中央環境審議会 地球環境部会(第40回)・産業構造審議会 環境部会 地球環境小委員会合同会合(第3回)産業構造審議会・総合資源エネルギー調査会自主行動計画フォローアップ合同小委員会第6回資源エネルギーワーキンググループ合同会議議事概要

日時

平成18年12月18日(月)15:00~17:00

場所

三田共用会議所1階 講堂

出席委員

(合同会合)須藤部会長、茅小委員長、碧海委員、秋元委員、浅岡委員、飯田委員、潮田委員、及川委員、神津委員、塩田委員、鈴木正委員、大聖委員、富永委員、名尾委員、永里委員、長辻委員、馬田委員、早瀬委員、桝井委員

(自主行動)西尾座長、稲葉委員、河野委員、佐藤委員、関屋委員、中島委員、松田委員、大塚委員、増井委員



1.

須藤地球環境部会長、茅地球環境小委員長、西尾ワーキンググループ座長より順に開会の挨拶。

2.

経済産業省 藤原環境経済室長から資料1に基づき、自主行動計画フォローアップの概要について説明。

3.

各業界(電気事業連合会、石油連盟、日本ガス協会、日本鉱業協会、石灰石鉱業協会、石油鉱業連盟)から、資料2~5に基づき、順に2005年度の取組実績について説明。

4.

委員の発言は以下のとおり。

  • 10年前に電事連が原単位20%低減の目標を定めたときには、原子力の稼働率が80%を超え、原発の基数も増やすことを前提としていた。基数増加については、自由化の影響で実現していないのは仕方がない面もあるが、稼働率向上は真剣に取り組むべき課題である。本日の電事連の資料では、原子力発電の推進、火力発電熱効率の向上、CDMの活用が3本柱とされているが、一番の課題は原子力。慎重を要する問題であることは分かるが、もっと積極的に取り組んでもらいたい。
  • 電事連、ガス協会共に、一般家庭への対策を実施されているが、これまでのところソフトな取組中心となっている。現在の取組を超えて、環境税を含め、どの程度強硬な対策を行うと、どの程度の効果が生じると考えているのか、教えてほしい。
  • 石油連盟については、目標引き上げへの考え方について説明がなかったが、どのように考えているのか。
  • CO削減は、100年先のことも考えれば、大きな意義がある。石油連盟は原単位改善を自主行動計画の指標としているが、議定書の目標はあくまでもCO排出量の削減である。もっと根本的な対策が必要ではないか。目標の立て方を見直すことも検討すべきではないか。
  • 電事連の資料では、1990年代に石炭火力の発電量が増加しているが、これは原発停止の影響なのか。また、今後の見通しはどうか。
  • 石油連盟、石油鉱業連盟は、既に現在の目標を達成しており、目標の深堀を検討する余地があるのではないか。
  • 自主行動計画については、全般的に透明性を確保することが重要。対策のコスト、削減効果、投資回収期間について情報開示することが必要。
  • また、京都議定書上の目標は総排出量であることから、原単位目標だけではなく、CO排出量についても併せて目標として設定することができないか。
  • 目標達成計画では、原子力の稼働率を2010年度に87~88%に引き上げることとされている。このことと、電事連資料のI-12の将来予測とは整合がとれているのか。
  • いくつかの業界から、京都メカニズムの活用について説明があったが、費用はどのように担保しているのか。また、CDMの認証には時間がかかるが、いつの時点でどの程度取得するのか、もう少し具体的な見通しを示してほしい。
  • 2010年だけでなく、2050年、2100年といった長期の温暖化対策について、各業界の考え方を教えてほしい。
  • 原子力発電所の稼働率を3~4ポイント程度上げることはできないか、電事連に伺いたい。
  • また、電事連から排出量購入の説明があったが、2010年が間近に迫る中、もう少し具体的な見通しを示してほしい。
  • ガス協会、電事連共に民生部門対策を実施されており、一部競合している面もある。ガス、電気のベストミックスの在り方について、各々どのように考えているのか。
  • 電力の排出係数悪化により、国の目標達成計画にも大きく影響するし、地域の計画を作る際にも見通しが立てられなくなる。家庭や業務部門の排出量が増加していると言われるが、電力の排出係数が改善されていないことが民生部門からの排出量を9%程度増加させている。このような点を電事連からももっと説明していくべきではないか。また、2010年度の改善見通しについて、もう少し根拠を開示してほしい。
  • 原子力の稼働率を84%にも高めると、事故、トラブルが増加するのではないか。
  • 石炭火力の問題への対応は不可避である。90年から2004年にかけて、石炭火力発電所の設備容量は3倍、発電量は3.3倍に増加している。これは、温暖化対策の根本的な考え方と整合しないのではないか。
  • 目標達成計画策定時に、天然ガス火力発電所の稼働率50%、石炭火力発電所の稼働率70%を逆転させるだけでも相当の削減効果がある、という議論をしたことがあったが、その後立ち消えになってしまった。ガス業界ではこのような構成見直しが行われているとの説明があったが、電力についても検討すべきではないか。
  • 今後、需要総量を抑制していかなければならないと考える。将来見通しにおいて、電力使用量の増加を見込んでいるが、電力使用量を目標として下げて、それをユーザーに協力させていくということを考えるべき。いわばキャップの考え方である。
  • 電事連から、京都メカニズムで原単位を2~3%引き下げるとの説明があったが、そのためには数百億円必要なのではないか。具体的な取得量、そのために必要な金額について教えてほしい。
  • 省エネ法上の開示請求によって得られたデータによれば、石炭や石炭並の排出係数の石油、コークス類を大量に使用している製油所とそうでない製油所では原単位が大きく異なるはずである。石油業界では、事業所ごとに原単位のばらつきが大きいと思われるが、業界の目標設定に際しどのように考慮されているのか。
  • いくつかの業界では、原単位目標が設定されているが、他方、目標達成計画では、経団連の自主行動計画によりCO総量で4,240万トン削減するとされている。個別業界の目標と経団連全体の数字とはどのような関係があるのか。
  • そろそろコンティンジェンシー・プランを考えていかなければならない。すなわち、目標を達成できなかったとき、誰がどう責任をとるのか、個別業界の原単位目標は達成できてもCO総量が削減されなかったときには誰の責任になるのか、また、ある業界で目標未達となった場合に業界内のどの企業がどう責任をとるのか、等について議論する必要がある。
  • 原子力発電所の中には建設後40年経過しているものもあり、稼働率を上げようとしても上げられなくなっているのではないか。原子力稼働率の問題は、定期点検の問題ではない。目達計画を本当に達成できるのか、真剣に見直すべき。
  • 電事連資料の中に、独のCO排出原単位が日本より高いとの説明があった。しかしながら、この問題は単年度でのみ捉えることは適当ではない。独は、再生可能エネルギーを6%程度導入しており、また、2002年には既に火力発電所の新設禁止、小規模分散型のコージェネレーションやバイオマスへの転換を進めている。このような政策の流れをよく見ることが必要。
  • オール電化住宅については、COをトータルで減少させるのかどうかについて様々な議論があり、かえってCO排出量が増加してしまう場合があるとの指摘もある。確かにエコキュートは効率が高いが、電気温水器、床暖房は効率が悪い。エコキュートは価格が高く、より安い電気温水器が選択されるとCO排出量が多くなる。オール電化のメニューからこのようなものを除いて考えた方が良いのではないか。また、水道法上は、温水は60度で良いことになっているが、実際には90度の温水が用いられている。これを60度に下げるだけで、日本全体では相当のエネルギー節約になるのではないか。
  • 石油連盟では、ETBE導入を進められているが、欧米ではエタノールを10%混入したE10が実用化されている。日本で同様の対応がとれない理由は何か。
  • 石油連盟、ガス協会から運輸部門における取組が紹介されたが、サルファーフリーのディーゼル車の普及率は0.1%未満、天然ガス自動車の普及台数も25,000台程度である。燃料電池については、ガスから水素を供給するのが一番だと思うが、まだまだ先の話という認識。運輸面の対策を進める上では燃料供給を行う業界に加えて、自動車業界、経済産業省、国土交通省等関連機関と協力し、新たな技術開発を建設的に進めていくことが重要だが、現状はどうか。
  • 電事連資料に、2015年度の電源構成では原子力発電が43.1%まで上がるとなっているが、立地促進と稼働率向上の構成比はどうなっているのか。
  • 電気、石油は安定供給が重要な課題。温暖化対策を進める上でも、安定供給(エネルギーセキュリティ)に十分留意していく必要がある。
  • 電事連の資料では、火力発電の効率について日本は国際的に見ても高水準にあり、他方、中、印は低レベルにあるとされている。これらの国に対する国際協力の現状はどうなっているのか。また、そのような(火力発電効率の向上)プロジェクトを、CDMプロジェクトとして認められるような動きはしているのか。
  • 質問ではないが、経団連の第一約束期間へのスタンスを述べたい。経団連では、CO排出量を90年度水準に抑えることを目標にして、排出削減に取り組んでいる。2005年度の実績は90年度比▲0.6%で、6年連続の目標達成となった。また、更なる貢献のため、目標年次を2010年度の単年度から、2008年度~2012年度の平均とするよう、方針変更を決定した。自主行動計画は、各主体がそれぞれの創意工夫によって、費用対効果というファクターを考慮しながら進めていくもの。
  • 石油鉱業連盟の説明の中で、採掘に係る随伴ガスは排出量にカウントしないとの話があったが、インベントリの計量上の考え方では随伴ガスもカウントすることになっているので、自主行動計画の範囲に含めるべきと考える。
5.

委員からの発言に対する応答は以下の通り。

(電事連)

  • 電事連としても原子力の設備利用率向上に向けて取り組んでいるが、地元の理解を得ること等が難しく、精一杯の面がある。
  • 一般家庭の省エネ促進という点では、環境税等を通じた価格効果はほとんどないのではないかと考えている。トップランナー制度による機器効率の改善を図る方が適当ではないか。環境税には疑問がある。
  • 石炭火力発電が増加しているのは、石油危機以降エネルギー源を多様化した長期的な取組のなかでのたまたまの結果である。それらの取組が90年代に実現したということである。
  • 2010年度の原子力設備利用率は現状の制度下では84%程度にとどまると見込んでおり、不足分は京都メカニズムの活用により達成するよう務める。検査方法の見直しによる定期検査期間の延長により、原子力発電のウエートを数%上げることが可能になるが、いずれにせよ地元の理解を得ることが不可欠である。
  • CDMによる排出権取得のための費用等の見通しについては、個々の契約に係ることであり、言及を控えたい。また、取得量についても今後の国内の原子力・火力の状況次第であり、現時点では申し上げられない。
  • 石炭火力とLNG火力の稼働率を逆転させることができないかとの議論があったが、石炭価格はLNGの1/3~1/2程度と廉価であり、エネルギー多様化の観点からも現状が最適な利用率と考えている。
  • 温水器については、夜間負荷を平準化し、火力発電所の効率が高まり、原子力の割合を上昇させることにより、排出削減に寄与する効果があると考えている。また、温水器に流す温水の温度については、貯蔵タンクの容量を抑えるために高温に設定している。
  • 中国、インドへの国際協力は、現在も積極的に実施している。その結果がCDMにつながるか否かは、国際的に認定されるかどうかにかかっている。

(石油連盟)

  • 目標の引き上げについてはこれまで部内的に検討してきているが、未だ結論に至っていない。背景としては、大型の省エネ技術がほぼ実施済みとなっており、排出削減の取組が近年頭打ちになってきていることや、品質の問題、バイオ燃料の導入などの不透明な要素がある。
  • 原単位は向上しても総排出量が増えている、という御指摘については、需給構造の変化という事情がある。すなわち、ガソリン・軽油に需要がシフトしてきている一方、供給される原油は重質のものであり、このギャップを埋めるために分解装置が必要になる。事業所ごとの原単位の相違は、分解装置の有無に左右されるものである。また、ベンゼン、サルファーフリーへの対応のためにも新たな設備が必要となる。これらの設備導入により、どうしてもエネルギー消費量が多くなってしまう。
  • 自動車業界との共同作業はサルファーフリー燃料の開発などにおいてこれまでも進めてきている。

(ガス協会)

  • ベストミックスについては重要と考えており、お客様の実態に合わせた提案を心がけている。
  • 天然ガス自動車の開発については、トラック業界と協力し合って進めてきた。また、燃料電池の技術開発も進めてきている。

(経済産業省-藤原環境経済室長)

  • 目標達成計画上において、自主行動計画による排出削減効果を4,240万トンと算定しているが、その前提として、電力業界のCO原単位改善による削減量は含まれておらず、また、エネルギー統計における業種区分、具体的には7業種の分類を基礎としているため、自主行動計画を策定している業界団体ごとの数値は算定していない。
  • また、目標達成が不可能だった場合の責任問題についてであるが、昨年4月の目標達成計画の策定時以来、日本政府としてまた官民あげて、京都議定書の約束を履行すべく、最大限の努力をしているところであることにご留意頂きたい。
6.

西尾座長から以下の発言がなされた。

  • 本日の審議も踏まえ、2月頃の自主行動計画フォローアップ小委員会に報告することとしたい。その内容は私にご一任頂きたい。
  • 本日の審議において、電事連の目標達成について心配する声が多く示されたが、報告内容を検討する際にも留意したい。
7.

最後に、須藤部会長から、業界からの回答の残り、追加質問については、後日紙面で対応したい旨述べられ、会議が終了。