中央環境審議会地球環境部会(第76回)議事録

日時

平成20年3月19日 13:00~15:00

場所

ベルサール八重洲 3階 4+5

議事録

午後1時00分 開会

○市場メカニズム室長 お待たせをいたしました。まだ若干、遅れていらっしゃる先生がおりますけれども、定刻を過ぎましたので、ただいまから会議を始めさせていただきます。
 本日は、委員総数40名中21名の委員の方から出席予定ということでご連絡をいただいておりますので、定足数を満たす予定でございます。
 それでは以降の進行につきましては、鈴木部会長にお願いをいたします。

○鈴木部会長 それでは、年度末のお忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。本日のこの地球環境部会は公開となっておりますことをまずご報告申し上げます。
 では、資料の確認からお願いいたします。

○市場メカニズム室長 それでは資料を確認させていただきます。
 まず、議事次第の下に今日のメインの資料でございます資料1といたしまして「低炭素社会づくりに向けて」というものがございます。資料1と打ってあるものと、もう1つ、番号はついておりませんけれども、要約版という、似たような表紙でございますけれども、要約版というものもございますのでご確認ください。そのあとは参考資料でございますけれども、最初、番号はございませんが、2050年日本低炭素社会シナリオという、昨年2月に公表した資料がございます。次、参考資料2といたしまして、京都議定書目標達成計画の改正案の概要というものがございます。参考資料3として、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案についてというものがございます。これは法律案の参考資料もついてございます。それから参考資料4といたしまして、先般開催されましたG20、グレンイーグルズ対話の結果というものがございます。参考資料の5といたしまして、1枚紙でございますけれども、国際交渉、今後の外交日程というのがございます。最後に参考資料6として、番号ついておりませんけれども、ストップ温暖化「一村一品」大作戦全国大会報告書というのがございます。
 以上でございます。

○鈴木部会長 資料、よろしいでしょうか。
 本日はこの低炭素社会づくり、これの最後の取りまとめということでご議論いただきますが、その後で、大変たくさんの参考資料がついていますが、報告をいただくと、そういうことにいたしております。
 それでは議事に入りたいと思います。
 これまで懇談会を含めまして、数多くの検討をしてまいりましたが、低炭素社会づくりに向けた論点整理、このとりまとめが本日の目的となっております。前回までのご議論を踏まえまして、委員の皆様からご指摘いただきました事項を盛り込んだ低炭素社会づくりに関する論点整理、これが資料1となっております。これを事務局で作成していただいております。
 では、まず最初に局長からご挨拶いただきまして、この最終取りまとめ案について事務局から説明をお願いしたいと思います。

○地球環境局長 どうも皆様、きょうはお忙しいところ、ありがとうございます。年度末でございまして、いろんな多忙だと思います。私どもの方も、ぜひ年度内にまとめたいということで、かなり無理をして集まっていただいた次第でございます。
 まずこの低炭素社会づくりでございますけれども、去年の9月以降、12回、会議を重ねていただきました。今日で一つの区切りをしていただきたいということでございます。最初に18名の有識者の方からヒアリングを行いまして、それを踏まえて5回にわたって重点整理の議論を行っていただいたところでございます。去年の5月でございましたけれども、政府として低炭素社会についても長期的な温室効果ガスの削減の方策として検討するのだということで問題提起をしたわけでございます。ただ、なかなかこのロー・カーボン・ソサエティという言葉につきましては、言葉は世界中をめぐっておりましたけれども、中身がどこにもしっかりした固まったものがないということであったわけでございます。そういうこともございまして、最初、何回かでございましたが、必ずしも環境を専門とされない方にもいろいろ御知見をいただくということでヒアリングを行ったところでございます。
 そういったことを、ぜひ今日の議論で一区切りをつけていただいて、中環審の部会として、ぜひ一応の中間的なおまとめをお願いしたいということでございます。
 今後でございますけれども、今年度から京都議定書の約束期間も始まりますし、先日G20が千葉でございました。また5月にはG8環境大臣会が神戸で行われますし、さらに7月には洞爺湖サミットもあるということでございます。そういった流れの中で官邸に温暖化対策についての懇談会ができたわけでございます。この中で低炭素の問題、低炭素社会へ向けての扱い、またその環境モデル都市といったことも議論されます。それから排出量等を含めた政策についても議論がされるということでございます。私ども、低炭素社会の検討につきましては、中環審の議論の結果もぜひそこにインプットしていきたいということで考えておるところでございます。
 その後につきましては、その官邸の懇談会の様子も見ながら、また中環審におけるさまざまなご検討をお願いしたいというふうには思っているところでございます。
 それから、この間でございますが、いろんなことがございました。資料も幾つかございますが、例えば参考資料の方で、参考資料の2は目達計画の関係でございますけれども、これにつきましては2月8日におまとめいただきました答申をベースに、政府としてその改定案をまとめまして、今パブコメを行っておるということでございます。月内の閣僚会議を予定をしておるところでございます。
 それから資料の3にございます温対法の改正でございます。これにつきましては、資料の3のその後ろに簡単な4、5枚の紙があると思います。後でまた課長から説明はいたしますけれども、今回のねらいとしまして、後ろの2枚目に横の絵がございますけれども、これまで温対法といいますのは、その法律を見ても対策がわからないということがございました。いろんな経緯があってこういう形となっておったわけでございますけれども、今回、排出抑制等の指針をつくる、あるいは各地域ごとの、特例市以上の地域について、具体的な地域全体の削減計画をつくっていただくとか、あるいは届出の単位を省エネの方と連携のもとで拡大するとか、CDMクレジット等の活用の適正な配慮をする、あるいはセンターの活用と、そういったことも含んでおります。具体的にその次のページに、縦でございますけれども、排出抑制指針のイメージ、それから自治体による計画的できめ細かな対策の実施ということもございます。こういったエネルギーも含めた、あるいは公共交通機関の活用とか含めた、さまざまな事柄についても地方自治体に計画をつくっていただくといったことも今回の内容にしておるところでございます。一つの形をつくりつつあるということで、私ども、とらえているところでございます。
 国会審議につきましては、これからということで、どうなるのか全く見通しはつかないといった状況でございます。
 それから、参考資料4にございますような千葉のグレンイーグルズ対話につきましては、今週末に終わったところでございます。そこで具体的なアウトプットということがあったわけではございませんけれども、去年の12月のバリでの議論を受けて、初めての本格的なこの問題についての国際会議ということでございます。先進国、途上国が、主な国が一同に集まって突っ込んだ話し合いをする。またその間にバイの会談も相当行いました。そういう中で、2009年末のコペンハーゲンでの合意に向けてのモメンタムということは確実に高まったというふうに考えておるところでございます。また、今後の日程につきましては、参考資料の5にございます。
 参考資料の6は、一村一品の大作戦をやっておりまして、非常に好評だったと。各地域でいろんな運動が盛り上がっておるということを後でごらんいただければと思います。
 それから最後に、ここに資料にまだございませんけれども、私の局長の諮問機関といたしまして、排出量取引の制度化に向けての議論を行っておるところでございます。先ほど申しましたように、官邸での検討会でまた議論がされるということでございますけれども、私どもとしましては、入口論ではなくて、具体的にどういう設計があり得るのかと、またそれについて各々どういう利点とデメリットがあるのかということも整理した上で、その官邸での検討などもしていただこうということで、総論ではなくて、相当、会計とか税にも含めた、突っ込んだ議論をしていきたいと。幾つかの、ぜひ試案を示すという形で官邸の議論を進めるような形にしていきたいと、そんなふうに考えて今、作業をしているところでございます。これについては資料ございませんけれども、私どもが前回出しました資料は別途ホームページに載っておるところでございます。
 長々申しましたけれども、ぜひ皆様には活発な議論をお願いしたいと思うところでございます。どうぞよろしくお願いします。

○鈴木部会長 それでは事務局の方から。

○市場メカニズム室長 それでは、資料1につきましてご説明をいたします。先ほど申しましたように、この資料1、本編と要約版と2つございますけれども、まずは本編の方で、前回2月7日にパブコメ結果を反映したものでご議論いただきまして、いろいろとまたご指摘をいただきました。その後、国土交通省、農水省等とも調整といいますか、いろいろコメントをインプットしてもらいまして、そういうものも反映して本日、資料をつくってございます。時間の関係もございますので、基本的に前回の資料と変わったところを中心にご説明をさせていただきたいと思います。
 まず表紙でございますけれども、副題をつけさせていただきました。低炭素社会づくりという、「低炭素社会」という言葉はもう内外で流通はしておりますけれども、ちょっとわかりにくいというところもあるので、副題をつけてはどうかというお話がございました。一応、ライフスタイル・社会資本・環境エネルギー技術のイノベーションという副題をつけさせていただきました。
 めくっていただきまして、まず、はじめにでございます。ここは基本的に変わっておりませんが、事実関係だけでございますけれども、(2)のところで、これまでの審議経過、今日の3月19日のものを含めて記述をさせていただいております。
 次の3ページ、全体の構成、目次のようなところでございますけれども、1点修正してございますのは、前回ご指摘がございましたNGO/NPOの役割ということが大事だということで、この右側の実現のための戦略の中にNGO/NPOの取組という、内容はまた後で出てまいりますけれども、項目を付け加えてございます。
 次のページは科学者からの警告で、ここは特に変更はございません。
 次に基本理念というところでございます。6ページでございますけれども、低炭素社会の基本的理念、カーボン・ミニマムの実現、豊かさを実感できる簡素な暮らしの実現、自然との共生の実現と、この部分については特に変更ございません。
 7ページ以降、低炭素社会の具体的イメージということで分野別に書いてある部分でございます。ここも基本的には大きな修正はございません。まちの部分、それから移動の部分、それから次の10ページの居住空間・就業空間ということで、それぞれそのイメージ図とその行動、技術、それを支える基盤ということで記述をさせていただいております。
 11ページがエネルギー供給というところでございます。その次が産業というところで、ここも基本的に変更はございません。
 森林・農地・海洋、この部分、若干、森林の整備による吸収の確保というようなところを少し記述を加えておりますけれども、大きく変更はございません。
 14ページが消費者選択ということで、この部分も基本的に大きな変更はございません。
 15、金融・投資、及び情報開示、これは前回新しく加わった、パブコメを踏まえて加えた部分でございますけれども、特に大きな変更はございません。
 17ページ以降が戦略というところで、ここが少し見直しを幾つかしてございます。最初は17ページ、先ほど申しましたように、各主体に望まれる取組と政府が講じるべき手段というところで、NGO/NPOに望まれる取組ということで、国民、企業などの連携の結節点、幅広の低炭素社会構築活動を自律的、組織的に実施をする、低炭素社会構築のための施策に関する提言を行う、国民等への情報提供を行うというようなことを書かせていただいております。
 それから18ページ以降が、個々の戦略というところでございますけれども、国民に望まれる取組、企業に望まれる取組、この辺につきましては、特に大きな変更はございません。
 19ページ、政府の講じる手段でございますけれども、まずその制度的なインフラ整備(インセンティブの付与)という部分でございますが、ここは個々の施策の例示に入る前に、以下のような施策を適材適所で組み合わせ、効率的に対策を推進することが重要という、ポリシー・ミックスの考え方が重要であるということを一言付け加えさせていただきました。それから、個々の内容につきましては、経済的手法のところで炭素価格が内部化されるようなルール作りというところで、技術革新促進のインセンティブにも寄与するということを前回のご指摘を踏まえて入れてございます。それからソフト的インフラ整備のところでございますけれども、これも前回の委員のご指摘を踏まえまして、温暖化ナレッジイノベーションのところで、知見の共有だけではなくて、最新の科学研究の推進というところも一つ加えさせていただいております。
 それから、次の20ページでございますけれども、これにつきましては、前回から戦略の部分に、下の方にコラムをつくりまして、いろいろな施策が例示してありますけれども、その中で重点的に進めている施策ということで特出しをさせていただいておりますが、20ページにつきましては、先般、経済産業省さんの方で3月5日にCool Earth-エネルギー革新技術計画というものをまとめられましたので、この特にエネルギー産業分野の技術革新については、これを一つ重点戦略ということで、その内容を抜粋して書かせていただいております。それに加えまして、この廃棄物分野の取組ということで、「もったいない」の考え方に即した3R、あるいはバイオマスによるエネルギー活用と、そういうようなことについて記述をさせていただいております。
 それから21ページでございますけれども、都市・交通分野でございますけれども、ここも個々の記述には特に大きな変更はございませんが、重点戦略ということで追加をさせていただきました。一つは、今、官邸の方で動きがございます、いわゆる環境モデル都市というものを打ち出していこうということでございますので、これをまさにこの分野の今後の当面の重点戦略ということで書かせていただいております。低炭素社会の実現に向けて温室効果ガスの大幅な削減など、高い目標を掲げて先駆的な取組にチャレンジする都市を「環境モデル都市」というふうに選定をして、その取組を自治体と連携しつつ、国からの支援を行うということでございます。それに加えまして、個々の低炭素社会のまちづくりの中身ということで、低炭素型の都市・地域づくり、中心市街地の整備・活性化、公共交通、自転車道の整備、エネルギーの面的利用、物流の効率化、あるいは住宅・建築物における省エネ、長寿命住宅等、あるいは未利用のエネルギーの有効利用等々書いてございます。もう一つは、低炭素型の交通システムということで、鉄道、海運などの低炭素型の交通の利用の拡大、物流の合理化、あるいは道路の対策等々、具体的な戦略ということを書いてございます。
 22ページ、自然資本の整備、これは農村とか自然環境ということでございますけれども、これについても重点戦略というのを充実させていきたいと思います。大きく分けますと、森林等によりますCOの吸収の確保という部分でのこの農山漁村地域の役割、もう一つは、農山漁村地域に存在します資源エネルギー、バイオマスエネルギー等の再生可能エネルギーのポテンシャルを最大限活用していくというような観点で具体的な今後の取組戦略というものについて書いてございます。
 それから、23ページからがいわゆる世界への発信、国際連携という部分でございますけれども、ここにつきましては、まず24ページに環境立国・日本モデルの創造と発信という部分がございます。この中でこの一番下のところに3行ほど付け加えてございます。この論点整理では、日本を主として対象にして「日本モデル」を検討していまして、低炭素社会の具体的なイメージというものを提示いたしましたけれども、今後、サミット等の場で国際的な議論をしていく中では、低炭素社会のあり方というのは、やはり国の状況、自然状況、あるいは経済発展段階においてそれぞれ大きく異なってくるということなので、そういう観点で、国際的な連携のもとにさらに検討を進めていくという必要があるということを書いてございます。
 それを踏まえまして、25ページが具体的な世界の話、連携の部分でございますけれども、まずこれも委員のご指摘ございましたけれども、全体の柱としてこの低炭素社会づくりに関する協力を日本の国際貢献の柱の一つというふうに位置づけて強力に推進すべきであるというご意見がありましたので、まずそれを柱に書いてございます。内容としては、途上国への「日本モデル」の発信、この部分は特に変更はございませんけれども、2の部分でございますが、低炭素社会に関する国際的な政策対話、ここは前回までは共同研究ということだけだったのですけれども、やはり研究者レベルだけではなくて、政策担当者あるいはさまざまなステークホルダーを含めてこの低炭素社会づくりについての政策対話というものを進めていく必要があるだろうということで、共同研究を含む政策対話というふうに少し広げさせていただいております。
 次が26ページ、最後のページでございます。ここに参考資料として低炭素社会の検討事例、脱温暖化2050研究プロジェクトというのをつくらせていただきました。これもこの委員会で多くの委員の方から、この論点整理全体が、定量的なものがないのでちょっとわかりにくい、具体的なイメージがわきにくいというご指摘がたびたびございました。それについての対応ということで、こういう形で、まさにそういう低炭素社会、2050年の低炭素社会の具体的な姿を、数値モデル等を使って解析した例ということで、昨年の2月に公表された国立環境研究所の西岡先生を中心とする研究チームによる研究の例を参考としてつけさせていただいております。ここにございますように、この研究では、日本を対象にいわゆるバックキャスティングという手法を用いまして、2050年に想定されるサービスの需要、そういうものを満足しながらCOを70%削減すると、そういう低炭素社会の姿というものを具体的に明らかにしているということでございます。
 ここにございますように、幅を持った社会シナリオと言いますか、シナリオA、Bという幅を持った社会像というものを提示をいたしております。シナリオAについてはどちらかといいますと、経済発展、技術志向ということで、一人当たりのGDPが年率2%伸びるというような前提で絵をかいております。シナリオBの方は、地域重視、自然志向など、分散型の社会というようなイメージで、この場合は一人当たりのGDPは年率1%伸びると、そういう前提で解析をしているということでございます。いずれの場合も、2050年時点でのエネルギーサービス、そういうものを予測しまして、社会経済活動、サービスを維持するということと、その70%削減というものを両立させるためのエネルギーサービス需要のあり方、あるいはエンドユースのエネルギーの技術、あるいはそのエネルギー供給の、どういうエネルギーの種類が供給されるか、そのエネルギーの供給技術、そういうものの組み合わせによってこの70%削減というものを実現する場合の姿というものを書いているということでございます。
 これにつきましては、今日西岡先生は残念ながらご欠席でございますけれども、ご質問等ございましたらば、この研究を中心に進めておられています国立環境研究所の甲斐沼室長に同席いただいておりますので、質問等あればお答えをいただきたいと思っておるところでございます。
 以上がこの資料1の主な変更点ということでございます。それに加えまして要約版というものをつくりました。これも委員のこれまでのご議論の中で、やや総花的で非常にわかりにくいと、もう少しコンパクトなメッセージを出した方がいいのではないかということもございました。若干ではございますけれども整理をいたしまして、要約版ということでいろいろこれから、いろいろな場面でこの論点整理を説明していく場合に使えればということでつくったものでございます。
 簡単にご説明いたしますけれども、1枚めくっていただきまして、最初の1ページが目次を兼ねて全体の論点整理の構成、基本理念、低炭素社会のイメージ、その実現のための戦略、国際連携という、こういう枠組みで議論をしたということの内容のエッセンスを書いてございます。
 2ページ目が低炭素社会の基本的理念ということで、これは基本的に本編からそのまま引っ張ってきたものを載せております。
 3ページ以降、このイメージの部分でございますけれども、本編ではイメージの部分と戦略が分かれて書いてございまして、若干相互の関係が見にくかったとところもございましたので、ここではイメージとそれのための戦略、特に重点的に進めていく戦略というものを1枚にまとめて書かせていただいております。最初の3ページ目が都市、あるいは移動という、まちづくりに絡む部分をひとつにまとめてございまして、都市であればコンパクトシティ、未利用エネルギーの活用、あるいは災害等に強い都市、あるいは交通であれば、公共交通網、自転車、あるいは高効率の自動車、物流というふうなことでエッセンスを抜き出してございます。それに対応するものとして、先ほどご説明いたしました環境モデル都市の構築、あるいは低炭素のまちづくりという重点戦略を書いてございます。
 次のページが農山漁村、あるいは森林・農地・海洋というところでございまして、バイオマスエネルギーの供給源としてのイメージ、あるいは高度通信システムによって遠隔地においても就業等が可能になっている社会、あるいは温暖化へのリスクへの対応がなされているというイメージ、それから森林等による吸収の確保等がされている。それから農林水産業の活性化というものが図られていると。温暖化に適用した農作物というものが開発されていると、そういうイメージを書いてございます。そのための戦略の重点的な取組として、これも先ほどご説明いたしました、農山漁村地域における低炭素社会の実現ということで書いてございます。
 次のページが家庭部門を中心にした部分でございまして、住宅・建築物、それから消費者選択というのを一つまとめてございます。住宅建築物では、省エネ、長寿命の住宅建築物が普及をしている、あるいは木造住宅の普及が拡大している。高効率の機器が住宅の建築物の中でも普及をしている、それから太陽光等分散エネルギーというものが適宜活用されてきているということでございます。また、消費者選択のところは、低炭素の消費者選択は、あらゆる面で実践をされているということ、それから、それを支える基盤としての見える化、インフラ整備が行われているということでございます。これに対応する戦略としては、これはもう前回もお示ししておりますけれども、温室効果ガスの見える化、これを徹底的に推進いたしまして、それを基盤にした低炭素社会のライフスタイル、ビジネススタイルを実現をしていく、そのための国民運動の推進、あるいはカーボン・オフセットなど、新しいツールをどんどん導入していくということが書いてございます。
 それから6ページ目が産業エネルギーというものを一つまとめた部分でございます。ここは当然技術革新を進めていく、低炭素の技術、あるいは製品を徹底して導入していく。あるいはグリーンジョブというようなご指摘もございました。エネルギーとしては、ここに例示されているようなさまざまな低炭素のエネルギー源というものを最大限導入していくということでございます。その戦略としては、先ほどご説明をいたしましたCool Earth-エネルギー革新技術計画というものが重点戦略として位置づけられるということでございますし、3Rを中心とした循環型社会づくりというものも貢献をしていくということで戦略として挙げてございます。
 それから7ページでございますけれども、ここまで整理してきたような分野ごとのイメージに対応した戦略というのでははまり切らない、横断的に効果を発揮するような戦略というものを1枚、この本編に入っているものを抜き出してまとめさせていただいております。具体的には、制度的なインフラの整備、インセンティブの付与ということで、ポリシー・ミックスという考え方のもと、ここにございますような率先実行、奨励的な手法、経済的手法、規制的手法、情報的手法と、こういうものを適宜組み合わせていくことでございます。もう一つは、ソフト的インフラ整備ということで、人材育成、、環境教育と人材育成、情報普及、それから金融・資金という分野の取り組みについて、本編から抜き出したものを書いております。
 それから、次のページが世界への発信・国際的な連携ということで、これも先ほどご説明したとおりでございますけれども、3つの柱、低炭素社会に関する国際的な政策対話、国際共同研究を含むものを進めていく、あるいはそのための情報拠点、人材育成等を推進していくというようなこと、それから途上国への日本モデルの発信ということ。それからもう一つは、低炭素社会に向けた国際的なインセンティブを強化する提案というものを打ち出していくということでまとめさせていただいております。
 最後に、先ほどご説明いたしました参考資料として、脱温暖化2050研究プロジェクトの概要を同じように添付をしてございます。
 以上でございます。とりあえずご説明を終わらせていただきます。

○鈴木部会長 ありがとうございました。非常に短時間で大量のいろいろな議論の取りまとめをご説明いただいたわけですが、ご質問、ご意見、多分たくさんおありかと思いますので、また名札を立てていただければと思います。
 ちょっと最初に私の方から、甲斐沼さん、せっかくおいでいただいたので、この脱温暖化2050研究プロジェクトの側からごらんになって、今のまとめというのはどういうふうに、整合性なんかは大体取れていると考えてよろしいのでしょうか。

○甲斐沼室長 はい、私、きょう初めて参加させていただきました甲斐沼でございます。コンパクトにまとめていただいてわかりやすいと思います。私どもの方も一番重要なのは、今後の都市づくりをどうしていくか、低炭素な社会の実現には、都市計画も含めたこととか、教育とかというのがすごく重要であると私たちは思っております。また、食糧の問題ですが、日本の今後の問題というのは、2050年の問題として食糧需給というのもありますので、そういったことも踏まえて、農山村地域の育成ということも踏まえた形でまとめていただいておりますので、非常にコンパクトにまとめていただいていると思います。

○鈴木部会長 それでは名札の順にご質問を、青木委員の方からお願いいたしましょうか。

○青木委員 おおむね結構だと思うのですけれど、ちょっと気になることがありますので。資料1で9ページ、17ページ、21ページに、都市規模に応じていろんなインフラを整備していくという表現があるわけですけれども、この都市規模の内容を見ますと、必ずしも都市規模だけでなくて、例えば30万都市と言ったって、農村部にある30万都市と大都市近辺の30万都市ではおのずから中身が違ってまいりますので、どうもここのところは都市規模及び特性とか、規模、特性に応じてというようなことを加えた方がわかりやすいのではないかというような感じがいたします。特に21ページにいろいろ例示が書いてあるわけですけれども、これはほとんどどこの都市でもあり得ることが書いてあるわけでございますので、やはり都市規模というよりは、特性に応じて、極端なことを言えば、それぞれの都市がみんな違う対策を取らなければなりませんので、特性というような表現にされた方がよろしいのではないかというような感じがいたしております。
 それから感想でございますけれども、どうも2050年の社会というのはある程度、物もあるし、所得もある程度あるという社会でありますので、この中で国民が自制して物を買わないとか、必要以上のものを買わないというのは非常に難しい選択だと思うのですけれど、やはりこれは学校教育も地域教育も社会教育もそうですけれど、これからの教育がしっかりしていかないと、なかなかそういう社会は醸成されないし、また企業の方もいたずらに消費を刺激するような、過剰な消費を刺激するような活動を行われますと、やはり消費者の方はどうしても物があっても新しいデザインのものが出たら新しいものを買いたくなる。機能は余り変わらなくても、違わなくても買うというようなことになるわけですから、そういった低炭素化社会における企業モラルの確立といったようなことがこれからどういうふうになされていくのかということが非常に大事ではないかというふうに感じております。
 以上でございます。

○鹿島委員 私も基本的に同意と言いますか、賛成なのですけれども、私の関係するところで、何点かちょっと細かいことかもしれませんが、申し上げたいと思います。
 まず第1点目は、移動のところで9ページにあるのですけれども、ここの中で何か前にいただいたやつの中には農村といいますか、人口の少ないところについての移動についての記述があったような気がしたのですけれども、ここにはなくなっているんです。やはり都市部だけではなくて、今多くの人たちが関心を持っているのは、限界集落を初めとする人口の少ないところで、昨日も話がありましたけれども、免許証をどうするのだって、こういう議論が今一方で起こっているわけですので、そういうところについてもやっぱりちゃんとサポートしていると、また考えているという姿勢は必要なんじゃないかという気がいたします。
 そういう中で、何回か申し上げたのですけれども、今の相乗りとか、要するに公共交通の概念そのものの拡張なのかもしれませんけれども、少し、いわゆる自家用と営業用とかという格好ではない公共交通の考え方というものもあるのかなというふうに感じております。
 それから2点目は、今度は大都市なのですけれども、これも9ページの一番下の環状道路等の整備とここにも書いてあるのですけれども、これ自体について反対するつもりはありませんが、2番目に書いてあります高速道路の料金等の弾力的な運用と、これは別に低炭素社会という今回のテーマに、必ずしもプラスになるというわけでもありません。そういうことから言うと、もう少し広いことでロードプライシングという言葉がありますので、そういう方がより適切なんじゃないかというふうな気がいたしますということです。
 それが私の関係するところですけれども、今度は施策のところで一つ、ちょっとお願いといいますか、ご検討をちょっとしていただきたいというのは、今日の資料1の19ページの中に、ポリシー・ミックスの概念を入れていただいて、大変これは結構なことだと思うのですけれども、時間的要素もちょっと考えていただけないかと。適材適所は結構なのですけれども、適時というのもぜひ入れていただきたい。というのはどういうことかというと、大体社会の意思決定が早くなっていまして、政府の意思決定が1年単位ですと、やはり遅くなるとということがございます。そういうところも少し、それから国際的なところもありますので、時間的なファクターというのを考えていただけたらと思います。ちょっと今一つ例を申し上げると、エコドライブにはいろいろな組織が、大変立派な組織が4省庁ででき上がっていますが、必ずしもこれが適切に動いていないというのは、今の仕組みの中での意思決定の仕方が少し遅いのではないかという気が私自身はしております。
 それから3点目、申しわけございません、ちょっと長くなりまして。3点目は海外なのですけれど、どうもこれは私の、自分が関心があるところからこそなのかもしれませんけれども、日本からは海外には迷惑をかけていないと、こういうような姿勢なのですけれども、とにかく貢献するだけだと、こういうふうなプラスの方向だけだというような姿勢が見えるのですけれども、何となく私の関係でいきますと、例えば車なんていうのは、年間数百万台外に出ておりまして、これは日本の計算の仕方がそうなっているのでしようがないのですけれども、リサイクル率が90何%と、こういうことになりますが、しかし実際には外へ出て行っているもの全部リサイクルされると、こういう前提で計算している話でございます。そういう意味では、だから悪いという意味ではないですけれども、日本も相互依存の関係にあるので、もう少し、やはりそういう情報も含めて広域的なものを考えていくのだとか、あるいはそういう姿勢を示すのだという、そういう姿勢があった方が、これを他の国の方が見たときには、より受け入れやすいかなというふうに感じております。
 以上でございます。

○木下委員 全体として、ビジョンなり理念が非常に明確になったということで、評価をしたいと思います。それから、資料1の13ページ、森林・農地・海洋ですけれども、森林あるいは農業、水産ということで、農林水がバランスよく掲げられているという点についても評価をしたいと思います。
 それから、22ページなのですけれども、低炭素社会実現のための戦略ということで、従来ともすると林野、あるいは森林に非常に焦点が当たっていたことは、その吸収源として当然ですけれども、こう考えますと、やはり農地あるいは水田についても、ここに掲げられているような対策を講じて、できるだけ農業、食糧全体が環境に配慮した生産活動を行うということが、より一層進められることを期待をいたしております。
 以上です。

○小林委員 すみません、全体的な問題が1点と、個別問題が二つあるんですが、内容的には大変わかりやすくなって、大変いいなというふうには思うのですが、ただ、この資料でこのまま外に出ていくのでしょうか。それとも公式資料としては、これをもう一度練り直してつくられるのですか。というのは、なぜそんなことを申し上げているかというと、よく読んでみると日本語として意味がわからないところとか、単語だけを並べてあって、その単語の意味が理解できないというのが結構多いんですよね。それから、文章のつながりから言って日本語として、例えばこれ、国語の先生がチェックをすると引っかかってしまうような書きぶりがあちらこちらに見えます。ぜひもう一度、文章の精査をしていただいて、これが外に出たときに国民の皆さん方がよくわかるように、またこれを日本としての環境戦略として海外に出していくときに、これを英語に訳すときに訳せないような表現が結構あるというふうに思います。そういう意味で、ぜひ文章をもう一度、練り直していただいたらいかがかなという気がします。
 それから、例えば3ページのところで同じような話で、「3,実現のための戦略」ということで、私ちょっと気になったのが、ここに障壁という部分とコベネフィットというのが書いてあるのですが、これは中に何も説明がないんです。実はここは大変僕は関心があるのではないかと。それをどうクリアしていくかという問題からいくと、ここのところの解説がやはり要るのではないかなという気がします。そういう意味で、少し全体を見ていただいて、もう一度、文章の練り直しをぜひお願いをしたいというのが全体的なイメージです。
 それから、内容的には先ほど青木委員の方からもご指摘があったのですが、やはりこういうものを進めていくために一番重要なのは環境教育だと思うのですが、そこの部分がほとんど記載されていないということで、政府の講じる戦略の中に、ぜひ環境教育を入れていただきたいというのをお願いしたい。
 それからもう1点は、同じくご指摘あったのですが、企業の望まれる取り組みの中で、いわゆる商品に関する環境情報、例えばカーボン・マイレージとか、こういうふうな部分を積極的に企業は取り組んでいくというようなことが、入れていただくといいのではないかなというふうに思います。
 以上です。

○佐和委員 2点、一つは質問といいますか、意見なのですけれども、25ページの蛙跳びというのは、これはなかなか上手に描かれているなという感じがするのですが、縦軸と横軸が、まず横軸の方が経済成長と書いたのは、これ、何のことかよくわからないわけです。だから、これは例えば1人当たりGDPといいますか、つまり、一種の経済発展の一つの何かの物差しに置きかえるべきであって、経済成長という言葉はちょっとおかしいですよね。それから縦軸の方も、やっぱりこれも1人当たりじゃないですか。一人当たりの排出量というふうに言いかえるべきじゃないかと。
 それから、次に第2点として、これは15ページに戻りまして、金融に関することなのですが、ここ、もう一つやはり書き込みが足りないような感じがするんです。それは急遽後からくっつけたというようなお話、さっきちらっとございましたので、やむを得ないことかもしれませんが、まず、ここで環境金融商品の開発云々とか言ってる場合に、具体的にはどういうものをイメージなさっているのかと。例えばエコファンドとか、天候デリバティブみたいなものなのでしょうね。そういうものを市場に提供すると、金融機関が。しかしそれよりも実は重要なのは、要するに非常に老朽化した設備を使って、そしてCOを大量に排出していて、それがその工場の経営者もその点についてはよくわかっていると。だから新しい設備に置き換えれば20~30%排出量を削減できるのだけれども、そのためのお金がないというような、そういう中小企業って多いわけですね。そこに、じゃあ金融機関がSRI、ソーシャル・レスポンシビリティ・インベストメントという観点から、果たして民間の金融機関、銀行ですね、特に、銀行がそういう融資をするインセンティブをどうやってこしらえるかということなんです。ですから、その辺についてのもう少し突っ込んだ議論が必要ですし、例えばそういうものを国内CDMであるというふうに見なして、そこで融資したら、当然、相手が非常に自分では資金を持たない中小企業なわけですから、リスクは高いわけですね、融資のリスクは。ですけれど、そのリスクを補って余りあるほどの、例えば炭素クレジットのようなものを銀行が獲得することができるというようなこと。そうすると少々リスクがあっても、金融機関と言いますか、銀行の方にそういう融資をするインセンティブが生まれてくるというようなこと。
 それからもう一つは、これはやはり基本的には、かなり実際がそうかどうかは別にして、少なくとも市場経済というのは、消費者主権ということがよく言われるわけです。消費者が、その前のページにある消費者選択というところで、カーボン・ディスクロージャーなんかを通じて、消費者がそういう意味で、消費者の選択にカーボン・ディクスロージャーが強く影響するということになれば、そうするとそこで融資をしてあげた企業がつくったものが、それだけよく売れるだろうと、そこで改善すればですね。例えばそんなことがあって初めて銀行はそういう多少のリスクを覚悟で融資をするというインセンティブが生まれると。例えばそんなあたりまできちんと詰められたらどうかなと思います。
 それから最後、一言、僕はこういう知識、全くないのでわからないのですが、これは何で左側がドラえもんで、右側がサツキとメイなのか、ちょっとご説明いただきたいと思います。

○鈴木部会長 その辺は報告書をごらんいただけばついていますので。

○ 甲斐沼室長 イメージを現すために名前をつけようと言っていたのですけれども、なかなか名前がつけられなくて困っていました。ご存じのように、IPCCのSRESのシナリオは、名前をつけると、名前のイメージに左右されるので、AとB、とか、1とか2などを組み合わせたものになっています。しかし、アルファベットや数字ではイメージがわかないので、やっぱり名前がほしいということで、ドラエもんとサツキとメイという言葉にシナリオAとシナリオBを対応させました。一応Aの方は技術オリエント、巨大技術が入ってくるような社会。ドラえもんは2200年ぐらいですか、23世紀ぐらいから来ていると。そこにいろいろな技術、タケコプターとかいろいろな技術があって、生活のレベルを維持しながら、技術でCOの削減ができるような社会を一つ描いています。対極的な、サツキとメイは昭和30年代の社会ということで、イメージは取ってきているのですけれども、では家の中に入ってそういう30年代の生活をしているかというと、そうでは実はない生活を想定しています。実は中に入るといろんな電気製品が使われていています。もちろん手で洗濯をするとかというのではなくて、生活の質については、今の生活のレベルを維持しているのですけれども、地域のコミュニティを重視したような社会を想定しています。そのイメージを現すには、どういう表現が一番いいのかなということでサツキとメイを選んでいます。
 そういうことでよろしいでしょうか。

○鈴木部会長 それでは、まだかなりたくさんの方のご質問が残っていますので、簡潔に進めていただくということでお願いいたします。

○塩田委員 全体のこの構成については、大変皆様方の意見を反映していただいて、強く支持できるものになったと思います。
 私は交通の分野だけちょっと申し上げますと、資料1の21ページのところで、政府の講じる手段というのに交通の項目が5つくらい書いてあって、それでその下に重点戦略というのがあって、低炭素型の交通システムの構築というのが一番下にありますけれど、ここでは非常に適切な項目がピックアップされていると思います。問題は、これをこのブルーの色で囲まれているところの比率は、重点戦略というものが、「低炭素で循環型の都市の羅針盤となり得る環境モデル都市の構築」というところで具体化されるというふうに考えられると思うのですが、この環境モデル都市に関しては、すべてこれからということだろうと思いますが、どのくらいの数の環境モデル都市というのをつくられるのか。具体的な環境モデル都市の内容によって、今度、低炭素社会づくりに向けての、このペーパーの価値というものが、具体化してくるのだろうと思います。
 そのときのことなのですが、ぜひここに、2050年に向けての環境モデル都市だろうと思いますが、その段階で例えば、2015年、2020年というような時点でどれだけの効果を予定してそういう環境モデル都市をつくるか。それに必要なコストというのがどの程度のものであるかについて明らかにすると良いと思います。そしてその効果が出たところから、これだけ効果が出たということを公表すれば、この環境モデル都市という制度が活きていくのと思います。
 それから最後に、この副題につけられましたライフスタイル・社会資本・環境エネルギー技術のイノベーション、このイノベーションという言葉が非常にいいと私は思いました。
 以上です。

○須藤委員 どうもありがとうございます。全体としては大変よく私、できていると思いますので、内容的にはこれで結構ですが、2,3申し上げたいと思います。
 一つは、地方公共団体の問題なのですが、政府がつくるのですからこれでいいのですが、例えば地方公共団体に望まれる取り組みなのか、取るべき対策なのか、最近、非常に地方公共団体自身がこの問題について熱意を増して、もちろん強度議定書は当面なのだけれども、それ以上に、例えば滋賀県なども含めますと、温度差はありますが、地方公共団体の取り組みが極めて盛んになってきていますので、戦略の中でこれを取り組むべきことが必要ではないでしょうかというのが1点目。
 2点目は、はじめにで始まって、何か提案だけしておしまいなので、終わりにか、あとがきかが必要ではないでしょうかと。それは何を書いてほしいかというと、2050年ですから、見直したり、点検したり、何と言ったらいいですか、あるいは進捗管理ですね。これをときどきやっていく必要があるというようなことを書いていただくのが、私は本来よろしいのではないかというのが2点目。
 3点目は、もう質問というよりも、今、佐和先生もおっしゃっていたように、最後のページの甲斐沼先生に伺う時間があればいいのですが、さっきのAとBの話なのですけれど、ちょっと言葉でこの社会が同じ70%がどう違うんだ。両方夢があり、あるいは楽しみがある社会なんでしょうけれども、その中の仕組みが、さっき洗濯は手で洗うとか何かおっしゃっていたのですけれども、そういうようなところがちょっと出ていると、例示が出ているとどういう社会かというのがわかりやすいなと、こういうふうに思います。これは別に答えていただかなくても結構です。私の意見でございます。

○関澤委員 全体、大変よくできていると思います。
 ちょっと1、2だけ細かなところで恐縮ですが、19ページの制度的なインフラ整備の中の(経済的手法)、ここに内部化されるようなルールづくり(環境税や排出権取引等)と書いてあるのですが、こういった制度について具体的な議論もない中でこれを書き込む必要があるのかどうか。もし書くのであれば、環境税、排出量取引等について、今後議論、あるいは検討ということまできちんと言っておいた方がいいのではないかと思います。
 それから25ページの一番下のところ、3)国際的なインセンティブを強化する提案、ここで炭素の排出がコストであると認識されるように、炭素の価格付けをルール化すると、書いてあるのですが、これはぜひ「世界共通のルールを確立することが大前提」だということにしていただきたい。言葉で言えば、世界共通のルール化というような言葉をうまく入れていただけるとよいと思う。
 以上です。

○大聖委員 まずこのサブタイトルなのですけれども、このイノベーションというのは、普通は技術的なものを対象にして言うわけですよね。そうすると、イノベーションいうのは革新だとかというようなことになりますけれども、そうするとその前についている社会資本はどうするのか、ライフスタイルはどうするのかって、これ、ちょっと意味がおかしいなと思います。ライフスタイルの改善とか、見直しというとちょっと弱いですね。あるいは社会資本だったら変革とか整備とかのことなのでしょうか。イノベーションが3つにかかるようなニュアンスではないというふうに思いました。言葉尻ばかりで恐縮ですが。
 それからその次は、9ページですけれども、ここに技術というのがありまして、その一番下のところに、高度道路交通システムというのがあるのですけれども、それをさらに下に、行動や技術を支える基盤というのがありまして、その一番下のところにITSとあるのですけれど、これは日本語的にはITSとこの言葉というのが一致しているわけです。ですから、統一されるか、説明を加えていただきたいなと思います。それから、その絵の中にエンジン効率改善とあるのですけれども、本文の方にはないんですよね、それが。全部電気自動車になっちゃっていますので。そういうエンジンの改善というものもまだまだ進むので、そういうのもあっていいかなと思います。
 それから、先ほど佐和先生のご指摘にあったリープ・フロッグなのですけれども、蛙跳びですね。蛙跳びというのは多分、今言った、英語のリープ・フロッグからきているのではないかと思うのですけれども、ちょっと余りなじめないんじゃないかなと。日本人の感覚から言いまして、そう思いました。それからもう一つは、国際貢献のところですけれども、もう一段踏み込んだ書き方はできないかなというのが私どもの期待であります。例えば日本の運輸などというのは、全世界のCOの1%でしかないものですから、半分にするといっても、それは意味はないとは言いませんけれども、もっと石油の4割は交通で使っていますので、そういうことを考えるともっと世界的に貢献できるようなスタンスというのが、もう少し明確にできるといいなというふうに思います。特に途上国でモータリゼーションというのが、結局はCOの増大にものすごく大きな影響を持ってるわけですよね。それは確かに効率のいい車をたくさん、小さい車をたくさん売っていけという議論もあるのですけれども、やはりそういった途上国での公共交通機関にかかわる社会インフラ的な面のサポートも、これ、絶対に必要なんですよね。そういう認識がやはり、日本側がちゃんと持って、それをサポートするような姿勢というのが非常に大事だというふうに思います。
 それからこの中で、先ほどのITSもそうなのですけれども、情報通信技術というのが、かなり私はいろいろな面でポテンシャルを持っていると思いますので、その辺をもう少しいろいろ幅広くカバーできるようなニュアンスが出るといいなと思いました。
 以上です。

○永里委員 教育は100年の大計と言いますけれど、低炭素社会づくりに向けて、環境教育についてもっと踏み込んで書いてほしかったと思います。私の持論なのですけれど、中央環境審議会で何回か言っていますけれど、我々を含めて日本の国民は、実は環境に関しては民度が低いと、ヨーロッパに比べて、と思っております。非常に誤解を招くようですけれど、これはしゃべったら時間かかりますのでやめますが、結論的に言うと、日本国民はEUの先進の国に比べて民度が低いような気がしますので、幼稚園から環境教育を進めてほしいというようなことをちょっと踏み込んで書いてほしかったと思います。とは言うものの、全体は非常に皆様の意見、我々の意見を汲み上げてもらって、大変よくできていると思います。特に技術移転に関しましては、知財権の国際的ルールづくりを盛り込んでありますし、その他も良く表現されています。
 低炭素社会づくりに向けて、あらゆる選択肢の検討を排除しないという意味では、これはよく書けておると思いますが、先ほど関澤委員もおっしゃいましたけれど、我々は検討をすることを排除しないのであって、もう決まったかのような表現については、少し考慮してほしいなと、こうは思います。ただし、まとめている方々は検討の意味で書いているのだよということであるならば、ちょっとそうは取れない人たちもいるということを言いたいのでございますが、選択肢を排除するものではありませんし、検討を排除するものではありません。ものづくりに日本の経営者というのは専心しておりますが、金融開発商品等も含めて、そういうことは検討に値するし、それを無視することによって、将来、日本が大変ほぞをかむというようなことも当然、あり得るわけでして、その点は、よく書いてあると思います。ただ、表現については、ちょっと神経質になる向きがありますので、よろしくご検討のほどお願いいたします。

○桝井委員 これ、全体から見まして、初めての試みであるといいますか、低炭素社会づくりに向けての戦略ということについて、何と言いますか、必要なことというのは項目的に入っていまして、インデックスとしても非常に意味があるものではないかと。少なくともこういうものは必要だということはここに網羅されておるというものが初めてできたという意味で評価したいと思います。
 問題は、ではこれから、せっかくつくったこれがどんなふうに使われていくのかと。一つは確かに国民の皆さんのイメージづくりというのがありますけれども、やはり大事なのは、それと同時に、洞爺湖サミットはすぐ7月に控え、あるいは来年、ポスト京都はどうするのだという中に、これがどんなふうに活かされていくのかということで、二つばかり質問させていただきたいと思います。
 一つは、最近、今経団連の方々が排出量取引、検討するということであって、選択肢だとおっしゃっているわけですけれど、いずれにしてもそれでも変化、その中で経産省、あるいは環境省において検討の委員会があるけれども、どういうふうになったのかよくわからない。それからさらに、官邸において、先ほども南川局長もおっしゃいましたが、温暖化対策懇談会というようなものもできていると。一体、日本の温暖化対策の基本的な戦略というのはどんな形になっていて、どんなふうなスケジュールで洞爺湖にまで間に合わせようとしているのかと。あるいはその次はどうしようとしているのか、そういう中で、やはりこのせっかく低炭素社会づくりのこの冊子、特に16ページ以降の低炭素社会実現のための戦略というのは、よくまとまっていると思うんです。この中に当然必要な炭素価格を内部化していく、ルール化していくということを基本に置きながら書いている。これ当然のことであると。ですから、このようなものをせっかくつくったのですから、今言ったよくわからない温暖化対策懇談会、あるいは省庁の委員会の中で、これはどのように使われていくか、これをお伺いしたい。これが第1点です。
 もう一つは、短くいきまして、これも前段に関連いたしますけれども、この懇談会や省庁の中での同じテーマのものを別々にやったりする中で、一体行政、政府はどのような統一をもって対策を進めようとしているのか。そういう中で、これはここの委員会の問題でありますけれども、中環審の地球環境部会というのは、一体この重要な時期にどのようなスケジュールで何をしていくのか。そこは大いに検討されるべきではないかと。この低炭素実現の冊子を出しただけで終わりというわけにはまいらんだろうということで、ご見解を伺いたいと思います。

○森嶌委員 今回の会が始まったときから申し上げているのですけれども、一体この懇談会は何をするためなのでしょうか。私は、低炭素社会づくりをするためにどんなことを考えなければならないかという論点づくりをしたという点では、評価をいたしますけれども、それを中央環境審議会の地球環境部会というところがすることなのかということについては、いまもって大変疑問に思っております。これだけの委員を集めて、これだけの時間をかけて、国民の税金を使ってこれをやるということについては、やったことであり、また、それなりに一定のことはできたとはいうものの、もう一度反省しておく必要があると思っています。
 そこで、我々は何をしなければならなかったのかということをまず申し上げ、そして、それではこれから何をするべきかということを次に申し上げます。まず、中央環境審議会は何をするところなのか。これは申し上げるまでもないことですけれども、政府の諮問に応じて政策の審議をするところであります。政策を審議するところであって、西岡先生の研究は政策を政策として検討されたのではなくて、例えばこういう低炭素社会をつくることが技術的にできるのかどうかということを検討なさったわけです。私はあれはあれで非常に意味があることで、例えば8ページを見ていただきますと、ここに2050年までに6兆円から9兆円かければできますよと書いてあります。それから14ページを見ますと、産業機器などの効率を上げると、20%から40%ぐらい下がりますよと書いてあります。細かいことは全部抜きますけれども。ともかく金かければできますよ、それから技術をこうすれば2050年までにできますよということを書いてあります。それを国環研はきちっと検討されたわけです。ですから我々がやることは、そういうことを前提とした上で、それではそれを実現するためにどういう政策を取るかということをやるべきであって、国環研がモデルなどを使ってきちっとやっていること自身を我々は議論すべきことではないと思うのです。
 そこで、ここに戦略ということばが書いてありますが、これは戦略では全くありません。もしも戦略ということをご存じない方がおられると困りますので申し上げますが、戦略というのはもともと、戦争のために使いましたが、ある条件の敵に勝つという目標のために、いろいろな戦い方があるなかで、例えば小刀でいくのか、大きな刀でいくのか、鉄砲でいくのか、大砲でいくのか、いろいろ道具もあれば戦い方もあるわけですけれども、それぞれ得手不得手があるわけですから、そのためのコストベネフィットといいますか、ここにはこれがいい、あそこまでは鉄砲を使おうと、その先は少し離れているから大砲を使おうとか、ここにはこれだけの兵力を導入しようというように、目標に向けて実現方法を分析し選択し、ロードマップに従って実施するのが戦略ですね。ですからゴールを立てて、その実現のためにはどういう道具があるか。その道具は、この場の中ではどこまで使えるのか、そのコストはどれで、どれだけのことがここでは扱えるか、ということを検討する前提として、国環研の研究を使うのはいいんですが、資源は有限であり、いろいろなコストがかかるわけですから、いろいろな手法だとか、それらの間の優先順位とか、そういうことを中環審では議論するべきです。ただこう並べて、その悪い例を申しますと、21ページを見ますと、都市のところは政府が講じる手段、これは戦略の5ですね。政府が講じる手段の3というところで、都市で、低炭素社会の実現に配慮した都市計画マスタープランの推進と書いてあります。大変結構です。これは戦争で言いますと、敵に勝つために勝つような武器を使いましょうと書いてあるだけなんです。しかし、そう簡単に都市マスタープランを、どうやって推進するのでしょうか。金も使わなきゃならない、税金もかかるでしょう、だれがやるのでしょうか。だれがそのコストを負担するのでしょうか。どうやってそれができるんだということを示すのが政策の検討であり、プライオリティをつけて、反対もあるでしょうし、賛成もあるでしょうし、その細かいところまでできるかどうかわかりませんけれど、それを検討するのが我々の仕事です。
 そこで、これから何をすべきかということについて私の考えを申します。総合政策部会ではなくて地球環境部会が、低炭素社会づくりに向けてというこの文書を作るとすれば、京都議定書の目達の審議は一応終わったのですから、先ほど局長言われたように、3月の年度末で、一応これはこれで決着つけるというのはいいのですけれども、それならば、やはりポスト京都に向けて、長期的には2050年を見ながら、Cool Earth 50などが安倍前総理、福田総理によって出されていますので、それに向けた検討をすべきです。Cool Earth 50では、世界全体で2050年までに50%下げるということになっています。EUなどは2020年までに20%下げるといっていますが、これに対してどうするのかという問題があります。日本は何をするのか、そのためのまさに戦略ですね。そのためには2020年までに何をどうするかと。先ほどから出ております排出量取引が使いものになるのかならないのか、下手にそんなものを入れたら日本の経済が崩れるのかということも含めて、我々としてはそのような政策的な検討を開始する仕事だということを申し上げたいと思います。中央環境審議会は、国民の目から見れば、そういう政策を国民のために、審議をすることが任務であり、低炭素社会づくりということを言うのでしたら、当面、問題になっているCool Earth 50に向けて、しかも今、政治的課題になっているG8から見ると、ポスト京都、2020年ないしは2030年に向けてどういうことを日本がやらなきゃならないかということを、この基礎的な資料をもとにして政策、つまり戦略、ここに書いてある戦略ではなくて本当の戦略ですね、どういう手段があって、その手段のコストベネフィット、経済的にどういうインパクトがあるか、だれがコストを負担しなきゃならないのか、そして何を優先的に取り上げていくべきかなどということを真剣に検討しなければ、国民に対する責任を果たせないと、これは前から申し上げていますので、環境省はぜひ真剣にお考えいただきたい。そういうことをやらないから、環境省は孤立してしまう。そして、一生懸命やっておられるということはわかりますけれども、ぜひ今後も一生懸命やっていただきたいと、何か最近は文句を言うのが、私の仕事みたいになっていますが、どうぞよろしくお願いいたします。

○横山委員 2点述べたいと思います。
 1点目は、部会長からも一番最初に、甲斐沼室長に質問がありましたが、私も改めてちょっとお尋ねしたいのですが、バックキャスティングという手法でこのプロジェクト、2050研究プロジェクトの報告書がまとまったわけですが、今回の論点整理では余りバックキャスティングというのは意識されなかったというふうに私は思っています。それで、本当にこの中身で70%の炭素削減ができるのか、一研究者としての本音を語っていただきたいというふうに思います。
 それから2点目は、経産省の革新的技術開発とこの論点整理というか、低炭素社会づくり、これが必要だということははじめにも出てくるのですが、今後はこの2つをもとに洞爺湖サミットでの日本の提案をしていくというふうに考えていいのかどうかということをお尋ねしたいと思います。それに関連して、11ページのエネルギー供給のところでは、原子力について先進的原子力発電という表現で終わっていて、私も何度か、これだけでいいのだろうかということを申し上げたのですが、ずっとそのまま変わっていません。それで経産省の会議がこういう表現を使うのはいいと思うんですが、環境省、中環審の地球部会がそれを全くそのまま引用してくるだけでいいのかというようなことがちょっと心配です。原子力、いろんな意味で論議が起こっているのに、何も議論をしないでこういうのを引用するのがいいのかどうか、その辺を時間があったらお答えいただければというふうに思います。
 以上です。

○渡辺委員 よくまとめていただきまして、感謝を申し上げます。
 1点だけ、コメント差し上げたいと思います。それは一番最後に参考資料として2つのイメージシナリオがあるということと、いわゆる第1章からずっと書き起こしておられる低炭素社会のイメージというものとが、果たして一致しているのかいないのかというのが、全体を読んでみると、少し最後に、これは整理をしておく必要があるのかなという印象を受けました。というのは、2つのシナリオが出ているというのは、最初の中を見るとどこにも書いてなくて、ずっと読んできて、最後になってシナリオが2つ出てきちゃったと。そうすると低炭素社会づくりに向けてというのは、どっちをこの委員会としては言っているのかなというのが、ちょっとわからなくなってしまうことが、一般国民にこれが出ていったときに、発生しはしないかということを少し懸念をいたしました。コメントであります。従いまして、例えば単純にこの2つの図を比べてみますと、例えばこれだけの社会をつくり変えるためには、恐らく膨大なコストが要るだろうと。その費用をどうやって捻出するかといったときに、財源が何なのかというのを考えてみると、例えばGDPを比べてみると、約400兆円ほどGDPが違うと。そうすると当然、これだけの社会をつくるためには金が要るだろうから、やっぱりドラえもん社会しか選択肢はないんじゃないかというような結論に、結果としてはなるのかなという。例えばこれを見た人がどう受け取るかということについて、少し説明なり、整理が必要なのではないかなという印象を持ちました。
 それから低炭素社会づくりに向けての要約版についても、やはり同じような参考資料として後ろについているのですが、やはり要約という以上は、委員会としては、ではどういう社会を我々としては目指すのかという、何か、須藤先生はおわりにというふうな言葉を発言されましたけれど、それに似たような結論といいますか、そういったようなものがやはり要るのかなという印象であります。
 以上がコメントであります。

○鈴木部会長 大変たくさんのいろいろコメントを…。

○浦野委員 鈴木先生、申しわけありません。名札を立てるのが遅かったのですが、ちょっとだけよろしいですか、簡潔に。
 今までのお話で、抜けていたと思うところだけ2点だけ、手短に申し上げます。一つは、低炭素というとき、炭素が現在どう使われているかというと、一つ大きいのはエネルギーで、電力とか、あるいは自動車の燃料ということがあるのですけれども、もう一つは素材なんですね。素材についてのコメントが非常に少ないんです。例えばカーボン・ニュートラルな素材をどういうふうに活かしていくか、例えば12ページの産業のところ、あるいは消費者のところの両方になるかもしれませんが、カーボン・ニュートラルな素材や環境負荷の小さい素材のイノベーションというか、素材に関する技術の革新をやって、それを選んで使っていく、評価していくというのが必要なのですが、その辺が非常に不足していて、バイオマスの利用ぐらいの書き方しかない。特にエネルギーの方に非常にシフトしすぎていて、素材がちょっと軽過ぎるかなというのが1点。
 それから20ページの、先ほどから出ている教育なのですけれども、これ戦略と書いてあるのですけれども、何か環境教育を一層推進とか、循環教育の機会を創出とか、何か戦略とは思えない当たり前のことしか書いてなくて、下の方の重点戦略も、もったいないだけが書いてあるんですね。これではやっぱり環境教育というか、国民意識を変えるための戦略として非常に中身が乏しいと。もう少し何とかそういうものをしっかりインセンティブを与える、あるいは評価をしていく、あるいは知識や経験、取り組みなどの情報が、どこにでも表示、あるいはアクセスできて、利用できるようにするとか、何らかの具体的なもう少し何かを書かないと、環境教育一層推進とかだけ書かれても、それが果たして低炭素社会の今後の戦略ですかと言われると、ちょっと弱いという気がしますので、ぜひ、先ほどの意見もありましたけれど、もう少し踏み込んだ環境教育を進めるための表現をつけていただきたい。

○鈴木部会長 ありがとうございました。いろいろ基本的な、一番根本的なところは、やはりこれが戦略なのかどうかということだと思いますが、あくまでもここで私が理解していますのは、論点整理がされていて、戦略をつくるための論点整理が、ある意味ではここには述べられている。とても戦略とは、これがその戦略になるとは、多分どなたも思っておられないのではないかと思います。
 したがって、これから具体的な戦略ということになるのですが、そのときにターゲットは一体どこに置くのか。きょうのご議論も、当面の課題であったり、もう少し2050年50%という、そこを目指してのいろいろな長期的な戦略を考えるというようなところから、いろんなものがある意味ではちょっと整理されていないというところがありますが、私はこれ、スタートの段階では2050年50%という、Cool Earth 50に基づいて、ある種低炭素社会に関しての百花繚乱的な、いろんな議論がいろんなところでされている。そこでもう少し具体的なイメージをビジョン的なもので固めておく必要があるだろうと、そういうことでこの論点整理につながっていると理解しております。
 では、これがこういう形でまとまったとして、もちろんこれをまとめる上では中をずいぶん精査しなければいけないところはご指摘いただいたとおりだと思いますし、例えば教育というようなものも、時間軸を考えてどういうふうにここへ書き込んでいくのかということもあると思うんですが、やはりこれのおわりにがあって、その後、これがどう使われるのか、まさに、ということになると、中環審、あるいは産構審でもいろいろ議論されて、また官邸にもああいうものができて、一体どこが何を決めてどうやって動くのか、そこがともかく我々も非常にはがゆいところもあるのですが、こんなこと言っていいのかどうわかりませんが、ダボスのときも前日にならないと話が決まらないみたいな、そういうようなことを、今度もそうなるんですかね、洞爺湖は。ですから、我々としてはもう精一杯、我々の側としてきちんとしたものを準備して、それをなるべく、これは確かに戦略というよりは論点整理なのですが、こういうものをどんどんいろんな方に理解いただいて、それを外側から攻めて行くのと同時に、官邸でもこれをお使いいただいて、最終的に判断なさるのが今のまま福田さんでいいのでしょうか。どうかわかりませんけれど、本当に最高決定をなさるところがきちんとこういうものを理解して進めていただくと、こういうことをちょっと願わざるを得ない。甚だ不適切な表現だったかもしれませんが、少なくとも我々としては精一杯そういうような方向で動いていくということなのかなと。
 50年後ということになるともっともっと実は書き込まなきゃいけないことがいっぱいあるかもしれないんです。産業構造だってがらっと変わってるかもしれない。しかしながら、そういうような議論をしだすとまたきりがありませんので、いろいろなお話を伺って、そしてここで検討したものを論点整理という形でまとめた。したがって、この戦略と書いてあるところも、戦略にかかわる部分の論点整理がされている、そういう段階であるとお考えいただくということなのかなと、これは私の理解です。
 あと、それではそれぞれご質問があったことに関してはどうですか、少しお答えいただいて。

○市場メカニズム室長 大変、さらに中身を充実させるようなご指摘をたくさんいただきまして、ありがとうございました。最大限反映をしていきたいと思っています。
 幾つかちょっとお答えをしたいと思いますけれども、一つは環境モデル都市についてご質問がございました。これは別途、官邸の方で議論、検討されておりますけれども、私ども聞いている範囲では10カ所選定をするということで、これから具体的な選定基準等が策定されると。当然、その中で、ちょっとこれも書いてありますが、具体的な例えば削減目標とか、そういう定量的な目標をできるだけ掲げていくということだと思いますし、それを踏まえて、どれだけ実現したかという評価もされていくのだと思いますけれども、私どもとしては、この環境モデル都市という取り組みに、この結果も踏まえつつ、最大限貢献をしていきたいと思っております。
 それからイノベーションという言葉について大聖委員からご指摘ございました。私どもの考えとしては、そもそもこの低炭素社会づくり、これまでの延長戦上ではできないということで、大幅な変革が必要であると。そういう意味では技術だけではなくて、ライフスタイルとか、社会、まちづくり、あらゆる面でイノベーションという言葉でその意味をあらわすことができるのではないかなというふうに思っております。
 あと、教育について大分ご指摘ございましたので、特に環境教育につきましては、もう少し記述が充実できるように、大至急検討したいと思っております。
 あと、排出量取引、環境税についてのご指摘ございました。ここはちょっと実は以前の会議でむしろ逆の意見もあったものですから、そこはどうするかちょっと座長ともご相談したいと思いますけれども、事務局としては、もちろんここに書いてあることはいろんな意味で熟度なり、実現可能性は相当開きがあるので、それを精査して、これは検討だとか、これはやるとか、書き分けるのはちょっとなかなか難しいかなと思っておるのですけれども、ちょっとそこはご相談させていただければと思っております。
 とりあえず以上です。

○鈴木部会長 どういう審議をしていただくかでございますけれども、以前ですと非常に、特に環境庁時代ですと、結果は結果としてとにかく好き勝手なことを我々は言うのだという観点からいろいろご審議をいただきましたが、そういったことは非常に許されにくい状況にはなってきております。去年の5月にスピーチにしても、ダボスにしても、ごく最後はいろんな素材集めますけれども、非常に狭いところで方針が決まっていくと。しかもそれは、全く極秘を守るという前提でいろいろ議論をしております。従いまして、私ども、いろいろぜひ素材を出していただいて、それについての議論ということは必要だと思いますけれども、具体的な国家としての方策ということになりますと、どういう形でこれからご意見を伺って審議をしていくのか、正直言いまして、私もこの職にあるものとして、ではこういう形で今度こんなことを議論してやってくださいということまでなかなか言い切れないというつらさがございます。ただ、いずれにしましても、素材をつくっておくということは非常に大事でございます。そういった観点から、ぜひいろんな議論がしていただけるような準備はしていきたいと考えております。

○鈴木部会長 それでは、今日いただきましたいろいろなご意見、ご議論に基づきまして、この論点整理につきましては、文章も含めて精査をさせていただき、最終的にまとめとさせていただきたいと思います。その辺のところは私にご一任いただいてよろしいでしょうか。

(異議なし)

○鈴木部会長 ありがとうございました。

○地球環境局長 それではありがとうございました。これにつきましては、親の審議会の方に報告いたしまして、またあとの扱いについてはぜひ相談させていただきたいと思います。ありがとうございました。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 それでは次の議題に入りたいと思います。本日席上に配付させていただいております参考資料2から6、これにつきましては、谷津審議官の方からご説明をお願いいたします。

○谷津大臣官房審議官 お手元の参考資料の2からごらんいただければと思います。これまで当地球環境部会と経産省の産構審との合同部会ということで精力的にご審議賜りました目達計画計画の見直しでございます。
 最終報告を受けまして、政府といたしましてこの改定案をまとめ、パブリックコメントにかけ、現在、年度末までの閣議決定に向けて、今、最終的な準備をしているところでございます。中身につきましては、基本的に当審議会からの最終報告を、そのままの形で踏まえて政府案というものを作成したわけでございます。
 今後のところだけちょっとごらんいただければと思いますが、一番下に目達計画の進捗管理という部分がございます。第1約束期間がスタートするということを踏まえまして、進捗管理できわめて重要という認識のもとに、毎年6月及び年末に進捗状況を厳格に点検するということでございます。また、審議会のご指導を賜ればと思っております。さらに、2009年度、これは来年度でございますけれども、第1約束期間全体の排出量見通しを示して、総合的にご評価を賜ると。この点につきましては、次にご説明申し上げます地球温暖化防止法の改正案の中にも、第9条として2009年度に総合的な見直しをするという旨の規定を設けておるわけでございます。また、ご相談を差し上げたいと思いますので、ご指導のほどよろしくお願いいたします。
 次に参考資料の3をごらんいただきたいと思います。温対法の改正案でございます。このご審議の中で、やはり業務・家庭部内、業務につきましては90年比41.7%、家庭については同30.4%増ということでございまして、ここを中心に目達計画の施策を、法制度的に裏打ちをすると、そういうことによって6%削減を確実なものにしていくという観点から、以下の内容の法改正を今予定しておりまして、去る3月7日に各省折衝を終えて、閣議決定いたしまして、法案を国会に提出しているところでございます。
 ポイントだけ申し上げますと、ちょっとコピーが場合によって悪いかと思いますが、2枚おめくりいただきまして、法律の要点と改正事項というページをごらんいただければと思います。左が現行の温対法、右が改正案ということでございます。ご案内のように、現行の温対法では、目達計画推進本部、国、地方公共団体の実行計画、算定公表制度、京メカに関する規定、それと全国県センター推進員、こういう柱立ての法律になってございます。冒頭の局長の挨拶にもございましたように、国全体としての政策は、今、計画の中に位置づけられているということではございますけれども、法律に基づく具体の施策というのが、なかなかこれまで確立できなかったわけでございます。
 そうした状況のもとで、今回の法改正では、まず一つ目として、排出抑制指針の策定ということでございます。事業活動に伴う排出抑制施策。この中では、望まれるような設備、またその利用の状況、またそういったものが効率的に導入、使用されれば、大体どのくらいまでの排出削減が可能であるのかといったような意味合いでのベンチマーク、規制の目標ではございませんが、施策の到達目標と、努力目標という意味で、減退目標をそれぞれの用途ごとにお示しできればと思っております。あわせて、家庭部門、日常生活という点につきましても、指針をお示しし、COの見える化などを進めていきたいと、こういうことでございます。
 2つ目の柱は、今まで国、地方公共団体の率先実行計画、これは事業者あるいは消費者としての地方公共団体がみずから排出する温室効果ガス、例えば庁舎管理のための電力、あるいは公用車を走らせるための自動車燃料、こういったみずからの事務事業に伴って排出する温室効果ガスの対策を法定計画として定めていただくということでございましたけれども、これからは一層きめ細かい地域レベルでの総合的に計画的な取り組みが必要というようなことで、特例市、これは人口20万規模でございますけれども、特例市以上の市につきましては、エリアワイドの地域計画をお立ていただくという改正案でございます。
 算定公表制度につきましては、これまで年間の排出量が3,000トンを超える事業所単位にこの制度を運営してきたわけでございますけれども、そうしますと業務部門の排出量のわずか13%しかカバーできないということで、事業者単位、支店なども含めた事業者単位、あるいはフランチャイズ全体を一つの単位として、大くくりでご報告いただくということで、対象のカバレッジが13%から50%に拡大できるということでございます。
 また、さまざまな事業者が今、CDMのクレジットの活用を図っておられます。こういった活用を促進するということを配慮するというのを基本的な規定として設けまして、例えば電力会社がクレジットを調達をして、全体の電力源単位をクレジット分だけ引き下げるというようなことをうまく制度的に裏打ちをして、社会全体の温暖化対策の促進にクレジットを活用するというような方向で所要の改定を行いたいと思っております。
 次は、植林CDMでございますけれども、これはやや実務的な改正でございます。京都議定書のもとで吸収源、植林のCDMというものも位置づけられております。これは通常の排出抑制のCDMとは違いまして、植林というのは例えば山火事になるとか、違法伐採で切られてしまうといったようなことで、吸収量自体がカウントできないという事態も十分想定されるわけであります。これは国際ルールでそういうことも想定した措置が決められておりまして、そういう事態に至った場合には、他のCDMクレジットでその分を補てんするというルールが決まっております。これまで余り植林CDMの実施例がなかったわけでございますけれども、今後、日本でも、あるいは日本の企業でも植林CDMの活用が図られる見通しがだんだん出てまいりましたので、国際ルールを国内ルールに引き写すという意味での改定であります。
 最後は、特に家庭部門での対策を推進するために、今まで県に1カ所推進センターを設置するという規定だったわけでございますけれども、先ほどの地域レベルでの地域計画とあわせまして、特例市以上の市においてはセンター、あるいは推進員、こういったものを設置いただきまして、きめ細かい家庭部門の対策を進めていただこうと、こういう内容でございます。これから国会での審議を通じて、また内容も深まっていくのではないかと、こう思っております。
 次に、参考資料の4をごらんいただければと思います。去る3月14日、先週金曜日から日曜日16日にかけまして、千葉の幕張を会場にG20、グレンイーグルズ対話という閣僚級の会合が開催をされました。これは今年の1月からわが国がG8の議長国になったわけでございますけれども、1月以来初めてG8関連の閣僚会議ということで、またその温暖化問題を取り上げるということで、マスメディアの注目も集めた会合でございました。5の結果概要というところをごらんいただきますが、今回は、昨年末のCOP13におけるバリ・ロードマップへの合意を踏まえて、ちょうどあと2週間後、3月31日から、国連の初めての特別作業部会が開催され、具体的な交渉がスタートするわけですけれども、そういった非常にタイムリーな時期にこの会合が開かれたということでございます。
 したがいまして、世銀から資金メカニズム、国際エネルギー機関から技術的な専門的な報告を受けまして、次期枠組みについて閣僚レベルでの意見交換が行われたということであります。基本的にこれは対話の場ということでございましたので、特に合意事項がまとめられたわけではございませんけれども、今、議長サマリーというものを別途用意しているところでございまして、またまとまりましたらご提供をさせていただければと思っております。
 次が参考資料の5でございます。今後の主要な温暖化交渉、またそれを支えるG8プロセスというものでございます。現在、2008年の3月ということでございますが、バリ会議の後、1月にダボス会議がございまして、福田総理は特別講演をされたわけであります。そこでわが国は国別総量目標を掲げて取り組むのだと。しかしながら、公平な目標である必要があって、そのためには積み上げ型で将来の排出量を推計するような、そういうやり方で共通のベースで将来の総量をみんなで共通認識としてつくっていこうというご提案をされたわけであります。次にG20対話。今後、5月24日から26日にかけまして、神戸でG8環境大臣会議が開催され、洞爺湖サミットにつながっていくということでございます。
 交渉の方でございますが、上のCOPの流れをごらんいただきますと、春に条約のAWG、特別作業部会の第1回、2回、3回とございまして、COP14の期間に第4回の作業部会が開催されます。今年4回、次期枠組みについての詳細な交渉を行う場が設定されております。こうしたことを受けて、来年の12月、デンマークで開催が予定されていますCOP15での合意を目指して交渉が進められると、こんな道行きでございます。
 最後でございますけれども、ストップ温暖化「一村一品」大作戦、概要報告という資料でございます。ストップ温暖化「一村一品」大作戦全国大会2008の概要という資料をごらんいただければと思います。これはある意味、地域レベルでの低炭素社会づくりにも関連をする先駆的な取り組みということでございますので、ご紹介を差し上げる次第でございます。各地の地球温暖化防止活動推進センターなどが中心になりまして、各県ごとに特徴的な取り組みを募集いたしまして、県大会、全国大会を通じて事業を選定させていただいたということでございます。今回は初年度目ということでございまして、全国から1,074件の取組がエントリーをされました。各県大会を勝ち抜いた県代表が2月に全国大会ということで一同に会しまして、改めてそこで全国的な審査を行ったわけでございます。中島誠之助さんを初め、審査員がWebによる一般投票の結果を踏まえながら、選定をしたわけであります。2.にそれぞれ選定の受賞者が紹介をされておりますが、最優秀賞は京都府の桑田高校の森林リサーチ科というところが栄えある最優秀賞を受賞したわけでございます。あと自治体の取り組み、それと次のページをごらんいただきますと、それぞれ特別賞として塩釜市の団地加工業協同組合、学校、アーバンエコロジー東京、協同組合、信用金庫、協議会、さまざまなお立場の方々の取り組みがこういう形で受賞をしたと。こういうことを私どもとしても全国に普及することによりまして、地域レベルでの温暖化活動、ひいては低炭素社会づくりを推進していきたいと、こう考えております。
 以上でございます。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 ただいまのご報告、ご説明に何かご質問ございますでしょうか。

○小林委員 質問というよりはお願いということなのですが、実は今回の法改正に関する部分で、いわゆる地域に関するところなのですが、いわゆる実行計画の充実、第20条3にかかる部分、それからその後の23条から26条にかかる活動推進員、また活動推進センターの部分なのですが、ここの法改正に関して、大変失礼な申し上げ方になるのですが、地域の実際にこれをやっている人たちとの意見交換、情報交換、意見聴取がほとんどというか、皆無であったというふうに思っております。これについて地域では大変、混乱をしておりまして、私自身も審議会の委員をしながら、これについて何を議論したのだと、責任をとれというところまで言われておりまして、私自身、実は審議会でこんな細かい議論は全くしておりませんという回答をさせていただいているのですが、この辺につきまして、今さらここの部分はもう一度見直せとは申し上げられませんので、実際にこれを施行するに当たって、これに関係する当事者と十分意見交換をしながら通達をつくるとかということをぜひお願いをしたいということでございます。
 以上です。

○須藤委員 ありがとうございます。今の小林委員とほとんど同じなのですが、地域の前の実行計画と今度の地域計画とのつながりというのが不十分だということと、20万人以下の都市はつくらなくてもいいように取れるのですが、それでいいのでしょうか。
 それから、今の地球温暖化防止活動推進員ですが、ほとんどのところが中核市で活動推進センターを県が持っているんですね。そうするとまたもう一つつくらなくちゃいけないので、非常にこの辺のところが弱体化するんじゃないかと思うので、私もそれが非常に不安ですということを、今後よろしくご指導いただきたいと、こういうことでございます。

○横山委員 参考資料4に関して1点だけお尋ねしたいと思います。
 この第4回閣僚級対話で、日本が提案したセクター別アプローチというものが議論になったと思います。それで、私は積み上げ方式ではなかなか2050年には半減できないというふうに思っています。それで、環境省にとってもこれまでの考え方と違うと思うのですが、どんなふうにセクター別アプローチというものをお考えになっているのか教えていただければと思います。

○谷津大臣官房審議官 では順次お答えを申し上げます。
 まず地域とのコミュニケーションが不足しているというご指摘でございます。これは私どももさまざまな地域から同様のご意見も直接承っておりまして、今後、法律施行の段階で十分意見交換をさせていただきながら、すべての取り組みが、言ってみれば相乗効果を上げるような形でぜひ進めさせていただければと思っております。
 また、しからば20万以下の都市については地域計画はつくらなくていいのかというご指摘でございます。これは法律で計画の策定を義務づけるわけでございます。こういうある程度地域の広がりを持った地域計画で政策を進める場合には、それなりのまとまりをもったエリア、あるいは活動を持ったエリアである必要があると考えておりまして、そういった意味で、余り小さな自治体までエリアワイドの計画を義務づけるのはいかがなものかという議論もございまして、法律で義務づけさせていただくのは特例市以上という判断をさせていただいたわけであります。
 最後、セクター別アプローチについてのお尋ねでございます。私ども、総理のダボスのスピーチの中で、日本が次期枠組みで総量目標を掲げるということは、非常に大きなメッセージを日本から国際社会に出せたのではないかと思っております。その国別総量という点につきましては、やはりこれが過度に日本の国際競争力に影響するということであっては、なかなか日本社会全体としてのコンセンサスが得られにくいというようなことから、レベルプレイングフィールド、公平な競争条件の設定ということが一つの大きな要素になってくるのではないかと。こういった議論は最近になってEUからも聞こえてくるようになりまして、カーボンリーケージ、余りEUで対策を前のめりに進めていくと、EU域内から企業が域外に流出をしていく。あるいはEUの中でも主要な製造業を抱えているような国からは、国際競争力の観点が非常に重要だというような意見が普通に出るようになってまいりました。我々はかねてよりそういう議論を国際社会で展開をしていて、やや孤立気味だったわけですけれども、ようやくEUも実際の対策がEU-ETSの第2フェーズということで、真水の削減をこれからやっていかなければいけないというようなことで、やや現実味を帯びた国内削減という事態に至った関係で、そういう議論が起こってきているのではないかと思っております。したがって、次期枠組みのもとでの国別総量の議論というのを、なるべく公平なベースで設定をするという点については、わが国だけではなく、EUも同じような感覚で議論ができるような、そういう雰囲気が出てきたのではないかなと、こんなふうに思っております。
 それと、今申し上げておりますのは、時期枠組みでの目標についての積み上げ方での議論ということでございますけれども、バリで合意いたしましたバリ行動計画の中では、コーポラティブ・セクトラル・アプローチというのがミティゲーションの中の一つの論点になっております。これはセクター内で先進国の企業と同じセクター、例えばセメントならセメントの途上国の企業とが削減対策について協力をするというような意味合いでのコーポラティブ・セクトラル・アプローチだと思っておりますが。したがって、セクトラル・アプローチという言葉の持つ広がりというものが、かなり広いものがあると思っております。これについては、ヨーロッパも先ほどのカーボンリーケージ対策の文脈の中で、セクトラル・アプローチというのを考えておりまして、4月16日に第3回のアメリカ主導の主要経済国会合がパリで開かれるのでありますが、それが17、18とパリで開かれるのですけれど、1日前、4月16日に、パリで主要国が集まってセクトラル・アプローチのワークショップをしようという予定にもなっております。そうした中で、日本の考えていることをより適切な形でアピールしながら共通認識をつくつていきたいと考えております。

○鈴木部会長 よろしいですか。なかなかわかりにくいところがあって、セクトラル・アプローチというのがどこまで煮詰まっているのかというあたりがよくわからない…。

○谷津大臣官房審議官 日本は日本なりのイメージを持っているんですが、国際的な共通認識はまだこれからということでございまして。

○鈴木部会長 セクターの中でのその排出を抑制していくと、これは非常によくわかりやすいのですが、じゃあ最終的に地球全体のキャップの中で、セクターごとにどれくらいアルケーションを割り当てていくのかとか、そういう議論が伴わないとなかなか、鉄鋼とセメントだけセクターとして外してくださいよって、そういうわけにいくのかなというあたりがよくわからない。

○谷津大臣官房審議官 セクトラル・アプローチの議論の中では、部会長がご指摘のように、ある一定のセクターについては、国際的にセクターとしてのキャップを設定して、その分は国の総量キャップから除こうというような議論もあることは事実です。だけれども、それはまだ本当のアイデア段階の話でございまして、まさに国別総量との関係、あるいはヨーロッパで言えばUETSのアローアンスとこのセクトラル・アプローチとの関係、これはまさに論点で今後詰めていかなければいけないという認識を、等しく各国が持っていると思います。

○環境保全対策課長 1点補足をさせていただきたいと思います。環境保全対策課長の田中でございます。
 先ほど須藤先生からのご質問の中で、今回、特例市以上について実行計画の中で地域の推進計画を策定するようにお願いすることによって、今までそれ以外の市についてお願いしていた推進計画はどうなるのかというようなご質問がございました。今までは第4条2項に基づきまして、それぞれの地方公共団体の方に策定をお願いしていたわけでございますけれども、今回、4条2項はそのまま置いてございます。つまり、新たに実行計画の中で、例えば都市計画とのリンクなどにも配意しながら、新しい計画をお願いするわけですけれとも、これまでお願いしていたようなそういう小さな市については、これまでどおり4条2項に基づきまして、そこまでの計画ではないと思いますけれども、これからもお願いをしたいと思っています。むしろ、これまでは非常に策定状況が芳しくなかったわけですけれども、今回は特例市以上とそうではない市ときっちりと分けまして、無理のない範囲で、できる範囲で4条2項に基づいて策定をしていただきたいと、こういうような整理をしているところでございます。

○鈴木部会長 よろしいでしょうか。やはり地方の仕組みをいろいろお考えになるときは、現場とかなり密接に連携をとってお進めいただかないといけないのかなという気もいたします。
 よろしいでしょうか。大体本日予定されました議事は以上でございますが、特に何かございませんでしたら、事務局の方から。

○市場メカニズム室長 事務局から一言、冒頭ちょっと申し忘れましたけれども、きょうの資料の中で、参考資料につきましては既にホームページで公開されておりますので、傍聴席の方には配付を割愛させていただいておりますことをご了解いただきたいと思います。
 それから、本日の資料につきましては公開ということで、会議録につきましては各委員にご確認をいただいた後に公開をさせていただきたいと思っております。
 以上でございます。

○鈴木部会長 それでは本日の議事はこれで終了させていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。

午後3時00分 閉会