産業構造審議会環境部会地球環境小委員会・中央環境審議会地球環境部会第32回合同会合

日時

2008年12月16日(火)9時30分~11時30分

場所

虎ノ門パストラル 「鳳凰」

出席委員

茅委員長、鈴木部会長、青木委員、碧海委員、秋元委員、猪野委員、及川委員、逢見委員、大塚委員、角田委員、鹿島委員、亀山委員、川上委員、木下委員、河野委員、小林委員、佐和委員、塩田委員、須藤委員、関澤委員、大聖委員、高橋委員、内藤委員、名尾委員、永里委員、長辻委員、中村委員、中山委員、福川委員、桝井委員、三橋委員、森嶌委員、森本委員、山口委員、山本委員、横山委員、米本委員

1.京都議定書目標達成計画の進捗状況について

 資料1及び3について環境省、資料2について経済産業省、資料4について国土交通省、資料5について農林水産省、資料6について総務省より説明。

2.委員の発言及び質疑

○横山委員 2007年度の排出量が 8.7%増という過去最高を記録したということを受けての進捗状況の点検ということを考えると、私はお先真っ暗ではないかというような感じを受けております。特に気になるのが原子力。地震によって、柏崎刈羽原発が全面ストップした影響が大きいというのはわかります。しかし、柏崎刈羽がいつ動き出すのかわからないし、それから中部電力の浜岡1、2号機も廃炉の検討がなされているということですし、これから耐震性のアップというような要求が原発には高まってくると思います。そういうことを考えると、第1約束期間の間に原子力の稼働率が、資料に書いてあるように84%とか、それは非常に非現実的だし、本当に難しいというように思います。いつまでも原子力の安全の確保と信頼回復を前提として原子力を推進するというようなことをやめて、現実的な稼働率とかの数値に変更して、その分を、例えば石炭火力を減らして天然ガス火力にするなどの燃料転換とか、あるいは再生可能エネルギーの大幅導入、そういうことで賄われるべきだと思います。
 今日もいろいろな説明が行われましたが、電力の影響は、私は非常に大きいと思います。そういうことで、電事連の温暖化対策について抜本的に考え直さなければいけないのではないかと。一番大きいところを曖昧にしたままでは、進むべきところも進まないと思います。今日の資料でも、原発利用率が84.2%と仮定したらこうなるというようなことが書いてありますが、第1約束期間が終わっても、原発の稼働率が予想どおりだったらできたのではないかというようなことにならざるを得ないと思いますので、その辺をお願いしたいと思います。

○山口委員 今、横山委員がいわれた、全く同じ点を取り上げたいのですけれども、この主たる理由は、ご説明にありましたように地震だと思うのです。そうすると、これはどう考えても不可抗力だと思います。もちろんそれに耐えられない設計であればこれは人為的な影響なのですけれども。日本としては、こういう不可抗力、たまたま1回あったわけですけれども、これにより原子力発電が停止し、その補填として化石燃料が使われたわけです。今後またあったらどうするのか。やはりこの辺は国際交渉の場で何らかの主張をしていくべきだというように私は思います。地震が2回、3回起こって、みんなでこれによる排出増加分を海外から購入してでも何としても遵守するということは、いくらなんでもおかしいのではないかと。これが第1です。
 第2としては、先ほどのご説明でよくわかったと。各省庁相当やっておられる。状況によっていろいろ変わってくるので、あと5年で期限が来るわけですけれども、日本がこれだけやってもどうしてもうまくいかないときはどうするのか。現在のところ日本は目標を達成出来るということになっていますから、私もそう信じているのですけれども、もしそれが危うくなってきたらそのときどのようにするのか。ホットエアーを本当に買うのかどうかという議論をどこかでしておかなければいけないと考えています。

○森本委員 自主行動計画に関連しまして一言申し上げたいと思いますが、産業エネルギー転換部門、これの2007年度の CO2排出量の実績が、中越沖地震等の影響によりまして、90年度比で若干増加しております。大変ご心配をおかけいたしまして、また数字的に影響を与えてしまいましたことについて、申しわけないと思っております。いろいろご意見ございましたけれども、過去95年から2001年までは80%を越える稼働率を達成しておりましたのも事実でございます。また、今、柏崎につきましては、早期復旧に向けまして全力投球しておりますので、ぜひご理解いただきたいと思います。
 いずれにしましても、低炭素社会を実現するための切り札は、供給サイドでは、やはり原子力発電ではないかと思っておりまして、私どもは強い使命感をもちまして、安全第一で、原子力につきましてはしっかり推進してまいりたいと思っております。再生可能エネルギーなどとともに、ガス火力、石炭火力などとベストミックスを図りまして、こうした安定供給を図りつつ、低炭素を実現していきたいと思います。
 それから需要サイドにつきまして、特に業務・家庭部門の CO2の伸びが大きいわけでございますが、特に家庭部門につきまして、省エネルギーを一段と進めることが重要ではないかと思っております。こういう分野では、住宅構造の改善などとともに高効率機器の普及が大事だと思っております。そういう中で、消費電力の何倍もの熱エネルギーを出すことができますヒートポンプが非常に有効ではないかと思っておりまして、加熱、あるいは空調用途に普及した場合、年間で約 1.3億トン、国全体の1割に相当する削減ポテンシャルがあると推計されております。こうした面で、これからも私ども、特に家庭部門については大気熱を活用した給湯器、エコキュートを普及させていきたいということで、今現在 150万台普及しておりますが、2020年度に向けまして 1,000万台普及を目指して、ハード面で担保した CO2削減に取り組んでまいりたいと思います。
 いずれにしましても、議定書の目標達成の鍵は、極論すると供給面での安全を大前提とした原子力の着実な推進と、家庭部門等での省エネルギー活動、そのための高効率機器の普及等を含めた国民運動という、こういうことではないかと思っておりまして、これからも努力してまいりますので、何とぞよろしくお願いいたします。

○三橋委員 2つほど質問させてもらいます。
 2007年度は 8.7%、温室効果ガスがアップしたというわけですけれども、恐らく最近の深刻な景気の落ち込みからいうと、2008年度、2009年度、2010年度ぐらいはマイナス成長、それもかなりのマイナス成長になる可能性があります。日本の場合には、1%経済成長すると、温室効果ガスが大体 0.5%増えるような関係になっていますので、逆に名目成長率が下がると、恐らく1990年比で温室効果ガスの増加率はかなり減少すると思います。しかし、それはあくまで景気の落ち込みという大変な犠牲を払った上で減少するので、今、いろいろ実施していることの成果の結果、そうなるのではないということをあらかじめここで私は強調させていただきます。とんだ神風で目標達成が楽になりそうだとことで、手を抜くようなことはせず、やるべきことをきちんとやって欲しいということが、1点です。
 それから新エネルギーの普及について、補助金ばかりですよね。補助金をつければお金はかかるわけです。だから、ドイツがやっているような形のマーケットメカニズムを活用し、インセンティブ方式で、お金をかけないで新エネルギーの普及を図るというようなことを真剣に考えていくべきだと思うのです。なぜ補助金ばかりつけるのか。その理由のひとつにそれぞれの担当所管の影響力行使というようなこともあるのかもわかりません。それでは効率的ではありせん。例えばドイツは固定価格買取制度を採用することによって、補助金は一切かけないで、太陽光発電とか風力発電がどんどん増えているわけです。そういう、お金をかけないでマーケットメカニズムを活用して、インセンティブを高めて普及促進を図ることが最も大切な政策ですよね。そういうことをぜひ、今からでも考えて、6%削減の目標に邁進してほしいと思います。マーケットメカニズムを活用するというのは、決断すれば、時間をかけずすぐ実行できる政策ですから、その辺のことを要望しておきます。

○桝井委員 私は、例の試行的排出量取引について伺いたいと思います。2つばかり。
 この分野で進んでおりますEUは、こういう時期ですから、苦労しながらも、一応オークションという形で割当を考えるということで合意したようであります。もちろん多排出のところにはいろいろなことが工夫されるかもしれませんが、そういう事実があります。また、アメリカの新政権がこの排出量取引にかなり動くことはほぼ間違いないであろうということになると、これはもはや仮定の問題ではない段階になっていますので、今回始められている排出量取引は、そのような動きについて、これは非常に連関性が必要なものですから、どのような考えを経産省は思ってやっておられるのかというのが1点、伺いたい。
 もう1つ、今回の取り組みにおきまして、経産省の自主行動計画の資料2-1の39ページあたりをみてみますと、電事連、一番大きなところですけれども、非常に多量のCDMを購入しているわけですが、電事連自体は、CDMは現在、各社が個々に購入しており、競争もあることから、電事連としては把握していない、個別の企業のことはわからないと。ここは、ご承知のように企業、業界として参加するわけです。これは来年、1月から3月に水準の確認審査をすると経産省は言っていますけれども、電事連を通して、そういう確認審査をするのか、個別のところもちゃんと押さえなければ、そういう審査はできないだろうと思うのですけれども、こういう行政指導は一体どのようにされるのか。要するに団体参加、業界での参加というものについて、ちゃんとした透明な、わかりやすい確認審査というのはどうやるのか、それを教えていただきたいと思います。

○福川委員 1点、申し上げたいと思いますが、現在、金融危機で世界同時不況ということになっておりまして、各国とも、金融対策についての対症療法に力を入れておりますが、もう1つ重要なのが、いかに需要を創出していくか、需要拡大策が世界的に必要になっているはずでございます。いろいろなアイデアがあると思いますが、低炭素社会、あるいは低資源依存社会、これを実現するために、この構造を変えていくというために、この需要創出策をぜひ強化していただきたいと思います。景気対策の中に一部取り入れられておりますけれども、更にもっと強化をするために、設備投資減税であるとか、あるいは住宅等についての減税措置とか、いろいろアイデアがあると思いますが、ぜひ、この構造改革を促進するために、需要促進策に、今の資源エネルギー問題の重要なものを結びつけてやる施策を抜本的に見直していただきたいと思います。

○永里委員 CO2排出と密接な関係にあるエネルギーに関して申し上げたいと思います。1つは、非常に不安定な電源であります新エネ、太陽光発電、風力発電等の導入の加速に関しまして、実はそれによる安定した電気の導入を加速するためには、インフラ投資等に大幅な金がかかる、設備投資等がかかること、そして国民はそのコストアップを覚悟して、高い電力料金を払うことを理解する必要があると思います。あわせて原子力発電に関する理解も更に深めてもらいたいと思います。このことは、教育とか、消費者への啓蒙というのが非常に重要なことを意味します。
 それからもう1点、地震による原子力の停止というのは不可抗力で起こっているわけで、日本みたいな地震国においては、また同じようなことが起こる可能性があります。今回、柏崎で自動的に停まりまして、原子力というのが非常に安全であったということはよくわかったのですけれども、民間の契約にはフォースマジュール条項というのを大体入れてありまして、不可抗力に関しては免責という概念があるのですが、この京都議定書には、この種のことがあるのでしょうか。私は、政府による新たな交渉で、今いったようなフォースマジュール条項みたいなことを、もうそろそろ言い出したほうがいいのではないかと。そうでないと、また東京電力のように――結局は国民に負担ばかりかかるのではないかと思うのです。京メカを使って、いろいろな金を使っていくというのは非常に問題があると思いますので、以上の点を考慮してほしいと思います。

○大聖委員 経産省、それから国交省のほうからご説明がありました運輸部門のクリーンエネルギー自動車に関してコメントさせていただきます。目標が 233万台ということで、かなり実際の値と乖離しております。今後は、クリーンエネルギー自動車自体の定義を、技術の進展、あるいはマーケットをにらんで変えていく必要があるのではないか。 233万台という数字をもし掲げるのであれば、それに対する注釈が必要ではないでしょうか。例えば電気自動車、天然ガス、それからこのバイオの位置づけというのをどのように考えるのかということも少しご検討いただければと思っております。ハイブリッド乗用車は、もう一般的な車になっておりまして、トップランナーそのものにはなっていないのですけれども、燃費の基準を設定するときの底上げの部分に使われているのです。ですから、もう一般化しつつあるわけです。
 それから、もう1つは2015年度の燃費基準が設定されておりますけれども、これを前倒し達成するような政策というのが、これまでの過去の燃費基準の進展をみても明らかでありますので、その面でのインセンティブも含めた推進策をぜひ、重点的進めていただければと思います。

○須藤委員 2つほどお伺いいたします。
 1つは、環境省ですが、先ほどのご説明で、たくさんのところが大体目標達成しているということにもかかわらず、全体として、原子力を除いてもまだ横ばいではなくて増加しているという、どこかが抜けているのではないでしょうかということを伺うのと、例えばこの1~2年、イルミネーション、あるいはライトアップ等、目に余るほど日本が明るくなってきています。これは例でありますが、そういうものはどこで排出量をカウントされているのでしょうか、これが1番目。
 2番目は経産省にお伺いいたしますが、特にPPSの事業の自主行動計画です。私は福島県の小名浜の今度の建設のアセスに関わりを持ちました。 0.814の原単位で 228万t- CO2を排出するということで、この排出削減をお願いしたのですが、例えばCCSを入れろ、IGCCを入れろ、あるいはCDMを入れろといったのですが、この自主行動計画の範囲内なのだからいいと、こういうことでございまして、では自主行動計画でどうしていくのか。各社のものを、データを出して、そしてそれを説明しろと言いましたら、これは多分経産省だと思いますが、それはやってはならないと。ということは、業界全体としての自主行動計画ではなくて、1社のものだけで判断をさせられているようなのですが、もし誤解があるといけませんので、事業者はそういう説明をいたしました。結果としては、個社としてというか、1社として CO2の排出原単位を低減するということを担保しなければならないように受け取っているのですが、それで0.52が目標で0.47が現状なので、当然そこの差があるので、これで埋め合わせればいいのでしょうかというようなことです。これは非常に安易なので、今のような時期にこういう形で新しい石炭火力の新設というのはよろしくないと考えておりましたので、この辺について、経産省からお伺いをしたいと思います。

○佐和委員 簡単な質問を3ついたします。
 まず、この環境省の、最初のご説明資料の2ページ目のところに、かねて京都メカニズムにより 1.6%という数字がいわれてきたわけですが、一体、京都メカニズムというときに、これはCDMに限ってのことなのか。それとも、排出量取引も含んでの話なのか、ご見解をお伺いしたい。
 2つ目は、経済産業省の国内の排出量取引に関する資料で、目標設定参加者 446社、目標設定主体数 317とございますが、大部の資料にもございますように、目標は排出総量、または原単位目標というように書いています。この 317主体のうち、何主体が総量、何社が原単位なのか、その辺りの数字を教えていただきたい。
 それから3つ目ですが、さきほど三橋委員がおっしゃったこととほぼ同じなのですが、日本では固定価格制度の導入について、現在、どのようにお考えなのか。私が最近みたある資料によると、もう既にドイツに倣って47カ国が固定価格制度が導入されている。例えば韓国でも導入されているようですが、日本では、そういう動きがあるのかどうか。

○河野委員 先ほどから話を聞いていて、私は物すごい違和感をもつのです。最近のCOP14、ついでEU首脳会議で、どういう話が出たかということで皆さん共通の認識をもっていると思う。何をいいたいかというと、次々の日程は決まっているけれども、中身の議論は全く進まなかったのです。いいか悪いかではなくて、それは明らかに、8割以上は世界の金融危機、あるいは金融恐慌、あるいは実体経済に対する影響、この中でみんなが、途上国はもちろんだけれども、先進国の中でも、EUの中でさえ、この従来型の方法で削減するということは経済的に随分難しいなということをみんな自覚しているのです。代表はドイツとイタリア。つまりコストの意識をお持ちなのです。だからといって日本がマイナス6を目指さないという意味では全くない、そういう全体の中で事態が動いていることぐらいは頭に入れておかなければ、この中の議論は浮いた議論になってしまうのです。
 2番目、オバマに対する信頼というか、期待感が物すごく強いけれど本当に1990年比で2020年でプラスマイナスゼロをできますか、オバマでも甘すぎる、と私は思うのです。
 本日、改めて各省からまじめな継続的努力の話が出ている。積み上げの話をやっている国は世界で恐らく日本だけだし、誇るべきなのです。それでもなおかつ難しいのだから。それを頭から否定するような議論は冗談じゃない。あなた方、同じ日本人かといいたい。何かの特定の業者を非難するのは結構だけれども、経営者が皆手を抜いているかのように言うのは許しがたい。それほど京都議定書で日本に押し付けられた目標は不公平であった。ということなのです。
 それで1つだけ、最後に提案しておきたいのは、これから2020年、中間目標決定ということを政府でやるわけですが、そのEUが目指しているような、産業革命以来の温度の上昇を2度以内におさめるということが本当に必要なのか。また実現可能なのかという二点について冷静で科学的な議論をしてもらいたいということです。そこのところを抜きにして、目標の高さを競うような態度は厳に慎むべきだということです。

○木下委員 京都議定書目標達成のためには、森林吸収源対策が重要な役割を担っていると思いますけれども、それで1つ質問をしたいと思います。先ほど説明の中で、2007年度の予定分が一部2008年度にずれ込んだという説明がありました。それでは、2008年度の実績見込みがどのようになっているのか、分かればご説明願いたいと思います。というのは、毎年の目標未達数量が重なってきますと、最終年になりますと、なかなか目標達成が困難になるのではないかというように危惧をいたしております。

○角田委員 各省庁の、非常にすばらしいご報告をいただいたわけでございますけれども、この中には、苦しい中にも経済界の方々が非常に頑張っている姿、そういうものが見えてくるのではないかと思います。
 そこで私は、1人は非常に小さいものですけれども、やはり国民1人1人のこれからの行動といいますか、そういうことが大事ではないかと。これはモデル的なそういう紹介も、1人だったらどういうことができるのか、グループだったらどうなのか、自治体だったらどうなのかというような、そういう目標のようなものも国民に提示しながら進めていくことも必要だと思います。
 今、不況のときでございますが、だからこそ活性するいい機会だと思います。それは、家電とか、食に関することです。家電では、今、買いかえが起こっております。ですから、ぜひ、そのときに開発をされて、消費者がいい買いかえができるように、そのような形をとってほしい。例えばフロンなどがわかりやすく表示できているだろうか、そういうこともチェックするような時代でございますので、そういう開発、それと表示ができるようにしていただきたい。
 それから食にまつわる問題は、まだまだメスを入れていく部分だと思います。中でも外食が非常にこれから無くなってきて、むしろ家庭で食事をするということでございますので、そういう部分での取り組みも、もっと入れていくべきだと思います。

○大塚委員 今回の排出量取引の試行的実施で非常にたくさんの企業が参加していただいたこと、大変よかったと思っております。排出量取引の試行的実施自体については幾つかの問題点は指摘されてはいますけれども、とにかく実験をするということから、大変よかったと思います。
 あと2点、簡単に申し上げたいと思います。1点は、先ほど須藤委員も仰ったようなPPSの問題です。環境影響評価のことも仰っていただきましたが、もう1つ、これによって普通の、一般の電力に比べると排出係数が悪くなってしまうので、小名浜の石炭火力ができることによって、税金でCDMを30億円ぐらい毎年買ってこなくてはいけないということになりますので、その点をどう考えるかという問題があるということを指摘しておきたいと思います。
 この点に関してはフォローアップの会議でも問題になりましたけれども、もう一度お伺いしておくことになりますが、バイオ混焼を極限まで行っていただいて、IGCCと同じ程度の CO2の削減効果をぜひ達成することをお考えいただきたいということと、もう1つは、PPSについて、業界として試行的排出量取引にぜひ参加していただきたいということがございますので、後からお答えいただけるとありがたいと思います。
 更に、これも須藤委員が仰ったことと関係いたしますけれども、今回フォローアップの会議では、ダイヤモンドパワーさんはおいでにならなかったものですから、自主行動計画というのは業界でやっていただくということが前提になっていますので、個々の企業が独立して対応されているという場合には、自主行動計画が必ずしもファンクションしないということがあるということを申し上げておきたいと思います
 それからもう1点、これもフォローアップの会議で問題になった点でございますけれども、経済産業省さんの管轄のところにつきまして、今回、目標の引き上げがあったのは4業種にとどまったわけです。従来、2006年度と2007年度では、合計で29業種が引き上げをしていきまして、 2,100万トン分の CO2の削減効果があるのですが、今回は35万トンということで、ちょっと手綱が緩んでいるのではないかというところがありますので、目標を達成されたところについての目標の引き上げというのを、ぜひ引き続きご検討いただきたいと思います。農水省さんについても資料の5で、日本即席食品工業会についてはかなり大幅に過剰達成をしていただいておりますので、せっかくですので、引き上げをご検討いただきたいと思います。

○猪野委員 経団連は、環境自主行動計画において、CO2総量を基準年に対してプラスマイナスゼロにするという目標を掲げて対応してまいりました。これまで連続して目標をクリアしてまいりましたが、今日の報告にもありますように、2007年度はクリアすることができませんでした。これは柏崎刈羽原子力発電所が停止している影響ということもございまして、もしこの影響がなければクリアできたということになるわけです。そういう意味では原子力の役割は非常に大きいものだと認識しております。
 一方で、自主行動計画に参加している34業界の取り組みは着実に進んでおります。環境自主行動計画は産業界の非常に重要な取り組みの柱であり、引き続き、着実に目標を達成するよう進めていきたいと考えております。
 もう1つ、排出量取引の試行実施について、今回、自主行動計画とあまり矛盾しない形で参加できるよう配慮されたものと理解しています。これからスタートするわけですが、実施していく中で、いろいろと課題がみえてくるかもしれません。その辺につきましても、今後慎重に議論していく必要があるのではないかと思っております。なお、国内クレジット制度につきましては、大変結構なことであり、積極的に協力していきたいと考えております。

○秋元委員 大変な経済危機でありまして、政界の方は専ら景気対策という視点から対策を打ち出そうとしているわけでありますけれども、それと今日、お話しいただいたことの間の有機的なつながりが、まだはっきり見えていないと思うのです。今日、お話しいただいた各省管轄の環境対策など、これだけまじめに、爪に火をともすような形で積み上げて頑張っている国は、世界広しといえどもそれほどないと思いますし、この成果にはぜひとも期待をしたいわけです。これがうまくいけば、新しい省エネ社会が形成されていく。その社会形成のためにいろいろな環境対策をやるわけですけれども、他方、景気対策でもいろいろと新しいアイデアが出ています。これが、下手をしますと、ばらまきだとか、思いつきでお金が散らばるというだけのことで終わってしまう。しかしこの景気対策と環境対策を有機的に結びつけ、もっといろいろな知恵を出せば、相乗効果が生まれてくるだろうと思っているわけです。
 各省庁さんから、今日、お話がございましたけれども、現在、我々が直面している非常に深刻な経済危機、来年は恐らく更に悪くなっていくだろうと思いますが、その中でも、このリスクをチャンスに切りかえていける、いろいろな方策があると思います。先ほど角田さんからもお話がありましたけれども、国民の間では新しい省エネ機器に買いかえたいというムードが盛り上がってきているわけです。ただ、一方で景気がこれだけ落ち込んでいる時期になかなか出費に踏切れない。この状況下で省エネ機器への切りかえとか、エコカーへの切りかえを、どうやったら促進できるかというようなこと。また中小企業が今、倒産の危機にひんしているわけでありますけれども、環境対策を中心に需要を増やして経済を活性化していく。さらにはクリーンエネルギーを使うためには社会インフラの整備も必要でありますから、そのような立場から供給ネットワークなどの事業を見直していかなければならない。このように考えていきますと、環境対策を進めることで、この危機をチャンスに切替えていく可能性は非常に大きいと思っています。
 それで、各省庁さんにお伺いしたいのですけれども、今日、お伺いしたのは、今までの平常な社会状況下で考えられた方法だと思うのです。今後、こういう危機的な状況に即して、従来の考え方に加え、更に新しくいろいろな知恵を出していただけるのではないかと思うのですが、何か具体的にお考えのことがあったら、1つ知らせていただきたいということであります。
 もう1つは、需要側の省エネと並行して供給側の脱炭素政策の課題です。これはもう今まで各委員が、何人もお話しになりましたように、クリーンなエネルギーが供給されなければ、幾ら省エネをやっても、その効果は限られる。そしてクリーンエネルギーを今、最大のポテンシャルで供給できるのは、原子力をおいてはないわけであります。原子力も今、地震など緊急な事態で停まったままになっている原子炉もありますけれども、アメリカ並みや韓国並みの90%にまで稼働率を上げることが出来れば、今の京都議定書の排出削減不足分はほとんどカバーできる。あるいは従来の最高実績のところまで戻すだけでも、今日のご説明のように不足量半分はカバーできるということで、これだけの実力をもつ原子力が安全に貢献できるようにすることこそ、国の最重要戦略でなければならない。これは1企業の努力だけに任せておいてやれるものではないと思うのです。ですから供給面でやることは、国を挙げて、この原子力が安全に社会に貢献できる環境が整うように、努力をしていくべきであって、止まった時の影響が大き過ぎるから原子力を控えるべきだというような話は、フランスのように80%以上も原子力依存率が高まるようなことになったときに、初めて意味を持つ議論であろうと思っているわけです。その意味でも、稼働率に影響を与える安全審査の問題、点検の問題、地元の関係、このようなことについても抜本的に見直していくための、国を挙げての努力をぜひともお願いしたいと思っております。

○碧海委員 私は個人的には地球温暖化防止とか省エネルギーに一生懸命関わっているというか、努力はしていると、自分では思っているのです。今日の各省庁のご報告を聞いて、そういう1人の生活者として自分たちの目に見える部分でのいろいろなご努力についての具体的な説明というのは大変参考になります。そういう意味では農水とか国土交通省のお話なども、例えば農村部分についての取り組みなどについても大変参考になりまして、ありがとうございました。
 ただ、私は一桁生まれであるせいもあると思いますが、国民運動という言葉は基本的には嫌いなのです。何となしにイメージが悪くて、どうも嫌いなのですが、それ絡みで3点ほど意見をいわせていただきたいと思います。
 1つはイルミネーション。先ほど須藤委員のお話にもありましたが、これも私は自分が目に見える部分ということで非常に気になっていることの1つです。ここ4~5年の間にどんどん個人宅のイルミネーションが増えてくるのです。これが大変気になっていまして、それこそ国民運動というような観点からいくと一体どうなのかなというのが気になっております。同じような意味でクールビズ、ウォームビズ、これは結構なのですが、これは結局冷房温度や暖房温度を何度にしましょうということだと思うのです。ところがクールビズ、ウォームビズという言葉のほうがずっと先に行ってしまいまして、実際に冷房温度や暖房温度をここにしましょうという働きかけが一体どれだけ行われているのか。それこそ、以前に見える化というお話がありましたが、その部分を具体的にもっと進める努力をされたらどうかと思っています。
 それから省エネ機器の買い替えなのですが、これも今朝、NHKが環境省のソフトの説明をしていました。それを見ながら感じたのですが、確かに比較ができると、新しいものに買い替えたらこれだけ減るというのはわかりますが、NHKの番組でもイニシャルコストの問題は全然出てこないのです。今、秋元委員が言われたように、やはり不景気で、本当に買い替えするのかというのが、これは私が気になることの1つでして、省エネ機器の買い替えは確かに有効なのですが、まずは機器に、エネルギーを今どれだけ使っているのかがわかるような表示をしていただきたいと思います。
 それから3番目は廃棄物なのですが、廃棄物は、私は自治体の努力で非常に変わるということを今年実感しておりまして、各自治体がそういう取り組みを強化されれば、一般の生活者は確かに動くというのを実感として感じています。そういう意味では、私は廃棄物についてはむしろ希望を持っているのですが、各自治体が動かれれば、これまた影響は大きいなというように思っています。

○徳田地球温暖化対策課長(環境省)  まず最初にご説明しました資料1に関するところからいきたいと思います。原子力を除いても、2007年度の排出量というのは、2006年度と比べて増えているのではないかという須藤委員のご指摘がございました。資料1の2ページ目でございます。これは原子力発電所の稼働率の低下のほかに、2007年度が渇水年であったために、水力発電の発電量が減ったということが影響しております。その要因も取り除いたらどうなるのかというのが、資料1の一番最後の表でございまして、各部門のエネルギー起源二酸化炭素排出量という表がございます。その右側のほうに、2006年度と2007年度の数字が書いてございます。これはいずれも排出原単位を2006年度の値として出しているわけでございます。そういたしますと、2006年度の排出量が11億 8,600万トン、2007年度の排出量が11億 8,200万トンということで、わずかではございますけれども、減少していると。つまり電力の排出原単位の影響を外して考えますと、2007年度は2006年度よりも減少していると、こういうことでございます。
 それから、イルミネーションなどはどの部門に入っているのかというご指摘でございますけれども、これはインベントリー上は業務部門とか家庭部門に入っているわけでございます。では、対策はどうなっているのかということになろうかと思いますけれども、目達上は、深夜化するライフスタイル等のところで対応するということになると思っておりますが、今、資料の説明のときにもご説明いたしましたように、諸外国の状況等について整理をさせていただいているところでございます。
 それから、佐和委員から京メカの 1.6%はCDMに限ったものであるのかというご質問でございますけれども、これはそうではございません。京都メカニズムのほかにジョイントインプリメンテーション、それからエミッショントレーディングとあるわけでございますので、そういったものも含めて 1.6%ということにしているところでございます。
 そのほか、いろいろと多岐にわたるご質問をいただきました。簡単に今、私のほうから回答できるところはさせていただき、後ほど経産省その他のお役所からご説明があり、それでも不足している分については、更に補足説明をさせていただきたと思いますが、不可抗力についてです。地震等の不可抗力について、今後、国際交渉の場で入れていくように努力すべきではないかと、そういうご指摘をいただきました。何をもって不可抗力とするのかというようなこともあろうかと思います。まずは勉強をしていきたいと考えております。
 それから、原子力稼働率が84%というのは非現実的ではないかというご指摘がございました。これについては、森本委員の方からもご説明がございましたけれども、過去においては80%を越えるという稼働率もあったところでございます。原子力だけに頼るわけではございません。再生可能エネルギー、あるいは天然ガス等への燃料転換、そういったものも含めて目標達成していくということが目達上の計画ということでございます。
 それから、新エネの普及などについて、マーケットメカニズムを活用すべきではないかと。補助金ばかりではけしからんと。確かに環境省の説明では、私どもの資料では補助金、委託費のオンパレードでございましたけれども、どのように、更に推進をしていくことができるのか、私どもなりに考えてきたというように考えております。
 金融危機の中で需要拡大が重要であると。あるいは、新しい施策を何か考えているのかというようなご指摘もございました。福川委員、ご指摘のように構造改革の重要性ということもあると思います。今こそリスクをチャンスに変えるべきというようなご意見もございました。再生可能エネルギー等への投資によって、低炭素社会も実現し、経済も上向きにさせるというような対策が求められているのではないかと考えているところでございます。

○有馬大臣官房審議官(経済産業省)  今、先生方からのご指摘の中で、国際交渉に関するお話が幾つかございました。COP14において斉藤大臣をヘッドとした日本代表団に参加しておりましたので、簡単にご報告をしておきたいと思います。
 今回のCOPでございますけれども、成果が乏しかったという新聞論調がございますが、もともと2007年の12月のバリ行動計画において、2009年末までに合意を得るということになっていたため、COP14はその中間段階の位置づけがされておりました。したがいまして、今回は、COP15に向けた作業計画にきちんと合意をするというのが最大のイシューになっていたということでございます。米国が参加をいたしております条約作業部会と京都議定書作業部会のいずれについても作業計画の合意がなされており、所定の成果は上げたということではないかと考えております。
 特に京都議定書作業部会におきまして、先進国の次の目標の設定の考え方についても議論がなされました。その中で、IPCC等を中心とします科学に基づく考え方とあわせて、削減ポテンシャル、それからコストといったボトムアップ型の考え方も非常に重要であるという考え方が盛り込まれました。私ども日本が主張しております考え方が適切に盛り込まれたのではないかと考えているところであります。
 それから山口先生からご質問がございましたフォース・マジュールの件ですけれども、これは、例えば森林などの場合に自然発火によって森林が燃えてしまった場合どうするのかという議論が既になされております。これがどの程度広がるのかといったことについては、今後、まさに議論が必要なのではないかと考えております。

○藤原大臣官房参事官(経済産業省)  排出量取引の国内統合市場の試行実施につきまして、何人かの委員の方からご質問がございましたので、お答え申し上げます。
 まず大塚委員からでございましたけれども、今回の企業、参加数につきまして、また猪野委員からも国内クレジット制度も含めた形で高い評価をいただきまして、ありがとうございました。政府としましても、自主行動計画との整合性を含めまして、今後ともこの試行実施につきまして、適切な運営に努めてまいりたいと思ってございます。
 本格的な導入を前提としていないということは政府の統一見解なのでございますけれども、仮に本格的導入を議論する際の制度設計上のポイントでございますとか問題点、課題の抽出ということに、こういった実験的なことをやらせていただいているわけでございます。本日、ご説明は省きましたけれども、来年度のこちらの合同審議会のプロセスの中で、この制度全体、目達計画全般の評価・見直しの中で、この制度につきましてもご議論をぜひちょうだいしたいということが温暖化対策推進本部の決定にも入ってございますので、引き続きよろしくお願いしたいと思ってございます。
 それから佐和委員から、具体的に原単位目標、総量目標についての数のご質問がございました。全省庁的にはまだ付け合わせしてございませんけれども、経産省所管の目標設定主体数が、表に書いてございますように 181ございます。この中で総量目標設定主体が71、原単位目標設定主体数が 112ということになってございます。おおむね4対6ぐらいなのですが、両方足すと 183になって2つ多いのです。その2社に関しては目標指標を年度ごとに使い分けて、2つの目標指標を選択されているという形になってございます。
 桝井委員から2つご質問がございました。海外事情についてよく注意をするべきだということでございましたけれども、経産省のほうでも、今年の3月から6月まで、ポスト京都における産業部門対策ということで、茅委員長を座長にいたしまして、経済的手法研究会というのも開催して、委員の方々に欧米の海外事情もかなり詳しく調査いただいたりもしております。引き続き欧米の状況をきちんと把握しながら、次の制度設計ということで努めてまいりたいと思っております。
 あと、電事連のみではないのですけれども、基本的には、この制度、個々の企業に参加いただいたわけでございまして、フォローアップのプロセスをどうするかということでございます。こちらの合同会合の下にございますワーキンググループなども活用させていただきまして、目標設定の審査につきましては有識者の目を通させていただくということを考えてございます。また具体的なやり方につきましては、これは企業秘密の関係もございますので、統計データをどのように扱うかということを含めまして、また別途、ご相談をさせていただきたいと思います。
 団体参加についてもご質問がございました。鉄、自動車、これは団体における構成会員が共同でということで参加を指向してございますけれども、こちらにつきましては、1月以降に具体的になりますが、厳格に政府として審査をしていきたいと思ってございます。

○吉野電力基盤整備課長(経済産業省)  PPSの自主行動計画に関するご質問、ご意見がございました。須藤先生、大塚先生、ありがとうございました。
 まずアセスにかかわっております案件、福島県小名浜の火力の件でございますけれども、現在、審査のもとにおきまして、バイオ混焼でございますとか、メガソーラーの導入といった削減努力も事業者の方からお示しをされているようであります。今後、更なる努力が可能なのか、大塚先生からは技術的にどこまで行けるのかということでご意見もございましたけれども、事業者の方における検討の更なる深掘りを促していきたいと考えるところでございます。
 そうした努力によりまして、PPSの自主行動計画に関しましても、現在のものから、更にという可能性もあるかと思っております。その点に関しましても、私ども精査をしていきたいと思っております。
 他方、PPSの自主行動計画のもとで、これまで制度として成り立ってまいりました期間がまだ短いということ、それは説明したとおりでございますけれども、ご理解を願えればと思っております。
 もう1点、PPSの自主行動計画そのもののあり方でございますけれども、個々の事業者の目標原単位をお互いに調整し合うというのは、これは公正取引委員会などからも厳しく、そうであってはならないといわれている点でございます。したがって、お互いにはそういうことなのでございますけれども、この点は私ども経済産業省が個社の数字をしっかり承っておりまして、かつまたどこまで努力ができるのかということに関しても相談も受け、また指導も申し上げているところでございますので、そうしたもとで管理がされているという点に関してご理解を願えればと思います。
 そうしたところとの関わりでありますけれども、統合市場への参加ということに関しましても、この後、PPSの各事業者の方々に促してまいりたいと考えてございます。

○渡邊新エネルギー対策課長(経済産業省)  ドイツやスペイン等で導入されております固定価格買取制度でございますが、新エネルギー等の電気を高く買う制度でございまして、例えば太陽光発電パネル等の価格が下がらないですとか、あるいは電気代が上がるといった問題が指摘されてございます。また、最近ではこういった、絶対儲かるような環境をつくり出したことによって、ファンドが参入し、費用は国民が負担しているというようなことがありまして、本来の新エネ導入という目的とは違った結果になっているということもありまして、ドイツやスペイン等で見直し機運が出ているという話もございます。したがいまして、私どもとしましても、総合エネ調の新エネ部会等で十分にこの辺を評価・検証していきたいと考えております。
 なお、補助金のオンパレードのようにみえるというご指摘もございましたけれども、1キロワットアワー当たりにかけている費用ということで計算をしますと、例えば固定価格買取制度、ドイツなどですと1キロワットアワー当たり数十円という高い値段で買っているわけです。日本の場合は、RPS制度、あるいは補助金というのは、1キロワットアワー当たりでいえば数円程度ということでございまして、そういう意味ではコストエフェクティブな政策が実行できているのではないかというように考えております。

○藤田地球環境政策室長(国土交通省)  まず1点、大聖委員から、バイオ燃料の車に関してクリーン・エネルギー・ビークルの中に入れるべきではないかというお話がございました。実は自動車単体対策は対策指標が3つございまして、トップランナー基準とクリーンエネルギー自動車の台数、それからサルファーフリー燃料の導入といったものでございます。これらの対策指標が実は重複している部分がございまして、これら3つの重複を排除した上で排出する CO2については計算するといったようなことをやってございます。バイオ燃料の取り扱いについては、燃料の側でみるべきなのか、台数のほうに入れていくべきなのかというところはございますが、経産省と一緒に勉強させていただければと思います。
 それから、危機をチャンスに使うべきであるとか、燃料基準の推進策を進めるべき、また住宅減税など、重要対策をやるべきというお話がございました。先般、発表されました緊急対策において、自動車重量税等の抜本的な減免対応とか、抜本的な住宅ローン減税の導入、更には省エネ改修投資減税の新設といったような対策をとらせていただいているところでございますので、ご報告させていただきます。

○木内地球環境対策室長(農林水産省)  木下委員から、森林吸収源対策で昨年度未達成部分を今年に繰り越したけれども、今年の実績見込みはということでした。今年の実績見込みは、残念ながらまだ出ておりませんが、去年できなかった部分の大部分が地方の予算的な負担、財政負担ができなかったことが原因でございます。ですので、今年の5月に施行いたしましたが、地方の負担を軽減するための森林の間伐等の実施の促進に関する特別措置法」というのをつくりまして、これを始めております。これで地方が負担する分については起債をすることによって、更に後に普通交付税で補うという仕組みをつくりましたので、今年は5万ヘクタールの間伐を含めた60万ヘクタールになりますけれども、その実施に向けて全力でやってまいりたいと考えております。

○鈴木部会長  ご承知のように、2008年から第1約束期間に入っておりまして、来年度は、その第1約束期間全体についての排出量の見通しを示す、そのようなことで総合的な評価を行うことになっております。環境省、経産省、国土交通省、農水省、総務省、それぞれから、それぞれの形で進捗状況を報告いただきました。モニタリングに関しましては、概ね順調に、やり方としては順調に進捗しているといってよろしいのかと思いますが、まだやはり全体としての統一性に問題があるように思います。例えば進捗データの取得などに遅れが見られるところもございますし、どういう形でそれを、将来見通しと比較していただくか。例えば将来見通しに関しましても、今から5年ですから、2008年から5年分の見通しを示していただくというようなことが今では必要だろうと思うのですが、未だに2010年の目標値しか示しておられないところもあります。これが5年間の平均というような意味と考えておられるのだろうと思いますが、もう少し精緻な組み立てが必要なのではないでしょうか。この辺のところはぜひ今後、ご努力をお願いしたいと思います。
 京都議定書の目標達成というのはマストであることはもちろんですが、私もこの場で繰り返し申し上げていますように、これは第1ステップであって、その後のポスト京都を一体どうしていくのかと。先ほども中期目標等につきましてのお話がありましたが、2020年であれ、2030年であれ、どういう目標に向かってどう変えていくのか。あるいは2050年で、我が国としては温室効果ガスの排出量を80%以上削減していくというようなことになると、かなり大きな仕組みを考えていかなくてはいけないと同時に、産業構造であれ、あるいはライフスタイルであれ、かなり大幅に変更が必要になる、このようなことだろうと思います。そういうものを念頭に置きながら、京都議定書の第1約束期間も進めていく。そしてまた、たまたま今、経済不況、金融不況、これが大変な状況に立ち至っているわけで、先ほど来、ご議論がありましたように、国も財政出動的なことが行われるということになると、やはりこの機会を捉えて、産業の仕組みをどう変えていくのか、あり方を変えていくのか、あるいは我々の生き方を変えていくのかというようなことを念頭に置いた長期的、根本的な対策のようなことも必要なのかなと思っております。
 そういう全体の流れの中で、自主行動計画であったり、キャップ・レス・トレードという不思議な仕組みが日本ではできているわけですが、そういうものを検証していくという、こういうことも、この第1約束期間で重要なのではないかと思います。またオールジャパンで取り組まなければいけないことですので、その辺を含めて、今後、特に来年、総合的な評価を行うというようなところに向けて、当面はまたいろいろとご議論を進めていただくことが必要なのかなと、そんなように感じております。
 各省庁、それから産業界の方々、あるいは一般市民、ステークホルダーすべて、その辺の意識をもって、どういう仕組みをつくっていくのかが求められているのではないかと、ちょっと感想めいたことを申し上げて、私の意見とさせていただきます。