中央環境審議会地球環境部会(第68回)議事録

1.日時

平成19年11月29日 14:00~17:00

2.場所

全国都市会館3階第2会議室

3.出席委員

(部会長) 鈴木 基之
(委員) 浅岡 美恵 大塚 直
武内 和彦
(臨時委員) 青木 保之 植田 和弘
逢見 直人 鹿島 茂
小林 悦夫 塩田 澄夫
関澤 秀哲 大聖 泰弘
高村 ゆかり 富永 健
中上 英俊 永里 善彦
西岡 秀三 桝井 成夫
森嶌 昭夫 横山 裕道

4.議事次第

  1. 開会
  2. 議題
    (1)低炭素社会の検討について
     ○意見発表:黒川 清 内閣特別顧問
     ○論点整理についての議論
    (2)IPCC第4次報告書統合報告書(報告)
    (3)その他
  3. 閉会

5.配付資料

資料1 低炭素社会への道:グローバル世界の日本と現状と課題
(内閣特別顧問 黒川 清)
資料2 これまでのヒアリング概要(論点別)
資料3 「低炭素社会づくり」に関する主な論点
資料4 中央環境審議会地球環境部会(低炭素社会検討)の開催日時
参考資料1 第1回~第5回までのヒアリング概要(発表者別)
参考資料2 IPCC第4次評価報告統合報告書 政策決定者向けの要約の概要

6.議事録

午後2時02分 開会

○高橋市場メカニズム室長 お待たせいたしました。定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会第68回地球環境部会を開催させていただきます。
 若干おくれていらっしゃる先生方もおられますけれども、本日は委員総数40名のうち21名の委員からご出席というご連絡をいただいておりますので、定足数を満たすということになっておりますことをご報告いたします。
 それでは、以後の進行につきましては、鈴木部会長にお願い申し上げます。

○鈴木部会長 それでは、早速議事に入らせていただきたいと思いますが、まず、本日の審議は公開となっておりますことをあらかじめご報告させていただきます。
 では、資料の確認からお願いします。

○高橋市場メカニズム室長 では、お手元の議事次第以降ですが、資料1といたしまして、きょうお話しいただきます黒川先生の資料がございます。資料2といたしまして、これまでのヒアリング概要(論点別)というものがございます。資料3といたしまして、1枚でございますけれども「低炭素社会づくり」に関する主な論点というのがございます。資料4といたしまして、地球環境部会(低炭素社会検討)の開催日程というものをつけてございます。
 念のため申し上げますと、今回の資料4で、新たに12月7日、来週でございますけれども、来週7日の金曜日の午後に部会を追加させていただいておりますので、ご承知置きをお願い申し上げます。
 それから、参考資料1といたしまして、5回目までの懇談会のヒアリングの概要を、発表いただいた先生別につくったものをつけてございます。最高資料の2といたしまして、IPCC第4次評価報告書の統合報告書の概要というのをつけてございます。
 それから、番号はつけてございませんけれども、黒川先生の方から追加で、多くの業界においての海外売上比率という資料が追加されております。
 以上でございますので、不足等ございましたらばお申しつけをいただきたいと思います。
 以上でございます。

○鈴木部会長 それでは、本題に入りたいと思います。
 これまで、17人の有識者の方々からお話をお伺いしてまいりました。低炭素社会に関するヒアリング、こういうことで最後のお一人、締めとして、内閣特別顧問、また学術会議の前会長でもいらっしゃいますが、黒川清先生からご意見をお伺いすることにいたしております。40分ということでよろしくお願い申し上げます。

○黒川内閣府特別顧問 ありがとうございます。久しぶりだと思われますが、大事なテーマだと思いますので。
 今までのスピーカーを見させていただくと、それぞれの分野の専門家で、皆さんもこのとおりの専門家ですから、もう余分なことは言わない方がいいという感じです。
 お手元に資料がつくってありますが、こんなものはとっくにご存知ということばかりなので、なるべく飛ばしながら行こうと思っております。
 世界の人口がふえて、Food, Fuel、Feed and Climate Changeが大災害を招くというのはわかっているけど、じゃあ、日本の国家ビジョンは一体何なのか、わかりますか。つまり、外から見てて、日本の国というのはどういうことをしたくて何を考えているのかというのはわかると思いますか。そこに一つの大問題がある。
 イギリスとかドイツなどは、はっきりしたメッセージはかなり頻繁に出しています、ある程度予測ができるけれども、世界2番目GDPの日本は何をしたいのか、全然国家の意志が見えない。これはなぜなのか、をまず考えてください。
 ドイツ、イギリスもそうですが、3年前にイギリスに行ったときは余りうるさくなかったんだけれども、2年前に行ったら、もうタクシーの運転手までClimate Change、Climate Changeと言う、どうしてと聞いたんですけれども、英国の私のカウンターパートはデイビット・キングですけれども、やはりそれはブレアさんの発言と、そういうことをサポートする科学コミュニティーもあるし、2005年のG8サミットで気候変動とアフリカを最初に言い出す、それを実質的に支援する科学のデータもあるしという話を次々と出してくる。去年(2007年)10月にスターン・レポートが出てから何が変わったかというと、アメリカなどの大企業はもう急速に変わってきましたね。
 それはなぜか。日本でもたくさんの報告書は出していると思いますが、大体英語で出していますか。英語でわかるように出していますかというのが問題で、この情報世界で発信力がまるでない。しかも、スターン・レポートもそうだし、デイビット・キングのリポートもそうですが、何をするかというと、ああいうデータについては首相官邸ダウニング10から、そういう人たち、スターンはエコノミストですけれども、世界じゅうのいろいろなところにどんどん講演に行くわけです。
 彼らはもともと学者ですから、データについてはかなり自信があるわけで、ダウニング10から講演に行かせますよと言えば、当然ホワイトハウスとかコングレスとか、カリフォルニア州議会とか、大事なところにしゃべりに行くわけです。何も小さな大学でしゃべってもしようがないわけなので。それによって、1時間もしゃべると、質疑応答しながら、報告書のかなりなメッセージが伝わるようにしているわけです。
 彼に話を聞いたんだけれども、デイビット・キングのエネルギーウェッジングの2050年までに60%CO2を減らすというイギリスの報告が出た後で、口演に行く、カリフォルニア州にしゃべりに行って「イギリスの政策はこうだ」と40分ぐらいしゃべって、2050年までにはCO2排出を60%減らすと。それを聞いていたシュワルツネッガーは、「うちは80%にする」とつい言っちゃったわけですね。
 やはりそういうしゃべり方、発信力のパワーもあるわけなので、出した政策をどうアピールするかというのは極めて大事なことです。私も「イノベーション25」の取りまとめをしたときも、中間報告が2月の終わりですけれども、中間報告の英語版Executive Summaryをすぐにウェプに出した。すると、結構いろいろなところでみんな見ているわけで、そういうプロセスを今まで日本の政策ってやっているのか、例えば各省庁で。余りやってないと思うのですね。そこが違うということです。
 さて、そこで、主要経済紙への「気候変動」の記事数。これはドイツと日本。日本は日経ですけれども。例えば、主な経済紙、産業界も国民も、最終的には経済が大事ですから、経済紙でどのぐらい取り上げられているかというと、2004年、5年、6年、7年となると、日本は最近、特にことし2007年、日経は扱っている記事が急に増えているけれども、そういうふうにググッと上がってきて、何かのところでブレイクすると、国民の意識がかなり変わる、政治的に動きとなる、ということがある。メディアの役割というのは極めて大事で、汚職とかいろいろな話題があるので、どんどん記事が出るのはいいんだけれども、国民の意識の変化を挙げるメデイアが大事と思います。
 エネルギー効率。これは日本は1973年の第1次、第3次中東戦争のオイルクライシス以来、日本は効率がよくなり、圧倒的に日本がいいというのは皆さんご存知のとおりです。世界でそれはみんなが認識して、日本に教えて教えてと寄ってくるような状況なのかということを考えてください。
 世界ランキングで、Green Company rankingというと、上のほうになぜか日本企業は入ってない。これは何でなんでしょうか。日本の企業は一体何を考えているのかというのは、これは国のせいじゃありません。カンパニーの広報意識の問題だと思います。
 さてその次です。世界での動きはどんどん加速化して、去年2006年のノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)のグラミーン・バンクとユーヌスさんというのはいかにもグローバル時代に象徴的です。格差社会に対する対応は何も国の金を出すだけじゃない、というメッセージを出しているわけです。イノベーション25の2月の中間報告でも、これからすごく大事なのは社会起業家、ソシアル・アントレプレナーだのだということを書いてありますが、日経新聞が6月にこれを特集として取り上げ、20回ほどでしょうか、社会起業家をハイライトしましたし、ニューズウィークの特集も出ていました。そういう動きをどんどん国民に伝えることが大事です。
 ことしのノーベル平和賞は西岡先生などもご苦労されましたIPCCとアル・ゴアということで、気候変動に対する科学者の見解と、危機意識を世界に広く広げたことがすごく大事なので、そういうところが評価されたのですね。
 それらか、#4に書いてあるように、Greenhouse gasses排出ではGDPが世界の2番目であるにもかかわらず、CO2のエミッションは世界の4%程度で、すごく頑張っているということは、日本の人は認識している。
 で、1990年から2005年までに何がふえたかというと、これは皆さんご存知のように、エネルギーをつくるところと交通とビルディングですね。猛烈にふえているのですが、これをどうするかということだと思います。
 それから、Necessary scenariosは、京都、IPCC、スターン・レポート、いろいろなことが出ていますが、どうしたらいいかということです。
 その次のページに参りますと、各論は皆さんの方がよほどご存知です。今から19世紀の中ごろのカリフォルニアのゴールドラッシュみたいに、いよいよ「カーボン・ラッシュ」という動きが出始めてくると思います。実際、そんなことは起こらないだろうと言っていろいろ抵抗しているセクターもあると思いますが、日本がしなくても周りがしますから、これでは日本だけ孤立してこの市場からはみ出す、ということになりうると思いますが。前のEPAで仕事をしていたYale大学のダニエル・エスティーが、去年の終わりに『Green to Gold』という企業にもいろいろメッセージを出した本を出しています。こういう動きがだんだん動いていくと思います。
 その証拠ですけれども、Global Movementsとしては、EU、UKのイニシアチブ。UKとしては今年2007年の1月のアメリカ大統領のThe State of The Unionの直前、1月になってスターン・レポートでスターンがアメリカにもしゃべりに行っているので、一気に大会社が、CO2のキャッピングと、ちゃんと規制ルールを入れないと、私たち何が起こるかわからないでは困ると言っているうちに、原油価格がどんどん上がってきた。結構企業が積極的に呼びかけて、大統領をプッシュする、それがThe State of The Unionにエネルギー自立が国内問題のトップ政策に反映されました。そのような政治と企業との動きですが、日本ではどうでしょうかね。こういうプロセスが大事だと思います。
 さらに、G8サミットでは、2005年のグレーンイーグルスで、ブレア首相はClimate Changeとアフリカ問題を取り上げて、それ以来、2006年のプーチンのセントピータース、2007年のドイツのハイリゲンダムとなりました。皆さんご存知と思いますが、サミット初日からメルケルとブッシュで全然うまくいかなくて、ガチンコ勝負でコーヒーブレイクになったと。
 そのコーヒーブレイクの後で、安倍総理から「クールアース50」がでた。あれで、みんな一気に一致して、これは共有するビジョンであるという話になった。大きな貢献です。私のウェブサイトを見ていたくとわかりますが、サミットの2週間後にスロベニアでE8のサイエンスアドバイザーのミーティングがありました。年に2回あるんです。ブッシュ大統領のアドバイザーのジャック・マーバーガー、トニー・ブレアのアドバイザーのデイビット・キング、それから、カナダのアーサー・カーティーも前からよく知っているのですが、ブッシュのアドバイザーとブレアのアドバイザーに、「よかったよ、あのおかげで。この大事なときにG8首脳が気候変動で一致したのは物すごく大きかった、ありがとう」とやたらと感謝されまたけが、外務省に、あのときのプレスはどうしたんだと聞いたのですが、そこがまた素人なんでしょうね、お役所がやっているのは、プレスリリースも。世界でも、日本ではあの成果を日本の提案とあまり大きくは報道されていなかったようですね。プレスリリースを日本の記者団にやっているのは、世界からは全く意味がないわけで、広報戦略としてうまく振り分けないといけない。そういう話を全然考えてないのでは、というところが問題。
 だから、メディアも国内向き、アクションも国内向き、政治も国内向き、企業も国内向き、それじゃあせっかくいいことをやっていても世界ではだれも知らない、所詮は内向きと思います。
 それから、気候変動については、一次エネルギー源の変換等、いろいろなことがありますし、リニューアル、クリーンエネルギー、テクノロジー、省エネ、それから炭素回収の問題、緑化、その他とあります。カーボン・キャプチャー・ストレージCCSとか、排出権取引など、大きな因子があります。ロンドンのシティではカーボン・トレードも始めていますが、ことし3年目になって、もう3兆円の取引です。これは実体以上にヘッジファンドとかいろいろあるのは事実ですけれども、指をくわえて見ている人と、そこからフィーを取る人と、取れない人その違いはかなりあると思います。
 それから、政府は何をするか。補助金ばかりではなく規制でちゃんとゴールを設定することが課題です。ちょうど1971年のマスキー法みたいに、カリフォルニアはこれではたまらんということで自動車排気ガスのNOx等の排出を10年で90%減らすと、デトロイトはみんな反対したけれども、ホンダが3年でクリアーして自動車後進国の日本の車の信用があがった。1971年にカリフォルニアでの日本車の評判を知っていますか。私、ちょうどロスに移ったばかりだったから知っているけれど、すごいスモッグで、日本車、カローラ、ダットサンとか、カリフォルニアのハイウェーでは、あんなちゃちな車はいつぶっ壊れちゃうかわからないというのが普通の評判でした。
 そういうことなんです。日本の環境技術はすばらしいと。これからももっとやる。
 それから、マクロ経済をどうやるかという、これは全く弱いですね。
 それから、エンドユーザー、国民の意識は変わりつつあるけれども、どういうふうに環境対策を政策にするかが、各省庁でやっているのですから、それを調整する官僚機構というのじゃあ、大きな国家政策なんか出るわけない、これが日本の政治です。
 原油価格は急騰していますし、炭素規制と取引は多くなる。さあ、どうしたらいいか、これが日本の課題です。
 そこで技術から言うと、デンマークは風力ですし、日本はソーラーといろいろなことがありますが、風力は今のところふえてきて、年代として世界のマーケットは2.3兆円ぐらいで、これは三菱重工などが結構稼いでいると思いますけれども、ソーラーの方が今11兆円ぐらいの市場ですが、日本が圧倒的によかった。太陽電池、ソーラーがそうですけれども、2001年は日本は世界の市場、大した市場じゃないですけれども、47%を日本がつくっていた。もちろんこれは1位がシャープです。それから、サンヨー、京セラというところだと思いますが。
 たった5年でこの市場は猛烈に拡大していまして、あっという間に2位がQセルというドイツの会社、これは1999年にできた会社ですが、もう2番目につけて、4番目がサンテックという中国の会社です。日本はどんどんジリ貧になってきて、今38%ということです。理由はいろいろある、コストも下がっている、日本は一時、補助金を出してソーラーパネルが普及していたけれども、補助金が切れたとたんに伸びなくなった。ほかの政策もやらなくてはいけない。
 再生可能エネルギーもバリューチェーンがありますからいろいろなビジネスモデルを構築すべきで、これはビジネスの方がしっかり考えることです。素材の問題、部品の問題、製造装置、それからアセンブリー、システムインテグレーション、運用をどうするか、これは基本的にすべてビジネス界が自分でやることだろうと思います。それから、風力、ソーラー、太陽熱、波、バイオフューエル、すべての「原料」があるわけで、これはビジネスがしっかりやってちょうだいと。しかも、現在のイノベーションは必ずしもリニアではなくて、どういうふうなコンビネーションでやるかというのは、最近新しいビジネスモデルかどんどん出ていますから、しっかり考えてほしいということです。世界は広いのです。
 お役所に相談したって、責任取るわけでもない。そういうことです。
 クリーンエネルギーへの最近の動きを見ると、Venture capital、Private equity investment。OECD各国でGDP当たりのこういうリスクマネー的なVenture capital、Private equityのお金のパーセントはOECDの各国で日本は最低です。2000年から最低で、今でも最低です。
 つまり、銀行ばかりでこれは融資です。大きな会社の社内ベンチャーなんて言うけどあんなのうそですね。失敗したら罰せられるだけの融資企画ですからだれもやらない。
 最近、アメリカでもクリーンエネルギーへの意識が高まっていますので、そこに相当な、ゴールドマンサックスとかいろいろなPrivate equity financeが入ってきて、これが急激に伸びていますが、去年、2006年ではシリコンバレーだけで1,000億円(1 billion US$)です。その前の年、シリコンバレーのクリーンエネルギー関係のベンチャーキャピタルが500億円でしたけれども、とうとう去年が1,000億円、ことし2007年は大体4,000億円になります。
 4,000億円のベンチャーキャピタルがシリコンバレーに行ったというのは、ITでは1995年です。つまり、ヤフーとかグーグルとか、そういうのができているころに4,000億(4 billion US$)ベンチャーキャピタル投資がされ、いまはクリーンエネルギーに同じような額の投資が入っている。シリコンバレーみたいな突拍子もない優秀な頭脳、クレージーな人が集まっているところなら何かやる、という期待があるわけです。
 さて、そこで日本の課題について。これが一番大事な点と思いますが、皆さん、各論はもちろんそれぞれ専門家ですから控えますが。
 皆さん、海外旅行に行く。いろいろなところに旅行行く、それなりのホテルに泊まると、大体CNNとかBBCとかやっていますね。ナショナルジオグラフィックとかディスカバリーチャンネルとかやっているのを見る。あれを見ると、日本の番組をどのぐらい見られるか。日本は世界で2番目のGDPです。最近、中国がこの10年がんがん出てきているから、CCTVが2チャンネルぐらいあって、中国のことを発信している。最近は、イギリスに行っても、アルジャジーラが英語でどんどん発信しています。
 日本からはどこにあると思います?せめてNHKがふるさとの何とかなんてやっているぐらいですね。まだ相変わらず外国へ行っている日本の企業戦士の方々ご苦労さまですなんていう調子ですね、考え方が。あれは一体何を考えているのか。どうして日本と日本についてもっと宣伝しないのか。例えば国内でNHKのBS番組を見ていると、世界遺産だ何だと素晴らしい番組がたくさんある。何であのようなものを流さないのか?
実は、去年、外務省の30人委員会から、国際広報をもっと戦略的にやれという提言書を出した。塩崎副大臣のときだから去年2006年です。安倍さんが総理になる直前に出したんですけれども、そういう外向きの意識が全くない。メディアにもないし、もちろんNHKでやるわけないし、政府にもない。だから、世界からは全く日本が見えてないんです。
 先週、日本アラブ会議でアレキサンドリアに行って、中山太郎先生団長ですが、100人ぐらい日本は政府、企業関係者も行った。アラブの人は、日本はいい国だとわかっているんだけれども、具体的に何もわからないと。そういうことなんです。イメージは、テクノロジーがすごいというだけです。サウジの人だと、トヨタはすごいとわかるけれども、そのほかには、「なにかいい」ということはわかるんだけれども、具体的に何というのは見えないというような状況です、と指摘していました。そういうところがあるというのが1つ。
 それから、2番目は、ハイリゲンダムでは日本のクールアースのおかげでまとまりよかったと言っていわれているけれども、あれほど言ったのだから次から次へと日本の国家意志として、だからこうするとか、だからそうするとかという具体的な政策が出てくるかと思うと、全く出てこない。あれは単に間に合わせただけの話で、今になっても、昨日官邸筋に何を出すんだと言ったら、まだ何も出てないんです、なんて言うから、各省庁から持ち上げて調整しながら、格好をつけるだけの話ですから。これが日本の政策のつくり方ですよ、皆さんご存知だと思うけど。
 だから、外から見ると、日本は相変わらず不思議な国だと言うんです。あれだけ大きな考えを出したのだから具体的に政策があるんだろうと、世界に発信するだろうなと期待していると、何もでてこないんですね。
 中国はCCTVなどからがんがん発信はするし、アフリカでも中国はエネルギーセキュリティをかなりやっています。実は来年2008年の5月、TICAD(Tokyo International Conference on African Development)という5年に1回やっていて、日本とUNDPと世界銀行とやっていますけれども、アフリカでは結構知られていて、すごく感謝されている。
 さらに、日本のアフリカのODAプログラムはすばらしいとは結構知られている、だからアフリカのリーダーにもしっかり外へ向かってしゃべってくださいよと言うんですが、日本からの発信も見えない。日本はこんなにいいことをしていると私はケニアの新聞のコラムに書いたけれども、日本人の良く知らない、ちょっと情けないとは言わないけれども、国民は当然知るべき権利を与えていられないなと、書きました。来年はTICADがあるから、世界から日本は期待されていると感じる。しかし、日常からそういう広報をしておかないと、国民も世界も知らないでいる、全然伝わってないというところが問題と思います。
 来年TICADがあるし、1月のダボス会議でどうなるかわかりませんが、「クールアース50」について日本の具体的政策は何か、結構期待が盛り上がっている、世界じゅうで。いよいよ洞爺湖サミットでは日本がイニシアチブをとって、世界に存在を示す、と期待はされていても、どうもその気配がないと、私もちょっといらいらしています。
 ということで、国家ビジョンが見えないというところが1つです。そこで、この図というのがありますが、日本にはいいところがたくさんある。実は、この図にあるように、データをきちんとやってこうなるのだけれども、後でお見せしますけれども、イノベーションの中間報告が2007年2月末にでている。
 この中間報告で一番最初に出ているのは、これからの問題は環境問題とか日本のプレゼンスにはODAはすごく大事だから、つまり、世界の日本は何なのかということをしっかり意識しろと書いてあります。それで、日本はクリーンエネルギー、環境技術は一番進んでいるから、これを経済成長のエンジンにしろと、これを外交戦略の中心におきなさいと、書いている、これはそういう意味ですが。
 この提言は、日本が自らグローバルなリーダーとなる可能性を志向する度合いとして、環境エネルギーと開発援助というのは結構強いんです。そのほかに文化とかソフトとか言っているけれども、だけど、左の上の高さは、国際的に日本がグローバルリーダーとなることを世界から期待されている度合いに、この2つが高いんです、実を言うと。いろいろな世論調査とか、新聞の記事とか、アジアとか、アフリカとか、世界の知識人のリーダーに聞いたインタビューもそうですけれども、期待は高いんです。両方が一番高くて期待されていて、日本もそれをしたいというのは環境・エネルギーの技術、水の技術、こういうことです。
 どうしてこれを経済成長とか、国際的な日本の認知度を上げるツールとして使わないのか、ここに国家政策として一番の問題がある。これは政府の問題でもあり、各省庁の問題でもあり、大学の先生たちの問題でもあり、企業の問題でもあるということと思います。
 ここに書いてあるように、日本の課題。日本には優れた点がたくさんあります。省エネ技術、家電などは世界の最高水準、間違いないです。それから、図の2がありますが、これは皆さんよくご存知だと思います。この図で見るように、日本は1973年のオイルショック以来、エネルギー効率はGDPがふえたにもかかわらず、製造の現場ではCO2排出量はほとんどふえてない、この30年。そのぐらい優れている。だから、カーボンを出す割合GDP/BTUが圧倒的によくて、右側にあるように、排出の効率はCO2を出すのにGDPについてどれだけ出しているかは、日本は工業とか製造業をやってきた、ものづくり大国なんてみんな言っているから本当なのかなという気がするけど、日本は圧倒的に効率がいい。
 これは、どのくらいみんなに、世界に訴えていますか。世界の将来の顧客に。世界じゅうは環境とかエネルギーの技術は欲しくてしようがない、どんどん売り込んでいけばいい。それはこれをもっと積極的に売り込まなくてはだめです、黙っていたら来るわけないんだから。つまり、知られてなければ市場も広がらない。それと、世界への広報、どうやって知らせるかというのは、メディアであり、政府、企業の戦略的広報なんです。
 このときに、日本人や日本のメデイアが発信すればいいかというと、必ずしもそうではない。だれにやってもらったらいいかということを考えることも戦略です。
 これをなぜ売らないのか。火力発電でも日本は最高の効率です。中部電力が多分一番効率がいいのだけど、どうしてそれを売りに行かないのか。向こうから引き合いが来ればもっといいわけですが。それから、製鉄などの産業エネルギーのエネルギー効率も世界最高、自動車のハイブリッド、プラグイン、軽自動車、それから材料が軽くなってきて、物すごくエンジンの効率もいいし、ITもそうだ。ディーゼルがこれからどうなるかというのは結構チャレンジですけれども。それから、ソーラーパネルの効率も今はベストだけれど。今度サンヨーの出したのが今の材料モデルでは一番効率はいい。だけれども、その一番いいモデルをつくっているからというだけが自慢じゃしようがない。その前の世代でもいいから、必要なところにどんどん売ってくればいい。技術移転したっていい、環境は世界の過大だから。どうしてマーケットをとりに行かないのか、ここが私には理解できないのです。
 それから、開発用の材料でも物すごくいいのがたくさんあります。公共の交通網が広がっているというのも物すごく日本の今アドバンテージです。アメリカでこれを減らせと言っても、車社会になっているのでかなり厳しい。それでもシュワルツネッカー知事は、2050年までに80%CO2を減らすと言い、それに対する政策をどんどん打ち出してくる。コンピューターの発熱は大きいですけれども、グーグルの本社は、9,000枚のソーラーパネルで電力を大体賄っていますけれども、大体7年半で資金を全部回収できると計算しています。これを宣伝しています。その9,000枚はグーグルのサイトで見れますけれども、みんなシャープ製です。シャープはどうしてこれをもっと宣伝しないのか、これがまた問題かもしれない。グーグルはそういうことをやっている。
 グーグルは今度はクリーンエネルギーに対して、500億円ぐらい投資を始めると言っています。グーグルの創業者ページとも話ししたけど、彼はそれが彼の主要ミッションのひとつになってきています。ことしの2月のAmerican Association for Advancement of Science、「サイエンス」という学術雑誌を出しているところの年次総会で彼が基調講演をやりましたけれども、Climate Change、Environmentということをしきりにしゃべっています。これも企業人で、そういうことです。
 ということで、日本はいい点をどうやって伸ばすのか、これが課題です。じゃあ、何をしたらいいか。今度の報告書もできたら鈴木座長に、世界じゅうにどんどん講演に行ってもらうことは大事なことです。PRは物すごく大事です。
 それから、国内ではこれからもっと推進するのは、地方にバイオフューエル基地をつくるとか、森林の再生、これがまた大問題です。中国などから買う木材の値段が急に上がり始め、私有森はそれにつられて売り始めるんです。こうなると一体何が起こるかというと、森林破壊も進む。江戸時代のトップダウンで、日本とドイツだけが唯一植林計画をやった国です。『Jダイアモンド』の去年の12月に出た「コラップス、文明崩壊」を読んでいただければわかるけれど、これは例外的なトップダウンで成功した環境プロテクションだったんです。
 それが歴史、文化だったけれども、木材の値段で動いて、今までは補助金が出ていたせいもあり、世界から安い木材を買いまくって日本はすごく評判が悪かったんです。アラスカの方に行くとアラスカの木なんてなかなか育たないけれども、ものすごく緻密なんです。それが結構抜けちゃってなかなか育たなけれども、日本人がみんな買っていっちゃったと言うんです。日本は世界では結構評判が悪いです。そういうことばかりしている、エコノミックアニマルだと思われています。
 今になって値段が高くなるとすぐまた売り始めるのは、これまたエコノミックアニマルですね。それでいいのかという話で、私有林、不在オーナーの持っている森林も結構ある。農水省は林野庁に聞いてみると、これが組合とか補助金とか、緑資源何とかとかいろいろあってむだ遣いが多いけれども、余り大きい声じゃ言えないのかな、これは。プライベートなエクイティーで、年に10%利益を出すビジネスモデルも出てきていますね。いろいろ考えるとやれることは幾らでもあるんです。役人に考えてもらうと、それはみんな優秀ですばらしいんだけれども、お金を取るという、予算を取ることしか政策がないので、予算に関係ない政策って余り聞いたことない。これが日本の国家です。そういうことです。
 研究開発はもちろん大事。例えば政策ではソーラーを入れれば、ドイツなどでもやっているけれども、余った電力を電力会社に返すと電力会社が買ってくれると。これを結構高くすると、みんな自分のところで節電して売ろうとします。隣のうちの電気はうちが売っているという気持ちになれば、クリーンエネルギー産業を誘導する。補助金でなくてもやれることはいろいろあるということをぜひ考えてください。過剰電気の電力会社へ売ることを経済的なインセンチブにすると、ソーラーパネル購入など大体5-10年で回収できるとか。そうなれば、みんなソーラーパネルを買い込んで、しかも節電するようになる、結構な話と思います。
 それをやっている国もあります、地方でも結構ですね。エネルギーについては、省エネ、クリーンエネで、地元に一番有利なものを使うようにするとか、「地産地消」へと政策誘導する。例えば温泉が出ているところでは、冷暖房などですね。特に暖房だけれども、なぜ温泉地熱を使わないのかよくわからない、どこに障害があるんでしょうか、調べてください。それの規制を取ればいいわけなので。
 風の強いところは風力、光のあたるところはソーラーと。風力も風力が毎秒25メートルになるととめるのですが、最近は軽い材料を使って、これは日本人が得意なんですけれども、直径1.5メートルの風力の発電があります。風がちょっとでも吹くとすぐに動いて、向きもきちんととまるようなディバイスをつくった。これは東大にも1台どこかにのっていますけれども、そういう国民にも見えるような、シンボリックなものをどんどん広げるのも大事と思います。
 ソーラー、風力、地熱、それからもちろん電池とか、いろいろすごい開発をしていますが、地方で自分でクリーンエネルギーで自立したというところに地方交付税をエネルギー自立による配分がいいということは、増田大臣にも提言しましたけが、そういうことをが大事。
 それから、ヒートポンプは今は日本の独壇場ですけれども、会社に聞くと、もっと日本に普及させたいなんて言うから、何を言ってるんだと。世界に売ってこいと、90%以上の市場は世界です。世界に欲しい人はたくさんいるのですから。
 もう一つの大きなネックは送電事業。ガス会社は日本に250位ある、電力会社は10ぐらいでしょうか。ガス会社に聞くと、地域でも独立することは可能だが、電力会社が抵抗すると。できることもできないと。要する電力をつくる会社と分配する会社を別にしないとだめです。だから、やはり電力会社のモノポリーだとみんながエネルギーを使ってくれないと困るということになってしまいます。この電力産生と送配電の機能、権限を分離するというのは当然の話だなと。
 そうすると、それぞれ地元で自立して、省エネ政策を考え、導入するのが大事なのだと。そうすると、バイオフューエルでいろいろ使えるし、例のコンパクトシティーもいかにCO2を出さないかという例のパッシブ・オンの都市モデルをつくるとのがすごく大事なことになってくる、それによってコミュニティー再構築していくという自立を促進する政策。今度の健康フロンテ 
ィアにも、政策の基本理念として書いてあるようなことができる。
 それから、もっと世界に技術移転をする。省エネ技術の市場は世界が95%以上で、日本の国内市場なんて大したことはないです。例えば、業界の人は、ヒートポンプ、ヒートポンプとおっしゃるけれども。携帯電話はご存知ですよね、みんな持っているけれども、携帯電話は10年前は使ってなかったと思いますけれども、この携帯電話の世界のマーケットは、今、38%はノキアです。2位が13%モトローラーで、今落ち始めているけれども。3位がサムソンも13%です。ようやく4番目に日本の企業の名前が出てくるのはソニー・エリクソン。今、11%です。
 日本は14社程度ありますけれども、14社合わせても世界のマーケットの6%です。なぜ。それはNTTとか総務省とかいろいろあるけれども、昔のソニーの井深さんと盛田さんのように、おれたちは世界で一番になるんだというビジネスマンが今どこにいるんですか。そこに問題がある、世界に打って出ると。だけど、世界の携帯電話部品の50%はメイド・イン・ジャパンです。
 日本はものづくりというけど、結局は「部品屋」なのか、ということが問題で、世界に丸ごと売ってこうという人がもうちょっと出てきてもいいと思います。
 今、日本では毎月60万ぐらいの携帯電話が売れているのかな。中国では、毎月800万、インドでは毎月700万です。指を加えて見ているのかというのが私の主張です。部品をつくるのはすばらしい、だけれども、ビジネスを全体を構築して世界のマーケットをとるというのは下手。
 皆さん、アイポッドを使っていると思いますが、アイポッドというのは、もとの200ドルぐらいで、あれは部品はソニー、パナソニック、サンヨーが入っています。ほかにも入っていますけど。小売価格のうち、どのくらい利益があると思いますか。アップルが何かつくったと思いますか。ゼロです。こういうのをつくってねと言っただけの話だから。あのうちの純の利益50%が利益です。だって部品をアッセンブルしてるだけだから。その利益の半分がアップルに入るようになっています。残りの利益がアメリカ系の企業、ディストリビューターとか、そういうところに入るようになっている。あとはみんな部品屋さんですから、ちょっとの利益を少しずつもらっているという格好です。すごいビジネスモデルです。
 ものづくり、科学技術は主に左脳のアクティビティーですが、だけれども、最後ビジネス決定は右脳です。それが今のビジネスモデルになっている。産業のパラダイムがサプライ側から、世界の消費者デマンド側に変わった。つまり、ITによって世界が平らになったときのビジネスは何なのかということを、今までのビジネスで成功した人達にはなかなか感覚的にわからないということが大事なのかなと思います。
 そういう意味では、日本は物すごいビジネスのオポチュニティーがあるわけで、その次にこういう表があると思います。3番目。これを見ていただくと、日本の主なもの、自動車、電気、その他の製造業、それからその他のサービス業の日本と世界でのマーケットがどのぐらいなのかという、日本の会社のシェアですが、2000年には、平均すると36%が海外での売り上げ。だけれども、2005年は海外の売り上げは43%になっています。これを見ていただくとわかるけれども、どこが強いかというと自動車が強い。66%が海外での売り上げ。それから、電気製品が41%でまあまあ。もっと高くてもいい。日本国内はもう飽和しています。世界のマーケットは日本の省エネの電気機器を欲しくてしようがない、何で売りに行かないのかなと思います。
 それから、この資料「金属」でなくて「金融」です。ごめんなさい。
 金融は弱いですね、これが。全くだめですねという話で、メガバンクが3つもあるわけで、何やってんのという感じです。それが日本の産業界。
 その裏を見てください。日本企業にとっては、CO2排出量はビジネスチャンスなんです、明らかに、すごくいいんだから。省エネの家電、空調その他、それからヒートポンプなどもありますが、大体4兆円近いマーケットです。これは中国、インド、中東、アフリカも最近ぐっとキャッチアップして、ゴールドマンサックスさん結構プライベイトエクイティー投げ始めてますから、アメリカもこれからすごくなると思います。大体今4兆。これはどんどん成長して、年3%ぐらいの成長予測ですけれども、その中で日本の企業の推定市場シェアは25%です。何でもっと売りに行かないの。インドの中産階級って今15%です。あの人たちもみんな環境のことビリビリしています、中国も。日本のこういう技術、製品が欲しくてしようがない。だけど、現地の物をどんどん買っちゃいます。日本のウリは、同じ値段だったらエネルギー効果は圧倒的にいいということを売りにしなくちゃいけない。もっと外へ出て行って儲けてきてと言うと、今考えてますなんて言うから、遅いねと。企業はもっと先へ手を打たないと。
 排出権取引、シティで年間3兆円になりましたが、アメリカは今シカゴのコモディティーマーケットに入っている。アメリカはブッシュ大統領が反対しているけど、もう10幾つの州がそれに入ると言って、ヨーロッパ、カナダ、それからイギリスと一緒にマーケットをつくろうとしていますから、日本は相変わらず産業別自主規制で横並びでやろうと言っていたら、全然これも取引市場に入れなくなる可能性がある。ちょっとまずいと思っています。
 それから、断熱材も2.6兆ぐらいで、これは5%成長ですが、日本はほとんど負けていてとれてない。日本の中でもとれない。日本は政策目標がそういうふうになってないですから。
 風力発電もどんどん伸びるけれども、14%。日本は三菱重工が最近いいと言っていたところぐらいか。エネルギー管理サービス、バイオフューエル、全然国内外とも日本はだめ。太陽光発電は日本は45%、これは2004年ですけれども、今40%切りましたね。これをどうするかということが、大事ですね。
 ハイブリッド自動車はもちろん日本がマーケットをとっていますけれども、日本の国内でのハイブリッド車の売り上げはまだまだ少ないですね。これをどうするかという話は政策的に幾らでも考えられる。これからはすごい軽い自動車、燃費のいい自動車、1リットルで100キロ走るというふうになって、それからこういうハイブリッドになったら、例えば高速道路はただにするなどというと、ウミボタルの向こう側の町が急に人気になっちゃって、土地が上がるとか、活性化するとか、幾らでも方法はあると思います。そんなことをやると、またすぐに反対という人もいるのはわかっていますけれども。
 それから、太陽光パネルはQセルが急激に世界2番目になったのは、ご存知のようにドイツはインセンチブを上げてお金を出すという政策。しかしそんなことをやったらむだですよと某省の人が言ってきた。この制度がドイツの政策、あれは東ドイツの方に工場があるので、東ドイツの再復興に役立っているわけです。やはりそれが日本ではさらに道路をつくるのがいいか、道路だけじゃないけどいろいろな財源とか今までのを見直して、環境立国にどうプライオリティーを、変わっていく世の中に対して日本は国としての政治がやるのかというのがすごく大事だということだろうと思います。
 ヒートポンプでも95%。これはほとんどが日本が作っているから。これを今、世界に売ってくれば幾らでもマーケットになる。ほとんどのマーケットは、実は国外が95%以上ですから。どうしてそれをとりに行かないのかというところが、私も理解できないところです。
 アブダビ、1カ月前に行ってきました。アブダビではオイルがたくさんあって、あと100年以上もちます。日本のオイルの4分の1はアブダビから来ていますけれども、ここでは「マスダール」という全くCO2を出さないまちづくりを計画をしています。このデザインは、アブダビとMITでやっているらしいですね。いろいろなデザインの設計等の検討を。日本の部品はいいんだよと売りに行ったんですけれども、日本は部品屋になっちゃうのか。もっとでっかいデザインをするとこで売りにいけないのかなというのがちょっと情けないです。
 というわけで、日本はもっと世界の日本、世界第2の経済大国という意識をもっともっと持って行動をし、発言をすることが重要ではないでしょうか。
 最後のページですが、弱いところ。明らかにオフィスビルが非常に多いですね。やたらとガラス張りで、冷暖房やっているだけという何だかまったく情けない。東京都は新しい政策でCO2を2020年までに20%減らすのと、いろいろな規制を出してきていました。あれでもまだ生ぬるいのではないかと思うぐらいですね。ようやっとですよ、でも東京都は素晴らしいです。
 住宅の断熱とか、ガラスもだから長い波長のガラスは通さないんだけれども、明るいガラスとか、そういうふうにルールをつくれば、日本はそういうイノベーションというのは猛烈強いですから、幾らでもやります。二重窓は重いなんていうことなら、じゃ薄くて軽いのをつくったらと言ったらすぐにやりますよ。あっという間にやるから。
 それから、電気が何で白熱灯をまだ使っているのか。オーストラリアも、2010年までには一切廃止と言ってる。今、蛍光灯化やっているけど、LEDもどんどん明るくなってくるから。
 政府のやることは、もちろん税制もいいけど、これだぞと言って2年後に全部廃止と言えば、もうあっという間に変わります。それをやって、日本だけやりましたやりましたと言っても全く意味がなくて、やっていることを外に宣伝しないと。そうすると向こうはたくさん見に来て商売ができるということです。
 それから、森林管理。さっき言ったように、木材コストが中国から特に上がっていますから、これをよほど中長期的に今すぐにはじめないと、国有林も私有林もめちゃめちゃになりはしないか、と。これは農水省に話をしていますが、計画的植林政策とビジネス計画、これはほとんど国のお金がなくてできるビジネスをやっているところがあります。国有林を実験的に貸してくれれば、大体年間に10%ぐらいのリターンを上げられるようになるビジネスも出るかもしれない。いろいろビジネスで考える。これはまたディマンドサイドのイノベーションなんだけれども、最初からカスタムを契約しておく。だから、一つも損がないように全部やれるということも可能です。
 道路の管理も林野庁にやってもらうというだけではだめです、これも私企業のインセンチブで考えてもらう。
 バイオの利用と地方の活性化。これはやはり組み立てるべきで、皆さんご存知のように、国が戦争をするのは必ずエネルギーと食糧がなくなっているときです。日本はエネルギーは極端に輸入に依存、食糧は自給率が40%切ったと大騒ぎしているけれども、食糧の自給率40%は確かに問題ですけれども、じゃ、エネルギーはそのときもつのと言うと黙っちゃってね。両方一緒にやるのはどうしたらいいかということです。エネルギーがなくなったら早くダウンするから、だから食糧だけ自給率の話をしていたってしようがないと言うのですけれども。そういう縦割りの政策はまずいです。
 私は、2050年までに日本はエネルギー輸出国で食糧輸出国になろうという、大きなスローガン出すべきと考えています。不可能だ、という人は今までの政策プロセスで考える人たちです。バイオではリグニンの少ないセルロースの植物をつくることです。それはやはり稲や麦は割に少ないので、たくさんつくって、二毛作につくって産業化して、食糧はコシヒカリの大輸出国になるなんていうのは夢のようですが、結構な話じゃないですか。
 という話をしたうえだで、バイオエネルギー産地として地方を活性化して産業にする。森林もこれで計画的に植林をする。「世界での日本」という意識が日本人、特に社会的に高い地位の人にも希薄すぎる。世界の期待と日本の現状の乖離というのがある。今のこのことですが、最後、この図があります。これもいろいろ書いたデータじゃないので申しわけないですけれども、日本は、今言ったように、環境とODAというのは物すごく日本は貢献しているのです。ODAは今イギリスに引けをとってしまって3番になりましたけれども。
 右の方のODAから行きましょう。ODAの額はアメリカを100とすると日本は40数%です。結構大きい。世界で3番目、今イギリスが抜いちゃったけど、これは2004年です。だけれども、どのくらい世界から認識されているというのは、縦の軸ですが、これは記事数ですから多分これは2年間で主に欧米のいろいろなジャーナルに出ていて、ビジネスに関係のあるようなもの、『エコノミスト』とかいろいろなものが書いてあるのに、日本ということのODAについての記事がどのぐらい出ているかというと、2番目に資金を出している割には出てこない。インドや中国はODAは出してないけれども、もらうことでおおくの記事が出ている。これは結構話題になる、というこういうふうな格好です。
 だから、日本はもっと自分のプレゼンスをそれなりに上げるという努力をしなくてはいけないのです。これは、日本語で上げていますなんていうのは、全く海外では意味のないことです。ほとんどのグーグルで探す人は英語ですから。日本語でやっているなんてことを言うこと自身がもうとんでもない話です。
 それから、環境です。環境は、中国を100としています。つまり環境が悪いからというわけで、話題が多い。GDPあたりのCO2の排出量で、ちょうど1年前、中国共産党本部の学校へ行って、エネルギー効率とか環境の話、セミナーをしました。技術を欲しいのです。中国の政府として、環境が悪くなっているということをみんな気がついていますから、それによって政治の不安的化は嫌ですから、いろいろ協力したいのです。
 記事数を見ると、中国、インドの記事数は決して環境がいいということで出ている記事ではないことは明らかですが、日本は圧倒的に環境技術がいいので、CO2の排出量が少ないから優れているのですが、全然注目されていないですね。目立つのは米国ばかり。わがままだから米国はそうなってしまう。ブッシュ大統領が反対すると記事になるというのはわかりますけれども。
 ここで、やはり英国のプレゼンスというのは、投資の割には外への向き方が非常に多い、したがって存在が大きく感じられる。イギリスは自分の内容の10倍ぐらいに世界から感じられている。日本は自分の内容の10分の1しか見られてない。これは、日本の政府の問題ですね、あなたたち一人一人の。
 ということで、私のお話を終わらせていただいたらどんなものかなと思っています。よろしくお願いします。

○鈴木部会長 それでは、いろいろな切り口からご意見、ご質問があろうかと思いますが、ただいまの黒川先生のお話にご意見、ご質問、コメント、おありの方は、また名札を立てていただきます。
 1人ですか。じゃあ、横山さんから。コメントを一通りお聞きいただいて、後でまとめてお願いいたします。

○横山委員 黒川先生、ありがとうございました。
 日本は何をしているのか見えないとか、日本のビジョンが全然世界に伝わっていないとか、大変おもしろく伺いました。世界の2位という意識を持って発言せよというのは、私もそのとおりだと思います。
 そのことで、ちょっと変な言い方で申しわけないんですが、学術会議の会長を長年務められて、それから今、内閣特別顧問という立場なわけですね。そういう立場から温暖化防止の問題をどうとらえているのかというのをちょっと伺いたかったような気がするんです。
 例えば、私などは科学者がもう少し立ち上がってほしいと、行動してほしいと思うんですが、そういうのを学術会議の会長を務められた先生がどう思っているのかというところとかですね。それから、排出量取引の話も、先生もぜひこれはやるべきだというふうに私は伺ったんですが、内閣特別顧問として、その辺のことを何かやれることはないのか。あるいは、政府のいろいろな宣伝の仕方とか、そういうものがかなりまずいよというようなことを随分言われているんですが、内閣特別顧問としてそういうことで日ごろなさっていることというのはどういうことなんでしょうか。その辺をちょっと伺いたいと思います。

○鈴木部会長 森嶌委員。

○森嶌委員 今の黒川さんのおっしゃったことは、私はかねてから触れて申し上げていることで、こちらの方で頷いていることがたくさんありましたけれども、今ごろになってうなずいているのは遅いんではないかという感じがしているんですけれども。ただ、私の場合には、申し上げると、中環審の会長は皮肉を言うとか、例えば今おっしゃった場合には、内閣特別顧問は立派なことをおっしゃるということなんですけれども。
 黒川さんに対して質問というよりも、1つは、おっしゃったことは、言い方は違うし、また他と違った見方もあるのかもしれませんけれども、やはり今、外側と言いますか、外国の人と話しをすると、全く言われたとおりの問題を日本は抱えていると思うんですね。そこで、最も役所の中で弱小な――というとまたこれ問題があるかもしれませんけれども――環境省として、今言われたことをどう受けとめるのかということ、黒川さんに伺うというよりも、むしろ役所としてどう受けとめるのかということを、私としては伺いたい。
 それから、黒川さんに対する質問としては、政府は何をしているのかとおっしゃるけれども、最も政府に対して直言し、あるいは政府に対して影響を及ぼしやすい立場は、内閣に対する特別顧問として総理と最も近いかどうかはわかりませんけれどもで、その意味ではここにいる中環審のだれよりも最もおかしければおかしいのではないかと言え、こうしたらどうかと言えば言えるはずですので、その黒川顧問が、わからないあるいはもっとやったらどうかとおっしゃっているんですけれども、なぜそれがわからなかったり、政府が動かないのか、むしろそれを伺いたいというふうに思います。
 もう一度申しますと、これだけ言われて、当省はこれからどうしょうと考えているのか。それから、特別顧問は今まで何をしておられたのか。それぞれ質問であります。(笑)

○黒川特別顧問 いい質問ですね。

○鈴木部会長 桝井委員。

○桝井委員 短くします。
 森嶌先生のご質問の延長みたいなことですが、内閣特別顧問としての黒川さんにお伺いしたいと思います。
 そういうわけで、国家ビジョンの問題はどうも情けないことがもう長年続いているわけですけれども、今、この半年か1年で急に変わりそうもないように思うわけですけれども。これで、さっきちょっとそれ以上は深くおっしゃられなかったんですが、これから年末にかけて世界においてこの激しい、2050年、30年に数十%というふうな形が大きな潮流になっていく中で、日本は美しい星を打ち上げたけれども後がない。何も出てこない。洞爺湖だと。これも7月ですね。これでこのまま行ったときは、いろいろなことを考えられているんでしょうが、非常に惨めな状況になりかねないよう思うわけですが、顧問として、このまま行くと一体どのようなシミュレーションができるのか、何をどうすれば多少変わるのか、その辺をちょっとお話しいただきたいと思います。

○西岡委員 私の方では、科学の知識をどう政策につなげるかというところに関してなんですけれども、非常に日本はそういうところは弱いと言いましょうか、そのチャンネルがようやくこの10年ぐらいでできたのかなというぐあいに思っておるんですけれども。具体的にIPCCの論文の中で、日本のシェアはどれくらいに先生はお思いになりますか。

○黒川特別顧問 結構いいのではないですか。

○西岡委員 そうですか。
 答えを言いますと、IPCCの取り上げている論文でわかるところだけ調べたら2%です。2%はちょうど人口と同じですから、世界に行ってですね。人並みの頭だなという感じがするわけです。(笑)

○黒川特別顧問 人並み以下かもしれないね。GDPとかいろいろのサイエンスの投資を考えると。

○西岡委員 そうですね、GNPとか、そういう。計算すると大体国土面積ぐらいでいいのかなという感じはするんですけれどもね。(笑)
 それは置いておきまして、なぜそういう形になったのかを考えてみると、やはり国際化してないと、研究自身が。それから、大きな問題に取り組もうとしない、国内の問題ばかり取り組んでいるという、学会に対してもあるかと思いますし。それから、今、最後、私が質問しましたように、チャンネルが必ずしもできてないというところがある。それについてどうお考えか。

○鈴木部会長 永里委員。

○永里委員 ありがとうございます。おもしろかったです。
 私はちょっと変わったところで、先生からウィンブルドン現象、日本の相撲界の話、朝青龍の話、この辺を本当は聞きたかったんですけれども、きょうはちょっとそういう話がありませんので。

○黒川特別顧問 整理してますから、言いたいこと言いますよ。

○永里委員 実務的な話をちょっとしますと、日本の携帯電話というのは当然売りたい、先生のお話しの中で、当然売りたいはずなのに、マーケットサーベイが間違っているんだろうと先生はおっしゃりたいんだろうと思うんですね。その辺をちょっとお聞きしたいと思います。
 単純な機能とか安い電話機をつくれば世界に売れるはずなのに、日本の中で機能を高めることに明け暮れていて、世界に向いてないんじゃないかと。この辺について先生のコメントをお聞きしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○鈴木部会長 中上委員。

○中上委員 2つです。1つは、海外の情報発信が少ないと言いますが、私も学会等に行くんですけれども、向こうの連中は政策研究が随分そういうところに出てくるんですね。日本の場合は政策研究は余り学会では評価されないらしくて、ほとんどそういうのが出て行かない。だから、政策でどうなっているかという動きがそういう場からは全然情報が流れて行かないという、そういう点があると思います。それは私のコメントです。
 それから、ODAは、確かに日本はODA大国だと言われていますけれども、エネルギー面でいくと供給サイド、サプライサイドに対してはODAは非常に有効に作用しているのかもしれませんが、これからずっとやらなければいけないのはディマンドサイド、つまり省エネですね。そのディマンドサイドに対するODAというのは、そういうスキームはなかなかとれない。ぜひ、これは先生の内閣特別顧問としてのパワーを利用していただいて、ODAの開発援助をサプライサイドだけじゃなくてディマンドサイドにもっと向けていただければ、ひるがえって日本の省エネ機器の普及にも十分利するんじゃないかと。ぜひよろしくお願いします。

○鈴木部会長 植田委員。

○植田委員 1つは、先生の資料の中で、GLOBAL GHG ABATEMENT COST CURVE,2030というのがあったと思いますが、少しご説明をいただけたらありがたいと思います。

○黒川特別顧問 これは、去年の1月のマッキンゼーの報告書に出ている図で、ことしの春か何かに出た『エコノミスト』の中づりの特集でもこの図がマッキンゼーから出て使われていたので出させていたたんです。これを導入するコストと、どのぐらいCO2が下げられるかというので、今、オイルが1バレル100ドルだと多分上のバーが15ぐらい、この図ではゼロになっていまけれども、+15ぐらいのところにコストのバーが来ると思います。
 こういう話を、今考えているのは、それぞれの分野で日本が明らかにフロントランナーだというのは幾つもある。例えば、Fuel efficient vehiclesとかAir conditioningとかです。それぞれの分野で日本は一番だぞというのを見えやすく表示するというのを今考えているんですが。それを出して、例えば『エコノミスト』に特集をつくってもらって、「フロントランナー方式、日本はここがおくれている」とかいうのをみんなに見えるようにしたらどうか。
 これは、元図はマッキンゼーの去年の1月のです。

○植田委員 それに関連しまして、要するに日本の国内に関してこの図をつくることは、当然イノベーション政策上は不可欠のことじゃないかなと思うのです。つまり、日本側の現状で、先生おっしゃったように、進んでいるということがあるのですが、それは世界でそれこそマインドを変えて、世界レベルというか、世界対象に考えろという、マインドを変えるというご発言、そのとおりだと思うのですが、その社会の要請からすると、日本の現状は十分ではないわけですね。
 そうしますと、それをどう抜本的に……。これは、国内目標を達成する上でも意味を持つのじゃないかと思いますので、その観点からしたときにどういうイノベーションの余地とか政策上の進め方があるかというのについて、お考えをお願いしたいと思います。

○鈴木部会長 ちょっと私も、先生に。
 日英の比較というのは非常におもしろいと思うんですが、やはりスターン・レビューにしても、ブラウンさんが財務大臣のときに、あれは環境省でやったわけではなくて国がやはり統合的に動ける、機能的に動ける仕組みができているわけですね。それを内閣府を非常に強化しようというのが今の日本の流れであったような気もするんですが、ちょっとトーンダウンしているところもあるかもしれませんけれども。
 お金も持たず、そういう意味での力も持たない内閣府を、これから一体どういうふうに、黒川先生お一人の力でどこまで強化できるのかというのがあるかもしれませんが、その辺は中におられてどんなイメージをお持ちでしょうか。
 特に、日本の場合には原油のパラダイムが非常に抵抗勢力になっていたわけですね。何とか団体連合なんていうのがかつての何とか組合みたいにですね。そういうところをどう打ち破っていくのか。まさに国が治世をというところもあると思うんですが、その辺もし先生、中におられてごらんになって……。

○黒川特別顧問 つらいね。
 大体一回りして、いいですか。まず1ラウンド目で。

○鈴木部会長 まず、1ラウンド目として。実は余り時間がないんです。おもしろそうなので、ずっと通してもいいですけれども……。

○黒川特別顧問 実は、私はこういう発言をしているけど、私はずっとこういう発言をしていたんですね。にもかかわらず学術会議の会長に選ばれるということ自体が、私はそのときも驚愕したんたけれども。吉川弘之会長にもそういっていただきました。
 だから、やはりそれぞれの方々が自分の言うことをどういう風に普段から言って、一歩でも足を踏み出しているかということがすごく大事で、そこから世の中は変わっていくわけなのじゃないかなと。
 それで、内閣顧問なんていうのも初めてなったし、そうすると、どこのラインもないから、役所は逆になるべく聞きたくないということなんですね。都合のいいときだけ聞きに来るのはしようがないんだけれども。だから、そういうことですね。
 そうすると、私が内閣顧問になったということは、実を言うと、すぐに書いたのは、『ネイチャー』で2回書きました、10月と11月に出した。それから、『サイエンス』も取材に来て、4月に、「ニューズ・オブ・ザ・ウィーク」に私とのインタビューが1ページ出ましたけれども、日本の新聞はそんなのやったことありますか。つまり、日本の新聞もそんなことに対する意識は全くないのです。
 私のブログにも書いたけれども、英国のベケット外務大臣が来ましたよ。あの人はもともと環境大臣だった。そのときに私も英国大使館にランチに呼ばれました。そうしたら、大物政治家、元外務大臣なんて何人もいて、財界も数人、役所が二、三人、すごいメンバーで、私はちょっと恥ずかしくなってね。緒方貞子さんは日本のスターだからおられてね。
 もちろん、主テーブルはベケットさんが主賓ですから座る。ベケットさんがしゃべることになっている。その主テーブルのホスト側はもちろん大使が座っている。で、4つ程テーブルがあって、私はどこに座ったと思いますか。ベケット大臣の隣でした。つまり、そういうところに価値観を見ている国なのですね。日本でやったらそんなことはあり得ないと思います。私、非常勤だし、お金もらっているわけでもないし。役所のスタッフがついているわけじゃないから。そういう認識の違いがあるのです。
 だから、やはりそれは役所に行っててもそうだけれども、やはり国民にもこういうことは意味があるんだということを、科学者もそうだけれども、メディアもどういうふうに書くのかなと思っていたら、書かなかったですね。
 2005年、私が学術会議の会長だったときに、イギリスのブレアさんがグレーンイーグルスでサミットを開催したときに、ロイヤルソサエティーといろいろ組んで、G8科学アカデミー宣言書をG8首脳へ提出した。これは初めてなんだけれども。それで、アフリカとClimate Change、これにサインしてG8首脳に出しました。
 それを私は、役所の人たちにこれを最初に見るのは小泉総理だから、だれにも教えないよ、と。それで、小泉総理にちゃんと記者会見をロンドンでやる4時間前に届けたんです。これは非常にそういう意味では世界のモーメンタムを動かすようなサイエンスコミュニティーが全体としてG8サミットの首脳にそういう提言を出したというのはすごい大事なことでした。IPCCは最近もっとすごいけど。それを、日本の新聞で報道したということはなかったですよ。唯一あったのは読売新聞でした。だけど1段で、結構30行ぐらい書いてあったけれども、ワシントン発でしたね。サミットが終わってすぐに9月にロンドンで会合して、来年どうするかという話をやったんですけれども、
 やはりそういう価値観の違いなんですよ。だから、私がなったからさあ何を言っているかというと、私、なる前もなった後も同じことを言っているんですけどね。だから、私はどこかに行ったときに、安倍さんのときも毎月1回2人だけで昼飯食いながら1時間話してたんだけど、用意も自分でしていくからスタッフにも言ってないから、次の日になってスタッフが突然、きのうはいかがでしたかと聞きに来るんですね。
 そういうプロセスはすごく大事だけれども、そういうふうに私が幾ら言っても、やはり社会とか周りとかメディアも、そういうふうに取り上げてくれないと、私はもう後ろから刺されるリスクを背負っているだけで、これが。(笑い)それは間違いないと思うし、環境省の小島さんもよく知っていると思うけれども、私はそういうことでは結構はっきり言うから、それは皆さん応援してくださると嬉しいです。
 で、科学者の行動もそうですけれども、学術会議というのは何ですかと、大体大学の先生に聞かれるぐらいだから、みっともなくてやってられないよと言ったこともあります。(笑い)で、金沢かどこかに講演に行ったときに、学術会議が新しくなって、それで大学の先生が300人ぐらい来られて、学術会議の現状なんて私が話がないんで。あのとき文科省の徳永局長もいたけれども。それで、皆さんに、「学術会議は変わって、何をすることですかと聞きたいんでしょう」と。「そんなことあなたたちに言われたくない」と言ったんです。「そんなことはちゃんと自分で勉強してから質問してくれ」と言ったけれども、「科学者がそんなことを言っている限りは普通の人がわかるはずもないでしょ」と言ったんです。
 そういうやり取りってすごく大事です。みんな人のせいだと思っているんだけれども、自分たち一人一人が何をすべきかということを考えていなければまずいなと思っています。そういう意味では、日本全体がまだシビルソサエティー市民社会になってないなというところが一番の問題だろうなと思っています。皆さんのいろいろなご注文は、私に期待感がすごくあるなとわかったんで、期待感をサポートしてどうやったらいいかという話で意見をしていただければ、私幾らでもやってもいいなと。私、人生もカウントダウンですから残り少ないので。せっせとやっているところが私の実情です。
 カーボン・キャッピングもそうですけれども、私は言っているし、政治のリーダーなどにも、環境省にも言っていますし、経産省などにももちろん言っていますけれどもね。彼らは彼ら自分の都合があるわけです。だから、経団連の東富士のセミナーという経団連の偉い方たちの合宿にもお呼びいただいたので、行ってしゃべりましたよ、40分、イノベーションの話。そうしたら、最後に、やはりある偉い方が、「先生の話を聞いて、いよいよ経団連も真剣にカーボン・キャッピングのことを議論しないといけませんね」とついに言われたわけ。
 だけど、みんなシーンとしちゃいましたね。(笑)そういう調子なんです。だから、やはりもっとメディアとか国民とかの意識をもっともっと広げていると、これが政治の力になるんです。これがやはり役所をプッシュするしかないだろうね。明らかにクールアース50について、各省庁はいろいろやろうと思っているんだけど、全体として何だというのをやはり政治のリーダーがこれをやるぞと言って、それでも選挙に落ちないようにしないとまずいわけで。これをやるぞと言ったときに、すぐに従来の補助金なんていうような国民性は、やはりメディアにも責任があると私は思いますけれども。

○鈴木部会長 環境省の方から。

○南川地球環境局長 南川でございます。地球環境局長でございます。 まず、私も結構頻繁に海外に行きます。それで、国内でもそうですが、海外でもCNNを結構見ますが、残念ながらどんどん日本の露出が減っているということは如実に感じています。よかれ悪しかれアジアで見ると圧倒的に中国が多くて、アジアの大国というのは今や中国だという印象を、外にいると非常に強く持ちます。
 それから、そういう意味では1が中国で、2がインド・日本みたいな感じになっているというのは実感と思いますし、韓国の露出の実は結構多いようでございます。

○黒川特別顧問 そうですね。

○南川地球環境局長 それで、私どもとしても、おくればせながら、最近は一生懸命ホームページを英語にしたりはしていますけれども。それから、例えばことしの1月に日本の地球環境問題の対応を説明しろというので、わざわざカリフォルニア政府から招請をいただいて行ってきましたが、ホームページの件も、私どもの説明もそうなんですが、いまいちわかりにくいと。やはり、どうしても日本語でつくってそれを英語にするもんですから、多分言葉の問題のわかりにくさというのはあると思います。直訳してもわからない部分が非常に多くてわかりにくいこと。
 それから、やはり日本の政策自身が非常にわかりにくいと。車のハイブリッドが効率がいいとか、それから、冷蔵庫の電気代が安いとか、それはわかると。あとについてはいろいろ多方面に頑張っているのはわかるけれども、具体的に頑張っている姿が要は理解できないということは実も何回も、今も言われていますが、何回も実は言われてます。そこは、どこかが多分足らないのだと思います。
 ただ、全体的なアピールという意味で、サミットの前にことしはクールアース50を出したんですけれども、おっしゃるとおり内閣のリーダーシップがあって初めて出せたというふうに思います。とてもじゃないけれども、私も実はお話のあった方からのレシーブを受けて、その人は随分採用しましたけれども、環境省だけであればああいうものはつくれなかったというのもまた現実でございます。
 それから、日本政府自身がサミットの前に何かああいうものを発表して、総理のイニシアチブで発表して世界をリードしようということ自身が、多分初めてだったと思います。サミットが始まって30年ぐらいたちましたけれども、多分初めてだったということもありまして、なかなか二の矢が実は出ないということもあるように思います。
 ただ、私どもとしても、金も力もないんですけれども、やはりできるだけ情報は全部出した方がいいと。日本の活動は国内でも出した方がいいと思いますし、世界にも出した方がいいと。これから、もちろんその規定にしても、なかなかやれることに限りはありますけれども、そこをやれる範囲で目いっぱいやっていきたいと。
 ただ、なかなか難しいところが実は多いということで、やりたいことのうちの何%できているかということを考えながら、それでも頑張っていきたいというふうに、私自身は思っております。

○鈴木部会長 わかりました。
 小島さん。

○小島環境審議官 簡単に。世界の中の日本というところがあります。日本の状況を世界に英語で発信をすることも、非常に少ないのです。世界の動きを日本が理解するために、英語やいろいろな国の言葉を日本語に直しています。英語では多くの人は読まないからです。しかし、それも読んでもらえない。例えば、おっしゃったニック・スターンのレポートを我々日本語にはしたんですけれども、ほとんど読まれてないという状況かなと思います。

○黒川特別顧問 日本語にしちゃうからいけないの。

○小島環境審議官 そうですか。
 外国では多くの国会議員の方が、ニコラス・スターンの報告書をご存知です。じゃあ、日本の国会議員の方々でどのくらいの方がお読みいただいているんだろうか。やはり日本語にしないと難しいかなと思って日本語にしたんです。
 世界はアメリカだけじゃありませんが、日本にはアメリカを通じて世界の情報が日本に入ってきます。国際コミュニティーの情報を日本に紹介し、あるいは日本の人々が外国の人と直接話しをして、世界の中で日本がどのような位置にいるのかを確認しないといけません。国内だけ見ていると、世界の動き、変化に立ちおくれてしまいます。アメリカもいつまでも後にいるわけじゃなくて、いきなり先頭を走るかもしれないという情報も、多くの人が知っていなければいけない情報です。そういう多方面の情報の中で判断をしていかなければならないと思っております。

○黒川特別顧問 1つは、僕はオンラインで日本の政府の公認ポリシー、政策提案等は英語でウェブに出す。いい仕事をたくさんODAでもしている、来年はTICADあって、野口英世アフリカ賞もやって、といろいろやっている、G8もサイエンスコミュニティーもグレーンイーグルスから提言を出している、これらも政策も、あまり知られていない。日本のODAはすごく評価されているんです。ことしの7月のゴードン・ブラウンの国連での演説も、日本だとは言ってないけれども明らかに日本モデルを彼は知っていて、そういうふうにODAを変えなきゃいけないということを示唆している。そういう話も私スタッフなくてみんな1人でやっているから大変ですだけど、そういうことをもっと書いてください。とんでもないな、この国はと言ってほしいんだけど。
 アフリカについても日本の貢献など、英語でウェブに出した。そうしたら、2日後に、たまたま外務省の鶴岡さんと会うことがあって、「先生の読みましたよ、ちゃんと省内を回っていました」と言って、そうしたら日本語で訳しているの。外務省でもそうなのかって、私は言いましたけれどもね。英語はいやなのですね、外務省でも。それで、その原稿を少しリ編集してケニアの新聞にも出したんです。
 やはりそういう話が、組織としてやるというのが大事なのと、それからイノベーションでも、中間レポートは短かったから自分でかなり訳しちゃって、それをオンラインでオーストラリアにいる方に二、三度やり編集してもらったのをウェブに出したんだけれども、最後のリポートになると閣議決定されているでしょう。そうすると、それを外注に出すでしょう。もちろん自分たちでやる時間もないから。そうすると、英訳はうまいんだけど、日本の政府の外注をすると、向こうもまた仕事が欲しいからそのままただずらずら訳しているだけで、全体が英語文になってない。英語で書くというのは、やはり英語で読む人がわかるように書くということが大事だから。
 だから、そういうことをしないし、中間報告は高市大臣のメッセージというのがあってね、それも私、英語に直したんです。そこだけやたら長くてもしようがないから。そうしたら、ある偉い人というわけじゃないけど、役所が、大臣のに手を入れるなどとんでもない話だなんてことを言って来たから、で、大臣にも送ってあるので、あれでどうですかと電話で問い合わせたら、あれで結構ですと言うから、それを伝えたら黙っちゃった。ああいうことについてわざわざ言いにくるという神経もわからない。常識の問題です。訳して短くしてるんだから。そういうことに生きがいを感じているのかなと。才能をやたらとむだにしているなと思いましたよ。

○鈴木部会長 結局ところ、国としての全体的な国家戦略というか、外交においてもそうなんですが、アジアなんか特にそうですよね、どういう戦略をどうつくっていくのか。これが残念ながら各省庁それぞれの思惑があるのかもしれないけれども、見えない。
 そこで、例えば持続可能な社会なんて言ったときに、何がなんだかわからないので、21世紀に環境立国戦略という機会があったのは、私は非常にいい機会だと思って、これはですから環境省はやはりサステナビリティーをきちんと表に出していく。ほかのいろいろな省なんか、自分たちで省のサステナビリティーは考えるけれども、国のサステナビリティーなんか考えないんですよね。そういうところを、本当はですから環境省を超えて、内閣府がそういうものをきちんとつくっていくような、そんな仕組みがあればいいんですけれどもね。

○黒川特別顧問 実を言うとイノベーション25は、出口の話を、ちょうどそのときに天下り何とかなんてやっていたから、そうではなくて、当分の間はキャリアは一括内閣府採用と。で、いろいろな省庁に5年ずつ行くという話を書いたんだけれども、そんなの閣議決定になったら今はなくなっちゃうよねといったら、そうだと。5省庁を経験して課長まで行ってもいいけれども、行ったらそこで一たん退職金をあげると。あとは「リボルビングドア」にしようなんていう話は書いたんだけれども。

○鈴木部会長 役所の混乱はそれで……。

○黒川特別顧問 すべてがそうなんです。

○鈴木部会長 そうなんですよ。ですから、ぜひその辺のところで……。

○黒川特別顧問 応援してください。

○鈴木部会長 各省庁とある意味では一体化しながら、やはり国のサステナビリティーを考えるという、これは非常に重要だと思いますから、それをという意味で黒川先生にエールをお送りして、長い時間、お引きとめして申しわけありませんでしたが、きょうは非常に楽しい集まりで、ありがとうございました。

○黒川特別顧問 応援をぜひお願いします。何かエンターテインメントになってしまいましたね。ありがとうございました。(拍手)健闘を祈っています。

○鈴木部会長 さて、それでは、黒川先生をもちまして18人にわたる有識者の方々からのヒアリング、一応の区切りとなります。
 これ以降、これまでのヒアリングを踏まえまして、地球環境部会としての低炭素社会づくりについての論点整理、これに入りたいと思います。
 まず、これまでいろいろとヒアリングでいただいたご意見を論点別に整理していただいていますので、本日はまずこれを事務局に説明いただいた後、主な論点について委員の方々からご意見いただければと、そんなふうに思っております。
 まず、それでは高橋さんから。

○高橋市場メカニズム室長 それでは、事務局の方から資料2と資料3を使いまして、これまでヒアリングでいろいろいただきましたこ意見、それを今後どう整理していくかということにつきましてのきょうは第一歩でございますけれども、少し議論の材料を用意させていただきましたので、ご説明いたします。
 資料2は、これまでのヒアリングのご指摘を網羅いたしまして、それを、論点別あるいはキーワード別に分類をしたものでございます。
 で、この説明をする前に、資料3の方で、どういう枠組みで今回論点を整理しようとしているかということを、まず簡単にご紹介をしたいと思っております。
 資料3、主な論点のところでございますが、4つの大きな柱で整理をしたらどうかということでございまして、まず最初は、低炭素社会の基本的な考え方、基本理念。それから、2といたしまして、低炭素社会とは具体的にどういう社会なのかということを、少しモデルをイメージするための部分。それから、3といたしまして、その具体的な低炭素社会をどういうふうに実現していくのかと、その手段、戦略というようなことについてのご議論。それから、最後に4として、世界にどういうメッセージを発信していったらいいのかということでございます。こういう柱立てで今後論点を整理していったらどうかということでございます。
 具体的に少し今後の肉づけをしていけばと思ったんでございますが、きょうの時点で少し簡単な目次的なものを書いてございますけれども、基本的な1の協議例といたしましては、まず基本的な理念としてどういうものを掲げるのか。いろいろこの場で出てきたものですが、簡素だが豊かな社会というキーワードもございましたけれども、今後の長期の大幅削減ということが前提になりますと、これまでのトレンドではなかなか実現できないということで、意識・行動というようなものを改革していく、それから、技術革新を進めていく、それから、それを支える社会的な基盤、ソフト的なもの、ハード的なもの、そういうものを、ここでは心・技・体というふうに仮に言っておりますけれども、こういうものをいかに充実していくかというふうなことでございます。
 それから、2として、低炭素社会のイメージでございますけれども、社会資本、都市とか交通のあり方は一体どうなっているのか。それから、暮らしとか仕事の場、居住空間、業務空間というものはどういうふうに変わっていくのか。それから、産業とかエネルギー供給という社会を支える部分、これはどういうふうになっていくべきなのか。それから、人々の消費選択、いわゆるライフスタイルというものはどういうふうになっていくのか。こういうふうな切り口で、その2050年の低炭素社会の具体的なイメージというものを少し描いていただこうかなということです。
 それから、3といたしまして、低炭素社会の実現のための手段・選択ということで、幾つか例を書いてございます。
 まずは、社会の中でインセンチブを付与していく。制度的なインフラ、そういうものをどういうふうに付与していくのかいうふうなことと、例えば規制的な手法、経済的な手法、誘導的な手法、さまざまな手法があると思いますけれども、そういうものの活用をどう進めていくのかということ。
 (2)といたしまして、そのいろいろな手法の成果を上げるためのソフト面でのインフラ整備、例えば情報、温室効果ガスの排出を見える化する情報の整備、それから人材の育成、低炭素社会づくりに資金をいかに流していくか、そういうふうな情報、人、お金、そういうものの整備というのをどう考えていくか。
 それから、もう一つのハードのインフラということで、社会資本の整備も大変重要であると思いますが、このものをどう進めていくのか。これを通じて既存技術というものをいかに大量に導入していくのかというようなことでございます。具体的には都市の整備をどう進めていくのか、建築等の問題、それから、交通インフラもどう整備していくのか。あるいは、低炭素のエネルギー供給というものをどう進めていくのかというふうなことでございます。
 (4)として、(1)から(3)のようなインセンチブ、あるいは社会ソフト、ハードのインフラ整備というものを通じて、技術革新、イノベーション、そういうものをどう進めていくのか。それは個別技術の革新もございますし、社会システムという幅広い意味での革新、イノベーションもあるかと思いますけれども、そういうものをどう進めていくのか。
 (5)として、ちょっと視点が違いますけれども、温暖化対策という意味では、生態系の保全という観点も重要ではないかと。これは、CO2の吸収、やはり削減をするときにも吸収するときの深度を確保していかなければいけないということで、森林整備を初めとするこういう観点での生態系の保全もございますし、温暖化への適応ということで、やはりこれから食糧がかなり問題になってくるということも含めまして、その適応という意味での自然環境の保全、自然資源の確保というような観点も低炭素社会の1つの柱として重要ではないかなということでございます。
 それから、4として世界への発信。洞爺湖サミットへ向けて、具体的にどういうメッセージを出していったらいいのかということでございます。これは、2つのことを明示しておりますけれども、低炭素社会に関するいろいろな情報を集積し発信していくような拠点、あるいは国際共同研究の拠点というようなのが一つ必要ではないかというようなこと。それから、日本モデル、きょうのお話もございましたけれども、日本の成功例、あるいは失敗も含めて、いろいろな課題を克服してきた日本というものの経験を分析をして、これを世界に発信し、共有していくという、そういう観点が必要ではないかというふうなことでございます。
 こういう枠組みといいましょうか、構成をもとに、今後論点整理をしていってはどうかということで、少しこれをご議論いただくわけでございますけれども、そのご議論の参考といたしましては、これまでの10数回の方々からのヒアリングでいただいたコメントを、小さい字で恐縮でございますけれども、まだ十分整理はされておりませんが、分類しております。非常にたくさんの貴重なコメントがございますけれども、きょう全部はご説明できませんので、下線を引かせていただきました。そこを中心に、ざっとどんなお話があったかということを押さえるということでご紹介をしたいと思います。
 まず、1ページ目からでございますけれども、基本理念というところから始まっておりますけれども、非常に大きな話、地球システムという話から始まりましたけれども、地球システムと人間圏に関する理解というものをした上で、低炭素社会というものを考えていかなければいけない。物に執着し、物を所有するというようなことを変えていかないといけないのではないか。
 それから、課題先進国日本という話もございました。いろいろな課題を日本は解決したということで、その経験というのが世界の、特にアジアには有益ではないかというご意見。それから、ライフスタイルの、あるいは価値観の転換が早急に必要である。例えば簡素に生きるということがいいんだというような方向づけを、精神論でなく示す必要があるのではないかというようなこと。
 それから、一番下の方ですけれども、自然との調和を重んじる日本人の文化観というものが、温暖化の時代でも重要ではないかというお話を伺いました。
 2ページ目に参りまして、清貧の思想というようなご議論も少しございます。これは、清貧論というのは強制できるものではなくて、自分の力で到達していくのではないかと。それから、世代間の関係の充実、あるいは自然に対する愛というのが大切ではないかというようなご意見もございました。
 具体的に2050年度でエネルギー効率を3倍にする、物質循環の構築あるいは自然エネルギーを2倍にする、そういう大きなくくりでのメッセージが、必要ではないかということ。持続可能な成長に向けては、3つのE、経済、環境、エネルギーのバランスというものが大事で、持続可能社会を実現するためには、人々に大きな手間とか不自由を強制するということは難しいので、利用者に負担をかけないような最適制御というようなものも必要ではないかということでございます。
 それから、次のページに参りまして、環境技術開発というふうなことについては、産業界のご意見でございましたけれども、生産量の増加とともに排出量が増加しますけれども、技術開発でカバーしていく。技術開発はコストがかかりますけれども、成果が上がれば競争力強化ということで、将来のリターンになるというような考え方が重要になるという。
 それから、環境経営という観点では、CO2と温暖化の関係について、必ずしも明らかでない段階でも、ノンリグレットということで対策を進めてきたというようなこともございます。
 それから、可視化という話、これも後で見える化というのが出てきますけれども、やはり自分がやったことが成果として目に見えるとやる気が出てくるというふうなことでございます。
 それから、ちょっと話が変わりますが、国際戦略という意味では、アジア・太平洋のエネルギーあるいは環境の専門家が集積していくようなプラットホーム、そういうのをつくるのが日本としては重要ではないかということでございます。
 それから、この辺から低炭素社会のイメージというところに入ってまいりますけれども、次のページに参りますが、再生可能エネルギーについてもいろいろとご提案があったんでございますけれども、将来、人口の減少、高齢化とかで食糧需要が減り、逆にバイオ燃料とか家畜飼料の需要増加が見込まれると。再生可能エネルギー等を重んじた目標を持つというようなことも必要ではないかというふうなこともございました。
 それから、サステナブルな社会像としては、自然との調和を基本とする社会、お金よりも時間・文化・美・自然などに価値を置くような社会というのがあるんではないかという。
 それから、ちょっと飛びますけれども、ビルの省エネということで、高層建築というのはなかなかエネルギーの節約が難しいというようなお話もございました。
 それから、バカンスとかいうようなことで、都心から真夏に避暑地に移動すると、そこにしばらく滞在すれば、結果的に省エネになるというようなこともありますよというようなご指摘もございました。
 それから、次のページに参りまして、都市のお話もいろいろございました。2050年、低炭素の都市というのはどういう都市なのかということで、建物の多重利用、下水の利用とか、200年長寿命住宅、そういうふうなものが要素としてあるんじゃないかと。都市の規模も、お互いの顔がわかるほど、5万人程度の都市というのが1つの単位になるんではないかと。東京的なライフスタイル、食料の大半を廃棄するようなそういうライフスタイルを変えていく必要があるというようなことがございました。
 それから、手段・戦略。ここは大変たくさんのご指摘があったんでございますけれども、ITの活用によって、仮想と現実とつなぐようなインフライノベーションというような可能性があるんじゃないかということ。それから、交通についても、クルマ単体だけではなくて、インフラの整備やITSの活用、市民の活動というものが必要であると。小型・軽量化、エネルギー変換技術に加えて、ITSによる交通流の円滑化、ユビキタス技術を使った交通手段の最適化、市民の意識改革の組み合わせによって低炭素を図っていく必要がある。
 公共機関の快適さ、利便性の向上というものが意識の改革につながるんじゃないかということ。クルマ単体の省エネだけではなくて、交通流の円滑化による燃費の向上というのが非常に重要である。それから、日本の自動車メーカーはハイブリッド等、効率によって競争力はできるんじゃないかということでございます。
 次のページに参りまして、建物についてもたくさんのいろいろなご意見がございましたけれども、下線を引いているところは一部でございますけれども、いろいろな建物の中の機器でありますとか、日本的な建築様式、あるいは廃熱の利用、未利用エネルギーの利用というようなことで、都市における大幅なCO2の削減が可能であるというふうなご指摘が、具体的にいろいろなご指摘がございました。
 ちょっと下の方に参りまして、まちづくりというのは変えるのは難しいということでございますけれども、成功させるためには、自治体と産業界の協力というようなことで、具体的な成功例を実証していくというふうなことが重要だというようなご指摘がございました。
 また、途上国に対しては、都市というよりむしろ日本の戦前の農村計画というものが非常に有益ではないかというようなこと。日本では、10万人以下の都市というのが非常に大事だと。それをつくっていかないといけないというようなご指摘をいただきました。
 それから、次のページに参りまして、技術のあり方というところで、革新的技術という中には、自然調和型の技術というものをきちんと位置づける必要があるというようなこと。それから、生態系とか森林の重要性ということも大変たくさんのご指摘がございましたけれども、地方、地域固有の景観を守って、地域生態系の保全というのが大事と。あるいは、今後の大地を豊かな自然に変えていくというようなことが大変重要であると。森というものは、命に対する優しさという意味で重要なものであるというふうなこと。いろいろなご指摘が森林についてもございました。
 また、食糧問題の重要性、非常にアジアでも食糧問題の方が危機的な状況になってくるということで、やはり緑の革命的な食糧増産計画みたいなことも技術としては大変重要なことというふうなご指摘もございました。
 それから、次のページに参りますと、農業の重要性ということで、工業中心の時代から農業も1つの柱として産業構造の中にきちんと位置づけていく、そういう考え方も必要ではないかということ。気候変動に対応した農業技術の開発というものがますます重要になってくるということ。
 省エネについては、日本の省エネは進んでいるという指摘もございましたけれども、80年代までは日本人の1人当たりの消費量は少なかったんですけれども、最近ちょっと電力消費量は増加しているんじゃないかというようなご指摘もございました。
 廃熱の利用についてご指摘がございますが、廃棄物焼却によりますとか下水道、そういう廃熱が十分に利用されてない、ほとんどそれが放置されているというようなことで、これを利用することによってかなり大幅な効率化が図れるんじゃないかというようなこと。それから、小規模分散型の発電というものがいいんじゃないかというご意見がございました。
 バイオ燃料について幾つかご意見がございましたけれども、未利用のバイオ資源、木屑とか稲わらとか、そういうものの活用が重要ではないかということ。再生可能エネルギーの1つの柱としてバイオマスというのは非常に有効であると。環境、エネルギー、食料という3つのキーワードを同時に解決するような発想が必要ではないかと。
 それから、太陽光発電についても具体的に大量導入についていろいろとご指摘もございました。公共施設についての大量導入した場合どうなるかというようなこと、それはコストだけじゃなくて、雇用とか投資にもつながるんじゃないかというようなご指摘もございました。
 バイオ燃料については、戻りますけれども、食料、環境の改善との関係というのが地域におけるべきだと。
 太陽電池についてはまだまだポテンシャルがあると。将来、長期的には自然エネルギーで相当賄えるんじゃないかというようなご指摘もございました。
 他方、燃料電池については、ソフト面で非常に課題があるというようなご指摘もございました。
 それから、原子力について、原子力分野の技術というようなもの、やはり人材というもの蓄積しておくということが非常に重要ではないかというようなご指摘がございました。
 家庭・オフィスについては、インセンチブがまだ十分ないんじゃないかと、削減に結びついてないんじゃないかというようなご指摘がございました。
 それから、次のページ10でございますけれども、可視化ということについてご指摘がございましたけれども、人間は自分のやったことに対してフィードバックがあって、それにまた対応する、チューニングするということで快感を覚えると。結果が戻ってくることによってさらに活動をするというようなことで、可視化が大変重要であるということです。
 それから、人材育成でございますけれども、環境教育、いろいろご指摘ございますけれども、環境を感じ、考え、行動できる人材の人づくりの重要性、JICAが行なっているような、生活環境・自然環境保全のための人材育成活動というのは、重要性というようなことがございました。
 地産地消の重要性、そういうものについても人材が大事だということでございます。
 下の方にございますけれども、ユニバーサルデザインという言葉がありますが、省エネだけじゃなくて、安全・安心とか、娯楽とか、快適性とか、そういういろいろな目的に使えるデザインとかインフラとか、そういう発想が必要じゃないかというようなことでございます。
 次のページに参りまして、制度設計ということで、技術自体の発展だけじゃなくて、その技術をどう使うか。マネジメント・オブ・テクノロジー、そういう分野の重要性というご指摘がございました。
 それから、バックキャスティングということで、過去に目を向ける重要性と。50年前の過去のよさというものも未来に生かしていくというような考え方も重要ではないかということでございます。
 それから、国際面の取り組みとして、日本の持っている環境技術をビジネスチャンスとして、交渉やルールづくりで優位に立つことが重要なんだと。それから、価格メカニズムを働かせるということが大変重要であるというようなご指摘もございました。
 コストバリアということで、エネルギーコストの節約はある限界を超えると壁にぶつかるわけですけれども、そういうときに1回の支出で複数の便益を得るとか、レトロフィットというような、修繕をするということ、そういう発想によって限界を超えるということもできますよというようなご指摘がございました。
 最後のページになりますけれども、システムアプローチということで、各コンポーネントの最適化だけではなくて、システムアプローチによって複数の便益を得るというような発想が大事であるということ。
 それから、最後、国際戦略ということでございますけれども、環境が国際間の非常に重要な力のせめぎ合いの要素になっているということで、国際社会のルールづくりにぜひとも積極的に参加すべきだと。経済だけではなくて環境連携ということが必要ではないか。
 最後ですけれども、途上国への支援ということで、適応に対する支援、開発途上国の排出量削減がメリットになるような仕組みの構築ということが重要だというふうなご指摘もございました。
 ご指摘の一部だけしかご紹介しませんでしたけれども、こういうことで非常に多品目にわたりまして、いろいろなご意見、ご指摘をいただきました。こういうものを踏まえまして、今後資料3に書いているようなことにしている、これについてはきょうもご議論いただきたいと思いますけれども、枠組みに沿いまして、具体的な低炭素社会のイメージ、考え方というものを、次回までにさらに具体化をして、またご議論いただければと思っております。
 以上でございます。

○鈴木部会長 非常に多様なスピーカーの方々においでいただいて、ご発言いただいたものの一部をご紹介いただいたということですが、一部であっても多様過ぎるというか、ある意味では、全くこれをまとめて何をするなんていう話でもないようにも見えるところもあるんですが。
 そもそも、低炭素社会づくり、この懇談会を通じて、最後のアウトプットとして何を考えるのか。その辺を少し明確にしておいた方がいいようにも思うんですが。その辺、局長の方から。

○南川地球環境局長 低炭素社会というのは、本当に翻訳そのものでございます。イギリスも去年の終わりぐらいに骨子を出して、それで、公式文書として入ったのは多分安倍総理がことしの1月にイギリスに行ってブレア首相と会談をした後のニュースの中に、ロー・カーボン・ソサエティーという言葉が入っております。私自身もそれを見て、そこから抜き出したということであります。
 したがって、世界的にロー・カーボン・ソサエティーといった定義というのは実はございませんで、これから世界的にいろいろ議論されていけばいいと。ただ、坂村さんの話にございましたけれども、イノベーションと言うと、テクノロジカル・イノベーションしか今は考えないけれども、やはりシステムとかいろいろあるんだろうということでございまして、非常に冒険ではありますけれども、いろいろな方のお話を伺って、また中間にそのお話も伺って、我々、今、例えば考えられる低炭素社会というのはどんなものだろうか、どういうふうにするのが低炭素社会づくりになるんだろうかと、そういうことについて何らかのたたき台をつくってみたいというふうに考えております。
 この議論というのは、制度のように諮問、答申というようなことではないと思っておりまして、たたき台を出していろいろ議論いただく、また多くのできれば内外の方からもいろいろご議論をいただく中で進化させていくことかなというふうに思っております。
 そういう意味で、終わりのない議論をさせていただきたいと思っておりまして、私どもとしては、例えば次回、少し私どもなりに、きょうもご議論ございますけれども、それを踏まえて体系を、さっき高橋が言ったような論点に準じて整理させていただいて、それをまたご議論いただく。さらに、それについてできれば多くの方の、外部のいろいろな方の意見も聞いて、現状で低炭素についてはこんなことが今考えられますよということを示し、また逐次直していきたいと。そういう1つの議論の発射台を提供したいということで考えております。
 したがって、どこが終わりじゃなくて、常にさまざまな意見を言っていって整理をしながら変わっていくと。ただ、そこから出てくるものがいろいろな形の政策に反映していくということで考えております。

○鈴木部会長 一方で中長期ビジョンというようなところがありますし、西岡先生、日英でやっておられる低炭素社会に関するシナリオでしょうか、づくりもあるわけで、サステナビリティーと言うと炭素だけではなくて、循環型社会あるいは自然共生社会、それと低炭素社会があるいは3つの側面として環境立国戦略なんかでは考えたわけですが、ここで議論したことを、要するにこの年内というか、この段階でまとめるものは、そうするとある種の議論の取りまとめということで、オフィシャルなものというよりは……。

○南川地球環境局長 たたき台を示して、議論を呼びたいと。

○鈴木部会長 それにしても、たたき台ですと言って、そこで議論したものがどういうふうに浮かび上がっていくのかあたりをある程度想定しておかないと、多分これからの何回かの議論が非常にしにくいんじゃないかという気もするんですね。
 とりあえずは、これまでいただいたヒアリングのご意見と、ある程度集約していって、整合性のとれる何かものができるか、そこにまた委員の方々のご意見を加えていただいて、そして、なんとなくイメージみたいなものをつくると。

○南川地球環境局長 そうですね。

○鈴木部会長 定量的な検討なんていうのはもちろんできないので、それは西岡先生などの研究などとある意味では平仄を合わせながら進んでいくと。そんなことでよろしいでしょうかね。

○南川地球環境局長 はい。

○鈴木部会長 そういうようなこととちょっとお考えいただきまして、今、事務局の高橋さんの方からご説明いただいたことに関しましてのご質問、ご意見等ございましたらお願いしたいと思います。

○森嶌委員 私はこの懇談会でしょうか、になった当時に申し上げたんですけれども、中環審というのは何をするところかと。この設置の規則というかを見ますと、本来ならばこれは環境大臣の諮問に応じて一定の政策を示すところですけれども、諮問がない場合でも必要ならばたしかできると思っているんですけれども。そうでなくても、今、目達計画を議論するとか、これはこの部会ではありませんけれども環境基本計画についてチェックをするとか、各位非常に忙しいところで、しかもこれは繰り返しになりますけれども、国民の税金を使ってこれをやっているわけですから、ただ哲学的な議論を、評論を聞いて、識者からお話を聞いて勉強するだけなら、国の税金を使ってこういう部会を開催するというのは、私はいかがなものかというふうに思うわけです。
 で、やはり法律に基づいた部会を開催するからには、やはり法律に基づいた成果を出すと。そこで、これは一番最初に言った、一体これは何をするのかということがあって、ともかくやってみてその間に何か出しますとか、部会長からそういう話があったと思っているんですが。
 そうだとすれば、低炭素社会づくりというのは、今部会長からもお話がありましたように、いろいろな計画とかプランとかがあるわけですけれども、政策をつくるということであれば、しかも目達計画のチェックということと別にやるとすれば、例えば2050年に低炭素社会というものを、あるカーボンが今よりもこれぐらい低いものを想定する、これは何も削減目標、リーガリーバイニングである必要は全くないんですけれども、そういうものだとすると、その場合の社会は日本の人口や何かいろいろなものを想定するとこういうものでないといけない、そのためにはこういう政策を今から準備しておかなければならない、そのための政策手段はこういうものを今から考えていく、あるいは技術はこういうものを考えておかなければならないという。
 それなしに、ただ哲学者、今までお話しを聞いたように、哲学者や技術者が言うように、こうあればいいだろう、こうなればいいだろうという話をするだけなら、私はこういう部会を開催するということについては、私は賛成をしないということで、むしろ環境省の方から、法律に基づくと、どういう想定のもとにこれだけの委員を集めて、忙しい委員を集めて会議を開いて、どういうプロダクトを出すつもりかということについて、もう少し具体的な話を伺いたいということです。
 それで、しかも、これは論点ですからこれで構いませんけれども、これは何か本でも出すヘリティングのポリシーとしてならばこれで結構ですけれども、この部会としてこれで議論をして、結果何が出てくるのかということについて、部会長も言われましてけれども、論点の結果、いつまでにどんなことを想定しておられるのかということをもう少し伺いたい。その意味で、手続論として、部会の進行、あるいはこれからどういう目標で何をするつもりかということについてご質問したい。

○鈴木部会長 私の了解をまず申し上げておきますと、あくまでも21世紀環境立国戦略の中に、長期ビジョンを策定するというその1項目があり、それを受けて、ここは低炭素社会の面と、ある意味では3つの社会、サステナビリティーを考える上から3つのコンポーネントの低炭素の焦点を当てた将来ビジョンをここで考えるための、先生は勉強会とおっしゃいましたが、確かに勉強しながら議論をしていきたい、そういうようなことだろうと思うんです。
 ですから、タイムリミットが特にあるということではないんでしょうが、ここまでこう来ましたので、これをある程度の形でまとめて、ただ、それがサステナブルな社会の完成版になるとはとても思えませんから、それは1つのコンポーネントとしてほかでも検討されている超長期ビジョン、それから、西岡先生の検討されている70%削減の課題であったり、あるいはそのほかスターン・レビューなども入ってくるかもしれませんが、そういう全体的な動きの上で、ある段階でやはり将来のビジョンというものを明確に出しておかないといけないと思います。

○森嶌委員 ただ、ほかはそれぞれ別の、例えば西岡さんのところはこの関係なんですね、理論をつくるものとして引き受けておられるわけですけれども、我々のマンデートは……。

○鈴木部会長 それは、ここで出すということではありません。

○森嶌委員 ここでやって、ここで我々がやる趣旨のことというのは、中環審として何をやるべきか。そのときに、ほかでやっている例えば我々はスターン・レポートみたいな、これはまた特殊なんでしょうけれども、そういうものをまとめるのが我々のマンデートというよりも、我々は一定の政策を、それはどれぐらい詳しいものか、あるいは法律をつくるためのもとなのか、それはともかくとして、我々は政策を検討するわけですから、もしも単なるビジョンをつくるのではなくてそのビジョンがあるとすれば、それに対してどういう政策、細かくまではいかなくても、そういうことを議論しなければ、単にビジョンだけを検討するために、ほかにもいろいろなことをこの部会としてやらなければならないときに、それをさて置いてこんな感じの何回も回数を重ねて、ある意味ではやくたいもないような話を何回も出されましたけれども、そういう勉強会をしてもいいのかということを私は伺っている。
 ですから、我々のマンデートとの関係でどういうことをやるのかをはっきりさせて、それでやってくれと。ビジョンを議論したいというんならば別のところでやってくれというのが私の質問の趣旨です。

○鈴木部会長 そういう意味では、この地球部会でこの低炭素社会に関する、ビジョンという言葉がいいかどうか、2050年のある意味では姿をある程度共有認識として持つことが、多分ポスト京都の議論に活きてこないと、それが意味がないんだろうと。ここで議論をしている意味はないんだろうと思うんです。
 けれども、一方で、2050年のある姿がこちら側から出て行くものがあり、あるいはほかの部会からもあるいはそういう議論が出て行く、そういうものがどこかで何らかの形でまとまっていくということは、これはまた別の目的で行われることはできたんですね、確かに。

○森嶌委員 やるとすれば、やはりここの部会としてはポスト京都に向けて、この部会からいろいろなところから出てくるビジョンを想定をしながら、ポスト京都に向けて、どこまでターゲットを絞り切れるかわかりませんけれども、その政策の議論のためにいろいろなことを話を聞きながらまとめていくという、政策目標のために政策策定の目標のために、それはポスト京都が2020年なのか30年なのか50年なのかは、それは議論していくということでやっていくことはないと思いますけれども、そういうものだというものをやはり明示しながらやっていかないと、何となくイメージみたいな話を聞くために我々は集まっているわけではないということをはっきりさせていただきたいというのが私の意見です。

○鈴木部会長 ただ、今、ポスト京都というとかなりポリティカルな面で各国間のいろいろな調整であり、あるいは交渉でありという、そっちの方に目が向いているわけですが、やはり日本としては洞爺湖サミットで、先ほど黒川先生がおっしゃいましたが、2050・50%・クールアース50とかっこいいことをあそこではとにかくある種の合意をつくったけれども、洞爺湖サミットで一体何を具体案として日本はすることをちゃんと明示していくのか。それは必ず求められてくるわけですね。そういうものをつくる上での準備がここからできるかどうか。
 本当はそちらに向いて、何らかの形で参考になるものが出ていってほしいという気はするんですが、そこまでなかなか行くのは難しいので……。

○森嶌委員 私は、それをここでやれと言っているんじゃないんですけどね。来年に向けてここでまとめろと言っているんじゃないんですけれども、少なくとも、何か全然ステラトジーもなく目標もなく、我々はただ人の話を聞いて、その論点を集めて、さあお話しを始めましょうというんではなくて、当面、さっきの話もありましたけれども、洞爺湖に向けて我々が今の時点で何か言えるかというのは、これは政治の問題もいろいろあってなかなか難しいと思いますけれども、ポスト京都というと早速交渉事みたいですけれども、例えば2030年に向けて低炭素社会というのに向けての政策提起の、地球環境部会としてどういう社会を想定し、そしてどういう政策道具を考えていくのかというシステムを考えていくのかということをやはり掲げないと、やはり部会としては私は議事を進めるのには不十分、ないしはおかしいのではないかということを申し上げたい。

○鈴木部会長 なかなかここで政策手段等々の検討から定量的に2030年に30%削減が可能かどうかという議論は、多分、ここの範囲を現段階では超えていると思いますが、少なくとも将来的にどういう日本をイメージして、どういう日本モデルを発信していき、そのためにどういう政策、考え方を固めておくのかというようなものがないと、やはりポスト京都に対する日本の存在感を示していくことができない。そういうあたりに、多分ここの議論が生きていくようなものになればいいという、そういうことなんでしょうかね。

○森嶌委員 それならそれをはっきり最初に打ち出して、やはり事務局としてはそういうものをはっきり出して、結果的に数値的なものが出てくるか、2020年が出るか30年が出るのかわかりませんけれども、少なくともこの部会で議論する以上は、ある年度かどうかわかりませんが、そしてそれに向けて数値的なものがそのとき出てくるかどうかわからないけれども、政策モデル、社会モデルを想定し、できればそれに対する政策的な手段をして、それを発信できるような、そういう議論をしていくためにこの会議を運営していきたいということを言っていただかないという感じがいたします。

○南川地球環境局長 率直に申し上げますが、私自身は有識者からのヒアリングは非常に勉強になったと思います。やはり、個別の議論をギリした議論の1つですけれども、やはり懇談会を現実にさせていただいて、いろいろな方から従来と違う面でロー・カーボン・ソサエティー、将来実現することができるだろうかということをやっていただくことが無駄だとは全く思っておりません。

○森嶌委員 私は無駄だと言っているんじゃないんです。

○南川地球環境局長 ただ、なかなか正直言って、数字の明示ということになるとかなりやることが限られますし、やはりもう少し違う側面から、テクノロジー以外の側面からどんなことができるんだろうかということを、いろいろな方から伺ってそれをまとめるということには非常に意味があると思っておりまして、やはりそれは世界的にまとめたことがございませんので、パチャウリなんかも言っていますけれども、クールビズは非常にいいとか、そういうソフトも大事だと言っていますけれども、そういうことを幾つか集めてみて、それをベースにさまざまな方の知恵を伺いながら、この先何十年先かわかりませんけれども、1つ像を描いていくということは、いろいろな議論のこれから大いに基礎として使っていただけると思うし、またどんどんいろいろな方の知恵を入れて変えていくと。そういう意味では非常に役立つものと思っておりまして、それはぜひご理解をいただきたいと思います。

○小島地球環境審議官 全体の構造からいきますと、まず国連の条約があって、ある程度人間の活動ができて、生態系がちゃんと保全されるという、一定のところに安定化させるという究極の目標があるわけです。究極の目標があり、それに至る2050年に世界全体で半減をしましょうと、クールアース50ではこう言ったんです。それを実現するために、2つの方策を出しています。1つは今の技術だけでは無理かもしれないから、革新的な技術、そしてそれを使った低炭素社会。ここに低炭素社会が出てくるわけですね。
 で、その2050年半減ということを実現させていくステップとして、2013年以降のフレームを考えなければいけない。究極の目的、2050年の目標、そして2013年以降のフレーム、そしてフレームの3原則について述べていく。こういう構造でクールアース50はできているわけです。
 日本のモデルを発信していきたいという、その低炭素社会をこのようなコンテクストで考えると、2050年の世界半減を実現する2つの道具が革新的な技術と低炭素社会ということになりますから、革新的技術と低炭素社会の中味を整理しなければなりません。
 こういう構造の中での低炭素社会の概念を明らかにするということですから、そこを整理していただければいいんじゃないでしょうか。

○森嶌委員 そうおっしゃっていただければ、それはそれなりに我々の政策を検討する、つまりクールアースというのがあって、そして、2050年までに世界で半減する、しかも3原則というものは前提としてあって、それに向けて日本が発信できるような日本の低炭素社会というのはどういうものかということを、政策的に、我々は政策議論をする集団ですから、そういうことをやっていくためだというふうにご説明をいただければそれでいいんですけれども、そうじゃなくて人の話を聞いて、それをまとめるのに大変勉強になるから、我々はそれにつき合ってくれと言われても、それが部会かということ。
 結果的には同じことになるにしても、我々としてはそのために部会を開くというのはおかしいのではないかということを、私は繰り返し申し上げている。

○鈴木部会長 そういう意味では、まさにお話しを伺うことは懇談会という形にさせていただいて、これからまた部会になるということですね。懇談会の論点整理いただいたものを、ある意味では1つの資産として、その上に低炭素社会、一般国民にとっての2050年50%というのは全くイメージがわかないでしょう。そしてまた、日本型でそれをどうつくっていくのかというのは、世界に向けてどういうものが発信できるのか。立国戦略の中にも里山であるとか何かいろいろ書いてありますけれども、そんなものだけで何がどうなるものでもない。じゃ、どうするのかというあたりを、やはりここからある程度ある種の形を整えて、国内にも、そして国外にも見せていくという責任があると思うんですね。そういうものをここから部会として議論を始めていく。そういうふうにご理解いただければいいんじゃないかと思いますが。
 西岡委員、どうぞ。

○西岡委員 
 私どもの方のシナリオということで、あちこち今講演して歩いているんですけれども、国民の方から、どういうビジョンなんだということを聞かれることが非常に多いんです。そして、みんなそういうことを非常に欲しているというんでしょうか。今、部会長がまさにおまとめになったとおりなんですけれども、50%投げられても自分のことなのか、あるいはそれは電力会社がつくる話なのかとか、みんなそういう段階でありまして、それは単に技術だけの話じゃなくてみんなも参加しなきゃいけないんだという話をしているわけですけれども。
 それは我々の研究の話でありまして、やはりある法的なオーソライズされた機関がそういうことを論議しているということ自身も非常に大切なことだと思いますし、あるいは何かの形のドラフトでもないんですけれども出たときには、国民の意見を集約するような道具として、こういうものをうまく使っていってもらうと、国民の方も安心するんじゃないかという感じがいたします。
 今、いろいろなところで話しをしていましても、すぐ、自分たちの部分はどういう部分で何が自分たちができるんだろうということをいつも聞かれるという状況ですので、私としてはこの作業自身は、いろいろ位置づけしていただいてぜひやっていただきたいと思います。

○大聖委員 この懇談会に余りまじめに出てなくて、言いわけがましくなるんですけれども、そう言いながらいろいろ伺って思うのは、この場でのアウトカムがどういうふうに活かされるかというのが必ずしも共通に認識されてないんじゃないかなという、そういう不安な気持ちが皆さんの中にあるんではないかなというふうに思います。ですから、ぜひその辺をもう少し積極的に活用していただくような道をぜひ説明していただきたいと思います。
 それから、ちょっと個人的な印象で恐縮なんですけれども、こういう議論を聞いていまして、私なりに思うのは、やはり中央環境審議会あるいは地球環境部会の中で何がテーマかというと、やはり日本はいろいろな地方があるわけですけれども、環境省として国の中心にありながら、地方に対してどういう働きかけができるかということが一つ大きなテーマだと思うんです。それから、もう一つは我々の生き方をどういうふうに変えていったらいいのかということと、一番最後に地球環境部会があるにせよ、国際的なコントリビューションが結局何ができるかということはが究極の我々のゴールではないかなというふうに思います。
 結局、いろいろな政策ですとか技術的な見通しというのは、私は技術屋ですし、西岡先生と一緒にやってきたんですけれども、70%、日本はできますよ。はっきり言って、やれば。ですけれども、この1億2,000万足らずのこの一国でやったって、実は焼け石に水なんですよね。インド人と中国人を足しましたら地球の3分の1がその人口ですから。きのうも清華大学の先生と一緒に飲んだんですけれども、絶望的ですね、日本だけがやれても。
 ですから、結局、日本でのいろいろな取り組み、技術的な進展もあるでしょう。そういったものは国際的にどんなコントリビューションができるかという、どこに収斂が具体的にできるかということを常に問いかけないと、ほとんど焼け石に水なんです。その辺を意識したまとめ方がぜひとも必要だというふうに痛感いたします。
 とりわけ、日本は地政学的に言っても東アジアと言いますか、東南アジアへのかかわりというのは非常に深いですし、そこでの国際的なコントリビューションが地球環境全体にもたらす効果というのは非常に大きいと思いますので、そういう視点からぜひおまとめいただきたいと強く思います。これは、決して日本1国だけが70%削減したらいいんだという、そういう矮小な考えでは、地球は救えないなというふうに思っております。
 それから、西岡先生が中心になって議論した中では、2030年、それから2050年という統一ステップというのは、かなり技術的に見ても長期的な展望を見ても、非常にステップワイズには適当な期間じゃないかなというふうに思いますので、ぜひそういうステップでまとめていただければと思っております。
 繰り返しますけれども、世界的コントリビューション、それを大きなテーマに挙げていただきたいということを期待したいと思います。

○小林委員 どういうスタンスかという問題をベースに置きまして、今回、これをまとめていただくに当たってぜひお願いしたいのは、やはり審議会で議論して出していく、提言という言葉になるのかビジョンなのかわかりませんが、いわゆる大学の先生方が集まってやる提言書とは違いますので、その辺、もう少し具体的にきちんと押さえていっていただきたい。
 例えば、今、ちょっとお話がありましたように、2030年なのか2050年なのか2100年なのか、その辺の断面をある程度整理をした上で、そのときにいわゆる環境政策とは別に、世界の情勢、日本の情勢、人口とか年齢構成とか、そういうふうな問題がどういうふうな状況にあるのかというようなことをある程度整理していただいて、その中でこの低炭素社会というのはどうあるべきなのかというのをきちんと押さえていただく。
 で、そこへ持っていくためには、現状のスタイルの中で何が課題なのか、それを解決するためにはどういう政策が必要なのか。私、自分が行政屋で今までやってきて大変痛感しているのは、行政計画をつくるんですが、特にハードのものは別なんですが、ソフトの計画、環境計画もそうなんですが、あるべき論が書いてあるだけで、だれが何をするかが書いてないのが多いんですよね。そういう意味で、今回のものについては、いわゆる主体者がだれなのかというのをある程度明記していって、逆に言いますと、そのことによって意見をもらうようなものにしていただきたい。
 よく計画はつくるんです。だれからも意見が出てこないんで、気がついたらいつの間にかどこかの蔵の中に入っていて忘れてしまうというのが結構多いんですね。そういうことにならないように、次へ発信していくということが必要だと。
 それから、もう1点は日本モデルという言葉なんですが、先ほどの議論の中で、日本が出すべきモデルなのか、日本から発信するモデルなのかということはある程度明示していただきたいと思うし、もう1点は、日本が出すべきモデルというのを、できたらG8では答えが出ないと思うんですが、G8の中で、先進国に対してアピールすることも必要なんですが、先ほどお話ありましたように、中国を中心にするアジア地域全体に対して、どうそれを誘導していくのか、また啓発していくのか、というようなことをぜひ出していただければというように思います。

○鈴木部会長 それでは、順番はどうでしたか。中上委員がいましたね。

○中上委員 私も今の小林委員と同じようなイメージを持ったんですけれども、ビジョンと言いますとやはり国の話なんですから、どういうふうな社会構成になるとか、所得がどうなるとかというふうなある種定量的なことがどうしても必要になると思うんですが。
 常々難しく思っておりますのは、国あるいは省庁のレベルで、そういうものを出すということは、ほかの省庁との会議でやっているうちに全然違った形になることが、これまでほとんどなんです。だから、逆に言うと、西岡さんは苦労なさったんだと思いますけれども、そういうくびきを離れたところで議論しなければいけないものと行政でやるというのは、大分色合いが違ってくるもんですから、そういう意味ではここで言うビジョンとは何なのかというのをきちんとあらかじめみんなが共有して話しをしないと、随分ずれた話になるんじゃないかと。
 例えて申しますと、車が将来海外でどのぐらい生産してなんていう話がありましたけれども、国内でさらに生産台数が減るなんてやったら、必ず業界から反発が来るわけです。そうすると、そこで微修正をかけているうちにあらゆる業界が微修正をかければ、全く何のビジョンかわからなくなっちゃうんですね。
 これは、だけど行政の立場ならしようがないわけですから、それを幾らここで声高に言っても話は進まないわけなんで、そういう意味では、ここで言うビジョンとは何なのかというのを、もうちょっとはっきり私もお聞きしたいと思います。
 もう1点は、大聖先生もおっしゃったんですけれども、私、余り国際的なことはここでは言わないのかなと思ったんですが、さっき黒川先生がお話しになったとき、私、ODAというお話しをしたんですけれども、やはり日本が持っている技術を彼らに採用してもらえるような仕組みを本当はつくる方がはるかに効果が高いんですね。
 だけれども、日本政府は何をやるかというと、向こうで制度をつくりましょうとか、省エネ法をつくるお手伝いをしましょう、ラベルもつくりましょうと。彼らはそんなことをやって、我々が通ってきた20年、30年をこれからやっている暇はないんですよね。だけど、聞いているとすごく日本は貢献しているように見えますけれども、それが本当に実態に何もならない。むしろ、カエル飛びをしてもらって、極めて高いんだけれども省エネ性の高いすぐれた機器をいきなり入れてもらうというふうにしないともたないんですよね。
 だから、私、さっきODAをサプライサイドではなくてディマンドサイドと申し上げたのは、そういう意味であって、いわゆるDSM、ディマンドサイド・マネジメントという理論は先進国で起きた話であって、既存のセンショウの稼働率を高めることによって社会の経済性を高めるために省エネルギーをやって、発電所をつくるよりは省エネした方がいいんじゃないかという議論だったんですけれども、途上国はそうではなくて、最初から省エネやらないと、足りないから発電所をつくるなんていう余裕はないはずなんですよね。そういう意味では、ODAをディマンドサイドに入れるというのは、大きな枠組みを提案していくようなことも考えていいんだろうと。
 ただ、そういう議論をすると、そういうことを言ったって日本じゃ何もやらないふうにとられちゃうんで、それはそうではなくて、日本は日本としてやるんだけれども、そういうふうなことも含めてもし議論する場があるとするならば、ぜひいろいろな発言をさせていただきたいと思います。

○鈴木部会長 どちらでしょう、じゃ、横山委員から。

○横山委員 私、この低炭素社会づくりに関するこの論点を見ていると、国内で低炭素社会をつくっていくにはどうしたらいいかというようなところに中心があるような感じがするんですが、ぜひこれは国際的な低炭素社会をつくるにはどうしたらいいんだというふうに、可能なら変えていただきたいような気がします。
 というのは、日本とかあるいはヨーロッパなどは省エネもかなり進んでいて、相当の効果を上げているわけですね。もちろん、日本でこれ以上する必要がないとは全く思いませんけれども。
 そういうことから言うと、例えば森林伐採とか森林火災とか、あるいはツンドラからのメタンの放出とか、そういうようなことが国際的に起こっているわけで、それをどうするかという方が、国際的な低炭素社会をつくるにはすごい効率だと思うんですね。ですから、そういう視点、どうしたら世界的に低炭素社会にもっていけるのかというようなこと、そこに重点を置いて提言なりをまとめていただきたいなと。
 特に、省エネも進んで人口の減少する先進国と、一方で省エネが全く進まなくて、これから人口が増加する途上国では全く違うわけで、その辺の視点を入れたものにしていただきたいというふうに思います。
 それから、これは私が今回のヒアリングなどで二、三度言ってもみたんですけれども、経済成長と環境保全を両立させるというようなことでいいのかというようなことがちょっと気になります。経済成長もそんなに重視はしないんだとか、生活レベルは下がってもいいんだというような視点、あるいは地産地消というようなものをもうちょっと打ち出すとか、その辺も考えていただきたいなと。いろいろな論議を呼ぶというようなことから言っても、たたき台の中で内容的に荒唐無稽なものでは困りますけれども、やはりおもしろいものをたたき台として示してほしいというふうに思います。
 それから、中環審として、これまで多分避けてきたと思うんですが、原子力についても、やはり原子力がこのまま行った場合と、それから脱原子力の世界になった場合どうなんだという客観的なデータを、国民にこの部会としても示して、じゃあ、どっちの社会がいいんだということを国民みずからに選んでもらうことが私は必要だと思います。今までのように報告書を見ると、原子力について安全性に十分注意して推進していくのだと言うだけでは、私は済まないような状況になっているんではないかと思います。
 その辺を避けて通ると、一般的に省エネをやろうとする人たちも何か政府の考えていることはわからんというようなことで、国民運動も私は盛り上がっていかないような気がしますんで、原子力についてぜひ客観的に、原子力をやめろとかという結論を出すということではなくて、脱原子力、これから余りふやさないというような政策をとっていった場合どうするのかとか、いろいろなところで少しは出ていますけれども、中環審としても原子力をタブー視するのはやめてやっていただきたいと思います。
 それから、最後の環境税の排出量取引についても、何かもう少し国民に論議を呼び起こして、国民みずからがいかに排出量取引とか環境税がないとだめなんだなと。あるいは逆に、排出量取引、環境税というのは日本には余り合わないのかとか、そういう結論で構わないと思うんですが、もう少し客観的なデータ内容を示して、どっちの道を歩みますかというような訴えというのが必要ではないかというふうに思います。
 以上です。

○鈴木部会長 じゃ、関澤委員。

○関澤委員 この会の位置づけについては、私はやはりするつもりはございません。先ほど小島審議官が言われたことでよろしいんではないかと思います。
 そういう意味で、この1枚のペーパーを拝見していて、やや各論で思いついたことだけ二、三言わせていただきたいと思います。
 1つは、やはり基本理念としてでございますが、これは国が一丸となってあるいは国民が一丸となって、環境あるいはこういう低炭素社会ということを、生活のすべての前提に置いた、そういうような理念を打ち立てていくということ、こういうのが非常に大事なのかなと、このように思っております。その意味での国づくりが必要だと。
 そのためにどうすればいいのかなと思っているんですが、やはり今のままでは何かかけているなと思うのは、1つは、やはり国民が本当に痛みを感じていないというか、その気になっていないというのは、1つは教育の問題。教育でそういったことがどこまで本当に突っ込んでやられているのか。
 もう一つは、これは企業ももちろん一緒なんですが、やはり国民に対するPR、もっと言えば国がどれだけ金を突っ込んでPRをして国民に訴えているのか。我々、本当にテレビをつけて、毎日それではそういう低炭素社会を考えましょうとか、そういうことが本当に目に映るかと言ったら映ってないですよね。企業の宣伝はいっぱい映っているけれども、国の宣伝はもう映らないとかですね。こういったことはもっと工夫してやる余地があるんではないかと。
 もう1点は、やはりこれも国民が身近に感じるという意味では、例えばサマータイムとか、こういったようなこと、生活のライフスタイルに影響を与えるような変化をやはりトライしてみると。G8の中でこういったものをやったことないというのは日本だけだそうでございますが、世界70カ国もやっているのに、どうしてこういうのを1回もできないのかというのが非常にこれはやはり日本としては反省すべきではないかと思うわけでございます。
 そういったこともやはり大きな意味でのPR、国民の理解、こういうことがすべての基本ではないかと、そういうのが1点でございます。
 もう1点は、先ほど大聖先生が言われたのとまったく一緒なんですが、私も国際的なコントリビューションというのがやはり非常に大事だなと、このように思っております。地球温暖化対策ということですので、これは地球全体の問題、日本で幾らやったって4%の中をどれだけ減らすかというだけの話でございますので、それじゃあ全く意味がない。
 そういう意味で、実を言うと日本は、これは先ほどの講師のお話しにもありましたが、いろいろなことをやっているわけです。技術のトランスファーと技術革新、この2つが地球を温暖化から救うその手段だろうと思うんですが、現実には技術のトランスファーなんていうのは、必死になっていまやっておるというのが実情ではないかと思う。これは、APPの鉄鋼タスクフォース、あるいは国際鉄鋼協会の取り組みというのを見ていただければ、いかに世界が今必死になってこれに取り組んでいるか。
 で、このAPPではこの12月に、中国の3製鉄所に日本から技術者が行って、どうすればこの技術が植えつけられるのかと。植えつけられないとすれば何がネックなのか。そこまで工場診断までやってトランスファーしようとしている。インドにも行きます。そういうことをやっておいて、これはやはり日本の国内でもよく理解して、各産業がみんなそういうことをやると、こういうこのぐらいの意気込みにもっていきたいと、このように思うわけでございます。
 それから、もう一方で逆の問題なんですが、じゃあ、日本がそういうことを海外で一生懸命やっていると、環境ODAとかいろいろなことをやっている。それは、実を言うと日本の中で情報としてしっかりつかまえられているのかどうかというのが実は問題だろうと。私自身、ちょっと話はそれますが、中国で木を植えておりまして、植林をやっておるわけです。もうすぐ1,000ヘクタールになるわけでございますが、東京の台東区と同じ面積になるんですが、これは日本の経団連がお金を出し合って、各企業が出し合って、それで重慶で木を植えているわけでございます。ゴルフ場15個分になるわけでございます。
 それで、あれ、これは経団連がやっているんだから、ほかもやっているんだろうと思っていたら、実を言うと日本から大変なNGOその他が行って、もうあちこちでやっている。ところが、まとまった情報というのはどこにあるんだというと、実は我々はなかなか目にしたことがない。こういうことで、非常にこういった面もちょっときめ細かくしっかり日本のやっていることをみんな理解して、それで発信していく、こういうことが必要だと思います。
 あと、一言だけ申し上げますと、やはり東アジア、これが中心でございます。東アジアというのは、これは実際に私などもいろいろ行って議論して、そういう人たちと接しておりますが、やはり非常に相通ずるものがある。理解し合うという意味では非常にやりやすい、このように思います。まず、身近からやっていくのがいいのだろうと、このように思います。
 以上でございます。

○鈴木部会長 鹿島委員。

○鹿島委員 じゃあ、先に発言させていただきます。
 次回出席できませんことになりまして、最初にこの何回か講演を聞かせていただいた感想と言ったらいけません、私の意見を申し上げます。
 私は、1つは、先ほど小島審議官からご説明があった2050年程度と言ったら怒られちゃうかもしれませんけれども、私は計画屋でございますので、100年とか1,000年とかと考える方がどちらかというと性に合っているというか。そういうことから言うと2050年というのは、比較的考えやすいレンジなんです。
 そういうふうに提示していただくと非常にそれはそれで結構です。それを前提にですけれども、そうするとその時代までにこうしたときの理念とか、それからそこで出てくるであろう手法ですね。というのは、いろいろな示唆をいただけたんじゃないかという気が私はいたします。細かく1つずつご説明する時間はありませんので申し上げませんが。
 ただ、1つは、最初の理念の方について申し上げれば、1つは多面的に議論をしていただきたい。あるものというのは、1つの理念というのは、ある1つの分野から出てきているだけではなくて、いろいろな分野から出てくるんだろうと思います。そういうのをぜひフォローしていただきたいという気がいたします。宗教だとか文化論とかから出てくるものももちろんあるかもしれませんけれども、それは実はフィジカルとしては都市計画だとか――武内先生がいらっしゃるからお聞きした方がよろしいかもしれません――そういう方から出てくるもの、たくさんあるんだろうと思うんですね。そういうものをぜひ多面的にお考えいただきたい。
 これ、1,000年と言われるとなかなか難しいですけれども、先ほど申し上げたように、ある時間が限られますと見えてくるんではないかという気がいたします。これは説得力を増すためにそういうものが必要ではないかというのが1点です。
 それから、手段の方につきましては、これはぜひ時間軸に並べていただけないかというのがお願いでございます。例えば30年先にしかできないものもあれば、あしたにでもやろうとすればできるかもしれない、そういうのもあるんじゃないかという気がいたします。ちゃんと見ていませんので感覚で議論して申しわけございませんが、それが私の願いでございます。
 それから、2点目は、これだけ聞かせていただいてまだ不足しているのかと言われちゃうかもしれませんが、私としては聞きたかったことの中で3つほど抜けている分野がございます。
 それは何かというと、1つは、我々の住み方というのがどうなるんだろうと。特に今、高度成長時代に育った団塊の世代がある種の家族、どういう家族になるんだろうか。それは私も友達も実は中国のパンダのために森づくりをやっています。私にも来い来いと言われて断るのに困るぐらいです。そういう方って多分たくさんいらっしゃるんだろうと。私の身近にもいるんですから。多分、我々の世代というのはいろいろな住み方をするだろうと。それは何も国際協力だけじゃなくて、日本の中の家の持ち方とか都市のつくり方とか、こういった面があろうかと。
 これが厄介なのは、これが延々と続くというわけではなくて、20年とか30年というオーダーなんです。こういうところの問題なので、その辺を踏まえたときに家族の住み方というのはどうなのかというのはちょっと聞いてみたかったなというのが1点です。
 2点目は、私の見解、これは本当に偏見かもしれませんが、やっと日本も技術何とか基本計画というのができて、ぼちぼちやってきて何となく計画ができたという気がするんですけれども、若干調べたところによると、なかなかある分野でできた技術をほかの分野に転用するというところについては、余りうまくない。しかも、それを途中で交換するような仕組みというのはなかなかないというような気がいたします。ですから、技術を議論する方が、ここに皆さんいらっしゃる、私以外全員の方かもしれませんけれども、立派な方、功なし名をなしている方が科学技術政策が議論されるので、結果の方が先にあって、プロセスの話はないというようになるような気がいたします。
 で、これから技術って、1つの非常に重要な分野だと思いますけれども、こういうものを上手に相乗効果を生んでシステム化していくという、こういうことのための体制というんでしょうか、仕組みとか、そういうことについても話を聞きたかったなというのがあります。
 3点目は、これは何回か持ち上げたんですけれども、これはやはり難しいんだなというように思ってあきらめていたんですけれども、やはり今まで我々がつくってきた税制というのは、どうやったら経済成長に余り阻害を与えないような形でするかという観点で、例えば所得税にしろ法人税にしろ、さまざま税金として考えてきたんです。ところが、今、少しそこを変えようとしている。そこのところの税制の、短期的な何とか法人税の何とかのいろいろをどうするとか償却期間を何とかするとか、そんな話ではなくて、もう少し先の議論がどういうふうになっているのかというところもお伺いできたらなという気がいたしましたが、これは私の関係で行くと、道路がもう生々しいもので、大変議論しにくいんだろうなと思って遠慮していたところでございます。
 それから、3点目、長くなって申しわけありませんが、これは計画屋としてですが、2つほどこれもお願いをしたいというふうに思います。先ほど来触れたことにも関係するんですが、社会資本というのは整備するのに100年かかります。例えば、高速道路って皆さんは、首都高なんていうと30年ぐらいに計画をしてぱたぱたとつくったというふうにお考えかもしれませんけれども、計画自体は実は昭和の初期からございました。そういうふうに延々と議論をしていってでき上がるという面があります。ですから、いろいろな人たちのコンセンサスをつくっていかなければいけないという面があります。それから、その中で所有権の制限を合意的に皆さんに納得してもらうという、こういうプロセスも必要になります。
 すると、50年というと、なかなかそういう意味で社会資本は難しいと。じゃ、建物はどうかというと、建物は50年ぐらいのスパンです。その中で営まれている活動はといったら、これは5年とか10年とかこの単位です。私の専門とする交通などというのは、極端なことを言えば1日単位で動いています。そういうふうに非常に時間の違う、循環の違うものが動いています。そういう視点をぜひお考えいただけないだろうかというのが1点目でございます。
 それから、2点目は、これもどうなるかということに関係するのかもしれませんが、武内先生がいるので私が申し上げにくいんですけれども、都市というのは、多分日本のモデル、あるいは日本で都市というものが一つでき上がれば、それは多分世界に発信できる。というのは、皆さんご存知だと思いますけれども、世界じゅうに、今、1,000万を越す都市が幾つあるのだろうと。あるいは500万都市が幾つあるんだろうと。こういうことをお考えいただくと、多分日本の中で、例えば東京の数千万の都市の1つのモデルがもし出れば非常に有効だと。
 というのは、長くなって申しわけありませんが1つだけ例を加えさせていただきますと、今の都市モデルというのは、19世紀の末にできたハワードさんという方が依頼する。そのときに何を議論しているかというと、都市の中は高密度にするとろくなことないから郊外につくろうと、こういう議論をした。今の議論というのはそれをもう少し大規模にしたゴルビジェさんという方が、でかい建物にして周りを公園にすればいいやという発想でつくった。だけど、一方ではジェイコブスさんという方がいて、この方は高密度がいいと。どうも元気な町があるとそういう町だと。こういう方もいらっしゃるわけですね。
 で、そういうことから考えて、今後、アジア型というと、僕はアジアというのは何となく好きじゃないんですけれども、何で世界と言わないんだろうと、何で東アジアなんだろうと思うんですけれども、世界を見たときにたくさんの都市がありますので、そういうところに出せるようなモデルということになるんだろうと思うので、余り世界とか東アジアとかとおっしゃらずに、日本の高密度社会をどうするかと、こういうふうに考えていただけるとありがたいなというふうに思っています。
 大変雑駁な、まだ未消化な部分で自分の感じたことを申し上げて、大変皆さん方に失礼だと思いますけれども、以上でございます。ありがとうございました。

○鈴木部会長 桝井委員。

○桝井委員 今回、この懇談会、かなり出させていただいていろいろなお話を伺ったんですが、中にはなかなかおもしろい話もいろいろありました。ただ、今世界のこの動きについて、非常に緊急性というか緊迫感というものも総じてそれほどではなかったのも多かったなと。あるいは、日本だけでほわっと、それこそ2050年なり低炭素社会を考えていく、こういうイメージであって、果たしてこれだけの話で、これを一体どういうふうにまとめていかれるのかというふうに思うわけです。
 そこで思うんですが、例えば、低炭素社会を何かほわっとイメージしているけれども、今、世界では既に動いていて、つい先日もイギリスの日本の経団連にあたる、いってみれば産業連盟は、もう環境税をやりますよというような形。あるいは60%削減という形で動いている。要するに、低炭素社会というのは、今、はるか2050年に存在しているのではなくて、既に実際にもう形をあらわしつつある。しかも、欧米では動き始めて、それが1つの大きな手法が環境税であり、あるいは取引でもあり、それだけではないですけれども、仕組みとしてもう動き始めて、かなりもうやろうやろうとしているわけですね。
 そういうことを全くここで動きを無視して、無視というか、動きにこの島国の中だけで50年後か何かの低炭素社会をまとめようとするのであれば、全くこれは意味がないことになるというわけなんです。ですから、言ってみればそれだけきょうの黒川先生は日本はドイツに20年おくれているとかいろいろなことをおっしゃったんですけれども、やはりその影響というのは、この懇談会の話の中になくはなかった。そういう話を中心にまとめるというのはいかがなことになるのか。
 少なくとも私としては、既に現実に動き始めている、彼らも悩んだ上で既に始めているいろいろな仕組み、あるいはスタイル、こういうことをちゃんと検討して、それを日本の炭素社会の中にどうだと。それは2020年、すぐ近い話です。で、2050年、ちゃんと時間軸を経て、やはりそこの中で日本の、だれかもおっしゃいましたが、今でもかなり推測できる状況、人口、あるいは労働力人口でもいいですけれども、あるいはエネルギー事情を含めて、それ合わせる中で、せめてイメージを出していくしかないんじゃないかと。ただ、ここに集まったいろいろな意見がありましたけれども、あれをどうこうしてまとめようとしても難しかろうと思います。

○鈴木部会長 高村委員。

○高村委員 ありがとうございます。
 まず、前提としてですけれども、私、このビジョンの理論について、どういうふうに使うかということについてもう少し整理をしてほしいとおっしゃった大聖先生のご意見に同感なのですけれども、他方で、つくることの重要性は、作業することの重要性は、同時に前提としては非常に強く感じております。これは、国際的発信という点でも、委員の中からご意見ありましたし。
 同時に現在滋賀県の方で2030年の低炭素型社会のビジョンづくりをしているんですけれども、しかし議論の中で常に話題になるのは、国がどういうふうに政策をとって、どう動いていこうとしているのかということに、地方自治体のビジョンづくりが非常に大きな影響を受けると。エネルギー政策がどういう方向に行こうとしているのか。都道府県あるいは自治体がどうしようもないと言いますか、なかなかうまくコントロールできないところをどういうふうに国が向かおうとしているのかということを示すことが、地方自治体を含めた、私たちもそうですけれども、どういうビジョンづくりをしていくか、どういう方向に動いていこうとしているのかということを示す上で非常に大事だというふうに思っております。
 そういう意味で、作業自身の重要性を前提として、3つ申し上げたいと思います。
 1つは、これはもう何人かの委員からおっしゃられたことになりますが、国内だけではない、国際的な低炭素型社会の実現というのが恐らく前提にあるのだと思います。これは、温暖防止の観点、必要な削減力の観点からご指摘ありましたし、きょうの黒川先生のお話の中でも、そうは言っても日本がどう経済的にも社会的にも活力を持った形で長期的なビジョンを持つかという点で行けば、国際的にどう歩調を合わせて実現するかという点で、国際的な視点というのが恐らく基本理念、ないしは全体の記述の中でぜひ反映していただきたいというふうに思っております。
 ただ、他方で、国内でどれだけ減らせるのかという展望なしに国際的にどう減らしましょうかという議論は成り立たないので、そういう意味では2本柱でぜひ記載を工夫していただければというふうに思っております。
 2つ目が、今申し上げました1点目とかかわりますけれども、とりわけ国際的にという点でぜひご検討いただきたいと思いますのは、いかに地球規模で低炭素型社会を実現するために必要な投資とお金をうまく移動させるのかという問題、資金フローの問題であります。
 これは、8月のウィーンで行なわれたUNFCCCの対話の議論の中でも、既にテクニカルなペーパーは出てきておりますが、例えばミティゲーションだけで2030年の段階で、2,000億USドルの追加的な投資、資金フローがなければ、現状のレベルへの排出量を2030年に戻すのは難しいといったようなペーパーが出ております。
 そういう意味では、どうやってこうした必要な資金フローを促す仕組み、確保する仕組みをつくるのかということが恐らく非常に重要な議論であろうというふうに思うわけです。これは、2013年以降の将来枠組みの議論の中で、例えばマーケットメカニズムをどう位置づけるのか、それから、きょう黒川先生からありましたけれども、援助のあり方というのをどういうふうにするのかといったような問題ともかかわってくる問題だと思いますので、ぜひご検討いただければという点が2つ目です。
 そして、3点目は、これは委員の先生方からいろいろ具体例を示していただいていますけれども、政策のあり方、いわゆるサブスタンスの問題とともに、その内容を伴う政策を出すためには、今の政策の決定の仕方、つくり方というものそのものが、どうも今のままでは難しそうだということが、懇談会、それから委員の先生方のご議論から浮かび上がっているように思います。
 そういう意味で、他方で政策の重要性ということも強調された点だと思いますので、例えばだれが何をするか、あるいは長期的な政策決定をいかに担保するか、政策のあり方、決め方の考え方、課題というものを、いわゆるメタの部分ですけれども、そこをやはり今回の中で何らかの形で克服していく課題として指摘することが必要ではないかというふうに思います。
 以上です。

○鈴木部会長 武内委員。

○武内委員 すみません、簡単に2点だけ私のコメントをしたいと思います。
 1つは、きょうの議論の中でも国際社会への貢献というのを非常に大きく言われましたし、私もそのとおりだと思います。特に、成長する途上国をどうやって我々が関係をうまく保ちながら、そこでの低炭素社会、あるいは少なくともその経済成長と環境負荷が連動しないようにするかということを考えることは重要ですけれども、果たしてこういう審議会の場でそのことを議論するというのはどういう意味があるんだろうかということを、かなりきちんとしておいた方がいいんじゃないかと思うんです。
 環境基本計画をつくるときに、やや他の省庁とのことを気にしつつ、国際的取り組みということを踏み出したときには、国内政策が中心で、おまけという格好で何となく許してもらっているという状況があると思うんですけれども。しかし、これからの環境政策ということになりますと、やはり国連の場でどうつき合うかというふうなことも含めた、非常に大きな土俵の中で、やはりきちんと議論をされていくということが、これは政策としても重要だと思いますので、その辺は、例えば外務省との仕切りも含めて、果たしてどこまで環境政策というのを国際的な場に展開していけるのかということは、きちんとやっておかないと最後に足元をすくわれて、そしてしぼんでしまうということになりかねないので。
 これは、少なくともポスト京都議定書の議論をするときには、あるいはこの前のサミットでのクールアースの50%世界削減、あれはあれで言ったわけですけれども、そこをきちんとどういう国内的な位置づけにしておくかということは議論した方がいいと思っております。
 それから、もう一つは、特に目達計画、目達のことについて議論しているときには、私、いつも言っているんですけれども、産業別にこういうことを議論して、民生がどうだとかというふうなことで切っていくんですけれども、恐らく西岡先生の言われたように、社会像を議論していくということになるとそういう切り方じゃなくて、トータルに地域として見ていくという視点がどうしても必要で、そのためのデータが十分でないとか何とかといういろいろなことがあって、そこのところはできてこなかったんですけれども。
 多分、大都市みたいなところでのライフスタイルなり低炭素社会に向けてのシナリオと、それから、地方都市、特に郊外部に拡散しちゃってる地方都市が、人口減少時代にどういうふうにして縮小するかということと低炭素社会の形成と、どう位置づけていくかということですね。
 それから、農山村地域なんかだと、今度はエネルギーの地産地消といったこと。東京でエネルギーの地産地消というのは本当に意味があるのかとか、そういうふうなことを比較し、かつその上で特に大都市部については、国際的なベンチマーキングをするような、例えばカリフォルニアと東京と比べたらどっちがどう効率的で、それでどっちがどうすぐれているんだとか、あるいは東京の対策が上海の対策とどう繋がっていくんだとか、そういうふうな相互比較、これはベンチマーキングと言うと思いますけれども、そんなことをこれから議論していく、そのいわば下敷きみたいなものをこれから考えていくというのが、1つの考え方としてあり得るんじゃないかなと私は思っておりますので、意見として申し上げました。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 たくさんご意見をいただいたんですが、ちょっと私がビジョンという言葉を使ったのが大変ある意味では誤解を生んだというか、よくなかったのもあるのかもしれませんが、ビジョンというのはむしろ私たちの主張、こういうことを言いたい、それをやはりビジョンと。将来の予測、推定に基づく予測ではないんだろうと思うんです。
 しかも、ここではそういう緻密な定量的な議論をするんだったら、多分場は別に持った方がいいでしょうから。ここはあくまでも、2050年クールアース50に基づいて、地球全体で50%だとすれば、日本としては現状から3分の1にしなければいけないわけですね、1人当たり。84%の減少になる。そういう社会は本当にどういうものかという、それをやはり描かなければいけないということになると、もしそういうものが描ければ、日本モデルとして描ければ、これは途上国にとっても非常に大きな力になると。
 要するに、6分の1というのは、日本の経験で言えば昭和30年ですよね。「オールウェイズ三丁目の夕日」の時代なんです。何も困ってなかったわけですね。しかしながら、もちろんあの時代に戻れということではなくて、カーボンの発生量はあの時代に保つ。それにプラスして、例えばバイオマスエネルギーを初めとする再生エネルギーをどこまでそこへ積み上げるのか。原子力はそのときにどう考えるのか。いろいろなことをやはりそこのところで試行実験をしながら、低炭素社会として我々がどういうものを受け入れていくのかを議論するのではないかと。
 私は、ですから、国際的にと言っても、世界がどうこうなんてことをこの地球部会で議論をするにはとてもじゃないけどその場はほかにもいろいろあるわけで、やはり我々が何を見せるのか、何を訴えるのか。例えば国際関係にしても、ODA、あるいは安倍さんの言葉によれば資金メカニズムみたいなものをどういうふうに設定して、アジア、途上国にこの日本モデルに近づくような仕掛けをつくり出すのか。多分そういう範囲でまとめないと切りがないというか、政策決定の手法をここで議論しても、多分どうしようもないですよね。その辺は軽く受け流しておいて、やはり何らかの形の低炭素社会。
 私は、やはり低炭素社会というのは何だろうと思うと、今までは炭素をどんどん消費する文明だったものが、炭素を削減していく、低炭素文明みたいなものをつくっていくという、そういう方向なのかなと思うんですよね。だから、低炭素文明というようなものができ上がって、要するに炭素を減らすことが人類の進歩であるかのような、そういう1つの物差しのある種の逆転、あるいは方向違いというようなものがつくられていけば非常におもしろいんではないと思います。
 ですから、極めて緊迫感がない、それは確かにそうなんですよね。環境税、排出権取引、それはここで議論しなくても、まさに合同会議が果たしていいかどうかわかりませんが、別のきちんとしたところでまたそれはそれで議論をしていく、こういうことなんではないかと、そんなふうに感じております。
 でも、今、いろいろお出しいただいたご意見をまたまとめていただいて、そしてそれを……。
 失礼しました、浅岡先生。

○浅岡委員 青木先生も手を挙げられて、植田先生も出られてしまったんですけれども、今日の議論をいろいろお聞きしまして、環境省としてもう少しちゃんと説明していただく必要があると思います、問題の提起の仕方を。
 で、今、先生おっしゃられたことはとても重要なことだとみんな認識していると思いますし、それは、黒川先生がおっしゃられたように、日本で発信がないと言いましょうか、中身がないというのをどうするかということがこの問題であります。クールアースの日本はどうするのかということをまだ言えずにいることを、ここはどう補填するのかということだと思います。
 で、日本の国民に対しては、本当にこれは重要なことに、今おっしゃられているようなことを早く示すと。国としての骨格が示されて、それらを望ましいものとして受け入れて、各地域で、地域はいろいろ特性がありますから、その地域の姿も描く。じゃあ、自分たちはそこに向かってどう進むのかという点でも、必要な施策というものをすると。それを2050年と、「50年」とはっきり言われたらいい、「50年ごろ」でもいいですがね。その途中で二千二十、三十年ごろ、考えながらやりましょうと、もっと明確に言われて、数字が出ないまでもこの50%に対して日本の負担はこれくらいはあるんだからそれを前提にしましょうと、ちゃんと言っていただいた上で、そうしたイメージをしましょうと言われることが、ほかの省庁にご配慮しているかもしれませんけれども、やはりそこを言わずにおっしゃられるから、なかなか通じなくて、時間もかかったかと一つ思います。
 それから、そういう議論を進めていきますときに、姿というのが重要で、ベルリンの例なんかを見ましたら、姿もあるんですけれども、そこに組み込まれた仕組みもある、そういう意味での政策の理論も一緒にやっていただきたいと。このことは、国内でも国民に対してもとても重要なことです。今が大事ですから。
 でも、国際交渉というか、世界の枠組み交渉から言いましても、そんな余裕な時間はないんです。この2年ぐらいで次の枠組みを決めましょうというときに、日本の体制をどうするのか、国民がどうそれをサポートするのか、理解するのかといいましたら、それより前にちゃんとできてなきゃいけないし、G8ではちゃんと対応しようと思えば、その前にそれらしきものがある程度なければならない。
 そうしますと、この議論のタイミングも、ゆっくりやりましょうという空気ではなくて、荒削りにせよこの時期にはここまでやりましょうことが、G8の前にも必要なのではないか。そういうことをしていただいて、そういう日本の姿をちゃんとある意味では持ちつつ、そして我々の使えるものがあれば、貢献できるものを世界といつも考えながらやる、これは当然だと思いますけれども、ご遠慮があるのかもしれませんないんですけれども、もう少しはっきり言っていただいたら、もっとスムーズに進むんではないかと思います。よろしくお願いします。

○鈴木部会長 それでは。

○南川地球環境局長 いろいろありがとうございました。ご意見いただきまして大変参考になると思います。
 ただ、私どもとして、これ自身はあくまで2050年に革新的な技術がさまざまあると。そういうことは生かしつつ、どういう社会にしていくことが低炭素社会に結びつくかということを、まずは日本発で絵をかいてみたいと。それから、海外でどう生かしていくかということかなと思っております。
 したがって、なかなか日本社会をどう変えていこうかということも言う前に海外のことを言うのも難しいものですから、当座は日本社会をどうやって2050年を描くかということから始めて、いろいろな方の意見を伺いながら、アジア地域等々を念頭に話を広げていきたいと考えております。
 したがいまして、例えば2020年に何%とか、そういったことはここでは全く想定をしておりません。私どもがここで想定しますのは、2050年世界半減というときに、じゃあ、日本発でロー・カーボン・ソサエティーということを一度示したい、示してみようということで、あえてかなりチャレンジングなことをやらせていただいているわけでございますので、それはそれとしてご理解をいただいて、じゃあ、日本のモデルはどうなのかと。それから、その中で世界に適応するのはどんなものかということでご議論いただいていきたいと思っております。
 したがいまして、次回、私どもなりにとりあえずこれまでの議論を整理してみて、今回のどういう形がかけるかということを一度かいてみたいと思っておりまして、その上でご意見を伺いたいと思っております。
 当然、これはいろいろな方がいろいろなご意見があると思いますので、私どもとしては、当然、審議会以外の方からもご意見をいただくようなことで、ホームページ等にも示して、ぜひいろいろな国民の方のお知恵を借りたいと思いますし、海外の方の知恵もぜひ借りたいと。そういう中で議論をしていきたいと思っています。
 その結果として、迷走するかもしれませんけれども、ぜひその迷走についてはお許しをいただきたいというふうに考えているところでございます。

○小島地球環境審議官 事務的には、局長が申し上げたとおりですけれども、ちょっと2点だけ、補足させていただきます。
 クールアース50の2050年世界全体半減ということでございますが、それは実現可能であるということをやはり日本は示さなければならない。そのために、まず日本自身がロー・カーボン・ソサエティーをつくるということを示す。今、局長が申し上げたとおりです。
 日本から低炭素社会をどのように発信をするかといった場合に、日本だけに通用するモデルは世界に発信しても受け入れてもらえないわけですね。世界にはいろいろなカルチャーの国があるので、日本独特のものが果たして受け入れられるかという問題があります。もしそれが日本独特なものであればそれが文化の異る国にも受け入れられるように変換をしないと、世界全体50%削減につながっていかないわけです。世界にも通用する形の提案であれば、中国やインドでもできるということになると思うんです。日本モデルといったときに、各国で宗教も違うわけですから、一神教の国に対してどう言うのかという話もあるわけです。世界に通用する日本モデルというキーワードは何かと、良く考えることが必要だと思います。
 2点目は、社会資本の整備にはすごく時間がかかるわけです。それから技術も革新的なものであればあるほど、それが普及し、定着するまですごく時間がかかるわけです。政策の効果が上がるのも時間がかかる。だから、低炭素社会は2050年にはできていなければ半減にはなってないわけですから、低炭素社会を作っていくための手段も、始められるものは直ちに始めるということだろうと思います。
 IPCCが今後20年、30年の行動が非常に大切だと言っているのは、いわゆる投資のロックイン効果など近未来の投資が効果をあらわす将来のことを考えているからです。だから、2050年というのは先のことだから、2050年まで何もしないということにはならないと思いますので、現時点で低炭素社会づくりの政策手段を議論する意味は非常にあるんではないかと思っております。

○鈴木部会長 というようなことで、次回はまたご説明があると思いますが、本日のところは大変多様なまたご意見をいただきまして、これをまとめて次の議論に回させていただくということにいたしたいと思います。どうもお忙しいところをお集まりいただいて、ありがとうございました。
 もう一つ議題があったようです。失礼いたしました。
 議題2といたしまして、IPCCの第4次報告書の統合報告書につきまして、事務局の方から説明を。

○塚本研究調査室長 ありがとうございます。
 IPCCの統合報告書が先週スペインで採択をされました。全会一致の採択でございました。私、政府代表団の一員として参加をしてまいりましたので、ご説明をさせていただきたいと思います。
 本日は時間が限られておりますので、今回の報告書の5つポイントご説明申し上げます。
 1点目は、あらゆる立場の国を含めて、全会一致の報告書であったということ。そして、その全会一致の意味は、パチャウリ議長が記者会見で答えておりましたが、ネゴシエーションは一切なかったということです。科学者は常に拒否権を持っていました。パチャウリ議長はひとつひとつの修正を行う際に、科学者に、これは科学として正しいかどうかを確認して、認められたものだけを修正して、この報告書ができているというのが1点目でございます。
 2点目は、この報告書は3つのこれまでの報告書を束ねたという意味において、新しい科学的な発見はございません。温暖化は、もう事実として起こっていること。その原因は、人間が出した温室効果ガスであることはほぼ間違いないこと。そして、将来はこのままで行くと、生態系にいろいろな影響が既に出ているし、将来深刻化することがわかっていること。ここまではすべて同じ結論が出ております。
 しかしながら、3点目のポイントですが、今回の特徴として1つ挙げられますことは、平均だけでは語り尽くせないということが至るところで強く打ち出されております。脆弱な地域、脆弱なセクター、そして脆弱な人々が存在し、そういうことを切り捨て、平均値だけで議論することの危険さというものを訴えているというのが特徴でございます。
 あと2つポイントを申し上げます。適応について、今回は全面的に報告書の中で重視をされ、掲げられております。世界には180近い国がある中で、実際に温室効果ガスをたくさん出していて、排出削減対策をしなくちゃいけない国というのは大体20ぐらいと言われています。残る160の国は、もはや温暖化によって生じる影響に適応するしか生きていく道がないという意味において、適応が重視されたということは非常に合理的でわかりやすい結果であったと考えております。
 そして最後5つ目です。では、人類はそういう厳しい状況の中で、どんな道が残されているのか、何ができるのかということについて、IPCCは大変力強い結論を出しております。既にある技術、これから30年後に商業化が期待される技術、こうしたものを用いて、今後20から30年間削減努力を行えば、温室効果ガスをしっかりと低減をすることができるのだということ。例えば、2050年半減のような、そうした厳しい展望であっても、今言ったような形で投資と技術を使えばできるんだということ。やればできるということを今回の報告書ははっきりとうたい上げております。
 こうした内容を130カ国が合意したということ、保守的なコンサバティブな文章の中で認められたということは、今後の交渉において、非常に確固とした科学的基盤を提供するものであると期待をしております。
 以上でございます。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 大変コンパクトにまとめていただきました。
 それでは、今後の予定。

○高橋市場メカニズム室長 次回の予定でございますけれども、次回はきょうのご議論を踏まえまして、低炭素社会づくりの審議を引き続き総論をお示ししてお願いするということで、12月7日の木曜日、午後1時半から、九段会館にて開催いたします。なお、午前中に合同会合が、大手町産業会館で行われますので、続きになりますけれどもよろしくお願い申し上げます。
 以上でございます。

○鈴木部会長 どうもありがとうございました。

午後5時05分 閉会