地球環境部会(第148回) 議事録

開催日時

 令和4年1月26日(水)15時00分~17時42分

開催場所

 WEBによる開催

議題

(1)中央環境審議会地球環境部会の小委員会の設置について

(2)地球温暖化対策計画フォローアップ専門委員会の設置について

(3)国内外の最近の動向について(報告)

(4)その他

議事録

午後 3時00分 開会

総務課長
それでは、定刻となりましたので、ただいまから第148回中央環境審議会地球環境部会を開催いたします。委員の皆様には大変お忙しい中、ご参加いただきまして、どうもありがとうございます。
私、環境省地球環境局総務課長の西村と申します。去年の夏から、このポジションで仕事をさせていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、委員総数28名のうち、26名の委員の皆様にご参加いただく予定となっておりまして、既に21名の委員の方に参加いただいておりますので、定足数を満たし、成立していることをご報告いたします。
また、本日の部会はWEB開催となっておりまして、YouTubeで同時配信をしております。ご承知おきいただければと思います。
開催に当たりまして、何点かご協力をお願いいたします。
第一に、ご発言の際、カメラの映像は原則オフにしていただきまして、ご発言の際のみオンにしていただけますようにお願いいたします。
次に、ハウリングを防ぐために、ご発言いただく際以外はマイクの設定をミュートにしていただけますようお願いいたします。
ご発言を希望される場合には、ご自身の名前の右側にあるアイコンのボタンをクリックいただければと思います。挙手ボタンをクリックいただければと思います。また、ご発言が終わった際には、ボタンを再度クリックして挙手を解除いただけますようにお願いをいたします。もし挙手ボタンを押しているのに事務局側が気づかないなどのことがございましたら、チャットでお知らせいただけますと幸いです。
その他、通信トラブル等何かありましたら、チャットでご連絡いただけるか、あるいは事務局にお電話いただければと思います。
以上でございます。
それでは、開催に当たりまして、地球環境局長の小野より一言ご挨拶を申し上げます。よろしくお願いします。

地球環境局長
地球環境局長の小野でございます。委員の先生方におかれましては、大変お世話になっております。改めて御礼を申し上げたいと思います。
一昨年の菅前総理のカーボンニュートラル宣言、それから、2030年46%削減、さらに50%の高みに向けた挑戦を続けていくという表明があり、それを具体化するために地球温暖化対策計画、あるいはエネルギー基本計画、長期戦略といった計画を昨年1年かけて作成し、最終的にはCOP26直前に閣議決定をいたしまして、岸田新政権の下でございますけれども閣議決定をして、COP26で世界に発信したということであります。COP26におきましては、グラスゴー気候合意で1.5度に向けた決意というのを締約国全体で削減するという大きな成果がございましたし、さらに、日本が長年にわたって交渉をリードしてきております市場メカニズム、いわゆるパリ協定の6条のルールについても合意がなされ、それから市場メカニズムを使った、さらに削減の深掘りをどう進めていくかというフェーズになっているところでございます。岸田総理も年末、それから年初、それから施政方針演説などで気候変動について、非常に積極的なご発言、発信をされております。気候変動問題が新しい資本主義の実現によって克服すべき最大の課題であるというご認識、さらに、それと同時に世界が注目する成長分野であるこの分野の投資費を早急に少なくとも倍増させ、脱炭素の実現と、新しい時代の成長を生み出すエンジンとしていきますと、こういう基本認識について、施政方針演説の中で明確に述べておられるということでございます。
そういった動きを受けまして、この1月18日にはクリーンエネルギー戦略に関する有識者懇談会が官邸で開かれまして、ここで萩生田経済産業大臣、それから山口環境大臣に対して、クリーンエネルギー戦略の策定に向けて様々多くの論点、方向性を見いだして、新しい資本主義実現会議で報告するようにという指示をいただいたところでございます。特に山口環境大臣に対しましては、地域社会が主体的に進める脱炭素の取組の後押し、国民一人一人の理解促進、暮らしの変革についてと、具体的な検討をということで指示をいただいております。
今日の会議におきましては、この指示をどう環境省として、こなしていく、現実のものにしていくのかというご提案をさせていただき、ご審議をいただきたいと考えております。また、こうした流れの中で、幅広い観点から様々なご指導をいただければと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

総務課長
ありがとうございました。
それでは、以後の議事進行は、大塚部会長にお願いをいたします。

大塚部会長
どうぞよろしくお願いします。
それでは、早速議事に入りたいと思います。
本日は議事次第のとおり、大きく三つの議題が用意されております。
議事の進め方につきましては、まず議題の1及び2を一括して説明・質疑応答を行い、その後で議題の3の説明・質疑応答をそれぞれ行いたいと思います。多くの方が発言できますように、説明者を含めてご協力をお願いいたします。
それでは、まず議題の1及び2につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

総務課長
それでは、議題の1につきまして、私、西村と坂口脱炭素室長のほうからご説明をさせていただきます。
冒頭、小野地球環境局長のほうから、岸田総理が先週1月18日に行われました、今画面に出ております有識者懇談会において指示をされた点についてご紹介がございました。繰り返しませんけれども、総理のほうから萩生田経産大臣、山口環境大臣にこうした検討のご指示をいただいたということを踏まえまして、環境省としても中央環境審議会に小委員会を設けていただきまして検討を行い、そして、総理指示に対してインプットをお返ししていきたいというふうに考えております。
それでは、次の資料をお願いいたします。
ということで、1月24日付で環境大臣のほうから中央環境審議会会長、高村先生のほうに対して、クリーンエネルギー戦略についてということでこのような諮問をさせていただいております。総理のご指示を踏まえたような検討の背景、あるいは内容とさせていただいております。
次の資料をお願いします。
これを受けまして、中央環境審議会会長、高村先生のほうから地球環境部会、それから総合政策部会、関わりの深い二つの部会に対して諮問を付議いただいております。
次の資料をお願いいたします。
それを踏まえまして、地球環境部会といたしましては、ここに今、画面に出ておりますような小委員会を設置いただければというふうに考えております。炭素中立型経済社会変革小委員会という名称にさせていただいております。この小委員会におきまして、総理指示を受けた検討を行っていただきたいというふうに考えております。
なお、総合政策部会におきましても、同じ名称の同じ趣旨の小委員会を設けるというご決定をいただくように、今手続を運んでいただいているところでございまして、実質的には一つの小委員会において検討を進めるというふうに考えております。
議題の1については以上でございます。
次に議題の2について、坂口さんのほうからお願いします。

脱炭素社会移行推進室長
脱炭素室長の坂口でございます。
引き続きまして、資料3-1をご覧いただければと思います。
こちら、地球温暖化対策計画のフォローアップについてでございます。この後、資料4のほうでも少々ご紹介いたしますが、昨年10月22日に新しい温対計画が決定されたということでございまして、もともとこの温対計画には、一つ目の四角にありますとおり、毎年の点検というものをしっかりやっていくということになっております。
今般、二つ目の四角でございますが、46%、さらには50%の高みということで、非常に高い目標を掲げるということになりましたので、これまで以上にフォローアップが重要となってまいります。これまで個別対策の進捗状況をAからEということで5段階評価等々していただいておりましたけれども、今般それだけではなくて、温室効果ガスの排出・吸収量の状況ですとか、その要因分析などと組み合わせて、各対策の結果、現時点でどこまで来ているのかといったことが分かりやすいようにすべきであろうと考えておりまして、その方法論、やり方について専門的、技術的な議論の場を設けることとしたいと考えております。
また、やはり、こういった進捗状況について、広く関心を持っていただくためにも、この進捗状況の発信方法についても、この場でご議論いただければと考えております。
さらに、この場において、これまでやってきました環境省関連の施策・対策についてもフォローアップをしたいと考えております。
なお、これらの手法によりまして、各省のフォローアップが行われるのが地球温暖化対策推進本部でございますけれども、そこで全体のフォローアップを行った上で、この地球環境部会におかれましては、後日全体の結果をご報告して、その場において進捗についてご意見をいただくこととしたいと考えております。
続いて、資料3-2をご覧いただければと思います。
ということで、こういった地球温暖化対策計画フォローアップ専門委員会というのを設けさせていただければと考えております。検討内容については、今申し上げたことでございます。
私のほうからは以上です。

大塚部会長
それでは、ただいまの説明内容につきまして、ご質問、ご意見などがございましたら挙手ボタンをクリックしてください。事務局で挙手している人を確認しておりますので、しばらくお待ちください。
なお、多くの委員にご発言いただきたいので、お一人1分以内でご発言いただきますよう協力をお願いいたします。
では、浅野委員、お願いします。

浅野委員
ありがとうございます。
小委員会、専門委員会を設置することについては、全く異論ございません。ぜひ、そこでちゃんとした議論が行われるということを期待したいと思います。
いろいろな政策提言がこれまでに随分政府でなされているんですね。ですから、屋上屋を重ねるという感じにならないように、これまで出されている様々な政策提言というものとどういう関係になるのかということが分かるような形で小委員会での議論を進められることを強く希望したいと思います。
それから、進捗状況の点検について、これまで指標などで少し関わりを持ってはきたんですが、個々の政策とその効果としてどれだけ温室効果ガスの排出量が下がったかということとを直結させることはなかなか難しいものがありますけども、そういうようなことをはっきりさせるべきだという意見も結構ありますので、可能な限り、頑張っていく必要があるかと思います。
この専門委員会でどこまでできるか、ちょっと分からないんですが、これまで大変気になっておりましたのは、こういう計画の中で分野横断的な施策とか基盤的施策と書かれている部分は、結構重要であると考えられるのですが、過去の温暖化の計画の進捗管理の中では、この部分はほとんどチェックされることなく、その進捗状況をしっかり見るということもなく進んできている。大変気になります。今回の計画では、分野横断的施策として挙げられているものを、さらにライフスタイルの転換とか地域脱炭素ロードマップについて、特出しの形でも扱っているということもありますので、削減というところについての技術的な議論ばかりじゃなくて、そういう分野横断的なものについても、ちゃんとどうやって見ればいいのかということをはっきりさせることはとても大事なことだと思いますので、専門委員会では、ぜひその辺りにも目配りをすることを忘れないようにしていただければと思います。
以上です。

大塚部会長
ありがとうございました。
では、石上委員、お願いします。

石上委員
ありがとうございます。
小委員会の設置の関係なのですけども、この小委員会の設置目的からいって、多くの様々なご意見をやはり集約していくという取組、必要だというふうに思いますから、ぜひ委員の選出も含めて、幅広い意見を集められるような様々な分野からの人選をぜひお願いしたいというふうに思います。
以上です。

大塚部会長
ありがとうございます。
では、小和田委員、お願いします。

小和田委員
小和田でございます。
まず委員の設置につきましては、クリーンエネルギー戦略、フォローアップともに異論ございませんので、どうぞよろしくお願いいたします。
クリーンエネルギー戦略を進めるに当たって、私から大きく2点、コメントをさせていただきたいと思います。
今回、地域社会が主体的に進める脱炭素の取組ということで、地域における様々なプレイヤーが主体的に動くことが何よりも大事だと思っています。例えば、商工会議所であったり金融機関であったり、あるいはエネルギーの地産地消、適応の観点を含めたレジリエンスの強化、こうした施策を具体的に進められるエネルギー会社など、各主体が連携しながら進めていくことで、これが地域創生にも役立つのではないかと考えてございます。
1例を申し上げますと、これは、手前どものことで大変恐縮でございますが、東京ガスも地域における1事業者として、先日、横浜市様とメタネーション実証実験に関わる連携協定を締結させていただきました。ここでは、自治体の所有している焼却施設から出てくる排ガスを活用した形で脱炭素化を地域全体で進めていくといったことを目指してございます。また、このような地域主体間の連携には、積極的に地方環境事務所のほうにも関わっていただきながら、さらには、地方自治体のリーダーシップが不可欠だと思いますので、ぜひ自治体も含めて官民連携で進めてまいれればと思っております。
一方で、昨年8月に実施した日商の調査によりますと、中小企業としてカーボンニュートラルに向けて具体的に何に取り組めばいいかというのは全く見当がつかない、分からないといった声が半数近くになっております。商工会議所でも事業者の取り組みを支援してまいりたいですが、この点におきましても、官側のご協力、ご支援をぜひ賜りたい、そのように考えてございます。ぜひよろしくお願いいたします。

大塚部会長
ありがとうございました。
では、下田委員、お願いします。

下田委員
ありがとうございます。
私も、二つの委員会の設置に関して異論はございません。ただ、二つの委員会とも設置趣旨の中に国民一人一人の理解ですとか理解の醸成とかということが書いてあって、私自身も、今回の地球温暖化対策計画、パリ協定長期戦略の大きな鍵は、やはり国民とか、あるいは中小事業者の皆さんの参画であると思っております。これまで国が主体で動かしてきたり、あるいは大企業の方がやってこられたことというのはかなり限界にあって、これからは需要側の中小事業者ですとか国民の参画ということが大事で、それが今お話のあったような地域社会ということにもつながってくるのだろうというふうに思っております。
それで、ちょっとお伺いしたいのは、このカーボンニュートラルの宣言から、もう1年数か月くらいたっているわけですけれども、その間で国民の理解とか意識とかがどれくらい変わっているのか。それから、それに対して、今環境省等でどういう広報、働きかけを考えておられるかということに関して、スタートラインとして、現状についてお教えいただければというふうに思います。
以上です。

大塚部会長
ありがとうございます。
では、井田委員、お願いします。井田委員の後で、事務局より一旦回答していただこうと思います。
では、井田委員。

井田委員
すみません、ありがとうございます。
簡単に言いますけれども、ちょっと最近取材しただけでも、南極のスウェイツ氷河の棚氷崩壊の危機とか、マダガスカルでは干ばつで死ぬような人が出ているところ、というふうなことに比べて、我々社会、政官民、メディアも含めて危機感というのがあまりにも少な過ぎると思います。口先だけの脱炭素でなくて、本当に実行にあることをどう進めていくかというのが問われるという視点で、この二つの小委員会をぜひ、私もちろん賛成なのですけども、進めていきたいと。
地域の脱炭素に関しては、これ、やはり見ていると、ローカルグリッドとか配電網、送電網に関するものというのは非常に重要になってきているんですよね。地方自治体のいいところというのは、役所の縦割りのようなものを超えて総合的な取組ができるというのがいいところなので、ぜひこの小委員会においても、既存の中央官庁の縦割りであるとか忖度とかいうこともない思い切った議論を、しかも危機感を持って早期に進めていただきたいというふうに思います。
もう一つ、点検の小委員会なんですが、多分、個別の点検というのは続いていくと思うんですけども、ここでやるべきというのは、46%から50%という野心的な目標からバックキャストして、今何ができているのか、何ができていないのかというようなことをやるという考えが非常に重要かというふうに思います。望むらくは、イギリスの気候変動委員会みたいなもの、権限の差というのはあっても、そういうような、かなりエッジの立った点検という、バックキャスト的なエッジの立った点検というのを新しくつくるんだったら、新しい仕事として、この委員会の場で進めていただきたいというふうに思います。
すみません、ちょっと長くなりました。

大塚部会長
じゃあ、今までの点につきまして、事務局からご回答お願いします。

総務課長
ご指摘ありがとうございます。
まず浅野先生から、屋上屋を架さぬよう、これまでの様々な提言を生かしてというご指摘ありました。
また、石上先生からは、幅広い意見を集めてというご指摘ございました。
また今、井田委員からは、ぜひ思い切った議論をというご指摘ございまして、いずれもご指摘のとおりだと思っておりますので、そのように進めてまいりたいと思います。
また、小和田委員のほうからは、地域において様々なプレイヤーが連携をして、自治体、企業、それから環境省の事務所、こういった官民連携でぜひというご指摘いただきまして、全くありがたいご指摘だと思っております。近年、環境省、そのように思いまして、いろいろ取組進めておりますが、引き続き進めていきたいと思っておりますので、ご協力をぜひお願いします。
また、中小企業に関連して、小和田委員と下田委員のほうからご指摘をいただきました。中小企業のほうもそのような状況、我々も日本商工会議所を通じて、日々密にコミュニケーションを取らせていただいております。
下田委員のほうから、カーボンニュートラル宣言以来、どれぐらい国民の意識は変わってきただろうかというご指摘ございましたが、私も結構地方を回ったり、いろんな方々とお話をしておりますが、劇的に変わったんじゃないかというふうに思っております。大企業の皆様も、カーボンニュートラルというのと、それまでの80%削減というのでは、かなり意味合いが違ってきますので、非常に本腰を入れた検討、覚悟を持った取組、始めていただいているというふうに思っておりますし、大企業あるいは金融機関がそのような意識になりますと、サプライチェーンも通じて中小企業にも影響が出てくるということで、中小企業の皆様も何かしなければいけないという点については、物すごく意識が変わってきているように思います。中小企業を支えておられる地域の金融機関なんかも、そのように変わってきているというふうに思います。
その次は、小和田委員が言ってくださったように、意識は変わったのだけど、じゃあ何から手をつけていいのと、そこを明確に示してほしいというのが現状だというふうに思いますので、そこはよく現場のお声を聞きながら、国としてもどういう役割が果たせるかということを考えていきたいというふうに思っております。
フォローアップのほうは坂口さんのほうから、浅野先生と井田先生のご指摘、お願いします。

脱炭素社会移行推進室長
ありがとうございます。
浅野先生のほうから、分野横断的施策の効果をどう見るかといったご指摘ございました。これに関しては、今すぐ答えが出せるかどうかというのは、ちょっと心もとないところではありますけれども、非常に重要なご指摘だと思いますので、少々時間のかかる可能性はございますけれども、ぜひチャレンジしていきたいなと思っております。
同様に、井田委員からも、目標からのバックキャストも、もちろんこの温対計画において、何をどこまでやれば、この46は達成できるのかというところまでは出しているわけですけれども、そこに対する現状というのを出していくというのが、このフォローアップの役目だと思っております。あとは見せ方とか、そこから出るメッセージをどのように分かりやすくお伝えするかということ、ほかにも幾つか視点あるかもしれませんけれども、その辺りも非常に重要なご指摘だと思いますので、とにかくできるところから手をつけていきたいと思っております。
以上です。

総務課長
小笠原課長からもお願いします。

地球温暖化対策課長
温対課長の小笠原です。
下田委員のほうから、ライフスタイル転換のための取組、まず出発点としてのお話ございました。カーボンニュートラル宣言前後の厳密な数字、今すぐ数字自体は手元に出てきませんけれども、ライフスタイル転換に向けた取組、施策というのは、まず前例として設備、例えば住宅・建築物そのものをどう省エネ化を図っていくというのがまず前提になるかと思います。そういう意味で、国交省、経産省、環境省合同で住宅・建築物の脱炭素化の検討会というのを昨年8月に取りまとめておりまして、それで2030年の姿、2050年の住宅・建築物の姿というのを設定した上、それに向けて住宅の省エネ基準の義務化であるとか、それをさらにZEH、ZEBレベルに引き上げていくといったことを3省で合意して、今はそれに向けた取組を進めておりますという。前提として、設備自体をどうしていくかという話と、それに加えて意識変革のための働きかけ、取組としては、従来より「COOL CHOICEと」いう旗印の下で、クールビズとかいろんなキャンペーンをやってきたわけでございますが、カーボンニュートラル宣言以後の取組といたしまして、まず具体的に国民が何をしたらいいのか分からないというご指摘を昨年前半いただいておりましたことを踏まえて、地域脱炭素ロードマップの中に別添として、ゼロカーボンアクション30というのを提示しております。これは衣食住、移動の中について、国民が日常生活の中でどんなことに取り組めるのということを具体的な30のアクションに選択肢として提示をしているものでございます。まだまだ、ちょっと我々の普及啓発が足りないんですけども、いろいろな自治体さんに、今いただいて展開いただいているところでございます。
それから、今日の資料の中に入れ込めてないんですけれども、この後も、ご説明する資料の中にちょっと漏れてしまったのですけれども、グリーンライフ・ポイントというのを今年度の補正予算で101億円用意をしております。これは、国民が環境配慮行動をしたとき、環境配慮製品・サービスの選択とかをしたときに、企業や自治体がポイントを発行する取組に対して、その準備経費を支援しようという。例えば、お店に行ったときに販売期限間際のお弁当を買ったりしたら、ポイントがつくというような、そういった取組を広げていこうという予算を101億円取っておりまして、今この執行に向けた準備をしておりますので、こうしたことを通じて、環境に配慮した国民にポイントが発行される、そういった取組を拡大していきたいというふうに考えております。
そのほかにもナッジ事業を近年やっておりますので、これをどう社会実装していくか、そういった取組なんかも行いながら、さらに総理からの指示も踏まえて、設置をいただく小委員会の中でどのようなことがさらにできるかという検討をしていきたいと考えております。まず、出発点としては、説明以上のとおりでございます。

大塚部会長
よろしいでしょうか。どうもありがとうございます。
では、また再開します。
田中加奈子委員、お願いします。

田中(加)委員
すみません。私、呼ばれていたのがちょっと分かっていなかったので申し訳ないです。ありがとうございます。
炭素中立型経済社会変革小委員会の設置について、議論を深くしいただけるとのこと、とてもいい試みなのかなと思っております。もう既に、ある程度おまとめになっていただいた後で、また少し繰り返しになる部分があるんですが。お願いするとすると、具体策の検討の中で、まさに小和田委員のご意見に近い部分もあるんですけれども、特に地域社会が主体的に進める脱炭素の取組の後押しということなのですけれども、地域イコール人が持続的に暮らしていかなければいけない場所ということであって、それは雇用なども深く関係しますし、その文脈からも目指す大きな絵姿であるカーボンニュートラルという大きく変わり得る将来社会に沿った産業振興とその中での意識向上、そして、あるいは初等教育から社会人教育という広い世代への教育ということも、自治体とか地域の特色のある方法で、ぜひ検討していただければと思います。
そういうことで、その次に続いていらっしゃった国民一人一人の理解促進もそうですし、今まとめてくださった中にもありましたけれど、本当に暮らしの変革というところにも直接的、そして、長い目で見たときに間接的にしっかりつながるのかと思います。井田委員の地域は縦割りが少なくて取組ができるという先ほどのご意見も聞いて、さらに期待を込めてなので、どうぞよろしくお願いします。

大塚部会長
ありがとうございます。
では、藤村委員、お願いします

藤村委員
ありがとうございます。
先ほど、井田委員、ほかの方々からもありましたけれども、本当に気候危機の危なさだとか脱炭素の重要性に対する市民の認識というか、その辺が深まっていないということは非常に危惧しております。一部若い人たちで熱心にやっているグループはいますけども、普通の学生さんたちに聞くと、そんなことはあまり考えたこともないし議論したこともないよという声を聞きます。また市民の方々も、異常気象には関心があるけれども、それが気候変動と関連して考えられる市民というのは本当にまだまだ少ないです。まちの中を歩けば、まだまだこうこうと電気がついています。そして、また中小企業の方も、脱炭素という言葉は聞いたことがあるけど何していいんだか分からないという話をよく聞きます。なので、やはりもっともっとこの辺のところ力を入れていただきたいなということです。
それで、小委員会の設置については、文句はございませんけれども、専門的、技術的な議論の場ということですけども、本当に幅広いところでの議論ができるような構成にしていただきたいということと併せて、先ほど環境省の方からこんなことを考えているというお話もありましたけれども、上からの普及ではもう限界があるというのをつくづく感じております。なので、またその点については、後ほど、私のほうから提案させていただきたいと思いますが、とにかく今までのやり方では絶対広がらないというふうに思います。
以上です。

大塚部会長
ありがとうございます。
では、小西委員、お願いします。

小西委員
ありがとうございます。
私も、委員会の二つ設置はとてもよいことだと思っております。
まず、こちらの炭素中立の小委員会のほうなんですけれども、今のご説明を理解する上では、また恐らく環境省と経産省で別々の小委員会が並行して走っていくのかなという気がしたんですが、どのように連携されていくのか。もし取り扱うアジェンダにすみ分けとかがあるならば、教えていただきたいなと思います。
岸田首相が18日の有識者懇談会でも非常に、カーボンプライシングをはじめ、いろいろなアジェンダを挙げて、環境、そして経済の好循環ということに前向きな姿勢を示されたのは、とてもうれしく思っているんですけれども。ここの小委で取り扱うアジェンダ、非常に多様になると思いますので、どのように進めていかれるのか、お聞きできればなと思っています。あと、どういうアウトプットをいつまでにどういうタイムラインでお考えかということも教えていただけたらなと思います。
先ほどから言われていますけれども、やはり多様な委員の人選で、かつ多様な意見を聞いていただける場になってほしいなと思っております。
あと、もう一つの温対計画のフォローアップのほうなんですけれども、パリ協定がすっかり完成しまして、これから実施は、まさにそれぞれ地域が実施主体になっていくということで非常に重要だと思っております。我が事化が非常に重要だと思いますので、環境省さん、これまで一生懸命呼びかけてこられた、例えば2050のゼロを宣言している自治体さんとか、これから温対法の改正で地域の再エネ目標とか、そういった計画も立てていくことになっていますので、そういった地域に主体的に発表してもらう場を設けるなどの、言わばプレイヤーが主体的に関わる場所というものをつくっていくことによって、我が事化が進んでいくのではないかなというふうに思ったりしています。また、そういったご計画もあれば教えていただければと思います。
以上です。

大塚部会長
いろいろなアイデアをありがとうございます。
では、右田委員、お願いします。

右田委員
聞こえますでしょうか。

大塚部会長
はい。今聞こえました。

右田委員
ありがとうございます。
有識者会議での岸田総理のご指示の内容を拝見いたしまして、大変心強く感じております。今後、小委員会での議論が深まっていくと理解しておりますけれども、そこでの論点となりそうな件に関して、経済界の立場から意見を申し上げたいと思います。
まず第一に、政府の強力なリーダーシップとバックアップについてであります。2050年カーボンニュートラルという極めて野心的なゴールを実現するためには、エネルギー供給構造の変革はもとより産業構造、国民生活など社会全般にわたって大きな変革が必要になると考えております。産業構造に関して言えば、革新的技術の開発、社会実装といったイノベーションの創出、あるいは、既存社会インフラの入替えに加えて水素社会に対応した新たな大規模インフラの整備など、変革に向けて莫大な投資が必要になると考えられます。
経済界としては、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて全力で挑戦していくという決意でおりますが、将来の投資の予見可能性を高めるという観点からは、総理のご発言にございますように、どのような分野でいつまでにどれぐらいの投資が必要になるのかと、時間軸のあるロードマップをしっかりと政府から提示いただくことが大変助けになると思っております。
また、これから脱炭素化に向けて企業がチャレンジしていくということに対して、財政面を含む強力かつ継続的なご支援をいただければと考えております。
2点目は、カーボンプライシングに関してであります。脱炭素化、これは今や企業経営にとって最重要の課題となっております。経済界は、2050年カーボンニュートラルの実現に全力で挑戦する決意を固めているわけでありますが、同時に、脱炭素化によって、我が国産業が国際的に戦えない状態に陥るということはあってはならないと考えております。足元、既に我が国のエネルギーコストは国際的に極めて高い水準にあること、日本の成長力のなさが国際的に浮き彫りになっていること等を踏まえ、脱炭素化への取り組みが経済へのさらなる悪影響を来すことは避けなければならいと思います。
地球環境部会に設置されておりますカーボンプライシングの活用に関する小委員会において、様々なカーボンプライシングの手法について議論いただいておりますが、どれを優先して議論するかということではなく成長戦略の趣旨に沿った制度設計をし得るかという観点から、引き続き専門的、技術的な議論を重ねていくことになっていると伺っております。今後のクリーンエネルギー戦略の検討に当たっても、カーボンニュートラルに取り組む産業のイノベーションを阻害しないようにという視点を踏まえて、地に足の着いたしっかりとした議論をお願いしたいと考えます。
以上でございます。ありがとうございました。

大塚部会長
ありがとうございました。
では、亀山委員、お願いします。

亀山委員
亀山です。
ご説明ありがとうございました。二つの委員会の設置に賛同いたします。
その上で、でありますが、本日の資料を拝見いたしますと、一つ目の小委員会については、主に対象が炭素中立型の社会に至る道筋を描くということで、どちらかといえば長期といいますか、2050年というふうにどこにも年限は明記されていないのですけれども、恐らく中長期的な全体像を描くことが求められているというふうに受け止めました。
他方、二つ目のフォローアップのほうは、主なゴールは2030年にあって、そこを目指してきちんと対策がとれているのか、排出量が想定されたとおりに減っているのかということを主に見ていくのが求められているというふうに理解しました。
しかし、先ほど右田委員がご指摘になったように、時間軸を意識するということは非常に重要だと思っておりまして、一つ目の2050年を目指している委員会のほうでも、2050年に脱炭素を目指すのであれば、2030年までに何をしていかなきゃいけないのかという工程表を含めて議論していただく必要があると思いますし、二つ目のフォローアップの専門委員会のほうでも、単に2030年の目標に達するかどうかを見るのだけではなく、それに加えて、その先にさらに減らしていくような道筋がきちんと整えられているのかという点も含めてフォローアップをしていただく必要があると思います。要は、この二つの委員会が相互に情報を共有し合いながら両輪として進んでいくことが望ましいと考えております。実際の進め方、難しいかもしれませんけれども、ぜひそのような工夫をしていただければと思いました。
以上です。

大塚部会長
ありがとうございます。
では、ここで一旦、事務局からご回答いただきたいと思います。よろしくお願いします。

総務課長
分かりました。
まず、田中委員からのご指摘でございます。地域社会の脱炭素化の後押しという意味で、雇用ですとか、あるいは、さらには教育みたいなところにもしっかり目を向けてというご指摘いただきまして、ぜひそのように考えていきたいというふうに思っております。
また、藤村委員のほうからは、国民一人一人、あるいは中小企業も含めて、もっともっと意識が上がっていくように力を入れるべしというご指摘いただきましたので、引き続き努力をしてまいりたいと思いますし、また、幅広い意見をということを改めておっしゃっていただきましたので、それは小西委員からもそうでしたが、そのようにしてまいりたいというふうに思っております。
また、小西委員のほうからは、経産省のほうとの関係についてご質問をいただきました。経産省のほうは、実は先週1月18日の官邸での総理指示に先立ちまして、昨年の12月から産業構造審議会と総合エネルギー調査会の下でクリーンエネルギー戦略について議論をする場を設けて、議論をキックオフをされております。それで、総理指示があったことも受けまして、今月以降は関係省庁、環境省も含めてですけれども、関係省庁も経産省の審議会のほうにオブザーバーという形で参画をさせていただいておりまして、関係省庁のほうからも、最終的にクリーンエネルギー戦略にインプットをしていくという構えになってございます。
そういうことで、日々コミュニケーションをしておりますけれども、引き続き、経産省ともよく連携をして、環境省、それから中央環境審議会の検討をクリーンエネルギー戦略、そして政府全体の新しい資本主義のプランの中にインプットをしてまいりたいというふうに考えております。
また、タイムラインのほうは、まだ政府全体ではっきりしておりませんけれども、例年5月とか6月に骨太の方針ですとか成長戦略、そういったものが固まってまいりまして、来年度の政策づくりに向かっていくわけでございますので、その辺りを念頭に、比較的短い期間で集中的な議論をしていくのかなというふうに思っているところでございます。
また、小西委員からは、自治体の主体的な参加をというようなご指摘もいただきましたので、その辺りは昨年、地域脱炭素ロードマップをつくる過程でも自治体の皆様にたくさん参加をいただきましたが、そのようにこれからもやっていきたいというふうに思っております。
次に、右田委員のほうから、大きく二つご指摘をいただいたというふうに思っております。
一つ目には、産業界として全力でカーボンニュートラルに挑戦をしていくということで、大変ありがたく思っておりますけれども、それに対して政府の強力なリーダーシップ、バックアップをお願いしたいというお話でございまして、これは環境省単独ではできませんが、経済産業省をはじめ、政府全体でそういう思いでおりますので、しっかり連携してまいりたいというふうに思っております。
また、投資の予見可能性という観点で、どういう分野でどういうようなタイミングでどれぐらいの規模の投資が必要なのか、そういうロードマップが必要ではないかというご指摘いただきました。これも大変重要なご指摘だというふうに思っておりますので、この辺りも関係省庁と連携をして、大きな課題として考えてまいりたいというふうに思っております。
それから、二つ目にカーボンプライシングと我が国の産業の現状についてのご指摘いただきました。おっしゃっていただいたとおり、岸田総理も今回の一連のカーボンニュートラル、気候変動についてのご発言、成長のエンジンとしていきたいということもおっしゃっておりますので、安倍政権以来、経済と環境の好循環ということで政府一丸でやっておりますので、引き続きそういう考え方で進めてまいりたいというふうに思っております。
それから、亀山委員のほうから、小委員会のほうは比較的長期で、フォローアップの専門委員会のほうは、比較的2030年を意識したものかなというご指摘ございましたけれども。まず小委員会のほうは、何も長期に限ったことは考えておりませんので、短期的にやるべきこと、それから中長期的にやるべきこと、全体を視野に入れて考えてまいりたいというふうに思っているところでございます。
坂口さんのほうから、専門委員会のほう。

脱炭素社会移行推進室長
まず、小西委員から、フォローアップについてもご指摘をいただきました。地域の再エネ目標とか、こういった地域関係のところについてのフォローアップをどうするかといったご指摘だったかと思います。今回の温対計画の中でも、やはり地域の取組をしっかりといったことも、実際、それによって、どれだけ下げるというところまで含めて書いているわけではございませんが、いわゆる横断的施策のうちの一つとして書いているところでありますので、そこのフォローアップの仕方についてはしっかり議論をしていきたいと思います。いただいたアイデア、この専門委員会でやるかどうかは別としまして、幅広く考えていきたいと考えております。
また、亀山委員からのご指摘、2030年、確かにこれ、温対計画のフォローアップですので、今回の技術的手法という点においては、2030年の目標まで、どのようにこれを達成するかというところを主眼に議論はいたしますけれども、もともと今回の2030年目標が2050年カーボンニュートラルを強く意識した数字にもなっておりますので、常に2050年がその先にあるということは念頭に置きながら議論をしていきたいと思いますし、結果、この部会でもフォローアップの結果をご報告してご意見いただく場を設けたいと思っておりますので、そうした場においてもいろいろご議論いただければと思っております。
私からは以上です。

大塚部会長
では、再開します。
田中里沙委員、お願いします。

田中(里)委員
田中です。発言させていただきます。
皆様もおっしゃっていましたが、今多くの企業がサステナビリティに向き合って、脱炭素を経営に組み込むことをトップが約束して公言もしています。
その上で、特に上場企業を中心に、マテリアリティについては思案中の企業も多くて、戦略と取組を分析して経営資源の選択と集中を図りながら、2030年までのロードマップを描こうと苦労されているというふうに承知しています。ここにタイムリーな日本の環境政策の現状が活動の当事者である方々に伝われば、企業及び企業が保有するステークホルダー向けにも参加の機会やヒントを出していくことができますので、BtoBとBtoCのコミュニケーションを分けて丁寧に継続的に行うべきではないかというふうに思います。
また、中小企業は、気候変動の関連の財務情報の開示にどこまで対応すべきかとか、対応できるのかということに悩んでいますので、丁寧に情報が行き渡るようにしたく思います。情報の送り手に当たる多くの企業や地域企業、また行政の方々にベースになるような共通情報が分かりやすく伝われば、企業を通して顧客や従業員の方にも広がると期待できます。
個人向けにおいては、世代別の関心事に合わせた適切な切り口がありますので、共感や接点の面で親和性のあるメディアで発信をして、効果のあったものはシェアする流れをつくっていってもよいのではないかと思います。今、生活者の視点では、それぞれの人が脱炭素につながる活動や取組がこれで合っているのかなとか、役に立っているのかなというふうにちょっと分からなくなってしまっているという懸念も聞きますので、マクロとミクロの視点から個人の活動が全体の目標達成につながっているという実感が得られるような情報面のサポートやコンテンツづくりが有効だと思っています。
企業における脱炭素の取組は、生産性の向上や、今言われている新たなスキル開発、リスキリングの充実と、つながる事例も創出できますので、二つの委員会、小委員会、専門委員会の設置については大賛成でございますし、アクティブな議論と、現場のリアルな情報が関係者に迅速に共有されることを期待をしたいと思っております。よろしくお願いします。

大塚部会長
ありがとうございます。
では、藤本委員、お願いします。

藤本委員
藤本です。聞こえておりますでしょうか。

大塚部会長
聞こえています。ありがとうございます。

藤本委員
発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。
私も皆様がお話しされているように、二つの委員会の設置については賛成いたします。特に、岸田総理のクリーンエネルギー戦略に対する対応ということで、非常に重要なテーマがたくさん含まれておりまして、この中で経産省と環境省のほうで検討をするようにというご指示であると理解をしてございます。ただ、先ほど経産省でも検討されていて、オブザーブを環境省でもされているというお話もございましたけれども、一つの省庁だけで解決できるような課題でもないと思いますし、省庁横断的にこの議論を活性化していただきたいと思いますので、環境省として具体策の検討をするに当たっても、逆に他の省庁に対してもご検討いただきたい、ご協力いただきたい点なども含めて具体策の検討をされてはどうかと考えております。
また、ここで出てくるような具体策というのは、これまでも環境省の中でもご検討されていた内容と思ってございまして、改めてということになりますと、これまでの施策と何を変えていかないと実現できないのかということになると思います。具体的に言えば、これまでの施策がなぜ進捗しなかったのかということの課題やハードルをまず明確にしていただいて、それを乗り越えるためにどういう対応をしていただくのがいいのかということを、ぜひこの具体策の中に盛り込んでいただければと考えております。
あともう一つ、時間軸のお話もあるのですが、コストを伴う部分もあると思っています。この脱炭素の取組に関して、当然、その予算とかお金をつけていかなければならない面があると思っていますけれども、全てに対して、お金をつけてということは難しいと思うので、ぜひ優先順位も含めて具体策の中に盛り込んでいただければよろしいかと思ってございます。
私からは以上です。

大塚部会長
具体的なところもお話しいただいて、ありがとうございます。
では、中根委員、お願いします。

中根委員
中根でございます。
二つの委員会の設置に賛同いたします。
その上で、炭素中立型経済社会変革小委員会の設置について、1点コメントです。
炭素中立型の経済社会変革の道筋の全体像、特に地域社会が主体的に進める脱炭素の取組の際には、長期戦略を論じることも含みますので、現在の気候のみを前提にせず、必ず気候変動影響や適応策の観点を前提として論じていただきたいと思います。猛暑が増えることとか、災害のリスクを避けるために撤退することも考慮する必要があるとか、コンパクトシティ化とともに考えるとか、そういうことですね。例えば、検討の第1回目、報告書の取りまとめの際に、気候変動影響や適応策との関連、また、その他の重要な観点との関連について確認することかと思います。これはエコまちづくり等の他の小委員会についても同様です。
もう一つは、省庁横断については、連携については、かなりよく行われるようになってきていることを感じているんですけれども、今申し上げたようなことに関しては、部会横断とか小委員会や専門委員会の間の連携が大事だということで、場合によっては、必要に応じて合同小委員会なども検討していただくのも有効なのではないかと、そんなふうに感じております。
以上です。

大塚部会長
どうもありがとうございます。
いろいろお考えいただいて、誠にありがとうございます。
では、西尾委員、お願いします。

西尾委員
ありがとうございます。
私も、二つの小委員会の設置に関しては大賛成でございます。ぜひとも効果的、効率的に議論が進むようにしていただければと思います。
そこで、前半の炭素中立型経済社会変革小委員会のところの部分について、2点ほどコメントさせていただければと思います。環境省側の役割としては、地域社会が主体的に進めるための後押しと、それから、国民一人一人の理解促進、ライフスタイル変革といったところがあるかと思います。
1点目は、先ほど藤本委員もおっしゃいましたけれども、国民一人一人の理解促進やライフスタイル変革のために、これまでかなり多くの施策が環境省を中心になされてきたかと思うんです。今回の議論を始めるに当たっても、今までの施策でうまくいった点、あるいは、うまくいかなかった点、課題等々をまず整理した上で、効率的に議論が進められるように、ぜひともご準備をお願いできればと思っております。
それから、国民一人一人の取組をいかに進めていくか、ライフスタイル変革というところに関して、まさに国民一人一人の取組は重要なんですけれども、地球環境問題は、ある程度、地域コミュニティ全体で同じ方向を向いて、同じように行動していかないと、効果も発揮できませんし、地域コミュニティ全体としてのライフスタイル定着というようなところにも結びつかないかと思うんです。
実際の施策として、ポイント発行支援だとか、先ほど、ナッジであるとかというような形で、そういうものの施策も支援できるような対策も同時で計画されているということですが、これらの施策は体験のきっかけなり、効果もあると思いますが、それを定着させて深化させていく点では限界があると考えます。国民に気づきを与える段階、実行してもらう段階、習慣化してもらう段階というように時間軸毎に戦略を考える必要があると思います。
変革のためには、社会規範、コミュニティ規範をどう変えていくも重要で、そのための施策をどうするか、様々なステークホルダーにどういう役割を担い協力してもらうか、どういう教育を行うかという制度設計の問題にもなっていくかと思います。短期的な目標、中長期的な目標、最終ゴールは、いつまでにどうするかということを明確にした上で、効率的な議論が進められることを期待したいと思います。
以上でございます。

大塚部会長
ありがとうございます。
では、勢一委員、お願いします。

勢一委員
ありがとうございます。勢一です。
私も二つの委員会の設置には賛同をいたします。その上で、両方に関わる検討の進め方についてリクエストをさせていただければと思います。
先ほど、既にご意見が出ておりますが、屋上屋を架さないようにという的確なご指摘、これは私も大変重要だと思っております。これまでの政策、施策との位置づけ、整合性や変更点など、しっかり留意して見ていく必要があろうかと思います。
それに加えて、各分野の政策の位置づけの整理も非常に重要だと思っています。分野ごとに整合性が不十分な政策展開にならないよう留意するには、どのような形が可能であるかと、方策の検討も併せて進めていただきたいと思います。
どちらの委員会の所掌に関しても極めて広い分野にわたる多様な政策展開が予定されているものになります。分野横断的な施策の実施をどのようにしていくか、その実施に対するチェックをどのような方法で、また、組織体制として、どのようにそれを確認し、遂行していくのかというところ、組織の部分も重要だと思いますので、ご検討いただければと思います。
先ほどのご意見の中で、地方自治体は縦割りではないのでというご発言がありまして、確かに、本来、そのはずでございます。しかしながら、現場では必ずしもそうはなっていないという悩みがあります。自治体の行政でも縦割りの打破は長い間、課題になっています。と申しますのは、自治体の業務、それに関わる多数の法律であるとか、その法律に関わる国の所管に合わせた縦割り構造が根強くできております。そのため、法令の仕組み、政策、それの下にある制度、所管組織、こうしたものの縦割りを国レベルで、まずは解消し、その解消した形の横断的な連携の下で施策を展開していただき、それを地域の実践として自治体や地域の多様な主体の取組につなげていただく。こういう形で、ぜひ、政策の分野横断化を具体的に進めていただければと思います。
私からは以上です

大塚部会長
ありがとうございました。
では、ここで一旦切らせていただきまして、事務局から回答をお願いします。

総務課長
後で、また小笠原課長に補足いただければと思いますけれども、田中委員から上場企業向けのそれに資する取組ですとか、あるいは中小企業の悩み、それを解消するような取組についてお話しいただきましたけれども、全く同じ問題意識を持っておりますので、そうした点、少しでも支援できるように考えていきたいというふうに思っております。
それから、藤本委員のほうから、各省、しっかり連携するようにということをおっしゃっていただきましたけど、ぜひ、そうしたいというふうに思っています。
また、藤本委員、それから西尾委員、それから勢一委員、それぞれ共通して屋上屋にならないように、それから、これまで何をやってきて、今回のプラスは何なのか、その辺りを整理しながらというご指摘を共通していただきましたので、その辺りに注意をしながら進めてまいりたいというふうに思います。
それから、藤本委員からは、やはり進めていく中ではコストというものが出てきて、どういう優先順位でやっていくべきなのかというご指摘もございまして、その点も重要な点だと思いますので、念頭に置いて進めたいというふうに思います。
それから、中根委員のほうから、気候変動が進んでいくのであると、そういう影響が出てくるのであるということを意識をして、適応策ですとか、あるいはコンパクトシティ化と、そういったことを考えていくべきではないかというご指摘いただきました。この点もおっしゃるとおりだと思いますので、そのように進めてまいりたいというふうに思います。
一旦、ちょっと私からはこれぐらいにしまして、小笠原課長と坂口室長のほうから補足いただければと思います。

地球温暖化対策課長
じゃあ、地球温暖化対策課長の小笠原でございます。
田中里沙委員のほうから、個人に対して親和性のあったメディアで発信というご指摘、大事だと思います。我々も女性向けに発信するときには、例えば、Hanakoであるとかクラウドクンだとか、そういったメディアとタイアップしながら発信するとか、そういった取組も始めているところでございまして、そういったことも参考にさせていただきながら取り組みたいと思います。
それから、個人の取組がどう環境に役立っているかということを伝えることが大事という点も重要だと思います。今、ゼロカーボンアクション30における個々の、例えば断熱リフォームしたらどれぐらい環境にいいのかとか、食ロス削減に貢献したらどれだけ減るのか、そういったことを定量的に見せるようなことができないかという、そういった検討も行っているところでございます。
それから、西尾委員のほうからライフスタイル展開について、根本的、かつ重要なご指摘をいただきました。これまでの施策の課題ということを整理した上で、どのように効果的にやっていくのかという点、まさに非常に重要だと思います。タイムラインをどうしていくかということ。
先ほども委員のご意見の中で、国として全体への情報発信だけではなかなか届かないんじゃないかといったご趣旨のご指摘もございました。そういったことも踏まえて、検討していきたいと思います。ありがとうございます。

脱炭素社会移行推進室長
フォローアップ関係、勢一委員をはじめ、幾つか、やはり分野横断的な施策のチェックの点とか、それから過去、これはフォローアップそのものではないのかもしれませんけれども、やったことが本当にうまくいっているのかどうかといったチェックも必要ではないかといったコメントをいただいているところです。
このフォローアップ、環境省が行っている施策について、しっかり見ていくというミッションも持っておりますので、その中でしっかり見ていきたいと考えております。

大塚部会長
ありがとうございます。
では、再開します。
江守委員、お願いします。

江守委員
ありがとうございます。
僕も二つの小委員会、専門委員会の設置に賛成いたします。その上で二つ意見を申し上げたいと思います。
一つは、言ってみれば、地球規模の科学的な観点からなんですけれども、現在の各国が掲げている目標では足りないということをいま一度認識する必要があると思います。
先日のCOP26で1.5℃を目指すということが改めて決議されたわけですけれども、一方で、現状の各国の目標では、それに足りていないので、来年までに必要ならば見直して、もう一度、目標を持ってきてくださいということは要請されたというのは、皆さん、もうご存じのとおりだと思いますけれども、これは日本だけの問題ではもちろんなくて、世界全体として、これは足りていないということをあまり思い出したくないことかもしれませんけれども、これを忘れてはいけない。
ですので、今から必要な議論というのは、現在、日本が掲げている2030年目標、それから、カーボンニュートラル目標を全力で達成するということはもちろんなんですけれども、それと同時に、さらに野心的なというか、意欲的な、より大胆な脱炭素を実現するいろんな変化ということをどうやったら起こしていったらいいか。しかも、それはいろんなものを犠牲にしてやりましょうという話ではなくて、いかにそれをみんなで目指したいと思って前向きに目指せるかというような議論をつくっていくということが同時に必要であるということを思い出さなくちゃいけないというふうに思います。そういった議論が、例えば小委員会のほうでもなされるということを期待したいと思います。
それが一つなんですけれども、もう一つは、これも特に炭素中立の小委員会のほうになると思いますけれども、委員の構成に関しまして、一つは次世代の委員、いわゆる若者世代、それから、もう一つは、専門家の中でも倫理とか規範の分野の専門家をぜひ入れていただきたいなというふうに思います。
これはこれまで行っておりました温対計画改正の産構審との合同部会で若者からのヒアリングというのをやりまして、その中から若者から提案のあったことに含まれていることです。1回ヒアリングをするのではなくて、毎回出席して意見を言う若者代表がこういうところに必要であるということと、委員構成の中で専門家の議論というのが、やはり経済であるとか、技術的な観点とか、政治学、法学といったことも、皆さん、それなりに多様な分野の、僕とか自然科学であるとか含まれていると思いますけれども、これまでの日本のこういった議論で、倫理みたいなことというのを正面から議論するということは非常に欠けていたんじゃないかと。これから大きな社会の変革を起こしていこうというときに、やはり、そういう観点というのは必要ではないかということが指摘されていますので、ぜひご検討をお願いしたいというふうに思います。
僕からは以上です。ありがとうございます。

大塚部会長
ありがとうございました。
では、紀ノ岡委員、お願いします。紀ノ岡委員いらっしゃいますか。

紀ノ岡委員
ありがとうございます。電気事業連合会の紀ノ岡でございます。
私からはクリーンエネルギー戦略ないし炭素中立型経済社会変革小委員会についてのご意見を申し上げたいと思います。毎回、申し上げていることではございますけれども、経済成長と両立する形でカーボンニュートラルを実現していくためには、S+3Eの同時達成を前提に、まず、供給サイドにおきましては、再エネ、原子力といった既に確立された脱炭素電源をできるだけ活用していきながら、CCUSをはじめとする化石燃料発電における新たな技術の開発にチャレンジをしていく。それによって、それぞれの発電方法における課題を乗り越えて、脱炭素化に努めていくということが重要でございまして、これは事業者として全力で取り組んでまいりたいというふうに思います。
他方、需要サイドにおきましても、社会全体を脱炭素社会構造、脱炭素構造に切り替えていくためには、CO2排出量の過半を占める電力部門以外の化石燃料の直接燃焼をいかに減らしていくかが非常に重要になってまいります。
電化が困難な産業分野におきましては、中長期的には水素、アンモニアへのエネルギー転換を図っていくとともに、電気を効率的に使うヒートポンプ技術の活用を進めていくことなどによりまして、可能な限り電化を図っていくということが非常に重要になってくるというふうに思っております。
この点、化石燃料等による熱源による設備が一度導入されますと、少なくとも設備更新時まではその熱源は使われますし、設備更新時もその熱源が選択される傾向にございます。いわゆるロックイン効果というふうに私どもは呼んでございますが、この効果が20年、30年及ぶということも考えますと、2050年というと、非常に随分先のようにお感じになられるかもしれませんけれども、本当にカーボンニュートラルを実現しようと思いますと、機器、あるいは建物の選択に関して、足元から電化を選んでいただくということが非常に重要になってくると思ってございます。
ご承知のように、今国会で省エネ法の改正が予定されておりますけれども、その中でこれまで対象を化石エネルギーの合理化に限定をしておりましたけれども、今後は非化石エネルギー導入の拡大に伴いまして、非化石も含めた全てのエネルギーの合理化が必要とされており、電気の一次エネルギー換算係数も化石電源だけではなくて、非化石電源も含めた全電源平均係数に見直す方向で検討が進んでおります。
この見直しによりまして、需要サイドでは、化石燃料を直接消費するよりも間接的に電気をご利用いただいたほうがより効率的にエネルギーをお使いいただけるということを政府としても明確に打ち出されたということだというふうに理解をしてございます。
このような省エネ法改正の趣旨を最終需要家に正しくご理解いただくことが法改正の実効性を高めるために極めて重要だと思ってございます。
省エネ法自体は、経済産業省の所管ではございますけれども、クリーンエネルギー戦略や、新たに設置される炭素中立型経済社会変革小委員会では、地域社会の主体的な脱炭素の取組や、国民一人一人の理解促進、暮らしの変革がご議論されるということですので、その際には、ぜひ省エネ法改正の趣旨を踏まえて、電化促進を後押しするような施策、あるいは電化によるメリットが見えるような形で各省庁、これは国交省、経産省、それから環境省一丸となって、ご検討いただくようによろしくお願いしたいと思います。
以上でございます。ありがとうございました。

大塚部会長
ありがとうございました。
では、沖委員、お願いします。沖先生、マイクは入っていますでしょうか。

沖委員
失礼しました。これで聞こえますでしょうか。

大塚部会長
本日はどうもよろしくお願いします。

沖委員
失礼いたしました。
小委員会、専門委員会の設置に関しましては、賛成いたします。
その上で、前半の炭素中立型社会のほうなんですけれども、この達成に向けての諮問に対しまして、真面目に取り組む、できるだけ早く炭素中立を達成するのが大事だという方針に際して一言申し上げます。本来、クリーンエネルギー戦略の諮問も新しい資本主義の実現のため、そして何のための新しい資本主義の実現かというと、それは私たちのウェルビーイングを増やす、あるいは、豊かで幸せな社会をつくるという大目的のために、この諮問が下りたのだと存じます。そうした趣旨を酌み取って、ぜひ、持続可能な開発の3要素である環境の保全、社会正義の実現、そして経済発展の進展という持続可能な開発の3側面を適切に育てる、育むために炭素中立を成し遂げるというような道筋を、ぜひ配慮しながら議論を進めていただけるといいんではないかというふうに思いました。
また、クリーンエネルギーという名前で諮問が来ているところで、炭素中立型という委員会を立ち上げるわけですが、何がクリーンであるかということに関しまして、国内外で様々な考え方があるという風にも思います。それらに関しましても情報を集めていただきまして、議論を深めていただいて、まさにここにございますような国民一人一人の理解の促進につながるようなご意見として提示していただくのが非常に重要なんではないかと思います。
どうもありがとうございます。

大塚部会長
ありがとうございます。
では、大江委員、お願いします。

大江委員
大江でございます。
私のほうからは地域社会ということにつきまして、一言意見を申し上げさせていただきます。
地域社会と一言で申しましても、本当にその実情というのは、もう日本全国でそれぞれ随分と違います。当然のことでございますけれども、例えば、気候の状況なんかも違います。
高齢化も随分と進んでまいりまして、いろんな分野で担い手不足というのが大変深刻な状況になってきております。2030年とか、あるいは2050年というようなことになりますと、今、私たちが思っております地域社会といったことからすれば、随分と違う景色になっていくということを踏まえておく必要があるんじゃないかと痛感しております。
そういった中で、これから地域社会への働きかけということで取組を促していくという観点では、いろんな事業をフルセットで示してすべて実施してくださいという形をとると、なかなか全ては難しいという反応になってしまいますので、ベストミックスと申しますか、それぞれの地域事情で得意とする、取り組みやすいというようなことを自由に選択してやれる形、地域社会で自主的な議論をして、うちの地域ではこれをみんなでやっていきましょうというようなことで主体的に決めてやっていけるというような形が、結果として日本全体で見れば効果が上がるのではないかと考える次第でございます。
ですので、委員会で今後ご議論を進めていただくに当たりましては、地域の多様性ということ、今の地域社会というのが大きく変わりつつあるということも、ぜひとも踏まえていただきまして、伸縮自在といいますか、そういう意味で地域社会への働きかけというのを考えていただきたいと願うところでございます。
以上でございます。ありがとうございます。

大塚部会長
どうもありがとうございます。
では、吉高委員、お願いします。

吉高委員
ありがとうございます。
両委員会の設置については賛成でございます。
聞こえておりますか。

大塚部会長
ちょっと小さくなっちゃったんですけど。

吉高委員
そうですか。ちょっとお待ちください。今マイクを。失礼しました。
菅元首相の気候変動対策推進のための有識者会議におきましても、有識者から英国のように、独立した気候変動の専門組織を設立する提案がございました。この度、岸田首相がイニシアチブを取っていただいたことについては、それに準ずるような専門的な組織になっていくのではないかと期待しております。環境省、経産省、各省庁とともに、密に連携を取るということですが、これまでのような連携とは違う(一体性のある)連携を期待したいと思っております。
それを前提にした上で2点ほど申し上げたいのは、一つは、人権についてです。先ほど、沖先生がおっしゃったように、新資本経済主義の中で、これを進めていく際には、セーフティネットのことをちゃんと考えていく必要があります。急速な環境変化に伴う人権の問題は、地域によってもかなり違ってまいりますので、この論点はこちらの小委員会のほうに入ってくるのではないかと思いますことから、やはり、そういった専門家は入れておく必要があるのではないかと思っております。
もう一点は、教育でございます。先ほど、江守委員からも委員会のメンバーに若い世代を入れるというご提案がありましたけれども、その若い世代を教育している方々へのインプットも重要なのではないかと思っております。今、小中の義務教育にSDGsが入ってると同様に、エネルギーなどに関する教育、エネルギーが我が国にとってどういう意味があるのかということを理解してもらうのはSDGsと同様に重要かと思いますので、分けて考えないほうがよいと思います。また、高校生であってもその点については知らないと思われます。国民一人一人の学びで気候変動の理解をしていても、多分、社会の仕組みとのつながりが分かりにくいと思います。そういった観点での教育を通じてインプットがされるようなことがあってもよいのではないかと思いますので、そのような高校生以下の教育の専門家も必要ではないかと思う次第でございます。
これら人権と教育については、フォローアップにも言えると思っています。フォローアップは、どんなところをフォローアップするかというのを、これから詳細を詰めることになると思いますが、この辺をどのようにお考えなのかも、ぜひお聞きできればと思っています。
特にフォローアップに関しましては、フォローアップ期間の時間軸を通常長くとることがあると思う一方、これからはかなり頻度も必要になってくるのかなとも思っておりますが、いかがお考えでしょうか。質問させていただきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。

大塚部会長
どうもありがとうございました。
藤村委員、2回目でしょうか。

藤村委員
すみません。先ほど、意見は短めにということだったので、提案は後でと申し上げたんですけれども、既に関連するお話がいろいろ出ているので、追加発言をお許しいただきたいというふうに思っております。
1点目は、国民一人一人の理解促進、人材育成で、この点に力を入れてほしいということですけども、具体策として、以前からお願いしている気候市民会議を全国展開するというのはどうかなと思っています。特に地域脱炭素ロードマップづくりの中で、市民参加、気候市民会議の手法を取り入れるというふうなことを、ぜひ環境省として推進をしてほしいなと。
加えて、そこで出た意見を必ず、全部とは言いませんが、必ず地域の施策の中に反映させるという仕組みまで、ぜひつくっていただきたいんです。そうでないと、言い放しになってしまいます。必ずそれが反映されるということで、参加した市民もとても元気になります。さらに、そういう場で、私たちNGOの力もぜひ大いに使ってほしいなというふうに思っています。
自分たちが参加して、考えて、議論してつくり上げた政策には、市民は必ず協力をしますし、やっぱりそういう市民を増やしていくということが、長期戦になる脱炭素との戦いの大きな力になると思います。実効性の定かではない技術にばかり投資しないで、こういうところに、ぜひ税金を投入していただきたいなというのが1点目です。
それから、委員会メンバーを幅広くということは、先ほど申し上げましたけれども、江守先生からも次世代をということをお話がありましたし、倫理に関しては、私が代表を務めます環境文明21でも、そういう提案をしておりますので、ぜひ、そういうメンバーを加えていただきたいということが1点。あわせて、参加する省庁も横断的にというふうに思います。文科省の方にもぜひ参加してほしいです。今の環境教育は本当に不十分です。なので、まさに持続可能な脱炭素社会に向けた環境教育という視点から、文科省の方々だとか、あるいは環境省の中でも環境教育推進室だとか、市民活動支援推進室ですかね、そういうメンバーもぜひ入れていただきたいなというふうに思っております。
以上です。

大塚部会長
どうもありがとうございました。
私が当初考えていた時間を大幅にオーバーしておりますが、事務局から簡潔に回答をお願いします。

総務課長
分かりました。簡潔に申し上げます。
まず、江守委員のほうから、今の各国のNDCを足しても足りないのであるというご指摘いただきまして、おっしゃるとおりでございます。これも江守委員ご自身にもおっしゃっていただきましたけれども、今日、我が国の国内の取組の話題がここまでは中心でございましたけれども、新しくつくる小委員会では、途上国、あるいは新興国の削減への協力なんかも含めた国際的な点も含めて議論していきたいというふうに思っておりますので、世界全体でしっかりと削減ができるように、そういうことを考えてまいれればというふうに思っております。
それから、小委員会のメンバーにつきまして、江守先生、あるいは吉高委員、藤村委員からご指摘いただきまして、ご指摘も踏まえまして、部会長とよく相談をしてまいりたいというふうに思っております。特に若者、倫理といった点、ご指摘ありましたので、確かに倫理みたいなところは、あまり、私自身なんかも深く考えたことはございませんでしたので、よく勉強してみたいと思います。
それから、紀ノ岡委員のほうから、電力供給、エネルギー供給のほうからも全力で取り組んでまいるというお話をいただきまして、大変ありがたく思っております。
また、省エネ法の改正を含めて、エネルギー政策の前進、変更みたいなところのご紹介もいただきましたので、私どもとしてもエネルギー政策の進展と整合するような形で議論を進めてまいりたいというふうに思っております。
それから、沖委員のほうから、炭素中立に向かっていくに当たっては、環境のみならず、社会、経済、サステナビリティの3側面全て適切にバランスよくというご指摘いただきまして、全くそのとおりだというふうに思っております。
それから、大江委員のほうから、地域社会というのは、それぞれ地域ごとに実情が違うし、また、刻一刻変わっていくというお話をいただきまして、非常に共感をしております。ですので、地域のそれぞれ違う課題解決とウインウインになる形でカーボンニュートラルを進めていかないと入っていかないというふうに思っておりますので、そういう考え方で、それぞれの地域ごとに主体的な検討が地域の皆さんで行われるようにというふうに考えております。国のほうで、これをやってくださいという金太郎あめでは進まないというふうに思っておりますので、各地域において自治体もそうですし、地域金融機関もそうですし、地域の中核企業もそうですし、冒頭、小和田委員からもおっしゃっていただきましたけれども、そういう皆さんが自分事として自分の地域をどうしていくのかということを考えていただくところに、我々も一緒に入っていかせていただきたいなというふうに思っております。
それから、藤村委員のほうからは、文科省とか、教育の話もいただきまして、これは重要なポイントだと思っておりまして、岸田総理の新しい資本主義の中でも人材育成というのは大きなウエートを占めるものになっておりまして、クリーンエネルギー戦略の検討におきましても、環境省のように名前特出しにはなっておりませんが、文科省にも声がかかっておりまして、文科省も主体的にクリーンエネルギー戦略に向けた人材の点、検討していくということになっておりますので、よく連携してまいりたいというふうに思っております。
私からは以上ですが、補足あれば。

大塚部会長
ありがとうございました。
それでは、炭素中立型経済社会変革小委員会及び地球温暖化対策フォローアップ専門委員会を設置することを決定したいと思いますけども、ご異議はございませんでしょうか。

(「異議なし」と呼ぶ者あり)

大塚部会長
ありがとうございます。それでは、ご異議ございませんでしたので、小委員会及び専門部会の設置を決定させていただきたいと思います。
では、次の議題に移ります。議題3につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
恐れ入りますが、ちょっと簡潔にお願いします。

総務課長
それでは、資料4を用いまして、簡潔にできるだけご説明したいと思います。
まず、1ページ目、最初のグラフをご覧ください。こちらは先頃、昨年の12月に公表いたしました日本の温室効果ガス排出量の速報値でございます。
ご覧のとおり、7年連続の減少ということで、過去最小と、ついに12億トンを切るというところまで参りました。
ただ、次のページをご覧いただきますと、こちらは部門別の排出量の推移でございますが、最後の2019年から2020年、こちらの傾きをご覧いただきますと、やはり特徴的に産業と運輸ががくっと減っております。逆に家庭部門が若干増えている。これは、まだ速報ですので、詳細な分析はできておりませんが、従前から言われております、いわゆるコロナによる経済減退、それから巣篭もりの影響と言われるものが如実に出てしまっておりますので、この1年間、これだけを見ても、必ずしも喜べる状況ではないんだろうというふうに考えております。
3ページの部門別の排出量ですが、こちらは割愛させていただきまして、4ページ、こちらは最新の電源構成でございます。
2019年~20年、最後の推移だけご覧いただきますと、発電電力量自体は少し減っておりまして、それから再エネの発電量が若干増えている。そして原子力がかなり下がっておりまして、電源構成の比率としましても、原子力が減ったというところも影響しまして、火力が若干増えたということになっております。
次、5ページに参りたいと思います。こちらは昨年10月22日に閣議決定されました新しい長期戦略でございます。
2年前にもともと長期戦略を決定しておりまして、これは当時の菅総理が2050年カーボンニュートラルというものを宣言したことを受けまして、従来、2050年80%削減としておりました長期戦略をこの機会に更新したというところでございます。
基本的な考え方としては、ここにありますとおり、温暖化対策は経済成長の制約ではないんだと。むしろ、これから成長を生み出す鍵となるんだというところを力強く宣言しております。
具体的に掲げているような方向性はここに書いてあるとおりでございまして、6ページに分野を超えて重点的に取り組む横断的な施策を10点掲げております。11点ですね。ここにありますとおり、イノベーション、グリーン・ファイナンス等々、成長に資するカーボンプライシングというのもここに記載をしております。
続きまして、7ページ目でございます。こちらも同じ日、10月22日に閣議決定をいたしました温対計画の改定についてでございます。こちらも先ほどの長期戦略と同様に、この部会の下に設けておりました小委員会、これは経産省、産構審のワーキンググループと合同やっておりましたけれども、こちらの議論を経まして、まして、46%削減の目標、それを具体的にどのように実現するのかといった計画として打ち立てたものございます。
このとおり、非常に各部門とも従来目標から削減率を引き上げておりまして、なかなか実施は、ハードルの高いものであることは事実でございます。
8ページ目、ご覧いただきますと、今回の計画に位置づけました主な対策・施策。非常に多様なものが上がっておりますけれども、特に環境省に関係するものを中心にここに書いておりますが、例えば、再エネ・省エネ、これは大幅に拡充しておりまして、例えば、この後、ご紹介ありますが、改正温対法に基づく促進区域等の措置ですとか、住宅や建築物の省エネ基準適合義務付け拡大、さらにはイノベーション、そして脱炭素ロードマップに基づく先行地域等々、こういったものを拡充しているというところでございます。

地球温暖化対策課長
続きまして、9ページは、これはご承知の昨年の地球温暖化対策推進法の改正でございます。
次、10ページでございますが、改正温対法の施行に向けて検討会を開催しております。
次、11ページでございますが、このうちの改正温対法の地域脱炭素に関する部分の検討会の取りまとめでございます。例えば、自治体が再生可能エネルギー導入目標の設定に対しては、地域の再エネポテンシャルを最大限活用する観点から設定してくださいねといったこと。それから、促進地域の設定に当たっては、国の基準として、促進区域でない場所の考え方も含めて、促進区域の設定に関する環境保全のルールを示すべきといったことを記載をしております。現在、これを受けて条例案についてパブコメを行っているところでございます。
続きまして、12ページでございますが、改正温対法の中で算定・報告・公表制度について、デジタル化、オープンデータ化を図っていくということを改定しております。
その施行に向けた準備として、電子報告シスタムの整備でありますとか、情報の分かりやすい公表の仕方に関する準備、それから任意報告様式の改善といったことを取組を進めております。
続きまして、13ページでございますが、別の話で温対計画、長期戦略と併せて政府実行計画についても改定をしております。これは事業者としての政府自身の排出量をどう減らしていくかという計画でございます。
今回、目標を、2030年までに50%削減に見直した上で、対策として、例えば2030年までに設置可能な政府保有の建築物の50%以上に太陽光発電を設置することを目指すであるとか、政府の電力調達のうちの60%以上を再エネ電力にする。そういった具体的な目標を定めて、毎年、しっかりとフォローアップをしていく予定でございます。
続きまして、次のページでございますが、これは9月下旬にメールベースでご了解をいただきました住宅・建築物脱炭素化に関する専門委員会の検討結果でございます。
専門委員会については、伊香賀先生に委員長をお願いして、国交省、経産省と一緒に議論をいたしました。
中身としては、低炭素社会住宅の認定基準について、認定基準のうち、省エネ基準をZEH並みにするとともに、太陽光発電等の再エネの設置というのを必須要件化するというふうに基準を改定するというものございます。現在、専門委員会の取りまとめを踏まえて、基準の改定に向けた準備を行っているところでございます。中身は、この後に資料がついていますが、時間の関係上、説明は割愛いたします。
次は、フロン……。

フロン対策室長
それでは、20ページ以降ということでフロン対策室、豊住からご説明申し上げます。
フロン排出抑制法につきましては、現在、ここに明記しております、平成25年改正部分につきまして、附則の見直し規定に基づいて、その施行状況の点検・検討を行っております。
中央環境審議会、そして産業構造審議会のそれぞれフロン類対策の委員会、合同会議におきましてご審議をいただいておりまして、近々報告書として取りまとめる予定としております。
次、お願いいたします。
また、令和元年改正法の施行状況についてもご紹介をいたします。
法改正によって、新たに特定解体工事元請事業者が立入検査の対象になりましたことから、施行初年度に都道府県においては、立入検査件数全体の約4分の1は解体工事への立入検査に充てられておりまして、指導監督が強化されております。
また、昨年11月には警視庁より第一種特定製品廃棄等実施者によります書面不交付等のフロン抑制排出法違反での書類装置事案が公表されましたことを受けまして、環境省では、山口環境大臣の談話を発表いたしまして、法の遵守徹底を改めて呼びかけたところでございます。
なお、業務用冷凍空調機器廃棄時のフロン類回収率の推計を行いましたところ、前年度から3ポイント上昇しましたものの、41%にとどまり、2030年目標達成に向けては一層の取組が必要となっております。
次、お願いいたします。
こちらは国際的な取組について、ご紹介いたしております。昨年開催のCOP26の決定文書におきましても、二酸化炭素以外の温室効果ガスの排出を2030年までに削減するためのさらなる行動を求める旨、言及をされておりまして、環境省では、各種会合を通じまして、代替フロン対策、とりわけライフサイクルにわたる対策の重要性を訴えてきたところでございます。
また、途上国における使用済機器等からの代替フロンの回収・破壊によりまして、温室効果ガスの排出削減を行う事業を「フロンJCM」事業として実施しておりまして、昨年までの第1期ではタイとベトナムで、今年度からは第2期としてフィリピンとベトナムにおいて事業を行っているところでございます。
フロン対策につきましては以上となります。

気候変動適応室長
気候変動室長の塚田でございます。
私のほうから気候変動適応計画につきまして、ご説明いたします。
先ほど、温対計画長期戦略、あるいは政府実行計画のご紹介がございましたが、適応計画につきましても、同じ日付、昨年10月22日に閣議決定をしてございます。
左上にある目標、計画期間、それから右上にある基本的役割、真ん中にある基本戦略、七つの基本戦略、こういったところは、前回の計画から大きな変更はございませんが、記載ぶりについては充実をさせていただいております。
また、真ん中の進捗管理のところですけども、今回、分野別・基盤的施策に関するKPIということで66のKPIを設定してございます。それによる進行管理。また、国・自治体・国民の各レベルで気候変動適応を定着・浸透させる観点からの指標というものも別途設定しておりまして、それによる進捗管理等を行うこととしております。
左下には適応策、分野別の例ということでありますが、例えば、農林水産業では高温耐性品種の導入、あるいは自然災害分野では「流域治水」の推進、また、健康分野では熱中症対策として高齢者への予防情報伝達等について記載しています。
また、右下に基盤的施策がございますが、科学的知見の充実、情報の収集、整理や体制の確保、自治体の施策の促進、事業者の活動の推進、あとは国際連携、国際貢献ということで掲げさせていただいております。
次のページございます。お願いします。
こちらが一昨年、12月に影響評価報告書が出まして、以前の部会で報告していますので、今日はご説明いたしませんが、こちらを踏まえて、昨年10月に適応計画を改定させていただいたということになります。
次のページ、お願いします。
こちらは適応法の概要ですが、こちらも時間の都合上、省略させていただきます。
次、お願いします。
適応につきましては、5年サイクルで最新の科学的知見を踏まえた対応を進めております。
真ん中にある適応計画を今回変更してございます。今後、それぞれ実施をしていきまして、フォローアップも毎年していくことになります。
また、次期の影響評価、これは2025年を目途にしてございますけども、そちらにつきましても中環審の小委員会のほうでご議論を開始させていただいているところでございます。
私からは以上でございます。

脱炭素化イノベーション研究調査室長
それでは、研究調査室、河村から地球温暖化の現状とIPCCについてご報告いたします。
今のページ、27ページにございますとおり、まず、世界の年平均気温でございますけれども、1891年の統計開始以降、100年当たり約0.72℃の割合で上昇しているところでございます。2016年は観測史上最も高い年であり、2020年は観測史上2番目に高い年であったということが明らかになってございます。
全球の大気平均CO2濃度でございますけれども、ご覧のとおり、上昇してございまして、大気中のCO2濃度は、工業化以前に比べて約49%増加となってございます。2020年の平均濃度は413.2ppmということになってございます。
次のスライド、お願いいたします。
IPCCの第6次評価報告書が今年の8月に公表されたということで、その要約についてご紹介したいと思います。
まず、IPCCの第1作業部会は気象科学等の自然科学的根拠、それから、WG2は温暖化による社会への影響、それから、WG3は温暖化の緩和を取り扱うというものでございます。
このうちのWG1、すなわち気象科学等の自然科学的根拠に関する報告書が2021年8月のIPCC総会におきまして、承認・受諾がされたと、そして公表されたということでございます。
今後、来月、2022年2月にWG2が適応、それから3月にはWG3、緩和に関する報告書が議論されまして、9月にはそれらをまとめた統合報告書が取りまとめられ、公表されると、このようなスケジュールになってございます。
WG1の報告書の中身でございますけれども、「人間の影響が大気・海洋・陸域を温暖化させてきたことは疑う余地がない」と、初めて報告書に記載されまして、人間の活動が温暖化の原因であると断定されたということでございます。
そして、世界の国々を地域別に評価を行いまして、極端現象が増加している観測データを得られると。そして、その変化は人間の影響が関係している可能性が高いということでございます。
そして、世界平均気温でございますけれども、全ての排出シナリオにおきまして、少なくとも今世紀半ばまでは上昇を続けるということが予測されてございますけれども、温室効果ガスの排出の増加を直ちに抑えて、その後大幅に減少させるシナリオによりますと、21世紀末に地域温暖化は約1.5℃未満に抑えられる可能性が高いということも示されてございます。
それから、極端な高温や大雨が起こる頻度とそれらの強度というのは、地球温暖化の進行に伴い増加していくわけでございますけれども、気温上昇を2℃と比べて1.5℃に抑えると、極端現象の頻度は抑制し得るということでございます。
この最後の点につきまして、次のスライドをお願いいたします。
極端な高温や大雨ということでございますけれども、IPCCにおきましては、具体的に何度になると極端な高温とか、どれくらい雨が降ると非常な大雨か、あるいは干ばつか、ということは示しておりません。その地域において、人間の影響がなければ10年に1回起こるような現象、あるいは50年に1回起こる現象、このようなものを極端な高温というふうに定義してございます。同じく大雨につきましても、人間の影響がなければ10年に1回平均して起こるような現象を大雨と定義して、その頻度をそれぞれ計算式で求めているということでございます。
現在、既に人間の影響が加わった関係で、世界の平均気温は約1℃上昇しているということを先ほどお示ししましたけれども、そのためにこの表にありますとおり、極端な高温の頻度というのは、既に10年に1回の現象は、2.8倍頻度が増加している。50年に1回の現象につきましても4.8倍ということになります。これが2℃上昇しますと、それぞれ10年に1回の極端な高温が5.6倍、50年に1回の極端な高温の割合が13.9倍になるわけでございますけれども、1.5℃に抑制いたしますと、極端な高温は5.6倍ではなく4.1倍、50年に1回の極端な高温は13.9倍ではなく8.6倍に抑制し得ると、こんな形の極端現象に関するリスクの抑制効果というものが今回の報告書で示されていると、こういうことでございます。
私からは以上です。

国際地球温暖化対策担当参事官室参事官補佐
次に、国際地球温暖化対策参事官室、私、井上からご説明を申し上げます。
このスライドは、COP26の結果、その受け止め等についてのご説明でございます。
COP26、昨年10月から11月にかけてグラスゴーで開催されましたけれども、冒頭の首脳級には岸田総理が出席し、交渉の山場となる2週目の後半には山口大臣が参加しておりますが、成果としては三つ、一つ目はグラスゴー気候合意の採択、そして二つ目、パリルールブックが完成し、そして議長国プログラムの有志国によるプレッジがされたという3点になってございます。
申し訳ありません。少々お待ちください。大変失礼しました。
そして、次のスライド、お願いします。
スライド、時間の関係でグラスゴー気候合意についてを中心に説明申し上げますが、この合意は、今後のCOP26としての政治的なメッセージを示す包括的な文書となっておりまして、科学、適応、適応資金、緩和資金など多岐にわたる項目がカバーされておりますけれども、ポイントとしては、やはり、緩和が一つ挙げられると。緩和については、1.5℃の達成に向けて野心を高めるための内容が盛り込まれました。例えば、今年11月のCOP27においては、2030年に向けて緩和の野心と実施の規模を拡大するための作業計画をつくることとなっています。
また、石炭火力の低減や化石燃料補助金のフェーズアウトに向けた努力を加速するといったことが盛り込まれております。こうした石炭火力発電についての内容がCOPの決定文書に盛り込まれるのは初めてでございます。
次のスライド、お願いします。
そのほか、次のNDCに関して、共通の期間が5年と決定されましたので、2025年に2035年を目標とするNDCを策定するということとなってございます。割愛させていただきます。
次のスライド、お願いします。
COP26の意味するところですけども、我々としては交渉に加えて気変動対策について幅広い関係者に行動のプレッジを促した点、そして、実施を促進していくことを積極的に進めていこうという、そういう考え、これが明確になったという点で、潮目が変わったCOPだというふうに捉えてございます。
次のスライド、お願いします。
今回のグラスゴー気候合意ですけども、2025年に向けたタイムラインがやんわりと示されたというふうに捉えております。
まず、緩和について、その深掘りなしに1.5℃目標の達成はなし得ないということでございまして、緩和野心を高めるために2022年、つまり今年に行動しようという旨が盛り込まれたと思っております。さらに言えば、2022年には緩和野心の実施の促進、そして2023年はグローバルストックテイクに加えて適応の世界目標の策定、2024年には2025年以降の資金目標の設定、そして2025年はNDCの策定というふうに流れができたというのは大きな進展です。
次のスライド、お願いします。
2022年の予定はお示しのとおりでございますが、今後は緩和・適応の取組を進めるために具体的な対策について、各国と議論を深めるというところでございます。
私からの説明は以上です。

市場メカニズム室国際企画官
続きまして、環境省市場メカニズム室から、パリ協定6条、いわゆる市場メカニズムについての決定について、簡単に報告させていただきます。
パリ協定6条というものなんですけども、海外での削減を国内での削減目標に使えるというものをパリ協定の下で位置づけたものというのが大きなポイントとなります。この海外での削減分を国内での削減として位置づけるということで、さらなる世界的な追加的、また効率的な削減が可能ということになりまして、特に先ほど来も言及がありましたように、各国の目標を足しても、今、目標とする1.5℃目標には達していない。こういったところに対して、より野心を向上させていく、さらなる追加的な削減を達成していく、こういったところに対して、非常に世界的な期待が高かったというところがございます。で、ここに向けて、現在、非常に多くの動きも起こってきておりまして、特に民間資金の導入ですとか自主的な市場、こういったところも関係しております。
また、このCOP26の議論におきまして、詳細については少し割愛をさせていただきますけれども、特にこの二重計上、目標に対して2回以上目標にカウントしないというところについて、政府が承認したクレジットのみ活用できるというような提案を日本のほうからいたしまして、そちらについて、それぞれ先進国、途上国を含めて多くの賛同がございまして、これを基に、大きくこの6条がまとまったということがございます。こういった提案ができましたのも、日本として、2013年から実施をしております二国間クレジット制度、これの経験等も活用しながら、こういった提案ができたということもございます。
また、引き続き、この二国間クレジットを、さらに引き続き引き上げていくということで、次のスライドを見ていただければと思いますけれども、このCOP26を踏まえて、さらに、この6条、パリ協定6条のさらなる発展及びJCMのさらなる拡大ということを環境省のほうから示しております。特にJCMにつきましては、現在17か国とパートナーの協定を結んでおります。これをさらに増やしていきたい。また国際機関とも連携をして、特に、まだプロジェクトの少ない国、例えばアフリカですとか小島諸国、こういったところを中心に、さらなる実施を強化していきたいというふうに考えています。
また、先ほどのスライドでもお示しさせていただいたように、現在、非常に民間企業のゼロエミッションに向けた取組、また、国内での削減に対して、さらに追加的に海外でも削減していくと、そういったところを自国の削減にも活用していく、または、各企業様の削減努力として活用していく、そういったところについて、非常にJCMに対する期待というのが高まっております。こういったところをさらに使いやすくしていこうということで、今、経済産業省さん、関係省庁さんとも共同で検討会を開始しておりまして、できるだけ早く具体的な活動につなげていきたいと思っております。
また、3点目のところは、6条の合意をてこに、これから本当に実施のフェーズに入ってくるというふうに考えております。この実施のところ、まだまだ多くの国で支援が必要というふうになっておりますので、国連の機関とも協力をしながら、体制構築、また人材育成、あと技術的な協力、こういったところを日本がより主導していきながら、サポートしていくということを進めていきたいというふうに考えております。
3ページ目をお願いいたします。国内におけるJCMの位置づけですけれども、昨年の10月に温対計画の改定がなされまして、こちらでJCMについて、10億トン程度、すみません、1億トン程度というところの目標が位置づけられております。これに向けて、年明けの1月17日に、このJCMの推進活用会議というものを温対計画の中で位置づけておりまして、そこにおいて、JCM実施要綱というものをパリ協定の新たなルールに基づいた形で改定をしております。現在、このCOP26の決定を踏まえまして、政府承認、また相当調整という二重計上の防止策、これについてのさらなる手続について検討しておりまして、近々、これについてもパブリックコメント等をかけていきたいというふうに考えております。
以上です。

国際協力・環境インフラ戦略室長
続きまして、国際協力・環境インフラ戦略室の杉本からご報告させていただきます。
国際協力は3点ございまして、一つはインフラの関係でございます。こちらは、一昨年12月の経協インフラ閣僚会議で決まりましたインフラシステム海外展開戦略2025、これは政府方針におきましても、カーボンニュートラルやSDGsということがインフラの海外展開における主軸として位置づけられたものでございます。これを具体化、環境省としてするために、「脱炭素インフライニシアティブ」というのを昨年の6月に発表してございます。内容につきましては、先ほど、JCMのほうでご説明がありましたとおり、累計1億トンのJCMプロジェクトを目指すというふうな目標や具体的なアクションということは、先ほどの三つのアクションにつながるものというのを6月の時点で発表したものでございます。
次のスライド、お願いします。
続きまして、2点目は地域の脱炭素移行の協力でございます。こちらは、2018年に発表されました「日ASEAN気候変動アクションアジェンダ」、これを大幅に拡充して、岸田総理のほうから、日ASEANサミットにおきまして、提唱いただきました「日ASEAN気候変動アクションアジェンダ2.0」となってございます。これまでは、環境省の施策を中心にまとめていたものでしたが、今回は、政府全体のアクションということで、特に脱炭素移行に向けた取組、これはASEANの各国に提供するメニューということで、透明性、緩和、適応、全ての分野につきまして、大幅な拡充をして、ASEAN側に提示をしたものでございます。
次のページ、お願いします。
その直後、COP26がございまして、ベトナムのほうからも、2050年カーボンニュートラルの宣言がございました。それを受けまして、早速11月24日には、チン首相の訪日の際に、ハー天然資源環境大臣と山口大臣との間で、ベトナムの政策対話を行いまして、この2050年カーボンニュートラルに向けた共同協力計画をつくるということを合意してございます。これに向けて、モデルを通じた長期戦略の策定支援であるとか、様々な分野での連携を進めるということに合意して、既に着手しているものでございます。
私からは以上です。

市場メカニズム室長
続きまして、カーボンプライシングの検討状況について、ご説明いたします。
一昨年12月、菅前総理から、環境省、経産省が連携して、成長に資するカーボンプライシングを検討するようにという指示を受けまして、昨年2月から、カーボンプライシングの活用に関する小委員会のほうで議論を進めておるところでございます。
次のページをお願いいたします。
昨年の12月22日に、ポリシーミックスとしてのカーボンプライシングの方向性ということにつきまして、事務局から提示しまして、ご了解いただいたものを掲載させてもらっております。細かい説明は省略いたしますが、一番下のところ、4ポツ目にありますとおり、成長に資する制度設計ができるかどうかという観点から、それぞれとありますのは、自主的なクレジット取引、炭素税、排出量取引でございますが、それぞれについて、以下のとおり、検討を進めることとしてはどうかということでございます。その検討に当たりましては、ポリシーミックスの中でのカーボンプライシングの在り方、社会全体における費用、負担の在り方、あと、経済社会構造の中長期的な転換、トランジション、そういった観点を留意するということを明記しております。
次のページ、お願いいたします。
それぞれカーボンプライシングの三つの類型ごとに方向性を書いております。
まず、自主的なクレジット取引でございますが、二つ目のポツにありますとおり、既存のJクレジット、JCMといったものの運用改善、あと、今、経済産業省さん中心で検討を進められておりますカーボンニュートラル・トップリーグ、GXリーグといった新たな制度の検討についても、引き続きやっていこうということでございます。
炭素税でございますが、これも二つ目のポツでございますが、価格効果、あと財源効果につながる、そういったことを踏まえながら成長に資するかどうかという議論を進めるとともに、地球温暖化対策税の見直しを含めた検討を進めることとしてはどうかということでございます。それに当たっての留意点として、下にあります長期の時間軸、あと、産業界を含め懸念点がございますが、そういった懸念点への配慮、あと、税でございますので税収が入ります。その税収をいかにして有効に活用していくか、そういったことにも留意しながら、専門的・技術的な議論を進めていこうというようなことで書いてございます。
あと、排出量取引でございますが、確実にCO2削減につながるわけでございますが、制度設計上、様々な課題が存在する。一方で、EUだけじゃなくて、最近でありますと中国・韓国、そういったものへの導入が進んでおり、そういう中で、我が国の排出削減状況の推移も踏まえながら、将来的な制度導入も含め、引き続き検討を進めることとしたいというふうなことで、方向性をまとめておるところでございます。
これに沿いまして、カーボンプライシングの3つの類型について、並行しまして、今後とも議論を続けてまいりたいということで考えておるところでございます。
以上です。

総務課長
それでは、45ページ、脱炭素先行地域の選定についてでございます。地域における脱炭素の取組は、去年の夏に、環境省に新たに地域脱炭素推進グループという局並みの組織が立ち上がっておりまして、こちらで取り組んでおりますけれども、今日は、代わって私、西村のほうからご説明をさせていただきたいと思います。
資料の上のボックスに書いてございますけれども、去年の6月に、関係省庁一緒に策定をした地域脱炭素ロードマップに基づきまして、少なくとも100か所の先行地域、これをつくっていこうというのが目玉になっております。そこにおいて、2025年度までに、先行的な取組実施の道筋をつけ、2030年度までに実際にカーボンニュートラルに、そのエリアに関しては実現をすると、そういうような目標を掲げているところでございます。
で、その先行地域ですけれども、資料の真ん中にございますが、住宅とか団地の新開発、再開発、あるいは中心市街地、そういったものの再開発、新開発と。あるいは、その農村とか離島とか、そういった様々なタイプのエリアでカーボンニュートラルの取組をやってみていただきたいなというふうに思っております。
さらに、まとまった、物理的につながったエリアだけではなくて、ある自治体の公共施設群を全部とか、半分とか、そういう地理的なつながりはないところの取組も含めて、これから応募していきたいというふうに考えているところでございます。
下にスケジュールがございますが、1月25日ということで、まさに昨日から公募を開始しております。1か月ほど募集をいたしまして、春頃には、第一弾の先行地域を環境省のほうで選定をして、公表させていただきたいというふうに思っております。いきなり100か所ということではなくて、2025年度までに道筋と上に書いてありましたように、5年ぐらいかけて、少なくとも100か所の指定をしたいなというふうに考えておりますので、今回の第一弾、20か30かは分かりませんけれども、先行してプランをつくっていただけるところを選ばせていただきたいなというふうに考えているところでございます。
で、次のページに参りまして、そのようにして先行地域に応募いただいて、指定をさせていただくわけですけれども、そこに対する支援のメカニズムとして、地域脱炭素移行・再エネ推進交付金という新しい交付金を、今、予算要求して国会でこれからご審議をいただくというところでございます。初年度ですので200億円ということですけれども、来年度以降、また箇所数も増えますし、事業も具体的に進んでいくということで発展をさせていきたいなというふうに考えております。
それから、もう1ページおめくりいただきまして、これが最後ですけれども、新たな脱炭素出資制度の創設による民間投資の促進についてということで、前のページの交付金は、主に市町村向けの交付金で、その先行エリアを中心に支援をしていくということでありますけれども、全国どこででも、よい脱炭素のプロジェクトがあれば、それを支援していきたいということで、新しい出資制度を設けたいということで考えております。来年度の財政投融資200億円ということで、その財政投融資の受皿となる組織として、ページの左下のほうにございますけれども、脱炭素化支援機構(仮称)、株式会社というものを設置したいというふうに考えております。これを設置するために、温暖化対策推進法を改正して、この機構について位置づけをするということを考えてございます。
これまでも環境省は少し小さめのファンドを持っておりました。毎年、エネルギー特別会計から四十数億円繰り入れて、そのお金で全国の再エネプロジェクトを中心に出資をして、さらにノウハウの提供をやってまいりましたけれども、今回、財源を財投に変えて、それにより、出資できる資金の使途も少し拡大し、金額も四十数億円から200億円に拡大し、より幅広く、大きな取組にしていきたいというふうに考えております。
以上でございます。

大塚部会長
どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの説明内容につきまして、ご質問・ご意見等がございましたら、挙手ボタンをクリックしてください。多くの委員にご発言いただきたいと思いますので、お一人1分程度でお願いしたいと思います。
では、中根委員、お願いします。

中根委員
ありがとうございます。21ページ以下のフロン対策についてです。令和元年度の改正フロン排出抑制法は、省庁や部会を超えた連携によって実現して、その効果は期待されていますし、平成25年改正フロン排出抑制法も、特に漏えい防止の観点から重要だと思います。
ただ、温室効果ガスで生み出された物質の排出量の数字だけが問題なのではなくて、隠れた温室効果ガスであるCFCやHCFCもしっかり排出抑制することが重要であることは、繰り返し強調してきたところです。
さらに、現在、気をつけなければならないこととして、GWPの小さなHFOなどに関しては、フロン排出抑制法の対象にならないということがあります。このことが、例えば自動車を廃車する際の回収・破壊システムに悪影響を及ぼすのではないか。パイプを切って、空気中にシュと排出されるという2001年のフロン回収・破壊法以前のようなことが再発しないかという心配があります。GWPの大きなフロンと見分けがつくのかという問題はありますし、さらに、フッ素資源のリサイクルへの悪影響や分解生成物であるトリフルオロ酢酸の環境影響も心配されます。家庭用エアコンのリサイクルについても同様です。これらは循環型社会部会の専門委員会や小委員会で検討されているわけです。こういう個別の検討と、地球環境部会のフロン類等対策小委員会にどう橋を架けて、環境を総合的に保全していくかという課題があります。
これは重要ですけども、1例だと想像しています。どのように個々の委員会間の間に橋を架けるかは、先ほど合同小委員会というお話しをしましたけれども、もう一つは、委員間の連携によって橋を架けることも重要と考えています。それをシステムがサポートしていただけると良いのではないかと考えています。委員や臨時委員等の関心のある小委員会、専門委員会等を登録しておき、その開催案内が自動的にメールで送信されるシステムをつくっていただく。そうして、並行して関心のある課題を検討している委員会の委員と情報交換をすることによって、橋を架けるというアイデアです。ご検討いただければ幸いです。
以上です。どうもありがとうございました。

大塚部会長
ありがとうございます。
5時半が終了時刻なんでございますけども、最大限30分延長させていただきたいと思っていますが、もし、その後はちょっとご退席いただくという、5時半から後はご退席する必要がある方がいらっしゃるかと思いまして、そのときはどうぞアナウンスをいただければありがたくと存じます。そうしましたら、早くご発言いただくといったことをさせていただきます。
では、石上委員、お願いします。

石上委員
すみません、1分ということなんで、何点か申し上げたかったんですが、1点に絞りたいと思います。
資料30ページのCOPの報告のところなんですが、この中で、11月3日の日ですね、議長国プログラムなどの有志国によるプレッジで、公正な移行に関する条件についての署名を日本が求められたのは、実は署名していないというのを聞いております。せっかく日本でも、パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略で公正な移行も一つの柱として書かれているのにもかかわらず、G7で署名しなかったのは日本だけということで非常に残念に思っております。環境省の皆さんに申し上げても、これは仕方のないことなのかもしれませんが、もとよりグラスゴーの気候合意の中にも、公正な移行に向けた支援の必要性やディーセント・ワーク、もう全てこれ言及されておりますから、今後の議論の中でも、しっかりこの柱を立てていただいて、ぜひ環境省の議論の中でも、このことを意識した議論を今後とも進めていただきたいというふうに思います。
以上です。

大塚部会長
どうもありがとうございます。恐れ入ります。
では、井田委員、お願いします。

井田委員
ありがとうございます。1分というんで急いでいきますけど、今、石上さんがおっしゃったように、私も公正な移行のプレッジに日本が参加しなかったのは、これは重大な問題だと思っておりまして、公正な移行の議論をして進めない限り構造転換はできないので、これは、もう環境省だけじゃなくて、本格的に公正な移行の議論というのを進める場というのをつくって、早急に議論しなければいけないというのが1点。
あとフロンなんですが、申し上げたとおり41%ですよね、こんなの、今後の法改正で50%なんてできないと私は申し上げたと思うんですけども、このままの枠組みやっていても、絶対30年、75%なんてできないと僕は思います。で、何度も申し上げていますけども、根本的に、規制的手法も経済的手法も全く足りない。よく私、ちょっと言い過ぎるかもしれないんです。よくこういうずるずるのシステムを海外に輸出する気になるなと思うぐらいなんですけども、本当に根本的な政策を示しなさいといっても全然示されないので、早急に根本的な政策転換というのをやらないといけない、残された時間ないですからと思います。
で、あとCP、カーボンプライシングなんですけども、カーボンプライシングをやらないことが産業界、経済的に大きなリスクになっているという状況があり、しかも、海外の前例とか研究経過を見ても経済成長に資するカーボンタックスというのは、もう実現できるところまで来ていると。で、去年、ひょっとしてこれが大きく進むかなと思ったんですけども、何が起こったかというと、ご存じのように環境省と経産省で別々の委員会をつくって、また議論を続けましょうということになったと。
で、今年こそ、私はこれを早めにやらなきゃいけないと思うんですけども、少なくとも前回のような過ちを繰り返してはいけないと思っていて、少なくとも、相手のあることなんで分からないですけども、少なくとも環境省のほうから経産省に、具体的な制度の検討を一緒にやりましょうという投げかけはするべきではないかというふうに思います。
それと、あと、すみません、長くなって恐縮なんですけど、若者の声をというのは、これは前の小泉環境大臣がさんざんおっしゃっていたことで、これは総合政策部会でも私は申し上げたんですけれども、1回のヒアリングなんかじゃなくて、これは多分、小委員会でなくて、僕は総政部会とか、地球環境部会とかでやるべきで、定期的に行うべきではないかと思うんですけども、未来のステークホルダー、重大なステークホルダーである若者の声というのを我々は定期的に聞いていくという仕組みが必要ではないかというふうに思います。
すみません、長くなりました。

大塚部会長
はい、ありがとうございます。
では、小西委員、お願いします。

小西委員
はい。1分で頑張ります。
二つ、もう本当は聞きたいこといっぱいあるんですけど。6条の交渉、本当にお疲れさまでした。私が聞きたいのは、この6条2項、これ、5%出すことになった6条4項みたいな形で適応基金への拠出は入らなかったんですけれども、自主的に拠出ということになりました。日本は、このJCMにおいて、非常にこれ環境十全性の高い仕組みということでありますし、これからもそういうふうに打っていかれると思いますので、適応基金への拠出について、どのようにされるか伺いたいと思います。
あと、もう一つが、この地域の脱炭素の再エネ推進交付金とか、新たな脱炭素の出資制度の創設とか、本当に時宜にかなっていいなと思っております。特に地域の脱炭素計画と連動していかれると思いますので、どのようにこの地域のインセンティブを付与して、かつ、どのようにその計画づくりと連携させていかれるのかなということを、お聞きできればと思います。
以上です。

大塚部会長
どうもご協力ありがとうございました。恐れ入ります。
では、三村委員、お願いします。

三村委員
どうもありがとうございます。
私も、この45ページの脱炭素先行地域の選定について、地域の脱炭素化について質問と意見を申し上げたいと思います。先ほどの炭素中立型の小委員会のときにもありましたけれども、地域社会を全て脱炭素の国に向かって動いていくようにしなきゃいけないと、そのために施設・設備だけではなくて、ステークホルダーの参加だとか、協議会だとか、そういう仕組みも整備しなきゃいけないという話がありました。この取組では、2025年までに100か所ということですけれども、日本には1,800ぐらい地方自治体があるわけですよね。そういう地域全体に、もっと大きく強力な脱炭素の動きをつくる施策というのがぜひ必要だと思います。
この支援内容も、再エネ設備だとか基盤インフラ、そういう施設面が中心になっていますけれども、多くの方の参加を得て、それぞれのステークホルダーが自分のところで頑張るようにするというためには、もっと協議の場だとか、連携の場だとか、そういうソフトな支援というものもぜひ必要だと思います。今年度はこうということで、小委員会の議論を経てかもしれませんけれども、ぜひ、もっとスケールの大きい全ての自治体、地域毎の差異を、多様性を踏まえた地域を支援する施策が必要だというふうに思います。
以上です。

大塚部会長
どうもご協力いただきまして、ありがとうございました。
では一応、今ご回答、なので事務局から、どうぞ。

総務課長
では、フロンからどうぞ。

フロン対策室長
フロン対策室長の豊住でございます。ご意見いただきまして、ありがとうございます。
まず中根委員から、フロンを取り巻く様々な課題についての他部会などでのその審議事項とのブリッジの仕方ということで重要なご指摘をいただいたと考えております。フロン等対策小委員会の委員長も中根委員に務めていただいておりますので、またご相談をしながら、ブリッジの仕方を考えてまいりたいというふうに考えております。
また、井田委員から、フロン対策につきまして、非常に厳しい叱咤激励をいただいたというふうに理解をしております。先般、閣議決定されました温対計画におきましても、機器が一定期間使用されることを考慮して、機器のノンフロン・低GWP化を後押しするとしてございます。こういった上流から下流までの施策を一体的に実施することによりまして、関係省庁とも連携しながら、しっかりと対策を講じてまいりたいと考えております。
フロン対策につきましては以上でございます。

総務課長
次に国際関係、お願いします。公正な移行ですとか、あるいは適応基金とか、JCMとかあったかと思います。

市場メカニズム室国際企画官
もしよろしければ、すみません、6条の関係で、ちょっと適用基金について、コメントさせていただければと思います。
小西委員、ありがとうございます。
まず、適用基金へのものなんですけども、基本的には、6条の下で、6条4項のメカニズムの下で適応基金にクレジットの一部を出して、それを活用するということが義務的なものとして、今回、ルールにしっかりと位置づけられたというのがございます。
もう一つは、二国間制度も含めた様々な取組に対する適応への対応ということなんですけども、今回、適応への対応というのは、COP全体でも非常に大きな議論の位置づけということがされておりまして、その中でも、非常に様々な議論がありました。今回、そういう意味で、自主的に、やはり貢献すると。各国ができる範囲でしっかりやっていくということが決まったというのが大きなことだというふうに考えておりまして、そういった中で、どういった形で我々も貢献をしていけるかというのは、引き続きちょっと検討していきたいというふうに考えております。
以上です。ありがとうございます。

大塚部会長
どうぞ。

地球温暖化対策課長
温対策課長の小笠原です。
地域脱炭素と自治体の取組についてご指摘をいただいて、小西委員のほうから、地域脱炭素に取り組むところ、自治体のインセンティブということでは、取り組む先行地域に対しては大きい、先ほども200億円、初年度200億円でございますけれども、脱炭素移行への交付金でもって、集中的に支援をしていくこととしております。
また、計画についてのご指摘もいただきましたけれども、先行、地域づくりに取り組む自治体について、実行計画も策定いただいて、交付金、脱炭素地域に選定する時期までに間に合うかどうかというのも、ちょっとまたあるわけですけれども、計画も策定いただきながら、自治体全体として、温暖化対策に積極的に取り組んでいただくということを想定しております。
それから、三村委員から、この100か所は100か所として、その後、どう全体が進んでいくかというご指摘をいただきました。100か所以上の脱炭素先行地域をつくるということによって、その要は、それが先行的なスタンダードになって、ほかの地域もどんどん、そうした取組が進んでいくということ、仕組みとしてはそういうことを狙ったものでございます。
不安定なんですけれども、制度的には、地球温暖化対策推進法の改正をいたしまして、自治体に再エネ導入目標を、昨年の改正ですね、自治体に再エネ導入目標をつくっていただいて、その達成に向け、積極的に促進区域も含めて取り組んでいただくということで。これ、実行計画の改正、昨年の改正自体が自治体全体に及ぶものでございますので、こういったことも実効性の確保も含めて取り組んでいきたいと思います。

総務課長
ありがとうございます。
次に、三村委員のほうからも地域脱炭素についての話がありましたので、お答えさせていただきたいと思います。
おっしゃったのは全くそのとおりだと思っておりまして、今日の資料には入れておりませんでしたけれども、地域脱炭素ロードマップの主要な資料の中には、こういう先行地域づくりを行っていくに当たってはということで、自治体さんですとか、あるいは地域の金融機関さんですとか、あるいは、その商工会議所をはじめとする中核企業の方々ですとか、そういうところが中心になって、そこをハブとして、さらに幅広い、地域の様々なステークホルダーと、ぜひ地域の未来像を議論し、その中でどうカーボンニュートラルな地域をつくっていくのか、そうしてプランニングをしていっていただきたいというようなこともお示しをして、毎度ご説明をしているところでございます。先ほどの前半でも出てきましたけれども、そういうふうな頭でおります。
で、それを支援するという意味では、施設を中心としたメニューを先ほどご紹介いたしましたけれども、これも、ここ数年、ソフト的な支援ということで、地域の地銀さんとか信金さんと一緒に、この地域の脱炭素のトランジションをどう進めていくのか、あるいは地域循環共生圏づくりをどう進めていくのかと、そういうことを一緒に考えるというようなソフト的な事業もやっております。やはり、地域においては自治体が非常に幅広いネットワークを持っておりますけれども、金融機関も同様に広いネットワークを持っておりますので、そういうルートを通じたソフト的な取組というのは非常に手応えを感じているところでございます。
また、これも前半に出てきましたけれども、今、全国の商工会議所の皆様、そこの会員の中小企業の皆さんも、何からやれるんだということで意識を非常に高めていただいておりますので、そういった皆様との連絡が、ここに来て非常に増えているというところがございますので、そういったものも、今後、政策メニューも、先生のおっしゃったとおり、より強力にしながら、取り組んでまいりたいというふうに思っております。
井上室長、CPについてございますか。いかがですか。

市場メカニズム室長
市場メカニズム室の井上でございます。
井田委員のほうから、一つは今年こそはという話と、あと経産省との連携という御指摘を受けました。これまでの会議体は別であっても、それぞれオブザーバーとして参加しております。また、審議会などでのオブザーバー参加だけではなく、その時々におきましても、これまで以上に、環境省と経産省の間で連携を図りながら検討を進めているところでございます。今般、岸田総理のほうの年頭所感もそうですし、施政方針の中でも、いろんな課題の中でカーボンプライシングについても、クリーンエネルギー戦略ないしは新しい資本主義実現会議におきまして、方向性を見いだしていくという話もございましたので、環境省としても、ますます経産省と連携して結論を見いだしていきたいということで考えておるところでございます。
以上でございます。

大塚部会長
よろしいですか。どうもありがとうございました。
では、再開したいと思います。
高村委員、5時半ということですけれども、すみません、後日書面でとも言っていただいているんですが、もしよろしければ、一言おっしゃっていただけますでしょうか。

高村委員
ありがとうございます。ただ、多くの委員はまだ手を挙げてくださっていますので、そちらのほうを優先していただければと思います。ご配慮ありがとうございます。

大塚部会長
分かりました。では、どうも恐れ入ります。
では、江守委員、お願いします。

事務局
荻本先生が17時半退席だそうで。

大塚部会長
あ、そうですか、はい。では、江守さん、ちょっと待って、すみません。
じゃあ、荻本委員も5時半退出だそうなので、すみません、荻本委員、お願いします。

荻本委員
どうもありがとうございます。私からは1点なんですが、その前に、いつも申し上げているような話ですけれども、フォローアップというところは、ぜひPDCAであるとか、指標であるとかデータ、それを大切に進めていただければと思います。
で、本日のコメントは、人づくりということを1点述べさせていただきたいと思います。再びの学びというキーワードがこの頃よくあります。で、短期的に資格を取るようなものもあると思いますけれども、まさにこれ、少なくとも10年はかかることをやる、もしかすると、30年かかることをやるということだと思いますので、いろんな人たちにうまく、新しい、または再びの学びが、機会が得られるようにしていただきたい。私のところは、例えば、その企業だとかそういうところから、自治体さんですとか、そういうところから相談を受けたり、アドバイスを述べさせていただく機会があります。この頃、いろんなコンサルテーションが非常にはやっているというのはありますけれども、先ほど申しましたようなタイムスパンでいくと、人に頼んで、みんなつくってもらっているものが変わらないと、やっぱり全体のパフォーマンスは落ちるということだと思います。なので、既に企業にいる方、自治体にいる方も、学び直しのチャンスが必要だし、もしかすると私もそうなんですけれども、一旦、大分年を取った人間も、まだ役に立つかもしれないけれども、やっぱり学び直しをした上でいいパフォーマンスを出していただくというのも大切だと思います。
ということで、いろんな、その年齢またはジャンルの方が学び直しのチャンスをいただけるということはとても大切だと思いますので、どこにどうしていいかというのは、私には分かりませんが、そういうところにもご配慮いただければと思いました。
以上です。

大塚部会長
ありがとうございます。
では、江守委員、お願いします。お待たせしまして、すみません。

江守委員
とんでもないです、ありがとうございます。
僕は、39ページ辺りからの国際協力に関連して、ちょっと気になっていることを一つ申し上げたいと思います。これから脱炭素で国際協力を展開していくのは大変結構なんですけれども、一方で、やっぱり、今までの脱炭素でない案件が残って、続いているのがあるというのが気になっています。
たまたま機会があって調べたんですけれども、バングラデシュのマタバリフェーズ2というのが続いていまして、いろいろNGO等から問題が指摘されているんですけれども、特にバングラデシュというのは発電設備が過剰であると、今ある設備の半分ぐらいしか発電してなくて、それで止まっている発電所にもお金を払わなくちゃいけないので、結構大変なことになっているというのを調べるとそういうのが出てきました。僕、ちょっと調べただけなので、いろいろ理解してないことがあるかもしれないんですけれども、なぜこれをこれから造るという話が止まらないのかとよく分からないでおります。環境省は、こういう案件をどういうふうに脱炭素の観点からご覧になっているかというのを、ぜひ教えていただきたいと思います。
以上です。ありがとうございます。

大塚部会長
どうも具体的な話をありがとうございます。
山戸委員、お願いします。山戸委員。

山戸委員
聞こえますでしょうか。

総務課長
はい、聞こえております。

山戸委員
ありがとうございます。私のほうからも、手短に二つ申し上げます。
一つは、COP26でございますが、改めまして、環境省をはじめとする政府の皆様が発揮されたリーダーシップに敬意を表させていただきます。今後の気候変動外交におかれましても、これまで築き上げた世界各国からの信頼をベースに、地域のエネルギー、経済状況により異なるカーボンニュートラルへの多様な山登りのやり方ですね、こういった重要性を強調し、アジア地域をはじめとする途上国、新興国の理解を得ながら、世界全体として、カーボンニュートラルの実現性を高めていくように、引き続き働きかけていただきますようにお願いいたします。
それから、次に、クリーンエネルギー戦略についてでございます。我が国の目指す2050年カーボンニュートラルを実現していくためには、経済社会の全てにおける脱炭素化の取組、グリーントランスフォーメーションとでも言うべき取組が必要と考えます。新たにクリーンエネルギー戦略として取りまとめる方針を打ち出されたことについて、大変心強く感じております。私ども自動車メーカーといたしましても、未来のモビリティー社会の主な担い手として、2050年カーボンニュートラルに向け、積極的に貢献してまいります。
経済社会の脱炭素化の実現には、国民の理解の醸成も不可欠と考えます。政府には、2050年カーボンニュートラルを目指すことの意義をはじめ、実現するべき経済社会やエネルギー構造の将来像、求める具体的な取組、そのメリットやコストなどについても、ストーリー性のある、分かりやすい説明を尽くし、国民各層の理解を得られるようにご尽力いただきたいと思っております。
この点、これまで国民運動を展開されてきた環境省、御省の果たす役割は非常に大きいと考えておりますので、存分にリーダーシップを発揮いただければと思います。経済界は、引き続きカーボンニュートラルに資する技術、製品を世に生み出すことで、グリーントランスフォーメーションに積極的に、果敢に挑戦してまいりたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。

大塚部会長
どうもありがとうございました。
では、下田委員、お願いします。

下田委員
ありがとうございます。
前半の話でも出ましたけれども、今回の資料の地域脱炭素ですね、いろいろな施策が自治体に対して提案されているわけですけれども、自治体、特に基礎自治体レベルを見ておりますと、地球温暖化の問題を長く担当する人はほとんどいなくて、転勤して、すぐ人が代わるということもあって、なかなか、国レベルの大きな施策を担当できる人が少ないということが問題だと思っております。そういう意味で、今ずっと出ておりましたけど、やはり人材育成ですね、そのための機会ですとか、それから、そのためのコンテンツというのを環境省のほうから積極的にご提供いただければというふうに思います。
以上です。

大塚部会長
ありがとうございます。
では、藤本委員、お願いします。

藤本委員
ありがとうございます。
私からも2点、お伝えしたいと思います。まずご説明、大変ありがとうございました。非常にいろいろと多岐にわたる内容について、共有いただきまして、ありがとうございます。
その上で、質問ですが、まず、12ページ目にある改正温対法を踏まえた開示のところですけれども、任意報告の拡充というところで、TCFDを踏まえた任意報告様式の改善というのがございます。今、ご承知のとおり、上場会社に関しましては、金融庁の金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループの中でも、サステナビリティ報告に関する議論、特にTCFDの内容も踏まえた情報開示の必要性というものも議論されていますが、そことの情報開示のレベル感というのは、どのようにされているのかと思っておりまして、確認をさせていただきたいと思いました。
もう一つは、32ページ目のところになりますが、COP26の中で、先進国の気候に関する資金として年間1,000億ドルという数字が出ているのですが、この中で日本の官民が果たすポーションがあるのであれば、ぜひ教えていただければと思います。
以上、2点です。ありがとうございます。

大塚部会長
ありがとうございます。
あと、お手が挙がっているのは、小和田委員だけでよろしいでしょうか。
では、小和田委員、お願いします。

小和田委員
ありがとうございます。私のから2点コメントさせていただきたいと思います。
まず、1点目は、先ほど来、何人かの委員の先生がおっしゃっていましたが、COP26でのパリ協定6条の実施ルールの合意についてでございます。これにつきましては、本当に大変歓迎したいというふうに業界全体で思っております。これは地球規模での排出削減の取組は大変重要でございまして、我々が持っている脱炭素、あるいはトランジションの技術を、技術を持っていない国に移転するということは非常に重要な取組だというふうに認識してございます。そういった中で、今回、JCMの拡充というご提案がございましたが、これについても期待をしているところでございます。
一方で、企業が実際に活用する面においては、やはり活用しやすい設計、これについても心がけていただきたいと考えてございます。また、JCMの枠外、要はJCMの中に入らないような取組についても、評価していただける、そういったような支援の取組、施策についても、検討していただきたいというふうに考えてございます。
2点目につきましては、12ページの、先ほど藤本委員のコメントにもございましたが、改正温対法を踏まえた算定・報告・公表制度の改善の検討の方向についてです。実際に私ども、事業者として、今、1万3,000事業者が、このSHK制度の報告事業者数として挙げられておりますが、この改善に当たっては、報告主体に応じて、いろいろな実態がございますので、報告作業の負担、これも勘案しながらの改善ということを検討していただきたいというふうにお願いいたします。
例えば、先ほどもありましたけど任意報告、ここにつきましても、例えば中小企業においては、報告する内容にばらつきが出たり、あるいは、報告自体が負担になるといったこともあるかもしれませんし、一方で、プライム市場等に上場する企業では、ステークホルダーに対して、ここに開示している内容が、そのまま、その市場にとっても意味のあるものとなるとすれば、我々としても任意報告することに対し、インセンティブは高まるというふうに考えてございます。グローバルな排出削減の企業の自主的な取組、あるいはカーボンニュートラルへのトランジションの考え方、取組状況、数字に表れないところでの取組等を記載させていただいて、それを、例えば先進的な事例として情報発信していただくと、そういったような使い方をしていただければと思います。
私からは以上でございます。

大塚部会長
どうもありがとうございます。大変前向きなご発言、どうもありがとうございます。
では、環境省のほうからいただければと思います。よろしくお願いします。

総務課長
ありがとうございます。
まず、先ほど、石上委員のほうから公正な移行についてのご質問をいただいておりましたが、すみません、ご回答が漏れておりました。
ちょっと私、COPでの経緯、承知をしておりませんので、また確認をして、改めてご連絡、ご相談させていただきたいというふうに思います。
それから、荻本委員、下田委員のほうから、人づくり、学び直し、そういった点についてのご指摘をいただきました。非常に重要な点だと思っております。地域脱炭素のロードマップの中では、それをつくる過程で、既に地方公共団体のほうから、やはり脱炭素地域をつくっていくノウハウを持ったような人がいないんですよという声が寄せられておりましたので、環境省オリジナルの仕組みではないんですけれども、総務省が行っている、都会の人材を地域につないでいくというようなマッチングの仕組みがございますので、それにのっかって、地域脱炭素のノウハウを持ったような方々を地域につないでいくと、そういうような考え方も既に入れ込んでいるところでございまして、今後しっかり実施をしていきたいというふうに思います。
また、人づくりそのものについては、前半部分でも藤村委員からご指摘いただいて、文科相も本気ですよというようなことを紹介しましたけれども、環境省としては、確かに、これまで、子どもの環境教育みたいなところはやってきたんですけれども、そういう本格的に社会人の人材育成みたいなところを政策化してきていなかったところだとは思うんですけれども、今回、新しい資本主義全体の中でも話題になっておりますし、こうして多くの人材の重要性をご指摘いただいておりますので、すぐに何かできるかどうか分かりませんけれども、関係省庁とよく相談をしながら、重要なテーマとして考えていきたいというふうに思っております。

地球温暖化対策課長
続きまして、温暖化対策課長の小笠原でございます。
藤本委員、小和田委員から、算定・報告・公表制度、任意報告についてご意見をいただきました。算定・報告制度、任意報告につきましては、現状ですと、任意報告いただく件数が年間数十件と、なかなか件数が伸びていない中で、これをいかに使いやすく、負担感なく使いやすく、さらに、報告いただいたものをいかに、どのように活用いただけるようにしていくかということを検討しているところでございます。ご意見も参考にしながら検討していきたいと思います。
それからTCFD、金融庁のほうの、TCFD等の議論と比べると、任意報告のほうは、TCFDの項目とかも参考にしながら検討しているわけでございますけれども、そこまで精緻なものには、任意報告の項目としてはなりませんし、どうしても任意という、対応は任意のものでございますので、いずれにしろ負担感もなく、使いやすいようにというご指摘を踏まえて検討していきたいと思います。ありがとうございます。

総務課長
江守委員や山戸委員、あるいは小和田委員から国際面のご指摘がございましたので、ご回答お願いします。

国際地球温暖化対策担当参事官室参事官補佐
国際地球温暖化対策参事官室、井上です。
マタバリの件について、ご指摘をいただきました。ご案内のとおり、G7の首脳会議においては、新規の石炭火力に資する支援については、もう昨年内に終了するということになっておりますが、既存の案件については、その合意の範囲にはないわけなんですけども、個別のそのプロジェクトの状況について、申し上げるのは差し控えたいと思うんですけれども、環境省の立場とスタンスということ、そういうご質問でしたので、やはり、このプロジェクトなど、その全体の案件について、少しでも脱炭素化の方向に向かっていくということを実現するために臨んでいくと、そういうような、そのためにこの調整をしていくというような立場でおりまして、政府としても、世界の脱炭素化を支援していくというところがスタンスになっておりますので、そういったことに従って対応していくことになるというふうに考えております。
以上です。

市場メカニズム室国際企画官
すみません、市場メカニズム室、小圷です。
JCMについて、少し、小和田委員を含めてコメントさせていただければと思いますけども、JCMにつきましては、今200件を超えるプロジェクトが実際に採択をされておりまして、さらに、これを展開していきたいというふうに考えておりますし、非常に多くのポテンシャルが日本企業にとってはあるというふうに思っておりますので、まさに、この海外における脱炭素の実現の大きな柱として、環境省としても位置づけておりまして、来年度の予算においても、120億円を超える額の予算要求が認められておりますので、ぜひ設備補助、ちょっと宣伝になってしまって恐縮なんですけども、我々のほうでやっております補助事業をご活用いただいて、優れた脱炭素技術を海外に展開していただければというふうに思っております。
あとは、人材育成等についても言及がございましたけども、我々としても、この6条を展開していく、これはまさに、そのJCMの経験を海外に展開していくということと非常にイコールになるんじゃないかというふうにも思っておりまして、第三者検証機関ですとか、JCMの削減量の計算ですとか、様々な知見を日本として持っております。こういったところを、ぜひ海外にも知見を伝えていただきたい。そういったところに、まさに、これまで携わった方々に外に出ていっていただく、新たな学びの機会をつくっていく、そういったところにもつながっていっているというふうに思っておりますので、そういったことも含めて、JCM、あとは6条の推進、こういったところを日本が主導的に進めていきたいというふうに思っておりますので、引き続きご指導いただければと思います。
ありがとうございます。

総務課長
最後かなと思いますが、山戸委員のほうから、クリーンエネルギー戦略に関連しまして、産業界として、しっかり取り組んでいくということと、それから政府の、政府、環境省のこれからの取組への期待についてお話しいただきました。大変ありがたいと思いますので、しっかりこちらも取り組んでいきたいと思っております。
ありがとうございます。

大塚部会長
どうもありがとうございます。活発なご議論を頂戴いたしまして、誠にありがとうございました。さらに、ご質問・ご意見がございます場合には、後日、事務局に直接ご連絡をいただきますようお願いいたします。
最後に、議題の4、その他につきまして、何かございましたら事務局からお願いいたします。

総務課長
大丈夫です。

大塚部会長
では、以上で本日の議事は全て終了いたしました。
私の不手際で、少し超過いたしまして、誠に申し訳ありませんでした。円滑な進行にご協力いただきまして、誠にありがとうございました。
最後に、事務局にお返ししたいと思います。

総務課長
大塚部会長、どうもありがとうございました。また、委員の皆様方におかれましても、大変活発なご議論をいただきまして、厚く御礼を申し上げたいと思います。
なお、本日の議事録につきましては、事務局で作成の上、委員の皆様に確認をいただきました後に、ホームページに掲載をさせていただきたいというふうに考えております。
次回の日程は、決まり次第、またご連絡をしたいと思います。
それでは、以上をもちまして、本日の地球環境部会を閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。

午後 5時30分 閉会