中央環境審議会地球環境部会(第34回)議事録

1.日時

平成18年2月28日(火) 午後4時00分~午後6時00分

2.場所

東海大学校友会館「阿蘇の間」

3.出席委員

(部会長) 須藤 隆一
(部会長代理) 浅野 直人
(委員) 大塚 直
服部 拓也
佐和 隆光
桝井 成夫
武内 和彦
和気 洋子
(臨時委員) 青木 保之
浦野 紘平
逢見 直人
高橋 一生
永里 善彦
横山 裕道
天野 明弘
及川 武久
小林 悦夫
富永 健
西岡 秀三
石坂 匡身
川上 隆朗
大聖 泰弘
中上 英俊
三橋 規宏
(専門委員) 原沢 英夫

4.議題

  1. 温暖化対策環境自主行動計画のフォローアップについて
  2. 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案等について
  3. その他

5.配付資料

座席表
資料1-1 地球温暖化対策の強化に向けた日本経団連の取り組み
資料1-2

温暖化対策環境自主行動計画2005年度フォローアップ結果概要版
<2004年度実績>((社)日本経済団体連合会)

資料1関連参考資料:
1
京都議定書目標達成計画(抜粋)
2
地球温暖化対策推進大綱の評価・見直しを踏まえた新たな地球温暖化対策の方向性について(第2次答申)(抜粋)(平成17年3月11日。中央環境審議会答申)
3
産業構造審議会・総合資源エネルギー調査会2005年度自主行動計画フォローアップ合同小委員会(平成18年1月20日)資料
3-1
2005年度自主行動計画フォローアップ結果
3-2
2005年度自主行動計画フォローアップ~重点審議事項及び今後の課題
3-3
各業種における地球温暖化対策の取組
資料2-1 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案について
(説明紙+要綱+新旧対照表)
資料2-2 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法及び石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計法の一部を改正する法律案について
(一枚紙+要綱+新旧対照表)
資料3 フロン類排出抑制対策のための法制度の整備について(1枚紙)
資料4 漂流・漂着ごみ問題について

6.議事

午後 4時00分 開会

○梶原地球温暖化対策課長 それでは定刻になりましたので、ただいまから中央環境審議会地球環境部会の第34回会合を開催いたしたいと思います。
 本日の会議は、地球環境部会の全委員40名中、現在のところ21名の先生方がご出席されておりまして、過半数に達しておりますので部会として成立しております。
 それでは須藤部会長、よろしくお願い申し上げます。

○須藤部会長 皆さん、こんにちは。本日は大変ご多用の中をお繰り合わせご出席いただきまして、どうもありがとうございます。また、事務局の皆様にも準備を整えていただいてありがとうございます。本日もまた大変多くの傍聴の方に当方の部会をお聞き取りいただくということで、感謝申し上げたいと思います。
 まずは本日の、第34回の会合でございます。まずは資料の確認から、事務局にお願いしたいと思います。

○事務局 それでは、お手元の配付資料につきましてご確認をさせていただきたいと思います。
 まず、上の方から座席表がございます。
 次に、本日第34回中央環境審議会地球環境部会議事次第、配付資料が列挙されてございます。
 1枚めくっていただきまして、ここから資料になります。資料1-1でございますが、「地球温暖化対策の強化に向けた日本経団連の取り組み」でございます。
 次に、資料1-2でございます。「温暖化対策環境自主行動計画2005年度フォローアップ結果概要版」でございます。
 次に、資料1の関連参考資料といたしまして、ことし1月20日に開催されました産業構造審議会・総合資源エネルギー調査会2005年度自主行動計画のフォローアップ合同小委員会の資料を配布してございます。参考資料の1は「京都議定書目標達成計画の抜粋」。参考資料2「地球温暖化対策推進大綱の評価・見直しを踏まえた新たな地球温暖化対策の方向性について」。ここまでが環境省の資料でございまして、参考資料の3-1が今年の1月20日産業構造審議会・資源エネルギー調査会の合同小委員会で配付されたものでございます。参考資料3-1は「2005年度自主行動計画フォローアップ結果」。参考資料3-2が「2005年度自主行動計画フォローアップ~重点審議事項及び今後の課題」。参考資料3-3が「各業種における地球温暖化対策の取組」でございます。
 次に、資料2-1でございますが、「地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案について」。
 資料2-2は、「独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法及び石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計法の一部を改正する法律案について」。
 資料3は、「フロン類排出抑制対策のための法制度の整備について」。
 資料4は「漂流・漂着ごみ問題について」でございます。
 それと最後でございますが、本日欠席されております浅岡委員から自主行動計画についてのコメントが届いておりますので配付をさせていただいております。
 参考資料が非常に多いため傍聴席の方には参考資料を配付しておりませんけれども、速やかにホームページの方に掲載をしたいと考えておりますので、あらかじめご了解方いただきたいと思います。
 過不足等ございましたら事務局までお申しつけいただきたいと思います。
 以上でございます。

○須藤部会長 ご説明どうもありがとうございました。よろしゅうございましょうか。
 本日の議事次第でございますが、3つ議題が用意をされております。
 まず、経団連温暖化対策環境自主行動計画のフォローアップについてご審議をいただきます。次いで、京都メカニズムの活用のための法制度の整備等について報告を伺い、審議をいたしたいと考えております。そのほか幾つかの報告がございます。
 以上3議題でございますが、最初の議題で1時間少々の時間を費やしたいと考えておりますが、最終的には6時終了を目指したいと思っておりますので、円滑な審議ができますようどうぞよろしくご協力をお願いしたいと思います。
 それでは、温暖化対策環境自主行動計画のフォローアップについて審議をお願いしたいと思います。
 本日は日本経団連の事務局から椋田環境・技術本部長にいらしていただいております。温暖化対策環境自主行動計画は産業界による自主的な温暖化対策の取り組みを取りまとめたものでございまして、我が国の産業部門及びエネルギー転換部門の二酸化炭素排出量の約8割をカバーする重要な取り組みでございます。
 自主行動計画の取り組み状況につきましては、これまで経済産業省の産業構造審議会・総合資源エネルギー調査会の合同小委員会などでフォローアップされてまいりました。昨年3月の第2次答申におきまして自主行動計画の目標達成の蓋然性を高めるため、政府としてのフォローアップ作業に中央環境審議会及び環境省が参画することが検討されるべきであるとされております。そのため第1段階の措置として、本日は日本経団連からその実施状況をお伺いいたしまして、皆様方のご意見をお伺いしたいと考えております。
 それでは、経団連事務局本部長でいらっしゃる椋田哲史様にご説明をお願いをいたしたいと思います。椋田様、本日はお忙しいところおいでいただきましてありがとうございます。それではお願いいたします。

○椋田日本経団連環境・技術本部長 ただいまご紹介いただきました経団連環境・技術本部長をしております椋田と申します。
 本日はこの中央環境審議会地球環境部会の場で私どもの自主行動計画につきましてご説明をさせていただく機会をちょうだいいたしましたことを、大変感謝しております。
 と申しますのも、自主行動計画というのは決して固定したものと考えておりませんで、いろいろな形で皆様のご批判を仰ぎながら年々進化させていきたいというふうに思っております。本日はせっかくの機会でございますのでご紹介させていただくとともに、皆様の忌憚のないご意見をいただければと思っておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。
 まず、中身に入ります前に、そもそも経団連がどういった考え方に基づいて自主行動計画を中心といたします地球温暖化対策に取り組んでいるかということにつきましてごく簡単にお話をさせていただきたいと思います。
 基本的な考え方は3つあると思っています。まず、地球温暖化問題、これは非常に重要な問題であるということ、この重要性につきまして産業界内の問題意識、さらには情報の共有化を図っていきたいということが一つでございます。
 それから第2に、日本は幸いなことに世界最先端の環境技術を持っております。これを活かして産業界みずからが率先して模範となるような先行事例をつくっていって、その先行事例を同業他社、あるいは異業種への横展開を図りながら実効を上げていくということでございます。
 3番目は、産業界のこういった取り組みにつきまして内外に積極的に情報提供をしながら活動に対する透明性、信頼性の向上を図っていくといったことでございます。
 こういった3点に基づきまして私どもは自主行動計画に取り組んでいるということです。
 お手元の資料1-1と1-2というのが経団連から出させていただいた資料でございます。全体の時間は20分程度ということですので、若干飛ばしながらの説明になるかもしれませんが、ご容赦いただきたいと思います。
 まず、資料1-1で自主行動計画の経緯につきまして若干お話をさせていただきたいと思います。
 経団連が地球温暖化問題に本格的に取り組むようになりましたのは、リオの国連地球サミットが92年にあったわけですが、その前の年、91年4月に経団連地球環境憲章というのを発表しております。これは温暖化問題がだんだん深刻になってくる中で、産業界としても取り組みの強化をしなければいけないという意思表明をしたものでございます。それに続きまして、97年にCOP3京都会議があったわけですが、それに先駆けまして96年7月に経団連環境アピールというのを発表しております。これの中で経団連として自主行動計画を作成していくということを発表いたしております。これを受けて97年6月に環境自主行動計画を策定いたしまして、98年から毎年のフォローアップを行っているところでございます。
 また、私どものフォローアップを産業界だけでやってもなかなか透明性・信頼性が担保できないということで、信頼性・透明性の担保、向上という観点から2002年7月に有識者によります環境自主行動計画第三者評価委員会というのを設置いたしまして、2003年から毎年評価報告書を出していただいています。この評価報告書に書かれた有識者からの意見を毎年のフォローアップに反映をさせているということでございます。こうした中、温暖化大綱あるいは昨年の目標達成計画の中で自主行動計画がエネルギー・産業部門の対策の中心という位置づけをいただいておりますので、私どもこの自主行動計画をきちんと進めていくということを改めて強く肝に銘じながらやっているというところでございます。
 では、どういう形でフォローアップを進めているのかということで、2005年度のフォローアップのスケジュールというのをごらんいただきたいと思います。
 ここにPDCAサイクルと書いてあります。2005年度につきましては、先ほど申しました第三者評価委員会の報告書が4月に出ました。この評価報告書を受けましてフォローアップ内容をどういうふうに改善をしていったらいいのかということを主要企業・業界の関係者と意見交換を行いながら検討をして、その結論を6月15日に説明会という形で産業界、業界団体の方々に説明を行っております。
 それを受けまして各業界団体が6月から9月末にかけましてフォローアップを実施する。そのフォローアップ結果を経団連の方で集計しまして、まず数値だけを中心に2005年度フォローアップ結果概要版の公表ということで11月に行っております。これは本日、資料1-2という形で配らせていただいております。このフォローアップの概要版が出るのを受けまして、すぐに新しい2005年度の第三者評価委員会の評価を開始していただいております。
 今後の予定ですが、多分3月ぐらいになると思いますが、2005年度フォローアップ結果の個別業種版というのを出します。概要版というのは全体の取り組みの結果しか書かれておりませんが、この個別業種版をごらんいただきますと、鉄、電力、石油等個々の業界ごとにどういった取り組みをして目標に向かって今どういう状況にあるのかということがわかるようになっております。これは大体200ページぐらいの大部にわたるものですが、インターネットで公開をしております。また、4月には今年度の第三者評価委員会の報告が出てくるということですので、またこれをもとに2006年度のフォローアップ内容を今後検討していくという形で毎年ほぼ同様のスケジュールでPDCAサイクルを回しているということでございます。
 それでは、フォローアップ結果の内容につきまして資料1-2の概要版をもとに簡単に説明をさせていただきたいと思います。
 まず、1ページです。2004年度のCO2排出量という小見出しになっておりますが、経団連の環境自主行動計画の目標は、上から2行目にございますように2010年度に産業部門及びエネルギー転換部門からのCO2排出量を90年度レベル以下に抑制するよう努力するという統一目標がございます。参加業種は、2004年度まで34業種だったんですが、今回新たに石油鉱業連盟が加わりまして、今35業種になっております。この35業種からのCO2排出量は1990年度で5億トン強ということで、我が国全体のCO2排出量の約45%、また先ほど部会長からご紹介いただきましたように産業部門及びエネルギー転換部門全体で見ますと82%に相当するということでございます。2005年度のフォローアップ結果ですが、2004年度のCO2排出量は約5億200万トンということで、90年比で0.5%の減少となっております。前年度比では若干伸びております。
 今のところ2000年度から5年連続で目標を達成している状況でございます。
 なお、2004年度も一部の原子力発電がとまっておりまして、仮に原子力発電所の長期停止がなかりせば、アンダーラインにございますように90年度比でマイナス2.3%であっただろうというふうな試算をしております。
 ページをめくっていただきたいと思います。業種別の動向というのが書かれております。
 実は経団連の自主行動計画、35業種が参加しておりますが、各業種にとって目標してコントロールできる指標を4つの指標の中から選んでおります。この4つの指標といいますのは、CO2排出量の削減、それからエネルギー使用量の削減、CO2の排出原単位の削減、あるいはエネルギー原単位の向上、この4つの中から各業界が選んで、目標を立てて取り組んでいるということです。
 各業界がどういう理由でそれぞれの目標を選んだかということにつきましては、すべて個別業種版の方に書かれます。これは昨年の個別業種版と変わらないと思いますので、まだ本年度に出ておりませんけれども、ご参照いただければと思います。
 この中でCO2排出量につきましては13業種が目標として立てておりまして、そのうち90年度比で減少した業種は11業種という形になっております。エネルギー使用量につきましては、5業種が目標として立てており、すべてが90年度比では減少しております。CO2排出原単位、あるいはエネルギー原単位というのは今20業種が目標として立てておりますが、90年度比で原単位が改善した業種が14業種ということでございます。
 どの業種がどの目標を採用しているかということにつきましては、この概要版の9ページ以下に業種別に星印がついておりますので、それをまたご参照いただければと思います。
 自主行動計画の取り組み状況を私どもがどう評価しているかということですが、まずCO2排出量変化の要因というのを各業界に分析していただくようにお願いをしております。それを総合したものがこちらでございます。2ページの表にございますように90年度比で生産活動は8.6%ふえておりますが、生産活動当たりの排出量の変化がマイナス9.2%、それからCO2排出係数がやや悪化してプラス0.1%、これは原発の要因だと思います。その結果、全体として先ほど申しましたように90年比でCO2排出量がマイナス0.5%になっているということでございます。
 それから、3ページに入らせていただきます。2010年度の目標達成が果たしてどういう状況なんだろうかということで、これはやや簡便な計算ではございますが、私ども35業種入っているうちのここに書いてございます7業種で全体の排出量の9割を占めております。この7業種の生産量、あるいは排出量の見通し等をもとに全体を拡大推計する形で試算いたしますと、今のところ2010年度のCO2排出量は90年度の排出量2.6%下回るのではないかという見通しが出ております。
 また、私どもこういった努力の結果、エネルギー効率が国際的に見て今どういう状況になっているのかということも各業界に比較をお願いしております。15ページをごらんいただきたいと思いますが、なかなかこういった国際比較といいますのはエネルギー産業とか素材産業では行えるんですが、加工、組み立てになりますと部品を内製化するか外製化するかによってもかなり変わってきておりますので、ここに書かれておりますのはエネルギー関係、それから素材関係ということでございます。これをごらんいただきますとわかりますように、私どもの評価では日本のエネルギー効率というものは、あらゆる面で世界最先端をいっているのではないかというふうに考えているところでございます。
 以上が主に産業・エネルギー転換部門の関係でございます。目標達成計画、あるいは京都議定書によりますマイナス6%の目標を達成する上でこういった産業・エネルギー転換部門以外の部門につきましても産業界としていろいろな取り組みをしていく必要があるだろうというふうに考えております。
 その中で最近特に力を入れておりますのが、民生・運輸部門を中心とするCO2削減への取り組みということです。
 民生・運輸部門につきましては全体の排出量が大幅に増加をしているということで、私どももいろいろな取り組みをしております。先ほど申しました35業種のほかに民生部門・運輸部門からも自主行動計画に参加をしていただいて、温暖化対策に取り組んでいただいているということでございます。
 また、当然、産業・エネルギー転換部門におきましてもオフィスがありますし物流部門もありますので、そういった中でのCO2排出対策にも取り組んでいただいています。こういった取り組み事例も私どものフォローアップの中で積極的に開示していただいているということでございます。
 主な例というのが4ページの下、例えばオフィスにおける対策事例、物流における対策事例、国民運動、あるいは製品・サービス等を通じた貢献などLCA的観点からの取り組み事例、それから森林及び吸収源対策の事例ということで書かれております。これは個別業種版を見ていただきますと、具体的にどういった内容の取り組みをどういった業界が行っているのかということがわかるようになっています。
 また、京都メカニズムにつきましても各業界団体の方で積極的に取り組んでおりまして、私どもはその自主行動計画の目標達成を補完する重要な手段の一つではないかというふうに位置づけているところでございます。
 こちらにつきましても、個別業種版の中で各業界団体の方から積極的に開示をいただいているということで、ここに若干その代表的なものを紹介しておりますが、日本温暖化ガス削減基金や世銀への内外の基金の出資のほか、いろいろな形で具体的な事業を自ら実施しているケースもあるということでございます。
 6ページに入っていただきまして、そのほか環境情報の公開ということで、私ども一昨年来環境報告書等の発行による情報公開の強化というのを呼びかけ、またアンケート調査などを通じてその結果をフォローしているというところでございます。
 最後に今後の方針でございますが、私どもといたしましては、7ページの上から3行目にございますように、今後とも自主行動計画の透明性・信頼性の向上とともに、京都メカニズムの活用も図りながら確実な目標達成に努めていきたいというふうに思っております。同時に、産業・エネルギー部門以外でも民生・運輸部門等への貢献を一層強化していく必要があるだろうというふうに思っております。
 私どもにとって大変うれしいニュースが一つございます。最後のところに書いてございますが、温暖化問題というのは日本だけの問題ではなくてまさに地球規模の問題で、私どもは先進国、途上国、いろいろな形での国際的な対話を行っております。この中で、経団連が積極的に情報交換を重ねてきました韓国の経済界の方で我が国産業界の自主行動計画を参考に自主的な排出削減計画を導入するということを発表いただきました。まだ具体的な制度設計はこれからということですが、私どもとしましても自主行動計画につきましては長い経験を持っておりますので、ぜひ制度設計に協力をしていきたいと思っているところでございます。
 以上がフォローアップ概要版の内容ですが、また資料1-1にお戻りいただけますでしょうか。
 自主行動計画は各業界団体の方にさまざまな取り組みを行うようお願いをしているところでございますが、この自主行動計画は実効を上げるように補完的な取り組みにも私どもは大変力を入れております。それが3.に書かれたもので、2005年にどういった活動をしているのかということを幾つかご紹介をさせていただきたいと思います。
 まず一つ、温暖化防止国民運動への協力ということで、「地球温暖化防止国民運動へのご協力にするお願い」ということでチーム・マイナス6%等へ積極的にご参加いただきたいということを奥田会長名で直接会員企業の代表に手紙を出しましてお願いをすると同時に、理事会等でもお願いをしているということでございます。
 ただ、お願いをしただけではどの程度こういった効果があったのかよくわからない面もありますので、8月にはそのフォローアップをアンケート調査を行いました。例えば軽装運動一つをとってみましても、経団連の会員は大企業が多いということかもしれませんが、8割が軽装運動に参加をしたということです。実はそのうち半数は昨年の夏から参加されたということで、こういった国民運動への取り組みも広がっているのかなと思っております。
 また、セミナー等の開催ということで、昨年4月には「環境技術シンポジウム-みんなで取り組む温暖化対策-」ということで主要業界、企業の方々に出ていただきまして、それぞれがどういった技術を使いながら温暖化対策に取り組んでいるのかという発表をしていただきました。こういった形を通じて技術の共有というのが行われることを私どもは大変期待をしております。
 また、参考で書かれておりますように韓国の経済界の方にも直接日本から鉄鋼あるいは電力など業界の方々と一緒に参りまして、経団連の自主行動計画の説明等を行ってきているところでございます。
 それから、いろいろな業界、企業の温暖化対策の中では非常に先進的な事例もあります。私どもこれをぜひ横展開をしたいということで、毎週出している機関誌の「日本経団連タイムス」へ各業界の取り組みを連載をしていただいたり、あるいは「地球温暖化防止対策事例集」というのを昨年発表いたしまして600のヒント、600項目のCO2排出削減の具体的な例につきまして小冊子として配りました。これは大変好評で多くの企業から、いろいろなオフィスに配りたいのでぜひ増刷をしてほしいとかいろいろ話がございましたが、今ホームページに載っておりますので、またごらんいただければと思います。
 また、「経済Trend」という経団連の月刊誌の中で、企業の温暖化対策につきまして特集を行ったり、その中で奥田会長から改めて会員各位に対して温暖化対策への取り組み強化を求めるようなメッセージを出すと、そういったこともしております。
 あと政策提言等も出させていただいているところでございます。
 以上が経団連の取り組みということで、皆様のご批判を仰ぎながらまたよりよいものにしていきたいと思っておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

○須藤部会長 簡潔にご説明をいただきまして、どうもありがとうございました。
 ただいまは椋田本部長から、特に2005年度のフォローアップ結果についてを中心にご説明をいただいたわけでございます。委員の皆様からご意見やご質問があろうかと思いますので、どうぞ名札をお立てください。
 前委員会は右からいきましたので、きょうは原沢委員の方から順番にまいります。先ほど申し上げましたように5時少々過ぎぐらいまでこの議論をしたいと思いますので、簡潔にどうぞご質問、ご意見をお願いします。

○原沢委員 3点ほどコメントしたいと思います。まず、先ほどご説明がありましたけれども、別紙3の15ページです。世界的に見ても非常にエネルギー効率が進んでいるということで、大変評価したいと思っております。そういう中で、各産業ごとの省エネ対策という面では、業務部門に比べると比較的工場がまとまっていたりとか、省エネ対策を打ちやすい状況にもあるのではないかと思います。それでお願いは、いろいろ打たれた対策のコストですとか効果ですとか、あるいはどれぐらいの年数で投資が回収できるとかというような情報をぜひ開示いただければ、先ほどご紹介があったように業界横断的ないろいろな対策もさらに進むのではないかと思いますし、自主的な取り組みという中ではそういった情報開示が非常に重要になってきておるのではないかと思います。また、国、あるいは地方自治体もそういった情報をもとにさらに対策を進められるし、研究面でもそういった情報があれば、いい対策の立案にもお手伝いできるのではないかと思います。これが1点目です。
 2点目は、目標達成した業種がどれぐらいあるかということで、参考資料3-1に書いてありますが、15業種がほぼ目標達成したということでよろしいんでしょうか。
 さらに、ほぼ半数がもう目標を達成しているということで、私はこれを非常に評価したいと思いますが、まだその目標を達成していないところが本当に達成できるのかどうかという話と、達成できたところはさらに一歩進めるような対策をとっていただけないだろうかという点です。その場合も各産業、各業界がどんな対策をいくらかけてやっているのかという情報がやはり非常に重要になってくるのではないかということであります。そういう意味では、削減ポテンシャルみたいなものを積極的にご検討いただいて、次のステップにつなげる一つの情報にしていただきたいと思います。
 3番目が、昨年、目標計画の策定のときにも私は自主的な取り組みは非常に大事であるということと、環境管理システムの中でポイントはPDCAサイクル、プラン・ドゥ・チェック・アクションというようなことを毎年やっていくという仕組みが必要であるというコメントをしました。そういう意味では自主行動計画が環境管理システムとしてPDCAサイクルがしっかり回ってきていると思います。こういったことは国の目標達成計画の進行状況のチェックですとか、あるいは地域の取り組み、特に地方自治体の取り組みという面でも重要なお手本になっていくのではないかと思いますので、こういった仕組みを広げる努力をしていただければということであります。

○須藤部会長 どうもありがとうございました。数人の先生方の意見を伺った後、まとめて意見、質問に対するお答えをいただきたいと思います。
 それでは横山委員、どうぞ。

○横山委員 35業種が参加してCO2の排出量は5億トンを超えて、しかも産業・エネルギー部門では8割を超えているということで、相当大きな影響力を持っていると改めて思いました。それで、これなら本当に政府と協定を何で結べないのだろうと思います。私はもう少し自信がないから結べないのかなと思っていたんですが、これだけの排出をしている分野を押さえているというようなことで、ぜひ政府と協定を結んでやってほしいと思います。そうすることによって、社会的にもアピールするのではないかというふうに思っております。
 経団連の方に伺うと、やはり本音の部分として環境省を信用できないという面をよく聞くんですけれども、やはり産構審とか経産省だけではなくて、環境省とか中環審とも一緒にやっていくんだという姿勢をぜひ持っていただきたいなと思います。その方が一般の人も経団連の活動に対して理解を示すのではないかと思います。
 それから2点目は、日本経団連の環境自主行動計画があって、各業界が頑張っているという構図になっていると思うんですが、これで本当に目標を達成できるのかという点ではおぼつかないという感じがします。責任体制がどうもあいまいと感じております。2010年度の段階で複数の業種がもし目標を達成できなかった場合に、全体として目標の達成ができないということもあり得るのではないかというふうに思います。
 それから、統一目標で90年度レベル以下に抑制するということなんですが、ぜひとも京都議定書の目標達成計画にある8.6%削減を目標に掲げて責任を持って目標を達成するというふうにやっていただけないかなと思います。
 それから、2010年度1年間だけを目標とするのではなくて、やはり京都議定書で言う2008年度から2012年度の期間を目標にすることも大きな課題だと思うので、その辺も考えていただきたいと思います。
 それから3点目は、いろいろな業界が頑張っているけれども、業界ごとのカバー率が必ずしも100%になっていない。日本製紙連合会が目標のかさ上げなんかもやってよくやっていると思うんですが、ここのカバー率も100%になっていませんね。そういうところを改善していただきたい。それから産業・エネルギー部門の35業種も先ほどの説明にもありましたけれども、運輸部門とか業務部門にかなり関係しているわけで、こっちの方も産業・エネルギー部門と同じように目標を立ててやるという姿勢を示していただければいいなというふうに思います。
 そういうことで、全体としては、これなら政府と協定を結んで8.6%削減とかやっていただきたいし、やれるのではないかなというふうに思います。

○三橋委員 自主的取り組みを伺って、着実に実績を上げられていることは大変結構なことだなというふうには思いますけれども、3点ほど質問させてください。
 1つは、今経団連がやっている自主的取り組みというのは、中期的展望というようなものを持っておやりになっているのかどうか。2013年以降も引き続き温暖化対策というのは重要ですよね。そういうことを踏まえた上でおやりになっているのかどうか、あるいは2013年以降の計画みたいなものもお持ちなのか。とりあえずは2012年でここの計画は終わりになるのか、ちょっとその辺の展望を伺いたい。
 それから2点目は、確かに製造部門は相当の努力の成果が上がっていると思いますけれども、民生・運輸部門に対してはやはりなかなかいい手がないようですよね。この辺については何か強化するようなものはおありなのかどうか。特に民生・運輸部門はどんどん今の状況でふえ続けている。製造業はうまくいったけれども、ということではちょっとぐあい悪いなというような感じがするので、民生・運輸部門に対して自主的行動計画としてはどういうような取り組みをなさろうとしているのか。
 それから3番目は、韓国へ働きかけたということ。これは非常に結構なことだと思います。それで同じようなことを例えばヨーロッパとかアメリカとか、あるいは中国にそういう経団連みたいなものがあるのかどうかわかりませんけれども、そういう外国の産業団体に、韓国の産業団体に働きかけるような形で地球規模での自主的行動計画みたいなものの展望というのは考えられるのかどうか。
 以上の3点です。

○中上委員 私は皆さんのお話を伺ってからお話ししようと思ったんですが、先に発言させていただきます。
 私は、自主行動計画のある部門の座長をやっておるものですから、そういう意味では当事者かもしれませんので一部お答えになるかもしれません。
 まず最初の原沢委員のご意見でございますけれども、評価をするのに費用対効果でおやりになるというのは、一番わかりやすい手法ですので非常に結構なんですけれども、非常にやりやすい対策をやればコスト効果は高いんですけれども、だんだん省エネが進んでまいりますと、当然費用対効果は悪くなるわけです。費用対効果が悪いからいけないかというとそうではなくて、費用対効果が悪いものをやっていることはむしろ逆に積極的に評価されるべきでありまして、そういう意味では単純に費用対効果だけで判断するのは難しい。ただ、情報を開示するということは重要だと思います。
 それから、自主行動計画はトップランナーに並ぶ評価をしてもらうべきだと思っているのですが、私はトップランナーについては随分海外でも発表してまいりましたけれども、本件については今まで発表した経験が余りないものですから、海外に向けてどんどんこういうことは情報を発信していこうと思います。
 それから、私が担当している流通部会は、ここだけ民生なんです。非常に難しいのは、例えば成長している流通業界は総量で抑えるなんていうことは不可能なんです。90年のときには1万5,000店ぐらいしかなかったコンビニが、今もう倍を超える量があるわけでありまして、これで総量を抑えるというのは到底無理でありますから、これはやはり原単位で考えざるを得ない。しかし、京都議定書の目標は総量を抑えるということでございます。そういった意味で成長産業、あるいは非常に景気のいい産業と一緒に、不況産業というか、衰退産業というものが入り交じっているわけですから、単純に評価できないわけでありまして、だから一概に、京都の先生から質問がペーパーがありましたけれども、必ずしも総量だけではなかなかうまくいかないというのが1点でございます。
 それからやってきた経験でもう一つ言えば、やはり継続は力であります。フォローアップを開始したころは、そういうことを言うと流通部会の方にちょっと申しわけないですけれども、データ自体もほとんど整合性がとれなかったり、お互いが理解がほとんど進んでいない状況でございましたけれども、やはり4年、5年と重ねてまいりますとかなり理解が深まってまいりまして、そこでやはりお互いの技術の相互の伝播があったりということでありまして、大分様子は変わってきております。やはりこういうのは継続してやっていくことが非常に重要でありますし、それによってさらに相乗効果が出てくるだろうと思いますから、一概に今の結果だけでよしあしを判断するのは時期尚早かなと。
 そういう意味では私は小さい業界を担当させてもらいましたので、今ほかでもできないかとおっしゃいましたけれども、これは監督する官庁もあるんでしょうが、例えばビルの業界であるとか、そういう業界単位でくくることができればどんどんふやしていけばいいと思います。流通業界というのはカバレッジは百貨店とか大きなスーパーとかコンビニとかだけでやっていますから、小さな商店はみんな抜けているわけです。ここはなかなか束ねることが難しいわけでありますが、徐々に先行部隊が実績を出してくればそういう方々に参加していただく土壌もできるのだろうと思っております。どうしてもやはりアウトサイダーが出てまいりますから、カバレッジ100というのは、これはなかなか望んでもできないのではないかと思っています。
 それから、より厳しい目標というのがございましたけれども、私の流通部会でもかなり行けそうである、やってみたら行けそうである。一段目標を高くしてみようかということを今年度は真剣に考えていただくという方向で投げ返しておりますので、業界によってはそういう方向が出つつある。これもやはり実績を積んできた結果で見えてきたということではないかと思います。

○高橋委員 経済が上向いてきつつある中、やはり自主行動計画というのが今まで以上に重要になってくるのではないかと思いますので、先ほどのお話を伺っていて、今までのノウハウをさらに生かすということが非常に重要なんだなというふうに思いました。特に先ほどのご報告の一番最初のところで自主行動計画というのは柔軟であると、いろいろと今後も知恵を加えていきたいということを言っておられたのが非常に印象的でした。私、3点質問がございます。
 まず第1点は、目標達成するに関しまして、企業が中心なのか、業界が中心になるのか、あるいは経団連が中心になるのか、それはその分野によるのか、そういうようなところが先ほどのご報告からは少しわかりませんでしたので、そのあたりをもう少しお話しいただけたらと思います。
 それから2つ目には、先ほど来お二人の方からお話が出ています隣の韓国への影響力、その延長線上ということでこれは確かに非常にうれしいご報告でした。これは特にヨーロッパ等とは私は別に考えていいかもしれないと思うんですが、国家間での交渉が難しい元気な途上国、中国、インド、ブラジル等々、こういうところとの関係で経団連がかなり大事な役割を果たし得るのではないかなという感じをこの韓国との関係で受けましたので、そういうことをさらに、多分もう何かやっていられるのではないかと思いますが、促進するとしたらさらにどういう努力が必要とお考えになっているか、そんなようなことをお知らせいただけたらと思います。
 最後には、先ほど国の計画、特にその中でも環境省との関係というご指摘のこともありましたけれども、先ほどのご報告の中ではNGO等々市民社会との対話というのが全然出てこない。やはりちょっと不思議なような感じがします。そのあたりどういうふうにお考えなのか、それをお伝えいただけたらと思います。
 以上3点、よろしくお願いします。

○須藤部会長 どうもありがとうございました。椋田本部長、大変多岐にわたるご質問ですが、共通している部分も幾つかあったと思いますので、まとめて今の5人の委員のご質問、ご要望について、お答えとコメントをいただきたいと思います。

○椋田日本経団連環境・技術本部長 多くの先生方から大変自主行動計画に対する励ましの言葉をいただきまして、私どもも大変感謝をしております。
 いろいろなご示唆もあったと思いますので、そういったもので我々としてもできるものは是非やっていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 まず、対策のコストの開示で、これは実は私どももフォローアップの中でぜひ進めたいと思っている項目の一つでございます。
 ただ、現実問題としまして、非常にこれは計算が難しいという問題がございます。例えばエンドパイプ型の環境対策というのは、何か触媒をつければいいとかそういった形でコストが目に見えるんですが、省エネといいますのは生産プロセス全体を見直して省エネを進めていくものです。どの部分が実はCO2に効果があってそれがどのぐらいのコストかということを各業界の方にもいろいろ出していただくようにしておりますし、それから実際に出していただいている業界もございます。
 ただ正直申しまして、それは明らかに明確に対応ができるようなものについては出せるんですが、そうでない生産システム全体の見直しの中で省エネを進めていくという部分については、どうも費用対効果の計算というのはきちんとしにくいという面がありまして、これにつきましては引き続きどういうことが可能なのか、私どももぜひ検討していきたいと思っておりますので、先生方からも引き続きいろいろな形でご示唆をいただければと思っております。
 それから、参考資料3-1というのは、実は私どものフォローアップではなくて、産構審と総合エネルギー調査会のフォローアップ結果でございまして、私どもとして何かこれに対してコメントができるという立場にはございません。
 ただ一つだけ、私どもの理解では、△がついているところは確かに目標は未達なんですが、そこを読んでいただきますと、今後業界が予定している対策を十分なし遂げることにより目標達成が可能な範囲にあると判断される業種ということですので、少なくとも今のままでは目標達成が困難と判断される業種は一つもございません。ですから、それを読む限りでは着実に各業界が目標達成に向けて努力を引き続き続けていただくことで必ずや目標は達成できるものというふうに私どもも思っておりますが、詳しい内容はまた別途経産省の方からでも補足いただければというふうに思います。
 それから、政府との協定の話はこれは非常に難しい話でして、欧州でも幾つか政府との協定はあるんですが、その際には、これ以上もう規制をしないとかいろいろ政府からのお約束があった上で政府との間の協定が結ばれているというふうに私は理解をしております。
 これは環境省の方といろいろこの辺について話をすると、いやそうはいかないよというような意見もありまして、そうすると結局何のための協定なのかというところは若干見えにくいところがございます。ですから、その辺につきましては引き続き政府サイドといろいろと意見交換をさせていただきながら、どういう目的でこういった協定を結ぶのかということについてぜひ関係省庁と意見交換をさせていただければというふうに思っております。
 それから、8.6%の削減ということにつきましては、これは実は経団連の自主行動計画と8.6%というのは全く違う概念で、バウンダリも異なっています。その辺につきましては、必要があればまた政府サイドの方から説明していただければというふうに思います。
 それから、カバー率の向上につきましては、確かに私ども業種もふやしたいと思っておりますし、業種の中でのカバー率の向上につきましてもぜひこれはやっていくべきではないかというふうに思っております。ただ、やはり今まで入っていないような、例えば中小とかなかなかまだ十分参加し切れていないところがいろいろあると思いますので、この辺につきましては関係業界と話し合いをしながら、どうすればよりカバー率を上げることができるのか考えていきたいというふうに思っているところでございます。
 それから、中期的展望を持っているのかという話ですが、中期的展望についてはもちろん検討はしておりますが、とりあえず今はまず自主行動計画を確実に達成すると。もう万難を排して何としてもこれは産業界の社会のコミットメントとして確実にやっていく。そのためにどういうことが考えられるのかということが、正直言いましてまだ目の前の最大の課題でございますので、引き続き信頼性・透明性を高めながら、何とか今の自主行動計画を達成していきたいということでして、まだ具体的な計画があるわけではございません。
 それから、民生・運輸の自主行動計画というのは、何か統一目標がつくれないものだろうかという検討はしておりまして、まず各業界で数字の把握をしていただくことが重要なんだろうなというふうに思っておりまして、その辺の情報開示につきましても少しずつしていただこうということで今お願いをしているところでございます。
 ただ、民生の業務といいますのは、産業界でコントロールできる部分というのは非常に少なくて、多分公的部門が36%ぐらい、それからビル等の業務部門が18%ぐらいでしたか。あと小売りとか小さいレストランとか、私どもとしてどこまで把握できるのかよくわからないところもありますので、どういう形でその辺のカバー率も上げていくことができるのか、どういった取り組みができるのか、引き続き大きな課題ということで考えていきたいと思っております。
 それから、欧州、アメリカ、中国との関係でどういう働きかけができるのかということで、欧州やアメリカにつきましては、私どもも環境関係のミッションを出したり、あるいはCOPやMOPの会議のときに代表団を派遣しまして、現地の産業界の方々と意見交換を行うというようなこともしながら、私どもの自主行動計画の持っている意義、その効果、そういったものを積極的にPRをしているという状況でございます。
 それから高橋先生の方から、推進する主体は企業か業界かということですが、コアになっていただいているのはやはり業界団体です。業界団体の中に各参加企業が集まっていただいて、具体的にどういうふうに目標を達成していくのかということで、非常に真摯にご検討いただいているということでございます。
 それから、中国、インド、ブラジルとの関係でもちろん経団連はこういった国とも二国間でいろいろな意見交換ができるんですが、なかなか環境問題について年に1回会ってそれで大きく進展をするということも難しいという状況があります。むしろ私どもは今アジア太平洋パートナーシップということで、今政府が新しいイニシアチブをつくっていただいて、特にエネルギーに関係する主要業界8業界が中心になりまして、中国、インドを含める形で産業界同士の協力がどういったことができるのかという対応を進めていただいております。こういったものに経団連としてどういうふうな貢献ができるのか引き続き検討していきたいというふうに思っております。
 それから、市民社会との対話ということで、私どもの方から積極的に対話を求めていくということは余り現状ではできておりません。もちろん市民社会の方々がいろいろ来られまして、そういった際には喜んで意見交換するようにしておりますし、私どもも先ほど申しましたようにいろいろな形で情報は積極的にとにかく出して、できるだけ出せる情報は出そうということでホームページの中でそういったいろいろな情報を出すことによって市民社会、NPOの方々にもぜひご理解をいただきたいと思っているところでございます。

○須藤部会長 ひきつづき、小林委員からどうぞ。

○小林委員 それでは私の方から数点、ご質問というか、あわせて希望を述べさせていただきたいと思います。
 現時点において策定された目標について、経団連全体として達成できるとされた評価につきましては、その根拠が具体的でないという部分はあるものの、そのこと自体は評価したいというふうに考えます。ただ、個々の業界で目標が設定されておりますが、これについても個々に達成できるとお考えなのかどうか。
 また、業界ではその目標が原単位によるものがあるわけですが、これらについて2010年の排出総量をどのように見込み、どのように評価されたのか、この辺についてもう少し詳しく公表していただければと思います。
 それから次に目標値と現状把握値、それから2010年予測につきまして、蓋然性を高めるという意味からさらに具体的な根拠、それとその妥当性に関する情報を示していただきたいと思います。
 各業界団体が別々に計算をなされておりますが、一つの企業で複数の業界に所属している場合があります。こういう場合どういうふうに整理をされておるのか、また直接温室効果ガスの排出にはかかわらないものの、排出量削減に関係の深い廃棄物の再生利用等をどのように位置づけをされているのか。いわゆるバウンダリ問題について、もう少し具体的にご説明いただければと思います。
 3つ目は、横山委員の方からもご質問があったわけですが、将来の景気動向等によりまして目標が達成できなかった場合、経団連としてはこの達成責任をどう果たしていくのか、また各業界団体においてはどういう責任分担をされるのかという点でございます。以前、私自身が経団連の方からお話を聞いたときには、経団連というのは緩やかな組織であって、業界全体の責任を持つ団体ではないというふうに聞いております。こういうことを含めて、昨年の経団連の方の第三者委員会でもこういう点がご指摘があったというふうに聞いておりますが、どのような姿勢でおられるのかという点です。
 それから4つ目が、電気事業連合会では計画の中で京都メカニズムを位置づけされておられるわけですが、また今回の資料の中に目標達成を補完するものとして位置づけをされておるわけです。これは自主行動計画の枠内で計画をされるのか、それとも別枠として計画をされているのかという点を確認したいと思います。
 この京都メカニズムそのものにつきましても、その実施主体を経団連としてどう位置づけをされているのか、業界団体として考えるのか、また個別企業が実施するものとして、経団連はそれを傍観するという形をとられるのか、その辺の位置づけはどうなのかという点でございます。
 それから5つ目は、先ほど横山委員の方からもご質問があり、またきょう出された浅岡委員の意見書の中にも指摘があったわけですが、自主行動計画というのは産業部門の対策の一翼ということでこの目標達成計画の中でも位置づけをされているというふうに考えるわけですが、現在、目標達成計画では産業部門の削減量というのは8.6%というふうに書いてあるわけです。自主行動計画ではプラ・マイ・ゼロ、また推計値でも2.6というような数字になるわけですが、現在この自主行動計画全体が産業部門、またエネルギー・転換部門全体の80%のカバー率というふうに考えたときに、これだけでいきますと絶対に目標達成計画の産業部門が達成できないということになってしまうわけですが、このことを配慮した上で目標達成計画に見合う削減量を加味したような計画にし、自主行動計画を改定する予定はないのかどうかという点でございます。
 これはちょっと余談でございますが、私が住んでおります兵庫県では、条例で一定規模以上の事業者に対して1990年値、それから2010年値の削減計画を報告をいただいております。この計画が既に公表がされておるわけですが、2010年値というのは1990年値に対して79%、つまり計画では1990年値の20%削減というふうになっているわけです。もちろんこの計画書の中には具体的にどのような方法で削減するかということが各企業ごとに全部記載されておるわけですが、これについてどうお考えなのか。
 といいますのは、経団連の集計値でいきますと全体の2.6%削減となっているわけですが、兵庫県の産業界には経団連主要企業が入っておりますし、他の県とそんなに大きな差があるとは考えられないわけです。そう考えたときに、この兵庫県の企業の20%削減と経団連推計の2.6%、これのギャップをどうお考えなのかという点についてお伺いをしたいと思います。

○天野委員 きょうの資料を拝見しましたら、環境情報の公開というのを大変強調しておらました。私は、これは重要な視点ではないかというふうに思っております。私のおります研究所でも企業の公開している、特に環境報告書等、あるいはウェブサイト等の情報をいろいろ扱って分析をしたりするんですが、大変困ることは、比較可能性に非常に欠けるということ、それからもう一つは、やはり環境報告書を出している企業数が全体として非常に少ない。それから、報告書を出しているけれども、例えばCO2排出量について報告をしている企業が少ない、こういういろいろな問題があるわけで、ここでは自主取り組みというのと自主的な環境情報の公開というのは車の両輪のように書いていらっしゃいますので、今のような点についてどういうふうな形で企業に呼びかけていらっしゃるのか、そのあたりをちょっとお聞かせいただければと思います。

○桝井委員 産業界の自主行動計画、これは日本の排出削減の中の重要な柱であり、きょうのご報告を伺いまして、進展している模様ということで結構だと思うわけです。
 その中で2点ばかりご質問したいと思いますのは、まず第1に、主要業種35業種を中心にしながら、業種ごとの削減ということを目指しておられると思います。例えば電事連では各社によっては京都メカニズム、CDMを先行して備えておられるところも多々出てきている、こういう現状です。その際、電事連で見ればその業界の中で、例えばA電力はCDMをかなりクレジットを持っていると。ところが、おくれている電力会社があると。そういうときはその横並びの中でこれをどういうふうに調整されるなり、どんな計画があるのか。あるいは、経団連がその主役になるのか、業界の電事連が何かそれを割り振りするのか、その辺はどういうふうなことになっておるのでしょうか。京都メカニズムの活用も間近に迫っておるわけですから、当然考えておられるのではないか。
 それからもう1点、これまでの自主行動計画というのは、過去見ますと日本の景気の低迷という中でイメージされてきた、考えられてきたということですが、これから景気が非常に上がっていくという中の、要するにCO2がふえるということはさほど想定してこなかったという部分があろうかと思います。となると、これからCO2の排出量が増えて目標が達成できないということは僕は大いにあると思うんですが、ただ目標達成できるだろうというだけの願望ではなくて、やはりここまで来て達成できない場合はどうなのかということをやはり伺っておきたい。
 その際、例えば政府は京都メカニズムによる1.6%までは確保する。それ以外で、たとえば産業界で自主行動計画が達成できない場合どうするのか。さらに、新たな今提案の法律を見ますと、国の責務が追加されている。それによりますと、国はとにかく京都メカニズムを活用する中で達成できない場合においては所定の措置をとるというふうになっている。ということは、産業界が達成できなかったという場合でも国がそのしりぬぐいでそれを買ってきて充当するということもこれは明らかに意味している。そんなことは産業界としては許しがたい屈辱ではなかろうか。自主行動計画が達成できない場合、どういうことを考えておられるのか。ただ達成できるだろうでは恐らく済むことではなかろうと思います。1点つけ加えれば、達成できないときに先ほどの概念の違いとおっしゃった90年度比の以下という経団連のお考えと、目標達成計画におけるマイナス8.6%の差異の中でぼやかすようなことはやめていただきたいなと思います。

○服部委員 何人の先生方からの質問に一部答えることにもなるんですけれども、まず先ほど小林先生の方からお話がございました電事連で京都メカニズム云々というお話がございました。それも含めてちょっとお答えをしたいと思っております。電気事業連合会では経団連の自主行動計画の中ではかなり重要な位置を占めておりまして、電気事業連合会全体といたしましては、1990年度比で原単位を2010年に20%削減するという目標を立てましてこれまで取り組んできているところでございます。
 電力各社でそれぞれ需要が若干違いがございますけれども、全体としてそういう目標を立て、それで定期的に電気事業連合会という場で各社の状況を確認し合いながらどういう課題があるか共通的に取り組む問題、個別に取り組む問題というようなことを情報交換しながら取り組んできているところでございます。
 そんな中で、先ほど椋田さんからお話がありましたように、原子力の利用率によって大きく原単位が振れるということはまさにそのとおりでございまして、この数年、原子力の不祥事あるいはトラブル等で利用率が下がっていることによって原単位が大きく振れているというところでございます。逆に言えば、原子力をいかに安全を確保しながら安定的に運転するということが原単位を削減する意味で極めて重要であるということを意味していることでございまして、電気事業連合会全体といたしましてはまず第一に、原子力をいかに安定的に運転をするかということを最大の対策といいますか、そういうふうに考えております。
 数字的に申し上げますと、利用率が1%改善されますと、日本全体でCO2の削減量約300万トン分に相当いたします。いかに大きいかということがおわかりいただけるかと思っております。そのほかにも自然エネルギーをいかに開発・普及を進めていくか、あるいは火力発電の熱効率をさらに高めていくというようなこともやっておりますし、そういう発電サイドの対策だけではなくて、電気の使用面の方でも高効率のいろいろな機器を使っていただくようなことを、あるいは普及に努めているというようなところでございます。
 それから、最後のその他の対策、補完的な対策といたしまして、先ほど話題に出ました京都メカニズムというものを電力各社が自主的にCDMを使いながらクレジットの確保に今努めているところでございます。各国がクレジットの確保に努めているような状況でございまして、全体的にコストが上昇ぎみでございますけれども、コストメリットというようなことを考えますと、CDMというのは一つの重要な対策だというふうに考えておりまして、これからも確保に努めていきたいというふうに考えております。そういうことで、京メカについては自主行動計画の枠内で各社が取り組んでいるということを申し上げたいと思います。
 そのほかに、先ほど来申し上げておりますように電力は各社が自主的にやっておりますけれども、電気事業連合会という場で各社の対策等を相互に情報交換しながら、さらにそれは最終的に経団連の自主行動計画の中に取り込まれているというふうに考えていただけると思います。
 もう1点、先ほどアジア太平洋パートナーシップ、APPと先ほどご紹介がありましたけれども、これは政府と産業界が一体となって京都メカニズムを補完する一つの方策として業務が始まったところでございまして、ことしの1月に第1回目の会合が開かれたところでございますけれども、産業界、電力、鉄、あるいはセメント、アルミ等々、主要な業界がその中に入っておりますので、こういう場を通じて日本が持っている環境技術というものを発展途上国を含めて、中国、インドはこの中に入っておりますから、そういうところに広めていきたいというふうに考えております。私ども電気事業連合会といたしましてもこういう場を積極的に使いながら、諸外国への環境技術の普及を進めていきたいというふうに考えているところでございます。

○武内委員 私も京都メカニズムについて少し意見申し上げたいと思います。京都メカニズムを積極的に推進するということは、きょう議論がございました他の国々との連携という観点からも大変有意義なことではないかと思っております。
 きょういただいた資料と、それから参考資料3-2というのを見させていただきまして、これに対する取り組みが進展しているということは十分理解したわけでありますけれども、これらの取り組みについての体系的な整理とか、あるいは系統的な方針をつくっていくというふうな観点から言うと、若干工夫する余地があるのではないかなというふうに思ったというのが印象でございます。
 特に私どもの専門とする分野でバイオマス利用みたいなことで注目して見てみますと、例えばタイにおけるもみがら、ゴム、それからホンジュラスのサトウキビ、オーストリアの植林、こういうのを書いているわけでありますけれども、こういうものはもともとその地域でそういうものが非常に生産されている場所と余りされていない場所というのはそういう地域的な特性が当然ございます。したがって、こういうものについて世界を見渡してどの地域で適用するのが非常に効率的であるというふうなことについてのある程度のガイドラインを経団連さんの方でお示しいただいて、これはそんな難しいことではなくて、例えばFAOの年間の統計値なんか使えば国ごとのバイオマスの生産のポテンシャルというのは当然出てきますから、それから廃棄物がどの程度出てくるということがわかって、かつそれをどういうふうに利用できるかということも推定できるわけですから、そういうふうなことをやっていくというようなことが考えられるのではないでしょうか。
 植林の場合、逆に、余り木を植えたらよくないような気候帯のところに無理やり木を植えてしまいますとこれは大変な問題になるというようなこと、実際に日本の善意の植林事業が結果としては地域の環境破壊になっているというような例もございますので、こういう点でもやはりそれぞれの企業の取り組みということだけではなくて、それを全部見渡して、ある方向性を示して、その中でそれぞれの企業が、それではうちはこれでやってみようかとか、あるいはこういうところで何かネゴシエーションしてみようかというふうになればその取り組みがもう少し体系的でかつ、よりそれぞれの企業さんがもっと積極的に取り組んでいただけるような方向につながっていくのではないかと思いますので、ご検討いただければと思います。

○大塚委員 既に小林委員とか桝井委員からおっしゃっていただいたことと重なるところがあると思いますが、幾つか申し上げます。
 最初に申し上げておきたいところが、非常によくやっておられるというふうに思っておりまして高く評価したいと思いますが、82%というカバー率について先ほどお話がありましたように、京都議定書目標達成に関して重要な位置を占めているということでございますので、ぜひ引き続きご努力いただきたいということでございます。
 これについて先ほど協定というお話もありましたけれども、とにかく現在のところは世界に対して公約をしておられるというふうに理解できますので、その線でお話を進めていきたいと思います。
 第1点でございますけれども、まず資料の1ページにおきまして経団連全体の目標というふうにお書きになっておられますけれども、同時に個々の業界ごとに作成された計画の目標というのもございますわけですが、この2つの関係がどうなっているかという問題でございます。
 この2つは2段階の目標というふうに考えさせていただいて、個々の業界の目標についても自主行動計画のコミットメントであるというふうに考えてよいかどうかということですけれども、それについてちょっと確認をさせていただきたいというのが第1点でございます。
 もしそうだとすると、9ページにお書きになっておられるような業種別の目標というものも整理の仕方が少し変わってくるのではないかと思いますので、それについて第1に確認的な質問をさせていただきたいということでございます。
 それから第2ですけれども、3ページにございますように2010年度の予測というのが出ているわけですけれども、これにつきまして根拠はどういうふうになっているかということをちょっとお伺いしたいということであります。
 業種別に原単位目標であったり、いろいろな目標の設定の仕方があるわけですけれども、それをどういうふうに合わせてこういう予測を、見通しを出しておられるのかということがお伺いしたい点でございます。
 関連して、先ほど桝井委員からもお話がありましたように、これから生産量がふえていくということがあるとすると、原単位目標だけでいいのかどうかという、総量目標もお立てになっていただくことは可能かどうか、これはかなり難しいところがないわけではないと思いますけれども、ということについて要望も含めてお伺いしたいという点であります。
 それから第3でございますけれども、9ページの別紙1に見られますように、業界によっては目標指標について年度でぶれが大きいというところがございます。そういうことを考えると、5年間を通じた目標設定とか評価ということを考えていただく必要があるのではないかと思いますけれども、この点についてもご質問かつ要望を申し上げておきたいということでございます。2008年から2012年の5年間という意味です。
 それから第4点でございますけれども、京都メカニズムとの関係でございます。
 政府の調達計画というのは1.6%分のものだというふうに考えておりますけれども、ここでおっしゃっておられる自主行動計画を補完する京都メカニズムの活用というものについては、政府の調達の枠外だと考えていいと思いますけれども、その点について確認させていただきたいということです。
 さらに関連して第5点でございますけれども、先ほど桝井委員がおっしゃったことを別の観点から申し上げることになりますけれども、CDMについて個々の企業が行っておられるわけですけれども、これが経団連の業界の目標との関係でどういう関係に立つというふうに理解すればよいかということについて質問させていただきたいと思います。
 CDMは個々の企業でおやりになっているわけですけれども、業界の目標しかここには出ていないわけですが、それとの関係ではどういう関連に立つのかということについてお伺いしたいということでございます。
 以上でございます。

○須藤部会長 どうもありがとうございました。
 それでは浅野部会長代理、どうぞお願いいたします。多少、議論の整理も含めてお願いしたいと思います。

○浅野部会長代理 まず、経団連自主行動計画というものの位置づけがかなり錯綜していて難しいという印象を持つわけです。特に現在の目標達成計画は、かつてのように産業部門だけではなくて、業務その他や運輸についても自主行動計画をはっきり位置づけています。ですから、従来の大綱のときと目標達成計画では少しその辺の様子が変わってきているということをまずご指摘申し上げなければいけない。
 大綱のときは産業部門だけを、自主行動計画でカバーするということで話をしていた。ところが、今は違うわけです。そうなりますと、先ほどのご説明もややご説明としてはちょっとどうかなと思うような部分があるわけですけれども、少なくとも経団連の中に入っておられるすべての業種は物づくりに直接かかわりがない業種であっても、少なくとも政府の目標達成計画によるとりくみの中では自主行動計画を期待しているということが言えるわけです。そうなりますとそこら辺の業種についてもう少し前向きにお願いしたく、既にある程度やっておられるわけですけれども、カバーできない部分があってどうにもなりませんと言われると正直困るなという気持ちもするわけです。もちろん、自主行動計画が達成されれば目標達成計画が達成できるという構造にはなっていないわけです。それ以外の施策も並んでいて、それと自主行動計画があいまって力を発揮しますというふうになっていることはいうまでもありません。
 そこで、大変難しいと私が申し上げたのは、自主行動計画の功績分と、政府のその他の施策の功績分は重なりあう部分があるわけです。つまり、その他の施策がしっかり進んでいくと、それが結局は自主行動計画の業績としてもカウントされる可能性があるわけです。構造上、そこは切り分けが難しいということです。どんなにやってみても両方のパートナーシップで、自主行動計画の成果も上がりました、政府のその他施策の成果も上がりましたということになりますから、経団連がここまでは責任を持ちますと言っておられることと、目標達成計画の中でこの部門でこれだけ下げなければいけないということを言っているところについて、数字の切り分けできちっと整理されて、この部分は政府の責任部分で、ここは自主行動計画の責任部分であるという構造になっていないというように私どもは認識しておりますので、ここは今後ともさらにお互いにきちっと整理をして議論しなければいけないだろうと思います。
 その点がまずこれまでになかった新しい面だと私は考えておりますけれども、既にこの目標達成計画の中には関係審議会がフォローアップをするということを明示的にうたっていまして、経団連はかねてから経団連自らもフォローアップをされると同時に、産構審のフォローアップをずっと受けておられたわけです。今後はさらに、中央環境審議会も一緒にフォローアップに加わる必要があるという提言についても理解をいただいてきょうここに座っていただいているわけで大変ありがたいことだと思っておりますけれども、その意味でこの目標達成計画の中で位置づけられた経団連の自主行動計画というものはその他の経団連以外のところにも実は別に自主行動計画があってもいいのであって、自主行動計画は経団連だけのものではないです。例えばもし私立大学協会が、自主行動計画をつくってくれて、それが経団連とは全く別に動くということがあっても構わないのでが、何しろ経団連はカバー率がものすごく高いものですから、かなりの期待もし、ご協力をお願いせざるを得ない。そういう意味では、従来からそうでありましたけれども、自主行動計画は決して各企業が勝手にやりたいようにやることを許容するというものではなく、完全に社会的な責任を伴っている。そのことが既に我が国独特のシステムとして、ある意味では法制度ではないのですけれども、ある種の社会制度化しているという理解をすべきだろうと思っています。今後ともフォローアップがいろいろな形で行われて透明性が確保される。ここでのさまざまなコメントや意見の中で、採用できるものは採用していただけるということになればそれは大いに望ましいことだと考えています。
 その意味で、先ほども既にお答えがありましたけれども、さらに情報公開をしっかりやっていただきたいとか、あるいはカバー率が低い業種については経団連としてもさらに格段のご努力をお願いしたいというような部分はぜひ今後ともご努力をお願いをしたいと思いますし、それからあわせて政府に対しても経団連に全く加わっていない業務などについて政府は目標達成計画の達成の責任上きちんと指示などをやらなければいけないのに何をやっておるんだという気がするわけです。これは全部経団連がやっているのだから、政府は知らないような顔をできないはずです。目標達成計画の読み方を間違っているのではないかという気がするので、そこら辺は環境省にも責任これありですから、これは後でちゃんと答えていただかなければいけないと思います。関係各省、経団連に入っていないようなところに対する自主行動計画はどうするんだということは早急に政府として考えなければいけないことであることをあわせて申し上げたいということです。
 それから、そういう意味では他部門についての目標を求めると横山委員がおっしゃったんですけれども、この点は経団連も既にご努力をなさっているわけで、ぜひその努力が実るように、つまり行く行くは業種別の目標と同時に可能な企業は企業としての努力目標というのをしっかり環境報告書に明示していただきたいと思います。自分は部門を越えてこれだけの目標を達成するんだということを、自主的に個別企業がおやりになれば、両方が合わさってかなり効果を上げていくだろう。それとあわせて目標達成計画の中のその他施策というものが一緒になりますと、そこでようやく計画の目標が達成できる。こういう構造になっていることをしっかり意識しなければいけないと思います。
 これまでにいろいろとお話があったんですが、自主行動計画と言っている以上は、結局のところは強制力があるわけではありませんので、各企業に責任を問うということができないとしても、結局は個々の企業が責任を果たしていかなければ業種の責任を果たせないわけですし、経団連の責任も果たせないわけですから、やはりフリーライダーが出てくることがないようにというところが一番大きいんだろうと思います。
 私どもがカバー率を上げるべきだと強く主張しているのは、カバー率が低ければ低いほどフリーライダーが出てくるということを恐れるからであります。例えばエネルギー転換部門でもフリーライダーが出る危険性は大いにあるわけで、従来のように9電力だけがやっているという時代ではないわけです。その辺のところを我々は危惧すると同時に公平性という点から、さらに我々も政府も経団連も一緒に努力しなければいけないことだろうと思っております。

○須藤部会長 浅野部会長代理、議論の整理をいただきまして、ありがとうございました。
 そんなに時間がないのですが、椋田本部長さん、回答の一部は服部委員、あるいは今の浅野部会長代理がしてくださっているので5分ぐらいで、重要な、特にご質問といった部分についてお答えいただけますでしょうか。

○椋田日本経団連環境・技術本部長 わかりました。またいろいろな示唆をいただきまして、ありがとうございました。
 まず、目標達成できるのかという質問がありました。我々としてはもうこれは社会に対する経済界のコミットメントということで、各企業、業界団体に対して強く求めておりますし、きちんとフォローアップをしながら確実に達成できるように引き続き頑張るということです。
 それから2010年の話、我々の評価の話が出てきまして、若干これにつきまして説明させていただきます。
 我々がやっておりますのは、まず先ほどお話にもございましたように4つの目標ということで、原単位と量の目標が絡み合って4つの目標があるわけですが、そのままでは評価できませんので、政府が発表しております名目成長率を使いまして2010年の各業界別の生産量を出していただいています。どれぐらいの生産量かということにつきまして、各個別業種版を見ていただきますと指数とか量の形で出ております。その2010年、政府の経済見通しに基づきます各業界の2010年の生産見通しに原単位で目標を出していただいているところにつきましては、原単位を掛けてCO2の量を出して先ほどの計算をしているということでございます。
 それから、1つの企業が複数の業界にという話、我々も非常にそういうことがないようにということで各業界団体に対してきちんとバウンダリ調整をしてもらうということをやっております。
 それから、廃棄物につきましてもいろいろな取り組みにつきまして個別業種版を見ていただければわかると思います。
 それから、先ほどの小林先生の79%との関係というのは我々もよくわかりません。もし79%が確かであれば、多分2004年は90年比でマイナス10ぐらいにいっているはずなんですが、実際問題として政府が出しております2004年度の温室効果ガスの産業部門を見ましてもマイナス0.6ぐらいです。それを見ると国全体から比べて、兵庫が非常に進んでいるということですので、国を代表するような数字ではないのかなというふうに思っています。
 それから、環境報告書につきましては奥田会長名でいろいろな形で各企業に対して働きかけをしております。製造業につきましては相当程度、環境報告書の作成というのは進んでいるのですが、やはりそれ以外のところはなかなか正直申しまして環境報告書をつくる意図が、目的がよくわからないというような回答も確かにございます。ですから私どもとしましては、やはりさまざまな機会でトップの方から呼びかけをしていきたいというふうに思っているところです。
 それから景気との関係は、先ほど申しましたように我々は政府の景気見通し、成長率をもとに試算をしているということでございます。
 また、武内先生の話は非常に大きな話なのですみません、勉強させてください。
 自主行動計画は個々の業界の話か全体かというのは、我々の目標はあくまでも全体として目標を達成するということで、欧州バブルという話もありますが、我々も経団連バブルという言い方で、とにかく全体として何としてでも目標を達成しようというふうに思っております。
 2010年の計算方法は先ほどお話をしたとおりです。
 5年間を通した目標につきましては、国自体もまだ2010年の目標しかない段階で、産業界としてどういうふうにこの問題を考えていくのかということにつきましては、来年度また目標達成計画の見直しも行われるわけですから、産業界としても是非考えていきたいと思っております。
 また、京メカが枠外か枠内か。これは1.6%の枠外ではあると思いますが、ただ国に対してどういう形で移転をしていくかということにつきましては、我々も是非政府といろいろな話をさせていただければというふうに思っております。
 CDMにつきましては企業としてやっているケースと、それから業界団体として基金のに出資しているケースなどいろいろありますが、あくまでも最終的には業界として合計をして、自主行動計画の目標が達成できない部分についてそういう形で補完的な扱いをしていくということになると思います。
 それから、物づくり以外のところを目標達成計画で期待されているということですが、期待はされているんでしょうが、ただ京都議定書目標達成計画でも実は民生・運輸も一応自主行動計画という言葉は入っていますが、具体的な削減数量は載っていないと思います。
 そうではあっても、私どもは引き続き、民生・運輸部門につきましてもいろいろな取り組みを強化していきたいということにつきましては、冒頭申し上げたとおりでございます。

○須藤部会長 それでは最後に梶原課長への質問がありました、要するに自主行動計画にカバーされていないのを環境省は責任があるのでどう考えるのかということだけお答えください。

○梶原地球温暖化対策課長 今の点につきましては、おっしゃるとおりそういったようなことについて経団連以外のところにつきましてもやっていかなくてはいけないと思っておりまして、経済産業省、あるいは経済産業省以外の所管のところも含めて関係省庁としっかり対応させていただきたいと思います。

○須藤部会長 対応してくださるということですので、安心をいたしました。
 それでは、まだまだこの点についての議論はあろうかと思いますが、大方の委員の先生方は自主行動計画としては大変よくやってくださっている、評価ができるということではなかったろうかというふうに思います。
 しかしながら、たくさんのご意見をいただきました。私としてはこのままでおしまいにしましょうというわけにもいきかねるかなというふうに思いますので、本日の先生方のご意見を取りまとめて、先ほど柔軟に対応してくださるというお話もいただいたので、日本経団連等の方々だけではなく、関係する方々にこの意見をお渡しをいたしまして、今後のフォローアップに活かしていただければなというふうに感じているところでございます。
 ということで、もしご賛同いただけるならば、もちろん議事録を参照した上で本日の今の意見の取りまとめは、私にお任せいただけますでしょうか、よろしゅうございましょうか。
 ということで、本日の議論はそういう形で先生方のご意見をまとめさせていただくと。そしてそのまとめた意見は、経団連等の関係者の皆さんにお渡しをするということにさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、次の議題に移ります。少し短めに環境省の皆さん、ご説明をいただきたいと思います。
 それでは次の議題、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案についてに移りたいと思います。
 本件については前回の部会においてもご審議いただいておりますが、今般、法律案ができたというふうに伺っておりますので、その報告をお願いしたいと思っております。
 事務局からご説明願います。

○梶原地球温暖化対策課長 それでは、資料2-1と資料2-2を使いまして、私どもと経済産業省で閣議決定をして今国会へ提出しております法律案についてご説明申し上げたいと思います。
 まず、資料2-1でございます。
 概要につきましては前回お話を申し上げましたけれども、法律案という形で出ております。1枚めくっていただきまして、まず、2ページ目の「2.法律案の概要」というところでございますけれども、今回、法律の中で従来、国別登録簿と申し上げましたけれども、いろいろな排出枠というものを管理するための口座簿というものをつくることにしておりまして、その口座簿の対象になりますところの算定割当量の定義をまず加えております。
 例えば1から5までございますけれども、最初のものは初期割当量と言われるものであり、2番目はいわゆる第3条3項ということで植林とか、あるいは再植林なんかで出てくるもの。3、4がそれぞれJI、共同実施とかCDMから出てくるもの。5番目はいわゆる森林経営とかいったような議定書第3条4項にあるものを規定しております。
 2番目の国の責務の追加でございますけれども、京都メカニズムの活用等の議定書の約束を履行するために必要な措置を講ずるという責務規定を入れてございます。
 それと3番目は、京都議定書目標達成計画の計画事項としまして、京都メカニズムの活用等に関する基本的な事項を位置づけております。
 4番目は非常に複雑になっておりますけれども、先ほど申しましたいろいろな排出枠、あるいはクレジットと呼ばれるようなものについて、それを管理するためのコンピューターシステムであります割当量口座簿を環境大臣、経産大臣で作成をするということ、その作成をしたものについてその利用の仕方、これは一般の方々にも口座簿を開いていただいて、実際にその枠のやりとりをされる、あるいは保有をされるという方はそういう口座簿を使ってその上でやっていただくわけでございますが、そういう手続等についての規定、あるいは、口座簿の中にそういう枠が登録されている、口座があるということがどういった法的な位置づけを受けるのか。これは前回、大塚先生の方から法的な検討結果についてご報告していただきましたけれども、そういったものの規定が入っております。
 2枚めくっていただきますと、この法律の要綱でございまして、今説明した事項が書いてございます。
 また、3枚めくっていただきますと、今回の提案しています法改正の新旧対照の条文がついてございます。説明については省かせていただきたいと思います。
 次に、資料2-2でございますが、これは経済産業省の資料でございますけれども、私ども共同で提案させていただいているので、私の方から説明させていただきたいと思います。
 まず、1枚めくっていただいて、「法律案の概要」というところを見ていただきたいと思います。
 具体的な中身としましては、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、いわゆるNEDOの根拠法でございますNEDO法の一部を改正しております。具体的には2点改正の中身がございまして、まずNEDOの業務といたしまして、京都メカニズムを活用したクレジットの取得でありますとか、京都メカニズム関連プロジェクトの事業実施者等に対して行います省エネルギー技術等の指導、あるいは情報の提供といったような業務追加をするということが第1点でございます。
 第2点目は、京都メカニズムの関連プロジェクトは、事業実施から実際にクレジットが出てくるまで相当長い期間を要するものがございます。例えば本年事業を始めたとして2年後にクレジットを生み始めると。それがずっと5年も6年も生んでくれるということでございますので、そういった将来にわたってクレジットを取得するための支出ができるように財政法の特例を設けております。通常、5年間は債務負担行為ができるのですが、その上限を8年に延ばすという特例を設けております。
 (2)でございますが、石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計法の一部改正、いわゆる石特法の一部改正でございます。
 (1)でいいますところのNEDOの業務につきまして、NEDOが行うクレジット取得業務に必要な費用の一部を石特会計から歳出するための根拠規定を置くということでございます。
 参考までに申し上げますと、一般会計からも支弁することにしておりまして、一般会計と石特会計の両方から支出をして、このクレジットの業務に充てるということでございます。
 非常に駆け足になりましたけれども、以上でございます。

○須藤部会長 どうもありがとうございました。
 本来ですとここでご質問をいただこうと思ったのですが、大分時間が迫ってきましたので、まだ議題がありますから、先に一括でご説明いただいた後、まとめてご質問をいただこうと思います。
 それでは、「フロン類排出抑制対策のための法制度の整備について」及び「漂流・漂着ゴミ問題について」ということで、これは小川課長、お願いいたします。

○小川環境保全対策課長 環境保全対策課長、小川でございます。資料3と資料4につきましてご説明を申し上げます。
 まず資料3でございますけれども、前回の地球部会、1月31日の部会でこのフロンの問題ご審議をいただきまして、同日付で会長から「今後のフロン類等の排出抑制対策のあり方について」ということで答申をいただいたところでございます。
 これを踏まえまして環境省、それから共管であります経済産業省などで現在法案の取りまとめ作業を行っているところでございまして、今のところ進行中でございますので、本日につきましてはその骨格について若干ご紹介を申し上げたいということであります。
 目的、改正の必要性につきましては既にご議論いただいたところでありますので、次の改善措置の内容についてごらんください。
 まず、行程管理制度の導入ということでございます。これは答申の中でもフロン類の引き渡しを捕捉するためにこういった制度を導入すべしというご提言をいただいたところであります。下にポンチ絵がかいておりますけれども、まずフロンの回収を委託する方、機器の廃棄者から委託の確認書ということで引き渡しの委託の際に書類を添付する。それが仮に受託者という仲介する方がいらっしゃった場合には、順次引き継がれて最終的にフロンの回収業者に至る。一方、フロンの回収業者はこの回収が終わった際には、その引き取り証明書を直接持ち込んだ受託者、それから最初の機器の廃棄者に発行する。こういう仕組みでぐるりと書類が回るというシステムを今検討しているところであります。仮にこの書類がうまく戻ってこない場合には、機器の廃棄者が都道府県知事にその旨報告するという規定を設けまして、都道府県知事、行政の側で問題があった場合にはそれを把握することができるという仕組みを考えております。
 2つ目の○の都道府県知事に廃棄者等に対する指導等の権限を付与という点でございますが、今のような書面の行程管理制度を入れたことに伴いまして、それが適切に回るように都道府県知事が指導や助言ができる。また、さらに必要に応じて勧告、命令ができて、命令違反の場合には罰則がかかると、こういった措置を導入したいというふうに考えております。
 また、紙にはございませんけれども、もう1点ご提言いただいた点といたしまして、この機器の廃棄者というのはこういったフロンのある機器があることを知らないものですから、解体工事の際に解体業者の方がそれをチェックいたしまして、もしこういった機器があれば、それを機器の廃棄者の方に説明すると、こういうことが効果的だというご提言をいただきましたので、その旨の条文を入れたいと検討しておるところであります。
 さらに、整備時のフロン回収につきましても廃棄のときと同様にその回収については登録を受けた業者に行わせること、それから引き取ったフロンは回収業者に引き渡して、回収業者が破壊業者に引き渡して適切に処分することと、こういった内容を入れたいと考えております。現在このような線で法案のまとめを、作業をしているところでございます。
 次に、資料4の「漂流・漂着ゴミ問題について」ですが、これは初めてご紹介する問題でありますが、最近話題になっておりますので、一言簡単に申し上げたいと思います。
 漂着ゴミについて、古くから海岸にはいろいろな漂着ゴミが流れ着いておりますけれども、近年、特に日本海側を中心にしまして大量のゴミが漂着するということが問題になっております。特に日本海側の離島などでは外国からのものと思われるゴミが多量に漂着するということで、その処分に苦労していることが問題なっております。これについて量的なデータはなかなか少ないんですけれども、一つの試算といたしましては、環日本海環境協力センターが行いました調査に基づいて、日本の沿岸に年間10万トンぐらいのゴミが流れ着いているのではないかという推定がございます。また、時々大きな事件がございまして、昨年の夏には日本海側に広く医療系の廃棄物、点滴のビンとか注射針のついた注射器とかそういったものでありますが、これが漂着したという問題がございました。また、例年、北風が吹きます今の時期にはポリタンクが大量に日本海側に流れ着くということがございまして、これにはハングルが記載されていたり、また一部中国語が記載されているといった問題がございます。
 これにつきましては従来、環境省といたしまして取り組みをしておりますが、一つは関係省庁が多数またがりますので、平成12年から環境省が事務局となって情報交換のための各省連絡会を設けております。
 また、海外からのゴミがあるということで国際的な取り組みといたしまして、これはごく近年でありますけれども、一つは日中韓露の4カ国によります北西太平洋の地域海行動計画、NOWPAPというプログラムがございます。これはUNEPが主導しているものでございます。この中でモニタリングなど幾つかのプロジェクトを進めておりますが、本年2006年から新たなプロジェクトとして海洋ゴミについてプロジェクトを行うということが決まりましたので、日本といたしましてもこれに積極的にかかわってまいりたいと考えております。
 また、日中韓の3カ国の環境大臣会合などの場でも日本からこういった問題を提起して関心を高めているところでございます。
 また、反対のページに参りまして、調査といたしまして、環境省では本年度から漂流・漂着ゴミに係る国際的削減方策調査費という調査費によりまして国際的なワークショップですとか、それからゴミの漂流予測手法の検討といったものを開始しました。
 また4点目、廃棄物処理施設整備の支援ということでございますが、直接的な問題として、沿岸の市町村、あるいは都道府県が漂着ゴミの処理に困ると、その資金をどうするかという点があるんですけれども、法律上の整理を申しますと、廃棄物処理法上、公共の土地の清掃・清潔の保持は公共の土地の管理者にあるということになりますので、海岸については海岸法上、主に都道府県がその責任を負っているわけであります。基本的に都道府県でありますけれども、国としても幾つかの支援を行っているということで、環境省におきましてはゴミ処理に当たる市町村がこういったゴミを扱う場合には、ほかのゴミもあわせた廃棄物処理施設については交付金を交付するといった制度を持っております。また、一部、他省庁などにおきまして海岸管理ですとか、あるいは漁場の保全という観点から補助金などを持っているというふうに聞いております。
 3点目が直近の動きでございますけれども、経済構造改革特区推進本部決定についてですが、これは特区ということで毎年何遍か地方公共団体から要望を得て国として方針を決めているわけでありますが、第8次、昨年秋の提案の募集に対しまして、長崎県下の対馬、壱岐などの島から外国由来の漂流・漂着ゴミについて国の責任ではないかと、その責任を明確化すべしという提案がありました。これに対して、法律上の整理は先ほど申し上げましたように廃棄物処理法上、その海岸の管理者に清掃責任があるということになるわけでありますが、国としてこの問題は大きな問題ということでさらに積極的に取り組むべきだという議論になりまして、以下の決定を行っております。
 まず関係省庁、これは環境省、国土交通省、農林水産省などでありますが─による局長級の対策会議を設置をするということ。
 (2)といたしまして、環境省を初めとする省庁がその運営に当たる。
 (3)といたしまして、具体的に何をするかという点については2点でありますが、1つは中長期的な課題として国際的な対応も含めた発生源対策の検討、国際的にどう取り扱っていくかという検討でございます。
 2点目といたしまして、漂流・漂着ゴミによる被害が著しい地域への対策。これは収集処理の問題が中心でございますけれども、これに対してどういうことができるかを検討いたしまして、来年度、平成18年度の末までに一つの取りまとめを行うということを決めたところであります。
 現在、この局長会議を立ち上げるべく関係省庁と相談を始めたところでありますので、またこれに沿いまして国として取り組みを進めてまいりたいというふうに考えております。

○須藤部会長 ご説明どうもありがとうございました。
 ただいま資料2-1、2-2、それから資料3、4と時間の関係で一括してご説明をいただきました。どちらでも結構でございます。どうぞご質問があればおっしゃってください。
 天野委員、大塚委員の順番でまいります。余り時間がございませんので、手短にお願いいたします。

○天野委員 前回にもご質問したんですが、資料2-1のページ2に算定割当量の定義というのがありまして、[1]というのはアロケーション全体なんです。それ以外はベースラインから計算される量。5ページの図の一番右の端に「先進国B」とありまして、グリーンで目標以上の削減量がクレジットと書いてありますけれども、実はそうではなくて、割当量ですからグリーンの部分、先進国B全体が[1]の定義の量なんです。それを算定割当量というふうに呼んでいらっしゃる。ところが、その下の注2は、算定割当量という用語はいわゆるクレジットをいうと。このグリーン全体はクレジットではないんです、アローアンスなんですね。
 資料2-2の方の注2、これはNEDOのことですけれども、これの定義は資料2-1の2ページの定義とは違うんですね。ですから大変混乱をしていると私は思うんですが、こういう混乱した概念で法律をつくって大丈夫なんでしょうかというのが質問です。

○須藤部会長 これはやはり直接お答えください。

○梶原地球温暖化対策課長 この点につきましては、実は法律上は「クレジット」という単語は一切出てまいりません。したがいまして、法律上の整理は、今先生がおっしゃられるように初期割当量のいわゆるAAUと呼ばれるもの、それと議定書第3条3項に基づくもの、JIとして移転されるもの、つまりERUというものと、CDMのCERと言われるものと、それと第3条4項で事後的に認められるものと、基本的にこれしかないわけでございますから、それをちょっと全部書いて、それを一括して割当量を読んでそれを管理しますということになっております。
 「クレジット」という単語と「アローアンス」という単語、先ほど説明のところではちょっと気をつけて説明させていただいたんですが、資料の方が細心な注意がとれていなくて大変申しわけございません、制度的にはそういったような問題がないように一応対応させていただいております。申しわけございませんでした。

○天野委員 この算定割当量というのは、英語で言うと何に対応する言葉ですか。

○梶原地球温暖化対策課長 全体を概念するものとして、「算定割当量」という言葉を法律上つくったわけでございます。英語にはございません。

○須藤部会長 大塚委員、どうぞお願いします。

○大塚委員 漂着ゴミの方の話ですが、2枚目、裏の方についてちょっとお伺いしたいんですけれども、関係省庁による局長級の対策会議には外務省は入っていないようでしたが、これはもちろん国内的に考えるときはそれでいいのかもしれませんけれども、もともとは中国とか韓国から来るゴミなものですから、対外的な問題が恐らくあると思いますので、別に外務省を入れること自体に意味があるのではなくて、中国とか韓国に対して何かやはり言っていかないといけないのではないかということがあると思います。
 もちろん受益者でもないんでしょうけれども、日本がやらなくてはいけないということはあるんだろうと思いますけれども、これはやはり国際的な問題の中でも汚染者負担原則というのをちゃんと主張していかないといけないということがあると思います。現在のアジアの国との関係で多少問題があってなかなか難しいのかもしれませんけれども、そういうことは常に言っておかないと、日本で対処するのが当たり前だというような状況をつくり出さないようにしていただけると大変ありがたいと思います。

○逢見委員 同じように漂流・漂着ゴミ問題についてご質問いたしますが、2の環境省の取り組みが平成12年に漂流・漂着ゴミに関する関係省庁連絡会が発足していると。今から6年前になるわけですが、しかし国際的取り組みが2006年から、それから調査費が平成17年度からという、随分6年間一体何をしていたんだろうかというのが率直な疑問があるんですが。
 それから、3の経済構造改革特区で具体的に長崎県の島嶼のところから要望が出ている。これはある意味では今までいろいろなことをやってきたけれども、なかなか国が重い腰を上げてくれないという、かなりいらだちがあってこういう形になっているのではないかと思うんですが、それでその対策会議で、そして(3)に中長期的な課題として国際的な対応も含めた発生源対策の検討と。
 先ほど大塚委員の質問にあったように外務省がこの中には入っていなくて、発生源に対して中長期的な対応を課題として国際的な対応を含めて検討するというのは、いわばほとんど何もやらないというのに等しいのではないかというふうに私は思うのですが、この辺についていかがでしょうか。

○須藤部会長 ありがとうございます。厳しいご意見をいただいたので、小川課長へのお二人の委員へのご回答をお願いします。

○小川環境保全対策課長 お二人のご質問は同趣旨のところがございますのであわせて回答させていただきたいと思いますが、平成12年から連絡会を設けておりますけれども、この中でこの問題、複数の省庁にもまたがりましてそれなりに仕切りができている問題でございますので、連絡会をしながらそれを持ち帰ってそれぞれの省庁の責任の範囲で対策を検討するということで進めてきたわけでございますが、必ずしも地方公共団体なりの要望に沿うような対策までは至らなかったということは確かかと思います。そういうこともありまして、今回、さらにもう一歩踏み出すべくこの局長会議を開きまして対策を検討するということになった次第であります。
 また、国際的な面につきましては、局長会議にどこの省庁が入るかというのはまだ決まっておりません。私どももそういった国際が必要だという問題意識は持っておりますので、それを含めてご相談をしてまいりたいと思います。
 いずれにしても(3)の中で課題として、国際的な対応が第1点、それから国内的な対応が第2点でありますので、この両方をカバーするような形で局長会議の体制をつくってまいりたいと思っております。
 また、1点目の国際的な対応、中長期的な課題としておりますが、これはやはりなかなか国際的に何かアクションをとるということには時間がかかるという客観的な問題意識もありますし、また発生源対策というのは海のゴミについて非常に難しくて、要は海に流れ出す種々雑多なゴミをどうやって減らすかという非常に難しい課題でありますので、そういった意味からも発生源対策というのは中長期的な課題であろうというふうに整理はされているところであります。
 以上です。

○須藤部会長 ご説明どうもありがとうございました。
 資料2-1と2-2についての地球温暖化対策の推進に関する法律の一部改正する法律案については、本来ですともう少しご意見を伺いたいなという気もしたんですが、実はこの法律はもう既に閣議決定がされまして、国会に提出されているというふうに伺っています。
 環境省におかれましては、これからもいろいろご意見があると思いますが、本日の委員からのご意見を十分に参考にされまして、円滑な運用を図っていただきたいと思います。
 それから、フロンと漂着ゴミにつきましても、いろいろ今も厳しいご意見もいただいたのですが、法案の作成を準備するやら、施策の推進を図るやら、国際的な協調を図るやらいろいろなことが考えられると思いますので、ぜひそういう点で小川課長の方では進めていただきたいと思います。
 ということで、本日の部会をこれで終了したいと思います。
 本日の議事録につきましては、事務局の方で取りまとめた上、後日、委員の皆様に案を送付させていただきます。
 次回の日程及び議題につきましては確定次第、改めて事務局からご連絡をさせていただきます。
 本日はどうもありがとうございました。お疲れさまでございました。

午後 6時00分 閉会