地球環境部会(第144回) 議事録

日時

令和2年2月18日(火)10時00分~12時00分

場所

 全国都市会館 大ホール

(東京都千代田区平河町2-4-2 全国都市会館2階)

議事録

午前1001 開会

総務課長

おはようございます。それでは、定刻となりましたので、ただいまから第144回中央環境審議会地球環境部会を開催いたします。

私、事務局を務める地球環境部局総務課長の秦でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。

本日は、委員総数28名中、過半数の委員にご出席をいただいておりまして、定足数の要件を満たし、部会として成立しておりますことをご報告申し上げます。

また、本日の審議は公開とさせていただきます。

それでは、まず、最初に三村部会長よりご挨拶を頂戴したいと存じます。どうぞよろしくお願いします。

三村部会長

ありがとうございます。

皆さん、おはようございます。今日は年度末のお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。

本日の会議ですけれども、ちょっと振り返ってみますと、昨年も台風19号と非常に大きな被害が生じまして、また、今年にかけてオーストラリアの森林火災とか、そういうような事件もある。したがって、皆さんよく認識されているとおり、気候変動の影響が非常に顕在化して世界に広がっているということが片方にあります。

それと同時に、COP25とか、あるいは、ダボス会議の様子を見ていますと、世界の中で気候変動問題に取り組む非常に大きな流れができてきている。

そういう中で、今日はぜひ気候変動対策に向けて我が国がどういうふうな方向で取組を進めるべきか、報告を伺って活発なご議論をお願いしたいというふうに思っております。後でも紹介があるかもしれませんが、そういうことで少し今日の会議では皆さんのご意見をいただく時間を長くとって、議論をしていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

総務課長

ありがとうございました。

それでは、ここで前回以降、3名の委員の交代がございましたのでご紹介をさせていただきます。

本日、ご欠席ではございますが、日本労働組合総連合会副事務局長の石上委員。

それから、経団連環境安全委員会地球環境部会委員兼トヨタ自動車環境部長の山戸委員。

それから、日本公認会計士協会常務理事の藤本委員でございます。

それでは、本日の資料につきましてですけれども、例によってペーパーレスとさせていただいております。委員の皆様にはお手元のタブレットをご覧いただく形になっております。もし不具合等がございましたら、遠慮なくお申しつけください。

地球環境局長の近藤より一言ご挨拶をさせていただきます。

地球環境局長

本日はお忙しいところをお集まりくださいましてありがとうございます。近藤でございます。今、部会長のご挨拶にございましたように、昨年、台風の被害、それから、気象災害が多うございまして、気候変動課題に待ったなしの状況であると思っております。

こうした状況を受けまして、来年度予算案では、「気候変動×防災」というキーワードを受けまして、例えば、避難所として使われている予定の施設における自立分散型のエネルギーの導入といった緩和と適応といったコベネフィットを実現する施策を強化することといたしております。

また、後ほどご報告を申し上げますけれども、12月に開催いたしましたCOP25におきましては、小泉大臣の精力的な交渉がございまして、市場メカニズムに関する実施指針自体は継続交渉でございましたが、妥結に向けて大きな前進が得られたとも思っております。

また、COP25の会場におきまして、我が国主導でのフルオロカーボン・イニシアティブを立ち上げるなど、パリ協定の実現に向けた実効ある取組を発信してまいったところであります。この点につきまして、また後ほどご指摘をいただければと思っております。

本日の会議では、こうした話題以外にも5年連続で削減をいたしました2018年度の温室効果ガスの排出量の速報値、改正フロン法の施行準備状況などについてご報告を申し上げさせていただければと存じます。

委員の皆様、お忙しいところをお集まりいただきましてありがとうございます。ご指導、ご鞭撻をお願いしますとともに、皆様の忌憚のないご意見を頂戴できればと考えております。

なお、この時期、コロナを初めまして、風邪、インフルエンザの対策が非常に急務となってございます。事務局といたしましても、アルコール消毒のご用意とかをいたしておりますが、わざわざお越しいただきました傍聴の皆様を含めまして、せきエチケットですとか、感染拡大の防止とか、皆様の健康管理にご留意いただければと思っております。今日はどうぞよろしくお願い申し上げます。

総務課長

ありがとうございました。

それでは、以降の議事進行につきましては、三村部会長にお願いを申し上げます。

三村部会長

それでは、早速、議事に入りたいと思います。

お手元の議事次第を見ていただきますと、本日は、その他も含めて五つの議題が予定されております。いずれも報告事項というふうになっております。

まず、議事に入ります前に、少し遅くなりましたけれども、中央環境審議会令第6条第5項によりまして、部会長はあらかじめ部会長代理を指名することになっております。これまでも大塚委員に部会長代理をお願いしてまいりましたけれども、引き続きお願いをしたいというふうに考えておりますので、よろしいでしょうか。お認めいただきたいと思います。

三村部会長

それでは、大塚委員、どうぞよろしくお願いいたします。

議事の進め方でありますけれども、まず、議題1、それから2を一括して説明をしていただき、その後、審議を行うと。それから、その後に、議題34を一括して説明をして質疑応答等を行う、そういう形で進めたいと思います。

先ほども申し上げましたが、本日、報告事項のみということもありまして、委員の皆様には事前に資料をお配りしていることもありますので、事務局からの説明は短目にお願いをして、委員の皆様による議論のための時間を十分とりたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

それでは、まず、議題1と2について、事務局から説明をお願いいたします。

国際連携課長

それでは、まず、議題1、COP25の報告についてご説明させていただきます。国際連携課長の大井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

まず、2ページ目でございますけれども、COP25についてということであります。COP、もう25回目になりますけれども、年末に2週間、数万人規模の人が集まって開かれるという、そういうフォーマット自体は変わっていないのですけれども、パリ協定が採択されて、いよいよ今年、2020年からパリ協定の実施だというふうになりまして、だんだんCOPの有りようというものも変わってきているのかなと思います。

端的に言いますと、交渉という要素がだんだん薄れてきて、このCOPの機会にいろんな各国、さらに言えば各国だけではなくて、事業者、地方自治体といったステークホルダーがいろいろな取組を発信すると、そういう場になってきているという印象がございます。

というわけで、今回のCOP25におきましても、日本の取組の発信と、それから、交渉という、こういう二本柱で対応していたところでございます。

日本の取組の発信につきましては、この後も報告がございますけれども、近年、5年連続で日本の排出量を減らしているということ、G7の中ではイギリスと日本のみでございます。それから、自治体、企業の取組が世界と比べましても先進的に進んでいるということ、こういうことを含めまして発信をしてまいりました。

交渉の結果でございますけれども、特に大きな話としてございましたのは、パリ協定第6条、市場メカニズムに関する実施ルールでございます。これは、前年、COP24におきまして、パリ協定の実施ルールが概ね合意をされたわけでございますけれども、この第6条に関するルールについては積み残しになったということで残された課題、宿題でございました。

これについては、非常に精力的な議論が行われ、また、小泉環境大臣を中心とする日本の貢献もございまして、かなり議論は進んだのでございますけれども、引き続き交渉継続と、今年のCOP26に持ち越しというふうになりました。

それから、交渉の結果の続きでございますけれども、野心の向上、各国の目標をさらに高めていくということが大きな論点になっております。ただ、これについては、どちらかというと、今年、COP26がむしろ正念場だということもございまして、議論はされましたけれども、パリ協定の範囲を超えるようなものではなかったということでございます。

具体的な作業としまして、今年、各国の目標(NDC)を再提出がなされます。その状況について事務局が統合報告書をまとめて、それがCOP26に提出されるということでございます。

それから、ロス&ダメージでございます。これは、気候変動の影響が実際、もう顕在化してきているという中で、緩和・適応、さらに、実際に生じた被害についてどう対応するのかというロス&ダメージ、これが、かなり途上国、とりわけ島国、それから貧しい国からの大きな主張となっております。ロス&ダメージにつきましては、パリ協定とあわせて合意をされておりますワルシャワ国際メカニズム、これの実施状況の点検、レビューが行われたということでありまして、引き続き検討を続けていくということになっております。

そのほか、海洋及び土地、ジェンダーについても議論が行われ、成果が得られたということでございます。

次のスライドは、イベント関係で、大臣がどういう対応をされたのかということをリスト化しております。公式会合への出席、それから、日本のイニシアティブを展開ということで、フルオロカーボンの国際連携、フロンのライフサイクル・マネジメントを、これ、日本提案で各国に呼びかけていくということで、このCOPでは働きかけを行いました。

また、昨年のG20で合意をした「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」、2050年までの排出をゼロにするという、影響をゼロにするという、このビジョンでございますけれども、これについては、G20以外の国にもその呼びかけをしまして、今、全部で59の国から賛同を得るということでだんだんグローバルビジョンにというふうに展開をしてきているところでございます。

そのほか、各種のイベント、これをジャパンパビリオンにおいて開催されたもの、また、そのほかの会場で行われたもの、いろんなものに大臣にも参加をいただいて発信をしてまいりました。

各国の閣僚とのバイ会談につきましては、非常に多くの回数のバイ会談、延べ36回という回数がございますけれども、さらに立ち話なんかを含めると、もうさらに数多くなるという状況でございます。大臣には精力的に活動をいただきました。

また、日本から参加されているステークホルダーともこの機会に面会を持ったところでございます。

小泉大臣の気候変動外交ということでございますけれども、特に6条、市場メカニズムに関しましては、日本もJCMを推進しておりまして、非常にステークを持っている立場でございます。そういう中で、各国、さまざまな意見がある中で、要は調整役として日本が精力的に活動したと、小泉大臣に精力的に働いていただいたということでございます。

先ほど申し上げたとおり、36回を超えるバイ会談などにより、さまざまな意見の間を取り持ちながら合意を目指した調整をいたしました。

とりわけ、会合終盤の13日金曜日、14日土曜日にかけては、何度もバイ会談を行い、とりわけ主要な国であるブラジル、EUといった国々とは、複数回にわたって議論を行って、合意まであと少しというところまで行ったんでございますけれども、残念ながら時間切れに終わったというのが顛末でございます。

最後のクロージングにおきましては、大臣からパリ協定における市場メカニズムの重要性、それからダブルカウントを防止していくことの必要性、日本は、京都議定書のもとでのクレジットをパリ協定の目標達成に使わないということを発言いたしまして、会場から拍手を得たところでございます。また、その後、発言された各国からも日本に感謝の発言があったという状況でございます。

以上がCOP25のご報告でございますが、あわせてCOP26に向けてということで1枚スライドを用意させていただきました。まだCOP26に向けた動きはこれから始まっていくという、そういう状況でございますけれども、議長国イギリスにおきましては、200名規模の体制を既に政府内に設置していると。ちょうど今週、気候変動特使が日本に来日をしております。この機会に意見交換もしたいと思っております。

COP26で想定される重要分野でございますけれども、イギリスにおいては、この四つの分野ということで検討されていると承知をしております。第一にグリーン・ファイナンス、資金でございます。それからクリーンな成長(Clean Growth)、自然に基づく解決策(Nature Based Solution)、あと、適応及びレジリエンス(Adaptation and Resilience)ということでございます。後半二つが、まさに適応的な要素がかなり入っているということかなと理解をしております。まさに今の状況を反映したのかなというふうに思っております。

ということで、今年はCOP26が11月でございます。119日~20日ということで例年より1カ月早いのでございますけれども、それに向けて引き続き準備をしていきたいと考えているところでございます。

私からの資料発表は以上でございます。ありがとうございます。

低炭素社会推進室長

続きまして、資料2を用いまして、最新のデータでございます2018年度の温室効果ガスの排出量(速報値)についてご紹介いたします。

低炭素社会推進室長の木野です。よろしくお願いいたします。

まず、この速報値ですけれども、昨年11月末に公表しています。今年の4月に改めて確報値という確定した値をご報告する予定でございます。

内容を紹介いたします。次のページでグラフがございますので、それを確認いただきながらご紹介します。

まず、2018年度総排出量といたしましては、124,400万トンとなってございます。2014年度以降で5年連続で減少しているという傾向になっています。

この値ですけれども、基準年と比べ、13年度との比較では11.8%減、05年度比では10.0%の減ということになっています。また、排出量を推計している90年度以降から比べて、この18年度の排出量が最も少ない排出量になっているというものでございます。

次の表1、表2、それぞれガス種別、また部門別で載せてございます。特に排出量の変化が大きかったのが、CO2、その中でもエネルギー起源のCO2になってございます。この減少要因といたしましては、一つは、電力の低炭素化に伴う電力由来のCO2の排出量、これは、再エネの伸び、あるいは原発の再稼働、そういったことが要因になります。また、エネルギー消費量の減少となりまして、これは省エネルギーの推進、あるいは、冬が暖かかったという気候要因もございます。そうしたことで下がってございます。

また、ガス種別で見ていただくと、代替フロン等4ガスというのもございます。これについては、基準年から、あるいは、前年度からも。逆に排出が伸びていると。これは、冷媒におけるオゾン層破壊物質からの代替に伴うHFC類、このガスの機器の廃棄時等における排出量が伸びているということが要因でございます。

あと、幾つか、後ろのほうに参考資料を載せておりますけれども、時間の関係でごくごく簡単にご説明させていただきます。

まず参考資料1が、直近5年でG7の主要国と比べてどうかというグラフです。5年連続で下がっているというのは日本、イギリスのみですけれども、イギリスに次いで日本の下げ率が2番目に高かったというデータでございます。

また、次、参考2というものを載せてございます。GDPと排出量の推移の比較ということで、GDPが上がりながら、つまり経済が成長しながら、温室効果ガスの排出量が下がると、いわゆるデカップリングという傾向がここ6年見られております。将来的に環境と成長の好循環をしっかり実現して脱炭素社会を目指していくということに関していうと、このデカップリングを引き続きしっかり伸ばしていくということが大事かと思ってございます。

参考3、参考4は前の資料と内容がダブりますので飛ばします。

参考5、参考6、ここで電源構成の推移について載せてございます。特徴が二つありまして、一つは、再生可能エネルギー、これが太陽光、風力を中心に増加して、昨年、18年度実績で16.9ポイント%まで伸びていると。一方で、火力発電所由来の電源構成、これは減ってございます。特に、石炭火力の割合が減っていると。これは例えば右下のグラフの構成で見ていただけます。

それに伴う化石燃料由来の発電からのCO2排出量、これが参考6になってございまして、同様にCO2排出量も下がっているという傾向が見てとれます。

あと、参考7以降は、主要国との比較で温室効果ガスの排出量の推移、また、CO2排出量としてG20の国まで延ばしたところの排出量の推移の比較で、参考9、これが各国の実質GDP当たりのGHG排出量の推移等を載せております。

先ほど、参考2で、日本でデカップリングの状況をお見せしました。では、そういう指標で見たときに、他国間の比較はどうかということを尋ねられることが多いので、参考9を少し紹介いたします。

2018年度で見ると、日本は0.20kgCO2/USDという値になってございまして、例えばカナダ、アメリカは、依然、日本よりも2倍程度、この指標で見たときに多いと。また、今の日本の値は、例えばドイツとかEUとほぼ同じレベルですけれども、ドイツとかEU 1990年辺から大きく下がった結果、現状では0.2付近でEU、日本、ドイツがほぼ同じレベルになっていると、そういう傾向が見てとれるというご紹介であります。

次の参考10は、CO2当たりということで、G7以外の主要国とも比較した図になってございます。

私からの説明は以上です。

三村部会長

よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。

それでは、今から皆様方から、委員の皆さんからご意見をいただきたいと思いますけれども、説明のあった内容についてご質問、あるいはご意見がありましたら、お手元のネームプレートを立ててお知らせください。

今、パリ協定の実施に向けた国際的な取組、COPに向けて我が国がどういうようなスタンスをとっていくのか、そういう問題、それから、国内における排出削減の動向を踏まえた今後の対応のあり方、そういうようなことについて二つの報告をいただきました。どちらからでも結構ですのでご意見をいただければと思います。

それじゃあ、こちらのほうから今日は行かせていただくことにして、下田委員から順番にお願いいたします。

今日、もし後で少し時間が余れば、一度意見をいただいた方からも改めてまた意見をいただくような機会もとりたいと思いますので、ご発言は簡潔によろしくお願いいたします。

下田委員

ありがとうございます。下田でございます。

冒頭にCOPで取組とか、具体的な施策に対する意見交換が多くなったというお話がございましたけれども、日本の具体的な政策というのがどういうふうに評価されているのかが知りたいと思いました。

意欲的な目標を掲げている自治体とか企業というのが多く出ているということはわかりましたけれども、それを達成するためにどういう政策がとられているところが評価されているのかとか、その辺が、これから大事になってくるのではないかと思っておりまして、なかなか日本におりますと、石炭火力の話しか出てこないのですけれども、そのほかの施策に関して、少し現地での意見交換状況があれば教えていただきたいと思いました。

それから、具体的なCO2排出量の推移でございますけれども、ここに暖冬の影響とかと書かれてしまうと、本当に政策が進んでいるのかどうかというのがわからなくなってしまいます。2030年まで温暖化が進んで暖冬だから排出量も減るだろうという話ではないと思うので、ちょっとこの辺の精度は、また今度、次回、合同会議があるというふうに伺っておりますけれども、上げていっていただきたいなと思いました。

それから、産業部門が大きく減っていて、これは、やはり素材産業が生産量を落としていることの影響があるのではないかと。そうすると、よく言われる間接排出の問題で、日本が生産を落とした分、海外で増やしているのでは温暖化対策としては意味がないので、その辺の間接排出の問題というのも少し同事に分析していただければと思いました。

以上でございます。

三村部会長

どうもありがとうございました。後でまとめてお答えをお願いしたいと。

じゃあ、小西委員、どうぞお願いします。

小西委員

ありがとうございます。2点簡潔にお話しさせていただければと思います。

今、COP25のご説明があったんですけれども、やはりCOP25の一番の焦点は、各国がNDCを引き上げる機運を盛り上げられるかどうかというところにありました。そのご説明の中で、日本のNDCの引き上げについて、今、議論がどうなっているのかということをお聞きさせていただきたいと思います。

本来は、これ、9カ月~12カ月前に出すということなので、もう期限は来ているわけですけれども、でも、そのもともとの精神は、出してから国際的に比較して事前協議して、なるべくその過程において引き上げるということを目的とされているので、そもそも国内の中で引き上げの議論が、今どこで行われているのか、いないのか、見えていないので、その精神からすると、そもそも国内にまず議論引き上げの場が、今、国民の目に見えていないということに対して、これは、本来はこのパリ協定の精神からは反するんではないかなと思っております。ですので、まず、場がどうなっているのか、そして、引き上げるということに対して、日本はどうこれから対応していくのかということをお聞きさせていただきたいと思います。

あともう一点が適応です。これ、適応と緩和のコベネフィットと言われて久しく、かつ、今回は、やはりイギリスがホスト国になりますので、この適応の一つの概念として、Nature Based Solutionも少し大きくなってくると思っています。日本、特に環境省さん、今、適応法の各地域の支援をしていらっしゃいますけれども、その中で、そもそも適応の概念の一つとして、このNature Based Solutionを日本においてどういうふうに位置づけていかれるのかということについてもお聞きできればと思います。

以上です。

三村部会長

どうもありがとうございます。

それじゃあ大塚委員、お願いします。

大塚委員

ありがとうございます。

では、簡単に2点、質問をさせていただきます。

一つは、COP25についてでございますけれども、市場メカニズムに関して、結局、今回は合意が得られなかったわけでございますが、日本が精力的に交渉に携わったという、大臣がということだと思いますが、それは大変結構なことだと思いますけれども、一部でブラジルとの調整に関して、必ずしも日本が交渉したことに関して、消極的な意見を言うような議論も一部ではあるようでございますので、ちょっとここでどのくらいつまびらかにしていただけるかはちょっとわかりませんが、どういう状況だったかということをちょっと教えていただければと思います。

それから二つ目でございますけれども、資料2との関係で、参考9のところで、イギリスが最近、このGDP当たりのGHG排出量に関して非常に進展していると思いますけれども、イギリスは、気候変動法を早くからつくり、気候変動委員会も活動しておりますが、その辺がどういうふうに関係しているかに関して、ご知見がありましたら教えていただければと思います。

以上でございます。

三村部会長

どうもありがとうございました。

それじゃあ井田委員、お願いします。

井田委員

ありがとうございます。

私、前にも申し上げたんですけど、データの見せ方についてちょっと質問というか注文がありまして、これ、2010年とか11年ぐらいから見せているのがあったりとか、物によっては90年から見せているものがあるんですけど、排出量とか電源構成なんかを見たら、これ、90年からのを見たら、全然違うものが見えていますよね。イギリスと最近、同じですといっても、90年比だったら全然違うと。最近減りましたといっても、多分、90年比で見たらまだ2.4%ぐらいしか減っていないと。そういうのをもっとフェアに見せていかないと、これはグリーンウオッシュだと言われるようなことになると思います。

で、石炭火力の比率も、私の記憶では90年代の10%だったのが31.2%まで伸びているという問題があって、いいところだけつまんでデータを見せるというのはやめたほうがいいというのが私からの注文であります。

小西さんがおっしゃったとおり、NDCはどうなっていますかとここで聞いても、多分、返ってくる答えというのは、調整中なんでちょっと待ってください、ここでは申し上げられませんという答えが返ってくると思うんですけれども、果たしてそれでいいのか。全然見えていないですよね、どういう議論をしているのか。

NDCではなくて、電源構成の話ではありましたけれども、原発事故直後にはみんなで討論型世論調査もやって選択肢を示して、広く、本当に審議会の場以上のものをつくって、広く議論をして選択肢を示して、それで討論型世論調査をやって日本国民の総意というものはこういうものでありますというのをやったわけですよね。何で、今、そういうことができないかというふうに思っているわけでありまして、これから霞が関の中だけでこれだけ重要なものを、NDCという、日本のNDCはこういうものですって、形式だけのパブコメをやってというので済む話ではないと思うので、ぜひそういう広く議論をする場というのをぜひ持っていくべきだというふうに思います。

ついでに申し上げると、さっき、大井さんから、特使がいらして、今日、環境省の方と会うというようなことを伺ったんですけれども、昨日、私、英国大使館にいました。もうイギリスの特使とイタリアの大臣にも日本のことをけちょんけちょんに言われるわけですよね、石炭のCMはけしからんとか、一人当たり減っていないじゃないかとか、それ、事実なんですよね。

同じ日にニュースとしてあったのが、世界の投資家が安部首相にレターを出して、NDCを引き上げなさいというようなことを言っていると。私、ダボス会議にも行ってきましたけれども、そこで議論になるのは、日本の石炭、おかしいじゃないかとかというようなことが前面に出てきてしまうと、これ、我々もそうだけれども、日本の政治家も環境大臣も経産大臣も首相も、これが日本にとってのいかに大きなリスクになるかということをどれだけ認識していますかというのを申し上げておきたいと思います。

三村部会長

どうもありがとうございます。

それじゃあ山戸委員、お願いします。

山戸委員

報告ありがとうございました。温室効果ガスが5年連続で削減したということは、非常に高く評価できると思います。私ども、経済界も「経団連低炭素社会実行計画」を通じて、毎年、PDCAを回しながら、エネルギーの低炭素化や省エネといった削減努力を必死に進めております。これが、こうした産業・運輸・業務、エネルギーなどの分野での削減につながったと考えております。

私ども自動車メーカーといたしましても、引き続きさらなる削減に貢献してまいります。

環境省の皆様におかれましては、こうした民主導の自主的取組を前向きに評価していただき、これを後押しする観点から、規制的・経済的な手法だけではなく、企業活動を最大限発揮するような環境整備などについても、引き続きご検討をお願いしたいと思っております。

また、家庭部門におきましても2013年度比約20%の大幅な削減となりましたが、NDCにおいても家庭部門は約40%という大きな削減が求められているところから、ここも国民運動を直実に推進していただきますように、お願いしたいと思います。

三村部会長

どうもありがとうございます。

じゃあ安井委員、お願いします。

安井委員

ありがとうございます。どうも、やっぱり皆さんと同じような話になってしまうんですけど、やっぱりNDCが、今、本当に達成できるのかどうかなんていうことは、どうもちょっと確実ではないような気がしているんですけど、その辺りの議論はどのくらい確度をもってされているのかというのはやっぱり大きいかなと思います。

特に、私の責任でもあるんですけど、原子力の再稼働が進みませんよね。これ、今一番問題になっているのはテロ対策で、テロ対策というと何をやっているかご存じないと思いますけど、要するに、飛行機が原発の真上から垂直に落っこってきて、原発がぶっ壊れることを考えているんですよね。こういうことをこれからやって本当に間に合うのかとか、本当に非常に大きな問題があるので、環境省としての2030年の本当の予測値というのはどのくらいとして今お考えなのか伺いたいと思います。

三村部会長

それじゃあ右田委員でしょうか、お願いします。

右田委員

先ほど資料1でご説明のあったCOP25でございますけれども、私も経団連の代表という立場で参加させていただきました。環境省の皆様には、現地での小泉大臣との意見交換の機会を設けていただいたり、あるいは、経団連主催のサイドイベントにご協力いただいたことについて改めて感謝申し上げたいと思います。大変ありがとうございました。

COPの場では、国際交渉に尽力する小泉大臣を初めとする日本政府交渉団の活動に、これを評価する声をかなり聞きました。引き続き国際的公平性と実効性の確保されたパリ協定のルールの合意を期待しております。

また、環境省の資料でもご紹介いただきましたけれども、経団連は、脱炭素社会に向けてビジネス主導のイノベーションを後押しするという観点から、「チャンレジ・ゼロ」構想というのを昨年12月に発表し、COPのサイドイベントでも国際的に発信させていただきました。

現在、参加企業、団体を広く募っている段階であります。イノベーションの具体的な挑戦、行動を国内外にPRするということを通じまして、裏づけのない目標の多寡ではなく、具体的なイノベーションの取組が評価されるようなゲームチェンジを国内外で起こしてまいりたいと考えております。

「チャレンジ・ゼロ」は、長期戦略に掲げられた環境と成長の好循環の実現に資するための重要な取組だと考えておりますので、皆様のご理解、ご協力を賜りたいと存じます。よろしくお願いします。

以上です。

三村部会長

ありがとうございました。

それじゃあ藤本委員、お願いします。

藤本委員

日本公認会計士協会の藤本です。

本日、ご説明いただきましてありがとうございます。

私も、皆様、分析のところでいろいろご意見がございましたけれども、時系列で見ますと、過去とどれぐらい変わっているのか、また、多国間比較のところで、日本の取組、5年連続削減されているというのは非常によいことなのですが、何に違いあって、こうした結果が得られているのかという分析がなされるとよいのではないかということと、あと、将来2030年の数値が出てきているのですが、そもそも目標値と比べて実績はどうだったのかというような比較ができると、より説得力というか、目標に向かってしっかり削減ができているという分析ができているという示し方もあるか、と思いながらお話をお聞きしておりました。

それから、やはり数字の上では、産業部門のインパクトは非常に大きくて、削減の効果というのは非常に大きく見られるだろうというのは、今回、見せていただいた感想です。

インパクトが大きいということは、今後も持続的に削減をしていく必要があり、取組が重要なのではないかと考えておりますので、ぜひその辺りを推進していくような、例えば開示の面での取り組みであるとか、企業や産業のほうからのアピールの仕方なども含めて、あわせてご検討いただけるとよいのではないかと思いました。

以上でございます。

三村部会長

どうもありがとうございました。

じゃあ藤村委員、お願いします。

藤村委員

海外でのCOP25を初め、いろんな動きが見えるんですけど、国内での動きがなかなか見えない。多分、環境省の皆さん、頑張っていらっしゃるんだろうなとはわかるんですけれども、なかなかそこが見えない。3点ほど指摘したいと思います。

やっぱり目標値(NDC)の件なんですけれども、どこでどんな議論が今行われているのかというのが全く見えないなというふうに思います。

報道などによりますと、国会などでは、そういう議論が少し出てきたように思いますけれども、実際はどうなのかなというのが1点です。

今の動きと同時に、もしこれが2月末までに見直ししたものが出せないとすると、その後、どこでどんな手続でどんな議論をするのだろうかと。審議会辺りがそういう場になるのかなと思うんですけど、ほとんどそういう議論はないので、やはりその辺りがすごく心配です。先ほど、小西さんとかもおっしゃったとおりです。

それから、2番目で、炭素税の話も国会でちらほらと出ているようなんですけど、それについては、国内でどんな議論がされているのかなと。少しは進んでいるのかどうなのかということです。

それから3点目、石炭の話ですけれども、環境省さん、海外でいろいろ調査をなさると聞いています。海外案件についてはいろいろなされているんですけれども、国内のほうはどうなのかなと。そういうのがなかなか情報でも流れてこないので、ぜひこの場で教えていただければと思います。よろしくお願いします。

三村部会長

どうもありがとうございます。

じゃあ藤井委員、お願いします。

藤井委員

いろいろもう言いたいことも出ているんですけれども、一つは、先ほども出ましたが、数字のとり方、イギリスと日本が成績がいいという数字を言われましたけれども、5年連続ということですけれども、90年比で見ると、イギリスは、今ちょっとネットで見ただけですけれども、90年から2004年までだけで33%排出量が下がっています。その後に、また19.3%、これ、一人当たりとベースが違うんですけれども、後で調べてもらえばいいんですけれども、これ、誰でもわかる数字のとり方なんで、いいところだけの部分を、やっぱりせっかく政府がやっているんだから、ちょっと恥ずかしいなという感じがします。

それぞれの国が事情があるので、NDCについては、我が国が、今、やらないならば、なぜやらないのかということを、メリット・デメリットを示して、もちろん、一国、それぞれ経済事情がありますので、そういう説明をするのが必要だと。

そのためには、要するに、今の排出量の、過去データは、今、セクターごとに出ておりますけれども、まさにシナリオ分析をされて、2030年目標、あるいは2℃目標に対して、それぞれのセクターが現状のままでどれぐらいのフォワード・ルッキングのトレンドになるのかというのを、それこそ、これも手計算である程度できますよね。

そういう中で、じゃあどこをどうすればいいのか、どこがネックなのかということを説明しないと、もう国民の方には、私を含めてですけれども、どこをどうしたらいいのかよくわからないんで、産業も大事です、当然ですね。家計ももっと頑張らなきゃいけない、それは当然でしょうけど、みんな頑張れ、頑張れじゃなくて、どこをどの程度やって、どこが足りなければ、そこにイノベーションを起こすための予算を投ずるのか、あるいは、海外と協力するのかというのが見えるんですけれども、やるかやらないかみたいな議論ばっかり繰り重ねていても、せっかくの審議会も、一つの議論のプロセスの場だけで、やりました、審議会をやりました、かけました、地球部会にかけました、いろんなご意見が出ました、それでおしまいになって、以前から言っていますように、審議会をやっている意味がほとんどない。私はこれを前から言っているんで、発展途上国型。途上国型の政策決定の一つのパーツにしか過ぎないと。そろそろ先進国になってくださいねということですね。そのように思います。

三村部会長

ありがとうございました。

それじゃあ中根委員、お願いします。

中根委員

ちょっと今までの話と違ったお話をしたいと思います。これまでの議論とは違った側面からですけれども、国際的に評価される発信ということがさっきも話題になりましたけれども、少々理念的な面からお話しさせて頂きたい。それは、パリ協定が目指している脱炭素社会を実現するには、2030アジェンダ、すなわちSDGsとの統合的な取組が大事だろうと言うことです。

我が国のSDGs実施方針は12月に改定されましたけれども、実施のための主要原則として、普遍性、包摂性、参加型、統合性、透明性と説明責任が挙げられており、この透明性と説明責任や、統合性というのは環境と社会と経済の統合的な発展ということですけれども、その辺の具体性というのが、今、問題になっていると思います。

それから、透明性と説明責任というのは、今もデータの見せ方ということで重要だとお話があったと思います。この原則の中で包摂性については、「誰一人取り残さない」とのキーワードについては、2030アジェンダの根底に流れる基本的理念を示していると実施方針にも書かれています。この「誰一人取り残さない」を脱炭素に向けた取組の中にも徹底することが成功の鍵だと考えています。

例を挙げますと、脱炭素社会構築ためのコンパクトシティづくりや、適応策のための洪水リスクのある住居からの撤退がこれからは必要になってくると思うのです。こういうときに移動していただく方に納得して頂くことが不可欠であります。そのようなときに、誰一人取り残さない街づくり、社会づくりであること、それから、そうして移動する方々にとっても経済性があることを具体的に示す、そういう説明責任を果たしてこそ初めて、その取組は成功するだろうということなのです。

環境、社会、経済の統合的発展ということはよく言われますけれども、やっぱり具体的な説得力があることが不可欠ですけれども、その中でも、社会の発展が誰一人取り残さない社会に向けた変革であるということが前提であって、その実現に並行して初めて誰一人残らず参画する脱炭素づくりが可能になると考えています。

この誰一人取り残さないという理念に基づいた取組こそが、国際的にも評価されるし、普遍性のある取組であると考えていますので、行政、企業、市民、あらゆる団体の取組にこのような観点が貫かれて欲しいと考えています。

こういう環境、社会、経済の統合的発展とか、誰一人取り残さないということをしっかりと行政の中にも私たちの中でも貫くようにしたいと考えておりますが、この辺りについて環境省のお考えもお伺いしたいと思っております。

以上です。

三村部会長

それじゃあ、中島委員、お願いします。

中島委員

ご説明ありがとうございました。

1点目は、今までのCO2削減の実績について、費用対効果の観点からの分析をしっかり行っていただくことをお願いします。グラフを見ると明らかに5年連続して減少しています。GDPが増加傾向にある中、かつ、産業が空洞化することも無しに、このような排出削減を成し遂げたという実績をまず評価したいと思います。

ただ一方で、対策の費用対効果を分析することが非常に重要だと思っています。例えば欧州のように脱炭素化に向けて理念を掲げるとしても、あまりに理想と現実がかけ離れていると、かえって足元の削減が進まない可能性があります。国が発展段階にあり、GHG排出が増加傾向にあるような新興国も含め、世界全体で排出を削減するためには、世界の中でも現実的には費用対効果という概念に基づいて削減を推進する必要があると思います。コストの概念に基づいて、過去の排出削減も含めて分析し、今後のポテンシャルも含めたロードマップを書くということが大事です。日本はその概念を世界に発信していくべきかと思っています。

2点目は、トランジション技術の重要性です。今、企業でもイノベーションを含めて、積極的チャレンジしていくステージに入ってきていますが、特にイノベーションでは、実現の不確実性や、必要なリードタイムが存在します。従い、「将来」と「過渡期」との二つの側面をしっかり意識することが重要だと考えていまして、特に「過渡期」においてはトランジション技術の普及拡大が重要だろうとだ思います。

例えば、私はエネルギーに携わっていますので、エネルギーの点で言いますと、再生可能エネルギーを推進していくことはもちろんですが、それ以外にも、供給側だけでなく需要側も含めた電気と熱のバランスの最適化や、かなりのポテンシャルがあると言われる省エネ・省CO2の徹底、そして化石燃料を使うとしても、その高効率化の推進やCCUSPower to Gasといったイノベーションの取組も必要不可欠だと思っています。このようなトランジションの技術にも力を入れていく必要があると考えています。

特にその点に関係するのが金融セクターになりますが、EUタクソノミーで議論されているような「CO2ゼロか否か」の二元論ではなく、トランジション技術の重要性にも理解を深めていただき、着実なGHG排出削減がもたらされるよう資金提供をお願いしたいと思っています。

3点目はNDCの件です。私もNDCについては議論すべきと考えますが、総合的な議論をせずに、単純な目標値引き上げ議論はすべきでないと思っています。日本の削減実績はGDPを分母にして評価していますが、産業による生産量を分母にとるべきだと考えています。一方、欧州は基本的に産業から金融へと移行が進み、産業構造が、相当、新興国側に移転しているようですから、CO2を排出する産業を域外へ出し、域内はCO2が減る格好になってNDCを引き上げている構図と言うこともでき、この構図のままでは、どんなに取り組んでもグローバルではCO2削減できません。日本だけがNDCを引き上げたとしてもグローバルベースでは大きくCO2排出は下がらないと思いますので、世界的にも費用対効果、すなわち、限界削減費用の観点から、グローバル・バリューチェーンを通じた削減への貢献を主張するべきであり、日本の技術が海外でも役に立っていくと思っています。

以上です。

三村部会長

どうもありがとうございます。

それじゃあ田中委員、お願いします。

田中委員

田中でございます。ありがとうございます。

冒頭に、COPのあり方が交渉よりも発信だという話がありましたけれども、まず、交渉という面からすると、今日お示しいただいたように参考7の状況が正確に伝わるようにしたいところです。日本は“結構頑張っている”にもかかわらず、一般的な国際世論に訴求できていないのではないか。気候変動は大変で、海洋プラごみも大変で、日本はどうしたらよいのだろう、といった不安が結構先行していますが、例えば、先ほどからの議論のNDCの日本の考え方および、日本ならではのアプローチを発信することで、国際社会の中で存在している日本の正確な姿を知ってもらうことができると思いますし、そのこと自体をしっかり伝えることが、まず大前提として必要ではないかということを実感いたしました。

 例えば、一つは、パートナー国やG20以外の国とも日本は連携があり、それら各国との強化できる具体的なセクターがありますから、それをよく示すということ。二つ目は、民間企業へのリアルタイムで迅速な情報共有が今もなされていると思いますけれども、それをさらに強力にするということ。三つ目は、国民一人一人の参加がすごく大切で、家庭部門が減少傾向にあるというデータもお示しいただきましたけれども、その時々の関心事や、心理的な要素で、常に容易に動く分野ですので、これを常に担保しておくということが大事です。内外へのコミュニケーションを常にワンセットで考えて実行していきたいと思いました。

 もう一つ、COP26に向けてのキーワードが一番目に示されましたけれども、グリーン・ファイナンスでClean Growthをベースに起業しているような成功例は日本でも結構出てきているかと思いますの。この11月に向けて、COP26へ向けた大きな方向性を早目に規定いただいて、多彩な公・共・私が連携できて、ともに発信するようなことが重要かと思います。

私も昨夏にSDGs経団連のミッションで国連訪問もご一緒させてもらいましたが、政府は政府、民間企業は民間企業、そして、自治体は自治体で個別の発信が気になりました。情報発信も連携をする事が、国際社会への訴求という面で強みになるかと思います。民間も連携できる方針の決定について、質問も兼ねてよろしくお願いいたします。

三村部会長

ありがとうございました。

荻本委員から手が挙がっているので、荻本委員、それから、最後に私も一言、言わせていただいて、委員からの発言はそこまでにさせていただきたいと思います。

じゃあお願いします。

萩本委員

ずっと聞かせていただいて、自分でもう一回重要だなと思いましたので、発言をさせていただきます。

既に出てはいるんですけれども、例えば、前年度からのエネルギー、二酸化炭素の増減の内訳というページがあります。あるんですけれども、これは、例えば家庭で原単位が減ったからだというような話と、燃料転換が行われたので減ったんだというのがまじって書いてあるんですね。ぜひ、ここは非常に重要なところだと思うんですが、前年からの差、または、この5年間の差、または、ずっと昔からの差、こういうものが一体どういう理由で起こっているのかというのを、恐らく、足して100になるような表現で出していただくと。これがしっかりあると、どういう対策がどのくらい効いたかということを考える材料になると思います。ここがはっきりしませんと、議論が、目をつけたところだけで回転してしまうということになると思いますので、足して100になる議論ができるようにということで、実績を分析するということについては、今まで以上に意を尽くしてやっていただければと思います。お願いをいたします。

三村部会長

どうもありがとうございました。

最後、私からも一言、発言をしたいと思いますけれども、この気候変動の政策ですね、緩和策とか適応策、そういうものを含めたものというのを総合的な成長戦略といいますか、新しい社会のイノベーションを目指す総合的な政策の中に位置づけるのが大切なんじゃないかということを改めて感じています。

1月の終わりにIPCCの第六次の報告書に向けたリードオーサー会合というのがあって、私、第2ワーキングのレビュー・エディターをやっているものですから、それに参加してきました。第2ワーキングの最後の章のタイトルが、「Climate Resilient Development Pathway」ということなんですね。要するに、気候変動に対して強靭な社会をつくりながら、同時にSDGsとか、そういう社会全体の大きな目標の達成を目指すと、それのシナジーやトレードオフはどこにあるかということをはっきりさせて取り組んでいこうという議論だったわけです。

そうすると、気候変動政策というのは、それだけやっていてもだめで、ほかのところに関係づけながらやっていくということだと思うんですね。その点では、この審議会でもパリ協定に対応する長期戦略の議論などでいろいろ議論をしていただきました。

そのときに出た意見の中で、技術イノベーションやエネルギー産業の革新というのは非常に重要だけれども、あわせて社会イノベーションとか国民の方に理解していただいて、そういう協力のもとでやる必要があると。特に、今のように災害が激しくなったり、影響が多くなっているときには、どういうふうに防災力を高めるか、気候変動と防災をあわせてどう対応するかというようなことでは、行政だけでは当然できなくて、国民全体の協力が必要なわけですよね。

ですから、そういうような方向の考え方をして、今、いろいろ出ておりますけれども、国民の中で気候変動に対してしっかり対応していかなきゃいけないんだと。それ自身が、我が国の発展や、あるいは、我々自身の生活を守ることにつながるんだ、そういう広い認識をつくることが必要なんじゃないかなと、そういうふうに思っております。

私の発言はそこまでですけれども、たくさん意見をいただいたので、重要な論点について、今、環境省のほうからご回答をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

国際連携課長

まず、資料1、国際関係で幾つかのご質問をいただきましたので、それに対するご回答を中心に私のほうからお返事をしたいと思います。

まず、最初に、下田委員のほうから、日本の政策がどう実際、海外で評価されているのかというご質問をいただきました。この点につきましては、委員からのご発言にもありましたけれども、まさに石炭火力の問題がどうしても、今回、COP25におきましては、日本に関しては石炭火力に関する批判というところはかなり前面に出てきたことは否めないと思います。会合中に化石賞と、NGOが授与するものがございますけれども、まさに、その石炭の関係でも2度、日本も化石賞を受賞したところでございます。この点に関しましては、小泉環境大臣、1211日のステートメント、その日に行われた内外記者会見、こういった場でかなり率直に状況を説明し、回答したということです。

端的に言えば、非常に問題意識を持って取り組んでいるけれども、今日、この場では具体的な進捗を示すことはできないということを率直に語ったと。ただ、そこについては、引き続き政府内でもしっかり議論していくということで、引き続きその議論を進めているところということでございます。

そういった中ではありますけれども、石炭火力の批判でかき消されている日本の取組、よい取組をしっかり理解していただくと、そういう考え方でジャパンパビリオン等でも発信をしたところでございます。

今回のジャパンパビリオンでは、まさに「Action Action Action」をキーワードにいたしまして、日本で具体的にどういう行動、どういう対応をしているのかということを発信をしたということでございます。

特に他国のパビリオンと比べましても、企業の皆様のご協力もいただきまして、具体的な技術も含めたソリューションですね。緩和・適応、その両面における対応についての具体的な行動であったりソリューション、これを展示をしたということについては、パビリオンに参加された方からも高い評価をいただいていたのかなと思います。

また、ゼロ自治体の取組でありますとか企業の取組なども紹介をしたわけでありますけれども、とりわけゼロ自治体の取組については、大臣をはじめとして、政府がそれを後押しをしていると。それをいわば、自治体の独自の勝手な取組ではなくて、お声かけをし、そういう声を高めているということについては評価をされていたような印象がございます。

それから、大塚委員のほうから交渉に関しまして、もう少し詳細にどういうことがあったのかと、とりわけ、6条、市場メカニズムの交渉に関してかと思います。というご質問をいただきました。

これについては、一口に6条ルールと言いましても幾つかの論点がございます。例えば、パリ協定のもとでは、二つの市場メカニズム、JCMのように各国が取り組む市場メカニズムと、それから、京都議定書のCDMのような国連主導型の統一的なメカニズムと、この二つがあるわけでございますけれども、そのそれぞれについてのルールが議論されております。

その中では、例えばダブルカウントの防止でございます。京都議定書のCDMのもとでは、先進国の目標に対して途上国の削減、これを目標の達成に使えたわけでありますけれども、今、パリ協定になって全ての国が目標を持つようになりますと、例えばCDMのような仕組みで途上国の削減を先進国がカウントするとしたときに、途上国側でもそれを削減とカウントされてしまうとダブルカウントになってしまうので、これをどうやって回避するのかと、こういった論点がございます。

それから、もう一つ大きな論点としては、京都議定書のもとで使われていたクレジット、CDMのクレジットのようなものが、パリ協定、2020年以降の世界でも使え得るのかどうかと、こういった論点がございます。この両方の論点につきまして、環境優先の立場から、ダブルカウントはしっかり防止する、それから、過去のクレジットがむやみに使われるようなことがあってはならないと、こういう立場で交渉に臨んでございますけれども、とりわけ、後者については、その前年、COP24においても、ブラジルが、かなり強硬に反対をしまして、ブラジル対他国が対立するような格好で、合意ができなかったということであります。で、そこに関しては、その対立構造をいかに解きほぐしていくかということで、具体的なデータなども示しながら、どういう条件のもとでは、どれぐらいのことが起こるのかというようなことを、まさに膝詰めで各国と議論し、かなり相互の理解が進んだということでございますけれども、残念ながら時間切れで、今年に持ち越しとなったということでございます。

ブラジルとの関係で、日本の対応が消極的であったという批判も、一部あったというようなことも言われましたけれども、実際のところは、その両者の間をうまく取り持つために、このブラジルの反対側から見れば、消極的というふうにとられるかもしれませんけれども、全体としては、日本が議論の進展に貢献をしたということかと思います。

そのほか、参加の委員の方々から、それぞれの取組についてもご紹介をいただきました。本当に日本のいろんな主体の取組を、今回、COPの中で発信させていただいて、こういったやり方というのは、今後も引き続き取組として続けていきたいと思っておりますので、引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

具体的な質問としては以上かと思いますけれども、もし何かほかにございましたら、よろしくお願いいたします。

低炭素社会推進室長

今後の施策に向けてのコメントは、しっかり考慮させていただくとして、質問、あるいはご指摘について、主に7点かと思っておりますけども、お答えします。

まず、1点目です。速報値に関して、削減の要因などの分析、これをしっかりやるべきということで藤村先生をはじめ複数の委員からいただいております。これにつきましては、毎年、確報値を4月に出すときに、前年度、あるいは基準年から、それぞれの部門ごと、あるいは全体で、どういう要因で、それが需要側の原単位の改善なのか、供給側の改善なのか等を分析してございますので、4月にかけてしっかり分析して、この部会でもご説明したいと思っております。

また、小西委員をはじめ、多くの委員から、NDC、これをどうするのかということでご指摘いただきました。井田委員からすでにご指摘あったように、現在、関係省庁間で調整を進めているというのが、端的な答えになります。現状で、国際的にどうなっているかといいますと、NDCをすでに再提出している国が、今、3カ国、ノルウェー、マーシャル、スリナムスリナムスリナムしかなく、多くの国は、提出期限よりも、国内での手続きに沿って今後の方針等を重点的に議論されているのかなと感じております。なお、大臣が発信されている言葉を借りれば、NDCの目的は、日本が今後の気候変動、脱炭素に向けて、どういう前向きなメッセージを国際社会に的確に届けるか、これが最大の目的である、ということで、そうした大臣の指摘を踏まえながら、現在、議論を重ねております。どのような場でやるのかというご質問について、今後、日本の野心をさらに高めていくために、どのように進めていくのかといったところを含めて議論しておりますので、その方向性に沿って今後しっかりご議論もいただく形にしたいと考えてございます。

続いて、大塚委員から、イギリスが大きく下がっていることについてのご指摘について、ちょっと詳細な分析は今、手元に持ち合わせておりませんけれども、ご指摘のあった気候変動法もありますし、議会や政府から独立した気候変動委員会という組織が、しっかり分析して勧告を出しているという要素もございまして、客観的に見て、ガスシフト、再エネ、あるいは原子力、こうした施策をバランスよく推進しているかなと見てございます。

あと、4点目、井田委員などから排出量のデータの見せ方について、恣意的でないかというご指摘ございました。我々も、恣意的に見せるという意図は全くないですし、資料でも、90年度から各国の変化を含めて見せているデータもございます。一方で、やはり日本の特徴として、福島の原発の事故後、大きくエネルギー供給構造、社会事情が変わったというところもありますので、短期的な変化と長期的なトレンドと、フェアじゃないととられないようには留意しつつ、今後も両面から見せていくということが大事かなと捉えてございます。

また、安井委員などから、30年度の目標達成に向けて分析をしっかり進めるべきというご指摘をいただいております。これにつきましては、日本の今の現行26%減、これはアクションプランである地球温暖化対策計画で、それぞれの主体別に実施すべき具体的な対策を積み上げており、毎年、PDCAサイクルを回しながら、必達、着実な達成に向けて、足りないところはしっかり補っていくという構造にしていただいております。この審議会でも、毎年、フォローアップ計画のフォローアップのご議論をお願いしております。そういった場で、現状について詳しく分析したもので、また、ご議論いただければと思っております。

藤村委員からは、石炭の国内政策ということでご質問がありました。30年に向けましては、電力事業レビューですとか、環境アセスメントの審査を通じて、政府の中で環境省がしっかり、必要な発言、姿勢を見せていくということだと思っておりますし、長期的には、長期戦略で示したような、まずは徹底した省エネ、さらに再エネの主力電源化を最大限進めていく中で、石炭火力を含む火力については、依存度を引き下げる。さらに、なお、必要な火力がありましたら、それについてCO2を回収、あるいは有効利用するというCCUS、こうしたイノベーションも通じて、総合的に脱炭素化、これをしっかり図っていくというのが政府の方針です。環境省としても、そうしたことにしっかり取り組んでまいりたいと思っています。

また、中根委員、あるいは、最後に、三村会長からも、社会全体の統合的な発展、進展が、脱炭素社会のために必要じゃないかというご指摘がございました。長期戦略を議論した中でも、最終的に書かせていただきましたけれども、ご指摘のあったSDGs、例えば地域でのSDGsと脱炭素、同時に達成していくという地域循環共生圏という概念であったり、あるいは日本が目指すべき脱炭素社会は、単に脱炭素という方向性だけでなくて、将来に希望の持てる明るい社会でもあるべきと、という基本的考え方を示す形で長期戦略をまとめていただいていますので、こうしたことを含めて国民的な対話・連携を意識しながら、しっかり進めていくということで、改めてやっていきたいと思っております。

私からは、以上です。

三村部会長

よろしいでしょうか。

どうもありがとうございました。これで一巡、ご意見いただいたわけですけれども、時間もないところですけれども、せっかくの機会ですので、審議を途上国型から先進国型にちょっと、移動、移行していくということで、一、二名の方ですね、意見を聞かれて、ぜひ、もう一言、言いたいということがおられれば、発言をお願いしたいと思いますが。

じゃあ、井田委員と、そのほかにいらっしゃいますか。じゃあ、3人の方にお願いします。

じゃあ、井田委員から。お願いします。こちらから。

発言は、すみません、簡潔にお願いいたします。

井田委員

ご説明ありがとうございます。私、この場で産業界の方から、引き上げすべきじゃないというようなことを明確におっしゃったというのを、ぜひ、心にとめておきたいと思います。それに対抗して申し上げるようですけども、私は、引き上げるべきだと思います。

これ、2007年、ニック・スターン、今回のダボス会議で、日本の石炭、けしからんと公言したのを、私、目の前で見ていたんですけれども、ニック・スターンがレポートを書いたのは、2007年ですよ。もう10年以上たって、行動しなかったときのコストというのが見えてきたと。そのときに、もう、エマージナルコストがどうとかと言っている段階ではなくなってきたと。もうコストとベネフィットの考え方というのも、根本から変えなきゃならないところまで来ているというふうに思うからであります。

それで、議論をしろということで議論をふっかけてしまうんですが、私、生産量ベースというのが何を示しているか、ちょっとわからないので、そこら辺、詳しく教えていただければと思います。

それとあと、欧州は汚いものを外へ出したけど、日本は汚いものは残っているんで、減らないというふうにおっしゃったように伺ったんですけども、ここら辺、そういう情緒的なことではなくて、きちんとしたデータをぜひ、次回までにお示しいただきたいと思います。

それで、もう一つ申し上げたいのは、この議論の進め方なんですけども、産業界の方いらっしゃるんですけど、実は142社で、JCIというのがありまして、そこに142の企業はNGCを引き上げろというようなことを言っていると。ぜひ、たしか私、総合政策部会の委員もやっておりまして、その場ではJCIの方が来て、プレゼンしていただいて、カーボンプライシングに非常に積極的な意見を伺って、私、非常に感銘を受けたと、認識を新たにしたんですけども、その後、石田委員が加わりました。で、ここでも、ぜひ、前向きな産業界の方というのの意見を聞く場というのをつくっていただくということはできないのかなというふうに思っております。

三村部会長

それでは、藤村委員、よろしくお願いします。

藤村委員

今の井田さんのお話に続くんですけども、先ほど経済界の方は引き上げなくていいとおっしゃったんですけども、このままでは到底、パリ協定は実現できない。一方で、災害、異常気象も非常に増えている。産業界はどう減らしていこうとお考えなのかというのを、ぜひ、お聞かせいただきたいなというのが1点です。

それから、COP26に向けてクリーンな成長とあったんですけど、クリーンな成長という言い方は、絶対グリーンウオッシュに引っかかると思うんですね。クリーンな成長というのは、一体どのように成長なのか?産業界の方にも、ぜひ少しお考えを聞かせていただければというふうに思いました。

三村部会長

藤井委員、お願いします。

藤井委員

先進国型の議論ですので、参画させていただきます。

一つは、先ほど、環境省のほうのご説明で回答がなかったんですが、今後の2030年に向けてのそのシナリオ分析に基づいて、どの分野がどうなりそうかというのは、これはシナリオ分析についてはPCFDが、ご存じのように、提言されていまして、我が国を含めて、恐らくこの一、二年の間には、民間企業については、それに取り組むという方向性が出ております。政府において政策決定の中で、それ考慮されていないのかどうかということをご回答ください。

それから、ご議論の中で、井田さんがご質問されましたが、グローバル企業は、別にヨーロッパの企業だけではなくて、アメリカの企業も、我が国の多くの企業もグローバル展開していますので、我が国のプロジェクトをそこに持っていっているか、いっていないかという議論は、個社ベースで、我が国が全て国内でやっているわけではない。先進国ですから、我が国は。この経済の分野においてはですね。そのように私は考えますので、おっしゃられるようなそのグローバルでの把握が大事だというのは、まさにそのとおりですね。なんですけど、グローバルな費用対効果を、モデル的にはできるかもしれませんけれども、今言ったような個社のそのガフィーとか、そういうところの動きを踏まえて把握するのは、非常に大事なんだけれども、これは一つやっていかなきゃならないテーマであります。国ごとのその取組に加えて、グローバルキャピタルについての取組ということは、これはまさに、今度のCOP26でも、我が国政府は、その準備があれば、ご提案されれば、大事なことだと思います。

それから、原発について、安井先生が、先ほど。確かにヨーロッパは、原発によるCO2の削減というのが、それなりの効果を上げております。ただ、我が国における安全性の問題というのは、飛行機が真上から落ちるということだけではなくて、ミサイル攻撃でどこかの国からあり得るということも含めたご議論かと思います。これは、直接は温暖化の議論とは違いますけれども、原発の安全性のどこまで担保するかということですので、これは大事なことですね。ただし、温暖化の議論の中で、原発をどうするかということも、正面から取り上げて取り組んでいけばいいと思いますけれども、私は、この環境省のデータから見ても、90年比から見ると、石炭の排出量は2.6倍、石炭火力になっています。

三村部会長

すみません。簡潔にお願いします。

藤井委員

失礼しました。

ですので、このデータをちゃんと踏まえてご議論していただければと思います。

ちょっと長くなって恐縮です。

三村部会長

ありがとうございました。

今、お二人の方から、産業界の方の意見に対する意見が出ましたけれども、議論は3人までと言いましたが、もし、産業界のほうから。

ぜひ、じゃあ、お願いします。

中島委員

私の意見に対するご意見だと思いますのでご回答します。ほかの産業界の方で追加のご意見があれば、ぜひお願いします。

1点目、井田委員からご質問いただきました点です。生産量ベースと申したのは、実際の排出量は産業界に起因する部分がかなり多いため、金融界も含めた全部の活動であるGDPを分母に取ると、誤解を招く恐れがあるからです。欧州は、生産活動を域外に移転したことにより、域内のGHGが減っているという構図が確認できると思いますので、ぜひとも次回以降、環境省でまとめていただいて、皆で議論したいと思います。

もう1点ご質問のありました、「日本がどのように削減していくのか」という点について、私は、日本は減らさないということを言っているわけでは決してありません。ただ削減という観点では、既にかなり雑巾を絞った状態にある産業界については、さらなる削減しろがあまりないと認識しています。もちろんそうした中でもCO2ネット・ゼロという目標に向けてまだまだ取り組んでいきますが、例えばCCUという技術を持つ企業であれば、せっかくその技術を持っているのに、日本国内の削減だけに注力して、海外、特に新興国で使わないというのは、グローバル・バリューチェーンの観点からももったいないと思います。

さらには、これからの日本に、「産業をどうやって、どこまで残していくのか」という点までの議論が必要だと思います。構造を変えずにCO2を減らしていくのにも限界があると思います。欧州のような、産業界を域外に移転させて排出削減するという施策を国内で合意し、それを日本がとるのであれば、それも一つの考え方だと思います。世界の中で、日本がどのようなポジションを取るのか、部会長も発言された気候変動の話だけでなく、日本としてどういう方向に進んで行きたいのかというSDGsの視点でも、総合的に考えるべきだと思います。そうでないと、CO2だけの議論をしても皆での議論の前提がかみ合わず、多分行き詰まるのではないかと思っています。

三村部会長

簡潔にお願いします。

中島委員

もう1点です。2030年の26%削減目標は、エネルギー基本計画にも関係しています。原発を議論せずに、勝手にNDCだけ引き上げるということは難しいので、セットで議論すべきだと思っています。

以上です。

三村部会長

どうもありがとうございました。

低炭素社会推進室長

委員長、すみません、1点だけ。先ほど藤井委員への回答が漏れていた……

三村部会長

ちょっと、それは後でお答えいただけますか。

議論がかみ合い始めたところで、時間的に誠に申し訳ないんですが、ご理解をいただきたいと思います。

それから、先ほど、藤井委員から出ました質問については、もし時間が余れば最後、あるいは、時間がない場合には、後でお答えをお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。

それでは、あと、議題の3と4があります。これについて、事務局から説明をお願いして、その後、皆様方のご意見を伺いたいというふうに思います。

それじゃあ、よろしくお願いします。

気候変動適応室長

それでは、資料3に基づきまして、気候変動適応策に関する最近の動きについて、ご説明をさせていただきます。資料、かなり大量に準備していますが、要点のみ、かいつまんでご説明いたします。

まず5ページ、法律に基づく動きについてです。現在、気候変動影響評価報告書の策定に向けて検討を進めており、今年の325日に気候変動影響評価等小委員会を開催し、住委員が委員長ですが、ここで審議を開始したいと思っています。今年中に、気候変動影響評価報告書をまとめまして、またその結果を踏まえ、政府全体の気候変動適応計画の変更につなげていきたいと思っています。

法律に基づく地域適応計画の策定状況ですが、昨年11月現在の数字を載せておりますけれども、115県、8政令市、5市で地域気候変動適応計画を策定しております。

また、地域気候変動適応センターについて、昨年10月1日現在、13県で適応センターを確保しており、自治体の組織、地方環境研究所、それから茨城県は茨城大学が適応センターになっております。その他、一般財団法人が適応センターとなっている例もあります。

気候変動適応推進会議というのを開催しています。これは環境大臣を議長とし、関係府省庁によって構成されるものです。この推進会議では、気候変動適応計画の進捗状況について把握する目的で開催しており、昨年の11月に第2回会合を開催しています。

新しい点としましては、今回の会合から防衛省に参画いただいています。気候変動適応について、防衛省の役割も大きくなっていることも踏まえ、大臣の呼びかけで参画いただいたものです。この資料がその時の会合の次第です。

それから研究について、環境研究総合推進費において、気候変動適応に関する研究を進めています。また、今年はFSをやっていましたが、来年度から、気候変動影響予測・適応評価の総合研究を実施する予定です。これは三村部会長が中心となって、研究を進めていくものです。

地域の取組の支援について。先ほど、小西委員からもご指摘があったようなところに関わりますが、地域の取組を支援するという事業の一つとして、地域適応コンソーシアム事業というのを、今年度までの3カ年で実施しております。この中で、地域における具体的な適応策の立案や実施の推進を図るべく、関係省庁とも連携をしながら行っています。

具体にどういった調査を行っているか、資料でお示ししていますが、各地域で関心の高い気候変動影響についての予測を行い、適応オプションを検討しています。例えば、先ほどのnature-based solution、小西委員からもご指摘あったと思いますが、事業番号1-6で、気象上昇や降水量の変化等による釧路湿原の水環境、生態系への影響調査を行い、釧路湿原が持つ洪水への影響、抑止効果について検討を行っているところです。その他、さまざまな事業を行っています。幾つか事例をつけていますが、何かあればご質問いただければと思います。

また、「気候変動×防災」の取組についてですが、昨年の台風に代表されますように、近年、非常に自然災害が多く発生しているところです。こういった中、防災について気候変動のファクターを取り入れ、緩和と適応の両面から取り組んでいくということが重要と考え、「気候変動×防災」という取組を推進しています。その例としては、分散型エネルギーを活用した気候変動に強靭な地域づくり、また、生態系を活用した防災・減災があります。

国際的な取組ですが、COP25で「気候変動と防災」に関するイベントを開催しております。この中で、アジア太平洋適応情報プラットフォームが果たす役割と今後について議論を深める中で、国連防災機関の水鳥特別代表から、世界の気候関連災害の現状の紹介をいただきました。

また3月8日と9日に、「気候変動×防災」の国際シンポジウムと専門家ワークショップというのを開催する予定となっています。公開シンポジウムにつきましては、基調講演として水鳥特別代表にお話をいただき、その後、パネルディスカッション、また閣僚級の鼎談というのを予定しています。

またその翌日には、専門家でのワークショップも予定しており、会合の成果を、今後の国際的な議論につなげていきたいと思っています。

それから、アジア太平洋適応ネットワーク(APAN)フォーラムを、今年、日本で初めて開催を予定しています。これは、UNEPのアジア太平洋地域事務所が事務局となっているネットワークですが、そのネットワークの中で、知見の共有や今後の取組について連携を深めていく目的で開催するものです。このフォーラムにあわせ、日本が有する適応関連の技術だとかサービス、製品といったのを広報・宣伝する機会ともしたいと思っています。

最後に予算ですが、来年度の予算案の中では、資料右側にあるとおり、大きく二つの事業を新しく掲げています。

一つは、先ほどの地域適応コンソーシアム事業の後継となる事業として、気候変動適応における広域アクションプラン策定事業というのを新たに立ち上げることとし、それぞれのブロック単位で連携をした活動の検討について、地域の取組支援の一環として計上しています。

また、もう一つは、気候変動による災害激甚化に係る適応の強化事業です。これは昨年の大きな台風も踏まえ、このような台風が将来起きた場合に、気候変動の影響を踏まえると、どういった影響になるか評価を行い、データを整備するものです。

適応に関しては、以上でございます。

フロン対策室長

続きまして、フロン対策室長の倉谷でございます。時間が限られておりますので、簡潔にご説明をさせていただきます。

資料4でございますが、改正フロン排出抑制法の施行準備状況でございます。前回、既にご報告しておりますけども、昨年2月の答申、フロン小委員会でのご審議に基づく答申を踏まえまして、昨年6月にフロン排出抑制法の改正が行われております。それ以降、政省令につきまして、104日に公布いたしました。ここにリストアップをしておりますような施行令、施行規則、特に今回、改正がありました事前確認の書面に関係する規定の改正でございます。それから、管理適正化指針等の改正を行って、4月の施行に向けての準備を現在行っているところでございます。

今回の改正では、都道府県の指導監督の実効性向上が非常に重要でございまして、2枚目のところですが、施行に向けまして、周知徹底を頑張ってやってきております。都道府県向けの説明会、それから事業者向けの説明会を、全国約20回開催しております。具体的には、今回新たに手続の対象になっております建物解体事業者ですとか、廃棄物リサイクル事業者、こういった方も含めまして、周知徹底を実施しております。

また、追加の要望もございまして、年度内に3回、また、来年度も追加で開催していきたいと考えております。

また、改正後のパンフレット、チラシ、それから都道府県に対しては通知、あわせて指導に必要となります手引の改正を、現在、進めているところでございます。引き続き、施行に向けて、また施行後も、周知徹底を進めてまいりたいと考えております。

今後の排出抑制対策につきましては、この改正法の適確な施行はもちろんでございますけれども、国内のそのライフサイクル全体の取組を一層推進していくことが重要であります。ここに書いてありますのは、脱フロン化・低GWP化、これは、いわゆる上流対策ですが、オゾン法に基づく今後の見通しの見直しなども、現在、議論されておりまして、今後、指定製品制度の見直し等も引き続き進めていく予定でございます。

また、中流域の使用時漏えいの防止。これは25年の改正の点検を現在、進めておるところでございまして、今後は、必要があれば制度見直しについても、検討してまいりたいと考えております。

また、廃棄時回収率につきましては、現在まだ、4割弱でございまして、まだまだ向上が必要でございます。今回の改正法の適確な施行はもちろんでございますけども、残された要因であります1台当たりの回収率、こういった要因の検討につきましても、引き続き実施をしていく予定であります。

また、最初の議題でもご紹介がありましたが、国際展開につきましては、我が国の経験も踏まえまして、特にそのライフサイクル全体、中流・下流域の取組を進めていきたいということで、我が国主導でイニシアティブを設立したところでございまして、今後、本格的に取組を進めてまいりたいと考えております。

参考をつけておりますけれども、私からの説明は以上でございます。

三村部会長

どうもありがとうございました。

この適応、それからフロンの排出抑制対策の問題について、ご質問、ご意見を伺いたいと思いますが、時間としては20分程度を予定しておりますので、その時間の範囲でご意見をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

それじゃあ、またこちらから、住委員から順番にお願いします。

住委員

2点、お話しします。

「気候変動×災害」、という視点はいいと思います。まず1点、一環境省は、思い付きで始めてすぐやめるのではないかという不安があります。そこで、防災官庁の国交省とうまくやっていってもらいたいと思います。

そういう観点で、仙台防災枠組み2015-2030について一言も触れていないんですね、この中では、防災対策だけじゃなくて、気候変動とリンクしてなきゃだめだと書いてあるはずなんですよ。だから、防砂と気候変動というリンクの流れは、きちんと書いておいてほしいと思います。

それから、もう一つは、適応の地域センターのことですが、一応の成果が上げられていますが、今までやって成果のこことここを次に伸ばすとか、ということも記述していただきたいと思います。

Eco-DRRも、本気でやるのかという覚悟を問いたいと思います。環境省も、こういうことを挙げるのはいいのですけど、本当に事業として実際に展開できるだけの腹づもりがあるかというところを、ちゃんと覚悟していただければと思います。

三村部会長

ありがとうございます。

じゃあ、小西委員、お願いいたします。

小西委員

先ほども少し言わせていただいたんですけれども、やっぱり、この適応法があるという、法律があるということは、すごく地方自治体にとって推進力になる。この事業をやるという力の、一つの大きな存在、行動指針になるので、それを、ぜひ推進力として、特に地方自治体の皆さんに、この適応の視点で進めていただきたいと思う際に、一つ、地域からのイニシアティブとして、すごく私が思うのが、本当はこれ、緩和と適応、すごくもう一緒になっていますよね。何か北海道で、例えば酪農家の方がマイクログリッドを入れると、いざ停電したときにも、そのレジリエンスが高まるみたいな、そういったこととか、いろいろなその防災の視点で進めることとの兼ね合いみたいなのが、たくさんある中で、特に、その地域の自治体の方にとって、その一つの専門家もいない段階で、それ全部をやられるのは荷が重いところもあると思うんです。ですので、適応という視点で進める際に、そういった防災とか、あと緩和の視点とかも、環境省さん側のほうで、かなりアドバイスできるような、すなわち省庁の枠を超えたアドバイスができるような体制が、すごく本当にあるといいんじゃないかなと思っております。

三村部会長

ありがとうございます。

それでは、大塚委員、お願いします。

大塚委員

ありがとうございます。適応のほうでございますが、この気候変動適応推進会議の環境大臣が議長を務めていただいているので、ぜひ、リーダーシップを発揮していただければと思いますけれども、46ページのほうの防災のところが、現在、国民の関心事になっていると思います。

これもいろんなことをやらなくちゃいけないんですけども、一つは、先ほど中根委員がおっしゃったコンパクトシティの話も運営に関係していて、あまり、その洪水が起きそうなところに住まないような、こう、誘導していくというのが、重要な政策になっていると思います。国交省とも連携して、ぜひ、そちらの方向の検討も進めていただけるとありがたいと思います。人口減少も含めて、必ずしも洪水の起きそうなところに住んでいる必要性が高いとは、あまり思わなくなっているような状況は、国民的にも理解されるところではないかと思います。

改正フロン法の施行に関しましては、4ページのところに今回の改正の概要が出ていますけども、やはり、今回の目玉の一つは、直接罰の導入でございましたので、これがどのぐらいの効果を発揮するかということに関して調査をしていっていただければと思います。

なお、目標をもし達成しにくいということだと、5ページに書いてある附帯決議にあるような、さまざまなことをさらに考えなくてはいけないということが出てくるかもしれませんので、そこは引き続き、精査していただければありがたいと思います。

以上です。

三村部会長

ありがとうございます。

じゃあ、大江委員、お願いします。

大江委員

ありがとうございます。

私の方から、国民的関心という観点からの意見を述べさせていただきます。

一昨年、それから昨年と、非常に大きな災害が続きまして、国民は、この地球環境問題に大変関心を持ち、さらに気候変動に対する危機感というふうに、関心のレベルが高まっていると思います。ですので、そういった国民の高い意識を環境省で、ぜひ、味方につけていただきたいと思っております。環境を大切にするということは大事だとか、関心を持って行動しなきゃいけないとかいったこと、今、非常に響いていくと思いますので、国民的発信をするときは、できるだけわかりやすい言葉で発信していただくことが大事じゃないかなと思っています。

例えば、CO2削減って、今、大分広まってきましたが、脱炭素とか、低炭素とか、ゼロカーボンとか、地球温暖化効果ガスとかいった言葉は、なかなか難しい言葉でございまして、それが全部、実は地球環境問題の話なんだということが、必ずしも理解が浸透していないところがあると感じておりますので、ぜひ、国民を味方につけて、非常に高い関心を、危機感を持つようになった国民を味方につけていただくという意味でも、発信されるときに、できるだけ言葉を統一し、しかもわかりやすくということを重視していただきたいと思っております。それが地域レベルでの取組に必ずつながっていくと。自治体も、そうしていただけると、大変取り組みやすくなると思います。

それから、もう2点目なんですけれども、SDGsということが、先ほど、前半でもご意見が出たんですけれども、これは、自治体などでは、意外にも浸透はしてきておりまして、例えば、環境にあんまり関心のない首長さん方でも、SDGsのバッジだけはつけているというふうなことがあるんですね。SDGsというのは環境問題がすごい重要な位置を占めているわけですから、そのSDGsの目指す国際的課題に取り組んでいきましょうという動きにもっと一緒に乗り込んでいただいて、地球環境問題とか、気候変動とか、単品だけで伝えていくだけでなく、SDGsをうまく使うと取り組みが広がるんじゃないかと思います。

国民の中には、例えば、レジ袋を減らしましょうというのが、地球環境問題と一緒になっております。ですから、そんなに細かく区別しているんじゃなくて、環境に優しい行動をとっていこうというふうなことで広まっていっているわけですから、トータルな観点からの国民への発信だとか、それから啓発だとか、取組を促すといったことをしていただくと、非常にいい、今絶好の時期に来ていると思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

以上です。

三村部会長

ありがとうございます。

じゃあ、江守委員、お願いします。

江守委員

後で、その他で言おうと思っていたんですけれども、今の大江委員のご発言と少し関係があるので、申し上げますけれども。

先日、ダボス会議のときに発表された、複数の国を対象とした環境問題に関する意識調査で、環境に関する科学者の発言を信用するかどうかという項目において、日本が下から2番目であったというのがありまして、ご存じの方も多いと思うんですけれども。日本の国民というのは、本当に危機意識が高まっているのかと。あるいは、その気候変動の把握というものに関心があったり、理解したりしているのかということが、実は問われるような事態になっているのかなというふうに思います。

僕自身は、その調査自体は、発表されたデータからは明らかではないんですが、恐らく、わからないというか、信用する人も少ないけれども、しない人も少なくて、間が多かったんじゃないかというふうに想像しています。恐らく、日本の国民の間では、まだそこまで環境問題に関して科学者が何を言っているかなんて考えたこともないという方が、ボリュームとしては多いということが今起こっているのではないかなと。

一方で、いわゆる昔からあります地球温暖化の懐疑論とか否定論というのが、これは欧米を中心として、いわゆる産業界の一部が保守系のシンクタンクというところにお金を流して、で、保守系のメディアからそういった論が出てくるという、非常に組織的なプロパガンダ活動としてそういうものがあるということが知られているわけですけれども、それがあたかも科学的な論争であるかのように、人々がそういう印象を持つということが、そういう狙いを持った活動があるわけです。で、その一部が、日本においても紹介されるというか、そういった、その政治的な文脈の理解なしに、一部の懐疑論、否定論というのが垂れ流しされるような形で紹介されているということが、最近、日本においても改めて起きている印象を受けますので、科学コミュニケーションの観点からも、これから取り組んでいきたいと思いますけれども、環境省並びに関係者の皆さんの一層のご理解とご協力をお願いしたいと思います。

以上です。

三村部会長

じゃあ、井田委員、お願いします。

井田委員

簡潔に。

フロンのことは再三申し上げているんですけども、これを回収頼みで、回収もできないのに回収頼みでやってきたというのが現状を招いたというのを、ぜひ、認識していただいて、回収をやるのはいいですけども、絶対それだけじゃだめだと思います。決議にあるような経済的手法も検討しなきゃいけないし、私は、用途規制というような規制的手法もあってもいいと思うので、これ、5年を待たずとか言わないで、今から早目に検討を、ぜひ、進めていかないと、これ、フロン、大変なことになると、私、90年代から申し上げていますけれども、ぜひ、それを進めていただきたいと。

あと、直罰を入れたというのは、私、非常に重要なことだと思うんですけども、環境規制、罰則強化される傾向にありまして、種の保存法なんて1億円の罰金とかがあったんですけども、なかなか伝家の宝刀が抜かれないということになっておりまして、せっかく直罰を入れたのですから、一罰百戒じゃなくて、宝刀を抜こうと思ったら、さびついていて抜けないというようなことがないように、ちょくちょく抜いていないと刀はさびますから、早目に見せていくというような、これは厳しいものなんだというようなことを見せていくという姿勢が、重要かなというふうに思います。ぜひ、そこら辺、心にとめていただきたいと思います。

三村部会長

では、吉高委員、お願いします。

吉高委員

ありがとうございます。

私、COP25に参加させていただきまして、今回、会場がチリからマドリードに変わったということで、EUの参加者が中心となり、先ほど中島委員がおっしゃったEUのサステナブルタクソノミーに関するサイドイベントも多く開催されていました。COP26はグラスゴーで開催されることになっていますが、もしかしたら会場がロンドンに変更になるかもしれないという話も耳にしています。そうしますと、ファイナンスのところが大きく動くという可能性が高まります。TCFDについて投資家と話しますと、強靭な国土や強靭な産業というものに対して、非常に関心が高いということなので、今回のこの政策は、いかに日本が強靭であるかということを世界的に見せるためにも重要な施策なのではないかと、私は思っております。国連では、気候変動、SDGs、仙台防災枠組の相互関連性について語られることがあり、本日、言われた皆様のご意見というのは、まさに重要かと思っております。

特に、適応に関しましては、ESGのリスク評価との観点から申しますと重要で、特に、分散型電源というのは、大変重要な位置づけになってきているというのが、地方でお話しさせていただくと実感します。

先月、当社でサステイナブルファイナンスとCOP25の報告のセミナーを行いましたら、150名近くの機関投資家やアセットマネジャーが集まりました。それぐらい、関心が高いです。これは投資家だけではなく銀行も動いています。サステナビリティ、気候変動に対して積極的に発信、つまり、日本国自身のESG情報開示をきちんとしていかないと、どんどん海外から取り残されるのではと危機感を感じております。ぜひ、今回のさまざまな施策について、環境省はリーダーシップを取られ、他の省庁とともに積極的に取り組んでいかれることを望みます。でないと、投資がこなくなるかもしれませんので、ぜひ、頑張っていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

三村部会長

ありがとうございます。

じゃあ、藤村委員、お願いします。

藤村委員

私も、自治体の方とのおつき合いがあるんですけれども、状況を聞いていると、非常事態宣言と大臣から電話がかかったから、したという話を聞くんですけども、果たしてちゃんと具体的なことを考えているかというと、まだまだそこは薄いなということを感じます。

それから、もう一つ、適応策についても、環境基本計画の中で書き込もうというふうなところが結構あるように思うんですけども、そうすると、見ていると、やっぱり具体性に欠けるんですね。環境省さん、すごく立派なマニュアルをつくられているんですけども、県レベルならあれでしょうけども、やっぱり市区町村のレベルになると、なかなかそこまでは行かないなというのがあるんですね。それとやっぱり、地域に密着する必要がある。ぜひ、緩和、それから緩和と適応の区別とかというのも、なかなかやっぱり、現場ではついていなくて、やっぱり、緩和、適応、そして防災というふうな、こう、流れでつくるんだよというふうな指導なり、情報なり、アドバイスをぜひしていただきたいなというふうに思います。

それから、こういう地域で計画をつくるときに、以前から申し上げましたけども、市民、NPOの参加をぜひということを申し上げたんですけども、プラスアルファとして、業界というか、特に廃棄物の業界の人たちというのは、やっぱり、何かが起きたとき、一番早く動いてくれる。今までの流れだと、大手ゼネコンで下請をするようなパターンが多かったかと思うんですけども、そうではなくて、やっぱり地元をよく知っている、地元の人たちが一緒にやるという仕組みをつくる必要があると思うので、やっぱり、こう、適応策をつくる場合とかは、市民だけじゃなくて、そういう業界の人たちを入れていくというのも、一つ大切なことかなというふうに思います。

三村部会長

ありがとうございました。

藤井委員、お願いします。

藤井委員

藤井です。私も適応のところで、国民への発信というのは、今さらしなくても、まあ、してもいいんですけども、これだけ被害が毎年起きていて、もちろんそれが全てが気候変動だけではないけれども、増加しているということは、多くの国民が普通に理解していることであります。

大事なことは、政府としてやっていただきたいことは、結局、インフラの強化という、これはもちろん環境省だけじゃなくて全体ですけれども、このコストが大きくて、自治体も、自分の領域の中では予算を組めない。小手先になってしまざるを得ないという環境があるので、これは政府内で大方針で、まず、その防災のためのインフラ強化ということを、大方針を立てない限り、民間のお金も動きません。民間のお金は、この適応のキャッシュフローを生まない堤防とか、そういうものに民間がファイナンスするわけがないので、補助金があれば別ですけれども。

したがって、まず政府の国土計画みたいなものを改めて、気候変動対応の国土計画というものをご検討いただいて、その中にどれぐらいの公的なお金がいるのか。それを補完する形で民間の資金をどうやって動かすのかという仕組みづくりという流れだと思います。これが、かつ、迅速にやらざるを得ない部分と、それから被害はもうある程度しょうがないという前提である、先ほど出ておられるこの分散エネルギー対策とかですね。一度に全部じゃなくて、まず、緊急の対策のインフラ強化に加えて、ある程度のその被害を前提とした、被害減少の仕組みづくり。そこには民間のファイナンスが入ってくる可能性は大いにあると思います。そのような展開を期待しております。

三村部会長

ありがとうございます。

じゃあ、中根委員、お願いします。

中根委員

2点あります。一つは、平時の環境が中心で、災害があったら、災害の中での環境に対応するというのが環境省の仕事であったわけですが、災害の中での化学物質の流出などにも、研究では対応してきている訳です。毎年毎年このように災害が起こると、災害下の環境というものも、初めから環境省の仕事として位置づけて、系統的にやっていく時代かと思うので、そういうこともご検討頂ければいいのではないかというのが1点です。

もう一つは、フロンですけれども、国際的展開ということで、フルオロカーボン・イニシアティブ設立など、非常に良くやって頂いています。それから、改正フロン排出抑制法、この効果も期待しています。それと同時に、中流側で大事な使用時漏えい、これも取組を強化されるということで期待しています。

さらに、上流側についてですが、空調機や冷凍機について、グリーン購入を徹底してやって頂くのがよいのではないかと思います。例えば、エアコンについての環境省のグリーン購入の判断基準は、冷媒に使用される物資の温暖化係数が750以下となっています。熱中症対策は最近話題になっており、政府、自治体、学校などへのエアコン導入などが進んだのですが、その際、どの程度、この750以下が具体化されているのかが気になっています。そのあたり、知りたいと思います。GWPの小さなエアコンを購入するというのは、購入者にとってもESG投資になるわけなので、ぜひともグリーン購入をしっかりやって頂きたいと思います。その辺の取組について、どのようなスタンスでやっていらっしゃるか、お聞きしたいと思います。

以上です。

三村部会長

それじゃあ、中島委員、お願いします。

中島委員

ご説明ありがとうございました。適応策について3点、手短にお話ししたいと思います。

1点目です。「気候変動×防災」というワードは「地域循環共生圏」のコンセプトを部分的に言い換えたものだと思いますが、やはり「地域循環共生圏」のほうがより広い概念ですので、地域循環共生圏を上位概念として置きながら、「気候変動×防災」を進めていただきたいと考えます。

2点目です。46ページに千葉県睦沢町の事例があり、各地域が、まさにこういった分散型エネルギーを活用したまちづくりを確立することによって、気候変動対策の効果も上げながら防災を高めて自立していく必要があると思っています。

この「分散×自立」という考えは、エネルギーシステムに限らず、食料や資源、医療といった、生活基盤等に必要な分野に通じるものだと思っていまして、これらの自給率を各地域は上げるべきであり、この考え方は島国である日本全体にも適用できると思います。特に適応の観点からみると、食料が世界的にとれなくなってくると思いますし、一説によると、タンパク質は2030年あたりで需要と供給のバランスが崩れるとも言われています。資源についても、例えば金属については、まだまだ日本に都市鉱山があると思います。環境省だけの取組みではないと思いますが、この辺りの循環率も上げながら、自給率を上げていただきたいと思います。

3点目です。地方の自立を考えるときに地方だけの概念にとらわれがちですが、実は都市部においても過度な一極集中が、地方の自立により相当緩和されると思います。こちらも適応の観点で言うと、都市部で地震や風水害といった大災害が起きたときの被害総額もしくは復旧総額は1千兆円オーダーという試算もあり、日本のGDP2倍以上の金額になります。こういった点も勘案して、地方の自立は地方だけの問題とは捉えず、地方と都市の両方でのリスク分散やリスク回避という視点で、環境省に限らず、他省庁とも連携しながら、取組みを進めていただきたいと思います。

以上です。

三村部会長

ありがとうございます。

じゃあ、田中委員、お願いします。

田中委員

ご説明ありがとうございました。私からは2点、質問をさせていただきたく思います。

一つ目は、地域適応計画に関する、地域気候変動適応センターの設置状況について、短期間の成果ですので、この28県市と13圏という実績を多いと見るのか、少ないと見るのか。加えて、参加されていない地域の理由が顕在化していれば、教えてください。例えば、専門家がいない、アクセス先が少ないなどの事情があるのでしょうか。

二つ目は、地域適応コンソーシアム事業の成果を、どのように生かしていくのかというシナリオがどうなっているのかが気になります。資料12ページにあるような、期待する成果とは、地域のさまざまな状況を分析して、専門家のアドバイスも得て、影響力評価や個別の取組を分析して、ビジネスモデルを変えたり、生産の仕組みを変えたりしていく形かと思います。どのように共有されて活かされるのか、伺わせてください。

三村部会長

ありがとうございました。

それでは、今いろいろご質問が出たと思いますので、環境省のほうから、それぞれのテーマについて簡単にお答えをお願いします。

気候変動適応室長

ありがとうございます。いろいろと貴重なご意見をいただきまして、今後の施策に反映させていければと思っております。

特に、具体的な取組につなげていくことが重要と、今日、ご意見を伺い改めて感じました。例えば、地域適応コンソーシアム事業は今年で終わりになりますけれども、それを今後の取組にしっかりつなげていくというのが必要とのご指摘もございましたが、成果を横展開して、今後につなげていくことが必要と思っております。

また適応は、環境省のみではなくて、いろいろな省庁にまたがって取組が求められます。そういった意味で、気候変動適応推進会議にはさまざまな省庁、ほぼ全ての省庁が入っているかと思いますが、各省と連携をして取り組むような体制となっており、環境省が旗振り役となって、適応の取組が推進できるようにしていきたいと思っています。

それから、大塚委員からご指摘があったかと思いますが、住む場所などの誘導に関して、最近でございますけれども、都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案が、閣議決定されています。この中で、災害ハザードエリアでの新規立地の抑制だとか、移転の促進なども位置づけられており、こういった動きも踏まえつつ、今後の気候変動への対応についてしっかり取り組んでいければと思っております。

あと田中委員からのご質問について、地域適応計画、それからセンターの関係ですが、まず計画については、法律の施行前から、既に定めているところも多くあります。そういったところは、温暖化防止に関する計画の改定にあわせて適応についても改めて定めるべく、予定しているところもございます。そういったこともあり、今後、増えていくものと考えています。

また、センターにつきましても、必要な体制なり準備をしているということも聞いており、同様に今後増えていくと考えていますが、国立環境研究所とも連携をしながら、計画の策定やセンターの確保について支援していきたいと思っています。

地域適応コンソーシアム事業については、先ほども申し上げましたが、来年度から予定している広域アクションプラン事業につなげるとともに、他の取組にも生かせるよう汎用化というのも考えられるかと思っています。事業の積み重ねを一般化し、横展開できればと思っており、今後ともご意見をいただきながら、進めていければと考えています。

以上です。

三村部会長

じゃあ、フロンのほう。

フロン対策室長

フロン対策につきまして、補足をさせていただきます。

まず、罰則規定につきまして、大塚委員、それから井田委員からご指摘ございました。罰則規定、それから都道府県による指導も含めまして、しっかりとやっていくということが非常に重要でありまして、件数も、もちろんですけども、実質としてどう効果を上げているかということについては、しっかりと見ていきたいと思っていますし、また、これをしっかりと実施していくことが重要であります。その点、再度認識をして、実施をしていきたいと思っております。

それから、回収だけではなくて、それ以外の要因について、まだまだ残された部分があるというところ、まさにご指摘のとおりでありまして、そこの部分の要因の分析、検討を引き続き、しっかりと進めてまいりたいと思っておりますので、引き続き、ご意見を頂戴できればと思っております。

それから、中根委員から、機器の判断基準の見直しの関係、グリーン購入につきましてご指摘をいただきましたけれども、指定製品制度の中で、最新の開発状況等を踏まえ、その低GWP化の目標の見直しについて、現在、検討が行われています。業務用のビルマルチエアコン等につきましても、見直しが今後行われることになっておりますので、そのグリーン購入の中で取り上げられるものについても、積極的に見直しを行っていきたいと考えております。よろしくお願いいたします。

三村部会長

どうもありがとうございました。

このテーマでも、大変重要なご指摘をいただきました。気候変動の適応については、地方創生、あるいは地域の活性化、そういう面からも非常に重要な政策であると。それから、大都市においても、そういうものを意識する必要があるというご指摘もいただきました。

さらに、国際的な面でも、こういう国土の強靭化、社会の強靭化というのがCOPのテーマにもなってきているし、国際的なファイナンスの上でも注目されているご指摘もあったので、環境省を中心に適応法を推進するということの中で、他の省庁とも連携して、国の大きな取組として、ぜひ進めていただければというふうに思います。

ありがとうございました。今日、4点の報告と、それに関する審議を、質疑応答をさせていただきました。

そのほかに何か。よろしいですか。

ありがとうございました。

それでは、以上で本日の議事は終了させていただきます。皆様のご協力で、かなりいろいろたくさん議論をできる場になって、大変よかったと思います。

それじゃあ、最後に、事務局から何か連絡があればお願いいたします。

総務課長

本日は活発なご議論をいただきまして、誠にありがとうございました。三村部会長のお計らいで、委員同士の議論もできたという、大変いいご示唆をいただいたというふうに思っています。我々も環境省ではありますけれども、ある意味、SDGsを担う役所になりたいと思っていますので、そういった日本をどうしていくかという議論も含めて、やっぱり、そういった中での環境をどう考えていくかというところをしっかり、今後も議論ができればいいなというふうに思っております。

本日の議事録につきましては、事務局で作成の上、委員の皆様にご確認いただきます。その上で、ホームページに掲載をさせていただきたいと思います。

次回日程については調整中でございますけれども、毎年度、地球温暖化対策計画の点検をお願いしております。これのご議論をいただきたいというふうに思っております。

事務局からは、以上でございます。

三村部会長

どうもありがとうございました。

それでは、以上で閉会とさせていただきます。本日はありがとうございました。

午後 0時03分 閉会