フロン類等対策小委員会 産業構造審議会 製造産業分科会 化学物質政策小委員会 フロン類等対策WG 合同会議(第10回)議事録

議事録

フロン類等対策小委員会 産業構造審議会 製造産業分科会 化学物質政策小委員会 フロン類等対策WG 合同会議(第10回)議事録 [PDF 511KB]

○田村室長  定刻となりましたので、産業構造審議会製造産業分科会化学物質政策小委員会フロン類等対策ワーキンググループと、中央環境審議会地球環境部会フロン類等対策小委員会の第10回合同会議を開催いたします。

 本日は、お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。私は、事務局の経済産業省オゾン層保護等推進室の田村と申します。本日の議事に入るまでの間、事務局として進行を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、産業構造審議会ワーキンググループと中央環境審議会小委員会のそれぞれ過半数の委員に御出席いただいておりまして、定足数の要件を満たし、合同会議として成立していることを御報告いたします。

 なお、産構審の中村委員が御欠席、小川委員は途中退席の予定となっております。

 本日の合同会議は、コロナウイルス感染症対策のため、ウェブにより開催させていただきます。開催の状況はインターネットで同時配信させていただきます。

 配付資料につきましては、事前に御案内させていただいた環境省、経済産業省のそれぞれのホームページに掲載しております。

 ウェブ会議の開催に当たり何点か御協力をお願いいたします。通信環境の負荷低減のため、カメラの映像は基本的にオフにしていただきますようお願いいたします。また、ハウリング等を防ぐために、発言される場合以外はマイクの設定をミュートにしていただきますよう御協力をお願いいたします。もしも接続不良等のトラブルがございましたら、コメント欄にお名前、不具合内容を打ち込んでいただけますでしょうか。別途事務局が御対応いたします。よろしいでしょうか。

 続いて、議事に入ります前に新任の委員を御紹介いたします。産構審及び中環審双方において、日本チェーンストア協会の金丸委員が御退任され、新たに鈴木委員が御就任されました。また、中環審では浅野前委員長がフロン小委から御退任され、中根委員が新委員長に御就任されました。また、日本労働組合総連合会の小熊委員が御退任され、春田委員が御就任されました。加えて、日本鉄リサイクル工業会の甲谷委員が御退任され、山崎委員が御就任されました。日本ビルヂング協会連合会の牧野委員が御退任され、鈴木委員が御就任されました。

 次に、資料の確認をさせていただきます。委員の皆様には事前に資料をメールで送付させていただいておりますので、そちらを御覧ください。また、説明時には画面上にも資料を投影いたしますので、適宜御参照いただければと思います。

 まず、資料番号がございませんが、議事次第、資料一覧、それから産構審と中環審の委員名簿でございます。資料1が代替フロンに関する状況と現行の取組について、資料2が代替フロン分野での2050カーボンニュートラルに向けた今後の取組の方向性について(案)、そして資料3が平成25年改正フロン排出抑制法施行5年経過における点検・検討についてとなります。

 以上、不足等ございませんでしょうか。また、今の時点で不具合等があればコメント欄に打ち込んでいただけますでしょうか。よろしいでしょうか。

 当合同会議では、簡単な議事概要及び詳細な御発言を記載した議事録を作成し、後日、公表する予定にしております。議事録案は、後日、事務局から委員の皆様に御確認いただきたいと存じますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、開催に先立ちまして、事務局を代表して、環境省地球環境局の小野局長より一言御挨拶を申し上げたいと思います。

○小野局長  環境省の地球環境局長の小野でございます。本日は、委員の先生方、御多忙のところ御参加いただきまして、大変ありがとうございます。また、日頃から環境行政への御協力、とりわけオゾン層の保護及び温暖化対策に御尽力いただきまして、感謝申し上げます。

 現在、世界はカーボンニュートラルに向けて大きく動いております。マスコミ報道等で既に御案内かと思いますが、先週4月22日に菅総理大臣は地球温暖化対策本部及び米国主催の気候変動サミットにおきまして、2050カーボンニュートラルと整合的でかつ野心的な目標として、我が国は2030年度において温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指す、加えて50%の高みに向けて挑戦を続けることを表明されました。この野心的な目標を実現し、2050年カーボンニュートラル社会を構築するためには、様々な分野で脱炭素化に向けた対策を急ぐ必要がございます。

 代替フロンにつきましても、近年、我が国の温室効果ガスの排出量が減少傾向にあり、1990年以来最小を記録する中にあって、残念ながら唯一排出が増え続けている分野でございます。これまでモントリオール議定書キガリ改正に基づく代替フロンの生産・消費量の削減、使用時漏えい対策や回収率向上に向けたフロン排出抑制法の改正などの対策を進めてまいりましたが、2030年度46%削減という新たな目標に向け、さらにその先の2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、抜本的な対策の強化が必要不可欠であると考えております。

 本合同会議におかれましては、代替フロン分野における2050年カーボンニュートラルの実現に向けた方向性について、長期的観点から御議論いただきまして、関係者がこの方向性を共有し、今後抜本的なフロン類の排出抑制への取組が進むよう、委員の先生方からの御指導、御助言をよろしくお願いいたします。本日、活発な御議論をどうぞよろしくお願いいたします。

 以上でございます。

○田村室長  ありがとうございました。続きまして、経済産業省製造産業局の安居審議官より一言御挨拶を申し上げたいと思います。

○安居審議官  安居でございます。本日は、委員の皆様方におかれましては、お忙しいところ御参加いただき、感謝申し上げます。

 ただいま小野局長からお話があったとおりでございますけれども、経済産業省といたしましても、環境省初め関係省庁と連携いたしまして、あらゆるリソースを最大限投入しまして、経済と環境の好循環を生み出してまいりたいと考えております。

 とりわけフロン対策の分野におきましては、オゾン層保護法やフロン排出抑制法による規制に加えまして、グリーン冷媒機器の開発、導入支援を進めてきたところですが、より一層の取組を強化することが必要と考えております。

 本日の会合では、代替フロン分野の2050年カーボンニュートラルに向けた今後の取組の方向性について御議論いただきたいと考えております。本日の会合はオンライン形式になりますが、ぜひ委員の皆様には忌憚のない御意見をいただければ幸いでございます。よろしくお願いいたします。

○田村室長  本会合は環境省、経済産業省が共同で交互に事務局を担うことになっております。本日の第10回の合同会議の開催に当たりましては、産構審側の飛原座長に司会進行をお願いしたいと思います。それでは、飛原座長、よろしくお願いいたします。

○飛原座長  飛原でございます。今日はお忙しいところ、朝からお集まりいただきまして、どうもありがとうございました。

 それでは、これより議事に入ります。本日は議事次第にあるとおり3点議論していただきたいと思います。1番目は代替フロン等に関する状況と現行の取組について、2番目は代替フロン分野での2050年カーボンニュートラルに向けた今後の取組の方向性について(案)、そして3番目はその他でありまして、フロン法5年後の見直しに向けてとなります。なお、2つ目の取組の方向性(案)は審議事項となっております。

 それでは、議題(1)に入ります。資料1について、事務局から説明をお願いいたします。

○豊住室長  おはようございます。環境省フロン対策室長の豊住でございます。それでは、資料1につきまして御説明をいたします。

 本資料につきましては、代替フロンに関する状況と現行の取組についての御説明資料となっておりまして、構成としましてはこちらにありますように世界におけるカーボンニュートラルの潮流について、日本における代替フロンに関する状況について、そして2030に向けた代替フロン分野での現行の取組について、この3部で構成をしております。

 まず私からは、世界におけるカーボンニュートラルの潮流について御説明差し上げたいと思います。

 近年の世界的な流れといたしまして、こちらにございますように多くの国々、地域、企業等が2050年までのカーボンニュートラルを目指して、2019年にグテーレス国連事務総長やチリが提唱いたしましたクライメート・アンビション・アライアンスに参加をいたしておりまして、我が国も昨年10月に菅総理が参加を表明いたしました。

 こちらが加盟国の一覧となってございます。

 このように多くの国々が2050年に向けたネットゼロ宣言をする中で、国連環境計画(UNEP)が2020年に発行いたしましたエミッション・ギャップ・レポートにおきましては、排出量ネットゼロ宣言国の増加につきまして、昨年の最も重要で有望な気候政策の進展としつつも、この野心を短期的な政策に落とし込むことが必要と指摘をしております。

 先ほど小野局長からの挨拶にもございましたが、先週4月22日、米国主催の気候変動サミットが開催されまして、日本を含む各国首脳より2030年目標が表明されたところです。

 国内につきましては、昨年10月の臨時国会におきまして、菅総理より2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことが宣言されました。

 また、続く地球温暖化対策推進本部におきまして、関係閣僚に対し地球温暖化対策計画、エネルギー基本計画として、パリ協定に基づく長期戦略の見直しを加速するよう指示がございました。

 さらに、現在開催中の通常国会の施政方針演説におきましても、環境対策はもはや経済の制約ではなく、力強い成長を生み出す鍵となることや、COP26までに意欲的な2030年目標を表明すること等が宣言されております。

 そこで現在、中央環境審議会、産業構造審議会の合同会合におきまして、地球温暖化対策計画の見直しを含めた我が国の気候変動対策について議論が進められているところです。今月9日に開催されました第4回会合におきましては、フロン分野につきましてもヒアリングが行われました。

 こちらにお示ししている図は、我が国の温室効果ガスの状況と現行の温暖化対策計画に掲げられている目標及び2050年カーボンニュートラル等を一覧としたものです。こちらにお示ししているものは、我が国の温室効果ガスの排出量の推移となっており、2014年以降は6年連続で減少しております。1990年以降、御覧いただきますように最小の値となっておりますが、HFCsにつきましては増加の傾向となっているところでございます。

○田村室長  続きまして、日本における代替フロンに関する状況について、経済産業省の田村から御説明したいと思います。

 我が国におけるフロン対策は、オゾン層保護法とフロン排出抑制法の2法が両輪となって進められております。オゾン層保護法はモントリオール議定書の担保法であることから、フロンの製造、輸入を規制し、これを確実に削減していくこととしております。一方、フロン排出抑制法はフロン類の排出抑制を目的として、その使用、回収、破壊といったライフサイクル全般を規制するものです。

 温室効果ガスである代替フロン等4ガスには、ハイドロフルオロカーボン(HFCs)に加えて、パーフルオロカーボン(PFCs)、六フッ化硫黄(SF6)、そして三フッ化窒素(NF3)が含まれております。そのうちHFCsの占める割合が最も大きくて、全体の約9割を占めております。

 HFCsはオゾン層破壊物質として国際的に規制されましたハイドロクロロフルオロカーボン(HCFCs)の代替物質として世の中に登場したため、このHCFCsの削減に伴い大きく増加しております。ほかの3ガスについては例年減少傾向にあり、排出量の観点から問題になるのはHFCsになっております。

 HFCsは右下の図のとおり、主にエアコンや冷凍冷蔵庫の冷媒として使用されており、排出量全体の9割以上が冷媒用途となっております。そのため、左下のグラフのように、冷媒用途が規制物質であるHCFCsからHFCsに転換したことで、HFCsの排出量が急激に増加しております。

 左下のグラフからも冷媒が黄色い棒グラフであるHCFCsから水色の棒グラフであるHFCsに転換していき、それによって市中ストックが大幅に増加しているということがお分かりいただけると思います。そのため、今後はHFCsをCO2やアンモニア(NH3)、あるいはハイドロフルオロオレフィン(HFO)といったグリーン冷媒に転換していくことが必要になっております。

 併せて既にフロンが充填され現に市中で使用されている機器からのフロン漏えい対策も重要であると考えております。

 もともと平成28年に閣議決定されました地球温暖化対策計画では、フロンの排出目標として、2030年度に2013年度比で32%減の2,160万CO2トンとされておりました。一方で、2019年度の実績は4,970万CO2トンということで、2013年度比で54.8%の増加となっております。現行の2030年目標達成するだけでも大変なところですけれども、2050年カーボンニュートラルに向けて、さらに厳しい対応を取らなければならないというのが現状となっております。

 2050年のカーボンニュートラルに向けたHFCsの削減イメージを、こちらのスライドにお示ししました。その具体的な内容については、本日の議題2で御議論いただければと存じます。

 以上が日本における代替フロン(HFCs)に関する現状になります。

 次に、代替フロンの削減のため、現行の施策において何をしているのかということについて、フロンのライフサイクルの各段階を追って御説明したいと思います。

 まず蛇口である製造・輸入規制について、御説明いたします。蛇口規制は、国際約束であるモントリオール議定書に基づいて行われております。モントリオール議定書はもともとオゾン層破壊物質であるCFC、あるいはHCFCsを規制するための国際約束でございました。ところが、HCFCsの代替物質であるHFCsが温室効果ガスであったことから、今度は地球温暖化防止の観点からこれをモントリオール議定書で規制することとなりました。

 HFCs規制を規定したのが2016年に採択されたモントリオール議定書のキガリ改正になります。これにより先進国と途上国が段階的にHFCsの消費量と生産量を削減していくことになりました。先進国である日本の場合は、左のカラムにあるとおり、最終的には2036年に基準年と比較して85%削減することが求められております。

 キガリ改正を担保するために、オゾン層保護法を改正して、2019年から製造・輸入規制を開始したところでございます。具体的には製造を許可制、輸入を承認制とすることにより、製造量と輸入量を政府が割り当てて、日本としての総量を管理することとしております。

 また、キガリ改正を遵守するためにフロン類の使用見通しも改正いたしました。スライドにある緑色の階段がキガリ改正に基づいた日本の消費量の上限値を表しております。青い点線が従来の使用見通しを示したものですが、このままでは2029年に上限値をオーバーしてしまうおそれがありますので、赤い点線で示した使用見通しに改正しております。これに合わせてオゾン法に基づく製造量と消費量の割当てを実施しております。

 次のスライドが2019年と2020年における消費量の割当てと実績になります。この規制は、2019年から施行しており、まだ始めたばかりですが、このように使用見通しに照らして確実に削減していきたいと思っております。

 次に、2019年と2020年における製造量の割当てと実績になります。製造に関しては輸出分も含まれるため、海外需要の影響も受けて2020年は若干増加しておりますが、2024年には上限値の階段ががくっと下がりますので、これを超えないように今後は確実に減らしていく所存です。

 一方で冷媒のフロンを減らしたからといって、エアコンや冷凍冷蔵庫を減らすわけにはまいりません。そのためには温室効果の低い冷媒への転換が各分野で進められているところです。しかしながら、表の②にありますように、コストの観点等で導入が進まない冷媒、あるいは③のようにそもそも代替冷媒がない分野といったものもございます。そこで経産省と環境省がこれらに対する支援策をそれぞれ実施しております。

 こちらのスライドにあるとおり、経産省では温室効果の低いグリーン冷媒そのものとその適用機器の開発を進めております。一方でこれらの冷媒には可燃性のもの、あるいは微燃性のものが含まれておりますので、これらの冷媒や機器のリスク評価手法の開発も同時に行っております。また、環境省では、イニシャルコストが高いなどの理由によって導入が進まない自然冷媒機器に対する導入補助金を提供して、その導入を支援しております。

 次のスライドは、経産省が冷媒開発のために進めているNEDOプロジェクトの御紹介です。現在、2018年度から2022年度まで、5年間のプロジェクトを推進中です。その中で、低GWPの冷媒そのものの開発、あるいは低GWP化した冷媒を使用した機器の開発といったものを進めております。いずれも着実に開発の成果が上がりつつあり、現在、最終的な開発段階に進みつつあります。

 また、これに併せてこれらの冷媒や機器のリスク評価手法の標準化を視野に入れながら進めております。新しい冷媒にはどうしても微燃性や圧力条件といった制約もございますので、これらの制約要件を克服する対策として、リスク評価手法の開発も引き続き実施していくつもりでございます。

 こちらが、新冷媒と機器の開発について、昨年10月に実施したNEDOプロジェクト中間評価の結果をお示ししたスライドになります。温室効果係数が10以下の冷媒開発、あるいはCO2などの自然冷媒、温室効果係数の低い冷媒を使用した機器の開発といったものが着々と進んでおります。今後は、プロジェクト終了後の市場投入も視野に入れて、プロジェクトの最終段階に進めてまいりたいと考えております。

 次に、過去のNEDOプロジェクトで開発された低温室効果の冷媒とその実用化の例をお示ししました。2011年度から2015年度までの5年間のプロジェクトで、こちらのスライドのとおり、1224ydといった新たな冷媒を開発し、これを使用した高効率ターボ冷凍機が例えば国立競技場に空調用熱源として納入されるといったように、様々な分野での社会実装が既に始まっております。このように温室効果係数の低い冷媒を新たに開発する、あるいは温室効果係数の低い冷媒を使用した機器を開発するといった取組を経産省では継続して推進しております。

 また、新しい冷媒は、不燃性であるHFCsに対比して、微燃性という特徴を有しておりますので、これらを家庭用エアコンや業務用冷凍機器に使用する際のリスク評価を過去のプロジェクトの中でも実施いたしました。その成果は、業界のガイドラインや規格に反映され、実際の機器開発に貢献しております。また、R-32やR-1234yfといったガスは、高圧ガス保安法上で特定不活性ガスとされておりまが、今後もこのような地球温暖化係数の低い冷媒が新たに開発されて、市場に導入されていくということが想定されますので、特定不活性ガスを具体的に列記する規程から、定量的な判定方法にする規程、すなわち性能規定化とする改正が進められているところでございます。

 経産省としては、このような技術的支援とその成果を活用していく環境整備を今後も継続して進めていく所存です。

 次に、フロン使用製品の製造に当たります上流分野における政策について御説明したいと思います。

 フロン排出抑制法の指定製品制度は、市場にある最も温室効果係数の低い製品をトップランナーと位置づけ、それに基づき目標年と目標とする温室効果係数を定めて、製品の製造事業者に対応を求める仕組みです。

 こちらのスライドにある製品について、一番右にあるような目標年度を定めて、その左にある温室効果係数を目標として、フロン使用製品の低温室効果化を製造事業者に求めております。また、上の四角に書いてあるとおり、新たに低GWPの製品が見込まれる分野、例えばビル用マルチエアコンなどを、今後、指定製品に追加していくことを検討しているところです。

 これまでに目標年を迎えた製品も幾つかございますが、いずれの分野においても目標とする温室効果係数を達成しており、トップランナー制度がうまく機能していると考えております。今後は、さらなる製品の拡大、そして製品によってはさらなる目標の削減を進めていきたいと思っております。

 次のスライドは、環境省が進めている省エネ型自然冷媒機器導入補助金の説明になります。既に累計で2.100件の導入支援を実施しており、この補助金が呼び水となって、さらに波及効果も拡大しているところです。現在は、普及促進を加速化する段階に入っており、CO2やアンモニアなどを使用した機器のラインナップも増えております。そのため、倉庫、スーパー、コンビニといったところでの採用が増加しております。

 私からの説明は以上です。マイクを環境省の豊住室長にお渡ししたいと思います。

○豊住室長  それでは、改めまして環境省より漏えいの防止につきまして御説明をいたします。

 業務用の冷凍空調機器におきましては、フロンの漏えいは製造時、使用時、そして廃棄時の3つの段階がございますが、使用時における排出が最も割合が多くなっております。使用時における主な漏えいの原因は、機器接合部や配管接続部に起因すると考えられており、漏えいの早期発見及びその対策が非常に重要な課題となっております。

 そこで、フロン排出抑制法では、業務用冷凍空調機器の管理者の意識を高めることによって使用時の漏えいを防止するために、管理者の判断基準、特定製品の管理者の判断となるべき事項を定めており、これに基づき機器管理者が行う適切な機器の設置、点検の実施、フロン類の漏えい時の措置、そして点検整備の記録に関する事項が定められております。また、これに基づき都道府県は管理者に対して指導、助言、勧告、命令を行うことができることとなっております。

 管理者に求められる漏えい防止対策に資するものとして、近年、IoTを用いた遠隔監視システムが搭載されている機器が販売されております。機器の運転状態を常時監視することで、故障を早期に検知して、保守点検対応が可能となるものです。冷媒漏えいの早期発見、早期検知は環境負荷低減のみならず、省エネ、節電の効果も期待されます。

 今後、不具合や冷媒漏えいを早期に検知することで排出削減に資するよう、一層の高機能化を進めていただくことを期待するとともに、業界での技術的検討の結果を受けまして、これらの技術を簡易点検などの制度に反映していく予定です。

 使用時の漏えい防止対策としては、ただいま御紹介したIoT技術を用いた遠隔監視サービスの点検制度への反映のほかに、管理者の点検整備記録の保存義務の履行に当たって、冷媒管理システムであるRaMSの活用等によるデジタル化や省力化の推進、さらに漏えいの要因となっている配管接合部の施工技術の向上等に資するろうづけ研修の実施等の支援を行っております。

 さらには、配管に生じた小さな穴を塞ぐ機能を持つような冷媒への添加剤等の開発も使用時の排出抑制対策に資するものと考えております。

 次に、機器廃棄時のフロンの回収、破壊、再生における取組について御説明をいたします。

 機器廃棄時における排出抑制対策につきましては、機器廃棄時のフロン回収率を1つの指標としており、フロン回収・破壊法施行以降は、その数値は3割程度に、2015年のフロン排出抑制法施行以降は4割弱で推移しております。

 そこで、現行の地球温暖化対策計画に掲げられております2020年50%の目標達成に向け、令和元年にフロン排出抑制法を改正し、昨年4月に施行したところです。

 この改正は、機器廃棄時の回収率を向上させるために、関係者が相互に確認、連携し、ユーザーによる機器の廃棄時のフロン類の回収が確実に行われるよう仕組みを整えたものです。

 具体的には、機器を廃棄する際にユーザーがフロン類を回収せずに廃棄した場合や、各種書面の交付義務や保存義務に違反した場合について、従来の間接罰から直接罰に改正することなどにより、都道府県による指導監督の実効性の向上を図ってまいりました。

 今般の法改正につきましては、着実な施行のためにその周知に努めております。チラシ、パンフレットの作成、配布のほか、昨年11月には改めて改正法の適切な執行についての通知を発出したところです。また、昨年は新型コロナウイルス対策の影響から、例年実施しております事業者向け、都道府県向けの説明会に代わる形のものとして、説明ビデオの作成やオンライン説明会の実施、さらには昨今増加していると言われている飲食店等の廃業を踏まえ、都市圏の保健所へのチラシ配布、配架のお願いなどを行っているところです。

 また、解体工事現場におけるフロン類の回収徹底に向け、建設リサイクル法に係る全国一斉パトロールの実施と併せたフロン法の立入検査の実施を行っているほか、建設リサイクル法の届出様式について、フロンの有無に係る記載欄を追加するという改正が行われ、本年度より施行されているところです。

 さらに、フロン法に基づきまして機器廃棄時に回収作業は行われているものの、機器の中に回収できないフロンが残ってしまうという課題を改善すべく、例えば潤滑油への冷媒溶け込みの問題や、弁の閉鎖による問題などについて、昨年度から今年度にかけて実証試験を行っており、今後技術的要因の分析を行い、技術的なガイドライン等としてまとめたいと考えております。

 ただいま御紹介しましたような取組をこちらのスライドにまとめてございますが、加えて4つ目に自治体における取組の例として、東京都は、2050年HFCs排出ゼロを宣言されており、また現場におきましてはフロンGメンによる解体現場のフロンの回収状況の確認のための立入検査を集中的に実施されております。このように自治体におきましても、対策が強化されているということを御紹介させていただきます。

 ここからはフロン法の施行状況についての御紹介となります。フロン法に基づく充填回収業者の登録数の推移は、平成27年の改正法施行以降、増加傾向にあることが御覧いただけるかと思います。また、下のほうのグラフですが、こちらはフロン類の破壊業者と再生業者の許可件数になっており、概ね安定的に推移してございます。

 次にフロン法に基づくフロン類の回収量の推移は、増加の傾向となっております。

 また、その次のスライドでは、左下がフロン類の破壊量、右下が再生量、上がその合計となっております。破壊量は近年減少の傾向に、再生量は増加の傾向が見られております。

 こちらは、フロン法に基づきます算定漏えい量報告・公表制度の結果をまとめたものでございます。平成27年度に本制度が始まりまして5年が経過しております。令和元年度実績につきましては、特定漏えい者の報告者数が減少しておりますが、算定漏えい量につきましては大きく変動しておりません。報告事業者の業種の内訳といたしましては、右側にございますように各種商品小売業、次いで飲食料品小売業が多くなっております。

 また、こちらは都道府県におけますフロン排出抑制法に基づく立入検査の件数等について示したものです。平成25年法改正により立入権限が機器の管理者へも拡大しており、これを受け施行された平成27年度より立入件数及び指導・助言件数が増加しております。

 また、国際的には冷凍空調部門における冷媒需要が増大する中で、世界のフロンの排出削減に向け、我が国の経験を生かして、フロン類のライフサイクルマネジメントの主流化に向けた国際イニシアチブの設立や二国間クレジット(JCM)によるフロン類の回収、破壊プロジェクトを実施しております。

 以上の様々な取組によりまして、平成28年に決定されました現行の温暖化対策計画に掲げた対策に加えて、右側の黄色い囲みにある追加的な対策により、フロンの排出抑制対策を強化してきているところです。

 しかしながら、HFCsの排出は増加傾向にあり、今月4月9日の合同会合においても、例えば、エネルギー起源CO2の削減効果を相殺してしまっているのではないかといった厳しい御指摘もいただいているところです。

 また、蛇口・上流関連では、2050カーボンニュートラルに向けた自然冷媒への移行を描くロードマップや推進施策が必要、新規機器へのグリーン冷媒開発やトップランナー制度の運用をしっかりすべきではないかといった御意見、また、GWPの高い冷媒から低い冷媒への移行を進めるためのレトロフィットを推進する政策が必要ではないかといった御意見をいただいております。

 また、中流・下流関係では、温暖化対策計画のフォローアップにおきまして、使用時漏えい防止に関するデータが得られていないということについて早急に解決すべきといった御意見や、漏えい対策技術のイノベーションが必要、HFCsの回収、破壊を促進するインセンティブが必要といった御意見をいただいております。

 以降は参考資料となりますので、説明は割愛させていただきまして、資料1につきましての御説明を以上とさせていただきます。

○飛原座長  どうもありがとうございました。それでは、質疑応答に移りたいと思います。質疑応答は11時頃まで設けたいと思いますので、御意見を発言されたい場合につきましては、コメント欄にお名前を記入ください。記入いただいた方から順に指名いたします。もし御質問いただく際に配付資料の中で関連するページがございましたら、そのページを明示いただいた上で質問いただければ、質問箇所が明確になりますので、御協力をお願いいたします。大体3名の方から御質問をいただいた後に、事務局より回答し、そして次の3名の方の質問に移るというようにしたいと思います。

 今回は議題1につきましては、現状のオゾン層保護法、あるいはフロン排出抑制法、それらに関する御説明ですので、おそらく多くの委員の方々は既に御承知の事実だと思いますので、それを踏まえて何か質問、あるいは御意見がございましたら、発言をお願いいたします。チャットのところにお名前を入力していただければ、順次こちらから指名させていただきます。

 それでは、最初に奥委員、お願いいたします。

○奥委員  ありがとうございます。都立大の奥です。

 スライドの15になりますでしょうか。フロンの排出量の内訳を示していただいているスライドがあったかと思いますけれども、そのうちのHFCsの排出量の9割が冷媒用途であるということですが、家庭用と業務用の内訳がどうなっているのかについて教えていただきたいと思います。恐らく業務用が多くの割合を占めているということは想像できるのですが、具体的にどの程度、業務用と家庭用がそれぞれ占めているのかを教えていただきたいと思います。

 もう一点ですが、スライドの53に平成27年改正後の法執行状況についてまとめていただいております。令和元年の法改正後の状況というのは、まだこれから情報を集めていただいて整理されていくということだろうと思いますが、法改正前後で特に直罰が令和元年改正で導入されておりますので、都道府県における執行状況、とりわけ指導監督の実効性向上を非常に重視した改正を行った結果、実態がどうなっているのか、今後法改正前後の状況変化を把握していただければと思います。これは要望でございます。

 以上です。

○飛原座長  ありがとうございました。それでは、続きまして大塚委員、お願いいたします。

○大塚委員  1点お伺いします。スライドの49ですが、第一種フロン類充填回収業登録数が増えておりますが、これはフロン再生量が多少増えていることと関係しているのでしょうか。回収業の登録数が増えている要因を分析されておりましたら教えていただければと思います。

 以上でございます。

○飛原座長  ありがとうございました。続きまして、米谷委員、お願いいたします。

○米谷委員  ありがとうございます。日建連の米谷です。スライドの17ページ辺りに関する要望です。HFCsによるCO2排出量が増えているという状況ということですが、CO2換算での排出量が増えているということであれば、冷媒そのものの使用量が増えているのか、あるいはGWP係数の問題による部分なのかといった分析が必要ではないかと思っております。そういった辺りの要因分析というのでしょうか、寄与度の分析というのでしょうか、そういった形でもう少し詳細を教えていただけるとありがたいと思っております。

 以上です。

○飛原座長  ありがとうございました。3名の方から御質問、御意見をいただきましたので、事務局から回答があればお願いいたします。

○田村室長  御質問、御意見、御要望ありがとうございました。私、経産省の田村と環境省の豊住室長からそれぞれ回答させていただきます。

 まず、奥委員からいただきましたHFCsの家庭用、それから業務用の内訳です。小さくて見づらくて申し訳ないのですが、15ページの右下のグラフを見ていただきますと、ブルーの濃いところの内訳として、薄いブルーが業務用の冷凍空調機器で、エアコンと冷凍冷蔵機器が混ざって書かれております。そこから左にいきますと、家庭用エアコンで19%、それからその1つ上、カーエアコンが5%です。まさに委員がおっしゃられたとおり、業務用のほうが圧倒的に多いのですが、業務用の中の空調と冷凍冷蔵には分かれておりません。一方で、家庭用エアコンはこちらにあるとおり19%でございます。

 また、米谷委員からご要望いただきました、17ページの増加の要因分析は、これからきちんとさせていただこうと思いますが、基本的にHFCsが増加しているのは、もともと冷媒で使われていたHCFCs、ハイドロクロロフルオロカーボンがオゾン層を破壊する物質に相当するため、モントリオール議定書において、2019年をもって製造、輸入を行わないという規制になっております。そのため、HCFCsからHFCsに代替が進み、HFCsが冷媒として使われる量が圧倒的に増えてきたことにより、現在、これだけ増加してしまっているものと理解しております。

○豊住室長  続きまして、環境省からお答え申し上げます。

 まず、御要望として奥委員からいただきました令和元年法改正の前後での都道府県における執行状況の変化をしっかりと把握するようにということですが、昨年度、令和元年に法改正施行されておりましたが、こちらの実績につきましては、御意見を踏まえましてしっかりと施行状況がどのように変化していったかを確認してまいりたいと考えております。御意見どうもありがとうございます。

 また、大塚委員からいただきました49ページ、第一種の充填回収業の登録件数の増加についての御質問に関して、こちらの増加の要因としましては、平成27年度以降、平成25年改正法の施行以降に充填のみを行うような業者も登録が必要となり、これまで回収業をされていなかった業者も登録してきているため、登録数の増加につながっていると理解しております。

 環境省から以上でございます。

○飛原座長  ありがとうございました。それでは、次の3名の委員の方々から御質問、意見をいただきたいと思います。それでは、大石委員、お願いします。

○大石委員  NACSの大石です。私からは1点質問と要望をお伝えしたいと思います。

 スライドでいきますと44ページ目のフロン排出抑制法改正のポイントというところです。この図で廃棄等の実施者がユーザーであり、その者に対して責任を持たせるということが書いてあるのですが、実際に誰が責任を持つかという点をはっきりさせないと、法改正の効果が出にくくなるのではと心配しております。例えば今回、この図では事業者を想定していると思いますが、もともと建物を所持していた者を指すのか、借りていた人を指すのか、ユーザーというのは誰を指しているのか、見た人にしっかりと自分のことだと分かるように記載する必要があると思いました。その意味で、ここでいうユーザーというものは、誰を想定しているのかお聞きしたいというのが質問です。

 それと併せて、意見を述べさせていただきます。フロンをしっかり回収できれば温暖化防止には大変有効です。しかも、実施できれば確実に効果が出るものです。一般消費者ができることとして、ノンフロンや低GWPのものを選ぶということと同時に、例えばエアコンなどの廃棄や買い替え時には必ずフロン回収をしなければいけないということを消費者が知っていれば、簡単に室外機を外して持ち帰ろうとする事業者に対しては、明らかにおかしいと気が付くでしょう。これが、フロン回収には大変重要かつ有効だと思っております。

 その意味で、スライドの一番下には、継続的な普及啓発活動の推進のためにと書いてありますが、事業者だけではなく国民全体に対して普及啓発活動を進めるということが重要と思っておりますので、これを記載いただきますよう要望としてお伝えさせていただきます。

 以上です。

○飛原座長  ありがとうございました。それでは、高村委員、お願いします。

○高村委員  資料1について2点、質問が1つともう1つはコメントといいましょうか資料についての補足かもしれません。

 1点目は、スライドの11です。先ほどHFCsの排出動向について御紹介いただきましたが、やはり排出増が大変顕著だと理解しております。エネルギー分野で努力して削減しているのを結果的に相殺している状態だと思いますし、さらにこれから排出増が見込まれるとすると、ここでの議論は非常に重要だと思います。19年度の確報値でHFCsの排出量が全体の4%を占めるに至っており、2005年度比で実に300%近くの増、13年度比で55%増という実態を踏まえた議論が必要だと思っております。

 質問はスライドの55、56辺りでございますけれども、むしろ資料2で御説明があるのかもしれないのですが、先週の2030年目標の46%、そしてさらに高みを目指すということを冒頭に御紹介がありました。ここでの議論は2030年目標である46%削減や、さらに高みを目指すという前提での議論であるという理解でよいのかという点と、もう1つは温暖化対策計画の議論については、別途合同の会議があると理解しております。その合同会議とフロンに関する合同会議の議論の関係について御説明いただければと思います。資料2に関わる内容であれば、資料2のところでも結構です。

 以上です。

○飛原座長  ありがとうございました。それでは、続きまして岡田委員、お願いします。

○岡田委員  日冷工の岡田です。質問というよりもコメントという形になるのですけれども、31ページ目にNEDOの活動の紹介がされておりまして、NEDOプロジェクトにつきましては、冷凍空調学会にリーダーシップを取っていただき、産官学連携を進めていただいております。

 成果という形でのアウトプットとしましては、ここに1つ事例としてGLというガイドラインが取りあげられております。業界共通で守るべき微燃性冷媒や冷媒漏えいに関する設備ガイドラインというものを整備させていただいておりまして、このスライドでは1つしか書いておりませんが、製品ごとにこういった形のGLを整備させていただいたということを御紹介したいと思っております。

 次に40ページは3月3日の産構審の中でも御紹介しましたが、業務用の冷凍空調機器用の遠隔監視のシステムということで、各社、特に空調機器関係のメーカーは既に一部商品化しております。これにつきましても、例えば漏えい検知の仕様といったところを昨年度にガイドラインとして整備をする予定だったのですが、現在、会内でガイドラインとしての承認を得るステップまで来ております。

 今後、どのような形で運用するのか、今現在はオプション的な形でユーザー様の御希望により購入いただいたり、そうでなかったりという状況ですので、点検制度とのリンクという点につきましては、審議会等で御議論いただければと思います。

 以上です。

○飛原座長  ありがとうございました。それでは、事務局より回答がもしありましたらお願いいたします。

○田村室長  御意見ありがとうございました。経済産業省の田村でございます。

 高村委員から御意見をいただきました、フロン、とりわけHFCsの排出量が、エネルギーでの努力を相殺しているのではないかという御指摘は、幾つかの場でもやはり同様に頂戴しております。そういう観点から我々としましても、フロン、特にHFCsに関して、削減努力を続けていかなければいけないと考えております。

 さらに、温対計画での合同会議での議論との違いに関する御質問をいただきました。資料2で後ほど御説明いたしますが、今回の会合で御議論いただきますのは、2050年カーボンニュートラルという少し遠い目標に対して、我々はこれからどういう方向で進んでいったらよいかということについて御提案をさせていただき、それに御意見をいただくという形式で考えております。

 2030年目標については、これから様々な作業が発生すると思いますが、そちらについては、引き続き温対計画の合同会議で御議論いただくものと認識しております。したがって、後ほど紹介させていただく資料2は、2050年を見据えて御議論いただければと思っております。

 それから、岡田委員のコメントもありがとうございました。過去のNEDOプロジェクトの成果をこのようなガイドラインという形でお使いいただき、本当にありがとうございます。我々も高圧ガス保安法での取扱いの改正といった形で反映させておりますし、また、現在行っているプロジェクトの5年間の成果についても、引き続きこういう形で御反映いただければと考えております。

 遠隔監視システムについても、御指摘のとおりで、この議論は我々も今やっと取りかかったところですので、どういったシステムがあり得るのか、それによってどういったことができるのか、それをフロン法の中でどのように位置づけていけばよいかといった点について、引き続き御相談、御議論させていただければと考えております。

○豊住室長  それでは、私から大石委員からいただきました御意見、御質問について回答させていただきたいと思います。

 まず、14ページにございましたユーザーが機器を廃棄するときのユーザーは誰なのかというところです。基本的には機器を使用していた管理者になりますが、いずれにしましてもこういった責務を負っている者が誰なのかをしっかりと周知していくことは重要だと考えておりますので、今後の周知に当たって留意してまいりたいと考えております。

 また、基本的にフロン法は業務用の機器が対象ですが、ノンフロン機器、低GWP機器の選択という中で、国民の皆様にもフロン対策の重要性を御理解いただくためにも、国民向けの普及啓発も必要との御意見をいただいたものと理解しております。今後、私どものフロン対策の普及啓発活動におきまして、その点もしっかりと留意してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

○飛原座長  よろしいでしょうか。高村委員からここでの議論が2030年の深掘りを踏まえた議論をしていくのかという質問でしたけれども、田村室長からはそうではなくて、2050年のことを見据えた議論をしたいという感じの回答でしたけれども、それでよろしいのですか。確認です。

○田村室長  私の説明が少し不足しており、申し訳ございませんでした。2030年については、野心的な目標を持ってやっていくということで宣言されておりますので、もちろん2050年にはそれを踏まえた形での議論になります。

 ただ、カーボンニュートラル2050ということになっておりますので、そのための方向性を今回、議題2で御議論いただければと考えております。説明が不足しており申し訳ございませんでした。

○飛原座長  追加で質問させていただきました。それでは、佐藤委員、お願いいたします。

○佐藤委員  佐藤でございます。44ページのスライドのフロン排出抑制法の改正ですが、関係当事者が連携するという意味で、お互いに啓蒙し合い助け合うというような趣旨の改正となっており、とても良い内容だと思います。ユーザーの能力の不備を関係当事者が補っていくということは大変重要だと思います。

 質問としては、こういう連携関係によってフロン回収の効率が上がっているのでしょうか。また、証明書を確認できない場合、廃棄物の引き取りを禁止となっていますが、引き取り拒否は不法投棄につながる可能性があります。引き取りを拒否することにより、フロン回収の効果が上がっているのかを確認する方法があるのかについて伺いたいと思います。

○飛原座長  質問については以上のようですので、事務局より回答をお願いいたします。

○豊住室長  それでは、環境省から佐藤委員からの御質問につきまして回答差し上げます。改正法は昨年度に施行されており、その施行状況の調査は今年度に実施いたします。今回の法改正により効果が上がっているかどうかを調査の中でしっかりと確認していきたいと考えております。例えば、廃棄物リサイクル業者へのアンケートといったことを通じて効果の確認をしたいと考えております。

 以上です。

○飛原座長  ありがとうございました。予定をしておりました11時を少し過ぎておりますので、議題1はこの辺りにさせていただきます。

 次に議題2、代替フロン分野での2050年カーボンニュートラルに向けた今後の取組の方向性について(案)につきまして、事務局から資料2の説明をお願いいたします。なお、こちらは審議事項でございます。より正確には資料2、3ページに記載されております2050カーボンニュートラルに向けた取組の方向性が審議事項でございます。4ページ以降は現時点で考えられる対策の例ですので、これで確定ということではございません。それでは、お願いいたします。

○田村室長  それでは、代替フロン分野での2050年カーボンニュートラルに向けた今後の取組の方向性について、経済産業省の田村から御説明させていただきます。

 こちらはHFCs分野における2050年カーボンニュートラルに向けた対策のイメージを記載しております。蛇口ではキガリ改正の着実な履行、上流ではグリーン冷媒機器の普及拡大、そして中流での稼働時漏えいゼロ、下流の回収率100%達成、それによるHFCsの排出をゼロにしたサーキュラーエコノミーの確立、これらに関する国際協力の推進という構成にしております。

 これにより下の図のとおり、最終的にはHFCs冷媒をグリーン冷媒に置き換えつつ、ソフトランディングするためのHFCsの循環をサーキュラーエコノミーということで確立するというものです。

 2ページと3ページに2050年カーボンニュートラルに向けた取組の方向性をフロンのライフサイクルの各ステージである蛇口、上流、中流、下流、その他に分けて提案させていただいております。この2つのページにある内容について、今回御審議いただければと思います。

 まず、蛇口でございますけれども、モントリオール議定書キガリ改正の着実な履行を進めます。そのためには、オゾン法による製造・輸入の割当て等を厳密に運用する必要があると思っております。

 一方で温室効果の高い冷媒の供給が減少しますので、既に市中で使用されている冷凍空調機器の補充用冷媒が不足するといった可能性があり、場合によってはコールドチェーンにも影響するという懸念がございます。これに対する対応も並行して進めることが必要だと、私どもは考えている次第です。

 また、キガリ改正で2036年に基準年の15%にまでフロンの消費量が減少しますが、それ以降も2050年に向けてさらに削減していく必要があると思っております。

 それから、上流ですが、フロン使用機器は、とにかくグリーン冷媒機器の普及拡大を図ることが重要で、そのためには供給側と需要側の両面においてグリーン冷媒機器導入に向けた対応が必要だと考えております。

 現在、既にCO2や炭化水素などが用いられた自然冷媒機器が市場で販売されておりますので、こういったものについてはこれらの機器を主流化していき、それと並行して、自然冷媒が使用できない機器といったもので使えるような温暖化係数が極めて低い冷媒の開発も進めることが重要だと思っております。

 また、どうしても可燃性や微燃性の冷媒を使わなければならない場合がございますので、その安全性も含めてこれらに対応する機器の開発を進めることも求められていると思っております。

 中流の分野では、何といいましても稼働時の漏えいをゼロにしていくということが必要だと思っております。既に市中で使用されている機器につきましては、フロンの漏えい対策を徹底するということ、そのため例えばデジタル技術を活用して、漏えいを検知する精度を向上させるといった対応が求められると思います。

 また、新規に販売される機器については、漏えい防止対策をビルトインしていくということも、将来的な漏えい防止には有効ではないかと考えております。

 下流対策でございます。廃棄時の回収率100%を目指していく必要がございます。ただ、2050年においては既に大部分の冷凍空調機器が温室効果ガスを冷媒としないものになっていることを期待しておりますので、一部に温室効果ガスを冷媒として使っているものが残っているようであれば、それらの回収率100%を目指すという趣旨で書かせていただいております。

 対象となる全ての廃棄機器に対して冷媒回収を徹底するということですが、その際に今後予期される冷媒不足に備えて、物によっては回収した冷媒を再生して供給する。それによってクローズドな循環システムを構築していくということも回収率の向上には貢献するのではないかと考えております。

 また、冷媒の取り残しを最小限にする技術の開発も引き続き進める必要がございます。

 その他のところに記載がございますが、資料1で説明したフルオロカーボンイニシアチブにより、日本におけるフロンのライフサイクルマネジメントで国際的に貢献していく、あるいは、日本の技術的な強みを国際的に展開していくといったことも視野に入れながら対策を進めるべきと考えております。

 4ページ以降になりますけれども、これらの方向性に基づき、今後考えられる個別の対策ということで列記させていただきました。2050年を目指したものですので、あえて実現可能性がこの段階では見えていない対策も含めている次第です。とにかく検討できるものは今から検討しておきたいという趣旨でリストアップしているという前提で、お聞きいただければと思います。

 こちらの蛇口分野の対策ですが、まずもってオゾン法の割当制度を厳密に運用して、キガリ改正に合わせた製造量、輸入量の削減を進めるということが中心になると思っております。

 その上で、コールドチェーンに影響を及ぼしかねない冷媒不足に対応するために、どの機器のどの冷媒が不足するのかを特定して、ドロップイン、あるいはレトロフィットで対応する低温室効果係数の冷媒種に入れ替えていくという対応を検討することが必要ではないかと思っております。その際にも安全性の確保が大前提となりますので、例えば機器の耐圧性能確認が必要なのかどうかといったことについても留意する必要があると思っております。

 また、特定の冷媒不足には再生冷媒の活用も有効かと思っております。

 一方で、いつまでも温室効果係数の高い冷媒を使い続けることはできませんので、将来的には温室効果の低い冷媒に移行するということが前提となると思っております。

 そのためにも再生冷媒の活用は漏えい防止と回収のパッケージとなるのではないかと思っております。また、冷媒の再生を進めれば回収率の向上にも貢献できるのではないかと考えているところです。

 もちろんグリーン冷媒の開発、実装の支援を継続して進める必要があると思っております。

 上流で考えられる個別の対策ですが、基本的にはグリーン冷媒の開発と実装に加えて、それに適合した機器の開発が挙げられると思っております。これから可燃性や微燃性の冷媒を使っていくためには、これに対応した安全性を確保した機器の開発が必要ですし、そのためには引き続きこういった燃焼性に関するリスク評価も行わなければならないと思っております。

 また、既に自然冷媒などのグリーン冷媒を使用した機器が上市されているのであれば、できるだけそれらの機器に置き換えていただくということも重要だと思っております。そのためには指定製品制度を効果的に活用して、新たな指定製品の追加、あるいは目標を達成した指定製品の深掘りを行っていくということが考えられます。

 また、省エネ型自然冷媒機器の導入支援を継続し、それとともに既に市中にある既存の機器については、安全を大前提にドロップインやレトロフィットを活用して、冷媒転換の可能性を探るということも重要です。

 また、冷媒を使わない新冷凍空調技術と、一番下に書かせていただいておりますけれども、今現在でも圧電素子や磁気を使う方式が限られた分野で使われていると聞いておりますが、コスト面や使用条件の面でまだまだ実用的ではないと言われております。しかしながら、2050年という長いスパンの中では、このような技術の活用も将来は考えられるのではないかということで、そういった期待を込めてここに記載させていただいております。

 次に、中流対策としては、フロン法の周知徹底を引き続き進めるということが重要だと思っております。また、冷媒の漏えいを早期に検知して対応するための漏えい検知システムの精度向上、そして、その普及拡大が将来的な漏えい対策には効果的だと考えております。こういったものを既に市中で稼働している機器に後づけしたり、新製品には漏えい検知装置を標準装備するといったデジタル化による対応を考えていきたいと思っております。

 また、配管側や冷媒側で漏えいの防止や早期検知ができないかという点も将来的な検討事項になると思っております。具体的に今見えているものがあるわけではございませんが、このような開発要素も2050年に向けては視野に入れておいてもよいのではないかと考え、ここに記載しております。

 さらに、フロン機器の適切な管理を担保するため、機器情報や管理者情報を登録する仕組みの創設を今後検討することが考えられると思います。

 フロンの漏えい防止には、現場におけるきめ細かな対応が必要だと思っております。自治体の指導監督権限や法執行能力の向上として、機器管理者の把握を進めることや、フロン法執行のためのキャパシティビルディングを行うといったことが対応策として考えられます。

 次に、下流の機器廃棄対策でございますけれども、もちろんフロン法の周知徹底を引き続き進めることが重要ですが、1台当たりの回収率を向上させるための技術開発、あるいは機器にポンプダウン機能を標準化するといった対応なども将来的な対策としては考えられると思っております。

 また、市中からの回収率を向上させるために、漏えい対策のところでも御説明しましたが、機器情報や管理者情報の登録システムを整備して、トレーサビリティを向上させるということも一案だと思っております。

 もちろん現場で自治体の皆さんが活動しやすい環境づくり、そのためのフロン法執行能力の向上といったものが、漏えい対策と同様に重要になると思います。

 それから、蛇口・上流対策とも密接に関連しますが、今後冷媒の供給がキガリ改正によって縮小していくことになりますので、冷媒価値の上昇に伴う再生需要の増加によって冷媒の回収にも付加価値がつくのではないか、この冷媒回収に対するインセンティブ向上をうまくシステム化すれば機能するのではないかと考えております。一方、その際にはフロン再生業の適正な監督といったものが重要になると思っております。

 なお、これらの可能性について今後検討していくに当たっては、幾つか留意しなければいけないことがあると思っております。1つは、冷凍冷蔵機器やエアコンといった空調機器へのアクセシビリティでございます。例えばコストが急激に上昇するといったことによって、社会的・経済的条件でこれらの技術を享受できる対象が限られてしまうことは望ましくないと思っております。

 また、冷媒の選択に当たっては、安全性、性能、省エネ、コストといった観点を無視するわけにはいきません。これらを総合的に勘案しながら、いつどの冷媒に転換していくかを考えることが必要だと思っております。

 一方で、冷媒の選択が気候変動にもたらす影響も、我々は常に意識しておく必要があると思っております。

 そして、2050年カーボンニュートラルが温室効果ガスの排出を実質ゼロにするものであることに鑑みれば、2050年時点で市中に存在する冷媒をどうするかについても、常に考えておく必要がございます。その点で漏えい防止と廃棄時回収は引き続き重要であると思っております。

 後半で御紹介した考えられる個別対策を参考にして、2ページと3ページにある取組の方向性について御議論いただければと思います。

 私からの説明は以上でございます。

○飛原座長  ありがとうございました。ただいまの事務局からの説明に関して御意見、御質問をいただきたいと思います。11時40分ぐらいをめどに議論が収束できればいいかなと希望しております。

 御意見、御質問がある場合には、先ほどと同様にコメント欄にお名前を記入してください。御記入いただいた方から順に指名をさせていただきます。3名ぐらいで区切って御質問に対して事務局より回答いただく予定です。

 それでは、最初に山崎委員、お願いします。

○山崎委員  日本鉄リサイクル工業会の山崎でございます。3ページ目の下流対策で回収率100%という方向性を出されておりますが、現在、法改正された後で40%ぐらいと聞いておりますので、かなり高い目標ではないかと思います。もっとも蛇口の絞り具合によっては、2050年に代替フロン含有機器が大分減っているのではないかという想定もありますが、この対策は比較的重要と思っております。ポイントとしては如何にして確実に機器をフロン回収業者に渡していくかが大事ですが、我々が実態として捉えているのが、フロン回収業者に渡す前に、ほかのルート、例えば有価買取り業者や輸出業者に流れてしまい、そこで未回収、放置されている可能性があると考えております。

 なぜならば、フロン含有機器そのものが金属スクラップとしてかなり価値が高いものです。鉄なり非鉄なりという高価な素材がかなり入っているものですから、どちらかというと環境原則ではなくて経済原則で動く結果として、適正なフロン回収業に乗らないケースが多いのではないかと想定しております。

 ここに対してどういう対策を打っていくかを考えると、まず、排出から回収、廃棄に至るまでにかなり多くのプレイヤーが絡んでくる構造になっていると思います。ユーザーそのもののケースもあると思うのですが、建物の解体であれば解体業者さん、単に寿命が到来したための機器の入替えであれば設置工事会社さん。設置工事者さんに対してオーダーをするのはメーカーであり、販売会社であり、そこから廃棄、回収というかなりいろいろなプレイヤーが複雑な業界構造の中でそれぞれの関係性の中で動かしていっているものですから、それぞれのプレイヤーに対して規制、計画、インセンティブといった政策を濃淡含めて実施していくか、いま一度整理した上で進めていく必要があると考えております。

 これは意見になります。以上になります。よろしくお願いします。

○飛原座長  ありがとうございました。続いて、西薗委員にお願いしますが、その前に多くの御意見を述べたいと手を挙げていらっしゃいますので、申し訳ありませんが、なるべく簡潔に発言をお願いいたします。西薗委員、お願いします。

○西薗委員  西薗です。まず、2ページの蛇口、上流ついて、もちろん2050年が最終目標ということは当然ですが、やはりバックキャスティング的に考えると2030年で役者がそろっていなければならない。機器の耐用年数が20年程度であるという点を、我々委員はもちろんですが、業界、あるいは多くの方がきちんと認識しておく必要があると思います。したがって、バックキャスティング的に考えて、2030年にはもうフロンを使わない方法がかなりの分野で確立されている必要があるということの再確認をすべきだと思います。

 そのため、1つは経済的な手法はコストがかかるということが資料1にも書かれておりましたが、経済的な手法による優遇措置というのは今も行われておりますので、さらにこれを強化する必要があるのではないかと思います。

 そして、下流の部分ですが、先ほど鉄リサイクル工業会の山崎さんから実態のお話がありました。次の3ページに下流のところが書かれておりますが、下流のお話というのは結局、具体的に回収する現場でどういうことが起こっているかを把握しなければならないわけです。1台当たりの回収率のことが具体的な方法として7ページの中に書かれております。例えば1台に10キログラム入っているようなものを回収するのであればかなり回収率は高くなりますが、1台当たり回収技術の向上と書かれているとおり、現場では数百キログラムを何時間かの間に回収するという量と時間の関係を把握してきちんと回収できるような方法をモデル化していく必要があると考えております。回収の問題については、なるべく早急にやるべきと思います。

 以上です。

○飛原座長  ありがとうございました。奥委員、お願いします。

○奥委員  ありがとうございます。2ページの蛇口と上流は、家庭用であろうと業務用であろうと、いずれにも共通する方向性としてよろしいかと思うのです。次のページの中流と下流については、先ほど資料1のところでも確認させていただいた点と関連するのですけれども、HFCsの排出量の2割は家庭用が占めているという実態が現状でもあるということを考えますと、やはり2050年には家庭用も含めてグリーン冷媒に置き換わっているから大丈夫だろうということかもしれませんが、2030年というところをしっかり視野に入れて考えるならば、中流の漏えいゼロ、下流の回収率100%に家庭用のHFCsもしっかりと対応していくということを盛り込んでいく必要があろうかと思います。

 今日御準備いただいている6ページ、7ページ、今後の対策の例を見ましても、業務用しか念頭にない内容になっている部分もあると思いますので、家庭用についてどうしていくのかはしっかりと検討が必要ではないかと思います。

 以上です。

○飛原座長  ありがとうございました。それでは、事務局より回答があればお願いいたします。

○田村室長  御指摘、御質問ありがとうございます。

 西薗委員から御指摘いただきました、2050を目指しながらもバックキャストで2030年のことも考えないといけないということは、もちろんそのとおりだと思っております。特に蛇口のところで申し上げれば、キガリ改正でこれから非常に厳しい階段を下りていかないといけないということもございます。そういう意味では、蛇口の部分もきちんと供給面で押さえていくということが重要だと思っており、そこはオゾン法の中で割当てをしていきたいと考えております。

○豊住室長  環境省からお答えいたします。

 山崎委員からいただきました回収率を向上させるための方策について、プレイヤーは非常に多いので、どのような形で規制するか、濃淡も含めてというようなお話もございましたけれども、どのように規制をしていくべきかといったところを検討していくということは必要になってくると考えております。

 まず、回収部分につきましては、令和元年に法改正をしたばかりでございますけれども、そういった施行状況も踏まえながら、フロン法の規制をどうしていくかについて今後、審議会の場で御検討いただくということになると考えております。

 また、奥委員から御指摘いただきました家庭用は、特に中下流の対策に含まれているのかという部分ですが、家庭用の製品につきましては、漏えいに関する部分はある意味、製造事業者において漏えい防止等に配慮した設計、製造を求めているというところがございますし、また回収につきましては、2050年に向けてということですので、考え方としては家庭用も含めた考え方と御理解いただければと考えております。

 私からは以上です。

○飛原座長  ありがとうございました。それでは、次に移らせていただきます。大塚委員、お願いします。

○大塚委員  先ほど高村委員より、この会議と今日の午後開かれる温対計画の合同会議の関係について聞いていただき、ありがとうございました。私が聞かなければいけなかったかもしれませんが、恐れ入ります。

 こちらの会議のことですけれども、前回のフロンの排出抑制法の改正の頃と少しずつ違ってきていることが出てきていると思いますが、特に3点が気になりました。

 1つは、カーボンニュートラル2050年ということがはっきりしましたし、さらに2030年に46%削減という目標が出てきておりますので、今回登録制度のような考え方が出てきたというのは、非常に重要だと考えております。規制的なところをさらに強めていくということになりますし、コストパフォーマンスを考えたほうがいいかもしれませんが、基本的に賛成したいと思っています。

 2つ目ですが、従来フロンの破壊、再生の中では、破壊に重点が置かれてきていて、恐らくそのトーンは変わっていないと思います。先ほど御説明がございましたように、過渡的かもしれませんが、再生のほうに若干重点が置かれるようになっていくだろうということかと思いまして、キガリ改正でフロンに価値が出てきたということがありますので、一時的かとは思いますが、そのことも考慮する必要があるということだと思います。

 3番目ですけれども、低GWPのフロンが出てくることになって、回収フロンがいろいろなものになってくるので、再生をしていくときにちょっと面倒になることが出てくるのではないかということ。

 以上3点、私が気づいた最近の変化でございます。先ほど申しました登録制度に関しては、コストパフォーマンスを考えつつ検討すべきだと思いますが、フロンの場合はCO2に比べて温室効果が非常に大きいので、入れたほうがいいのではないかと思っています。

 それから、衆議院、参議院で前回の法改正のときにも附帯決議が出ているフロン類に関する経済的手法は、補助金だけではなくて逆に賦課金のようなことも考えられるわけでございますけれども、これは長期的な課題として考えたほうがいいのではないかということを申し上げておきたいと思います。

 以上でございます。どうもありがとうございました。

○飛原座長  ありがとうございました。それでは、作井委員、お願いします。

○作井委員  作井です。よろしくお願いします。今日はどうもありがとうございます。

 6ページ目の考えられる個別対策の例(中流)と書いてございますが、いつも思うのですが、1970年頃、CFC、HCFCsが問題になったときにはフロン問題についてテレビ、新聞で始終報道されていました。オゾン層破壊で皮膚がんや白内障になるということで、国民の関心はすごく高かったです。その後、HFCsに代替フロンという名前をつけたことで、国民は関心を示さなくなりました。HFCsはもはやフロンではないと認識する人たちが多くなったからだと思います。

 ところが、キガリ改正でHFCsの生産が削減されるなか、あと数年すると非常に危機的な状況になるということを国民のほとんどは知らないということです。これは、大きな問題です。中小企業は法の認知度が低いと書いてございますが、確かにそういうこともあるかもしれません。大企業の実務担当者は法遵守をしっかりされていますが、一番の大きな問題は経営者がフロンについて全く関心がないことだと思います。それは国民の無関心とも全く一緒です。ここにいらっしゃる委員の方は、フロンについてお詳しいですが、国民のほとんどはフロンなんかどうでもいいと思っているのです。私はこれがフロン対策が進まない一番の大きな問題だと思っています。

 先ほどの資料1の52ページに1,000トン以上漏えいした者の報告書が出ています。ここで75%以上がスーパーや百貨店、コンビニとなっておりますが、報告件数で大企業と中小企業の比率でみると、地場のスーパーを含めて中小企業の報告件数と比率は多く占めています。ところが、冷凍空調機器を大量に所有している大企業は日本にどれだけたくさんあるのかと、いつも思っています。

 一方、化学製造業については、経営者の認識が化学物質であるフロンに対して高いと思われるので報告されている企業数が多いのだと推測します。しかし、もっとたくさん機器を持っている大企業は世の中にあるので報告件数があまりないのは腑に落ちません。

 ここで対策としてお願いしたいのは、国民全体、とりわけ大企業の経営者にフロン対策の重要性を分かってもらうことが肝要かと思います。大企業の経営者での理解が進めば、水平展開および中小企業へ広がると思っています。そして、法の適切な運用が大事かと思っています。国は今後どうやって大企業と国民に認知を進めていくのかという質問でございます。

 以上でございます。

○飛原座長  ありがとうございました。それでは、春田委員、お願いします。

○春田委員  春田でございます。ありがとうございます。私から4点コメントさせていただければと思います。

 菅総理は、46%削減という野心的な目標を表明したわけでございますけれども、全体的な話としてこれを乗り越える道筋、それから具体策を示していく必要があるのではないかと考えております。その中で代替フロン分野にも言える話ですが、排出規制や税制改正、それから補助金など誘導策の検討が必要だと考えております。新技術の開発と普及に向けた誘導策については、とりわけ2ページにありますとおり、グリーン冷媒機器の導入に向けた対応推進とありますけれども、コストに対する懸念が普及への障害とならないように、普及と社会実装に向けた誘導策、導入へのインセンティブに向けた誘導策に期待したいと思っております。

 2つ目ですが、一昨年、フロン排出抑制法が改正されたということですが、今も話があったとおり、国民への周知やとりわけ中小企業等も含めて余り意識されていないというところもあるため、こういった普及啓発に向けての取り組みが重要かと思っております。

 加えて、この改正で都道府県への指導監督権限が強化されたということですが、適切な執行に向け、権限の強化に見合った都道府県の体制整備、担当部門の人材育成や、体制の強化を進めていく必要があるのではないかと思っております。

 3つ目でございますけれども、中流、下流の資料にありましたが、御説明にあったとおり、デジタル化というのが1つのキーワードになるかと思います。中流の中でもデジタル化を生かした漏えいを徹底的に防止する技術的な対策を推進していくこと、それから下流においては行程管理表の電子化が行われておりますが、この行程管理表が保存されていない事例もいろいろあると資料にございましたが、こういったことに対応するためにデジタル化とデータベースの構築を確立していくということにも投資し、普及が進むことに期待しています。

 最後に国際的な話ですが、資料の3ページ目、その他にあるとおり、フルオロカーボンイニシアチブの積極的な推進、フロンのライフサイクルマネジメントを含めて輸出していくということで、ここに記載のとおり、回収技術もセットで輸出していく。また、そのフォローもしていくということが重要です。これからは、ただ単に製品を輸出するということだけではなく、全体的にそういったことを含めて輸出して、排出削減に貢献していくということがこれから重要になってくるのではないかと思っております。期待しております。

 以上でございます。

○飛原座長  ありがとうございました。それでは、事務局より回答をお願いします。

○田村室長  ありがとうございました。

 まず、大塚委員、ありがとうございます。再生に関してはまさにおっしゃるとおりで、キガリ改正で蛇口を絞りフロンが足りなくなっていくことで、コールドチェーンに悪影響が出てはいけないと我々考えております。そういう意味では、一時的に再生でつないでいくことは必要だと思っておりますし、回収フロンの質が再生に影響を及ぼすということはまさにおっしゃるとおりだと思います。回収業者、再生業者と技術的な相談をしながら進めていきたいと思っております。

 それから、作井委員の御指摘もありがとうございました。大企業にどう伝えていくかということでございますが、我々もそういった観点を含めながら考えたいと思います。御指摘にもありました算定漏えい量の公表においては、どこがどれだけ漏らしているかということも含め、ある程度多く漏らしている事業者に関しては、我々報告を受けてそれを公表しておりますので、そういった意味で、特に大企業の皆様の意識を高めていただければと考えているところでございます。

 それから、春田委員からも御指摘をいただきました。機器導入を誘導していく対策を拡充するということは、実際に我々も考えておりますし、またデジタル化ということは、まさにおっしゃるとおり、我々が進めたい方向でございます。漏えい対策もさることながら、行程管理表の電子化もということですが、現在、RaMSというシステムの中でそういったことが進められておりまして、ぜひそういったことも続けていきたいと考えております。

○豊住室長  それでは、環境省から御回答申し上げたいと思います。

 まず大塚委員からいただきました御意見の中で、登録制度について基本的に賛成ということで御意見をいただいております。今後、こういった対策を検討するに当たりましては、御意見をいただきましたとおり、コスト等いろいろな面を検討しながら進めていく必要があると考えておりますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

 また、経済的手法に関しましては、先ほど西薗委員からも御意見をいただいております。回答漏れがございまして大変失礼いたしました。こちらにつきましては、大塚委員からも御紹介がございましたとおり、令和元年の法改正時におきまして、衆参両院附帯決議におきましても、改正法の施行状況を踏まえつつ、我が国の経済的な手法の在り方について、その導入による効果や行政コスト等を総合的に勘案しつつ検討を進めて、5年をめどに結論を得るとされてございますので、こういったことも踏まえながら検討を進めてまいりたいと考えてございます。

 また、春田委員からいただきました普及啓発、自治体職員の人材育成でございますけれども、今後2050年に向けて都道府県におきます執行能力の向上といった点は非常に重要と考えておりますので、国としてもできる限りのことをしていきたいと考えているところでございます。

 また、国際的な取組に関しましてですけれども、御意見をいただきましたとおり、フロンライフサイクルマネジメントといったものを主流化するに当たりましては、回収技術も極めて重要でございますので、こちらも併せて普及していかれるような形で取組を進めてまいりたいと考えてございます。

 また、西薗先生から御意見をいただいておりました1台当たり回収率につきましては、まさに昨年、今年度と技術的な実証等も進んでいるところでございます。技術的に1台当たりの回収率を高めるためのモデルといったものをしっかりとまとめまして、その後もこういったものを見直しながら、回収率の向上に努めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

○飛原座長  ありがとうございました。それでは、次に高村委員、お願いいたします。

○高村委員  ありがとうございます。資料2についてですが、先ほど資料1で御質問をいたしました温対計画の議論と合同会議の議論の関係を御説明いただき、ありがとうございました。理解をいたしました。

 今回資料2で示していただいている対策の大枠の方向性については同意をいたします。他方、西薗委員からも御指摘があった点ですが、2050年カーボンニュートラルを達成することが目標だとすると、当然耐用年数も含め、それから回収技術の将来性を考えても、蛇口、上流、そして下流に至るまでの対策を今から強化、加速しなければならないと思います。

 特に上流対策については、一度市中に出てしまうものを100%回収するのがいかに難しいかという点について、この間、我々は経験していると理解していまして、その意味で2050年カーボンニュートラルの議論というのは、同時に2030年の明確な目標と施策、特に2030年目標である46%は、2050年のカーボンニュートラルと整合的な目標として示されているものと理解しております。その意味で2030年の明確な目標と施策ということも併せて2050年カーボンニュートラルの文脈で意識して検討する必要があると思います。

 2点目は、とりわけ上流対策が今申し上げた点で非常に重要だと思っております。機器を自然冷媒、あるいは低GWPの機器に早期にしっかりと移行していく施策が重要だと思っております。これは対策としてもそうですが、日本の企業さん、技術を持っていらっしゃる分野だと理解していまして、こういう対策をしっかり取ることがそうした企業さんにとって市場を確保し、さらなる競争力につながってくると思います。

 また、今日は示されていなかったかもしれませんが、今回の気候変動サミットの折にキガリ改正の締結とHFCs対策の強化ということを首脳が表明していると理解しております。そういう意味でも世界的な市場を考えても、上流対策をしっかり取って国内でも対応していくことが必要だと思います。

 その上で、資料1のスライドの34の指定製品制度が国内的に鍵だと思うのですけれども、ぜひ基本的な考え方として、既に製品が上市されているものに関しては、GWP目標をそれに相応する野心的なものに引き上げる施策を考えていただきたいと思います。特に、ここで上がっている製品群の中でも空調、ショーケース分野というのは漏えい防止や回収が技術的にもコスト的にも相当ハードルが高いと理解していまして、その意味で2050年カーボンニュートラルを実現するためには、この分野の機器の開発、普及が非常に重要だと思います。

 さらにもう一点だけ申し上げますと、設備更新時に確実に導入されることが最もコスト効率的に導入されると理解いたします。その意味でも今、上流対策を始めていただきたいと思っております。

 以上です。

○飛原座長  ありがとうございました。続きまして、花岡委員、お願いします。

○花岡委員  国立環境研究所の花岡です。御説明どうもありがとうございます。私から2点あります。

 まず1点目は、グリーン冷媒に関してです。資料2のスライド2に記載がありますが、キガリ改正の着実な履行をするためには、グリーン冷媒の開発と機器の普及が欠かせないと思っております。その際に資料1のスライド26以降にグリーン冷媒の導入状況について先ほど御説明いただきましたが、グリーン冷媒が主流となるために、いつまでにどの程度の導入を目指すのか、またいつまでにどのような課題を解決していないと間に合わないのか、といった将来のグリーン冷媒使用機器のロードマップはどのように議論されているのでしょうか。もしロードマップがなければ、今後そのような議論をぜひ検討をよろしくお願いします。

 2点目がIoT技術に関するものです。資料2のスライド3に稼働時漏えいゼロに向けたIoT技術を用いた漏えい検知の対策が上げられていますが、ほかにもまだIoT技術の活用についてはいろいろあるかと思います。例えば新しい機器の販売時や、既存の機器の冷媒補充や整備のときにQRコードやチップを搭載することで、どのようなタイプの機器で何の冷媒をどの程度の量を充填しているのかといった、機器の情報を登録して、冷媒のトレーサビリティを効率的に管理するということが今現在、既存の技術を利用しても可能であると思っています。このような登録や管理のデジタル化についてどのような議論がされているのか質問させていただきたいと思います。もしまだ冷媒の登録・管理のデジタル化の促進の議論がなければ、今後ぜひ検討をよろしくお願いします。

 2点、以上であります。

○飛原座長  ありがとうございました。それでは、岡田委員、お願いします。

○岡田委員  私からコメントという形なのですが、2050年のカーボンニュートラルというのは全体的な目標でありまして、当然機器メーカーである我々も目指すべき目標は変わらないものだと思っております。

 今回、具体的な内容として、取組の方向性というところも特に緑で書かれている部分は基本的にはそういう方向だろうなと理解しますので、合意をしたいと思っております。

 ただ、メーカーの立場で申し上げると、上流のところが自然冷媒機器の主流化ないしはグリーン冷媒導入ということで書かれておりますけれども、これは単に機器の開発だけで終わる話ではないと考えております。今日は上流に関するコメントを数多くいただいていますので、それに対する反論になるのかもしれないのですが、例えばグリーン冷媒、自然冷媒というのは、GWP値は確かに小さい、低いのですけれども、その代わりに燃焼性があったり毒性があったり、圧力が高い、要するにエネルギー効率が悪いという弱点もあるわけです。ですから、その辺りをどうバランスを取ってやっていくのかというところについては、例えば、現在の法律を改正して、ある部分規制を緩和するだけでなくて、先ほど途中でありましたけれども、規制を強化して、こういった燃焼性のある冷媒を使わなければいけないとか、そういうことを並行して検討していただきたいと考えております。

 それから、先ほどありましたように、経済的手法や登録制度の導入という新しい考え方も当然並行して検討いただければと思います。結論として言いたいことは、社会システム全体として見直さなければいけない部分というのがかなりあるのではないかということです。これは時間もかかることだと思いますし、いろいろな知見が必要だと考えていますので、そういったところの検討をぜひ並行して行っていただきたいということをコメントさせていただきます。

 以上です。

○飛原座長  ありがとうございました。それでは、事務局、お願いします。

○田村室長  御意見、御質問ありがとうございます。

 高村委員におかれましては、全体の方向性に御賛同いただき、誠にありがとうございます。おっしゃられたように、2050年を目指すとは言いながらも、やはり蛇口、上流の部分はキガリ改正の着実な履行も含めて、できるだけ早急に手をつけなければいけないと思っております。また、指定製品制度が鍵になるということで、そちらのほうもエールをいただいたと考えております。ぜひこれから一生懸命取り組んでまいりたいと思います。

 グリーン冷媒の何が主流になるかということについても、この時点で何かが見えているわけではございませんけれども、今後何が足りなくなるかというようなことも含めて考えてまいりたいと思います。もちろんIoTは、漏えいだけではなく、できるところでデジタルを使っていきたいと考えております。

 その際には、先ほど岡田委員から御指摘がありましたとおり、機器の対応においては、例えば燃焼性といったものがございます。安全性を犠牲にすることはできないと思っておりますので、そこもきちんと視野に入れながら対応してまいりたいと考えております。

 以上です。

○飛原座長  どうもありがとうございました。それでは、次に筧委員、お願いいたします。

○筧委員  東京都の筧でございます。私からは2点ほどコメントさせていただきます。

 1つ目は、3ページに書いてある機器へのIoT技術を活用した漏えいの検知に関することです。既に設置されている機器について、こういうものをつけていくとなると、それ相応のコストがかかると思いますので、それについては当然、大企業だけではなくて、個人事業主とか中小企業にも導入を進めていく必要があると思いますので、技術的支援はもちろんのこと、導入時には経済的支援の検討をぜひお願いしたいと思っております。これは既存の機器だけではなくて、新設の機器についても同様でございます。

 2つ目は、4ページにあります再生冷媒の有効活用についてですが、回収した冷媒を破壊するか再生するかというのは難しい問題だと思うのです。一度市中に出てしまったフロンを回収するのは非常に難しくて、それをまた市中に戻すということになるわけですが、既存機器のあるうちは冷媒の確保は必要であるというのは十分理解しているのですけれども、全て市場原理に任せて需要があるから全て再生して供給するというのではなくて、計画的にある程度供給を絞って、既存機器から自然冷媒機器への転換を促していくような考え方があってよいかと思っております。いずれにしても、再生冷媒の活用に当たっては、計画的な上限管理が必要ではないかと考えております。

 私からは以上です。

○飛原座長  ありがとうございました。赤穂委員、お願いいたします。

○赤穂委員  2050年のカーボンニュートラルに向けて、まだ世の中はCO2対策が中心であるという認識が強いですので、代替フロンの削減に取り組まなければならないということを広く認識してもらう必要があると思います。

 特に業務用については、ユーザーにとってリスクが生じる可能性があるということを示すことが重要なのではないかと思います。2050年に向けて今の空調機とか冷凍冷蔵庫を使い続けると、どんな不具合が生じるのかということを明らかにして、早めに示していく、それがユーザーの予見可能性を高めて、機器の切り替えを促す上でも重要だと思います。

 さらに、これは温暖化対策全般に言えることですが、経済成長との好循環を図るという考え方が重要だと思います。日本として世界の代替フロンの削減に貢献する。それとともに関係産業が発展するという方向に進めていく必要があります。そのためにも世界の市場の方向性と日本の技術開発の方向性を合わせていく必要があると思います。

 規制についても極力グローバルに合わせていく必要があると思います。例えば日本では使えなくなった冷媒が世界のどこかで流通している、あるいは逆の状況ということになれば、抜け道的な使い方も行われる可能性もありますし、対策も進まないということにもなります。

 そういう意味で、いずれはカーボンニュートラルに向けてキガリ改正の再改正も必ず行われるはずですので、日本発の提案ができるように準備を進めていく必要があると思います。

 以上です。

○飛原座長  どうもありがとうございました。議事進行の不手際でそろそろ12時を迎えようとしておりますが、現時点で6名の委員の方が手を挙げていらっしゃいます。したがいまして、誠に申し訳ありませんが、今日は12時に終わることができません。もう少し時間がかかると思います。

 発言を予定されている方で12時以降の予定があって、退席しなければならないという方がいらっしゃれば言っていただけないでしょうか。順番を変えて早めに発言していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

○飛原座長  では、有田委員、どうぞ。

○有田委員  すみません。手を挙げるのが遅くなりました。私は、この方針に対して、合意いたします。

 これまでも、データなどを積み上げてこられていたと思います。回収もなかなか進まなくて40%を上回ることはありませんでしたので、2030年に46%という目標を立てられていて、これまでの事を考えればようやくという感じです。また、機器のところでもトップランナーという事も出ましたが、既に技術開発をされている機器メーカーもあると思います。そういうことに期待しまして、2030年にはある程度のところが解決しているのではないかと思っております。

 いろいろ皆さんもおっしゃいましたので、そこは長くなりますので申しあげません。取りあえずこの方向性に合意いたします。

 以上です。

○飛原座長  ありがとうございました。それでは、事務局より回答がありましたらお願いします。

○田村室長  有田委員、御賛同いただきましてありがとうございます。一生懸命頑張りたいと思います。

 それから、筧委員から御指摘をいただきました漏えい検知システム、もちろんこれは技術開発だけではなく、いかにこれを導入していくか、皆さんに使っていただくかということが重要だと我々考えております。また、再生冷媒に関する御指摘につきましても、確かにもともとグリーン冷媒を使えるものについては、そちらのほうに移行していただく中で、例えば補充用などで、今こういう冷媒がなくなると困ってしまうというものについては、再生冷媒の活用も重要ではないかと考えております。そのうえで、最終的にはグリーン化していくということではないかと思っております。

 それから、赤穂委員も御指摘ありがとうございます。冷媒が足りなくなることをいかに周知していくかということは、非常に重要だと思っております。そういう意味では、機器を取り替えないことによるユーザーのリスクもできるだけ広く普及、広報しながら、グリーン冷媒の転換を進めていただくように努力したいと思います。

 以上です。

○飛原座長  ありがとうございました。続きまして、北村委員、お願いいたします。

○北村委員  フルオロ協の北村です。よろしくお願いいたします。

 資料2ですが、基本はこれでよろしいかと思います。取りあえずキガリ改正を確実に行っていくというのが当然だと思っております。

 また、2030年の目標やキガリの36年以降の15%をどうするかという問題がございますが、これは技術開発の状況を見ながら、もう少し先に決めるというのがよろしいのではないかと思っております。

 もうひとつ、経済的手法というお話が出ましたけれども、例えば課税とかデポジットとかが考えられると思うのですが、フロンはいずれなくなっていくもので、そういった意味では行政コストを賄えるのかという懸念があるかと思います。

 家庭用エアコンの話が出ましたが、これは家電リサイクル法で対応していると思います。

 以上です。

○飛原座長  ありがとうございました。大石委員、お願いします。

○大石委員  私からも手短に申し上げます。この方向性は間違っていないと思うのですが、先ほど奥委員がおっしゃられましたように、この中に国民理解のことが書いていないのは手落ちではないかと思っております。

 例えば先ほどのエアコンの話ですけれども、今、地球温暖化で気温が上がっていますので、家庭では各部屋にエアコンを入れるなど、数としては増えている状態であり、今後もまだ増加していくと予想します。一方、廃棄されるエアコンですが、インターネットで購買する人が増えており、デジタルプラットフォームで売買を行うために、家電リサイクルのルートに乗らない違法な事業者が無料で回収しますというような広告を出し、実際にその事業者を利用して処分する人たちも多いという状況があります。

 先ほどエアコンは、金属価値があるというお話がありましたけれども、家電4品目のうち一番回収率が低いのがエアコンです。それにはいろいろな理由があると思いますけれども、金属価値があること、それから違法な回収ルートがあることが理由ではないかと思っています。

 これらを防ぐためには、やはり国民全体がその事実と問題点を理解しなければいけないと思っております。また、先ほど冷媒の微燃性のことが話題になっておりましたが、消費者がそれを理解した上で製品を選択することが重要で、微燃性だから使わないのではなく、安全に使えるような環境と情報を提供する必要があると思っております。2050年カーボンニュートラルに向けては国民の協力というか理解、そのための情報提供が必ず必要だということをぜひ入れていただきたいと思います。

 以上です。

○飛原座長  ありがとうございました。それでは、出野委員、お願いします。

○出野委員  時間がないということで、手短に申し上げさせていただきたいと思います。スライドでいきますと7ページの下流対策について、解体工事業界でございますから、当然下流対策に関係しているわけですけれども、3点ほど要望といいますか意見を述べさせていただきたいと思います。

 まず1点目が、こういう政策を進めるに当たっては、規制的手法、情報的手法、経済的手法という手法があるというのは周知のことだと思いますけれども、それぞれについて今のところ皆さん方の御意見もありますように、どうも中途半端な状態にあると思います。法律をつくってもなかなか摘発が進まないとか、国民が何も知らないとか、経済的手法は今のところは全くないとか、議論はされておりますけれども、この辺りをもう少しスピードアップして進めていただければと思っております。

 2点目がこういう機器の廃棄者、所有者とか占有者とか定義が難しいところがあるでしょうけれども、一般的な廃棄者、それから解体の場合には解体の元請業者、この辺りの責任の強化の問題です。廃棄物処理関係では一般的な流れになっていますので、廃棄者とか元請業者の責任強化ということについて、もうちょっと突っ込んだ施策を考えていただければと思っております。

 3点目が市中のフロンの回収についての問題です。機器の廃棄時の回収率が38%ぐらいということなのですけれども、これを上げるために最近、技術的な問題として配管内の残留フロンについて解体をする段階でビル全体の電源が落ちていて、こういう機器等の電源がないために電磁弁が動かないとか、あるいはポンプダウンができないという問題があることがかなりはっきりしてきたようです。この辺りは即実行できるレベルの話なので、早いところガイドラインをつくるなり、あるいは政省令でも結構ですけれども、対策を早急に考えていただきたいと思っております。

 以上3点です。ありがとうございました。よろしくお願いします。

○飛原座長  ありがとうございました。それでは、事務局より回答をお願いいたします。

○田村室長  まず北村委員、御意見ありがとうございます。もちろん技術開発の状況も見ながらグリーン冷媒への変換を考えていかないといけないと思っておりますが、ただキガリ改正もすぐに階段を下りないといけないということもございますので、ぜひそこは技術開発を加速しながらやっていきたいと考えております。

○豊住室長  北村委員と大石委員から、国民理解や家電の件のお話がございました。もちろん家電に関する回収につきましては、個別の法令として家電リサイクル法で対応されているというところでございます。

 それはそれとして、国民理解という部分に関しまして御意見を幾つかいただいております。資料2で国民理解に関する部分の記載なども検討させていただきたいと考えております。

 また、出野委員からいただきました下流の対策でございます。できるところからしっかり対応してまいりたいと考えてございます。特に機器1台当たりの回収率につきましては、現在まさに検討を進めているところでございますので、可能な限り早い段階でガイドライン等を作成してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

○飛原座長  ありがとうございました。それでは、大沢委員、お願いします。

○大沢委員  日設連の大沢です。我々設備業者、回収業者という立場でお客さん、消費者の方と直接接する立場にあります。そういった中で先ほども作井委員から話がありました法の周知徹底が非常に重要かと思っています。

 中小企業者等と書いてありましたが、民間のみならず、自治体の方も含まれると考えております。我々のメンバーには、顧客に自治体・市町村の方がいますが、その方が理解されていないことが多い。自治体がやらないなら民間がやることないよねという周りの雰囲気もあるわけでして、そういったところから集中的に周知徹底していただきたい。広く周知をお願いしたいが、その中でも特に自治体が非常に重要なポイントだと思っています。あそこの市がやらないのだったら我々だってやらないよといったことがよく聞こえてきますので、そういうところを集中してやる。こういったところから周知をお願いしたいと思っています。

 そういった中で、今回いろいろと個別対策の例を出していただいていますが、2050年を目指して、これが全て実現可能か、できない、できるものもあるだろうと思っています。2030年、2050年目指して、できるところ、できないところを順位づけしていただいて取り組んでいただければと思っています。

 例えば、下流の部分で1台当たりの回収率の向上部分で、ポンプダウンの回収機能の標準化みたいなことが書いてありますが、冷媒量の多いビルマルチエアコンなど、なかなかポンプダウンで収まらないようなものもあります。一概にこれがどうこうというわけではないですが、ぜひいろいろなことを検討して、できることから早急に進めていきたいと思います。我々もその辺については協力していきますし、我々の中でも考えていきたいと思っていますので、よろしくお願いしたいと思っています。

 以上です。

○飛原座長  ありがとうございました。作井委員より最後に一言お願いしますとありますので、一言どうぞ。

○作井委員  ありがとうございます。先ほど伝え漏れていたので補足させて頂きます。大企業のCSRレポートとかESGレポートを拝見させていただくと、フロン排出抑制法の遵守状況を記載している企業が非常に少ないです。

 SDGs活動を企業が取り組む中で環境省、経産省が策定されているSDGsのガイダンスがあります。その中にフロン対策をSDGsの取り組みの一環として是非とも組み入れていただきたい。特に環境省の第5次環境基本計画の中にはフロン対策に付いては積極的に記載されてはおりません。それらは各企業のSDGs取り組みのバイブル的なものなので、フロン対策に関心を持ってもらうためには必要ではないかと思います。どうぞ、フロン対策の記載をよろしくお願いします。

○飛原座長  どうもありがとうございました。時間がすごく過ぎておりますので、事務局から大沢委員に対する回答は何かありますでしょうか。

○豊住室長  環境省から回答いたします。大沢委員からいただきましたフロン回収に関する、特に公的部門の理解促進、あるいは1台当たりの回収技術の向上に関することについて、いただきました御意見を踏まえて、周知にしても回収技術にしても具体的に検討してまいりたいと考えてございます。

 また、どういった形で企業の皆様方にフロンに関して意識を持っていただくかといったところも、今後、具体的な各種取組の中でいただいた御意見を踏まえて進めてまいりたいと考えてございます。

○飛原座長  どうもありがとうございました。それでは、議題2でございますけれども、委員より多くの意見をいただきました。その中でも国民理解が入っていないという御指摘を受けておりますので、その点につきましては適切なところに追加して記載するように事務局で案を考えていただこうかと思っております。字句修正とか最終的な修正は、中根委員長と座長の私に御一任いただきたいと思いますので、その点もどうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、よろしいでしょうか。

(異議の発言なし)

そのように審議事項は決定ということにさせていただきたいと思います。

 まだ議題3が残っておりまして、大変時間が超過して申し訳ございません。議題3、その他について事務局より資料3の説明をお願いいたします。

○豊住室長  それでは、資料3につきまして御説明をさせていただきます。

 時間も超過してございますので、簡潔にさせていただきたいと思いますが、こちらは平成25年の改正フロン法施行の5年が経過してございますので、改正法の附則におきまして見直しに関する規定が設けられていることから、この秋に開催を予定してございます本合同会議におきまして検討していただきたいというものでございます。具体的な点検、検討事項につきましては、下の枠にお示ししているとおりでございます。

 簡単ではございますが、資料3の御説明とさせていただきます。

○飛原座長  ありがとうございました。フロン法5年後の見直しについては、次回の合同会議にて議論される予定でありまして、今回はその予告ということでありますけれども、現時点で特に確認しておきたいということなどがございましたら、コメント欄に名前を記入していただければと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 どうもありがとうございました。時間も大変超過しているので、発言を遠慮された委員の方がいらっしゃると思いますけれども、大変申し訳ございません。次回は中環審側に司会をやっていただくことになります。

 それでは、中環審の委員長を務められております中根委員長、何か御意見がありましたら。

○中根委員長  どうも御議論ありがとうございました。とても貴重な御意見をいただきました。

 先ほど飛原座長からありました修正や追加については、御相談して対応したいと思います。

 それから一言。2030年との関係ということで御指摘がありました。非常に大事なことです。個別の対策例などについて、さらに前倒ししていけるようなものなどについての検討ということも含めて、2030年への深掘りを御検討いただければと考えております。

 それからもう一点、大企業の取組意識というお話がありましたけれども、リニューアブルエナジー100というのは非常に一般的になってきていますが、グリーンハウスガスゼロという標語、フロンも含めて意識に上るようにしていくということも大事であると感じました。

 以上です。飛原委員と協力しながら対応していきたいと思います。ありがとうございます。

○飛原座長  中根委員長、どうもありがとうございました。

 以上をもちまして産業構造審議会製造産業分科会化学物質政策小委員会フロン類等対策ワーキンググループ、中央環境審議会地球環境部会フロン類等対策小委員会第10回合同会議を終了いたします。

 本日いただきました御意見を踏まえ、事務局においてはフロン排出抑制法やオゾン層保護法に基づき、関係者と連携してフロン政策を進めていただきたいと思います。

 議事進行を事務局にお返しいたします。

○田村室長  飛原座長、委員の皆様、本日は忌憚のない御意見をいただきまして、誠にありがとうございました。

 今後の予定といたしましては、産業構造審議会フロン類等対策ワーキンググループ及び中央環境審議会フロン類等対策小委員会の合同会議を秋頃に開催することを予定しております。それ以前に開催の必要が生じた場合は、各委員に御連絡差し上げます。

 以上をもちまして第10回産業構造審議会フロン類等対策ワーキンググループ、中央環境審議会フロン類等対策小委員会の合同会議を終了いたします。どうもありがとうございました。時間を超過いたしまして、誠に申し訳ございませんでした。

――了――