中央環境審議会地球環境部会(第26回)議事録
1.日時
平成17年2月3日(金) 午後3時00分~午後6時00分
2.場所
フロラシオン青山 2階 芙蓉の間
3.出席委員
(部会長) | 須藤 隆一 | |
(委員) | 浅岡 美恵 | 佐和 隆光 |
鈴木 基之 | 桝井 成夫 | |
桝本 晃章 | 和気 洋子 | |
(臨時委員) | 青木 保之 | 浅野 直人 |
飯田 哲也 | 飯田 浩史 | |
太田 勝敏 | 川上 隆朗 | |
久保田 泰雄 | 小林 悦夫 | |
塩田 澄夫 | 大聖 泰弘 | |
高橋 一生 | 富永 健 | |
永里 善彦 | 馬場 久萬男 | |
平尾 隆 | 福川 伸次 | |
三橋 規宏 | 安原 正 | |
山口 公生 | 横山 裕道 |
4.議題
- 地球温暖化対策を巡る最近の状況について
- 地球温暖化対策推進大綱の評価・見直し(検討案)について
5.配付資料
座席表
委員名簿
中央環境審議会令
資料1 | 気候変動枠組条約第10回締約国会議(COP10)について |
資料2 | 温暖化対策税制とこれに関連する施策についての検討状況 |
資料3 | 地球温暖化対策推進大綱の評価・見直しについて(検討案) |
参考資料1 | EU域内排出量取引制度(EU-ETS)の開始について |
参考資料2 | 温暖化対策税制とこれに関連する施策に関する論点についての取りまとめ(総合政策・地球環境合同部会施策総合企画小委員会報告) |
参考資料3 | アジア太平洋環境開発フォーラム(APFED)について |
京都議定書発効! ~世界からのメッセージ~ 開催と参加者募集のお知らせ
環境文明21 事業所における温暖化対策についてのアンケート集計結果<速報>について(飯田哲也委員提出資料)
6.議事
午後3時00分 開会
○盛山総務課長 それでは、定刻となっておりますので、ただいまから中央環境審議会地球環境部会の第26回会合を開催いたします。
全委員中、今のところ18名の委員の方が出席されておられます。まだ過半数には達しておりませんけれども、お見えになるというようなお話を伺っておるものでございますので、部会として成立する過半数は間違いなく超すことになろうかと思っております。
中央環境審議会の委員におかれましては、今般、1月5日の任期満了に伴いまして新たな任免がございました。これに伴いまして、地球環境部会長には中央環境審議会令第6条第3項の規定に基づきまして、鈴木新会長の御指名によりまして須藤隆一委員が部会長として御就任されました。
また、浅野部会長におかれましては、これまで長い期間にわたりまして部会長の重責を全うしていただきまして、まことにありがとうございました。この場をお借りしまして厚く御礼を申し上げさせていただきます。
また、地球環境部会所属の委員の方々につきましては、お手元の委員名簿にありますとおり、中央環境審議会令第6条第2項の規定に基づきまして会長から指名をされております。
新たに所属委員となられました委員のうち、本日御出席の委員を御紹介させていただきます。馬場委員が今回御出席されておりますので、馬場委員、御紹介させていただきます。
それでは、これからの進行は須藤部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○須藤部会長 かしこまりました。皆さん、こんにちは。本日は御多用の中を、また御遠方の中お集まりをいただきまして、まことにありがとうございます。また、傍聴の方々もたくさんおいでいただきましたことを厚くお礼を申し上げます。
ただいま御紹介いただきましたように、鈴木会長から前回の総会におきまして地球環境部会長をという指名をいただきました。大変戸惑いがあったわけでございますが、指名を受けて、嫌ですということもなかなか申し上げられませんでしたので、お引き受けするということになったわけでございます。大変重責であるということを自覚いたしておりますので、皆様の御協力をいただいて、何とか所期の目的を達成するよう努力したいと思いますので、よろしく御支援をいただきたいと思います。
今までの議論の中で、京都議定書が2月16日に発効して、速やかに目標達成計画を立てるということは伺っているわけでございまして、現在、我々が議論しております地球温暖化対策推進大綱の評価・見直し、それ自身がそのまま目標達成計画の方に移行するというふうに伺っているわけでございます。何としてでも国民の総力を挙げて、この-6%ということを達成すべく計画を策定しなければならないということで、一層の先生方のお力添えをお願いしたいと思うわけでございます。
そういう中で、最初でございますので、議事の進行について2つほど私はお願いをしておきたいと思います。
1つは、やはりいろいろなお立場がありますし、いろいろな考え方があるのは、今までの議論で十分出尽くしているかと思いますが、こういう議論をしていく中で、信頼と協調のきずなを築いていくということが大切だろうと思います。ややもすると各分野の押しつけ合いというようなこともなくはないと思いますので、40名委員がいらっしゃいますが、信頼と協調のきずなをもって目的を達成するように、議論を活発にしていただきたいと思います。
2番目は、やはり40名の委員がこの一つの場で議論をするという中で、3時間という限られた時間でございます。今日も事務局に用意された質問時間の合計をとってみますと、大体そのうちの2時間、120分でございます。120分で40人の方に御議論をいただくということは1人で3分ということで、それはお答えも入れてということになるわけでございますので、お一人お一人の持ち時間というのは、もし全員が発言をいただくならば限られているということでございます。是非御発言のときには要領よく簡潔に、何が要点であるかというのをお示しいただきたいし、お答えする方も、何を答えるべきかということを十分考えて議事進行にも御協力いただきたい。やはり長々やればいいというものじゃありませんので、3時間を大幅に延ばすということは慎まなければいけないと思いますので、もしかしたら私が強引に途中で発言を切らせていただくというようなこともあるかもしれません。そういうときにはどうぞお許しをいただいきたいと思います。
以上2点をお願いをして、私の就任といいますか、新たに部会長に指名されましたので、是非皆様にあらかじめお願いをして、これから議論を進めたいと思います。
それでは、私の最初の仕事でございますが、審議会の規則、審議会令第6条第5項によりまして、部会長は、あらかじめ部会長代理を指名するとされております。つきましては、本部会の部会長代理を浅野委員にお願いしたいと思います。浅野委員、どうぞお願いをしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、浅野委員から御挨拶をいただきたいと思います。
○浅野委員 座ったままで失礼いたします。予定の時間を過ぎておりますので、簡潔に御挨拶申し上げます。
とにかく、これまで本当にありがとうございました。時間の制約もあり私も大分強引に議事進行をさせていただきました。新部会長も同じようなお立場だとおもわれますが、状況・事情は皆さんよくおわかりのことと思いますので、今後とも新部会長に対してよろしく御協力をお願いしたいと存じます。
○須藤部会長 どうもありがとうございました。次回からはこちらにお席を用意させていただきます。大変今日は失礼いたしております。
それでは、早速議事に入らせていただきます。
まず議題でございますが、お手元にあるとおり2つございますので、最初に事務局から資料の確認をお願いをいたします。事務局、どうぞ。
○事務局 議事次第、それから本部会の座席表、それから2月3日現在の委員名簿、それから中央環境審議会令。
資料1でございますが、12月に行われましたCOP10について、資料2が「温暖化対策税制とこれに関連する施策の検討状況について」、資料3が「地球温暖化対策推進大綱の評価・見直しについて(検討案)」。
参考資料1がEU-ETSの開始について、参考資料2が12月に取りまとめいただきました施策総合企画小委員会の「温暖化対策税制とこれに関連する施策に関する論点についての取りまとめ」について、参考資料3が「アジア太平洋環境開発フォーラムについて」。それから、資料番号がございませんが、2月16日に京都の国際会館で開催予定の議定書発効記念行事について、それから、飯田哲也委員から提出いただきました「環境文明21 事業所における温暖化対策についてのアンケート集計結果<速報>について」でございます。
資料の不足等がございましたら、事務局までお教えいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○須藤部会長 よろしゅうございましょうか。
それでは、最初の議題、地球温暖化対策をめぐる最近の状況についてでございます。清水課長、どうぞ御説明を願います。
○清水地球温暖化対策課長 温暖化対策課長の清水です。引き続きよろしくお願いいたします。
それでは、議題1の中の前半でございますが、資料1を使いまして気候変動枠組条約の第10回締約国会合、いわゆるCOP10についての状況を御報告したいと思います。
資料1でございますが、この全体の概要に書いてございますように、COP10は昨年の12月6日から17日まで、実際は1日徹夜で議論して延長して、18日の午前中ということまであったわけでありますけれども、2週間にわたり、アルゼンチンのブエノスアイレスで開催されました。会議には、我が国からは小池環境大臣、高野副大臣を始めとする代表団で参加しております。小池大臣はアメリカ、英国、中国を始め、いわゆる2国間会談を行い、あるいは高野副大臣も2国間会談を行い意見交換をするとともに、今後の状況、今後の温暖化対策についての調整をしてまいったわけであります。
特に4のところに書いてありますが、次回のCOP11、これは今年の11月7日から18日ということが決まっております。これは、いわゆる京都議定書の第1回締約国会議(MOP1)を兼ねて、COP/MOP1という形で行われるわけであります。現在、この開催国はまだ決まっておりませんで、今年の前半に調整すると、そういうことになっております。
主な成果ということに入ってまいりますが、COP10という名が示すとおり、条約発効10周年という節目を迎えるような、そういう会議であったということであります。かつ、京都議定書が発効するということも明らかになったということでありますので、両方の意味で盛り上がった締約国会議だったというふうに考えております。
四角の中でありますが、1のところに「京都議定書の発効を歓迎し、各締約国が排出削減約束の確実な達成を確認」というふうに書いてありますが、この1の部分が、まず第1約束期間にかかわる問題でありました。この(1)のところに書いてありますように、議定書発効が大いに歓迎されたというようなこと。それから、議定書実施に向けた体制や制度の整備ということで、さまざまな運用の面での更新点、例えば京都メカニズムの運用細則、省エネなどについての促進とか、幾つかの合意がなされまして、これは我が国が約束達成をするに当たり大変有用な合意も含まれているということであります。
それから、次のページ、(2)というところになります。特に日本としましては、小池大臣が2月15日からのパネルディスカッション、これは大臣のハイレベルのセッションでありましたが、そこに出席いたしまして、日本として6%約束の達成は容易でないものの、環境と経済を両立しつつ、着実にこれを実現していくんだという強い決意を表明いたしました。
それから、特に小池大臣と条約事務局のウォーラーハンター事務局長の会談などを行いまして、今年2月16日、これは京都議定書の発効の日になるわけでありますが、この発効の日に京都議定書の生まれた京都の国際会議場におきましてイベントを開催しようと、事務局と一緒になって、あるいは主要各国が参加しながら、こういったイベントを開催することを決定いたしました。今日の資料の後ろの方にもついておりますし、それから、中環審の委員の皆様方には既に案内状を発送してあると思いますので、もし時間があれば、是非御参加いただければというふうに思います。
それから、2のところで「将来の行動に向けて、情報交換を通じた取組の開始を決定」ということでありますが、これは2013年以降のポスト京都に向けてだんだん物事が動きつつあるという、そういう御報告であります。ポスト京都議定書(2013年以降)の約束についての交渉が2005年末までに始まるということが、これは京都議定書の中に書かれているわけでありますけれども、こういったことを踏まえまして、中・長期的な将来の行動に向けて情報交換を行うということで、政府の専門家セミナーを開催するということになりました。我が国は、このセミナーの開催というのを支持しておりまして、それが今回の決定につながっているということであります。それから、(3)のところにありますように、米国、中国、イギリスなどと2国間会談を行いながら、今後の協調した体制について議論を進めております。
それから、3番目のところに「気候変動枠組条約の着実な実施のための協力を推進」というふうにありますが、特に途上国をいかに巻き込んでいくかというような観点からも、途上国支援の問題が大きな議論としてあるわけです。今回はアルゼンチンという途上国で開催されたということもあり、途上国の関心の強い適応策についての議論が盛り上がりました。今回、ブエノスアイレス作業計画というような決定がなされておりますが、その中で、適応策に関して「5カ年作業計画」を今後作っていこうというようなことが決まっております。これは具体的には下部委員会であるSBSTAとか、そういう条約事務局、締約国会議の下の組織で今後議論していくことになろうかというふうに思っております。
こういうことが今回のCOP10の内容でございます。
次のページにIIの個別議題の議論ということがありますが、ここは大分細かくなりますので、省略させていただければというふうに思います。
私からの報告は以上です。
○須藤部会長 どうも御説明ありがとうございました。
ただいまのCOP10について、何か御意見というより御質問はございますでしょうか。先に予約を、浅野前部会長と同じように札を立てていただきましょうか。ありますでしょうか。横山先生、ほかはよろしゅうございますか。
それでは、横山委員から札が上がっていますので、横山委員、どうぞお願いいたします。
○横山委員 1カ月以上も前のことで、今さら質問するのもちょっと気が引けるんですが、1点どうしてもお尋ねしておきたいことがあります。COP10の報告では全然出なかったんですが、環境省と経産省の対立というものがかなり露呈されたというふうに伝わっているわけで、COP10の周辺で環境省と経産省がそれぞれ全く異なる主張を展開していたというふうな内容だったと思います。それはある程度予想されたことですけれども、それでは、やはり日本は温暖化防止に向けてリーダーシップを果たすなんていうことはできないと思うんですね。そういう観点から、前もって両省、あるいは外務省を含めて、日本の対立を各国にさらすようなことをしないで何とかうまい方法がないのかとか、そういう議論はなさらなかったのか。このまま続くと、これから議論になる京都議定書達成目標計画の策定なんかにも大きな影響が出てくるんではないかと思います。
先ほど部会長が、信頼と協調のきずなを築いていくということで、私も全くそれは賛成なんですが、ここで幾ら信頼と協調のきずなを築いても、政府間がそういう状況では全然意味のないことになるような気がするので、その辺のところをちょっと答えていただければありがたいです。
○須藤部会長 じゃ、これは清水課長、どうぞ。
○清水地球温暖化対策課長 確かに一部報道で、両省の立場が違うんではないかというような議論もあったのは認識しております。ただ、私の認識では、この日本の主張というのは、これまで例えばそれぞれ各省の審議会で議論されたことは反映されているわけではありますけれども、例えばアメリカとか、ほか途上国などの議論に比べると大変協調されているといいますか、諸外国から見たときに日本の議論というのは、ばらばらというよりは相互補完的な面もあり、お互いに言っていることは、例えば京都議定書の交渉の枠組みの中で、どういう形で先進国、米国あるいは途上国を巻き込んでいくのかというところの、そういう基本的哲学においては変わりないというふうに思っております。
それから、現地の場でも、この中央環境審議会の専門委員会、特に国際戦略の方の報告書、あるいはこの部会の方でも中間取りまとめなりをいただいておりますけれども、そういった考え方について、政府内で特段飛びはねた議論があって対立の構造の中でやっているというよりは、むしろ諸外国から見た場合には、方法論の差はあれ、かなり協調した姿勢で国際交渉に当たっているというふうに認識されているのではないかというふうに思っております。
○須藤部会長 どうもありがとうございました。横山委員、よろしゅうございますか。
では、桝本委員、どうぞ。
○桝本委員 今の横山さんのお話に関係して、これはお願いでございます。私も何回か外野席でCOPの場を拝見してきておりますが、何が行われているのか非常にわかりにくい。恐らくプレスの皆さんで取材にいらっしゃった方々も、プレスセンターにいらっしゃるほか、いろいろ取材はされるわけですが、記者の皆さんにどういうブリーフをするかが、実はこれは決め手だと私は思います。そういう意味で横山委員も大ジャーナリストでいらっしゃるわけで、政府は、環境省、経産省、あるいは外務省を伴って、日本にどういうことを伝えるかということを考えて、新聞の皆様に的確なブリーフを頻繁に丁寧におやりいただくことを是非私はおやりいただいたらいかがかと思います。問題もきっとあるわけですが、もっと大事な基本的なところで日本の国民に伝えていくべきことがあろうかと思いますので、是非今日、この場で清水課長ほか環境省の皆様に、外務省、経産省ともども共同して、しっかり丁寧にブリーフすることをお願い申し上げます。
○須藤部会長 ありがとうございました。それは当然だと思います。一応こういう御意見ですので、受けとめていただきたいと思います。
それでは、三橋先生、どうぞお願いいたします。
○三橋委員 COP10で、アメリカは引き続き中心だったろうと思うんです。アメリカがどういうような態度をとったかというのは、もちろん一部報道されていますけれども、実際にその感じを知りたいのと、それから、途上国で言えば中国、あるいはインドというような、将来大きな排出国に発展してくるような国がどういう態度を第1約束期間以降とろうとしているのか。この辺について、アメリカ、中国、インド、このあたりの動向について、ちょっと解説していただきたいと思います。
○清水地球温暖化対策課長 それでは、実際に交渉を担当した担当者の方から答えさせたいと思います。
○事務局 手短に御説明させていただきます。
アメリカですが、ドブリアンスキー国務次官が政府代表として出席しまして、COP10のパネルディスカッションで発言しております。それを紹介するのがアメリカのスタンスをよくあらわしているかと思いますが、5点ほど言っております。まず、アメリカは条約にはコミットしているということで、さまざまな貢献を行ってきて、経済成長を通じて気候変動に対応することが重要だというふうに言っております。それから、どの程度の温度上昇なら受けられるか。これは将来の枠組みに関係した話ですが、そういった科学的な定見はまだないので、もっと現実的な取組を進めていくべきだ。3点目が、各国がそれぞれに合ったアプローチで同じ目的を達成すべきであると言っております。4点目が、民間を巻き込んだような形の取組をしていくべきだ。それから5点目が、今後も化石燃料は消費され続けていくということで、即効薬はないので、より多くの選択肢が必要だという、こんな発言をしております。
それから、途上国ですが、途上国の中でも代表的な中国、インド、それから小島嶼国を紹介させていただきますと、中国は特に今御指摘のありました将来の枠組みに関して、条約に基づいて共通だが差異のある責任の原則を踏まえて、それを交渉のベースにするべきだと言っておりまして、そのほかにも持続可能な開発の枠組みというのが重要だということ。それから、温室効果ガス削減とともに適応のバランスが必要だということ。それから、特に先進国から途上国への技術移転、それが実際に行われることが必要だということを言っております。インドに関しましては、先進国がまず京都議定書の約束を達成して、さらにその後も排出削減を進めることが重要だということを言っております。また、途上国に関しては、先進国から技術を移転することが重要だという言い方をしております。また、小島嶼国を代表しましてキリバスの大臣が、京都議定書の後につきましては、先進国が排出削減を進めるとともに、途上国も排出削減の何らかのコミットが必要だという、こんな発言をしております。
それから、アメリカに関しまして、小池大臣がドブリアンスキー次官とバイ会談を行っておりまして、そこで改めて京都議定書への参加を呼びかけております。
○須藤部会長 それでは、続いて高橋委員、お願いいたします。
この1の議題の今の部分、資料1についてはこの程度にさせていただきますので、最後に高橋委員ということにさせていただきます。
○高橋委員 ありがとうございます。
この種の会議ですと、時に会議そのものよりもバイの話し合い、それからサイドイベント、そういうのが大事になることがあると思いますが、今、バイの方のお話を伺ったんですが、今後のことを考えるに際して、サイドイベントで特に重要と思われるようなことはあったのかどうか。そのあたりのことをお教えいただけたらと思います。
○須藤部会長 では、続いてお答えください。
○事務局 サイドイベントも活発でありまして、特に日本関係ですとIGESの方で、将来の枠組みがどうあるべきか、京都議定書の目標をいかに達成していくべきかというサイドイベントが開かれたり、あるいはアジア地域でのエネルギー協力ですとか、それから特に注目を集めましたのが、日本の地球シミュレータの実績等です。そのほか、CDM等をテーマにしたサイドイベントも活発に開かれておりました。
○須藤部会長 どうもありがとうございました。
まだおありかもしれませんが、引き続き議題1に入るわけでございますが、環境税に関する検討状況につきまして鎌形環境経済課長から御説明を願います。よろしくどうぞ。
○鎌形環境経済課長 環境経済課長の鎌形でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、資料2に基づきまして御説明いたします。
温暖化対策税制、環境税につきまして、昨年は温暖化対策を進めると、そういう議論の文脈の中でさまざまな場で議論が行われました。この中央環境審議会を始め、政府税調、与党の税制調査会、そういうところでの議論が行われました。その点につきましての御報告でございます。
資料2の1でございますけれども、中央環境審議会の施策総合企画小委員会における検討状況ということでございます。この地球環境部会と、それから総合政策部会の合同部会のもとに、一昨年、平成15年12月に施策総合企画小委員会が設けられまして議論が進められてまいりました。17回の審議、それから2回の地方ヒアリングを重ねてきたということでございます。この間、昨年の8月には「温暖化対策税制とこれに関連する施策に関する中間取りまとめ」が公表されまして、温暖化対策税制を「有力な追加的施策」としての位置づけをしてございます。それから、昨年12月には「温暖化対策税制とこれに関連する施策に関する論点についての取りまとめ」をおまとめいただき、公表をいたしました。これにつきましては、参考資料の2ということで、この場に配付させていただいております。この取りまとめにおきましては、温暖化対策税制と他の施策との比較、経済影響、課税段階、軽減方策、効果、税収の使途、既存エネルギー関係諸税との関係と、そういった温暖化対策税制、環境税を検討するに当たっての重要な論点について、これまでの議論の整理を行っていただいたというものでございます。
以上が中環審関係でございますが、2で、政府税制調査会及び与党における検討ということでございます。昨年の11月には環境省から環境税の具体案というものを公表させていただいたわけでございますけれども、こうしたことを受けまして、政府税制調査会においても環境税についての検討が行われました。11月25日には「平成17年度の税制改正に関する答申」というのがまとめられてございます。それから、自由民主党・公明党、与党におきましても検討が行われ、12月15日には「平成17年度税制改正大綱」という形でまとめられているということでございます。いずれにつきましても、平成17年度の環境税の導入ということではございませんけれども、早急に検討するということになってございます。
その中身につきまして、おめくりいただきまして、別紙の1、別紙の2というところで簡単に御説明いたします。
別紙の1、左側は政府税制調査会の答申でございます。個別税目の課題という中の地球温暖化問題への対応というところで取り上げられてございます。エッセンスでございますけれども、2つ目のパラグラフの中で、全体の温暖化対策の中で、環境税の位置づけは必ずしもまだ明らかではないとされた上で、今年の3月までに行われる「地球温暖化対策推進大綱」、これからは京都議定書目標達成計画の策定作業と、こういうことになるかと思いますが、そうした作業を通じ、京都議定書の目標達成を念頭に、環境税の果たすべき役割が具体的かつ定量的に検討されることが必要であると、こういう指摘になってございます。それで、少し飛びまして一番最後でございますが、今後、温暖化対策全体の議論の進展を踏まえ、環境税に関する多くの論点をできる限り早急に検討せねばならないと、こういう結論になってございます。
それから、右側、別紙の2でございます。与党の税制改正大綱でございます。検討事項という中で環境税関連の部分が述べられているということでございます。真ん中あたりからでございますけれども、「京都議定書の平成17年2月発効とそれに伴うわが国の責任を踏まえ」ということでございます。そして「地球温暖化対策推進大綱の評価、見直しにも考慮を払いつつ」ということになってございます。そして、最後の方でございますが、「あらゆる政策手法を総合的に検討した結果を受けて、いわゆる環境税については、必要に応じ、そのあるべき姿について早急に検討する」ということでございます。
いずれの答申、大綱も、温暖化対策全体の中での環境税の位置づけということを明らかにして、それを早急に検討していくということが共通した要請だというふうに受けとめてございます。
以上でございます。
○須藤部会長 どうも御説明ありがとうございました。
これにつきましても、今度は御質問、それから御意見も多分おありだと思いますので、両方含めてやらせていただきます。事務局からは、これを37分質問時間をとるようにということでございます。大体予定どおり進行しておりますので、その程度の時間で、先ほど申し上げましたように、ほかの先生方の部分も含めて御発言を……。どうぞ、御意見のある方は名札を立ててください。順番にいきますので。
よろしいですか。これはほかとの対策とのかかわりが極めて大きいので、評価の中でこの質問分を入れた方がよろしいようにも思います。ここだけ何か特化して議論するのも変なような気もするので、全体で見直し・評価の中でやらせていただくということで、次の議題の2の評価・見直しということの御説明をまず清水課長からいただいて、その後5分ほど休憩をとりたいと思います。
それでは、どうぞお願いいたします。
○清水地球温暖化対策課長 大分時間が早まりましたので、少し丁寧目に説明可能かなと思っております。
資料3という形で「地球温暖化対策推進大綱の評価・見直しについて(検討案)」というものを用意させていただきました。この資料自体は、この表紙に書いてありますように、昨年8月、地球環境部会におきまして中間取りまとめという形で取りまとめをしていただいたわけでありますが、その後、京都議定書の発効など、取りまとめ以降のいろいろな動きもございました。今の環境税などの議論もそういったことであります。それから、関係各省におきましていろいろな施策の熟度も高まってきております。そういった8月の中間取りまとめ以降の動きを踏まえまして修正加筆をした、そういう資料にしております。
ただ、これ、内容を後で御説明するとすぐわかるんでございますけれども、特に今回、排出量の推計であります現行対策ケース、あるいは対策強化ケースなど、これは実際のところは目標達成計画の目標値の議論につながる、そういう重要な計算でありますが、ここの数値に関する部分につきましては現在調整中で、関係省庁で少し最終な詰めを行っているということもありまして、本日はお出しできない形で資料を取りまとめております。したがいまして、今回これを取りまとめるというよりは、次回、それを含めてもう一回全体で議論していただくということでありますので、そういったものとして見ていただきたいというふうに思います。そのことが、この二重四角の中に書いてありまして、目標の達成に必要な対策やその量とか、対策を実施するために必要となる施策やその量については検証作業中でありますので、これは報告するということになりますから、それを踏まえて今後議論していただき、必要な修正を行うという、そういう前提のものだというふうに御理解いただきたいと思います。
それでは、目次をあけていただきまして見ますと、これはIの部分、それからIIの部分、IIIの部分というふうに分かれております。これは構成は前回と変えておりません。中間取りまとめにおきましても、このIのところは背景的な部分、「地球温暖化対策に関する基本的認識と日本の取組」、それから、IIが前半の部分でありまして「大綱の評価」というところ。それから、IIIが「大綱の見直し」という部分だったわけでありますけれども、今回、2月16日に京都議定書が発効するということが明らかになったため、「大綱の見直し」というよりは「大綱の見直しを踏まえた京都議定書目標達成計画の策定」ということで、「大綱の見直し」を踏まえて、それを「京都議定書目標達成計画の策定」につなげていくんだということをタイトルの面からも明らかにしているということがあります。
それから、この目次を見まして、項目的に実は2つほど、あるいは3つほど追加した部分があります。それは、IIの「大綱の評価」の中の2ポツの中の(7)、個々の主体による機器・設備・施設の対応から複数の主体による複合的・システム的に連携した対応への拡大というふうな、こういうタイトルとしておりますが、これは昨年来、実は内閣官房を中心にさまざまな議論を続けてきまして、個々の各省縦割りのばらばらの対策というよりは、むしろ各省が連携してシステム的に複合的に対応するような、そういう方向性というのが一つ重要な方向性としてあるのではないだろうかということが、事務方の議論でも非常に大きな議論になってきております。それを反映した形で1項目立てまして、そこを評価、あるいは今後の対策ということで議論していただきたいということであります。
そういう観点から、同じくIIIの今度は4ポツ、複数の主体による複合的・システム的に連携した対応に向けた対策・施策という項目、これが今お話しした2の(7)と同様の形で新たな項目として追加しているということであります。
それから、もう一つ、この6ポツの中の(4)温室効果ガスの総排出量が相当程度多い事業者の役割という項目を追加しております。これは、実は京都議定書目標達成計画という計画をつくるに当たりまして、その計画における地球温暖化対策推進法に基づく法定記載事項というのがありまして、それに対応するものであります。そういう観点から記述しているということで、これは法律の規定によって、そういうものが計画の中に入ってくるという部分であります。これは法律の規定の中で言いますと、後で御紹介しますが、自主行動の計画をどんどんつくりましょうというような、そういうような規定が今の温暖化対策推進法の中にもう既にあるわけでありまして、それを書くというような、そういう形になります。
以上が、目次の面で見ていただいて追加したところ、追加していないところということであります。
それでは、ページをめくっていただきまして本文に入ります。
1枚めくっていただきますと、1ページ目、Iの「地球温暖化対策に関する基本的認識と日本の取組」というところであります。
1ポツが地球温暖化に関する科学的知見ということであります。ここの部分につきましては、基本的には前回どおりでありますけれども、ただ、実は、この委員会のメンバーでもいらっしゃる西岡先生のもとに、この部会のもとに国際戦略専門委員会というものをつくりまして、議論していただきました。これは前回、12月のこの部会におきまして中間報告ということで御報告したところでありますが、その国際戦略専門委員会の中間報告の中で、少し科学的な議論についても深まったといいますか、まとめた部分がありますので、主に表という形になりますけれども、そこでまとまっている表などを追加しております。例えば1ページ目の表1などとか、あるいは2ページ目の表2などについては、見やすい形でいい表でありますので追加したという形です。
それから、2ページ目の後段のところで、地球温暖化問題がもたらす我が国への影響ということでありますが、この部分は新しい知見を含め書き直しているところであります。特に、この下の方の丸におきましては、先ほど地球シミュレータの話がCOPのサイドイベントでも注目を浴びたということがありましたけれども、その地球シミュレータの最新の研究成果についてここで紹介しているということで、ここの2ページ目の最後の丸などは、新たに追加されているところであります。
それから、3ページ目も、これも内容的には変えていませんが、図の1、これは西岡先生の作成なさった図であります。この部会でも使ったと思いますが、見やすくするという意味において追加しております。
それから、4ページ目の表3も、CO2濃度の安定化レベルと予測される影響ということで、この表なども追加しております。
それから、4ページ目の一番下のところの段落になりますが、最近特に、当面は排出量の増加を抑制しないで、将来革新技術が出てくれば、そこで大幅に削減すればいいではないかというような、いわゆるオーバーシューティングアプローチというようなことが議論されておりますので、そういうことについてどう考えるかということを記述しております。これも国際戦略専門委員会の報告の内容を、さらにこちらの方にインプットしたということであります。
5ページ目の前段のところが、少しそういう観点から加えまして、当然革新的な技術も大変重要になってきますが、それとあわせて既存技術も最大限活用していく。両方必要であるという、そういう観点からの記述にしております。
それから、5ページ目の最後の丸のところで、対策技術の開発と普及の話で、制度的な条件整備が必要であるというようなことを書き加えております。
6ページ目のところでありますけれども、特に長期的なアプローチからの検討ということがあるわけであります。地球温暖化対策について、国の経済・社会のあり方に関した長期的な視点からの検討というふうになりますと、特にこの地球環境部会ではありませんが、並行して審議されている総合政策部会の方で、現在環境基本計画の見直し作業が行われておりますので、是非こういった地球環境部会におけるそういう社会経済のあり方とか、あるいは長期的な視点からの検討というのを環境基本計画の見直しに際して議論していただきたいということを、ここで述べているわけであります。これは新たに追加した部分であります。
それから、7ページにまいりまして、ここからは気候変動枠組条約と京都議定書ということであります。ここの部分は基本的に変更なしであります。7ページ、8ページ、中間報告と同じ形にしております。
9ページ目で、表の4ということで、京都議定書の目標と認められた吸収量の上限値ということをわかりやすい表ということで入れております。これは内容的には記述内容にも入っていたわけでありますけれども、実際京都議定書の目標が、EUが-8%、米国が-7%、日本は-6%というふうに定められているわけでありますが、吸収量ということを見て、それを差し引いて見ると、3つの国はそれぞれまたこういうような姿になっているということを示したものであります。
それから、9ページの後段のところ、京都議定書の発効ということで書いてあります。ここの部分につきましては、特に昨年11月のロシアの批准によって京都議定書が発効することになったということで、それを歓迎したいということで記述を追加しております。
それから、10ページで、地球温暖化に関する日本の取組ということで、国内的な議論であります。前半の国内における地球温暖化対策の進展というところにつきましては、従来どおり地球温暖化防止行動計画でありますとか大綱の話を書いておりますが、特に後段の京都議定書の削減約束の達成に向けた取組という小見出しのところの後半の部分、特に今度、京都議定書が発効しますと、京都議定書目標達成計画を政府として策定しなければならないということがありますので、そこの部分を10ページの最後の丸のところに書いてあります。この地球環境部会におけるさまざまな検討というものを、京都議定書目標達成計画の策定に十分活用される必要があるということで締めくくっております。
これがIの背景になる部分のところであります。
それから、11ページからの部分がIIということで「大綱の評価」。これまでの施策についての評価を行ってきたというところであります。
まず、1ポツが現在の温室効果ガスの排出量の状況ということでありますが、ここは2003年の速報値として推計値が発表されておりますので、それを入れた形で記述を加えているというのが基本的な変更点であります。図の2など、ちょっとこれまで縮尺が短かったもので、少し見やすくするということで、縮尺を変えたりして工夫はしております。
それから、12ページの方で、これまで目標が設定されている区分ごとに図を示しております。12ページの図3は、これはエネルギー起源CO2で1990年をゼロとして見るとどれぐらい増えているかというような図でありますが、かなり増えていることがわかるわけであります。それから、図の4は、非エネルギー起源CO2、メタン、一酸化二窒素という部分で、これもマイナス0.5%というような目標。これは600万トンぐらいに相当するわけでありますけれども、そういうような目標を持った値で、この区分がどう推移しているかということであります。90年を境に、90年から少し増えてきて、97年がトップでありますけれども、その後減少に転じ、2002年のレベルでは1,000万トン以上の削減ということが1990年に比べるとありますので、これで見ますと、600万トンというような目標は、この区分においては達成しているということがよくわかるわけであります。
それから、次の13ページにいきまして、図の5、これは代替フロン等3ガスの90年からの推移ということであります。これも全体で見た場合、これは95年を基準年としておりますが、かなり減少傾向にあるということが見てとれるわけであります。13ページの一番下の丸においては、今、口頭で申し上げたようなことがそれぞれの区分ごとに、どれが目標を大体下回っており、どれが上回っているというようなことを記述しているわけであります。
それから、15ページにまいりまして、15ページからは分野別エネルギー消費の国際比較ということであります。ここの部分は中間取りまとめから全く変えておりません。15ページ、16ページ、17ページ、18ページということは従来どおりであります。
それから、19ページにまいりまして、主体別に排出割合を見ております。特に家計部門と企業・公共部門、2割、8割ということですが、これは2003年の新しいデータに更新した形にしております。
それから、20ページの図13を御覧いただきたいと思いますが、これは新たに追加したグラフであります。確かに家計部門2割、企業・公共部門8割ということでありますが、特に家計部門は伸びが激しいわけであります。家計部門で見ますと3割以上、これは家庭の家の中と、それからマイカーを含めての伸びということでありますが、これが33%伸びている。それから、企業・公共部門の伸びは7.5%ということであります。絶対的な増加量で見ますと、それぞれ7,000万トン弱程度の値ということで、大体同じような値ということがありますので、家庭も企業・公共部門も、やはりそれぞれ頑張る必要があるということを示したデータになっているのではないかというふうに思われます。
それから、20ページの真ん中あたりから、(4)の排出量に影響を及ぼす各種要因の分析ということがあります。ここは特段変更しておりません。活動量と活動量当たりのエネルギー消費、それからエネルギー消費当たりの二酸化炭素排出量というような要因に分けて分析をしていくことが重要ということを書いた、そういう部分でありました。
それから、22ページにまいりまして、大綱の対策・施策の進捗状況の評価ということであります。ここの部分につきましては基本的に変更はございません。これは昨年の前半、かなり時間をかけて議論してきました。逐一説明すると大分長くなりますので、申しわけありませんが、重要な部分でありますけれども説明は省略させていただきたいと思います。これが22、23、24、25、26ページとなっております。
それから、26ページの真ん中あたりから、非エネルギー起源の二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素の排出抑制対策ということの評価が行われておりますが、ここの部分についても中間取りまとめから変更はない形にしております。
それから、26ページの下の(3)の革新的な環境・エネルギー技術の研究開発の強化ということでありますが、ここも中間取りまとめから変えておりません。
同じく28ページに代替フロンなど3ガスの部分がありますが、ここも変えておりません。
29ページになりまして、吸収源対策ということです。ここの吸収源対策につきましては、昨年12月に開かれました前回の地球環境部会におきまして御報告をいたしましたが、吸収源の確保できる量というのは、中間取りまとめのときと比べて変化してきております。このことが、この29ページの大体後半の部分に書いてあるわけであります。29ページの真ん中あたりに、前回の中間取りまとめの御報告でありました、大体1998年から2002年までの過去5年間の森林整備の実績を見た場合に、2010年の見込みとして約3.1%程度の確保にとどまるのではないかということだったわけであります。さらにその次の丸で、「なお」と書いてある丸でありますが、これが前回、12月の中環審で御報告いたしましたが、平成16年度の予算規模で見た場合には、さらに3.1%も下回るおそれがあるということを記述している。この部分が中間取りまとめから見ますとさらに変更された部分ということになります。
それから、29ページの(6)が京都メカニズムの活用ということであります。ここの部分につきましては、前回議論いたしましたように、全面的に書きかえております。前回御報告しましたように、30ページの方の上の方の丸に書いてありますが、日本政府として事業承認したのは15件ということでありますけれども、実際償却口座に移転をしなければ政府としてクレジットを取得したことにならない。そういう観点から見ると、現在決まっているのはゼロであります。特に昨年の御報告の後、環境省におきまして、実は1件、移転を念頭に置いた補助事業が採択されました。この事業が実は政府にクレジットを移転する最初のプロジェクトになりますが、このプロジェクトによる移転クレジットの量が約2万トンということであります。当然1.6%の1億トンに比べて2万トンというのは余りにも少ない数字でありますので、なお頑張っていく必要があるという、そういう評価であります。
それから、31ページの方の(7)ということで、先ほど目次のところで御紹介しましたが、これは項目を新たに追加した部分であります。各省連携などをしながら、それぞれ対策を進めていくという部分もここにまとめて書いてあります。
それから最後、32ページの方で(8)のまとめという形にしております。33ページの一番下の丸の部分をつけ加えております。これは施策小委員会の方でかなり議論になったことでありますけれども、地球温暖化対策の大綱関係予算ということで、平成16年度につきましては1兆2,586億円が計上されております。これらは内容を見ますと、地球温暖化対策を主な目的とするもの、あるいは結果として効果があるものというような形で2つに分かれるわけでありまして、それぞれの行政目的からの検討が必要ということでありますので、この1兆2,500億なる予算があることだけをもって、その中で予算を増減させればいいというような議論にはなかなかいかないなということがここでは書いてあるわけであります。最後の部分でありますけれども、33ページの一番下の丸のところでは、こういうようなことから、6%削減が確実に達成できるよう、特に確実性の低い対策について確実性を高めていこうということ。最後は、その裏づけとなる施策が十分であるかについて検証を行い、実効性の裏づけを持たせることが必要であるという形で、ここの締めくくりにしております。
それから、34ページ、35ページの部分が、実は全体として大変重要な部分であるのでありますけれども、今回、数値が調整中ということでありましてお出しできない部分であります。34ページのところで、実は前回の評価、推計から変わった部分がありまして、このことの再計算により、なかなか作業が間に合わなかったということがあるわけであります。34ページの下から2番目の黒ポツで、実はGDPが2005年1月21日の閣議決定「構造改革と経済財政の中期展望-2004年度改定」におきまして変更されました。従来GDPの成長率につきましては、将来にわたり2%となっておりましたのが、今回の改定により1.5%~1.6%程度ということで下方修正されたわけです。したがいまして、ここを含めて調整しなければならない。それから、現在、経団連の自主行動計画フォローアップなどにおきまして、さまざまな産業・業界別の排出量の将来見込みなども議論されておりまして、それも少し目標値の変更などもあります。そういったことも含めて、将来の推計値を再計算しなければならないということがありまして、現在その計算をし、それから関係省庁と調整中ということであります。したがいまして、35ページの下のところと(3)、(4)、2010年における温室効果ガスの排出量の見通しのところ<調整中>、それから2010年において不足する削減量<調整中>というふうになっているということをお許しいただきたいと思います。
それから、36ページになりますが、36ページからIIIという形で、これは従来「大綱の見直し」ということになっていたわけですが、「大綱の見直しを踏まえた京都議定書目標達成計画の策定」という形で、タイトルも先ほど申し上げましたように「京都議定書目標達成計画の策定」という形にしてきております。
1ポツが視点ということであります。その(1)が計画策定に当たっての基本的考え方ということです。1)のところで、環境先進国に向けた取組としての京都議定書目標達成計画というふうに書いてあります。これは前回の中間報告の中でも、我が国が率先して対策を取り組むというような姿勢を見せるという形から、この大綱見直しというのをやっておくべきだということになりましたので、内容は変えておりません。大綱というところを京都議定書目標達成計画ということで語句を修正した、そういう修正であります。
それから、36ページの下から2)で、徹底した情報の開示、広報を通じた国民各界各層の認識の向上とありますが、ここの部分も内容は変えておりません。まさに意識改革が重要だということにつなげる、そういう内容であります。
それから、37ページで評価見直しの透明性の確保ということであります。特にこの中では、3番目の丸のところでここを追加しております。京都議定書目標達成計画の策定・見直しにつきまして、国民各界各層の広い意見を聞き行うことなど、「参加」を基本にすることが適当であるということで、京都議定書目標達成計画の策定プロセスにおいても、そういう広い参加を求めながら、透明性を確保して行うべきという提言をここで書いているわけであります。
それから、37ページの下の方から4)で、6%目標の達成の現実性の向上という形であります。内容は基本的には変えておりませんが、少し追加の部分があります。例えば、38ページの4番目の丸で「ただし」から始まる丸の後段の部分で、京都議定書目標達成計画においては、これらの対策・施策──すみません。もう少し前から説明した方がよろしいですね。今回、こういったリアリティーを高めるために、対策を確実なものから不確実なものまで区分して、確実なものまでを記載しようとしております。ただし、削減量が確かでないものであっても重要な施策については、引き続き計画の中に書こうということをここに書いたということであります。
それから、39ページにまいりまして、(2)であらゆる政策手法の特徴と活用という部分、これが実は今回新たに追加した部分であります。総合施策企画小委員会の議論の中で、やはり確実性を高めるためにはどういうような政策手法で、どういうふうな形で対策を行っていくのかが重要であるというような、こういう御議論がありましたので、それを受けまして、あらゆる政策手法についてどういう特徴があり、それをどういう形で活用していくのかということを検討する観点から、39ページの1)では各政策手法の特徴ということで、39ページから自主的取組、あるいは情報提供、教育、普及、40ページにまいりまして規制、補助金、租税特別措置等、それから環境税、課徴金という形で、続きまして41ページで国内排出量取引制度、京都メカニズムというような、こういったそれぞれの政策手法がどういう特徴があるかというのを、まず1)のところで整理いたしました。
それで、41ページの下のところで、各政策手法の活用というタイトルだけが書かれておりまして、※印で注のような形になっておりますが、ここは今後追加して書きたいというところであります。先ほどから申し上げておりますように、現時点におきまして目標数値の調整などがまだ調整中ということもあって、対策の事業量というのが明らかになっていない段階でありますので、そういった事業量というのが出てくれば、そういった事業量を、こういった今挙げましたようなどういうような政策手法で活用して推進するのが最も適切であるかというような議論もできるということになります。そういった検証作業というのを今、事務方でやっておりますので、そういうのを御報告し、その御報告した内容を踏まえて、この2)の部分について記述していただきたいということで、現在はタイトルだけを挙げた形にしております。
それから、42ページで、(3)の諸外国における地球温暖化対策、ここは変更ありません。
それから、43ページにまいりまして、中長期的な観点からの温暖化対策技術の普及ということで、これは43ページから46ページまでありますが、これも中間取りまとめと変えておりませんので省略いたします。
それから、47ページから京都議定書目標達成計画の目標の在り方ということが書いてございます。(1)の各主体の温室効果ガス排出の努力を明確にするための目標設定をした方がいいという部分につきましては、これは変更ありません。
温室効果ガス別目標の徹底ということで、48ページのところには変更はありませんが、49ページ、50ページのところで、特に前回の中間取りまとめにおきましても議論がありました、革新的な技術の研究開発の部分と、それから、国民各界各層による地球温暖化防止活動の推進という2つの項目についての目標の位置づけというものの議論をここでしております。この2つの項目については、かなりほかの区分とのダブルカウントの問題が生じる可能性があるので、それをどうしようかという議論をしてきたわけであります。特にその結論といたしましては、50ページの中ぐらいから書いてありますが、50ページの真ん中の「したがって」のところで、革新的な技術開発の部分につきましては、これはエネルギー起源CO2の排出抑制対策全体の内数というような形で書いたらどうであろうか。ただ、参考値というようなことは必要だろうと。
それから、国民各界各層のさらなる活動の推進について、これは幾つかの分類に分けて書いたらどうかということで記述しております。1つは50ページの下の[1]のところに掲げられているように、例えば電球型蛍光灯とか食器洗い機などのように、かなり確実性を持った削減量として見込める部分、これはきちんと削減量としても書いていいだろう。ただ、[2]のようなライフスタイル、ワークスタイルの部分、これはどこまで見込めるかわかりませんので、むしろ横断的な施策としての位置づけを考えた方がいいのではないだろうかということで、ここでは記述しております。
それから、51ページの方で[3]ということになりますが、国、都道府県、市町村の事務事業に関する部分で、これは特に業務などの部分とかなりダブルカウントがありますけれども、やはりこういう国とか都道府県とか市町村などの率先的な対策が大変重要になりますので、むしろ主体的な目標などを掲げつつ、率先的な取組ということで明確にしていく必要があるのではないだろうかということで書いております。
それから、52ページから(3)で社会経済活動の変化と温室効果ガスの目標の設定ということでありますが、ここは変更はありませんので説明を省略させていただきます。
それから、53ページ以降が各区分や部門にまたがる横断的対策・施策ということで、ここの部分が前回でもかなり議論になったところであります。まず(1)がポリシーミックスの活用ということであります。これは原則変更はしておりませんが、イギリスの例などの記述は文言整理上削除いたしました。それから、53ページの(2)でデータの整備をはじめとする制度と透明性の高い評価・見直しの仕組みの整備とありますが、ここも基本的に変更しておりません。
それから、54ページで地球温暖化対策に関する普及啓発・情報提供の拡充・強化という部分がありますが、ここの部分は54ページの部分では変化ありません。55ページの部分、一番上の部分でありますが、電力会社、ガス事業者などに対して情報提供などをやっていただきたいというところを書いております。現在の省エネ法などの状況を見ながら調整していきたいというふうに思っております。
それから、55ページの後段から(4)温室効果ガスの排出量の算定・報告・公表制度というふうにあります。ここの部分は全面的に書きかえております。まず、算定・報告・公表制度の有用性ということで、趣旨に関することが書いてありまして、温室効果ガスはさまざまな活動に関連して排出されますので、まず排出者自ら、どこの活動でどれだけ出ているかというのを把握していただくことが重要ということが55ページのところに書いてございます。それから、56ページの上の方には、こういった排出量の把握を共通のルールで行えば、社会的基盤として有用性が高まるのではないかという面から記述しております。
それから、56ページの下から2番目の丸のところでありますが、現在経団連で行われているような自主行動計画など、これに対してこの算定・報告制度が下支えをすることになるであろうということと、それから、実際自主行動計画に参加していない、すなわち排出量を現在も算定していない事業者の方は結構いらっしゃるので、そういうところにすそ野が広がっていくということは大変大きな効果があるであろうということを記述しております。
57ページから制度設計ということで幾つか書いておりまして、例えば一番上では6種類のガスを対象とするとか、あるいは2番目では一定以上の排出を伴う排出者を対象とするでありますとか、広く活動をするなどなど書いてありますが、特に57ページの一番下の部分で、前回、この議論をするとき、省エネ法とどういう形で調整するかというのが大きな話題だったわけでありますけれども、そこの部分について書いてあります。57ページの一番下の丸でありますけれども、排出量の報告ルートにつきまして、現在省エネ法に基づいて事業所ごとに所管大臣に報告がなされておりますので、特にエネルギー起源二酸化炭素について、この省エネ法の報告ルートを活用することができれば大変報告者の負担軽減になりますので、法制上の仕組みを工夫しろという、そういうことにしております。
それから58ページでは、当然営業上の秘密の保護でありますとか、あるいは国が公表する場合も、広く国民の自主的な取組を促進するような形で行った形がいいという、そういう趣旨のことが58ページに書いてございます。
少し丁寧に御説明しましたが、ここの部分については全部書き直したというところであります。
それから、59ページの自主行動計画の部分は従来どおり、それから、61、62ページの国内排出量取引制度も中間取りまとめと特段変えておりません。
63ページにまいりまして環境税の部分であります。先ほど鎌形課長から報告がありましたが、現在の状況を踏まえて、この部分は書き直しております。
先ほど鎌形課長からも報告があったように、まず環境税のところの63ページの一番上の方の丸でありますけれども、環境税につきまして中環審の検討のほか、特に11月に環境省が具体案を公表して、これを踏まえて政府税調、あるいは党の方の税調などでも議論が行われたということであります。それから、参考資料を配付しておりますが、昨年12月に取りまとめも行われているという、そういうことであります。環境税につきましては、3番目の丸に書いてありますように、価格インセンティブ効果、財源効果、アナウンスメント効果などあり、特に一番下の丸のところでは有力な手段であるということで記述しております。ただ、ここの記述につきましては、今、大綱の見直し作業の中で、特に環境税の果たすべき役割を具体的かつ定量的に検討せよということが求められております。そういった検討作業を今、事務局でも行っておりますので、それを報告した上で、ここら辺の記述についてはさらに追加議論していただければということを考えております。
それから、64ページの方にまいりまして、サマータイムの導入については変更ございません。
それから、64ページの(9)で観測・監視のところでありますが、特に地球観測について最近の動きがありましたので、(9)の一番最初の丸は少しつけ加えた部分があります。
それから、65ページ、66ページにつきましては、先ほどから申し上げているように複数の主体による複合的・システム的連携の内容を記述しております。都市構造や交通システムに踏み込んだ形で、地域で総合的に取組を進めていこうというような話とか、あるいは、経済システムに踏み込んで複数主体が連携して対策をとろうという、そういう話がこの65ページ、66ページに書いた趣旨であります。
それから、67ページが個別ガスごとの対策・施策の強化です。これ、細かいところを一々やっていきますと大変でありますので、現在、各審議会、あるいは関係省庁におきまして施策の検討が進んでいる部分があります。これをサポートするような形で適宜この中に入れ込んでいるということがまず大きな論点であります。そういうことが基本であります。
66ページから69ページまでは変更がございません。
71ページのところで、産業部門対策ということで書いておりますが、自主行動計画の取組ということが今行われているわけであります。71ページの下から2番目の丸などに書いておりますが、特に産業部門別の業種ごとの自主行動計画について、京都議定書目標計画にきちんとした位置づけを行いたいということであります。それから、その業種別目標の達成に向けて、京都メカニズムを活用することも可能であるということ。これは前回、12月の部会で議論したとおりであります。
それから、72ページの上の方の○で、前回も議論いたしましたが、経団連自主行動計画のフォローアップ作業の中に、中環審とか、あるいは環境省が参画していくことも検討していくべきであろうということを記述しております。
それから、72ページのところでは、最近の省エネ法の取組の強化ということを省エネ法改正の動きを踏まえて記述しております。それから、高効率設備の導入強化、あるいは工場間のエネルギー融通というような面では、産業部門における追加対策の可能性ということで記述しております。
それから、73ページからが運輸部門対策になりますが、特に74ページの上の方であります。ちょっとここはわかりにくいんですが、特に貨物分野におきまして、運輸事業者と荷主の事業者が連携して対策をとるというようなことがあります。特に省エネ法上の計画策定、あるいは定期報告の義務づけという動きがありますので、そこの部分を書いております。さらに、物流の効率化に関する計画を策定して、それを支援するという、いわゆる物流新法というのが検討されておりますので、その動きを踏まえた記述にしております。そのほかの個別の話もありますが、個別のところにつきましては説明を省略させていただければと思います。
あと、90ページをちょっと見ていただければと思います。これは新たに追加した、全面的に書きかえたところであります。
京都メカニズムに関する対策・施策の強化というところであります。これは前回の部会において議論いたしましたが、特に1.6%部分についての京都メカニズムをどうやって活用していくべきかという議論でありました。特に91ページ、92ページの部分で、1.6%の確保に向けて政府によるクレジット調達というのをやっていかないと、なかなか1億トンというような大変大きなクレジット量を確保するためには大変厳しい状況ではないだろうかという、そういう認識でありまして、92ページの2番目の○のところで、特に2006年からクレジット調達制度を立ち上げるため、関係省庁において調達制度の具体像について早期に具体化するとともに、民間の知見も活用しつつ、調達のための体制整備を図っていく必要があるというような記述にしております。これが前回から書き加えた大変大きなところであります。6ポツでは対策・施策の実施体制ということで書いてありますが、ここは基本的に変えておりません。
それから、95ページで(4)温室効果ガスの総排出量が相当程度多い事業者の役割ということであります。これは先ほど冒頭に少し申し上げましたが、京都議定書目標達成計画の中では、法的な記載事項としましてこういった項目が入ってきますので、それに対応した形での記述を書いております。現在、相当程度多い事業者には自主的に計画をつくっていただくということがありますので、そのことを書いているということであります。
それから、96ページでありますが、7の追加対策・施策による削減効果と京都議定書目標達成計画の目標値の部分につきましては、今まで議論したところを95ページ、96ページ、97ページ、98ページという形でまとめておりまして、最後、対策強化ケースと京都議定書目標達成計画の新たな目標<調整中>というふうになっておりますが、ここが本来的には数値を出すべきものでありましたのが、今回間に合わなかったというのが大変申しわけなく思っております。
私の方から、大変長くなりまして失礼いたしましたが、以上です。
○須藤部会長 それでは、御説明ありがとうございました。
ちょうど予定した時間の真ん中ぐらいまで来ておりますので、先生方からの御意見なり御質問なりというのは、10分休憩をとって35分に開始をしたいと思います。それでは、35分にはどうぞお戻りください。お願いいたします。
午後4時24分 休憩
午後4時35分 再開
○須藤部会長 それでは、再開をさせていただきます。
委員の皆様から御質問、御意見をいただくつもりでございますが、いただく前に、もう一つ実は資料がございます。飯田哲也委員から、事業所の温暖化対策のアンケート結果を取りまとめていただいた資料を提出いただいていますので、最初にそのことを御紹介ください。お願いします。
○飯田(哲)委員 すみません。今日、ちょっと早目に退席しないといけないこともありまして、意見を含めて申し上げさせていただきたいと思います。
これは私どもの研究所で実施した研究ではございませんけれども、環境文明21の加藤先生の方から御了解をいただいて、今回の対策の中で一つの目玉は、やはり算定・報告・公表制度ということで、ちょうどタイミングがいい資料を取りまとめられていらっしゃいましたので、ちょっとお借りして提出させていただきました。それ以外に、あと自然エネルギー、再生可能エネルギーについて1点、それから地域の取組について1点と、合計3点だけ、あわせて意見も報告させていただきます。
この産業界からの算定・報告・公表制度、自治体では東京都を始めとして、もう幾つか実践されているところがあって、今度は国全体で統一的に施行される方向ということで、最も基礎になる制度ということで非常に重要だと思いますので、是非これは今回導入していただきたいと思っておりますが、経済界の方からなかなか否定感も反対もあるということです。
参考資料として出させていただいた環境文明21のレポート、アンケートを見ていただきますと、省エネ法で既に報告制度が対象となっている2,000事業所のうち、温暖化対策の方の排出量の報告義務がある条例の地域から1,000、ない地域から1,000、合計2,000を選んで、合計800の回答、40%の非常に高い回収率があるということで、条例のある地域、ない地域、ほぼ半数ずつ回答があったということです。
時間がございませんので、一番裏の問9、10、11だけ見ていただきますと、この事業者の方々、問9が、とにかく自らの事業所が温室効果ガス排出量データを算定・報告・公表すると排出削減対策が進むと思うかということに関して、「進むと思う」及び「ある程度」ということで、合計8割の事業者の方が「進むと思う」というふうに考えていらっしゃる。問10は、同業他社が報告・公表すればどうか。これでもやはり7割の企業の方が進むと。さらに異業種ではどうか。これでもやはり6割ぐらいが進むということで、事業者の方自らが報告することによって進むんだということを認識され、そういう意識を持っていらっしゃるということです。こういった制度を是非、自治体レベルでまだ限られた自治体ですので、これは国で統一的に進められるということで、事業者みずからの方もそういう意識を持っていらっしゃるという、非常に有力なバックデータになるんじゃないかというふうに思っております。
あと、私の意見としては、この算定・報告・公表制度をそういうことで、是非今後早目に法制化をして導入していただきたいということですが、あわせて、ほかに68、69ページにある個別の施策では、再生可能エネルギー、自然エネルギーの普及政策について、69ページの最後のところに、今後見直しの検討をすることが必要であるというふうに書いてございますけれども、特に新エネ利用特措法、RPS法では、策定後3年、つまり2005年度にはもう見直しをするということが法の中に書き込んでありますので、今後というよりも、もう今年度の見直しに当たって、そういう形でもっと前向きに検討していただいたらと思います。
その際に、やはりこの数値目標が非常に日本では小さいということで、中国は、ちょうど昨年の12月24日に新しい自然エネルギー法に対して草案を出しておりまして、今年の前半で恐らくその法律が決まって、来年度施行する。その目標は、設備容量で今後6,000万キロワットの小規模分散型の自然エネ、これは設備容量にして10%で、電力量にして5%の自然エネルギーを固定価格制で導入をするという非常に野心的な目標で、やはり日本もそういった中国のような野心的な制度・政策を是非導入していただきたい。
その中国の制度も非常におもしろいんですが、国だけの目標値だけではなくて、省ごとに目標値を一応定めるということになっております。それからEUでも、これはEU全体の目標値に加えて国ごとの目標値があるという制度とあわせ持って考えていくと、例えば94ページに地域における対策と地方公共団体の役割というところがありますが、この中でも、特に従来の大型の例えば原子力発電、石油、石炭、火力というか、大規模電源はともかく、自然エネルギー、小規模分散型の電源については、地方自治体がもっと主体的に目標値を定めて進めていくような、そういうところまで踏み込んで、ここのところに書いていってはどうか。北海道と沖縄では、利用できる自然エネルギーも、それから種類も目標値も違うでしょうし、このあたりはもっと思い切って地方分権をして、地方に推進の政策も含めてゆだねていくといったところまで踏み込んで書かれてはどうかなというふうに思っております。
とりあえず私の方からは以上です。
○須藤部会長 どうも御説明ありがとうございました。
それでは、先ほどと同じように、御発言を御希望される方は札をお立てください。よろしゅうございますか。ほか、よろしゅうございますか。
先ほどの前の議題のときに少し質問時間が余裕がありましたので、それでは順番にまいります。浅野先生も最初からとか後からとかいろいろおやりになったので、私は今日、最初なので、やはり名簿順にいくのが妥当かなと思います。今日は最初ですので名簿順にまいります。次回は逆の方にして、お約束しておきます。
それでは、浅岡委員からまいります。
○浅岡委員 京都議定書が発効すると、その目標達成をどうするか。これから大事なのは、計画よりも、目標達成のための計画をどう実現していくのかであり、実現のための議論が進んで、具体的な施策が盛り込まれることに重点がおかれると思います。
今回、政府内での連携を図っていこうとの視点が入っています。実施の場面で言えば、いろいろな主体が地域で連携しなくちゃいけないということにつながります。先ほどの94ページのところでも、都道府県や地域に31も温暖化防止活動推進センターができていますが、そのほかに推進員があり、これらを有機的に活用する観点からみますと、今日、全国センターの今年度の事業計画の企画をしていたのですけれども、これらがばらばらに動くことを前提にしたような法律の扱いになっています。その辺は、見直した方がいいかなと感じましたので、つけ加えさせていただきました。
温暖化対策推進法ができたときとか、前の改正の時は、各地域にまだ地域センターなどの基盤整備ができていなかったため、それを前提にした制度になっていなかったように思いました。今回は実行の担い手として、国民レベル、あるいは個々の事業者レベルで、まさにそのようなことが必要になったといえるのが一つの場面ですね。
もう一つ、自主的な取組においても、規制においても、経済的な仕組みにおいても、そうした制度の基盤になるのが、先ほど飯田委員の言われたように、それぞれの事業所で排出量を自ら把握し、それを算定して、報告して集約し、国民的にあらゆる主体の共有のものになることです。このような情報は社会の共有財産であり、取組の基盤だという認識が必要と思うんですね。今日の全国センターでの議論でも、企業にいる人たちが、例えば従業員の立場で何ができるかというような議論をするときも、自分の職場、企業、事業所の排出がどうなっているのかよくわかっていない。それがわかるということがまず一歩だねという話がありました。また、社会全体が情報公開、透明性を高めて多くの人の認識を深め、議論を高めてすべての施策が深められ、実施の担い手である企業や国民の推進力にもなっていくという流れの一環だと思うんですけれども、排出量の算定・報告・公表の制度化は重要です。
経済界からは、なお反対の声があり、公表のための公表かというような声も聞かれますが、決してそういうものではなくて、重要な基盤整備であり、それ抜きでは温暖化対策は始まらないのだということを、もう一度ここで確認していただくことは非常に重要だと思います。その情報が比較しやすいように、共通のルールで、一覧性がある形で開示される。そうでなければデータとして利用価値はぐっと減殺されます。また、事業所ベースでわからないと、その人たちの取組にもならず、外から見ても参考にならないし、対策の進捗ぐあいも検証できない、評価もできないことになります。事業所の取組みを前向きで評価していくためにも、事業所ベースでの情報の開示が必要だと思います。
余り長く話しているといけないので、その点を特にお願いをしておきたいと思っています。
○須藤部会長 どうもありがとうございました。
それでは、何人かの先生の御意見なり御質問をいただいた後、もし事務局に必要があればお答えいただくということにいたします。
○佐和委員 私は時間厳守の模範を示します。
まず、この税制調査会等のあれについて質問なんですけれども、政府税調の方の報告の中で「具体的かつ定量的に検討されることが必要である」というふうに書いています。これは、これまでの検討会とか小委員会がベースとしてきたAIMでは不十分だということを意味しているんでしょうか。
それから、その次のページの政策的手法を総合的に検討した結果を受けて云々とございますね。総合的に検討するというのは、これは意味がいまいちはっきりしないわけですけれども、これは、もう少し数量的に明らかにして、あるいは費用対効果をきちんと明らかにした上でというふうに解釈して、そして相互にさまざまな政策的手法を比較した上でというふうに理解していいんでしょうか。
以上が質問です。
それから、この資料3についてですが、2ページに1つ大きな誤植がございます。下から3行目で「最高気温が30日を超える真夏日は」って、これは「30度」ですね。
それから、次に、ここに盛り込まれている数値というか、これは先のことなのでよくわからないのかもしれませんが、内閣が閣議決定する目標達成の中に盛り込まれる数値とどのぐらいギャップが出そうなのか。あるいは省庁間の合意がどれだけとれているのかということについて、差し支えのない範囲で教えていただきたい。
それから、CDMに関しましては、京都メカニズムを今1.6%分利用するというふうなことが明記されているわけですが、やはり最初、ホットエアは買わない方がいいって、私もそのとおりだと思うんですね。実はアメリカが抜けたことによって、排出権取引市場が形成される可能性が極めて乏しくなったと言わざるを得ない。つまり、CDMが経済的に見合わなくなる。したがって、日本の企業に対してCDMのモチベーションを与えるためには、政府が先物価格のようなことで決まった価格で、そして日本のその他の対策に要する限界費用みたいなものと照らし合わせた上で、その価格を決めてモチベートする。モチベートするためにはどの程度の価格でなければいけないのか、あるいは国内対策の限界費用と比べてどの程度なのかということをやらなければいけないというふうに思います。ですから、その辺についてどうお考えか。
それから、次に34ページのところに経済成長云々というのがございます。1.5ないし1.6というのは、これは私は非常にリーズナブルな数字だと思うんですが、仮にこれよりも高くなっても、それはどちらかといえば第三次産業でありまして、そういう意味ではCO2の排出増加ということにはつながらないと思います。
ちょうど3分です。
○須藤部会長 どうもありがとうございました。
前段の質問は、今ちょっとお答えいただいた方がよろしいように思いますので、定量的とか総合的とか、それが何を意味するかというのを鎌形課長、お願いします。そこだけお答えください。
○鎌形環境経済課長 先ほど御説明いたしました政府税調の答申と、それから与党の大綱に関することということでございます。
まず、政府税調の答申で、温暖化対策大綱の見直し作業を通じ、環境税の果たすべき役割は具体的かつ定量的ということでございますが、御質問は、AIMモデルで足りるのか、足りないのかと、こういうような御質問だと思います。AIMモデルは一つのモデルという形での試算をしたという形で、あのときはそれで一つの温暖化対策全体の中での環境税の位置づけというのは、モデル上の定量的な数字を示したということかと思いますけれども、実際、昨年の環境税の議論は、具体的に温暖化対策を進める上でどういう役割があるかという、かなり具体的な対策や施策について議論の中でのものがなされてきたというふうに思います。今ここでも検討されておりますが、さまざまな具体的な対策、そういうものに即した形で、定量的な役割というものがもう少し明らかにされるということが必要なのではないかと思いまして、私どももモデル上だけの話ではなくて、具体的な個々の対策に応じて環境税にどういった役割が求められるか、そういう定量的なものを明らかにする必要があると思って、今、作業に入っているというところでございます。
それから、もう一つ、政策的手法の総合的検討というところでございますけれども、これにつきましては、やはり温暖化対策を進める上で、今の資料にもございましたように自主的取組とか情報的手法、規制的手法、経済的手法、さまざまございます。そういったものを結論的には総動員して取り組んでいかなければならないと思いますけれども、それをどういうふうに役割分担していくかというところが必要だと思います。そういう中で、それぞれのメリット、デメリットを比較検討した上で、どういう政策を当てはめていくかということを考えていく必要があるというふうに思います。そういうことが求められているんだと思います。
こういった作業は、この地球環境部会でも大綱の評価・見直しの作業の中で、これまでの対策・施策もさまざま評価されてきましたし、あるいは施策小委員会の中でも、各種政策手法の比較という形で相当の検討はいただいたと思います。そういったものがベースになると思いますけれども、さらに与党からも求められておりますので、その辺の検討をまたしっかりした上でというふうに考えております。
○須藤部会長 どうも説明ありがとうございました。
それでは、大聖委員。ちょっと順番を変えて申しわけございません。早目に御退出されると伺っておりますので、桝井委員に移る前に、先にちょっと大聖委員から御意見を伺います。
○大聖委員 申しわけありません。
1つは、地方自治体で独自に取り組んでいるCO2対策と、それから国がやろうとしている対策に矛盾がないということが非常に重要だと思います。特に事業体側から見て、CO2の対策のレポーティングがダブルになったのでは大変な負荷をかけることになりますので、その辺の矛盾のないような合理的な整合性をとっていただきたいと思います。
それから、運輸部門の対策として、是非お考えいただきたいことは、1つは2010年に大気環境基準を達成するというのは、もう一つの環境行政にかかわる大きな目標でございますので、これを無視してはならないというふうに思います。その中で、単体規制、それから燃費規制というのが車の両輪のようにしてCO2対策、大気環境対策としてあるわけですけれども、もう一つは、大都市の地域を対象にした、具体的に言いますと自動車NOx・PM法というのがございます。その中で低公害車の導入とか車種への転換、それから、もう一つは車の利用の合理化とか、そういったいろいろな諸対策があるんですが、実はそういう対策はCO2対策にもなっておりますので、そういう側面にもう少し光を当てていただければと思います。その中で、やはりCO2対策と大気環境の対策との矛盾がないような、そういう視点を是非持って盛り込んでいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○須藤部会長 どうもありがとうございました。
それでは、桝井委員、どうぞお願いいたします。
○桝井委員 大きく言えば2つぐらい言いたいと思います。
浅岡さんが先ほどおっしゃいましたけれども、企業における排出量の公表、統一したルールでということは非常に重要かなと改めて思うわけです。先日も、あるところで大綱の見直しを説明しろということで説明したときに、実は、個別の事業所の場合、企業の方は2割程度ぐらいしか排出量を公表していないんだよと。その発表の仕方もばらばらなんだといったときに、たとえ京都議定書を含めて若干批判的な人も、本当にそんなことなのかというふうなことを言うわけで、やはり非常に重要な基盤であるというふうに改めて思います。
そこで、59ページの自主行動計画の充実と透明性というのが2ページあるわけです。私ももちろん日本経団連のこの活動の中核的な重要性を認めるものなんですけれども、ここに業種ごとの、あるいは先ほどの公表制度に基づく形の上での統一的な目標といいますか、上限を入れたような、自主行動ではあるけれども、これを入れていく必要はないのか。といいますのも、先日も産構審でそのような形の内容が公表されたばかりであり、やはりこれはこの中に入れていくことが必要ではないかと、これは基本的なこととして重要だというふうに考えます。
それからもう一点なんですが、この大綱、ずっと前に戻りまして基本的なところ、10ページ。まさに議定書が発効し、これから具体的な施策を盛り込んでいかなきゃいかん。実効性あるものを盛り込んでいくという時期なわけです。そこで、10ページの一番下のところに「対策とその裏付けとなる施策を十分に検証し」云々と、これは1行ですが非常に重要で、対策とその裏づけとなる施策。この場合、もうちょっと具体的にやっていかなきゃならんと、まさにその時期だと。わかりやすく申し上げますと、いろいろな省エネ計画、これは非常に重要なんですけれども、先ほど話が出ました低公害車、あるいは民生分野、家庭における例えば給湯器、あるいは太陽熱のソーラーにしても、そのような施策について補助金、あるいはいろいろな形のもので一体どれぐらい追加的な財源がかかるのか。それは今、一例にすぎませんけれども、もうそこのところまで、具体的にどのぐらい金がかかるのか、財源がかかるのかということを、もうここらでしっかり示していく時期ではないか。その辺のところ、今どうなっているのか。先ほど言った総論の中の基本姿勢の中の裏づけというところの中身をちょっと聞いてみたいと思います。
以上です。
○須藤部会長 どうもありがとうございました。
それでは、桝本委員、どうぞ続いてください。
○桝本委員 ありがとうございます。
幾つかございますが、今回の見直しの中に省庁を超えた取組であるとか、あるいは、ある機器や設備の周辺を取り囲む環境状況についても総合的にやっていこうというお考えが入っていることは、私は大変に的確で、しかも大事な視点だというふうに思うだけに、大変に評価をさせていただきたいと存じます。
個別に初めの方からページごとに指摘をちょっとさせていただきますが、まず33ページ。ここの[2]の一番下の表現ですけれども、「予算を組み替えることのみによって、追加的対策の財源を充足させることは難しい」というような表現で、いわば今のものはなかなか手はつけにくい。だから追加的財源に検討を進めるんだというふうになっているわけですが、私は、これはかねがね、やはり今の予算を見直すということが第一だというお願いを申し上げているわけで、私の表現で言えば、追加的財源が仮に必要だとしても、現在の予算の組み替え、あるいは必要な現在の支出の見直しということをするというふうにお書きいただいた方がいいんではないかというふうに思います。この文章では、追加的財源が必要だというふうにしか読み取れないように私には理解できます。
それから、37ページですが、この37ページの3)の一番下の3つ目の丸、これは私は大賛成で、国民各界各層の「参加」を基本とするという、当たり前とはいえ、改めてここにこういう表現をお書きいただいていることは非常に大事な御指摘だと思います。
それから、40ページの環境税ですが、これは私の記憶では、施策小委員会等で前の委員長をおやりになった森嶌先生が、この環境税の有効性等について全体として評価をするというようなお話がまだ残っているというふうに私は理解しております。したがって、ページの一番下の「必要な削減量を最小のコストで達成することができる」という、この点は、今の森嶌先生のお考えを私の理解で申せば、それを検証するという必要もきっとあるわけで、こうした「できる」という記述はちょっと強過ぎるんではないかというふうに存じます。
それから、41ページの国内排出量取引ですが、ここでの排出枠の設定という言葉がございます。これに異論はありませんけれども、いろいろな形での排出枠の設定があり得るという意味で、是非これは広く理解をしたいというふうにここで確認をさせていただきたいと思います。
それから、もう一つこの点では、私、先般NHKのテレビで拝見したんですが、名古屋にある大企業と中小企業の間で非常におもしろい試みを始めていられるというような例も出始めておりまして、こうでなければいけないということではなくて、多様な削減努力を企業同士組み合ってやるということについて柔軟でいていただきたい。ともすると国が取引制度に関与すると、その取引制度にはまるかどうかというようなことで、せっかくの企業の自主努力が殺されてしまうことをあえて懸念をすれば、是非柔軟な取組をするというふうに、ここの文章の精神を読ませていただきたいと思います。
それから、46ページですが、技術開発・導入のロードマップの策定、これは私は大賛成です。かねがね2度ばかり発言をさせていただいておりますが、4年か5年前のシナリオ検討小委員会がございました。それから既に恐らく4年か5年たちました。この3、4年の間に、省エネ型の機器や温暖化対策型のシステムの開発が大変に進みました。したがって、ここについては是非一つ一つの機器やシステムを、あたかもシナリオ小委員会で御検討いただいたと同じような意味で、さらにそれにコストの要素を入れて技術評価をしてロードマップをおつくりいただきたい。これは是非専門的に、しかもできれば定量的にお進めいただけると非常にいいんではないかというふうに期待をいたします。
それから、53ページですが、データの整備。これは何回もこの場で出てきております。私は、例えばこの問題に関する研究者がいらっしゃるとしたら、データの整備をしてくれ、してくれと言う前に、自分で何らかの工夫をなさってデータをとり始めるに違いない。ですから、全体の戦列が整わなくても、私は環境省、あるいは環境省のこのお仕事にかかわる方々を、是非それぞれのユニークなデータを開発するつもりで、これは見直しのことが決まらなければやらないんではなくて、すぐにでも始めていただいた方がいいんではないかというふうに存じます。
それから、58ページ、排出量のデータの公表の秘密保持・保護ですが、これは是非こういうことでお願いを申し上げたいと思います。これは、また言われるのかというふうにきっと皆さんお聞きになるので、私もちょっと気が引けながらお願いでございますけれども、公表の意味合いをどう考えるか。ある工場が閉鎖して、ある工場に設備が集中するというようなことは、日常的に企業はやっているわけです。そういうような意味で、二酸化炭素の排出の多さが決して悪いことではないということを背景に、しっかり公表や制度の運用に当たっては考えていただきたいわけで、先ほどの二重になるというところは、どうやら経産省と十分御調整をいただけると私は期待をしておりますので、その発表・公表の意味合いをよく考えて扱っていただきたいというふうに思います。
それから、ちょっと長くて大変申しわけありません。63ページ、64ページですが、63ページは環境税のところ、さっきと同じ表現がここにございます。「必要な削減量を最小のコストで達成することができる等の特徴」、ここについては、先ほど意見を言わせていただきました。
それから、65ページのここの点は、先ほどお話ししたように、大変に私は大賛成かつ必要なことだと思います。省庁、あるいは府省の壁を乗り越えて、こういう取組を是非お願い申し上げたいというふうに存じます。
それから、92ページのODA。ここにODAが入ったことは私は大賛成でありまして、今の国際的な枠組みの中で、ともするとこのODAの活用に制約がかかっているわけで、ここでおっしゃっているとおり、適切な活用ができるような枠組みの変更を御検討いただきたい、あるいはそういうものを日本の力で勝ち取っていただきたいというふうに思います。
とりあえず以上ですが、それから、原子力について、私、これはこの前もこういう表現でしたからやむを得ないと思いますが、4つの技術の柱。これはよく読むと書かれているわけですが、やはり重要なことは、現在の化石燃料を有効に使う、効率的に使うということと、我々の有効な手段である原子力を十分活用することだというふうに私は思います。今年の小泉総理の1月の施政方針演説を御覧いただくと、むしろ新エネ、リニューアブルについても一言のような触れはありますが、原子力についてしっかりおっしゃっているということで、原子力については的確な評価をしていただきたいというお願いを申し上げたいと思います。
ありがとうございました。
○須藤部会長 どうも御意見ありがとうございました。
それでは、浅野委員、どうぞお願いいたします。
○浅野委員 私も、この部分はいいなという賛成演説をしたい部分がいっぱいありますが、時間がありませんから、だれかがおかしいと発言なさったらそれには反論をしようということにして我慢をしておきます。
それでは、早速ですが、33ページで、先ほど桝本委員がこの表現はいかがかという御指摘がありました。これについてはよく読んでいただかないといけないのは、[1]については主に温暖化対策を目的とするものを挙げており、[2]は他の政策目的があるんだが、なおかつ温暖化にもきいてくるものというものを挙げているわけだから、他の政策目的をここで温暖化のために犠牲にしろという議論をやるのは慎みましょうと、こう言っているわけです。だから、この[2]の部分も含めて1兆いくらもあるということをもっと認識しなければならないということです。まさか桝本委員が、原子力予算は削ってもいいとおっしゃっているのではないだろうと思うんですが、聞きようによってはそうもとれるわけで、これでは原子力反対論者は大いに喜ぶかもしれませんが、私は必ずしもそうでもないと思っています。ですから、この部分はそういう文脈で書かれているということを、是非御理解をいただかなければいけない。つまり、[1]のところを増やせ、それはいいのですけれど、では、[2]はその分だけは差し引き計算で削っていいということまで当審議会が積極的に提案するほどの覚悟もないので、こういう書き方をしているということです。ですから、もっと覚悟を決めて、削っていいと言う御意見が大勢であるならばそれもいいのかもしれませんが、そのときは私は残念ながら否定的な見解を述べるかもしれません。
それから、39ページについて、この部分です。これは、つけ加えられた部分で、先ほど桝本委員がいろいろおっしゃったのは、やや他の委員会報告の中にあったものを抜いている面もあるものですからしようがないかなという気もしますので、それはそれでいいんですが、ここは政策手法の特徴を淡々と述べている部分だろうと思います。それをどう使うかという応用編は後の方に出てくるわけですから、その限りで理解をしておくべき箇所だと思います。
それにしても、私はこの部分について、他の委員会でちゃんと発言しなかった責任を感じながら発言をしますけれども、事業者等による自主的取組の促進というところで、制度的な保証がないと書いてあるわけです。たびたび申し上げているように、勝手にやることを自主的取組だと言って、ここで政策手法として位置づけているわけではないわけで、これがきちんと制度的な枠組みの中にはまっているもの、つまり社会システム化しているものを自主的取組という政策手法だと評価をしているわけです。ですから、これはやはりちょっと表現をもっと考えなければならないと思います。その辺、この書き方では誤解を与えてしまうおそれがあります。ですから、詳しいことは私の論文がありますので、またもう一回担当者に渡しますから読んでいただきたいんですが、自主的取組という政策手法というときは、それは社会的システムですよ。ですから、産構審でも経団連の点検以外にちゃんと点検をやっているということが重要なことで、これがやはりある種の社会システムです。それから、協定と連動させるというようなことも、これも一種の社会システムで、ここで自主的取組の社会システム化ということについては、いろいろなやり方が実はあるわけです。だから、先程の桝本委員の御発言と同じような意味で言えば、もっと丁寧に書いてもらわないと、とんでもない誤解を与える記述になっているんではないかという心配をいたします。
それから、あとは部会長であった時にちゃんと言わなかったということを大いにまず自認をし、それを反省した上で申し上げなきゃいけないわけですが、94ページ、これは前にあった中間取りまとめの文章をそっくりそのままですが、多少の事情変更ということで言いわけをしますと、2月16日から地球温暖化対策の推進に関する法律が具体的に改正されます。前の中間取りまとめは、法律改正ということを意識しないで書いてしまっているものですから、こういう書き方になっているんですけれども、これはちょっと問題があります。というのは、今度の新しく政府がつくらなければいけないとされている目標達成計画の中では、地方公共団体がやるべきことについても書かなければならないということになっています。基本方針を書くという限りではここにあるような言い方もあるんでしょうけれども、何をやらなきゃいけないということまで書かなくてはいけない計画になるわけですから、これを施策の実施体制のところにちょっと書くだけではだめであって、これはきちんと書き直さなければいけない。このままでは、これで済んでしまうということになります。今新しく目標達成計画をつくるということを前提にして答申をつくるのであれば、この項目は別立てにして強化するべきです。
そして、さらに内容的にも、私の部会長時代の見落としをおわびをしながら発言しなければいけないのですが、よく読みますと、国の大綱で、国が何をやりますということを言っている文脈の中での議論なものですから、どうしてもこうなってしまって、条約上の約束を果たすために、国はともかくやらなきゃいけません。だから、やるのは国の責任ですと書き切っているわけです。その上で自治体についても、しっかりやっていただければ国の役割、責務を助けていただけることになるから、積極的に取り組んでおられる自治体には補助金も出して支援をしましょうという構造になっています。しかしこれは最初から、この中間取りまとめの段階でのこういう書き方にミスがあったということを率直に認めます。申しわけありません。このように書くのではなくて、やはり温暖化対策については、地方公共団体がやっていただかないとどうにもならない部分がいっぱいある。だから積極的でない団体にも積極的になっていただかなくてはいけないということがあるわけですね。もちろん積極的でないところには、補助金をばらまいたら何をやるかわかりませんからそれはやりたくないという気持ちはわかるのですが、しかし、積極的でない団体を積極的な姿勢に変えていくということを入れておかなくてはいけないわけです。
ですから、佐和委員がよくおっしゃる表現を借りるなら、最初から補助金を出すんじゃなくて、成果を上げたら後から報奨金を払うというやり方の方も考えられるかもしれません。つまり、はなから補助金をばらまいていくとすると、どういう基準でばらまくかというのは大問題になりますから、具体的に成果を上げたところにちゃんと後で費用を支払ってさしあげる、かかった費用を補てんしますという方がよっぽどいいかもしれません。少なくとも温暖化対策に取り組まなかった団体も、これでやれば予算がつくということになると考えれば姿勢が変わるかもしれません。そういうようなことを果たして当審議会の答申として書けるかどうかは別ですけれども、アイデアとしてはあり得るわけですから、もっとここは自治体がイニシアチブをとらないとどうにもならない部分があることを前面に打ち出して書き直し、書かれる場所も変える必要があると思われるので、この点は是非検討していただきたいと思います。
○須藤部会長 どうもありがとうございました。たくさん意見なり、意見でも、この原案でよろしい、あるいは大いに結構だ、あるいはいかがなものかというような御意見もいただきましたので、たくさんたまり過ぎると事務局の方も混同するでしょうから、この辺でちょっと、御意見に対応して何かお答えがございましたらお願いいたします。
○清水地球温暖化対策課長 御質問、御意見にかかわる部分ではあったと思いますので、ちょっと答えられる範囲で答えたいと思います。
佐和先生の方からの、排出量の推計について今後どのぐらいの乖離がというような議論もありましたけれども、私どもとしては、やはり政府内できちんと調整して、乖離がない形できちんとした報告にまとめるように努力をしてまいりたいというふうに思います。
それから、CDMの費用について、限界コストなどを見ながら将来の先物価格の価格を決めた方がいいのではないかという御意見がございました。これは今後のクレジット調達のときの制度設計にかかわる問題だと思いますので、どういう形でそういうことができるのかどうか、よく検討していきたいと思いますが、むしろインセンティブ型でそういうふうにやるのがいいのか、それともクレジットの供給と需要の関係で、例えばオランダの入札制度的なところで処理するのか、いろいろ考え方はあると思うので、そこはよく勉強してみたいというふうに思います。
それから、桝本さんの方からかなり御意見と、それから御質問にかかわる部分がありました。環境税の件については、また鎌形課長の方に譲りたいと思いますけれども、例えば公表制度のところで、公表の意味合いをどう考えているのか、それをきっちりやるべきである。あるいは秘密保護の規定をきちんと対応すべきであるということがありましたので、それはよく調整して対応したいというふうに思います。
それから、ODAを位置づけたことを評価なさっていただいてありがとうございます。ただ、適切な枠組みの変更ということがありましたが、今の枠組みの中でもできることがあると思いますので、精いっぱい適切な活用ということを考えていきたいというふうに思います。
それから、浅野先生から大変ごもっともな指摘を幾つかいただきました。地方公共団体の役割について大変重要な論点でありますので、もう一回よく検討してみたいというふうに思います。
あと、排出量取引のところで柔軟な対応は可能なのではないかという桝本委員の御指摘は、そのとおりだというふうに思います。
○須藤部会長 それでは、環境税のところでできると言っていいかどうか、その辺の部分のところで何かお答えはございますか。
○鎌形環境経済課長 桝本委員の方から幾つかの記述について、社会全体のコストの問題、対象のコストというところの表現などについての御指摘をいただいております。それで、御指摘いただいた部分、実は昨年の夏にまとめていただいた中間取りまとめでありますとか、あるいは別途、この地球環境部会と総合政策部会のもとにございます施策総合企画小委員会の方での中間取りまとめでありますとか、そういったところをそのまま引き写しているという部分が大体ということであったわけでございますけれども、全体の文脈の中でどういうふうに読めるかということの御指摘かと思います。
それで、環境税も含めて、特に環境税の記述のところの最後にもございますけれども、やはり全体的な政策パッケージの中で定量的な位置づけとか、そういうものの作業はまだ進めていくということだと思いますので、そういったものをお示しした上での記述で、また御検討願えればというふうに思います。
ちょっと関連で、桝井委員の方から、対策の裏づけとなるようなもので財源まで含めたような、そういうようなものがどうなっているのかというような御質問もございましたけれども、私どもとしても、6%削減の裏づけとなるそういったものを、財源も含めてどういった政策をどういうふうに講じていくかというのは非常に大事なことだと思っておりまして、こういったことについても定量的な意味での作業というのは進めなきゃいけないというふうに考えて、今取りかかっているというところでございます。
○須藤部会長 どうもお答えありがとうございました。
それでは、まだたくさん札が挙がっておりますので、順番にまいります。
じゃ、太田委員からどうぞ。
○太田委員 私の方からは3点です。
交通・運輸関係ということで、大変私は関心を持っている分野なんですが、1つは、47ページのところで、各主体別に達成のための目標設定をするという方向で、私は前から申し上げておりますが、運輸というのは民生といいますか、家庭からも来るし企業からも来るということで、それぞれ切り分けていただく。いわゆる産業部門、運輸部門、民生部門というものを統合して、家庭は家庭でやることがあるし、家庭は産業部門は割に直接関係ないとしても、企業の方は本社ビルということで民生にかかわり、通勤者といいますか、就業者の運輸部門があり、業務のための運輸があり、それから産業そのものがあるということで、明確にこの47ページの主体別ということで言っていただいたのは大変いいと思いますが、特に家庭部門の「家庭」という言葉が、いわゆる家庭部門という行動範囲の話と、それから家庭としてやるべき、運輸関係でやるべき事柄、その他、その辺が混同されているような感じがします。これは言葉の整理ということになると思いますが、この47ページを受けて、それぞれの主体での役割をもう少し明確にどこかで整理しておいていただくといいんではないかというのが1点です。
それから、もう一つは、交通の需要が、やはりいろいろな都市活動から発生しているということで、都市計画のお話を非常に前向きにとらえていただいたということで評価したいと思いますが、今のところ、交通・運輸の最初のところでまちづくり、都市計画ということが73ページに出ておりまして、あとコンパクトシティーというような言い方が出ております。少なくともこれは短期的にはすぐこれで効果があるのは難しいにしても、特に、やはりこれからの長期的なCO2削減対策が大変重要ということで、この点を十分評価していただきたいんです。
ただ、これと、65ページにございます複数の主体による複合的・システム的に連携した対策、ここで実は都市構造とか地域の交通システムということが出てきますが、この辺の調整。都市構造と都市計画の関係であるとか、この記述した内容は、都市構造というフィールドが随分ちょっとまた特殊といいますか、狭い範囲のようにも見えます。私としましては、やはり都市計画全体、あるいはそれを通して車をうまく使い分けるための、そういった職住近接とかコンパクトシティーを含めた形の、そういう総合性というものがあると思いますので、そんなことがこの65ページにも読み込めるように、単に交通システムだけの話ではないと。
それから、交通関係では当然、先ほど大聖委員からありましたけれども、大気汚染対策との関係で、やはり中心部の混雑したところで車をちょっと抑制してほしい。徒歩、自転車をもう少しやろうとか、あるいは高齢者のためのモビリティーを確保するための公共交通の整備であるとか、まちづくりの課題がたくさんあるわけですね。それと連携してCO2対策にも貢献すると、そういう種類のことが読める形の表現をもう少し工夫していただけないかというのが2点目です。
3点目は、ちょっと細かいことになるかもしれません。76ページで、自動車利用の際の配慮でアイドリングストップ等、幾つかのこういう答えが出てきましたが、私ども、いろいろお話を聞いている中で、アイドリングストップにつきましては、私どもは、都市の中で時速が30キロとかそのぐらいで走っていますと、4割ぐらいは実は交差点でとまっているんですね。交差点で停止中のアイドリングストップが、実は極めて効果があるというふうなことも出ておりますので、駐停車時のアイドリングストップは当然でございますが、それを超えた話も、多少そういうことも重要だということが出てきておりますから、何か言及があればいいのかなと思います。
以上3点です。
○須藤部会長 どうも、御意見ありがとうございました。
それでは、川上委員、どうぞお願いいたします。
○川上委員 ありがとうございます。
私の発言は主として手続的なものなので、本当は一番初めに質問すればよかったのかもしれません。基本的な質問でございますけれども、私自身、メンバーになったのが比較的最近なもので、見直しの作業には参加していなかった。見直しの段階で十分いろいろな議論が行われて、その後のいろいろな変化、新しい情勢を踏まえて、今、この案に基づいて我々の議論に入ったというのが今の状況だと思います。
既に幾つか実質的な議論も出てきて、私も幾つかの問題についてコメント等がないわけじゃないんですけれども、先ほど事務局から御説明がありましたように、かなりの部分について変更がない。それから、追加の部分、これから一番議論になるであろう数値に基づく目標値の議論といったような、3つぐらいに分けられるんだと思うんですが、その辺をこれからの作業のやり方として──それから、あとどのぐらい会合があるのか知りませんけれども、漏れ聞いているところだと、少なくともあと3回か4回は3月末ぐらいまで会合がある。そういうことを踏まえて考えますと、かなり効率的に議論していかなきゃいかんという状況なんではないかと思います。基本的には、私自身はもちろん前の見直しのときに参加していなかったわけですから、そのときの議論に返って自分の意見を言うつもりは余りないので、主として新しい点について何か申し上げることがあれば申し上げるという気持ちでおりますが、その辺は、効率的にうまくやるためにはどうしたらいいのか、大体どういう作業日程になるのか。本来冒頭に質問すべきことだったのかもしれませんが、ちょっと全体のフレームワークといいますか、それを教えていただきたいと思います。
それから、一つ一つを今日みたいに全部、ペーパーの全体に基づいてわっとコメントを一人一人から聞いていくのか、それとも何ページ目から何ページ目までは今日はやるといったような作業日程にするのか。その辺も非常に大事なことだと思いますので、是非聞かせていただければと思います。
○須藤部会長 どうもありがとうございました。日程というか、今後のスケジュール等は、最後のところで環境省の方の事務局の考え方をお示しをいただきたいと思います。どうも御意見ありがとうございました。
久保田委員、どうぞお願いいたします。
○久保田委員 すみません。4点だけ意見を言わせていただきたいと思います。
1つは、33ページの温暖化対策予算に関連することです。桝本委員から提起があり、浅野委員からも逆提起といいますか、そういうことがありました。私の感じでは2つの切り口です。1つは、やはり着膨れ、水膨れしている部分があるのではないか。ITのときもそうでしたけれども、予算をとるためにそういう冠をつけてという部分があるんではないか。したがって、温暖化対策予算ということで、本当に厳密な意味で等身大とか筋肉質に、こういうときにきちんとそういう位置づけでやる必要はないのかどうかという、やはり見直しはこういうときにしかなかなかできないんではないかと思いますので、一度やるべきじゃないかというのが1つ。
2つ目は、これはもう少し長期になるでしょうけれども、やはり20世紀型ではなくて、21世紀型の社会経済構造システムに挑戦をするんだということが非常に大きな部分としてあるとすれば、20世紀型の開発型、あるいは従来のそういうことで国道という発想の部分を、やはりどうしても思い切って見直すという部分は要るのではないか。もちろん各省庁の予算配分を少しでも、ミリ単位で動かすのに大変な政治的圧力が要るということも重々承知をしておりますが、やはりそれほど大きいことであるとすれば、従来のものはそのままでということではなくて、日本の政府なり国家戦略としてどうするのかということについては、中期的にはやはり非常に大きいことではないか。全体のグリーン化とか環境との調和性ということを、やはり大胆に戦略的にはやっていく項目ではないかと思っています。
2つ目、63ページの環境税の問題については、今後の展開として施策総合企画小委員会のまとめも論点まとめということだったと思います。富士山で言えば頂上へのまとめというよりは、何合目かわかりませんけれども、そういうことだったのではないかと記憶をしています。税調なりからもう一度差し戻しといいますか、もう一度整理をしてきてということになっていると思うんですが、我々労働組合としても、本当の意味の効果の問題、現実的な効果の問題とか既存税制との関係性の問題や税収の使途の問題ということについては、やはりもう一段、二段踏み込んだ政策論議をすべきではないかと考えております。場外でやっていくということではなくて、やる余地があるのではないかと思っていますので、どの場でどういう形でやるかということについてはお任せをいたしますけれども、中央環境審議会の絡みの中で詰めていく必要があるんではないかという問題意識だけ申し上げておきたいと思います。
3つ目、64ページのサマータイムの問題でございます。1つは文字のあれとして、下から4行目、「長時間につながりかねない」というのは、これは長時間労働、「労働」が抜けているんじゃないかと思います。サマータイムについて、必ずしも十分詰められた議論がこの場で行われてきたとはちょっと思えないところもございます。労働組合は、かつて何回か議論して、賛成、反対いろいろあってということがございますが、こういう重要な問題を逃げるつもりはございません。さまざまな議論があると思いますが、とりわけこの長時間残業につながらないかとかいうものを、どうやって歯どめをかけるかみたいなところはあると思いますが、国民的議論ということの中では堂々と汗をかいて議論をしていくべき項目ではないかと思っています。しかし、それについても、本当に温暖化という意味で効果がどこまであるのかということについては、従来の大綱でも25万から百二十何万tぐらいですか、ものすごく大きな幅があったりしておりますので、定量的な温暖化という意味での効果のほどというような意味における数字は、次回までとは言いませんが、一度どこかでこのテーブルの中に出していただけないかということと、具体的には推進議連が今国会でというようなことの期待感もちらほら聞いておりますが、本当にモノにしていくためには国民的議論は欠かせないと思います。国民の議論を頭ごなしでは、幾ら法案が通っても本物にならないというように思いますので、是非政府としてやるんであれば腹をくくって、汗をかいてやればそのことは意味がある。温暖化対策だけではなくて、ライフスタイル全体のことに対して意味があるというようなことに是非していただきたいと思います。
4点目、各主体の役割。93ページですが、私も、太田委員が言われたのと全く同様の問題意識を持っております。2つの意味です。バウンダリといいますか、インベントリ上の産業とか運輸部門とかいうことが非常にわかりにくい。職場でこういう議論をしようとしても、何となく企業とか産業というか、産業部門のこととなるとついこうなってしまいます。本当はその横に、今度は縦にそれぞれ主体があってマトリックスになっているはずなんですが、同じ言葉使いをしているだけに、それぞれの企業なり行政なり、企業もメーカー系もあれば流通系もあれば、いろいろなところがあります。それぞれは、一体自分のところは何をすればいいのか、何が期待されているのかということについて、産業部門での期待、家庭を本当にやるための期待は企業は何をすべきかということについても、決め切るのはなかなか難しいと思うんですが、具体的に何か期待はどうなのかということを、しかもチャート図のようなわかりやすい形でビジュアルにしながら、何かきちんと展開をしてみるということを是非やるべきではないかというふうに思っております。
以上です。
○須藤部会長 どうも御意見ありがとうございました。
続いて小林委員、どうぞ。
○小林委員 恐れ入ります。少しあるので、簡単にいきたいと思います。
まず1つ目が29ページ。吸収源対策のところなんですが、これの下から2つ目の丸のところで、大綱に書いてあるけれども、何か予算がなくなったから下回るという表現になっています。それはやむを得ないと思うんですが、大綱に決めながら予算がつかなかったからだめですよと、こういう姿勢というのは何かおかしいと思うんですよね。そういう意味で、やはり大綱で決めた、また今回の計画で決めたことは必ず予算をつけてやる、そういう決意で是非お願いをしたい。努力したけれどもだめでしたというのは了解できないということを是非お願いします。
それから、2つ目、その次のページですが、31ページのところでCDMのことがずっと書いてあります。このCDM、これから大分取り入れられるだろうと思います。ところが、このCDMについて、私自身がわからないのかどうかわかりませんが、実はよくわかりません。いろいろな方に聞いても、結構誤解をされているんではないかという感じがします。ですから、このCDMの運用についてもう一度詳しく、こういうふうに動くんだということをどこかでPRを是非お願いをしたい。企業の皆さん方も、このCDM運用についてあちこちで聞きますけれども、勘違いが結構多いようです。ですから、この辺、具体的にこうしなければCDMとしては認定されないという話を是非していただければと思います。
それから、次が37ページのところで、評価見直しのところなんですが、ここのところのPDCAサイクル、これをきちんとやはりやっていただきたい。現実に一般家庭の方が先進的に努力をされている方が結構いるんですが、その人たちが、自分たちが努力していることが実際にどういうふうに反映しているかというのがよくわからない。だから外に広められないというような問題がございます。そういう意味で、やはりここのところをきちんと評価・見直しをして、それをPRするということが次の施策につながっていくと考えますので、やはりここのところはきちんと是非お願いをしたいと思います。
それから、次ですね。47ページのところの目標のあり方の部分で、目標設定なんですが、この丸の3つ目、上の企業、家庭、業種別のところの3つ目のところで、インベントリの下のところですね。企業、行政、家庭、あるいは業種別、企業別、業態別と、その主体別の目標を設定することが重要であると書いてあります。これは是非この目標設定をお願いをしたい。皆さんでコントロールしながら、何か暗黙に整理をしていくという意味では、今から計画を立てて、それを達成していくという場合になかなか心もとないという気がいたします。そういう意味で、是非目標をきちんと決めて、それに向かって具体的に進めていくということをお願いをしたいと思います。
そういう意味からも、49ページにございます対策量区分別の統合という部分ですが、以前から議論しておりました「革新的環境・エネルギー技術の研究開発の強化、国民各界各層による更なる地球温暖化防止活動の推進」というところの削減量でございます。私は基本的にこれは政策としては大変いい政策だと思うんですが、実際に評価・検証するときに、これを別に取り上げて数字を出しても完全にダブルカウントになってしまうということから、これについては政策と検証は別だという意味で、ここの文章にございますように内数として再配分するということを是非お願いをしたいと思います。これは賛成意見ということでございます。
それから、55ページでございます。いわゆる算定・報告・公表制度の部分でございますが、これについては是非進めていただきたいということをお願いしたいと思っております。現実に地方自治体で数件で現在進めておりますが、これを進めるに当たって、現実に企業の皆さん方から強い反対があったかというとそうでもなくて、結構皆さんちゃんと出していただいている。出していただいたものの集計をしていって、まだ私がかかわっている兵庫県で数値が出てきているわけではないんですが、概数を見ますと、経団連の自主行動計画に書いてある数字よりも相当低いデータで削減計画が出てきています。そういう意味で、やはりこの個別の報告・公表制度というのは相当大きな効果があるし、それによって逆に努力した企業の評価というのも十分できるんではないかというふうに思います。そういう意味で、是非ここの公表制度というのは進めていただきたい。
ただ、57ページの制度設計のところで、省エネルギー法に基づく報告とあわせてというふうに書いてございます。ここのところについては、やはり報告は、省エネ法が云々というのはここでは議論しませんが、地方自治体を通した報告に是非していただきたい。もしそれが省エネ法と同様の方法でということでやられるんであれば、その個別データの写しを是非地方自治体には配付していただきたい。これをやらなければ、今、各県がやっている条例による届出制度、これはまだまだ増えると思います。そうなってくると、逆に企業の皆さん方は二重ということになってしまいますので、これを防ぐためにも是非お願いをしたい。企業の排出量が幾らかというのは、実は県民の皆さん方からは相当強く要請されますので、ここのところを知らないというわけにはいかないということがございます。そういう意味で、是非これについてはお願いをしたい。
それから、59ページの自主行動計画の充実のところで、私、実はびっくりしたんですが、昨日の共同通信のインターネットのニュースの中に、家電・情報通信機器メーカーによる電気・電子4団体の削減目標の見直しというのが出ていたわけですが、この見直しによって目標値が上がってしまうわけですよね。それも、この団体は結構大きな排出量を占めておりますので、じゃ、経団連の自主行動計画について、この増えた分をほかの団体で吸収していただけるのか。しないのならどうするんだということがございます。そういう意味で、ここは確実に、「こういうふうな見直しをしました」「ああ、そうですか」ではなくて、きちんとやはりこの辺は管理をお願いをしたいと考えます。
それから、最後になりますが、94ページの地方公共団体の役割の部分でございます。これはいろいろな先生方が御指摘されておりますので、私も繰り返しというわけではございませんが、是非ここの部分は書き直しをお願いをしたい。現実に今のところ、地球温暖化対策について地方公共団体の役割というのは余り明確にされていない。そのために、熱心な県は熱心ですが、ほとんどの県は実際にはやっていないというふうに考えていただいた方がいいと思うんですね。そういう意味で、ここのところ、特にこれから地方分権が進みますし税源移譲が進みます。そうなってきますと、国が何か考えて交付金なり補助金で出すというわけにはいかないと思うんですね。そうなったときに地方公共団体の役割というのは重要になってくるということから、やはり個々の地方公共団体の役割というのはどこかにきちんと明記して、具体的に進めるということを是非お願いをしたいと思います。
以上です。
○須藤部会長 どうも御意見ありがとうございました。
高橋委員、どうぞお願いいたします。
○高橋委員 ありがとうございます。時計を見ますとあと14分、私を含めて8名。したがって、あと事務局の御返事も含めて1人1分で話すことになると思います。したがって、私は1点だけを申し上げます。
この見直しのプロセスで非常にはっきりしましたのは、このままじゃどうしようもない。大変なギャップがあるという、それに尽きると思います。それに対していろいろなことをやっていかなくちゃならないのが今の状況だと思いますが、その個々のことを考える大前提として、国民レベル全体の価値観の大きな転換がなくちゃ、これはどうしようもない。非常に大きな拘束になっていると思います。
その点に関しまして、私、国際開発の分野をやっていますと思い出しますのが、1960年代にODAという分野でオランダが急に非常に伸びてきたんです。私、その背景を調べて驚いたんですが、たった1つのことでした。それは、オランダのマスコミの中に開発レポート賞というのをつくった。それでマスメディアの開発に関するレポーティングの質が非常に高まった。それによって国民の意識が非常に変わった。それでODAに関してオランダが革命的に優等生になったという状況がございます。恐らくこの分野も、国民の価値転換ということを考えますと、これは多分に押しつけ的な全体のトーンが強いので、これでは絶対にそういうことにならない。そうではなくて、マスメディアを大いに動員して価値転換を図るという施策が何らか必要なんだろう。一つは地球温暖化レポート賞のような、何かもっとずっと気がきいた表現があると思いますが、そういうようなことも含めてマスメディアが頑張ってくれる。それによって出てくる効果というのは、これは一、二年では出てきません。しかし四、五年では非常に効いてきます。これはある程度時間をかけることも考えて、そういうことも入れる必要があるだろうと思います。場所としては54ページ、55ページのあたりに、そういうようなことを一つの項目として挙げることが今の段階では必要だろうと思います。
以上です。
○須藤部会長 どうもありがとうございました。
じゃ、富永委員、どうぞお願いいたします。
○富永委員 非常に簡単な質問なんですが、3ページのところに図の1というのがあります。これは多分一番基本になる重要なわかりやすい図ですけれども、大変誤解を招くところもあるんじゃないかと思います。西岡委員がおられないので、すぐにお返事をいただけないと思いますが、右の方の蛇口から人為的な排出量が入ってきて、そして下の排水口から自然吸収で出ていく。両方がつり合ったら水位が一定になって、つまり大気中の濃度が安定する。そういうことを言いたいのだと思いますが、たとえばフロンのように人工起源のものだけが自然界にある場合は、これでいいんですけれども、二酸化炭素の場合は、入ってくる蛇口は実はこの数十倍大きい自然の循環というのがあって、出ていく方も数十倍大きな排水口があいています。もしこのままの図でいきますと、仮に右側の蛇口を締めてしまうと、排水口があいているので全部流れ出てしまい、7,300億トン蓄積していても、200年ぐらいすると大気中の二酸化炭素がゼロになるという矛盾が出てきます。この図は、多分普及啓発のときにいろいろなところで使われる可能性があるので、子供たちからでもそういう疑問が出てくるのではないかと気になります。ですから、このように具体的にお書きになるのでしたら、そういう矛盾がないようにちょっと手直しされた方がいいんではなかろうかと思います。
○須藤部会長 どうも御注意ありがとうございます。
それでは、永里委員、どうぞ続いてお願いします。
○永里委員 ありがとうございます。3点申し上げます。1つは環境税、それから、もう一つは経団連への自主行動の業種別コミットメント、それから京都メカニズム、この3点について申し上げます。
まず環境税。これは今回の資料3の63ページにあるんですが、この中で、63ページの環境税の上の方には、1つの例としてこういうのが書いてあります。「自主行動計画と矛盾するのではないかとの意見がある。あるいは、矛盾することはないとの意見もある」、こういうふうにちゃんと両論併記でしてありますが、この環境税のところに関しましては、問題点とか懸念される点がものの見事に削除されています。というのは、先ほど鎌形課長のおっしゃった中間取りまとめに関しまして、そちらの方から持ってきたとおっしゃったんですが、返却用となっている16年8月の中央環境審議会の中間取りまとめ、この中の54ページの上から3行目に丸がついているんですね。「なお、温暖化対策税制については、我が国企業の国際競争力や技術開発のリソースを失うことになり、有効性について疑義があるとの意見が複数の委員からあった。温暖化対策税については、その効果や使途のあり方、他の施策との比較や組み合わせ等についてさらに議論を深めることが適当である」ということについては、私も口を酸っぱくして言いましたけれども、国際競争力という観点に関しましてよく考えてあって、ここのところをちゃんと述べてあるんですが、その点が抜けているので、これを復活させてほしいと思います。これをあえて言うのは、不況時に企業はリストラを行って、内部留保の範囲内で投資をして、そして研究開発なんかには金は回さないんですが、好況になってきますと設備投資は行うし、研究開発に金を回し、そして国際競争力をつけて打って出ていくということになってくるわけで、そういう点の考慮が必要であろうかと思います。
時間の関係で次に進みますと、経団連自主行動計画のお話の中の資料3の71ページに書いてあるんですけれども、先ほど小林委員がおっしゃったことと、ちょうどそれに対する回答みたいなことを私が言うことになるんですが、経済と環境の両立、あるいは好循環ということが言われているときに、業種別に制約をかけていく、すなわち先ほどの電子とか電気の方でCO2の量が増えるということを小林委員はおっしゃいました。そのとおりなんですね。それはデジタル家電とか液晶その他が日本で今、非常に元気がありまして、そちらの方で増えていきます。その点で、そういうのをつぶしていいんですかということを経団連、産業界は考えているわけです。ある業種は伸びていくでしょう、そういう業種に関しまして雇用は増えるし、国際競争力もあるのに、そういうのを押さえ込むということは中国でつくるということですね。ノウハウ及び技術の研究の中身までが中国に行っちゃいます。そうじゃなくて、シャープ等がまた中国から日本に戻ってきておりますけれども、そういうことも検討しますと、こういう伸びる企業、元気な企業は伸ばしてあげなきゃいけないんじゃないか。ただし、よくよくちゃんと聞いてみますと、半導体とか、こういうデジタル家電というのは、たくさん量をつくることによってどんどん安くなりますので生産量は増えているんですね。ただCO2も増えている。だから経団連バブルと言われるものがありまして、業種おのおのにキャップをかぶせるんじゃなくて、全体で管理しましょうということを社会的にコミットしております。だから、各業種については一応おのおの、自分たちはつくるんですけれども、全体として産業界では守っていきますということを考えていますので、その点でこういうことを考慮していけば、71ページの記述というのは、業種別にキャップをかぶせるような方向にしてはならないというふうに考えます。
それから、90ページの京都メカニズムについてです。これは1.6%に限定することになっているんですけれども、結局、そういうことにこだわることなく、政府はCDM理事会等の当局に働きかけて使い勝手のよいものにしてほしい。そうじゃないと、やはり日本の全体としての国益に反するんじゃないかと、そう思います。
以上です。
○須藤部会長 どうも御意見ありがとうございました。
それでは、平尾委員、どうぞお願いいたします。あと残り七、八分になりましたので、一通り御意見を伺いたいので、続いてお願いします。
○平尾委員 簡単に言います。
4ページ、社会変革のための対策と早期導入の必要性のところは、前回資料では対策技術の重要性というのがありましたが、これが欠落しております。私は、これは復活すべきと思います。
それから、15ページ。家庭のところで図11参照というところで、日本が家庭の使用量が低いということですが、これは80ページとか82ページのところで暖房需給の問題、それから電化製品の問題云々されていますので、ここに記載すべきだろうということでございます。
それから、33ページ。先ほど環境税の話がございましたが、これは桝井委員の御指摘のとおり、私は裏づけとなる施策をちゃんと検証した上で追加財源についての検討を進めるということになるのではないか。まだこれは追加財源というのは決まっていないと思います。
それから、41ページ、京都メカニズム。下から6行目ぐらいでございますが、費用対効果が高いということで、高いんですが、それだけではなくて、我が国の技術を途上国の環境と経済の両立というところで活用していく、こういう責務がございます。そういう意味においては、「この点に関しては」云々の3行は腰が引けているというふうに思います。
それから、56ページ。これは公表制度、先ほど来ございますが、公表によってインセンティブが働くというのとはちょっとネガティブなんですが、私は、これは公表以前の問題として自覚してやっております。それで、もし公表するとしても、国が一定のルールで集計しということは非常に重要でございまして、バウンダリーコンディションをしっかり認識して、各種のデータ間で不整合だとか一貫性を損なうと、こういったことのないような形をやっていただかねばならんと思います。決して角を矯めて牛を殺すようなことにならんようなデータの公表というのをお考えいただきたい。よく議論したいと思います。
それから、70ページ。原子力の問題でございますが、原子力発電所の新規増設についての議論です。これは難しいので、発電効率を何とかせいやという、いわゆる事業者の努力にしわ寄せしたような形になっておりますが、我が国のエネルギーセキュリティーも含めてこのCO2問題を考えますと、原子力問題をどう取り組んでいくのかということは根幹にかかわる問題であります。もっと大きく取り上げていいんではないかと思います。
71ページ、目標値のところ、下のところでございます。これはどういう性格のものにするのかということをよく議論していかなければなりません。近視眼的に数字を追いまして本質的な対策を曲げないような、そういう工夫が要るということを付記するか何かの形で議論させていただきたい。
それから、環境税のところであれが抜けておった。前回のところが抜けておったのは同感でございますが、私はつけ加えますと、税調の中にもそれは論及されております。あえてその内容を御存じの上で外されたということはどういうことかということをもう一度申し上げます。
それから、85ページ。非エネルギー起源の云々のところで、混合セメントの有為性というものについて前回記載がございましたが、これが欠落してございます。何かその後の動きがあったのか、関心のあるところでございます。
それから、最後に98ページ。一番上のところで大綱の見直しのまとめのところでずっとありまして、上記のことを提言したという表現がございますが、環境税とかサマータイムの導入というのを大綱の見直しで提言したというよりも、むしろこれの意味合いだとか問題点のあり方とか、そういうところを議論した結果を提言したというのが正しい表現ではないかと思います。
どうも、長くなりました。
○須藤部会長 どうもありがとうございました。
それでは、続いて福川委員、どうぞお願いします。
○福川委員 簡単に申し上げたいと思います。
1つは予算。来年度予算といいましょうか、2005年度予算の成果。金額はもちろんホームページを見ればわかるんですが、要求しようとして実現した予算、それから実現しそこなった予算、それが一体施策にどう響くかという、その対策効果を含めて、この予算というものを一回是非聞かせていただきたい。それをどう評価をしているか、どこの財源が足りないのか、これならどれだけいくということになっているのか、その予算の内容と、その予算の成果、それからまたその評価、これがどういうふうになるかということを、一回是非ここで議論もしてみていただきたいというふうに思います。
2つ目は、面的なアプローチということも大変すばらしいことだと思いますが、各府省を超えてアプローチするという文言があって、これは大変すばらしいことなので、是非実現しなければならないと思いますが、作文に終わったんじゃ意味がない。したがって、今回の予算、あるいは法律の中でそれがどう実現できるかということをお願いをしたいということで、この2点は次回で結構ですから、ひとつそういうことをお願いをしたいというふうに思っております。
それから1つ、環境税についてはいろいろ御意見がございましたが、私はもっと子細に討論をすべきだと思っております。
それからもう一つ、94ページのところにちょっと漢字が出てくるんですけれども、これはどこまで地方の問題に国が責任を持つかということで、94ページなどを見ると、非常に国がやるんだ、国がやるんだというトーンで書いてあります。特に94ページの下から2つ目の丸のあたりなんですが、とにかく国が課された義務だから、国がやるんだ、国がやるんだと、こういうふうに書いてあります。国は義務かもしれませんが、やるのはみんな各主体が自発的にやるわけなので、ここのところはもっと自治体の努力を促すことで、補助を含め国が積極的に支援する。支援しなくてできることがあればいいわけですから、もっと自発的にやってもらうということを促すトーンで書きかえた方がいいと思います。
以上です。ありがとうございました。
○須藤部会長 どうもありがとうございました。
三橋委員、続いてどうぞ。
○三橋委員 私もちょっと2点あるんですけれども、1つは目標達成計画の位置づけですね。これ、例えば43ページの中長期的な観点のところに書くべきなのか、もっと最初の方に書くべきなのかは別として、やはり目標達成計画は2012年で終わるわけですね。しかし、2013年以降、さらに厳しい状況が起こってくるわけですから、それとのやはり関連の中で完結じゃないんだよと。例えば排出量取引、これなんかは恐らく2010年まではほとんど実際の効果は低いと思うんですね。しかし、2013年以降を考えれば、これはいろいろ効いてくると私は思っています。そういうようなことで、目標達成計画の位置づけというものを2012年で完結するんじゃなくて、それ以降の対策にもつながるような位置づけで考えるという視点を是非入れてほしいということが第1点ですね。
それから、63ページ、あるいは40ページにある環境税の問題です。環境税について言えば、日本ではまだ導入していないわけだけれども、ヨーロッパではもう十数年の歴史を持っていて、いろいろな成果が出ているわけです。環境税の導入によって、例えばエネルギー源を石油からバイオマスに転換することに成功したところもあるわけだし、それから、新しいエネルギーを起こして、それが今や国際的競争力を持つような業種もあるわけですね。そういうことで、抽象的に議論するんじゃなくて、既にヨーロッパで環境税を実施することによって得た成果というのが具体的にいろいろあるわけです。そういうことについて言及しながら、例えば63ページのようなことをやはり書いていくということが必要なんだろうと思うんですね。
私自体の感想から言えば、環境税の導入というのは日本の企業を強くするというふうに思っているんですね。だから、環境税の導入によって国際競争力が弱くなるというんだったら、やはり弱くなるということの証明が必要だと思うんですよ。そういうものを、例えば日本経団連なんかはやはり出すべきだろうと思うんですね。私がずっと30数年企業行動というものを観察してきた立場から言えば、そういうハードルが高くなったときに、もちろん脱落する企業も少しはあります。しかし、大半の企業は、すごい壁ができたなと思って座して死ぬことを選ばず、いろいろなイノベーションを起こして乗り越えてきたというのが、過去の日本の企業の姿なんですよね。だから、競争力が弱くなるんじゃなくて、一部の企業は市場から消えてもらうことになるかもわからないけれども、大半の企業はその障壁を乗り越えた後、非常に国際的に競争力を強めてフルーツを得るような状況というものが、少なくとも過去の事例としてはそういうケースがいっぱいあるわけです。そういうことで、抽象的に環境税の導入が企業の国際競争力を弱めるというようなことを言わないで、もしそういうんだったら、それをやはり証明するようなデータを出してもらって議論をするというようなことが必要だろうという、この2点を強調しておきたいと思います。
○須藤部会長 どうもありがとうございます。
予定した時間が参ったんですけれども、あと3人の委員でございますので、10分ほど時間を延長させていただいてお伺いしたいと思います。
安原委員、どうぞ。
○安原委員 ありがとうございます。私からも簡単に2点申し上げたいと思います。
1点は、今もお話がありました63ページの環境税のところでございますが、脚注に今後の検討の進め方について簡単に触れた文章がございます。これに関連してお願いしたいわけです。この検討の進め方としまして、どういうぐあいにこの検討を進めるかですが、結局、今回は大綱に代わって京都議定書目標達成計画を策定するということでございますので、当中央環境審議会として達成できる計画を政府に進言する責任があると思うんですね。そこで、6%削減の裏づけとなる対策と、その削減量、財源の確保も含めたどのような施策をどの程度見込むのかを事務局からきちんと説明をいただければありがたいと思います。その説明に際しましては、冒頭御説明がありましたように、与党税制改正大綱が出ておりますし、それから政府税制調査会も出ておりますので、これらに対してきちんと答えができるような内容もカバーしていただければ幸いでございます。もう限られた時間の中で、この審議会として検討を進めなきゃいかんと思いますので、是非事務局の方できちんと整理をして、タイミングを見て説明をいただきたいと思います。
それから、第2点目は、これも皆さん触れていらっしゃいます温室効果ガスの排出量の算定・報告・公表の制度でございますが、この制度は削減計画を進めていく上でのベースになる重要な仕組みであると思います。これを使って有効に対策を進めていくように持っていくべきだと思います。具体的な仕組みの中身につきまして、このペーパーで示されておりますので、この原案を支持したいと思います。是非具体化の努力をしていただきたいと思います。
以上でございます。
○須藤部会長 どうもありがとうございました。
続いて、山口委員。
○山口委員 ありがとうございます。1点だけ絞って申し上げます。
一言で言えば、京メカについてもっと危機感を持ってほしいということなんです。この間も、私は欠席させていただきましたが、私どもの出向者が御説明しましたように、日本政策投資銀行と国際協力銀行と電力会社と経団連の会社と一緒になって1.4億ドルの基金をつくりました。それで、良質なクレジットの獲得に、今スタッフが全世界を飛び回っております。ただ、一生懸命汗をかいてやっておりますけれども、これはなかなか容易でないという報告が来ております。したがって、そう簡単に京メカが獲得できるものでもないということをよく頭に入れておかなきゃいけない。しかも、私どもは1.4億ドルの規模ですが、このペーパーの92ページにもありますように、政府では1億トン分要るんですね。それで、政府によるクレジット調達制度でなければとても間に合わないともはっきり書いてあります。これは私は評価しますが、それを早くやらないと間に合わないんです。なぜかといいますと、2006年で始めても、実際排出削減を始めるのは2010年ぐらいになってしまう。すると、2012年迄の間の話ですから、幾ら努力しても間に合わないということになってしまうわけです。だから、この92ページで上から4行目に、可能な限りの早期、すなわち2006年度から導入、この意気込みはいいんですが、本当を言うと、遅くとも2006年にはもう立ち上がっていなきゃいけないので、そこはちょっと甘いんじゃないかというのが問題として指摘したいと思います。
それで、また民間ではこういうふうに、いろいろCDM市場で効率的な買い取りを進めるべく努力しておりますけれども、民間の取組とよく協調してやっていかないと、政府の資金でぎりぎりになって高い金を出して買うとかいうことになりますと、やはり国民の批判も非常に出てくるかもしれん。その辺、よく気をつけて、時間との戦いですので、もう早く早く政府内で意思統一をして、これに取りかかっていただく必要があるんじゃないか。
実は、京メカは補足的措置だと位置づけられておりましたから、余り表に取り上げられにくかったんでしょうけれども、実際上、国際条約となって、この公約を守ることになりますと、これがやはり最大のバッファーにならざるを得ないんですね。そういう意味では、この辺について危機感を是非持っていただきたいというふうに思っております。
○須藤部会長 どうもありがとうございました。
最後で大変申しわけありません。横山委員、お願いします。
○横山委員 新しくできる目標達成計画というのは、本当に効果を上げる、つまり6%削減に確実に向かうという観点から、簡単に言いたいと思います。
まず1点は、現在の大綱に出てくる対策と施策、いっぱいあるわけですけれども、あれはみんな、本当にこれができるのかな、根拠は何だ、裏づけはあるのかということを言われて、それで推進大綱の評判は悪かったわけですね。今度のこれを見ると、その辺のところをかなり書いているんですが、まだばらばらで、例えば33ページに出てきたり38ページに出てきたり、その辺を、目標達成計画という新たなものになるんだという観点から、もう少し位置づけ、具体的にこういう根拠があるからやるんだということを、是非書いていただきたいと思います。それについては、やはりこれまでも出て、財政的裏づけとか財源をどうするんだということで、鎌形課長もその辺はきちんとやりたいというので、是非それはお願いしたいと思います。
それから、環境税についても、やはり対策・施策の財源としては有効な手段なわけで、それをもう少し環境税でこういうことをやりたいんだということを書いてほしいと思います。これまでの案ですと、1,500億円ぐらいは雇用の促進に使うなんていう少し姑息な書き方がしてあるわけですが、やはり温暖化対策税ということで、温室効果ガス削減にすべてを使うんだということで対策・施策のしっかりした根拠になるような表現にしていただきたいと思います。
それから、最後でいろいろな意見を聞いていて、産業界の方を中心にCDMはもう少し使い勝手のよいものにすればと、それから原子力推進をもう少しうたえということを言われていましたが、私は逆に、これでも少し書き過ぎじゃないかなというふうに思います。CDMを1.6%とか言わずに使えとか、原子力をもっと推進せよというようなことは、これ以上積極的に書く必要はないんではないかと思います。
以上です。
○須藤部会長 どうもありがとうございました。予定した時間が参りましたので、ここで部会長としてまとめをさせていただきます。
6%の削減の裏づけとなる対策と、その削減量を財源の確保まで含めまして、どのような施策をどの程度講ずることにより定量的に見込めるのかということは極めて重要でございますので、この問題について、先ほどから何人かの委員が指摘していますように、事務局において専門家の意見もよくお聞きになって、次回の地球環境部会では是非報告をお願いしたいということで、部会長としてのまとめにさせていただきます。
ただ、日程の問題とか、先ほど、あと何回やるのかというような今後の予定について御質問がありましたので、それを中心に、それから今の御質問の部分もあるので、ここで今御回答いただくとまた時間が過ぎちゃいますので、どうされるのかを清水課長から御説明ください。
○清水地球温暖化対策課長 次回、既に各委員の御日程を調整しておりまして、2月23日ということで日程をとっていただいております。
今日御議論いただきましたことを踏まえまして、それから、目標数値なども含めて、可能であれば出す方向で議論を進めていきたいというふうに思っております。まとまれば23日ということも考えたいと思っていますが、もう一日予備日などもつくっておりますので、また適宜内容を調整しながら23日にかけるということをしたいと思っております。
それから、お帰りになりましたが、福川委員から予算などのお話もありましたので、いろいろな関係資料を出すようにという御指摘がありましたのを一回整理して、次回にも資料として提出できるようにしたいと思います。
今回お話があったことで、御質問のところもなくはなかったわけですが、御意見の部分がかなり多かったと思いますので、もう一回こちらの方で整理して、次回の資料なり報告の中で対応できる部分は対応して御説明するということにしたいというふうに思います。
鎌形課長から何かあるでしょうか。
○須藤部会長 ありますか。よろしいですか。
それでは、大変時間を超過して、これは進行役としてふなれでございまして、18時ぴったりにおしまいにできなかったことをおわびします。そして、特に高橋委員から後の方については、急がせてしまいまして十分に御発言をできなかったと思います。次回は横山委員の方から順番に、ゆっくりとやられても困るんですけれども、的確に御意見を述べていただきます。──ですから、次回はこういうふうに回りますので、23日はお約束をしておきます。後の処置については清水課長がおっしゃったとおりでございますので、次の部会の中で御議論をいただくということにさせて、資料等ももちろん出していただきます。
それでは、これをもって本日の地球環境部会を終了させていただきます。どうもありがとうございました。また、どうもお疲れさまでございました。
午後6時14分 閉会