中央環境審議会地球環境部会(第30回)議事録

1.日時

平成17年6月29日(水) 午後4時00分~午後6時20分

2.場所

ホテルフロラシオン青山 2階「芙蓉」の間

3.出席委員

(部会長) 須藤 隆一
(部会長代理) 浅野 直人
(委員) 浅岡 美恵 大塚 直
服部 拓也 桝井 成夫
和気 洋子
(臨時委員) 青木 保之 天野 明弘
飯田 哲也 石坂 匡身
及川 武久 川上 隆朗
久保田 泰雄 小林 悦夫
塩田 澄夫 高橋 一生
富永  健 中上 英俊
永里 善彦 西岡 秀三
馬場 久萬男 福川 伸次
三橋 規宏 横山 裕道
(専門委員) 原沢 英夫

4.議事次第

  1. 今後の国際環境協力の在り方について
  2. 気候変動問題に関する今後の国際的な対応について(長期目標をめぐって)
  3. 地球温暖化対策をめぐる最近の動きについて
  4. その他

5.配付資料

座席表
委員名簿
資料1 今後の国際環境協力の在り方について
資料2 気候変動問題に関する今後の国際的な対応について(長期目標をめぐって)(第2次中間報告)
資料3 地球温暖化対策をめぐる最近の動きについて
資料4-1 第13回アジア太平洋環境会議(エコアジア2005)の結果について
資料4-2 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律施行令の改正等について
資料4-3 フロン対策の現状と課題について
資料4-4 POPs条約に基づく国内実施計画について
資料5 中央環境審議会議事運営規則

6.議事

午後 4時00分 開会

○盛山総務課長 定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会地球環境部会の第30回会合を開催いたします。全委員40名中、現在20名の委員の方がご出席しておられます。ちょっと遅れてお見えになる委員の方もいらっしゃるかと思いますので過半数に達することは間違いないと思いますので、本日の会合は部会として成立する見込みでございます。
 それでは須藤部会長、よろしくお願いいたします。

○須藤部会長 本日は委員の先生方におかれましては大変ご多用の中を、また足元の悪い中をお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。また、本日も大勢の傍聴の方においでいただきまして、お礼を申し上げます。
 それでは会議に先立ちまして、委員の交代がございましたのでご紹介をさせていただきます。
 桝本晃章委員、安原正臨時委員がそれぞれ退任され、新たに服部拓也委員、石坂匡身臨時委員が就任されました。新任の委員の皆様、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 続きまして、資料の確認を事務局からお願いいたします。

○事務局 資料の確認でございます。
 まず、1枚目が議事次第。配付資料まで入っております1枚でございます。
 次に座席表、後ろに本部会の名簿をつけております。
 次に、資料1が今後の国際環境協力の在り方について。
 続きまして、資料2が気候変動問題に関する今後の国際的な対応について(長期目標をめぐって)要旨が1枚でございます。次が冊子になっております気候変動問題に関する今後の国際的な対応について(第2次中間報告)でございます。
 資料3が地球温暖化対策をめぐる最近の動き。
 資料4-1が第13回アジア太平洋環境会議(エコアジア2005)の結果概要1枚。次に、冊子になっておりますが、アジア太平洋環境開発フォーラム。
 資料4-2が海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律施行令の一部を改正する政令等について。
 資料4-3がフロン対策の現状と課題についてでございます。
 資料4-4が「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約に基づく国内実施計画」の策定について。
 最後に資料5でございますが、中央環境審議会議事運営規則でございます。
 漏れなどがございましたら、事務局までお知らせいただければと思います。

○須藤部会長 資料の確認、よろしゅうございましょうか。
 それでは、本日の議事次第をどうぞご覧になってください。
 本日の議題の第1は今後の国際環境協力の在り方について、第2は気候変動問題に関する今後の国際的な対応状況について、第3は地球温暖化の対策をめぐる最近の動きについてとなっております。
 まず、これらの議題ごとに事務局から説明をお願いし、その後に質疑応答の時間を受けたいと思いますので、ご質問等ございましたらその際にお願いをいたします。
 時間はお約束のとおり18時までとなっておりますので、約2時間を予定いたしております。どうぞよろしくご協力をお願いいたします。
 それではまず、今後の国際環境協力の在り方について、国際環境協力専門委員会の報告を取りまとめていただきましたので、内容について浅野委員長及び事務局からご説明を願います。
 最初に浅野委員長、どうぞ。

○浅野部会長代理 それでは、環境国際協力専門委員会の委員長を仰せつかっております浅野でございます。
 お手元に資料1として専門委員会のご報告を取りまとめたものをお配りしておりますが、内容の詳細につきましては後ほど事務局から説明をさせまして、私の方からまず概略を申し上げたいと思います。
 この報告に至りました経過でございますが、昨年の11月に中央環境審議会に対しまして環境大臣より、今後の国際環境協力の在り方について諮問がございました。中央環境審議会会長より当部会に付議がございまして、当部会では専門委員会を設置して審議を行うということをご決定いただいたわけでございます。
 専門委員会は昨年の12月から7回にわたって審議を行いまして、13年前でございますが、1992年(平成4年)に当時の中央公害対策審議会及び自然環境保全審議会が当時ODAを中心といたしました国際環境協力の推進方策ということをメインに据えまして、国際環境協力の在り方についてという環境庁長官に対する答申が行われました。それが自来今日に至るまで、環境庁を中心とする国際環境協力の施策についての大綱という役割を果たしてまいりました。
 しかしながら今回大臣から諮問がありましたように、その後大きな情勢の変化がございましたので、それを踏まえて新たな協力の在り方を検討させていただいたということでございます。
 どういう状況の変化があったかはこの別紙資料1の背景というところにるる記してございますのでごらんをいただければ、こんなことがあったということがわかるだろうと思います。
 審議のプロセスでございますが、ただ委員の審議をするだけではありませんで、環境技術に関連する企業の方々、例えば自動車メーカーであるとか、あるいは家庭電器製品メーカーであるとか、あるいはリサイクル産業に従事しておられる企業であるといったようなところ、あるいはODAを実際に実施しておられる政府の関連機関やNGOの幾つかがヒアリングを実施いたしましたほか、パブリックコメントをとりまして、さらにまた大阪で実際に活動しておられる自治体やあるいはNGOの方々にお集まりいただきまして意見交換会を実施いたしました。大変有益なご意見もいただきまして、私どもの思い至り得ない点についてご示唆をいただくことができましたが、これらのご意見や審議の結果を踏まえまして、6月20日の第7回の専門委員会でこの報告書の取りまとめをしたという次第でございます。
 報告書の内容は、まず現在どういう状況でどういう課題があるかということを記して、それに対する解決策はこうであろうということを記すというスタイルになっております。そしてその前提として、今後の国際環境協力の理念及び基本方針をいわばやや抽象的な形ではありますが、最初のところで総括的に述べるという形をとっております。
 経過を申しましたようにこのようなものが今後恐らくかなりの長い期間にわたっての政策の大綱となるということを想定しておりますので、やや具体性に欠けるとか、あるいは喫緊の課題についての緊迫感に欠けるといったご意見も伺ってはいるわけでございますが、やはりこの計画の性質上、余り昨日、今日の朝刊の記事というようなわけにもまいりませんので、そこはお許しをいただきたいという言いわけをまず最初に申し上げておかなければなりません。
 それから、これから長期間というよりも中期どうするかということは、既に総合政策部会で環境基本計画の見直し作業が始まっておりますので、この本日の専門委員会報告に基づきまして当部会から少し長目の見通しを出していただきました段階で、それを新環境基本計画にはより具体的な中身を持ったものとして反映させていくということになろうと一応専門委員会では理解をしているところでございます。
 報告書のポイントとすべき点は全部で5点ございまして、まず第1点は我が国の経験を生かせる分野を中心とした国際的取り組みへの戦略的・積極的関与を行う。我が国はオイルショックに対応して省エネルギー社会を築き上げるという点ではかなり世界にも先駆けた取り組みをしてまいりましたし、また経済成長に伴ってごみが増大したというようなことから循環型社会の構築に取り組んでおりまして、これらの点についてはかなり世界の中でも重要な地位を占めているということがございます。このような経験を生かしまして、地球温暖化対策や3Rの推進といったような分野を中心として世界地域レベルでの環境管理システムの構築強化に積極的に関与していくべきであるということをこの報告書では強調しております。
 さらに第2点といたしまして、世界や地域を視野に入れつつもとりあえず東アジアの取り組みというところで我が国がかなり大きなリーダーシップを発揮する必要があるのではないかということを提言しております。社会的、経済的、地域的に見ても東アジアとは密接な関係がございます。しかもこの地域では著しい経済成長が続き環境負荷も急増しておりまして、この地域の環境保全なしには我が国の環境にも大きな影響が出てくるということは、例えば酸性降下物の問題等を見ても明らかでございますし、温暖化対策を効果的に進めるという点でもこの点は重要な課題でございますので、我が国は北東アジアと東南アジアから成る東アジアの地域に重点を置いて、この地域での環境管理システムの構築強化に向けた取り組みを行うべきであろう。そして、それらの地域での取り組みの推進を基点として、さらにはアジア太平洋地域、世界での取り組み、つないでいくことが重要であろうということを述べております。
 第3点としては、さまざまな主体のパートナーシップに基づく国際環境協力が必要であろう。既にこの10年の間に実に多くの主体がさまざまな形で環境国際協力に取り組んでいるという実情がございますので、政府が中心となってさまざまな主体を使ってやっていく。専門委員会での議論のややえげつない表現を使いますと、政府がまるで鵜匠のように鵜を泳がす、こういうようなスタイルの発想はもうだめではないかということでございまして、さまざまな主体のさまざまな組み合わせということがより大きな力を発揮できるように、そのような形で国際環境協力を展開していく必要があり、政府はそうした主体の取り組みの組み合わせ、連携を促進するということをかなり重視していかなければならないのではないかということでございます。
 第4点といたしましては、これまでともすれば企業がこのような環境国際協力を行うというような場合には何となく植林を進めるとかといったような社会奉仕的な面だけが強調された面がなきにしもあらずでございますけれども、今回の専門委員会にはかなり意欲的ではございましたが、企業関係者などにもしっかり入っていただいてご意見を伺ったわけでございます。もちろん企業は企業の固有の使命と論理に基づいて動くということもありますけれども、どうもお話を伺っておりますと企業の本来のビジネス活動の中でもしっかりとした環境協力ができるということが少なくとも、変な企業も中に二、三ありはしますけれども、多くのまじめな企業が考えておられるということがよくわかりましたので、そういう企業の本来のビジネス活動の中でも環境技術の普及、あるいはそれらを通じての国際協力の促進というようなことが十分に可能ではないか、政府はこういったようなことも考えながら関連する政策制度の整備や相手方の能力構築の支援などを行うということも新たに考えてみる必要があろう。
 最後は環境ODAでございます。この点についてはODAの見直し等もあってさまざま複雑な面がありますけれども、東アジアの諸国の中には経済発展が著しい国がございまして、こういったような国ではむしろ民間セクターの役割といったようなところを重視し、公的な支援と民間セクターの活動の組み合わせという形での協力が必要になるであろうということが考えられます。しかしながら、なおかつODAが必要であるという国も十分あるわけでありますが、こういったような場合に環境ODAといたしましては、法制度や政策の立案実施といったような点での能力強化を支援する政策支援型の協力を積極的に推進していくとか、あるいは貧困削減などミレニアム開発目標の達成や紛争予防への対応といったこういったような課題にも目配りをしながら戦略的に環境ODAを活用していくことが必要であろう。こういったようなことを記しておりまして、大方の委員の皆様方も共通の認識があろうかと思いますが、箱物、フィジカルなものへのODAというところが環境ODAで余りにも重点を置かれるというような在り方は今後変えていかなければならないといったようなことを考えつつ、先ほど申しましたような構成で委員会報告をまとめたという次第でございます。
 詳細は事務局に追加的に説明があれば説明をさせます。

○須藤部会長 浅野委員長、どうもありがとうございました。
 それでは、田中室長から続いてご説明願います。

○田中環境協力室長 環境協力室長の田中でございます。よろしくお願いいたします。
 今浅野委員長の方からポイントを中心にご説明をいただきましたので、この報告書の中身について補足的にご説明をさせていただきます。
 まず、委員長からもお話がございましたが、目次を見ていただきますとこの報告書では最初に理念、目標、基本方針といった非常に一般的なものについて記載をしております。その後、これまでの国際環境協力の現状、課題、これまでの取り組みについてそれぞれの項目ごとにおさらいをしております。その分析に立った上で、3章以降で今後の国際環境協力の取組の方向ということで実にさまざまなご提言、ご提案をいただいている、そういう構造になっております。
 まず、5ページをご覧ください。ここから「理念及び目標」ということになりますが、非常に一般的な究極的なものとして理念をここで書いております。この報告書では、「地球環境の保全と持続可能な開発のためのパートナーシップの構築」を理念として掲げております。ともすれば先進国の立場からの環境の保全というのは必ずしも途上国における持続可能な開発とそのままそぐわないというようなご指摘もございましたけれども、一つは途上国にとっての持続可能な開発に役立つような視点、あるいはさらに近年の地球環境保全の必要性といった両方も見据えつつこれをパートナーシップ型で取り組んでいくんだというような究極的な理念でございます。
 その後に1-2として「目標」というところがございますが、実は2本立てというような構造になっております。委員長のお話にもありましたが、6ページ以下の「重点的目標」というところをごらんいただきますと、一つの目標が国際的な、世界的な取り組みに対して我が国の得意な分野、比較優位を生かして戦略的かつ積極的に関与していこうという世界的視野の目標となっております。
 もう一つは7ページ以降にございますが、特に東アジアという地域に着目をいたしました。今後、現在もそうですけれども、大きな経済成長が見込まれるこの東アジア地域において、むしろ対等な立場において環境をともに保全していく、そのための議論あるいは枠組みにまずこの地域で積極的に取り組んでいくべきではないか、そのために国際協力も使っていくべきではないかというリージョナルな視点でございます。もともと東アジアに注目した議論ということで事務局ではいろいろ素材を用意して議論をしていただいたわけですが、そうは言いつつも最近の世界的な国際協力をめぐるさまざまな議論がございます。我が国としてはそういったグローバルプレーヤーとしての立場、役割というものも十分に目配せをして議論しなければならないのではないかというようなご指摘、ご議論もございまして、この報告書では世界的な協力とリージョナルな協力との2本立ての構造になっています。ただ、東アジアの協力を起点として世界に対して協力をしていくというようなトーンにはなっているかと思います。
 それから、10ページ以降が浅野委員長の方からご紹介がございましたような基本的な考え方について少し敷衍をしている部分でございます。繰り返しになりますが、世界的な枠組みづくりへの貢献、それから東アジア地域におけるリーダーシップを発揮した協力、それからさまざまな主体がそれぞれ連携をして取り組んでおりますし、これからもそういう動きが強くなっていくと思われますので、そういった連携自体を強化していこうというようなことです。
 4番目に、それはこれらに共通の課題と思われますけれども、そのために国内の体制をきちんと整備していくというようなことが非常に大事だというようなことです。
 それから最後に12ページですけれども、「重点分野を考慮した協力」ということで、環境の分野から見てどういった分野が重点的に考えられるかというようなことで淡水資源、エネルギー、気候変動、土地管理、生物多様性、都市環境、化学物質、教育、キャパシティ・ビルディングといった、広範になってはしまいますが、こういった分野が指摘をされているわけであります。
 ただ、世界的に貧困問題ですとか平和の構築ですとか、国際協力を行う上で考えておかなければならない重要な課題というのも随分ございます。12ページの一番下あたりですが、そういった広い意味での世界的な課題に対しても環境協力を行う際にきちんと目配せをして、解決にも役立つような協力がこれからも必要であるというようなご指摘もございました。
 13ページの下の方は、協力を進める上で配慮すべき事項ということで、幾つかの点をご指摘をいただいております。
 その後幾つかの項目ごとに現状と課題を分析いただき、その後、3章で今後の取り組みの方向性についてご提案をいただいておりますが、大きく分けまして4つほどの固まりがあるかというふうに思います。
 1つは、世界的な枠組みづくりに積極的、戦略的に貢献していくというようなこと、もう一つはこの東アジア地域での枠組みづくりに向けてイニシアチブを発揮していくということ、それから多様な主体の協力、さらには実施体制の強化というようなそれぞれの項目ごとに多様なご提言をいただいております。
 幾つかご紹介をさせていただきます。36ページ以下でございますが、世界的な枠組みづくりに戦略的に関与をしていくべきというようなことでございまして、この中で特に重点分野というようなものを見極めて、国際的な議論、世界的な枠組みづくりに貢献していくべきだというようなご指摘がございます。
 委員の皆様からも特に気候変動対策に世界が今取り組んでいる中で、国際協力を考える上でもこの分野で我が国のリーダーシップを発揮しなければならないというようなご意見はたくさんございました。
 37ページに少しこの点を特化して書いている部分がございます。例えばJI、CDMの活用について今後のルール化に積極的に関与していくべきだとか、あるいはその他幾つかの課題が記されているところでございます。
 38ページ以降が東アジア地域における協力の枠組みづくりに向けて我が国がイニシアチブを発揮していくべきだというような部分の記述でございます。この中にも、まずは2国間できちんと政策対話を強化していく。その上で計画策定を行ったり共同研究あるいはモニタリングなどのネットワークを強化していくというようなこと、それからODAを有効に、あるいは戦略的に活用していくべきだというようなこと、環境教育のようなものを通じてキャパシティの向上を図るべきというようなこと、そういったことが詳細に記述をされているところでございます。特に東アジア地域は他の地域に比べましても環境の管理、マネジメントについて、地域の各国がともに議論をして、しっかりと取り組んでいくメカニズムというものが今のところ弱いところでございます。若干例えば日本と中国と韓国の環境大臣会合、あるいはESCAPを中心とした共通のプログラムのように、その萌芽というようなものは出てきております。今後は、こういったものをさらに発展させて、今までのような先進国対途上国というような関係ではなくて、地域の所属する対等な国としてきちんとした議論を今後ますます強化していくべきだというようなことで、それに向けた分野ごとのご提言をいただいているところでございます。
 それから、多様な主体による国際環境協力を進めていくべきということが48ページ以降に書かれております。48ページの冒頭ではまずそれぞれの主体ではなくて主体間の連携をきちんととっていくべき、そういった連携の強化を図るべきだというようなことがまずあります。その後で地方公共団体、NGOの皆さん、それから企業の皆さん、それぞれが今もう既に取り組んでおられますが、今後そういった取り組みを強化、支援、促進していくために政府としても何ができるかというようなことについても記述、提言をいただいているところでございます。
 今回は、企業の皆さんにも議論に加わっていただきました。議論の中でもございましたけれども、今まではどちらかというと企業の皆さんの環境協力というと社会貢献ですとか植林活動ですとか、そういったものがまず思い浮かべられるような傾向にございました。むしろ本来のビジネスを通じて日本の企業の持っている技術なりノウハウなり機器なり、そういったものをアジアなり世界なりに普及し、そういったビジネス活動を通じて環境協力を展開できるのではないかというようなご意見がたくさんございました。そのために政府なり公的セクターとしてもお手伝いできる分野があるのではないかというようなご提言をいただいているところでございます。
 最後に52ページ以降で実施体制の強化というようなことで幾つか具体的なことも含めてご提言をいただいております。国際協力を進めていく上でODAもそうですが、ODAのみならずほかのさまざまな分野の協力においても情報ですとか人材ですとか資金ですとか、そういった基盤を強化していく必要があるといったようなこと、特に人材については国際機関における日本の専門家の今後の活躍ですとか、あるいは海外で環境協力の実際のプロジェクトに携わり、あるいは計画を策定するような日本の専門家を育成していく必要があるというようなこと、さらには自治体の方、企業、NGOの皆さんの今後の連携を深めていく上で情報共有、あるいはそれに向けた支援というものが大事だというようなこと、さまざまなご提言をいただいております。そういったアイデアをこの中に盛り込んでいただいているところでございます。
 今回はそういったアイデアをちょうだいしてこの在り方についてという中にたくさん盛り込んでおりますので、きょうの部会のご議論を踏まえて今後は政府の方でこれを実現していくためにどのように施策にしていくかというようなことになってまいります。その前提として今回のご報告が貴重なご提言集になるというふうに思っております。
 少し長くなりましたが、中身のご説明といたします。

○須藤部会長 どうも田中室長、ご説明ありがとうございました。
 それでは先ほどの浅野委員長のご説明とただいまの田中室長のご説明にご質問なり、あるいはご意見なりおありと思いますので、まずはいつもと同じようにご意見のある方は名札をお立てください。それできょうは久しぶりなので、名簿順の方からまいりましょうか。
 服部委員、どうぞお願いいたします。

○服部委員 きょう初めて出席させていただきます服部でございます。
 今ご説明いただいて、大変幅広いご提言でございますので全体を必ずしも把握をしているわけではないのでございますけれども、企業というふうに書かれているところを中心にさっと目を通させていただいて、ちょっと感想も含めてお話を申し上げたいと思います。
 まず、世界ということからスタートしておりますけれども、やはり今東アジアを基点としてというような書きっぷりになっておりまして、東アジアに重点を置いた国際環境協力の在り方ということをこのような形でまとめられたというのは大変意義深いというふうに評価をしております。
 ここで示されておりますような国際環境協力を推進しながら日本が東アジアでリーダーシップを発揮していくということは大いに必要であるというふうに認識しておりまして、産業界といたしましても、これまで培ってきました環境技術というものをコアにして前向きに取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。
 それから2点目は、57ページのところで企業における国際協力のための云々ということでありますが、この中で政府がさまざまな支援施策を進めていくという必要性に言及されているということにつきましては高く評価をしたいというふうに考えております。
 とりわけ地球環境問題につきまして我が国が持っているすぐれた環境技術というものを活用して、それで協力を推進するという観点からは京都メカニズムの活用というのが極めて重要だというふうに思っております。
 具体的に政府において、京都メカニズムを積極的に取り組む企業を支援するという観点から3点ばかりお願いをしたいと思います。本件については、これまでも何度か前任の桝本も多分発言したのではないかと思いますけれども、1点目は京都メカニズムの活用手続の簡素化といいますか、もう少し使いやすいといいますか、簡素化をお願いをしたいということでございます。
 それから2点目が、京都メカニズムのクレジットにつきまして、これが市場に十分供給されるような施策、例えば省エネによるCDNプロジェクトというような仕組みづくりについてもお考えいただきたいというふうに考えているところでございます。
 それから3点目は、民間企業におきます京都メカニズムのクレジットの活用というのは、これにつきまして省エネの施策と同様に適切なインセンティブを与える施策についてもご検討いただけないかということでございまして、ちょっと繰り返しになるかもわかりませんが、以上3点お願いをしたいところでございます。
 私からは以上であります。

○須藤部会長 ご意見いただきまして、どうもありがとうございました。
 それでは続いて天野委員、お願いいたします。

○天野委員 非常に広範囲にわたって在り方をご検討いただきまして、大変参考にさせていただきたい点が多々ありますが、2点ばかり質問といいますか、質問のようなコメントをさせていただきたいと思います。
 1つは貿易と環境との関係が現状並びに課題ということで15ページと37ページに書いてあるんですけれども、これは大変重要な問題でありまして、特に地球温暖化に対する具体的な対策を講じようとするときにそこの貿易の問題が関連して難しい問題が起こってくるというところもございます。そういう点で、私はこういうふうな問題を取り上げていただくのは大変重要な視点だと思うんですけれども、残念ながら何をするのか、日本の環境省として、あるいは日本の政府としてこの問題に関するどういうスタンスを持っているのかということが全然見えておりません。現在地球温暖化対策の一環としていろいろな経済的な手法の導入を各国で進められておりまして、我が国でも環境税の提案等がありますが、それに関連してやはり貿易協定、特にGATT、WTOの協定、それとの関連を無視できないという点があって、そういう検討が非常に重要になってきているわけですけれども、こういう在り方を考えるのであれば、そういう点について日本政府はこうするんだという方針をできるだけ早く確立していただいて、それを例えば国際的な貿易協定の議論の場で主張していただくということをしないとなかなか日本の環境政策自体も進まないという点があると思います。
 ここではこういうことを取り上げる必要があるというふうな書きぶりですので、そういう点では大変私は不十分ではないかというふうに思っておりますが、どういうふうにお考えになってこういうことをお書きになったのかということをお聞かせ願えればというふうに思います。
 それから第2点は企業による国際環境協力、これも大変重要な問題で、特に環境省のこういう審議の場で取り上げていただいたということは大変いいことだと私は思っておりますが、例えば49ページ以降を拝見しますと、すべて企業がこうすることが望まれるという表現になっているんですね。これはどういう意味なのか私はちょっと理解に苦しんでおります。もちろん私個人としても、企業がこういうことをしてくれることは大変望ましいというふうに思っておりますが、望まれるといってその先がどうなるということが全然わからないわけです。これは国際協力の在り方というのを考えるわけですが、まず第一は国あるいは環境省なりの政策の在り方ということを第一に考えるはずの問題ですね。ですからその中で例えばこういうことが望まれるというのであれば、望ましい行動を引き出すために、では国がどういうことをするのか、あるいは企業との協力関係をどういうふうにつくっていくのかということを少しでも書いていただかないと、望まれるということだけであればもっともっとたくさん書くことはいっぱいあると思います。でもそれを書いて一体何になるのかというのは、大変疑問でございます。
 以上でございます。

○須藤部会長 どうもありがとうございました。ご質問の部分を含んでいるんですが、後で関連があると思いますので、まとめてお答えを浅野委員長なり、あるいは田中室長にお答えいただきます。
 それでは飯田委員、どうぞ。

○飯田(哲)委員 1点だけ、環境全般の国際的な協力枠組みに関して私は必ずしも追いかけていないので、エネルギーの関係だけ1点コメントすると、まさにWSSDで一番大きなイシューとなった再生可能エネルギー、そのときにもうタイプ2ということでイギリスが提案をしたディープというのが今アジアでもすごく展開をしておりますし、それは別に今イギリス単体ではなくて国際的な協力ネットワークとして広がっている。昨年、ドイツのボンであったRenewable2004もその後、つい今月初めに6月4日にコペンハーゲンで会議を行って、REN21というネットワークになって、これはCSD、来年の15、16に向けて再生可能エネルギーを改めてそこに持ち込もうということで、再生可能エネルギーに関して非常にWSSDの前、そしてその後、国際的にすごい大きな動きが動いているのにもかかわらず、この中には一言も出てこないというのが非常に違和感がありまして、実際に我々ディープとかREN21活動としては我々自身はかかわっていますし、ことしの11月の7、8日と中国でRenewable2005が主催をされることになっていますが、そういった活動を通して日本政府の影が全く見えないんです。
 それは1つは、経済産業省の方がむしろ所管になっているという国内のまた裂け状態の問題もあるんですが、気候変動というのは同時に再生可能エネルギーと表裏一体でもあって、なおかつ環境と開発を重ね合わせたソリューションとしてもこの再生可能エネルギーで極めて重要な役割を持つにもかかわらず、ここに書かれていないというのは非常にちょっともう少しそこら辺を国際的な環境、再生可能エネルギーを進めていく大きな枠組みの中にもっと日本がきちんと乗っかっていくというところに入っていくそういう政府の姿勢と、それをさらにマルチステークホルダーで進めていくというようなコーディネートとしての政府の役割とか、あとファイナンスなんかも含めてあると思いますので、気候変動だけの切り口だけを切り取ってくるのではなくて環境と開発、そして実質的に再生可能エネルギー、省エネルギーはもちろんあるんですけれども、そういったところを幅広く踏まえて、もう少しそこら辺を少し、報告書云々というよりは実質の政府のアクティビティの中にそれをちゃんと位置づけていただきたいというふうに思います。
 以上です。

○須藤部会長 ご意見ありがとうございます。これもお答えしていただくのでしたら、後でお願いいたします。
 川上委員、どうぞ。

○川上委員 ありがとうございます。やや全般的なコメントになりますけれども、4点ほど言わせていただきたいと思いますが、まず今回こういうエクササイズを行って、国際環境協力というものを見直したと。この10年ちょっとの間にリオ以降いろいろなことがあったわけで、そういうものを背景としてこの時点でこういうエクササイズを行ったというのは大変有意義だったと思いますし、現に諸先生方あるいはパブリックコメントも含めていろいろな問題点を洗い出されて、網羅的に整理されたという努力は大変多といたします。本当に意義があったと思いますが、また全体として問題点の正しい方向性を示しているのではないかという印象でございます。
 ただ、先ほど委員長からもお話がありましたが、全体としてやはり事の性質上仕方がない点もあるんだと思いますけれども、やや総花的になっているという嫌いがあるのではないか。これは印象論で恐縮で、私のコメントの中にも出てきますけれども、総論として申し上げておきたいと思いますし、我々の国際協力で今後何が中心課題になるか、それから日本としてどの分野でいかなる方法でリーダーシップをとっていくのかということについてのもうちょっとめり張りのきいた施策が提示されればもっとよかったんじゃないかなという印象でございます。
 そこで4つほどのコメントの第1番なんですけれども、これも議論の中で既に当然出てきている点だと思いますが、ここは地球環境部会ですのでそのメンバーとして重複することもいとわず言わせていただきたいと思いますが、私としてはやはり日本はグローバルな経済大国として国際協力の中でミレニアムな開発目標というものをどういうふうに位置づけるかということについてはやはり相当思いをいたさなければいけないのではないかという気がいたします。
 アフリカ等の貧しい途上国の側から見れば環境問題即持続的開発の問題ということになるわけですので、これはさきのヨハネスブルグでのWSSDの議論でも明らかなわけですし、近く開催されるグレンイーグルズのサミットにおいてもアフリカ支援問題というのが中心的な課題になっている。これは環境とは違うのではないかというご議論もあるかと思いますけれども、途上国側から見れば環境即開発の問題であるという議論があるわけです。この点を考慮すれば、やはり日本の環境協力の視点にはもうちょっとグローバルな視点というものが出てきてしかるべきではないか。すなわち貧困削減、水へのアクセスの拡大といったような協力の面ですけれども、アフリカやアジアでも貧困が大きく残っている南西アジア、南アジアというようなものに焦点を当てて政府のODA面での努力が従来にも増して重要なのではないかというようなトーンがやはりあってしかるべきではないかというふうに思います。
 この点はご承知のとおり既に日本政府は対アフリカの援助を3年間ですか、倍増するということを公表しておりますし、政府の方針とも平仄が合っているわけで、我々の報告の中にもそういうことがめり張りがきいた形で表現されるということは妥当なのではないかと思います。
 第2点ですけれども、これも既に議論が当然あったと思いますが、報告書を読ませていただいていて、やはり若干パンチに欠けるのかなという感じがいたしますのは、これから10年先あるいはその後を見通して国際協力というものを考えた場合に世界の最大の関心事というのは何といっても、しかも死活的な重要なマターというのは何といっても気候変動の問題であり、地球温暖化の問題である。この影響というものをどう食いとめるのかという点にあるように思うんですけれども、この中心的な課題に国際環境面での国際協力という報告書の中で十分焦点が当たって書かれているという印象ではないというのが若干残念な気がいたします。これはいろいろな考慮があるのかもしれません、事の性質上しようがないのかもしれません。しかしながら、やはりこういう国際協力に関する10年に1回のエクササイズをする以上は、やはりその点を避けて書くわけにはいかないのではないか。もうちょっと焦点を当てて書いていいのではないか。この点で日本が強いリーダーシップを発揮していくということが極めて重要なわけで、京都議定書もできたわけですし、京都議定書を遵守していくという視点のみならず、その後をそれではどうするのかということについても日本がリーダーシップをとっていくということが大事なわけですけれども、その点は別の報告書に譲るのかもしれませんが、若干もうちょっとあってもいいのではないかなという印象です。
 したがって、その点についての焦点が当たっていないから例えば企業、先ほどもちょっと既に服部委員から話がありましたけれども、具体的な点で言えば、私はやはり新しいビジネスチャンスとしてのCDMだとか何かというようなところにもうちょっと焦点が当たってもいいのかなという印象がございます。
 それから3点目ですけれども、報告書の中で政府だけではなくて地方公共団体、NGO、NPO、それから企業、学術研究機関等のさまざまな主体による環境協力の現状と課題を分析されて連携の必要性ということについて言われているというのは私は全く正しいし、興味深いし、大いに多といたすわけですけれども、この関係で政府の役割について政府は余り牽引力になるのではなくて、こういう団体に大いに力を発揮してもらおうではないかという趣旨で流れとして書かれていると思うのですが、やはり政府の牽引力としての役割というのは過小評価すべきではないので、ともすれば調整だけやって連携だけ気をつけていればいいという議論ではもちろんないんですけれども、そういうことになりますと言いっ放しになって、結局気がついてみたら余り日本は国際協力の分野で大したことをやっていなかったというような結果になりがちであると。これは長年こういう分野の仕事をやっていて、若干そういう印象を持ってきたものですから、ODAの分野でやるべきことは世界全体を見回しても、それから東アジアに限って見てもまだやることはたくさんあるということですので、その点についての留意というのは今後とも必要なのではないか、政府の役割だと思います。
 それから第4点目、最後ですけれども、今後の協力の取り組みの方向ということで36ページ以下に書かれている東アジアにおいては環境管理の仕組みに重点を置いてリーダーシップを発揮すべきだ、こういうふうな流れで書かれていると思いますが、これは全く正しいし、私も大賛成でございます。ただし、同じページの世界的枠組みづくりへの戦略的関与、これはタイトルはすごくすばらしいんですけれども、先ほどから申しましているようにややパンチが欠けているのではないかという印象がございます。
 特に38ページ以降の枠組みづくりに向けての我が国のイニシアチブのところですが、東アジアとの協力では今まで中国だとかタイ、インドネシアで相当な資金協力、技術協力を注入いたしまして、名前は国によって違いますけれども、環境管理センターといったようなものを設立して長年にわたって運営してきて、かつ相当うまくいっていると。問題ももちろんありますけれども、全体としてうまくいっているというようなこともあるので、そういうものをネットワークづくりの一つの基点にするとかいったような知恵も働かせていいのではないか。ここに余りそういう言及がなかったような、あったのかもしれません、私は逃しているかもしれませんがそういう印象ですので、その点についても指摘させていただきたいと思います。
 以上4点でございます。

○須藤部会長 どうもご意見ありがとうございました。
 では久保田委員、続いてお願いいたします。

○久保田委員 労働組合の立場で印象とご意見といいますか、大きく分けて2点申し上げたいと思います。
 第1点は、国際協力ということに対する問題のとらえ方の問題と、少しその中での労働組合ということの存在ということに対するご認識といいますか、もう少し焦点を当てていただければというふうに思うことが1点です。
 第2点目は、人の支援の問題でございます。
 1点目のことですが、理念にありますとおりキーワードはやはり持続可能な社会ということだと思っております。環境は環境、貧困は貧困、紛争は紛争ということではなくて、実は根は結びついているのではないか。1日1ドル以下で暮らしている人たちが5億3,500万人ですか。結局、発展途上国の環境への取り組みの阻害要因にも貧困への脱却ということを含めて解決していかなければならない。そういう意味では豊かな国が貧しい国に手を差し伸べて上からあげるというようなことではなくて、問題設定の仕方はグローバル化の光と影がある中で、いかに経済の論理と社会的側面とのバランスをもって持続可能な社会にしていくのか。それは発展途上国も先進国も同じパートナーシップの中でどういう次の世界を組み上げていくのかというところにまさに来ているのではないかというふうに思います。
 実は労働組合で去年11月に宮崎で世界の労働組合145カ国から集まりまして世界大会をやりました。最大の関心事はグローバル化の社会的側面に光を当てながら、いかに公正なそういう観点をつくるのかということにも尽きるわけでございますが、そういう観点からすると環境の問題と貿易の問題やそういうことも含めてどういう仕組みづくりをしていくかというのは非常に何人かの先生方が言われていますが、我々としても同様の認識でおります。ちなみに、ODAの予算については来年度、最低でも0.2%から0.3%に厳しい財政事情だけれども、最低でも引き上げるべきだという要請行動を連合としては持っておりますが、そういうことと同時にWTOだとかFTAだとか、あるいはAPECのさまざまな会議の前段とかそういうことの中で労働組合も含んだソーシャルパートナーシップとの対話といいますか、そういうことについてももう少し制度的に組み込んだり、そういう機会をしっかりつくったりということをぜひ実現してもらいたいという要請もしています。
 ちなみにそういうことの一環として、グレンイーグルズサミットの前に世界の主なナショナルセンターの委員長、連合から笹森会長が出ていますが、ブレア首相とサミットの前に会合を持って労働組合なりの環境とアフリカ問題についての労働組合としての要請をしておりますけれども、ぜひそういう具体的なソーシャルパートナーシップとの対話や組み込み方をどういうふうに組み込んでいくのかというもう少し具体性を持った取り組みが必要ではないかというふうに思っております。
 その中でPRでございますが、どうしてもNPO、NGOという項目の中にありますけれども、労働組合はその中の一つかもしれませんけれども、かなりそういう点では活動しているつもりですし、FTA一つとっても現地の労働組合と集めて我々が行ってお金も全部自前で行って協議をしながら、労働組合の立場でそれを公正なそういう2国間の協力体制をつくり上げるにはどうしたらいいか。ある意味ではオルグもし、こういうことはわかってほしいというようなことも含めて草の根レベルの連携といいますか、そういうことをここでも書かれているわけですが、具体的にどうするのかというようなことについてはぜひ労働組合も相当な活動なりそういうことをしているということについてもぜひ認識をしていただいて、ちょっと1行でも書いておいていただければありがたいかなという感じはしています。
 大きな2つ目は54ページのところで、これからの国際協力実施体制の強化のところで、やはりポイントは人材ではないかという実感を持っております。
 その中で2つ言いたいんですが、1つは企業としての協力の在り方という中で、企業の中で働くばりばりの技術者やそういう人たち、要は現役の社員といいますか、組合員といいますか、そういう人たちを例えば設備だとか、あるいは検査機器だとかいうことを含めて一種の発展途上国の、環境だけではないかもしれませんけれども、そういうところに支援をするという仕組みをもう少し具体的に何かつくれないものか。それは一たん企業を離れて、青年海外協力隊で行くという方法もありますが、案外ばりばりの中堅のところの派遣をしていくといいますか、それは企業の仕事として行くと。しかし、それは大きな目で見ると支援体制になる。それを何らかのインセンティブやバックアップを政府としてするというような仕組みがもう少しできないのかなという感じがいたします。90年代以降の企業の今の状況の中で正直言いまして集中と選択、それからある種のリストラ、筋肉質の体制という意味の中で違った意味からしますと、私はハンドルの遊びが相当少なくなっているという感じがいたします。そういうところに対する余裕が、今なかなか人員体制的にもないのではないか。そういうのはちゃんと仕組みをつくって企業と国といいますか、そういうことがしっかりそういうシステムをつくってやって、行く人は誇りを持って堂々と自分の企業の仕事として行く。そして帰ってくればそれがまた大いに評価をされというような仕組みをつくる必要があるのではないかと思います。
 もう1点は、ここにあります定年退職した人材の活用という意味では2007年問題がございますが、私と同世代の団塊の世代はごろごろ今企業から離れていったり、あたら能力と人材と人脈も持ちながらも鬱々としたというところが実は多いのではないかと思っています。日本の中では最先端技術ではないにしても、発展途上国に行けば十分活用され、しかもその本人が尊敬の対象で第二の人生として誇りを持ってやれるという余地は幾らでもあるのではないか。NPO的なそういうことをつくろうという企業家の動きもございますが、やはりこれは日本の企業グループの中で同じ釜の飯を食った仲間が何かしていくのに企業としてのそういうことに対する支援と政府のそういう仕組みということが何か発想があるのではないか。本人もハッピー、企業としてもハッピー、そして日本の国としても世界から本当に尊敬をされ、そういう日本に学びたいというか、そういうことで大いに発揮していく余地があるのではないか。予算をつけると同時に、そういう仕組みをつくるということの重要性をぜひ訴えたいというふうに思います。
 以上です。

○須藤部会長 どうもご意見ありがとうございました。
 それでは永里委員、どうぞお願いいたします。

○永里委員 ありがとうございます。私は52ページの国際環境協力実施体制の強化、特に55ページの4-2です。「新たな国際環境協力を進めるための体制強化」についてちょっとお話ししたいと思います。
 環境とエネルギーの問題というのはコインの裏表の関係で、特に東アジアに対して国が極めて戦略的に影響力を発揮できるイシューだと思います。
 国の政策に一貫性を持たせリーダーシップを発揮し、影響力を発揮するためには国際的人脈の構築と維持が欠かせません。ここには、こういうことをしたい、あるいは、すべきということがいろいろ書いてあるわけです。しかし、そのためには長く担当する専門家を政府の中に、あるいは環境省の中に置くべきだということを言いたいわけです。民間から見て非常に不思議なことは、キャリアの方々が1年から2年で担当をかわるということなんです。せいぜい3年ぐらいです。こういうことは非常にむだな気がします。私自身、オゾン問題とかフロン問題でモントリオール締約国会合に毎年出ていたんですが、外国の政府の代表たちというのは先進国のアメリカでも途上国の例えばインドでも、キーマンがいて長く担当していて非常に影響力があるんですね。そういうことを考えますと、繰り返しになりますが、長く担当する専門家を政府の中に、あるいは環境省の中に置くことを真剣に考えて国際的な影響力を出してほしいと思います。
 以上です。

○須藤部会長 どうもご意見ありがとうございました。
 それでは西岡委員、どうぞ。

○西岡委員 研究の立場から一言申し上げたいと思います。
 全体にもう少し研究の協力を政府が音頭をとって協力してもらいたいというお話なんですが、なぜかと申しますと、先ほどの温暖化の話もそのうち極めていい例なんですけれども、グローバル・パーティシペーションを特に途上国対応としまして進めるときに、それぞれの国の研究者が自分のところの状況がどうなっているかということをよく把握して、それを自分のところの国の政府に直接訴えかけるというのは一番早いといいましょうか、これはちょっとそんなに早くなくて息の長い対策なんですけれども、非常にきいてくる政策ではないかなと思っております。
 基本的にこの環境の問題というのは人間と、それから自然の関係をやるものですから、そのあたりの研究というのがベースになっているということで、そういう人たちをうんと育てておくということが長い目で見たときの途上国の参加を進めるために非常にキーになる。例えば温暖化の場合ですと、自分の国がどこで気候変動に対して弱いのかとか、インベントリがどこからどういうものが出ているのか、あるいは政策をどう打ったら自分たちは減らせるのかといったことについて日本はかなりノウハウはあるわけですから、その点を一定にすることによってそういう能力が保てるのではないか。そのあたりが実は54ページに2行だけ、研究者の育成ということがちょっと書いてございますけれども、もう少し強調されてもいいのではないかなと思っております。
 また、既に研究の地域協力としては特に環境省が音頭をとってAPN、アジア・パシフィックネットワーク・フォー・グローバル・チェンジ・リサーチだと思いますが、よく動いています。これは何度も申しますけれども、世界的にはきちんと機能しているネットワークの一つとして私が出ておりました国際的なスタートという研究のキャパシティ・ビルディングを支えてあるわけですが、非常に高い評価を受けております。しかし、残念ながら環境省だけが音頭をとっているという状況で、文部科学省あるいは経産省といったところの応援が十分ではないといいましょうか、話がうまく進んでいないのかどうか知りませんけれども、そういう面で資金面でも非常に足りなくなってきている。
 それから、学術会議などは最近はサイエンス・アンド・テクノロジー・フォー・サスティナビリティというのを一つの旗印にしているわけですけれども、そういった大学の方々の全面的な協力をもっともっと強めていく必要があるのではないか。そういう仕掛けについて環境省が音頭をとって、しかし環境省の中だけにとどまることなく、もう少し強力な政府の一体化した政策で進めていただきたいというぐあいに考えます。
 以上です。

○須藤部会長 どうもありがとうございました。
 それでは福川委員、どうぞ。

○福川委員 大変重要な問題を網羅的に整理されて、専門委員会の皆様方のご努力にまず敬意を表したいと思います。
 若干感想を申し述べさせていただきたいと思いますが、まず第一は、これまで国際環境協力というのは幾つかいろいろな施策を展開しているわけで、もう十数年の歴史があるわけです。一体今やっていることはどうかという評価をぜひ一回してみる必要があるのではないかと思います。竹下内閣のときに中国に環境保護センターというのをつくりましたし、グリーンエイドプランといったようなものも既に何回も実施をしているわけであります。一体、今までやってきた国際環境協力というものをどう評価をするかということを一回よく吟味してみる必要があるし、またそれに対してアジア諸国あるいは他の発展途上国がどう受けとめているか、それからヨーロッパあるいはアメリカがやっていることと対比して日本はどこに問題があるかというこの評価をやはりきちんとしてみる必要があるのではないかというふうに思います。
 したがって、まず第一に申し上げたいことは、もう十数年の歴史のある国際環境協力を一たんまず謙虚に評価をして、どこが問題かということを明らかにするということが第一に重要ではないかという気がいたしております。
 2つ目は、日本がイニシアチブを発揮するということが随所に書かれているわけですが、ではどうやってイニシアチブを発揮するかということで、政策対話というようなことが強調されたり、あるいは話し場の提供が大事だというようなことが書いてありますが、24ページにも書いていらっしゃるように、政策対話にとどまり関係国がコミットして具体的な成果を上げるような枠組みづくりに結実するまでに至っていないと、こう評価をなさっていらっしゃるわけですが、一体イニシアチブを発揮するというところを具体的にどうやるかということだと思うんです。
 その点で、もちろんこういう枠組みづくり対応が大事ですが、そこでもう一つ3つ目に申し上げたいのは、環境ODAというものをどう実施をするかという具体策が非常に大事だと思います。この環境ODAの実施の枠組みというのは21ページ以降に書いてあるわけですが、このODAをするときに資金的な協力、技術的な協力、あるいは政策形成の能力の助成、それから知的な協力、それから人材養成、いろいろな側面があると思いますが、これを具体的にどうやってODAを展開をしていくかという具体的な掘り下げをもう一つぜひしていただきたいというふうに思っております。
 ここでは余り中国問題というのがそれほど明確に分析がなされていないんですけれども、今一般的に中国には技術供与等々は別として、もう円借は打ち切るべしということを言われておりますが、果たして中国の環境問題を考えたときに、そういった円借を打ち切ってしまっていいのか、あるいは環境についてはもっと実施しなければいけないと、こういうことなのか、私はまだそれを継続実施すべきだと思っておりますし、中国の環境のための円借あるいはODAというのは非常に重要だと思っております。今までのように要請主義ということでは必ずしも効果はないと思いますが、どういうふうに改善をしていって、そして実施をして効果あらしめるかというところが重要だと思いますが、今環境の面からいってこれをどういうふうにすべきか。もちろん政府全体としてもう中国には円借はやめてしまった方がいいという政治的な判断があると思いますが、それはそれとして、一体今これだけいろいろどうするかという中国の円借について環境の面から見てやるべきか、もうやる必要がないと判断するか、私はこれは一つの重要な問題だと思うので、その辺はもう少し掘り下げて見ていく必要があるのではないかというふうに思っております。
 それからもう一つは、ここで持続的な開発というようなことで言っているわけですけれども、やはり中長期に考えたときにもう一つ大事だと思うのは、それをやや反する形になりますが、アジア経済、アジア地域において循環経済システムを定着させるというコンセプトというのが一つ考えられるのではないかというふうに思っております。これはもちろん環境の保全ということも一つありますが、これだけ資源が足りない、それからもう国境が越えた貿易が行われて、スクラップだとか資源までいろいろなところで貿易が行われているということになってくると、いろいろな協力の仕組みがここに書かれておりますけれども、アジアとしてこの循環経済システムを確立するためにはどういうことが必要かというようなことも視点として分析していただくのは意味があることではないかという気がいたしておるわけであります。
 ここに書いていらっしゃることは大変ごもっともで私もこれでいいと思いますが、さらに欲を言えば、今申し上げたようなあたりのものがさらに掘り下げられるとありがたい、そういう感想であります。ありがとうございました。

○須藤部会長 どうもご意見ありがとうございました。
 それでは三橋委員、どうぞお願いします。

○三橋委員 私の意見を言う前に、ちょっとこの部屋は冷房がききすぎていますね。

○須藤部会長 そんな感じもしますね。

○三橋委員 そんな感じがするってね、一応事前の連絡としてノーネクで上着をできるだけつけないで出席をされたしという連絡があったわけですけれども、こんなに寒いんではやっぱりネクタイを着用して上着で来ざるを得ない。
 そういうところは、そういう参加への条件を出した事務局としては温度をちゃんとはかり、もっと温度を引き上げるぐらいのことをしなければ、言葉倒れで終わってしまうような感じがしますね。その辺はしっかりしてほしいなという苦情をまず最初に言わせていただきたいと思います。

○須藤部会長 かしこまりました。事務局によく注意してもらいます。

○三橋委員 それで私もODAに関係したことで、この報告書で言えば7ページから8ページのODAです。それから21ページ、各論、22ページあたりの問題についてちょっと意見を言わせていただきたいと思います。
 もともとODAというのは貧困対策というか、そういうような面にウエートが置かれていて、例えば卒業状況ですか、対象から外れることについては無償の場合には大体1人当たりGDPが1,000ドルぐらいですか。それから円借款の場合でも国によっていろいろ違うわけですけれども、5,000ドルを超えるような形の場合には対象から外れていくわけです。そういうようなことと、一方、経済発展の段階で非常に環境破壊的な経済活動が盛り上がってくるのは経済がテークオフの段階で高度成長期に差しかかったときです。それは恐らく1人当たりGDPが5,000ドル以上、恐らく1万ドルとか2万ドルあたりが一番すそ野経済が発展するときであって、そのときに環境破壊というものが少なくとも先進国の過去のケースを見ていれば非常に激しかったわけです。そうしますと、ODAはもちろんその時代、時代に変わってその解釈も変わってきたんだけれども、いわゆる東アジアの環境改良のための資金としてODAを解釈して利用していくというよりも、もっと経済の勃興期に環境破壊が起こるとなれば、環境破壊を食いとめるための新しいむしろコンセプトに基づく資金というものが必要なのではないかと思うんですね。だから確かにODAの果たした役割というのは非常に大きいわけだけれども、この一つの国際協力という形で東アジアの環境に対して日本が協力していく、日本で今できているさまざまな技術をこういう国に移転していく、そういうお金を支援していくためのお金はどうもODAのお金というような延長線上では限界があるような感じがします。したがって、もっと別のやはり基金というようなものを考えて日本の特色を出していくということならば、そのぐらいの提案をしてほしいなというふうに思います。
 やはり経済発展の段階と環境を非常に破壊していく段階というのはどうもODAのレベルと違うような感じがするんです。そういう点についての分析と具体的な提案というようなものをしていただければ、先ほど福川委員が行ったように中国なんかに対する対応の仕方も今の恐らく円借款あたりだとなかなか難しくなっていく、そんな感じもしますけれども。そんなことも含めてお金の性格づけ、経済発展、環境破壊の程度、こういったものを分析する中でやはり新しい枠組み、資金の性格、そんなものを考えてほしいなというふうに思います。

○須藤部会長 どうもありがとうございました。
 それでは横山委員、続いてお願いします。

○横山委員 よく言われているように今の地球環境の悪化が、あるいはこの部会でも取り上げてきた温暖化の問題ということを考えたときに非常に待ったなしの状態になっているわけで、それにどうやって取り組んでいくかということでは国際協力というのが重要なわけで、そういう意味でこの報告書がまとまったということは私も非常にタイミングがいいと思います。
 ただ、今時点でのことを考えると2つぐらいちょっと素朴な疑問がありますのでそれをお尋ねしたいと思います。特に温暖化防止という観点では、やはり京都議定書絡みでアメリカが離脱していると。それから2点目は、途上国に排出削減義務がないんだという大きな問題点があるわけです。この悩ましい問題の解決がない限り、幾ら理想論を言ったり、あるいはこう国際協力というのはあるべきだと言ってもだめなような気がするわけです。それでどうしたらこの2つの難問を解決できるのかというようなことは論議なさらなかったのか、あるいはそれは長期的に考えると余り重要な問題でないとお考えになったのか、その辺を教えていただきたいと思います。すべてを読んでいるわけではないのでどこかに出てくるかわかりませんけれども、そういう疑問を持ちました。
 それから2点目は東アジアとの協力ということで、私もこれは非常に大切だと思います。特に中国との協力をどう進めていくかということが重要だと思います。しかし一方で、中国とか韓国との日本の関係を見ると非常に悪い。歴史上見ても最悪の状態だと言われているわけで、それがすぐに解決するような状態にもないわけです。そういう中で東アジアとの協力というようなことでも、その問題をどうとらえていくのかという視点がないとだめのような気がするんですね。今のような悪い関係だと、中国と環境でやりましょうといっても相手にされないというようなことになるわけで、それをどうとらえるか。私はそういう問題から言うと、この環境問題で中国と協力できるところはやっていくことによって中国との関係改善に役立てることができるんではないか。むしろそういう観点からも中国あるいは東アジアとの国際環境協力というのが重要だというふうに思います。
 そういう点で2点少し疑問がありますので、お答えいただければと思います。以上です。

○須藤部会長 どうもご意見ありがとうございました。
 それでは原沢委員、お願いします。

○原沢委員 今後10年ぐらいの国際環境研究協力の戦略を網羅的だけれども、全体としてお示しいただいたと、非常にいいのではないか。
 特にその中で国際環境研究協力という面でちょっとコメントをさせていただきたいんですが、1つはアジア地域、東アジアは特にそうかもしれませんけれども、データとか情報が非常に不足していて研究上やはりこれがネックになっているということで、今後こういったことも書き込んでありますのでぜひ進めていただきたいということなんですが、例えば温暖化の影響の評価を各国は独自の力でできるかというと、まだできないんです。それでIPCCが母体となってAIACCというプロジェクトを、これはGEFからかなりのお金を使って進んでおりまして、今アジアですと6カ所プロジェクトが進んでおります。そちらでまず問題になったのが、将来の気候予測値がないんです。結局は世界各国のデータをとってくるわけなんですけれども、残念ながら日本のそういったデータが使われないということもありますし、また日本から研究者がほんの1人私しか出ていないというようなこともあったりするものですから、やはりデータの整備、情報の整備というのは研究面で非常に重要になってきておりますし、こういった戦略をつくっていただいたので、今後はこの戦略に基づいてさらに研究を進めていく必要があるという意味で非常にいいものができてきたのではないかと思います。
 もう1点はご説明の中にもあったんですけれども、人材育成は非常に重要だということで、これまでは日本は教えてやるぞというような立場で来たんですけれども、どうもやはりそれだとなかなかうまくいかない。それでご説明にあったようにリーダーシップをとりながら、対等の立場で研究を進めるというのが非常に重要になってきているのではないかと思います。実際、今総合科学技術会議が温暖化イニシアチブというのを進めていて、ことしが最終年度なんですけれども、その中でいつも悩むのは、日本人研究者が、アジアとかそういったところで出ている研究者が非常に少ないんです。一つには、やはり忙し過ぎてなかなか手が回らないということと、やはり日本の研究の例えば温暖化の影響という分野ですけれども、非常に層が厚い。むしろ海外の人材育成をするためにはやはり国内の人材も同時に育成しなければいけないだろうということで、そういう意味では今回の戦略については今お話しした2点については今後どんどん進めていくための一つの起爆剤になるのではないかということで非常に期待しております。
 どうもありがとうございました。

○須藤部会長 どうもありがとうございました。一通りご意見をいただきました。
 全体としては評価していただいているように受け取れておりますが、幾つかのご質問、あるいは幾つかのご意見でやはりここでお答えしていただいた方がよろしいかと思いますので、浅野委員長からまずいただいて、その次に田中室長からもし追加があればお願いします。

○浅野部会長代理 ありがとうございました。私は割合に楽天的な性格なものですから、褒められてところだけ耳に残っていまして、悪口を言われたところは全然耳に残っていないんですが。というのは冗談ですけども。
 天野先生がご指摘になられました点については、おっしゃるとおり穴あき部分であることは間違いございません。特に政府の方針をはっきり立てるということを貿易と環境の関係についてまずやれというのはご指摘どおりであると思います。ちょっとこの書きぶりがいかにも客観的にまるで新聞記事みたいに書いてありますから、ここはちょっと少しは修正をすべきだと思いましたのでご意向に沿って、今中身が実際そうはっきり見えてこない面があるのはおっしゃるとおりなんです。ですからそこは入れておくべきだと思いました。
 それから、川上委員からのご指摘の中で実は大変きついご指摘をいただいたと思っておりますけれども、どの分野でという点については、これは実は十分に議論したんですが、やはりそれぞれみんな自分の分野に思い入れがあるものですからやり始めると切りがなくなってしまいまして、ある意味では国際的合意のあるところで線を引っ張ってしまったということにはなっておりますけれども、それよりもむしろ川上委員がご指摘になった点で、いかなる方法でリーダーシップをとるのかねというところが実は大変痛い点です。これはやはり各分野ごとに当然リーダーシップのとり方が違ってくるだろう。さっき原沢先生がおっしゃったようなことも踏まえて考えていきますと、ここにあるメニューの中でもこれはこういう形で、これはこういう形でということになると思いますが、これはむしろこの報告を受けて、もし仮にこういう若干の修文の上で答申としてお認めいただけましたら、次はぜひ環境省の中でさらに具体的に考えていかなければいけませんし、環境基本計画の中に入れられるものは入れるということになるのではないかというふうに考えている次第でございます。
 それから、コメントいただきました点の中で少し修文でご示唆をいただいた入れる点については後で事務局と相談をして検討してみたいと思っております。
 久保田委員から労働組合については一言も書いていないというふうに言われました。申しわけありません。一言は入れようと思います。
 それから企業の人材の活用の仕方ということについては、ある程度54ページに書いたことをバックアップしていただいたという気持ちで聞いておりますけれども、ここも書きぶりについてはもう少しわかるようにということは書かなければいけないかと思っております。ただ、政府のバックアップというときに、民間企業の職員の方が企業から出ていくというような場合のバックアップというのはどういう形のバックアップがいいのかもうちょっと検討しなければいけないと思いますが、何らかの形でこの点はおっしゃった点を強調していかなければいけないと思います。現実に見ていますと、かなり大きな企業でいい働きをした技術者がむしろ海外の途上国のかなりトップクラスのところの企業に雇われてしまって、日本のノウハウがむしろ逆に向こうに筒抜けになっているという実態があることも聞かされておりますから、こういうことはやはり我が国の立場から見ても余りうれしくはないわけで、むしろもっとちゃんと国内の方にそれが生かされるような仕組み、課題だという認識を持ちながら書いた面もございますから、久保田委員がおっしゃったことはよくわかっているつもりでございます。

○久保田委員 仕事としていくということを言っているわけですね。

○浅野部会長代理 そうなんです。そのところで結構問題があるということは、逆に今出てきております。
 それから西岡委員からのご指摘に関して、あるいは原沢委員からのご指摘に関しても、必要な部分についてはもうちょっと強調せよという点はわかりました。
 それから、福川委員のご指摘の点についてはなかなか扱いが難しい、正直なところ非常に難しいなと。前もってもう少しご意見も伺っていたんですが、少し考えさせていただきたいと思っております。
 ただ、循環のところは非常に的確なご指摘だと思いますし、この中には3Rイニシアチブに引っかけて書いておりますけれども、もう少ししっかりご意見を受けとめて書ける余地があると思っておりますから、ここはぜひいかせていただきたい。
 それから横山委員からのご指摘の点につきましても、前半の部分は議論したかと言われると、実は別の専門委員会が一生懸命議論している面もあるものですから、私どもの方で重ねて議論することはあえて避けた面もございますが、後半のご指摘については実は全く同感でございまして、今すぐ最近の問題はこうだからというようなことを露骨に書くのはあえて避けた面もございますが、しっかり着実に環境協力をしていくことが今若干関係が悪くなっているような国との長い目での関係改善に資するということはおっしゃるとおりだと思っておりまして、そういうつもりも込みで書いておりますから、もう一度よく読み直しましてご意見のような雰囲気が漂うように直すということはこれからさらに作業をしていきたいと思っております。
 ご質問をいただいた点についてのお答えになっていない面もあると思いますが、恐らく事務局がこれ以上追加してご説明申し上げることはなかなか難しい面もあろうかと思いますし、現在の外交政策に関してどうかというようなことになりますと、これは小島局長ぐらいのところで答えてくださることになるかもしれませんが、室長からのお答えも含めて私がお答えしたということにさせていただければありがたいと思います。

○須藤部会長 私も今の浅野委員長のご説明でよろしいかと思うんですが、小島局長、今のようなお答えでよろしいですね。
 ということで、たくさんの意見をいただきました。そして大方はよろしいんですが、いろいろもっとこうしてほしい、それからここは加えてほしい、ここはどうかというようなことはたくさんいただいたので、これにつきましてはここで一つ一つやりとりをするということは不適切だと思います。そういう意味で、できれば浅野委員長と私にお任せをいただいて、事務局と十分ご相談をしてこの報告の範囲内で修正なり加筆なりをしていきたいと考えております。ということでよろしゅうございましょうか。
 それでは特にご意見がないと思いますので、少々お時間をいただいた上で事務局と浅野委員長と相談させていただいた上、これを修正した上で答申案とさせていただきたいと思います。
 今後の取り扱いについて事務局よりご説明ください。

○盛山総務課長 ありがとうございました。
 今須藤部会長、浅野委員長へのご一任をいただきましたので、中央環境審議会の議事運営規則第6条、部会の決議は会長の同意を得て審議会の決議とすることができるという規定がございますので、必要な修正を加えました答申案につきまして鈴木会長の同意を得ました上で最終的な答申とさせていただきたいと考えております。
 以上です。

○須藤部会長 どうもありがとうございました。
 少々予定した時間が事務局からいただいていたシナリオによりますと30分ほど遅れております。ということで次の議題に入るわけでございますが、2と3の議題は最初にご説明いただいた上、一括してご質問をいただかないと多分また時間がかなり不十分になると思いますので、ここでまず気候変動問題に関する今後の国際的な対応についてということと、それから続いて地球温暖化対策をめぐる最近の動きについてと続けてご説明をいただきますので、説明者は違いますが、どうぞまず2番の方をよろしくお願いいたします。
 水野室長。

○水野国際対策室長 国際対策室長の水野でございます。
 私の方から第2次中間報告のまとめに至る経緯を簡単にご説明をさせていただきまして、その後の具体的内容につきましては西岡委員長から説明をお願いしたいと思います。
 まずこの経緯でございますけれども、この国際戦略専門委員会につきましては、気候変動に関する2013年以降の枠組みの検討材料を収集・整理するという目的で昨年1月にこの部会の下に設置をいただいたものでございます。
 この専門委員会は昨年度集中的にご議論をいただきまして、12月に中間報告を取りまとめていただきました。この中間報告につきましてはこの部会でもその状況についてご報告をさせていただいたところであります。
 また、この中間報告では気候変動枠組み条約の究極目的の具体化について考え方を整理し、またそれを実現するための枠組みについて制度面から検討を行っていただいたところでございます。
 これが昨年12月までの状況でございますが、ことしに入りまして特に条約の究極目的の具体化として長期目標についてのさまざまな状況が生まれております。
 1つはEUで動きがございまして、EUではことしの3月に大臣会合、それから首脳会合を開きまして、かねてから主張をしております気温の上昇幅を2度以下に抑えるという長期目標を改めて首脳レベルで確認するとともに、また先進国については1990年と比べて2020年までに15から30%削減をするというようなことについても打ち出しをしております。さらに長期的な影響の問題につきましては、イギリスのイニシアチブでエキサで開催されました専門家による科学者会合におきましてもさまざまな知見が報告されております。さらには、我が国の中でもいろいろな調査研究が進展を見ているというところでございます。
 こういった背景を踏まえまして、次期の枠組みに関する問題のうち特に長期目標にかかわる問題について専門委員会で再度ご検討、情報の収集・整理をいただいたということでございます。特に気候上昇の抑制幅、さらにはそれに対応した大気中の温室効果ガス濃度、さらには排出経路などにつきましての知見を我が国の成果なども踏まえて取りまとめいただいたというのがこの第2次中間報告ということでございまして、今回はその内容についてご報告をさせていただくということでございます。
 詳細については西岡先生、お願いします。

○須藤部会長 では西岡委員、どうぞお願いします。

○西岡委員 資料2の方に要旨が書いてございます。時間がございませんので短く申し上げたいと思いますが、基本的に国際戦略をつくるに当たって日本のスタンスをどういうぐあいに決めるかということが非常に大切だと思います。日本がどこまで実際目標として考えていて、それをベースにしてどう交渉を進めていくか、言ってみれば腹を据えるための材料がまず要るのではないかということでこの問題を取り上げたわけであります。
 基本的に世界で一体いつまでに何をするということが科学から求められているのだろうかというのが基本であります。ここに二、三点ございますが、特に我々が温暖化を問題にするときにどのような危険があるのだろうか、それはどのあたりが危険と考えられるのか、そしてそれに向けてどういう道筋で減らしていかなければいけないのかといったところをしっかりと押さえて、その上での交渉になるかというぐあいに考えているわけです。
 それで要旨第1のところでございますけれども、温度の上昇、先ほどEUの方では2度という話がございましたけれども、それがどのあたりがどういう状況であるかということについてサーベイしようということで結論といいましょうか我々がまとめたところがございますが、地球温暖化による気温上昇とその影響に関する科学的知見ということで、1度上昇、これは産業化以来ということになるわけで、1800年ぐらいを念頭にあるわけですけれども、そこから1度ぐらい上がると脆弱な生態系に対する影響が一部で顕在化する。
 2度なり3度になりますと地球規模で、これは一部の地域では得する、一部の地域では損するといったことがあるのですが、二、三度になると全地域的に変動が悪影響が顕在化するだろうということがあります。
 それから気温上昇3度以上になりますとそういったじわじわと来る被害のほかに地球規模での気候システムの変化、安定性を維持しているシステムがおかしくなるといったことの可能性が強まるということがございます。
 そういったことを考えますと、2つ目の○にありますけれども、気温上昇の抑制幅を2度とするという考え方が長期目標の現段階での検討の出発点となるということが一つの結論です。
 この問題につきましては、既に日本でも1992年から地球環境推進費等々の研究がありまして、もう既に3回目の報告書を出しております。論文で見ますと400から600ぐらいの研究がありまして、そういうことに基づいてもやはりこのあたりのところで日本への影響もかなり出てくるなという結論が出ております。そういうことを考えますと、一応この2度あたりを念頭に置いた施策を打つ必要があるだろうというのが前段でございます。
 ただ、科学者といたしましてはこういった状況になるとこうなるよということの報告はできますが、さてそれを危険と判断するか否かということについては、この中央環境審議会、あるいは社会の方で十分検討していただく必要があるかと思っております。そういう意味で出発点という言葉を使っております。
 それから後半になりますけれども、それでは2度を避けるためにどれくらいの濃度まで温室効果ガスを出していいのだろうかということに対する検討を行わねばなりません。これにつきましては世界でいろいろなモデルを使いまして検討がなされております。私どもといいましょうか、国立環境研究所で開発いたしましたAIMというモデルがございますが、これに基づいて計算した結果でございますけれども、2度に抑制するためには550ppmを十分に下回る水準に抑える必要がある。我々のモデルの計算によりますと475ppmと非常に厳しい水準での濃度をキープすることが必要になってくる。しかもその早さ、いつそれをやらなければいけないかということになりますが、全体の温室効果ガス排出量を1990年に比べて2020年で10%、2050年には50%、2100年には75%という非常に大幅な削減が将来必要になってくるのではないかと思います。このこと自身は言ってみればそう不思議な話ではなくて、地球全体としての排出量と吸収量をいつかはバランスしなければいけないわけで、現在でも吸収量の倍は出しているわけですから、世界全体でいつかは半分にしなければいけないということのトレンドの中にあるということでございます。この2つが主要な結論なんですけれども、まだまだ科学的知見が足りないということがございます。それを深める必要がある。
 それだけではなく、我々が科学的知見の不足から来る不確実性を考慮して、どうやって危険を避けていくかというリスク管理を考えねばならないだろう。それは予防原則で早目に手を打つだとかいろいろなリスク分散の手を打っておく必要があるんだということについても検討していく必要があるだろう。それから日本の国だけの問題ではなくて、世界経済の中で気候変動が起きたときに我々がどういう状況に陥るのかといったことの研究についてもこれからやっていかなければいけないのではないかなというぐあいに考えております。
 お手元の黄色い冊子がございます。これについては今のようなところがポイントでございますけれども、我々がサーベイしたということをさっと見ていただきますと、例えば9ページごろから書いてございますけれども、世界への影響がどういうものであるか、それもじわじわと来る影響と、それから10ページぐらいにありますけれども、タイプ2のしきい値と言っておりますが、地球のシステム全体に影響を与えるような影響、変化が生じるのがかなり3度に近づくと起こりやすいなというようなことがあります。アジアへの影響につきましても、特に強調してございます。
 それから日本への影響、12ページ、13ページあたりに書いてございます。
 そして今申し上げました15ページには、上昇幅1度以下ではどうだ、2度以下ではどうだ、3度以下ではどうだということがあります。
 それから16ページ以降が後半の議論に関連する話でございます。
 17ページに絵が1つございます。これは一つのモデルの例ですが、そんなにほかのモデルと変わっているわけではございませんが、ここにございますように図6-2でございますけれども、2050年までの温度の上昇の予想が書いてございます。一番下の三角形のところが2度に押さえ込むにはこういった温度の上昇幅になる。
 それに対応する排出量が19ページに書かれておりまして、6-3の上の絵でございますけれども、それに対応する濃度変化がここに書かれておりまして、赤い三角、一番下の線ですけれども、これは500をやや下回る線でございます。これは濃度でございますので、それではそういう濃度を満足するためにコストミニマムで対応するにはどうすればいいかということで計算したのが下の図でございます。赤い三角形のところを見ていただきますと、2010年、2020年あたりからずっと下げていかなければいけない。よしんばこれを上の3度Cという線になりますと、緑の三角形になるわけですけれども、ここまで許すとしても2030年あたりから下げていく必要があるだろう。そして2050年には赤の三角形では半分ぐらいにしなければいけないなということは計算されております。このようなことは私どもの一つのモデルだけではなくて、外国の種々のモデルを駆使した研究においても大体似たようなものが出ているという状況であります。
 以上、この専門委員会といたしましては現在までの調査をご報告ということで申し上げたいと思います。

○須藤部会長 西岡委員長、ありがとうございました。
 ご質問等あろうかと思いますけれども、先ほども申し上げましたように時間の関係があるので一括させていただくということで、3の地球温暖化対策をめぐる最近の動きについてということで清水課長からまずはご報告いただきたいと思います。

○清水地球温暖化対策課長 温暖化対策課長、清水です。資料3を使いまして、最近の動きをコンパクトにご説明したいと思います。
 まず、1番目に京都議定書目標達成計画の閣議決定でございます。
 前回この部会でもご報告しました内容でございますが、4月28日に閣議決定がなされました。
 それから2番目が、温室効果ガスの排出量の算定・報告・公表制度に関する法改正です。法案は、6月10日に参議院本会議を通過し法律として成立しております。施行が来年の4月1日ということで、今後施行に向けて所要の政省令の改正を行うことにしておりますが、技術的事項でありますのでこれは局長諮問の排出量算定方法検討会で議論した上、その内容についてこの部会でまたご報告した上で政省令の改正を行いたいというふうに思っております。
 それから3番目の地球温暖化防止国民運動の展開ということでございますが、チーム・マイナス6%という形で、つまりマイナス6%の京都議定書の目標達成に向け、国民が一つのチームになって対策を行おうという国民運動を現在展開しているところであります。6つの具体的な温暖化防止行動の実践を促しております。
 次のページで、特にその6つの対策のうちオフィスの冷房温度を28度に設定するということに関連いたしまして、クールビズという形で大々的なキャンペーンを行っております。先ほど三橋委員からちょっとおしかりがありましたけれども、マスコミでかなり大きく取り上げるなど所要の成果が上がっているものというふうに理解しております。
 それから4番目で地域エネルギー・温暖化対策推進会議ということで、これは京都議定書目標達成計画におきまして地域ブロックレベルで地域エネルギー・温暖化対策推進会議をつくろうということで、実際6月7日より各ブロックにおいて順次会合を開催しているところであります。
 それから5番目でありますが、2003年度の温室効果ガスの排出量の速報値ではなくて正式な値が出ました。速報値は8%ほど増加ということをご報告してきましたが、正式な値は13億3,900万トンということで、1990年の基準年と比較して8.3%上昇ということでございました。
 それから6番目で自主参加型の国内排出量取引制度ということで、これも2次答申含め議論いただいてきたものでありますが、実際に平成17年度から事業が動き出しております。3月に参加者を公募しまして、5月に参加者34社が決定しております。補助金額で見ますと、トン当たりの補助金額は692円という大変効率のいい制度となっています。
 7番目が施策総合企画小委員会、この部会とそれから総合政策部会の両方の下につくられているこの小委員会でございますが、地方ヒアリングを7月上旬より各ブロックにおいて順次開催するということで議論が進んでおります。
 それから8番目、最後になりますが、国際的な動きといたしまして、去年12月のCOP10の合意を受けましてことしの5月16、17日の両日、ドイツのボンにおきまして気候変動に関する専門家セミナーというものが行われています。将来枠組に向けた議論のキックオフというような形でありましたが、政府間で率直な意見交換が行われたということであります。
 関連資料は後ろにございますが、時間の都合上、割愛させていただきます。
 以上です。

○須藤部会長 どうも清水課長、簡潔にご説明いただきありがとうございました。
 では、ご質問等いただきたいわけですが、その他の方の議題が実はきょうは約10分間近くかかるほどの報告がまだ残されております。ということを勘案して、少し閉会をする時間を10分ほど延ばさせていただいてご質問をいただこうと思います。また、ご質問いただく方は少しご協力いただいて、簡潔にお願いをしたいということで、どうぞ札をお立てください。
 横山委員からまいります。

○横山委員 2度C以下に抑えるということは、私は非常にわかりやすくていいのではないかというふうに思います。それで既に0.6度上がっているから残されているのは1.4度だというような考え方があったと思うんですが、それもIPCCの100年後1.4から5.8度というのがまだいいとすれば、それの一番最低のところに抑えなければならないというわけで、たまたまそれがそういうふうに一致しただけだと思うんですけれども、2度ということでぜひ理論づけとかそれをやっていくことが必要だと思います。
 それに関連してちょっと2点ぐらいお尋ねしたいんですが、まず1つはEUも同じように2度ということはやっているわけですが、EUもやはり産業革命以降0.6度で残されたのは1.4度なのか、EUと同じような考え方に立つと今後も2度ということで大変訴えやすくなるのではないかと思いますので、EUとの違いがあればちょっと教えていただきたい。
 それから2点目は、AIMモデルで90年に10%、それから2050年に50%、それから2100年に75%削減しなければならないと。これも計算でこういうのが出て、かなりEUとか、あるいはほかの気候変動の専門家なんかにも受け入れられつつあるのか、まだまだこの件は議論していかないとそのとおりだということにならないのか、その点を教えていただければと思います。

○須藤部会長 ありがとうございます。それでは、まとめてご質問の方を後で西岡委員長にお願いしたいと思います。
 及川委員、どうぞお願いします。

○及川委員 西岡委員にお伺いというよりは私の感想でございますけれども、今もお話がありましたように気温上昇幅2度というような設定というのは非常にいい設定の仕方ではないかというふうに思います。
 現在、京都議定書で第一約束期間では、いわゆる先進国で人為起源のCOの削減パーセントが決まっているというわけですけれども、それだと一体何度になるのかというのが全然わからないわけです。そういったことで、第二約束期間以降を見据えてこれからどういった方向でいかなければならないかというときに、先ほどお話がありましたよう温度上昇幅をきちっと定めて、それに対してどういうふうに対応をとるかということを考えていくということが非常に大事なことであろうというふうに思います。
 それから、2度というとときにはグローバルな平均値なわけです。ですけれども、一様に2度上がるわけではなくて地域によって、一般的に言えば高緯度地方ほど上がり方が激しいというようなことがありまして、地域地域の生態系のことを考えますと、やはりもうちょっとそういう細かい視点というのも含めていただけるといいのではないかというふうに思います。
 それから、2度に抑えるとしますと475ppmという非常に厳しい値だと思います。現在380ぐらいになっていると思うんですけれども、それで1.5ppmふえていますから、今世紀の末にはこのままいけばここになってしまうという厳しい状況にあると思うので、いかにこれを実現させるかということが問題になってくるというふうに思います。
 ここで一つお伺いしたいのは、475ppmというのはCOだけを言われているんでしょうか、それともそのほかのメタンや何かも含めておっしゃっているのか、その辺をちょっと教えていただきたいと思います。
 以上です。

○須藤部会長 ありがとうございました。後でお答えいただきます。
 では天野委員、どうぞ。

○天野委員 ありがとうございます。私も2度以下に抑えるというご説明はよくわかるんですけれども、幾つか疑問点がございます。
 それは2度以上上がってもいつかは2度まで下げるんだという意味のお話ではなくて、絶対に2度以上上げないようにするというふうな意味での長期目標というふうに理解してよろしいかというのが一つ。
 それから、そういう意味で長期と言っても短期的に2度を超えてしまうような状態は絶対起こさないという主張というふうに理解していいかと、これが一つです
  それからもう一つは、先ほどもちょっと地域的な温度差というようなお話もありましたけれども、気温上昇のスピードが余りにも早過ぎると生態系で追いつけない悪影響が出る可能性があるというので、2度以下に抑えていてもある時期10年間に0.5度というふうな上がり方をすると非常に生態系に悪影響が及ぶということがありますので、そのあたりはこの長期の目標には含まれていないと理解しますと、これだけではやはり少し足りないのではないかというのが私の疑問です。
 それからもう一つの点は、ここでしきい値の種類を1とか2とかお分けになっていて、後の方で例えばシステムが壊れてしまってもとへ戻らないような不可逆的なことが起こる状況というのは、例えば3度Cであれば起こるというお話で含められているんですけれども、私は少し前に熱塩循環といいますか、海洋大循環のことを調べたことがあります。私は地球科学の専門家でもありません、経済学者で「ネイチャー」なんかの論文をたくさん読んだんですけれども、そこではむしろ熱塩循環というのは長期的に起こる話というよりは、むしろアブラプト・クライメートチェンジという言い方をしていますけれども、ある日突然、非常に短期の間にこういう現象が起こる心配があるという議論であったと思います。大体30年ぐらいの期間で起こる可能性があるという話で、大気と海洋と含むような大循環モデルをつくっていろいろな実験をしていられる方がたくさんいるわけです。
 質問はそういう意味で、アブラプト・クライメートチェンジというのは2100年とかいう話ではなくて、もっと手前のところで議論する話ではないのかということ。もちろん確率はかなり低いんですけれども、確率を計算している学者もありまして、30%というような高い確率を出している人もいるわけです。そういう点を考えますと、そういう議論をどう理解すればいいのか、こういう話とどう組み合わせばいいのかというのが私には非常にわかりにくいということがあります。
 それとこういったモデルの実験をしているグループというのが、ペーパーを書いていられる学者がほとんどが北米か北ヨーロッパの学者なんです。日本でこういう大循環で熱塩循環のような実験をしているモデルがあるのかどうか。どうも日本の研究者は領域上、太平洋あたりを研究しているものですから、熱塩循環のエンジン部分の研究というのはスカンジナビアのあたりへいってしまうので、そういう要因があるのかなという気もするので、そのあたりちょっと教えていただければ。
 以上でございます。

○須藤部会長 どうもありがとうございます。
 それでは桝井委員、どうぞ。

○桝井委員 今この2度の問題の中間報告は非常に貴重なものではないかなと思います。しかも、AIMモデルで475ppmに持っていかなければならん、非常に印象的なんですが、来月早々にはとりあえず全国のG8サミットで温暖化問題が大きなテーマになるわけですが、そこでこの2度の問題。2度という温度につきましては先ほどのご説明のようにEUの首脳、これはEUの基本方針として動かない非常に重要な方針ですが、ここでも同じような結論が出ている。そうすると、せっかくこれだけのものを出された2度C以下云々というのは、日本の環境省はいいでしょうか、経産省含めて全体ではどのような位置づけになっているのか。
 そしてなおかつ、これはG8サミットでせっかく欧州でやっていて非常に難航しておる、温暖化問題は難しいようですが、2度Cのような部分はいろいろな宣言を含めて、今いろいろな修文なりしていると思うんですが、入ってくるのか。その際それはどうかという状況と、もう一つ今申し上げたように日本の政府も一枚岩になって2度Cということを主張し得るのか、できないのか、あるいはするのであればどうするのか、その辺を現状一番新しいところをお話しいただきたいと思います。
 以上です。

○須藤部会長 どうもありがとうございます。服部委員、どうぞ。

○服部委員 今桝井委員からお話をいただいたのでほとんど重なってしまうんですけれども、この要旨のところには2度Cというのは今後の検討の出発点ということなので、現状の知見でいろいろな確実性を取り入れた上で一つの試算結果であるというふうに理解をしておるんですけれども、これを国際的な場で日本国として提案するということになりますと、やはり関係省庁と十分議論を調整していただいて、その上で日本政府としてのこれまで言われてきております環境と経済の両立という原則を踏まえながら、どういう形になるのかというところを十分調整していただいて、政府としての基本方針という形でまとめていただくことを要望したいと思っております。
 以上でございます。

○須藤部会長 どうもありがとうございます。
 それでは大塚委員、どうぞ。

○大塚委員 簡単に2点申し上げたいと思います。
 第1に、長期目標をめぐってという第2次中間報告がまとめられたことは非常に意義が深いと思っております。我が国の方からどこまでの目標を立てるのかということについて一つの案ではあると思いますけれども、打ち出したということは非常に意義深いと思っておりまして、ぜひ続けて検討していっていただければと思います。
 もう一つは、自主的な排出枠取引についてでございますが、21%とか692円とかなかなかいい数字が出ていて、大変関係者の方々のご努力が実っていると思っております。
 ただ、34社というのはまだ少ないところもございますので、ぜひ今後これについても拡充をしていっていただければと考えております。
 以上でございます。

○須藤部会長 どうもありがとうございます。
 それでは浅岡委員、どうぞ。

○浅岡委員 今報告いただいた今後の国際的対応についての第2次中間報告というのは大変コンパクトで要点が整理をされていて、一般の国民の立場からも温暖化問題の深刻さといいますか、問題の重要性も非常にわかりやすくなっていると思います。こうした貴重な資料が多くの国民のまず共有されるものになるための広報、方法というのをさらに環境省ではとっていただきたいと思いますが、この内容がとてもインパクトで、海外のアメリカ、ヨーロッパ等を含めましても私どもも聞きます報告内容とほぼ共通した科学者の意見だと感じます。
 この温暖化問題は大変だけれども、何としても解決をしなければならない、しないわけにはいかないということもよくわかるわけでありまして、そのためには何をどう解決すべきかという長期的な目標がなければどこに向かって進むのかがわからない。そういう意味で早くこうした長期的な目標を日本としての共通のものといいますか、日本の意見、方針というふうにならないといけないと思うんですが、科学者たちが出していらっしゃるんでしょうか、先生の意見でも科学のみによって決定されるものではなくとありますが、科学が示しているところを無視をするというような方針がとり得ない領域のことでありますので、早く政府内の協議をしていただいて、こうした共通認識を政府内共通のものにする手続が本当に急がれると思います。EUは既に出ているわけですし、先ほどありましたG8のサミットで、では小泉首相はこの問題にどう発言するのかと。日々こうした6月も大変な高温が続いていたり、乾燥が続いていたりする中で京都議定書の目標達成計画をつくったんだといっても本当にどの方向に、これはこうしていこうというリーダーシップがとれないようでは困るわけでありまして、ぜひともG8のサミットで、日本もこういう考え方でいくのだという発言を少なくともしていただけるように緊急に政府内調整をしていただきたいと思います。先ほど発言を聞く限りにおいては、これは一つの意見のようなとらえ方もあるようでありますので、急いでいただきたいと思います。
 その目標は温度もそうでありますし、そこに至るための排出の削減のシナリオというものを両方において我々が共通の目標を持たないと取り組みにもならないわけですし、今回のものはまだまとめとしては中途であると思います。世界全体でこのような目標シナリオが気候の安定には必要だということをお示しいただいていますが、では日本はどういう目標を持つのか、2度C未満のため日本の削減のシナリオをどのように設定していくのか、目標をどうするのかということについてまだ一言の言及もないように見受けられます。急いでこの点についても世界途上国との関係、国々との関係等も見つつ、ヨーロッパの国々でそれぞれの国の削減目標をもう既に示しているわけでありまして、シナリオ、そうしたものを日本も早く持たないと、今後の2013年以降の交渉においてリーダーシップを発揮すると言っておられることは繰り返されるんですけれども、目標、そうした大幅な削減をやむなしであることにどう対応するのかという目標なくしてリーダーシップを発揮するというのがそうした国際的な削減目標交渉をむしろ妨げることになることにリーダーシップを発揮するということすらも懸念されるわけでありますので、急いでいただきたいと思います。

○須藤部会長 どうもありがとうございました。
 やはり最初に西岡委員長から、2度というところへの科学的根拠あるいは周囲の海外との合意の部分、それから水野室長がよろしいですか、それとも清水課長がよろしいのか、特に国際的な場でどうこの目標をアピールしていくかというような部分のところはお役所の側の方でご説明いただければ。では、お願いいたします。

○西岡委員 それでは手短に申し上げます。
 幾つかご質問をいただきました。まず、2度Cということ全般の話ですけれども、今までIPCCでは数えてみると第3次報告書だけでも6,300ぐらいのインパクトに関する研究がありまして、それをベースにしてこういったどこのあたりが危ないかというのは今集約をし始めたところです。我々日本でもやりながら大体このあたりという結論を出したということを先に申し上げておきます。
 まず最初に横山委員のクエスチョン1ですけれども、EUも2度Cをやっているときにどういうベースになっているのかと、これについては原沢委員が一番ご専門でございますが、私の理解ではEUの2度Cにおけるベースというのはどれを見ても余りはっきりしないところがあります。ある者は今からという話をして、ある者は工業化以降という話をしたりしまして、その辺非常に声明を見る限りではわからないところがあります。しかしながら、研究としてはその両方がされておるということを申し上げます。
 それから、AIMでの結果というのは受け入れられつつあるかということになりますが、大体今研究者の全体の流れとしては、やはりこういう論理で持っていくというのはいいだろうということになりまして、みんないろいろとちょっとずつ違ったモデルを使ってやっておりますので幾つかの幅がございますけれども、大体これでこのあたりに収斂しております。最近は、今気候変動のモデルの不確実性を入れて確率をこれに掛け合わせるともう少し厳しい目標を予防原則から設定しなければいけないというような論も出ておりまして、そのとき例えば二酸化炭素で500ppmとか480というような数字が出たりしております。
 それから、及川先生の方から475ppmというのはグリーンハウスガス全体の話かということかと思います。これは報告書の18ページに我々、このモデルではどういうものを含めたかというのがございます。中身といたしましては6種類のいわゆる京都ガスと言われているもののほかに、対流圏オゾン、あるいはエアロゾルといったクーリングの方にきくものも全部入れております。
 しかしながら削減のパスから言いますと、結局一番コストの安いものからどんどん減らしていくということになりますので、かなりこの線というのは二酸化炭素ともかなり一致する状況になっています。詳しくはもう少しお話ししなければいけないんですけれども。
 ですから答えといたしましては、すべてのほとんどのガスを対象にした計算になっているということであります。
 天野先生の方から、2度Cというのは漸近線のというような感じで設定されるのかという話がございました。これについては、オーバーシュートという考え方がございまして、一遍行き過ぎてからもとへ戻してはどうかということで、こういったことの計算をやっている例もあります。日本では幸いにして、地球シミュレータ等を使ってこの計算をやりまして、現在IPCCでもそれを取り上げるという状況に多分なると思いますけれども、結論としましてオーバーシュートをしてやったときにはなかなかもとに戻るのに、要するに地球の持っているヒステリシスといいましょうか、もとへ同じ道では戻らないということがあらわれているということがございまして、やはりオーバーシュートはちょっと望ましくないなというのが今の結論になっております。
 それからレベル、温度の高さ2度Cという話だけではなくて、大体早さも問題ではないかとございます。例えば珊瑚礁の成長に対する影響というのは珊瑚礁が伸びる早さと海水面上昇、温度の上昇と水重の問題がございまして、確かにスピードの問題があります。最近は10年間で0.1度という数字が出ています。10年ぐらい前は0.2度ということで我々もやったことがございますけれども、そういったことでスピードのリミットとレベルのリミットの中でどういうぐあいに我々が排出していくかということで、これはヨーロッパなどではトラブルウインドウ、耐え得る窓とか、それからセーフティコリドーということで安全経路とかいろいろな言い方をやっている。我々も似たような計算をやっておりますけれども、両方の指標が要るだろうと。ほかにももっと指標があるのかもしれません。
 それからアブラプトチェンジがございまして、米国などはむしろアブラプトチェンジに対応すべきだということを科学アカデミーとともに言っておりまして、ノルドハウスなんかもこれで懸命にやっているわけですが、これにつきましてはまだいろいろと論があります。今おっしゃったように3度ぐらいでどうなるかという確率が非常に高くなるという話。それから最近のイギリスでの2月の会議はその確率がかなり大きくなってきたという報告はあったように思われます。これにつきましても、先ほどの地球シミュレータを用いた研究が日本でもやられております。
 結果としては、一たんそういうとまったりする現象というのは、今天野委員がおっしゃったようにそんなにアブラプトということでなくて、むしろシステムが変わるという意味で非常にアブラプトというよりも、昔はサプライズと言っていたわけですけれども、そういった問題ととらえていまして、そしてそれが幾つか続いてもとに濃度が下がればまたすぐに追従するという結果も出つつあったり、まだちょっと混乱しているところがあります。
 これについてはまだまだ研究が要るかと思います。日本の研究と言えるかどうかわかりませんが、真鍋先生の研究はこれの先駆をいっているものでございまして、彼も100年間まだこの調子だと起こらないかもしれないけれども、起こることは確かだということを言ったわけであります。
 それから桝井委員の方から、この2度Cというものを、あるいは服部委員の方からもこういったものを政策の目標としていくかということにつきましては、私の方の専門委員会の問題というよりも、今後交渉に当たられる政策決定者、あるいはこの審議会の問題ではないかと思っております。
 ただ、私たちが科学的な知見から言えることは、ここで本当に申し上げたとおりでございまして、もっともっと細かいのは幾らでも出せますけれども、それでもって判断していただきたい。
 それから最後に浅岡委員のおっしゃったように、結局我々がこういったことを出しましたゆえんは、日本がそうしたら自分たちがどういう形で対応できるかということを次の技術的なシナリオも含めていろいろなそこに到達できるシナリオを含めてしっかり腹を持って交渉に当たると交渉もうまくいくのではないかなということで出しておりまして、これからさらにシナリオの方に向けて研究を進めていく必要があると考えております。
 以上です。

○須藤部会長 どうも要領よく説明いただきまして、ありがとうございました。
 それでは:国際的な方の対応の部分をお願いいたします。

○水野国際対策室長 それでは行政的な観点から少しコメントをさせていただきます。
 まず長期目標に関しまして、社会的な合意を得る必要があるということでその努力が重要ということで何人かの先生方にご指摘をいただいたのはまことにそのとおりだというふうに思っております。
 その観点からも、まずはこの長期目標に関して最初の知見でどのような科学的に言えるのかということを整理しておく必要があるということでまさに今回この第2次中間報告をまとめていただいたということでございます。
 この中間報告にございますようにこの2度というのが現段階での議論の出発点になるという結論をいただいて、その上でただしこの長期目標というのは科学だけで決めるべきものではなくて、社会的な合意が必要ということで国内での議論、あるいは国際社会への合意形成へ向けた努力というのをすべきというご指摘をいただいておりますので、これは我々に課せられた大変重要な課題であるというふうに認識をしております。したがいまして、今後この中間報告の成果を踏まえてそうした努力を具体的な議論の場を設けるのを通じてぜひ積極的に取り組んでいきたいというふうに思っております。

○須藤部会長 ありがとうございました。
 清水課長の方、よろしいですか、よろしいですね。
 だれかまだありますか。
 そうしたら、先ほど申し上げましたようにその他の問題として3つの報告をお願いしたいと思います。盛山課長、荒井課長、それから宇仁菅室長、3人それぞれ2分間ずつお願いいたします。

○盛山総務課長 手短にご説明します。
 資料4-1でございますが、エコアジア、第13回のアジア太平洋環境会議でございます。6月4、5日と長良川の国際会議場で開催されました。毎年開いてもう13回ということで大変和やかな、和気あいあいとした雰囲気でいい会議だったのではないかと思います。
 5.成果のところにも書いてありますように2001年のエコアジアで開始されましたAPFEDについての報告、提言についてご支持を受けまして第2フェーズを進めるというようなことで議論がまとまりました。
 簡単でございますが、以上でございます。

○須藤部会長 ありがとうございます。
 それでは、続いてください。

○荒井環境保全対策課長 お手元の資料4-2をご覧ください。環境保全対策課長の荒井でございます。
 廃棄物の海洋投棄の規制を強化するロンドン条約の1996年議定書の締結に向けてでございますけれども、一昨年の12月に本審議会でご審議、答申をいただきました。それをもとに昨年5月に海洋汚染防止法を改正をしたわけでございますけれども、この改正法を施行するために2つの政令が6月10日に公布をされています。
 1つは施行期日を定める政令でございまして、平成19年4月1日から改正法が施行されることになりました。2つ目が法律の施行に当たりまして、規制基準等の設定等を行う政令でございます。
 この内容につきましては2の[2]のところをご覧いただきますと、海域において排出することのできる水底土砂の基準を設定してございます。
 一番下の注でございますけれども、水底土砂は、港湾の浚渫工事などで発生する土砂でございまして、有害物質を含むものについて海域への排出を禁止する等の措置を政令で決めてございます。このほか、技術的な点をあわせて設定をしてございます。
 実際の運用にさらに細かい点、投棄におきます環境影響評価等のための技術的な事項につきましては、現在省令、ガイドラインを詰めてございまして、近々公布する予定にしてございます。
 また、ロンドン条約96年議定書の締結の状況でございますが、発効に必要なのは26カ国でございますけれども、現在21カ国が締結をしておりまして、我が国としても早期の締結に向けて関係省庁と協力をいたしまして早期の対応を図っているところでございます。
 次のページに改正法の概要等がございますが、後ほどごらんいただければ幸いでございます。
 以上でございます。

○須藤部会長 どうもありがとうございました。
 では続いて宇仁菅室長、どうぞお願いします。

○宇仁菅フロン対策室長 資料4-3でございますが、フロン対策の現状と課題について説明をさせていただきます。
 全般的な状況でございますが、2つ目の○にありますように平成13年6月にフロン回収破壊法が制定されまして、主要な用途の一つであります業務用の冷凍空調機器につきましてフロンの回収破壊が義務づけられたところでございます。しかしながら残念ながら回収が低調な状況で推移しているということで、推定の回収率ですが、3割程度というようなことでございます。
 それからカーエアコンにつきましては、ことしの1月から自動車リサイクル法に基づきまして自動車全体のリサイクルとともにフロンの回収破壊が実施されております。
 それから京都議定書の目標達成計画におきましても、フロン類の一つであるハイドロフルオロカーボンですけれども、業務用の機器からの回収破壊について制度面の抜本的見直しを含めた回収率向上対策を講ずるということが盛り込まれまして、回収率も60%を目指すということになったわけでございます。こうしたことで平成16年度になりますが、フロン回収推進方策検討会を設置いたしました。この部会の委員でもあります富永先生に座長をしていただきまして、さらに当部会の大塚委員、浦野委員、小林委員にも参画をしていただきまして、いろいろとご指導いただいてありがとうございました。
 この報告書におきまして今後の検討の基礎資料を取りまとめていただきまして、本年5月に公表したということでございます。
 2.のところからはフロン類回収の現状ということで書いておりますが、説明を省略させていただきます。
 3番の方には業務用の機器からの回収における問題点を整理して挙げておりまして、廃棄者がフロン類の引き渡し義務を実施していないといったことですとか、その他何点かの問題点を指摘しております。
 飛びますが、4番の今後の課題として、報告書にも幾つかの回収を推進するための方策ということで具体的な措置を挙げております。それとともに検討課題も示されております。こういったことを踏まえまして、私どもとしましては関係省とも連携しつつ、今後この業務用の機器からの回収を推進する方策の具体化について検討を進めていくことにしております。
 その他いろいろ参考資料もつけておりますので、またご覧いただければと思います。
 以上簡単でございますけれども、終わらせていただきます。

○須藤部会長 どうもご説明ありがとうございました。
 それではただいまの3つの報告について何かご質問ございましたらどうぞ。
 よろしゅうございますか。もしかしたらご質問あるんでしょうが、遠慮していただいたかもしれません。
 それでは大分予定した時間を過ぎております。本日の議事録につきましては事務局の方で取りまとめた上で後日、委員の皆様に案を送らせていただきます。
 これをもちまして本日の部会を終了したいと思います。どうもありがとうございました。

午後 6時20分 閉会