立法の動きというのはまだ続いております。その中で、この環境教育推進法案は、温暖化のみならず、生物多様性であるとか、安全・安心とか、資源再利用とか、あらゆる面での環境教育というふうなことでございますので、1人、この基本法の中で温暖化対策での重要性も当然柱としてはございますけれども、別途、環境教育推進法の見直しということも引き続き行われていくだろうというふうに考えております。
 以上でございます。

○小林大臣官房審議官 官房審議官の小林でございます。基本法につきまして、若干、大変広範なご指摘をいただきましたので、補足をさせていただきます。
 まず、全般に関係が深いさまざまな主体とよく対話をし、理解を深めてやっていくというご指摘が多かったと思います。特に中央環境審議会との関係では、審議会と政府の全体のあり方というのは検討をしていけばいい課題だと思いますが、これまでの中央環境審議会の実績、それから特に環境行政の場合は幅広い関係者があるということもございますし、高い専門性もございますので、そういう意味で、審議会のご意見をよく受け止めながらやっていくということが重要だと思っております。今後の審議会の運営はまた部会長とご相談をしてということになろうかと思いますが、今日を契機に、今日は大変有益なご指摘をいただいておりますので、引き続き各委員とも意見交換をさせていただければと思っているところでございます。
 それからまた、あわせて法律の提出はそれなりの期限もございますので、関係が深く、またご関心を持っていただいている経済界、労働界、それからNPOの皆様方ともぜひ対話、意見交換の機会を持っていきたいと思っております。また、せっかくのご意見をいただいたものについての説明、法案という形が結論になってまいりますが、そこでの説明をぜひ果たしていきたいと思っているところでございます。
 それから、法律体系全般の大変大きなご指摘もございました。環境基本法との関係で、どうしていくかというところは、宿題として、ぜひよくよく検討させていただければと思っております。総合政策局とも相談しつつということだろうと思っております。この基本法のもとでの各法律との関係、少なくとも温暖化対策推進法は基本法のもとの個別実施法として位置づけられるものというのを基本に考えておりますが、その他の関係法との関係などは、今後、関係省庁との議論の中でもよく整理をしてまいりたいと思っております。
 あと、重要なご指摘が幾つかございまして、ちょっと漏れがありましたら恐縮でございますが、例えば新しい産業、あるいは雇用と結びつけていくというようなところにつきまして、若干新しい業態、業種だけを念頭に置いていると思われますと、少なくとも我々が意図しているのはそうではございませんで、既存の業界も含めて、新しい形態に発展していくというようなことを意識しているわけでございまして、ぜひ従来の日本の実績、蓄積を生かすというような観点も入れ込みたいと思っておるところでございます。
 また、情報提供とともに観測、監視、これがあって政策が進んでいくと思いますので、こういったものもぜひ位置づけていければと思っております。
 それから、なお、体制についてのご指摘もございましたが、少なくとも私どもの受け止めは、閣僚委員会なり副大臣会合というのは、政府横断的な意思決定をして、議論をしていく場として活用していくという意識でございまして、少なくともこの課題を担っていく第1番目の責任官庁は環境省だというふうに考えておりますので、担当省としてしっかりやっていきたいと、そういう考えでございます。

○地球環境局長 ただいま小林審議官のほうから半ば答えたようなことになりますけれども、本地球環境部会と基本法の制定過程との関係についてのご意見もちょうだいいたしました。もちろん、もとよりこの地球環境部会の重要性というのを認識が変わっているわけではございません。また、同時に基本法というものも非常に重要なものだろうと思っております。その限りにおきましては、冒頭のあいさつの中でも申し上げましたけれども、本件につきまして皆様方のご意見、ご審議を賜る機会が今日までなかったということにつきましては、これはひとえにお詫びを申し上げなければならないというふうに思っております。引き続き、こうした重要な問題については、できるだけこの部会のご意見を賜れるよう、部会長のご指導も得ながら努めてまいりたいというふうに考えております。
 その上で、例えば閣僚委員会での制定プロセスと本審議会との関係、あるいは政党のいわゆる政治公約として公約された内容と審議会との関係等々の、政治的意思と本審議会との関係につきましては、私のほうでお答えをするというよりも、今日いただいたご意見、こういったご指摘、ご意見を賜ったということを、大臣を初め、政務三役に伝えてまいりたいと、かように考えております。

○鈴木部会長 大変多様なご意見をいただき、大体お答えいただいたかと思いますが、これから具体的に基本法がどういう文案になっていくのか。この辺のところの詰めがこれからなされるんだろうと思いますが、当初は、しばらく前に議員立法的にまとめられたものが土台になって、こういう形で進んできている。これは先ほど浅岡委員からもございましたが、やはり前提を少しはっきりさせておく必要があるのかなという感じを持って私は拝見しておりました。
 というのは、やはり温暖化が進行していくと一体どういうことになるのか。スターン・レビューなんかですとGNPの5%から20%ぐらいのコスト負担、リスクが生じてくる。そういうことになると、多分10兆を超えるような話が日本では起こっていく。それに対して毎年今、2兆円ぐらいの環境税を準備するというようなことで足りるのかどうかという、そういうような問題だろうと思うんです。具体的な数字がどういうように見積もられるかというのはよくわかりませんが、不確定要素が非常に多いと思いますが、やはりそういうようなことを日本だけで頑張ってもしようがないと言うのか、あるいは、ほかがついてこなくても日本がきっちりと模範を示していくのか、こういうようなことがある面では問われているところもあるだろうと、そういう気もいたします。
 そんなところで、先ほどの2℃、450ppmというようなものをやはり目標に置いたところで、我が国はどうしていくのか、それに向けてどう進んでいくのか。そういうようなところで、やはり社会の構造であったり、要するに持続可能な日本を、国家をどうつくっていくのか、こういうことが問われている。それに対する答えを準備するというのが一つだろうと思います。
 そういうところで、具体的にロードマップをお考えいただくのも大変だろうと思いますが、ぜひ積極的に推進をしながら、いい基本法をやはり整えていくと、そういうことではないかと思います。先ほどもありましたように、これから少し頻度高く部会が開かれることになるかと思いますが、またぜひ委員の方々、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 時間をちょっとオーバーしてしまって大変申し訳なかったんですが、あとは事務局のほうから連絡事項は特によろしいですか。
 それでは、本日の地球環境部会をこれをもちまして終了させていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。

午後 3時09分 閉会