中央環境審議会地球環境部会第106回2013年以降の対策・施策に関する検討小委員会第18回合同会合 議事録

日時

平成24年5月16日 9:31~12:14

場所

サンケイプラザ4階「ホール」

議事次第

1.開会

2.議題

(1)
経済モデルによる経済影響分析について
(2)
地球温暖化に関する選択肢の原案の構成等について
(3)
地球温暖化対策の選択肢原案の絞り込みについて
(4)
地球温暖化対策の選択肢原案等のとりまとめに向けて
(5)
その他

3.閉会

配布資料

資料1
経済モデル分析の対象について
資料2
地球温暖化に関する選択肢の原案の構成等について
資料3
地球温暖化対策の選択肢原案の絞り込みについて
資料4-1
2013年以降の森林吸収源対策について(補足説明資料)
資料4-2
農林水産分野における温暖化対策 農地土壌における炭素貯留について(補足説明資料)
資料5
2013年以降の対策・施策に関する報告書(素案)【平成24年5月16日時点】
資料6
今後のスケジュールについて
参考資料1
2013年以降の対策・施策に関する検討小委員会における検討方針
参考資料2
2013年以降の対策・施策に関する検討小委員会における議論を踏まえたエネルギー消費量等の見通しの仮試算(その4)
参考資料3
国立環境研究所AIMプロジェクトチームの試算結果と総合資源エネルギー調査会基本問題委員会における試算結果の比較について
参考資料4
実施する対策・施策等について
参考資料5
複数の選択肢原案を評価する視点について
参考資料6
地球温暖化対策のための税、税制全体のグリーン化推進検討会について
参考資料7
中央環境審議会フロン類等対策小委員会、産業構造審議会地球温暖化防止対策小委員会第2回合同会合の開催について
参考資料8
「経済影響分析について(試算結果の中間報告)」(総合資源エネルギー調査会第21回基本問題委員会(平成24年5月9日)資料1-1)
参考資料9
「『エネルギーミックスの選択肢の原案』の策定に向けて(改訂版)(溶け込み版)」(総合資源エネルギー調査会第22回 基本問題委員会(平成24年5月14日)資料3-3)
参考資料10
「火力発電について」(総合資源エネルギー調査会第13回 基本問題委員会(平成24年2月22日)資料7)

午前 9時31分 開会

地球温暖化対策課長
それでは、定刻でございますので、ただいまから中央環境審議会地球環境部会の第106回、それから2013年以降の対策・施策に関する検討小委の第18回、合同会合を開催いたします。
本日、地球環境部会・2013年小委員会、いずれも委員総数の過半数の委員にご出席いただいておりまして、定足数に達しておるところでございます。また、本日の審議については公開とさせていただいております。通常、小委の方では、2013年以降の対策・施策のご議論をいただき、その議論を踏まえまして、部会の方で、また議論をするという構成をとっておりますけれども、本日の議題(4)で報告書についての議論がございますが、これについては、小委の方できちっと書いていただくという部分がございますし、また、部会でもご議論いただくというお話でございますので、なかなかその時間の厳しくなってきている昨今の状況も踏まえまして、大変申し訳ないと思っておりますけれども、合同で開催させていただくことによって、そこの議論、あるいは、説明の方の手間を少し省略させていただきたいという事務局の思いで、合同会合を開催させていただきたいということで、やらせていただいております。
では、以降、議事進行については、議題(1)から(3)については、2013年以降の対策・施策小委の西岡委員長に、それから、議題(4)については、中環審地球環境部会の鈴木部会長の方にお願いいたしたいと思います。宜しくお願いいたします。

西岡委員長
おはようございます。本日もご参集、どうもありがとうございます。議事を進めていきますけど、まず、配付資料の確認をお願いします。

地球温暖化対策課長
お手元に議事次第がございますが、また、下半分の方に資料リストがございます。資料1が経済モデルの分析について。資料2が温暖化の選択肢の原案構成。資料3が選択肢原案の絞り込みについて。4-1、4-2が農水省の方からのご提供資料になっております。森林吸収源対策と、それから農地土壌における炭素貯留の説明。それから、資料5が報告書(素案)でございます。資料6が今後のスケジュールについて。以降、参考資料が続きますけれども、参考資料1から10まで、番号を振ってあるとおり、10までございます。また、テーブル席におきましては、そのほかに、資料番号はございませんけれども、第17回2013年以降の対策小委の主な議論について(24年5月9日)というふうに書いておる、縦A4の数枚の資料、それから、森嶌先生からご提出いただいている1枚紙A4、それから、農水省さんの方から追加で、カラー刷りのA4横のパワーポイントの資料が1枚だけ、追加で出ております。また、そのテーブル席だけですけれども、いつものように、ワーキンググループでの取りまとめの分厚い資料を置かせていただいております。ご確認いただきまして、もし不足がございましたら、事務局の方にお申しつけいただきますよう、宜しくお願いいたします。

西岡委員長
よろしゅうございますか。それでは、議事に入ります。本日の議題といたしましては、経済モデルによる経済影響分析、それから、選択肢の原案の構成、全体にこういう形で選択肢というものをつくって、国民に問いたいということでございますが、それが一つ。それから、幅がある原案ができておりますので、どう絞り込んでいくかといったところが、本日の議論のポイントかと思っております。
まず、資料1から3でございますけども、ご用意願います。これを事務局から取りまとめまして説明し、その後、質疑応答を行いたいと思っております。それでは、事務局、宜しくお願いします。

低炭素社会推進室長
それでは、資料1でございます。経済モデル分析の対象についてというものでございます。さらに、参考資料8につけております、こちらは総合資源エネルギー調査会(5月9日)に行われました回に提示されました、経済影響分析についての試算の中間報告というものでございまして、こちらもお手元にご準備いただければと思います。さらに、配付資料で番号はついておりませんが、第17回の5月9日におけます主な議論というものを、三つ合わせてご説明をいたします。
まず、資料1でございますが、分析の対象についてというものでございます。1ページ目でございますけれども、経済モデル分析を行い、どのような影響・効果があるのかということをご覧いただくわけでございますけれども、このモデルを分析するに当たりまして、作業をお願いしております研究者、研究機関から、作業量には限界があるということで、分析の対象とするケースの絞り込みを行ってほしいというご意見がございました。そのため、事務局の方から、部会、また、小委員会の委員に対しまして、経済モデル分析の対象とすべきケースにつきまして、4月23日付で意見照会をさせていただいたというものでございます。1ページ目にはその結果が取りまとめられておりますが、青字で書いた部分につきましては分析が不要であると。一方、緑で書いておりますところが、分析すべき部分であるというご意見でございました。さらに、あわせまして、どのような考え方で絞り込むべきかということもお聞かせいただきまして、それを取りまとめております。2ページ目以降でございますけれども、大きく分けますと三つの考え方でお示しいただいたというところでございます。
一つ目といたしましては、マル1といたしまして、総合資源エネルギー調査会におきまして、現在、エネルギーミックスの選択肢を議論されているというものでございまして、現時点でいきますと、選択肢BからE、そして、15%ケースという参考ケース、合わせまして五つのケースが議論されておるというところでございますが、それと比較可能とするということで、その割合が近いケースを分析すべきだという考え方でございます。
マル2といたしまして、国民的議論を経ての議論ということでございますけれども、その中で、大きな関心点といたしましては、原発の割合であるということから、原発の割合を権衡することによって、どのような影響が生じるのかということを比較するために、例えば対策の中位ケースにつきまして、原発の比率を変えて、比較可能になるように設定してはどうかというのがマル2の考え方でございます。
マル3といたしまして、対策・施策の強度によって、どのような影響があるのかということを比較すべきだということで、いずれかの原発ケースにつきまして、対策の強度の違いによる見方をしてはどうかというのがマル3でございまして、それを取りまとめたのが3ページ目の表でございます。
これら、マル1、マル2、マル3の考え方に該当する部分に丸の数字を打ちまして、網かけをした部分がこちらでございまして、全部で9ケースになるというものでございます。これらのケースを経済モデル分析を行う機関の方々にご覧いただいたということでございますけれども、これでもまだ作業上、非常に数が多いというお声があったということでございまして、4ページ目でございますけれども、さらに事務局の方で絞り込みの考え方をつくってみたというものでございます。
4ページ目、中ほど、二つ目の丸でございますが、いただきました考え方で、総合資源エネルギー調査会との分析の比較が可能になるという、マル1の考え方をカバーしつつ、高位、中位の比較を重視しつつ、縦、横の比較ができるようにということで、表にありますとおり、黄色で網かけをした六つのケースで設定をし、前回、5月9日の小委員会でご議論いただいたというものでございまして、現在、このケースについて、試算をお願いしているところでございます。また、表の下に注書きが書いておりますけれども、作業量の面からの制約ということで、モデル分析の対象のケースを絞り込んだという考え方を明記をさせていただいたというものでございます。
その後は、各委員からいただきました考え方をつけておりまして、若干飛びますが、14ページ目でございます。いただいた意見の中で行きますと、原発の発電比率につきまして、ご意見をいただいた部分がございます。今現在は、総合資源エネルギー調査会で参考ケースということで、15%というケースを設定をして、計算をするというものでございますが、この考え方はどのようなものなのかというご質問がございました。14ページ目には、4月26日の総合資源エネルギー調査会で示された資料をつけておりますが、稼働年数と新増設の状況によって、どれぐらいの発電電力量になるのか、また、総発電電力量は1兆キロワットアワーというふうに試算をされておりますので、それの割合がどれぐらいになるのかということを試算した表でございます。15%ケースを参照ケースと考えるという議論の中では、稼働率40年、新増設なし、または、極めて限定ということがございましたので、この表の中でいきますと、稼働年数の40年という部分と、あと新増設なしの部分でご覧いただきたいと思います。また、稼働率につきましては、直近のもの、また、計画上で延ばしていくものということで、70%、80%というものを試算したものでございまして、40年、新増設なし、稼働率70%の場合は、全体に占める割合が13%、稼働率80%の場合は15%ということで、四捨五入をした関係で、15%ケースというのが参考ケースとして設定をされたという考え方と承知してございます。
以上が資料1でございますが、続きまして、参考資料8でございます。同時並行的に試算、検討が行われています総合資源エネルギー調査会で、経済分析結果が中間報告されたというものでございます。
おめくりいただきまして、4ページ目でございますけれども、試算結果についてということでございます。(1)といたしまして、経済モデル分析を行った機関は、四つの機関ということと、米印の二つ目のところでございますが、独自の計算ということで、日本経済研究センターの試算値も加えて、また、データとしては五つの機関の部分を取りまとめたというものでございます。また、(2)といたしまして、これら試算結果の見方といたしまして、前提条件、モデルの想定により、大きく変わり得るということですので、結果の数値そのものを過大評価すべきではないであるとか、ケースの差異を見て、その結果の方向性を大まかに把握することが重要であるということが留意点として書かれてございます。
5ページ目以降が、試算結果の主な項目でございまして、5ページ目には、GDPと家計消費支出の計算結果が出てございます。計算をしましたのが、グラフの下に緑の表で記載されております電源構成の組み合わせの五つのケースというもので、例えば選択肢Bでいきますと、原発0%、再生可能エネルギーが35%、火力が50%という、こういった電源構成の場合に、どのような影響・効果があるのかという試算をやったものでございます。GDPでご覧いただきますと、グラフの左から、選択肢B、参考、選択肢C、D、Eということで、原発の比率が変わっているというグラフの構成になっております。モデルの特性に応じまして、ばらつきがあるというものではございますけど、大まかな傾向といたしましては、選択肢Bに向かって、GDPの参照ケースからの乖離が大きくなってくるという結果になっております。また、家計消費支出に関しましても、同様の傾向が見られるかと思います。
6ページ目につきましては、電力価格、そして、光熱費の計算結果というもので、グラフの構成としては同様でございますけれども、傾向としては、左の方が参照ケースからの変化率が大きいという結果になってございます。
また、7ページ目以降につきましては、各モデルの特徴ということで、それぞれモデルで計算できる特色的なものが記載されておるというものでございます。まず、7ページ目につきましては、大阪大学、伴モデルにつきまして、産業別の生産雇用への影響の試算が出ておるというものでございます。右側のグラフにつきましては、産業別の雇用ということで、特に建設業に顕著な影響が見られるという結果が出ております。
また、8ページ目につきましては、慶應義塾大学のKEOモデルでございますが、こちらにつきましては、再生可能エネルギーの導入、また、系統対策の導入ということによって、電力価格が上昇してくるということでありますが、それに加えまして、投資需要も産業ごとに詳細に試算することができるということでございまして、右側のグラフをご覧いただきますと、需要の拡大が見込める業種といたしまして、右上のところに建設業、また、左下のところには、一般機械の分野におきましては生産額が増加するという結果が出ておるというものでございます。
また、9ページ目におきましては、地球環境産業技術研究機構のモデルでございますが、こちらにつきましては、他のモデルと違いまして、一国の日本国内のモデルではなく、国際モデルという特色がございますが、そういった特色を生かしながら、日本と諸外国との関係が分析できたということでございます。
あと、10ページ目につきましては、国立環境研究所のAIMモデルというものでございます。こちらにつきましては、上の(2)の文章のところで書いてございますけれども、再エネ比率が高いケースにつきましては、相対的に電力価格が高く、経済影響も大きいというのではございますけども、再エネ投資による資本財生産が大きくなるということで、グラフの下のところでございますけれども、投資が伸びる可能性があることが示唆されたというものでございます。
11ページ目には、日本経済研究センターの結果でございますけれども、こちらにつきましては(3)の部分でございますが、CO2制約のない場合につきましては、コストが安価な石炭火力で代替をすることができるということで、経済的にはほとんど影響がないというケースで、計算結果といたしましては、炭素制約があるかないかで、大きな違いが出たというものでございます。
そのほか、14ページ目には、今回の試算を行った際に、各モデルで共通的に使用してきたマクロ想定を整理しておりまして、上から行きますと、GDPの値、また、下から二つ目でございますが、燃料費の見通しにつきましても、共通のものを使っての試算というものでございます。
また、17ページ目でございますけれども、今回の試算に当たりましては、再生可能エネルギー導入などの観点から、系統対策費用が必要であるということで、選択肢ごとに、こちらの表に記載されておるような電力系統の増強、出力変動対策の強化といった費用についても考慮をしたというものでございまして、具体的な想定といたしましては、18ページ目でございますが、1.の(2)にございますように、対策のコストの試算といたしましては、日本全体での広域運用を前提とした試算であるということで、今回は試算が示されてございます。以上が、参考資料8というものでございます。
さらに、第17回の小委員会での主な議論というペーパーの5ページ目でございますけれども、前回は資料4ということで、このモデル分析についての資料をお示ししておりますけれども、その中で、主な議論、ご意見といたしましては、資料4の5ページ目の二つ目の丸で、10%の原発設定が多かったけども、なぜ15%なのかということ。それは、先ほどお話ししたとおりでございます。また、四つ目のところで、中身がブラックボックスにならないように、きちんと書いていく必要があるということ。また、下から三つ目の丸でございますけれども、エネルギーセキュリティを含めた、3Eの観点での十分な考慮が必要であるというご指摘。また、おめくりいただきまして、6ページ目の上から一つ目の丸でございますけれども、中環審の方向性としては、省エネを世界最高水準で打ち出すということなので、低位ケースの分析をする必要はあるのかといったご意見がございました。資料1関係は以上でございます。
続きまして、資料2でございます。こちらに関しましては、温暖化に関する選択肢の原案の構成というものでございます。あわせまして、参考資料2と4をご説明をしたいと思います。
まず、資料2でございますが、1ページ目、地球温暖化対策に関する複数の選択肢原案についてというものでございます。こちらにつきましては、エネルギー・環境会議から提示が求められております温暖化対策に関する複数の選択肢の原案の考え方を、いま一度、整理をしたものでございます。
点線枠囲みには、エネルギー・環境会議から昨年末に示された基本方針の抜粋を書いてございます。この中では地球温暖化対策の選択肢の提示に向けた基本方針というものが明示されておりまして、こちらは三つの部分から構成されておるというふうに理解をしております。文章の先から行きますと、マル2と振っておりますけれども、原発への依存度低減のシナリオを具体化する中での検討だということ。その具体的な中身といたしましては、マル1と振っておりますけれども、省エネ、再生可能エネルギー、化石燃料のクリーン化、そして、分散型エネルギーシステムへの転換ということが温暖化対策として有効であるということで、エネルギーミックスの選択肢と表裏一体となる形で、温暖化対策に関する複数の選択肢を提示するということが求められているものでございます。また、その選択肢の提示に当たって、あわせて提示するものといたしまして、マル3といたしまして、国内対策の中期目標、必要な対策・施策、そして、国内生活や経済への効果・影響などもあわせて提示するようにということが方針の中で書かれております。
それを、いま一度、整理をし直したのが2ページ目でございますけれども、中ほど、黄色で囲っておる部分につきましては、原発への依存度低減のシナリオということで、こちらは同時並行的に議論がなされております、総合エネルギー調査会で示されております0から35%の五つの選択肢でございます。また、その右でございますけれども、マル3といたしまして、複数の選択肢の原案の提示に当たって、あわせて提示をする内容ということで、三つの中身になっておるというものでございます。一番左でございますけれども、マル1ということでございますが、地球温暖化対策に関する複数の選択肢ということでございまして、こういった面でいきますと、どの程度、省エネ、再エネ、化石燃料のクリーン化、分散型エネルギーシステムへの転換を進めるのかという、三つのケースを選択肢として議論いただいておるというもので、高位、中位、低位ということで、施策の強度ごとに振り分けての議論ということで、具体的な姿としましては、省エネ、再エネなどがそちらの数字になってくるというものでございまして、こちらの左の部分が選択肢本体であるということでございます。
さらに、おめくりいただきまして、3ページ目でございますけれども、そのほか、中期目標に関して、中環審からエネルギー・環境会議に報告するというものでございますけれども、ピンクの部分につきましては、2ページ目でご説明した内容でございます。それに加えまして、吸収源対策、そして、国際貢献の部分というものをあわせてご提示をするというものでございます。
以上が、選択肢の構成というものでございますけども、4ページ目からが、これまで行われてきている議論の内容ということで、整理をさせていただいております。まず、1.といたしまして、各ワーキンググループにおきまして、対策・施策の選択肢の素案を高・中・低で検討してきたというもので、四つの構成要素、省エネ、再エネ、化石燃料のクリーン化、分散型エネルギーへの転換というものにつきまして、省エネにつきましては、各分野ごとのワーキンググループにおきまして議論がなされてきたというものでありますし、残りの部分につきましては、エネルギー転換部門、横断的な地域づくりなどで議論をされてきたというものでございます。そして、その結果としまして、高位、中位、低位ということで、ワーキンググループの取りまとめを行い、小委員会、部会の方に報告をさせていただいたというものでございます。また、各ワーキンググループの検討結果をもとに、どれぐらいの排出量になるのかという統合を行ったというのが国立環境研究所AIMプロジェクトチームの技術モデルを使った試算というものでございます。後ほど、詳細にご覧いただきますけども、なお書きで注が書いてございますが、試算の際には、技術モデルで定量化できたものとできなかったものがありますので、そのことは明示するとともに、定量化できない部分についても、その重要性について、明記すべきだというふうにご意見もいただいております。
さらに、5ページ目でございます。こちらにつきましては、3月28日の小委員会におきましてご提示したものでございますけども、CO2排出削減に関する議論の内容ということでございまして、本部会、小委員会において、どのような議論が行われてきたのかということを改めて整理したものでございます。枠囲い下の丸のところで書いておりますけども、CO2排出削減を具体的・網羅的に議論をするために、要素的に分解をし、エネルギーの消費、サービス、満足度という要素に分解して、議論を深めていただいたというところでございまして、式が書いておりますけども、CO2の排出量をエネルギー消費、サービス、満足度ということで、四つの要素に分解をし、それぞれにつきまして、どのような手法があるのかということを議論をいただいたということでございます。さらに、それらを統合するということで、AIM技術モデルを使いまして、CO2の排出量、また、右側にございますが、追加投資額、投資に伴うエネルギー費用の削減額、削減費用と削減量との関係などについて、資料をご提示をして、議論をいただいてきたというものでございます。
また、先ほど申し上げましたが、6ページ目でございますけれども、このAIM技術モデルで織り込んだもの、また、モデルの制約上、織り込めなかったものというのを整理をしておりますが、主な対策のところで、こちらは例としまして、オフィス・店舗での対策を例示させていただいておりますが、主な対策の頭のところでチェックをした部分というのは、モデル上、定量化できている部分でございますが、そのほかにも、モデル上、定量的に組み込めなかった部分に関しましても、重要な対策がございますので、こちらにつきましては、後ほど、議題(4)のところで議論いただきます報告書の中で、その重要性について、きちんと記述していく必要があるというものだと理解しております。こういった議論を続けていただいた経緯につきまして、7ページ目に簡単に記載をしております。
8ページ目以降が、従前、小委員会でご議論、ご質問をいただいている事項について、これまでの資料から抜粋をしたものでございます。
まず、9ページ目でございますけれども、こちらにつきましては、分野ごと、対策ごとに費用対効果がどれぐらいになるのかという資料でございまして、こちらにつきましては、5月9日小委員会の資料から抜粋をしてございます。表といたしましては、対策ごとに、あと、どのような分野なのかということを一番左に書いてございます。また、どのような投資回収年数を見込んでの計算なのかということを、短期的なもの、中期的なものを、それぞれの分野ごとの特性を踏まえまして設定をしたものでございます。また、中ほどから右側にかけまして、低位、中位、高位という対策におきまして、その削減費用をトン当たりの費用として提示をし、さらに、低位の短期の価格ごとに相当を掛けたものというふうになっておりまして、表の上の方が、削減費用が高いものが並んでいるというふうにご覧いただければと思っております。その解説が10ページ目に記載されてございます。
まず、文章のところでございますが、分野ごと・対策ごとの費用対効果ということでございますけれども、削減費用が比較的高い技術、ここでは、例えば1トン当たりのCO2を削減するのに3万円以上を要する技術ということで、表から見ていきますと、すまいの対策技術、外皮性能から始まりまして、高効率給湯器など、また、乗用車単体対策、オフィス・店舗などの対策のうち、高効率照明というものは1トン当たりの3万円以上というふうに、単純には計算されるというものでございます。括弧書きにおきまして、リース、利子補給、税制優遇などの施策を導入することによって、企業、家庭など、投資を行う需要家が長い投資回収年数を考慮して選択するという場合にあっても、CO2の削減費用3万円以上というものにつきましては、外皮性能の向上、高効率給湯器の家庭分野というのは、単純な価格だけで比較すると、それを超えてしまうというものになってくるわけでございます。
その次の部分でございますが、さはさりながら、費用対効果の数字だけでは表せない効果というものがあるということで、各ワーキンググループでも、その分野につきまして、深く議論いただいたというものでございまして、特に、すまい・オフィス、また、自動車分野の対策につきましては、省エネ、CO2削減だけではなく、住環境、職場の環境の質の向上といった快適性の向上、暮らしの質の向上といった面が非常に多いというご指摘があり、これらの資料をこれまで収集し、議論をいただいてきたというものでございます。
具体的な内容といたしましては、おめくりいただいて、11ページ目に、こちらでは例といたしまして、「すまい」の対策をとることによって、どのような生活の質が向上するのかを、ベネフィットを受けるものを生活者から始まりまして、それ供給する者、地域、そして、国~世界全体ということで、整理をしたものでございまして、生活の質でいきますと、室内環境の改善、また、ヒートショックの低減などもありますし、また、メンテナンス性の向上といった形で、交換頻度が下がるというようなことから、さらに、国、世界全体でいきますと、化石燃料調達に伴う資金流出の抑制など、こういった幅広い効果もあるということで、先ほどご覧いただきました表のように、価格だけでの比較というのはできないのではないかという議論がこれまであったかと思います。
あと、10ページ目にお戻りいただきまして、そのほかといたしまして、三つ目の丸でございますけれども、グリーン成長との関係ということで、これらの分野につきましては、日本のみならず、途上国も含めた他国では生活必需品でありまして、これらのプロダクトのイノベーションに成功すれば、世界の低炭素社会の構築に貢献するということに加えまして、我が国のグリーン成長の源泉にもなり得るというもので、議論いただいてきたというふうに思っております。
あと、なお書きでございますけれども、先日、まとめられました国家戦略会議の新成長戦略全体フォローアップ結果という中で、エコ住宅等の普及促進というものが具体的に取り上げられ、「住宅エコポイントにつきましては、経済波及効果、また、CO2削減効果」があるというふうに整理をされ、着実な成果が上がっているという代表例として位置づけられているということで、これらのことを総合的に踏まえて、どう位置づけていくのかということのご議論かと思っております。
また、12ページ目でございますけれども、分野横断的な議論が必要であるというご意見でございますが、こちらは3月7日の小委員会の資料でございますけれども、自動車ワーキンググループ、住宅・建築物ワーキンググループにつきましては、主に単体の対策の深掘りをご議論いただきましたけれども、地域づくりワーキンググループとの連携、合同開催などにおきまして、分野横断的な対策についても議論を始めているということであります。特に赤字で書いておりますが、自動車交通量の削減につながらないのかというご意見も出ておりまして、それらにつきましては、13ページ目でございますけれども、地域づくりワーキンググループにおきましては、交通流への効果というのを議論してきたというもので、2.にありますが、交通需要マネジメント、モビリティマネジメントなどの手法を使いまして、効果が見込めるのではないかということでありますけれども、文章後半にありますが、こうした対策の効果の発現には時間を要するということで、今から取り組んでいく必要もあり、ただ、その効果は後ほどになるというものであります。試算結果といたしましては、14ページ目でございますけれども、こちらは土地利用・交通モデル(全国版)を使ってのCO2削減の推計というものでございますけれども、都市の構造などの変化によって、どれぐらい削減が見込めるのかということでありますが、こちらは、主に2050年での削減効果という試算でございまして、現段階でいきますと、2020年、30年といった中期的なところというのは、まだ課題が残っているということかと思っております。
また、15ページ目でございますが、分野横断的な対策といたしまして、需要側、供給側との対策のつながりが非常に重要だというご意見もございまして、それに関しましては、3月7日の資料でございますけれども、供給側の対策、需要側の対策、また、需給のマッチングという対策が非常に重要で、それらを分類し、どのような対策があるのかということをご議論いただいたというものでございまして、16ページ目には、それらの具体例といたしまして、北九州市の例も具体的に議論がなされたというものでございます。あと、17ページ目でございますけれども、特に家庭分野の既築住宅に関する対策はどのようなものがあるのかというご意見もございまして、こちらは3月7日の小委員会の資料でございますが、こういった対策が低位から高位にわたって考えられるという議論でございます。最終的には、これらも含めまして、後ほど、資料5のところで出てまいりますが、報告書の中でどのような記述をしていくのかということをご覧いただきながら、議論を深めていただくというものかと思っております。
1点だけ、参考資料2の一部だけ、ご紹介させていただければと思いますが、参考資料2の87ページ目以降のところに、特に太陽熱温水器についての導入の見込みについては、どのようなものがあるのかというご質問もございましたので、その対策と主な施策について、記載されているというものをご紹介しております。資料2につきましては、以上でございます。

西岡委員長
それでは、藤野さんの方から、参考資料2について、簡単に。

藤野委員
今日の朝、インドネシアから帰ってきたもので、台本では土居室長がずっとご説明だったんですけども、無事に帰れたので、私の方から説明させていただきます。
基本的には、これ、ずっと小委の方でご説明させていただいている資料の常に更新しているものなんですけれども、今日から部会と合同ということで、部会の先生の中では、あまりお聞きになっていないところもあるかもしれませんが、ちょっと時間の都合上、申し訳ないですけれども、基本的に前回の小委から、どういうふうな更新をしたかというところについて、ご説明したいと思います。
ページの、まず20ページ目を見ていただけますでしょうか。こちらの方は変えていませんけれども、技術モデルに関しましては、前回、ご説明しましたように、マクロフレーム2通り、原子力発電の2030年の比率5通り、それから、政策強度3通り、合わせて30通りのケースを、今、計算しております。
スライド21、22ですけれども、マクロフレームについて、総合エネ調との想定が一部違うように見えるというところで、平仄をそろえて、こちらではもとからは合わせておりましたけども、表示が一部違っておりましたので、そろえております。
スライド、ちょっと飛びまして、38、39、40を見ていただけますでしょうか。これは前回の小委員会のときに、その前に井上委員の方から、こういった表が欲しいということでご指摘を受けまして、つくったもので、再度、確認しながらと、合計値等を出して、こちらではもう一度確認しましたので、また数値についてご確認いただいて、何かありましたらご指摘いただけたらと思います。
そしてまた、スライド56、57まで飛んでいただきまして、既に資料2のところにも抜粋されておりますけれども、削減費用と削減量との関係につきまして、左側にコラムをつけて(列を足して)、投資回収年数を具体的に年数で、それぞれの項目を示させていただいております。これはまたご確認ください。
ちょっとまた飛びまして、スライド66です。こちらの方は、火力発電の高効率化技術とCO2排出量評価という、エネルギー供給ワーキンググループで既に議論されている資料を追加しました。足元から化石燃料起源CO2の絶対量が減るという理由について、こんな資料が一番わかりやすいかなということで、追加させていただいています。同じページで、スライド67、68の化石燃料のクリーン化・発電用以外というところで、石油、石炭、LNGの内訳のグラフを追加させていただいております。
飛びまして、スライド83ですけれども、こちらの方は、QOLの向上というところで、こちらも、以前、部会にご報告したときにいろいろご指摘受けましたが、例えばスライド83の住宅の不動産価値向上、右側の方ですけれども、こちらの方、今まで、真ん中のその分譲価格というのが5.9%上がる例だけを示していましたけれども、0.4%というケースもありますので、幅を含めて示させていただいています。また、上の疾病率、有病率については、前回の小委でも、これは住宅・建築物ワーキンググループで議論されていますけれども、村上座長の方からもコメントがありましたけれども、今、精査中と書いていますが、ここをいち早く、こちらでも修正したいと思いっております。
それから、スライド98の方ですけれども、こちらは建築物の不動産価値向上のところで、こちらも幅があると思われますので、一部、右側の、今まで、四角の中に建築物の不動産価値に関する調査によると、環境性能の高い建築物は不動産価値が高まることが期待されるというようなところをかなり強めて書いていたのですが、事例も存在というか、幅がある議論であるということを含めて、書き直しております。ただし、こちらも、基本的には住宅・建築物ワーキンググループの資料を取りまとめさせていただいているものです。
以上で、前回から具体的に何かケースを加えて計算したわけではありませんが、資料の方は、常にご指摘いただいているところを可能な限り更新しておりますので、また、今日、全体は説明できませんので、ほかのところでもご質問ありましたら、その後も宜しくお願いします。以上です。

環境経済課長
環境省の環境経済課の正田と申します。参考資料6に基づきまして、2点、関連事項としてご報告を申し上げたいと思ってございます。参考資料6の方をご覧いただければと思います。
税の関係でございまして、資料をめくっていただきまして、まず、1点目が「地球温暖化対策のための税」についてでございます。これは平成24年度の税制改正法の中で位置づけられまして、3月末に国会の方でご承認いただいたものでございます。ポイントは、この上の四角に書いてございますが、地球温暖化対策のための税といたしまして、現行の石油石炭税にCO2排出量に応じた税率、CO21トン当たり289円でございますが、これを上乗せをするというものでございます。税率のポンチ絵にございますように、石油石炭税、白い箱の部分が現行の税率でございますが、これに上のグリーンの部分でございます。これは上乗せをするという特例でございます。
また、2点目でございまして、24年度、今年の10月から施行となってございます。また、段階施行でございまして、3年半かけてと、急激な変化を緩和するというものでございます。段階施行につきましては、下の表がございます。例えば、原油・石油製品につきましては、1キロリットル当たり、現行税率が2,040円でございます。これが28年4月から、表の中でも括弧書きでございます2,800円ということで、760円プラスになるわけでございますが、ここにございますように、3年半かけて段階的に引き上げていくということでございます。また、その税収の規模につきましては、ここに書いてございますように、本年度、初年度でございますが、約390億円、平年度で2600億円という値になってございます。これにつきまして、再生可能エネルギーでございますとか、省エネ対策の強化に活用してまいりたいと。こういった面でも、さらに温暖化対策に向けての効果を上げていきたいと考えるものでございます。
また、ご報告事項の2点目でございますが、次のページに税制全体のグリーン化推進検討会とございます。これは、先月末、4月27日でございますが、第4次環境基本計画が閣議決定をされました。この中で、税制につきまして、引き続き環境政策を進めて、持続可能な社会を実現していくための有効な施策ツールであるという観点から、税制につきまして、諸外国の状況等を総合的・体系的に調査・分析をすることによって、グリーン化を推進すると位置づけられたところでございます。これを受けまして、検討事項にございますように、グリーン化の意義でございますとか、中長期的な税制のあり方と、こういったものを幅広くご議論いただきたいというものでございまして、丁度、昨日、第1回を開催させていただいたところでございます。メンバーにつきましては、最後のページでございますが、本日、ご出席の大塚委員にもご出席いただいておりまして、今、申し上げました環境行政の中で、どういうふうに税というものをツールとして活用できるかというものを幅広く、また、中長期的なご議論を、今、お願いしているところでございます。参考資料6については、以上でございます。

地球温暖化対策課長
続けて、参考資料7をご覧ください。経緯の一つ目の丸にございますように、フロンについて、いろいろと議論をしなければならない状況にあるということでございまして、昨年、同じような会合を持ちまして、これまでのその中間取りまとめ、中間整理というのを行っております。第2回は、そうしたフロンの検討を進めていくということで、第2回の会合を開かせていただきたいということで、ご紹介しておるのですけれども、その際には、本部会や小委員会で行われている選択肢の議論も踏まえて行っていきたいというふうに考えております。具体的には、その2番にございますように、中環審のフロン類対策小委員会の方と、産構審の方の地球温暖化防止対策小委員会の合同会議ということで、キックオフ的に、またさせていただきたいというご紹介でございます。以上でございます。

西岡委員長
資料3について。

低炭素社会推進室長
資料3でございます。こちらにつきましては、選択肢原案の絞り込みについてというものでございます。
1ページ目に、その絞り方に関する委員の意見照会をさせていただいた結果でございます。今回につきましては、当初、エネルギー・環境会議におきまして、春頃を目途に選択肢の提示を行っていくというスケジュールが示されておりますが、若干作業的には、関係審議会が全体的に遅くなっているということかと思います。また、同時並行的に議論が行われております総合資源エネルギー調査会におきまして、大臣の方から、5月中での一度の整理というお話も出ておりまして、中環審におきまして議論を進めるということと同時並行的に、絞り込みの議論も行っていただきたいという趣旨で、今後、2020年の排出量、また、経済影響、施策のあり方に関する議論を行っていただくということを進めていただくと同時並行的に、選択肢の原案の作成のために、絞り込みの議論もお願いしたいという趣旨で、今回、第一弾という形で、現段階のお考えを伺ったというものでございます。
聞き方といたしましては、部会、小委員会の委員の方々に対しまして、最も適切なケースであると考えられるものと、国民に問う選択肢として残しておくべきものというものを聞いたというものでございますが、ちょっと事務局からのお尋ねの仕方といたしまして、複数の選択肢のセットの中で残すべきものは何でしょうかというふうに聞くべきだったかと反省をしております。集計をした結果が、2ページ目でまず書いてございます。ご覧のとおりでございますが、注書きのところに米印で打っておりますけれども、「議論のためには経済分析の結果などが必要で、それを待ってから」などの理由で、現時点では「回答できない」「回答を保留する」といったご意見も5件あったというものでございます。3ページ目以降が、具体的なご意見と、その理由というものが書いてございます。
若干飛びますが、9ページ目でございます。国民に対して選択肢として提示すべき複数のセットについて、ご紹介させていただいた内容の結果の取りまとめでございます。こちらにつきましても、注書きにございますけれども、ケースを明示しないというご意見であるとか、今後の変更の可能性があるという留保つきのご意見もございました。また、上記以外のケースといたしまして、原発の割合を10%とした上で、施策強度については、高、また、中というご意見も、それぞれあったというものでございます。資料3は以上でございます。

西岡委員長
それでは、今の資料1から3につきまして、この説明についての皆さんのご意見、ご質問をいただきたいと思っております。今、説明がございましたとおり、資料2の2ページでございますけれども、これが事務局が考えている、複数の選択肢の全体の形だとご理解していただきたい。ここにございますように、まず、マル1の、温暖化対策に関する複数の選択肢ということで、どの程度、省エネ、再生可能エネルギー等々を入れていくか、転換を進めるか、ということを主軸としている。選択肢としては今の問題に対して、軸となる考え方をきちんと含んでいるかということが、一番の重要なことかと思いますけれども、それについては、こういう形で示している。そして、その選択肢の一つ一つの段階として、対策・施策の高位から低位というものを選んでいる。選択肢に加え判断の材料も示している。こういう選択肢があるけれども、その一体、それぞれの社会経済影響はどうなのかというところが、この2ページの一番右側にある、様々な指標で計算されている。既にそういうことをどうやって計算してきたかという説明はされており、これも整っている。ただし、まだ経済分析が足りないところがある。
さらに、国民への示す選択肢として重要なのは、これは内閣府の方でも考えられることではありますけど、わかりやすさ、きちんとしたものが示されていて、あと、それに組み合わせて、いろいろな軸があるかと思いますけども、それがうまく整理された形になっているかとか、国民に非常にわかりやすい形で提示されているかということが、いい選択肢として重要なのではないかと私は思っております。そういうことで、この2ページが、選択肢として提示する原案です。今、説明がございましたのは、それがどういう位置づけであるか、特に本小委員会のマンデートから言いまして、1ページにございます、エネルギー・環境会議における基本方針というものをきちんと踏まえているだろうかという説明、それから、中身に対しまして、こういう作業をしてきて、こういう考え方で、この提示内容を詰めてきましたという話がありました。これから、皆さんのご意見をお伺いしますが、まだこの原案提示の段階でございまして、多分次回のこの部会、あるいは、まだもう一度小委員会が開かれますけれども、その段階でもブラッシュアップする必要があるかと考えております。本日の議論の仕方ということでございますけども、私どもにいただいている時間が60分ぐらいしかございません。ずっと眺めてみると、実に三十五、六人の方がいらっしゃるということになりまして、皆さんが発言なされると、これから札を立ててみないとわかりませんけれども、それぞれの持ち時間というのが2分弱ということになりまねないので、後ほど書面でご意見を事務局の方にいただければ幸いです。今回は短い時間で、おっしゃりたいことの要点を述べていただければありがたい。まず小委員会の委員の方からお伺いして、それから部会の委員の方のお話をお伺いします。それでは、札を立てていただきまして、私が申し上げます順番でご意見をいただければと思っております。

進藤委員
今は、まずは、小委員会の人だけ立てるのですか。

西岡委員長
いや、全部の方、立ててください。

進藤委員
一部、二部でやるような感じであったので。今日は合同会合でしたよね。

西岡委員長
今日は合同会合でございますが、一番最初に、まず、この選択肢のつくり方、これは私ども、小委員会の範囲でございますので、そちらから始めさせていただきます。

大塚委員
簡単に2点だけ、その選択肢について、どういうふうに考えるべきだと、私自身が考えているかということだけ申し上げさせていただきたいと思います。
第1に、考えるべき観点としては、2050年に80%削減ということについては、環境基本計画でも目標にしたところですので、それが達成できるということが必要だと思っておりますが、資料2の2ページとの関係でございますけれども、2050年に80%削減をしようと思うと、省エネは4割、再生可能エネルギーは50%程度が、少なくとも必要になると思いますけども、その中間地点である2030年については、その半分ずつだというふうに、仮に非常に単純に考えた場合、少なくとも対策・施策の中位は必要だというふうに思われるところでございます。ですので、対策の中位、高位でも、もちろんできればいいのですけども、とりあえず中位を考えて、原発のシナリオについては、私自身は蓋然性の高い15%というふうに考えておりますけども、その辺が一つの方向ではないかというふうに思っております。
それから、もう1点でございますけども、もう一つ、絞り込みをする際に、重要な観点となってくると私自身が考えておりますのは、グリーン成長につながるかどうかでございますけれども、同じ資料2の10ページに、先ほどご説明いただいたように、費用効果性とか、グリーン成長につながるかということをお書きいただいていて、大変ありがたいと思いますけれども、例えば、これは住宅の話にほとんど限られていると思いますが、こういうことをほかのエネルギー供給とかの分野についてもやっていただけると、ありがたいなというふうに思っているところでございます。住宅については、私はワーキンググループに入っているわけでもないので、あまり申し上げられませんが、ただ、例えばこの上から7行目ぐらいに書いてあるようなものについても、大々的にやっていくのかどうかという辺りは、少し検討してもいいのかなということは、一方で考えているところでございます。以上でございます。

西岡委員長
荻本委員、お願いします。

荻本委員
資料3の9ページの表を眺めて、今までの経緯をいろいろ思い出すのですが、どういうコンテクストで示すかということが重要です。例えば右上のマル5のところに25%と書いてあって、それから、左下におりて26%、左へ行って28%、左下の隅が25%とあります。ですから、ある年にこれだけ削減するということには、原子力に振られて、こういう可能性がありますということを語るのであれば、今のような削減率が同じところを中心に議論していくというのは、一つのやり方だと思います。ただ、その原子力がなくなっても、25%であったり、19%であったりするということをどのくらい言うのかということとの組み合わせも出てくると思います。ですから、私自身は、やっぱりこの表を、今、皆で見て、どういうコンテクストで示したり、説明しようとするのかというところが、一つ一つの何を選ぶかよりも、わかりやすさという意味では重要であると思います。
あと、資料2の9ページにある、費用対効果のそのブレークについてです。この費用は、私自身も、コスト等検証委員会で、大分最初に議論させていただいたんですが、バウンダリーが重要だと。つまり、誰にとっての費用なのか。つまり、家庭で見た費用なのか、政府も含めた費用なのか、どこなのかというところが、はっきりしないところがあります。従って、結果はこれかもしれませんが、そこを明らかにしていただいて、もし必要であれば、ほかの情報も足していただいた方がいいと思います。以上です。

大聖委員
資料2の13ページの方の「自動車交通量の削減」についてということで、土地利用と交通政策の強化による対策が提案されているわけですけれども、例えば新規の公共交通機関の整備ということになりますと、社会資本の投入ということが必要になります。今、荻本委員からご指摘ありましたけれども、要するに、国がどれぐらい、あるいは地方自治体がどれぐらい負担するのか、移動に関わる便益を受け取る個人がどれだけ負担するのかというのは、ちょっと明確ではないなという気がしております。
それから、中心部に集めるという土地の高度利用化ということですけれども、その一方で、やはり過疎地域というのはどうしても残りますし、農業、林業,漁業とか、そういった地域での移動というのも確保する必要があると思います。これはもうこれまで議論されてきたことです。
それから、いろいろなケーススタディがあって、こういう土地利用を図ればこうなるというのですけれども、全国展開したときにどうなるのかというのは、これは予算も含めてもの凄く大きな問題ではないかなと。時間もかかるということが書いてありますけども、これは強調すべきポイントだというふうに思います。
それから、もう一つは、今、国土交通省で交通政策に係る基本的な問題を議論しておりまして、今後個人の移動に関して、どういうふうに保障していくかという問題があります。いろいろな移動の形態があるわけで、高齢化とか、過疎化とか、そういったような問題も含めて、そういう議論もやっておりますので、それに関しても、是非、関心を払っていただきたいと思います。いずれにしても、こういった問題、全部合計しますと、この土地利用とか交通政策によって自動車の交通量を抑えていくというのは、かなり大きな幅があるのではないかなと思います。この政策の強度によって、なかなかマクロにはとらえられ切れない面があると予想されます。それから、試算のところで、回収年数を修正していただきまして、ありがとうございました。以上です。

冨田委員
選択肢を国民の皆さんにわかりやすく説明をする必要があると思いますが、このままで本当に大丈夫かなと懸念をしております。今日、初めて事務局から選択肢として、対策・施策の強度、高位、中位、低位という三つのケースを選択肢にしてはどうかということをお聞きした気がします。一方で、資料3、このアンケートをとられたことの是非については、また意見もあるわけですが、このアンケートは、原子力の比率と、それから施策の強度、このマトリックスで選択肢にされています。事務局はどちらを狙っているのかというところが非常にわかりにくいと。なおかつ、今まではこういう言い方をされてこなかったということもあります。例えば考え方として、CO2の削減率を選択肢して、それを達成するためにどういう施策が考えられるかという、以前の中長期ロードマップでやったような、そういうやり方もあるわけで、一体、今回はどういうふうにやるのかなというのをいろいろ考えてきたわけですが、今日、初めて施策の強度を選択肢にすると説明されたと理解しています。もし、そうだとすると、これまでも何度か申し上げてきておりますけれども、それぞれの分野において、この施策の強度が、必ずしも一致していないのではないでしょうか。バウンダリー等の問題はあるかもしれませんけれども、この資料2の9ページの削減費用のデータ、これがつい先日、こういう考え方、こういうデータだということが出てきたわけですけれども、このデータそのものについても、精査すべきところが多々あると思いますが、これを見ても、この分野の低位の削減対策と、それからほかの分野の高位の削減というのは、必ずしもマッチしていないのではないかと。ここで低位のことをやるのだったら、ほかは高位は当然やられてもいいとか、いろいろ議論がこれからできるわけで、もし、今、事務局の考えていらっしゃるのが、今の高位ケース、中位ケース、低位ケース、それぞれの分野でのそれぞれのケースが選択肢だとするならば、私は反対をいたします。もっと精査が必要だということです。例えば、この経済モデルを使って分析をされると、例えば25%の削減をするには、対策費用として、トン当たり何万円ぐらいかかりそうですというのが出た場合に、それをそれぞれの分野の対策に当てはめてみると、こういう対策までできるではないかという立ち返りが必要ではないかと思います。そういう議論をすべきと思います。
それから、もう一つはお願いですが、月曜日の基本問題委員会の方でコジェネについての精査がなされて、自家発を除いて、コジェネ15%ぐらいできるということが議論されたと聞いております。経済モデルの分析の中において反映していただきたいと思います。以上です。

藤井委員
二つあります。まず、この選択肢ですが、参考を入れて五つあるわけです。原発についてですね。このうち35%というものが、よくよく考えると、非常に非現実的ではないかなと思っております。現実、我が国、54基あったうち、4基が既に物理的にも、法的にも廃炉になっているわけですが、それ以外にも、福島の第二も稼働できない状況、あるいは、それ以外、浜岡も、物理的な理由で稼働できない。耐震性への懸念等で。あるいは、敦賀、志賀等についても、地震対策等の検証等が必要となっています。こういった現実をどう考慮しているのか。地元の反対があるかどうかということではありません。発電力が可能なところがどれぐらいあるのか。それから、40年廃炉ということを前提にしますと、50基のうちにも、既にその基準に達しているところがあるわけです。これが現状の我が国の原発の発電量の状況です。今後、新増設を、やるかどうかということは一つの論点でしょうけれども、現状、その35%発電可能なのかということをまず知りたいと国民は思うと思うのです。したがいまして、現在、物理的に動かすことができない、あるいは、動かすことについての条件がついているというものを除いて、原発によってどれぐらいの発電可能量があるのかということを、まず事務局に示していただきたいということが1点です。そうでないと、この選択肢は、我々が選ぶわけですから、絵空事ではないかという批判が生ずる可能性があると思います。
それから、先ほどから出ております、高位、中位、低位の三つの温暖化対策の視点です。これは私も何度も言っておりますけれども、次のような仕分けであると思います。高位については、導入可能な最大限の対策を見込む。しかし、その中身において、たとえば企業の自己発電については、低位も、中位も、高位も、すべて同じ15%になっている。低位と同じレベルというのは高位ではないですよね。高位というのは、経済合理性を度外視しても徹底的にやってくれと、いうものですから。つまり、一定以上の排出量を出している企業については、法規制でもしてやらなければいけないというような、非合理的ではあったとしても、そういう措置が高位ケースになる。そうすることによって、国際的な整合性をとっていく、あるいは、中期目標の達成を是が非でもしなければいけないというような場合に対応するということです。あるいは、例えば再エネ比率も、中位ケースが31%、高位ケースが34%となっている。わずか3%しか上積みしない、できないのですかねという疑問が恐らく出てくると思うんです。つまり、高位というのは徹底的にやるということですから。最大限、我が国の技術力、経済力を使って目標達成を行うということです。しかし、その結果については、費用効果を無視した形にでもなりますよと。それでもいいんですかねということを国民に問う水準だと思うのです。したがいまして、案では一応、高位、中位、低位と書いていますけれども、その中身については、実は非常に本来の趣旨とは違う目標になっているというところがある。そうした点は、改めて検討し直していただきたいというふうに思います。以上です。

藤野委員
三つあります。日曜日から今日の朝まで、インドネシアに出張に行っていて、ちょっとコメントをするのをうっかりしていまして、15ケースで議論していただいているのですけれども、実はマクロフレームについては、成長ケースと慎重ケースの二つも計算がありまして、2掛ける15の、本来、30通りを計算しているんですけれども、ここはどういうふうに扱えばいいのかというのが一つ目です。
二つ目は、そのインドネシアでの会合は、インドネシア財務省とJICAとで、グリーン・グロース・ディベロップメントについて議論するというもので、かなり財務省の方も出られて、私は、まだ残念ながら、日本の財務省の方とそういう話をしたことがないので、どういうお考えを持っているのかは知らない、わからないですけれども、彼らにとってみると、やはり日本の技術力は非常に魅力的で、インドネシアという2億人を超すような、さらに経済発展するような国に対して、我が国がどういうふうな貢献ができるのか。そういった技術をシェアしたりとか、バリューをシェアしたりとか、そういったものに我々がつくっている選択肢というのがどういうふうにつながっていくのかというところについて、恥をさらすようですけれども、なかなか我々のシミュレーションだけでは十分示せていないところを、是非、委員の皆様の中で、それをさらに汲み取って、読み取っていただくようなことができないかなというのが、2点目です。
3点目は、それとはちょっと対極に行くかもしれませんが、やっぱり地域のエネルギーなり、その環境のセキュリティを守るものに、それぞれの選択肢がどういうふうにつながっているのか。確かに、その農山村とかは過疎化が進みますけれども、一方で、再生可能エネルギーがさらに深まっていったりとか、より持続可能な環境、地域資源利用などがありますけれども、そういったものにつなげるためには、そこの国土の保全というものも非常に大事になってきますので、我々が提示する選択肢がそれにどうつながるのか、これもなかなか示し切れていないですけども、そこも読み取れるような検討が必要かなと思います。以上です。

村上委員
何回も申し上げたんですけど、この分野間の比較ということをやっぱりもっと詳しくやっていただきたいと。先ほど冨田委員も発言されましたけど、高位、中位、低位が分野間で同じかということで、例えば、これ、国民的議論ということで、この高位の家庭用の対策などは、もっと詳しく出されると、相当大きな議論が出てくるのではないかと思います。
それから、もう1点、この資料、非常にたくさんエビデンスを充実させていただいて、それは感謝したいと思います。ありがとうございました。一つだけ申し上げたいのは、今後とも、こういうエビデンスを積み上げる作業をやっていただきたいのですけど、こういう場合、どうしても都合のいい、有利なエビデンスを集めがちで、それを全部詰め合わせると、結果的に非常に楽観的過ぎる評価になることが多うございまして、その辺も視野に入れて、エビデンスの充実を図っていただければ、ありがたいと思います。以上です。

井神説明員(渡邊委員代理)
渡邊の代理の井神でございます。宜しくお願いいたします。
資料2の2ページについて、各ケース毎に再エネ比率、省エネ比率等が示されています。これは渡邊が再三にわたって申し上げてきたことですが、この再エネ比率や、火力発電の内訳が、中環審と、基本問題委員会で、全く異なるものになっています。参考資料3に比較が示されておりますが、基本問題委員会と比べ中環審は、例えば再生可能エネルギーでは、太陽光比率が高いとか、火力発電では、LNG比率が高いというように、基本問題委員会と中環審で選択肢の内訳となる数値が異なっています。これからエネルギー・環境会議での議論、その結果を踏まえた国民的議論が行われることになると承知しておりますが、異なった前提に基づく選択肢原案がバラバラと示されると、議論が混乱する可能性が非常に高いと思います。是非、基本問題委員会と整合をとっていただく必要があると考えます。これは渡邊が何度も申し上げ続けてきたことであります。
また、中でも特に問題だと考えているのは火力発電の内訳です。中環審では、CO2の削減という観点から、石炭火力を抑制する方向を打ち出しています。エネルギー供給ワーキンググループの報告書に火力発電の項がありますが、石炭火力については設備量と、発電量に上限を設けるという記述があります。これも繰り返し申し上げることになりますが、エネルギーミックスを考慮するに当たっては、エネルギーセキュリティなど、3Eすべての観点を踏まえて検討するべきだと考えております。
5月14日に行われた基本問題委員会で示された資料では「『供給リスクや価格安定性の観点からガスへの依存は危険』、『ベース電源である原子力の代替としては、石炭火力を活用すべき』といった意見が出ているところ」という記述があります。その上で、火力発電の燃料構成については、これらの意見を踏まえて「各選択肢におけるCO2排出削減量の見通し、一次エネルギーベースでの省エネの見通し、エネルギー安全保障やコスト面での影響などを勘案し、その取り扱いを検討することとしてはどうか」という記述もあります。火力発電の内訳については、ご紹介したとおり、環境面も含めた3Eすべてに配慮し、エネルギーミックスの選択肢原案を作成する基本問題委員会に合わせるべきだと思っております。以上でございます。

西岡委員長
それでは、部会の方に移りまして、浅岡委員。

浅岡委員
まず、その選択肢の示し方について、原子力との関係でありますけども、これまでの温暖化対策、震災と原子力事故を踏まえて、今回、大きな議論の展開もしていこうということになっておりまして、その前を考えますと、原子力依存をより高めて、実質的な省エネ対策等は、むしろ、あるいは石炭依存からガスへの転換と言われながらも、実行されなかった。再エネも動かなかったということが転換されたということになるのではないかと、実質的には。それが、また国民の期待ではないかと思います。
原子力比率につきましては、原子力委員会の新大綱策定会議や基本問題委員会でも、本当に同じことを議論されていますけれども、ようやくこの資料1の14ページのところの、具体的な何%というもののもとは何だということを基本問題委員会の事務局の方から出されました。これに値する、もとになるような議論をずっと原子力の方でもしていたのですけど、なかなかそうした根拠を委員の側からしか出されていなかったのですが、事務局からなされてきて、例えば25%とか35%というのは、少なくとも原子炉等規制法の法案に掲げているような話からは到底出てこないと。50年、60年使い、かつ稼働率も80%に上げていくことを予定するようなものであって、まあ、これは想定外ですよねということがかなり、やっと説得、納得されてきつつあるのかなと思います。ここがはっきり示されなくて、何でもありみたいな議論をこれまでしてきたことが、国民に対して大変、混乱を招いていたと。政府の方針も、どっちを向いているのかはっきりされないまま、枝野大臣は、いや、いずれなくしていくんだとおっしゃりながら、混迷した議論が委員会の中で、審議会でなされてきたということだったと思います。それから見ますと、資料2の2ページのところは、基本は13%ぐらいが精一杯のところでありますから、せいぜい10から15%ぐらいの原発比率を参考とし、温暖化対策としては、より高く強化していくということからが求められる方向だということは、この委員会から自ずと出していくべきものではないかと思います。対策の高位、中位ケースをベースとして、そして、それに違う意見があるものは幾らか幅が出てくるということはあると思います。これが私の基本的な国民に対する説明のやっぱりシナリオ、ストーリーではないかと。
それから、高位か、中位かという点につきましては、日本全体の経済構造も、今後の経済施策そのものも考え直そうと。地域、社会づくりも、都市づくりも考え直すというところから見ますと、かなり長い年月をかけて効果が出るようなものも、初期投資を早くしていこうと。これが施策の高位ケースというものに、ある分、集約されているかと思いますが、そうしたものも取り込んでいくということが経済政策としても必要ではないかと。この問題提起が必要ではないかと思います。
それから、資料2の1ページのところにある、この委員会へのミッションということから見ますと、化石燃料のクリーン化とか、分散型地域への対応というようなことも含めなければならないので、先ほどの井神委員の意見ではなくて、石炭から天然ガスへの転換とかいうことは、当然ちゃんと意識して、なされるべき地域分散も進めるべきということになると思いますが、これを国際競争力の観点から見ましたときも、先ほどの藤野委員のグリーン・グロースの話がインドネシアでの議論というような紹介がありましたけれども、例えば直近でも、最近の韓国の動きなどを見ますと、グリーン・グロースというのを掲げて、よりそうした温暖化対策であり、成長戦略でありと出してきていることの中で、排出量取引制度なども動かし、ガス化も進めていると。これらもしっかり見ながら、今後、考えるべきではないかと思います。以上です。

井上委員
幾つか意見を申し上げさせていただきます。一つは経済モデルの分析ケース、まず優先順位として、経済モデル分析には時間的制約もあるのでケースを絞るのはいいのですが、このマトリックスを中環審として整理した限りは、やはり縦軸、政策の強度、それから横軸、原子力の比率、この十字型の経済分析をエネ環会議から国民に示すまでには、中環審として、後追いでもいいから、計算すべきではないかというのが1点。
それから、選択肢として提示すべきケースについてのアンケート、私、見たときに、ちょっとあいた口がふさがりませんでした。というのは、これから選択肢というものはどういうものかを議論しようではないかというのが、この部会での合意あるいは確認だったかと思います。そういった中で、時間的制約もあるということは理解した上で、このアンケートが来たわけですが、私は、やっぱり今の段階では回答できない。選択肢について、十分議論した後でないと、ということで回答させていただきました。そういったことも含めまして、藤野委員もエネルギーフローを出してくださいましたし、いろいろなデータを読み込みながら、新エネ、省エネの矛盾点はないのか、エネルギーフローとしての矛盾点がないのか、政策と効果が、確かにそういったものが期待できるのかというのを十分自分自身も読み込みながら議論をしたいのですが、残念ながら時間がない。もう締め切りが迫っているというのも、私も理解をしなければいけないと思っていますから、そういった前提で、2点ばかり意見を述べさせてもらいますと、エネ・環会議に提示するときに、「時間がないから、中環審として打ち切りました」というのを是とするか、非とするかという議論もしなければいけないと思うのですが、とにかく時間的な制約の中、モデル計算の結果だけがひとり歩きすることのないよう、国民には、そのモデル分析には限界がある、不確実性が伴うということ、それから、様々な前提条件、留意事項が存在すること、一番肝心なことは、十分議論できていないということを付してご提示してほしい。耳障りのいいこと、光の部分ばかりを強調するのではなくて、影の部分を十分提示してほしい。それから、基本問題委員会では、電気料金が少なくとも40%、あるいはそれ以上に上がるという経済モデルの一部の結果が公表されております。こういったことも踏まえて、国民負担の増加、生活への影響、産業構造の変化、それから一番肝心な負担者と受益者、これが将来変わりますよと。国民の富の逆配分が起こるといった可能性もある。世代間の不公平性が起こるといったことも提示していくべき。将来のベネフィットの実現には、大変な不確実性がありますよ、ということを提示すべき。一番端的には、東京電力が、今、1割の電気料金の値上げを申請していますが、この1割でも非常に大きな議論があって、非常にご不満の声がある。そういった中で、特に大事なのは、メディアに対しても示し方を十分注意しないと、国民の皆様方が違った受け取り、十分な議論がされたにも関わらず、拙速な受け取りをするという心配もございますので、その点について、今の段階から申し上げさせていただきます。以上です。

浦野委員
後で書類で出そうかと思って、名札を立てなかったのですが、ちょっと一言だけ。今までのご議論で、もっと詰めなければいけないところがたくさんあるので選択出来ない。あるいは、全体の計算をやるべきだというご議論がありますけれども、課題があるということを指摘しだすと切りないわけですね。100%満点なものを今、出せるわけがないのですから、現時点で、どういうところまでやったということは明記して、どこに課題があるということもそれなりにちゃんと書いておいた上で、現時点で、ある程度、絞り込みをせざるを得ないと私は思っています。選択肢の中で、やはり2030年に、温室効果ガスの削減率が20%を切るのは、大塚委員のお話もありましたけど、2050年を見据えると、やはり不足であると考えられます。中環審としては、20%を切っている10、13、14、15は選択肢から外すべきだと私は思います。
もう一つは、先ほどから議論がありますけども、原子力発電の割合が35%、25%というのは、私としてはあり得ないと思います。仮想的な計算をされたものがあるとしても、中央環境審議会としては、それらは選択をしないというのが正しいと思います。そうなると、残りは3、4、5、8、9、10という6つに限られるわけです。その中で、重視するものについて、選択して計算してみる。そのほかは、仮想的なものとしては、時間があれば、計算してみればよい。地球温暖化対策を考える中環審としては、20%以下しか削減できないものは外し、原子力として、政府方針や国民意識から遠い35%や25%は外すという考え方をすれば、自然に絞れるわけで、時間制約で議論が足りないまま、無理やり決めたというようなことではなく、選択できると私は思います。

進藤委員
選択肢の提示の仕方なんですが、この資料2の2についても、私もやはり違和感があります。この左端の①というところ、緑になっていて、字も非常に太くなっていて、ここに重点があるという感じですが、仕事の仕方として私の理解と少し違う気がします。②の原発への依存度シナリオと、それから複数の選択肢についての③ですね。これらと無関係にアプリオリに、高位、中位、低位が議論できるはずはないと私は思っています。したがって、わかりやすく提示するときには、例えば右側の国内対策の中期目標があって、そして、この原発の依存度があって、そしてこの施策が高、中、低で出てくるということだと思います。このように一体的に示さないと、国民の皆さんにはわからないだろうというのが、まず認識の一つであります。
それで、この図で言いますと、原発への依存度低減のシナリオという、この黄色のところ、これは基本問題委員会から提示されるということだと思います。これを踏まえて、まず対策、高、中、低をやってみた今、ケースが15出て、技術モデルからその15ケースについて、20%、25%、30%等というCO2の削減量が一応出てきているわけです。今度、これをインプットとして経済モデルへ入れて、世の中がどうなるか、即ちGDPがどうなるか、電力価格がどうなるか、そういうことを、今、検証しようという段階です。その検証をしてから、この国民生活や経済への効果・影響を見て、具体的にどれが一番現実的なのか、しかも、CO2を減らすという国際的交渉に臨むに当たって、ここまでだと何とか臨めるのではないかとか、そういう議論を、今、しようとしているわけなんです。価値観はいろいろあると思います。どんな結果が出ても、私は原発ゼロだという人もいるでしょうし、どんな結果が出ても、原発はやっぱり残すべきだという人もいるでしょうし、価値観はいろいろあると思うのです。
そこで、確認のために私の理解はこうだということを言わせていただくと、今、0%から35%まで、この黄色の部分が、基本問題委員会で検討されていて、これも、経済モデルを回して、議論をしていただいているわけです。それに沿って、そのケースごとに、我々は、高位、中位、低位で、CO2の削減量という数字を持っているわけですから、これを入れて、このモデルを回してみて、そこから選ぶことになるわけです。提示の仕方としては、はじめに省エネ・再エネレベルの高、中、低がありますなどどいう話ではなくて、まず、国内対策の中期目標はこれこれ、その前提としての原発の比率はこれこれで、そのときの必要な対策・施策。そして、国民経済への影響はこうなります。このようなシナリオを三つか四つのケースにして、提示していく。これがアウトプットだと私は思っていますが、もし違うというのであれば、お答えをいただきたいのであります。そうしないと、国民の皆さんにはわからないと思います。
それから、もう一つ、資料2の次のページ、これは何回も出ている資料なのに、まだ私もわかっていないのですが、赤いところは国内排出削減で、それから、国際貢献、吸収源対策というのが右側にあります。それで、我々が示す選択肢、多分2020年、2030年でCO2をどれぐらい減らすかという議論だと思いますが、そういう選択肢を考えたときに、この国際貢献というのは、外数なのか、内数なのか。例えば、今、モデルを回そうとしていますが、例えば20%の中位で28%のCO2削減をするということになっています。そうすると、国際貢献が入ると、この28%にもう5%ぐらい足されて、33%ということで、政府は国際交渉をするのか、それとも、それも含めて28%ということなのか。そこの仕分けが、どうも私にはまだはっきりわかっていない。もし、今、答えられるのであればお答えいただきたいと思います。

末吉委員
私は、一連の議論を通じて、非常に懸念していることは、様々なその判断をする場合の基準とか、あるいは選択をする際の基準といいますか、そういうことに当たる絶対的目標がないという、そのことなのではないかと思うんですね。簡単に言えば、我々は、一体どの山の頂上に向かっているのかが見えないわけです。すべての資料が、温暖化のためにということで言えば、これは世界のそういう絶対目標は明らかですよね。もう温暖化をこれ以上ひどくしない。21世紀の将来を、温暖化から世界を守るんだと。それを本当に実現するんだというのが絶対目標だと思っております。そうした絶対目標の中において、日本自身が、日本という国が持つべき絶対目標は、私自身の考えでいけば、まず第一は、グリーン成長国家になるんだと。グリーン経済を世界で一番早く確実に、しかも、より深く達成する国になるんだということであります。これは別なことで申し上げれば、国際競争力を確保して、日本という国が21世紀の競争の中で勝ち残るんだと、こういうことだと思います。そのためには、例えばの話、再生可能エネルギー100%でいくんだと、そういったような将来の絶対目標を私は持つべきだと思っております。
それから、二つ目は、広島・長崎、それに福島の被害を受けた日本民族としては、これは、やっぱり何といったって、将来、どこかで必ず脱原発をやるんだと。これが非常に大きな絶対目標になるべきだと思っております。この二つの絶対目標を同時に達成するというのは大変なことだと思っております。であるがゆえに、この二つの目標を同時達成するには、今、持っている日本の力、プラス、将来、手に入れるであろう力を加えて、どういったようなロードマップを描くのが最もいいのかの議論をここですべきで、その選択をすべきだと。2030年というのは、あくまで通過点ですよね、2050年、2100年を見渡していくとですね。2030年に掲げる目標は、絶対目標ということではあり得ないと思いますよ。ですから、絶対目標に向けての通過点としての相対的あるいは可変的な目標として、2030年にどういったものを持つのか、その絶対目標に向けてのロードマップのあり方、ルートのあり方、ツールのあり方をどうするのかということではないでしょうか。
最後に申し上げたいのは、我々は、今日の実力で、今日のパワーで物を判断してはだめだと思います。将来の我々が持つべき新しい価値基準を読み込んで、将来世代への倫理的責任を、今、我々がどうやって果たすのか、そういったような強い意思をこの議論に反映すべきだと思っております。

高村委員
3点ございます。一つは、選択肢としての示し方について、これまでも小委員会の委員あるいは部会の委員の先生方から出ておりますけれども、これまで議論してきた対策の強度について、高位、中位、低位といったような形で、一定のその強度に応じた選択肢の一つの軸を示すというやり方は、私は、一つのやはりやり方として、わかりやすい打ち出し方ではないかと思います。もちろん議論がありましたように、その部門ごとで、コストの点あるいはフィージビリティーの点でどうかという議論がございましたけれども、精査をすべきところは精査するとして、私も、一定の分野については、その意見を出させていただきましたが、ただし、単に高いコスト、あるいは、その回収に年数がかかるというだけで、その施策をフィージビリティーがないですとか、あるいは、もう中位ではなく、高位だという単純な分類には恐らくならないだろうというふうに思っております。この間の検討の視点の中にもございますし、これまでも何度も議論してきましたように、その施策の中には、やはり多様な便益を伴っているものも多くございますし、逆に、コストはかかるけれども、長期的な低炭素社会の移行にとっては不可欠なものというものもあるわけで、さらに重ねて言いますと、その住宅などでいけば、優良な住宅をつくっていくことは、コストであるという側面もありつつ、他方で、将来に向けての投資という側面もあるということは明確であります。そういう意味で、単にコストの高低だけで、その施策のより分けをするというのは短絡的な気がいたしますので、まさに、その負担をどういう負荷、コストが高いものをどういうふうなインセンティブを与えながら、どういう施策を伴ってやっていくべきかというところでの、その導入すべき施策の振り分けということを、必要であればする必要があろうかというふうに思います。特に一つ一つ、すべての施策を検討する、精査する必要は、私はないと思っておりまして、この中でいきますと、施策の中で、やはり数値に影響があるものというものを一つの念頭に、その合理性を判断をしたらよいというふうに思います。
二つ目の点でございますけれども、これはもう大塚委員、浦野委員からございましたけれども、長期的なその低炭素社会への移行、あるいは、これはもう大臣からのこの検討の枠組みでもありましたグリーン成長といったような観点から見ても、やはりその原子力の比率は、仮に脇に置いたとしても、低位のケースというのは、選択肢として、中環審が出す選択肢としてはあり得ないというふうに思っております。つまり、2030年というタイムフレームで、20年後まで、現在の省エネの水準、対策の水準のままで維持をしますという選択肢を国民に提示をするのかという点でございます。その意味で、先ほど大塚委員、浦野委員からあった点について、私も同感でございます。
3点目は、細かな質問、用語でございますが、一つは、冨田委員からありましたコジェネのところについては、是非、検討いただきたい。これは小委員会で申し上げた点でございます。それから、二つ目の点は、これは確認でございますが、参考資料4のところですが、非エネルギー起源の温室効果ガスについて、この資料ですけれども、3月28日ではなくて、4月に入ってからの小委員会の資料だったのではないかというふうに思いまして、その確認と、それから、小委員会でも要望を出しましたけれども、代替フロンのガスの分野のところ、業務用冷凍空調機器等のところは、かなりいろいろなものが入っておりますので、是非、注などで、対象となっているものについては触れておいていただきたいというふうに思います。以上です。

中上委員
CO2の削減については、腰を据えて、もっと強烈なメッセージを私は発信すべきだと思いますが、ただ、できもしないような数字を上げて、人々の関心を買うということはやめていただきたい。しかし、CO2については、もっと本腰を入れてやらないと、確かに国際社会の中で日本だけ、何をやっているんだとなると思います。そういう意味で、先ほど進藤委員がおっしゃいましたように、先ほどの左から右ではなくて、右から左ではないかと。要は、CO2をどうするんだという覚悟があって、その中で、やはりエネルギー構成をするかというのが、私は相変わらずそう思っていまして、両方ですくみ合って、あっちが出さないから、こっちが出さないという話ではないと思います。それは最初のコメントです。
三つほど申し上げます。費用対効果について、表が幾つかございまして、参考資料2の方がいいでしょうか。まとめて書いてありますので、国環研がつくっている、藤野さんが言っていた54ページから56、57ページにかけての表でございますけれども、ペイバックのタイムが短期に3年から10年とか書いてありますが、どういう基準で、このペイバックタイムを決めたのか。投資コストがどういう基準に基づいているのか。それによって、回収される、あるいはセーブされるコストがどうであったのかというのがきちっと明示されないと、この数字だけ出ても、ほとんど意味がないんですね。ここまでやっていただいたことに対しては非常に敬意を表しますけれども、物によっては、例えば外皮と言われているものは、建物、シェルターの話ですけれども、欧米では数年で投資回収ができると言われるので、既築の住宅の改修をせっせとやっているわけでありますが、日本の場合は右に振り切れているわけですね。振り切れていても、なおかつ、ここで見ると、結構10年、10何年で、投資回収ができるように書いてありますけど、本当かなと。何度も申し上げるように、現在の我が国の暖房用のエネルギーに支出している額は、平均では3万円ですから、100万円かかったとして、1割セーブされるとして、3,000円ですから、浮くのは年間に。どう考えたって、こんな数字にならないんですね。これはミスリードしてしまいますので、前提条件が多分あるのだと思います。これは村上座長のコメントでもそういうのがございましたので、この辺は、こういう数字、例えば、今、一例ですけども、ほかもそうです。BEMS、HEMSが数万円で入るはずがないんですね、今の現状では。したがって、相当な加点が置かれているはずです。それが3年で短期回収というのは、私はあり得ないと思います。こういった点からして、こういった表がひとり歩きをし始めると、あたかも簡単にできるというふうにとる人がいるのではないかと、それを懸念いたします。それが第1点です。
2番目は、業務用の扱いです。これは何回も申し上げてきました業務用の扱いを一括りにやるのは、いかにも乱暴です。産業を一括りでやっていったら、誰も相手にしません。産業は、当然鉄鋼、紙パルプ、窯業土石といったように、エネルギー多消費産業はきちっと分けて議論しているわけですから、業務用を一本にして、一括りにして、オフィス・店舗等と書いて、この対策はどこもかもといったら、ほとんど何の意味もない。何度も申し上げますけど、きちっとしたデータでやっていただきたい。
最後です。それから、家庭用の参考資料で、今の同じ資料ですね。参考資料2ですね。これのページ77というスライドを見ていただきたいのですが、この家庭の原単位の推移を見ていただきますと、1世帯当たりのエネルギー消費はどんどん下がっています。これは非常に省エネが進んでいるように見えますけれども、これは前回申し上げたかもしれませんが、ちょうど95年以降、家計の所得がどんどん下がっているんですね。95年が、たしか名目750万円で、現在、610万円ぐらいに落ちています。ですから、そういった要因もこれありですね。この結果だけを見て、非常にうまく原単位改善が進んでいるんだと理解してしまうのは早計だということは、私からのコメントとして。以上です。

永里委員
今、国民にどのような選択肢を示すべきかというようなことでお話されていると思うのですが、私は以下のようなことを言いたいと思います。まず、世界規模でのCO2を削減するというのが本来の目的だと思いますし、先進国は2050年に80%削減をするというような目標を掲げて、それに向かってやっているわけです。そういうときに、日本の優れた技術を外国で採用されたら、応分の貢献削減分を日本の削減としてカウントするというシステムを、日本国政府は早く外国と取り計らって、構築してほしいと思います。それを踏まえて、かつ、エネルギーセキュリティということを十分考慮して、国民負担をできるだけ少なくするという視点で、選択肢を示すべきであります。別の言い方をしますと、資料2のページ2のマル3、ここのことについては、さらっと述べられているだけで、国民生活や経済への効果・影響、この辺のことを十分検討し、そして、それを選択肢の中へ入れて、それを考慮したもので示すべきだと思っております。以上です。

新美委員
提示すべき選択肢についての表、資料3の9ページについて申し上げます。基本的には進藤委員と中上委員と同様の考えです。これを見ますと、全部、従属変数で示されている。何を独立変数とするか、要するに、目標を明確に示した上で、制約条件として電力構成はどうなるのかということを検討すべきでしょう。それを踏まえた上で、環境施策をどうするのかを論ずるべきであって、全部、従属変数として示すならば選択肢を示すことにならないのではないかと思います。これまでやってきた作業は、どの辺が実現可能なのか、どこまで頑張れば削減できるのかということを探る上では、非常に有意義であったと思います。しかし、今度は、具体的な施策を提案するわけですので、目標をきちっと設定して、その制約条件も明らかにした上で、それに応じた施策というものを提示していくことが必要だろうと考えます。ある意味で戦略的といいますか、順序があるのではないかと思います。その辺をもう少し議論していっていただきたい。
それから、もう一つは、高位、中位、低位という施策の区分分けというのは、どうも物差しが違ったものが一つ区分の中に入ってしまっているように見受けられます。金がかかりそうだとか、法的権利の制約が強くなりそうだとか、いろいろなものが入っているので、高位、中位、低位の各区分の中身を少し丁寧に議論しないといけないと思います。それらを、一緒くたにして、施策の提示というわけにはいかないのではないかと考えております。以上です。

原澤委員
確認という意味で、2点あります。一つは、資料1の3ページ、4ページで、9ケースが、時間の関係等々で6ケースに絞られたというようなことだと思うのですけども、一方、参考資料8の方の基本問題委員会の方の5ページを見ますと、もう資料1の3ページの①に相当するものは、基本問題委員会の方でも計算をしているということだと思ったのですが、もう既に4ページの大半は計算されているという理解でよろしいのかどうか。もし、そうであれば、その余力を、例えば原発ゼロの高、中、低で計算をして、いわゆるこれまで議論をしてきました対策の差による経済影響等を比較した方が、よりいいのではないかと思いました。そこで、確認というのは、基本的には、前提条件を同じにして、中環審の方のモデル計算と、基本問題の方もやっているはずですので、かなりその結果を、共有できるのではないかと思う、ほかのところに計算力を回したらどうかというのが、ちょっと確認の意味を含めた質問です。
2番目は、参考資料8の5ページで、GDPと家計消費の支出が出ていて、モデルによって、特異な傾向を示すモデルもあるという理解をしたのですけども、こういった場合に、内容の問題、あるいはモデルの設定の問題があると思うのですけども、ここで質問をするのは難しいかと思うのですけども、こういう結果が出たときの取り扱いについて、基本問題委員会、また、将来的には、この部会でもそういったことが出てくるかと思うのですけども、この後の処理の仕方が現段階でわかれば、教えていただきたいという、2点です。

三橋委員
一つは質問です。再三議論になっている、エネルギー・環境会議へ提出する選択肢は、何種類程度を考えているのでしょうか。資料3の9ページを見ると、4、5、9、10は、委員の支持が高いですね。4ケースを選択肢として提示するのか6ケースにするのか、さらにそれ以上の多くのケースを提示するのか、この点について今の段階でどう考えているのかを伺いたい。
それと、もう一つは、CGEモデルによる試算ということですから、いわゆる経済成長率とか、為替レートとか、産業界の各業界の生産量とか、それが、2020年、2030年、あらかじめ埋め込んだ上で、原発比率を変更した場合こ、経済成長率にどういう影響を与えるか、あるいは、CO2の制約をかけた場合には経済成長率がどう変わるのかを試算するのがCGEモデルですね。したがって、むやみにケースを増やす必要はないと思います。トレンドが分かればそれで十分です。私が必要だと思っているのは、CGEモデルで計算する場合、その前提になる数字の妥当性の検討です。経済成長率は2010年から20年が年率1.1%とか、2020年から2030年は年率で0.8%、為替レート、それから人口、世帯数、、各産業の生産量、燃料価格などです。これらの数字のいくとかは、2020年、2030年、今とは様変わりすると思います。そう考えると、前提条件になる数字を1本に絞るのではなく、実現性のある別の前提条件の数字で計算した場合には、どうなるかを提示する二本立てにした方が2050年の日本の姿を考える上で、はるかに建設的なのだと思います。今回の場合は、前提条件の数字は一つだけです。その前提の上で、原発比率を0から35%まで動かして、こういう結果になる、と指摘しても説得力はあまりありません。別の前提条件で計算した場合は、結果が大きく違ってくるからです。その点からいえば、今回とは別の前提条件で計算したものと、今回の結果が比較できるようすべきだと思います。そのかわり、今回のように、原発比率を細かく分けて計算をする必要はないと思います。エネルギー・環境会議の中環審に対する要請は、原発比率を引き下げた場合の対応ですから、原発比率35%、25%は、選択肢の対象から外して、時間と労力を浮かせるべきだと思います。
それから、もう一つ、高村委員もおっしゃったか、三つの対策ケースで、低位のケースは、意味ないと思います。現状のままやっていくとこうなるというものなので、実際には三つの選択肢ではなくて、中位と高位の二つの選択肢ということでよいと思います。

森嶌委員
私は、「選択肢」という言葉について、中環審の「選択肢」という言葉の使い方が誤っていると思いますので、部会長、事務局、それから小委員会の委員長に注意を促したいと思います。、参考資料1の2ページ、3ページをお開きください。それから、今日出ている資料2の2ページをお開きください。私の意見については、昨日出した裏表1枚紙の意見書が出ていますので、細かい点は申しません。中環審ができることと、できないことということについて、今からお話をいたします。
まず、エネルギー・環境会議の基本方針というのが、参考資料1の2ページに書いてあります。そこで、中環審が何をやるのかというと、地球温暖化対策として、国内排出削減対策について複数の選択肢の原案を出すということになっておりまして、それが2ページの右の方にあります。原子力政策の選択肢は、原子力委員会が出すということになっています。また、エネルギーミックスの選択肢については、総合資源エネルギー調査会が出すということになっています。中環審は何を出すかというと、エネルギー・環境会議からおりてくる原子力政策やエネルギー政策を前提として、それに基づいて地球温暖化対策の選択肢を出すことになっているのです。ですから、この間からあっちに行ったりこっちに行ったりするのは、原子力が0%なのか、15%なのかということはエネルギー・環境会議でまず基本方針を決めてくれて、エネルギーミックスとか、ナチュラルガスがこれで何とかがこれだということも、本来ならば基本方針の方で決めることになっているのです。それを前提にして、中環審は、どれだけCO2を削減しなければならず、そうすると、それにはこういう複数の政策の選択肢がありますよということを議論することになるわけです。
そこで、資料2の方の2ページを見ますと、複数の選択肢の原案提示に当たり、合わせて提示する内容というので、マル3のところに書いてある。本来、これを我々は提示しなければならない。先ほどからいろいろな方が言っておられますけれども、一番左にある、この緑で書いてあるのは、これは本来ならば他の機関が人が決めることになってるのですね。省エネ何%にするとか、何とかいうのは、これは総合資源エネルギー調査会が決めることになっており、原発をどうするかという選択肢は、これは原子力委員会が決めることが予定されている。もちろん中環審の方で、そんなことをやってもらっては困るとか、そんな選択肢では政策立案は不可能だとか意見を言うことは構わないのでしょうが、我々がやることは、もしも原子力が0%で、カーボン価格がこれだけ高くなるとすると、これだけCO2を削減するにはこういう政策を立てなければならない、と言うことなのです。つまり、この緑の方で、高位をやらなければならないか、中位なのか、低位で済むのかということを議論するのです。我々がやらなければならないことは何かというと、政策です。これが一番大事なことなんです。我々は政策を議論するのです。
そして、政策の良し悪しは、コストパフォーマンスが決め手になります。先ほどからいろいろな方が言っておられるのは、実現が不可能なものでも、ともかく高くても何でもいいからやれということを国民に言ってよいのか、ということです。このコスト計算がいいか悪いかは別として、この間、初めて小委員会で5月9日に出てきたコストを見ますと、家庭部門で、低位でも、住宅で7兆円かけて、単価が8,400円から9,400円もかかって、せいぜい8000万トンから9000万トンしか削減できないのです。他方、業務ですと、高位で単価が1万2,000円もかけて、せいぜい1400万トンの削減。ところが、低位でやっても600万トン削減でき、単価は410円ぐらいですね。そうだとすると、安い金で大量にCO2が削減できるなら、ワンセットで、これは前から私は言っているんですけども、家庭と業務もワンセットで高位でいきましょうとやることはない。それからまた、先ほどどなたかもおっしゃいましたけども、業務なら業務を一括するのではなく、業務の中だって、いろいろな業種によって違うでしょうし、まして、いわんや、部門を越えて、高位なら高位で一括りにしてしまうというのは、これは政策を検討する機関のやることではありません。このアプローチは審議会では全くありません。
私は、技術的にどこまでできるかということを検討されている限りでは、私はワーキンググループの作業を高く評価していました。コストが出てきたのは5月9日です。そこからがらっと変わって、今度は政策としての検討をすべきです。今さら、個々の政策について、一つ一つ検討するわけにいきませんけれども、ここでは主な対策、施策が出ているわけですから、それについて、コストパフォーマンスを検討して、それの組み合わせをするのが中環審の検討すべき選択肢だと私は思います。私が提出した意見書ではこういうことを書いてありますので、是非とも、部会長、小委員長、それから事務局、これからでも遅くありませんから、ワーキンググループが集まって、もう一回やり直してください。そうでなければ、私は最後まで反対いたします。もし反対が認められないのでしたら、議事録にこのことをちゃんと記録して、国民の皆さんに、中環審は、政策を審議する機関ではなくなったということを知って欲しいと思います。ありがとうございました。

横山委員
簡潔に3点述べたいと思います。1点目は、資料3の9ページ、選択肢として提示すべきケースですけれども、これを見ると、委員の圧倒的な方々が、原発の割合を0%と15%を選択しているわけです。中でも高位と中位を選んでいるわけで、多数決ではないので、これですぐ決まりということにはなりませんけれども、今後の議論では、これを是非、前提にしていただきたいというふうに思います。これは政府が掲げている脱原発依存にも結びついているというふうに思います。
2点目は、1点目に関連してですが、やっぱり15%というのは気になります。これについては、資料1の14ページに、原子力発電比率についてという総合資源エネルギー調査会の資料が出ていて、新増設がなしで、稼働率が70%の場合、割合が13%と、これで選択肢を10%ではなくて、15%に選んだという説明がありました。しかし、これは、先ほど藤井委員も指摘されていましたけれども、多分福島第一原発の1から4号機は廃炉にしているけれども、5と6、それから福島第二の1から4号機、それから浜岡原発の3から5号機、これについては、そのまま動くという前提でやっているんだというふうに思います。ほとんど私は動かないというふうに思いますので、この13%というのも、ほとんど意味がない数字だというふうに思います。委員長がわかりやすさということを強調なさっていましたけれども、この資料を見るだけでは、何を示しているのかわかりません。確かに、別のところの資料ですが、中環審としては、これはどういう前提でのパーセントなんだということを示していただきたいというふうに思います。
3点目は、先ほど末吉委員が絶対目標ということを話されていましたけれども、私は、世界でも有数の地震国で、今度の福島第一原発事故という重大事故を経験した日本が、やっぱり原発に頼らずに温室効果ガスを削減して、世界的なモデルになるということが強く求められているのではないかというふうに思います。以上です。

伴委員
本当にこれまでの議論をお聞きしまして、皆さんがどういうことが必要かということはよくわかりましたので、試算結果を出すときには、それになるべく沿う形での結果を出したいと思っています。ただ、一つだけ、皆さんに理解していただきたいのは、ここで言うと、資料1の選択肢の話で、3ページでも、4ページでも構いませんけど、例えば、私ども計算している中で、2030年でのCO2の削減が一番厳しいのは原発15%炭素強度32%です。これ、2020年ではどれぐらいかというと、私は1年ごとに計算しており毎年出せるのですが、基本的には15%です。つい2年ぐらい前に、2020年で25%削減という、真水レベルでということを議論して、私もプラスになるということを言ったのですが、実は、このとき原発について言えば、40%ぐらいを想定して計算していました。ところが、今のシナリオは、すべてそれより右のところに来て、ここの委員会では、0%、あるいは、少なくとも15%ぐらいしか考えないとすると、基本的にはCO2の削減は、高位のケースでも、2020年レベルでいって、さっきも言った15%、0%の場合は、12%か13%減なのですが、そういう厳しい状況になっていることです。つまり、地球環境問題について、皆さん、一生懸命考えてきたのに、2年前と状況がドラスティックに変わっているということは頭の中に入れて考えてほしい。つまり、高位ケースといえども、僕は非常に難しいと思います。これは試算のときに申しますけど、高位になればなるほど、あるいは、原発が少なくなればなるほど、負担額というのが、恐らく皆さんでは想像できないような形でのものになる。そういう前提でもう一回考えて、見直す必要がある。夢物語をするわけではありませんので、やはり現実に可能性ということを考えたときに、しかも、20年先というのはかなりもうはっきりしていますので、その中でもう一回、皆さん、真剣に考えていただく必要がある。多分、経済モデルでの試算というのは、どれがいいかということを出すのではなくて、とりあえずこういう形になっていますよと言うことです。ここでは黄色の部分は、私はもう既に計算は終わっていますけど、それでまず考えて、その上下にどこまで行くかということは次の段階で考える。あるいは、化石燃料の価格はどうなるかわからないということをよくおっしゃいますけど、我々は、基本的には、IAEAのWEOのデータを使って、すべて計算しています。これは権威とは言いませんが、どの機関もリファーする化石燃料の価格でして、それが、例えば上に何%、僕は10%の計算を、今、させられていますけど、はっきり言えば、それが2倍になるとかいうような計算はすぐできますよね。だから、そういうような計算は、あるいは、その原発のコストも含めて、基本問題委員会でも議論して、感応度分析という形で、その次の段階で出すという形をしています。だから、最初からすべて出して、頭を混乱させるよりも、少しずつ出しながら、そこの上で、さらに足らないところ、必要なショック、いろいろな政策を考えていくのがいいのではないかと思っています。

西岡委員長
それでは、事務局の方で、幾つか答えられるところを。

低炭素社会推進室長
それでは、資料に沿って、主なものをお答えしたいと思います。
まずは、資料1でございますけれども、3ページ目のところで、ケース設定の絞り込みのところでございます。ご質問ありましたけれども、基本問題委員会との似ているような部分について、計算をもう既に先方で行っているのではないかというご質問がございましたが、基本的な考え方といたしまして、基本問題委員会の方では、電源構成をフィックスした場合にどういう影響があるのかというところを主に見ておりますが、中環審の場合は、先ほどお話がありましたけども、CO2制約をさらにかけた場合にどうなるのかという影響を見ておりますので、電源設定としては似通った部分でございますが、CO2制約をさらにかけた場合の影響を見るというのが中環審の部分でございます。
また、5ページ目でございますが、委員の何名かから、その経済モデル分析の結果を解釈したりする際の留意点というところでご指摘いただきましたが、こちらにも掲げておりますような留意点につきまして、頭に入れつつ、資料の作成、また、ご議論をお願いしたいというふうに考えております。
また、資料2でございますが、選択肢の原案の構成というところで、多く議論をいただいております。まず、1ページ目でございますけれども、先ほどございましたが、様々、議論はあるとは思いますけれども、今回、エネルギー・環境会議の方から基本方針におきまして、このような選択肢を提示してほしいというところを解釈すると、こういう形になるということだと思っております。その中で、エネルギーミックスの選択肢の表裏一体となる形で選択肢を示してほしいということですので、必ずしもぴったり合うというお話ではありませんけれども、形式として、やはり比較可能性などを考慮した形式にする必要があるだろうというふうに思っております。
また、2ページ目でございますが、ご指摘いただきましたように、マル2の原発の依存度の低減のシナリオにつきましては、基本問題委員会の方で、今、議論されておりますので、そのシナリオとの整合性、比較可能性ということだと思っています。
また、マル3の合わせて提示する内容ということは、ここは温暖化の面で非常に重要な事項であるということで、編集上、強調文字と二つで分けておりますけども、ここの文字の違い、その他で重要性を分けたものではないということは、ご説明を申し上げたいと思います。
また、原発のシナリオ、また、再生可能エネルギーなどの比率は、この右側の国内対策の中期目標がどれぐらいになるのかということに非常に大きな影響も与えますし、また、その結果、国民生活、経済への効果・影響というところにも影響を及ぼしますので、最終的には、これらは一体的に提示をしていくということになるかと思いますけれども、議論の選択肢そのものというものを基本方針から解きほぐすと、このような、2ページ目のような形になるというふうに考えております。

森嶌委員
対策・施策、ワンセットで高位とするというのは、誰が解釈したのですか。

低炭素社会推進室長
事務局から、今回、ご提示をさせていただいたというもので。

森嶌委員
いやいや、そうでなくて、解釈したらこうなりますというのは、誰が解釈したら、こうなったのですか。

低炭素社会推進室長
事務局から解釈を。

森嶌委員
事務局が解釈したんですね。

低炭素社会推進室長
資料を提示して、本日、ご議論いただいたものと。

森嶌委員
ということですね。

低炭素社会推進室長
当然のことながら、再生可能エネルギーの価格面での検討というものもございますけれども、系統制約なども考えて、今回、高位、中位、低位というものを議論し、試算結果を。

森嶌委員
事務局としては、こういうふうに考えて、提示させてもらったということですね。

低炭素社会推進室長
そのとおりでございます。

森嶌委員
わかりました。

低炭素社会推進室長
また、3ページ目でございますけれども、構成のイメージということで、国内の排出削減量、また、吸収源対策、国が行う国際貢献というものでございまして、こちらにつきましても、基本方針の中で、国内排出減の複数の選択肢に合わせて、吸収源対策、国際貢献、さらに適用についても提示をするようにということでございますので、それぞれ議論をいただいて、提示をするということになるかというふうに思っております。
また、5ページ目でございますけれども、原発の比率につきましては、原発依存度低減のシナリオを具体化する中での議論だというところでございますけれども、一方で、省エネ、再エネ、ガス、化石燃料のクリーン化、分散型エネルギーシステムへの転換という部分につきましては、エネルギーミックスの議論であるという側面も当然ありますけれども、5ページ目にご提示しておりますように、少ないエネルギーでサービスを生み出す手法、これ、すなわち、省エネルギー。また、エネルギー消費量当たりのCO2の排出を減らす手法といたしまして、再生可能エネルギー。また、ガスシフトなどの化石燃料のクリーン化ということで、省エネ、再エネなどにつきましては、温暖化対策の重要な手法であるということで、本中央環境審議会でご議論いただいているというところだと考えてございます。
また、9ページ目でございますけれども、分野ごとのご議論に資するために、今回、ご提示をしたというものでございまして、委員からもご言及がありましたけども、参考資料2の49ページ目にも、こちらは累積の投資額という形で示してございます。こちら、様々、深く議論をいただくために、修正を、改良を加えてきておりますけれども、大もとから申しますと、中長期ロードマップをご議論いただいたから際からも、このような追加投資額という形でお示しし、その後、震災などの影響も踏まえて、ワーキンググループの見直しを行って、改良してきたというふうに考えております。
また、10ページ目には、「家庭分野における」というふうに表題につけておりますけども、9ページ目の表につきましては、再生可能エネルギーも含めてラインアップをしておるということでございまして、例えば、中ほどには風力発電、バイオマス発電、太陽光発電など、再エネごとの比較もできるようになってございます。また、こちらの金額につきましては、負担をする主体が誰かということを特定しないでの計算結果になってございます。
あと、資料1の13ページ目でございますけれども、ご指摘いただきましたように、社会資本を整備していくということは、CO2対策にも資するということではございますけれども、13ページ目、一番下に書いてございますけれども、持続可能な低炭素社会を構築するという観点からは、非常に重要な施策ではあるというふうには考えておりますけれども、単にCO2だけのために社会基盤をつくっているわけではないということもございまして、その効果というのは、今回の2020年、30年というのは追い込めていないということでありますが、その重要性については、記載していく必要があるというふうに考えてございます。
あと、参考資料2で、56、57ページ目についてもご議論いただいておりました。ちょっと誤解を生じる書き方だったのかもしれませんけれども、投資回収年数と書いてございますのが、それぞれの分野において、一般的にこれぐらいの投資回収年数を考えての行動であろうということで、それぞれの値、3年であるとか、5年などを入れておりますけれども、その年数にした場合に、CO2の削減費用として幾らぐらいになるのかという試算でございますので、この回収年数で元が取れるかどうかというものを示したものではないというふうに、申し添えていきたいというふうに思っております。
また、飛んで申し訳ありませんが、参考資料3でございます。9ページ目に関しまして、ケース分けが、今後、どれぐらいの数になるのかというご質問がございました。今現在でいきますと、確たるものが、例えばエネルギー・環境会議から示されているわけではないということではございますけれども、今後、選択肢を国民に提示をさせていただきまして、国民的議論を経るということからいきまして、あまり数が多いというのは、わかりやすさの観点からもないだろうというふうには思っておりますが、幾らにするという話は、まだこの場の議論になろうかと思います。ちなみに、総合資源エネルギー調査会では、今、数字の組み合わせというケースとしては5ケース、また、数字は示さないというケースが1ケースあるというのは、情報としてはご提供させていただきたいと思います。
また、飛んで恐縮でございますが、参考資料9でございます。こちらは、総合資源エネルギー調査会で、現在、原案の策定に向けての議論をまとめたものでございます。11ページ目には、ご指摘いただきました火力発電の議論の状況を記載しておりますけども、11ページ目、下の部分でございますけども、コジェネレーションシステムを含む天然ガスの利用は拡大すべきであるというところは、概ね方向性としては一致しているということでありますが、b)といたしまして、一方で、意見が分かれている部分があるということで、その下から2行目でございますが、天然ガス発電を大幅に拡大すべきという意見があるとともに、12ページ目で、利用拡大にも限界があるということで、それぞれ理由が記載されているということで、両面の議論になっているかと思います。
また、飛んで26ページ目でございますが、これらの選択肢を具体化する、実現するに必要な政策ということで、26ページ目、中ほど、d)のところでございますけれども、コストやエネルギー安全保障をある程度犠牲にして、どこまで天然ガスシフトを進めるかというのは違いがあるということで、議論の俎上に上っている対策が書かれているというところで、議論がまだされているということだと理解をしております。同じような経緯が、再生可能エネルギーについても記載されているというところでございます。
同じ資料の22ページ目におきましては、経済成長の設定につきまして、ここでは経済分析にかける段階での扱いというものが書かれておりますが、まず、分析にかけるものとしては、慎重ケースに基づいて行うということですが、b)のところで、一方でといたしまして、成長シナリオ、また、一人当たりGDPの成長率をもとにしたケース、こういったものを感度分析としても提示するという方針があるということで、現時点でいきますと、どちらに絞り込んだというのは現状ではないという状況でございます。事務局からは、以上でございます。

西岡委員長
時間が大分押してしまいまして、申し訳ございません。
皆さんから、さらに文書でもってご意見をいただきまして、次回の検討にかけたいと思っております。どうもありがとうございました。

鈴木部会長
それでは、次の議題(4)から、私の方で司会をさせていただきたいと思います。
本日、こういう形で、合同会合という形で、地球環境部会と、それから2013年以降の対策・施策に関する検討小委員会、この合同会合を持たせていただきましたが、その趣旨に関しましては、最初に説明をいただいたとおりで、ただ、この合同といいますと、その二つのエンティティが、それぞれが、人格を持っているというようなものであるのが普通ですが、この二つの部会、それから小委員会に関しましては、ある種、入れ子構造になっているということもありまして、合同会合というよりは、同時にこの会合を持たせていただいたと、そういうような趣旨かと思います。
先ほど来、いろいろご議論がありまして、ようやくその経済的なモデル等の情報もいろいろいただける。これは大変な計算をしていただいていることになると思いますが、そういうようなことで、具体的にそのコストパフォーマンスであるとか、いろいろなその議論が、一体どこまで進められるのか、非常に重要なところではありますが、時間的な制約が非常に厳しいということであります。
後で今後のスケジュールがございますけれども、求められておりますのは、6月の初めには、エネルギー・環境会議に報告するための報告書、これは、その完成形の報告書というよりは、その段階で地球環境部会としてはどういうことをまとめているのか。中間とりまとめのような性格になろうかと思いますが、それをそれぞれの原子力委員会あるいは基本問題委員会の方から上がってきたものを選択肢として取りまとめられるのは、エネルギー・環境会議の責任です。ですから、そのエネルギー・環境会議が選択肢を国民に対して提示されると。そのための、いわば環境側からの大事な情報を上げていくということになります。私たちの趣旨は、もう申すまでもないことですが、二酸化炭素の増大を抑制し、そして、2050年には80%削減、それに至るプロセスとしての2030年として、どういうようなことが求められるかと。それに対して、可能な限り、精緻にとは言いましたが、非常にそのパラメーターが多いということもありますので、オークションのような形で、どういうものを示していくかということになるわけであります。
高位、中位、低位というような仕分けの仕方が、果たして適切なのかと。ここであります低位というのは、最初のスタートの時点からおわかりのように、これはbusiness as usual、今のままで進んでいったとしたらというようなことが低位ということでありますので、実質的には高位と中位をということではありますが、その高位、中位の中身もさまざまということ。私たちは、あくまでもCO2の削減ということを念頭に置いておりますので、削減目標をどういうふうに設定するのか、むしろそちらの方が高位、中位を決める、こういうことになっていくことであろうと思います。ですから、いろいろな意味で、フィードバックをかけながら進めたいところなのですが、時間的な制約が非常に厳しいというようなこともあって、現状では5月28日に、また再度、この地球環境部会を開かせていただき、6月8日の地球環境部会では、可能であれば、この地球環境部会としての取りまとめをさせていただいて、これをエネルギー・環境会議に報告をさせていただくと、こういうようなことになろうかと思います。これは、あくまでも現在での予定であります。
さて、そこで、その報告書として、どういうものをつくっていくかということになりますと、これがその資料5に報告書の骨子案が示されております。そこに入ります前に、実は、前回、農水省の方から、いろいろその森林吸収源対策であるとか、ご説明をいただいているわけであります。それに対しまして、さらにその補足の説明を、本日、いただくということになっておりますので、資料4-1、4-2につきまして、林野庁の沼田次長、そして、農林水産省の生産局農業環境対策課の近藤さん、お二人においでいただいておりますので、その説明をいただき、さらに、その資料5に入っていくと、こういうふうにさせていただきたいと思います。それでは、資料4-1、4-2につきまして、農水省の方でのご説明をお願いいたします。

林野庁次長
それでは、資料4-1に基づきまして、森林吸収源対策について、ご説明をさせていただきたいと思います。なお、資料4-1の後ろに1枚の紙を添付させていただいておりますけれども、実は、これが先月、4月13日の地球環境部会に出した資料の中の1枚の紙でございまして、私ども、こういった目標値の考え方のもとに、対策を推進していきたいと考えているところでございます。
それでは、資料4-1をおあけいただければと思っております。4月にご議論いただきましたけれども、いろいろなご意見がございましたので、その補足ということでございます。
まず、森林吸収源そのものでございますが、条約上は、各国が温暖化対策を実施すべき項目というものの中の一つに位置づけられておりまして、第一約束期間、2008年から2012年でございますが、日本は4,767万CO2トンということで、実は、ヨーロッパ諸国、例えばイギリスでありますと100数十万トン、ドイツでは400~500万トンというオーダーでございますので、10倍以上の数値を活用しているというのが現状でございます。そして、2013年以降の枠組み、ダーバンの結果でございますけれども、結果として、森林吸収量は、右下にございますように、参照レベル方式ということで扱いますと、ルールを決めますということになりましたけれども、日本の場合は、この参照レベルのいわゆるしきい値の値がゼロということで、各国から合意をいただいているということでございまして、これは、日本がこれまできちんと報告をしてきた結果だというふうに思っております。ちなみに、しきい値がゼロになっているのは日本だけということでございまして、確かに3.5%上限ということではございますが、引き続き、ほかのEU諸国と比べて、やはりけたが違う量を活用できるということになるのではないかと思っております。それから、したがって、そういった方式、森林吸収源を最大限に活用することが重要だと思っておりまして、さらに、ルールに基づいてきちんとやっていくということが、いわゆる2020年以降の新たな枠組みと、将来枠組みと、こういったものにも貢献していくことになるのではないかと思っております。
それから、次のページでございます。では、その森林吸収源対策に必要な投資額はどのぐらいなのだということでございますが、これは、昨年、閣議決定させていただきました森林林業基本計画というものがございますけれども、その中で、森林整備なり、作業に必要な道、それから木材加工施設等の整備といったものですね。要するに、二酸化炭素の吸収に効果があるということに要する費用ということで、極めて幅広く、網羅的に試算したものでございますけれども、その結果、年間ベースで6,000億円、0.6兆円と。吸収量を4,400万CO2トンでございますので、それをあえて計算すると、トン当たり1万4,000円程度ということになろうかと思っております。ただ、こういった森林吸収源の対策をやるということになりますと、ほかにも、いわゆる国内で投資されますので、地域経済に与える影響が大きいでありますとか、あるいは、国土保全なり、水資源涵養というような、いろいろな公益的な機能の発揮という意味では、大きな効果が合わせて期待されるというふうに考えているところでございます。私の方からは以上でございます。

農林水産省生産局農業環境対策課長
引き続きまして、資料4-2でございます。農地による炭素貯留でございまして、これにつきましては、4月14日のこの地球環境部会において、藤井委員の方から、諸外国での取組はどうなっているのかという話と、あと、クレジットの関係はどういう動きなのだというご質問がありましたので、資料を用意しております。
まず、第一約束期間におけます農地土壌を吸収源として選択している国は4カ国、これは前回のときにもお話ししましたけれども、カナダ、デンマーク、スペイン、ポルトガルの4カ国でございます。農地管理の取組としましては、表の方に書いておりますけれども、主として、不耕起、省耕起、省力耕起ですね。それから、あとはカバークロップ等々が取り組まれているというのが実態でございまして、各国の取組規模を見ていますと、1990年比の炭素貯留量の規模は、小さいところですとポルトガルの40万トン、大きいところですとカナダの1,600万トンという、非常にばらつきがあるということで、デンマーク、スペインについては、175万トン、228万トンという形になっております。
それから、あと農地管理によるクレジットはどうなっているかということでございますけれども、いろいろな取組がありますけれども、我々が比較的内容を把握している、情報を持っている取組として、二つ、ここに例示させていただいております。一つは、カナダにおけるカーボンオフセットの取組ということで、アルバータ州においては排出規制を行っておりまして、それに伴いましてカーボンオフセット制度を導入していまして、その対象として、農地土壌の炭素貯留も取り組まれているということでございます。カーボンオフセットによる農地土壌の扱いについては、基本的に土壌の質を高め、生産性の向上も図りながら、かつ気候変動の適応にも資するということで考えておりまして、具体的には、不耕起栽培、こういうものを対象としておりまして、現在の相場はCO2トン当たり10ドルから14ドル程度と聞いております。
もう一つは、世銀による取組ですけれども、ケニアにおきまして、世銀がドナーとなりまして、ケニア農業炭素プロジェクトを実施しておるということで、これにつきましても、やっぱり基本的には、農地に作物残渣や堆肥を還元して、化学肥料を減らしながら、炭素の貯留をしていくということでございまして、目的とするところは、農業生産性の向上あるいは農地への炭素貯留、気候変動への適応という、トリプル・ウィンと呼んでおるようですけれども、そういうものを目指してやっておるということです。内容的には、農家との契約によりまして、貯留された炭素の評価額の一部を農家に支払われるという仕組みのように聞いております。
また、農地土壌における炭素貯留の規模について、前回、ご説明しましたけれども、現在、農業環境技術研究所の方で推定作業を進めているところでして、数字をお示しする、まだ段階になっておりませんけれども、今の段階の試算の状況を見てみますと、森林吸収源の10分の1か、30分の1程度の規模になるのではないかなというふうに考えております。また、コストについても、残念ながら、今、数量そのものを推計しておりますので、お示しすることはできませんが、これら農地による炭素貯留というものは、現在、堆肥や緑肥の施用、そういうものをもって進めようとしておりまして、現在、これにつきましては、営農上の土づくりの取組とともに、環境保全にも資する取組ということで、環境保全型農業直接支払対策というものを取り組んでおりますけれども、この予算規模としては年間26億円という程度でございまして、数十億円規模の中で、こういう堆肥、緑肥の取組を推進して、農地の炭素貯留を進めるというような形で取り組んでおるところです。私の方からは以上です。

鈴木部会長
ただいまの件につきましては、何かご質問ございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、ありがとうございました。
次は、資料5につきまして、事務局の方から説明をお願いいたします。

低炭素社会推進室長
資料5でございますが、こちらは2013年以降の対策・施策に関する報告書(骨子・素案)というもので、本日時点のものということでございます。前段部分の事務局の説明が非常に長かったということで、時間が残り少なくなってきておりますが、構成でいきますと、5.、6.につきましては、国内排出の部分ということでございまして、次回以降、小委員会の方で議論を深めていただきまして、そちらの素案を形づくっていくということで、本日は骨子のところのみというふうになっております。その他の部分、1.で検討のプロセス、2.といたしまして科学的知見、3.といたしまして国際交渉の状況、そして、4.といたしまして、排出量、吸収量の現状をまとめる部分、そして、おめくりいただきまして、2ページ目、下でございますが、部会で直接ご議論いただいております国内の吸収源対策、そして、3ページ目、国際貢献を通じた排出削減、9.としまして、適応策につきましては、本日、素案を後ろの方につけておりますので、本日は、ちょっとご説明、ご議論をいただく時間がなくなっておりますので、改めまして、事務局の方から意見照会をさせていただければと思っております。以上でございます。

鈴木部会長
現段階で、一応想定しております報告書の形、骨子案ということになりますが、何かこの段階でご議論いただくようなことがございますでしょうか。多分これだけでも、かなりのそのページ数、厚いものになると思いますので、実際にその報告書をお読みいただけるかどうかという、その相手方に応じて、エグゼクティブサマリーのようなものはつけておくと、こういうような形で考えていただくことになろうかと思いますが、よろしいですか。
どうぞ、亀山委員。

亀山委員
時間も押していますし、また別途、メール等で意見照会していただくということでございますので、今日は、詳細は意見を申し上げるつもりはございませんけれども、全体の章立ての中で、私が強く感じましたのは、現状について、非常に中立的に事実確認だけを列挙されているような形になっておりますけれども、特に4章辺りになるのかなと思うのですけども、あと、私たちがここで議論しようとしているのは、もちろん排出量の数字そのものが重要でもあるのですけれども、その数字に向かって、私たちがどのような行動をとっていこうとするのかという、その方針というか、行き先を目指すべき社会像を示すということが、恐らくこの報告書の中で一番重要になってくるのではないかと思っております。その意味では、4章等の中で、我々の排出量のトレンドがどうであったかという数字、結果、それだけではなくて、この数字に至るために、主にどのような対策を今までとってきたのか、細かいことについては、この中環審でも特に議論しておりませんので、報告書には書き込めないかもしれませんけれども、主にどのような施策をとったことによって、今、実際に我々の排出量がこういう結果になっているのかということについて、もう少し書き込んでいただいてもよろしいかなと思いました。
また、似たようなことは、国際交渉の状況につきましても、交渉が、今、どうなっているかということも、もちろん重要ではありますけれども、その交渉がこうなっている結果として、各国内でどのような低炭素社会に向かった施策が実際に導入されているかということについても、少々ご紹介いただけてもいいのかと思いましたので、ちょっとその点だけどうしても申し上げたくて発言させていただきました。ありがとうございます。

鈴木部会長
委員の方々に意見照会されますか。

低炭素社会推進室長
事務局から、改めてさせていただきたいと思います。

鈴木部会長
今日も、大変いいご意見をたくさんいただいていると思いますが、やはり淡々と、こういうワーキンググループの成果に基づいてお書きいただくことと同時に、我々が本当に何を目指しているのかという、その辺りが入り口の部分であり、あるいは、中の部分であり、国民の方々に伝わるような、そういうものにしなくてはいけないだろうと思います。大変ご苦労が多いかと思いますが、もちろんさっき申し上げましたように、完成形の報告書というよりは、中間報告みたいなものになるかとは思いますが、今後とも、部会あるいは中環審で検討を継続していくというようなことを想定しながら、この段階での報告書をわかりやすくまとめていただきたいと思います。

鈴木部会長
赤井委員。

赤井委員
簡単に、小委員会の方で、技術ワーキンググループの方を取りまとめさせていただいた視点から、1点申し上げたいと思います。
先ほど森嶌委員の方から、ワーキンググループについても言及があったかと思うのですけども、今、技術ワーキンググループの方では、マクロフレームと同様、2050年の80%削減というのを最大のターゲットとして、検討を行ってきたのですけれども、2050年で、今日のいろいろな計算、シミュレーションの結果等も、ほとんどは2030年をターゲットとした議論しか行われていないと。ただ、2050年について議論してきた立場からすると、この2030年が、本当にどのケースであろうと、2050年の80%につながっているのかどうかという視点から考えると、個人的にはつながっていないような部分、つながっていないとしか言えない部分が幾つかあるような気がしておりますので、その辺り、作業に反映する、あるいは、報告書の中できちんと書き込むというようなことをさせていただければというふうに考えておりますので、宜しくお願いします。

鈴木部会長
議論の中でもございましたが、いろいろと課題がまだ残っている、山積しているわけですので、むしろこの報告書でも、その課題を明快に残しておくといいましょうか、示しておくことが重要だろうと思います。
どうぞ、森嶌委員。

森嶌委員
まとめ方についてですが、今まで各ワーキンググループでそれぞれまとめているので、6.のところで、(2)が部門別になっていて、(3)が各ケースの経済への影響で、ここで全部を総括することになるのだろうと思うのですけれども、何となく(2)で縦割りできて、(3)でどうなるのかがよくわかりません。各ワーキンググループの報告書としては、これでいいように思うのですが、これは最終的には中環審の部会の報告書になるわけですから、全体として国民が理解できるものである必要があると思います。ワーキンググループの作業については、私は本当に評価しているのです。例えば藤野さんや伴先生の計算など、非常に評価しているのですけども、国民の方は、それよりも、これからどうなるんだ、それで結局どれだけ負担が増えるのだとか、そういう話だと思うのですね。どれだけの金を払ったり、我慢をしなければいけないのだということなのでしょうが、このまとめ方だと、学者の論文みたいなので、ちょっとこれを見ただけでは、どこがどういうふうになっているのか、分析とか、選択肢原案とか、原案の評価とか言われたのでは、ドクター論文みたいな感じがして、ちょっと国民に対して語りかけるのとしては適切ではないと思います。章立てなども含めて、読んでいったら、ある程度全体で何を言おうとしているのかまとまって見えるように、わかりやすいものにしていただきたい。少なくともそういうまとめのセクションをつくっていただきたいと思います。ありがとうございました。

鈴木部会長
よろしいでしょうか。
それでは、いろいろ委員の先生方のご意見は、これから、また事務局の方で聴取させていただくということにさせていただきたいと思います。
あとは、残った議題は、今後のスケジュールということになりますので、宜しくお願いします。

低炭素社会推進室長
資料6の裏面でございます。次回、小委員会につきまして、5月23日に開催をさせていただく予定でございます。また、部会におきましては28日、そして、6月に入りまして、6月8日というスケジュールでお願いしたいというふうに思っております。スケジュールにつきましては、以上でございます。

鈴木部会長
それでは、大分予定の時間をオーバーしてしまいまして、申し訳ありませんでした。
次の日程、5月28日ということでございますので、本日は、議事をこれにて終了させていただきます。どうもありがとうございました。

午後 0時14分 閉会