中央環境審議会地球環境部会(第85回)議事録

1.日時

平成21年3月18日15:02~17:19

2.場所

三田共用会議所1階 講堂

3.議事

  • 1.低炭素社会の実現に向けた施策について(中間整理)(案)
  • 2.国際交渉の動向について
  • 3.その他(地球環境税等)

資料一覧

資料1 低炭素社会の実現に向けた施策に関する今後の検討について
資料2 低炭素社会の実現に向けた施策について 中間整理(案)
資料3-1 COP14ポズナン会合の結果概要
資料3-2 気候変動に関する主な外交日程
資料3-3 AWG-LCA5に向けた日本政府サブミッション
資料3-4 オバマ大統領 予算教書の概要(2009年2月26日)
資料3-5 米国国務省トッド・スターン気候変動担当特使の来訪について
資料3-6 次期枠組みに関する欧州のポジション
資料3-7 EUトロイカとの会談(結果概要)
資料4 地球環境税等研究会報告書(案)の概要

参考資料1 低炭素社会の実現に向けた施策の検討について
参考資料2 2050日本低炭素社会シナリオ
参考資料3 低炭素社会に向けた12の方策
参考資料4 低炭素社会づくりに向けて
参考資料5 低炭素社会づくり行動計画
参考資料6 浅岡委員提出意見(2月17日付け)
参考資料7 浅岡委員提出意見(3月16日付け)
参考資料8 猪野委員提出意見

議事録

午後 3時02分 開会

○地球温暖化対策課長 それでは定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会地球環境部会第85回会合を開催いたします。
 本日は、委員総数37名中既に19名の先生方にご出席いただいておりますので、定足数に達しております。本日の審議は公開として実施させていただいております。
 以降の議事進行は鈴木部会長にお願いいたします。

○鈴木部会長 それでは、議事に入ります前に、配布資料の確認を事務局のほうからお願いしたいと思います。

○地球温暖化対策課長 一番上に今日の座席表と、それから地球環境部会の名簿がございます。それから、議事次第でございます。その次に、資料1といたしまして、低炭素社会の実現に向けた施策に関する今後の検討について。資料2で、低炭素社会の実現に向けた施策について 中間整理(案)。資料3-1から3-7までが1つにとじられておりますけれども、3-1のところではCOP14ポズナン会合の結果概要ということでございます。以降、3-2から3-7までが1つにとじられております。資料4といたしまして、地球環境税等研究会報告書(案)の概要。
 それから、参考資料でございますが、参考資料1から5まで、これは毎回出させていただいておりまして、回収をしておるわけでございますけれども、参考資料1が低炭素社会の実現に向けた施策の検討について、2が2050日本低炭素社会シナリオ、3が低炭素社会に向けた12の方策、4が低炭素社会づくりに向けて、5が低炭素社会づくり行動計画でございます。参考資料6、7、8が前回以降いただいた各委員からのコメントでございまして、参考資料6と7が浅岡委員から、参考資料8が猪野委員からの御意見でございます。
 繰り返しになりますけれども、参考資料1から5までは前回までも配布しておる資料でございまして、審議の際に参考にしていただくために毎回委員限りの資料として配布しておるものでございます。審議会終了後はその場に置いていただきますよう、よろしくお願いいたします。
 もし、資料に漏れ等ございましたらお申し付けください。

○鈴木部会長 それでは、議事に入らせていただきたいと思います。
 議事次第をご覧いただきますと、本日は議事として3つを予定しております。1つは、低炭素社会の実現に向けた施策について。これに関しましては、昨年の11月5日の地球環境部会以降、中環審で今後どういうふうに検討を進めていこうかというようなことで、低炭素社会の実現に向けた施策の検討というカテゴリに属する大きなテーマをこれまで3つ検討を進めてまいりました。それを踏まえまして、今後具体的に低炭素社会の実現に向けた施策の検討をどういう形で行うか、これを今後どう進めるべきかを今日ご検討いただきたいと、こういうことでございます。
 資料2のほうにこれまでの検討結果、議論を整理させていただいておりまして、資料1のほうには私たちが考えておりますようなこと、私の考えを事務局に整理していただいたものが資料1となっております。これを事務局から説明をいただきましてから議論をお願いしたいと思います。
 それから、議題2は、現在活発に国際的な交渉が行われようとしております。この辺の動向について、現状の御報告をいただき、そして御議論をいただくというようなことにさせていただきます。
 3番目のその他は、いわば報告というようなことで、この地球環境税等研究会というものができておりますが、そこで検討された結果の報告書が資料4としてついております。これの報告をいただいてということで、3は報告事項にさせていただきます。
 では、まず、議事1、低炭素社会の実現に向けた施策についてということで、資料1、2を用いまして事務局から説明をしていただきます。

○地球温暖化対策課長 それでは、資料1について御説明をいたします。
 今、鈴木座長から御紹介ございましたように、昨年11月、低炭素社会の実現に向けた施策の検討についてということで鈴木座長のほうから検討の方針についての御提案があったわけでございます。それ以降、4回にわたりまして検討会を開催してまいりました。今回はその中間整理というものの案をお出ししておりますけれども。同時に、これからどのように検討していくのかということも御議論をいただくこととしておるわけですが。それに当たって鈴木座長のほうから見解をお示しいただいたものが資料1でございます。
 資料1でございますが、これまでの検討経緯として、今申し上げましたように、11月5日に鈴木座長のほうから、2050年までに世界全体の温室効果ガス排出量を現状に比して半減をし、我が国では現状から60~80%の削減を行うというそういう長期目標が達成された低炭素社会の実現に向けた施策に関する検討を行うということが提案をされたわけでございます。
 具体的には、一度導入されると長期間にわたり使用される施設などに係る分野であり、早期に対策を進める必要がある。そういう分野であって、削減効果が大きい分野。そういったところを優先的に検討していくことが効果的であるという観点から、エネルギー、住宅・建築物、自動車・交通分野、そういったものを取り上げて、これまで事務局から現状説明をし、また当該分野に詳しい委員から対策・施策についての御提案をいただいて、それらをもとにして検討を行ってきたというところでございます。
 今回、その中間整理ということで、どういった発表が行われたのか、またどういう意見が出たのかということの整理をしておりますけれども、今後どうしていくかというところで、案が示されております。
 検討の考え方でございますけれども、2050年のあるべき低炭素社会の姿に至るまでの道筋を具体的に示すために、可能な限り定量的に総合的かつ具体的に検討を行う。別の言葉ではロードマップという言葉もございますが、2050年に60~80%の削減を行う、あるいは世界全体で50%削減を行う。そのためにはどういうロードマップが必要なのか、いつの時点にどのような対策を打つ必要があるのか、そういったことを具体的に検討していく必要があると。ただ、その場合に道筋というのはいろいろあり得るわけでありまして、どのような分野でどのような対策・施策をどの程度の強度で講ずるのかということについては様々な考え方があり得るわけでありますから、1つのものにはならないだろうと、こういうことでございます。
 それに当たっての検討手順でございますが、まずは各委員に検討を行うべき分野、対策・施策について御提案をいただきたいということでございます。
 その意見をもとにして、私ども事務局のほうで地球環境部会の委員の先生方、それから委員ではないけれどもそのそれぞれの分野の専門家の方々の意見を聞きながら資料を作成をし、その資料をもとにして地球環境部会において議論を行うこととしたいと。これは例えば今回も再生可能エネルギーにつきましては私どものほうで専門家の意見を聞きながら一定の勉強をさせていただいて、それを前回提示をさせていただいたわけでございますけれども。同様に、様々な検討を行い、一定のレベルの資料をつくって、それをもとに議論をしていただいたらどうだろうかと、こういうことでございます。
 そのような詳細な検討を行うには事務局資料の作成に当然時間を要するということでございますが、環境省の来年度予算案に低炭素社会づくりのための中長期目標達成ロードマップ策定調査費というものが盛り込まれております。それを活用いたしまして、一定期間勉強させていただいて、その後1年から1年半をかけて議論を行っていく。この1年から1年半というのは今からという意味でありますが、1年から1年半かけて議論を行っていったらどうだろうか。その間には、COP15が12月にございます。そこで次期枠組みについて国際的な合意が得られるということでございますので、そうした議論も踏まえながら検討を進めていくということでございます。
 また、その検討の過程においては、シンポジウムなどを開催して国民の意見を広く聞くということといたしたいと、こういうことでございます。
 裏に、これまでの報告書の検討分野とございます。先ほど、今後検討を行うべき分野、対策・施策について御提案をいただきたいということを申し上げました。検討手順の最初のところにそういう一文があるわけでございますが。その際のご参考として、これまではどういう分野について検討が行われてきたのかということでございます。
 最初のポツのところでございますけれども、これは昨年4月3日にこの地球環境部会でいただいた報告の中に書かれていることでございまして、8項目について具体的イメージの検討が行われております。
 まち、移動、居住空間就業空間、エネルギー供給、産業、森林・農地・海洋、消費者選択、金融・投資・情報開示、こういった分野についてそれぞれ政府が講じるべき手段、国民に望まれる取組、企業に望まれる取組等々が書かれているというものでございます。
 それから、国立環境研究所のほうで低炭素社会に向けた12の方策というものが出されております。ここには右の下に書いてございますように、12項目挙げておりまして、オフィス、トップランナー機器をレンタルする暮らし、安心でおいしい旬産旬消型農業、それから、森林、産業ビジネス、無駄のないロジスティクス、歩いて暮らせる街づくり、電力、太陽と風、次世代エネルギー、見える化、低炭素社会の担い手づくりと、こういったような切り口で検討が行われているわけであります。
 こういったこと、またこれまでに検討してきたエネルギー分野、住宅・建築物、自動車・交通分野、そういった様々な分け方があり得るわけでございますけれども、そういった中でどういう切り口で検討していき、ロードマップをつくっていくべきかというところを議論賜ればというふうに思っているところでございます。
 それから、資料2のほうでございますが、これはこれまでの御議論を整理したというものでございまして、1枚めくっていただきますと、目次がございます。はじめにがございますが、これは今御説明したようなことが書かれているわけでございまして、それ以降、2-1として、エネルギー分野における施策。
 この2-1の中で(2)として再生可能エネルギーについて、(3)として石炭火力発電についてということでございます。再生可能エネルギーにつきましては、前回事務局から御報告をさせていただきましたし、また石炭火力発電所、再生可能エネルギーその他エネルギー関係全般について飯田委員からも御紹介をいただいたところでございます。
 それから、2-2でございますけれども、住宅・建築物の民生分野に関する施策ということでございます。これは中上委員からも御紹介をいただいたところでございます。
 それから、2-3でございますけれども、自動車・交通分野における施策、大聖委員からも御紹介をいただいたというところでございます。
 そういった各委員からの御紹介の内容、また事務局が整理して出させていただいたもの、さらにここの場における議論の概要、そういったものを整理したというものでございます。
 簡単にご覧いただきますと、3ページのところでございますが。低炭素社会実現のための施策として、2-1でエネルギー分野における施策といたしまして、(1)でエネルギー分野全体の状況について整理をしております。それが5ページの真ん中あたりまで続きまして。
 5ページの真ん中で、再生可能エネルギーについてということで、再生可能エネルギーの現状、見通し等から始まりまして、これは前回御報告した内容のサマリーという形になっております。
 2-1-1が導入の意義、2-1-2が諸外国の動向、7ページにまいりまして、2-1-3が我が国における再生可能エネルギーの現状と見通しということでございます。
 8ページの下にございますように、現状は再生可能エネルギーの導入量というのは諸外国と比べてそれほど遜色はないわけでございますが、将来の目標値ということになりますと、かなり我が国の場合はシェアが、再生可能エネルギーが全体に占めるシェアは小さいということになっているという御紹介をさせていただいたところでございます。
 9ページで再生可能エネルギー普及に係る施策の現状ということで御紹介をしておりまして。
 10ページで再生可能エネルギーの導入促進に向けた今後の施策ということで、現在RPS法、あるいは導入補助金というものがあるわけですが、そういったものに加えて、固定価格買取制度なども組み合せていく必要があるのではないかというようなことが書かれているわけでございます。
 11ページでございますけれども。具体的な支援策ということでございました。2-2-2のところでございますけれども、公共部門での率先導入、それから投資回収年数10年を担保する固定価格買取制度、技術開発、金融面での支援、それから普及啓発活動、こういったことが書いてあるということでございます。
 これらに対しまして、各委員から御意見を賜りました。12ページの2-2-3のところでございますけれども。まず、電力については、水力、火力、原子力などの発電方式によって運転特性や発電コスト、環境への影響などの面でそれぞれ特徴があり、将来にわたり安定して供給するためにはこれらの電源をバランスよく組み合せて利用・開発していくことが必要である。
 低炭素社会の実現に向けては、費用対効果を勘案した現実的な選択肢として、供給サイドでは原子力を中心としたベストミックス、需要サイドでは省エネが重要な役割を担うと。今後低炭素施策に関する議論を深める際には、しっかりとこれらの役割について。政府として国民に情報発信をすべきだと考えるという御意見がございました。
 また、自然エネルギーをどれだけ入れられるのか、早く方針を決める必要があるという御指摘もございました。再生可能エネルギーに関する提案、検討会の提案を前回御紹介をしたわけでございますけれども、具体的な内容と根拠を明確にする必要があるという御指摘もいただきました。
 それから、RPSの目標値の引き上げ、再生可能エネルギーの固定価格買取制度について検討を進めていくべきではないかという御指摘もございました。
 それから、再生可能エネルギーに関する提案について、政府の方針決定に持ち上げていくということが一番重要であるという御指摘もございました。
 エネルギー供給について、ポテンシャルの評価を地域的に議論していくという必要性について御指摘がございました。
 それから、国民の環境分野、エネルギー分野に関する理解力を高めるということの重要性の御指摘もあったところでございます。
 この再生可能エネルギーにつきましては、前回2月10日にこの地球環境部会で御議論いただいたところでございますが、その後、2月24日に二階経済産業大臣が閣議後の大臣記者会見におきまして、太陽光発電に関する新たな買取制度の創設について発表をされました。さらにその後、3月9日の総合資源エネルギー調査会、第32回エネルギー部会、新エネルギー部会、それ以降、具体的な制度設計についての検討が開始をされているところでございます。
 その概要でございますけれども、13ページになりますが、RPS法制度と導入支援補助金制度を補完する総合的な組合せによる我が国独自の制度をつくっていくんだということでございまして。RPS法制度と導入支援補助金制度とを中核とした導入促進施策体系を維持することを基本としながらも、太陽光発電については非常に安定的な低リスクインセンティブを付与するため、両制度を補完する新たな制度を含めた総合的な取組を集中的に実施していくことが重要である、こういうことでございます。
 9.でございますけれども、補完する制度としての太陽光の新たな買取制度といたしまして、太陽光発電の自家消費を超える余剰電力に限定することとし、発電事業を目的で設置されるものについては含まない。既に導入されている太陽光発電、これについては買取対象に含めるということでございます。それから。買取価格と買取期間のところでございますけれども、当初は現状1kWh当たり49円となっている太陽光発電の発電コストを勘案した水準とすることが考えられると。それは、今の余剰電力買取メニューの24円の約2倍であるということでございます。
 3~5年以内にシステム価格を半額にするということを目指すということでございます。
 14ページにまいりますと、投資回収年数でございますけれども、最長15年程度、最長15年程度で投資回収が可能となるよう、10年程度の期間を目安に買取期間を設定することが考えられる。
 負担でございますけれども、電力の需要家すべてが負担するということを基本とする。その負担額は月額数十円から100円程度ということでございます。
 RPS法における利用目標量の取扱いでございますけれども、それにつきましては今後運用のあり方について検討していく必要があるということでございます。
 こういった動きに対しまして、特に二階大臣の発表に対して、斉藤環境大臣から談話が発表されております。まず最初に、太陽光発電世界一奪還というのは大臣のかねてからの念願であったところ、二階大臣のイニシアチブで経産省と電気事業連合会との間で太陽光発電の電力を2倍程度の価格で買い取る新たな制度を導入する方針で合意がなされたけれども、環境としてもこれを評価し、大歓迎をすると。
 固定価格買取制度については、太陽光発電の飛躍的拡大を通じたCO2削減のために極めて意義深いものと考え、その導入に向け、環境省としても検討を進めてきたということでございます。
 3つ目に、今後具体化など含めて、エネルギー政策、環境政策の連携・協力を進めて、太陽光発電の世界一奪還、CO2の大幅削減に努めてまいりたいと、こういう談話が発表されたところでございます。
 続きまして、石炭火力発電でございますけれども、これにつきましても私どもから発表させていただいた資料、また飯田委員からの御発表資料等を簡単に整理をして書いてございまして。それに対する御意見の御紹介をさせていただきますと。19ページでございますけれども、3-2のところでございますが、石炭の税率を引上げると。石炭税の税率をCO2排出量基準に組み替えることにより、石炭の税率を引上げるということの必要性の御指摘がございました。
 また、規制的手法として、石炭火力の新設禁止ということを主張すべきではないか。また、新設をする場合であってもCCSを付設するあるいは全量オフセットを義務づけること、あるいは石炭火力への政府金融を禁止する、そういった措置を講ずべきではないかという御指摘もございました。
 それから、石炭火力は一旦つくられますと耐用年数の間40年ぐらいの間CO2削減に係る負債を負うということを意味するので、非常に重要な課題であるという御指摘もございました。
 また、小名浜のPPS事業につきまして、アセス制度の環境大臣意見のときには歯どめをかけるような手段なり方法論を提示しろという御意見もいただきました。
 石炭火力発電のアセスの手続におきましては、電力会社が自ら行う省エネ、再生可能エネルギー、その他の代替的なオプションを含めてきちんと検討することが必要であるという御指摘もいただきました。
 さらに、技術開発の重要性についても御指摘をいただいたところでございます。
 その次、20ページ以降は住宅・建築物でございます。住宅・建築物につきまして、(1)で家庭・業務部門全体の排出量が増えているということを示しております。(2)のところでエネルギー消費の伸びというものを示しておるわけでございまして、世帯当たりのエネルギー消費量というのは横ばいでございますけれども、世帯数が増えているということで、全体のエネルギー消費量が増えているというのが20ページの下のグラフでございます。
 また、21ページでございますけれども、家庭部門のエネルギー消費の増加の要因といたしまして、照明・動力・その他といった家電製品相当の部分が増えてきているということでございます。
 21ページの下のところでは、地域別のエネルギー消費量ということで、北海道、東北、北陸といったそういった寒いところで暖房エネルギーがかなり増えていると、多いということが書いてございます。
 それから、22ページのところでは、世帯による違いということで、エネルギーを多消費する世帯と省エネ世帯とでは随分消費量が違うんだということでございまして。多消費世帯の人たちを一般世帯並みにするだけでも相当の省エネになるんだというような御報告もございました。
 以下、業務部門のエネルギー消費の動向等が書いてございまして、また住宅表示性能制度の御紹介等がございます。
 こういったものに対する御意見でございますが。28ページでございますけれども、我が国には家庭用・業務用のエネルギーについて十分なデータベースが存在しないと。今各種報告ございますけれども、それらは家計調査から推計したデータであって、このデータでは詳細な分析をすることはできないと、どういった対策を家庭において構ずるべきかということになれば、冷蔵庫でどれだけ使っているのか、エアコンでどれだけ使っているのかということを具体的に調べる必要があるのではないかというような御指摘をいただいておりました。
 また、建築基準や環境税などによって電力消費によって意識づけるということが必要ではないかという御意見もございました。
 それから、オーナーではなくて賃貸住宅の場合、エネルギー消費量の表示義務を課すなどにより消費者の賃料とのトータルで選ばせる、そういった仕組みが必要ではないかという御意見もいただきました。
 今金融危機でございますけれども、財政支出をする場合には、長期にわたって効果のある施策に重点的に財政支出をすべきであるという御意見もございました。
 住宅の性能表示の中にエネルギー関係のものを加えるように義務化すべきであるとか。あるいはヒートポンプへの転換を図るべきである。また、環境教育の重要性、それから電気製品の大型化を進めないための仕組みの必要性、こういったような御指摘もいただいたところでございます。
 それから、29ページ以降、自動車でございます。自動車、運輸部門につきましては、近年は減少傾向にはございます。3-1に書いてございますように、減少傾向にはございますけれども、90年と比べれば増えているわけでございますし、また60~80%削減ということになりますとさらに減らしていく必要があるところでございます。
 取組の概要が表3-1で示され、3-2で温暖化対策の問題点と課題、これは大聖委員からの発表資料を書かせていただいております。
 それから、31ページでは、運輸部門における排出削減のための3つのアプローチといたしまして、従来車の燃費改善、それに加えて、新動力システム、新燃料の利用、ハイブリッド、電気自動車など。さらに、自動車の利用に係る取組の抑制といったことが掲げられておりまして、そういった取組により、2050年に現在と比べ7割排出量を減らすことができるんだということを図3-4でお示しをいただいているというところでございます。
 32ページ以降、燃費改善についての現状、トップランナー基準の変遷等が書かれております。御意見でございますけれども、自動車単体の燃費改善施策に関して、電気自動車、プラグインハイブリッド車を初めとする次世代自動車を含め、低燃費の自動車について、現段階ではまだ費用が高いものの、将来的には技術開発や量産効果による費用の低下が期待できると。これらの技術は我が国の産業の国際競争力強化、雇用の拡大につながることも期待できるので、戦略的な技術の開発・普及のため、一定の導入量を確保する制度と経済的な支援措置をセットで実施していくことが重要である。
 これまでも、トップランナー方式が有効に機能してきているけれども、現行は車両重量により細かく区分されているので、車種の大型化は抑制できない。低燃費化をさらに進めるために、区分を大くくり化するということの必要性について意見が出されております。
 一方で、大くくり化することにより、全体として基準が緩くなったり開発へのインセンティブが下がるということも想定されるのではないかという御意見もございました。
 現行税制でも低燃費、低公害の自動車に対して軽課あるいは一定年数を経過した自動車に対する重課というものがございますけれども、これらの延長・拡充も含めて、自動車からのCO2排出量に応じた税制の軽課・重課を組み合せていくべきであるという御意見がございました。
 それから、電気自動車、プラグインハイブリッド車のための従来設備のインフラ整備、これらに対する補助金での支援、それから自動車販売時に燃費とかCO2排出量をラベル表示する。あるいはナンバープレートをCO2排出量の色分けナンバープレートを導入したらどうかという御意見もございました。
 省CO2排出車の普及を進めるための長期戦略と施策誘導の重要性の御指摘もございました。
 それから、動力システム、電池の開発、車両の軽量化、空気抵抗や転がり抵抗の低減、そういった技術開発の促進の重要性の御指摘もあったところでございます。
 それから、バイオ燃料につきまして、35ページのところで、これもいろいろ御意見をいただきました。現在E3を進めていますけれども、より高度なバイオ燃料を混合するE10を進めるべきではないか。それから、バイオ燃料について、優遇税制適用されているけれども、長期的な取組も必要である。それから、バイオ燃料に係る技術開発の重要性も御指摘がございました。
 それから、36ページでございますが、自動車の利用に関する御指摘をいただいております。公共交通機関に対しての支援の重要性、これはかなり多くの委員から御指摘がございました。それから、都市の計画、コンパクトシティなどの重要性。それから、過疎地域も配慮した地域別の対応の必要性も指摘されました。
 ロードプライシング、パークアンドライドなどによる交通量の円滑化の重要性、それからエコドライブ、カーシェアリング、自動車利用など、カーライフスタイルの見直しの必要性、エコドライブ推進のためのエコドライブ講習の必要性。先進的なナビゲーションシステムなどの見える化の有効性。通勤などにおいて公共交通機関に転換する取組。また、ITを活用してテレワークを導入するといったこと。そういった自動車に依存しない生活様式にしていくということの重要性も指摘されました。貨物輸送について、モーダルシフトの促進、自営転換、共同輸配送など、貨物輸送の合理化と積載効率の向上の必要性、こういった様々な御意見をいただいたところでございます。
 最初に申し上げましたように、これはこれまでに提出された各委員からの資料、また事務局からご提出させていただいた資料の要約であると同時に、またそれに対する様々な御意見を現段階でまとめたと、整理をしたというものでございます。
 こういったことのベースに立って、本格的に2050年に向けたロードマップづくりというものを今後していく必要があるだろうと。それに向けた予算の確保というのも一応しておりますので、そういったものも活用しながら、詳細な検討をまずは私どものほうでさせていただき、そしてその結果に基づいて、またここでこういった場で十分な御議論を賜りたいというふうに考えているところでございます。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 今御説明いただきましたこの資料2のほうは、いわばこれまで御議論いただいたことをまとめていただいた中間整理、こういうものであります。これをベースにいたしまして、資料1にございますように、今後この地球環境部会で具体的にそのロードマップをつくっていく。しかしながら、全部をカバーするというような、国全体をカバーしてというようなことよりは、やはり環境省としてどこに有効に貢献ができるのか、どこをやはり動かしていくことが重要なのかというようなことで、これまではエネルギー分野、それから住宅・建築、そして自動車・交通、この3つの分野を検討してお話を伺ってまいりましたが、これからはもう少し末端の側から、例えばライフスタイルであるとか、街づくりであるとか森林であるとか、いろいろな分野があると思います。どういう分野で何をすべきかという具体的なロードマップをつくる方向に向かっていってはどうか。しかしながら、またこれ検討して何年もかかっていても仕方がありませんので、幸い来年予算をある程度、検討のための予算をとっていただいているということですから、この地球環境部会でどういう項目について検討すべきかというようなことを御議論いただき、それをもとに来年度の検討をしていってはいかがかと、こんなふうに思っております。
 多分いろいろな御意見があると思いますので、名札をまた例によりまして立てていただければと思います。また、資料2につきまして何か事実誤認等もありましたら、それも御質問、ご討論の中で御指摘いただきたいと思います。
 それでは、浅野委員、最初に。

○浅野委員 中間整理ということで今日出されました資料2の、細かい内容についてはこれから多くの委員からまた御議論があろうかと思いますが。全体のつくり方としては、問題点を整理し、さらに委員から出された意見が列挙されているということにとどまっているわけですね。まだここから道筋がどうなるかということは必ずしも十分には出てこないんですが、それをこれからやらなきゃいけないと思うんですけれども。
 その前に、資料1の2ページ目ですね。これをちょっと開けているわけですが。もう一度思い出すようなことにもなりますけれども、当部会としては昨年4月に低炭素づくりに向けてということでイメージを示し、さらにそれを実現するための取組や手段ということについての中間的なとりまとめをしたということになります。このイメージというのはどちらかというとこういう姿になりますということを書いていますので、ある程度入れ子構造になっていますね。全部がきれいに項目が整理されているわけじゃなくて、例えばまちと書いてあるところにも移動があったり居住があったりということで。関心のある人がある項目について見た場合に、かなり網羅的にイメージがつかめるようにという書き方になっているわけです。
 そして、それをある意味では総括する形で、次のステップで何をやるかということが書かれていますが。この我々の報告書で書いたことは、どちらかというとこれはどうすればいい、これはどうすればいいという1対1の対応関係には必ずしもなっていないわけです。それに対して、次の2番目にあります12の方策というのは、これはイメージということも中に確かに入ってはいるんですけれども、最初からタイトルにもありますように、方策といきなり始まっていて、何をやったらいいんだろうということが出てきています。内容的にはほとんど、いろいろな部分でこの部会が出した報告と、それからその12の方策の中に書かれていることは重なり合う部分がありますし、かなり共通することが書かれているわけですが。何をやったらいいんだろうという問いかけからいきなり答えを書いているという書き方と、それからイメージを示してそれを実現するためにはどうしたらいいんだろうという書きぶりの間には若干の整理が必要だと思います。
 私はこれ2つともよくできていると思いますし、あちらこちらで低炭素社会のお話をさせられるときには2つを使って話をするんですが、大体イメージは皆さんわかっていただけると。ただ、どうもこの2つのつながりがいつも気になってまして、しょうがないので話をするときは適当につまみ食いで両方一致しているかどうか取り上げて、例えばといってごまかして帰ってくるんですけれども、どうもこれじゃまずいなということをいつも気になっています。
 そこで、これはやはり事務局に少し頑張っていただく以外ないと思いますけれども。2つの相互関係をはっきりさせるということが必要なのではないだろうか。その作業をしないで、世の中にこの2つのものがいつまでもばらばらと出回っていますと、どうも読む人が混乱をしてしまうのではないか。でも、ちゃんと整理をすれば決して混乱が起こらないように、どちらもよくできていますし、項目的にもほとんど似たようなことが言われていますから、それを整理することが必要ではないか。その作業をぜひやっていただきたいと思います。我々も勉強してコメントがあればコメントを差し上げたい。
 それから、12の方策はタイムスケジュールを実はつくっておられますね。ですから、これはある意味では今後の我々の議論のたたき台にはなるんだろうと思うんですけれども、これそっくりそのままでは芸がありませんので、さっきの2つの相互関係を整理する中でタイムスケジュール的には使えるものがどの部分なのかということを書かなきゃいけないんじゃないかと思います。
 最後にもう1点だけなんですが。我々の報告書の持っている1つのいい点は、総合的にものを考えましょうというアピールをしています。例えば地域づくり、地域というような切り口から低炭素社会を見たらどうなるんだろうということを述べていますから、余り要素に還元するというやり方になってない部分があるんですけれども。施策になりますと、目標を決めて何かやるというときには要素でやらなきゃいけない部分と、それから総合的に地域という形で見なきゃいけない部分というのが両方あるわけですね。これは今の京都議定書の目達計画も似たような構造になっていて、大きな取組と、それから個々の細かい取組とがうまく整理されるようになっていますが。多分長期的に2050年を考えるときも、似たようなことをやらざるを得なくなるのではないか。だから、そういう形で整理をするという作業は必要ではないかと思います。

○鈴木部会長 浅野先生のほうから全体の枠組みについて、検討の枠組みについての御提案がありました。ビジョンづくり、社会づくりのイメージづくりのほうの私たちが昨年出したもの、それから12の方策、これいずれの項目も、最初のほうは8つに分かれ、こちらのほうは12に分かれておりますが。中身は環境、特にエネルギーがかかわるものというのは、いろいろな項目がすべて関連していますね。ですから、多分、私たちがまたこういうような形で幾つかの項目が関連したものをまたばらばらとお出ししても余りインパクトはないんじゃないか。むしろ末端の、例えば消費者、我々が本当に毎日の暮らしを進めていくところからどういうことをやることが効果があるのか。あるいは自治体としてはどうなのか、森林にとってはどうなのか、何かそういうような形の切り口もあってもよいのではないか。より具体的に何をしたらいいのかというようなことが定量的にわかるようなものになるというようなことがあれば、ただそれを定量的に判断するというのが、これまた非常に難しいかもしれませんが。例えばそんなこともあってもいいのかなと思ったりしております。
 すみません、ちょっと私がお話しして。
 では、浅岡委員のほうから順番にお願いいたします。

○浅岡委員 今の浅野先生のお話にも絡みますけれども、また、鈴木先生のお話にも関連しますが。確かに現場でのイメージが地域のレベルで共有できて、具体的なまちづくりとか地域づくりの将来像と重なる、自分たちの暮らしとして理解ができるようにする。今まで私たちが各自でやっていますし、それを長期戦、50年タームで取り組もうということを、滋賀県がやっていたり京都でも、京都府とか京都市で同じようなことを今始めております。それはそれでとても大事なんですけれども、そうしたことを具体化しておりましたときに、じゃあどういうエンジンでそれがやれるんだろうかということを考えていきましたときに、やっぱり根本的に大きな枠組みというものの話がまずこなければ地域も動かないというところに戻るわけです。
 そこで、今回の、先生のおっしゃられた資料1の2のところというところで、最も明示されていない部分ということが、排出エネルギーと産業部門がどの国でも大きな割合を占めて、そこに排出量取引キャップアンドトレードをしっかり入れてオークション化して、そのお金を活用しながらしっかりした制度を具体化していこうとしているのが、アメリカ、ヨーロッパの大きな流れであります。それの法制化が、去年今年来年と進むわけです。そこの部分が全く表面に出ていないので、この議論は本当にどうして動かしていくんだろうという力強さというか、具体的な、長期的なイメージがやはり足りないのではないかと思います。
 そこは、そうした産業エネルギー部門でも大きな削減の軸を本当に世界的にオークション化して、そのお金を動かそうという流れの中に合わせて、再生可能エネルギーを飛躍的に、どちらも大きな雇用源になるわけ、新しい雇用源になるわけですけれども、FITという形で増やしていこうと。
 そして、あわせて、エネルギー供給関係では石炭火力発電所の老化部分というのをもっととめる、老化をとめることとともに減らしていくにはどうしたらいいのかということなしに、いくら小さなところをやっても、やはり80%削減への道筋というのは見えないということだと思うんですが。
 そういう観点からこの中間とりまとめというのを拝見いたしますと、再生可能エネルギーを特に、それから石炭火力発電所に関する部分ですけれども、またせっかくの前回の検討会の御意見がありましたけれども、経産大臣のかなり中途半端な御提案に対して、斉藤環境大臣がとても前向きな歓迎のコメントを出されて、もうこれでいいんだというふうな、まさかそうではないと思うんですけれども、それがちゃんと見えないという点と。
 それから、私の資料6、資料7でつけていただいておりますけれども、もう既にこうした再生可能エネルギーと石炭、あるいはあわせて原子力もですけれども、これを扱うというか、預る法律案がエネルギー供給構造の高度化法案という形で出されておりまして。ここには、例えば石炭などは環境大臣の発言権すらないような判断基準だけで動くという仕組みになっていますし。再生可能エネルギーについても、全く何ら根拠のない経産大臣の判断基準に委ねるというような形になっていて、それが法律案として出されているという中で、今ここのとりまとめというのは将来的にどのように生きていくんだろうかという意味でとても心配であります。
 それから、この今回の二階大臣の御提案というのは、過去の設置者に対して非常に大きく、同じように待遇するということが大きな柱であります。だから100円の負担だとこういうことであります。新規の導入にということよりも、ここになぜ過去既設の人への配慮をするのかというのが、むしろ経済、生活者支援みたいな形で書かれていて、再生可能エネルギーの拡大というわけではないわけですね。そういう意味で本当に不十分さがいろんな意味で残っている。これをするなと言っている趣旨ではありませんけれども、非常に不透明であること。そして、本当に大きく将来を拡大するというふうな制度設計になっていないという現状に対して、もっとしっかりした姿勢、あるいは石炭に対する姿勢が、今出せないときにこの法律案が動いていくということは、一体どうなるんだろうと。また、環境省としては何ら発言ができないまま、将来がずっと縛られた形になってしまうのではないかという懸念を持っているとお伝えいたします。

○鈴木部会長 それでは、飯田委員。すみません、たくさん札が上がっておりますので、ご判断いただいてよろしくお願いします。

○飯田委員 ほとんど全員の方が立てられて、できるだけ手短に。
 今回のこの中間整理をどういうふうに、どういう目線でまとめて、来年度どういうふうに検討していくかそのものが多分非常に大事かなというふうに思っていて。この検討が始まるときには中期目標を官邸の方で主に検討するので、ここでは2050年の具体的な施策というふうにアジェンダが落とされて今ここに来ているんですが。中身は、前回私も報告させていただいたり、あるいは二階大臣のものとか、一方でかなり生々しい話も中に入っていて。これを今後どう進めていくかのアジェンダセッティングのし直しから議論しておく必要がやはりあるのかなというふうに思っていまして。
 というのは、やはりアメリカでオバマ政権も誕生して、とにかく大変化を起こしているわけですね。それから、いわゆるグリーンニューディールというか世界的な経済危機の中で、地球温暖化とエネルギーを串刺しでやっていきましょうという話もあって、その変化のスピードにまずついていけてないのではないか。だから、我々中央環境審議会というものが、まず大きな構図として、中期目標の話がやはりとにかく触れてはいけないんだというふうな形になっているんですが、やはりここに大きくあると。長期はあって、その中期があって。それから、一方で足元の目達計画というのがそろそろ2010年のやはり検証というのも来年度は、来年度というかもう本当にそろそろ入ってこないといけない。とは言っても、足元経済の地崩れを起こしているので、それに対するグリーンニューディールみたいな話もここにはまだ出てこない。
 現実論としては、経済産業省の方でポンと法律案が出てきて、環境省としては一応出してコメントを出されているものの、あれは一応共管になっているはずなので、これを具体的にどうするかという話も多分いるのではないか。それから、排出量の取引の方もとりあえず試行という形で下りているけれども、じゃあそれはどうなんだと。
 そういった、上部構造としてのアジェンダをどこに置いて、それから、現実論として今起きているものを踏まえて、まず短期的にはこの中間とりまとめをどういうふうにまとめて、来期、私自身としてはやはり中央環境審議会、今霞ヶ関のどちらかというとロジックに縛られて、ここに書かれる内容がすごく削られているようなところがあって。もっと大胆に、この中央環境審議会としての諮問という、本来のあり方に立ち返って、もう少し大きなアジェンダで、提言を世に問うような形にしてはどうなのかなというふうに思っています。ここまでいろいろな形で、つまり官邸で、官邸、経産省、いろんなロジックの中でここしかとりあえず言わないんだというふうにしかどうも見えないんですよ、私には。だから、そこはもう少し踏み越えた形で、逆に、中央環境審、いわゆる事務局が舞台回しをするのではなく、もう少し自由に任せていただくような形が、ひょっとしたら別のアジェンダセッティングであってもいいのかもしれませんが、やったほうがいいのではないかというふうに思います。
 あと、これはコメントしてもいいんでしょうか。例えば猪野委員から出ているメモについて、これはまた後で御説明いただけますか。

○鈴木部会長 もし、御意見があれば。

○飯田委員 細かくは言いませんけれども、中の再生可能エネルギーの話と表裏一体になってますので。細かい点は指摘しませんけれども、バランスを欠いているとかですね、石炭を排除するなとかいろいろ書いてあるんですが。逆にこれまでの論点が余りにも僕はバランスが、要は中央環境審議会でまともに石炭と再生可能エネルギーを過去おそらく議論をしたことがないと。それがようやく議論をしたものをバランスを欠いているというのは、これは逆に非常にためにする議論ではないかというふうに思います。やはりきちんと堂々と、石炭をすぐやめろということは誰もおっしゃってないわけで、明らかに90年代以降過剰に伸びているということは客観的な事実なので、それがバランスを欠いてないのであれば一体どうなんだろうかということが、まずあります。
 それと、今週でしたか、一面広告記事で、こちらのほうは電事連さんも入っておられて経団連さんとか堂々と出されて、25兆円の負担で国民に100万円の負担がかかるということがかなりあいまいな形で出されていて、これは10年間の総負担であって、しかもあれは負担ではなくて環境省の報告にもあるいは国環研の報告にも出ていますが、国民経済的には逆におつりが来るようなリターンもあって、まさにグリーンニューディールというのはその投資をやるようなことであるにもかかわらず、ああいう誤解を招くような一面広告をざっとされる経済団体の方々は逆に僕はバランスを欠いているのではないかということもきちんと受けとめていただく必要があるのかなと。
 あるいは日本は最も低炭素社会というのがあったんですが、あれもいわゆる購買力平価で見ると日本はEUよりも低いですし、一人当たりで見るともっと日本は大きい、逆だ、EUのほうが低いんですね。ですから、そういうところもデータのとり方が非常につまみ食い的というかバランスを欠いているので、そういったところはやはり国民に誤解を招かないようにやはりきちんと数字を出していただいたほうがいいのではないかというふうに思います。
 以上です。

○鈴木部会長 では、猪野委員。

○猪野委員 本日の中間整理でご報告があったとおり、再生可能エネルギーについては、現在、国の政策として経済産業省の新エネルギー部会で、日本版の「太陽光発電の新たな買取制度」について検討が進められています。実際に今、こういう仕組みづくりも含めて、電力会社としても協力させていただいているところです。
 また、産業界としては、太陽光発電装置そのものの価格低減も、今後、製造メーカーとして非常に重要だと考えております。
 もう1つ、ここで大事なのは、太陽光が一度にたくさん入ってきた場合です。現状では、太陽光については、局所的な集中設置の場合を除いて、1,000万kW程度までは全国で受け入れが可能であると推計しておりますが、それを上回る場合には、やはり系統設備への対策が必要となります。しかし、太陽光が大量導入された時の具体的なデータというのは余り持ち合わせていないというのが実態ですので、今後は、国としても実際にたくさん入ったときの影響などについて、実測データに基づいて分析、評価するという事業を、来年度から開始する予定です。そういうところに対しても電力としていろいろと協力させていただく予定です。
 最後に補足ですが、メガソーラーのような大規模な設備を導入することで、少しでもパネルの価格低減や、国民の関心を高める引き金にするなど、積極的に太陽光の導入拡大に努めていく考えです。

○鈴木部会長 岩村委員。

○岩村委員 私からは、1月から委員にしていただいているので過去に議論済みの話なのかもしれませんが、その施策の効果の話について質問があります。私行政官としてずっとやってきて、運輸部門とか建築部門は結構詳しくなりましたけれども。では、そこでの対策が世界全体でどのぐらいの効果を与えるのかという話になるといつも詰まってしまう、なかなかいいデータも見つからないんです。既に議論されているのかもしれませんが、例えばメタンの話とか、温室効果からいえばCO2よりさらに大きいと言われているメタンがどのぐらい自然界で、新聞で読んだぐらいですけれども、いろいろ発生している、動物からも出れば火山からも出る、また凍土が融けて出てくるとか、そういう話があって。やはりそういう全体の中で、今やっている我々の経済活動なり生産活動から出てくるCO2がある。そこをどのぐらいいじると世界的にみてどうなるのかという点がマクロでわかってないとなかなか説得力がない。特に個々の分野になれば、なぜ俺のところだけやらなきゃいけないんだとか、これ以上やりようがないじゃないかとか、これ以上やれば我が国の経済が壊れちゃうとか、国際競争力がなくなるというような話になるんじゃないかと思うので。
 やはり大きな立場からもう一回前提を示した上で、それがあるのかどうか、それからここに書いているような定量的にできるのかどうかも私ちょっとわからないので、まだ勉強しなきゃいけないんですが。そういったことを1回やっておくと、ストンと落ちてくるような気もします。これからだんだん具体的な話になってきますので、私も専門の分野いろいろ御提案したいと思いますけれども、そういう大きな視野での分析を一回、既にやったとおっしゃるのであれば、一回それを私にも教えていただければというふうに思います。

○鈴木部会長 植田委員。

○植田委員 エネルギーと住宅・建築物等の民生分野、自動車・交通というのが確かに大きな削減効果を見込めるかもしれないし、重要な分野であることは確かです。それでこういう形で施策が具体化されていくということはとても意味のあることだと思いますが。
 委員からかなり意見が出ているのを見てみますと、そういう施策をどのように推進するかということについてまとまった一種の仕組み、全体としての仕組みのような問題が共通して私は出ていると思います。ですから、各論的な分野を深めることも重要ですが、例えば税の体系はどういうふうに変わるとこういう施策は進むのかとかいう観点とか。一言で言うと人々の行動だとか企業の行動だとか、広く言えば経済ということでしょうけれども、その中に削減動機をビルトインする施策はどういうものなのか、横断的なといいますか、そういう内容がないといけないんじゃないかというのが第1点です。そういう議論を深めるべきだということです。
 もう1点は、こういう議論をしているのが世界的なグリーンニューディール政策、あの政策は厳密な検討が必要でしょうけれども、中長期的には産業構造自体を大きく変えようと意識的に取り組もうとする施策になっている、産業構造を変えるための基盤づくりとなっていると思いますので、そういう方向性が出ているときにこういう各論分野をどういうふうに考えるかということです。グリーンニューディールということでもありますし、背景には100年に一度というような一種の危機への対応ということがあると思うのです。危機の後のほうのキは機会の機ととらえるべきだというふうに、オポチュニティという意味でしょうね、そういう発言も世界的には多いわけです。長期のビジョンという意味が具体的な産業構造の変化を伴うものになっているということを踏まえて、全体の仕組みと各論を議論していかないといけないのではないかと思います。
 以上です。

○鈴木部会長 浦野委員。

○浦野委員 まず1点は、先ほどもありましたけれども、これは、いろいろな温室効果ガス削減対策の中で人工的に発生するCO2の抑制という部分についてのみ切り出して、そこを充実するんだという位置づけであることをまずしっかりつくっておかないと。これがあればほかのところは余り力を入れなくてもいいかのような誤解を与えることもあるので、これをまずはっきりさせてからスタートすべきだということが1つと。
 それからもう1つは、低炭素社会の実現に向けた、ということになっていまして、12の方策は、2050というふうなタイトルがついていたり。そうすると、何かまだずっと先の話をしているかのようですけれども、実際的な施策を考えるときには、どうしてもここ数年間に何らかのスタートをしてやらなきゃいけないということになる。比較的近い将来、せいぜい10年先、2020年ごろにある程度のことを進めるというために、当面スタートをどうするかというふうに考えているかのようにもとれる。
 このため、議論が非常に長期の話と、それから中期の話と、中期を目指す当面の短期の話とがかなり混在してしまっている。先ほどの石炭火力を抑えるなんていう話はかなり短期の話の意見だと思うんですけれども。中長期に見ればどうなのかということと混乱している。
 その辺をはっきり整理をして議論する必要がある。実現に向けたロードマップということは、時間的なことも追っかけていくんでしょうけれども、議論している我々自身、あるいはこれを国民が受け取ったときにも、何年ごろのことを考えているんですかと。今考えられること、やはり10年先ぐらいはかなり現実的に考えられる。しかし、30年先、40年先というと、どうなっているかわからないという感じになってしまう。そこら辺をちょっと、どこら辺を中心に目標にしているんだということをかなりはっきり示して議論する必要がある。
 例えば運輸の部門で自動車のことがいろいろ書いてありますけれども、以前トヨタ自動車の方からヒアリングを受けたときに、一人乗りの輸送機関を大量につくるんだというような議論も出ていました。しかし、今回こういうもの出て来ないんですね。ですから、それはかなり長期のことをおっしゃっているわけですけれども。交通手段そのものが全く変わってくるかもしれないというところまでは考えないのかどうか、あるいはどこまでを考えるのかというのがどうもはっきりしない感じがします。ぜひそこを少し整理をして、当面、2020年ごろまでの目標か、その先の目標か、それらに向けて現在または数年以内にスタートすべきことなど、議論の中を整理する必要があるというふうに私は思っています。

○鈴木部会長 及川委員。

○及川委員 現在京都議定書の第1約束期間が去年から始まって、5年間で日本は6%削減するということがあって、それが可能かどうかという論議を我々随分やってきたわけですね。そういった中で、森林の扱いというのがあって、森林を適切に管理することによって森林生態系に二酸化炭素が吸収されればそれを削減量とみなすということで、日本では6%のうちの半分以上の3.8%を森林でまかなってもらおうという非常に大きな期待をかけて現在進んでいると思うんですね。
 この問題は今後の地球環境を考えたときに、どういうふうにこの森林生態系あるいはもっと広く陸域生態系のことを考えていく必要があるのではないかと思うんですけれども、その辺の論議といいますか、今後の方針というのは余り見えないように思います。
 日本は木材でいえば自給率がわずか20%で、80%は輸入しているわけですよね。それから、食料では40%ですから、60%は外国から輸入していると。そういったような状況で。それで特に森林なんかは林業者が非常に高齢化して、林地が荒廃しているという状況があって、今後ますますそういった方向に進むと思うんですね。そういった中でこういった問題をどういうふうに考えていくかということをもうちょっとはっきりと示していただきたいということを思います。
 それから、ついでにちょっと申し上げますと、さっきメタンのお話が出ましたけれども、メタンに関しましては大気中の濃度の増加がほとんど今止まっているんですね。専門家に伺っても、理由はよくわからないけれども、止まっているということでございます。それに対してCO2は2000年に入って1年に2ppmも増加しているんです。90年代でも1.5ppmという大きな増加だったんですけれども、2000年台に入ってさらに増えているという状況で、温暖化がさらに加速されるのではないかという非常に危機的な状況にあるというふうに思っております。
 以上です。

○鈴木部会長 逢見委員。

○逢見委員 資料1で今後の検討ということで、いよいよロードマップづくりという段階に入っていくわけでございますが、そこで道筋についてここではどのような分野でどのような対策、どのような協働について考え方が様々あって1つでなない。これは確かに道筋は1つではないと思いますが、しかしどのような社会をつくっていくかということについてのあるべき姿像というんですかね、そういうものはやはり示さなきゃいけないと思います。それはともすれば制約が非常に多くなって、暮らしにくい社会になるんじゃないかというのがありますが。そうではなくて、グリーンニューディール政策にあるように、ライフスタイルも、それから産業構造も、そして雇用の構造も変わる新しい社会と、それは我々にとってよい社会になるんだというそういう2050年の姿というのを示して、そしてそれに道筋をつけていくということだろうと思います。あるべき2050年の姿が我々にとっていいものであるという、そういう低炭素社会のイメージを示す必要があるのではないかと思います。
 それから、ロードマップの作成に当たっては、ぜひ雇用の側面も入れていただきたい。再生可能エネルギーのところではこれが雇用の創出につながるということで、諸外国の事例なども載せておりますが、再生可能エネルギー分野だけではなくて、低炭素社会における雇用構造、これは一方で雇用が縮減される分野もあると思いますが、他方で雇用が拡大創出される部分がある。そういう産業構造の転換とあいまって、雇用構造がどのように変わっていくのかということも示すことによって、今後の戦略というものが出てくると思うんです。
 そういう意味で、ぜひロードマップに当たっては雇用という側面も入れていただきたいということを要望したいと思います。

○鈴木部会長 大塚委員。

○大塚委員 3点ございますけれども。第1点は既に多くの方がおっしゃったことと関係しますが。あるべき姿にいくためにどういう手法でいくのかということが余り出ていないという問題があると思います。排出量取引は当面のところは枠が出てきていますけれども、炭素税のこともありますし、それから税制のグリーン化でいくのか、あるいは原単位での規制でいくのか、あるいはアセス法を使うのかというようなことが具体的に問題になってくると思いますので、そういうところまでできるだけ書き込んでいくとか、あるいは可能性について書いていくということが必要ではないかと思っております。
 それから第2点ですけれども、もう少し細かい問題ですが。1つは、資源エネルギー庁のほうで出てきている太陽光の発電に関する買取制度についてですけれども。日本型というふうにおっしゃっておられるわけですが、既に浅岡さんのほうからも批判が出てきておりますが。それが本当にどういうものかということについては国としてある程度説明していただくことが求められていると思いますけれども。どこが日本型であって、どうしてそういう日本型の特色のあるものにしたのかというあたりについて、後で御説明いただけるとありがたいというところがございます。
 それから第3点でございますけれども、これも若干細かい話ですけれども、10ページとかあるいは35ページのあたりに出てきているE3とかE10というのはぜひ進めていっていただきたいと思いますが。これも一方でETBEというのがあって、環境省さんとしてはいろいろ省庁間の考え方が違って困っておられるのではないかと思いますけれども、ぜひこれは統一していっていただく必要があると思いますし。ここにETBEの話が全く載ってないというのは、これはこれでいろいろなお考えがあると思いますが、ちょっと不足しているということになってしまうのかなと思いますので。バイオ燃料を拡大していくということを考えれば、E3とかE10のほうが、あるいは国産でやっていくということを考えればE3とかE10のほうがよろしいかと思いますが。そういうところについてもう少し踏み込んで書いていただいてもいいのではないかというふうに思います。
 以上でございます。

○鈴木部会長 木下委員。

○木下委員 1点申し上げたいと思います。2050年に我が国は低炭素社会に向けて進んでいくんだという際には、ある意味では全体の我が国の国土利用をどうしていくかと。都市をどうするか、農村をどうするか、あるいは森林をどうするかというような問題と密接に関連をしているというふうに思います。もちろんこれらの問題を直接取り上げるにはなかなか当審議会を越えているというふうに思いますけれども。資料1の2ページの12の方策の中でも、例えば産業分野と運輸分野の、産業分野3、4を議論する際には、例えば運輸分野7の議論も念頭におきながら進めていくということも1つの考え方ではなかろうかというふうに思っております。
 以上です。

○鈴木部会長 小見山委員。

○小見山委員 今既に皆様のほうで出てきたことかもしれませんが、1つお願いがございまして。この施策に対しましては長い目で見たことを考えていかなくてはいけませんので、日本の国の中で国民の方たちの考え方並びに企業の方たちの考え方のどういうふうな方向でこういうものに取り組んでもらえるかということをやはりこの施策の推進という意味で入れていっていくべきではないかなと。
 例えば人の考え方というのに関しましては、おのおのが自分たちがどういう形で寄与できるのかということでもございますが、資本主義市場ということを1つ念頭に考えたときに、資本市場の中で人の行動や考え方がどういうふうな形で寄与していくか。また、企業はどのような形で寄与していくかということが大切だと思うんですね。
 一番私どものほうでお願いしたいことは、やはり信頼のある情報というものが流れるようなそういう社会にしていただきたい。信頼性のある情報の提供というものは、既に今までやってきたと思うんですが、より一層信頼性のあるものをつくれるようなそういう社会にしていきたい。ご存じのとおり、2003年には欧州の会計法の現代化指令というのが出まして、その折には企業の成長や業績や位置づけというものをちゃんと理解するような情報として提供しなさいということで、今既にもう欧州加盟国ではその法制化が整備されておりまして。その中で環境に関することや従業員に関するような非財務情報が非常に明確に出てくるようになってきております。
 日本もそのようなことをやっておりますけれども、より一層投資家の目とか企業の方たちのそれらに対する考え方をより一層強く示していただくことによって、国民全体で、企業も含めた中での国民全体でこれらのものをバックアップしていくようなそういう施策をこの中に入れていただければというふうに思っております。

○鈴木部会長 須藤委員。

○須藤委員 ありがとうございます。日ごろ地方自治体で仕事をさせていただく機会が多い立場で1点申し上げます。
 20年度の当初に、深夜化するライフスタイルを歯どめをかけようということで、24時間営業を禁止して自粛していただこうというような案を提案しましたら、ものすごい反発を受けまして、特にコンビニ業界から反対を受けて、数カ月なかなかその議論で沸騰したわけですが。今になってみますと、そのころ反対をした、業界は別にして、一般市民は逆転をしておりまして、やはり24時間営業しなくたっていいんじゃないのというような意見になっているんですね。結局そういう議論がきちっと起こると、経済不況ということもあるんですけれども、何となくもう目的は達成したのかなと、条例で別に規制しなくてもいいのかなと今私自身は実は思っているわけです。
 そんなことを例にして、実は1点提案をしたいのは。この低炭素社会の実現に向けた施策はこれでよくまとまっているのでよろしいんですが、これをどういうふうに国民一般に推進するために徹底させるのかというのが2つあって。1つは、もちろん環境省人数が少ないんですが、地方環境事務所が7つあるので、そこを通して各県にもっと強く働きかけていただいて、地方環境事務所主催の各県のシンポジウムやセミナーを開くとか、それから温暖化防止活動推進センターの推進員が何をしていいかわからないとよく私に言われるんですけれども、各市町村、今1,800ぐらいあるんですか、そこにいって、この要点をやはりセミナーかシンポジウムか全部わかるように、活動できるようにしてあげる。もちろん多少の予算がいるんですが、そういうことをやって、ライフスタイル、ワークスタイル、まちづくり、この辺のことを国民レベルできちっとやっていく推進体制を早急につくるべきだということを提案させていただきます。
 以上です。

○鈴木部会長 関澤委員。

○関澤委員 ありがとうございます。要望を1点だけ申し上げたいと思います。
 2050年への低炭素社会実現に向けた道筋を具体的に示すということは、国を挙げて取り組むべき課題だろうと思います。したがって、先ほどから出ておりますが、雇用だとか国民だとか企業、これらの観点からも検討すべきだと思います。これもちろん中環審で議論していくのは結構ですが、国の産業、経済の将来に結びつく問題でありますので、省庁を超えて、産構審なり、ほかのところともよく連携をとって進めていくということをぜひお願いしておきたいと思います。
 場合によっては中期目標検討委員会ならぬ長期目標検討委員会的なものをつくって議論するというのも大事なことではないかと思います。国の施策としてどう現実味ある案にするかということでございます。2050年までへの道筋・方向性を議論するので、これは国を挙げてやるようなことに常に考えていく、そこへどうやってつないでいくのかということまで考えて進むべきだろうと思います。
 以上です。

○鈴木部会長 大聖委員。

○大聖委員 ロードマップを裏づけるようないろいろな政策がこれから具体化していくんだろうと思いますけれども、私そこでその政策を根拠づけるようなデータづくりとか、あるいはそれに基づいたモデルといいますか、そういったものでシミュレーションをやることでこれぐらいの効果がありますというようなことをちゃんと理論立てて説明する必要があるというふうに思います。私のように工学やっております人間にとってやはりそういう、定性的でもよろしいんですけれども、何かやはり根拠になるようなモデルが絶対に必要だというふうに思います。
 これは私の領域でいいますと、交通関係ですと、例えばいろいろな車の利用にかかわるソフト的な取組があるんですけれども、非常に今のところアバウトなんですね。そういうことを、1つ1つの政策、取組に対してはそういう裏づけるデータが必要だと思いますし、これまでいろいろな実証事業をやられている例がありますから、それをきっちりちゃんと分析して、そこから得られるデータを根拠にして、将来それに基づいてどういうことが定量的にあるいは定性的に予測できるかということを必ずきっちり押さえていただきたいなと思っております。
 それから、政策には副次的な効果がありますから、ぜひそういったいろいろな波及効果とか、先ほど雇用の問題も出ましたけれども、そういった副次的な効果に対してもやはり根拠づけるような説明がきっちり行われるべきではないかというふうに思っております。
 以上です。

○鈴木部会長 高村委員。

○高村委員 ありがとうございます。3点申し上げたいと思いますが。これまでの先生方のご発言と重らないところで3点申し上げます。と言いつつ、1つは今大聖先生がおっしゃったばかりの副次的効果でありますけれども。まさにロードマップ作成の中で、具体的な施策について検討を行っていくと、できるだけその道筋を具体的に行って、できるだけ定量的に評価をしていくということですと、おそらくその評価の基準の問題があるのだというふうに思います。
 対策のコストという点はこれまでも注目をされてきているわけですが。しかし、大聖委員から御指摘があったように、多くの施策というのが分野横断的で様々な副次的な便益を生み出す施策がほとんどだというふうに見ております。それは逢見委員がおっしゃった雇用の問題、まさに典型でありますけれども。
 そういう意味では、これからつくっていきますそのロードマップの中で、評価の際に副次的便益の評価というものを位置づけていただきたいというのが1つであります。
 それから2つ目は、これは植田先生おっしゃった点にかかわるわけですけれども、実際にロードマップを実施していくための推進施策、基盤をどういうふうに支えるかという点での費用の問題というのはしかしながら出てくるんだというふうに思っております。そういう意味では、財政全体をどういうふうにしていくのかという伴うビジョンがないとまずいというふうに思いまして。それは今回多分この後の議題になります環境税の研究会にもかかわるんだと思いますけれども。しかし、そこの部分の道筋、方策も考えていく必要があるというのが2つ目でございます。
 そして3点目、これも今日の議題にかかわりますけれども、これは行動計画の中にも国際的な戦略ということが1つ位置づけられているというふうに思います。そういう意味で、日本の国が低炭素社会に向かうということと同時に、それがほかの国の低炭素化を促し、それを阻害をしないという戦略というものも同時につくっていく必要がある問題だというふうに思っております。
 以上です。

○鈴木部会長 中上委員。

○中上委員 ありがとうございます。私も手短に。大聖委員からお話がありましたけれども、シミュレーションモデルというのは非常に重要なツールだと思いますけれども、この中環審ではなかなかそういう形での提案がないというのが少し私は気にかかっておりましたので、ぜひどこかでやっていただきたいと思います。
 それからもう1点は、大胆な提案を含めてやるべきだとおっしゃるんですが、私はこの審議会の限界があるんだろうと思っております。幾つかいろいろな審議会に出ておりますけれども。おそらく最終的には関係する省庁と合議をやっていきますから、こういう大胆な提案をしてもおそらくそれはつぶれてしまう。しかし、議論することは重要ですから。飯田さんのご本意がどこにあるかわかりませんが、しかし最終的に報告書に盛り込まれないからといって最初から議論しないというのはこれまたいかがなものかと思いますから、その辺をわきまえてやるべきだろうと。
 そういう点で言えば、関澤さんの御指摘もごもっともでありまして、そういうふうな議論をやるべきなのは多分こういう場所ではなくて、むしろNGOであったりフリーな立場でやらないととてもできない。私の長年の経験で言うとそういうことであります。
 それからもう1点は、今の高村委員のこととはちょっとニュアンスは違うかもしれませんが。国際戦略としてとありましたけれども、幾つかのコメントの中にあるいはフレーズの中に、世界一を奪還するとかありますけれども、何も世界一になる必要はないわけでありまして、日本は日本の道を歩めばいいわけだと私は思っておりますけれども。そうしたときには必ず見ているのは欧米先進国でありまして、途上国はどこへいくんだと。2050年の議論をするのに、それこそ我が国のスタンスとしては途上国に対して我々は何ができるかという視点は非常に重要だと思います。そういう意味では、我々がやってきた実績は途上国に対して有益に、有効に作用するような方策についてもぜひ論ずるべきだろうと思います。
 しかし、とにかく2050年を論ずるということは相当大胆な対案になるわけですから、場合によってはある種の産業は我が国から消えてなくなるということまで書き込めるかと、それを覚悟して議論しないとこれはとても議論にならないと思います。

○鈴木部会長 永里委員。

○永里委員 ありがとうございます。我々は2050年のあるべき姿を論じようとしています。その場合、21世紀の国富、富とはどういうものなのか。日本は新しい生きざまのあり方を提示し、世界に発信すべきだと思います。そのような生きざまから産出されるもの、それらのサメーションが新しい国富の概念なんじゃないでしょうか。そのような新しい富の概念を追求していくと、循環型社会の望ましい姿が見えてくるかもしれません。結果として、例えば12の方策等を検討すべきというようなことになるかもしれませんが、私が言いたいのは、12の方策等を詰める前に、新しい生きざまはどのようなものなのかの哲学が必要で、それは今の産業構造を根本的に変えるようなものにつながるような考え方を提示すべきではないかと思います。
 以上です。

○鈴木部会長 西岡委員。

○西岡委員 ありがとうございます。今、永里委員のおっしゃったこと、まことにそのようなことで、私どももこの12の方策を検討する前もどういう社会にするかということが一番大切で、我々なりにやりましたけれども、ぜひ大勢の方にそういうビジョンづくりをしていただきたいというのが1点です。
 第2が、12の方策というパンフレットのほうをちょっと見ていただきたいんですけれども。それの5ページに、12の方策はお互いにどういう連携をもってどういう場面でどういうぐあいにどれだけ減らすことができるかという一応の連携の絵が5ページのほうに書かれております。まだ一部定性的ではございますけれども、このように先ほどから議論になっておりました、一応定量的なこともあります。これも詰めていただきたい。
 あるいは、9ページのほうに、例えば家庭、オフィスの、12の方策の低炭素化を実現するための方策の中に12の中の10ぐらいは全部がインテグレートされて効いているんだと。建物だから断熱の話だけじゃなくて、そこに入ってくる電力の話もあるだろうし、それからうちの材料をどうするかということもあるだろうし、というようなことがいろいろインテグレートされて考える必要があるということもちょっと説明させていただきます。
 それから、今度は、14ページのほうにいっていただきますと、例えば住宅のことを考えるにしても、その前に人づくりをどうするかとか、先ほど雇用の話もありましたし、どういう具合にしてそういう新しい産業に対応する人材が必要かといったことも、これも我々はほんの一部やっただけですので、これを材料に検討していただくとありがたいということがあります。
 浦野先生のおっしゃった一人乗りの話につきましても、例えば20ページの中でもうちょっと時間かかるけれども、一人乗りの電動カート等々の話も一応挙げてはあるということであります。
 そんなわけで、私どもこういう作業も一たん終わりましたので、これをぜひ肉づけしていただければ、それが第1点。
 第2が、やはり我々がやりましたのはそれを推進する政策どうあるべきかという話はやっておりません。全体の、我々ずっとポリシーミックスをやるべきだということを言っていたわけですけれども、その設計が非常におくれているのではないかということございまして。それはここが発案する話かどうかまた先ほどの議論でありますけれども。もう必要な時期になってきたと。MAKE the RULEというキャンペーンございますけれども、そういたところが関連するだろうということであります。
 それから3点目ですけれども、先ほど地域づくり、街づくりの話が非常に重要だということなんですけれども、非常に土壌あるいは森林の吸収源、あるいはバイオマスの話が今後のポイントになってくると思いますので、ぜひ農村とのインテグレーションの中で考えてもらいたいということがあります。
 以上です。

○鈴木部会長 福川委員。

○福川委員 簡潔に3点申し上げたいと思います。1つは、人々の価値観がどう変わるかということを分析の基礎にする必要があろうと思います。2050年ということになりますと、かなり人口は減少していますし、高齢化が進んでいく。多分ライフスタイルも大きく変わっているということになるだろうと思いますし。最近でも既に例えば自動車などはスノビズムの対象にはならなくなりつつあるというような意見もあって、人々の意識が大きく変わるだろうと思います。
 また、最近では雇用の問題でもワークライフバランスを尊重しようという意見もあれば、またテレワークというような形で仕事のあり方も変わってくるということになり、かなり生活のスタイルが変わってくる。それは非常にエネルギー消費にもかかわってくると思うので、これはライフスタイルということになると思いますが、人々の価値観がどう変わっていくかということでございます。その一環として、例えば価値観を変えていくのにどういう情報提供が必要かということも重要な課題になるように思います。
 2つ目は、都市開発あるいはまちづくりの問題でございます。これも2050年を念頭に置くとすると、人口が相当減少いたしてまいりますから、多分東京一極集中になるのか、あるいは地方でも地方都市、地方中核都市というものが中心になるのか、一体農村というものがどういうふうに動いていくのかというのは実は重要な課題だろうというふうに思います。ですので、まちのあり方というのも多分相当変わってくる可能性がある。もちろんそれに生活を支えるいろいろな手段ももっと進歩しますし、情報手段も整備されてくるということでございます。一体このまちのあり方をどう考えるかということが重要だと思います。先ほどコンパクトシティというお話もありましたが、コンパクトシティとグリーンネットワークをどう組み合せていくかということも重要な課題になってくると思うのです。このまちづくり、都市づくりを全国のベースでどういうことになるかということを十分考えた上で個別の施策を見つけ出していくという必要があるように思います。
 3点目は政策手段の再検討ということでございます。先ほどもお話がありましたように、政策手段については、必要性と有効性と副作用性と、この3つの視点で判断をするというのが重要でございます。その点でもう一回見直してみる。そして、何かやれるべきものはないかということを再検討してみる必要があるように思います。
 その1つを、私もかねて感じておりますのは、配電昇圧でございまして、電気の配電の電圧を高くするという方法ですが、これをすれば、かなり省エネ効果があるということが一般に言われています。それを転換するのに非常にシステム的にコストがかかるというようなことであります。
 電気自動車の話がありますが、電気自動車を家庭で充電するとしたときに、100Vでは非常に時間がかかる。やはり電気自動車を普及するにはもっと200Vとか220Vというそういうものが必要だということも言われております。これも確かに思いつきみたいな話ではありますが、もちろん弊害がある、なかなか難しい問題があることもまた事実でございますが、そういうことをもっと考えてみるというのも必要だと思います。
 また、最近ではニューチップといったようなトレーサビリティを高めていけるいろいろな技術手段ができてきておりますから、あるいはそういうものもっと使って、これまでの製品の流れからきたエネルギーの負担、温暖化ガスの排出の負担というものをもっと消費者にわかるようにするというようなこともあるように思います。
 2050年に向けてでございますから、いろいろなアイデアがあると思いますので、政策手段をもう一回見直してみるというのも必要かと思います。
 以上です。ありがとうございました。

○鈴木部会長 桝井委員。

○桝井委員 私は太陽光発電の新たな買取制度が、私にも唐突な感じであらわれてきたと。この問題の持つ、実にあらわれてくる経過の法案の不透明さ、これの持つ意味、結構大きな意味があるんじゃないかということで2点ばかり申し上げたいと思います。
 斉藤大臣は大変二階大臣の、あるいは経済産業省のイニシアチブだということで歓迎されておりますけれども、果たしてそればっかりでいいのかと思うわけです。大体この重要な買取問題につきまして、国民あるいは私も、委員でもわからないことが国民一般にどうしてこれが出てきたのか、一体どういうものか、これ全然わからないわけですね。
 そして、この問題で環境省がどのような役割を果たし、あるいは中環審はどういうふうにこれに絡んだんだ、それも全然わからない、ほとんどどうだったのか、ここをまず説明していただきたいということです。
 これを見ますと、この方案をながめてみますと、果たしてどうなんだろうと。これは見てみますと、新聞、マスコミ等は確かに固定価格買取、ドイツ型かのようなイメージを与えるかのような買取義務化となっていますが、読んでみると、これは経済産業省がすべてのエネルギーを見ながら、自分たちがその状況を見ながら買える変動価格の買取ではないかと。ということは、これはちょっと言い方が悪いけれども、政治が混迷しているときに本来経済産業省がエネルギー部門というのを再度発言力、裁量権を強めているとしかこれは思えない。ここら辺のところはいかがなものかと。このままこういう形でこのような重要な施策が進められていいのかというのは非常に疑問を持つと。
 それからもう1点、そういう中でこの法案についての御説明をお願いしたいということと。もう1点、今回我々が今行っておりますロードマップ等の問題につきまして、この中環審の役割あるいは環境省がどういうふうなことをやるのかと。今のような政策決定のあり方の中で、12の将来の話を各論化でいくら議論しても、果たしてどういう意味があるのか。やはりこの役割のあり方、何をどう目指すのか。植田先生もおっしゃいましたけれども、大きな枠組みの中で政策をどういうふうに見ていくのか、そこが重要ではないか。
 むしろ、これは飯田さんもおっしゃいましたけれども、環境省あるいはそこでの官僚の中の法案づくりという形のものもありますが、これだけ不透明なわけですから、国民あるいは世論一般に審議会が発信していくということも大いに力点を置いて今後考えるべきではないかと思います。
 以上です。

○鈴木部会長 三橋委員。

○三橋委員 2050年の日本の姿について幾つか重要な指標を表示しないと、全体像が見えてきません。ここで挙がっている数字は、その全体像を支える数字だろうと思います。例えば2050年の日本のGDPはどのぐらいの規模になるのか、2050年の人口はどのぐらいの規模になるのか。人口についていえば、1億人を割るだろうと国立社会保障・人口問題研究所は推定しています。また、一人当たりGDPはどのぐらいになるのかの数字も必要です。60%から80%ぐらい現在よりもCO2を減らすというのならば、一人当たりのCO2排出量も重要な指標です。そういうような骨格になる2050年の数字が必要です。低炭素社会率と言ってもいいのかもしれません。低炭素社会では、エネルギー全体に占める化石燃料の割合は何%以下、一人当たりCO2の排出量は何トン以下というような数字があると分かりやすいと思います。
 そういった大前提の枠組みがはっきりしていないと、いろいろ議論してみても、2050年の姿が明確にイメージされず、国民一般に理解してもらえないと思います。
 だから、そういう指標、幾つもいっぱい挙げる必要ないと思いますけれどもね、多く挙げても10個以内でいいんだろうと思いますけれども。その指標を読む中で、2050年の日本の姿のおおよそがイメージできれば、その中で低炭素社会を目指すためにこういう政策がとられているのだということが理解できます。そのような大前提の枠組みが提示されず、細部の数字だけがでてくると、全体像がかすんでしまいます。私はこれ何度も読んでみてそう思いました。
 したがって、ぜひこれをまとめるに当たっては2050年の日本の大きな枠組みを数字であらわす必要があると思います。おそらく2050年のGDPは2020年から2030年ぐらいをピークにして、それからマイナスになると思います。規模が小さくなると思います。そういう形で需要面からもエネルギーの消費が減ってくると思いますし、そういうトレンドを書くことで、これからの作業をしていただければよいと思います。

○鈴木部会長 では、横山委員、お待たせしました。

○横山委員 2点申し上げたいと思います。まず1点目は、この中間整理を見ると、エネルギー全般のことについて再生可能エネルギーとそれから石炭火力発電が取り上げられているわけですね。この2つはいいんですけれども、もう1つやはり原子力発電というのが私は抜けていると思います。確かに発電時に二酸化炭素は出さないけれども、安全性の問題とか放射性廃棄物の問題、それから今は耐震性の問題が、地震国日本で耐震性の問題がクローズアップされているわけです。それに対して原子力に関する議論をいろいろなところでタブー視している。例えば今日も資料が出されましたけれども、低炭素社会づくりに向けて、それから低炭素社会に向けた12の方策、これは私も2つともよくできていると思うんですが、残念ながら原子力については本当に避けて通っている。安全性に気をつけて云々とかそういうこと何も書いてない。ところが、今後大きな地震1つが起こって原発がやられる。例えば東海地震で浜岡原発がやられるとかそういうことになったら、もう大前提が覆ってしまうわけで。そういうあやふやな基盤の上に日本の中期計画とか長期計画が入っているわけで、これを私はやはり何とか取り上げていただきたいと思います。
 原子力は安いとか言われますけれども、今原発にいろいろな補助金、いろいろな税金が使われているわけで、本当に安いのかどうか、太陽光発電とかほかのものときちんと比較をしてやっていくべきではないかというふうに思います。経済産業省の原子力を推進する人だけにこの原子力の議論を任せているんじゃなくて、こういう場でも少しやっていくべきではないかというふうに思います。
 それから、2点目は、何人もの人が言いましたけれども、太陽光発電のことです。この場でも何度も固定価格買取制度というのを何人もの委員が発言したと思います。しかし、一切報告書とかそういうものにも載らず、経済産業省も何の反応もない。それが突如大臣の会見で出てきた。それに対して斉藤大臣のコメントも歓迎するというだけで、何でこれまで我々の意見を聞いてくれなかったのかとそういうことも一切ないわけで。本当に縦割り行政がまかり通っている1つの典型的な例だというふうに思います。私はこういう場でもそういう問題点、縦割り行政ではだめだよと、今行政が一体となって低炭素社会に向けて進んでいくんだということを打ち出さなければならないというふうに思います。
 せっかくの機会ですから、今度の固定価格買取制度も太陽光だけじゃなくて、風力とかバイオマスまで広げるとか、あるいは余剰電力だけじゃなくて全量を買い取るとか、そっちに向けてこの中環審も発言していって、そういう方向にもっていくべきではないかというふうに思います。
 個々の消費者の立場でいろいろなものを考えるというのは私も大事で、それが基本になると思いますが、大どころの問題をきちんと押さえていかないといけないのではないかというふうに思います。それに絡んで原子力の問題と、それから太陽光発電の固定価格買取制度というのを例に取り上げて発言しました。
 以上です。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 お聞きいただきましたように、また一回り本当は議論したいところなんですが、とても時間がございません。予定の時間を30分以上実はオーバーしております。しかしながら、大変重要なところを御指摘いただいたと思いますが。いろいろと先生方の委員の方々の思いがこもっているというようなこともありますが。
 ここにまず資料2として中間整理としてまとめられていることは、これは2050年に向けてこれをということではないんですね。これはあくまでもこれまでの3回の議論を整理をしてここに示してある。したがって、これから2050年に向けてどういう切り口で議論していこうかというようなことが今の本日の課題であったわけですが。さはさりながら、2050年に本当にどういう社会をつくるのかというようなことを中環審ごときでできるのかというようなご発言がいろいろありましたし、中環審もっと頑張れというエールを贈っていただいた方もおられるわけですが。もちろんこれは国全体としてどういう国家像をつくっていくのか、これを本来つくるべき、例えば産業構造をどうすべきかなんていうことは審議すべき場所があるはずなのに全くできない。それはなぜか。それは要するに先ほどもありましたが、現状で有力な方々がそこで議論して、50年後にどうなるかという議論ができるわけがないんですね。それはもう見えていることだろうと、これはちょっと言いすぎもあるかもしれませんが。やはり50年後にどうなるかというのは、二酸化炭素の問題1つをとりましても、一体一人の発生量はどこまで抑えなきゃいけないのか、そういうところからどういう社会、どういうライフスタイル、どういう国家像をつくるべきかというような議論をしていかないと、現状の延長上を考えていたら絶対描けるわけがない。これは要するにプロジェクションとバックキャスティングのいわば違いだと思いますが。
 そういうようなところで、ここでそれでは長期的な日本の国家像をオールジャパンで官邸で議論しろというような話になったとして、それじゃあそこでできるのか。私ははなはだ心もとないような気もしております。
 したがって、私たちがやるべきことは、この中環審でやはり今持続可能な社会、持続可能な国家、あるいはそれを構成する低炭素であり循環型であり、あるいは自然共生である。そういうような社会像をベースにして、我々のできる範囲でということになりますが、2050年のある種の姿を描き、しかしながら、では2050年にこうなりますよというだけではいろいろお話がありましたように、はなはだそこに向けてじゃあどうするのか、余り遠い話で現実味がないというようなことになりますので、そこへ向かう過程として、2020年あるいは30年、その中間的なところでどうなっていくのか。そして、そこへ向けてどういう具体的な施策あるいはどういう行動様式をとっていくのかというようなことを示していくというようなことでないかと思います。
 そういうようなことで、今日たくさんの御意見をいただいたことをにわかに整理するというのも難しいことでありますので、例えば全体像の中にどういうふうに具体的な個別の施策を位置づけていくのか、これは非常に重要なことだろうと思いますし。そして、今日本が非常に問題を抱えている、例えば緑、農村と都市の問題であったり、あるいは本当にそれぞれのコンパクトシティなどで言われる都市の姿であったり、どういうものさしをもってサステイナビリティというんでしょうか、あるいは将来の豊かさというようなものを評価していくのかというまさにその評価軸の問題であったり、いろいろな御提案があったと思いますので、少しこちらのほうで検討すべき項目を提案させていただき、次回、そういうような若干の整理に基づいて、皆様の御意見をいただければと、こんなふうに思います。
 例えばそれぞれの人々のライフスタイルの問題であったり、都市の問題であったり、緑の問題であったり、あるいは途上国との関連、これは2050年を考える上で多分一番大きく変わっていくのが工業化された国と途上国の間の関係ではないか。人口が今10億対50億ぐらいですが、それが10億対80億、途上国が巨大な人口を抱える時代になっていく。そういうときにどうなっていくのか。それに向けて私たちも海外への貢献をどういうふうにしていくのかという問題も低炭素の問題としてはあるわけです。
 そしてまた、もちろんそういう仕組みをつくるために国がどういう制度を設計していくのかという大きな課題があるわけでありまして、そこも何か私たちが両手両足を縛られているみたいな印象がないわけではないんですが。発言すべきところは発言していかなくてはいけないと、そういうことをおっしゃっていただいたのではないかと思います。
 まだまだ重要なことをたくさんおっしゃっていただきましたが、ともかく今の段階で必要なのは、どういうこの1年あるいは1年半でどういうアジェンダで進むのか、これをやはりちょっと検討させていただければと思います。
 まだまだ多分委員の先生方おっしゃりたいことも多いと思いますが、まさに将来の価値観を設定するというと大げさになりますが、国のあり方のようなことを含めて、その議論をできるのは多分この中環審しかとは申しませんが、中環審で可能ではないかと、そんなふうに思っております。
 大変申しわけありません、時間が大幅にオーバーしておりまして、あと2つ議題が残っておりますので、5時に終了の予定がかなり延長になるかもしれませんが、なるべくこの後議題2と議題3を簡潔にさせていただきたいと思います。
 議題2に移らせていただきたいと思いますが。国際的な交渉の動向について。資料3です。

○国際対策室長 国際対策室の瀧口です。それでは、国際交渉の動向について、手短に御説明をさせていただきます。資料3-1をご覧ください。
 昨年12月にポーランドのポズナンでCOP14ということで会議が開かれております。それで、このCOP14の位置づけですが、その資料3-1の次のページ、資料の3-2をご覧いただけますでしょうか。一昨年、2007年の12月にインドネシアのバリで開かれましたCOP13で、バリ行動計画というのがまとまりまして、COP15、デンマークのコペンハーゲンで行われます会議までに次期枠組みについて合意するということで今国際交渉が進んでおります。
 それで、昨年1年間、2008年は各国の提案なりをいろいろ集めてそれを整理しようという期間で、今年1年、2009年が本格的な交渉モードに入るという位置づけになっております。その交渉ですけれども、今月29日からドイツのボンで始まります条約のAWGと書いてありますのはアドホック・ワーキング・グループ、特別作業部会、それから京都議定書のほうの特別作業部会、この両方が3月29日からありまして、これが6月1日からその次、また9月28日からその次ということで予定をされておりまして、12月のコペンハーゲンに向かうという段取りになっております。
 そのほかの重要な会議といたしましては、4月2日のG20の金融サミットでもこの環境問題についても取り上げられるというような話がございますし。それから、4月22から24にはイタリアでG8の環境大臣会合、7月8日から10日はこれもイタリアのマッダレーナ島でG8サミットが開かれる。そのサミットの際には、第2回の主要経済国の会合(MEM)、いわゆるメムと呼んでおりますけれども、この気候変動問題を話し合う会議が開かれる、こういう今予定になっております。
 そういう中で、日本政府のこの次期枠組みに対する考え方をこの資料3-3ということで御紹介をしております。これもちょっと時間がありませんので、ポイントだけ紹介をさせていただきますと。この日本政府は最初のパラグラフのところの後半になりますけれども、次期枠組みというのは新たな1つの議定書、あるいは必要な要素が含まれるのであれば京都議定書の改正ということで対応すべきであるという意見でございます。
 このバリ行動計画に沿ってそれぞれコメントを出しておりますが、1番の共有のビジョンのところでIPCCの科学的知見も参考に、2050年までに温室効果ガスの半減、少なくとも半減というのを長期目標で採択すべきだということを言っております。
 2番の緩和、これはいわゆる英語で言うミティゲーション、温室効果ガスの削減でありますけれども。先進国の目標につきましては、次のページにまいりますが。いわゆる先進国の温室効果ガス排出量の総量につきましてキャップがかかるということで、これは京都議定書と同じタイプを提案しておりまして。ただし、基準年を単一な基準年にしますとそれまでの努力が反映されないという問題もありますので、実際にどれだけの排出量にするかというトンで、ここで書いておりますが、ギガグラムですが、重さで各国の約束を示して、それを複数の基準年から示しときに何%減になるかということを示すというそういう提案をしております。
 また、京都メカニズムのような柔軟性のメカニズムも補足的に活用できることとし、土地利用、土地利用変化、林業の取扱いについても第1約束期間のルールの継続性、整合性を確保しつつ、目標の一部として位置づける。
 それから、先進各国の約束は比較可能性を担保するということを提案をしております。
 (2)の途上国の部分ですが、途上国につきましては、これも共通だが差異のある責任に基づいて緩和行動をとる。それに関して、特に排出量の大きい等の主要途上国については、国全体のGDP単位当たりの温室効果ガス排出量あるいはエネルギー消費量といったいわゆる効率化目標及び主要セクターの効率化目標のようなものを設定することを提案をしております。
 以降、3ページから4ページ以降にいきまして、その測定・報告・検証可能性の確保、それから適応、技術移転、資金等について提案をしておりますが、ちょっと時間の関係で省略をさせていただきます。
 それから、資料3-4をご覧いただければと思います。今年の1月20日にオバマ政権が発足しまして、2月26日に予算教書の概要ということで、これは2010年度の会計年度の予算の概要を発表されておりまして。その中で温室効果ガスの排出削減目標ということで、2020年までに2005年比で約14%減、2050年までに2005年比で約80%の削減をするという目標を掲げております。ややこれ中途半端な数字になっておりますが、これまで選挙の公約では2020年までに90年比にプラマイゼロ、2050年までに90年比でマイナス80%減と言っておりましたのが、今回の予算教書では2005年比ということで基準年を変えておりまして、ただし実際の削減努力は選挙公約中の数字と同じであります。
 また、これを目標を達成するために、排出量の削減計画を策定し、キャップ&トレード制度、これいわゆる義務的なキャップ&トレード制度を実施すると言っておりまして。その排出枠は無償配布ではなくて、最初から100%オークション取引として、その間のそれによる収益を2012年からの10年間で1,500億ドルをクリーンエネルギーに投資をすると。またその残りも国民に還元をして、クリーンエネルギーへの転換を支援するということをこの予算教書の概要の中で明らかにしております。また、主要施策として、以下に書いておりますようなことも今回盛り込まれております。
 このアメリカですけれども、次の資料の3-5にまいりまして、皆様ニュース等でご覧になったかと思いますが、クリントン国務長官が2月半ばに訪日された際に、今回気候変動担当特使ということで任命されましたスターン特使もそれに同行しまして、斉藤大臣を訪問して会談を行っております。
 その中で、そのポイントといたしましては、この5番のところになりますけれども、会談ではこのCOP15に向けた国際交渉において、日米がしっかりと連携をしていく必要があることが重要であること。特に次期枠組みへの中国を初めとする主要途上国の参加が重要であり、この問題について日米で取り組んでいく必要があるということで認識が一致しております。
 また、この会談の中で実務者レベルの協議も日米で行いましょうということで合意をされまして。この協議は2月25日に第1回が開かれております。
 次、資料3-6にまいりまして、次はヨーロッパですが、EUがこの次期枠組みに関しまして具体的な提案をしております。資料3-6に書いてございますのは、今月2日にEUの環境大臣理事会で採択されましたポジションでありまして。その中で世界全体の目標ということで、温度の上昇を2℃以下に抑える、そのために世界全体の排出量を2020年にピークアウトさせて、2050年には90年比で半減をするという目標のもとに、2番の先進国の目標ですが。EUは2020年までに90年比で20%削減、ほかの国のコミットメントも得られるのであれば30%まで削減するということを言っておりまして、2009年半ばまでにそれぞれの先進国は中期目標を提案すべきだということ。それから、先進国全体で90年比20億から40%削減。2050年までに90年比で80から95%削減をすべきだということを提案しておりまして。各国の目標については、ここに書いております[1]から[4]のクライテリアのバランスある組合せを用いながら導かれるべきだということを言っております。
 それから、途上国の目標につきましては、次のページの3番のところになりますけれども。主要途上国は2020年までにいわゆる自然体ケース、BAUケースから15から30%削減するというそういう目標のもとに、それぞれの国が低炭素開発戦略計画をつくり、その中で自国でできる行動と支援が必要な行動に区別して、その後者については先進国からの適切な支援の仕組みを検討するというようなことを言っております。
 それから、4番のところにありますように、もうEUはEUの排出量取引制度を既に持っておるわけですけれども、2015年までにOECD加盟国でそれぞれの国のキャップ&トレード制度をその加盟国間でリンクさせ、また2020年までにより経済的に進んだ途上国にもそのリンクを拡大させるというような提案。それから、資金支援のオプションということで具体的な提案もしております。
 最後、資料3-7ですが、EUがいわゆるEUトロイカと呼んでおりますけれども、現議長国のチェコ、それから今年後半の議長国のスウェーデン、それから欧州委員会からそれぞれの環境大臣あるいはその代理の方が3人、斉藤環境大臣を先週金曜日に訪問されまして意見交換を行っております。
 そのポイントとしましては、5番のところになりますけれども、COP15に向けた国際交渉において、中国やインドなどの主要途上国の参加を促していくために、日、米、EUの連携の重要性が必要であること。また、先進国の野心的な中期目標が途上国の積極的な行動を引き出すということ。昨今の金融危機を、気候変動対策を進める機会ととらえて、いわゆるグリーンニューディール政策を通じて積極的に対応すべきだということで認識が一致をしております。
 以上、かなり駆け足でしたが、国際交渉の動向であります。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 では、続きまして、報告事項になりますが、地球環境税等研究会の報告書(案)のこの概要についての御説明をお願いします。

○地球環境局総務課調査官 調査官の吉中と申します。私のほうから説明させていただきます。資料4をご覧いただければと思います。簡単に御説明申し上げたいと思います。
 この地球環境税につきましては、昨年7月に閣議決定されました低炭素社会づくり行動計画において、先進国が中心となり、革新技術の開発や途上国の支援を共同して実施するための財源として国際社会が連携した地球環境税のあり方について、これまでの国際機関等での議論や様々な課題を含め研究し、2008年度末を目途に一定の研究の成果を公表すると、こうされたことを受けて、研究会を設置し、昨年9月から検討を行ってきたところでございます。この研究会につきましては、植田先生に座長をお引き受けいただきまして、高村先生、和気先生にも御参画いただいて研究を進めてまいりました。この場を借りましてお礼申し上げたいと思います。どうもありがとうございます。
 3月、今月の13日、先週でございますけれども、に第4回の会合を開催いたしました。これが最終の研究会でございまして、今月末までにその13日の会合の結果も踏まえて最終とりまとめ、報告書の形で公表したいと、こんなふうに考えているところでございます。
 今般の研究では、資料をめくっていただきますと、4ページ、5ページでございますが、幾つかの地球環境税等と呼ばれる国際的に連携した形での資金の調達のあり方をグループ分けした上で、5ページに記しております評価軸、幾つかの軸を設けてそれぞれの方式のメリット、デメリットについて整理、基礎的な評価を行っていただいたところでございます。
 1枚めくっていただきますと、評価結果のポイントということで、[1]、[2]という形で、少し細かい字で恐縮ですけれども、書かせていただいております。グループAからグループFまで6つのタイプに大きく分類をさせていただきました。グループAは炭素税型ということで、炭素排出量に課税をするというタイプでございます。それぞれこの炭素税型につきましてはもちろん気候変動対策そのものにもインセンティブ効果があるというようなメリットもございますけれども、炭素排出のモニタリングの難しさでありますとか、国際的な炭素税というのが果たして実現できるのだろうかといったような技術的な問題等も指摘されているところでございます。
 グループBは排出量取引、この制度から調達しようということで、取引の一部から徴収する、あるいは枠のオークションから調達する、こういったタイプでございます。これは、次期枠組みにも関係してまいりますけれども、炭素市場の成熟度あるいは炭素クレジットの供給量等にも課題がある。資金規模もそれらの価格により変動するということでございます。
 グループCが、通貨取引税型ということで、国際的に行われる通貨取引に課税するというタイプのものでございます。これにつきましても、もともとは気候変動対策というよりも開発支援の文脈で議論が進んできていたものでございますけれども、100%に近い形で補足することが非常に難しい、そのためには莫大な投資がさらに必要になってしまうといったようなデメリットも指摘されております。
 グループDにつきましては、京都議定書対象外である国際的な輸送に課金できないかといったようなタイプのものでございます。
 グループEにつきましては、既存の割とオーソドックスなODAをぜひ拡充したいといったようなものでございます。
 それから、グループFにつきましては、現行のCDMの概念をプロジェクトベースからもう少し広く政策ベースあるいはプログラム、あるいはセクターベースに広げることで資金を調達できないかといったようなものでございますけれども。炭素クレジットを検証可能な形で算定することが非常に難しいのではないかといったような課題も指摘されたところでございます。
 それぞれ基礎的な評価を行っていただいたところでございますけれども、さらに1ページめくっていただきますと、今後今年末のCOP15に向けてこのとりまとめていただいております成果を基礎的な資料としてぜひ活用していきたいなと思っているところでございます。国際交渉がどのように進展していくかということにもあわせ、機動的に我が国の具体的なスタンスを検討する際にこの検討の結果を使わせていただきたいと、こんなふうに考えているところでございます。
 ありがとうございました。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 この地球環境税等研究会、座長をなさいました植田先生、何か補足あるいはコメントなどございましたら。

○植田委員 地球環境税等となっておりまして、税ももちろんございますが、主たる考え、目的は、気候変動対策に今後必要となる大きな資金をどう調達するか、この観点で議論をしているので、通常環境税というと政策的な効果がいかにあるかと、こういう議論をしますが、それも副次的には議論しているのですが、主として財源調達のあり方として一定の評価基準に基づいてそれぞれの長所と短所を議論をしたと、こういうことでございます。
 一長一短があると同時に、気候変動の考え方と、国際開発、貧困削減、そういう問題とあわせて考えるような視点も重要になっているというような感じを受けました。
 以上でございます。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 先ほどの国際的ないろいろ交渉の状況、それから今の地球環境税等研究会報告書(案)、これにつきましては何か特に御質問ございますでしょうか。
 大塚委員、それでは。

○大塚委員 質問としては1点ということになってしまいますが。日本国政府としては去年の夏ぐらいから、モントリオールフロンについても主張されていたと思いますけれども、モントリオールフロンというのはモントリオール議定書のもとでのフロンで、結構大量になりますので、ただそれは京都議定書ではターゲットにしてないものですから、今度のポスト2012年の場合にそれを入れるかどうかという議論があるはずなのですけれども、その点は、EUのコミュニケーションペーパーには出ていたと思いますけれども、日本国政府が続けてその議論をされているかどうかというのが1点質問です。
 それから、ごく簡単に1つだけですけれども。アメリカがちょっと入ってくれないと本当になかなか難しいと思いますけれども。日本国政府の主張の2ページの最後の資料3-3の2ページの最後のところに、主要途上国に関してGDP単位あたりのエネルギー消費量について定められた数値を超えないことを確保するということをお書きになってありますけれども。これもおそらく何らかのインセンティブと一緒に主張されないと難しいと思いますので、その辺はEUのほうは、CDMと結びつけて2ページのほうで議論されていますので、日本国政府としてもぜひそういうインセンティブと結びつけた議論を途上国に対してしていかないとなかなかのってきてくれないんじゃないかと思いますので。それは私の意見で、申しわけありませんが。
 以上でございます。

○国際対策室長 御質問の1点目でございますが、御指摘いただいたモントリオールフロンですね、これは製造なりがモントリオール議定書で規制されているわけですけれども、その排出ですね、もう既に使われている部分の排出というのは規制されておりませんで、それが大きな温室効果を持っているという点が問題になっておりまして。これはモントリオール議定書のほうでもこれを何とかしないといけないということで、今年たしか半ばぐらいにワークショップが開かれることになっていまして、それに対して気候変動の枠組み条約のほうのサイドも協力をしていくということになっています。それで、これにつきましては政府の中でも検討しております。1点、枠組み条約、それから議定書の中で対象ガスといたしましてモントリオール議定書で規制されているものを除くというふうに書かれておりますので、そのあたりの法的な検討も必要になりますけれども。今検討している最中でございます。

○大塚委員 大量のものですので、ぜひ中に入れるか何か、もう少し具体的に対応していただけると大変ありがたいと思いますが。これは意見です。

○鈴木部会長 よろしいでしょうか。
 中上委員。

○中上委員 瀧口さんにやっていただいたEUのポジションのところで、途上国の目標とありますが、くどいようですけれども、途上国は低炭素開発戦略・計画を国の戦略・計画に統合し、とありますけれども、ここで言う途上国というのはどういう国なんだろうなと。以前お話ししたように、私がよく行っておりますベトナムは2000年の需給バランスの3分の2が再生可能エネルギーなんですね、要するにバイオマスですよ。そういった国々が低炭素といったときには、この低炭素の意味はどういうことを意味しているんだろうか。これ一度IAEAの人と議論しましたら、お前の言うとおりだと、途上国に対して我々はもう少しきちんとした言葉使いをやるべきだというふうに言って彼は帰っていったんですね、省エネ部長が。だから、ここで言う低炭素開発戦略と、途上国とくくってありますけれども、本当に途上国はみんなこれで受けたのか。これに合意したのは一部の人たちだけではないのか、大勢の人はまだ炭素社会になりたいと思っているんですね。その先を我々は言ってる話ですが、彼らはその前の段階にいるわけですよね。この辺が我々先進国と途上国の間できちっと合意がなされてやっているんだろうかと、その辺をもし感触があればお聞かせいただきたいんですけれども。

○国際対策室長 EUのこの提案の中では、特に途上国の定義というのは、いわゆる今京都議定書の義務がかかっていない国ですね。ですから、非常にいろいろな国が入っておりまして、中国やインド、あるいは先生のおっしゃったベトナム、それからあるいはツバルのような温暖化で水没が懸念されているような国、その150カ国ぐらいが含まれるグループであります。
 それで、日本政府も今の先生のような御指摘を踏まえて、それが十把ひとからげではなくて、もうちょっとそれぞれの途上国の位置づけに応じた行動をとってもらうんじゃないかということで提案はしておりますが、なかなかこれ反発が強いところでして、今後国際交渉で議論されていくことになると思います。

○鈴木部会長 よろしいでしょうか。
 それでは、本日の予定、ちょっと進行が悪くて予定よりも20分ほどおくれてしまいましたが、最後に事務局から連絡事項等がありましたらお願いしたいと思います。

○地球温暖化対策課長 今日は大変多くの御意見、多様な御意見をいただきました。ちょっと1つ1つお答えする時間がなくなってしまいまして大変申しわけございません。多くの御意見は、この地球環境部会の可能性と限界について御指摘をされていたのかなと思います。必ずしも現状にとらわれずに検討ができるという可能性があると同時に、そこで検討した結果がどう反映されるのかと、そういう実行性についての問題提起というのもあったかと思います。
 そういう中で、これから2050年の低炭素社会に向けてどういう検討をしていくのか。今日いろいろいただいた御意見をベースにしながら、次回の会合でこんな分野についてこういう検討をしていったらどうかというような御提案ができるように勉強していきたいと思っております。
 今日のご発言に追加すべき質問、コメント等ございましたら、3月25日水曜日までに書面でお送りいただければと存じます。
 また、次回の日程につきましてはまた調整をして後日ご連絡をさせていただきます。

○鈴木部会長 それでは、本日の議事はこれで終了させていただきます。
 どうもありがとうございました。

午後 5時19分 閉会