気候変動影響評価・適応小委員会(第3回)議事録

日時

令和6年7月5日(金)14:00~15:59

場所

WEB 会議システムを併用したハイブリッド形式で開催。併せて YouTube チャンネルでライブ配信を実施。

議事次第

1.開会

2.議題

(1)気候変動適応法施行後5年の施行状況に関する検討中間取りまとめ(案)について

(2)その他

3.閉会

議事録

●羽井佐気候変動科学・適応室長
それでは定刻となりましたので、ただいまより、第3回中央環境審議会地球環境部会気候変動影響評価・適応小委員会を開催いたします。
進行役を務めます環境省気候変動適応室長の羽井佐と申します。どうぞよろしくお願いします。
私、7月1日付で、気候変動科学・適応室長として着任をしております。前任地が東北地方環境事務所でした。そこで、ネイチャーポジティブに関する施策の自治体への普及や社会実装ということに取り組んでおりました。6月は比較的、仙台は涼しく、7月になって東京に来るとものすごく暑いので、否応なく24時間適応のことを考えさせられているという状況です。現場の感覚を忘れずに、この適応という幅広い分野で業務に携わることができればというふうに考えておりますので、皆様方の温かいご指導をいただければというふうに思っております。どうかよろしくお願いします。
本日の会議は、現在、委員総数の過半数以上の、具体的には17名、後ほどお2人遅れてのご参加と聞いておりますが、ご出席をいただいておりますので、定足数に達しておりますことをご報告いたします。
本日の小委員会は、対面、オンラインのハイブリッド形式での開催となります。また、この会議は、環境省の公式YouTubeチャンネルよりライブ配信を行っています。資料及び議事録については、ホームページにて公開とさせていただきます。
対面、オンラインのハイブリッド形式での開催となり、委員の皆様にはご不便をおかけすることもあると存じますが、何とぞご容赦いただければと思います。
WEB参加の委員の皆様は、何かご不明な点がありましたら、事務局まで、右下のチャット欄か、事前にお伝えした電話番号までお電話にてお知らせください。
初めに、委員の交代がございましたのでご紹介いたします。
那須塩原市の松本前委員に代わり、那須塩原市環境戦略部カーボンニュートラル課長、小高委員にご就任いただいております。小高委員、一言お願いいたします。
 
●小高委員
那須塩原市は栃木県の北部に位置しまして、気候変動対策に積極的に取り組んでいる市になります。令和元年12月にはCO2排出量実質ゼロ宣言をしておりますし、令和2年4月には、地域気候変動適応センターを設置しております。令和2年6月から、那須野が原グリーンプロジェクトとしまして、「ここに住んでいれば生き延びられる」持続可能なまちの構築に向けた様々な取組を行っております。
このたび、前任者から引き継ぐ形で委員となりました。皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
 
●羽井佐気候変動科学・適応室長
ありがとうございます。
続いて、資料の確認をさせていただきます。画面上に配付資料一覧を表示いたします。こちらでご確認いただければと思いますが、今日は資料1のみとなっております。
皆様には事前にお送りしていますので、WEB参加の皆様は、お手元に資料をご準備いただければと思います。
議事の中で、発言者以外のWEB参加の皆様は、基本的にマイクをミュートに設定してください。また、回線負荷を回避するため、ご発言のとき以外はカメラの使用をお控えください。画面の下にあるカメラのアイコンをクリックし、カメラをオフ、ビデオ停止にしていただきますようお願いします。
ご発言される際は、対面会議室でのご参加の皆様はネームプレートを立てていただければと思います。オンライン参加の皆様は、ご自身の名前の右側にある手のマーク、挙手ボタンを押してください。委員長が順番に指名しますので、マイクのボタンを押してミュートを解除し、ご発言ください。ご発言が終わりましたら、マイクをミュートにし、再度挙手ボタンを押して、挙手を解除いただきますようお願いします。
ご発言の際は、最初にお名前をおっしゃっていただくと幸いです。
マイク、デバイスに物理的なミュートスイッチがある場合がございます。その場合はオンにしておいてください。ご発言時以外に、ご意見、ご質問がある場合も、チャット欄をご活用ください。
それでは、以降の議事進行を肘岡委員長にお願いいたします。よろしくお願いします。
 
●肱岡委員長
国立環境研究所の肱岡でございます。今日は第3回となります。どうぞよろしくお願いいたします。
本日の議題ですけれども、気候変動適応法施行後5年の施行状況に関する検討、中間取りまとめ(案)ですけれども、委員の先生方には様々なご意見、ご示唆をいただき、どうもありがとうございました。事務局より説明いただいた後、皆様にご意見いただく形になりますけれども、ここで取りまとめいただきたいと思いますので、どうぞ今日はよろしくお願いいたします。
それでは、事務局より説明をお願いいたします。
 
●小早川気候変動・科学適応室室長補佐
環境省気候変動・科学適応室の小早川です。資料1に関しまして、ご説明させていただきます。
取りまとめ(案)という形で、本日ご議論いただく資料でございます。
本取りまとめ(案)の構成といたしましては、2ページ目に目次がございますが、1ポツで現状とこれまでの主な取組、2ポツのところで課題と今後の展開という2段構成としております。
続きまして、3ページ目から本文となりますけれども、「はじめに」のところでは、まず、背景といたしまして、IPCCのほうでも、2020年頃までに約1.1℃上昇しているという報告があるなど、気候変動の進展といったところが世界的にも報告されているというところを記載させていただいています。また、気候変動の影響に関しては、世界、日本全国各地で現れてきているという状況がございます。また、こういった背景を踏まえましてIPCC第6次評価報告書の統合報告書においても、適応のオプションを実施する「気候にレジリエントな開発」を進めることの重要性が指摘するなど、気候変動適応策の総合的な推進がより一層求められているというところを記載させていただいています。
2段落目のところですが、我が国における適応の取組については、段階的に進展をしてきているところでございますが、気候変動適応法が、平成30年12月から施行され、その附則第5条におきまして、「政府は、施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。」とされていることを踏まえまして、これまで、本小委員会のほうでご議論をいただいてきたところでございます。この取りまとめは、これまでご議論いただいたことを踏まえて、これまでの主な取組及び課題と今後の展開について取りまとめを行うものであるという旨を記載させていただいております。
続きまして1ポツ、現状とこれまでの主な取組ということで、(1)から(8)の内容を整理させていただいております。
(1)といたしまして、気候変動適応法において、「気候変動適応」とは、気候変動影響に対応して、これによる被害の防止または軽減その他生活の安定、社会もしくは経済の健全な発展又は自然環境の保全を図ることと定義されているところです。気候変動の影響は既に現れてきていることから、「緩和」と両輪で「適応」の取組が重要となっています。
「また」のところからの段落ですが、気候変動の適応は、関連する施策との連携を図ることが重要であるというところで、これまで「気候変動×防災」の取組の推進でありますとか、自然が持つ多様な機能を活用した災害リスクの低減等を図るグリーンインフラの推進等、関係省庁と連携して取り組んできていること、また、「生物多様性国家戦略」においても、気候変動適応等を含むNbSの推進を基本戦略の一つとして位置づけるなど、さらに、Eco-DRRやEbAについては、手引きや事例集の作成等を行ってきているなど、取り組んできている内容としてご紹介しております。また、農林水産省のほうでは、「みどりの食料システム戦略」を策定し、これらの戦略に基づいて、農林水産分野における気候変動適応の推進を図ってきているという状況でございます。
(2)気候変動適応計画です。
適応法に基づく「適応計画」は、平成30年11月に閣議決定されています。その後、令和3年10月に改定、令和5年5月には、熱中症対策の関係から、一部変更の閣議決定がなされております。この適応計画においては、環境大臣を議長とし、関係府省庁により構成される「気候変動適応推進会議」というものが位置づけられており、政府一体となって適応策を推進するための体制が、この中で規定をされているというところでございます。また、その進捗状況については、定期的に確認をするということが規定されております。
これらの規定に基づきまして、短期的な施策の進捗管理に関しては、分野別施策や基盤的施策に関するKPIを設定し、先にご紹介した推進会議においてフォローアップを行ってきているところです。
中長期的な気候変動適応の進展の把握・評価方法の検討については、指標の設定に取り組んできているところでございます。
表1においては、指標と目標の進捗状況を整理してございます。概ねほとんどの項目において進展が見られるというところでございます。
6ページ目に行きまして、(3)気候変動影響の評価というところですが、適応法に基づきまして、気候変動影響評価報告書を概ね5年ごとに作成するということが規定されております。令和2年12月に最新のものは公表しておりまして、現在、次期影響評価報告書の公表に向けて、六つのWG及び各WGの座長等で構成する座長間会合により、科学的知見の収集・整理・分析等に取り組んでいるところです。
(4)地域の適応に関しまして、適応法に基づき、地域においても、「地域気候変動適応計画」を策定するよう努めることとされているところです。この地域適応計画の策定は年々増えておりまして、図1-1に策定状況をお示ししておりますが、全47都道府県で策定済み、政令指定都市においては20自治体、その他の市区町村において248自治体が策定済みとなってございます。
環境省では、これまで、これらの地域適応計画の策定促進に向けて、マニュアル等の整備を行ってきているところです。
おめくりいただきまして、7ページ目でございますけれども、図1-2に示しておりますのが地域気候変動適応センターの設置状況でございます。令和5年度末時点で、62のセンターが設立されているという状況です。
図の下になりますけれども、さらに、地方公共団体の区域を越えた広域的な気候変動影響の適応推進のため、広域協議会を全国7ブロックで組織していただいているところです。これまで、それぞれの広域協議会においてアクションプランの策定や、それに基づく適応策の実施に取り組まれてきております。また、それらの情報共有等を目的に、令和2年度より毎年、全国大会を開催してきております。
その下の段落に行きまして、環境省においては、これらの地域の取組を支援するため、地域適応コンソーシアム事業でありますとか、アクションプラン策定事業等により、これらの地域の取組を支援するを実施してきたところになります。
また、農林水産省では、各地域での気候変動による農林水産物への影響や適応策に関する情報を取りまとめた「気候変動の影響への適応に向けた将来展望」の公表などを行ってきております。
また、国立環境研究所では、気候変動影響及び適応に関する情報の収集、整理、分析及び提供や、地方公共団体及び地域の気候変動適応センターへの技術的助言等を担う、国立環境研究所気候変動適応センターを設置しております。また、A-PLATを通じた科学的知見やツール・優良事例などの情報提供、研修・セミナー等による学習機会の提供や、意見交換会等の開催、専門家派遣等により地域の支援を行ってきていただいているところです。
(5)民間企業の適応に関しましては、民間企業における適応としては、「気候リスクマネジメント」と「適応ビジネス」の二つの取組があります。これまで、TCFDの提言等に基づき、情報開示に取り組まれる企業が増えてきているという現状がございます。環境省では、こういった企業の取組を後押しするため、ガイドの策定等にこれまで取り組んできているというところと、さらに、「気候変動リスク産官学連携ネットワーク」を立ち上げ、文部科学省、国土交通省、金融庁、国立環境研究所と共に、企業との意見交換や情報共有に取り組んできております。また、「気候変動リスク・機会の評価等に向けたシナリオ・データ関係懇談会」を設置し、金融機関及び企業等との双方向での気候変動リスクと機会の分析と評価を行うための気候変動関連データの提供や利活用における課題についての議論を進めてきているところです。
一番下の段落になりますが、「気候変動の物理的リスク評価等に資するデータ一覧」をこれまで作成し、A-PLATで公表したほか、物理的リスク分析に取り組む企業が一元的に情報を得ることができるポータルサイト「気候変動リスク分析情報サイト」を令和5年度末よりA-PLATを通じて公開しております。
また、国内外で適応ビジネスに取り組む企業が徐々に増加してきているところですが、A-PLATを通じて、それらの事例等の紹介等を行ってきております。
(6)科学的知見の充実・情報基盤の強化でございます。
環境省では、GOSATシリーズ等により、地球全体の温室効果ガス濃度を継続的に観測しております。また、気象庁では、大気中の温室効果ガス濃度を東京都の南鳥島等で継続的に観測しているほか、大気や表面海水中の二酸化炭素濃度、二酸化炭素を海洋気象観測船で定期的に観測等を行ってきているというところです。また、文部科学省では、ビッグデータを蓄積・統合・解析・提供するデータ統合・解析システム(DIAS)の整備・運用を進めてきております。さらに、「気候変動予測先端研究プログラム」を開始するなど、気候変動に関する科学的知見の充実に取り組まれてきております。また、文部科学省と気象庁においては、気候変動に関する自然科学的知見を取りまとめた「日本の気候変動2020」を、令和4年には「気候予測データセット2022」を公表しておりまして、現在、「日本の気候変動2025」の公表に向けた取組が進められております。また、環境研究総合推進費においては、気候変動影響及び適応策に関する新しい知見の創出等に取り組まれてきており、国立環境研究所では、センター等との共同研究の実施や、科学的知見等をA-PLATを通じて提供するなどの取組が行われてきております。
(7)国民の理解増進と情報発信でございます。
10ページ目の図1-3をご覧いただきますと、気候変動に関する認知度自体は上昇しているということが、こちらの世論調査の結果からも分かるところです。しかしながら、こちらの結果を見ると、若者の認知度が低い傾向にあるというところが特徴として見てとれるというところがございます。
環境省としては、身近な気候変動のリスクとして、将来地球温暖化が進行した状況下で台風がどのように変化するのかといった影響評価を分かりやすくまとめたパンフレットを公表するなどにより、情報発信・国民の理解増進に取り組んできているところです。
(8)国際展開です。
開発途上国の気候変動適応の支援として、AP-PLATを2019年に立ち上げておりまして、科学的知見の共有やツールの開発及びそれらの使用方法を含めた能力強化に取り組んできております。また、GANやAPANといった国際ネットワークを通じた支援にも取り組んできております。
おめくりいただきまして、11ページで、続きになりますけれども、国際的には、開発途上国からの適応への支援のニーズはとても高いというのがございます。それを受け、昨年のCOP28に際しては、日本政府として、「世界全体でパリ協定の目標に取り組むための日本政府の投資促進支援パッケージ」を発表しております。この中に三つの柱があり、その一つが「気候変動を上回る速度の「適応のギャップ」の解消」というものがあります。政府一丸となって、産官学連携して適応のギャップ解消に取り組んでいくというところでございます。
また、適応策の国際展開は日本企業のビジネスチャンスにもなり得るというところで、環境省では、早期警戒システム(EWS)の導入促進を支援するため、民間企業との連携の下、「EWS導入促進に係る国際貢献に関する官民連携協議会」を令和5年に立ち上げているところです。また、経産省では、「適応グッドプラクティス事例集」を作成し、また、COP27で立ち上げたSUBARUイニシアティブの下で適応策のニーズを持つアジア太平洋諸国の地方自治体等と適応技術を有する日本企業とのマッチングに取り組まれています。
このほか、ASEAN農林大臣会合で採択された、ASEAN地域における強靱で持続可能な農業・食料システムの構築に向けた「日ASEANみどり協力プラン」を通じ、協力プロジェクトの推進に向けた協議、具体化が実行されている状況となっています。
続きまして、2ポツ、課題と今後の展開に入ります。課題と今後の展開については、(1)から(6)で構成されてございます。
(1)気候変動適応策の効果把握・進捗評価でございます。
気候変動適応に関する施策の効果・進展を把握・評価するに当たり、適切な指標の設定が困難であること、効果の評価を行うには長い期間を要すること、分野をまたがる統合的な評価を行う手法がないこと等の課題があります。一方で、適応計画のPDCAサイクルを回していくということは適応策の推進に当たり極めて重要な取組です。効果・進展を適切に把握・評価するため、その基盤としてさらなる実践的・統合的な科学的知見の充実が重要であるという旨を記載させていただいております。
(2)の科学的知見の充実・活用及び気候変動影響の評価でございます。
気候変動適応の推進のためには、現在の気候変動影響に関する分析やできる限り精緻な気候変動影響の将来予測が必要となります。これらの情報を継続的に収集するとともに情報の質の向上に取り組む必要がある旨、記載させていただいております。とりわけ、自然科学的な視点での評価はこれまで進んできたところでありますが、社会・経済的な脆弱性を考慮した評価は不十分であるという指摘がございます。今後に向けては、地域(地理的分布)や対象(社会的集団/業種/生態系等)などの脆弱性に関する知見のさらなる充実・分析が必要であるという点、ご指摘いただいておりましたので記載をさせていただいているところです。
また、適応策の推進のためには、適応策と緩和策や防災対策、生物多様性保全などコベネフィットやトレードオフに留意する必要があります。一方で、これらの科学的知見は現在十分ではないため、さらなる科学的知見の強化や見える化が必要であるという旨、記載させていただいております。
また、観測データについては長期的な変化を捉える必要があるため、GOSATシリーズ等技術衛星の運用を含め継続的な観測の取組が重要である旨、また、科学的知見や情報・データの利活用を促進することが重要であり、A-PLATやAP-PLATなどのさらなる充実と改良により、それらデータへのアクセス性向上や効果的・効率的な情報発信を含めた情報基盤の強化が必要であるという旨を記載させていただいております。
続きまして、(3)地域の適応の促進です。
気候変動影響は、地域の気候や地理などの自然的な状況、産業などの社会的な状況によって異なるため、それぞれの地域の実情や特性に応じて適応に取り組むことが重要となります。地域の実情や特性を踏まえた計画の策定が必要でありますが、この策定に当たっては、地方公共団体の区域を越えた、流域や山林など自然環境、生活環境のつながりの中で取り組むことによって、より効果的な適応策を実施することにつながる場合があるといったようなことも踏まえ、共通の課題を持つ複数の自治体等による地域の適応計画の共同策定が適切な地域もあると考えられます。
2段落目ですけれども、地域適応計画に基づく適応の推進に当たっては、人員や予算、気候変動の将来予測等に係る知見等の不足等が指摘されています。地方公共団体においては、様々な計画策定が求められる中、地域適応計画策定のハードルが高くなっているというご指摘もありました。さらに、気候変動は農林水産業や健康、防災など多岐にわたる分野に影響を及ぼすため、適応計画の策定に当たっては、それらの多様な分野に関する庁内の部局との連携が必要となります。それらの他部局との調整が難航しているといった現状もご指摘がありました。
対応策としては、初期段階から他部局と共同して策定に取り組むといったことであったり、国レベルで各省との連携強化を図り、各省がそれぞれの自治体の所管部局におろしていくといったようなアプローチも有効ではないかというご指摘をいただきました。
人員や予算確保の観点からも、自治体が、その適応策の有用性を理解し、内部で説明できるということも必要となります。例えば、適応策がサステナブルな街づくりや強靱で住みやすい地域社会の構築などへの貢献、農林水産業への被害回避・軽減など、適応による地域へのベネフィットの見える化及びそれを説明できるようにするといったことが必要であるというご指摘をいただきました。
13ページに入っておりますけれども、13ページの1段落目になりますが、気候変動への影響は多岐にわたり、自治体の限られたリソースの中で効率的、効果的に適応策を講じていくことが必要となっており、適応策については、気候変動に対する強靱な地域の実現だけでなく、防災や生物多様性など他分野とのシナジーにより地域の課題を同時に解決し、地域のウェルビーイングを向上させるポテンシャルがあるというご指摘もいただいております。そのため、地域脱炭素を推進するための地方公共団体実行計画や生物多様性地域戦略等の横断的な対応が求められる関係計画との一体策定を促進することは、政策の有効性や効率性を得る観点からも重要であると考えられます。地域のベネフィットも創出するシナジー効果のある適応策については、事例が少ないことや、あったとしても、その評価、効果の見える化が十分ではないことが課題として挙げられており、それらの事例の創出や、横展開に取り組む必要があるとご指摘をいただいています。
地域の計画は作って終わりではなく、実施が重要であるというところから、自治体や企業、国民1人1人の行動変容につながるようさらなる情報発信や能力強化に取り組むことが必要であるというご指摘をいただいております。
最後の段落ですが、地域適応の取組の強化に当たっては、地域適応センターの役割も重要となります。地域の特徴やニーズを捉え、適応策推進により地域に貢献していくことが期待されております。国立環境研究所気候変動適応センターには、これらの地域適応センターの実態を踏まえた支援といったところが期待されております。
(4)民間企業の適応の促進です。
企業が気候変動適応に戦略的に取り組むことは、事業の持続可能性を高める上で必要不可欠であるだけでなく、顧客や投資家などからの信頼を高めることや適応に関する新たなビジネス、適応ビジネスの機会を創出にもつながるということで、企業の競争力を高める観点からも重要となっております。
企業による情報開示が広がってきていますが、専門的知見を持つ人材の不足や、経営判断に必要十分な情報を得られないケースなどがまだ多くあるという現状となっております。今後は、大企業だけでなく、中小企業においても、こういった情報開示が求められる可能性が高いと考えられているため、必要なデータへのアクセス向上や気候変動関連データと事業に関連するデータを組み合わせた分析・評価などの適切な活用手法の検討、利活用のためのさらなる環境整備が求められております。そのため、これまで取り組まれてきている「気候変動リスク産官学連携ネットワーク」の活用でありますとか、ポータルサイトのさらなる充実が必要であるという旨、記載させていただいております。
また、企業にとってベネフィットの見える化が適応策推進においては重要となります。例えば、労働者の健康は企業にとってメリットがあり、「健康経営」が注目されております。認定制度などもあり、認定のロゴマークを名刺につけるなどにより企業の付加価値となっているというようなご指摘もございました。
最後の段落ですけれども、民間企業の気候変動によるリスク低減、事業機会の創出を促進するに当たっては、リスク分析の実施事例や適応ビジネスの成功事例について、体系化し、横展開を図る等により、好事例の創出を進めていくということが必要であるという旨、記載をさせていただいております。
(5)国民の理解増進です。
気候変動適応を促進するためには、国民1人1人が気候変動の影響を理解し、気候変動への適応を自分事として捉え、行動変容に結びつけていけるよう取り組んでいくことが重要であります。その第一歩となる国民の気候変動影響の理解の促進に向けては、概ね5年ごとに作成される気候変動影響評価報告書の果たす役割はとても大きく、科学的知見に基づき気候変動の影響を整理し、さらにそれを国民等に分かりやすく伝えていくことが重要となります。また、伝える対象ごとに、分かりやすい伝え方や有効な手段・内容が異なることが想定され、効果的な理解及び行動変容の促進に取り組む必要があるという旨を記載させていただいております。
とりわけ、世論調査の結果も踏まえ、若者の理解度が低い、認知度等が低いということが課題の一つとなっております。教育面でありますとか、若者にアプローチしやすい情報ツールを活用した情報発信に取り組む必要が、有効な手段の一つになり得るというご指摘をいただいております。
また、若者だけでなく、多くの国民にアクセス可能なメディア等をうまく活用することに加え、防災や農業、観光、産業、健康など様々な分野における国民が実感しやすい気候変動適応の成功事例を見せていくことも有効ではないかというご指摘をいただいております。
(6)国際展開です。
気候変動の影響は世界各国で既に生じており、世界のあらゆる国々の持続可能な開発にとって脅威となっていることから、我が国の有する科学的知見や技術等を活かして、途上国の適応能力の向上の支援を進めることが必要である旨、記載をさせていただいております。また、我が国の民間事業者の多くが途上国において事業活動を展開していることを踏まえれば、途上国における適応能力の向上はこれらの我が国の民間事業者の安定的な事業活動にも寄与すると考えられます。さらに、日本の優れた適応に関する技術やサービスを海外展開していくことは、我が国の民間事業者のビジネスチャンスにもなり得ると考えられます。
途上国における適応計画の策定を含む適応能力の向上に向けては、AP-PLATを通じた科学的知見の共有、ツールの活用支援を含む人材育成等の強化に加え、国際ネットワーク等を通じた支援を実施していくことが必要であるという旨を記載させていただいております。また、途上国においても適応策の実施を緩和やその他分野とのシナジーをもって促進していき、公的資金のみならず民間資金の活用に取り組んでいく必要があるという旨を記載させていただいております。適応や防災、農業など関連する施策を統合して展開していくことが効果的であるというご指摘も踏まえ、JICAや国際機関等に加えて、関係省庁や企業等とのさらなる連携強化が必要であるという旨を記載させていただいております。
最後に、「おわりに」になりますが、まず、第1段落のところでは、今年5月に閣議決定された「第六次環境基本計画」における適応に関する記載を少しご紹介させていただいております。まず、この「第六次環境基本計画」においては、その目的として、環境保全を通じた現在及び将来の国民1人1人の生活の質、幸福度、ウェルビーイング、経済厚生の向上、人類の福祉への貢献が明記されております。また、気候変動は生物多様性の損失及び汚染と人類が直面する「3つの危機」のひとつとされ、極端な大雨や猛暑など、国内外で顕在化しつつある気候変動の影響に対処するため、「緩和」だけでなく「適応」の重要性が指摘されております。また、適応法に基づく適応の取組の推進が重要であるという旨、「第六次環境基本計画」の中でも明記されているところです。
また、気候変動への適応は、国民1人1人、地域、企業など全ての関係者にとって自分事として捉える必要がある重要な取組であり、一方で、適応の分野は多岐にわたるため、地理的特徴や社会的集団、業種などにより、優先すべき適応が異なることを踏まえ、限られたリソースを効率的・効果的に活用しつつ取り組んでいくことが重要であるという旨、記載させていただいています。また、適応策は、気候変動に対する強靱な社会の実現だけでなく、防災や生物多様性など他分野とのシナジーによるコベネフィットの創出が可能となる取組が多く存在し、他分野とのシナジーにより、関係者が抱える課題を同時に解決し、環境基本計画でも記載されたようなウェルビーイングの向上に資するポテンシャルがあるという旨を記載させていただいています。
下の段落ですが、既に取り組まれていることが気候変動への適応策として有効であったり、適応策がほかにも便益を生んでいたりするということがあったとしても、それが現状、十分に理解されていないというところがあるため、見える化などにより、国民1人1人、地域、企業など全ての関係者が適応策に取り組むことがそれぞれのウェルビーイング向上につながることを理解し、気候変動を自分事として捉え、行動に移していくということが重要であるという旨を記載させていただいております。
最後に、気候変動による甚大な影響が国内外で顕在化していますが、適応法に基づく取組を一層深化させるとともに、関連分野とのさらなる連携と実践を進めていくため、本報告書で取りまとめた課題と今後の展開を踏まえ、国において関係者と連携しつつ必要な措置を講じていくことを期待するという旨を記載させていただいております。
説明は以上となります。
 
●肱岡委員長
ご説明ありがとうございました。それでは委員の先生方、コメント、質問等をお願いできますでしょうか。
それでは、今田委員からお願いします。
 
●今田委員
ありがとうございます。改めまして、東京大学の今田です。ご説明どうもありがとうございました。
順調に成果が出ているということがよく分かる報告書で、非常に結構なことだと思いました。
今後の課題のところで2点コメントがあります。
一つは、(2)のところで書かれていた科学的知見の充実・活用のところですね。我々科学者としても、そういう科学的知見に需要があって、今後、より精緻な情報が必要だというふうに言っていただけるのはすごく励みになってありがたい一方で、情報が精緻になって高度化していけばしていくほど、今度は利活用の壁が上がっていくという問題もありまして、そうなったときに、やっぱりその間をつなぐコミュニケーターのような存在が非常に必要だなというのは最近痛感しております。いろんなところに人材不足という言葉が出てきたと思うんですけど、人手不足は研究者側にも問題としてあるので、ぜひ、そういった間をつなぐことができるようなコミュニケーターの育成みたいなところも要素として入っているとよいのかなというふうに思いました。
あと、もう1点は、国民の理解増進のところで、やっぱりここは非常に難しいというお話があったと思うんですけれど、こういったところで情報を見える化するであるとか、気候変動影響評価報告書が果たす役割は大きいというような話もありましたけど、見える化に関しては、いろんなところでかなり進んでいるなという印象を私は持っているんですけど、一方で、見える化したものを見てもらう手段というのが、やっぱりまだ足りていないのかなというのを、こちらの文章を読んでもすごく思いましたので、そういったところの工夫、せっかくもったいないですので、そういったところの工夫、今後どうやってアウトリーチや広報を展開していくかというところを考えていただくとよいのかなというふうに思いました。
以上です。
 
●肱岡委員長
貴重なご意見をどうもありがとうございます。
それでは沖委員、よろしくお願いします。
 
●沖委員
ありがとうございます。私が、やっぱり一番気に入ったのは、緩和策や防災、生物多様性など他分野とのシナジーによるコベネフィットの創出といった文言が随所に出ていて、やはり緩和策を、適応策を適応策だけでやるのではなくて、そういうものとシナジーが取れるように一体としてやっていくべきだというのは非常に大事なことかなと思いました。
あとは、ただ、今回の適応法できてから、地域適応計画を作ってもらうというのが非常に大きなミッションだったと思うんですけれども、それについては一定の成果が出ていて、かなり思ったより進んでいるということかなと思いました。
じゃあ、その次に何が必要かといったときには、そうやって計画を作って実行に移したときに、どの計画が、どういう自治体では、こういう工夫をしたらうまくいった、こういうところではなかなかうまくいかなかったと、うまくいかなかったという経験はなかなか共有しにくいんだと思いますけれども、今、AP-PLATのWEBサイトですかね、A-PLATですね。拝見させていただくと、非常に充実した情報がそろえられていて、科学的知見を使って、どうやって適応計画を作ればいいかというのが非常にうまくまとめられていると思ったんですけれども、今度は、各地域の計画が見られるようになっているのを、今度はどの計画でやったこういうのは本当にうまくいったんだという、成功事例をまさにピックアップして、共有して、次の改定に向けて各地域に役立ててもらうといった、先ほど今田先生がおっしゃったのとは違う意味での、今度は媒介役になる方が必要なんじゃないかなというふうに思いました。
それから、若者層の認識の話なんですけれども、あのアンケートでは、とにかく若年層だけが、それより上の世代と違って、SNSと学校教育で知識を得ているとなっているんですね。SNSで発信するのはあまり効果がないんじゃないかと思いました。つまりSNSは、皆さん、聞きたい、知りたい情報にしかアクセスしないので、どれだけ大事な情報を流しても誰も見ないということになる。
となると問題は教育なんですけれども、ちょっと、なぜ気候変動に対する関心が高まらないような教育になってしまっているのかというところを、少し丁寧に評価・検討してはどうかなという気がいたします。個人的にはあまり、ちょっとやっぱり脅すような話ばっかり聞くと子供たちは、気候変動の話を聞きたくないというふうに、義務教育からここまで受けて思ってしまっているんじゃないかというふうに想像しますけれども、その辺、ぜひ今後に生かしていただければと思います。
 以上です。
 
●肱岡委員長
貴重なご意見、どうもありがとうございました。
それでは、三島委員、よろしくお願いします。
 
●三島委員
三井住友海上の三島です。ご説明ありがとうございました。
一つコメントと質問を一つさせていただきたいと思います。
私は、13ページの気候変動適応策というのが強靱な地域の実現につながると、まず、この地域のレジリエンスにつながるということと、それとシナジーによって、地域のウェルビーイングにつながっていくんだと、このくだりには非常に強く共感をしておりまして、ここは、ぜひメッセージとして、もっと強く打ち出していただきたいなというふうに思っております。
当社グループで掲げておりますマテリアリティとも、まさに重なるところでございまして、恐らく、どの企業にとっても、このストーリーというのは非常に共通して刺さるところですし、非常に大事なことだと思いますので、ここは、ぜひアピールしていただきたいということが一つです。
それから、質問というか、ちょっとなぜだろうと思ったところが一つあります。5ページ目のところに、いろいろな計画の進捗状況というものをまとめていらっしゃると思うんですけれども、一つだけ進捗が芳しくないところ、一つじゃない。国民の理解促進も低いんですけど、地域防災計画等との融合というんですかね、ここのところが、なかなか苦労されているのかなというふうにちょっとお見受けしたんですけれども、私の感覚からも、地域防災計画というのはやっぱり都道府県別、市町村別に作れということになっていて、そうはいっても自然災害というのは、自治体を選ばずに広域にやってくるようになってきて、今は広域で連携して防災計画を作らなきゃというふうに言われていると思うんですけど、やっぱり、なかなかそこがうまく進んでいないんじゃないかなというふうに感じております。
気候変動適応も、全く同じ課題というか、それを抱えているんだろうなというふうに思うんですが、この地域防災計画と気候変動適応計画というのは物すごく関連が深いと思いますので、ここはぜひ、市町村別という縦割りではなくて、最初から広域で何とか一緒に作っていけないかという、そういったことをしていただきたいなと思うとともに、ここがなかなか進まない本当のネックというか、ボトルネックは何なんだろうということを、差し支えなければ教えていただきたいなと思いました。
以上です。
 
●肱岡委員長
ありがとうございます。
それでは、今の質問の点について、もし回答があれば、事務局からお願いできますでしょうか。
 
●羽井佐気候変動科学・適応室長
貴重なご意見をありがとうございました。
今田委員からは、間をつなぐ人材の育成が必要とのご意見がございました。確かに、データと、それを具体的に行動につなげていくことの間にはかなりの解離があるのはよく承知しております。そのような間をつなぐものとなるように、様々なツールの開発にこれまで努めてきたところですけれども、それを実際に使ってうまく伝える人間が必要だというのは、おっしゃるとおりかと思っております。今後の行政の中に、そういう人材を確保するということも含めて、大変重要なご指摘だというふうに捉えております。
それから、アウトリーチの工夫に関しても、今まさに室内でも、どのような形で取り組んでいけば、伝えたい方に、その情報が届くのかということを検討しているところです。対象を明確にして、最も効率的に届くやり方で普及啓発を進めていかなければ、努力が無駄になってしまう部分も大きいと思いますので、コメントはそのとおりだというふうに感じており、取り組んでいきたいというふうに思います。
それから、沖委員からはコベネフィットとかシナジーについての言及が多くて非常によいということでご評価をいただいて、ありがとうございました。
私の直近の経験からも、生物多様性と適応のシナジーの部分は非常に大きいなというふうに考えています。そのような中で、地域に対して、適応の計画を作ってほしい、あるいは生物多様性の地域戦略を作ってほしいということを、複数の部署からお願いをしているという状況になっています。その辺りに工夫の余地があるんだろうなというふうに、コメントをお聞きして、改めて感じました。
それから、地域の適応計画を実行に移していったときに、うまくいったかどうか、どう評価して、それから、うまくいった事例をどう横展開していくかということに関しましても、仲介役、媒介役となる人材が必要というご指摘がありました。先ほどのデータをどう伝えていくかということの人材確保と同じく、解決をしていくべき課題かというふうに考えております。職員の定員要求も含めて、今後いろいろと頑張っていきたいと思っている分野になります。
それから、若年層と学校教育の話がございましたけれども、環境省の中の環境教育の担当部署や、それから文部科学省の方々ともいろいろとご相談しながら、どういうところにポイントがあるのか探求していきたいというふうに考えております。
それから、最後、三島委員から、強靱な地域づくりとかウェルビーイングにつながるということへの共感のコメントがあり、ありがとうございました。地域が適応なり、自然環境の保全に取り組んでいるということが、いかに企業に対するアピールになっていくのかということを考えていかなければならない時代にあるなというふうに思っております。適応というと、緩和と適応という言葉で並べたときに、若干目立っていないと感じますが、この分野の取組を、地域や民間の事業者に対して普及していくポイントになるのではないかというふうに考えております。室のこれからの仕事として、真剣に取り組んでいきたいというふうに思っています。
 
●小早川気候変動・科学適応室室長補佐
防災計画等において適応の視点の反映がされている割合が、なかなか伸びが悪いというところのご質問ですが、具体的に正確な分析といったところはできていないので、ご指摘も踏まえ、これからどういったところに本当に課題があるのかというところは検討させていただければと思います。
一方で、この小委の中でもご指摘がありましたとおり、計画は自治体ごとにつくるのではなくて、自然科学的な流域などその影響の範囲で考える必要あるだろうというご指摘もいただいておりますので、課題の2の(3)のほうには、そういったところで共同策定も含めて、流域や山林などの自然環境のつながりの中でやっていくことの重要性というところは書かせていただいているところでございます。
進まない理由の分析はしっかりとできていないものの、これまで委員のご指摘であったりだとか、自治体のコメントを伺う限り、やはり自治体の、一つの自治体の中ですら、他分野との連携に苦労しているという中で、広域になると、それも市町村をまたいでといったようなところになって、より連携すべき対象も増えるといったようなところに、やはり課題というか、この伸びが進んでいない理由というのはあるのかなというふうに感じているところではありますが、ご指摘も踏まえて、今後、重要な分野と思いますので、検討させていただければと思います。
ありがとうございます。
 
●肱岡委員長
回答ありがとうございました。
それでは長谷川委員、お願いします。
 
●長谷川委員
どうもありがとうございます。農研機構の長谷川です。報告書を拝見して、非常によくまとめられていると思いました。
私から1点だけ申し上げます。「緩和」「適応」計画は作っただけではいけないというのはそのとおりで、それを実践していくことが必要です。また、委員のご意見にあったように、その効果を測ることが大事であることも全く同意いたします。
さらにその上で、適応技術の効果とか実行可能性を科学的にきちんと評価できるような情報発信をお願いしたいと考えています。IPCCなどでもまとめられていますが、適応が的確に進んでいる一方で、その効果や実行可能性を科学的に文献として発表し、国際社会に発信することが非常に重要です。現状ではその情報が不足しています。各自治体などで効果を測ることは大事ですが、その際に研究機関も巻き込んで、科学性と透明性の高い方法で評価し、それを科学的情報として発信することが重要です。これにより適応の科学的根拠が多くの方々に共有され、メディアでの注目も高まっていくというふうに思います。そういった意味で人員の確保と研究機関との連携のご努力も、今後検討いただければと思います。
以上です。
 
●肱岡委員長
貴重なご意見、どうもありがとうございました。
それでは奥委員、よろしくお願いします。
 
●奥委員
ありがとうございます。先ほど来、出ています若者の認知度が低いという件なんですけれども、図1-3は、少し分かりにくいかなと思いますが、例えば、気候変動問題に関する認知度で関心がないと答えた回答割合というのが右に、その年齢ごとの内訳が出ていて、これの見方としては、例えば令和5年度、関心がないというふうに答えた割合が9.8%。その内訳が、例えば18から29だと28.4%ですか、というふうになっていまして、ほかの年齢層よりは一番高い数字ですが、逆に言うと、残りの、例えば18歳から29歳の残りの、これは71.6%は関心があるというふうに、この年齢層では答えたというふうに読めばよろしいわけですよね。そういう理解でよろしいですか。
ちょっとここは、何か非常に、これだと分かりにくいなというふうに私は思ったんですが。だから、30歳から39歳だと18.2%、この年齢層では18.2%の方が関心がないと答えたけれども、残りの方は関心があると答えたということで、まず、その数字の読み方として、それで正しいかどうかということ、これは質問なんですけど、確認ですが1点です。
それと、こちら内閣府が実施している世論調査で、これまでも数年に一度やられてきていますけれども、いずれにしても、母数が非常に少ないですよね。3,000人を対象にして、有効回答数はその半分しかないわけで、しかも、全国18歳以上の国民に限られているので、若者といっても、18歳未満の人たちは、全くこの調査対象にはなっていないわけですね。なので、学校教育において、気候変動問題や気候適応についての子供たちに対しての・・・の機会というものが担保されているのかどうかというのは、全くこのデータからは推測すらできないといいますか、数字を把握されていないので、何も言えない状況でいて、このデータだけをもって若年層の認知度が低いというふうに、若年層とは言っていないですかね、若者の認知度が低いというふうに言い切ってしまっていいのかどうかというところが、今回ちょっと、改めてこの報告書を確認しまして思ったところです。
実は私のところにも小学生の子供がいるんですけれども、子供たちは、今既に外外遊びですとか、運動会ですとか、制限を受けて日々暮らしているんですね。熱中症を心配しながら暮らしていて、学校においても、やはり気候変動の問題ってそれなりに学習の機会もありまして、ですので、もしデータとして小学校、中学校、高校ぐらいの18歳未満の義務教育課程、それから高校生も含めてですが、のデータがあるとしたら、かなり若者の関心は、むしろ思ったより高いというような結果が出るかもしれないというふうに私自身は思うところなんです。
なので、この数字、このデータを内閣府の調査結果を使っていただくのはいいと思いますけれども、これだけをもって若者の認知度が低いと、そこまで言い切ってしまっていいのかというところが非常に疑問を改めて感じたところでして、もう少し、むしろ環境省としてしっかり、国民の気候変動問題や、もしくは環境問題でもいいですけれども、しっかりとした認知度だとか取組状況に関するデータを、環境省がしっかりと基礎データとして取っていくという、そういう努力をされたほうがいいと思うんですね。
実は、先日、環境省の行政事業レビューで今年度の公開プロセスの対象事業として、環境教育・ESD推進経費というのが対象になりまして、その中には、地域脱炭素に資するESD推進事業というのが入っていました。そこで環境省が示してきたデータは、国際比較で、日本が気候変動に自分の行動が与える影響を気にする人が、他の諸外国、特に先進国に比べても少ないという、そういうデータを環境省が出してきたんですけど、これ、民間のコンサル会社が取ったデータをそのまま環境省が持ってきていまして、独自に、ちゃんと国民の意識調査を、やはりしっかり環境省としてできていないという実態なんですよね。なので、むしろ、こういう報告書に載せる基礎的な、リライアブルなデータの収集自体が、やはり課題かなというふうに改めて思いましたので、その点も付言させていただきます。
以上です。
 
●肱岡委員長
ご質問、ご意見どうもありがとうございました。
それでは中北委員、お願いします。
 
●中北委員
ありがとうございます。
こんにちは。私は三つの簡単なコメントと一つ質問です。
一つは、さっきシナジー、特に緩和と適応に関しては大事だというのは、前々から皆さんおっしゃっているとおりなんですけど、お題目を唱えるように、緩和と適応の両輪というテーマはもちろん大事なんですけども、実際に災害とかを考えた中で、この10年、温暖化の影響でこれだけ、1℃上昇、1点ちょっと上昇で、これだけひどい災害、自然災害関連の状況になってきている中で、1℃ってすごいよねというのが実感できるようになってきているんですね。その実感をベースに、もう少し適応を進めるに当たって緩和がすごく大事だというのは分かってくるので、そういう感覚をベースにした融合というのを、何かうまいこと進められないかなと。何か二つ合わせての最適化というのがあるかもしれませんし、何か計画論として作れないかとか、そういうようなことをちょっと大枠で考えていくのというのは、これから実感が伴っているだけに、より大事なのかなというふうに思っています。
それから、あと二つ目ですけれども、8ページのところで、民間企業の適応というところでまとめていただいていて、TCFDも上がっていて大事なところなんですけれども、一つ、国交省もTCFD用に水災害関連のマニュアルを出していますので、それも入れておいてあげていただければありがたいなと思います。
それからもう1点、この関連では、中小企業へのTCFD的な関係がどれぐらい進んでいるのかなというようなところは少し触れておいていただいて、より促進が大事だというような考え方を入れていただければと思います。中小企業の場合は家族経営も多いと思いますので、よりボトムアップ的な温暖化適応への意識向上につながるかなというふうに思いました。
それから、もう一つは、12ページのところで、各行政の中で環境の分野とそれ以外の皆さんとの融合に、皆さん悩んでおられる中、こういう方向がいいんじゃないかと挙げていただきました。国からの施策をおろすとか、いろんな発案をうまくするとかいうのはちょっと書いていただいていますが、先ほどありましたように、水防災の協議会とか、それから、今、気候変動河川計画対応で流域治水協議会とかいろんな、その前は何やったっけ、もう一個、何か協議会とか、幾つか防災でもあるんですよね、水災害。そこも一度全部俯瞰しないと、国交省自身も俯瞰しないといけないかもしれませんし、あるいは、そういう協議会に、環境省からちょっと参加いただいて、そこで意見を述べていただくようなことをしていただくのはどうかなというふうに思っています。
近畿の協議会では米田さん、近環、大阪の環境事務所のほうから、近畿の流域治水協議会に全部出ていただいているとか、そういうことをやっていますので、一歩一歩そういう取組も進めていただけたらというふうに思いました。
最後一つ質問なんですが、先ほどの奥委員からの関係と、おっしゃったところもちょっと似ているんですけれども、若者が、最近はというところで、最近、気候変動意識が下がってきているという、なぜ最近下がってきているのかと書いてあったのが少し、なぜかなという疑問が残りました。
以上でございます。どうもお時間いただきましてありがとうございました。
 
●肱岡委員長
ご意見、ご質問、どうもありがとうございました。
それでは、事務局のほうからご回答、コメントをお願いします。
 
●羽井佐気候変動科学・適応室長
ありがとうございます。
長谷川委員から、計画を作っただけでは駄目で実行が重要である、また、ちゃんと論文にするような評価をすることが重要であり、その上で、研究機関を巻き込む必要があるとの趣旨の子、メントがありました。こちらもそのように進めていきたいというふうに思っておりまして、これは国環研とも相談しながら、より幅広い研究者の方々のご助力をいただけるように進めていきたいというふうに考えている点です。
それから、奥委員からございました若者の認知度に関して、アンケートの結果の示し方はご理解のとおりです。確かに学校教育の世代が全く対象になっていない中で、若者という表現で全てをくくってよいのかについては、改めてご指摘をいただいた点として、文章の修正も含めて、検討してみたいと思います。現段階で、新たなデータが出てくるというわけではないので、与えられたデータで正確に結果を表現できる表現を探したいと思っております
学校教育の世代は含まれていないデータであるがということを明記するか、若者という表現を、18歳以上の若者とちゃんと明確にするか、その辺りは正確性の確保を進めていきたいと思っております。環境省が独自にリライアブルなデータを取る必要性についてのご指摘につきまして、ありがとうございました。
それから、中北委員からのコメントについて、実感ベースで、そこからの計画策定につなげていくような方法論について考えていくとよいのではというご趣旨だったと承っております。この点は私も非常に同感するところです。地域において、いろんな話を聞いていますと、暑さによって、具体的にこんなことが起きているという話は、いろんな場面で出てきますし、それから、地元の集まりで、今まで一度もかれたことのない水場が昨年の暑さで涸れたんだというような話も出てきます。そうしたことは本当に地域の方々の生活とか生業に直結する影響として、肌で感じておられることなので、うまくそういった事例を蓄えていって、それで、地域が本当に必要とするような適応計画の策定ということにつなげていければいいのではないかと考えています。感覚とか実感というところから計画につなげていくプロセスを、ある程度手法化できれば、とてもいいなと思いながら、具体的にどうするのかというのは、頭を悩ませていかなければならないのかなと、そういうふうに感じました。
それから、民間事業者の適応に関して、中小企業の取組は家族経営が多いので、より意識的に適応というものに取り組んでいくことになるのではないかという点、大変興味深くお聞きしました。そういった実感とか、意識的に個人の直感につながるようなところを大事にしていきたいなというふうに思いました。
それと、国交省の水災害関係のマニュアルについてのご指摘、ありがとうございました。
後ほど帰って国交省の方とも相談して、記載するべきものかどうかについて確認をしたいと考えております。
それから、地域では水防災関係の協議会とか流域治水協議会が幾つかあって、それに対する参画ということを進めていくべきというご指摘についても、そのとおりと感じております。私は直近が地方環境事務所の勤務で、流域治水協議会には生物多様性の観点から参加していたので、連携の場としては大変いいなというふうに感じるところです。
一方で、なかなかスタッフの数も少ない中で、いろいろ対応しないといけないという状況もありますので、こちらは地方環境事務所の皆さんと相談していきたいと思っています。
若者について、最近は認知度が下がっているのかということに関しても、ちょっとこのデータからだけでは現時点で回答ができないので、今回につきましては、文章の中で正確性を確保した表現にするということでご対応とさせていただければと思います。
 
●中北委員
すみません、一つちょっと誤解があったので、肱岡先生、ちょっとしゃべっていいですか。中北です。
 
●肱岡委員長
お願いします。
 
●中北委員
実感のところは、ご返答いただいてどうもありがとうございます。実感の大切さは、ご共有いただいたと思うんですけど、適応の必要性の実感から緩和を考えるという趣旨で、僕は、もう一つ先のことも含めて申し上げましたので、計画というのは、適応と緩和を含めた、また計画論みたいなのがね、人によってはできないという人もいると思いますけれども、そういうのもあり得るんじゃないかなというのが、そこのポイントでございます。
それから、もう一つ言い忘れたのが、環境部局とよその部局、各行政で、つながらないという中で一つ解決策として、これ事前説明でも申し上げたんですけれども、環境省のほうに、各行政から環境の方が出向されていますよね。あれを、環境以外の、各地方行政から環境以外の方を出向してもらうように、中央省庁同士で調整しはったら、より各地方行政でもつながってくるかなというふうに思いました。ということで、一応いかがでしょうかというのを、ちょっと言うのを忘れましたので、最後、付け加えさせていただきます。
すみません、肱岡先生、ありがとうございます。
 
●肱岡委員長
貴重なご提言、どうもありがとうございます。
それでは武藤委員、お願いいたします。
 
●武藤委員
どうもありがとうございます。JICAの武藤と申します。
私は、国際展開やODA、その辺りの気づきの点を二つお話しさせていただきます。
まずは、国際展開のところの記述はピースとしては全て盛り込まれていて、すごく良いと思っております。プラスアルファで今後は打ち出し方について一緒に考えていければと思っているところでございます。
沖先生のお話にもございましたけれども、コベネフィットやトレードオフは、UNEAで環境省が一生懸命打ち出していらっしゃっていて、努力が多くあるのはもちろん承知なんですけれども、国際的な議論はそのちょっと一歩先を行ってしまっていると感じています。なぜならば、国際協力とかいわゆるODAの世界では、SDG追求がデフォルトになってしまっているので、全てのSDGとのコベネフィット、トレードオフは、全てに網羅的に関わってしまい、具体的に考えれば考えるほど主張にエッジが無くなります。日本として、防災ですとか、農業ですとか、もしかしたらこれからはネイチャーですとか、もう少し日本としてエッジを出せるところと組み合わせた形で国際場裏で一緒に打ち出せればいいかなと思っておるところでございます。それはJICAの反省という意味も込めてですけれども、それが大きな1点です。
次はファイナンスです。国際場裏で、特に援助業界で議論されていますのは、クライメート・ファイナンス。緩和のほうのファイナンスは大分実績が出てきたんですけれども、適応は数%でしかありません。これをどうするのかというところが目の前で大きな課題です。もちろん洪水対策の案件をファイナンスするとか、今までやってきたところの延長線上という部分もあるんですが、最近では、まとめてリスクファイナンスと言いますが、保険とどう組み合わせるかですとか、事前対策インセンティブとリンクしたローンの設計とか、いろんなイノベーションが出てきておりますので、今後、そういったことも一緒に考えていければと思っております。そこは三島委員も、いろんなインプットがあると思います。
以上です。
 
●肱岡委員長
貴重なご意見、どうもありがとうございました。
それでは江守委員、よろしくお願いします。
 
●江守委員
ありがとうございます。
僕からは、まず、ちょっと、少し細かいかもしれないんですけれども、1の(6)の科学的知見のところで、温室効果ガスの観測関係のことがGOSATと気象庁が挙げられているんですけれども、これは、影響評価適応に直接関係する科学的知見かというと、ちょっと間接的かなと思ったので、そういう間接的というのも書いておきたいだというんだったら別に構いませんけど、ちょっと気になったので、一応ご指摘を申し上げたいと思います。
それから、2の課題と今後の展開のほうで、(2)科学的知見のところで、脆弱性とか公平性について書いていただいて大変ありがとうございました。この視点は、ぜひ今後も持ち続けていただけると大変うれしいです。
それから、特にコメントを申し上げたいのは、(5)の国民の理解増進のことなんですけど、対応するタイトルの項目は1番にもあったんですけれども、まず、理解増進という言い方がすごく一方通行的で、正しい情報を一方的に国民に押しつける感じがするので、あんまり今日的ではないというふうに僕から見ると思います。もうちょっと、双方向的な国民とのコミュニケーションとか、国民が何を考えているかということにも耳を傾けるような言葉遣いをして、実際にそういう姿勢で、このコミュニケーションというのは行われたほうがいいんじゃないかというふうに思います。
あと、ちょっと細かい文言の提案は、実は事務局にはお送りしたんですけど、ちょっと間際だったものですから、今日の版には反映されていないんですけれども、ここで改めて提案させていただくと、(5)の本文のところの理解増進というところはコミュニケーションにしたほうがいいんじゃないかとか、先ほどから議論にあります、若者が認知度が低い、低いかどうかにも疑義がありましたけれども、原因のところで、マスメディアに接しないということを考えられる原因の一つとして挙げたらどうか、そういう議論が何回も出てきているかと思います。
ということと、最後に一番大きいのは、その項目の下から3行目ぐらいのところですけれども、また、メディアをうまく活用することに加え云々というところですけれども、これも活用するというと、何か、メディアに対して行政が上から目線なので、メディアとうまく連携し、ちょっとここで具体的に、例えば、猛暑や大雨の気象情報の発信時に、背景として気候変動に言及することを検討してもらうことなどに加え、防災や農業、観光云々というふうにしてはいかがかというふうに思います。
これは今日もご出席されている井田委員が発起人になって、気象キャスターの有志の方々で、こういう発信をするぞという動きがありまして、ぜひ、その動きに連携する姿勢を示していただくと大変ありがたいというふうに思いました。
何しろ、適応策を推進するにも、例えば今日みたいに暑い日に、テレビで暑い、暑いというふうに言うんだけれども、気候変動で暑くなっているとか、これから気候変動でもっと暑くなっているとかは全く言わないわけですよね。そういった状況では、国民が暑さと気候変動を関連づけて理解して、適応策の必要性を理解するということはなかなか起きませんので、そこのところを、ぜひメディアと連携していただきたいというふうに思います。
僕からは以上です。
 
●肱岡委員長
貴重なご意見、どうもありがとうございました。
それでは三村委員、よろしくお願いいたします。
 
●三村委員
三村です。どうもありがとうございます。
今日議論を聞いていても、この5年の施行状況の中間まとめをやっていただいて、現状がどこまで来ているのかとか、あるいは今後の課題は何か、非常に多様な論点が出てきて、我々が今どういう地点にいるのかというのがだんだん具体的に把握できるようになったので、大変よかったなというふうに思います。
状況としては、全国的に計画をつくっていくという段階から、実行していくという段階に入っている、そこを、さらにどう広げていくかが課題なんじゃないかなと思います。
それで、2点申し上げたいと思うんですけど、一つは、地域の適応の問題です。自分事にするとか、いろんな部局にまたがっている問題をどう連携してやっていくかと、これは非常に大きな課題だと思うんです。それで、ここに書かれているものの上に、さらに重要だなと思いますのは、適応が、地域のウェルビーイングだとか、社会のレジリエンス、そういう社会全体の将来像に非常に関わっていることがはっきりしてきているので、気候変動対策や適応計画を、その地域の総合計画とか、長期計画の中に位置づけることがすごく重要なんじゃないかと思います。地域の適応計画なんかを見ていても、2050年の目指す地域の姿がちゃんと書いてあって、そこに向かって、適応では何をやるかということを書いてある、そういう内容のものもかなり出てきていますので、それがすごく重要だなと。
 そうするためには、首長の方、市町村長の方のご理解が非常に重要だと思います。今日は那須塩原市からも委員が出ておられますけれども、そういう市長が、適応をどういうふうに位置づけてやるかを理解されると、役所の中でうまくつながるんじゃないかと思います。
2番目は、適応が実行の段階に入ると、先ほど来議論になっている、適応の効果の測定がすごく重要になる、これをどういうふうにやるかということです。私、環境省の総合推進費で、S-18というプロジェクトの代表を務めさせていただいているんですけれども、その中で出てきているのは、影響評価の手法が適応の効果を評価するために使えるという方向です。
例えば、緩和策であれば、RCPの8.5とRCPの2.6における気候条件を想定して、そのときに起こる、例えば洪水被害を比べる訳です。4℃ワールドから2℃ワールドに、温暖化レベルを抑えることができれば、被害はどれぐらい減るということが定量的に示せることになるわけです。
同様に、この時適応策を導入すれば、その被害はどれぐらい抑えることができるというようなことを影響評価の手法を使って評価できる。主要な分野については、ある程度そうした見積もりができるようになってきています。。実際に日本の洪水については、温暖化レベルをRCP8.5から2.6に変えたときに、経済的な被害は22%減少する。逆に、一生懸命やっても、洪水の被害は22%しか減らないのかというような気もしますけれども、そういう試算があります。適応策では、河川改修とか、あるいは移住だとか、ピロティだとか、そういうようなものをすると、それぞれがどれぐらいの効果を持つというようなことが計算できる。
今言っているのは、日本全体に対策を一様にやれば、どれぐらいの被害軽減につながるかという話ですが、これをさらに市町村レベル、地域レベルにダウンスケーリングするためには、さらに工夫が必要ですけれども、我々が持っている科学的な手法を使えば、効果の評価が徐々にできるようになってきています。先ほど来、議論になっている研究者と協力して、具体的にできるようにするということを、ぜひ進めていただければと思います。
これとの関連で、今日の表の1にありますKPIなんですけど、これはみんな、どれぐらい計画策定ができましたかというような、外形的な指標になっているわけです。
ところが、今求められているのは、適応策をやったらどれぐらい効果が上がったでしょうかとか、例えば熱中症の救急搬送者がどれぐらい減ったでしょうかというような、その効果に結びつけた議論をしようという話です。ですから、KPIを見直す機会があったら、インプット側の目標ではなくて、成果のアウトカムの目標も含めるようにされたらいいのではないかと思います。
以上です。
 
●肱岡委員長
貴重なご意見、どうもありがとうございました。
それでは、事務局のほうでコメント等をお願いします。
 
●羽井佐気候変動科学・適応室長
ありがとうございました。
中北先生から補足がございまして、ありがとうございました。私がちょっと誤解している部分がありましたが、実感については、緩和につなげていくということで、しっかり理解をいたしました。
それから、出向についてのご提案がありました。現時点で、環境省には様々なバックグラウンドのある方が出向で来られています。そこにさらなる工夫の余地があるのかどうかということでコメントとして受け止めておきたいと思います。
武藤委員から、国際展開においての打ち出し方とか、新しいファイナンスの仕組みについて、いろいろと最新の保険との組合せとかローンの設計など出てきているので、考えていきたいというお話をいただきまして、どうもありがとうございました。いろいろと教えていただければと思っております。
その中で、ネイチャーとか、防災といった日本としてのエッジが効いた分野で、エッジを効かせながらのコベネフィットが大事だというご指摘については、確かにSDGs全体ということになると、いろいろ色が薄まってしまうのはおっしゃるとおりだなと思いました。日本の特徴的な自然とか、防災というのはまさにそういう分野だと思いますので、そことの適応の連携が大事なんだなということで、改めて理解をした次第です。ありがとうございます。
それから、江守委員からの、GOSATの影響評価の文脈で書いておくべきなのかというところについては、室内で検討、確認をさせてください。
それから、科学的知見についての脆弱性とか公平性についての言及につきましては、前回よりいろいろとご意見いただいているところですので、このように書かせていただいています。
それと江守委員からの修文案ですが、今日、若者というところの扱いについてコメントをいただいたので、それも併せて修正を試みようとすると、14ページの(5)の「国民の理解増進」というタイトルを、「国民とのコミュニケーション」とした上で、2パラ目の「とりわけ、若者の認知度」となっている部分を「とりわけ、18歳から29歳の世代の認知度」というふうにすれば、一応、問題点は除去できます。その上で、原因としては、若者は気候変動影響を昔と比較して実感できないことや、その後、教育が不十分なことと書かれているのですが、学校教育の世代が含まれていないというご指摘を踏まえれば、「教育が不十分なこと」というのは削除することも含めて一度検討したいと思っております。その後、「マスメディアに接しないことがあるのではないかなどの指摘があり、SNSなど若年層が接している情報ツールを活用していくことが有効な手段の一つになり得るとの指摘がされている。」と続きます。
最後のパラグラフで、「また、多くの国民にアクセスが可能なメディアとうまく連携し、猛暑や大雨の気象情報の発信時に背景として気候変動に言及することを検討してもらうことなどに加え、防災や農業、観光、産業、健康など様々な分野における国民が実感しやすい気候変動適応の成功事例を見せていくことも有効ではないかとの指摘がなされている。」とし、概ねこのような修正を加えた上で、室内、あるいは省内、関係省庁の方々ともご相談をして、修正案をつくっていきたいというふうに考えております。ちょっと予告みたいなことになりましたが、ご紹介をしました。
それと、三村委員からのご指摘に関しまして、大きく二つに分けてコメントをいただきました。適応計画だけではなくて、さらに上の総合計画とか長期計画に位置づけることが重要であるとのコメントについて全く同感するところです。そのために首長の理解が重要ということも本当に同感をするところです。これも、直近の2年間の経験で、生物多様性というのを自治体に取り組んでいただくためには、やはり首長さんが、生物多様性とか自然資本ということで、この地域づくり、将来の安定的な町民生活というのを確保していくことにつながるというご判断をいただくことが一番有効な進め方だなというように感じたところです。適応も同じような構造があるなというふうに感じました。この点、もし小高委員からのご発言もあれば、お聞きしたいと思っております。
それと、三村委員からの2番目のコメント、ご指摘としまして、適応の効果の測定がとても大事になるということで、全国的に河川氾濫などの経済被害の軽減効果を出したところ、22%という数字が出るという紹介がありました。こういった、やはり数字が出せるというのは本当に大事なことだなというふうに感想を持ちました。「KPIを見直す機会があれば、そういった適応効果の測定についても、KPIに含められるように」というご指摘につきまして、承りました。
以上です。
 
●肱岡委員長
ありがとうございました。
それでは西井委員、よろしくお願いします。
 
●西井委員
おおさか気候変動適応センターの西井でございます。
私のほうからは、まず、過去2回で述べさせていただきました意見を、今回の取りまとめに盛り込んでいただきましてありがとうございます。特に、12ページに記載していただいていますが、国レベルで各省庁との連携強化を図り、各省庁が、それぞれの自治体の所管部局におろしていただくということは、自治体の各所管間の連携の促進にもつながると考えております。
一例ではありまして、先ほどから、若者の教育といった問題もありますが、実際のところ、自治体の環境担当から教育委員会に働きかけをしても、文科省のカリキュラムがいっぱいで、なかなか入れてもらえないというようなのが実態としてございます。そういったこともあり、やはり国と省庁間で、まずは調整していただくということが有効ではないかというふうに考えております。
また、私自身、環境農林水産総合研究所の立場で申しますと、この連携というようなのは研究機関においても同様でして、国立環境研究所だけではなくて、国の農林水産など各研究機関も連携していただき、自治体における各研究機関に対して、地域のニーズに応じた技術的・経済的支援をいただくことで、地域における適応への課題解決につながるというふうに考えております。
もう1点、企業との連携による取組推進について意見をさせていただきます。私どもの適応センターにおきましても、気候変動の適応につきましては、ホームページやYouTube、SNS、イベントの開催など様々なツールで情報発信や啓発を進めているところですが、やはり、まだ適応に関する認知度が低いというのは認識しております。しかし、行政や適応センターの取組だけでは限界がありますので、当センターでは企業と共同して、例えば大型ショッピングモールとか病院施設、また、熱中症や防災関連商品のメーカーさんなどの企業とコラボレーションして、各種啓発などの取組を進めております。
企業にとっては、こういったことは直接的なビジネスチャンスにはつながらないとしましても、地元地域への還元や社会貢献によって企業のイメージの向上を図ったり、また、商品のPRができたり、従業員の教育、こういったことにもつながっているようです。また、私どもも、イベント会場の提供や集客などでご協力いただいて、お互いウィン・ウィンの関係で、より効果的な普及啓発を共同実施しているところです。
国におきましても、企業との連携協定を締結するなど、様々な取組を実施されているということは伺っておりますが、より多くの皆さんに気候変動適応を自分事として関心を持っていただくためには、企業にも働きかけて、連携して、行政にはなかなか不足している、その企画力や行動力、発信力の助けをいただくことで、効果的な情報発信や啓発、それから行動変容の促進につながるものと考えております。
以上です。
 
●肱岡委員長
貴重なご意見、どうもありがとうございました。
それでは井田委員、よろしくお願いします。
 
●井田委員
気象キャスターネットワーク理事長の井田です。お世話になっております。
先ほど、江守さんからコメントをいただきましたので、そちらについての補足と、さらにコメントをさせていただきたいと思います。
先ほどおっしゃっていただいたのは、気象方針として、いつも災害報道・・・、今日は暑いだとか、今日はたくさん雨が降ったとか、そういったところまでは言及するんですけれども、その背景となる原因ですね、今日の気圧配置がこうだから暑くなったというところだけではなくて、もっと根本にある温暖化ですとか、気候変動の話について、もっと報道を強化しようという宣言をしたんですね。ちょうど1か月前に記者会見をさせていただいて、今日で1か月になります。この夏の報道をとにかく変えるんだという気持ちでやっておりまして、実践している予報士もおります。
その辺り、もちろんこれから気候変動を研究するに当たって、緩和策、適応策ともに私たちの中でも勉強していく必要があると思いますし、認知が低いとか、国民とのコミュニケーションという意味では、私たち、今日出席されている科学者の皆さんと国民とをつなぐ、本当にコミュニケーターでもありますので、その辺りをうまく連携して、適応策というものを国民に知らせてゆくというのはすごく大事なことかなと思います。
そのために、やはり私たち、紹介していいデータですとか、使える図、手法とか、やはり情報が、しっかりとした情報が欲しいわけなので、そういった情報が集約されている場所ですとかを見に行ける場所とか、あと、今後、何かコミュニケーションを取って、勉強会を開くことも必要であるのかなと。そういう場所とか機会も、今後つくっていけたらいいのかなというふうに思いましたので、どうぞよろしくお願いいたします。
以上です。
 
●肱岡委員長
貴重なご意見、どうもありがとうございました。
それでは堀江委員、よろしくお願いします。
 
●堀江委員
産業医科大学の堀江と申します。産業医科大学の産業医科という名前を英語に直しますと、Occupational and Environmental Healthということで環境という単語が入っております。
私からは、報告書のどこをどう変更するということではございませんが、教育、研究、地域と産業に関して、今後に向けたコメントを簡単に申し上げたいと思います。
まず、教育に関して、学校教育に関する意見が出ておりました。これは私個人の肌感覚ですが、医学部の入試では面接も行います。高度な先端教育を受けていて高等学校の成績も良い方が結構受験されますが、大変申し訳ないのですが、環境に関する知識について、受験者がどれくらい勉強してきたかということをきちんと評価しておりません。入試に出題するようにしないと、教育の場で熱心に取り扱ってもらえないと感じております。
実は、産業医学に関しては尋ねております。産業医学は、全ての高校の保健体育の教科書に記載がございまして、産業医とか、衛生委員会とか、総括安全衛生管理者とか、一般社会では必ずしも正しく知られていないような用語は、通常、高校生は勉強しておりません。入試に出していないからです。先ほど生データを調査する必要があるというお話がございました。
そこで、サンプル調査で結構と存じますが、調べてみてはいかがかと存じます。環境の分野は、高等学校においては複数の科目に分散して教育されておりまして、理科だったり、社会だったり、技術家庭科だったり、総合学習だったり、道徳にも入っているみたいです。小学校、中学校、高等学校で、学校が入試の問題に気候変動適応の問題を出したことがあるのかとか、あるいは、気候変動について出したことがあるのか、あるいは環境について出したことがあるのかということを、定点で連続測定をしていただき、どういうところが、どれくらい熱心に入試に出しているという指標をつくったら、学校教育のモニタリングにはなるのではないかなと思いました。
なかなか、教育するようにと直接言っても行っていただくのは難しいと思いますが、入試に出せば必ず熱心なところは教育してくると思いますので、入試をモニターしたらよいのではないかなと思いました。
もう一つは、教育に関してですが、実は、私、医学分野におりまして、こちらの委員会で大変多くの勉強をさせていただいております。その中で、例えば、適応という言葉ですとか、もっと専門的にはグリーンインフラだとか、Eco-DRRだとか、A-PLATだとか、AP-PLATだとか、いろんな言葉が出てくるのですが、こういった言葉を、一般の国民といいますか、または自治体の職員とかが、まだ理解できていない状態にあると思いますので、何とかして、この言葉を、きちっと定義した共通の定義をつくって広めていくという工夫が必要と感じております。最終的には教育かもしれませんが、用語の理解が広がる工夫が必要と思っております。
二つ目が研究の話題ですが、医学の研究では非常にミクロの話をしていまして、根拠性の高い、エビデンスの高い研究というのはRandomized controlled trialといわれています。研究者側の意思でA群とB群を無作為に割りつけて、本人たちが分からないようにして介入をやる群とやらない群をつくって、どうなったかを比較するというのがなければ、例えば薬剤などの開発はできないということになっているのですが、環境の分野では、非常に難しいと思います。環境は皆さんが一緒に曝露してしまいます。ただし、適応に関しては、今回、地域差というのが出てくる可能性がありますので、ひょっとしたら、適応に関して熱心にやっているところとそうでないところというのをうまく見つけて、しばらくその傾向が続くのであれば、その二つがどうなったかというのを丹念に追うことで、社会実験という言葉はいい言葉じゃないかもしれませんけど、社会が変化する様子を観察することで、ある程度科学的根拠が出てくる期待もあるかなとは思いました。
もう一つ難しいのは、私が理解するのが難しいということですが、私の理解が難しいのは、気候変動の曝露要因というのが、多くの場合、平均気温の上昇とかを言っているようには思うのですが、そうでないものもあって、例えば、海面水位が変わるとか、大雨の頻度とか程度が強くなるとか、干ばつがあるとか、そのほかにも例えば生物多様性が失われるとか、そういったような気候変動の曝露要因が何のことを指しているのかということを、研究の際には明確にした上で、その要因に対する適応が行われたかどうかということを介入の有無とします。そしてもう一つが、結果として、医学の場合は生命とか健康がエンドポイントになるのですが、気候変動適応の場合のエンドポイントというのは医学・健康だけじゃなくて、例えば、経済効果であったり、あるいは、地域のレジリエンスとか、持続可能性とか、そういったエンドポイントなのかもしれませんが、何を見ているのかというのをちょっと明確にした上で研究の構想を考えていくべきではないかと存じました。違うことを考えながらやっても困るので、そこは、研究の際には重要かなと思いました。
三つ目が地域ですが、私は、福岡の地域の、気候変動適応の地域協議会にも出席させていただいていますが、そちらでの議論を伺っている肌感覚で申し上げますと、この5年間の成果として、適応センターができたり計画ができたりということは大変よかったと思います。この後、これがどのように動いていくのか、活用されるのかということになると思いますが、なかなか、それを見通すのは難しいかなと思っています。
先ほどの名前の理解というものがまだ十分伝わっていないこともあり、自治体の所管部署がどこなのかというのが分からないことがあります。例えば、地球環境対策課みたいな名前の課があれば分かりやすいのですが、例えば、環境局というと、地域によっては塵埃処理の業務を担当する部署の場合があります。そのような組織の中に地球環境対策課があるとは思えません。地球環境を担当する部署がどこにあるのか、どんな名前がよいのかについて、これも実態調査を一度していただくと良いように思います。どういう組織名でやったらいいのか、そういうところで業務を担当する人はどういう人がいいのかというところを、もう少し明確にしていくことが望まれると思います。そして、気候変動適用に関する協議会を設置した成果の測定は難しいと思いますので、最初にできそうなのは好事例の収集ではないかと思います。何かどこかでうまくいった事例があれば、収集して、公表、共有といったことを進めていくことが重要であろうと思います。
最後に産業の話ですが、やはり目を引くのは、TCFDです。産業界というのは、最終的に経営場のベネフィットがないと動きませんので、それが重要と思います。先ほども中小企業の話も出ていましたが、私は、いろいろな産業界、会社とお付き合いする気かがありますが、産業保健の分野でも、中小企業にアウトリーチするのは大変難しい課題です。健康経営という話もありましたけど、これも多くは大企業の話題です。中小企業はなかなか、そういう意識には至っていないと思います。中小企業のハードルは相当程度高いので、大企業よりも大きい業界団体とか、まず、そういう大きな集団で、TCFDに関してちょっとシミュレーションしてみるとか、こんなことが指標になるとか、業界で検討してから、次に、その業界のリーディングカンパニーが検討して、そういうところが成功事例を示すことで、だんだん中小企業までたどり着く感じになるのかなと、私は思っております。
以上です。
 
●肱岡委員長
貴重なご意見、どうもありがとうございました。
それでは、事務局から簡潔に回答をお願いします。
 
●羽井佐気候変動科学・適応室長
ありがとうございます。簡潔に努めます。
西委員から、企業と連携した適応のPRが必要だというコメントとして承りました。企業も、やっぱり社会貢献していきたい、地域に貢献していきたいという思いがありますし、それから、従業員のモチベーションの向上にもつながるようなことだと考えておりますので、ウィン・ウィンの関係を築けるようにして、連携して取り組んでいきたいというふうに考えます。
井田委員からは、原因となる気候変動にも言及した報道を強化していく宣言をされて、この夏の報道から変わっていくということで、力強い応援のコメントをいただいたと思っております。そういった場面で使える信頼性の高いデータの提供をということなので、既存のプラットフォームも活用しながら、情報をうまくお渡しできるようにしていきたいと思いますので、今後とも、引き続き意見交換、情報共有をさせていただければというふうに思います。
堀江委員からは、幾つか具体的に研究を進める上での注意点、留意点についてのご発言をいただきまして、誠にありがとうございました。それと、入試の問題でどう扱われているかとか、それから、自治体の気候変動に取り組む部署の名前の調査をしてみるとよいのではないかという非常に面白いご提案をいただきました。とても興味深いところだと思いました。それと、用語の問題も、非常にたくさんの専門用語が出てきますので、分かりやすく伝えていくということはとても大事なことだと認識しております。どうもありがとうございました。
 
●肱岡委員長
ありがとうございます。それでは、時間も迫ってまいりましたが、もしここで何か質問、コメントがあれば、短いものであればお受けしたいと思いますが。
 
●沖委員
よろしいでしょうか。
 
●肱岡委員長
じゃあ沖委員、お願いします。
 
●沖委員
若年層について、18以上だから、教育は関係ないんじゃないかというご判断がありましたが、チャットに入れましたとおり、アンケートで、18歳以上のところの世代で、SNSよりも学校などの教育機関から情報を得ていると答えた方のほうが多いので、やはり教育機関がどこか間違って、それが中等教育なのか、大学なのかは分からないですが、そこは、やはりきちんと書いていただくのがいいんじゃないかというふうに思います。
以上です。
 
●肱岡委員長
じゃあ、室長、お願いします。
 
●羽井佐気候変動科学・適応室長
沖委員のご指摘について、書きぶりをもう1回考えてみます。どうもご指摘ありがとうございます。
 
●沖委員
よろしくお願いいたします。
 
●肱岡委員長
それでは小高委員、お願いします。
 
●小高委員
那須塩原市の小高です。
三村先生のほうからお話がありました、首長の理解が重要というお話があったかと思うんですけども、市町村の立場からすれば、これはそのとおりだなというふうに思っております。本市の場合は、市長のほうが、大変環境施策には積極的であります。そのため、お話があった総合計画の中にも、この環境施策、地球温暖化対策等も重要な施策として入っております。私の部署は、今、環境戦略部のカーボンニュートラル課というところですけども、単なる環境部ではなくて、環境に対して、これは戦略的に取り組んでいくというところで、環境戦略部というような名前になっております。そういったところで、今、那須塩原市としては、この地球温暖化の問題について積極的に取り組んでいるところです。
また、中間取りまとめの中では、13ページの中ほどになりますけども、地域適応計画は作って終わりではなくて、自治体や企業、国民1人1人の行動変容につながるような情報発信や能力強化に取り組む必要があるということで、この国民1人1人の行動変容につながるというところが重要じゃないかなというふうに思います。
すみません、時間がないので簡単に、所感だけお話しさせていただきます。ありがとうございます。
 
●肱岡委員長
ありがとうございました。
その他ご意見、ございますでしょうか。
よろしいでしょうか。様々な貴重なご意見をどうもありがとうございました。
本中間取りまとめにつきましては、本日、皆様にいただきましたご意見を踏まえて、事務局において修正を検討いただきたいと思っております。また、修正案につきましては私、委員長に一任していただければと思いますが、よろしいでしょうか。
ありがとうございます。それでは、本中間取りまとめにつきましては修正案を私が確認させていただいた後に公表させていただきたいと思います。
それでは、以上で本日の議事を終了したいと思います。
それでは事務局にお返しいたします。
 
●羽井佐気候変動科学・適応室長
肱岡委員長、どうもありがとうございました。
委員の皆様、本日は活発なご議論いただきまして誠にありがとうございました。ご議論、ご指摘いただいた内容を踏まえて、中間取りまとめ修正の上で、この取りまとめの内容を踏まえて、今後さらなる適応の推進に取り組んでまいりたいと思います。
気候変動適応法施行後5年の施行状況の点検については今回で一区切りとなります。
次回の小委員会からは、2025年度に公表する予定の気候変動影響評価報告書についてのご議論をいただく予定ですので、引き続きよろしくお願いします。
改めまして、本日はご参加いただきまして誠にありがとうございました。対面、オンラインのハイブリッド形式での開催ということで、システム上ご発言しにくかった部分もあろうかと思います。もしこちらでの不手際等ございましたら、お詫びをいたします。
この本日の議事録につきましては、事務局にてまとめて先生方にご確認をいただいた上で、環境省のホームページにて公開をさせていただく予定です。次回の小委員会の会合は8月6日の火曜日、14時からを予定しております。詳細につきましては、また改めて委員の皆様方にご連絡をさせていただきます。
以上で、本日の小委員会を終了いたします。どうもありがとうございました。