地球環境部会(第153回) 議事録
開催日時
令和7年3月26日(水)14時00分~15時58分
開催場所
環境省第一会議室
(WEB会議とのハイブリッド形式による開催)
議題
(1)国内外の最近の動向について(報告)
(2)その他
議事録
14時00分 開会
総務課長
それでは、定刻となりましたので、ただいまから第153回中央環境審議会地球環境部会を開催いたします。
本日、事務局を務めさせていただきます環境省地球環境局総務課長の大井と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
本日の部会は、対面とWeb会議を併用したハイブリッド開催としておりまして、YouTubeの環境省動画チャンネルで同時配信をいたしております。
本日は、委員総数25名中14名の委員にご出席をいただいておりまして、定足数の要件は満たし、部会として成立していることをご報告いたします。
前回開催されました第152回部会以降に、この部会の委員の交代がございました。大塚委員の部会長ご退任に伴いまして、国立大学法人大阪大学大学院工学研究科教授の下田委員に新たに部会長にご就任をいただいております。また、前回まで臨時委員としてご参加いただいていた東京大学の荻本委員がご退任されております。新しい委員名簿は資料1に掲載しているとおりですので、ご覧いただければと思います。
それでは、最初に、開会に当たりまして、下田部会長からご挨拶をいただきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
下田部会長
先月の総会で大塚会長からご指名いただきました、部会長を務めさせていただきます大阪大学、下田でございます。よろしくお願いいたします。
私は、10年ほど臨時委員として、この委員会に参加させていただいておりましたけれども、突然、部会長ということで非常に戸惑っているところでもございます。いろいろ不手際があるかも分かりませんが、よろしくお願いいたします。10年前と大分変わっておりまして、今は、個々の案件については、この下に小委員会ですとか専門委員会をつくって、それを審議するという形になっていて、この地球環境部会自体は、それらの報告を伺うとか、それから全体的な議論をするということになっていたと思います。特に、これから、やはり全体的な議論、総括的なことができないかなと。例えば、今、緩和策と適応策ってなかなか一緒に議論できなくて、シナジーが出ていないわけですけれども、そこをどうするかとか、今これだけ複雑になってしまった国際情勢の中で、どの政策を重視すべきかとか、そういう議論もできるんじゃないかというふうに思っております。先生方のご意見とかご協力をいただきまして、ぜひ有意義な議論をさせていただければというふうに思っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。
総務課長
下田部会長、ありがとうございました。
それでは、以降の議事進行は下田部会長にお願いいたします。
下田部会長
それでは、議事に入ります前に、中央環境審議会令によりまして、部会長に事故があるときに、部会長があらかじめ指名する委員がその職務を代理することになっておりますので、部会長の代理を指名する必要がございます。そこで、田中里沙委員に引き部会長代理をお願いするということで、これにつきましては、委員ご本人にも了解いただいておりますので、本日、オンラインでご出席ということですけれども、ご報告させていただきます。
田中委員、どうかよろしくお願いいたします。
田中(里)委員
田中でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
下田部会長
ありがとうございます。
それでは議事に入ります。議題の1番、「国内外の最近の動向」につきまして、事務局から報告をいただき、その後に質疑応答を行いたいと思います。
それでは、事務局からの説明をお願いいたします。
総務課長
それでは、資料2をご覧いただければと思います。国内外の最近の動向ということでございます。
まず、世界の動向でございます。地球温暖化の現状ということでございますけれども、これも報道でご案内の方も多いと思います。世界気象機関(WMO)が、昨年、2024年が観測史上最も暑い年であったと、産業革命以前と比べて1.55℃上昇したという発表をしております。これをもちまして、パリ協定の1.5℃目標は、もう達成できないのかというご指摘をよくいただくんですが、実際には、そこはWMOも評価は避けておりまして、気象の変動については、やっぱり年々の変動があるものですから、長期的なトレンドを見ていく必要があるということで、これをもって直ちに1.5℃目標をもうオーバーするということではないんですが、やはり年々まさに暑くなってきておりますし、私どもも非常に懸念を持って注視しているところでございます。
昨年のCOP29の結果の概要でございますが、昨年のCOP29は、アゼルバイジャンのバクーで11月に開催されました。最も大きな成果としては、気候資金に関する新しい数値目標に合意をしたということでございます。「2035年までに少なくとも年間3,000億ドル」の途上国支援、また、公的・民間の全てのアクターから1.3兆ドル以上という気候資金のために共に行動することを求めるといった内容でございます。また、パリ協定第6条、市場メカニズムのルールにつきまして、毎年交渉を積み重ねておりましたが、ようやく細則も含めまして合意に至って、完全運用化が実現したということが日本にとっても非常に大きな成果だったと思っております。
今年のCOPでございますが、11月にブラジルで予定されています。そこで予想されるテーマとしては、やはり緩和だろうと思っております。これから、各国の新しいNDCが出そろってきて、それを基に、世界全体として、どれだけその緩和、排出削減で野心的に行動を高めていけるかと、こういう議論がなされる予定でございます。そのほか、適応、資金それぞれで検討される議題がございますが、全体としては、パリ協定ももはや交渉というよりはパリ協定をいかに実施していくかと、こういうフェーズに世界は入っていると思います。
それから、各国のNDCの提出状況でございますが、現時点で、日本も含めまして18か国の提出にとどまっております。ご覧いただいているもののうち、黄色のマーカーを引いたものが新しいNDCということでございます。日本のほか、イギリス、カナダ、ニュージーランド、スイスといった先進国、また、途上国ではCOP議長国のブラジルやUAEなどということでございますが、アメリカは昨年12月にバイデン政権の下で一度提出しましたが、トランプ政権になって、パリ協定そのものから脱退を表明しているということ、また、中国やインドはまだこれからというこういう状況でございます。
それから、IPCCでございますけれども、2023年に第6次評価報告書を取りまとめた後、新たな第7次の評価サイクルの作業がもう始まってございます。最終的な統合報告書を2029年までに公表予定ということで、それに向けて、それぞれの作業部会のレポートが出てまいります。
また今回、気候変動と都市に関する特別報告書というのを取りまとめるということが今回の作業サイクルの一つ大きな目玉となってございます。この都市に関する特別報告書につきましては、先日、大阪で主執筆者の会合を日本がホストする格好で実施しております。日本としても、非常に貢献できる分野かと思いますので、しっかり貢献していきたいと考えてございます。
それから、気候変動以外の、例えば生物多様性でございますとか汚染、あるいは、そのほかのSDGs、こういったものを達成していく上で、できるだけ複数の目標を相乗的に、シナジーを持って対応していこうということが国際的には言われております。昨年3月の国連環境総会(UNEA6)におきまして、日本が提案する形でシナジー、このシナジーを促進していこうという決議が採択されてございます。この次のUNEA7が今年の12月に開催予定でございますけれども、その中でも、各国のそのシナジーに関する優良事例や、あるいは教訓などを集めたレポートを出そうといった話もございますので、こういったところも、日本としてしっかり貢献していきたいと思ってございます。
アメリカのトランプ政権の動向でございます。これも報道でご案内のとおりと思いますが、今年1月20日のトランプ政権発足同日に、パリ協定からの脱退を含めます大統領令に署名をしたということでございます。このパリ協定からの脱退に関しましては、スライドの下のほうに小さく書いてございますが、通知から1年後に正式に有効となるということで、来年の1月27日をもってアメリカは脱退ということになるんですが、その二つ上のポツに書いてありますとおり、アメリカとしては、この通告の規定をもって直ちに脱退の効力を生ずるものとみなすと宣言しているということでございます。また、その一番下のポツにありますが、アメリカがこれまで行ってきた資金コミットメントを直ちに停止し、または取り消すと、こういったところはまさに実害として現れてくるところではないかなと思っております。また、スライドの右のほうには、アメリカ国内のエネルギー政策の見直しに関する大統領令も署名をされておりまして、「EV義務化の撤廃」など、様々な施策の後退が想定されるということでございます。ただ、実際にこれから動いていく話が多くございますので、引き続き注視していきたいと思っております。
それから、EUにおきましても、先月、「クリーン産業ディール」(CID)というものが公表されておりますので、ご紹介させていただいております。全体を通して、日本が今目指しておりますのはGXですね、脱炭素とそれから産業構造、経済成長、あるいはイノベーション、こういったものを合わせて進めていくという、非常に近いアプローチになっているかなと見ております。
続いて国内でございますが、我が国の新しい削減目標(NDC)を先月、2月18日に閣議決定しております。2050年のネット・ゼロに向けて、直線的な経路を、弛まず着実に歩んでいくという非常に分かりやすい目標でございまして、断面で申し上げると、2035年度に2013年度比60%削減、それから2040年度に73%削減と、こういった数字を国連の事務局に提出しているところでございます。中長期的な予見可能性を高めまして、脱炭素と経済成長の同時実現、これを目指していきたいと考えております。
この地球温暖化対策計画の中には、目標の数字のみならず、それをどうやって達成していくのかという対策・施策についても盛り込んでございます。エネルギー転換、産業・業務・運輸、地域・くらし、横断的取組、こういったものにつきまして記載をしております。計画全体としては、100ページを超えるドキュメントになってございます。
具体的な目標の目安、数字につきましても、部門ごと、ガスごとに書いておりますけれども、特に、2040年をご覧いただきますと、全て「約」がついておりますとおり、これは引き続き対策を進めながら、しっかり見通しを立てていく必要があるだろうと考えております。そういう意味でも、今回の温対計画の中で進捗管理(フォローアップ)の強化とうたっております。対策・施策の進捗状況や、これから講じていくことになる対策の具体的な状況をしっかり点検して、フォローアップしながら柔軟に見直し・強化を図っていくということが大事だろうと思っております。
このフォローアップの作業につきましては、地球環境部会の下でフォローアップの委員会も設置させていただいており、先生方に様々ご意見を伺いながら進めていくことになると思いますので、よろしくお願いいたします。
また、政府として、政府の保有する建物や公用車などからの削減、排出を削減するということで、政府の実行計画につきましても、先月閣議決定をしてございます。国全体の目標に、さらに踏み込んで、2035年度に65%、2040年には79%削減と、こういう計画になってございます。
それからGXの2040ビジョン、それから、今日の資料には入れておりませんが、エネルギー基本計画、これと温対計画、この3本をまとめて三位一体で進めていくということでございます。
GXのビジョンにつきましては、GX産業構造、産業立地、それから世界の脱炭素化への貢献、成長志向型カーボンプライシング構想、こういった柱で定めているところでございます。
脱炭素につきましては、もう政府一丸となって取り組んでいくということでございますが、そういう中で環境省が主にどういう分野を担当するのかというところで、1枚にまとめさせていただいております。やはり環境省としては、「地域やくらし」というキーワードで、家庭・業務部門を中心に排出削減を進めていくということ、また、これは産業界の取組になりますが、バリューチェーンにわたる対応でありますとか、資源循環を切り口とした対応、こういったものについても環境省の所掌として対応していきたいと思っております。また、この図の中にありますが、フロン対策、それから吸収源対策、温室効果ガスの算定や削減の基盤、制度基盤の整備、それから、右に行きまして海外、アジアなど世界の削減への貢献といったところで環境省として汗をかいていきたいと思っております。
それぞれ個別にですが、まず、地域につきましては、地域脱炭素ということで、温暖化対策、排出削減に加えまして、地域の産業振興でありますとか防災力の強化といった地域課題の解決にも貢献する、地方創生にも資する地域GXを進めていきたいと考えております。
そのためのロードマップとしまして、2025年度までに、脱炭素先行地域を少なくとも100か所選定し、2030年度までに実施し、これを全国に広げて脱炭素を広げていくと、こういったロードマップを描いているところでございます。
この地域脱炭素も、もう推進を始めてから数年たっておりますので、昨年の後半でございますが、今後の在り方に関する検討ということで検討会を設置しまして、ご議論をいただいたところでございます。この部会の先生方にも何人かご参加いただいているところでございます。
その取りまとめ、昨年12月に公表しているものでございますが、やはり、その左側に顕在化した課題と書いてございます。基礎自治体をはじめとしまして人材・人員不足、あるいは財源不足が課題となっていること、また、再エネ導入に伴いまして地域でトラブルが起きているという事例が多いということ、また、系統負荷軽減の観点からは、域内の、地域内でのエネルギーの地産地消というのがますます重要になっていると。こういった課題の中で、どういう施策を展開していくかという方向性についてご議論いただいたということでございます。
また、新しい技術としてペロブスカイト太陽電池でありますとかグリーンスチール、こういったようなものをどうやって実装していくのかということ、また、データセンターなどのエネルギー需要の多い施設、これを再エネポテンシャルが高い地域に立地させて、地域内の経済循環につなげていくと、こういったようなことがある種課題といいますか、目指すところとして示されているところでございます。
それから、脱炭素先行地域、あるいは重点加速化地域、これにつきましても開始してから数年経過しておりますので、早くに選定されたところは、もう事業を実際進めているというところもございます。その進捗について中間評価を行っているところでございます。やはり、しっかり進んでいるところと、もう既に進捗が遅れてきている自治体案件といろいろございますので、しっかり点検もしながら進めていきたいと考えております。
1枚飛ばさせていただきまして、暮らしのGXでございます。民生部門の対策としては、いろいろございますが、やはり住宅建築物の対策ということと、それから、脱炭素型のライフスタイルに国民の皆さんに転換していただくという大きな二本柱で取り組んでおります。
まず、住宅の対応でございますが、新築、既存と両方ありますが、新築住宅につきましてはZEH、それからZEH類似の仕様のものを推進していくということで、エネ特やGX予算を使いながら補助していくということでございますし、既存住宅につきましては、断熱リフォーム、断熱窓の設置なども含めまして断熱リフォームを促進するということで、これにつきましては、国土交通省、経済産業省との3省連携で、毎年、住宅省エネキャンペーンを打っているところでございますが、今年も展開をしていく予定でございます。
また、住宅以外の建物につきましても全く同様でございまして、ZEB、それからZEBの推進、また既存のものについてはZEB水準への改修を支援してございます。
また、国民運動「デコ活」でございますが、現時点で企業、それから自治体、個人を含めて、2,200を超える主体に参画いただいて官民連携の協議会をつくりながら、脱炭素型の取組、製品、サービスをいかに国民の皆さんに実装していただくかといったことで取組を進めているところでございます。
また、中小企業を含めたバリューチェーン全体での対応ということでございます。そのために、ライフサイクル全体での排出削減の評価ということで、カーボンフットプリントに関する表示のガイドを策定したりですとか、地域単位で中小企業の脱炭素経営支援、こういう体制を構築するモデル事業を全国26地域で展開しているところでございます。
カーボンフットプリント表示ガイドにつきましては、先月、経済産業省と連名で公表させていただいております。消費者における認知度・理解度を高め、このカーボンフットポイントの表示を促進するということを目指しているところでございます。
また、地域ぐるみでの脱炭素経営に関する支援ということで、先ほど申し上げたとおり、26件のモデル事業を進めておりまして、そういう結果なども踏まえながら支援機関向けのガイドブックの作成、公表なども行っているところでございます。
工場・事業場の省CO2化への支援ということで、環境省でも補助をしているところでございます。
また、車に移りますが、商用車の電動化ということでございます。一般乗用車につきましては経済産業省、それから商用車について環境省と国土交通省という、こういう役割分担で対応してございまして、トラック、バス、タクシーなどの電気自動車、あるいはハイブリッドなどの電動車の導入を、エネ特、あるいはGXのお金を使いながら支援しているところでございます。
これから出てくるものも含めましてGX製品、これをしっかり市場に入れていっていただくことが重要でございます。そのための方法としまして、公共調達の分野から需要拡大に貢献していこうということで、グリーン購入法に基づく基本方針について、1月になりますが、変更の閣議決定をしているところでございます。具体的にはポイントが二つございまして、判断の基準が、プレミアム基準と、それから最低限満たすべき基準と、2段階ございますが、このプレミアム基準の定義を、GXの製品なども読み込めるように明確化したということでございます。それから、もう一つが共通の判断の基準ということで設定しております基準の中に、「グリーンスチール」が読み込める形での基準を設定したということでございます。
代替フロンでございます。これは全体の排出状況を示しております。過去、右肩上がりで増えてきていた状況でございますが、2021年から22年にかけまして、少しピークアウトしているような傾向がちょっと見てとれます。これは、もちろん最終的には2030年、2040年、非常に大幅な削減を目指しているところでございまして、引き続きしっかり対策も打ちながら、この状況の推移を見ていきたいと思っております。
吸収源対策でございますが、特に海の吸収源、ブルーカーボンにつきまして、環境省も非常に力を入れているところでございます。特にブルーカーボンにつきましては、気候変動緩和だけではなくて、水質の保全でありますとか生物多様性の保全、あるいは漁業資源の維持・改善といった多面的な価値を有するということで、まさしくシナジーのある取組だと認識してございます。大きく二つのことをやってございまして、まず左下で、国全体の排出・吸収のインベントリ、これの中にマングローブ林と、それから藻場につきましては、直近のインベントリの中で反映をしております。まだ量的には非常に少ないですが、まずは、しっかり吸収効果を評価して、算定したということでございます。今後、湿地や干潟の効果につきましても検討していきたいと考えております。
また、右下でございますが、実際に今、各地で進んでおりますブルーカーボンの取組にいくつか支援しながらCO2の吸収・固定の効果であったり、あるいは、その周辺の生態系への影響などの調査だったり、そういうものを確認しながら、関連データも取りながら支援しているという状況でございます。このブルーカーボンにつきましては、国土交通省、農林水産省など関係省庁も非常に関心が高く、また、民間企業でも関心を持っているところが多いので、しっかり官民連携での推進体制を構築して、進めていきたいと考えております。
成長志向型カーボンプライシング構想ですが、これはGX法に基づきまして、段階的にカーボンプライシングを導入していくという方向性でございます。
直近、2026年度に排出量取引制度を導入する、そのために、今国会にGX法の改正案を提出しているところでございます。左側をご覧いただいて、CO2の直接排出量が10万トン以上の事業者の参加を義務づけた排出量取引制度でございます。それから、排出枠取引市場を形成しまして、価格につきましても、乱高下しないように上限・下限の価格を設定するといった制度設計になってございます。詳細につきましては、法律が今国会で可決した後、さらに、その先へ進めていきたいと考えてございます。
それから、温対法に基づく算定・報告・公表制度、SHK制度につきましても、この4月以降の令和7年度の報告から適用する制度の変更なども行ってございます。主な変更点は三つございますが、まず、①でScope1とScope2、これまで合算で報告いただいておりましたが、そこを区分して、より対応が分かりやすい形にするということと、それから②基礎排出量・基礎排出係数の変更、非化石証書やグリーン証書、あるいはJ-クレジット、こういったものの価値も反映させたような新しい基礎排出係数というのを用いることとしたもの、また、カーボンリサイクル燃料の取扱いについても定めたということでございます。
J-クレジットでございますけれども、省エネ・再エネ、森林管理などにクレジットを発行してございます。年々その認証の件数、それから認証の量も増えておりまして、2024年度現在で1,100万tを超えるクレジットが発行されているところでございます。
循環経済との連携でございますけれども、昨年の年末に、「循環経済への移行加速化パッケージ」というものを関係閣僚会議で取りまとめております。
その中では、廃棄物を資源としまして最大限活用し、付加価値を生み出して、新たな成長につなげるという、こういう循環経済、サーキュラーエコノミーへの移行の方針の中で、気候変動や生物多様性の保全といった環境課題の解決にも貢献するんだとうたっているところでございます。
国際対応でございますが、AZEC(Asia Zero Emission Community)を通じまして、アジア諸国の脱炭素化、また、そのためのルール形成に貢献していきたいと考えております。やはり大きな核となるのはJCMだと考えておりまして、JCMは、現在パートナー国29か国、プロジェクトの数で270件超という状況でございます。これをさらにしっかり進めていきたいと考えております。
フロンの排出抑制につきましても国際協力を進めております。モントリオール議定書締約国会合の下での取組もございますし、また、こちらもアジアへの協力ということになりますが、例えば、ベトナムにおいてフロン法類似の制度を導入する際の整備の支援であったり、インドネシアでHFC排出量を算定するインベントリの作成の技術的な支援、こういったものを行っているところでございます。
最後、適応策でございます。適応につきましては、気候変動適応法に基づきまして、最新の科学的知見を踏まえて、中央環境審議会のご意見を聞きながら、気候変動影響の総合的な評価を概ね5年ごとに行い、それを勘案して気候変動適応計画をアップデートしていくと、こういう5年サイクルで回しております。
このための第3次の評価になりますけども、この評価の作業を今鋭意進めているところでございます。具体的には、この4月以降の令和7年度に、この気候変動影響評価報告書を公表いたしまして、来年、2026年度に適応計画の変更を予定しているところでございます。既に、この部会の下にございます気候変動影響評価・適応小委員会、さらには、その下の分野別のワーキンググループで作業を進めていただいております。今日午前中にも小委員会を開催いただいているところでございます。この先でございますが、夏から秋にかけまして報告書の案を作成いただいて、パブリックコメントを経た後、この部会にもご報告をし、ご審議いただきたいと考えているところでございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
気候変動適応法に関しましては、施行からもう5年を経過しておりますので、昨年あるいはそれ以前に、この施行状況の検討を行ったところでございます。中間取りまとめを昨年の8月に公表してございます。その中で、取りまとめのポイントということで左の下側でございますけれども、やはり適応策も、再エネの導入その他の緩和策でございますとか、防災、生物多様性の保全、こういった他分野とのシナジーが非常に大きい政策でございますので、関連分野とのさらなる連携と実践を進めるということが重要であることがうたわれているところでございます。
環境省としましては、地域脱炭素と併せまして地域のベネフィットを創出する適応策、これをしっかり推進していきたいと思っておりまして、優良な事例の収集でありますとか共有というのを進めていきたいと考えているところでございます。
以降は参考資料として、様々な資料をつけておりますけれども、時間の関係で説明は割愛させていただきます。
以上、資料2でございます。何かご質問、ご意見等ございましたらよろしくお願いいたします。
下田部会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまのご説明に対するご質問、ご意見等をいただきたいと思います。ご質問、ご意見等がある場合、会場参加の委員はネームプレートを立ててください。また、Web参加の委員は挙手ボタンをクリックしてください。大変恐縮ですが、時間の都合上、各委員ともご発言は3分以内でお願いいたします。なお、運営の都合上、まず会場参加の委員からご発言いただいて、その後、Web参加の委員を指名させていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
では、江守委員。
江守委員
機会をいただき、ありがとうございます。
2点申し上げたいと思います。温対計画で、いわゆるNDCの案ができて、それは後に決定したわけですけれども、その審議会を、経済産業省と環境省の合同委員会を拝見していまして、2点申し上げます。環境省側で、若い世代の委員を入れていただいて、僕は大変よかったというふうに高く評価しています。その結果として、ある種、予期せぬ展開が生じた面もあったかと思いますけれども、そのおかげでといいますか、終盤の数回は、非常に本格的な議論が行われて、審議会の在り方を改めて考えるよい機会になったのではないかと思います。ですので、環境省には、今後も若い世代の委員を入れていただいて、審議会の雰囲気の刷新につながるということを願っています。以上1点目です。
2点目は、同じく温対計画の合同委員会についてですけれども、モデルによるシナリオ分析の結果がかなり終盤になって提示されまして、複数のモデルグループの結果が出てきたんですけれども、十分に比較検討される議論が深まらなかったということは残念だったと思っています。改善の余地があると思います。それで、たしか2009年に中期目標というのが決まったときの検討会では違うやり方をしていて、モデルのワーキンググループというのが、かなり早くから審議会と並走する形で行われて、そこで様々な、そのモデルの特徴であるとか仮定であるとかを考慮して、透明性高くモデル研究者同士で比較の議論を行って、それで十分に検討されたものをベースにして、選択肢が審議会に提示されるということが行われたかと思います。ぜひそういう形を復活させていただいて、次の機会には、十分な時間的な余裕を持って、透明性が高いモデルの結果が審議会に提示されて、議論が深まることを願っています。
以上です。どうもありがとうございました。
下田部会長
ありがとうございました。
それでは、まず有村委員で、その後、山戸委員、お願いします。
有村委員
委員長、ありがとうございます。早稲田の有村です。事務局、ご説明ありがとうございました。
全体として、環境省の今後の役割というのが地域などを中心にいろいろやっていくということでよく分かりました。その上で3点ほど質問させていただきます。
1点目は、パリ協定に関して、6条のトレーディングに関する取引制度が決まったということなんですけども、これに対して、環境省として今後やっていくような新たな取組、方向性などがあれば教えていただきたいと思います。
2点目はグリーン購入法についてです。ご説明があった中でグリーン製鉄など、プレミアム基準というのを導入して促進していくというようなお話でしたけども、このプレミアム基準になったときに、一体どういうことが、購入などの現場で起こるのかといったあたりについてご説明いただければと思います。
それから、3番目はブルーカーボンですね。ブルーカーボンでクレジットをつくっていくというような動きがあると思うんですけれども、J-クレジットとの関係、これを統合するような方向性とかはあるのかといったあたりについても教えていただければと思います。
以上です。よろしくお願いします。
下田部会長
ありがとうございました。
引き続きまして山戸委員、お願いします。
山戸委員
ご配慮ありがとうございます。
事務局からのご説明をお伺いしまして、地球温暖化や気候変動の影響が一層深刻化している状況を受け止め、産業界としましても、実効性のあるCO2の削減取組をぶれずに進めていくことが必要であると改めて認識いたしました。産業界全体での取組におきましては、バリューチェーン全体での脱炭素化が不可欠と考えております。今回の資料にございますけれども、環境省様から、地域ぐるみでの脱炭素経営に関わる支援体制の構築推進、あるいは工場・事業場の省CO2化への支援などについて記載されております。こうした政府の政策と相まって、私どもも取組を進めてまいりたいと考えております。また、今回の資料の33頁では、商用車の電動化を盛り込んでいただいており、政府のご支援にお礼申し上げたいと思います。日本の脱炭素化に重要な役割を果たすと受け止め、今後も関係する皆様とともに取り組んでまいりたいと考えております。よろしくお願いいたします。最後になりますが、気候変動につきましては、ますます厳しさが増してくる中、ブラジルで開催される今年のCOP30では、世界の各地域の特性に応じた緩和策、こういったところに関する議論もより進められることを期待したいと考えております。
以上でございます。
下田部会長
ありがとうございました。
それでは、まず井田委員、その後、大塚委員、小西委員の順番でお願いします。
井田委員
ありがとうございます。
いくつかあるんですが、排水量取引なんですけど、ようやく始まるかなと思っているんですけども、これ、289円のなんちゃって環境税に続くなんちゃって排出量取引にならないように、透明で、削減効果が明確でサステナブルなものにしなければならないと思っているんですが、産業界、経済産業省ベースで進んでいるということに私は非常に懸念を持っておりまして、環境省として、環境サイドから明確な削減効果がある制度にするという点に関して、どのような関わり方をしていくのかというのを伺いたいと思います。それが1点目。
あと、フロンなんですけども、ようやく減ったかなというのは喜ばしいことではあるんですけども、ご説明があったようにこんなものじゃ足りないと。で、このまま見てても、急激なカーブというか直線で減っていくとは思わないんですけども、これも何度も伺っていることなんですけども、例えば、冷水器のようなものがどんどん広がっていかないようにするとか、用途規制とか、これまでと全く違ったようなやり方を入れていくという考えはないのでしょうかというのが2点目です。
あとは、江守さんもご指摘になった大ざっぱな議論になってしまうんですけども、我々ここにいて、何を議論しているのかというふうに思うわけであります。皆さん、忙しい時間に、割いてここへいらして議論をしている。ただ、NDCの会議で池田さんがご指摘になっている、ここもあまり議論を行う場にはなってないですよね。本当だったら、決まったことのご説明を聞いて、はい、そうですかと言って質問して、意見を言ってというだけに終わらせない、しかも、3分の意見で終わらせないようにするんだったら、この場、地球環境部会というのをもうちょっと活性化していく手段というのを考えなければいけないんじゃないかと思いますが、どうなんでしょう。もっと、委員の中でも意見の違うところもあるので、委員同士の議論をもっと活発にするようにするとか、あるいは政務の方に来ていただいて、そういう方と議論をするとか、若者にも言いたい放題、来てもらって言ってもらうとか、この場でこういうことになりましたという報告だけを聞いて、意見を言って帰るというのがいつまでも続いていていいのかなというふうに思うので、ぜひご検討いただきたいと思います。それに関して言うと、長くなって恐縮なんですけど、やっぱりシナジーというのが大きなテーマだと。で、温暖化の話ばっかりになってしまっているんですけども、地球環境部会というのは地球環境問題、私の認識では地球環境問題に関する重要事項に関して議論するということなので、この場でもっとシナジーの議論を、例えばプラごみ72%でまだ燃やしていていいのかとか、生物多様性、自然資本とか、ネイチャーポジティブの関係とか、そういうのをもっと議論するなり、話合いをして成果をまとめるとか、そういうのがあってもいいと思うので、ちょっとこの場の、この地球環境部会自体の活性化というのを考えていくべきではないかなと思っております。それが私からの意見です。
以上です。
下田部会長
ありがとうございます。最後のご意見は、部会長として重く受け止めさせていただきます。
では、大塚委員、お願いします。
大塚委員
3点ちょっと申し上げさせていただきたいと思いますが、第1点は進捗管理ですね、温対計画の進捗管理、フォローアップの強化というのが、資料の14頁に出ていますが、これは温対計画との関係で、今後実践していくために、実現していくために、目標を実現していくために極めて重要であると思っておりますが、そのときに、特に産業界の取組状況をお示しいただいて、さらに関係省庁との関係も踏まえながらフォローアップしていくというのは極めて重要であると思っております。特に、電力に関しましては、それぞれの業界とはまた違い、横断的に排出がなされるということもあり、全体の排出量の4割程度を占めているということもございますので、産業界のそれぞれの業界の横並びとは別に、ぜひ環境省関係においてもフォローアップを強化していただくことが大事ではないかということを申し上げておきたいと思います。
次に、第2点でございますけれども、脱炭素の先行地域と地域での脱炭素の取組に関して、きっちり進めていただいていると思いますけれども、これは当然、ご案内のことをまた申し上げて恐縮ですが、特に支援をしていく場合に、この支援が持続可能かどうかということですね。そのCO2とか温室効果ガスの削減を持続可能にやっていけるか、持続的にやっていけるかどうかということに重点を置いて支援をしていただくということが極めて重要ではないかということを申し上げておきたいと思います。簡単に言えば、補助金をなくしてしまうと終わってしまうような事業の仕方は非常にまずいので、そこは有効性に関して、補助金の活用の有効性に関して、かなり気をつけていただくのが大事ではないかというのが第2点でございます。
それから第3点ですけれども、フロンのところに関して、排出量が若干減ったということはよろしいかと思いますが、従来、回収量に関しては目標も定まっていたと思いますし、かなり高い目標も出ていたと思いますが、そこのところが今日はご説明がなかったので、どうなっているかなというのを教えていただければと思います。
以上3点でございます。ありがとうございました。
下田部会長
ありがとうございました。
続きまして、小西委員、お願いします。
小西委員
ありがとうございます。一つコメントと、三つ質問をさせていただきます。
最初、皆さんがおっしゃっておられる年末のNDC小委員会、事務局も委員長も本当に大変だったと思いますが、議論ができる形になってよかったなと思っております。一つ思ったのが、やっぱり、先ほど江守委員もおっしゃっていたんですけれども、20代の若い委員が入って、本当に、何というか堂々と、このプロセスについて真っ向からおかしいんじゃないかということを強く言われるという姿に、はっとしました。というのは、私も審議会の委員をさせていただいていて、ある意味、ちょっと何か、もう決まった報告があって、それにちょっとコメントを言って、3分間ですと言われて終わりますみたいなのに、ある意味、慣れてしまったところがあって、諦めているところがあったなと自分ですごく反省して、その後、その頑張りに続いて、何か大人も頑張らなきゃなと非常に思った次第です。ですので、やっぱり、この多様な意見の場、こういった委員構成にされたという環境省さんの今回のご判断もあったと思いますし、このプロセスが、このように動いたということは、やっぱり一つとても大きなことだったんじゃないかなと思っているので、今後、審議会がそのような形、多様な委員も入れて、そして、実際に議論が尽くせる形、そして、議論を経た後に結論が出るような形になっていくといいなと心から思いました。
それがまずコメントで、あと三つ質問なんですけれども、まず資料の34頁、このグリーンスチールなんですけれども、この削減実績量が付された鉄鋼であることということになっているんですけれども、これ、事実上、高炉を電炉に変える場合というような形になっているかなと思いまして、やっぱり、鉄鋼業の脱炭素って、高炉の転換と電炉の拡大と両輪で進めるような形のこのインセンティブづけが必要なのではないかなと。やっぱり鉄鋼業って、非常にCO2排出量が多い産業なので、今、とても注目を集めていると思うんですけれども、両輪でいける、インセンティブがつくような形になってほしいなと思っております。この後、一応PDCAサイクルを回して、注3のところで再度検討となっているので、そのときにはぜひ検討していただきたいと思うんですけれども、今のままだと、このグリーンスチール、グリーン購入法改正の、これ閣議決定されたのは1月28日と理解していますけれども、このグリーンスチールガイドラインに従うものを採用と書いている、このグリーンスチールガイドライン自体が、私の理解では2月25日に改訂されていると理解しております。ですので、やはり、国による公共調達の判断基準が民間のガイドラインに委ねられているというのは、外から見て透明性の問題でどうかなと思うものもあるものですから、やはり、そういったことも踏まえて、再度検討がぜひなされるといいなと思っております。ただ、もちろん高炉の、この次の水素還元製鉄が非常に難しいチャレンジに、これをいかにインセンティブをつけて、日本の鉄鋼業の国際競争力を増していくということが重要だということは重々理解しておりまして、それが両輪で進むようになるといいなと思っております。
そして、次は資料の36頁、ブルーカーボンなんですけど、先ほど有村先生もおっしゃったんですが、これがJ-クレとの関係でどのように、これJ-ブルーカーボンとかいうのも今ちょっと見えているので、なっているかということをお聞きできればと思います。先ほど下田部会長もおっしゃったんですけれども、やっぱりこの地球環境部会、シナジーを話し合える場だと思っておりますので、これ、カーボンという名前じゃなくて、本当は生物多様性の概念も入ったクレジットになっていく。カーボンだけの価値というところで、この海洋のものを見ていくということ自体は、非常に今、国際的にもグリーンウオッシュとかに抵触する形になってくる可能性がありますので、やっぱり、ここは生物多様性とか、ネイチャーポジティブとかの両方の価値というところで見ていけるような形の議論が進むといいなと思っております。
そして最後、資料の38頁なんですけれども、ようやくこの日本でもGX-ETS、排出量取引制度が進むことは非常に喜ばしいと思っております。ただ、これから詳細は決まっていきますので、特に気になっているのが、この割当て方法です。今のところ、日本の今のNDCと整合的とか、1.5℃と整合的とか、そういった文章がないと私は理解しているんですけれども、違ったら教えていただきたいんですが、この割当て次第でETSの効力って決まってくるので、ここのところがどうなるのか、そして、上限価格が低ければ、事実上本当にゆるゆるの制度になってしまうので、そういった制度の詳細に魂が宿るので、本当はここも、環境省もずっとカーボン小委をやっていたので、ぜひ本当は環境省も一緒に、この議論設計、制度設計ができるような形になるといいなと思っております。そこがどうなるかということもお聞きできればと思います。
以上です。
下田部会長
ありがとうございました。
それでは勢一委員、それから、その後、西薗委員、肱岡委員、西尾委員の順番でお願いします。
勢一委員
ありがとうございます。勢一です。確かに、これだけのボリュームで3分というのは、なかなか議論にならないので、特にというところで2点ほど申し上げたいと思います。
1点目は、既に議論が出ましたけれども、やはり政策統合の議論が、部会レベルでも大事だろうと私も考えています。環境基本計画も政策統合を掲げていますし、小委員会で個別に議論したものを、横串を刺して考えていくような議論をここですべきなんだろうと思います。直接的には、地球部会ですと緩和と適応のシナジーは一番やりやすいところだと思います。今日も午前中、適応小委で議論させていただきましたけれども、シナジーという意味で思いますのは、地域レベル、つまり地方公共団体では、既に適応計画と温対法の実行計画は一体的に策定して、進めている例が非常に多いです。この背中を押すためには、国レベルの温対計画と適応計画がうまくシナジーするような内容になっていなければ、現場の取組が滞るところがあります。計画レベルの対応は、環境省の中でもそれなりにできるのではないかと思いますから、こういうところから始めていただくのは大事かなと思います。さらに言えば、適応は土地の利用に関わりますので、生物多様性ともしっかりシナジーをつくっていただく。特に自然共生サイト、社会的に評判が高い仕組みで、これを法制化しましたし、先ほどのブルーカーボンなども、環境省全体の政策として、どのようにシナジーを持たせるマネジメントしていくのかは問われていると思います。この辺りを考える必要があるかなと思いますというのが1点目です。
もう一点は、IPCCの都市に関する特別報告書のお話がありました。これは国際的なトレンドとしては非常に重要な方向性だと私は考えています。つまり、気候変動を考えるときに、まちづくり全体の気候対応をどうするのか、もっと言えば、土地利用の在り方ですね。日本は私的所有権が強いので、通常は自由に開発が進みますけれども、本当にそのような形で日本の気候変動対応ができるのかというところは課題だと思います。恐らく国際的には、土地・空間という限られた資源の有効活用という発想が根底にあって、その中で気候対応をどうするかということになるのだろうと思います。その点では温対法の促進区域のゾーニング制度は先駆例だと考えていますけれども、地域レベルで行うので難易度が高く、まだ道半ばというところかなと思います。日本では、ヨーロッパ諸国のような国土利用計画が、拘束的な法制度を持っていませんので、これをどのように対応していくか。環境省だけの所管ではないのですけれども、GXに本気で取り組むのであれば、こういうところにも手つけることは必要だと思います。
以上です。
下田部会長
ありがとうございました。
続きまして、西薗委員、お願いします。
西薗委員
よろしくお願いします。
資料の35頁にフロンの目標といいますか、そのグラフが出ておりますけれども、先ほど井田委員、大塚委員からも、ここ簡単にはいかないんじゃないのかというようなご指摘がありましたが、私はこちらのほうの小委員会でやっておりますので、もう少し具体的なところで2点申し上げたいと思います。
まず、現在フロンの排出の中身のほぼ8割程度、あるいはそれ以上が冷媒ということになっております。それで、これは空調と、それから冷凍分野があるわけですけれども、冷凍分野のほうは食品流通が非常に重要な目的ですし、それから冷房のほうは、やはり適応の中で、もう今、冷房を外すことはできないということになっておりますので、つまりどういうことかというと、これはもう機器自体の数を減らすということはほぼ不可能というふうに考えていいと思います。そうしますと、じゃあ冷媒フロンを、いかに排出を防ぐかということになると、大きく分けて2点、やはりこの2030年までに何としてもやらなければならないことがあるというふうに考えております。
まず、1点目は、これはフロンだけのSHKが、算定漏えい量の報告制度があるんですけれども、これを見ますと、ほぼ上位を占めていますのが、排出の上位を占めているのは大手流通関係なんですね。これは結局、小売等で使っているショーケースを中心としたフロン機器、主に食品流通がメインだと思いますけども、こちらのほうで使われているフロンを何とか減らそうと。それが、その上の赤字で「常時監視システムの導入」ということが赤字で書かれていて、具体的な方法としては、このページの中にはこれぐらいしか書かれてないわけですけれども、じゃあこれをやれば本当に減るのかというと、実態はそれほど減らないというふうに思います、多少は減るかもしれませんけども。じゃあ、どういうことが必要かというと、その前のところに黒字で、以前からやっていることですが、自然冷媒機器の導入台数などに加えてということが、導入の促進ですね、これは残念ながら環境省のテリトリーで言いますと、この一番最上流の部分というのは、なかなか手がつけにくいところと思いますけれども、委員会のほうも、小委員会のほうも経済産業省との合同委員会でやっておりまして、もちろん意見は出しておりますし、指定製品制度に対して環境省からもご意見を出していただいていると思いますけども、やはりここの部分が、つまり大本の機器が、自然冷媒とここには書いてありますが、うまく低GWPの冷媒に代わっていかないと、結局は分母が減らない限りは、まず大きくは減らないだろうということになりますので、この促進が最も重要というふうに考えます。それがまず1点目です。
それから、2点目のほうは、環境省のテリトリーでやっております中流・下流ということになりますが、特に、最後のその廃棄の部分ですね、先ほど回収率のお話も出ておりましたけれども、やっぱりこれ、回収率の上昇を妨げている一つの大きな要因が、これは業務用の機器はフロン排出抑制法、それから、家庭用の機器は家電リサイクル法という二つの法律でカバーされているわけですけれども、多分どちらも、全ての機器がそのルートに流れていない。つまり、どういうことかと言いますと、特に家庭用のほうが想像しやすいかと思いますが、家庭用のエアコン等を取り外した場合に、その機器は、本来は家電リサイクル工場に回るというのが望ましいルートですが、多分半分以上、6割ぐらいは系外ルートに流れてしまうということ。じゃあ、どこに行っているのかというと、これは廃棄ではなくて中古市場という名目で、恐らくこれは銅線の盗難問題がここのところ大きくなっておりますけども、空調機器も銅が結構多いんですね。ということで、不法と言ってしまうとちょっと語弊があるかもしれませんが、そういうものを扱っているヤードに流れているだろうということが想像されます。これは業務用の機器でも同様です。業務用の場合にも、本来であれば、廃棄であれば、そのフロンの回収証明がなければ取り外しができない、産廃として処理できないんですが、実際には、そういうふうになっていないものが、恐らくこれも半分近くあるんではないかというのが想像されます。ですから、結局ここのちゃんとそのルートに乗ったものは、それなりの回収をされております。これは、もう今までの調査でかなり、その関係の事業者の方が頑張ってくださっていますので、そちらのほうはかなり対応できている。もう、これも20年歴史がありますので、対応できていますが、何といっても、その系外に流れてしまったものについては対応のしようがないと。これは、だからシナジー効果ということで言いますと、その廃棄物対策と、このフロン対策ですね、これをやっぱり一体のものとして進めていただきたいというのが意見です。
以上です。
下田部会長
ありがとうございます。
続きまして、肱岡委員、お願いします。
肱岡委員
ありがとうございます。それでは2点コメントさせていただきます。
まず、1点目は資料の48頁ですけれども、中間取りまとめ、気候変動適応法の施行状況の中間取りまとめですけれども、ほかの委員の方も言及されていますが、シナジー効果が非常に重要だということは私も認識しております。そのとき、この関連分野とのさらなる連携と実践を進めることが重要だというときに、優良事例を集めて示していきましょうというコメントがあったかと思います。しかしながら、やっぱり現場の地域の気候変動適応制度の方は緩和と適応、どちらも取り組まれていますけど、やっぱり人数が少ないとか、実際何をすれば、これはシナジー効果があるのかとか、具体的にどう進めていくかという話で、指針がないと、なかなか重要さは分かったとしても、両方取り組むのは難しい状況にあるかと思います。ということは、やっぱり国として、どういう進め方があるのか、どう取り組めばいいのか、もしくは支援があるのかというような、国として、この方向性を示していただけると、より現場のほうが整理できるんではないかと考えております。
2点目ですけれども、IPCの第7次報告書のプロセスも始まりましたし、来年は日本の第3次影響報告書が今年出るということなんですけれども、やはり、その5年置き、7年置きに報告書が出るときに、それをどう伝えていくかというのがちょっと断片的になっているかと思います。作られるそのコンテンツ、もしくは、それをどう伝えるのかというところが、そのときの判断によっておりますので、もう少し中身が充実して、どんどん厚くなって、なかなか読みづらいという状況がありますので、じゃあそれを本当に若い人に伝えるにはどうするのか、何なら子どもの方に、じゃあ気候変動はどうなっているよというのを伝えるところにもちょっと注力していただけると非常にありがたいと思いました。
以上です。
下田部会長
ありがとうございました。
では西尾委員、お願いします。
西尾委員
西尾でございます。2点ご質問申し上げたいと思います。
一つ目は、様々な施策を統合的に立案されて、実行されているわけですけれども、それの進捗管理ということでフォローアップ委員会を設けて、きちっと横串を刺して、検討するということは非常に重要で、特に国民に対しての説明責任という観点からも大変重要かと思っております。そのときに、それぞれの施策の成果というのをどうやって捉まえるんだろうかというところをお伺いしたいというふうに思います。特に、その直接CO2排出量といったようなところで、すぐに表れてくるようなもの、技術に対する対応や、いろんなその新しいシステムによる対応みたいなところは定量的に計測できると思うんですけれども、環境省の場合には、特に環境省がやるべき重要な政策として、資料の17頁にあるように、地域脱炭素とかくらしの脱炭素、あるいはバリューチェーンの脱炭素というところが、まさに環境省が中心になってやらなくてはいけないというところになってくると、この中で、すぐに成果が現れるものとそうじゃないものがあると思うんですね。特に、地域もそうですし、そのカーボンニュートラルに向けてライフスタイル変革をするためのデコ活をはじめとした国民運動のようなことというのは、みんな運動ですので、なかなか、そのすぐに成果が現れるというものではないというようなものに対して、どのような形で、そうは言って、これまでに成果が出ないから、はい、おしまいではなくて、どういうふうなところまで、まずは第一段階としていくのかとか、どの段階できちっと成果を測るようにするのかと、そのときに定量じゃなくて、定性的な側面でどうしていくのかといったようなところをどのようにお考えでいらっしゃるのかなということをお伺いしたいと思います。で、どうしてもその経済、地域脱炭素のほうにしても何しても経済的価値にすぐに置き換わるようなものは、比較的企業においても導入されやすいと思うんですけれども、少したたないと経済的価値に置き換わらないものというのもあるかと思うんですね。そういったようなことについての研究も、少しずつでしょうけれども探せばあると思いますので、ぜひとも、そういうその学術的な知見、あるいは諸外国の知見のようなものを導入されて、その成果をきちっと捉まえていく。で、それを進捗管理として捉まえていくというようなことをぜひ考えていただきたいというのが1点目です。
それから2点目は、地域脱炭素に関して、私も小委員会に入れていただいて、いろんな議論をさせていただいたんですけれども、そのときに、やはり一番大きな問題は、地方公共団体で、その人材や人員不足が、あるいは財源もそうなんですけれども、特に人の問題が大きいというようなことだと思うんですね。これも個別地域ごとに人を配置して、自分たちの中でやらなきゃいけないとすると、今後、広めれば広げるほど、同じ問題が起こっていくので、むしろ何か、そのときにも申し上げたような気がしますけども、人材をプールするようなプラットフォームみたいなものをつくるだとか、いろんな事例も共有できるような、そういうものをきちっとつくるような形で、ぜひともその広く広げていただくときに、個別にではなくて共通にできるような形で、より効果的、効率的に展開できるような方策というのも、ぜひ考えていく必要があるんではないかと思うんですけれども、その辺についても何かプランがあればお聞かせいただければというふうに思います。
以上です。
下田部会長
ありがとうございました。
それでは、田中委員、いかがでしょうか。
田中(里)委員
田中です。どうもありがとうございます。取りまとめていただいた資料は大変参考になり、感謝を申し上げます。私から2点ほどお話しさせてください。
まず一つは、J-クレジットに関することです。多様な方が参加、登録に際しクレジットの申請における手続が少し煩雑な面があり、登録の要件に制約があるという、何か不便もあるということを聞いておりまして、これに対する対応、またはこの情報においてアップデートされていること、新しい条件がもしありましたらば、共有いただけると幸いです。
また、例えば森林カーボンおよび海のブルーカーボンのご紹介もいただいたところ、今回統合シナジーというキーワードを魅力に感じています。現場で実践するという考えからも、これらのクレジットを有効化すると同時に、需要者が、対象となるような森林由来、海由来の地域にさらに関わりを深められるような、具体的には森林管理や、海洋保全や、生物多様性にも寄与する制度に発展していくことが理想です。前半も、委員の先生方からシナジー効果をいかに出すかというお話が出ていましたが、統合をどう考えて実現していくか、ぜひ、この地球環境部会でも議論ができたらと思います。
もう一点は、地域に関してです。勢一先生からも、地域へのご示唆をいただいたところですけれども、各地域で頑張って、環境について活動し、また貢献をしながら、統合報告書に書けるような活動も行って成果を出したいと意欲を高める地元企業の方ともお話をする中で、現場と世界の動き、国の動きにおける理想を理解した上で、ギャップに悩むこともあるとのこと。
社内でも自治体でも、推進的にリーダーシップを取る方と、関わりの浅い方との間には意識の差が存在します。頑張る人をさらに応援することができたらといつも思います。
また、ペロブスカイトのような大規模な、注目の新技術への支援も進めながら、各地域で地元企業が行っている、地域の環境課題を解決する有効な技術やアイデアなど、すばらしいものがあったりしますので、注目が集まるよう願います。地域の環境技術をお持ちで、頑張っているところへの新しい光の当て方や、応援体制も考えられるとよいと期待するところですので、この事例の際に、そういう多くの中小中堅企業の参考になるような事例ということで、入れていただけるとよいと思います。
以上、よろしくお願いいたします。
下田部会長
ありがとうございました。
ほかにご発言をご希望の方はいらっしゃいますでしょうか。よろしいですか。
なければ、少し私のほうからご意見を申し上げたいと思いますけれども、2点申し上げたいと思います。
一つは、脱炭素先行地域で、これ、かなりいろいろな成功事例を出していると思いますが、この年表でありますように2030年までにドミノを倒すというのがあって、ここがこれから大事だろうと思っています。で、やはり拝見していて、例えば中山間部で、バイオマスを利用して非常に立派な業績を上げたというところがありますけれども、残念ながら、それで倒れるドミノってそんなに多くないわけでございます。多くのドミノを倒せるような事例があるかなというふうに拝見すると、確かに下水やごみのような供給処理施設を改善していくというのは、これはかなり多くの波及があると思いますけれども、なかなかそれに続くようなものはないということで、やはり、これから多くの人口がいるような地域で、参考にできるようなところというのをぜひ広げていただきたいというふうに思いました。
それから、もう一つなんですけれども、暮らしのGXのところで、その3省連携の補助事業って、これも非常に大事な事業だというふうに思っております。これ、実際に温対計画に書かれている大事なポイントを補助して、進めていっているわけですけれども、ちょっと気になるのは、これを、例えば住宅のリフォーム会社とかハウスメーカーに言われて補助金を取ってというので、もちろん、それでもCO2は減るんですけれども、自らが、例えば温暖化対策のために何かしたいと思っている人が意識を上げて、こういう補助金にたどり着くというルートを、もう少し開拓していかないと、長期にわたるGXの市場形成にはならないのかなという気がいたします。そういう意味で、これはずっと申し上げていることなんですけれども、せっかくつくった、その地球温暖化対策計画を多くの人に読ませる努力とか、あるいは、その骨子のコンセプトを広める努力というのが何かできないかなと。これ、実は5年前の前の改定のときにも申し上げて、今回の終わりのときにも申し上げたつもりなんですが、なかなか進まないと。数字だけが、2035年何%という数字だけが出てくると、何とか、これデコ活の活動なのか、何かの中でもっと多くの人に認識度を上げていただいて、関心を高めてもらえるような工夫がないのかと、いろんな障害があったり、難しさがあったりだろうと思うんですけれども、何かちょっとお考えがあれば聞かせていただきたいなと思いました。
もし今、ほかに追加のご意見のご希望がなければ、これで事務局のほうからいろいろいただきましたご意見についてのご回答をいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
では、よろしくお願いします。
総務課長
ありがとうございます。多岐にわたるご意見、ご質問をいただきましてありがとうございました。私のほうからお答えできるところをまずお答えした上で、ほかにも関係の担当の課・室長もいますので、フォローもさせていただければと思います。
まず最初、江守先生から2点ご指摘をいただきました。若い声を引き続き聞くでありますとか、あとモデル、シナリオ分析をしっかりと、今後の議論の中でもしっかり時間を取ってというところは、今後の教訓としましてしっかり受け止めたいと考えております。
有村先生のほうから三つ質問をいただきました。
まず、一つ目はパリ協定6条ルールを踏まえまして、日本として、これからどうしていくのかということでございますけれども、これにつきましては温対計画の中でも記載をしておりますけれども、やはり、日本としてはJCMですね、パリ協定の6条2項に基づきますクレジットの活用ということについては積極的といいますか、日本の技術で途上国の削減に貢献をし、そのうち、その日本の削減としてカウントできるものについては、しっかりNDC、カウントしていくということで進めていくということがまず第一かと考えてございます。
それから、その二つ目の質問、これはGX製品、グリーンスチールの関係で、小西委員からも同様のご指摘をいただいているかと思います。これにつきましては、資料34頁をご覧いただければと思いますが、有村先生からいただいたご質問、プレミアムの基準に関しまして、どういうふうにこれが使われるというか、どういうふうになっていくのかということだったかというふうに理解をしております。この資料の、左の端のほうにありますけれども、プレミアム基準につきましては、政府公共調達に関しまして、支障や供給上の制約がない限り、これを調達していくということになりますので、今後、このプレミアム基準に基づきまして、少なくとも公共調達の中で、調達が進んでいくと理解をしております。それが民間に波及していくというのは、またさらに先になるかもしれませんが、まずはそういうことでございます。それから、小西先生からいただいた、グリーンスチールの関係を先にお答えいたしますと、ご指摘いただきましたグリーンスチールに関するガイドラインにつきましては、この資料の右のほうの注3に書いてあるとおりでございまして、日本鉄鋼連盟のガイドラインに従うものを当面、現時点で採用で、使えるものということで採用しておりますけれども、今後、そのガイドラインが新たに策定された際には、新たに再度検討することとしているということでございまして、引き続きここは動向を注視しながら検討していきたいと考えてございます。
それから、有村先生の三つ目のご質問のブルーカーボンの関係、これも小西委員、あるいは、田中委員などからもご指摘をいただいているところでございます。ブルーカーボンに関しましては、現在、ジャパンブルーエコノミー技術研究組合というところにおきまして、Jブルークレジットということで認証するような取組が、自主的な取組が進められていると承知してございます。ただ、これは現時点でJ-クレジットとは別物でございまして、環境省としましては、まずは、そのブルーカーボンによる吸収量をしっかり評価をして、インベントリに反映させるというところに着手し、進めているところでございまして、このクレジットに関しましては、引き続き関係省庁ともよく連携をしながら考えてまいります。
それから、山戸委員からは地域ぐるみの取組でありますとか、商用車の導入につきまして、一緒に頑張っていきたいというご意見をいただいたかと思います。ありがとうございます。
それから、井田委員のほうからETSの関係のご質問、それから、フロンの関係でのご質問がございました。これは後ほど担当の課室長からお答えさせていただければと思います。
それから、井田委員のもう一つ大きなご指摘としまして、この部会でのご議論の在り方というか、これにつきましては、下田部会長からもお話ありましたけれども、やはり、その横断的なといいますか、シナジーのあるような議論といいますか、それぞれの小委員会、さらに、その上にある地球部会ということで幅広い議論をいただく場であるというふうに考えております。下田部会長ともよくご相談させていただいて、これからのこの部会の議論の在り方、考えていきたいと思っております。
それから、大塚委員から、まずフォローアップの関係では、ご指摘、ご意見を頂戴したと考えています。フォローアップは大変重要だと温対計画の中でも記載してございますので、実際に、しっかり効果的、効率的なフォローアップを進めていきたいと考えております。
それから、地域の取組に関しましても、その支援がより持続可能な形で進められるようにと、補助金が切れた後もしっかりというご指摘もいただきました。これもご指摘のとおりかと思います。しっかり考えていきたいと思いますし、地域グループの課長が同席しておりますので、もし何かありましたら、後でよろしくお願いします。
それから、フロンの回収量などの対策についての大塚先生からのご指摘、ご質問がございました。これにつきましては、先ほどご紹介できなかったんですが、参考資料に載せさせていただいております。具体的には、資料の68頁や69頁でございますが、まず68頁には、フロンあるいは代替フロンを用いない自然冷媒機器の導入支援ということで、導入補助をどれぐらいの年度でやっていくか、実績ベースで書いてございます。2024年度で4,000件弱の導入補助を推進しており、これは毎年度伸びてきているということでございます。そもそも冷媒をフロン・代替フロンから転換していくという支援の話でございます。それから、回収の状況につきましても、69頁にグラフを掲載させていただいておりまして、フロン使用機器廃棄時の冷媒回収実施台数は149万台、回収量は4,500tと、令和6年度の実績でございます。この回収実施台数や回収量は、いずれも増加傾向にあるということでありますが、まだまだこの対策としてはしっかり進めていく必要があると考えております。
それから、小西委員からグリーンスチール、それからブルーカーボンの関係、それから若い委員の若い声をしっかり取り入れていくということでご指摘いただいたと思います。先ほどお答えを差し上げたと思いますので、よろしくお願いします。
それから、GX-ETSにつきましても、小西委員からご指摘をいただいておりましたので、そこはご指摘も踏まえまして、しっかり対応していきたいというふうに考えております。
勢一委員からは、適応とそれから緩和、この組合せ、特に地域レベルでは一体のものとしてやっぱり考えられるという、実際にそういう事例もあるというご指摘をいただきました。そのとおりだと思いますし、また、生物多様性などの取組とも非常にシナジーがあるということで、これを、シナジーを持った形でより推進するために、この国の計画などでもそういう配慮をというご指摘だったかと思います。それぞれ法律、あるいは計画が別の法律にぶら下がっておりますので、どこまでできるかという話はございますが、これから適応計画も新しい計画をつくっていく中で、そういったご指摘もいただければと考えております。また都市の取組、それから土地利用の在り方などが重要というご指摘は全くそのとおりだと思います。よく考えていきたいと思います。
西薗委員からは、フロンの対策のお話がございました。もし何か、さらに追加できることがあれば、フロンの担当室からお願いします。
それから、肱岡委員からは、やはり適応の、そうした優良事例を集めるだけではなくて、それをどういうふうに進めていくのかと、どう進めたらいいのかという方向性を国で示すということが大事だと、こういうご指摘をいただいたかと思います。おっしゃるとおりでございます。ただ、事例を集めるだけではなくて、それがどうやったら、どういうふうにしているから優良なのかと、あるいは、そういったものを踏まえまして、国でこういうふうにしたらどうだと、こういったものをよく考えていければと思っております。それから、評価の報告書などをどのように伝えていくのかということ、最後に下田部会長からも温対計画を広める努力をというお話がございました。私も、どうしてもその何か物をつくるだけで、それで終わってしまうというところがやっぱりありますので、それをいかに、その各地域も含めて伝えていくかということはしっかり考えていきたいと思います。
それから、西尾委員から、フォローアップの観点で非常にちょっとお答えしづらいといいますか、難しいご質問をいただいたと思います。フォローアップも様々ございます。特に、温対計画のフォローアップに関しましては、具体的に様々な温対計画に記載されております政策ごとにKPIのようなものを設定して、やっぱり、どうしても、その最終的にどれだけのCO2、あるいは温室効果ガスが減ったのかというところが最終的な評価ポイントになると思いますが、その進捗を見ていくことがポイントだと思います。他方で、その効果が測りにくい国民運動のようなものもございますので、そこは可能な限り、その数量的な目標も置きながら、でも、それでも測れない定性的な部分についても目を配りながら、フォローアップしていきたいというふうに考えており、できれば、その気候変動以外の、まさにほかのシナジー的な効果についても把握、評価ができるように進めていきたいと思います。
それから、西尾委員の二つ目のご指摘で人材ですね、特に、地域脱炭素を進める上で人材のプラットフォームのようなものが必要といったご意見、もうおっしゃるとおりだと思います。しっかり考えていきたいと思います。
田中委員からは、J-クレジットの話で、申請の手続等で、いろいろ不便が実際にあるというお話、ご指摘をいただきました。今の時点で何ともお答えできないんですが、よく確認して対応していきたいと考えております。
あと、最後、下田部会長から、脱炭素先行地域のそのドミノを倒していく上で、より多くの人口がいる地域の対策というものにしっかり目を向けていくということもおっしゃるとおりと思います。それからGX、先ほど挙げたとおり温対計画、あるいは、その政府のほうで目指しているものをしっかり広める努力、これは部会長からもご指摘があったとおり、デコ活のような国民運動の中でも考えていくということだと思いますし、また、地域脱炭素のような、その地域に根づいた取組の中でもしっかり発信をしていくといったことが大事だと思います。いろんなその機会を使いまして伝えていくということが大事ではないかというふうに考えているところでございます。これにつきましても、また具体的なご意見等ございましたら、ぜひお聞かせをいただいて、進めていければというふうに考えてございます。
私からのお答えは以上で、それぞれ出席している他の課室長からも、もし補足があればお願いします。
地球温暖化対策課長
地球温暖化対策課長の吉野でございます。いろいろご指摘ありがとうございました。
私からは、まずETSの関係で、井田委員や小西委員から、その割当ての方法についてのご意見・ご質問がございました。
まず、法律上の、今国会に提出されておりますGX推進法の改正案における環境省の役割といたしましては、これまでずっとSHK制度を一緒に所管してきたということもありますので、まず、排出枠の設定の前提となる排出実績量、これをしっかり環境省には出していただいて、確認をさせてもらうということになっております。あとは、その算定方法ですとか、今回、第三者機関の検証を受ける、登録確認機関の確認を受けるということになっていますので、そこの確認方法ですとか、そういったものを決めるに当たって、環境省は相談を受けるという形になっているということになります。
あとは、枠の設定そのものに関しては、NDCとの関係でどうのこうのというような規定は、直接的には書いていないというのはご指摘のとおりです。ただ、GX2040ビジョンの中にも、NDCの達成に向けた制度対象事業者の排出削減の進展がどんな状況になっているのかとか、そういうことはしっかり確認していくということは書いてありますので、まず今回は、しっかりその制度を入れて、産業界も納得していただいて、制度をちゃんとうまく動かしていくというところが大事とも思っていますので、環境省としても、その制度自体の運営の進捗管理というのは経済産業省が中心になりますけれども、それも含めて、温対計画のプラットフォームの中で、しっかり環境省としても確認させていただいて、必要があれば意見を言っていくと。いずれにしても、事務的にもふだんからやり取りはありますので、必要なことがあれば、しっかり言っていきたいと思ってございます。
あとは、最後、下田部会長からのくらしGXの関係でご指摘がございました。住宅リフォーム業者に言われてやるのではなくてというようなお話でありまして、そこは、まず住宅リフォーム業者がタッチポイントになって、消費者、国民に知れ渡っていくという、そこの部分というのは大事だと思っております。ただ、おっしゃるとおり、それだけではなくて、いろんなところで、そのきっかけを消費者の側にも持っていただきたいというふうに思っています。予算的にはしっかり確保させていただいていますので、しっかりと現場で執行できるように、どういったルートで、例えば媒体や、どういった方から経由して、例えば高齢者の方にはどうとか、ペットを飼っている方にとってみるとどうだとか、そういういろんな形で、どう発信していったらいいかといったようなことは、今、一生懸命中でも議論していまして、関係省庁とも連携してしっかりやっていきたいと思ってございます。
あとは、グリーン購入の関係で補足しますと、高炉と電炉の両輪でというお話がございまして、そこはおっしゃるとおりだと思っています。まさにCFPだけで評価すると、電炉が評価されることになってくるのだろうと思いますが、もともとグリーンスチール、削減実績量というのは、高炉でもしっかり取組を進めているんですよという点を評価するために出てきた概念と理解しています。いずれにしてもそこは、問題意識としては共有していますし、業界のガイドラインを引用しているのは事実ですが、しっかり業界とも対話しながら、環境省として運用していくということになろうかと思います。
以上です。
フロン対策室長
フロン対策室長の香具でございます。ご意見ありがとうございました。
まず、井田委員、それから西薗委員から、この冷媒を使用している機器の規制、自然冷媒でありますとか、低GWPの冷媒を促進するような政策を打っていくべきではないかというご意見をいただいたかと思います。
一つにはフロン排出抑制法、これはご案内のことと思いますが、フロン排出抑制法の中に指定製品制度という規定がございまして、こちらについては、事業所管大臣が、そういったGWPの目標値を定めて、目標年を定めるという仕組みになってございます。ここについては、事業所管している大臣ということなので、環境省で目標を定めることはできないという状況なんですが、主には経済産業省で、そういった目標を設定しているということになります。先ほど、西薗委員からもご発言いただいたと思いますが、昨年の秋には目標値を、幾つかの製品について設定するということがございまして、フロン排出抑制法の中には、目標値を設定する際に環境大臣から意見を出すということができる規定がございまして、これに基づいて、昨年の9月には環境大臣意見を提出したところでございます。そういった形で、少しでもこの指定製品制度の中で、低GWP化というものが加速されるようにということで、環境省としての関与は、そういった形になってございます。また、規制ではございませんが、環境省として進めているものとしては、自然冷媒機器についての補助金がございます。先ほど総務課長の大井から資料の68頁を紹介しましたが、補助金によって自然冷媒機器が普及するようにということで支援してございます。
また、この中で、よりしっかりと支援が必要な部分と、ある程度自立的に進んでいく部分とあると思いますので、そういったところの実情について、しっかりと今調査を行っているところでございます。めり張りのついた支援をやっていきたいと考えてございます。
それから二つ目が、大塚委員からご発言いただいた回収量の関係ですが、これも先ほど、参考資料の中に回収量のグラフがございまして、紹介したところでございますが、目標があったんではないかというご指摘については、新しく2月に閣議決定された温暖化対策計画の参考資料という位置づけだと思いますが、対策評価指標というものがございまして、この中に、廃棄時のその回収率というものが、これは温対計画に引き続き、冷媒量ベースでの対策評価指標としては2030年に75%と、これは前の温暖化対策計画と同様の指標が載っております。また、今回新たに加えたものとしては、回収実施率の量だけではなくて、台数ベースの回収実施率というものも設けておりまして、こちらは2030年に85%という指標を入れてございます。回収率の向上は、引き続き取り組んでまいりたいと思います。また、2月28日に報道発表を行いまして、回収量について先ほどのグラフの数値とかを出しておりますが、その中で回収率は出しておりません。それはなぜかというと、この回収率を出す計算の中で、推計方法について、少し見直しが必要な部分があると考えておりまして、より精緻な数字を出すために、2月の時点では報道発表することをやめたという形になっておりまして、今年の夏頃に見直しが完了する予定でございます。
それから、廃棄時回収の関係では、西薗委員から、家電あるいは業務用の機器が不適正ルートへ流れているという問題があるんじゃないかということでございまして、こちらは環境再生・資源循環局で、今ヤード対策の検討を進めているということで、そこには我々フロン対策室の職員も参加して、連携していくことができないかということで、シナジーをもって対策ができないかということを今進めているところでございます。
以上です。
地域政策課長
大臣官房地域脱炭素グループの地域政策課長の近藤でございます。ご指摘ありがとうございます。
何点かご指摘いただいてますけれども、今日ご用意させていただいた資料の20頁以下を少しご説明したいと思います。今後の地域脱炭素の在り方の検討会というのを、昨年後半に8回開催して、まとめさせていただいております。勢一先生、西尾先生にはご参加いただいております。ありがとうございました。その資料を使いながら少しご説明をしたいと思います。まず、下田部会長から、脱炭素先行地域、ドミノを起こしていくということなんだけれども、都市部の話ということで、もう少しそこが重要じゃないかというご指摘をいただいております。脱炭素先行地域、2025年度までに少なくとも100か所を選んで、2030年度までに実現、完成させるということにしていますが、現時点で81か所提案、選定をしていますが、そのうち、14政令指定都市は選んでいるということで、政令指定都市の場合、エネルギー需要に対して再エネポテンシャルが低いので、まずは屋根のオンサイトということになりますけれども、地方部と連携をして再エネを調達するというような取組をしている先行地域というのも何団体かあるということと、あと、下水熱の話もされていると思いましたが、その資料の22頁の一番上のほうで、次の5年間、新しい技術なんかも利用して、GXのイノベーションモデルみたいな、少し先行地域、民生、電力を中心にしていますので、それ以外の部門、熱も含めて、そういったところのモデルというのも少しやっていかなきゃいけないんじゃないかということでまとめております。これは2月18日に閣議決定されました温対計画にも、この報告書のエッセンスというのは全部盛り込んでおりまして、その熱の部門も含めて、どういうふうにしていくのかというのは引き続き検討していきたいと思っております。
それから、大塚委員から、同じく先行地域で、持続可能性、補助金なしで進めるということが重要だということで、まさにご指摘のとおりでございまして、資料の19頁になりますが、今、これまでの4年、5年で進めてきた地域脱炭素の第一期ということになろうと思いますが、脱炭素先行地域と重点対策加速化事業との二本柱でやってきております。①が本当に難しいモデル地域で、②が準モデル地域というようなイメージをお持ちいただければと思いますが、この資料の左下のほうで矢印が下に向いておりまして、これらの補助金を使った支援を通じて、その後の地域脱炭素が展開していくような仕掛け、基盤づくりと申し上げていますが、地銀と連携して金融商品を開発していただくとか、地域の中核企業がPPA事業者になるとか、そういったことを同時に仕組むというか、この先行地域の事業をやりながら、そういったことをつくり上げていくということをやっております。昨年の11月25日にNDCの関係で、この地球環境部会において、我々のグループでプレゼンさせていただいたんですが、そのときの資料に、そういった基盤構築の事例なんかも挙げさせていただいておりまして、例えば、川崎の先行地域は、ヤマト運輸の高津営業所というところが入っているんですが、そこはもう完全に出来上がっていますが、屋根に太陽光を載っけて、蓄電池を入れて、EVに全部車を替えてという状態になっています。実は、エネマネシステムを全部独自開発されていて、これいけるということで、もう全国の営業所に同じモデルを自ら展開されるというようなお話とか、尼崎市の阪神電鉄で、尼崎市に阪神の2軍の球場を開設するときに、阪神の2軍の球場を含めた都市公園全部をゼロカーボンベースボールパークにするんですが、その取組の中で、阪神電鉄は、尼崎市の自分の駅も脱炭素するんですが、それをもう超えて、阪神電鉄全線でもう脱炭素やりますということで動き始めておりますので、こういう自走できるところは少し背中を押して自走していくということを今やっているところであります。環境省の場合は、自家消費とか地域消費ということで、非FITのところに対する初期投資に補助金を出しております。これは先行地域に限らずということでございまして、その補助率というのは、FITのほう、言わば運営費補助みたいになるんですが、そことのイコールフィッティングみたいなものも念頭に置いて補助率を決めているということなので、再エネの場合は、まだ値差があるという状況の中で、本当に補助金をどういうふうになくしていけるかというのは大きな課題だと思っております。
それから、西尾先生から人員不足、小規模自治体のお話をいただきました。それにつきましては、資料の21頁になりますけれども、顕在化した課題というところで、やはり人員不足、人も質も、専門人材もいないということで、それについては温対計画にも反映させておりますけれども、右矢印の下のほうで、地方公共団体の専門人材プールの拡充とか、都道府県等による人材マッチングを強化ということで、環境省で専門人材を地方公共団体に派遣しておりますが、その専門人材のプールをさらに拡充するということと、それからDXが全く同じ状況になっているんですが、市町村単位では専門人材は無理なので、都道府県がセンター化して派遣するという仕組みができておりますので、そういったものもやっていきたいと思っているのと、あと、SDGs未来都市が全国のプラットフォームみたいなことで、自治体と民間企業がそれぞれエントリーして、お互いがマッチングするような仕組みもできていて、実は地域脱炭素もあるんですが、少し低調なので、そこの話も手を入れていきたいと思っております。
それから、勢一先生からゾーニングの促進区域制度のお話をいただきました。これは、もう先生ご案内のとおり、ほとんどまだ実績がないという状況で、いろいろ制度的な課題を抱えているという認識を持っております。そういうご指摘もいただいて、この資料の真ん中になりますが、促進区域制度について、本当にワークできる仕組みというのをいま一度考えてみようということで、現在検討させていただいているという状況でございます。
以上でございます。よろしくお願いいたします。
下田部会長
以上ですか。
少し時間がありますので、ぜひ、今のご説明とか、あるいはほかの委員のご発言に対して、ご意見、ご発言がございましたらお願いしたいと思います。
まず、それでは井田委員からお願いします。
井田委員
ありがとうございます。このフロンの回収なんですけども、台数、冷媒は増えていますというのはいいんですが、目標からどれだけ下がっているかというのも大塚先生がご指摘になったことというのは全く見えてこないので、やっぱり回収率どれぐらい、目標からどれぐらい下がるかというのをきちんと示していただくべきだったと思います。マテリアルフローを見ると、大体40%ぐらい、細かい計算の違いがあるといって、揺れてくるのは分かるんですけども、大体40%、2024年ですから40%ぐらいと、2025年、これが60%ぐらいに急に上がって、30年に75%になるとは全く思えないです。2025年辺りを機に、これはもう本当に、こういう厳しい状況なんだから何か考えましょうというのを、これは国を挙げてやるべきだと私は思います。フロンにしても、プラにしても、ETSにしてもそうなんですけども、これは経済産業省の所管だから何も言えませんという仕組みには、日本国の中ではなっていないはずなので、フロンの上流規制にしても、プラの上流規制にしても、ETSを透明化だとか、実効を上げるという意味に関しても、環境省からどんどん意見を言っていくというのが、忘れてはいけないことだと思っております。
あと、追加で伺いたいんですけども、吸収量というとやっぱり森林と、インベントリの中から抜けている干潟、これはもうすごく減っているわけですよね。そこら辺だと思うんですけども、ブルーカーボンって聞こえがよくて非常にいいし、今、盛んになっているんですけど、量としては非常に小さいし、持続性にも問題があると言われていると。吸収量の鍵は森林と干潟ではないかと思うんですけども、環境省として、そこら辺をどうお考えかというのを簡単でいいので伺いたいです。
長くなって恐縮なんですけども、トランプ政権の動きを見ていたりとか、アメリカのESGバックラッシュが日本にも波及してきたりとか、LNGを増やしましょうということがあって、これはちゃんと温暖化をやろうとしているオーストラリア政府のほうからも批判をされるとかいうような状況があるんですけども、気になるのは環境省とか、環境サイドから、こういう大事なときで、こういう本当に勝負の10年と基本計画に書いたはずなんですけども、こういうときにこんなことであっていいんでしょうか。こういうときだからこそ、むしろちゃんとやりますというメッセージが全然出てきていないというのは、これ、メディアの人間として感じているので、そこら辺をどうお考えなのか。場合によっては、この場で議論して、何かメッセージを出すというのもあってもいいかなというふうに思います。
以上3点、すみません、追加ですが、よろしくお願いします。
下田部会長
ほかにいらっしゃらないでしょうか。
じゃあ小西委員、お願いします。
小西委員
カーボンクレジットなんですけれども、やっぱり今、井田委員がおっしゃったように、ETSに対して意見を言う場もありますというんじゃなくて、本当に、一緒につくっていけるような形が必要だと思っております。特に、やっぱりこれから、ネイチャーポジティブとかシナジーとの関係で、このETSも本当に脱炭素だけというわけにはいかないですし、賦課金も含めて。ですので、本当にこれを、環境省側からもきちっと制度設計に主体的に関われるような形はつくれないんでしょうかということを、さらに聞かせていただければと思います。それについて、ちょっと細かいところなんですけれども、例えば、このETSの制度についても使えるオフセットクレジットに制限が今のところないのも非常に気になっております。いずれ制限をかけると言っているんですけれども、何が使えるようになるのか、やっぱり今、ご存じのように、中短期の目標に対してはクレジットを使うというのは、先行しているETSのほうではもう駄目ということになりつつあります。後発組になりますので、これからCBAMとかもある中で、やはり、きちっと日本のカーボンプライスとして認めてもらうためには、そこら辺を、最初は入れるということを先行して、それをまずということは分かるんですけれども、その次の制度設計というところに本当に魂がありますので、そこをぜひ意見がきちっと言えるような形の制度になってほしいなと思っております。
以上です。
下田部会長
ほか、いかがでしょうか。勢一委員、お願いします。
勢一委員
ありがとうございます。
温対法のゾーニングの部分は確かに難易度が高くて、まだ進んでいないところはあるのですが、しかし、土地利用や国土利用の在り方をコントロールしていこうというスキームとして、私は先駆例として評価をしているということです。これから、生物多様性の分野でも自然共生サイトという価値のあるサイトをどうやって守っていくのかということは、やはり地域のゾーニングをしながら、そういうところには開発をやめましょうというメッセージを出していく、それをやるために、環境省の施策の中で後押しできることはあるのではないかという趣旨です。もちろん、温対法のゾーニングをもっと頑張っていただきたいとは思っておりますというのが1点です。
もう1点は、環境省のテリトリーという意味では、暮らしがキーワードでありましたけれど、民生部門が古典的にはそうだったのだと思います。しかし、住宅建築物の脱炭素化にしても、脱炭素型ライフスタイルへの転換にしても、やはり経済メカニズムとリンクしないと動かないですね。普及啓発といって、皆さん頑張ってくださいというような施策を打つ時代ではないので、どこに働きかけると消費構造が変わるのか、その消費構造を変えるメカニズムを市場経済の中に組み込んでいく。それによって、補助金や補助事業がなくても、市場経済の中で評価されて動いていく構造をつくるためのきっかけを与えるというのが、今の環境政策だと思います。この辺りは暮らしと言いつつも、かなり幅広く経済システム、産業システムのほうに関わってきているという自覚と、あと、野心を持っていただきたいなと思います。
以上です。
下田部会長
ありがとうございました。
ほかによろしいでしょうか。それでは今の3名のご発言に関しまして、何かございましたらお願いします。
総務課長
ありがとうございます。
私から、まず井田委員がおっしゃられた3点のうち、2点目、3点目をまずお答えさせていただきたいと思います。
吸収源ですね、ご指摘のとおり量で考えると、吸収源の中でもやはり森林が圧倒的に多いということは間違いないと思います。そういう意味で森林吸収源がやっぱり大事であるというふうに思っておりますけれども、おっしゃるとおり干潟に関しましては、まだこれからその効果を算定していこうという状況ではありますが、ポテンシャルとしては相当あるんではないかと考えておりますので、干潟などもあるということでございます。
いずれにしても、やっぱりブルーカーボン、量的には、やはりグリーンな従来型の森林吸収源をしっかり保全し、量を確保した上で、あらゆるものを、あらゆる施策を追求するという意味で、ブルーカーボンについてもしっかり追求していきたいと、そういう考えだと思います。
それから、3点目でおっしゃいましたトランプ政権のこういう状況の中で、日本としてはしっかりぶれずにやっていくんだということにつきましては、事あるごとに、浅尾環境大臣も、そういう意味の発言、発信はさせていただいているところではありますけれども、よりクリアに日本はぶれないというところについて発信していきたいと思っております。そこはもう温対計画、GXのビジョン、いずれも、その脱炭素とその経済成長を同時実現していくと、これが日本の国家戦略であるという旨はしっかり発信しているつもりでございますが、引き続きこれはしっかり発信していきたいと考えております。
フロン対策室長
ありがとうございます。井田委員から、フロンについて追加的にご意見をいただきましたが、廃棄時回収率の目標の部分については、2月の報道発表で出せなかったところは、申し訳ありません。先ほど申し上げたとおりですが、数字をより正確なものに近づけるための今見直しを行っているところでございますので、見直しが済み次第、夏を目途にしておりますが、また回収率の数字は発表させていただきたいと考えております。
また、環境省から意見ということでございますけれども、これも繰り返しになりますが、先ほど、フロン排出抑制法の中で規定がありますので、それに基づいて意見は出したというところでございます。ただ、意見を出して終わりではないということだと思いますので、今後も、より経済産業省とも連携といいますか、関係をつくりながら、今日、スライドでもご紹介しましたが、世界で、このフロンのライフサイクルマネジメント、フロン対策への関心が高まっておりまして、日本がそういった技術という部分では先行しておりますので、これは日本の経済成長、国際競争力の強化にも資する部分ではあると思いますので、そういった日本の中で技術を磨いていただいて、海外展開するという部分につながっていくと思いますので、そういった形で産業界にも協力をいただいて、より野心高く進めていっていただきたいと考えております。
以上です。
地球温暖化対策課長
地球温暖化対策課でございます。
ETSの関係で、さらにクレジットの関係でご指摘がございました。まず、昨年の制度の検討段階、GXの2040ビジョンの中でも、J-クレジットとJCMクレジットについては、制度の中で活用できるようにするという方針は決まっておりまして、具体的に何か制限、上限を設けるのかとか、その辺りはまだ、今後の制度設計によるということになっております。あとは価格の上下限を設定することになっていますが、それも今後ということになっております。ご指摘の問題意識は我々も共有はしています。ただ一方で、その外部のクレジットを使うということは、日本全体としては、どこかでは削減されているということですから、そのクレジットのニーズが高まる、価値が制度の中に取り入れられるということは、それはそれで、一定の評価できる面もあるのかなと思っています。バランスを見ながら、経済産業省とも議論はしていきたいと思っています。
それから、勢一委員からいただいた、暮らしの関係で経済メカニズムと一緒にというご指摘ですが、ここは大変難しいところではあるとは思います。今の政府の中では、規制制度と支援を一体でやるということですので、例えば、家の関係だと省エネ基準が来年度からは全ての住宅・建築物にかかるということをやる一方で、GX予算による支援との両輪でやって頑張っていただくという格好にはなっています。そうした補助金も一つの経済メカニズムであるとは思っていますけれども、それ以外にどういうやり方ができるのかというところは、関係省庁でいろいろアイデアを出し合っていきたいと思います。
下田部会長
以上でよろしいですか。
地域政策課長
勢一先生からゾーニングのお話をいただきましたが、促進区域は、どちらかというとポジティブゾーニングという感じで、勢一先生のお話としては、生物多様性のお話もありましたので、むしろそういったところに再エネがいかないというか、そっちのほうのご議論なのかなとちょっと承りましたが、そこは、実は、先生ご案内のとおり、ちょうど今週、青森県で独自条例を制定しておりまして、基本的にはゾーニングをかけて、その上で、再エネ事業の収益の一定割合に独自課税をかけると。ただ、その市町村、県が特認するようなゾーニングをした場合については、その税の対象外にするというような条例を制定されたと思います。で、同じような条例は、昨年4月から、宮城県で施行されていまして、青森県のほうがよりエリアが広いというか、規制が強いというか、そういった形で出ておりますので、全国的にそういった動きもありますので、効果というか、実績も含めて、こういった制度をどうしていくか、どう考えていくかということを我々としても考えていきたいと思います。まだ、これから始まる制度もあるので、まだよく分からない部分もあるんですが、非常に注視していきたいということでございます。
下田部会長
よろしいでしょうか。
それでは、活発なご議論を頂戴しまして、ありがとうございました。事務局におかれましては、提示された意見を今後の施策に生かしていただきたいと思います。
それでは、次に議題の2番、その他について、事務局からお願いします。
総務課長
ありがとうございます。資料3をご覧いただきたいと思います。資料3、中央環境審議会地球環境部会の下に設置されております小委員会などの廃止についてということでお諮りするものでございます。
現在、この地球環境部会の下に、六つの小委員会と、それから三つの専門委員会が設置されております。これらのうち、この資料で下線を引いております三つの小委員会、または専門委員会につきましては、過去数年以上開催の実績がないということ、また当面、今後も開催の予定がないということで、中央環境審議会の総会における今後の中央環境審議会運営等の在り方についての方針、これに基づきまして、廃止をさせていただきたいと考えてございます。もちろん今後必要性が生じた場合には、また設置し議論を始めることは可能でございます。
なお、一つ目の炭素中立型経済社会変革小委員会につきましては、総合政策部会におきましても、同じ名称・趣旨の小委員会が設置されております。二つの部会の下にぶら下がるという格好になってございます。こちらにつきましても、後日、総合政策部会を書面開催させていただきまして、廃止についてお諮りする予定と聞いてございます。
以上、この廃止に当たりましては、部会の決定を要することでございますので、本日、お諮りするものでございます。
どうぞよろしくお願いいたします。
下田部会長
それでは、中央環境審議会総会における今後の中央環境審議会運営等の在り方についての方針に基づきまして、この三つの小委員会、専門委員会を廃止することを決定したいと思いますが、ご異議ありませんでしょうか。ご異議がある方は挙手していただければと思います。
下田部会長
それでは、異議がございませんでしたので、そのように決定したいと思います。
以上で、本日の議事は全て終了いたしました。円滑な進行にご協力いただきまして、誠にありがとうございました。
それでは、事務局にお返しいたします。
総務課長
部会長、ありがとうございました。
最後になりますけれども、地球環境局長の土居からご挨拶を差し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。
地球環境局長
本日は、活発にご議論いただきまして誠にありがとうございます。本日いただきましたご意見につきましては、各部署で深掘りをして、議論をさせていただき、また、この場でも再度議論いただければと考えております。
動向といたしましては、2月に地球温暖化対策計画が確定しました。今後は、これを実施に移していくというステージに移ってまいります。また、適応につきましては、本年中に評価、適応の影響評価報告書を答申させていただきまして、それを基に、令和8年度に気候変動適応計画の変更という作業に移っていきたいと考えております。さらに、様々な観点からご議論いただくことになります。よろしくお願いいたします。
本日いただきました議論の中で、ぜひ深掘りをさせていただきたいという観点、大きく捉えますと三つあろうかと思っております。
1点目は、各計画のフォローアップの重要性がますます高まったということでございます。特に、緩和の中心となります温対計画につきましては、これまでの考え方から目標設定のアプローチを変えたということでございまして、2050年カーボンニュートラルを確実にするために、投資、また活動の予見可能性を高めるという観点からバックキャスト的な形でやったということでございます。ですので、そういった観点からいきますと、これまでの積み上げ方式というよりも、さらにフォローアップが重要というふうになってまいりますので、そのフォローアップの仕方、また、評価の切り口などなども、ぜひご議論いただければと考えております。
2点目がシナジーという考え方でございまして、今回も様々な切り口のシナジーを提案いただきましたが、大きく分けますと、温暖化対策の中でいきますと、緩和と適応とのシナジー、また、環境省の所管業種全体で考えますと、ネイチャーポジティブやサーキュラー、また汚染の防止、こういった観点でのシナジー、さらに、温暖化対策として環境省が担うべき分野としての暮らしと地域、バリューチェーン、そしてJCMをはじめとした途上国との連携、こういった切り口でいきますと、社会的な課題、また地域課題、経営課題、こういったものの同時解決というものも大きなシナジーの分野ではないかと考えておりますので、どの分野がどうあるべきなのかというのも、ぜひ事務方で議論をさせていただきまして、またご議論させていただければと思います。
最後の3点目でございますが、これらの取組を、いかに効率的に伝えていくのか、広げていくのかという工夫も極めて重要ということで、ここはぜひ頭を絞らせていただければというふうに思っておりますので、部会での議論の在り方についてもご提案いただきましたので、こういったものも頭に入れながら、部会長ともよく相談をさせていただき、双方向の議論がさらに深まるようにしていきたいと思っております。
長時間にわたりまして、本日は誠にありがとうございました。引き続きのご協力をよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
総務課長
改めまして、委員の皆様におかれましては、本日、大変活発なご議論、ご指摘を賜りまして、誠にありがとうございました。厚く御礼申し上げます。
本日の議論の議事録につきましては、事務局で作成の上、委員の皆様にご確認をいただいた後にホームページに掲載させていただければと思います。
また、次回以降の日程につきましては、改めてご連絡を差し上げたいと思います。
それでは、以上で地球環境部会を閉会とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。
15時58分 閉会