中央環境審議会地球環境部会(第4回)議事録

1.日 時

平成13年12月20日(木)14:00~17:00

2.場 所

東条インペリアルパレス5F 曙の間

3.出席者

(部会長)浅野 直人 
(委員)清水 誠  天野 明弘
青木 保之  浅岡 美恵
飯田 哲也  飯田 浩史
太田 勝敏  猿田 勝美
塩田 澄夫  須藤 隆一
上野 征夫  高橋 一生
西岡 秀三  浦野 紘平
松野 太郎  宮本 一
村上 忠行  甕  滋
安原 正  横山 裕道
佐和 隆光  大塚 直
和気 洋子  三橋 規宏
萬谷 興亞  桝本 晃章
桝井 成夫  福川 伸次
廣野 良吉  波多野 敬雄
永田 勝也  武内 和彦
大聖 泰弘  森嶌 昭夫

4.議 題

  1.  京都議定書の締結に向けた国内制度の在り方について
  2.  今後のフロン対策の在り方について(第一次報告)
  3.  地球温暖化対策税制専門委員会の審議状況について
  4.  最近の地球環境問題の状況について
  5.  持続可能な開発に関する世界首脳会議(ヨハネスブルグ・サミット)

5.配布資料

資料1京都議定書の締結に向けた国内制度の在り方について
参考資料中央環境審議会地球環境部会「京都議定書の締結に向けた国内制度に関する答申案」についての国民の皆様からの意見募集及び公聴会の開催について
資料2フロン回収破壊法の施行に向けた考え方(第一次とりまとめ)
資料3フロン回収破壊法及び同法の施行令・施行規則
資料4今後の合同会議のスケジュール
資料5地球温暖化対策税制専門委員会の審議状況について
資料6地球環境問題への取組の最近の状況
資料7持続可能な開発に関する世界首脳会議(ヨハネスブルグ・サミット)について
 
 

6.議 事

午後2時00分開会

○浅野部会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから中央環境審議会地球環境部会の第4回会合を開催いたします。
 議事に入ります前に、本地球環境部会の委員に異動がございましたので、事務局からご紹介をお願いいたします。

○地球環境局総務課長 地球環境局総務課長の寺田でございます。ご紹介させていただく前に私の方から一言お詫びとお断りをしなければならないことがございまして、実は、本日、20日、財務省から来年度予算の内示がある日でございまして、その内示を受けて環境省の復活方針を大臣のもとで相談する省議が現在開かれております。そこで、地球環境審議官並びに局長が出ておりまして、若干遅参しておりますことをお許しいただきたいと思います。
 また、本日は非常に幅広いご議論を賜ろうかと思っておりまして、本来でありましたら地球環境局の責任者全員が出席すべきところでございますけれども、実は同時に日露の環境協議が開かれております。この関係で、鈴木環境保全対策課長が欠席がやむなきになっておりますので、お許しいただきたいと考えております。
 それでは、新任の委員の方をお二人ご紹介させていただきます。
 まず、11月15日付けの任命でございますが、萬谷委員でございます。
 続きまして、12月19日付けでの任命でございますが、上野委員でございます。
 お二人とも任命と同日付けで当地球環境部会委員に任命されておりますので、ご紹介申し上げました。

○浅野部会長 それでは、どうぞ、新任の委員、よろしくお願いいたします。
 では、本日の資料の確認を事務局からお願いいたします。

○事務局 それでは、事務局より資料のご確認をお願いいたします。
 資料1、京都議定書の締結に向けた国内制度の在り方について
 参考資料、中央環境審議会地球環境部会「京都議定書の締結に向けた国内制度に関する答申案」についての国民の皆様からの意見募集及び公聴会の開催について
 資料2、フロン回収破壊法の施行に向けた考え方(第一次とりまとめ)
 資料3、フロン回収破壊法及び同法の施行令・施行規則
 資料4、今後の合同会議のスケジュール
 資料5、地球温暖化対策税制専門委員会の審議状況について
 資料6、地球環境問題への取組の最近の状況
 資料7、持続可能な開発に関する世界首脳会議(ヨハネスブルグ・サミット)について
 以上でございますが、不足はございませんでしょうか。

○浅野部会長 それでは、もし不足がございましたら、事務局の方へお申しつけいただきたいと存じます。
 本日は大変議題が多岐にわたっておりますので、議事の進行にはどうぞよろしくご協力をお願い申し上げます。
 本日は、まず、地球温暖化問題に関しまして、本部会の下に設置されました国内制度小委員会においてご検討をいただいておりました「京都議定書の締結に向けた国内制度の在り方について」をご審議をいただきたいと存じます。また、本部会、7月の部会において諮問されました「今後のフロン対策の在り方」については、「フロン類等対策小委員会」においてご検討をいただいていたところでございますが、このたび、業務用冷凍空調機器関係の「第一次報告」をおまとめいただきましたので、ご報告を受けたいと思います。
 さらに、地球環境部会と総合政策部会との合同部会で審議がなされてまいりました、地球温暖化対策税制専門委員会での審議状況につきまして、事務局から報告を受けたいと思います。
 その後、地球環境問題の最近の状況及び「持続可能な開発に関する世界首脳会議」について、事務局より報告をいただきたいと考えております。
 本年1月に環境省が発足をいたしまして、中央環境審議会に新たに地球環境部会が設置されまして、おおむね1年を経過しようとしております。この間、京都議定書の締結に向けての国内制度の検討やフロン対策の在り方といった早急に対策を迫られる課題を中心に審議を行ってまいりました。他方では、来年はリオで地球サミットが開催されましてから10年という節目の年を迎えることになりまして、8月にはヨハネスブルグにおいて「持続可能な開発に関する世界首脳会議」が開催されることになっております。本部会におきましても、幅広く地球環境問題の解決や持続可能な開発の実施に向けた取組について論議をしていきたいと存じます。来年への導入も兼ねまして、本日は地球温暖化問題以外の課題に関しても事務局から報告を受けたいと考えているところでございます。
 事務局は2時間半で終われと言っておりますが、果たして本当にそうなるかどうか自信はございません。けれども、多くの議題がございますので議事の進行にはどうぞご協力よろしくお願い申し上げます。
 では、まず初めに、先ほど申し上げました、国内制度小委員会においてご審議をいただいておりました「京都議定書の締結に向けた国内制度の在り方」について、小委員長であります安原委員からご報告をお願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。

○安原委員 安原でございます。
 それでは、小委員会のご報告をさせていただきたいと思います。資料1でございます。
 小委員会は地球環境部会の下に設けられまして、京都議定書の締結に向けました国内制度の在り方に関しずっと審議を行ってまいりました。メンバー各位にはCOP6再開会合以後5回にわたり終始活発な討議をしていただきまして、意見のとりまとめにも全面的に協力をいただきまして、その結果、きょうお手元にあるような報告書の提出の運びになったものでございます。メンバー各位からたくさんの貴重なご意見を賜ったこと、そして、事務局において献身的な調整努力・作業を行っていただいたことに感謝の意を表したいと思います。
 それでは、報告書の中身でございますが、まず目次を開いていただきますと、報告書の構成が示されております。時間の関係がございますので、できるだけ簡潔にご報告申し上げたいと思います。
 中身に入りまして、まず1ページのところに「はじめに」ということで、経緯が示されております。そこにありますように、最後から2つ目のパラグラフですが、COP6の再開会合の後に国内制度小委員会の方で審議を再開いたしまして、COP7において最終合意がなされまして、政府は次期通常国会に向けて京都議定書締結の準備を本格化させる決定がなされましたので、この状況を踏まえて審議を精力的に進めましてまとめたものでございます。
 それでは、次のページは、4ページの最後のところに、最近における我が国の温室効果ガスの排出の状況が以下5ページにかけて示されております。そこにございますように、最新のデータは1999年度でございまして、温室効果ガス全体の排出総量が13億 740万トン、基準年に比べまして 6.8%の増加となっているということでございます。そのうち二酸化炭素だけを取り出しますと、1990年比9%の増加でございます。以下、排出量の増減の要因分析をやっておりますが、省略いたします。
 8ページに移っていただきたいと思います。既存の対策・施策をとるとして、このまま推移すると2010年にはどうなるのかというところが3つ目のパラグラフのところに示されておりまして、これは目標達成シナリオ小委員会の中間まとめでございますが、2010年の温室効果ガスの排出量は基準年比8%増程度になるという予測でございます。目標が6%減ということでございますので、我が国にとって京都議定書の目標を達成していくことは決して容易ではないが、我が国は、政府・国民・各界各層が連携・協働して、目標達成に挑戦していく必要があるという認識を示しております。
 そして、国内制度としまして、まず、京都議定書の特徴を3つほど挙げております。目標達成の義務を負うのが2008年~2012年ということで、少し先の期間であるということ。それから、法的拘束力のある京都議定書の目標達成のための具体的な政策・措置は、各国の裁量に委ねられているということ。それから、3番目に、補足的な手段として、京都メカニズムという費用対効果の高い仕組みの活用が認められているということを特徴として挙げております。
 そこで、どういう対策を第1約束期間に向けて今後展開していくかということですが、ステップ・バイ・ステップなアプローチをとるのが適当であるということが出ております。これの義務が生ずるのは2008年ではございますが、対策は非常にリードタイムがございますので、その以前から講じていかなければならない。そういたしますと、確実な達成を図る方法としまして、次の9ページに移っていただきまして、目標達成に必要な2010年までの対策・施策の全体像を明らかにし、その進捗状況・排出状況を見て、2002年以降定期的に定量的な評価をやって、適宜、対策・施策を見直す、そして、必要であれば対策・施策を追加していく、そういうことで目標達成に向けてソフトランディングしていく方法が適当であるということでございます。
 そのために、2002年~2004年を第1ステップ、2005年~2007年までを第2ステップ、2008年~2012年これは約束期間ですが、第3ステップということで、3ステップに区別
しまして、第2、第3ステップの前に対策・施策の進捗状況・排出状況を評価しまして、必要な場合に追加対策を講じるということでございます。
 それから、その一番下のところに、第2約束期間以降も視野に入れた長期的な戦略が必要であるということも提言しております。それから、対策自体は費用対効果の高い取組を進めることが必要だということでございます。
 次のページに移っていただきまして、10ページのところでございますが、「国内対策の留意点」の第2パラグラフのところでございますが、「現下の厳しい経済情勢に鑑み、地球温暖化対策の推進に当たっては、経済界の創意工夫を活かし、我が国の経済活性化にもつながる環境と経済の両立に資するような国内制度の整備・構築を目指すべきである」ということ。それから、一番最後のパラグラフで、「我々のライフスタイルを、温室効果ガスの排出の少ない、簡素で質の高いライフスタイルへと変革し、真に豊かな暮らしを目指すことが望まれる」としております。
 それで、具体的な目標達成の手法としまして、「京都議定書目標達成計画」を策定し、その実施状況を評価・見直ししながら、目標に到達していくということを挙げております。これはいわば大綱に代わる新たな目標達成計画として策定されるものでございます。この計画は法律に基づく計画にすることが必要であるということで、その理由を3点挙げております。
 次の12ページに移っていただきまして、計画に盛り込む事項はどういうものかということでございますが、2002年に策定する「京都議定書目標達成計画」は、第1ステップの対策・施策によって京都議定書の6%削減目標を確実に達成することを定量的に明らかにすることが必要であるということで、具体的な事項として、目標量、それぞれの主体の役割、個々の対策ごとの導入目標量、2010年におけるそれらによる削減・吸収見込み量、個々の対策の導入促進のための国等の具体的な施策、その施策をどういうタイムスケジュールに入れていくかという工程表、こういうものを盛り込んだ計画とすべきだということでございます。
 それを第2ステップあるいは第3ステップの開始前に評価いたしまして、必要な対策を追加していくということで、そのために情報システムの整備が必要であるということで、具体的な案を示しております。
 13ページに行きまして、国だけではなくて、地域の状況を踏まえて、地方公共団体がそれぞれ計画を策定することが適当であるとしております。
 それで、8のところで、「議定書目標の達成のための排出削減・吸収に関する対策・施策」ということで具体的にお示ししておりますが、ここのところは後ほど事務局の方にご説明を委ねたいと思います。
 ずっと飛んでいただきまして、その対策の中にも入っているわけですが、23ページのところに、「京都メカニズム」の関連を述べております。国内対策が主体でございますが、国内対策で目標達成が困難な場合には、補足的にこの京都メカニズムの活用が認められていると。具体的には、クリーン開発メカニズム、共同実施、国際排出量取引がございます。これらは非常に市場メカニズムを通じた費用対効果の高い取組でございまして、このCDMあるいは共同実施につきましては2000年以降に開始されている事業についても対象となるということでございますので、当面、これに必要な仕組みの構築に取り組むべきだということを言っております。それから、2008年からは、国際排出取引を含めて、本格的に京都メカニズムが活用できるようになりますので、2006年中には、それまでの経験等を踏まえて、本格的に活用するための仕組みをつくらなければならないということでございます。
 それから、経済的手法につきまして2つ言及しております。温暖化対策税制、これにつきましては、京都議定書の締結の際に、必須ではございませんが、目標達成をより効率的に実現できる可能性がある政策手法であると、それから、幅広い排出部門を対象とすることが可能な手法であるということで、後ほど説明があります専門委員会の方で引き続き検討を進めていただくということが適当であるとしております。
 それから、京都メカニズムの方の国際的な取組ですが、国内排出量取引制度をどうするかということが出ておりまして、ここでは、第1ステップにおいては、自主的な取引の実施を支援するということ、第2ステップにおきましては、それまでの動向を踏まえまして、必要に応じ国内の排出量取引制度の多面的な検討を行う、第3ステップでは、国際的な排出取引制度の活用ということにつながっていくということでございます。
 それから、経済的手法を含めた政策パッケージにつきましても、引き続き検討をしていく必要があるということをここで言及しております。
 それから、技術開発の促進、調査研究の推進が必要であると言っております。
 最後に、「終わりに」ということで、一番最後のパラグラフでございますが、「この報告書を踏まえて、政府が、各省庁一体となって、幅広い国民各界各層の十分な理解を得ながら、京都議定書の目標の達成に向けての実効性ある国内制度の整備を行うことを要請する」というのが1点、それから、「ヨハネスブルグ・サミット期間中に発効するよう早期に我が国が京都議定書を締結することを期待する」ということで、期待を表明しております。それから、最後に、「長期・継続的な排出削減に向けて、脱温暖化型の社会の構築を期待したい」ということで締めております。
 以上でございます。あとは事務局の方でご説明をよろしくお願いいたします。

○地球温暖化対策課長 それでは、13ページにお戻りいただけますでしょうか。13ページの下で、「京都議定書目標達成のための排出削減・吸収に関する対策・施策」という項がございます。ここでは、先ほど11ページに「議定書目標達成計画」というのがございましたが、そこで以下のステップごとの対策・施策を盛り込むと。それから、導入に当たって法的措置を講じることが必要な対策・施策につきましては、別途法律に規定するということでございます。
 まず・でございますが、「地球温暖化防止に関する国民各界各層の理解と行動を求める活動の展開」ということで、人々の価値観を含め、ライフスタイルなどの在り方が温室効果ガスの排出に大きくかかわっております。したがって、こういったものを変革していくということが重要であるということで、さまざまな、既存の仕組みも含めて、各界各層・政府一体となって強力にこの変革を推進する必要があると。それから、地球環境時代にふさわしい社会システムとしては、サマータイムあるいは夏季一斉休暇などの十分検討に値する施策があるということで、これらの導入に関しての国民的議論あるいは合意形成を進める必要があるということでございます。
 次に、日常生活と事業活動の2つに大きく分けまして、それぞれのステップごとの対策・施策が盛り込まれております。
 まず、日常生活における第1ステップの取組ですが、その中で、「取組を促進・支援する新たな基盤づくり」ということで、幾つか述べられております。
 まず、地球環境時代にふさわしいライフスタイルの形成に向けた運動の全国的展開ということで、80年代後半からの温室効果ガスの排出量の増加というのは、日本人のライフスタイルの変化に起因するところも大きいと。そこで、ライフスタイルは変えることができるものであるわけであろうと、地球環境時代にふさわしいライフスタイルの形成を目指す運動を全国的かつ長期的に展開することが必要であると。
 この中でも、次の15ページでございますが、断熱性の高い住宅あるいは燃費のよい自動車など、こういった製品に起因するものが多いわけでございますけれども、それに対しましては、メーカーなど供給側の努力と需要側である消費者の環境志向の両面が必要であろうということでございます。こうした製品の利用・消費を通じた排出の増大に対する取組といいますのは、比較的即効性のある分野であろうということで、その内容などをわかりやすく示すと。例えば、「家庭における10の取組」ということで、下の注にもございますが、10のいわば家庭の中でだれでもできそうな取組でありますけれども、それらを完全にやりますと全排出量の 2.8%ぐらいになるというものでございますが、そういったものをわかりやすく情報提供しながら行っていくと。さらに、そういった取組の実施状況を定量的に評価するということが必要であろうということで、日常生活における排出量の変化といったものを定点観測するなどの手法を導入することも効果的であるという点でございます。
 それから、「地域レベルでの取組の基盤」といたしまして、ここに2つございます。1つは、都道府県温暖化防止活動推進センターというのが今現行の地球温暖化対策推進法で規定されておるわけでございますが、現在、全国で10の道県で指定されております。法律上指定されるのは、民法上の財団法人、社団法人でなければいけないという制約がございます。一方で、NPO法人の普及にはめざましいものがあるということで、多くの府県からの要望にも応え、現行の民法法人のほかに、NPO法人もこうした温暖化の情報提供・相談等々の活動を支援するセンターというものの指定対象に加えて、その活動を広めていこうということでございます。
 それから、基礎自治体である市町村において、温暖化防止協議会といったものを設置することによってパートナーシップによる温暖化対策を推進ということで、行政や各種事業者、各種団体、住民といった方々のパートナーシップによる温暖化対策を進めるため、実践かつ対策プロジェクト、あるいは実践活動などの企画・合意形成・実施といったものを進めるための協議会というものを設置できるということにいたしまして、その上で国としては先導的な対策プロジェクトに対する財政的な支援、あるいはモデル地域の設定などによる多様性ある取組の支援、さらには、そういった多様性ある取組の支援・経験交流促進などを行うことが適当であろうということが1つございます。
 次に、「各家庭などにおける取組の促進・支援」でございますが、1つは温暖化診断ということで、家庭やレストランなどにおいて、専門家が、断熱の状況でございますとか、あるいは照明・厨房機器の性能などを経済性評価を含めて診断し、費用対効果が高く温室効果ガスの排出が少ない方法をきめ細かくアドバイスするという事業を展開したらどうかと。
 それから、家庭における排出量の把握の促進ということで、家庭におきましても排出量を簡便に把握するということが取組を効率的に進めることにつながるということでございまして、電力、ガスなどの代金の領収書などに温室効果ガスの排出量を記載するなどによって、こういったデータが提供される仕組みが有効であろうと。
 3番につきましても、電気製品などが直接・間接に排出するわけでございますが、ライフサイクルでの温室効果ガスの排出量に関するデータの公表や提供が必要であろうと。
 それから、(イ)でございますが、「日常生活における具体的取組の推進」ということで、先ほどもありましたように、メーカー側など供給側の対策と、それから、消費者など需要側の対策ということで、幾つか、例示でございますが、掲げられております。よりよい製品の普及促進、あるいは住宅の断熱性に関する次世代基準の普及促進、低公害車 1,000万台の普及等々、あるいは国産材を使った住宅や建築物等の普及といった、供給側の対策。それから、需要側の対策として、裏返しになりますが、買換の促進、あるいは家庭用ヒートポンプ給湯器、脱フロン冷蔵庫といったものの利用、木材などの利用などなどが・として挙げられております。
 以上が日常生活における第1ステップの取組の基盤と個々の対策ということです。
 次に、事業活動における第1ステップの取組ということで、まず、国や地方公共団体も事業者でございますので、まずその分野で、既存の温暖化対策推進法で、事業者としての国・地方公共団体はその事務・事業に関して実行計画を策定するということが義務づけられているわけですが、これを強力に推進していこうと。それから、最後のところにございますように、とりわけ市町村は、公営交通、廃棄物事業などを行っているわけでありますが、こういった事業の中において具体的な温暖化対策が取り組まれていくことが重要であろうと。
 2番目でございますが、グリーン購入の拡充・強化ということです。
 それから、(イ)でございますが、事業者の自主的取組といったことで、経団連自主行動計画等の自主的取組の透明性・客観性等を高めるための基盤づくりということで、自主的取組は大きな成果を上げてきておりますが、環境報告書などによって一般の目に触れることはそんなに多くないと、したがって、取組の実績についての透明性や客観性が十分に確保されているとは言えない状況ではないだろうかということで、第1ステップにおいてはこうした自主的取組の一層の推進を図るという観点から、自主的取組の透明性・客観性を高めるための施策を講じる必要があろうということで、ここで2点ございます。
 1つは、排出量の事業者による把握と公表でございまして、事業活動に関する排出量・吸収量、それの総量あるいは原単位でございますが、これを事業者自らが把握し公表するという仕組みを整備することによって、自主的な取組の透明性・客観性を高めて、自主的な取組の促進に資するということが必要ではなかろうかと。
 2点目に、自主取組の第三者評価の仕組みということで、現行の法律では事業者につきましては計画策定の努力義務がございますが、それに基づきまして自主的に計画策定などを行っている事業者が任意にその計画あるいは排出量について民間の第三者の評価を受けることができる仕組みを整備することによりまして、自主取組の透明性・客観性を高めることが必要ではないだろうかということでございます。
 ・では、経団連自主行動計画の業種の拡大・拡充が望まれると、それから、中小事業者につきましては、排出量の把握等々につきまして、地方自治体が支援していくことが必要ではないかということでございます。
 (ウ)のところでは、技術対策の導入促進ということで、高性能工業炉等々の対策技術の普及促進を図ると。
 (エ)でございますが、まとまった需要の確保によって生産コストの低減あるいは普及促進という観点から、国や全国の都道府県、市町村などで、例えばでありますが、何年までに何万台導入するという予定が示されれば量産が可能になって、そういった温暖化対策に資するものの追加的導入コストも低減するのではないかと、こういった取組も推進すべきであろうと。
 ということで、事業活動におきます第1ステップの取組は今述べられたところでございます。
 ウといたしまして、日常生活と事業活動における、両方の分野におきます第2ステップの取組。これは例示でございますけれども、追加的な取組の例としては、ライフサイクル・アセスメント情報を公表・提供する制度でありますとか、自動車の小型化などを誘導する仕組みでございますとかが、日常生活においての例示として挙げられております。それから、事業活動におきます例示といたしましては、事業者の実行計画の策定などの義務、あるいは政府との間の協定、そういったところが例でございます。
 次に、「都市・地域基盤の整備などによる脱温暖化型社会の形成」ということで、長期的、構造的に行っていく必要があろうということでございます。これらにつきましては、いつまでにどれだけの対策を講ずるのか、あるいは、その効果はどのぐらいあるかなど、わかりやすく計画に位置づけることも必要だろうということで、3点、3つの分野で出ております。
 1つは都市・地域基盤整備でございまして、例えば、屋上・壁面の緑化、都市内の水面の確保によるヒートアイランド現象の緩和に取り組む、あるいは、廃熱を利用する地域での自然エネルギーを拡大するなどのエネルギー利用の効率化を促進する。一方で、吸収源対策として、緑地の整備、あるいは国産材の利用ということも必要であろうと。
 イといたしましては、交通体系のグリーン化ということで、公共交通機関の活用、あるいは自転車道路などのインフラの整備等々の分野。物流対策として、低環境負荷型の次世代内航船の開発・普及による内航海運の競争力強化などによるモラルシフトなどといったところでございます。
 ウでは、循環による脱温暖化型社会づくりということで、資源やエネルギーの利用面での一層の循環と効率化を進めていくと。
 ・では、「吸収源対策」ということでございます。京都議定書の目標を達成するために吸収源の活用が認められているわけでございますが、我が国におきましては、最大 1,300万トン、基準の排出量比 3.9%分というのが認められておるわけでございますが、これのために、先般発表されました「森林・林業基本計画」に示された、森林の有する機能の発揮の目標、それから、木材供給及び利用の目標のとおりに計画が達成された場合には、この上限値でありますところの 1,300万トン程度の吸収量の確保が可能と推計されます。ただし、現状程度の森林整備等が推移した場合には、吸収量は 3.7%を大幅に上回る恐れもあるということで、この森林・林業基本計画に基づいて現状の水準を上回るペースの森林整備などを着実に推進することが不可欠だろうということでございます。
 以上、対策・施策につきましてご説明申し上げました。

○浅野部会長 それでは、ただいま小委員会の報告についてご説明をいただいたわけでございます。そこで、ただいまからこの小委員会の報告についてご質問、ご意見を賜りたいわけでございますが、前回もそのようなやり方をしまして、ちょっと申しわけないとは存じますが、小委員会の方々は5回にわたってこの議論にご参画でいらっしゃいますので、部会のメンバーの方で小委員会のメンバーでなかった方にまずご発言やご質問のプライオリティーを差し上げることの方が正しいと思います。前回同様、そのようなやり方をとらせていただきます。
 それでは、小委員会のメンバーでなかった方でご質問、ご発言をご希望の方は、慣例に従いまして、名札をお立ていただきましたらこちらで順番を確保させていたしますので、時間に遅れるとご発言の権利がなくなりますというのは脅かしですが。
 廣野委員、武内委員からご発言のご希望がございますが、ほかにいらっしゃいますでしょうか。
 須藤委員からもご希望がございました。
 ほかに小委員会のメンバー以外の方でご発言ご希望の方はいらっしゃいますか。
 それでは、そのお三方に。まず、一番早かったのは廣野委員でありますので、廣野委員、武内委員、須藤委員の順番でまずご質問、ご発言をいただきたいと思います。

○廣野委員 小委員会の皆さん方のご努力に大変感謝いたします。
 この報告書で、基本的な方向と内容については私は異論はありません。私としてはよくできたものとして大変感謝しております。ただ、ちょっと二、三指摘したい点があります。
 10ページのところに「我が国の国内対策の留意点」というのがあるのですが、この書き方が若干私から見ると消極的な書き方ではないかという感じで、その点を指摘したいと思います。特に上から第3パラグラフのところに、「このような」というところから始まりますけれども、そこの第2行目のところにこんなふうに書いてあるんですね。「投資の増加、消費者側における環境にやさしい消費へのシフトにより温暖化対策による我が国経済への影響も緩和される」と書いてあるんですね。私はこれは非常に消極的な言い方だなというふうに感じました。やはり、そうでなくて、基本的には、こういうような新しい技術を開発したり、そういったものへの投資も必要になりますし、それから、消費者側のこういう商品へのシフトによってといったことを言って、僕から見ると、温暖化対策というものが非常に我が国の経済に積極的に貢献するんだという……。結局、温暖化対策というのは実は投資であって、これはそういう意味では投資だから、投資だと当然何らかのリターンがあるわけですので、そういう意味でこれは我が国の経済に対して積極的に貢献することが期待されると言った方がいいので、それを「温暖化対策によって我が国経済への影響も緩和される」というのは何か非常に、最初からこういう温暖化対策投資というのはメンションなものであるというとらえ方になっていますので、そうではなくて、これはポジティブなものだというとらえ方に変えた方がいいのではないかというのが1つ。
 それから、同じそのパラグラフにちょうどあるのですが、そこに、「京都議定書発効に伴い実現する温暖化対策の世界市場を我が国がリードすることを目指すべきである」、このとおりですね。だから、僕が思うのは、我が国の国内のそういうシステムをつくることによって、確かに我が国自身のモデルを提供することができ、同時に世界市場をリードすることを目指すべきなわけなのですが、同時に、私は、国際的なそういうようなもろもろの具体策というものを、どうやるべきだろうかという国際的な具体策についてもリードするぐらいの意味を持った方がいいのではないかと。ということで、ここも若干、そういうような国内対策をちゃんとやることによって我が国が世界市場をリードするというだけではなくて、国際的な具体策の取組なんかについても積極的に役割を果たすと。これは前にも、環境基本計画の見直しのときにも同じような言葉が出ましたけれども、やはりそれも同じような考え方でやった方がいいのではないかと。これが第2点です。
 第3点ですが、これも以前から何回もこの審議会の場でいろいろ議論されておりましたけれども、「一方、我々のライフスタイルを大量生産・大量消費・大量廃棄型のものから……」と書いてあるのですが、その後の「温室効果ガスの排出の少ない、簡素で質の高いライフスタイル……」は結構なのですが、「簡素で質の高いライフスタイル」というのは、結局、大量生産というのがないと言えないんですね。そういうことを考えると、やはりこの前の方の「我々のライフスタイルを大量生産・大量消費・大量廃棄型のものから」と言うのではなくて、これを例えば「大量消費・大量廃棄型のものから」と、「大量生産」という言葉を入れることは非常に不適当ではないかと。なぜかというと、21世紀のこれは例えば2008年~2012年ですけれども、その段階であっても当然私たちは大量生産をするわけですね。そういう意味で、その大量生産から離れることはできないわけですから、これは人間の生活がますます複雑になって経済的な富を拡大しようとしているわけですから。そういう意味から言うと、ぜひ「大量生産」という否定的な言葉をつけるのではなくて、「廃棄型」とか「大量消費」、そういうもののところから、この温室効果ガスの排出の少ない、簡素で質の高いライフスタイルへと変革すると。そういう意味で、大量生産というのは特に取っていただいた方がいいのではないかというのが僕の考えです。
 以上です。

○浅野部会長 ありがとうございました。
 武内委員、どうぞ。

○武内委員 22ページの「吸収源対策」ということに関しての意見でございます。
 この部分がこれまでの議論の中に余りなくて、この部分を強化しないと単に 1,300万炭素トン、 3.9%対基準年排出量比というものがいわば引き算の数字になってしまうというふうなことになると、それが仮に認められない場合にはこの国内制度そのものの根幹が緩むということでぜひご協力をいただきたいというふうに申し上げ、それに基づいて小委員会をつくって3回にわたりご議論をいただき、その結果こういうふうに書き込んでいただいたということに、まず感謝を申し上げたいと思います。
 内容的には先ほどご説明があったとおりでありますけれども、この 1,300万炭素トンというのは日本の国土の約7割の経営されている及び保全的な措置がとられている森林が成長するということの総量が大体このぐらいの数字になるというふうなことで理屈は成り立っているわけでございますが、注釈にございますように、そのほとんどは本来適切な森林施業が行われている森林というものに対しての認定があってという大前提でございます。これが認定されるかどうかということが今後の議論の大きな争点になるということで、これは我々が経営しているというふうに単に思うだけではだめでありまして、これは国際社会の中で認知されるというふうなことが必要であるということでございます。
 ご承知のように、我が国の森林は、戦後に植林されて、その後かなりの部分が十分経営されないまま今日に至っているというふうな現状がございますので、その辺のことをきちんとやっていかない限り、現状ではこの数字を認めていただくのは非常に難しいというのがここで言う本来の趣旨でございます。したがいまして、森林・林業計画を着実に実行すれば可能であるという言い方も当然できるわけですけれども、反対の面から見ると非常に難しいという認識を委員としては持ってい続けているということはぜひ私の方で申し上げておきたいと思います。
 なお、森林・林業基本計画に関しましては、例えば国有林等における林道整備等についてはさまざまな形で記述されておりますけれども、私の見ますところ、例えば民有地における森林の経営というふうな観点とか、それから、今、木を1本売ってもその売った価格で当初の伐採にかかる費用が賄えないというようなそういう現状でございますので、そういうふうな現状を改善していくための何らかのソフト的な対策というふうなものも当然のことながら考えていく必要があるのではないかというふうに思っております。そういう点では、今後、この数値あるいは議論の精緻化等を含め、環境省及び林野庁でさらに議論を深めていただくことを強く期待いたしたいというふうに思っております。
 それから、ややきょうの議論を先取りして申し上げるといたしますと、この後に温暖化対策にかかわる税制の検討というふうなものが提起されておりますけれども、これは排出抑制にかかわるさまざまな利活用ということだけではなくて、今申し上げましたようなそういう吸収源の吸収対策というふうなところにもこういう議論が十分結びついてきて、結果として、排出されるのと吸収されるのが連携を持っていくような新しい国内制度の仕組みというふうなところまで議論を進展させていただけることを非常に強く希望いたしております。
 以上でございます。

○浅野部会長 大変この背景にある事情について適切なコメントをいただきました。
 最後のご発言の点については、また後ほどの報告の中でもどうするかということは議論できるかもしれません。
 それでは、須藤委員、どうぞ。

○須藤委員 ただいまご説明いただきました国内制度の在り方について、大変よくできておりますし、私としてはその中で申し上げるようなことは全くございませんので、賛成でございます。ただ1点、地方自治体の環境行政の一端をお預かりしてる立場から、1点だけ申し上げさせていただきたいことがございます。
 といいますのは、この中で、国民一人一人のとか、地方自治体とか、地方公共団体というキーワードがたくさん出てきているのですが、国と地方公共団体との連携とか、あるいは地方公共団体の役割とか、その辺のところがもう少し強調されてこないと、地方公共団体が本気でやらないとこの問題は実現できないのではないかという印象を受けています。地方公共団体で今一番困っているのは、20世紀の積み残しのような部分がたくさんあって、なかなかこういう問題にすぐに移れない、人も足らない、お金も足らないというような問題もございまして、やはり財政的援助・支援とか、そういうものが必要でありますので、地方公共団体が積極的にこの問題について推進できるようなご配慮をお願いしたいと、そこでございます。よろしくお願いいたします。

○浅野部会長 どうもありがとうございました。
 同じようなご意見は小委員会の中でもたびたびいただいているところでございます。
 それでは、ただいま3名の委員の方からご発言がございましたが、武内委員からはコメントをいただいたということと、須藤委員からのただ今のご趣旨はよくわかりました。廣野委員からのご発言の点について、小委員長からお答えいただける点はお答えいただきます。

○安原小委員長 廣野委員から貴重なコメントをいただきまして、本当にありがとうございました。
 影響の緩和のところの表現が非常に消極的ではないかというご指摘でございますが、温暖化対策となりますと非常に広範な施策を展開しなければならない、その中には、ある程度費用がかかるとか、あるいは、そちらに投資した場合にその分だけ生産関係の投資がある程度抑制ぎみになるとか、いろいろなマイナスが懸念されるケースもあるわけですね。だから、そういうことが部分的にはあっても、こういう消費が喚起される面があって緩和されるというつながりで書いたわけでございますが、これは最終的にまた案文を固める過程でよく相談してみたいと思います。
 どうもありがとうございました。

○浅野部会長 それでは、小委員会の方で特にここでご発言ご希望の方がいらっしゃいましたらどうぞ名札をお立ていただきたいと思います。
 よろしゅうございましょうか。
 飯田委員。
 ほかにはいらっしゃいますか。
 松野委員ですね。
 それでは、そのお二方のご発言をもってこの件についてはご発言を打ち切りますので、ご了承ください。

○飯田委員 私は小委員会の委員ではなかったのですが、オブザーバーでちょっと参加させていただいて、最後の2回は海外出張で出られなかったものですから、最終回の14日に向けて電子メールでコメントをお送りしたのですが、恐らく審議されなかったのか、きょうも配布されておりませんので、その内容だけちょっと手短に申し上げたいと思います。それから、きのうちょっと新エネ部会もありましたので、それも含めてちょっとコメントあるいは質問を。
 まず13ページ目の上の方にある・ですが、これは単なる誤字ですが、「インベントリー」だと思いますこれはどうでもいいのですが。
 15ページ目の「家庭における10の取組」で、これは小委員会の中でも私は発言をしたのですが、きょうは「10の取組」の中までは問いませんけれども、これの中に書いてある1個1個の項目はキャンペーンで本当に広がるような項目ではないというふうに私は小委員会の中で発言しております。例えば、1人1分間シャワーを短くするということはキャンペーンをしてもそんなことが現実に広がるとはとても思えない、むしろそういう実効的な効果が上がるような制度とか商品開発とか仕組みとか、そちらの方が重要ではないかというふうに指摘したのですが。ですから、きょうは中身は問いませんけれども、本文の方で、単にキャンペーンではなく、そういう行動を促すような仕組みとか、そういう方向を入れていただいて、キャンペーンでは決して動きませんので、そのことは強く申し上げたいと思います。
 それから、16ページ目の「温暖化対策診断事業」についても、これは海外でゆっくり眺めていて、ちょっとこれは違和感があったのですが。これは単に質問です、中身を今から見直すわけではなくて。この事業の実施というのは国の直轄事業で行うのか、もしくは省エネ診断のように、民間事業として行うことを支援するとか促すようなことなのか、それによってはちょっと意味合いが違ってくると思いますので。国が 100%補助するのであれば、こういう診断事業ではなくて、より次のいわゆる排出量取引のベースにつながるような実質的な価格とか、より政策に生きるお金の使い方があるような気がします。これは質問です。
 それから、19ページの「技術対策の導入促進」、ここで2つあります。まず、小委員会の関係でコメントした これはメールで後でお送りしたコメントですが、安全性の確保を前提として原子力開発の利用という項目が唐突に入ってきているのですが、これについては小委員会で基本的には議論にならなかった 議論というか、特に上がってこなかった点で、後で桝本さんがメールでやはりコメントされていたと思いますが。それは立場上私もよくわかるのですが、やはり1つは議論していなかったということで、原子力はCDMのJIでもリフレイン・フロンというふうになった技術でもあり、国内でもこの前三重県の海山町で反対が多数を占めたと、誘致をしようとして住民投票して反対が占めたと、最近も事故が続いておりますし。いわば例示といえば例示ですので、これをあえて挙げる必要はないのではないかということで、これは削除していただきたいと。
 それから、その前の「自然エネルギーからの電力の新たな市場拡大措置」、まず「自然エネルギー」となっているところはぜひそのまま残していただきたい、これは要望です。
次は質問なのですが、きのうの新エネ部会で こちらは経済産業省の新エネルギーです
が、我々が試算したところによると、この新たな新エネ拡大措置を導入すると、自然エネルギーではなくて、ごみ発電、とりわけハイクラ発電、化石燃料発電が大量のふえる可能性があります。それとの整合性はきょうすぐには議論できないのですけれども、例えば新エネ拡大措置でハイクラが大量にふえて、二酸化炭素排出量がふえて、そのためにわざわざ海外から二酸化炭素の物質を買ってくるとか、そういうばかげたことすら起き得ないようなそんな状況がありますので、この点については環境省として、この地球環境部会としても、新たな市場拡大措置が自然エネではなくて新エネということでかなり違った意味を持つということはきちんと今後も見ておく必要があるということを これはコメントですね。
 以上です。

○浅野部会長 それでは、松野委員、どうぞ。

○松野委員 小委員会の委員ではありませんが、ちょっと遅れてきて遅くなってしまいまして失礼しました。
 最後の、10、「調査研究の推進」というところで、25ページにかけてですが、その最後に、「研究が不十分であるから戦略的・集中的に調査研究を進めるとともに、監視・観測体制を強化していくことが必要である」とありますが、私は、既に温暖化がある程度認められている、それでいろいろな変化が起こっているということがいわば今回の第3回のアセスメントではっきり出ておりますし、事実そういう状況に来てますし、今後さらにそれが進む可能性がありますので、「監視・観測」というのは文字通り何か変なことが起こらないようにそれを監視・観測する、あるいはどういうふうに変化していくかを見る、そういうことがまず第1の目的で、調査研究を進めるとともに監視・観測をするのではなくて、独立して必要なことだと思います。つまり、地球がどう変わっていくかを観測・監視するということです。
 ということで、ここの表現 やることは同じであっても、表現の問題として、例えば
10の「調査研究の推進」というよりは、これは「監視・観測と調査研究の推進」とでもいいますか、別のことだと思います。つまり、研究のために観測するわけではなくて、監視ですから。ということで、具体的にはそういう表現にして、あるいは項目はそうして、提案としては、最初に、「IPCCの第3次報告書によると、地球温暖化は既に認められている。今後、排出抑制の効果を確認し、気候変化に適切な対応策をとるためにも監視・観測体制を強化し、地球の変化を確実に変化する必要がある」というような文を入れていただきたいと思います。その後に、「解明は進んできているが、まだまだ不確かな分野も多いということで、以後もいろいろと研究をする」と。最後のところは最初に持ってきましたので、監視・観測は省くと。そういうような 表現かもしれませんが、考え方もそういうふうに私は思っておりますので、提案いたします。

○浅野部会長 わかりました。
 それでは、ただいまご発言いただきましたが、このうち、廣野委員のご発言については小委員長が既にお答え申し上げました。飯田委員からのご質問で、温暖化対策診断事業について、これは一体どういうところが主体になるのかというご質問でありますが、これについては竹内課長からお答え頂きます。

○地球温暖化対策課長 温暖化対策診断の事業でございますが、大きなオフィスビルなどにおきましては民間ですと事業者が実施するケースがだんだんふえてまいりましたが、家庭、レストラン、小規模店舗といったところでのこういった断熱の性能あるいはさまざまな機器の性能についての診断あるいは専門家の斡旋といったことはなかなかしにくいわけでございますので、当面、来年度の予算措置で私どもの方で、先にあります都道府県の温暖化防止活動推進センターが専門家を斡旋するというやり方で、環境省の予算でやらせていただこうというふうに思っております。

○浅野部会長 具体の話になった段階でまたいろいろお話しいただきたいと思います。
 それから、修文についてのご意見が出ておりますが、原子力の件に関してはずっと以前から延々と続いている議論でありまして、現在、国の方針の中にそれが入っているということがあり、環境基本計画の中でもそのことについて触れているということがございますので、小委員会の中では十分にその点についていろいろご意見があって、結果的にこういう形で従来どおりの文章で落ち着いておりますので、ただいまの飯田委員のご発言は十分に記録としてはとどめておきますので、とりあえずそれでご了承いただきたいと思います。
 なお、修文のご意見として出されておりますものが若干あると思いますので、この点につきましては、ただいままでのご意見を踏まえ、ご発言をなさった委員の方あるいは小委員長とご相談をしながら私の方でとりまとめをさせていただいたものを答申案といたしまして、パブリックコメントを実施させていただきたいと思います。今回はこれで決定ではございませんで、まだパブリックコメントの手続きがございます。そのパブリックコメントに付する案文については私の方にご一任をいただきたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
              (「異議なし」の声あり)

○浅野部会長 ありがとうございます。
 それでは、パブリックコメントの結果を踏まえて、再度、部会を開催いたしまして、大臣への答申決定いたします。
 このパブリックコメントに関してでございますが、従来どおり答申案につきまして、メール、書面等で広く一般の方からご意見をいただくことにしております。お手元に参考資料として資料の1の後に「パブリックコメント及び公聴会の開催について」の実施要領が出ておりますが、これにございますように、今回は特に公聴会を1月16日に開始するということを事務局では考えられておられます。つきましては、また委員の皆様方にご案内を差し上げることになると思いますけれども、お時間がおすきの方は1月16日の公聴会にご出席を賜りたいと存じます。これは公聴会でのご意見も踏まえて、1月24日に、再度、地球環境部会を開催いたしまして、最終的に大臣に答申する答申の案を固めたいと存じます
。それでは、今後そのように取り図らせていただきますのでよろしくお願いいたします。
 まことに申しわけないのですが、この公聴会の日程が、私の都合ではなくて、会場の都合で決まってしまいました。当日私はどうしても大学の会議があって出席できませんので、公聴会に関しては安原小委員長に進行をお願いすることにいたしております。その点はどうぞ、委員の皆様方及び公述人の皆様には大変申しわけございませんけれども、ご了承いただきたいと存じます。
 どうもありがとうございました。
 それでは、次に、「今後のフロン対策の在り方について」という議題をお諮り申し上げます。
 9月の部会において「今後のフロン対策の在り方について」の諮問をいただいたわけでございますが、これにつきましては専門技術的な要素も多いということもございまして、当部会の下に「フロン類等対策小委員会」を設け、富永委員に委員長となっていただきまして、関連いたしますので、経済産業省の産業構造審議会フロン回収・破壊ワーキンググループと合同で検討をいただいてきたところでございます。
 今回、業務用冷凍空調機器関係の「第一次報告」が富永委員長から私の方にございました。この内容を拝見いたしましたが、極めて技術的かつ専門的な事項がございましたので、私の判断でこれを部会の報告ということにさせていただきまして、この報告は部会報告として既に森嶌会長に提出をいたしました。さらに11月30日付けで森嶌会長より環境大臣に答申されております。
 それでは、その内容について事務局から簡単にご説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○環境保全対策課調査官 説明させていただきます。資料は2、3、4でございます。
 まず4の方から全体の流れを説明いたしたいと思います。資料4、「合同会議のスケジュール」ということで、諮問としてはフロン法の施行だけではなくて、フロン類全体の政策を考えるようにという指示をいただいたのですが、当面の課題でありますフロン法の施行につきましては、中環審の小委員会と産構審のワーキンググループの合同会議というのを開かせていただきまして、環境省、経産省が合同に事務局ということで作業しておるのですが、これを都合4回行っております。
 第1回目で、まず破壊につきましては技術的な事項が多いので、破壊についての検討会を設けて、ここで専門的に検討してほしいところが決まりまして、京都大学の平岡先生を座長にした検討会で検討していただき、それを9月7日の合同会議に報告していただいております。9月7日には破壊だけではなくて、第一種製品からのフロン類の回収を行う業者の登録に関する登録の基準、そういう人たちが回収するときの基準などについて考え方をまとめていただきまして、9月14日~12月5日までパブリックコメントを行いました。その結果を踏まえて10月18日の合同会議でまとめられたものが第一次とりまとめに当たるものなのですが、若干の議論が残っていた点がございましたので、それを再度11月29日に審議をしていただきましてまとめていただいたものであります。11月29日には、これ以外にも、カーエアコンからのフロン回収方法につきまして、フロン券方式ということについて審議をいただいき、これを踏まえカーエアコン関係の業者の登録の基準などをまとめていただき、それを今パブリックコメントにかけておるわけでございます。
 この12月の「政省令公布」となっておりますところは、今申し上げましたように、第一種フロン類回収業者の登録の関係、登録の基準としてどんな書類が要るかとか、回収の基準として回収の時にはどんな能力の機械を使うべきだとか、運搬の基準、破壊の許可申請の基準としてどんな書類が要るかとか、破壊の基準どういう施設で破壊しなければいけないのかということが決められておりまして、資料3の中に12月12日に公布されました政令と14日に公布されました省令が入っております。12月21日からこの登録の受付と破壊の受付が始まります。ただし、経過措置がございまして、第一製品からのフロン回収及びフロンの破壊について現在まで業務を行っている方については、6月21日までは今までどおり業務が行われることになっております。
 1月に入りましたら残りの部分についてまたご審議をいただいて、10月の末までにカーエアコンの分も含めて施行を行いたいと思っております。施行の関係は資料4の裏の方に3段階に分けて書いてあります。
 この第一次とりまとめの中でどういう議論があったかということだけ、かいつまんでお話しいたしますと、資料2の3ページをごらんいただきたいのですが、まず回収の基準ということで、どういう能力を持っている機械を持っていなければいけないいうことが議論になりました。トップランナー方式ということで、一番いい機械を認めることにしたらどうかというような意見も大分寄せられていたのですが、現在所有されている平均的な機械を使えるようにして、制度の立ち上がりに際してはなるべく多くの業者に参加していただきたい、というのがコンセンサスになりまして、第一種特定製品に残っているフロン類のおおむね9割の回収が行われる能力ということで、このような表で定めております。これは中に入っているフロン類の圧力によって区分をして、回収機が引き上げる圧力を幾ら以下にするかと、そういう書き方をしたものでございます。今後の技術開発の状況を見ながらこの基準は引き上げていこうということになっております。
 破壊に関しましては、資料をめくっていっていただきますと「参考」ということで、「フロン類破壊に関する基本的な考え方」ということでまとめていただいた資料がございます。それの2ページを見ていただきますと、「フロン類破壊施設の種類の分類」ということで、混焼炉と専焼炉ということになっておりまして、混焼炉というのは廃棄物焼却法やセメント・焼成炉という別のものに使われている施設でフロンを破壊してしまうというものであります。これは全体の燃やすものの量の2%~3%ぐらいのフロンを入れるということになります。専焼炉というのはフロンを専門に燃やす炉ということで、幾つかの方法が書かれております。こちらはどちらかというと小型のものが多いと言われております。現在のところ全国に53施設ぐらいのフロン類破壊施設がございまして、この1年間に10施設ぐらい増えている、それも専焼炉が増えているということで、混焼炉の方は廃棄物処理法ですとか大気汚染防止法などに規定されている施設でもありますので、そちらの方で対応はそれなりに見てもらえるだろうと。しかし、専焼炉の方は小型の施設もあるということで、その方式に応じて必要な装置または運転方法などを細かく決めようということになりまして、3ページのあたりから、炉の温度をどうするだとか、炉の中にフロンを滞留させる時間をどうするとか、いろいろ細かく書いてあります。
 それで、5ページになりますが、その方式に応じてどんな装置がいいかということを方式ごとに定めておりまして、これはそのまま省令になっております。
 能力を見るための基準ということで、7ページになりますが、フロン類の破壊能力についての基準というのを検討していただきました。これはフロン類の分解効率、入れたフロン割る分解したフロンが99%以上であり、かつ、最後に出てくるガスの中のフロンの濃度が1ppm以下であること、または、分解効率が99.9%以上であり、かつ、濃度が15ppm以上であることということで決まっております。
 ちなみに、 99.99%という9が4つある値がUNEPの方からは推奨値として出されておりますが、ここも説明がありますように、単にフロンの分解効率だけで考えるのではなくて、測定のしやすい排ガス中のフロン濃度と組み合わせることで簡易に測れるようにしようということ。それから、2つ目のポツですが、分解効率が落ちると副生成物の生成がふえる可能性があるということがありますので、副生成物のモニタリング等による経費負担等の軽減のためにも、一定程度の分解効率を担保することが望ましいということで、分解効率に加えて排ガス中のフロンの濃度を測ることで、両方でフロンの分解と副生成物の生成を抑えていこうということで考えられております。
 以上です。

○浅野部会長 それでは、ただいま小委員会の検討の経過についてご報告いただきました。特に第一次報告につきましては、先ほども申しましたように、既に大臣に対して答申として出されておりまして、そのことについてはここではご報告を承るということにならざるを得ないわけでございますが、何かただいまのご説明についてご質問がございましたらお受けいたしますが、何か質問はございますでしょうか。
 先ほど説明の中で、9割の吸引ができるものという基準を設けたということについては、要するに、フロンというものの性質上、 100%できるのがいいに決まっているのですが、そうするとできる人が少なくなってしまって、かえって処理をされない環境中に放出しまうということが起こる、これはそこでバルブをあげれば外に出てしまうという代物で、放っておけばみんな出されてしまっても証拠が何も残らないという代物であります。今回問題にしておりますのは据付型の大型の冷凍庫ですから、壊すときには現場で解体することになりまして、どうしてもどこかに持っていって解体処理をすることができないものですから現場でやらなければいけない、そこで余り完璧を期して 100%吸引できるものでなければだめだなんていうことを言いますと、それではやめたということになるのはかえってまずい、これはやはり9割でもきっちり吸引してもらった方がいいという趣旨だと私は理解していますが、そういうことでよろしいんですね。

○環境保全対策課調査官 ちなみにトップランナーといっても9割5分ぐらいになるぐらいで 説明をし始めると長いのですが、気体と液体が混ざった状態になっていって、そ
れを気体の方に引っ張っているとだんだん液体から気体に変わっていて、それがボンベの中に入っていくというのが物すごく簡単に言った回収の仕方なのですけれども、これはだんだん時間がたつにつれて回収できる量が低減していって、自動車ぐらいの量ですと回収量は時間をかけても余り変わらないのですけれども、今、浅野先生が言われたように、大きいビルなんかですと、例えば1日中引いていたりとかというようなこともあるので、そこは使い方をしっかり決めるということと、そんなにトップランナーといっても差がないということを踏まえて、とりあえずはこの基準で行こうという話になったということでございます。

○浅野部会長 ということでございます。
 よろしゅうございましょうか。
 浅岡委員、どうぞ。

○浅岡委員 私どもはどうしても少数に目を奪われがちでありまして、フロンのことについていつも関心を持たなくてはいけない、特にこうした議論の中に埋まっているのでもっと関心を持たなくてはいけないと思いながら保守的になっているかと、だから私自身もすごく反省はしておりますけれども。
 それで、先ほどの、小委員会の報告ではなくて、今回の締結に向けた話にも何かフロンのことを明記しておいていただきたいんですと私は意見を申し上げて、17ページのところには「消費者等需要者側の取組」として、「冷凍空調機器等の廃棄時における製品中フロン類の回収破壊を促進する」というふうな形で入っておりましたですね。これは需要側として入って、そこしか入っていないわけなんですね。
 先ほどから飯田先生の方からも、ライフスタイルを変えようというふうなことは、例えばここの話ですと17ページ等に、第1ステップにおきましてもここに書かれているようなことを行いながら、あわせて、それで大きな取組をしていくということを考えながら、団体だけでできるということではないことはみんなもうわかっていると思いますので、少しでもみんなの認識が変わっていくようにしていきたいと私もそう思っておりますけれども、このフロンのところでこれは一体どういうふうなことだと理解していったらよろしいのか教えてくださればと思いますが。

○浅野部会長 ちょっとご質問の趣旨が。事務局はわかりましたか。

○環境保全対策課調査官 わかる範囲で。

○浅野部会長 それでは、手短に。余り話を混乱させないように、適切に答弁をしてください。

○環境保全対策課調査官 そこのフロンの回収破壊を促進するというのは、この法律もできておりますし、しっかり出していただいてやるしかないので書いたのですが。それだけではなくて、上から3つ目のところにも、来年から売り出される脱フロン冷蔵庫等の利用の促進ですとか、さらにその上には、温室効果ガスの排出の少ない製品への買換えを促進するというようなことで、考え方としてはフロンを余り使わないような製品を広めていこうというのを書いております。その手段をどうするかということが先生のご関心事だと思いますが、官公庁だけでも、グリーン購入ですとか、またはエコラベルだとか、そういうようなものが使えるのではないかなということを思っております。

○浅岡委員 お聞きしたいのは、この回収破壊を促進するというのは、製品を適切に出してくださるという意味ですか。

○浅野部会長 このフロンは、既に法律で製造と使用がほぼ禁じられているわけです。ところが、過去に使用された分は残っていますので、過去分がそのまま放置されていて、それが環境中に放出されるのはまずい。家電に関しては家電リサイクル法でカバーできている、自動車の方も将来は自動車リサイクル法でカバーできるということになるわけですが、当面は自動車リサイクル法が動いていないのでカーエアコンが問題です。それから、さっき言いましたように、建築物の中にセットとして入り込んでいる大型の冷凍機器の場合は家電法というわけにいかないものですから、それについてはどうしても過去に市場に出た分ついては何とかしなければいけない。それでフロン法が議員立法で制定されたということでありまして、新しくこういうフロン類を使用させるというなことを考えた法律ができたということではありません。むしろ過去のものの処理、負の遺産の処理と言うと言い過ぎかもしれないけれども、そういう性格のものがこの法律ということです。
 しかし、確かに啓発の対象として大いにやっておかないと、若干とはいえ費用がかかるわけですからそれを嫌がって廃棄時にぱっと環境中に放出してしまうということが、例えば、古いクーラーを外すときにそのままばっとフロンが放出されてしまうということがないわけではありませんので、業者にきちんと外してもらう努力をしてくださいというような広報をしなければいけませんし、その辺は温暖化対策のための努力とも関連することでありますから、さらにそこら辺について具体の記載が必要であれば最終段階では何か記載する必要があります。浅岡委員のご指摘は、温暖化対策はCO2だけではないということをちゃんと意識しろというご趣旨であり、それはそのとおりでありますので、部会報告の最終の段階で反映できることがあればそうするということにしたいと思います。
 それでは、このフロン対策に関しては、ほかに特にご発言がございませんようでしたら、報告をご了承いただいたということにさせていただきます。
 それで、スモーカーの委員の方々から余り長く禁煙の会議を続けると思考回路が停まってしまうというご意見もございますので、ここで5分間休憩をさせていただきます。

午後3時18分休憩
 
 
午後3時25分再開

○浅野部会長 それでは、5分間たちましたので、会議を再開させていただきます。
 次に議事次第の4でございまして、「地球温暖化対策税制専門委員会の審議状況について」、事務局からご報告をいただきます。

○総合環境政策局環境経済課長 「地球温暖化対策税制専門委員会の審議状況について」ということで、資料5でご説明をいたします。私は専門委員会の事務局を務めております総合環境政策局の環境経済課長の三好でございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、資料5に従いまして、簡単にこれまでの審議状況についてご報告を申し上げます。
 まず、地球温暖化対策税制専門委員会についてということで、ことしの10月に、我が国の実情にあった具体的な税制の制度面の専門的な検討を行うためということで、総合政策部会と地球環境部会の合同部会を設けていただきまして、その下に、経済、財政、税法等の専門家の先生方を中心といたしました地球温暖化対策税制専門委員会の設置をいたしたところでございます。委員長には、慶応大学の飯野先生にお就きいただいているところでございます。
 それで、委員の先生方の名簿でございますけれども、資料を若干おめくりいただきまして5ページでございます。この地球環境部会からも多くの先生にご参加をいただいておりまして、もういちいちお名前は挙げませんですけれども、部会長の浅野先生でありますとか、小委員長の安原先生にもご参画をいただいているところでございます。
 それで、これまでの検討経過と現在の状況についてご説明を申し上げます。
 2で、これまで6回の会合を開催したということで検討状況をご説明いたしております。まず第1回は10月17日に開催をいたしました。その場で、今回の専門委員会を設置してご検討をお願いする趣旨といたしまして、私どもの方から幾つかの点をご説明いたしております。
 先ほどの小委員会の報告の中にも入っておりましたが、環境税を京都議定書締結の前提と位置づけなければならないとは考えていないということでございます。2点目といたしまして、検討対象は、地球温暖化対策といいましても、今もご議論がございましたようにいろいろ多岐にわたるわけでございますが、CO2の排出削減対策としての税制ということでございます。それから、既存関連税制との関係整理を含めた税の制度面の検討に重点を置くということ。それから、税ということでございますので政府税調そのほか関係のところがございますので、そういうところの検討につないでいくということも念頭に置いて作業をしていただきたいと、そういうことをお願いしたところでございます。
 引き続きまして、同日の第1回会合で、温暖化対策税制についての過去の検討経緯でございますとか、我が国の既存関連税制の概要についてレビューをお願いいたしました。
 それから、第2回会合におきましては、現に導入が進んでおりますヨーロッパを初めといたします諸外国における導入検討状況についてレビューをいただきました。
 それから、第3回、第4回は関係のところからのヒアリングということで、第3回は、
具体的な税制の制度案を検討されてきています連合と、炭素税研究会、 環境NGO等に
より構成されている研究会でございますが、そちらからのヒアリングをいたしました。第4回は、引き続き関係者からということで、経団連、トラック協会、全国法人会連合会、日本生協連からヒアリングをさせていただいたところでございます。
 引き続きまして、第5回、第6回、第6回は昨日開催されたわけでございますが、温暖化対策税の制度面の論点について、引き続き第2回以降継続してご検討をお願いしておりましたものにつきましてこの2回で集中的にご議論をお願いいたしまして、年内にこれまでの議論の一区切りといたしまして公表するということで、昨日ご議論をお願いしたところでございます。昨日行ったわけでございますけれども、その場でも幾つかご意見が出された関係で、その意見の反映を飯野委員長とご相談して内容を確定するということにいたしておりますので、具体的な公表は来週になる見込みでございます。したがいまして、本日も報告書の形では資料として配布させていただいておりませんが、とりまとまり次第、先生方にはお送りさせていただきたいというふうに考えております。
 それでは、内容の概略のご紹介に移らせていただきます。
 3の「中間とりまとめの要点」ということでございますが、まずこのとりまとめに当たりましての基本的な考え方といたしまして、これまで環境庁時代から幾つか検討会、研究会という形で検討を進めてまいりまして、その中で温暖化対策税という仕組みの手法の有効性でありますとか、大きな論点につきましての議論が行われてきたわけでございますけれども、一たんいざ税の制度ということを考えた場合に、制度面での検討が不十分ではなかったかという考え方に立ちまして、極力幅広く多くの論点を俎上に乗せるという考え方と、それから、委員の皆様方から、複数の、あるいは相対立するようなご意見が出た場合にも、できるだけそれは幅広く紹介するという形でとりまとめを行っているものでございます。
 内容に入らせていただきます。
 (1)の「諸外国の温暖化対策税制」ということでございますが、これは、先ほどヨーロッパを初めとしてというふうに申し上げましたが、幾つかの典型例ということで、典型的な炭素税を導入したスウェーデン、既存の鉱油税を引き上げたドイツ、自主協定・排出量取引等と組み合わせた「気候変動税」を導入した英国、将来の導入可能性をあらかじめ法定したスイスの4事例を中心に紹介をいたしまして、幾つかの点を指摘いたしております。
 まず導入のアプローチと課税対象でございますけれども、新たな税目を新税の形で複数化石燃料を対象として導入するアプローチと、既存の関連税制を活用して税率の引き上げ等により対応するアプローチに大別できるということでございます。他方で、温暖化対策ということであれば、炭素含有量に比例するということが純粋な形であるわけですけれども、北欧の一部のものを除きまして、税率は炭素含有量に必ずしも比例していないということでございます。それから、例えば負担が集中いたしますエネルギー集約産業への配慮でございますとか、温暖化対策の促進に資するような環境政策上の配慮からの減免措置が行われている例が多いということでございます。
 3ページに移りまして、(2)で「我が国の既存化石燃料・エネルギー関連税」ということでレビューをいたしました。我が国の化石燃料に関しましては、皆様さまご承知のとおりでございますが、ほとんど輸入に既存しておりまして、そういう意味で化石燃料に課税するという場合には輸入・精製の前の段階、これを上流と呼んでおります、それから、精製後、各種石油製品、ガソリン、軽油等に分かれました下流の、2つの段階に大別されております。それに一体いかほどの税がかかっているのかというようなことをレビューいたしました。
 論点といたしましては、電力や、現在、課税の対象になっていない石炭等の扱い、それから、それぞれの現にかかっておりますものにつきましての税率をもちろんどうしていくかということ等が論点となるということでございます。
 以上が事実関係のレビューと論点の析出ということでございますが、さらに、「温暖化対策税の論点整理」ということで、冒頭申し上げました、できるだけ幅広く論点を洗い出して、できるだけ幅広くご意見を反映するという方針で、「論点整理」という形でとりまとめを行おうとしているところでございます。
 順にご説明いたします。まず税の目的ということで、いささかわかりにくいところがありまして恐縮なのですけれども、旧来、税というものを考えた場合に、それは税によって税収を上げるということを目的にしているということと、他方で、簡素で中立で公平なものがいいという、そういう原則があるわけでございます。これに対しまして、温暖化対策税ということでは、CO2の排出削減という政策目的で課するということでございますので、そういう旧来の課税原則とは異なってくることになりますが、そういうものが理論的に税として位置づけられるものかどうかということから始まりまして、幾つかのご議論がございました。大勢といたしまして、そういう政策目的の税というものは大いに成り立ち得るということが大勢であったかというふうに考えているところでございます。
 それから、課税段階といたしましては、今申し上げました、我が国の既存の化石燃料、エネルギー関連税という状況を考えますと上流・下流ということになるわけでございますが、それを定性的に見ますと、上流段階は取扱っている業者の数も少ないですし、制度的、一般的には簡素であろうと、それから、下流は、その点は複雑になるわけですけれども、消費者により近いところにあるということでございますので、CO2排出削減という観点から効果的であろうというようなご議論がございました。
 それから、課税対象といたしましては、化石燃料と電力ということが大きな検討対象になってまいります。化石燃料に関しましては、化石燃料全体を対象に包括的に課税するか、個別燃料ごとに課税の要非を検討するかということが1つの論点でございますし、特に個別燃料ごとに検討する場合には、既存税制で非課税となっております石炭などや、あるいは減免税が行われております原料として使用される石油等の扱いが論点として挙がってくるだろうということでございます。それから、電力に関しましては、既に導入しておりますヨーロッパの例でもそうでございますが、発電用の化石燃料に課税して電力そのものには課税しないケースと、発電用の化石燃料は免税しておいて電力に課税するということで、違いがございます。2つを組み合わせるというケースも数は少ないですがございます。そのあたりをどういうふうに組み合わせていくかというのが論点であろうということでございます。
 それから、課税標準・税率につきましては、税の場合は従価税か従量税かということになるわけですが、CO2排出削減ということで炭素含有量に何らかの意味で着目するわけですので、従量税が適当ではないかということでございます。
 それから、既存税制との調整ということで幾つかの場合分けをいたしております。[1]
のような、まず包括的な新税を導入して、必要に応じ既存税を調整する これはスウェ
ーデンのタイプでございます。それから、既存税を活用する、[2]はドイツのいわゆるエコロジカル税制改革と呼ばれているものでございます。[3]はオランダのケースでございます。[4]は英国の気候変動税のケースでございます。いずれも諸外国にあるもので、既存税との関連につきまして幾つかの考え方を整理したところでございます。
 それから、税による諸影響の緩和ということで、ミクロといいますか、燃料の種別でありますとか、用途でありますとか、納税義務者でありますとか、そういうミクロの段階での減免、それから、マクロ経済全体への影響ということで、いわゆる税収中立の考え方というのがあるのではないかということでございます。それから、産業の国際競争力に配慮するという面で、国境における調整ということが考えられないかということや、それから、例えば温暖化対策ということで、補助金のような形で民間部門へ還元することもある意味でこういう諸影響の緩和に役立つのではないかということなどを挙げているところでございます。
 それから、いわゆる他の政策とのパッケージの問題があるわけでございます。とりあえずこれまでの検討におきましては、今まで申し上げてきております、税制としての基本的事項の検討、ご論議を優先していただいてきておりまして、他の温暖化対策、ここに掲げておりますようなものにつきましての組み合わせにつきましては、十分に踏み込んだ議論はいたしておりません。若干のケースにつきまして組み合わせのしやすさというような観点から、例えば上流と下流で協定との組み合わせのしやすさが異なってくるのではないかというようなとりまとめを行っているところでございます。
 それから、最後、4ページでございますけれども、以上、ご説明いたしましたように、化石燃料課税ということを考えた場合、特に我が国の場合は上流か下流かということと、それから、新税を導入して既存税を調整するというタイプと、既存税制を活用してその税率等を検討していくというアプローチの違いがございますので、ここにI~IVに書かれております4つのオプションといいますか、これは組み合わせでございますので4つになるわけですけれども、それにつきまして公平・中立・簡素の課税原則と政策目標であるCO2の削減の観点から、非常に簡単な定性的な比較検討をいたしたところでございます。
簡単に述べさせていただいておりますが、いわゆる上流課税は制度のわかりやすさ等の観点で優れていると、一方で、下流課税はCO2の効率的な排出削減、あるいは細かい調整を行うということについては優れているということでございます。
 それから、電力課税につきましては先ほどパターンをご紹介したわけですけれども、その効果の比較ということで、CO2の排出の少ない電源構成へのシフトをするということを重視すれば、[1]すなわち発電用燃料に課税するということ、それから、電力消費者による排出削減の促進を重視すれば、[2]すなわち電力消費に課税するということが優れているということを整理いたしたところでございます。
 「今後の検討課題」ということでございますが、これまで申し上げてまいりましたように、これまでの議論のとりまとめも、これまで行われてきたものにつきまして、幾つかの論点をそれぞれ出されましたご議論をできるだけ紹介する形でまとめておりまして、したがいまして、今後は各論点に関してさらに一層の議論の深化が必要であるということでありますとか、それから、今ご説明いたしました税制のオプションというものにつきましても、非常に定性的な、それも基本的な事項についての場合分けのようなものでございますので、さらにオプションの具体化等を行って、来年以降も引き続き検討していくことが必要であるということとしていただいているところでございます。
 以上でございます。

○浅野部会長 どうもありがとうございました。
 なかなか大変な幅の広いテーマでございますけれども、現在、専門委員会ではここまで整理がついているという状況のご報告をいただいたわけでございますが、ただいまの事務局からのご説明につきましてご質問なりコメントなりがございましたら承りたいと存じます。
 ご発言ご希望の方は恐れ入りますが名札をお立ていただければ大変ありがたい。
 どなたかいらっしゃいますでしょうか。
 現段階でまだ整理中という状況はおわかりいただけたと思いますけれども、佐和委員、何かコメントがございましたら。

○佐和委員 何かご質問が出るなり、ご意見がないと。

○浅野部会長 コメントはございませんということでございますね。
 それでは、三橋委員、どうぞ。

○三橋委員 段取りの問題で1つ。
 先日、小泉首相は、来年度の税制改革の中で2003年度の税制改革の1つとして、炭素税の導入を検討せよという課題を出しているわけですけれども、こういう政治上の動きの問題をどういうような形で受け止めているのかということです。そうすると、小泉さんの指示だと、2003年度の導入ということを指摘しているわけですけれども、その問題。
 それから、この事例でもイギリスとかスイスとかいろいろな形が検討されているわけですけれども、つまり、ヨーロッパの動き、特に90年代には北欧諸国が炭素税の形で導入したわけですね。それから大体10年の月日を置いて、イギリスとかドイツとかイタリアとか、そういうところが導入してきた。その導入の背景、理由というのはやはり温暖化対策としてどこの国でも入れているわけですね。そういったつまりEUの主要国の動き、それは京都議定書を意識した動きとして温暖化対策というようなことで検討されているわけです。そういう政治やヨーロッパの動きをこの検討委員会ではどういうような位置づけで議論してきたかということです。

○浅野部会長 これはどなたにお答えいただいていいのかよくわからないのですが。
 とりあえず、三好課長。

○総合環境政策局環境経済課長 1点目でございますが、小泉総理のご指示といいますかご検討、それは経済財政諮問会議でありますとか、あるいは政府税制調査会の方において、具体的な検討のご指示があって、来年以降に具体的な検討が進められると思っておりますので、私ども環境省、あるいはこの専門委員会、あるいは中央環境審議会としても、それに適切な貢献ができるようにやっていきたいということであろうかというふうに思っております。
 それから、ヨーロッパの税制の改革の動きにつきましては、実は委員会の議論の中でも、炭素税タイプの北欧ということから始まりまして、ヨーロッパの主要国であります英国、ドイツの例、さらにはその関連税制を見直すというところなのですが、さらには広く税制全体の動きがそこまで進んできているということのご指摘もございました。ただ、私ども、現下の日本の今の状況といいますのは、新税タイプのもの、あるいは既存税制の見直しというようなことにつきまして、今現にヨーロッパで行われているようなことにつきましてよく勉強してその考え方を整理したというのが現段階の状況でございます。

○浅野部会長 制度の方の小委員会の報告にもありましたように、日本には日本に一番ふさわしいやり方があるであろうということを前提にしながら、さりながら外国のことについても十分に検討するし、検討が余り遅れてはいけないという議論もあるわけです。
 天野委員、何かコメントがございますか。

○天野委員 どうもありがとうございます。
 いわゆる制度としてどういうふうな制度にするかという問題も大事な問題で、これはそれぞれの国情というようなものを考えてつくる必要があろうかというふうに思いますが、経済学の方ではなぜこういった環境問題に税を使うのかという点で、従来型の日本の環境政策でよく使われてきた直接規制的な手法、あるいは政府の予算措置を講ずるような手法、こういうことで今回の京都議定書の約束を履行するには大変な費用がかかるのではないかと。同じ目的を実現するのに、例えば6%とか7%とかという目標を実現するのに、幾とおりのかの手法がある中で、国民全体の負担する費用の一番小さいものを探すというふうな観点から、先ほど三橋委員がおっしゃったような傾向が最近よく見られるようになってきていると。これは制度の違いということよりも、もっと基本的に、同じ環境負荷を削減するのにどれだけ国民の負担が少ない方をとるかという視点が非常にはっきり認識されてきたあらわれではないかというふうに思いますので、外国であれをやっているから日本でもやったらというふうなたぐいの議論ではないというふうに私は理解しております。

○浅野部会長 ありがとうございました。
 佐和委員、お願いいたします。
 そのあと、高橋委員にご発言をお願いいたします。

○佐和委員 多少つけ加えたいと思うのですが。今、天野先生がおっしゃったこととも多少関連するわけですけれども。
 まず、日本というのは、統制経済の国ではない、市場経済の国あるいは自由主義国家であるということを前提にすれば、規制的措置は最小限にとどめて、いわゆる経済的措置、環境税あるいは温暖化対策税と言ってもいいかと思いますし、そういった税あるいは排出取引の市場メカニズムを活用するような手法に頼る方が大変スマートであると思うんですね、規制なんかをするよりは。しかも、別にエネルギーの無駄遣いをしたい人がいれば、その人を取り締まって何かを義務づけたり禁止したりするのではなくて、どうぞ使ってください、そのかわりたくさん税金を払ってくださいと、 6,000ccのベンツに乗りたい方がいらっしゃれば、随分高い保有税をいただきますよということで、そういう措置というのが非常にスマートだと私は思うんですね。
 それから、技術開発競争がやはり熾烈な技術開発競争がこれから始まると思うんですよ、低燃費車の開発。つまり、来年に京都議定書を発効すれば、各国とも本気になってだん二酸化炭素の排出削減に取り組まないといけないわけですね。そうしますと、やはり低燃費車の開発競争を初め、あるいは省電力設計のエアコンディションなどでそういった競争が始まるわけですから、そういうときに日本がそういう国際競争の勝者になるためには、できるだけ早く国内で対策を講じて、そして企業に対してそういう開発のインセンティブを早く与えた方が、やや短期的には困るとおっしゃるかもしれないけれども、10年という中長期的なタームで考えれば、それは日本の企業にとって結局は幸いするということなんですね。
 この研究会といいますか専門委員会でいろいろなところにヒアリングを行ったのですけれども、経団連の 桝本さんからもし反論があったらお答えいただきたいのですが、こういう論点をおっしゃるんです。要するに、自主的取組で我々はやると、だから放っておいてくれというわけです。規制もよくないけれども、税金をかけるのもよくないと。放っておいてくれ、自分たちでちゃんとやるからとおっしゃるけれども、やはり経団連の中に参加している企業の数というのは、大企業が中心で、数で言えばたかがしれているわけですね。それ以外に無数の中小企業がある。そういった中小企業は恐らく全生産高あるいは生産額の半分近く、あるいは過半を生産しているかもしれない。そういう企業に対しても、環境倫理あるいは自主的取組を求めるということは大変難しいと思うんですね。実際、今現在も産業用のこれはほかにも理由があるわけですけれども、CO2の排出は横ばっているんだけれども、民生用の需要が伸びているじゃないかと。これはみんなが、一人一人の人間といいますか市民が必ずしもそういう環境倫理というものに則した行動をしていないということなんですね。同じようなことが中小企業にも言えると思うので、やはり化石燃料の消費を抑えようとすれば、化石燃料の値段を上げて対応せざるを得ないということになるわけなんです。ですから、自主的取組を促すためにもやはりそういった税制の導入というのは必要だと。
 もう1点は、エネルギーの価格は、生活必需品だから、価格力性というのは限定されている、だから少々税金をかけてガソリンや電力の値段を上げても、そんなに消費を減らないよと言って過去のデータをお見せになるわけですね。確かに電力料金が上がったときにそんなに敏感には電力消費は減っておりません。しかし、これはあくまでも短期的な話であって、新しいエアコンディショナーを買おう、あるいは新しい自動車を買いかえようというときには、つまり設備の更新ということまでを勘定に入れると、やはり明らかに減るんですね。ですから、その辺が短期と中期の取り違えということが1つ。
 それから、よく経団連の資料を見ますと、電力料金とかガソリンの料金を書いて、折れ線グラフで書いて、横軸は時間軸ですね、そしてその消費量を書いて、減っていないではないかと、値段が上がってぴったりではないかと言うのですけれども、これは統計学のA、B、Cをわきまえない論でありまして、難しく言えば、単相関で変相関を取り違える議論なんですね。つまり、ガソリンの消費とか電力の消費を決める要因というのは価格以外にもいろいろな要因があるわけですね。その他の要因の影響を全部取り除いた上で価格とその取り除いたエネルギー消費というものが無相関であれば価格の影響はないということになるわけですけれども、実際にはあるということが統計的には確かめられるわけであります。
 それから、マクロの経済成長率が低下するというような議論は、これはやはりおかしいんですね。なぜならば、結局、炭素税を入れて何が起こっているのかといったら、これはそれぞれの財の価格弾性値に依存するわけですけれども、いずれにせよ、消費者や企業から、あるいは家計や企業から政府への所得移転が起きているわけですね。政府がそれを金庫にしまっておけば確かに内需がそれだけ落ちます、しかしそれを政府が上手に使うとか……。あるいはもっとわかりやすく言えば、増減税同額といいますか、税収中立の観点から、例えば所得税減税すると、所得税減税と炭素税の増収をほぼ等しくするということにすれば、結局、所得税減税をやれば可処分所得がふえますから消費はふえますね。そうすると、税金がかかったら当然あらゆるものの値段が上がりますからそれだけ消費は減ると。減った分とふえた分のどちらが大きいのかと言われても、それはやってみないとわかりませんとしか言いようがございませんが、しかし、差し引きした結果がプラスであればマイナスであれ、その絶対値そのものは極めて小さいだろうというふうに予見できるのではないでしょうか。したがって、どうも経済成長率が低下するという議論もやはりおかしい。
 やはりそういった技術開発を促して、むしろ新しい設備投資を促すという観点からすると、多少長い目で見れば、温暖化対策を実施すること自体はむしろ経済成長にとってはプラスであると、そういうふうに考え方を改めていただく必要があるのではないかと思います。

○浅野部会長 ありがとうございました。いずれこれはまた本格論議をしなければいけないテーマであろうかと思います。
 高橋委員から発言のご要望がございますが、時間が少し押してまいりましたので、手短にお願いいたします。

○高橋委員 時間はとりません、1時間程度だけにいたします。2点で、1点は質問、もう1点は要望でございます。
 質問の方は、元気がないとはいえ、これだけの規模の経済が税制導入のことを考えていくときには、やはり新しい税制の対外的なインパクトもかなり重要な要件になると思いますので、そのあたりの議論がどういうふうになっているか、それをお知らせいただけたらという点です。
 それから、2点目は要望です。先ほどの三好課長のご説明、それから、天野委員、佐和委員のお話はこの専門委員会の議論のさわりのような感じで私はお伺いしていたのですが、そのお三方の発言を伺っておりまして、これは非常にすばらしい作業だなという感じがいたしましたので、今後恐らくしばらくたちますと途上国がこの課題に取り組まなければならないと思いますので、これをぜひ整理した形でとりまとめて、英語でこれをアクセス可能なものにしておいていただきたいというのが要望でございます。
 といいますのは、日本のこの百何十年かのプロセス、途上国との関係で考えますと、一番優れていますのは何らかの新しい施策あるいは技術を導入する導入の仕方の部分なんですね、これが途上国の人たちに一番学んでほしいところなのですが。この税制に関しましても、今の議論のさわりを伺っておりまして、やはり非常にすばらしい。いろいろな先行実験、それの分析、それと日本の特殊性、それをどういうふうに導入していくか、そのときの問題をいろいろ考えていくプロセス、これをぜひ言ってみればグローバルな資産の形に残していただきたいという感じがいたしますので、これを整理してやがて英語でそれがアベイラブルなものにしていただけたらと思います。
 その2点です。

○浅野部会長 ありがとうございました。後の方は大変建設的なご提言をいただきまして、ありがとうございました。
 三好課長、前の方の点に関しまして。

○総合環境政策局環境経済課長 対外的なインパクトということでしょうか。もし取り違えていたらご指摘いただきたいのですが。
 私どもは税の設計といいますか仕組みについての議論を今していただいておりまして、その意味で対外的なインパクトということでもし外国との関係ということであれば、その中で取り上げてきましたのは、例えば産業の国際競争力に配慮した調整というものはどういうものがあるだろうかというようなことにつきましてご議論をいただいているところでございますが、逆に言いますと、それ以外のことについては、特に外国との関係ということでは、まだ議論はしていただいておらないところでございます。

○浅野部会長 もう少し何かペーパーをいただきましたら専門委員会の議論の参考にさせていただきますのでよろしくお願いいたします。
 桝本委員から、売られたけんかにはということでお手が挙がっておりますので、特にご発言を認めまして、これでこの議題について質疑を終わらせていただきます。
 どうぞ。

○桝本委員 売られたけんかというよりも、先生からご指導いただいている指された生徒としては一言だけ。先生のお話は持ち帰って業界内でも大いに議論をしたいというふうに存じます。ただ、これまで存じている日本あるいはアメリカ等での研究機関の6%、7%、8%のターゲット削減を実施するに際して、マクロの経済のモデルでの分析ではいずれもマイナスの影響になっている。これは規制、税、さまざまかと思いますが、そうした影響の結果が出ているということをどう理解するかというのが1点。
 2点目は、この前もお願い申し上げておりますが、 100歩譲りましてこの税を課するということであれば、税を払う人たちの意見も聞いていただきたい。かつて今から十数年前、竹下首相が消費税をお決めになるときに、あれだけの年月と討論を重ねました。私は国民の選択としてこういう税もあり得るとは頭の中で十分存じます。しかし、それはくれぐれも税を払う人、負担をする人たちに説明し、大いに関心を興し、意見を聞いてお決めいただきたいと存じます。

○浅野部会長 ありがとうございました。ただいまのところまだ専門委員会はまだ勉強中という状況でございまして、大変申しわけございませんが、この件に関してはこれで打ち切らせていただきたいと思いましたが、一言だけというのことで宮本委員から発言のご要求がございましたのでお願いいたします。

○宮本委員 済みません、一言簡単に申し上げます。
 今の先生のお話で、過去において我々は今、桝本さんが言ったように、税金をかけることによってマイナスであるという話があったのですが、そうすると、かけることによってそれだけの効果があったかというところをどこで説明できるのか、証明をしてほしい、これが1点です。
 もう1点は、先進国で、特に日本のように非常に効率のいい国になっているわけですね、それにさらなるコストをかけることが、結果として、日本からそういうような生産設備とかいうものを外国に移転するわけであります。今、空洞化というのが言われているわけですね。それは人件費とかそういうのも出ているのですが、これがさらなる追い風になって外へ出ていくということになりますと、発展途上国ではそういうものはないわけですから、発展途上国の方にそういう生産が移っていくとすれば、CO2の発生量は明らかに出るわけです、同じものが出るわけですから、そういうような国際的な視点からこれをどう考えるか。先ほどの国際の視点というのがありますから、その問題は輸出ということではなしに、生産の移転に伴うところのCO2全体の世界としてくればということも踏まえてご検討いただきたいと。要望だけちょっと言っておきます。

○浅野部会長 わかりました。
 宮本委員、申しわけないのですけれども、今は専門委員会の報告を受けている段階でして、導入性の効果の論議は追ってまた部会でやります。ここは、今のところは専門委員会が、まだ政策の決定について提言をしているわけではなくて、勉強のための材料集めをしているという状況でございます。ただし、専門委員会の提言のとして踏み込んだ提言をするときは今の質問に対しての答えも用意しなければいけないと思います。そのことは事務局も留意をしていただきたいし、きょうは飯野専門委員長はいらっしゃいませんけれども、委員長にもお伝えしたいと思いますので、大変恐縮でございますが、言われてこれをまた黙っておくのもというお気持ちはよくわかりますが、本日のところはこのへんでご容赦をいただきたいと思います。
 それでは、次に、温暖化だけが地球問題なのかという疑問のお声もありますので、最近の地球環境問題の状況についてのご説明をいただき、さらに、持続可能な開発に関する世界首脳会議が準備されておりますので、それらについても続けて事務局からご説明をいただきまして、委員の皆様のご意見を伺っておきたいと存じますので、よろしくお願いいたします。

○地球環境局総務課長 説明に入ります前に、またまた私の方からお詫びを申し上げなければならないことがございまして、冒頭申し上げましたとおり、昨日付けで上野先生がご就任になったということに伴い名簿をつくりかえまして、きょうお手元にお配りさせていただきましたけれども、急遽つくりかえたもので、大変失礼なミスが何カ所かございます。まず最も大きいのは、塩田先生の名前が抜けております。それから、大塚先生の大学名が、早稲田であるべきところが学習院となっております。それから、これは必ずしもミスというわけではないのですが、高橋先生は役職が変わられまして、現在は国際基督教大学の教授ということでございます。このほかにも何かミスがあるかもしれませんので。

○浅野部会長 ついでに、部会長も学部長を辞めて、教授に戻りましたのでご訂正下さい。
○地球環境局総務課長 失礼いたしました。これは修正の上、改めてお送りいたしますので、もしさらなる失礼がありましたら後ほど事務局の方にお申しつけいただければ幸いでございます。

○浅野部会長 ミス1つについてビール1本ずついただけるとか。(笑)

○地球環境局総務課長 それでは、説明に入らせていただきます。
 部会長からもございましたように、来年はヨハネスブルグ・サミットというものが開催されるということでございまして、これからいよいよ私どももそれに向けての検討をしなければならないということがございますけれども、それに向けての検討にも当たって、先生方から最終報告書のご意見をちょうだいいたしたいと考えております。そのサミットの前段というようなこともございますし、せっかくの地球環境部会ということもございますので、まず私の方から最近の地球環境問題への私どもの取組について、若干つまみ食い、トピック紹介的になりますけれども、簡単にご紹介をしたいと思います。
 まず分野横断的な取組の問題でございますけれども、まず、「WSSD等国際環境政策」については、これはまとめて、後刻、星野調査官の方から別途ペーパーで詳しくご説明させていただきますので、これは私の方では割愛させていただきます。
 それから、次の課題の「国際環境協力」でございます。各般の国際環境協力を進めておりますけれども、最近私どもが重視しておりますのが、1つ、日中韓三カ国の環境大臣会合絡みの件でございます。この日中韓三カ国の環境大臣会合というのは1999年に第1回を北京で開催いたしまして、その後、ソウル、そしてことし東京と、3回一巡いたしました。非常に近い隣人であるとともに、発展段階の違う三カ国がトライアングルで協力の道を探るという意味で、極めて有意義な取組であると我々は感じております。このプロジェクトでは、単に意見交換をするということだけではなくて、具体的な協力プロジェクトを発足させております。環境教育のワークショップ、行政官の研修、あるいは産業についてのラウンドテーブル、湖沼水質保全等々がございます。実は来年度は日本と韓国でワールドカップを共催するというようなこともございまして、日中韓三カ国の国民交流年、環境に限らずあらゆる問題につきまして三カ国が交流をいたしましょうと、こういう年でございます。これを踏まえまして私どもも、単なる国家行政が環境大臣会合で意見交換をするというだけではなくて、例えば地方自治体、あるいは産業界、あるいはNGO等々、さまざまなレベルで日中韓の環境共同体意識を高めるためのプロジェクトというものを推進するということを企画しております。これが1つ環境協力の面での来年の重点になるのではないかというふうに考えておるところでございます。
 失礼いたしました、開催地が間違っておりました、第1回はソウルでございまして、第2回が北京でございました。申しわけございません。
 それから、その次の「地球環境保全研究の推進」でございますけれども、ご存じのとおり、我が国は、現在、科学技術立国ということを非常に大きく掲げております。また、本年1月6日からの省庁再編におきましては、総合科学技術会議が設置されまして、国としての統一的な科学技術の向上ということを狙っているわけでございますけれども、それを示しております科学技術基本計画におきまして、実は、ライフサイエンス、情報通信、ナノテクノロジーと並びまして、環境というのが重点分野として位置づけられております。
また、その環境の中でも1つもちろん環境問題はすべて重要なわけでございますけれ
ども、重要であるとともに、各省がかかわり、各省が連携することが必要であるというようなテーマとして、特に地球温暖化につきまして「地球温暖化研究イニシャティブ」というものもつくられておりまして、この面で私どもはさらに一層努力していこうというふうに考えております。これは環境省だけではございませんで、例えばさまざまな地球温暖化研究につきまして、各省のデータが共有され、それが双方に利用可能になるようなプラットフォームをつくるとか、そういったたぐいの努力をしていかなければならないというふうに考えております。
 また、最近のハイライトといたしまして、私どもは今「アジア太平洋環境イノベーションプロジェクト」というものを今年度から開始したところでございます。これは、平たく申しますと、最新の科学技術を使いまして、例えば衛星データを利用して広範な地域の環境の状況を把握する、あるいは、環境と経済とを一括して取扱う数値モデルというものを開発してこれからの環境保全戦略を立案するというような、最新の科学技術テクノロジーを使った環境保全の試みでございます。
 このイノベーション戦略と申しますものと密接なかかわりを持つものとして、ミレニアム生態系という問題がございます。これは、実は、これまた一言で言ってしまいますと、温暖化におけるIPCCの生態系版というようなことでございまして、生態系の問題につきまして国際的な協力で一定の科学技術的な評価、知見の統合を図ろうというものでございますけれども、私どもはこのミレニアム・エコシステム・アセスメントというものの中で先ほど申しましたイノベーションプロジェクトというような成果を十分に活用してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
 こういったあたりが分野横断的な課題につきましての最近の私どもの取組のトピックということかと存じます。
 それから、各分野の取組でございます。
 まず、冒頭、「地球温暖化防止対策」がございますけれども、これはもう相当議論をされておりますので、ここで私があえてご説明するのは省略させていただきたいと思います。
 また、次の「オゾン層保護」の問題につきましても、先ほどのフロン回収破壊の問題で大分国内での取組についてはご理解をちょうだいしたかと思います。ただ1点申し上げますと、このオゾン層保護の2ページ目の下2行でございますけれども、1つ国際的な取組というのも重要であろうかと思っております。ご存じのとおり、現在もオゾンホールというのは毎年拡大を続けておりまして、これはオゾンというものの物性なりずっと貯蔵されているということもあるのでございますけれども、一方で、やはり発展途上国においてはなおなかなか十分な規制がなされておらないと、こういうふうなこともひとつ預かって力があるのだろうというふうに思っております。国際的には、そこにございますように、1999年からモントリオール議定書に基づく排出規制が導入されているということでございまして、こうしたものを踏まえて、我々はもちろん国内対策に努力いたしますけれども、国際的な協力、途上国のキャパシティービルディング等々についてはこれも非常に重要ではないかと考えておりまして、そういった取組を進めてまいりたいと考えております。
 次の「酸性雨対策」でございます。酸性雨、これも古い課題でございますけれども、これについては国際協力の中でいろいろ鋭意施策を進めてまいりまして、おかげさまで東アジアの国々が参加する形で、「東アジア酸性雨モニタリングネットワーク(EANET)」というものがいよいよ国際的な枠組みとして、本年、平成13年1月から本格稼動を開始しております。本年11月、ついこの間でございますけれども、これについての第3回の政府間会合が開かれまして、今までは日本の環境省がこのネットの運営事務局でやってきたわけでございますけれども、いよいよその事務局機能をUNEPに移管するということについて具体的に合意されたところでございまして、いよいよこのEANETというものが国際的な枠組みとして名実ともに機能をするということになってまいりました。
 これにあわせまして、実はEANETである程度統一的なモニタリングのシステムというものを決めておりますので、国内のネットワークにつきましてもそういったシステムの要求水準を満たす、及び、若干重複感のあるモニタリングステーションを整理統合するというようなことで見直しを進めてまいったところでございます。また、同時に、国内の酸性雨対策調査というものも4次を迎えましたけれども、このとりまとめも今年度中に終了いたしたいと考えております。
 「海洋環境保全」の問題でございますけれども、実はこれは非常に話題の多いところでございまして、まず冒頭書かせていただいておりますけれども、実は平成13年の10月に船舶へのTBT等の塗布を禁止する条約というものができ上がりました。これへの対応というのがございます。さらには、これもちょっと古い話になりますけれども、海洋投棄の規制を強化するためのロンドン条約96年議定書の批准という問題もございます。若干解説をさせていただきますと、従前のロンドン条約のベースでありますと、一定の物質については一定の海域を指定してそこは投棄可能という、包括的な条件になっていたわけでございますけれども、96年議定書になりますと、非常に個別の投棄行為につきまして厳しい規制がかかり、しかも投棄するときには非常に厳しい個別のアセスメント的なことをしなければならなくなったというようなことでございまして、非常にレベルの高い議定書でございます。なかなか世界各国も状況的には批准のための行為というのが進んでいないところも
ありますけれども、最近になりまして 実は26カ国がこれを批准すると発効するわけでございますけれども、10カ国を超える国が批准をすると、日本もこの発効時点ではやはりこれに入っておく必要があろうかと思っておりまして、そうなりますと、先ほど申しましたように、大きく我が国の規制の在り方を変えるものであるだけに、当然のことながら、十分な検討並びにそれを踏まえた法的な改正作業というものが必然的に要求されることになろうと思っております。
 また、そのほかの話題といたしましては、北西太平洋地域海計画(NOWPAP)の問題でありますとか、陸上起因活動からの海洋環境保全に関する問題とか、そういうものもあるわけでございます。
 このように大変多くの課題がございますので、冒頭申し上げましたような条約対応のことも含めまして、来年には何らかの形で本格的な中間審でのご検討というものをお願いしなければならないのではないかと、我々としてはかように考えておるところでございます。
 それから、「砂漠化」でございます。砂漠化につきましては国際的な取組 我が国に
は砂漠がございませんのでなかなか国内対策はないわけでございますけれども、国際的な取組に積極的に参加していこうということでございます。
 また、最終ページになりますけれども、「世界的な森林の保全」の問題でございます。これも国際的な議論に積極的に参加していくということでございますけれども、ことしから来年にかけての1つのトピックでございますけれども、現在、国内的にも違法伐採問題というものについての関心が非常に高まっております。各国で違法に伐採された木材が入ってきているのではないかという、これは非常に難しい問題ではございますけれども、この問題についてはこれも非常に重要な問題と位置づけまして、できれば私どもとしてはヨハネスブルグ・サミットでのプロセスの中でこの問題を世界的にも共有し、何とかいい方向に持っていければなということでございます。具体的には、例えば、ことしで申し上げますと、G8の環境大臣会合、もしくは、つい先日プノンペンで行われましたWSSDに向けての地域間会合などでも、この話題を我が国として積極的に取り上げたというような状況でございます。
 なお、最後に申し上げました森林及びその前の砂漠化という問題でございますけれども、こういった問題につきましても、砂漠あるいは森林というような何となく分野限定的なとらえ方だけではなくて、例えば生態系の劣化というような幅広い包括的なとらえ方で発想をしていくというようなことも必要なのではないかというようなご指摘もあるところでございまして、こういった少し幅の広い見方というようなものにつきましても勉強を進めてまいりたいと考えております。
 非常に駆け足で、時間のあれもございますので、簡単にトピックを紹介させていただきました。続きまして、WSSDの準備状況等につきまして報告させていただきます。

○総務課調査官 総務課調査官の星野でございます。
 お手元にお配りいたしました資料7をごらんいただきたいと思います。「持続可能な開発に関する世界首脳会議」、ヨハネスブルグで開かれますので、ヨハネスブルグ・サミットと通称呼んでございます。この会議は92年にリオデジャネイロでございました地球サミットの10年目を記念して開かれる会議でございます。21世紀初めて環境にかかわる首脳レベルの会議となるというものでございます。この会議では10年前の地球サミットで採択いたしましたアジェンダ21、非常に網羅的な行動計画でございますけれども、この実施状況のレビューを行いまして、取組の不足している分野について今後の取組をどう強化していくかという点が議題となると思います。それに加えまして、リオサミット以降の新たな課題、例えばグローバリゼーションでございますけれども、こういった新たな課題に対して今後どう取り組んでいくかということが2つ目の目的。この2つの目的として開かれる会議でございます。
 ここに日程を、「8月下旬~」と書いてございますが、実は一昨日の国連総会で会議の日程が1週間前倒しになりました。当初は9月2日~11日までの実質8日間でございましたけれども、ご承知のように、最終日の9月11日が米国で発生いたしましたテロのちょうど1年目に当たるということもございまして議論がありまして、1週間前倒し、8月26日(月)~9月4日(水)までということで、一昨日決定をしてございます。
 簡単に、これまでの経緯、それから、どういうプロセスでヨハネスブルグ・サミットに向かうかということをご説明したいと思います。
 2番目に書きましたけれども、92年6月にサミットがリオデジャネイロでございまして、その5年後、97年6月には国連総会の特別総会という形で、アジェンダ21採択後5年目のレビューを一度持ってございます。その際に、2002年には改めて包括的なレビューを行
うということが示されておりまして、それを受けて昨年の12月の国連総会で2002年 当時は9月と言っておりましたけれども、南アフリカで開催することを決定したものでございます。
 このヨハネスブルグ・サミットの準備に2つ特長がございます。1つはボトムアップアプローチでございまして、各地域での議論を通じて国際的な準備を進めていこうというのが1点でございます。もう1つはマルチステークホルダーの参加で、あらゆる主体の関与を得て、それを積み重ねる形でヨハネスブルグのサミットを準備しようという、2つの特徴がございます。このボトムアップアプローチの観点から、アジア太平洋地域では、先月、11月27日からカンボジアでアジア太平洋地域としての準備会合が開催されました。環境省、外務省のほか、農林水産、国土交通、文部科学、各省庁からも出席者が参加いたしまして会議に臨んだところでございます。この会議では、地域綱領 プラットフォームと言っておりましたけれども、アジア太平洋地域がどういう点を問題にして、今後どう取り組むべきだということをまとめた資料が先般の会合で合意されたところでございます。
 1枚めくっていただきますと、そのプラットフォームを概要を1枚にまとめたものを用意いたしました。16ページにわたる文章でございますけれども、まずアジェンダ21の実施状況の評価ということで、多くの進展があったけれども、環境の劣化は引き続き続いていて、貧困層も増加の一途であるという認識をした上で、アジア太平洋地域の取組として特に重要な事項、優先的に取り組むべき事項を3つに分けて示しております。社会経済的な事項、環境・天然資源にかかわる事項、そして横断的な事項ということで、ここにお示ししました項目がそれぞれ重要な事項だということで、細かい記述をしたということでございます。
 そして3番目のパートでは、今後アジア太平洋地域として取り組むべき行動、7つのイニシアティブとしまして、人材育成、貧困削減等々、大気、気候変動まで、7つの分野での行動が必要だということが合意されたわけでございます。
 最後に資金調達のことが書いてございまして、ODAをGNPの 0.7%とするという国連の目標の早期達成に向け先進国が努力するようにという、これは従来いろいろなフォーラムで合意されている表現にとどまった形の記述になってございます。それに加えまして、地球環境ファシリティーの強化、そして、これは新しい方向性だと思われますけれども、追加的資金の獲得について市民社会と産業界の参加促進ということについての認識も示されたということでございます。
 また表紙にちょっと戻っていただきたいと思います。そういった地域ごとの取組、アジア太平洋地域が最後でございましたが、各5つの地域はすべてもう会議を終了してございます。それらの成果を受けまして、1月からは世界規模での準備プロセスが始まります。2ページ目の上に書いてございますけれども、1月、3月、5月と、準備委員会がございます。1月末にニューヨークで開かれます委員会、第2回準備委員会でございます。実は1回目の準備委員会、組織会合と称しまして、ことしの5月にニューヨークで開いてございます。その関係で、実質上1回目の会合を第2回と称してございます。この1月の会合では、アジェンダ21の履行状況、各地域グループでの議論、そしてマルチステークホルダーを巻き込んださまざまな会合が開かれてございますので、それらのインプットを受けて全体を統合した文書を事務局で作成することになっておりまして、それをもとにアジェンダ21の実施状況のレビューを行うということでございます。3月には第3回の委員会がございます。この委員会では、1月の会合でのレビュー結果を踏まえて、さらに実施が足りない分野の取組を進めるための提言を作成する。そして、8月のサミットの議題、主要テーマについての議論をするということでございます。5月になりますとインドネシアで最終の準備会合がございます。1週間事務レベルの会合をした後、最後の3日間が閣僚級の準備会合ということでございます。ここでは、サミットで採択される簡潔な政治的文書についての議論が行われると聞いてございます。そして、本体の会合が8月26日~9月4日まで、首脳会合は最後の3日間開かれるということでございます。
 4番目に、これまでさまざまな準備会合の中で出されている意見を簡単にとりまとめたものでございます。各地域、国ごとに特徴的なものを挙げさせていただきました。EUは、議論の中では、気候変動、健康、天然資源の枯渇、貧困、高齢化、乱開発、こういったことが非常に重要だという主張をいろいろ繰り返してございます。アメリカは特に国内のガバナンス、これは途上国の問題が中心でございましたけれども、それから、民間部門の役割、特に資金面での役割の重要性を強調してございました。オーストラリアは海洋の保全の問題を非常に強調しております。途上国は、これはもう予想されていることでございますけれども、持続可能な開発を達成するための貧困の問題、そして、それを解決するための資金、技術移転について強調する発言がいたるところに見られたということでございます。島嶼国につきましては、先のカンボジアの会議で特徴的でございましたけれども、島国のおかれた経済的、社会的、環境面での脆弱性に対して非常に強い主張がなされたということでございます。
 5番目、サミットの目標でございますけれども、このサミットは持続可能な開発をテーマとしてございます。狭義の「環境保全」ということではなくて、非常に幅広い議論がなされるということでございます。しかしながら、持続可能な開発達成のためには、環境の保全、自然資源の持続可能な形での管理というのが非常に重要になってくるということでございます。こういったことで環境政策と経済・社会政策との統合ということがこのサミットの中で世界各国に共有されて、それに向けた取組が進むということが非常に重要だと考えております。また、国内的に見ましても、このサミットを契機に環境政策の新たな展開を進めていきたいというふうに考えております。
 これまで環境省といたしましては、幾つかの取組をヨハネスブルグの準備プロセスの中で紹介してきてございます。2番目のイノベーション戦略は先ほど課長からもご説明があったとおりでございます。
 1番目の「アジア太平洋環境開発フォーラム」ですけれども、これは新しい動きでございますので、一言ご説明させていただきます。「エコ・アジア」という毎年環境省で開いておりますアジア太平洋地域の環境大臣を集めた会議でございますけれども、ことしの10月の会議で設置が承認された組織でございます。橋本元総理に議長になっていただきまして、アジア太平洋地域の有識者を集めて、アジア太平洋地域にふさわしいより公平で持続可能な開発の在り方についてご議論いただく、いわゆる有識者会議といった組織でございます。2004年までに報告書をまとめていただくということで準備を進めてございますけれども、とりあえずヨハネスブルグ・サミットに向けて特別の提言を出していただくということで、1月にバンコクで第1回目の会議があるということでございます。この会議は独立した組織として動き出すわけですけれども、事務局は地球環境戦略研究機関にお願いをして進めているということでございます。
 それから3つ目の点、JCSD、これはリオサミットを受けて、政府、企業、NGO等、さまざまな主体が集まった持続可能な開発を議論するための組織として設立されたものでございますけれども、ここでの議論や、また、NGO/NPOとの意見交換、そういった場を通じまして今後ヨハネスブルグ・サミットに向けた取組を進めていきたいと考えている次第でございます。
 以上でございます。

○浅野部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまご説明をいただきました点について、ご意見、ご質問がございましたらお願いいたします。
 今、お二人から手が挙がっておりますが、ほかにいらっしゃいませんか。
 それでは、順番にお願いいたします。福川委員、廣野委員、波多野委員、高橋委員の順番でご発言をお願いいたします。

○福川委員 ありがとうございました。二、三の点を申し上げたいと思います。
 1つは、国際環境協力の中で水不足問題というのが実は非常に深刻で、私も中国との関係でいろいろな会議に行っておりますが、やはりこの水不足問題は将来において農業問題にも絡むし非常に重要な問題ですし、また、これは水循環といったような形で考えていくテーマなので、これもいずれ考えていただきたいというのが第1点です。
 2番目の問題は、特に発展途上国への環境協力はいろいろな国がバイでやり、また、世銀だとかアジア開銀だとかいろいろな組織がありますが、これがなかなかどういうふうに展開されているかがわかりにくい。それから、民間の企業でもいろいろな協力をしていらっしゃる、電力会社なども人材養成などをやっておられますが、ひとつそういうものをインベントリーと申しましょうか、そういうようなのが全体でどこでどう行われているかというのが非常にわかりにくいので、わかると非常にこういうこともあるのかということが参考にもなるわけであります。いろいろな機関、バイなどでやっているものですから、何かその間の調整も十分に行われない可能性もある、なかなか効率的な効果がでないということなので、いろいろな国、いろいろな機関、または民間も含めた、あるいはNPOもあるでしょうが、そういうもののインベントリーがわかるような形のものを考えていただけるとありがたいということが2つ目であります。
 3つ目は、これは実はさっき申し上げようと思ったのですけれども、もう少し国民にも広く知らしめる、また、きょうもこれからのヨハネスブルグ・サミットへ向けての資金問題等がありましたが、もう少しいろいろ知恵を出す方法を考えられないかと思うわけです例えば、フライブルグ、これはドイツも有名な環境都市でありますが、そこのサッカー場に屋根をつけるということになって、その屋根に全部太陽光のパネルをつけることになりました。それに民間の資金を集めて、1枚ずつ市民がそこにパネルを買う、それを寄付した市民にはサッカーの券の優先購入権を与えるという、そういうことにして金を集めてやっているわけです。日韓主催のワールドカップサッカーは、さっきお話があったけれども、サッカーの切符はもう売ってしまったから今はそれには間に合いませんけれども。実は何かそういうことをいろいろ工夫したらいい。これから発展途上国に対しての資金不足というのはいろいろと問題がありますから、実はそういう人に対して、例えば金を出したときは相続税の一部をまけるという形で資金を集めるということもあるでしょう。環境税も今検討されておりますが、規制だとか税だとかというのではなくて、もうちょっと頭を柔らかくして金を集めたり、いろいろな知恵を出したらいいと思うので、ひとつついでにお願いをしておきます。
 以上です。

○浅野部会長 ありがとうございました。
 廣野委員、どうぞ。

○廣野委員 先ほどのご説明ありがとうございました。
 私はこの説明をずっと聞いていて、日本としてどう取り組むべきかということ、これが非常に重要になってくると思いますけれども、そこで1つお願いがあるのですが。
 日本として取り組むというときに、やはり一番今まで欠けていたのは、そういう国際的な取組に対して日本は積極的な発言が非常に少なかったなと。特にこういう地球環境問題というのは、全世界、すべてに共通の問題ですので、やはりそういう問題は日本自身もしっかりとどういうような政策をとったらいいかということで、あるいはどういう制度をつくったらいいかとか、今お話があったような資金の問題とか、そういうような問題についてやはり積極的に日本として発言することが必要かなと。
 そのときに、今おっしゃったような形でいろいろな会合が世界で行われておりまして、また日本自身もいろいろな格好で提案をしているわけですけれども、積極的な発言というのは、日本が何らかのメカニズムをつくってそこで発言する、これが1つの方法ですね、APFEDなんかはまさにそういうことでやっているわけですけれども。同時に、国際機関なり、あるいはその他、EUとか、あるいはまたほかでも行われていますが、そういうところに行っても、ほかの国々とか、あるいは国際機関とか、そういうところが召集するような会合でも、日本の考え方、地球環境問題に対する日本の取組、こういうものをどんどん積極的に発言して、そういうことが必要かなと。
 もちろん関係者の方は、人数が限られておりますから、そういうところで発言するといってもそれなりの準備も必要ですし、また同時に、いろいろな意味で制約があると思いますが、せっかくそういう場で日本の学者グループもたくさんおりまして、あるいはその他研究者のグループもおりますので、そういう方も大いに動員して、できるだけそういうところで、言ってみれば日本の顔といいますか、そういうものを見せていくことが重要かなと。私の知っている限りでは、過去において余りにもそれが少なかったなということで、ぜひこれからそういうことを真剣にやっていただきたいと。
 そのときに、当然そういうことをやるとなるとお金がかかるわけですが、どうも2つ大きな問題があって、1つは、そういうことをやるまでには調査とか研究が必要なんですね。そのときに調査とか研究のお金が、例えば文部省の科研の費用をもらってやるなんていうのも1つの方法ですけれども、やはり科研の場合にはまたいろいろなほかの問題があってそう簡単にすぐにはいろいろな対応ができないということですと、やはり環境省でもってそういうようなことに対するところの調査・研究のための予算措置をどんどん取っていただくということが1つ重要かなと。同時に、民間のいろいろな財団とか、先ほどちょっと話が出ましたけれども、そういう民間の財団とかそういうところがどんどんそういうところに対して調査・研究のための費用を出せるような、そういう方向が必要かなと。そのための税制上の優遇措置とかいろいろな問題があると思いますけれども、ぜひそういうような点で積極的に環境省がそういう問題に対していろいろな調査・研究のための資金あるいは枠組みづくりを一生懸命やっていただくということが重要かなというふうに思います。
 最後に、それとの関連ですけれども、日本の政府は今まで、世界銀行、アジア開銀、あるいは国連、いろいろなところにお金を出して、G8にも相当お金を出しているんですね
。私はアメリカとかヨーロッパこの前G10のGEAがありましたけれども、GEAの
準備会合でも申しましたけれども、やはり日本の研究機関なり、あるいは大学も含めてですけれども、そういうところは、アメリカとかヨーロッパの研究機関、大学に比べると、そういう国際機関に出しているお金を持ってくるのが下手なんですね。膨大な金を日本政府は、例えば我々が知っている限りでは、G8なんかにもそういうのを出しているわけですので、あるいはまたジャパン・ファンドというような格好で国債というのにも相当お金を出しているわけですね。だから、そういうのを例えばアメリカのハーバード大学とかというのは持ってくるのが非常にうまいですね、一遍に 500万ドルぽっと持ってきて使うとか。そういう格好でリサーチ・プロポーザルなりそういうものをどんどん出せば国際機関は大いにそれを取り上げるわけですから、そういうようなものについてやはり何らかの格好で環境省がこういうような方法がありますよと、大いにこういう金を使ってくださいよという、そういうようなPRも大いにしていただくと、そうすると日本の国内の限られた予算の中だけで考えるのではなくて、せっかく国際機関に出したお金を我々としても大いに使っていくということができるのではないかと思いますので、ぜひそういう点でもご配慮をよろしくお願いします。
 ありがとうございました。

○浅野部会長 ありがとうございました。
 波多野委員、どうぞ。

○波多野委員 今の事務局のご説明では、アメリカへの働きかけみたいなことは1つも言及がなかったのですけれども、この間のドイツの会議までは、日本が署名するかどうかということに関連しては、常にアメリカに働きかけている、アメリカに働きかけているということが書いてあって、アメリカに働きかけたってアメリカはもう嫌だってはっきり言っているじゃないかというにもかかわらず、いや、アメリカだ、アメリカだと言って書いて、1回日本が調印してしまったらもうアメリカのことは全然書かなくなったと。高橋委員が前に、外交というのはタイミングが重要なんだということを言われて、僕も本当にそう思うのですけれども、いまやアメリカは9月11日以降、これは国際協力というのはやはり重要だなと、アメリカは余り勝手なことばっかりやっていると、いざというときにこっちだけを認められないなとアメリカは思い始めているかもしれない。ということは、日本が署名したからといってアメリカへの働きかけをやめるということではなくて、これからこそアメリカへの働きかけを強めるべきだと思っています。

○浅野部会長 ありがとうございました。
 高橋委員、どうぞ。

○高橋委員 2点、手短に申し上げます。第1点は、ヨハネスブルグ・サミットに関して。第2点は、森林に関してです。
 ヨハネスブルグ・サミット、これで私どもは何をやるのかということに非常に知恵を絞らなければならないのですが、世界全体の途上国でいろいろやってもらうことが多分今回の場合も主な課題になると思いますが。ODA全部を取り上げて途上国の経済規模で考えてみますと、これは途上国の経済のたかだか 0.5%~ 0.6%なんですね。ODAトータルに見てもその程度で、それで何ができるんだという感じがするわけですが、その程度のことでいながら我々は途上国に対してああだこうだとやたら威張り散らすわけで、これでは世界がうまくいくはずがないと私は常々思っております。その中で環境の部分を考えてみますと、大体20%前後。そうしますと、途上国のトータル経済の中でたかだか 0.1%なわけです。その環境分野のODA、途上国の経済から見ますと 0.1%ということなのですが、先ほど来の廣野先生のお話などにもありますように、このうちのかなりの部分はODAと言いながら我々先進国が使っているのです。大体半分ぐらいが途上国に行っている。そうすると、途上国の人たちが使えるお金というのは、彼ら全体の経済規模の中の0.05%のところに過ぎないわけなんです。これで何をやるかというのがヨハネスブルグ・サミットのお金の面での実態になるわけなんです。
 そうしますと、私は、恐らく決定的に重要なのは今後の持続可能な開発というコンセプトこれは実態は何だかよくわからない面がありますが、これをさらに進めるときの鍵
になるコンセプトをどうやって地球社会に提示していくかということに尽きるような感じがいたします。その流れで考えていきますと、今、国際社会の中で非常に大事なテーマになってきていますのが「地球公共財の形成」というコンセプトがございますが、国際社会でどうしてこんなにいっぱい問題が出てきているのかということに関して、それは開発セクターの状況に対して地球公共財が余りにも少なすぎるからなんだということで、地球公共財の形成をどうやってやっていくかということが非常に大事な課題になっている。その中で環境ということが非常に重要な要素になっているわけです。そうすると、このヨハネスブルグ・サミットのプロセスでも、地球公共財の形成、そのための世界的な協力、その中で個々の国は何ができるかという問題の出し方をしていくことが非常に重要なんだろうという感じがします。
 そうしますと、地球公共財と持続可能な開発の接点のところをかなり絞り込んでいかなくてはならない。その絞り込みというのは、先ほどのどこの国がどういう興味を持っているというご報告を聞いておりますと、10年前とほとんど変わらない。そうすると、またぞろ恐ろしく膨大なアジェンダになる可能性があるような気がしますが、これをどうやって絞っていくか。私の個人的なプレファレンスからしますと、先ほどの福川委員の見方とまるっきり同じでして、水なんだと思うのですが、これはいろいろな見方があると思います。これを絶対に絞り込んでいかないとならない、その絞り込む基準というのは地球公共財の形成ということだろうと、それが第1点。
 第2点は森林のところですが、先ほどの森林のご報告で、時間がないのではしょったからだろうと思いたいのですが、これは恐ろしくデリケートな問題なのを余りデリケートに扱っていないなという危惧を持ちました。これはどういうことかと申しますと、今、途上国では紛争が激増しています、今現在二百何十の紛争が起こっておりますけれども、その7割方が天然資源との関係、かなりのところは森林に関するところなんですね。どうしてそこで問題が起こるかと申しますと、これは国家の立場からしますと、近代法を制定して、それを実施していくという課題がありますが、それを住民がほとんどの場合全然認めないわけですね、伝統的な慣習というのがある。国家は自分のところの近代法に基づいて、例えば業者にコンセッションを与える、業者はそれでコンセッションを与えられたからといって森林伐採などをやっている。これはどうしても紛争になるわけなんですが、これがどんどんどんどん起こっている、これをどうするかと。イリーガル伐採というのは、イリーガルのリーガルは何を言うんだというのが問題なわけなんですが、それが大変な問題になっていますので非常にデリケートにやっていかなければならない。
 さらにその問題が重要なのは、この森林に関しましては、ほとんどの場合が少数民族が住んでいる地域です。少数民族対策というのはどの国にとっても政治的にトッププライオリティーの問題なんです。そのトッププライオリティーの問題がこの森林との関係でとんでもないことになってきていると、そういうことを扱うテーマなんだということを非常に強く認識した上で日本が果たす役割をいろいろやっていくべきだと思います。
 以上です。

○浅野部会長 どうもありがとうございました。
 いろいろ重要なご提言をいただきましたが、村上委員、手短に。これで委員のご発言を最後にしたいと思います。

○村上委員 先生方が言ってくれると思って言わなかったのですが、このサミットで、日本が積極的に発言すべきだとかいろいろお話がございました。しかし、残念ながら、我が国は何を言っているのか、何に関心を持っているのかという話が全然ございません。今、構想中なのか、例によって日本は発言しないでいくのか、その辺の準備はどうなっているのか、ちょっと聞かせていただきたいと思います。

○浅野部会長 その点は先ほどの2ページの「各国の関心事項」というところに関するご質問だと思います。日本がないねということだと思いますが、それも含めて、地球環境審議官、全部まとめて何か、ご発言をいただけますでしょうか。

○地球環境審議官 貴重なご意見をありがとうございました。いずれもこれからの私たちの取組において十分に参考にさせていただきたいと思いますし、これからもまたいろいろとご指導いただきたいと思っております。
 このきょうご説明いたしました資料の中に、我が国がどういう主張を、例えばカンボジアのプノンペンでやったのかというようなことが入っていないというのは、まことに申しわけないことだったというふうに思っております。
 実はプノンペンの会合で我が国がどういう点を重視するかという点で明確な主張をいたしました結果としまして、採択をされたプラットフォームにもその主張が盛り込まれたということなのであります。我が国が指摘をいたしましたのは、まず、先進国では現在の消費パターン・生産パターンというのが持続可能なものになっていないという点が非常に世界的にも問題とされているわけですが、それを我が国の場合は循環型の社会づくりということで取組を進めているわけでありまして、そういうことが大事である、途上国もこれから経済発展をしていく中で、中産階級などを中心に、だんだんと消費パターンが先進国型になっていくという問題もありますからそういったことを言っておりますし、その際に、気候変動対策、マラケシュの合意などでできましたように、市場メカニズムをその中で活用していくということが大事だということと、技術開発の成果を十分に生かしていくことが大事なんだというようなことを言いました。
 それからもう1つは、この環境省の準備状況の中で触れておりますけれども、例えばアジア太平洋環境イノベーション戦略というようなことで言っておりますが、その他の幾つかの我が国政府全体としてのプログラムでもそうですが、やはり科学的な基盤をしっかりしていくという、科学技術の最先端の科学技術を十分に活用して環境政策あるいは持続可能な発展に生かしていくんだといったようなことなどを主張させていただいているということで、これらは一例でございます。
 それからもう1つは、昨年のESCAP環境大臣会合を我が国の北九州市でESCAPと一緒に開催させていただきました。そのときに合意をされた、アジアの自治体間で連携を深めていこうということで、「北九州イニシアチブ」という形で出ておりますけれども、そのようなことに例として見られますようなそういう都市問題への取組にも重点を置くべきだといったような、8点ほどのポイントを打ち出しまして主張をさせていただきました。
 そういうものが今回のプラットフォームに反映されているわけでありまして、そういう面では、我が国から積極的な発言を国際機関などの主催する会合で十分に発信をしていくべきだというご指摘については、これからもまさにそういうことでやっていくつもりでございますけれども、不十分ながらかもしれませんが、プノンペンでもそういうことをさせていただたということで紹介をさせていただきたいと思います。
 その他いろいろなご指摘をいただきましたが、いずれもまことにごもっともだと思っておりますので、これからできる限りそういうご指摘を生かしていくような方法で 私どもは既にそういうラインに沿って幾つかの取組も始めさせていただいているのでございますけれども、ぜひいただきましたご指摘を踏まえてさらに取組を進めていきたいというふうに思いますので、ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。

○浅野部会長 ありがとうございました。
 来年以降というか1月以降、2002年以降の新たな取組の必要があるということは寺田総務課長からもお話がございました。特に部会長代理が第1回の本部会でおっしゃいました海洋環境問題については、ロンドン・ダンピングとかTBTの条約の批准という問題が本当に取り上げられていかなければいけない課題として積み残しになっていることは事実でありますから、これについては精力的に取り組まなければいけないということは事務局も申しておりますし、我々もこの際改めて取り組んでまいらなければならないことではないかと考えております。
 本日は予定の時間が参りました。最後に炭谷地球環境局長からごあいさつをいただきまして、本日の会議を終えたいと思います。

○地球環境局長 本日は、本当に暮れのお忙しい中ご出席をいただきまして、ありがとうございました。特に京都議定書の締結に向けた国内制度の小委員会におきましては、これは数えてみますと全部で24回も会合を持っていただいたというふうに聞いておりますし、また、フロン対策におきましても、これは毎月小委員会を開催していただいたということで、大変濃密な審議をいただいたわけでございます。私どもといたしましては、これらの審議を受けて、フロン対策につきましては来年の4月から全面施行されるという形になりますし、また、京都議定書の批准に向けて来年の通常国会にその批准の準備をする、また、それにあわせた国内制度、特に地球温暖化推進法の改正というような作業をこれから本格化させていきたいというふうに思っております。当然今議題になっていますヨハネスブルグ・サミットへの日本の立場というものをもっと明確に出すような準備というものもきょうのご意見を踏まえて準備を進めてまいりたいと思いますので、変わらぬご指導をよろしくお願いいたします。
 本日はどうもありがとうございました。

○浅野部会長 それでは、これで本日の審議を終わりたいと思います。
 どうもありがとうございました。

午後4時52分閉会