地球環境部会(第124回)・産業構造審議会環境部会地球環境小委員会合同会合(第42回) 議事録

○小見山環境経済室長  定刻になりましたので、ただいまから中央環境審議会地球環境部会、産業構造審議会地球環境小委員会の合同会合を開催いたします。

 本日は委員総数の過半数の委員にご出席いただいております。定足数に達しております。また、本日の審議は公開とさせていただきます。

 まず冒頭、経済産業省産業技術環境局長の片瀬よりご挨拶させていただきます。

○片瀬産業技術環境局長  おはようございます。本日は大変お忙しいところをお集まりいただいて、ありがとうございます。

 申し上げるまでもなく、地球温暖化問題というのは地球全体で取り組むことが求められている重要な問題でございます。そういう観点から一昨年の11月に、政府全体で攻めの地球温暖化外交戦略のとりまとめをいたしました。

 その第1の柱は、イノベーションでございます。これについては技術開発を計画のもとにしっかり推進しております。

 第2の柱は、そのイノベーションを世界全体で普及していくということでございます。これについては政府全体として二国間クレジット制度。あるいはICEFといっていますけれども、いわゆるエネルギー環境版ダボス会合というものを開催してまいりましたが、加えてGCFに対する15億ドルの拠出方針ということにつきましても、昨年、決定したところでございます。

 3番目の柱。これも非常に重要なわけですけれども、国際枠組みの構築でございます。これについて日本政府の立場は実効的、かつ公平な枠組みをつくるということでございまして、そのためには主要排出国の参加が不可欠でございます。そういうことで政府全体が一体となって交渉してまいりましたけれども、おかげさまで昨年のCOP20におきましては、基本的には全ての国が参加する枠組みとする。さらに、それぞれの約束草案。これについてはボトムアップで、それぞれの国の実情に応じてできることを提出して、それを全体でレビューする仕組みにする。さらに、その約束草案に盛り込むべき事項。これについても発展途上国との対立があったわけでございますけれども、一致をみたということで、前進をみたわけでございます。

 ことしはCOP21に向けて2020年以降の約束草案をそれぞれが出し、さらに国際枠組みをつくる非常に重要な年でございます。その交渉をしっかりしていくということが重要であると考えております。

 その中で日本に求められている1つのことは、当然約束草案を出すということでございまして、これにつきまして私どもとしてはエネルギーミックスの検討状況を踏まえながら、できるだけ早期に出していくという方針のもとに昨年10月から合同会合の下に専門家会合を設置いたしまして、検討を開始していただいているところでございますけれども、エネルギーミックスもいよいよ今月から検討を開始するということになっております。

 この約束草案ということにつきましては、やはり国民生活の向上、あるいは経済成長ということと、いかに両立をさせるかが大きな課題でございます。国際的にみますと、OECDではフランスのように日本よりも大幅に1人当たりの排出量が低い国もあるわけですけれども、例えば製造業の競争力が強いといわれているドイツにつきましては、日本はドイツの90%、韓国の80%の排出量ということでございまして、アメリカに至っては、アメリカの51%の1人当たり排出量となっているわけでございます。

 そういう意味では、裏づけのあるしっかりした対策をとって温室効果ガスを削減していくということは、極めて難しいチャレンジングな課題であると考えておりますけれども、日本としてもしっかり約束草案をつくって国際貢献をしていく必要があるわけでございまして、そういう観点からぜひきょうさまざまな形で知恵を出していただきまして、日本全体で英知を結集してしっかりした約束草案を出していきたいと思っておりますので、ぜひご協力をお願いします。

○小見山環境経済室長  続きまして、産業構造審議会地球環境小委員会の山地委員長よりご挨拶をお願いします。

○山地委員長  産構審の地球環境小委員会の委員長を務めている山地でございますが、いつもと同様に、お隣にお座りの浅野先生と交代で進行役を務めさせていただきます。きょうは久しぶりで、多分通算でいくと私の番だったのでしょうか。ということですので、私が進行役を務めさせていただきます。

 もう改めて申し上げることは特にないのですけれども、今片瀬局長から話があったように去年の秋、10月ごろだったですか。これはまた物すごく長い名前になるのですけれども合同専門家会合というのを設けまして、地球環境小委員会の下では約束草案検討ワーキンググループ、それから中央環境審議会のほうでは地球環境対策検討小委員会ということでございますが、その合同専門家会合で議論をしてまいりました。本日はその報告も行うことになっております。

 あと、ことしは何といってもCOP21の年でありまして約束草案を出さなければならないということで、総合資源エネルギー調査会のほうでもエネルギーミックスの議論が始まるところでありますから、それとタイアップしながら、こちらの議論も進めていきたいと思っております。しかし、何しろごらんになってわかるように大勢の委員がおられますので、効率的に進めていきたいと思いますので、ご協力よろしくお願いいたします。

 以上でございます。

○小見山環境経済室長  ありがとうございました。

 では、カメラのほうは、こちらで退席をお願いできればと思います。

 退席されている間に、配付資料の確認をさせていただきたいと思います。2枚目の資料に配付資料一覧がございますが、1枚めくっていただきまして資料1、中環審名簿、資料2、産構審名簿、1枚紙でございます。資料3―1、COP20について、資料3―2、概要と評価でございます。資料3―3、ICEFについて、横長のパワーポイントでございます。資料3―3は、それの別紙ということでございます。資料4―1、横長のパワーポイントでございますが、合同専門家会合の審議内容の概要。資料4―2は、その細かいバージョンということでございます。それ以降、参考資料1から5までついておりますが、ご確認いただければと思います。資料の不足がございましたら後ほどでも結構なので、事務局までお申しつけいただければと思います。

 それでは、以降の議事進行は産構審の地球環境小委員会・山地委員長にお願いしたいと思います。先生、よろしくお願いいたします。

○山地委員長  それでは、早速議事に入りたいと思います。議事次第にありますように、本日、議題は2つ。1つはCOP20の結果について。2つ目が、先ほど非常に長い名前と申し上げましたがト書きに書いてあるので正確に一応読んでみますと、中央環境審議会地球環境部会2020年以降の地球温暖化対策検討小委員会と、産業構造審議会産業技術環境分科会地球環境小委員会約束草案検討ワーキンググループの合同会合。それの議論についてご報告するということでございます。

 本日は、まず資料について事務局と関係省庁から説明をまとめてしていただいて、それから委員の皆さんからのご質問、ご意見をいただきたいと思います。

 まずは議題1のほうに関しまして外務省と環境省、経済産業省から説明をお願いいたします。まず外務省からですか、よろしくお願いします。

○中野気候変動課長  おはようございます。外務省気候変動課長の中野でございます。

 お手元にございます資料3―1及び資料3―2に沿って、簡単にCOP20についての結果を報告させていただきます。

 まず、資料3―1のほうに概括的な説明がございます。こちらから始めさせていただきます。COP20につきましては例年どおり、去年も12月の初め、2週間にわたって行われました。去年のCOPの場合も最後、決着がつきませんでして、2日間延長して最終的に合意文書をまとめ上げたということでございます。日本からは、総選挙の直前ではございましたけれども望月環境大臣にご出席いただきまして、日本の交渉に望む立場、緑の気候基金への貢献などについて発信していただいたところでございます。環境大臣のCOP20における各国とのバイ会談等につきましては、後ほど環境省からご説明させていただきます。

 COP20の主要な成果でございますけれども、ここに書いてございますとおり、今回、今年のCOP21の枠組み合意にとって合意することが必要な約束草案、各国の次期削減目標について、どういう情報をあらかじめ各国が提出するかについて議論をしまして、その情報の中身をどういう形でまとめるかということが1つの焦点でございました。結果としまして日本を含む先進国が主張した意見がおおむね通りまして、緩和を中心としたものが次期削減目標、約束草案の中心ではある。ただ、途上国から非常に主張が強くあった適応についても含めることを検討するという、一定の妥協が成立しまして、日本にとっては他の先進国と同様、非常によい結果が得られたのではないかと考えております。

 それから約束草案に含む事前情報につきましては、これも日本ほか先進国が主張していた参照値、期間、対象範囲、カバー率等を含むという形になりました。もっとも、これは各国とも必ず含めなければいけないという合意ではございませんでして、あくまで含み得るということで最終的には少し弱い表現になっておりますけれども、ここで規定されているものを参考にしながら各国は約束草案をこれから提出していくという意味で、非常によい土台ができたのではないかと考えております。

 提出した約束草案については、本来、今年事前協議を行うということを先進国側から主張したわけですけれども、これが途上国から反対にあいまして、結果的には提出した約束草案についての事前協議というのはCOP決定上は書いていない。それに代わって、各国が提出した約束草案についてはウェブサイトに掲載されるということと、それから今年11月1日までに各国の約束草案を総計した効果について、統合報告書を事務局が作成するという形が合意されたところでございます。

 それから、今年の年末に合意を目指している交渉テキスト。これも今回のCOPで、できる限り意見の違いを収斂させてテキスト案をつくる。テキストの要素をまとめるものをつくるということが目標でございましたけれども、現時点でそれほど各国の意見が収斂しているわけではないですが、各国の主張を俯瞰した文書をペルーではまとめたということで、この交渉テキストをベースにして2月のADP交渉以降、年末にかけて交渉を継続していくという段取りになっております。

 3つ目の緑の気候基金ですけれども、ペルーにおけるCOP20におきまして、緑の気候基金にどれだけ各国が拠出をするかというのが1つのテーマになっておりました。そこで日本も、これはCOP20の前にブリスベンにおけるG20サミットにおきまして、安倍総理から国会の承認が得られれば最大15億ドルを拠出するということを表明しまして、これをCOP20におきましても日本の貢献として発表したわけでございます。このCOP期間中に各国の拠出額が目安となっている100億ドルに到達したということで、先進国の拠出表明を歓迎するCOP決定が採択された。今回、緑の気候基金(GCF)に対する各国の拠出が先進国として果たすべきことをやっているということを途上国に示すことができて、途上国がこの先進国の拠出に100%満足しているわけではございませんけれども、今回の会議においては先進国、日本の貢献が交渉をまとめる上でそれなりに効果があったのではないかと考えております。

 資料3―2につきまして、今以上ご説明した話が少し詳細に書いてございます。

 この中で、今申し上げた話をもう少し細かく書いたのが3.今次会合の成果のところでございます。ちょっと時間の関係もございまして詳細については後ほど、もしご質問等があればお答えしたいと思いますので、私からの報告は以上とさせていただきます。

○山地委員長  では、次は環境省さん、お願いします。

○大井国際地球温暖化対策室長  引き続きましてもう一度、資料3―1の最後のページに戻っていただければと思いますけれども、COP20におきます望月環境大臣の対応につきまして、簡単にご報告させていただきます。

 望月環境大臣は、COPの2週目の火曜日から閣僚級セッションというのがあったのですけれども、そのうちの2日間、ちょうど選挙期間中ではございましたが参加することができました。

 まず、1つ目にあります日本代表のステートメント。これは毎回、政府代表のステートメントを各国が行うのですけれども、この場におきまして演説をしたということでございます。2050年までに世界全体で50%減、先進国全体で80%減という目標を改めて掲げること。それから我が国の約束草案につきましては、できるだけ早期の提出を目指すこと。また、我が国の技術を活用した排出削減への貢献。それから途上国の取り組みに関する支援、資金の支援。GCFを含めまして資金の支援を進めていくことなどを表明いただきました。

 2点目に、バイ会談でございますけれども、今回、非常に限られた時間ではありましたが多くの大臣、それから国際機関の長とお会いいただきました。COP20の議長国ペルー、それから今年のCOP議長国であるフランス、EU、英国、中国、藩基文国連事務総長などでございます。藩基文事務総長からは、全ての国に約束草案を今年の第1四半期に提出することを要請しているということで、日本にもよろしくお願いするということなどが伝えられました。またEU、フランス、英国等から、やはり約束草案の早期提出への期待、それから我が国がこの取り組みをリードしていくことへの期待といったものが述べられたところでございます。

 最後に、JCM署名国会合でございます。二国間クレジット制度に関し、これまで署名をして、実施していくことに合意している12ヵ国が一堂に会しましてJCM署名国会合を―これはサイドイベントということでございますけれども、開催いたしました。その場でJCMの進捗の歓迎と、さらに取り組みを推進していくということで共同声明を発表したところでございます。

 私からは以上でございます。

○山地委員長  では、経済産業省さん、3―3ですね。ご説明をお願いします。

○小浦環境調和産業・技術室長  経済産業省環境調和産業・技術室長の小浦と申します。

 COPとは直接かかわるわけではありませんけれども、日本が気候変動問題に対応する国際的な貢献、取り組みの1つとして昨年、開催しましたInnovation For Cool Earth Forumというものについて、簡単にご紹介をさせていただきたいと思います。

 資料3―3をめくっていただきまして、イノベーションを通じて気候変動問題を解決するというテーマで、総理の提唱によりまして世界の産学官のリーダーが議論するための知のプラットフォームのようなものとして、エネルギー・環境版のダボス会議ともいえるような会議を毎年、東京で開催しようということになりました。昨年10月に第1回を開催いたしまして、世界中の多様な意見を反映するという意味で、日本だけではなくて日米欧中韓、さらには途上国の有識者の方々を含めた16名の委員から成る運営委員会で進め方についてのご意見をいただきながら準備を進めてまいりました。昨年10月8日に椿山荘で開催いたしまして、各国政府、あるいは企業、学界、国際機関等、約80ヵ国から800名の方にご参加いただきました。そのうち外国人の方、約300名にご参加いただいたというものであります。

 右側に当日の流れを書いてございます。総理からのビデオレターによる挨拶の後、トヨタ自動車の内山田会長による基調講演、そして本会議を午前中に2つ。イノベーションの役割、そしてイノベーションをどう促進していくのかということについて、ショートスピーチとパネルディスカッションというような形で本会議を2本行いました。さらに午後には7つの分野に分かれて分科会を行って、最後、閉会式でそれらの議論の紹介をするという形で1日を締めくくっております。

 次の3ページ目に、どういった方々がご参加されたかということを、ちょっとイメージをもっていただくために本会議の1で参加された方々、2で参加された方々、さらに分科会で座長及びどういった議論がされたかということを少し書いておりますので、お時間のあるときに見ていただければと思いますし、別紙でどういうご議論がされたかということを詳しくご紹介しておりますので、これも見ていただければと思います。

 おおむね参加いただいた方々からは非常に有意義な会議だったというような声をいただいているかと思いますので、第2回、また今年の10月に、今回は2日間開催することを予定しております。より幅広く、さらにより深く議論をして、COP21の直前ということも念頭に置きながらさまざまな議論をして、貢献をしていくという形にもっていきたいと思っております。

 私からの説明は以上でございます。

○山地委員長  どうもありがとうございました。

 それでは、引き続いて議題2について資料4ですけれども、事務局から説明をお願いいたします。

○小見山環境経済室長  資料4―1、横長のパワーポイントに従ってご説明申し上げます。合同専門家会合における審議内容でございます。

 1枚おめくりいただきまして、今まで3回開催しておりまして、10月24日、11月12日が2ページ、1枚おめくりいただきまして、12月5日という形になってございます。

 具体的な内容でございますが、お手元にお配りしている議事録に詳細を記してありまして、その議事録のエッセンスを後ろにつけてあるワードの4―2というのにおまとめして、それを事務局側で、こういう形で編集させていただいたというものでございます。詳しくは議事録を当たっていただければと思います。

 まず4ページ目でございますが、総論的に約束草案の検討のあり方であります。プレッジ&レビュー方式に変わったということを重くみるべきではないかという意見、複数ございました。それに対して、トップダウンとボトムアップの間をとるべきだという意見。環境と経済の両立の原則を忘れてはならないという指摘。エネルギーセキュリティーや他の問題も配慮すべきだと。エネルギーミックスの議論の状況を踏まえて検討すべきで、拙速に決めるべきではないというご意見。実現可能性をしっかり認識し、負担をどの程度許容できるか議論すべきだというご意見。現実的な目標設定をすべきであり、負担、メリット、効果の説明が必要だというご指摘があったところでございます。

 5ページに行きまして、地球規模の削減が求められているというご指摘。高い数値目標をつくって、世界のイニシアチブをとるというスタンスは国際競争力をそぐことになるというご指摘。約束草案の想定、前提を具体的に示すべきだという意見。GDP当たり、1人当たりの温室効果ガス排出量をみると、日本の優位が揺らぎつつあるというご指摘。最後でありますが、カンクンにおける長期目標に関する国際合意を変えるという立脚点で、約束草案を議論するとは考えていないというご指摘であります。

 6ページでございますが、次期枠組み交渉に関しては、中国の1年での増加排出量が日本の年間排出量の半分にもなる。排出が伸びている国の対策が必要だという指摘。規格化というイニシアチブの取り方があるという指摘。国連交渉の枠組み以外に技術協力の場が重要だというご指摘。アジアバブルという戦略はどうかというご指摘。あとEUの40%減、米中合意に関する意見表明というのもございました。

 その後は国際貢献、途上国支援でございますが、我が国の役割はICEF、人材育成などではないか。日本の技術を世界に普及するためには、セクター内の導入を進められる仕組みが必要だというご指摘。政策策定支援が重要だという指摘。フロン排出量の増大、新興国に日本の取り組みを生かすべきだというご指摘でありました。

 7ページ目でございます。IPCCに関してでございますが、2℃未満に抑制する可能性が66~100%か、50%という問題は、非常に重要な問題であるというご指摘。ちょっと飛びまして2℃目標を66%で達成する排出容量に、このままではあと30年で達成してしまうというご指摘。2℃未満に抑える可能性のあるシナリオを複数示されたが、450ppmシナリオに固執することは交渉を難しくするというご指摘。IPCCは政策的に中立であり、2℃未満に抑制すべき。2050年に40~70%減が必須といっているわけではないというご指摘。気候感度については、AR3の2.5℃とした場合、2050年の排出レベルをそれほど下げなくていい結果になるというご指摘。気候感度の違いがAR5の解釈では、達成すべき排出削減量が緩和される可能性があるというご指摘。これに関してモデルを精査すると、気候感度は3℃~4℃の間に集まっているとの指摘があったところであります。

 8ページ目でございます。エネルギー政策に関してでございますが、コスト負担に関して国民がどの程度許容できるのか議論が必要だという指摘。原子力の割合をどこまで下げて、再エネをどこまで上げて、省エネでどこまで効率化するか、しっかり積み上げるべきだという指摘。

 原子力に関しては、原発抜きに現実的な CO削減の数値を出すことは困難だという指摘があったところでございます。

 再生可能エネルギーに関しては、効率性に関して価格が高いという欠点はあるが、純国産のエネルギー源であるという認識は重要だという指摘。メガソーラーのFIT制度の見直しが重要であるという指摘。FIT認定された再エネの稼働率を考えると、原子力7基、50兆円の賦課金を払うところを重視するべきだという指摘。それに対して系統の問題はずっといわれてきたことであり、対策がなされていなかったのは問題であるという指摘があったところでございます。

 あと、水素に関する期待というような発言が幾つかあったということでございます。

 次ページでございますが、非エネルギー起源、代替フロン等4ガス対策ですが、政策措置について詰めて削減量見込みまで出している点で、かなりいい内容であるという指摘。フロンをなくした結果、代替の負荷がかかるということがあるのでバランスを考える必要があるという指摘。規制の対象になる者にとって、費用対効果が十分検討されたところが重要であるという指摘があったところでございます。

 廃棄物に関しては、排熱の有効利用と収集運搬の効率化を促進できるような制度を検討すべきだという指摘があったところでございます。

 10ページでございます。低炭素社会実行計画でございます。真ん中のあたりですが、政府の政策の柱に位置づけるべきだというご意見。進捗管理、目標設定の妥当性について、レビュープロセスが重要であるというご指摘。BATや目標未達の場合の対応、前提となるような想定を明らかにすべきだという指摘。あと自主的取り組みを支援するルール整備が重要であるという指摘。粗鋼生産量の見通しが過剰であるというご意見。鉄鋼業界の自主行動計画、ISO50001の認証を受けたという情報提供があったところでございます。

 11ページでございます。運輸部門対策でございますが、国交省を中心に各省連携して幹線道路のネットワーク整備、信号制御システム導入のインフラ整備を進めていただきたいというご意見。交通流対策、事故防止、利便性、機会損失の逓減など、多くの効果があるというご指摘があったところでございます。

 民生対策の総論でございますが、省エネのポテンシャルを個別に分析すべきだというご指摘。あとは、家庭での高効率機器導入のポテンシャルは引き続き大きいというご指摘。価値観の転換が必要であり、コベネフィットの考えの活用が重要であるというご指摘があったところでございます。取り組みに熱心な人でなくても、誰でも実行できるシステムを地域社会に取り入れていくことが重要だというご意見もあったところでございます。民生関係のデータ整備と、情報を使った行動変革をシステム化することが重要であるというご意見もあったところでございます。

 住宅・建築物対策でございますが、既存住宅の省エネが重要である。空き家になるようなストック全体を再生するという観点が重要。既存住宅の建て替えや信号機のLED化などのインフラ支援が重要である。あと2020年の断熱義務化が決まっているが、断熱改修がもたらす健康増進のコベネフィットを考慮して、理解を得るべきだというご意見。

 あとは12ページでございます。各省連携でございまして、各省庁の取り組みに重複があり、PDCAを回して費用対効果の意識を強めるべきだ。また、生活インフラの強靱化などの観点から施策を判断すべきだというご意見があったところでございます。

 13ページでございます。国民運動でございますが、2030年に向けて目標を立ててPDCAを回して、産業界の自主行動計画を参考にすべきだというご意見。Fun to Shareに数字が入っていないのは問題だというご意見。総理を議長とした国民運動推進会議を設置すべきだとのご意見。国民運動に大量消費文明からスリムな文明への価値観の転換という理念が必要だというご意見。自分たちの運動がどれだけ温暖化に貢献しているか、みえる化が重要であるというご意見。エコドライブの重要性のご指摘。地球温暖化防止行動推進センターの機能について、検証すべきだというご意見があったところでございます。

 地方自治体との連携に関しては、地方公共団体を活用した取り組みが必要であるというご意見。エコアクション21の取り組みを活用すべきだというご意見。環境省は自治体に指導力をもっているので、活用すべきだというご意見があったところでございます。

 14ページでございますが、技術開発に関してはちょっと飛びまして省エネ技術は導入効果が逓減するものであり、長期的にネタをつくっていくことが重要であるというご意見。長期的な見通しをもって技術開発を進めるため、産業界でなく国全体の取り組みとして考えなければいけないというご意見があったところでございます。

 最後、15ページでございます。今後の審議の予定でございますが、本日の午後に合同専門家会合、エネルギー供給対策を予定しております。それから月に1回程度のペースで、第5回は低炭素社会実行計画と連携施策について、第6回はエネルギーミックスの検討状況、二国間オフセット、森林吸収源対策を予定しているところでございます。

 以上でございます。

○山地委員長  どうもありがとうございました。資料を一括して説明していただきました。

 ここから、委員の皆さんの自由な発言をお願いすることになります。いつもと同じように発言をご希望の方はお手元の名札を立てていただいて、私が指名しますので順番でご発言いただきたいと思います。

 それから今回はちょっと人数も多いということで、発言時間のコントロールをさせていただくということで2分以内でお願いしたい。まことに恐縮ですが、2分で1鈴を事務局が鳴らす。さらに延長されるとベルの回数がふえるという仕組みになっておりますので、ぜひご配慮いただきたいと思います。

 では、ご発言をご希望の方、名札を立てていただきたいと思います。よろしくお願いします。インプリシットな合意だと思いますが、私が進行役のときは中環審側の委員の方から優先的な順番で発言していただくように、発言順を指名したいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、井上委員からお始めいただきたいと思います。

○井上委員  約束草案の検討に際しましては、冒頭、片瀬局長からのご挨拶の中に全てのポイントが集約されているかと思います。そういった意味で合同会合でございますが、非常に地に足のついた議論がなされておると思います。

 特に総論1の4ページの下から2つ目、3つ目あたり、エネルギーミックスの議論を十分踏まえてであったり、あるいは実現可能性とか国民の負担は透明性を高くということ。それから5ページ目の上から1つ目、2つ目あたり、地球規模の視点が大切という意見、高い数値目標をつくってイニシアチブをとるというスタンスは問題であって、単なる数値競争にならないようにというような意見も出されておりますので、ぜひともエネルギーミックスは地に足のついたものでないとなりません。したがって、原子力が温暖化対策として有効であるという視点、それから高効率な石炭火力につきましては国内でさらなる効率化を進めて、海外での展開をするという視点を含めてミックスを十分議論していただいて、それに基づいて草案を検討していただきたいというのが1点でございます。

 2点目、もう1つの資料4―2のほうの総論のところにも出ているのですが、京都議定書の5年間で目標達成計画等、一生懸命取り組んでまいりました。そんな中で過去の取り組みの教訓を生かす、費用対効果を十分分析してというご意見もございました。これは国民運動啓発活動、それから自治体さんにおける取り組みでもそうかと思います。我々は低炭素社会実行計画を過去の反省に基づいてレビューしていきます。したがって、国民的な取り組みについても、そういった視点で検討が必要だと思います。

 以上でございます。

○山地委員長  ありがとうございました。

 それでは、大塚委員、その後、荻本委員、冨田委員という順番でまいりたいと思います。

○大塚委員  この小委員会のほうにもいさせていただいておりますが、今回のCOP20を踏まえて、我が国ができるだけ早い時期に目標を出していくということが非常に重要であると思います。

 IPCCの報告に対しての議論もこの小委員会でなされていますが、4ページのところに書いてあるように、現在出されているシナリオに関して実現可能性についてのパーセンテージの議論とかございましたけれども、安全か危険か五分五分でいいというような議論は避けるべきではないかということが、1つのポイントであると思っております。その意味で2℃目標についてはいろいろ議論がありますけれども、それにできるだけ近づけていくようなことを我が国も考えていくべきであると思います。

 さらに8ページのところにありますように、再生可能エネルギーに関して純国産エネルギーはこれだけですので、できるだけということではありますが、系統とかのことも考えながら対策を進めていくべきであると思います。

 あと、この小委員会で必ずしも議論をしていないところがありますが、11ページの運輸部門の対策のところですけれども、自動車税のグリーン化が我が国の場合はすごく効果がありましたので、ちょっとその議論を余りしていないのは申しわけなかったと私も思っています。今回、消費税がすぐには上がらないことになったので、その間のエコカー減税についての継続的な実施というのは、ぜひ続けていっていただきたいと思っております。

 以上です。

○山地委員長  では、荻本委員、お願いします。

○荻本委員  大変いい議論が進んでいるということが、私が教えていただいたことだと思います。ただ、時間軸というのは常にもう非常に重要なことだと思っております。いろいろな視点が出てくるのですが、それがいつ効果をあらわすのか。効果とは別にいつ着手すればいいのかということは、その議論を一応聞かせるために非常に重要だということで、ぜひお考えいただきたい。

 それから、イノベーションに着目するというキーワードがございました。イノベーションに関しては、恐らく私の印象かもしれませんが、日本は新しい分野はどうしても、どのセクターがビジネスとしてとるのかというのがはっきりせず機会を逃しがちだと思います。つまり世界ではいろいろなベンチャーがイノベーションを先にキャッチするのですけれども、日本は既存のセクターが、どこが分担するのかというアプローチする中でビジネスの機会を逃してしまうということが起こっています。非常にいいイノベーションの種をもっている日本がイノベーションというキーワードで実質的な検討が進むように、その落ちがないようにできればいいかなと思います。

 最後に、やはり地球温暖化問題への対策というのは間違いなく社会全体の効率化です。これは常に正解の話です。ただ、地球温暖化で何かの対策を考えるためには、その対策は地球温暖化の直接の目的にどれだけの価値をもっているかということを数値的に明らかにしつつ、最終的には議論を集約させるというところが重要だと思います。

 以上です。

○山地委員長  冨田委員、お願いします。

○冨田委員  私も合同会合での議論をきょう拝見しまして、非常にいい議論がされているなと思いました。

 2点申し上げたいと思います。1点目はこれまでの経験を生かそうという意味で、何かというと、約3年前、25%削減というトップダウンの目標が出たときに我々がやったことは、これはどうやったら達成できるのかを一生懸命検討したということです。出てきた結果は、こうすればできるというよりは、ここまでしないとできないということではなかったかと思います。現実的ではなかったということかと思います。そのことからしても3E+Sを勘案したエネルギーミックスをベースにして、ボトムアップ的なアプローチで取り組むべきだと思います。

 2点目ですが、最近の傾向として円安が続いています。その結果、製造業が国内に生産拠点をシフトしてくると傾向が出てきていると聞いております。円安はまだまだ続くと予測をする人もいるわけで、この傾向が続くと生産拠点が海外から戻ってくるということが進んでくると思います。このこと自体、私は歓迎すべきことだと思いますけれども、その結果として国内からのCO排出量は増えることになります。

 しかし、国外に生産拠点を移した結果、国内の排出量が減ったことを、温暖化対策が進んだと評価すべきでないのと同様に、この結果、国内のCO排出量が増えたとしても、対策が進んでいないというように評価すべきではないと思います。 CO排出量というのは、温暖化対策の取り組み努力を評価する指標として非常にわかりやすいものですが、こうした限界もあることに留意すべきだと思います。そして、これは国の評価だけではなくて、企業についても当てはまることだと思います。

 以上です。

○山地委員長  次、長辻委員、その後、中根委員、長谷川委員、藤井委員とまいります。どうぞ。

○長辻委員  私の場合、メディアの仕事をしている関係上、国民とCOPとの関係ということが常に頭にありまして、今一番、気になっているのが、細かいことかもしれませんけれども用語の問題なのです。緩和策だとか、それから適応策という。この言葉がなかなか一般の方々に理解されにくい。ですから、これは思い切って、例えば緩和策は削減策というように言い換えたり、適応策は被害軽減策というように言い換えてしまったり、そういう工夫もこれから国民の間で議論を深め、広めていくためには必要なのではないかなと、そういうことを思ったりしております。これがないとなかなか理解が進まないまま空回りしてしまう可能性がありますので、それを1点、危惧しております。

 2点目は、この温暖化対策を、日本がいかに効率的に進めていくかについては、原子力の利用というのは考えざるを得ないだろうと思います。長期的には安全性が必要ですので、固有の安全性をもって、それから水素の生産も可能だといわれている高温ガス炉が最近、非常に注目されておりまして、エネルギー基本計画の中にも入っております。この高温ガス炉の利用ということも、やはり含めて考えていくべきではないかなと思っております。

 以上です。

○山地委員長  ありがとうございます。用語の話、確かにそうですね。特にmitigationは緩和と訳されていますが、緩和というと、影響の緩和というように本当に誤解をする人がいる。私も適切な日本語が必要ということには同感でございます。――中根委員、どうぞ。

○中根委員  いろいろな議論が進んでいると思います。それで2点、ちょっと申し上げたいと思います。

 1つは、IPCCのAR5の非常に重要なメッセージとして、累積排出量を横軸にとり気温を縦軸にとったときに、それが非常によい相関があるということです。このことは2℃にしろ、2.5℃にしろ、3℃にしろ、どこを目標にするかということはありますけれども、それがある程度幅をもったとしても、「世界の炭素容量」というものがあるのだということを明確にメッセージとして示しているわけです。今回、トップダウンとボトムアップのどっちかという議論があって、「プレッジ&レビュー方式に変わったことについて発想を転換しなければいけない」、また、逆に「IPCCによれば間をとるべき」というような議論など、非常に有益な議論をされていると思います。けれども、私が思いますのは、中期目標に対してはどうしてもボトムアップ、フォーキャストでいかざるを得ない。そうすると中期目標、つまり、2020年の目標、2030年の目標というように積み上げていき、その目標に対して対応して政策を作る、そういうことでロックされていくのではないか。ボトムアップで立てた目標にロックされていくのではないか。だからそういうボトムアップを現実的には対応としてやっていきつつも、やはり最終的にはデカップリングをやらなければいけない、バックキャストを考えなければいけないということ、それをどうやって政策の中に内在化していくかということを、時間軸を考えてやっていかなければいけないのではないかというところが1点です。

 2点目ですけれども、今回、FITの議論がいろいろありましたけれども、このことは、そういう制度とか、政策とか、社会技術というようなものの影響が非常に大きい。プラスにもマイナスにも影響が大きくて、しかも、即効性があるということが示されたわけです。そういう意味では、こういう社会技術も技術として深めつつイノベーションをやっていくべきだということを認識して、そして政策として取り上げる前に十分準備をしていくことも1つの技術開発として大事なのではないか、そのように思います。

○山地委員長  長谷川委員、お願いします。

○長谷川委員  本日、地球温暖化問題に対する日本政府の取り組み、それから合同専門家会合の進捗につきまして教えていただきまして、ありがとうございます。3つ申し上げたいと思います。

 まず、地球規模での取り組みの重要性でございます。温暖化対策は地球規模の課題でございまして、日本産業界が誇る技術を通じて地球規模での削減に貢献するという視点が不可欠と思っております。そういう意味で日本政府が昨年10月に開催されましたICEFは、イノベーションを促進するための方策を検討する場ということで、技術の重要性に着目した取り組みであることを大変よいことと評価申し上げたいと思います。

 そして温暖化の国際交渉におきましては、各国の基準年度からの削減率のみに焦点が当てられがちでございますけれども、ICEFのようなすぐれた技術の国際的な普及や、革新的な技術の開発への取り組みが正当に評価されることが重要と思います。日本政府にも、そうした視点で交渉に望んでいただきたいと思います。また炭素リーケージを回避するためには、我が国の目標に関しまして削減努力の国際的公平性を確保するということが必要と考えます。

 2点目は、低炭素社会実行計画の推進。民生・運輸部門の対策のところでございますけれども、産業界は低炭素社会実行計画のもとに生産プロセスのみならず、省エネ製品の提供を通じた貢献にも取り組んでまいります。自動車業界も燃費改善や次世代車の開発・実用化に取り組んでおりますところです。政府には低炭素社会実行計画を政策の柱として位置づけていただきたいことを、改めて申し上げます。ただし、運輸部門のCO削減に関しましては、燃費改善のみならず交通流の改善なども必要でございます。政府には交通流の改善に向けましたインフラ整備ですとか、エコドライブの推進に省庁間で連携して、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。

 最後に、国民運動、その他等のところで、地方自治体の取り組みにつきまして少し申し上げたいと思います。温暖化対策の計画を策定している自治体の割合が少ないというように聞いております。国民目線で考えますと、地方の省庁を初めとする公的設備におきまして高効率照明を積極的に導入するなど、ぜひ、公的施設から省エネルギー対策に積極的に取り組んでいただければありがたいと思います。

 以上でございます。

○山地委員長  それでは、藤井委員、お願いします。

○藤井委員  専門家会合について私も一度、傍聴させていただきました。非常に多様な意見が出ておりますし、大変、参考になります。若干、私の意見を述べさせていただくと、もう少しテーマをフォーカスしてはどうかと言う点です。時間の関係もありますので、それを踏まえて議論をしていただいたほうがいいのではないでしょうか。これから、そういう方向でフォーカスしていくということかもしれません。この問題を論じると、本当に多様な範囲に影響します。それはわかるのですけれども、我々もそういう議論をこれまでもずっとやってきているわけですが、専門家会合の場合、COP21に向けての枠組みの中で、我が国ができ得るところに、もう少しフォーカスしたほうがいいのではないかということです。その場合に、今までもご意見が出ております技術的な可能性のご議論と同時に、そうした技術の可能性は、経済的な費用対効果を踏まえたものでなければならないという点も深めていただきたい。もう1ついえば、日本はやはり先進国ですので、先進国としての責務を忘れてはなりません。この辺をどうミックスしていくのかということだと思います。

 それから、これから2020年以降の政策をつくっていくわけですから、将来、期待される技術可能性や、費用対効果の改善等々と、現状の実現可能性とのギャップが当然予想されるわけです。こうしたギャップの部分をどうしていくかということを議論すると、やはり法規制で後押しする部分と、企業なりが自主的に対応する部分とを、そろそろ分けて議論していかないといけないのではないでしょうか。企業の自主的な対応が望ましいですけれども、民間企業は当然ですが営利主体ですので、自主性だけでは、コストのかかる削減対策を十分にとるためのインセンティブが出てこない現実があります。時間の限られた中で効果的、効率的な結果を出していくという政策目的を考えますと、そういうご議論もぜひしていただきたい。

 さらに最後ですが、いわずもがなですが、この問題は、地球全体の課題ですので、海外との関係を踏まえる必要があります。ご議論の中で、一部、「アジアバブル」というご提案もあったとのご紹介がありますけれども、政府が進めているJCMと、途上国の温暖化対策との関係をもう少し海外にわかりやすくアピールする必要があると思います。特に、途上国等に対して、我々(日本)は国内での制約の部分をどう展開していくかという姿勢をもっと思い切って出して、ご議論していただきたいと考えます。

 以上です。

○山地委員長  次は村井委員ですが、その後、村上委員、高村委員、高橋委員というようにまいりたいと思います。どうぞ。

○村井委員  13ページの国民運動、その他のところで少しご意見といいますか、述べさせていただきたいと思います。

 地球温暖化センターというのは法定必置のセンターではなくて、いわゆる首長さんなりのご意向で指定されるような形になっておるのが現状なのですけれども、現在、やっと全都道府県に設置された。ところが、政令指定市でもまだ指定されていないところがあるなどまだまだの状況です。それともう1つは、指定されたセンターも半分ぐらいが自治体の外郭というか関連団体で、その他がNPO。そういう形でやっていまして、特に大きなNPOさんもありますけれども財政基盤が非常に厳しい状況にあるというのが実情でございます。外郭団体的なところは、本来の設置目的であるもの以外のところにセンター機能をつけ加えている。そういうものがありまして、いったら財政基盤のあるところに間借り的にひっついているというのが実情なのです。

 それで私が申し上げたいのは、有効に機能しているか検証するというのではなくて、検証して有効に機能するような形で何か対策をとるようなことをひとつお願いできないかなと。これは各都道府県センターも含めて、人材もほとんど増えていない。特に財源確保のために別途調査をして、それで温暖化対策のほうをやっているという形もままみられますので、その辺、ひとつご検討のほどよろしくお願いしたいなと思っております。

○山地委員長  では、村上委員、お願いします。

○村上委員  2点。

 1つは、民生と運輸のエネルギー消費というのは我々の日常生活に直結しているわけでございまして、こういうものに関しましては自治体の行政と関連が深いということで、ぜひ今の地方創生という大きな流れの中でいま一度、自治体におけるそういう活動を強化していただけたらありがたい。

 もう1点、民生の省エネです。これは新しい技術や製品が開発されても、今までの経験では普及するのに何十年とかかるわけです。ですから民生の場合、通常のやり方では実効が上がるのに大変時間がかかるから、それを視野に入れた政策を考えていただきたい。

 その2点でございます。

○山地委員長  高村委員、お願いします。

○高村委員  4点ございます。

 COP20の評価についてご紹介いただいたとおりだと思いますけれども、その合意の中で特に約束草案との関係で私自身が重要だと思っていますのは、現状の取り組みを超える、そのような約束草案の作成ということに合意をしているという点であります。現状を超えるというのが、どのように測るかというところに定性的いいますか、どういう基準かという議論があるとしても、その点は1つ重要ではないか。

 もう1つは、約束草案に伴う情報の中で大気中濃度の安定化に、いかに約束草案が貢献しているかということについての説明というのが必要になります。その意味では、先ほど中根委員をはじめ何人かの委員がおっしゃいましたけれども、もちろん現状の足元からどのように対策が強化できるかということと同時に、日本としてどういう方向性を長期的に目指すのかという議論なしには、約束草案の議論ができないと思っております。その意味で後で申し上げます議論の方法のところで、ぜひ約束のつくり方のところで、その点についてはご考慮いただきたいと思っております。

 約束草案に関して2点目でありますけれども、多数の先進国が今の状況ですと3月末までに、ほぼそろい踏みで出てくる可能性が高いというようにみております。先ほど局長からありましたけれども、主要排出国の参加にエクスキューズを与えないという意味では、拙速に議論するのは賛成いたしませんが、全体としての議論の速度を上げるということが必要だと思います。

 3点目でございます。今の2点目にかかわりますが、間違いなくエネルギーミックスの議論というのが約束の水準、約束のあり方にかかわってくると思っております。そういう意味でエネルギーミックスの議論の検討を見ながらという。先ほど局長のおっしゃったとおりでありますけれども、これは井上委員からもありましたが国民の関心が非常に高いという観点からみますと、やはり透明性が高く、この議論がエネルギーミックスの議論と同時にどのように、どういうタイミングで、どういう手続を経て行われるかということを、きちんと示す必要があるのではないかと思います。エネルギーミックスの議論の中で、今後、エネルギーミックスに直接かかわらない対策については、逆にいいますと先に議論をするようなスケジュールというのが必要ではないかと思います。

 あと最後でございます。4点目でありますが、産業部門について非常に丁寧な2030年の活動見通し、あるいは技術の見通しを出していただいております。これは国全体としてのマクロフレーム等の整合性ですとか、今後の対策の可能性、方向性を考えるのに非常に大事だと思っていまして、引き続きこの議論はしていただきたいと思います。場合によっては、これは藤井委員が以前からおっしゃっていると理解していますが、そのあり方については第三者評価も含めて検討いただきたいと思います。

 以上です。

○山地委員長  では、高橋委員、お願いします。

○高橋委員  COP20の成果について丁寧な説明、ありがとうございました。

COP20には私ども連合からも代表団を派遣しまして、世界各国の労働組合とともにCOPの成果文書に「公正な移行」という文言を入れていただくよう、要請活動なども行ってきたところです。

 私たちが考える「公正な移行」とは、気候変動に伴う施策が実施されることによって産業構造の転換が求められた場合に、そこの産業で働く労働者が失業や転職により生活の質が著しく低下をする。賃金や労働条件が低下をしていくということに直面しないように、スムーズに移行できる施策をお願いしたいということで、そういったコンセプトでリマのCOP20会場においても、環境大臣にお会いして、お願いをいたしました。結果としてリマの文書には盛り込まれませんでしたが、私どもとしては、そこで働く労働者の「公正な移行」がぜひ盛り込まれるよう、必要な活動を継続したいと思っております。

 以上でございます。

○山地委員長  ありがとうございました。

 では、続いて松尾委員ですけれども、あと廣江委員、豊田委員、田中委員と続けたいと思います。どうぞ。

○松尾委員  産業界の低炭素社会実行計画についていろいろコメントをいただきましたが、産業界としては、自主的に環境自主行動計画を立てて取り組んでおります。この効果が挙がっているというのは、やはり責任ある目標をボトムアップで設定して、地道な努力をやってきたということでございます。今後は、産業界の変化、構造変化、あるいは事業環境の変化というのがまた大きくあらわれてくる。その中で実効性ということを考えた場合、責任あるボトムアップの取り組みというところを今後も継続していく必要があると思っております。

 次に、省エネ対策についてですけれども、合同専門家会合の中のコメントにもありましたが、再生エネルギーの推進という意味での、コストパフォーマンスの問題があります。多額の再生エネ賦課金を考えた場合に、再生エネルギーの取り組みは必要だというように私も思いますけれども、一方、効率を考えた場合には、省エネ対策の強化ということを進めていく必要があると思っています。

 民生のところを考えましても、これは日々の生活を低炭素化していくということを目標として取り組んでいく。その意味では、省エネ効率の高い省エネ製品だとか技術を展開するということです。例えばLEDの家庭での展開というところに、もう少しお金もかけて展開をしていく。これは産業分野だけ、その各分野でのGHG排出量の削減ということではなくて、製品サイクル全体でGHGを削減していくということが重要なことになっていくだろうと思います。、世界の中で日本のCO排出量は数%しかありません。この中で、地球規模で考えたときには、こういう取り組みというところを展開してアピールしていく、ということが必要だろうと思っております。

○山地委員長  では、廣江委員、お願いします。

○廣江委員  電気事業連合会の廣江でございます。

 安全を大前提に原子力発電所の早期の再稼働に努めておりますが、必ずしもはかばかしく進展せず、国民の皆様方には電力需給の面で大変ご心配をおかけし、また電気料金、あるいはCO排出量の面で多大なご負担をいただいておりますことにつきまして、この場をおかりいたしまして、まずはおわびを申し上げます。

 申すまでもなく、我が国の CO排出量の約90%はエネルギー起源でございます。私ども電気事業者も原子力発電、あるいは再生可能エネルギーといったゼロエミッション電源の安全で安定的な運用と、火力発電の高効率化によりまして我が国のCO排出量の削減に貢献していかなければならないと考えておりますが、一方でエネルギー消費につきまして、現在、エネルギーミックスの議論が進んでいることはご承知のとおりでございます。

約束草案の検討に当たりましては、その実現可能性という点から申せば、当然このエネルギーミックス論を十分踏まえていただく必要があると考えておりますし、加えまして国民負担の妥当性、あるいは国際的な公平性などの諸点も十分考慮し、慎重な議論を進めていただきたいと考えるところでございます。

 以上でございます。

○山地委員長  豊田委員、お願いします。

○豊田委員  冒頭、片瀬局長のほうから、COP20で現実的な方向に向けて交渉が進んでいるというお話がございました。

 それを踏まえて何点か申し上げたいのですが、1点目はプレッジ&レビュー、あるいはボトムアップ方式というのは非常に現実的な枠組みですけれども、これは日本がCOP13のころからずっと主張してきたことだと思います。日本の主張がようやく一般的に認められてきているという意味において、日本が現実的な温暖化対策のリーダーであるということを踏まえて、自信をもってイニシアチブをとっていただきたい。そういう意味でエネルギーミックスにおいてもビューティーコンテストではなくて、現実的にフィージブルなものをぜひ早期につくっていただきたい。これが1点です。

 2つ目は、IPCCのAR5で、複数のシナリオが2℃の実現のためにもあり得るのだという議論が出てきているわけですけれども、一部のメディアでは、いまだに2℃イコール450ppmシナリオであるという説明になっている。ぜひここはもう少し広報活動をしっかりしていただいて、実態が変わってきているのだということ、450ppmにこだわればこだわるほど、交渉はまとまりにくいのだという現実を知らせていただきたいと思います。これが2点目です。

 3番目は、複数のシナリオといったときに、むしろ被害のリスクが高まるのではないかという心配の声もあると理解しておりますけれども、一方で教条的に450ppmにこだわると、何人かの委員がおっしゃったように産業競争力に影響が出てくる。雇用のリスクが出てくる。このバランスが重要です。そこをよく考えていただきたい。先ほど来、先進国としての責任というお話がございましたけれども、それは適応とICEFで進められているような新しい技術の開発で行っていっていただきたい。

 以上でございます。

○山地委員長  田中委員、お願いします。

○田中委員  約束草案のワーキンググループのご報告をいただきまして、ありがとうございます。しっかりとした議論がされているというような印象を受けております。

 緩和で、地球規模の視点が必要だということが総論2で一番冒頭に挙げられていて、全くそのとおりだと思っています。では地球規模で必要とされている、日本が期待されていることは何なのかといったところに立ち返って考えてみますと、再三こちらで議論になっております技術力だと思います。ちょっと嫌な言い方をしますと、他には、世界のお財布的なところもあるのかなと思っています。お財布としての役割も技術力をうまく生かしていき、財布の中味を埋めていく方向であればいいと思いますが、逆に国力がそがれて、例えば経済活動が鈍化してしまうことになると、期待されていたお財布としての役割もなくなってしまうということで、日本自体がどう発展できるか、あわせて考えていかなければいけない重要な点だと思っています。

 技術を通じて、日本国内の他産業や経済への部分の発展もにらみながら、海外へ貢献していくというのが非常に大事だと思っております。私が所属しております研究所でも、そういった内容の政策提案書をいくつか発表させていただいております。ここで少し申し上げますと、、技術をもとにした努力、貢献分を国内の積み上げ的な目標のところでどう生かしていけるかということと同時に、国内の経済や産業の発展をにらみ、さらに海外を市場として捉え、実際に海外への国際的な貢献を積極的に進めることが重要だと思っています。

 途上国の、他国への気候変動対策という意味では、日本は非常にお金をかけてきております。皆さんご承知おきのように2012年までに176億、それで2013年に160億ドル以上という表明をしていて、その中で、例えばJBICというような民間資金だけでみても、GREENというシステムで20億ドルほど拠出している。そういった部分で、今後、クレジットが発生するJCMといった枠組み以外でも民間の資金が日本の貢献と言う意味合いで無駄なく活用されて、日本の経済活動の発展に寄与していくような仕組みづくりが大事だと思っています。この点から、INDC・約束草案の中に、JCM以外の、そういった海外へ資金が拠出されている点も、何らか盛り込まれていけばいいのではないかと思っています。

○山地委員長  次、竹内委員ですが、その後、杉山委員、佐藤委員、木村委員というような順番でまいります。竹内委員、どうぞ。

○竹内委員  私の所属いたします国際環境経済研究所のほうから、本日、2冊の冊子を皆様のお手元に配付させていただいております。気候変動交渉に経産省、外務省から最前線で携わっておられた方のご寄稿でございます。

 今回、配付させていただきました意図は、日本は過去の気候変動交渉に学ぶ必要があるというように、つくづく思うからでございます。例えば京都議定書はアメリカが離脱して大きく実効性を損ないました。次期枠組みは米中2大排出国やインドから意欲的な目標を引き出して、その実効を担保させるということが温暖化対策の肝であることは明らかだと思います。

 そして武器なき環境戦争というようにいわれますように、国益、国内産業の体力に大きな影響を与えます。産業界が熾烈な競争を繰り広げている中で韓国には削減義務はなくて、日本には削減義務があったというのは、やはり不合理であったというようにいわざるを得ないと思います。温暖化対策と美しい言葉の前に、ともすると後回しにされがちな国際衡平性の観点というものの重要性を改めて教えられます。

 そして環境戦争において高い目標値を掲げれば評価され、他国の意欲的な目標を引き出すということができるのか。90年比25%減目標を掲げた当時のことも書かれておりますし、私もカンクンで行われたCOP16にも行きましたけれど、やはり幻想であるといわざるを得ないと思います。常に日本に対して野心的な目標を求めていた中国の交渉官が25%目標を聞いて、「どうやってやるのか」と首をかしげたというエピソードも書かれております。

 京都議定書の詳細なルール設計はCOP3の後で交渉に行われました。結果として森林吸収源などの扱いにおいて日本の主張が認められましたけれども、認められていなかったら日本は京都議定書の目標達成のためにさらに大きな負担を強いられていたことでしょう。COP21も緩やかな合意に達するのがやっとで、後から詳細を詰めていくというパターンになろうかと思います。そうなりますと、先に高い目標値を約束してしまって細やかなところを詰めていくというのは危険であって、やるべきではない。日本が提唱するJCMも国連の枠組みの中で認められるかどうか。これはCOP20の議論を聞いていても全く不透明であると思いますので、仕組みの検討は積極的に続けるべきですが、目標を検討するに当たっては、その扱いは慎重にしていただきたいと思います。

 このほかにも読めば読むほど改めて歴史に学ぶ必要性を感じますので、ぜひお手にとってみていただければと思います。

 以上でございます。

○山地委員長  では、杉山委員、お願いします。

○杉山委員  参考資料1で事前に意見を提出しておりますので、それに沿ってご説明したいと思います。

 資料4―2の次の参考資料1です。初めに4ページをごらんいただきたいのですけれども、合同専門家会合でかなりいい議論が行われてきて、それに啓発されてこの意見を準備したのですけれども、家庭部門、業務部門とも、過去、排出は随分増加してきている。京都議定書の数値目標達成計画というのでは数値が減るはずだったのですけれども、実際に起きたことは一方的に増加する結果になったということです。このことを私はよくよく噛みしめないといけないと思います。当初積み上げてつくった計画だからといって、そのとおりに実現すると思ったら大間違い。かつ今後の工夫として、これも専門家会合でいわれていましたけれども、民生部門、家庭・業務部門についてもPCDAサイクルを産業部門同様に回していくことが大事。数値目標を強制するといっても無理ですから、実際には政府の施策の効率を改善していくということだろうと思います。これも専門家会合で省庁間の施策の重複とか、連携不足の可能性があるのではないかということもいわれましたが、そういった点を改善するためにもPCDAサイクルは重要と思います。

 2点目、5ページになりますが、国民運動ということも専門家会合でいわれました。これを具体的にどう進めるかということについて、今ご提案申し上げたいと思います。国民運動というときには政府部門、例えば市役所とか公民館といったところが先導すべきだと思います。これには5つの理由があります。

 1つは、地方自治体の排出量は大きいということで、業務部門の13%は地方自治体です。ここがまずやらなければいけない。それから費用効果的な省エネ機会がある。公的部門はどこも財政的に苦しいですけれども、だからこそ光熱費が無駄になっているのは避けなければいけない。よくあるのが光熱費を支払う部門と設備の費用を支払う部門がばらばらで、連携がとれていないということがあって、そういったところは改善ができるはず。3点目、データベース整備の核になる。データ整備が重要だということも何度も指摘されていますけれども、公的部門であればデータの公開に支障がないはず。これは組織立ってやらないといけない。そうすると民生部門全体のためになる。そのほかにもメリットが幾つかあります。

 3点目ですけれども、9ページになりますが、2℃ということを前提とした議論は専門家会合で随分なされてきました。温暖化の目標を2℃というのは政治的にはそうで、尊重しなければいけないですけれども、科学的な不確実性はまだあって、2℃でなければいけないということがそれほどはっきりとしているわけではなくて、将来的には政治的な見直しもあり得るということを申し上げておきたいと思います。

 以上です。

○山地委員長  佐藤委員、どうぞ。

○佐藤委員  私も事前に資料を提出しておりますので、参考資料の1ページからでございますが、これをもとに意見を述べさせていただきます。

 企業の温暖化対策に対する自主的取り組みをどのように加速させるかということと、それと同時に企業価値を向上させるということを達成するために、経済と環境の両輪を好循環させることが必要ではないかと思います。

 その方法として、私としては現在、金融機関と投資家を核とした温暖化対策を進めるということを、本日は提案したいと思います。これは世界の流れでございまして、SRI、つまり社会的責任投資。それからESG、投資の中で環境と社会側面とガバナンスの側面を考慮する。この投資の方向は世界中で広がっておりまして、国連の環境計画の金融イニシアチブ、それからEUでの取り組み、アメリカでの取り組み。いずれも非財務情報を公開することによって企業価値を評価するのと同時に、環境等への自主的取り組みを促進するということが世界中で進んでいるところであります。

 日本はその中でどういう状況にあるかというと、2ページ目をみていただきたいのですが日本版スチュワードシップ・コード、それから日本版コーポレートガバナンス・コードというものが、金融庁の有識者会議で発表されております。日本版コーポレートガバナンス・コードは、これから確定する予定でございますが、このように企業が自主的取り組みを進めるということについて既に日本の金融機関、金融庁、環境省、それから経済産業省を巻き込んだ取り組みが今後、進むところであるということを期待したいと思います。

 それから環境報告書についても、平成16年に環境報告書の作成を促進するという法律ができましたが、その後、十分に進展していない。これについても、報告書の作成を上場企業等については義務化するということも、必要な時期に来ているのではないかと思います。

 以上でございます。

○山地委員長  では、木村委員、お願いいたします。

○木村委員  産業界の基本的な考え方について、3点、お話ししたいと思います。

 1点目は、エネルギーミックスとの関係についてです。日本の数値目標は、成長戦略を支えるエネルギーミックスを踏まえて、個別対策を積み上げて策定すべきです。これまでの合同専門家会合は総合資源エネルギー調査会と連携しており、これについては大いに評価しています。今後、具体的に数値目標を検討するに当たっては国際的公平性、実現可能性、国民負担の妥当性。この3つの要素を十分に確保すべきです。特に先進国との間だけでなく競争相手である中国や韓国などとの間でも、削減努力の国際的公平性を確保することが重要だと考えております。

 2点目は、経団連の低炭素社会実行計画の位置づけについてです。現在、産業界では、2030年の目標を含む低炭素社会実行計画フェーズⅡの策定に取り組んでおります。今後も着実にPDCAサイクルを推進しながら、主体的かつ積極的に温暖化対策に取り組む決意です。政府においては、この実行計画を政策の柱に位置づけていただくようお願いいたします。

 3点目は、国民運動についてです。2012年度の実績で産業部門からのCO排出量は、90年対比マイナス13.4%でしたが、家庭部門の排出量は6割近く増加しております。昨年12月の専門家会合でも私は申し上げましたけれども、家庭部門を中心に国民運動を進めていただきたいと思います。総理を議長として全員が参加する仕組みをつくっていただけたら幸いです。

 最後に、先ほどから豊田委員や竹内委員がおっしゃっていますけれども、この温暖化問題に関する日本の立ち位置、歴史的な貢献というのは非常に大きいものがあると思いますし、これまでの流れをつくったのは日本だと思っています。そういう意味で日本の場合は、自信と自覚をもってアピールしていく必要があると思っております。

 以上でございます。

○山地委員長  亀山委員、お願いいたします。

○亀山委員  多面的な資料を提供していただき、ありがとうございました。実際の実行計画に関する意見として、2点、申し上げたいと思います。

 1つは、今いろいろな方から出た国民運動ということで、やはり民生とか業務のほうの実を上げるためには国民運動にするということなのですが、省エネの人材育成が非常に重要かと思います。現在、省エネをなし遂げたエンジニアがどんどん定年でやめていくわけですけれども、その能力を何とか活用できるような施策を進めていただければというのと、小・中・高から省エネ教育。これは理科教育と関係するのですけれども、そういう教育をうまく国民運動と結びつけてやっていただく。また大学でも選択ぐらいでいいですが、省エネに関する科目を教えることをしたらいいかと思います。そうしますと文部科学省がこの運動の中に入ってこないと、この資料も環境省と経産省ですので、ぜひそういう形でお願いします。

 もう1つは、フロン削減と省エネ技術というのは非常に重要なわけです。現在は化石燃料をバックにしていますが、次のステップでは、水素エネルギーと再生可能エネルギーと絡めた形でのフロン削減と省エネ。この技術開発が多分イノベーションを生むと思いますので、そういう施策もぜひやっていただければと思います。

 以上です。

○山地委員長  小倉委員、お願いします。

○小倉委員  まず、きょうの資料の最後、参考資料5の日本の COの位置づけというグラフについてみてみたいのですが、2ページ目にありますように、この10年で中国の CO排出量が急激にふえています。もう1つは、その次のページにありますGDP当たりの排出量、あるいは1人当たりの排出量をみますと突出しているのは韓国でございまして、それぞれ日本の1.5ないし2倍になっているわけであります。

 したがいまして、日本がこれらの国に比べ極端に厳しい削減目標を掲げ、更なるコスト負担を背負うのは公正な競争を考えたときにどうかという問題があるわけです。当然日本もCOを一生懸命下げなければいけないのですが、国内削減量の数字をいくら無理して引き上げても、こうした中国をはじめとする新興国で排出が激増する現実の前では、実効性を求めることは難しいということもあります。こうしたことが、日本の技術を海外に展開して、地球規模での削減に貢献することの有効性を訴えてきた理由でもあります。

 そこで2点申し上げたいのですが、1点目はコスト競争力ということでございまして、 CO削減に関しましては、何といってもコストを十分に考えていく必要があるということであります。例えば途上国の場合、既にあるより優れた技術を入れるだけですぐにでもCOを大幅に下げられるわけです。しかしながら、なかなかCO削減目標を約束してこなかったのは、技術や設備の導入コストがかかって競争力を阻害することを懸念しているからだと思います。COを下げるにはどうしてもコストがかかるわけです。特に日本の場合はもう既に最も効率が高くて、例えば鉄鋼セクターの場合でも日本でつくる鉄鋼が一番、生産量当りの CO排出量が低く、更なる削減には相対的に極めて高いコスト負担が必要となります。そういった意味で産業界がグローバルに戦う上でもCO削減量というのは目標ありきではなくて、国際的なコスト競争力を十分考えた上で決めていっていただきたいなと思います。その前提となるエネルギーミックスについても同様でありまして、コストを考えた上でのミックスとなるようにしていただきたい。

 2点目は技術による貢献ということで、先ほど来、イノベーションの重要性に関するお話がでておりますが、セクター別にCOを削減していくだとか、あるいは分野別に世界のトップランナー制度のようなものをつくって、 CO排出量の少ない設備の導入を促すような政策を世界でもつくるように働きかけていただきたいと思います。こういった制度により、日本の高い技術で海外での排出削減に貢献することを促進できるのではないかと思っております。

 以上でございます。

○山地委員長  次は大橋委員、あと大石委員、内山委員、岩船委員という順番でいきたいと思います。

○大橋委員  日本商工会議所の大橋でございます。

 一部、既に皆さんのご発言と重複するところがございますけれども、3点簡潔に意見を述べさせていただきます。

 はじめに、2020年以降の地球温暖化対策につきましては、「環境と経済の両立」が絶対的な原則であると思っております。エネルギー政策の要諦は3E+Sであります。エネルギーミックスの検討、発電コストの検証を踏まえて、しっかりとした根拠に基づいた現実的な目標設定を強く望みます。

 特に、全国514の商工会議所会員を構成いたします各地の中小企業にとりまして、エネルギーコストの問題が非常に深刻でございます。賃上げや設備投資の阻害要因にもなっております。そのため、まずは、「安全が確認された原子力発電の再稼働」によって、膨らんだエネルギーコスト削減にめどをつけることが最重要ではないかと思っております。

 次に、省エネ対策について、費用対効果の点でも、より一層向上させることが重要であります。その際、産業部門の中でも投資余力やノウハウに乏しい中小企業が省エネを推進する観点から、引き続き中小企業が活用できるような省エネ関連設備導入支援や、省エネ診断・指導等の拡充を要望いたします。

 最後に、地球温暖化対策というのは、既にお話も出ておりますが地球規模の問題であります。我が国の温室効果ガスの排出量シェアというのは2.8%にすぎません。日本が現在もっております既存の環境技術を海外に展開して、地球規模で普及させることが急務であります。また中長期的には、水素などの「新エネルギー」の革新的な技術開発を推進することも非常に重要だと考えております。

 以上です。よろしくお願いします。

○山地委員長  大石委員、お願いします。

○大石委員  既に皆様のご意見で出てきた重複する部分はありますけれども、まずはエネルギーミックスについて。海外からの目標値設定の要望もあり、喫緊に国内で決めていかなければいけないとは思うのですけれども、国民の意見というものもぜひ聞いていただいて、透明性をもった進め方で決めていただければと思います。これが1点。

 それから国民運動のことですけれども、はっきりいってFun to Shareという言葉が本当に国民に広く届いているかというと、クールビズなどのようにはなかなか届いていない。もっとこの言葉を進めていくのであれば、本格的な国民運動として盛り上げていくための方策というのを立てていかないと、なかなか今の状態では進みにくいのではないかと感じます。

 プラス、先ほどから民生部門での削減がなかなか進まないということが挙げられていますが、単身高齢世帯がふえていく中で無理してでも省エネを頑張ってということになると、エアコンを止めてしまって命を落としてしまうお年寄りも出てくるわけですそのような人たちの立場に立って省エネを進めると考えると、もっと地方自治体と連携することが必要になってくるのではないかと思います。中小の企業、それから一般市民に対して、熱心に啓発活動を行なう、実際の省エネにつながるよう設備機器導入の補助金を出すなど頑張っている市区町村もあります。ぜひ日本国内の全ての市区町村が取り組めるような方策を講じていただければと思います。

 以上です。

○山地委員長  では、内山委員、どうぞ。

○内山委員  資料4―1の総論でも説明がありましたように、私も環境と経済の両立を原則とし、トップダウン的に総量を決める方式からプレッジ&レビュー方式への変更が望ましいと考えております。

 第1約束期間で部門別 CO排出量の推移をみますと、産業部門に比べて民生・運輸部門が増加しておりまして、今後の対策は民生と運輸の両部門を重点に置いて進めていく必要があります。民生と運輸部門の対策は産業部門に比べると対象者や組織の数が余りにも多いため、これまでとは異なる対策方法が求められます。その対策として、これまでのような数値目標に縛られた規制強化の方法ではなく、さまざまな組織の自主的な行動を促す連携強化が考えられます。国内の温暖化対策は、今後は環境省と経済産業省に限定されるものではなく、建設、運輸、農業、医療、情報など他省庁での対策が重要になります。特に2020年までの対策は、民生と運輸の部門を重点的に実施していくことが望まれます。

そして、それ以上に削減効果が期待できるのは海外。とりわけ新興国と発展途上国においてです。政府はCOP等の国際会議で削減ポテンシャルの大きい海外での活動を重点化し、世界的シェアに立って地球温暖化抑制に積極的に貢献していくことを世界に明言すべきであると思います。日本の環境技術は優れていますがガラパゴス化しており、世界で普及していく能力に欠けています。各国のニーズを考えて、官民一体となって普及方法を検討すべきだと考えます。

 今後の対策方法としては、日本経団連の低炭素社会実行計画はよくできており、そこに掲げられている4つの柱を参考にすべきであると思います。第1の柱は国内での産業部門の新たな取り組みで、第1約束期間の目標を上回る削減量を各業種が自主的に設定して取り組んでいく。第2の柱は主体間連携で、産業部門とは異なる運輸や業務・家庭部門での削減に協力していく。第3の柱は国際貢献で、削減ポテンシャルが大きい新興国や途上国に日本の優れた製品や技術を輸出して貢献していく。そして第4の柱は革新的技術の開発で、長期的視点からイノベーション創出につながる技術開発を実施していくという4つの柱です。3本の矢というものがありますが、矢は的を外すことがありますが柱は外れません。政府の役割としては、経済界が掲げている4つの柱による活動を活発にさせることであって、その支援のあり方を検討していくことが必要です。

 また今後、重要性が増していく他省庁との対策を支援していくことです。環境税による税収は今後ふえていくと予想され、国民の税負担は重くなっていきます。血税である資金は環境改善につながる産業や、国民生活の発展と普及に使ってほしい。その司令塔となっているのが環境省です。2020年までの対策で、その機能を十分に発揮していくことを期待します。と同時に環境税が適切に使われているか、国民目線で審査する委員会を立ち上げていくことをお願いいたします。

○山地委員長  岩船委員。

○岩船委員  岩船でございます。私は民生部門の取り組みの点について、コメントさせていただきたいと思います。

 まず、家庭は増えているので対策をというお話でしたが、やはりライフスタイルに踏み込むのは非常に難しいので、データをみる限り躯体対策を除けば家庭部門にそれほど大きな省エネ要素は、実はそんなにないのではないのかと思っています。もちろんたくさん使っている世帯はありますが、それは自分の必要な効用に見合ったものであって、それを国が無駄といえることではないのではないか。ただ、そのあたりの効用をみきわめる上でもデータに基づく分析というのは非常に重要で、何度もいわれておりますデータベースの構築は重要と思います。診断事業もされているようですが、データに基づいたものできちんと効果をみせていくということが重要かと思います。

 啓発活動は国民運動の1つの要とされているわけですが、費用対効果を考えるとリソースの配分も重要ではないかと思います。アメリカの調査では、一般の消費者は年に6分しかエネルギーのことを考えないというようなデータがございます。日本の消費者も恐らく同じようなものだと私は思います。啓発しても関心のある世帯にしか響かないのでは全く意味がないので、関心の低い世帯をどう巻き込むかと考えると、より政策的に省エネが実現できそうなことにまず投資をすべきではないかと思います。

 今後、電力事業の小売の自由化がありますので、例えばそのためのスイッチングをやりやすい仕組みを検討してはどうか。そのときに自分たちの使っている電力のことを考える機会にもなるわけですから、アメリカのグリーンボタンのような料金にアクセスしやすいような仕組みを、公的なお金をつぎ込んでやるというのが重要ではないでしょうか。

 あと既築対策は非常に重要なのですが、もう少し長期的に考えると、今後、自治体が主体にとは言っていますが、少子高齢化に伴ってもう少しコンパクトシティー化ですとか、そういった長期的なところにつながるような施策をしてはどうかと思います。

 どちらかというと私は家庭よりは中小企業ほうが費用対効果の高い施策が残されているように思います。長期の投資回収を実現可能とするような金融の仕組みのようなものを、検討していただきたいと思います。

 それから補助事業に関しては、家庭部門も、業務部門もデータ取得を前提としてほしいと思います。

 以上です。

○山地委員長  ありがとうございました。

 それでは、お隣の伊勢委員の代理で圓山さんですね。よろしくお願いします。

○伊勢委員(圓山代理)  自工会の伊勢の代理の圓山です。

 自工会は運輸部門の最も合理的な CO対策として、統合的アプローチが重要と考えております。これには4つの要素がありまして、1つ、単体対策、2つ目が交通流対策、3つ目がエコドライブ、そして4つ目が燃料あるいはエネルギーの低炭素化ということであります。

 単体につきましては、燃費基準の強化とともに対策が進んでいますけれども、次世代自動車、あるいはエコカーの普及拡大には政策支援が重要と考えておりまして、大塚委員のご発言にもありましたけれども、エコカー減税を含めた政策支援等につきまして継続的な検討をお願いしたいと思います。

 それから交通流につきまして、車の特性上、平均速度が下がると燃料消費量が増加します。これは COが悪化し、また経済損失も生まれるわけです。ところが、資料4―2に書かれていますけれども、まだ日本は交通渋滞が解消している状態にはないわけでありまして、したがいまして、IT、ITS、あるいは道路インフラの拡充等も進めていただきたいのですけれども、信号制御についても効果がございます。先行事例としてアメリカはもう全土に信号に車をセンシングする装置がついていまして、なるべく車をとめずに円滑に走行させるというシステムが完成しています。この点で日本は遅れていますので、ここは警察を含めて省庁連携して取り組んでいただきたいと思います。

 それから最後にエコドライブですけれども、昨年10月にニューヨークの国連本部でエコドライブカンファレンスと称して、世界のエコドライブの実態を議論する場がありました。ここでの共通認識は、貨物はほとんどやられているのだけれども、乗用車についてはほとんどやられていないという認識であります。

 したがって、これは共通認識でありますけれども、今環境省さんはエコドライバープロジェクトで国民運動の展開をしていただいています。新聞報道もされているのですけれども、なかなか打てど響かずという状況が続いています。

 国民運動の最大の成功事例として思いますのはクールビズがありますけれども、あれは省庁さん、あるいは自治体の職員の皆さんの率先垂範というのが非常に効果があったのではないかと思います。我々が訪問して皆さんがクールビズをやられて、安心して展開したということもあると思うのです。したがって、エコドライブもこうした省庁を主体とした率先垂範みたいなものも考えていただいて、起爆剤にしていただけないかなと思います。ぜひよろしくお願いします。

○山地委員長  それでは、長い間お待たせしました。秋元委員。

○秋元委員  重複があると思いますけれども、3つ、申し上げたいと思います。

 3つともに共通するのは、余り単純化し過ぎると間違いを犯してしまって、複雑なことをよく理解しないと、この温暖化対策、実効ある対策はうまくいかないのではないかという点です。

 その上で1点目なのですけれども、これは2℃目標イコール450、そしてイコール残り1,000ギガトンしかないといったような単純な伝わり方をしているのは非常に誤りで、ご指摘もありましたけれども、ここは非常に不確実性があって、我々がどういう考え方をとるのか。また気候感度の不確実性もまだ残っているので、科学的な今の事実を正しく認識して戦略を立てていくことは重要だと。その中では革新的な技術開発とセットとするところは非常に重要な戦略だと思いますので、パッケージをうまくつくっていく。そして、それをちゃんと広報していくということが重要ではないかと思います。

 2点目の視点は、基準年比で何%というのは非常に単純なのだけれども、これは削減努力を評価していくことにはならないので、削減努力をうまく測っていく。その中で日本のしっかりした削減努力というものを測って、対外的に発表していくということが重要ではないかと思います。

 3つ目も同じような視点なのです。これは国内的な対策ですけれども、システム的な対策が非常に重要だと。例えば交通インフラをどのように整備して、ほかの省庁も巻き込んで全体をシステム化してうまく削減していくことが重要で、ただ、これはなかなか排出削減効果を図りにくいので、これまで割と考慮の外にありがちでした。こういうものをしっかり中に組み入れて取り組むことによって、さらなる削減効果というものを出していく。そして、そのためにはPDCAサイクルの仕組みを、こういうものに関しても確立していかないといけませんので、数値だけではなくて、そういう仕組みづくりということにも注力すべきだと思います。

 以上です。

○山地委員長  どうもありがとうございました。

 以上でネームプレートを立てて意思表示された方は一通り終わったのですが、きょうは珍しく若干時間に余裕ができまして、最初のラウンドでご発言されなかった方で、ご発言をご希望ならお受けしたいと思います。ただ、発言は2分以内で簡潔にお願いしたいと思います。ということで、まず河野委員から。

○河野委員  COP20に行って取材してきた立場から、ちょっと何点か申し上げたいと思います。

 まず、確かにプレッジ&レビューに戻っていてというか、そういう形になっているのですが、COP20の問題はレビューの部分がなくなったということなのです。つまり最初の段階でいろいろ出ていた原案には、1つ、自分のところで目標案を出すときにも、総量でどのぐらい下がるのですかというのをきちんと表示するとか、いろいろな案があったのですが、それは全部消えています。それから相互検証の仕組みもいろいろあったのですけれども、それもなくなっています。そうしますと何が起こるかというと、つまり各国それぞれ、日本はちゃんとやると思いますけれども、ほかのいろいろな新興国などでこのようにいいことをやるよというけれども、それが何を意味しているのか全くよくわからない。いいっ放しみたいなことになってしまう懸念もあるのです。ですから、日本は国際交渉の場でしっかりレビューのところをもう一回、担保するということを努力していかないと、これからどんどん増えていく中国、インドなどに抑制してもらうということがなかなかできなくなると思います。

 それと同時に11月1日に国連事務局がやる分析でも、総量がどのくらい下がるのですかということが、よくわからないことになってしまう可能性もあると思います。それを日本がどうしてできるかというと、京都議定書はいろいろ問題はありましたが、かなりインフラがちゃんとしているのでどのくらい排出を出したのか。それを報告するとか、そういう仕組みはかなり整ってきちんと日本はやってきているので、そういう点で世界に貢献できる、リードできるのではないかなと思います。

 もう1点申し上げたいのは、このプレッジ&レビューではプレッジがすごく重要になってくるということなのです。もちろん皆さんがおっしゃっていたように数字だけいえばいいということではないですが、日本には循環型社会を進めてきたという非常に光る伝統もありますし、そういうことをトータルに含めて、それからもちろん災害とか防災。これも適応との関係で全く関係があるのですが、島嶼国とか途上国にこれまで援助もしてきた歴史があります。そういうことも含めて、トータルに世界に向けて発信するということが非常に大事ではないかと思います。口八丁手八丁が大事だと思うのですが、日本は口下手なので、その辺のところを世界に向けて発信して非常によくやっているという形をとって、それと同時に実質的にも下げていくというところの目標をちゃんとつくる必要があると思います。

○山地委員長  ありがとうございます。レビューがなくなったという件について、COP20でなくなったのは事前レビューの話ですよね。レビューそのものがなくなったというのは、ちょっと言い過ぎかなと思って聞いておりました。――大聖委員、お願いします。

○大聖委員  先ほど長辻委員がコメントされたことをちょっとサポートするためにコメントしたいと思いますけれども、mitigationとadaptationの言葉の訳というのは、行政の範囲内では理解されるかもしれませんが、やはり一般国民に説明するときにはちょっと言葉として不適切ではないかなと思うので、ぜひそういうご配慮をお願いしたいと思います。

 それから私ども情報通信関係の交通とか、そういったことの関連でいろいろと議論しているのですけれども、データの集積とか解析というのがちょっと日本は弱いのではないかなと思います。ビッグデータとかクラウドを使うような、そういう新しい利用技術。そういったものを進展させて、全体の把握を明確にしていただきたいと思います。

 もう1つ、私ども革新的な技術の中でも、今いいましたデータの解析が必要だろうと思います。その辺をぜひ強調していただきたい。

 それから最後に、私ども教育関係に携わっておりますと人材の育成です。これがもう非常に重要だと思っていまして、分野によっては後継者がいないとか、高齢化とか、そういった問題が発生しております。その辺にも視点を当てていただきたいと思います。

 以上です。

○山地委員長  それでは、和貝委員、どうぞ。

○和貝委員  先ほど佐藤委員から環境報告書に関することのお話があったのですが、私も環境報告書の重要性についてお話ししたいと思います。環境省等の仕組みに沿って自主的に企業が環境報告書を提出、公表しているわけですけれども、全企業が環境報告書を出すような推進というか、そのような形でされたらいいと思います。情報を開示して、これは政府施策を支援するという意味と、それから国民運動というところにも関係すると思いますので、ぜひ推進をしていただきたいと思います。それでグローバルにも欧米を中心に同じような仕組みがございますけれども、ぜひ日本が世界をリードするような形で、そういう仕組みを広めていったらどうかというように私は思います。

 それから環境報告書は自主的に企業がやっているわけですが、報告書の中に込める情報に関するものです。例えばキー・パフォーマンス・インディケーターというような、ある指標をもって環境の取り組みについて示しているわけですけれども、このあたりもそれぞれの企業が、それぞれの企業として出していますが、例えば政府から共通のKPIを示して、あるいは目標値というようなものを示せば、それに各企業がどう取り組むかということもそれぞれ示せるわけで、あるいは企業間の比較というようなものもできるわけで、その辺も環境の政府施策を支援するものとして大きなものと思いますので、ぜひそういう取り組みをご検討いただきたいと思います。

○山地委員長  どうもありがとうございました。これで大体ご発言をご希望の方は終わったと思います。本当に議事進行にご協力いただき、ありがとうございます。

 大変貴重なコメント、ご意見をいただきました。私がずっとメモしていた中では、特に具体的にどこに質問というような形のご発言は余りなかったように思いますが、ご要望は随分ございました。したがって、外務省、環境省、経済産業省、それから事務局からこの場で必要と思われる対応、あるいは何かご発言ができましたらお願いしたいと思うのですが、外務省さん、何かございますでしょうか。

○中野気候変動課長  幾つかご要望をいただきまして、そうした点を踏まえてより一層、皆様と意見交換をさせていただきながら進めていきたいと思います。

 2点だけちょっと申し上げておきたいのですけれども、先ほど河野委員からあった日本の取り組みの発信というところなのですが、まさに河野委員がおっしゃられたように防災については3月、仙台で国連防災世界会議がございますし、あとことし5月に日本で太平洋・島サミットがございます。日本が得意としている防災分野の知見。あと途上国、特に島嶼国が重視する適応、気候変動への取り組みについては、こうした機会を通じて発信していきたいと考えております。

 それから、田中委員からご指摘のあったINDC。次の約束草案の中に、海外に対する日本の貢献を入れるべきではないかというご指摘というか、ご要望があったと思うのですけれども、これまでの約束草案というのは、日本及び先進国は基本的にどれだけ削減できるかを約束草案に入れることを主張してきまして、日本として具体的にどういう形にするかというのはまだ引き続き検討している状況でございますので、今のところ日本を初め先進国は、基本的には削減分が中心であると。それ以外のところをどう入れるかというのは、ほかの国々の状況も考えながら今後、検討させていただきたいと思っております。

 以上です。

○山地委員長  それでは、環境省さんのほう、何かございますか。

○大井国際地球温暖化対策室長  COP20の結果に関しまして先ほど河野委員のほうからコメントがございまして、それに関するコメントが山地委員長からもあったレビューの件でございますけれども、事実関係だけご報告させていただきます。

 COP20の結果で各国が提出する目標の事前のコンサルテーションにつきましては、我が国を含め先進国が提案していたような各国の約束草案(INDC)を事前に相互に検証するような仕組み。これについては合意がなされなかったということでございますが、他方で事後のレビューといいますか、各国の約束草案、約束の実施状況のレビューということに関しては、まさしく今年の合意、2015年合意の中で議論される話です。実際、今でも2015年合意の要素ということで議論がなされまして、各国の実施状況をどう報告し、レビューをしていくかというようなことはさまざまな内容がCOP決定の附属書という格好で、要素ということでまとめられているところで、それを基に今年議論が進められるという状況でございます。

 もう1点、高村委員のほうから約束草案に含めるべき情報で、特に条約2条の目的達成に貢献するものの説明を提示することが大事だというようなコメントがございました。最初の説明の中できちんとご説明できていなかったと思いますので、COP20の結果まとまった各国が約束草案を提出する際に含めるべき情報について紹介させていただきます。

 まず、基準年などの参照値。これが1つ目でございます。2つ目に期間、ピリオドでございます。3つ目に対象範囲とカバー率。4つ目に計画プロセス。5つ目に前提となる条件、方法論。これには解説がついておりまして、温室効果ガスの排出吸収の推定や算定の方法を含むというようになっております。6つ目に各国の約束草案が公平で野心的であることの説明。7つ目に、高村先生からご指摘がありました、条約2条の濃度を安定化させるという究極目的の達成に各国の約束がいかに貢献するものであるか。この7つにつきまして定量的な情報を各国は提出することができる。そういう規定になってございます。

 以上でございます。

○山地委員長  ありがとうございました。長辻委員が提起されて、大聖委員も、私もちょっと申し上げた用語の件は、これは環境省さんだけが担当というわけではないと思うのですけれども、特に私はmitigationを緩和と訳しているのは個人的にもかなりわかりにくいなと思っていたのですが、何かご対応を考えておられないか。環境省さんに聞いてもちょっと……。

○瀧口低炭素社会推進室長  かねてからその指摘をいただいているところでありまして、この問題、ほかの省庁とも関係しますから相談して検討したいと思います。

○山地委員長  ちょっとちょっかいを出してしまいましたが、経済産業省さん、何かございませんか。

○小見山環境経済室長  特にございません。

○山地委員長  事務局も特にないということですね。どうもありがとうございました。

貴重な議論をしていただいて大変前進できたと思っております。そろそろ閉会プロセスに入りますけれども、中央環境審議会地球環境部会・浅野部会長からご挨拶というか、ご意見をいただければと思います。

○浅野部会長  きょう皆さんのご意見を伺っていて共通する関心事として感じたことは、2つのキーワードで表せると思いました。1つは自治体の役割というキーワードです。これはこれまでの専門家会合の中でもちらちらと出てはいたわけですが、少し出し方が弱いということをきょうかなり強く、多くの委員からご指摘をいただけたと感じました。

 もう1つは、抽象的な表現なのですが指標のあり方です。これについて、いろいろな観点からご議論があったと思います。これをさらに専門家会合では詰めていかなければいけないと思うのですが、差し当たり、たびたび申し上げていることなので専門家会合の方々はまたかと思われるかもしれませんが、今自治体がどういう状況かということを実際に現場でみていますと、国が目標を決めてくれないので、現在の自治体がもっている計画が時間切れになっていても改定をしなくていい。こういう感じになってしまっております。それは結局、国が何%下げるということをオールジャパンで決めてくれないと自治体は決めようがない。こういう発想になってしまっているのですが、まさに指標のつくり方の問題なのです。COで何%下げるということだけが唯一、絶対の目標であるかのように今思い込んでしまっているものですから、それが国から出てこなかったら何も決めなくてよいというような理解が多いのですが、自分の地域でどこが、どのぐらいエネルギーベースでは下げることができるのか。いろいろなことが幾らだってできるはずなのです。考えたらすぐわかるはずなのです。それをやってCOが何トンになるかということは多くは電力原単位の数字の結果として出てくることで、たとえ数字が悪くなっても直ちに自治体の責任ということではないわけです。つまりエネルギーがどのように供給されるかは自治体だけでは決定できないわけですから、だったらとにかくエネルギーベースでどのぐらい下げるのだ、ここまではできるということをしっかり議論しておかなければ、では国が数字を示したら翌日すぐちゃんと計画をつくってくれるのかと、自治体の人にしょっちゅういうのですけれども、「いや……」というのです。これはすごく困ったことだと思います。

 確かに、国際的な話し合いの場では何トン、何%ということが目安になっているのですけれども、それさえ今の日本の置かれた状況の中では絶対的に合理性があるといえない面があるということが、今日のご議論で出てまいりました。このあたりは、さらにまた真剣に議論しなければいけない部分だと思いますけれども、いずれにせよ、国内でも同じような呪縛にとらわれてしまっては、いざ何かやろうというときにさっぱり動かないのではないかという心配があります。

 もう1つ付け加えるならば、今日のご発言の中でそうだなと思いながらお聞きしておりましたことは、今までのおまえらの議論は時間軸が欠けておらんかねと。いつからやるのか、いつまでにやるのか。これをちゃんと考えろというご指摘は全くそのとおりです。最初から何がどのように、どのスケジュールでできるかを考えない限りは中期、長期の話は出てこないだろうとわかっておりますので、今後、さらに専門家会合でこの辺も意識しながら追い込みたい。このように考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

○山地委員長  ありがとうございました。

 それでは、続きまして、環境省の田中大臣官房審議官からご挨拶をいただきたいと思います。

○田中大臣官房審議官  本日は多岐にわたりまして貴重なご意見を頂戴しました。感謝申し上げます。局長の梶原が中座をして戻ってくるはずだったのですけれども、つかまったまま帰ってこられませんので、かわりにご挨拶をさせていただきます。

 本日いただきました委員の皆様からの貴重なご意見、ご指摘、こうしたものを踏まえつつ、これから約束草案提出に向けた検討作業を加速化していきたいと思っております。

 本日もいろいろご意見ございましたけれども、昨年、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が第5次評価報告書を公表いたしました。さまざまなご意見がありましたけれども、ともかく気候変動の影響がこれからますます深刻になるということは間違いない事実でございますので、これを踏まえて国際的にも、国内でも対応を進めていきたいと思います。

 本年は、年末に締約国会議において2020年以降の新たな枠組み。この合意を目指すという重要な年でございます。この新たな枠組みの合意に向けまして国際社会からの期待に応えていく必要があります。全ての国が参加する公平で実効的な枠組み。きょう委員の皆様からも何度も指摘がございましたけれども、こういった枠組みの実現に向けて我が国としても、我が国の強みも生かして積極的に貢献をしていきたいと思っております。と同時に今求められておりますことは、各国がそれぞれの約束草案を提出するということでございます。我が国としてもできるだけ早くとりまとめるということでございまして、そのためにさらに検討を進めていきたいと思っております。

 それから、これも何人かの先生方からご意見がございました。言葉がわかりにくいということでしたけれども、一応適応というようにいっておりますが、対策を進めても温暖化はある程度進みますので、こうしたものにどう対応していくかというのも重要でございます。中環審のほうでは影響評価の作業を今していただいておりますが、こうしたものも踏まえて、本年夏ごろをめどに政府全体の計画の策定にも取り組んでいきたいと思っております。

 委員の皆様方には今後とも引き続き、この地球温暖化をめぐるさまざまな課題について、きょうご指摘ございましたけれども、国民各層からの多様な意見も重要でございます。こうしたものも反映しつつ、また大所高所からのご意見を賜ればと思っています。今後ともよろしくお願いいたします。

○山地委員長  以上で本日の議事は全て終了でございます。

 事務局のほうから連絡事項等ありましたら、お願いいたします。

○小見山環境経済室長  ありがとうございました。議事録につきましては事務局でとりまとめを行い、委員の皆様にご確認いただきました後、ホームページに掲載させていただきたいと思います。

 なお、この後、午後1時より第4回合同専門家会合を開催させていただきます。

○山地委員長  それでは、以上できょうの合同会合を終わります。ご出席いただき、ありがとうございました。

                                 ――了――