気候変動影響評価・適応小委員会(第2回)議事録

日時

令和6年3月5日(火)15:00~17:05

場所

WEB 会議システムを併用したハイブリッド形式で開催。併せて YouTube チャンネルでライブ配信を実施。

議事次第

1.開会

2.議題

(1)前回の主な指摘事項

(2)関係者からのヒアリング

3.閉会

議事録

●中島気候変動適応室長
それでは定刻となりましたので、ただいまより、第2回中央環境審議会地球環境部会気候変動影響評価・適応小委員会を開催いたします。進行役を務めます環境省気候変動適応室長の中島と申します。よろしくお願いいたします。
本日の会議は、現在、委員総数の過半数以上の17名の委員にご出席いただいておりまして、定足数に達しておりますことを、ご報告いたします。
本日の小委員会は対面・オンラインのハイブリッド形式での開催となります。また、この会議は環境省の公式YouTubeチャンネルよりライブ配信を行っております。資料及び議事録についてはホームページにて公開とさせていただきます。
対面オンラインのハイブリッド形式での開催となり、委員の皆様にはご不便をおかけしますが、何とぞご容赦願います。WEB参加の皆様は、何かご不明な点がありましたら事務局まで、右下のチャット欄か事前にお伝えした電話番号までお知らせください。
続いて、資料の確認をさせていただきます。画面上に、配付資料一覧を表示しますので、それに沿ってご連絡いたします。
資料は、資料1-1、1-2、2-1、2-2、2-3、2-4となっております。各資料については事前にお送りしていますので、WEB参加の皆様はお手元に準備をお願いいたします。事前送付資料からの変更箇所については、その都度ご説明いたします。
本日は、委員の皆様のほか、ヒアリングのため関係者の方々にもご参加いただいております。国立環境研究所の上田様、福島県、鈴木様、静岡県、神谷様、農林中央金庫の中井様でございます。後ほどヒアリングをお願いいたしたいと思います。
それでは議事に入らせていただきます。
議事中、発言者以外のWEB参加の皆様は、基本的にマイクをミュートに設定してください。回線負荷を回避するため、ご発言時以外は、カメラの使用はお控えください。画面の下にあるカメラのアイコンをクリックし、カメラをオフにしてください。ご発言される際は、対面でご参加の皆様はネームプレートを立ててください。オンライン参加の皆様は、ご自身の名前の右側にある手のマーク、挙手ボタンを押してください。委員長が順番に指名いたしますので、マイクのボタンを押してミュート解除し、ご発言をお願いいたします。発言が終わりましたら、マイクをミュートにし、再度挙手ボタンを押して挙手を解除いただきますようお願いいたします。
また、ご発言の際は、最初にお名前をおっしゃってください。
マイク、デバイスに物理的なミュートスイッチがある場合はオンにしておいていただければと思います。ご発言時以外にも、ご意見、ご質問がある場合は、チャット欄をご活用ください。
それでは以降の議事進行を肱岡委員長にお願いいたします。
 

●肱岡委員長
ありがとうございます。肱岡でございます。
今日はよろしくお願いいたします。
第1回は、非常に多くの有益なコメントを委員の先生方にいただきまして、どうもありがとうございました。それで非常に意見をいただいたんですけど、時間が足りなくて、ちょっと最後押してしまいましたので、先生方にはできればコメントは1か2分ぐらいで簡潔にいただきたいという点と、もう一点は、他の先生がもし言われたコメントであれば、その重複はできるだけ避けていただいて、多様なご意見をいただければと思っております。今日もどうぞよろしくお願いします。
それでは、まず資料1-1と1-2の説明をお願いいたします。

●中島気候変動適応室長
それでは、資料のご説明に入らせていただきます。資料1-1をご覧ください。
前回の小委員会におきまして、ご質問のあった事項、特に地域気候変動適応計画の共同策定の数、センターの共同策定についてご質問をいただきましたけれども、その後確認して、補足資料を配付してございます。計画の共同策定につきましては、公式に把握している事例はまだございません。ただ現在、長崎市・長与町・時津町が策定した事例があるようです。現在調査中ですが、これを含めますと共同策定割合は1.1%となっています。
また地域適応センターの共同設置の数でございますけれども、埼玉県下の15市町、京都府・京都市の計16センターが現在事例としてございます。これを含めますと、共同設置の割合は26.2%となっています。
また他の計画の一部として策定された、地域気候変動適応計画の数ですけれども、この表にありますとおり、適応計画単独の策定は11件、4.1%となっております。ほとんどの場合は、地球温暖化対策実行計画(温対計画)の一部として半数以上が策定されています。また、その他環境基本計画の一部として策定されているものも多数ございます。その他防災等のその他の計画の一部として、策定されているケースもあります。
それでは、資料1-2に移らせていただきます。
前回のご指摘を、幾つか大きな柱立てにしてまとめております。科学的知見の強化、気候変動の影響評価、ハザードは進んできたけれども、脆弱性の評価が足りないといった事項等々、ご指摘をいただいております。
また、国民の理解促進、この点については、多数のご意見を頂戴しております。認知度の向上等について、メディアの活用を含めて必要ではないかというようなご指摘でございました。
また、緩和や生物多様性、防災、関係する施策とのシナジー、これも非常に重要なポイントというふうに考えております。
そして、一番大きな項目は、地域での適応の促進といたしまして、地域ごとの特性を踏まえた計画の策定、また地域での人、予算、知見・情報の不足に鑑みて、負担を軽減しながら、どのように進めていくべきか。環境部局だけではなく、様々な部署との連携が必要だということ等々ご指摘いただいたところです。
また、適応計画をつくって終わりではなく、実際の実施が重要だということ、各地域適応センターそれぞれの格差があるので、ボトムアップが重要であるというような等のご指摘をいただいてございます。
また、民間企業適応の促進の必要性、そして最後に国際展開、こういった形でまとめております。
本日は、ヒアリングの中でも、いろいろとお気づきの点、ご意見等々をいただけるかと考えております。今後いただいたご意見をまとめまして、論点を整理し、今後、第三回に向けまして、今回の小委員会の報告のアウトラインのような形で、ある意味でその骨子的な形で、このペーパーを使ってまとめていきたいと考えておりますので、今日いただけるご意見については、この前回の主な指摘事項のペーパーを参照していただきながら、抜けがないか、また追加でご指摘いただけるコメント等ございましたら、抜けている柱立てがないかとか、そういった観点からぜひご意見を頂戴できれば幸いでございます。
私からのご説明は以上でございます。

●肱岡委員長
ご説明ありがとうございました。
それでは、次の議題に移らせていただきます。
次の議題は関係者からのヒアリングです。
それでは、国立環境研究所より説明をお願いします。

●上田国立環境研究所気候変動適応センター副センター長
国立環境研究所、上田でございます。
第1回目に引き続き参加させていただきます。ありがとうございます。
前回は、こんなことができたぞという話をさせていただいたんですけども、今回はどちらかというと、むしろ今後の課題、つまりこんなことはできてないぞというほうの説明にむしろ重点を置かせていただきます。前半は主な取組とか成果とか書いてありますけど、なるべく簡単にご説明をさせていただきたいと思います。
次、お願いします。
この目次構成でございますけども、一応役割というのが最初にあって、それから前半が取組と主な成果、後半に、今後まだできていないことということで、課題や方向性というふうに書いてあります。
次、お願いします。
役割でございます。
次、お願いします。
ここら辺は、すみません、前回ご紹介しておりますので、飛ばしますけれども。
次、お願いします。
要は、国立環境研究所は、調査研究だけじゃなく、いわゆるその他支援業務というものも、一生懸命やっている、法律に付託を受けてやっているということでございます。
次、お願いします。
これが概念図でございますけど、上半分が要するに調査研究でございまして、下半分はいわゆる支援業務ということでございます。
次、お願いします。
これまでの取組と主な成果ということでございますけれども、次お願いします。
まず、共同研究を、多くの地域適応センター(LCCAC)・多くの自治体とさせていただきまして、この5年でかなりLCCACの調査研究力は向上してきたというふうに考えております。
次、お願いします。
紹介し忘れていますが、2-1が、まず研究の関係の成果で、2-2のほうが、いわゆる支援業務の関係の成果ということでございます。
次は、いわゆる大型研究プロジェクト関係でございますけれども、S-8あるいはSICAT、あるいはS-18という大型研究を継続的にやってきていただいておりますけれども、こういった蓄積によって、特にその影響評価に関して多くのデータが蓄積をしてきているということでございます。
次、お願いします。
これは主に国研との連携でございますけれども、国研との研究会を通じて、国研同士のつながりを強化し、その中から、農業とか、防災とかいうそれぞれの分野において、他機関との連携というものも創出されつつあります。
それから、下のほうに少し書いてありますが、LCCAC、つまり自治体のほうも、徐々にこれに国研の枠組みの中に参加をいただいておりまして、それが、ある意味では、その地域の実践のほうにも波及してきているのではないかというふうに考えております。
次、お願いします。
これは、いわゆる分野統合の関係の話でございますけれども、地域の適応策の実践の場面に実際に貢献をするような、複合的な影響やメリットを、どう創出していくかといったことですとか、分野統合的な適応策の選び方といったことについて、研究成果もかなり徐々に出てきているということでございます。
次、お願いします。
これは、市民参加でございますけれども、特に生物季節調査というものを、気象庁がやっていたものを刷新するという形で、市民参加が本格的にスタートしたということでございます。ちょっとまだ、何と言いましょうか、手作り感がございますけれども、全国を一応カバーするような形で立ち上がってきているということでございます。
次、お願いします。
ここからが2-2でございまして、支援業務関係でございますけれども、まず地域への支援を重厚に展開させていただいてきております。多くの地域でセンター、それから計画というのが進展をしてきておりまして、地域センター同士のネットワークも進んできておりまして、センター間の情報交換、相互研さんも、支援をさせていただき進展をしてきているというふうに考えております。
次、お願いします。
これは、前回もお示ししましたが、計画もセンターもかなり進展してきているということでございます。
次、お願いします。
これは、前回少し口頭でご説明、触れたんですけども、昨年末に、LCCACの意見交換会で、この交換会自体は実は毎年やっているものなんですけれども、これまでの5年間のいわゆる振り返りというようなことをさせていただきましたので、少し詳し目にこれだけご説明をさせていただきます。
それで、ここに表がありまして、項目とコメントの全体傾向というふうに書いてありますけど、主な意見だけ、赤字のようなところで示しておりますが、その辺を少しかいつまんでご紹介させていただきます。
まず、これまで取り組んでいる業務とか、今後取り組みたい業務というところに関して、普及啓発とか情報基盤づくりといったことは、基本的に共通的に取り組まれていると。一方で、調査研究とか施策支援、つまりその計画策定支援とか、あるいはステークホルダー連携といったところでも、この5年でかなり確実に増加をしてきているということでございます。
それから、次に取り組む上での課題として、やはり適応ということ自体の主流化の問題ですとか、それから、組織・予算の関係、いつも出る課題でございますけれども、そこは当然まだありますということ。
それから、LCCACの将来像といたしまして、二つ目のポツの後半からですけれども、ワンストップ窓口というところから、かなり地域づくり全体の総合マネジメントをするようなところまで、かなり幅広い理想像がコメントがございましたけれども、中には少し特化したような形で、調査研究型を目指すとか、あるいは普及啓発型を目指すとか、そういった特化型のような形のご意見もございました。
それから、課題解決に必要なことや国等へのご要望ということで、予算、人員の話もございますけれども、そもそも定量的な進捗指標が適応にはないんだ。それを提示してほしいというお話ですとか、それから地域発での調査研究、あるいは国民参加での調査研究といったものもやるべきだというようなコメントなんかもございました。
次、お願いします。
これは企業関係でございますけど、企業の巻き込みに関しましても、一定程度、進展をしてきているということで、これは5省庁と私どもの参加する座組などによって、事例の発掘、それからデータベース化といったことも一定程度進んできているということでございます。
次、お願いします。
これは、研究成果の活用ということでございますけれども、例えばWebGISの形での分かりやすい提供ですとか、それから左下ですけども、計画策定支援ツールで少しつまり地域計画を策定する際の、支援をするようなツールを、研究開発の成果から作ってみるというような、これは野心的な試みで、まだまだベータ版でございますけれども、こういった施策の直接支援に当たるようなことも開始をしてきているということでございます。
次、お願いします。
これは、普及啓発関係でございますけれども、様々な啓発関係のツールを開発してきているということと、これらツールを、自治体の方々にも多数お使いいただいて、展開をしてきているということでございます。
次、お願いします。
これは、トピック的なことでございますけれども、ネイチャーポジティブとか、あるいは熱中症といったようなトピックについての分野横断的・統合的な情報発信も進展をしてきているということでございます。
次、お願いします。
これが成果の最後でございます。国際関係でございますけれども、AP-PLATということで、アジア太平洋向けのプラットフォーム、アジア太平洋諸国支援のベースが一定程度構築をされてきているということでございます。コンテンツも徐々に充実をしてきておりますし、特にここ1年ぐらいで、かなり右下でございますけど、Partner Organizationsも、増加をしてきてると。顔がつながってきているというようなこともございます。
次、お願いします。
ここからが本題でございまして、ちょっと時間使い過ぎなんですけれども、今後できてないぞということの話でございます。
課題と方向性ということで、全体をまとめますと、ここに書いてありますとおり、キーワードだけピックアップをここにさせていただいているんですけども、一つ目が、「適応×地方創生」といったことが今後の方向性かなと。もう一つは、地域・統合・実践というような、キーワードが、次のステップかなというふうに全体をまとめて考えております。
次、お願いします。
まず、研究関連でございます。
競争的資金の活用強化ということで、まず課題1ということで、適応実践に関する研究の促進ということで、大型プロジェクトでかなりデータは大幅に進展したということでございますけれども、実践については、まだまだ世界的にも不足しているということでございまして、方向性として、これIPCCが抜けておりますが、AR7とこれIPCCの第7次報告書でございますけども、そういったところに向けた、それを支えるような適応の実践・実装フェーズを支える骨太の研究というのが大事じゃないかという方向性でございます。
課題2でございます。
地域の調査協力研究力の育成、あるいは活用といってもいいのかもしれませんが、いわゆる推進費で、過去に地域適応枠という枠が重点的に公募をされましたけれども、そのときはちょっとLCCACは、まだまだ数が少なかったりしたこともあって採択が少なかったということもございました。
その後は、調査研究力も向上してると思いますので、ですから今後の方向性として、競争的資金のより積極的な活用がよろしいんではないかということでございます。
次、お願いします。
次、(b)で影響観測の関係でございますけれども、課題といたしまして、適応の実践を下支えするような観測データのより効果的・効率的な取得と活用の強化ということが今後の課題かというふうに考えております。かなりデータは蓄積されておりますけれども、やはり実践のベースを支えるようなより効率的なところが今後の課題かなということでございまして、方向性として、方向性1がいわゆる市民参加、方向性2は企業連携、方向性3がデータ集約、あるいはオープンデータ化ということでございますけども、一つ目の市民参加はさっきも申し上げました生物季節観測によってある程度スタートしてきておりますので、ちょっと基盤がまだ確立しなきゃいけないというところもございますけども、そういった市民参加型というのは、効率的なデータ集積のために大事だということ。
それから2番も同じでございますけど、企業と連携をして、さらにデータ集積するということが大事だということでございます。
3番目は、今、死蔵されてるような、例えば紙ベースで蓄積されているデータなんかもあるんじゃないかと思いますので、そういったものの集約、あるいはオープンデータ化といったことも今後の方向性ではないかということでございます。
次、お願いします。
ここからは、いわゆる支援業務関係でございまして、まず、(1)が自治体関係でございます。(a)でございますけれども、適応の主流化というのが、かなり昨年の意見交換会でも課題として挙げられてございました。自治体の幹部の皆様への浸透が不足しているとか、あるいは自治体の部局間に残る壁があるんじゃないかといった課題が示されております。
方向性として、やはりメリットを感じていただけるということが大事だと思いますので、地域経営の根幹であるとか、地方創生と掛け算でやるんだというような認識の浸透をすること。あるいは今非常に勢いのある脱炭素施策と一体的に実施することといったことも大事かなということでございます。
次、LCCACの役割強化ということで、課題としては、5年間で多くの自治体に設置をされましたけれども、やはりまだ格差があるというような、先ほど前回のまとめの中にもございましたけども、そういった課題。方向性につきましては、中長期的な目指す姿や在り方を提示をするといったことですとか、あるいはそこでニーズに合わせた柔軟な支援を考えていくということが今後の方向性ではないかというふうに考えております。
なお米印の二つ目でございますけれども、調査研究の機能に関しては、特に、LCCAC自らが獲得するだけではなくて、地方大学との連携分担ということも大事ではないかということでございます。
次、お願いします。
(C)で地域適応計画の実践強化ということでございます。
課題1として、多くの地域で計画が策定された一方で、金太郎あめだなと、どこを切っても同じ顔が見えるとか、あるいはめり張りがない、総花的だといったお声もありますし、あるいはさっきも出ていました進捗、管理指標がないとか、ゴールが不明といったようなお声もございました。ということで方向性といたしまして、各地域に最適化ということで、地域固有の課題とか、地域固有の資源に重点化をする、戦略化をするということ、あるいはその適応パスウェイを明確化していくということが今後の方向性かなということでございます。
課題2で、自治体は多くの計画策定を求められるので、かなり負荷として重いというようなお声もございます。方向性といたしまして、最初にもご紹介ありましたが、いろんな計画と共同策定していくとか、複数の自治体で一緒に策定していくですとか、あるいは、手前みそですけど、私どもが作ってる支援ツールというもの、これをもう少し高度化して、各計画策定を効率化するようなことができればというふうに考えております。
次、お願いいたします。
企業の巻き込み関係でございます。すみません、時間がオーバーしておりますが。
課題といたしまして、いわゆるお得意様業界以外への広がりがなかなか進みにくいと。大企業もそうでございますし、地域の中小企業になるとなおさらでございます。
方向性として、まずTCFDとか、そういった情報開示の活用強化ということで、データが分かりやすい、使いやすい形の提供というのは、まずやらなければいけないと。
方向性2で、適応ビジネスというのは、かなり成功例も出てきておりますので、これをさらに創出していくとか、体系化していくということができればいいかなと
方向性3といたしまして、これは地域の話、中小企業の話でございますけども、地域課題(ニーズ)と、企業のシーズとのマッチングということを進めていけばどうかと。特に、そこに例えば、地域金融機関さんとか、あるいは自治体と地域企業によると適応ビジネスの共創といったような方向性が目指せれば進んでいくかもしれないということでございます。
次、お願いいたします。
国民理解の関係でございますけれども、これは、前回たしかお示しをしたと思いますが、国民の認知度はやはり低いということと、特に若年層で低いということがございます。これも前回かなりご議論をいただいておりましたけども、教育課程への組み込み、教育機関との連携強化、あるいはいろんなコンテンツの導入強化といったことを進めていく必要があるんじゃないかということでございます。
次、最後でございます。次、お願いします。
国際関係でございます
国環研がやりますのは基本的にAP-PLATの運用強化ということでございますけれども、各国への直接的な技術支援は、ちょっとまだ着手したばかりということでございますので、まだその具体的な政策への貢献にまでは至っていないというような状況でございます。方向性といたしまして、まず情報発信は引き続き実施をしていきますけれども、各国のニーズに合わせてターゲットを明確化・重点化していくということと、それから、ここ特にここ1年ぐらいで有力な国際パートナーとの顔がつながってきたということもございますので、そういったところと一緒に、彼らのネットワークを借りて、各国に対するアプローチを強めていくということが大事かなということでございます。
以上でございます。

●肱岡委員長
ご説明ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明に対するご質問、ご意見をお願いいたします。
それでは、三村先生、お願いできますでしょうか。

●三村委員
ご説明ありがとうございました。今の説明の中の、今後の方向性のところについて、コメントが一つと、関連する質問があります。
今後の方向性の中で、「適応×地方創生」というような方向性で進むのが重要なのではないかと、そういう話があったんですが、私は、ぜひそういうことが必要だと思います。
理由は二つあって、一つは、適応がどんどん全国に広がってきて体制もできてきたというのは非常にすばらしいこれまでの実績、成果だと思うんですけども、今後の気候変動の進展を見ると、さらに大きな影響が出てくる可能性があると。そうすると、従来型の技術的な、あるいは現状の政策をエクステンションするような適応では対応できない。適応の限界というようなものが出てくる可能性があると。そういうことも視野にして、どういう体制をつくったらいいのかというのを、研究的にも考える必要があるんじゃないかと思います。
もう一つは、例えば、IPCCなども気候にレジリエントな開発と言っているわけですけれども、どういう将来社会の姿を描いて、その中にどう適応を位置づけるのかというような、少し大きな社会のゴールを、地域の方々と一緒に作っていくということがぜひ必要なんじゃないかと思います。そのためには、適応自体の研究から地域の将来像をどうするかというように、研究対象の視野をすごく広げることになります。それがコメントです。そういう方向は、非常に重要だと思います。
それで質問ですが、大分研究のスコープが広がるので、それに対してどういう対応を考えておられるんでしょうか。
よろしくお願いします。

●肱岡委員長
ありがとうございます。それでは、回答は後でまとめてお願いします。
それでは、西井委員、勢一委員、そして長谷川委員の順番でお願いします。

●西井委員
西井でございます。
私のほうから、3点意見をさせていただきます。
地域の気候変動適応センターの課題としましては、予算の確保や部局間の壁など、こういったところも課題として挙げられていましたが、まさにそのとおりと考えております。地域の適応センターにおきまして、調査研究を推進するに当たりましては、財源の確保が課題となっております。
国環研のほうでは、S18などをはじめとして推進費等での研究に取り組んでおられますが、地域のセンターが、地域のニーズに応じた調査研究を推進するためには、地域のセンターが主体的に取り組めるような推進費や実証事業などの枠組みづくりや、財政支援などを一層充実化していただくことが重要だと考えております。
2点目になりますが、全国の気候変動適応センターは、地方環境研究所に設置されているところが多くありまして、他機関との連携や他分野との情報収集や発信などに苦労していると伺っております。私どもの気候変動適応センターのほうでは、環境や農林水産分野の総合研究所に設置していますので、これらの分野の調査研究や情報収集は主体的に行うことはできるんですが、それでも熱中症や防災など他機関との調整に苦労しています。こういった連携を進めていくために、まず、各省庁から各自治体の各所管部署に通達していただくということ、これは前回の委員会でも私のほうから発言させていただきましたが、これに加えまして、各自治体の各部署が、所管の各研究所や土木事務所などと連携して取り組んでいき、そして、その情報を適応センターが集約して、発信していくという体制づくりが重要だと考えております。
もう一点です。
これは、ご質問になりますが、予測結果などを基に適応策が実装されるのが理想だと思うんですが、この予測結果を実際に、施策や適応策や施策判断に活用しているモデルケースがあれば、ご紹介いただけると今後の取組の参考になりますので、よろしくお願いいたします。
私ども、なかなか不確実性が伴うこの予測結果を、どのように施策に活用していくべきかということに、常日頃から悩ましく考えておりますので、何か参考になる知見があればご紹介いただければと思います。
以上です。

●肱岡委員長
ありがとうございました。それでは、お願いします。

●勢一委員
ご説明ありがとうございました。勢一です。
私からは、大きく二つについて質問をさせていただければと思います。
一つは、地域センターについてです。ご紹介の中で理想とする地域センターの将来像というのが、地域によって多様であるというご紹介がありました。組織の状況とかにもよると思うんですけれども、この多様な形というのが、地域の適応の状況に関して、特性に応じて多様ならいいのかと思ったんですけれども、多様になっていることが、その地域にとってマッチしているのかどうかと、この辺りについて少し教えていただければと思います。
もう一点は、自治体の対応や計画に関してで、先ほどコメントがありましたように、適応と地方創生を組み合わせるのは、非常に重要だと思います。他方でなかなかそのイメージや具体例が地域で共有されていないのではないかという問題などもありまして、例えば、その地域計画にそのような取組が盛り込まれているのかどうか、その辺りについて少しご紹介をお願いしたいと思います。
また、金太郎あめのような計画ができていて、計画はできているんだけれどもというご指摘で、確かに策定していても、効果が出ていないというのであれば、これは意味がないと思いますし、温対法の実行計画とも一体策定が多いというお話でしたけれども、この一体策定による効果が出ているのかということについても、少し教えていただければと思います。
以上です。

●肱岡委員長
ありがとうございました。
それでは、長谷川委員お願いします。

●長谷川委員
ありがとうございます。二つですが、具体的な質問一つ目、以前推進費の中で、地域適応枠というのがあったというのをご紹介いただきました。平成31年から令和3年まで。これは研究サイドが具体的に地域の問題を取り組むのに当たっては、かなり有効なやり方ではなかったかなというふうに思うんですけれども、それがなくなってしまったいきさつと、それから今後またこういう形で復活することがあるのかというのが一点です。
もう一つは、データの活用に関しても、いろいろな取組をされていて、大変感心しておりました。例えば、生物季節などの市民型参加型の調査充実というのも非常にいいことだと思うんですけれども、これを単年度とか2年ぐらいやったぐらいでは、なかなかこのデータというのは価値が出てこないもので、10年、20年と続けないと、なかなか価値が出てきませんけども、そういうようなロングランにしていくような長期化の仕組みというのをお考えでしょうかという点です。
よろしくお願いします。

●肱岡委員長
ありがとうございました。ほかの委員の先生方は、よろしいでしょうか。
武藤委員、お願いします。

●武藤委員
どうもありがとうございます。私からは質問1点です。
注目しておりますのは、自治体の部局間の壁とおっしゃっていただいたところでございます。恐らく、防災とか、農業とか、水とか、別の部局になってるのだと想像しております。どうやって乗り越えていらっしゃるのか、共有いただければと思います。なぜならば、途上国でも全く同じ問題がございまして、キャパシティーの低い大洋州の国など、本当に別々にやっていたらもう全く成り立たず、全体として統合的に見せる必要があるからです。
ありがとうございます。

●肱岡委員長
ありがとうございます。それでは、回答をお願いします。

●上田国立環境研究所気候変動適応センター副センター長
すごくたくさんいただきました。どこからいきましょうか。順番にお答えしていくしかないんですが、まず三村委員からので、かなり研究の幅が広く広がってくるので研究のスコープをどういう形で今後予定していくのかということで、ここは、まさに検討中なのでなかなかお答えしづらいところがございますが、スライド11に、お手元でご覧いただければと思いますけれども、今の推進費の中で、その適応策の今後の選択とか、実装とかいうところで、意思決定のその方法といったことの研究もやっておりますけども、そういった研究を少し拡大していく中で、そういった幅広いところが、取り組んでいけるような形ができればいいんじゃないかというふうに考えてはございます。
これもまさに、どういった枠組みがいいかというところにつきましては、むしろご意見をいただいて、それを踏まえて、進めていければというふうに考えております。
それから、西井委員ですかね。予測の結果に基づいて適応に取り組んでいくべきだけども、何かいい例があるかというお話でございます。
これもなかなかお答えしにくいですが、一つは、農業分野は比較的、農作物に対する影響の出方が割とモデルが組まれている例が出てきておりますので、それは品種によっては何ですけれども、出てきている例、そのデータに基づいて適応策が取られてる例が出てきてるんじゃないかと思います。
それからもう一つは、防災の分野ですね。特にその河川氾濫、いわゆる流域治水というやつですけれども、国交省も令和元年、2年か3年ぐらいに、それまでの方針を転換いたしまして、それまでは従来の降水量とか、天候に基づく堤防設置とか、そういったことでハードで比較的対策をしてきたわけですけども、そこで方針転換をして、将来予測に基づいて、しかも流域全体でソフトの政策も含めて、流域全体の治水にしていくというふうに方針転換をしておりますけども、そういった例が、挙げられるのではないかというふうに思っております。
それから、勢一委員ですかね。適応センターの将来像で、地域適応センターの多様性というのは、どういう形で出てくるかというご質問だったと思いますが、これは、まず設置母体自体が、割と多様でございまして、自治体本体に置かれているものもありますし、いわゆる地方自治体の環境研究所と設置されているものもありますし、あるいは地方大学そのものが受けているものもあったりして、かなり多様でございますので、特にその地方大学が直に受けているような場合には、やはり調査研究機能に特化しますので、ちょっとそういう場合は特殊だったりとか、そういうこともございます。当然何て言いましょうか、その地域が最も大事な適応策を何かということで、その地域固有の課題とか、その地域の固有の資源に応じて体制を変えるということができればベストですけれども、そういった方向性がどこまで示せるかというのは、今後の検討かなというふうには思っております。
あるいはもう一つは、今回の資料にも少し書いてありましたけれども、そもそも市役所レベルとか、特に政令指定都市でもないような割と小さめの市町村のところですと、やっぱりどうしても体制は限られますので、そうしますと、できることがある程度限られたりということもございます。そういうところでは、ある程度県などとの連携が重要となるということもございます。そういうところも含めての多様性かなというふうに考えております。
それから、地方創生のような考え方について、地域適応計画に盛り込まれている例があるかということなんですけれども、これもなかなか一言で回答しにくいですけれども、やはりその地域ならではの資源について、その適応計画の中で、しっかり取り上げられているかどうかというのは、一つ非常に大きな指標なのかなというふうに考えております。
それで、例えば例を挙げますと、もう具体的な県の名前を挙げてしまいますと、新潟県は、非常に分かりやすく、お米と雪とか、非常に分かりやすく、本当に新潟県らしい、その地域ならではといったような、資源を守る、あるいは生かすといったところを、適応策に盛り込んでおられますし、あるいはこの間三重県もちょっと拝見したら、面白かったのが、あこや貝、つまり真珠貝なんかを適応策に盛り込んでおられて、なるほどこれも大変地域ならではだなということでございますけれども、そういったもの、地域の重要な資源で、まさに稼いでいるものをどうやって守っていくかとか、伸ばしていくかというところを適応計画に盛り込んでおられるところもあって、そういうところがまさにつながってくるのかなというふうに考えております。
それから、長谷川委員の質問で、推進費の地域枠がなくなったいきさつはとか、これはなかなかお話しづらいんですが、すみません、私、以前、実はこれの推進費の担当室長をしたことがありまして、そのときの記憶でお答えいたしますと、そもそも地域枠は、大体幾らぐらいまで、何億円ぐらいまでという形で、たしか額で枠を作った記憶がございまして、それを何年かで使い切ったといったのがたしか実態だったと思います。ですので、その額を使い切ったので、そのときは1回終わったということでございますけれども、ニーズが出てくれば、当然それは復活の検討は余地はあるんではないかなというふうに考えております。ただそれは、すみません、今の担当室の私の後任の判断もありますのであれですが、いずれにしても過去にはそういうことだったということでございます。
それから市民参加の長期的な仕組みということでございまして、これは、まさにおっしゃるとおりで、気象庁がなかなかできなくなったので、市民参加という形に今移行しつつあるわけですけれども、当然それは気象庁が今までの長年蓄えてきたデータを、しっかり今後も利用するためにこそ、そういったその長年の仕組みを、まさに市民参加型の調査で構築しようということを今目的に頑張っているということでございます。
それから、自治体の部局間の壁をどうやって乗り越えているかということでございまして、これは非常に難しいんですけれども、私の経験で言いますと、一つはやはり首長の方は、つまり全部の部局の上にいらっしゃる方がどう判断されるかというのは、一つ非常に大きな重要な要素かなと思います。それは一つには、そこの地域の住民の方々がどれだけそのことに関心を持ってくださるかということとも裏腹な感じなことではないかとは思いますけれども、それは、結局元を正せば、いかにそれが地域の役に立つか、地方創生の役に立つか、自分たちの役に立つかというところのメリットを感じていただけることが大事なんじゃないかなというふうに考えております。
すみません、簡単ですが以上です。

●肱岡委員長
ご回答ありがとうございました。
それでは、次に移りたいと思います。それでは、福島県様、よろしくお願いいたします。

●鈴木福島県環境共生課副課長兼主任主査
福島県環境共生課、鈴木章寛と申します。
本日このような貴重な機会をいただきましてありがとうございます。
では、資料2-2、福島県における適応策の推進に向けた取組についてご説明をいたします。
2ページをご覧ください。
最近の福島県の気候変動に関する状況でございます。
昨年の夏、福島においても記録的な高温が続きました。県の北部の伊達市梁川というところで初めて40度を記録し、熱中症の搬送者数も過去最高となっております。
農林水産業が盛んな県でありますが、農林水産物への影響も顕著になっています。
また、本県独自に、温暖化の将来予測を行っておりまして、対策が一番緩い場合、2100年には、4.4度の上昇になるというような結果も出ております。こうした状況を踏まえまして、気候変動対策、喫緊の課題というふうに捉えまして、昨年6月から、福島県知事を代表としたふくしまカーボンニュートラル実現会議、これを設立をして、オール福島で色々な取組を進めている、そんな状況でございます。
3ページ、お願いします。
まず県庁の中の取組でございますけれども、最上位の総合計画、ここの中で、地球温暖化対策を横断的な課題にしっかり位置づけました。温室効果ガス削減の緩和策と、気候変動による影響を最小化するための適応策、これをしっかり両輪として、ご覧いただいているような様々な対策を現在進めております。
4ページをお願いいたします。
ここからは、適応策について詳しくご説明をいたします。
まず、地域センターでございますけれども、福島県、遅くなりましたが、昨年4月、気候変動適応法に基づく地域センターを設置いたしました。全国41番目でございまして、遅かったからこそ、他都道府県の状況あるいは県、自らの組織の状況もしっかり分析をして、地方環境研究所でもあります環境創造センター、そして私たちの環境共生課、福島県については共同設置の形態としております。
この環境創造センター、こちらについては東日本大震災後、国の支援をいただきながら開所した施設でございまして、現在も国立環境研究所福島拠点にもご入居いただいて連携をさせていただいております。
また、そのセンターには、環境分野の情報発信拠点として、交流棟「コミュタン福島」こういう施設も併設しておりまして、非常に全国的にも恵まれた環境であると思っております。
続いて5ページをお願いします。
庁内の推進体制の整備についてであります。
ご承知のとおり、適応策、非常に幅が広いということで、庁内連携が不可欠だというふうに考えております。そこで福島県は、先ほどの地域気候変動適応センターの設置と同時に、県庁内についても、知事を本部長とするカーボンニュートラル推進本部、これを設置いたしました。全庁的に緩和、適応を両輪でやっていく。これを組織的に庁内、そして対外的にも示しました。
また部局調整が必要になりますので、カーボンニュートラル推進監、こういったポストも新設をして、具体的な検討調整については、その本部会議の下にあります各部会を設置いたしまして、その部会の中で毎年度、重要事項を調整していくというような仕組みにいたしました。
6ページをご覧ください。
具体的な重要事項の審議、調整でございますけれども、プロジェクトチームという形で、機動的に協議できるようにしておりまして、今年度、適応につきましては、熱中症・感染症対策、自然災害対策、そして農林水産業対策の三つのプロジェクトチームで、非常に幅広い庁内34課と連携、議論を進めてまいりまして、来年度の予算を協働で作ったというところでございます。
続いて7ページ、お願いいたします。
今度は地元の大学との連携でございます。気候変動の問題、行政だけでできるとは当然思っておりません。そこで、適応センターの設置とほぼ同時、昨年末に、地元の国立大学である福島大学と、カーボンニュートラル実現に向けた連携協定、これを締結いたしました。研究、人材育成、普及啓発、そして産学官連携の四つの柱で取組を進めるということで、今に至っております。
適応分野の共同研究、そういった取組はもとより、緩和分野においても、この4月に福島大学の中に水素エネルギー研究所これが立ち上がります。こういった成果も協定の以後出てきているというような状況でございます。
8ページをお願いします。
続いて、適応センターとしての情報収集・分析・整理、これにつきましては、まずその福島大学と連携した気候変動影響予測、これを昨年4月に発表いたしております。さらに今年度は環境省様にお世話になりまして、国民参加型の調査、情報収集事業もやらせていただいております。こういった取組で県内の気候変動による影響、現状把握を、現在進行形で努めている状況でございます。
続いて9ページ、お願いいたします。
今度は情報発信です。
情報発信というか、まず市町村、県内59ございますが、そこに対する、適応法改正の中身も含めた説明会の開催、あとは一般県民向けの様々な環境イベントがございますので、そういったイベントや、あとは防災イベントにも適応センターのブースを出して、PRをしているところでございます。さらに、コミュタン福島の展示なども活用しながら、今も県民の方々へ、適応の認知度を高める取組を行っているところでございます。
10ページをお願いいたします。
まとめと、今後の課題等でございます。
繰り返しになりますが、福島県、非常に41番目ということで時間はかかりましたが、今年度、適応センターを立ち上げてほぼ1年が経過しました。庁内体制の整備、あるいは大学との連携協力体制、こういった体制整備はできたかなと思っております。
そして2050年という共通のゴール、カーボンニュートラルの実現に向けて、緩和・適応両輪で進めるというような体制は整ったかなと考えております。
特に福島大学とは、既に共同で色々な気候変動影響の科学的知見の収集分析についてもやらせていただいておりますし、情報発信も少しずつではありますけれども、やれております。今後も、こういった体制はできたので、福島という地域特性を踏まえながら、適応策について、関係者と連携して継続的・効果的に進めてまいりたいと、そのように考えております。
その上で、せっかくの機会ですので、体制準備をした時も含めて、適応策を推進する上で感じている課題を4点記載をしております。
まず、1点目市町村の取組推進です。
市町村の体制は、やはり万全ではございません。適応策、計画づくり、あるいは地域適応センターの設置、こういったものは、福島県についてもなかなか時間はかかるかなと思っております。
2点目、庁内の関係部局の取組推進。先ほどもお話ありましたけれども、福島県は知事をトップにして、体制は整えた。ただやはり温度差はまだあるかなと思っております。こういった横串、横断的な機能強化、そういったことができるような人材育成も含めてですけれども、そういったことが重要かなと思っております。
3点目、関係機関との連携取組強化です。
繰り返しになりますが知事を先頭とした、そして地元大学と連携した体制はできていますけれども、やはり県内だけではなかなか厳しい部分もありますので、引き続き適応に関する国のセンター様との連携の機会の確保であるとか、ご支援をいただきたいと、そのように思っております。
最後4点目です。体制でございます。
どうしてもまだ緩和策に比べると、適応策推進の人員配置は、少なくなっているのが現状です。また、これも先ほどありましたが、財源についても、緩和に比べればなかなか厳しいかなと思っております。
専門的知見の提供充実と合わせまして、財政面でも引き続きの国のご支援をいただければ非常にありがたいと考えております。
資料右側ですけども、来年度に向けた動きをご紹介いたします。
福島県では、県民、事業者、こういった皆さんと理解と共感を得ながら、気候変動対策、すなわち緩和・適応を両輪でオール福島で進めることができるようということで、この秋に新しい条例をつくる予定でおります。
肱岡先生には、福島県の環境審議会の委員として、色々ご助言をいただいて、今策定作業をしております。
条例の中で適応策につきましても、県、事業者の取り組むべき事項、そして重点的な取組ということで、熱中症対策、自然災害、農林水産業、こういったものを位置づけてやっていきたいと考えております。具体的な部分、来年度に入りましたら新たな計画の中で定めていく、そんな状況でございます。
最後になりますが、間もなく震災から13年ということになります。これまで様々ご支援をいただいて、福島の環境回復というのが進んできたところでございますけれども、これから未来に向けてということで、福島だからこそできるような取組、県職員一同頑張ってまいりたいと考えておりますので、どうか引き続きのご指導、ご支援いただきたいと思います。
ありがとうございました。

●肱岡委員長
ありがとうございました。それでは、ただいまのご説明に対するご質問、ご意見をお願いいたします。
江守委員、勢一委員、そして三島委員の順番でお願いいたします。
江守委員、お願いします。

●江守委員
ありがとうございます。ご説明ありがとうございました。ちょっとお伺いしたいのは、福島県適応センター、主担当は何人でやっていらっしゃるか教えていただければと思いました。専任のスタッフが何人いらっしゃるかという感じですかね。
といいますのは、次の静岡県センターの資料を見ていたら、主担当1名と書いてあるのがとてもインパクトがありまして、先ほどの国環研の適応センターのところでも議論がありましたけれども、やっぱりその地域によって
設置母体も様々で、恐らく規模も様々だと思うんですけど、それがやっぱり本当にもうワンオペで、1人で、もちろん兼ねて手伝ってくれる人は何人もいるにしても、やっていらっしゃるのか、何人でやっていらっしゃるのかということが、どれぐらい把握されているのか、それによって、整備状況の見え方というのは、随分違ってくるのかなというふうに思いましたので、
ちょっとどこで質問するか迷ったんですけれども、福島県は何人でやっていらっしゃるかというのをお伺いできればと思いました。よろしくお願いします。

●肱岡委員長
ありがとうございます。それでは、最後にまとめて回答をいただきたいと思います。
勢一委員、お願いします。

●勢一委員
ご説明ありがとうございました。勢一です。
かなり充実した取組をいろいろご紹介いただいて、一つのモデルになるのかなと思いながらお話を聞いておりました。私も組織のことは質問しようと思っていたので、今質問がありましたところで教えてください。あと二つ追加で質問させてください。
福島県では、地域適応計画は、これ総合計画に盛り込まれている形になるんでしょうか。冒頭で総合計画に示しているというお話もありましたけど、計画の状況について、教えてください。
2点目は、市町村の支援の点です。
市町村が策定するには、まだまだ課題がある、適応対応は難しいというようなお話だったと思います。これは先ほども国立環境研究所のほうでも、政令市やせいぜい中核市ぐらいまでは何とかなるでしょうけれども、一般市町村ではなかなか大変なんじゃないかというご指摘がありました。実際、関わっておられて、その辺りの難易度について少しご紹介いただければと思います。
以上です。

●肱岡委員長
ありがとうございます。
それでは、三島委員、お願いします。

●三島委員
三井住友海上の三島と申します。
緩和策のほうの質問で恐縮でございます。再生可能エネルギーの太陽光発電のパネルについてなんですが、非常に損害保険業界にとってはロスが悪くて、引受けが非常に厳格化しているというのがちょっと事実としてございます。
ただ一方で、福島県は原発事故があったので、再生可能エネルギーを導入しようという機運は、他自治体に比べるとやっぱり高いのかなと思いまして、そこでお伺いしたいのが、やはり今も高ロスであるということがだんだん分かってきている中でも、その太陽光パネルの再生可能エネルギーの導入というのは、非常に積極的に進んでいるのか、それともやや異論、反論が出始めているのか、もし何か課題があるとしたら、どのように合意を取って進めておられるのかというか、ちょっとその辺りのもし何か工夫などがあれば教えていただければと思います。

●肱岡委員長
ありがとうございます。チャットのほうで今田委員からコメントをいただいておりますけれども、地方大学との連携による適応策の推進は、非常に重要なポイントだと思います。気候変動予測データの活用には、専門的な知識が必要となりますので、地元の気候を熟知した研究所が仲介することは非常に有効であると思います。
例えば北海道でも地方自治体と北海道大学の連携で、・・・等において成功例を多くされています。福島大学との連携において、具体的な成果プロジェクトが既におありでしたら、もしくは具体的なゴールをどのように設定されるかについて教えていただければ幸いです、とあります。
それと今のご質問について回答をお願いします。

●鈴木福島県環境共生課副課長兼主任主査
様々ご質問ありがとうございました。
まず、江守先生からのご質問。答えづらいですが、専任はゼロです。環境創造センター側も、我々環境共生課側も、兼務という形でやっていると。そういう状況でございます。
ちなみにセンター長は環境創造センターの所長、そして副センター長として、本庁側の環境共生課長というような体制で、あとは私も兼務がかかってますけれども、それぞれ複数名、兼任でやっております。
大変な状況ではありますが、今年度については、ぎりぎり回せたかなと。あと、今後、適応の大事さというのは、庁内でも少しずつは伝わってきているかなとは思うので、何とか専任化を含めてできるような形は努力していきたいと思います。
続いては、勢一委員からのご質問について、福島県の適応計画については、地球温暖化対策推進計画に位置付けられており、やはり両輪でやらせていただいております。説明させていただいた最上位の計画である総合計画にも同じようなことが書いてあって、部門別計画である、温対計画の中で一緒に作っているという状況でございます。
そして市町村支援、59市町村、福島県は全国で見るとやはり多いかなと思います。小さいところは、お見込みのとおり、非常に体制が苦しいので、そこについては2ページで書いた実現会議という、体制の中で市町村部会というのを作りまして、県内3方部に分けて市町村に集まっていただいて、計画づくりを緩和、適応両方の計画について、こういうことをやんなきゃなんないですよというのを、今年度についても話をして、あとは委託事業があるんですけれども、専門家の派遣というようなアドバイザー派遣についても、やらせていただいている状況でございます。
そして三島委員から、太陽光パネルのお話ですね。こちらについてはご承知のとおり、福島県は、再生可能エネルギー先駆けの地というのを目指して、原発に代わるものということで、現在進行形で、再エネを飛躍的に導入していきましょうということで取り組んでございます。
一方で、パネルのリサイクルの話とかも課題があるのは当然承知をしておりまして、そういった部分、リサイクルをどういうふうにしていくのかというのも、特に被災を受けた沿岸部を中心に、そういうパネルリサイクルもどういうふうにしていくかという研究会を作って、県内のリサイクル業者を交えながらやっていたりします。
そして、再エネの現在の状況、こちらについては、たまたま私のところで、アセスもやっているので、雰囲気としては、この太陽光発電については、自然との共生の視点から様々な動きが若干出てきているのは懸念されるかなとは思っております。そんな状況です。
最後は今田委員、福島大学との研究の具体的なゴールでございますけれども、こちら、今年度、国民参加の1年目で、共同研究という形でやらせていただいて、でき得れば2年度、3年度ということで、今度はターゲットをだんだん農林水産業に絞って研究をやっていきたいなと。それを説明させていただきますけれども、庁内のプロジェクトチーム、農林水産部と連携する体制はできておりますので、そこに好循環が生まれるような研究をして、3年目にしっかりとした成果を出せるように頑張っていきたいなと、そんな状況でございます。
以上でございます。

●肱岡委員長
ご回答ありがとうございました。それでは、続きまして、静岡県環境衛生科学研究所様からお願いいたします。

●静岡県環境衛生科学研究所環境科学班(神谷)
はい、よろしくお願いします。
私たちのところは、気候変動適応センターは、静岡県環境衛生科学研究所に単独設置というような形でなっております。
次のページをお願いします。
この名前のとおり、静岡県の環境と県民の健康を守るための調査研究等を行っているというところで、環境に関しては、環境科学部と大気水質部の二つがあります。このうち大気水質部というのは、環境基準とか、法律とか、条例とかで規制されているような化学物質等を分析したり測定したりするような部になっています。一方の環境科学部は、それ以外の環境分野の広いものを対象とするということで、次のページをお願いします。
環境科学部の業務としましては、規制のされていない化学物質ですね。最近だとPFASが、かなり重くなっているんですけど、そういったことをやったりプラスチック関係ですね。地下水熱利用、水循環解明。地下水熱量というのは、ちょっとこの適応にも関わってくるかなと思っています。生物多様性等もやっている中での気候変動適応センターという役割も担っているというところです。
次のページお願いします。
設置自体は、かなり早くて法律ができてしばらくしたところを、県の適応計画の策定とともに、センター機能を、この環境衛生科学研究所の環境科学部に確保したというところです。センター長は所長になっております。
ちょっと先ほども言われました主担当は1人ということなんですけど、一応調査研究活動もやっていまして、その辺りは他の部員と分担しながらやっていると。ちなみに主担当1人、私なんですけど、別に専任ではなくて、その前の項目にあった四つほどを掛け持ちしているというようなところになっています。
予算のほうは、一応県の事業課である環境政策課から、センター運営費と調査研究、後で述べます2本について出ているというところです。
次、お願いします。
これまでの取組ということで、時系列別に並べてみました。上の1段が県庁の環境政策課のほうの動きで、下の2段が研究所の動きというふうになっています。平成27年辺りから県庁のほうでは、ちょっと動き始めていまして、ただ研究所としてはあんまりこういう気候変動のことは、それまで何もやっていなかったというところで、どうしようと思いながら、支援をしていかないとということで、気候変動、温暖化の現状であるとか、将来予測というのを国環研さんのご協力を得ながら、データを収集して、県庁内の適応に関する研究会とか、適応部会というところで、そこの情報を提供していきながらというところで、適応計画の策定に結びつきました。
それと並行して、長野県さんはかなり気候変動の研究というところはトップを行っているのかなと思うんですけど、長野県さんとコラボできる機会がありまして、特に高標高域の気候変動影響のモニタリングというところを、一緒にさせていただいているというものがあります。
センターを発足してから、環境省の国民参加事業第一期のところでちょっと手を挙げさせていただいて参加して、そこでいろいろ調査をさせていただきました。その中でやっていた暑熱環境調査というのは今も続いております。
令和5年から、ようやくというか、情報提供というところに手を出しまして、ニュースレター等の発行はしました。その中で、適応ビジネス等も、ちょっと入れ込んだような形で、ニュースレターを作っているとこういった状況です。この番号をつけているものについて概要をこれから述べていきたいと思います。
次のページお願いします。
静岡県の計画は、気候変動影響と適応取組方針という名前で作っています。目的としては、環境だけじゃなくて経済とか、社会の持続的向上を図るということで、2030年度までの施策の基本的な方向性を上げているというものです。
実際には、県が実施するというか、している78件の施策について、国の計画等に倣ってというか、農林水産業から、水環境から、県民生活と経済活動を一緒にしているんですけど、そういった78の施策を記載しています。ちょっと寄せ鍋的な感じになっています。
この中で適応の推進体制というところに、うちの研究所にセンター機能を確保しますというのが明記されていて、それが根拠になっているというところです。
適応取組方針に関しては、ちょっとこの資料の後ろのほう3枚ほどに、概要を書いていますので、もしよければ参考に見ていただければと思います。
次のページお願いします。
国民参加事業に参加したということで令和1年から令和3年でやりました。もともとの仕様で三つほどミッションがあったんで、それに基づいてやったというところで、農林水産業の生産者さん、県内の16団体にヒアリングを実施したというもので、例えばお米とかだと白未熟粒が出ますというような話があるんですけど、どういうふうに対策してるかというのを聞いてくると、御殿場という静岡県でも、富士山のほうに近いところは、割とコシヒカリの米どころで、そこは、富士山の冷たい湧水が出ているということで、夜間は水田にかけ流しすることで冷やしているんだよとか、そういう地域資源をうまく活用した適応策というのをいろんな場面で聞くことができました。これをやるときに県の他の公設試ですね。農業とか、林業とか、畜産関係の公設試の人と連携をしながら、これを実行したということで、その辺りもお仲間ができたかなというふうに思っています。
次のページお願いします。
こちら市民ワークショップを開催ということで、こちらは県の温暖化防止活動推進センターさんと一緒にやったというものです。ワークショップで県民の方たちから、どういう影響を感じていますかとか、それに対してどういうことをやっていますかという話を聞きました。ただ単にデータを集めるだけだともったいないなと思っていたところで、環境省さんのコンソーシアム事業の中で、カードゲームを作っているという例があったんで、これうちも作ってみようということで参考にして作らせていただきました。
中学生、高校生とか、あとまた大学生とか、そういったところにこれをやってもらったりして、普及啓発に役立てようというふうなことを行っています。
特に、今年度は貸し出しをやっているんですけど、県内の2大学で授業にも活用していただいています。
次のページお願いします。
こちらは、特に静岡とか、浜松とか、市街地の中の温度の分布、温湿度の分布を調べてみようということで、この事業のお金を利用させていただいて、クラウド上に温湿度のデータを上げて、それを一括に収集するといった、こういうシステムを構築させていただきました。
例えば、静岡市内だと、昼間は、夏の昼間は海風が吹いて内陸のほうがすごく温度が高くなっているとか、逆に夜間は市街地のほうが、高い気温が残っているとか、そういった現況というのが分かりました。これに関しましては、その後、国環研の適応型の共同研究というところに結びついて、現在も、熱中症との関係性とか、そういったことを調べることをやっております。次のページお願いします。
こちらは、長野県さんから声をかけていただいて、南アルプスというのが、ライチョウの南限に当たるということもありましてこれは静岡側からカメラを定期的に観察して、長野県側からも撮っているんですけど、そういったことからスタートしたということで、その後、これも適応型の共同研究ということで、モニタリング地点を静岡県内の高標高域のところでどんどん増やしているという状況になっております。
はい、次のページお願いします。
令和5年からニュースレターを発行するということで、適応ビジネスについて、いろいろ調べたいなと思っていたところを、常葉大学の経営学部の先生と意気投合しまして、ニュースレターを発行するので、その中で、こういう大学生が企業の話を聞くと、そういったことをやってみましょうということでスタートしたのがこれです。年3回発行しているんですけど、例えばその中で、窓の遮熱塗装をやっている中小企業さんの実際につけている小学校の実測をしてみましょうということで、調査研究としても、こういうのを活用させていただいたりとか、そういうこともやっております。
次のページお願いします。
我々5年間センターをやってきたというところで、他の地環研関係も同じような感じかなと思うんですけど、最近、もともと主力でやっていた分析業務というのは、どんどん外に委託していっているというふうなことがありまして、そういう中でこういう法的根拠のある業務に従事するというのは、地方の研究所としてはちょっと意義が大きいのかなというふうに思っております。また、実際にセンターとしてどうやって動いたらいいのか分からないというのが最初にありました。そのときに、国民参加事業に乗っかるということで、これまでやったこともないような、生産者さんへのヒアリングとか、そういったことを何とかできたというところで、以降のその後のセンター活動の基盤、プラットフォームになったかなというふうに思っています。
国環研さんとか、あと地域の適応センターさんとの情報交換とか、共同研究、技術的援助というのがあったというのは、大変助かっています。
はい、次のページお願いします。
課題を挙げれば切りがないんですけど、二つここで挙げさせていただきました。
我々地域の研究所は、やっぱり慢性的に人が不足しているというところで、国民参加事業をやっているときは、割とまとまった予算もいただいてやっていたというところで、それが切れたときに、かなり人のほうもやっぱりなかなか割けないというところはあります。そういうこともあって情報提供に舵を切ったというところもあるんですけど、そのときに整えた観測温湿度計とかも、なかなか更新もできないような状況ということで、予算的にも厳しいなというのがあります。
下のほうが、今後市町の地域適応計画というのは、静岡県内でも今11市町があるんですけど、それ以降どんどん増えていくのかなと思いつつ、我々がやっているような調査研究というのが、必ずしもそういうところにはなかなか反映できていないかなというふうに思っています。市町のニーズに沿ったような研究を実施していくというのは、どうしたらいいのかなというふうなところが課題感として挙げられるかなと思っています。
以上です。ご清聴ありがとうございました。

●肱岡委員長
ご説明ありがとうございました。それでは、ただいまの説明に対するご質問、ご意見をお願いいたします。
では、栗栖委員、西井委員の順でお願いします。
栗栖委員、お願いします。

●栗栖委員
ありがとうございます。東京大学の栗栖です。
情報提供でカードゲームの貸出しをされておられて、県内大学でも使用していただいたというお話があったかと思います。非常に興味深い取組かと思いますけれども、このようなカードゲームを作ったということ自体を、県のほうからどのように広報されたのかというのが一点と、大学のほうで勝手に検索して、何か引っかかって貸してほしいというふうに言われたのか、県のほうからかなり積極的に広報されたのかという点と、あと実際にカードゲームを使用されたその使用者のほうから何かフィードバックを得られておられるかという点について教えていただければと思います。

●肱岡委員長
ありがとうございます。それでは、西井委員お願いします。

●西井委員
西井でございます。
環境研究所に設置しておられるということで、その中で県の農業、林業、畜産関連の公設試と連携していろいろな取組をされているということに感心しております。なかなか他の公設試との連携、他分野との連携というのができているような地方の地域適応センターは、そんなに多くはないと思うんですけれども、この辺りどのようにご苦労されたのか、何か参考になるところがあればご紹介ください。お願いします。

●肱岡委員長
ありがとうございます。それでは、勢一委員、お願いします。

●勢一委員
ご説明ありがとうございました。勢一です。
1点質問をさせてください。
今後に向けての課題で最後のところですね。調査研究成果を地域適応計画に結びつけられていないという課題提起、非常に重要なポイントかなと思いました。やはり調査研究によるローカルな観測データがないと、当然自治体の適応策は進められないのですが、ここが、市町のニーズに沿った研究が実施できていないところの要因というか、障害になっている部分は、どういうものがあるかというのを少し具体的に教えてください。

●肱岡委員長
ありがとうございました。
それでは、回答をお願いいたします。

●静岡県環境衛生科学研究所神谷
まず、カードゲームのところなんですけど、あんまり宣伝らしい宣伝はできていなくて、ホームページにこういう貸出しも開始しましたとか掲載していたんですけど、もちろん大学以外にも貸出しはやっていまして、一つは温暖化防止センターさんと一緒にワークショップをやって、それでカードゲームを作ったということで、温暖化防止センターさんの宣伝というのはかなり大きいかなというふうに思っています。
あと大学のほうでは、一緒に適応ビジネスを聞きに行っている常葉大学の先生が、ゼミで使いたいということでお貸ししたりとか、そういった形でやっております。使用者の方からは、どちらかといえばアイスブレイク的なところで最初にカードゲームをしましょうというような形で、使っていただいているというところで、こういう温暖化、気候変動の影響というのをすごい身近に感じたとか、自分たちでも身近なことでもできることがあるんだとか、そういったポジティブな意見はいただいております。
次に、農業とか、林業、畜産のほうとの連携ということで、まず我々、国民参加事業の中でヒアリングを実施するといったときに、誰にしたらいいんだというところからがありまして、そこは、もう各研究所に聞いてみようというところで、まずそこからコンタクトを取り始めまして、そこだったら農協のどこどこさんとか、地域ですごい活動されている誰々さんとか、そういう情報を聞いて、それを基にコンタクトを取ったと。実際にお話を聞いた後に、それが科学的にどうなんだろうとか、正しいのかなとか、その辺りをその研究所の研究者に確認という形で、専門家として意見を言ってもらうと。そういった形で連携をしたというところですね。
その後、この気候変動関係じゃない話で、いろいろ仕事の話があったりとか、そういう形でのコラボがあるというところがあります。
なかなかこの成果が、地域の市町の適応計画にというところは、非常に我々もどうしたものかなと思っているんですけど、一つは我々がローカルなところでやっているということを、地元の市町さんがあまり知っていない。我々のアピール不足もあるかなというふうに思うんですけど、まず、我々ができることとすれば、そこからなのかなというのはありますね。
はい、以上です。

●肱岡委員長
ご回答ありがとうございました。
それでは、次のご説明に移らせていただきたいと思います。
それでは、農林中央金庫様、お願いいたします。

●中井農林中央金庫リスク統括部部長代理
農林中央金庫のリスク統括部、中井と申します。本日はこのような機会をいただきまして誠にありがとうございます。
では、2スライド目のところから、弊金庫の、気候変動適応への取組についてご説明させていただければと思います。
まず、2スライド目でございますが、こちら弊金庫の位置づけということでございまして、農林水産業者の協同組織を基盤とする全国金融機関ということでございまして、金融の円滑化を通じて、農林水産業の発展に寄与し、もって国民経済の発展に資することを目的としております。
この全国列のところの、緑のところが弊金庫ということでございまして、信用事業を営んでおりますということで、銀行でございます。
次のスライドをお願いします。
次に、我々のビジネスについてでございますが、長年培ってきました食農、それから金融の知見に加えまして、幅広い協同組合のネットワーク等がございます。これらを活用しまして、三つのビジネスということで、食農ビジネス、リテールビジネス、投資ビジネスというふうに呼称しておりますが、これらを営んでおりますということで、農林水産業と食と地域の暮らしを支えるリーディングバンクとしての価値提供の実現というところを目指しているところでございます。
では次、お願いいたします。
次に、弊金庫のサステナブル経営の取組についてでございます。弊金庫は、2019年に、赤囲みのTCFDに賛同表明いたしまして、気候変動に関する取組をスタートしたというところでございます。
それから2022年には、本日ご説明させていただきます、物理的リスクのシナリオ分析の開示をさせていただいております。
それから足元、23年のところにおきましては、右下にございますNZBAというネット・ゼロ・バンキング・アライアンスの略でございますが、いわゆるカーボンニュートラル宣言、こちらをさせていただいて、こちらのイニシアチブに参画して、目標の策定と実績の開示を進めているというところでございます。
では、次のスライドをお願いいたします。
こちらは、先ほど述べましたTCFDで定められております、一般的な金融機関の気候変動リスク対応について概観を示させていただいているものでございます。気候変動のところを、一般的に事業会社では自らのビジネス構造そのものに影響するというふうに考えられておりますけども、金融機関は、投融資先のリスク・機会を通じた財務インパクトというところが、主な影響というふうに考えられております。
それから、また金融機関として重視すべきリスクというのは、バランスシートの構造の違いによっても異なるということでございまして、弊庫のような銀行の場合は、一般的に貸出金への影響が重要というふうに考えられております。下の図のとおり、これらは財務インパクトのところを測るというところが重要でございますし、これら認識したリスク・機会を経営戦略に役立てていくというところも重要なポイントというふうに認識しておるところでございます。
それでは次のスライドをお願いします。
ここから弊金庫のTCFDの対応の具体的内容をご説明させていただければと思います。
まず、こちらのヒートマップというものを開示させていただいておりまして、上段が移行リスク、下段が物理的リスクというところでございます。弊金庫のポートフォリオを俯瞰した上で、セクター・地域、時系列別にリスク評価をさせていただいて、開示をさせていただいております。
これらの中から赤くなっているリスクが高いところについて、シナリオ分析を順次、開示、拡充しているというところでございまして、移行リスクにつきましては、一般的に高炭素セクターと言われるようなところが赤くなっておりますし、下段の物理的リスクのところは、縦にご覧いただければと思いますが、地域で見ますと日本のところが、リスクが高いというふうに出ましたので、これらの地域に絞って、シナリオ分析を進めているというところでございます。
では、ここから物理的リスクの中に入っていきたいと思います。7スライド目をお願いします。
まず、急性リスクについてでございます。
こちらの洪水リスクの分析をさせていただいておりまして、開示をしております。洪水リスクのところを分析する上で、我々の分析の一つの特徴としましては、お客様の本店所在地のみでハザードマップを当てて分析するのではなくて、お客様のサプライチェーンのところを見ました。製造業でございましたら工場の立地を特定して、緯度経度情報への変換作業をしたり、あるいはレストランのような店舗であれば、それらの店舗の立地情報を集めてくるというようなことをした上で、分析をしたというところが一つ特徴でございます。
またこれらについては、今後海外にも広げたり、弊金庫自身の物件なども、分析対象にして今後高度化をしていきたいというふうに考えております。
では、8スライド目から、今日ご説明の中心となります慢性リスクのシナリオ分析のご説明をさせていただきます。
慢性リスクにつきましては、農業セクターに絞って分析を実施させていただいております。分析対象は品目につきましては、稲作、生乳、肉牛を対象に、2100年にかけて気温上昇のシナリオごとに、実際のその農業の生産者の方に、収入面でどういった影響があるのかというところを、試算をしているところでございます。本来最終的には、TCFDの先ほどご説明させていただいたとおり、弊金庫自身への財務分析まで算出のところが望まれるところなんですけども、まずは一旦は、基礎分析ということで、生産者の方に、どれぐらい収入面で影響があるのかというところを分析をさせていただいたというところでございます。
では、9スライド目でございます。
こちらが、まずモデルの説明でございますが、今日ちょっとお時間の関係もございますので、こちらのスライドでお伝えしたかったこととしましては、各省庁様等が出されているデータを2次利用させていただいて、分析をさせていただいているというところをお伝えさせていただければと思っております。
それから10スライド目へお進みいただけますでしょうか。
次に、まず生産量の分析についてでございます。生産量につきましては、モデルを構築しまして、都道府県ごとに分析をしておりますが、稲の都道府県ごとの品種に着目しまして、全国品種地域あるいは北日本品種地域というふうに地域を分けたり、あるいは高温耐性品種を既にかなり導入されている圏域と、そうではない地域に分けて分析を実施しているものでございます。
次に11スライド目をご覧いただけますでしょうか。
次に価格面についての推計についてでございます。こちらは、価格の変化率というのは需給要因と品質要因に分かれるというふうに考えまして、分析を実施しております。本日右の品質要因のところを簡単にご説明させていただければと思いますが、一等米比率が低下する気温の閾値というところを、モデルから算出しました。今回、我々として示唆が得られたところは、気温上昇の負の影響というのは、生産量よりも、先にまず品質面で影響が出てくるということでございました。
最後、12スライド目、適応策についても考慮した上での分析を実施しておりますというところで、2100年にかけて、高温耐性品種を導入、および高温を避けるために田植の時期をずらすといったところを、シミュレーションした上で収入面にどういった影響が出るのかというところを分析しております。
先ほどの8スライド目のところが結果ではございますが、収入ベースで、おおよそ8.5%程度改善するというような結果が得られたというところでございます。
では、次のスライドをご覧いただければと思います。
これらシナリオ分析を通じて得られた知見というのは、いわゆる投融資の中でのサステナブルファイナンスで活用しているところでございます。サステナブルファイナンスにつきましては、適応ファイナンスも含んでおります。右上にございますとおり、2030年新規実行額10兆円という目標を立てておりまして、現在の足元6.2兆円まで達しているという状況でございますし、下段にございますとおり、環境社会リスクの管理の枠組みといったところも、構築を進めているところでございます。
14スライド目お進みいただければと思います。
それから、シナリオ分析の結果につきましては、お客様へのエンゲージメントなどでも活用しております。特に上段にございます、貸出のお客様へのエンゲージメントなどでは、お客様の中でも、食品会社様でお米を原材料として活用されている企業さんなどは、我々と同じような稲作を対象としたような分析などもされておりますので、膝詰めで、お互いのシナリオ分析の内容などを、情報交換させていただいて、今後の高度化に向けた意見交換なども実際させていただいているところでございます。
最後15スライド目でございます。
こちら今後の取組の展望という形で書かせていただいておりますが、気候変動のところを、単独で捉えるのではなくて、やはり第一次産業というのは生物多様性の喪失というところも、非常に大きな影響を受けるというところでございますので、これらを合わせて統合的な取組を進めていきたいというふうに考えておりまして、今後も気候変動と生物多様性の、両課題の解決に向けた取組を拡充してまいりたいというふうに考えているところでございます。
私からのご説明は以上でございます。

●肱岡委員長
ご説明ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明に対するご質問、ご意見をお願いいたします。
武藤委員、堀江委員、長谷川委員、三村委員の順番でお願いいたします。

●武藤委員
どうもありがとうございます。JICAの武藤でございます。
今回は適応が主話題ということで、あとネイチャーのお話も最後していただきましたけれども、多分、統合的に考えると、緩和で水田のメタンの話とか話題になると思います。そういった辺りどういうふうにこの全体のサステナビリティの経営方針の中に入れ込んで、コミュニケーション、また現場での変革に対応されていらっしゃるのか教えてください。
ありがとうございます。

●肱岡委員長
ありがとうございます。それでは、堀江委員、お願いします。

●堀江委員
ありがとうございます。大変勉強になりました。また、6ページに記載されている農林中央金庫のご発表で、TCFDへの取組として農業以外の分野を幅広く分析されていることに驚きました。
そのことでのお尋ねですが、今回、使用されたモデルの妥当性は、どのように検討や評価をされているのでしょうか。私は、医療の分野におりますけども、気候変動による働く人の健康、安全、作業ミス、エラーへの影響を通じた財務関連の基礎データはそれほど多くないように思いますので、今後、そのようなデータが蓄積されていくと、それがモデルに反映されていくメカニズムがあるのかといったことを教えていただければと思います。
また、今回はいろいろな業界を幅広く分析されていますが、最終的に個々の企業ごとに、こういった分析をすることは可能なのでしょうかということを、お尋ねできればと思います。

●肱岡委員長
ありがとうございました。
それでは、長谷川委員、お願いいたします。

●長谷川委員
ありがとうございます。
私も堀江委員と似たようなところをちょっと感じておりました。このように、特に最後のほうでいろいろやられていたシナリオ分析が鋭意やらなきゃいけないところは多々あるとは思うんですけれども、なかなか我々専門家でやっておりましても、そこまではっきりと言えるのかというのが、多々ありまして、最後サステナブルファイナンスで活用されるときに、そこの不確実性ですとか、幅とかをどのようにお伝えされているのかなというのをお伺いしたいと思いました。
以上です。

●肱岡委員長
ありがとうございました。
それでは、三村委員、お願いいたします。

●三村委員
大変興味深い発表をありがとうございました。私も2点お伺いしたいと思います。
一つは、TCFDの物理リスクを各企業が開示するというときには、その企業の経営の健全性にとって、どの程度の影響があるのかという観点から開示をされるというふうに思っていました。
個々の企業のレベルでこういうことをやるのが通常の形態かなと思うんです。一方、金融機関では、今のご報告のように、信用を与える各産業全てについて分析して、今後の経営に生かそうと、そういう観点から、より広い観点で分析されたのかどうか。それが一つの質問です。
それからもう一つは、先ほど来モデルの結果について質問が出ていますけれども、研究の面でもいろいろと最新の研究が出ていて、例えば、米の質の変化に関しては、新しい予測モデルなども出てきているというふうに思っています。そうすると、今後、研究コミュニティに対して、こういうふうな結果が出たらありがたいんだけどなとかいうような要望があれば、教えていただきたいと思います。
以上です。

●肱岡委員長
ありがとうございました。
チャットのほうで江守委員から、再エネの災害保険の引受けが厳しくなっているという話をよそでも聞いたのですが、これは、業界の常識なのでしょうかという、質問をいただいております。
それでは、ご回答のほうをよろしくお願いいたします。

●中井農林中央金庫リスク統括部部長代理
最初のご質問への回答です。緩和にかかる農業のメタン等に係る件でございますが、これらがやはり我々にとって、農林水産業を基盤とする金融機関として、非常に重要な問題というふうに捉えておりまして、農研機構様と連携アライアンスの取組をさせていただいたり、あと農林水産業者は、比較的零細な企業が、個人経営の方を含めて割合が高いというところで、GHGそのものの開示というのが、なかなか進まないようなところもありますので、まずもって、ここの部分の支援にかかる取組を進めているというのが現状でございます。
それから、2点目でございますが、このシナリオ分析の妥当性、蓋然性というところについて、どのように捉えるかというところについては、やはりこれはおっしゃるとおり、非常に悩ましい問題であります。いわゆる中期経営計画で示すような数値とは違って、かなり振れ幅の大きい数字ではないかなというふうに考えておりますし、例えば、我々移行リスクの開示などは、今日ちょっと資料にはないんですけども、単年度で30億円から220億円ぐらい影響が出ますということを開示しておりまして、かなり振れ幅が大きいというのが現状でございますし、
これは他行様も同様でございまして、これをそのまま直接経営計画のタイムホライズンの中で、直接的にこれを加味しているかというと、またそれとはちょっと別次元の話ではないかというふうに考えておりますので、その点付け加えさせていただければと思います。
それから次に、3点目、最終的に個々の企業のリスクを見ていらっしゃいますかということでご質問いただいたという認識でございますが、こちらにつきましては、実際に個々の企業の積み上げということをやっておりまして、例えば7スライド目でご説明させていただきました急性リスクの分析などでは、個々の企業様のそれぞれのサプライチェーン上の重要拠点というのを積み上げて見ていっていまして、それぞれの企業様の売上高の影響額というのを算出した上で、個々の企業様のデフォルトリスクというのに置き換えて、算出しているものでございますので、そのようにご認識いただければと思います。
それから、すみません。順番が戻ってしまうかもしれませんが、医療のお話もいただいたところでございます。業界のお話もいただいたところでございまして、慢性リスクの分析のお話をさせていただきますと、今回我々農業分野の分析をしているというのは、邦銀の中では一つ特徴かなと思っておりまして、他の銀行様等でございますと、いわゆる高温による労働生産性の低下によるマクロ的な分析などをされているというような特徴があって、やはりその慢性リスクというのは非常に多岐にわたるセクターに影響が出ますし、銀行様によって、マテリアルの高いハザードやセクターというのは、区々である可能性があり、まだまだこの部分については発展途上だと思いますし、分析手法もまだまだ業界として統一されたというわけではないと思っていますので、今後やはりここの部分は高度化を進めていく、業界の取組を含めてさせていただく必要があるというふうに考えているところでございます。
それから、モデルで三村先生のご質問をいただいたところで、研究者、先生の皆様への期待事項というところでございますが、こちらについては、やはり我々、研究者の皆様の研究結果であったり、省庁様のデータを2次利用させていただいている立場でございますので、この分野の最新の研究結果というのを随時参照していきたいと思っていますし、今日価格面の分析の結果のところもご説明させていただいたんですけども、自然科学の世界のデータのみならず、社会科学の経済学の部分も、データなどもフル活用して、最終的な結果を導き出す必要があると思っていますので、こういったところのいわゆる自然科学と社会科学のブリッジみたいなところなども、今後いろいろ進めていただいた上で、データなどをご提供いただけると、我々民間側としても非常に活用しやすくなるというふうに考えております。
また、我々、各種大学様と連携などもさせていただいておりまして、それら取組を今後も進めていきたいというふうに考えているところでございます。
一旦回答になっていますでしょうか。以上でございます。

●肱岡委員長
ありがとうございました。何か追加の質問、コメントはございますでしょうか。
よろしいでしょうか。
三島委員お願いします。三島委員の次は、江守委員にお願いします。

●三島委員
江守先生からのコメントに対して、コメントバックをさせていただきたいと思います。
やっぱり、昨今の自然災害の多発で、太陽光パネルが大きな損害を受けるということが、もう毎年続いておりまして、実際に保険業界全体で太陽光パネルのお引受けというのを少し厳しくさせていただかねばということはもう定説になっております。
ただ、再生可能エネルギーの導入をバックアップすると。そのチャレンジを後押しするというのが保険業界の社会的使命でもありますので、もう、適正な保険料と条件といいますか、アンダーライティングと言ったりするんですけれども、その辺りを各社とも工夫をして少しずつ見直しを図っているというところでございます。
はい。以上です。

●肱岡委員長
ありがとうございます。
江守委員、お願いします。

●江守委員
ありがとうございます。三島委員、フォローいただいてありがとうございました。まさにその点で、ご質問は福島県のセンターに対して、緩和の文脈でなさいましたけど、今の点というのは非常に適応にも関係することだと思って、改めてちょっと発言しておこうかなと思ったんですけれども、つまり豪雨豪雪で、パネルが損傷して、保険の支払いが高額になるということですので、これから温暖化が進めば、さらにその豪雨豪雪が激甚化するということを考えると、保険の商品の再設計みたいなこと自体が適応策であるということになるでしょうし、あるいはその再エネの設備の、その備付けをより頑丈にしていくというのか、何ていうか知りませんけれども、そういったことというのも、適応策として重要になってくるのかなというふうに思いまして、その点はまさに緩和と適応のリンクの部分として、今後留意していく必要があるのかなというふうに思いました。
ケーブルの盗難とかがあるみたいで、それがちょっと気候変動の適応とは関係のない部分で、
改善しなくちゃいけない問題だと思いますけれども。
はい。コメントです。ありがとうございます。

●肱岡委員長
江守委員、ありがとうございました。
それでは、ご発表どうもありがとうございました。
それでは、四ついただいたご説明プラス先ほどの最初の議事1も含めて、全体に対して質問、コメントをいただけますでしょうか。
勢一委員、お願いします。

●勢一委員
ありがとうございます。勢一です。
今日、ヒアリングでいろいろ勉強をさせていただきました。改めて考えたことを、コメントとして最後させていただければと思います。
大きくは三つです。
まず、一つは国立環境研究所や地域センターが、いろいろ適応のデータを取って調査をして、手法開発してと努力をしていただいているというのもよく分かりました。しかしそれが地域の適応の計画や施策にまだまだ十分届いてないという状況が、今日とても衝撃的というか、残念だと改めて思いました。ここをどのように適切につなぐことを法制度がお手伝いできるのかというのが一つ課題だなということを感じました。
2点目としましては、計画の策定が、実は一体的に策定されている例が多いというのも今回明らかになりました。特に温対法の実行計画との区域施策編だと思いますけれども、そことの一体策定が多いということです。
再エネの推進によって、地域の自然環境が傷むリスクを考えれば、それを両輪としてやっていくというのは非常に重要だと思うので、理念的にはいいと思うんですけれども、実際に共同策定や一体策定をしていて、どのような効果が出ているのかは、もう少し確認をする必要があるのではないかと思います。
また、一体的策定という意味では、最後少し出ましたけれども、生物多様性との連携は非常に大事で、そういう意味では、生物多様性の地域戦略と一体策定しているような例とか、そこが施策がつながっている例というのがあるのかどうかとかというところも、少し検討する必要があるかなと感じました。
最後3点目ですけれども、やはり一般市町村にとっては、気候変動適応計画の策定がかなり重い、難易度が高いというのも今日改めて勉強させていただきました。
法律では、地域適応計画は12条で、都道府県・市町村とも、同レベルの努力義務になっています。気候変動の対応が、必ずしも一つの行政区域にとどまらないし、そういう意味では政策の望ましい形は、もう少し広域なんではないかというような点。
また、計画策定が非常に重い、手間がかかるという点では費用対効果として、一般市町村が策定するのは本当にいいのかどうかというようなこと。能力に不相応な法規定に今なっているんではないかというような課題も感じました。そこで努力義務の在り方、例えば一般市町村はできる規定にして少しハードルを下げてあげた上で、例えば都道府県と一緒に策定をして、いろいろな取組を連携しながらやっていくとか、あるいは政令市と周辺の地域が広域連携の既存スキームがあるので、市町村間で一緒に取り組んで、計画策定もして、進めていくという方法もあるのではないかと少し考えたというところです。
私からは以上です。

●肱岡委員長
貴重なご意見をありがとうございました。
奥委員、お願いいたします。

●奥委員
冒頭でご説明いただいた資料1-1と1-2についてでもよろしいですか。

●肱岡委員長
大丈夫です。お願いいたします。

●奥委員
大丈夫ですか。ありがとうございます。ヒアリングについては特にないんですけれども、環境省のほうから説明いただいた、まず資料1-1の、共同策定の数についてなのですが、今長崎市と長与町、時津町、この三つの自治体が共同策定をしているという情報を入手されていて、現在調査中ということなのですが、それを踏まえた数字が265分の3件というふうにありまして、このカウントの仕方がちょっと分からないので教えていただきたいと思います。265件というのがどういうふうにこの数字になるのかということと、これ三つの自治体が共同策定するとそれで1件なのではないかと思いますが、分子が3件になっているというところですね。こちらをちょっと教えていただきたいというのが一点目です。
それから資料の1-2のほうの、これは、前回の主な指摘事項ですが、2ページ目の2行目に適応計画が法定計画に格上げされたことは意義があるというふうにありますが、この法定の定の字が定めるという字に直していただかないと、おかしくなってしまいますので、ちょっとこれは誤字ですので、直してくださいという簡単な指摘になります。
以上2点です。お願いいたします。

●肱岡委員長
ありがとうございました。それでは一点目についてご回答いただけますでしょうか。

●中島気候変動適応室長
ご指摘ありがとうございます。
勢一委員からご指摘いただきました、地域の適応計画に、まだ十分届いていないのではないかというご指摘、まさに本日のお話を伺っていますと、そういう実態がクリアになってきたのかなというふうには思っております。法制度としてどのようなサポートができるかというのは課題だとは思いますけれども、国環研の適応センターのほうでも、自治体への様々な技術的なサポートなども実施をしておりますので、どのように実際のローカルな調査なり、影響把握の結果と適応計画がブリッジ、リンクしていけるのかについては引き続き、各自治体の特性なり、ニーズについて、いろいろ細かくお伺いしながら、丁寧なサポートが必要なのかなというふうには、私どもも今日感じたところでございます。
あと2点目で、温対計画との一体化によって、どういうよいことがあるのか、おっしゃるとおり重要なご指摘だと思います。緩和と適応の一体的実施、シナジーが重要というご指摘もこれまでいただいておりますし、私どもも感じているところですけれども、この点、実際にどこまで一体化が図れているのかというのは、おっしゃるとおりちょっと確認する必要があると思いますし、まだ文面上、計画の一部として、項目として適応も入っているという状況が実際なのではないかと、私どもも思っておりますので、この部分はやはり課題だと思います。
生物多様性戦略との共同策定の事例があるかどうかですが、それよりは環境基本計画の中に、適応計画も入っており、さらに、生物多様性地域戦略も入っているという事例はあるようでございます。
ただ、やはり生物多様性地域戦略も、適応に非常に関連の深い地域計画でございますし、自然環境局とも、適応の地域計画の策定と生物多様性の地域戦略の連携した検討、自治体レベルの連携について今後深めていこうというディスカッションもまさにしているところです。
そして、一般市町村にとっては、計画づくりはハードルが高いのではないかと、おっしゃるとおりだと思います。目標としては、もちろん多くの基礎自治体に策定していただきたいというところはありますけれども、基礎自治体の規模は非常にまちまちでございまして、小さな基礎自治体が多数ございます。そういった自治体、またそもそも狭い区域の自治体にとって、単独で適応計画について調査、策定をするのがリーズナブルなのかどうかというのは、ご指摘のとおりだと思います。ある程度、一定の面的な広がりを有するエリアを対象として作るのが普通に考えればリーズナブルではないかというのはおっしゃるとおりだと思います。
環境省としても、広域的に、連携した計画策定への支援を進めておりますし、また法制度上どのように扱うかどうかについても、今後の検討課題とは思いますけれども、運用上、そういった観点で、適切な範囲で計画策定が進むよう取組んでいきたいとは思っております。

●小早川気候変動適応室室長補佐
奥委員からご質問いただきました共同策定の数に関して、まず分母ですけれども、263件となっておりますが、263自治体、2ポツ目のところも265自治体という意味です。263自治体の中には、既に計画策定済みの長崎市が含まれておりまして、共同作成した場合、この長崎市と二つの町の三つの市町がこの分子の3に入り、分母のほうには二つの町が加わり、265自治体になるというカウントの仕方です。件となっておりますが、自治体の数ということでご理解いただければというふうに考えております。
以上です。

●肱岡委員長
ご回答ありがとうございました。
最後に武藤委員、お願いいたします。

●武藤委員
ありがとうございます。JICAの武藤です。
本日は、農林中央金庫もいらっしゃるので、少しファイナンスについて触れさせていただきたいと思います。
今、恐らくそのファイナンスと適応のインセンティブをどういうふうに組み合わせるかみたいな話は、トピックとしてまだ上がってないのですけれども、今後有望なトピックかと個人的には思っております。例えばローンでこういう気候変動のリスクがあるので、貸付先にエンゲージメントするというのは、もう農林中央金庫さん既にやっていらっしゃると思います。
今度は債券のほうで、地方自治体でも債券を出されているところはおありかと思いますけれども、それこそサステナビリティリンクボンドに適応の要素を入れていくですとか、あとはリスクファイナンス、保険の皆様と協力しながら事前対策すれば保険料率が軽くなるとか、防災方面でも商品がいろいろ出てきておりますので、何かこの適応の取組の全体的な方向性の議題として、そういうファイナンス設計も考えていければと思っております。
以上です。

●肱岡委員長
ありがとうございます。
農林中央金庫さん、何かコメントございますでしょうか。

●中井農林中央金庫リスク統括部部長代理
ありがとうございます。スライドをちょっと今日ご説明する時間がなかったんですけども、18、19に、適応ファイナンスの事例とサスティナブルファイナンスの類型というのをつけさせていただきました。
今まさに武藤委員がおっしゃられたとおりと思っておりまして、サステナビリティ・リンク・ローンという、この種別が最もローン市場に普及しているものでございますが、いわゆる目標、サステナビリティ・パフォーマンス・ターゲットを掲げて、それを達成した場合、金利面で優遇を得られるというような仕組みになっております。しかしながら、こちら実際の運用では、Scope1、2といったGHGの値に着目するケースが多かったり、あるいはCDPのスコアに連動するとか、そういった使い方が多いんですけども、やはり今おっしゃったように、今後その適応の要素を、サステナビリティ・パフォーマンス・ターゲットで活用というところも進んでいくと、一層この適応ファイナンスというのが活発化するんじゃないかというふうに考えているところでございます。
私からは以上でございます。

●肱岡委員長
ありがとうございました。それでは、以上で本日の議事を終了したいと思います。事務局にお返しいたします。

●中島気候変動適応室長
本日は、活発なご議論をいただきましてありがとうございました。今後、本日いただいたご意見、またヒアリングでご発表いただいた内容、そういったことを踏まえまして、事務局のほうにおきまして中間取りまとめに向けた作業を進めてまいりたいと考えてございます。
またメールベースで、先生方にもまたぜひご意見を追加でもいただければと思っております。
次回の委員会につきましては、年度をまたぎまして、6月頃を想定してございます。第3回に向けて、また事務局のほうで作業いたしまして、先生方にご連絡差し上げますので、ぜひ引き続きご指導、ご意見等を賜れば幸いでございます。
本日は、対面、オンラインのハイブリッド形式での開催ということで、システム上ご発言しにくかった部分もあろうかと思いますけれども、またその他事務局に不手際があった場合はお詫びいたします。
本日の議事録につきましては、事務局にて取りまとめ、先生方にご確認いただいた上で、環境省ホームページにて公開させていただく予定でございます。
先ほど申し上げましたとおり、次回の小委員会会合、次年度にはなりますけれども、その日程、議事内容につきましては、また改めて事務局より委員の皆様方にご連絡をさせていただきます。以上で本日の小委員会は終了いたします。
本日はどうもありがとうございました