中央環境審議会地球環境部会(第81回)議事録

1.日時

平成20年11月17日10:03~12:01

2.場所

三田共用会議所 大会議室B~E

3.議事

  • 1.低炭素社会の実現に向けた施策の検討について(住宅・建築物等)
  • 2.中央環境審議会地球環境部会委員会の廃止について
  • 3.その他

資料一覧

資料1 住宅・建築物等の対策・施策について
資料2 民生部門のエネルギー消費動向と温暖化対策
資料3 2050日本低炭素社会シナリオ
資料4 低炭素社会に向けた12の方策
資料5 低炭素社会づくりに向けて
資料6 低炭素社会づくり行動計画
資料7 中央環境審議会地球環境部会委員会の廃止について
参考資料1 小見山委員コメント
参考資料2 2007年度の温室効果ガス排出量速報値
参考資料3 低炭素社会の実現に向けた施策の検討について

議事録

午前10時03分 開会

○地球温暖化対策課長 それでは、ただいまから中央環境審議会地球環境部会第81回会合を開催させていただきます。
 本日は、委員総数41名中26名の先生方のご参加を予定しておりますけれども、今のところ20名でございますが、おってご参加いただけるものと考えております。本日の審議は公開として実施させていただいております。
 以降の議事進行は鈴木部会長にお願いをいたします。

○鈴木部会長 それでは、議事に入らせていただきたいと思います。
 低炭素社会ビジョンに関連する主要なトピックスについてのお話をお伺いし、関連する議題を進めていくという形で進めておりますが、今日のところは、後ほど住宅関連、民生関連というところで中上委員にお話をお伺いいたします。
 まず、議事に入ります前に、事務局のほうから配布資料の確認をお願いいたします。

○地球温暖化対策課長 お手元、議事次第の下に、資料1といたしまして、住宅・建築物等の対策施策について。資料2、民生部門のエネルギー消費動向と温暖化対策。中上委員のペーパーでございます。資料3、2050日本低炭素社会シナリオ:温室効果ガス70%削減可能性検討。それから、資料4、低炭素社会に向けた12の方策。資料5、低炭素社会づくりに向けて。資料6、低炭素社会づくり行動計画。資料7、中央環境審議会地球環境部会委員会の廃止について。参考資料1が、小見山委員から追加的にいただきました先般の低炭素社会実現のための12の方策に対するコメント。参考資料2-1が、先日発表いたしました2007年度の温室効果ガス排出量の速報値。参考資料3が、低炭素社会の実現に向けた施策の検討について。これは、前回配布させていただき、ご議論いただいたこの地球環境部会での議論の方向について書いた紙でございます。
 以上でございます。不足している点がございましたら、事務局までお申しつけください。

○鈴木部会長 資料3から6というのが、委員限りのものですね。

○地球温暖化対策課長 失礼いたしました。資料3から6までは、委員限りのものでございまして、前回も配布いたしました資料でございます。これらの資料は、審議の際に参考にしていただくために毎回委員限りの資料として配布をすることを予定しております。したがいまして、基本的には、審議会終了後は、その場に置いて帰っていただき、次回以降、再利用したいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

○鈴木部会長 よろしいでしょうか。
 それでは、早速議事に入らせていただきたいと思います。
 議事次第をご覧いただきますと、本日は、主要な議事が2つございます。1つが、先ほど申し上げました低炭素社会の実現に向けた施策の検討について、それから2つ目が、この地球環境部会の下にございます幾つかの目的を達した委員会の廃止について、こういうことでございます。
 それでは、まず資料1を用いまして、この低炭素社会の実現に向けた施策の検討、これを事務局から説明いただき、その後、本日は中上委員から、住宅・建築分野の低炭素社会づくりのための施策、これについてご報告をいただくということになっております。
 それでは、よろしくお願いいたします。

○地球温暖化対策課長 それでは、最初に私のほうから住宅・建築物等の対策・施策について、現状のご報告をさせていただきます。
 資料1でございます。1枚おめくりいただきます。
 家庭部門・業務その他部門の排出状況というものがございます。
 図をご覧いただきますと、我が国のCO2排出量の推移といたしまして、基準年と2007年度のものが載っております。
 基準年をご覧いただきますと、上のほうから廃棄物、工業プロセス、家庭部門、業務その他部門、運輸部門、産業部門とそれぞれのシェアが書いてございます。2007年のものも同様でございます。
 真ん中のところに、どれだけ減ったのか増えたのかということが示されておりまして、家庭部門は、41.1%の増になっております。業務その他部門は、41.7%の増。運輸部門は14.6%の増、産業部門が1.3%の減。エネルギー転換部門が17.7%の増ということで、家庭部門・業務その他部門の対策が急務であるということでございます。
 下にございますように、特に住宅・建築物というのは、寿命が長く、現在建築したものが今後数十年にわたり存在をするということから、これらについてどんな対策、施策が必要なのかということを検討する必要があろうかと思っているところでございます。
 その次の3ページございますけれども、ここでは家庭部門・業務その他部門でCO2を削減するために、どういったポイントを押さえていけばよいのかということを示しております。CO2排出量というものを4つの項目に分けております。活動量×サービス需要/活動量×サービス需要/エネルギー×CO2/エネルギーというように分けますと、第2項のところのサービス需要の無駄を削減、第3項のエネルギーのところでは、機器の効率化を図っていく。第4項のCO2の原単位というところでは、エネルギーの低炭素化を図っていく、こういったことが削減のポイントになると思われます。
 サービス需要の無駄を削減するというところでは、高断熱化による冷暖房需要の削減であるとか、自然採光の活用による照明需要の削減、使っていない機器の電源を切るといったようなことがあり挙げられます。
 機器の高効率化では、高効率エアコンの導入、高効率給湯器の導入、白熱灯を蛍光灯に取り替えるといったことが考えられます。
 エネルギーの低炭素化では、太陽光発電の導入といったことが考えられるわけでございます。
 このサービス需要の無駄を削減する。機器の高効率化を図る。エネルギーの低炭素化を図る。この3つのポイントについて、これまでにまとめられた目標達成計画、行動計画、それからこの地球環境部会の取りまとめ、国環研の12の方策、それぞれにおいてどのように取り上げられているかというのを次ページ以降で整理をしてございます。
 5ページでございますけれども、ここは、目標達成計画における整理でございます。
 サービス需要の無駄を削減するというところでは、対策と施策に分けて書いてございますが、対策として建築物の省エネ性能の向上、エネルギー管理システムの活用、これはITを活用するというようなものでございますけれども、それから住宅の省エネ性能の向上、こういった対策が掲げられておりまして、それぞれについて施策として建築物の省エネ性能の向上のところでは、省エネ法に基づく努力義務、エネルギー管理システムの普及というところでは税制、あるいは補助金といったもの。それから、住宅の省エネ性能の向上では、やはり省エネ法に基づく努力義務。
 機器の高効率化といったところでは、対策としては、トップランナー基準、高効率な省エネ機器の普及。省エネ機器の買い替え促進といったことがございまして、それぞれ施策として省エネ法に基づくトップランナー基準であるとか、情報提供、省エネ製品の普及、促進、補助金、国民運動といったことが掲げられているところでございます。
 エネルギーの低炭素化では、対策として新エネ対策の推進。コジェネ、燃料電池、バイオマスといったことが掲げられていて、施策として新エネ法による対策、補助金、実証事業、技術開発等々が掲げられているというところでございます。
 そして、その次のページでは、7月29日の閣議決定、低炭素社会づくり行動計画における記述ぶりをまとめております。
 同じように、サービス需要の無駄を削減する。機器の高効率化、エネルギーの低炭素化といった3つについて整理しておりまして、サービス需要の無駄を削減するというところでは、目指すべき姿として新築の住宅、ビルが全て省エネ型のものになることを目指すということでございます。先ほどの目達計画よりも進んだ姿というものが示されているところでございます。
 具体的な取組としては、改正省エネ法を先般6月に改正された省エネ法に基づく対策、それから同じ省エネ法に基づくものでございますが、建売住宅に対する省エネ性能の向上。税制予算措置等がございます。
 機器の高効率化については、トップランナー基準の拡充。それから2012年を目処に白熱電球の電球型蛍光ランプへの原則切替えの実現といったことが掲げられております。
 エネルギーの低炭素化でございますけれども、目指すべき姿として2020年に太陽光発電を10倍にする。2030年には40倍にするといったことで、具体的な取組として、メガソーラ建設計画に対する思い切った支援策を講じるとか。再生可能エネルギーの導入と系統安定化に要するコストの負担の考え方について、2009年春を目処に結論を得る。あるいは、ドイツを含めた諸外国の再生化のエネルギーについての政策を参考にしながら、大胆な導入支援策や新たな料金システムを検討するといったことが書いてございます。
 また、2020年を目処に、「ゼロ・エミッション電源」の割合を50%以上にするといったことも書いてあるところでございます。
 また、横断的取組として、排出量取引、税制のグリーン化、見える化等々、それから地方、国民の取組の支援として、農林水産業の役割を生かした低炭素化等々が掲げられているところでございます。
 次の7ページでございますけれども、ここでは、この4月にこの地球環境部会で取りまとめていただいた低炭素社会づくりに向けてという報告における主要な対策・施策をまとめております。
 ここでは、今までのように、サービス需要、機器、エネルギーの低炭素化といったこの3つに分けて整理をすることが馴染みませんでしたので、制度的なインフラ整備、ソフト的なインフラ整備、ハード的なインフラ整備、自然資本の整備という形で整理をしております。ここは、この部会でもおまとめいただいたものでございますが、簡単に見てまいりますと、制度的なインフラ整備では、率先実行、奨励的手法、経済的手法、規制的手法、情報的手法といったものがあり、右側にございますように、排出量の最小化に努める、表彰制度、優秀事例の世界への発信をする、炭素価格が経済システムに内部化されるようなルールづくりをする、可能な限り再生可能エネルギーを使うような経済的仕組みの構築を図る、税制のグリーン化をする、温暖化を助長する補助金や優遇税制の削減を図る、現状の最高効率機器を基準とした規制制度を拡大する、カーボンディスクロージャーを推進するといったようなこと。
 ソフト的インフラ整備では、情報普及として見える化、ディスクロージャー、ICタグ。
 それから、ハード的インフラ整備では、建築、都市といったようなところで、エネルギーの自立、再生化のエネルギーの導入を図るといったことが書いてあるところでございます。
 そして、8ページのほうでは、先日、西岡先生からご説明いただいた低炭素社会における12の方策における主要な対策・施策でございまして、サービス需要の無駄を削減するというところでは快適さを逃さない住まいとオフィスということで、省エネ・省CO2診断士の養成、住宅・建築物の簡易環境性能評価手法の確立といったようなことがございます。
 機器の高効率化では、トップランナー機器をレンタルする暮らしということで、トップランナー制度の対象機器を拡大する、基準値の評価手法の見直しをする、それから、リース業を支援するといったことも書いてございます。
 エネルギーの低炭素化のところでは、再生可能エネルギー、発電電力買取制度の強化、系統電力品質維持費用の電力価格への転嫁に向けた国民理解の促進、系統電力品質維持のためのインフラ整備に対する補助金の導入、エネルギー貯蔵システム技術開発といったことが書いてございます。横断的施策として、見える化についても書いてあるところでございます。
 ここまでが目達を初めとした4つの報告などに掲げられているサービス需要の無駄の削減、機器の高効率化、エネルギーの低炭素化等について整理をしたものでございます。
 そして、その次でございますけれども、この中の主要な施策について簡単に概要をご紹介しております。
 特に、住宅・建築物についてでございますけれども、10ページ、住宅・建築物に係る省エネルギー対策の強化に向けた取組ということでございまして、1.のところで法律の改正が行われたということでございます。
 今までは、2,000m2以上の建物を建築しようとする人は、省エネの取組に関する届出を提出するという義務がございました。それについて、改正後は、2,000m2以下であっても対象としようということでございます。
 また、建売住宅についても建築し、販売する事業者等による住宅の性能向上促進に係る措置を導入する。というようなことがあるわけでございます。
 その次のページに、より具体的に書いてございまして、建築に関する届出について、今までは2,000m2以上であったところが、真ん中の右のほうにございますけれども、300m2以上については、届出をさせるということで検討が行われているということでございます。
 また、[4]のところにございますように、住宅を建築し、販売する住宅・建築物供給事業者に対し、その新築する特定住宅の省エネ性能の向上を促す措置の導入ということで、150戸以上を供給する住宅事業建築主について対象となるということを検討されているところでございます。
 それから、12ページでございますけれども、こちらのほうは、温対法でございます。6月に温対法が改正されまして、排出抑制等指針を導入しようということになったわけでございます。
 排出抑制等指針につきましては、先般、パブリックコメントに指針の案がかけられたところでございまして、12月12日までに指針を告示するという予定にしておりますけれども、そこの案では、大きく2つに分けて書いてございます。
 1つは、業務部門における事業活動に伴う温室効果ガスの排出の抑制等に関する事項といたしまして、効果的な実施に係る取組として、体制の整備、職員への周知徹底、排出量、設備の設置、運転等の状況の把握、情報収集・整理、PDCAの実施。
 それから、排出の抑制等に関する措置として、熱源設備、空調設備といった設備ごとに設備の選択、使用方法について具体的な措置を提示する。ということでございます。
 それから、日常生活における温室効果ガスの排出の抑制への寄与に係る措置に関する事項といたしまして、事業者が講ずるべき一般的な措置と具体的な措置を書いております。一般的な措置としては、エネルギー消費効率が高い製品等の製造をする。カーボン・オフセット、エコ・アクション・ポイントを活用する、「見える化」を活用する、地方公共団体と連携するといったことでございます。
 事業者が講ずるべき具体的な措置としては、照明機器、冷暖房機器等ごとに、日常生活用製品等の製造等について講ずるべき措置を提示しております。
 具体的には、エネルギー消費量の少ない照明機器の製造であるとか、待機消費電力量の少ない冷暖房機器の製造、使用時の温室効果ガスの排出量が小さい住宅の製造といったことが書いてあるところでございます。
 それでは、対策が現状でどのようになっているのかということでございまして、それは14ページ以降でございます。
 住宅・建築物の省エネルギー化の進捗状況といたしまして、左側は新築住宅の省エネ判断基準の適合率、右側が新築の建築物の適合率でございます。
 2006年において、図にございますように、適合率が36%ということでございます。
 目標達成計画における新築住宅の目標は、2010年で66%ということでございますので、まだまだであるというところでございます。
 それから、建築物につきましては、目標が85%で、現状は85%まで行っているという状況でございます。
 15ページでございますが、住宅性能表示制度の概要ということでございます。
 これにつきましても、右の下のほうにございますように、新設住宅着工戸数に占める割合が20%ということでございます。図にございますように、正確には19.9%ということでございまして、まだまだ普及率が低いという状況でございます。
 それから、16ページにまいりますと、各省エネ基準を満たす建築物ストックの床面積構成比ということでございます。
 省エネ基準は、昭和55年の基準、平成5年の基準、平成11年の基準とございまして、平成11年の基準が最新でございます。
 それらの達成率というものが示されているわけでございますけれども、ストックベースで見ますと、2010年においても平成11年基準が23%の達成率ということでございまして、かなり低い状況になるということでございます。
 17ページでは、各省エネ基準を満たす住宅ストックの戸数構成比でございます。先ほどは建築物でございました。こちらは住宅でございます。より低い普及率ということになります。
 平成11年基準を満たす住宅はストックベースでは2010年に10%に留まるという状況でございます。
 ということで対策は、普及率がかなり低いという状況でございますが、技術のほうはどうなのかということでございます。
 19ページでございますが、ここでは積水ハウスの「CO2オフ住宅」、あるいはミサワホームの「ゼロ・エネルギー住宅」といったものをご紹介しております。技術的にはかなりの程度の省CO2化が可能であるということでございます。
 そして、最後に、20ページでございますけれども、パッシブソーラーシステムを活用するとさらにCO2の大幅削減が可能であるということでございまして、下のほうにございますように、一定の条件でシミュレーションを行いますと、次世代基準レベルの住宅に比べて、冷房・暖房・給湯のエネルギー消費量を約4割削減することができるということでございまして、技術はそれなりにあるという状況がご覧いただけるかと思います。
 参考資料のほうでございますけれども、1つだけご覧いただきたいと思います。22ページでございますが、諸外国の取組事例といたしまして、イギリス、フランス、イタリア、ドイツ、オーストラリアと書いてございますが、上から2つ目のフランスでございますけれども、エネルギー効率向上を目指し、2010年までに一重ガラス窓を断熱性二重ガラスに置き換えることを義務化ということでございます。推奨ではなくて、義務化をするという取組が行われるということのご紹介をさせていただきました。
 23ページ以降につきましては、目達計画、行動計画、この部会でおまとめいただいた「低炭素社会づくりに向けて」という報告書、それから国立環境研究所などの「12の方策」、それぞれについて概要整理をしたものでございます。
 以上、住宅・建築物を中心といたしまして、家庭・業務部門の施策の現状、またはその運用の計画における記述ぶりについて簡単にご報告をさせていただきました。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 住宅・建築物等の対策・施策の現状をご紹介いただきました。
 それでは、続きまして、中上委員のほうから、30分ぐらいでよろしいでしょうか。お話をお願いいたします。

○中上委員 中上でございます。
 こうやってやるのはもう3回目か4回目ぐらいで、何で私ばかりこうしてしゃべらなければいけないかと思いますけれども、事務局からちょうだいした課題は、2050年に向けての施策まで論ぜよというお話でございまして、私は、この直前まで、10日ほどほとんど東京を留守にしておりまして、十分な準備ができておりません。
 お手元にお配りしてある資料よりも少し内容を盛り込んだものをここに持ってまいりました。というのは、一部写真等がございますので、版権の問題がありまして、配れないものもあるものですから、ご容赦願いたいと思います。
 今日の話題は、民生部門ですから、家庭部門と業務部門のエネルギー消費の動向と省エネルギーについての現状、あるいは将来について簡単にコメントしたいと思っております。
 最初に申し上げておきますけれども、皆様方、ご自分の生活に振り返ってご覧になれば、家庭でどうなってきたかということはおわかりかと思いますが、この国には、家庭用、あるいは業務用のエネルギーのデータベースがないということをまず冒頭に指摘しておきたいと思います。何回も指摘しておりますが、いまだにない。こういう先進国は日本だけであります。途上国ですら最近はデータベースを何とかしようという動きがあるにもかかわらず、日本では相変わらずない。
 もし、皆様方がご覧なるとするならば、供給側のデータから推計したデータがほとんどでございます。今日、お見せします私どものデータは家計調査という総務省のデータから推計したデータでございます。これはやや需要側から見たというふうに言えるかもしれませんが、説明変数を用いて、詳細な分析をするには、とてもこのデータでは足りないわけでありまして、そういう基礎がないにもかかわらず、政策をまず打つ、効果がどうだ云々というわけでありますから、実におかしな国であります。これは、事務局にもう一度強調しておきたいと思っております。
 まず、家庭部門でありますけれども、これは事務局からも説明がありましたように、皆様よくご覧になる絵でありまして、産業部門、産業部門といいましても、これは製造業で、これはほとんど横ばいであると、それに対して民生・運輸が増えた。しかし、運輸はここのところ横ばいにもかかわらず、なお民生部門が伸びていると、こういう話でございますけれども、なぜ家庭用エネルギー消費は増加したか。増加は悪かと書いてありますが、増加要因には世帯当たりの消費の伸びと世帯数の伸びと2つあるわけでございまして、世帯当たりの伸びというのは、通常原単位というわけでありますが、原単位の伸びはなぜ伸びてきたかと。
 生活水準の向上は必然的にエネルギー消費を増大させてきたわけでありまして、95年以降はしかしこの原単位の伸びが止まったように見えます。後でお見せします。
 欧米先進国は早くから充足水準に達していたと思われますので、原単位はほぼ横ばい傾向で推移しております。あるいは、減少傾向に転じております。
 逆に、途上国は、今後大きなエネルギー増加が見込まれることは当然であります。したがいまして、日本は中途半端な位置にありまして、90年をベースにしますとまだ発展途上にあるというふうな動きをしておりました。
 もう1つの増加要因であります世帯数の伸び、これは人口の減少は2005年から始まっているわけでございますけれども、世帯数の伸びは当分の間、持続し、2020年と書いてありますけれども、私ども最近の推計では2015年、10年のタイムラグを持って減少に転じるものと見込まれております。
 したがいまして、2005年から減ったからといって、すぐ減るわけではないと。したがいまして、この「京都議定書」の約束期間中はまだ増え続けるわけであります。概ね3割程度は増えるんじゃないかと思います。
 今は、民生の家庭部門が40数%増えたとありましたが、原単位が10数%増えておりますし、世帯数が30%近く増えております。したがいまして、減らすとなるとどこを減らすかというと世帯数を減らすわけにいかないわけでありますから、原単位を減らすとこういうことになるわけであります。
 これもあまり議論されておりませんが、「京都議定書」の当初の目標では家庭部門は6%の増と、90年比、6%の増という数字が多分明確に書き込まれているはずであります。これは、ほとんどデータが出ておりませんので、ほとんどの方はご存じない。6%というと減少と思われるかもしれませんが、家庭部門は6%の増という目標になっていたわけであります。
 したがいまして、2010年まで、原単位が10数%伸び、世帯数が30%伸びれば、概ね40%、50%ぐらい伸びる可能性があるわけでありますから、それを6%に低減するということは、40数%、40%以上の省エネをしなければいけない。世帯数は減らせないわけでありますから、したがって原単位を減らせということになるわけでありまして、原単位40%に減らしたら、いつごろの水準になるか、1970年以前に戻ります。
 こういったあたりの数字を十分に頭に入れて議論しないと、ついつい数字だけを見て、多いから減らせとなるわけでありますが、ことはそう簡単ではないということであります。
 これが、今お話しした、塗りつぶしてあるのが総量でありまして、直線的に伸びているのが世帯数であります。90年半ばぐらいからほぼ横ばいに転じている、これが原単位であります。よくぞここで私は、横ばいに転じたというふうに思っております。これは、やはりそれなりの努力が実を結んできたんだと思いますけれども、本当にこのまま行ってくれるかどうかということは、後でまたもう一回触れてみたいと思います。
 これもよく出てくる図でありまして、ブルーのラインが世帯当たりのエネルギー消費量でありまして、黄色いラインが世帯当たりのCO2排出量でありますけれども、赤いラインは、CO2原単位でありまして、1単位のエネルギーでCO2がいくらでるか。こんなに振れてしまう、これはご案内のとおり、発電部門の動き、変動により、これだけ大きく振れる。
 左側の丸く囲んであるのは、猛暑で火力発電の焚き増しをしたために原単位が悪化したと。右側は、これはまだ柏崎の停止ではございませんで、虚偽の報告等、申告等がございまして、発電所が随分止まったという影響を受けて、やはり原単位が悪化したということでありまして、家庭部門であっても、電力への依存度がかなり高いわけでありますから、こういったものを十分勘案してお話をしないと、これまた家庭だけが悪さをしているというふうにとられてしまい、増えると全て悪いという論調は私はいかがなものかと思っております。
 それでは、原単位はどうか。1世帯当たりのエネルギー消費はどうかということでありますけれども、これは1971年から2006年まで、37年分のデータがプロットしてございます。ほぼ直線的に右肩上がりで上がってきたんですが、先ほど申し上げましたように、1995年ぐらいからほぼ高原状態になってまいりました。
 これはいわゆる私の考えで言えば、充足水準に達したのかなと思われますが、エネルギー種別に見てみますと、大分様相が違っておりまして、電気だけは直線的に増えていると、これはまた後ほど詳しく申し上げますが、ということはほかのエネルギーは横ばい傾向、ないしは減少傾向に転じているということであります。
 用途別に見ましても、総量は当然同じでございますけれども、照明、動力、その他と書いてあるこの家電製品相当の部分が随分増えてきていると。したがって、この図ではわかりにくいのですが、本当はもっとずっとたくさんつけたかったんですが、膨大になりますのでやめたんですが、給湯はほぼ高原状態で、恐らくピークを打ったと思われます。冷房も、直線的に伸びてきましたけれども、ここ10年ばかりは、やはり横ばい傾向に転じております。暖房もそういう傾向であります。
 したがいまして、暖房、給湯、冷房についてはほぼ諸外国、先進国と同じように、充足水準に達したのかなという傾向がうかがえますが、後ほど国際比較でお見せしますが、諸外国と比べると暖房の条件は圧倒的に違うわけであります。
 そこで、今、徳田課長からお話がありましたように、住宅の省エネというとすぐ住宅構造の省エネを一番最初に挙げがちでございますけれども、諸外国で住宅の断熱構造強化するのと、我が国でやるのとは相当効果が違ってまいります。それは、また後ほどお見せします。
 これは、地域別の差でありまして、当然積雪寒冷地が多くて、温暖な地域は少ない。地域的に言えば、九州にみんなが住めば、エネルギーが減るのかなという話になりますが、みんな住むわけにもいきませんが、これほど地域によって差があるということです。
 意外と多いのが北陸でございまして、北海道ほど寒くないのになぜこんなに多いのかと。見にくいかもしれませんが、緑の分が多いわけでありまして、照明、家電がかなり大きくなっているという。当然、北海道の暖房が多いのは多いんでありますけれども、北陸はそういった意味で、かなりエネルギー多消費型と言えるかもしれません。これは住宅が大きいとか、ほかの要因もございます。
 ここで、国際比較でございますけれども、これは90年を100として指標化して見ているわけでありまして、赤いラインで、90年をクロスして右肩上がりで伸びている、これが日本であります。何度も申し上げますように、95年から幸い横ばいに転じたわけであります。私は、もっとこれが右肩上がりで伸びるというふうに踏んでおりましたから、これはいよいよ大変だと思っておりましたら、幸いこういう状況であります。ほかの国々は、ほとんど横ばい、ないしは減少傾向に転じているわけであります。
 ここで見ていただきたいのは、アメリカがちょっとプロットの点数が少ないわけでありますが、さっさと「京都議定書」から離脱したアメリカでさえ、2度のオイルショックの後から国政調査で大々的なエネルギー消費統計を整備しております。毎年やっておりましたが、3年ごとぐらいでほぼ傾向がつかめるということで、それでドットが毎年になっておりませんけれども、これはそういう実績値でございます。
 あとはヨーロッパの国々は、EUが主導して、オデッセイというフォーマットで同じような書式で統計を整理しております。
 一番下がっているように見えるのは、スウェーデンということになるわけでありますが、これを絶対値で見るとどうなるか。ちょっとずれておりまして、恐縮ですが、中ほどの囲ってあるところ、ちょっとずれておりますが、これが日本であります。上が先進国で、下が途上国になるわけであります。
 先進国間で、日本を比べてみますと、ざっくり言って、ヨーロッパが我が国の2倍ぐらい。アメリカが2.5倍、アメリカはつい最近までは3倍以上ございましたけれども、2.5倍ぐらいまで縮小してまいりました。まだまだ取りしろはあると思います。ヨーロッパは2倍ぐらいであります。
 どこが違うかと、これは用途別に記してありますので、赤いところを見ていただきますと、これが暖房用であります。当然、それはドイツ、フランス、イギリスよりは日本のほうが温暖だといって間違いないと思いますけれども、例えばドイツという気候区がどこに入るかと。ほとんど東北地方と一致しておりますから、それは日本の平均よりもずっと寒いわけであります。
 しかし、それを勘案しても、日本のこの値に対して、ドイツが5倍ほどの暖房エネルギー消費をしています。なぜこうなるのか。
 これは、ドイツのボイラーメーカーのカタログから持ってきたものでありますから、何もこれは理想的な図ではありませんで、ほとんどこういう暮らしをするということが、ドイツの冬の住宅の普通の姿でありまして、右側の上、19度と書いてあるところが玄関であります。東北の気候ですから、19度なっているということは、玄関ですらちゃんと加温してあるということをあらわしているわけであります。
 右から21度が居間で、20度が食堂で、19度が台所。ドイツ人はどうも夜に寝るときに16度ぐらいに温度を下げるそうであります。アメリカは下げないで寝るようでありますけれども、ドイツは16度に下げるようです。
 左側の一番高いのが、これはバスルームでありまして、24度です。39度とひときわ高いのはこれは室温ではなくて、お湯の温度でございます。
 情けない話でありますが、ここで我が国が勝っているのはお湯の温度だけでありまして、39度では我々は寒くてお風呂には入れません。41、2度はないと風呂に入った気がいたしません。そんなことを言っている場合じゃないわけでありますが、要するに、こういう家庭の室内条件が冬じゅう担保されている、保たれているというのがドイツの暮らしであります。したがって、これだけの差が出るわけであります。
 私もいろいろシミュレーションしましたけれども、廊下まで暖房するというのは、さすがに私も思い切ってできませんで、居室は少なくとも暖房するんだという条件でやりますと、日本のすぐ下にあります韓国がございますが、韓国とほぼ同じぐらいのエネルギー消費量が必要だというシミュレーション結果になりました。
 なぜ韓国が多いか。後で、写真をお見せしますけれども、これは皆様ご承知のように、オンドルという非常に優れたといいますか、空気式の床暖房が昔から家庭に普及しておりまして、床下でかまどを焚いて、煙道を床一面に巡らせることによって、空気式に床暖房をしているということで、それが現代になりますと、温水の床暖房というのがこの国の標準装備であります。
 したがいまして、全館暖房で冬を過ごしていると、このぐらいの消費になるというのは当然であります。暖房が圧倒的に違うということです。
 ただ、先ほど来、申し上げている家庭用の家電製品等のエネルギー消費は、一番右側の緑の部分になるんですが、お手元の図で見ていただきたいんですが、日本が12と書いてあるのに対して、ヨーロッパ諸国はいずれも日本より小さいわけであります。アメリカは論外でありますから、あまり言及したくありません。アメリカで家電製品というと、プールの加温なんていうばかげたものが出てまいりまして、プールって何かなと思ったら、本当に泳ぐプールでありまして、1カ月の水泳時間を伸ばすために、プールに大きいヒーターを入れて暖めるという、そういうのが家電製品かと思いますけれども論外であります。
 イギリス、フランス、ドイツを見ていただくと、日本より少ないということです。
 待機時消費電力の国際会議に出ておりまして、日本の場合には、待機時消費電力を発生するものは30個ぐらいあると私が話をしましたら、それは13の間違いじゃないかというものですから、俺の発音はそんなにひどいかという話になりましたけれども、倍半分ぐらい家電製品の量が違うわけであります。
 確かに、ドイツ人の家庭で子どもの部屋にパソコン、テレビを備え付けて、部屋に閉じこもって打たせているという親はまずいないわけでありまして、小さいころは夜遅くなったら寝てしまえという話ぐらいですから、日本みたいに3台も4台もテレビがあるような生活をしてないわけであります。
 それでもなおかつまだここが増えているということはどういうことなんだろうか。ここは、意外と皆さん、トップランナーがあるから安心していらっしゃるかもしれませんが、考えどころだと思います。我々はどういうふうな家電製品に何を求めているのか。
 これも横道に逸れますけれども、テレビは液晶化し、昔のブラウン管方式にすると随分省エネになったはずでありますが、ブラウン管のときはせいぜい30インチぐらいがマキシマムであったのが、今は50インチ、60インチというのがどんどん出てきていると。大型化すれば当然エネルギーは多くなってしまうもんですから、液晶で省エネした分はとっくにもう食いつぶしてしまって、かえって増エネになってしまうということがあるわけであります。この辺は非常に難しい問題だと思いますけれども、そういったあたりまで踏み込んで考えないと、取れるところだけ取ってしまえという省エネでは、どうもうまくいかないのではないかと思います。
 そこでついでに、下に途上国を書いておきましたので、見ていただきたいんですが、中国がちょうどデータが入ったものですから、ほかの国はなかなかうまいデータがとれなかったんですが、中国を見ていただきますと、都市と農村と書いてありまして、都市部のほうは、エネルギー消費が少なくなっているわけであります。
 農村部のほうが多くなっている、通常はこんなことはないわけでありまして、都市部のほうが生活水準が高いから、エネルギー消費が多くなるわけです。ここは、用途別に書いてありますから、わかりにくいんですが、本当はエネルギー別の資料をお見せするとすぐわかるんでありますけれども、中国の農村部の暖房とか給湯と書いてあるのは、何で暖房を給湯しているかというと、まさにおじいさんが山に芝刈り、芝とか稲わら、農業廃棄物でやっているわけです。
まさにバイオマスなんです。みんなが好きな低炭素であります。
 じゃ、なぜこんなに多くなるかというと、有効効率はほとんど10%ぐらいだと思います。熱が有効に利用されるのは。ほとんどは大気に捨ててしまっているという使い方でありますから、これを10%から20%くらいの効率をかけていただくと、ここが急に小さくなって、都市部よりエネルギーの絶対値は小さくなります。
 ですから、アジアの農村部に行きますと、まだまだこういった今ように言えば、バイオマスでありますけれども、プリミティブなエネルギーで生活をしているということです。ここをどう考えるかという意味で、前回私はあえて後出しでお話しさせていただいた、低炭素社会という言葉は先進国の思い上がりじゃないかと思うわけであります。
 途上国に行くと、十分彼らは低炭素社会で生活しているわけでありますが、彼らの効率を上げるだけでも、森林資源は随分セーブされると思いますし、一気に化石燃料に行かない選択肢だってあると思いますけれども、放っておくとこのまま先進国型の生活を彼らはいいものだと思って真似ていく。となると、日本で考えているよりはるかに恐ろしいことがあっちこっちで起きるのではないかと思うわけであります。
 これが中国農村部の柴です。本当は、「おじいさんは山に柴刈りに、おばあさんは川に洗濯に」というフレーズがあるんですが、今の若い人はほとんどおわかりにならない。ここの中の半分の方はおわかりいただけるんじゃないかと思いますけど。これが、柴であります。
 これが、インドネシアの台所ですから、見ていただいたらわかりますように、赤い火が手前に見えているぐらいですから、有効に使われるのは恐らく10%以下で、ほとんどの熱は逃げていると。ここを例えばペレット化してやるとか、かまどを工夫してやるということをやれば、いきなりこの燃料は恐らく2分の1、3分の1が減るわけでありますから、もっと違ったパスがあるはずだと思います。
 これがインドネシアのちょっと進んだところでは灯油コンロであります。日本でも一時ちょっと出たことがありますが、灯油の匂いがつくので料理にはなかなか向かなかった。ほとんどみんなこういう生活を望むわけであります。
 将来のことについて、私の研究所で推計したデータがありますので、今日はお見せしたいと思います。
 用途別エネルギー総消費量の推移ということで、ここはお手元にはなかったかもしれませんが、1990年から2005年までが左4本でありまして、一番右が2015年と、残念ながら今日、お約束でちょうだいした2050年までというデータは私は持ち合わせておりませんで、とりあえず2015年まで持ってまいりました。
 これを今後のBAU、自然体ケースで推計すると照明、家電、冷房需要は増加し、給湯、暖房、厨房はほぼ横ばい減少傾向。これが住宅の高断熱化、外部化、世帯人員の減少等がきいてくるわけであります。それでもう2015年でまだこれだけ増えるということであります。
 これは、同じ調査の中で、省エネの意識というのがエネルギーにどれだけ関係するかというと、変数として入れようと思ったものですから調査したわけでありますが、2,000サンプルぐらい取りました。これは前回申し上げたことのデータでございますので、中ほどが一般の平均世帯であります。これに対しまして、省エネ行動、省エネ意識の高いと思われる、そこに○をつけていただいた家庭でのエネルギー消費量は約2割少ないわけであります。
 ところが、そういうことに頓着しないで、どんどん使っていらっしゃると思われるような、多消費世帯と我々が名づけた世帯は3割も多いわけであります。だから、多消費世帯と省エネ世帯は、同じ日本の空間で暮らしていても、下手すれば倍半分ぐらい年消費が違ってしまう。したがって、人々の意識というのは非常に重要だということです。これは、15年ぐらい前に経済企画庁の委託で同じような調査をやったことがございますが、全く同じような結果が出てまいりました。
 したがって、やはり不断の努力で普及啓発ということをやり続けて、人々に意識から行動に移ってもらうということを着実にやっていかなければいけない。後で、ビルの例もお見せしますが、ビルでもほとんど同じような結果が出てまいります。
 これは、将来予測結果で、省エネ型のケース、平均の家庭が省エネ型の世帯にシフトしたらどうだと、これは明らかに下がるわけであります。BAUが2,072という数字に対しまして、1,892ですから、相当下がる。合計で4%ぐらい下がってくる。都市ガスは10%。ただ、電気だけ増えてしまうわけであります。右側は、エネルギー種別でありまして、2005年をベースにして2015年を推計しますと、ほとんどのエネルギーは下がってくるわけでありますが、電気だけは増えるという結果が出てまいりました。
 電気は二次エネルギーでありますから、ほかのエネルギーは一次エネルギーということで、若干性格は違うんですけれども、やはり豊かになると利便性の高いエネルギーにシフトするという傾向がここでもはっきり出てきたわけです。
 これはシナリオ4で、また違ったシナリオでございますが、省エネ技術、例えば燃料電池も含みますが、家庭用のコジェネであるとか、エコキュートであるとか、エコジョーズといったようなボイラー、そういう省エネ技術を導入したらどうだろうということで、これは先ほどの省エネ意識よりもう少し下がりまして、5ポイントほど省エネが達成できるということになるわけでございます。
 それでも、1990年と比べればかなり増えていることになりますけれども、省エネ技術を入れるとかなり減りそうだという傾向がこれで推計できたということです。
 ここでもやはり電気が伸びるんですが、ほかのエネルギーが落ちてくるという傾向が明らかに出てきております。
 どんな要因分析かというのがここの例でありまして、詳しくは時間がありませんので、割愛いたします。
 家庭部門の省エネ、これはよく使う、横にエネルギー消費量をとって、縦に快適性、利便性をとっていまして、途中までは製造に必要なエネルギーですから、エネルギー技術を使っても快適性、利便性は上がらないわけですが、それから先は快適性、利便性を上げるためにエネルギーを使うわけであります。
 一番右に行きますと、エネルギーを使って消費量が増えても、快適性、利便性が上がらないのは、これは無駄なエネルギーであります。まず本当はここをカットする。この例の一番大きいものが待機電力だと思いますが、節約、我慢とあるのは、我々が日本のオイルショックのときに、節約、我慢という行動をした経緯がありますが、本来の省エネルギーというのは、この黒いラインからブルーのラインにシフトさせる、これが本来の省エネルギーだということになるわけであります。
 これが、住宅における省エネで、我々電力消費量を実測したデータを分析したものでございまして、1992年に我々が初めてこのデータを見たときにびっくりしました。黄色い部分でありますが、夜中でも延々とついているものがあるわけです。しかも200ワットもあるわけです。何がこんなにあるんだろうかという話をしまして、留守の日があるはずだということで、留守を抜き出しますと、冷蔵庫はちゃんと計測したわけでありますが、冷蔵庫以外にこんなものが出てくる。どうなっているんだという話になって、いろいろ考えていると、どうもこれが待機時消費電力らしいということになってきたわけです。
 その後、これはもう大分後になってですけれども、調査した結果ですが、これは割と新しいデータだと思いますけれども、待機消費電力が300kWh、我々が当初大体的に発表したときは、400kWhを超えておりましたけれども、全国でそれを電気代に換算すると、4,000億から5,000億ぐらいが待機時消費電力に消えてますねという話になるわけであります。
 これはいろいろなことをすると、待機時消費電力が減らせますよということで、全く、プラグを外してしまうわけにはいかない機器もありますので、ものによりけりですけれども、それでも半分ぐらいには簡単に減らせるんではないだろうかということです。
 現在、家庭で使用されている使用電気機器の待機時消費電力、赤いラインが引いてあるのが1Wラインでありまして、1Wを超えるものはかなりあるわけです。
 色が変わって、赤や青になっているのは、これは家電製品ではなくて、石油製品であったり、ガス製品です。ガスや石油機器にもコントローラーを初めとする電力が使われておりまして、そこでの待機時消費電力が発生しているわけであります。
 一番左にひときわ高いのは、これは衛星放送のチューナーであります。これは国際的にも大変問題になっております。セットトップボックスというものでありまして、24時間365日つけっぱなしになるものですから、これをどうするかとここで問題になっております。ここでも14W近い待機時消費電力ですから、相当な量になるわけであります。
 ところが、今市販されているものになりますとかなり1Wを切ってまいりまして、際立って大きいのは石油の温水器であったりするわけでありますが、だんだんと待機時消費電力については、自主規制が引かれて減ってきております。
 なぜ規制をあまりかけないで減ってきたかというと、主婦の方々がおうちでコンセントからプラグを抜いて、試験的にやられてみたら、1カ月後に電気代が下がったというので、口コミであっと言う間に、待機時消費電力の噂が広まりまして、メーカーは最初に私に文句を言っていましたけれども、こんな1W、2Wのことで、もっとほかにやることがあるだろうと。大抵の人はそういうことをおっしゃる。サマータイムもそうですね。ほかにやることがあるだろうと必ずおっしゃられるわけでありますけれども、1つ1つが大事だよと、合わせれば大変なんだからといって、それでも相当抵抗なさっていましたが、主婦の方が声を大きくするとあっと言う間に動きまして、我が国だけは自主規制的にメーカーが待機時消費電力を減らすということで動いてくれて、極めて成功いたしました。
 その成功例をヨーロッパに行って、報告しましたら、私の国では無理だと。特に、ドイツなんかは無理だと。どうしてですかと聞いたら、検針は1年に1回ですと。1年1回に検針して、翌年の電気代は12カ月分割して払ってもらうと。そしてまた翌年1年たったら検針するわけですから、何で増えたか減ったかわからない。日本のように1カ月ごとにやってくれるとすぐわかるねという話になりまして、けがの功名かもしれませんが、いまだにヨーロッパ、アメリカ、オーストラリア、お隣の韓国、待機時消費電力をいかに規制するかと苦心されています。
 ただ、それでうまく行ったのはいいんですが、どうもそこでちょっと息を抜いたようなところがありまして、まだまだやっぱり手綱は締めなければいけないと思います。パソコン等でお使いになるような変圧器、ああいうものはまだまだ熱を持ったまま待機時消費電力を発生しっぱなしでありますし、細かく詰めればまだほかにもやらなければいかんことがあると思います。
 高効率の給湯器、これはもう皆さんご承知のとおりでありまして、今までは潜熱回収型として今までは排熱として捨てていたものを回収して、今まで82、3%だった給湯器の効率を95%に上げたと。これは多分限界だと思います。
 その上、エコキュートといわれるものでありまして、いわゆるエアコンと同じようなメカニズムでお湯を沸かす。COP3と書いてありますが、新しいものはCOP4ぐらいに行っております。また詳しくお話をしている時間はないかもしれませんが、使い方によって効率が発揮されたり、発揮されなかったりするわけであります。
 エコキュートというのは、夜間の電力を使って、コンプレッサーを回してお湯をたまる。そこまでは非常に効率がいいわけでありますが、貯めておくわけでありますから、そのローテーションがうまく回ってくれないと、あまりお風呂に入らなかったりすると、放熱ロスだけをまた翌日温めるなんていうことになりますと、有効な熱として利用した分の効率から考えると随分効率が落ちてしまうということになりますから、やはり身の丈にあったというか、暮らしのスタイルに合った形でこういうものを入れていかないと、数字上は、極めて省エネが希求でありますが、ミスマッチになってしまうとせっかくの効用が発揮できないということもあるわけであります。
 右側のガスのコジェネーションでもやはり貯めるわけでありますから、そういったことはあるだろうと思います。
 その点、左下の瞬間型湯沸かし器、これはいるときに沸かすだけですから、放熱ロスはないということです。
 アメリカではなんとほとんどが貯湯型の給湯器でありまして、瞬間型にするだけで省エネ機器だとなるそうでありますから、日本人はもともと省エネ機器がスタンダードでありまして、随分違うなという気がいたします。
 トップランナーはお話があったとおりであります。
 トップランナーも随分この基準を決めるときには、製造側サイドからクレームがついてまいりました。
 なぜ、トップランナーというかというのは、今までの省エネの基準の決め方は市販されているものの平均効率をとって、それを2割強化するか1割強化するかということで次の省エネ基準を決めていたわけですが、平均をとっていますから、当然それを上回る効率のものが既に市場に投入されているわけでありますから、技術的には、市場でも売られているんだったら一層一番いいのにしたらいいじゃないかというので決めたのが、トップランナーでありまして、そういう意味では、これは和製英語でありまして、トップランナーという言葉は向こうに行ったら通じません。これはフロントランナーというのが正確であります。
 しかし、これまたけがの功名で、トップランナーというと日本のすごい省エネ基準であるということは世界中で認知されておりますから、これはこれでよかったかなという気がいたします。
 これは、トップランナー機器への買い替えで、エアコン、冷蔵庫、テレビ、10年前と書いてありますが、今はもう十数年前になるかもしれませんが、エアコン、冷蔵庫、テレビを最新のトップランナー機種に替えると、電気代だけでも3割近くはセーブできます。
 そういう意味で言えば、2030年、2050年という時代になれば、ほとんど全てのうちの家電製品は、間違いなくこれ以上の効率に変わっているわけでありますから、うまくいけば今の家電製品のエネルギー消費量は半分になる可能性は十分にあるわけであります。
 時間があるということは、非常にメリットがあります。京都までに何とかしろと言われると、これは無理なので、そこを何とか買い替えろという話をするわけでありますから、まだ使えるのに何で買い替えるのという話とバッティングするわけであります。
 これは、省エネによる追加的効果の例と書きましたけれども、釈迦に説法でしょうが、左の家に比べて右の家は、断熱材等でくるんであって、高い断熱性がある。そうすると、快適性も上がるわけですね。エナジーベネフィットとノンエナジーベネフィットという言い方をするわけでありますが、ついつい我々はエネルギーだけに着目しがちでありますけれども、こういう断熱化を強化してやることによって、室内の居住の快適性が格段に上がるということで、足元が寒いなんていう状況がなくなってきて、室内が均一に暖まるということで、今度は逆に低い温度でも快適性が上がるということになるわけです。
 そうしないでどんどん温度差がついてしまうと天井だけ暑くなって、下は寒いということで、そうするとかえって熱量を多く突っ込まなければいけないという話になるわけでありますが、快適性も上がるという例であります。
 日本の省エネ基準は、こんなふうに地域別に寒いときには厳しく、暖かいところはやや緩いというふうに決まっております。
 ガラスの単板ガラス、これが一般に使われているわけでありますけれども、複層ガラス、しかもlow-Eガラスといわれている断熱性の高いものを使いますと、窓からの熱の逃げ方が3分の1以下に減るというわけでありますから、フランスで、二重ガラスにすることを強制するというのは、先ほどお見せしたような暖房条件を保っているわけでありますから、それは相当効果が大きいと思います。
 日本の場合には、例えて言えば、コップの中に水が半分以下しかたまってない、向こうは目いっぱい水がたまっているわけですから、穴をふさげば漏れも大きく防げるわけでありますが、日本は残念ながら暖房の水準がコップに水が3分の1ぐらいしか入ってないわけでありまして、効果がないわけじゃありませんけれども、フランスやヨーロッパのような効果にはつながらないところが、これがなかなか悩ましいところであります。
 これは、熱損失係数基準の国際比較でありまして、日本の基準は黒くなっている次世代と書いてある、これが先ほど来、ご説明があって、今、30数%になっていると、これを66%に高めなければいけないというのが次世代基準であります。日本は、旧基準、新基準、次世代、3バージョン目でありますが、国によっては4回、5回、これを改定した国が多いわけであります。
 寒冷地においては、これは右に行くほど寒い気候で、左に行くと暖かいということです。ドイツが途中で切れたような、ドイツの気候は真ん中しかないということでありまして、日本は沖縄から北海道までありますから全部入っています。アメリカも本当は突き抜けて、アラスカがあってハワイがある。本当は入りきらないと思いますが、線が途中で切れているのは、あの間にあると、相対的に寒い地域の基準に対して日本は国際水準並みになりましたが、右から、一番高いのから一段下がった日本の次世代という字が書いてある上ぐらい、これが東京、大阪、名古屋という、ほとんどの人が住んでいる地域をカバーしているわけでありますが、ここの基準が実は日本の省エネを左右するわけです。
 次に、業務用のエネルギーであります。これも業務用のエネルギーでありますが、これはとにかく増えていますよということです。床面積が増えています。これもエネ研が推計したデータでありますけれども、床面積のデータ自体もこれは日本にはないんですね。業種別に床面積がいくらあるかというデータが日本にはないんです。住宅は住宅統計調査というのがありますから、住宅の面積等は追えるんですが、業務用はないんです。
 ですから、これはいろいろな家庭で我々一緒に推計した結果でありますが、床面積がどんどん増えている。これがある意味で言えば、日本の家庭用の世帯数みたいなものでありまして、床面積がどんどん大きくなるから増えるということです。
 それから、もう1つは、原単位になるわけであります。
 ところで、民生の業務用と一口におっしゃいますが、みんなこれは業種によって随分違うわけです。
 これがあまりにもみんな十把ひとからげに話してしまうものですから、話がおかしいのではないかというわけであります。
 ここで並べましたのは、事務所、大型小売店、コンビニ、飲食店、ファミレス、病院で、ファミレス、ファーストフードと事務所でこんなに違うわけでありますし、例えば学校でも幼稚園、大学、試験研究機関、下の半分はホテル、旅館、その中でも、旅館とホテルは違うわけです。ホテルの中もよく見ると、ビジネスホテル、リゾートホテルでは違ってくるわけであります。
 ここで、各業種にキャップをはめて、指針をつくろうとすると、かなりブレイクダウンして話をしないと、同じ業態で括っているにも関わらず、全然話が違ってくる。特に、これがよく私が話す例でありますが、これは飲食店ですね。喫茶店はともかく、日本料理店と中華料理店では3倍ぐらい違うわけであります。ラーメン屋とすし屋とは私が言った例でありますけれども。それを飲食店平均ですねと言われたって、この数値は何をあらわしているかって、意味がないわけです。
 だから本当に指針をつくって、キャップをかけて、省エネを進めていこうとするならば、ブレイクダウンしてやっていかなければいけない。日本にはマクロのデータもないのに、いきなりこれはどうするんだという話で、環境省も苦労されていると思います。もう1つ別の委員会でご相談を受けているものがありますけれども、そういう意味でもっともっと細かいところから見ていかなきゃいけない、これが業務用の特徴であります。
 それをあまりにも民生は家庭と業務ということで、一括りで話すには、私から聞いていれば、素人が言っているとしか思えないわけであります。
 業務部門の省エネでありますが、いろいろありまして、BEMSと書いてありますが、これは、Building Energy Management Service、これはビル部門ではほぼ標準的な装備に変わりつつあります。
 ビルをIT機器を使って、計測して、それで適正なエネルギーマネジメントを行っていくということでありまして、小さいビルには入ってないんですが、日本の大型のビルですとほとんどこれはもう標準装備になりつつあります。通常BEMSと呼んでおります。
Home Energy Management Serviceというのがあるんですが、これは通常HEMSと呼んでおります。
 これは、実験を我々も経産省のプロジェクトで実験をやりましたが、日本の場合は、まだHEMS自体にスマートなシステムができてないもんですから、センサーのようにエネルギー消費量が多くなったりして、何をやっているかわからなくなって、結論を書くのに苦労したことがありますが、センサーの効率がよくなればこれだけ出るなんて、苦しい書き方をした覚えがあります。
 ただ、最近の様相で行きますと、このHEMSというのは、かなり進んだ形で、総務省、あるいは経産省で、新しいプロジェクトでつくられそうでありますから、ここは間もなく家庭でもアベイラブルなハンディな機器が出てくるのではないかというふうに期待しております。
 ESCO事業、これは、省エネに関する包括的なサービスを提供して、省エネを行う事業でありまして、どんなことをやるかというと、エネルギー診断に基づいてまず省エネの診断をしまして、まず省エネの提案を行う。それを受けて、省エネ設計及び施行を行って、保守、メンテナンスをやる。それから、エネルギー供給に関するサービス等、いろいろな一連のことをやることを、ESCO、Energy Service Companyの略であります。
 これは、こういう横文字を使っているということは、アメリカでできたビジネスモデルだからこう呼んでいるわけであります。
 左側が省エネをやってないときの光熱費支出で、真ん中が省エネをしたら、光熱費支出が下がるわけであります。その浮いた部分で全ての経費を賄うというのが基本でありまして、省エネにかかった経費、あるいはそれにかかわるコストというものを全部賄う。それを何年か、同じ光熱費水準で払っていくと、契約期間が終了すると全ては顧客の利益になるわけでありますが、CO2を減らすという意味においては、ESCO事業を実施したら、たちまちCO2は減ってくるわけでありますから、そういう意味では、こういうビジネスモデルを使った省エネをもっと進めるべきでありましょうけれども、なかなか一般にまだよく知られてないようでありまして、普及してないところがあります。
 ESCO事業で採用される省エネ対策としては、あまり革新的な技術を入れにくいというのは、革新的な技術というのはどうしても高くなりますから、浮いた経費でなんていうと、経費が浮かなくなってしまうもんですから、プリミティブな技術の組合せになりますけれども、それでもかなり稼げます。多いときには、20%近い省エネを達成した例が幾つも出てきております。そういうESCOの例であります。
 これは、家庭のところでお見せしましたように、意識でどう違うかというビルの例でありまして、真ん中がゼロと書いてあるラインが平均だと考えていただいて、一番左に下を向いて出ているのがオーナービルで、自社ビルの場合には、平均に対して14%エネルギー消費が少ないということです。
 オーナーが50%以上入っているビルでも13%ぐらい少ない。ところが、全部テナント、貸しビルになると14%ぐらい多くなってしまう。
 だから、家庭と同じです。意識によってプラスマイナス30%ぐらい差が出てくるということであります。やはりビルにおいても非常に難しいんですが、ビルの場合には、テナントがそのメリットを被るのか、オーナーがメリットを被るのかというふうな違いがあるもんですから、なかなか貸しビルというのは省エネが進んでこないわけでありますが、ここをどうするかというのは1つの政策的なポイントかと思います。
 これを進めるためにラベリングをして、このビルは優良ビルである。優良な会社は優良なビルに入るべきだというふうな風潮が高まってくれば、少しこういう意識のずれはなくなってくると思います。
 最近の外資系の会社は、日本に来て、ビルに入ろうとするときに、このビルは省エネですかということを聞くと、条件に入れるということも聞いておりますから、あながちそういうことは無理ではないのではないかと思います。
 終わりにということで、何回も申し上げますが、地球温暖化、低炭素といいますけれども、低炭素は金持ち社会の標語じゃないかと。途上国にとってみれば、低炭素と言われたら、何のことだということになるので、やはり省エネとエネルギーは効率的に使うということは、これを前面に押し出してやったほうがいいのではないかというのが私の個人的な見解です。
 先週もハノイに行ってきたばかりでありますから、余計感じるわけであります。
 ちょっと長くなりましたが、以上であります。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 いろいろとデータが取りにくいところを大変明解にご説明をいただいたと思います。
 それでは、先ほどの事務局からのお話も含めまして、いろいろとご意見、ご質問おありだろうと思います。名札を立てていただけますでしょうか。
 皆さんが立てていただいている間に、大体こういうデータが家庭の場合、所帯当たりというあれは世帯の構成というのは、例えば北陸と東京じゃ大分違いますね。3世代住宅が多いという。ああいうところがこれにあらわれて、そのままで出きてしまうということですか。

○中上委員 今お見せしたのはもう全部入ったデータになっていると思いますが、ブレイクダウンしようと思ったら、できなくはないんですが、部分的に。ただ説明変数がなかなかないもんですから、できるものとできないものがあります。

○鈴木部会長 世帯当たりですと、3世代住んでいますと、東京のような核家族の場合と圧倒的に比較が難しいんじゃないかなという気がしたんですけれども。

○中上委員 何世代で住んでいるかというところまでデータがないので、せいぜいとれるとしたら世帯人員が幾らかまでしかデータが取れないんです。だから、本当はそういうものをセットで取れるようなデータベースを整備してもらわないと具体的な施策になかなかつながらないということになると思います。

○鈴木部会長 エネルギー消費統計が存在しないというのは実に不思議な感じがするんですが、これは何か意図的に取らないんでしょうか。

○中上委員 いや、私はむしろそれはお役所の方にお聞きしたいんですけれども、データベースを取るというのは非常に地味な作業でして、しかもかなり大規模、大掛かりなことになると思います。しかも単年度ではなかなか結果が見えてこなくて、しばらくやっているうちに、全体像が見えてくるというふうな性格があるものですから、お役所の方々のお忙しい何年かで切られている時間の中でやろうとすると、そんなことをやっているよりはまず先に対策というふうになっちゃうんじゃないかなと思うんですけれども、その繰り返しで、今までこうなってしまった。
 もう1点は、公式統計に載せようとすると、縦割りの弊害が若干出る場合がるんですね。学校は文科省、病院はどうだというふうになってくると、結局、横串に刺して全体が見えないという話になりますから、ある意味では、ルーズな形で全体像が押さえられるような仕掛け、そうしないと先ほど先生がおっしゃったように、世帯構成の話は総務省じゃないかとか。そうなってしまうもんですから、説明変数も一緒にとってデータとしようとする場合には、公式な統計に載せるとまず使いものにならない可能性があると私は思っています。

○鈴木部会長 いろいろ面白い問題があるようです。
 それでは、今、名札を立てていただいている方、浅岡委員から順番にまいりましょうか。
 時間が限られておりますので、簡潔にお願いできればと思います。

○浅岡委員 1つは住宅・建築物につきまして、自主的、あるいは一定の平米数のものに一定のテストをするという形をとっておりますけれども、そうすると小さいところ、一般の住宅というところがやはり取り残されていくと思うんですけれども、意識の普及ということが本当は望ましいところですけれども、なかなかそれができない。
 そうしますとやはり建築基準とか、あるいは炭素税的に電力消費もやはり加算されていくような意識づけをするものとか、やはりそういうものがないと、おっしゃるように、全体に浸透させようということは難しいのではないかと。
 また、建築物の賃貸につきまして、大手のところはそうしていろいろな配慮をしながら選ぶということがあると思うんですけれども、むしろ貧しい層、あるいは所得が少ない層の人たちは、ランニング費用を軽減していくという意味での社会的な効果もあると思うので、フランス、ドイツがやっていますような賃貸住宅でのエネルギー消費量の表示義務みたいなことをして、賃料とのトータルで選ぶんだと、そんな意識づけをするみたいな、やはりそういう仕組みが必要なのではないかと思う点が1つです。
 それから、もう1つ、日本も確かに電気製品の数が多種類であること、また大型化していること、両方顕著だと思うんですけれども、大型化を進めないための仕組みづくりというものがないだろうかと。私たちも大型はやめましょうと言いますけれども、あったら買ってしまうところがあると思います。そこでそうして誘導するにはどうしたらいいかお考えがあれば教えていただけたらと思います。

○鈴木部会長 では、植田委員。

○植田委員 1点目は、先ほど議論になったことでございますけれども、全ての課題の、横断的と書いてありましたが、「見える化」するというのは一番基本にあるということだと思いますが、そのエネルギーに関するデータベースがないのに、何が「見える化」かということになると思います。
 これはなぜできないのか、もう少しきちんとした形でどうやっていくかということを含めて、はっきりさせないといけないんじゃないかと思います。
 私も地域の首長さんに相談されたりしますけれども、やはりどれだけ減らしていくことについて効果があるかとか。現状がどうかとかいうのは、このデータベースがないとやはりはっきりしないんじゃないかと思うんですけどね。
 ちょっとそこのところはどうなっているかを、少し明確にする必要があるんじゃないかというのが1点目です。
 それから、中上委員のご報告はとても面白かったんですが、ちょっと漠としたことで、1つは細かいことですが、テナントビルの話なんですけれども、これは意識の問題というのは、より具体的には料金の払う方式の問題は何かありますかありませんかということです。つまりエネルギーに関する費用をどういうふうに払うかという問題があるかないかということですね。この点、ちょっと教えていただきたいと思います。
 それから、あとは一種の省エネの推進にかかわって、技術的ポテンシャルがいろいろたくさんあるというような感じはしたんですけれども、先ほどの図の中で、充足水準を変えずに、本来の省エネとおっしゃった部分、その部分は一体どのぐらいあるかというのは、漠とした数字みたいなものはあるのでしょうかということをちょっとできたら教えていただけたらと思います。
 ちょっとほかにもありますが、一応これで。

○鈴木部会長 では、逢見委員。

○逢見委員 前回の議論でも低炭素社会というのは、2050年という非常に長期のイメージがあるんですけれども、実際には、いろいろなステップで、ある時期までにこういうことをやっていこうということを考えると、そんなに長期の問題ではないということだと思います。
 そういうことで、今日のテーマである建築物とか住宅を考えますと、住宅というはいったん建てると、かなり長期で維持しなければいけないわけですから、住宅・建築物を建てる際に、どれだけ省エネなり、エネルギー効果のある建築物を建てるかということが重要だと思います。
 いろいろ省エネ法とか運転法とかやっていますが、長期で考えたときに、今世界の労働組合で、グリーン・ニューディール政策をとるべきということを言っておりまして、こういう金融危機のときに政府が財政支出する際に、長期にわたって効果のある政策に重点的に財政支出をすべきだと。
 日本でも、日本版のグリーン・ニューディールとは何かということをいろいろ我々も考えているんですが、例えば200年住宅、そういったものになると思うんですね。そういったものを政府が積極的にイニシアティブをとる、あるいはグリーン税制という中で、そうした税制面での優遇措置をとる。今回、大型の住宅減税をやると言ってますけれども、全然メリハリがなくて、何を重点でやるのかと。住宅を建てれば何でも減税なのかということではないはずなので、例えばそこにグリーン化という視点を入れるとか、そういうものを政府が打ち出していく必要があると思います。
 そういう意味で、200年というのを「見える化」、あるいは中上先生のお話ですと、ESCO事業の中で、いろいろな診断する中で、アドバイスすることを行政的にもそれを支援するとか、そういうことを通じて、長期の住宅を普及していくという、そのインセンティブを強めていくということが必要ではないかと思います。
 白熱電球の省エネ切替えは、これはある期限を切って、ある時期にはもう全部切り替えるんだということを1つの行動計画として示す必要があるんではないかと思います。
 今年の7月にまとめた行動計画は、なかなかそういう期限、いついつまでに何をするというのはないものですから、今度の低炭素社会のイメージづくりのときには、いついつまでにと、早い時期にできるものはやるということを示す意味で、白熱電球の切替えというのは、1つのメッセージとなるのではないかと思います。

○鈴木部会長 鹿島委員。

○鹿島委員 ありがとうございました。中上先生に、ちょっとお伺いしたいことがございます。
 まず第1点目は、今日の話というのは、実は2つの中身が一緒に入っているというんでしょうか。1つは長期的な、住宅は新規に建てますと20年から40年、ビルですと同じくくらいで、ところが、家電製品というのは5年とか10年とかというサイクルで変わってくるという、要するに住宅の中にはいろいろなサイクルで動いていくものがあって、それに応じてものを考えていかなければいけない。
 今、議論している2050年であれば、新築の住宅とか新築のビルに対しての云々という話は非常にそれなりにわかるわけですけれども、そうではないもう少し短いものについてどうだろうと、こういうことが1つ。ここは、分けて考えていかなければいけないのではないかということです。
 ただ、短期的なことは大切ではないということではなくて、これはこれでまた短期的な対策とかあるいは中期的なものとして考えていかなければいけないだろうと。ここでも分けて考えていくことが必要じゃないかということが、この会議としては必要じゃないかという気がいたします。
 私は、どちらかというと短期的なほうに興味があるので、そちらのほうについてご質問したいと思いますけれども、3点ほどございます。
 1つは、最近、偶然だったと思いますが、エネルギー価格が急速に上がっていったと、このときに家庭部門でのこのエネルギー消費の価格弾力性というのはどのくらいになったというふうにお考えなのか。家計費統計を使って分析をなさったということだったので教えていただけたらと思います。
 私は、運輸部門、交通部門の分析をしたところによると、やはり数年ぐらいのタイムラグがあって、なかなかエネルギーが下がったから、すぐ家計費部門はエネルギーの節約に走るという傾向ではなかったんですが、家庭で使うものはどうでしょうかということが1点目でございます。
 それから、これは、関係府省のご説明にも関係するのかもしれませんけれども、私は、住宅の取引の際に、住宅の性能表示の中にエネルギー関係のものを加えるべきじゃないかと。これを義務化したらいいんじゃないかというふうに考えているんですけれども、これはどういうふうにお考えでしょうかということでございます。
 それから、3点目は、新築の住宅については、100万戸とか百数十万戸、ほかの面の政策もありますから多分安定して動いていくんだろうと思うんですけれども、修理事業というのは、これはそれよりもずっと短いサイクルで、例えば5年とか10年とかというサイクルで、必ず住宅の場合には、修理事業が起こりますけれども、こういう修理事業を対象にしたときの省エネ対策というんでしょうか。それとかつそれに必要な技術開発というのがもしお考えがおありなら教えていただければと思います。以上でございます。

○鈴木部会長 大聖委員。

○大聖委員 4つほど申し上げたいと思います。
 1つは、日本の家電というのはかなり高効率化していますけれども、これが日本の消費者に特化した家電製品というのがかなり多くて、よく言われることですけれども、ガラパゴス化しているというのは非常に残念だなと思います。やはり技術的な意味での国際貢献を考えますと、こういったものも広く諸外国で、とりわけ新興国や途上国で活用できるものを開発していかなければいけないのではないかと思います。
 それから、太陽エネルギーの活用の中で、今、太陽光の光のほうだけに光が当たっているわけですけれども、実はエネルギー的な回収を考えますと、太陽エネルギーをもっと活用していいのではないかということで、中上委員、日ごろ強調されておられますけれども、今日は、あまりその点がなかったかなというふうに思いました。
 それから、もう1つは、最近は家電の中でもエアコンのヒートポンプの効率が飛躍的に上がってきていまして、特に寒冷地での暖房能力、これが大幅に性能アップしております。やはり灯油や天然ガスを直接燃やす方法からこういったものへの転換というのを図りますと、かなり省エネになると思います。
 それから、最後に、今、鹿島委員がちょっとご指摘になったことと重複しますけれども、住宅のライフサイクルというのはものすごく長いわけで、そういった断熱向上技術を改修時にうまくやっていくような、そういう技術、それからそういった制度が必要ではないかなと思います。それに対して、改修を行うときの費用対効果をはっきり明示して、そういったものがやりやすいような仕組みをうまくつくる必要があるのではないかと思います。以上です。

○鈴木部会長 西岡委員。

○西岡委員 2つありますが、1つは、全体のお話といたしまして、技術としては、もう十分なものが多分あるし、また今後の発展を考えると技術がネックというよりもむしろ社会的なネックだというお話が1つあったのではないかなと思っております。
 全般に住宅につきましては、建物から始まりまして機器、それから住まい方について全面的に展開する必要があるかとは思っております。しかしながら、どこがまず最初に、どこから手をつけていったらいいんだろうか。やはり規格の話、ものがなければ動かないのかというようなこともありまして、その辺のプライオリティはどうなっているのか。
 それから、もう1つ、誰が主導権を取ってこれをやるんだろうか。例えば、先ほどのビルのオーナーの話というのは、非常に重要だったわけですけれども、現在東京都がそういう面で強く指導してやっているというようなことで、どこに行政的なポイントがあるんだろうかというのが2つ目の質問であります。
 最後ですけれども、先ほど、低炭素社会という言葉について、国際的ではないかもしれないという話があったんですが、これをもう少し世界的に、我々がどういう方向を目指していくのかとわかるような言葉は何かお持ちでしたら教えていただきたい。
 といいますのは、私ども、低炭素社会というと、非常にわかりにくいという意見をいただくものですから。本当は「気候安定社会」というのが大基本。その手段としての「低炭素社会」、あるいは「ローカーボンエコノミー」という言い方をするのが多い。
 省エネ社会といいますと、これは例えばカーボンをどうやって減らすかということと直接つながらないという感じもありますし、持続可能な社会の一歩だというような言い方は非常にまどろっこしいとかいろいろありまして、もしそういうアイデアがありましたらぜひ教えていただきたいと思います。

○鈴木部会長 三橋委員。

○三橋委員 今、金融危機を源流とした不況が非常に深刻な中で、例えば2兆円の給付金の話なんかが出ていますよね。ああいう議論が現実的に行われている中で、例えばこの審議会で議論をするときに、白熱電球を例えば省エネ型のランプに切り換えることで新規需要を生み出すことが可能だとすれば、2兆円の給付金の一部を活用して、白熱電球を省エネ電球に切り換えるため、家庭に無料で配布するなどの提案を官邸に提案することはできないのでしょうか。
 先ほどもちょっと出たと思いますが、積極的にグリーン需要を喚起するような具体的な提案を出して、政府に実行させるような働きかけというのはできないんでしょうか。
 この審議会で様々な議論が完結しちゃっていますが、現実の政治の動きに対して、新規需要の喚起について、たとえば、グリーン需要の中味を具体的に提案できれば、政策に反映させることも可能だと思います。福田ビジョンでは省エネランプを2012年をメドに、省エネ電球に切り換える計画がありますが、これを前倒しして新規需要の掘り起しをすべきだと官邸に提案すべきです。今いろいろな形の景気対策が打ち出されていますが、いずれも公共投資も含めて従来型のものばかりで、波及効果はほとんど期待できません。
 しかし、環境関係の分野では、太陽光発電などのように、需要が伸びてくるような分野があるわけで、そういうものを景気対策の中にどんどん盛り込む必要があります。2兆円給付金の中に優遇的にそういうものを入れたらどうだとか、そういうような働きかけというのはできないのか。
 環境審議会で議論されている内容と実際の政治、景気対策とが、まったく無関係、無次元のでは、もったいないと思います。潜在的なグリーン需要は大きいので、それを景気対策の中に組み込んでいくことは、当面の景気対策としても説得力があるように感じます。
 それともう1つ、新エネルギーの普及策で太陽光発電ではドイツに追い抜かれてしまいました。日本では太陽光発電の普及のために補助金をつけてきましたが、2005年に補助金が廃止される、普及が鈍ってしまった。そこで、再び補助金を復活させることになったようですね。ドイツで太陽光発電が急速に伸びてきたのは、補助金をつけたからではありません。制度改革を断行して、固定価格買取制度を導入し、晋エネルギーを割高な価格で電力会社に購入させ、電気料金を最終的には末端の消費者に転嫁できるというようにしました。このように、市場メカニズムを活用し、新規参入を奨励するなどのインセンティブ政策が成功した結果、ドイツでは太陽光とか風力発電が伸びているわけです。
 補助金をつけるというのは、お金ばかりかかるわけだけれども、補助金がなくなれば、需要は萎んでしまいます。市場メカニズムをうまく活用してインセンティブをうながしていくような形で、新エネルギーの普及を促進させる方法も考えるべきです。
 補助金をつければ、それだけ金がかかります。財政難の時代、補助金一辺倒の対策には限界があります。ドイツのように補助金ゼロでも、市場メカニズムを活用し、企業のインセンティブを促すような制度をつくれば、新エネルギーの普及は十分可能です。

○鈴木部会長 永里委員。

○永里委員 今の三橋委員に関連するようなことを言いますけれども、資料1の8ページを主として、これに関連して言います。
 今日のテーマというのは、家庭、業務部門の低炭素社会への施策についての検討なんですが、そこでは、サービス需要の無駄を削減するとか、あるいはトップランナー方式による機器の効率化とかレンタル化。エネルギーの低炭素化では、太陽光発電、風力発電がここで取り上げられております。
 しかし、これらの施策とか政策がうまく機能するためには、生活者が賢く振舞う必要があります。
 例えば、太陽光発電とか風力発電を普及させるためには、電力会社が高くそれらを買うことをよく理解しなければいけません。結局、それは翻って自分たちがそれに対して電気代を払うということですね。そういうことを生活者が理解しないでいると、どこまでも進まないわけです。すなわち生活者の理解をアクセラレートする必要があると思います。
 このことと同じことが産業部門にも言えまして、環境対策を真面目にやっている企業の製品とかサービスをよく生活者、消費者が理解して、それらの企業の製品とかサービスをコストとは無関係に買ってほしいと。要するに、そういうことを全然やらないで中国あたりからどんどん安いものを輸入して、購入するということなんかはやめてほしいと。これを私は別の言い方をして、生活者、消費者は賢く振舞ってほしいと言ってます。
 それこそが非常に重要で、中上委員が先ほど言いましたが、「国民の意識が重要」ということは、そのことを含めています。8ページに、非常に専門的にサラッと書いてあるので、わかりにくいんですが、よく考えたら今のことと同じことです。エネルギーの低炭素化のところで、「系統電力品質維持費用の電力価格への転嫁に向けた国民理解の促進」というのは、まさしくこのことを指していて、真面目にやっている企業の製品を真面目に理解して、それ相応に対価を払って買ってくださいということを言ってるわけです。別の言い方をします。国民への環境教育が非常に重要だと思います。以上です。

○鈴木部会長 森嶌委員。

○森嶌委員 中上委員、今日は、いわゆる民生業務部門につきまして、これまで、エネルギー消費が民生、運輸で、90年に比べて40%上がった、30%上がったといっていたのを、どういうエネルギーの種類の消費なのかを分け、またそれからどういうものに対する消費なのかをちゃんと分析されて、今まで私がよく聞いていたのとは別の分析の視点からご説明いただきましたことを感謝いたします。中環審がこれから政策を考えていく場合に、少なくともきちんとここは押さえておかなければならないということを指摘された点で、私は高く評価しております。それが第1点です。まず中上委員に新しい視点を与えていただいたという点を感謝したいと思います。
 第2点で、低炭素社会という言葉ですけれども、これについては私も以前からかなり批判的で、西岡さんにも何回か申し上げたんですけれども、やはり途上国の人にとってみれば日本や先進国で低炭素社会にすべきだということで、我々の経験を学べとか、リープ・フロッギングをしろといっても、彼らは自分のところからどうやってリープ・フロッギングをするんだというようなことで、先進国で金持ちの日本などの経験を学ぶことにどんな意味があるのだということを考えているわけです。ですから、我々のやっていることを途上国へそのまま持っていくというのではなくて、我々がどういう失敗をしたのかということを伝えるのは結構ですけれども、金のかかるトップランナーがいいんだよ、何とかがいいんだよというのではなく、その意味では、どういう言葉を使うかではなくて、途上国はどういう状況にあるのか、そして、被害を受けるのは途上国ですから、だとすると途上国に対して、どういう協力をしなければならないかということをまず考えるべきです。言葉の問題も重要ですから、もしもいい言葉があればお使いになればいいんですけれども、例えば、温暖化対策とおっしゃいましたけれども、低炭素というよりも温暖化対策というほうが良いと思います。それが第2点です。
 それから、3番目は、大変いいお話を伺ったんですけれども、中環審というのは、前から言っているんですけれども、低炭素社会をどうするかという話を我々は国民の税金をいただきながら、お話を聞いているだけじゃ、何のためにここに集まっているかわからないので、何でここに集まっているかというと、低炭素社会はどうかはともかくとして、政策を検討するためにいるわけであります。
 今回は何のためにいるかというと、実は、福田ビジョンの下で、2050年までに60%ないし80%を削減することになっています。そして、さらに、福田ビジョンの下で、来年のしかるべきときまでに2020年までの、中期の目標を定めなければならないことになっています。そこで、内閣には、懇談会というのがありまして、そこで中期目標を定めるということになっておりますから、最終的に定めるのは、官邸で定めるということになりますけれども、我々中環審が、こういうことで、こういう政策をやるとこういう中期目標が達成できますよ、それは2050年の60%、80%削減につながりますよということを検討して、幾つかのオールタナティブを提案することは、悪いどころか、それをしなきゃならない責任があると思います。
それと今日の議論とをつなげなければならないということを私は強調しておきたいと思います。
 それとの関係で、中上さんに対するご質問ですが、家庭で申しますと、先ほど中上さんがおっしゃったように、照明とか動力がかなりきいているということであります。そうだとすると待機時電力が7.3%もあるということですと、2020年という10年ぐらいの間に、ある程度、プライオリティをつけてで考えるとすると、どういうところに着目して、どういう分野で、どういう政策をとるとかなり効いて、有効な削減ができるのでしょうか。「見える化」というのも1つかもしれませんし、中上さんからご覧になって、どこに焦点をあてればよいとお考えですか。何から何までやるということはできませんので、こういう分野は、先ほどの観点から見ると効いてくるのではないか、そして、それが長期的に2050年につながっていくのではないか、というご意見をいただきたい。また、住宅についても同じであります。
 先ほど、事務局からのお話ですと新しい建築基準などですとストックが2010年で建築物で23%、住宅で10%という程度だということですが、それを2020年までにそれが飛躍的に上がるとは限らないとすると、既設のものでやるとどうなるでしょうか。先ほどの話ですと、二重ガラスを既存の住宅に入れようとしても、先ほど何と言われたか忘れましたけれども、コップに半分ぐらいしか水が入ってないのに一生懸命やっても、ヨーロッパとは違うんだという話をされましたけれども、そうだとすれば、どこをどうやれば比較的安い金である程度できるのか。それがまた長期的に新しい建築基準を達成して新しく入れ替わっていく段階までに効いてくるのかと。
 そういうところをぜひこの辺のところに着目して、こういうふうにやっていけばいいのではないかという点を今日細かい点は結構ですから、このポイントとこのポイントについてやれば2020年までにこれぐらいできるはずだということを教えていただければ有難いと重います。
 少なくとも何%というのは、家庭と業務について教えていただければ大変ありがたいと思います。

○鈴木部会長 では、桝井委員。

○桝井委員 中上先生の大変参考になるお話、ありがとうございました。
 この中で、やはり電力が増えていくであろうと。豊かになればそういう形になるだろうとおっしゃったことと、それから業種別エネルギーの消費原単位でもおっしゃったわけですが、要するにブレイクダウンして細かく見なきゃ駄目なんだと。実際にそのとおりの状況が見事に書かれているわけです。
 そこで、業種別なブレイクダウンということは納得できる話ですけれども、これはしかしかなり細かくやりすぎると先ほどのおっしゃった方もおりますが、変な意味で、ガラパゴス化すると。だから、ある程度、どういうことに絞って、どの程度までやる必要があるんだという、プライオリティといいますか、なければしようがないだろうと思うので、そこらはいかがなものでしょうかということであります。
 それと同時に、これに関連して、私は、恐らくこのブレイクダウンはあまりやりすぎても恐らく手間がかかるばかりであり、あまり意味がないだろうと個人的には思うわけです。そして、また「見える化」というのもこれも今のブレインダウンと似たようなことで、これはあまりエネルギーをかけていても少しも炭素は減りはしない。CO2は減りはしないというわけで、私は環境税、炭素税という形のものがこの手の問題に対して、政策として有効だと思いますけれども、このようなブレイクダウンが非常に多岐にわたるようなことになる中で、先生はどのようにそれをお考えになるのかというふうに伺いたいと思います。
 それから、これは環境省に対してなんですけれども、この金融危機、いろいろな問題がある中で、実はどなたかもおっしゃいましたが、グリーン・ニュー・ディールというような形のもの、これは大きな政策として入れていかなきゃいけないと私は思うんですけれども、腰が引けているのではないかと心配する、その環境税を含めた、その形のものが今どのような状況にあり、環境省は、どのように取り組んでおられるのか。どういう展望なのか。
 確かに政府は混迷しているこの状況ですけれども、そこはお答えをいただきたいと思います。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 ちょっと質問の側の時間感覚にちょっと問題がありまして、大分予定の時間をオーバーしてしまったんですが、せっかくの機会ですので、ぜひ中上委員のほうから簡潔にお答えをいただければと思います。
 多岐にわたるご質問がありましたし、一部は環境省のほうにアドレスされたものと思いますので、ぜひその辺、もしご意見があれば付け加えていただくということにさせていただきます。

○中上委員 番外でやったほうがいいと思いますけれども、とても言い切れないんですが、浅岡先生からのお話、低所得者対応、国交省の委員会ではそういうふうに言ったわけです。金持ちは自分の判断で省エネ法を守るか守らないかとあるけれども、むしろ低所得者の人は選べないんだから、せっかくお金を出した住宅が筒抜けで、エネルギー多消費じゃ困るじゃないか、むしろそういうところに手厚くするためにも何かないかということで、300m2という仕切りはある意味そういうのをちょっとにおわせているんです。300m2というと一般の個人住宅は入らないですけれども、建売で150戸以上というのはまた別の規制もありますけれども、300m2のところはその辺も建売で2、3戸やっているような小さな建売の人も入れようではないかみたいなニュアンスが若干入っているので、これから詰めがあると思いますけれども、まさに低所得者対応というのは、見落としてはいけない視点だし、国交省はそれを視野に入れてくれていると思っております。
 大型化、多機能化をやめさせるものはないか。これは私のほうから質問をもう一回投げ返したい思いであります。
 それから、植田先生のデータベースがないのは大問題ということを改めて強調していただいてありがとうございます。
 テナントビルの料金の支払方法ですが、これに問題があるわけでありまして、小さなビルですと家主さんが料金を電力会社とは別に集金してその中から電気代を払うという仕組みになっているケースが多ございまして、むしろ省エネにすると大家さんの収入が減ったりするケースもあるやに聞いております。
 そこは電力会社が手を出すわけにいかない、ビルのところの入口で止まっているわけですから、そういう課金方法、あるいは集金方法に問題があるとするなら、オーナーが省エネをするインセンティブが何も働かない。むしろエネルギー、多消費のほうがオーナーとしては、電力会社の料金に上乗せして集金するようなシステムをとっていますから、そんな話があると。この辺は何とかならないかと思います。
 別のところ、大きなところですときちんと計量して、それなりの課金をしておりますけれども、テナント側とオーナー側でどうなるか。私は、よく申し上げるんですが、丸の内に建つビルと地方の県庁所在地に建つビルと性能的にはもはや変わらないビルか建っていると思いますけれども、光熱費の相対的なシェアは家賃に比べるとずっと地方のほうが高いはずなんです。だから東京発でやっていると高い家賃の中で、相対的に安いエネルギー代を問題にしてもあまり注目されないけれども、むしろ私は地方でこういう声が大きくなるべきではないかと思うんですが、なかなかそういう声が聞こえないのが不思議であります。
 それから、飛ばすかもしれませんが、価格弾力性でありますけれども、これは所得弾力性の例ですが、価格弾力性はあれだけ短期間ですとほとんど計測がまだできませんから、これは収入とエネルギー消費の関係をあらわしたもので、100世帯あると一番収入が低いのが第1分位、一番高いのが第5分位と分けているんですが、この横に収入で、縦軸がエネルギー消費量ですが、所得は下がっているんですけれども、基本的にエネルギー消費は下がってないということです。
 ところが、階層によっては下がるのがあるように思うんですが、今のところ所得が下がってもあまりエネルギー消費は下がっていない。これから見ると所得弾力性はないという話になって、電気はもっと顕著でありまして、所得が下がったにもかかわらず、エネルギー消費は伸びているわけであります。非常に難しい問題です。ほかのエネルギーをやっていると時間がありませんから、ほかのエネルギーと全く違う様相をしているのが電気であります。
 したがって価格弾力性については、今のような料金の改定レベルでは、恐らくほとんど効いてこないだろうと思います。
 ただ、一時期ありましたガソリンは確かに相当大きな影響があったと思いますけれども、家庭の電気代、ガス代というのは直接的にすぐ市場動向が反映されませんので、もう少し時間がたってみないと計測ができないのではないかと思います。
 それから、大聖先生の国際貢献、まさにそうだと思います。私は以前伺ったことがありまして、家電メーカーの方に、どうしてこれだけ高効率のものがあるのに、途上国には効率の悪いラインをつくって輸出するんですかというと、現地にラインをつくると部品供給とか周りの条件が整っていないと結局昔のものしかつくれない。日本から持っていったら、空気を運ぶみたいで高くなって駄目だということで、なかなか日本であるようないいものが直接あちらに行かないんですよねという話をなさっていましたけれども、最近は事情が変わっていると思いますから、むしろそういう意味では国際貢献すべきだと思います。
 太陽エネルギーについては、飛ばしました。どこかでジャンプしてしまったものですから、皆様のお手元の中にはあったと思いますけれども、よく使うんでありまして、太陽電池だと利回りが4%ぐらい、太陽熱だと6、7%で回りますよと。だから、太陽熱のほうがずっといいですよという話をいつもしているんですが、これはこの会でも何回か議論した議論のとおりであります。
 それから、住宅改修、これにつきましては国土交通省が住宅改修に対しては減税制度を設けております。
 ESCOの場合、ビルで、建築物に手をかけるとなると、コストが平米あたり何十万の世界になっちゃうんですね。エネルギーコストというのは、平米年間当たり何千円の世界です。ですから、そういう意味では、浮いたお金で、賄うなんていうオーダーとは違うわけです。だから、構造体に省エネをするということは全く別にスキームで考えないと、通常のエネルギーの価格で考えたら合わない話でありますから、これは全く違う政策的なサポートなり戦略が必要だと思います。
 それから、誰が主導権をとるか。私がいつも申し上げるのは、やはり一番効くのはやはり規制だと思います。もう1つは、企業のトップです。企業のトップの一番いい例はプリウスでありまして、売れば売るほど赤字になるといった車を売ったがゆえに、あの会社は世界に冠たる会社になったわけでありまして、そういう意味ではトップの決断です。
 もう1つ、忘れてはいけないのは、待機電力で申し上げましたように、消費者です。消費者の声というのは、サイレント・マジョリティですが、それがいったん目を覚ますと、ものすごいパワーになる。あっと言う間に待機電力の基準を日本で変えてしまったぐらいのパワーがあるわけですから、やはり地道な努力で、消費者をやはり教育していかなければいけないと思います。
 それから、名前については、これは別の会議、森嶌先生もご一緒する会議がありますけれども、ぜひ一緒に考えさせてください。ここではまだすぐに答えが出ません。
 それから、森嶌先生の家電製品と待機電力削減の方策という、家電製品の話については、これまた浅岡先生の話に戻るかもしれませんけれども、本当にどうして日本だけこんなに家電製品がいまだにエネルギー消費を増やして、大型化、多機能化していくんだろうかと思います。
 これも一度、使用実態の現場で検証してみたいんですけど、多機能なものが売られていますけれども、本当にその多機能なものを使いこなしているだろうかということで、往々にして、ほとんど家のついている機能は生かせないで、単機能でも十分だという使い方をしているんじゃないかと。これは、一回実態調査をしてみないとわからないものです。
 ところが、日本人は買うときには、機能がついていると喜んで買ってくるという習性があるわけでして、車でも買ってきて、一度も押したことがないボタンが幾つもあるというばかなことが起きるわけであります。そういうところをもう少し地道に掘り下げてみないと、なかなかわらない。
 そういうことをやるには手間がかかるだけではというお話がございましたけれども、やはりでもそういうことをやらないと、ものの本質なり原因はわからないんですね。
 多分、ここでいらっしゃる皆さん方も今日私が話した中では、そんなこともあるのかと思われたかもしれませんが、これはまだほんの序の口でありまして、現場にはいっぱいいろいろなヒントがあるし、ここで出た質問にお答えするような方向が見えるんじゃないかと思いますけれども、やはりそれは手間がかかってもやるべきで、それはやはり国がやるべきだろうと思います。
 我々、コンサルタント、シンクタンクではとてもできかねますから、応援はしますので、やはり国がやるべきだろうと思います。
 それから、コップの水の話は、だからやるなと言ったわけではなくて、かの国の連中から比べると日本のほうが少し歩止まりが悪いよと言っただけでありまして、やるなと言ったわけではないので、これはやはり進めるべきだと思います。
 漏れたかもしれませんけれども、時間の関係もありますので、このぐらいで勘弁してください。

○鈴木部会長 また機会がありましたらぜひいろいろとお願いいたします。
 環境省の側に対する若干のご質問もありましたが。

○総合環境政策局長 それでは私から、税制の関係のご質問についてお答えさせていただきます。
 この部会にもご報告をしつつ、環境税を含むグリーン税制に関する検討ということで、専門委員会で税制あるいは財政の専門家の方々の検討をいただきました植田先生などにもお入りいただいているんでございますが、実は、金曜日に最終の専門委員会を行いまして、若干の座長預かりの部分がございまして、今日、整理をして、委員の皆様方には送らせていただくことにしておりますが、その中で、排出量取引の試行とかいろいろな政策が出てきておりますが、やはり税制というのはあらゆる部門に効く公平な制度ということで非常に重要だというような位置づけがされております。
 それからまた、原油がかなり高騰したと。経済状況も厳しいという中でどうかということもあって、ここでどのくらい効くのかというようなことも分析をいたしまして、これは非常に有効性があると。また一方で、経済、あるいは国際競争力への悪影響がどうか、あるいは炭素利益率がどうかというところについても分析をいたしまして、影響は限定的でありますし、またいろいろな軽減方策があるのではないかという点をいただいております。
 そういう意味で、環境税というのを有力な政策だということで整理をいただきまして、また道路特定財源の整理の問題、あるいは関連のエネルギー税制などもございます。こういったことも含めて、幅広く考えていくべきだという提言もいただいたところでございます。そういう意味で、低炭素社会づくり行動計画の中でも、環境税、また税制全般のグリーン化という大きな方向づけをいただいておりますので、税制の抜本改革自体は若干時間をかけてということのようでございますが、そういう中で、検討していきたいと思いますし、また今年の税制改革についての具体的な提案は近々この専門委員会報告を受けまして、大臣までご相談をして要望を出していかなければなりませんので、これはまたしっかりやってまいりたいと思っております。以上です。

○地球温暖化対策課長 それ以外のところを幾つかご質問いただきました。
 家庭のエネルギーのデータベースがないではないかというご指摘がございました。供給側のデータベースはあるけれども、需要型が必ずしも十分ではないと。今、家計調査のデータを使っておりますけれども、確かに基本でございますので、できれば次回以降、早い機会に家庭部門も含めて、どういうデータを使っているのか、どういうデータがあるのか整理してお示しをしたいと思います。
 それから、グリーン税制でございますが、今、環境税についてご説明がございましたけれども、省エネ住宅についてもローン減税の見直しの中で、優遇されるように要望しているところでございます。
 それから、住宅の取引の際に、エネルギーを入れたらどうかということもございました。CASBEEというような総合的な表示方法が検討されているところですが、まさにそのご指摘のような点も含めて、こういった審議会の場で今後できればというふうに思っております。
 それから、新築よりも修理の需要を対象とすると効果が大きいのではないかというようなこともございました。省エネ改修について、税制上の優遇措置を昨年度要望いたしまして、ローンについては認められたというところでございます。
 それから、景気対策に環境を入れていくべきではないかということでございますが、補正予算につきましては、さまざまな環境関係の要求をしているところでございますけれども、今後、ご指摘のような点についても努力していきたいと思います。
 それから、太陽光などについてご指摘がございましたが、太陽光も含めて、新エネルギーなどについて、今後、この審議会でご議論をいただく機会を設けたいというふうに考えております。大体、以上かと思いますが。 

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 まだまだいろいろとこの場で議論させていただく面白いといいますか、重要なテーマがいろいろ残っていると思います。ただ、このあくまでも地球部会は、次回はある意味では交通関係のお話に特化させていただくということもありますが、来年度以降、中期目標を官邸のほうでおつくりになる。それに対応した、先ほど森嶌委員からもご指摘がありましたが、具体的な施策をここで考えていくというようなことになっていく予定でございますので、ぜひその過程で、またご議論をお願いしたいと思います。
 今日は、中上委員、どうもありがとうございました。
 それで、次の議題が、定足数を必要とする議題でございまして、定足数を満たしておりますので、次の議題に移らせていただきたいと思います。
 議題の2、地域環境部会の委員会の廃止について、事務局から説明をお願いします。

○地球環境局総務課長 説明させていただきます。
 資料7でございます。中央環境審議会地球環境部会委員会の廃止についてでございます。
 この部会によりまして、今まで幾つもの専門委員会、小委員会が設置されております。その中には、既に審議を終了し、任務が終わったものもございますが、これらの専門委員会、小委員会が部会によって設置されておりますので、これを廃止するには部会にお諮りをする必要があるということでございます。このまま放置しておきますと、この専門委員会等のために新に任命された専門委員の方もそのまま残ってしまっているということもございますので、形式的ではございますが、廃止をお諮りしたいということでございます。
 5つございます。国際環境協力専門委員会。それから、2番目、海洋環境専門委員会。それから、次のページですが、3番目、二酸化炭素海底下地層貯留に関する専門委員会。いわゆるCCSでございます。それから、国内制度小委員会。それから、目標達成シナリオ小委員会でございます。
 前の1から3につきましては、諮問、答申という過程の中で、設置させていただいた専門委員会で答申も終わっております。
 それから、4番目につきましては、諮問がございませんが、審議結果を既に答申をいただいております。5番目については、諮問、答申という形ではございませんが、最終的に地球環境部会に報告し、終了しております。
 以上、5つの廃止についてご了解いただければと考えております。

○鈴木部会長 何かご質問、あるいはご反対のご意見などありますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、この5件の委員会廃止につきまして、お認めいただいたということにさせていただきます。
 こういうものは設置の段階で答申を出したら廃止を自動的に消滅するような、そういう仕掛けはつくれないものなんですか。

○地球環境局総務課長 設置をするときに、そういうふうに決めるというやり方はあると思いますが、研究してみたいと思います。
 それから、専門委員については、最近は、一応最初から任期を決めて、専門委員は決めさせていただいております。

○鈴木部会長 いろいろとご検討いただければと思います。
 ありがとうございました。
 それでは、議題3、報告事項ですが、これは環境省のほうからお願いいたします。

○地球温暖化対策課長 それでは、参考資料2-1をご覧いただけますでしょうか。
 2007年度の温室効果ガス排出量の速報値が出ましたので、ご報告をいたします。
 2007年度、昨年度の温室効果ガスの総排出量は13億7,100万トンでございました。基準年と比べますと、8.7%の増加ということでございます。
 また、一昨年度、2006年度と比べますと、2.3%の増加ということでございます。
 1枚おめくりいただきますと、基準年から2007年までの排出量のグラフが出ております。これをご覧いただきますとおわかりになりますように、2007年度は過去最高の値を記録しております。
 灰色の部分、網掛けの部分でございますが、これは原発の利用率の低下による一時的影響の部分でございます。
 1998年に過去最高の利用率、84.2%でございました。それが維持されているとした場合には、この網掛けの部分が出てこなくなるということでございます。2007年でございますと、5%少なくて済んでいたはずであるということになります。
 2006年と比べますと、それでもなお0.5%ぐらい増えているわけでございまして、約束でございます6%削減に向けて一層の努力が必要な状況であるということでございます。
 次のページをご覧いただきますと、電力排出原単位を0.34に仮定した場合のグラフになっております。
 先ほどは原発の利用率が84.2%ということを仮定しておりましたが、電力の原単位ということになりますと、原発の利用率以外に水力の稼働率、渇水によって去年は水力の稼働率が下がったわけですが、そういったものの影響が出てまいります。そういったものを除いて電力の原単位を一定とした場合にどうなるかということでございます。
 そういたしますと、2007年は昨年度よりも若干減っておりますし、対策の効果というのはこれをご覧いただきますとおわかりいただけるかと思いますけれども、なお約束の数字と比べますと、高い数字になっております。一層の努力が必要であるという状況でございます。
 部門別に見たものが、その次の次のページでございます。
 下をご覧いただきますと、各部門のエネルギー起源二酸化炭素排出量とございます。
 産業部門が2006年、4億6,000万トン。2007年、4億7,600万トンということでございますので、産業部門は2006年度と比べて2007年度は、3.6%増えております。生産量が増加したということに伴いまして増えたと考えられます。運輸部門は、1.6%の減でございます。
 他方、業務部門は、1.2%の増。家庭部門、8.4%の増。エネルギー転換部門、3.6%の増ということでございます。
 右のほうは、排出原単位が2006年、2007年同じと仮定した場合のものでございます。これでも産業部門は1.7%の増ということでございますし、また家庭部門も2.2%の増といったことでございますので、こういったところでの対策が極めて重要であるということでございます。ちょっと時間の関係で簡単にご説明させていただきました。以上でございます。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 それでは、予定の時間がまいりましたので、最後に事務局のほうから、連絡事項をお願いいたします。

○地球温暖化対策課長 委員の皆様におかれましては、本日のご発言に追加すべき質問、コメントがございましたら、11月25日、火曜日までに書面にて事務局にお送りください。
 また、本日の議事概要につきましては、事務局で取りまとめの上、数日中に委員の皆様に案を送付いたします。皆様、送付後1週間で環境省のホームページに掲載いたします。
 諸事情により1週間内にお返事をいただくことができない分につきましても、いったん暫定版としてホームページに掲載させていただき、後ほど修正があれば差し替えさせていただきます。
 次回は、11月27日、10時から12時まで開催し、自動車分野について、大聖委員からプレゼンテーションを中心にご審議いただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。

○鈴木部会長 それでは、本日の議事は、ここまでにさせていただきたいと思います。
 どうもお忙しいところ、ご出席ありがとうございました。


午後12時01分 閉会