地球環境部会(第147回) 議事録

日時

 令和3年4月28日(水)10時00分~12時29分

場所

 WEBによる開催

議事

(1)国内外の最近の動向について(報告)

(2)その他

議事録

午前1000分 開会

総務課長

それでは、定刻となりましたので、ただいまから第147回中央環境審議会地球環境部会を開催いたします。

私、事務局を務めさせていただいています地球環境局総務課長、関谷と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

本日、委員総数28名中、過半数の委員にご出席をいただいておりまして、定足数の要件を満たし、部会として成立していることをご報告申し上げます。

本日の部会はWEBでの開催としまして、YouTubeでの環境省動画チャンネルで同時配信をしております。

WEB会議の開催に当たり、何点かご協力をお願いいたします。

通信環境の負荷低減のため、カメラの映像は原則オフにしていただいて、ご発言の際のみオンにしていただけますよう、お願いいたします。

また、ハウリング等を防ぐため、発言する際以外はマイクの設定をミュートにしていただきますよう、お願いいたします。

ご発言を希望される場合には、ご自身の名前の右側にある手の形のアイコン、挙手ボタンをクリックお願いいたします。

また、ご発言が終わられましたら、ボタンを再度クリックし、挙手を解除いただけますよう、お願いいたします。

もし、挙手ボタンを押しているにも関わらず事務局側が気づかないなどございましたら、チャットでお知らせいただけますと幸いです。

通信トラブル等何かありましたら、同様に右下にありますチャットにご記入いただきますか、またはお手数ですが事務局までお電話をいただけますよう、お願いいたします。

中央環境審議会は本年2月に委員の改選がございまして、今回改選後最初の部会開催となります。

まず最初に、新たに地球環境部会長にご就任されました大塚直部会長より、ご挨拶をいただきたいと思います。

大塚部会長、よろしくお願いいたします。

大塚部会長

この度地球環境部会長を拝命いたしました、大塚でございます。

昨年10月、菅総理から2050年までにカーボンニュートラルを目指すとの宣言が出されまして、このことは現在国会で審議中の地球温暖化対策推進法案にも明記されるところでございます。

また、4月22日には、やはり総理から2030年度温室効果ガス、2013年度比46%削減という方針が表明されました。IPCC1.5度特別報告書が1.5度目標達成のために必要とする温室効果ガスの2030年度目標とも整合する野心的な目標が打ち出されたと言えます。

温暖化対策に対する我が国の意思を示した点で高く評価されるべきですし、民間のESG投資、融資を日本に向けさせる点で大きな進展ですが、今後この目標をグリーン成長に結びつける形で実現させていかなければなりません。

まず、この目標に適合するように、地球温暖化対策計画を改正することが必要となります。対策手法も重要となります。

また、財政規律とか国益に対しても配慮しながら、コストパフォーマンスのよい施策から優先的に打っていく姿勢が重要となると考えております。

このような時期に地球環境部会長を拝命いたしましたことにつきましては、身の引き締まる思いでございますが、皆様のご協力を何とぞよろしくお願い申し上げます。

簡単ですが、私の挨拶とさせていただきます。

総務課長

どうもありがとうございました。

それでは今回の改正に伴いまして、新しく委員にご参画されました方々をご紹介させていただきます。お名前のみ失礼いたします。

勢一智子委員、沖大幹臨時委員、亀山康子臨時委員、小和田祐子臨時委員、馬場未希臨時委員でございます。

本日は議事次第に加えまして、資料1、資料2、さらに本日ご欠席の右田委員より意見書が提出されておりますので、配付をさせていただいております。

それでは以降、議事進行を大塚部会長にお願いいたします。

大塚部会長

まず、議事に入ります前に、委員の改選がございましたので、新たに部会長の代理を指名する必要がございます。

中央環境審議会によりまして、部会長に事故があるときに、部会長があらかじめ指名する者がその職務を代理することになっております。

そこで、田中里沙委員に部会長代理をお願いするということで、委員ご本人にもご了解いただいておりますので、ご報告いたします。どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、議事に入ります。

本日は議事次第のとおり、その他も含めて二つの議題が予定されております。議事の進め方につきましては、まず議題1の説明、質疑応答を行いたいと思います。多くの方が発言できますように、説明者を含めてご協力をお願いいたします。

まず、議事の1、議題の1につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

脱炭素社会移行推進室長

それでは、資料2に基づきまして、本日の資料のご説明を申し上げたいと思います。

私、地球環境局脱炭素社会移行推進室長の坂口でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

今画面に映っておりますとおり、資料2、本日の資料は国内外の最近の動向についてということでございます。次のページをお願いします。

目次として書いておりますが、最近の話題ということで、資料1ページ目にございますとおり、10項目についてご紹介を申し上げております。次、お願いします。

早速ですが、2030年目標についてということでございます。

報道等々でもご承知のとおりかと思いますけれども、先日、4月22日、地球温暖化対策本部が開催されまして、そこで総理から2030年目標に関する表明がございました。

部分的に読み上げますと、この赤字で書かれておりますけれども、「2050年目標と整合的で、野心的な目標として、2030年度に、温室効果ガスを2013年度から46パーセント削減することを目指します。さらに、50パーセントの高みに向けて、挑戦を続けてまいります」といった内容でございます。

そして、次のページをお願いします。

そして、その日、夜に行われましたアメリカ主催の気候サミットというものがございましたけれども、ここでも菅総理から、今申し上げたような点について、国際的に表明をされております。

次のページをお願いします。

なお、この気候サミットにおきましては、第1セッションで首脳級セッションというのがありまして、ここに菅総理を含め、様々な国の首相が出席し、各国の野心向上等々について表明をされております。

以降については、少し詳細に資料をつけておりますけれども、ご参照いただければと思います。

次のページをお願いします。

こちらが④と書かれているページですけれども、こちらが総理の発言を改めて記載をしているものでございます。

少し飛びまして、9ページでございます。

右下に9と書かれているページですけれども、こちらはそれに先立ちまして、4月16日に菅総理が訪米しまして、アメリカのバイデン大統領と会談をしたと。そのときの成果ということの概要でございます。

この際に菅総理とバイデン大統領、首脳会談におきまして、「日米気候パートナーシップ」というものを立ち上げるということで一致しまして、その後の記者会見で発表しております。

中身としましては、ここに①から③と書かれておりますとおり、両国の気候野心とパリ協定の実施に関する協力・対話。そして、技術・イノベーションに関する協力。そして、第三国、特にインド太平洋諸国における脱炭素社会への移行、それから加速化に関する協力。こういった中身でございます。

この気候パートナーシップについても、22日の気候サミットにおきまして菅総理から発言しておるところでございます。

その後は、しばらくその詳細に関する資料が続きますので少々飛ばさせていただきまして、右下12ページをご覧いただければと思います。

2030年目標につきましては、昨年の9月以降、総理の2050年カーボンニュートラル宣言にも先立ちまして、温対計画、2030年目標等々を含む中身ですけれども、その見直しについて議論を開始しておりました。

この地球環境部会の下に中長期の小委員会というのを設けまして、産構審のワーキンググループと合同でこのとおり議論を続けております。

これまでに5回ほど議論を重ねておりまして、今まさに先ほどの総理の発言もありました46%、さらには50%に向けた挑戦を続けるといったことにつきまして、その裏づけとなるものを作るべく議論が加速しているという状況でございます。

次のページ、13ページには今後の進め方ということで、NDC見直しの議論を加速するということ。

さらには、2050年カーボンニュートラルに向けた議論というものも併せて行っておりますけれども、今後国全体として成長戦略、それから、この後出てまいりますが、国・地方脱炭素実現会議、さらには並行して行っております総合資源エネルギー調査会の場における議論、こういったものも踏まえて、長期戦略の見直しも必要ということでございます。

次のページ、14ページをご覧ください。

こちらは次のテーマでございますが、温対法の改正案についてでございます。

前回、委員の改選前の部会でも、この点についてはご議論いただきましたけれども、お陰様で温対法の改正案、無事閣議決定をいたしまして、現在国会で審議中という状況でございます。

主な改正内容を改めてご紹介しますと、このページの中ほど以降に書かれておりますが、パリ協定、2050年カーボンニュートラル宣言を踏まえた基本理念の新設。

そして、2ポツ目、地域の再エネを活用した脱炭素化を促進する事業を推進するための計画・認定制度の創設。

そして、三つ目。算定報告公表制度ですね。こちらの情報のデジタル化・オープンデータ化の推進といった中身でございます。

次の15ページに、先ほど2ポツ目の地域脱炭素化促進制度のフロー図も載せております。

目玉としましては、自治体ごとの再エネ利用促進の施策実施目標の設定や地域脱炭素化促進事業の促進地域の指定、地域ごとの配慮事項、そういったものを今後やっていくといった仕組でございまして、特にこの促進区域における事業については、市町村が認定することができます。その場合については、各規制制度のいわゆるワンストップサービス等々特例を設けるといった中身でございます。

16ページにその狙いを書いておりますけれども、自治体にとって、まず計画を策定して、優良事例を選定・推進すると。そこで、再エネ事業を行う事業者にとりましては、構想段階で事業の予見可能性が向上し、実施が円滑化すると。地域主導で脱炭素化を加速すると、こういった狙いでございます。

次、3点目でございます。

17ページでございますが、官邸に3月9日に総理が発言したことを受けまして、地球温暖化対策推進本部の下、この11月のCOP26をはじめとする一連の国際会議と、特に今年は気候変動をかなり大きく扱う国際会議が目白押しでございますので、それを踏まえて気候変動対策、分野横断的に議論してグリーン社会の実現に向けた方針の検討を行うためということで、官邸に有識者会議が設置されております。

構成員、このページの下のほうに書かれているとおりでございます。

3月31日に第1回会議が開催されまして、様々幅広い議論が行われたところであります。

総理は議論を踏まえて、「国際的な潮流も踏まえつつ、我が国の目指すべき方向性や将来ビジョンについて、ビジネスの現場やそれぞれ専門的な視点から、忌憚のないご議論をお願いしたい。真摯にご意見を拝聴して、政策に生かしてまいりたい」といった発言をされております。

次のページ。また次の項目になりますが、こちらも官邸に設けました会議で、国・地方脱炭素実現会議についてでございます。

これは昨年の年末以降開催されておりますが、特に地域主導で国と地方が協働・共創して2050年までのカーボンニュートラルを実現する、特に今ある技術を今のうちから加速度的に導入していくんだといったことを中心とする中身について、特に地域の取組と国民のライフスタイルと密接に関わる分野について議論する場ということで、開催をしております。

これまで会議としては2回開催。そして、関係各方面からのヒアリング等々も行った上で、先般の4月20日に行われた第2回でロードマップの骨子案が議論されております。5月下旬頃に第3回会議ということで取りまとめていきたいということでございます。

構成メンバーとしては、内閣官房長官が議長、環境大臣と総務大臣が副議長、その他関係各大臣、それから地方公共団体の首長の方々に委員を担っていただいているという中身でございます。

次のページ。19ページに、このロードマップの骨子案について、ご説明をしております。

キーメッセージとして二つ挙げておりまして、まず一つ目、地域脱炭素は、地域課題の解決につながる地方創生、地方の魅力と質の向上、こういったことを併せてやっていくことで、いわゆる様々な地域にとっての良さみたいなものを生かしながら、脱炭素を進めていくということでございます。

それから、二つ目として、足元から5年間に政策を総動員すると。適用可能な最新技術による対策の集中実施ということでございます。

100か所以上の脱炭素先行地域をつくって、これを全国に広げていく。その結果、多くの地域で2050年を待たず脱炭素を達成するということを目指しております。

次のページに、もう少し詳細なことを書いてございますけれども、この脱炭素先行地域100カ所、少なくともということですけれども、ここにおいては2025年度までに脱炭素実現の道筋をつけて、2030年度までに達成するという中身でございます。

ここで1点、脱炭素という、この場に限ってということではありますが、まず、やはり地方サイドでやりやすいところからという意味を込めて、民生部門(家庭や業務ビル等)の電力消費に伴うCO2実質ゼロ、こういうところから始めていくというメッセージでございます。

既に全国で、この下にもありますとおり、様々な脱炭素に向けた対策が進んでおりますが、こういった重点対策を進めて、各地の創意工夫を横展開していくといった考え方でいきたいと考えております。

次のページに、少しまた、もう少し詳しいことを書かれておりますけれども、2050年カーボンニュートラル、特に脱炭素・分散型社会の基盤確立という意味でいきますと、特に2025年、30年ということを目指した場合に、やはり再生可能エネルギー、特にリードタイムの短い太陽光といったものが一定主役として考えられるだろう、特に自ら設置、それから初期費用0円型太陽光、様々出てきておりますので、こういったものを進めていきたいと。

併せて、地域に何らかそのよさが還元されるような地域共生型の太陽光、こういったものも必要だということで、こういったものを先ほどの温対法、今審議中ですけれども、こういった制度なども絡めながら取り組んでいきたい、そういった方針でございます。

少し飛びまして、27ページ、ご覧いただければと思います。

こちらはカーボンプライシングについてということで、検討状況を紹介いたします。5項目でございます。

カーボンプライシングというのは、あまり今ここでご説明するまでもありませんけども、炭素に価格を付けて、排出者の行動を変容させるという政策手法全般を呼んでおります。

やはり炭素税であるとか、キャップ・アンド・トレード、国内排出量取引、こういったものが一般的には浮かぶわけですけれども、この手法にとどまらず、いわゆるクレジット取引ですとか、それから国際的に見た国際機関による市場メカニズムですとか、もしくは企業内で行うインターナルカーボンプライシング。さらに国際的に見ますと、炭素国境調整措置、こういったものを検討しているような地域もございますので、こういう幅広い仕組もいろいろと検討しまして、もともと総理の指示であります成長に資するカーボンプライシングという制度、これをいかに設計しうるかという観点から、環境省、経産省がそれぞれ連携して、こういった幅広い議論を行っているという状況でございます。

次のページに検討の状況、これまでの経緯について少し記載しております。

環境省では、もともとこのカーボンプライシングの在り方に関する検討会というのを2018年度まで行っておりましたけれども、改めて2018年7月に産業界の方々にも参画いただいて、中環審の小委員会という形で議論を行って、翌年中間整理を行ったということでございますが、改めまして今年の2月以降、このカーボンプライシング小委員会を再開しておりまして、これまでに3回議論が行われているというところでございます。

続けて6項目目でございます。日本の温室効果ガス排出量の確報値についてでございます。

これは昨年12月に速報をお出しして、その確報として固まったものを今年の4月中旬に公表させていただいております。

速報と基本的に内容ほとんど変わっておりませんけれども、ざっとご紹介しますと、2019年最新の総排出量は12億1,200万トンということで、現在パリ協定での日本の基準年である2013年から6年連続の減少ということになっております。

また、1990年以降、最少値更新ということで、減少傾向が続いているということでございます。

次のページには、二酸化炭素の部門別の状況をお示ししておりますけれども、これも同様、ここ数年間各部門で減少が見られているということでございます。

31ページ目は、最新の部門別排出量。電気・熱を配分する前の状況が左のグラフ、右のグラフが配分後でございます。

駆け足で恐縮ですが、次7項目目、32ページでございますが、これは地球温暖化対策計画、現行計画のフォローアップを毎年行っておりまして、3月には委員の皆様方には書面開催ということでご議論いただきましたけれども、その結果でございます。

26%削減という現行目標に対しての各対策の進行状況ですけれども、ざっと全体像だけお示ししますと、削減量ベースのうちの大体8割ぐらい、この円グラフの黄緑のところですけども、ここが大体その目標と同じぐらいのペースで削減が進んでいるという対策でございます。

そのほか、AとBというふうに書かれている部分。この部分がより速いペースで取組が進んでいるものでして、Dが少し遅れぎみ、このままいくとこの目標に達しないのではないかという取組。Eというのが、まだ完全なデータが得られていないという部分でございます。

ややA、B比べた部分とD、E比べた部分でD、Eのほうが多いというところはありますけれども、8割以上、A、Bも含めますと85%、84%程度が目標どおり、もしくはそれ以上進んでいるということで、押しなべて26%削減に向けては、全体としてはほぼ順調に進んでいるというふうに言ってよいのではないかと思っております。

こちらの部門別に見ましたものが次以降ですけども、ちょっと細かいので、本日は説明を割愛させていただきます。

続きまして、8項目目、38ページでございます。

政府の率先実行。こちらは温対法に基づきます「政府実行計画」の策定をされておりまして、それに基づく実行を行っております。

現行目標は、現行の温対計画にあります業務部門の40%削減、これに合わせて目標を設定しておりまして、2019年時点で12%弱の削減ということです。

こちらも毎年フォローアップを行っておりまして、そこでのご意見も踏まえ、例えば照明の全面LED化、電動車の導入、再エネの徹底導入、こういったことを含めて、現在行われております温対計画の見直しと歩調と合わせて、この政府実行計画についても見直しを行っていきたいというふうに考えております。

続きまして、39ページ以降ですけれども、2030年、50年に向けた個別の分野での検討状況。特にエネルギー起源以外の環境省関係施策ということですけれども、ここでは代替フロン関係と、それから廃棄物関係についてご紹介いたします。

代替フロン関係については、モントリオール議定書の枠組みに従いまして、そもそも生産流通量を減らしていくという取組。それから、ノンフロン・低GWP化の推進、さらには使用中の漏えいを防ぐシステムの導入、さらに廃棄時の回収・破壊ということを進めているという状況でございます。

40ページを見ていただきますと、ただ、そういう中で実際には、やはり特定フロンからの代替が進んできているという状況の中このHFCS、増えてしまっておりまして、これを先ほどのような施策の各種強化ということを目指して、2050年ゼロを目指し、2030年目標、現行目標ですけれども、これについても強化を含めて検討をしているという状況でございます。

続きまして、廃棄物分野ですけれども、こちらは現行計画に基づく取組の進捗状況を踏まえますとともに、今プラスチック資源循環法案、これについても国会で審議をこれからしていただくという状況になっております。

この辺を見据えまして、例えばプラスチックの焼却を防ぐような例えばリサイクルの推進等々、またはバイオマスプラスチックをさらに普及させる。その他、幅広く対策の強化を行いまして、2030年目標についても見直しを行っていきたいというふうに考えております。

次のページ、42ページは、2050年ゼロに向けた資源循環分野の考え方ということで、やはり化石資源由来、化石資源を焼却することによる排出が現在の中心ですので、これを徹底的に削減していくと。リサイクルの拡充、それから、廃棄物発電の熱利用による他分野での削減効果も2030年度断面では見込みつつ、最終的にはどうしても焼却せざるを得ないものがあるとすれば、CCUS等々についても考えて、2050年までに最終的にカーボンニュートラルを目指すといったことを考えております。

最後10項目目でございます。43ページですけれども、世界の脱炭素化、我が国の貢献と目標への活用。

現行計画におきまして、JCMについても温対計画に位置づけておりまして、そこに向けた、特に国の予算に基づく部分を温対計画に位置づけ、これを現行26%の削減目標の算定根拠とはしていないわけですけれども、取組を進めております。

今般、これを官民連携もさらに強化・拡充して取り組んでいくということを考えておりまして、また、特に現行の国の予算に基づくものについては、今般、より野心的な日本の目標を考えるということに当たって、我が国の2030年目標に活用するということも検討していきたいというふうに考えております。

時間オーバーしてしまいました。申し訳ありません。資料の説明は以上でございます。

大塚部会長

ありがとうございました。

それでは、ただいまの説明内容につきまして、ご質問、ご意見等がございましたら、挙手ボタンをクリックしてください。現在事務局で挙手している方を確認しておりますので、しばらくお待ちください。

多くの委員にご発言いただきたいので、一人3分ぐらいで恐れ入りますが、よろしくお願いいたします。

では、藤村委員、お願いします。

藤村委員

ありがとうございます。

46%の削減という2030年の目標が、いつも先に決められるエネルギー基本計画より先に出されたことは、本当にとてもよかったと思うんですけれども、だから原発だといかないように留意しつつ、いい形でエネルギー基本計画に反映していただくことを期待しております。

また、目標達成に向けては、具体的な策が急務だと思うんですけれども、特に再エネの拡大と省エネの徹底が大きなかぎになると思います。

再エネについてですが、やはり地域の役割は非常に大きいと。ところが先日朝日新聞の調査によると、ゼロカーボンシティ宣言した自治体のうち、導入目標があるのは30%で、検討もしていないというところが47%という結果でした。

導入の課題としては、トラブルだとか、資金調達、コストが挙げられておりました。

また一方、中小企業においても、やはりコストというのが非常に大きな壁になっているという話をよく聞きます。

トラブルについては合意形成の仕組みで解決できるように思いますけれども、資金、コストについては、まさに政策だと思うんですね。

現在、原発だとか、石炭火力を温存して、大手電力を有利にする政策、すなわち再エネ導入を阻むような政策、特に電力市場の問題があると思います。ベースロード市場だとか、非化石価値取引市場、容量市場、それに加えて系統の接続の問題がありますが、これをどう解決していくかというのは非常に大きな課題だと思いますので、ぜひ頑張っていただきたいなと思います。

2点目といたしましては、省エネについてなんですけども、脱炭素の実現には省エネが大前提だと思いますが、現状ではなかなか残念ながら市民の間で脱炭素の必要性というものが、まだあまり理解されていないように思います。

どんなに脱炭素の技術とかサービスが増えても、基本的には人々の意識、価値観、行動が変わらない限りは、脱炭素という新しい社会の転換は非常に難しいと思っております。

例えば、地域脱炭素ロードマップの骨子案が出されましたけれども、その中で見える化によるライフスタイルのイノベーションとあります。ここではポイントを与えるだとか、情報を与えるということが中心になっています。もちろん、そういうことも必要だとは思うんですけれども、与えるだけでは人は変わらないと思うんですね。やはり自ら考え、行動するという能動的・創意工夫を促すような政策がもう少し必要なのではないかなと。

そういう意味では、いつも申し上げておりますけれども、計画づくりからの市民参加だとか、市民気候会議もその一つですし、温対法にもありますような再エネに関する合意形成の場を活用するとか、実行計画、協議会の場を活用するということがとても大切だと思っています。ぜひ、その辺のところに重点を置いた政策をお願いしたいと思っています。

それから、2点質問です。

1点は、カーボンプライシング、いつまで議論をするのかなと。特に炭素税。いつ動き出すのかなと思っております。

2点目としては、今日の説明の32ページの評価というのは、46%の目標に合わせるとかなり評価が異なってくると思うんですけども、この点について少し説明していただければと思いました。

以上です。

大塚部会長

ありがとうございました。

では、江守委員、お願いします。

江守委員

ありがとうございます。

2点申し上げたいと思います。

一つは46%削減に向けて、大まかな考え方ですけれども、積み上げを行うのはもちろん行うんだと思いますけれども、それが数字のつじつま合わせに終始していてはいけないんじゃないかというふうに強く思っております。

積み上げが難しい目標を掲げたんだと理解しておりますけれども、その意義は、それを動機づけにしまして、大胆な政策を、例えば十分な規模のカーボンプライシングを前倒しで導入するということをドライブするということではないかというふうに個人的には理解しております。

それによって、社会や産業の構造転換が進むと。

例えば地域分散エネルギー社会、あるいは産業や雇用のグリーン化ということが進んで、結果的に46%排出が減少するということを目指すべきではないかというふうに個人的には理解しております。

もう一つは、今回どうやって達成するか、必ずしも自明でない目標を掲げたということは、以前にも申し上げました国民的議論の必要性が高まっているというふうに感じております。この点は、今まさに藤村委員もおっしゃっていただきましたけれども、その気候市民会議ですね。フランスとかイギリスで行われたような無作為抽出の熟議型の市民会議というものの実施を、ぜひ政府としても検討していただくように希望いたします。

これは僕が入っております研究グループが札幌で小規模ながら実施いたしまして、それから現在川崎市で実施する計画がありますし、それから、若者の団体が類似の会議を計画しています。

こういうことを行いますと、市民はどんな懸念があるか。どんな政策だったら受入れやすいか。あるいは、どんな配慮が必要かといったようなことが、単なるアンケート、社会調査ではなくて、熟議を経た市民の意見というのが得られるということは、政策的な意義が非常に大きいというふうに思っております。もしかしたら、我々専門家や行政が思いつかないような新しいアイデアがそこから出てくる可能性もあるかと思います。

また、国民全体でこの問題を議論しているという姿勢を政府が示すことも非常に重要だと思っております。

この点に関して、今日はぜひ環境省としてのお考えを伺いたいというふうに思います。

以上です。

大塚部会長

ありがとうございました。

では、中根委員、お願いします。中根委員、いかがでしょうか。

中根委員、ミュートになっていますけども。

中根委員

聞こえますでしょうか。

大塚部会長

今聞こえました。

中根委員

ありがとうございます。藤村委員が先ほどおっしゃった、エネルギーミックスの前に46%という目標が示されたということ、非常に意義が大きいと考えております。

私からは、フロン類対策小委員会と経産省のワーキンググループとの合同部会が一昨日に行われましたので、今増えつつあるHFCについて、39枚目のスライドに対策が示されておりますけども、それについてコメントさせていただきます。

ここに挙げられた追加的対策については、方向性については良いということを前提に、2030年に向けたさらなる深掘りが重要であるということ、これが第1点です。

また、機器更新の機会が対策のチャンスです。グリーン冷媒を使う機器などに更新する機会でありますので、中期的な取組を促す行政施策が重要であるということを強調したい。これが第2点です。

3点目ですけども、ここには現在も今後も重要ですので、このスライドでは明示していないのですが、普及啓発、国民の理解の増進が重要であるということが、一昨日の小委員会でも確認されました。

その際、事業者に対する普及啓発だけでなく、家庭を通じた普及啓発も重要であるということを強調したいと思います。

具体的には、家庭用エアコンのフロンの処理を適切に実施できるような自治体等からのアナウンス。これはなかなか自治体のホームページなどを見ても分かりにくいので、それを強めるようにしていただきたいということです。

家庭で話題になることの効果というのはとても大きくて、「お父さんの会社のエアコンはどうしている」、「お母さんの会社のエアコンはどうしている」というような家庭での会話が、事業所での対策を後押しするものと考えます。

家庭用エアコンは、家電リサイクル法の管轄ですけれども、その枠組みでは、これまでフロンは中心的な対象でないのではないかと危惧していましたところ、フロン室の豊住室長に教えていただいたのですが、現在循環型社会部会で議論していただいているということで、部会や省庁を横断した取組をさらに強めていただくことを、普及啓発の一環としてお願いしたいと思います。

この家庭で話題にしてもらうということが重要だということは、他の対策についても共通のこと、重要なことと感じておりますので、よろしくお願いします。

以上です。

大塚部会長

ありがとうございました。

では、井田委員、お願いします。

井田委員

ありがとうございます。

皆さんおっしゃっているんですけど、今回たまたまなんですけども、NDCというか、削減目標が先で、エネミやエネ基が後からついてきたというのは、これはあるべき姿なので、ぜひ次回もこういう形で議論を進めるべきだと思います。

2点目なんですが、これ、46という数字と50という数字をどう考えるかというのは、私重要だと思っておりまして、46というのは国際的には必ずしもトップレベルであって、評価されるものではなくて、ないと。ただ、国内では、これは非常に極めて野心が高い目標であるというのは、これ、何を示しているかというと、国際的なもの、政策と日本の国内政策がいかに遅れてきたかというギャップの現れだと思うんですね。ぎりぎりまで夏休みの宿題をやっていなかった子どもが8月30日になって困っているようなものなので、46%というのは真剣にやっていかなきゃならないというふうに思います。

ただ、46%という必ずしも国際的にトップレベルに、先進国としてトップレベルにあるものだという、ないものでも、厳しい批判を受けなかったというのは、これ、やっぱり50%への言及というのがあったからだと思っておりまして、ぜひ46%にとどまることなく常に50%を目指していくんだという形で、私は政策展開をしていくべきだと思うんですが、今回環境省の方にこの50%という数字をどう考えるかというのを伺いたいと。どういうふうに捉えているのかというのを伺いたいと。50%を目指す覚悟というのを伺いたいというのが質問です。

 あと、中根委員からご指摘あったんですけども、私、フロンに関してはかねがね申し上げていて、今の仕組みで減るわけはないとお話ししておりまして、これはこうなるのは分かっていたので、日本の環境政策上の最大の失敗の一つだと私はかねがね申し上げていますが、このグラフを見ても、40ページのグラフを見ても、今のような仕組みの延長で、こんな右肩下がりに急に下がっていくと私は全く思いません。本当に真剣に追加的な政策が必要だと思います。回収、再利用だけでなく、回収、破壊だけでなくて、これはやっぱり上流を絞るというような抜本的な政策導入が必要だと、これもかねがね申し上げていたことなんですけども、ぜひ、ここら辺どういうことを考えているか。上流対策を含めて、規制というのも含めて、どういうふうな考えをお持ちなのかというのを、この際フロン室の方に、ぜひ伺いたいと思います。

普及啓発が大事だというのはおっしゃるとおりなんですけども、普及啓発が大事だというのなら、僕はダストブロワーなんていうのは明日にでもやめるべきだと思うんですよね。量は少ないけども、普及啓発だったらフロン問題というのはそういうところから始まると思います。

産業に関しても、転換のインセンティブだけじゃなくて、やっぱりディスインセンティブが必要だと思うんですよね。50年にゼロというのを目指すんだったら、アメだけでなくてムチの政策というのも必要だと思うんですけども、そこら辺をどう考えているのかというのを伺いたいと思います。

プラごみの話も、私、審議会の中で温暖化対策としてプラごみの終局というのをどう考えるかというのをさんざん聞いてきたんですけど、今までお答えがなかったんですが、こういう形で目標を深掘り含めて出てきたというのは非常にいいことだと思うし、歓迎すべきですし、フロンに比べてかなり具体的な政策もあるので、減っていくのかなというのが分かると。

ただ、ここもぜひ伺いたいんですが、プラごみの背後にある排出は、プラごみに関する排出というのも廃棄物の焼却だけじゃなくて、生産・輸送・加工とかバックグラウンドに背負っているリュックサックの排出というのは非常に多いですよね。それをやるんだったら、やっぱり急速に今の大量生産、大量消費、大量焼却という形を減らしていかなければならないんですけども、全体を減らすということに関して、どういうお考えがあるのかというのを伺いたいと思います。

以上、質問3点です。

大塚部会長

ありがとうございました。

では、石上委員、お願いします。

石上委員

ありがとうございます。

まず、2点ですが、1点目は地方自治体を中心とした今回の対策の関係ですが、この間、様々な政策、最近非常に多いんですけど、毎年様々な課題が取り上げられて、骨太方針に書かれて、地方創生ですとか、働き方改革ですとか、少子化対策ですとか、あとは去年であればデジタル化みたいなことが書かれて、毎年それを書けば予算が取れるみたいな、そういうつくりがどうしてもあるんですね。

今回、このカーボンニュートラルを書くと予算が取れるみたいな、そういうものであってはいけない。2030年、2050年に向けて、目標を立てて、それを達成しないといけないという、そういう取組なわけで、自治体を巻き込むときには、この政策的なこともそうですが、予算を予測可能性というか、予見可能性というんですか。そういうものをやはり見せていく必要があるというふうに思います。

今回のこの見せていただいた資料の中にも、先行地域をつくって横展開とありますが、この手法も実は様々な政策で取られてきたことで、はっきり言わせてもらえばこれもあまりうまくいっていないというふうに私は思っております。もう少し一つ一つの自治体に対して細かい対応、そしてそこに何ができるのかということに対して、しっかり寄り添っていくという仕組みを長い視点で見せていくということが、まず必要だなというふうに思います。

2点目は、資料の中にもあるんですけど、今回開かれた4月22、23に開催されました気候変動サミットのセッション5のところで、経済機会と気候変動への行動というのがありました。

ここには、連合も加盟しております国際労働組合総連合と、アメリカの電力・鉄鋼部門の労働組合からスピーカーが招かれまして、排出削減への新技術の導入と積極的投資。産業局構造転換、転換後の産業の持続可能性と雇用と生活の質の確保。労働者が加わる社会対話、この重要性が述べられています。

その意味では、我が国でも、やはりこういった社会対話が必要だというふうに思っておりますし、多くの労働者、働く者に、このことが影響があり、生活に影響があるということが、国民がそれを理解すること。そのことによって、このことが進んでいくというふうに思っておりまして、雇用や地域経済に関わる課題分析と対応の検討に着手すべきだというふうに思いますし、社会対話を通じた合意形成を図る、そういったことを進めていく必要があるというふうに思います。

以上です。

大塚部会長

ありがとうございます。

では、小和田委員、お願いします。

小和田委員

ありがとうございます。

聞こえますでしょうか。

大塚部会長

聞こえます。

小和田委員

今般表明された2030年度46%削減という非常に野心的な目標については、2050年カーボンニュートラル実現に取組む強い決意を国内外に示すものとして受け止めました。

その上で3点、意見を申し上げます。

まず、目標の実効性についてです。削減目標に対する環境省の考え方として、実効性が重要とあります。この数字の実現に向けては、再エネや脱炭素エネルギーの導入拡大、これに加えて徹底した省エネルギーが不可欠だと感じております。各主体が自分事として捉え、対応が加速するよう、政府にはあらゆる政策を総動員するとともに、グリーン技術だけではなくて、トランジション技術に対しても官民の資金供給が適切になされることを希望いたします。

日本商工会議所としましても、中小企業がこれまで以上に温暖化対策を自社の経営に取り入れていけるよう、各地域の商工会議所において環境アクションプランの策定を促進するとともに、省エネ対策に関する情報提供等事業者支援を強化してまいります。

また、削減目標が引き上げられた状況においても、エネルギーの「S+3E」の基本的な考え方は不変であります。引き続き「エネルギー政策」「産業政策」「温暖化対策」の三位一体かつバランスの取れた政策展開をお願いします。

2点目は、地域の脱炭素化についてです。

地域脱炭素ロードマップの骨子案では、先行地域において「脱炭素」は、民生部門の電力消費に伴うCO2排出ゼロを指すとされていますが、同様に熱の脱炭素化も今後の重要な課題と考えております。

コジェネレーションなどの分散型エネルギーシステムは、地産地消による地域内経済循環や省エネ、省CO2、レジリエンス強化等につながりますし、さらに、これらの分散型エネルギーを含め、電気・熱エネルギーを面的に利用することで、その効果が最大化されると思っています。こうした取組は、地域循環共生圏の考え方とも整合しております。

実際にエネルギーの面的利用のシステムを構築するには、多様なステークホルダーの存在といった課題もあるため、ぜひ環境省におかれましては、「暮らし」「地域」の気候変動対策を所管するという立場から、財政支援、また地域の自治体等の理解促進を図っていただくよう、リーダーシップを発揮していただきたいと思っております。

3点目になりますが、世界全体での削減への貢献についてです。

日本が国内のみならず、東南アジア、あるいは新興国をはじめ、グローバルな排出削減に貢献することが環境と成長の好循環の大きなドライブになっております。ひいては、日本のポジショニングの向上にも貢献するものだと考えております。

既にパリ協定の下で日本企業による貢献が評価されているJCMについては、さらなる促進に向けて、より事業者が利用しやすい制度設計と、環境省におかれましてはリーダーシップを発揮していただきたいと思います。

他方、企業では、投資家をはじめとするマルチステークホルダーへの対応の観点から、各国政府の制度にとらわれない多様な方法でグローバルな脱炭素化への貢献に取り組んでおります。

優れた技術力を活かして、世界全体の排出削減に貢献する日本企業のこうした取組が適切に評価されるよう、国による強力な後押しを期待しております。

大塚部会長

ありがとうございました。

では、紀ノ岡委員、お願いします。

紀ノ岡委員

ありがとうございます。紀ノ岡でございます。

私からは、3点ほど申し上げたいと思いますけれども、まず、総論といたしまして、46%削減についてでございますが、電気事業者の立場から申し上げますと、経済活動の基盤、それから国民生活に直結する電力につきましては、S+3Eの観点が非常に重要でございまして、ここの委員の皆さんは原子力や石炭に反対が多いこと、これは重々承知してはおりますけれども、物理的な実行可能性というものを踏まえた議論が必要で、机上の空論では全く意味がないと考えてございます。

46%削減ということをやろうと思えば、現行のエネルギーミックス2030年目標であります原子力の22%を確実に達成し、かつ、あらゆる政策手段を導入した再エネの現在の普及見通しである2,900億kw/h、これをさらに積み増しする必要があるわけでございます。その上で石炭を全廃して、全て火力をLNGであてがわないといけないと言っても、LNGにそんな余力はないわけでございます。先ほどどなたか言ったように、容量市場はけしからんという意見すらあるわけでございます。

したがいまして、2030年という限られた時間軸を踏まえますと、再エネの拡大に加えて原子力の最大限活用、また供給力、調整力の確保のために、石炭を含む火力の効率化にも取り組んでいく必要があると思ってございます。

それから、カーボンプライシングにつきましては、これも毎回申し上げていることでございますけれども、電源の脱炭素化、それから電化の推進、この二つを同時に進める必要があるわけでございまして、日本の電気料金には既にFIT賦課金が課されていることを踏まえますと、今後電気料金が大幅に上昇し、将来のカーボンニュートラルに不可欠である電化を阻害することがあってはならない。したがいまして、この点を十分踏まえた検討をお願いしたい。

それから、最後に、地域の脱炭素ということでございますが、取組内容については概ね異論はございませんけども、言葉の使い方について、これは非常に重大な疑義、問題があると思ってございます。

環境省のポータルサイトには、脱炭素というのは温室効果ガスをゼロにすると、こういうふうな定義をされているわけでございますし、ゼロカーボンシティについても同じような定義がされてございます。しかるに、ここには脱炭素は民生部門、電力消費に伴うCO2排出ゼロということにすり替えられてございます。これは注釈をつければ済むという問題ではないと思ってございます。

したがいまして、こういう不適切な言葉の使い方をぜひ改めていただきたいと考えてございます。

以上です。

大塚部会長

ありがとうございました。

では、浅野委員、お願いします。

浅野委員

浅野です。

カーボンプライスについては、2030年に46%削減ということがかなり大きな課題になっておりますが、そのことだけを前提にしての議論ということになると困るわけで、2050年のカーボンニュートラル最終の目標を達成するためにも、しっかりしたカーボンプライスの仕組みをこの国が確立しなきゃいけない。そういう思いをもって小委員会ではさらに議論を進めてまいります。

もちろん今ご指摘にありましたような当面の課題、問題点について、いかにそれを、問題を小さくするかということについても、制度設計上は考慮しなければなりませんから、そのようなことは十分に議論の中では取り入れていくことになるだろうと思います。

私は温対法の改正について申し上げたいと思います。まず、今回の法改正で再エネ立地促進のため地域脱炭素化促進事業計画がしっかりできた場合には、アセス法上の配慮書を省略できるという規定が入っています。これは前からアセスの議論の中でもそのようなことが状況によっては必要ではないかと議論しておりましたが、このような形でそれが入ったのはいいことだと思います。

もともと戦略的環境アセスというものについては、日本のアセス法のように事業を具体的に行う事業者にそれをやってもらうということよりも、もっと別の公的なセクターでしっかりと政策として戦略アセスメントを展開したほうが良いということは、言ってみれば常識のようなものと思っておりまして、今回の法改正で少しその辺が進んだのかなという気がいたします。

それから、今回の改正で、地方公共団体の実行計画の中で、しっかり目標を掲げなきゃいけないということがうち出されたことも、これも既に多くの自治体で行われているわけですけども、大変いいことであると思います。

ただ、この目標を立てろというふうに言われても、あまり簡単にいかないという面もあるわけです。といいますのは、国の計画で数字が出されてくるので、地域でもそれに合わせなきゃいけないという気になってしまう傾向もあるのですが、各地域の置かれている状況というのは様々産業の構造が違いますし、地域の社会構造も違うわけです。ですから、例えば私のいる福岡市のようなところはほとんど重工業のものがないわけですから、主に家庭と業務その他のような部門で頑張らなければどうにもならないという地域もありますし、やっぱり産業都市として、かなり工業から多くの温室効果ガスが排出されているという地域もあるわけです。

そういうわけで地域で、それぞれの地域の構成を考えれば、どこがどのぐらいに頑張ったらどういう数字になるかということについての目標の立て方は違うわけでありますが、46%が所与の前提になって、全部それに合わせた計画をつくらなくてはいけないということになるのも、これは困ったことではないかという気がします。

ですから、部門ごとに、どこがどういうような取組をしなきゃいけないのかということについて、はっきりとした目安が分かるようなものを示していく。このことを通じて、地域での取組が、より現実にその地域の状況に合わせたものになるということについての配慮が十分に必要だろうと思います。

先ほど脱炭素実現会議についてお話もありましたが、こういったようなものが創られ協議が進められることは素晴らしいですが、下手をしますとそれに乗り遅れたところが取り残されてしまったという感じが生じて、やる気がなくなるというのも困るわけで、そういうことにならないようにする必要もあるだろうと思います。

それから、再エネを徹底的に各地域で展開していくというのはいいことではあるわけですが、例えば太陽光発電で電気を起こして、それを自分で使うということが進んでまいりますと、その数字が実際にどのぐらいのものであるのかということがなかなか把握できなくなってしまうんですね。全体としては購入するエネルギーが減りますから、省エネの成果が上がったということになるんでしょうけども、それで本当につくったものがどのぐらいの実質的な内容になっているのかということを、推計でもいいですからしっかり把握する手法を早く開発しておきませんと、本当にエネルギーの消費を節約したのか、代替によってそれを埋めているのか、その辺のところが分からなくなりますと、政策、施策の進行状況を見るというときでも、いろいろ困ったことが起こるんじゃないかということを、地域の計画をつくり、あるいはそれを動かしていく段階では考えておりますので、この辺りのところもぜひしっかりと検討していただきたいと思います。

以上です。

大塚部会長

ありがとうございました。

では、西尾委員、お願いします。

西尾委員

ありがとうございます。

脱炭素化に向けて技術+(プラス)ライフスタイル変革、それを支えるためにカーボンプライシング等の制度化などの必要な政策を進めるという基本的な考え方には賛成いたします。しかし、もう少し生活者のライフスタイル変革というところに踏み込んだ対策が必要なのではないかと感じております。

具体的に、地域脱炭素ロードマップの中で再エネ、あるいは創エネ、あるいは省エネ型の住宅が推進されるような施策を執る、あるいは電気自動車や燃料電池自動車等々の導入を増やすといったものが含まれています。このような消費者の箱物、場の脱炭素、低炭素化に向けた取り組みも重要ですけれども、一方で住宅というのは消費者にとってみたら一生に一度発生するかどうかの購買間隔の長いものです。そうように考えると、むしろもっとデイリーな商品選択や消費場面での低炭素化への取組みを消費者が推進できるような仕組みが必要だと思います。

その方法として幾つかあると思いますが、一つはサービス化ということかと思います。モノではなくて機能を交換するというような、所有権が移転しないような取引形態を推進することにより、モノの移転に伴うCO2排出量の削減や、資源回収の効率化なども進むものと考えます。

一方で近年、メーカー、サプライチェーンを含めたLCA全体での低炭素化への取組みが進んでいますが、その効果がサプライヤー間で共有できていないことも問題だと考えます。そのためには、各々の低炭素化への取組みを見える化するということが重要となります。20ページのパワーポイントシートにも見える化によるライフスタイルイノベーションとありますが、具体的に何をどう見える化するのかというようなことについては明示されていません。環境省としてはこの点について具体的にどのように考えているのかというところをお伺いしたいと思います。

私自身は、その方法のひとつとして、カーボンフットプリントを再考すべきだと考えます。2009年に経済産業省、環境省、農水省など、省庁横断的にカーボンフットプリント制度の導入が試みられました。当時は算定のためのデータベースの未整備や、具体的にそれをどう活用するかという政策が明確でなかったということもあって、非常に負担がかかる割には・・・ということで、十分に普及しませんでした。しかし今一度再考してもよいのではないかと思います。さらに言うと、低炭素化の成果の見える化に対して、消費者自身もどう関わっていくべきか、たとえば、消費者は低炭素化の取組みをしている商品を選択し、消費や廃棄段階でも低炭素化につながるような行動にコミットさせるための具体策も検討が必要だと考えます。

以上です。

大塚部会長

ありがとうございました。

では、勢一委員、お願いします。

勢一委員

ありがとうございます。勢一です。

既にご意見たくさん出ていますけれども、私からも、3点ほどコメントさせていただければと思います。

まず、1点目は、46%削減目標についてです。

ご説明では2050年目標と整合的かつ野心的な目標として掲げたということで示されております。恐らく従前の行政目標の決め方、積み上げ式とは異なる形での設定であって、それが今回チャレンジにつながるということになるかと思います。

ただ、このメッセージは、やはり国民や産業界とも共有して、議論をしていくことが社会変革につながるわけですので、野心的に何を目指すのか。より具体的なメッセージの発信が必要ではないかと考えております。

特にカーボンプライシングの議論がありました。国民や産業界は、そのためのコストを負担するという役割もありますので、やはり共有してしっかり議論することが今後のために必要だと思われます。

2点目としまして、この脱炭素の分野では、かなり様々な会議体が国側の体制として置かれています。非常に注目度の高い政策でありますので、多くの関係者が携わることによって議論をしていくというのは、大きなメリットだと思います。

ただし、会議相互の情報共有と連携をしっかり図っていただいて、その成果を国民的議論につなげていただくことは肝要かと思いますので、ぜひご検討をいただければと思います。

3点目としましては、地方側の体制として、地域主導による脱炭素の取組という方針を、今回強調していただいていると理解をしております。地域でしっかり担っていく、それが推進力になるということでは評価ができると考えております。

国・地方脱炭素実現会議という取組もしていただいて、ここでいろいろな方針を形づくって取り組んでいければ、人口減少や地方創生にも資するという点で、地域にとっても望ましい形につながるのではないかという期待はございます。

ただ、長期的なまちづくりにそうした体制を組み込むということが、2050年というタイミングを見ますと必要ですし、また各地域が、既に先ほどご指摘ありましたけれども、多様な地域特性を備えていますので、同じようなことを各地域がやればいいというようにはならないと思います。ですから、地域の多様性に応じた取組ができるような形で進めていただくことを、希望しております。

現在、直近ではリードタイムが短い太陽光に注目をしてというふうに先ほどご説明があったと承知をしておりますけれども、恐らく2050年に向けては、もう少し中長期的な取組も併せて考えていく必要があろうかと思います。

地域特性によって小型の水力であるとか、今アセスで議論になっておりますが、風力発電、やや長期目線では地熱発電をどうするかなどなど、再エネだけにしてもかなりいろいろなバリエーションはあろうかと思います。

こういう点を考えますと、国として地域にどういうメッセージを出すか。その地域のポテンシャルをどのように成功事例に結びつけていくかという部分、ぜひしっかり地域と連携をして、ご検討いただければありがたいと思います。

私からは以上です。

大塚部会長

ありがとうございました。

では、山戸委員、お願いします。

山戸委員

ありがとうございます。

私のほうからも2点お話をさせていただきます。

一つ目は、日本の新たな中期目標についてでございます。

菅総理が2030年に13年比46%削減という極めて野心的な中期目標を表明していただいたことは、人類にとって喫緊の課題であるこの気候変動問題の解決に向けた、我が国としての強い覚悟を示すとともに、国際社会を主導する確固たる決意を表明したものと受け止めております。

我が国のリーダーシップをより新興国、途上国を含む世界の2050年カーボンニュートラル実現に向けた動きが一層加速することを期待しております。

一方、総理もご指摘されているように、この目標は極めて野心的なものでございます。それを残り9年を切る中で達成するのは、並大抵のことではございません。

また、野心的な目標を示されたものの、経済と環境の好循環、これをどう創出していくかの具体的な絵姿がまだ見えておりませんので、産業界も含め不安の声が聞こえております。

既に欧米はグリーン成長に向け、かつてない規模で財政支援策等の対策を講じています。安価で安定的なエネルギー供給や、競争条件の国際的イコールフィッティングを確保し、菅政権の掲げる経済と環境の好循環を創出するため、我が国政府には欧米に劣後をすることなく、目標の野心路にふさわしい規模の政策、リソースを導入した、思い切った対策の実行をお願いしたいと思います。

加えて政府には、目標実現に求める取組が国民生活や産業、財政等に与える影響についても、しっかりとご説明を尽くすことが重要だと考えております。

経団連といたしましても、低炭素社会実行計画やチャレンジゼロを中核に、経済界の主体的取組を強力に促進し、我が国ひいては世界のカーボンニュートラル実現に貢献してまいる所存でございます。

二つ目は、国際動向への対応でございます。

本日ご説明いただきました日米首脳会談や気候サミットを皮切りに、今後英国主催のG7、それからCOP26、イタリア主催のG20といった気候変動が主要議題となる国際会議は、今年は目白押しとなってございます。

日本として、こうした国際会議や国際的なルール形成等の場に積極的に打って出て、2050年カーボンニュートラルに向けた覚悟と、2030年を含む中長期の気候変動対策に関する具体的な行動と成果をアピールすることで、世界の気候変動政策をリードしていくことが求められると思っております。

この点、先般の日米首脳会談において、日米気候パートナーシップの立ち上げに合意し、両国が脱炭素に向けた国際社会の取組を主導していく方針を示したことは、経済界として高く評価させていただいております。

言うまでもございませんが、気候変動問題は全ての国の主体的かつ真摯な取組なくしては解決することができません。先の気候サミットでは、日本を含む各国からの野心的な表明が相次ぎましたが、今後新興国、途上国を含むグローバルな取組が一層加速されるよう、経団連といたしましても、経済界による主体的取組を深化させるとともに、各国経済団体との連携など、気候変動に関する民間外交にも積極的に取り組んでまいります。

引き続き、ご支援、ご協力を賜れれば、大変幸いにございます。

私からは以上でございます。よろしくお願いいたします。

大塚部会長

ありがとうございました。

では、田中里沙委員、お願いいたします。

田中(里)委員

田中です。本日はご丁寧な説明をありがとうございます。

まず、政府目標に向けたキーワードというのは、やはり連携だと思いました。カーボンニュートラルは関係者が広範囲に存在しますし、複雑な上にスピードも求められますので、徹底した連携とそれぞれの役割分担を明確にするということが重要かと感じます。

まずは、導入目標のさらなる具体化と、削減効果の見える化を果たすことを設計しておくこと、同時に適切な官民の役割分担の視点も必要と考えます。

また、機運の醸成について、かつては新しい家電品や車を購入することがエコにつながるという訴求があり、消費行動が変わった例がありましたし、国民や住民が参加をしやすい仕組みづくりがあって、小まめに節電したり、気軽に誰もが身の丈で行動できました。今回はグローバルな課題感が打ち出される中で、目標が大きくて、自分のこととして考えづらい、イメージしづらい状況があるということも意識せねばと思います。

プラごみ問題をはじめ、住宅周りやエネルギーの利用など、民生部門の具体的な情報発信を続けることが大事で、それとともに産業界では費用対効果の高いものや、スピード感を持って実現できるものから着手して、その都度成果を共有していく動きが効果的かというふうに考えます。

また、今日において、スタートアップ企業ははじめからサステナブルで、ESG投資を強く意識をしていますし、環境をベースにしたイノベーションの成功事例もありますので、それらを強調して、2兆円ファンドの話もありますけれども、有効な支援の在り方にも磨きをかけていくことも有効と思います。

単独の企業の活動がSDGSやサステナビリティに力を入れて、成果も着実に出しているところですけれども、そのプロセスに、顧客やステークホルダーが参加できる仕組みをとるところもありますけれども、さらにそこを広げて、産官学と公民連携を環境のプラットフォームとして成長させていく、その中で成果が高まるのであれば、情報公開や共有、実現策の促進を協力して目指すことができればと思います。

以上、よろしくお願いいたします。

大塚部会長

ありがとうございました。では下田委員、お願いします。

下田委員

下田です。

小委員会でも申し上げていることですけれども、やはりこれを進めていくためには、地域も含めていろいろな主体が自立的に進めていけるような、粒度の細かいPDCAの仕組みをつくっていくことが、全体の目標の達成のためには大事だと思っております。

それから、今、田中委員がまさにおっしゃったことと同じなのですけれども、やはり国民に自分事にしてもらうということが大事だと思っています。今の地球温暖化対策計画でどんなことが書かれているのかご存じの国民の方はほとんどいないのではないかと思っております。私たちが何を求められているのかということ、それから、この脱炭素社会ということが、温暖化対策として重要であるだけではなくて、雇用や経済成長を生み出すものであるということ。あるいは、コ・ベネフィットを通じて豊かな社会を生み出すものであるというようなことを、分かりやすく、今の段階から伝えていただいて、ほかの委員からもありましたけれども、対話を生み出していくということが、この後、進めていく上でも大事だというふうに思っております。

以上です。

大塚部会長

はい、ありがとうございました。では藤本委員、お願いします。

藤本委員

藤本です。聞こえておりますでしょうか。

大塚部会長

聞こえております。

藤本委員

私からは2点と、あと一つ質問させていただければと思います。

まず、46%の数字に関しましては、国際的に見ても野心的な目標ではございますが、達成に向けて進めなければいけないということを理解しております。

しかしながら、皆様からもご意見がございましたとおり、積み上げの議論、それから、これから後9年ぐらいしかない中で、どのようにそのマイルストーンを引いていくのかというのは、極めて重要だと思います。

そのためには、エネルギーミックスを大幅に変えていく必要性、それから大きなイノベーション、新たな技術やシステム構築というものが今後必要になってくると思いますし、それに向けた各企業、それから各地域の達成目標というのが、これから重要になってくると思います。

加えて、この取組というのは、もちろん環境省様にとり、非常に重要な施策になろうかと思いますけれども、他省庁とも連携をしていただき、ぜひ達成に向けて、マイルストーンをしっかり引いていただいて進められたらいいのではないかと思っております。

その中で、それぞれの団体、企業での達成目標に関しましては、PDCAをしっかり回していくこと。つまり、達成した目標に対して、実績がどうだったのかということをしっかり評価していくサイクルが重要になってくると思います。

その観点では、現状の目標と実績がきちんと定性的にも定量的にも開示がされて、他の人から見ても評価ができるようにしていく必要があるのではないかと考えております。これが一つ目です。

あと二つ目が、先ほど申し上げた新たなイノベーションやシステム構築、それからエネルギーミックスの変革においては、官民連携した資金の調達が極めて重要になってくると思っております。

環境省様が主体となって取り組まれている、例えばグリーンボンドなど、少しずつ実績が積み上がって、補助金による対応もされていると思いますけれども、こうした施策として、補助金など、資金をどのように提供していくのか。その際、民間の資金を活用し、経済の活性化に役立てていただくといった好循環というものが実績として積み上がるところではございますが、今後、さらにそれを加速して進めていく必要があるのではないかと思っております。

このような中でも、私ども会計士協会では、1点目の開示ですとか2点目のファイナンスについても、何かお役に立てることがあれば、ぜひ積極的に関わってまいりたいと思っております。

あともう一つ、これは質問ということではありますが、ご説明の中で、カーボンプライシングのご説明がございました。一つの促進策としては有効なものなのかと思っておりますが、長年ご議論されて、なかなか難しいところがあるとも理解しております。どのようなハードルがあるのかという点と、そのハードルをどのように克服して解決されようとしているのかということを、差し支えない範囲で教えていただければと思います。

私からは以上です。ありがとうございます。

大塚部会長

では三村委員、お願いします。どうぞよろしくお願いします。

三村委員

三村です。どうもありがとうございます。

私からは2点申し上げたいと思います。一つは、皆さんおっしゃっている地域の重要性という話ですね。もう一つは、気候変動の影響と適用についても申し上げたいと思います。

最初の地域の重要性の話ですけれども、2050年カーボンニュートラルに向けて、非常に大きな流れが生まれている、これは大変すばらしいと思います。

その中で、見ていると、エネルギーとか産業分野、そういうところでは、かなり具体的な技術の中身も含めて、いろいろな議論が行われていると。一方、そういうようなものが統合的にその表れる地域の中では、じゃあ自分たちは何をすればいいのか、あるいは一人一人の国民にとっては、この大きなカーボンニュートラルの流れの中でどういう役割を果たしたらいいのかというのが、必ずしも十分はっきり分かっていないと、多くの皆さんがおっしゃるとおりだと思います。

実は最近、私は茨城県の経営者協会の幹部の方々に、このカーボンニュートラルのお話をしました。そのときの反応が、全体の流れや大きな必要性は分かったと。それで、じゃあ何をやればいいんだと。我々にとってはどういうことが求められているんだと、そういう反応が非常に多かったんですね。

先ほども西尾委員のお話にもありましたけれども、まず地域の中で、どういうところで温室効果ガスあるいはCO2が出ているのか、そういう現状の把握、そういうものがないと、どこから手をつけていいか分からないという面があります。

それからもう一つは、今日の資料にもありますけれども、地域の脱炭素というものは、地方の魅力と質の向上につながる、地方創生の課題でもあるんだということですね。そうすると、地域全体で、自分の地域の脱炭素した姿というのはどうなるのかという将来像をどう共有していくかというのは、非常に大きな課題になると思うんですね。例えば、その地方創生については、地方創生戦略というのをそれぞれの地域に持っています。でもその中には、今、カーボンニュートラルの話を書かれていないわけですよね。

ですから、そういう意味で、地域のステークホルダーが集まって議論をして、地域の将来像を議論して、どういう姿を目指してやるんだと、どこのところに我々は力を注ぐんだと、そういうところを後押しするということも必要なんではないかと思います。これが1点目です。

2点目の影響と適用の話ですが、ぜひこのカーボンニュートラルを実現して、気候変動の影響を適用できる範囲に押しとどめる必要があると。そうは言いつつも、このカーボンニュートラルの効果が実際に現れるのには、ある程度の時間がかかるわけですから、今後も気温の上昇があり、それから、それに伴って災害などの気候変動の影響が現れるということは避けることができないのではないかと思います。

そうすると、安全・安心な社会をつくっていくという意味でも、適用も同時に推し進める必要があります。そういう意味では、このカーボンニュートラルの取組の中で、今、動き始めている地域の適用計画をつくる、それを実行していくというものと併せて、国全体で、まさに緩和と適用を二つの柱とする気候変動対策というものをやっていくということも確認することが必要なんじゃないかというふうに思います。

私からの意見は以上です。

大塚部会長

はい、どうも大切なこともお話しいただきまして、大変ありがとうございます。

では荻本委員、お願いします。

荻本委員

荻本です。発言させていただきます。ありがとうございます。

まず、PDCAという言葉が複数出てまいりました。前回、私、書面も出させていただいて、提言というものも例に挙げて、PDCAを回すことが非常に重要だと申し上げましたので、それが反映していただけるということであれば、すばらしいことだなと思います。

PDCAをやるときに一つだけ注意しないといけないのは、指標です。何でチェックするのかということが、それなりの粒度をもって設定されていないと、結果がいい、または結果が悪いというのは分かるんだけれども、手の打ちようがないということにもなりかねませんので、本当の意味でPDCA、そのうちそのチェックを有効に働かせるための指標とは何かということを、なるべく早期に確立していただきたい。これはもう前回申し上げた話なんですけれども、自治体とか非常にたくさんのプレイヤーに仮に任せようとするのであれば、もう非常に重要だということになるんだと思います。これが第1点です。

次は、いろんな議論がございましたように、今、我々ができることというのは非常にたくさんあるし、やらないといけないことがある。省エネはそうでありますし、非常にたくさんのことをやるんですけれども、今、我々が2030年に掲げてしまった、あえてそう申しますけれども、しまった数字というのは、それだけでは到底できない、非常に達成困難な数字になっていると思います。

ですので、省エネ等はやるんですけれども、燃料を転換する、一次エネルギー源を転換するということをどれだけ実質的にできるか。具体的に言うと、電化がどれだけできるのか、または、もうちょっと先を見たときに、新しい燃料に転換することがどのぐらいできるのかというようなことを、2030年にどれだけ間に合うかというのはいろいろありますけれども、その計画を立てていかないと、やっぱりボリューム的に足りないということを2番目に指摘させていただきたいと思います。

そのボリュームが大きいということで出てくる話なんですけれども、一部の方はよくご存じのとおり、12月から1月にかけて、天然ガスの船があまり来なかった。それは注文したものが来た、または注文したものが来なかった、またはもっと欲しいと注文したんだけれどもそれは無理だった、いろんな状況でこれは起こったわけですけれども、ここで分かったように、天然ガスに頼る比重が大きくなれば、それが来なかったときに何が起こるかということは、もう我々は学んでしまいました。燃料が足りないという事態は何度も起こっていますが、もう一度起こっているわけです。

ですから、エネルギーというものを考えますと、確かに何も起こらなければ、安くて環境性のいいものということになるんですけれども、足りないということが起これば、もう社会的な不安も生じるということで、これだけは絶対に避けないといけない。これを、我々、2030年に向かっていろんなことをやる中の一つの必達の条件ということで再認識をしていただかないといけないかなと思います。

そのときに、多くの人が、こういう電源が好きだと、こういう電源は嫌いだという、様々な嗜好があることは、私もよく理解はいたします。なんですけれども、2030年というのを具体的にセキュリティーということも加えて、どうやってそれを確保していくかということは、非常に重要な視点だと思いますので、ただ何かを積んでいっておしまいにならない計画にしていただきたいというふうに思います。

その次に、やはり何人かの委員からも出たように、ちょっと四十何%という野心的な数字を表面上達成することに、あまりにもこだわり過ぎつつあるかなということでございます。そこから、それをやったときの弊害が二つ考えられます。もっとあるかもしれませんけれども。

一つは、達成せんがためになりふり構わないことになってしまって、かつて我々がFITで既にやってしまったように、非常に大きな手間と非常に大きな国富を傾けて入れたんだけれども、そんなに入らなかったよねと。今から思えばもっともっと合理的に入れる方法があったのにということを、この10年、我々は学んだはずなんですね。なので、四十何%という削減が必達であるというふうに考えて努力することはいいんですけれども、そういう過ちを二度と繰り返さないようにしないとまずいことになると。

そのときのまずさは、もう一つは、全く出力が調整できないPVを5,000万キロも6,000万キロも導入して、今、非常に苦労しているという実態です。それをちゃんとお伝えできなかったということは、問題がありますということをお伝えし切れなかったのは、我々エンジニアの過失であったかもしれませんけれども、今やそんなことを言っていられない。ただその何千万キロワット入れればいいということではなくて、2030年からもっと将来を見て、どういうものを形成しないといけないのかということをちゃんと満たしたものをつくっていくということでないと、また、何とか目標は達成したけれども、次の打つ手がないということにならないかなということであろうと思います。

あと、その資料にも出てきますが、電気は買ってくるものから自分のつくるものへと転換するのでおのおの頑張ってくださいというのは、一見美しいというか、耳に心地よい話ではあるんですけれども、これは下手をすると、全体最適はさておいて、皆さんがそれぞれできることを最大限にやってくれればそれでいいんですという話にもつながってしまいます。ぜひご理解いただきたいのは、本当にカーボンニュートラルというものを長期的に我々達成しようとすると、かなり困難なことをやらないといけない。それが一人一人が、または一つ一つの会社が、または一か所一か所の自治体がばらばらにやって達成できるような話ではない。

先ほど、別の委員さんもあったように、多様な自治体なので、やることはいろいろ違うよねと、そういうことも含めて、ぜひ国の責任として、それぞれのステークホルダーがどういうことを具体的に求められているのかということは、事前に渡すことは難しいかもしれません。それは今という話になりますから。でも、じゃあ来年だったらどうなんだ、再来年だったらどうなんだ、そういうPDCAの中で、少しでも先出しをするようにして、国全体が合理的に目標を達成できるような世界をつくっていただきたいかなというふうに思っております。

以上です。ありがとうございました。

大塚部会長

大変重要なお話でしたが、ちょっと長くなってきていますので、あとまだ6名いらっしゃいます。それで時間的には予定の時間を10分オーバーしていますので、すみませんが、短めにできたらお願いしたいと思います。

では馬場委員、お願いします。

馬場委員

ありがとうございます。それでは、私からもご意見を申し上げたいと思います。

目標策定のプロセスについてなんですけれども、今回の策定プロセスを評価されていらっしゃる先生方のご意見も本当によく理解できる一方、私、企業の現場で、実際に省エネですとかエネルギー転換ですとか、ビジネスモデルの脱炭素化を実質的に担ってきた人たちを取材してきておりまして、そうした立場からコメントをさせていただきます。

これまで過去の目標設定では、エネルギーミックスの見通しですとか、対策とその削減効果を積み上げる議論が、ある程度オープンな場で開示されて、その上で、首相などは野心的な部分を積み上げるというプロセスだったと拝察しております。

例えば15年に定めた26%削減目標は、ちょっと省エネ量の予測が厳しいという課題も目標の決定の前に指摘されていて、達成に不安を感じつつも、議論の過程が見えていたので、ある程度頑張るポイントとして、企業とか区民も理解や覚悟ができたように見ておりました。

ただ、今回はこうしたエネミですとか対策の議論の途中で目標が急に決まった印象で、どのようにすればこの目標を達成できるのか、裏づけが十分に見えていないということで、こうした46%もの削減につながる行動を実質的に担わされるであろう企業の方、そういった方にちょっと話を伺うと、やはりどのようにしてこの数値を達成できるのか、納得感が十分じゃないなというふうに感じております。

どれだけの省エネを担わされるのかですとか、電力料金がどうなるのか、それによるコスト負担とか、財務への影響は予想できないといった企業としての悩みだけでなく、日本経済が、あるいは日本の社会全体が、どれだけ痛みを受けるのかとか、あるいは全くそんな痛みがないのかとか、いずれにしても見通せないということで、不安な気持ちが拭えない、リスクがよく分からない、どれだけチャンスがあるのかも分からないと。どれだけ協力できるのかと、途方に暮れている様子かなというふうに感じています。

そういったことで、実質的な削減の担い手が、前向きに納得感を持って協力しようと、覚悟できるような策定プロセスではなかったということには、ちょっと残念に感じています。報道などでは、オープンではない場で積み上げがなされたという、報道とか会見でお話がありますので、そういった内容が今後明らかになるといいなと期待しております。

ただ、その目標が決まったこれからは、どれだけ前向きに、残りたった9年で、毎年4,000万トンくらいの、相当な量の削減を、企業含めて、国民が一丸となって、前向きに、合理的に、目標達成に取り組めるのか、ほかの委員の先生がおっしゃるように、チャレンジを引き出せるのか、そういう施策をつくっていくことが大事なんだろうなというふうに思います。

30年目標ですとか、ひいては50年のカーボンニュートラルに欠かせないようなエネルギーの転換ですとか電化ですとか、低炭素、トランジッションの技術の高度化ですとか、あるいは革新的な脱炭素技術の研究開発とか、また、さらにはそれを家庭とか技術、企業のビジネス、生産の現場など、あらゆる場面に普及させるということを、短い年月でどう促すのか、これが前向きに、負担ではなく、ビジネスチャンスになるような対策として、どうやっていくのか、それには財政支援なんかも必要ではないかと思っております。

また、どのような企業も、お話を伺うと、CO2排出ゼロで、かつ低コストの電力供給量が日本で乏しいことは切実な課題になっているんですよね。サプライチェーンで長期的にCO2ゼロのものづくりが求められるようなサプライヤーである企業には、特に切実な課題の様子でして、CO2低排出または排出ゼロの電源で、これら企業の切実な要望に早めに答えられるようにする必要もあると思っています。

また、結果的に、その日本の産業全体、経済全体、社会全体で見て、今稼いでいる金額を減らすのではなくて増やしていけるような施策も必要だと思っておりまして、必ず産業なのか家庭かでコストアップが出ると思うんですけれども、こうしたものを吸収していける策というものも併用していってほしいと思います。

以上です。

大塚部会長

ありがとうございました。では吉高委員、お願いします。

吉高委員

ありがとうございます。この度の脱炭素社会へ、高みを目指していくための2030年マイルストーンについては、多くの委員がおっしゃいますとおり、国民全体で実施していくために、実施の仕方について丁寧にコミュニケーションをとっていただきたいと思います。

特にパリ協定が採択された際、ILOが公正な移行というガイダンスを出しまして、脱炭素社会へ移行するにあたっては、収益と雇用を生む社会としてスムーズに移行されなければならないとしています。そのために、トランジションファイナンスが必要とされています。カーボンニュートラルからのバックキャスティングでシナリオを考えて、その移行過程で日本が何をもって生きていくのか、経済と環境の好循環を構築し、今日何度も言われていますけれども、とにかく格差を生むことなく雇用が守らなければならないということを前提に、十分ご検討いただきたいと思います。

その上で、私の視点から、質問を3点申し上げたいと思います。

まず1点目、日米共同声明におきまして、インド太平洋諸国における脱炭素社会への移行の加速化での協力の点では、東アジアにおける脱炭素の推進に関しても大変重要かと思っています。

先ほど申し上げたトランジションに関連しますが、JCMについてです。国の予算に基づく部分を2030年に活用とおっしゃっておりましたが、COP26で6条が交渉され、JCMが自国の排出削減目標の達成に活用できる市場メカニズムとして位置づけられ、このトランジションの仕組みとして、重要なファイナンス手法になるのかと思います。カーボンクレジットによるオフセットをずっと続けるということではないとしても、例えば森林に関して、途上国のみならず森林の荒廃が続いています。森林保全や増加策には公的資金も限られており、民間資金も動かない。また、フロンガス、メタンガス、ブルーカーボンなど非エネルギー源へのファイナンスも同様なので、カーボンクレジットのように、需要側にとって、特に金融機関にとって、将来の予見性を高めたインセンティブを確固たるものにする資金循環は必要だと思っています。JCMは規模の拡大が課題かと思いますが、パリ協定の下での市場メカニズムについてはどのようなお考えかをお聞かせいただきたい。

それから2点目ですが、ファイナンスについてです。先日、内閣官房の気候変動対策推進のための有識者会議で、麻生副総理が、グリーン国際金融センターの構想を打ち出されています。金融庁でもサステナブルファイナンスの議論が進んでいます。本日のご説明の中で、地方に対する様々な施策がありましたが、あまり触れておられませんでしたが、日本は間接金融が中心なので、これらの施策を実施するには、地方金融の役割が重要かと思います。地方では、第一次産業の関わりが大きいですし、先ほど三村委員もおっしゃったように、適応の観点も重要です。環境省では、これまで地方金融に向けて自発的行動のために支援されてきていると思いますが、気候変動に関しては、ディファクトに入っていかないと、地方金融での脱炭素対応は難しいと思っております。地方金融、ファイナンスに関しての政策、どのようにお考えかということをお聞きしたいと思います。

そして最後に、先ほど西尾委員やほかの委員もおっしゃっていたとおりなんですが、カーボンフットプリントのデータの充実はお願いしたいと思います。市場の行動変容のために必要です。EUでは、サステナブルファイナンス開示規則(SFDR)というものも実施されはじめました。我が国の金融機関にとって、欧州にも顧客は多いので、ところてん方式に、サステナブルファイナンスの情報開示がマストになってきます。その際に、定量的評価が必要であり、そのためのデータが必要です。サプライチェーン全体を見るためのスコープ3に関するデータとして、カーボンフットプリントは大変重要だと思っています。このデータ整備に関する政策についてもどうぞお聞かせください。

ありがとうございます。以上です。

大塚部会長

はい、どうもありがとうございました。あと伊加賀委員、亀山委員にお話しいただいてから、各所管課から回答いただきます。2回目の質疑に関しましては、その次にお話しいただきますので。

では伊加賀委員、お願いします。

伊加賀委員

ありがとうございます。慶応大学の伊加賀です。

2030年に46%削減と総理が宣言されたということで、大いに期待しております。

ただ一方、住宅建築物、民生家庭業務部門が約3割を占める中で、二つほど課題があると思っております。

1点目は、公共建築、国、それから自治体が整備する建築物に関して、例えば2020年までにZEB、ZEHを標準化するということを決めておきながら、一向に進んでいない。それは財政当局が予算をつけないという、どうもその行政側の不整合が相変わらず続いていることについて、どういうふうにこれを実質推進するのかという懸念点であります。

それから2点目は、国や自治体が一向に本腰を入れないにもかかわらず、一般の国民が建てる住宅の省エネの強化とか、あるいは再エネの強化を一方で進めていることの説得力のなさという点であります。やはりここの部分は、普及啓発とか、もう少し国民の意識を変えるような活動を今以上に推進していかない限りは、絵に描いた餅になるのではないかという2点でございます。

以上です。

大塚部会長

要領よくお話ししていただいて、ありがとうございました。では亀山委員、お願いします。

亀山委員

国立環境研究所の亀山です。今日は遅れての入室で申し訳ございませんでした。途中から入ったものですから、これまでの委員の方々のご意見を聞かずに発言させていただくために、一部重複、あるいは矛盾等が生じるかもしれませんけれども、どうかご容赦いただきたいというふうに思います。

2点申し上げたいと思います。

まず1点は、2030年の新しい目標についてでございますけれども、私は、ようやく日本もサイエンス・ベースド・ターゲットと言いますか、1.5度を目指すためにはどれくらい削減すべきなのかというアプローチで定められた目標であると、高く評価というか、受け止めております。

これまで、日本の目標設定の手続としては、積み上げが一般的だったわけですけれども、積み上げを行う弱点といたしまして、どうしても今ある現状の産業構造であったり、都市構造であったり、私たちのなりわいであったり、そういったものを、全部前提条件とした上でどれぐらい減らすかというような発想になってしまうわけですね。

一方で、ヨーロッパのように大幅な気候変動を抑制するために必要な削減量という観点から、非常に大幅な削減目標を設定した欧州は、当初はビューティーコンテストだというような声も聞かれたわけなんですけれども、やっぱり結果的に蓋を開けてみますと、そういった長期的な目指すべき方向性を政府が示すことによって、産業界がそちらのほうに投資を進めていく。そして、今になってみれば、再生可能エネルギーなどを、欧州の企業が世界をリードするような状態が生じているんじゃないかというふうに思っております。

ですので、これを機会に、日本も長期的な方針を政府が明らかにしてくださったことを契機に、脱炭素関連の技術、あるいは製品、そういったものがまた世界を牽引できるような水準まで成長していただけるきっかけとなることを期待しております。これが1点目でございます。

あと、2点目は、資料2のところにあったんですけれども、JCMについてですね。JCMは、これまで海外で削減した貢献分の一部を、日本の削減分としてクレジットとして入手するということが、一義的な目的として推進されてきたというふうに理解しております。

もちろんこれはこれですごく重要だというふうには思うんですけれども、それをあまりにも優先的に考え過ぎますと、国際的にパリ協定の6条関連が、詳細ルールが合意されることが非常に大きな課題というか、使えるための前提条件となりかねません。

私はあまり、パリ協定で合意できるかどうかというところが日本の目標達成にとっての条件とすべきではないというふうに考えておりまして、パリ協定の交渉にかかわらず、日本は海外でこれだけの削減をやっているんだということを海外に見せるために、JCMをうまく活用していただくということが重要ではないかというふうに思っておりまして、その意味では、JCMに参加されている企業さんを、どうやって日本政府が支援していけるのか、その辺りから考えていただければなというふうに思います。

参考ではありますけれども、これは吸収に関する話ですけれども、先日のアメリカの気候サミットのタイミングに合わせて、アメリカとイギリスとノルウェーの3か国だったと思いますけれども、LEAFという新しいコアリションを発表しております。

これは、これまでREDD+といって、熱帯の森林を守るとクレジットがもらえるということを最終目的に推進していた制度とは違っていて、官民のパートナーシップのファンディングなんですよね。恐らくそれがうまく回るためには、その企業側にとってのインセンティブが必要で、TCFDとか、恐らくその辺りの、あるいはサプライチェーン側からの企業のインセンティブ、こういった辺りが、恐らくカーボンクレジットを手に入れるというよりは、より広範な、新たな企業のメリットとして認識されるようになるだろうということが期待された上でのコアリションだというふうに思いますので、要は、日本もそういった形で、クレジットを手に入れる以外の企業のメリットというものもお考えいただきながら、海外展開の在り方を再検討していただければなというふうに思っております。

すみません、以上となります。

大塚部会長

はい、重要なご指摘をありがとうございました。では、田中加奈子委員が戻られましたので、田中加奈子委員にお話しいただいたら環境省からご回答をいただきます。

田中(加)委員

すみません、途中、中座して失礼いたしました。もしかして委員の方が既にいろいろご議論いただいた中に、繰り返しになってしまう部分もあるかと思いますが発言させていただきます。

トップダウンの目標と、積み上げのボトムアップの努力の乖離というのは、常日頃、気になっているところではございます。さらに今回のように、短期、中期というよりは短期の目標とも言えるタイミングでの46%となると、足元で本当にどういうことができるのかという真剣な議論が必要になってきて、身が引き締まることかと思います。

実際に脱炭素を進める上での重要なステークホルダーは幾つかございますが、産業界や技術開発に積極的な動きが増えてきたということが観察できる社会になったのというのはとても喜ばしいと思っています。

そのきっかけやモチベーションというのは様々なのですが、環境を大事にという、きれいごとだけで全てが動くということを期待するわけではなく、競争力を高めて、付加価値を出していく仕組みが、まさに重要かと思います。亀山委員も国際的な話のところで触れられていたことかと思います。

手前みそになりますが、所属しております産総研のゼロエミッション研究センターでは、東京湾岸ゼロエミッションイノベーション協議会、通常ゼロエミベイという活動がございまして、東京近辺の企業を含む、現在ですと120以上ぐらいの産学官の関係者による協議会がありまして、ゼロエミッションに関する研究開発、実証のプロジェクトの企画、それからコラボレーションのための議論など、地に足をつけて前を向いて進んでいるものです。こういった企業を巻き込んだ動きというのは他にもこれから増えてくるのではないかと思います。

このようなネットワーク、ゼロエミベイに限らずですけれども、この動きをどんどん促進して、効率的な成長につながるように、その情報を共有できるところはし合って、日本全体にあげていく、というところが、まさに地域創生にもつながるような形であり、このような動きの効果が行き渡るようにすることと、を、ぜひ、どういうふうにしたらできるのかというところも含めて検討いただくことも重要なのかなと思っています。

そのような、価値観の変容に頼らない企業が動きやすい仕組みを検討したり、あるいは足元でできることとして既に動いているところの奨励は大事だと思いますが、一方で、価値観そのものを社会で変えていくことが、やはり大変重要であると思っています。過去、このような会議で何度か発言させていただいたのですが、そしてほかの委員からも、少し聞いていた限りでは関連のご発言があったのですが、初等教育における、脱炭素のための教育が、私は大事だと常日頃思っております。例えば高等教育の場では、かなり気候変動やSDGsについての知識もあり、考え、実行に移すような意欲もあるような学生が増えてきたというのは聞いております。2030年はあと9年しかありませんが、現在小学4年生のお子さんがちょうど成人する頃にも当たります。小さな子であっても、日本の場合、ありがたいことに例えば水を出しっ放しにしたりとか、あとは食べ物を無駄にしないというような、そういう当たり前のもったいない精神というものが、今までしっかり培ってきてあると思います。それらは、もちろん、広い視点で考えてみれば炭素排出の削減にもつながっていますが、よりその明確な意識として、脱炭素という観点からでも、レベル感として「水」に対する意識と同様に、そういった普通の生活の中に、意識の徹底が、子どものうちからできてくるということが、ありがたいことになるのではないかと思っています。

行動変容というものを常にいつも掲げていらしていろいろご発表していただいているということであれば、ぜひ省庁を超えたそういった取組で、初等教育というのを、脱炭素意識の展開というのをご検討いただきたいと思います。

以上です。

大塚部会長

ありがとうございました。

では、環境省さんのほうから回答をお願いします。質問がたくさんございましたので、どうぞよろしくお願いします。

脱炭素社会移行推進室長

それでは、脱炭素室、坂口でございますが、少し総論的なところ、特に46%という水準についてのご質問等々をいただきましたので、その部分について、まずお答えしたいと思います。

多くの委員から46%という数字について、まず経緯ですね、議論の透明性であるとか、それから数字の性格であるとか、そういったことについてのご指摘をいただいております。

この総理が表明された2030年の46%削減を目指して、さらに50%の高みに向けて挑戦を続けるというその目標の表明に際しましては、確かに、現時点でその全ての裏づけというものをかっちりと説明ができていないという点ではございますけれども、もともとご紹介申しましたとおり、昨年の9月以降、それから、この地球部会の下にあります合同会合、さらにはエネルギー分野における検討等々がずっと続いてきておりまして、例えば政府として検討している再エネなどの脱炭素電源の最大限の活用ですとか、地域の取組の支援ですとか、様々最新の議論の積み重ねを踏まえた上で、これらをさらに2050年カーボンニュートラルに整合させるように、野心的な方向として総理の決断で表明されたものというふうに理解しております。

今後も6月のG7サミット、それから11月のCOP26など、一連の国際会議が予定されておりますので、できるだけ早く各分野における具体的な施策の検討というものを加速しまして、自分事といった、今日、ご指摘もたくさんいただいておりますけれども、削減目標の内訳、どういった取組が必要なのかということをしっかり示していきたいと考えております。

それから、フォローアップのやり方のほうについて、いろいろご意見をいただきました。まさに、今の26%削減に向けた現行計画についても、かなり詳細にPDCAを回してフォローアップを行ってはおりまして、その結果について、46%に向けた評価が変わるのではないかというご指摘もいただきました。それはまさにそのとおりでございます。

むしろ現行計画については、一定の順調さをもって進んでおりますが、46%に向けてさらなる対策の強化ということが当然必要だというふうに思っていますし、それから、46%というその具体的な施策の積み上げも急いでおりますけれども、それができた暁には、それに向けたフォローアップというものもしっかりやっていきたいと、やり方についてもしっかり考えていきたいと思います。

それから、環境省として50%という数字についてどう考えるのかといったご質問もいただきました。この50という数字については、これはまさに総理のご発言に尽きるのかなと思っていまして、2030年度46%をまず目指すと、さらに50%の高みに向けて挑戦を続ける、この挑戦を続ける、歩みを止めないというところがポイントだと思っております。

そして、やはり具体的に何をすればよいのかということを皆さんが納得できるように、ちょっと繰り返しになってしまいますけれども、そこのブレイクダウン、さらにはお伝えの仕方というところ、検討を急いで進めていきたいと思います。

あと、エネルギーセキュリティーなどについてもご指摘をいただきました。大変、当然ながら重要なことだと思っていまして、ここはまさに、資源エネルギー庁さんとも常に緊密に連携を取りながら今回の議論を進めておりますので、協力して、どちらかの視点のみに片寄ることがないように、そこはしっかりとやっていきたいと思っております。

まず総論の部分は以上でございます。

大塚部会長

どうぞお願いします。

地球温暖化対策課長

では、地球温暖化対策課長の小笠原です。個別の施策に関して、私のほうからお答えするものをお答えします。

まず藤村委員から、再エネ導入を阻む施策ということで、容量市場への言及がありました。紀ノ岡委員からも容量市場についてご意見がありました。

容量市場自体は、変動電源に対応するバックアップ電源をどう確保するかという観点から導入されているものと認識しております。一方で、入札結果が高騰したことに伴ってコストが高くなっているんじゃないかという問題も生じたりしている部分もございます。

容量市場の話も含めて、いずれにせよ46%という水準に向けては、再エネの導入、大量導入ということが必要ですので、経産省さんと連携をしながら、どのように再エネを導入していけるか、勉強しながら取り組んでまいりたいと思います。

それから、江守委員をはじめとして皆様から、江守委員からは気候変動市民会議のような国民参加、住民参加の在り方についてどう考えるかというご指摘がございました。

温対計画について検討する合同会合でも、若者世代からのヒアリングを行ったり、あと、小泉大臣自身もZ世代との意見交換というのをやりながら、環境省としてもいろんな対応の意見を聞くことに取り組んでいるところでございますが、もちろんまだまだ十分かどうか、いろんなやり方があるんじゃないかというご指摘はあるかと思いますので、どのようにして国民の意見を反映するかということは検討していきたいというふうに思います。

それから、紀ノ岡委員から、脱炭素先行地域の定義のところで、民生部門だけに限定しているのかどうかというご指摘がございました。

脱炭素自体は、温室効果ガスの排出、吸収を均衡するという概念でございますが、ここで民生部門というふうに考え、記載をしておりますのは、この辺り、産業界さんともご相談をしながら、企業によっては全国規模で計算の最適化を図るといったことがあるのではないかといった、そういったお話があったことも踏まえて、このような表現にしているものというふうに認識をしております。

それから、浅野委員から、地域で取り組む上で、46が省の前提とならないようというお話がありました。地域と、当然ながら地域で取り組む上で一律の水準ということではなくて、地域地域によって状況はご指摘のとおり異なりますので、こういった目安を示しながら、また特に再エネについて取り組む上では地域ごとのポテンシャルが違いますので、地域ごとのポテンシャルも生かしながらということを、実行計画のマニュアル等において分かりやすく示しながら取り組んでいきたいというふうに思っております。

それから、西尾委員から、カーボンフットプリントについての問合せがございました。

資料の骨子にも書いてありますけれども、カーボンフットプリントを個々に導入されているもので、現在も証明するものでございますけれども、それをどうしていくかということも含めて検討していきたいというふうに考えております。

それから、勢一委員から、国として地域にどういうメッセージを出すか、地域のポテンシャルを生かしていくべきじゃないかというご意見がございました。

改正温対法の施行、それから改正温対法に基づく自治体の再エネ目標の設定の中でも、こういった地域のポテンシャルを生かした形での設定というものを、マニュアル等で分かりやすく示していきたいというふうに考えております。

それから、田中里沙委員、下田委員から、自分事として取り組んでいってもらうことが必要ではないかと、何が求められるか分かりやすく示すことが必要ではないかというご意見をいただきました。

特に国民一人一人が脱炭素なライフスタイルとしてどういうようなことをしてほしいのかという国としてのメッセージというのを分かりやすく示すことが必要ではないかなというふうに、我々も考えておりまして、そういったものをどういうふうに分かりやすく示すかという検討を、今、しているところでございます。

それから、三村委員から、地域の将来像をどう共有するか、地域のステークホルダーが集まって議論するようなことが、装置が必要じゃないかというご指摘をいただきました。

今回の温対法の改正の中の一つのコンセプトの、地域の合意形成を図って、いかに再エネを促進していくかというものでございます。そのための装置として、地域に協議会というものを用意しておりますので、そういった地域の協議会等も活用しながら、地域においてどういうふうに、再エネも含めた脱炭素社会を進めていくかというのを、合意形成を図っていく、そういったものの装置としていきたいなというふうに思っております。

それから、吉高委員から、地方でのファイナンスに関する施策というご質問をいただきました。

この辺り、地銀とも今、連携しながら、地域のファイナンスをどう進めているかという、連携を取りながら進めているところでございます。

それから、カーボンフットプリントはさっきところです。

それから、伊加賀委員から、公共建築のZEB・ZEH、ZEBの取組はどうなっているかというご意見をいただきました。

おっしゃるとおりでございまして、まずこの政府としてしっかり取り組んでいかなければならないということで、先ほどありました実行計画の改定の中でも、政府として進めていくということを、今、各省と具体的に調整をしているところでございます。まず公共建築としてしっかりやっていくということ。その上で、もう一点いただいた、民間の住宅建築物等の省エネ・再エネをどうしていくかということかと思っています。そういった民間の住宅建築物の国民の理解を進めるための施策として、環境省として設置の補助であるとか、断熱リフォームの補助であるとか、あと、おうち快適化キャンペーンといったキャンペーンを展開しているところでございます。そういった施策については、今日午後に開かれる住宅建築物の検討会においても、伊加賀委員もご出席される検討会でも、また検討されているところでございます。

それから、最後に田中加奈子委員から、環境教育における初等教育における脱炭素の取扱いという問題がございました。

これは今、具体的に文科省と話をしているところでございまして、温対法の改正というのを、まだ成立しておりませんけれども、まだ衆議院を通ったばかりのところでございますけれども、温対法が成立すれば、成立したタイミングで何かできないかなということを、文科省と今具体的に調整しているところでございます。

私からは以上です。

大塚部会長

ほかにはよろしいでしょうか。ではお願いします。

市場メカニズム室長

市場メカニズム室の室長をしております井上と申します。

質問の中で、カーボンプライシングの関係と、JCMの関係について、お答えしたいと思います。

まず、藤村委員から、カーボンプライシングにつきまして、いつまで議論するのかといったようなお話がございました。

昨年12月、総理からの指示で、環境、経産が連携して、成長に資するカーボンプライシングについて検討するように指示がありまして、それを受けまして、今、環境省のほうでは、浅野先生に委員長になっていただいていますが、中央環境審議会の下にカーボンプライシングの活用に関する小委員会、経産省におきましては、カーボンプライシングにおきます研究会というものを立ち上げられまして、検討をそれぞれしておるところでございます。

カーボンプライシング、個々に様々、いろんな論点がございまして、そういったそれぞれの議論を丁寧に積み上げていく中で、議論を丁寧にやっていきたいと思っておるところでございます。

最終的には、両省のほうで申し上げているのは、年内に一定の取りまとめという方針で考えておりまして、引き続き、環境、経産、共に連携しながら、精力的に検討を進めてまいりたいというふうに思っているところでございます。

もう一つ、カーボンプライシングに関しまして、藤本委員のほうから、カーボンプライシング導入に当たってのハードル、さらにどうやって克服しようとしているのかというようなお話がございました。まさしく今申し上げました中央環境審議会の小委員会の場でもこういった議論を行っているところでございます。

ハードルと言いますと、いろいろありますけれども、特に産業界側から挙げられます懸念といたしましては、例えばやはり国際競争力とか国民生活への影響とか、あと、企業自らが投資やイノベーションを行おうとしているものにつきまして、その原資を奪うのではないかとか、あと、先ほど紀ノ岡委員からもお話がありましたけれども、エネルギー価格が上がることで、電。化をむしろ阻害するのではないかと。あと、代替技術というものがないと、単純にカーボンプライシング導入となるとコストオンになってしまうということで、そこのところをどう考えるのか、様々懸念がございます。

実際のところ、こういった懸念につきましても、諸外国で既に導入されているものも、例えば減免措置を講じたり、税であれば税収ですし、排出取引であればオークション収入といった形で、そういったものを活用するなど様々ございます。そういったことも参考にしながら、今後とも、こういった中央環境審議会の場でも丁寧に議論を進めてまいりたいと思っています。

さらには、こういったハードルということもそうですけれども、やはり産業界、国民の方々の理解が不可欠だと思っておりますので、そういう点にも心がけたいと思っております。

最後、JCMに関しまして、吉高委員、あと、亀山委員から貴重なご意見をありがとうございました。

JCM自体は、クレジットの話をされますけれども、そこも重要でございますが、本来的には我が国の優れた低炭素、脱炭素の技術を、途上国などに普及させることにより、我が国、途上国、双方に裨益するということも目的としておるところでございます。そういった中で、今般、46%の削減目標が出ておりますし、さらに世界の脱炭素化ということも考えたときには、JCMの役割というのはますます重要になってくると思っております。

今現在、JCMというのは、国の予算ということで、主には設備補助事業、そういったものを中心とした、どちらかというと一本足打法みたいな形になっておりますけれども、今後は、先ほど両先生からお話がありましたように、民間企業、そういったところのモチベーションにつながるような仕組みというものを考えなければなりませんし、官民連携、あと、例えば地域の面的な支援とか、そういったことも含めまして、JCM全体がよりよくなるように検討を進めてまいりたいと思っていますし、6条交渉におきましてもそういったことを考えながら臨んでいきたいというふうに思っているところでございます。

以上でございます。

大塚部会長

はい、ありがとうございます。では、フロン対策室のほうから。

フロン対策室長

フロン対策室長の豊住でございます。聞こえておりますでしょうか。

大塚部会長

はい、どうも恐れ入ります。

フロン対策室長

はい。私のほうからは、まず2件ですね、中根委員からいただきましたフロン対策の推進においては、一般国民への理解が必要ではないかというご意見でございます。

一昨日、開催されました、中央環境審議会と産業構造審議会のフロン類等対策に係る合同会議におきましても、中環審側、中根先生に委員長をしていただいてございますけれども、この場でも複数の委員の皆様から、普及啓発の重要性についてご意見をいただいているところでございます。

今後、フロン対策の推進に当たりましては、特にそのフロン法の関係者の皆様のみならず、広く国民の皆様への理解を進めていくということが重要と考えておりますので、環境省としても取り組んでまいりたいというふうに考えております。

また、井田委員からいただきましたご意見でございますけれども、フロン類の排出抑制に向けましては、蛇口や上流対策が重要であるとのご意見でございますが、ご指摘のとおりと考えております。

この蛇口対策としましては、モントリオール議定書、キガリ改正を着実に実施すべく、2019年1月から、HFCsの製造・輸入規制が開始されておりまして、これを着実に実施していくこととしております。

また、これに伴いまして、自然冷媒やGWP値の低いグリーン冷媒、こういった冷媒の普及、またそのグリーン冷媒を使用する機器も含めまして、普及拡大を進めてまいることとしておりまして、関係省庁と連携して進めてまいりたいというふうに考えております。

また、特に業務用の冷凍空調機器でございますけれども、こういったものは耐用年数が比較的長いというところがございますので、引き続きこういった既設の機器を念頭に置いて、稼働時の漏えい対策の徹底ですとか、廃棄時の回収の徹底も必要と考えておりますので、引き続き、対策を強化してまいりたいというふうに考えているところでございます。

以上でございます。

大塚部会長

ありがとうございました。残り時間、もうちょっとのところまで来たんですけれども、本日欠席をされるというふうに言われていた委員の方でも出席していただいた方もいらっしゃいまして、大変ありがたいことでございますが、残り時間があと15分になっております。事務局の回答等も含めると10分ぐらいしかないということですけれども、まだご発言いただいていない先生もいらっしゃいますし、あと紀ノ岡委員が先ほどから手を挙げていただいていますので、二、三名、短い発言をしていただければありがたいと思います。

では紀ノ岡委員から、どうぞお願いします。

紀ノ岡委員

ありがとうございます。2回目で大変恐縮でございます、本当にありがとうございます。

脱炭素という言葉遣いにつきまして、少し厳しめの意見を申し上げたわけですけれども、先ほど申し上げましたとおり、私、この取組の趣旨は理解しているつもりでございます。ですので、この取組の中身について異論を申し上げているわけでは決してないということを申し上げておきたいと思います。

ただ、言葉遣いとして、民生用の電力消費に伴うCO2排出実質ゼロ、これを脱炭素と呼ぶのは問題ではないかと、こういう趣旨でございます。

例えば、この資料の中に、2025年度までに脱炭素の道筋をつけ、2030年までに脱炭素達成とか、あるいは、多くの地域で2050年を待たずに脱炭素を達成という記載がありますが、これは明らかにミスリーディングだと思います。そうではなくて、脱炭素実現に貢献するとか、あるいは推進するとか、そういう正確な表現にしていただきたいということでございます。

その上で、ちょっと中身について申し上げますと、確かに地域社会というリソースの限られた主体の取組といたしまして、産業部門よりまずは民生部門に着目する、これは理解できるところでございます。ただし、忘れてならないのは、幾ら地域の電力消費に伴うCO2を削減しても、その地域の電力消費以外のエネルギー消費でCO2を排出しては、いつまでたっても脱炭素にはならないということです。したがって、地域の電力消費に伴うCO2の削減というものを、地域の電化の推進と、これはセットで行われてこそはじめて意味を持ってくるということでございます。

確かに産業用では、なかなか電化とか脱炭素というのはイノベーションが必要になりますので、地域でそう簡単に取り組めることではないんですけれども、民生部門はやっぱり技術的にもコスト的にも電化が比較的容易でございます、まさにリソースの限られた地域で主体的に取り組むにふさわしい分野だと思っております。

したがって、ぜひ地域の電化の推進というものを、具体的なマイルストーンと併せて施策に盛り込んでいただきたいということを強くお願いしたいと思います。

以上でございます。ありがとうございました。

大塚部会長

ありがとうございます。では小西委員、お願いします。

小西委員

はい、ありがとうございます。遅れて申し訳ありません。もしかしたらもう既にほかの委員がお話しになったかもしれないんですが、3点だけ手短に。

まず1点目が、温対法を今回、改正されまして、これ、今回、菅総理が宣言された2030年の46%減、さらに50%の高みを目指すという目標は、今後どのように温対計画に書き込まれていくかということをちょっとお聞きできればと思います。

二つ目として、やっぱりこの46%というのは、今までの26%とはレベルの違った総取替えが必要になると思いますので、やっぱりこの日本の温暖化対策、本当にエネルギー次第ということになりますので、間もなくエネルギーミックスとかもそろそろ案が出てくると聞いております。そのエネルギーの話自体も、この地球環境部会でも意見を言わせていただく場がすごく必要なんじゃないかと思っております。そうでないと、温暖化対策そのものが、なかなか本流のところに議論が、この地球環境部会でできにくいのが残念だなと思っておりますので、ぜひご検討いただければと思います。

あと3点目、やっぱりカーボンプライシングなんですけれども、国内の省エネを進める政策をいかに選択して導入していくかということも、やっぱりこの46%となると、今までとレベルが違ってきますので、それが決まって、それでじゃあどのカーボンプライシングが日本にどのように入ればいいかという形の議論になることを切に願っております。その可能性はありますでしょうか。

以上です。ありがとうございます。

大塚部会長

はい。ほかはよろしいでしょうか。

はい。では事務局から回答をお願いします。

脱炭素社会移行推進室長

今小西委員からご質問のありました、この46等々、この総理の発言をどのように温対計画に位置づけていくのかと、そういったご質問だったと理解しています。

まさにこの総理のご発言に沿って検討を進めまして、実際には今、関係省庁、政府内で検討中ということでございますけれども、これに沿って検討を進めて、温対計画やNDCとして政府決定を行うということになってくると思います。位置づけ方も、文言もですし、それからその裏づけとなる政策・対策についても含めて、全体としてお示ししていきたいと思っております。

地球温暖化対策課長

それから紀ノ岡委員からのご指摘の、脱炭素の先行地域の表現ぶりについては、担当部局に伝えつつ、個別にご相談させていただきます。

大塚部会長

ほかにはよろしいですか。

市場メカニズム室長

すみません、市場メカニズム室長の井上でございます。

カーボンプライシングの関係で、小西委員からご指摘いただきまして、ありがとうございます。カーボンプライシング小委員会におきましても、価格効果、財源効果という面で、いかに省エネ、そういったものを推進していくかという話は重要な鍵になると思います。

一方で、46%というところに限らず、広い意味での中長期的な2050年に向けての産業の構造変化、産業だったり経済の構造改革、そういった視点も重要だと思いますので、46%の話に縛られず、ちょっと幅広い議論ということを、今後も引き続き丁寧にやっていきたいというふうに思っております。

以上です。

大塚部会長

はい。ほかにはよろしいでしょうか。

はい、ではお二人、もうここで打ち止めさせていただきますが、井田委員、どうぞ。短めにお願いします。

井田委員

はい、すみません。一言だけ申し上げるんですが、議論の透明性の問題でありまして、私、産構審とかでやっていたエネルギー調査会でやっていた積み上げが、あれは全く透明性があったとは思っていないんですね。今回のも透明性があったとは言えないんですけれども、そもそもこういうのを、不透明なエネミを先に決めるだのNDCを先に決めるだの、私はNDCを先に決めるべきだと思いますけれども、いずれにしても、プロセスがあまりにも不透明だと。江守さんがおっしゃった市民会議の問題もあるので、これはぜひ、今後の議論は、これ審議会自体を否定するようなことにもなるんですが、こういうような不透明な、今までやられてきたような不透明な形でなくて、もっと広く参加を求めて、マルチステークホルダーミーティングをやるというようなことが重要だと思っておりまして、これは環境省だけでやれるものかどうかとは思うんですけれども、エネルギーミックスの議論の仕方含めて、透明性というのを確保していただくような方策が必要だというふうに思います。

それから、売り言葉に買い言葉のようなもので、これは失礼なんですけれども、私は原子力22%というものこそ机上の空論だろうと思っておりまして、この辺はまた別の形で議論したいなというふうに思います。

大塚部会長

藤村委員、お願いします。

藤村委員

はい、ありがとうございます。カーボンプライシングのところで、成長戦略に資するカーボンプライシングと書いてあるんですけれども、果たしてこういうことでいいんだろうかと。脱炭素社会をつくるということは、成長そのものの在り方を問うということではないかと思います。やはり成長ということについて、もっともっと本質的な議論をしなければ、本当の脱炭素社会なんか成り立たないと思うんですね。ここの場だけでは難しいかもしれませんけれども、成長の在り方、成長の質を考える、その上でのカーボンプライシングなり政策を検討する必要があるというふうに深く思いました。よろしくお願いいたします。

大塚部会長

ありがとうございました。では今の点につきましては、ちょっと時間がもうございませんので、よろしいでしょうか。

井田委員

はい。

藤村委員

はい。

大塚部会長

では、さらにご意見がある方は、後日、事務局のほうにご意見を提出いただきますように、どうぞよろしくお願いいたします。

最後に、議案2、その他につきまして、何かございましたら事務局から説明をお願いします。

総務課長

特にございません。

大塚部会長

では以上で、本日の議事は全て終了いたしました。

最後に、事務局から何か連絡事項等がございましたらお願いいたします。

総務課長

委員の皆様におかれましては、活発なご議論、ありがとうございました。

本日の議事録につきましては、事務局で作成の上、委員の皆様に確認をいただきました後に、ホームページに掲載させていただきます。

それから、次回日程については、現時点では未定でございますので、日程が決まり次第ご連絡をさしあげます。

最後に、地球環境局長、小野からご挨拶をさせていただきたく存じます。

地球環境局長

地球環境局長の小野でございます。聞こえていますでしょうか。

大塚部会長

聞こえます。よろしくお願いします。

地球環境局長

はい。今日、新体制での初の部会ということで、大塚新会長、田中新部会長代理はじめ、委員の先生方、どうもありがとうございました。また、今後ともぜひよろしくお願いいたします。

もう何度も出ている話でございますけれども、菅総理の2030年度に46%削減を目指すと、50%の高みに向けて挑戦を続けるという発表がございまして、これは我々としても、2050年カーボンニュートラルとも整合的で、かつ非常に野心的であるというふうに考えております。これをどう達成していくかというのは非常に大きな課題でございまして、今後、温対計画、NDC、長期戦略で具体化を図っていくという、非常に重い課題を背負ったということでございます。

本日、たくさん意見をいただいてお聞きしておりますと、この新しい目標について、期待を寄せていただく声もたくさんある一方、不安の声もたくさんいただいているということでございます。

環境省といたしましては、温暖化対策全体を取りまとめるということで、温対計画、NDCに反映させていくということもございますし、それから、再エネを中心とした地域の脱炭素化、あるいはライフスタイル、社会変革といったところ、特に力を入れて、この46%に向けた努力の中で、最大限、力を尽くしてまいりたいと思っております。

今日たくさん、非常に貴重なご意見をいただきましたので、今日いただいた意見を踏まえまして、事務局のほうで具体化作業を急ぎたいと考えております。

昨年の2050カーボンニュートラルと、それから今回の2030年の中期目標ということで、これでまた温暖化対策、気候変動対策、新しいステージに入ってきたと考えております。今後これを具体化し実行していくということが非常に大きな課題でございまして、環境省といたしまして、関係省庁としっかり連携、連絡を取って、オールジャパンで実施していく覚悟でございますので、引き続きご指導をよろしくお願いいたします。

以上でございます。どうもありがとうございました。

大塚部会長

どうもありがとうございました。

午後 0時29分 閉会