中央環境審議会第42回地球環境部会・産業構造審議会環境部会地球環境小委員会・中央環境審議会地球環境部会合同会合(第5回)、産業構造審議会・総合資源エネルギー調査会自主行動計画フォローアップ合同小委員会流通ワーキンググループ(第6回)合同会議議事概要

日時

平成18年12月26日(火)15:00~18:00

場所

三田共用会議所1階講堂

出席委員

(合同会合)須藤部会長、茅小委員長、青木委員、浅岡委員、浅野委員、天野委員、飯田委員、石坂委員、浦野委員、太田委員、片岡委員、黒田委員、小林委員、佐和委員、塩田委員、高橋委員、永里委員、長辻委員、馬場委員、福川委員、山口委員、横山委員

(自主行動)中上座長、内田委員、江原委員、中田委員、兵頭委員、井上委員


1.

中上座長から開会の挨拶の後、日本電機工業会片岡会長、電機・電子5団体温暖化対策連絡会菅野代表から、資料1に基づき、家電機器の省エネ対策の現状と家庭部門における省エネ追加施策提案についてについて説明。続けて、株式会社ファーストエスコ筒見社長から資料2に基づき、流通業におけるESCO事業について説明。

2.

経済産業省藤原環境経済室長から資料3に基づき、自主行動計画フォローアップの概要について説明。

3.

各業界(日本チェーンストア協会、日本フランチャイズチェーン協会、日本百貨店協会、日本ドゥ・イット・ユア・セルフ協会、日本チェーンドラッグストア協会)から資料4~8に基づき、地球温暖化対策の取組について説明。

4.

委員の発言、及びそれに対する応答は以下のとおり。

  • 流通業は、業務部門の一部と整理されているが、自分は、産業部門から続く物流のアンカー、というとらえ方をしている。流通業の商品調達の在り方が産業部門の排出にも影響を与える。その意味で、各団体において共同配送等の取組を通じた運輸部門への貢献が示されており、全体的には優等生と考えている。しかし、今後、更に配送に係る車両数、走行距離を減らす等、より厳しい目標にチャレンジしてほしい。
  • 以前に行った卸売業に対する実態アンケートによると、小売業者から、全店舗へ9時納品を要求されるような実態がある。また、鮮度管理が厳しい一部商品の納期に全商品の物流が引きずられるということもある。このような実態を改善し、消費者にもわかりやすい指標でアピールしていくことが必要。
  • フランチャイズチェーン協会の資料には、1店舗当たりの配送車両からのCO 排出量が示されており、評価できるが、欲を言えば消費者にも直感的に理解できるような指標で提示して、競って下げてほしい。
  • 今後、地産地消を含め、エコ調達を推進するため、各団体の取組を進めてほしい。
  • 流通業において原単位を指標とすることが適当ということは理解する。
  • チェーンストア協会、百貨店協会から、目標を2~3%上積みするとの説明があったが、他方コンビニ業界は20%の上積みを行うとのことである。この違いは、コンビニの光熱費の負担が本部扱いになっており、本部によるESCO導入が進めやすいといった点が反映されている。他業態については、抜本的に対応するための新たな仕組みが必要。
  • 百貨店協会について、3%が限界とする根拠は何か。また、モデル百貨店とはモデル店舗、モデル企業のいずれのことか。

○百貨店協会

  • モデル百貨店とは、モデル店舗のこと。また、都市部の百貨店は既に相当の省エネ化を進めている一方、地方の百貨店では、省エネ余地に大きなばらつきがあることを勘案し、3%の上積みを決めた。
  • 流通業の省エネは細かい作業の積み上げであり、対策を小出しに積んでいけば標の達成は可能と考えられる。物流・電機を上手く組み合わせることによりこれだけ排出量を減らせるのだということを示したらどうか。全ての店舗での対応は不可能と思うが、モデル店舗のようなものは、百貨店以外の他業界にもあっていい。
  • トラック協会の百貨店部会が壊滅的な状況になっている。これは、これまで百貨店の物流は、特定のトラック会社に委託して配送していたのに対し、近年混載業者による物流が主流になってきているため。仕組みを変えたことによって、徐々に新しい形の物流も出来ているようだが、いずれにせよ従来の方法と異なる新しい形を出すときがきている。
  • 家電は消費者が買い替えなければ排出量削減につながらないとの説明があったが、今後少子高齢化が進む中、消費者が買い替えを行うのは経済的に必ずしも容易ではない。消費者の買換に頼るのは、やや他力本願ではないかとの印象を受けた。買換ではなく、例えば今使っている製品について、部品の取り替えによって省エネ化するような技術を開発できないか。家電の買換については、廃棄物のリサイクル時にCOを発生させるという問題もある。
  • 中小企業が行ったCO排出量の削減を海外のCDMのように大企業が買い上げるというファーストエスコのご提案については、国内経済にもプラスの影響を及ぼすものであり、賛成。
  • 自主行動計画全般についてだが、目標を達成している業界は大変評価できると思う。他方、このような努力は消費者に必ずしも伝わっておらず、成果を挙げた企業の情報が消費者に伝わるような仕組みを考えて、国内にアピールしていくことが重要。そうすることで、消費者がその企業の物を買おうとすることとなり、温暖化対策に寄与することとなる。
  • 流通業界は、一般家庭に接する業種であり、家庭部門へ与える影響が大きい。流通業から、これまでの実績を消費者に示すことで相乗効果が期待できる。その意味で流通業界の役割は大きい。取組みを分かりやすく示すことで、家庭の省エネにつなげてほしい。
  • 流通業の各団体のエネルギー消費原単位は、kwh/m2・ hで計算しており、営業時間の伸びが指数を小さくすることにならないか。営業時間は実際の稼働時間より長くなることが多く、営業時間を分母に用いるということは、結果として、原単位を実際より小さく見せている可能性があり、課題がある。
  • そもそもエネルギー消費原単位を目標に設定しているが、国全体で総量マイナス6%という目標を設定している中で、排出量が増えていることを業界としてどう考えるのか、国民の理解を得られないのではないか。
  • また、原単位が下がってきている状況の中で、一部の業界は、2005年度実績よりも緩い原単位を2010年目標として設定している。このような業界については、一層の目標切り上げができるのではないか。各業界の店舗単位で努力すれば、まだまだCO削減のポテンシャルがあるのではないか。
  • 例えば進んだ取組を行っている店舗を業界の「トップランナー」としてベンチマークとし、省エネ化を推進できないか。
  • 家電業界においては、多様なメーカー、多様な製品があるが、それぞれの技術の内容については、検証可能な程度に業界内で共有されているのか。企業秘密ということで、ほとんど共有されていないのが実態なのか。
  • 資料1のP13で、大型TVの普及率が今後あまり増加しないとの見通しが示されていたが、見通し通りになるかどうか心配である。また、エアコンなども今後普及台数が増加する可能性もある。台数を増やさないような方策が必要ではないか。
  • 家電(テレビ・エアコン)は平均14年で買い換えられるとの説明があったが、業務用機器についても、同じような試算が出来るのではないか。業界で同様の計算を行ったことがあるか。
  • ファーストエスコから、中小企業について多数の店舗との包括契約に関する説明があったが、京都市では、条例により、個々の店舗が省エネ法の基準未満でも、チェーン店全体で一定以上のエネルギーを使用していれば市に報告・削減計画書の提出義務が課されている。国の制度としても、このような考え方を取り入れるべきではないか。
  • 家電業界から、エネルギー消費量削減のペイバックの仕組みについて説明があったが、家庭だけではなく事業所についても同様の仕組みによるエネルギー消費削減を図ることはできないか。
  • 家電は平均14年で買い換えられるとの説明があったが、平均としては分かるが、例えば、いつ頃から家電の省エネ性能が格段に向上したのか、省エネにとっていつ頃の買換が効果的かといった情報を消費者に提示していくべきではないか。
  • 家電業界から、国内CDMのご提案があったが、運用コストを考えると実現不可能ではないか、4,000円程度のキャッシュバックで本当に効果があるのかという疑問もある。買い換え促進について何か考える必要があり、もっと我々審議会の中で検討すべき。
  • ファーストエスコからご紹介のあった、最後のインセンティブの部分で、大企業-中小企業間のインベントリの枠組を超えた排出削減活動については、これまで考えられておらず、御指摘は大変面白い。議論はあるが、削減量について同じような業種内で引き取るというのは、国内対策として1つのアイデアではないかと思う。インベントリの枠内で政策を限定する必要はないという御指摘であったと理解しており、大変興味深い。
  • 流通業界が自主的取組によって排出削減を進めていることは評価したいが、一般論として、サービス部門では、このような自主取組のフォローアップが行われている業種がまだまだ少ない。一部の業種でのみ自主行動計画を行うというのはおかしな話であって、自主行動計画を可能な限り他業種にも広げる必要がある。そのため、関係業界にも呼びかけていただいて、どうしても対応しない業種には強制力のある施策などが必要かも知れない。
  • また、チェーンストア協会は会員のカバー率が極めて低いが、もっと向上させることができないか。例えば、「当チェーン店は自主的取組に取り組んでいます。」といった看板を出すなど、自主行動計画参加企業は、自社が計画に参加している情報をもっとPRしていくなどして、加入するインセンティブを設けるべきでないか。
  • 流通業の各団体は原単位を目標にしているが、現状を見ると、チェーンストア協会をはじめとして、ほぼ生産量の伸びに合わせてエネルギー消費量が増えるという結果になってしまっており、エネルギー消費量の抑制がなされていない。これでは目標としてずさんではないかという印象を与える可能性が大きい。そこで、「仮にこれまでの努力が無かったならばもっと排出量が増えていた」という点について示せれば説得力があるかも知れない。どこで努力をしているのかが分かるようにすべき。いずれにせよ、原単位を目標として設定することの合理性については常に検証が必要。コンビニエンスストアでは、平均営業時間がほとんど固定されているので、計算してみると、一般家庭よりも若干良い程度に過ぎない。他の業界も含めて、目一杯努力をしているというなら、その事実を示す必要がある。
  • 家電製品については、電気を電気として使う製品については省エネ化が進んでいる。一方、電気を熱として用いるヒーター、エアコン等の暖房、給湯機器は、低エクセルギーのものに変えるといった抜本的な見直しが必要である。単なる買い替えではなかなか民生部門の削減は進まない。
  • 原単位を目標として設定することについては、経営者の目からのみ見ていてナンセンスではないかと考える。目標達成が厳しくなっても、営業時間を延ばせば売上げも伸び、原単位も良くなることになってしまう。
  • 流通業は、消費者に対してフロントに立つ役割を担っている。店舗の省エネだけではなく、消費者に提供する商品のグリーン化・コンテンツのグリーン化ももっと積極的に進めてほしい。
  • 流通業全体において、照明、空調によるエネルギー消費が多くを占め、面積、営業時間が延び、原単位が多少改善しても排出量は増大している。原単位も1つの目標ではあるが、やはり排出量そのものを減らすよう努力すべき。
  • 百貨店協会は2010年度の原単位を基準年比3%削減する目標を設定しているが、2005年度実績において既に基準年比7%削減を達成している。今後原単位を3%に戻すという理由が分からない。ファーストエスコからは、百貨店ではなくスーパーではあるが、ESCO導入により平均10数パーセントの省エネにつながるとの説明や、かなり省エネができる機器が紹介されていたが、そのような状況の中で3%削減という目標設定は安易ではないか。その根拠をきちんと示すことが必要ではないか。
  • また、営業時間が増えれば、分母が大きくなるので、省エネが進んだということになるが、本当に時間を伸ばす必要があるのかを検討するため、売上高当たりの原単位のデータも出して欲しい。
  • 百貨店協会から、暖房日数の削減について説明があったが、暖房が不要になるということは、代わりに照明等から多量の熱が放出されるということではないのか。その辺りを詳しく御説明願いたい。
  • チェーンストア協会、フランチャイズチェーン協会から運輸部門の取組について説明があったが、この点を考える際には、立地面から検討をしていくことが必要。具体的には、従業員の職場として、また、顧客が各種公共交通機関を利用してアクセスしやすいような場所・施設に店舗を立地していくことが適当だが、現在の立地については、このような観点は必ずしも考慮されていないのではないか。これは是非大きな問題として取り組んでいただきたい。
  • また、具体的な対策として、多くの店舗で駐車場利用を無料としているが、エコポイントの活用等を通じて、どのような交通機関で来た顧客に対しても同水準の還元が行われるような仕組みを設けて欲しい。
  • 民生部門について、家電業界の省エネ化の努力は評価するが、一台一台の省エネ対策が進んでいる割に、普及台数の増加や大型化の影響により、実際上は減っていない。大きさが異なるため、省エネ性能について、過去の製品との正確な比較が困難である。大型化等を抑制することが必要。
  • 家電業界から、主電源をこまめにOFFにすることにより待機時消費電力が7~8%削減できるとの説明があったが、自分が行った別途の調査では市民の意識が向上する相乗効果もあり、14%の効果が生じたという報告もなされている。主電源オフが出来ない家電もあるので、今後、このような取組を進めるため、リモコンで主電源も切れるような家電機器の機能上の工夫を進めてほしい。
  • エコキュートは、機器が大きいため、マンションには導入しづらい。業者も困っており、希望者の割に導入が進んでいない。小型化のための技術開発を促進してほしい。
  • 環境家計簿を普及させるため、環境家計簿を導入した家庭に対し、エコマネーを付与すること等により何か具体的なメリットを付与することができないか。
  • 家電業界からご提案のあった国内CDMについては、類似の事業を数年前に実施したことがあるが、結果的には手間がかかりすぎ、手数料が高額過ぎて、運営が困難になった。手数料をどう考えるか、手数料の一部をメーカーが負担する等の仕組みがなければ難しい。
  • ESCOを導入した優秀企業に対して、環境省や経済産業省の表彰制度を一層活用できないか。
  • 流通業界については、原単位は低減しているとの説明であるが、人口が増えていない中で、販売量が増えたとは考えられない。単に、店舗面積の拡大により、結局エネルギー消費量が増えている。これでは、店舗面積の拡大分電気使用量が増大しており、真の意味での省エネ対策になっていないのではないかと考える。小売業界全体の販売量の中で、コンビニ業界がどのくらいのシェアがあり、どのような対策がなされているのかの検討が必要。現在の生産活動量当たりの原単位ではおかしい。
  • また、業界団体に所属しないアウトサイダーへの対応について、団体としては、知らないというのでは、行政としては、業界全体を規制するしかなくなるので、各団体としても更に検討していただく必要がある。
  • 流通業の取組として、消費者との接触が大きいことから、従業員や消費者に対する環境教育を進めていくことは、うまくやれば相当効果が出てくる。そんなことをすると客が来なくなると言われるが、是非とも御協力をお願いしたい。特に省エネ製品を販売するホームセンターで消費者の環境意識を高めていただくと、大きな効果が期待できる。
  • 資料1のP13で、大型テレビの普及率が40%で頭打ちになるとされているが、根拠は何か。また、資料1のP14でテレビの、P23でエアコンの省エネ化の状況が説明されているが、技術的には省エネはそろそろ底打ちと考えられるのか、それとも今後どの程度技術開発の余地が残されているのか。省エネ法上のトップランナー方式の関係を含めて教えていただきたい。
  • 資料1のP23、家庭内ストック製品置き換えのシナリオ(エアコン)で、2005年の時点でCO排出量が底入れ状態なのか、教えていただきたい。
  • 資料1のP27で、家庭の太陽光発電の利用については、電力会社が発電分料金を引くということで、昼間に一般家庭が発生させた電力がいったん電力会社に預けられ、夜間に返却されているという見方ができる。独で実施されているように、単に預かった分を電力会社が一般家庭に返すのではなく、何割か割り増しにして返すという制度ができれば、太陽光発電の普及に資するのではないか。
  • 資料1のP28で「国内CDM」という言葉が用いられているが、用語としておかしい。京都議定書上のクレジットには該当せず、この仕組みはCDMというよりも、国からの報奨金である。
  • 資料2のP13で「導入後電力量」とあるのは、「削減量」の誤りではないか。
  • 概していえば、流通業の各店舗の電力消費量は、客数、売上高とほぼ無関係に決まると推察している。電力消費量について、m2・h当たりで考えると、24時間営業のコンビニを23時までに変更すれば数字が3分の2になると思われる。また、コンビニの店舗数が多過ぎる為、流通業界の排出量が増大していると思われる。流通業界の本音として、コンビニエンスストアの24時間営業の得失をどう考えているのか。24時間営業により、本当に営業上のメリットが生じているのか。
  • 流通業界については、製品を通じて消費者と密接に関わっており、消費者の観点から考えることが重要。
  • 流通業の各団体の中で、さらに努力している企業は社会的に評価されるべきである。トップランナー企業やエコ企業など、これまで以上に消費者にアピールして、認知させることが必要。
  • 消費者の環境に対する感性が高まっていることを前提として、家電製品の買換促進については抵抗感がある。このような話は消費者の感性に任せるべきであり、政策的に誘導することは日本の「モノを大事にする文化」に反しており、企業努力としてはともかく、業界全体で行うというのは品位がないのではないか。むしろ、社会構造の変化として、高齢化が進む中で、それぞれのニーズに合うような形で、部品交換で省エネを実現していくという方向で検討していくべきである。
  • 我が国の排出削減対策の中で有効な仕組み・工夫が出てくれば、地球規模でのモデルとして提示し、国際社会に対してアピールしていくことが重要。
  • 流通業の努力は評価できるが、2010年度目標値が、足下の実績値以下のレベルに設定されているような業界については、深掘りが必要ではないか。
  • 自主行動計画が未だ策定されていないような業種・分野等については、計画を策定して排出削減を進めるよう、関係省庁が後押ししてほしい。
  • 原単位目標は、改善していかなければならない。
  • 特に業務部門については、(1)自主行動計画策定業種について、現行計画の内容が適切なのか、(2)計画を策定していない業種についてどのように対応すべきか、という2つの論点がある。後者の論点についていえば、最も排出量が多い事務所ビル部門に含まれる金融、商社などは省庁による自主行動計画のフォローアップを受けていない。
  • 今後、我が国が最善の努力をしても京都議定書の削減目標の達成が困難になった際、「目標は達成できなかったが最大限努力した」と国際的に主張できることが重要。このため製造業についてはエネルギー効率が主要業種で世界最高に達すれば、その努力は十分世界にアピールできるとしても、業務部門の取組について同様の説明ができるかどうか、現段階では疑問である。自主行動計画という観点から見ても、業務部門全体に占める参加業種の割合は小さい。
  • 参考資料5にある通り、英国においては、業務および公共部門からの排出量(主として電気仕様による間接排出)は相当大きいが、EUETSの対象にはなっていない。そこでこの分野を対象にキャップアンドトレード制度が本格的に検討されている。具体的にこのような方策が適当かどうかは議論があるところだが、少なくとも排出量で見て産業部門の4割を占める業務部門における何らかの政策的な手当が必要である。
  • 流通業においては、消費者の利便性を考えて、店舗数・店舗面積・営業時間拡大を行ってきたが、それはそろそろ限界に来ているのではないか。これは各業界で対応するのは難しいので、流通業界全体として考え直していくべき。

○電機・電子5団体温暖化対策連絡会

  • 家電については省エネ性能が進化しているので、適切な循環を考えることが必要であり、単に長く使えば良いというものではないと考えている。適切にリサイクルしつつ、一定期間で買い換えていくことがCOのLCAの観点からも適切である。家電製品は、省エネ性能の向上による節電で、比較的短期に投資額が回収できる。今後、一般家庭においてそのような投資額と節電額の計算が行えるよう、環境整備していくことが重要だと考えている。
  • 個々の家電機器の消費電力について、最近では年間消費電力なども把握されているが、各家庭のライフスタイルによって使用条件が多様であることもあり、難しい問題である。今後の検討課題としたい。
  • 家電の普及台数の増加や大型化は、個人のライフスタイルと密接に関連しており、当方ではコントロールが難しい。大型化で消費電力量が増える以上に、省エネ化を進めている。環境家計簿の普及等により各家庭の意識を喚起することによって対応するということも重要だと考えている。また、普及台数の増加や大型化を上回る省エネ努力を行ってきている。
  • 業務用機器の平均買換年数等について調査したことはない。今後の課題としたい。
  • 一般家庭に対し、適切な買換年数についての情報を提供していくべきとのご指摘があったが、我々としても行いたいという気持ちがあるが、このようなことを行うためには個々の家庭の使用時間が把握されていなければならない。今後の検討課題としたい。
  • 電気を単純に熱に変換して使用する機器は確かにもったいない使い方であるが、これら機器についても、着実に効率が向上している。ヒートポンプは、入力に対し出力が、4~6倍も得られる優れた製品であり、エコキュートなど更なる普及が必要である。
  • 家全体のCO削減ということでは、今回試算した中でも、エコキュート、太陽光発電の効果は非常に大きく、これらは更なる普及促進が必要である。
  • 一般的に、待機時消費電力は家庭の電力消費量の10%程度といわれてきたが、業界としても技術革新に努めてきた結果として、個々の製品レベルでは0.1ワット以下に低減している。ご心配の向きは、それほどでもないと考えている。いずれにせよ、今後とも一層の低減に向けて工夫していきたい。
  • マンションへの普及のためのエコキュート小型化については、ごもっともであり、今後検討していく事項の一つになると思われる。
  • 国内CDMについてはいろいろとご指摘頂いたが、1つの提案として受け取って頂きたい。皆様からのお知恵も頂いて、今後とも検討を深めていきたい。
  • 大型テレビの普及率の見通しについて御質問があったが、ブラウン管テレビの実績をみても、各家庭の2台目のテレビは比較的小型のものが購入されている。2008年以降、2台目の買い換えが進むものと思われ、このことから類推し、今後の大型化も40%程度で頭打ちになると推計している。
  • 今後の家電製品の技術開発余地についてだが、例えば、エアコンについて言えば実質的には飽和状態にある。そういう観点から、一層の省エネ化のためには、例えばSiC素子の開発等の基盤技術開発を急ぐ必要がある。他方、薄型テレビについては、現在開発途上であり、効率化の余地が期待できると思う。
  • 太陽光の普及促進施策の必要性についてコメントがあったが、同感である。独と同様の措置が導入されれば、日本でも更に普及が進むのではないか。

○ファーストエスコ

  • 委員からご指摘のあったように、流通業の省エネ化を底上げするには、省エネ法の適用を事業所単位ではなく企業単位とすることが適当ではないかと考えている。
  • 委員からESCO導入企業への表彰制度の充実についてコメントがあったが、ESCO推進協議会でも自主的に表彰を行っている。今後、より積極的に広報していきたい。
  • 資料2のP13の記載を導入後電力量から削減量に修正すべきという点については、委員ご指摘のとおりである。
  • 一般的に、「仮に省エネ方策の導入を行わなかった場合」のベースラインを設定することがなかなか難しい。顧客に対し、この点をいかに合理的かつ理論的に提示できるかがESCO事業者のノウハウとなっている。
  • 原単位の指標だけでは省エネ削減努力が見えにくくなるという点については実感しているところである。

○日本チェーンストア協会

  • 排出削減のための先進的な取組を行っている企業、店舗を「トップランナー」として示すことについては、今後の検討課題としたい。
  • 営業時間の延長については、顧客ニーズに対応する形で進めてきたが、そのことがエネルギー消費に与えた影響等については、現在具体的な数字を持ち合わせていないので、後日改めて確認させて頂く。

○日本フランチャイズチェーン協会

  • 24時間営業による営業上の利益について御質問があったが、23時から7時までの間の売上高は約12%となっている。仮に24時間営業を16時間営業に切り替えた場合には、売上高に対し20%程度の影響を与えると予測している。また、調達面から見ても、深夜は共同配送のための時間帯として有効に活用されている。仮に23時に閉店しても、開店前、閉店後に1時間程度の作業時間が必要になるため、結局、省エネ効果は6~7%程度ではないかと考えている。更に、24時間営業により地域の安全に貢献している面もあり、現在、16都道府県・8政令指定都市と災害時帰宅困難者に対する支援協定を締結しつつ社会貢献を行っている。
  • 原単位の計算方法について委員からご指摘があったが、今後、売上高等も考慮した形で検証をしつつ進めて行きたい。
  • 情報公開については、現在、13社が環境報告書を公表している。今後ともこのような取組を広めていきたい。
  • 物流面については、運送車両の台数に加えて、走行距離、積載量、積載効率等も踏まえた分析を行えるよう、対応を考えていきたい。

○日本百貨店協会

  • 3%削減の目標設定が安易ではないかとのご指摘あったが、現在、多くの店舗が省エネ法の規制対象とされている中で各社は懸命な省エネの努力を進め、目標を達成してきているところである。百貨店のエネルギー消費については、気候要因の影響を強く受けるなど不確定要素も多くあることから、今回は3%を目標としたが、今後とも更に目標を引き上げる努力を継続したい。
  • 冬季の暖房の熱源について御質問があったが、各店舗において1階の入り口に温風のエアカーテンを設けること等により、顧客が入店時に暖かく感じるような工夫をしている。また、店内照明が発する熱や「1人100ワット」と言われているが、多くの従業員や顧客が放出する熱量も相当温度を上昇させている。これらにより、冬場の暖房を不要とすることが可能となっている。
  • 原単位算定の際に営業時間を考慮している点について委員からコメントがあったが、営業時間については、既に限界に近いところまで延長しており、今後は大きな変動はないと思われるが、営業時間は生産活動量を示す大きな要因であることから外す必要はないと考えている。

○環境省小川地球温暖化対策課長

  • 自主行動計画について、参加していること自体が社会的に評価されるよう、周知していきたい。また、これまでも地球温暖化対策の観点から環境省によって、省エネルギーの観点から経済産業省によって優秀企業等への表彰を行っているが、引き続きアピールに努めたい。
  • 業務・家庭部門については、自主行動計画に加えて、様々な手法を組み合わせていくことが適当と考えている。

○経済産業省藤原環境経済室長

  • 流通、サービス部門において、自主行動計画が策定されていない業種の対策を進めるべきとのご指摘があったが、政府としても同様の問題意識を持っている。自主行動計画が策定されていない業種、あるいはフォローアップ対象となっていない業種については、所管省庁及び内閣官房とも協力して取組を促進していきたい。

○経済産業省濱邊流通政策課長

  • 流通業の自主行動計画のカバレッジが小さいのではないかとのご指摘があったが、現時点ではそもそも業界団体自体が設立されていない業種があることをご認識頂きたい。いずれにせよ、経済産業省としての所管の問題もあるが、出来る限り多くの企業が排出削減に取り組むよう、促していきたい。
  • 自主行動計画は世界的にもユニークな制度であり、今後とも取組を加速化させていきたい。
  • 自主行動計画参加業種については、参加自体を評価し、温かい目で見守っていくことが適当ではないか。
  • 流通業は、消費者と直接接する業種であり、消費者の快適性に配慮してエネルギー消費が増加してしまうことが多い。他方、環境省がウォームビズに関連して行った調査によれば、消費者の要求もそれなりに妥当な水準となっているとの結果が出ている。今後、このような結果も踏まえ、さらにより広い観点から消費者の評価に関する調査を実施するなどして、例えば過剰な冷房をなくす等適切な方向に促していきたい。
  • 流通ワーキンググループとしての報告資料については、本日の議論を踏まえて、座長である私の方で作成するので、ご一任頂きたい。
5.

最後に、須藤部会長から閉会の挨拶がなされ、会議が終了。