中央環境審議会 地球環境部会(第126回) 議事録

午前10時00分 開会

○低炭素社会推進室長

皆様、おはようございます。

定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会地球環境部会を開催させていただきたいと思います。

事務局の環境省の地球環境局低炭素社会推進室の室長をしています瀧口です。よろしくお願いします。

まず、本日の審議は公開とさせていただきます。

また、現在、委員総数24名のうち、過半数の委員にご出席いただいており、定足数の要件を満たし、部会として成立していることをご報告させていただきます。

まず、浅野部会長からご挨拶をいただきたいと思います。

○浅野部会長

おはようございます。

前回、この部会を開きましたのは1月26日だったと思います。その後、産業構造審議会との合同会議はございましたけれども、地球環境部会として単独の開催ができるのは久々ということでございます。頻繁に会合を開かなくてはいけないと思いつつも、諸般の事情があり、なかなか部会が開かれないということにつきましては申し訳ないことだと存じます。

現在の体制では、重要な地球環境に関する施策の最終決定につきましては、この部審議会で何かを考えて意見をのべますとそれがそのまま決めに反映されるという仕組みにはなっておりませんので、この点でも甚だ、やりづらいわけでございますけれども、しかし、やはりこの部会から、環境政策という観点にたった意見をしっかり述べていくということは、政府の決定に対して意味のあることだろうと考えておりまして、今回の議事内容は、最近の状況についてのご報告を主な内容としてはおりますけれども、ご報告の内容につきまして適切なコメント、ご意見をいただければ、また、環境省は、これをうけてご意見を反映させるべく最大限の努力をするだろうと存じますので、本日はどうぞよろしくお願いいたします。

○低炭素社会推進室長

ありがとうございました。

部会長から今ご紹介がありましたように、この地球環境部会は今年1月下旬以来の開催になります。今年の2月に委員の改選がありまして、改選後といいますと最初の部会開催になります。

新しく参加された委員をご紹介させていただきたいと思います。

このテーブルのこちら側からご紹介させていただきますと、読売新聞から滝田委員でいらっしゃいます。

大阪大学から、下田委員でいらっしゃいます。

電気事業連合会から、河上委員でいらっしゃいます。

トヨタ自動車から、根本委員でいらっしゃいます。

どうぞよろしくお願いいたします。

また、環境省におきまして一部人事異動がありましたので、新しく着任した者を紹介させていただきたいと思います。

地球環境審議官の小林です。

地球環境局総務課長の森下です。

フロン対策室長の鮎川です。

それでは、事務方を代表しまして環境省地球環境局長の梶原より、一言、挨拶をさせていただきます。

○地球環境局長

本日は、猛暑の続く中、そしてお盆の時期というときに、このような会議を開催させていただきましたこと、まずもってお詫びを申し上げたいと思います。そして、また、そういう時期にも関わりませず皆様のご出席を賜ったことにつきまして、深く感謝を申し上げたいと思います。

本日、さまざまな点について、ご報告をさせていただき、ご意見を賜りたいと考えております。地球環境問題につきましては、まさに極めて重要な局面を今、迎えているというふうに私ども認識をしているところでございます。

まず、第1点目といたしましては、本年の11月の終わりから12月の初旬にかけてパリで開催されます地球温暖化対策のCOP21におきましては、2020年以降の国際枠組みの構築という課題で、国際的には各国のリーダーも含めた形で、今、議論が進められているところでございます。全ての国が参加する公平かつ実効的な枠組みをつくるべく、我が国としても積極的に貢献をしていくという所存でございます。

中環審、産構審の合同専門家会合でも議論を賜りました約束草案につきましては、7月17日に国連に提出させていただいたところでございます。約束草案には、2030年の目標といたしまして、13年度比26%減、2005年比25.4%減という目標を掲げております。この目標の達成だけでなく、さらには2050年、80%減という目標を今、持っております。そういった目標も見据えまして、温暖化対策の計画の策定あるいは国内対策の抜本的強化に向けた検討を進めていきたいと考えておるところでございます。

また、適応に関しましては、本年3月に意見具申を賜っております。我が国における気候変動による影響の評価に関する報告と今後の課題についてという意見具申でございます。この意見具申を踏まえまして、早期に政府全体の適応計画というものを策定してまいりたいと思っております。

さらには、来年5月に我が国で伊勢志摩サミットが開催されます。その関係閣僚会議の一環といたしまして、5月15、16日には富山県富山市におきましてG7の環境大臣会合を開催することともなっております。このような場でも、地球規模の環境対策について議論がされるということだというふうに理解をしております。いずれにしましても、国際社会をリードできるよう関係自治体の方々とともに連携をいたしまして、全力で取り組んでまいりたいと考えております。

多岐にわたる事項に、今日、ご審議していただくわけでございますけれども、部会の委員の皆様方におかれましては、忌憚のないご意見を賜ってまいりたいと考えております。どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。

○低炭素社会推進室長

次に、配付資料の確認をさせていただきます。まず、お手元の資料をご覧いただきますと、議事次第、それから地球環境部会の委員名簿がございます。そして、資料1-1、これが日本の約束草案、資料1-2がパワーポイントの横長の約束草案の策定プロセスという資料です。資料2-1が、これもパワーポイントの横長で気候変動に関する国際交渉の状況、資料2-2が二国間クレジット制度(JCM)の最新動向となります。資料3が、これもA4の横のパワーポイントの資料、気候変動適応策について(報告)、資料4-1から4-4が、まとめてとじてあります。資料4-1、表紙に第17回日中韓三カ国環境大臣会合と書いてあります資料です。そして、資料5、これもA4横になりますが、電気事業分野におけます地球温暖化対策についてというものになります。

参考資料は、参考資料1が約束草案の英訳、参考資料2が約束草案の政府原案に寄せられたパブリックコメントの概要、参考資料3が日中韓三カ国大臣会合でまとまりました共同行動計画の仮訳ということ、参考資料4が行動計画のリスト、参考資料5がG7のエルマウ・サミットの首脳宣言の仮訳ということになります。もし資料の過不足等ありましたら、事務局までお申しつけください。

それでは、以降の議事進行は浅野部会長にお願いいたします。

○浅野部会長

それでは、ただいまから議事を始めたいと思いますが、その前に、委員の交代がございましたので、新たに部会長の代理の指名をする必要がございます。中央環境審議会令第4条の3項が部会につき準用されておりまして、部会長が指名する者が部会長に事故があるときにその職務を代理するということになっております。そこで、大塚委員に部会長の代理をお願いいたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、本日は、先ほど局長からもお話がありましたが、まず最初に約束草案について事務局からご説明いただきます。資料1-1、1-2及び参考資料1、2、以上を使って瀧口室長から説明がございます。

○低炭素社会推進室長

それでは、議題の最初の約束草案についてということですが、資料1-1をご覧ください。

日本の約束草案、2030年度の削減目標ですが、平成27年7月17日、先月17日に地球温暖化対策推進本部で決定され、その同日、気候変動枠組条約の事務局に提出されております。

その内容ですけれども、ページ数がありますが、4ページ目をご覧いただけますでしょうか。

日本の約束草案と書いてあるところがございます。2030年度に2013年度比で26%減、2005年度比で25.4%減の水準とするというものです。この約束草案は、最初のところに書いてありますが、エネルギーミックスと整合的なものとなるよう、技術的制約、コスト面の課題などを十分に考慮した裏づけのある対策・施策や技術の積み上げによる実現可能な削減目標として、国内の排出削減・吸収量の確保により取りまとめたものでございます。

以降、COPの決定に沿いまして明確性・透明性・理解促進のための情報というものが記しておりますし、前に戻っていただきまして、資料の3ページには、日本の約束草案の提出についてということで、日本の状況の説明、それから約束草案の内容、COPの決定に基づきまして公平性・野心度、それから条約2条の目的、条約の第2条に条約の究極目的が書いてありますが、その達成に向けた貢献ということで記しております。

また、約束草案の6ページ以降は参考ということになりますけれども、それぞれの温室効果ガスの2030年度にどれぐらいにするかという数字、それから7ページが温室効果ガスの吸収源、3番、二国間クレジット制度、JCM及びその他の国際貢献ということで記しておりまして、8ページに温室効果ガス削減目標の積み上げに用いたエネルギーミックス、9ページ以降に目標積み上げの基礎となった対策・施策のリストということで掲げております。

資料1-2に参りまして策定プロセスでありますけれども、中央環境審議会地球環境部会の下に2020年以降の対策の小委員会、それから産業構造審議会のほうでも約束草案のワーキンググループを設置しまして、その合同会合、これを合同専門家会合と呼んでおりますが、昨年の10月から計7回開催しております。そして、第7回、4月30日の専門家会合で要綱(案)というものを審議いただきまして、そこから、これを政府のほうで受け取って、その後、6月2日に地球温暖化対策推進本部で政府原案というものを了承しまして、6月3日から1カ月間、パブリックコメントを受け付けまして、そして、それを踏まえて7月17日に約束草案を決定、国連に提出ということになりました。

資料1-2の2ページが専門家会合のメンバーの方のリスト、それから3ページ目でパブリックコメントの概要ということで、全体で1,982件いただいております。どういった意見をいただいたかということは、参考資料2に詳しく記しております。また、参考資料1は、国連気候変動枠組条約の事務局に提出した英文を参考資料として提出させていただいております。

以上が事務局からの説明になります。

○浅野部会長

それでは、ただいまのご説明につきまして、ご質問、ご意見がありましたらお受けしたいと思います。

恐縮でございますが、ご発言をご希望の方は名札をお立ていただけますでしょうか。先に全部立てていただいて、それから大体の時間を皆さんに計っていただいて、ご発言をいただきたいと思います。よろしゅうございましょうか。もう、これ以上の追加は認められませんが、よろしいですね。

それでは、冨田委員、高橋委員、住委員の順番でお願いいたします。

○冨田委員

ありがとうございます。

この約束草案でございますけれども、日本の温室効果ガス排出量の約90%がエネルギー起源のものなので、約束草案における削減目標もエネルギー起源のCO2をいかに削減するかが、やはり中心になっていると思います。そして、いわゆる積み上げ方式で検討したエネルギーミックスを前提に目標を設定したと理解をしております。積み上げ方式にしたことによって、実現可能性についても考慮したものになったと考えておりますが、エネルギーミックスが前提としている対策、施策は、どれも成り行きで達成できるレベルのものではないと思います。大事なのは個々の対策・施策をどう実現するかということで、その意味で、今後検討、策定される温暖化の対策計画が非常に重要と考えます。

約束草案の目標積み上げの基礎となった対策・施策が資料1-1に列記されておりますけれども、例えば、コージュネーションの普及など明示されていない温暖化対策もありますし、まだ普及段階ではないものの将来の温暖化対策となる技術開発にも目を向ける必要があると考えます。また、温暖化対策を推進する際にも、地方創生であるとか、あるいはナショナルレジリアンスなどの社会的要請、それから電力とかガスの小売の全面自由化という環境変化、こういったことにも配慮する必要があると考えます。

この約束草案は結果報告ということになってしまいましたけれども、温暖化対策計画については、この部会でしっかり議論させていただきたいと考えますので、よろしくお願いします。

以上です。

○浅野部会長

ありがとうございました。

高橋委員、どうぞ。

○高橋委員

ありがとうございます。

まず初めに、約束草案の策定に向けた政府の検討の丁寧な積み重ねに敬意を表したいと思います。また、パブリックコメントにもさまざまなご意見が寄せられていると思いますが、この約束草案をあくまでも削減目標の最低ラインと考えてさらなる上積みを目指し、産業部門、民生部門など全ての分野で努力をすることと、その努力に対する各部門への適切な支援を政府にお願いします。簡単ですけど、一言、意見でございます。

○浅野部会長

ありがとうございました。

住委員、どうぞ。

○住委員

約束草案の件なのですが、今度のCOPの21は、いわゆる拘束力がある議定書というのは多分、あまりできないんじゃないかと多くの人が見ておりますし、そういう中で、これを約束したわけだから、COP21がどうあるかは置いても実施する形になると思います。そういう点では、もう来年度予算要求がありますので、同時に、具体的にどういう施策をとって、これをどういうふうにやっていくかというのを、もっとオールパッケージで出されることを同時にやられたほうがよいと思います。

以上です。

○浅野部会長

ありがとうございました。

では、末吉委員、どうぞ。

○末吉委員

ありがとうございます。

私は、金融という小さな窓を通して世界の流れ、温暖化に関するものを見ているわけですけれども、今の流れを幾つかのキーワードで表現するとしますと、まずディカーボナイゼーションですよね、脱炭素化。これは投資の世界で非常に顕著になってきました。あるいは成長とCO2排出は分けられるんだと、CO2を減らしながらも経済が成長できるというディカップリングです。それから、当然ながらサステナブル・ディベロップメント。その目指すところはサステナブル・ソサエティーだと思います。こういった点を考えますと、CO2を減らすことは、単にCO2が減ればいいという話ではないと思っております。

どういうことを申し上げるのかといいますと、21世紀のこれから日本が直面する国際競争は、国のあり方や社会、それから、当然、経済や産業のあり方、消費のあり方について、いかにディカバナイズするのか。それに成功したところが勝ち残っていくと、そういったような新しい国際競争が始まっていると思います。としますと、そこで念のためにお尋ねしたいんですけれども、今までの委員の方と同じ懸念なんですけれども、この実効性をどうやって担保するのかです。ここで計画プロセスということで地球温暖化対策の推進に関する法律に基づいて計画を策定すると書いてあるんですけれども、一般的には諸外国では明確な法的担保とか政治的担保とか強い縛りもたくさんあるわけです。ですから、この計画をどうやって実現していくのかが、私は、これからの日本全体の国際競争力の源をつくっていくんだと。そういった点を考えますと、どうやって実現性を担保するのか、そこの辺りについて、もう少し教えていただければと思っております。

以上です。

○浅野部会長

ありがとうございました。

下田委員、どうぞ。

○下田委員

ありがとうございます。

今の先生方も言われましたように、やはり、この目標、達成していくことが非常に重要なポイントで、私が専門としております民生分野でいえば20%ぐらいの省エネルギー、たしか家庭部門は24%ぐらいになっていたと思うのですけれども、かなり難しい目標を立てておられると思います。これをいかにマネジメントしていくかというマネジメント体制の構築を、ぜひお願いしたいと思っております。

その中では、やはり地域実行計画というのがありますので、自治体単位で排出量をモニタリングしてPDCAを回していくような体制というのをお考えいただきたいと思うのですが、現在のところ、今でも各自治体で排出量の推定というのをやっておられるのですけれども、精度とスピードに非常に問題がありまして、なかなかマネジメント体制が回せていないというところがございますので、この点をぜひお考えいただきたいという様に考えてございます。

以上です。

○浅野部会長

ありがとうございました。

河上委員、お願いいたします。

○河上委員

ありがとうございます。

既に同様のご意見は出ておるところでございますが、やっぱり約束草案につきましてはエネルギーミックスの実現が前提となるということでございまして、私ども電力業界につきましても、例えば、需要については相当程度の省エネをやっていかなきゃいけないということで、抑制されないとなかなか達成が難しいというところでございまして、そういったところを、やはり政府、事業者、国民が協力して一体となってやっていかなきゃいけないというところでございます。そういう認識でございまして、そのための政策だとか環境整備の充実というのは大変重要だと思っております。

そういう中で、私どもとしましては、当然、事業者としての責務を果たすということでございまして、ようやく電力業界につきましても、先日、新電力さんと我々電気事業連合会で枠組みをつくりましたが、この枠組みの中で、安全はもちろん確保した上での原子力の活用だとか、それから再エネの活用、火力の高効率化と適切な維持管理、それから省エネ・省CO2サービスのご提供と、しっかり枠組みの中でそれぞれの事業形態に応じて各社やってまいりたいと思っております。それから、当然、チェックもちゃんとさせていただきたいと思っておりまして、毎年フォローアップをかけて、そしてPDCAを回していくということで、しっかり取り組んでまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

以上です。

○浅野部会長

ありがとうございました。

三村委員、お願いします。

○三村委員

この約束草案については、いろんな委員がご指摘されたので、私、ちょっと2030年より先の展望をどういうふうに考えておられるかということをお伺いしたいんですけれども。というのは、その先の2050年に40%~70%ぐらいCO2の排出を削減しなきゃいけないと。さらに、IPCCの第5次報告書で見ると、今世紀末にはゼロエミッションだとか、あるいは場合によってはマイナスにしなきゃいけない、そういうような先の見通しが出ているわけです。

先ほど末吉委員もおっしゃいましたけれども、7月にCOP21に向けた科学会合というので、ユネスコで開かれた会合に参加する機会があったんですけれども、その中では、まさに低炭素化というのを超えて、将来の社会というのは脱炭素だと、ディカーボナイゼーションだというような話が随分あって、そうすると、当然、社会のエネルギーインフラも大きく変わらなきゃいけないし、それから社会の構造、経済の仕組み、そういうようなものも随分変わっていくと。そういう方向に向かって、既に将来を考えているような国とか議論が始まっているような印象を非常に強く受けました。

そうすると、2030年目標をしっかりやるということとあわせて、その先の将来的なものにあわせて、例えば科学技術の開発政策はどういうふうになっているのかとか、そういうようなことを考えていかなきゃいけないんじゃないかと。その辺、これ、直接この中にはもちろんそういうことは書いていないと思うんですけれども、そういう認識あるいは議論がどういうふうになっているのかということについて、ちょっとお伺いをしたいと思います。

○浅野部会長

ありがとうございました。

原澤委員、お願いいたします。

○原澤委員

2点。私も合同会合に参加させていただいて感想めいたコメントになるんですけれども、一つは、再エネの検討がもう少しできたんじゃないか、深掘りができたんじゃないかと思っています。一方、省エネのほうはかなり、先ほどお話もあったように、積み上げを精密にされて、非常にぎりぎりのラインまでの答えが出てきたということで、今後、先ほどもあった、地球温暖化対策計画をつくる際に非常に有用な情報になっていくと思います。ですから、今回の場合は、再エネをもう少し深掘りすれば、さらに削減パーセントが増えたと思います。

温暖化対策計画をつくられるというお話だったんで、ぜひ早くつくってPDCAサイクルを回して、2020年の目標、2030年の目標もあったりしますので、それを必ず達成できるように、見直し等して、さらに深掘りできるような形で進めていただきたいというのが1点目です。

2点目がJCMの議論、先ほどの資料1-1ですと5ページ目に書いてありまして、JCMについては約束草案に入れるかどうかの話もあったりして、是非入れるべきという話をしました。

と言いますのは、単に我が国のCO2削減ということだけでなくて、途上国の温暖化対策の推進とかCO2削減、さらに低炭素社会化を進める非常に重要な役割を持っているんじゃないか。メキシコも約束草案の中で、その他の対応ということで二国間クレジットということで、JCMを念頭に置いた記載もされているということで、国際的にも認知されつつあるということで、これをCOP21で認められて、クレジットシステムとして定着させるようにやっていただきたいと思います。

以上、2点です。

○浅野部会長

ありがとうございました。

根本委員、お願いいたします。

○根本委員

ありがとうございます。

私からは、産業界としてコメントとお願いをさせていただきたいと思います。

まず、日本の目標設定でございますけれども、これは裏づけと実効性のある対策をしっかり積み上げていただいたという点、かつ海外クレジットを含めない、いわゆる真水で設定していただいた点、この点につきましては産業界としても高く評価させていただきたいというふうに思います。そんな中で産業分野でございますけれども、経団連低炭素社会実行計画、いわゆるフェーズ2でございますけれども、この中でお示ししました最大限のCO2削減努力目標をしっかり織り込んでいただいておりますので、ここから先、経団連としましても責任を持って着実に推進して対策に貢献してまいりたいというふうに思っております。

それで、今後でございますけれども、特にCOP21の後になるかもしれませんが、国内対策につきましての、より具体的な議論が始まるかというふうに思っております。その中で経済界の対策としましては、やはり経済活力をそぎかねないかもしれない、そぎかねない規制的な手法を中心に据えるということではなくて、やはり経済活動との両立を図りながら実効ある温暖化対策を進める上で極めて重要と我々は考えておりますけれども、また現に過去に実績を上げておりますこういった実行計画、これを、ぜひ中心に据えていただきたいなというふうに思っております。

一方、実効性の担保、先ほど来も話が出ておりますけれども、あるいはチェック・アンド・フォロー、こういったことも重要な論点になってくるかというふうに思っております。これは我々産業界も含めてということになりますが、セクター別あるいは対策別にしっかりPDCAが回るような形を構築していただきまして、フォローアップ、ぜひいただきたいなというふうに思っております。

最後になりますけれども、家庭部門につきましても責任主体をぜひ明確にしていただきまして、総理を中心とされました国民運動、クールチョイス、こちらにつきまして、ぜひ強力にご推進いただければというふうに思います。

以上でございます。

○浅野部会長

ありがとうございました。

ご意見も多数いただきましたが、ご指摘のあった共通点は温暖化対策計画がどうなっているのだということだろうと思います。さらに、三村委員から、2030年もさることながら、その先の展望についてどう考えているかと、この二つについて、ご質問があったと思いますので、この点について、事務局から、簡潔にお答えください。

○低炭素社会推進室長

ありがとうございました。

今、浅野部会長にまとめていただきましたが、まず、この削減目標をどう実現していくかという点で、資料1-1の4ページをご覧いただけますでしょうか。

4ページの下から見ますと3行目ぐらい、計画プロセスと書いてあるところの箇条書きの一番下の部分になりますが、今後、地球温暖化対策の推進に関する法律に基づく地球温暖化対策計画を策定する予定と書いております。約束草案の2030年の目標を達成するために、地球温暖化対策計画というものを、COP21の合意の状況を踏まえる必要はありますけれども、できるだけ速やかに計画の策定をしていきたいというふうに思っております。

それから、三村委員からご質問のありました点、ごもっともでありまして、2030年はゴールではなくて通過点ですので、さらに2050年に向けて大幅な削減をどう実現していくか、今すぐ何かお答えできる状況にありませんけれども、検討を進めていきたいと思っております。

以上です。

○浅野部会長

今日の多くの委員からのご意見は、COPの結果を待ってから計画をつくるのではなくて、その前に、もう我が国としての国際約束をした以上は、それをどう実現するかについての計画を速やかにつくるべきだということあったと思います。作業はできるだけ急いでいただきたいというのが部会の多数の意見でありますので、事務局はこのような意見に十分に留意していただきたいと思います。

それでは、次に2についてでございます。2は、現在の気候変動に関する国際交渉がどういう状況になっているか、この点についてご説明いただきます。

○国際地球温暖化対策室長

それでは、資料2-1をお開きください。資料2-1に基づきまして、国際交渉の状況につきましてご報告をさせていただきます。国際地球温暖化対策室長の大井と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

まず、1ページ目でございますけれども、気候変動に関する経緯といいますか交渉の歴史でございます。条約が発効してから20年あまりが経過をしたところでございまして、この間、1995年より毎年COPが開催されて交渉が進められてきているところでございますけれども、大きく交渉というのは四つぐらいのフェーズに分けられるだろうということでございます。

まず、条約を採択し発効する一番最初の交渉、それから2010年ごろの先進国に対する法的な拘束力ある数値目標を定めた京都議定書の流れ、それから2020年に向けて先進国、途上国、両方の削減目標、行動のルールを定めたカンクン合意、そして今現在、進められている交渉が2020年以降の全ての国が参加する新しい枠組み、これは資料に書いてございませんが法的な枠組みでございます。カンクン合意はCOP決定でございましたけれども、今回、パリ、COP21で合意を目指しているものは、京都議定書のような法的なものを目指しているということでございます。その交渉が2011年のダーバンからこれまで進められてきており、今年のCOP21パリで合意を目指すということになってございます。

次のスライド、その下のスライドで今年のスケジュールを紹介しております。COP21までに公式な交渉会合としましては4回、予定をされておりました。そのうちの2回が、もう終了したところでございまして、残すところ8月末からの1週間、それから10月の1週間、そしてCOP21に至るという流れでございます。これは公式な会合でございまして、その間にさまざまな非公式な対話等も開かれるということになってございます。

日本の対応としましては、先ほどご紹介がありました約束草案を7月17日に決定し提出をしたところでございます。このCOP21で、全ての国が参加する公平かつ実効的な枠組み構築に向けて積極的に貢献していくというのが日本政府の姿勢でございます。

おめくりをいただきまして、COP21、パリでの合意の非常に重要な部分を占めますのが、全ての国がCOP21に十分先立って提出するというふうにされておりました約束草案でございます。各国の提出状況につきまして、このスライドにまとめてございますが、このスライド、印刷の関係で7月末時点の状況になってございますけれども、その後、アップデートがございます。もしよろしければ修正をいただければと思いますけれども、8月に入りまして、さらに4カ国、マケドニア、トリニダードトバゴ、ベナン、そして昨日、オーストラリア、この4カ国が提出をしております。ですので、国の数でいきますと25カ国とEU、EUは28カ国ですので、国の数ということでいきますと、53カ国が約束草案を提出したという状況でございます。これは、世界のエネルギー起源CO2排出量で約7割を占めるということでございます。

昨日、オーストラリアが出したことによりまして、先進国はほぼ出そろったという状況でございます。途上国も、中国などが出しているということでありまして、まだ出していない国、特に排出量が多い国でいきますと、例えば、インド、ブラジル、南アフリカ、インドネシアといった国々が挙げられるかと思いますが、内々に聞いておるところでは、こうした国々も当然COP21に十分先立って提出するという合意がございますので、鋭意準備を進めているところだということでございます。

COP21でございますけれども、例年同様といいますか、12月の初めのころの2週間ということでございまして、パリの郊外で開催をされます。フランス政府の発表によりますと、例年以上に多数の参加、またハイレベルの参加が期待されるということでございまして、特に昨年の気候サミット以来、政府だけではなくて民間企業でありますとか地方公共団体など、あらゆる主体の参加というようなことが叫ばれております。そういったことで、交渉と並行して行われる様々なサイドイベントなど、かなり大きな行事になろうかと思います。

最後のスライドでございますけれども、緑の気候基金につきまして概要をまとめてございます。この基金は、カンクン合意に基づきまして2020年までの取組の中で設置が決定されておるものでございますけれども、今、それが稼働し始めたという状況でございます。我が国におきましても、今国会になりますけれども、この5月に緑の気候基金への拠出及びこれに伴う措置に関する法律を制定いただきまして、GCFに15億ドルを拠出するという取り決めに署名をしたところでございます。この結果、これまでに各国のプレッジが100億ドルを超えるぐらいの額が約束されておるんですけれども、その半額以上、55億ドルが拠出をされるということになりまして、実質、この基金が稼働するという状況になってございます。特に先進国としましては、ぜひ、パリまでに実際に基金に基づくプロジェクトが採択し稼働しているという状況を目指して詳細な制度の議論を進めていると、そういう状況でございます。

以上、簡単でございましたけれども、国際交渉の状況につきまして、ご報告させていただきました。

○国際協力室長

引き続きまして、資料2-2を用いまして二国間クレジット制度、JCMの最新動向について、ご紹介させていただきます。国際協力室長をしております木野と申します。よろしくお願いいたします。

早速ですけど1ページをお開きいただきまして、二国間クレジット制度について述べております。こちら、下にポンチ絵もございますが、日本とパートナー国の二国間の関係で管理運営していくということが特徴、ポイントとなる制度でございます。途上国へのすぐれた低炭素技術等の普及を通じまして地球規模への温暖化対策に貢献するとともに、日本からの温室効果ガス排出削減等への貢献を適切に評価して、そこで発生するクレジットを我が国の削減目標の達成に活用すると、そういったものでございます。

おめくりいただきまして、次に2ページでございます。先ほど大井室長のほうからもCOP21に向けての国際的な温暖化交渉の御紹介がありましたけれども、こういったJCMのような制度が市場メカニズムを活用した取組として国際的に認められるということも非常に重要でございます。そのために、例えば、昨年の9月の気候サミットでは、安倍総理に日本政府の重要な施策としてJCMを着実に実施することで優れた技術の国際社会への普及、世界の温室効果ガス削減に貢献するということをしっかりコミットいただいております。

また、次のページ、3ページ目でございますけれども、こちら下に写真がございます。これは、昨年、COP20においてJCM署名国から閣僚を含むハイレベルの代表者に御出席いただいたイベントの状況ですけれども、こうしたCOPの場などを通じましてパートナー国とともにJCMをしっかり実施していって国際的な貢献をしていきますということで、PR活動等も実施しているという状況でございます。

次、おめくりいただきまして、4ページ目になります。このJCMですけれども、順調に署名国、パートナー国が増えております。最近ですと、この写真が並んでいる中で左下の二つ、サウジアラビアとの間で今年5月、チリとの間で今年5月末にそれぞれ署名が行われまして、現在、14カ国に増えて、国際的な枠組みとして広がっているという状況でございます。

次に、5ページ目、御覧いただけますでしょうか。先ほど日本の約束草案ということで御紹介がございましたが、その中でJCMがどのように位置づけられているかという紹介であります。三つの段落のうち二つ目でございますけれども、JCMについては、温室効果ガス削減目標積み上げの基礎とはしていないが、日本として獲得した排出削減・吸収量を我が国の削減として適切にカウントするということで明確に位置づけております。

その下、参考ですけれども、途上国への温室効果ガス削減技術、製品などの普及、対策実施を通じて、我が国の削減目標の達成に活用するためJCMを構築・実施していくと。これにより、民間ベースの事業による貢献分とは別に、毎年度の予算の範囲内で行う日本政府の事業により2030年度までの累積で5,000万から1億トン、CO2の排出削減・吸収量が見込まれるということで、2020年以降の取組においても、このようにJCMを明確に位置づけて実施していくという状況になってございます。

また、次のページをご覧ください。6ページ目になります。この表で、各パートナー国との国別の進捗状況をまとめております。真ん中辺り、プロジェクトの登録数というのが左から4番目のカラムにございますけれども、モンゴルで2件、ベトナムで1件、インドネシア3件、パラオで1件、合計7件、このプロジェクトが正式なJCMプロジェクトとして二国間の間で登録されておりまして、今後、クレジットの発生、登録がなされていくということで、順調に進んでおります。

また、その右、それぞれ方法論の採択でございますけれども、プロジェクトの登録と並行あるいは先行いたしまして、18件の方法論の登録も既になされているという状況でございます。

あと、一番右側ですけれども、後ほど少し具体的なところも触れますが、環境省で行っております資金支援事業・実証事業の件数として、25年から今年度までに、計43件の資金の補助事業ということで採択しておりまして、これらを今後プロジェクト登録していくという流れになってございます。

次、7ページ目、御覧いただけますでしょうか。こちらに紹介しておりますのが、先ほど7件、JCMプロジェクトとして正式な登録に至っているという御紹介をいたしましたが、その具体的な実例でございます。例えば、見ていただきますと、工場空調プロセス冷却用のエネルギー削減といった省エネの対策、あるいはパラオにございますような太陽光発電システムの導入のような再生エネルギーの導入の対策、あるいは一番下、デジタルタコグラフを用いたエコドライブのような交通面に着目した対策、そのようなことでJCMプロジェクトが稼働し始めているという状況でございます。

続きまして、8ページ、9ページには承認された方法論を紹介しておりますけれども、こちらについては説明は省略させていただきます。

以下、10ページ以降で、こうしたJCMプロジェクトを今後しっかりと積み重ねてクレジット獲得に結びつけるための政府の取組について、御紹介させていただいておりますけれども、時間の関係で一部だけ御紹介させていただきます。

10ページ、11ページは経産省さん、NEDOさんでやられている概要を載せております。12ページでございますけれども、環境省における施策といたしまして、JCMをしっかりパートナー国で実行していくためのキャパシティビルディングですとか、あるいはJCMプロジェクトを着実に実現するための実現可能性調査をやっているという御紹介になっております。

13ページ、14ページですけれども、JCMの事業化に当たりまして、環境省で三つの補助スキームを設けております。13ページが設備補助事業といたしまして、エネルギー起源CO2排出削減のための優れた設備・機器を導入する企業に対して、初期投資費用の最大2分の1を補助するという事業でございます。14ページで御紹介しておりますのが、一つはJICA等との連携によりまして、JICAなどの支援するプロジェクトと連携する形でJCMのプロジェクトとして補助を出していくというスキームと、もう一つが、アジア開発銀行との間で信託基金を設けまして、その基金でADBが行うプロジェクトに対してすぐれた低炭素技術を採用することによる追加コスト、こちらについて支援するというスキームでございます。

15ページなんですけれども、先ほど43件の、これまで環境省の補助事業としての採択があるという御紹介をいたしました。その国別の一覧になっておりまして、緑色が2013年度、青色が14年度、赤色が15年度ということで、計43件になっております。先ほど御紹介したような再生可能エネルギーの導入、あるいは省エネの導入ということもございますし、あるいは有機性廃棄物からのメタン発酵のようなWaste to Energyという分野、あるいはREDD+のプロジェクトも今年度から採択が始まっておりまして、このように各パートナー国で着実に、こうした事業採択が伸びております。今後とも国際的な温室効果ガス削減に寄与できるよう、JCMを着実に実施してまいります。

以上でございます。

○浅野部会長

ありがとうございました。

それでは、ただいまのご報告につきまして、またご質問、ご意見がおありの方は、どうぞ名札をお立てください。ほかにいらっしゃいませんか。今、お二方しか上がっておりませんが。それでは、長辻委員、お願いします。

長辻委員

よろしくお願いします。

まず、国際交渉の状況ついての質問です。先日、アメリカのオバマ大統領が火力発電からの二酸化炭素排出について削減を2%上積みするという発表をしましたが、これは既にアメリカが発表しております26%から28%の削減の範囲内に含まれるのか、さらに、それに積まれるのか、その辺りを確認したいと思っております。

それから、JCMに関してなんですけれど、これまでに14カ国との間で構築の合意ができておりますよね。そのうち、14カ国中9カ国が2013年の合意で、2014年は3カ国。2015年は、まだ途中ですけれども、2カ国ですか。数の伸びが減速しているような感じがあって、これをもっと増やしていっていただきたいと思いますが、その可能性は、いかがでしょうか。

それから、一番気になるのがJCMの位置づけです。削減目標積み上げの基礎としていないが適切にカウントするという、これがちょっと不明確なんです。これをはっきり、積み上げの基礎としてもらいたいのですが、それがなかなかできない事情がどの辺りにあるのかを教えてほしいと思います。例えば、ブラジルや中国が難色を示しているのではないかと思いますが、そういった国々に対する説得などは、どういうふうになさっていらっしゃるのか、これも教えていただきたいと思います。

あと1点、以前、JCMでカンボジアでスターリングエンジンを使って、もみ殻を燃料として地域の発電に貢献するという、そういう企画があったと思うんですが、これが、その後、どうなったか、この資料からは見えないので教えてください。

以上です。

○浅野部会長

ありがとうございました。

大塚委員、どうぞ。

○大塚委員

2点、質問させていただきます。一つはJCMの関係でございますが、環境省のプロジェクトと経済産業省のプロジェクトと両方ございまして、切磋琢磨して続けてやっていただければと思っておりますし、環境省のほうが、むしろ頑張っておられるような感じがしますが、この二つが、役割分担としてはどういう形になっているかというのは、一応はお伺いしておきたいというのが1点でございます。

それから、もう一つですけれども、資料2-1のほうの2ページで先ほどご説明いただいたところで、国連のポスト2015年の開発アジェンダサミットがございまして、こちらのほうで指標をおつくりになることになると思うんですけれども、その中で再生可能エネルギーについての指標もあると思いますが、これについて、我が国の状況というのは指標との関係でどのように評価されることになるのかということについて、もし今おわかりでしたら教えていただきたいと思います。

以上です。

○浅野部会長

ありがとうございました。末吉委員、どうぞ。

○末吉委員

ありがとうございます。

JCMについては大変いいことだと思いますので、特に、私は日本外交の柱にしてもいいんじゃないかと思っております。

それから、COP21なんですけれども、ここで何が決まるかは、無論、重要なんですけれども、私は、COP21を取り囲むいろんな社会の情勢がいろんなところで変わっていると。例えば、カーボン・プライシングとかETSが非常に世界で進んでおります。あるいは、民間でいけば、取引条件の中にディカーボナイゼーションが入ってきます。投資もそうですし、それから企業の会計原則、これの見直しとか情報公開のあり方とか、日本でもスチュワードシップ・コード、コーポレートガバナンス・コード、GPIFもESG投資を検討するというのが入りました。

こういったことを考えますと、COPレベルで決まる中身も重要なんですけれども、CO2を減らすことで世界でさまざまないろんなサブシステムがいろいろ生まれているわけですよね、国レベル、地域レベル、民間レベル。こういったことをやっぱりホリスティックに、サイロ、サイロじゃなくてホリスティックに鳥瞰図的に見て、どうしたら総合的な一番いい計画ができるのかといったような視点もぜひ持っていただきたいと思っております。

○浅野部会長

ありがとうございました。

それでは、ただいまご質問のあった点について、それぞれ事務局から、お答えいただけますか。どうぞ。

○国際地球温暖化対策室長

まず、長辻委員からご質問のございましたオバマ大統領が発表した点でございます。まず申し上げておきますと、その発表とアメリカの約束草案の数字とは直接的には関係していない別物でございます。オバマ大統領が先日、発表したものはアメリカにおきます火力発電規制でございまして、従来から提案をされ、パブリックコメントの手続を経て、今回、成案として発表されたもの、クリーンパワープランと呼ばれる計画でございます。それを従来提案していたものから、さらに野心的なものにするというような内容で発表されたということでございますけれども、それは、あくまでもアメリカ国内の政策の一部でございます。

他方、約束草案というのは、アメリカ全体として、それも含めたいろんな対策の成果として、全体として2025年に2005年比26~28%削減するというものでございますので、直接的には違うものだということでございます。ただ、もちろんアメリカの約束草案に向けた対策の一部であることは間違いない、しかも重要なものであることは間違いないので、関係はしているんだと思いますけれども、ものとしては違うものというふうにご理解をいただければと思います。

それから、同じく長辻委員からJCMの関係でいろいろご質問をいただきまして、基本的には木野室長のほうからお答えいただければと思っているんですけれども、1点だけ。JCMと約束草案の中で積み上げを基礎としてという関係、ここは若干国際交渉とも絡む話ですので、お答えを申し上げたいと思います。

まず、約束草案においてJCMといいますか、海外貢献分を積み上げの基礎としないということの背景といいますか、その理由でございますけれども、一番大きな話として2030年という将来において、どの程度のクレジットが確保できるのかということについてはなかなか見通しが立ちにくいと、定量的に見通すことが難しいという事情がございます。また、国際交渉の観点からも、実際に海外貢献分をどのようにカウントしていくのか、できるのかといったことについては、まだ今後の交渉次第ということがございます。

交渉の関係ですけれども、先ほどブラジル等の具体的な国名も挙げられておりましたけれども、実際、海外貢献、国際的なクレジットについては、否定的な意見を持つ国も多いんですけれども、全体としては日本以外の国、例えばメキシコでありますとか韓国でありますとか、ほかの先進国でも幾つかの国が約束草案の中に実際に市場メカニズムを含めるというようなことを明言しているというような状況もあり、今年のパリの決定の中で、全く市場メカニズムが使えないとか、それに対する否定的な方向での合意というのはなかなかできない、そういう可能性というのは低いんじゃないかというふうに思っております。

ですので、具体的なルール等につきましては、まだ今後、場合によってはパリ以降にも交渉が続くというようなことになっていく可能性はありますけれども、日本としては、きちんと交渉に臨んで、最終的に日本の海外貢献をきちんと位置づけられるようにしていきたいということでございます。

○浅野部会長

今の点はよろしゅうございますか。合同会議でもJCMについてはかなり議論が対立した面もあるのですけれども、結果的に草案の中では、この部分は上乗せ部分として国際的にアピールするという姿勢が出ているというふうに私は理解しておりまして、つまり、国内的には、とにかく真水でちゃんとやるんだと。しかしさらに、それに上積みはこれでできるはずだから、その成果は国際的にもしっかりアピールするという趣旨だという理解をしております。この先の状況、先ほどの交渉によってどうなるかということはあるかもしれませんが、とりあえず合同会議との関連で言うと、そういうことでございます。

○国際協力室長

部会長、すみません、JCMの件で。

○浅野部会長

どうぞお続けください。

○国際協力室長

続けてご回答差し上げます。

長辻委員からのご指摘ですけれども、一つ、JCMの署名国についてでございました。政府全体の目標といたしましては、平成25年11月に攻めの地球温暖化外交戦略というのが出ておりまして、その中で3年間で当時の署名国8から倍増させるという目標が出ておりました。8掛ける2ですので16カ国ということでございます。現在の時点で14カ国ということでありますが、現在も署名を働きかけている国が幾つかございまして、署名が近いという国も聞いております。引き続き、拡大に向けては働きかけを続けてまいりたいと思っております。

あと、カンボジアのもみ殻発電ということで具体的な御質問がありました。こちらにつきましては、事業者サイドと設備補助事業ということで御相談を受けておりましたけれども、事業者さんとの諸事情によりまして、実施には至っていないという状況でございます。詳細については省かせていただきます。

○浅野部会長

ありがとうございました。大塚委員からのご指摘にはどなたがお答えになりますか。

○低炭素社会推進室長

大塚委員のほうから、国連のポスト2015年開発アジェンダの件で……。

○浅野部会長

ではなくて、経産省と環境省の役割分担がどうなっているのかという点です。

○国際協力室長

お答えいたします。

まず、JCMは、外務省、経産省、環境省、3省でしっかり推進しているところでございます。JCMの具体化の制度の構築等につきましては、あるいはパートナー国との二国間の委員会につきましては、3省合同でしっかりと取り組んでいるというところは、まず大前提になるんですけれども、JCMの案件形成ですとか、あるいは事業化のための支援制度というのは経産省とも取り組んでいるところで、例えば、今回の資料の10ページ、11ページには、経産省NEDOというところで実証事業もつけておりますけれども、経産省NEDOさんとの実証事業に加えて環境省としてしっかり案件形成、三つの資金支援のスキームを準備させていただいて、政府全体で、先ほど約束草案でも具体的な数字が出ておりましたけれども、そのような削減量の獲得に向けてしっかり取り組んでいるという状況でございます。

○浅野部会長

よくわかりませんが、特段の仕分けがなくて、要するに、お互いが協力して分担しながらやっています、こういうことですね。わかりました。

それでは、もうあと一つのご質問については、後でまたご報告いただく予定でしたね。

○低炭素社会推進室長

ポスト開発2015年のアジェンダの件は、後ほどその他の中で、議題の中でご説明させていただきたいと思います。

○浅野部会長

では、そこで改めて、またご説明をいただくことにしましょう。

それから、末吉委員からのご指摘は、大所高所の話であったわけですが、この辺りについては。梶原局長からお答えをどうぞ。

○地球環境局長

今、温暖化の国際ワーキングの議論の中では、通常の政府間交渉で政府の役割をきちんと決めるといったような交渉がメーンであることは当然のことでありますけれども、フランス政府も、今、温暖化対策には地方自治体あるいは産業界あるいは金融といったような、さまざまなプレーヤーが重要であるという深い認識のもとで、ソリューションアジェンダと言われているようなものが議論をされております。その中で、さまざまなプレーヤーの方々の取組がしっかりとまとめられていくといったようなことも期待をしております。

そういうことの中で、今、末吉先生がおっしゃられるような取組、金融だけではなくて、さまざまな取組が光が当たって供用していくということが図られていくし、また重要だと思っています。特に、先ほどの話題の中で出てきました地方自治体ということにつきましても、これは緩和だけじゃなくて適応という話も出てくるわけでございますが、その重要性も含めて、都市間の対応といったような協力というようなことも含めて重要視されていくものだと思っております。ぜひ、そういうところにも私どもとしても支援をさせていただくとともに、しっかりと位置づけも考えていきたいと考えております。

○浅野部会長

末吉委員からは、それ以上に、日本国内で政府がいろんな計画を考え取組をするときでも、大きな国際的なトレンドが変わっているということをよく認識して、それをしっかり織り込むべきだと、そういうご指摘をいただいたと思うのです。ですから、ちょっと今のお答えは、末吉委員のご指摘に対するお答えとしては、やや委員はご不満かもしれませんが、いずれにせよ施策を考えていくときに、ご指摘のようなことを十分意識してこの国のありようを考えるということが必要だろうという点は十分に事務局もわかっていると思いますので、肝に銘じて考えさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

それでは、次に、気候変動適応策についてということで、3番目のテーマに移りたいと思います。資料3がございますので、これについては事務局からご説明いただきます。

なお、委員には追加資料を配付するということでございますので、お受け取りください。

○研究調査室長

研究調査室長、竹本と申します。まず、ページをおめくりいただきまして、1ページに本日の報告内容をお示ししております。

まず中央環境審議会の気候変動の影響評価に関する意見具申でございます。

今ちょうどお手元に冊子ができましたので、お配りしておりますので、後ほどご参考にご覧いただければと思います。

経緯でございますけれども、2ページに示しております。

これまで第四次環境基本計画あるいは環境白書などで、政府としての適応策の取組を進めること、あるいは政府全体の適応計画策定に向けた作業を進めることなどが定められ、平成25年7月に地球環境部会のもとに気候変動影響評価小委員会を設置いたしまして、委員長には、国環研の住理事長になっていただき、おまとめいただいたということでございます。

専門家は合計57人、それから500点以上の文献を活用いたしまして、七つの分野、56の小項目について、それぞれごとに重大性、緊急性、確信度について評価をいただいております。

こういった結果を踏まえて、局長からもご挨拶がありましたように、現在関係省庁と連携して、政府全体の適応計画の作業を進めているという状況でございます。

3ページをご覧ください。

こちらは影響評価の結果を1枚にまとめたものでございます。ご覧いただきますと、左側の重大性、赤丸がついておりますのが、重大性が特に大きい分野で、合計38項目ございます。重大性が特に大きく緊急性が高い分野は合計22項目で、さらに確信度も高い、科学的な確信度が高い分野を合わせて、9項目ございます。

続きまして、この意見具申では、今後の課題についても示されています。それが4ページにまとめておりまして、4点ございます。

一つは、観測・監視あるいは調査・研究を一層進めていくということ。それから、2点目は、定期的に影響評価を実施すること。3点目が、影響評価のガイドラインなど地方の取組を支援する体制整備ですとか、「One-Stop」の情報プラットフォームの整備が重要であるという点。4点目は、特にデータや情報の少ない途上国の気候変動予測の影響評価を行う、データや情報を収集していく必要があるという点でございます。

これらの対応についての例を次ページ以降、ご紹介しております。

5ページをご覧ください。

こちら適応に関する研究の一つの事例でございます。環境研究総合推進費S-14プロジェクトで、気候変動の緩和策と適応策の統合的戦略研究を今年度から5カ年計画で進めております。このプロジェクトの一つのテーマは、テーマ3にございます、気候変動に対する地球規模の適応策の費用便益分析でございます。

実は、この適応あるいは影響に関するコスト、あるいは費用効果分析は、IPCCの第五次評価報告書でも知見が少なくて、ほとんどまとめられておりませんので、ぜひ我が国の研究成果を次回のIPCCの評価報告書にも反映していきたい。また、国内の今後の適応策にも反映させていきたいというふうに考えております。

続きまして、6ページでございます。

地方公共団体における適応の取組支援に関しましては、環境省は、今年度から11の団体を選定して、気候変動の影響評価や地方の適応計画の策定に関する支援を行っております。内容は、文献調査ですとか、他の地方公共団体の事例調査などの情報収集ですとか、技術的助言が中心であります。

一つまたおめくりいただきまして、7ページに、取組の都道府県別、自治体別の事例をお示ししております。下に重要分野とございますが、地方ごとに関心事項さまざまでございます。農業に関心の高いところ、水産業ですとか、あるいは健康、災害あるいは都市産業活動といったように、自治体に応じて懸念事項、重要事項がさまざまでございます。こういった取組を支援しつつ情報を共有して、横展開を図っていきたいと考えております。

続きまして、8ページが、途上国における適応の取組支援でございます。この図は、昨年の9月に、国連気候サミットで安倍総理から発表いたしました、日本の適応イニシアチブに関する包括的な支援内容でございます。

環境省としては、この中でも、特に適応計画の策定や実施、支援にフォーカスを行いたいと考えておりまして、事例として9ページに取組のご紹介をしております。

まず二国間の協力でございます。政府間で合意をした後、適応計画の策定のためのニーズ調査や気候変動影響評価等を実施することになっておりまして、現時点ではインドネシアとモンゴル、それから今後太平洋地域の小島嶼国を予定しております。ホスト国ごとに研究機関・コンサルタント等のコンソーシアムを立ち上げ実施を予定しております。

また、多国間の協力も人材育成について世界適応ネットワークやアジア太平洋適応ネットワークなどを通じて情報共有や人材育成等を行っております。

続きまして、10ページですけれども、ここからは分野ごとの適応策の検討状況でございます。まず環境省の検討状況です。

水環境分野につきましては、中央環境審議会の水環境部会で湖沼それから河川、閉鎖性海域等の今後の取組についてご紹介をしております。植物プランクトンの変化の水質の悪化が温暖化とともに予測されておりますので、流入負荷量の低減対策の推進あるいはモニタリング対策の強化、さらに底層DOの改善のための対策等を検討するということになっております。

また自然環境局におきまして、生物多様性分野における気候変動への適応の基本的考え方について先日公表しております。

例えば、生態系分野というのは、極めて脆弱で、なかなか人為的な対策により広範に抑制するというのは難しいということでありますとか、対応としては、モニタリングによる状況変化を把握するということ、また、生態系ネットワークを構築するということなどが考えられると。また一番下にございますように、防災・減災や暑熱緩和など、生態系の有する機能を活用した適応策、これが重要であるというようなことをまとめております。

続きまして、11ページ、12ページですが、こちら農林水産省における取組のご紹介でございます。

農林水産省では、中央環境審議会の影響評価の結果を踏まえて、農林水産省の中に適応計画の推進本部というのを立ち上げまして、つい先日、農林水産省の気候変動適応計画を策定しております。これはその後、政府全体の適応計画に反映させる予定となっております。また、今後適応計画に基づき地域で施策を展開するということでございます。

具体的には、12ページに示しておりまして、まず既に影響が生じている分野、水稲、果樹、病害虫、自然災害等につきましては、対策に着手をしていくということ、それから、現在表面化していない影響に対応する地域の取組を促進すること、また、研究、技術開発の推進等々対応していくということでございます。

おめくりいただきまして、13ページ、14ページ、今度は国土交通省の検討状況でございます。

国土交通省は、国土の保全、まちづくり、交通政策等多様な分野を所管していますので、国土交通省におきましても、環境政策推進本部のもとで、国土交通省としての適応計画の検討を行っております。

これもこの図にございますように、中央環境審議会の気候変動影響評価結果を踏まえて取組を検討し、さらにそれを政府全体の計画にフィードバックをすると、そういう構造になっております。

具体的には、14ページにお示ししておりますように、まず理念としては、国民の生命・財産を守る。社会・経済活動を支えるインフラやシステムの機能を継続的に確保することなどを示しております。

また、適応策の基本的考え方としては、不確実性を踏まえた順応的なマネジメントですとか、将来の影響もしっかり考慮していく。ハード、ソフト両面からも対策、あるいは事業計画に気候変動を配慮する、さらに自然との共生及び環境との調和といったものを示しておりまして、下にございますように、自然災害、水資源等々、広範な分野で取組を行っています。これが政府の計画に反映されるという、そういう方向でございます。

最後、15ページ、16ページでございますが、これはご参考で、欧米、アメリカとEUが国連の条約事務局に適応に関する取組を登録をしておりますので、このご紹介でございます。

アメリカは大統領のイニシアチブのもとで戦略策定済みでございますし、省庁間の審議会なども立ち上げて、優先事項の特定ですとか、各連邦政府の計画づくりを進めておりますし、国際協力も進めておると。EUにつきましても、やはり各国だけではなく、EUとして適応戦略を策定しておりまして、現在、加盟国20カ国が計画を策定、また、都市のイニシアチブも進めている。情報を共有するプラットフォームの策定を目指しておりますし、PDCAといいますか、指標開発等も課題ではありますけれども、取り組んでいるということでございます。

以上です。

○浅野部会長

それでは、適応について、今、事務局からご報告いただきました。

この件について、まず当部会におかれた小委員会の委員長を務めてくださいました住委員にコメントをいただくとともに、さらに環境省の環境研究総合推進費による研究プロジェクトS4、S8とずっとこの適応についての研究のリーダーをお務めくださっている三村委員にコメントをいただきたいと思います。

○住委員

住でございます。

それなりに進んでいるというのは喜ばしいことと思います。やはりこの委員会でも危惧されたように、各省それぞれ自分の分野だというふうに、特に権限を持っているところは、ほっといてくれと言わんばかりにやるわけで、それを待てとは言えないんですが、やはりそういう点では、もう一方で、政府全体の連携というのは、かなりこの会議でも言われたと思いますし、国民の皆さんもダブってやるじゃないかと懸念をみんな持っていると思いますので、その辺の透明性の仕組みづくりを何かうまく考えて、これを社会にフィードバックするような仕組みをやはりされたらいいのではないかなと思います。

基本的には今、役所としては、透明性は担保していると思いますが、積極的にあまりPRするんではなくて、ここにホームページに全部材料を置いてあるよ、だから透明だよみたいな、努力しないとなかなか情報がとれないような形で透明性を担保しているところがあって、若い人は多分いいのだろうけど、私どもみたいな年寄りになると、ホームページを探せと言われても、もういいやというふうに大体なるんですね。

だから、それは目的だとは言いませんが、やはりそういうときは、もう少しいろんな形での普及ということを考えられたらいいと思います。

そのときに、政府全体としてのトータルな取組、それから、あと温暖化緩和策では地方にいろんな温暖化の委員がいますけども、そういったチャネルを使って、新しい施策の理解、特に自治体なんかの場合はすごい温度差があって、そういう点では、うまくいった例をみんな求めているので、そういう具体的な例とか、さまざまな情報の展開というのは考えられたらいいと思います。

以上です。

○浅野部会長

ありがとうございました。

三村委員、どうぞ。

○三村委員

今、住委員のほうから、非常に率直にいろんなコメントが出された同じような中身になるかもしれませんが、幾つかコメントさせていただきます。

一つは、自治体の取組を支援すると、そこを重視するということなんですね。これまでいろいろやってきて、温暖化の、あるいは気候変動の影響というのは、地域ごとに非常に違っている、そこに地域性があるということが物すごい特徴だと思うんですね。そうすると、その取組の主体は、自治体とか地域の人たちが中心になるということなんですけど、じゃ、どうして自治体の人たちは、それが取り組にくいと思っているかというと、3点ぐらい要因があると思っている。一つは、法的、制度的な裏づけがないということ、2番目は、さっき住委員もおっしゃっていましたけれども、各省ごとの検討になっていて、国としてのまとまった方針が今まで示されてこなかった。3番目は、情報の提供ということです。

自治体の人たちと話をすると、まず適応を取り組むといったときに、何か根拠になるものがないと我々は取り組めないんですという話なんですね。それで、前の話もありましたけれども、環境白書、環境基本計画の中に適応の取組をする必要があるということが書かれたことをきっかけにして、そういうことがあるんなら我々の自治体でも取り組もうということで、話が始まるというケースが二、三年前に起こりました。

現在では、もう実際に影響がいろんな形で起きていますから、それに対してどう対応するかという現実に迫られた形で、適応の取組を始めるというようなところが広がっていると思います。

2番目は、そのときに、国全体としては、どういう将来の気候変動のシナリオを描くのか、影響像はどうなのかということに対して、一定の方向を示してほしいというような要望があります。ですから、それぞれの省庁が、自分の分野で適応を従来の施策の中に組み込んで、それを強化するという取組自体はいいと思うんですけれども、じゃ国全体としてはどのレベルの安全性を目指すのかというようなことについて、しっかり示す必要があると思います。

3番目は、情報の提供ですけど、自治体の中には、気候変動の例えば気候予測について、科学的なバックグラウンドも含めてしっかり理解できている、そういうスタッフはかなり限られていると、そういうキャパシティーがなかなか今ないということですよね。

それで、影響評価についても、それぞれの地域ごとにどういう影響が出るのかということを予測するというのは、相当高度な中身を含みます。研究で蓄積されたデータを実際の施策、行政のレベルに読み替えていくというところには、相当大きな援助が必要だというふうに思っています。

ですから、それを研究者に要求されると、自治体だけのデータを切り出すということ自体でも非常に労力、困難を感じているようなこともあります。

ですから、一元的に情報を共有したり、あるいはそれを提供するような実務的にそういうものができるような組織というのが、ぜひ必要なんじゃないかというふうに思っています。それが国内の問題ですね。

ちょっと話が長くなりますが、国際的な話で、実はIPCCの第五次報告書の適応の章のまとめをやったものですから、国際的に見ると、先進国ではほとんど適応の戦略や計画はできていると。ですから、計画をつくるという段階は、世界中に広がったというのが、大きな評価です。

それを実施する点では、どの国も大きくいろんな困難に直面していると、そういうことです。特に途上国ではそうだと。

実施面で見ると、我が国では、モニタリングや気候予測や、あるいは影響に対する対策、そういうものに対して、個々の分野の実績は非常にあるので、そういう面で途上国を支援すると、そういう可能性は非常に大きいんじゃないかというふうに思っています。その2点ですね。

○浅野部会長

どうもありがとうございました。

それでは、ご質問、ご意見ございましたら、どうぞ名札をお立てください。いかがでございましょうか。よろしゅうございますか。

それでは、高村委員、どうぞ。

○高村委員

ありがとうございます。

もう既に、今、住先生と三村先生がおっしゃった点、全く同意ですので、重ならない点だけ、強調したい点だけ申し上げたいと思います。

全体として着実に影響評価から始まって進めてきていただいているというふうに思っております。

一つ、これは事務局にご質問であり、要望でありますけれども、今議論が、例えば、三村先生が自治体の文脈でおっしゃいましたけれども、検討会あるいは影響評価の委員会でも出ていましたように、やはりこの計画というのは、政府レベルのきちんとした計画として法定計画にすべきであるというふうに私は思っております。それは全て法律に書き込むということではなく、法律に基づいて計画が定期的に作成され見直されるという意味での法定計画であります。

影響評価も定期的に見直すことが必要だということは、関わった専門家の一致した見解であったと思いますし、先ほどありました自治体が取組を進めていくとしても、根拠というのをやはり明確に示すということこそが、自治体の取組を進めることになるというふうに思います。省庁横断的な取組ですから、適応策の位置づけを明確にするという意味でも、この法定計画にする計画の位置づけについてご質問をして、要望として法定計画にする方向でご努力をお願いしたいというふうに申し上げたいと思います。

以上です。

○浅野部会長

どうもありがとうございました。高橋委員、どうぞ。

○高橋委員

ありがとうございます。

先ほどの説明の中でこの適応計画を、今年の夏を目途に取りまとめるということでしたが、具体的な時期がわかれば教えていただければと思います。また、政府としてしっかりした計画をまとめる上では、省庁ごとの対策に加え、とりわけ省庁横断的な対策についても、環境省を中心にまとめることが重要であり、ご努力をいただきたいということと、早期にまとめていただきたいということでございます。

加えて、適応計画の中で、個々の産業・企業が何をすべきか、消費者あるいは国民として何をすべきか具体的に示していただきたいということと、中長期的な将来を見据えた計画であれば、不確実性の高い案件への対策とともに、計画に要する資金、財源の確保についても示していただければと思っております。また、これも出ましたけれども、やっぱり情報の透明化といいますか、とりわけ国民に対して丁寧な説明をぜひよろしくお願いしたいと思います。

以上でございます。

○浅野部会長

ありがとうございました。

末吉委員、どうぞ。

○末吉委員

ありがとうございます。

1点、お願いがあります。これからこの取組のインフラづくりといいますか、システムづくりが進むだろうと思いますけれども、ぜひ金融を巻き込んでいただきたいんですよね。ここにはちょっと公的資金による資金援助の話がちらほらあるんですけれども、これは金融にとってみれば、温暖化がもたらす被害は金融界にとっての大損失の源になります。もう既にそういう事例もたくさん出ております。

ですから、金融界は、特に損保会社などを中心に被害のリスクヘッジをどう、金融商品としてどうするのか、これが非常に重要なテーマになっております。3月の仙台で開かれた国連防災会議でも、金融の面からのセミナーもありました。私も出てお話をしてきましたけれども、ぜひこの緩和適応策の取組のシステムの中に金融を巻き込んで、単純な公的資金じゃなくて、民間資金が、できれば公的インフラづくりも含めて、金融を通じてお金がどう流れるのかと同時に、金融の債権を守るための仕組みをどうしていくのか、こういった議論が私は非常に重要になると思っております。

以上です。

○浅野部会長

ありがとうございました。

下田委員、どうぞ。

○下田委員

ありがとうございます。

この適応策の計画づくりというところには、適応策の困難性を示すことによって緩和策の重要性を示すという部分もあると思いますので、ぜひコストなどでその困難性を同時に一般に知らしめるような対策をとっていただきたいという様に思います。

以上です。

○浅野部会長

ありがとうございました。

大塚委員、どうぞ。

○大塚委員

適応計画を法定計画にするというのは、高村委員もおっしゃいましたが、私も賛成で、前から申し上げていることですが、ぜひそうしていただくことが、この計画を実効的にする一つの機動力になると思います。

それから、5ページのところで、研究を推進していただいて大変ありがたいと思っているんですけども、費用便益分析はもちろん大事ですが、先ほどご説明にもありましたように、予算は限られているので、費用効果分析が結構重要になってくると思いますので、何を優先するかということを、特に重点を置きながら研究していただくとありがたいと思いますし、国としても当然そういうことをやっていただくとありがたいと思います。

各省庁で対応するということになると、広がってはいくんですけども、何が最も重要かというところ、何を優先すべきかというところが、必ずしも重視されない可能性があるわけですけども、適応は完璧にやろうと思ったらものすごくお金がかかると思いますので、何を優先すべきかということを常に考える必要があると思います。

農水省のほうで、社会、経済に特に影響が大きいという項目というようなことが出ていて、それは一つの見方だと思うんですけども、環境省にはぜひ全省庁の適応に関する進捗管理を私はしていただきたいと思っています。事業官庁はどうしても短期的なところに目が行くので、長期的には、本当は今やっておかないと後で非常に困るというようなことが手遅れになることがあるんですけど、そういうことは環境省が一番やっていただけるところだと思いますので、ぜひそういう点に注意していただけるとありがたいと思います。

以上でございます。

○浅野部会長

ありがとうございました。

では、村木委員、お願いします

○村木委員

今日、自治体の話があったかと思うんですけれども、環境省のほうから言われて地方公共団体のほうに行くと、どうしても先ほどからもご議論あったと思いますが、環境局系のところで全て対応策等をお考えになって、規模が大きい政令市になると、どうしても横の連携というのが、なかなかできないような気がいたします。

これは国レベルでそのようなことをされているといっても、連携が基本的に地方自治体レベルでうまくいくような、そういうことができるような体制というのをもう少し評価するようなことが大事ではないかなと思います。

例えば、連携がうまくできているようなベストプラクティスみたいなものをこの気候変動評価と対応策という観点で、もう少し知らしめるとか、それから、先ほどからもありましたけれども、国としてプライオリティーがどこにあるのか、例えば、人口減少してくるとか、高齢化への対応とか、後はインフラの整備、今必要になってきますが、その際に、必ず気候変動ということへの対応というのを入れていけるような、そのぐらいのプライオリティーの高さというものを提示していただくと、多分私のような都市をやっているようなところだと、わかりやすくなるのかなと、そんなふうに思います。

以上です。

○浅野部会長

ありがとうございました。村井委員、どうぞ。

○村井委員

ありがとうございます。

地方公共団体のなかには行政計画がたくさんになり、多過ぎると、例えば、温暖化実行計画もある、ヒートアイランド計画もあるとか、非常にふくそうしてきているという形で、もうこれ以上要らないんじゃないかというような議論がされているところがあります。

実行計画を策定するときに、その中に適応方策というのを織り込んで、そこはとりあえず進捗状況を見ながら、割と簡単な表で、例えば二、三ページものに書くと。それについて改定時にブラッシュアップする、あるいは方策等というものを別途まとめて、それを公表するというふうな動きをしているところもあるんですね。

だから、計画という形になってしまいますと、何かちょっと腰が引けてしまうということと、先ほどもありましたけれども、各省庁とやはり自治体の部局というのは、いろんなお金の流れとかで直列の関係にあるんですね。

先ほど村木委員がおっしゃいましたように、ところが実際、この環境部局に入ってくると、なかなかそこが取りまとめがしにくい部分がありまして、それで計画をつくるというのは、趣旨としてはつくりたい、しかしながら、難しいので、苦肉の策で実行計画の中に盛り込んで、それをブレークダウンした形で、方策なり対策を取りまとめて公表しようかというような動きをしているところもありますので、早期に国としての計画を策定していただけたらと思います。

よろしくお願いします。

○浅野部会長

自治体の実際はもっと進んでいると思いますが。

原澤委員、どうぞ。

○原澤委員

ありがとうございます。

3点。1点目は、資料3の3ページ、これは気候変動影響評価の結果の取りまとめになって、非常にわかりやすい表になっていると思うんですけども、確信度のところを注目しますと、やはりまだまだ知見が足りないところが結構あります。その中で、農水系とか、自然災害系は、非常にある程度知見もそろって、適応計画がつくられつつあるということです。それで、先ほど研究の必要性については、対応されているという話があったんですけども、さらに、例えば文科省でも影響適応の研究を進めていらっしゃいますし、さらに、各地域の大学とか、地環研でもこういった研究を進めるように、国としてこういった研究全体を進めるようなことをぜひ適応計画の中にうたっていただければと思います。それが1点目です。

適応を進めるためには、比較的適応の研究は、まだ少ないんですね。それは影響の研究と非常に結びついておりますので、影響と適応の研究が一緒にうまく進んでいかないと、いい適応計画にはなっていかない、特に地域の場合はそうだと思います。

2点目が、先ほど説明の中にも、地域の支援事業という形で、非常にいいなと思ったんですけども、地方自治体の中で、とりあえずは11なのか、来年度以降増やして、最終的には全地域47都道府県プラス指定都市も含めてやっていかれるのかどうか、非常に重要なので、今後とも予算をとってこういった活動を拡大して、かつ得られた知見を政府、各省庁、自治体レベルでも共有できるような形にしていっていただきたい。

あと、各委員がおっしゃっていたように、政府レベルの取組というのは、非常に重要だと思うんですが、農水省と国交省、非常に努力されて計画までつくられているということで、これが全体を集めたときにうまく整合性がとれるかどうか、整合性というのは、各省庁にお任せするところと、政府全体で基盤となるところは多分共通になっていくだろうと思うんですけども、そういう意味でぜひ環境省がこれから出されると思うんですが、ぜひ政府の適応計画をしっかりしたものにしていただきたいと思います。

以上です。

○浅野部会長

ありがとうございました。

中根委員、どうぞ。

○中根委員

ありがとうございます。

今までのご発言でほとんど出ているかと思いますけれども、地方自治体での適応の担当、緩和、防災それから産業振興などを含めて調整できるような担当、ワンストップの担当を決める必要があるのではないかと思います。その辺り、多分法的な裏づけができると可能なのかもしれませんが、今までのグッドプラクティス、いい例を踏まえて、そのような調整力のある担当を自治体に置けるようにしていただければ良いのではないかと思います。

○浅野部会長

ありがとうございました。

長辻委員、どうぞ。

○長辻委員

先ほど、原澤委員のほうから影響と適応というお話もありましたけれど、適応策に関する情報というのは、農林水産業、それから、あと自然災害、また身の回りの自然といったところで、国民が具体的に非常に温暖化の進行ということを理解し、また関心を深めるという情報が多く出てくる領域なんですね。

したがって、新聞でもニュースとして取り上げやすく、大きな周知効果を持つと思いますので、各省庁には、積極的にこういった情報、具体例を出していただければ、非常に役立ものと考えます。

それから、あと温暖化の問題で、一番大事だろうと素人ながら思っているんですけれど、いわば温暖化前線というもの、これの北上スピードです。従来は、年間約5kmと言われていたのですが、恐らく、今はもう少しスピードアップしているのではないでしょうか。

ということは、例えば、果樹などの栽培においては、木を植えてから5年とか10年たってから収穫ができるというときに、適温域を通り過ぎてしまうという問題も起こるので、温暖化対策においては、対応の迅速性が非常に要求されることになり、その部分にも対策の重点を置いいただきたいと思います。

以上です。

○浅野部会長

ありがとうございました。

滝田委員、どうぞ。

○滝田委員

ありがとうございます。

これまでも皆様のご意見の中から出ていますけれども、夏の政府全体の適応計画ですけれども、これが各省の施策のホチキス止めというのではなくて、やはり全体を見通した内容になってほしいなと思っております。

特にダブりがないというだけではなくて、今回の適応策について各省のダブりがないというだけではなく、特に防災の部分が多いものですから、これまで例えば内閣府の中央防災会議などでも地震、津波対策という視点で、いろいろこういった国土の強靱化という視点での施策はとられていると思いますので、そういった点とも整合性があるべきではないかと思います。

また、財源が限られている中での施策ですので、人口が減少していく中で、ここは守らなければいけないけれど、ここは諦めるかもしれないというような部分も、ある程度、この夏の計画の中にまでは書き込まないんだと思いますが、そういった見通しも持っての計画の実行が必要なのではないかと思います。

以上です。

○浅野部会長

ありがとうございました。

それでは、事務局から2点お答えをください。まず1点目は、政府として全体の計画はどうなっているか、夏ごろというのは、一体どうなっているんだという点です。それから、地域支援事業は大変いいことだが、来年以降もちゃんと予算をつけて続けるのか。この2点です。簡潔にお答えください。

○研究調査室長

お答えいたします。

まず、時期でございますけれども、局長からご挨拶ありましたように、現在関係省庁とも連携して、早期に策定できるように作業を進めているところでございます。ということで、ご理解いただければと思います。

それから、2点目の自治体の取組でございますけれども、来年度以降、予算の状況もありますので確定はしておりませんけれども、これらの自治体は全国の中でも先進的な取組を行っているところでございます。ですので、我々の期待としては、こういった先行自治体が各ブロックごとに横展開、すなわち他の自治体にも取組のノウハウを伝えていけるようにしたいと思っておりますので、この点も含めて、来年度検討していきたいと思っております。

○浅野部会長

ありがとうございました。

ちょっと補足しますと、どこに補助を出すかというのを選考したんですけども、庁内全体で調整できるようなところを優先すると、環境だけでやるようなところは後回しと、こういうふうにしています。

それから、ブロックで言うと、九州のブロックは、ほとんど全部の県が集まって一緒に九州地方事務所のもとで検討会をずっとやっています。もう3年4年になるんですけど、ほとんどの県が各部局に呼びかけて取組を始めることができるような体制が今九州ではできつつあるということです。

それでは、大分時間が予定をオーバーしましたが、重要なことだったのでいたし方ございません。本日は、終了時間が少し延びる可能性があります。あらかじめお断りしておきます。

次は、資料4と5、これについて、ご説明をお願いいたします。

○国際連携課長

それでは、資料4-1から4に従いまして、今年に入りましてから主な国際動向、日中韓環境大臣会合ですとか、G7サミット、また先ほど御用命がございましたポスト2015年開発アジェンダについて説明をさせていただきます。

国際連携課の瀬川と申します。

まずお手元の資料4-1でございますが、日中韓三カ国環境大臣会合の結果でございます。

私どもTEMMと呼ばせていただいておりますけども、1999年以降、毎年持ち回りで三カ国の環境大臣が集いまして、意見交換を行う会議を持っております。今年に関しましては、4月29日、30日に中国上海で開催をいたしました。中国、韓国とも二国間会談を実施しております。今年に関しましては、中国環境保護部長、中国の環境大臣でいらっしゃいますけれども、会談が3年ぶりに実現したということでございます。

1枚おめくりいただきまして、結果の概要でございます。大きなものとして、三カ国の共同行動計画を採択したというものがございます。

環境に関するもの、9分野採択いたしまして、具体的には大気環境改善、気候変動対策など、分野ごとの三カ国の取組について記載をしております。

例えば、優先分野①(大気環境保全)でございますが、三カ国の政策対話を通じた協力の実施。また、政策対話だけではございませんで、対策に関します研究を進めていくこと。また大気のモニタリング技術、予測手法に関しましても、ワーキンググループを設置するということで、具体的に進めてまいります。地域の大気環境保全のための優れた取組を共有するということを目的として活動を進めていきます。

また気候変動に関しましても温室効果ガス、削減の対応策に関する情報、経験の共有を、そして、海洋ごみに関しましては、合同ワークショップを開催するということで、作業を進めております。

次のページに参りまして、日中・日韓二国間会談の結果の概要でございます。

日中に関しましては、自治体間で協力を進めるという大気汚染を主体とした都市間連携の協力事業に関しまして中国からサポート、それから期待が示されております。また、中国側としても、大気汚染に関しては、断固として取り組んでいくという旨の表明がございました。

日韓に関しましては、気候変動に関し、気候変動枠組条約(COP21)での全ての国が参加する枠組みの合意に向けた協力の確認。また、韓国に関しましては、今年排出権取引制度を国ベースで始めておられますので、それに関する情報交換なども行っております。

次のページに参りまして、資料4-2でございます。

G7サミット首脳宣言での環境関係の部分について、概略をお示ししております。6月7日、8日にドイツ、エルマウで開催されました。

主には、四つここでまとめております。まず気候変動でございます。気候変動に関しましては、COP21での新たな枠組みへの採択の強い決意。また削減幅に関しましては、IPCC第五次評価報告書に示されました2050年までに温室効果ガスを2010年比で40から70%の幅のアッパーエンドの削減とすること。また、約束草案の早期提出の呼びかけ等に言及をしております。

さらに、2020年までの各国の動きとして1,000億ドルの動員、また高い動員効果を持つ金融モデルの必要性についても言及をしております。

さらに、気候リスク保険、気候変動に関連する災害のリスクに島嶼国等が対処するための保険でございますが、あるいは再生可能エネルギー、アフリカや途上国における再生可能エネルギーを導入するためのイニシアチブ、この二つのイニシアチブに特に言及をしております。

さらに、緑の気候基金の稼働、非効率的な化石燃料補助金の撤廃、輸出信用等気候変動に関する議論の進展、ハイドロフルオロカーボンの削減に関する努力の継続のほか、炭素市場や規制手法を含む、低炭素な経済成長を促進するための戦略的対話のプラットフォームの設立、これは世界銀行を主体として設立されますが、そういったものに関する言及がございました。

ポスト2015年開発アジェンダについては、別途資料4-4でも御説明いたしますけれども、開発のための目標あるいは環境保全のための目標が169示されるアジェンダになっております。これらの達成に向けての各国の努力、またCOP21の重要性の指摘がございました。

さらに、資源効率でございます。3Rとも関連し、資源効率の改善、持続可能な資源管理のための資源効率の改善を盛り込んだコミュニケを採択し、各国さまざまなセクターの知識や経験を共有するアライアンスを設定し、ワークショップを開催するなどといった活動が盛り込まれております。

○浅野部会長

瀬川課長、あと2分でお願いします。

○国際連携課長

はい。

海洋ごみでございますが、海洋ごみに関しましても、さまざまな活動を言及しております。G7富山環境大臣会合でございますが、来年、日本がプレジデンシーを持つことになりますので、関係閣僚会合の一環として5月15日から16日に富山で開催をいたします。内容については、調整中でございまして、そこに書かれておりますのは、今年のエルマウ・サミットの議論から想起される環境関連の内容でございます。

1ページめくっていただきまして、ポスト2015年開発アジェンダについてでございます。ポスト2015年開発アジェンダというのは、先ほど169のターゲットがあるというふうに申し上げました。一番後ろのページをめくっていただきますと、想起されやすいと思いますが、17の目標分野と169のターゲットがございます。例えば、3、健康的な生活に関連いたしまして、有害化学物質、大気、水、そういった汚染に関するターゲット、目標などが並んでおるところでございます。

1枚戻っていただきまして、これにつきましては、概要のところの三つ目にございますが、本年9月の国連首脳サミット、国連総会にバック・トゥー・バックで開催されます首脳級のサミットで採択される予定でございます。

一番最後のアジェンダの実施に向けてがございますが、169ターゲットがございまして、これらをそれぞれ国レベル、地域レベルで実施していくことが必要でございます。環境省はじめ、関係各省で実施方法などについて検討を進めており、環境省としても今後、国際的にもどのような施策が必要か、あるいは研究がどのようなものが必要かについて検討を進めてまいる所存でございます。

以上でございます。

○浅野部会長

では、続けて、資料5をお願いいたします。

○地球温暖化対策課長

資料5でございます。おめくりいただきまして、1ページ目であります。

電気事業分野における温暖化対策の枠組の経緯ということでございますが、大きく二つございます。左の上の囲みでございますが、発電につきましては、入札によって電源整備を行うという大きな流れがありまして、これへの対応を考えるというのが一つの流れでございます。

もう一つが、右の上の四角でございますけども、環境アセスメントの審査基準の明確化が求められたというものでございまして、これらを満たすというために、下の囲みでございますけども、関係局長級の会議を行いまして、平成25年4月にその内容をまとめたというもの、そしてその内容につきましては、4大臣会合において承認がなされているというものでございます。

具体的な中身は3ページ目でございますけれども、(2)のところでございますが、エネルギー政策の検討を踏まえた国の温暖化の計画・目標と整合するという形で枠組みをつくっていただくというものでありまして、①から⑤のところに示した内容を具備していただくというものであります。

① が、国の計画と整合的な目標が定められている。②が、新電力を含む主要な事業者が参加していること。③といたしましては、目標達成に向けた責任主体が明確であるということで、ここでは小売段階に着目していることを想定しているというものであります。④といたしましては、目標達成について参加事業者が全体として明確にコミットしていること。また事業者の予見可能性が高いということが要件となっておりまして、(3)にありますが、国としてもPDCAを回していくというものでございます。

7ページ目まで飛んでいただきまして、こちらにつきましては、今年の2月に環境大臣から指示がございまして、三つ目の丸の後段部分でございますけれども、環境省としても環境政策としての枠組みのあり方について積極的に検討するように指示をしたというものでございまして、この指示に基づいて今事務方で検討しているというものでございます。

10ページ目が、先日、業界から発表いただいたものの概要というものでございまして、現在、11ページ目でございますけども、環境省としましても有識者からのヒアリングをさせていただきながら、それも踏まえて環境省としての考え方を今検討し、整理をしているところということでございます。

資料5は以上でございます。

○浅野部会長

どうもありがとうございました。

それでは、資料4と5についてのご説明いただきました。

所定の予定の時間から言いますと、若干、不足ぎみでございますので、とりあえずここで10分間会議時間の延長をお認めいただきたいのですが、よろしゅうございましょうか。ありがとうございます。では、12時10分まで延長させていただきます。

それでは、ご質問、ご意見がございましたら、どうぞ札をお立てください。

いかがですか。よろしゅうございますか。

それでは、安井委員が最初でしたので、安井委員、高村委員、大塚委員、この順番でお願いいたします。

○安井委員

ありがとうございます。

最終的に何ページでしたか、0.37という、そういう排出原単位というものが目標値になった。これは現状ベストミックスの値ですので、当たり前と言えば当たり前なんですけど、過去を考えてみますと、実を言うと、1998年には0.354だった。それから2010年ごろの資料によりますと、目標として0.340だった。残念ながら、それは2010年でございますので、東日本大震災あるいは福島第一の原発の事故で飛んだという事情はあるわけでございます。

しかしながら、今回、先ほど来ご議論ございますように、2030年にこれピンポイントでゴールで、ゴールに入ってよかったねという目標値じゃないんですよね。この2030年というのは。

それから先、2050あるいは2080と、将来本当に厳しいそういうものがあるということを考えると、さらに発電の設備というのは、多分20年以上の寿命があって、恐らく、一旦つくっちゃうとそう簡単には壊せないと。それで2030年以降の枠組み、全くわかりませんけど、本当にピンポイントで2050だけやりゃいいなら、そこまで階段で本当にがたっと落っこちればいいというやり方もあるのかもしれないけど、そうもいかないとなると、今現状、石炭に投資をするということ自身はすごい投資リスク、要するに、20年間の装置寿命というものが満たされないんじゃないかという気もしないでもない。

そういうことをお考えになったときに、もう少しやはりアンビシャスな数値、将来の数値を出していただけるような枠組みはちょっと欲しいなという意見でございます。

以上です。

○浅野部会長

ありがとうございました。

高村委員、どうぞ。

○高村委員

2点ございます。1点目は、申し訳ありません、遅く着きまして、議題の1に関わるところでもございますけれども、これは浅野先生が既におまとめになった、そういう議論があったんだというふうに思いますが、2030年目標を実施するための施策を取りまとめた計画の作成を早期にお願いしたいということを改めて要望したいと思います。

これは先ほど、長辻委員からご質問があった、オバマのクリーンパワープランのこととも関わるんです。大井室長の答えられたとおりなんですが、やはり数値もさることながら、2030年の視点を持って、そこでどういう削減をしていくかという視点を持って今から計画を立てているというところが非常に大事だと思っていまして、特にエネルギーインフラに関わるようなところ、あるいは熱の面的利用なんかも典型的でありますけれども、早期の施策の具体化と実施が不可欠だというふうに思っております。

そういう意味で、浅野先生の取りまとめどおりでありますけれども、計画の作成を早期にお願いをしたい。これは短期的には2020年目標の審査を今年行ったときに、やはり20年の断面で何をどういうふうに削減をしていくかということについて、かなり各国から問われたというふうに理解をしておりまして、そうした短期的な外交的な対応としても必要だというふうに思っております。

それから、2点目でありますけれども、半分は安井先生が今もう既に言ってくださったんですけれども、電気事業における温暖化対策に関して、いろいろ努力をして電力業界でも努力をしてくださっているというふうに理解をするわけですけれども、やはり電力システム改革のもとで、そもそもどういうプレーヤーがどれだけ入ってくるのか、どういうタイミングでどれだけ入ってくるのかわからない中で、2030年の電源構成の26%という数字をコントロールするということは、かなり自主的には非常に難しいのではないかというふうに思っております。

少なくとも自主的にどういう対応するかというのを検討をいただくとしても、何らかのやはり国が公正の競争の土俵、これをどうするかということについて、かなり一緒につくっていく必要があるのではないかというふうに思います。

そのことは大変大事だと思いますのが、安井先生おっしゃったように、本来2030年、あるいは2050年、さらにその先に行っていったときに、ゼロ・エミッションの世界といったことが、IPCCの報告書などでも想定されている中で、今そこに投資をすることのリスクというものも、そういう国が公正な競争の土俵をつくる中で、はっきり示していくということができるのではないかというふうに思うからであります。

その意味で、ぜひこの取組については、環境省の中でもきちんと議論いただきたいというふうに思っております。

以上です。

○浅野部会長

ありがとうございました。

では、大塚委員、どうぞ。

○大塚委員

すみません。2点ございますけども、一つは、先ほどもお伺いしたかったことですけども、資料4の最後のところで、再生可能エネルギーに関する指標というのは、13のところに多分出てくるだろうと思うんですが、これに関して、これから考えていくことかもしれませんが、日本がどういう位置づけになるのかという辺りをお答えいただきたいということが一つございます。

それから、もう一つ、資料5については、安井先生とか、高村さんがおっしゃったことと私も同じように思っておりますが、二つだけ申し上げておきます。一つはこの枠組みの実効性を高めるために、発電源証明とか、トラッキングシステムみたいなものがぜひ必要になるということが一つございます。

これは排出係数0.37を満たすために、全体として満たすために、皆さんが努力することが必要ですけども、そのために各発電に関しての、発電源に関しての透明性が非常に重要になってくるということがあると思います。

もう一つは、枠組みについて、自主的にもしやっていただければ、それはそれで大変結構だと思いますが、電力自由化という観点からすると、お互いに競争しておられるわけですので、今までのようにはうまくいくかという問題は出てくると思います。どうしてもかつて自主行動計画の前提であった状況とは電力さんが変わってきてしまっているということを深刻に受け止める必要もあるのではないかということがございます。

ですので、国としては、自主的な対策としてうまくいかなくなったときにどうするかということを、ぜひ早期に考えておく必要があって、そのときに改めて考え始めていたのでは遅いということを特に申し上げておきたいと思います。

以上です。

○浅野部会長

ありがとうございました。

それでは、瀬川課長からご回答ください。

○国際連携課長

再生可能エネルギーのポスト2015年開発アジェンダでの取り扱いでございますが、再生可能エネルギーに関しましては、地球規模でのシェアを高めていくと、2030年までにという、割と抽象的な目標が掲げられております。

我が国が果たす役割というのは、さまざまあるかと思います。国内で再生可能エネルギーのシェアを伸ばしていくためのさまざまな活動、または国際的な活動もあるかと思います。

前者のほうは、いろいろ御議論あるかと思いますが、後者のほうは、例えば、国際再生可能エネルギー機関との連携による島嶼諸国での再生可能エネルギーの更なる展開ということを今年から既にフランス、アメリカ、それから日本は環境省でございますけれども、連携をしてシリーズのワークショップを開催しております。

そういった個別の活動を積み上げていって、こういった目標をゴールに達することができるようにしっかりやっていきたいと思っております。

簡単ですが、以上でございます。

○浅野部会長

ありがとうございました。

それでは、ご協力いただいたおかげで、何とか最初の予定時間の中に会議がおさまりそうです。

せっかく今日は地球環境審議官が来ておられます。地球環境部会に地球環境審議官がご出席になったことはおそらく初めてだろうと思いますが、ぜひ一言お願いいたします。

○地球環境審議官

発言の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

今年は、各先生からご指摘ございますように、COP21もありますし、国連総会が大きな社会の今後を見通していく大きな目標を掲げていくという意味でも非常に重要でありまして、各先生からありましたように、適応ということで、この厳しい気候変動に耐えながら大きな社会変革を起こしていく、その途上であり、第一歩であると、こういうことだろうと思います。

そういう意味で、国際交渉にもしっかり臨んでいく必要があると思いますし、そのためには、やっぱり日本が国を挙げてどういう体制で、あるいはどういう哲学でしっかり臨んでいくかと、ここら辺が非常に重要であろうかと思います。

やはり今日はいろいろご指摘があるようなこと、特にいろいろ立場とか意見の違いがあっても、共通認識として何を踏まえるべきなのかということをぜひ共通認識として持って、その上で、大きな世界の流れ、動向もにらみながら、どういうようなことを目指していくのか、その中で、意見の違い、立場の違いのところは、ぜひ議論で乗り越えていきたいというふうに考えておりますので、引き続き、今日は部会久々でありますが、また、第1回目というような部会長のお話ございましたので、引き続き、ご指導賜れば大変幸いでございます。

○浅野部会長

どうもありがとうございました。

今後も引き続いて、可能な限り部会にご出席いただけるというお話もうかがっておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

それでは、事務局からご連絡がありましたら、どうぞ。

○低炭素社会推進室長

委員の皆様におかれましては、活発なご議論ありがとうございました。

本日の資料につきましては、郵送をご希望の方はそのまま席に置いておいていただければ郵送しますので、お願いします。

また、議事録につきましては、事務局で取りまとめを行い、委員の皆様へご確認いただいた後、ホームページに掲載させていただきたいと思います。

どうもありがとうございました。

○浅野部会長

それでは、本日はこれで散会いたします。

どうもありがとうございました。

午後 0時02分 閉会