中央環境審議会地球環境部会産業構造審議会環境部会地球環境小委員会合同会合(第35回) 議事録

日時

平成25年5月29日 10:00~12:03

場所

TKP赤坂ツインタワーカンファレンスセンター ホール8B

議事次第

  1. 1.開会
  2. 2.議題
    1. (1)2020年目標についての従前の検討経緯について
    2. (2)技術開発について
    3. (3)二国間クレジットについて
    4. (4)(1)~(3)等を踏まえた今後の地球温暖化対策の目標や計画の策定に向けた議論
    5. (5)その他
  3. 3.閉会

配付資料

中央環境審議会地球環境部会 委員名簿
産業構造審議会環境部会地球環境小委員会 委員名簿
資料1
前回(第34回)合同会合で頂いた主なご意見
資料2
過去の温室効果ガス削減目標及び主要な温暖化対策
資料3
環境エネルギー技術に関する研究開発の推進について
資料4
二国間オフセット・クレジット制度の動向
資料5
資料2~4の資料等に関連し、委員から頂いたご意見を踏まえた論点
資料6
新しい地球温暖化対策計画の策定に向けた意見募集について
参考資料1
中央環境審議会地球環境部会産業構造審議会環境部会地球環境小委員会合同会合(第34回)議事録
参考資料2
「高効率火力発電の導入推進について」(総合資源エネルギー調査会総合部会(第2回会合)資料3)
参考資料3-1
東京電力の火力電源入札に関する関係局長級会議取りまとめ(概要)
参考資料3-2
東京電力の火力電源入札に関する関係局長級会議取りまとめ
参考資料3-3
BATの参考表(暫定版)【平成25年4月時点】
参考資料4
エネルギー基本計画の検討に当たっての背景と論点(総合資源エネルギー調査会総合部会(第3回会合)資料1)
参考資料5
京都議定書目標達成計画の進捗状況(抜粋)(平成25年4月5日)
参考資料6
2011年度(平成23年度)の温室効果ガス排出量<概要>
参考資料7
地球温暖化対策の推進に関する法律の改正について
参考資料8
エネルギーの使用の合理化に関する法律の一部を改正する等の法律について

午前10時00分 開会

土居低炭素社会推進室長
定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会地球環境部会、産業構造審議会環境部会地球環境小委員会の合同会合を開催いたします。
本日の事務局でございます環境省地球環境局総務課低炭素社会推進室の土居でございます。よろしくお願いいたします。
現在、委員総数の過半数の委員にご出席いただいておりますので、定足数に達しております。
また、本日の審議は公開とさせていただきます。
最初に、産業構造審議会地球環境部会の委員の交代がありましたのでご報告いたします。竹本氏が辞任され、松尾日本化学工業協会技術委員会委員長が新たに就任されました。なお、本日は松尾委員はご欠席ということになっております。
続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。議事次第の次に、中央環境審議会、そして産業構造審議会の委員名簿がついております。
続きまして、配付資料一覧がございまして、その次に資料がついております。
資料1でございますが、前回、第34回の合同会議でいただきましたご意見、これを項目別に分類整理したものでございます。
資料2につきましては、今年1月の総理からの指示の一つ目でございます、COP19までに25%削減目標をゼロベースで見直すと、これの議論のために、過去、温室効果ガス排出目標がどのように議論されてきたのか、主な温暖化対策を整理したものでございます。
続く資料2の参考資料が、これまでの議論の主なものを資料としてまとめたものでございます。
資料3につきましては、同じく総理指示の二つ目でございます、技術で世界に貢献していく攻めの温暖化外交戦略を組み立てるというものに対応いたしまして、まず環境エネルギー技術に関する研究開発の推進についてというものでございます。
同じく資料4でございますが、議論のために二国間オフセット・クレジット制度の動向についてまとめたものでございます。
続く資料5につきましては、今回の資料をご覧いただきながら、書面でいただきましたものをまとめたものが資料5でございまして、その後ろに直接いただきましたご意見をそのまままとめたものが別添としてついてございます。
資料として最後でございますが、資料6につきましては、地球温暖化対策の計画の検討に当たりまして、できる限り幅広く国民の皆様からご意見をいただきたいというところでございまして、ご意見を募集する形にさせていただければと思っておりまして、下の3ポツにございます、環境省、経産省のホームページで意見を募集し、随時この合同会議にもご報告をさせていただき、議論の参考にしていただければと考えております。
後ろはさらに参考資料がついておりまして、参考資料1が前回の議事録、参考資料2が高効率火力発電の導入推進についてということで、現在、同時並行的に議論が行われています総合資源エネルギー調査会の資料、資料3のかたまりが、3-1としまして火力発電の入札に関しまして両省で取りまとめた資料の概要、そして3-2が本体の部分、3-3がBATの参考資料というふうになっております。参考資料4が、総合資源エネルギー調査会で現在議論されておりますエネルギー基本計画の検討に当たっての背景、論点という1枚紙、参考資料5が、地球温暖化対策推進本部において4月にフォローアップされました京都議定書目標達成計画の進捗状況、資料6が、2011年度の温室効果ガス排出量の確定値、そして参考資料7が、地球温暖化対策推進法の改正が行われましたので、それの参考資料、そして参考資料8が、省エネ法の改正に関する資料というふうになっております。
不足等がございましたら事務局までお申しつけいただければと思います。
それでは、カメラ撮りにつきましてはここまでということでお願いいたします。
それでは、早速議事に移りたいと思います。
以降の議事進行につきましては、産業構造審議会環境部会地球環境小委員会の山地委員長にお願いいたします。

山地委員長
それでは、議事に入らせていただきます。
お約束で、お隣の浅野先生と私とが交代で議事進行を行うということになっておりますので、本日は私、山地が議事進行させていただきます。
本日の議題は議事次第にあるとおりでありまして、まず1として、2020年目標についての従前の検討経緯について、2として技術開発について、3として二国間オフセット・クレジット制度について、4として、上記(1)~(3)を踏まえた今後の地球温暖化対策の目標や計画の策定に向けた議論ということでございます。
今ご紹介いただきました資料ですが、前回の発言をまとめました資料1については、委員の皆様に既にご確認いただいておりますので改めての資料説明は割愛いたしまして、資料2から5を事務局から説明していただき、その後、ご発言を希望される委員からご質問・ご意見を伺うことにしたいと思います。
それでは、資料2から順番に事務局から説明をお願いいたします。

土居低炭素社会推進室長
それでは、資料2でございます。これまで温室効果ガスの削減目標、そして温暖化対策について議論がなされてきておりますが、それにつきまして取りまとめをしたものでございます。
表といたしましては、左のほうに2009年に中期目標を議論するということで、麻生内閣時代に議論が行われたもの、そして、それが長期需給見通しの再計算ということで反映されたものがございます。真ん中から右にかけての部分につきましては昨年議論が行われたものでございまして、中央環境審議会、そして総合資源エネルギー調査会に国家戦略室のほうからタスクアウトがされ、選択肢が議論されたという経緯をまとめたものでございまして、それらを最終的に統合いたしまして、一番右の欄でございますが、昨年に革新的エネルギー・環境戦略ということで取りまとめられたものという時系列になっております。
それぞれ簡単にご紹介いたしますと、まず、麻生内閣のときの中期目標でございますが、使われましたGDP成長率の想定といたしましては、実質年率の1.3%というものを使いながらの計算ということになっております。エネルギー分野につきましては一次エネルギー供給で約5.5億キロリットルという形になっておりますし、また発電の電力量につきましては、自家発、コジェネを含まない形で約1.1兆キロワットアワーという形になっております。再エネ導入見込みといたしましては1,390億キロワットアワー、このような数字を想定していたというものでございます。
また、省エネ・温暖化対策といたしましては、各部門ごとに議論をし、想定をしているというものでございます。産業部門、運輸部門、民生部門、それ以外という形で設定をそれぞれしておりますが、代表的な値を載せております。
また、昨年議論が行われたものにつきましては、最終的な革新的エネルギー・環境戦略という形で、一番右の欄でございますが、温室効果ガスの排出量といたしましては、1990年比でマイナス5%からマイナス9%の幅を持っての示し方ということでございます。それの想定といたしまして、GDP成長率といたしましては年率1.1%という形で計算をし、一次エネルギー供給量としましては約5.1億キロリットルというものでございましたし、発電電力量といたしましては省エネ対策の進展というものも考慮し、約1兆キロワットアワーというものでございました。再エネの導入量といたしましては約1,800億キロワットアワーというものでございますし、省エネ・温暖化対策につきましては、産業部門、主要業種につきましてはヒアリングを両省合同で行わせていただきまして最新の値に置きかえているというものでございますし、民生部門などの住宅省エネ部門につきましても新築の全てが省エネ基準に適合するといった形で設定をしております。
それぞれにつきまして経済影響分析も行われておりまして、一番下の段に載っておりますが、2009年の中期目標のときには3機関による計算結果、そして昨年のものにつきましては4機関においてどれぐらいGDPの成長率に影響があるのかというものをお示ししながら、国民的議論も経て議論が行われたというものでございます。
資料2は以上でございます。

山田環境企画調整官
続きまして、資料3についてご説明いたします。経済産業省環境政策課の山田と申します。
1ページ目になりますが、先ほどご紹介のありました総理指示を受けまして、技術面での貢献の一つとして2008年の環境エネルギー技術革新計画を総合科学技術会議において改定をし、2050年の目標実現のために環境エネルギー技術の研究開発を加速することが必要と考えております。
2ページ目は、既存の技術開発ロードマップについてでございます。環境エネルギー技術革新計画の概要を書かせていただいております。後にも参考として一部を抜粋させていただいております。
続きまして、3ページ目は、技術開発の進展状況について、平成20年からの5年間で高効率火力ですとか燃料電池、LED、CCSなどの実証実験や製品の普及などが進んでいるというのをまとめたものになります。
続きまして、4ページ目でございますが、今後の改定の基本的な方向性などになります。一つ目としては、人工光合成などの革新技術が新たに生まれておりますので、そういうアップデートですとか普及に向けた実効性の高い制度改革の施策、国内制度改革などでございますとか国際的な展開などについて新たに盛り込むなどの改定が考えられると考えております。
続きまして、5ページ目でございます。想定される新たな技術項目の例を挙げておりますが、前回入っていなかった潮力等の海洋エネルギー発電、地熱発電や、太陽熱発電などを新たに追加することが必要と考えております。
続きまして、6ページ目でございます。2050年に向けた研究開発の考え方として幾つか考え方を上げておりますが、どのように研究開発に重点を置くべきかとして一部例を表で挙げております。また、その下でございますが、複数の技術の組み合わせなどにより社会システム自体を革新していくことが重要ではないか、また新たな革新的技術をどのように発掘すべきかなどを上げさせていただいております。
以上でございます。参考として、環境エネルギー技術革新計画や平成24年の中環審技術ワーキンググループの報告書の抜粋をつけております。
以上でございます。

奥山市場メカニズム室長
環境省の市場メカニズム室長の奥山でございます。
続きまして、資料4、二国間オフセット・クレジット制度、JCMでございます。こちら経産省と外務省と三人四脚で進めてきております。時間が限られておりますので私のほうからまとめて説明いたします。
まず1ページ目でございますけれども、JCMは、途上国におきまして温室効果ガスの削減技術あるいはシステムなどを普及するためのプロジェクトを合同で実施して、その持続可能な開発への貢献分というものを定量的に評価し、日本の削減目標の達成に活用していこうというものでございます。
2ページになりますけれども、これまでJCMの実施に向けた下準備となります実現可能性の調査ですとか途上国の人材育成などと並行いたしまして、幾つかの国と政府間協議を進めてきております。さらに、本年度からは具体的な案件の実証を行うということにしております。
3ページ目でございますけれども、これまでの成果といたしまして、今年に入ってモンゴル、バングラデシュ、そして一昨日にはエチオピアということで、制度の立ち上げのための二国間文書に署名をいたしました。これらの二国間文書に署名した国につきましては、4ページのように両国の政府代表による合同委員会を設置いたしまして、各種のルール、制度運用に必要なさまざまなガイドラインを決定いたしまして、これらに即して個別案件は実施されるということになっております。また、ほかの国々につきましては、引き続きインドネシア、ベトナムなどのアジア諸国を中心に関心国と協議を進めていくということとしております。
5ページ、6ページ目でございますが、こちらはこれまで環境省、経産省で行ってきました方法論の確立に向けた調査ですとか、あるいは人材育成事業をまとめてきております。こうした事業を通じまして、JCMの対象となり得る分野ですとか、あるいは相手国となり得る分野、国の掘り起こしといったものを進めてきているところでございます。
7ページ目でございますけれども、気候変動枠組条約のもとでは、削減行動を促すためのさまざまなアプローチを実施していくための枠組みを次回のCOPまでに構築する作業が進められております。この枠組みにおきましてJCMが適切に実施できるようにしていくとともに、JCMが地球全体の排出削減に貢献する取組であることにつきまして、各国の理解を促していく必要があると考えております。
最後、8ページ目でございますけれども、これまでの取組を踏まえましての今後の課題といったものを4点ほど簡単にまとめております。まず、相手国とオーダーメイドで制度をつくって運用していくというのがJCMの特徴でありまして、さらに二国間協議を加速し、対象を広げていくにはどのような取組が必要なのかという点。二つ目としまして、環境十全性を確保しながら簡易かつ実務的な制度にするためにはどのような制度設計が必要か、国際的な理解のための核心部分というふうに言えるかと思います。三つ目は、案件創出のために効果的な方策は何か、特に途上国が本制度を活用したいというインセンティブをいかに発揮していくべきなのか、JCMの活性化という視点になります。最後ですが、本制度の国際的な認知度、理解を高めるためにはどのような取組が必要か、世界に展開する視点からの切り口ということかと思います。
簡潔でございますが、JCMの制度についての説明は以上のとおりでございます。

飯田環境経済室長
環境経済室の飯田でございます。資料5についてご説明をさせていただきます。
資料5につきましては、非常に多くの先生方がここにお集まりいただいておりますので、審議を効率的に行わせていただきたいという観点から事前に資料をご送付させていただきました。資料5の別添ご覧いただきますと、先生方から非常に大量の意見書をいただいております。ご協力いただいた先生方、ありがとうございました。
また、非常にお忙しい先生方にお願いをさせていただいておりまして、ここに意見書を出していただいていない先生方にも本日ご審議の中で自由にご発言をいただきまして、それを今後の審議に反映させていきたいと思っておりますので、どうぞご遠慮なく濶達なご意見をお願いしたいと思います。
資料5にまとめてありますのは、別添で先生方からいただいたご意見を、事務局でまとめたものでございます。至らない点などもあろうかとも思いますけれども、ご容赦いただければと思います。
論点をここに11個ぐらいに整理をいたしました。タイミングにつきまして、COP19まで、あるいはエネルギー政策との関係を見ながらやるべきだというご意見、根拠、対策、施策については従来の検討結果を活用しながらその見直しをしようというご意見や、そのまま活用することは問題なんだというご意見もございました。数字につきましては、厳しい目標、あるいは実現可能な目標、過去の目標をベースとすべきだ等、いろんなご意見がございます。目標の性格につきましても明確にすべきだというご意見や、暫定的で条件、幅のある目標とすべきだというご意見もございました。基準年を90年比から変えるべき、特に2012年に変えるべきであるというご意見もございました。長期目標につきましても、堅持し続けるべきという前提のもとで実現を前提とすべきだというもの、あるいは柔軟に目指すべきものだというご意見もございました。
技術開発につきましては、事務局に足りない視点として、技術や制度、研究開発の仕組みなどについてのご提案をいただいております。
二国間オフセット・クレジット制度につきましては、まず目標に組み込むべきというご意見や、それは慎重であるべきというご意見もございました。途上国にとってどう魅力ある制度にするかということについてもご意見がございます。また、事務局に足りない視点として幾つかご意見がございました。
これらの分類されないものをその他ということで書いてございます。これらの論点以外のものについても、本日またお気づきの点などございましたらご指摘いただければと思っております。
それから最後に、ご質問をいただいておる点につきまして、9ページ以降に書いてございます。二国間オフセット・クレジット制度についての欧米の関心はどういうところにあるのか、原子力の技術開発についてどう考えるべきなのか、欧米の温暖化対策の取組状況、最新の状況はどうなっているのか、あるいは二国間オフセット・クレジット制度がいろんな国際ルールとどう整合するのかといったような点についてご質問ございました。回答のほうを事務局で作成いたしておりますので、ご覧いただければと思っております。
以上でございます。

山地委員長
どうも資料の説明ありがとうございました。
それでは、ここから委員の皆様のご議論を始めたいと思うのですけれども、今紹介がありましたように、事前に書面で多くの委員から意見をいただいておりまして、その中で提示された質問に関することについては今言ったように回答をつけております。
これからの議論は、論点整理、事務局のほうで資料5の1ページ目のところに整理されておりますので、これを議論の交通整理をするものとして使っていきたいと思っております。
ただ、今日40名ほどの委員がご出席でございまして、残りの時間を考えますとなかなか厳しくて、誠に恐縮ですけど、発言はできる限り簡潔に2分という目安で、最大でも3分ということでお願いしたいと思います。
それと、交通整理の都合上、資料5を手元に置いていただいて、この1枚目のところに記載されている論点番号がありますから、ご発言される場合、どの論点について話をされるのかということをあらかじめ言っていただければと思います。
発言は、いつものように発言ご希望の方、お手元のネームプレートを立てていただきますと、その立てた順番にご指名いたしますので発言をお願いいたします。
ただ、誠に恐縮ですが、本日代理の方が数名いらっしゃいますけど、まずは委員優先ということで始めたいと思います。
それでは、よろしくお願いいたします。
まず、安井委員、よろしくお願いします。

安井委員
ありがとうございます。宿題を提出しておりませんが、一番ですみません。
資料の5でございますと、新たに現状認識という大項目を立てていただけないかという、そういう意見でございます。ちょっといろいろと勉強させていただきますと、これからの目標を検討するときに、まずはやっぱり現状の認識が重要であって、しかもその起点として、やはり最近の年次がいいとすると2012年もしくは2012年度、その辺りの排出量、多分13億5,000万トン前後になると思いますが、この辺を起点として、それから何か導入できる政策的な変数というものを考えてみますと、実を言うとあんまり多くなくて、昨年度からどのぐらい目標年次までに省エネを進展させるのか、例えば何%をさらにやるのか。それからその次は、電力が分母でございますから電力の何%を再エネにするのか。今現状でございますと大体水力を中心に10%ぐらいですけど、それを例えば20にするなら20にするという、そういうところぐらいですかね。それから最後に、まさに政策目標だと思いますけど、原発による発電の電力量をどのぐらいにするのかと。この三つのバロメーターを使いますと、実を言うと削減目標というのは簡単な1次式で書けてしまうということが大体わかりました。こういう1次式の係数をまず両省でご検討いただいてこの場に出していただけると、議論が極めてクリアになるんじゃないかと、そういう提案をさせていただきたいと思います。
非常に簡単でございますが、以上でございます。

山地委員長
ありがとうございました。
藤井委員、どうぞ。

藤井委員
ありがとうございます。意見は既に事前にも出していますが、追加という形で、論点7の技術開発のところで1点つけ加えたいと思います。
日本の技術がすぐれているということはいろんなところでも明らかだと思います。ただ、個々の技術の評価だけではなくて、とりわけこの温暖化対策、エネルギー対策に関しては、システムとしての捉え方、つまり、部品としての技術ではなくて、複数の技術を組み合わせて議論していかなければいけないと思います。要するに、単に技術の可能性だけではなく、実用化、実務的に応用できるのかということが問われていると思います。
振り返りますと、福島の事故でも、事故前までは、日本のロボット技術はすぐれていると国民は信じてきました。けれども、事故対策ではほとんどアメリカのロボット、あるいはフランスのロボット等に委ねざるを得なかったという反省があると思います。単品の部品の技術ではなくて、システムとして捉えていくということが大事だと思います。その辺の分析をぜひお願いしたいと思います。
もう1点、論点8の二国間オフセット・クレジット制度、私はこれはいいと思うのですけれども、制度としてのウエートがよくわからない。つまり、これでどれぐらい本当に途上国のCO2削減に貢献でき、あるいは国際的な全体のCO2削減にプラスになるのか。実際にこれが制度として受け入れられてくると、日本と途上国だけではなくて先進国全体と途上国全体のシステムになっていくものではないかなと思うのです。そのような論点で見ますと、これが温暖化対策の一つの大きな旗になるのか、あるいは補完的なものなのか、その辺の重みについても、ある程度の推計をしておかなければいけないと思います。これを日本が推進するのは非常にいいと思うんですが、実際にそのウエートについても我々、日本が示していかないと、制度化も遠のくのではないかなと思います。その辺の試算等もお願いしたいなと思います。以上です。                                                                                                                                                                                          

山地委員長
ありがとうございました。
それでは、原澤委員、お願いします。

原澤委員
3点、既にメモは出しておりますけども、重複しますけどもお話しいたします。
一つは論点2ですけども、先ほど資料2でご紹介いただいたように、これまでもかなりこういったいろんな解析をやってきたということで、前回発言しましたけども、こういったものを十分活用するようにしたほうがよろしいと思うんです。加えて経済成長のこれまでは伸長係数1.1%というような値を使っていて、いわゆるモデル解析をする際のフレームについても少し見直したほうがよろしいと思いますので、ご検討いただければと思います。それが1点目です。
あと2点目は、技術開発ということで論点7で、この2年間、大震災後に一部の技術はかなり進んで実証まで行っているようなケースもあったりしますので、そういう意味では技術開発の重要性は変わらないんですけども、最近の状況を踏まえた上で、特に省エネ技術ですとか震災後の状況を踏まえた技術開発を検討していただきたいというのが2点目です。
3点目、ここにないんですけれども、最近ですと大気中のCO2が400ppmを超えたというようなニュースもございますし、やはり気候変動の進行は非常に心配な状況であります。気候変動の影響につきましては、この4月に文科省、気象庁、環境省が統合レポートという形で出しておりますので、そういった情報もこの委員会の共通認識としていくべきではないかと思いますので、次回でも結構なんですけども、そういった資料の追加をお願いしたいと思います。
以上3点です。

山地委員長
ありがとうございました。
それでは、辰巳委員、お願いいたします。

辰巳委員
ありがとうございます。すみません、私もちょっと意見を出さなかったもので。
前回の意見のところで少し申し上げたのですけれども、今回の審議にちょっと私自身がなかなかついていきにくいというのは、私たちの要するに日常の暮らしの立場の中で、どういうふうにこれに与することができるのかなというのがよくわからないなと思っております。例えば2030年なり50年なりに国民の暮らしというものがどういうふうになっているのかとか、あるいはどういうふうにしたいのかとか、そういう現状を、やっぱり数値目標とかそういう数値がまず前に出た計画になっているもので、実際の暮らしとのつながりがよくわからない。その辺り、論点としてその他の辺りで何か入れていただければなと思っております。やはり国民も、気候変動防止には寄与すべき、寄与したいなと思っていることは間違いないと思いますので、その辺りの具体的に何をどういうふうにしたら貢献できるのかということもやはり示していくべきと思っております。
あと、余計なことですけれども、最後に一つ、お役所のほうでご説明いろいろしていただいている中には、温暖化という言葉はほとんどないんですね、海外ではどういうふうにしているかというと、全て気候変動という単語になっているのですけれども、この辺りの言葉の見直しというのはあり得ないのでしょうかということをちょっと疑問に思っております。例えばエネルギーのほうでも今までベストミックスと言っていたのが、世の中、世界ではそういう単語はやっぱり通用しなくて、エネルギーミックスという言葉に変えようとなさっております。だからそういう意味で、日本でもやっぱり世界とやっていくときに、本当にずっとこのまま温暖化という単語を使っていくのですかというのがちょっと疑問に思ったもので提案させていただきます。
以上です。

山地委員長
ありがとうございました。
気候変動と言うか温暖化と言うかというのは、先ほど実はこの辺りでも議論があったところでございます。
次は井上委員、お願いします。

井上委員
ありがとうございます。事前に意見を聴取していただき、そして論点を整理していただきまして、事務局の方、ありがとうございます。
この資料5の3ページの論点4でございます。前回も申し上げましたけども、目標の性格というのをよく議論して共通認識としておく必要があると強く思っておりまして、ここでも対極的な意見、明確な目標とするのか、幅を持った目標とするのかということでございますが、原子力がこのような状況の中、やはり幅を持った目標になるのではないか。もちろんそのパートパートについては明確な目標も掲げる部分があるでしょうけども、CO2の日本の総量としては、やはり幅を持った値にならざるを得ないのではないかというのが1点。
それから二国間オフセット・クレジット制度、6ページの論点8でございます。事前にいただいた資料でクレジットの需要喚起という言葉があったので、少し違和感があるという意見を提出させていただきました。既に今日の資料では直っております。そういった観点で、目標へのクレジットの組み込み量を明確にすべきではないかという意見があるのですが、実は5年間で我々電気事業はそのクレジットに真正面から対峙して、非常に苦労してきた業界であろうと思っております。そういった観点から、目標を掲げてお金の価値として取引をするというのは、CO2の削減という観点からはいろいろな課題があると思っておりますので、ここは日本の優れた技術を海外に展開し、世界で削減する。電気事業としては、プラントメーカーがコマーシャルベースで展開するところにユーザー技術を加えて、より付加価値の高いものにして協力していきたいと、このように考えておりますので、クレジットの扱いについては議論していきたい。
以上です。

山地委員長
ありがとうございました。
では、内山委員、お願いします。

内山委員
ありがとうございます。事前意見は提出しておりますが、その中で論点4と論点5について説明させていただきます。
論点4の達成目標と、論点5、これは私が提出したものですが、基準年の再検討をお願いしたいと考えております。
最初の達成目標ですけど、ただいま委員からの意見にもありましたように、基本的には幅で評価すべきではないかというふうに思っております。京都議定書の第1約束期間は2008年から12年の5年間で、今年は1990年比で政府目標が達成されたかを評価する年になっております。しかし、この間、2011年3月に福島の原子力事故が発生しまして、我が国はエネルギー政策を温暖化対策政策としてゼロベースとして見直さざるを得ない状況にあります。つまり、第1約束期間で掲げた削減目標というのは、継続していくことがもう極めて難しい状況にあると判断します。
原子力発電はCO2排出抑制に最も大きな影響力を持っています。原子力発電の稼働状況が不透明な中で、将来の削減目標を明確にすることはできないと思います。原子力発電の稼働状況が明らかになるまでは、当面、削減目標を幅で設定すべきと考えます。削減目標は、毎年見直して原子力発電の運転が再開され運転状況が逐次明らかになっていけば、削減目標も幅も狭まっていずれは一定になると考えられます。
2番目に、同時に基準年の見直しが必要になると思います。1990年や2005年の基準年は原子力発電比率が大きいときでした。現在の原子力比率はほぼゼロであり、今後も以前のように比率が高くなることは期待できないと思います。1990年や2005年を基準年とする意義はもうなくなっていると思います。
そこで提案は、基準年を第1約束期間が終了した2012年に変更することです。2012年を基準年にすれば、CO2排出抑制を具体的かつ定量的に分析することが可能になります。福島原子力発電所の事故は未曽有の出来事でありまして、国際社会に大きな影響を与えております。日本のエネルギー原子力政策が大幅に見直されているということは、もう各国も重々承知していることでございますし、認識していると思います。この見直し提案を次のCOPに提出すれば、国際社会も受け入れてくれると思っております。
以上です。

山地委員長
ありがとうございました。
基準年については、諸外国も90年だけではなくて2005年というところもありますが、今後の一つの論点かと思います。
それでは、大聖委員、お願いいたします。

大聖委員
運輸部門、とりわけ自動車あるいは公共交通機関に関して申し上げたいと思います。
日本の自動車の低燃費技術、それから低公害化技術は、非常に卓越しております。また、自動車、公共交通機関の運用に関わる技術も世界をリードしております。こういった技術を二国間オフセット・クレジット制度に活用できないかと考えております。これは非常に戦略的に推進すべきではないかなと思っております。
それから、大気汚染の問題に関して言いますと、最近、越境汚染といいまして、隣国から汚染物がやってくる状況にあります。PM2.5に代表されますけれども、そういったものの削減と低燃費技術というのは、実は両者を同時に可能にする技術というのは非常に高度なものが必要でありますけれども、それを日本は保有しております。そういったものをどんどん活用していただきたい。そういった複合効果を織り込んだ戦略的な提案をぜひお願いしたいと思います。
以上です。

山地委員長
ありがとうございました。
それでは、奥平委員、お願いします。

奥平委員
ありがとうございます。事前にもう意見は提出しておりますが、少しつけ加えるというような格好になります。
最初に、先ほど安井委員から言われたように、現状認識が非常に重要であるということは、これはもう間違いなくて、現状認識のところを前提条件も含めてしっかりと皆さんでシェアをして議論をすべきだというふうに思っています。
それから、論点7の研究開発の考え方になりますけれども、費用対効果を最大限に高めるという意味で具体的な技術だとか分野を特定するということは重要なので、今回参考資料でつけてはいただいていますけれども、そういったところの議論が非常に重要なのではないかなと。しかも、それを複数の技術を組み合わせて社会システムというような格好での提案というのが非常に大事ですし、そういうことができるような国際標準の獲得とか各国での制度整備、規制緩和、こういったところが大事になってくると思います。社会システムというふうになりますと業界横断や省庁横断の取組ということが大事になりますので、そういった点でも産官学一体となった取組というのが期待されるというふうに思います。
例えばですが、自動車の規制緩和、先ほど大聖先生のほうからもありましたけれども、既に各新興国は非常に高い目標を掲げながら進めております。そういう意味で、世界で環境をよくする活動、それから燃費をよくする活動というのは進んではおりますが、そういう中では、やはり基準調和というのは非常に大切なことになってくるかと思います。我々が有する技術を広げていくという面で基準調和を先行させていくというような格好を、各省庁、それから自工会も一体となって進めさせていただければというふうに思います。
それから論点の8、二国間オフセット・クレジット制度になりますけれども、この考え方自体は大変すぐれていると思います。そういう意味でこれを支持しますが、この目標となると、考え方がまだ定まっていなく、お互いの国各々にあり、それから国際的に認められるどうかというのもあり、先ほどご指摘ありましたように効果がどの程度かというところもあると思います。そこのところを安易に国際的なコミットとか他国の目標まで決めてしまうというようなことはあり得ないのではないかなというふうに思います。
それから、論点3のCO2削減目標、目標になりますけれども、エネルギー政策と表裏一体でありますので、しっかりと議論をした上で、まずは、まだ決まっていないクレジット等は除いた真水の議論をしっかりして、地に足のついた現実的な目標ということを提案したいというふうに思います。
以上です。ありがとうございます。

山地委員長
ありがとうございました。
論点8の目標というのは、我が国が今後提示する目標の中で外国との連携のオフセット・クレジットをどう位置づけるか、そういうことだというふうに考えております。
橘川委員、お願いします。

橘川委員
どうもありがとうございます。
事前に委員に文書を提出させて事務局が論点整理するというやり方は、事務局の裁量性を高めて委員会当日の緊張感を下げると思いますので、私は反対です。したがって、あえて資料5を無視して発言します。
発言は二国間オフセット・クレジット制度の話ですけれども、前回言いましたように、この制度を実際にやる仕組みをつくるのはノーベル賞級ものだと思うのです。一番のポイントは両サイドのインセンティブをどうつくるかということでありまして、一つは、既存技術だけではなくてCCUSのようなものまで含めてこの制度にのせるべきだと思います。
まず、受け手の側のインセンティブですけども、セントラルジャワなんかだとインドネシアの低品位炭をたくということとつながる可能性があるわけです。それから、オーストラリアのビクトリアで褐炭を使ってCCSをやって日本に水素を持ってくるというようなことをやった場合には、問題はオーストラリアにCO2を貯めるだけだとオーストラリアは怒りますので、そこで出てくる尿素だとかアンモニアだとかの化学を現地でどう起こすかということが重要で、日本の化学メーカーがそこに参加する余地があるわけですね。そういうことをやると現地の資源の活用にも生きますからインセンティブが出ます。そして一方、日本の側は、それに協力したような事業者は石炭火力を増設していいだとか、そこに絡んだ化学会社は石炭火力の自家発電をやっていいだとか、そういうインセンティブをつくる、そういうことが大事だと思います。
以上です。

山地委員長
ありがとうございます。
論点ですけれども、11に分けているのは少し細かいかもしれませんけど、削減目標の話と技術の話と、それから二国間オフセット・クレジット制度というか、国際連携の話とその他と、この大きく区切りだということですのでよろしくお願いします。特に削減目標については、これは継続的に今から議論していくわけです。今日は、技術とそれから二国間オフセット・クレジット制度についてはある程度論点を絞って深化させていきたいと思っていますので、ご協力よろしくお願いいたします。
それでは、岡委員、お願いいたします。

岡委員
その二国間オフセット・クレジット制度の論点8です。
もう関係者の皆さんいろいろ努力されて制度の構築に動いておられるようなので、私の言うのは古い議論の蒸し返しになるかもしれませんが、もちろんこういうこともわかった上でやっておられるのかと思いますけども、原点に戻って考えると、双方、量での削減義務を負っていない者同士が取引をやるということ自体に無理があるわけですね。それで、もともとCDMが始まったときに無理があったと思いますけども、無理な制度とはいえ、やった意味というのは、京都議定書で厳しい目標を負ってしまったのを幾らか緩和するという意義があったと思います。今は自ら目標を立てようとしているわけですから、必要性がそもそもないということじゃないかと思います。つまり、クレジットに頼らずに自国で達成できる目標を掲げたらいいのではないかと思います。
今後の課題の中に、環境十全性を確保しつつ簡易かつ実務的な制度にするためにどのような制度設計が必要かということが今課題になっていること自体、これを導入することに無理があるということを示しているのではないかと思います。
以上です。

山地委員長
ありがとうございます。
まずは真水の目標が大事と、これは皆さん合意することではないかと思います。
それでは、秋元委員、お願いします。

秋元委員
1点目は意見も出させていただきましたので、論点6と若干論点7と両方に係る話ですけども、やはり長期目標を考えるときには、気候変動問題、気候変動の科学とかその辺の非常に大きな不確実性ということは考えるべきだろうと思いますし、そこに関して、我々は多くの不確実性の中でいかに適切なリスクマネジメントをしていくのかということが非常に重要なので、あまり2050年といった長期の目標をがちがちに縛ってしまうということはすごく我々の効率性というものを損なってしまうという感じがします。といいますのは、技術開発をやるにしても、何でも正当化されるような状況になってきてしまうとどんな技術に対しても金を構わずつぎ込んでしまうということになりかねないので、そこはある程度柔軟に考えていくということは重要だろうと思います。
よくモデル分析でも、例えば8割削減とか世界で半減といった目標を分析しますと、だんだん炭素価格をずっと上げていくというようなシナリオを描くわけです。そしてモデルは何か解を出しますから、一応そういう炭素価格はずっと上がっていくというような解を描き出すわけでして、現実社会を考えたときに、そんなに炭素価格がぐっと上がっていくと、将来にかけてどんどん上がっていくような社会があり得るのかと。現実的にそういうものが受け入れ可能なのかということをよく考えたときには、やはりできれば、炭素価格はあんまり上がらないのだけども技術が開発されてCO2が下がっていくという姿が一番望ましいし、現実的にはそれしか多分解はないような気がします。
そうしたときにはやはり非常に長期の技術開発ということは重要で、というのは、モデルでそういうふうに限界削減費用が上がっていくということは、今のわかっている技術では到底それを達成することができないので、もっと我々の知らない技術が必要です。ですから、一つとしては、やはり萌芽的な技術に関してもしっかり、我々はどうなるかはわからないけども波及効果も含めて考えて、そういうものに対しても広く薄く技術開発投資を行っていくというのは、これは特に政府の役割として重要ですので、そこはしっかりやっていくべきではないかというのが1点目と、もう1点目は、さっきからもちょっと話がありましたように、システム化ということは非常に重要で、単独の技術だけでは到底無理なので、我々がちょっと思っていないものをうまくシステムにして全体をシステム化すると、それを政府はサポートしていくということが非常に重要だろうと思います。それが1点目です。
2点目は、事務局からの指示では資料3と4に関してコメントをということで言われていたので、あまり中期の目標に関して私コメントしていなかったのですけども、1点だけ、論点3になると思いますけども、それについては、やはりここを考えるときには国際衡平性のとれた目標というのはどうしても重要で、私は基本的には行動目標のほうがいいと思うのですが、ただ、行動目標にしても結果としての排出削減目標みたいなものはありますけれども、そういうときに、やはり国際衡平性がとれてバランスが悪い目標になってしまうと、どんなに国内で削減をしたくても、海外に逃げていってしまって、世界全体ではCO2削減につながらないということになりますので、そこをぜひしっかり議論すべきだろうというふうに思います。
以上です。

山地委員長
ありがとうございました。
菅家委員、お願いします。

菅家委員
ありがとうございます。温室効果ガスの削減目標に関して発言をいたします。
地球温暖化の対策については、日本国内における原発再稼働問題といった不透明な状況のもとで検討しなければならないということはよく承知をしていますが、一方で、COPを含めた国際的な枠組みからは、一層の取組の強化が求められこます。日本政府も、今年の11月までの削減目標の策定に向け、検討をすすめておられますが、原発の問題など不確実な状況などを勘案すれば、削減幅についてはレンジで示さざるを得ないと思っております。
しかしながら、そういった状況のもとでも、先進国共通の目標である2050年80%削減の達成に向け、日本としても努力が必要であり、これまで以上の省エネ、再生可能エネルギーの推進に加え、需要側である社会基盤の変革など、新たな国づくりの目標であるグリーン経済や技術革新による新たなエネルギー源の開発に、人材、予算の両面から全力で取り組むことが求められています。
冒頭、事務局から説明ございました革新的エネルギー・環境戦略中環審と総エネ調で1年以上にわたり検討してきた結果を統合し、政府が決定したものです。この環境戦略で示されております90年比で2020年5~9%の削減目標は、2030年時点での概ね2割の削減につながるもので、この間の累次のCOPなどにおいて日本政府が国際公約してきました「2020年25%削減」と比べ10年遅れとなるものです。そうでありますが、この戦略自体は現実的なものとして私どもは評価をしています。
2050年80%削減達成は先進国共通の目標であり、今申し上げました2020年時点での5~9%削減目標は、この2050年の目標に向けて必ず実現しなければならない最低ラインとして捉えるべきだと思っております。したがって、今後は、さらなる削減目標の上乗せに向け、どう努力するのかについて検討が求められると思っています。その上乗せについては、必ず達成しなければならない2050年の削減目標をより実現可能にしていくという視点から検討すべきだと考えております。
以上です。

山地委員長
ありがとうございました。
それでは、進藤委員、お願いします。

進藤委員
事前に紙は出していたのですが、表現が少し曖昧だったところもありましたので、一つ、論点の9、二国間オフセット・クレジット制度について、このクレジット化は慎重であるべきだという意見を申し述べます。
オフセット・クレジット、こういう言葉で書いてあるわけですが、私どもは、あえてトレードするためにクレジット化する必要はないのではないかと考えるわけであります。二国間で省エネ設備の導入によりCO2を下げるプロジェクトが実施されるわけであります。日本から例えばプラント設備を出すことで、日本は代金、対価を受け取る。そして新興国も、省エネ効果を享受し収益がそれで上がるはずです。これでビジネスは終了ということになるわけであります。そこで減ったCO2を、日本の貢献で減ったということを認識してもらえばよいわけで、この分をあえてクレジット化して、日本の当該企業がお金を出して、それを買い取って、それをまた、売るというような仕組みはつけ加える必要はないと我々は思います。クレジットの売買であるとか排出権市場を維持拡大するためにこれをクレジット化するという必要はないと思います。
ならば新興国は何のインセンティブでこの取引にはいってくるのか?次はこういう議論になると思いますが、実際、我々製鉄業でインドや他国で試験的にやってみると、まず、例えば、省エネ技術が100ぐらいあり、何をどう入れるか、その製鉄所の状況や地域の事情を考えながら、何が適当なのかを詰める必要が出てくる。そこには、やっぱりノウハウがあるんですね。そういうコンサルタントを先進国がきちんとやるということ、一番最適な技術や技術の組み合わせを選んでやるということ、これがまず一つ、新興国のメリットであります。
それから、先ほど言いましたが、このプロジェクトは省エネとなります。使うエネルギーが少なくなるわけですから、そのことで収益が上がります。さらにあえて付け加えれば、日本のODAとか、金利の安いファイナンスをつけると、当該プロジェクトの投資収益性が更に上がり、IRRをもう少し上げてやるということになり、新興国のインセンティブはかなり出てくるのではないかと私は思うわけであります。
問題はMRVです。しっかり誰の貢献でどれぐらい減ったのかということをきちんと測ることです。これも少し手前みそになりますが、日本の鉄鋼業界は、ISOの14404という製鉄所の省エネをはかる国際規格を提案して認めてもらいました。これはISOのTC17という鉄鋼部門の委員会の事務局が日本であることでできた面もありますが、これを認めてもらって実現したわけです。各業界がセクター別にそういうMRVの基準をつくって実行していけばそこは問題ないのではないかという気がします。
最後、論点8になるんですが、では、これを日本の削減目標に入れるのかどうかという議論があります。これはなかなか難しい議論で、私もまだ考えがまとまっていないのですが、少なくとも経団連の低炭素社会実行計画では、コミットメントとポテンシャルという二つの概念に分けていまして、コミットメントは自分たちの製造プロセスから出るCO2を削減するもの、ポテンシャルというのは、省エネ製品やサービスを開発して世界中の需要家、すなわち企業や家計に出し、ライフサイクルのスパンで減る分であるとか、また、ここで言っているように技術を海外へトランスファーしてそこで減る部分、これらはまだコミットメントというには相手のある話なのでやや難しいということでポテンシャルという整理をしています。
しかし、我々の考え方からすれば、日本で減らそうが世界で減らそうが、これは同じ話ですから、できるなら日本の技術や製品でこれだけ減らすという目標、この目標を達成するためにCO2を減らすメニューとして、この二国間オフセット・メカニズムが使われるということが理想だと私は思います。ただ、そこはなかなか難しい。理想を言えばそのようにしたいが、消費者や相手国といった相手のある話でもあるので、削減量を責任ある形でコミットできない。そこで、コミットメントとポテンシャルにわけている。こういう状況です。また、海外でいくら、国内でいくらと、最初から分けて削減目標を議論することが、目標を決める諸外国との議論で、交渉技術上、良いのかどうかということもあると思います。

山地委員長
ありがとうございました。
この論点9は、当初の資料の中にクレジットの需要喚起という表現があったものですから多くの意見をいただいて、今非常にわかりやすくご説明いただいたと思います。だからトレードするということがなくても、日本の貢献がきちんと認められればそれでよろしいのではないかと。しかし、いずれにしても途上国に対してインセンティブを考えなければいけないと。それは今回の論点の中にもございますが、そういうことでございます。どうもありがとうございました。
それでは、杉山委員、お願いします。

杉山委員
論点2についてですけれども、これまでの従前の検討結果はもちろん大変な努力があったので尊重すべきとは思うのですが、ただ一方で、この試算されていることが現実離れしているのではないかという指摘もかなりあったと思います。実はその試算と現実の間、なぜその間に乖離があるのかということについては研究の世界は大分進んでいるところがありますので、その知見を活用して従前の検討結果を活かしつつ、ただ、新しい視点でそれを見直すことが必要だと考えています。
もっと具体的に申し上げますと、世界規模のエネルギー経済モデル、温暖化のモデルで最近よく言われていることが、セカンドベストとか、あるいは制度的制約という言葉で言うのですが、何のことかというと、ごく単純に世界中が一致協力して単一の炭素価格を受け入れれば温暖化対策はGDPの1%の費用でできます、そんなような試算が多分たくさんあった。だけどその前提はあまりにもありそうにないということで、先進国しか実は対策しませんとか、あるいは国際協調なかなかうまくいかないので産業部門はやっぱり減・免税にならざるを得ないでしょうと、そんなような前提を置くと、こういった前提を一つ変えるごとに経済全体のコストが倍増以上するということかが今知られてきています。ですから、先進国しか取り組まなければ実は倍のコストが、GDPの1%と言われたものが2%かかるようになると。それから、産業部門はやはり免税ということになると経済全体としてのコストは2%ではなくて4%になると、そんなようなことです。
これが、本当でいえばファーストベスト、あらまほしき世界としては世界中が協調してやることなのですけど、そうではなくてセカンドベスト、実は最高ではなくて次善の策しか現実にはできない。あるいは、同じことを制度的制約、インスティテューショナル・コンストレインツという言い方もするのですけれども、現実の政策というのは、試算とは制度的な制約があって乖離しますと、そういう言い方をします。
同じような目で国内のこれまでの試算を見てみると、やはり相当理想的な前提を置いている。どのモデルも一定の最適化ということを行っているのですけれども、ただ、現実の政策というのは最適化どおりにはいかない。これは別に犯人を捜すことが大事なのではなくて、実際はそうだということであります。
例えば今、日本の政府の予算は地方自治体も合わせると年間3兆円弱、温暖化対策としてあるわけです。これはGDPの0.6%でかなり大きい金額です。仮に1トン減らすのに1万円かかるとして試算すると、3兆円割る1万円で3億トン、日本のCO2の4分の1が減っているはずですね。仮に今CDMなんかで言われている値段というのはトン当たり1,000円とかですから、これだと3兆円を1,000円で割ると、日本のCO2何年分かが毎年キャンセルできていることになってしまう。でもそうはなっていないです。かつ、どの経済モデルでもトン当たり1万円ぐらいの費用をかければかなりCO2減ることにはなっているのですけども、先ほど申しましたように、なかなか現実にはそうなってはいない。
これは、これまた別に犯人を捜すことが大事なのではなくて、そのようになっているのが現状だということです。実際に政策を実施するときには経済的な弱者を保護するというような配慮は必ず必要ですし、それから国際協調が今あまり高いレベルにないですから、やっぱり産業界にそれほど負担かけるわけにはいかないというような配慮も必要だというのが現実です。こういった前提を一つ加えるごとに、やはり経済全体に対する負担というのは倍増していくというふうに考えるべきだろうと思います。そういった視点に立って、もう一度、経済的な負担というのは本当のところどのぐらいなのかということをよく考え直してやるべきです。それが、これまでの試算にあったような、現実離れしているのではないかというような批判に対して、議論を深めることにつながるのではないかと思います。
関連して論点4で目標ですけれども、私は、これは暫定的なもので、条件つきの、幅のある目標とすべきだというふうに思うのですけれども、ただ、これは想定幅として、原発の稼働だけではなくてエネルギー需要についても、これもこれまでかなり楽観的な想定が置かれてきていて、本当にそれでよいのかという再検討が必要であり、それは、経済的負担も実は大きいのではないかいう点を含めて見直さなければならないと思います。原発だけではなくて幾つかの主要な項目について、やはりその想定幅というものを考える必要があると思います。
以上です。

山地委員長
ありがとうございました。
それでは、末吉委員、お願いします。

末吉委員
ありがとうございます。
私は、この資料5、8ページの論点11に取り上げていただいている点について少し補強します。
私自身はこの問題を、経済や金融のあり方、これはビジネスのあり方も含めてそういった視点から見ておりますので、視野が狭いことは承知の上で申し上げるんですけれども、私の印象では、世界はこの問題を考えるときに単純にCO2を減らせばいいと、どうやったらCO2が減らせるのかという視点はとっくに通り過ぎて、生物多様性、あるいは社会の不公平や不公正の問題も含めて、地球規模の問題をトータルとして解決していく必要が出てきたんじゃないかと、そういう流れが始まっているように思います。
ですから、あえて申し上げれば、これまでのような成長をやってきた経済のモデルを根底から変えていかなきゃ問題解決ができないんだと、そういったような強い覚悟を持っていろんなことが始まっているように思います。特に、私は民間レベルでの取組に関わっているわけですけども、そういった視点からしますと、例えばCOPレベルがどうなろうと、民間ではこういったことを企業やビジネスや金融に、あるいは商社も含めてですけども、こういったやり方に変えていかなければいけないという要求がますます強くなって、そこを変えるにはどうしたらいいかの話がいっぱい出始めております。例えば企業の会計のあり方ですね、あるいは企業の情報開示の情報はどういう情報が必要なのか、それをどうやって義務化して出させるのか、それを社会はどうやって評価していくのか、そういった流れがどんどん私は進んでいるような気がします。
ですから、この議論をこれから進めるに当たって国内の視点から、これはできる、これはやりたい、そんなことはしたくないとか、これだったらできる。これは重要ですけども、そういった議論に絶えず世界は今何を求めてくるのか。特に今日は産業構造の皆さんとご一緒ですからあえて申し上げれば、日本のビジネスの行動のあり方をどうやって世界に訴えていくのか、あるいは世界の要求水準に合わすのか、そういった視点がなければ、私は深い議論をしても世界的な意味での評価は非常に低くならざるを得ない、そんなことを懸念として持っております。そういった意味で、経済モデルそのものを変えていくのだといったような包括的な大きな視点を持っての議論をぜひ進めていただければと思います。

山地委員長
ありがとうございました。
では、崎田委員、お願いします。

崎田委員
ありがとうございます。私も意見書を出させていただきましたのでその内容をご覧いただければと存じます。一言その内容の中で特に申し上げるなら、資料5の論点6のところの長期目標ですが、長期目標に関して、多様な意見が出ていますので、このままだと平行線になると思いまして一言。
私は、この丸ポツの1番目の、90年比80%削減という方向性を堅持し続けるべきという意見を出しました。やはり世界全体で人口減少とかいろんな要素もある中で、社会が環境を維持しながら幸せに暮らしていこうという方向性の中で、先進国は80%削減という数字をめざしているわけです。これが今後見直される可能性はあるかもしれませんが、そういう世界の大きな流れをともにつくっていく国のメンバーとして、きちんとそういう目標を堅持していくというのは、私は大変重要なことだと感じております。なぜそう思うのかというのは、特に80%削減の中で技術による削減のところを日本は担おうと言っているわけですので、そこを強調するためにもこういうメッセージを出し続けるというのは大変重要だと思っております。
たまたまそこの二つ下のところで、産業構造の転換を迫られる話だというご意見もあります。私は、今、電力システム改革とかそういう制度も2050年の長期目標を見すえて始まっておりますし、かなり本格的に産業界の皆さんもエネルギー源の転換などもお考えの時代ですので、社会全体でどうやってこれを実現するかということをともに考えていくのが大事だと思っております。それを実現するときに、きちんと地域の中とか都市の中でその構造の中にいかに組み込むか、交通システムの中にもいかに組み込むか、そういうところを考えていくのが大事だと思います。
それで、資料2の一番右ですが、革新的エネルギー・環境戦略の選択肢づくりの議論にも参加をしていましたが、そのときの選択肢づくりの際も2020年はマイナス5から9%を想定して試算しておりました。やはりある程度こういう幅を持った数字で短期的な目標は堅実につくっていくのが大事だというふうに感じております。どうぞよろしくお願いします。


山地委員長
ありがとうございました。
2050年目標については、よくゴールとターゲットという言い方して、ゴールというのは目指す努力目標、ターゲットは厳密なまさに実現すべき目標と、そういうところのご議論かと思って聞いておりました。
次は、長辻委員、お願いいたします。

長辻委員
事前に資料を出せませんで、すみませんでした。[7]の技術開発のところで少し具体的なことですが、申し上げておきたいと思います。
エネルギー技術に関しては、今後水素が重要性を増すであろう、とは盛んに言われております。資料を拝見していますと、輸送と貯蔵という、そういうところに焦点は当てられていますけれども、その製造ですね、水素をどうやって製造するかという部分があまり具体的に取り上げられていないと思います。
昨年の12月のことですが、茨城県の大洗にある高温ガス炉「HTTR」を見て参りました。高温ガス炉は原子炉の一種ですが、発電だけでなく水素の製造に使え、環境保全性もいいという非常にすぐれた特質を持っている。これが今まで軽水炉と高速増殖炉の間で忘れられているような印象がある、そういう日陰の存在になりつつありますが、これにもう一度その焦点を当てるべきだろうと思います。
というのが、HTTRは1998年に臨界に達しておりまして、2004年に既に950度の高温を得ております。高温ガス炉は、水素製造とそれから発電そのものにも使えます。アメリカ、中国、韓国、カザフスタン、4カ国が、この商用原子力システムにする計画を国家プロジェクトとして進めているそうです。一番すぐれている特性は、事故時に制御棒を使わなくても自動停止する点。それから運転と中性子の減速にも水を使わないので、水が全く要らず、砂漠の中でも使える原子炉であるという点。特殊な仁丹の粒のような燃料を使うわけですけれど、その特殊製造の技術を日本が持っている。日本が研究開発のトップを走ってきたのですが、なぜか国内では非常に影が薄い存在となっています。もう一度この高温ガス炉に光を当てるためにも、できればここにいるメンバーの中で見学会でもやって一度見てみるべきではないかという、そういう価値がある技術であると思いますので、ここで追加発言させていただきました。
以上です。

山地委員長
ありがとうございます。
個別具体的な技術については委員の皆様からの事前意見の書面の中でも高速増殖炉の話とかありました。それはどちらかというとむしろネガティブなほうのご指摘だったのですけれども、書面でも回答がありますように、ちょっとなかなか今、原子力のことを具体的に議論するのが難しい状況かと思いますが、論点としては重要かと思っております。
では、米本委員、お願いします。

米本委員
ありがとうございます。
私も既に意見を出しておりまして、そのときに添付しました今月の月刊紙に書いたものが資料として添付されております。ここには政府がこれまでおやりになったことの一部に対してかなり厳しいこと書いてありますが、ご容赦いただきたく思います。
私は1点だけ、二国間オフセット・クレジット制度というよりもっと広く、日本が二国間で温暖化対策の実績を積み上げていくことについて、外交という面から指摘しておきたいと思います。
一般的に言って、京都議定書の枠組みがいまも有効であるかのような議論がされているのですが、国際交渉の全体のバランスは完全に変わってしまっております。結局、世界全体から地域的な協力という視点がはっきりしてきています。そうなると東アジアは中国と日本がもう否応なく何らかの協力策を採るべき時にきていると思います。実は、国際関係で緊張感があるところでは、環境問題でだけは絶対に対話のテーブルを確保しておくのは現代の外交の常道です。日本と中国は、今こそこの問題で議論すべきだと思います。
その点で、発展途上国の代表として振る舞い、世界最大のCO2排出国であり、世界第2位の経済大国の中国と、世界第3位の経済大国で国内の省エネ投資がほぼ一巡させている日本という、極端に違う二つの国が温暖化を含めた環境に関する協力を行っていくためには、深い政治的な理念を両国間が共有する必要があり、この作業に着手すべきだと思います。日中間が先進国と途上国の違いがあるのは単にレトリックの話ではありません。中国には削減義務がないというだけではなくて、例えば対途上国でも中国はOECDのメンバーではなく、もちろんDACのメンバーでもありませんので、かなり自由に途上国にお金をつけられます。それは省エネに関する第三の途上国援助する場合、問題を含んでいます。そういう意味でも、これから中国とどういう理念で東アジアを含め地球レベルで環境協力をしていくのか腹の据わった議論をする必要があります。安倍首相が前政権のときに中国と合意した戦略的互恵について環境面での具体的内容を詰めるべきだと思います。大きな話になってしまいますが、その点だけ強調させていただきたいと思います。

山地委員長
ありがとうございました。
それでは、石田委員、お願いします。

石田委員
ありがとうございます。社会システムのイノベーションが重要であるというご意見たくさんありましたけれども、私も全く同感でございまして、それに関して、論点7と論点10に関してちょっとだけ補足させていただきたいと思います。論点7のいろんな技術開発の中でも、運輸とか交通部門を専門にしておりますのでその観点からさせていただきたいと思います。
まず第1点は、現在、国際交通というのは対象外ですけれども、相当大きなシェアを占めているということも事実でございまして、これからの日本の成長を考えてアジアとの関係ということを考えると、まだ増えていくだろうと。そういうことを考えると、国際的な枠組みがどうなるかわかりませんけれども、国内の特に自動車交通についてはさらに厳しい目標を掲げざるを得ない、そういう状況もあり得るのではなかろうかというふうに思っております。
そのことを前提にいたしまして、運輸部門で言いますと資料3にはEVとITSという言葉が書いてございますけれども、ITSに関して申しますと、いまだに日本名が高度道路交通システムですね。30年ぐらい前に5省庁がお決めになってこの日本語になったと伺っておるのですけども、公共交通の問題とか、あるいはICTとの連携なんかがありまして、そういう中でやはりCO2の削減というのは非常に大きな目標でございますので、もうそろそろ変えたほうがいいんのではないかということと、あとEVも、今現実の自動車の使われ方というのは、特に個人所有の乗用車でございますけれども、委員の方が想像されておられるよりは使われていないのですね。1日に30分程度で、かつ30キロぐらいしか走っていない。その程度なわけです。そうすると、もっと小さい、遅い、安いのが当然環境にも優しいわけですから、そういうふうなものをどう社会に普及していくかという観点が非常に重要だろうと。ただ、たまにドライブしたり業務でということもございますので、その辺のシェアリングシステムを考えるということが社会システムということから重要になってくるだろうと。広く国民にそういうことも踏まえたライフスタイルの変革というのをお願いすべきであろうというふうに思っております。
ただ、そのための条件整備がいろいろ必要でございまして、まず第1番目に、社会の制度としてそういうのをどうやるかと。ところが、そういう適正なモビリティー、小さなモビリティーということに関して言いますと、車両の保安基準もないし免許制度も決まっていないし、交通法規もないし、走行空間も何もないと。あるいは産業政策としてどう位置づけるかということも決まっていないということで、この辺は国がやるべきこととして急務だと思いますし、あとモニタリングをお願いするわけですから、参加をしていただいて効果があって、そこにどう貢献しているかということをきちんとわかっていただくようなことがモチベーションを高める上で非常に必要だというふうに思います。
あと論点10でございます。二国間オフセット・クレジット制度というのは、そういうふうな日本の要素技術あるいは社会システム技術を共有するために極めて重要だと思います。ところが、方法論開発の評価が非常に厳しくて、社会システムといった瞬間に人間が入りますと、機械システムと比べて精度とか信頼性が桁が1桁ぐらい落ちる感じでございまして、実際、CDMでも二国間でも交通システムとか社会システムの例は極めて少なくなっております。こういう効果が大きいものを何とか救えるような方法論開発の評価のあり方というのが重要ではないかというふうに思っております。
以上でございます。

山地委員長
ありがとうございました。
では、坂根委員、お願いします。

坂根委員
私の意見は、資料5の別添の33ページに出しておりますので、これを少し補足してお話しします。私自身、COP15から参加していますが、日本国内のCO2への取り組みについては、非常に大きなほかの国に比べた場合の特色というのがあります。一つは、何といっても、CO2を決めるのに普通の国であれば成長目標があって必要なエネルギーがあってその結果CO2がどうなるから、目標をどうするかの手順の議論になるはずなのですが、特に鳩山さんの目標値というのはいきなりCO2から入ってしまいました。この成長、エネルギー、CO2の一貫性というか、整合性というものをよく議論しない国であるというのが一つです。
二番目は、意外と日本人もわかっていないことですが、日本ほどいろんな業界に団体がある国は無いんですよね。もう本当にあらゆる業界に団体がありトップが参加しています。これは海外から見ると利益代表みたいな、あるいは談合組織みたいな悪いイメージもあるんですが、実は、ことCO2に関してはこれがものすごく威力を発揮していて、セクター別であるだとかBATのようなものを、同じ業界内でベンチマーキングしながら業界挙げてCO2を下げていこうという動きがこれまで出てきていたわけです。この前も東アジア低炭素成長パートナーシップダイアログという会議で基調講演を頼まれて私はお話ししたのですが、今は環境安全委員長をやっていますが、経団連の34業種で日本のCO2の44%をカバーできているわけですが、どのセクターをとっても世界最高のレベルにあることはほぼ間違いないわけです。
したがって、今こうやって原発問題があって電力がなかなか厳しいですけども、我々は、新たにスタートした低炭素社会実行計画でも世界最高のレベルは維持し続けようというコミットメントを発しております。私、今、産業競争力会議のメンバーですが、少なくとも2020年、2030年問わず世界一であり続けるという宣言ぐらいは、原発問題その他ありますけども、それを大前提にすべきではないかと。目標が低いとか言われても、世界一であることが説得性ある指標で示せればある程度の説明がつくのではないかと。少なくとも2020年目標を掲げるときに、2020年というのは突然現れるわけではないですから、向こう3年5年後の延長上に2020年があるわけで、向こう3年5年後がどうなっているかエネルギー問題が本当に見えない状況ですから、こういった中で2020年目標を今議論するのは早過ぎると思います。
私は、ヨーロッパの排出量取引のようなああいうアメとムチの世界、数値をまず掲げていくというこの欧米型のやり方というのは、CO2にはもう限界があるのではないのかと。結局、我々がボトムアップ型でセクター別に切磋琢磨でやってきたこの仕組みを世界に普及させない限り、世界のCO2は下がらないと思います。二国間オフセット・クレジット制度に今、産業競争力会議で一番強調してこれに力を入れているのは私どもの会社で経験したことに理由があります。これまでもCDMを申請したことがありますが、取締役会の資料に8年後には何とかビジネスになりそうだななんてことがあった途端に、もうCDMは認めないと。ビジネスとして成り立つのならCDMの対象ではないなんていうことを言われるわけですね。一方では、ビジネスをやりながらCO2を下げる案件がいっぱいあるわけです。だから、日本にとって成長しながら世界のCO2を下げることがいっぱいありながら、これを促進する仕組みになっていないのです。
二国間オフセット・クレジット制度でクレジットをどうするかという話は、進藤さんもおっしゃったように、経団連ではクレジット化すべきとは考えておりません。ただ、本当に効果がよくわからないままにODAやるぐらいならば、二国間オフセット・クレジット制度で世界のCO2を下げることに、それが認められようと認められまいとやるのが日本の責務ではないかと。私はいずれ、WTOがFTA、EPAになったように、今の世界のCO2の議論は必ず二国間あるいは複数国間の議論に行き着くというふうに思います。だからやるべきことというのは、真面目にCO2を下げようとする具体的な活動をやって、途上国の人たちにMRVの大事さ、それからキャパシティービルディングを我々が手伝ってあげる、これが日本のやるべき国際貢献でないかというふうに思っています。


山地委員長
ありがとうございます。
それでは、冨田委員、お願いします。

冨田委員
ありがとうございます。私は意見を提出しておりますけれども、提出しなかったところも含めて、三つの項目について1点ずつ申し上げたいと思います。
まず、削減目標のところですが、論点2ですけども、昨年この地球環境部会のほうで議論に参加してきた者として、25%の目標をゼロベースで見直すということは必要だと思いますが、当時検討した結果について今でも活用できるものが多々あるというふうに思っています。ただ、一番欠けていたものは、やはり実現可能性についての説明ではなかったかと思います。どのような目標を設定するにしても、取組をする主体である企業あるいは生活者に相応の負担とか、あるいは我慢を求めざるを得ないだろうと思います。そのときに、そうした覚悟を共有するということについての説明が決定的に欠けていたのではないかと。それに伴って、その実現性が懐疑的に見られたということが起きたのではないかと思っております。今後、目標を設定するときには、そうしたことについて説明責任があると思います。
それから技術開発のところ、論点7ですけれども、資料の中では平成20年の環境エネルギー技術革新計画の基本的な方向性は変わらないとありますけれども、やはり踏まえなくてはいけないのは震災後の状況だと思います。電力の需給逼迫であるとかBLCPの重要性、こうした認識について技術開発面からどういうことができるかということをもう一度考える必要があるかなと。具体的には分散エネルギーの活用であるとか、あるいはエネルギーの面的利用、こういったものが重要ではないかと思っております。
それから、電力のところについてですが、需要と供給はそれぞれ独立で検討されるべきではなくて、セットあるいはリンクされた形で考える必要があると思います。例えば太陽光発電の普及と系統側の対応と、こういったことが例としてあると思います。
それから、3点目のJCMのほうですけども、論点でいくと10番になりますが、2020年に限らず2020年以降の取組として、日本が果たすべき役割として非常に重要なものだと思っております。日本のみならず他の先進国でも同様な考え方で取組を進めるということが必要ではないかなと。そうしたことを考えると、国際的な理解というのを進める必要があるわけですけれども、例えばCDM、非常に課題は多いわけですが、CDMの既存の方法論といったものを活用していくというように、使えるところは使っていくという考え方に立つのがよろしいのではないかと思います。
以上です。

山地委員長
ありがとうございました。
それでは、長谷川委員、お願いします。

長谷川委員
ありがとうございます。私も意見は提出させていただきましたが、そこに述べたことと少し加えてお話をさせていただきたいと思います。
論点の7にあります技術開発のことでございます。まずは既存の先進技術、製品、サービスの普及を推進しまして、それから長期的には革新技術の開発、普及に取り組むべきと思っておりますが、そのためには、政府による普及促進施策、研究開発促進施策が検討されることが重要と考えております。
ただ、その後、その技術のグローバルな展開ということになってまいりますと、やはりビジネスベースで進む技術協力、技術移転ということがあるかと思います。そのときに、カンクン合意でも設置が決まりましたCTCN、クライメイト・テクノロジー・センター&ネットワーク議論も進んでおりますけれども、そういうところでは、やはり途上国から欲しい技術、革新技術というようなものもリストアップされてくるようなことになるかと思います。とかくこれまでも、そのような先進国と途上国の議論の中で出てまいりましたIPR、とりわけ知的財産権が技術移転の阻害になるというような途上国側からの意見に巻き込まれず、やはり健全なビジネスベースで技術の移転が進むためには知的財産権の保護ということが大切でございますので、この点に関しましては、ぜひ政府のほうでお努めいただきたいと思います。
以上でございます。

山地委員長
ありがとうございました。
では、木村委員、お願いいたします。


木村委員
ありがとうございます。
いろいろご意見が出ておりますけれども、将来の国の姿、あるいはその産業、生活のあり方、こういう図を描く上で、やはり成長という点を抜きにしてはその話が進んでいかないということを前提として申し上げます。事前に意見も提出しておりますが、参考資料の3-1、3-2で石炭火力の入札問題についての取りまとめについての資料が出されておりますが、これは大変原子力の関係で、需給、あるいは料金レベルの問題で大変ご迷惑をおかけしている電気事業者としては極めてありがたい取りまとめを頂戴したと認識しておりまして、これに沿って我々としてもできる限りの技術をさらに発展させていかなければいけないと考えております。
このまとめの論点でいきますと、論点7の石炭火力発電の技術の問題、あるいは論点11に当たるかと思いますが、そういう中で事業性ということ、これは料金レベル、コストと、こういうことに関係してくるわけですけれども、こういった点での見通しというものがより明確になるという意味で、非常に意義のある取りまとめをしていただいたというふうに理解しております。私どもとしましても、この中で出されております技術的なさらなる検討といった点につきましては、これまで以上に頑張って進めて、成長と、発電、CO2の抑制といった点について両者を満足させられるよう努力を引き続きして参りたいと思っております。
以上です。

山地委員長
ありがとうございます。
荻本委員、お願いします。

荻本委員
ありがとうございます。
少し横断的な視点で申し上げたいのですが、2020年、30年、50年という年が出てくるんですが、2020年というのは、今から7年しかないということでは極めて短い時間だろうと。2030年だともう少し時間がある。こういうことを考えますと、例えばLEDの照明がどんどん普及するというようなことは2020年に影響を与える。でも、その新しい発電所がどれだけできるのかというのはほとんど2020年にはあまり影響しない。じゃあ2030年では。今日出てきたような革新的な技術というのは、できてから普及するということを考えると、多くは2030年以降でないと実際の効果を上げないというようなことを考えますと、例えば2020年の目標値を考えることはそんなに難しくはない。残念ながら打つ手がないのでほとんど考える必要がない。ただ、考えないといけないことがあるとすると、何が変えられて何が変えられないのか。または、変えられないんだけれども、その予測をするとか読むとかいうところが我々がどのくらい正確にできるかというところは、やはりそういう意味では不確定性があるというようなことがありますので、その目的によって時間レンジによって視点をはっきりさせて整理していただけると作業も楽になりますし、効果的な検討ができると思います。
ただし、恐らくその結果だけを求めるということではないという視点がありますので、R&Dをどうやっていくのか、導入、普及をどうやっていくのかというのは、その効果を見て2020年の数字を見つけることとは別の視点で恐らく並行してやらないといけないかなというふうに思うわけです。
私自身がエネルギーシステムインテグレーションという看板で研究をしていますので、いろんな技術を組み合わせるんだというご発言は本当にそのとおりだと思います。でももう一つ、いろんな技術の組み合わせが活きるような制度との組み合わせ、これは非常に重要で、これはもしかすると明日でもできる、1年後でもできるという手を多く含んでいますので、技術にどうしても焦点が当たりがちなんですが、その技術を活かすという意味でも制度との組み合わせが重要かなと思っております。ここに関しては、他国の外国の例というのも十分参考になる点だと思います。
以上です。

山地委員長
ありがとうございました。
確かに技術開発の効果が出るにはやっぱり時間がかかるということでございますが、2020年は7年後でありますけど、不確実なのは、皆さん頭にあると思いますけど、やっぱり原子力の稼働と、それから先ほど杉山さんがおっしゃった、需要の出方とか、やはり2020年もかなり不確実なものがあると思っております。
川戸委員、お願いします。

川戸委員
ありがとうございます。今回から参加させていただきましたので、皆さん方のそれぞれのお立場からの意見、大変興味深く伺わせていただきました。専門家では私ありませんので、もしかしたら具体的な意見を言えず感想めいたことになるかもしれませんけど、お許しください。
皆さんのご指摘のように、やっぱり3.11以降、エネルギーと気候変動の関係と大きく変わりましたよね。そういう意味では、先ほどご意見があったように、今、現状認識をどうするかと、この項目はぜひつけ加えていただいて、やはりここの共有認識をやった上でいろんな意見をまとめていくのが非常に重要だと思っております。
だからそういう意味で、ここで全く新しいステップをつくるということから幾つかのこの中で意見を申し述べますと、やはり論点の3、4、目標をつくるべきか、いつごろをベースにすべきかということに関しては、私は、目標というのはインセンティブという意味で必要ですけれども、きちっとしたものをつくっていいものかどうかというのは非常に疑問です。やはりこれだけ大きくいろんなことが関わっている中で、幅があるもの、暫定的な条件のあるもの、としたほうが私はいいと思いますし、また基準年も、ここにご意見に書かれてあるように、できるのであれば2012年に設定し直すべきという考えを持っております。
それから、先ほどから議論になっております二国間オフセット・クレジット制度の話ですけれども、私もクレジット化というのはどうもあまりもう一つぴんと来ません。これまでの欧州との関係とかいろいろ動きを見ていても、これが本当に効果的なのかどうか非常に疑問に思っております。ただし、トレードという意味での、こういう気候変動というのはもうグローバルな問題ですからみんなで取り組んでいかなければいけないという意味では、やはりトレードという形で少なくとも日本の技術をいかに外に出すか、そこで一緒になって二酸化炭素を減らしていくか、これは非常に重要なことだと思いますので、ここは進めていただきたいと思います。
それから、最後ですけども、やっぱり3.11以降、実はもうみんな、少しぐらいCO2増えても仕方ない、こんな状況だから、ということが非常に多いということ。それからもう一つは、今回、三本の矢で成長戦略の中で、昔は日本の経済というのは環境というのはすごく入っていたんですよね。それが今はもう真っ先に上げられるのが医療と農業です。ここら辺、やっぱりメディアの身としては、環境、気候変動のことを一番最後に取り上げたのは、実は鳩山さんの25%なんですよね、CO2の削減。それ以降、環境というキーワード、気候変動ということがメディアにあんまり取り上げられなくなっている。ここをもう少しどうしたらいいか、安倍さんが先ほど指示のこのペーパーを出していらっしゃいますけども、ここをもう少しどうかしないと、やはり民間がいろんなことをするにしても、政府の手助け、それから人材をどうするか、こういう制度面がすごく大きいと思うのです。ここら辺のもうちょっとPRというか、先ほど調査をするとおっしゃいましたけども、ここをどうしていくかというところもぜひ事務局で考えていただきたいと思います。よろしくお願いします。

山地委員長
ありがとうございます。
クレジット化というところのこの表現の問題でしょうね。クレジット化という中身で、トレーダブルなクレジットにするところには非常に慎重だけど、我が国の貢献という意味でのクレジットは重要でありますから、ここはちょっと慎重にこの言葉の表現をきちんと理解したほうがいいかなと思います。
中根委員、どうぞ。


中根委員
論点8と、それに関連して論点6にも関連しますけれども、今、山地委員長がおっしゃったとおりです。クレジット化について何かいろいろと議論が出ているかもしれませんけれども、この二国間でやっていこうということについては、これは京都議定書の中のメカニズムというのではなくて、日本からの新しい提案ですので、先ほどからもお話があったように、二国間で実績を積み上げていく、日本でセクター別にやったことを世界に広げるという、もうこのようなもの以外に、ある意味で、温室効果ガスの排出を世界で大きく減らす手段は、当面ないのではないかというようなものだと私は思っています。
先ほど環境十全性というようなことが課題に出てくること自身がおかしいというお話があったんですけども、例えば先進国が80%じゃなくて100%削減しても世界でCO2が減少に向かうかどうか、ましてや半減するということについては全く環境十全性が保障されていないというような現状がある中で、このような二国間で実績を積み上げていくということが非常に大きな課題になっているわけです。この現状から考えると、「真水が重要だ」という話がありましたが、先進国で減らしても、それは環境十全性を担保するものではないという現状があると私は思っています。ですから、ここに論点8に、「目標に組み込むべき」、または「組み込みに慎重であるべき」とありますが、国内で幾ら減らす、また海外で減らすのには幾ら貢献するということをはっきりさせればいいので、これは対立するものではないと思いますし、そういう意味で、国内で減らすのは真水で、海外で減らすのは何か劣るかのような議論は科学的な議論でないと私は思っています。
以上です。

山地委員長
ありがとうございました。
それでは、大塚委員、お願いします。

大塚委員
4点ほど簡単に申し上げさせていただきたいと思います。
まず、数値目標についていろんなご意見ございましたけれども、一つは、日本が今後、国際交渉していって意見を言っていく上では、今度のCOP19で数値目標を出すのは必須だと思われますので、いろいろ難しいところはあると思いますけれども、ぜひやらないとまずいだろうと思います。前回も申し上げたように、アメリカとかEUは目標を2020年について達成しそうですので、日本が目標も出さないということは、新興国等にとっては新しい目標を出さないことについてのインセンティブになってしまうというようなところがあって、国際的な行動をちょっとしないとまずいのではないかということがあると思います。幅を持たせてももちろんいいと言われますけども、特に原子力等の関係で幅を持たせるということは当然あり得るのではないかと思います。
それから、二つ目でございますけども、やはり今後計画を立てていくときの話で、数値目標と関係いたしますが、ゼロベースで対応するということはいいと思っているんですけども、他方でかなり長い間かけて2012年の革新的エネルギーの成果というのを出していますので、その後でまた再生可能エネルギーとかシェールガスの問題とか時間的な経過とともに出てきていることはございますので、そういう変化を加えながら修正していくということかと思います。その5から9%という革新的なエネルギー・環境戦略の成果について問題があるとすれば、どこが問題かということは明確にして議論をしていかないと、ちょっと時間が足りないのではないかというふうに思っています。
それから、二国間オフセット・クレジット制度に関して国際貢献分に関して目標を立てるかどうかということですけども、日本が今後、数値目標を立てていくときに国際貢献分はどうするのかということは同時に考えていかなければいけない問題だと思いますので、そういう観点からは、目標を立てるのがむしろ自然ではないかというふうに思っています。
それから、三つ目ですけども、環境エネルギー技術に関する研究開発の推進でございますが、それは資料5の17ページにも書かせていただいたように、活用の柔軟性とか公表の仕方に関して企業にとってもメリットがあるようなことをちょっと考えてみてはどうかと思います。諸外国でどういう対応をしているかということも、ちょっと検討してみてはいかがかというふうに思っています。他方で、この技術開発には原資が必要ですけども、これは温暖化対策税の税収などを効率的、効果的に使うということをぜひしていただければと考えているところであります。
第4点でございますけども、二国間オフセット・クレジット制度に関して、クレジット化に関して議論がなされています。この二国間オフセット・クレジット制度が普及していくためにはCDMと多分競争することになると思いますので、クレジット化が必要でないかということは当然考えたほうがいいと思いますし、二国間のオフセット・クレジット制度というものは、決して日本だけでどんどんやっていくというものでは必ずしもなくて、この資料の4の7ページにも出ていますように、国連の枠組みの中のさまざまなアプローチというところに入ってきますので、日本だけが何か独自でどんどんやっていくのだというイメージだけで議論はされないほうがいいのではないかというふうに思っています。
以上です。

山地委員長
ありがとうございました。
それでは、野村委員、お願いします。

野村委員
日本の対策として期待される役割ですが、やはり本丸はイノベーションであろうと思います。技術開発の部分、論点7に対応するかもしれませんが、重要なことは、第一に企業には適切な利潤が必要であることです。経常的に適切な利潤があり適切な成長がない限り、将来に向けたイノベーションにも資源を割り当てることができません。そのため、日本国内だけ非常に高い対策コストを求めるような負担は、持続しないということはやはり肝に銘じたほうが良いと思います。第二に、企業が研究開発のターゲットを定める上では、外部性を内部化するシグナルとして、将来に日本や世界が受け入れる対策コストの適切な水準が示されていることが重要です。日本だけの高い対策コストで国内需要のみを創出しようとも、世界で受け入れられないのであれば成長には繋がりません。政策的に創出された需要はもろいものです。Greenを志向しながら成長が可能となるようなパスを見出し、それが持続可能であるためには、国際的に調和のとれた対策コストの水準から大きくずれないという原則が不可欠です。
これまでのモデル分析では、国際的な限界削減費用の均等化を対策の効率性の視点としてきたわけですけれども、現実には、世界各国でエネルギー消費における税負担の格差、implicit carbon taxがやはり異なります。生産の現場も技術開発の現場も、国際競争にさらされた真剣勝負の場だと思います。足元の税負担の国際的な格差をしっかりと把握した上で、それを内数とした国際的に調和のとれた削減費用の均等化を認識しておくべきです。それは論点7の基準であり、そうしますと、論点4と6、中期と長期の目標は整合したものでないといけないというところが第一の原則になり、それはつながっているのではないかと思います。
二国間オフセット・クレジット制度に関しましてもう1点だけ、ちょっと私が勘違いしているかもしれませんが、結局のところどのような取引になるかといえば、受け入れ国はクレジット分の価値の分だけ、日本に値引きを求めるのではないでしょうか。それは究極的にクレジットの価格を両国がいくらとみなすかということで、受け入れ国は最低限としてクレジットの国際価格分の値引きを求め、仮にそれがトン当たり10ドルとしますと、日本側では日本の国内の対策コストが例えばトン当たり100ドルというものをターゲットにしますと、10ドルから100ドルの間で両国の合意が可能となるかと思います。そのときに結局のところ100ドルに近いところまで、いろんな形で値引きをしていく、その途上国の何らかの支援をしていくコストを負担することは合理的ですので、結果として非常に高い対策コストにつながってしまう可能性があり得るのではないかと思います。ひとつの政府の失敗かもしれませんが、政治家も行政も成果をぜひ出していこうということになるでしょうから、その中で実現していくと、クレジットの価格は事後的に見れば、それはもしかしたら日本の対策コストさえも上回るかもしれないという危惧を感じます。そうではなくて、いずれこの成功事例ができて、事後的なクレジット価格が一体幾らになっているのか透明性を確保していただければ、この制度の実現可能性を理解できますし、サスティナビリティー、それが本当に二国間フレームワークを利用した日本のGreen Growthにつながり、日本の国際貢献につながっているのかという部分を検証することが必要ではないかと思います。
以上です。

山地委員長
ありがとうございました。
議論を始めるに当たって、冒頭、委員優先ということを申し上げたのですが、若干、若干といっても本当に数分ですが、多少余裕がありますので、それでは、まず、工藤さん、どうぞ。

工藤氏(豊田委員代理)
機会をいただき、ありがとうございます。
簡潔に、まず論点1のタイミングというところですが、特に国内の議論ですので、今日いろいろあった争点、論点があると思うんですが、一方で国際交渉ということを考えますと、周辺で何が起こっているか、特にヨーロッパのEU-ETSの制度改正をめぐる今の議論の分かれているような状況、もしくはアメリカが最近出したAnnual Energy Outlook、2040年まで数字つくっていますけど、なかなか気候変動というもののプライオリティーが高くない。そういったようなことの、ほかのそれぞれの国の戦略案とか状況というものを適宜うまくシェアをしながら日本としてどう見るかということを見ておく必要があるかと思います。なぜならば、恐らくその中にエネルギーの要素とかが多分に入っていますので、ヨーロッパのいろいろな意見が割れているところもアメリカのシェールなりなんなりの影響も多々あるというふうな評価がされておりますので、そういうことをちゃんと見ておく。その上で、日本の国内のエネルギー環境の優先度を今どう考えるべきかということをいろいろな意味で共有しておく必要があるのかなという気がします。
2番目、技術に関しては、恐らく今後日本の競争力という観点と国際連携で世界に広めるという両方の視点があって、競争力に関していえば戦略的にどう進める、連携についてはどう進める、その一つのキーとなりそうなのが、やはり国際標準とか基準というのがあります。幾つかコメントを出されましたが、今CCS等でもいろいろそういった標準化が動いております。そういったものも適宜情報を共有されながら、いろいろこの技術革新と日本がどう関わっていくかということを見ていくということが大事かなと思っております。
最後に、二国間オフセット・クレジット制度等については、省エネの各国の途上国の基準等をつくるサポートとかをしています、そこには必ずやはりニーズがあります。ですので、クレジットという観点よりも以上に、やはりエネルギーという観点の効率性のニーズというのは多分にあると思います。これは一例ですが、そういったようなことをうまくつかまえていくというスコープもやはりあわせて考えていきますと、いろいろな工夫というものが現場では出てくるのではないかなという気がしております。
以上です。

山地委員長
ありがとうございました。
皆さんに本当にご協力を得まして、若干時間の余裕がありますから、簡潔にでございますけど、さらに数件ご発言を受けたいと思います。
河野委員、どうぞ。

河野委員
二国間オフセット・クレジット制度について1点だけ、10ページに質問を出しましたところ、資料5の10ページですけども、木で鼻をくくったような回答があるんですが、「各種国際ルールに抵触しないよう実施していく予定です」、それは当たり前なんですけれど、結局今までのご議論を聞いていますとわかるように、ODAなのかビジネスなのか、ここで国際ルールに抵触するおそれがあるもの、どうなっているのかという私の質問は二つありまして、ODA、DACのルールですね、ひもつき援助はだめだというルールにファイナンスの部分で抵触してこないかということが一つ。
それからもう一つは、これ非常に二国間オフセット・クレジット制度は創意工夫でいろいろなものもあるので、日本の家電製品とかいろんな製品を売っていくということもあると思うんですが、そういうところでどうやってインセンティブを引き出すかというところとも絡むのですが、WTOの輸出補助金に当たるという議論もあると思うんですね。なので、ここは非常に実を言うと重要なところで、あるいはさっき工藤委員がおっしゃった国際的な基準づくりとか動向ということとも大いに絡むところなので、実は非常にテクニカルな問題ではなくて、この二国間オフセット・クレジット制度というのはどういう理念で何を日本がやっていこうとしているのか、大きいところのいろんな種類があってもいいんですが、そこはきちんとしなければいけないし、そういう国際ルールにも抵触しないようにつくっていかなければいけないので、抵触しないようにドッジして避けるというよりも、ちょっとかなり基本的なことを含む部分ですので、今後いろいろな情報を分析したり、そういう情勢分析も共有化しながらしっかりつくっていく必要があると思います。ありがとうございました。

山地委員長
非常に重要なご指摘だと思います。多分、事務局もいいアイデアがなかったからああいう回答になってしまったのではないかと思っております。
大体予定の時間で、次、中環審の部会長のほうの浅野先生からコメントをいただいて、あと事務局のほうから何かレスポンスできることがあったらお願いしてということで進めてまいりたいと思いますが、何かこの場でぜひご発言、ご希望があれば、本当に1分程度のご発言をお受けします。
では、どうぞ、松尾委員の代理の松本さん。

松本氏(松尾委員代理)
ありがとうございます。
二国間オフセット・クレジット制度に関して、私どもペーパーでも入れてございますけども、1点だけ、これからご議論いただきたいなと思っているのは、単に一つの事業とか一つのアイテムとかということじゃなくて、私ども物づくりをしている者としては、それがいかに社会に貢献していくか、それが使われるところ、すなわちライフサイクルでどういうふうに貢献していくかということも二国間のオフセット・クレジット制度の中でどういうふうに議論したらいいかというのは少し検討課題かなと、私どもちょっとそういうところは指摘させていただいています。ご検討いただければありがたいです。

山地委員長
ありがとうございます。
それでは、浅野先生、お願いいたします。

浅野部会長
資料にありますように、地球温暖化対策推進法が改正されて京都議定書目標達成計画に 替わる地球温暖化対策計画をつくることが決まったわけです。改正法は5月24日に公布されておりますので、当面政府が決めている方針に沿って2020年目標を含んだ新たな計画をちゃんとつくらなければいけないことが私どもの役割であることを確認しなければいけないだろうと思います。
それから、多くの方々からご意見ございましたけども、2020年の目標を達成するために、どういう対策、どういう技術があるのかといったようなことについてはこれまでにもかなり議論を積み重ねてきているわけです。ですからご意見にありましたように、ゼロベースといってもそれを全部最初からガラガラポンでやり直すというようなことではとても時間がかかってしまうわけですから、例えばこの技術についてはもっとこういう技術もあるんではないかとか、これを入れる余地があるんではないかということを、先ほどご指摘ありましたけど、2020年と2030年はまるっきり違うわけですから、そこをも含めて分析をした上で、効率的に議論を進める必要があるだろうと思います。
先ほど杉山委員から、こういう点は問題だというコメントがありましたが、こういったコメントは大歓迎でありまして、むしろここはこういうふうに考えて検討をするべきだという具体的な提案をこれからしていきますと議論が効率的に進むのではないかと思います。
また技術の開発については、そのための原資が必要ですから、地球温暖化対策税の税収などの利用ということも必要でありましょうし、多くの委員からご指摘がありましたように、ただ単に技術ということだけではだめでありまして、それをどう社会へ実装化、具体化するかというための制度の検討が当然必要だろうと思います。
二国間オフセット・クレジット制度に関しては、山地委員長からコメントがあったわけです。私も同じことを考えていまして、ちょっと今のところ、まだ言葉に対して呉越同舟みたいなとこがあるという印象をうけます。私は、進藤委員のご発言にありましたような理解が当面一番わかりやすいと考えておりましてクレジットというとどうしても今までの京都メカニズムのイメージに引きずられてしまったりする。その観点からいろんな批判が出てくるわけですけども、そこはやっぱりちょっと整理をしたほうがいいので、ぜひ事務局としては、この議論をやるときには概念が混乱しないように、もう少し丁寧に資料をつくって備えていただけないかと、このように思いました。

山地委員長
ありがとうございました。
特に具体的に何か質問ということはなかったのですが、議論を通して事務局のほうから何かこの場でご発言、ご希望ありますか。

八山地球環境連携・技術室長
二国間オフセット・クレジット制度について随分ご意見等をいただきました。この制度自身は現在制度をつくっているところでありますので、本日の意見はぜひ参考にさせていただきたいと思います。二国間オフセット・クレジット制度での削減量はどのくらいのウエートかというのは、まさに今FS等々やっておりまして、どういう国でどういうプロジェクトがあるのかというのも関係しますので、そういう点も踏まえて検討したいと思います。
二国間オフセット・クレジット制度で我々の目指しているのは、日本のすぐれた技術で世界の温暖化、さらには日本の温暖化対策に貢献していこうということでありますので、少なくともクレジットを売買する、それが目的ではなくて、そういう大きな目的のもとでどういう形がいいのかというのをこれから考えていくということであります。あくまでも我々はそのような大きな目的を目指しているということであります。
他方で、国際的な整合性とか、あと先ほどDACの話もございましたが、そういう点も加味しなければいけませんので、そういう意味では、なかなか日本の技術だけを考えての制度づくりというものは受け入れられないところもあるかもしれません。ですので、これはこれから考えるところだと思いますが、日本企業に限定するのではなく、日本のすぐれた技術がいかに活用されて行くかという視点で、例えばどういう基準でやるかとか、そういうような点を考えていくということがこれから考えていくことではないかと思います。
これから本日の意見も踏まえて検討をさらに進めたいと思います。どうもありがとうございました。

山地委員長
どうもありがとうございました。
今日は資料5の一番上のページのところの論点整理、これは事務局が勝手につくったということでございますけども、大きくやっぱり削減目標の話と技術開発と二国間オフセット・クレジット制度についてご議論いただいた。先ほどもちょっと途中で申し上げましたけど、削減目標については、当然この委員会を通して今からも議論を続けてまいります。いろんなご意見がありましたけど、2020年目標と、それからより長期の目標があるんですけど、より長期の目標に対しては、やはりパラダイム変化を伴うような大きな方向性を示す必要があるという意見が多かったように思います。
それから2020年に関しては、これはもう現実的な問題でございまして、アメリカも欧州もそれぞれ達成できそうな状況の中で、我が国も実現可能性はやっぱり留意したものが必要ではないか。それは幅として表現するかどうかと、いろいろあるかと思います。
それから、技術開発と二国間オフセット・クレジット制度については今回の中心的な二つのテーマとして提示したわけですけど、技術開発については、個々の技術だけではなくて組み合わせるもの、デマンドサイドとサプライサイドの組み合わせとか、あるいはシステム化とか、そういうものに対する重要性、社会システムという話も出てきたと思います。そういうご議論があって、非常に重要なポイントだと思います。ただ、これを次の二国間オフセット・クレジット制度のところでもつなげていくと、そういうものを、MRVとして効果をどう評価するとか、特に社会システムのものはなかなか難しいかもしれない、国際標準とかいろんな話がありましたが。そういうことが今後の課題として、論点も増えた部分もありますし、論点が深化したと思います。
二国間オフセット・クレジット制度に関しては、重要性は非常に認識されていると思う。ただ、もちろん、目標のところでいえば真水の目標ももちろん重要だけど、要するに国際連携でやる活動に対してどの程度の重視をするのか、ここはある程度今後も議論を深めていかなきゃいけない。クレジット化という言葉をめぐって大分議論があったけど、かなり誤解が解けたのではないかなと今回の議論を通して思いました。やっぱり途上国側、それから我が国の企業側の両方にインセンティブが必要なわけですね。それを具体的にどうつくるか。その中では、省エネだと相手側のベネフィットは当然あるし、一般的にいえば言えばコベネフィットですね。例えば米本委員、中国の話をされてPM2.5の話もありましたけど、それとの同時解決とかそういうものはやっぱりインセンティブになると思いますから、そういう点で、あんまりクレジットという言葉にとらわれずに実質的なもので議論を深めていっていただければというのが、今日進行役を務めた私の感想でございます。
ということで、大体本日の議事を終了したいと思っております。本日はどうもありがとうございました。
最後、事務局から連絡事項ありましたらお願いいたします。

土居低炭素社会推進室長
本日は活発なご議論をありがとうございました。
議事録につきましては、事務局で取りまとめをしました後、委員の皆様方にご確認をいただいてホームページに掲載させていただきたいと思います。
また、本日いただきました意見も踏まえまして、さらに議論を深めるための資料を準備し、次回にご提示をさせていただきたいと思います。
以上でございます。

山地委員長
以上で本日の議事を終了いたしますが、次回は7月19日金曜日の10時から12時という予定でございます。
本日はどうもありがとうございました。

午後 0時03分 閉会